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- その他、整形外科疾患
太ももに違和感がある 動けなくなるほどの違和感があった スポーツやトレーニング中に突然、足元に強い違和感はありませんか。 その症状は、肉離れの可能性があります。 肉離れは、スポーツだけでなく、日常生活でも起こりうる症状です。 太ももの肉離れの原因 太ももの肉離れの症状 肉離れの重症度 肉離れのチェックリスト 太ももの肉離れを起こしたときの対処法 肉離れの原因や症状を解説し、発症した場合の対処法も合わせて紹介します。 肉離れは、早期発見で改善できる症状です。ぜひ最後まで読み進めていただければと思います。 太ももの肉離れの原因 原因 説明 チェック項目 急激な動作による筋肉への過度な負荷 ダッシュやジャンプなど、急激な動作で筋肉に大きな力がかかり、筋肉が耐えきれずに損傷してしまう 急なダッシュが多い、ジャンプが多い、急な方向転換が多いなど 筋肉の疲労 運動などで筋肉が疲労している状態で、さらに負荷をかけると、筋肉が損傷しやすくなる 運動する機会が多い、疲労が溜まっていると感じるなど ウォーミングアップ不足 筋肉が温まっていない状態で運動を始めると、筋肉が伸びにくく、損傷しやすくなる ウォーミングアップ不足だと感じるなど 筋肉の柔軟性不足 筋肉が硬いと、急な動作に対応できず、損傷しやすくなる 身体が硬いと感じる、ストレッチ不足だと感じるなど 筋力低下 筋肉が弱いと、大きな力に耐えられず、損傷しやすくなる 運動不足だと感じる、以前より力が弱くなったと感じるなど (文献1) 太ももの肉離れの主な原因は、運動によって引き起こされるものです。 太ももに急激なストレスや、筋肉が硬直した状態での走り込みや、ジャンプが肉離れを引き起こす要因になります。 以下の記事では肉離れの症状について、詳しく解説しています。 急激な動作による筋肉への過度な負荷 原因となる動作 筋肉への負荷 具体例 急なダッシュやストップ 筋肉が急激に伸び縮みし、耐えきれずに損傷する スポーツでの全力疾走、急ブレーキ ジャンプや踏み込み動作 筋肉が強く縮んだり、急激に引き伸ばされたりする バスケットボールのジャンプ、サッカーの着地 方向転換(急な切り返し) 片足に強い力がかかり、筋肉が急激に引き伸ばされる テニスの方向転換、サッカーのドリブル 急な走り込みや、急ブレーキは太ももの肉離れを誘発します。 筋肉疲労や十分な準備運動ができていない状態で、急激な動作を繰り返すと、筋肉が急な衝撃に適応できません。結果、太ももの筋肉が衝撃に耐えられなくなります。 スポーツを行う以上、ある程度の負荷は避けられません。十分な準備運動やウォーミングアップを行い、筋肉への負担を軽減しましょう。 筋肉の疲労 疲労の種類 筋肉の状態 肉離れのリスク エネルギー不足 筋肉を動かすエネルギーが足りない 力が入らず、無理に動かすと筋肉が損傷しやすい 疲労物質の蓄積 筋肉に疲労物質がたまり、動きが鈍くなる 筋肉が硬くなり、急な動作に対応できない 血流の低下 筋肉への酸素や栄養が不足する 筋肉の修復力が低下し、柔軟性も失われる (文献2) 筋肉に疲労が蓄積した状態は、柔軟性が低下し、筋肉組織の損傷を起こします。 エネルギー不足や、疲労物質の蓄積、血流の低下が筋肉の活動を低下させ、肉離れを引き起こす要因になります。 筋肉疲労を起こさないためには、適度な休息や、運動前後のストレッチ・マッサージ、水分補給・栄養摂取を怠らないことが大切です(文献2) ウォーミングアップ不足 ウォーミングアップの役割 ウォーミングアップが不足した状態 肉離れのリスク 筋肉を温める 筋肉が硬く、伸びにくい状態 急な動きに対応できず、筋肉が損傷しやすい 血流を促進する 筋肉への酸素や栄養が不足した状態 筋肉が固くなり、傷つきやすい 神経と筋肉の連携をスムーズにする 脳と筋肉の連携が乱れた状態 必要以上に筋肉へ負荷がかかり、損傷しやすい (文献2) ウォーミングアップは筋肉を温め、血流を促進する効果があります。 また、ウォーミングアップを行うことで、筋肉の硬直状態が解消され、運動で発生する太ももの負荷にも対応できます。 しかし、ウォーミングアップが不十分な状態での運動は、筋肉の収縮や脳と筋肉の連携が乱れてしまい、肉離れを引き起こすリスクが高いです。 運動前に軽いジョギングや、屈伸運動で身体を温めると、筋肉の柔軟性が向上し、肉離れを起こすリスクを減らせます。 筋肉の柔軟性不足 柔軟性 筋肉の状態 肉離れのリスク 柔軟性がある 筋肉が柔らかく、伸びやすい 急な動きにも対応しやすい 柔軟性がない 筋肉が硬く、伸びにくい 急な動きに対応できず、筋肉が損傷しやすい 筋肉の柔軟性が不足すると、急な動きや衝撃に太ももが耐えきれず、肉離れを引き起こす原因になります。(文献3) 筋肉の柔軟性不足は主に、準備運動不足や加齢、筋肉疲労の蓄積によって引き起こされます。 柔軟性不足を解消するために、日頃からストレッチや適度な運動を行い、運動後はマッサージや温浴で、筋肉をケアする習慣を取り入れましょう。 筋力低下 筋力低下の状態 筋肉への影響 肉離れのリスク 筋肉が支えきれない 急な動きや負荷に耐えられず、筋肉が損傷しやすい ダッシュやジャンプで、ピリッとした違和感が発生する 疲れやすい フォームが崩れ、無理な動きをしてしまう 長時間運動で足がもつれ、肉離れを起こしやすい 柔軟性も低下 筋肉が硬くなり、伸びにくくなる 急な動きに対応できず、筋肉が断裂しやすい (文献4) 筋力が低下すると、筋肉が運動時の負荷や、不意に足がもつれてしまった際に、肉離れを引き起こす可能性があります。 筋力低下は、太もも周囲を支える力が失われている状態であり、柔軟性も低い状態です。 筋力低下を防ぐには、日頃から準備運動やクールダウンを怠らないことが大切です。 太ももの肉離れの症状 症状 状態 具体例 激しい違和感に襲われる 突如、太ももに鋭い違和感や衝撃が走る 筋肉が引き裂かれるような感覚 患部の腫れ・内出血 太ももが著しく腫れ上がり、皮膚の下に青黒い変色がある 患部が大きく膨らみ、内側から変色している状態 筋肉が痙攣する 太ももの筋肉が、自らの意志とは無関係に収縮と弛緩を繰り返す 筋肉が断続的に強く握り締められるような状態 患部に熱が籠る 太ももの患部が、周囲の皮膚よりも明らかに高温になる 患部が内部から発熱しているような状態 太ももにいつもと違う違和感があれば、それは肉離れのサインかもしれません。早期発見が、症状の悪化を防ぎます。 太ももの肉離れを発症した時に現れる症状について解説します。 激しい違和感に襲われる 肉離れは、筋肉が切れたり裂けたりし、炎症や内出血で起こる症状です。 断裂の多くは、部分的に起こりますが、まれに筋肉が完全に断裂してしまうケースもあります。 とくに、太ももからブチッと音が聞こえ、違和感で立ち上がれない場合は、肉離れの可能性が高いです。 激しい違和感に襲われ、立てない状態の場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。 患部の腫れ・内出血 肉離れは、患部の腫れや内出血を引き起こします。 筋肉が急激な力で引き伸ばされたり、断裂したりすると、その部分の毛細血管が損傷し、内出血が起こります。 腫れの程度は損傷の大きさや、出血量によりますが、重度の場合だと広範囲にわたって腫れ上がり、内出血の症状も顕著です。 ブチッと異音を耳にし、上記の症状が現れた際は、炎症の進行を防ぎます。 炎症や腫れに対し、応急処置を行ったうえで医療機関を受診しましょう。 筋肉が痙攣する 原因 メカニズム 状態をたとえるなら 損傷部位の保護反応 損傷した筋肉を保護するため、周囲の筋肉が反射的に収縮する 筋肉が、これ以上動かないで!と叫んでいる状態 神経系の影響 筋肉の損傷が周囲の神経を刺激し、異常な信号が送られる 神経が、筋肉を動かせ!と誤った指令を出している状態 電解質バランスの乱れ 激しい運動や発汗により、筋肉の興奮性が高まる 筋肉が過剰反応してしまっている状態 (文献1) 太ももの肉離れが発症すると、筋肉の痙攣が起こります。 筋肉が痙攣する主な理由は、損傷した筋肉が神経系の異常な興奮を引き起こすためです。 筋肉の神経系が興奮すると、異常な信号が神経に伝達され、無意識に痙攣を起こします。 痙攣が頻繁に起こる場合は、運動を中止し、医療機関を受診しましょう。 患部に熱が籠る 肉離れによる炎症の影響で、部分的に温まると、患部に熱が籠った状態になります。 また、損傷した筋繊維や血管から漏れ出した血液が組織内に溜まることで、熱感を引き起こします。 重度の場合、自力での歩行が困難になるため、医療機関の受診が必要です。 肉離れの重症度 重症度 症状 具体例 Ⅰ型(軽症) 軽い違和感、腫れ、内出血 階段の昇り降りで多少、違和感がある程度 Ⅱ型(中等症) 強い違和感、腫れ、内出血、歩行困難 普段の歩行が困難になり、足を引きずった状態になる Ⅲ型(重症) 激しい違和感、広範囲の腫れ・内出血、歩行不能、筋肉の断裂 足に体重をかけられない 太ももの肉離れには、Ⅰ型(軽症)〜Ⅲ型(重症)の段階があります。 Ⅰ型(軽症)であれば、日常生活への大きな支障はありません。ですが、Ⅲ型(重症)になると、手術が必要になるケースもあります。 太ももの肉離れの重症度について、解説します。 Ⅰ型(軽症) 項目 状態 具体例 違和感 軽度の違和感 階段の昇り降りで多少の違和感が程度、日常生活での動作に支障は少ない 腫れ わずかな腫れ 患部を触ると、少し腫れているのがわかる程度 内出血 軽度の内出血 患部に薄い青あざが見られる程度 筋肉の状態 筋肉の損傷は軽微 筋肉の機能はほぼ正常、軽いストレッチで違和感がある 日常生活への影響 ほとんどなし 日常生活に支障はないが、運動は制限される 治療 安静、冷却、圧迫 数日から一週間程度の安静で回復が見込まれる Ⅰ型(軽症)の段階では、日常生活に大きな支障はないものの、運動の制限が必要です。 症状としては、患部に軽い違和感や、わずかな腫れがあります。 内出血も軽度であり、安静や冷却を適切に行えば、一週間程度で回復が見込めます。 以下の記事では、肉離れが軽度の場合について詳しく解説しています。 Ⅱ型(中等症) 項目 状態 具体例 違和感 強いの違和感 歩行時に強い違和感があり、足を引きずる必要がある 腫れ 明らかな腫れ 患部が大きく腫れ上がり、触ると熱を持っている 内出血 広範囲の内出血 患部に広範囲にわたって青黒い変色が見られる 筋肉の状態 筋肉の損傷が広範囲に及ぶ 筋肉の機能が低下し、力を入れることが困難 日常生活への影響 日常生活に支障が出る 普段の動作が制限され、安静が必要 治療 安静、冷却、圧迫、医療機関での治療 一週間以上の安静と、医療機関でのリハビリが必要になる場合がある Ⅱ型(中等症)では、筋繊維の部分的な断裂を伴い、日常生活にも支障をきたします。目立つ腫れが現れ、内出血も広範囲です。 Ⅱ型(中等症)の段階では、筋肉を伸ばしたり縮めたりする運動を行うと、強い違和感があります。 そのため、一週間以上の安静と、医師の指示に従ったリハビリテーションが必要です。 また、Ⅱ型(中等症)は適切な治療を行わないと後遺症が出る可能性があるので、医療機関を受診しましょう。 Ⅲ型(重症) 項目 状態 具体例 違和感 激しい違和感 患部に触れることすら困難なほどの激しい違和感 腫れ 広範囲の著しい腫れ 患部全体が大きく腫れ上がり、変形しているように見える 内出血 広範囲の著しい内出血 患部全体が青黒く変色し、皮下出血が広範囲に及ぶ 筋肉の状態 筋肉の完全断裂 筋肉に明らかなへこみや断裂が見られ、力を入れることが不可能 日常生活への影響 歩行不能 足に体重をかけられず、自力での歩行が不可能 治療 手術の検討が必要 手術による筋肉の修復が必要な場合や、長期のリハビリが必要 Ⅲ型(重症)まで進行すると、激しい違和感や著しい腫れ、内出血を引き起こし、私生活にも大きな支障をきたします。 医療機関の受診だけでなく、症状の進行によっては手術の検討が必要です。また、手術後は医師の指導のもと、長期のリハビリが必要になります。 【チェックリスト】1つでも当てはまったら太ももの肉離れを疑おう! 項目 例 運動中または運動後に太ももに急激な違和感を感じる ダッシュ中に「ピキッ」と音がした、運動後に太ももに急な違和感が走る 太ももの特定の部分を押すと違和感を感じる 太ももの裏側を押すと、ズキッとした違和感がある 太ももに腫れや熱感がある 太ももがいつもより太く感じる、触ると熱がある 「ブチッ」や「バチッ」のような断裂音や感覚があった 運動中に太ももで音がした、何か切れたような感覚があった 太ももに内出血(青あざ)がある 太ももの裏側に青黒いあざができている 太ももの筋肉にへこみや硬い部分がある 太ももの筋肉にへこんだ部分がある、触ると硬いしこりのようなものがある 股関節を伸ばすと違和感を感じる 太ももの前側を伸ばすと、太ももの裏側に違和感がある 歩行や階段の昇り降りがいつも以上に辛い 階段を一段上がるのも辛い、歩くのが困難 安静にしていても、太ももに違和感を感じる 寝ていても太ももがズキズキ痛む 過去に同じ部位で肉離れを起こしたことがある 以前肉離れしたところが、再発した これから紹介する肉離れのチェックリストに1つでも当てはまった場合、太ももの肉離れを疑いましょう。肉離れの早期回復は早期発見が大切です。 太ももの肉離れの症状がわかるチェックリストを紹介します。 運動中または運動後に太ももに急激な違和感を感じる 肉離れは筋肉にストレスや負担がかかることで、違和感を引き起こします。 運動中または、運動後に太ももに普段は感じない、急激な違和感を覚えた場合は肉離れの症状を疑いましょう。 太ももの特定の部分を押すと違和感を感じる 肉離れを起こした筋肉は、炎症を引き起こします。 炎症や断裂、腫れなどが発症し、その部分を押すと違和感があります。 太ももを押したときの違和感は、肉離れを疑いましょう。 太ももに腫れや熱感がある 太ももに腫れや熱感が現れるのも、肉離れの特徴です。肉離れは、筋肉の繊維が部分的または完全に断裂し、発症します。 断裂を引き起こすと、身体は自然治癒を促すために炎症反応を起こし、皮膚に熱感が現れます。 違和感のある箇所だけが、熱感を持つ場合、肉離れの症状を疑いましょう。 「ブチッ」や「バチッ」のような断裂音や感覚があった 肉離れを起こすと、普段耳にしない「ブチッ」や「バチッ」のような異音がします。必ず音が鳴るわけではありませんが、この断裂音は筋膜や筋線維が損傷、断裂した際に起こる音であり、強い違和感に襲われます。 断裂音や違和感が発生した場合は、すぐに運動を中止し、応急処置を行なった後、医療機関を受診しましょう。 太ももに内出血(青あざ)がある 太ももが損傷を起こすと、内出血(青あざ)の症状が現れます。 筋肉が急な力で引き伸ばされ、部分的に断裂すると、筋肉内の毛細血管が損傷します。 症状が軽度であれば、内出血が目立つことはありません。しかし重度の場合、広範囲に渡り、内出血(青あざ)ができます。(文献5) 太ももの筋肉にへこみや硬い部分がある 肉離れを起こした箇所の損傷が大きいと、断裂した部分がへこんで見えることがあります。 へこんで見える理由は、筋肉の修復過程で線維化(せんいか)が起こり、結合組織が硬直するためです。 筋肉にへこみがある状態を放置すると、筋肉の柔軟性が低下し、再発する恐れがあります。 股を伸ばすと違和感を感じる 太ももの肉離れが起こると、股を伸ばすと違和感があります。 股関節に違和感が生じるのは、損傷した筋肉が伸張されるためです。 股を伸ばした際に違和感がある場合は、無理に運動やストレッチをせず、安静などの適切な処置を行いましょう。 歩行や階段の昇り降りがいつも以上に辛い 歩行や階段の上り下りは、症状が太ももに顕著に現れます。 肉離れの症状を抱えた状態で、歩行や階段の上り下りを無理して続けることで、筋肉への違和感が増し、重症化する恐れがあります。 歩行や階段で問題なくとも、違和感があれば安静・治療を優先しましょう。 安静にしていても、太ももに違和感を感じる 原因 状態 具体例 瘢痕組織の形成 筋肉の修復過程で、柔軟性の低い瘢痕組織が形成される 長時間座った後に立ち上がると、太ももの裏側がつっぱる、以前のようにスムーズに足が上がらない 神経の過敏化 損傷部位周辺の神経が過敏になり、わずかな刺激でも違和感がある 寝返りを打つときや、太ももに軽く触れただけで、ピリッとした違和感がある 炎症の持続 筋肉の損傷部位で炎症が完全に治まらず、違和感が続く 安静にしていても、太ももの奥の方がズキズキする、患部が熱っぽく感じる 太ももの肉離れは、安静にしていても、違和感が改善されないことがあります。 肉離れで起きた筋肉の損傷や、炎症が治るまでに時間がかかります。 しかし、時間が経過しても違和感が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 過去に同じ部位で肉離れを起こしたことがある 原因 状態 対策 筋肉の柔軟性低下 損傷部位の筋繊維が修復されても、元の柔軟性に戻らない 回復後も継続的なストレッチで柔軟性を維持する 筋力の低下 安静期間中に筋肉が弱まり、運動再開時に負荷が集中する リハビリで段階的に筋力を回復させ、運動再開後も筋力トレーニングを継続する 不完全な回復での復帰 違和感が残ったまま運動を再開し、筋肉の耐久力が十分に戻っていない 回復後もリハビリを継続し、筋肉の状態を十分に整えてから運動を再開する 肉離れは再発しやすい症状です。一度肉離れを引き起こすと、筋肉が損傷した部分を補うために瘢痕組織(はんこんそしき)が形成されます。 この組織は元の筋肉組織に比べて、柔軟性が低いため、再び同じ部位に負荷がかかると損傷しやすいのが特徴です。 肉離れ後は、安静期間で筋肉が弱まり、回復後も耐久力が低下するため、再発する恐れがあります。 太ももの肉離れを起こしたときの対処法 対処法 内容 目的 RICE処置 安静(Rest)冷却(Ice)圧迫(Compression)挙上(Elevation) 炎症と腫れを抑え、症状を軽減する リハビリテーション 専門家(医師や理学療法士)の指導の下、ストレッチや筋力トレーニングを行う 筋肉の柔軟性と筋力を回復させ、再発を予防する 再生医療(PRP療法) 自身の血液から抽出したPRP(多血小板血漿)を患部に注入し、組織の修復を促進する 自然治癒力を高め、回復を早める 太ももの肉離れは、適切な対処を早期に実施しましょう。 肉離れを起こしたときの対処法について解説します。 以下の記事では、肉離れが全治するまでの期間を詳しく解説しています。 RICE処置 項目 内容 理由 具体例 Rest(安静) 太ももを動かさないようにし、安静に保つ 損傷した筋肉の回復を促し、悪化を防ぐ 横になって足を高く上げる、松葉杖を使う Icing(冷却) 患部を氷や冷却パックで15~20分冷やし、数時間おきに繰り返す 炎症と腫れを抑え、症状を軽減する 冷凍した保冷剤や氷嚢をタオルで包み、患部に当てる Compression(圧迫) 弾性包帯などで患部を圧迫し、腫れを防ぐ 内出血と腫れを抑制する 太もも全体を覆うように弾性包帯を巻く(締めすぎに注意) Elevation(挙上) 患部を心臓より高い位置に保ち、腫れを軽減する 重力により腫れや内出血を抑制する クッションや椅子を使って太ももを高く上げる 太ももの肉離れの応急処置として、最初に行われるのがRICE処置です。 RICE処置では、Rest(安静)→Icing(冷却)→Compression(圧迫)→Elevation(挙上)の流れで応急処置を進めます。 RICE処置はあくまで、応急処置のため、対応後は早急に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、肉離れの応急処置について詳しく解説しています。 リハビリテーション 目的 内容 期間 筋肉の修復促進 ストレッチ、軽い運動 回復期(受傷後1週間~数週間) 筋力低下の防止・回復 段階的な筋力トレーニング 回復期、スポーツ復帰期 再発予防 正しい体の使い方、運動方法の習得 スポーツ復帰期 肉離れを起こした後は、医師の指導のもと、リハビリを開始します。 リハビリでは、筋力が衰えないようにストレッチや、軽い運動からスタートし、段階的にトレーニングを行います。 リハビリは無理せず、違和感があれば中止し、医師に相談しましょう。 以下の記事では、肉離れのストレッチについて詳しく解説しています。 再生医療(PRP療法) 再生医療(PRP療法)は自身の血液から抽出した、PRP(多血小板血漿)を活用し、太ももの肉離れで発生した組織の損傷に回復を促す治療法です。 PRP(多血小板血漿)に含まれる抗炎症作用は、炎症を抑制し、機能回復の向上を促進させます。 自身の血液を使用するため、アレルギー反応や感染症のリスクが低いのも利点です。 手術や長期リハビリに抵抗がある方には、再生医療(PRP療法)が有効です。 以下の記事では、再生医療(PRP療法)のメリット・デメリットを詳しく解説しています。 太ももの肉離れを疑う際は医療機関を受診しよう 太ももの肉離れが疑われる場合は、医療機関を受診しましょう。肉離れは早期発見が大切です。 また、太ももの肉離れをなるべく早く改善したい方は、再生医療を検討いただければと思います。 再生医療であれば、手術を必要とせず、太ももを始めとした肉離れの症状に、患者様自身から採取した血液『多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)』を抽出し、症状の回復を促します。 太ももの肉離れにお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) 奥脇 透.「肉離れの診断と治療」『第26回 日本臨床スポーツ医学会 学術集会』pp.1-3.2016年 https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/24-3/331-333.pdf(最終アクセス:2025年3月17年) (文献2) 久保田喬之,兵頭甲子太郎「運動後の筋疲労回復処置がストレスマーカーに及ぼす影響」『理学療法―臨床・研究・教育』, pp.1-3, 2014年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/21/1/21_56/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月17年) (文献3) 「5.肉離れ」『スポーツ損傷シリーズ』pp.1-2 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s05.pdf最終アクセス:2025年3月17年) (文献4) 栄養コンサルタント社(NCco.)「炎症について最もわかりやすい解説」日本ビューティーヘルス協会,2022年4月18日 https://eiyo-c.com/ensho/(最終アクセス:2025年3月17年) (文献5) 公益社団法人日本整形外科学会「症状・病気をしらべる」公益社団法人日本整形外科学会. https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/pulled_muscle.html(最終アクセス:2025年3月17年)
