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「寝違えのよくある原因や一般的な症状は?」 「放置してはいけない症状や対処法はある?」 寝違えとは、筋肉や関節周囲の組織が炎症することで現れる痛みのことです。不自然な姿勢による睡眠によって引き起こされることが多いです。 本記事では、寝違えの概要をはじめとして以下を解説します。 寝違えの原因 一般的な症状と放置してはいけない症状 寝違え以外で考えられる病気 寝違え後の対処法3選 繰り返さないための予防法 首や背中の痛みには、寝違え以外の病気が隠れていることもあります。適切に対処するために本記事を役立ててください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。長引く痛みなどお悩みの症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 寝違えとは筋肉や関節周囲の炎症による痛み 寝違えとは、筋肉や関節周囲の組織に炎症が起こり、痛みが生じることです。睡眠中の不自然な姿勢などにより血流が滞って炎症が起きると考えられています。 数日中に痛みが改善していく場合は問題ありません。しかし、痛みが長期間続いている場合や激しい痛みが現れている場合は、他の病気の可能性がないか調べる必要があります。 首や背中を寝違える原因 寝違えの主な原因は以下の通りです。 不自然な姿勢による睡眠 精神的なストレス 頭と枕の高さの不一致 慢性的な肩こりや筋肉の疲労 これらが筋肉の硬直や筋肉への血流不足を招き寝違えを引き起こします。 一般的な原因として知られているのは、不自然な姿勢による睡眠です。飲酒後や疲労が溜まっているときなどに、不自然な姿勢で睡眠をとってしまいます。 寝違えの一般的な症状 寝違えの一般的な症状は、寝違えた部分に現れる鈍い痛みです。また、寝違えには以下のような特徴があります。 首を動かすと肩や首に痛みが発生する 決まった方向に首を動かすと痛みが強くなる 首を傾けた姿勢になってしまう 寝違えの痛みは数日経過すると改善していきます。しかし、重度の寝違えの場合は、安静時の首の痛みや腕と肩の重苦しさ、しびれなどが現れます。 寝違えで放置してはいけない症状 以下のような症状が現れている場合は、ただの寝違えではない恐れがあります。 激しい痛み 3日以上続く痛み 発熱 手足のしびれ 脱力感 首を動かすと現れる手足の痛み これらの症状が現れている場合は、椎間板ヘルニアや脊椎炎などの寝違え以外の病気が発生している恐れがあります。医療機関を受診して適切な検査を受けてください。 寝違え以外で首や背中に痛みが生じる病気 寝違え以外で首や背中に痛みが現れる病気には、以下のようなものがあります。 首や背中に痛みが生じる病気 詳細 椎間板ヘルニア ・背骨のクッションである椎間板がはみ出して神経を圧迫する病気 ・頚椎(首の骨)の場合は首や肩甲骨、腕などに痛みが現れる ・悪化すると手足の痺れが現れる 脊椎炎 ・感染症などにより脊椎(背骨のこと)に炎症が起きる病気 ・背中に鋭い痛みが現れ、体を動かすと痛みが悪化する ・発熱や全身のだるさ、背中と腰の動きの制限などの症状が現れる 脊椎腫瘍 ・脊椎の中に腫瘍が発生する病気 ・頚椎に腫瘍ができた場合は、首や肩、腕に痛みや痺れが現れる ・尿失禁や便失禁、急激に手足が動かなくなるなどの症状が現れることがある 疑われる症状が現れている場合は、速やかに医療機関を受診してください。 首や背中の痛みを引き起こす疾患の一つである椎間板ヘルニアに対しては、再生医療が治療法の選択肢となるケースがあります。当院の再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 寝違えたときの対処法3選 寝違えたときの主な対処法として、以下の3つが挙げられます。 前提として安静に過ごす 痛みがある部分を冷やす 痛み止めの薬や湿布を活用する それぞれの詳細を解説します。 1.安静に過ごす 前提として、寝違え直後は安静にして炎症を鎮めることが優先です。 以下のような行為を寝違え直後に実施すると、悪化させる恐れがあるため避けてください。 患部を温める 患部のマッサージやストレッチ 患部を温める行為は、寝違える前であれば予防効果を期待できますが、寝違え直後に実施すると炎症を悪化させる恐れがあります。寝違え直後の患部のマッサージやストレッチも、炎症を悪化させる恐れがあるため行わないでください。 2.痛みがある部分を冷やす 寝違えたあとに、痛みや腫れ、熱感などがある場合は患部を冷やします。 具体的な方法は以下の通りです。 タオルで巻いた保冷剤または氷水を入れたビニール袋を用意する 痛む部分を10分ほど冷やしたあとにしばらく離す 3〜4回ほど繰り返す 一般的に3日ほど経過すると痛みは改善していき、1週間ほどで完治します。痛みが長引く場合は医療機関を受診してください。 3.痛み止めの薬や湿布を活用する 痛み止めの薬や湿布の活用も有効です。痛みの程度が強く動きに制限が出る場合は、痛み止めの薬を服用して安静にしてください。副作用があるため、用法・用量を守って使用しましょう。 湿布には、冷湿布と温湿布があります。寝違え直後は、冷湿布を貼って患部を冷やしてください。温湿布は、寝違えの痛みが改善し始めた際に、筋肉が固まるのを予防する目的で使用します。 【関連記事】 首や背中の寝違えにロキソニンは効く?カロナールとの違いも解説 寝違えに湿布は効果的?正しい使い方とNG行為を解説 寝違えを繰り返さないための予防法 寝違えを繰り返さないための予防法には、以下のようなものがあります。 ストレッチを取り入れる 枕の高さや硬さを調整する それぞれの詳細を解説します。 ストレッチを取り入れる 寝違えを予防するには、ストレッチにより肩周りの柔軟性を高めることが大切です。 例えば、以下のようなストレッチです。 椅子に座り片方の肘を下ろして伸ばす そのまま背中側に引き上げ20秒間静止する 左右両方2〜3回ずつを目安に行う ストレッチを行った翌日に痛みが増す場合は実施するのを中断してください。 枕の高さや硬さを調整する 首の寝違えを予防するには、枕の高さや硬さの調整も大切です。枕の高さや硬さが合っていないと、寝違えを引き起こす原因になる恐れがあるためです。 以下を参考にして、自分に合った枕を選択してください。 枕を選ぶポイント 高さ 枕に頭を乗せた状態で、頭の位置が自分の握りこぶしほどの高さ(6〜9cm)になる枕 硬さ 枕に頭を乗せて、沈み込む深さが20%ぐらいの硬さの枕 上記はあくまでも一例です。日頃から自分が楽と感じる枕の高さや硬さを選んでください。 まとめ|寝違えの痛みが長引く場合は医療機関を受診 寝違えが長引く場合は、ほかの病気を発症している恐れがあります。とくに激しい痛みや発熱、手足の痺れ、脱力感、首を動かすと現れる手足の痛みなどの症状が現れている場合は、医療機関を受診してください。 寝違えたときの基本的な対処法は、安静にして冷やすことです。タオルで巻いた保冷剤で痛む部分を10分ほど冷やしたあとにしばらく離すを3〜4回繰り返してください。 痛み止めの薬や湿布を活用するのも有効です。繰り返さないためには、ストレッチを取り入れて肩周りの柔軟性を高めることや、枕の高さや硬さを調整することが大切です。 寝違えに関するよくある質問 寝違えたら温めても良い? 寝違えた直後は温めてはいけません。患部の炎症を悪化させる恐れがあるためです。痛みが改善して炎症が治まってきた際に温めると、血流を良くなり寝違え予防の効果を期待できます。 寝違えが治らない原因は? 寝違えが治らない原因は、不自然な姿勢での睡眠や頭と枕の高さの不一致、慢性的な肩こりなどさまざま原因が考えられます。3日以上持続する首や背中などの痛みは、他の病気も考えられるため医療機関を受診してください。 寝違えを早く治す方法は? 寝違えを早く治す方法は、以下の前述した対処法を適切に行うことです。 安静にして患部を冷やす 痛みが引いてきたら温湿布などで温める 痛みが続く場合や温めるタイミングなどがわからない場合は、医療機関に相談しても良いでしょう。
2026.02.02 -
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「最近、指がこわばる」「膝の痛みで階段の上り下りがつらい」 このような症状に心当たりがある方もいらっしゃるでしょう。 関節の痛みや腫れが続くとき、考えられる原因の一つが関節炎です。 関節炎は年齢を問わず起こり得る病気で、放置すると関節の変形や機能障害につながるかもしれません。 一方、早期に原因を知って適切に対処すれば、進行を防げて日常生活の質(QOL)を保てます。 この記事では、関節炎の基本から、原因、症状、治療法、悪化予防のポイントまで解説します。自分の症状が関節炎かもと疑っている方は、ぜひ参考にしてください。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 関節炎について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 関節炎とは 関節炎とは、関節の内部で炎症が起きている状態を指します。炎症が生じると、次のような症状があらわれます。(文献1) 関節が腫れる 赤みや熱感を伴う 動かすと痛みが強くなる 関節炎は、関節内に炎症が生じている状態の総称です。臨床では「化膿性関節炎」「乾癬性関節炎」など、原因に基づく疾患単位が診断名として用いられます。 関節炎と混同されがちなものが、関節痛と関節リウマチです。それぞれの違いを見ていきましょう。 関節炎と関節痛の違い 関節炎は炎症を伴う病気の状態、関節痛は症状といった違いがあります。 項目 関節炎 関節痛 定義 関節に炎症が起きている状態 関節に感じる痛みの症状 特徴 痛みや腫れ、赤み、熱感などを伴う 炎症の有無にかかわらず起こる つまり、関節痛は「関節炎によって引き起こされる症状の一つ」といえます。 関節痛については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 関節炎と関節リウマチの違い 関節痛と同様に、関節炎と混同されやすいのが関節リウマチです。 両者の違いは、以下のとおりです。(文献2) 関節炎:関節に炎症が起こる状態の総称 関節リウマチ:自己免疫が関与して、慢性的に関節炎を引き起こす病気 関節リウマチは、早期に診断して治療を開始すると、その後の寛解率(症状がおさまる確率)が改善するという報告もあります。(文献3) そのため「関節炎かもしれない」と感じた場合は、速やかに医療機関を受診し、専門医の診断を受けることが重要です。 【関連記事】 関節リウマチとは?初期症状・原因・診断・治療・生活上の注意 膝の関節炎とリウマチの違いとは?症状と治療法などを現役医師が解説 関節炎が起こる主な原因と症状 関節炎はさまざまな原因によって生じ、以下のように異なる症状があらわれます。(文献4)(文献5)(文献6)(文献7)(文献8)(文献9)(文献10)(文献11) 原因 おもな症状の例 関連する病気 外傷(ケガ) ケガをした関節の腫れ・炎症 スポーツや事故などによる半月板損傷 細菌・ウイルス感染 発熱、関節の強い腫れや痛み 化膿性関節炎、ウイルス性関節炎など 自己免疫異常 手指のこわばり、左右対称の関節の腫れ 関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)など 結晶沈着(尿酸・カルシウム) 足の親指の激しい痛みや腫れ、熱をもつような強い炎症 痛風・偽痛風など 遺伝的要因 背中から腰のあたり(脊椎や仙腸関節)の慢性的な痛みや違和感 脊椎関節炎、強直性脊椎炎など 変形性関節症は、関節リウマチのような「炎症」から始まる病気とは異なり、主に軟骨がすり減る「関節症」です。 ただし、症状が進行すると関節を包む膜(滑膜:かつまく)に炎症が起き、関節炎の状態を伴うことがあります。 つまり、変形性関節症は「炎症が原因の病気」ではなく「軟骨のすり減りが原因で、結果的に炎症も起こりうる病気」と理解すると良いでしょう。 関節炎の治療法 関節炎の治療は、薬物療法やリハビリテーションが中心です。 そのほか、関節炎の原因や状態によっては手術や切開といった処置をおこないます。 ここでは、一般的におこなわれる薬物療法とリハビリテーション、そして再生医療という選択肢について解説します。 薬物療法 薬物療法は、関節炎の一般的な初期治療としておこなわれます。痛みと炎症を和らげて、病気の進行をおさえることが目的です。 たとえば以下のように、原因や症状に合わせた薬を使用します。(文献5)(文献8) 原因・症状 使用する薬の例 化膿性関節炎 ・原因となる病原体に応じた抗生物質 痛風発作 ・炎症をおさえる薬(消炎鎮痛薬やコルヒチン) ・尿酸を下げる薬(発作が治まってから) 関節リウマチ ・抗リウマチ薬 ・生物学的製剤 そのため「関節が痛いから痛み止めを飲もう」と自己判断で痛み止めの服用をつづけると、原因に合っていない場合、症状が進行してしまうかもしれません。 関節炎を疑う症状があらわれたら、まず受診して正しい診断を受けましょう。 リハビリテーション リハビリテーションは、原因を問わず関節炎において大切な治療法です。 動かさないでいると関節の動く範囲が狭くなり、筋力が低下してますます関節に負担がかかるためです。 具体的なリハビリテーションの内容は、以下のとおりです。 リハビリテーションの内容 目的 温熱療法・電気刺激療法 血流改善によって炎症を緩和 筋力トレーニング・ストレッチ 関節を支える力の強化 歩き方・正しい姿勢・体重管理 関節に負担のかけない生活の習慣化 リハビリテーションと薬物療法と並行しておこなうことで、関節炎の進行防止が期待できます。 運動の種類や方法は、医師や理学療法士と相談して決めていきましょう。 【関連記事】 化膿性関節炎のリハビリは何をすれば?日常生活上での注意点を解説 仙腸関節炎(仙腸関節炎障害)の治し方・痛みを和らげるケア【医師監修】 再生医療 薬やリハビリテーションで改善が難しい関節炎に対して、再生医療という新しい選択肢があります。 たとえば、当院リペアセルクリニックでおこなう再生医療の特徴は、以下のとおりです。 患者自身の脂肪から採取した幹細胞を使用する 日帰り治療が可能 採取した幹細胞を、骨や神経などの特定の組織へ変化させている 再生医療に関して詳しく知りたい方は、当院リペアセルクリニックの公式LINEへのご登録をおすすめします。 再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しておりますので、ぜひご活用ください。 関節炎を悪化させないために意識したい生活習慣 関節炎の治療と並行して大切なのが、日常生活の過ごし方です。 関節への負担を軽くし、炎症を悪化させないための生活習慣を意識して、免疫機能の維持・全身状態の管理を図り、症状の増悪を抑制しましょう。 バランスのとれた食事を意識する 骨や関節を健康に保つには、栄養バランスのとれた食事が欠かせません。 なかでも「ビタミンD」は、免疫力やカルシウムの吸収力の向上が期待できます。(文献12) ビタミンDが含まれる食材は、以下を参考にしてください。 食材 具体的な食品の例 きのこ類 干ししいたけ、まいたけ、しめじなど 魚類 サケ、サンマ、イワシなど 卵 とくに卵黄 乳製品 ビタミンD強化牛乳、ヨーグルト、チーズなど 脂溶性ビタミンのビタミンDは、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。少量のオリーブオイルやごま油を使用して、炒め物にするのがおすすめです。 また、日光を浴びることで体内でも生成されるため、「食事+日光浴」を意識すると良いでしょう。(文献12) 無理のない運動とストレッチを習慣化する 「関節が痛いから動かさないほうが良い」と考える方もいますが、適度な運動は症状の改善に役立ちます。 運動によって関節を支える筋力が維持でき、関節の炎症の改善が期待できるためです。 たとえば、以下の運動がおすすめです。 ウォーキング 軽いストレッチ ヨガ 水中歩行 関節を守るために、痛みの強くならない範囲で始めましょう。 体重を管理する 体重が増えると、膝関節や股関節などの負担も増えるため、適正体重の維持は欠かせません。 適性体重からどのくらいオーバーしているかの指標として、「BMI」が用いられます。(文献13) 健康診断をきっかけに知る方もいますが、覚えていない方は身長と体重から算出できるため一度計算してみてください。 <BMIの計算方法> BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m)) BMIが25を超えると、オーバーウェイトとなります。 まずは今の自分の体重を把握し、日常の食事や運動習慣を見直すきっかけを作りましょう。 睡眠時間を確保する 睡眠不足は炎症を悪化させる要因となり得ます。 海外では、睡眠時間が長いほど関節炎の新規発症リスクが低くなるという報告が得られており、睡眠はなんらかの形で関節炎に関係している可能性があるのです。(文献14) そのため、十分な休養をとり、生活リズムを整えることで、関節への負担を軽減しやすくなるでしょう。 