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「子どもの足が曲がっている」「歩き方がおかしい」などの異変に気づいたら、それは「くる病」の初期症状の可能性があります。 くる病は、ビタミンDが不足することで骨がやわらかくなり、成長に影響を与える病気です。治療が遅れて重症化してしまうと、骨の変形が残る場合があるため注意しなければなりません。 本記事では、くる病の症状や原因、検査・治療・予防法をわかりやすく解説します。子どもの健康を守るためにも、ぜひ参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療の選択肢になっている「再生医療」に関する情報の提供と簡易オンライン診断を行っています。ぜひ登録してご活用ください。 くる病(ビタミンD欠乏症)は子どもの骨が正常に硬くならない病気 くる病とは、主に小児に発症する骨の発育異常で、骨が十分に硬化せず変形しやすくなる病気です。ビタミンDの欠乏でカルシウムやリンの吸収が不十分になり、骨の石灰化が障害されることで発症します。 乳幼児期に発症しやすく、足がO脚やX脚になる、頭の骨がやわらかい、成長の遅れなどの症状が現れるのが特徴です。進行すると胸郭や脊椎にも変形が生じ、運動機能の発達にも影響を及ぼすケースがあります。 くる病にかかると、骨の成長に必要なカルシウムやリンがうまく沈着せず、骨の硬化が妨げられる点に注意が必要です。 とくに、1歳前後の乳幼児は骨の成長が著しいため、くる病の影響を強く受けやすいとされています。 くる病は、早期に発見して適切に治療を行えば、改善が可能な病気です。早期発見のためには定期的な健診や身体の観察が重要となります。 くる病(ビタミンD欠乏症)の主な原因 くる病発症の背景には、生活環境や栄養状態、体内での代謝異常など、さまざまな要因が関与しています。 ここでは、くる病発症の主な原因を詳しく見ていきましょう。 日光浴が十分でないためビタミンDが不足している 人間の皮膚には、紫外線B(UV-B)を浴びるとビタミンD3が合成される仕組みがあります。 しかし、以下のような条件が重なると合成が十分に行われず、ビタミンDが体内で不足してしまいます。 屋内での時間が長く、外遊び・日光浴の機会が少ない 保護者が紫外線対策を意識しすぎて、日光にほとんど当たっていない 全身を覆う衣服や紫外線カットクリームの過剰使用により、皮膚が紫外線をほとんど受けていない 日光からのビタミンD合成が阻害されると、骨に必要なカルシウム・リンの吸収促進作用を持つ活性型ビタミンDが十分に産生されません。 その結果、骨にカルシウムやリンが沈着して硬くなるプロセス「石灰化」が阻害され、くる病のリスクが高まるのです。 体がビタミンDを活性型に変換できない ビタミンDは、皮膚や食物から得られた後、肝臓と腎臓の代謝を経て「活性型(カルシトリオールなど)」に変換され、小腸でカルシウムやリンの吸収を促進します。 この変換や作用過程に障害があるとビタミンDが十分に働かず、くる病の原因となるのです。 具体的には次のようなケースがあります。 腎機能低下や腎臓病などによって、活性化酵素の働きが低下している 「ビタミンD依存性くる病」で、生まれつきビタミンDをうまく使えない 腸疾患や胆汁うっ滞などにより、体へのビタミンDの吸収が妨げられている ビタミンDそのものが十分でも、遺伝や腸の病気などによって体内で正しく活かせないと、カルシウム・リンの利用が阻害されます。 結果的に骨の石灰化がうまく進まず、くる病を発症してしまうわけです。 くる病(ビタミンD欠乏症)の症状 ビタミンDが不足すると、骨に必要なカルシウムやリンがうまく使えず、骨がやわらかくなってしまいます。子どもだけではなく、大人でも発症するケースがあるため注意が必要です。 ここでは、子どもと大人それぞれの症状を詳しく見ていきましょう。 子どもの症状 子どもの体は成長の真っ最中であるため、骨がやわらかくなると、体の形や動きにさまざまな異常が出てきます。 くる病を発症すると、以下のような症状が見られるのが一般的です。 足の骨が変形し、O脚やX脚になる 頭の骨がやわらかくなり、押すとへこむ 成長がゆっくりになる、身長が伸びにくい 歩き始めが遅れる、座る・立つのが不安定になる 胸の骨が変形して、肋骨のつなぎ目が盛り上がる「肋骨念珠(ろっこつねんじゅ)」ができる 夜泣きや筋肉のけいれんなど、神経や筋肉に影響が現れることもある これらの症状は、骨が弱くなっている証拠です。 将来的な骨の変形を防ぐためにも、早期に気づいて治療をはじめることが重要になります。 大人(骨軟化症)の症状 すでに骨の成長が終わっている大人の場合、骨が弱くなる状態を「骨軟化症」と呼んでいます。骨の表面を覆うミネラルの層(骨塩)が不十分で、骨全体が弱くなっている状態です。 骨軟化症にかかると、以下のような症状が現れます。 腰や足の骨が痛む 軽い衝撃で骨折しやすくなる 筋肉の力が入りにくく、疲れやすくなる 立ったり歩いたりするのがつらくなる 外見上の変形は子どもほど顕著ではありませんが、日常生活に支障をきたす骨の痛みや筋力低下が生じることがあります。 とくに、高齢者やビタミンD不足が長期間続いている人の場合は、十分に注意が必要です。 くる病(ビタミンD欠乏症)の検査・診断 くる病は、成長期の子どもにみられる骨の病気であり、早期発見と正確な診断がとても重要です。診断には、主に血液検査とX線(レントゲン)検査が用いられます。 では、それぞれ詳しく見ていきましょう。 血液検査 くる病の診断でまず行われるのが、血液検査です。 骨の発達やミネラルのバランスに異常がないか、次のような項目を確認します。 血中のビタミンD濃度:体に必要なビタミンDが足りているかチェック カルシウムとリンの濃度:骨の材料となる栄養素の量をチェック 副甲状腺ホルモン(PTH):カルシウムのバランスを整えるホルモン、くる病では値が高くなる傾向 ALP(アルカリホスファターゼ):骨が作られているときに増える酵素、くる病の進行度を把握する目安 ビタミンD欠乏性くる病ではカルシウムとリンの両方が低下しますが、遺伝性の低リン血症性くる病ではリンのみ低下しカルシウムは正常となるなど、原因によって検査値のパターンが異なります。 ただし、多くの場合はビタミンD欠乏が原因です。 X線画像検査 くる病を発症すると、骨の形そのものが変わってくるため、X線(レントゲン)による画像検査が欠かせません。 X線画像検査では、以下の部位を中心に調べます。 手首・膝・肋骨の骨端部(こったんぶ) 脚の骨(すねや太もも)や背骨など X線によって、骨の端が広がってぼんやりしたり、曲がったりしている様子が確認できます。 なかでも、手首の骨は成長スピードが早いため、くる病による変化が現れやすい部位です。骨の硬さや形の変化を画像で見ることにより、病気の進み具合や治療の効果を適切に判断できます。 また、肋骨と胸の骨がつながる部分に、こぶのようなふくらみができる「肋骨念珠」もX線画像で確認可能です。 実際には、血液とX線の両方の検査を組み合わせて診断し、くる病かどうかを正確に見極めます。 くる病(ビタミンD欠乏症)の治療・予防法 くる病は、ビタミンD不足によって骨がうまく育たない病気ですが、原因がはっきりしているため、適切に対処すれば予防や治療が可能です。 ここでは、くる病の予防と治療に効果的な方法をご紹介します。 適度に日光を浴びる ビタミンDは食べ物からだけでなく、皮膚が日光を浴びることで体内でも作られます。 紫外線の中の「UV-B」が皮膚に当たると、ビタミンDのもとになる成分が合成される仕組みになっていますが、長時間日焼けをする必要はありません。 顔や手足に1日10〜30分程度、週に数回、日光を当てるだけでも十分です。ただし、ガラス越しの日光では効果が薄いため、屋外で日光浴をするようにしましょう。 また、真夏の強い日差しや長時間の直射日光は体に負担がかかるため、時間帯や季節に応じて調整してください。 ビタミンDを多く含む食材を食べる ビタミンDは、脂に溶けやすい「脂溶性ビタミン」であり、主に以下のような食品に多く含まれています。 鮭、さんま、いわし 卵黄 レバー きのこ類 毎日の食事に、これらの食材をバランスよく取り入れると、体内のビタミンDを補うことが可能です。 なかでも、魚にはビタミンDだけでなくカルシウムやたんぱく質も豊富に含まれており、骨の健康を保つ上で欠かせません。 なお、母乳で育てている赤ちゃんの場合、母親の食事内容がビタミンDの摂取に大きく影響します。 ビタミンDの豊富な食材を取り入れるように心がけ、授乳中の栄養摂取も管理しましょう。 ビタミンDやカルシウムなどを服用する すでにくる病を発症している場合には、医師の指導のもとで、以下のようなビタミンDやカルシウムなどのサプリメントや薬剤を使って治療を行います。 活性型ビタミンD製剤(カルシトリオールなど)の内服 カルシウム剤の併用 必要に応じてリン補充や食事療法の見直し サプリメントの摂取量は、血液検査でビタミンDやカルシウムの値を定期的に確認しながら、過剰にならないよう調整されます。 ビタミンDは脂溶性のため体内に蓄積しやすく、過剰摂取すると高カルシウム血症を引き起こす恐れがあります。 自己判断でサプリメントを摂取する行為は危険なので、必ず医師の指導に従って治療していきましょう。 まとめ|くる病(ビタミンD欠乏症)は発症早期に治療を開始しよう くる病は、ビタミンDの不足によって骨がやわらかくなり、子どもの骨の発達に影響を及ぼす病気です。とくに成長期の乳幼児は、わずかな栄養不足や日光不足でも発症するケースがあります。 放置すると将来的に後遺症を残す恐れがあるため、骨の変形や発達の遅れが見られた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。 また、大人においても、ビタミンDが不足しない食生活や日光浴の習慣を実践していきましょう。 くる病(ビタミンD欠乏症)に関するよくある質問 赤ちゃんのくる病を治すには? 母乳に含まれるビタミンDは少ないため、母乳だけで育てている赤ちゃんはくる病になるリスクがあります。予防や治療のためには、ビタミンDのサプリメントを医師の指導のもとで補うことが効果的です。 また、晴れた日に赤ちゃんを屋外に連れ出し、肌に短時間でも日光を当てることで、体内でビタミンDが作られやすくなります。 ただし、日焼けしすぎないよう、日に当たる時間や肌の露出には注意が必要です。 くる病の歩き方にはどんな特徴がある? くる病になると骨がやわらかくなるため、脚の形が変形し、特有の歩き方が見られるようになります。 代表的なのは、O脚やX脚です。また、足を引きずるように歩く、左右に体を揺らしながら歩く「アヒル歩き」になる場合もあります。 これらのくる病特有の歩き方は、骨の変形や筋力の低下によって起こりますが、早期に治療を行えば改善も可能です。 予後はどうですか? くる病は原因がはっきりしており、早期に発見して適切な治療を受ければ、ほとんどのケースで回復が可能です。 ただし、治療が遅れて重症化してしまった場合には、骨の変形が残る可能性があります。 また、遺伝性のくる病や生まれつきビタミンDを体内でうまく使えない子どもの場合は、成長とともに経過を見守ることが重要です。 高齢者に注意点はある? 高齢者は若い人に比べてビタミンDが不足しやすく、以下のような点から骨の健康に注意が必要です。 加齢によりビタミンDの必要量が増える 屋外に出る機会が減り、日光を浴びにくくなる 皮膚のビタミンD合成能力が低下する 長期入院や施設入所で日光浴の機会が少ない 一部の病気や薬がビタミンDの働きを妨げる 高齢者の場合、上記のような理由によって骨折や筋力低下のリスクが高まります。 骨をできるだけ長く健康な状態に保つためにも、食事やサプリメントによるビタミンDの補給、日光浴をする習慣を実践していきましょう。
2025.12.13 -
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加齢や閉経をきっかけに「骨密度が低下している」と指摘され、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。 骨が弱くなる病気には代表的なものとして「骨粗鬆症」と「骨軟化症」があります。これらは一見よく似ているものの、原因や症状、治療のアプローチは決して同じではありません。 自己判断で放置すると必要な治療が遅れる恐れがあるため、専門医の診断を受けることが大切です。 この記事では、骨軟化症と骨粗鬆症の違いと診断方法や治療・予防のポイントまで詳しく紹介します。「自分はどちらに当てはまるのか知りたい」「骨の状態を今より良くしたい」という方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 骨軟化症や骨粗鬆症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 骨軟化症と骨粗鬆症における症状の違い 骨軟化症と骨粗鬆症はいずれも骨が弱くなる病気ですが、両者の特徴や症状には以下のような違いがあります。(文献1)(文献2) 骨軟化症 骨粗鬆症 特徴 骨はつくられるものの、カルシウムがうまく沈着せず骨が柔らかくなる 骨密度が低下する 症状 ・初期は無症状な場合が多い ・骨が痛む ・進行すると筋力低下や歩行障害が見られる ・初期は無症状な場合が多い ・骨折しやすくなる ・背中が丸くなる ・身長が縮む 早期対応につなげるために、まずは両疾患の特徴を整理しましょう。 骨軟化症|骨が柔らかくなる病気 骨軟化症とは、骨を硬くするカルシウムやリンが十分に沈着せず、骨が固まらない状態になる病気です。 骨量は保たれていても、石灰化が不十分なため、柔らかく変形しやすくなります。 主な原因は以下のとおりです。(文献1) ビタミンD不足 腸のトラブルによるリン吸収の低下 腎臓の働きが低下したことで起こる低リン血症 FGF23(血中リン濃度を下げるホルモン)の過剰な働き これらの影響で骨の石灰化に必要なミネラルが不足し、骨が十分に硬化しない状態になります。 その結果、全身の骨痛、筋力低下による歩行障害、骨折のしやすさなどの症状が現れます。放置すると日常生活に大きな影響が出るため、早めの受診と適切な治療が重要です。 骨粗鬆症|骨密度が低下になる病気 骨粗鬆症は、骨の強度が低下することで骨がもろくなる病気です。 骨の強さは「骨密度」と「骨質」の2つで決まり、その強さに影響する割合は、一般的に骨密度が約70%、骨質が残りの約30%とされています。(文献2) 人の骨は普段から「壊す働き(骨吸収)」と「つくる働き(骨形成)」を繰り返しています。しかし、骨吸収が骨形成を上回ると骨密度が低下するメカニズムです。(文献3) 骨吸収と骨形成のバランスが崩れる主な原因は次のとおりです。(文献4) 加齢 閉経による女性ホルモンの減少 カルシウム不足 運動量の低下 ステロイド薬の長期使用 自覚症状がないまま進行することも多く、気づいたときには背骨の圧迫骨折や手首や大腿骨の骨折、腰背部痛などが生じていることもあります。 日常のちょっとした動作や軽い転倒でも骨折しやすくなるため、予防と早めの検査が大切です。骨粗鬆症の症状やセルフチェックについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 骨軟化症と骨粗鬆症の診断基準の違い 骨軟化症と骨粗鬆症は、症状が似ていても診断に用いる主な検査方法が異なります。 骨軟化症|血液検査とレントゲン 骨粗鬆症|骨密度検査 本章では、それぞれの診断方法の特徴を解説し、さらに画像検査で見られる違いについても紹介します。 受診前に「どの検査が行われるのか」を把握しておきたい方は、ぜひ参考にしてください。 骨軟化症|主に血液検査とレントゲン 骨軟化症であるかどうかを判断する際は、主に血液検査とレントゲン(X線検査)を用いた評価が行われます。 なかでも血液検査においては、以下に示すような数値の変動が診断の重要な手がかりとなるでしょう。(文献1) 高骨型アルカリホスファターゼ(ALP)の上昇 リンの低下(低リン血症) 血中25-水酸化ビタミンDの低値(ビタミンD欠乏性骨軟化症の場合) 一方、画像検査では「Looser帯」と呼ばれる骨の小さなヒビのような像が確認されるケースも少なくありません。また、血液検査とレントゲンだけでは判断が難しい場合、必要に応じて骨生検を行い、石灰化不良の状態を直接確かめることで確定診断につなげることもあります。 骨粗鬆症|主に骨密度検査 骨粗鬆症は、骨密度測定(DXA法)を中心とした検査で、以下のいずれかに該当すると診断されます。(文献5) 骨密度に限らず、背骨または大腿骨の脆弱性骨折がある 背骨と大腿骨以外の箇所の脆弱性骨折があり、YAMが80%未満である 脆弱性骨折はないが、YAMが70%以下またはSD値-2.5以下である 腰椎や大腿骨付近部の骨密度を測定し、脆弱性骨折の有無を加味した上で、若年成人平均値(YAM)と比較して評価します。なお、脆弱性骨折とは、強い衝撃がなくても、日常のちょっとした動作(転倒・つまづき・尻もちなど)で起こってしまう骨折のことです。 さらに血液検査で骨形成マーカーや骨吸収マーカーなどの骨代謝マーカーを測定し、現在の骨代謝バランスを確認することもあります。 より詳しい骨粗鬆症の検査方法について知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 骨軟化症と骨粗鬆症の違いは画像検査でもわかる 骨軟化症と骨粗鬆症は、画像検査によっても違いが顕著に現れます。 骨は、硬く石灰化した部分と、骨がつくられる前段階にある柔らかい「類骨(るいこつ)」とで構成されているのが通常です。 骨軟化症のレントゲン画像は以下のとおりです。 骨軟化症の画像検査では、小さな不完全骨折線(Looser's zone)が特徴として見られます。 一方、骨粗鬆症のX線画像は、以下のとおりです。 骨粗鬆症の場合、骨の量(骨密度)が低下し、骨の内部が一部空洞の状態に陥っています。 そのためX線画像上では、次のような変化を読み取ることができるでしょう。 骨の網目がはっきり減る 骨全体の透過性が増し、画像が黒っぽく見える レントゲン画像だけでは判断が難しい場合でも、骨密度測定や血液検査を組み合わせることで、識別診断が可能です。 骨軟化症と骨粗鬆症の治療法の違い 骨軟化症と骨粗鬆症の主な治療方法は以下のとおりです。 骨軟化症|原因に応じた栄養補充 骨粗鬆症|骨吸収と骨形成のバランスを改善 自身でも違いをあらかじめ把握しておくことは、納得して適切な治療を受けるための助けとなります。 ここからは、それぞれの具体的な治療内容について詳しく見ていきましょう。 骨軟化症|原因に応じた栄養補充がメイン 骨軟化症の治療は、原因に応じて不足している栄養素を補うことが基本です。血液検査の結果から、ビタミンDやリンを補充するケースが多く見られます。(文献6) 普段の食生活に合わせて、病院で治療薬が処方される場合も少なくありません。骨軟化症のタイプごとに不足している栄養分を補充する方法は以下のとおりです。 骨軟化症のタイプ 栄養の補充方法 ビタミンD欠乏型骨軟化症 ・活性型ビタミンD製剤の内服 ・ビタミンDを多く含む食品の摂取 低リン血症性骨軟化症 ・活性型ビタミンD製剤の内服 ・リン製剤の投与 ・FGF23抑制薬の使用 また、薬剤や腎疾患などが原因の場合は、原疾患の治療や原因薬剤の中止・調整が行われます。 骨痛や歩行障害が強い場合は、リハビリや鎮痛剤を併用し、日常生活の維持を目指します。 骨粗鬆症|骨吸収と骨形成のバランスを改善 骨粗鬆症の治療は、最初に食事・運動などの生活改善から始まり、必要に応じて薬物療法を組み合わせます。 骨粗鬆症治療薬には、「骨を壊す働きを抑える薬」と「骨をつくる働きを促す薬」の2種類があります。状況に応じて使い分け、骨代謝のバランスを整えます。 さらに、骨の形成を助けるためにカルシウムやビタミンDを補うこともあります。(文献5) 日常生活では、荷重運動やバランス訓練が骨強度の維持に有効であり、医師から運動療法を勧められることも少なくありません。 治療効果は定期的な骨密度検査で確認し、その結果に応じて薬や治療方針を調整します。症状がなくても定期的な受診は欠かさないようにしましょう。 骨粗鬆症の治療についてより詳しくは、以下の記事もご覧ください。 【共通】骨軟化症・骨粗鬆症を予防する生活習慣のポイント 骨軟化症と骨粗鬆症はいずれも日常生活を整えることで進行を防ぎやすくなります。今すぐできる生活習慣のポイントは、以下の2つです。 食事|ビタミンDとカルシウムをバランスよく摂る 運動|定期的に日光浴と運動を行う これらを日常生活に取り入れ、骨の健康を守りましょう。 食事|ビタミンDとカルシウムをバランスよく摂る 骨の健康を保つためには、ビタミンDとカルシウムを日々の食事でバランスよく摂ることが大切です。これらの栄養素は、次のような食品に多く含まれています。(文献7) 栄養素 食品の例 ビタミンD ・魚介類(かつお、いわしなど) ・きのこ類 カルシウム ・乳製品 ・えび、かに類 ただし、食事だけでは必要量を満たしきれない場合もあります。補給が難しいと感じたら、医師に相談の上でサプリメント併用も検討しましょう。 骨粗鬆症の方におすすめの食事療法については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 運動|定期的に日光浴と運動を行う 屋外での軽い運動は、日光によるビタミンD生成と骨への適度な刺激により、骨軟化症・骨粗鬆症のどちらにも有効です。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲で継続してみましょう。 また、転倒予防のために、スクワットやかかと上げなどの簡単な筋トレで下半身を鍛えることも大切です。厚生労働省の報告でも、筋力トレーニングが高齢者の転倒・骨折リスクの低減につながると示されています。(文献8) このように、一見無関係に見えても日光浴や運動は骨の健康に深く関連します。ただし、骨軟化症の方は骨が柔らかくなっているため、足腰に強い負担をかける運動は控えることが大切です。 無理のない範囲で、ウォーキングなど続けやすい運動から取り入れてみてください。 骨粗鬆症の運動療法については以下の記事にて詳しく解説しています。こちらも参考にしてみてください。 骨軟化症と骨粗鬆症の違いを理解して適切な治療や対策をしよう 骨軟化症と骨粗鬆症はいずれも骨が弱くなる病気ですが、特徴の違いから症状や治療法は異なります。 いずれの診断を受けた際も、早期発見と適切な治療が重要です。「自分はどちらに当てはまるのか」「症状が当てはまるかもしれない」と感じたら、早めに専門医へ相談しましょう。 また、骨が弱くなると膝や股関節の痛みや歩きにくさなど、関節に症状が現れるケースも少なくありません。 当院「リペアセルクリニック」では、このような慢性的な関節痛や機能低下に対し、自己細胞を用いた再生医療による改善サポートを行っています。 現在、公式LINEにて簡易診断や無料相談が可能です。「手術は避けたい」「根本的に痛みを改善したい」という方は、以下のリンクからご登録の上、お気軽にご相談ください。 骨軟化症と骨粗鬆症に関するよくある質問 骨軟化症とくる病の違いは何ですか? くる病と骨軟化症の最も大きな違いは、発症する年齢と骨の成長段階です。 「くる病」は骨の成長期にある小児に起こる病気で、「骨軟化症」は成長期が終了した成人に見られます。(文献1) どちらの病気も、骨が十分に硬くならないという点では同じ仕組みで起こります。年代によって呼び方が変わるものの、基本的には共通したメカニズムの病気と理解するとわかりやすいでしょう。 骨軟化症と骨粗鬆症は同時に起こることがありますか? 骨軟化症と骨粗鬆症は原因やメカニズムが異なる病気ですが、同時に起こることもあります。とくに高齢者や腎機能障害のある方では、栄養不良や骨代謝の乱れが重なることで、併発した症例が報告されています。(文献9) 両者が重なると骨折リスクがさらに高まり、腰椎の圧迫骨折や大腿骨近位部骨折につながることも少なくありません。気になる症状がある場合は、早めに詳しい検査を受け、専門医による総合的な評価を受けるようにしましょう。 参考文献 (文献1) 骨軟化症|一般の皆様へ|一般社団法人 日本内分泌学会 (文献2) 骨粗鬆症とは>どんな病気?>なったらどうなる|公益財団法人 骨粗鬆症財団 (文献3) 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)|厚生労働省 健康日本21アクション支援システム (文献4) 骨粗鬆症とは>どんな病気?>どんな人がなりやすい|公益財団法人 骨粗鬆症財団 (文献5) 骨粗鬆症の 予防と治療ガイドライン 2025 年版|骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 (文献6) ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症(指定難病238)|公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター (文献7) 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年|文部科学省 (文献8) 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023|厚生労働省 (文献9) 高齢者における骨粗鬆症と骨軟化症の合併症例|整形外科と災害外科
