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【突き指と骨折】分かりやすい見分け方とは? 突き指と言えば、バレーボールやバスケットボール、野球などの球技をしている人なら誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか? わりと軽くみられがちの怪我で、怪我をしてもそのまま放置というのはよくある話。しかし、その「たかが突き指」が実は大事につながることもあります。 今回は、そんな突き指に関して、ぜひ知っておいて頂きたいことをお伝えします。 出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html) 突き指と骨折は何が違う? 結論から言いますと、突き指と骨折は同じでもあり、違う場合もあります。 突き指は「現象」を表し、骨折は「状態」を表します。つまり、怪我した状況は「突き指」だが、その結果「骨折」が起きた、ということです。 突き指とは、ボールなどの物が指先に突くように当たり、その結果怪我をした場合に用いられる、指の怪我の総称です。その場合の怪我は、骨折の場合もありますし、さらに靭帯損傷や腱の断裂など、細かく分かれます。 ただし、一般的に使われている「突き指」は、骨折を伴っていないケースが多いのも事実です。 そのため、突き指をしてしまったら、一度専門の医療機関でどのような状態になっているのか詳しく検査することを推奨します。 突き指・骨折の原因は同じ? 骨折を伴う突き指と、骨折を伴わない突き指とでは、原因は大きく変わりません。ボールが強く当たったからといって、骨折するわけではありません。ボールが軽く当たっただけで骨折する場合もあります。 どちらも共通するのは、指に対して長軸方向にボールが当たった場合に発症することです。 突き指・骨折を起こしやすいスポーツ 冒頭でも軽く述べましたが、突き指は球技を行っている際に起こりやすいです。中でも、バレーボール、バスケットボール、野球は特に多くみられます。 それぞれのスポーツが、どのような場面で突き指を起こすのか説明します。 バレーボールの突き指 バレーボールでは、ブロックの時とオーバーハンドでのレシーブの時に、突き指を起こすことが多いです。特にブロックでは、ジャンプのタイミングが遅れたり、指先に力が入っていなかったりすると、突き指につながります。 ボール自体は軽いのですが、アタックの時はボールのスピードが速いため、突き指を起こすことがあるのです。 バスケットボールの突き指 バスケットボールでは、パスを受ける時、ボールをカットする時などに受傷することが多いです。特に、相手と激しくぶつかり合いながら、ダッシュ・ストップ・ターン・ジャンプなど様々な動きが伴うバスケットボール。その中で、手が遅れて出てしまったり、不意にボールが向かってくることもあります。 また、バスケットボールで用いられるボールは重く、軽く当たるだけでも怪我につながるケースも多いのです。 野球の突き指 野球で突き指を発症するシーンは、圧倒的に守備の時が多いです。特に打者が打ったゴロを捕球する際、両手で捕ろうとして、投げる側の手にぶつけてしまうケースです。 ボール自体は小さいのですが、硬さがあり、ボールが不規則なバウンドをした時は特にケガにつながりやすいでしょう。 突き指と骨折の症状の違い ここでは、骨折を伴わない突き指と、骨折の症状の違いをお伝えします。 骨折を伴わない突き指の症状 骨折のあるなしに関わらず、まず「痛み」が出ます。そして、腫れ、赤み、動かしづらさなど、「炎症」の症状がみられることが多いです。 軽症なら 1 週間程度で炎症は落ち着きます。しかし、靭帯や腱の断裂など重症な場合、指の変形や動かしづらさが長引いてしまうので、適切な診断と治療が必要です。 腱の断裂 腱の損傷や断裂を伴う突き指は、『腱性マレット指』と呼ばれます。 出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html) 指先を伸ばすための腱が切れてしまい、指の第一関節を自力で伸ばせなくなります。 出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html) 痛みが引いてもなお伸ばせない症状が続いたら、腱性マレット指の可能性があります。早急に医師の判断を仰いだ方がいいでしょう。 靭帯の損傷・断裂 突き指により、指の靭帯が損傷または断裂を起こすことがあります。その場合、横に変形したり、指が曲がったように見えます。 膝や足首同様、指にも靭帯があります。靭帯の役割は、関節を安定させることです。靭帯が無ければ、関節は動き過ぎてしまい、力が発揮できません。 肉眼では骨折との見分けも付けにくいため、専門医で詳細な検査が必要となります。 骨折の症状 突き指による骨折で多いのが、『骨性マレット指』です。 出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html) これは、指を伸ばすための腱が付いている部分が、剥がれるように骨折(剥離骨折)する疾患です。 「腱性マレット指」で紹介したものと同様の症状で、指を自力で最後まで伸ばせません。さらに、骨折を伴うため、痛みや腫れがより強く現れます。レントゲンで容易に見つかることも多いです。 場合によっては、手術が必要なケースもあるため、できるだけ早く医療機関を受診することを推奨します。 他にも、指の中間部分(骨幹部)の骨折や、指の関節が脱臼した際に起こる脱臼骨折などもあるため、自分で判断せずに専門医に相談しましょう。 突き指と骨折の落とし穴 「なんだ、突き指くらいなら大丈夫だよ」といって、軽くみられがちなケガの代表格とも言える突き指。 しかし、そんな軽い気持ちとは裏腹に、後々に大きな影響を及ぼすこともあります。 放っておいても治らない? 腱の断裂や剥離骨折(マレット指)は、痛みが引いたからといって普段通りに動かしていると、骨や腱がつながらず、指を完全に伸ばせなくなる恐れもあります。 装具やテーピングによる固定や、場合によっては手術するケースもあります。ケガの状態によって、治療方針も様々なので、まずはケガの見極めが重要です。 折れていなくても切れているかも?! レントゲンでは骨の形態しか確認できないため、症状がなかなか落ち着かない、指が完全に伸ばせないなどの症状が残存している場合は、専門医を受診しましょう。検査をすると、腱が切れていた、というパターンも少なくありません。 ケガをしてからすぐ状態を見極めて固定をしておけば保存療法で済む場合も、動かしてしまっていたから、手術が必要になることもあります。結果的に完治まで時間がかかってしまい、スポーツ復帰の遅れにつながりかねません。 「たかが突き指」と決めつけず、できるだけ早く然るべき医療機関へ受診することを推奨します。 突き指で痛みの症状が長引くときは専門医を受診しましょう/まとめ 今回は、突き指と骨折の原因や症状、見極め方についてお伝えしました。 突き指は、骨折でも骨折以外の疾患でも、受傷の仕方は大きく変わりません。しかし、同じような症状やケガの仕方をするため、自分で判断するのが難しい疾患です。 早期の完治、スポーツ復帰のためにも、早めに専門医を受診し、必要な治療を受けるようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.116 監修:医師 坂本貞範
2023.02.27 -
- 手
ばね指でやってはいけないこととは? 「ばね指ってなに?」「ばね指になったときにやってはいけないことはある?」 ばね指は手をよく使う方に起こりやすく、発症すると痛みや指の動かしづらさを認めます。 この記事では、ばね指について、またばね指になってしまった場合にやってはいけないことを紹介します。 ばね指とは? バネ指とは、指に起こる腱鞘炎のことで、弾発指とも呼ばれます。 手の指は、骨・筋肉・神経などが共に働くことで曲げ伸ばしをしています。指を曲げる時に使う筋肉は、指の手のひら側についておりそれらの筋肉はそれぞれ骨と繋がっています。筋肉と骨がつながっている部分を「腱」と呼び、その腱の周りをトンネルのように覆っているものを「腱鞘」と呼びます。 この腱鞘は、指を曲げる筋肉(屈筋)が指の骨から浮き上がらないようにする働きを持ちます。この働きをもつ腱鞘を靱帯性腱鞘と呼び、浮き上がらないようにすることで曲げる力を逃すことなく、滑らかに指を曲げることが可能になります。 ばね指とは、この腱鞘に何らかの原因で炎症が起こることで指の動きが悪くなる病気です。 ばね指の症状 腱鞘に炎症が起こると腫れが生じます。腱鞘が腫れると、腱が腱鞘の間をスムーズに通りづらくなり、圧迫されたりします。そのため、腫れてしまうと関節のスムーズな動きが阻害され指を曲げた後に伸ばしづらくなり、動かす際に強い痛みを生じます。 曲がった状態の指を伸ばそうとする時ばね指の場合、最初は腱鞘に腱が引っかかるため伸ばすことができません。 しかし、ある一定のところで急に腱との引っかかりが外れると、ガクンとばねのように指が急に伸びます。この現象をばね現象と呼び、ばね指の特徴的な症状です。 ばね指の原因 ばね指は腱や腱鞘に負荷がかかることで発症します。そのため、日常から手や指を使う動作を繰り返す場合ばね指となる可能性が高くなります。 それ以外にホルモンバランスでも腱や腱鞘が弱くなるため、日常から家事をする女性(特に更年期や妊娠前後、妊娠中)に認めることが多いです。