2025.03.31 -
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仙腸関節炎の原因を知りたい 仙腸関節炎のずれと症状の関係性について知りたい 腰や、下半身の違和感で毎日のデスクワークが辛いと感じていませんか。その症状は仙腸関節炎と呼ばれる関節の疾患かもしれません。 仙腸関節炎に馴染みがない方も多いことでしょう。仙腸関節炎は、腰と骨盤をつなぐ仙腸関節に炎症が生じる疾患です。 放置すると慢性的な違和感が続き、後遺症となる可能性があります。 仙腸関節炎の原因 仙腸関節炎の主な症状 【自宅でできる】仙腸関節炎の改善策 仙腸関節炎の治療法 仙腸関節炎の原因に関するよくある質問 記事の最後には、仙腸関節炎に関する質問にお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。 仙腸関節炎の原因 原因 詳細 長時間の座り仕事 デスクワークなどで長時間座り続けると、仙腸関節周辺の筋肉が硬くなり、関節への負担が増る。 重量物を持ち上げる 重い物を持ち上げる動作は、仙腸関節に大きな負荷をかけ、炎症を引き起こすことがある 体重の増加 体重が増加すると、仙腸関節への負担が増え、炎症のリスクが高くなる。とくに、腹部の脂肪は腰椎を前弯させ、仙腸関節への負担を増加させる 無理な姿勢 腰を捻る、足を大きく前後に開く、中腰などの無理な姿勢は、仙腸関節に過度の負担をかけ、炎症を引き起こす 足を組んで座る習慣 足を組むと骨盤が歪み、仙腸関節への負担が増る 筋力の低下 仙腸関節周辺の筋肉が弱いと、関節を十分に支えられず、負担が増加する 仙腸関節炎は、長時間の座り仕事や、重量物を持ち上げるなどの作業で発症します。 仙腸関節炎の原因について、詳細に解説します。 長時間の座り仕事 原因 仙腸関節への影響 症状への影響 血行不良と筋肉の硬直 仙腸関節周囲の筋肉・靭帯の血流阻害、組織硬化 炎症の誘発など 姿勢の悪化と関節への負担 骨盤歪曲、仙腸関節への過剰負荷 関節の不安定化、炎症の誘発 運動不足による筋力低下 体幹・骨盤周囲筋力低下、関節支持性低下 関節の不安定化、炎症の誘発 長時間の座り仕事は、仙腸関節へ負担をかける原因になります。長時間の座り仕事が習慣化している場合は、適度に椅子から立ち上がり、ストレッチを入れることで、仙腸関節炎の発症リスクを減らせます。 重量物を持ち上げる 要因 仙腸関節への影響 症状への影響 不適切な持ち上げ方 腰部・骨盤周囲への過剰な負荷、仙腸関節への過剰なストレス 炎症の誘発、関節の不安定化 背中を丸めた姿勢 仙腸関節への過剰なストレスが集中する 炎症の誘発、関節への違和感を誘発させる (文献1)(文献2) 重量物を不適切な持ち方で持ち上げたり、背中を丸めた姿勢で持ち上げたりすると、腰部・骨盤周囲に過剰な負荷がかかり、仙腸関節炎を誘発させます。 力仕事などで重量物を持ち上げる場合は、膝を曲げて腰を落とし、背筋を伸ばした状態で持ち上げるなど、仙腸関節にストレスを与えないのが大切です。 体重の増加 要因 仙腸関節への影響 症状への影響 体重の増加 関節への負荷増大、骨盤への負担増大 炎症の誘発、関節の不安定化など 腹部への脂肪蓄積 腰椎前弯増強(ようついぜんわんぞうきょう)、仙腸関節への負担増大 腰部の違和感の増加、姿勢悪化 仙腸関節は、上半身の体重を下半身で支えるための重要な関節です。体重が増加すると、仙腸関節にかかる負荷が大きくなり、筋肉は重さに耐えきれません。 仙腸関節は、わずかな動きで衝撃を吸収するクッションのような役割も担っていますが、負荷がかかると、その機能が低下し、仙腸関節炎を引き起こします。 仙腸関節炎を発症させないためには、体重管理や仙腸関節炎の予防や改善が大切です。 腰を捻る・足を大きく前後に開く・中腰などの無理な姿勢 姿勢 仙腸関節への影響 症状への影響 腰を捻る 関節への回転方向の過剰負荷 靭帯・筋肉への負担増大、炎症の誘発 足を大きく前後に開く 骨盤の前後への過剰伸長 骨盤の前後への過剰伸長 中腰 上半身の体重集中、関節への過剰負荷 炎症の誘発、腰部へのストレス 腰を捻る・足を大きく前後に開く・中腰などの無理な姿勢は、仙腸関節に過剰な負荷がかかります。この負荷が継続すると、仙腸関節に炎症を引き起こします。 座り・立ち仕事では、不安定な体勢は控え、正しい姿勢で仕事をしましょう。また作業の合間にストレッチや休憩を入れ、筋肉をほぐすのも効果的です。 足を組んで座る習慣 要因 仙腸関節への影響 症状への影響 骨盤の歪み 仙腸関節への負荷、関節の不安定化 炎症の誘発など 筋肉のアンバランス 骨盤の支持力低下、関節への負担増大 炎症リスクの増大 関節への圧力 片側股関節への過剰圧力、仙腸関節への負担 炎症の誘発など 足を組んで座る習慣は、仙腸関節炎のリスクを高める要因です。足を組むと、骨盤が左右どちらかに傾き、歪みが生じます。 歪みが慢性的に続くと、仙腸関節にかかる負荷が不均等になり、間接周囲の靭帯や筋肉に負荷がかかり、炎症を引き起こす原因になります。 仙腸関節炎を誘発させないために、足を組んで座る習慣はやめるようにしましょう。 筋力の低下 項目 説明 仙腸関節への影響 仙腸関節の安定性 仙腸関節は上半身と下半身をつなぎ、体重の支持や衝撃の吸収に関与する 周囲の筋肉が安定性を保つために重要 体幹筋機能の低下 体幹筋(コアマッスル)の機能低下は、腰痛のリスクを高める 仙腸関節への負荷が増加し、炎症や不快感の原因となる 仙腸関節障害患者の筋活動パターン 大臀筋の出力遅延、ハムストリングスの早期活動が見られる 筋力バランスが崩れ、関節への負荷が増加する 筋力の低下は、仙腸関節炎を引き起こします。筋力低下は、関節への負担を増やし、腰痛などの不調を引き起こす原因になります。 仙腸関節炎の予防には、適度な運動による筋力維持が大切です。定期的な運動で筋力を維持しましょう。 仙腸関節炎の主な症状 症状 詳細 片側の腰や臀部に違和感がある 腰の奥や臀部の片側に、ズキズキとした違和感や、重だるいような感覚がある 長時間座っていると負担を感じる デスクワークなどで長時間座っていると、腰や臀部に違和感やこわばりが強くなる 長時間立っていると辛い 長時間立っていると、腰や臀部の違和感が増し、立っているのが辛くなる 歩くのが辛い 歩く度に腰や臀部に違和感がある、歩幅が狭くなったり、歩くスピードが遅くなったりする 仰向けに寝れない 仰向けに寝ると、腰や臀部に違和感があり、横向きやうつ伏せでしか眠れなくなる (文献3) 仙腸関節炎の主な症状は、腰部や臀部に違和感を覚え、長時間の同じ姿勢が辛くなるなどが挙げられます。 仙腸関節炎で引き起こる症状について、解説します。 片側の腰や臀部に違和感がある 症状 原因 仙腸関節の不安定化 周囲の筋肉のサポート不足や、骨盤の歪みなど 仙腸関節への負担増加 衝撃吸収力の低下や、姿勢の悪化 筋力低下や仙腸関節のバランスが不安定になると、安定性が損なわれ、骨盤の歪みや炎症の原因になります。 腰や臀部の違和感防止のためにも、日頃から正しい姿勢を意識し、足を組む座り方などは控えましょう。 長時間座っていると負担を感じる 負担の要因 詳細 持続的な圧力 体重の集中、不良姿勢による骨盤歪み 筋肉の硬直と血行不良 同一姿勢による筋硬直、酸素・栄養供給阻害 骨盤の不安定化 周囲筋の弱体化、関節負担増加 長時間座位は、仙腸関節に持続的な圧力をかけ、周囲筋の硬直と血行不良を招きます。とくに長時間の同じ姿勢は、仙腸関節炎を引き起こす原因になります。 デスクワークが習慣の場合は、数分に一回は立ち上がるなど、体重が一点にかからない工夫が大切です。 長時間立っていると辛い 負担の要因 詳細 持続的な負荷 体重集中、関節圧迫による摩擦増加 筋肉の疲労と緊張 周囲筋の緊張、血行不良による炎症物質蓄積 関節の不安定性 可動域制限、衝撃吸収機能低下 長時間同じ姿勢での立位は、体重を仙腸関節に集中させ、持続的な負荷をかけます。仙腸関節に負荷がかかることで、関節の摩擦が増加し、炎症を引き起こしやすくなります。 長時間の立ち仕事の場合は、定期的にストレッチや座れるタイミングで数分座るなど、仙腸関節を休ませましょう。 歩くのが辛い 不快感の要因 詳細 体重移動時の負担 片足に体重移動で関節にズレ、炎症部位を刺激 歩行パターンの変化 関節の違和感回避で歩幅が狭まり、他の部位に負担増 階段・坂道での負担増 平地より関節への負荷が増大し、不快感が増強 仙腸関節炎は、歩行時の体重移動で関節にズレが生じます。ズレが炎症部位が刺激し、違和感を引き起こします。(文献4) 関節の違和感をかばって歩き方を変えると、他の場所に負担がかかり、悪化する可能性があります。歩くのが辛いと感じた場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 仰向けに寝れない 仰向けに寝れない原因 詳細 体圧の集中と姿勢の歪み 体重が特定の部位に集中、骨盤や背骨の歪み 筋肉の過緊張 日中の姿勢不良、ストレスによる筋肉の硬直 睡眠環境の不適合 寝具の硬さや温度、騒音や光 仙腸関節炎を発症すると、体重が特定の部位に集中し、骨盤や背骨の歪みに歪みが生じます。また、筋肉の過緊張や睡眠環境が重なると、さらに仰向けに寝れず、安眠の妨げになります。 睡眠の妨げは、仙腸関節炎を悪化させるため、睡眠環境は日頃から整えましょう。 【自宅でできる】仙腸関節炎の改善策 改善策 詳細 姿勢の改善 正しい姿勢の保持、骨盤の安定性向上 ストレッチとエクササイズ 筋肉の柔軟性向上、筋力強化 体重管理 適切な体重維持、関節への負担軽減 仙腸関節炎の改善は、日常生活の中で、継続的に取り組むことが大切です。これから紹介する内容は医師の指導のもと行い、無理のない範囲で行いましょう。 以下の記事では、仙腸関節炎の治し方を詳しく解説しています。 姿勢の改善 改善ステップ 詳細 1. 仙腸関節炎への負担軽減 正しい姿勢と動作で負荷を分散し、骨盤を安定させ、炎症と違和感を抑制 2. 筋肉のバランス調整 筋肉を緩め、骨盤を強化し、関節を安定させる 3. 日常生活動作の改善 動作時の負担を減らし、正しい動作を習慣化 姿勢の改善は、日々の継続が大切です。骨盤を正しい位置に保ち、長時間同じ姿勢を避けることで、関節への負荷を抑制します。 日常生活では、立ち座りや歩行時の姿勢、重い物の持ち方など、動作時の負担を減らす工夫をしましょう。 ストレッチとエクササイズ 改善ポイント 詳細 筋肉の柔軟性向上と強化 ストレッチ:筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げる エクササイズ:関節を支える筋肉を強化し、安定性を高める 骨盤の歪み改善と姿勢の矯正 特定のストレッチやエクササイズで骨盤の歪みを矯正し、正しい姿勢を維持するための筋肉を強化する 血行促進と違和感の緩和 筋肉の血行を促進し、疲労物質の排出を促すことで、炎症を抑制し違和感を緩和 仙腸関節炎の改善には、ストレッチとエクササイズが効果的です。ストレッチは筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げます。エクササイズは関節を支える筋肉を強化し、安定性を向上させます。 自己流のストレッチとエクササイズは、無理な負荷や、間違った骨盤矯正の恐れがあります。ストレッチとエクササイズを実践する際は、医師の指示に従いましょう。 体重管理 改善ポイント 詳細 仙腸関節への負担軽減 体重増加による負荷を軽減し、骨盤の安定性を保つ 筋肉や関節への好影響 筋肉への負担を軽減し、関節の軟骨の磨耗を抑制する 全身への好影響 全身の炎症反応を抑制し、運動機能を向上させる 仙腸関節炎の改善には、継続的な体重管理が大切です。体重が増加すると、仙腸関節への負荷が増大し、炎症や違和感を悪化させる可能性があります。 適切な体重管理は、仙腸関節へ負荷を軽減し、骨盤の安定性を保ちます。体重管理は、過度なダイエットではなく、医師の指示に従った管理方法で行いましょう。 仙腸関節炎の治療法 治療法 詳細 薬物療法 鎮痛剤や湿布などを用いて、違和感を緩和する 神経ブロック(麻酔) 仙腸関節周辺に局所麻酔薬を注射し、違和感を遮断する 理学療法 専門家によるストレッチや運動療法で、関節の動きを改善し、違和感を軽減する 再生医療 PRP療法や幹細胞療法などを用いて、損傷した組織の修復を促す 仙腸関節炎の治療は、状態や症状によって治療法が異なります。各治療法は、医師の診察のもと行われます。 仙腸関節炎の治療法について、紹介します。 薬物療法 治療法 詳細 炎症と違和感の抑制 NSAIDsや鎮痛薬で炎症を抑え、違和感を緩和し、日常生活を改善 症状の緩和と機能回復 違和感を和らげ、運動療法やリハビリを促進し、日常生活の質を向上 薬物療法の種類 各種薬剤で炎症や違和感を抑制、筋肉を弛緩させ、強力な抗炎症作用で速やかに違和感を緩和 仙腸関節炎の薬物療法は、炎症と違和感を抑制し、症状の緩和を促します。NSAIDsや鎮痛薬は、炎症を引き起こす物質の生成を抑える効果があり、日常生活の改善に役立ちます。 NSAIDs、鎮痛薬、筋弛緩薬、ステロイド注射などの多様な種類が特徴です。薬物療法は、仙腸関節炎の状態や、薬剤の適正を考慮して行われます。 神経ブロック(麻酔) 治療ポイント 詳細 期待できる効果 違和感の悪循環を遮断 違和感の伝達経路を遮断し、筋肉の緊張を緩和 違和感の軽減、関節の動き改善 炎症の抑制 局所麻酔薬やステロイドで炎症を抑制 違和感の根本原因にアプローチし、症状を改善 診断と治療の併用 違和感の原因を特定し、同時に治療も行う 違和感の発生源を診断し、機能回復を促進 神経ブロック療法は違和感を遮断し、炎症の抑制を促します。局所麻酔薬やステロイドなどの抗炎症薬を併用し、根本的な原因の改善を目指します。 ブロック注射後は激しい運動は控え、入浴は避けましょう。 以下の記事ではブロック注射について詳しく解説しています。 理学療法 治療ポイント 詳細 期待できる効果 仙腸関節の機能改善 手技や運動療法で関節の可動域と安定性を向上 関節の柔軟性向上、負担軽減、違和感の緩和 違和感の緩和 マッサージやストレッチで筋肉の緊張を緩和させる 血行促進、動作時の違和感を軽減 再発予防 正しい姿勢や日常生活動作の指導で、関節への負担を軽減 負担を軽減、再発リスクの低減、日常生活での違和感の軽減 (文献5) 仙腸関節炎の理学療法は、関節の機能改善、違和感の緩和、再発予防を目的に行われます。 理学療法では、仙腸関節に負担のかからない動作を医師が指導し、日常生活で違和感の発症や再発の予防を目指します。 再生医療 治療ポイント 詳細 期待できる効果 組織の修復促進 PRP療法や幹細胞療法により、損傷した組織の修復を促進 関節や靭帯の修復、違和感の根本を改善 軽減と機能回復 成長因子や細胞の働きにより、炎症を抑制し、違和感を軽減 長期的な違和感の緩和、関節機能の回復、運動能力の向上 他の治療法との併用 理学療法や薬物療法と組み合わせて、相乗効果が期待できる 総合的な症状改善、再発予防 仙腸関節炎に対する再生医療は、損傷した組織の修復を促進し、違和感の根本的な改善を目指します。再生医療は、患者様自身の細胞を用いた治療法のため、副作用や感染症のリスクが低いのが利点です。 以下の記事では当院の再生医療について、詳しく解説しています。 仙腸関節炎の原因を理解し症状の悪化を防ごう 仙腸関節炎の原因は、長時間の座り仕事や体重の増加など、仙腸関節に対する負荷が挙げられます。仙腸関節炎の症状を改善するには、姿勢や負荷のかからないストレッチ・エクササイズを継続的に行いましょう。 改善しない仙腸関節炎には、再生医療も選択肢です。再生医療であれば、仙腸関節炎の原因を根本から取り除き、症状の改善が望める可能性があります。 リペアセルクリニックでは、再生医療以外にも、患者様に適した仙腸関節炎の治療法を提案します。 改善が見込めない仙腸関節炎でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」や「オンラインカウンセリング」にお問い合わせください。 仙腸関節炎の原因に関するよくある質問 仙腸関節炎のずれと症状の関係性はありますか? 仙腸関節のずれと症状の関連性については、医学的に証明されていません。仙腸関節のずれは、画像検査で明確に確認するのは困難です。 症状の原因は、関節周囲の組織の炎症や神経の過敏化とされています。 仙腸関節炎はどのような人に多いですか? 仙腸関節炎は、長時間の同じ姿勢や、無理な体勢を日常的に行う人に多いです。 仙腸関節に負荷のかかる姿勢で負荷が積み重なり、炎症を引き起こします。無理な姿勢や体重の増加が気になる方は、ライフスタイルの改善を行いましょう。 スポーツや運動で仙腸関節炎になりますか? スポーツや運動で仙腸関節に負荷がかかると発症のリスクが高まります。 発症を予防するには、運動前に十分な準備運動とストレッチを日頃から取り入れ、筋肉や関節の柔軟性を保つようにしましょう。 仙腸関節炎は遺伝しますか? 仙腸関節炎を含む脊椎関節炎と呼ばれる疾患群は、HLA-B27遺伝子と関連がある可能性があります。しかし必ず発症するわけではありません。(文献6)(文献7) 遺伝以外の生活習慣や環境要因にも注意し、適切な予防を行いましょう。 仙腸関節炎は加齢が原因で起こることはありますか? 仙腸関節炎の主な原因は、姿勢の偏り、外傷、体重増加です。加齢も要因となります。しかし、仙腸関節炎の症状が現れた場合は、加齢と判断せず、医療機関を受診しましょう。 参考文献 (文献1) 腰痛予防指針「重量物取扱いなどによる腰痛を予防しましょう」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000099336_3.pdf(最終アクセス:2025年3月18日) (文献2) 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所「腰部負担からみた我が国の重量物持ち上げガイドラインについて」労働安全衛生総合研究所, https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2024/187-column-1.html(最終アクセス:2025年3月18日) (文献3) 黒澤 大輔, 村上 栄一.「仙腸関節痛の発生・慢性化のメカニズム」『J-STAGE』2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspineres/12/6/12_2021-0604/_article/-char/ja(最終アクセス:2025年3月18日) (文献4) 松本守雄ほか.「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)」pp.1-103, 2021年 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b(最終アクセス:2025年3月18日) (文献5) 羽田 清貴.「仙腸関節痛を有する症例に対する理学療法の一考察」『J-STAGE』2007年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuptot/2007/0/2007_0_161/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年3月18日) (文献6) 一般社団法人 日本リウマチ学会「脊椎関節炎(SpA)」一般社団法人 日本リウマチ学会,2022年5月22日 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/sekitsuikansetsuen/(最終アクセス:2025年3月20日) (文献7) Copyright(C) 公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター「強直性脊椎炎(指定難病271)」難病情報センター」難病情報センター,2024年11月 https://www.nanbyou.or.jp/entry/4847(最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.31 -
- その他、整形外科疾患