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「骨がもろくなってきた気がする」 「親が骨粗鬆症だったから、自分も将来が心配」 このような不安を抱えていませんか。 病院に行くほどではなくても、まずは自分でできる対策があるのか知りたいと考えている方もいるかもしれません。 骨粗鬆症は、年齢とともに骨密度が低下し、軽い転倒でも骨折しやすくなる病気です。進行を抑えるためには、普段の食事や運動などの生活習慣を見直すことが大切です。 この記事では、骨粗鬆症の予防法を解説し、年代別の対策や日々の工夫、薬によるサポートまで紹介します。 当院リペアセルクリニックでは、骨粗鬆症に関するご相談や再生医療に関するご質問を公式LINEで受け付けています。 不安や疑問の解消にお役立ていただければ幸いです。 骨粗鬆症を予防する3つの方法 骨粗鬆症の予防には、骨を丈夫にする生活習慣が大切です。なかでも重要なのが、食事・運動・日光浴の3つです。順番にみていきましょう。 なお、骨粗しょう症の原因についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 食事|カルシウム・ビタミンD・たんぱく質を意識 私たちの骨は、食べたものから作られています。 なかでも骨の主成分であるカルシウムは、不足すると骨粗鬆症のリスクが高まります。(文献1) これをサポートするのが、ビタミンDやビタミンK、そしてたんぱく質です。 意識したい栄養素と、多く含む食品を以下にまとめました。 栄養素 多く含む食品 カルシウム 乳製品・魚介類・大豆製品など ビタミンD 魚介類・きのこ類・卵など ビタミンK 納豆・葉物野菜など たんぱく質 肉類・魚介類・卵・大豆製品など 特定の食品に偏らず、さまざまな食材を組み合わせて摂取しましょう。(文献2) 運動|骨に適度な負荷をかけることが大切 骨は刺激を受けることで強くなる性質があります。そのため、骨粗鬆症の予防には運動が大切です。(文献2)とくに、継続的に骨に負荷がかかる以下のような運動が効果的です。(文献3) ウォーキング ジョギング 筋力トレーニング 筋力がつくと骨の負担が減り、転倒予防にもつながります。医師や理学療法士のアドバイスも参考にしながら、運動を心がけましょう。 骨粗鬆症におすすめの運動についてはこちらの記事をご覧ください。 日光浴|直接浴びてビタミンDを合成 骨の健康を守るには、日光にあたってビタミンDをつくることも欠かせません。 ビタミンDは、食事から摂るほかに、日光に含まれる「紫外線」を浴びたときに皮膚でもつくられる栄養素です。海外では必要量の7〜8割を日光浴でまかなえるともいわれますが、皮膚でつくられる量は季節や住む地域による紫外線量の違いや年齢、日焼け止め使用の有無などによっても異なります。 なお、晴れた日に、顔や手などの小さな範囲でも10~20分ほど日光に当たると、ビタミンDの合成に役立つとされています。(文献4) 長時間の日焼けは避けつつ、負担のない範囲で取り入れると良いでしょう。(文献5) たとえば買い物や運動など、歩くついでに日光を浴びるように意識すると、運動と日光浴、どちらも一石二鳥で取り組めます。 【年代別】骨粗鬆症を予防する具体的な対策 年齢に応じて、骨の状態や骨粗鬆症の予防に必要なケアも変わります。ここからは、年代別に骨粗鬆症の予防につながるポイントをみていきましょう。 10〜30代|骨をしっかりと育てる時期 人生における最大の骨量が決まるのは、10代の「成長期」です。10代~20代にかけて最大となった骨量は、代謝を繰り返しながら30代になってからも維持されます。 将来の骨粗鬆症リスクを減らすには、この時期にしっかりと骨を育て、維持することが重要です。 過度なダイエットや栄養不足、日光を避けすぎる生活、喫煙などは骨の成長や維持を妨げます。 若いうちこそ、バランスの取れた食事と適切な運動を習慣化し、骨の健康を意識し続けることが大切です。(文献6) 40〜50代|運動や食事を意識し始める時期 40代を過ぎると骨密度は少しずつ低下します。とくに女性は、閉経後のホルモンバランスの変化により、骨量が急激に減ることがあります。(文献2) 必要な栄養をしっかり摂取する、筋力維持を目的とした運動を習慣にするなど、これまでの生活を見直しましょう。 また、1年に1回程度は骨密度検査を受けて、自分の骨の状態を知っておくことも予防の一環になります。(文献6) 年齢に応じた対策については、骨粗鬆症の運動・注意点もチェックしてみてください。 60代以降|転倒・骨折対策を始める時期 60代を過ぎると「骨を強くすること」に加えて「転倒して骨折しないように備えること」がより大切になります。 筋力やバランス感覚が少しずつ落ちてきたり、視力や認知機能の変化が重なったりすることで、つまずきやすくなるためです。 転倒により骨折すると、活動量が減って骨への刺激が失われ、さらに骨密度が低下するという悪循環に陥ります。 ふらつきを防ぐには、無理のない範囲でウォーキングや軽い筋力トレーニングを続け、筋力をつけることが効果的です。 また、背中や腰に痛みがあれば早めに受診しましょう。骨の状態を知るために、定期的な骨量測定を受けることも、安心につながります。(文献6) 骨粗鬆症の予防のために意識したい生活の工夫 骨粗鬆症予防のためには、骨に負担をかけず、かつ刺激を与える工夫ができると理想的です。具体的には、以下2つを意識してみましょう。 ながら運動や姿勢改善で骨への刺激を意識 ストレス・睡眠不足も骨の健康に影響 毎日の生活の中で、ぜひ取り入れてみてください。 ながら運動や姿勢改善で骨への刺激を意識 運動が大切とわかっていても、忙しい毎日のなかでは時間を取るのが難しいという方も多いのではないでしょうか。 そのような方でも取り入れやすいのが、「何かをしながら運動する(ながら運動)」習慣です。 たとえば、以下のような運動があります。 歯みがき中に片足立ち バス停で待つ間かかと落としをする テレビを見ながらスクワットする こうした「ながら運動」であれば、忙しい方や運動するのを忘れがちな方でも無理なく続けられます。 また、猫背や前かがみといった姿勢は背骨に負担がかかるため、日常生活でも良い姿勢を意識するようにしましょう。 運動についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 ストレス・睡眠不足も骨の健康に影響 骨の健康というと、食事や運動ばかりに目が向きがちですが、実は「心と体のコンディション」も大切です。 たとえば、強いストレスが続いたり、睡眠不足が積み重なったりすると、体内で「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌されます。 コルチゾールには骨の形成を妨げる働きがあり、骨の健康に悪影響を与えることがあるのです。 ストレスや睡眠不足をできるだけ避け、心身のバランスを整えることも、骨粗鬆症の予防につながります。 夜はスマートフォンの使用を控える、決まった時間に起床する、リラックスできる音楽や香りを取り入れるなど、日常生活でできる小さな工夫を積み重ねてみてください。 「骨を守る生活」は、特別なことを頑張るよりも、心地良い習慣を続けていくことが大切です。 骨粗鬆症を予防する薬の種類 骨密度の低下が進み骨折のリスクが高い方(骨粗鬆症と診断された方)は、薬による治療も選択肢のひとつです。 骨粗鬆症の薬には、以下のような種類があります。 骨吸収を抑える薬剤 骨をつくる薬剤 補助的な薬 これらは骨粗鬆症の「治療薬」ですが、結果として骨折による体力や筋力低下を防ぎ、骨粗鬆症の進行を予防する効果も期待できます。 薬を使わずに骨粗鬆症を予防したい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 骨を守る薬剤 骨粗鬆症薬の主体は、壊す力(骨吸収)を抑えるタイプの薬です。(文献2) 私たちの骨は、常に「壊す(骨吸収)」と「作る(骨形成)」をくり返していますが、加齢やホルモンの変化により骨吸収が優位になると、骨密度が低下します。 この流れを食い止めるのが、ビスホスホネート製剤(アレンドロン酸・ミノドロン酸など)や抗RANKL抗体(デノスマブ)といった薬です。どちらも広く使用されており、効果が認められています。 なお、どの薬が合うかは、現在の骨密度や生活状況、体調などによっても異なります。服用方法に注意が必要だったり、定期的な検査が必要だったりもするため、現在の状況を医師へ伝えて相談してみましょう。 骨をつくる薬剤 骨が壊れるのを抑えるだけでなく、新しくつくる力(骨形成)を高める薬もあります。これは、骨密度が著しく低く、骨折リスクが高い方によく用いられる治療薬です。 「副甲状腺ホルモン薬(テリパラチド)」や「抗スクレロスチン抗体薬(ロモソズマブ)」などがあります。なお、ロモソズマブには、骨吸収を抑える効果もあるため、「作る」「守る」の両方の効果があります。(文献7) ただし、これらの薬は使用期間に上限があり、使用には条件もあるため医師の慎重な判断が必要です。 骨粗鬆症の注射については、以下の記事でも解説しています。 補助的な薬 主に食事や生活習慣を補うのに使われるのが、補助的な薬です。 単独で骨粗鬆症を治すものではありませんが、他の薬や生活改善と組み合わせることで、骨密度低下の予防効果を高められます。補助的な薬には「活性型ビタミンD3薬」や「カルシウム製剤」などがあります。(文献7) 骨粗鬆症の薬物治療は継続が重要です。効果を実感しにくいため途中でやめてしまう方もいますが、自己判断で中断せず医師の指示に従って服用を続けましょう。 骨粗鬆症を予防するには日々の工夫と医療機関のサポートが大切 骨粗鬆症は、自覚症状がないまま進行し、ある日突然の骨折で気づくケースも少なくありません。「今は大丈夫」と感じていても、日々の積み重ねと早めの対策がとても大切です。 まずは、栄養・運動・生活習慣を整えることから始めましょう。そして必要であれば、検査や治療について医療機関に相談してみましょう。 一人で悩むのではなく、専門家のサポートを受けることで、自分に合った予防法を見つけやすくなります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供や、簡単なオンライン診断も実施しています。 「自分の骨の状態が気になる」「どこから対策すれば良いかわからない」などのお悩みがあれば、ぜひお気軽にご登録ください。 また、骨粗鬆症の治療については、以下の記事もあわせてご覧ください。 骨粗鬆症を予防することに関するよくある質問 骨粗鬆症を予防するには日光浴は何分必要ですか? 骨の健康維持に欠かせないビタミンDは、皮膚が日光(紫外線)を浴びることによって体内でも生成できる栄養素です。 国際骨粗鬆症財団の資料によると、晴れた日に1日10~20分程度、顔や手、腕などを日光に当てることで、多くの人が必要量を合成できると報告されています。(文献4) ただし、以下のようなケースにおいては、日光からのビタミンD合成が不十分になりかねません。 冬場や曇りの日が続いているとき 日焼け止めをしっかり塗っているとき 大気が汚染されていて紫外線が十分届かないとき さらに、季節によっても得られる紫外線量には差が生じます。過度な日焼けや熱中症に気を付けながら、無理のない範囲で日光浴を取り入れてみてください。 骨粗鬆症を予防する上で食べてはいけないものはありますか? 骨に良い食べ物を意識するのも大事ですが「骨の健康を損なう可能性があるもの」を控える意識もとても大切です。 とくに以下のような食品や習慣には注意しましょう。(文献8)(文献9) 注意が必要なもの 理由やポイント 塩分 ・摂りすぎると尿と一緒にカルシウムが排泄されやすくなり、骨のカルシウムが失われる可能性がある ・加工食品や漬け物、外食のスープなどには意外と多くの塩分が含まれているため、注意が必要 リン ・肉や魚、牛乳に多く含まれ、カルシウムの吸収を妨げるといわれている ・加工食品や清涼飲料水の添加物として使用されていることもあるため、過剰摂取しないよう注意する カフェイン ・カルシウムの排出を促進したり、骨の代謝に影響を与える可能性がある これらを絶対に食べてはいけないと考える必要はありませんが、摂取の頻度や量の見直しが骨を守る第一歩になります。 参考文献 (文献1) 骨粗鬆症の予防のための食生活|厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ (文献2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版|骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 (文献3) 骨粗鬆症予防のための運動 -骨に刺激が加わる運動を|厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ (文献4) Vitamin D|International Osteoporosis Foundation (文献5) 体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定-札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要-|国立研究開発法人国立環境研究所 (文献6) 年代別予防のポイント|公益財団法人骨粗鬆症財団 (文献7) 治療の基本方針|公益財団法人骨粗鬆症財団 (文献8) 予防について|公益財団法人骨粗鬆症財団 (文献9) リンの働きと1日の摂取量|公益社団法人長寿科学振興財団
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「飲み薬を続けていたのに、骨密度がなかなか上がらない」「医師から注射治療をすすめられたけれど、不安がある」 このようなお悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。 骨粗鬆症では、内服薬での効果が不十分な場合に注射薬への切り替えが検討されます。 ただし、注射薬にはいくつか種類があり、打つ頻度やあらわれやすい副作用はそれぞれ異なります。 この記事では、骨粗鬆症注射の種類や効果、副作用、値段、デメリットについて解説します。 注射治療を検討する際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 骨粗鬆症の注射について気になることがある方は、お気軽にご登録ください。 骨粗鬆症の治療において注射が有効なケース 骨粗鬆症の治療では、以下の場合に注射薬の使用が検討されます。 内服薬での治療効果が不十分である 内服薬の飲み忘れリスクがある 骨折経験がある・骨密度が非常に低い状態 注射薬を使用する理由を、詳しく見ていきましょう。 内服薬での治療効果が不十分である 内服薬で治療を続けても、骨密度の改善が見られない場合があります。 これは薬の吸収率の個人差や骨密度の程度、胃腸の状態、服用方法など、さまざまな要因が関係しているためです。 たとえば、体に吸収されにくい薬を注射タイプに切り替えると、消化管を経由せず血液中に直接届くため、より確実な効果が期待できます。(文献1) 内服薬の飲み忘れリスクがある 骨粗鬆症の飲み薬は「週1回」「月1回」など定期的に服用する必要があり、服用方法にも「起床後すぐに飲み、30分間は横にならない」といった細かいルールが指定されているものもあります。(文献2) そのため飲み忘れや飲み間違いが起きやすく、正しく服用できない状態が続くと十分な効果が得られません。 その点、医療機関での注射治療は、医師や看護師の管理のもとで実施されます。受診の必要はあるものの自宅で薬を管理する必要がないため、治療の確実性が高い点がメリットです。 とくに複数の薬を服用している方や飲み忘れが心配な方、認知症で薬の管理が難しい方などに適しています。 骨折経験がある・骨密度が非常に低い状態 骨粗鬆症の注射薬の中には、内服薬にはない強力な骨形成促進作用(骨をつくる働きを促す作用)を持つものがあります。 これらは、骨を壊す働き(骨吸収)を抑えるだけでなく、新しい骨を作る働き(骨形成)を高め、骨密度を内服薬よりも効率的に改善する効果が期待できます。 そのため、すでに骨折を経験されている方や骨密度が極めて低い方など、骨折の危険性が高い方は、注射薬による治療が有効な選択肢となり得るのです。 骨粗鬆症が進行し、大腿骨近位部(太ももの付け根)や椎体(背骨)を骨折すると、寝たきりや生活の質(QOL)の低下につながります。 こうした重篤な事態を防ぐためにも、骨折リスクの高い方には早期かつ積極的な治療が重要です。 【一覧】骨粗鬆症注射の種類と主な副作用 現在よく使われている骨粗鬆症の注射薬には、作用機序の異なる4つのタイプがあります。 それぞれ効果や副作用が異なるため、患者の状態に応じて適切な薬剤が選択されます。 薬剤名(商品名) 作用機序 主な副作用(発現頻度が高いもの) 重大な副作用(とくに注意すべきもの) テリパラチド(フォルテオ、テリボン) 骨形成促進 吐き気、嘔吐、頭痛、めまい、倦怠感 ショック、アナフィラキシー、意識消失 ビスホスホネート(ボンビバ、リクラストなど) 骨吸収抑制 胃炎、頭痛、背中や関節の痛みなど 顎骨壊死、大腿骨を中心とした非定型骨折 デノスマブ(プラリア) 骨吸収抑制 貧血、湿疹、低リン酸血症、高血圧、胃炎、背中の痛みなど 低カルシウム血症、顎骨壊死、顎骨骨髄炎、アナフィラキシー、大腿骨を中心とした非定型骨折、皮膚感染症 ロモソズマブ(イベニティ) 骨形成促進・骨吸収抑制(デュアル作用) 注射部位の痛み・赤み、鼻咽頭炎、関節痛など 低カルシウム血症、顎骨壊死、顎骨骨髄炎、大腿骨を中心とした非定型骨折 骨吸収を抑える薬剤には、低カルシウム血症や顎骨壊死(がっこつえし:あごの骨が失われる状態)といった重大な副作用リスクがあるため、定期的な検査と歯科治療前の相談が重要です。 それぞれの薬の特徴を詳しく解説します。 テリパラチド:骨形成促進薬 骨形成促進薬は骨をつくる骨芽細胞(こつがさいぼう)を増やす薬で、代表薬としてテリパラチド(商品名:フォルテオ、テリボン)があげられます。 フォルテオは1日1本、ペン型注射器を使用して皮下注射をおこないます。(文献3) テリボンは1回1本を週に2回自己注射、もしくは週1回通院で注射するタイプです。(文献4) なお、どちらの薬も最長24カ月(約2年)の制限があります。(文献3)(文献4) 投与直後から数時間後にかけて、一過性の血圧低下に伴うめまいやふらつきが起こることがあります。おさまるまで座った状態または横になった状態で休み、帰宅後に強い症状が出た場合は医療機関に連絡するのが望ましいでしょう。(文献5) ビスホスホネート系:骨吸収抑制薬 骨吸収抑制薬には、骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを抑えて骨を守る作用があります。 国内でよく用いられる骨吸収抑制薬の一つが「ビスホスホネート」です。 飲み薬で良く使われるタイプですが注射剤もあり、代表的なものにはアレンドロネートとゾレドロン酸の点滴製剤、イバンドロネートの静脈内注射剤があります。(文献1) 内服薬で効果が乏しかった方や経口摂取が難しい方に対して使用される傾向です。(文献1) デノスマブ:骨吸収抑制薬 代表薬はデノスマブ(商品名:プラリア)です。(文献6) デノスマブはビスホスホネート系と同じ「骨吸収抑制薬」ですが、ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤に分類され、異なるメカニズムで効果を発揮します。デノスマブは半年に1回の皮下注射で効果が持続するため、通院の手間が少なく続けやすい治療法です。(文献6) 投与を中止すると骨吸収が一時的に亢進するため、骨密度が急激に低下し、骨折リスクを高める可能性があります。(文献7) このためデノスマブの投与を中止する際は、骨吸収抑制作用を持つ別の薬に切り替え、骨密度の急激な低下を防ぐ必要があります。(文献8) ロモソズマブ:骨形成促進・骨吸収抑制併用薬 骨形成促進・骨吸収抑制併用薬とは、「骨をつくる働きを促進しながら、骨を壊す働きを抑える」という2つの作用を持つ骨粗鬆症治療薬です。 代表薬はロモソズマブ(商品名:イベニティ)という抗スクレロスチン抗体薬です。 ロモソズマブは、1カ月に1回、医療機関で2本(105mgを2本、計210mg)の皮下注射を12カ月間受けるのが一般的で、比較的短期間で骨密度を大きく増加させる効果が期待できます。(文献9) 臨床試験において、心筋梗塞や脳卒中などの心血管系イベントの発生率がビスホスホネート系薬剤より高かったとの報告があり、心血管系の既往歴がある患者への投与は慎重に検討されます。(文献9) 骨粗鬆症注射のデメリット 骨粗鬆症注射は効果的な治療法ですが、以下のようなデメリットもあります。 注射薬特有の副作用や合併症のリスク 自己負担費用が高め 使用期間の制限 注射治療は効果が高い反面、継続的な医療機関への通院や経済的負担を伴います。 また、一部の薬剤では中止時のリバウンド現象や投与期間の制限があるため、長期的な治療計画を医師と十分に相談することが重要です。 骨粗鬆症の注射の値段 骨粗鬆症の皮下注射薬は種類によって費用が大きく異なります。以下に、主な皮下注射薬の費用目安(3割負担)をまとめました。 