また糖尿病の方や人工透析をおこなっている方、関節リウマチなど膠原病をお持ちの方は、手や指の血行が悪くなりやすいため腱や腱鞘に十分な栄養が行き届かず弱くなりやすく、ばね指のリスクが高くなります。 ばね指でやってはいけないこと ばね指の症状や原因について紹介しました。ここからは、ばね指になってしまった場合にやってはいけないことをお伝えします。 ばね指でやってはいけないこと 無理に伸ばす 指が曲がって動きにくくなっている場合、無理に伸ばそうとしてしまう方がいらっしゃいます。確かに、ばね指の発症を予防するために軽いストレッチは有効かもしれません。しかし、すでに腱と腱鞘に炎症が起こっている場合は、無理に動かそうとするとそれ以上の負担を患部にかけることになります。 無理に伸ばすことでさらに強い痛みが起こったり、それ以降指がさらに伸ばしにくくなることもあるでしょう。ばね指の症状がある場合は動かさず、安静を保ってください。 患部をマッサージする ばね指は指を動かしたときに痛みが強く出ます。そのためマッサージをすれば症状が緩和されると思われている方も多いです。 しかし、炎症が起こっている部位をマッサージで強く押さえるなどすると、さらに炎症の範囲を広げてしまう可能性があり、むしろ痛みは悪化します。触らず安静を保ちましょう。 放置する 患者さんの中には症状が引っかかりのみであったり、痛みも軽度のため病院を受診せず放置してしまう方もいらっしゃいます。確かに腱や腱鞘の炎症が軽い場合は、指を一定期間安静にしていれば自然に治ることもあります。しかし安静を保たずに負荷がかかり続けると、当然のことながら自然に治らず状態は悪くなります。 ばね指は治療が遅れるとさまざまな問題が生じます。放置し症状が進行すると痛みが今まで以上に強くなり、関節の動きも悪くなります。 指が全く伸ばせなくなるまで進行してしまうと、手術で腱鞘を切開しなければなりません。また、手の指は1本1本が協調して動いているため、ばね指になったのが1本だけであったとしても他の指の動きも悪くなり、手を握ることが難しくなってしまうこともあります。 強い炎症が起こった影響で、最終的に関節が変形する場合もあるため、放置せずしっかり病院を受診しましょう。 ばね指でやってはいけないこととは?・まとめ ばね指でやってはいけないことを紹介しました。 この記事で述べたようにばね指の原因のほとんどが腱鞘炎です。しかし、まれに腱鞘炎ではなく腫瘍などそれ以外の影響でばね指となっていることもあります。 また、ばね指は手の指をよく使う仕事をしている方がよくなる病気です。ばね指の治療はまず安静です。安静にすることで仕事に支障をきたしてしまうため、なかなか安静を保つことは難しいかもしれませんが、そうしなければ症状が悪化し、今後仕事を継続すること自体が難しくなってしまうかもしれません。 少しでも疑う場合は、まず病院を受診してください。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S110 監修:医師 加藤 秀一
2023.02.08 -
- 手根管症候群
- 手
手根管症候群を自分で治す!ストレッチとマッサージでセルフケア 本記事では、手根管症候群に対する、自分でできるケアの方法を中心にご紹介します。 家事に追われている主婦や、妊娠中の女性、手をよく使う建築業の方など、手の痛みや痺れに悩まされている人にはぜひ読んでいただきたいです。 手根管症候群とは 手根管症候群とは、手根管を形成する掌の小さい骨の集まり(手根骨)と、手根骨に蓋をするようにつく横手根靭帯の間に、正中神経(指を動かすための神経)が挟まり圧迫された状態をいいます。 手根管症候群の症状 神経が圧迫されることにより、親指から薬指の一部分に痺れや痛みを発します。 また、夜間から明け方にこの症状が強くなることが多く、場合によっては寝ている途中に覚醒してしまうほどです。 手を振ったり、手の形を変えることで症状が和らぐのも特徴の一つです。 圧迫の程度がひどく、長期間症状が続くと、親指の付け根の筋肉が萎縮してしまい、指先で物を掴む動作(ピンチ動作)が難しくなることがあります。 手根管症候群の原因 手根管症候群は、原因がよく分かっていない特発性のものが多く、妊娠・出産時期や更年期の女性に多いとされています。 手の屈伸動作の繰り返しや骨折などのケガから続発して発症するとも考えられており、家事動作が多い主婦、重労働で手に力を入れる建築関係の人にも見られます。 手根管症候群が疑われた場合やるべきこと 手根管症候群の初期症状は、手指の痺れや痛みですが、我慢できないほどではないため見過ごされやすい疾患です。 そのため、医療機関に相談に来た際には、手のひらの筋肉の萎縮が進んでいる状態で手術が必要となるケースも少なくありません。 上記に挙げたような症状がみられたら、迷わず専門の医療機関へ相談してみましょう。 手の指の痺れは、頸や肩周り、肘周囲で起こる他の神経障害との見分けもつきにくいため、原因を探ることは大切なことです。 自分でできる手根管症候群のセルフケア 次に、手根管症候群になった際、自分でできるケアついてご紹介します。 初期の手根管症候群や、筋肉の張りにより症状が出ている場合などは効果がでやすいため、試してみる価値ありです。 温めるのと冷やすのはどっちがいい? 手根管症候群に対しては、温めた方(温熱療法)が有効である場合が多いです。 手根管症候群のような神経を圧迫している場合、同時に血管も圧迫しており循環が悪くなっているケースがあります。 そのため、温めて循環を促すことで症状が緩和されるでしょう。 ただ、熱を帯びている場合はかえって痛みを増強させてしまうこともあるため、患部の状態を確認して行うようにしてください。 湿布の貼り方は?サポーターは有効? 結論から言えば、どちらも少なからず効果はあります。 湿布は痛み止め成分が入っているため、痛みが強い場合は一時的に軽減させる効果があります。 また、サポーターに関しては、手首を固定するサポーターだと安静を保つことができるため、症状が強い場合には効果的です。 手根管症候群は、手首や手指を使い過ぎて発症するとも考えられているため、サポーターにより動きに制限をつけることで使い過ぎを防いでくれます。 痛みが強い場合は、手首から手のひらにかかるところに湿布を貼り、その上からサポーターをすることを推奨します。 手根管症候群のセルフケアの方法を紹介 それでは自分で行うストレッチやマッサージの方法をいくつかご紹介していきます。 手関節屈曲筋のストレッチ 【対象となる筋肉】 ・橈側手根屈筋 ・尺側手根屈筋 ・浅指手根屈筋 ・深指手根屈筋 ①手のひらから手指にかけて把持し、その手で、手首を手の甲側に反らす ②その状態を保ったまま、ゆっくり肘を前方に伸ばす ③前腕につっ張り感を感じたところで、20〜30秒キープ 手関節伸展筋のストレッチ 【対象となる筋肉】 ・長橈側手根伸筋 ・短橈側手根伸筋 ・尺側手根伸筋 ・総指伸筋 ・示指伸筋 ①手の甲から指先までを軽く包み込むよう把持し、手首を手のひら側へ曲げ、ゆっくり肘を伸ばす ②前腕の外側部分に張りを感じたところで20〜30秒キープ 手指の腱のエクササイズ 手根管を通る腱の動きを滑らかにする運動 ①手指をまっすぐ伸ばした状態から始める ②指の第一、第二関節から曲げていく ③①の状態に戻すように指を伸ばしていく ④これを10〜20回繰り返し行う 手内在筋(手のひらの筋肉)のエクササイズ 虫様筋(手のひらにある筋肉)の運動 ①手指をまっすぐ伸ばした状態から始める ②指の第一、第二関節は伸ばしたまま、第三関節(指の付け根)から指全体がお辞儀をするように曲げる ③直角近くまできたら、①の状態に戻るよう起こしていく ④これを10〜20回繰り返し行う 横手根靭帯のマッサージ ①手首と手のひらの境目ぐらいを反対の手の親指、人差し指で押さえ、つまむようにそれぞれの指を近づけていく ③次にそれぞれの指を離すように広げていく ④これを繰り返し行う セルフケアの注意点 簡単なセルフストレッチやエクササイズを紹介しました。 気をつけてほしいところは、無理に強い力で行わない、ということです。強い力の方が、効果が出やすいと思っている人も多いかもしれません。 しかし、ストレッチやマッサージは、強い力や、痛みが出るほどの伸張感で行ってしまうと、かえって硬くなることがあります。これが防御性収縮と呼ばれるものです。 いずれのケアも、力の入れ過ぎには注意し、効いているのか効いていないのか分からないくらいの力加減で行うようにしましょう。 どうしても症状がとれない場合は? これまで紹介したセルフケアは、手根管症候群の初期の状態では効果を示すことはありますが、重症化したものだと十分な効果は得られません。 「痺れや痛みがつよくなってきた」 「力が入らず箸を落としてしまう」 など、症状が顕著になった場合は、手術療法の適応になることもあります。 このような場合では、専門医に相談し、詳しい検査、治療を受けることを推奨します。 まとめ・手根管症候群を自分で治す!マッサージとストレッチでセルフケア 今回は、手根管症候群に対し、自分でできるケアの方法をお伝えしました。 同じような症状でも、一人一人原因が違います。 セルフケアを行うと同時に、負担になっている動作はないか、普段の生活を振り返り、改善していくことが大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.107 監修:医師 坂本貞範
2023.01.13 -
- 手根管症候群
- 手
