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「線維筋痛症の方が食べてはいけないものとは?」 「症状を和らげる食べ物はある?」 線維筋痛症とは、体のさまざまな部位に痛みやこわばり、疲労感などが現れる原因不明の病気です。関節リウマチと同様、女性の発症が多い傾向です。 本記事では、線維筋痛症の症状に配慮し、控えた方がよい可能性がある食べ物をはじめとして以下を解説します。 症状を和らげる食べ物 食事内容や食べ方に関する注意点 1日の食事例 具体的にどのような食品を避けるべきか推奨されるのかを解説しています。線維筋痛症の症状の悪化や改善につながる可能性のある食品について知りたい方は参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 関節の痛みなどの症状にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 線維筋痛症の方が食べてはいけないもの一覧【6つの食品カテゴリー】 線維筋痛症において、摂取を控えた方がよい可能性がある食品の一例を紹介します。 食品カテゴリー 例 糖質の多い食品 清涼飲料水、ケーキ、菓子パン 加工油脂 マーガリン、ショートニング、サラダ油 精製された穀物 パン、白米、うどん 乳製品 牛乳、ヨーグルト、チーズ アルコール・カフェイン飲料 ビール、コーヒー 添加物の多い食品 インスタント食品、スナック菓子 それぞれの食品について詳しく解説します。 糖質の多い食品|清涼飲料水、ケーキ、菓子パン 線維筋痛症の発症または悪化には、糖化が関連していると考えられています。糖化とは、食事から摂取した余分な糖質が体内のたんぱく質と結びつき、細胞を劣化させる現象です。 糖化は血糖値スパイクにより進行しやすいです。血糖値スパイクとは、食後の血糖値が急激に上昇・下降する現象であり、糖質の多い食事が原因で引き起こされます。 糖質が多く血糖値スパイクを起こしやすい食品を挙げると、以下のようなものがあります。 清涼飲料水 ケーキ 菓子パン スナック菓子 白米 血糖値スパイクを予防するには、早食いや運動不足の改善も重要です。 加工油脂|マーガリン、ショートニング、洋菓子 線維筋痛症は、体に明らかな炎症や損傷が見られない原因不明の病気とされていました。しかし、近年では脳や脊髄内の炎症が原因の可能性があるとの報告があります。(文献1)加工油脂に含まれるトランス脂肪酸は、体内の炎症を促進する成分の1つです。 トランス脂肪酸は、主に以下のような食品に含まれています。 マーガリン ショートニング スナック菓子 インスタント食品 洋菓子 揚げ物 牛乳やサラダ油などにも、微量のトランス脂肪酸が含まれています。気になる方は、トランス脂肪酸がほとんど含まれていないオリーブオイルなどに置き換えましょう。 精製された穀物|パン、白米、うどん 精製された穀物は、食物繊維が少なく消化と吸収が早いため血糖値が上昇しやすい特徴があります。血糖値が上昇しやすい食品を摂取すると糖化を促進させて、病状に悪影響を与えるおそれがあります。 精製された穀物とは以下のような食品です。 パン 白米 うどん 血糖値の急上昇を予防するには、主食を玄米や全粒粉パンなどに置き換えることが望ましいです。 乳製品|牛乳、ヨーグルト、チーズ 乳製品を控えることは、線維筋痛症の症状の改善につながる可能性が示唆されています。ただし、明確な因果関係が得られているわけではなく、すべての人に当てはまるものではありません。 乳製品の一例を挙げると以下のようなものがあります。 牛乳 ヨーグルト チーズ バター 生クリーム カルシウムの十分な摂取は大切です。医師と相談しながら自身の体調に合わせて摂取しましょう。 アルコール・カフェイン飲料|ビール、コーヒー アルコールやカフェインは、睡眠の質を低下させて痛みの感受性を高めるとされています。 とくに就寝前は以下のような飲料を避けてください。 アルコール飲料 ビール、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキー、ブランデーなど カフェイン飲料 コーヒー、エナジードリンク、紅茶、緑茶など 添加物の多い食品|インスタント食品、スナック菓子 以下のような添加物が含まれる食品は、線維筋痛症の症状を悪化させるおそれがあります。 インスタント食品 加工肉 清涼飲料水 菓子パン スナック菓子 コンビニ弁当 実際に線維筋痛症患者様37人を対象に食品添加物を除外した食事を4週間続けてもらったところ、84%の方の症状が一定改善したと報告があります。(文献2) 一方、添加物と線維筋痛症の症状に因果関係はないとの報告もあります。双方の報告がありますが、添加物の多い食品は、糖質やトランス脂肪酸が多く含まれているケースが多いため、取り過ぎは控えましょう。 線維筋痛症の症状を和らげる食べ物一覧 線維筋痛症の症状を和らげる可能性がある食べ物として、以下のようなものが挙げられます。 ビタミンDが豊富な食品 マグネシウムが豊富な食品 食物繊維が豊富な食品 オメガ-3脂肪酸が含まれる食品 抗酸化物質が含まれる食品 ただし、これらは過剰に摂取すれば良いわけではありません。医師と相談しながらバランス良く摂取するのが重要です。それぞれについて詳しく解説します。 ビタミンDが豊富な食品 ビタミンDが足りていないと、線維筋痛症の症状が悪化するおそれがあります。実際に、ビタミンD不足の女性に対して、20週間ビタミンDを摂取してもらったところ痛みが軽減されたとの報告があります。(文献3) ビタミンDが豊富な食品の一例は以下の通りです。 サンマ サケ ブリ イワシの丸干し 干し椎茸 乾燥きくらげ 以上のようにビタミンDは、魚類やきのこ類に豊富に含まれています。 マグネシウムが豊富な食品 マグネシウムは、痛みの緩和に役立つ可能性が示唆されています。ただし、研究結果は一貫性がないため注意が必要です。 マグネシウムが豊富な食品は以下のようなものが挙げられます。 カボチャの種(ロースト) アーモンド(ロースト) カシューナッツ(乾煎り) 豆乳(プレーン) ほうれん草(ボイル) 積極的に摂取するかは医師と相談してからにしましょう。 食物繊維が豊富な食品 食物繊維は、線維筋痛症の症状の改善に役立つ可能性が示唆されています。 食物繊維が豊富な食品は以下が挙げられます。 さつまいも 切り干し大根 ごぼう かぼちゃ たけのこ ブロッコリー ひじき これらは一食あたり食物繊維が2〜3gと豊富に含まれているためおすすめの食品です。(文献4) オメガ-3脂肪酸が含まれる食品 オメガ-3脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、線維筋痛症の痛みの改善に有効である可能性が示唆されています。 実際に、フィッシュオイル(EPAとDHA混合)1,500mg/日を4週間摂取したところ、痛みや疲労、抑うつ症状が改善したとの報告があります。(文献2) オメガ-3脂肪酸が豊富な食品は以下のような青魚や貝類です。 イワシ サバ サンマ カニ カキ 魚介類以外では、亜麻仁油やエゴマ油などにも豊富に含まれています。 抗酸化物質が含まれる食品 抗酸化物質の摂取は、線維筋痛症の症状の改善に有効と報告があります。抗酸化物質には、細胞を傷つける酸化ストレスを抑制する働きがあるためです。抗酸化作用がある具体的な栄養は、ビタミンAやビタミンC、ビタミンEなどです。 これらのビタミン類が豊富に含まれている食品は以下のようなものが挙げられます。 にんじん かぼちゃ キャベツ ブロッコリー トマト 小松菜 ほうれん草 その他にも、抗酸化物質の1つであるコエンザイムQ10も有効とされており、青魚や牛肉、豚肉、ナッツ類に含まれています。 線維筋痛症における食事の注意点 線維筋痛症における食事の注意点として、以下が挙げられます。 主食を低GI食品に置き換える 早食いをしない 食物繊維から摂取する 良質なたんぱく質を摂取する 炭水化物は最後に食べる それぞれについて詳しく解説します。 主食を低GI食品に置き換える 低GI食品は血糖値の急上昇を予防できます。GIとはGlycemic Index(グリセミックインデックス)のことであり、食品が血糖値に与える影響を数値化したものです。 GIは低いほど血糖値の上昇がゆるやかで、以下のように分類されています。 分類 GI値 食品 高GI食品 70以上 白米、白パン、スナック菓子、ジャガイモ、里芋、にんじんなど 中GI食品 56〜69 オートミール、ライ麦パン、サツマイモ、パイナップル、アイスクリームなど 低GI食品 55以下 玄米、雑穀米、全粒粉パン、そば、豆乳、牛乳、バター、いちご、リンゴなど とくに主食を玄米や雑穀米、全粒粉パンなどに置き換えることはおすすめです。 早食いをしない 早食いは、血糖値を急上昇させ血糖値スパイクを引き起こすリスクがあります。血糖値スパイクは糖化を進行させて線維筋痛症を悪化させるおそれがあります。 噛む回数は1口30回が望ましいです。「白米ではなく噛みごたえのある玄米を主食にする」などの工夫をすれば、自然と噛む回数を増やせます。 食物繊維から摂取する 食物繊維が豊富な食品などを最初に食べると、血糖値の急上昇を抑制できます。食物繊維を先に摂取すると消化管を通る時間が延長されて、その後に摂取する主食などの糖質の吸収もゆるやかになるためです。 インスリンの分泌量も減少するため、糖尿病予防に効果的です。食事は野菜やきのこ、海藻から食べましょう。 良質なたんぱく質を摂取する 良質なたんぱく質は、線維筋痛症に有益な効果があると示唆されています。良質なたんぱく質とは、アミノ酸がバランス良く含まれている食品のことです。 肉類や魚介類、卵類、大豆などの一般的な食品から摂取できます。これらの食品をバランス良く摂取するのが重要です。 炭水化物は最後に食べる 炭水化物を最後に食べることで血糖値の上昇を緩やかにできます。 具体的には以下の順番で食べると血糖の急上昇を抑えられます。 順番 食事内容 1.食物繊維 野菜、きのこ、海藻など 2.たんぱく質 魚類、肉類、大豆製品、卵など 3.炭水化物 米類、麺類など 線維筋痛症の方が食べてはいけないものを避ける1日の食事例 線維筋痛症の方が控えた方がよい可能性のある食べ物を避ける食事例として、以下のようなメニューが挙げられます。 朝食 血糖値を安定させる低GIメニュー 昼食 抗炎症作用のある食材を取り入れたメニュー 夕食 消化に優しく睡眠の質を高めるメニュー 間食・飲み物 避けるべきものと代替品 それぞれの具体的なメニュー例とポイントについて解説します。 朝食|血糖値を安定させる低GIメニュー 血糖値の急上昇を予防する食事は、糖化を予防して線維筋痛症の悪化予防が期待できます。 メニュー例 玄米おにぎり、味噌汁(わかめ・豆腐)、焼き鮭、ほうれん草のおひたし ポイントは以下の通りです。 白米ではなく玄米を選び血糖値の急上昇を防ぐ 鮭でオメガ-3脂肪酸とビタミンDを摂取する 味噌汁の具材で食物繊維とマグネシウムを補う 昼食|抗炎症作用のある食材を取り入れたメニュー 炎症を抑制する食事は、線維筋痛症の悪化予防に役立ちます。 メニュー例 雑穀米、サバの塩焼き、ブロッコリーとトマトのサラダ(オリーブオイル)、きのこの味噌汁 ポイントは以下の通りです。 青魚(サバ)で抗炎症作用のあるオメガ-3脂肪酸を摂取する ブロッコリー・トマトで抗酸化物質を補給する ドレッシングは市販品を避けオリーブオイルと塩で代用する 夕食|消化に優しく睡眠の質を高めるメニュー 睡眠の質を高める食事は、痛みの感受性を低下させる効果が期待できます。 メニュー例 玄米、鶏むね肉のソテー、温野菜(かぼちゃ・にんじん)、わかめスープ ポイントは以下の通りです。 夕食は消化に負担のかからない鶏むね肉を選ぶ 温野菜で体を冷やさず胃腸への負担を軽減する 就寝3時間前までに食べ終え睡眠の質を確保する 間食・飲み物|避けるべきものと代替品 間食や飲み物は以下のように置き換えましょう。 避けるべきもの 代替品 スナック菓子 素焼きアーモンド、くるみ 清涼飲料水 ルイボスティー、白湯、麦茶 菓子パン・ケーキ バナナ、ベリー類、高カカオチョコ(70%以上) コーヒー(過剰摂取) カフェインレスコーヒー、ハーブティー ポイントは以下の通りです。 空腹時は血糖値が乱れやすいためナッツ類で良質な脂質を補う カフェインは1日1〜2杯程度に抑え午後以降は控える 甘いものが欲しいときは果物や高カカオチョコで代用する まとめ|食生活を改善して線維筋痛症の症状を和らげよう 糖質の多い食品や加工油脂、精製された穀物などを避けることは、線維筋痛症の症状の改善が期待できます。具体的な対策としては、主食は低GI食品である玄米や雑穀米、全粒粉パンに置き換えるなどがあります。 ビタミンD不足の方は、十分に摂取することで症状の改善に役立つことがわかっています。体に必要な栄養が含まれる特定の食品を極端に減らすまたは増やせば良いわけではありません。医師と相談しながら自分に合った食事内容に調整するのが重要です。 当院「リペアセルクリニック」では、関節の痛みなどに対して再生医療を行っています。気になる症状がある方は、お気軽にご連絡ください。 線維筋痛症における食事に関するよくある質問 Q.食事療法だけで痛みは改善する? 線維筋痛症の症状は、食事療法だけで改善は期待できません。薬物療法や運動療法によって症状をコントロールするのが一般的です。 Q.サプリメントは痛みの改善に効果がある? ビタミンDなどのサプリメントに一定の有効性が示されています。とはいえ、栄養は食事からの摂取が基本です。サプリメントの利用は医師に相談してからにしましょう。 Q.食べてはいけないものは絶対に摂取してはいけない? ここまで紹介した食品は完全に禁止するものではありません。症状が改善するかどうかは個人差があります。医師と相談しながら栄養バランスの整った食生活を心がけることが重要です。 参考文献 (文献1) 線維筋痛症における慢性疼痛発症メカニズムの解明 ~固有感覚異常による疼痛誘導とミクログリアによる疼痛記憶~|名古屋大学 研究成果発信サイト (文献2) 線維筋痛症診療ガイドライン2017|日本線維筋痛症学会 (文献3) 線維筋痛症|厚生労働省 (文献4) 食物繊維の必要性と健康
2026.01.31 -
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「最近背中が痛い」 「背中の右側が痛む」 「じっとしていても背中の痛みが続く」 このように、背中の痛みに関する悩みを抱えている方も多いことでしょう。 背中の痛みでは、「どの部分が痛むか」によって原因が異なる場合があります。多くの場合、筋肉の緊張や神経痛などが原因ですが、内臓疾患が原因であるケースも少なくありません。 本記事では、背中の痛みを右側・左側・中央に分けて、原因や医療機関受診の目安などを紹介します。症状別に「受診すべき診療科」も紹介しますので、背中の痛みに悩まれている方はぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 背中の痛みでお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 背中の右側が痛いときに考えられる原因 この章では、背中の右側が痛いときに考えられる原因を、以下の3つに分類して解説します。 右上(肩甲骨内側〜背中上部)の痛み 右中央(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 右下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 右上(肩甲骨内側〜背中上部)の痛み 背中の右上が痛むときの主な原因は、主に以下のとおりです。 筋膜性疼痛症候群 肩甲骨周囲筋の過緊張 頸椎ヘルニアや頚椎症など頸椎由来の疾患 筋膜性疼痛症候群とは、「筋肉のこり」が原因でさまざまな症状を引き起こす疾患です。筋肉内に硬いしこりのようなものが存在し、触れると痛みが生じます。いわゆる「トリガーポイント」と呼ばれるものです。筋膜性疼痛症候群は、比較的多くの人が経験する筋肉痛でもあります。(文献1) 肩甲骨周囲筋としてあげられるものは、僧帽筋(そうぼうきん)や菱形筋(りょうけいきん)、肩甲挙筋(けんこうきょきん)などです。これらの筋肉が過度に緊張しているときにも、右背部痛が発生します。 頸椎ヘルニアや頚椎症など、頚椎(首の骨)由来疾患による右背部痛は、首の動きによって痛みの状況が変わる点が特徴です。 内科疾患により右背部痛が生じる場合もあります。例としてあげられるのは、主に以下のとおりです。 胆石発作や胆嚢炎など(発熱を伴う場合もある) 肺炎や胸膜炎など(咳や発熱を伴う、呼吸により痛みが悪化する) 帯状疱疹(発疹を伴いピリピリ痛む) 右上背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 首・肩を動きにより痛みが増減する(筋骨格系の可能性) 深呼吸や咳で悪化する(肺や胸膜、肋間神経の可能性) 食後の悪化や吐き気・発熱がある(胆道系の可能性) 食後に痛みが悪化する、吐き気や発熱などがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 右中央(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 右中央の背部痛の原因は、主に以下のとおりです。 肋間神経痛 胸椎椎間板ヘルニア、変形性胸椎症など胸椎由来の疾患 姿勢不良(猫背や巻き肩)による筋緊張 肋間神経痛の症状やセルフケアに関する詳細と、再生医療による胸椎椎間板ヘルニア治療事例を以下の記事で紹介しております。あわせてご覧ください。 【関連記事】 肋間神経痛のセルフチェック方法!胸椎椎間板ヘルニアの症状との違いも医師が解説 胸椎椎間板ヘルニア術後の痺れ完全消失!片足ジャンプも可能に! 内科疾患により中央背部痛が生じる場合もあります。例としてあげられるのは、主に以下のとおりです。 胸膜炎や肺炎(呼吸困難や咳、発熱など) 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(胸痛や息切れ、冷汗など) 中央背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 チクチクする痛みや電気が走るような痛みがある(神経痛の可能性) 深呼吸や咳、くしゃみで悪化(肋間神経痛や肺炎、胸膜炎などの可能性) 胸痛や息切れ、動悸、冷汗(虚血性心疾患の可能性) 胸痛や息苦しさなどがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 右下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 右下背部痛の主な原因は、以下に示したような筋肉の負荷であるとされています。 腰方形筋(ようほうけいきん)や脊柱起立筋などの緊張 腰や背中の筋膜性疼痛 中腰や片側の体重をかけた姿勢 内科疾患により中央背部痛が生じる場合もあります。主なものとしてあげられるのが、腎盂腎炎や尿路結石です。発熱や悪寒、倦怠感、血尿、排尿時痛を伴います。 右下背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 動作や姿勢による増減、圧痛がある(筋骨格系の可能性) 発熱や悪寒、強い倦怠感がある(腎盂腎炎の可能性) 排尿時の違和感や血尿、頻尿がある(尿路結石の可能性) 発熱や排尿に関する症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 背中の左側が痛いときに考えられる原因 この章では、背中の左側が痛いときに考えられる原因を、以下の3つに分類して解説します。 左上部(肩甲骨の内側〜背中上部)の痛み 左中央部(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 左下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 左上部(肩甲骨の内側〜背中上部)の痛み 背中の左上が痛む場合の主な原因は、以下に示した筋骨格系や頚椎の不調などです。 肩甲骨周囲筋の緊張 筋膜性疼痛症候群 頸椎由来の痛み 内科疾患により右背部痛が生じる場合もあります。例としてあげられるのは、主に以下のとおりです。 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(胸痛や息切れ、冷汗など) 大動脈解離(突然の激痛) 肺や胸膜の炎症(呼吸困難や咳、発熱など) 左上背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 圧痛あり、姿勢により痛みの度合いが変わる(筋骨格の可能性) 冷汗や息切れ、吐き気、胸部症状などがある(循環器疾患の可能性) 胸痛や息切れ、吐き気、冷汗がある場合は、迷わずに医療機関を受診しましょう。 左中央部(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 左中央の背部痛の原因は、主に以下のとおりです。 肋間神経痛 胸椎椎間板ヘルニア 姿勢不良による筋緊張 また、循環器疾患や呼吸器疾患、帯状疱疹などが原因の可能性もあります。 左中央背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 呼吸や咳で悪化する(肋間神経痛や胸椎由来の可能性) 皮膚のピリピリした感じや発疹などを伴う(帯状疱疹の可能性) 胸痛や息切れ、動悸、冷汗などがある(循環器や呼吸器疾患の可能性) 胸痛や息切れ、動悸、冷汗がある場合は、迷わずに医療機関を受診しましょう。 左下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 左下背部痛の主な原因は、以下に示したような筋骨格系の不調です。 腰背部の筋肉に強い負担がかかっている 体幹に偏りがある 日常生活動作のクセが影響している また、腎泌尿器系疾患や、膵炎、胃・十二指腸潰瘍といった消化器系疾患が原因の可能性もあります。 左下背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 食後や空腹時などに悪化する(消化器系疾患の可能性) 吐き気や嘔吐がある(消化器系疾患の可能性) 排尿時の違和感および血尿を伴う(腎泌尿器系疾患の可能性) 強い吐き気や発熱がある場合、食事との関連が明確である場合は早めに医療機関を受診しましょう。 肝臓に水ぶくれが生じた状態(肝嚢胞)でも、背中に痛みが生じる場合があります。以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 背中の中央部が痛いときに考えられる原因 この章では、背中の中央部が痛いときに考えられる原因を、以下の3つに分類して解説します。 背中の中央部(上部)の痛み 背中の中央部(胸の高さ)の痛み 背中の中央部(下部〜腰の少し上)の痛み 背中の中央部(上部)の痛み 背中の中央上部が痛む原因は、主に以下のようなものです。 姿勢不良による筋緊張が続いている 胸椎上部の可動域が低下している また、圧迫骨折や進行がんが原因の可能性もあります。圧迫骨折は高齢者に多く、転倒や外傷後に痛むケースが多いとされます。 背中の中央上部が痛む原因を見分ける主なポイントは、以下の2つです。 転倒や外傷後に痛むが出ている(圧迫骨折の可能性) 体重減少や咳、食欲不振などを伴う(進行がんの可能性) 転倒や外傷の既往、体重減少などの症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。 背中の中央部(胸の高さ)の痛み 胸の高さでの背部痛は肋間神経痛や胸椎由来の痛みなどが主な原因です。しかし、胸部症状を伴う場合や食事との関連がある場合は、内科疾患を考慮する必要があります。 胸の高さでの背部痛の原因を見分ける主なポイントは、以下の2つです。 胸痛や息切れ、冷汗などを伴う(循環器及び呼吸器疾患の可能性) 食事により悪化や改善が見られる(消化器疾患の可能性) 胸痛や呼吸困難などの症状がある場合は、迷わずに医療機関を受診しましょう。 背中の中央部(下部〜腰の少し上)の痛み 背中の中央下部が痛む場合、多くは腰背部筋への負担や良くない姿勢が原因とされます。しかし、痛みが長引いたり全身症状があったりする場合は別の原因も考慮する必要があります。 背中の中央下部が痛む原因を見分ける主なポイントは、以下の2つです。 排尿時の違和感および血尿を伴う(腎泌尿器系疾患の可能性) 体重減少や咳、食欲不振などを伴う(進行がんの可能性) 長引く痛みや全身症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 背中の痛みが長引く・広がる場合の受診目安 背中の痛みには、場所がはっきりしないものや広範囲に渡るものがあります。具体例を以下に示しました。 背中全体に重さやだるさ、鈍痛がある 日によって、もしくは時間帯によって、痛む場所が変わる 姿勢や日常生活動作などの影響を受けやすい 検査を受けても、明確な異常が見つからない このような場合、「どこが痛いか」だけで原因を判断するのが難しいことが多いとされます。そのため、「どれくらいの期間、痛みが続いているか」の視点も大切です。 急性の筋肉痛は1〜2週間で軽快する場合が多いため、2週間以上続く、もしくは当初より悪化している場合は医療機関受診を検討しましょう。 発熱やしびれ、胸部症状などがある場合は、自己判断で様子を見ないで早めに受診しましょう。 背中の痛みがある場合に受診すべき診療科 背中が痛む原因は多岐にわたります。受診先に迷った場合は、まず整形外科やかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらう方法が一般的です。 背部痛が強い場合や全身症状がある場合は、早めに受診しましょう。 整形外科 背部痛の主な原因は筋肉や関節・背骨などの筋骨格系であるため、整形外科が最初の相談先となることが多い状況です。 整形外科受診の目安となる症状を以下に示しました。 動作や姿勢で痛みが変化する 押すと痛み(圧痛)が生じる 重さやだるさ、張りを伴う 内科 背中の痛みに加えて、発熱や全身のだるさ、体調不良などを伴う場合は、内科での相談が適しています。 内科受診の目安となる症状を以下に示しました。 発熱や倦怠感が続いている 食欲不振や体調の変化を伴う 痛みの原因がはっきりしない 循環器内科・消化器内科・泌尿器科などの専門科 背中の痛みに加えて、胸の痛みや息苦しさ、動悸、吐き気などの症状を伴う場合は、循環器内科や消化器内科などの専門科受診が必要です。排尿時の異常や血尿がある場合は、泌尿器科が受診先となります。 これらの症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関を受診しましょう。 救急外来 以下のような症状がみられる場合は、迷わずに救急外来を受診してください。 強い背部痛や胸痛がある 息苦しさや意識障害を伴う 急激な痛みの悪化や強い体調不良がある 背中の痛みに対するセルフケアと予防のポイント 早急な医療機関受診のサインがなく、痛みが軽い場合に限り、セルフケアで様子を見る選択肢があります。 セルフケアのポイントは、主に以下のとおりです。 痛みが強くならない範囲で、軽い運動を心がける 長時間同じ姿勢を続けず、定期的に姿勢を変える 急な動作や過度な負荷を避ける 日常生活において、背部痛を予防する工夫もあります。 デスクワークのときやスマートフォンを操作するときは、姿勢が崩れないように意識しましょう。十分な休息を取り、疲労を溜め込まないことも大切です。 セルフケアや予防行動を続けても痛みが改善しない場合、もしくは痛みが長引く場合は、一度医療機関を受診しましょう。 背中の痛む場所や随伴症状に応じて適切に対処しよう 背中の痛みは、痛む場所によって考えられる原因や注意するポイントが異なります。 多くの場合、筋肉や関節、姿勢など筋骨格系が関与しており、動作や姿勢の改善で痛みが軽減するケースも少なくありません。 その一方で、発熱や強い倦怠感、胸痛、呼吸困難などを伴い、早めの受診が必要となるケースもあります。 そのため、痛みの部位に加えて、症状の経過や随伴症状の確認も必要です。 軽度な痛みであれば、日常生活での姿勢の見直しや無理のないセルフケアによって改善が期待できる可能性もあります。 ただし、痛みが2週間以上続く、一度は治まったが再発した、痛みが悪化しているといった場合は、医療機関受診が必要です。 背中の痛みは原因や状態によって適切な受診先が異なります。まずはかかりつけ医や整形外科を受診してみましょう。胸の痛みや息苦しさ、意識障害などを伴う場合は、迷わずに救急外来を受診してください。 リペアセルクリニックでは、公式LINEやメール相談、オンラインカウンセリングを実施しております。背中の痛みで不安を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。 場所別の背中の痛みに関するよくある質問 背中の痛みが内臓由来かどうかの見分け方はありますか? 以下のような状況では、内臓由来の可能性があります。 体勢を変えたり安静にしたりしても痛みが続く 吐き気や食欲不振、発熱、呼吸困難、胸痛などの症状を伴う このような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 背中の痛みで急死することもありますか? 急性大動脈解離が原因で背中が痛む場合、突然死(急死)の可能性があります。大動脈解離が起こると、血液の循環が破綻してしまい、脳梗塞や心筋梗塞などのきわめて危険な状態を引き起こすためです。 激しい背中の痛みが起きた場合は早急な治療が必要であるため、迷わずに救急外来を受診してください。 参考文献 (文献1) 筋・筋膜性疼痛症候群|一般社団法人日本ペインクリニック学会