関節炎は悪化する前に早期受診を心がけよう 関節炎は、自己免疫疾患や感染、痛風など、原因が多岐にわたる病気です。 症状も指のこわばり、膝や股関節の痛み、発熱を伴う関節の腫れなどさまざまで、人によって異なります。 自然に治りそうに思えても、放置してしまうと関節の変形や機能障害へと進行するケースも少なくありません。 症状が軽いうちに原因を明らかにする、適切な治療を受ける、日常生活で予防・改善を心がけるなどが、快適な生活を取り戻すことにつながります。 もし「関節炎かもしれない」と感じたら、自己判断せずに早めに専門医へ相談しましょう。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。 関節炎について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 関節炎に関するよくある質問 関節炎を放置するとどうなりますか? 関節炎を放っておくと関節の変形や機能障害が進み、歩行や日常動作が難しくなる恐れがあります。 重症化すると滑膜切除術や人工関節置換術といった外科的処置が必要になるため、疑わしい症状があったら受診をおすすめします。 関節炎が治るまでの期間はどのくらいですか? 軽度の炎症であれば数週間で改善する場合もありますが、慢性化すると数年単位で治療が必要になることもあります。 原因や治療法によって大きく異なるため、受診時に医師へ確認してみましょう。 あちこちの関節が痛いのは関節炎でしょうか? 身体中の関節の痛みの原因が、必ずしも関節炎とは限りません。 加齢や疲労による関節痛の場合もあります。 ただし、複数の関節が左右対称に腫れたり痛んだりする場合は、関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患の可能性があります。 正しく対処するために、整形外科を受診しましょう。 関節炎の原因にストレスはありますか? ストレスそのものは、関節炎を起こす直接の原因ではありません。しかし、ストレスは免疫や自律神経に影響を与え、炎症を悪化させることがあります。 そのため、十分な睡眠をとりストレスを溜めない・うまく解消することが、関節炎の予防や症状緩和につながります。 参考文献 (文献1) 続編:関節の具合はどうですか?―関節の痛みが続くとき、どのような病気を考えるか?最近の治療の動向は?|独立行政法人国立病院機構 宇多野病院 (文献2) 関節リウマチ|公益財団法人日本リウマチ財団 (文献3) 関節炎の鑑別診断|宮坂信之 (文献4) 膝半月板損傷|順天堂大学医学部附属順天堂医院 (文献5) 関節リウマチ(RA) | 一般社団法人日本リウマチ学会 (文献6) 乾癬性関節炎(PsA) | 一般社団法人日本リウマチ学会 (文献7) 全身性エリテマトーデス | 一般社団法人日本リウマチ学会 (文献8) 痛風 | 一般社団法人日本リウマチ学会 (文献9) 偽痛風(ぎつうふう)をご存知ですか|新潟労災病院 (文献10) 脊椎関節炎(SpA) | 一般社団法人日本リウマチ学会 (文献11) 強直性脊椎炎(指定難病271)|難病情報センター (文献12) ビタミン(脂溶性ビタミン)|厚生労働省 (文献13) 身長から、自分の適正体重を知る|日本医師会 (文献14) Sleep duration and the risk of new-onset arthritis in middle-aged and older adult population: results from prospective cohort study in China|PMC
2026.02.02 -
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「ボルタレンってどんな薬?」 「具体的な効果や副作用を知りたい」 ボルタレンとは、痛みや炎症、発熱を軽減するために処方される薬です。関節リウマチや腱鞘炎、急性腰痛などさまざまな病気に対して用いられます。 本記事では、ボルタレンの効果・成分・他の鎮痛薬との違いをはじめとして以下を解説します。 副作用と対処方法 服用してはいけない方【禁忌】 一緒に飲んではいけない薬 正しい飲み方と効果が現れるまでの時間 服用する際の注意点 投与方法の種類と、それぞれの使用用途についても詳しく解説しています。ボルタレンについて理解を深めたい方は参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな病気の治療に応用されている再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 関節リウマチや腱鞘炎などの痛みに悩んでいる方は、ぜひ一度公式LINEをご利用ください。 ボルタレンとは|効果・成分・他の鎮痛薬との違い まずはボルタレンの基礎知識である以下について解説します。 成分と作用機序 投与方法の種類と使用用途 適応症一覧 ロキソニンとの違い 基礎知識を深めるために参考にしてください。 ボルタレンの成分と作用機序 ボルタレンの成分や効果は以下のとおりです。 成分 ジクロフェナクナトリウム 分類 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 効果 ・鎮痛作用(痛みを和らげる) ・消炎作用(炎症を鎮める) ・解熱作用(体温を下げる) (文献1) ボルタレンは痛みや炎症、発熱に関わるプロスタグランジンという物質の合成を阻害します。その結果、鎮痛・消炎・解熱作用がもたらされます。 ボルタレンは病気の原因を治癒するものではありません。あくまでも症状を和らげる対症療法です。 ボルタレンの投与方法の種類と使用用途 ボルタレンには以下のような種類があります。 種類 投与方法と使用用途 効果 内服薬 ・口から飲むタイプ ・比較的効果の出現が早く全身に作用が及ぶ 鎮痛・消炎・解熱作用 座薬 ・肛門から投与するタイプ ・吐き気により服用が困難な方も利用できる テープ ・痛みのある部位に貼るタイプ ・長時間効果を持続できる 関節痛、筋肉痛、腰痛などの軽減 ゲル ・痛みのある部位に塗るタイプ ・べたつきが少なく乾きが早いため使用感が良い ローション ・痛みのある部位に塗るタイプ ・広い範囲に塗るときに便利である ボルタレンの適応症一覧|どんな痛みに効く? ボルタレンは以下のような病気に処方する薬です。 分類 病名 整形外科領域 関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、腱鞘炎、頸肩腕症候群、神経痛 内科領域 膀胱炎、前眼部炎症、急性上気道炎 産婦人科領域 月経困難症(生理痛)、後陣痛、骨盤内炎症 急性の痛み 抜歯後の痛み、術後の痛み ボルタレンとロキソニンの違い ボルタレンとロキソニンの効果や対象となる病気はほとんど共通です。 主な違いは以下のとおりです。 ボルタレン ロキソニン 成分 ジクロフェナクナトリウム ロキソプロフェンナトリウム 効果の強さ 強い 中 即効性 遅い 早い 血中濃度のピーク 約2.7時間後 約30分後 (文献1)(文献2) ロキソニンはボルタレンよりも即効性があります。ボルタレンはロキソニンよりも効果は強いですが、薬の効果がピークになるまで時間がかかります。効果が強い分、ボルタレンのほうが消化管の副作用が現れやすい傾向です。 ボルタレンの副作用と対処方法 ボルタレンには以下のような副作用があります。 重大な副作用 アナフィラキシーショック、消化管潰瘍など その他の副作用 食欲不振、吐き気、嘔吐など それぞれの副作用と対処方法について詳しく解説します。 重大な副作用|アナフィラキシーショック、消化管潰瘍 ボルタレンの重大な副作用には以下のようなものがあります。 重大な副作用 詳細 アナフィラキシーショック ・薬に対するアレルギー反応であり、多くは服用後30分以内に症状が現れる ・急激な血圧低下により意識障害や脱力感などが現れる 消化管潰瘍 (しょうかかんかいよう) ・胃や腸に傷または穴ができた状態 ・激しい腹痛、胸焼け、吐き気などの症状が現れる 消化管の狭窄・閉塞 ・胃や腸の通り道が狭くなるまたは閉じてしまった状態 ・激しい腹痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れる この他にも、重度の貧血や腎臓の障害、喘息発作などの副作用が現れることがあります。ボルタレンの服用後に、意識障害や息苦しさ、胸の苦しさ、激しい腹痛などの症状が現れた場合は直ちに救急受診が必要です。 その他の副作用|食欲不振、吐き気、嘔吐 その他の副作用には、以下のようなものがあります。 食欲不振 吐き気 嘔吐 胃の痛み 腹痛 下痢・便秘 喉の渇き 口内炎 発疹 頭痛 眠気 これらの症状が現れている場合は医師に相談してください。 ボルタレンを服用してはいけない方【禁忌】 以下に該当する方はボルタレンを服用してはいけません。 禁忌となる既往歴 起こりうるリスク 消化性潰瘍 潰瘍の症状の悪化 重篤な血液の異常 血液異常の悪化 重篤な腎臓の障害 腎機能の悪化 重篤な肝臓の障害 肝機能の悪化 重篤な高血圧 血圧の上昇 重篤な心不全 心臓の機能の悪化 ボルタレンへの過敏症 (過敏に反応すること) 重大な副作用の出現 アスピリン喘息 喘息発作の誘発 インフルエンザによる脳炎や脳症 予後不良の確率の上昇 妊婦または妊娠の可能性がある方も、胎児の心臓の血管などに重大な影響を及ぼすリスクがあるため、服用してはいけません。授乳婦も乳汁中に移行する可能性があるため、服用の中止を検討する必要があります。 ボルタレンと一緒に飲んではいけない薬 ボルタレンと一緒に飲んではいけない薬は、トリアムテレンという利尿薬です。併用すると、急性腎障害が現れるおそれがあります。 また、以下の薬はボルタレンと併用する際に注意が必要です。 レボフロキサシン ジゴキシン アスピリン プレドニゾロン フロセミド ワルファリン 併用に注意すべき薬は他にもあります。服用している薬は事前に医師に申告しておきましょう。 ボルタレンの正しい飲み方と効果が現れるまで時間 成人のボルタレンの用法・用量は以下のとおりです。 対象 用法・用量 痛み・炎症 1日量75〜100mgとして、原則3回に分けて服用する 発熱 1回量25〜50mgを1日2回(最大100mg)までとして頓用する 消化管障害のリスクが高まるため空腹時に服用してはいけません。また、ボルタレンが食道に留まると食道潰瘍を起こすおそれがあるため、服用時は多めに水を飲んでください。 ボルタレンを服用する際の注意点 ボルタレンを服用する際は以下のことについて注意してください。 長期間服用する際は定期的に検査を受ける 持病がある方は医師に必ず報告する それぞれの注意点について詳しく解説します。 長期間服用する際は定期的に検査を受ける ボルタレンは副作用として、重篤な肝臓の障害が現れることがあります。そのため、長期間服用する方は、血液検査や尿検査を定期的に受けてください。 とくに肝臓に障害がある方、関節リウマチや変形性関節症などの慢性疾患がある方は、定期的な検査が推奨されています。 持病がある方は医師に必ず報告する 以下のような既往歴がある方は、ボルタレンの服用を慎重に検討しなければなりません。 SLE(全身性エリテマトーデス) 潰瘍性大腸炎 クローン病 食道通過障害 気管支喘息 感染症 肝硬変(腹水を伴う) これらの病気に対してボルタレンを服用すると、病状が悪化するおそれがあります。既往歴は医師に必ず報告しましょう。 関節痛・慢性疼痛に対する再生医療 ボルタレンはあくまで痛みを軽減する対症療法です。関節痛・慢性疼痛にお悩みの方は、治療方法の一つとして再生医療の選択肢があります。 再生医療とは、自己の細胞を患部(病気の部位)に投与して、体が持つ自然治癒力を引き出す治療方法です。 具体的な再生医療の治療方法は以下のとおりです。 再生医療の種類 詳細 幹細胞治療 (かんさいぼうちりょう) 組織の修復に関わる働きを持つ「幹細胞」を患部に投与する治療方法 PRP療法 血液中の血小板に含まれる成長因子などが持つ、炎症を抑える働きや組織修復に関与する働きを利用した治療方法 実際の再生医療の症例について詳しく知りたい方は、以下を参考にしてください。 【症例紹介】 関節リウマチで膝関節の痛みが取れない・40代女性 関節リウマチ・高濃度PRPで手首の痛みが激減! まとめ|ボルタレンの効果や副作用を十分に理解して服用しよう ボルタレンは、強力な鎮痛・消炎・解熱作用のある薬です。関節リウマチや腱鞘炎、変形性関節症などさまざまな病気に対して用いられます。 しかし、あくまでも対症療法であるため注意が必要です。ボルタレンは、内服薬や座薬、ゲルなどさまざまな投与方法があり、それぞれ用途に合わせて使用します。 効果が強い一方、消化管の副作用が現れやすい傾向です。「空腹時の服用は避ける」「多めの水で服用する」などの対策も重要です。意識障害や息苦しさ、激しい腹痛などが現れた場合は、重大な副作用の疑いがあるため速やかに医療機関を受診してください。 当院「リペアセルクリニック」では、関節リウマチや腱鞘炎に対して再生医療を行っています。気になる症状がある方は、お気軽にご連絡ください。 ボルタレンに関するよくある質問 頭痛や歯痛、生理痛には効果がある? ボルタレンは頭痛や歯痛、生理痛にも効果があります。その他にも、後陣痛や抜歯後の痛みなど幅広い痛みに対して効果があります。 ロキソニンとどっちが強い? 一般的に、ロキソニンよりもボルタレンのほうが効果は強いとされています。副作用もボルタレンのほうが現れやすい傾向です。 眠気を引き起こす? ボルタレンは、眠気やめまい、眼のかすみなどの副作用が現れることがあります。ボルタレンの服用中は、自動車運転や危険を伴う機械操作などは控えてください。 参考文献 (文献1) ボルタレン錠25mg|医薬品医療機器情報提供ホームページ (文献2) ロキソプロフェンナトリウム錠|日本薬局方
2026.01.31 -
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「ロラゼパムの具体的な効果や副作用は?」 「効果が出るまでの時間や離脱症状について知りたい」 ロラゼパム(ワイパックス)は抗不安薬に分類され、不安や緊張を鎮めるために用いる薬です。服用する場合は副作用だけでなく、急に薬をやめると現れる離脱症状について理解しておくことも重要です。 本記事ではロラゼパムの効果と作用機序をはじめとして、以下を解説します。 副作用と対応方法 離脱症状と減薬方法 正しい飲み方と効果が出るまでの時間 服用する際の注意点 処方を検討する病気や障害 ロラゼパムと似た効果を持つ他の薬について一覧で解説しています。「似たような薬があってよくわからない」と悩んでいる方は、参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな病気の治療に応用されている再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEをご利用ください。 ロラゼパム(ワイパックス)の効果と作用機序 ロラゼパムの主な効果は以下の通りです。 効果 詳細 抗不安作用 不安や緊張を和らげる 鎮静・催眠作用 穏やかな眠りに導く 筋弛緩作用 筋肉の緊張を和らげる ロラゼパムは、脳の興奮を静めるGABAという物質の作用を高めることで、不安や緊張を和らげます。 ロラゼパムの副作用と対応方法 ロラゼパムには以下のような副作用があります。 重大な副作用 依存性、錯乱、呼吸抑制など その他の副作用 眠気、動悸、吐き気など ここからは、ロラゼパムの副作用の詳細と対応方法について解説します。 重大な副作用|依存性、錯乱、呼吸抑制 ロラゼパムの重大な副作用として、以下のようなものが挙げられます。 重大な副作用 詳細 依存性 ・薬の長期使用により薬なしではいられなくなる ・急にやめると不安やふるえなどの症状が現れる 興奮・錯乱 ・イライラして興奮する ・時間や場所がわからなくなる 呼吸抑制 ・呼吸する力が弱まり、呼吸の回数が減少したり息苦しさが現れたりする ・重症化すると命に関わることもある これらの重大な副作用が現れた場合は直ちに医療機関を受診してください。 その他の副作用|眠気、動悸、吐き気 その他の副作用を一部紹介すると以下の通りです。 眠気 不眠 ふらつき めまい 立ちくらみ 頭痛 頭の重だるい感覚 吐き気 下痢 便秘 これらの副作用が現れたら減薬を検討する必要があります。疑われる症状が現れたら、医療機関を受診しましょう。 ロラゼパムの離脱症状と減薬方法について ロラゼパムを長期間の服用している場合は、急に服用を中止すると離脱症状が現れることがあります。離脱症状とは不安や不眠、けいれんなどのことです。 薬をやめるには、例えば以下のように時間をかけて徐々に減らしていく必要があります。 減薬方法 詳細 量を減らす方法 2〜4週間ごとに4分の1くらいずつ薬の量を減らしていく 頻度を減らす方法 2〜3日に1回、数日に1回と服用の頻度を減らしていく (文献1)※減薬は必ず医師と相談のうえで進めてください。 上記はあくまでも一例であり、自己判断で減薬または服用の中止をしてはいけません。