手根管症候群|手のしびれ放置はNG!手術と仕事復帰までの期間 「手のしびれがあるけど原因が何か知りたい」 「手のしびれは放っておいても大丈夫なの?」 このような疑問を持つ方はいませんか?手のしびれはもしかすると手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)が原因かもしれません。 この記事では、手根管症候群について紹介し、手術や必要な費用と仕事復帰までの流れを解説します。 手がしびれて気になる方は、ぜひ参考にしましょう。 手根管症候群とは?原因や症状、治療について 手根管症候群とは手首を通る神経(正中神経)が圧迫されたり、しめつけられたりして、神経の障害を引き起こす状態を言います。 正中神経は手首の骨や屈筋支帯(くっきんしたい)と呼ばれる靭帯でできたトンネルを通ります。 このトンネルを手根管と呼び、手根管の圧が高まることが症状を引き起こす原因になるため、手根管症候群と呼ばれます。 手根管症候群の原因 特発性と呼ばれ原因不明である場合が多いです。 以下のようなものが原因の1つと考えられています。 ・閉経 ・妊娠や出産 ・アルコールの多飲 ・腎臓病による透析 ・糖尿病 ・骨折や変形 ・腫瘤(こぶ) ・腱鞘炎(手の使い過ぎ) など 中高年の女性、手を酷使する職業やスポーツをする人に症状がでやすいとされています。 手根管症候群の症状 症状の出始めは、人差し指や親指の手のひら側にしびれやピリピリ感、痛みがあり、進行すると中指や薬指まで症状が広がります。 手根管症候群は手首を手のひら側に曲げると手根管にかかる圧が増えて上記の症状が悪化します。症状は夜中や明け方に強いのも特徴で、しびれや痛みが強まると手をふることで症状が和らぎます。 重症になると親指の付け根がやせてしまい、オッケーサインをしようとしても、うまく丸が作れなくなります。 しびれがあっても、すぐに元に戻り再発しないものは、足がしびれたときのように一時的に血行が悪くなっただけで心配ないです。 しかし、上記のようなしびれや痛みは放置すると症状が悪化して、重症化してしまいます。放置をせずに症状が気になる場合は、すぐにお近くの整形外科を受診しましょう。 手根管症候群の治療法 発症してすぐのため症状が軽かったり、妊娠していたりする場合は、手術をしない保存療法をします。 保存療法では手首を少しそらして固定する装具を使ったり、日常生活で手首に負担のかからない工夫をしたりします。 また、ステロイドを注射したり、痛み止めや神経の働きをよくするビタミンB12を服用したりして痛みやしびれの軽減を図る場合もあります。 保存療法で症状が改善しない場合や痛みが強い場合に選択されるのが手術療法です。 手術については次の見出しで詳しく解説します。 手根管症候群の手術内容や費用 手根管症候群の手術は以前に比べ短時間で、負担が軽くなっています。 そこで手術の具体的な内容や手術に必要な費用の目安を紹介します。 手根管症候群の手術とは 手術療法は、手根管開放術と母指対立再建術の二種があります。 手根管症候群の手術は手根管開放術と呼ばれ、屈筋支帯を切開して、神経の圧迫を取り除くのが目的です。 以前は手のひらから手首にかけて大きく皮膚を切っていましたが、今は内視鏡と呼ばれる小型のカメラ付きの管を挿入して手術をするため、短時間かつ小さな傷ですみます。 また、親指の筋肉がやせて力が入りにくくなっている場合は、親指の筋肉を別の部分から移行して再建する母指対立再建術が適応です。 さらに、腫瘤を取り除く必要がある場合は、皮膚を切開して腫瘤を取り除きます。 手術にかかる費用の目安 手術にかかる費用は、開放術の場合、概ね 12,000円から 30,000円です。 内視鏡を使用する場合は、使用しない場合に比べてやや金額があがります。 また、母指対立再建術を同時に実施する場合は、さらに費用が高くなります。 手根管症候群の手術から仕事復帰までの期間 内視鏡下で行う手根管開放術では、手術時間は 30 分もかからず、日帰りで終わる場合も少なくありません。そのため、長期間の入院で体が衰えることもなく、早期の社会復帰ができます。 母指対立再建術の場合は 1 〜 2 週間の入院をして、手術後には 1 週間程度の固定が必要です。 内視鏡手術後は翌日以降から痛みのない範囲であれば安静にする必要はなく、通常の生活が可能です。 ただし、神経が圧迫されて損傷したために起こるしびれがある場合、手術をしてもしびれが回復するのは半年程度かかる場合もあります。 1 週間ほどは傷口を水に濡らさないようにする必要があるため、水仕事が必要な仕事は行わないようにしましょう。 力仕事やタオルを絞ったりするのは手術部に負担がかかるため、術後 1 カ月程度を目安に控えるようにしましょう。 母指対立再建術の場合は、手術後に約 1 カ月の固定をする必要があるため、仕事復帰もそれ以降になります。 これらの期間は手術した病院や手術後の状態によって、ずれがありますので、医師に詳しく確認しましょう。 手根管症候群のしびれは放置せずに早めの受診が重要/まとめ 手根管症候群でしびれや痛みがある場合、適切な治療をしなければ症状が進行します。単なるしびれだからといって放置するのは危険です。 毎朝起床時にしびれる、しびれが続いて治らないなどの場合は、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。 最近では短い時間で済む手術も増えています。 進行すると手術費も入院期間も増えてしまいますので、状態の進行を防ぐことが大切です。 この記事を参考にして、手根管症候群の悪化を防ぎましょう。 No.105 監修:医師 坂本貞範
2022.12.28 -
- 手
ドケルバン病とは?その症状と原因、治療法を紹介 親指や手首を動かすと手首の親指側が痛い、それはドケルバン病かもしれません。 この病気をはじめて発表した、スイスの医師にちなんで名付けられたドケルバン(de Quervain)病。日本では別名『狭窄性腱鞘炎』ともよばれています。 どの場所の病気? 症状が出るのは手首の親指側です。この場所は親指を動かす2本の腱が通っています。 ●短母指伸筋腱:主に親指の第2関節を伸ばす役目をしている ●長母指外転筋腱:親指をひろげる役目をしている 腱とは筋肉の両端にあり、筋肉が骨に癒着する部分です。この腱のまわりを腱鞘(けんしょう)という組織が筒のように包んでいます。 別の言い方をすれば、腱鞘というトンネルを腱がくぐりぬけているようなイメージです。脂肪や筋肉の中に、この腱鞘というトンネルがあることで、腱が滑るように動くことができ、スムーズに筋肉を伸び縮みさせることができます。 親指を動かす短母指伸筋腱と長母指外転筋腱は、手首の部分で手背第一コンパートメントと呼ばれる腱鞘を通り抜けています。この部分の腱鞘が炎症を起こしたり厚みが増すと、腱の滑りが悪くなって痛みが現れる、これがドケルバン病です。 ドケルバン病の症状 ドケルバン病では手首の親指側に痛みや熱を持つといった症状が現れます。とくに親指や手首を動かす動作で症状が強くなりやすいという特徴があります。患部を上から押さえると痛みが増します。 ・親指をひろげる ・物をつかむ/握る ・タオルを絞る などの動作で、症状が強くなることが多いと言われています。長期間放置すると、手に力が入らなくなることもあります。 原因 ドケルバン病の原因として多いのは、手や指の使い過ぎと、女性ホルモンの変化です。 手の使い過ぎ ドケルバン病は仕事やスポーツ、ゲームなどで、手や指をよく使う人にみられます。 親指の使い過ぎで腱鞘の壁が分厚くなったり、腱の表面に傷がついて、それがさらに刺激となって症状が強くなると考えられます。 スマートフォンの画面をよく親指で操作する人にもドケルバン病を発症する人が多かったことから、スマートフォンが原因で発症したドケルバン病のことを「テキストサム損傷」(サムは“親指”の意味)という言葉で表現する場合もあります。 女性ホルモンの変化 女性では妊娠出産期や更年期にドケルバン病が多くなります。その理由として、この時期には女性ホルモンの量が大きく変化するためと考えられています。 プロゲステロン: 出産後に増加するホルモン。本来はゆるんだ子宮や骨盤を縮めて元に戻すために増加するが、このホルモンが増加すると腱鞘も縮み、腱とこすれやすくなるため、腱鞘炎を引き起こしやすくなります。 エストロゲン: 腱や腱鞘を柔らかく保つ働きがあります。更年期にこのホルモンが減少すると腱や腱鞘が硬くなり、腱鞘炎を起こしやすくなります。 出産後の女性にドケルバン病が増えるのは、女性ホルモンの変化に加え、手をひろげて赤ちゃんの頭を支える動作が、親指をひろげる負荷となることも関連していると考えられています。 診断方法 ドケルバン病の診断は基本的に医師が視診と触診で診断を行います。また、手指及び手首を動かすテストで診断します。 ●手首の親指側に腫れがあるかどうかをみる ●痛い場所を押さえて痛みが増すかどうかみる ●フィンケルシュタインテスト:症状のある手を小指が一番下になるように(前にならえのように)前へ差し出します。そのままで親指を内側に折り曲げ(手で数字の「4」を表す形にして)、親指を小指側に引っ張る。手首が小指側に曲がると痛みが強くなる。 ●フィンケルシュタインテスト変法:親指を中にして握りこぶしを作ります。そのまま手首を小指側に直角に曲げていくと手首や親指の付け根に痛みが現れます。 ●岩原・野末テスト:手首を屈曲し(手のひらで手首を触ろうする向きに折り曲げ)、その後親指をできるだけ外へ伸ばします。これで痛みが強くなれば、ドケルバン病の可能性があります。 治療 治療には、保存療法から手術療法まで様々な方法があります。 ●局所の安静 ドケルバン病の多くは、手首の負担を減らすことで改善します。 ●装具による手首の固定 仕事などでどうしても腕や手首を使う場合は装具で手首を固定します。 ●投薬 消炎鎮痛剤のシップや塗り薬を使用します。 ●腱鞘内ステロイド注射 腱や腱鞘に炎症があると、その刺激で炎症のない部分にまで炎症がひろがることもあり、早めに炎症を抑える目的で1回目からステロイドの注射を行うこともあります。 1回の注射でほとんどの人が1週間程度で症状がかなり軽くなります。 しかし、手の使い方をかえなければ、約半数の人が1年以内に再発します。 ●腱鞘切開(手術) 手術は30分程度で日帰りで行なうことが一般的です。 局所麻酔、もしくは腕だけの麻酔を行ない、手首の親指側に小切開を行い腱鞘を露出して、腱の通っている方向に合わせて切開します。これにより腱が腱鞘に包まれている状態が解除されるため、病状が改善します。 数日は切開部分の防水が必要、約1週間後に抜糸、力仕事などは2週間程度経過してから可能となります。 まとめ/ドケルバン病とは?その症状と原因、治療法を紹介 ドケルバン病は手首の親指側が痛くなる病気で、手の使い過ぎや女性ホルモンの変化で発症します。 症状が軽い場合はできるだけ手を使わないようにすれば改善しますが、手の安静が難しい場合などは装具や注射が必要になることもあるので、整形外科での相談をおすすめいたします。 今回は、ドケルバン病についてとその症状と原因、治療法を紹介しました。ご参考になれば幸いです。 No.S087 監修:医師 加藤 秀一