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アセトアミノフェンは、解熱鎮痛剤を代表する成分です。しかし、実際にどのような効果があるのかわからない方もいるでしょう。症状を緩和させるためには、効果を理解した上で自分に適しているものを選ぶことが大切です。 本記事では、アセトアミノフェンの効果を解説します。作用の仕組みや正しい服用方法についてもまとめているので、アセトアミノフェンの効果が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 薬を服用しているのに症状が緩和されずお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 アセトアミノフェンの効果 アセトアミノフェンは、熱や痛みを抑える効果が期待できます。ここでは、アセトアミノフェンの主な効果を3つ解説します。 どのような症状が出た場合に、アセトアミノフェンを服用すべきか知りたい方は、参考にしてください。 疾患の鎮痛 アセトアミノフェンには、患部の痛みを和らげる効果が期待できます。脳の中にある発熱や痛みの情報を伝える物質を抑える作用があるため、アセトアミノフェンは解熱鎮痛薬として使用されています。 鎮痛の効果が期待できる主な疾患は、以下の通りです。 頭痛 耳痛 症候性神経痛 腰痛症 筋肉痛 打撲痛 捻挫痛 生理痛 歯痛 歯科治療後の疼痛 変形性関節症 アセトアミノフェンは頭痛や生理痛、関節など、さまざまな痛みを緩和したい場合に使用されます。 急性上気道炎の解熱・鎮痛 急性上気道炎とは、鼻から喉にかけての気道となる上気道で起こる炎症のことで、いわゆる風邪を指します。風邪の症状がある場合は、解熱・鎮痛剤の使用が有効です。 アセトアミノフェンには、熱や鎮痛を抑える作用があるといわれており、医薬品として開発され100年以上にわたり世界中で使用されています。 発熱時に服用すると、熱を下げてくれるだけでなく、汗をかきやすくして体外へ熱を逃す働きを持っているのも特徴です。解熱鎮痛効果が期待できるアセトアミノフェンは、多くの市販薬で利用されています。 小児科領域の解熱・鎮痛 アセトアミノフェンは、子どもの解熱鎮痛剤としての効果も期待されている成分です。一般的に、解熱鎮痛剤は高熱や意識障害などを伴うインフルエンザ脳症を引き起こすリスクがあるため、15歳未満の服用が禁止されています。 しかし、アセトアミノフェンは脳症のリスクが低いため、乳児から使用できます。ただし、子どもの場合は年齢によって使用量が異なるため、服用する量を確認しておくことが大切です。 アセトアミノフェンにおける効果の仕組み アセトアミノフェンの効果の仕組みは、完全に解明されていません。しかし、解熱・鎮痛効果の仕組みとしては中枢神経系に作用してプロスタグランジン合成やカンナビノイド受容体系、またはセロトニン作動系などに影響を及ぼすと考えられています。(文献1) 脳の視床下部には体温調節中枢があり、発熱や痛みを引き起こす原因として「プロスタグランジン(PG)」と呼ばれる物質が関与しています。プロスタグランジンが脳の体温調節中枢に伝わることで、体の各部分で体温を上げるよう指示を出し、発熱が生じるのです。 アセトアミノフェンには、プロスタグランジンの生成を阻害する作用があり、熱や痛みを抑制する効果があるといわれています。また、体温調節中枢に作用して熱を体外へ逃がしやすくする点も、アセトアミノフェンの特徴です。 アセトアミノフェンとイブプロフェン・ロキソニンにおける効果の違い アセトアミノフェンとイブプロフェン、ロキソニンはいずれも解熱鎮痛剤が配合されている成分です。各成分には、次の違いが生じます。(文献2)(文献3)(文献4)(文献5) アセトアミノフェン イブプロフェン ロキソニン 分類 解熱鎮痛薬(非サリチル酸系) NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 効果の持続時間 4~6時間ほど 4~8時間ほど 4~6時間ほど 効き目の強さ 比較的穏やか 比較的穏やか 比較的強い 主な効果 解熱・鎮痛 解熱・鎮痛・抗炎症作用 鎮痛・抗炎症作用 胃への負担 少ない 胃粘膜を直接刺激する 胃粘膜への直接刺激が少ない 小児への使用 可能 15歳未満の使用は禁止 15歳未満の使用は禁止 アセトアミノフェンとイブプロフェン、ロキソニンを比較したところ、アセトアミノフェンは抗炎症作用の効果がほかと比べて弱いといえます。ただし、アセトアミノフェンは胃への負担が少なく、小児でも服用できるのがほかの成分と違う点です。 【関連記事】 ロキソニンの効果は?効く・効かない痛みから副作用まで現役医師が解説 【医師監修】イブプロフェンとは何の薬?成分の特徴やアセトアミノフェンとの違いを解説 アセトアミノフェン服用時のポイント アセトアミノフェンは、小児でも服用できる成分です。しかし、服用する際は注意点を理解しておく必要があります。 ここからは、アセトアミノフェンを服用する際のポイントを2つ解説するので、参考にしてください。 用法・適量を守る アセトアミノフェンを服用する際は、過剰摂取は避け、用法・適量を守りましょう。効き目の強さが比較的穏やかなため、早く効果を得ようと多めに服用してしまう方もいます。 しかし、過剰摂取は副作用のリスクが生じます。成人の場合、以下の用法および用量を守って服用することが大切です。(文献1) 症状 用量 疾患における鎮痛 1回:300~1,000mg 1日総量:4,000mg 急性上気道炎 1回:300~500mg 1日総量:1,500mg また、乳児および幼児の1回の用法・用量は以下の通りです。 体重 1回用量 5kg 50~75mg 10kg 100~150mg 20kg 200~300mg 30kg 300~450mg 小児の場合、体重1kgあたり1回10〜15mgを服用します。年齢や症状によって異なりますが、1日総量は60mg/kg が上限目安で成人の用量を超えないようにしましょう。 効果時間にあわせて服用する アセトアミノフェンは、4〜6時間おきの服用を推奨します。効果の持続時間は4〜6時間で、ロキソニンやイブプロフェンと比べてやや短い傾向にあります。 アセトアミノフェンの効果を得るためには、適切なタイミングでの服用が重要です。なお、小児の場合も成人同様に、効果の持続時間は4〜6時間ほどが目安になります。 アセトアミノフェンが逆効果となる服用方法 アセトアミノフェンは、服用方法によっては逆効果となる場合があるため注意が必要です。ここからは、アセトアミノフェンを服用する際の注意点を解説します。 副作用などを招かないためにも、正しい服用方法を理解しておきましょう。 アルコールやほかの薬との併用 アセトアミノフェンを服用する際は、飲み合わせによっては逆効果となる可能性があります。飲み合わせによっては、副作用のリスクが生じるためです。 アルコールと一緒に摂取した場合、肝障害を引き起こすリスクが高くなります。アセトアミノフェンとの併用に注意すべき薬は、以下の通りです。 リチウム製剤 チアジド系利尿剤 クマリン系抗凝血剤 カルバマゼピン フェノバルビタール フェニトイン プリミドン リファンピシン イソニアジド 抗生物質 いずれの薬もアセトアミノフェンとの併用により副作用が生じた事例が報告されています。アセトアミノフェンと同じ成分が含まれている薬との併用も、副作用を引き起こしやすくなるため、確認のうえ服用しましょう。 高用量での長期投与 1日の総量1,500mgを超える服用を、長期間行うのは逆効果となります。アセトアミノフェンを長期間、過剰摂取した場合、肝障害を引き起こすリスクが生じるためです。また、高用量服用すると、腹痛や下痢などの症状を引き起こしやすくなります。 アセトアミノフェンは、熱や痛みといった症状を緩和する成分です。熱や痛みを治療するものではないため、自己判断で服用を続けるのは副作用を招く可能性があります。 アセトアミノフェンは用法・用量を守って服用することで、副作用のリスクを抑えつつ解熱鎮痛効果が期待できます。 使用を禁忌とする患者の服用 アセトアミノフェンの使用を禁忌とする患者が服用した場合、症状を悪化させたり効果減弱につながったりする可能性があるため注意しなければなりません。次の患者は、アセトアミノフェンの使用が禁忌とされています。(文献6) 消化性潰瘍のある患者 重篤な血液の異常のある患者 重篤な肝障害のある患者 重篤な腎障害のある患者 重篤な心機能不全のある患者 アスピリン喘息のある患者 アセトアミノフェンを効果的に服用するためにも、禁忌に該当しないか確認することが重要です。 アセトアミノフェンの効果が弱いと感じたときは医療機関へ アセトアミノフェンの効果が弱いと感じたときは、医療機関を受診しましょう。慢性的な頭痛や腰痛などの症状は、市販薬を使用すれば治ると思って放置してしまいがちですが、命にかかわる大病が潜んでいる可能性もあります。 効果がないからといって、用法・用量を超える服用をせず、症状が長引く場合は専門家に相談するのをおすすめします。アセトアミノフェンの効果が弱いと感じた方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 症状に関するお悩みをお持ちの方は、専門カウンセラーへ相談も可能です。アセトアミノフェンの効果が弱く、症状が緩和されない場合は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 アセトアミノフェンの効果を理解した上で正しく服用することが重要 アセトアミノフェンには、疾患や急性上気道炎、小児科領域の解熱・鎮痛などの効果が期待できます。胃への負担が少なく、子どもでも使用できるため、アセトアミノフェンは年齢問わず幅広く使用されている解熱鎮痛薬です。 アセトアミノフェンの効果を得るためには、適切な用法・用量で服用する必要があります。解熱鎮痛剤の代表となるアセトアミノフェンの効果を理解し、正しく服用しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。アセトアミノフェンの効果について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 アセトアミノフェンの効果に関するよくある質問 効果が出るまでにどれくらい時間がかかりますか? アセトアミノフェンを服用してから効果が出るまでには、30分〜1時間程度かかります。薬は胃腸で分解・吸収されて血液から全身に運ばれるため、数分で効果が出るわけではありません。 服用した量や体格によっても、効果が出るまでの時間は異なります。なお、アセトアミノフェンを空腹時に飲むのは極力避け、食後の服用を意識しましょう。 副作用はありますか? アセトアミノフェンは、これまでに以下の副作用が見られた事例があります。 アナフィラキシー 喘息 肺炎 嘔吐 腹痛 下痢 食欲不振 過敏症 異常が見られた場合は、服用を中止しましょう。特に、子どもが服用する際は、様子を見ておく必要があります。 参考文献 (文献1) 解熱・鎮痛剤 - 日本薬局方 アセトアミノフェン|一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC) (文献2) Alternating acetaminophen and ibuprofen for pain in children|PMC (文献3) Nonsteroidal anti-inflammatory drugs and upper and lower gastrointestinal mucosal damage|PMC (文献4) 医薬品インタビューフォーム|あゆみ製薬株式会社 (文献5) ロキソニン錠60mg,添付文書|厚生労働省 (文献6) アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の 「使用上の注意」の改訂について|厚生労働省
2026.01.31 -
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朝になると腹痛が起こるのに、日中はとくに問題がなく「病気なのか」「様子見で良いのか」と判断に迷ってしまうことはありませんか。 学校や仕事の前に毎日のように腹痛が起こると、不安やストレスを感じ、誰にも相談できずに悩んでいる人も多いでしょう。 朝だけ起こる腹痛には、過敏性腸症候群(IBS)をはじめ、自律神経の乱れや朝の食習慣など、いくつかの原因が考えられます。原因に適した対策をすることが大切です。 本記事では、朝だけ腹痛が起こる原因と対策、セルフケアの方法や早めに受診すべきサインを紹介します。 朝だけの腹痛に不安を感じている方は、自分の症状を見極めるための参考として、ぜひ本文を読み進めてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。朝だけの腹痛について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腹痛が朝だけ起こる主な原因 朝だけ腹痛が起こる背景には、いくつかの代表的な原因が考えられます。ここでは、朝の腹痛と関係が深い次の3つの原因を紹介します。 朝の食習慣 機能性ディスペプシア 過敏性腸症候群(IBS) 生活習慣によるものから、胃腸の機能に関わる疾患まで幅があり、人によって当てはまる理由はさまざまです。「自分の場合はどれに近いのか?」を意識しながら読み進めてみてください。 朝の食習慣 朝食が刺激となり、朝に腹痛が引き起こされるケースが挙げられます。 たとえば、以下のように冷たい飲み物や脂質が過剰な食事が朝の習慣となっている場合、胃腸に負担がかかりやすく腹痛を招くことがあるため、注意が必要です。 起きてすぐに冷たい牛乳やアイスコーヒーを飲む 菓子パン・揚げ物など高脂質なメニューの朝食をとる 食習慣が原因となっている場合、飲み物を常温にする・朝食のメニューを軽めにするなど、食事内容を見直すことで改善するケースもあります。 ただし、腹痛が繰り返し起こる場合や不安がある場合には、医療機関への相談も検討しましょう。 機能性ディスペプシア 機能性ディスペプシアは、胃や上部消化管に内視鏡検査などで明らかな異常(器質的病変)が見つからないにも関わらず、上腹部の痛みや不快感が続く状態を指します。「食後の膨満感や早期満腹感・胸焼けなどの症状が、3か月以上続くこと」が診断の目安です。(文献1) また、就寝中は胃の消化活動が低下する傾向にあるため、夕食の内容や時間帯によっては翌朝まで胃に負担が残ってしまうことがあります。その結果、起床時に胃酸の刺激による痛みや胸焼けを強く感じ、朝の不調として自覚されるケースも少なくありません。 過敏性腸症候群(IBS) 過敏性腸症候群(IBS)は、内視鏡検査や血液検査などで明らかな異常が見つからないものの、下痢や便秘といった便通トラブルと腹痛が繰り返し起こる状態です。 症状は毎日続く、良くなったり悪くなったりを繰り返すなどさまざまで、こうした状態が3か月以上続くと診断の目安とされます。(文献2) これらの特徴に加え、朝の通勤・通学時など精神的な緊張が高まる場面で症状が悪化しやすい傾向があります。 排便によって一時的に腹痛が軽快することも多い一方で、トイレに行けない状況への不安がさらなるストレスとなり、症状を長引かせる要因になり得ます。 朝だけの腹痛の原因で多い「過敏性腸症候群(IBS)」とは 朝だけ腹痛が起こる原因として多いのが、過敏性腸症候群(IBS)です。IBSは症状が時間帯によって変わりやすく、朝や通学・出勤前などに腹痛が出やすい特徴があります。 本章では、その原因や分類についてより詳しく解説します。 過敏性腸症候群が起こる原因 過敏性腸症候群が起こる代表的な要因の一つがストレスです。 精神的な緊張や不安は自律神経を介して腸の運動や知覚に影響を与え、腹痛や便通異常が引き起こされやすくなります。過敏性腸症候群の人は、ストレスの影響で胃腸の調子が悪化しやすいことが知られています。 その他、過敏性腸症候群に関連すると報告されている原因の例は、以下の通りです。(文献2) 原因 補足 内臓の知覚過敏 腸の神経が敏感になり、わずかなガスや腸の刺激に対しても、脳が過剰に「痛み」として受け取ってしまう 微細な粘膜の炎症 軽微な炎症により、腸の神経が過敏となり痛みが出る可能性がある 遺伝 特定の遺伝子多型を持っていると、内臓の知覚過敏やストレスに反応しやすくなる可能性が指摘されている 過敏性腸症候群は、単一の要因に限らず、これら複数の要因が重なって発症・悪化すると考えられています。 過敏性腸症候群の分類 過敏性腸症候群は、便の状態や症状のあらわれ方によって、主に以下のタイプに分類されます。(文献2) 分類 主な症状 下痢型 軟便や水のような便が多い 便秘型 硬い便が多い 混合型 硬い便も軟らかい便も、どちらも一定以上ある 分類不能型 上のどれにも当てはまらない 腹痛の有無だけでなく「下痢が多いのか」「便秘が続いているのか」といった便通の状態を日頃から意識して観察することが大切です。 症状のタイプによって、生活上の工夫や治療の考え方が異なるため、自分の傾向を把握することが適切な対処につながります。 「過敏性腸症候群かも?」と感じた方は、毎日便の状態を確認・記録するようにしましょう。 腹痛が朝だけ起こる「過敏性腸症候群(IBS)」の対処法 過敏性腸症候群の対処では、悪化のきっかけを減らして日常生活への影響を小さくしていくことが大切です。具体的な対処法は以下の3つが挙げられます。 症状の原因食品の摂取を控える 学校や職場に相談する 消化器内科に受診する 過敏性腸症候群の症状が気になる方は、できることから一つずつ試してみてください。 症状の原因食品の摂取を控える 過敏性腸症候群では、特定の食品が腹痛や便通異常を引き起こしやすいことがあります。牛乳やミルクなどの乳製品・カフェイン飲料などが代表的なものです。これらは腸の動きを刺激し、症状を悪化させる場合があります。 朝の腹痛が気になる場合はこのような食品を控え、症状に変化があるかを観察してみるのも一つの方法です。 近年では、こうした食品を控える「低FODMAP食」を意識した食事が、IBS症状の緩和に役立つ可能性が示されています。(文献2) 低FODMAP食への置き換え例は、以下の通りです。 食品の分類 高FODMAP食品(NG例) 低FODMAP食品(OK例) 乳製品 牛乳やヨーグルト アーモンドミルク 果物 りんごや梨 バナナやミカン ただし、低FODMAP食がすべての人に有効とは限りません。無理に制限せず、自分の体調や症状に合うかどうかを確認しながら取り入れていきましょう。 学校や職場に相談する 過敏性腸症候群では、急な便意により頻繁にトイレへ駆け込むケースが多いものです。その影響で遅刻したり、授業や仕事の途中で席を外したりしてしまうケースも少なくありません。こうした状況が続くと、周囲に気を遣い、人間関係に不安を感じてしまうこともあるでしょう。 しかし、無理に我慢したり周囲に気を遣いすぎたりするのは、症状を悪化させる一因となりえます。 信頼できる相手に症状の特性を伝え、理解や配慮を得ると心理的な負担が軽くなることがあります。 過敏性腸症候群は外見からわかりにくい症状だからこそ、一人で抱え込みすぎず、周囲の理解を得ておくことも大切です。 消化器内科に受診する 過敏性腸症候群は、消化器内科が専門分野です。症状について詳しい検査や受診をしたい場合、まずは消化器内科の受診を検討すると良いでしょう。 近隣に専門医がいない場合は、まずはかかりつけの内科に相談してみましょう。必要に応じて専門医を紹介されるケースもあります。 過敏性腸症候群は自己判断が難しい疾患の一つです。医療機関を受診することで、症状や経過に応じた検査や治療方針について相談できるほか、生活上の注意点について助言を受けることもできます。腹痛が朝だけであっても、繰り返し続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。 また腹痛の治療やケア方法については以下の記事にて詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。 【今すぐできる】朝だけの腹痛を和らげるセルフケア 朝だけ起こる腹痛は、日常生活の工夫によって和らぐこともあります。ここでは、今日から無理なく取り入れやすいセルフケアを紹介します。 生活リズムを整える 起床時間や就寝時間が日によって大きく乱れると、体内時計がうまく働かなくなり、自律神経の切り替えがスムーズに行われにくくなります。 自律神経は腸の動きを調整する役割も担っているため、自律神経のバランスが崩れると腸が過剰に動いたり、逆に動きが鈍くなったりして、腹痛が起こりやすくなることがあるのです。 生活リズムを整えるためには「起きる時間や寝る時間を大きく変えない」ことがポイントです。次のような工夫を取り入れると、生活リズムが乱れにくくなります。 平日と休日で起床時間を大きくずらさない 朝の行動をある程度ルーティン化する 寝る1時間前にはスマートフォンの使用を控える こうした工夫で生活リズムを整えることで、腸の動きが一定に保たれやすくなり、朝の腹痛を和らげる助けになることがあります。無理のない範囲で、できることから実践してみてください。 ストレスを和らげる習慣を始める 日常のストレスは腸の働きに影響を与え、腹痛などの症状を引き起こすことがあります。そのため、自分なりのストレス解消法を持っておくことが大切です。 普段の生活では、軽い運動やストレッチ・入浴・好きな音楽を聴くなど、リラックスできる習慣を取り入れると良いでしょう。 また、プレゼンや重要な予定がある朝など、緊張で症状が出やすい場合は深呼吸や気持ちを落ち着かせるルーティンを決めておくのも一つの方法です。 こうした工夫を続けることで、緊張やストレスが和らぎ、朝の腹痛の軽減につながることがあります。ストレスを感じやすいと自覚している方は、ぜひ日常に取り入れてみてください。 腹痛のストレスケアとして「ツボ押し」も効果が期待できる場合があります。詳しい方法は以下の記事をご覧ください。 朝だけの腹痛ですぐに受診すべきケース 朝だけ腹痛が起こる場合でも、次のような症状を伴う場合は、様子を見ずに早めに医療機関を受診することが重要です。 原因不明の体重減少や血便、発熱の症状がある 腹痛の程度が徐々に強くなっている 夜間にも下痢や腹痛が起こり、眠れない状態が続いている 1か月以上にわたり、下痢の症状が続いている これらの症状がみられる場合は、過敏性腸症候群以外の疾患が隠れている可能性があります。場合によっては早急な治療が必要となることもあるため、できるだけ早く受診するようにしましょう。 腹痛が朝だけ起こる原因を見極めて適切な対処をしよう 朝だけ起こる腹痛には過敏性腸症候群をはじめ、生活習慣やストレスなど、さまざまな原因が関係している可能性があります。原因を一つに決めつけず、自分の症状の特徴や生活状況を振り返ることが大切です。 セルフケアで和らぐ場合もありますが、症状が続く場合や不安が強い場合は、医療機関に相談することをおすすめします。無理に我慢せず、本記事を参考に自分に合った対処法を選んでいきましょう。 なお「まずは専門的な意見を聞いてみたい」「受診の目安を知りたい」方に向けて、当院リペアセルクリニックでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を公式LINEで行っています。気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 朝だけ起こる腹痛に関するよくある質問 過敏性腸症候群は子供にも起こることはありますか? 過敏性腸症候群は大人だけでなく、小学生の子供や思春期の年代でも起こることがあります。とくに学校生活での緊張や人間関係、環境の変化などがストレスとなり、腹痛や便通異常として現れるケースも少なくありません。 朝の登校前に腹痛を訴える場合、その背景に過敏性腸症候群が関係している可能性も考えられます。 腹痛が繰り返し続く場合や日常生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 過敏性腸症候群かどうかを自分で確かめる方法はありますか? 次の項目に当てはまるものが多い場合は、過敏性腸症候群の可能性が考えられます。ご自身の症状と照らし合わせながら、確認してみましょう。 腹痛が繰り返し起こる 前触れなくトイレに行きたくなる 排便により腹痛が和らぐ 下痢や便秘を繰り返す 過敏性腸症候群かどうかを正確に判断するためには、医師による診察が必要です。こうした兆候が続いている場合は、一度医療機関で相談することをおすすめします。 参考文献 (文献1) 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2021―機能性ディスペプシア(FD)改訂第2版|日本消化器病学会 (文献2) 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2020―過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)|日本消化器病学会