医師に「減薬をしても良いのか」「薬を辞めても良い状態であるのか」「どのように減薬していくか」を必ず相談してください。 また、薬だけに頼らないために規則正しい生活習慣やストレス対処法を取得するのも重要です。 ロラゼパムの正しい飲み方と効果が出るまでの時間 ロラゼパムの成人の標準的な用法・用量は、1日1〜3mgを2〜3回に分けた服用です。年齢や症状によって調整します。不安が強い際に頓服として処方されるケースもあります。 ロラゼパムの服用後、血液中の薬の濃度がピークを迎えるのは約2時間後です。つまり、約2時間以内には効果が出るということです。服用後、約12時間後には半減期を迎えて、24時間後には消失します。(文献2) 半減期とは、服用してから血液中の薬の濃度が半分になるまでの時間のことです。半減期の時間によって薬の作用時間が分類され、ロラゼパムは中時間作用型にあたります。 ロラゼパムを服用する際の注意点 ロラゼパムを服用する際の注意点は以下の通りです。 運転や危険な作業は控える 持病のある方は医師に必ず報告する 妊婦や授乳婦は服用しない それぞれの注意点について詳しく解説します。 運転や危険な作業は控える ロラゼパムは副作用として、眠気やふらつき、注意力・集中力の低下などの症状が現れることがあります。そのため、自動車の運転、高所作業、機械操作など危険が伴うことは控えてください。 また、ロラゼパム服用中に飲酒をすると、眠気やふらつき、注意力・集中力の低下を増強させるおそれがあります。ロラゼパムを服用している方は飲酒を控えましょう。 持病のある方は医師に必ず報告する 持病がある方がロラゼパムを服用すると、以下のようなリスクがあります。 障害 服用によるリスク 脳の障害 薬の効果の増強 心臓の障害 病気の症状の悪化 中等度以上の呼吸不全 病気の症状の悪化 腎臓の障害 薬の排泄の遅延 肝臓の障害 薬の排泄の遅延 その他にも、ロラゼパムと併用してはいけない薬もあります。既往歴や現在治療中の病気がある場合は、必ず医師に申告してください。 妊婦や授乳婦は服用しない 妊婦や授乳婦は以下のような理由により服用は避ける必要があります。 服用を避けるべき理由 妊婦 ・新生児に口唇裂(こうしんれつ:唇に裂け目がある状態)が起こるリスクがある ・新生児に哺乳困難や活動性の低下、呼吸抑制などの症状が現れるリスクがある 授乳婦 ・ロラゼパムが乳汁中に移行するリスクがある ・ロラゼパムが移行した乳汁を乳児が飲むと、意識障害や体重減少などの症状が現れるリスクがある 妊婦または妊娠している可能性がある方は、薬を飲むメリットとデメリットを比較して、メリットのほうが大きい場合に服用を検討します。 ロラゼパムの処方を検討する病気や障害 ロラゼパムの処方を検討する病気や障害は、以下のようなものが挙げられます。 神経症 心身症 高次脳機能障害 更年期障害 それぞれについて詳しく解説します。 神経症 神経症とは以下のような病気のことです。 神経症 特徴 社会不安障害 「人に注目される」「恥ずかしい思いをする」などに対して極端に恐怖を感じる病気 強迫性障害 「戸締りやガス栓を何度も何度も確認する」などにより生活に支障をきたす病気 パニック障害 理由もなく突然激しい不安に襲われて、動悸やめまいなどの症状が現れる病気 ロラゼパムは、これらの神経症に対する不安や緊張、抑うつなどの症状の改善に効果を期待できます。 心身症 心身症とは、心理的・社会的ストレスの影響により、発症または悪化する身体の病気のことです。 代表的な病気は以下の通りです。 心身症 特徴 過敏性腸症候群 ストレスにより下痢や腹痛などの症状が悪化する病気 機能性ディスペプシア ストレスによりみぞおち辺りの腹痛や焼けるような感覚、食後の胃もたれなどの症状が現れる病気 本態性高血圧 生活習慣の乱れやストレスなどにより発症する高血圧 ロラゼパムにより不安や緊張を和らげることで、心身症の症状の改善が期待できます。 高次脳機能障害 高次脳機能障害とは、脳梗塞や脳卒中、頭部外傷、アルツハイマー病などが原因で起きる認知機能障害のことです。不安や動悸などの症状が現れている際にロラゼパムの処方が検討されます。ロラゼパムは依存性があるため、抑制障害(衝動的な行動や言動を制御できない状態)が強い場合は服用を控えます。 脳卒中の後遺症に対する再生医療 高次脳機能障害の原因となる脳卒中の後遺症に対する治療法として再生医療があります。再生医療とは人が本来持つ「再生する力」を活用した治療方法です。 以下のような後遺症が治療対象です。 会話がスムーズにできず意思疎通が難しい 食事の際にむせやすく十分に食べられない 見る力や考える力の変化でこれまでの生活が送りにくい 排泄に問題があり外出や人との交流が減っている その他にも、再発予防のための治療を行っています。脳卒中の後遺症や再発予防についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 更年期障害 更年期障害とは、40歳以降辺りから起きる性ホルモンの分泌量の低下により現れる症状の総称です。 更年期障害は以下のようなさまざまな症状が現れます。 不安 イライラ 抑うつ 情緒不安定 頭痛 のぼせ めまい 肩こり 疲労感 更年期障害による不眠や不安に対して、ロラゼパムが処方されるケースがあります。 【関連記事】 男性更年期障害とは?症状・原因・治療法をわかりやすく解説 更年期障害になりやすい女性の特徴とは?体質・性格・生活習慣でわかるリスクを紹介 ロラゼパムと似た効果を持つ他の薬 抗不安薬はさまざまな種類がありますが、抗不安作用や鎮静作用、筋弛緩作用など効果は基本的に共通しています。主な違いは効果が現れるまでの時間や消失するまでの時間です。 以下は代表的な抗不安薬です。 一般名(商品名) 効果が出るまでの時間 半減期 クロチアゼパム (リーゼ) 約1時間以内 約6時間後 ブロマゼパム (レキソタン) 約1時間以内 約20時間後 アルプラゾラム (ソラナックス) 約2時間以内 約14時間後 ジアゼパム (セルシン) 約1時間以内 約9〜96時間後 クロキサゾラム (セパゾン) 約2〜4時間以内 約11〜24時間後 メダゼパム (リボトール) 約0.5〜1.5時間以内 約51〜150時間後 ロフラゼプ酸エチル (メイラックス) 約1時間以内 約122時間 (文献3) それぞれの薬について詳しく解説します。 クロチアゼパム(リーゼ) クロチアゼパムは心身症の他に、自律神経失調症によるめまいや肩こり、食欲不振などの症状に処方する薬です。服用後、約1時間以内で効果が現れ、約6時間後には半減期を迎えるため短時間作用型の薬です。 ブロマゼパム(レキソタン) ブロマゼパムは神経症や心身症の他に、うつ病の不安や緊張などの症状に処方する薬です。服用後、約1時間以内に効果が現れ、約20時間後に半減期を迎えるため中時間作用型の薬です。 アルプラゾラム(ソラナックス) アルプラゾラムは主に心身症に対して処方する薬です。服用後、約2時間以内に効果が現れ、約14時間後に半減期を迎えるため中時間作用型の薬です。 ジアゼパム(セルシン) ジアゼパムは神経症や心身症の他に、うつ病による不安や緊張、脳脊髄の病気のけいれんや痛みなどの症状に対して処方する薬です。服用後、約1時間以内に効果が現れます。半減期は9〜96時間後と文献により異なりますが、長時間作用型に分類します。 クロキサゾラム(セパゾン) クロキサゾラムは、主に神経症と心身症に処方する薬です。投与後、約2〜4時間以内に効果が現れます。約11〜24時間後に半減期を迎えるため長時間作用型に分類します。 メダゼパム(リボトール) メダゼパムは主に神経症や心身症に処方する薬です。服用後、約0.5〜1.5時間以内に効果が現れます。半減期は約51〜150時間後と幅がありますが、長時間作用型に分類します。 ロフラゼプ酸エチル(メイラックス) ロフラゼプ酸エチルは主に神経症や心身症に処方する薬です。服用後、約1時間以内に効果が現れます。半減期は約122時間後で超長時間作用型に分類します。 まとめ|ロラゼパムの効果や副作用を十分に理解して服用を検討しよう ロラゼパムの主な効果は、不安や緊張を和らげる作用や穏やかな眠りに導く作用などです。主に神経症や心身症に対して処方されますが、脳卒中の後遺症として現れる高次脳機能障害などの症状に対して処方するケースもあります。 重大な副作用として、依存性や錯乱、呼吸抑制があります。これらの副作用が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。 ロラゼパムを長期間服用している方は、急に薬をやめてはいけません。不安や不眠、けいれんなどの離脱症状が現れることがあるためです。調子が良くなっても、自己判断で薬の量を調整しないで、医師に相談しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の後遺症などに対して再生医療を行っています。気になる症状がある方は、お気軽にご連絡ください。 ロラゼパムの効果に関するよくある質問 Q.イライラに効果がある? ロラゼパムは不安だけでなくイライラにも効果があります。その他にも、過呼吸やドキドキ、緊張などを鎮める効果を期待できます。 Q.パニック障害に効果がある? ロラゼパムはパニック障害に効果があります。抗うつ薬との併用で治療を始めるのが一般的です。 Q.痩せる効果がある? ロラゼパムに直接的な体重減少の効果はありません。副作用の食欲不振や吐き気により食事量が減る可能性はあります。 Q.飲み過ぎるとどうなる? 飲み過ぎると副作用が強く現れるおそれがあります。誤って多く飲んだ場合は直ちに医療機関を受診してください。 参考文献 (文献1) 睡眠薬や抗不安薬を飲んでいる方にご注意いただきたいこと|東京女子医科大学病院 (文献2) ロラゼパム錠0.5mg「サワイ」|医薬品医療機器情報提供ホームページ (文献3) 睡眠薬一覧(内服・外用)|愛媛大学医学部附属病院
2026.01.31 -
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「急な痛みがありロキソニンを飲みたいけれど、本当に効くのか不安」「以前飲んだけれど、あまり効かなかった」という経験がある方も多いでしょう。 ロキソニンは、正しく使えば高い効果が期待できる薬ですが、すべての痛みに万能ではありません。また、即効性が高い反面、胃腸への負担など注意すべき副作用も存在します。 今回は、ロキソニンの効果について解説します。効く痛みと効かない痛み、副作用のリスクもまとめているので、安全に使用するための参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 ロキソニンの効果は炎症の抑制による痛みの緩和 ロキソニンの効果は、主に以下の3つです。 鎮痛作用 解熱作用 抗炎症作用 ロキソニンは、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類され、痛みや腫れ、発熱を引き起こす原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑える薬です。プロスタグランジンの生成が抑制されることで、神経への刺激が軽減され、結果として痛みや発熱を和らげる効果を発揮します。 また、ロキソニンは炎症そのものを抑えることで、痛みを比較的根本に近い部分から緩和するのが特徴です。そのため、炎症が主な原因となっている症状に対して、とくに高い効果が期待されます。 ロキソニンが効果を発揮する痛み ロキソニンは、炎症反応による痛みや急性の痛みに対して、比較的短時間で鎮痛効果を実感しやすい点が特徴です。ここでは、ロキソニンが効く・効かないケースを解説するので、薬の効果を理解するための参考にしてください。 効果が期待できる代表例 ロキソニンの効果が期待できる代表的な痛みは、以下のとおりです。 頭痛 歯痛 抜歯後の痛み 腰痛 関節痛 生理痛 打撲や捻挫による痛み など ロキソニンは、頭痛や歯痛などの身近な痛みをはじめ、抜歯後の痛み、腰痛、関節痛、生理痛など、さまざまな痛みに対して効果が期待されます。また、打撲や捻挫といった外傷による痛みにも用いられ、比較的即効性がある点が特徴です。 ロキソニンが効かない・効きにくいケース ロキソニンは、炎症を原因としない痛みに対しては、効かない・効きにくい場合があります。ロキソニンは炎症を抑えて痛みを軽減する薬のため、痛みの原因が炎症以外にある場合は効果が十分に発揮されません。 ロキソニンが効かない・効きにくい具体的なケースは、以下のとおりです。 神経痛 慢性的な痛み 加齢による関節の変性 精神的要因が強い痛み たとえば、坐骨神経痛などの神経痛は、神経の圧迫や損傷によって起こるため、ロキソニンを使用しても効果を感じにくいことがあります。また、長期間続く慢性的な痛みや、ストレスなど心理的要因が関係する痛みも、ロキソニンだけでは改善が期待できません。 これらの痛みは、炎症を抑えるだけでは根本的な改善につながらないため、それぞれの原因に応じた別の治療を検討する必要があります。 ロキソニンの即効性と効果時間 ロキソニンは、即効性が高く、短時間で痛みを和らげたい場合に適した薬です。服用後の吸収が速く、有効成分が短時間で血中濃度のピークに達するため、素早く効果を発揮します。 製造販売元のデータでは、服用後30〜60分で最高血中濃度に達することが確認されています(文献1)。また、効果の持続時間には個人差や痛みの強さによる違いはあるものの、一般的には4〜6時間程度が目安です。 そのため、急な頭痛や発熱、日常生活に支障をきたす痛みがある場面でも、適切に使用することで症状の緩和が期待できます。 ロキソニンの副作用と注意点 ロキソニンは高い鎮痛効果を持つ一方で、身体への負担もあるため、正しい知識を持って使用する必要があります。副作用や服用上の注意点を理解し、安全に使用しましょう。 使用上の注意点 副作用のリスクを抑えるため、ロキソニンは食後の服用が推奨されています。ロキソニンは胃の粘膜を保護する物質の生成も抑えるため、空腹時に服用すると胃への負担が大きくなるからです。 また、十分な効果が得られないからといって自己判断で増量したり、ほかの薬と併用したりするのは避けましょう。ロキソニンを服用しても症状が改善しない場合は、早めに医療機関を受診し、痛みの原因を突き止める必要があります。 ロキソニンの副作用 ロキソニンには、消化器や腎臓への影響など副作用のリスクがあります。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)としての作用により、胃粘膜保護物質や腎臓血流への影響が起こるため注意が必要です。 ロキソニンの代表的な副作用は、以下のとおりです。 胃痛 胃もたれ 吐き気 胃潰瘍 胃出血 腎機能への影響(むくみや尿量の減少など) 副作用は誰にでも起こるわけではありませんが、体調や既往歴によってリスクが高まる場合があります。少しでも異変を感じたら、自己判断で服用を続けず、速やかに医師や薬剤師に相談してください。 ロキソニンとの併用に注意が必要な薬 ロキソニンの注意事項として、以下のような薬との併用には注意が必要です。 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 抗凝固薬(ワルファリン)・抗血小板薬 ステロイド 利尿薬 など まず、副作用のリスクを減らすためにも、成分が重複するそのほかのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)との併用は避けましょう。また、抗凝固薬との併用は出血リスクを高めるほか、高血圧における利尿薬も腎機能の低下を招く恐れがあるため注意が必要です。 ロキソニンを服用する際に、市販薬やサプリメントを併用している場合は、事前に医師や薬剤師に相談することが大切です。 ロキソニンの服用に注意が必要な人 特定の体質や持病を持つ方にとって、ロキソニンは服用に慎重になる必要がある薬です。以下に該当する方は、とくに注意しましょう。 胃腸が弱い方 腎臓や心臓に持病がある方 高齢者 妊娠中・授乳中の方 小児 胃潰瘍の既往がある方や腎機能が低下している方は、服用によって症状が悪化する可能性があります。また、妊娠中の方は胎児への影響が懸念されるため、原則として服用を避け、必ず医師に相談してから使用を判断してください(文献2)。 ロキソニンを服用する際は、自身の体調や既往歴を把握した上で、安全に服用できるか確認する必要があります。 ロキソニンを服用し続けるリスク 長期間にわたってロキソニンを連続服用すると、胃潰瘍や腎障害などの副作用リスクが高まるだけでなく、痛みの原因となる病気を見逃してしまう可能性があります。 たとえば、慢性的な腰痛や関節痛のたびに自己判断で服用を続けると、変形性関節症や椎間板の異常といった根本的な疾患の発見が遅れ、適切な治療が受けられなくなることが考えられます。 ロキソニンは一時的に痛みを和らげる鎮痛薬であり、原因そのものを治す薬ではありません。そのため、痛みが長引く、繰り返す、あるいは薬を服用しても十分に効果を感じられない場合は、自己判断で服用を続けず、早めに医療機関を受診しましょう。 