薬剤名(商品名) 注射の頻度 1カ月の薬剤費用の目安(3割負担) テリパラチド(フォルテオ) 毎日(※1本で約28日分) 約7,000円~8,000円 テリパラチド(テリボン) ※自己注射の場合 週2回 約1万4,000円~1万5,000円 ビスホスホネート 月1回もしくは年1回(製剤により異なる) 約830円~1100円 デノスマブ(プラリア) 半年に1回 約1,200円~1,300円 ロモソズマブ(イベニティ) 月1回(※2本投与) 約1万4,000円~1万5,000円 (薬価は2025年11月地点での価格) 上記は先発医薬品の価格を記載しているため、ジェネリック医薬品を使用する場合は費用が少なく済むでしょう。また、薬の費用のみの目安であるため、診察料や検査費、処方料などは別途かかります。 医療機関や地域によって費用は異なるため、事前確認をおすすめします。 骨粗鬆症治療における注射以外の選択肢 骨粗鬆症の治療は注射だけではありません。 食事や運動、生活習慣の改善といった基本的な対策に加え、再生医療という新しい選択肢もあります。 詳しく解説します。 食事内容の見直し 骨粗鬆症の予防・治療には、骨の主成分であるカルシウムとタンパク質、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの栄養素が不可欠です。 日常の食事で取り入れやすい食材は、以下のとおりです。 栄養素 主な食材 カルシウム 牛乳、チーズ、小魚、大豆製品、小松菜など タンパク質 肉、魚、卵、大豆製品など ビタミンD 鮭、さんま、きのこ類、卵黄など なかでもカルシウムは、骨粗鬆症の予防・治療に1日1000~1500mgが必要だともいわれています。(文献10) 牛乳なら約1L、プロセスチーズなら約10切分(150g)に相当します。 単一の食品だけで必要量を満たすのは難しいため、複数の食材を組み合わせて摂取しましょう。 適度な運動の習慣化 骨は、程良い力が加わることで強くなる性質があり、ウォーキングや筋力トレーニング、水中運動などが骨密度の上昇に有効と報告されています。(文献5) 運動習慣は骨を強くするだけでなく、筋力やバランス力も高めるため転倒予防にもつながります。 まずは無理のない範囲で、1日30分程度の運動を週2〜3回から始めてみましょう。 生活習慣の改善 骨を健康に保つためには、禁煙や節酒、十分な睡眠など、毎日の規則的な生活習慣が欠かせません。 喫煙は、腸からのカルシウム吸収が低下する上に尿中への排泄が増えるほか、女性ホルモンも減少しやすくなるため、骨密度を下げる要因として知られています。(文献1) 喫煙を続けている方は、大腿骨付近部骨折のリスクが女性で約1.3倍、男性で約1.6倍に高まることが報告されています。(文献1) また、アルコールを摂りすぎると必要なカルシウムが尿に排出されてしまうため、飲酒量が多いほど骨折のリスクも上昇するとされているのです。(文献1) こうしたことから、生活習慣の改善によって骨粗鬆症の進行を抑えられると期待できます。 自己の幹細胞を用いた再生医療 自分の脂肪由来の幹細胞を使った再生医療も選択肢の一つです。幹細胞が持つ組織修復能力を活性化させることで、骨の健康維持をサポートする治療法です。 当院リペアセルクリニックでは、膝や肩などの関節痛、腰部脊柱管狭窄症などに対して脂肪由来の幹細胞を使った再生医療を提供しています。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院リペアセルクリニックの公式LINEへ登録し、情報収集にご活用ください。 骨粗鬆症の注射について正しく理解して前向きな治療を選択しましょう 骨粗鬆症の注射治療は、骨折のリスクを減らし、QOLを守るための大切な治療法です。副作用や費用といった懸念はありますが、正しい知識を持つことで不安は軽減できます。 大切なのは「治療を続けること」、そして「自分に合う方法を選ぶこと」です。 注射治療だけでなく、食事や運動といった生活改善や、再生医療を含めた複数の選択肢について、医師と一緒に自分に適した治療方針を考えましょう。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 骨粗鬆症の注射について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 骨粗鬆症注射に関するよくある質問 骨粗鬆症の注射は一生続けなければなりませんか? 薬の種類や骨密度の回復状況によって異なります。 たとえばテリパラチドは最長約2年間、ロモソズマブは最長約1年間と使用期間が決まっており、そのあとは別の治療法に切り替えるのが一般的です。(文献9) デノスマブは使用期限の上限が設けられていません。骨密度が十分に改善し安定すれば他の種類の内服薬に切り替えることもあります。 定期的に骨密度を測定しながら、医師と相談して治療方針を決めていきましょう。 骨粗鬆症の注射をやめると元に戻ってしまいますか? 治療を中断すると、骨密度が再び低下するケースがあります。 とくにデノスマブは、中止後に急激に骨密度が低下しやすいことが知られています。 このため、プラリアを中止する際は、別の骨粗鬆症薬への切り替えが必要です。 医師の指示なく自己判断でやめることは避け、必ず相談しながら治療計画を立てましょう。 骨粗鬆症の注射は痛いですか? 注射部位の痛みは個人差がありますが、通常は軽いチクッとした刺激です。 自己注射タイプ(フォルテオ、テリボンなど)はペン型の注射器で簡単に打てるよう設計されており、細い針を使用しているため、痛みは最小限で済むことがほとんどです。 医療機関での処置であれば、痛みを抑える工夫をしてくれることもあります。 いずれの場合も不安があるときは、事前に医師や看護師に相談しましょう。 参考文献 文献1 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年度版|日本骨代謝学会 文献2 薬品インタビューフォームアレンドロン酸錠35mg|一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC) 文献3 フォルテオ®皮下注キット 600μg医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 文献4 テリボン®皮下注 28.2µgオートインジェクター医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 文献5 テリパラチド皮下注用56.5μg医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 文献6 プラリア皮下注 60mg シリンジ医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 文献7 Vertebral Fractures Following Denosumab Discontinuation in Patients with Prolonged Exposure to Bisphosphonates|PubMed 文献8 骨粗鬆症の薬物療法|岡田洋右ら 文献9 イベニティ皮下注105mgシリンジ医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 文献10 カルシウムの摂り方|公益財団法人骨粗鬆症財団
2025.12.13 -
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「最近、腰が痛くなってきた」「身長が縮んだ気がする」といった変化を感じていませんか。 もしかしたらそれは、骨粗鬆症のサインかもしれません。 骨粗鬆症は、50代以降の女性にとくに多く見られる病気ですが、初期には自覚症状がほとんどありません。 気づいたときには骨がもろくなり、ちょっとした転倒で骨折してしまって発覚するケースも多いのです。 この記事では、骨粗鬆症の基礎知識から、原因、症状、検査方法、治療法、予防法まで解説します。 ご自身の骨の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 骨粗鬆症について気になることがある方は、ぜひご登録ください。 骨粗鬆症とは 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨の密度(骨密度)が低下してもろくなり、骨折のリスクが高まる病気です。(文献1) 健康な骨では、古い骨を壊して新しい骨をつくる「骨の新陳代謝(骨代謝)」がくり返されます。骨代謝は骨を吸収する破骨細胞と新しい骨を形成する骨芽細胞のバランスがつり合い、骨の強度が保たれるのです。(文献2) しかし、閉経による女性ホルモンの減少や加齢による骨形成(新しい骨を作る力)の働きの低下によって骨吸収が骨形成を上回ると、骨の破壊と形成のバランスが崩れてしまいます。この状況が長期間続くと骨密度が徐々に低下し、骨粗鬆症を発症するのです。(文献2) 進行すると、転倒などの軽い衝撃でも骨折しやすくなり、とくに高齢者では寝たきりの原因にもなります。 日本では約1,590万人が骨粗鬆症と推定されており、そのうち約1,180万人が女性です。(文献3) 骨粗鬆症の症状 初期の骨粗鬆症は自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行してしまうのが特徴です。とくに背骨の骨折は気づかないうちに起こることも少なくありません。(文献4) しかし、骨粗鬆症が進行すると、次のような変化があらわれることがあります。(文献4) 立ち上がるときや重いものを持つと、背中や腰が痛む 背中や腰が曲がってきた 身長が縮んできた 軽い衝撃で骨折した これらの症状が出た時点では、すでに骨が弱くなっている可能性も考えられます。 骨粗鬆症になると転倒や軽い衝撃でも骨折が起きやすくなるため、これらのサインに気づいたら早めの検査・受診を心がけましょう。 骨粗鬆症の原因 骨粗鬆症を発症する原因として、主に以下があげられます。 カルシウムやビタミンDの不足 女性ホルモンの減少 加齢による骨をつくる力の弱まり これらの要因が重なると、骨吸収が骨形成を上回り、骨密度が徐々に低下していきます。 骨粗鬆症を引き起こす主な原因を見ていきましょう。 カルシウム・ビタミンDの不足 骨をつくる主な材料であるカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDが不足すると、骨密度の低下を招きかねません。 カルシウムは骨を強くする以外にも、筋肉や神経の正常なはたらきを支える効果があり、全カルシウムの約1%は血液や細胞などに存在しています。 通常は食事からカルシウムを摂取しますが、摂取量が不足すると、身体は血液中の濃度を一定に保つために骨からカルシウムを溶かし出して利用してしまうのです。(文献2)その結果、骨の中身が減少し、骨密度の低下を引き起こす原因となります。 また、ビタミンDが不足することで腸でのカルシウム吸収が滞り、カルシウム不足になるケースもあります。 腎臓や腸の働きが弱い方や高齢の方は、よりカルシウムが不足しやすい傾向にあるため、十分な注意が必要です。 女性ホルモンの減少 女性ホルモン(エストロゲン)には骨を壊す細胞(破骨細胞)の活性化を抑え、骨を守る働きがあります。(文献1) しかし閉経を迎えるとエストロゲンの分泌が急激に減り、破骨細胞が活発になります。 その結果、骨の形成が追いつかず、骨密度が急速に低下しやすくなるのです。 とくに閉経前後の50歳前後は、エストロゲンの分泌が急激に低下するため、骨量が減少しやすい時期です。そのため、閉経後数年間はとくに注意が必要です。(文献5) 骨を作る力の弱まり 人の骨は一生を通して作り替えられますが、加齢とともに骨形成が弱まります。(文献6) また、加齢に伴い活性型ビタミンDが作られにくくなり、腎臓や腸管でのカルシウム吸収が低下することも、骨粗鬆症の要因になると考えられます。 運動不足によって骨への刺激が少なくなることも骨を作る力を低下させるため、運動の機会が減る高齢者ほどリスクは高くなるといえるでしょう。 骨粗鬆症になりやすい人の特徴 骨粗鬆症は、加齢だけでなく遺伝や生活習慣、閉経の影響を受ける複合的な疾患です。とくに以下のような特徴に当てはまる方は、発症リスクが高いといわれています。(文献7) 閉経後の女性 高齢者(とくに60歳以上) 運動不足の人 カルシウムやビタミンDの摂取が少ない人 喫煙・過度な飲酒習慣がある人 痩せ型・筋肉量が少ない人 家族に骨粗鬆症の人がいる人 ステロイド薬を長期間使用している人 なお、卵巣摘出や糖尿病、慢性肝障害、ステロイド薬など、ほかの病気や薬が原因で起きる骨粗鬆症は、年齢や性別に関係なく発症します。(文献7) 該当する方は、骨密度測定を早めに受けておくと良いでしょう。 骨粗鬆症で折れやすい部位 骨粗鬆症になると、健康な方では問題ない、少しの刺激でも骨折しやすくなります。骨折が生じやすい部位は、以下のとおりです。(文献8) 背骨 手首 太ももの付け根 なかでも背骨の骨折が起こると、背中や腰が痛くなったあとに背中が丸くなったり身長が縮んだりします。(文献8) 太ももの付け根の骨折は、寝たきりの原因にもなるため注意が必要です。 骨粗鬆症の検査と診断基準 骨粗鬆症の検査は、骨密度測定を中心に、レントゲン撮影や血液・尿検査を組み合わせておこなわれます。 主な検査方法は以下のとおりです。(文献9)(文献10) 検査方法 調べる内容 特徴・目的 骨密度測定 骨に含まれるミネラル成分の量 骨の強さを数値化し、骨粗鬆症の診断に活用 血液・尿検査 骨を壊す・作るサイクルの状態 骨が壊れやすい・作られにくいなど、代謝の異常を把握 レントゲン検査 骨折・変形・骨密度の低下の有無 自覚のない骨折や背骨の変形を早期発見 身長測定 身長の変化 背骨の圧迫骨折による身長低下の早期発見 骨折の有無や若い人の骨密度と比較してどれだけ低下しているか(YAM)で骨粗鬆症かを判断します。 一般的には、以下の3つのうちいずれかを満たした場合、骨粗鬆症と診断されます。(文献1) 脆弱性骨折はないものの、YAMが70%未満 太ももや背骨以外の部分に骨量減少による骨折があり、YAMが80%未満 太ももの付け根もしくは背骨に骨折がある(骨密度に関わらず診断される) なお、詳しい検査の方法は、以下の記事をご覧ください。 骨粗鬆症の治療法 骨粗鬆症の治療は、食事療法・運動療法・薬物治療の3つを組み合わせておこないます。治療の目的は骨折の予防と、骨の健康・生活の質(QOL)の維持です。(文献1) それぞれの治療法について詳しく解説します。 食事療法 食事内容の見直しは、骨粗鬆症の基本的な治療の一つです。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」では、以下の栄養素が治療に重要とされています。(文献1) カルシウム ビタミンB6、B12、葉酸 ビタミンC ビタミンD ビタミンK タンパク質 カルシウムはビタミンDと一緒に摂取すると吸収率が上がるため、「しらすトーストと牛乳」「鮭のホイル焼きとヨーグルト」のように、組み合わせてみると良いでしょう。 運動療法 骨粗鬆症に対する運動療法は、骨密度の上昇と骨折リスクの低減に効果的である可能性が示されており、なかでも以下にあげる運動は、閉経後女性や骨粗鬆症の50歳以上の成人で骨密度の上昇が報告されています。(文献1) ウォーキング 筋力トレーニング 太極拳 水中運動 運動は骨に適度な負荷をかけることで、骨形成を促進します。骨粗鬆症に対する運動効果については以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 薬物治療 骨粗鬆症の治療に用いられる主な薬は、以下のとおりです。(文献1) 治療薬 主な成分名 主な特徴 カルシウム薬 L-アスパラギン酸カルシウム リン酸水素カルシウム カルシウムを補充する 女性ホルモン薬 エストロゲン 閉経後骨粗鬆症に対応する 活性型ビタミンD3薬 アルファカルシドール カルシトリオール エルデカルシトール 他剤との併用で骨密度上昇の報告がある ビタミンK2 メナテトレノン とくに腰の骨粗鬆症に効果を示す可能性がある ビスホスホネート薬 エチドロネート アレンドロネート リセドロネート ミノドロン酸 イバンドロネート ゾレドロン酸 破骨細胞の活性を抑制し骨吸収を抑制する SERM(選択的エストロゲン受容体修飾薬) ラロキシフェン バゼドキシフェン 閉経後骨粗鬆症の女性を主な対象とし、バゼドキシフェンは骨格系および脂質代謝に対して選択的にエストロゲン作用を示す カルシトニン薬 エルカトニン 破骨細胞に直接作用して骨吸収を抑制する 副甲状腺ホルモン薬 テリパラチド アバロパラチド 骨形成促進薬で、骨粗鬆症による骨折リスクが高い患者に使用される 抗RANKL抗体薬 デノスマブ RANKLを阻害し破骨細胞の働きを抑制する 抗スクレロスチン抗体薬 ロモソズマブ 骨形成促進と骨吸収抑制の二重の作用がある どの薬をどのように使うかは、年齢や性別、骨折歴、骨密度などによって、医師が判断します。治療は長期にわたるため、自己判断で中止せず医師と相談しながら続けることが大切です。 骨粗鬆症の予防法 骨粗鬆症の治療法で紹介した食事や運動は、予防にも効果的です。加えて、以下のような生活習慣にも予防効果の向上が期待できます。 日光を浴びる習慣を身につける カルシウムやビタミンDを意識したバランスの良い食事を摂る 毎日適度な運動を続ける 喫煙・過度な飲酒を避ける こうした工夫を続けながら、定期的に骨密度測定を受けて骨の状態を知り、骨量の減少を最小限におさえましょう。 骨粗鬆症かもと感じたら整形外科を受診 「腰や背中が痛い」「身長が縮んだ気がする」「転びやすくなった」などの変化があれば、早めに整形外科を受診しましょう。 骨密度測定で現状を把握し、必要に応じて治療を受けることで、骨折や寝たきりのリスクを大きく減らせます。 すでに骨折を経験している方や、薬物治療以外の方法を相談したい方には、再生医療という選択肢もあります。ご自身の状態に合った治療法について、専門医に相談してみてはいかがでしょうか。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院リペアセルクリニックの公式LINEにご登録ください。公式LINEで提供する再生医療に関する情報は、新しい治療選択肢を検討する際にお役立ていただけます。 骨粗鬆症は早めの気づきと対策が大切 骨粗鬆症は年齢や体質だけでなく、生活習慣にも影響される病気です。しかし、原因を理解し、早めに対策を取れば十分に予防・改善が可能です。 とくに閉経後の女性や高齢の方は、定期的な骨密度測定を受け、食事・運動・必要に応じた薬物療法を組み合わせることで、骨折のリスクを大きく減らせます。 日常の食事や運動を見直しながら、不安があれば専門の医師に相談してみましょう。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 骨粗鬆症について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 骨粗鬆症に関するよくある質問 骨粗鬆症はサプリメントで良くなりますか? サプリメントはあくまで食事で不足する栄養分の補助として使うもので、治療薬の代わりにはなりません。 カルシウムやビタミンDの摂取に役立つものの、すでに骨密度が低下している場合はサプリメントだけでは不十分です。 食事での栄養摂取を基本とし、必要に応じて医師が処方する治療薬を服用することが大切です。 骨粗鬆症の検査を受けるタイミングはいつが良いですか? 骨粗鬆症の検査を受けるタイミングは、以下のような時期が適しています。 市町村の健診時期 40歳を超えたとき 関節痛・背が縮んだ感覚など気になる症状があらわれたとき とくに閉経後の女性は骨量が急速に減少しやすいため、整形外科医の定期的な検診を受けることが推奨されます。 骨粗鬆症で一度骨がもろくなってしまっても骨密度は回復しますか? 食事・運動療法を中心に、内服薬や注射による薬物治療を組み合わせることで、骨密度の上昇や骨折リスクの低減が期待できます。ただし、回復には時間がかかるため、根気よく治療を続けることが重要です。 また、骨密度が改善しても治療を自己中断すると再び低下する恐れがあるため、医師の指示に従って継続しましょう。 参考文献 文献1 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年度版|日本骨代謝学会 文献2 骨代謝とは|日本骨代謝学会 文献3 数字でみる骨粗しょう症|公益社団法人骨粗鬆症財団 文献4 骨粗しょう症|大阪医療センター 文献5 閉経後骨粗鬆症|日本内分泌学会 文献6 骨の老化と加齢性骨粗鬆症の形態学的解析|東華岳,久保金弥 文献7 どんな人がなりやすい|公益社団法人骨粗鬆症財団 文献8 「骨粗鬆症(骨粗しょう症)」|日本整形外科学会 文献9 骨粗鬆症の検査|公益社団法人骨粗鬆症財団 文献10 骨密度検査|北海道大学放射線部
2025.12.13 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
- その他、整形外科疾患