2026.01.31 -
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「お腹が痛い上に下痢が止まらない」 「下痢を伴う腹痛が数日続いてつらい」 腹痛を伴う下痢は、誰もが一度は経験したことのある身近な症状です。トイレからなかなか出られず、日常生活に支障が出るほどつらいと感じる方も多いでしょう。 腹痛の原因はさまざまで、食生活の乱れやストレス、食あたりなどがきっかけになることがあります。ただし、症状が何日も続く場合や、下痢に加えて発熱・血便がみられる場合は注意が必要です。 本記事では、現役医師が下痢を伴う腹痛について詳しく解説します。記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腹痛を伴う下痢について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腹痛を伴う下痢が続く原因 下痢が続く原因 詳細 感染症(感染性胃腸炎・食中毒) 病原体感染や汚染食品による腸炎 薬・アルコール・食事など刺激 薬の副作用や飲食物刺激による腸管反応 ストレス・体質(過敏性腸症候群など) 自律神経の乱れによる腸機能の不安定化 腸の炎症性疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など) 慢性炎症による下痢の遷延(せんえん) 腹痛と下痢が続く背景には、腸の一時的な炎症から慢性疾患まで幅広い原因があります。外食や生ものを食べた後に急に症状が始まった場合は感染症が疑われます。 また、薬の副作用・アルコール・脂っこい食事などの刺激によって腸が過敏に反応し、下痢が続く場合は注意が必要です。 腹痛を伴う下痢は、ストレスが続くことで腸の動きが乱れ、過敏性腸症候群のように検査で大きな異常が見つからないのに症状が続くケースもあります。 血便・体重減少・発熱を伴いながら長引く場合は、潰瘍性大腸炎やクローン病など腸の炎症性疾患も考慮が必要です。原因によって対処法は異なるため、経過と症状の組み合わせから見極める視点が大切です。 感染症(感染性胃腸炎・食中毒) 腹痛を伴う下痢が数日続く場合、原因として最も多いのが感染症です。代表例は、腸に病原体が感染して起こる感染性胃腸炎や、汚染された食品を介して発症する食中毒です。 感染性胃腸炎では、下痢に加えて吐き気・嘔吐・腹痛・発熱などがみられ、ノロウイルスは典型例として知られています。感染症といっても原因はさまざまで、症状の強さや持続期間は病原体や体調により変わります。 外食や生もの摂取後の発症・周囲に同様の症状がいる・急に下痢が始まった・嘔吐や発熱を伴うといった状況は重要な手がかりです。血便や強い腹痛がある場合は早急に受診しましょう。 以下の記事では、感染症をきっかけに発症する可能性のあるギランバレー症候群について詳しく解説します。 【関連記事】 ギラン・バレー症候群(GBS)とは?原因・症状・治療法を医師が解説 【医師監修】ギランバレー症候群の原因となる食べ物を紹介|調理・食事で意識すべき予防法も解説 薬・アルコール・食事など刺激 腹痛を伴う下痢が続く場合、感染症だけでなく、薬・アルコール・食事による腸への刺激が原因となる場合があります。とくに抗菌薬は腸内細菌にも影響し、腸内環境の乱れから下痢が起こりやすくなります。 抗菌薬を服用した後に起こる下痢(抗菌薬関連下痢)は珍しくありません。米国を代表するMayo Clinic(メイヨークリニック)の報告によると、抗菌薬使用者の約5人に1人に生じるとされています。(文献1) 多くは軽症ですが、腹部症状を伴って服用中から服用後まで下痢が続く場合があり、下痢時のアルコール摂取は腸への刺激と脱水の進行につながるため注意が必要です。脂っこい食事や香辛料なども症状を長引かせる要因になります。 ストレス・体質(過敏性腸症候群など) 感染症が否定的でも腹痛と下痢が続く場合、原因として過敏性腸症候群が挙げられます。過敏性腸症候群の特徴は、単なる下痢ではなく腹痛と便通変化(下痢・便秘など)がセットで続き、腹痛が排便と関連して起こる点です。 排便前に腹部症状が強まり、排便後に軽くなる場合もあり、MSDマニュアルでも排便に伴う腹痛や排便習慣の変化が典型的とされています。(文献2) 過敏性腸症候群はストレスが原因と断定できない一方で、ストレスや不安、生活環境の変化で悪化しやすく、日本消化器病学会の患者向けガイドでも心理面に配慮した対応が示されています。(文献3) 症状は体質として波があり、良い時期と悪い時期を繰り返しやすい点も特徴です。(文献2) 以下の記事では、朝だけ腹痛が起こる原因や対処法について詳しく解説しています。 内部リンク:腹痛 朝だけ 腸の炎症性疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など) 腹痛を伴う下痢が続く場合、感染症や過敏性腸症候群だけでなく、腸に慢性的な炎症が起こる炎症性腸疾患(IBD)も原因として考えます。炎症性腸疾患には主に潰瘍性大腸炎とクローン病が含まれ、症状が長引きやすい点が特徴です。 潰瘍性大腸炎は血便を伴う下痢と腹痛が典型で、難病情報センターでも下痢・血便・腹部症状が代表的と説明されています。(文献4) クローン病は慢性的な下痢と腹部症状に加え、発熱・食欲低下・体重減少など全身症状を伴う場合があります。潰瘍性大腸炎との違いとして、血便・発熱・体重減少など炎症を示すサインの有無が手がかりになります。 腸の炎症性疾患が疑われる場合は、悪化する前に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、腸の炎症性疾患について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎とは|症状・原因・治療法を解説 【医師監修】クローン病とは|初期症状や原因まで詳しく解説 腹痛を伴う下痢の対処法 対処法 詳細 水分補給をこまめに行う 脱水予防のための少量頻回の水分摂取 消化に良い食事を心がける 胃腸負担を減らすための低脂肪で刺激の少ない食事 身体を温めて十分な休養をとる 腸の安静維持と回復促進のための保温と休息 原因疾患を治療する 感染症や慢性疾患など原因に応じた治療の実施 腹痛と下痢の対処は脱水予防・腸の安静・原因に応じた対応が基本です。まずは水分と電解質の補給を優先し、食事は無理せず消化の良いものに絞ります。 冷えや疲労は症状を悪化させやすいため保温と休養も欠かせません。自己判断の下痢止めは感染症では回復を遅らせる場合があるため注意しましょう。 腹痛を伴う下痢が改善しない場合や、血便・発熱がある場合は早急に受診が必要です。 以下の記事では、腹痛の治し方について詳しく解説しています。 内部リンク:腹痛 治し方 水分補給をこまめに行う 腹痛を伴う下痢が続くと、便と一緒に水分だけでなくナトリウムやカリウムなどの電解質も失われ、脱水(体液バランスの崩れ)を起こしやすくなります。脱水が進むと、だるさや口渇が出やすく、回復も遅くなります。 水分補給は一気飲みを避け、少量をこまめに摂るのが基本です。下痢や嘔吐があるときは水より経口補水液(ORS)が役立つ場合もあり、CDC(米国疾病予防管理センター)も市販の経口補水液が軽度の脱水に最も役立つと説明しています。(文献5) 消費者庁資料では、経口補水液はWHOが提唱する経口補水療法に用いる飲料として整理されています。(文献6) 消化に良い食事を心がける 腹痛を伴う下痢があるときは腸が過敏になっており、脂っこい食事や刺激物で症状が悪化・長期化しやすくなります。回復期は、腸を休ませる目的で消化に良い食事を選ぶことが重要です。 目安は低脂肪・低食物繊維・薄味で、おかゆ・うどん・食パン・バナナ・脂身の少ない鶏肉や白身魚などを無理のない範囲で取り入れます。 揚げ物・香辛料・乳製品に加え、アルコール・カフェインも避けましょう。CDC(米国疾病予防管理センター)もノロウイルスでは脱水予防の観点からアルコール・カフェインを避ける方針を示しています。(文献7) 食べられないほど症状が強い場合は無理に食事を取らず、NIDDKもウイルス性胃腸炎では水分と電解質の補給を優先することを示しています。(文献8) 以下の記事では、食生活改善について詳しく解説しています。 身体を温めて十分な休養をとる 腹痛を伴う下痢が続くと、炎症や脱水の影響で体力を消耗しやすく、回復が遅くなります。感染性胃腸炎などは自然に軽快する場合も多い一方、回復には休養による体力維持が欠かせません。 無理に動くと消化管への負担が増え、腹部症状が長引く要因になります。腸を休ませる意味でも、基本は自宅で安静にし、水分補給を優先しましょう。 身体が冷えると腹痛や下痢が悪化する人もいるため、冷房や薄着を避けて身体を温めることも有用です。感染性胃腸炎が疑われる場合は、通勤・通学を控えることで周囲への感染拡大を防げます。 原因疾患を治療する 腹痛を伴う下痢は病名ではなく症状のため、回復には原因疾患の治療が欠かせません。MSDマニュアルでも「下痢は症状であり、可能なら基礎疾患(原因)を治療する」とされています。(文献9) 原因が感染症の場合でも対応は一律ではなく、ノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎では水分補給を中心とした支持療法が基本です。 CDC(米国疾病管理予防センター)もノロウイルスに抗菌薬は有効でないと明記しています。一方で、旅行者下痢症など一部のケースでは状況により抗菌薬を検討する場合があります。(文献10) 整腸剤や下痢止めは症状緩和に役立ちますが、細菌感染や炎症性腸疾患が原因の場合は対症療法だけで長期化・悪化することがあるため、症状が続くときは自己判断せず医療機関で原因を確認することが大切です。 以下の記事では、腹痛の原因疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病の治療法について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎の治療とは?目標・流れ・治療薬について解説 【医師監修】クローン病の治療薬一覧|副作用や服用時の注意点を解説 腹痛を伴う下痢に関する注意点 注意点 詳細 脱水症状に注意する(水分が摂れない場合は早期に受診) 水分・電解質喪失による脱水リスクの増大 血便・黒い便・発熱などがある場合は早期に受診する 炎症性疾患や重症感染症を示す可能性 下痢止めの自己使用は注意(感染性胃腸炎では悪化の可能性) 病原体排出遅延による症状遷延リスク 家庭内感染を防ぐ(手洗い・消毒・食品取扱い) 接触感染予防のための衛生管理徹底 腹痛と下痢は身近な症状でも、脱水や重い感染症、炎症性腸疾患が原因となっている場合があります。自己判断で様子見を続けると、体力と水分が失われます。 水分が取れない・血便・発熱が続く・意識がぼんやりする場合は速やかに医療機関を受診しましょう。下痢止めの自己使用は感染症の回復を遅らせる可能性があります。 下痢の背景に感染症が隠れていることもあるため、家庭内感染を防ぐ目的で、手洗い・消毒・食品管理を徹底しましょう。 脱水症状に注意する(水分が摂れない場合は早期に受診) 腹痛を伴う下痢では水分と電解質が失われて脱水を起こしやすく、倦怠感・口渇・尿量低下などが出て回復が遅れるおそれがあるため注意が必要です。 MSDマニュアルでも、下痢の警戒所見として尿量低下・強い口渇・脱力や活気低下などの脱水所見が挙げられています。(文献11) とくに水分が摂れない・飲んでも吐く状態は危険なサインです。MSDマニュアルは受診が必要な警戒サインとして水分を保持できない(飲めない)ことを挙げています。(文献12) 基本は経口補水液(ORS)による補給で、WHO(世界保健機関)の下痢治療ガイドでも脱水予防・改善の基本として経口補水を中心に示しています。(文献13) 水分が摂れない場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。 血便・黒い便・発熱などがある場合は早期に受診する 腹痛を伴う下痢に血便(鮮血・粘血便)が混ざる場合、腸粘膜の炎症や出血を伴う細菌性腸炎、炎症性腸疾患などの可能性があり、様子見は推奨できません。 便が黒い、タール状の黒色便は胃や十二指腸など上部消化管出血が疑われます。MSDマニュアルでは、黒色便は緊急事態として扱う必要があるとされています。(文献14) 発熱を伴う下痢は感染症、とくに細菌性腸炎を含めた評価が必要です。腸管出血性大腸菌では腹痛や水様性下痢に加えて血便が重要所見となり、重篤な合併症につながる場合があります。 血便・黒色便・発熱がある場合は様子見で問題ない下痢の範囲を超える可能性が高いため、医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、血便や発熱の原因である大腸がんについて詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】大腸がんとは?|症状・原因・検査について詳しく解説 大腸がんの症状チェックリスト|検査・治療法も解説 下痢止めの自己使用は注意(感染性胃腸炎では悪化の可能性) 下痢止め(止瀉薬)は症状を抑える一方、原因によっては使用が逆効果になる可能性があります。感染性胃腸炎や食中毒では、腸が病原体や毒素を排出しようとして下痢が起こる面があり、腸の動きを無理に止めると回復が遅れたり悪化したりする恐れがあります。 とくに発熱や血便を伴う下痢では自己判断で使わないのが基本です。IDSA(米国感染症学会)の診療ガイドラインでも、ロペラミドなどの止瀉薬は「免疫が保たれた成人の水様便(発熱なし・血便なし)では使用が検討され得る」一方で、「発熱や炎症性下痢では避けるべき」と整理されています。(文献15) 迷う場合は下痢止めに頼らず、水分補給を優先し、医療機関を受診しましょう。 家庭内感染を防ぐ(手洗い・消毒・食品取扱い) 項目 大切なポイント 手洗い 石けんと流水による手洗いの徹底(手指消毒剤のみでは不十分) 消毒 次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)による環境消毒の実施(ドアノブ・蛇口など接触部位) 食品取り扱い 症状がある人は調理を避けることの徹底(二枚貝の十分な加熱、器具の洗浄・熱湯消毒) 感染性胃腸炎(とくにノロウイルスなど)は、吐物や便に含まれる病原体が手指や環境を介して広がりやすく、家庭内でも二次感染が起こり得ます。 対策の基本は石けんと流水による手洗いであり、手指消毒剤だけでは十分に効きにくいとされているため、厚労省も食事前・トイレ後などの手洗いを強く推奨しています。(文献16) 消毒は次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)が基本です。東京都マニュアルでは手すり・ドアノブ・蛇口などを0.02%で拭く方法が示されています。(文献17) 厚労省の資料では、ノロウイルスにエタノールや逆性石けんは効果が乏しいため、塩素系消毒を推奨しています。(文献18) 食品面について、症状がある方は調理を避けることが重要です。また、東京都保険医療局は二枚貝を中心部まで加熱し、器具の洗浄や熱湯消毒を徹底するよう示しています。(文献19) 腹痛を伴う下痢の原因を理解して適切に対処しよう 腹痛と下痢が続くときは、まず脱水を防ぐための水分・電解質補給を優先し、消化に良い食事と休養で腸を休ませながら経過をみましょう。 ただし、症状が長引く場合、食あたりや一時的な胃腸炎だけでなく、抗菌薬など薬剤の影響や過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎・クローン病など炎症性腸疾患が関与していることもあります。 自己判断で下痢止めを使い続けると回復を遅らせる可能性があるため、血便・黒色便・発熱、水分が摂れないなどの警戒サインがないかを確認し、必要に応じて早めに消化器内科を受診しましょう。 改善しない腹痛を伴う下痢の症状は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、下痢の原因となる疾患に対し、再生医療を用いた治療を行っています。 再生医療は、標準治療(薬物療法や手術など)で十分な効果が得られないクローン病などの難治性疾患を対象に、損傷した組織の修復や炎症の調整に関わる仕組みを通じて症状の改善を目指す治療法です。 従来の治療と比べて副作用が少ない可能性が示唆されている一方、有効性には個人差があるため、適応や治療内容は病状に応じて慎重に検討する必要があります。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 腹痛を伴う下痢に関するよくある質問 腹痛を伴う下痢に対して市販薬と処方薬だとどのくらい効果に差がありますか? 市販薬は下痢回数や腹部不快感の軽減を目的とする対症療法が中心で、感染や炎症そのものの改善は目的としていません。 市販薬と処方薬の目的の違いや効果は以下の表を参考にしてみてください。 区分 目的・効き方 代表例 注意点 市販薬 症状の一時的な軽減 ロペラミドなど止瀉薬、ビスマス製剤 原因治療ではない点、感染性疑い時の悪化リスク 処方薬 原因に応じた治療 細菌性への抗菌薬、炎症性疾患に対する治療 医師判断による適応選択の必要性 (文献20) 処方薬は原因に合わせた治療選択が可能で、細菌性腸炎などでは経過短縮が期待される場合もあります。発熱や血便がある場合は自己判断の下痢止め使用を避け、早期受診を優先することが基本です。 下痢は出し切った方が良いと聞きましたが本当ですか? 感染性胃腸炎が疑われる下痢は病原体や毒素を排出する側面があるため、下痢止めで無理に止めない方が良い場合があります。 とくに発熱や血便がある場合は、悪化の恐れがあるため避けることが基本です。一方、発熱・血便のない成人の水様便では状況により使用を検討できます。 下痢に効くツボを押すと症状は和らぎますか? ツボ押し(指圧)で下痢そのものが止まる・治ると断定できる十分な根拠は現時点ではありません。一方で、過敏性腸症候群などストレス関連で下痢が続くタイプでは、鍼(アキュパンクチャー)で症状が軽くなる可能性が示された研究もあります。 しかし、偽鍼(プラセボ)との差がはっきりしないため、エビデンスの確実性は低めと整理されています。(文献21) ツボ押しはあくまで補助的手段として位置づけ、基本は水分補給を優先することが重要です。血便・発熱・脱水・強い腹痛・症状の長期化がある場合は自己判断に頼らず、早急に医療機関を受診しましょう。(文献9) 以下の記事では、腹痛とツボの関係性について詳しく解説しています。 内部リンク:腹痛 ツボ 参考文献 (文献1) Antibiotic associated diarrhea|Mayo Clinic (文献2) 過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアル家庭版 (文献3) 過敏性腸症候群(IBS)ガイド2023|日本消化器病学会 (文献4) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター (文献5) About Norovirus|CDC (文献6) 経口補水液の知識|消費者庁 (文献7) Norovirus infection |MAYOCLINIC (文献8) Treatment of Viral Gastroenteritis (“Stomach Flu”) |NIH National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases (文献9) Diarrhea|MSD Manual Professional Version (文献10) Norovirus|CDC (文献11) 成人の下痢|MSDマニュアル家庭版 (文献12) 子どもの脱水|MSDマニュアル家庭版 (文献13) Diarrhoea Treatment Guidelines (文献14) 消化管出血|MSDマニュアル家庭版 (文献15) IDSA 2017 Clinical Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Infectious Diarrhea|IDSA (文献16) ノロウイルスに関するQ&A|厚生労働省 (文献17) 社会福祉施設などにおけるノロウイルス対応標準マニュアルダイジェスト版|東京都福祉保健局 (文献18) ノロウイルスによる食中毒|厚生労働省 (文献19) 感染性胃腸炎について|東京都保険医療局 (文献20) Diarrhea|MAYOCLINIC (文献21) Irritable Bowel Syndrome and Complementary Health Approaches: What the Science Says | NIH National Center for Complementary and Integrative Health
2026.01.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「クローン病の薬の服用について不安がある」 「クローン病の薬の効果を知りたい」 クローン病と診断されたばかりの方は、薬の服用や副作用などに不安を抱きやすいものです。 また、クローン病の治療薬は種類が多く、それぞれの効果や違いがわかりにくいため、どの薬を選べば良いのか悩む方もいます。 本記事では、クローン病の治療薬を一覧で紹介し、効果の違いに加えて副作用や服用時の注意点も解説します。記事の最後には、クローン病の治療薬に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 クローン病の治療薬一覧 治療薬 詳細 5-ASA製剤(5-アミノサリチル酸) 腸の炎症を抑える薬 ステロイド 強い炎症を短期間で抑える薬 免疫調節薬・免疫抑制薬 免疫反応を抑えて炎症を抑える薬 生物学的製剤 炎症に関わる物質を標的にする薬 JAK阻害剤 炎症の伝達経路を抑える内服薬 抗菌薬 感染や合併症の治療に用いる薬 クローン病の薬は、炎症を抑える・免疫の過剰反応を整える・再燃を防ぐなど目的が異なります。 軽い炎症では腸の炎症を抑える薬から始まり、症状・内視鏡所見・合併症の有無でステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤、JAK阻害剤へ段階的に検討します。 肛門病変や膿瘍などを伴う場合は、抗菌薬を併用することもあります。薬の種類が増えるほど副作用や感染症のリスクも高まるため、服用は必ず医師の指示に従うことが大切です。 5-ASA製剤(5-アミノサリチル酸) ポイント 詳細 副作用が比較的少ない 免疫抑制が強すぎない治療の選択肢 軽症例で選択されやすい 診断初期や病勢が落ち着いている場合の選択肢 一部の患者で効果が期待できる 一定数の患者に効果が期待できる薬剤の位置づけ 他治療と併用しやすい 栄養療法などと組み合わせるベース薬としての活用 (文献1)(文献2) 5-ASA製剤(メサラジンなど)は、腸の炎症を抑える目的で用いられる薬です。免疫を強く抑えないため比較的副作用が少なく、軽症例や診断初期で検討されることがあります。 ただし効果には個人差があり、すべての患者に有効とは限りません。そのため、治療の柱として使うかは病状に応じた判断が必要です。 5-ASA製剤の副作用 5-ASA製剤(メサラジンなど)は、比較的副作用が少ない薬とされていますが、胃の不快感・吐き気・下痢などの消化器症状、頭痛、発疹・かゆみといった症状がみられる場合があります。 多くは軽度で調整により落ち着くこともありますが、自己判断で治療薬を中止せず医師に相談しましょう。 まれに腎障害(間質性腎炎)が報告されており、初期は症状が出にくいため定期的な腎機能チェック(採血・尿検査)が欠かせません。(文献3) 頻度は低いものの急性膵炎もあり、上腹部の強い痛み・吐き気・背中への放散痛があれば、早めに医療機関を受診することが大切です。(文献4) ステロイド ポイント 詳細 炎症を速やかに抑えやすい 活動期の強い炎症を短期間で鎮める寛解導入薬としての位置づけ 長期使用を基本としない 副作用リスクを踏まえた短期使用前提の治療の選択肢 病変に応じた使い分け 全身型と腸管作用型(例:ブデソニド)を選べる薬剤特性 維持療法へつなぐ役割 免疫調節薬・生物学的製剤などが効くまでの橋渡しとしての活用 ステロイド(副腎皮質ステロイド)は抗炎症作用が強く、クローン病の活動期(症状が強い時期)に起きている腸の強い炎症を速やかに抑え、腹痛・下痢・発熱などの症状を短期間で改善し、寛解導入を目的に用いられます。 難病情報センターでも、中等症以上で使用される治療薬として整理されています。(文献2) 一方で副作用が増えやすいため長期使用は基本とせず、ACGガイドラインでも維持療法には推奨されていません。(文献5) 全身に効くプレドニゾロンに加え、腸管で作用しやすいブデソニドなどがあり、軽〜中等症の回盲部病変ではブデソニド9mg/日が寛解導入に推奨されています。(文献6) ステロイドの副作用 ステロイド(副腎皮質ステロイド)は炎症を強力に抑える一方で、副作用が出やすい薬です。 服用開始後の早い段階から、食欲増加・体重増加、むくみ、胃の不快感、にきび、不眠、気分の変化(イライラ・不安感など)がみられる場合があります。 高用量・長期使用では免疫が抑えられて感染症にかかりやすくなるほか、骨粗鬆症、血糖上昇(糖尿病の悪化・発症)、白内障・緑内障などのリスクが高まります。(文献7) 高熱・息苦しさ・強い抑うつ・視力変化・黒色便などがあれば、早急に医療機関を受診しましょう。 ステロイドは抗炎症作用が強い薬であるため、副作用が疑われる症状が出た場合でも自己判断で中断せず、医師と相談しながら調整することが基本です。 ガイドラインでも、ステロイドは寛解導入に重要な治療薬である一方、過量投与や長期使用は避けるべきとされています。(文献8) 免疫調節薬・免疫抑制薬 ポイント 詳細 再燃予防と寛解維持 炎症が落ち着いた後の再燃を防ぐ維持療法としての位置づけ ステロイド依存の回避 ステロイド減量・中止を支えるステロイドスパリング薬としての役割 生物学的製剤の補助 併用による効果安定化や治療効果低下リスクの軽減 中長期の病勢コントロールに向いている 効果発現が緩やかな維持療法向け薬剤特性 免疫調節薬・免疫抑制薬(主にチオプリン製剤:アザチオプリン、6-MPなど)は、クローン病でいったん炎症が落ち着いた後に、再燃を防いで寛解を長く保つ寛解維持を目的として用いられることが多い治療薬です。 