ロキソニンの効果がない場合は早めに医療機関を受診しよう ロキソニンは痛みを和らげる効果がある一方で、あくまで一時的な対症療法であることを理解しておくことが大切です。 実際に、関節や体の一部に構造的な問題や損傷がある場合、服用だけでは十分な改善が見られないケースもあります。このようなときは、炎症を抑えるだけでは根本的な痛みの解消にはつながりません。自己判断で薬を続けず、早めに医療機関を受診し、原因に応じた適切な治療法を検討しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。薬を服用しても痛みが改善せずにお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 ロキソニンの効果に関するよくある質問 ロキソニンを飲んでも痛みが繰り返すのはなぜですか? ロキソニンは、今出ている痛みを一時的に和らげる鎮痛薬であり、痛みの原因そのものを治す薬ではありません。そのため、関節や筋肉、組織に損傷や負担が残っている場合、薬の効果が切れると再び痛みを感じやすくなります。痛みを繰り返す場合は、原因の特定が重要です。 ロキソニンが効かない場合はどうすれば良いですか? 痛みが慢性化している場合や、炎症以外の要因が関与している場合は、ロキソニンだけでは十分な効果が得られない場合があります。このようなケースでは、痛みの原因に直接アプローチする治療を検討することが大切です。 なお、症状や痛みの原因によっては、従来の保存療法や手術療法に加えて、再生医療といった治療法も注目されています。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。ロキソニンが効かない痛みでお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 市販薬のロキソニンを服用しても十分な効果がありますか? ロキソニンには市販薬もありますが、処方薬と比べて成分量や使用目的が異なります。軽い痛みには対応できる場合もありますが、強い痛みや長期間の使用には適さないことがあります。継続的に服用する必要がある場合は、自己判断せず、事前に医師に相談しましょう。 参考文献 (文献1) ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%|第一三共株式会社 https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00057032.pdf (文献2) 麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン第4版Ⅱ鎮痛薬・拮抗薬|公益社団法人日本麻酔科学会 https://anesth.or.jp/img/upload/ckeditor/files/%E2%85%A1-2-2.pdf
2026.01.31 -
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急な発熱や痛みがあり、「手元にあるカロナールとロキソニンのどちらを飲むべきか」「よく効く薬が良いけれど、どのような副作用があるのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。 カロナールとロキソニンは、どちらも市販薬として販売されており、日常的に使用する一般的な薬です。しかし、薬の作用や得られる効果、注意すべき副作用はそれぞれで異なります。 違いを正しく理解せずに服用すると、期待した効果が得られないばかりか、胃を痛めたり持病を悪化させたりするリスクがあるため注意が必要です。 今回は、カロナールとロキソニンの違いをわかりやすく解説します。それぞれの特徴と症状に合わせた適切な使い分けもまとめているので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 カロナールとロキソニンの違い カロナールとロキソニンの違いを一覧表にまとめました。 項目 カロナール ロキソニン 一般名 アセトアミノフェン ロキソプロフェン 薬の分類 解熱鎮痛薬 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 主な作用 解熱、鎮痛 解熱、鎮痛、抗炎症 炎症を抑える作用 なし あり 胃腸への負担 少ない 比較的強い 注意すべき臓器 肝臓 胃、腎臓 妊娠中の使用 比較的安全 ・治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ可能 ・妊娠末期の使用は原則禁止 授乳中の使用 比較的安全 やむを得ず投与する場合は授乳を中止する必要あり 即効性 やや穏やか 比較的早い (文献1) カロナールとロキソニンは、どちらも発熱や痛みを和らげるために役立つ薬です。しかし、それぞれに特徴があり、ご自身の症状や状態に合わせて正しく選ぶ必要があります。 なお、カロナールとロキソニンは、どちらも今ある症状を一時的に和らげるものであり、病気の原因を根本から治す薬ではありません。 薬を飲んで症状が落ち着いている間に体をしっかりと休め、痛みが繰り返したり長引いたりする場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 そのほかの痛み止めの種類や効果を知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。 カロナールとは カロナールは効き目が穏やかで体への負担が少ない解熱鎮痛薬で、小さな子どもから高齢者まで服用が可能です。カロナールとはどのような薬か、以下の3つについて解説します。 効果 特徴 服用する際の注意点 それぞれ詳しく見ていきましょう。 カロナールの効果 カロナールの主な効果は、解熱作用と鎮痛作用の2つです。カロナールの主成分であるアセトアミノフェンが脳にある体温調節中枢や痛みの伝達を司る神経に働きかけ、症状を抑制します。 解熱作用:体温調節中枢の設定温度を下げ、効率良く熱を逃す 鎮痛作用:軽度から中等度の頭痛や歯痛、神経痛などに効く カロナールは痛みの原因に直接アプローチするのではなく、脳が感じる熱さや痛みの信号に働きかけることで症状を和らげます。 カロナールの特徴 カロナールの最大の特徴は、胃腸への負担が少ない点です。カロナールは空腹時に服用しても問題が起こりにくいとされているほか、以下のような方の第一選択薬にもなります。 胃腸が弱い方 高齢者 妊婦 小児 ただし、カロナールには抗炎症作用がほとんどありません(文献2)。そのため、重度の打撲、関節の腫れなど、強い炎症が原因の痛みには効果が不十分な場合があります。 カロナールを服用する際の注意点 カロナールは比較的安全性が確立されている薬ですが、過剰摂取は厳禁です。とくに肝臓に負担がかかるため、服用時には1日の上限量を守ることが重要です。 また、アセトアミノフェンは市販の風邪薬や頭痛薬にも含まれている場合があります。知らないうちに重複して服用し、肝機能障害を引き起こすケースも考えられるため、併用には十分に注意しましょう。 ロキソニンとは ロキソニンは、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の代表的な薬です。ロキソニンとはどのような薬か、以下の3つについて解説します。 効果 特徴 服用する際の注意点 カロナールとの違いを含めて、詳しく見ていきましょう。 ロキソニンの効果 ロキソニンは、痛みや発熱の発生源となるプロスタグランジンの合成を妨げることで、優れた効果を発揮します。炎症そのものを鎮める力が強く、腫れや熱感を伴う症状に対して適した薬です。 カロナールが主に中枢神経(脳)に作用するのに対し、ロキソニンは痛みの発生現場(末梢)で炎症を直接抑えるため、比較的早く効果を実感できる点が特徴です。 ロキソニンは、とくに炎症を伴う痛みに対して高い効果を示します。腰痛や関節痛、生理痛、抜歯後の痛みなど、腫れや熱感を伴う痛みがある場合に有効で、日常生活に支障をきたすようなつらい症状の改善が期待できます。 ロキソニンの特徴 ロキソニンは即効性に優れており、服用後30分から1時間ほどで効果を実感する方が多い点が特徴です。 製造元の製薬会社が行った調査でも、主成分であるロキソプロフェンと、体内で実際に鎮痛効果を発揮する形に変化した活性代謝物の血液中濃度は、服用後およそ30分から60分という短時間で最大値に達することが確認されています。(文献3) 一方で、ロキソニンが抑制するプロスタグランジンは胃の粘膜を守る役割も担っており、服用時は胃腸への負担が避けられません。また、腎臓の血流量を低下させる性質もあるため、高齢者や腎機能が低下している方の服用は注意が必要です。 ロキソニンを服用する際の注意点 ロキソニンを服用する際は、空腹時を避け、ほかの鎮痛薬との併用を控えることが重要です。ロキソニンは高い鎮痛効果を持つ一方で、胃粘膜を保護する物質の生成を抑えてしまうため、胃腸や腎臓への負担が比較的大きいからです。 また、ほかの鎮痛薬(NSAIDs)と併用すると、副作用のリスクが相乗的に高まるため注意が必要です。痛みが長引く場合や十分な効果が得られないときは、速やかに医師や薬剤師に相談しましょう。 【症状別】カロナールとロキソニンの使い分け カロナールとロキソニンのどちらを使うか迷ったときは、以下を参考にしてください。 カロナールが適している症状 ・発熱 ・軽い頭痛 ・腹痛 ロキソニンが適している症状 ・関節痛 ・筋肉痛 ・ひどい生理痛 ・歯茎の腫れを伴う痛み ・即効性を求めるような痛み そのほか、持病や併用薬、アレルギーの有無などにより、必ずしもこの限りではありません。症状や状況によっては、医師の判断で上記とは異なる処方がなされることもあります。自己判断が難しい場合や、薬を飲んでも効果が得られない場合は、早めに医師に相談するようにしてください。 カロナールとロキソニンの違いを理解して適切に使い分けよう カロナールは、胃腸への負担が少なく、発熱や軽度の痛みに適した安全性の高い薬です。一方、ロキソニンは即効性に優れ、関節痛や生理痛など炎症を伴う強い痛みに高い効果を発揮します。 服用において大切なのは、安易に「効果が強そうだから」と選ぶのではなく、症状や体質に合わせて適切に選択することです。 カロナールとロキソニンの違いを理解した上で正しく使い分けることが、副作用のリスクを最小限に抑えながら早期回復を目指す近道となります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 カロナールとロキソニンの違いに関するよくある質問 カロナールとロキソニンは併用できますか? カロナールとロキソニンは作用する仕組みが異なるため、理論上は併用が可能とされる場合もあります。しかし、自己判断での併用は胃腸や肝臓への負担を増大させる恐れがあるため注意が必要です。 原則として併用は避け、どうしても痛みが引かない場合は医師や薬剤師に相談してください。 市販薬と処方薬には違いがありますか? 市販薬と処方薬は基本的に同じ成分が含まれていますが、一錠あたりの含有量(用量)や、一緒に含まれている補助成分が異なる場合があります。 市販薬は短期間あるいは頓服での使用が基本です。そのため、市販薬はあくまで一時的な対処として使用し、医療機関を受診する時間が取れない場合や緊急時に限るようにしましょう。痛みが強い場合や症状が長引く場合には、できるだけ早めの受診をおすすめします。 カロナールやロキソニンが効かないときはどうしたら良い? 市販薬を飲んで痛みが改善しない、あるいは悪化する場合は注意が必要です。この場合、痛みの原因は単なる一過性の炎症ではなく、背後に重大な病気が隠れている可能性があります。 薬が効かないからといって自己判断で量を増やして飲み続けると、思わぬ副作用を招くリスクもあります。薬はあくまで「一時的に痛みを抑えるもの」と考え、効果が不十分なときは早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。薬が効かずにお困りの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 参考文献 (文献1) 麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン第4版Ⅱ鎮痛薬・拮抗薬|公益社団法人日本麻酔科学会 https://anesth.or.jp/img/upload/ckeditor/files/%E2%85%A1-2-2.pdf (文献2) NSAIDsとアセトアミノフェン|一般社団法人日本ペインクリニック学会 https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_keynsaids.html (文献3) ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%|第一三共株式会社 https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00057032.pdf
2026.01.31 -
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イブプロフェンは、熱や痛み、炎症を抑える解熱鎮痛剤の一つです。聞いたことがあっても、実際にイブプロフェンとは何の薬か詳細を理解していない方もいるでしょう。症状を緩和させるためには、成分を理解した上で自分に適しているものを選ぶことが大切です。 本記事では、イブプロフェンとはどのような成分か解説します。作用の仕組みや適応疾患、服用方法などもまとめているので、イブプロフェンについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 服用している薬についてお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 イブプロフェンとは頭痛に効果的な解熱鎮痛成分 イブプロフェンは、解熱鎮痛剤の1つです。ここでは、イブプロフェンとはどのような薬か、成分について解説します。 自身に適している成分か知りたい方は、参考にしてください。 成分の特徴 イブプロフェンとは、頭痛に効果的な解熱鎮痛剤に配合されている成分の1つです。解熱鎮痛剤にはさまざまな成分があり、イブプロフェンは非ステロイド性抗炎症成分(NSAIDs)に分類されます。 非ステロイド性抗炎症成分(NSAIDs)は、体内で炎症などを引き起こす物質となる「プロスタグランジン」の生成を抑制し、熱を下げる薬です。非ステロイド性抗炎症成分(NSAIDs)に分類されるイブプロフェンは、主に頭痛や生理痛、風邪薬などに使用されています。(文献1) 作用の仕組み イブプロフェンは、非ステロイド性抗炎症成分(NSAIDs)に分類されます。非ステロイド性抗炎症成分(NSAIDs)は、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し、プロスタグランジン(PG)の生成を抑えて、解熱や鎮痛、抗炎症作用をあらわす仕組みです。 発熱の原因は、プロスタグランジンが脳の視床下部にある体温調節中枢に体温を上げるよう指示を出しているためです。プロスタグランジンとは、体内で炎症や痛み、熱などの要因となる物質をいいます。 プロスタグランジンは、アラキドン酸と呼ばれる物質からシクロオキシゲナーゼの作用によって生成されます。つまり、シクロオキシゲナーゼを阻害することがイブプロフェンの作用機序です。 適応疾患 イブプロフェンは、解熱や鎮痛、抗炎症作用が期待できる成分です。痛みや熱を下げるだけでなく、腫れなどの炎症を鎮める効果もイブプロフェンにはあります。イブプロフェンは、主に次の疾患に適応されます。 関節リウマチ 関節痛・関節炎 神経痛・神経炎 背腰痛 月経痛 頭痛 歯痛 打撲・ねんざ痛 手術並びに外傷後の消炎・鎮痛 急性上気道炎 急性上気道炎とは、鼻から喉にかけての気道となる上気道で起こる炎症で、いわゆる風邪のことです。イブプロフェンは、頭痛や風邪の症状だけでなく、関節痛など幅広く使用されています。 服用方法 イブプロフェンを服用する際は、用法と用量を守りましょう。成人が使用する場合の用法と用量は、以下の通りです。 症状 用法・用量 疾患や症状の消炎・鎮痛 手術や外傷後の消炎・鎮痛 1日量600mgを3回に分けて服用 急性上気道炎(風邪) 1回量200mg(年齢や症状によって増減あり) ただし、原則1日2回・最大600mgが限度 症状によって用法・用量が異なるため、確認の上、服用する必要があります。また、ぬるま湯の水で服用するのがポイントです。飲み水が冷たいと薬が溶けにくく、吸収が遅れてしまうためです。 また、イブプロフェンは空腹時の服用は避けてください。空腹時に飲むと、副作用のリスクが高まり、吐き気や胃痛などを引き起こす可能性があります。 イブプロフェンとアセトアミノフェン・ロキソプロフェンとの違い アセトアミノフェンとイブプロフェン、ロキソニンはいずれも解熱鎮痛剤が配合されている成分です。各成分には、次の違いが生じます。