「腫れて動かしづらい」 「しばらくすれば治ると思ったのに改善しない」 その靭帯の痛みが続くのであれば、靭帯損傷の可能性があります。靭帯は関節を安定させる重要な組織であり、損傷すると歩行や運動に支障をきたします。こうしたケガはスポーツだけでなく、段差での転倒や日常の動作でも起こることがあります。「全治までどのくらいかかるのか」「手術は必要なのか」といった不安を感じる人も多いでしょう。 しかし、受傷の原因や症状を正しく理解し、適切な治療やリハビリを行えば、回復までの道筋を明確にできます。 本記事では、現役医師が靭帯損傷について詳しく解説します。 記事の最後には、靭帯損傷に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 靭帯損傷について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください 靭帯損傷とは 項目 説明 靭帯の役割 骨と骨をつなぐ強靭な線維組織。関節の過度な動きを制御し、安定性を保つ 靭帯の構造 主成分はコラーゲン線維。伸縮性は乏しく、頑丈なロープのような構造をもつ 損傷の発生機序 許容範囲を超える外力によって、靭帯線維が部分的または完全に断裂することで発生 靭帯損傷の定義 捻挫のうち、靭帯自体が損傷したもの。スポーツ活動や日常動作中にも起こり得る 主な原因 急な方向転換、他者との接触、転倒、段差の踏み外しなどによる強い負荷 主な症状 受傷時の「ブチッ」とした音や感覚、関節の腫れ、痛み、可動域の制限 靭帯損傷は、関節を安定させる靭帯が、過度な力で伸ばされたり切れたりした状態を指します。 靭帯を損傷すると関節の動きが制限され、体重をかけた際に違和感が生じます。足首・膝・手首など負荷がかかりやすい部位に多く発生します。適切な治療で回復が見込めますが、放置すると再発や慢性的な関節不安定を招くため、早めの受診が必要です。 以下の記事では、肘関節の外側にある靭帯が傷つくことで引き起こされる肘外側側副靭帯損傷について詳しく解説しています。 靭帯損傷が起こりやすい部位 部位 主な損傷部位・特徴 主な原因 足首(足関節) 外側靭帯の損傷が最も多く、内反捻挫で発生する 段差の踏み外し、着地時のバランス崩れ、スポーツ中のひねり動作 膝(膝関節) 前十字靭帯・後十字靭帯・内外側側副靭帯の損傷がみられる サッカーやバスケットボールなどでの急な方向転換や他者との接触 手首(手関節) 転倒時に手をついた際の衝撃で損傷し、骨折を伴うこともある 転倒や転落、スポーツ・日常動作での手をつく動作 指 母指MP関節側副靭帯損傷(スキーヤーズサム)などが代表的 球技での突き指、スキー中の転倒による衝撃 肩 肩関節脱臼に伴い靭帯が損傷することが多い コンタクトスポーツや転倒時の強い外力 靭帯損傷は全身の関節で起こり得ます。とくに多いのは足首(前距腓靭帯)と膝(前十字靭帯・内側側副靭帯)です。これらの部位は体重を支えながら複雑に動くため、ねじれや外力の影響を受けやすい構造をしています。 スポーツでは急な方向転換やジャンプの着地などで損傷しやすく、日常生活でも段差の踏み外しや転倒によって発生することがあります。また、肩・肘・手首なども転倒や無理な動作で負担がかかると損傷することがあります。靭帯の部位によって治療法や回復期間が異なるため、正確な診断と早期の対応が必要です。 以下の記事では、外側側副靭帯の損傷で引き起こされる、外側側副靭帯損傷について詳しく解説しています。 靭帯損傷の初期症状 初期症状 詳細 受傷時の音や違和感 「ブチッ」「プチッ」といった断裂音や関節のずれを感じる。受傷直後の違和感や不安定な感触 腫れと関節内出血 靭帯損傷による炎症反応や出血による関節周囲の腫脹。皮下出血や内出血による赤紫色の変化 関節の不安定性と運動制限 関節を支える靭帯の損傷によるぐらつきや支えにくさ。痛みによる可動域の制限 (文献1) 靭帯損傷の初期には、関節周囲に腫れや熱感が生じ、動かしにくくなります。受傷直後に「何かが切れたような感覚」や「関節を支えられないほどの違和感」が主な特徴です。 靭帯が損傷すると内部で出血や炎症が起こり、数時間以内に腫れが強くなることがあります。 軽度の損傷でも放置すると症状が悪化し、見た目の腫れが引いても関節の不安定さが残る場合があります。早期に整形外科を受診し、必要に応じて画像検査を行いましょう。 以下の記事では、靭帯損傷の初期症状に関連する内容を詳しく解説しています。 【関連記事】 膝が痛い時に疑われる病気を一覧表で解説|立ったり座ったりがつらい方は要チェック 捻挫の後遺症とは|症状のチェック項目や治し方を現役医師が解説 受傷時の音や違和感 靭帯損傷の初期には、関節の内部で「ブチッ」「プツッ」といった音がすることがあります。これは靭帯の線維が断裂する際に生じる音で、中等度から重度の損傷でみられます。ただし、音がしなくても損傷している場合があり、音の有無だけで重症度を判断できません。 受傷直後には「じんわりとした違和感」や「関節が外れたような感覚」を伴うことがあります。これは靭帯損傷による安定性の低下や内部出血、炎症反応が関係しています。 損傷部位に触れると熱を帯びているように感じることもあり、これは炎症に伴う血流増加によるものです。こうした初期症状は損傷のサインであり、放置せず早めに整形外科で診察と画像検査を受けることが重要です。 腫れと関節内出血 症状・特徴 詳細 急速な腫れの出現 受傷後まもなく関節が腫れ、張ったように感じる状態。24時間以内の腫れは関節内出血の可能性 関節の張り感・圧迫感 関節内に血液や液体がたまり、関節包が膨らむような感覚 熱感・発赤 炎症や出血により患部が温かくなり、赤みを帯びる状態 可動域制限・動かしにくさ 出血や炎症による液体貯留で関節の動きが制限される状態 振動・打撲感(鈍痛) 関節内の血液や浮遊物質が刺激となり生じる不快感や違和感 (文献2) 靭帯損傷による腫れや関節内出血は、損傷した靭帯や周囲組織から血液や体液が関節包内に流れ込み、炎症によって関節が膨らむことで起こります。 関節の張り感や圧迫感、熱感が現れ、膝や足首では皮下出血を伴うことがあり、腫れが急速に強まったり動かした際に強い痛みを感じたりする場合は関節内出血が疑われます。 出血が多いと関節内圧が高まり、軟骨や滑膜に負担がかかることもあるため、冷却と安静を保ちながら速やかに整形外科を受診しましょう。 関節の不安定性と運動制限 症状 詳細 関節の不安定性 損傷した靭帯の支えが失われ、関節がぐらつきやすくなる状態。歩行時や動作時に膝が抜けるような感覚や膝くずれを伴うこともある。関節のずれやすさによる再受傷や変形のリスク 運動制限 腫れや痛み、関節内出血による可動域の制限。関節の曲げ伸ばしが困難となり、日常生活やスポーツ動作に支障をきたす状態。炎症や損傷部位の引っかかりも要因 靭帯が損傷すると関節を支える力が弱まり、不安定性が生じます。歩行時に膝が「ガクッ」と抜けるような感覚や、足首が繰り返し捻れる症状が代表的です。 軽度では運動時のみ、重度では日常動作でも関節の不安定性や可動域制限が現れ、膝の前十字靭帯損傷では階段昇降やしゃがむ動作が困難になります。 無理に動かし続けると関節軟骨や半月板など他の組織にも負担がかかり、二次的な損傷を招きます。不安定性を感じたら装具で固定し、医師の指導のもと段階的にリハビリを進めることが重要です。 靭帯損傷の原因 原因 詳細 スポーツによる靭帯損傷 急な方向転換やジャンプの着地、他者との接触によって生じる過度な関節への負荷 転倒や事故・外部からの強い衝撃 転倒時に手足をついた際の衝撃や交通事故によって加わる急激な関節への外力 加齢や慢性的な負荷 加齢による靭帯組織の変性や、長期間の過使用によって生じる持続的なストレス 靭帯損傷は、関節に通常を超える力が加わったときに発生します。とくに急な方向転換やジャンプ後の着地、段差での踏み外しなど、関節がねじれる動作で起こりやすいのが特徴です。 スポーツ中の衝撃だけでなく、日常生活での転倒や無理な姿勢でも生じます。加齢とともに靭帯の柔軟性や強度が低下すると、わずかな外力でも損傷しやすくなります。 再発を防ぐためには、原因を理解した上で正しい動作の習得や筋力バランスの改善に取り組むことが重要です。 以下の記事では、膝の痛みについて詳しく解説しています。 スポーツによる靭帯損傷 スポーツによる靭帯損傷は、ジャンプの着地や急な方向転換、急停止などで関節に強い力やねじれが加わることで発生します。サッカーやバスケットボールなどでは、対人接触による衝撃が直接靭帯に及ぶこともあります。 筋力不足や誤ったフォーム、同じ動作の繰り返しによる疲労は靭帯損傷のリスクを高めるため、予防には正しいフォームの習得と筋力の強化、十分な休養が不可欠です。 転倒や事故・外部からの強い衝撃 原因 詳細 転倒時の関節のねじれや過伸展 階段の踏み外しや路面での滑倒による急なねじれや過伸展による靭帯損傷 交通事故やスポーツでの衝突による外力 自転車・自動車事故やコンタクトスポーツの衝突によって生じる強い外力の集中 高所からの転落による着地衝撃 高い場所からの飛び降りや転落による着地時の過度な負荷の集中 スポーツ以外の日常生活でも起こり得る 段差でのつまずきや歩行中の転倒による関節への急激な衝撃 予期せぬ外的要因で回避動作ができない 突発的な事故や不意の衝突によって防御姿勢が取れず生じる靭帯への直接負荷 転倒や交通事故など、外部から強い力が加わった場合にも靭帯損傷は発生します。とくに膝や足首、手首は衝撃を受けやすく、転倒時に手をついたり膝をひねったりすると損傷が起こります。 衝撃が大きい場合には、複数の靭帯や関節包が同時に損傷する重症例もみられます。高所からの転落やスポーツ中の接触プレーでは、一瞬で強い外力が加わるため、早期の医療介入が必要です。 外傷後に関節の腫れや動かしづらさが続く場合は、速やかに整形外科を受診してください。 加齢や慢性的な負荷 加齢により靭帯の弾力性や強度が低下し、柔軟性が失われることで、わずかな負荷でも損傷しやすくなります。関節軟骨のすり減りや筋力低下によって靭帯への負担が増し、長時間の立ち仕事や無理な姿勢の継続も損傷を進行させる要因となります。 とくに肥満や偏った動作を繰り返す場合はリスクが高く、高齢者では転倒や身体機能の低下により靭帯損傷の危険性が増すため、注意が必要です。 靭帯損傷の全治までの期間 全治までの期間 詳細 軽度|Ⅰ度 靭帯の一部が軽く伸ばされた状態。回復までの目安は約2〜4週間程度。安静と固定による自然治癒 中度の損傷|Ⅱ度 靭帯の部分断裂がみられる状態。全治の目安は約4〜8週間(1〜2カ月)。安静・固定・リハビリの併用 重度の損傷|Ⅲ度 靭帯の完全断裂が生じた状態。全治まで3〜6カ月を要することが多く、手術や集中的リハビリが必要 靭帯損傷の全治期間は損傷の程度によって異なり、軽度のⅠ度損傷では数週間で日常生活に復帰できることが多いのに対し、完全断裂を伴うⅢ度損傷では回復までに数カ月から半年以上を要する場合があります。 回復期間は損傷部位や年齢、治療開始の時期、リハビリへの取り組み方によって異なり、膝の靭帯損傷では歩行が可能になる時期とスポーツ復帰が許可される時期に差が生じます。 焦って無理をすると再損傷のリスクが高まり、回復が遅れることもあります。医師の診断に基づいて段階的にリハビリを進めることが回復への近道です。 以下の記事では、捻挫の重症度について詳しく解説しています。 軽度|Ⅰ度 軽度の靭帯損傷の全治期間は、一般的に2〜4週間程度です。膝の軽度損傷では、炎症や腫れが落ち着くと日常生活レベルの動作まで回復することが多くみられます。 ただし、この期間は固定や安静、リハビリなどの保存療法を適切に行った場合の目安です。年齢や基礎体力、栄養状態、他組織の損傷有無、治療への取り組み方によって回復速度は異なります。 軽度の損傷でも自己判断で放置したりリハビリを怠ると、関節の不安定性が残ったり慢性化したりする恐れがあります。 中度の損傷|Ⅱ度 中等度の靭帯損傷の全治期間は、一般的に4〜8週間(約1〜2カ月)が目安とされています。回復期間は損傷部位や範囲、治療の適切さに加え、血流や可動性、年齢、体力、基礎疾患などによって大きく異なります。 リハビリを早く始めたり、無理に負荷をかけたりすると治癒が遅れる場合があるため、医師の指導のもとで段階的に運動を再開することが重要です。 重度の損傷|Ⅲ度 重度の靭帯損傷の全治期間は、一般的に3〜6カ月程度を要します。重度損傷では靭帯再建術を行うことが多く、とくに膝の前十字靭帯完全断裂では回復に半年以上を要する場合があります。 若年者や体力のある方は回復が早い傾向にありますが、リハビリの質と進度が機能回復の鍵となるため、医師の指導のもと計画的に進めることが大切です。 靭帯損傷の治療法 治療法 詳細 保存療法(固定・安静・リハビリ) 損傷の軽度〜中等度に行う基本治療。ギプスやサポーターでの固定、安静の保持、段階的なリハビリによる関節機能の回復 薬物療法 炎症や痛みの軽減を目的とした治療。消炎鎮痛薬や湿布、注射薬などによる炎症反応の抑制と疼痛緩和 手術療法 靭帯の完全断裂や保存療法で改善が難しい場合に実施。靭帯再建術や縫合術による関節安定性の回復 再生医療 損傷部位の自然治癒を促す治療法。PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療による組織再生の促進 軽度〜中等度の損傷では、固定・安静・リハビリを中心とした保存療法で回復を図り、必要に応じて炎症や痛みを抑える薬物療法を併用します。重度の損傷や再発を繰り返す場合は、靭帯再建術などの手術療法が検討されます。 近年では、自己修復力を高めるPRP療法や幹細胞治療といった再生医療も選択肢のひとつです。早期に正確な診断を受け、個々の状態に合わせた治療計画を立てることが回復につながります。 以下の記事では、膝の皿が痛い原因と治療法について詳しく解説しています。 保存療法(固定・安静・リハビリ) 施策 詳細 固定と安静 サポーターや装具で損傷部位を固定し、関節の動きを制限。炎症と腫れを抑え、靭帯回復を助ける治療 RICE療法(安静・冷却・圧迫・挙上) 受傷直後に患部を冷却・圧迫し、心臓より高い位置に挙上して安静を保つ処置。腫れや炎症の抑制 リハビリテーション 急性期後に行う関節可動域訓練や筋力強化、バランス訓練による段階的回復法 日常生活指導 動作の工夫や休息の取り方、再損傷防止のためのリスク管理 保存療法は軽度から中等度の靭帯損傷に有効な治療法です。靭帯は一定の修復能力を持つため、ギプスやサポーターで固定し安静を保つことで自然治癒を促します。 炎症が落ち着いたら理学療法で可動域と筋力を段階的に回復させます。身体への負担が少なく入院の必要もないため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。過度な安静は筋力低下を招くため、医師の指導のもと計画的にリハビリを進めることが重要です。 以下の記事では、保存療法で使用される膝サポーターについて詳しく解説しています。 薬物療法 薬物 詳細 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 痛みや腫れ、炎症の抑制を目的とした内服薬や湿布の使用。長期使用時の副作用への注意 鎮痛薬 強い痛みの軽減を目的とした一時的な使用。症状に応じた用量と期間の調整 ヒアルロン酸注射(関節症や疼痛緩和など目的限定) 関節内の潤滑改善と軟骨保護を目的とした注射療法。痛み軽減への応用 薬物療法は靭帯損傷における補助的な治療法です。消炎鎮痛薬を用いて炎症と症状を抑えることで、早期のリハビリ参加を促し治癒を促進します。 しかし、薬物療法だけで靭帯を完全に再生させるのは困難です。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)では胃腸障害や腎機能への影響、注射薬では感染リスクなどの副作用に注意が必要です。 手術療法 手術法 詳細 靭帯再建術 患者自身の腱(ハムストリング腱・膝蓋腱など)を用いて新たな靭帯を作成。関節鏡で行うため傷口が小さく回復が比較的早い手術法 靭帯縫合術 部分断裂や複合損傷に対して断裂部を縫合。完全断裂では適応外となる場合が多い手術法 手術後の流れと期間 リハビリで筋力と柔軟性を回復。スポーツや日常生活への復帰まで6カ月〜1年を要する経過 手術療法は、靭帯が完全に断裂した場合や保存療法で改善しない場合に実施されます。手術による靭帯再建は関節の安定性を回復させ、半月板や関節軟骨の二次的な損傷、再断裂、変形性関節症のリスクを減らします。 手術は身体への負担が大きく長期間のリハビリを要するため、生活スタイルや損傷の程度を踏まえて医師と相談し治療法を選択することが重要です。 再生医療 再生医療は、損傷した靭帯の自己修復を促す治療法です。靭帯や関節の組織は血流が少なく自然治癒しにくいですが、血小板に含まれる成長因子や脂肪由来の幹細胞を利用することで修復を促進します。 代表的なPRP療法では、患者自身の血液から血小板成分を抽出して損傷部位に注入します。成長因子が炎症を抑え、症状の軽減に寄与します。 ただし、すべての症例に適応できるわけではなく、実施できる医療機関も限られます。治療を希望する場合は、医師と相談して適応を確認しましょう。 前十字靭帯断裂に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 スポーツ外傷に対する再生医療についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。 靭帯損傷の予防法 予防法 詳細 運動前後のウォーミングアップとクールダウン 関節や筋肉を温め可動域を広げ、運動後に筋や靭帯を緩める習慣 筋力強化とバランストレーニング 関節周囲の筋力向上と姿勢制御力の向上による負荷分散 適切なフォームと装具の活用 動作の改善とサポーターなどの使用による関節保護 日常生活でのケアと体調管理 無理な動作回避と休養、疲労や体調不良時の負荷調整 靭帯損傷は、正しい知識と日常的なケアによって予防できます。運動前後のストレッチやウォーミングアップは関節や筋肉の柔軟性を高め、急な動きへの対応を助けます。筋力とバランスを整えるトレーニングも関節の安定性向上に有効です。 正しいフォームの習得やサポーターの活用によって関節への負担を軽減し、再発を防止できます。疲労をためない体調管理も重要です。 運動前後のウォーミングアップとクールダウン 靭帯損傷の予防には、日常的な準備運動と整理運動の習慣が欠かせません。ウォーミングアップで筋肉や関節を温めることで急な負荷への耐性が高まり、クールダウンは柔軟性を保ち損傷リスクを減らします。 加えて、関節周囲の筋力強化やバランストレーニングで安定性を高め、適切なフォームや装具の活用、無理のない生活と体調管理を徹底することで、靭帯への負荷を軽減できます。 筋力強化とバランストレーニング 筋力強化とバランストレーニングは靭帯損傷の予防に欠かせません。膝周囲の大腿四頭筋やハムストリングスを鍛えることで関節への負担が分散され、靭帯への過度なストレスを軽減できます。 スクワットやランジ、バランスボール、片足立ち、バランスボードなどのトレーニングは、筋力と神経系の反応速度を高め、関節の安定性を向上させて転倒リスクを減らします。 筋力強化とバランストレーニングを組み合わせて行うことで相乗効果が得られ、関節の安定性が高まるため、定期的に正しいフォームで実施することが重要です。 適切なフォームと装具の活用 正しい運動フォームの習得は靭帯損傷予防の基本です。スクワットやランジでは膝がつま先より前に出ないようにし、膝が内側に入らないよう注意します。体幹をまっすぐ保ち、不適切なフォームによる靭帯へのストレスを避ける必要があります。 運動強度は自分の体力に合わせて段階的に進め、適切な休息を取り入れることが大切です。テーピングやサポーターは関節の動きを補助し、不安定な動きを制限して靭帯への負担を軽減します。 とくにスポーツ時やリハビリ初期に有効ですが、医師の指導を受けて正しく使用することが不可欠です。 日常生活でのケアと体調管理 項目 内容 RICE療法の実施 安静・冷却・圧迫・挙上の4つの基本処置で炎症と腫れを抑制 膝への負担軽減 無理な動作や長時間の立ち仕事を避け、杖やサポーターで関節を保護 栄養管理 タンパク質・ビタミンC・亜鉛を含むバランスの良い食事で組織修復を促進 十分な睡眠 疲労回復と治癒促進に不可欠な休養時間の確保 適切な運動療法 症状が落ち着いた段階でのストレッチや筋力トレーニングの継続 日常生活でのケアと体調管理は靭帯損傷の回復を大きく左右します。受傷直後はRICE療法を速やかに実施し、炎症や腫れを最小限に抑えることが重要です。 回復期には膝に過度な負担をかけず、栄養と休養をしっかり取り入れることが必要です。痛みや腫れが落ち着いた段階で、医師や理学療法士の指導のもと、痛みのない範囲で徐々に運動療法を進めます。 急な激しい運動は避け、段階的に負荷を上げることが再発防止と早期回復につながります。 靭帯損傷でお悩みの方は当院へご相談ください 靭帯損傷を放置すると慢性的な痛みや関節の不安定性につながり、将来的に変形性関節症を招く可能性もあります。早期に診断を受け、適切な治療を始めることが回復への第一歩です。 靭帯損傷の治療についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、靭帯損傷に対して再生医療を用いた治療をご提案しています。 再生医療は、患者自身の細胞が持つ修復力を活かし、損傷した靭帯組織の再生を促す治療法です。従来の治療法と比べて身体への負担が少なく、自然な回復を期待できるのが特徴です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 靭帯損傷に関するよくある質問 靭帯損傷は歩いて治りますか? 軽度の損傷であれば、適切な固定と安静により数週間で改善する可能性がありますが、歩行だけでは十分な治癒は得られません。 中等度以上の損傷では、無理に歩き続けると靭帯や関節に負担がかかり、治癒が遅れたり慢性的な関節不安定性を残したりする恐れがあります。 靭帯損傷の治療には、損傷の程度に応じた固定、段階的なリハビリ、医師による経過観察が不可欠です。 靭帯損傷が疑われる場合は、まず整形外科を受診し、画像検査による正確な診断を受けてください。損傷の程度を評価した上で、保存療法か手術療法かを含めた治療方針を決定します。 以下の記事では、歩けるけど痛い肉離れの症状について詳しく解説しています。 靭帯損傷でやってはいけないことは? 受傷直後に無理に動かしたり、痛みを我慢して運動を続けたりすることは避けましょう。アイシングや固定をせずに放置すると炎症が長引き、回復が遅れます。 また、自己判断でマッサージやストレッチを強く行うと組織修復を妨げる恐れがあります。受診を先延ばしにせず、早期に整形外科で診断を受けることが重要です。 以下の記事では、靭帯損傷でやってはいけないことについて詳しく解説しています。 膝の靭帯損傷の応急処置でやってはいけないことは?RICE処置の正しい方法から病院での治療まで解説 靭帯損傷を早く治す食べ物は? 特定の食品だけで靭帯損傷が早く治ることはありません。しかし、適切な栄養摂取は組織修復を支えます。 靭帯損傷の回復には、タンパク質・ビタミンC・亜鉛・鉄分・オメガ3脂肪酸を含むバランスの良い食事と十分な水分補給が重要です。 靭帯損傷でお風呂はいつから入れますか? 靭帯損傷の急性期は炎症や腫れが強いため、湯船は避けシャワーで済ませましょう。患部を温めると炎症が悪化する恐れがあります。 痛みが落ち着いた回復期には短時間の入浴が可能ですが、異常を感じた場合は冷却などの対処を行い、医師に相談してください。 靭帯断裂は自然治癒しますか? 靭帯が完全に断裂した場合、血流が乏しいため自然治癒はほとんど期待できません。放置すれば関節の不安定性が残ります。 部分断裂など軽度の損傷は固定やリハビリで回復する場合もありますが、完全断裂では手術が必要となることが多いです。 靭帯損傷は整形外科と整骨院どちらを受診するべきですか? 靭帯損傷が疑われる場合は、まず整形外科を受診してください。整形外科では画像検査により損傷の程度を正確に診断し、保存療法から手術まで適切な治療を受けられます。 整骨院では画像診断や医療行為ができないため、初期診断には不十分です。 参考文献 (文献1) 膝のねんざおよび関連する損傷(前十字靱帯断裂、半月板損傷、内側側副靱帯断裂、後十字靱帯断裂)|MSD マニュアル 家庭版 (文献2) NATIONWIDE CHILDREN'S When your child needs a hospital, everything matters.|Swelling: The Body's Reaction to Injury
2025.11.26 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
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- その他、整形外科疾患