難病情報センターでも、中等症以上の治療として免疫調節薬(アザチオプリン)が挙げられています。(文献2) ステロイドは寛解導入に有効である一方、長期使用で副作用が増えるため減量・中止を目指す必要があり、免疫調節薬はステロイドスパリング(ステロイドの減量・中止を支える役割)として重要です。(文献2) また、効果はすぐに出る薬ではなく、安定するまで時間がかかるため、中長期の病勢コントロールに向く薬として位置づけられます。(文献9) 免疫調節薬・免疫抑制薬の副作用 免疫調節薬・免疫抑制薬(アザチオプリン、6-MPなど)は、再燃予防を目的に中長期で用いられる薬ですが、吐き気・下痢などの消化器症状、だるさ、発疹・かゆみ、軽度の脱毛といった副作用がみられる場合があります。 重い副作用としては、骨髄抑制(白血球・血小板低下)や肝機能障害があり、自覚症状が乏しいこともあるため定期的な採血が欠かせません。 免疫低下に伴う感染症にも注意し、高熱や咳が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。 まれに膵炎も起こり得るため、上腹部の強い痛みと吐き気があれば受診が必要です。 長期使用では悪性腫瘍(皮膚がん・リンパ腫など)のリスク増加が報告されていますが、リスクは低いとされています。ECCOガイドラインでも、チオプリン併用によるリンパ腫リスクは非常に低いものの考慮すべきとされています。(文献10) 生物学的製剤 ポイント 詳細 炎症の原因を標的にできる TNF-αやIL-12/23などを狙って炎症を抑える治療機序 中等症〜重症の中心治療 難治例や病勢が強い場合に検討される治療の選択肢 ステロイド依存の回避 寛解導入から維持まで見据えた治療設計とステロイドスパリング 合併症への治療選択肢 瘻孔や肛門病変など腸管合併症への治療成績が期待される薬剤群 寛解維持と将来リスク低減 再燃予防とQOL(生活の質)維持、入院・手術リスク低減を目指す治療目的 生物学的製剤は、炎症を引き起こす物質(TNF-α、IL-12/23など)を標的にして腸の炎症を抑える治療薬で、中等症〜重症のクローン病で中心的に用いられます。 難病情報センターでも、難治例に対して抗TNFα抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ)、抗IL-12/23抗体(ウステキヌマブ)、抗接着分子抗体(ベドリズマブ)などが使用されると整理されています。(文献2) ステロイドだけでは病勢や再燃を十分に抑えきれない場合にも、寛解導入から維持までを見据えた治療として位置づけられ、ECCOガイドラインでも中等症〜重症治療の中核とされています。(文献11) 瘻孔や肛門病変などの腸管合併症に対しても生物学的製剤は有用です。2025年改訂の診断基準・治療指針では肛門病変に対する治療としての位置づけが見直されています。(文献12) 生物学的製剤の副作用 生物学的製剤は、炎症に関わる物質(TNF-α、IL-12/23など)を標的として腸の炎症を抑える治療薬ですが、免疫に影響するため副作用として感染症に注意が必要です。 比較的起こりやすい症状として、かぜ症状(鼻水・のどの痛み・咳)、発熱、だるさ、頭痛、注射部位の赤みや腫れ(皮下注)、点滴中の違和感(点滴製剤)などがみられます。 重い感染症として肺炎などがあり、抗TNF製剤では潜在性結核の再活性化、B型肝炎などの再活性化に注意が必要です。点滴中の息苦しさやじんましんなどアレルギー反応が起こる場合もあります。 薬ごとにリスク傾向が異なるため、体調変化があれば自己判断で中断せず医師へ相談することが大切です。 JAK阻害剤 ポイント 詳細 内服で治療できる選択肢 JAK-STAT経路を抑えて炎症シグナルを制御する分子標的薬 既存治療で効果不十分な場合に検討 中等症〜重症で5-ASA・免疫調節薬・生物学的製剤などが十分効かないケースの治療選択肢 寛解導入と維持の両面で使用 活動期の症状改善と再燃予防を視野に入れた治療設計 JAK阻害剤は、炎症に関わるサイトカインの情報伝達(JAK-STAT経路)を抑える分子標的薬(低分子化合物)で、注射や点滴の生物学的製剤とは異なり内服で治療できる選択肢です。 難病情報センターでも、従来治療が無効な場合の治療選択肢として挙げられています。(文献2) クローン病で用いられるJAK阻害剤(例:ウパダシチニブ)は寛解導入と寛解維持の両面を想定した治療として位置づけられています。 日本でも既存治療で効果不十分な中等症〜重症の活動期クローン病に対し、導入・維持療法として適応追加承認が取得されました。(文献13) JAK阻害剤の副作用 JAK阻害剤(例:ウパダシチニブ)は内服で炎症を抑える一方、免疫に影響するため副作用に注意が必要です。 実際に、ウパダシチニブ(RINVOQ)の添付文書(米国FDA)では、クローン病における主な副作用(5%以上)として上気道感染・貧血・発熱・にきび・帯状疱疹・頭痛などが挙げられています。(文献14) JAK阻害剤は帯状疱疹のリスクが高いことが指摘されており、重い感染症や血栓症にも注意が必要です。高熱や息苦しさ、片脚の腫れ・痛み、胸痛がある場合は早めに医療機関へ連絡し、自己判断で中断せず医師へ相談して対応する必要があります。 抗菌薬 抗菌薬(メトロニダゾール、シプロフロキサシンなど)は、クローン病そのものの炎症を長期的にコントロールする主役の薬ではなく、肛門病変や感染が疑われる合併症に応じて併用される補助療法です。(文献15) とくに腸管の炎症が強いと膿瘍を形成する場合があり、この場合は抗菌薬が治療に組み込まれ、必要に応じてドレナージや手術も検討されます。 難病情報センターでも、治療の一部として抗菌薬投与が行われることがあると記載されています。(文献2) 肛門瘻孔では生物学的製剤に加えて抗菌薬を併用し、分泌物などの症状緩和を図ることがあり、ECCO/ESPGHANのガイドラインでも推奨が示されています。(文献16) 一方で完全治癒に至らないことも多く、期間を決めて使うことが重要です。 抗菌薬の副作用 抗菌薬(メトロニダゾール、シプロフロキサシン等)は一定期間の併用が多い一方、吐き気・腹部不快感・下痢・食欲低下などの消化器症状がみられる場合があります。 メトロニダゾールでは口の苦み(金属味)が出ることもあります。まれに末梢神経障害(しびれ・ピリピリ感)に注意が必要です。 フルオロキノロン系(シプロフロキサシン等)では、非常にまれですが腱炎や腱断裂が報告されており、英国MHRAも腱痛など重大な副作用が疑われる場合は早期中止と医師への相談を推奨しています。(文献17) また、メトロニダゾール服用中はアルコールを避けることが重要です。NHSでも飲酒により吐き気・腹痛・ほてり・動悸などが出る可能性が示されています。(文献18) クローン病の治療薬を服用する際の注意点 注意点 詳細 自己判断で中断しない(飲み忘れ含む) 中断や飲み忘れによる再燃リスク増加と治療効果低下の可能性 副作用と併用薬の注意点を知っておく 副作用の早期発見と相互作用回避のための事前把握 発熱・咳・強いだるさがあるときは早めに医療機関へ連絡する 感染症の重症化予防と早期対応の必要性 治療前後の検査と予防接種を確認する(結核・肝炎など) 潜在感染の評価と再活性化予防のための検査・ワクチン確認 薬の効果を十分に引き出すには、治療を継続し、体調の変化を早めに医師へ共有することが大切です。 クローン病は症状が落ち着いていても腸の炎症が残る場合があり、自己判断で中断したり飲み忘れたりすると再燃につながる可能性があります。 副作用の兆候を見逃さず早めに相談し、併用薬・ワクチン・感染症リスクは薬剤により異なるため治療前後の検査も含めて確認しましょう。 以下の記事では、クローン病の寿命について詳しく解説しています。 自己判断で中断しない(飲み忘れ含む) クローン病は症状が落ち着いていても腸の炎症が残ることがあるため、自己判断で薬を中断したり飲み忘れたりすると寛解維持が崩れて再燃しやすくなります。 実際、治療中止後は再燃しやすく、薬剤差はあるものの中断後に50%以上が再燃する可能性があるとするレビューも報告されています。(文献19) いったん再燃するとステロイド導入や生物学的製剤・JAK阻害剤への切り替え、入院などより強い治療が必要になりやすい点にも注意が必要です。 難病情報センターでも手術率の高さが示され、再燃予防の重要性が強調されています。(文献2) 副作用と併用薬の注意点を知っておく クローン病の治療薬には、免疫に作用する薬(免疫調節薬・生物学的製剤・JAK阻害剤など)も含まれるため、副作用と併用薬の注意点を事前に理解しておくことが重要です。 副作用は早い段階で気づいて対応できれば重症化を防げる場合が多く、体調変化を医師に共有することが治療継続につながります。 発熱・だるさ・下痢・腹部症状などは副作用・感染症・再燃のいずれでも起こり得るため、判断を誤ると受診が遅れたり、自己中断で再燃を招いたりするおそれがあります。 市販薬を含む併用薬によって症状の悪化や副作用が増える場合があり、とくにNSAIDs(ロキソニン、イブプロフェン等)は自己判断での使用を避けましょう。 発熱・咳・強いだるさがあるときは早めに医療機関へ連絡する クローン病の治療では、ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤・JAK阻害剤など免疫反応を抑える薬が用いられるため、感染症が重症化しやすい点に注意が必要です。 通常なら軽く済む風邪でも肺炎などへ進行する場合があり、発熱・咳・強いだるさが出た場合は医療機関を受診しましょう。 これらの症状は感染症だけでなく、副作用や再燃でも起こり得るため、自己判断で様子見を続けたり薬を中断したりすると、対応が遅れて病状が不安定になる恐れがあります。 早期に相談することで、投与の延期可否・採血や画像検査の必要性・抗菌薬や抗ウイルス薬の要否を迅速に判断できます。 とくに結核など見逃したくない感染症もあるため、咳が長引く場合は放置しないことが重要です。 治療前後の検査と予防接種を確認する(結核・肝炎など) 生物学的製剤やJAK阻害剤など免疫を抑える治療では、体内に潜んでいた感染症が再活性化する場合があるため、治療前後の検査と予防接種の確認が欠かせません。 とくに潜在性結核やB型肝炎は、発症してから気づくと重症化しやすく、治療開始前にスクリーニング(血液検査や胸部画像などで感染の有無を確認)しておくことで、予防治療や専門医との連携を含めた治療計画につながります。 結核では問診に加え、胸部X線やIGRA(血液検査で結核感染を調べる検査)などを用い、肝炎はHBs抗原・抗体などで確認します。 治療開始後は生ワクチンが接種できなかったり効果が弱まったりする可能性があるため事前に接種計画を立て、治療後も採血や感染兆候の確認を続けて副作用や感染を早期に把握しましょう。 クローン病の治療薬と併用して行われる治療法 治療法 詳細 栄養療法 腸管負担軽減と低栄養是正を目的とした栄養補給 精神療法 不安やストレスの軽減による療養継続とQOL(生活の質)支援 外科治療 狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔など合併症への根治的対応 再生医療 既存治療で十分な効果が得られない場合の補助的選択肢検討 クローン病は薬だけで完結しない病気であり、栄養状態の立て直し・ストレス対策・合併症への外科的対応などを組み合わせて、再燃を減らしQOL(生活の質)を保ちます。 併用療法は薬の効果を支える・合併症を減らす・治療を続けやすくする目的で選び、とくに体重減少や貧血がある場合は栄養面の介入が回復の土台になります。 症状が落ち着かないときも、併用療法の見直しが欠かせません。なお、再生医療は適用できる医療機関が限られており、すべての症状に適用できるわけではないため、事前に医師と相談が必要です。 栄養療法 ポイント 詳細 腸の負担を減らしつつ栄養確保 腸管刺激の回避と必要栄養の補給 低栄養・体重減少の改善 回復力維持と治療基盤の安定化 活動期の症状改善を補助 薬効支援と腸管負担軽減の併用 狭窄など合併症への対応 腸閉塞リスク回避と適切なエネルギー確保 再燃予防の補助 寛解維持に向けた補助的介入 (文献2) 栄養療法は、腸を休ませながら必要な栄養を確保し、薬物療法の効果を支える治療です。 活動期の体重減少や低栄養を整えることで回復力が保たれ、合併症リスクの低減にもつながります。 狭窄が疑われる場合にも有用ですが、自己流の制限は低栄養を招きやすいため、医師・管理栄養士と相談して進めることが大切です。 精神療法 クローン病は慢性疾患で、再燃への不安や食事・仕事への影響が続きやすく、不安や抑うつなど心理的負担を抱えやすい病気です。 クローン病はストレスが直接の原因ではありませんが、心理的負担が強いと腹部症状が増したように感じたり睡眠が乱れたりして、QOL(生活の質)の低下や療養継続の難しさにつながることがあります。 精神療法(心理的サポート)は炎症を直接治す治療ではないものの、不安の整理や対処を支え、服薬・通院の中断を防いで治療を継続させる点で有用です。 外科治療 項目 内容 狭窄・閉塞への対応 瘢痕主体の狭窄や腸閉塞リスクに対する通過障害の改善 膿瘍・瘻孔などの合併症 排膿(ドレナージ)や切除を含む外科的介入の必要性 薬で抑えきれない限局病変 再燃を繰り返す病変部の切除による症状の安定化 肛門病変の治療 痔瘻や肛門周囲膿瘍に対する薬物療法と外科治療の併用 手術の位置づけ QOL(生活の質)を守るための治療選択肢 (文献20) クローン病の手術は、薬で治しにくい狭窄や閉塞、膿瘍・瘻孔などの合併症に対して有効な選択肢です。 病変が限局して再燃を繰り返す場合は、切除により生活が改善することもあります。 とくに肛門病変は薬と外科の併用が基本となりやすく、手術は病状の悪化ではなく生活の質を守るための治療計画の一部です。 再生医療 再生医療は、クローン病治療の基本である薬物療法に代わる標準治療ではなく、病状や合併症によっては併用療法の選択肢として検討される治療法のひとつです。 とくに肛門部の瘻孔など一部の病態では、脂肪由来の細胞を用いた治療について研究・臨床応用が進み、複数の報告もみられます。 適応は既往・合併症・検査結果などで判断するため、自己判断で薬を中断せず医師との相談の上で検討します。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 治療薬で改善しないクローン病は当院へご相談ください 薬を継続していても下痢や腹部症状が改善しない、再燃を繰り返す、副作用がつらいといった場合は、治療方針の見直しによって改善の糸口が見つかる可能性があります。 背景には、炎症の残存に加え、狭窄や膿瘍などの合併症、薬剤反応の個人差、服薬不良(飲み忘れを含む)、感染症の併発など、複数の要因が関与する場合があります。症状だけで原因を判断することは難しいため、検査結果も踏まえた評価が重要です。 クローン病の治療について不安がある方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 当院では、クローン病に対して再生医療を用いた治療を行っています。再生医療は治療薬と比較して全身性の副作用リスクが相対的に低い可能性があり、炎症や組織環境に関与する機序を通じて病態にアプローチする点が特徴とされています。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病の治療薬に関するよくある質問 クローン病の治療薬の服用は一生続きますか? クローン病の治療薬は、基本的に再燃を防ぎ寛解を維持するため、長期的な継続が必要です。 症状が落ち着いていても腸に炎症が残ることがあるため、自己判断で中断しないことが重要です。 しかし、病状に応じて薬は減量・変更できる場合があります。 クローン病に対して治療薬が効かないときはどうすれば良いですか? クローン病の治療薬が効かないときは自己判断で中止せず医師への相談が必要です。 検査で再燃や炎症を確認した上で内服状況・投与条件・薬剤調整や変更、必要なら合併症治療も検討します。 クローン病は治療薬なしでも改善しますか? クローン病は寛解と再燃を繰り返しやすい慢性疾患であり、市販薬だけで炎症をコントロールして長期的に状態を維持することは、基本的に期待しにくいと考えられます。(文献21) 自然寛解の報告はあるものの例外的です。自己判断で処方薬を中止したり市販薬で様子を見続けたりせず、医師と治療方針を相談しましょう。 クローン病は市販薬で改善しますか? 市販薬だけでクローン病の腸の炎症を改善することは難しいです。 クローン病は慢性炎症性腸疾患であり、治療の中心は処方薬(ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤など)です。 市販薬は症状を一時的に和らげる目的で役立つ場合がありますが、使用前に医師へ相談する必要があります。 参考文献 (文献1) The use of 5-aminosalicylates in Crohn’s disease: a retrospective study using the UK Clinical Practice Research Datalink|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献2) クローン病(指定難病96)|難病情報センター (文献3) American Gastroenterological Association Institute Guideline on the Management of Mild-Moderate Ulcerative Colitis|NIHNational Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献4) About mesalazine|NHS (文献5) ACG Clinical Guideline: Management of Crohn’s Disease in Adults|CLINICAL GUIDELINES (文献6) Updated 2025 ACG clinical guideline for the management of Crohn’s disease|AMERICAN COLLEGE OF GASTROENTEROLOGY (文献7) Appropriate Use and Complications of Corticosteroids in Inflammatory Bowel Disease: A Comprehensive Review|Clinical Gastroenterology and Hepatology (文献8) Steroids|NHS (文献9) ECCO Guidelines on Therapeutics in Crohn's Disease: Medical Treatment|JCC (文献10) Comparative Risk of Serious Infections With Biologic Agents and Oral Small Molecules in Inflammatory Bowel Diseases: A Systematic Review and Meta-Analysis|Clinical Gastroenterology and Hepatology (文献11) ECCO Guidelines on Therapeutics in Crohn’s Disease: Medical Treatment|JCC (文献12) 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針|厚生労働省 (文献13) アッヴィ、「リンヴォック®錠」(ウパダシチニブ水和物)について、既存治療で 効果不十分な中等症から重症の活動期クローン病患者さんの治療薬として日本における適応追加承認を取得|abbvie (文献14) This label may not be the latest approved by FDA. For current labeling information, please visit https://www.fda.gov/drugsatfda (文献15) 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,クローン病)|一般社団法人日本大腸肛門病学会 (文献16) Consensus guidelines of ECCO/ESPGHAN on the medical management of pediatric Crohn's disease |JCC JOURNAL of CROHN’S and COLITIS (文献17) Fluoroquinolone antibiotics: reminder of the risk of disabling and potentially long-lasting or irreversible side effects|GOV.UK (文献18) Side effects of metronidazole|NHS (文献19) Discontinuation of therapy in inflammatory bowel disease: Current views|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献20) SURGERY FOR CROHN'S DISEASE|CROHN’S&COLITIS UK (文献21) Spontaneous remission of Crohn's disease following a febrile infection: case report and literature review |NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information
2026.01.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「クローン病と診断され、将来が心配」 「クローン病は長生きできないのではないか?」 クローン病と診断されて動揺する方は多くいます。合併症や手術の話を目にすると「このまま悪化するのでは」と不安になるでしょう。 結論として、クローン病が直ちに短命につながる根拠は乏しく、寿命への影響は病勢(炎症)のコントロール状況によって左右されます。 ただし、適切な治療や予防を行わなければ病状が悪化するおそれがあるため、継続的な管理が欠かせません。 本記事では、現役医師がクローン病の寿命について詳しく解説します。死亡率を医学的根拠に基づいて解説し、記事後半にはよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 クローン病と寿命の関係性 寿命との関係性 詳細 クローン病が寿命に与える影響は限定的 適切な治療継続により、寿命への影響が大きくなりにくい疾患 クローン病患者の平均寿命 治療環境の改善により、一般人口と大きく変わらない水準に近づいている可能性がある クローン病は慢性疾患ですが、診断されたからといって直ちに短命に結びつくわけではありません。 近年は治療の選択肢が増え、病状評価の精度も向上したことで、炎症を抑えながら生活を整えやすくなってきています。 寿命への影響は病気そのものよりも、再燃を放置して合併症を招くかどうかで差が生じます。病状のコントロールが不十分なほどリスクが高まる点に注意が必要です。 クローン病が寿命に与える影響は限定的 日本の公的情報において、クローン病は「診断後10年の累積生存率96.9%」とされ、生命予後は良好と整理されています。(文献1) 寿命への影響が問題となるのは病気そのものより、炎症のコントロール不良が続き、腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔など)や感染症、長期炎症に伴うがん、血栓症を重ねて重症化する場合です。(文献2) さらに長期データでも、一般集団と大差がないとする報告があります。(文献3) クローン病患者の平均寿命 クローン病は発症年齢が若く、治療法・重症度・合併症・生活習慣によって経過が大きく異なるため、平均寿命を一律に示すことは困難です。 寿命の理解では「平均寿命」より「生存率」で見るとわかりやすく、国内の公的資料では診断後10年の累積生存率は96.9%とされています。(文献4) 海外レビューでは死亡比(SMR)1.29程度とする報告もあり、差があるとしても大きくはないという整理が一般的です。(文献5) 死亡リスクが問題となるのは、腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔)・感染症の重篤化・がん・血栓症などが重なった場合であり、炎症をコントロールし再燃・合併症を防ぐ治療継続が重要です。(文献1) 医学的根拠に基づいたクローン病の死亡率 評価項目 日本での研究データ ここからわかること 診断後5年の累積生存率 99.2% 5年間で亡くなる方が少ない傾向 診断後10年の累積生存率 96.9% 10年間で高い生存率の傾向 全体の解釈 生存率が高い 国内研究における死亡リスクの低さ 注意点 年代・治療状況・重症度で変動 数字の断定回避と傾向理解 (文献6) クローン病の死亡リスクは大きく高いとは言いにくい一方で、一般集団よりやや高い可能性を示す研究もあります。 評価には標準化死亡比(SMR)が用いられ、メタ解析ではSMR 1.52(一般集団より約1.5倍)と報告されています。(文献7) クローン病・潰瘍性大腸炎を含むIBDのメタ解析でも、SMRの上昇が示されています。(文献8) 一方で差が小さい、または大きな差がないとする報告も複数あり、「寿命を大きく短くする病気ではない」とガイドラインは整理しています。(文献9) 日本の長期フォロー研究では、診断後10年の累積生存率96.9%、5年で99.2%と報告され、国内で生命予後は良好と考えられます。(文献6) クローン病で死亡率が上がるといわれている背景 死亡率が上がるといわれている背景 詳細 腸管合併症による致死的リスク(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔) 腸管穿孔や腹膜炎、膿瘍形成など重篤化につながる合併症の発生 感染症・血栓症などの全身合併症 重篤感染症や血栓塞栓症による致命的転帰のリスク 長期罹患(りかん)による悪性腫瘍のリスクと生活習慣の影響 長期炎症に伴う悪性腫瘍リスクの上昇と生活習慣による病勢悪化 クローン病で死亡率が上がるといわれる背景には、炎症のコントロール不良に伴う合併症の重症化があります。 具体的には、狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔などの腸管合併症による腹膜炎や感染拡大、免疫抑制や低栄養を背景とした重篤感染症、血栓塞栓症などが挙げられます。 