2022.10.19 -
- 手根管症候群
- 手
手根管症候群でやってはいけないこと 手のしびれ、とくに人差し指や中指にしびれがある人は、『手根管症候群』の可能性があります。 手根管症候群は放置すると進行する病気で、ある程度病状が進んでしまうと、手の動きが制限されて元に戻らないこともあるので注意が必要です。 今回は、手根管症候群が疑われるときにやってはいけないこと、検査方法や治療法についてご紹介していきます。 手根管症候群とはどんな病気? 手根管症候群とは、手首にある手根管で、その部分を通過する正中神経を圧迫してしまう病気です。正中神経を長く圧迫してしまうと、神経の修復ができなくなったり、正中神経が支配している筋肉にも影響を及ぼして治療が難しくなってしまいます。 手根管症候群を発症する原因にはほかの病気が隠れていることもありますが、手首のケガや手の使い過ぎ、女性ホルモンの乱れなどでも起きることがあります。 正中神経が傷つくとどんなことが起きるのか? 正中神経は手首を通って手に分布します。主に手のひら側の親指、人差し指、中指、そして薬指の親指側半分を担う感覚神経と、親指を動かす母指球筋の動きを担当する運動神経があります。 その為、正中神経が障害されると、感覚神経の範囲でしびれや痛み、進行すれば触っている感覚が鈍くなる知覚麻痺が現れます。また、運動神経の障害で母指球筋が痩せて、親指の付け根の盛り上がりがなくなり、親指を動かすのに障害が出ます。 特に、小さなものをつまむような動き(親指と人差し指で物を拾い上げる、服のボタンをかける、など)が、やりにくくなります。 正中神経は手首よりも上(肩寄り)では、前腕の回内や手首を曲げるといった役割も担っていますが、手根管症候群では手首の部分で傷つくため、手首より上の動作の障害は現れません(手首より上の症状がある場合は別の病気が考えられます)。 手根管症候群が疑われるとき、病院ではどんな検査をするのか? 手根管症候群の可能性がある場合、受診するのは整形外科です。 基本的には正中神経を圧迫するような状態を再現して症状が現れるか確認したり、親指の付け根の筋肉が痩せていないか確認することで、ほとんど診断は可能です。 ただし、手首にコブができている可能性がある場合はエコーやMRI検査を追加したり、診断に迷う時には正中神経に電気を流して障害の具合を調べる筋電図検査などを追加する場合があります。また、手根管症候群の原因としてほかの病気が隠れている可能性がある場合は、血液検査などを追加することもあります。 もし手根管症候群だったら、どんな治療をするの? 軽度の手根管症候群の場合には以下のような治療で経過をみます。 ・内服薬:ビタミンB12や消炎鎮痛剤 ・外用薬:痛み止めの成分の入ったシップや塗り薬 ・装具:手首を固定するサポーターやスプリント 手根管の炎症が強い場合には手首に炎症を抑えるステロイドなどの注射を行うこともあります。 これらの治療で改善しない場合や手根管周辺に腫瘤がある場合、また母指球筋がやせている場合には手術療法が必要になることもあります。カメラを用いた鏡視下手根管開放術や直視下手根管開放術など、できるだけ傷が小さく、早く日常生活に戻れるように手術も進歩しています。 手根管症候群が疑われるときにやってはいけないこと 手根管症候群が疑われるときにやってはいけないことは以下です。 手に負担のかかる姿勢や動作 ・手を酷使すること 手根管症候群の治療の1つには「安静」があります。手根管症候群の原因はいくつかありますが、手の使いすぎの可能性もあります。できる限り症状のある手は休めましょう。 仕事などで、どうしても手を使わなければならない人や、朝起きたときに症状が強い人は寝ている間に手根管症候群を悪化させる格好になっている可能性があるので、その場合は装具(サポーターやスプリントとも呼びます)を装着するのもよいでしょう。 装具の一部は自分で購入することもできますが、合わないものを使ったり、使い方が違うとかえって病状を悪化させる可能性があるので、整形外科を受診して手に入れることをお勧めします。 💡 場合によっては、装具の費用の一部が療養費としてあとから返還される制度を利用することもできます。 ・手を握りしめる ⇒握りこぶしを作るのはもちろん、柄の細い道具は手首の負担になるので、包丁やフライパンなどは柄の太いものにし、フライパンを持ち上げるときなどはできれば両手で行ないましょう。 ・パソコンのキーボードを打つ ⇒手首をまっすぐにするために、専用のパームレストを使ったり、手首の下にたたんだタオルを敷いて手首の位置を整えます。 ・手をねじる ⇒雑巾を絞る動作などは手首に負担がかかるので、どうしても絞る動作が必要な時は、タオルを半分の長さにして、輪になった部分を丈夫な水道などにひっかけて、両手もしくは痛くない方の手で絞るようにしましょう。 症状が続くのに放置しない 手根管症候群は続くと正中神経や母指球筋がもとに戻らなくなる可能性があります。自分でできる限りのことを行っても症状が続く場合は、長く様子を見ずに、整形外科できちんと見てもらいましょう。 まとめ・手根管症候群でやってはいけないこと 指のしびれや痛み、物をよく落とすようになったら、手根管症候群の可能性があります。早い段階では手術なしで治療できるので、手根管症候群の可能性があれば、すぐに整形外科で診てもらいましょう。 仕事などで手を酷使する人は、とくに我慢して使い続けると親指の力がなくなり手術が必要になったり、親指の力が戻らない場合もあります。手首に負担のかかる動作はできるだけ避け、どうしてもそのような動作が避けられない場合は病院で装具などについて相談しましょう。 以上、「手根管症候群が疑われるときにやってはいけないこと」についてご紹介しました。ご参考になれば幸いです。 No.087 監修:医師 坂本貞範
2022.10.14 -
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手根管症候群とはどんな病気?症状と治療法をわかりやすく解説! 手根管症候群をご存知でしょうか? 手根管症候群は、手のしびれを訴えて病院を受診する人の中で最も多い病気です。 手根管症候群の可能性があるのは以下のような症状がある人です。 ・しびれや痛みが親指、人差し指、中指、そして薬指の半分(親指側)の範囲に現れる ・朝起きたときに症状が強く現れ、手をぶらぶらと振ると症状が軽くなる ・手のひらを上にして机の上に腕を置き、手首を上向きに90度程度曲げると、指の痛みやしびれが現れる 手根管症候群は放置すると親指の付け根の筋肉が痩せてしまい、小さいものをつまんだりする動作ができなくなります。 手根管とは 手根管は手のひら側の手首の部分にあります。具体的には手の骨(手根骨)の手のひら側に横手根靱帯という靱帯が横向きにあり、この手根骨と横手根靭帯の間のすき間を正中神経という神経と、指を動かすための9本の腱が通り抜けています。 手根管とはこの正中神経と9本の腱が通り抜けるトンネルのような部分です。 手根管症候群では横手根靭帯が浮腫んだり厚みが増すことで、トンネル部分が狭くなり、正中神経を圧迫することによって症状が現れます。またまれですが手根管にコブができて正中神経を圧迫することもあります。 正中神経とは 正中神経は腕にある主要な3本の神経(正中神経・橈骨神経・尺骨神経)のうちの1つです。 正中神経には痛みや物に触れた感じを伝える感覚神経と、筋肉を動かす運動神経が混ざっています。 感覚神経 親指、人差し指、中指、そして薬指の親指側半分の領域を担っています。 運動神経 手の範囲では、主に親指を動かす母指球筋を担当しています。 (正中神経は手根管よりも肩側ではその他に前腕の回内や手首を曲げるといった役割も担っています) 手根管症候群になる可能性のある病気 手根管症候群になる可能性のある病気としては、以下のようなものが挙げられます ・手首の骨折 ・手根管内の腫瘍 ・リウマチによる滑膜炎 ・アミロイドーシス ・甲状腺機能低下症 ・痛風 ・透析患者 しかし、手根管症候群になったら、上記のようないずれかの病気が必ずあるわけではなく、むしろ手根管症候群で最も多いのは、原因不明の「特発性」です。 手根管症候群は、妊娠や出産時期、更年期の女性にも多くみられます。