乾癬性関節炎が治った実例を知りたい 乾癬性関節炎と診断されたが、休むべきかを知りたい 乾癬性関節炎と診断され、不安を感じていませんか?皮膚の腫れや関節の違和感に悩み、治る見込みがあるのか・仕事を続けるべきかなど、さまざまな疑問を持つ方も多いでしょう。 結論、乾癬性関節炎は適切な治療と対策で症状が改善する見込みがあります。 乾癬性関節炎の治った事例について 乾癬性関節炎が治らないと言われる理由 乾癬性関節炎の活動性を抑える治療法 乾癬性関節炎を治したい方からよくある質問 本記事では、乾癬性関節炎の完治について言及したのち、対策案やよくある質問について解説します。 乾癬性関節炎が治った事例はないが緩和させることはできる 2025年現在、乾癬性関節炎が治った事例はありません。しかし、乾癬性関節炎の症状を緩和させることはできます。 乾癬性関節炎が改善したキャスリーンさんのインタビューでは、症状を治すのではなく、コントロールが大事であると答えています。乾癬性関節炎は治すのではなく、症状と向き合う姿勢が大切です。 乾癬性関節炎の治療は、症状の進行を抑え、日常生活や社会復帰を目指すことが目的です。適切な治療と生活習慣の改善により、多くの人が症状をコントロールしながら生活しています。(文献1)(文献2) 以下の記事では、乾癬性関節炎の症状を改善するために症状別で何科を受診するべきかを紹介しています。 乾癬性関節炎が治らないと言われる理由 乾癬性関節炎は現在の医学では治らない病気と言われています。治らない主な理由としては、乾癬性関節炎は自己免疫疾患であり、根本的に免疫異常を修正する治療法がありません。 乾癬性関節炎は自己免疫疾患のため 慢性疾患であり、寛解と再発を繰り返すため 関節のダメージは元に戻らないため 免疫抑制剤や生物学的製剤は完治させるわけではない 症状の程度が異なる 乾癬性関節炎が治らないと言われる理由について解説します。 乾癬性関節炎は自己免疫疾患のため 乾癬性関節炎は自己免疫疾患に分類されます。 免疫は本来、ウイルスや細菌などから身体を守る役割を担っていますが、何かしらの要因で誤って自分自身の組織を攻撃してしまうようになり、炎症や組織破壊を引き起こします。このような免疫異常を完全に元に戻す治療法は現時点では確立されていません。 乾癬性関節炎を治すことはできませんが、早期発見であれば適切な治療で症状の緩和や進行の抑制は可能です。 慢性疾患であり、寛解と再発を繰り返すため 乾癬性関節炎は、慢性疾患のため寛解と再発を繰り返します。免疫系の異常でおきた炎症は持続しやすく、傷ついた組織が腫れなどを引き起こすためです。 再発しないためには、ストレスや感染症、食生活の乱れなどに注意し、過度な負担は与えないことが大切です。 ある程度コントロール可能な病気ではあるものの、いつ再発してもおかしくないことを認識しておきましょう。(文献3) 関節のダメージは元に戻らないため 乾癬性関節炎の炎症が長期間続くと、関節や腱の損傷が進行し、変形が起こる可能性があります。関節へのダメージを元通りにする治療法はありません。 公益財団法人結核予防会 複十字病院 膠原病リウマチセンターの資料によると、早期の乾癬性関節炎の患者で2年後くらいの間に関節障害が増加し、発症から期間が長くなればなるほど、関節破壊が進行すると記載されてます。(文献4) 関節へのダメージを元通りに修復させるのは難しいですが、治療を行うことで日常生活への支障を減らすことはできます。 免疫抑制剤や生物学的製剤は完治させるわけではない 薬の種類 作用 特徴 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 炎症を抑える 炎症をある程度抑えることはできるものの、症状の進行を止める効果はない DMARDs(抗リウマチ薬) 関節の破壊を抑える 関節の変形を防ぐが、免疫の異常を根本から止められない 生物学的製剤・JAK阻害薬 免疫の異常な働きを抑える 炎症を強力に抑えるが、病気を根本的に治すわけではない (文献2) 現在の治療薬では、ある程度症状のコントロールはできても、根本の解決はできません。治療薬は、免疫の異常な反応の抑制や、関節の炎症や腫れを軽減などを目的としています。 治療薬は症状の緩和、関節破壊の進行抑制、生活の向上のために服用するものです。また、治療薬を服用する際は自己判断で量を調整したり、中断したりしてはいけません。 医師の指示に従い、服用しましょう。 症状の程度が異なる 症状の程度 関節の症状 その他の症状 日常生活への影響 軽度 関節の腫れや違和感がわずか、こわばりが比較的軽い 皮膚の炎症が部分的で、発疹の範囲が狭い 日常生活にほとんど影響がない 重度 複数の関節に激しい炎症や、変形が進行してる 爪の変形や剥離などがある 日常生活に支障をきたす、または困難になる (文献2) 乾癬性関節炎の症状には、個人差があります。そのため、適切な治療法も改善スピードも人それぞれです。 軽度であれば、適切な治療で日常生活に支障がない状態を維持できます。しかし重度の場合、関節破壊が進み、日常生活がままならない状態になる可能性があります。 また、乾癬性関節炎の発見が遅れるほど関節破壊が進行し、症状が重症化します。(文献2) そのため、医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけることが大切です。 乾癬性関節炎の活動性を抑える治療法 治療法 作用 特徴 適用される症状 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 炎症と違和感を軽減 症状の緩和を目的とし、症状の進行を抑える効果はない 軽度 生物学的製剤(免疫抑制剤) 免疫の過剰な働きを抑え、炎症をコントロールする 関節破壊の進行を抑制する効果が期待できる 中度〜重度 抗リウマチ薬(DMARDs) 関節の炎症を抑え、進行を遅らせる 関節破壊の進行を抑制し、長期的な効果が期待できる 中度〜重度 ステロイド剤(短期間の使用) 強い炎症を一時的に抑えるが、長期使用は副作用のリスクがある 炎症が急激に悪化した際に短期間使用し、医師の指示に従うことが大前提 症状が急に悪化したとき 生活習慣の改善(食事・運動) 栄養バランスの取れた食事や適度な運動が、症状の悪化を防ぐのに役立つ 肥満は関節への負担を増加させるため、体重管理も重要 すべての症状 (文献2) 乾癬性関節炎は、皮膚症状と関節症状(違和感や腫れ、こわばり)の両方に対応し、症状を最小限に抑えることが目標です。 以下の治療法はすべて医師と相談した上で行うことが大前提です。 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 乾癬性関節炎の初期治療では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は関節の違和感や炎症を抑えますが、症状の進行を抑えるものではありません。 非ステロイド性抗炎症薬を3~6カ月間使用しても改善が見られない場合は、他の治療法を検討する必要があります。 生物学的製剤(免疫抑制剤) 生物学的製剤は、特定の炎症性物質(TNF-α、IL-17、IL-23など)の働きを阻害し、炎症を抑制します。生物学的製剤を使用するのは、既存の治療法での改善が難しい場合や、関節破壊のリスクが高いときです。(文献3) 関節症状の改善や関節破壊の進行抑制に効果があるとされているものの、使用は症状や患者の状態によって異なります。アレルギー反応などが見られた場合は、使用を中止し、医師へ相談しましょう。 抗リウマチ薬(DMARDs) 抗リウマチ薬(DMARDs)は、免疫システムの異常な働きを調整し、炎症を抑えることで、関節の腫れや違和感を軽減します。使用タイミングは中度〜重度のときに使用を検討します。 抗リウマチ薬(DMARDs)の中でも、とくにメトトレキサートは、乾癬性関節炎の治療で使用される代表的な治療薬です。 炎症や関節の違和感を抑えるのに役立つ反面、副作用として、吐き気、食欲不振、肝機能障害、骨髄抑制などが現れる可能性もあり、使用する際は定期的な血液検査や診察を受ける必要があります。 ステロイド剤(短期間の使用) ステップ 治療内容 薬剤例 期間 備考 1.初期治療 違和感・炎症の緩和 NSAIDs、ステロイド関節注射 症状に応じて 必要に応じてステロイド注射を併用 2.DMARDs(非ステロイド性抗炎症薬)導入 NSAIDsの効果不十分な場合 メトトレキサート、サラゾスルファピリジンなど 3~6カ月 メトトレキサートが第一選択、副作用で使用不可の場合は代替薬 3.DMARDs(非ステロイド性抗炎症薬)強化/生物学的製剤・JAK阻害薬導入 DMARDsの効果不十分な場合 追加のDMARDs、TNF阻害薬、JAK阻害薬など 3~6カ月 重症度や関節外症状に応じて生物学的製剤・JAK阻害薬を検討 4.生物学的製剤・JAK阻害薬変更 効果不十分な場合 他の生物学的製剤 症状に応じて 薬剤の切り替えを検討 (文献2) ステロイド初期治療では症状に応じて使用されますが、改善が見込めない場合にステップを進めていきます。 ステロイド剤は即効性がある一方、長期使用で骨粗しょう症や糖尿病、感染症のリスクが高まるため、医師の指示に従い最小限の量での服用が大切です。 以下の記事では、ステロイド剤の効果について詳しく解説しています。 生活習慣の改善(食事・運動) 項目 内容 積極的に摂るべき食品 オメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油、チアシード)抗酸化ビタミン(柑橘類、ピーマン、ナッツ、アボカド)食物繊維(野菜、海藻、全粒穀物) 控えるべき食品 糖分・加工食品(清涼飲料水、お菓子、白米・白パン)トランス脂肪酸(ファストフード、スナック菓子)過剰なアルコール・カフェイン おすすめの運動 ウォーキング(20~30分)水中運動(関節の負担軽減)ヨガ・ストレッチ(可動域維持) 避けたほうが良い運動 高負荷筋トレーニング(スクワット・デッドリフト)過度なランニング (文献5)(文献6) 乾癬性関節炎は、生活習慣の改善で完治するものではありませんが、見直すことで症状の悪化をある程度防げます。 食事に関しては、極端に偏らないようにし、体重管理を怠らないようにしましょう。また運動も適度に行うことで、ストレスの軽減や血行促進に役立ちます。 食事も運動も直接的な改善にはならないものの、肥満やメタボリックシンドロームの併発が多いため、日頃の暴飲暴食や運動不足には注意しましょう。(文献6) 以下では糖尿病やメタボリックシンドロームを予防する食事について詳しく紹介しています。 乾癬性関節炎は早めの受診で活動性を抑えよう 乾癬性関節炎は早めの受診で活動性を抑えることが大切です。根本的な治療法は現在の時点では見つかっていないものの、症状のコントロールやある程度の改善は望めます。 乾癬性関節炎の症状にお悩みの方は、無理をせずに当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療を活用し、乾癬性関節炎の回復を促します。 治らない乾癬性関節炎に対しての不安や悩みは「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 乾癬性関節炎を治したい方からよくある質問 乾癬性関節炎は難病指定されていますか? 2025年現在、乾癬性関節炎は難病指定されていません。乾癬性関節炎は難病指定の条件である患者数が少ないことに該当しないため、指定されていない可能性があります。(文献7) しかし、今後も研究が進むにつれて、将来的に指定難病に認定される可能性はあるでしょう。 乾癬性関節炎における仕事を休むべき基準はありますか? 症状が軽度で、職場環境が整っていれば、働き続けることは可能です。リモートワークや負担軽減策を活用できる環境であれば、利用を検討しましょう。 症状が重度の場合は、休職を検討する必要があります。休職する際は以下の手当てが支給される可能性があります。 傷病手当金 障害者年金 高額療養費制度 その他の支援制度 制度を利用するためには、それぞれ条件を満たす必要があります。申請方法や必要書類は、制度によって異なりますので、事前に以下の窓口で確認しましょう。 全国健康保険協会 日本年金機構 お住まいの地域の自治体の窓口 医療機関の相談窓口 参考文献 (文献1) 一般社団法人 日本リウマチ学会「乾癬性関節炎(PsA)」一般社団法人 日本リウマチ学会 ホームページ, 2022年5月22日 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/kansenseikansetsuen/(最終アクセス:2025年3月13日) (文献2) 「乾癬性関節炎(psoriatic arthritis: PsA)」慶應義塾大学病院医療・健康情報サイトKOMPAS ,2024年7月9日 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000611.html(最終アクセス:2025年3月13日) (文献3) Kinanah Yaseen, &Cleveland Clinic(2024)Psoriatic Arthritis,MSD MANUAL professional Version https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/06-%E7%AD%8B%E9%AA%A8%E6%A0%BC%E7%B3%BB%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A8%E7%B5%90%E5%90%88%E7%B5%84%E7%B9%94%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%96%BE%E6%82%A3/%E4%B9%BE%E7%99%AC%E6%80%A7%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%82%8E(Accessed:2025-03-13) (文献4) 谷口 敦夫「乾癬性関節炎をよりよく理解いただくために」『アヴィ合同会社』 pp.1-12, 2023年 https://a-connect.abbvie.co.jp/health_care_workers_agreement.html?returnUrl=%2f-%2fmedia%2fassets%2fpdf%2fproducts%2fhumira%2fpatients_support%2fJP-HUMD-190144.pdf(最終アクセス:2025年3月13日) (文献5) 朝比奈昭彦ほか.「日本皮膚科学会ガイドライン」『乾癬性関節炎診療ガイドライン 2019』 pp.1-59, 2019年 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/PsAgl2019.pdf(最終アクセス:2025年3月13日) (文献6) 株式会社ケアネット「乾癬患者に推奨される食事への介入とは」CareNet,2018年7月11日 https://www.carenet.com/news/general/carenet/46344(最終アクセス:2025年3月13日) (文献7) 厚生労働省「指定難病」2025年 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html(最終アクセス:2025年3月13日)
2025.03.31 -
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関節がこわばり動かしにくい 肘や頭皮に赤みが出ている その症状は、乾癬性関節炎の初期症状かもしれません。関節の違和感や皮膚に出る赤みを放置しておくと重症化する可能性があります。 乾癬性関節炎を早期発見するには、初期症状と対策をしっかり行うことが大切です。 乾癬性関節炎の初期症状 乾癬性関節炎の初期症状を見抜くチェックリスト 乾癬性関節炎を重症化させないための対策 乾癬性関節炎における初期症状を理解したのち、適切な治療で乾癬性関節炎の進行を防ぎましょう。 乾癬性関節炎の初期症状 症状 詳細 爪の症状 点状のへこみ、変形、剥がれ 関節の腫れ・違和感 手足の指、肘、膝、足首など、左右非対称に腫れや違和感 皮膚の赤み・かゆみ 肘、膝、頭皮、腰、臀部などに赤い発疹、かゆみ 腰・背中の違和感 腰痛、背中のこわばり、起床時に症状が強く、日中は軽減 全身の症状 倦怠感、疲労感、発熱 (文献1) 乾癬性関節炎の初期症状には、通常では現れない違和感や腫れなどが発症します。初期症状は人によって現れ方が異なります。 気になる症状があれば、自己判断はせず、医療機関を受診しましょう。 爪に点状のへこみや変形が現れる 症状 詳細 点状のへこみ(点状陥凹) 爪の表面に小さな凹みが多数現れる 爪の変形 爪が分厚くなる、剥がれる、ボロボロになる 爪の色調変化 爪の色が黄色や茶色に変色する 爪の剥離 爪の先端が剥がれて浮き上がる 爪の肥厚 爪が厚く盛り上がる 乾癬性関節炎は皮膚の病気である乾癬と関節炎が合併して起こります。爪に起こる症状の特徴としては、点状のへこみや変形が現れます。 爪に症状が現れる原因は、免疫系の異常です。免疫系が体内組織を攻撃することで、爪の炎症や違和感が現れます。爪に表内記載の症状が現れた際は、早めに医療機関を受診しましょう。 手足の指の関節に腫れが起こる 乾癬性関節炎の種類 詳細 付着部炎(ふちゃくぶえん) 靭帯や腱が骨に付着する部分に炎症が生じ、違和感や腫れを伴う 指趾炎(ししえん) 手足の指全体が腫れ、ソーセージのような見た目になる 末梢関節炎(まっしょうかんせつえん) 関節リウマチと似た症状があるが、左右非対称に現れることが特徴 体軸関節炎(たいじくかんせつえん) 骨盤の関節や脊椎に炎症が生じ、背中・首・腰にこわばりや違和感が出る 乾癬性関節炎の初期症状として、手足の指の関節に腫れや違和感が出る場合があります。関節リウマチと似た症状が現れます。しかし、乾癬性関節炎は左右非対称に症状が出るのが特徴です。 乾癬性関節炎の中にも発症の種類があるため、症状が気になる方は、医療機関を受診しましょう。 肘や頭皮などに赤みが出る 乾癬性関節炎の初期症状として、肘や頭皮などに赤みが出ることがあります。赤みの出方に個人差はあるものの、症状としては、かゆみや赤い発疹などです。 赤みは関節炎より先に出ることもあれば、後から出ることもあります。 乾癬性関節炎は皮膚症状だけでなく、関節の腫れや違和感、爪の変形などが見られるため、複合的に現れた際は、注意が必要です。 腰や背中に違和感を覚える 腰や背中の違和感も、乾癬性関節炎のサインです。脊椎関節炎とも呼ばれており、背骨や仙腸関節(せいちょうかんせつ)に炎症が起こります。 また、背中・腰・首に違和感やこわばりが現れるのが特徴です。皮膚に赤みが出るなどの症状と比較すると、乾癬性関節炎であることに気づきにくく、腰痛と勘違いされやすいです。 症状は見逃しやすいだけでなく、進行すると強直して固まるので上を向く、前かがみになるなどの動作が困難になります。 気づきにくい症状のため、普段腰痛持ちの人や、日頃から腰に負担のかかる作業や仕事に従事している方は注意しましょう。 全身の倦怠感や疲労感 特徴 説明 持続的な疲労感 ほぼ一日中、疲れを感じることがある 発熱や悪寒 発熱や悪寒などの全身症状を伴うことがある 関節の違和感や腫れ 関節の炎症が進むと、違和感や腫れが生じ、倦怠感を伴う 乾癬性関節炎の症状として、全身の倦怠感や疲労感を伴うことがあります。関節の違和感や炎症、皮膚がボロボロになるなどの症状とともに身体の気だるさを感じた場合、乾癬性関節炎の疑いがあります。 生活に支障が出る場合は、無理をせずに医療機関を受診し、生活習慣の見直しやストレスを感じにくい環境に身を置くのが大事です。 乾癬性関節炎を初期から見抜こう!症状チェックリスト チェック項目 概要 関節に違和感を感じる 関節の動きにくさや違和感がある 3カ月間の間に週2回以上関節痛の薬を服用した 頻繁に違和感を抑制するための薬を使用している 腰の違和感で睡眠中に目が醒める 腰の不快感で睡眠が妨げられる 朝起きてから30分以上手指にこわばりがある 朝の手指のこわばりが長時間続く 手首や手指に違和感を感じる 日常の動作で手首や手指に違和感がある 足先や足首に違和感を感じる 足の関節に違和感を覚える ひじやおしりに違和感を感じる ひじやおしりの関節に不快感がある 手首や手指が腫れている 手首や手指の腫れが目立つ 手指が3日以上腫れや違和感を感じる 3日以上手指に腫れや違和感が続いている アキレス腱が腫れている アキレス腱が腫れて違和感もある状態 1日中疲れを感じている 常に倦怠感や疲労感が抜けない 乾癬性関節炎には、初期症状があります。これから紹介するチェックリストの内容が3つ以上当てはまった方は、乾癬性関節炎の疑いがあるため、医療機関の受診が必要です。 1.関節に違和感を感じる 症状 概要 軽いこわばりや違和感 朝起きたときや長時間同じ姿勢の後に、関節のこわばりや違和感がある 関節の動かしにくい 以前はスムーズに動かせた関節が、少し動かしにくく感じる 関節の腫れぼったさ 見た目には腫れがなくても、関節が腫れぼったく感じる 関節の熱感 関節が熱っぽく感じることがある 乾癬性関節炎の初期段階では、関節に違和感が出ることがあります。日常生活で関節の動かしにくさや、見た目は腫れていないのに腫れぼったさを感じる場合は、乾癬性関節炎の疑いがあります。 日常生活で多少不便に感じているものの、大きな支障がない場合はとくに要注意です。症状が進行すると関節の破壊や変形につながる恐れがあります。(文献2) 2.3カ月間の間に週2回以上関節痛の薬を服用した 3カ月間に週2回以上、関節痛の薬を服用しているにもかかわらず症状が改善に向かわないのは、単なる関節痛ではなく、乾癬性関節炎の可能性が高いです。(文献2) 薬を飲んでいるのに改善が望めない場合は、一度医療機関の受診をおすすめします。 3.腰の違和感で睡眠中に目が醒める 乾癬性関節炎は、関節だけでなく、脊椎や仙腸関節に炎症を起こすケースもあります。腰の違和感は腰痛や別の症状と勘違いされることも多く、初期症状としては気づきにくいです。 とくに腰に日常的に違和感を感じている方は、乾癬性関節炎に気づかず、睡眠中に目が覚めたとしても、日常的なことで済ませてしまいがちです。 腰に違和感があり睡眠の妨げになると、健康上でのリスクも懸念されるため、早めに医療機関を受診する必要があります。 4.朝起きてから30分以上手指にこわばりがある 朝の手指のこわばりは、関節に炎症が起きているサインです。関節に違和感や炎症が起きると手指がこわばり、症状によっては30分以上持続するケースもあります。 また、朝の手指のこわばりがストレスになり、症状を悪化させる可能性が懸念されます。朝起きてから30分以上、手指にこわばりが起こる場合は、一度医療機関で医師に相談しましょう。 5.手首や手指に違和感を感じる 症状 詳細 関節の腫れと違和感 指の第一関節(DIP関節)や指全体が腫れる、左右非対称に起こりやすい こわばり 朝起きたときに手首や手指がこわばるが、日中に身体を動かすと症状が軽くなる ソーセージ指 指全体がソーセージのように腫れ上がる 爪の変化 爪の凹み、変色、剥がれなどが起こる 手首や手指に普段見ない爪の変化や、ソーセージ指の症状が現れた場合、乾癬性関節炎を疑う必要があります。 症状が大きく進行している可能性があるため、医療機関への受診が必要です。 6.足先や足首に違和感を感じる 症状 詳細 関節の腫れと違和感 足の指、足首の関節が腫れて、違和感がある 足底の違和感 かかとや足の裏に違和感がある(足底筋膜炎、アキレス腱付着部炎を併発しやすい) 指の腫れ(ソーセージ指) 足の指全体がソーセージのように腫れ、違和感や熱感を伴う 関節のこわばり とくに朝に強く、日中動くと軽減する 乾癬性関節炎は、手指だけでなく、足先や足首の関節にも炎症が起こります。とくに足の指、足首、かかとなどの小さな関節に症状が出やすく、こわばりやソーセージのような腫れが現れます。 手首や手指同様に、症状が大きく進行している可能性があるので、医療機関への受診が必要です。 7.ひじやおしりに違和感を感じる 部位 症状 詳細 ひじ 違和感、腫れ、こわばりなど 外部からの刺激を受けやすく、乾癬の皮膚症状が現れやすい部位であり、関節炎も発症しやすい おしり 違和感、こわばり、坐骨神経痛のような症状 ひじと同様に、乾癬の皮膚症状が現れやすい部位であり、おしりの付け根部分(仙腸関節)は、炎症が起こりやすい ひじやおしりは、乾癬の皮膚症状と関節炎の両方が現れやすい部位です。ひじやおしりも該当箇所による違和感や炎症だけでなく、坐骨神経痛のような症状が出る場合もあります。 とくにおしりはケアがしにくい箇所なので、症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 8.手首や手指が腫れている 症状 詳細 左右非対称性 関節リウマチとは異なり、左右対称ではなく、どちらか一方の手足に症状が現れることが多い 指趾炎(ソーセージ指) 指全体がソーセージのように腫れ上がり、違和感や熱感を伴う 末梢関節炎 手足の指先の小さな関節(末梢関節)に炎症が起こりやすく、腫れや違和感を起こす 爪の変化 爪の変形(凹み、変色、剥がれなど) 手首や手指が腫れる症状は、関節リウマチと似ています。