(文献2)(文献3)(文献4) イブプロフェン アセトアミノフェン ロキソプロフェン 分類 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 解熱鎮痛薬(非サリチル酸系) NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 効果の持続時間 4~8時間ほど 4~6時間ほど 4~6時間ほど 効き目の強さ 比較的穏やか 比較的穏やか 比較的強い 主な効果 解熱・鎮痛・抗炎症作用 解熱・鎮痛 鎮痛・抗炎症作用 胃への負担 胃粘膜を直接刺激する 少ない 胃粘膜への直接刺激が少ない 小児への使用 15歳未満の使用は禁止 可能 15歳未満の使用は禁止 イブプロフェンとアセトアミノフェン、ロキソプロフェンを比較したところ、効果の持続時間はイブプロフェンが長いといえます。 ただし、胃粘膜を直接刺激するため、胃への負担を考慮したい場合はアセトアミノフェンやロキソプロフェンを検討しましょう。 イブプロフェンとの併用に注意すべき薬 イブプロフェンを服用する際は、飲み合わせに注意しなければなりません。飲み合わせが悪いと、副作用のリスクが高まるためです。 併用に注意すべき薬と実際に起こった事例は、以下の通りです。 併用に注意すべき薬 報告があった症状 クマリン系抗凝血剤 クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)の作用を 増強する可能性あり アスピリン製剤(抗血小板剤として投与している場合) アスピリンの血小板凝集抑制作用を減弱する 報告あり 抗凝血剤 抗血小板剤 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 消化管出血が増強される可能性あり リチウム製剤 リチウムの血中濃度が上昇し、リチウム中毒 を呈した報告あり チアジド系利尿薬 ループ利尿薬 利尿薬の作用を減弱する報告あり ACE 阻害剤 β遮断剤 降圧作用が減弱する可能性あり タクロリムス水和物 急性腎障害を引き起こした報告あり ニューキノロン系抗菌剤 ほかの非ステロイド性消炎鎮痛剤の併用により 痙攣を引き起こした報告あり メトトレキサート メトトレキサートの作用を増強する可能性あり コレスチラミン 本剤の血中濃度が低下する可能性あり スルホニル尿素系血糖降下剤 血糖降下作用を増強(低血糖)する可能性あり CYP2C9 阻害作用を有する薬剤 血中濃度が上昇する可能性あり ほかの薬と併用する際は、用量を調整するなど注意が必要です。 イブプロフェンの禁忌 イブプロフェンの服用や、併用をしてはいけないケースもあります。知らずにイブプロフェンを服用した場合、症状を悪化させたり効果減弱につながったりする可能性があるため、注意しなければなりません。 ここからは、イブプロフェンの禁忌について解説するので、参考にしてください。 ジドブジン(HIV治療薬)との併用 イブプロフェンは、ジドブジン(HIV治療薬)との併用が禁止されています。ジドブジンは、一般的にHIV感染症の治療に用いられる薬です。 HIV-1逆転写酵素の活性の阻害や、HIVの増殖抑制などの効果がジドブジンには期待されています。ジドブジンを投与している患者がイブプロフェンを服用して、出血傾向が増えた報告もあるため、併用してはいけません。 使用を禁忌とする患者の服用 イブプロフェンの使用を禁忌とする患者が服用した場合、症状を悪化させたり効果減弱につながったりする可能性があるため注意しなければなりません。次の患者は、イブプロフェンの使用が禁忌とされています。 消化性潰瘍のある患者 重篤な血液の異常のある患者 重篤な肝障害のある患者 重篤な腎障害のある患者 重篤な心機能不全のある患者 重篤な高血圧症のある患者 アスピリン喘息または既往歴のある患者 妊娠後期の女性 いずれの患者も症状の悪化や再発などの報告があるため、イブプロフェンの服用前に禁忌とする患者に該当しないか確認することが重要です。 イブプロフェンの効果が期待できない際は医療機関へ イブプロフェンを服用していても、症状の緩和が見られないと感じたときは、医療機関を受診しましょう。慢性的な頭痛や腰痛などの症状は、市販薬を使用すれば治ると思って放置してしまいがちですが、命にかかわる大病が潜んでいる可能性もあります。 効果がないからといって、用法・用量を超える服用をせず、症状が長引く場合は専門家に相談するのをおすすめします。イブプロフェンで症状の緩和が見られない方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 症状に関するお悩みをお持ちの方は、専門カウンセラーへ相談も可能です。イブプロフェンを服用していても、症状が緩和されない場合は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 イブプロフェンとはどのような薬か理解した上で服用することが重要 イブプロフェンとは、頭痛に効果的な解熱鎮痛成分です。非ステロイド性抗炎症成分(NSAIDs)に分類され、解熱や鎮痛、抗炎症作用などの効果が期待できます。 そのため、イブプロフェンは風邪の症状だけでなく、関節リウマチやねんざなどの疾患にも適応する成分です。ただし、ほかの薬と併用する際は、飲み合わせに注意しなければなりません。 イブプロフェンとはどのような成分か理解し、正しく服用しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。イブプロフェンの服用に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 イブプロフェンに関するよくある質問 イブプロフェン服用時に副作用はありますか? イブプロフェン服用時は、副作用があらわれることもあるため注意が必要です。あらわれる可能性のある副作用は、以下の通りです。 腹痛 食欲不振 嘔吐 下痢・便秘 発疹 めまい むくみ じんましん アナフィラキシー 喘息発作 など 副作用などの異常が見られた場合は服用を中止し、医療機関へ受診しましょう。 アセトアミノフェンとイブプロフェンどっちがいいですか? 熱や炎症の有無、年齢などを考慮して選ぶことが大切です。例えば、アセトアミノフェンは子どもでも使用できる解熱鎮痛薬で、胃への負担も少ない傾向にあります。 対して、イブプロフェンは解熱鎮痛だけでなく抗炎症作用も期待できるため、用途や症状にあわせて適切なものを選びましょう。 カロナールとイブプロフェンは併用しても良いですか? カロナールとイブプロフェンは、併用しても問題ありません。いずれも効果が出る仕組みが異なる成分になるため、同時併用も可能といわれています。 ただし、自己判断での併用は控え、それぞれの成分の違いを理解しておくことが大切です。服用にお悩みの場合は、専門家に相談するのをおすすめします。 参考文献 (文献1) 非ステロイド性抗炎症・鎮痛・解熱剤 イブプロフェン錠|一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC) (文献2) Alternating acetaminophen and ibuprofen for pain in children|PMC (文献3) Nonsteroidal anti-inflammatory drugs and upper and lower gastrointestinal mucosal damage|PMC (文献4) 医薬品インタビューフォーム|あゆみ製薬株式会社
2026.01.31 -
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「健康診断でビタミンD不足を指摘された」 「最近、骨がもろくなったと感じる」 このような場合、骨軟化症の可能性があります。骨軟化症は、骨がカルシウムやリンで十分に石灰化されず、骨組織が軟らかくなる疾患です。主な原因はビタミンD欠乏、低リン血症、腎機能低下などです。 適切な診断と治療により改善が期待できますが、放置すると骨変形や日常動作に支障を来す可能性があります。早期の受診と治療が重要です。 本記事では、現役医師が骨軟化症について詳しく解説します。 骨軟化症の症状 骨軟化症の種類 骨軟化症の原因 骨軟化症を放置するリスク 骨軟化症の治療法 記事の最後には、骨軟化症に関するよくある質問をまとめています。ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 骨軟化症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 骨軟化症とは 項目 内容 疾患の概要 骨を硬くする成分(カルシウム・リン)が十分に沈着せず、骨が軟らかくなる状態 主な原因 ビタミンD不足、カルシウム・リンの摂取不足、腎臓・肝臓・腸の働きの異常、日光不足 起こる仕組み 栄養やビタミンDの不足により、骨の硬化が不十分な状態 主な症状 身体のだるさ、筋力の低下、歩きにくさ、階段の上り下りのしにくさ 放置した場合の影響 骨の変形、骨折の起こりやすさ、生活動作の制限 骨粗鬆症との違い 骨粗鬆症は「骨の量」が減る。骨軟化症は「骨の質(硬さ)」が低下する 診断に必要な検査 血液検査(ビタミンD・カルシウム・リン)、X線、骨密度検査 治療の基本 ビタミンDやカルシウムの補充、原因となる病気の治療、生活習慣の改善 注意が必要な人 日光をあまり浴びない人、偏食・制限食の人、腎臓や肝臓に疾患がある人、高齢者 (文献1)(文献2) 骨軟化症は、カルシウムやリンが骨に十分沈着せず、骨が軟化する疾患です。 主な原因はビタミンD欠乏で、その背景として日光不足や栄養の偏り、腎・肝機能障害などがあります。倦怠感、筋力低下、歩行困難などの症状が現れ、進行すると骨変形や骨折のリスクが高まります。 早期に診断し適切な治療を行うことで、骨の強化と症状改善が期待できます。血液検査やX線検査により診断し、ビタミンDやカルシウムの補充が治療の中心となります。 高齢者や日光を浴びる機会が少ない方、食事制限をしている方はとくに注意が必要です。 骨軟化症と骨粗鬆症の違い 比較項目 骨軟化症 骨粗鬆症 疾患の性質 骨のミネラル化が不十分で、骨が柔らかくなる状態 骨の量(骨密度)が減って、骨がもろくなる状態 主な原因 ビタミンD不足、カルシウム・リン不足、吸収不良、腎臓や肝臓の異常 加齢、閉経後のホルモン変化、骨吸収の促進 骨の変化 骨の質(硬さ・強度)の低下 骨の量(密度)の低下 主な症状 筋力低下、歩行の不安定さ、だるさ、骨の変形、骨折しやすさ 自覚症状が乏しく、骨折して初めて気づくことが多い 診断方法 血液検査でビタミンD・カルシウム・リンを確認、X線による骨の硬化不全の確認 骨密度検査(DEXA法)で骨量の減少を判定 治療の基本 ビタミンD・カルシウム・リンの補充、原因疾患の治療、栄養と生活習慣の見直し 骨吸収抑制薬・骨形成促進薬の使用、運動・食事の改善 特徴的な発見のきっかけ 歩行の違和感や筋力低下から気づくことが多い 検診や骨折後の画像検査で見つかることが多い (文献1)(文献3) 骨軟化症と骨粗鬆症は、どちらも骨が弱くなる点は似ていますが、病態は異なります。骨軟化症は、ビタミンDやカルシウム・リンの不足により骨の石灰化が障害され、骨の質が低下します。 一方、骨粗鬆症は加齢やホルモン変化により骨の量が減少し、骨密度が低下する疾患です。 骨軟化症は血液検査で、骨粗鬆症は骨密度検査で診断されます。原因を見極め、適切な治療を受けることが大切です。 以下の記事では、骨粗鬆症について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】骨軟化症と骨粗鬆症の違いとは|症状や診断基準の観点から詳しく解説 骨粗しょう症の原因は?骨がもろくなる要因や骨量を上げる予防策を解説 骨軟化症とくる病との違い 観点 くる病 骨軟化症 発症時期 成長期の子どもでの発症 成長が終わった成人での発症 骨の状態 成長軟骨帯の石灰化障害による成長異常 既存骨の石灰化不良による質の低下 主な変化 骨の変形や身長の伸び悩み 骨のもろさ・変形・骨折しやすさ 主な症状 O脚・X脚、胸郭や歯の異常 筋力低下、歩行不安定、疲れやすさ 診断・治療目的 骨の成長と形の正常化 骨の強度回復と骨折予防 (文献1)(文献4) くる病と骨軟化症はいずれも骨の石灰化が妨げられる疾患であり、発症年齢と骨の発達段階が異なるのが特徴です。くる病は成長期の子どもに発症し、成長軟骨帯の障害により骨変形や身長の伸び悩みがみられます。 一方、骨軟化症は成人に発症し、既に形成された骨の質が低下して骨折しやすく、歩行障害を生じやすくなります。いずれもビタミンDやカルシウム不足が背景にあり、適切な診断と治療により改善が期待できる疾患です。 以下の記事では、くる病について詳しく解説しています。 骨軟化症の症状 症状 詳細 歩行時の違和感・疲れやすさ 歩く際のふらつきや重だるさ、長距離歩行での疲労増加 下肢の筋力低下と動作の不安定さ 立ち上がりや階段昇降の困難、バランス低下による転倒リスク 骨の変形や骨折しやすくなる変化 背骨や下肢の形態変化、軽微な負荷での骨折発生 骨軟化症の症状は、初期には歩行時のふらつきや重だるさ、長距離歩行での疲労感として現れます。進行すると下肢の筋力低下により、立ち上がりや階段昇降が困難となり、バランス低下から転倒リスクが高まります。 放置すると背骨や下肢の変形が進行し、軽い負荷でも骨折しやすくなります。一方で、症状は徐々に進むため早期には気づきにくいのが特徴です。違和感を覚えた場合には、早めの受診が重要です。 歩行時の違和感・疲れやすさ 原因・仕組み 詳細 骨のミネラル化不全による支持力低下 骨の石灰化不足により骨が柔らかくなり、体重支持能力が低下する状態 筋肉への負担増加と筋力低下 骨の弱さを補うため筋肉に過剰な負担がかかり、とくに下肢・骨盤周囲の筋力低下を招く状態 骨の変形やバランス不良 骨格の歪みや関節への過負荷により身体バランスが不安定になる状態 微小骨折(偽骨折)による負荷感 骨の脆弱化に伴う小さな骨損傷が蓄積し、歩行時の違和感や疲労感が増強する状態 初期症状の自覚しづらさ 明らかな変形や骨折がない初期段階では、だるさや歩きにくさが加齢や運動不足と誤認されやすい状態 (文献5) 骨軟化症における歩行時の違和感や疲れやすさは、骨の石灰化不足により体重支持能力が低下することが原因です。 骨の弱さを補うため筋肉に過剰な負担がかかり、下肢や骨盤周囲の筋力低下を招きます。さらに骨格の歪みによりバランスが不安定となり、微小骨折が蓄積することで負荷感が増強します。 初期段階では明らかな変形がなく、症状が加齢や運動不足と誤認されやすいため、見過ごされることが多い点に注意が必要です。 以下の記事では、膝蓋軟骨軟化症(ランナー膝)の原因を詳しく解説しています。 下肢の筋力低下と動作の不安定さ 原因・仕組み 詳細 骨の石灰化不足による支持力低下 骨のミネラル沈着不全による骨の柔軟化と下肢・骨盤の支持力低下 近位筋の筋力低下(太もも・骨盤まわり) 骨異常に関連した筋機能低下と立ち上がり・歩行時の負荷増加 骨・筋肉の協調性の乱れ 骨不安定性を補う過剰な筋活動に伴う動作時の不安定性と疲労蓄積 バランス障害と歩行の不安定化 骨・筋・関節機能の総合的低下による動作・姿勢保持の困難 加齢や他疾患との見分けの難しさ 症状進行が緩徐で、加齢性筋力低下や整形外科疾患と類似した経過 (文献1) 骨軟化症では、骨の石灰化が不十分となり骨が弱くなることで、下肢の体重支持能力が低下します。その結果、歩行時に筋肉や関節に過剰な負担がかかり、下肢の筋力低下や疲労が生じやすくなります。 骨の脆弱性と筋力低下に伴う関節負荷の増大でバランスが崩れ歩行障害や転倒リスクが高まるため、加齢や運動不足と区別するための適切な検査と栄養評価が必要です。 骨の変形や骨折しやすくなる変化 原因・仕組み 詳細 骨の石灰化不足による硬さの低下 カルシウム・リンの沈着不全に伴う骨軟化と強度の著明な低下 オステオイド(未石灰化骨)の蓄積 骨基質へのミネラル沈着不全により、弾力のみで硬度を欠く骨の増加 骨への日常負荷による変形進行 体重負荷や動作反復による骨のたわみ・歪曲、下肢・脊椎の変形 偽骨折(微小骨折)の発生 外傷を伴わずに骨内部に微小な亀裂・損傷が生じる病態 骨構造の不安定化による姿勢変化 支持性低下に起因する姿勢乱れ、歩行バランス障害、O脚・X脚傾向 (文献1) 骨軟化症では、カルシウムやリンが骨に十分沈着せず、硬さと強度が低下します。日常の体重負荷により徐々に変形や偽骨折が進行し、姿勢や歩行に影響を及ぼします。 これは骨量が減る骨粗鬆症とは異なり、石灰化不足が原因です。変形が進行すると元に戻りにくいため、早期の診断と治療、ビタミンDや栄養状態の評価が必要です。 骨軟化症の種類 種類 詳細 ビタミンD関連の骨軟化症 ビタミンD不足や代謝低下による骨の硬化不全 低リン血症による骨軟化症 リン不足に伴う骨形成障害や骨脆弱化 薬剤性の骨軟化症 抗てんかん薬などの薬剤によるビタミンD代謝障害 骨軟化症にはいくつかのタイプがあり、原因によって治療の方向性が異なります。ビタミンD関連の骨軟化症は、加齢や栄養不足、腎機能低下によりビタミンDが十分に働かず、骨が硬化しにくい状態になります。 