さらに長期罹患では、慢性炎症に伴う悪性腫瘍リスクの上昇や、喫煙など生活習慣の影響も重要です。 腸管合併症による致死的リスク(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔) 腸管合併症の種類 ポイント 狭窄 腸閉塞(イレウス)による緊急入院・手術リスク 穿孔 腹膜炎・敗血症に直結し得る緊急手術リスク 膿瘍 腹腔内感染の重症化(敗血症)リスク 瘻孔 感染反復による難治化・全身状態低下リスク (文献10) クローン病は、病気そのものが直接命に関わることは多くありません。ただし、炎症が長期間コントロールできない状態が続くと腸壁が傷み、腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔)が起こりやすくなります。 狭窄は腸閉塞から緊急入院・手術につながり、穿孔や膿瘍は腹膜炎や敗血症(血液の感染)へ進展する可能性があります。 瘻孔も感染や炎症の遷延を介して重症化に関与し、結果として死亡リスクが高まる場合があるため、注意が必要です。(文献11) 感染症・血栓症などの全身合併症 全身合併症 要点 感染症(肺炎など) 肺炎など感染で重症化すると、命に関わることがある 治療薬と感染リスク 免疫に作用する薬で感染しやすくなる場面があり、予防(ワクチン・検査)が大切 敗血症 感染が全身に広がると、短期間で重症化しやすい 血栓症 入院・脱水・手術が重なると血栓ができやすい 肺塞栓 血栓が肺に詰まると、急に呼吸や血圧が悪化することがある クローン病の死亡リスクが問題になるのは、病気そのものよりも合併症や全身状態の悪化が引き金になる場合です。 肺炎・敗血症などはIBD患者の死亡リスク増加に関連することが報告されているため、それらの管理が欠かせません。(文献12) クローン病の治療ではステロイド・免疫調整薬・生物学的製剤など免疫に作用する薬が用いられ、病勢を抑える一方で状況によっては日和見感染を含む感染症リスクが上がるため、ワクチンや感染スクリーニングを含む予防が推奨されています。(文献13) また、感染が敗血症へ進むとショックや臓器障害を伴い短期間で重篤化し、IBDでは転帰不良の可能性も示唆されています。(文献14) また、静脈血栓塞栓症は入院・脱水・手術が重なるほど起こりやすく、アジアのIBD患者で術後に発症が増えることも報告されています。(文献15) 静脈血栓塞栓症の中でも肺塞栓は呼吸循環が急激に悪化する可能性があり、院内死亡や予後不良との関連も示されています。(文献16) 長期罹患(りかん)による悪性腫瘍のリスクと生活習慣の影響 項目 要点 長期罹患とがん 炎症が長いほど、がん(とくに大腸がん)のリスクが上がる 内視鏡の重要性 大腸に炎症がある場合、定期的な内視鏡検査で早期発見が重要 生活習慣(喫煙) 喫煙は病状を悪化させやすく、再燃や手術のリスクを上げる 喫煙の影響の大きさ 喫煙者は再発が約2倍、手術再発が約2.5倍とされる 食事・栄養・飲酒 極端な制限や栄養不良、過度の飲酒は体力低下につながりやすい クローン病では慢性炎症が長く続くほど腸粘膜に負担がかかり、悪性腫瘍のリスクが高まります。とくに大腸に炎症が及ぶタイプでは、罹患期間が長いほど大腸がんリスクが上昇するため、定期的な内視鏡によるサーベイランスが推奨されています。(文献17) 生活習慣の影響も重症化リスクに関与し、有力なエビデンスがあるのが喫煙です。(文献18) 喫煙は再燃・手術・術後再発と関連し、メタ解析でも臨床再発は約2倍、手術再発は約2.5倍と報告されています。生活習慣は直接死亡率を高めるよりも、病勢のコントロール不良を招き、合併症の発生や重症化を通じて予後不良に関与する点に注意が必要です。(文献19) 極端な食事制限や栄養不良、過度の飲酒も間接的に病勢管理を不利にする可能性があります。(文献20) クローン病で寿命を縮めないための予防法 寿命を縮めないための予防法 詳細 治療継続し再燃を防ぐ(自己中断しない) 炎症の再燃予防と重症化回避のための治療継続 禁煙と栄養管理で体調の土台を整える 病勢悪化因子の回避と低栄養予防による体力維持 定期検査と早期受診で合併症を防ぐ 再燃・合併症の早期発見と重症化の予防 クローン病で寿命への影響を最小限にするには、炎症を安定して抑え、再燃を防ぐことが基本です。 治療は自己判断で中断せず、医師の方針に沿って継続しましょう。禁煙と栄養管理で体調の土台を整えることも大切です。 定期検査を受け、症状の変化があれば早期に受診することで、合併症の重症化を防ぎやすくなります。 治療継続し再燃を防ぐ(自己中断しない) クローン病で治療を継続し再燃を防ぐ(自己中断しない)ことが大切です。 症状が落ち着いても腸の炎症が完全に消えているとは限らず、自己判断で治療を止めると再燃(ぶり返し)が起こりやすいためです。 難病情報センターでも、5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)や免疫調節薬は症状が改善しても再燃予防のために継続投与されると明記されています。(文献1) 再燃を繰り返すほど腸管ダメージが蓄積し、狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔などの腸管合併症や手術につながりやすく、再燃・再発予防の重要性が指摘されています。(文献1) 研究でも中断後に再燃率が上がることが示され、ECCOのレビューでは治療中止後に再燃リスクが累積し、2年で約30%、5年で50〜75%が再燃すると推定されています。(文献21) 禁煙と栄養管理で体調の土台を整える クローン病で寿命への影響を最小限にするには、治療継続に加えて禁煙と栄養管理で体調の土台を整えることが重要です。 喫煙は病勢悪化や再燃に関与するだけでなく、ACG(米国消化器病学会)のガイドラインでも術後再発のリスク因子として挙げられており、長期的に入院・手術のリスクを高め、結果として合併症(感染症など)を招きやすくなります。(文献22) クローン病は低栄養になりやすく、栄養状態の低下は感染症や回復遅延を通じて重症化リスクを高めます。 自己流の極端な制限は低栄養を助長する可能性があるため、必要な栄養を確保する方針が重要です。NHSでも食事を大きく変える際は医療チームの助言を得るよう促されています。(文献11) 定期検査と早期受診で合併症を防ぐ クローン病は症状が軽くても腸の奥で炎症が進行し、狭窄・瘻孔やがん化など重篤な合併症リスクが高まる場合があるため、症状だけで病勢を判断できません。 定期的な内視鏡検査や画像検査で炎症の広がりや粘膜治癒の程度を評価し、必要に応じて治療を調整することが合併症予防につながります。 腹痛増悪・下痢悪化・発熱・体重減少・肛門部痛などの再燃サインを放置すると、穿孔や膿瘍形成から緊急手術・敗血症に至るおそれがあるため、早期受診が欠かせません。 寿命を縮めないための実践ポイントとして、寛解期でも1〜2年ごとの内視鏡と定期外来を基本とし、長期経過例ではがんサーベイランス(定期的ながんのチェック)として年1回以上の大腸内視鏡を検討します。(文献23) クローン病で寿命を縮めないための治療法 治療法 詳細 薬物療法 炎症を抑えて再燃を防ぎ、合併症リスクを下げる治療選択 栄養療法 低栄養の予防と腸管負担の軽減による病勢の安定化 手術療法 狭窄・穿孔・膿瘍など重篤合併症の回避を目的とした外科的対応 再生医療 炎症や後遺症の改善を目指す治療選択肢のひとつ クローン病で寿命への影響を抑えるには、炎症を適切にコントロールし、再燃と合併症を防ぐ治療計画が大切です。 中心となるのは薬物療法で、必要に応じて栄養療法を併用し、低栄養予防や腸管負担の軽減を図ります。 狭窄・穿孔・膿瘍など重篤な合併症が疑われる場合は、手術療法が必要となる場合もあります。 再生医療は選択肢のひとつですが、実施できる医療機関は限られており、すべての症状に適用できるわけではないため、事前確認が必要です。 薬物療法 観点 要点 治療の位置づけ 寛解維持と再燃予防を目的とした治療の柱 合併症予防 腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔)リスクの低減 予後への影響 入院・手術リスク低下による長期予後の改善 術後管理 術後再発抑制による再手術・重症化の回避 (文献1) クローン病は完治を目指すよりも、炎症を抑えて寛解を維持し、再燃や合併症を防ぐことで長期の生活と生命予後を守る病気です。 その中心が薬物療法であり、難病情報センターでも「活動性をコントロールして寛解を維持し、再燃・再発を予防すること」が治療目的と整理されています。 薬で再燃を抑えられれば、狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔などの腸管合併症や緊急入院・手術のリスクを下げ、感染症を含む重症化の連鎖を避けやすくなります。 以下の記事では、クローン病の薬について詳しく解説しています。 栄養療法 取り組み内容 目的 具体例(体言止め) 腸を休ませる 腸管刺激の軽減と炎症沈静化 経腸栄養の活用(栄養剤中心の摂取) 栄養を補う 低栄養・体重減少の予防 必要カロリー・たんぱく質の確保 寛解を保つ 再燃予防と長期安定化 在宅経腸栄養の併用 継続しやすくする 長期管理の実効性向上 薬物療法との併用と生活に合わせた調整 (文献4) 栄養療法は、クローン病で寿命への影響を抑える上で重要な治療のひとつです。 炎症が長引くと低栄養や体力低下を招き、感染症や合併症のリスクが高まります。とくに経腸栄養は腸を安静にして炎症を鎮め、病変改善や腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍など)の予防に寄与します。 低栄養を防いで回復力を支え、寛解維持の一部として長期管理に組み込みやすいのも利点です。 以下の記事では、クローン病における食事について詳しく解説しています。 手術療法 手術が必要になりやすい状況 手術の目的(体言止め) 寿命との関係 狭窄(腸閉塞)・穿孔 腸閉塞解除と穿孔による腹膜炎・敗血症の回避 致命的合併症回避による生命予後の保全 膿瘍・瘻孔(穿通型) 感染源コントロールと膿瘍・瘻孔による重症化の抑制 敗血症など重篤感染の予防による死亡リスクを低減 薬物・栄養療法で改善しにくい重症例 病変処置による症状改善と全身状態の立て直し 低栄養・炎症遷延の改善による合併症リスクを低減 腸管切除が必要な場合 腸管温存を意識した外科的介入 短腸症候群など長期合併症の回避による長期安定化 (文献1) クローン病は薬物療法・栄養療法が基本ですが、狭窄による腸閉塞や穿孔、膿瘍・瘻孔などの腸管合併症が進行した場合、手術が生命予後を守るために必要となる場合があります。 手術は病変を直接処置して腹膜炎や敗血症など致命的な経過を回避し、症状改善を通じて栄養状態や体力の回復にもつながります。 再生医療 再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)は、クローン病において寿命を直接延ばす治療として確立しているわけではありません。 ただし、クローン病では再燃の反復や合併症の進行が、感染症や手術の増加、栄養状態の悪化を介して長期的な健康状態に影響する場合があります。 そのため再生医療は、病状や目的に応じて長期管理の一環として検討される治療選択肢のひとつと位置づけられます。 なお、クローン病の生命予後は比較的良好とされ、日本の長期追跡研究では診断後10年の累積生存率96.9%が報告されています。(文献6) 寿命を考える際は、生存率データを踏まえつつ、再燃・合併症を減らす治療継続が重要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 クローン病と寿命の関係を理解し適切な予防策を講じよう クローン病において寿命を縮める主因は、病名そのものではなく炎症が長く続く状態と合併症の見逃しです。 治療を継続し、禁煙と栄養管理で体力を守り、定期検査で病勢を客観的に把握することが大切です。この積み重ねが入院や手術のリスクを減らし、生活や仕事の計画も立てやすくします。 クローン病について不安を感じている方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、クローン病に対して再生医療を用いた治療を行っています。 再生医療は治療薬と比べて全身的な副作用のリスクが比較的低いとされます。さらに、炎症や組織修復といった病態に直接アプローチできる可能性がある点も特徴です。 手術を伴わないため、感染症や後遺症のリスクが小さく、強い痛みの心配も少ないとされています。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病と寿命の関係に関するよくある質問 クローン病が完治した人はいますか? クローン病は慢性の炎症性腸疾患であり、現時点の医療で完治(再発しない状態)を達成することは一般的ではありません。 治療は、症状が落ち着いた寛解状態をできるだけ長く維持することを目標に行います。 クローン病で食べてはいけないものはありますか? クローン病において絶対に食べてはいけない食品は基本的にありません。 ただし悪化しやすい食品は個人差が大きいため、脂っこい物・香辛料・食物繊維の多い食品・乳製品などは無理せず調整し、医師と相談しながら食事内容を整えます。(文献24) クローン病で「人生終わった」と感じていますがどうすれば良いでしょうか? 人生終わったと感じるのは、診断直後としてごく自然な反応です。 ただしクローン病は治療で病勢をコントロールできる病気であり、寛解を維持しながら仕事・結婚・旅行など、これまでと同じような生活を続けている方も多くいます。 不安が強いこと自体も遠慮せず医師に相談し、つらさが長引く場合は心療内科やカウンセリングの併用も検討しましょう。 参考文献 (文献1) クローン病(指定難病96)|難病情報センター (文献2) 日本消化器病学会 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン 2020(改訂第 2 版)|日本消化器病学会 (文献3) Crohn’s disease-specific mortality: a 30-year cohort study at a tertiary referral center in Japan|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献4) 96 クローン病|難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班 (文献5) Long-term prognosis in Crohn's disease: an epidemiological study of patients diagnosed more than 20 years ago in Cardiff|WILEY Online Library (文献6) Long-term Follow-Up Study of Crohn's Disease in Japan. The Research Committee of Inflammatory Bowel Disease in Japan|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献7) Meta-analysis: mortality in Crohn's disease|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献8) Crohn's disease and ulcerative colitis are associated with elevated standardized mortality ratios: a meta-analysis |NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献9) Evidence-based clinical practice guidelines for Crohn’s disease, integrated with formal consensus of experts in Japan|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献10) Therapeutic strategies in Crohn’s disease in an emergency surgical setting|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献11) Crohn's disease|NHS (文献12) Infection-related hospitalizations are associated with increased mortality in patients with inflammatory bowel diseases|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献13) ECCO Guidelines on the Prevention, Diagnosis, and Management of Infections in Inflammatory Bowel Disease|JCC (文献14) SEPSIS IN THE SETTINGS OF INFLAMMATORY BOWEL DISEASE: STUDYING THE OUTCOMES OF OVER EIGHT-MILLION PATIENTS|Gastroenterology (文献15) Risk of venous thromboembolism in Asian patients with inflammatory bowel disease: a nationwide cohort study | Scientific reports (文献16) Impact of venous thromboembolism on mortality in hospitalized patients with inflammatory bowel disease: analysis of the MIMIC-IV database, 2008 to 2022|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献17) Colorectal cancer surveillance in inflammatory bowel disease: Practice guidelines and recent developments|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献18) Crohn's disease patients who quit smoking have a reduced risk of reoperation for recurrence|ScienceDirect (文献19) The effect of smoking after surgery for Crohn's disease: A meta-analysis of observational studies|ResearchGate Logo (文献20) Risk Factors for Postoperative Recurrence of Crohn’s Disease|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献21) Discontinuation of therapy in inflammatory bowel disease: Current views|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology (文献22) ACG Clinical Guideline: Management of Crohn’s Disease in Adults|CLINICAL GUIDELINES (文献23) 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)ではどのような内視鏡検査が行われますか?|一般社団法人 日本消化器視鏡学会 (文献24) クローン病の食事療法|高野病院 栄養科
2026.01.31 -
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「クローン病における食事制限を知りたい」 「クローン病患者が避けるべき食品や食材を知りたい」 クローン病と診断され「何を食べて良いかわからない」「食事で症状が悪化しないか不安」と悩んでいませんか。 医師から食事管理を勧められても、どこまで制限すべきか迷う方は少なくありません。クローン病の食事制限は病状や時期に応じて柔軟に調整できます。 活動期は低脂肪・低残渣・低刺激を意識し、寛解期は体調を見ながら食品の幅を少しずつ広げられます。 本記事では、現役医師がクローン病の食事制限について詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【症状別】クローン病の食事制限の目安 食事制限の目安 詳細 活動期(下痢・腹部症状が強い時期) 低脂肪・低残渣・低刺激を基本とした食事。脂質や不溶性食物繊維、香辛料など刺激となる食品を控える 寛解期(症状が落ち着いてきている時期) 体調に合わせた食品の段階的な拡大。合わない食品の把握と再燃を防ぐための調整 クローン病の食事制限は一律の禁止ではなく、病状に合わせて調整します。下痢や腹痛が強い活動期は腸が刺激に敏感なため、低脂肪・低残渣・低刺激の食事を心がけ、揚げ物・脂身・不溶性食物繊維の多い食品・香辛料・アルコールは控えましょう。 症状が落ち着く寛解期は、体調を観察しながら食事の幅を段階的に広げ、合わない食品を把握しつつ栄養バランスを整えることが重要です。 活動期(下痢・腹部症状が強い時期) 項目 目安 食事の基本 低脂肪・低残渣・低刺激を意識した食事 控えたい食品 揚げ物など脂質が多い食品、きのこや海藻など不溶性食物繊維が多い食品、香辛料やアルコールなどの刺激物 食べやすい工夫 おかゆやうどんなど柔らかい主食、豆腐や白身魚など脂の少ないたんぱく源、加熱して柔らかくした野菜 食べ方のポイント 少量頻回、よく噛む、熱すぎず冷たすぎない温度、水分補給 注意点 過度な制限の回避、栄養不足への配慮、医師や管理栄養士への相談 (文献1)(文献2) 活動期は腸の炎症により刺激に敏感になり、食事内容で症状が変動しやすい時期です。低脂肪・低残渣を基本とし、揚げ物や不溶性食物繊維、刺激物は控えましょう。 ただし過度な制限は栄養不足を招くため、消化しやすい調理法を選び、症状が強いときは医師や管理栄養士に相談しながら食事内容を調整することが大切です。 以下の記事では、クローン病の症状のひとつである腹痛を伴う下痢について詳しく解説しています。 寛解期(症状が落ち着いてきている時期) 項目 目安 基本方針 栄養バランス重視への切り替え、過度な制限の回避 脂質の考え方 控えめを基本とした適量摂取、脂っこい食事が続く状態を避ける 食物繊維の戻し方 少量からの段階的な再開、狭窄がある場合の慎重な調整 増やしたい食品 たんぱく質の確保、主食による体重維持、野菜・果物は調理法を工夫、水分摂取の意識 食べ方の注意点 暴飲暴食の回避、急な増量の回避、夜遅いドカ食いの回避、外食の偏りを予防 個人差への対応 合わない食品の把握、食事内容と摂取量、症状の記録 (文献1)(文献3) 寛解期は炎症が落ち着く一方、制限を続けすぎると低栄養や体重減少につながりやすい時期です。栄養バランスを軸に食事の幅を段階的に広げ、脂質は控えめを基本に適量を確保します。 食物繊維は少量から戻し、狭窄が疑われる場合は医師の指導に沿った調整が欠かせません。合わない食品は個人差が大きいため、記録による見極めも有用です。 クローン病で制限を検討したい食品 制限を検討したい食品 詳細 脂質の多い食品(揚げ物・脂身など) 消化吸収の負担増大、下痢や腹痛の悪化リスク。揚げ物、脂身、ラーメン、バター、生クリームなど控えることを推奨 食物繊維の多い食品(きのこ・根菜・海藻など) 腸への物理的刺激、腹部症状の悪化リスク。狭窄がある場合の詰まりリスク。きのこ、ごぼう、れんこん、もやし、こんにゃく、海藻、ナッツなどに注意 刺激になりやすい食品(香辛料・冷たい飲食物など) 腸管刺激による腹痛や下痢の誘発リスク。香辛料の強い料理、濃い味付け、冷たい飲食物、炭酸など控えることを推奨 下痢を誘発しやすい嗜好品(アルコール・乳製品・甘いもの) 下痢の誘発リスク、腸の負担増大。アルコールの回避推奨。乳製品の乳糖による不調リスク。甘いものの摂りすぎによる下痢のリスク クローン病における食事内容によっては、下痢や腹痛などの症状が悪化することがあります。 とくに脂質の多い食品は消化吸収の負担となりやすく、食物繊維の多い食品は腸を刺激したり、狭窄がある場合は詰まりの原因になったりするため注意が必要です。 香辛料や冷たい飲食物、アルコールや乳製品、甘いものも症状を誘発することがあります。体調に応じて控え方を調整しましょう。 脂質の多い食品(揚げ物・脂身など) 控えたい食品の部類 具体例 揚げ物 唐揚げ、とんかつ、天ぷら、フライドポテト 脂身が多い肉 豚バラ、牛カルビ、ベーコン、ソーセージ こってり系の料理 ラーメン、カレー、シチューなど 乳脂肪が多い食品 生クリーム、バター、チーズの食べ過ぎ (文献1) 脂質の摂りすぎが下痢や腹部症状を引き起こしやすく、とくに活動期は腸の炎症により消化吸収が低下するため脂質が負担となります。 小腸に病変がある場合は脂肪の吸収能力が落ちるため、揚げ物・脂身の多い肉・こってりした料理・乳脂肪の多い食品は控えましょう。 ただし食べることを禁止するのではなく、症状と摂取量に応じた調整が基本です。寛解期は油を完全に避けず、鶏むね肉・赤身肉・白身魚を茹でる・蒸す・煮る調理法で負担を軽減します。 食物繊維の多い食品(きのこ・根菜・海藻など) 控えたい食品の分類(不溶性食物繊維が多いもの) 具体例 きのこ類 しいたけ、えのき、しめじなど 根菜 ごぼう、れんこんなど 海藻類 わかめ、昆布など 豆類 大豆、枝豆、ひよこ豆など ナッツ・種子類 アーモンド、ごまなど 精製度の低い穀物 玄米、全粒粉パンなど その他 こんにゃく、もやしなど 活動期に食物繊維を摂りすぎると腸への刺激となり、下痢や腹痛が悪化する場合があります。狭窄がある場合は残渣が詰まりやすく、腸閉塞のような症状を起こすおそれがあるため注意が必要です。 きのこ・根菜・海藻・豆類・ナッツ・玄米などは控え、寛解期は状態に応じて適量に調整します。野菜は加熱して細かく刻むなど調理法を工夫し、狭窄が疑われる場合は自己判断で増やさず医師に相談することが大切です。 