これは女性ホルモンの乱れによって手根管部が浮腫み、正中神経を圧迫するためと考えられています。 その他にも、 ・パソコンをよく使う人 ・工具のドライバーをよく使用する人 ・振動する機械をよく使う人 など、仕事で手を酷使する人に多いという説もあり、上記のような仕事をする人は発症する可能性があるため注意が必要です。 手根管症候群の症状 手根管症候群の初期には人差し指、中指がしびれたり痛くなります。進行すると親指から薬指の半分(親指側)までしびれます。同じ範囲の感覚が鈍くなることもあります。これは正中神経の範囲です。 しびれや痛みは明け方に強く感じることが多く、手を振ったり、指の曲げ伸ばしをすると症状が軽くなります。人によっては手がこわばる、と表現する人もいます。 手根管症候群の初期症状があらわれているにもかかわらず、この症状を放置すると親指の付け根にある筋肉(母指球筋)がしぼんで、親指の動きに制限がでてきます。 例えば、小さなものを親指と人差し指でつまみにくくなる、親指と人差し指で〇をつくることができない、などです。 こんな症状はありませんか? ・ボタンがつまみにくい ・小銭を拾いにくい ・物をよく落とす ・親指と人差し指でOKサインがつくれない ・親指の付け根部分の筋肉のふくらみが減ってきた このような症状を自覚したら、医療機関にて相談してみることをお勧めします。その際に行われる検査について以下で見て行きましょう。 手根管症候群の検査 整形外科を受診すると、手首や手を動かして正中神経障害の症状が現れるかどうかを調べます。 ティネルサイン 手首を打腱器などで叩いて、正中神経の範囲の指にしびれや痛みを感じるかどうか調べる。 ファレンテスト 左右の手の甲を合わせて、手首を90°曲げたままにし、1分以内に正中神経の領域にしびれや痛みが現れるかをみる。これらの検査で確定診断できない場合は筋電図検査を行うこともあります。 筋電図検査 正中神経に電気を流して電気の伝わる速度を調べる。また、手根管にコブができている可能性がある場合は画像検査を追加します。 超音波検査/MRI 手根管部の腫瘤の有無を確認します。 手根管症候群の治療 手根管症候群と診断されたら、消炎鎮痛剤やビタミンB12、シップや塗り薬などの薬物療法、その他に手首を固定する装具の着用や運動制限などを行います。 炎症が強い場合には手根管内に炎症を抑えるステロイドなどの注射を行うこともあります。 これらの治療で改善しない場合や腫瘤がある場合、母指球筋が痩せている場合には手術療法が必要なこともあります。最近はできるだけ傷が小さくて済むような、カメラを用いた鏡視下手根管開放術や直視下手根管開放術などが主流です。 母指球筋の萎縮が強い場合は別の場所から腱を移動する母指対立再建術を行なうこともあります。 まとめ・手根管症候群とはどんな病気?症状と治療法をわかりやすく解説! 今回は、手根管症候群についてご紹介しました。 手のしびれを感じた場合に多くみられる症状が手根管症候群です。特に指先が上手く使えないことが多くあり、色々な病気が疑われるところですが、実際は突発性、原因が不明なことが多くなります。いずれにしても手にしびれや、指先が思うように動かせないなど、こちらで記した症状以外でも何か疑われることが1つでも感じた場合は、医療機関、整形外科等にて早めの診断が重要です。 比較的初期であれば飲み薬や、手首の安静などで症状が改善することが多くありますが、症状が進むと手術が必要になることもあり、重々注意しなければなりません。 以上、手根管症候群について記しました、参考になれば幸いです。 No.087 監修:医師 坂本貞範
2022.09.26 -
- 手
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TFCC損傷とは、使いすぎたり転倒など強い衝撃で発症する手首の障害です TFCC損傷という聞きなれない症状をご存知でしょうか? このTFCCとは「三角線維軟骨複合体(Triangular Fibrocartilage Complex)」の略であり、手首の小指側にある関節の病気です。例えば外傷として転倒時に手をつく、あるいはバトミントンなどのスポーツ活動を行って手首を捻る動作を繰り返すことで引き起こされる障害です。 そもそも「三角線維軟骨複合体」とは、手首の小指側にあるぐりぐりした関節部に存在している軟部組織を指しています。本疾患を発症すれば、日常的に腕をひねる動作、もしくは手首を小指側に曲げることによって手関節部の疼痛症状を自覚するようになます。 そのため、患部安静を保持して手首にサポーターなどの装具を装着しながら運動を制限する必要が出てまいります。そこで、今回はTFCC損傷とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 ・TFCC損傷の原因 TFCCは、橈骨と尺骨の遠位端同士および尺側手根靭帯とを接合している靭帯の役割を担っています。 橈骨(とうこつ) ひじから手首まで2本ある前腕骨のうち、前腕の親指側の骨を指す 尺骨(しゃっこつ) ひじから手首まで2本ある前腕骨のうち、小指側にあり、橈骨と平行している骨を指す 解剖学的に前腕部の橈骨と尺骨間には、いくつかの靭帯あって、これらの骨を支持していますが、前腕の手首側の遠位部に位置するこのTFCCが損傷してダメージを受けると手関節全体において機能障害を引き起こすことが懸念されます。 TFCC損傷における主たる要因としては、手関節部に対する強い衝撃や手首における過剰な負荷の繰り返し動作によって引き起こされることが知られています。 したがって、テニスなどラケットを用いるスポーツ競技者において手首を構成している三角線維軟骨複合体(TFCC)という組織が損傷を受けることでTFCC損傷を罹患したり、あるいは自分で転倒したことによる外傷や、繰り返される振動など作業時に手関節を酷使することによって本疾患が発症します。 この症状は、テニス以外にもバトミントンや野球、ゴルフなどの道具を強振する動きに関連して発症するスポーツ外傷ですが、例えば重い鍋やフライパンを不規則に持ったり、振るような動作を継続的に続けた場合においてもTFCC損傷は起こります。 また、加齢によって手関節部の組織が変性することを原因として起こることがあります。更に外傷を認めることなく、尺骨が橈骨に対して長くなる、解剖学的な異常(尺骨突き上げ症候群)によっても引き起こされることがあります。 原因(繰り返しの動作が多い) スポーツ テニス、バドミントン、ゴルフ、野球など(道具を用いて強振) 職業 重い荷物の持ち運び、料理(重いフライパン) 加齢 手関節の変性 その他 解剖学的な異常 ・TFCC損傷の症状 TFCCとは、本来ふたつの橈骨と尺骨で構成されている遠位橈尺関節を安定化させている支持組織です。手関節部の尺側部(小指側)痛をきたす代表的な疾患としてTFCC損傷が挙げられます。 特に、手関節部のなかでも「尺骨茎状突起」と呼ばれる部位に局所的に疼痛を認めることがTFCC損傷における症状の特徴の一つでもあります。 通常では、患部の靭帯が損傷したことによる関節面の不安定性に伴って軟骨同士の適合性が悪化して、特にdiscと呼ばれる円盤状の軟骨組織が断裂することで痛みといった症状を引き起こすと考えられています。 具体的にはタオルを絞る、運転時に車のカギを回す、あるいはドアノブを回すなど手首を捻るような動作をした際に手関節部の特に尺骨側(小指側)において疼痛症状が顕著になって出現します。 一般的に、物を持つ際に手関節部に強い痛みを自覚して力が入らないこともあり、これらの症状は掌を上側に向けると少し軽減することが知られています。 病状が悪化して症状がさらに進展した場合には、安静時でも患部に痛みが出るといた症状を自覚することがありますし、同時に動作開始時に手が抜けそうになる感覚を覚える、あるいは手首が腫れて可動域が制限されるなどの所見を認めることもあります。 ・TFCC損傷の治療 まず、TFCC損傷を患った場合における初期的な治療としては運動を中止してサポーターやギプスによって患部を固定することで局所の安静を図り、消炎鎮痛剤などの服薬治療が行われます。 特に、装具を用いた治療方法に関しては軟骨の変性を悪化させないため、あるいは橈骨尺骨間の可動性を正常に復帰させるためにも前向きに実践されることをお勧めします。 疼痛症状がひどいケースでは、局所麻酔剤を含有して炎症を抑制する効果を狙ってステロイド注射を実施することで数か月単位で症状が改善することを期待します。 数か月間に渡ってこれらの保存的な治療策が奏効しない際には、手術加療が検討されます。 最近では、TFCC損傷している部位が深い場所にあって組織自体も小さいために切開手術よりも術野がよく確保できるように関節鏡や内視鏡を用いて病変部位の縫合処置や部分切除術なども頻繁に実施されるようになってきています。 まとめ・TFCC損傷とは、使いすぎたり転倒など強い衝撃で発症する手首の障害です 今回はTFCC損傷とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などについて詳しく解説してきました。 TFCC損傷とは、遠位橈尺関節を安定化させている支持組織である三角線維軟骨複合体が転倒して手をつくなどの外傷やスポーツや作業などで繰り返される過度の負担などでストレスがかかることで手関節部に疼痛症状が出現する疾患です。 尺側手関節痛の原因疾患は多岐に渡りますので、万が一普段の日常生活で手首の小指側が痛みを覚え、安静にしてもなかなか症状が改善しないという人は最寄りの手外科専門医の診察を受けて適切な治療に結び付けるように心がけましょう。 以上、TFCC損傷とは、その原因、症状と治療法について解説いたしました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S059 監修:医師 加藤 秀一 ▼ TFCC損傷等のスポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています
