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普段から坐骨神経痛に悩まされていると、夜も痛みのせいで眠れないのではないのでしょうか。実は坐骨神経痛の痛みが和らいだ状態で眠れる寝方はいくつかあります。 本記事では、坐骨神経痛の痛みを和らげる寝方を、妊娠中の場合や眠れない時の対処法とともに徹底解説します。 坐骨神経痛の痛みをなるべく気にせずに眠る方法やポイントを理解して、今夜からでも実践してみてください。 坐骨神経痛が和らぐ3つの寝方 腰の痛みに加えて、お尻から脚に至る範囲でしびれを伴う坐骨神経痛は、日常生活に様々な悪影響を及ぼします。 坐骨神経痛になると、痛みやしびれのあまり夜も熟睡できないことも多いです。 しかし、坐骨神経痛でも寝方を工夫するだけで、少しでも痛みを和らげながら眠れます。 坐骨神経痛の症状が和らぐ寝方を3つ紹介します。 坐骨神経痛の原因や治療法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 【関連記事】 坐骨神経痛とは|原因・症状・治療法からやってはいけないことまで現役医師が解説 坐骨神経痛(足のしびれ)の治し方|治療法や自宅でできるセルフケアを紹介 仰向けで膝を立てて寝る 仰向けで寝るときは、膝を立てた状態での就寝をおすすめします。 坐骨神経痛の場合、普通に仰向けで眠るだけでは、腰が前の方に反るとともに敷布団から浮いた状態になる仕組みです。しかし、寝ている間に腰が敷布団から浮いた時、腰からお尻や脚に向かう神経を圧迫して痛みに襲われます。 そこで、仰向けで膝を立てて寝ることで、腰の反りによる神経の圧迫が緩んで痛みを抑えられます。ただ、意識的に膝を立てて寝ると熟睡できないため、立てた膝の裏側にクッションやタオルを置くのがおすすめです。 横向きで両膝の間にクッションを入れる 横向きで眠る際には、膝の間にクッションを入れた状態であれば熟睡が期待できます。 坐骨神経痛の方が横向きの睡眠で痛みが生じるのは、腰のほぼ中心を腰椎が通るのに対し、周辺には筋肉や内臓しかないためです。 横向きになった場合、腰回りの筋肉が一生懸命に体を支えようとします。その結果、骨盤内を通る坐骨神経が筋肉に圧迫されて痛みが強まる仕組みです。 横向きで寝る時、まず痛い部位を上に向けることで、筋肉による神経の圧迫で生じる痛みを抑えられます。加えて、両膝の間にクッションを挟むこともポイントです。挟んだクッションが腰を支えるとともに、足の筋肉が緩む分、痛みが軽減されます。 痛みを悪化させない寝返りの打ち方 寝ているときに寝返りを打つのはごく自然な現象ではあるものの、坐骨神経痛を抱えている方は寝返りの際に痛みに苦しみやすいです。 痛みを悪化させないように寝返りを打つには、まず仰向けの姿勢で両膝を立てます。この際に股関節も深く曲げるのがポイントです。 次に軽く腹筋に力を入れながら、上半身と下半身を同時に動かす形で寝返りを打ちます。 妊娠中の坐骨神経痛の寝方は? 妊娠中の方の場合は、横向きにして、痛みが出やすい側を上にするのが基本です。同時に膝を少しだけ曲げ、両膝の間にクッションなどを挟みます。 なお、寝る際にはお腹周りへの冷えを防ぐことで、坐骨神経痛の症状を緩和できます。また、これから横向きに寝る際には、胎児への影響を考えて一度主治医にもご相談ください。 坐骨神経痛の寝方の注意点 坐骨神経痛でも痛みを抑えながら眠れる方法やポイントを見てきましたが、寝方には注意すべき点もいくつかあります。 うつ伏せは避ける 坐骨神経痛の寝方では、うつ伏せは避けた方が良いのが一般的です。うつ伏せでは、寝る際に腰椎が反った状態になるため、強く痛みが出ます。 しかも、腰椎だけでなく首や背中にも負担がかかるため、坐骨神経痛が悪化するだけでなく首や肩にも痛みが出てくる場合もあります。 痛い方が下に来ないようにする 坐骨神経痛で痛みを感じる部位が下に来ないことも大切です。痛い方を下にした場合、坐骨神経が腰回りの筋肉と寝床とに挟まれるため、強い痛みが生じます。 このため、坐骨神経痛を抱えながらもゆっくり眠りたい方は、痛む部位が上に来るようにするのがおすすめです。 長時間同じ姿勢になるのを防ぐ 他にも長時間同じ姿勢で眠ることも避ける必要があります。寝返りを打たずに同じ姿勢で寝続けていると、特定の部位の筋肉に負荷がかかり続けるためです。 気付いたときに寝返りを打つなどして、極力同じ姿勢の寝方にならないようにします。もし、なかなか寝返りを打てないのであれば、筋トレやストレッチなどで筋肉の柔軟性を高めるのがおすすめです。 なお、坐骨神経痛では同じ寝方だけでなく、起きている間の座りっぱなしなどの同じ姿勢も避けなければなりません。座りっぱなしの場合は、30分に1度は席を離れて体を動かす癖をつけると良いでしょう。 坐骨神経痛の方におすすめの寝具の選び方 坐骨神経痛の症状を和らげるには、寝具の選び方も重要です。 まず、理想的なマットレスを選ぶポイントとして、以下の点が挙げられます。 適度な反発性のある 体圧が分散されやすい 厚みが十分あり、寝返りを打ちやすい 適度な反発性のあるマットレスは、寝ている時も立っている時と同じ姿勢を保つのが特徴です。立っている時の姿勢では、背骨も本来のS字カーブのような形になるため、背骨や腰に負担がかかりません。そのため、坐骨神経痛の方も痛みが軽減された状態で眠れます。 また「体圧が分散されやすい」点も、背中や腰など特定の部位に圧力が集中しにくい分、坐骨神経痛の痛みを感じにくいです。体圧が分散されやすいマットレスは均等に圧力が分散されるため、腰への負担が和らぎます。 さらにマットレスに十分な厚みがあれば、表面が床より高い位置にある分、寝返りを打っても腰にあまり負荷がかかりません。加えて、幅が十分に広ければ安心して寝返りを打てるため、さらに腰への負担を軽減できます。 マットレス以外に、枕も適切なものを選ぶことが大切です。枕も適切な高さで、頭が沈まない程度の硬さがあるものが向いています。高さについては、仰向けで寝たときに目線がやや下を向くものや、横向きになった際に背骨が頭の延長線上に来る程度のものがおすすめです。 坐骨神経痛で寝れないときの対処法 坐骨神経痛を抱えている場合、夜に熟睡できずに困る方もいるかと思います。 もし坐骨神経痛の痛みで眠れないときは、以下の方法をお試しください。 横向き姿勢を試す 横向きで寝る姿勢は、仰向けよりも腰や足への負担を軽くするとされています。なお、この際に痛みを感じる部位を上に向けるのがポイントです。 なお、寝るときに抱き枕やタオルなどを抱えた状態にすると、横向き姿勢を維持するのに役立ちます。 寝る前に水分を取る 坐骨神経痛で寝れないときは、寝る前に十分な水分を取ることも有効な対処法です。実は人は寝ている間に汗をかくため、睡眠中は水分が不足しがちです。 寝ている間に水分が流出すると、筋肉や神経が硬くなります。結果として筋肉が緊張したり、神経が興奮状態になったりするため、痛みやしびれを感じやすくなる仕組みです。 寝る前に水や白湯を飲むことで、夜中の急激な痛みやしびれを抑えられることが期待できます。 体が冷えないようにする 夜間に体を冷やさない工夫も、坐骨神経痛で眠れない対策として重要です。坐骨神経痛を抱えている場合、空調や冬の寒さなどで体が冷えると、血行不良になります。 坐骨神経は周りに多くの血管が張り巡らされているため、冷えの影響で血行不良が起きると、筋肉が硬くなったり緊張したりして痛みを感じやすいです。夏場に部屋を冷やしすぎないようにしたり、冬場はしっかり布団をかけたりする工夫が求められます。 まとめ|坐骨神経痛が和らぐ寝方でしっかり眠ろう 坐骨神経痛の方は、膝を立てた状態の仰向けや、膝の間にクッションを挟みながらの横向きがおすすめの寝方です。両方の寝方は坐骨神経の通る足腰への負担を軽減するため、痛みが和らいだ状態での睡眠が期待できます。 加えて、適切な反発性や厚みのある寝具を選ぶことも、坐骨神経痛の痛みを緩和させながらの睡眠に効果的です。他にも寝る前の水分補給のように、眠れない時の対処法も活かすと良いでしょう。 坐骨神経痛で眠れない方は、本記事で触れた方法で痛みが和らぐ寝方をお試しください。ただし、激しい痛みが続く場合や日常生活に大きな支障がある場合は、医療機関を受診することをおすすめします。 坐骨神経痛の寝方でよくある質問 坐骨神経痛で寝るときにクッションを足に挟むのはなぜ? 坐骨神経痛で寝るときにクッションを足に挟むと、腰への負担を軽減できるとともに、骨盤のゆがみを防げます。加えて、痛む側の足の筋肉が緩む分、より痛みを気にせずに眠りやすいです。 坐骨神経痛が悪化する寝方は? 坐骨神経痛が悪化する寝方の代表例がうつぶせ寝です。うつ伏せの状態で寝ると、腰が反る上に負担がかかってしまいます。 また、長時間同じ姿勢で寝返りを打たない寝方も、腰が圧迫を受けやすいために坐骨神経痛を悪化させやすいです。 坐骨神経痛で夜中に激痛が来るのはなぜ? 坐骨神経痛で夜中に激痛が来るのは、寝ている間に坐骨神経に大きな負担がかかっているためです。特にうつ伏せや寝返りの少ない寝方であれば、坐骨神経や腰回りに負担が集中しやすい分、激痛に悩まされることがあります。 ほかにも夜間の水分不足や冷えによる血行不良でも、激痛に襲われるケースがあるため、注意が必要です。
2025.05.29 -
- 脊椎
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転倒などが原因で脊椎圧迫骨折と診断された時、日常生活に向けてどのようなリハビリが行われるのか気になるのではないのでしょうか。 脊椎圧迫骨折のリハビリは骨折直後から始まり、最初はベッド上でもできる簡単なものが行われます。続いて回復の度合いに応じて、歩行訓練などを行っていく流れです。 本記事では、脊椎圧迫骨折のリハビリ方法を、やってはいけないことや病院探しの方法とともに徹底解説します。 脊椎圧迫骨折のリハビリの内容を知っておくと、万が一骨折しても心の準備を済ませた上でリハビリに取り組めます。 【病期別】脊椎圧迫骨折のリハビリ方法 脊椎圧迫骨折の治療は安静が基本ではあるものの、日常生活への復帰を目指すリハビリも並行して進められます。 リハビリは安静にしている時期の筋力低下をなるべく防ぐため、骨折への治療開始直後から始められるケースが多いです。ただし、病期によってリハビリの内容は異なります。 ここでは、急性期・回復期・退院後それぞれのリハビリ内容を紹介します。 急性期リハビリ方法 脊椎圧迫骨折の痛みなどの症状が強く出る急性期は、骨折した後に患部を外側から支えるコルセットの完成を待つ時期です。コルセットの完成までの1週間程度、安静に過ごしながらもベッド上でできる内容でリハビリを進めます。 ベッド上での関節可動域(ROM)訓練 まず、ベッド上での関節可動域(ROM)訓練は、関節を動かせる範囲である関節可動域を維持するための訓練です。ベッドで安静にしてばかりいると、関節を自在に曲げ伸ばしできる範囲が狭くなります。関節可動域が狭くなると、骨折による痛みを感じやすかったり、運動能力が衰えたりするためです。 ベッドでできる関節可動域訓練は、患者様の状態に応じてスタッフに関節を動かしてもらったり、ご自身で関節を動かしたりします。具体的な内容も、ベッドで寝たり座ったりしながらの、手の曲げ伸ばしや足首や足指の運動などです。 腕や足の筋力をつける訓練 急性期のリハビリでは、腕や足の筋力をつける訓練も進めていくのが一般的です。関節可動域訓練よりも数日程度遅れて始まるもので、最初はベッド上でペットボトルの上げ下げや、膝の曲げ伸ばしなどを行います。 日数が経って、当初より痛みが落ち着いてきたら、ベッドから離れる離床訓練も始まる流れです。離床訓練では、まずベッドでの寝返りから起き上がり動作までの一連の動きを訓練します。 回復期リハビリ方法 治療が始まってからある程度症状が落ち着く回復期に入ると、リハビリも日常生活への復帰を目指して本格化するのが一般的です。以前のような日常生活を送れるように、歩行や筋力関係の訓練が行われます。 下半身の筋力の回復訓練 下半身の筋力を回復する訓練は、ベッドで安静にしている間に衰えた脚の部分の筋力を元に戻すために行うものです。 脊椎圧迫骨折は、骨粗鬆症によって骨密度が低下したところに、ちょっとしたつまづきや転倒が原因で起こります。そのため、足腰に筋力を回復させることは、脊椎圧迫骨折の再発を予防する上で欠かせません。 歩く訓練 歩く訓練(歩行訓練)は、回復期のリハビリで最も主要なものです。杖や歩行器を使いながら、歩幅やバランスを意識しつつ訓練を積み重ねていきます。 なお、訓練は平行棒の間を移動する形で進められるのが一般的です。すぐ近くには指導や何かあった場合に備えてリハビリスタッフが付き添います。 体幹を鍛える運動 体幹を鍛える運動も、回復期のリハビリで重要です。回復期の間は、骨折した脊椎がくっつくまでコルセットを装着します。コルセットは骨折から2ヶ月程度は装着するため、その間に体幹の筋力が衰えやすいです。 コルセットが外れた後に日常生活を徐々に再開できるように、歩行訓練や下肢の筋力回復と合わせて、体幹トレーニングを行います。腹筋運動やブリッジなどのストレッチで腹筋や背筋を鍛えたり、柔軟性を高めたりする流れです。 退院後の在宅リハビリ方法 退院した後は、定期的に通院しながら自宅でリハビリを継続します。そのため、自宅でできるリハビリの方法を知っていると、退院後もリハビリを頑張る上での助けになるでしょう。 ドローイン 「ドローイン」は、息を吐きながらお腹をへこませることで体幹を鍛えるエクササイズです。治療が進んでコルセットを外した直後は、体幹が骨折前よりも衰えているため、体幹を鍛え直すのに向いています。 ドローインに取り組むことで、安定した姿勢を維持する腹横筋をはじめとする腰回りの複数の筋肉を鍛えられるため、退院後のリハビリのメニューにおすすめです。 両手上げ 「両手上げ」は、椅子に座った状態で両手をゆっくり上げ下げします。背中の筋肉を鍛えられるのが特徴です。 とくに退院後で、コルセットが外れた段階であれば、じっくりと背中の筋力をつけられます。ただし、肩に痛みを感じる場合は、あまり無理に上げないようにするべきです。 スクワット 退院後のリハビリでは、スクワットもできます。肩幅程度に足を広げた状態で、まっすぐ前を見た状態で膝を曲げては戻すのが特徴です。 なお、膝を曲げる角度は最大で90度程度にしておくと、過度な負担がかかりません。下半身を鍛えられるため、転倒やつまづきによる圧迫骨折の再発を防ぐ上でも役に立ちます。 脊椎圧迫骨折リハビリ中のコルセット着用について 脊椎圧迫骨折の治療・リハビリで欠かせないものが、患部を固定するコルセットの着用です。コルセットは骨がくっつくまでの間はずっと着用する分、どの程度の期間にわたって装着するのかや注意すべき点が気になるかと思います。 脊椎圧迫骨折の治療を行っている間のコルセット着用のポイントは、次のとおりです。 コルセット着用期間の目安 まず、コルセットを着用する期間は、骨折してから2ヶ月程度が一般的とされます。骨折してから骨がくっつくまでの期間が2ヶ月前後とされているためです。ただし、骨折の程度が深刻だったり骨粗鬆症が進行していたりする方などは、着用期間が延びるケースがあります。 なお、コルセットを外すべき時期は、担当医師が痛みの程度や骨の癒合の状況から判断します。 コルセット着用時の注意点 コルセットを着用している間は、寝る時も含めてずっと着けっぱなしです。ただ、痩せている方はコルセットによる皮膚の圧迫で床ずれができる場合があります。もし、床ずれができることに不安を感じるのであれば、医師などと相談の上で眠る時のみ外すのも1つの方法です。 また、コルセットは骨折部位を外側から固定するものですが、体幹をねじる動きはできます。そのため、過度に体をねじりすぎると骨折部位の状態が悪化する点に注意が必要です。 さらに、強い勢いでの椅子への着席も避ける必要があります。着席した瞬間の反動で、再度圧迫骨折に至るケースがあるためです。 脊椎圧迫骨折のリハビリでの禁忌・やってはいけないこと 脊椎圧迫骨折のリハビリを進める際、禁忌(タブー)・やってはいけないこともいくつかあります。