低リン血症による骨軟化症は、リンが不足することで骨形成が障害され、骨が脆くなることが特徴です。 また、薬剤性の骨軟化症は抗てんかん薬などが影響し、ビタミンD代謝が乱れることで起こります。原因に応じた治療が必要となるため、血液検査や服薬歴の評価が欠かせません。 ビタミンD関連の骨軟化症 種類 原因 特徴 ビタミンD欠乏性骨軟化症 食事からのビタミンD不足、日光不足、消化吸収障害による吸収低下 骨の石灰化不十分による骨の柔らかさ・弱さ、成人で頻度が高い ビタミンD抵抗性骨軟化症 ビタミンDの作用不全、FGF23過剰による低リン血症 骨のミネラル化不良、骨変形や歩行障害、血液検査で低リン血症・高ALP (文献2)(文献6)(文献7) 骨軟化症には、ビタミンDが不足する欠乏性と、十分に働かない抵抗性があります。欠乏性は栄養や日光の不足、吸収障害が原因で、骨の石灰化が障害されます。 一方、抵抗性はホルモン異常により低リン血症が生じ、骨変形や歩行障害が現れるのが特徴です。 抵抗性では通常のビタミンD補充のみでは改善が得られず、リン製剤や特殊治療を要します。いずれも早期診断と原因に応じた治療が重要です。 低リン血症による骨軟化症 項目 内容 病態の特徴 骨の石灰化に必要なリンの不足や過剰排泄による骨の硬さ低下 遺伝性タイプ FGF23過剰産生による尿中リン排泄増加、X染色体優性低リン血症(XLH)など 後天性タイプ 腎疾患や腫瘍によるリン排泄促進、腫瘍性骨軟化症など メカニズム 骨基質にリンが沈着しにくく未石灰化骨が増加し、骨の質の低下 臨床像 若年期から成人に発症(遺伝性)、中高年に筋力低下や歩行障害(後天性) 検査所見 低リン血症、骨代謝マーカー上昇(ALP高値) その他の要因 アルミニウムなどのミネラル化妨害因子による骨軟化症の悪化 (文献1)(文献2) 低リン血症による骨軟化症は、骨の石灰化に必要なリンが不足、または過剰に排泄されることで骨の硬さが低下する病態です。 背景には、遺伝性のFGF23過剰産生による尿中リン排泄増加(XLHなど)や、腎疾患・腫瘍による後天性のリン排泄促進(腫瘍性骨軟化症など)があります。 リンが不足して未石灰化骨が増えることで骨の質が低下し、年齢により発症や筋力低下・歩行障害が起こります。 薬剤性の骨軟化症 項目 内容 発症のしくみ ビタミンDの働きやカルシウム・リンの利用を妨げる薬剤の影響による石灰化不良 主な影響部位 腎臓・腸管のミネラル代謝障害、尿細管からのミネラル喪失 起こりやすい薬剤 抗てんかん薬、胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬)、アルミニウム含有制酸剤、鉄剤など 臨床像・特徴 筋力低下、歩行異常、骨の脆弱化、骨折しやすさ 検査所見 血液中のカルシウム・リン・ビタミンD代謝異常、骨代謝マーカーの異常 治療のポイント 薬剤の影響を評価し、可能な薬の見直しや補充療法の実施 (文献8)(文献9) 薬剤性の骨軟化症は、一部の薬がビタミンDやカルシウム・リンの利用や代謝に影響し、骨の石灰化が不十分になり骨が弱くなる状態です。 抗てんかん薬、胃酸分泌抑制薬、アルミニウムを含む制酸剤などが関与することがあり、腎臓でのミネラル喪失を引き起こす場合もあります。 筋力低下や歩行の異常がみられるほか、検査でミネラルや骨代謝マーカーの異常が認められることがあります。 治療では薬剤との関連性を確認し、必要に応じて薬の見直しを検討しましょう。 骨軟化症の原因 原因 詳細 ビタミンD不足・代謝異常 食事・日光不足や吸収障害、腎機能低下によるビタミンDの不足や代謝低下 リンの代謝異常 腎疾患や遺伝性疾患によるリン不足や過剰排泄による骨の硬化不全 抗てんかん薬などの薬剤性 薬剤によるビタミンDやミネラル代謝への影響による骨の石灰化不良 骨軟化症の原因は、主にビタミンD関連、リン代謝異常、薬剤性の3つに分類されます。ビタミンD欠乏では、食事や日光不足、吸収障害、腎機能低下による代謝障害が背景にあります。 リン代謝異常では、腎疾患や遺伝性疾患によるリンの不足や過剰排泄により、骨の石灰化が障害されます。 薬剤性では、抗てんかん薬などの長期服用がビタミンDやミネラル代謝に影響を及ぼすことが原因です。 ビタミンD不足・代謝異常 項目 詳細 発症のメカニズム ミネラル沈着不良による骨の硬化不全 ビタミンDの役割 カルシウム・リン吸収促進と骨への供給補助 不足・異常が起こりやすい要因 日光不足、食事不足、消化吸収障害、代謝異常 骨への影響 未石灰化骨の蓄積による骨の柔軟化と強度低下 臨床所見 骨折や変形のリスク増大、血中ミネラル異常、骨代謝マーカー異常 改善の意義 ミネラル化の回復と骨の強度改善の可能性 (文献10) ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収と骨への沈着を促す重要な栄養素です。ビタミンDが不足すると、骨にミネラルが十分沈着せず骨が軟化し、骨軟化症を引き起こします。 日光や食事の不足、消化吸収障害、代謝異常などが原因となり、ビタミンD不足が長期化すると骨折や変形のリスクが高まります。 リンの代謝異常 項目 詳細 過剰なリンの腎からの排泄(腎性リン喪失) 腫瘍や遺伝性障害によるFGF23過剰産生に伴うリン再吸収不全 先天性の遺伝子異常 X連鎖性低リン血症(XLH)などによるリン保持不全 腎臓や尿細管の機能異常 腎機能低下や尿細管障害によるリン再吸収障害 ミネラル供給不足 血中リン低下による骨へのミネラル供給不足 未石灰化骨の増加 骨基質にミネラルが沈着できず未石灰化骨が蓄積 骨の脆弱化 骨の強度低下による骨変形・骨折・歩行異常 (文献7)(文献10) リンは骨の石灰化に不可欠なミネラルで、その代謝異常により骨軟化症が発症します。 主な原因は、腫瘍や遺伝性疾患によるFGF23過剰産生に伴う腎性リン喪失、X連鎖性低リン血症などの遺伝子異常、腎機能低下や尿細管障害によるリン再吸収障害です。 血中リン濃度が低下すると骨へのミネラル供給が不足し、未石灰化骨が蓄積します。その結果、骨の強度が低下し、骨変形や骨折、歩行障害を引き起こします。 抗てんかん薬などの薬剤性 項目 詳細 ビタミンDの働き低下 抗てんかん薬によるビタミンDの不活性化促進 カルシウム不足 腸管でのカルシウム吸収低下と低カルシウム血症 副甲状腺ホルモンの増加 二次性副甲状腺機能亢進による骨吸収促進 リンの喪失 尿細管障害によるリン再吸収障害と低リン血症 骨の弱化 未熟な骨基質の蓄積による骨痛・変形・骨折 発症リスク増大 長期服用、併用薬、日光不足などによる影響 (文献11)(文献12) 抗てんかん薬は肝臓の薬物代謝酵素を誘導し、ビタミンDの分解を促進することで活性型ビタミンDを減少させます。 その結果、カルシウム吸収が低下し、血中カルシウム濃度の低下や副甲状腺ホルモンの過剰分泌により骨軟化症を引き起こします。 尿細管障害によるリン喪失も加わり、長期投与や多剤併用でリスクが高まるため、定期的なビタミンD補充と骨代謝のモニタリングが重要です。 骨軟化症を放置するリスク 放置するリスク 詳細 歩行困難・身体機能低下の進行 筋力低下や痛みによる歩行障害、日常動作の制限 骨折リスクの上昇 軟化した骨の脆弱性による軽微な外傷での骨折 骨の変形や姿勢の変化が進む可能性 骨の弱化・未石灰化による骨変形や姿勢異常の進行 骨軟化症を放置すると、症状は徐々に進行し生活の質が著しく低下します。筋力低下や骨痛により歩行が困難となり、日常動作にも支障をきたします。 骨の脆弱化が進むと、軽微な外傷でも骨折を起こしやすくなり、脊椎や大腿骨の骨折は寝たきりの原因となります。 さらに骨の変形が進行すると、背骨の湾曲や下肢の変形により姿勢異常が生じ、一度変形した骨を元に戻すことは困難です。早期に診断し適切な治療を開始することで、これらの合併症を予防し症状の改善が期待できます。 歩行困難・身体機能低下の進行 骨軟化症を放置すると、歩行困難や身体機能の低下が進行します。これは、ビタミンDやリンの不足により骨の石灰化不全となり、下肢の骨が体重を支えにくくなるためです。 骨が弱い状態では、太ももや臀部の筋肉に負担がかかり、筋力低下や疲労感、歩行時のふらつきが生じます。症状が進行すると、骨変形や偽骨折により歩行バランスが崩れ、階段昇降や長距離歩行が困難となり、転倒リスクが高まります。 低リン血症を伴う場合は筋肉痛やけいれん、全身倦怠感が増強し、重症例では歩行不能や寝たきりに至ることもあります。そのため、早期診断と治療により進行を防ぎ、生活の質を維持することが欠かせません。 以下の記事では歩行障害について詳しく解説しています。 骨折リスクの上昇 項目 内容 骨の偽骨折の進展 未石灰化骨による細かな亀裂が日常動作で拡大し骨折へ進展 軽微な衝撃での骨折 骨強度低下による転倒・階段昇降での骨折発生 骨癒合の遅延と変形 低リン血症やFGF23異常による骨形成障害と変形癒合 多発骨折とQOL低下 多部位骨折による機能障害・呼吸不全・寝たきりリスク (文献1) 骨軟化症では、骨の石灰化が不十分なため骨が軟化し、微小骨折が徐々に進行して完全骨折に至ります。 軽微な外傷でも大腿骨や脊椎の骨折を起こしやすく、骨折治癒の遅延により再骨折を繰り返し、歩行能力が低下します。 低リン血症があると骨形成がさらに障害され、変形したまま治癒して慢性的な機能障害を残す可能性があり、早期の治療が必要です。 以下の記事では、骨折について詳しく解説しています。 【関連記事】 【病期別】脊椎圧迫骨折のリハビリの方法は?禁忌や病院の探し方も解説! 足首の疲労骨折とは?捻挫との違いや痛みの特徴、治療法を解説 骨の変形や姿勢の変化が進む可能性 項目 内容 下肢変形の進行 骨の軟化による体重負荷でのO脚・X脚の進行 類骨蓄積と変形固定 未石灰化骨基質の増加による骨変形と姿勢異常の固定 筋力低下と痛みによる悪循環 下肢筋力低下と疼痛による変形進行と歩行障害 胸郭・脊椎変形 肋骨・脊椎の変形による呼吸障害と姿勢異常 (文献1) 骨軟化症では、骨が軟化し体重を支えきれず、O脚やX脚などの下肢変形が徐々に進行します。 未石灰化骨の蓄積により骨が変形しやすくなり、放置すると姿勢異常が固定化することが、骨変形や姿勢変化が進行する主な原因です。 筋力低下や疼痛により歩行障害がさらに悪化し手術が必要になる場合があり、胸郭や脊椎の変形により呼吸機能や姿勢にも影響が及んで生活の質が低下します。 骨軟化症の治療法 治療法 詳細 栄養補充療法(ビタミンD補充・カルシウム補充・リン補充) 低栄養や代謝異常に伴うミネラル不足の是正による骨の石灰化促進 原因疾患に対する治療 腎疾患・遺伝性疾患・内分泌異常など原因疾患の改善による骨代謝正常化 原因薬剤の調整 薬剤性骨軟化症を想定した薬剤の評価と必要な見直しや変更 骨軟化症の治療は、原因に応じた多角的なアプローチが基本となります。最も重要なのは、ビタミンDやカルシウム、リンの補充による栄養療法で、骨の石灰化を促進します。 とくにビタミンD不足が関与する例では、活性型ビタミンD製剤の投与が効果的です。また、腎疾患や遺伝性疾患、内分泌異常など背景にある原因疾患の治療も並行して行います。 さらに、特定の薬剤が原因となっている場合には、薬剤の見直しや変更も検討されます。治療は長期にわたることが多いため、医師の指導のもとで継続することが大切です。 栄養補充療法(ビタミンD補充・カルシウム補充・リン補充) 項目 詳細 ビタミンD補充 腸管でのカルシウム・リン吸収改善による骨石灰化の再開 カルシウム補充 低カルシウム血症の是正と副甲状腺過剰抑制による骨密度改善 リン補充 低リン血症の改善による骨形成材料の供給とミネラル化促進 (文献6) ビタミンDやカルシウム、リンが不足すると骨の石灰化が進まず、柔らかい骨が増えて骨の強度が低下します。栄養補充療法では、これらの不足を補うことで腸管吸収が正常化し、血中のミネラル濃度が改善されます。 カルシウム補充は副甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑え、骨折予防や筋力維持に効果があるため、医師の指導のもと継続しましょう。 原因疾患に対する治療 骨軟化症の治療では、栄養補充とともに原因疾患への対応が重要です。たとえば腫瘍性骨軟化症(TIO)では、腫瘍がFGF23などのホルモンを過剰に産生し、腎臓でリンが過剰に排泄されることで骨が脆弱化します。 この場合、原因となる腫瘍を摘出することが第一選択とされており、摘出により血中リン濃度や骨のミネラル化が改善し、多くの患者で骨の強度回復が報告されています。(文献12) また、薬剤性骨軟化症の場合は、原因となる薬剤を中止または変更することで症状が改善するケースもありますが、自己判断はせずに医師の判断のもと行いましょう。(文献1) このように、栄養補充だけでは根本的な改善につながらないことがあるため、原因疾患の特定と治療が再発防止や長期的な改善に不可欠です。 原因薬剤の調整 原因薬剤の調整は、薬剤性骨軟化症の進行を抑える上で欠かせません。 抗てんかん薬やリファンピシンはビタミンDの代謝を妨げ、イホスファミドはリンの喪失を引き起こします。 これらの薬剤を中止または変更することで血中ビタミンDやリンが自然に改善し、骨の石灰化が再開されます。 また、アルミニウム含有製剤の変更で未石灰化骨の蓄積を防ぎ、てんかん治療では非酵素誘導型薬剤への変更で発作管理と骨保護の両立が可能です。 さらに、こうした薬剤調整を栄養補充療法と併用することで改善が促進され、歩行機能の回復や変形進行の抑制が期待されます。 骨軟化症の症状や原因を把握して早期治療に努めよう 骨軟化症は、適切な診断と治療により改善が期待できる疾患です。腰や脚の違和感、歩行時の疲れやすさ、筋力低下などに気づいた場合は、加齢の影響と決めつけず医療機関を受診しましょう。 早期発見と治療により骨の状態を改善し、日常生活の質を維持できる可能性があります。 ビタミンD不足の指摘を受けた方、慢性腎臓病や消化器疾患のある方、抗てんかん薬を長期服用している方は骨軟化症のリスクが高いため、定期的な血液検査や画像検査で骨の状態を確認しましょう。 骨軟化症の症状でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、骨軟化症の治療において、有効な選択肢のひとつとして再生医療を提案しています。 再生医療は自身の細胞を利用し、骨の修復や組織再生を促進する治療法です。幹細胞治療やPRP療法により、炎症を抑えながら骨の癒合を促し、運動機能の回復が期待できます。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 骨軟化症に関するよくある質問 骨軟化症は完治しますか? 原因を特定し適切に治療することで改善が期待できます。 ビタミンDやリン不足が原因の場合は栄養補充で骨のミネラル化が回復しますが、腎疾患や腫瘍が背景にある場合はその治療が不可欠です。 ビタミンD不足は日光浴だけで補えますか? 日光浴で皮膚がビタミンDを生成しますが、季節・居住地域・外出時間・服装などに左右されるため、必要量を安定して確保するのは難しいです。 したがって、日光浴だけに頼らず、医師の指導のもと食事療法などを組み合わせることが現実的といえます。 骨軟化症と診断された際に受けられる助成制度はありますか? 制度 詳細 指定難病医療費助成制度 一部の骨軟化症(ビタミンD抵抗性・FGF23関連など)が対象 助成内容 通院・検査・薬の費用負担を軽減 対象条件 指定された病型に該当する場合のみ 申請方法 診断書や申請書などを自治体に提出 注意点 すべての骨軟化症が対象ではないため事前確認が必要 骨軟化症のうち、特定の病型は指定難病として医療費助成の対象となりますが、すべてが該当するわけではありません。 助成を受けるには診断書などの申請手続きが必要です。対象となるか、また申請方法については、主治医や自治体の窓口で確認しましょう。 参考文献 (文献1) 骨軟化症|一般社団法人日本内分泌学会 (文献2) ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症(指定難病238)|難病情報センター (文献3) 骨粗鬆症と骨軟化症の鑑別|MSDマニュアルプロフェッショナル版 (文献4) くる病・骨軟化症の診断マニュアル (文献5) Osteomalacia|Penn Medicine (文献6) ビタミンD欠乏症および依存症|MSDマニュアルプロフェッショナル版 (文献7) 238 ビタミン D 抵抗性くる病/骨軟化症 (文献8) Drugs that may harm bone: Mitigating the risk|Cleveland Clinic Journal of Medicine (文献9) 慢性B型肝炎治療薬adefovirにより生じた薬剤性骨軟化症による全身痛の1例|J-STAFGE (文献10) 低リン血症と内分泌疾患|日本内科学会雑誌 109 巻 4 号 (文献11) 科学研究費補助金研究成果報告書 (文献12) Diagnosis and Management of Tumor-induced Osteomalacia: Perspectives From Clinical Experience|Journal of the Endocrine Society AN OPEN ACCESS PUBLICATION