2022.03.17 -
- 手
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腱鞘炎で箸も持てない!そんな悩みを解消!原因と治療、予防法について 腱鞘炎の痛みで「お箸も持てない」「ドアノブもつかめない」などと、悩んでいる人はいませんか? 腱鞘炎になると手首や手の指に激痛が走り、日常生活にも支障をきたすようになります。「このまま痛みが続いたらどうしよう」「治らないとかも」と心配になりますよね。 しかし、腱鞘炎は適切に対応すれば、早期の回復も可能です。ここでは腱鞘炎の種類と症状、原因と予防について解説します。 腱鞘炎の種類と原因 腱鞘炎は、指を動かし過ぎるために、腱の通り道にあるトンネル状の腱鞘が炎症のために厚くなることや、腱鞘の中を通っているロープ状の腱が腫れることで起きます。 以前は楽器の演奏者、ラケットを使う競技、テニスやバドミントン、ゴルフなどのスポーツ選手、作家や重い鍋を振る料理人など一部の人に多く現れるため、職業病とされていました。 ただ、最近では、パソコンやスマホで手指を長時間使用することから一般の人にも増えています。 その他、スーパーなどでレジの操作、子供の抱きおろしなど育児でも起こったり、編み物を頻繁にするなど普段手指をよく使うなど、手を頻繁に使う人に起こりやすい傾向があります。 またホルモン分泌の変化に伴い、妊婦や更年期の女性にもよく見られます。糖尿病やリウマチの患者にも多く生じています。腱鞘炎は痛みが生じるので仕事や日常生活にも支障をきたします。 腱鞘炎の原因(頻繁に繰り返される動作により起こる) ・スポーツ選手:ラケット競技の多い(テニス、バドミントン、ゴルフほか) ・事務:パソコンをはじめとしたキーボードを頻繁に使う職務 ・料理人:中華等で重い鍋を繰り返し使う職務 ・育児:乳児の抱きおろしなど ・その他:作家(文筆業)、一般人(スマホを頻繁に使う) ・ホルモンの関係で妊婦や更年期の女性に多い ・糖尿病やリウマチへの罹患 腱鞘炎の種類 腱鞘炎は、2種類に分けられます。一つは、手首に症状が現れる「ドケルバン病」と言われるものと、指に症状が現れる「ばね指」というものです。 ドケルバン病は、狭窄性腱鞘炎といい、親指側の手首の腫れや力が入らなくなるという症状が主な特徴です。これは指と手首を繋いでいる2本の腱と、その2本の腱を覆ってトンネル状になっている腱鞘といわれる部分が炎症を起こして痛みが生じます。 また圧倒的に女性に多いという特徴があります。 ばね指は、指に現れる腱鞘炎です。指を曲げたり、伸ばす場合に痛みが出たり、動きにくくなるなどの症状が起こります。これは指の手のひら側にある腱をカバーするように覆っているトンネル状の腱鞘と呼ばれる部分に炎症が起こる病気です。 腱鞘炎が発症すると指を上手く動かせなくなります。症状が進むと急に指が伸びるようなバネ現象が起こる特徴があるため、ばね指と言われています。 いずれの症状も仕事や日常の動作が関係しているので、慢性化することもあり、中には腱鞘炎が原因で、やむを得ず転職するはめになったという方もいます。 手首や指に痛みや違和感を感じたら放置せずに、安静にし、それでも痛みなどが残る場合は、軽いうちに治すよう整形外科等の病院、医療機関を受診してください。 腱鞘炎の種類 ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎) 手首に起こる、女性に多い ばね指 指に起こる 腱鞘炎の治療法 腱鞘炎の原因は手の使いすぎですから、軽症であれば一定期間手の使用を控えるようにしていれば治ることがあります。手に違和感がある場合は、湿布で冷やすことや、テーピングにも効果が期待できます。 1)保存的治療 まずは、親指や手首を休ませることです。添え木を用いて手首を固定し、安静にする場合もあります。湿布で冷やしたり、痛み止め、テーピング、痛み止めの内服などの使用が保存療法的な主な治療法です 2)ステロイド注射トリアムシノロン 投薬治療をしても改善されない場合は、ステロイドの注射をする方法もあります。 3)手術 腱鞘炎の再発を繰り返し、改善がみられない場合は、手術という選択が必要になる場合もあります。手術は、局所麻酔による日帰り手術が可能です。 手指をよく使う腱鞘炎のリスクが高い職種の方は、日頃から手や指のストレッチや、マッサージなどのケアをしっかり行い予防を行うことが大切でしょう。 腱鞘炎の予防策 腱鞘炎の予防は、日頃からのケアが大事です。腱鞘炎は、手の使い過ぎだけでなく、血行不足でも生じることがあります。その予防策について以下を参照してください。 ・手と手首のストレッチをして血流を良くしましょう > 仕事の前、合間、後に行うことをお勧めします ・手や指、手首に違和感や痛みがある > 熱めのお湯と冷水を交互に30秒ずつ5セット、あたため、冷却を繰り返す ・スマートフォンの操作は、両手で操作する > 片手操作は、親指と手首に負担がかかります 普段から長時間同じ作業を続けないように意識しましょう。 ときどき休憩を挟んで手を休ませることが必要です。作業の前後にストレッチを取り入れるのも有効です。パソコンであれば、強くキーボードを叩かないなどの工夫をしてみることも興亜があります。 そして、症状が軽いうちにケアをして、痛みを長引かせないことが大切です。 痛みが続くようなら病院等、医療機関を受診してください。症状に合わせて塗り薬を使う、炎症を抑えるステロイド薬を注射をする、またリハビリを行うなどの治療方法があります。 それでも改善が見られない場合は手術になることもあります。また、近年は、スポーツ医療の分野でも話題になっている「再生医療」で治療するという方法を検討することもできます。 まとめ・腱鞘炎で箸も持てない!そんな悩みを解消!原因と治療、予防法について 腱鞘炎は、スポーツをはじめとして手や指を使う職業、そして育児など子供の抱きおろしでも発症します。 一度発症すると治るまでに時間がかかってしまう場合がありますが、治らない疾患ではありません。悪化する前に早めに対応してください。また、手を酷使しないように、定期的に休憩をして手を休ませるなどして予防に努めましょう。 腱鞘炎は手や指を頻繁に使う仕事に起こりやすい症状です。腱鞘炎というものを意識して日頃から予防をすれば避けることができます。治療法については、保存的治療、注射、手術の3つの治療を説明しました。 近年は再生医療による治療を選択することもできます。手術以外の選択肢として、この治療法は、患者さんの負担を抑えることができ、副作用も少ないため、注目を集めている治療方法のひとつです。 慢性化した腱鞘炎の治療としては、薬物療法やリハビリテーション、手術、再生医療など、さまざまな方法があります。痛みや違和感が長く続く場合は、整形外科をはじめ専門の医療機関で相談してください。 以上、腱鞘炎とは?お箸も持てない!そんなお悩みを解決!治療と予防法について、説明させていただきました。この記事が参考になれば幸いです。 No.S047 監修:医師 加藤 秀一
2022.03.07 -
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コラーゲンのサプリやドリンクは、関節に良い効果を与えてくれるのか 近年、CMなどでよく見かけるサプリメントや、ドリンクとしてのコラーゲン!このような摂取方法で本当に効果があるのでしょうか?コラーゲンは美容的に注目されていますが、実は体にとっても非常に大切な栄養素です。 そこで本記事では、コラーゲンを摂取することで体にどのような効果があり、またどのような働きをしているのか解説していきます。関節に違和感があったり、痛みを感じられている方でコラーゲンのサプリメントやドリンクの摂取をお考えの場合は、ぜひ参考にしてみてください。 コラーゲンについて コラーゲンと聞くと、肌に良いイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。しかし、コラーゲンの働きは皮膚だけではありません。そもそもコラーゲンとは何かをみていきましょう。 コラーゲンとは コラーゲンとは、人間の体に存在するタンパク質の一種です。タンパク質は人間の筋肉や臓器など体のさまざまなところに分布されています。また、タンパク質は三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)の一つとして数えられ、人間の体に必要なエネルギー源にもなっています。 コラーゲンは体内のタンパク質のうち約30%を占めていて、皮膚や骨、血管などに多く含まれています。組織の部位ごとに分類され、繊維性コラーゲンや基底膜コラーゲン、短鎖コラーゲンなど、現在分かっているものだけでも29種類あります。 コラーゲンのはたらき 肌に良いイメージがあるコラーゲンは、皮膚の約70%がコラーゲンでできていると言われていて、肌に弾力とハリを与える働きをしています。 コラーゲンは皮膚だけではなく、骨や関節、腱、靭帯などにも存在し、強度や柔軟性を保つ機能があります。骨の中にコラーゲンがあることでクッション性が加わり、骨にしなやかさを与え、転んだときなどの強い衝撃から守っています。 