前もってやってはいけないことを知っておくと、リハビリの際に意識を払いやすいです。 体を丸めたりねじったりする まず、体を丸めたりねじったりする行為は避ける必要があります。とくに骨が癒合する前の時期にひねるなどした場合、患部の状態が悪化したり、さらに骨折箇所が増えたりしかねません。 治療期間が長引いて、退院の時期も後にずれるため、無理に体をねじるなどしない方が良いでしょう。 重いものを持たない また、脊椎圧迫骨折の治療中は、重い物を持ってはいけません。とくに床に置いてある物をいきなり持ち上げると、背骨に大きな負荷がかかります。 コルセットが外れるまでは、ご家族などに代わりに持ち上げてもらうのがおすすめです。 転倒に注意する さらに、高齢者であれば転倒に注意する必要があります。高齢者は若い年代に比べて足腰の筋力が衰えているため、些細なつまづきや転倒で骨折するケースも多いです。 手すりや杖を使って歩くことや、足元にものを散乱させないことなどと、安全に歩ける工夫が大切です。 脊椎圧迫骨折のリハビリができる病院の探し方 脊椎圧迫骨折してしまった場合、なるべく早めに受診やリハビリのできる病院を探しておく必要があります。 もし、リハビリが可能な病院を探す際には、回復期リハビリテーション病棟を備えた病院を探すのがおすすめです。回復期リハビリテーション病棟は、病気やけがが急性期から回復期に入った患者様向けに、専門スタッフのチームが集中的にリハビリを施す病棟を指します。 回復期リハビリテーション病棟のある病院を探す際に簡単な方法が、「回復期リハビリテーション病棟協会」の公式サイトを調べることです。公式サイトでは都道府県別に専門病棟のある医療機関を探せます。もし、インターネットの扱いが得意ではない方も、各地の協会や医療機関への電話で問い合わせられます。 まとめ|脊椎圧迫骨折のリハビリは無理なく続けよう 脊椎圧迫骨折のリハビリは、骨折直後から徐々に始まります。最初はベッド上での関節可動域訓練や筋力をつける訓練から行い、回復期に入ったところで歩行訓練などに入るのが一般的です。 治療が進んでコルセットを外した後も、自宅などで通院を続けていく必要があります。脊椎圧迫骨折からの回復には筋力を付けていくことが欠かせないため、無理のない範囲で継続していくことが大切です。 脊椎圧迫骨折のリハビリでよくある質問 腰椎や脊椎の圧迫骨折のリハビリの内容は? 腰椎や脊椎の圧迫骨折で行うリハビリは、骨折して間もない頃はベッド上での関節可動域(ROM)訓練やベッド上でできる簡単なストレッチを中心に行います。 その後、コルセットを装着した後は歩行訓練や下半身の筋力を付ける訓練を通じて、日常生活に復帰していく準備を進める流れです。退院後も自宅でできる筋トレなどの運動を行います。 腰椎や脊椎の圧迫骨折のリハビリで行うストレッチとは? 腰椎や脊椎の圧迫骨折のリハビリで行うストレッチ(筋力トレーニング)で主なものは、次のとおりです。 腹筋運動 ブリッジ(お尻上げ運動):仰向けに寝た後で、両膝を曲げながらお尻を持ち上げる ドローイン:両膝を曲げた仰向けの姿勢から腹筋に力を入れつつ、ゆっくり息を吐く スクワット:まっすぐな姿勢から膝を曲げ伸ばす。曲げ伸ばしの角度は最大でも90度 四つん這いでの下肢伸展:四つん這いの状態から、片足を上げて後ろに伸ばす これらのストレッチや運動は、患者様の回復段階に応じて段階的に取り入れられます。 実施する際は、痛みを感じない範囲で無理をせず、理学療法士などの専門スタッフの指導のもとで行いましょう。 脊椎圧迫骨折のリハビリを進める際の評価項目とは? 脊椎圧迫骨折のリハビリを進める際、「評価項目」に基づいて患者様の状態などを確認・評価します。評価項目の具体的なポイントは、基本的に以下のとおりです。 コミュニケーション:認知症などの精神障害の有無 疼痛(とうつう):痛みの見られる部位や原因 関節可動域や筋力:体幹や股関節の状況。 姿勢 歩行能力:歩行できるかどうかや、歩ける距離・歩行器の必要性 バランス能力:転倒リスクの確認 なお、医療機関によって評価項目の内容が異なることもあります。
2025.05.29 -
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高齢で脊椎圧迫骨折と診断され、今後の治療の方法が気になる方もいるのではないのでしょうか。 高齢者の脊椎圧迫骨折は、当初はコルセットなどを着けて安静にしながら、リハビリに取り組んでいくのが一般的です。ただ、脊椎圧迫骨折は骨粗鬆症(骨粗しょう症)が関わっているため、日常生活を見直しながら骨を強くする習慣も欠かせません。 本記事では高齢者の脊椎圧迫骨折について、治療方法や期間、予防の方法を解説していきます。 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療法 脊椎圧迫骨折の治療は、基本的には安静にすることが大切です。ただし、安静だけでなく、患者さんの状態に応じてさまざまな治療法を組み合わせて行います。 主な治療法には以下のようなものがあります。 保存療法:コルセットやギプスを着用して安静を保つ 薬物療法:鎮痛薬や骨粗鬆症の治療薬による症状緩和 手術療法:骨セメント注入術や固定術による根本的治療 リハビリテーション:筋力維持と機能回復を目的とした訓練 それぞれの治療法について、詳しく解説していきます。 保存療法|コルセットやギプスの着用 保存療法は脊椎圧迫骨折の治療で、最も基本的な手段です。とりわけ高齢者の場合は、体力の負担を抑えながら回復を図れる方法としてよく用いられます。 具体的には、硬めのコルセットやギプスを腰回りに装着することで、脊椎や腰を安定させるものです。脊椎圧迫骨折が起きてから1ヶ月は、骨折部位が不安定な状態で変形もしやすいため、コルセットなどで安定させます。 保存療法では月日が経つ中で、骨折部位が固定するのを待つのがポイントです。同時に痛みも2週間から1ヶ月程度で、次第に収まってきます。ただ、骨折部位の完全な回復までは数ヶ月はかかるため、その間はコルセットなどを装着するのが一般的です。 薬物療法|鎮痛薬や骨粗しょう症の治療薬 続いて薬物療法は、骨折した箇所の痛みが特に強い場合に用いられます。基本的に湿布や飲み薬などの、市販薬や病院で処方された薬物を使用するやり方です。痛みの程度によっては、骨折部位の筋肉の緊張を和らげる目的で、筋弛緩薬も使われます。 加えて、症状が落ち着いて床を離れられる段階に、高齢者の脊椎圧迫骨折の主な要因である骨粗しょう症の治療薬も投与されます。 手術療法|骨セメント注入術や固定術 手術療法は、保存療法で状況が好転しない場合や骨折部位の変形が著しいなどの状況が見られる時に用いられる方法です。手術療法では、つぶれた骨の内部をバルーンで広げた後、骨セメントを注入して骨自体を安定化させる「骨セメント注入術」が活用されます。骨セメント注入術は手術療法でも、患者の体への負担が少ない点も特徴です。 骨セメント注入術以外にも、骨をボルトなどで固定する「固定術」もあります。固定術は骨折が3箇所以上見られるなどの深刻な状況で使われる術式です。 リハビリテーション|筋力維持が目的 リハビリテーションは、基本的には骨折や手術の直後から始まります。治療が始まって間もない頃は、ベッドで安静にしていることが大切ではあるものの、安静にしている間は筋力が低下しやすいです。筋力が低下した場合、再度骨折する危険性さえあります。 骨折や手術から1週間は、専門スタッフの指導を受けながらベッドでできるエクササイズを行う流れです。1週間経過してコルセットで骨折部位を固定した後は、歩行訓練やバランス訓練を積極的に行います。 さらにコルセットやギプスを外した後は、足腰の筋力を回復させるための体幹トレーニングを進めていくのが一般的です。 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療期間の目安 高齢者が脊椎圧迫骨折してしまった時、具体的にどの程度の期間にわたって治療が必要なのか、気になる方もいるのではないでしょうか。 脊椎圧迫骨折の治療期間は、数週間から数ヶ月程度が目安です。特に最初の1ヶ月は、安静と可能な範囲での筋力回復が欠かせません。順調に治療や回復が進んだ場合は、3~4ヶ月程度で骨折部位が癒合(骨がくっついて治癒)していきます。 ただし、高齢者は若い年代の方よりも骨の修復に時間がかかるため、骨折の状況や程度などによって治療期間が長引く場合もあります。 高齢者の脊椎圧迫骨折の予防法 脊椎圧迫骨折の要因は、骨の量や密度が減ってしまう骨粗しょう症です。そのため、普段から骨を強く丈夫に保つことが、脊椎圧迫骨折の予防につながります。 また、一度脊椎圧迫骨折を経験した方は、再発リスクが高いため、予防対策がより重要です。ここでは、脊椎圧迫骨折の具体的な予防法を解説します。 骨を強くする食生活が大切 脊椎圧迫骨折や骨粗しょう症を防ぐには、まず骨を強くする食生活を意識します。 骨を強くする栄養素には骨を生成するカルシウムや、カルシウムの吸収を促すビタミンD、筋力の強化や骨の形成を助けるたんぱく質などが挙げられます。カルシウムは牛乳やチーズなどの乳製品や、カタクチイワシのような小魚に多く含まれる栄養素です。 またビタミンDは、鮭やサンマなどの魚類や、マイタケやキクラゲなどのキノコ類から多く摂取できます。たんぱく質も肉や魚のほか、納豆や味噌のような大豆食品に多いです。 なお、ビタミンDは、食事以外にも日光を浴びることでも生成されるため、意識的な外出や日光浴もおすすめできます。 適度な運動を取り入れる 骨粗しょう症、ひいては脊椎圧迫骨折を防ぐ上で適度な運動も効果的とされる方法です。 運動は骨に負荷を与えることで、骨密度を高めます。同時に筋力の維持・強化によって足腰が鍛えられ、脊椎への負荷が分散されるため、骨折のリスクを下げる効果も期待できます。 脊椎圧迫骨折の予防に役立つ運動には、ウォーキングが挙げられます。適度な負荷で骨の強化が期待でき、運動習慣がない方でも気軽に始められます。慣れてきたら、ジョギングなどより強度の高い運動に段階的に取り組むのも効果的です。 自宅内の歩行にも注意 脊椎圧迫骨折を予防するには、自宅内での歩行にも注意を払う必要があります。脊椎圧迫骨折を引き起こす人は、骨粗しょう症で骨密度が下がっている分、ちょっとした転倒や尻もちで骨折しやすいためです。 自宅内で歩く際には、段差や滑りやすい床は特に注意すべき箇所です。玄関や階段などにはあらかじめ手すりを設置し、歩く際もつかまるようにすれば転倒による骨折のリスクを下げられます。同時に滑りやすい床には、滑り止めシートやマットを敷くのもおすすめです。 脊椎圧迫骨折の治療でやってはいけないことは? 脊椎圧迫骨折の治療では、やってはいけない行為もいくつかあります。具体的には次のとおりです。 あおむけの状態で寝る:背中への負荷が大きくなるため、横向きの姿勢を推奨。 前かがみになる:骨折した部位に負荷がかかるため。 重い物を持つ:背骨に強い力や負荷がかかる。特に床に置いてあるものの持ち上げは禁忌。 体をひねる・反らす:骨折部位に負荷がかかり悪化の原因となるため。 飲酒・喫煙:骨の強度や密度を弱めるため。 これらの注意点を守ることで、症状の悪化や再発を防ぐことにつながります。不明な点があれば、必ず医師に相談してから行動しましょう。 まとめ|脊椎圧迫骨折は日頃からの予防が大事です 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療は、基本的に保存療法で安静にしながら、運動やリハビリテーションを取り入れていきます。しかし、脊椎圧迫骨折自体は骨粗しょう症が根本的な原因であるため、骨を強くするための食事や運動の改善が重要です。 逆に考えれば、日頃から規則正しい食事や適度な運動を通じて骨粗しょう症を予防すれば、脊椎圧迫骨折のリスクは下げられます。 骨粗しょう症や脊椎圧迫骨折への対策を立てたい方は、日頃の食生活や運動の習慣を見直しましょう。 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療に関してよくある質問 高齢者の圧迫骨折は治る? 高齢者の圧迫骨折は、コルセットなどで固定した状態での安静と運動を行うことで、2~3ヶ月程度で治るケースが多いです。 根本的な原因として骨粗しょう症があるため、日常生活の見直しや骨の強化で再発を防止できます。 高齢者の腰椎圧迫骨折の入院期間はどのくらい? 高齢者が腰椎圧迫骨折の手術を目的にした入院期間は、基本的には1週間程度が一般的です。 ただし、まれに合併症を引き起こす場合があり、その際には入院期間が延びることがあります。 なお、退院後も経過の確認のために、定期的な通院が必要です。 高齢者の圧迫骨折は寝たきりになりやすい? 高齢者は圧迫骨折がきっかけで寝たきりになるケースがあります。 骨折によって寝たり起きたりするだけでも痛みに苦しめられるため、体を動かす気力が下がってしまうためです。 痛みを恐れて体を動かさない状態が続くと筋力が低下し、さらに動くことが困難になり、寝たきりになってしまうことがあります。 圧迫骨折は放置するとどうなる? 圧迫骨折を適切に治療せずに放置すると、骨折した骨がつぶれたまま固まってしまい、背中が曲がった状態になることがあります。また、骨がきちんとくっつかずに、長期間痛みが続く場合もあります。 さらに、圧迫骨折を起こす方は骨がもろくなっていることが多いため、他の背骨や別の部位でも骨折を起こしやすいです。このため、一度圧迫骨折を起こした場合は、骨密度の検査や骨粗しょう症の治療を受けることが重要です。
2025.05.29 -
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「スポーツ中に突然腰が痛くなった」「重いものを持ったときに動けなくなった」 そんなときによく言われるのが「ぎっくり腰」です。 この急な腰痛の原因のひとつとして、「筋・筋膜性腰痛」があります。 筋・筋膜性腰痛は、腰の筋肉や筋膜に強い負担がかかって起こるもので、急性の痛みだけでなく、慢性的な腰のだるさや違和感として現れることもあります。 放置すると慢性化しやすいため、早めの対処が大切です。 この記事では、筋・筋膜性腰痛について、ぎっくり腰との関係や、治療法・予防法などをわかりやすく解説します。 筋・筋膜性腰痛の原因 筋・筋膜性腰痛は、腰の筋肉や筋膜に強い負担がかかることで起こる腰痛です。 スポーツ選手から座り仕事の方まで幅広く見られる症状で、適切な対処をしないと慢性化する恐れがあります。 主な原因 スポーツ時の過度な腰のひねり、反り、前かがみ 長時間の座り作業や重い物の持ち上げ 座りっぱなしの生活習慣 猫背などの悪い姿勢の継続 筋膜は筋肉を包む薄い膜で、正常時は筋肉の形状維持や力の伝達を担っています。しかし、腰に強い負荷がかかると筋肉や筋膜に損傷が生じ、強い痛みを感じるようになります。 慢性化すると、筋肉の緊張が高まり継続的な痛みとして現れるため、早期の治療が大切です。 筋・筋膜性腰痛の症状と特徴 筋・筋膜性腰痛になったことがない場合、どのような症状や特徴があるのか実感しにくいのではないのでしょうか。 筋・筋膜性腰痛の症状や特徴を前もって知っておくと、早期発見や適切な対処に役立ちます。 筋・筋膜性腰痛はどんな痛み?主な症状 筋・筋膜性腰痛の主な症状は、腰を動かしたときに、腰椎(腰の背骨)に沿って生じる痛みです。 ちょっとした動きで腰に弱い衝撃が加わっても痛みを感じる場合もあります。とくに、中腰での作業や重い物の運搬、スポーツ中の腰をひねる動作などが痛みを引き起こしやすいです。 急性の腰痛であればより強い痛みが発生し、動くことが苦痛に感じるケースもあります。強い痛みは長くて1ヶ月程度で治るものの、痛みが落ち着く前に腰にさらなる負荷をかけると、慢性化のリスクがある点に注意が必要です。 筋・筋膜性腰痛とぎっくり腰の違いと見分け方 筋・筋膜性腰痛とは、腰の筋肉やそれを包む筋膜に負担がかかって起こる痛みのことを指します。この筋・筋膜性腰痛の急性の痛みが、一般的に「ぎっくり腰」と呼ばれることがあります。 つまり、ぎっくり腰は腰の急な強い痛みの症状名で、その原因の一つとして筋・筋膜性腰痛が関係しているのです。 