しかし左右対称ではなく、どちらか一方の手足に症状が現れる部分が異なります。 また、爪の変形や指全体が腫れ上がるソーセージ指も、乾癬性関節炎のサインです。手首や手指に普段感じることのない、腫れや炎症が起きた場合は、自己判断はせずに医療機関を受診しましょう。 9.手指が3日以上腫れや違和感を感じる 手指の腫れや違和感が3日以上続く場合、乾癬性関節炎の可能性が高いです。3日以上腫れや炎症が引かない場合に放置しておくと、症状が悪化につながります。 放置や自己判断は、症状を進行させるだけでなく、後遺症になる可能性があるため、早めの治療が大切です。 10.アキレス腱が腫れている 乾癬性関節炎は、関節だけでなく腱や靭帯の付着部にも発症します。アキレス腱が腫れると、踵に違和感が生じ、重症だと歩行が困難になるケースもあります。 アキレス腱の腫れに加えて、関節のこわばりや指の腫れなど他の症状がある場合、乾癬性関節炎の疑いがあり、放置すると歩行が難しくなり、日常生活に支障をきたします。 症状が重くなる前に医師へ相談し、適切な治療を受けましょう。 11.1日中疲れを感じている 項目 詳細 原因 自己免疫疾患による慢性的な炎症や、精神的なストレス 症状 休息や睡眠で回復しない疲労感、日常生活困難なほどの倦怠感 日常生活への影響 仕事、家事、趣味への支障や睡眠の質低下、疲労感悪化 症状の特徴 単なる疲れとは異なる 乾癬性関節炎は、免疫系に異常が起こり、関節や皮膚だけでなく全身に悪影響を及ぼします。 乾癬性関節炎を発症すると、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が過剰に産生され、疲労感や倦怠感を引き起こしやすくなります。 疲労感や倦怠感だけでは、乾癬性関節炎だと判断するのが難しいです。そのため、疲労感と合わせて関節や皮膚に症状が出ていないか確認しましょう。 乾癬性関節炎を重症化させないための対策 乾癬性関節炎は適切な対策を行うことで、活動性を抑えられます。 早めの受診を心がける 生活習慣の見直し ストレス管理を行う 感染予防に努める 乾癬性関節炎への対策を解説します。 早めの受診を心がける 乾癬性関節炎は、早期診断と適切な治療の開始により、関節破壊の進行を抑制できます。 2025年現在、乾癬性関節炎を完治する治療法はありません。しかし、症状の進行を遅らせつつ、重症化を避けることはできます。(文献2)(文献3) 皮膚の炎症や爪の変形などが症状として現れた際は、早めの受診が大切です。 以下の記事では、乾癬性関節炎は何科を受診するべきかを症状別で解説しています。 生活習慣の見直し 栄養素 効果 食材例 オメガ3脂肪酸 炎症抑制 青魚(サバ、イワシ、マグロなど)亜麻仁油、えごま油 抗酸化物質 関節ダメージ軽減 緑黄色野菜、果物、ナッツ類 ビタミンD 免疫機能調整、骨の健康維持 魚介類、卵、キノコ類 カルシウム 骨の健康維持 乳製品、小魚、緑黄色野菜 食物繊維 腸内環境調整、免疫機能調整 野菜、果物、海藻、きのこ (文献4)(文献5) 生活習慣の見直しは、乾癬性関節炎の症状の抑制に役立ちます。抗炎症作用のある食品(青魚、野菜、果物など)を中心とした食生活を始め、適度な運動や十分な睡眠と休息を行いましょう。 また、禁煙と過度な飲酒は、乾癬性関節炎のリスクを高める可能性があります。 生活習慣の改善はあくまでも、補助的なものなので、医師の指示に従い適切な治療を受けましょう。 以下では症状を予防する食事について詳しく紹介しています。 ストレス管理を行う ストレスや生活習慣などの環境要因で、乾癬性関節炎を悪化させる可能性があります。 ストレスは炎症性サイトカインと呼ばれる物質の分泌を促し、関節や皮膚の炎症を悪化させます。そのため、ストレスの少ない環境で治療を行うのが大切です。 精神的なもの以外にも暴飲暴食など、無意識に身体に与えるストレスにも注意が必要です。ストレスを抱え込まない、十分な睡眠やリラックスできる環境を行いましょう。 感染予防に努める 対策項目 詳細 手洗い・うがい 外出後、食事前、トイレ後などは徹底して行う マスクの着用 飛沫感染のリスクを軽減 予防接種 医師と相談の上、適切な予防接種を受ける 規則正しい生活 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など 早期受診 発熱、咳、喉の違和感などは、早めの受診を心がける 乾癬性関節炎は、免疫系の異常によって引き起こされる自己免疫疾患の1つです。免疫機能が過剰に活性化している影響で、感染症に対する抵抗力が低下している可能性があります。(文献2) 感染症を防止するには、手洗いやうがいを徹底し、規則正しい生活を送ることが大切です。 また、乾癬性関節炎の治療では免疫抑制薬が使用されることが多く、感染症にかかりやすくなるリスクがあるため、医師の指示に従った感染症対策が重要になります。 乾癬性関節炎に限らず、発熱、咳、喉の違和感が生じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 乾癬性関節炎は初期症状の段階で受診しよう 乾癬性関節炎は初期症状の段階で、医療機関を受診するのが大切です。乾癬性関節炎を完治する治療法は確立されていませんが、症状の活動性を抑制し、進行を抑えることはできます。 乾癬性関節炎の初期症状だと感じた方は当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 再生医療を活用し、乾癬性関節炎の進行を抑え、回復を促します。乾癬性関節炎ではないかとお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 高山かおるほか.「手湿疹診療ガイドライン」『日本皮膚科学会ガイドライン』pp.1-20,2008年 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/Hand_eczema_GL.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献2) 「乾癬性関節炎(psoriatic arthritis: PsA)」慶應義塾大学病院医療・健康情報サイトKOMPAS ,2024年7月9日 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000611.html(最終アクセス:2025年3月14日) (文献3) 厚生労働科学研究費補助金「乾癬性関節炎の不可逆的関節破壊進行阻止のための早期発 見と治療を目指した診療ガイドライン策定に関する研究 」2019年 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2018/201811014B.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献4) S Upala,&A Sanguankeo(2015).Effect of lifestyle weight loss intervention on disease severity in patients with psoriasis: a systematic review and meta-analysis.PudMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25920774/ (Accessed: 2025-03-14) (文献5) Céline Phan, MD,et al.(2018)Association Between Mediterranean Anti-inflammatory Dietary Profile and Severity of PsoriasisResults From the NutriNet-Santé Cohort,JAMA,Network https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2687981#google_vignette (Accessed: 2025-03-14)
2025.03.31 -
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「歩けるけど痛い。これって肉離れなの?」と不安に思っていませんか? 肉離れは、筋肉が部分的に損傷するけがで、重症度によっては歩行が可能なケースもあります。しかし、「歩けるから大丈夫」と油断すると、悪化や再発のリスクが高まることもあるため要注意です。適切な処置を行うことで、早期回復につながります。 本記事では、肉離れで歩けるけど痛い場合の原因や対処法、早く治すためのポイントを詳しく解説します。正しい知識を身につけて、無理なく回復を目指しましょう。 【基礎知識】肉離れとは 肉離れは、筋肉が部分的または完全に損傷する怪我であり、急激な動きや過度の負荷によって発生します。スポーツ活動中に多く見られますが、日常生活の中でも突然の動作や無理な姿勢によって起こることがあります。 とくに太ももの裏側(ハムストリングス)やふくらはぎ(下腿三頭筋)に発生しやすく、急な痛みや腫れ、内出血などを伴います。症状の程度は軽度の筋繊維の損傷から完全断裂までさまざまです。 適切な初期対応としては、RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)が基本です。重症度によっては医療機関での診察が必要で、完全な回復には適切なリハビリテーションと十分な休養期間が欠かせません。再発予防のためには、ウォームアップやストレッチを習慣づけることが重要です。(文献1) 歩けるけど痛い肉離れの状態 歩行時に痛みを感じるものの歩ける状態は、軽度の肉離れの可能性が高いといえます。しかし、この段階で無理をすると症状が悪化する恐れがあるため、細心の注意が必要です。 肉離れは以下のように分類されます。 重症度 状態 軽度(1度) 筋肉のわずかな損傷 中度(2度) 筋肉、筋膜の一部断裂状態。皮下出血や患部のへこみが見られる場合がある 重度(3度) 筋繊維や筋膜の断裂。患部のへこみが明確に確認できる (文献2) 軽度であっても適切な処置を怠ると、より重症化する可能性があります。痛みを感じた場合は早めに安静にし、冷却などの応急処置を行いましょう。 自己判断で放置せず、専門医による適切な診断と治療を受けることが、完全回復への近道となります。痛みが持続する場合は、迷わず医療機関の受診をおすすめします。 肉離れで歩けるけど痛いときの対処法 肉離れを起こした際は、RICE処置が効果的な応急処置としておすすめです。 Rest(安静):無理に歩かず、患部を休ませる Iceing(冷却):アイシングを行い、炎症を抑制する Compression(圧迫):テーピングやサポーターで患部を固定する Elevation(挙上):足を心臓より高い位置に保ち、腫れを防ぐ 少し痛いけど歩けるから大丈夫といった考えは危険です。症状が軽いうちに適切な対応をしないと、再発リスクが高まります。痛みがあるにもかかわらず無理に活動を続けると、治癒が遅れる可能性があります。 軽度の肉離れであっても、初期の適切な対応が肝心です。痛みを感じたら早めに処置を行い、必要に応じて医療機関の受診が重要です。完全に回復するまで段階的に活動を再開するよう心がけましょう。 肉離れを早く治すポイント 肉離れは損傷の程度によって治療が異なりますが、回復を促進する重要なポイントがいくつかあります。効果的な回復を目指すためには、以下の3つの側面からのケアが不可欠です。 ストレッチやリハビリ 食事 再生医療(PRP療法) 損傷の程度や回復段階に合わせて適切に組み合わせると、早期回復を目指せます。 ストレッチやリハビリ 軽度から中度の肉離れでは、適切なタイミングで軽いストレッチを行うことで回復を促す効果があります。筋肉の柔軟性を維持し、血行促進や筋繊維の再生を促し、治癒を早めるのです。 しかし、ストレッチやリハビリテーションの開始時期や運動強度を、自己判断しないことです。不適切なタイミングや強度でのストレッチは、損傷した筋組織にさらなる負担をかけ、治癒を遅らせたり症状を悪化させたりする恐れがあります。 医師や理学療法士などの専門家に相談し、個々の状態に合わせた適切なリハビリテーションのプランを立ててもらうことが必須です。肉離れの回復のためには、専門家の指示に従いましょう。 食事 肉離れの予防および治療過程では、適切な栄養摂取が筋組織の修復と強化に重要な役割を果たします。タンパク質の十分な摂取は、損傷した筋繊維の再生と強化に不可欠です。良質なタンパク質源として鶏肉、魚、卵、乳製品、豆類などを積極的に食事に取り入れましょう。 ビタミン類も肉離れの回復をサポートします。ビタミンはコラーゲン生成を促進し、筋機能の維持を助けます。カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルは筋肉の修復に必要不可欠です。(文献3)(文献4) 栄養素をバランスよく摂取すれば、肉離れからの回復が促されるだけでなく、再発リスクも低減できます。ただし、サプリメントに頼る前に、まずはさまざまな食品から自然な形での栄養摂取が基本です。 再生医療(PRP療法) PRP(多血小板血漿)療法は、患者自身の血液から抽出した血小板を高濃度に濃縮し、損傷部位に直接注入する再生医療の一種です。血小板には組織修復を促す物質が豊富に含まれており、患部に直接注射するため治療に効果が期待できます。 肉離れに対するPRP療法は、筋線維や筋膜の修復を加速させるでしょう。従来の保存療法で回復が遅い症例や、中度から重度の損傷に対して有効性が報告されています。PRP注入により、損傷部位の炎症を抑制しながら組織再生を促進し、修復と機能回復を目指します。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 肉離れと間違えやすいケガ一覧 肉離れの症状は、ほかの部位のケガと似ている場合があり、適切な治療のためには正確な診断が重要です。注意すべき紛らわしいケガには以下の3つがあります。 筋肉痛 靭帯損傷 アキレス腱断裂 それぞれ発症の状況や治療法が異なるため、症状が似ていても医師による正確な診断が必要です。 筋肉痛 筋肉痛と肉離れは、しばしば混同されやすいものの、発症時期や症状に明確な違いがあります。 筋肉痛は、一般的に運動後の12〜48時間経過してから徐々に痛みが現れる「遅発性筋痛」の特徴を持ちます。これは筋繊維の微小損傷による炎症反応が原因で、外観上の変化はほとんど見られません。通常は数日間で自然に回復します。 肉離れは受傷と同時に即座に痛みを感じるのが特徴です。これは筋線維や筋膜が急激に損傷するために起こります。さらに特徴的なのは、皮下出血による紫色や青色の変色、また筋繊維の断裂により筋肉にくぼみが現れる場合があることです。 発症時期と外観の違いは、自己判断の場合のチェックポイントになります。即時に強い痛みを感じ、外観に変化がある場合は肉離れの可能性が高く、早急な医療的対応が必要です。 靭帯損傷 靭帯損傷は、関節を安定させる重要な結合組織が過度に伸びたり、部分的あるいは完全に断裂したりするために生じる外傷です。主な症状として、受傷直後からの強い痛みと、速やかに現れる腫れが特徴的です。 痛みは非常に強烈であるため、患者は損傷部位周辺の関節や筋肉をほとんど動かせないことがあります。このような可動域の著しい制限は、靭帯損傷の重要な特徴の1つです。(文献5) 損傷の程度によっては、関節の不安定性やきしみ音を伴うこともあり、足首や膝などの荷重関節では、体重をかけることが困難になることも少なくありません。 靭帯損傷が疑われる場合は、自己判断での運動再開を避け、医療機関での診断と治療を受けることが重要です。 アキレス腱断裂 アキレス腱断裂は、下腿三頭筋と踵骨(かかとの骨)を連結する人体最大の腱であるアキレス腱が切れる深刻な外傷です。受傷時には、非常に特徴的な症状が現れます。 多くの人は断裂瞬間に「バチッ」「パチン」といった音を聞く場合もあり、後ろからかかとを強く蹴られたような感覚を経験します。続いて足首からふくらはぎにかけての激痛が走ります。 動作の特徴として、通常の歩行は可能であっても、つま先立ちができなくなることが挙げられます。アキレス腱はつま先を下に向ける動きに必要であるためです。(文献5) このような症状がある場合は、早急に整形外科を受診しましょう。適切な治療が遅れると、回復に要する時間が長くなる可能性があります。 肉離れで歩けるけど痛いときに病院にいくべき判断ポイント 肉離れにおいて、歩けるから大丈夫といった自己判断は非常に危険です。たとえ歩行可能な軽度の肉離れであっても、医療機関での受診をおすすめします。理由は、適切な治療が回復に大きく影響するためです。 軽度と思われる症状であっても、専門家の目で評価されない限り、その損傷の状態を正確に判断するのは難しいためです。自己判断で経過観察を選択すると、治療の適切なタイミングを逃がし、症状が悪化する可能性があります。 以下のような場合は受診を考えましょう。 痛みが24時間以上続く 患部に腫れや内出血がある 通常の動作で痛みが増す 過去に肉離れを経験している 初期段階での適切な診断と処置は、回復期間の短縮や再発リスクの低減、筋肉の機能維持につながります。最終的には、専門家の判断に従いましょう。(文献6) 歩けるけど痛い肉離れでも病院を受診しよう 肉離れの疑いがある場合は、症状の程度にかかわらず、迅速な医療機関の受診をおすすめします。歩けるから大丈夫といった判断は、肉離れの治療において誤った判断となります。痛みを感じながら歩行可能な状態であっても、決して自己判断で経過観察をしてはなりません。 医師による適切な診断は損傷の正確な状態を把握し、患者本人に合った治療計画を立てる上で不可欠です。早期の適切な処置は、回復期間の短縮だけでなく、再発防止や今後の筋肉状態の維持にも関わります。 肉離れと思われる症状を感じたら、様子を見ようと考えるのではなく、早めの受診を心がけましょう。一見軽度に思える症状でも、医師が診察すると予想以上の損傷が見つかる場合もあります。 自分の身体を大切にし正しい判断を仰ぐことが、スポーツ復帰への最短ルートです。 肉離れでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 文献1 医療法人社団 信愛会 瀬戸整形外科クリニック「肉離れの応急処置、および、治療&予防方法」瀬戸整形外科クリニックホームページ https://setoseikei.com/2024/10/21/first-aid-for-separation-of-the-flesh/(最終アクセス:2025年3月16日) 文献2 MSD「捻挫およびその他の軟部組織損傷の概要」MSDマニュアルプロフェッショナル版,2023年7月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/22-%E5%A4%96%E5%82%B7%E3%81%A8%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E8%BB%9F%E9%83%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E6%90%8D%E5%82%B7/%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E8%BB%9F%E9%83%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E6%90%8D%E5%82%B7%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81?query=%E7%AD%8B%E6%8C%AB%E5%82%B7(最終アクセス:2025年3月16日) 文献3 城西大学「アスリート・運動をする人が摂るべき栄養素やサプリメントについて解説」JOSAI★LAB,2024年12月27日 https://www.josai.ac.jp/josai_lab/692/(最終アクセス:2025年3月16日) 文献4 TENTIAL「肉離れからいち早く回復するための食事とは?必要な栄養素を解説」TENTIALホームページ,2021年2月23日 https://tential.jp/journals/others/flesh_away/010(最終アクセス:2025年3月16日) 文献5 あらおと整形クリニック「靭帯損傷・腱断裂・肉離れ」あらおと整形クリニックホームページ http://www.araoto.net/wound/ligament.html(最終アクセス:2025年3月16日) 文献6 森整形外科リハビリクリニック「肉離れ」森整形外科リハビリクリニックホームページ https://www.moriseikei.or.jp/weaned-off-meat/(最終アクセス:2025年3月16日)