「走るたびにすねの内側がズキズキとする」 「足の痛みが日に日に強くなっている」 その症状はシンスプリントかもしれません。シンスプリントは、部活動やランニングに励む人が一度は経験することが多い代表的なスポーツ障害です。運動による負担の蓄積が骨膜の炎症を引き起こす主な原因です。初期対応を誤ると競技への復帰まで時間がかかることもあります。 本記事では、シンスプリントについて現役医師が詳しく解説します。 シンスプリントの原因 シンスプリントの初期症状 シンスプリントの治し方(治療法) シンスプリントはどこで診てもらうべきか シンスプリントの予防方法 記事の最後にはシンスプリントに関する質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 シンスプリントについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 シンスプリントとは 項目 内容 主な原因 筋肉の使い過ぎや足の構造・靴の問題によって骨膜に負担がかかること 症状の特徴 運動時や安静時に、すね内側へ広がる鈍い痛みが生じる 治療と予防のポイント 安静と運動量の調整を行い、ストレッチや靴の見直しで再発を防ぐことが重要 (文献1) シンスプリントは、すねの内側下方に生じる運動関連の骨膜炎で、脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれます。ランニングやジャンプ動作を繰り返すスポーツで発症しやすく、陸上競技、バスケットボール、サッカーなどの競技者に多くみられます。 原因は、下腿の筋群が脛骨の骨膜を過度に引っ張ることで、繰り返しストレスが加わり、微小な損傷と炎症が起こるためです。 初期には運動開始時の軽い違和感にとどまりますが、放置すると疲労骨折に移行する可能性があります。早期の発見と適切な対応が、競技復帰を早める鍵となります。 シンスプリントの原因 原因 詳細 オーバーユース(過度な練習や反復動作) 長時間の練習や繰り返し動作による骨膜への過剰な負担 筋力・柔軟性・体幹機能の不均衡 下腿や体幹の筋力不足、柔軟性低下による衝撃吸収力の低下 足部アライメントやフォームの乱れ 扁平足や回内足、誤ったランニングフォームによる負担の偏り 環境・個体差による影響 硬い路面、不適切な靴、成長期や体質による負荷の蓄積 シンスプリントは、骨膜に繰り返し負担がかかることで発症するスポーツ障害です。長時間の練習や急激な運動量の増加は骨膜へのストレスを高めます。 筋力や柔軟性の低下、足部のアライメント異常、環境要因などが重なり、骨膜への負担が蓄積してシンスプリントを発症すると考えられます。 以下の記事では、シンスプリントの原因について詳しく解説しています。 オーバーユース(過度な練習や反復動作) 原因 詳細 骨膜への繰り返しストレス 走行やジャンプ動作の反復による脛骨骨膜への牽引ストレスと微細損傷の蓄積 修復と負荷のバランスの乱れ 急激な運動量の増加や休養不足による修復機能の低下とダメージの慢性化 特定動作の反復による負担集中 長距離走や方向転換動作の繰り返しによる脛骨内側への局所的ストレスの集中 シンスプリントの主な原因は、運動負荷の過剰と回復期間の不足による不均衡です。急激なトレーニング量の増加や休息を取らない反復運動によって骨膜に小さな損傷が繰り返し起こり、累積したストレスが炎症を引き起こします。 運動量の急増や硬い路面での長時間の運動などによるオーバーユースが、シンスプリント発症の主な要因とされています。 筋力・柔軟性・体幹機能の不均衡 原因 詳細 筋力不足 ふくらはぎや足底の筋力低下による衝撃吸収力の低下と骨膜への負担集中 柔軟性低下 下腿後面やアキレス腱の硬さによる骨膜への牽引ストレスの増大 体幹機能低下 体幹の不安定さによるフォームの乱れと下肢への負担の偏り シンスプリントの原因は、筋力・柔軟性・体幹機能のバランスが崩れることです。ふくらはぎや足底の筋力が不足すると衝撃を十分に吸収できず、脛骨への負担が増加します。 さらに、柔軟性の低下により骨膜への牽引力が強まり、微細な損傷が起こりやすくなります。体幹の不安定さによってランニングフォームが乱れると、片側のすねに過剰な負担が集中します。 足部アライメントやフォームの乱れ 原因 詳細 足部アライメント異常 扁平足や過回内による足のアーチ機能低下と脛骨内側の負担増加 フォームの乱れ 体幹の不安定さや偏った接地による同一部位への繰り返し負荷 微小外傷の蓄積 小さなストレスの反復による骨膜・筋付着部の損傷蓄積と炎症誘発 シンスプリントの発症には、足部のアライメント異常やフォームの乱れが大きく関与しています。扁平足や過回内では足のアーチ構造が崩れ、着地時の衝撃を十分に吸収できず、脛骨内側に負担が集中して骨膜炎を起こしやすくなります。 ランニングやジャンプ動作で体幹が不安定になり接地が偏ると、毎回のステップで同じ部位に強いストレスがかかり、とくに片脚への荷重の偏りが炎症を助長します。 こうした不適切な動作が繰り返されることで、骨膜や筋付着部に微細な損傷が蓄積し、炎症が慢性化します。予防には、正しいフォームの習得や、インソール・靴による足部アライメントの補正が不可欠です。 環境・個体差による影響 原因 詳細 運動環境の影響 硬い路面や不整地でのトレーニングにより、着地時の衝撃が増し、足部に負担が集中 運動量・強度の急激な変化 トレーニング量や強度の急増による筋肉・骨膜への過剰負荷と疲労蓄積 個体差(足の形状・筋力など) 扁平足や回内足、筋力不足や柔軟性低下による骨膜へのストレス増大 身体的・技術的要因の複合効果 体幹の不安定やフォームの乱れと環境・個体差が重なることで発症リスク上昇 シンスプリントの発症には環境要因と個人の身体特性が関与しています。硬い路面や不整地での練習、クッション性の低いシューズは着地時の衝撃を増大させます。 運動量の急激な増加、扁平足や回内足などのアライメント異常、筋力不足や柔軟性低下が過剰な負荷と疲労蓄積の原因です。体幹の不安定性やフォームの乱れが加わると、発症リスクはさらに高まります。環境調整と身体機能改善の両面から対策を講じることが重要です。 シンスプリントの初期症状 初期症状 詳細 運動時の痛み・違和感 ランニングやジャンプ動作時に感じるすね内側の鈍い痛みや違和感 運動後の痛み・不快感 運動後に現れる鈍い痛みや重だるさ、不快感の持続 すねの圧痛・筋肉の張り すね内側を押したときの痛みや、ふくらはぎ全体の張りやこわばり シンスプリントの初期には、運動時のすね内側に鈍い痛みや違和感が現れます。症状が進行すると運動後にも重だるさや不快感が残るようになります。 また、すねの内側を押すと痛みを感じ、ふくらはぎの筋肉に張りやこわばりがみられます。初期段階で適切に対応すれば改善が期待できるため、早期発見と休養が重要です。 以下の記事では、シンスプリントの症状チェックのやり方を詳しく解説します。 運動時の痛み・違和感 初期症状 詳細 運動時の痛み・違和感 運動開始直後の骨膜および筋腱移行部への牽引ストレスによる鈍い痛みや違和感 運動後の痛み・不快感 運動終了後の休息時にも続く違和感や圧痛 骨膜・軟部組織のストレス 骨膜や周囲軟部組織への繰り返しの牽引ストレスや衝撃による微細な炎症・ストレス反応 シンスプリントは、すねの骨膜に繰り返しストレスがかかることで起こる障害です。ランニングやジャンプなどの運動により骨膜に微小な炎症が生じ、とくに運動開始直後に痛みや違和感が現れます。 初期段階では体が温まると症状が軽減することがありますが、これは異常反応のシグナルと捉えるべきです。症状が進行すると運動後や安静時にも違和感や圧痛が残るようになります。この段階での違和感を軽視せず、運動量の調整や医療機関を早めに受診することが重要です。 運動後の痛み・不快感 要因 詳細 骨膜・軟部組織への微小炎症 運動による繰り返しストレスで骨膜や筋付着部に炎症が起こり、運動後に痛みや不快感が出現 筋肉疲労と牽引ストレスの残留 ヒラメ筋や後脛骨筋の疲労により柔軟性が低下し、骨膜への牽引力が持続・増強 血流変化による炎症の顕在化 運動後の血流変化で炎症が表面化し、安静時に痛みを感じやすくなる状態 シンスプリントは、すねの骨膜やその周囲組織に繰り返しストレスがかかることで発症する障害です。運動後に痛みや不快感が強くなることが初期段階の典型的なサインです。 運動を続けることで、骨膜や筋付着部には微小な炎症が生じ、疲労した筋肉が硬くなることで骨膜への牽引ストレスが残りやすくなります。実際、シンスプリントは「繰り返しストレスによって発生する足の痛み・不快感」とされ、運動後に症状が強くなることが知られています。(文献2) また、運動中は血流が活発になり炎症反応を感じにくい一方で、運動を終えると筋肉の緊張緩和や循環の変化によって炎症が顕在化し、痛みや不快感が現れやすくなります。 運動直後よりも安静時のほうが痛みを感じやすくなるため、この段階で生じる違和感を放置せず、早めに休養を取り医療機関を受診することが重要です。 すねの圧痛・筋肉の張り シンスプリントでは、繰り返しの運動によって脛骨周囲の骨膜が引っ張られ、脛骨内側の骨膜炎により圧痛が生じます。また、ふくらはぎの主にヒラメ筋や後脛骨筋が疲労して硬くなると、筋肉の柔軟性が低下し、骨膜への牽引ストレスが増加します。これが筋肉の張りや痛みの原因となり、運動中や運動後に症状が強まります。 炎症が進行する前段階では、動作時や直後に押すと痛む、筋肉が硬いといった違和感が先行することが多く、これらは早期発見の重要なサインです。 炎症の拡大が疑われる場合、自己流のマッサージや強いストレッチは避けてください。違和感が続く場合は、整形外科での診察と適切な治療を受けることが重要です。 シンスプリントの症状進行と持続痛について 段階 状態 症状の特徴 初期段階 運動中・運動後に痛みが出現 休息により症状が軽減することが多い状態 進行段階 炎症・微細損傷の慢性化 運動中の痛みが強まり、休息後も症状が残存 重症段階 組織の修復能力を上回る負荷が継続する状態 安静時にも痛みが出現し、日常生活への支障 シンスプリントは、すねの骨膜や周囲組織に繰り返しストレスが加わることで発症します。初期段階では運動中や運動後に痛みが出現しますが、休息により症状が軽減することが多い状態です。しかし、適切なケアを行わず負荷を続けると、炎症や微細な損傷が慢性化し、症状が進行します。 骨膜や筋腱は休息や修復反応によってダメージを回復させる能力がありますが、修復が追いつかないほど負荷が加わり続けると、損傷と炎症が累積します。進行段階では運動中の痛みが強まり、休息後も症状が残存するようになります。 重症化すると安静時にも痛みが生じて日常生活に支障を来し、持続痛や強い局所痛がある場合は疲労骨折へ進展するおそれもあるため、早期対応が重要です。 シンスプリントの治し方(治療方法) 治し方(治療方法) 詳細 安静と運動調整 痛みの原因となる運動を一時的に中止し、運動量や強度を段階的に調整する休養と負荷管理 炎症抑制・物理療法 炎症や痛みを抑えるためのアイシング、超音波療法、低出力レーザー治療などの実施 ストレッチ・筋力トレーニング・リハビリ 下腿や体幹の柔軟性・筋力を整え、再発予防を目的とした段階的リハビリの実施 テーピング・装具(インソールなど) 足部アライメントを整え、衝撃や負担を軽減するためのテーピングやインソールの使用 薬物療法 炎症や痛みを緩和するための消炎鎮痛剤や外用薬の使用 再生医療 慢性化した場合に用いられる、自己修復を促すPRP療法(多血小板血漿注入)などの再生治療 シンスプリントの治療は、まず安静と運動量の調整により炎症の悪化を防ぎます。急性期にはアイシングや超音波などの物理療法で痛みと炎症を抑え、回復期にはストレッチや筋力トレーニングで柔軟性と安定性を取り戻します。 足部アライメントを整えるためのインソールやテーピングも有効です。症状が強い場合は薬物療法を併用し、慢性化例では再生医療を検討する場合もあります。ただし、再生医療は適用できる医療機関が限られており、患者の症状によっては適用できないケースもあるため、事前に医師との相談が不可欠です。 以下の記事では、治らないシンスプリントの治療法について詳しく解説しています。 安静と運動調整 シンスプリントの治療において、安静と運動調整が基本です。過度な練習や反復動作で生じた炎症は、運動を続けると悪化するため、安静により炎症を鎮静化させ、組織の修復を促します。運動を完全に止めるのではなく、症状を悪化させない範囲での運動量や内容の調整が大切です。 練習強度を下げる、回数を減らす、水泳や自転車など衝撃の少ない運動へ切り替えることで、体力を維持しながら回復を図ります。発症初期には患部に負担をかけない軽いストレッチや上半身トレーニングが推奨されます。 症状が軽快しても違和感が消えてから数日経過し再発がないことを確認した上で段階的に負荷を増やし、無理な練習継続による慢性化を避ける計画的な復帰が重要です。 炎症抑制・物理療法 シンスプリントは脛骨の骨膜に炎症が生じるため、炎症抑制と物理療法が治療の中心です。急性期には患部を安静にし、アイシングや非ステロイド性抗炎症薬で炎症を鎮めます。超音波療法などの物理療法は血流を改善し、組織修復を促進します。 症状が軽減したらストレッチや筋力強化運動を段階的に行って筋肉や骨膜の回復を促し、痛みが消えた後も急に運動強度を戻すと再発のリスクが高まるため、医師の指導に従い、段階的に運動量を増やすことが重要です。 ストレッチ・筋力トレーニング・リハビリ 項目 目的・内容 注意点 ストレッチ 筋肉や腱の柔軟性向上、関節可動域の拡大、怪我予防、血流促進 痛みの手前で止める、反動をつけない、怪我部位は専門指導のもとで実施 筋力トレーニング 筋力・持久力の向上、姿勢安定、関節保護、骨密度維持、代謝改善 正しいフォームの維持、負荷の段階的増加、呼吸を止めない、持病は医師に相談 リハビリテーション 機能回復、痛みや拘縮・筋萎縮の改善、日常・スポーツ復帰支援 過負荷を避ける、医師の計画に基づく実施、痛み時は中止、継続の徹底 ストレッチ、筋力トレーニング、リハビリテーションは、シンスプリントの根本的な改善に不可欠です。ストレッチはヒラメ筋や後脛骨筋を柔らかくし、骨膜への牽引力を軽減して痛みを和らげ、再発を防ぎます。 筋力トレーニングは足部アーチのサポート力や体幹の安定性を向上させ、運動時の負担を分散します。リハビリテーションでは痛みの程度に応じて運動負荷を段階的に調整し、筋肉や骨膜の耐久性を向上させます。これらは医師や理学療法士の指導のもと、個々の症状に応じて実施が重要です。 以下の記事では、シンスプリントに対して有効なリハビリ方法を解説しています。 テーピング・装具(インソールなど) 項目 目的・効果 注意点 テーピング 関節や筋肉の安定化、損傷部位の保護、痛みの軽減、フォーム補正 強く巻きすぎない、長時間の使用を避ける、皮膚トラブルに注意、根本治療ではなく補助的手段 装具 関節の安定・保護、変形や再発の予防、動作補助、痛み軽減、歩行や姿勢の改善 長時間使用による筋力低下に注意、医師の指示に従う、装着部の皮膚状態を確認 インソール 足部アライメントの矯正、荷重分散、歩行・ランニング効率の改善、スポーツ障害の予防 サイズや靴との相性を確認、定期的な見直し、合わない場合は使用を中止 テーピングとインソールは、シンスプリントの症状軽減と再発予防に有効な補助手段です。適切なテーピングは脛骨周囲の筋肉や骨膜を適度に圧迫し、筋肉の振動や骨膜への牽引力を抑制することで、痛みの軽減と炎症の進行予防に役立ちます。 また、足部の安定性を高め、床からの衝撃や不均等な負担を分散させることで、患部へのストレスを軽減します。さらに、テーピングは関節の過度な動きを制限し、筋肉や関節の過負荷を防ぐため、スポーツ活動時の怪我予防や再発予防に効果的です。 インソールは足部アーチをサポートし、歩行や運動時の足全体のバランスを整えることで、骨膜への負担を軽減します。これらの補助手段は、根本的な治療ではありませんが、ストレッチや筋力トレーニングと併用することで、症状の改善と長期的な再発予防が期待されます。 以下の記事では、シンスプリントにおけるテーピング方法について詳しく解説しています。 薬物療法 シンスプリントは脛骨の骨膜や筋腱付着部の炎症により発症するため、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による炎症抑制が症状軽減に有効です。内服薬や外用薬は炎症と痛みを軽減し、日常生活やリハビリを行いやすくします。 ただし、薬物療法は過度な炎症反応をコントロールして自然治癒を助ける補助的な役割です。安静、物理療法、リハビリテーションと組み合わせることで効果が最大化されます。 薬物療法は短期間の使用が推奨されるため、市販薬を自己判断で長期間使用することは避け、医師の指示に従って服用してください。根本的な改善のためには、薬物療法に加えて運動量の調整や筋力・柔軟性の改善など、包括的なアプローチが欠かせません。 再生医療 シンスプリントは脛骨周囲の骨膜や筋腱付着部に繰り返しストレスが加わり、炎症や微細な損傷が生じる状態です。多くは安静や運動調整で改善しますが、症状が慢性化したり再発を繰り返したりする例も存在します。 難治性の症例では、脂肪由来幹細胞による組織修復促進や血小板に含まれる成長因子による抗炎症作用が期待される再生医療が治療の選択肢となる場合があります。 ただし、再生医療を実施できる医療機関は限られており、患者の症状や状態によっては適用できないケースもあるため、治療を検討する際には医師への相談が不可欠です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 シンスプリントはどこで診てもらうべき? 項目 医療機関(整形外科) 整体・接骨院 診断 医師が診察・画像検査で原因を特定 画像検査ができず診断不可 対応内容 医学的治療・リハビリの計画 筋肉調整やマッサージ中心 適応範囲 炎症・骨膜障害・疲労骨折など幅広く対応 軽度の筋緊張緩和のみ (文献3) シンスプリントが疑われる場合、整形外科またはスポーツ整形外科の受診が基本です。自己判断でストレッチや湿布のみで対応すると、炎症が悪化して回復が遅れる可能性があります。 整形外科では問診・触診に加え、レントゲンやMRI検査などで疲労骨折との鑑別診断を行います。これにより症状の進行度を正確に評価し、適切な治療方針を決定します。 とくにスポーツ整形外科では、アスリートや運動習慣のある方を対象に、再発予防まで含めた包括的なリハビリを提供します。理学療法士が筋肉の柔軟性や体幹バランスを評価し、段階的な運動再開をサポートします。 なお、接骨院や整体などでの施術は一時的に症状が軽減したように感じられることがありますが、根本的な改善につながる医学的根拠は十分に確立されていません。まずは医療機関での正確な診断を受けることが重要です。 シンスプリントの予防方法 予防方法 詳細 運動量と休養の調整 運動量や強度を段階的に増やし、疲労を蓄積させないスケジュール管理。十分な休養日を設け、筋肉や骨膜の回復を促すバランス調整 身体機能の改善(筋力・柔軟性・フォーム) 下腿筋群のストレッチや筋力トレーニングによる衝撃吸収力の向上。ランニングフォームや着地動作の改善による負担分散 外的要因への対応(シューズ・インソール・環境) クッション性やフィット感に優れたシューズの選択。インソールによる足部アライメントの補正。硬い路面や傾斜地での練習回避 シンスプリントの予防には、運動負荷と身体機能、環境要因への多角的なアプローチが必要です。まず、急激な運動量の増加を避け、十分な休養を確保することで組織の修復を促します。 次に、下腿筋群や体幹の筋力強化、ストレッチによる柔軟性向上、正しいランニングフォームの習得を行い、衝撃吸収能を高めて負荷を適切に分散させます。 クッション性に優れたシューズの選択や足部アライメントに合わせたインソールの使用、硬い路面を避けた練習環境の見直しも重要です。これらの要素を総合的に実践することで、シンスプリントの発症リスクを効果的に低減できます。 運動量と休養の調整 シンスプリントの予防には、運動量の段階的調整と適切な休養の確保が基本となります。加えて、筋力強化やストレッチによる柔軟性向上、正しいフォームの習得といった身体機能の改善により、下腿への負担を軽減できます。 さらに、足に合ったシューズやインソールの活用、硬い路面の回避など外的環境を整備することも重要です。これらの対策を総合的に実践することで、シンスプリントの発症・再発リスクを抑制し、継続的な運動が可能になります。 身体機能の改善(筋力・柔軟性・フォーム) シンスプリントの再発予防には、身体機能の総合的な改善が重要です。筋力強化では、ヒラメ筋や後脛骨筋を鍛えることで骨への負担を軽減します。ゴムチューブを用いたふくらはぎのトレーニングや足指でタオルを引き寄せる運動が効果的です。 柔軟性向上ではヒラメ筋を中心としたストレッチを運動前後に習慣化し、フォーム改善では適切な着地方法や膝の角度、姿勢を段階的に習得することで、炎症リスクと脛骨への衝撃を軽減します。 適切な運動量の調整や休養を取り入れながら実践することで、衝撃を吸収する力が高まり、筋肉への牽引ストレスが減少し、荷重のバランスも整いやすくなります。 外的要因への対応(シューズ・インソール・環境) シンスプリントの再発予防には、練習環境やシューズなど外的要因への配慮が重要です。クッション性が低下したシューズや足に合わない靴を使用すると、着地時の衝撃が脛骨へ直接伝わり骨膜への負担が増大します。 競技特性や足型に合ったシューズを選び、定期的に交換することが大切です。扁平足や過回内がある場合は、医療用またはスポーツ用インソールで足のアライメントを補正し、荷重バランスを整えることが有効です。 また、アスファルトなどの硬い路面ばかりで練習せず、芝生やゴムトラックなど柔らかい地面を取り入れることで衝撃を軽減できます。これらの外的要因を見直すことは、身体への負担を減らし再発予防を支える重要な要素です。 シンスプリントを理解して適切な対策を講じよう シンスプリントは、スポーツを続ける人に多く見られる下肢の障害で、脛骨周囲の骨膜や筋肉に炎症やストレスが生じることで発症します。初期の段階で適切に対応すれば回復しやすいため、違和感を放置せず早めにケアしましょう。 運動量の調整やストレッチ、シューズの見直しなど、日常の工夫で負担を軽減できます。症状が続く場合や再発を繰り返す場合は、整形外科での診断とリハビリが必要です。 シンスプリントの治療についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、患者さまご自身の細胞や血液成分を用いる再生医療を行っており、損傷した組織の修復をサポートする治療の選択肢としてご案内しています。症状や状態に応じて、適切な方法を検討しご提案いたします。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 シンスプリントに関するよくある質問 シンスプリントは休養期間を設ければ改善しますか? シンスプリントは、適切な休養を取ることで改善が期待できる場合があります。初期症状であれば約2週間の安静で痛みが和らぐこともありますが、無理な運動再開は再発の原因になります。 症状が続く場合は医療機関での診察やリハビリが必要です。筋力や柔軟性の改善を並行して行うことが回復への近道です。 以下の記事では、シンスプリントの休むべき期間について詳しく解説しています。 家族がシンスプリントになったときはどうすれば良いですか? シンスプリントの回復には、休養とセルフケアに加え、心身のサポートが重要です。お子さまが痛みを抱えているときは、無理に運動を続けさせず安静を保つことが大切です。 症状が落ち着いたら、自転車や水泳など負担の少ない運動に切り替え、段階的に練習を再開しましょう。アイシングやテーピング、インソールの使用も有効です。 思うように動けない時期は焦りや不安を感じやすいため、ご家族が寄り添い、前向きな気持ちで回復に取り組めるよう支えることも大切です。痛みが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 シンスプリントは走りながら治すことはできますか? シンスプリントは脛骨周囲の骨膜や筋付着部に炎症が生じる障害です。痛みを抱えたまま走り続けると疲労骨折へ進行するおそれがあるため、推奨されません。 初期の違和感程度であれば、医師の診断を受けた上で運動強度や距離を調整し、路面やシューズを見直すことで回復を図れます。 治療は安静や物理療法、筋力・柔軟性の向上を基本とし、症状が落ち着いてから段階的に運動の再開が望まれます。 以下の記事では、シンスプリントを走りながら治せるかについて詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) シンスプリント|MSD マニュアル プロフェッショナル版 (文献2) Medial tibial stress syndrome: conservative treatment options|PMC PubMed Central® (文献3) Shin Splint: A Review|PMC PubMed Central®