スポーツで急に腰をひねったときや、一気に重い物を持ち上げたときに、突然強い痛みが生じることがあります。これが急性の筋・筋膜性腰痛によって引き起こされる、「ぎっくり腰」の典型的な症状です。 痛みが強くて歩けない時は要注意!他の病気の可能性 筋・筋膜性腰痛の症状が続き、痛みが強すぎて歩けないときは、他の病気の可能性があります。筋・筋膜性腰痛は通常、腰回りの神経や血管に異常は見られません。 しかし、痛みが強くて歩けない上に、短い距離を歩いた後にそれ以上歩くのが困難になるときは、足腰の神経や血管の異常が考えられます。筋・筋膜性腰痛に加えて腰部脊柱管狭窄症も併発している可能性もあり得るため、なるべく早めの医療機関の受診が大切です。 筋・筋膜性腰痛の検査と診断 筋・筋膜性腰痛になった時、行われる検査や診断の内容を知っていると、実際に病院などで治療を受ける際に心の準備ができます。筋・筋膜性腰痛の検査と診断は、医師による診断と各種検査が一般的です。 医師の問診・触診 筋・筋膜性腰痛の症状は、主に医師の問診や触診を通じて診断されます。 担当医師が実際に患部を指で押して痛む場所や痛みの強さを確認したり、患者から症状について聞き取ったりしながら判断する流れです。 レントゲン検査・CT検査・MRI検査 医師の問診や触診とともに、レントゲン検査をはじめとする画像検査も補助的に用いられます。ただし、筋・筋膜性腰痛は筋肉や筋膜で発生しているため、基本的には画像検査から診断できないことも多いです。 レントゲン検査やMRIなどの画像検査では、まず骨や神経に異常がないかを確認します。そして、他の腰関連の疾患の特徴に当てはまらないことを確認しつつ、問診や触診の結果と合わせて最終的に診断する流れです。 ただし、急性の症状の場合はMRI検査によって、筋の損傷が見られるケースがあります。 筋・筋膜性腰痛の治療法 筋・筋膜性腰痛の主な治療法は、薬物療法とリハビリテーション(リハビリ)です。症状の程度や急性・慢性の違いによって、適切な治療方法を選択していきます。 薬物療法 薬物療法は、痛みや炎症を抑える薬剤を使って症状を軽減していく方法です。湿布や塗り薬のような外用薬や、非ステロイド性抗炎症薬のような飲み薬を使うのが一般的です。加えて、痛みや炎症の程度によっては、患部への神経ブロック注射が用いられるケースもあります。 急性期には薬物療法と併せて、患部のアイシング(冷却)を行います。一方、痛みや炎症が落ち着いてきた段階では、電気療法や温熱療法などの物理療法に切り替えていきます。患部を温めることで血行が促されたり、筋肉の緊張が和らいだりする分、症状の緩和や傷ついた患部の修復効果が期待できます。 リハビリテーション リハビリテーションも筋・筋膜性腰痛では一般的な治療方法です。痛みが軽減してきた段階で、腰やお腹の筋力を高めるためのトレーニングやストレッチを行います。 筋・筋膜性腰痛は、筋肉が硬くなることによる血流の悪化が痛みの原因の一つです。このため、運動を通じて血流を促し、筋肉の柔軟性を高めれば症状の改善が期待できます。 リハビリテーションでは、姿勢改善の指導も行われます。猫背のような良くない姿勢や動作の改善を通じて、筋・筋膜性腰痛の原因を根本から取り除いていくためです。 PRP療法 筋・筋膜性腰痛に対しては、再生医療の「PRP(多血小板血漿)療法」という治療選択肢もあります。 これは自身の血液から抽出した血小板を濃縮し、患部に注射する治療法です。とくに早期回復を目指すスポーツ選手をはじめ、趣味やレクリエーションでの運動を続けたい方などに用いられることがあります。 筋・筋膜性腰痛の予防法と再発防止策 筋・筋膜性腰痛は日常生活での過ごし方次第で、予防や再発防止が可能です。筋・筋膜性腰痛を避けるには、以下の方法を意識します。 正しい姿勢と基本動作を身につける 筋・筋膜性腰痛の予防には、正しい姿勢と基本動作が欠かせません。立つ際にはお腹に少し力を入れた状態で、上に引っ張られる状態を意識しながら背筋を伸ばします。 また座る際にも、椅子に深く腰掛けながら、背筋を伸ばすのがポイントです。椅子の高さも重要で、足裏が全体的に床につく程度の高さが理想的です。 逆に猫背や前かがみの姿勢、反り腰は腰への負担を強めるため、避ける必要があります。 筋膜の柔軟性を保つストレッチと運動を行う 筋・筋膜性腰痛の予防には、筋膜の柔軟性を保つストレッチや運動が効果的です。筋膜が硬くなると血流が悪化し痛みを引き起こすため、日常的な運動やストレッチで柔軟性を維持しましょう。 筋・筋膜性腰痛の予防でよく活用されるエクササイズは、以下のとおりです。 起き上がり運動:膝を曲げた状態であおむけになった後、軽く上体を起こしてキープする。 おへそのぞき運動:膝を曲げた状態であおむけになり、おへそをのぞきながらキープ。 うつ伏せから上体起こし:うつぶせの状態から上体を起こしてキープ。 ただし、やりすぎるとかえって症状が悪化するケースもあるため、無理のない範囲で行うことが必要です。加えて、原因によってはストレッチでもあまり効果が見込めない場合もあるため、事前に医師へ相談の上で取り組んでください。 生活習慣の改善とセルフケアに努める 生活習慣の改善やセルフケアも、筋・筋膜性腰痛の予防に役立ちます。筋・筋膜性腰痛は、筋肉や筋膜の働きが衰えているために痛みが生じる症状です。 そこで生活習慣の改善で、筋肉や筋膜の働きを高める必要があります。とくに食生活では、筋肉を生成するたんぱく質や、骨密度の向上を促すカルシウムなどが重要な栄養素です。可能な限り栄養素のバランスが取れた食事を心掛ければ、筋肉・筋膜や骨の働きを回復できます。 まとめ|早期の適切な治療で筋・筋膜性腰痛の改善を目指そう 筋・筋膜性腰痛は、スポーツなどでの無理な姿勢や、座ってばかりの生活での腰の使いすぎが原因の症状です。中でも急性のものは「ぎっくり腰」の主要な原因となり、強い痛みを伴います。 治療では、患部を安静にしつつ薬物を投与したり、リハビリを行ったりするのが一般的です。加えて、姿勢の改善やエクササイズ、食生活を心掛けることで予防効果があるとされています。 筋・筋膜性腰痛は放置すると、別の腰の病気を併発するケースもあります。腰に痛みを感じる時は、無理せずに早めの医療機関の受診が大切です。 筋・筋膜性腰痛に関してよくある質問 筋・筋膜性腰痛はどのくらいで治る? 筋・筋膜性腰痛は、一般的に3週間から3ヶ月程度で治っていくとされています。とくに強い痛みは、安静にしていれば数日程度で収まっていく流れです。 ただ、痛みがあるにもかかわらず適切な治療を受けなかったり、無理して腰に負担をかけ続けたりすると治るまでの期間が長期化します。 筋・筋膜性腰痛が治らないときの対処法は? 筋・筋膜性腰痛の治療はまず、薬物を投与して安静にしつつ様子を見ますが、それでも改善しない時は画像診断で別の原因がないかを見ていくのが一般的です。別の原因が見つかったときには、手術など他の治療法で症状の改善を試みます。 筋・筋膜性腰痛で歩けないほど痛い時はどうすればいい? 筋・筋膜性腰痛で歩けないほど痛い時は、急性の症状であれば安静にしながらアイシングで患部を冷やすのが基本です。ただ、慢性的に歩けないほどに痛い場合は間欠性跛行(かんけつせいはこう)や、腰部脊柱管狭窄症の疑いもあるため、早めに医療機関を受診する必要があります。
2025.05.29 -
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ヘルニアの治療により症状が改善した段階で、ランニングの再開を検討する方は少なくありません。しかし、運動再開によって症状が再び悪化する可能性への不安を抱える方も多いでしょう。 実はヘルニア発症後のランニングは、痛みが収まってきた頃であれば始めても問題ない場合があります。ただ、再開する際のポイントや注意点を理解した上で、無理のない範囲で行うことが重要です。 本記事では、ヘルニア発症後のランニングについて詳しく解説します。再発防止のポイントや治療法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。 ヘルニアでランニングしても大丈夫? ヘルニアを発症後、痛みが落ち着いてくるとランニングを再開したいと考える方もいるのではないでしょうか。 ヘルニア後のランニングは、症状次第では可能な場合があります。症状別にランニングしても問題がないのかを見ていきましょう。 急性期のランニングはNG ヘルニア発症から1~2週間の急性期、つまり症状が出て間もない時期や腰痛症状が続いているときのランニングは避けるべきです。ランニングは、地面を蹴った際に足を通して受ける衝撃が腰にも影響します。 ヘルニアの症状が持続している間にランニングを始めると、腰椎や椎間板などの患部に強い衝撃が及ぶため、症状が悪化しやすいです。症状がひどくならないようにするためにも、急性期はランニングを控える必要があります。 慢性期は軽いランニングやジョギングなら可 一方、慢性期でヘルニアの症状が落ち着いていれば、軽めのランニングやジョギングであれば可能です。 ただし、運動を再開するときは、自身で判断せず医師に相談の上で決めましょう。 いきなりランニングを再開するよりも、まずはランニングよりも負荷が軽いウォーキングから始めます。 ウォーキングに取り組んでみて患部が痛まないと感じたら、ジョギングやランニングとより負荷のあるエクササイズを再開していくのがおすすめです。 もし通常のウォーキングが辛く感じる時は、水中ウォーキング(水中歩行)が良いでしょう。水中ウォーキングは浮力も活かしながら歩く分、通常のウォーキング以上に足腰への負荷を抑えられるためです。 ただし、水中ウォーキングでも腰痛に見舞われる場合は、無理せず痛みが抜けるまでは安静にしている必要があります。 ヘルニアの手術後のランニングは大丈夫? ヘルニアの手術後に、早速ランニングしたい方もいるのではないでしょうか。 手術して間もない時期のランニングは、原則避けるべきです。ヘルニアは手術をしても数日から1週間、長い方では1ヵ月は痛みやしびれが継続します。回復の早い人でも術後数日は経過しないと、痛みが和らぎません。 術後に痛みやしびれが続いている間は、軽いウォーキングでさえも患部に負担を与えるため、回復が遅れてしまいます。せめて痛みやしびれが落ち着くまでは、ランニングを含めて運動は避けましょう。 ヘルニアでランニングする際の注意点 ヘルニアによる痛みやしびれが落ち着いてきて、ようやくランニングできる状態になっても、いくつか注意すべき点があります。 ヘルニアの手術・治療後にランニングに取り組む際は、以下の点にお気を付けください。 走るときの姿勢に注意 ヘルニアの治療後のランニングで気を付けなければいけないのが、走っている間の姿勢です。 とくに走っている最中は、腰を丸めた状態にならないようにします。 腰を丸めた状態は、椎間板や腰椎などヘルニアが発生しやすい部位に過剰な負担をかけるためです。治療後に腰を丸めたまま走ると、ヘルニアの悪化や再発の原因になります。 ヘルニアの治療後のランニングでは、骨盤を前に傾かせつつ、お腹の部分が前側に出るようにするのがコツです。お腹の部分が前側に張り出すことで、背中や腰の部分がぴんと張るため、足腰への負担を軽減できます。 ただし、骨盤を前に傾けてお腹を前に出しても痛みを感じる時は、まだランニングできる状態ではありません。ウォーキングのような、ランニングよりも負担がかからない運動に切り替えてください。 クッション性の高いランニングシューズを選ぶ ヘルニアの治療後にランニングに出かける時は、クッション性の高いランニングシューズを選ぶのがおすすめです。クッション性の高いシューズは、走っている間に地面を蹴った時に受ける衝撃を和らげる点で効果があります。 より安心できる状態でランニングに臨みたい場合は、底側のソールが厚いものを選びましょう。とくにインソール(中敷き)の入ったものであれば、足や身体を安定させるとともに、踵から腰に至るまでの部位への衝撃を和らげられます。 ランニング以外でヘルニアの再発を防止するポイント ヘルニアの治療後は、日常生活の様々な場面でもヘルニアが再発しないように気を付けることが大切です。 ランニング以外でヘルニアの再発を防げるポイントを4つ解説します。 日常生活での姿勢に注意 治療後は運動を含む日常生活で、姿勢に注意が必要です。ランニングの場合と同じく、猫背や前かがみのような丸めた姿勢は避け、背中がまっすぐになる姿勢を心がけます。立っている時は、背骨のS字カーブを保つことを意識するのがポイントです。 座っている時も立っている時と同じように、背中がまっすぐになるようにします。患部への負担を防ぐ意味でも、椅子に深く腰掛けた状態でクッションや背もたれを使うのがおすすめです。 ただし、長時間同じ姿勢でいるのは、かえって症状を悪化させかねません。立ちっぱなしや座りっぱなしなど同じ姿勢を避けるためにも、時々軽いストレッチや歩行を取り入れることも大切です。 無理のない筋トレを習慣づける ヘルニアを発症した場合、安静に過ごすのが基本ではあるものの、運動を全くしない状態は避ける必要があります。コルセットやサポーターなどを装着したまま安静にした状態が続くと、足腰の筋肉が弱くなったり、椎間板などが固くなって柔軟性が失われたりするためです。 ヘルニアによる痛みが和らいできたところで、無理のない範囲で筋トレを取り入れていきます。うつぶせの状態で膝をついた姿勢で、体を一直線に維持する「プランク」や、仰向けで膝を立てながらお尻を持ち上げる「ヒップリフト」などが代表的です。 筋トレを無理なく続けていけば、血流の活性化による症状の改善や、筋力の強化による椎間板への負担の軽減が期待できます。 ただし筋トレをやりすぎると、逆に症状が悪化するため、無理は禁物です。筋トレを開始するときは、医師に相談の上で進めましょう。 ストレッチで筋肉の柔軟性を高める ヘルニアの再発防止には、ストレッチで筋肉の柔軟性を高めることも大切です。ストレッチで筋肉や股関節の柔軟性が高まれば、痛みを和らげたり患部への負担を減らせます。 ヘルニア対策でよく使われるストレッチとして、以下のものが挙げられます。 両膝を抱える:仰向けで両膝を抱え、息を吐きながら胸に近付ける 体をひねる:仰向けで両膝を抱えつつ、肩を床につけたまま左右にゆっくりひねる 腰を上げる:仰向けの状態で両膝を90度以上立て、両手をお尻の下に置く。お尻を浮かせて、5秒間維持した後で下げる ただし、ストレッチの中には前屈ストレッチや捻転ストレッチのように、やってはいけないものもある点に注意が必要です。足腰や椎間板などへの過剰な負担で痛みが生じるため、かえって症状を悪化させてしまいます。ストレッチも筋トレ同様、医師に相談の上で始めましょう。 ダイエットや禁煙も大切 ヘルニアの症状が起きないようにするには、日頃からのダイエットや禁煙も大切です。体に余計な脂肪がついて体重が増えると、背骨や足腰に過度な負荷がかかります。 このため、体重が気になっていてヘルニアを発症している方は、規則正しい食事や無理のない運動で体重を減らすことが大切です。体重が減れば足腰への負担も減らせるため、症状の緩和が期待できます。ただし、過度のダイエットは筋肉まで減らしてしまうため、必要な栄養はしっかりと摂取しましょう。 また禁煙もヘルニアの防止に期待できます。タバコを日常的に吸っていると、ニコチンの作用で血流を減らしてしまうとともに、体内の各部位に必要な栄養分がいきわたらなくなるためです。 栄養不足に陥った部位は傷ついたりもろくなったりしやすいため、ヘルニアを発症するリスクが高まります。そのため、禁煙もまたヘルニアの防止には欠かせない手段です。 ヘルニアでやってはいけないことは? ヘルニアになってしまったときにやってはいけないこととして、まず安静にしてばかりの状態は避ける必要があります。ヘルニアの治療でひたすら安静にしていてストレッチなどを怠ると、足腰の筋力が衰えてしまうためです。 筋力が衰えると、患部にさらなる負担がかかり、症状はより悪化します。さらに安静期間中に体重が増えることも、症状悪化の要因の1つです。 加えて、腰に負担をかける姿勢も避ける必要があります。中腰や体をひねりながらしゃがむ状態で物を持ち上げた場合、椎間板に負荷がかかり患部の悪化リスクがあります。