また、関節の部分にもコラーゲンが存在し、骨と骨の摩擦による擦り減りから骨が傷つくのを防ぐ役割もしています。このようにコラーゲンは骨や関節にも密接に関わっています。 加齢による体内のコラーゲンの減少 コラーゲンは健康の維持に欠かせないものですが、年齢とともに減少していきます。加齢に伴って細胞の数が減ったり、衰えたりすることでコラーゲンの合成力が衰えてしまうためです。 また、紫外線による影響で皮膚のコラーゲンが減少することが分かっており、シワやたるみなどの原因になっています。では、コラーゲンを摂取した場合に、減少したコラーゲンを補うことができるのでしょうか。 コラーゲンを飲むことで効果は期待できるのか 日本整形外科学会によれば、直接関節にヒアルロン酸を注射した場合には科学的データに基づいて、有効性が認められているとされています。 しかし、食べ物などの口からの摂取の場合は有効性が確認できる科学的データはないとし、効果が期待できないと結論づけています。ですが、まったく効かないというデータもないため、悩ましいですね。 参考資料:サプリメントの効果について|公益法人日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/about/supplement.html 希望の星!低分子コラーゲン(コラーゲンペプチド) 食べ物からの摂取でコラーゲンの有効性が認めれられていないとされているものの、最近の研究では低分子コラーゲンを摂取することでコラーゲンを作る材料になったり、コラーゲンの生成量を増やしたりすることが期待できることが分かってきました。 低分子コラーゲンとはコラーゲンタンパク質を小さくしたものを言います。低分子化したものは、コラーゲンペプチドともよばれ粒子が細かく、腸壁で吸収され血液を通って皮膚や骨、関節など全身に行き渡ります。 サプリメントの種類と成分 コラーゲンペプチドはサプリメントとして錠剤やパウダー、ドリンクに配合されており種類もさまざまあります。 サプリメントのコラーゲンの成分には主に動物性由来と魚由来があり、動物性由来であれば、牛や豚、鶏などの皮から抽出したもの、魚由来は魚皮や魚鱗から抽出したものが原料となっています。 注意!コラーゲンとアレルギーの関係性 サプリメントの原料になっている牛や豚、鶏、魚などが原因でアレルギー反応を起こす可能性があります。アナフィラキシーを起こした事例も報告されているため、サプリメントなどでコラーゲンを摂取する際は十分に注意が必要です。 特に鶏や卵にアレルギーがある方は、鶏が原料になっているコラーゲンは避けた方が良いでしょう。 コラーゲン・トリペプチドの効果 コラーゲン・トリペプチドとはコラーゲンの最小単位で、その大きさは一般的なコラーゲンサプリメントの20分の1から50分の1の大きさと言われています。 そのため小腸から直接そのままの形で吸収されることが分かっています。最近の研究では関節や骨など体内でコラーゲンが不足しているところに、効率よく届くことが期待できるという報告がされています。 関節や骨への具体的効果について 関節 傷ついた関節の治療の際、患者さんがコラーゲンペプチドのサプリメントを摂取したところ、関節の修復が早いという結果の報告されています。また、変形性膝関節症の症状の改善にも効果があることも分かってきました。 骨 骨を丈夫にするにはカルシウムのイメージが強いですが、カルシウムだけでは強度な骨は作れません。 骨の約30%がコラーゲンできていると言われ、コラーゲントリペプチドを摂取することでコラーゲンの生成を助ける働きがあることが分かっています。 まとめ・コラーゲンのサプリやドリンクは関節に良い効果を与えてくれるのか これまではコラーゲンを食べ物で摂取しても、体の中でアミノ酸としてバラバラに分解されて吸収されてしまうため効果がないと考えられてきました。 しかし、小さな分子のコラーゲンペプチド(低分子コラーゲン)であれば腸壁から吸収され血液を通って、体の中のコラーゲンが不足しているところへ効率よく届くということが分かってきています。 そのため、コラーゲンのサプリやドリンクを購入する場合は「低分子コラーゲン」、「コラーゲンペプチド」との表記があるものが良いかもしれません。いずれにしてもコラーゲンの効果には個人差があり、短期ではなく、長期で考える必要があります。 関節のために体内のコラーゲンをキープしたいと摂取する場合は、毎日の食生活に取り入れ、長期的な視点で取り組みましょう。コラーゲンが関節や健康の維持に役立つと良いですね。 以上、コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのかについて記させて頂きました。 No.S041 監修:医師 加藤 秀一
2022.02.16 -
- 手
TFCC損傷は、どこに、どんな痛みが出るのか 「手首が痛い!」というとき、それは捻挫かもしれないし、腱鞘炎かもしれません。 転倒した際、手をついたり、その後に痛みが出れば「捻挫」かもしれない?と思うかもしれませんし、手首を酷使するような仕事やスポーツをした後なら「腱鞘炎」を疑うかもしれません。 しかし、実際に病院に行ってみたところ「TFCC損傷」だと診断されることがあります。ただ、多くの場合、TFCC損傷と言われても聞きなれない言葉で、どんな症状か不明なことが多いと思います。 そこで今回は「TFCC損傷について」どんな痛みが、どんな時に起こるのか解説してみたいと思います。また、併せてTFCC損傷の治療法についてもご紹介しましょう。 TFCC損傷は、「小指側の手首の付け根の部分」に痛みが出ます。ただし、安静にしているときは傷みません。 こんな動作をすると痛む ・手首の小指側を押したら痛い ・手首を外にひねると痛い ・手首をつくと痛い ・手首を小指側に曲げると痛い 日常生活の中で傷む場面 ・ドアノブやドアの鍵を回す ・タオルを絞る ・蛇口をひねる また、痛みを感じる場面としては調理時、フライパンや、水の入ったヤカンや鍋などの重みのあるモノを持つと痛みを感じます。スポーツではテニスのラケットを握ったときなどに痛みが出ます。 TFCC損傷の診断は難しい 実は、TFCCは骨の損傷ではないのでレントゲン写真では異常が見られず、捻挫として診断されてしまうことが多くあります。しかし、上記で紹介したような動作をしたときに痛みが出たり、痛みが長引いたりするようであれば、TFCC損傷の可能性があります。 そんな意味でも上で示したような痛みの部位と、痛みが出る動作を覚えておき、専門の医療機関を受診すると共に、その旨を伝えて正しい診断を得るようにしてください。 尚、TFCC損傷の診断は、触診、MIR検査や関節造影などを用いて行われます。 TFCC損傷の治療法 TFCC損傷の治療法は、安静を保つ保存療法が一般的で、保存療法では改善が見られない場合は手術を選択することもあります。しかし、TFCC損傷は完治が難しいです。 そこで紹介したいのが、体の自然治癒力を生かして完治を目指す「再生医療」という治療法です。 TFCC損傷の治療に効果的な再生医療「PRP療法」とは? 血液の中には多くの成長因子をもつ血小板が存在し、血小板は、損傷を受けた部位を修復する機能を持っています。 患者さん自身の血液から血小板を取り出し濃縮し、濃縮されることによって修復能力が増幅した血小板を損傷個所に注入し、修復するのがPRP療法です。 プロ野球選手の肘の治療にも使われるなど、スポーツ医療の分野で注目を集め、話題になっています。「慢性化した痛みがある」「早くスポーツに復帰したい」「薬剤アレルギーがある」などに当てはまる方にはおすすめの治療法です。 まとめ/TFCC損傷は、どこに、どんな痛みが出るのか TFCC損傷は、安静時に痛みは出ず、手首の小指側にひねると痛みが出ることが特徴です。 痛みは、大きなストレスになりますし、日常生活や仕事に影響が出ることもあります。早く治すためにも自分に合った最善の治療法を選ぶことが必要です。近年、話題になっている再生医療による治療も、選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。 以上、TFCC損傷は、どこに、どんな痛みが出るのかについて記させて頂きました。参考にしていただけるなら幸いです。 No.S036 監修:医師 加藤 秀一 ▼ PRP治療法・再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい TFCC損傷へのPRP(再生医療)治療に関してご説明しています
2022.02.08 -
- 手