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太ももが少し痛いんだけど、肉離れかな 昨日サッカーした時に足が痛くなったけど、軽い肉離れになったかも 肉離れは、筋肉の一部または全体の組織の断裂をいいます。激しくスポーツする人や、久しぶりに体を動かした人などが受傷する場合が多いです。 本記事では、軽度の肉離れの症状や原因、治療法などを詳しく解説します。治療期間や早く治す方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 軽度な肉離れとは 軽度の肉離れは筋肉の一部が損傷している状態です。症状は比較的軽く、多くの場合は適切な休息と処置で回復します。肉離れの瞬間、「プチっ」といった音が聞こえることがありますが、これは筋肉が断裂する音です。 肉離れは筋肉の断裂状態によって重症度が変わります。 重症度 特徴 軽症 筋肉の細かな損傷 中等症 筋肉の部分的な断裂 重症 筋肉の完全な断裂 (文献1) 以下の筋肉で肉離れが多くみられます。それぞれの部位ごとの重症度を説明します。 重症度 大腿四頭筋 ハムストリングス 腓腹筋 軽症 うつ伏せで膝を90度以上曲げられる 仰向けで膝をまっすぐ伸ばし脚を70度位まで上げられる アキレス腱を伸ばすと若干の痛みがある 中等度 うつ伏せで膝を45度~90度曲げられる 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばし脚を30度~70度位まで上げられる アキレス腱を伸ばすと強い痛みがあり、膝を曲げた状態で行うと痛みが弱くなる。つま先立ちができる 重症 うつ伏せで膝を45度位まで曲げられる 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばし脚を30度位まで上げられる 膝を曲げた状態でもアキレス腱を軽く伸ばしただけで強い痛みがある。つま先立ちができない (文献2) 軽度と思っていても重症だった場合もあるため、適切な診断と治療のためには専門医に診察してもらいましょう。 肉離れの原因 ここからは、以下のような肉離れの原因を紹介します。 急な動作 筋肉疲労 準備運動不足 水分不足 急な動作 肉離れは、急激な筋肉への負荷が原因で発生する筋肉の損傷です。急なダッシュやジャンプなどの瞬発的な動作時に、筋肉がその急激な負荷に対応できなくなった際に起こります。 急な動作で筋肉に過度のストレスがかかることにより、筋肉の一部が切れたり裂けたりします。筋肉が本来の伸縮性の限界を超えて強制的に引き伸ばされると、耐性を超えてしまい損傷が生じるのです。 肉離れはとくにスポーツ活動中に多く見られ、ウォーミングアップ不足は危険要因となります。急な動作をしようとせず、適切な準備運動やトレーニングをしましょう。 筋肉疲労 筋肉の疲労は肉離れのリスク因子です。疲労状態の筋肉は正常な収縮・弛緩パターンを維持できず、急激な負荷に対して適切に反応できなくなります。能力が低下した状態で瞬発的な動きを行うと、筋肉が損傷するリスクが高まるでしょう。 十分な休息なく運動を継続すると、肉離れの危険性が増します。運動後にはストレッチやクーリングを行い、筋肉の疲労回復を促します。 十分な休息と回復時間の確保が重要なため、トレーニングスケジュールに回復日を組み込み、筋肉の過労を避ける対策をしましょう。 準備運動不足 適切なウォーミングアップとストレッチは、肉離れの予防において大切な役割を果たします。準備運動を怠ると、筋肉は十分な血流を得られず硬い状態のまま活動しなければなりません。 硬いままの筋肉は柔軟性が低下し、急激な動きや強い負荷に対して適応しにくくなります。通常なら対応できるはずの力にも耐えられなくなり、筋肉の断裂リスクが高まるでしょう。 効果的な準備運動は体温の上昇と、筋肉の伸縮を促します。適切なストレッチをすると筋肉を柔らかい状態に保てるため、安全に運動できるようになるでしょう。軽い有酸素運動の後、それぞれの筋肉に対する動的ストレッチを行うと、肉離れのリスクを大幅に減少できます。 水分不足 体内の水分不足は肉離れの発生リスクを高める原因となりますが、水分摂取は肉離れ予防において見過ごされがちです。 筋組織は約75%が水分で構成されており、適切な水分レベルは筋肉の正常な機能と柔軟性の維持に必要不可欠です。脱水状態になると筋肉内の水分が減少し、筋力低下や疲労感、けいれんなどを引き起こします。(文献3) 強度の高い運動や暑い環境での活動時には、発汗により水分不足が急速に進むため注意が必要です。運動前、運動中、運動後の水分補給は、筋肉の機能を適切に保ち、肉離れのリスクを軽減するための基本的な対策です。 軽度な肉離れの症状 軽度な肉離れは、受傷の瞬間に特徴的な「プチッ」といった音が聞こえることがあり、これは筋肉が部分的に断裂する音です。 軽度な肉離れの症状は以下のとおりです。 損傷部位は痛むが動くことはできる 損傷部位を押すと痛む 関節を動かしたときに強く痛む 皮膚上からもわかるへこみ 内出血 軽度な肉離れからの回復は、適切な処置と休息により、通常1〜2週間程度で日常生活に支障をきたさないレベルまで回復します。筋組織の完全な修復と機能回復にはより期間が必要な場合もあり、スポーツ活動への完全復帰には慎重に経過観察しなければなりません。 早期の無理な活動再開は、再発リスクを高めるため注意しましょう。 軽度な肉離れを早く治す治療法 軽度な肉離れは、対処方法によって回復が早くなる場合があります。ここからは、以下のような軽度な肉離れを早く治す治療法を解説します。 RICE処置 リハビリ PRP療法 RICE処置 軽度の肉離れを早く治すにはRICE処置が効果的です。これはRest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取った言葉です。それぞれの処置の方法は、以下のようになります。 治療法 具体的方法 安静 (Rest) 損傷部位の使用を最小限に抑える 冷却 (Icing) 20分間の氷湿布を繰り返す 圧迫 (Compression) 弾性包帯やテーピングで適度に圧迫 挙上 (Elevation) 損傷部位を心臓より高い位置に上げる (文献2) 初期対応を適切に行うと、肉離れからの回復期間が短縮でき機能回復につながります。ただし、症状が重い場合や改善が見られない場合は、医師の診察を受けましょう。 リハビリ 軽度の肉離れでは、RICE処置による急性期の対応後、リハビリが回復において極めて重要になります。受傷後3〜5日経過して痛みや腫れが落ち着いてきていれば、リハビリの開始に適した時期といえます。(文献4) リハビリでは、修復しつつある筋肉に対して適切な刺激を与え、組織の再生や機能を回復させることが目標です。リハビリは患者さん一人ひとりの症状に合わせて段階的に進められます。最初は軽度の痛みを感じない範囲での静的ストレッチから始め、徐々にダッシュやジャンプなど強度を増していきます。 専門家の指導の下でリハビリを行えば、無理なく効果的な回復が期待できるでしょう。 PRP療法 PRP(多血小板血漿)療法は、肉離れの先進的な治療です。PRP療法では、患者自身の血液から高濃度の血小板を含む血漿を分離し、損傷した筋組織に直接注入します。血小板には多くの成長因子が含まれており、筋組織の再生と修復を促進します。 PRP療法は、従来の保存療法に反応が乏しい慢性的な肉離れや、競技復帰を早める必要がある選手に考慮されるケースが多いです。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 軽度な肉離れの治療期間 軽度の肉離れは筋肉の細かな損傷であり、完全な断裂ではありません。適切な処置と休息により、1〜2週間程度で回復します。 軽度な肉離れは、急激な動きや過度の負荷により筋肉が耐えられる限界を超えてしまい、筋肉の一部が断裂した状態です。部分的な損傷に留まるため、機能が完全に失われている状態ではありません。 症状としては損傷部位に限定した痛みや、圧迫時の痛みが特徴的です。軽度の内出血や腫れを伴うこともありますが、自力歩行や基本動作は可能な状態です。 症状の消失後も再発防止のため、段階的なリハビリテーションを通じて筋力と柔軟性を徐々に回復させる必要があります。十分に回復期間を確保して、将来にわたり安心してスポーツのできる筋肉を保っていきましょう。 軽度な肉離れを正しく理解し適切な対処と予防を心がけよう 軽度な肉離れは筋肉の細かな損傷で、急激な動きや過度の負荷により発生します。受傷時には「プチッ」といった音が聞こえる場合があり、局所的な痛みや圧痛、軽度の内出血やへこみが特徴です。基本的な動作や歩行は可能ですが、関節を動かすと痛みが増強します。 対処法としては、RICE処置が最も効果的です。急性期の症状が落ち着いた後は、適切なリハビリを通じて、段階的に筋力と柔軟性を回復させましょう。通常1〜2週間で日常生活に支障のないレベルまで回復しますが、完全な治癒にはより長い時間を要します。 予防には、十分なウォーミングアップや適切な水分補給、筋肉疲労時の休息が効果的です。過去に肉離れを経験した部位は再発しやすいため、筋力トレーニングと柔軟性を向上しましょう。 肉離れでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 軽度な肉離れに関するよくある質問 肉離れが軽度の場合はお風呂に入っても問題ありませんか? 軽度の肉離れでも入浴時の注意が必要です。肉離れ直後は筋肉に炎症が生じており、血行を促進する入浴は避けるべきとされています。入浴によって炎症が悪化する可能性があるため、受傷後2~3日はシャワーのみがおすすめです。 この期間は患部を温めず、安静にして炎症の悪化防止が回復への第一歩です。医師の指示に従い、適切な処置と休息を取れば、肉離れからの回復を早められます。 軽度な肉離れでもテーピングした方が良いですか? 軽度の肉離れに対してもテーピングは効果的です。テーピングは予防や応急処置としてだけでなく、患部保護と再発リスク軽減にもなります。 軽度の肉離れでは、テーピングが筋肉の動きをサポートするため、炎症の広がりを防止できます。適切にテーピングして痛みを和らげながら回復を促進し、日常生活への早期復帰につなげましょう。 肉離れが軽度の場合自然に治癒しますか? 軽度の肉離れは筋肉の細かい損傷が特徴で、自然治癒が可能です。完治までは1〜2週間程度が必要です。受傷直後は安静にし、RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)を適切に行い回復を促します。 しかし、自己判断で軽度と思っていても実際には中度な損傷の可能性もあるため、自然治癒を期待する場合でも医療機関の受診がおすすめです。医師による適切な診断とアドバイスが、回復への近道となるでしょう。 参考文献 文献1 伊藤超短波株式会社「肉離れとはどんな症状?原因や対処法も合わせて解説」伊藤超短波株式会社ホームページ https://www.wellness.itolator.co.jp/column/003.html(最終アクセス:2025年3月18日) 文献2 三笠製薬株式会社「3.スポーツ外傷の応急処置(RICE処置)」三笠製薬株式会社発行資料 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s03.pdf(最終アクセス:2025年3月18日) 文献3 あまん整体院・接骨院「水分と筋肉の関係について」あまん整体院・接骨院ホームページ https://www.amanseitaiin.com/post/%E6%B0%B4%E5%88%86%E3%81%A8%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6(最終アクセス:2025年3月18日) 文献4 社会医療法人 松田整形外科記念病院「理学療法科(リハビリテーション)」松田整形外科記念病院ホームページ https://matsuda-oh.com/rehabili/lowerlimbs_4124(最終アクセス:2025年3月18日)
2025.03.31 -
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スポーツをしていたら急に足に激しい痛みが走ったけど肉離れなのかな 肉離れになったら、まずどんな応急処置をすれば良いの 上記のような疑問をお持ちの方もいるでしょう。 肉離れは突然起こることが多く、痛みや腫れ、内出血などを引き起こします。適切に対処しないまま放置すると、回復が遅れるだけでなく再発のリスクも高まってしまう可能性があるため要注意です。 本記事では、肉離れを疑ったときの応急処置方法から、治療の流れ、予防のポイントまでを解説します。肉離れになったときの応急処置がわからないと考えている方は、ぜひご覧ください。 肉離れの応急処置 肉離れの応急処置には、RICE処置が効果的です。これはRest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取った言葉です。(文献1) ケガをした直後にRICE処置を適切にすれば、症状の悪化を防ぎ、回復を早められます。医療機関を受診する前に、まずはこの基本的な処置をしましょう。 ここからはRICEの4つの処置について、詳しく説明していきます。 安静 肉離れを起こした際、重要な処置の一つが安静です。安静とは、損傷した筋肉を無理に動かさずに十分に休ませることを意味します。 肉離れは筋繊維の部分的な断裂や損傷が起こっている状態です。さらに筋肉を使い続けると、断裂箇所が大きくなり、より深刻な損傷へと進行する恐れがあります。(文献1)つまり、軽度の肉離れが中度や重度へと悪化する可能性が高まるのです。 安静を保つことで、傷ついた筋繊維が自然治癒するための準備を整えられます。受傷直後の数日間は、痛みのある動作を避け、患部への負担を最小限に抑えることで回復へ近づきます。 医師の指示に従いながら、適切な安静期間を設けましょう。 冷却 肉離れが発生すると、筋繊維の断裂によって組織が炎症を起こし、腫れや内出血が生じます。このとき冷却をすると、症状を効果的に抑えられます。 冷却は、血管を収縮させる作用があり、出血量の軽減、腫れの抑制、痛みの緩和に効果的です。受傷後できるだけ早く冷却を始めましょう。 具体的な冷却方法としては、氷や保冷剤をビニール袋に入れ、薄いタオルで包んでから患部に当てます。直接皮膚に氷を当てると凍傷のリスクがあるため、必ず布などを間に挟みましょう。1回のアイシングは15~20分程度が目安で、その後は再び痛くなったら冷却を数回繰り返します。(文献2) 受傷後24〜48時間は冷却がとくに効果的ですが、その後も痛みや腫れが続く場合は継続してみましょう。(文献3) 圧迫 肉離れを起こした筋肉には、適切な圧迫処置が効果的です。テーピングや弾性包帯を使って患部に適度な圧力をかけると、内出血や腫れの進行を抑制できます。圧迫は毛細血管からの出血を最小限に抑え、過剰な浮腫(むくみ)を防ぐ働きがあります。 太ももの肉離れの場合、具体的な圧迫方法としては、まず弾性包帯とパットが必要です。包帯を巻く前に、患部が清潔で乾いていることを確認してください。パッドを患部に当て、弾性包帯でらせん状に巻いていきます。 圧迫は強すぎず弱すぎない適度な強さで行います。血行不良の兆候(しびれ、皮膚の色の変化、冷感など)が現れた場合は、すぐに緩めましょう。(文献3) 挙上 肉離れが発生した場合、患部を心臓より高い位置に保つ挙上をしましょう。挙上すると、心臓に向かって血液が流れるため、腫れや炎症を効果的に抑制できます。 具体的な挙上方法としては、太ももの肉離れの場合、仰向けに寝た状態で患部の下に枕やクッションを何個か重ねて配置し、脚全体が心臓より高くなるようにします。ソファや椅子に座る場合は、別の椅子やスツールを使って脚を高く上げるようにしましょう。(文献3) 挙上は腫れが続く限り、可能な限りの継続が望ましいです。就寝時も枕を使って患部を少し高くすると、夜間の腫れを軽減できます。 他のRICE処置(安静・冷却・圧迫)と組み合わせると、肉離れの回復には効果的です。ただし、痛みを伴う無理な姿勢での挙上は避けましょう。 肉離れにおける応急処置後の治療方法 肉離れの治療の基本となるのが安静です。痛みを感じる動作を控え、患部の負担を軽減します。湿布薬の使用も効果的で、消炎鎮痛作用のある成分が含まれた湿布を患部に貼ると、痛みや炎症を和らげられます。 消炎鎮痛作用のある塗り薬を患部に塗布したり、医師の処方による内服薬の服用も症状改善につながります。 肉離れは適切な治療とリハビリを行わないと再発しやすい特徴をもちます。完全に回復するまでには一般的に4週間程度かかり、その間は適切なケアが重要になります。(文献4) 近年、注目されている治療法の一つが再生医療のPRP療法です。PRP療法は患者自身の血液から血小板を高濃度に濃縮した血漿を抽出し、損傷部位に直接注入する方法です。血小板に含まれる成長因子が組織修復を促進し、自然治癒力を高める効果が期待できます。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 肉離れの予防方法 肉離れはスポーツの場面で起こることが多いですが、予防が可能です。ここからは、肉離れの予防方法について解説します。 身体を温める 肉離れを予防するには、筋肉の冷えを防ぐことが重要です。体温が低下すると筋肉も冷えてしまい、柔軟性や弾力性が失われて伸縮性が低下します。このような状態で急に強い力をかけたり、無理な動きをしたりすると、筋繊維が断裂して肉離れを起こしやすくなります。 冬場や冷房の効いた室内、運動前の体が十分に温まっていない状態では注意が必要です。予防のためには、運動前の十分なウォームアップが欠かせません。具体的には、軽いジョギングやその日使う筋肉を意識した動的ストレッチが効果的です。また、日常的に適切な服装で体を冷やさないよう心がけ、入浴での全身の血行促進も効果的です。 運動時には保温性のある適切なウェアを着用し、屋外での活動時には天候や気温に合わせた服装を心がけましょう。体を温めると筋肉の柔軟性が保て、肉離れのリスクを軽減できます。 十分にストレッチをする 肉離れの主な原因の一つに、運動前の準備不足が挙げられます。日頃から運動習慣がない方は筋肉が硬くなっており、急に激しい動きをすると筋繊維が断裂しやすくなります。運動不足の状態から突然激しい運動をすると、肉離れのリスクを大幅に高めることになるでしょう。 肉離れのリスクを軽減するには、運動前に適切なストレッチをして、筋肉を十分にほぐすことが重要です。ストレッチにより筋肉の柔軟性が向上し、急な動きや負荷にも対応できるようになります。普段使わない筋肉を使う運動をする場合は、その部位を重点的にストレッチすると、肉離れの予防効果が期待できます。 肉離れの起きやすいふくらはぎやハムストリングス、太ももを中心にストレッチしましょう。 無理な動作をしない スポーツ活動中に肉離れを起こす主な原因の一つは、無理な動きや急激な負荷です。競技中の勝負へのこだわりや、自分の限界を超えた無理な動きは筋肉に過度の負担をかけ、肉離れのリスクを高めます。 自分の体力や筋力の限界を理解し、段階的に運動強度を上げていきましょう。また、疲労が蓄積している状態では、筋肉が適切に機能せず、負荷に耐えられなくなるため注意が必要です。 指導者がいる環境では、正しい技術や体の使い方を学ぶと肉離れ予防に効果的です。専門知識を持った指導者からフォームの指導を受けると、筋肉への不必要な負担を軽減できます。初心者や若年層のアスリートは、基本的な動作をていねいに学ぶと、将来的な肉離れのリスクを減らせます。 無理をせず、適切に体を動かし、安全にスポーツを楽しみましょう。 しっかりと休息を取る 十分な休息は肉離れ予防において非常に重要です。過度なトレーニングや連続した運動により休息時間が不足すると、筋肉が常に緊張状態となり硬くなってしまいます。緊張状態では筋肉の弾力性が低下し、わずかな負荷でも肉離れを起こすリスクが高まります。 また、精神的なストレスも筋肉の緊張を引き起こす要因です。ストレスを感じると身体は自然に緊張し、筋肉も硬くなりやすい状態になります。メンタル面のケアも肉離れ予防には欠かせません。 適切な休息日を設けると、筋肉は本来の柔軟性を取り戻しリラックスした状態になります。次の運動時に筋肉が適切に伸縮できるようになり、肉離れのリスクを軽減できます。 日常から身体を動かしておく 運動不足が続くと筋肉が徐々に硬くなり、柔軟性が失われていきます。このような状態では、特別な運動をしなくても、日常生活の何気ない動作で突然肉離れを起こすリスクが高まります。 肉離れを予防するためには、定期的な軽い運動が効果的です。ウォーキングや軽いジョギングは、筋肉に過度な負担をかけることなく血流を促進し、筋肉の柔軟性を維持するのに適しています。(文献5) 軽い有酸素運動を日常に取り入れれば、筋肉が硬くなるのを防ぎ、健康的な身体機能を維持できます。 肉離れは応急処置の有無が早期回復のカギ 肉離れを起こした直後の適切な応急処置は、回復期間を大きく左右します。発症直後のRICE処置が重要です。 初期対応を怠ると、症状が悪化して回復が遅れる可能性があります。逆に適切な応急処置をすれば、治癒過程がスムーズに進み、早期回復につながります。 肉離れでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 肉離れの応急処置に関するよくある質問 ここからは、肉離れの応急処置に関するよくある質問を紹介します。 肉離れの応急処置にテーピングは効果的ですか? 肉離れの応急処置として、テーピングは効果的な方法です。適切にテーピングすると患部が圧迫されるため、内出血の広がりを防ぎ、炎症の拡大を抑制する働きもあります。組織のダメージを最小限に抑え、結果として回復期間の短縮につながります。 テーピングは簡単でありながら、肉離れの初期対応として非常に重要な役割と言えるでしょう。 肉離れの応急処置に湿布は効果的ですか? 肉離れの応急処置として冷湿布は効果的です。冷湿布は患部を適度に冷却し、炎症や痛みを和らげる働きがあります。 就寝時にも患部を冷やした方が良いですが、保冷剤の使用は危険性を伴う場合があります。睡眠中に皮膚と長時間接触したままになると、気づかないうちに凍傷を引き起こす可能性があるためです。 凍傷を避けるためにも、就寝時には安全性の高い冷湿布の使用がおすすめです。 肉離れの応急処置はどのくらい冷やしたら良いですか? 肉離れを起こした直後はアイシングが効果的ですが、冷やしすぎないようにしましょう。過剰なアイシングは筋肉を必要以上に硬くさせ、回復に必要な血行を阻害してしまうリスクがあります。一度のアイシングは15~20分程度を目安とし、それ以上長時間続けないようにしましょう。 適切な時間でのアイシングは、炎症を抑えつつも回復に必要な血流を維持できるため、回復へとつながります。 参考文献 文献1 社会福祉法人 恩賜財団 済生会「筋挫傷(きんざしょう)」済生会ホームページ,2016年9月28日 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/muscle_strain/#:~:text=%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%E3%80%82-,RICE%E5%87%A6%E7%BD%AE%E3%81%A8%E3%81%AF,-%E5%AE%89%E9%9D%99%EF%BC%88Rest%EF%BC%89(最終アクセス:2025年3月14日) 文献2 一般社団法人 日本スポーツ整形外科学会「スポーツ外傷の応急処置(RICE処置)」日本スポーツ整形外科学会ホームページ https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s03.pdf(最終アクセス:2025年3月15日) 文献3 ニチバン株式会社「RICE(ライス)処置」battlewinホームページ https://www.battlewin.com/beginners_taping/rice.html(最終アクセス:2025年3月15日) 文献4 大正大学「保健室だより」2016年 https://www.tais.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2016/10/4f11fee531b8256a8ed52f95158831e7.pdf(最終アクセス:2025年3月15日) 文献5 医療法人社団 信愛会 瀬戸整形外科クリニック「肉離れの応急処置、および、治療&予防方法」瀬戸整形外科クリニックホームページ https://setoseikei.com/2024/10/21/first-aid-for-separation-of-the-flesh/#:~:text=%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82-,%E2%96%A0%E8%82%89%E9%9B%A2%E3%82%8C%E3%81%AE%E4%BA%88%E9%98%B2%E6%96%B9%E6%B3%95,-%E2%97%8E%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%82%92%E6%B8%A9(最終アクセス:2025年3月15日)