何か物を持ち上げなければならないときは、一旦しっかりと足を曲げたり腰を落としたりしてから拾いましょう。 ヘルニアの治療方法 ヘルニアには、主に保存療法と手術療法があるほか、治療と並行してリハビリテーションを行うのが一般的な流れです。 ここからは、ヘルニアの治療方法について解説します。 基本的には保存療法 ヘルニアの症状が軽度の場合、基本的に保存療法を施しつつ経過を観察します。保存療法には複数の手段があり、主なものは次のとおりです。 安静:腰に負担がかかる行為を避け、横向きで寝るなどして様子を見る コルセットなどの装着:コルセットやサポーターの装着により腰への負担を軽減する 薬物治療:飲み薬や、湿布をはじめとする外用薬などで痛みを和らげる 神経ブロック治療:痛みを感じる部位に局所麻酔やステロイド薬を投与 症状が重い時は手術療法 症状が重度の場合や保存療法でも改善が難しい場合は、手術療法が検討されます。手術を行う際は、椎間板切除術(Love法)や椎間固定術が主な方法です。 椎間板切除術は、全身麻酔を施した後に背中から皮膚を切り開いて行います。そして、背骨側に飛び出て神経を圧迫している椎間板部分を切除する方法です。 椎間固定術では、神経を圧迫している椎間板の部分を切除した後、ご自身の骨や人工の骨を挿入した上で固定します。 腰痛軽減後のリハビリテーション リハビリテーションは、保存療法・手術療法を経て症状が軽減した段階で行われる方法です。主な方法に運動療法と物理療法があります。 運動療法はリハビリで最も一般的な手段です。負担がかからない範囲で筋トレや体幹を鍛えるストレッチを行い、足腰などの筋力や柔軟性を高めていきます。 また物理療法では、温熱療法や電気療法などを施す方法です。温熱などによって血行を促したり筋肉をほぐしたりすることで、痛みを緩和するとともに運動療法の効果を高めます。 ヘルニアの治療には「再生医療」という選択肢もある ヘルニアの手術ができない方や、手術後の後遺症にお悩みの方には、「再生医療」も選択肢の1つです。 再生医療の幹細胞治療では、他の細胞に変化する能力を持つ幹細胞を患部に届けます。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様の体内から採取・培養した幹細胞を脊髄の損傷個所に直接投与します。注射だけでなく、点滴との併用も可能です。 また、当院では幹細胞を冷凍せず、投与するたびに培養するのが特徴です。 ヘルニアに対する再生医療についての詳細は、以下をご覧ください。 まとめ|ヘルニア発症後のランニングは無理なく行おう ヘルニア発症後のランニングは、発症直後の急性期は避け、症状が落ち着いた慢性期であれば可能です。 ただし、自己判断はせずに医師に相談の上で開始することをおすすめします。 また、過度なランニングはかえって患部の状態を悪化させるため、無理のない範囲で走る点に注意しましょう。 いきなりランニングを始めるのではなく、まずはウォーキングから始め、強い痛みが生じなければジョギングやランニングを再開していくのがおすすめです。もし、軽いランニングで痛みを感じる時は、ウォーキングや水中ウォーキングで様子を見ると良いでしょう。 ヘルニア発症後のランニングは、患部の状態を見ながら行うべきかどうかや、走る程度を決めていくことが大切です。あくまでも無理することなく、可能な範囲でのランニングがポイントといえます。 ヘルニアの手術ができない方や、手術後の後遺症にお悩みの方は再生医療による治療もご検討ください。 ヘルニアとランニングに関する「よくある質問」 ヘルニアでもランニングを再開しても大丈夫ですか? ヘルニア発症後のランニングは、痛みがある程度落ち着いた慢性期になったら再開できる場合があります。腰の状態を慎重に見極める必要があるため、まずは医師との相談が大切です。 もし、ランニングを無理に行うと、かえって症状が悪化するケースがあります。加えて、ランニング以上に長距離を走るマラソン競技は、なおさら症状を深刻化させるリスクがあるため、おすすめできません。 ヘルニアがあっても運動してもいいの? ヘルニア発症後の運動は、安静に過ごすこととともに症状の改善が期待できる場合があります。とくに慢性期の筋トレやストレッチは、血行の促進や筋力の向上によってヘルニアからの回復が図れるケースがあるので推奨されます。
2025.05.29 -
- 脊椎
- 脊柱管狭窄症
「脊柱管狭窄症と診断されたけれど、自分は重症なのだろうか?」 「脊柱管狭窄症の重症度分類を知りたい」 このような思いを持たれている方もいらっしゃることでしょう。 脊柱管狭窄症の重症度は、軽度から最重度までの4段階に分類されます。 本記事では、脊柱管狭窄症の重症度分類や診断方法、治療方法などについて詳しく解説します。 自分の重症度および自分に適した治療法がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脊柱管狭窄症の重症度分類 脊柱管狭窄症の重症度は以下の4段階に分かれています。 レベル.1(軽度) レベル.2(中程度) レベル.3(重度) レベル.4(最重度) 各段階の具体的な状況と、治療の方向性および回復の見込みについて解説します。 レベル.1(軽度) 具体的な状況と、治療および回復の見込みは以下のとおりです。 具体的な状況 立っているときや座っているときに痛みやしびれはあるものの、30分程度の歩行が可能です。 少し歩くと痛みやしびれが起こり、休憩すると症状がやわらぐ症状(間欠性跛行)は生じていません。 治療および回復の見込み 薬物療法や理学療法、ブロック注射などの保存療法で症状改善が見込めます。しかし、適切な治療を受けずに放置してしまうと、進行する可能性があります。 軽度の場合は、日常生活に支障をきたすことは少ないでしょう。しかし進行する可能性もあるので、適切な治療が必要です。 レベル.2(中程度) 具体的な状況と、治療および回復の見込みは以下のとおりです。 具体的な状況 10分から20分程度歩くと、間欠性跛行が生じます。 治療および回復の見込み 保存療法のみでは回復が難しいため、専門的なリハビリテーションが必要です。日常生活に支障がある場合は、手術を検討します。 中程度になると、少しずつ日常生活に支障が出てきます。手術が選択肢に入り始める時期です。 レベル.3(重度) 具体的な状況と、治療および回復の見込みは以下のとおりです。 具体的な状況 10分未満の歩行により間欠性跛行が生じます。下肢のしびれや痛みのほか、筋力低下や脱力感などの症状も出てきます。 治療および回復の見込み 根本的な専門リハビリで改善する可能性もありますが、保存療法の効果は限定的です。手術の検討が望ましいでしょう。日常生活がどのくらい不便であるかが判断材料です。 重度になると、日常生活への影響が大きくなってきます。手術が第一選択肢になる時期です。 レベル.4(最重度) 具体的な状況と、治療および回復の見込みは以下のとおりです。 具体的な状況 5分未満の歩行により間欠性跛行が生じます。下肢の痛みやしびれ、筋力低下も著しい状況です。膀胱直腸障害のため、排尿や排便に支障をきたします。 治療および回復の見込み 保存療法では回復が難しい状況です。膀胱直腸障害が出現している場合は、手術が必要になってきます。 最重度は歩行だけではなく排泄にも支障をきたしているため、手術が必要な段階です。 脊柱管狭窄症の重症度分類における注意点 脊柱管狭窄症の重症度は固定化されたものではなく、徐々に進行していくものです。重度や最重度の方も多くの場合、最初は軽度でした。 しかし、どの段階でも例外的なケースがあります。例をあげると「軽度でありながらも手術が必要である」、もしくは「最重度でも保存療法により経過観察中である」などです。 重症度分類とあわせて、個々の状況に応じた治療が大切です。適切な治療を受けるためにも、自分の状況を正確に医師へ伝えましょう。 脊柱管狭窄症の診断方法 脊柱管狭窄症を診断する方法は、主に以下の4種類です。 医師による問診 X線検査 MRI検査 脊髄造影 医師による問診 主な問診内容は、以下のとおりです。 下肢の痛みやしびれの強さ 症状が出ている部位(両側か片側か) 間欠性跛行の有無や強さ 間欠性跛行が生じるまでの時間 姿勢による症状の変化 下肢の筋力低下や反射異常 閉塞性動脈硬化症と症状が似ている場合は、下肢の動脈拍動やABI(足関節上腕血圧比)などで血流状態を調べます。 X線検査 X線検査で調べる所見は、主に以下のとおりです。 腰椎のすべりや側弯といった変形 骨折の有無 椎間板の狭さ 腰椎の不安定さ 一般的かつ、速く結果が出る検査ですが、X線単独での確定診断は難しいとされています。 MRI検査 MRI検査では、X線検査だけでは判別できない脊柱管内の神経圧迫状況や重症度を評価します。 しかし、ペースメーカーや人工内耳など、体内に電子機器が埋め込まれている方はMRI検査を受けられません。閉所恐怖症の方や脳動脈瘤手術用クリップが入っている方なども、MRI検査を受けられない可能性があります。 脊髄造影 脊髄造影は、MRI検査を受けられない方や、MRI検査の所見だけでは確定診断がつかない方に対して行われる検査です。この検査により、脊柱管の狭窄部位や程度がわかります。 脊髄造影検査の結果は、手術適応の有無や、手術様式を決める指標でもあります。 脊柱管狭窄症の治療方法 脊柱管狭窄症の治療方法は、主に以下の5種類です。 薬物療法 理学療法 ブロック注射 手術療法 再生医療 薬物療法や理学療法、ブロック注射は、保存療法に含まれます。 薬物療法 脊柱管狭窄症の薬物療法で用いられる主な薬は、以下のとおりです。 薬の種類 効果 血流改善薬 血流を改善して、痛みやしびれなどをやわらげる 消炎鎮痛剤 いわゆる「痛み止め」 飲み薬のほか、湿布や塗り薬もある 筋弛緩薬 筋肉の緊張をやわらげる ビタミンB12製剤 末梢神経に栄養を与える 神経障害性疼痛治療薬 痛みを伝える物質の過剰放出をおさえる 薬物療法は神経の圧迫そのものを改善するものではなく、痛みなどの症状を抑えるものです。そのため、薬物療法単独で根本的な回復は難しいといえるでしょう。 理学療法 主な理学療法としては、以下のようなものがあげられます。 牽引療法 温熱療法 運動療法 牽引療法とは、専用の機器を用いて腰椎を引っ張り、神経への圧迫を軽減する治療法です。通院で行うケースと入院して行うケースがあります。 温熱療法の効果は、血流促進や痛みの緩和、筋緊張の低下などです。温熱療法で用いられるものとしては、ホットパックやパラフィン浴、超音波などがあげられます。 運動療法は、理学療法士が患者の症状および健康状態を確認して、個々の運動プログラムのもと実施するものです。ストレッチや筋力トレーニングのほか、正しい姿勢指導を実施するケースもあります。 以下の記事では、脊柱管狭窄症におすすめのストレッチを紹介しています。あわせてご覧ください。 ブロック注射 ブロック注射は、痛みの原因となっている神経、もしくは神経近くの脊柱管内に局所麻酔薬やステロイド剤を注射する治療法です。硬膜外ブロック注射と神経根ブロック注射の2種類に分けられます。 痛みは強いものの、手術は必要ない方に用いられることが多い治療法です。軽度から中程度の方向けの治療といえるでしょう。 手術療法 重度、最重度の方の場合、手術療法が選択肢に入ります。主な手術方法として、固定術と除圧術の2種類があげられます。 手術の種類 内容 除圧術 椎弓と呼ばれる背中側の骨や厚くなった黄色靱帯などを切除して神経への圧迫を取り除く 固定術 不安定な脊椎や曲がった脊椎を金属式のスクリューやロッドで固定する 固定術は、除圧術と併用されることが多い術式です。 脊柱管狭窄症の手術療法については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 再生医療 手術以外の選択肢として注目されているのが再生医療です。 手足の痛みやしびれはあるものの手術適応ではないと診断された方、手術適応ではあるができれば手術を避けたい方などが再生医療の対象です。軽度から最重度まで対応可能な治療法ともいえるでしょう。 再生医療の1つが、幹細胞治療です。自分の脂肪由来の幹細胞を採取し、培養・増殖させ身体に戻す治療法で、アレルギーや拒絶反応のリスクが低いとされています。 リペアセルクリニックでは、幹細胞を脊髄腔内に直接注射する方法(脊髄腔内ダイレクト注射療法)により体内に入った数多くの幹細胞で、傷ついた神経細胞を再生できます。 脊柱管狭窄症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 メール相談やオンラインカウンセリングも行っております。 脊柱管狭窄症の重症度分類から適切な治療を受けよう 脊柱管狭窄症の重症度分類は軽度から最重度までとされていますが、症状は固定されるものではなく、変化するものです。重症度分類と自分の症状が合致しない例外的なケースもあります。 重症度分類と自分の状態、両者を充分に理解した上で、適した治療を受けましょう。 脊柱管狭窄症の重症度分類に関連するよくある質問 ここでは、脊柱管狭窄症の重症度分類に関連するよくある質問を2つ紹介します。 脊柱管狭窄症は難病指定ですか? 脊柱管狭窄症のうち、「広範脊柱管狭窄症」が指定難病となっています。(文献1) 広範脊柱管狭窄症とは、頚椎、胸椎、腰椎の広範囲にわたって脊柱管が狭窄し、神経症状が起こる病気です。「頚椎、胸椎、腰椎のいずれか2か所以上の狭窄から生じる神経症状のため、日常生活が大きく影響されること」が診断の条件です。 重症な腰部脊柱管狭窄症は障害者手帳の対象になりますか? 腰部脊柱管狭窄症を含む脊椎疾患による神経障害は、下肢の機能障害として障害者手帳の対象になる可能性があります。しかし、障害者手帳の対象になるかの判定は、重症度分類ではなく「どのくらい機能が低下しているか」です。 身体障害者手帳を申請する際は、都道府県知事、指定都市市長または中核市市長が指定する医師の診断書・意見書や申請者の写真が必要です。(文献2) 参考文献 (文献1) 難病情報センター「広範脊柱管狭窄症(指定難病70)」難病情報センターホームページ https://www.nanbyou.or.jp/entry/101 (最終アクセス:2025年3月18日) (文献2) 厚生労働省「障害者手帳」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html (最終アクセス:2025年3月18日)
2025.03.31 -
- 脊椎
- 脊柱管狭窄症
- 腰部脊柱管狭窄症