2025.11.26 -
- その他、整形外科疾患
病院で人工関節の手術を勧められて、不安や迷いを感じている方も多いのではないでしょうか。 人工関節置換術は、進行した関節の変形や軟骨のすり減りに対して有効な治療の一つとされています。 一方で、手術という大きな選択を前に「本当に自分に必要なのか」「術後の生活はどうなるのか」と考える方も少なくありません。 この記事では、人工関節の仕組みやメリット・デメリット、手術後に注意すべき点などを解説します。 手術を受けるか迷っている方や、他の選択肢も検討したい方は、最後までご覧ください。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 人工関節について気になることがある方は、ぜひご登録ください。 人工関節とは 人工関節とは、関節のすり減った部分を補うために使用される人工のパーツのことです。 金属やセラミック、ポリエチレンなどの素材でできており、股関節や膝関節のように体重を支える部位で使われるケースが多くみられます。(文献1) 損傷した関節面の一部または全部を人工関節に置き換える手術が「人工関節置換術」です。 ここでは、人工関節の役割と仕組み、人工関節置換術を受ける人の特徴について解説します。 人工関節の役割と仕組み 人工関節は、損傷した関節の代わりに骨の端同士がスムーズに動くための「接合部」の役割を担うものです。 関節の摩耗によって軟骨がすり減ると、骨同士が直接ぶつかり、痛みがあらわれたり動作の制限が起こったりします。 人工関節は、この痛みの原因を取り除き、動きを滑らかにするために使われます。 とくに多く使用される股関節および膝関節の人工関節の仕組みは、以下のとおりです。(文献2)(文献3)(文献4)(文献5) 関節部位 置き換える部位 仕組み 股関節 ・大腿骨の骨頭 ・骨盤の臼蓋 大腿骨側に付けたボール状の部品が、骨盤側に付けたカップ状の部品内でなめらかに回転し、自然な動きを再現する 膝関節 ・大腿骨と脛骨の接合面 ・必要に応じて膝蓋骨(しつがいこつ:膝の皿) 大腿骨側の部品が脛骨側の部品の上を転がるように滑らかに動くことで、スムーズな屈伸運動を再現する 関節の状態に応じて、一部だけを置き換える「部分置換」や、関節全体を置き換える「全置換」などの種類が選ばれます。 これらの手術によって、関節の痛みを和らげて可動域を改善し、歩行や階段昇降といった日常動作の質を高めることが期待できます。 人工関節を置換する主な部位 人工関節置換術は、関節の痛みや変形が進行し、薬やリハビリテーションでの改善が難しい場合に実施されます。 主な置換部位は、次のとおりです。(文献1) 股関節 膝関節 肩関節 肘関節 足関節(足首) 手指関節 これらの部位を人工関節に置き換えることで、痛みの軽減や機能の回復を目指します。 人工関節を置換するメリット 人工関節の手術によって得られる主なメリットは、以下のとおりです。(文献6) 外出や趣味など、生活の幅が広がる 痛みのストレスから解放され、精神的な負担も減る 歩く・立ち上がる・階段を上るなどの基本動作がスムーズになる 長年痛みとともに過ごしてきた方にとっては、生活の質(QOL)を改善できるきっかけとなるでしょう。 人工関節を置換するデメリット 人工関節は、変形性関節症や大腿骨頭壊死症などに有効な治療法ですが、人工物であることから以下のような注意点とリスクがあります。(文献6) 寿命があるため、再手術の可能性がある 転倒や強い衝撃などで破損するリスクもゼロではない 感染症や血栓症などの合併症リスクがある 脱臼や早期の摩耗を防ぐため手術部位によって動きが制限されることがある 手術を受ける際は、これらのデメリットもしっかり理解した上で検討しましょう。 【関連記事】 肩の人工関節のデメリットを医師が解説|7つのリスクと再生医療という選択肢 変形性股関節症|人工関節手術のデメリット・リスクと治療の代替案を紹介 人工関節置換術を受ける人の特徴 人工関節置換術は、以下のような状態の方に検討されることが多い手術です。(文献1)(文献7) 長年の関節の痛みで、歩く、立つなどの日常生活が困難になっている 薬やリハビリなどの保存療法では効果が出なくなった 関節の変形や骨の摩耗が進んでいる 医師から「関節の形や仕組みに根本的な異常がある」といわれた 膝関節を例にあげると、変形や軟骨のすり減りが進んだ変形性膝関節症や関節リウマチが、この手術の主な対象となります。 【関連記事】 変形性股関節症とは?原因・症状・治療法をわかりやすく解説 大腿骨頭壊死症の原因とは?生活習慣との関連性や予防法について紹介 人工関節置換術にかかる手術費用 人工関節置換術にかかる費用は合併症の有無や入院期間によって異なり、一般的には保険適用前で200万円前後かかるとされています。 しかし、日本では公的医療保険制度が適用されるため、自己負担額は総額の1割〜3割です。 高額療養費制度や更正医療を活用すると、さらに負担額は減り、結果的に数万円〜数十万円におさえられるでしょう。(文献8)(文献9) 人工関節置換術における入院期間の目安 入院期間は、一般的に2〜3週間ほどといわれています。 手術直後からリハビリテーションが開始となり、痛みが管理されれば、座ったり立ち上がったりする訓練が始まります。 入院中に杖を使った歩行や階段昇降の練習をおこない、自宅での生活に慣れることが目標です。 手術後の経過やリハビリテーションの進行、自宅生活の準備が順調であれば退院となります。 人工関節置換術後にやってはいけないこと 人工関節の手術を受けたあとは、生活状態によって置換部位の脱臼や人工関節の破損が起きやすくなります。 人工関節を長持ちさせるには、関節に負担をかける以下の動作は避けるようにしましょう。(文献10) 置換した部位 避けるべきこと 股関節 ・重いものをもつ ・深くしゃがむ、正座をする ・内股の姿勢やあぐらをかく ・急に体をひねる ・ハードな運動やスポーツをする 膝関節 ・リハビリテーションを自己中断する ・不摂生な生活で体重を増やす ・正座の姿勢をとる ・ジャンプやランニングなどの激しい運動をする ・膝に負担の大きい生活環境を放置する 手術後は医師や理学療法士の指導に沿って、少しずつ体を慣らすことが大切です。 【関連記事】 人工股関節手術後の生活における注意点とは?気を付けることやリハビリについて【医師監修】 人工膝関節置換術後にやってはいけないこと|生活上の注意点とは? 人工関節置換術以外の治療法 人工関節の手術は有効ですが、症状や年齢、生活環境によっては他の治療法も選択できます。 主な治療法をまとめると、次のとおりです。(文献7)(文献11)(文献12) 治療法 治療内容 保存療法 痛み止めやヒアルロン酸注射、運動療法、生活指導など 関節鏡手術 小さなカメラで関節内部を確認し、損傷部分を処置する手術 幹細胞治療 体の機能を修復する役割がある幹細胞を利用した治療(自由診療) これまでは、保存療法で十分な効果が得られなかった場合に、関節鏡手術や人工関節置換術が選択されるのが一般的な流れでした。 しかし最近では、保存療法と手術の間に位置する新たな治療として、再生医療が選択肢にあがることも少なくありません。 なかでも幹細胞を用いた治療は、他の細胞に変化する「分化能」を利用した治療法で、手術以外の方法を希望する方に検討されています。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院リペアセルクリニックの公式LINEの登録をご提案します。 公式LINEが提供する再生医療に関する情報は、手術以外の選択肢を検討する上で役立つはずです。 【関連記事】 変形性股関節症の保存療法|手術を避けて症状改善を目指す治療法 変形性膝関節症の再生治療(PRP療法)の体験談|効果・費用も紹介 人工関節の手術を検討する前に知識をつけておこう 人工関節は、股関節や膝関節などの損傷を補い、痛みを和らげて日常生活を取り戻す治療法です。 一方で、部品に寿命があるため再手術が必要になる可能性や、動作の制限、感染などのリスクもあります。費用や入院期間も無視できない要素です。 手術以外にも、保存療法や再生医療などの選択肢を理解しておくことで、自分に合った治療法を検討しやすくなります。 人工股関節置換術を選択せず、再生医療による治療を受けた症例については、以下の記事をご覧ください。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 人工関節について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 人工関節に関するよくある質問 人工関節の手術後はすぐに歩けるようになりますか? 膝や股関節の人工関節置換術の場合、杖を使用して歩けるようになるまでの期間は数日〜10日ほどです。(文献13) 手術後の状態によりますが、手術翌日からベッドの端に座る、平行棒や歩行器などの補助具を使用して歩く、杖で歩くと、段階的にリハビリテーションを進めるのが一般的です。 ただし、手術前に強い痛みによって運動が制限されていた方では筋力低下が進んでいる可能性があり、回復に時間を要するケースもあります。 人工関節を入れたら障害者手帳交付の対象になりますか? 人工関節を入れたからといって、必ず障害者手帳が交付されるわけではありません。(文献14) 以前は人工関節置換術を受けるだけで一律の等級を認定されましたが、平成26年の改正によって手術後の関節機能で判断されるようになりました。(文献14) そのため、手術後に関節の痛みや動きが明らかに改善した場合には、交付の対象とならないこともあります。 人工関節の寿命はどのくらいですか? 人工関節の技術が進歩して、パーツの寿命は延びています。 入れ替え手術が必要になる方の割合については、以下の報告があります。(文献15) 置換部位 入れ替え手術が必要な方の割合 股関節 ・術後20年:6人に1人ほど ・術後30年:4人に1人ほど 膝関節 ・術後20年:6人に1人ほど 年齢や体重、日常の活動量によって変わるため、若い方や活動量が多い方では摩耗が早まる傾向です。 関節に負担をかけない生活習慣や定期的な受診を続け、再手術のリスクを下げましょう。 参考文献 (文献1) 人工関節とは | 日本人工関節学会 (文献2) 人工股関節について - 人工股関節置換術|千葉市立青葉病院 (文献3) 新・股関節がよくわかる本Web版|公益財団法人股関節研究振興財団 (文献4) 人工膝関節手術|東京女子医科大学整形外科 (文献5) 人工膝関節置換術|焼津市立総合病院 (文献6) 人工関節②人工関節手術のメリット・デメリット|日赤和歌山情報局 Hot(ほっと) (文献7) 「変形性股関節症」|日本整形外科学会 (文献8) 高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省 (文献9) 自立支援医療(更生医療)の概要|厚生労働省 (文献10) 人工股関節置換術を受ける患者さんへ|東京医科大学病院 (文献11) 「変形性膝関節症」|日本整形外科学会 (文献12) 関節鏡・脊椎内視鏡ってご存知ですか?|川崎医科大学 総合医療センター (文献13) 人工膝関節について - 人工膝関節置換術|千葉市立青葉病院 (文献14) 「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」の一部改正について|厚生労働省 (文献15) よくある質問 | 日本人工関節学会
2025.11.26 -
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「低周波治療器を使いすぎると身体に悪いのではないか?」 「低周波治療器をこのまま使い続けても問題ないのか?」 低周波治療器は肩や腰の痛みや疲労感を和らげるために使用される医療器具です。不快感を和らげたい一心でつい長時間使用してしまうことも少なくありません。しかし、使用時間や頻度を誤ると、皮膚の違和感や体調不良につながるリスクもあります。 本記事では、低周波治療器を使いすぎると起こりうるリスクについて現役医師が詳しく解説します。記事の最後には低周波治療器に関するよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 低周波治療器を使いすぎるとどうなる? 使いすぎるリスク 詳細 皮膚トラブル(赤み・かぶれ・やけどなど)のリスク 電極パッドによる刺激の蓄積や長時間の使用による皮膚炎症 筋肉や神経への過剰刺激による影響 過度な収縮反応による筋肉疲労や神経の反応異常 体調不良や自律神経への影響 めまい・頭重感・しびれなどの全身症状 低周波治療器は、微弱な電気刺激で筋肉や神経に働きかけ、肩こりや腰痛、神経痛などの緩和が期待できる医療機器です。筋肉が和らぐことで血行が促され、疲労感やだるさの軽減にもつながります。 ただし、刺激が強すぎたり長時間使用すると、軽度の熱傷(低温やけど)や接触皮膚炎を引き起こすケースもあります。効果を得るには、体調や肌の状態を確認し、使用時間と頻度を守ることが大切です。 皮膚トラブル(赤み・かぶれ・やけどなど)のリスク 原因・状況 皮膚トラブルの内容 長時間・同じ部位への連続使用 赤み・かぶれ・炎症の発生 パッドの汚れ・劣化・交換時期超過 電流の集中による炎症や低温やけど 汗、皮脂、ゴミなどが皮膚とパッドに付いている状態 刺激が強く伝わりやすく炎症や低温やけど 出力設定が強すぎる、体の下にパッドを敷いたままの使用 局所的なやけど、強い炎症 低周波治療器の使用により、皮膚の赤み・かゆみ・かぶれなど、接触性皮膚炎に類似した症状が起こることがあります。これらは、電極パッドの貼り方、使用時間、刺激の強さなどが影響することが多く、とくに同じ部位に長時間貼り続けると熱がこもり、軽いやけどのような症状が出ることもあります。 乾燥肌や敏感な状態では刺激に反応しやすくなるため、使用前に肌の状態を確認することが大切です。異常を感じた場合はすぐに使用を中止し、必要であれば皮膚科を受診してください。 筋肉や神経への過剰刺激による影響 影響の種類 内容 筋肉の微小損傷・過度な疲労 電気刺激による筋線維の損傷や疲労蓄積 揉み返し・炎症・筋肉出力低下 過剰刺激による炎症、筋肉出力の一時的減少 神経過敏・ピリピリ感の残存 電気刺激後のしびれや感覚過敏の持続 自律神経のバランス乱れ 頭痛、倦怠感、めまい、全身症状の出現 低周波治療器は筋肉の緊張を和らげますが、刺激が強すぎたり使用時間が長すぎたりすると逆効果になります。出力が強すぎると、神経にピリピリ感などの違和感が生じることもあります。 こうした症状は日常生活に影響を与えることがあるため、使用は適度な強さと時間を守ることが大切です。違和感があれば使用を中止し、無理に続けないようにしてください。 体調不良や自律神経への影響 低周波治療器を長時間または高頻度で使用すると、神経への過剰な刺激が自律神経に波及し、体調不良を引き起こすことがあります。 首や上背部など神経の密集した部位に強い電気刺激を繰り返すと、自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスが乱れ、めまい、ふらつき、倦怠感、異常な眠気、頭重感などの全身症状が現れることがあります。 とくに迷走神経が刺激されると、血圧や脈拍が急激に低下する血管迷走神経反射が生じることもあります。(文献1) 使用中に体調の変化を感じた場合はただちに使用を中止し、症状が持続する際は医療機関を受診しましょう。 低周波治療器の正しい使い方 正しい使い方(目的) 詳細 筋緊張と痙縮による違和感の軽減 電気刺激による筋収縮と弛緩のリズム刺激 日常生活動作(ADL)の向上とリハビリテーションの促進 筋力維持や神経筋機能の再教育 拘縮の予防 関節可動域の維持と筋肉の柔軟性確保 低周波治療器は、筋肉に電気刺激を与えて動かし、筋緊張や痙縮による痛みや疲労感を和らげるために使用されます。継続的な使用により、日常動作の回復が期待でき、リハビリの一環としても有効です。また、関節の拘縮を防ぐ目的でも利用されており、正しい使い方を心がけることが大切です。 使用前に肌と機器の状態をチェックし正しい位置に電極を貼付け チェック項目 内容 肌の状態の確認 傷・湿疹・赤みがある部位への使用は避ける 電極パッドの状態 汚れ・劣化・粘着力低下がないかを確認、必要に応じて交換 貼付位置の選定 関節や骨の突起を避け、筋肉のある部分に貼る 貼付方法 電極は左右対称に貼ることで刺激が均一に伝わりやすくなる パッドの密着 密着していないと電流が偏るため、しっかりと肌に貼り付ける 低周波治療器を使う前には、肌と機器の状態を確認しましょう。肌に傷や湿疹、赤みがある場合は、刺激で悪化するおそれがあるため使用は控えてください。 電極パッドは汚れや劣化がないかを確認し、粘着力が弱ければ交換が必要です。電極のずれや密着していないと、電流が偏り皮膚に負担がかかります。 説明書を参考にし、筋肉のある部分に左右対称に貼付することで、刺激が均等に伝わり、治療効果が高まります。 強さは弱めからで上限は60分までにする 低周波治療器を使う際は、刺激の強さと使用時間に注意が必要です。電気の感じ方には個人差があるため、弱い設定から始めましょう。 最初から出力を強くすると、筋肉のこわばりや赤み、かぶれなどの皮膚症状が現れることがあります。また、使用時間が長すぎると筋肉疲労や効果が薄れることもあります。 1回の使用は15〜30分を目安にし、1日の合計使用時間は60分を超えないようにしましょう。無理なく続けることが、セルフケアの基本です。 赤み・かゆみ・めまいなど症状が出たらすぐ止めて医師に相談する 低周波治療器の使用中に赤み・かゆみ・めまいなどの異常を感じた場合は、直ちに使用を中止し、医療機関を受診してください。 稀にアレルギー反応や自律神経の乱れが原因で、症状の悪化ややけど、けいれんにつながるケースもあります。無理に続けず、身体の変化に気づいた場合は早めの対応が重要です。 低周波治療器の使用中に異常を感じた際の対処法 対処法 詳細 異変を感じたらすぐに使用を中止する 違和感・皮膚の変化・気分不快時はただちに停止する 症状をチェックし経過を観察する 赤み・発疹・しびれ・めまいなど症状の部位と強さを確認、経過の記録が大切 継続する症状があれば医師に相談する 症状が数十分以上続く、悪化傾向、生活に支障があれば受診が必要 低周波治療器の使用中に違和感や皮膚の異常、体調の変化を感じた場合は、ただちに使用を中止しましょう。赤み、発疹、しびれ、めまいなどの症状が現れた際は、その部位や程度を確認し、経過を記録しておくことが重要です。 症状が数十分以上続く、悪化する、または日常生活に支障が出る場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。早期の対応が重症化の予防につながります。 異変を感じたらすぐに使用を中止する 理由 内容 症状の悪化を防ぐ 赤み・かゆみなどの皮膚障害は、アレルギーや低温やけどに進展しやすく、即時中止で早期対応が可能 早い対応で回復がスムーズに めまい・頭痛・吐き気などは自律神経や血圧に影響するため、即中止で症状悪化を防ぎ回復を早めることができる 医師に状況を正確に伝え、適切な対処が受けられる すぐ中止し症状を把握することで、経過説明がしやすくなり、医師による原因判断や再発防止策につながる 低周波治療器を使用中に違和感や体調の変化を感じた場合は、すぐに使用を中止してください。赤み、かゆみ、めまい、強い疲労感などは、刺激の強さや使用時間が体に合っていないサインです。 無理に続けず、機器を取り外して安静にしてください。症状が軽ければ、一旦様子見でも問題ありません。しかし、続いたり悪化したりする場合は医師に相談しましょう。正確に症状を記録することも、適切な対処に役立ちます。 症状をチェックし経過を観察する 低周波治療器の使用後は肌や体調を確認し、異常があれば中止して経過を観察します。強い倦怠感やめまいが続く場合は注意が必要です。 身体の反応を見ながら使うことで、異常に早く気づき、悪化を防ぐことができます。症状が出た部位や時間を記録しておくと、受診時に役立ちます。 継続する症状があれば医師に相談する 理由 説明 症状の原因を正しく見極めるため ヘルニアや内臓疾患など、背景にある病気の発見 適切な治療を受けるため 薬物療法や理学療法、必要に応じた専門医の診療 時間や費用の無駄を減らすため 改善しないまま使い続けることでの負担の回避 不安を解消し、継続的なケアにつなげる 医師の診断により、セルフケア継続への自信の確保 低周波治療器を使用しても症状が改善しない、悪化する、新たな症状が現れる場合は、早めに医師へ相談することが重要です。自己判断で使い続けると、原因となる病気の発見が遅れるおそれがあります。 たとえば、腰痛の原因がヘルニアや内臓の病気であれば、低周波治療器では対応できません。医師に相談すれば、検査や診察によって原因が明らかになり、薬物療法や理学療法など適切な治療が受けられます。 不調による不安も軽減され、必要に応じてセルフケアを続ける判断もできます。 低周波治療器の使いすぎを避けてリスクを回避しよう 低周波治療器は、適切に使用することで筋緊張の緩和や日常的なセルフケアに有用です。しかし、使用頻度・時間・刺激の強さを誤ると、皮膚・筋肉・神経に過度な負担をかけ、不調を招く可能性があります。 とくに自己判断で継続使用した場合、知らないうちに身体への負担が蓄積しているケースも多く報告されています。使用前には必ず肌と機器の状態を確認し、刺激が弱い設定から開始することが推奨されます。1日の使用時間は合計60分以内を目安とし、異常を感じた際には直ちに使用を中止しましょう。 低周波治療器を使用しても改善しない症状にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、低周波治療器で改善しない腰痛や神経痛に対し、丁寧にお話をうかがい、治療法のひとつとして再生医療をご提案しています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 低周波治療器に関するよくある質問 低周波治療器を使ってはいけない人はいますか? 低周波治療器は、心臓疾患、ペースメーカー装着、てんかん、妊娠中、悪性腫瘍、急性外傷、感染症、知覚障害、血圧異常のある方などは使用を避けてください。皮膚疾患や特定部位への使用も禁止されています。 以下の表に該当する方は、低周波治療器の使用はできません。 使用不可に該当する人 理由・詳細 ペースメーカー・植込み型医療機器使用者 電気刺激が機器の誤作動・停止を招き、生命に関わるリスク 心臓疾患(心臓病・不整脈等) 心臓に悪影響を及ぼす恐れ てんかん患者 電気刺激が発作を誘発するリスク 妊娠中・出産直後の方 胎児や母体への影響リスク 悪性腫瘍(がん)の患者・疑いのある方 悪性腫瘍(がん)が悪化するリスク 急性外傷・骨折・急性疼痛性疾患の方 炎症が悪化するリスク 感染症・有熱性疾患の方(体温38℃以上等) 体調悪化のおそれ 高度な末梢循環障害・知覚障害(糖尿病等) やけど等に気づきにくく危険 血圧異常(高血圧・低血圧) 血圧変動リスク 酒気帯び・極度の衰弱・精神機能障害 正しい使用や異常の自覚が困難 皮膚疾患・創傷のある部位 患部の炎症や悪化リスク 頭部・顔面・心臓・喉・目・生殖器など特定部位 低周波治療器の使用禁止部位 該当する場合や異常を感じた場合は、必ず医師に相談しましょう。 他の治療器や塗り薬と併用できますか? 低周波治療器は、他の治療器(超音波治療器やホットパックなど)と同時に使用しないでください。機器同士が干渉し、誤作動ややけど、皮膚トラブルの原因になることがあります。 また、塗り薬やスプレー剤を塗った部位に電極を貼ると、薬剤が電気刺激で化学変化を起こし、肌への刺激が強くなることがあります。複数の治療法を併用したい場合は、使用前に医師や薬剤師へ相談しましょう。 参考文献 (文献1) 家庭用 EMS 美顔器に係る事故に関する情報提供|令和6年4月11日消費者安全調査委員会