刺激になりやすい食品(香辛料・冷たい飲食物など) 刺激になりやすい食品・飲み物 具体例 香辛料・辛い料理 唐辛子、カレー、キムチ、麻辣系、スパイスが強い料理 炭酸・カフェイン 炭酸飲料、濃いコーヒー、エナジードリンク 冷たい飲食物 氷入りドリンク、冷たい牛乳、アイス、冷たい麺類 (文献4) 活動期のクローン病では、香辛料や冷たい飲食物といった刺激になりやすい食品に注意が必要です。活動期は腸の炎症により敏感な状態です。 そのため、刺激の強い飲食物をとると腸が反応し、下痢や腹痛が悪化する場合があります。ガイドでも「刺激物の少ない食事」が推奨されています。(文献2) 香辛料・炭酸飲料・カフェイン・冷たい飲食物は症状がある時は控え、常温の飲み物や薄味を中心とした食事に調整しましょう。 下痢を誘発しやすい嗜好品(アルコール・乳製品・甘いもの) 控えたい嗜好品 具体例 アルコール ビール、チューハイ、ワイン、日本酒、ハイボールなど 乳製品 牛乳、アイス、ヨーグルト、チーズなど 甘いもの(高糖質) ケーキ、菓子パン、清涼飲料水、ジュース、糖分の多いお菓子 (文献5) クローン病は腸が過敏になりやすく、活動期はアルコール・乳製品・甘いものといった嗜好品により下痢や腹痛が悪化する場合があります。 アルコールは腸管を刺激し、乳製品は乳糖不耐による不調を招き、高糖質の食品は浸透圧性下痢の原因となります。 一律に禁止するのではなく、活動期は基本的に控え、寛解期は少量から試して体調に合わなければ無理に摂取しないことが重要です。 クローン病における食事のポイント 食事のポイント 詳細 活動期は腸に負担をかけない(低脂肪・低残渣) 低脂肪・低残渣・低刺激を意識した食事。揚げ物や脂身、不溶性食物繊維、刺激物の控える。消化しやすい形への調理 寛解期は栄養バランス重視(制限しすぎない) 食事の幅の段階的な拡大。たんぱく質と主食を中心とした栄養の確保。過度な制限による低栄養の予防 食べ方で負担を減らす(少量頻回・よく噛む・温かいもの) 少量頻回による腸への負担軽減。よく噛む習慣。常温から温かい飲食物の選択。下痢時の水分補給の意識 合わない食品は記録しておく 食事内容と量の記録。摂取後の便回数や腹痛の記録。体質に合わない食品の特定と回避 クローン病の食事管理は一律の制限ではなく、病状に応じた調整が基本です。活動期は腸が刺激に敏感なため低脂肪・低残渣を意識し、消化に負担となる食品は控えます。 寛解期は過度な制限を避け、栄養バランスを整えながら食事の幅を段階的に広げましょう。少量頻回の食事やよく噛むといった食べ方の工夫も有効です。合わない食品は記録し、自分に合った選び方を見つけてください。 活動期は腸に負担をかけない(低脂肪・低残渣) クローン病の活動期は腸粘膜に炎症があり、下痢や腹痛が出やすく、普段は問題ない食事でも刺激となり症状が悪化する場合があります。 この時期は腸の負担を減らすため、低脂肪・低残渣の食事が基本です。 脂質は消化吸収が低下した状態で下痢を強めやすく、小腸病変がある場合は吸収不良も起こるため、揚げ物や脂身は控えましょう。 食物繊維の多い食品は残渣が増えて腸を刺激し、狭窄があると詰まるリスクもあるため注意が必要です。制限は一時的な工夫であり、回復に合わせて食事の幅を広げます。 調理は茹でる・蒸す・煮るを基本とし、少量頻回の食事、刺激物を控えることが大切です。 寛解期は栄養バランス重視(制限しすぎない) 寛解期は、症状を悪化させない範囲で食事の幅を広げ、体力や栄養状態を立て直す時期です。活動期のような厳しい制限を続けると、低栄養・体重減少・筋力低下を招き、体調管理が難しくなります。 脂質や食物繊維も必要な栄養素のため完全に避けず適量を意識し、主食でエネルギーを確保しつつ、魚・肉・卵・豆腐などでたんぱく質を補うことが大切です。 野菜や果物は体調に合わせて加熱や刻みで調整し、水分も十分に摂取します。新しい食品は少量から試し、暴飲暴食や脂っこい外食が続かないよう工夫しましょう。 また、合わない食品には個人差があるため、症状に応じた調整が欠かせません。 食べ方で負担を減らす(少量頻回・よく噛む・温かいもの) クローン病は腸に炎症がある時期ほど消化吸収が低下し、腸が過敏になるため、食事内容だけでなく食べ方でも症状が左右されます。 一度に多く食べる・早食いする・冷たいものを一気に摂るといった行動は、腸の動きを強めて下痢や腹痛を悪化させやすくなります。 症状が不安定な時期は、1回量を減らして1日4〜6回に分ける少量頻回を意識し、よく噛んでゆっくり食べることが大切です。 狭窄がある場合は大きい食塊が負担となるため、噛む回数はとくに重要です。冷刺激で症状が出る方もいるため、氷入り飲料・冷たい麺類・アイスは控えめにし、常温から温かい飲食物を選びましょう。 合わない食品は記録しておく 合わない食品を記録しておくことが重要なのは、クローン病の食事対応が患者ごとに異なり、一律の正解がないためです。 クローン病は炎症の部位(小腸・大腸など)や狭窄の有無、消化吸収の状態が人によって異なり「この食品は食べてはいけない」と一律には決められません。 自分の身体に合う・合わないを見極めることが大切です。IBD患者向け資料でも食事は個別性が高く、体調に合わせた調整が必要とされています。(文献2) 食事と症状の関係は時間差・量・調理法によって変わるため、食べたもの・量・食後の症状を簡単に記録すると再燃の引き金を把握しやすくなります。 クローン病の食事療法と合わせて行う予防法 予防法 詳細 禁煙・飲酒を控える 喫煙による再燃リスクの上昇、腸管刺激となる飲酒による症状悪化のリスク、禁煙と節酒で体調安定を意識 治療を中断せず継続する 自己判断による中断の回避、寛解維持を目的とした治療の継続、再燃と合併症予防の意識 定期検査で状態を確認する 症状が少ない時期の炎症評価、再燃の早期発見、治療方針調整のための経過観察 クローン病の再燃予防には、食事療法に加えて日常管理を整えることが大切です。喫煙は病状を悪化させやすく、飲酒も腸への刺激となるため、禁煙と節酒が欠かせません。 症状が落ち着いていても自己判断で治療を中断せず、寛解維持のために継続しましょう。定期検査で炎症の状態を確認し、再燃を早期に捉えて治療方針を適切に調整することが、長期的な安定につながります。 禁煙・飲酒を控える 予防の観点 内容 禁煙が重要な理由 喫煙による再燃リスク上昇、合併症増加のリスク 飲酒を控える理由 アルコールによる腸管刺激、下痢や腹部症状の悪化リスク 時期別の目安 活動期の禁酒寄り対応、寛解期の少量からの試行 食事療法との関係 喫煙と過度の飲酒による食事療法効果の阻害、再燃予防の生活習慣としての基盤 (文献2) クローン病では、禁煙と飲酒の調整が再燃予防の土台になります。喫煙は病状を悪化させやすく、入院や手術が必要になるリスクを高めるため、禁煙が推奨されます。 飲酒は腸への刺激となり下痢や腹痛を招くことがあるため、活動期は避けることが大切です。 治療を中断せず継続する ポイント 内容 基本の考え方 症状が落ち着いても完治ではない慢性疾患の特性 継続の目的 再燃予防、長期の寛解維持、炎症コントロール 中断のリスク 症状再発リスク、入院リスク、合併症リスク 継続に含まれること 服薬の継続、定期受診、必要時の検査 (文献6) クローン病は慢性疾患であり、症状が落ち着いても腸の炎症が消失しているとは限りません。寛解期でも治療を継続し、再燃を防ぎながら長期的な寛解維持を目指すことが重要です。 自己判断で治療を中断すると炎症が再燃し、下痢や腹痛の再発・入院・狭窄や瘻孔などの合併症リスクが高まります。治療の継続は服薬だけでなく、定期受診や必要な検査、生活習慣の見直しも含めて、再燃予防に欠かせません。 以下の記事では、クローン病の薬について詳しく解説しています。 定期検査で状態を確認する 検査項目 確認項目 血液検査 炎症の目安、貧血の有無、栄養状態の評価 便検査 腸の炎症の目安、再燃リスクの把握 内視鏡(大腸カメラなど) 粘膜の炎症評価、潰瘍の有無、狭窄の有無 画像検査(CT、MRI、腸管エコーなど) 腸の壁の炎症評価、腸管外病変の評価、全層性炎症への対応 (文献7)(文献8) クローン病は、下痢や腹痛などの症状が落ち着いていても腸の炎症が残っている場合があり、体感だけでは再燃の兆候を見逃すおそれがあります。 寛解期でも定期検査で炎症の程度や狭窄・瘻孔などの合併症を確認し、悪化を早期に捉えることが大切です。 血液検査や便検査に加え、内視鏡で粘膜を直接評価し、必要に応じてCT・MRI・腸管エコーで腸壁や腸管外病変まで確認します。 以下の記事では、クローン病と寿命の関係性について詳しく解説しています。 食事で改善しないクローン病は当院へご相談ください 食事を工夫しても下痢や腹部症状が続く場合は、「食べ方の問題」だけで判断せず、炎症の悪化も疑うことが大切です。体重減少、発熱、血便、夜間の下痢、食事量の低下が続くときは、治療の見直しが必要な可能性があるため早めの受診を検討しましょう。 食事で改善しないクローン病の症状は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、クローン病に対して再生医療を用いた治療を行っています。再生医療は、標準治療(薬物療法や手術など)で十分な効果が得られないクローン病に対して、炎症や組織修復に関わる仕組みを通じて症状の改善を目指す治療法です。 従来治療と比べて副作用が少ない可能性は示唆されていますが、有効性には個人差があり、適応や治療内容は医師と相談の上、慎重に判断する必要があります。ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病と食事に関するよくある質問 クローン病にヨーグルトが効くと聞きましたが本当ですか? ヨーグルトがクローン病を治す、または再燃を防ぐといった効果は、現時点で十分な根拠があるとはいえません。 体質に合えば取り入れても構いませんが、乳製品で下痢や腹痛が出る場合は無理に続けないことが大切です。 以下の記事では、クローン病と関わりのある大腸(ポリープ)とヨーグルト(乳製品)の考え方について詳しく解説しています。 クローン病における食事制限は自己流でも問題ありませんか? 自己流の食事制限は、症状の悪化や低栄養(貧血・体重減少など)につながるおそれがあります。 クローン病の食事は活動期・寛解期や狭窄の有無、体質によって適切な内容が異なるため、医師や管理栄養士と相談しながら調整することが基本です。 参考文献 (文献1) クローン病(指定難病96)|難病情報センター (文献2) 炎症性腸疾患(IBD)2023|日本消化器病学会 (文献3) IBD-INFO 潰瘍性大腸炎・クローン病の情報サイト | IBDとは (文献4) What Should I Eat with IBD?|CROHN’S & COLITIS FOUNDATION (文献5) Diet and Nutrition - Eating and Drinking with IBD|Crohn's and Colitis Canada (文献6) 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針|厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班) 令和4年度分担研究報告書 (文献7) 炎症性腸疾患に対する検査法の進歩 (文献8) 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)ではどのような内視鏡検査が行われますか?|一般社団法人日本消化器内視鏡学会
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「大腸ポリープの予防にヨーグルトが効くのかを知りたい」 「ヨーグルトに期待できる作用を知りたい」 大腸ポリープを指摘され、食事で予防できないかと考える方は少なくありません。腸に良いとされるヨーグルトについても、どれを選べば良いか、毎日どの程度摂れば良いか、糖分や脂質は大丈夫かと迷うのは自然なことです。 ヨーグルトは腸内細菌のバランスを整える上で役立つ可能性がある食品で、食生活改善の補助として有用です。 一方で、ヨーグルトだけで大腸ポリープを予防できるとは言い切れません。再発予防の基本は、体重管理・運動・飲酒や喫煙の見直しを含む生活習慣全体の改善に加え、定期的な大腸内視鏡検査で早期に発見・切除することです。 本記事では、現役医師が大腸ポリープの予防にヨーグルトは効果があるのかについて詳しく解説します。記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腸ポリープについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腸ポリープ予防に期待できるヨーグルトの効果 ヨーグルトの効果 詳細 腸内環境を整え便通を改善する作用 善玉菌の補給による腸内環境の改善、便通の安定化 カルシウムなど栄養素による大腸がんリスク低下の可能性 カルシウム摂取による腸粘膜刺激の軽減、リスク低下の可能性 健康的な食習慣への入口として活用できる 間食の置き換えによる食習慣改善、継続しやすい健康習慣の導入 ヨーグルトは大腸ポリープ予防の主役ではありませんが、腸内環境を整える補助として役立つ可能性があります。乳酸菌やビフィズス菌を含む発酵乳は、腸内細菌のバランスに働きかけ、便のかたさや回数の乱れを整えるきっかけになります。 便秘が続くと腸内に便が長くとどまりやすく、腸への負担が増えるため生活習慣の見直しが必要です。加えて、ヨーグルトはカルシウムやたんぱく質の摂取源にもなり、食事全体の質を上げる助けになります。 腸内環境を整え便通を改善する作用 ヨーグルトに含まれる乳酸菌(ビフィズス菌、L.カゼイ菌など)は腸内で善玉菌が増えやすい環境をつくり、腸内のpH(水素イオン濃度)を下げることで、菌のバランスを整える働きが期待されます。 これにより悪玉菌(クロストリジウムなど)の増加が抑えられ、腐敗産物や発がん性物質の産生が減る可能性があります。 便通が整って便の滞留が減ると、大腸粘膜が有害物質に触れる時間を短くできる可能性があるため、ヨーグルトは腸内環境を整える補助策として大腸ポリープ予防に期待できるでしょう。 カルシウムなど栄養素による大腸がんリスク低下の可能性 ヨーグルトに含まれるカルシウムは、腸内で胆汁酸や脂肪酸などと結合し、粘膜への刺激となり得る物質を減らす働きが期待されます。 その結果、大腸上皮細胞の過剰な増殖が起こりにくくなり、ポリープ形成の初期段階を抑える可能性があります。また、発酵により生じる共役リノール酸(CLA)などの乳脂肪酸には、腸粘膜の炎症を和らげる作用が示唆されています。 さらに、カルシウムはビタミンDと関わり、吸収や利用が高まる点も特徴です。これらはあくまで補助的な要素であり、生活習慣の改善と定期的な内視鏡検査が基本となります。 健康的な食習慣への入口として活用できる ヨーグルトの効果 詳細 ポリープが大きくなりにくい可能性 ヨーグルトに含まれる成分(ラクトフェリン)で、ポリープの増大が抑えられた報告 身体の防御機能(免疫)を支える可能性 免疫の働きに関わる反応が高まった可能性の報告 ヨーグルトだけで効果が出るとは限らない 研究では成分の錠剤を使用しており、ヨーグルトの摂取量では差が出にくい場合 予防の基本は生活習慣全体の見直し 食事全体の改善・運動・体重管理・定期検査が基本で、ヨーグルトは補助的な位置づけ (文献1) ヨーグルトを朝食や間食に取り入れると、甘い菓子や脂質の多い食品の置き換えになりやすく、果物や全粒穀物なども組み合わせやすくなります。 手軽で続けやすいため、食生活を整える入口として活用でき、生活習慣全体の改善につながる利点があります。 一方で注意点として、ヨーグルトを食べても生活習慣の土台が崩れていると効果は限定的です。 予防の本筋は、食事全体(食物繊維を増やし、加工肉・飲酒を減らす)、運動、体重管理、検査であり、ヨーグルトはあくまで改善を始めるきっかけや補助として位置づけることが大切です。 大腸ポリープを予防するヨーグルトの選び方 ヨーグルトの選び方 詳細 無糖・脂質量・カルシウムなど「成分」で選ぶ 砂糖不使用(無糖)タイプの選択、脂質やカロリーの確認、カルシウム量が多い製品の優先 乳酸菌・ビフィズス菌など「菌の種類」で選ぶ 乳酸菌やビフィズス菌入り製品の選択、機能性表示食品など菌種が明記された商品の活用 継続しやすいヨーグルトを選ぶ 毎日無理なく続けられる味・価格・量の製品選択、食事に取り入れやすい形状(カップ・ドリンク等)の活用 ヨーグルトは成分、菌、続けやすさで選ぶのが大切です。基本は無糖タイプで、加糖は砂糖量が増えやすく習慣化するとカロリー過多につながります。 脂質は食事全体で調整できれば低脂肪にこだわる必要はなく、カルシウムやたんぱく質量は栄養表示で確認しましょう。 菌は個人差があるため、便通など体調の変化で合うものを選び、価格や味も含め無理なく継続できる製品が適しています。 無糖・脂質量・カルシウムなど「成分」で選ぶ ヨーグルトは成分を意識して選ぶことが大切です。加糖タイプは砂糖が加えられている商品が多く、間食として続けると糖分・カロリーが増え、体重増加につながる可能性があります。 脂質は濃厚なほど多くなりやすいため、体重が気になる方や脂質制限が必要な方は低脂肪・無脂肪も選択肢です。 また、乳製品の摂取は大腸がんリスク低下と関連する報告があり、その中心はカルシウムの作用と考えられています。(文献2) ただし、ヨーグルトはあくまで生活習慣改善の一部であり、飲酒や加工肉の過剰摂取、運動不足がある場合は効果が限定的です。 乳酸菌・ビフィズス菌など「菌の種類」で選ぶ ヨーグルトを選ぶ際は、菌の種類に注目することが大切です。乳酸菌やビフィズス菌は一括りではなく、菌種・菌株によって期待できる働きが異なります。 大腸ポリープ予防におけるヨーグルトは主役ではないものの、腸内環境の維持(便通の安定)は土台になります。 実際に、乳酸菌やビフィズス菌を含む製品が、便秘傾向の成人で排便回数を増やし、腸管通過時間を短縮したとするメタ解析があります。(文献3) 一方で、菌によって効きやすい人と効きにくい人が出る、相性の差がある点も重要です。腸内細菌のタイプや食事内容、便通傾向によって反応は変わるため、自分に合う菌を見つける視点が必要です。(文献4) 継続しやすいヨーグルトを選ぶ ヨーグルトは続けられるものを選ぶことが大切です。大腸ポリープの予防はヨーグルトだけで決まるものではなく、食事・運動・体重管理など日々の生活習慣の積み重ねが基本です。 腸に良い習慣として無理なく続けられる形で取り入れることに意味があるため、味が合わない、価格が高い、準備が面倒といった理由で続かなければ、効果は期待しにくくなるでしょう。 無糖ヨーグルトを間食の菓子類の代わりにする、朝食に加えて欠食を減らすなど、食生活を整えるきっかけにもなります。 酸味の好みや食べ方、お腹との相性(乳糖不耐など)も踏まえ、自分に合う商品を選びましょう。 大腸ポリープを予防するためのヨーグルトの食べ方 ヨーグルトの食べ方 詳細 無糖ヨーグルトを毎日続けやすい量で取り入れる 無糖タイプの選択、毎日続けられる量の習慣化、間食の置き換えとしての活用 食物繊維と組み合わせて腸内環境を整える 果物・オートミール・きな粉・ナッツ等の組み合わせ、食物繊維摂取による便通の安定化、腸内環境のサポート 体質に合わせて調整し生活習慣と検査もセットで考える 乳糖不耐など体質に合わせた調整、下痢・腹部膨満が出る場合の量の見直し、食事・運動・体重管理と定期内視鏡検査の併用 ヨーグルトは毎日少量から始めることが基本です。無糖ヨーグルトを食事に取り入れ、まずは1日100〜200gを目安に、体調に合わせて調整しましょう。 腸内環境を整えるにはヨーグルトだけに頼らず、オートミールや果物、海藻、豆類など食物繊維を組み合わせることが大切です。 乳製品で下痢や腹部不快が出る場合は、量を減らす、別の発酵食品に切り替えるなど無理のない方法を選びましょう。 無糖ヨーグルトを毎日続けやすい量で取り入れる 大腸ポリープ予防を意識してヨーグルトを取り入れるなら、基本は無糖タイプです。加糖ヨーグルトは健康的に見えても糖分(遊離糖)が増えやすく、WHOは遊離糖の摂取を総エネルギーの10%未満(可能なら5%未満)に減らすことを推奨しています。(文献5) そのため、糖分の摂りすぎを避けやすい無糖を選ぶのが大切です。また、無糖ヨーグルトは間食の置き換えに使いやすく、食習慣の改善につながります。 食べ過ぎは総摂取カロリー増加につながるため、続けやすい適量を意識しましょう。 さらに、プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌など)を含む食品が、便通の改善(排便回数や腸管通過時間)に一定の効果を示したメタ解析もあり、毎日の継続が腸のコンディション維持に役立つ可能性があります。(文献3) 食物繊維と組み合わせて腸内環境を整える ヨーグルトを腸内環境のために活用するなら、食物繊維と組み合わせることが重要です。食物繊維は消化されず大腸まで届き、善玉菌のエサとなって腸内環境の土台を作ります。 ヨーグルトの乳酸菌・ビフィズス菌を活かすには、腸内で増えやすい環境づくりも欠かせません。便通が整うと腸内の停滞が減り、日常の不快感や排便負担の軽減にもつながります。 WCRFも食物繊維の摂取が大腸がんリスク低下と関連すると整理しています。(文献6) ただし、急に増やすとお腹の張りや下痢を招くため、全粒穀物や野菜、豆類から無理なく増やすことが重要です。 なお、ヨーグルトは補助的な位置づけであり、生活習慣の改善と定期検査が基本です。(文献7) 体質に合わせて調整し生活習慣と検査もセットで考える ヨーグルトは腸内環境を整える補助になりますが、腸の反応には個人差があり、合わない食べ方は下痢や腹部不快などにつながることがあります。 乳糖不耐などでお腹がゆるくなる場合は、無理に続けず、量を減らす、別の発酵食品に切り替えるといった調整が必要です。また、予防の中心は生活習慣と検査です。 大腸ポリープ予防は腸内環境だけでは決まらず、国立がん研究センターも禁煙、飲酒を控える、バランスの良い食事、運動、適正体重の維持など生活習慣の重要性を明示しています。(文献8) さらに、ポリープは無症状のことも多く、食事だけでは防ぎきれないため、切除歴がある人はとくに内視鏡のフォローアップが欠かせません。(文献9) 大腸ポリープ予防のためにヨーグルトを食べるときの注意点 注意点 詳細 ヨーグルトだけでは予防できないことを理解する 予防の基本は生活習慣全体の見直し(食事・運動・体重管理・禁煙・節酒)と定期検査の継続 無糖タイプを選び適量を守る 加糖タイプによる糖分・カロリー増加の回避、食べ過ぎによる体重増加予防 体質に合わない場合は無理に続けない 乳糖不耐などによる下痢・腹部膨満への配慮、量の減量や別の発酵食品への切り替え検討 ヨーグルトは腸内環境を整える補助になりますが、これだけで大腸ポリープを防ぐことはできません。 食事・運動・体重管理・飲酒など生活習慣の改善が基本です。選ぶなら無糖を基本とし、加糖の習慣化や食べ過ぎは糖分・カロリー過多につながるため適量を守りましょう。 乳糖不耐などで不調が出る場合は無理に続けず、別の発酵食品や食物繊維で調整し、定期検査も併せて行うことが大切です。 以下の記事では、大腸ポリープ切除後の注意点についても詳しく解説しています。 ヨーグルトだけでは予防できないことを理解する ポイント 内容 大腸ポリープの発生は「腸内環境」だけで決まらない 食事・飲酒・運動・体重(肥満)など複数要因の影響 ヨーグルトは「補助」であり単独効果には限界がある 腸内環境サポートとしての位置づけ、予防の決め手になりにくい現実 「食べているから大丈夫」という誤解がリスクになる 飲酒や運動不足、加工肉中心などの見直し不足につながる危険 (文献1)(文献8) ヨーグルトは腸内環境を整える助けになりますが、それだけで大腸ポリープを防げるわけではありません。 発生や再発には、食事内容、飲酒、運動、体重など生活習慣が複合的に関わります。「食べているから安心」と考えるより、禁煙や節酒、バランスの良い食事、適度な運動、体重管理を合わせて行うことが大切です。 無糖タイプを選び適量を守る 実践ポイント 目的 具体例 注意点 無糖タイプの選択 糖分過多の回避 無糖ヨーグルトの選択、必要に応じて果物を少量追加 加糖タイプによる糖分上乗せリスク 適量の継続 カロリー過多・体重増加の回避 毎日なら食べ過ぎ回避の習慣化 「腸に良さそう」でも過量摂取による逆効果リスク 目安量の理解 量のイメージ作り 1回100〜200g程度の目安 個別事情による調整余地、厳密な推奨量ではない位置づけ (文献10)(文献11) ヨーグルトは無糖を基本とし、甘味は果物少量で調整する選択が糖分過多の予防に有用とされています。 大腸ポリープは生活習慣の影響が大きい領域のため、食べ過ぎによる体重増加には注意しましょう。 量は乳製品の一般的な提供量を参考に100〜200g程度を目安とし、体格・活動量・他の食事内容に応じた調整が大切です。 体質に合わない場合は無理に続けない ヨーグルトは腸内環境の改善に役立つ可能性がありますが、腸の反応には体質差があり合う・合わないが分かれます。 合わない状態で無理に続けると、下痢や腹部不快感が続き、かえって生活の質を下げるおそれがあります。 とくに乳糖不耐症がある場合、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が不足し、乳糖が十分に消化されません。分解されなかった乳糖が大腸へ進むことでガスの発生や下痢、腹部膨満感が起こりやすいと整理されています。(文献12) 予防は継続が重要なため、合わないと感じたら無理をせず、食事全体の見直しや運動、体重管理など予防の本筋に戻ることが大切です。 【ヨーグルトと併せて取り入れたい】大腸ポリープの予防法 予防法 詳細 食生活を整える 野菜・食物繊維を増やす意識、脂っこい食事や加工肉を控える工夫、飲酒量の調整 運動習慣と体重管理を意識する ウォーキングなどの軽い運動の継続、体重増加を防ぐ意識、無理のない筋トレの併用 定期的な内視鏡検査で早期発見につなげる 定期的な大腸内視鏡の受診、ポリープの早期発見と切除、医師の指示に沿った検査間隔の遵守 ヨーグルトを取り入れる際は、生活習慣の見直しも併せると予防効果を活かしやすくなります。 食生活では野菜・海藻・豆類・きのこなどで食物繊維を増やし、加工肉や揚げ物、甘い飲料は控えめにします。 運動は歩行など軽いもので十分なため、継続と体重管理を意識しましょう。大腸ポリープは無症状のことが多く、定期的な内視鏡検査と組み合わせることが重要です。 食生活を整える 大腸ポリープ(大腸がん)の予防では、ヨーグルトだけに頼らず、食事全体を整えることが土台です。 ヨーグルトは補助であり、腸内環境を整えるには食物繊維をセットで意識することが欠かせません。 食物繊維は大腸まで届き、便通改善や整腸作用をもつと厚生労働省で整理されています。ヨーグルト(プロバイオティクス)を活かすためにも、野菜・海藻・豆類・全粒穀物などを取り入れることが大切です。(文献13) またWCRFは、加工肉が大腸がんリスクを上げる要因として強い根拠で評価され、飲酒もリスク増加に関係すると報告しています。