「脊柱管狭窄症は整体で治るの?」 「整体を受けていても病院で治療を受けた方が良いの?」 上記のような疑問を持たれている方もいらっしゃることでしょう。 結論から申し上げますと、脊柱管狭窄症の根本原因は背骨の変形であるため、整体での根本治療は困難です。整体は、下肢の痛みやしびれといった症状を緩和する役割であると覚えておきましょう。 本記事では、整体のメリットやデメリットに加えて、脊柱管狭窄症における整体以外の改善方法を紹介します。 脊柱管狭窄症と整体に関するよくある質問も掲載しておりますので、整体について関心をお持ちの方はぜひ最後までご覧ください。 【結論】脊柱管狭窄症は整体で治せない! 結論から申し上げますと、脊柱管狭窄症を整体で完全に治すことは困難です。 脊柱管狭窄症の主な原因は、背骨の変形です。整体は骨の変形を治せないため、脊柱管狭窄症の根本的な治療はできません。 ただし、下肢の痛みやしびれといった症状の緩和は可能です。整体院ではセルフケアのアドバイスもおこなっています。施術に加えて、セルフケアの実践によっても、症状の緩和が期待できるでしょう。 整体による施術やセルフケアで症状が改善しない場合は、整形外科を受診しましょう。 脊柱管狭窄症の症状や原因などについては、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 脊柱管狭窄症において整体を受けるメリット 脊柱管狭窄症において整体を受けるメリットは、以下のような施術を受けられる点です。 骨盤のゆがみを矯正する 骨格を改善する 筋肉のコリをほぐす これらの施術により、正しい姿勢を維持できます。 正しい姿勢をとることは背骨への負担軽減、ひいては、下肢の痛みやしびれといった症状の緩和につながります。 脊柱管狭窄症において整体を受けるデメリット 脊柱管狭窄症において整体を受けるデメリットは、主に以下の2つです。 無資格者による不適切な施術と健康被害 長時間の施術による悪影響 無資格者による不適切な施術と健康被害 整体は医業類似行為の1つとされており、施術者に法的資格はなく、明確な定義もありません。 あん摩マッサージ、はり灸、指圧などとは異なり、無資格でも施術可能です。 無資格の施術者は知識や技術が不足していることも多く、有資格者よりも健康被害を引き起こすリスクが高い状況です。 国民生活センターは2012年8月2日、整体やマッサージ等の医業類似行為で危害が発生した相談が、2007年度以降の約5年間で825件寄せられたと報告しました。(文献1) このうち3割は、3週間以上の治療を要したと報告されています。 整体の事例としては、以下のようなものがあげられました。 身体のゆがみを直すために整体を受けたところ、腰痛が発生した 椎間板ヘルニアの持病がある人が整体を受けたところ、腰から足にかけて激痛が発生したため、救急病院を受診した 整体を受けて症状が悪化した場合や、新たな症状が現れた場合は整体の施術を中止し、早急に医療機関を受診して治療を受けましょう。 長時間の施術による悪影響 長時間整体やマッサージを受けると、筋肉や筋膜が損傷する可能性があります。筋肉の損傷が原因で炎症が起きた結果生じる現象が、いわゆる「もみ返し」です。 筋肉組織は損傷から回復する過程で厚くなって繊維化してしまい、最終的には柔軟性が失われます。 整体やマッサージを受ける際に、長時間受けることを希望する方も多いのですが、施術時間と効果は比例しないと覚えておきましょう。 脊柱管狭窄症における整体以外の改善方法 脊柱管狭窄症における整体以外の改善方法としてあげられるのは、以下の2つです。 生活習慣の改善 整形外科での治療 生活習慣の改善 適正体重に近づける 体重が多いと腰や椎間板に負担がかかり、痛みやしびれを引き起こします。肥満(BMI25以上)の方は、適正体重を目指して減量しましょう。 適正体重の範囲はBMI18.5から25までです。(文献2) BMIは体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)で計算できますので、「自分は肥満ではないか」と気になる方は、実際に計算してみましょう。 正しい姿勢を心がける 座るときは骨盤を立てた姿勢を保ちましょう。椅子に深く座ってお尻を背もたれに付けてから、身体を起こします。腰を反らせすぎないようにしてください。 長時間立ち続けると、痛みやしびれを引き起こす可能性があります。立ち仕事をするときは、5~10㎝程度の台に、ときどき片足を載せてみましょう。 寝るときは、膝と膝の間にまくらやクッションを挟みながら、横向きの姿勢をとることで、痛みが和らぎます。 整形外科での治療 整形外科における脊柱管狭窄症治療法は、主に以下の3つです。 保存療法 手術療法 再生医療 保存療法 保存療法の1つにあげられるのが、薬物療法です。 痛み止めである消炎鎮痛剤や、神経の血流を改善する経口プロスタグランジンE1製剤などを医師の指示どおり内服します。それ以外の薬としては、ビタミンB12や筋弛緩薬などがあります。 ストレッチや筋力トレーニング、ホットパックなどの理学療法も、保存療法の1つです。 以下の記事では、脊柱管狭窄症におすすめのストレッチについて解説しています。あわせてご覧ください。 ブロック注射も、保存療法に含まれます。 圧迫されている神経の近くにある脊柱管内に局所麻酔薬やステロイド剤を注射する方法が、硬膜外ブロック注射と呼ばれるものです。もう1つは、神経根ブロック注射と呼ばれるもので、圧迫されている神経の根元に局所麻酔薬やステロイド剤を注射します。 手術療法 手術療法の適応になるケースは、主に以下の3つです。 保存療法の効果が認められない 下肢の筋力低下が著しい 膀胱直腸障害が見られる 手術療法には、「除圧術」と「固定術」の2つがあります。(文献3) 除圧術とは、神経を圧迫する原因となっている骨や靱帯を削り、脊柱管を広げる手術です。 固定術とは、骨や靱帯を削って除圧した部分に、金属やネジ、人工骨などを入れて背骨を固定する方法です。固定術は除圧術と併用して行われることが多いとされています。 再生医療 整体や保存療法で症状が改善されない方や、「できれば手術を受けずに治したい」と考えている方への選択肢としてあげられるのが、再生医療です。 再生医療の1つに「幹細胞治療」があります。幹細胞とは、人間の体に存在している特殊な細胞で、身体の機能を修復する役割を持っています。 リペアセルクリニックで実施している再生医療の1つが「自己脂肪由来幹細胞治療」です。自分自身の脂肪から採取して増殖させた幹細胞を注射することで、脊柱管狭窄症の改善や回復が期待できます。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを行っています。脊柱管狭窄症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 脊柱管狭窄症は整体ではなく医療機関で治療しよう 脊柱管狭窄症は、整体だけでは根治しないものです。整体はあくまでも症状を一時的に和らげるためのものと認識しておきましょう。 脊柱管狭窄症の診断には、MRIやCTなどの画像検査が必要です。まずは医療機関で正確な診断を受けることが治療の第一歩となります。脊柱管狭窄症の根本治療を受ける場合は、整形外科をはじめとする医療機関を受診しましょう。 脊柱管狭窄症と整体に関するよくある質問 脊柱管狭窄症で整体を受ける場合は保険が適用されますか? 基本的に整体は保険適用外です。整体師は民間の資格者であり、整体は医師法で定義されている医療行為に該当しないためです。 整骨院や接骨院で、柔道整復師による施術を受ける場合は、保険適用になるケースもありますが、範囲は限られます。(文献4) 病気からくる痛みやこりに対する施術は、保険適用外です。 脊柱管狭窄症で整体を受ける場合は、全額自己負担であると覚えておくと良いでしょう。 脊柱管狭窄症を手術しないで治すことは可能ですか? 脊柱管狭窄症による各種症状の原因は、神経の圧迫です。(文献3) 根本治療のためには、神経の圧迫を取り除く手術が必要です。 整体や保存療法で経過を観察しつつ、症状の改善が見られなければ、手術が必要になるでしょう。 脊柱管狭窄症でやってはいけないことは何ですか? 腰を強く反らす姿勢は、避けてください。この姿勢は脊柱管を狭めてしまい、症状が悪化する可能性があります。 痛みがあるときのストレッチや筋トレも、避けましょう。症状の悪化につながります。 ストレッチや筋トレなど筋力低下防止のために身体を動かすときは、痛みがない程度で、腰を反らさない姿勢で行いましょう。 運動のために歩くときは、背筋を伸ばし過ぎないように心がけてください。杖やシルバーカーなどを使うと前かがみの姿勢になるため、痛みを軽減できます。 以下の記事でも、脊柱管狭窄症でやってはいけないことを紹介しています。あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 独立行政法人国民生活センター「手技による医業類似行為の危害-整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も-」,2012年8月2日 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002lamn-att/2r9852000002latt.pdf (最終アクセス:2025年3月16日) (文献2) 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト eヘルスネット「肥満と健康」eヘルスネット[情報提供] https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html (最終アクセス:2025年3月16日) (文献3) 独立行政法人国立病院機構 相模原病院「腰部脊柱管狭窄症について」相模原病院ホームページ https://sagamihara.hosp.go.jp/sinryouka/sekitsui-center-youbu.html (最終アクセス:2025年3月16日) (文献4) 全国健康保険協会 協会けんぽ「柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方」全国健康保険協会ホームページ https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3070/r141/ (最終アクセス:2025年3月16日)
2025.03.31 -
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「足が思うように動かない」「以前より歩きづらくなった」と感じることはありませんか? 歩行は日常生活の基本であり、その障害は日々の行動や心の状態にも大きな影響を与えます。 突然の変化に戸惑い、原因が分からず不安を抱えている方も多いでしょう。 この記事では、痙性歩行やパーキンソン歩行など9つの主な歩行障害の種類と、それぞれの原因となる疾患について詳しく解説します。 原因を知ることは、回復の第一歩ですので、ぜひ最後までご覧ください。 主な歩行障害の種類と原因疾患 主な歩行障害としては、以下の9種類があげられます。 痙性歩行(けいせいほこう) はさみ足歩行 ぶん回し歩行 鶏歩(けいほ) 失調歩行 パーキンソン歩行 間欠性跛行 墜落性跛行 心因性歩行障害 歩行障害の状況と原因疾患について、それぞれ解説します。 痙性歩行(けいせいほこう) 痙性歩行とは、脚が伸び切った状態でつま先立ちの姿勢になり、つま先を引きずって歩く状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脳血管疾患 多発性硬化症 脊髄損傷 頚椎症性脊髄症(頚髄症) つま先を引きずって歩く関係で、靴の前側部分がすり減りやすい特徴があります。(文献1) はさみ足歩行 はさみ足歩行とは、両足ともつま先立ちで床をこすりながら、両足をはさみのように交差させて歩く状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脳血管疾患 多発性硬化症 脊髄損傷 X脚のため、膝をすり合わせるような歩き方も、はさみ足歩行と呼ばれるケースがあります。 ぶん回し歩行 ぶん回し歩行とは、弧を描くように足を動かして歩く状態です。 ぶん回し歩行の主な原因を、以下に示しました。 脳血管疾患による片麻痺 下肢の筋力低下 膝関節や足関節の柔軟性低下 歩幅は正常ですが、つま先を上げる動作が難しいため、少しの段差にもつま先が引っかかり、転倒の可能性があります。 鶏歩(けいほ) 鶏歩とは、足首が下がったまま歩いている状態です。つま先を引きずりながらぱたぱたと歩きます。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 腓骨神経麻痺(腓骨:ふくらはぎにある細い骨) 筋萎縮性側索硬化症 ポリオ 鶏歩の特徴は、つまずき防止のため、歩くときに股関節を強く曲げて、膝を高く上げることです。 失調歩行 失調歩行とは、麻痺や筋力低下がないにもかかわらず、バランスが悪くスムーズに歩けない状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脊髄小脳変性症 脊髄腫瘍 脳腫瘍 失調歩行の具体例は、よろめきながらの歩行や開脚した状態での歩行などです。 パーキンソン歩行 パーキンソン歩行とは、名前のとおりパーキンソン病特有の歩行障害です。 パーキンソン病以外の原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 パーキンソン症候群 レビー小体型認知症 前かがみの姿勢、狭い歩幅、最初の一歩が出ないすくみ足、徐々に早足になる突進歩行などが特徴としてあげられます。方向転換時にバランスが取りにくいため、転倒の危険性が高い状況です。 間欠性跛行 間欠性跛行とは、しばらく歩いていると、手足のしびれや痛みといった症状が出現し、休憩すると症状が緩和する状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脊柱管狭窄症 閉塞性動脈硬化症 歩くと痛み、休むと治まる。再び歩くと痛む。この状況を繰り返す歩行障害です。 以下の記事で、脊柱管狭窄症について解説していますので、あわせてご覧ください。 墜落性跛行 墜落性跛行とは、左右の足の長さが異なるため、歩く際に片方の足が地面に墜落するように落下する動きになる歩行障害です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 変形性股関節症 先天性股関節脱臼 足の長さが異なる場合、片足立ちのときに、反対側の骨盤が下降しています。 以下の記事で、股関節の病気を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 心因性歩行障害 心因性歩行障害とは、身体機能や運動機能に異常がないにもかかわらず、歩けなくなる状態です。ただし、介助により歩行可能です。 強い不安や心理的ストレスが身体症状に現れる、転換性障害(機能性神経症状症)のひとつとされています。 発症年齢は10代から30代前半までがほとんどと言われており、男性より女性に多く見られる症状です。 歩行障害の治療・リハビリテーション この章では、歩行障害に対する治療およびリハビリテーションについて詳しく解説します。 原因疾患の治療 ほとんどの歩行障害には原因となる疾患があるため、その治療が必要です。 治療方法としては、薬物療法やブロック注射、手術療法、再生医療などがあります。 再生医療は、脳血管疾患やパーキンソン病、脊髄損傷などさまざまな疾患に対して効果を示しています。 筋力トレーニング 筋力トレーニングの種類としては、以下のようなものがあげられます。 椅子に座って膝の曲げ伸ばし かかとの上げ下ろし 踏み台昇降 スクワット リハビリ専門職の指導により、トレッドミルやレッグプレスといった専用のマシーンで行う筋力トレーニングもあります。 バランストレーニング 代表的なバランストレーニングは、以下のとおりです。 ゆっくりとした片足立ち 横歩き 後ろ歩き 歩いている途中の方向転換 つま先上げ 障害物を乗り越えながら歩くことも、バランストレーニングのひとつです。(文献2) ご自宅でバランストレーニングを行うときは、転倒しないように壁やいす、手すりなどにつかまりましょう。 歩行補助器具の選定・指導 歩行障害は治療によって軽減するものもありますが、原因疾患によっては回復に時間がかかり、障害が固定される場合もあります。 移動能力や生活の質向上のために、歩行補助器具を使うこともリハビリのひとつです。歩行補助器具には、杖(一点杖、多点杖)や歩行器、シルバーカーなどの種類があります。 まとめ|歩行障害の種類を知り、適切な治療を受けよう 歩行障害にはさまざまな種類があり、原因もそれぞれ異なります。歩行障害は転倒のリスクを高め、閉じこもりや、さらなる身体機能低下につながるものです。 自分の歩きにくさはどのようなものかを理解した上で、状況に合った医療機関を受診し、適切な治療やリハビリを受けましょう。 歩行障害の種類に関するよくある質問 ここでは、歩行障害の種類に関するよくある質問を3つ紹介します。 歩行困難になったら何科を受診すれば良いですか? 歩行困難の種類と原因疾患別に、受診する診療科を表にまとめましたので、ご覧ください。 歩行障害の種類 疾患 受診する診療科 痙性歩行 はさみ足歩行 ぶん回し歩行 失調歩行など 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 脳腫瘍など 脳神経外科 パーキンソン歩行 失調歩行 鶏歩(けいほ)など パーキンソン病 脊髄小脳変性症 筋萎縮性側索硬化症など 神経内科 間欠性跛行 痙性歩行 墜落性跛行など 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 変形性関節症 頚髄症など 整形外科 心因性歩行障害 強い不安や心理的ストレスによる不調 (転換性障害も含まれる) 精神神経科 間欠性跛行 閉塞性動脈硬化症 内科 どの診療科を受診すると良いのか不明な場合は、かかりつけ医への相談をおすすめします。 歩行障害は若い人にも起こりますか? 若い人にも歩行障害は起こりえます。 若年者の歩行障害の原因としては、多発性硬化症、脊髄損傷、脳性麻痺、先天性疾患、あるいは外傷後の後遺症などがあります。若年性パーキンソン病も原因のひとつです。 パーキンソン病を40歳以下で発症した場合に、若年性パーキンソン病と呼ばれます。若年性パーキンソン病の特徴は、病気の進行がゆるやかであることや、薬の効きが良いことなどです。 ペンギンみたいな歩き方は病気の症状ですか? 正常圧水頭症やパーキンソン病、シャルコー・マリー・トゥース病といった病気の症状であると考えられます。 足の筋力や足首の柔軟性が低下して、歩くときに足を上げられないため、すり足や小さい歩幅での歩行になります。 正常圧水頭症については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 和田直樹「歩行障害の種類と原因疾患」55(9), pp.730-734, 2018 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/9/55_55.730/_pdf (最終アクセス:2025年3月21日) (文献2) Dotdash Meredith「Boost Your Mobility With These Gait Training Exercises」Verywell Health, 2025年1月28日 https://www.verywellhealth.com/gait-training-in-physical-therapy-5069884 (最終アクセス:2025年3月21日)