2025.07.31 -
- その他、整形外科疾患
「胸に鋭い痛みや鈍い痛みを感じる」 「深呼吸をしたり胸を動かしたりすると痛みが悪化する」 「痛みがある部位を押さえると痛みが増す」 このような症状は肋軟骨炎(ろくなんこつえん)のおそれがあります。肋軟骨炎とは、肋骨と胸骨をつなぐ肋軟骨に炎症が起きる病気です。 本記事では、肋軟骨炎の概要をはじめとして以下を解説します。 原因 症状 間違えやすい病気 検査方法 治療方法 予防方法 肋軟骨炎は安静にすれば多くの場合に自然治癒します。しかし、胸の痛みは心臓の病気が隠れているおそれがあるため放置してはいけません。肋軟骨炎と間違えやすい病気についても詳しく解説しているため参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。胸の痛みなどの症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肋軟骨炎とは胸部の軟骨に炎症が起きる病気 肋軟骨炎とは、肋骨と胸骨をつなぐ肋軟骨に炎症が起きる病気です。胸部に鋭い痛みや鈍い痛みなどの症状が現れます。主に片側の第2〜第5肋骨付近に炎症が起き、深呼吸などの動きで痛みが悪化する場合があります。 男性よりも女性のほうが発症しやすい傾向があり、年代は40歳以上の方に多く見られています。 炎症の原因としては外傷や感染症などが考えられますが、多くの場合は明確な原因が特定できず、激しい運動後に発症することが多いです。 肋軟骨炎は、心臓の病気と似た症状が現れるため正確な診断が重要です。疑われる症状が現れている場合は、医療機関で適切な検査を受けてください。 肋軟骨炎の原因 肋軟骨炎の原因は以下のようなものが考えられます。 胸部へ繰り返す負担・過度な運動 日常生活の乱れ・悪い姿勢 加齢に伴う体の変化・基礎疾患 細菌・ウイルスによる感染症 それぞれの原因について詳しく解説します。 胸部へ繰り返す負担・過度な運動 以下のような胸部への負担・過度な運動は、肋軟骨炎の原因になるおそれがあります。 胸部の打撲や外傷 激しいくしゃみや咳 激しい反復動作の多いスポーツ 重い物を持ち上げることの多い肉体労働 スポーツや肉体労働で繰り返し上半身に負担がかかる方は発症しやすい傾向です。また、目立った外傷や打撲がなくても、日常の小さな負担の積み重ねが原因になる場合もあります。 日常生活の乱れ・悪い姿勢 以下のようなことも肋軟骨炎の原因になります。 日常生活の乱れ 肥満 猫背やストレートネック 長時間のデスクワークやスマートフォンの操作 精神的なストレス 日常生活の乱れは自律神経を乱してしまい、肋軟骨炎のリスクを高めます。また、もともと猫背やストレートネックである方や、デスクワークにより長時間同じ姿勢または悪い姿勢になる方は、胸郭の炎症を起こしやすいため注意が必要です。 肥満も胸郭に負担をかけるためリスクを高めます。精神的なストレスは、炎症を長期化させるおそれがあります。ストレスは、筋肉を緊張させて血流の低下をまねき、炎症部位の回復を妨げるためです。肋軟骨炎を予防するには、正しい姿勢を意識して深呼吸や軽い運動などで心身の緊張をほぐすことが大切です。 加齢に伴う体の変化・基礎疾患 加齢に伴う体の変化や基礎疾患は、肋軟骨炎の原因になるおそれがあります。年齢を重ねると肋軟骨の柔軟性が低下してしまい、わずかな刺激でも炎症が起こりやすくなります。 また、以下のような基礎疾患がある方は、肋軟骨炎を引き起こしやすいため注意が必要です。 病名 特徴 関節リウマチ 免疫の異常により関節付近に炎症が起きる病気 強直性脊椎炎 (きょうちょくせいせきついえん) 靭帯が付着している部位に原因不明の炎症が起きる病気 再発性多発軟骨炎 軟骨に原因不明の炎症が起きる病気 肋軟骨炎を未然に防ぐためにも、わずかな体調の変化や症状の悪化があった際は医療機関を受診しましょう。 細菌・ウイルスによる感染症 細菌やウイルスなどの感染症が肋軟骨炎の原因になることもあります。細菌やウイルスが、胸部に炎症を起こす場合があるためです。風邪などのありふれた感染症も原因になることがあるため注意が必要です。 肋軟骨炎の症状 肋軟骨炎を発症すると以下のような症状が現れます。 胸部に鋭い痛みや鈍い痛み、圧迫されるような痛みが現れる 痛みがある部位を押すと痛みが増す 胸骨の周辺(左右どちらか片側)に痛みが現れることが多いです。「物を持ち上げる」「体をねじる」「深呼吸をする」などにより、痛みが悪化する傾向です。腹部や背中、体の左側に痛みを感じる場合もあります。 肋軟骨炎と間違われやすい病気 胸の痛みが現れている場合は、以下のような病気が隠れているおそれがあります。 病名 特徴 心筋梗塞 ・心臓の重要な血管が血栓(けっせん:血の塊)により詰まってしまい危険な状態になる病気 ・突然胸の中心から全体に締め付けられるような激しい痛みが現れる 不安定狭心症 ・完全に閉塞していないが心臓の重要な血管がプラーク(コレステロールの塊)により詰まってしまうリスクが高い病気 ・これまで感じたことのない胸の痛みや圧迫感、締め付け感、胸やけを感じる 肺がん ・肺にできる悪性の腫瘍 ・胸の痛みの他に、咳や痰、血の混じった痰、息苦しさ、動悸、発熱などが現れる 気胸 ・肺に穴が開いて肺がしぼんでしまう病気 ・突然の胸の痛みや息苦しさ、咳などが現れる 肋軟骨炎と上記の病気を鑑別するためにも、医療機関で適切な検査を受ける必要があります。 肋軟骨炎の検査方法 肋軟骨炎の診断は主に問診や触診などで行います。 しかし、前述したような病気が隠れている場合があるため、以下のような検査を実施することもあります。 胸部レントゲン 血液検査 心電図 受診の際は、胸の痛み以外の症状がないか答えられるようにしておくと診察の助けとなります。 肋軟骨炎の治療方法 肋軟骨炎の治療方法には、以下のようなものがあります。 保存療法 薬物療法 再生医療 その他(物理療法、理学療法) それぞれの治療方法を詳しく解説します。 保存療法 肋軟骨炎の多くは、安静に過ごし胸部の筋肉を使い過ぎないようにすれば自然治癒します。 筋肉を使い過ぎないようにするには、以下のことに注意してください。 胸部に負担のかかる激しい運動は避ける 重い物を持ち上げる作業は避ける 長時間のデスクワークやスマートフォン操作は避ける 意識的に正しい姿勢を保つ ストレスを感じないために規則正しい睡眠習慣や食生活を心がけることも大切です。胸部に負担がかかる激しい咳が頻繁に出る場合は、医師に相談してください。 薬物療法 病状によっては、以下のような薬物療法を検討します。 薬物療法 適応 詳細 消炎鎮痛剤の服用 痛みが強い場合 炎症を抑えて痛みを和らげる ブロック注射の投与 痛みが強い場合や症状が長引く場合 ステロイド剤(炎症を抑える薬)や局所麻酔薬を注射により投与して痛みを和らげる 抗菌薬の服用 感染症が原因と考えられる場合 細菌やウイルスの増殖を抑制する なお、注射が必要になることはほとんどありません。 再生医療 再生医療とは、自己の細胞を患部(病気の場所)に注入して、身体が持つ自然治癒力を活かす治療法です。 再生医療には、以下のような治療方法があります。 再生医療の種類 詳細 幹細胞治療 (かんさいぼうちりょう) 組織の修復に関わる働きを持つ「幹細胞」を患部に投与する治療方法 PRP療法 血液中の血小板に含まれる成長因子などが持つ、炎症を抑える働きや組織修復に関与する働きを利用した治療方法 再生医療について詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。 その他(理学療法や温熱療法など) その他にも、以下のような治療方法があります。 その他の治療方法 詳細 理学療法 症状を悪化または再発させないために姿勢の改善をする 温熱療法・寒冷療法 患部を温めるまたは冷やすことで炎症や痛み、筋肉の緊張を和らげる 筋肉の緊張を和らげるストレッチも有効とされています。ただし、無理なストレッチは症状を悪化させるおそれがあります。ストレッチの内容は医師や理学療法士に相談してください。 肋軟骨炎の予防方法 肋軟骨炎の予防法には以下のようなものがあります。 予防法 詳細 胸部に負担をかけない ・重い物を持ち上げる作業や胸部へ繰り返し負担がかかる動作、長時間の同じ姿勢は避ける ・猫背などの不良姿勢を避け、正しい姿勢を意識する 生活習慣を整える ・規則正しい睡眠習慣や食生活を心がける ・有酸素運動やストレッチを取り入れて筋肉の柔軟性を高める 基礎疾患を治療する ・関節リウマチや強直性脊椎炎などの基礎疾患がある方は、適切な治療を受ける ・体調や症状に変化があった場合は医療機関を受診する 肋軟骨炎の予防は、胸部への負担をかけないことや生活習慣の改善が重要です。また、長時間のデスクワークをされる方は、意識的に深呼吸やストレッチを取り入れてください。ストレスを軽減するために、十分な睡眠やリフレッシュする時間も取り入れましょう。 肋軟骨炎の症状に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう 肋軟骨炎を発症すると、胸部に鋭い痛みや鈍い痛み、圧迫されるような痛みが現れます。肋軟骨炎の発症を予防するには「胸部への激しい負担は避ける」「正しい姿勢を意識する」などのように原因を除去する対策を行うことが重要です。 また、胸の痛みは心臓の病気が隠れている場合があります。とくに突然現れた胸が締め付けられるような激しい痛みや、これまで感じたことのない胸の痛みや締め付け感は、心筋梗塞や不安定狭心症を発症しているおそれがあります。該当する方は速やかに医療機関を受診してください。 肋軟骨炎は多くの場合、安静や保存療法で改善しますが、症状が長引く場合や保存療法で十分な改善が得られない場合は、再生医療という選択肢もあります。治療法についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にご相談ください。 肋軟骨炎に関するよくある質問 病院に行くべき目安はある? 胸の痛みは、心臓の病気が隠れているおそれがあるため医療機関の受診を推奨します。 とくに以下のような症状は重大な心臓の病気が隠れているおそれがあります。 突然現れた胸が締め付けられるような激しい痛み これまで感じたことのない胸の痛みや締め付け感、圧迫感 これらの症状が現れている場合は、速やかに医療機関を受診してください。 何科を受診すれば良い? 肋軟骨炎が疑われる場合は、まず内科や総合診療科を受診してください。心臓や肺に重大な病気が隠れていないか鑑別する必要があります。 圧痛(圧迫した際に現れる痛み)のある部位がはっきりしている場合は、骨折の疑いがあるため整形外科が適しています。関節リウマチなどの基礎疾患がある方は、かかりつけ医に相談してください。 どのくらいで治る? 個人差はありますが、一般的には数週間ほどで治癒するといわれています。重症の場合は数カ月以上かかる場合もあります。
2025.07.31 -
- その他、整形外科疾患
「市販薬では効果が得られなかったため、タリージェの服用を検討しているものの、抵抗がある」 「タリージェは怖い薬だと聞いたが本当なのか?」 タリージェに対して怖いというイメージを持ち、服用をためらってはいませんか。実際、タリージェには眠気やめまい、重い場合には意識消失といった副作用が報告されており、不安を感じる方も少なくありません。 しかし、事前にタリージェの特徴や効果を事前に理解することで、不安の軽減につながります。本記事では、現役医師が、タリージェについて詳しく解説します。 タリージェが怖いといわれる理由 タリージェの副作用 タリージェの特徴・効果 タリージェ服用時の注意点 記事の最後にはよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。正確な情報をもとに、ご自身が納得できる治療を選べるよう、医師と落ち着いて相談する準備を整えておきましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 タリージェが怖いといわれる理由 理由・リスク 内容 中枢神経系への影響 眠気・めまい・意識がぼんやりすることがある 体重増加・むくみ 体重増加や足のむくみなどが現れることもある 腎機能障害 腎臓への負担が報告されており、重い副作用となることがある 高齢者や持病のある方のリスク 転倒や体調悪化のリスクが高まる 服用中止時の離脱症状 急にやめると不眠や吐き気などの離脱症状が出ることがある 医師との相談の重要性 副作用や注意点を正しく理解した上で、医師と相談し、治療方針を決定することが重要 タリージェは神経障害性疼痛の治療薬として多くの患者に処方されていますが、「怖い」と感じる声も少なくありません。主な理由として、眠気やめまい、意識のぼんやりといった中枢神経系への影響や、体重増加・むくみ、腎機能障害などの副作用が報告されていることが挙げられます。 とくに高齢者や持病を持つ方では、転倒や体調悪化のリスクも懸念されています。さらに、服用を急にやめると離脱症状が出る可能性がある点も不安材料です。タリージェに対する抵抗感を軽減するには、副作用や注意点を正しく理解し、医師と相談の上で治療方針を決めることが重要です。 【怖い?】タリージェの副作用 副作用 詳細 中枢神経系への作用で眠気・めまい、意識のぼんやりが起こりやすい 神経の興奮を抑える作用による注意力の低下や転倒リスク 体重増加やむくみも長期使用で現れることがある 水分代謝の変化や血管への作用によるむくみの出現 腎機能障害が重大な副作用として注記された 腎臓への負担による機能低下や血液検査値の異常 服用を急に中断すると離脱症状が出る可能性がある 不眠や不安、違和感の再発といった自律神経系の反応 持病や併用薬によっては副作用が強く出やすい場合も 他の薬剤との相互作用や基礎疾患の影響による副作用の増強 タリージェは、眠気やめまい、意識のぼんやりといった副作用により、転倒や事故のリスクが高まることがあります。長期使用では体重増加やむくみが生じることがあり、まれに腎機能への負担による検査値の異常も報告されています。 服用を急にやめると不眠や不安などの離脱症状が出るおそれがあるため、中止は医師と相談の上で行いましょう。また、持病や他の薬剤との併用にも注意が必要です。 中枢神経系への作用で眠気・めまい、意識のぼんやりが起こりやすい 要因 詳細 中枢を含む神経に作用する仕組み カルシウムチャネル(α2δサブユニット)に結合し、神経伝達物質の放出を抑制。脳や脊髄にも作用し眠気・めまい・意識のぼんやりが起こりやすい α2δ-2サブユニットへの影響が眠気・めまいの要因 鎮痛作用の主な標的はα2δ-1だが、α2δ-2にも一時的に作用し、中枢神経系の副作用が出やすい オピオイド併用や腎機能低下時は症状が現れやすい 他の中枢神経抑制薬(オピオイド等)併用や腎機能低下で薬の排泄遅延、血中濃度上昇により眠気・めまいが強まる タリージェは、違和感を伝える神経の働きを弱めることで、しびれやピリッとした感覚を和らげる薬剤です。ただし、この働きは身体だけでなく、脳や脊髄にも影響するため、眠気やめまい、意識がぼんやりするなどの症状が出ることがあります。 さらに、本来の作用部位以外にも一時的に影響を与えることで、副作用が起こりやすくなることがあります。ほかの眠くなる薬剤を併用した場合や、腎臓の働きが弱い場合は、薬剤が身体に留まりやすくなり、副作用が強く出るおそれがあるので、注意が必要です。 以下は、タリージェの治療効果と有効性に関する臨床試験データです。効果が認められる一方で、30mg群では眠気やめまいの副作用が比較的多く報告されています。 項目 詳細 改善した患者の割合 プラセボ31.2%/20mg 36.4%/30mg 44.8%(30mg群で有意差) しびれ改善率 プラセボ43.3%/20mg 52.1%/30mg 57.6%(30mg群で有意差) 異常感覚改善率 プラセボ20.3%/20mg 23.0%/30mg 25.5%(有意差なし) 副作用発現率 プラセボ10.3%/20mg 18.8%/30mg 主な副作用(30mg群) 傾眠14.5%、浮動性めまい9.1%、回転性めまい2.4%、末梢性浮腫5.5%、体重増加5.5% 重篤な副作用 傾眠・浮腫・意識消失など:1.2%(30mg群) 投与中止率 プラセボ1.2%/20mg 1.8%/30mg 7.9%(主な理由:めまい・傾眠) (文献1) この結果は、タリージェが中枢神経に作用する薬剤であることに起因しており、眠気やふらつきなどの副作用が出やすいことを示しています。服用の際は、効果とあわせてこうした点にも注意が必要です。 体重増加やむくみも長期使用で現れることがある 原因 内容 水分バランスの変化 神経の働きを抑える作用で、体内に水分がたまりやすくなり、手足や顔のむくみや体重増加につながるケースもある 活動量の低下・食欲の変化 眠気やだるさで日中の動きが減り、消費カロリーが少なくなる。食欲が増すことで摂取カロリーが増え、体重増加の原因になる場合も 長期服用・用量増加によるリスク上昇 長く飲み続けたり、量が増えることで、むくみや体重増加のリスクが高まることがある。定期的な体重測定が重要 個人差の存在 体重やむくみの出方には個人差があり、まったく変化しない方もいれば、数kg増える方もいる。体質や生活習慣、他の薬の影響も関与 長期服用により、体重増加やむくみが現れることがあります。神経の働きを抑えることで水分バランスが乱れ、水分が体内に滞留しやすくなるためです。 また、眠気やだるさによって活動量が減り、食欲が増すことで摂取カロリーが多くなり、体重が増加することもあります。長く服用したり量が増えるほど副作用のリスクは高まり、出方にも個人差があります。気になる変化があれば、早急に医療機関を受診しましょう。 なお、タリージェと体重増加の関係性については以下の記事で詳しく解説しています。 腎機能障害が重大な副作用として注記された タリージェ(ミロガバリン)は、主に腎臓を通じて身体の外に排泄される薬剤です。そのため、腎臓の働きが弱い方や、もともと腎機能に問題がある方が服用すると、薬剤の成分が体内に蓄積されやすくなり、副作用が出やすくなります。 健康な腎臓を持つ方でも、まれに腎機能が低下する副作用が報告されています。実際に、国内外の調査や市販後の症例報告で、タリージェ服用中に腎機能障害が発生したケースが確認されたため、厚生労働省は「重大な副作用」として添付文書に明記するよう指示しました。(文献2) とくに日本国内では、タリージェの使用後に腎機能が急激に悪化した重篤な症例が複数報告され、そのうち3例は薬との因果関係が否定できませんでした。(文献3) 腎機能障害が進行すると、尿量の減少、むくみ、全身のだるさ、食欲不振などの症状が現れることがあります。タリージェを服用する際は、腎臓の状態を定期的に確認し、異常があればすぐに医師へ相談してください。 服用を急に中断すると離脱症状が出る可能性がある タリージェを急に中断すると、身体が薬剤のない状態にうまく対応できず、離脱症状と呼ばれる不調が出ることがあります。これは、脳や神経が薬の作用に慣れているため、急な変化でバランスが崩れることが原因です。 よく見られる症状としては不眠や吐き気などがあり、まれに気分の不安定や頭痛が起こることもあります。 実際の臨床試験でも、タリージェを服用していた451例中2例(0.4%)で離脱症状が報告されており、注意が必要です。中止は必ず医師の指示に従いましょう。(文献4) 持病や併用薬によっては副作用が強く出やすい場合も タリージェは、持病がある方や他の薬剤を併用している方では、副作用が強く出るおそれがあります。腎臓や肝臓の機能が低下している場合、薬剤が体内に蓄積しやすく、眠気・めまい・むくみなどの症状が強まる傾向があります。 オピオイド系鎮痛薬や睡眠薬、抗うつ薬と併用すると中枢神経への作用が重なり、ふらつきや転倒のリスクが高まるため、事前に医師や薬剤師への相談が必要です。 タリージェの特徴・効果 特徴・効果 詳細 神経障害全般に対応しながらしびれやピリピリ感を緩和 神経の興奮抑制によるしびれ・ピリピリ感の軽減、末梢性・中枢性神経障害性疼痛への幅広い適応 リリカより中枢副作用が少なくOD錠で服用しやすい 中枢神経系副作用の発現頻度低減、口腔内崩壊錠(OD錠)で水なしでも服用できる、高齢者や嚥下困難者への配慮 長期使用に適し副作用のリスクが低い 長期投与での有効性と効果の持続、重篤な副作用頻度の低さ、定期的な経過観察によるリスク管理 タリージェは、しびれやピリピリとした神経の違和感に幅広く対応する薬剤で、末梢性・中枢性の神経障害性疼痛に使用されます。 リリカに比べて中枢神経系の副作用が少なく、口の中で溶ける錠剤もあるため、高齢者や嚥下が難しい方にも服用しやすい設計です。長期使用に適しており、重篤な副作用の頻度が低いことから、継続的な治療にも有用とされています。 神経障害全般に対応しながらしびれやピリピリ感を緩和 ミロガバリン(タリージェ)は、末梢神経だけでなく中枢神経にも作用する特徴があり、糖尿病性神経障害や帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷後の違和感、化学療法による神経障害など、さまざまな原因による神経の興奮を抑えることが臨床研究で示されています。(文献5) とくに脊髄損傷後の中枢性神経痛(CNeP)でも有意な違和感の軽減効果が確認されています。また、糖尿病性神経障害(DPNP)や帯状疱疹後神経痛(PHN)に対しても、14週間のプラセボ比較試験で優れた効果が証明されています。(文献6) このように、幅広い神経障害で効果があるのは、神経細胞の興奮を抑える独自の作用機序によるものです。 