2026.01.26 -
- その他、整形外科疾患
「子どもの足が曲がっている」「歩き方がおかしい」などの異変に気づいたら、それは「くる病」の初期症状の可能性があります。 くる病は、ビタミンDが不足することで骨がやわらかくなり、成長に影響を与える病気です。治療が遅れて重症化してしまうと、骨の変形が残る場合があるため注意しなければなりません。 本記事では、くる病の症状や原因、検査・治療・予防法をわかりやすく解説します。子どもの健康を守るためにも、ぜひ参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療の選択肢になっている「再生医療」に関する情報の提供と簡易オンライン診断を行っています。ぜひ登録してご活用ください。 くる病(ビタミンD欠乏症)は子どもの骨が正常に硬くならない病気 くる病とは、主に小児に発症する骨の発育異常で、骨が十分に硬化せず変形しやすくなる病気です。ビタミンDの欠乏でカルシウムやリンの吸収が不十分になり、骨の石灰化が障害されることで発症します。 乳幼児期に発症しやすく、足がO脚やX脚になる、頭の骨がやわらかい、成長の遅れなどの症状が現れるのが特徴です。進行すると胸郭や脊椎にも変形が生じ、運動機能の発達にも影響を及ぼすケースがあります。 くる病にかかると、骨の成長に必要なカルシウムやリンがうまく沈着せず、骨の硬化が妨げられる点に注意が必要です。 とくに、1歳前後の乳幼児は骨の成長が著しいため、くる病の影響を強く受けやすいとされています。 くる病は、早期に発見して適切に治療を行えば、改善が可能な病気です。早期発見のためには定期的な健診や身体の観察が重要となります。 くる病(ビタミンD欠乏症)の主な原因 くる病発症の背景には、生活環境や栄養状態、体内での代謝異常など、さまざまな要因が関与しています。 ここでは、くる病発症の主な原因を詳しく見ていきましょう。 日光浴が十分でないためビタミンDが不足している 人間の皮膚には、紫外線B(UV-B)を浴びるとビタミンD3が合成される仕組みがあります。 しかし、以下のような条件が重なると合成が十分に行われず、ビタミンDが体内で不足してしまいます。 屋内での時間が長く、外遊び・日光浴の機会が少ない 保護者が紫外線対策を意識しすぎて、日光にほとんど当たっていない 全身を覆う衣服や紫外線カットクリームの過剰使用により、皮膚が紫外線をほとんど受けていない 日光からのビタミンD合成が阻害されると、骨に必要なカルシウム・リンの吸収促進作用を持つ活性型ビタミンDが十分に産生されません。 その結果、骨にカルシウムやリンが沈着して硬くなるプロセス「石灰化」が阻害され、くる病のリスクが高まるのです。 体がビタミンDを活性型に変換できない ビタミンDは、皮膚や食物から得られた後、肝臓と腎臓の代謝を経て「活性型(カルシトリオールなど)」に変換され、小腸でカルシウムやリンの吸収を促進します。 この変換や作用過程に障害があるとビタミンDが十分に働かず、くる病の原因となるのです。 具体的には次のようなケースがあります。 腎機能低下や腎臓病などによって、活性化酵素の働きが低下している 「ビタミンD依存性くる病」で、生まれつきビタミンDをうまく使えない 腸疾患や胆汁うっ滞などにより、体へのビタミンDの吸収が妨げられている ビタミンDそのものが十分でも、遺伝や腸の病気などによって体内で正しく活かせないと、カルシウム・リンの利用が阻害されます。 結果的に骨の石灰化がうまく進まず、くる病を発症してしまうわけです。 くる病(ビタミンD欠乏症)の症状 ビタミンDが不足すると、骨に必要なカルシウムやリンがうまく使えず、骨がやわらかくなってしまいます。子どもだけではなく、大人でも発症するケースがあるため注意が必要です。 ここでは、子どもと大人それぞれの症状を詳しく見ていきましょう。 子どもの症状 子どもの体は成長の真っ最中であるため、骨がやわらかくなると、体の形や動きにさまざまな異常が出てきます。 くる病を発症すると、以下のような症状が見られるのが一般的です。 足の骨が変形し、O脚やX脚になる 頭の骨がやわらかくなり、押すとへこむ 成長がゆっくりになる、身長が伸びにくい 歩き始めが遅れる、座る・立つのが不安定になる 胸の骨が変形して、肋骨のつなぎ目が盛り上がる「肋骨念珠(ろっこつねんじゅ)」ができる 夜泣きや筋肉のけいれんなど、神経や筋肉に影響が現れることもある これらの症状は、骨が弱くなっている証拠です。 将来的な骨の変形を防ぐためにも、早期に気づいて治療をはじめることが重要になります。 大人(骨軟化症)の症状 すでに骨の成長が終わっている大人の場合、骨が弱くなる状態を「骨軟化症」と呼んでいます。骨の表面を覆うミネラルの層(骨塩)が不十分で、骨全体が弱くなっている状態です。 骨軟化症にかかると、以下のような症状が現れます。 腰や足の骨が痛む 軽い衝撃で骨折しやすくなる 筋肉の力が入りにくく、疲れやすくなる 立ったり歩いたりするのがつらくなる 外見上の変形は子どもほど顕著ではありませんが、日常生活に支障をきたす骨の痛みや筋力低下が生じることがあります。 とくに、高齢者やビタミンD不足が長期間続いている人の場合は、十分に注意が必要です。 ビタミンD不足が続くことで、大人では「骨軟化症」を発症することがあり、骨の痛みや筋力低下などの症状が現れます。骨軟化症について詳しくは以下の記事をご覧ください。 くる病(ビタミンD欠乏症)の検査・診断 くる病は、成長期の子どもにみられる骨の病気であり、早期発見と正確な診断がとても重要です。診断には、主に血液検査とX線(レントゲン)検査が用いられます。 では、それぞれ詳しく見ていきましょう。 血液検査 くる病の診断でまず行われるのが、血液検査です。 骨の発達やミネラルのバランスに異常がないか、次のような項目を確認します。 血中のビタミンD濃度:体に必要なビタミンDが足りているかチェック カルシウムとリンの濃度:骨の材料となる栄養素の量をチェック 副甲状腺ホルモン(PTH):カルシウムのバランスを整えるホルモン、くる病では値が高くなる傾向 ALP(アルカリホスファターゼ):骨が作られているときに増える酵素、くる病の進行度を把握する目安 ビタミンD欠乏性くる病ではカルシウムとリンの両方が低下しますが、遺伝性の低リン血症性くる病ではリンのみ低下しカルシウムは正常となるなど、原因によって検査値のパターンが異なります。 ただし、多くの場合はビタミンD欠乏が原因です。 X線画像検査 くる病を発症すると、骨の形そのものが変わってくるため、X線(レントゲン)による画像検査が欠かせません。 X線画像検査では、以下の部位を中心に調べます。 手首・膝・肋骨の骨端部(こったんぶ) 脚の骨(すねや太もも)や背骨など X線によって、骨の端が広がってぼんやりしたり、曲がったりしている様子が確認できます。 なかでも、手首の骨は成長スピードが早いため、くる病による変化が現れやすい部位です。骨の硬さや形の変化を画像で見ることにより、病気の進み具合や治療の効果を適切に判断できます。 また、肋骨と胸の骨がつながる部分に、こぶのようなふくらみができる「肋骨念珠」もX線画像で確認可能です。 実際には、血液とX線の両方の検査を組み合わせて診断し、くる病かどうかを正確に見極めます。 くる病(ビタミンD欠乏症)の治療・予防法 くる病は、ビタミンD不足によって骨がうまく育たない病気ですが、原因がはっきりしているため、適切に対処すれば予防や治療が可能です。 ここでは、くる病の予防と治療に効果的な方法をご紹介します。 適度に日光を浴びる ビタミンDは食べ物からだけでなく、皮膚が日光を浴びることで体内でも作られます。 紫外線の中の「UV-B」が皮膚に当たると、ビタミンDのもとになる成分が合成される仕組みになっていますが、長時間日焼けをする必要はありません。 顔や手足に1日10〜30分程度、週に数回、日光を当てるだけでも十分です。ただし、ガラス越しの日光では効果が薄いため、屋外で日光浴をするようにしましょう。 また、真夏の強い日差しや長時間の直射日光は体に負担がかかるため、時間帯や季節に応じて調整してください。 ビタミンDを多く含む食材を食べる ビタミンDは、脂に溶けやすい「脂溶性ビタミン」であり、主に以下のような食品に多く含まれています。 鮭、さんま、いわし 卵黄 レバー きのこ類 毎日の食事に、これらの食材をバランスよく取り入れると、体内のビタミンDを補うことが可能です。 なかでも、魚にはビタミンDだけでなくカルシウムやたんぱく質も豊富に含まれており、骨の健康を保つ上で欠かせません。 なお、母乳で育てている赤ちゃんの場合、母親の食事内容がビタミンDの摂取に大きく影響します。 ビタミンDの豊富な食材を取り入れるように心がけ、授乳中の栄養摂取も管理しましょう。 ビタミンDやカルシウムなどを服用する すでにくる病を発症している場合には、医師の指導のもとで、以下のようなビタミンDやカルシウムなどのサプリメントや薬剤を使って治療を行います。 活性型ビタミンD製剤(カルシトリオールなど)の内服 カルシウム剤の併用 必要に応じてリン補充や食事療法の見直し サプリメントの摂取量は、血液検査でビタミンDやカルシウムの値を定期的に確認しながら、過剰にならないよう調整されます。 ビタミンDは脂溶性のため体内に蓄積しやすく、過剰摂取すると高カルシウム血症を引き起こす恐れがあります。 自己判断でサプリメントを摂取する行為は危険なので、必ず医師の指導に従って治療していきましょう。 まとめ|くる病(ビタミンD欠乏症)は発症早期に治療を開始しよう くる病は、ビタミンDの不足によって骨がやわらかくなり、子どもの骨の発達に影響を及ぼす病気です。とくに成長期の乳幼児は、わずかな栄養不足や日光不足でも発症するケースがあります。 放置すると将来的に後遺症を残す恐れがあるため、骨の変形や発達の遅れが見られた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。 また、大人においても、ビタミンDが不足しない食生活や日光浴の習慣を実践していきましょう。 くる病(ビタミンD欠乏症)に関するよくある質問 赤ちゃんのくる病を治すには? 母乳に含まれるビタミンDは少ないため、母乳だけで育てている赤ちゃんはくる病になるリスクがあります。予防や治療のためには、ビタミンDのサプリメントを医師の指導のもとで補うことが効果的です。 また、晴れた日に赤ちゃんを屋外に連れ出し、肌に短時間でも日光を当てることで、体内でビタミンDが作られやすくなります。 ただし、日焼けしすぎないよう、日に当たる時間や肌の露出には注意が必要です。 くる病の歩き方にはどんな特徴がある? くる病になると骨がやわらかくなるため、脚の形が変形し、特有の歩き方が見られるようになります。 代表的なのは、O脚やX脚です。また、足を引きずるように歩く、左右に体を揺らしながら歩く「アヒル歩き」になる場合もあります。 これらのくる病特有の歩き方は、骨の変形や筋力の低下によって起こりますが、早期に治療を行えば改善も可能です。 予後はどうですか? くる病は原因がはっきりしており、早期に発見して適切な治療を受ければ、ほとんどのケースで回復が可能です。 ただし、治療が遅れて重症化してしまった場合には、骨の変形が残る可能性があります。 また、遺伝性のくる病や生まれつきビタミンDを体内でうまく使えない子どもの場合は、成長とともに経過を見守ることが重要です。 高齢者に注意点はある? 高齢者は若い人に比べてビタミンDが不足しやすく、以下のような点から骨の健康に注意が必要です。 加齢によりビタミンDの必要量が増える 屋外に出る機会が減り、日光を浴びにくくなる 皮膚のビタミンD合成能力が低下する 長期入院や施設入所で日光浴の機会が少ない 一部の病気や薬がビタミンDの働きを妨げる 高齢者の場合、上記のような理由によって骨折や筋力低下のリスクが高まります。 骨をできるだけ長く健康な状態に保つためにも、食事やサプリメントによるビタミンDの補給、日光浴をする習慣を実践していきましょう。
2025.12.13 -
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加齢や閉経をきっかけに「骨密度が低下している」と指摘され、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。 骨が弱くなる病気には代表的なものとして「骨粗鬆症」と「骨軟化症」があります。これらは一見よく似ているものの、原因や症状、治療のアプローチは決して同じではありません。 自己判断で放置すると必要な治療が遅れる恐れがあるため、専門医の診断を受けることが大切です。 この記事では、骨軟化症と骨粗鬆症の違いと診断方法や治療・予防のポイントまで詳しく紹介します。「自分はどちらに当てはまるのか知りたい」「骨の状態を今より良くしたい」という方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 骨軟化症や骨粗鬆症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 骨軟化症と骨粗鬆症における症状の違い 骨軟化症と骨粗鬆症はいずれも骨が弱くなる病気ですが、両者の特徴や症状には以下のような違いがあります。(文献1)(文献2) 骨軟化症 骨粗鬆症 特徴 骨はつくられるものの、カルシウムがうまく沈着せず骨が柔らかくなる 骨密度が低下する 症状 ・初期は無症状な場合が多い ・骨が痛む ・進行すると筋力低下や歩行障害が見られる ・初期は無症状な場合が多い ・骨折しやすくなる ・背中が丸くなる ・身長が縮む 早期対応につなげるために、まずは両疾患の特徴を整理しましょう。 骨軟化症|骨が柔らかくなる病気 骨軟化症とは、骨を硬くするカルシウムやリンが十分に沈着せず、骨が固まらない状態になる病気です。 骨量は保たれていても、石灰化が不十分なため、柔らかく変形しやすくなります。 主な原因は以下のとおりです。(文献1) ビタミンD不足 腸のトラブルによるリン吸収の低下 腎臓の働きが低下したことで起こる低リン血症 FGF23(血中リン濃度を下げるホルモン)の過剰な働き これらの影響で骨の石灰化に必要なミネラルが不足し、骨が十分に硬化しない状態になります。 その結果、全身の骨痛、筋力低下による歩行障害、骨折のしやすさなどの症状が現れます。放置すると日常生活に大きな影響が出るため、早めの受診と適切な治療が重要です。 骨粗鬆症|骨密度が低下になる病気 骨粗鬆症は、骨の強度が低下することで骨がもろくなる病気です。 骨の強さは「骨密度」と「骨質」の2つで決まり、その強さに影響する割合は、一般的に骨密度が約70%、骨質が残りの約30%とされています。(文献2) 人の骨は普段から「壊す働き(骨吸収)」と「つくる働き(骨形成)」を繰り返しています。しかし、骨吸収が骨形成を上回ると骨密度が低下するメカニズムです。(文献3) 骨吸収と骨形成のバランスが崩れる主な原因は次のとおりです。(文献4) 加齢 閉経による女性ホルモンの減少 カルシウム不足 運動量の低下 ステロイド薬の長期使用 自覚症状がないまま進行することも多く、気づいたときには背骨の圧迫骨折や手首や大腿骨の骨折、腰背部痛などが生じていることもあります。 日常のちょっとした動作や軽い転倒でも骨折しやすくなるため、予防と早めの検査が大切です。骨粗鬆症の症状やセルフチェックについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 骨軟化症と骨粗鬆症の診断基準の違い 骨軟化症と骨粗鬆症は、症状が似ていても診断に用いる主な検査方法が異なります。 骨軟化症|血液検査とレントゲン 骨粗鬆症|骨密度検査 本章では、それぞれの診断方法の特徴を解説し、さらに画像検査で見られる違いについても紹介します。 受診前に「どの検査が行われるのか」を把握しておきたい方は、ぜひ参考にしてください。 骨軟化症|主に血液検査とレントゲン 骨軟化症であるかどうかを判断する際は、主に血液検査とレントゲン(X線検査)を用いた評価が行われます。 なかでも血液検査においては、以下に示すような数値の変動が診断の重要な手がかりとなるでしょう。(文献1) 高骨型アルカリホスファターゼ(ALP)の上昇 リンの低下(低リン血症) 血中25-水酸化ビタミンDの低値(ビタミンD欠乏性骨軟化症の場合) 一方、画像検査では「Looser帯」と呼ばれる骨の小さなヒビのような像が確認されるケースも少なくありません。また、血液検査とレントゲンだけでは判断が難しい場合、必要に応じて骨生検を行い、石灰化不良の状態を直接確かめることで確定診断につなげることもあります。 骨粗鬆症|主に骨密度検査 骨粗鬆症は、骨密度測定(DXA法)を中心とした検査で、以下のいずれかに該当すると診断されます。(文献5) 骨密度に限らず、背骨または大腿骨の脆弱性骨折がある 背骨と大腿骨以外の箇所の脆弱性骨折があり、YAMが80%未満である 脆弱性骨折はないが、YAMが70%以下またはSD値-2.5以下である 腰椎や大腿骨付近部の骨密度を測定し、脆弱性骨折の有無を加味した上で、若年成人平均値(YAM)と比較して評価します。