2025.03.31 -
- 脊椎
- 腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症の手術を経て、退院後の生活が気になる方もいるのではないでしょうか。 腰部脊柱管狭窄症で退院した後は、安静に過ごしたり少しずつ体を動かしたりするなど、気を付けたいポイントがいくつかあります。 今後退院を控えているのであれば、退院後の生活を知っておくと、腰の回復を図る上で役立つでしょう。 本記事では、腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活を、心掛けるべきポイントや避けるべき禁忌とともに徹底解説します。 \腰部脊柱管狭窄症に対する再生医療はこちらで紹介⇩/ https://youtu.be/3yN5q8_ATpc?si=NjCq4HZ_n1PvuLr3 再生医療とは、患者さまの血液や細胞に含まれる働きを活かし、痛みの原因となる組織の回復をサポートする治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 歩くと足がしびれる・痛むなどの症状が続き、生活に支障を感じている 手術以外の方法で症状の軽減を目指したい 薬物療法やブロック注射を続けても、すぐに症状が戻ってしまう 腰部脊柱管狭窄症を放置すると、歩行困難・足の筋力低下・排尿・排便障害(膀胱直腸障害)など日常生活に支障をきたすリスクがあります。 特に「長い距離を歩けない」「休むと楽になる」といった症状(間欠性跛行)が続く方は、早めのご相談が大切です。 当院(リペアセルクリニック)では無料カウンセリングも行っておりますので、腰部脊柱管狭窄症による痛みやしびれにお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活のポイント 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活のポイントは、以下のとおりです。 コルセットを装着する 入浴時は姿勢に注意 規則正しい生活を心掛ける 仕事復帰は主治医と相談して決める 腰部脊柱管狭窄症とは、脊椎を通る脊柱管と呼ばれる管が老化や椎間板ヘルニアなどの原因によって狭まり、神経を圧迫する疾患です。 腰部脊柱管狭窄症になると、足の痛みやしびれなどの症状が発生します。 治療は保存療法や手術を行うのが一般的ですが、手術が終わって退院した後の生活も大切です。 腰部脊柱管狭窄症で退院した後の生活で、欠かせないポイントをご紹介します。 コルセットを装着する 腰部脊柱管狭窄症の手術後は、腰椎コルセットを装着して腰の部分を安定させながら過ごします。 とくに、手術で腰椎を固定させた場合は、骨がくっつくまでの間に腰椎に負担がかからないように、固めのコルセットを装着するのが一般的です。 なお、コルセットは下着の上から装着します。 入浴時は姿勢に注意 腰部脊柱管狭窄症の手術・退院後は、入浴時の姿勢にも注意が必要です。 手術や退院後の入浴はシャワーが基本で、医師が術後の傷口の状態を見ながら許可するかを決定します。 シャワーは手術した部位を保護した状態で、座った状態の姿勢で浴びます。 ただし、姿勢に不安を感じるときは、立った状態や椅子に腰かけた状態でのシャワーでも問題ありません。 なお、体を洗うときは、手術した背中の部位はこすらないようにするのもポイントです。 規則正しい生活を心掛ける 退院後は規則正しい生活を心掛けることも、重要なポイントといえます。 手術や退院してからはコルセットを着用しての生活が続くためです。 コルセットを外すまでの期間は腰が安定するため、背中やお腹周りの筋肉が衰えがちです。 退院後の筋力の低下を極力避けるには、定期的な医療機関でのリハビリと並行して、散歩などの軽いエクササイズも欠かせません。 ただし、骨がくっつくまで時間がかかるため、長時間の散歩のように痛みが出るエクササイズは禁物です。 またバランスの取れた栄養のある食事も、退院後の体力回復を促してくれます。 ただし、体重が増えると腰への負担も増加するため、食べすぎには注意が必要です。 仕事復帰は主治医と相談して決める 腰部脊柱管狭窄症の退院後に仕事に復帰したいのであれば、まずは主治医に相談しましょう。 主治医が術後や退院後の回復の度合いをチェックした上で判断します。 また、退院後に仕事を再開する時期は、復帰予定の仕事の内容によってさまざまです。 デスクワークでの再開を目指すのであれば、2~3週間程度で復帰できる可能性が十分あります。 一方、物の持ち運びのように腰を使う肉体労働であれば、2カ月以上かかるケースもあります。 ただし、患者様の体力や回復状況などによって復帰時期が前後することは理解しておきましょう。 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活【禁忌・注意点】 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活では、禁忌(してはいけないこと)や注意すべき点もいくつかあります。 退院後の生活で気を付けるべき点は、次のとおりです。 腰への負担を避ける コルセットの汚染・破損は医療機関に知らせる 手術や退院後に痛みを感じる場合は主治医に知らせる 退院後の生活のポイントとともに禁忌・注意点を理解しておくと、スムーズな回復を図れるでしょう。 それぞれ詳しく見ていきます。 腰への負担は避ける 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活では、腰に負担のかかる行為は避ける必要があります。 重い物の持ち運びはもちろんのこと、ゴルフや長時間の運動は控えることが大切です。 とくに腰椎を固定する手術を行った方は、腰を必要以上にねじったりひねったりすると、回復が遅れたり症状が悪化したりしかねません。 少なくとも、コルセットを装着している間は、安静にしながら腰にはあまり負担をかけないことがポイントです。 コルセットの汚染・破損は医療機関に知らせる コルセットが汚染・破損したら、極力早めに医療機関に知らせます。 コルセットは、日常生活の中でかく汗や、入浴(シャワー)時のお湯などで汚れてしまいます。 軽度の汚染であれば、水ぶきや手洗いできれいにした後、ドライヤーで乾かせば問題ありません。 ただし、コルセットが壊れるなどしてしまった場合は、すぐにでも医療機関に連絡しましょう。 手術や退院後に痛みを感じる場合は主治医に知らせる 腰部脊柱管狭窄症の手術を経て退院した後に痛みを感じたときも、すぐに主治医に知らせましょう。 手術後に痛みを感じる場合は、手術で改善できなかった、あるいは改善はしたが再発したというケースが考えられます。また、手術時に神経を傷つけてしまう可能性も否定できません。 腰部脊柱管狭窄症で手術を受けても痛みを感じる場合は、無理は禁物です。 腰部脊柱管狭窄症の手術・退院後の流れ 腰部脊柱管狭窄症で手術を受けたあとや退院後は、どのように生活が変化するのでしょうか。 本章では手術後から退院後までの流れについて解説します。 手術や退院後の生活の流れを大まかに理解するだけでも、落ち着いて手術や術後の回復に専念できます。それぞれ見ていきましょう。 手術翌日からリハビリ開始 手術が終わると、回復の状況に応じて早くて翌日からリハビリが始まります。 リハビリ当初は、病室のベッドで起きる・座る動作を確認した上で、歩行器を使って少しずつ歩ける距離を伸ばしていく流れです。 なお、リハビリには専門家である理学療法士が付き添い、回復に向けてさまざまな指導を行っていきます。 リハビリは退院後も続くため、入院していた病院には定期的に通院します。 退院後は外出や軽い運動などが可能 退院後は各自での外出や軽い運動ができます。 コルセットを装着した状態での生活が続くため、筋力の維持や増進のために少しずつ動く量を増やしたり、移動範囲を広げたりしていくことが大切です。 ただし、退院して日が浅いうちは、極度に運動量を増やさないようにします。 手術後1~2週間程度で車の運転が可能な場合も 手術から1、2週間程度経過すると、退院後最初の診察です。 診察時に主治医が回復の状況や痛みの有無を問診し、回復状況によっては仕事の復帰や車の運転の許可を出す場合があります。 もし車を運転して問題ないと判断された際は、乗り降りで無理に腰をひねらないようにします。 乗るときはまず、座席に腰かけてから、両足を車の中に移すのがポイントです。 手術後3カ月程度でコルセットを外せる 腰部脊柱管狭窄症の手術から3カ月程度が経過すると、ようやくコルセットを外す許可が出ます。 ただし、コルセットを外せる時期は個人によって差が出るため、3カ月はあくまでも目安とお考えください。 コルセットを外す許可が出ることは、安静期間の終わりを意味します。とくに問題がなければ、肉体労働関係の仕事でも復帰を申し出られるでしょう。 腰部脊柱管狭窄症の治療では再生医療も注目されている 腰部脊柱管狭窄症の治療には、再生医療という選択肢もあります。 再生医療では、患者様自身の幹細胞を採取・培養する「幹細胞治療」と、血液に含まれる血小板を用いる「PRP療法」があります。 \幹細胞治療とPRP療法の特徴についての解説はこちら/ どちらも患者様自身の幹細胞や血液を用いるため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では、脊椎損傷に対する治療として再生医療を行っています。 腰部脊柱管狭窄症の治療に再生医療をご検討の方は、当院へお気軽にご相談ください。 まとめ|腰部脊柱管狭窄症の退院後3カ月ほどはコルセットを着用して生活 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活は、基本的に腰椎コルセットを装着した状態で安静に過ごすことが求められます。 ただ、コルセットを装着した状態では筋力が衰えるため、無理のない運動や栄養の摂取も大切です。 手術から3カ月程度が経過すれば、コルセットを外せるケースが増えるため、それまでは安静と規則正しい生活を心掛けましょう。 腰部脊柱管狭窄症でお悩みの方には、再生医療という治療選択肢もあります。 治療法については以下の動画でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/0hyJR5VW3oY?si=gBmTwyYmHNDaGlDt 再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活に関してよくある質問 腰部脊柱管狭窄症の手術後に歩けないときの対策は? 腰部脊柱管狭窄症で手術後に関節が痛くなる場合がありますが、安静にしていると次第に痛みが取れるケースが多いです。 ただし、痛みが長引く場合は、神経の損傷などの可能性もあるため、我慢せず主治医へ相談しましょう。 腰部脊柱管狭窄症のリハビリ期間は何日間ですか? 腰部脊柱管狭窄症のリハビリ期間は、入院中に1~2週間、退院後はコルセットを外せるまでの約3カ月が目安です。 全体で合計すると、3カ月半程度と考えて良いでしょう。 ただし、患者様の回復度や健康状態などによって、前後する場合もあります。 腰部脊柱管狭窄症の退院後にスポーツはOKですか? 腰部脊柱管狭窄症のスポーツは、退院後3カ月ほどしてコルセットが外せれば可能になります。 ゴルフや野球のような腰を使うスポーツは、退院直後の状態では大きな負担がかかります。 退院直後のスポーツであれば、リハビリも兼ねて簡単なウォーキングのような、腰に負担のかかりにくいものがおすすめです。 腰部脊柱管狭窄症の手術後に性行為はできますか? 腰部脊柱管狭窄症の手術後は腰に大きな負荷がかかる行為はタブーとされています。 このため、腰を激しく動かすことが多い性行為も、手術後しばらくは避けるのが無難です。 再開する際には必ず主治医に相談し、自分の回復状況に応じた指導を受けると良いでしょう。
2025.03.31 -