ヘバーデン結節の発症リスクが上がる要因と発症後やってはいけないこと はじめに/ヘバーデン結節とは へバーデン結節は、手指部における第1関節に相当する箇所が変形し、曲がってしまうことで痛みを感じる原因不詳の病気です。発症要因としては、関節にある軟骨がすり減り、骨が増殖する結果、痛みともに変形を引き起こすと考えられています。 この疾患は、手における変形性関節症の部類で最も罹患数が多く、特に日本人に多い病気であると言われています。そのため、痛みといった症状で悩まれている方が多い病気です。 ちなみに「ヘバーデン」とは、もともと英国人医師の名前です。1802年にヘバーデン氏が手指の第一関節のうしろ側にいわゆる慢性的な関節リウマチや痛風とは異なる病変が生じると指摘したことに由来して名づけられました。 へバーデン結節は、関節組織の加齢による変化によって、色々な変形所見が認められ、第1関節のうしろ(手背)側の中央付近に2つのコブのような結節所見を認めるのが特徴的とされています。 今回は、そんな「へバーデン結節」を発症した人が、基本的に日常生活などにおいて「やってはいけないこと」、注意すべきことを中心に詳しく解説していきます。 ヘバーデン結節の発症リスクが上がる要因について 実は、このへバーデン結節という病について、これまでの医学的研究の数々をもってしても、未だ発症させる明確な原因は不明なのです。しかし、これまでに何点か判明している要因も幾つかあり、それをご説明いたしましょう。 一般的に年齢を重ねれば、重ねるほどへバーデン結節など変形性関節症の発生率は高くなると言われていますので、「加齢というキーワード」は。本疾患のリスクに該当するものの唯一の原因ではないと考えられています。 まず、普段から生活面や、仕事内容などにより、「手や手指を頻繁に使用」する人に本疾患が表れやすいという傾向があります。 発症リスクの背景として、普段の生活歴にも関係があり、外傷によるものを除外して「裁縫や刺しゅう、農業関係の手仕事に従事」していた方々に発症しやすいと同時に、患者さんの概ね「8割が主婦」であったとの調査結果があります。 また、へバーデン結節は、「更年期以降の女性に多く発生」し、特に「女性は男性の約2倍以上の確率で発症」することが分かっていることから、本疾患の背景には「女性ホルモンの変調」が関与している可能性が推測されています。 また、「遺伝や環境」などといった様々な要素が複合的に組み合わさって発症するとも考えられています。ただし、明確に遺伝性というエビデンス(証明)には乏しいものの、これまでに母娘間、あるいは姉妹間などの家族内で多発する例が散見されているのも事実です。 それ以外にも、発症原因としては「外傷、甲状腺疾患、糖尿病」など各種疾患に合併して発症する場合や、特に誘因なく特発性に現れるケースも存在しています。 発症原因(発症リスク):明確な原因は未だ不明 ・加齢(年齢と共に発生率が上昇) ・仕事等にて手指を頻繁に使用する ・裁縫や刺しゅう、農業関係の手仕事を業務といて日常的に行う ・発生者の8割が主婦 ・更年期以降の女性に多い(女性ホルモン) ・遺伝的要素(母娘間、姉妹間、家族内)証明できていない ・その他(外傷性、甲状腺疾患、糖尿病等の合併症) ヘバーデン結節を発症したら、やってはいけないこと へバーデン結節では、典型的な症状として「軟骨のすり減り」、「骨の骨棘形成によって出っ張り」、「関節部分が膨らみ」がみられます。特に、手指の中でも母指(親指)、あるいは示指(人差し指)から小指にかけて第1関節が赤く腫れあがり、過度に屈曲運動をすると疼痛症状(痛み)を合併します。 それらの所見が認められるのと同時に、関節を支える役割を有する「靭帯部分も緩む」とされていて、例えば物を指でつまむ時など、関節が不安定となり指の先の力が入りにくくなることもあります。 時間の経過とともに、痛みといった症状そのものは落ち着いてくることが多いのですが、手指が変形して指の動きがさらに悪化し、日常生活に支障をきたすことも十分に考えられます。へバーデン結節を発症した人は、早めに症状悪化を防止する対策を講じるべきです。 また、この疾患を発症した場合には、爪母(爪の根本部分)が第1関節に非常に近傍に位置しているために影響をうけて「爪が変形して凸凹になる」ことがありますので、そのような所見がみられた際には放置せずに皮膚科などでも診察を受けるように心がけましょう。 へバーデン結節の典型的症状 ・軟骨のすり減り ・骨の骨棘形成による関節の出っ張り、膨らみ ・母指(親指)、あるいは示指(人差し指)から小指にかけて第1関節の赤い腫れ ・屈曲運動(曲げると)疼痛(痛み)が起こる ・爪が変形(凸凹になることがある) へバーデン結節でやってはいけないこと へバーデン結節における治療方法としては、普段から指先に過度な負担が生じることを避ける、指の腫れや熱感があるときには患部を積極的に冷却する、軽くマッサージを実践する、あるいは装具などにより関節部の安静を保つことで痛み症状を軽快させることが期待されます。 したがって逆に言えば、へバーデン結節を発症した人は指先に過度の負荷がかかるような作業、あるいは患部を温める、強くマッサージを行う、関節部の安静を守らないなどの行動は「やってはいけない」ということをご理解下さい。 へバーデン結節でやってはいけないこと ・指先に過度の負荷をかけない ・患部を温めない ・強くマッサージしない ・重い鞄を手で持たない(ショルダータイプにする) ・スマホなどにも注意(指を動かしすぎない) ・指を使う作業を避ける へバーデン結節の治療方法 へバーデン結節の治療には、保存的治療、薬物療法、手術療法といった概ね3種類の方法から検討することになります。 保存療法としては、「テーピング、サポーター」、「外固定(金属のリング等)」によって関節を固定(安定)させたり、「アイシング」といった治療が行われることが一般的です。 薬物療法としては、関節内へのステロイド注射が用いられることが多くあります。これも、痛みや、変形といった症状が進行すると手術療法が必要となり、「関節固定術、関節形成術(コブ結節の切除)」といった手術を検討することになります。 高度変形や、強い疼痛が伴う場合には、手指の運動機能障害や、整容上(見た目)の問題が発生する為に日常生活で無理をせずに、早期に医療機関を受診されることをお勧めします。 治療法 ・保存療法:テーピング、サポーター、外固定(金属のリング等)で関節を固定(安定)、アイシング ・薬物療法:関節内へステロイド注射 ・手術療法:関節固定術、関節形成術(コブ結節の切除) へバーデン結節、発症後に気を付けたいこと 現代社会では、日常生活においてスマートフォンが手指の障害をきたすと言われ、特に小指でスマートフォンを持つ動作が小指のヘバーデン結節を誘発して症状を増悪させることも考えられますので、スマホの操作時に小指に痛みを自覚した際には画面操作は出来る限り両手で行うよう意識しましょう。 そして、前章で述べたように本疾患の発症リスクを上昇させる要素のひとつとして「女性ホルモン」があり、実は大豆に含まれている「イソフラボン」が女性ホルモンと成分が類似していることから「豆乳や豆腐、納豆、きなこ」などを日常的に摂取すれば症状改善に繋がる可能性はあります。 指の第1関節というのは、日常生活では意識していませんが、意外と知らず知らずのうちによく使っています。手指を動かすたびに強い疼痛症状が出現するようならばこれ以上痛みを悪化させないための対策や工夫を講じることが重要です。 例えば、ガーデニングが好きな方が小さな草取りなど実施する際には、どうしても指先に負担がかかりますので、極力手袋など補助となるものを装着して作業するなどの注意が必要です。 また、ペットボトル等の蓋を開ける際には、指先にどうしても力を加える必要がありますので、へバーデン結節を発症し、症状に苦悩しているなら、オープナーの使用を検討するなど対策が必要です。 さらに、かばんを持つ時には本体を持ち上げるとどうしても手指に荷重が加わって症状が悪化してしまうことが懸念されますので、出来る範囲で手提げバックなど鞄本体を持たずに手提げ部分を持つように心がけましょう。 このように小さなことでも日常生活で指を使うことが多く、たとえば靴を履く際にも手指を使わず靴ベラを使う、ドアの開け閉め、タンス、クローゼット、ボタン掛け、調理、掃除などちょっと思い起こすだけでも多くの動作があります。 このように普段の生活で徹底的に指を使う場面を徹底的に洗い出して、指を使わずにできる方法を工夫してみましょう。もちろん、ご家族の方々にも簡単な事であっても、できないことがあることを話して、理解と協力を得ることが大切です。 へバーデン結節、発症後に気を付けるべきこと ・スマートホンの操作や持つ方の注意 ・ペットボトル等のキャップの開閉(オープナーを使う) ・ガーデニング ・鞄は指で持たない(ショルダー等) ・ドアの開け閉め ・タンス、クローゼット ・ボタン掛け、調理、掃除、裁縫ほか 💡手指を使わない工夫を考える 💡家族にできることは依頼する(できないことを説明、理解を得る) まとめ・ヘバーデン結節の発症リスクが上がる要因と発症後やってはいけないこと いわゆる50代など中年時期も過ぎてくると農作業やプライベートな趣味における草取りやペットボトルのキャップやふたを開ける際に手指の第1関節が痛くなることがあります。 放置すると、徐々に指の変形が進行して、極端の話では横を向いてしまうこともあります。これらの所見は、関節の変形で軟骨が減って骨変形が起こることにより発症する「へバーデン結節」という病気を指しています。 本疾患ではすり減った軟骨や骨の変形そのものは完全に元通り健常状態に回復しないですが、指の痛みなどの症状は日常生活における色んな工夫によって改善することが期待できます。 したがって、へバーデン結節を発症した人がやってはいけない事項を認識しながら、並行して前向きな対処策を実践することで痛みなどの症状を和らげて普段から手や指を使いやすくすることが可能になりますので出来るだけ諦めずに対策するように心がけましょう。 以上、ヘバーデン結節の発症リスクが上がる要因と発症後やってはいけないことについて記しました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S032 監修:医師 加藤 秀一 不安な方は一度カウンセリングにいらしてください。 ・来院予約 ・料金一覧 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力、先端医療が自然治癒力を活かして治します
2022.01.18