(文献6) さらに国立がん研究センター(JPHC研究)でも、食生活パターンと大腸がんリスクの関連が示されており、単品ではなく食事の形(パターン)が重要としています。(文献14) 運動習慣と体重管理を意識する 予防法 詳細 有酸素運動 腸の動き(蠕動)の促進、便通の改善、有害物質の腸内滞留時間の短縮 筋力トレーニング 内臓脂肪の減少、基礎代謝の維持、血糖バランスの改善サポート BMI(体重)管理 肥満の是正、炎症に傾きやすい状態の抑制、生活習慣リスクの低減 運動習慣の継続 食事・検査と組み合わせた予防行動の定着、再発リスクの長期的な抑制支援 (文献15)(文献16) 運動は腸の動きを促し、便が腸内に長く滞留する状態を減らすことで、大腸への負担を軽くする助けになります。 加えて、筋トレや体重管理は肥満に関連するリスクを下げる要素です。ヨーグルトは腸内環境の補助として活用し、食事改善と定期的な内視鏡検査と併せて継続することが、予防につながります。 以下の記事では、大腸ポリープができやすい人の特徴について詳しく解説しています。 定期的な内視鏡検査で早期発見につなげる 大腸ポリープの予防では、ヨーグルトで腸内環境を整えることに加え、定期的な内視鏡検査で早期発見・切除することが重要です。 ポリープは無症状のまま進行することが多く、検査で直接確認して対応する流れが予防につながります。 とくに40歳以上や家族歴がある場合はポリープができやすく、ヨーグルトだけでは遺伝・加齢要因をカバーできません。 そのため、検査で状態を把握し、結果に応じて食事・運動など生活習慣改善の方向性を調整することで、予防精度を高められます。 ヨーグルトはあくまで補助として位置づけ、検査と組み合わせて継続することが大切です。 大腸ポリープにおけるヨーグルトの効果を把握し適切な予防に講じよう ヨーグルトは大腸ポリープ予防の補助として、腸内環境を整える習慣づくりに役立ちます。選び方は無糖を基本に、成分表示で糖分・脂質・カルシウムなどを確認し、菌は体質との相性で判断します。 食べ方は毎日少量から始め、食物繊維と組み合わせると続けやすくなるでしょう。一方で、乳製品が合わない人は無理に続けず、別の発酵食品や食物繊維の工夫へ切り替えることが大切です。 大腸ポリープについて不安がある方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 ヨーグルトを含む食事改善は、大腸ポリープの再発予防を考える上で有用な可能性があります。一方で、食事だけでは改善が難しい後遺症や合併症が続く場合には、幹細胞を用いた再生医療を治療選択肢のひとつとして検討できます。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 大腸ポリープとヨーグルトに関するよくある質問 ヨーグルトが苦手なのですが代わりとなる食材はありますか? ヨーグルトが苦手でも、腸内環境を整える方法はほかの食材で十分に補えます。意識したいのは、腸内細菌を支える発酵食品と、腸内細菌のエサになる食物繊維の2点です。 ヨーグルトが苦手な方におすすめの代わりとなる食材は以下を参考にしてみてください。 食品の種類 代表例 詳細 発酵食品(腸内環境のサポート) 納豆、味噌(味噌汁)、ぬか漬け・キムチ、チーズ 善玉菌を補う食習慣、腸内環境のサポート目的 食物繊維が多い食品(腸内細菌のエサ) 野菜・海藻・きのこ、豆類(大豆・ひよこ豆など)、全粒穀物(オートミール・玄米など) 腸内細菌のエサの補給、便通の改善、腸内環境の土台づくり とくに食物繊維は、大腸の健康維持や便通改善に役立つ要素です。 乳製品にこだわらず、食事全体の改善に加え、必要に応じた内視鏡検査を組み合わせることが予防において大切です。 大腸ポリープの予防以外にヨーグルトで期待できる効果はありますか? ヨーグルトは大腸ポリープ予防の主役ではありませんが、腸内環境を支える補助として日常の健康管理に役立つ可能性があります。 乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品については、メタ解析で排便回数の増加や腸管通過時間の短縮効果が報告されています。(文献3) また、食物繊維と組み合わせると取り入れやすく、カルシウム補給や間食の置き換えにも有用です。一方、乳糖不耐などで腹部症状が出る場合は無理に続けず、体質に合う方法を選びましょう。 参考文献 (文献1) 母乳やヨーグルト、大腸ポリープ抑制効果 (文献2) DAIRY AND CANCER | World Cancer Research Fund (文献3) Effects of probiotic-containing products on stool frequency and intestinal transit in constipated adults: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献4) Probiotics and prebiotics|World Gastroenterology Organisation Global Guidelines (文献5) Reducing free sugars intake in adults to reduce the risk of noncommunicable diseases|World Health Organization (文献6) Diet, nutrition, physical activity and colorectal cancer|World Cancer Research Fund International (文献7) 食物繊維(しょくもつせんい)|厚生労働省 (文献8) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)|がん情報サービス (文献9) 日本消化器病学会 大腸ポリープ診療ガイドライン 2020(改訂第 2 版)|日本消化器病学会 (文献10) Consumption of Dairy Products and Colorectal Cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC) |NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献11) 生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の普及に係る実施の手引|平成27年9月厚生労働省健康局 (文献12) 乳糖不耐症|MSDマニュアル家庭版 (文献13) 食物繊維の必要性と健康|厚生労働省 (文献14) 食生活パターンと大腸がんとの関連について |国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト (文献15) 身体活動量と大腸がん罹患との関連について |国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト (文献16) 肥満指数(BMI)と大腸がんリスク | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
2026.01.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「大腸ポリープの疑いと診断された」 「生活習慣病や肥満と診断されたことがある」 健診結果に「便潜血陽性」や「大腸ポリープ疑い」と記載されていませんか。大腸ポリープに対して不安を感じている方も多いでしょう。 大腸ポリープは、遺伝的な体質に加えて食生活などの生活習慣も関係しており、これらの要因が重なると発生しやすくなります。 本記事では、現役医師が大腸ポリープができやすい人の特徴を詳しく解説します。 記事の最後には、大腸ポリープができやすい人からよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腸ポリープについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腸ポリープができやすい人の体質 大腸ポリープができやすい人 詳細 年齢が50歳以上 加齢による大腸粘膜の変化と発生リスク上昇 生活習慣病や肥満と診断されている 糖尿病・脂質異常症・肥満に伴う炎症や代謝異常の影響 家族に大腸がんやポリープの病歴がある 遺伝的体質・生活習慣の共通による発症リスク増加 大腸ポリープ既往・遺伝性疾患 再発しやすい体質、遺伝性疾患(FAP・リンチ症候群など)の関与 大腸ポリープは、生活習慣だけでなく体質の影響も受けます。年齢を重ねるほど発生しやすくなり、肥満や生活習慣病があるとリスクが上がる傾向です。 家族に大腸がんやポリープの病歴がある場合は、遺伝的な要因も疑われます。また、過去に大腸ポリープを切除した方は、同じ環境が続くと再びできやすくなります。 まずは自分が当てはまるかを整理し、必要なら内視鏡検査で状態を確認することが再発予防に欠かせません。 年齢が50歳以上 50歳以上は、大腸ポリープの主要なリスク要因です。主な理由は、加齢に伴う細胞の変異蓄積と腸内環境の変化であり、発生率は40歳頃から上昇し、50歳以降で急増します。 年齢を重ねるほど大腸粘膜細胞のDNA修復能力が低下し、ポリープの元となる腺腫性病変が増えます。 疫学データでも発症のピークは60代です。さらに、生涯にわたる微小炎症や微量の発がん物質への累積暴露が50歳以降に顕在化し、発生確率を高めます。 生活習慣病や肥満と診断されている 生活習慣病や肥満がある方は、大腸ポリープができやすい傾向です。 とくに糖尿病などの生活習慣病がある人は、ない人に比べて大腸がんのリスクが高いことが知られており、2型糖尿病の人は大腸がんになりやすいことが示唆されています。(文献1) また、肥満、内臓脂肪は慢性的な炎症やホルモン環境の変化を招きやすく、大腸粘膜の細胞増殖に影響してポリープの土台になり得るため、注意が必要です。 NCI(米国国立がん研究所)も、肥満が複数のがんリスクを高め、その中に大腸がんが含まれると示しています。(文献2) 家族に大腸がんやポリープの病歴がある 家族に大腸がんや大腸ポリープの病歴がある場合、大腸ポリープのリスクは1.4〜3.9倍に上昇します。 とくに一等親(親・兄弟・子)で複数診断があると顕著です。遺伝的要因と生活環境の両面が関与しています。 また、一等親にポリープ歴があると、APC遺伝子変異などの遺伝的感受性を共有しやすく、海外の研究でも一等親1回のSIR1.4倍が確認されました。(文献3) さらに一等親が複数診断だとリスク2.4倍、早期がん3.9倍、一等親2回以上で1.8倍、二等親でも複数で有意上昇のため、通常より早い検診が推奨されます。 大腸ポリープ既往・遺伝性疾患 大腸ポリープの既往がある方は、ポリープができやすい性質を持つ場合があり、再発しやすい傾向があります。 ただし将来のリスクは一律ではありません。米国ガイドラインでは、ポリープの数・大きさ・病理(異型の強さなど)に応じて次回の内視鏡検査間隔を変えるよう推奨しており、性質が強いほど再発しやすい可能性を示しています。(文献4) また、遺伝性疾患として家族性大腸腺腫症(FAP)やリンチ症候群があり、NCIのPDQでも多数のポリープや大腸がんに関わる重要な体質要因と整理されました。(文献5) さらに10個以上の多発や若年で繰り返す場合は遺伝要因を疑う契機となるため、医師へ相談が推奨されます。(文献6) 大腸ポリープができやすい人の食事 食事内容 詳細 肉類・脂っこい食事が多い 動物性脂肪・加工肉の多摂取による腸内環境悪化と炎症促進 野菜・食物繊維が不足している 便量低下・便秘傾向による腸内滞留時間延長と発がん物質接触の増加 飲酒量が多い アルコールによる粘膜刺激と代謝産物(アセトアルデヒド)増加の影響 食事は大腸ポリープのリスクに関わる重要な要素です。肉や揚げ物が多い食生活、野菜や食物繊維の不足、飲酒量の多さが重なると、腸内環境が乱れやすくなります。 とくに外食が多い方は、脂質と塩分が増え、食物繊維が不足しがちです。体質と感じていても、食事内容を見直すことで改善につながる点が見つかる場合があります。 完璧を目指すより、頻度と量を調整し、続けられる形に落とし込むことが再発予防につながります。 肉類・脂っこい食事が多い 肉類や脂っこい食事が多いと、大腸ポリープのリスクが高まる可能性があります。 赤身肉に多いヘム鉄は、腸内で有害な化合物の生成を促して粘膜を傷つけ得るため、刺激が続くと粘膜細胞の過剰増殖を介してポリープ形成に関与する可能性があります。 そのため、保存・加工由来の要素が加わりやすい加工肉は、できるだけ控えめにすることが基本です。(文献7) WCRFは、大腸がんと過体重・肥満の関連を明確にし、脂っこい食事が肥満や生活習慣病を介してリスクを高め得ることを示しました。 肉類や脂っこい食事を完全に避けるのではなく、頻度の調整や置き換えを基本とし、赤身肉は週あたりの摂取量350〜500gを目安に、加工肉は控えめにすることが推奨されます。(文献8) 野菜・食物繊維が不足している 野菜・食物繊維が不足している食生活は、大腸の病気リスクと関連が指摘されています。 研究では、食物繊維の少ない食事が大腸がんリスク上昇と関係する可能性が示されました。(文献9) 食物繊維には便のかさを増やして腸の動きを助ける働きがあり、不足すると便が減って腸内にとどまりやすくなります。さらに腸内細菌の環境が乱れやすく、腸粘膜に影響が出る可能性もあります。 国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC研究)でも、食物繊維の摂取量が多いほど一律に低リスクとは限りません。一方で摂取量が極端に少ない人でリスクが高くなる可能性が示されています。(文献10) 飲酒量が多い 飲酒量が多いほど、大腸ポリープができやすい背景になります。 国立がん研究センター(JPHC研究)の評価では、アルコール摂取量が15g/日増えるごとに大腸がんリスクが約10%増えると推定しました。(文献11) アルコールは代謝の過程でアセトアルデヒドを生じ、DNAに不利な影響を与え得る点をNCIも整理しています。(文献12) また、WCRFは、アルコールと大腸がんの関連について30g/日(約2ドリンク)以上で結論が出ていると示しました。(文献13) ACSは飲むなら男性2杯/日、女性1杯/日以下を上限としつつ、がんリスクの観点では飲まないのがもっとも望ましいとしています。(文献1) 受診すべき大腸ポリープのサイン 大腸ポリープのサイン 詳細 便の異常(血便・黒っぽい便) 粘膜からの出血や消化管出血による便色変化の可能性 便通の変化(便秘・下痢・便が細い) 腸内環境の変化や腸管狭窄による排便パターン変化 体調の変化・健診異常 貧血症状(だるさ・めまい)や便潜血陽性などの検査異常 大腸ポリープは自覚症状が乏しいこともありますが、便にサインが現れる場合があります。 たとえば、血便や黒っぽい便、便が細くなるなどの便性状の変化、便秘・下痢といった便通の乱れが続くときは注意が必要です。また、健診で便潜血陽性や貧血を指摘された場合も見逃せません。 大腸の不調は一時的なものと捉えがちですが、確認が遅れるほど不安が長引きます。気になる変化がある場合は早めに医療機関へ相談し、必要に応じて検査を受けましょう。 便の異常(血便・黒っぽい便) ポイント 詳細 腸管内での出血 ポリープ表面のこすれや炎症による出血混入 血の色で出血部位の目安が変化 鮮血は肛門に近い部位からの出血の可能性、黒っぽい便は腸内移動による血液酸化の可能性 少量でも繰り返す出血は要注意 痔以外(ポリープ・がんなど)による出血の可能性 便だけでは原因特定が困難 痔・ポリープ・別疾患の鑑別に内視鏡確認が必要 (文献14)(文献15) 血便や黒っぽい便は、腸の中で出血が起きているサインの可能性があります。鮮血は肛門に近い部位、黒っぽい便は出血した血液が腸内を移動して酸化した場合に見られます。 少量でも繰り返す出血は痔と決めつけず、原因確認のため内視鏡検査で評価することが重要です。 便通の変化(便秘・下痢・便が細い) ポイント 詳細 腸管内腔の狭窄 ポリープ・腫瘍の増大による便通過の妨げ 腸運動の不安定化 便秘の持続、下痢の出現、便秘と下痢の反復 細い便の鑑別の必要性 便秘・食事量・腸のけいれん性運動による影響の可能性 進行に伴う症状化 早期無症状からの便通異常出現、放置による見逃しリスク (文献14)(文献15) 便秘や下痢、便が細いといった変化は、腸の通り道が狭くなる場合や腸の動きが乱れる場合に起こります。 細い便だけで重大な病気と決まるわけではありません。しかし、急な変化が続くときは原因の確認が必要です。 大腸の病気は早期に症状が出にくいため、便通の変化が続く場合は医療機関へ相談しましょう。 体調の変化・健診異常 体調の変化や健診異常(貧血・便潜血陽性)は、大腸ポリープや腫瘍による目に見えない出血の疑いのあるサインです。 便潜血検査は便中の微量の血液を検出でき、自覚症状が出る前の異常発見につながります。 出血が慢性的に続くと鉄が失われ、鉄欠乏性貧血となって、だるさ・息切れ・動悸・めまいが現れる場合があります。 大腸の病変による出血は時間をかけて貧血(赤血球数の低下)につながり、血液検査での貧血が最初のサインになることもあるため、健診結果を放置しないことが大切です。(文献16) また、便潜血陽性は無症状でも起こりえ、がん情報サービスも症状がないからと過信しないように注意喚起しています。(文献17) 大腸ポリープを予防・再発させない方法 予防・再発させない方法 詳細 生活習慣を見直す 食生活の改善、運動習慣の確立、禁煙・節酒の徹底 体重・腸内環境を管理 適正体重の維持、便通の安定、食物繊維摂取による腸内環境の調整 定期的に内視鏡検査を受ける 早期発見・早期切除による大腸がん予防、再発リスクに応じた検査間隔の設定 大腸ポリープの予防と再発防止では、日々の生活を整えることと、定期的に状態を確認することが大切です。 体質はすぐに変えられませんが、食事の内容や体重管理、腸内環境は工夫次第で改善が見込めます。 加えて、内視鏡検査で早い段階で見つけて対処できれば、将来的なリスクを抑えやすくなります。 生活習慣を見直す 大腸ポリープの中には、将来的にがん化し得る腺腫が含まれるため、予防には生活習慣の見直しが欠かせません。 喫煙・飲酒・運動不足・肥満は大腸がんのリスク因子として知られており、結果としてポリープができやすい背景になります。 とくに喫煙は腸の細胞にダメージを与え、ポリープ形成の土台になり得るため禁煙が基本です。 飲酒も量が増えるほどリスクが積み上がるため、種類にかかわらず、控えめが基本といえます。さらに運動不足と肥満は炎症やインスリン抵抗性を介して腸に不利に働くため、日常的な運動習慣と体重管理が欠かせません。 体重・腸内環境を管理 大腸ポリープの予防・再発防止には、体重と腸内環境の管理が重要です。肥満、とくに内臓脂肪が多い状態は大腸がんのリスク要因として知られており、腺腫性ポリープとも関連が深いため体重管理が再発予防の土台になります。 内臓脂肪が増えると慢性炎症や代謝異常が続きやすく、インスリン抵抗性から高インスリン状態となり、腸粘膜の細胞増殖に不利に働く可能性があります。 腸内細菌は食物繊維から短鎖脂肪酸を産生して腸粘膜の健康維持に関与すると考えられるため、便秘が続く場合は食物繊維不足や運動不足など生活習慣の乱れを点検し、生活全体を見直すことが必要です。 定期的に内視鏡検査を受ける 大腸ポリープ(とくに腺腫)は切除して終わりではなく、別の部位に新しくできることがあります。 そのため、再発の早期発見には定期的な大腸内視鏡検査が欠かせません。便潜血検査は異常を拾うきっかけになりますが、確定診断には内視鏡が必要です。 内視鏡は発見と同時に切除できる点が大きな利点です。検査の間隔は一律ではなく、ポリープの数・大きさ・病理など性質に応じて調整します。 症状が出にくい病変も多いため、受診を先延ばしにせず、医師と相談しながら適切なタイミングで検査を受けることが大切です。 大腸ポリープができやすい人の特徴を理解して再発・予防に徹しよう 大腸ポリープができやすい背景には、年齢や家族歴といった体質的要因に加え、食事内容や体重管理など生活習慣の影響もあります。 どちらか一方が原因と決めつけるのではなく、複数の要因が重なるほどリスクが高まると捉えると理解しやすいでしょう。 大腸ポリープの症状でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、大腸ポリープの検査や治療だけでなく、患者様一人ひとりの状態に応じた再発予防の提案を心がけています。 また、術後の経過の中で排便機能の変化や粘膜のダメージなど、生活の質(QOL)に影響する症状が続く場合には、必要に応じて再生医療という選択肢も視野に入れたご提案が可能です。 再生医療はすべての方に適用できる治療ではありませんが、症状や既往、検査結果を踏まえ、適応の有無や期待できる効果をご案内いたします。 ご質問やご相談は、「LINE」もしくは「メール」「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 大腸ポリープができやすい人からよくある質問 大腸ポリープの再発率はどのくらいですか? 大腸ポリープは切除後も再び見つかることがあり、これは「取り切れていない」という意味ではなく、時間の経過とともに別の部位に新しくできるケースがあるためです。 再発しやすさは、ポリープの大きさや数、性状、家族歴、生活習慣などで変わります。 大規模コホート研究に基づく再発率の目安は、以下の表を参考にしてください。 大腸ポリープの再発率 詳細 1年以内:10.9% 微小残存・早期再生 3年以内:38.2% 再発が見つかりやすい時期 5年以内:52.6% 累積多発化 (文献18) 大規模コホート研究では再発率の目安として、1年以内10.9%、3年以内38.2%、5年以内52.6%と報告されており、経過とともに累積リスクが高まります。 そのため、一律の数字だけで判断せず、医師から案内される検査間隔を守ることが重要です。切除歴がある方は便潜血検査だけで済ませず、定期的に内視鏡で確認することで早期に対応しやすくなります。 以下の記事では、大腸ポリープの切除後について詳しく解説しています。 大腸ポリープができやすい体質でも食事改善に意味はありますか? 体質(加齢や家族歴など)は変えられませんが、食事は改善可能な要因です。 赤身肉・加工肉・飲酒を控え、食物繊維を十分にとることで、大腸ポリープの再発リスク低下につながる可能性があります。 以下の記事では、大腸ポリープの予防とヨーグルトの効能について詳しく解説しています。 大腸ポリープ予防のためにお酒や脂っこいものはどの程度までなら良いですか? 大腸ポリープ予防の観点では、飲酒や脂っこい食事はゼロが理想ですが、続けられる範囲で量と頻度を決めて減らすことが大切です。 赤身肉は摂取量を意識し、ベーコン・ソーセージなどの加工肉はリスクが上乗せされやすいため、できるだけ控えることが基本となります。 参考文献 (文献1) Colorectal Risk Factors | American Cancer Society (文献2) Obesity and Cancer|NIH NATIONAL CANCER INSTITUTE (文献3) 大腸がんのリスクは、親族の大腸ポリープ診断の頻度と関連している。|PubMedCLOUD (文献4) Recommendations for follow-up after colonoscopy and polypectomy: A consensus update by the US Multi-Society Task Force on colorectal cancer|US MULTI-SOCIETY TASK FORCE (文献5) Genetics of Colorectal Cancer (PDQ®) |PubMedCLOUD (文献6) Genetics of Colorectal Cancer (PDQ®)|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献7) Meat and cancer | World Cancer Research Fund (文献8) Limit consumption of red and processed meat | Recommendation evidence | World Cancer Research Fund (文献9) Fibre, wholegrains and cancer | World Cancer Research Fund (文献10) 食物繊維摂取と大腸がん罹患との関連について | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト (文献11) 飲酒と大腸がんリスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター がん対策研究所 (文献12) Alcohol and Cancer Risk|NIH NATIONAL CANCER INSTITUTE (文献13) Alcoholic drinks and the risk of cancer|World Cancer Research Fund International (文献14) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)| がん情報サービス (文献15) 大腸がんについて | NCCJ国立がん研究センター 東病院 (文献16) Colorectal Cancer Signs and Symptoms|American Cancer Society (文献17) 大腸がん検診について|がん情報サービス (文献18) Surveillance Patterns and Polyp Recurrence following Diagnosis and Excision of Colorectal Polyps in a Medicare Population|AACR