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「寝起きに手足がしびれ原因は?」 「しびれの原因が病気ではないか不安」 寝て起きただけなのに手足のしびれを感じたことがある方には、上記のような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 寝起きの一時的な手足のしびれは、寝ている時の姿勢によるものがほとんどですが、まれに神経系疾患や脳血管疾患の前兆である可能性があります。 とくに脳血管疾患だった場合は、早期回復や重症化を防ぐために初期対応が重要なので、初期症状が見られた時点で医療機関への相談が推奨されます。 「ただの手足のしびれ」と放置されてしまいがちですが、少しでも不安な方はまずは医療機関へ相談してみましょう。 当院リペアセルクリニックでは、寝起きの手足のしびれの原因となっている「神経系疾患」「脳血管疾患」の改善が期待できる再生医療をご提供しています。 「手足のしびれが病気ではないか不安」「病気だった場合にすぐ治療したい」という方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。 \無料相談はこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 寝起きに手足がしびれる原因 寝起きに手足がしびれる原因としてあげられるのは、主に以下の5つです。 寝ているときの姿勢 神経系疾患 糖尿病による神経障害 脳血管疾患 その他の疾患 寝ているときの姿勢 寝起きに手足がしびれる原因の1つが、寝ているときの姿勢です。 腕に頭をのせて寝た 腕を頭より上にして寝た 狭い場所で寝たために寝返りを打てなかった このような体勢が長時間続くと、手足の神経が圧迫されてしまい、しびれを引き起こします。 枕が合わないこともしびれの一因です。枕が高すぎると、あごを強く引いた体勢になります。その結果生じるのが、肩や肩甲骨周辺の筋緊張です。筋肉の緊張が血行不良を引き起こし、しびれにつながります。 神経系疾患 変形性頚椎症や脊柱管狭窄症、手根管症候群、椎間板ヘルニアなどの疾患により、神経が圧迫されて、手足のしびれが生じるケースもあります。 神経系疾患と手足のしびれの関係については、以下の記事でも解説していますのであわせてご覧ください。 糖尿病による神経障害 糖尿病の三大合併症の1つが神経障害です。手足のしびれは、感覚神経の障害に分類されます。 高血糖が続くと神経に栄養を与える血管に傷がつきます。その結果血流が悪くなり、神経の働きが障害されるのです。 糖尿病による神経障害では、手足のしびれのほか、感覚の低下や筋力の低下などの症状も現れます。(文献1) 糖尿病の合併症については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳血管疾患 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患でも、手足のしびれが起こります。 手足のしびれ以外に、手足の麻痺や激しい頭痛、視野の異常などの症状が現れたら、速やかに脳神経外科を受診しましょう。 チェックポイントは「ACT-FAST」です。(文献2) Face:顔の片方がゆがむ Arm:片方の腕に力が入らない Speech:いつもどおり話せない Time:時間を空けずに ACT:救急車を呼ぼう 脳血管疾患は命に関わるものなので、迅速な行動が大切です。 その他の疾患 過換気症候群や更年期障害などでも、手足のしびれが起こる場合があります。 過換気症候群とは、強い不安や緊張などが原因で、何度も激しく息を吸ったり吐いたりする状態です。 二酸化炭素が過剰に吐き出されることで血中の二酸化炭素濃度が低くなり、血液がアルカリ性に傾きます。血液がアルカリ性に傾くと、血管が収縮されてしまい、手足のしびれが生じるのです。 更年期障害の場合、女性ホルモンの低下が手足のしびれに関係しているとされています。 寝起きに手足がしびれるときの対処法(セルフケア) 寝起きに手足がしびれるときに自分でおこなえる主な対処法(セルフケア)は、以下の3つです。 寝る姿勢や枕を調整する 身体を温める 身体を適度に動かす 寝る姿勢や枕を調整する 寝る姿勢や枕の調整に関してのポイントを、表に示しました。 ポイント 調整方法 寝る姿勢 横向きで寝るときは、しびれやすい方を上にする あおむけで寝るときは、膝の下にクッションを入れるか腕の位置を少し高くする 枕選び 横幅50㎝以上、奥行き35㎝以上 中央が低く両サイドが高めの立体的な形 自然に立った姿勢をそのままキープできる高さが望ましい 1日の約3分の1は、睡眠時間です。筋肉の緊張や神経の圧迫がない自然な姿勢が、手足のしびれ予防のポイントといえるでしょう。 身体を温める しびれる部分を温めたり、揉んだりすると血流が改善されて、しびれがやわらぐこともあります。具体的な方法は、ゆっくりお風呂につかる、やさしくマッサージするなどです。 ただし、神経障害の方は皮膚の感覚が鈍くなることがあるため、やけどに注意する必要があります。寒いときも、長時間ストーブの前に座らないように心がけましょう。カイロで温めるときは肌に直接当てず、決められた時間を守ってご使用ください。 身体を適度に動かす ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を行うことで、血流改善によるしびれの緩和が期待できます。 手を握ったり開いたりする、手首や足首をゆっくり曲げ伸ばしするなどもストレッチの一種です。 ただし、症状が強いときには無理に動かさず、安静にしましょう。 下記の記事では、手根管症候群による手のしびれを自分で治すためのストレッチが紹介されています。あわせてご覧ください。 まとめ|セルフケアを行っても寝起きに手足がしびれるときは医療機関を受診しよう 寝起きに手足がしびれる原因は、寝るときの姿勢から脳血管疾患までさまざまです。 自分でできるセルフケアもありますが、ケアを続けても手足のしびれが改善されない場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。 とくに、手足が動かない、ろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、脳血管疾患の可能性があります。命に関わることもあるので、ためらわず救急車を呼びましょう。 糖尿病を治療している中で、徐々に手足のしびれが出てきた方は、神経障害の可能性があります。早めに主治医へ相談しましょう。 手足がしびれ解消のためには、セルフケアや治療が大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、しびれの原因となる脳卒中や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、糖尿病などの疾患に対して再生医療を提供しています。 手足のしびれでお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。 \無料相談はこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問 ここでは、寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問を2つ紹介します。 手足がしびれるときは何科に行くと良いでしょうか? 手足がしびれるときの受診先としてあげられるのは、整形外科や神経内科、脳神経外科などです。 しびれが急に出てきて、手足の麻痺があるときは早急に脳神経外科を受診しましょう。 脳血管疾患の可能性が高く、初期症状が見られた時点で医療機関への相談が推奨されます。 「ただの手足のしびれ」と放置されてしまいがちですが、少しでも不安な方はまずは医療機関へ相談してみましょう。 当院リペアセルクリニックでは、寝起きの手足のしびれの原因となっている「神経系疾患」「脳血管疾患」の改善が期待できる再生医療をご提供しています。 「手足のしびれが病気ではないか不安」「病気だった場合にすぐ治療したい」という方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。 ▼まずは無料で電話相談 >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 更年期になると朝起きたら手がしびれるのはなぜですか? 原因として考えられるものが、女性ホルモンの1つ、エストロゲンの減少です。エストロゲンの減少は、自律神経の乱れにも関係しています。自律神経の乱れが、血流の悪化、ひいては手のしびれにつながっています。 エストロゲン減少の影響としてもう1つあげられるのが、皮膚の乾燥です。乾燥した皮膚は敏感であるため、しびれを感じやすくなるといわれてます。 参考文献 (文献1) 出口尚寿,西尾善彦.「糖尿病性末梢神経障害」『日本内科学会雑誌』108(8), pp.1538-1544, 2019 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/8/108_1538/_pdf (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_006.html (最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.31 -
- 糖尿病
- 脳卒中
- 頭部
- 足部、その他疾患
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
- 内科疾患
- 手根管症候群
- 脊柱管狭窄症
- 足部
「手や足のしびれが続いて困っている」 「何か病気があるのだろうか?」 このようにお悩みの方も多くいらっしゃることでしょう。 手足のしびれを引き起こす病気はさまざまです。なかには原因がわからないものもあります。 本記事では、手足のしびれを引き起こす病気を中心に解説します。 しびれが続くときの受診先や、病気の予防法なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 手足のしびれの原因となる病気 手足のしびれを引き起こす病気は、以下の5つです。 脳神経系の病気 脊髄(脊椎)神経系の病気 末梢神経系の病気 内科系の病気 その他の病気 それぞれの病気について解説します。 脳神経系の病気 手足のしびれを引き起こす脳神経系の病気としては、主に以下のようなものがあげられます。 脳梗塞 脳出血 一過性脳虚血発作 脳腫瘍 ここで紹介する症状がある場合は、すぐに救急車を呼んで脳神経外科を受診しましょう。 脳梗塞 脳の血管が詰まって血液が流れなくなり、酸素および栄養不足のため、脳細胞が死んでしまう病気です。 手足のしびれのほかに、手足が麻痺して動かない、ろれつが回らないといった症状が見られます。意識障害を起こすこともあります。 脳梗塞は命に関わる病気でもあるため、これらの症状が現れたら早急に医療機関を受診しましょう。 脳梗塞の症状に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳出血 脳の血管が切れて出血した結果、脳細胞が障害を受ける病気です。 手足のしびれや麻痺、ろれつが回らないなど、脳梗塞と同じような症状のほか、激しい頭痛や吐き気といった症状も見られます。 脳出血も命に関わる病気であるため、早急な受診が必要です。 脳出血の症状に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 一過性脳虚血発作 一時的に脳の血流が悪くなり、酸素や栄養が不足する病気です。 手足のしびれや麻痺、感覚の低下といった症状が出ますが、通常は24時間以内に消失します。(文献1) 一過性脳虚血発作は、脳梗塞や脳出血の前触れともいわれています。症状が現れてすぐに消えた場合でも、放置せずに医療機関を受診しましょう。 脳腫瘍 その名のとおり脳に発生する腫瘍で、脳そのものにできる「原発性脳腫瘍」と、他の臓器から転移した「転移性脳腫瘍」にわかれます。 症状は、手足のしびれや麻痺、頭痛、吐き気などです。視野が狭くなったり、視力が低下したりといった眼科症状が見られる場合もあります。 脊髄(脊椎)神経系の病気 手足のしびれを引き起こす脊髄(脊椎)神経系の病気は、主に以下のとおりです。 変形性頚椎症 頚椎椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 後縦靱帯骨化症 変形性頚椎症 頚椎(首部分の背骨)内の椎間板の高さが減ったり、椎骨(背骨の一部)に骨のとげができたりするといった変化が生じる病気です。 首や肩が痛むほか、手の神経が圧迫されることにより、手のしびれも出てきます。 頚椎椎間板ヘルニア 頚椎をつないでいる椎間板が変形して飛び出し、脊髄や神経根が圧迫される病気です。 手や腕、首、肩にしびれや痛みが生じたり、足のもつれや歩行障害などが出たりします。首を動かすと痛みが強くなります。 以下の記事で、頚椎椎間板ヘルニアの初期症状を解説していますので、あわせてご覧ください。 脊柱管狭窄症 腰椎(腰部分の背骨)の変形により神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される病気です。50代から80代の方に多いとされています。 手足のしびれ以外には、間欠性跛行や膀胱直腸障害などの症状が見られます。 間欠性跛行や膀胱直腸障害といった症状については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 後縦靱帯骨化症 頚椎の後ろにある、背骨を安定させる靱帯(後縦靱帯)が骨のように硬く変化して脊髄を圧迫するもので、厚生労働省が定める指定難病の1つです。(文献2) 症状としては、肩こりや手のしびれ、こわばり、痛みなどがあります。病気が進行すると、箸が使いにくい、字が書きにくいといった症状も出てきます。 末梢神経系の病気 手足のしびれを引き起こす末梢神経系の病気としてあげられるのは、手根管症候群や足根幹症候群などです。 手根管症候群 手根管と呼ばれる手首のトンネル部分で神経が圧迫されて、手指のしびれや痛みが発生する病気です。 中高年の女性に多く、進行すると親指の筋肉が痩せてしまい、ものを掴みにくくなります。 足根管症候群 足根管と呼ばれる内くるぶしのトンネル部分で、神経が圧迫されたり傷ついたりするために、足裏や足首にしびれや痛みが生じる病気です。 足の痛みはピリピリとした感じのもので、立ったり歩いたりしたときや、特定の靴を履いたときに生じます。足の冷えや感覚異常を伴う場合もあります。 内科系の病気 内科系の病気によっても、手足のしびれが生じます。代表的なものが、糖尿病性神経障害や閉塞性動脈硬化症です。 糖尿病性神経障害 糖尿病の合併症の1つが、神経障害です。 神経障害は、高血糖が続いたことで血流が悪くなり、手先や足先まで酸素や栄養を含んだ血液が届きにくくなるために起こります。 神経が障害された結果、手足のしびれが生じます。 閉塞性動脈硬化症 動脈硬化により血管が狭くなる、もしくは詰まるために血流が悪くなる病気です。手足の血管が狭くなったり詰まったりすると、しびれや冷たい感覚が生じます。 足の血管に閉塞性動脈硬化症が起こり、進行すると、間欠性跛行と呼ばれる歩行状態になります。 間欠性跛行とは、歩いているうちに足に痛みやしびれが生じて、休憩すると治まるものです。 その他の原因 ビタミン欠乏や更年期障害、うつ病、精神的ストレスなどが原因で手足のしびれが生じる場合もあります。 手足がしびれる病気の前兆をチェックする方法 手足のしびれはさまざまな病気の前兆として現れることがあります。 しびれの特徴からどのような疾患の可能性があるのかをチェックしましょう。 疾患名 しびれの特徴 脳血管疾患 (脳梗塞や脳出血) 片方の手足だけがしびれる 手足が麻痺する、ろれつが回らない、意識障害がある 変形性頚椎症 全体的に手がしびれる 首の後ろを動かすと手のしびれが悪化する 頚椎椎間板ヘルニア 手足のしびれに痛みを伴うことがある 手根管症候群 手の親指や人差し指、中指がしびれる 手首を酷使したあとにしびれが生じる 手足のしびれと病気の前兆について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 手足がしびれるときに受診する病院 手足のしびれが起きる原因はさまざまです。しびれのために病院を受診する際は、しびれ以外の症状や、現在かかっている病気などから受診する科を決めましょう。 ここでは、3つの科について解説します。 脳神経外科 手足のしびれ以外に、片側の手足が動かない、ろれつが回らない、言葉が出てこないなどの症状がある場合は、脳梗塞や脳出血の可能性があります。 この場合の受診先は脳神経外科です。脳梗塞や脳出血の場合は、一刻も早い治療が必要なため、救急車を呼んで早急に受診しましょう。 整形外科 手足のしびれ以外に、腰や手足の痛み、間欠性跛行などの症状がある場合は、整形外科を受診しましょう。 受診時には、医師が状況を把握しやすいように、症状がある部位や出現時期などを伝えると良いでしょう。 内科 糖尿病や高血圧、高脂血症といった内科疾患があり、しびれ以外に症状がない場合は、内科(かかりつけ医)を受診しましょう。 とくに糖尿病治療中で手足のしびれが生じている場合は、神経障害を起こしている可能性が高いため、早めの受診が必要です。 手足がしびれる病気の予防法 手足がしびれる病気の種類はさまざまです。ここでは、3種類の病気について予防法を解説します。 脳神経系の病気 末梢神経系の病気 内科系の病気 脳神経系の病気の予防法 脳梗塞や脳出血、いわゆる脳卒中の予防で大切なことは、高血圧の予防・改善です。高血圧の予防・改善には、日常的な減塩を心がけることが効果的です。 また、糖尿病や高脂血症といった生活習慣病のほか、喫煙、過度な飲酒なども脳血管を痛めます。