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肉離れになったらストレッチした方が良いのか 肉離れしない方法を知りたい 肉離れは、主にスポーツをした際に起きるケガの1つです。痛みや腫れなどが出現するため、ストレッチで和らげようとする場合もあるでしょう。しかし、肉離れした後にストレッチするのは注意が必要です。 本記事では、肉離れの原因や症状、整形外科の受診ポイントとあわせて、ストレッチの注意点や、予防法について詳しく解説していきます。 肉離れとは 肉離れとは、筋肉の繊維が部分的または完全に断裂する状態です。筋肉は細い繊維の束で形成されており、強い衝撃や急激な負荷により繊維が傷つくと、痛みや内出血、腫れなどの症状が現れます。 主に瞬発的な動き(ダッシュやジャンプなど)で大きな力が筋肉にかかった際に発生しやすく、部活動やスポーツ中に起こることが多いケガです。症状は痛みの程度や炎症の度合いによって異なります。(文献1)(文献2) 軽度では軽い痛みがある程度ですが、中程度以上になると歩行困難なほどの強い痛みを伴います。重症の場合は筋繊維の大きな断裂を引き起こし、完全回復までに長期間を要する場合が多いです。早期の適切な対処と整形外科での診断が重要になります。 【前提知識】肉離れ発症直後のストレッチはNG! 肉離れを起こした直後、少し伸ばした方が良いのではと考えてストレッチをしてしまう方がいますが、これは避けるべきです。 肉離れは筋繊維が断裂した状態であるため、発症直後のケアとしては、まずアイシングが最優先です。冷却によって炎症を抑え、内出血の拡大を防ぎます。弾性包帯などを用いた適切な圧迫も重要で、腫れの進行を抑制できます。 肉離れを起こした後の数日間は、ストレッチや筋肉トレーニングは行わないでください。断裂した筋繊維に再び負荷をかけることで、症状が悪化し、回復期間が長引いてしまう恐れがあります。(文献3) 正しいケアをして、医師の指示に従って適切なタイミングでリハビリを始めることが、スムーズな回復へつながっていきます。 肉離れ後のストレッチ方法(リハビリテーション) 肉離れからの回復過程では、段階に応じた適切なストレッチが重要です。どの段階でも、痛みが出ない範囲内で行うことが大前提となります。 3~5日後 肉離れの痛みが落ち着く3〜5日後にリハビリ開始を判断しましょう。ハムストリングス(太ももの裏側)の場合、仰向けになって太ももの裏を抱え、膝が伸ばせるようであればストレッチを始める目安になります。 ハムストリングスの肉離れには、段階的に以下のエクササイズが効果的です。 ヒップエクステンション レッグカール ハーフスクワット ブリッジエクササイズ を痛みの出ない範囲で行い、徐々に強度を上げていくと筋肉の回復を促進できます。ただし、痛みが再発する場合は無理せず、専門家の指導を受けることをお勧めします。(文献3) 回復期 ストレッチを行っても痛みや違和感がなくなったら、スポーツ復帰に向けた運動を段階的に開始できます。このときの負荷の上げ方が再発防止のポイントです。 最初はジョギングなど比較的負担の少ない有酸素運動から始めましょう。身体の状態を確認しながら、徐々にジャンプやダッシュといった瞬発力を必要とする動きへと移行します。(文献3) 注意すべき点として、焦りは禁物です。急激に強い負荷をかけてしまうと、回復した筋肉が再び損傷してしまう可能性があります。もう大丈夫だろうと考えずに、計画的に運動強度を増加していきましょう。 肉離れを予防するストレッチ方法 ここからは、以下のような肉離れのよく起きる筋肉別のおすすめのストレッチ方法を紹介します。 大腿四頭筋 ハムストリングス 下腿三頭筋 大腿四頭筋 このストレッチは大腿四頭筋(太ももの前側)の筋肉を効果的に伸ばすストレッチです。 まず横向きに寝た状態で、下側の脚の股関節と膝関節を軽く曲げて安定させます。この姿勢がストレッチの土台となります。 次に、上側の脚の膝を曲げて、同じ側の手で足首をしっかりとつかみます。そのまま股関節をゆっくりと後方に伸ばしていきます。(文献4) このとき、太ももの前側に心地良い伸張感を感じる強さで行うことがポイントです。無理に引っ張りすぎず、痛みが出ない範囲で筋肉が伸びていると感じる程度に調整しましょう。 ハムストリングス ハムストリングス(太ももの裏側)の筋肉を効果的に伸ばすストレッチです。 まず地面に座った状態から始めます。片方の膝を曲げて足裏を反対側の太ももの内側に添えるようにし、もう片方の脚はまっすぐ伸ばします。次に、伸ばしている脚の方向へ上半身をゆっくりと前傾させていきます。(文献4) 動作を行う際は、膝の裏からお尻にかけて心地良い伸張感を感じる程度の強さで行うことがポイントです。無理に前屈せず、自分の柔軟性に合わせて少しずつ深めていきましょう。 下腿三頭筋 このストレッチは、下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋肉を効果的に伸ばすシンプルなストレッチです。 まず床に座り、両脚をまっすぐ前に伸ばします。次に、タオルやストレッチ用のロープなどを足の裏に引っ掛けます。手でタオルやロープの両端をしっかりと握り、ゆっくりと手前に引きます。膝がしっかり伸びている状態になっているか確認してから行いましょう。(文献4) 動作を行う際のポイントは、ふくらはぎや膝の裏側の筋肉が伸びていると感じる強さで引くことです。痛みを感じるほど強く引くのはやめましょう。 肉離れからの回復期にはとくに慎重に行い、少しでも痛みを感じたらすぐに中止しましょう。 肉離れになったときの応急処置 肉離れが起きた直後は、RICE処置をしましょう。これはRest(安静)、Icing(アイシング)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取ったもので、ケガの急性期における基本的な応急処置です。この処置により、炎症を抑え痛みを緩和し、回復を早められます。 ここから詳しく解説していきます。 安静 肉離れの応急処置では、まず最優先すべきはRest(安静)です。傷ついた筋繊維をこれ以上損傷させないために、患部を動かさず休息を与えることが必要不可欠です。(文献1)(文献5) 少し動かした方が良くなるのではと考えてしまうのは危険です。無理に動かすことで断裂した筋繊維がさらに損傷し、回復期間が長引く可能性があります。適切な医療的判断があるまでは、患部への負荷を最小限に抑え、安静を保つことが回復へとつながります。 冷却 肉離れの応急処置における次のステップは、Icing(アイシング)です。患部を氷のうなどで冷やしましょう。 アイシングは血管を収縮させ内出血の拡大を防ぐとともに、炎症を抑制し痛みの緩和効果も期待できます。 受傷後直ちに20分程度のアイシングをして、その後も痛みが出現したら繰り返すことが理想的です。ただし、氷や氷のうを直接皮膚に当てないよう、タオルなどで包んで使用しましょう。(文献1)(文献5) 圧迫 肉離れの応急処置の3番目のステップは、Compression(圧迫)です。患部を弾性包帯やサポーターなどで適度に圧迫して、腫れの拡大を抑制しましょう。 圧迫によって断裂した筋繊維からの出血や浸出液の広がりを最小限に抑え、炎症の範囲を限定させる役割があります。患部を固定して不必要な動きを制限する効果もあります。 ただし、強すぎる圧迫は血流を過度に抑えてしまい、回復を遅らせる可能性があるため注意が必要です。指先や足先の色や感覚に異常が出る場合は、圧迫が強すぎるサインなので速やかに調整しましょう。(文献1)(文献5) 挙上 肉離れの応急処置の最後は、Elevation(挙上)です。患部を心臓よりも高い位置に保つことで、血流がコントロールできます。 この姿勢により患部への血液の流入が抑えられ、腫れや内出血の拡大を防ぎます。脚の肉離れの場合は横になった状態で足を台の上に置いたり、枕で高くすれば挙上が可能です。 安静時や就寝時など、できる限り長く挙上姿勢を保つことが理想的です。ただし、無理な体勢は別の部位に負担をかけることがあるため、考慮して行いましょう。(文献1)(文献5) 肉離れを疑う際はストレッチではなく医療機関を受診しよう 肉離れは軽症でも数日以上痛みが続く場合は早期受診が重要です。放置すると痛みの慢性化や不完全な修復の恐れがあります。 整形外科では症状確認と必要に応じたMRIやエコー検査を受け、理学療法士と連携した適切なリハビリ指導が受けられます。PRP療法などの再生医療も早期回復に効果的です。 専門医の診断により、肉離れの程度や回復目安が明確になり、無理のない復帰計画が立てられます。適切なタイミングでのストレッチ導入は回復促進と再発防止に有効です。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 肉離れのストレッチに関するよくある質問 ここからは、肉離れのストレッチに関するよくある質問を紹介します。 肉離れをおこしたときにやってはいけないことは? 肉離れをおこした際は、避けなければならない行為があります。 無理なストレッチやマッサージは危険で、損傷を悪化させる恐れがあります。入浴や飲酒、温湿布の使用も炎症を促進し、出血を増加させる可能性があるため控えましょう。痛みを無視して無理に動くことは、治癒を遅らせるだけでなく、より深刻な損傷を引き起こす危険があります。 このような行為はすべて炎症を悪化させ、回復を遅らせる要因となります。 肉離れは自然に治りますか? 軽度の肉離れは、適切なRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を行うことで自然に近い形で回復する可能性があります。しかし、誤ったケアや不十分な休息により回復が遅れたり、再発を繰り返したりするケースも少なくありません。 とくに重症例では筋肉の大きな断裂を伴うため、放置すると治癒に長期間を要したり、痛みが慢性化したりする恐れがあります。症状の程度に関わらず、早めに整形外科を受診し、専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。(文献6) 肉離れは何科を受診するべきですか? 肉離れは基本的に整形外科を受診するのがおすすめです。整形外科では、肉離れの程度を適切に診断し、必要に応じてレントゲンやMRI、エコーなどの画像検査を受け、筋肉の損傷状態を詳細に評価できます。 ケガの重症度に合わせた治療方針の提案やリハビリテーションの指導も受けられます。肉離れの症状を感じたら早めに整形外科を受診し、適切な治療とケアを受ければ、スムーズな回復が期待できるでしょう。(文献6) 参考文献 文献1 大正大学「保健室だより」2016年 https://www.tais.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2016/10/4f11fee531b8256a8ed52f95158831e7.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) 文献2 木村護郎ほか「大腿四頭筋ならびに内・外側ハムストリングの筋力比と大腿部肉離れの発生との関係」『医学療法科学』19(4),pp.323-329,2004年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/19/4/19_4_323/_pdf 文献3 社会医療法人 松田整形外科記念病院「理学療法科(リハビリテーション)」松田整形外科記念病院ホームページ https://matsuda-oh.com/rehabili/lowerlimbs_4124(最終アクセス:2025年3月14日) 文献4 佐久平整形外科クリニック「肉離れ予防のストレッチ」佐久平整形外科クリニックホームページ https://ar-ex.jp/sakudaira/831490160727/%E8%82%89%E9%9B%A2%E3%82%8C%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%81(最終アクセス:2025年3月14日) 文献5 茨城県水戸市「プロスポーツナビ」広報みと,2022年9月15日 https://www.city.mito.lg.jp/uploaded/attachment/24341.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) 文献6 医療法人社団 信愛会 瀬戸整形外科クリニック「肉離れの応急処置、および、治療&予防方法」瀬戸整形外科クリニック トピックス https://setoseikei.com/2024/10/21/first-aid-for-separation-of-the-flesh/(最終アクセス:2025年3月14日)
2025.03.31 -
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激しい運動をしたあと、突然の痛みで動けなくなった経験はありませんか。それはもしかすると「肉離れ」かもしれません。 筋肉が部分的に断裂し起こる肉離れは、適切な対処を怠ると症状が長引いたり、再発を繰り返す恐れがあります。 この記事では「肉離れとは何か」といった基本的な疑問から、原因・症状・治療・予防策までを幅広く解説していきます。スポーツだけでなく日常生活の急な動作でも起こりうるケガだからこそ、正しい知識を身につけておきましょう。 肉離れとは 肉離れとは、正式には「筋挫傷」と呼ばれる状態で、筋肉の繊維の部分的な断裂を指します。主に太もも(大腿部)やふくらはぎ(腓腹筋)などの大きな筋肉に発生しやすい傷害です。(文献1) 重症度は以下の3段階に分類されます。 1度:筋肉内の内出血はあるが筋膜や筋線維に大きな損傷がない軽度の状態 2度:筋腱移行部に損傷があるものの完全断裂や付着部裂離はない中程度の状態 3度:腱の完全断裂または付着部の裂離がある重度の状態 (文献2) 筋肉別の肉離れの判別方法は以下のとおりです。 大腿四頭筋 ハムストリングス 腓腹筋 1度 うつ伏せで膝を90度以上曲げられる 仰向けで膝をまっすぐ伸ばし脚を70度位まで上げられる アキレス腱を伸ばすと若干の痛みがある 2度 うつ伏せで膝を45度~90度曲げられる 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばし脚を30度~70度位まで上げられる アキレス腱を伸ばすと強い痛みがあり、膝を曲げた状態で行うと痛みが弱くなる。つま先立ちができる 3度 うつ伏せで膝を45度位まで曲げられる 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばし脚を30度位まで上げられる 膝を曲げた状態でもアキレス腱を軽く伸ばしただけで強い痛みがある。つま先立ちができない (文献3) 症状が疑われる場合は自己判断せず、整形外科医の診察を受けてください。スポーツ活動再開時には、段階的なリハビリテーションが必須です。 肉離れの原因 肉離れは主に以下の3つの原因によって発生します。 筋肉疲労 準備運動不足 水分不足 これらの要因を理解し、適切な予防策を講じることが重要です。ここから詳しく解説します。 筋肉疲労 激しい運動や筋力トレーニングを連続して行うと、筋繊維に微細な損傷が蓄積します。本来であれば、適切な休息により筋肉は修復・強化されますが、十分な回復時間がないまま負荷の多い活動を継続すると、筋繊維の耐久力が著しく低下します。これが肉離れ(筋挫傷)の発生原因です。 疲労した筋肉は伸縮性や反応性が低下し、通常の負荷でも断裂しやすい状態になります。したがって、効果的なトレーニングと怪我予防のためには、適切な休養期間の確保が不可欠です。回復過程における質の高いタンパク質摂取や十分な水分補給など、適切な栄養管理も重要な要素となります。 筋肉に適度な負荷と十分な回復時間のバランスを取ることが、パフォーマンス向上と肉離れ予防の鍵となるのです。(文献1) 準備運動不足 適切な準備運動は肉離れ予防において必須の要素です。運動前に筋肉や関節を十分に温めれば、組織の柔軟性が高まり、急激な負荷にも対応できる状態になります。しかし、準備運動が不十分なまま激しい運動をすると、筋繊維は冷えた硬い状態のまま急激な伸縮を強いられ、断裂リスクが上昇します。 効果的な準備運動として、徐々に負荷を上げていくスキップや軽いジョギングなどの動的ストレッチがおすすめです。これにより、筋温の上昇や血流が促進し、運動に適した身体状態を整えられます。とくに大きな筋肉を使う競技では、入念な準備運動が肉離れ予防のポイントです。 安全かつ効果的なトレーニングを実現するために、準備運動を習慣化しましょう。(文献1) 水分不足 適切な水分バランスの維持は筋肉機能の保持に不可欠です。体内の水分が不足すると、血液の粘度が上昇し体内の循環が低下します。筋肉への酸素や栄養素の供給が滞り、疲労物質の除去も遅れるため、筋肉疲労が蓄積しやすくなります。水分不足の状態は筋肉の柔軟性を低下させ、肉離れのリスクを高めてしまうでしょう。 発汗量が増加する激しい運動や気温の高い状況での活動は、水分が急速に失われるためとくに注意が必要です。 効果的な水分補給としては、運動前・中・後の各段階でのこまめな摂取がおすすめです。ナトリウムや糖質を含むスポーツドリンクは、長時間の運動時に失われる成分を補充する点で有効でしょう。 水分管理は肉離れ予防の基本であり、パフォーマンス維持につながります。(文献1) 肉離れの症状 肉離れには、特徴的な症状が出現します。急激な動作時に走る鋭い痛みを訴える方が多く、受傷時には「プチッ」といった断裂音が聞こえることもあります。 触診による痛みを感じることも多く、損傷部位に触れると強い痛みを訴えるのが特徴的です。損傷した筋肉を伸ばしたり収縮させたりする動作も、著しい疼痛を引き起こします。 重症度が高い場合、時間の経過とともに重力により損傷部位から血液が下方へ移動し、数日かけて皮膚表面に内出血が現れます。内出血の範囲や程度は、損傷の重症度を判断する際の指標になるでしょう。重症度によって、腫れやへこみが見られる場合もあります。 このような症状が認められる場合は整形外科を受診し、専門医による診断と治療を受けることが必要です。 肉離れの対処法 肉離れを発症した際は、RICE処置による応急対応が効果的です。 【RICE処置】 Rest(安静):損傷部位への負荷を最小限にとどめ、炎症の拡大を防ぐ Icing(冷却):損傷部分を水や氷で冷やし、組織の腫脹や内出血を効果的に軽減する Compression(圧迫):弾性包帯やテーピングで適度な圧を加え、過剰な体液貯留を抑制する Elevation(挙上):損傷部位を心臓より高い位置に保持し、腫脹の軽減を図る (文献1) 急性期を過ぎた受傷後3〜5日目からは、筋萎縮や関節拘縮を防ぐため、段階的なリハビリテーションへと移行します。専門家の指導のもと、筋肉の柔軟性の回復や筋力強化など、本人に合ったリハビリテーションの実施が機能回復へのポイントとなります。(文献2) 痛みの再発がないことを確認しながら、慎重に活動レベルを上げていくことが重要です。適切な初期対応とリハビリテーションが、後遺症のない回復と再発防止につながります。 肉離れの検査と診断 肉離れの適切な診断と評価には、複数の検査法が組み合わせて用いられます。筋肉の詳細な情報がわかるのはMRI検査で、損傷した筋線維や周囲の組織の状態が明確にみえるため、断裂の程度や範囲を正確に評価できます。 超音波検査(エコー)は、リアルタイムで筋繊維の断裂状況や血腫を確認できる検査です。数分で検査が可能であり、コストパフォーマンスに優れた検査として広く活用されています。(文献3) レントゲン検査は筋肉自体の検査には適していませんが、骨の異常を調べるために実施されることがあります。 画像診断に加え、熟練した医師による触診も重要です。痛みの部位や程度、腫脹範囲、筋肉の状態などの情報から、総合的な評価が行われます。 検査結果に基づき、適切な治療計画と予後の予測が立てられます。 肉離れの治療 肉離れの治療法は損傷の程度によって大きく異なります。部分断裂の場合は主に保存的治療が選択され、患部の安静、消炎鎮痛薬の服用、患部保護のためのテーピングやサポーターの使用が基本です。 完全断裂の場合は、運動機能の完全回復が求められるアスリートなどには手術が必要になるケースが多いです。手術では断裂した筋繊維や腱を再接合し、機能的回復を目指します。(文献4) 痛みが消失した後のリハビリテーションは、段階的に進められます。初期には軽度のストレッチから始め、徐々にジョギングへと移行し、走行距離や強度を増やしていくケースが多いです。(文献5) 近年注目されているPRP(多血小板血漿)療法は、患者自身の血液から抽出した成長因子を豊富に含む血小板を損傷部位に注入する治療法で、組織の修復・再生を促進する効果が期待されています。 いずれの治療においても、医療専門家の適切な指導のもとで実施すれば、完全回復と再発防止につながります。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 肉離れが治る期間 肉離れの完全な回復に要する期間は、損傷の重症度や患者様自身によって異なりますが、一般的な目安として3〜5週間とされています。(文献6) 重症度別に見ると、軽度の部分的筋繊維損傷では、適切な初期対応を行った場合、1〜2週間程度で疼痛は軽減し、日常生活動作への復帰が可能となります。中等度では筋肉に明らかな損傷があり、3〜5週間の計画的な安静期間とリハビリテーションが必要です。重度の完全断裂では、2〜3カ月の長期回復期間を要し、場合によっては手術も検討されます。 同じ重症度でも年齢や基礎体力、代謝機能などの個人差や、初期対応の適切さ、リハビリテーションへの取り組み方によって回復までの期間は大きく左右されます。若年層と比較して高齢者では、組織修復能力の低下から回復に時間を要するケースが多いでしょう。 肉離れが治る期間には、専門医による定期的な評価が重要です。 肉離れの予防法 肉離れ予防には、以下の方法を組み合わせましょう。 運動前のウォームアップ 筋肉のバランスを整える 栄養摂取と休息 十分な水分補給 運動前の準備として、ウォームアップにより筋肉を温めて、柔軟性を高めることが重要です。運動後の適切なクールダウンは急激な筋肉の緊張が緩和されます。(文献7) 日常的なトレーニングは筋肉の柔軟性を向上させ、突発的な負荷に耐える力を強化します。筋肉のバランスを整え、負荷が集中しにくい体づくりが必要です。 