リリカより中枢副作用が少なくOD錠で服用しやすい 理由・特徴 内容 中枢神経への影響が穏やかで副作用が出にくい α2δ‐1サブユニットへの強い結合とα2δ‐2サブユニットへの影響の少なさによる中枢系副作用の抑制、リリカより眠気・めまいの頻度低減(眠気26.7%、めまい12.3%) 嚥下の負担が少ないOD錠が選べる 口腔内崩壊錠(OD錠)による水なし服用、嚥下困難や高齢者への適応、飲みやすさ向上 服用しやすい1日2回・安定した効果 1日2回の服用による安定した血中濃度維持、継続しやすい服薬スケジュール、日常生活への負担軽減 タリージェ(ミロガバリン)は、神経痛に効果がありながら、眠気やめまいなどの副作用が比較的少ない薬剤です。これは、神経に作用する部位のうち、副作用の原因となる部分への影響を抑える構造によるものです。 臨床試験では眠気26.7%、めまい12.3%と、リリカより低い発現率が報告されています。(文献7) 水なしで服用できるOD錠もあり、嚥下が難しい方にも適しています。1日2回の服用で効果が安定し、治療を続けやすいのも特徴です。 長期使用に適し副作用のリスクが低い 特徴・ポイント 詳細 長期試験での有効性と耐容性の確認 52週間の長期試験における有効性と耐容性の良好な結果 多くの副作用は軽度〜中等度で済む 眠気・めまい・むくみ・浮腫・鼻咽頭炎などの副作用報告、大半が軽症で重篤な事例はごく少数 投与計画と用量設計によるリスク管理 初期用量からの段階的増量、腎機能に応じた減量・調整、副作用時の迅速な中止や減量推奨 タリージェは、日本を含むアジアで実施された52週間(約1年)の長期投与試験において、有効かつ耐容性が良好と報告されています。(文献7) 治療を継続する中で副作用は一定数見られましたが、その多くは眠気・めまい・むくみ・鼻咽頭炎などの軽症であり、重篤な事例は非常に少ないとされています。(文献8) 初期用量からの段階的増量と腎機能に応じた調整により、効果を維持しながら副作用にも対応しやすい設計です。 タリージェ服用時の注意点 注意点 詳細 眠気・めまいや意識障害がある間は運転・作業を控える 眠気やめまい、意識のぼんやりによる事故や転倒リスクの回避 気になる症状があれば直ちに医師へ相談 副作用や体調変化を早期に発見し、重症化を防ぐとともに、迅速に対応する 用法は厳守し自己判断で中断しない 離脱症状や症状悪化の防止、医師の指導下で減量・中止 飲酒・併用薬・妊娠中・持病がある場合は事前に相談 相互作用や副作用リスクの回避、個別の健康状態に応じた適切な治療計画の立案 タリージェを服用中は、眠気やめまい、意識がぼんやりするなどの症状が出るため、運転や機械作業は控えましょう。 体調の変化や気になる症状があれば、早めに医師への相談が大切です。また、自己判断で服用を中断すると、離脱症状や症状の悪化につながることがあるため、中止や減量は医師の指示に従いましょう。 飲酒や他の薬の併用、妊娠中や持病がある場合は、副作用のリスクを避けるため、事前に医師へ伝えることが重要です。 眠気・めまいや意識障害がある間は運転・作業を控える タリージェ(ミロガバリン)には神経の興奮を抑える作用がある一方で、副作用として眠気やめまい、意識のぼんやりなどが起こるケースがあります。 実際、臨床試験では眠気が26.7%、めまいが12.3%の頻度で報告されており、日常生活に支障をきたすこともあります。(文献9) これらの症状により判断力や反射が鈍るため、運転や高所作業などの危険を伴う行動は控えましょう。とくに高齢の方では転倒や事故につながるリスクが高く、より慎重な対応が求められます。 服用開始時や増量後は、自宅で安静に様子を見ることが推奨されており、症状が続く場合は医師と相談の上、服用量の調整や中止を検討することが不可欠です。 気になる症状があれば直ちに医師へ相談 タリージェを服用中に、眠気・めまい・ふらつき・むくみ・体重増加などの症状が現れた場合は、放置せず早急に医療機関を受診しましょう。とくに服用開始直後や増量時は副作用が出やすく、高齢の方や持病のある方では転倒や体調悪化のリスクが高まります。 肝機能や腎機能への影響、意識消失などが見られた場合は、早めの対応によって重症化のリスクを低減できる可能性があります。また、タリージェを急に中止すると不眠や吐き気、食欲不振などの離脱症状が生じることがあるため、体調の変化を感じた際は自己判断で服用をやめず、医師に相談してください。 用法は厳守し自己判断で中断しない タリージェは、医師の指示に従い、自己判断で中断や用量の変更をしないことが重要です。急な中止や自己判断での用量変更は、離脱症状や副作用の悪化、効果の低下につながるおそれがあります。 腎機能や併用薬の影響を踏まえて医師が用量を調整しているため、不安がある場合は医療機関を受診しましょう。 飲酒・併用薬・妊娠中・持病がある場合は事前に相談 タリージェは、飲酒や他の薬との併用、妊娠中・授乳中、持病がある場合に薬剤の作用や副作用が変化しやすく、健康への影響が大きくなることがあります。 アルコールは眠気やめまい、意識障害などの副作用を強めるため、服用中の飲酒は控える必要があります。中枢神経に作用する薬との併用も副作用を増強するおそれがあるため、自己判断での併用は避けましょう。 妊娠中や授乳中は、胎児や乳児への影響が明確でないため、医師への相談が必要です。腎臓や肝臓に疾患がある方は、副作用が強く出るおそれがあります。そのため、あらかじめ医師に伝えた上で、指示に従って服用することが大切です。 タリージェの服用が怖い方は再生医療をご検討ください タリージェには、神経障害全般に対応しながらしびれやピリピリ感を緩和する効果や他の薬剤と比べて副作用のリスクが低いのが特徴です。臨床試験でも一定の副作用は報告されていますが、重篤な事例は極めて少ないとされています。 しかし、タリージェの服用が怖いと感じる、抵抗のある方は当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、タリージェの服用に不安がある方には、再生医療という選択肢も提供しています。再生医療は、幹細胞などを用いて神経や組織の修復・再生を促す、近年注目されている治療法です。 神経障害性疼痛や慢性的な違和感を抱える方に対し、身体が本来持つ回復力を活かして、根本的な改善を目指す点が特徴です。医学的な適応には限りがあり、すべての症例に適するわけではありませんが、薬剤療法による副作用のリスクが少ないため、より不安を軽減しつつ治療に臨みやすい方法といえます。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 タリージェを懸念する方からよくある質問 タリージェを服用しても症状が改善しない場合はどうすれば良いですか? タリージェは効果が出るまで数週間かかることがあり、すぐに違和感が軽減しない場合もあります。原因が神経以外にある、用量が合っていない、副作用で十分に服用できていないなどで効果が不十分なこともあります。 服用に関する自己判断は避け、症状や状況を整理し、医師に相談しましょう。薬剤の見直しや他の治療法が検討されることもあります。 以下の記事では、タリージェを服用しても症状が改善しない場合の治療法や対処法を紹介しています。 タリージェを服用している間に避けるべき食材はありますか? タリージェは特定の食材を避ける必要はなく、食事と一緒に服用しても問題ありません。ただし、副作用で体重が増えることがあるため、高カロリー・高脂肪の食事は控えめにし、野菜やたんぱく質を意識した栄養バランスの良い食事を心がけましょう。 参考文献 (文献1) 医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 (文献2) 厚生労働省医薬局医薬安全対策課長|医薬安発0827第1号令和6年8月27日 (文献3) ミロガバリン、ペマフィブラートなど4剤に「重大な副作用」追加/厚労省|CareNet (文献4) タリージェ 適正使用ガイド|第一三共株式会社 (文献5) ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ® 錠2.5 mg・5 mg・10 mg・15 mg)の薬理学的および薬物動態学的特性と臨床試験成績|©日本薬理学会 (文献6) Mirogabalin for Central Neuropathic Pain After Spinal Cord Injury|Neurology® Journals (文献7) Long-Term Safety and Efficacy of Mirogabalin for Central Neuropathic Pain: A Multinational, Phase 3, 52-Week, Open-Label Study in Asia|PMC PubMed Central® (文献8) Efficacy and safety of add-on mirogabalin to conventional therapy for the treatment of peripheral neuropathic pain after thoracic surgery: the multicenter, randomized, open-label ADMIT-NeP study|BNC (文献9) プレガバリンとミロガバリン|PAS kara News(367)
2025.07.31 -
- その他、整形外科疾患
「首や肩がつらい。もしかしてストレートネック?」 「ストレートネックを改善したいけれど、どうすれば良いの?」 パソコンやスマホを長時間使用すると、頭部が前方に突き出た姿勢になりやすくなり、その姿勢が続くと、筋肉や関節に負担がかかり、首の違和感や肩こりなどの不調を引き起こします。 本記事では、ストレートネックの改善や予防に役立つ筋トレ方法と、実施する際の注意点を現役医師が解説します。記事の最後には、ストレートネックと筋トレの関係性に関するよくある質問をまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ストレートネックが原因で起こる椎間板の変性やヘルニア、神経の圧迫など気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ストレートネック改善に筋トレが効果的な理由 効果的な理由 詳細 姿勢を支える筋肉の強化 首・背中・体幹の支持力向上、頭部の安定化 筋肉のバランスを整えることで負担を軽減 首・肩・背中の筋力バランス調整、負荷分散 血流改善や代謝促進による不快感の緩和 首肩周囲の血流増加、老廃物排出促進、こり緩和 筋トレはストレートネック改善において、姿勢保持力を高める有効な手段です。首や背中、体幹の筋肉を鍛えることで頭の位置が安定し、自然と正しい姿勢が保てるようになります。首・肩・背中の筋力バランスを整えることで局所的な負担を軽減し、全身の支持性が向上します。 さらに、筋活動による血流促進は老廃物の排出を助け、首や肩こりの緩和にも役立ちます。筋トレで改善が見られない場合は、重症化する前に医療機関を受診してください。 以下の記事では、ストレートネックに関して詳しく解説しています。 姿勢を支える筋肉の強化 ストレートネックの改善には、とくに首の深層筋や肩甲骨まわりの筋肉を鍛えることが重要です。首の深層筋が弱いと頭が前に倒れやすくなり、姿勢が安定しにくくなります。 また、肩甲骨や背中の筋肉を強化し協調させることで、背骨の安定性が高まり、首への負担を抑えつつ、正しい姿勢を無意識に維持しやすくなります。 筋肉のバランスを整えることで負担を軽減 デスクワークやスマホ操作により、首や肩の筋肉のバランスが崩れると、一部の筋肉に過度な負担がかかりやすくなります。筋トレで弱った筋肉を鍛え、ストレッチで硬くなった筋肉をほぐすことで、前後左右の筋力バランスが整い、負荷が分散されます。 筋肉が協調して働くと、頭を自然な位置で支えやすくなり、正しい姿勢の維持やストレートネックの改善・再発の予防につながります。 血流改善や代謝促進による不快感の軽減 ストレートネックでは首や肩の筋肉が緊張し、血行が滞りがちです。筋トレやストレッチによる血流改善が有効です。 血流が促進されることで老廃物が排出され、首や肩のこりが緩和されます。また、代謝の向上により、疲れにくい体質づくりにもつながります。筋トレは無理のない範囲で継続することが大切です。 ストレートネックを改善する筋トレ方法 筋トレ方法 詳細 あご引き(チンタック)で頸部深層屈筋を刺激 仰向けや座位であごを軽く引き、首前面の深層筋強化 肩甲骨回し・Y字ポーズで背部筋を強化 肩甲骨を大きく回す・両手をY字に上げて肩甲骨を寄せる動作 首後屈ストレッチを組み合わせて柔軟性も維持 タオルや手で頭部を支えながら首を後ろにゆっくり倒す動作 ストレートネックの改善には、首や背中まわりの筋トレが効果的です。あご引き(チンタック)は、首の深層筋を鍛えて頭の位置を安定させます。肩甲骨回しやY字ポーズは、背中の筋肉を強化し姿勢を整えるのに役立ちます。 首後屈ストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性が保たれ、こりの予防や不快感の緩和につながります。改善には継続が重要です。 あご引き(チンタック)で深層屈筋を刺激 手順 内容 1.姿勢準備 壁に背をつけて立ち、頭・背中・お尻がすべて壁につくように姿勢を整える 2.あご引き あごを軽く引き、後頭部を壁に押しつける(首が伸びる感覚) 3.キープ この姿勢を5秒キープ 4.繰り返し 5秒キープを10回繰り返す ポイント 強く押しつけず、心地良い強さで行う チンタックとは、あごを軽く引いて首の深層にある筋肉を刺激するエクササイズです。壁に背中をつけた状態で、頭を後ろに引くように動かすことで、首の骨のバランスを整える筋肉に働きかけます。 簡単にできるため、デスクワークの合間にも取り入れやすく、姿勢改善の第一歩として有効です。首を無理に倒さず、視線を水平に保つ意識で行うことがポイントです。 肩甲骨回し・Y字ポーズで背部筋を強化 ストレートネックを改善するには、背中や肩甲骨まわりの筋肉を鍛えるのが効果的です。これらの筋肉が弱まると、頭が前に出やすくなり、ストレートネックが進行しやすくなります。 肩甲骨回しは、背筋を伸ばして椅子に座り、両肩に手を置いて肘で大きな円を描くように、前後にゆっくり回します。呼吸を止めずに、左右それぞれ10回行いましょう。Y字ポーズは、立った状態で両手を頭上に「Y」の字に上げ、肩甲骨を背中の中心に寄せながら5秒間キープします。これを5回繰り返します。 どちらの動きも、無理に力を入れず、違和感がある場合は中止しましょう。これらのエクササイズを継続することで姿勢が安定し、首が前に出るクセの改善に寄与します。 首後屈ストレッチを組み合わせて柔軟性も維持 ストレッチ名 やり方・ポイント 回数・時間目安 首後屈ストレッチ 椅子に座り背筋を伸ばし、片手で椅子をつかむ。首をゆっくり後ろに倒し、天井を見る。肩はリラックス 10~30秒キープ×1日2回 頭部押し込み(チンタック) 頭の後ろに両手を当て、手で軽く頭を支えながら、あごを引くようにして首の後ろに軽い圧をかける。首全体をまっすぐ後ろに引く感覚 3~5秒キープ×10回×1日2セット 肩甲骨寄せ 壁に背中と肘をつけ、肘を90度に曲げて壁に軽く押し付けながら胸を開く 5秒キープ×10~15回×1日1~2回 首後ろセルフストレッチ(タオル) タオルを後頭部にかけ、両端を軽く引っ張る。頭の重みで自然に後ろに倒し、背中は反らさない 30秒キープ 首後屈ストレッチと筋トレを組み合わせることで、ストレートネックの改善に効果が期待できます。ストレッチは首や肩の筋肉の緊張をほぐし、血流を促進し、可動域を広げることでこりや不快感を軽減します。 筋トレとストレッチを組み合わせることで、柔軟性と筋力の相乗効果が得られ、正しい姿勢を日常的に維持しやすくなります。首後屈ストレッチの効果を高めるには、筋トレとバランスよく行うことが重要です。 ストレートネック改善における筋トレの注意点 注意点 詳細 フォームと強度は少なめ・ゆっくりで始める 正しい姿勢と軽い負荷で無理せず運動開始 医師に相談すべき症状と持病の確認 違和感・しびれ・高血圧・脳血管障害・既往歴の確認 異常を感じたら即中断し医療機関へ 違和感・しびれ・めまい・違和感出現時の運動中止 ストレートネックの改善を目的とした筋トレでは、フォームと強度を抑え、ゆっくりと始めることが大切です。正しい姿勢を意識し、無理のない軽い負荷から始めましょう。 また、筋トレを始める前には、持病や体調に関して医師に相談し、自己判断での運動は避けてください。トレーニング中に違和感やしびれなどの異常を感じた場合は、すぐに運動を中止し、速やかに医療機関を受診しましょう。 フォームと強度は少なめ・ゆっくりで始める ストレートネックの改善は、筋トレを正しいフォームでゆっくり始めるのが原則です。首は小さく繊細な筋肉や関節が集まっており、急な負荷や反動のある動きは筋肉や関節に負担をかけ、違和感やしびれを引き起こします。 軽い負荷で滑らかに動かし、鏡でフォームを確認しましょう。違和感を覚えたらすぐに中止してください。 また、トレーニング前後にストレッチを取り入れることで筋肉の柔軟性が保たれ、継続しやすくなります。 医師に相談すべき症状と持病の確認 相談すべき症状・持病 内容例 首や肩の強い違和感・しびれ・脱力感 手や腕のしびれ、感覚異常、力が入りにくい状態 頭痛・めまい・ふらつき 緊張型頭痛、片頭痛、平衡感覚の異常 過去の首や脊椎の手術歴 頸椎や脊椎の手術経験がある場合 椎間板ヘルニア・骨粗しょう症・リウマチ 首や背骨の病気、骨密度低下、関節疾患 心臓や呼吸器など他の重い持病 心疾患、呼吸器疾患、全身性の重い病気 ストレートネックの筋トレを始める前には、首や肩の強い違和感、しびれ、頭痛、めまいなどの症状がある場合や、過去に首や背骨のけが、ヘルニア、骨粗しょう症、リウマチなどの持病がある方は、医師への相談が重要です。これらの症状や持病があると、筋トレによって症状が悪化する可能性があります。 医師へ相談することで、現在の身体の状態に合った運動方法や注意点を確認できます。とくに、手足のしびれや脱力感、強い首のこわばり、吐き気を伴う頭痛がある場合は、自己判断での運動は控えましょう。持病がある方も、事前に運動の可否を確認することで、身体への負担を抑えながら取り組めます。 筋トレはストレートネックの改善に有効ですが、体調や既往歴に応じた判断が必要です。気になる症状がある場合は、必ず医師に相談してください。 異常を感じたら即中断し医療機関へ 筋トレ中または終了後に、しびれ・めまい・脱力感・強い違和感などの症状が現れた場合は、すぐに運動を中止し、早急に医療機関を受診してください。 このような身体の異常を無視して運動を続けると、症状が悪化する可能性があります。自己判断は避け、異変を感じた場合はすぐに医療機関への受診が大切です。 ストレートネック改善に役立つ筋トレ以外の習慣と対策 筋トレ以外の習慣と対策 詳細 ストレッチの実施 首・肩・胸・背中の柔軟性維持、筋肉の緊張緩和、血行促進 正しい姿勢の意識と習慣化 デスクワークやスマホ時の姿勢調整、頭部の位置管理、背筋の伸展 生活習慣の見直し 枕・椅子の高さ調整、長時間同じ姿勢の回避、こまめな休憩・運動 ストレートネックの改善には、筋トレに加えて日常の習慣や対策を取り入れることが重要です。 ストレッチや姿勢の見直しは、日常生活のすき間時間にも手軽に取り組めます。これらの習慣や対策も筋トレと同様に、継続が不可欠です。 ストレッチの実施 ストレートネックの改善には、筋トレとあわせてストレッチを行うことが重要です。ストレッチで首や肩の筋肉がほぐれ、こりや不快感の軽減、再発予防が期待できます。筋トレで支える力を、ストレッチで柔軟性を高めることで姿勢が安定し、首や肩の負担も軽減されます。 ストレッチは短時間でも毎日続けることが大切です。ゆっくり呼吸しながら行うことでリラックス効果も得られます。 正しい姿勢の意識と習慣化 ストレートネックの予防・改善には、筋トレやストレッチに加えて、正しい姿勢を意識することが重要です。頸椎は本来、前にゆるやかなカーブを描いて頭を支えていますが、猫背やうつむいた姿勢が続くとこのカーブが失われ、首や肩に負担がかかります。 正しい姿勢を保つことで、筋肉や関節への負担が軽減され、首・肩だけでなく背中や腰の不調も防げます。スマホやパソコンを使うときは画面を目の高さに合わせ、椅子には深く腰かけて骨盤を立てましょう。 また、30分〜1時間ごとに軽く体を動かすことで血流が促され、筋肉の緊張の緩和も期待できます。日常の姿勢を見直すことが、ストレートネック改善につながります。 生活習慣の見直し 習慣と対策 内容 スマホ・パソコンの使い方を見直す スマホは顔の正面まで持つ、PCは目線の高さに調整、1時間ごとに立ち上がりストレッチを行う 姿勢を意識しやすい環境作り 椅子に深く座り骨盤を立てる、背もたれやランバーサポート・フットレストを活用 睡眠環境の工夫 枕は首の自然なカーブを支える高さ・硬さを選ぶ、横向きや仰向けで寝る習慣をつける こまめなストレッチと休憩 数分ごとに首・肩・胸まわりをストレッチし、軽いスクワットや肩甲骨回しを行う(血流を促し筋肉の緊張が和らぐ) 全身の動きと姿勢を整える習慣 散歩や軽い運動で肩甲骨・背中・腹筋を鍛え、呼吸や腹筋を意識して脊柱を支える ストレートネックは、姿勢のクセだけでなく、運動不足・睡眠の質・ストレスなど生活全体の影響を受けやすい症状です。首への負担を減らすには、スマホやパソコンを目線の高さに調整し、正しい姿勢を保ちやすい環境を整えることが大切です。 また、同じ姿勢を長時間続けず、こまめに体を動かすことで筋肉のこわばりを防ぎ、姿勢の安定にもつながります。生活リズムを整え、運動や質の良い睡眠を習慣づけることで、血流や神経の働きが改善に寄与します。ストレートネックの根本改善と再発予防には、生活習慣の見直しが欠かせません。 筋トレで改善しないストレートネックの症状は医療機関へ 筋トレやセルフケアを続けても首のこわばりや不快感が改善しない場合、頸椎ヘルニアや頸椎症などが原因の可能性もあります。このような症状は早急に医療機関での診断が必要です。 筋トレで改善しない、ストレートネックにお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 近年では、炎症などの改善を目指す選択肢として再生医療も注目されています。自身の細胞を使って組織の修復を促すため、身体への負担が少なく、自然な回復力を活かせるのが特徴です。すべての方に適しているとは限りませんが、慢性的な症状に悩む方にとって、有効な選択肢のひとつです。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ストレートネック改善におけるよくある質問 ストレートネックの治療法は筋トレの他に何がありますか? ストレートネックの治療には、筋トレ以外にも運動療法や薬物療法、物理療法があります。専門家の指導で筋肉を整えるリハビリや、違和感を和らげる薬の使用、超音波や電気による物理療法などがあり、症状や体の状態に合わせて組み合わせて行います。 ストレートネック筋トレと整体やリハビリはどう違いますか? ストレートネックの筋トレは、自分で行う姿勢改善のための運動が中心です。一方、整体やリハビリでは、全身のバランスや柔軟性を整えるサポートを行います。 中でも医療機関でのリハビリは、理学療法士の的確な指導により、身体の状態に合った運動療法が進められるため、より効果的に症状の改善や再発予防が期待できます。 以下の記事では、ストレートネックに対する整体の有効性について、医学的な観点から解説しています。
2025.07.31