生活習慣病予防のためにも、バランスの良い食事や適度な運動を心がけましょう。 脳卒中は再発予防も大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の後遺症治療・再発予防として再生医療(幹細胞治療)を行っております。 再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 末梢神経系の病気の予防法 ここでは手根管症候群の予防について解説します。 手根管症候群の予防や悪化防止のために大切なのは、手を酷使しないことです。とくに、手首を曲げる動作は、神経の通り道である手根管を狭くしてしまいます。 パソコン作業が多い方や、工具(ドライバー)を仕事でひんぱんに使う方は、手首を休める時間を意識して取りましょう。 糖尿病や甲状腺機能低下症の方は、手根管症候群を発症しやすいといわれています。定期的に検査を受けて、病状を確認しましょう。その上で、手首のしびれが見られた場合は、放置せずに整形外科を受診してください。 内科系の病気の予防法 内科系の病気の中でも、糖尿病は生活習慣の改善で予防できます。 糖尿病予防の主なポイントは次の通りです。 栄養バランスの良い食事や腹八分目を心がける ウォーキングやサイクリングといった適度な運動を続ける 適正体重を保つ 毎年健康診断を受ける 喫煙者は禁煙を検討する アルコールは適量を守る 糖尿病患者の方は、病気を放置せずに治療を継続しましょう。 再生医療は、糖尿病治療における新たな選択肢です。 糖尿病治療としての再生医療については、以下のページで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 まとめ|手足のしびれの病気が疑われる際は早めに病院へ 手足のしびれを引き起こす病気は数多くありますが、原因がわからないものも少なくありません。 脳血管疾患のように命に関わる病気が原因のこともあるため、手足のしびれが続くときは放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、しびれの原因となる脳卒中やヘルニア、糖尿病などに対して再生医療を行っています。手足のしびれでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 手足のしびれの病気に関するよくある質問 皮膚の表面がピリピリする原因は? 主な原因は、痛みを伝える神経が損傷されるために起こる神経障害性疼痛や、帯状疱疹などです。 神経障害性疼痛の場合は、痛み止めやブロック注射などの治療があります。帯状疱疹の治療は抗ウイルス薬の内服、もしくは点滴がメインの治療法です。 手足のしびれの治し方は? 原因になっている病気がある場合は、その病気を治療します。同時に、しびれをおさえる治療も行います。 しびれの主な治療法としては、消炎鎮痛剤やビタミン剤の内服があげられますが、病気によっては手術が必要です。 しびれが続くときは、医療機関で適切な治療を受けましょう。 参考文献 (文献1) 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「一過性脳虚血発作は、早期に完成型脳梗塞を発症する可能性が高い」国立研究開発法人 国立循環器病研究センターホームページ, 2024年9月27日 https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/scd/cvmedicine/tia-torikumi/ (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2)難病情報センター「後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)」難病情報センターホームページ https://www.nanbyou.or.jp/entry/98 (最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.30 -
- 脊椎
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 脊椎、その他疾患
下肢の痛みやしびれがあった際、坐骨神経痛と診断される場合があります。なかには、腰椎椎間板ヘルニアを患っているのに坐骨神経痛と診断されて違いがわからず戸惑う方もいるのではないでしょうか。 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛は混在しやすいですが、定義に違いがあります。本記事では、腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違いについて解説します。 坐骨神経痛を引き起こす主な疾患や治療法も紹介するので、ヘルニアとの違いを正しく理解したい方は参考にしてください。 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違い 腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアと坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)の違いは、以下の通りです。 名称 特徴 腰椎椎間板ヘルニア 腰の痛みやしびれを伴う病名 坐骨神経痛 腰の痛みやお尻から脚にかけてしびれを伴う症状 腰椎椎間板ヘルニアは病気の名称で、坐骨神経痛は症状を指します。つまり、腰椎椎間板ヘルニアが要因で神経が圧迫されて、腰の痛みやしびれを伴う坐骨神経痛が生じるのです。 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛は混同されがちですが、定義が異なるため違いを理解しておきましょう。 【関連記事】 ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違いとは?併発の可能性と症状を解説 坐骨神経痛とは|原因・症状・治療法からやってはいけないことまで現役医師が解説 坐骨神経痛を引き起こす主な疾患 坐骨神経痛を引き起こす原因は、腰椎椎間板ヘルニアだけではありません。主な疾患は、以下の3つです。 腰椎椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 腰椎すべり症 発症する原因や主な症状や好発年齢についてまとめたので、参考にしてください。 腰椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニアとは骨と骨の間にある腰椎椎間板に負担がかかり、椎間板の中心核となる髄核(ずいかく)が外に飛び出し神経を圧迫した状態のことです。主な症状は、以下の通りです。 お尻から足首にかけて痛みとしびれが生じる 脚に力が入りにくくなる 陰部や肛門にしびれが生じる 尿や便が出しにくくなる 腰椎椎間板ヘルニアが発症する原因には、重いものを持ち上げたり同じ姿勢を続けたりして背骨に負担をかける行為が挙げられます。また、体重増加も腰椎椎間板ヘルニアを引き起こす原因の一つです。 腰椎椎間板ヘルニアの好発年齢は、20代〜40代になります。 脊柱管狭窄症 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される状態のことです。主な症状は、歩行や運動による痛みです。 脊柱管狭窄症は、運動により神経へ血流が不十分になると痛みを引き起こします。安静にしていると神経への血流が安定するため、症状はありません。 また、脊柱管狭窄症の原因は以下の通りです。 腰に負担がかかる作業や肥満などにより、腰椎に負担がかかり神経が圧迫される 骨粗鬆症が原因で骨が変形する 骨や椎間板により神経が圧迫される 好発年齢は50代〜80代くらいで、男性に多く見られます。 腰椎すべり症 腰椎すべり症とは、腰椎のずれにより脊柱管の中を通る神経が圧迫される状態のことです。主な症状は歩行や運動による痛みで、脊柱管狭窄症と症状が似ています。 痛みを引き起こしても、安静にしていると再び歩行や運動が可能です。 腰椎すべり症の原因には、加齢による椎間板の変化が考えられます。また、激しい運動により疲労骨折した部分が分離し、ずれが生じて引き起こされる場合もあります。 腰椎すべり症は脊柱管狭窄症と症状が似ていますが、発症の原因が異なる点を押さえておきましょう。 なお、腰椎すべり症の好発年齢は、40歳以上になります。 椎間板ヘルニアが原因となる坐骨神経痛の疼痛期間 椎間板ヘルニアが原因となる坐骨神経痛の疼痛期間は、1〜3カ月ほどが目安となります。種類や症状の進行によって異なりますが、ヘルニアは一般的に手術をしなくても自然に痛みが緩和されます。 しかし、長期間しびれや筋肉のけいれんなどの神経障害が現れる可能性も少なくありません。また、下肢に力が入らない、もしくは尿や便が出ない場合は早急に受診する必要があります。 症状の回復が見込めない際は手術治療が必要になる可能性があるため、放置せず担当医に相談しましょう。 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の治し方 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の治し方は症状によって異なります。主な治し方は、以下の5つです。 保存療法 薬物治療 ブロック治療 理学療法 手術治療 各治療法の特徴を以下で解説するので、ご自身に合った治療プランを検討する参考にしてください。 保存療法 腰椎椎間板ヘルニアが原因となる坐骨神経痛の初期症状では、保存療法が適用される傾向にあります。保存療法は原因を取り除くのではなく、症状の改善や緩和を目指す治療法です。 具体的な治療法としては患部を安静に保ち、痛みが引くのを待ちます。坐骨神経痛は運動により痛みが悪化する可能性があるため、症状が回復するまでスポーツは控えましょう。 また、安静にする際は症状を悪化させないよう、重いものを持つ行為や急な動作をしないように注意が必要です。腰椎椎間板ヘルニアが原因となる坐骨神経痛ではコルセットの装着も、保存療法の1つになります。 薬物治療 薬物治療とは、医薬品を使用して症状の回復を図る保存療法の一つです。痛みやしびれなどのつらい症状が続く場合は、安静にしていても不調を招く可能性があるため薬物治療をおこないます。 薬物治療では、痛みを抑制させる内服薬で症状の回復を促します。 症状が重い場合、神経痛の強い薬剤投与をおこなうケースもありますが、副作用がある点に注意が必要です。また、薬物治療では、経過観察で症状を見ながら処方量を調整します。 ブロック治療 ブロック治療とは坐骨神経の周辺に薬を直接投与し、痛みや炎症を抑える保存療法の一つです。神経を抑制させ、痛みを感じる部分をほぐして血行を促進させるのがブロック治療の特徴になります。 なお、ブロック治療では主に局所麻酔薬を使用します。局所麻酔薬は即効性があり、継続的な治療により効果の持続時間が長くなるため、痛みの予防に効果的です。 中長期的に症状を軽減させたい場合は、ブロック治療が適しています。 理学療法 理学療法とは、運動機能の維持や改善を目的に物理的な手段を使用しておこなう保存療法の一つです。物理的な手段には、以下の方法が用いられています。 運動療法 温熱療法 電気療法 光線療法 一般的に坐骨神経痛では、腰の痛みを軽減させたあとに腰椎周辺の筋トレやストレッチを取り入れます。理学療法では、医師や理学療法士の指導をもとに、症状に適した療法を進めていきます。また、運動療法で腰椎周辺の筋力を強くしていくのも、坐骨神経痛の症状回復に効果的です。 手術治療 保存療法で症状の回復が見られなかった場合は、手術治療がおこなわれます。坐骨神経痛の主な術式は、以下の通りです。 術式 手術内容 内視鏡下腰椎椎間板摘出術 開創して内視鏡でヘルニア部分を確認して切除 経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術 皮膚に小さな穴を開け内視鏡を通してヘルニア部分を確認して摘出する 内視鏡下腰椎椎弓切除術 内視鏡の管を通して椎弓(ついきゅう)の一部や肥厚した黄色靭帯を切除 内視鏡下腰椎椎体間固定術 内視鏡とX線透視装置を使用して椎体間を固定して脊椎を整形 術式は症状の進行状態によって異なるため、医師と相談しながらご自身に適した治療プランを検討しましょう。 痛みを感じた際にヘルニアと坐骨神経痛でやってはいけないことの違い 坐骨神経痛では、体を冷やしすぎないよう注意が必要です。腰や足を冷やしてしまうと、筋肉が固まりやすいだけでなく、神経を圧迫する可能性があります。 ただし、椎間板ヘルニアの痛みを伴う場合に身体を温めると炎症が悪化して、痛みを強くするケースがあるため注意しましょう。 また、坐骨神経痛ではやってはいけないことは以下の通りです。 重いものを持ち上げない 長時間座り続けない 過度なハムストリングスストレッチをおこなわない 前かがみにならない 背骨をねじりすぎない やわらかすぎるマットレスを使用しない 太りすぎない 坐骨神経痛で悪化を防ぐためには、やってはいけないことを避けて生活を送ることが大切です。 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛が治らない場合に検討したい再生医療 再生医療は、腰椎椎間板ヘルニアが原因の坐骨神経痛が治らない場合の選択肢の一つです。分化誘導による関節の再生医療では、幹細胞を骨の組織に分化するように誘導します。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞を冷凍せず投与に合わせて都度培養し、生存率を高めています。また、再生医療は入院が不要です。 当院では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けておりますので、治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 腰椎椎間板ヘルニアにおける再生医療の症例 50代の女性は、腰椎椎間板ヘルニア手術の後遺症により、以下の症状に悩まされていました。 左足のしびれ 歩行障害 下肢のだるさ 尿漏れ 再度MRI検査を受けたところ、術前にあった腰椎椎間板ヘルニアは綺麗に取れていたものの、新たに中枢の方で脊柱管の狭窄が見つかったそうです。損傷した神経の回復を促す治療法の一つに、幹細胞治療があります。幹細胞は早期治療が重要なため、初診後すぐ治療をおこないました。 幹細胞治療では、脊髄内に直接幹細胞を2回点滴投与しました。1回目の投与後数日で、困難であった階段昇降ができるようになり、左足のしびれや尿漏れの改善がみられたそうです。 また、2回の投与終了後、投与前は両脚上げをするのも困難だった筋力が、2か月で抵抗を加えても楽に上げられるまでに改善しました。 そのため、歩行は安定し、足元を見なくても不安なく歩けるようになった事例となります。 まとめ・腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違いを理解して最適な治療を検討しよう 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛には、定義に違いがあります。病名となる腰椎椎間板ヘルニアが要因で神経が圧迫されて、腰の痛みやしびれを伴う坐骨神経痛の症状が生じるのです。 種類や症状の進行によりますが、ヘルニアは一般的に手術をしなくても自然に痛みが緩和されるため、1〜3カ月ほどで症状の回復が見込めます。 腰椎椎間板ヘルニアが原因の坐骨神経痛の初期症状では保存療法をおこない、回復が見込めない場合は手術が選択されます。手術を躊躇している方は、再生医療を選択するのも一つです。腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違いを理解した上で、適した治療プランを検討しましょう。
2025.03.01