筋肉の回復と強化には、適切な栄養摂取と休息が不可欠です。質の高いタンパク質やビタミンなどの栄養を補給し、筋組織の修復に努めましょう。(文献8) 水分補給も肉離れの予防になります。十分な水分補給が、筋組織のコンディションを整え、疲労物質の蓄積を防ぎます。 予防策を総合的に実践すれば、肉離れのリスクの大幅な低減が可能です。 肉離れを正しく理解し適切な対処と予防を心がけよう 肉離れは筋繊維の断裂を指し、主に大腿部やふくらはぎなどの大きな筋肉に発生します。発症時はRICE処置が重要で、重症度に応じた適切な治療とリハビリが回復のポイントです。 予防には十分なウォームアップとクールダウン、筋力トレーニング、適切な栄養と水分摂取が効果的です。筋肉の疲労サインを見逃さず適切な対応を心がけ、安全にスポーツを楽しみましょう。 肉離れが改善しない場合は、「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療の活用で組織の回復を助け、肉離れの改善を目指した治療を行っています。 肉離れでお悩みの方は、メール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 肉離れに関するよくある質問 ここでは、肉離れに関するよくある質問を3つ紹介します。 肉離れと筋肉痛の違いは何ですか? 肉離れは運動中や急激な動作時に痛みが発生しますが、筋肉痛は運動後数時間から翌日以降に痛みが現れます。肉離れでは、内出血や腫れが見られる場合がありますが、筋肉痛には通常目に見える変化はありません。 肉離れは何科を受診するべきですか? 肉離れは通常、整形外科の受診をおすすめします。症状が重い場合やスポーツ中の急な痛みを伴う場合は、とくに受診が必要です。スポーツ医学を専門とする整形外科医がいる病院を選ぶとより専門的な治療が受けられます。 寝てる時でも肉離れは発症しますか? 一般的に、肉離れは急激な動作や過度な負荷がかかることによって発生しますが、寝ている間に発症する場合もあります。身近なものでは、起床時に首からかけて痛みが出る寝違えです。 睡眠中、頭部が中央からずれることで、前後左右どちらかの筋肉の血流が止まり、強い凝りが発生します。起床時に急に動くことで、凝った筋肉に刺激が加わり、症状が発症する場合があります。 寝違えなどの症状が発生し強い痛みを感じた場合は、自己対処せずに専門家に相談しましょう。 参考文献 文献1 伊藤超短波株式会社「肉離れとはどんな症状?原因や対処法も合わせて解説」伊藤超短波株式会社ホームページ https://www.wellness.itolator.co.jp/column/003.html (最終アクセス:2025年3月17日) 文献2 医療法人 同信会 福岡整形外科病院「肉離れとは」福岡整形外科病院ホームページ https://www.fukuokaseikei.com/disease/foot/muscle-strain/ (最終アクセス:2025年3月17日) 文献3 医療法人社団 信愛会 瀬戸整形外科クリニック「肉離れ 症状・原因・検査方法 肉離れが起きやすい部位とは?」瀬戸整形外科クリニックホームページ https://setoseikei.com/2024/10/10/symptoms-causes-and-tests-for-separation-of-the-flesh/ (最終アクセス:2025年3月17日) 文献4 MSD「捻挫およびその他の軟部組織損傷の概要」MSDマニュアルプロフェッショナル版,2023年7月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/22-%E5%A4%96%E5%82%B7%E3%81%A8%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E8%BB%9F%E9%83%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E6%90%8D%E5%82%B7/%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E8%BB%9F%E9%83%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E6%90%8D%E5%82%B7%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81?query=%E7%AD%8B%E6%8C%AB%E5%82%B7(最終アクセス:2025年3月17日) 文献5 足立慶友整形外科「肉離れの症状・診断・重症度・治療について」足立慶友医療コラム,2020年1月 https://clinic.adachikeiyu.com/1131(最終アクセス:2025年3月17日) 文献6 からさわ整形外科クリニック「肉離れ」症状のご相談(肉離れの原因・治療) https://www.karasawa.gr.jp/case/nikubanare/(最終アクセス:2025年3月17日) 文献7 Nクリニック「肉離れ」Nクリニックホームページ https://www.n-cli.com/muscle_strain/(最終アクセス:2025年3月17日) 文献8 OKUNOCLINIC「繰り返す肉離れ(反復性肉離れ)」OKUNOCLINICホームページ https://okuno-y-clinic.com/itami_qa/nikubanare.html(最終アクセス:2025年3月17日)
2025.03.31 -
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「魔女の一撃」― ぎっくり腰。 くしゃみや咳といった日常の何気ない動作で、突然、動けないぐらいの腰痛を経験したことはありますか? ぎっくり腰、正式名称「急性腰痛症」は、誰しもが経験する可能性のある身近な腰のトラブルです。 1999年の調査では、約40万人が急性腰痛症を経験したというデータも存在します。 どうしてぎっくり腰になるのか? その答えは、腰への大きな負担、姿勢の悪さ、筋力不足、急な動作、そして加齢による体の変化など、多岐にわたります。 この記事では、原因から治療、そして予防法まで医師の解説を交えながら詳しくご紹介します。 ぎっくり腰の不安を解消し、快適な日常生活を送るためのヒントが満載です。 ぎっくり腰の原因を詳しく解説 ぎっくり腰は、「急性腰痛症」とも呼び、誰しもが経験する可能性のあるありふれた腰のトラブルです。 くしゃみや咳といった何気ない動作、荷物を持ち上げる瞬間など、日常生活のふとした瞬間に激痛に襲われることが特徴です。 「魔女の一撃」と表現されるように、まるで魔法をかけられたかのように突然痛みが生じるため、ぎっくり腰を経験した方はその痛みをよく理解されていることでしょう。 この章では、ぎっくり腰の原因をより深く掘り下げて解説することで、どうしてぎっくり腰が起きるのかをを理解し、効果的な対処法や予防策を身につけるためのお手伝いをさせていただきます。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ぎっくり腰の主な原因5つ ぎっくり腰の主な原因は、次のようなものがあります。 腰への負担: 重い荷物を持ち上げたり、急に捻るなど腰に大きな負担をかけます。 特に、中腰での作業や前かがみの姿勢で重いものを持ち上げる動作も発症のリスクが高くなります。 姿勢の悪さ: 猫背や反り腰といった姿勢の悪さは、腰への負担を増大させ、ぎっくり腰の発生を助長します。 長時間のパソコン作業やスマホの操作などで、知らず知らずのうちに猫背になっている方も多いのではないでしょうか。 筋力不足: 腹筋や背筋、特に体幹と呼ばれる胴体部分の筋肉が弱いと、腰を支える力が不足してしまいます。 例えば、椅子に座った際に背もたれに寄りかからず、正しい姿勢を維持できるかどうかで、体幹の強さをある程度判断できます。 私の経験では、筋力をつけるとほとんどの方は腰痛はかなり軽減します。 ただ、筋トレを継続するのはなかなかむずかしいですが、行えば必ず効果は感じるでしょう。 急な動作: 突然振り返ったり、勢いよく重いものを持ち上げたりすることは避けましょう。 また、朝の寝起きで体がまだ温まっていない時に、急な動作は危険です。身体を温めるために、朝の準備運動は大切です。 加齢による変化: 年齢を重ねるとともに、骨や筋肉は徐々に衰え、ぎっくり腰のリスクも高まります。 特に、骨粗鬆症は骨を脆くし、骨折しやすくするため注意が必要です。 骨粗鬆症は、閉経後の女性に多く見られますが、男性も年齢が高くなるとともに発症リスクが高まります。 ぎっくり腰になりやすい人の特徴 ぎっくり腰になりやすい人には、以下のような特徴が挙げられます。 デスクワークなどで長時間同じ姿勢で作業をする人: 座り仕事で長時間同じ姿勢を続けると、腰の筋肉は緊張し続け、血行不良に陥ります。 結果として、筋肉や靭帯の柔軟性が低下してしまいます。 1時間に1回程度は立ち上がって軽いストレッチを行うなど、こまめな休憩を挟むようにしましょう。 運動不足の人: 運動不足は筋力の低下を招き、腰痛が出やすくなります。 適度な運動は筋力アップだけでなく、血行促進にも効果的です。 厚生労働省は、1日30分程度のウォーキングなどの運動を推奨しています。 肥満気味の人: 体重の増加は腰への負担を大きくします。 ダイエットは腰痛予防だけでなく、健康全般にとっても重要です。BMI(体格指数)を指標として、自身の適正体重を確認してみましょう。 ストレスをためやすい人: ストレスは自律神経のバランスを崩します。 それが引き金となり腰痛が誘発されます。ストレスをうまく解消する術を見つけることは、心身の健康維持に不可欠です。 冷え性の人: 体が冷えると筋肉が硬くなり、血行が悪化し、ぎっくり腰のリスクが高まります。 特に冬場は、体を冷やさないよう保温に気を配り、温めましょう。カイロや温熱シートを活用するのも有効です。 ▼ぎっくり腰の症状チェックについて、併せてお読みください。 ぎっくり腰と他の腰痛との違い ぎっくり腰は他の腰痛とどう違うのか?最も大きな違いは、症状の現れかたと痛みの強さとなります。 ぎっくり腰は、特定の動作をきっかけに突然、動けないぐらいの腰痛が出るのが特徴です。これが「魔女の一撃」と呼ばれる所以です。 一方、他の腰痛は、急な腰痛ではなく、徐々に痛みが強くなっていく場合が多く見られます。 また、ぎっくり腰は比較的短期間で痛みが治まることが多い一方、他の腰痛は長期間にわたって痛みが続く場合もあります。 基本的に腰痛というものは、進行性の運動麻痺や感覚障害、排尿障害、癌の既往、最近の手術歴、年齢に不相応な外傷などの危険信号がない場合は、保存的治療が第一選択となります。 保存的治療とは、手術を行わず、薬物療法や理学療法などの方法で治療を行うことです。 ぎっくり腰の症状とやってはいけないこと ぎっくり腰は、誰にでも起こりうる身近な症状です。しかし、正しい知識があれば、その対応で腰痛は軽減します。 正しい知識を身につけて、ぎっくり腰の不安を少しでも減らしましょう。 ぎっくり腰の初期症状 ぎっくり腰の初期症状で最も特徴的なのは、急な腰痛です。 この痛みは、くしゃみや咳、重いものを持ち上げた瞬間など、何気ない動作がきっかけで起こることが多く見られます。 痛みの出方は人それそれで、全く身動きが取れなくなるほどの激痛を感じる人もいます。 ぎっくり腰の症状が悪化する場合 ぎっくり腰の症状は、適切な処置を行わないと悪化するケースがあります。 初期の痛みが出た時に、対処を間違えてしまうと、痛みがさらに強まったり、慢性的な腰痛に移行したりする可能性があります。 慢性腰痛に移行すると、痛みが長引くことで日常生活に大きな支障をきたし、精神的な負担も増大させてしまう可能性があります。 また、神経が圧迫されると、下肢へのしびれ、痛みが走ることもあります。 重篤になると、膀胱直腸障害が見られます。世界中で腰痛は主要な障害原因となっており、大きな社会問題となっています。 ぎっくり腰でやってはいけないこと ぎっくり腰になった際に、絶対にやってはいけないことがいくつかあります。 まず、患部を揉んだり、無理にストレッチしたりするのは避けましょう。 また、温めるのも逆効果です。クーリングが必要です。熱いお風呂に長時間浸かるのも避け、シャワーで済ませるようにしましょう。 そして、安静にしすぎるのも良くありません。症状が落ち着けば、無理のない範囲で動きましょう。ウォーキングや軽いストレッチから始めるといいでしょう。 痛みを何度も確認するのも避けるべき行動です。 ぎっくり腰になったら安静にするべき? ぎっくり腰になったら、まず安静にすることが大切です。 とりあえず、安静にすることで、炎症の悪化を防ぎ、痛みの山は超えることができます。 長期間の安静は、筋肉の衰えや関節の硬直を招きますので、適度のストレッチは必要です。 アメリカ理学療法士協会は、症状が落ち着けば、少しずつ体を動かすことを推奨しています。 痛みが強い場合は、医師に相談の上、適切な薬を処方してもらうようにしましょう。 過剰な画像診断、オピオイドの使用、手術は依然として問題となっているため、まずは保存的治療を試みることが推奨されています。 ぎっくり腰の正しい対処法と予防策 ぎっくり腰は、誰しもが経験する可能性のある、非常に身近な症状です。 普段通りの生活を送っていたはずなのに、くしゃみや咳、あるいはちょっとした動作がきっかけで、突然腰に激痛が走る… まさに「魔女の一撃」と表現されるように、予想だにしないタイミングで襲ってくるため、大変恐ろしい経験となるでしょう。 正しい知識があれば、痛みを早期に和らげ、日常生活への復帰を早めることができます。 また、予防策を講じることで、ぎっくり腰の再発を防ぎ、健康な毎日を送ることも可能です。 この章では、ぎっくり腰になった際の正しい対処法と、日頃から心掛けていただきたい予防策について、分かりやすく解説します。 ぎっくり腰の応急処置と治療法 ぎっくり腰になった直後は、強い痛みと不安でパニックになってしまうかもしれません。しかし、落ち着いて適切な応急処置を行うことが重要です。 では、どのように対処すれば良いのでしょうか?ぎっくり腰の応急処置として有効なのは、RICE処置です。 RICE処置とは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったもので、スポーツによる怪我の応急処置として広く知られています。 Rest(安静): 楽な姿勢で安静にします。横になるのが一番ですが、どうしても難しい場合は、椅子に座って安静にすることも可能です。 この時、楽な姿勢を保つことが大切です。 Ice(冷却): 氷水を入れた袋や保冷剤をタオルに包み、患部を冷やします。冷却は炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。 ただし、冷やしすぎると凍傷を起こす可能性があるので、注意が必要です。 Compression(圧迫): 通常、ぎっくり腰で圧迫は行いません。 Elevation(挙上): ぎっくり腰では、挙上は特に必要ありません。 RICE処置を行っても痛みが改善しない場合や、しびれや麻痺などの神経症状が現れた場合は、かかりつけ医に相談しましょう。 ぎっくり腰の治療法には、薬物療法や理学療法などがあります。 医師は、あなたの症状や状態に合わせて最適な治療法を選択します。 深刻な神経症状、腫瘍、骨折、または感染が疑われる場合にのみ、初期の画像診断を行うべきです。 アメリカ理学療法士協会は急性腰痛の管理には、患者の状態に合わせた運動療法が重要であると推奨しています。 保存的治療で改善しない場合は、手術が必要となるケースもありますが、これは稀です。 多くの場合、保存的治療で十分な効果が得られます。 保存的治療とは、手術以外の治療法のことで、薬物療法や理学療法、運動療法などが含まれます。 ▼ぎっくり腰の前兆と対処法について、併せてお読みください。 ぎっくり腰の予防法 ぎっくり腰は再発しやすい症状です。そのため、一度ぎっくり腰になったことがある方は、再発を防ぐための予防策を心掛けることが大切です。 ぎっくり腰の予防には、以下ようになります。 正しい姿勢を保つ: 猫背や反り腰などの悪い姿勢は、腰に負担をかけてしまいます。 日頃から正しい姿勢を意識し、立っている時も座っている時も、背筋を伸ばし、お腹に力を入れるようにしましょう。 デスクワークが多い方は、1時間に1回程度は立ち上がって体を動かすなど、こまめに休憩を取るように心掛けてください。 適度な運動: ウォーキングや水泳など、腰に負担の少ない運動を習慣的に行いましょう。 厚生労働省は、1日30分程度のウォーキングなどの運動を推奨しています。 筋力トレーニング: 腹筋や背筋を鍛えることは、腰を支える力を強化し、ぎっくり腰の予防に繋がります。 特に、体幹と呼ばれる胴体部分の筋肉を鍛えることが重要です。 体幹トレーニングは、専用の器具を使わずに自宅でも簡単に行うことができます。 体重管理: 肥満は腰への負担を増大させるため、適切な体重を維持することも重要です。 バランスの良い食事と適度な運動を心掛けましょう。 急な動作を避ける: 急な動作によって、腰に負担がかかりますので気をつけましょう。 特に、朝の寝起きで体がまだ温まっていない時は、腰の筋肉が固まっているので、ぎっくり腰を起こしやすい環境となります。 体を冷やさない: 体が冷えると、身体が固まっているので、ぎっくり腰のリスクが高まります。 特に冬場は、体を冷やさないよう、温かい服装を心掛け、カイロや温熱シートなどを活用するのもいいでしょう。 このような心がけで、ぎっくり腰を対処し、健康な腰を維持することができます。 ぎっくり腰は、一度経験するとその痛みの辛さが忘れられないものです。日頃から予防を心掛け、健康な毎日を送りましょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Maher C, Underwood M, Buchbinder R. "Non-specific low back pain." Lancet (London, England) 389, no. 10070 (2017): 736-747. George SZ, Fritz JM, Silfies SP, Schneider MJ, Beneciuk JM, Lentz TA, Gilliam JR, Hendren S, Norman KS. "Interventions for the Management of Acute and Chronic Low Back Pain: Revision 2021." The Journal of orthopaedic and sports physical therapy 51, no. 11 (2021): CPG1-CPG60. 機械性腰痛ガイドライン2018
2025.02.03 -
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突然の頭痛、生理痛、歯痛…痛みは日常生活を大きく阻害する悩みの種です。 ドラッグストアには様々な痛み止めが並び、どれを選べば良いか迷う方も多いのではないでしょうか? この記事では、ロキソニン、ボルタレン、トラムセット、カロナールなど、代表的な痛み止め薬の種類と効果を分かりやすく解説します。 それぞれの薬の特徴、副作用、そしてNSAIDsやステロイド、オピオイドといった分類についても詳しく医師が解説します、 さらに、市販の痛み止め「ロキソニン」と「カロナール」の徹底比較を説明し、それぞれの特徴、効果的な症状、価格、そして副作用のリスクまで、幅広くお伝えします。 例えば、ロキソニンは、筋肉の痛みや生理痛に対してとても有効ですが、胃腸への負担が懸念されます。 一方、カロナールはロキソニンに比べて副作用は弱いが、その分、効き目も弱くなります。 さらに、最新の研究結果に基づいた、2歳未満の乳幼児への服用に関する情報や、妊娠中・授乳中の方への注意点も詳しく解説。薬剤師への相談の重要性も改めて強調します。 この記事を読むことで、痛みから解放されるための知識が得られます。 さあ、痛みと賢く付き合う方法を学びましょう。 痛み止めの種類とその効果、副作用 皆さんは、急な頭痛や発熱時、どの市販薬を選べば良いか迷ったことはありませんか? この章では、市販薬の選び方のポイントを、医師の視点から分かりやすく解説します。 ロキソニン ロキソニンは「ロキソプロフェンナトリウム水和物」という成分の鎮痛剤で、炎症を抑える作用が強い非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種です。 頭痛、歯痛、生理痛、腰痛、筋肉痛、関節痛、手術後や外傷後の痛みなど、様々な痛みに効果を発揮します。 炎症とは、体を守るための反応で、発赤、腫れ、熱感、痛みなどの症状を伴います。 ロキソニンは、この炎症を引き起こす物質の生成を抑えることで、痛みを和らげるのです。 即効性があり、効果も比較的長く持続するのが特徴です。 市販薬としても入手できますが、胃への負担があるため、空腹時の服用は避け、食後に服用することが推奨されます。 また、胃腸の弱い方や、過去に胃腸障害を起こしたことがある方は、特に注意が必要です。 ボルタレン ボルタレンは「ジクロフェナクナトリウム」という成分のNSAIDsで、ロキソニンと同様に炎症を抑える作用が強い痛み止めです。 ロキソニンと同じく、様々な種類の痛みに効果があり、坐薬、テープ剤、ゲル剤など、様々な形態で利用できるのが特徴です。 例えば、炎症を起こしている関節にボルタレンのテープ剤を貼ることで、その部分に直接薬剤が浸透し、効果的に痛みや炎症を抑えることができます。 また、坐薬は、飲み薬を服用できない場合や、吐き気がある場合などに有効です。 トラムセット トラムセットは「トラマドール塩酸塩」と「アセトアミノフェン」という2種類の成分を配合した痛み止めです。 トラマドールは、オピオイド系鎮痛薬に分類され、脳内の痛みの伝達を抑制する作用があります。 アセトアミノフェンは、解熱鎮痛作用を持つ成分で、2つの成分の相乗効果により、中等度から高度の痛みに効果を発揮します。 カロナール カロナールは「アセトアミノフェン」を主成分とする痛み止め、解熱剤です。比較的穏やかな効き目があり、子供から高齢者まで幅広く使用できます。 副作用が少ないため、安全性が高いとされています。市販薬としても入手しやすく、風邪による発熱や頭痛、生理痛などの痛みによく使われています。 セレコックス セレコックスは「セレコキシブ」という成分のNSAIDsの一種です。他のNSAIDsと比べて、胃腸への負担が少ないという特徴があります。 そのため、胃腸の弱い方や、他のNSAIDsで胃腸障害を起こしやすい方に向いています。 リリカ リリカは「プレガバリン」という成分の薬で、神経障害性疼痛という、神経の損傷によって起こる痛みやしびれに効果があります。 帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、線維筋痛症などの治療に使用されます。 ステロイド ステロイドは、副腎皮質ホルモン剤と呼ばれる薬で、強力な抗炎症作用と免疫抑制作用があります。 様々な炎症性疾患やアレルギー疾患、自己免疫疾患の治療に使用されます。 オピオイド オピオイドは、モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬の総称です。 非常に強い鎮痛作用があり、がんなどの強い痛みをコントロールするために使用されます。 注意すべき副作用:アスピリン喘息について アスピリン喘息は、アスピリンやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を服用することで喘息発作が誘発される特殊な病態です。 この疾患は成人の喘息患者の約10%に見られ、通常は成人期に発症します。 特徴的なのは、アスピリンだけでなく、ロキソニンやボルタレンなどの一般的な痛み止めでも発作が引き起こされることです。 これらの薬を服用すると、重度の喘息発作や呼吸困難に加えて、鼻水、くしゃみ、鼻づまりといった症状が現れます。 また、多くの患者さんが慢性的な副鼻腔炎や鼻ポリープを合併しています。 この病気の患者さんが痛み止めを使用する必要がある場合、アセトアミノフェン(カロナール、タイレノールなど)が比較的安全とされています。 ただし、初めて使用する際は少量から開始し、医師に相談しながら使用することが推奨されます。 成分から分類した痛み止めの種類 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 作用:炎症、痛み、発熱を抑制 メカニズム:プロスタグランジン生成を抑制(COX阻害) - ロキソニン(ロキソプロフェン) - ボルタレン(ジクロフェナク) - モートリン(イブプロフェン) - バファリン(アスピリン) アセトアミノフェン - 作用:主に痛みと発熱を抑制(抗炎症作用は弱い) - メカニズム:中枢神経系に作用 - 胃への負担が少なく、妊婦や小児にも使用可能 - 代表的な製品: - カロナール - タイレノール - ピリナジン イブプロフェン(NSAIDsの一種) - 作用:炎症、痛み、発熱を抑制 - メカニズム:他のNSAIDsと同様(COX阻害) - 代表的な製品: - EVE(イブ) - バファリンEX - ブルーレット ・モートリン(イブプロフェン) 主な使い分け: - 炎症を伴う痛み → NSAIDs - 発熱や軽い痛み → アセトアミノフェン - 胃が弱い人 → アセトアミノフェン - 生理痛 → イブプロフェンまたは他のNSAIDs 痛み止めランキング 数ある市販薬の中でも、ロキソニンとカロナールは特に知名度が高く、多くの方に利用されています。 ここでは、痛み止めランキング上位にある、ロキソニンとカロナールの違いについて比較します。 ロキソニンとカロナールの違い ロキソニンは頭痛、歯痛、生理痛、腰痛、筋肉痛などによく服用されます。 患部で炎症を引き起こす物質であるプロスタグランジンの生成を抑える効果があります。 一方、カロナール(一般名:アセトアミノフェン)は、解熱鎮痛薬として広く使用されており、脳神経に直接働きかけて炎症を止めます。 ロキソニンと比較すると作用は穏やかで、小児や高齢者、妊娠中・授乳中の方にも使用できる場合があります。 2歳未満の乳幼児における発熱や疼痛の治療において、アセトアミノフェンとイブプロフェンはどちらも広く処方されていますが、最新の研究では、イブプロフェンの方が24時間以内の体温低下と疼痛軽減効果が高いという結果が出ています。 ただし、安全性は両剤とも同等とされています。 薬剤名 主な作用 適した症状 注意点 ロキソニン 炎症を抑える、痛みを抑える 頭痛、生理痛、歯痛、腰痛、筋肉痛など 胃腸障害に注意、空腹時の服用は避ける カロナール 熱を下げる、痛みを抑える 熱、頭痛、歯痛など 肝臓に負担があるため、過剰摂取に注意する 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 値段比較とコストパフォーマンス ロキソニンとカロナールの価格を比較すると、一般的にロキソニンの方がややコストがかかります。 販売店や容量によって異なりますが、ロキソニンは1箱12錠入りで約1,000円前後、カロナールは1箱12錠入りで約800円前後が相場です。 薬剤名 1箱(12錠)あたりの価格 コストパフォーマンス ロキソニン 約1,000円 やや低い カロナール 約800円 やや高い しかし、価格だけで判断せず、症状や体質、そして副作用のリスクも考慮して選ぶことが重要です。 ロキソニンは胃腸障害のリスクがあるため、胃腸の弱い方はカロナールを選ぶ方が良い場合もあります。 薬局で購入する際のポイント 市販薬を購入する際は、自己判断せず、薬剤師に相談することを強くお勧めします。 薬剤師は、あなたの症状や体質、他の薬との飲み合わせなどを考慮し、適切な薬を提案してくれます。 薬の効果や副作用、服用方法など、疑問があればどんな些細なことでも相談しましょう。 特に、妊娠中・授乳中の方、持病のある方、高齢の方は、注意が必要です。 急性痛の治療には、NSAIDs(ロキソニンなど)、アセトアミノフェン(カロナールなど)、メタミゾール、コルチコステロイドなど、様々な薬剤が使用されます。 これらの薬剤はそれぞれ異なる作用機序と臨床応用を持ち、最新の科学的エビデンスに基づいて使用されるべきです。 例えば、グラピプラントという生薬も抗炎症作用を持つことが報告されており、NSAIDsのような副作用が少ないとされています。 薬剤師や医師と相談し、ご自身の症状に最適な薬剤を選択することが重要です。 症状別のロキソニンとカロナールの効果比較 痛みは、私たちにとって非常に不快な感覚であり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。 上手に痛み止めを選び、痛みをコントロールし、より快適な生活を送ることが可能になります。 ここでは市販薬として購入できるロキソニンとカロナールについて、どちらが効果的なのか、医師の視点から分かりやすく解説します。 頭痛に対する効果の違い ズキズキ、ガンガン、締めつけられるような…頭痛の症状は実に様々です。 片頭痛のように血管が拡張することで起こる頭痛、緊張型頭痛のように筋肉の緊張が原因となる頭痛など、その種類は多岐に渡ります。 ロキソニンは、炎症を伴う頭痛、例えば風邪に伴う頭痛や副鼻腔炎による頭痛などに高い効果があります。 一方、カロナールは、解熱鎮痛薬であり、緊張型頭痛や片頭痛など、炎症を伴わない頭痛に適しています。 筋肉痛に対する効能 筋肉痛は、身体活動後に筋肉に微細な損傷が生じることで起こります。 損傷した筋肉は炎症を起こし、発痛物質が放出されることで痛みを感じます。 ロキソニンは、こういう筋肉痛にはよく効きます。 一方、カロナールは筋肉痛への効果は限定的です。 腰痛や関節痛への効果 腰痛や関節痛の原因は多様であり、加齢による変形性関節症や、急に発症するぎっくり腰、スポーツによる外傷など、様々な要因が考えられます。 これらの痛みの原因や病態に応じて薬を選定しましょう。 ロキソニンの抗炎症作用は強く、炎症を伴う腰痛や関節痛、例えばぎっくり腰や変形性関節症などに効果があります。 変形性関節症では関節軟骨がすり減り、炎症が生じることで痛みが発生します。この時はロキソニンがよく効きます。 一方、カロナールですが、近年、変形性関節症の疼痛と機能改善において、アセトアミノフェン(カロナール)は、従来考えられていたほど効果的ではない可能性が示唆されています。 痛みが軽い場合や、ロキソニンを服用できない場合に代替薬として処方されることもありますが、ロキソニンと比較すると効果は劣る可能性があります。 ▼関節症の痛み止め「ステロイド」の使用について、併せてお読みください。 ロキソニンとカロナールの副作用と注意点 痛みや熱が出た時、身近な薬として頼りになるロキソニンとカロナール。ドラッグストアで手軽に手に入りますが、その効果の違いや副作用について正しく理解しているでしょうか? 適切な薬を選ぶことは、症状の改善を早めるだけでなく、副作用のリスクを減らすことにも繋がります。 この章では、ロキソニンとカロナールの副作用と注意点について、医師の視点から詳しく解説します。 一般的な副作用とその対処法 ロキソニン(ロキソプロフェン)は、抗炎症作用は強いのですが、副作用として腎障害に注意する必要があります。 吐き気、胃痛、胸やけといった症状が現れる可能性があり、特に空腹時に服用すると副作用が出やすいため、食後や胃を保護する薬と一緒に服用することが推奨されます。 稀に、ですが、肝機能障害や腎機能障害といった副作用を認めることがあります。 早期に分かれば、内服するのを中止すると大抵は正常に戻ります。 カロナール(アセトアミノフェン)は、解熱鎮痛薬として広く使用されており、比較的副作用が少ない薬です。 主な副作用としては、発疹やかゆみなどのアレルギー症状が挙げられます。 稀ではありますが、重症の皮膚障害である中毒性表皮壊死症やスティーブンス・ジョンソン症候群など重篤な副作用が発生する可能性も否定できません。 服用後に皮膚に異常を感じた場合は、直ちに中止してかかりつけ医に受診しましょう。 薬の種類 主な副作用 対処法 ロキソニン 吐き気、胃痛、胸やけ、肝機能障害、腎機能障害 食後に服用、胃薬と併用、症状が続く場合は医師に相談 カロナール 発疹、かゆみ、重症の皮膚障害 服用を中止し医師に相談 また、2歳未満の乳幼児における発熱や疼痛に対する使用については、イブプロフェン(ロキソニンの成分)の方がアセトアミノフェン(カロナールの成分)よりも効果が高いという研究結果も出ています。 24時間以内の体温低下と疼痛軽減効果において、イブプロフェンの優位性が示されています。 ただし、重篤な副作用はどちらの薬も稀であり、安全性は同等と考えられています。 妊娠中・授乳中の服用に関する注意事項 妊娠中や授乳中の薬の服用は、胎児や乳児への影響を考慮する必要があります。 ロキソニンは、妊娠後期に服用すると、胎児の動脈管収縮や陣痛抑制といった影響を及ぼす可能性があるため、服用は避けるべきです。 特に妊娠32週以降は、早産や胎児への影響のリスクが高まるため、ロキソニンを含むNSAIDsの使用は禁忌とされています。 カロナールは、妊娠中や授乳中に服用しても比較的安全とされています。 ただし、あくまで「比較的」安全であるというだけで、全く影響がないわけではありません。 他の薬との飲み合わせについて ロキソニンやカロナールは、他の薬と一緒に飲むことで、抗炎症作用の効果が落ちたり、副作用が強くなることがあります。 特に、ワーファリンなどの血液をサラサラにする薬や、喘息治療薬、一部の抗うつ薬などとの飲み合わせには注意が必要です。 ▼薬とフルーツの飲み合わせについて、併せてお読みください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Tan E, Braithwaite I, McKinlay CJD, Dalziel SR. "Comparison of Acetaminophen (Paracetamol) With Ibuprofen for Treatment of Fever or Pain in Children Younger Than 2 Years: A Systematic Review and Meta-analysis." JAMA network open 3, no. 10 (2020): e2022398. Richard MJ, Driban JB, McAlindon TE. "Pharmaceutical treatment of osteoarthritis." Osteoarthritis and cartilage 31, no. 4 (2023): 458-466. Antiinflammatory Drugs.
2025.02.01 -
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「骨粗しょう症ってどうやったら防げるの?」「薬を処方されたけど飲まないでも良くなる方法があれば知りたい」そんなお悩みはありませんか? 骨粗しょう症の治療の基本は投薬です。しかし、骨粗しょう症の患者さんの多くは自覚症状がありません。効果がわからないのに長期に薬を使用しなければいけないことに不安があったり、いつまで続けなければいけないのか心配になったりする方も多いでしょう。 結論をお伝えすると、骨粗しょう症の予防策として薬以外でできることは、次の通りです。 カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを重点的に全体でバランスよく栄養をとる アルコールとコーヒーは飲みすぎない 無理のない範囲でしっかり体を動かす 適度に日光を浴びる 禁煙をする 骨粗しょう症の基本的な情報と治療法を解説し、さらに薬以外でできる対策についても本記事で詳しく紹介していきます。 骨粗しょう症の薬を飲まない治療法は3種類 骨粗しょう症とは、骨の強さ(骨強度)が低下して骨折のリスクが高まる病気です。 高齢者に多い疾患ですが、若い人でも過度のダイエットや妊娠出産などを契機に骨粗しょう症になることがあります。 骨強度は骨の量と質の2つの要素が重要です。概ね70%が骨の量(骨密度)、30%が骨の質(文献1)で決まると言われています。 治療の基本は薬物治療で、骨の吸収を抑制したり形成を促進したりする薬が用いられます。しかし、効果が目に見えるものではないため、いつまで薬に頼った治療を進めなければいけないのか不安になる人もいるでしょう。 骨粗しょう症は生活習慣の見直しなど、薬を飲まずにできる治療法もあります。 おもに「食事療法」「運動療法」「理学療法」の3種類です。それぞれの治療法について詳しく解説します。 食事療法 骨の治療に最も大切な栄養素はカルシウム、ビタミンD、ビタミンKです。カルシウムは骨のミネラルを構成する最大の栄養素ですし、ビタミンはカルシウムの吸収に重要な役割を果たします。 骨粗しょう症の治療には、1日650~800mgのカルシウム摂取が推奨されます。 摂取すればするほど骨が強くなるわけではなく、摂取量がある一定以上になると増加しなくなります。骨粗しょう症といわれると、「カルシウムをしっかりとる」と考えがちですが、他の栄養素もバランスよくとらなければいけないことに気をつけてください。 カルシウム、ビタミンD、ビタミンKが豊富に含まれている食材は以下の通りです。 カルシウム 魚介類(シシャモ、イワシ、干しエビなど) 大豆製品(納豆、豆腐など) 乳製品 野菜類(チンゲン菜、小松菜など) 海藻類 など ビタミンD きくらげ 干しきのこや干しシイタケなど あんこうの肝 など ビタミンK 納豆(1パック(50g)に約250㎍) ほうれん草、ブロッコリー、小松菜などの緑黄色野菜 わかめ、海苔などの海藻類 など 一方で、飲酒やコーヒーの摂りすぎには注意しましょう。 適度な飲酒は食欲を増進し、骨密度の低下には抑制的に働きます。ただし、大量に飲酒してしまうと肝機能障害から栄養状態の悪化をきたして骨密度の低下につながります。さらに大量の飲酒により転倒のリスクも高まるため注意が必要です。 コーヒーに含まれるカフェインは尿中のカルシウム排泄を促します。1日に3杯以上コーヒーを飲む人ではそうでない方よりも骨密度が低くなるという報告もあります。2杯程度までは問題ないと言われているので、コーヒーも適量を心がけましょう。 運動療法 身体運動を活発にされている方は骨粗しょう症による骨折が少ないと言われています。運動は骨に刺激を与え、骨形成を促進します。 ウォーキングやジョギングなど体力に合わせて骨に負荷をかける運動を行いましょう。転倒予防のため、筋肉トレーニングやバランストレーニングも上手に取り入れてください。 運動を行うには、自身の体力レベルに合わせた無理のない運動を選択することが重要です。 理学療法 理学療法とは、運動機能の維持を目的とした物理的な治療を指します。 骨粗しょう症に対して実施される主な治療法は、温熱療法や光線療法、電気療法、電磁場療法などです。 温熱療法や光線療法、電気療法などについては、現時点で十分なエビデンスが確立されておらず、補助的な役割として位置づけられています。 どの治療法が適しているかは個人差があるため、専門医や理学療法士に相談することをおすすめします。 生活習慣の改善も骨粗しょう症の回復に効果的 日光浴や禁煙も骨粗しょう症予防に効果的です。 ビタミンDは食事からの摂取に加えて、紫外線を浴びることで皮膚でも合成されます。 1日15分程度の適度な日光浴は骨にとっては重要です。日焼けしすぎない程度に、太陽の光を浴びましょう。 また、喫煙は骨粗しょう症のリスクを高める要因の一つとして挙げられます。タバコを吸うことで、骨質の悪化・カルシウム吸収の低下・性ホルモンの抑制・体重の減少などをきたし、骨粗しょう症につながります。タバコを吸っている人は男女どちらも同じ年齢の非喫煙者よりも骨折のリスクが高くなることがわかっているのです。骨を守るためにも、禁煙をしましょう。 骨粗しょう症の薬をやめるとどうなる? 結論から申し上げると、自己判断での薬の中止は危険です。 骨粗しょう症の主な治療法は継続的な投薬治療です。継続的に薬を飲むことで失われた骨密度を徐々に回復させていきます。 しかし、風邪のように薬を飲めば完治するという病気ではないため、効果が見えにくい点や、長期的に薬を飲み続ける生活がつらいという理由で薬を中止してしまう人もいます。 薬を中断してしまうと、薬によって促されていた骨形成が行われず、再び骨密度が低下してしまいます。その結果骨折などのリスクも高まってしまうのです。(文献2) また、骨粗しょう症を放置してしまうと、死亡リスクが上昇するという報告も上がっています。骨粗しょう症によって発生リスクが上がる「大腿骨近位部骨折」は、生活機能の低下だけでなく、死亡率を上げる骨折であると数々の研究から明らかにされています。(文献3) 薬を中止したい場合は、必ず医師の判断を仰ぐようにしましょう。 骨粗しょう症の薬は骨密度をあげる効果が証明されている 骨粗しょう症の治療薬には様々な種類があります。 大きく分けて、 ①骨を作る骨芽細胞を活性化する薬(骨形成促進薬) ②骨を壊す破骨細胞の働きを抑える薬(骨吸収抑制薬) ③その他 の3つに分類されます。 骨粗しょう症は長期的な治療を必要とします。治療がいつまでも終わらなくて不安、良くなっているのかわからない、という人もいるでしょう。 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版」によれば、飲む薬によって効果の違いはあれど2〜4年で骨量が増えていることが報告されています。 例えば、①骨形成促進薬に代表されるテリパラチドは、連日投与することで腰椎正面の骨が21ヵ月で平均8.6%増加、大腿骨近位部は平均3.5~3.7%変化していました。②骨吸収抑制薬に分類されるデノスマブという薬は、腰椎正面の骨が3年で平均9.2%変化しています。(文献1) 長期的な治療を進めていくことで、確実に回復に近づいていることがわかります。 先行きが不安な人は、まずは2~3年様子を見てみてはいかがでしょうか。 骨粗しょう症の治療をしたくないと思っている人へ 「骨粗しょう症治療をしたくない」「今すぐ薬をやめたい」と思っている方こそ、上手に医療機関を味方につけてください。 現在通院中・治療中の方へ 「基本的な生活習慣の対策ができているから」と言って、自分で勝手に治療・通院をやめないようにしてください。 医師に相談しても、ご本人の意思に反して「やめられません」と言われてしまうこともあるかもしれません。 例えば、なんらかの病気や治療に伴う骨粗しょう症は、いくら生活習慣を是正しても根本的な原因の解決にはなっていません。このような場合は基本的には治療の継続が望ましいでしょう。 骨粗しょう症の治療薬によっては、やめてしまうことで急激に骨密度が低下し、骨折を繰り返してしまう薬もあります。 決してご自身だけの判断で治療をやめることはせず、主治医とコミュニケーションをとりながら治療目標を確認してください。 そして、治療が終了しても、定期的な骨密度のチェックは欠かさないようにしましょう。 現在通院をしていない方へ 通院をしていない方であっても定期的に骨密度の検査を受けてください。 現在は様々な機会で骨密度を測定することができます。 自治体の検診 人間ドックのオプション 少しの違和感を見逃さず、骨粗しょう症の症状を感じたらすぐに病院にかかるようにしましょう。 早いうちに骨密度が下がってきていることに気づけば、生活習慣の改善だけで骨折を予防できる可能性が高まります。 まとめ|骨粗しょう症の薬をやめたいときは医師に相談しましょう 骨粗しょう症の薬をやめたいと感じた際は、運動療法や食事療法を用いた生活習慣の改善に努めましょう。 骨粗しょう症の予防策としては、薬以外にも次の対応があります。 カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを重点的に全体でバランスよく栄養をとる アルコールとコーヒーは飲みすぎない 無理のない範囲でしっかり体を動かす 適度に日光を浴びる 禁煙をする 骨粗しょう症の薬をやめたいと思っている方も多いでしょう。しかし、長期的な目で見れば治療薬は効果があることが報告されています。 つらいと思ったらまずは主治医に相談し、自分の意思でやめることはないよう気を付けましょう。 例えば、椎体骨圧迫骨折を起こしてしまうと、背中が丸まってしまったり、長引く痛みに苦しんだり、ひどい場合は脊髄損傷を起こしてしまうこともあります。大腿骨頸部骨折を起こしてしまうと、手術が必要になりますし、リハビリが進まないと寝たきりになってしまいます。一度骨折を起こしてしまうと、立て続けに骨折を起こしてしまうこと少なくありません。 その時に後悔しないように、基本的な食事・運動などの生活習慣の見直しをしっかり行ってください。そして、定期的な骨密度チェックを欠かさないようにしましょう。 参考文献 (文献1)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版 p.2 http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf (文献2)奈良県医師会 骨粗しょう症治療をコツコツ続けましょう(最終アクセス:2025年3月25日) https://nara.med.or.jp/for_residents/2881/ (文献3)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版 p.2 http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf
2024.09.20