2026.01.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「大腸ポリープの切除(内視鏡治療)が控えている」 「大腸ポリープ切除後が不安」 大腸ポリープ切除後は、仕事への復帰の目処や何日休むべきかを迷う方が多くいます。 出血やお腹の張り、違和感が続くと、「経過は順調なのか」と不安になることもあるでしょう。初めて切除を受けた場合は、医師の説明を聞いていても、日常生活での判断に悩みやすいものです。 本記事では、現役医師が、大腸ポリープ切除後について詳しく解説します。また、記事の最後にはよくある質問をまとめています。ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腸ポリープについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腸ポリープ切除後は何日休むべき? 休暇期間 詳細 デスクワーク中心の場合は翌日から復帰できることが多い 身体への負担が少ないため翌日復帰が可能なケースが多い 立ち仕事や軽い身体活動がある場合は2〜3日の休養が目安 腹圧や体力負担を考慮した2〜3日程度の休養目安 重労働や力仕事がある場合は1週間程度の休養が必要 強い腹圧や出血リスクを避けるため、1週間前後の休養が目安 大きなポリープ・複数切除時は1週間以上の休養を考慮 切除範囲が広い場合の出血予防を優先した長めの休養を検討 休養の目安は、切除の方法(生検か切除か)、ポリープの大きさ、切除数、止血処置の有無、普段の仕事内容で変わります。 多くは日帰りで終わりますが、切除部は数日かけてかさぶたのような状態になるため、便の刺激や血圧上昇で出血しやすい時期があります。 まずは当日〜翌日は予定を詰めず、飲酒・長風呂・激しい運動・重い物を持つ作業は避けた上で、体調を見ながら復帰を判断しましょう。抗血栓薬を服用している方、便秘傾向の方、過去に出血経験がある方は慎重な計画が必要です。 デスクワーク中心の場合は翌日から復帰できることが多い 大腸ポリープ切除後は、切除部位が粘膜の浅い「小さな傷」であることが多く、経過が順調なら早期に日常生活へ戻れます。 とくにデスクワークのような座って行う仕事は身体的負担が小さく、体幹や腹部に強い力がかかりにくいため、後出血や穿孔などのリスクを高めにくい点が特徴です。 医療情報でも軽作業は翌日から2日で復帰できる例があります。術後管理の目安として、軽い仕事は翌日から数日後に復帰可能である一方、重い作業や腹部に力が入る動作は数日から1週間程度の休養が推奨されています。 立ち仕事や軽い身体活動がある場合は2〜3日の休養が目安 立ち仕事や軽い身体活動がある場合は、2〜3日の休養が目安です。大腸ポリープ切除後の粘膜は一時的に傷の状態になっており、術後数日は後出血などが起こりやすい時期とされます。 そのため、安静期間として2〜3日は無理な身体負荷や腹圧がかかる動作を控えることが、出血リスクを下げる一般的な目安です。 立位での作業や歩行は、座位よりも腹部への圧力や血圧の変動が大きくなります。切除部位への刺激が増えて合併症リスクがやや高まる可能性があります。 また、倦怠感や腹部の張りなど軽い不調が出ることもあり、2〜3日の休養は体調変化を落ち着ける実用的な期間です。 重労働や力仕事がある場合は1週間程度の休養が必要 重労働や力仕事がある場合は、術後1週間程度の休養が目安です。内視鏡でポリープを切除すると腸粘膜に一時的な傷ができます。 見た目が落ち着いても修復は途中段階です。無理をすると後出血などの合併症につながるおそれがあるため、注意が必要です。 重い物を持つ、強く踏ん張るといった動作は腹圧を上げ、切除部位の止血部に負担がかかりやすくなります。 実際に、負担の大きい作業は数日から1週間ほど控えるよう示す案内もあります。ただし、切除した大きさや数、体調、出血の有無で必要な休養は変わるため、最終的には医師の指示を優先しましょう。 大きなポリープ・複数切除時は1週間以上の休養を考慮 大きなポリープを切除した場合や複数個を同時に切除した場合は、1週間以上の休養を見込むことが大切です。切除範囲が広いほど腸粘膜の傷も大きくなり、止血や修復に時間がかかるため、術後早期の出血リスクが高まる傾向があります。 また切除部位が多いと、腸の動きや腹圧の変動による刺激を受けやすく、出血や不快感、合併症につながるおそれがあります。 必要な休養期間は、切除した部位や大きさ、止血状況、体調によって変わるため、医師の指示に従うことが大切です。 大腸ポリープ切除後の痛みが続く期間 期間の目安 起こりやすい状態・ポイント 術後1〜3日 張り感・軽い違和感・ゾクゾク感の自然軽快、内視鏡送気と切除部位反応の影響 術後数日〜1週間 切除部位の修復過程に伴う軽い不快感、周囲炎症による一時的な違和感 1週間以上続く場合 個人差や切除方法によって長引くことがあり、続く場合は医師へ相談 早期相談が必要なサイン 発熱、耐え難い腹痛、症状の悪化、強い症状の持続による合併症の疑い 大腸ポリープ切除後は、お腹の張り感や軽い違和感などが出ることがあります。これは内視鏡で空気(炭酸ガス)を入れることや、腸粘膜が切除された部位の反応によるものです。多くの場合は術後1〜3日で徐々に落ち着きます。 また、切除部位は体内で「傷」として修復が進むため、周囲の炎症反応により不快感が数日続くことは一般的な経過と考えられます。 一方で発熱や強い腹部の違和感、症状の悪化や長期化がある場合は合併症も否定できないため、早急に医療機関を受診しましょう。 大腸ポリープ切除後の注意点 注意点 詳細 食事・飲酒・水分摂取 消化にやさしい食事の選択と刺激物回避、十分な水分補給、一定期間の禁酒 入浴・運動・日常生活の制限 長風呂の回避とシャワー中心、重い物を持つ作業や運動の制限、腹圧がかかる動作の回避 服薬管理と移動・旅行の制限 抗血栓薬など内服の指示遵守、服薬再開時期の確認、長距離移動や旅行の延期を検討 大腸ポリープ切除後は、切除部位の出血や腸への刺激を避けるため、生活面の配慮が重要です。食事は消化にやさしい内容を基本とし、アルコールや刺激物は一定期間控え、水分も十分に摂取しましょう。 また、入浴や運動は腹圧や血流変化で出血リスクが高まる可能性があるため、無理のない範囲に制限します。服薬中の方は自己判断で中止せず、移動や旅行も含め医師の指示に沿って調整しましょう。 以下の記事では、大腸ポリープができやすい人について詳しく解説しています。 食事・飲酒・水分摂取 大腸ポリープ切除後の粘膜は「傷」の状態であり、刺激の強い食品や固い食品は粘膜への負担が大きくなり、出血や不快感の原因になることがあります。 そのため、最初の数日から1週間程度は消化が良く、お腹に負担の少ない食事を心掛けることが一般的に勧められています。刺激物や高脂肪食は腸の動きを活発にして傷に負担をかける可能性があるためです。 また、大腸内視鏡前の下剤や前処置で身体が一時的に脱水状態になることがあり、術後も脱水が続くと便が硬くなって排便時に腹圧が上がりやすく、切除部位に負担がかかることが示唆されます。水分をこまめに補給することは便の通りをスムーズにし、腸の回復を助ける基本的なケアです。(文献1) 加えて、術後の出血や違和感は多くの場合は経過の一部ですが、刺激が強い食事やアルコールは症状を悪化させる可能性があるため、術後数日から1週間程度は控える必要があります。これにより、術後の不快な症状や合併症リスクの軽減につながるとされています。 入浴・運動・日常生活の制限 大腸ポリープ切除後は、腸粘膜に切除部位という小さな傷があります。湯船に浸かるなどで体が温まり血行が良くなると、切除部位の血流も増え、術後の出血リスクが高まる可能性があります。 そのため、当日はシャワー中心にして、湯船に浸かる入浴は数日から1週間程度控えるのが一般的です。また、術後の数日から1週間は、日常生活で腹圧がかかるような動きや長時間の立ち仕事、力仕事、重い荷物の運搬などを控えることが推奨されます。 こうした活動は腸粘膜に負荷をかけ、出血や創部への刺激につながる可能性があるためです。これらの制限は、切除後の出血や穿孔などの合併症を予防し、回復を促すことを目的としています。 術後直後は腸粘膜が治癒過程にあり、血行や腹圧の急激な変化に弱い状態であるため、術後数日から1週間を目処に体調を見ながら段階的に通常の生活へ戻すことが一般的な臨床指導です。 服薬管理と移動・旅行の制限 大腸ポリープ切除後は、担当医が抗血栓薬(血液を固まりにくくする薬)や非ステロイド系鎮痛薬(NSAIDs)の中止・再開を指示することがあります。 これらの薬は血液の凝固能に影響し、止血が安定するまで出血リスクを高めることが示唆されているためです。診療ガイドラインでも、こうした薬の再開については医師の指示が重視されています。(文献1) 患者さんごとに状況が異なるため、自己判断で再開しないことが大切です。また、術後しばらくは長時間の運転や遠方への移動を控え、出血などの症状が出た際に速やかに受診できる環境を優先します。 とくに大きいポリープ切除や複数個の切除があった場合、治癒期間が約2週間程度必要とするケースもあります。こうした状況では、海外旅行や国際線の搭乗は、気圧変化や長時間拘束で体調に影響が出る可能性があるため、切除部位の治癒状況を踏まえて計画することが大切です。(文献2) 大腸ポリープ切除後の受診すべき症状 受診すべき症状 詳細 出血の症状(鮮血・黒色便) 便に混じる鮮血や黒色便の出現、出血量の増加や持続、めまい・ふらつきを伴う出血の可能性 腹部の違和感や張りが強い場合 強い腹部膨満感や違和感の持続、増悪する腹痛、吐き気を伴う腹部症状の可能性 発熱・だるさなどの全身症状 発熱の持続、強い倦怠感、寒気や食欲低下など全身状態悪化のサイン 大腸ポリープ切除後は、軽い出血やお腹の張りがみられることもありますが、鮮血便や黒色便が続く場合は後出血の可能性があります。 また、腹部の違和感や張りが強い状態が続く場合は、腸への負担が大きいサインです。さらに、発熱や強いだるさを伴うときは感染など合併症も否定できません。 自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関へ相談しましょう。 出血の症状(鮮血・黒色便) 大腸ポリープ切除後の出血は、比較的よくみられる合併症のひとつです。切除部位は腸内の「傷」にあたるため、腸の動きや便の刺激でかさぶたがはがれると出血することがあります。 便に鮮血が混じる場合は、切除部位から活動性の出血が起きている可能性があり、量が多い、繰り返す場合は止血処置が必要になることもあります。 また、黒色便(タール便)がみられる場合、消化管出血の可能性があるため、早めに医療機関へ相談しましょう。 腹部の違和感や張りが強い場合 受診の目安 詳細 よくある経過 検査時の送気による一時的な張り感、ガス貯留感 受診を検討 張り感の増悪、部位がはっきりした不快感、改善しない持続症状 緊急性が高い所見 強い腹痛、腹部全体の強い膨満、動けないほどの不快感 併発で要注意 発熱、嘔吐、冷汗、ぐったり感などの全身症状 (文献3) 術後の軽い張りは、内視鏡で空気や炭酸ガスを入れた影響による一過性症状で、数日で軽快することが一般的です。 一方、張りが強い、局所的に続く、時間とともに悪化する場合は、穿孔や炎症、切除後凝固症候群(PPCS)など合併症の可能性も否定できません。発熱や嘔吐を伴うときは早めの受診が重要です。 発熱・だるさなどの全身症状 大腸ポリープ切除後に発熱・だるさなどの全身症状が現れる場合、合併症のサインであるため医療機関への受診が必要です。 切除部位の影響で腸壁に傷が及び、炎症が広がる(穿孔など)と発熱や強い倦怠感を伴うことがあります。 また、後出血が続くと貧血傾向となり、ふらつき・動悸・強いだるさにつながる場合もあります。 さらに術後の粘膜は傷の状態で、感染や炎症が起きると寒気や発熱として現れることがあり、ガスによる張りは多くが24〜48時間で軽快する一方、改善しない・悪化する場合は合併症評価が必要です。(文献4) 大腸ポリープ切除後の違和感は当院にご相談ください 切除後の過ごし方は、ポリープの大きさや切除方法で変わり、同じ症状でも判断が分かれることがあります。症状が許容範囲かどうか迷う時間が長いほど、不安も強くなります。 大腸ポリープ切除後の違和感が続いている方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、大腸ポリープ切除後の出血の量、便の色、腹部症状の経過、服薬状況などを確認し、受診が必要か、生活調整で対応できるかを具体的に案内します。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 大腸ポリープ切除後に関するよくある質問 大腸ポリープ切除後にコーヒーを飲んでも大丈夫ですか? 目安(時期) コーヒーの飲み方 当日 できれば控える、飲むなら薄めを少量 翌日〜3日程度 体調が良ければ少量から再開 大腸ポリープ切除後のコーヒーは、多くの場合、少量であれば飲んでも大きな問題はありません。ただし、カフェインは胃腸への刺激や脱水につながることがあるため、当日〜数日は控えましょう。 当日はできるだけ避け、飲む場合は薄めを少量にとどめましょう。翌日から3日程度は体調が良ければ少量から再開できます。 大腸ポリープ切除後に死亡するケースはありますか? 大腸ポリープ切除後に命に関わるケースは非常にまれです。重篤化し得る合併症は主に大量出血(後出血)と穿孔(腸に穴があく)による腹膜炎で、適切な治療が遅れると危険とされています。 外来大腸内視鏡97,091人の報告では、出血1.64/1000人、穿孔0.85/1000人、死亡0.074/1000人(概算で約14,000人に1人)で、高齢・男性・切除既往・低症例数の医師がリスク増と関連しました。(文献5) 参考文献 (文献1) Colonoscopy: What to Expect at Home|Alberta (文献2) Colonoscopy Information Leaflet - United Lincolnshire Hospitals|NHS (文献3) 大腸内視鏡検査による後腹膜血腫を契機に発症した 遅発性大腸穿孔の1例 (文献4) Colonoscopy (C1) aftercare advice|Patient information factsheet (文献5) Bleeding and Perforation After Outpatient Colonoscopy and Their Risk Factors in Usual Clinical Practice - ScienceDirect
2026.01.31 -
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急な腹痛で「今すぐ少しでも楽になりたい」と思い、手や足のツボを探してこの記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。 ツボ押しは、軽い腹痛や違和感がある際のセルフケアとして役立つ可能性があります。 この記事では、腹痛に使われる代表的なツボとその押し方や生活習慣から胃腸の調子を整えるポイント、医療機関を受診する目安までをわかりやすく解説します。 なお、大腸がんやクローン病、胃腸障害などの後遺症による腹痛はリペアセルクリニックの公式LINEで相談することも可能です。再生医療の情報提供と簡易オンライン診断も実施しておりますので、ぜひご登録ください。 腹痛を和らげる代表的な5つのツボ 腹痛や胃腸の不調を感じた際、セルフケアとして取り入れやすいのがツボ押しです。ここでは、消化器系への働きかけや、症状の緩和に役立つとされる代表的な5つのツボを紹介します。 中脘(ちゅうかん) 足三里(あしさんり) 天枢(てんすう) 梁丘(りょうきゅう) 合谷(ごうこく) それぞれのツボは場所や期待できる役割が異なります。ご自身の症状や痛みの種類に合わせて、適切な場所を刺激してみましょう。 また、腹痛の治し方について全般的に知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。 中脘(ちゅうかん)|みぞおちとおへその中間にあるツボ 中脘は、体の中心線上でみぞおちとおへそのちょうど中間に位置しており、胃の疾患治療において重要なツボの一つと考えられています。 食べすぎによる不快感や胃痛、食欲不振など、胃に関わる症状全般に対して、消化活動を助ける効果が期待できます。(文献1) ツボを押す際は、仰向けになって膝を立て、腹部の緊張を解いた状態で行うのが理想的です。人差し指と中指を揃えてツボに当て、息をゆっくり吐きながら優しく沈めるように押してください。(文献2) 強すぎる刺激は避け、心地よいと感じる強さで5〜10回程度繰り返しましょう。 足三里(あしさんり)|膝の下・すねの外側にあるツボ 足三里は、膝下の外側にあり、胃腸全体の調子を整える働きがあるツボです。胃痛や胃もたれ、食欲不振の改善など、胃腸の働きを整えるだけでなく、体力回復や倦怠感のケアにも有用とされています。 椅子に座った状態で親指をツボに当て、残りの指でふくらはぎを支えるようにすると力が入りやすくなります。「痛気持ち良い」と感じる強さで押し込み、5秒ほど止めてからゆっくり離す動作を数回繰り返してください。左右両足に対して行うことを推奨します。(文献2) 天枢(てんすう)|おへその左右・指3本分外側にあるツボ 天枢は、おへその中心から左右に指3本分ほど離れた場所に位置し、胃腸の働きのなかでも特に腸の機能調整に関わりが深いとされています。 便秘や下痢といった便通異常や、お腹の張り(膨満感)が気になるときに試したいツボの一つです。 刺激する際は仰向けの姿勢になり、人差し指・中指・薬指の3本を揃えてツボに当てます。(文献2) 腸の流れをイメージしながら、お腹を沈めるようにゆっくりと「の」の字を書くように円運動でマッサージしてください。強く押しすぎず、腹部が温まるような感覚で行うのがポイントです。(文献3) 梁丘(りょうきゅう)|膝の外側・やや上にあるツボ 梁丘は、太ももの前面にあるツボで、膝のお皿の外側上端から指3本分ほど上がった筋肉の溝に位置します。慢性的な症状よりも、急に襲ってくる腹痛や下痢の症状を一時的に抑えたい場合のツボとして知られているのが特徴です。 座った状態、もしくは仰向けの状態で、膝の外側のくぼみに親指を当てます。そこから指3本分太ももの方向に上がった場所が梁丘です。 急な痛みに対応する場合、少し強めの圧で5秒程度押し続け、パッと離す動作を数回繰り返しましょう。 深呼吸を忘れず、リラックスしながら行うことが大切です。(文献2) 合谷(ごうこく)|手の親指と人差し指の骨が合わさる付け根にあるツボ 合谷は手の甲側で親指と人差し指の骨が合わさるV字のくぼみ(やや親指寄り)にあるツボです。 万能のツボという別名を持つほど応用範囲が広く、ストレス性の胃腸不調のほか、頭痛や歯痛などの鎮痛目的でも頻繁に用いられます。 反対の手の親指をツボに当て、人差し指の骨の下に潜り込ませるようなイメージで強めに押してください。5秒ほど押して離す動作を数回繰り返すと、ズーンとした響きを感じられます。 なお、合谷のツボは子宮収縮を促す作用があるとも言われているため、妊娠中の方への強い刺激は推奨されません。(文献2) 腹痛を和らげるツボを押す時の注意点 ツボ押しは薬を使わず手軽にできるセルフケアですが、誤った方法で行うと、筋肉を傷めたり体調を崩したりする可能性があります。安全かつ効果的に実践するために、以下の3つのポイントを意識してください。 刺激は「痛気持ち良い程度」を目安にする 食事の直後や妊娠中は避ける ツボ押し後に体調が悪化したら医療機関に相談する 刺激は「痛気持ち良い程度」を目安にする ツボの刺激は、痛みを我慢するほど強く押すのではなく「痛気持ち良い」程度の圧で行うことが基本です。 強すぎる刺激は筋肉の線維を傷つけたり、防御反応による緊張(揉み返し)を招いたりするおそれがあります。 ツボを刺激するときは呼吸を意識しましょう。息をゆっくり吐きながら沈めるように押し、息を吸うときに力を抜くのがポイントです。(文献4) このリズムで行うことで余分な力が抜け、深部まで適切な刺激が届きやすくなります。決して無理はせず、心地よい範囲で行いましょう。 食事の直後や妊娠中は避ける ツボ押しは血行を促進したり、内臓機能に働きかけたりするため、体の状態によっては負担となるケースがあります。以下のようなタイミングや体調のときは、無理に行わず休息を優先するか、医師の判断を仰ぐようにしましょう。(文献2) 食後すぐ・満腹時 妊娠中 発熱時や体力が著しく低下しているとき 飲酒後 重篤な疾患の治療を受けているとき とくに食後の腹痛に対してツボ押しを行う場合は、消化活動が落ち着くまで30分〜1時間ほど時間を空けることが推奨されます。また、皮膚に傷や炎症がある場合も、患部への刺激は避けてください。 ツボ押し後に体調が悪化したら医療機関に相談する 万が一ツボ押しを試しても痛みが治まらない、あるいは実施後に吐き気やめまい、痛みの増強が見られる場合は、直ちに中断してください。 腹痛の背景には、虫垂炎や胃潰瘍、腸閉塞といった早急な治療が必要な疾患が隠れている可能性も否定できません。 セルフケアだけで対処しようとせず、自身の体調変化を冷静に観察することが重要です。いつもと違う痛みや冷や汗を伴う場合や、不安を感じる際は、速やかに内科や消化器科などの医療機関を受診しましょう。(文献2) 【ツボ以外】腹痛を改善するためのポイント ツボ押しによるケアは一時的な痛みの緩和に役立ちますが、症状を繰り返さないためには、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。 胃腸の不調を招きにくい健やかな状態を保つために、まずは以下の3つのポイントを意識してみましょう。 体を冷やさない 腸にやさしい食事を心がける 質の高い睡眠や休息をとる 体を冷やさない 冷えは万病の元と言われるように、体の冷えは腹痛の誘因となることがあります。 体が冷えると血管が収縮して血流が悪くなり、胃腸の働きが低下してしまうためです。その結果、消化不良や腸の蠕動(ぜんどう)運動の乱れが生じ、痛みや不快感につながると考えられています。 体を冷やさないために、日頃から以下のような対策を取り入れてみましょう。 腹巻や使い捨てカイロを活用し、お腹周りを温める 冷たい飲料を避け、常温以上のものを飲む習慣をつける 首、手首、足首などの血管が集まる部位を冷やさない また、入浴時はシャワーだけで済ませず、湯船に浸かって全身を温めると、血行が促進され胃腸の緊張もほぐれやすくなるでしょう。 腸にやさしい食事を心がける 慢性的な腹痛に悩んでいる場合、普段の食事が知らず知らずのうちに胃腸へ負担をかけている可能性があります。 特に不調を感じるときは、香辛料などの刺激物や脂っこい料理、消化に時間のかかる繊維質の多い食材は控えましょう。 消化を助けるためには、食材選びと食べ方の両面で工夫が必要です。 工夫の視点 具体的なポイント 食材選び うどん、白身魚、豆腐、お粥など、脂質が少なく柔らかいものを選ぶ 調理法 揚げる・炒めるよりも、煮る・蒸すといった調理法を優先する 食べ方 一度に大量に食べず、よく噛んで唾液と混ぜ合わせるようにする こうした食事療法を行っても「空腹時の痛みが治まらない」「下痢や便秘を繰り返す」といった状態が続く場合は、十二指腸潰瘍や過敏性腸症候群などの疾患が隠れているケースも考えられます。(文献5) 質の高い睡眠や休息をとる 胃腸の運動や消化液の分泌は、自分の意思とは無関係に働く自律神経によってコントロールされています。 しかし、過度なストレスや慢性的な睡眠不足が続くと交感神経が優位になり続け、自律神経のバランスが崩れやすくなります。これにより、胃腸の機能低下や、胃酸過多による粘膜の荒れなどが引き起こされることがあるのです。 「検査では異常がないのに腹痛が続く」といったケースでは、自律神経の乱れが関与していることが少なくありません。 不調を感じるときは無理をせず、リラックスできる時間を確保して心身を休めましょう。十分な睡眠は副交感神経を優位にし、胃腸の修復機能を高めることにつながります。 ツボを押しても改善しない慢性的な腹痛は当院へご相談ください ツボ押しは日々の体調管理に役立つ一方で、痛みの根本原因を解消する治療行為ではありません。セルフケアで改善しない場合や、以下のような症状が見られるときは、速やかに医療機関を受診してください。(文献6) 突然の激しい痛みや、長時間治まらない痛み 発熱、嘔吐、血便などを伴う場合 便が細い、貧血気味であるなどの身体的変化 腹痛の背景には、胃潰瘍や逆流性食道炎のほか、胃がんや大腸がんといった重大な疾患が隠れていることもあります。症状だけで原因を特定することは困難であり、適切な診断には内視鏡などの専門検査が必要です。(文献7) 長引く腹痛や少しでも不安な症状がある方は、自己判断で放置せず、医療機関に相談することをおすすめします。 大腸がんやクローン病、胃腸障害などの後遺症による腹痛は当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。公式LINEからもお問い合わせいただけます。 また、大腸がんの症状については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 腹痛へのツボ刺激は日常ケアのひとつ!長引く症状は医療機関を受診しよう 腹痛に対するツボ刺激は、軽い不調や一時的な違和感に対するセルフケアのひとつです。無理のない強さで行い、体調の変化をみながら取り入れていくとよいでしょう。 一方で、腹痛が長く続く場合や、痛みが強い場合、血便や発熱などの症状を伴う場合は、ツボによるセルフケアだけで判断せず、医療機関で原因を確認することが大切です。 腹痛の背景に病気が隠れている可能性もあるため、早めの相談を検討してみてください。 当院リペアセルクリニックでは、後遺症による腹痛に関するご相談を受け付けています。公式LINEからもお問い合わせいただけますので、気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。 腹痛に効くツボに関するよくある質問 お腹のガス抜きに効くツボは? お腹の張り(腹部膨満感)やガスがたまっている感覚があるときは、天枢(てんすう)や合谷(ごうこく)に加え、以下のツボも有効とされています。 腹結(ふっけつ):おへその斜め下あたりにあり、便秘やガスによる腹部膨満の軽減を目的に使われる 気海(きかい):おへそから指2本分下あたりにあり、ガスによる腹部の不快感やハリの軽減に使われる これらのツボを刺激することで、滞ったお腹の巡りが整いやすくなると考えられています。 ただし、ガスがたまりやすい背景には、早食いによる空気の嚥下やストレス、便秘といった生活習慣が原因となっているケースも少なくありません。ツボ押しとあわせて、食事をよく噛んでゆっくり食べる、食物繊維が多い食品を控えるといった根本的な対策も意識してみましょう。 以下の記事もあわせてご覧ください。 腹痛を今すぐやわらげたいとき、即効性があるツボはありますか? 比較的即効性が期待できるとして知られているのが「梁丘(りょうきゅう)」です。膝の外側上部にあるこのツボは、胃腸の急激な動きや痛みを鎮めるためのツボとして、応急処置的に用いられています。(文献2) 一方で、ツボの効果には個人差があり、虫垂炎や腸閉塞といった緊急性の高い疾患が原因の場合は効果が見込めないこともあります。冷や汗が出るほどの激痛や、発熱、血便などを伴う場合は速やかに医療機関を受診してください。 参考文献 (文献1) 「“秋”のツボ」|四国医療専門学校 (文献2) 胃痛に効くツボ6選|詳しい場所の探し方・押し方・注意点|東洋医療専門学校 (文献3) 【症状別】胃腸の不調に効くツボを紹介|神戸医療福祉専門学校 (文献4) 「正しいツボの押し方」|四国医療専門学校 (文献5) おなかが痛い、胃が痛い|愛知学院大学歯学部附属病院 (文献6) 突然お腹が痛い…こんな症状は要注意!|神戸大学医学部附属病院 (文献7) 大腸がんの症状について|国立がん研究センター中央病院
2026.01.31