なお、脆弱性骨折とは、強い衝撃がなくても、日常のちょっとした動作(転倒・つまづき・尻もちなど)で起こってしまう骨折のことです。 さらに血液検査で骨形成マーカーや骨吸収マーカーなどの骨代謝マーカーを測定し、現在の骨代謝バランスを確認することもあります。 より詳しい骨粗鬆症の検査方法について知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 骨軟化症と骨粗鬆症の違いは画像検査でもわかる 骨軟化症と骨粗鬆症は、画像検査によっても違いが顕著に現れます。 骨は、硬く石灰化した部分と、骨がつくられる前段階にある柔らかい「類骨(るいこつ)」とで構成されているのが通常です。 骨軟化症のレントゲン画像は以下のとおりです。 骨軟化症の画像検査では、小さな不完全骨折線(Looser's zone)が特徴として見られます。 一方、骨粗鬆症のX線画像は、以下のとおりです。 骨粗鬆症の場合、骨の量(骨密度)が低下し、骨の内部が一部空洞の状態に陥っています。 そのためX線画像上では、次のような変化を読み取ることができるでしょう。 骨の網目がはっきり減る 骨全体の透過性が増し、画像が黒っぽく見える レントゲン画像だけでは判断が難しい場合でも、骨密度測定や血液検査を組み合わせることで、識別診断が可能です。 骨軟化症と骨粗鬆症の治療法の違い 骨軟化症と骨粗鬆症の主な治療方法は以下のとおりです。 骨軟化症|原因に応じた栄養補充 骨粗鬆症|骨吸収と骨形成のバランスを改善 自身でも違いをあらかじめ把握しておくことは、納得して適切な治療を受けるための助けとなります。 ここからは、それぞれの具体的な治療内容について詳しく見ていきましょう。 骨軟化症|原因に応じた栄養補充がメイン 骨軟化症の治療は、原因に応じて不足している栄養素を補うことが基本です。血液検査の結果から、ビタミンDやリンを補充するケースが多く見られます。(文献6) 普段の食生活に合わせて、病院で治療薬が処方される場合も少なくありません。骨軟化症のタイプごとに不足している栄養分を補充する方法は以下のとおりです。 骨軟化症のタイプ 栄養の補充方法 ビタミンD欠乏型骨軟化症 ・活性型ビタミンD製剤の内服 ・ビタミンDを多く含む食品の摂取 低リン血症性骨軟化症 ・活性型ビタミンD製剤の内服 ・リン製剤の投与 ・FGF23抑制薬の使用 また、薬剤や腎疾患などが原因の場合は、原疾患の治療や原因薬剤の中止・調整が行われます。 骨痛や歩行障害が強い場合は、リハビリや鎮痛剤を併用し、日常生活の維持を目指します。 骨粗鬆症|骨吸収と骨形成のバランスを改善 骨粗鬆症の治療は、最初に食事・運動などの生活改善から始まり、必要に応じて薬物療法を組み合わせます。 骨粗鬆症治療薬には、「骨を壊す働きを抑える薬」と「骨をつくる働きを促す薬」の2種類があります。状況に応じて使い分け、骨代謝のバランスを整えます。 さらに、骨の形成を助けるためにカルシウムやビタミンDを補うこともあります。(文献5) 日常生活では、荷重運動やバランス訓練が骨強度の維持に有効であり、医師から運動療法を勧められることも少なくありません。 治療効果は定期的な骨密度検査で確認し、その結果に応じて薬や治療方針を調整します。症状がなくても定期的な受診は欠かさないようにしましょう。 骨粗鬆症の治療についてより詳しくは、以下の記事もご覧ください。 【共通】骨軟化症・骨粗鬆症を予防する生活習慣のポイント 骨軟化症と骨粗鬆症はいずれも日常生活を整えることで進行を防ぎやすくなります。今すぐできる生活習慣のポイントは、以下の2つです。 食事|ビタミンDとカルシウムをバランスよく摂る 運動|定期的に日光浴と運動を行う これらを日常生活に取り入れ、骨の健康を守りましょう。 食事|ビタミンDとカルシウムをバランスよく摂る 骨の健康を保つためには、ビタミンDとカルシウムを日々の食事でバランスよく摂ることが大切です。これらの栄養素は、次のような食品に多く含まれています。(文献7) 栄養素 食品の例 ビタミンD ・魚介類(かつお、いわしなど) ・きのこ類 カルシウム ・乳製品 ・えび、かに類 ただし、食事だけでは必要量を満たしきれない場合もあります。補給が難しいと感じたら、医師に相談の上でサプリメント併用も検討しましょう。 骨粗鬆症の方におすすめの食事療法については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 運動|定期的に日光浴と運動を行う 屋外での軽い運動は、日光によるビタミンD生成と骨への適度な刺激により、骨軟化症・骨粗鬆症のどちらにも有効です。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲で継続してみましょう。 また、転倒予防のために、スクワットやかかと上げなどの簡単な筋トレで下半身を鍛えることも大切です。厚生労働省の報告でも、筋力トレーニングが高齢者の転倒・骨折リスクの低減につながると示されています。(文献8) このように、一見無関係に見えても日光浴や運動は骨の健康に深く関連します。ただし、骨軟化症の方は骨が柔らかくなっているため、足腰に強い負担をかける運動は控えることが大切です。 無理のない範囲で、ウォーキングなど続けやすい運動から取り入れてみてください。 骨粗鬆症の運動療法については以下の記事にて詳しく解説しています。こちらも参考にしてみてください。 骨軟化症と骨粗鬆症の違いを理解して適切な治療や対策をしよう 骨軟化症と骨粗鬆症はいずれも骨が弱くなる病気ですが、特徴の違いから症状や治療法は異なります。 いずれの診断を受けた際も、早期発見と適切な治療が重要です。「自分はどちらに当てはまるのか」「症状が当てはまるかもしれない」と感じたら、早めに専門医へ相談しましょう。 また、骨が弱くなると膝や股関節の痛みや歩きにくさなど、関節に症状が現れるケースも少なくありません。 当院「リペアセルクリニック」では、このような慢性的な関節痛や機能低下に対し、自己細胞を用いた再生医療による改善サポートを行っています。 現在、公式LINEにて簡易診断や無料相談が可能です。「手術は避けたい」「根本的に痛みを改善したい」という方は、以下のリンクからご登録の上、お気軽にご相談ください。 骨軟化症と骨粗鬆症に関するよくある質問 骨軟化症とくる病の違いは何ですか? くる病と骨軟化症の最も大きな違いは、発症する年齢と骨の成長段階です。 「くる病」は骨の成長期にある小児に起こる病気で、「骨軟化症」は成長期が終了した成人に見られます。(文献1) どちらの病気も、骨が十分に硬くならないという点では同じ仕組みで起こります。年代によって呼び方が変わるものの、基本的には共通したメカニズムの病気と理解するとわかりやすいでしょう。 骨軟化症と骨粗鬆症は同時に起こることがありますか? 骨軟化症と骨粗鬆症は原因やメカニズムが異なる病気ですが、同時に起こることもあります。とくに高齢者や腎機能障害のある方では、栄養不良や骨代謝の乱れが重なることで、併発した症例が報告されています。(文献9) 両者が重なると骨折リスクがさらに高まり、腰椎の圧迫骨折や大腿骨近位部骨折につながることも少なくありません。気になる症状がある場合は、早めに詳しい検査を受け、専門医による総合的な評価を受けるようにしましょう。 参考文献 (文献1) 骨軟化症|一般の皆様へ|一般社団法人 日本内分泌学会 (文献2) 骨粗鬆症とは>どんな病気?>なったらどうなる|公益財団法人 骨粗鬆症財団 (文献3) 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)|厚生労働省 健康日本21アクション支援システム (文献4) 骨粗鬆症とは>どんな病気?>どんな人がなりやすい|公益財団法人 骨粗鬆症財団 (文献5) 骨粗鬆症の 予防と治療ガイドライン 2025 年版|骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 (文献6) ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症(指定難病238)|公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター (文献7) 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年|文部科学省 (文献8) 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023|厚生労働省 (文献9) 高齢者における骨粗鬆症と骨軟化症の合併症例|整形外科と災害外科
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「骨がもろくなってきた気がする」 「親が骨粗鬆症だったから、自分も将来が心配」 このような不安を抱えていませんか。 病院に行くほどではなくても、まずは自分でできる対策があるのか知りたいと考えている方もいるかもしれません。 骨粗鬆症は、年齢とともに骨密度が低下し、軽い転倒でも骨折しやすくなる病気です。進行を抑えるためには、普段の食事や運動などの生活習慣を見直すことが大切です。 この記事では、骨粗鬆症の予防法を解説し、年代別の対策や日々の工夫、薬によるサポートまで紹介します。 当院リペアセルクリニックでは、骨粗鬆症に関するご相談や再生医療に関するご質問を公式LINEで受け付けています。 不安や疑問の解消にお役立ていただければ幸いです。 骨粗鬆症を予防する3つの方法 骨粗鬆症の予防には、骨を丈夫にする生活習慣が大切です。なかでも重要なのが、食事・運動・日光浴の3つです。順番にみていきましょう。 なお、骨粗しょう症の原因についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 食事|カルシウム・ビタミンD・たんぱく質を意識 私たちの骨は、食べたものから作られています。 なかでも骨の主成分であるカルシウムは、不足すると骨粗鬆症のリスクが高まります。(文献1) これをサポートするのが、ビタミンDやビタミンK、そしてたんぱく質です。 意識したい栄養素と、多く含む食品を以下にまとめました。 栄養素 多く含む食品 カルシウム 乳製品・魚介類・大豆製品など ビタミンD 魚介類・きのこ類・卵など ビタミンK 納豆・葉物野菜など たんぱく質 肉類・魚介類・卵・大豆製品など 特定の食品に偏らず、さまざまな食材を組み合わせて摂取しましょう。(文献2) 運動|骨に適度な負荷をかけることが大切 骨は刺激を受けることで強くなる性質があります。そのため、骨粗鬆症の予防には運動が大切です。(文献2)とくに、継続的に骨に負荷がかかる以下のような運動が効果的です。(文献3) ウォーキング ジョギング 筋力トレーニング 筋力がつくと骨の負担が減り、転倒予防にもつながります。医師や理学療法士のアドバイスも参考にしながら、運動を心がけましょう。 骨粗鬆症におすすめの運動についてはこちらの記事をご覧ください。 日光浴|直接浴びてビタミンDを合成 骨の健康を守るには、日光にあたってビタミンDをつくることも欠かせません。 ビタミンDは、食事から摂るほかに、日光に含まれる「紫外線」を浴びたときに皮膚でもつくられる栄養素です。海外では必要量の7〜8割を日光浴でまかなえるともいわれますが、皮膚でつくられる量は季節や住む地域による紫外線量の違いや年齢、日焼け止め使用の有無などによっても異なります。 なお、晴れた日に、顔や手などの小さな範囲でも10~20分ほど日光に当たると、ビタミンDの合成に役立つとされています。(文献4) 長時間の日焼けは避けつつ、負担のない範囲で取り入れると良いでしょう。(文献5) たとえば買い物や運動など、歩くついでに日光を浴びるように意識すると、運動と日光浴、どちらも一石二鳥で取り組めます。 【年代別】骨粗鬆症を予防する具体的な対策 年齢に応じて、骨の状態や骨粗鬆症の予防に必要なケアも変わります。ここからは、年代別に骨粗鬆症の予防につながるポイントをみていきましょう。 10〜30代|骨をしっかりと育てる時期 人生における最大の骨量が決まるのは、10代の「成長期」です。10代~20代にかけて最大となった骨量は、代謝を繰り返しながら30代になってからも維持されます。 将来の骨粗鬆症リスクを減らすには、この時期にしっかりと骨を育て、維持することが重要です。 過度なダイエットや栄養不足、日光を避けすぎる生活、喫煙などは骨の成長や維持を妨げます。 若いうちこそ、バランスの取れた食事と適切な運動を習慣化し、骨の健康を意識し続けることが大切です。(文献6) 40〜50代|運動や食事を意識し始める時期 40代を過ぎると骨密度は少しずつ低下します。とくに女性は、閉経後のホルモンバランスの変化により、骨量が急激に減ることがあります。(文献2) 必要な栄養をしっかり摂取する、筋力維持を目的とした運動を習慣にするなど、これまでの生活を見直しましょう。 また、1年に1回程度は骨密度検査を受けて、自分の骨の状態を知っておくことも予防の一環になります。(文献6) 年齢に応じた対策については、骨粗鬆症の運動・注意点もチェックしてみてください。 60代以降|転倒・骨折対策を始める時期 60代を過ぎると「骨を強くすること」に加えて「転倒して骨折しないように備えること」がより大切になります。 筋力やバランス感覚が少しずつ落ちてきたり、視力や認知機能の変化が重なったりすることで、つまずきやすくなるためです。 転倒により骨折すると、活動量が減って骨への刺激が失われ、さらに骨密度が低下するという悪循環に陥ります。 ふらつきを防ぐには、無理のない範囲でウォーキングや軽い筋力トレーニングを続け、筋力をつけることが効果的です。 また、背中や腰に痛みがあれば早めに受診しましょう。骨の状態を知るために、定期的な骨量測定を受けることも、安心につながります。(文献6) 骨粗鬆症の予防のために意識したい生活の工夫 骨粗鬆症予防のためには、骨に負担をかけず、かつ刺激を与える工夫ができると理想的です。具体的には、以下2つを意識してみましょう。 ながら運動や姿勢改善で骨への刺激を意識 ストレス・睡眠不足も骨の健康に影響 毎日の生活の中で、ぜひ取り入れてみてください。 ながら運動や姿勢改善で骨への刺激を意識 運動が大切とわかっていても、忙しい毎日のなかでは時間を取るのが難しいという方も多いのではないでしょうか。 そのような方でも取り入れやすいのが、「何かをしながら運動する(ながら運動)」習慣です。 たとえば、以下のような運動があります。 歯みがき中に片足立ち バス停で待つ間かかと落としをする テレビを見ながらスクワットする こうした「ながら運動」であれば、忙しい方や運動するのを忘れがちな方でも無理なく続けられます。 また、猫背や前かがみといった姿勢は背骨に負担がかかるため、日常生活でも良い姿勢を意識するようにしましょう。 運動についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 ストレス・睡眠不足も骨の健康に影響 骨の健康というと、食事や運動ばかりに目が向きがちですが、実は「心と体のコンディション」も大切です。 たとえば、強いストレスが続いたり、睡眠不足が積み重なったりすると、体内で「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌されます。 コルチゾールには骨の形成を妨げる働きがあり、骨の健康に悪影響を与えることがあるのです。 ストレスや睡眠不足をできるだけ避け、心身のバランスを整えることも、骨粗鬆症の予防につながります。 夜はスマートフォンの使用を控える、決まった時間に起床する、リラックスできる音楽や香りを取り入れるなど、日常生活でできる小さな工夫を積み重ねてみてください。 「骨を守る生活」は、特別なことを頑張るよりも、心地良い習慣を続けていくことが大切です。 骨粗鬆症を予防する薬の種類 骨密度の低下が進み骨折のリスクが高い方(骨粗鬆症と診断された方)は、薬による治療も選択肢のひとつです。 骨粗鬆症の薬には、以下のような種類があります。 骨吸収を抑える薬剤 骨をつくる薬剤 補助的な薬 これらは骨粗鬆症の「治療薬」ですが、結果として骨折による体力や筋力低下を防ぎ、骨粗鬆症の進行を予防する効果も期待できます。 薬を使わずに骨粗鬆症を予防したい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 骨を守る薬剤 骨粗鬆症薬の主体は、壊す力(骨吸収)を抑えるタイプの薬です。(文献2) 私たちの骨は、常に「壊す(骨吸収)」と「作る(骨形成)」をくり返していますが、加齢やホルモンの変化により骨吸収が優位になると、骨密度が低下します。 この流れを食い止めるのが、ビスホスホネート製剤(アレンドロン酸・ミノドロン酸など)や抗RANKL抗体(デノスマブ)といった薬です。どちらも広く使用されており、効果が認められています。 なお、どの薬が合うかは、現在の骨密度や生活状況、体調などによっても異なります。服用方法に注意が必要だったり、定期的な検査が必要だったりもするため、現在の状況を医師へ伝えて相談してみましょう。 骨をつくる薬剤 骨が壊れるのを抑えるだけでなく、新しくつくる力(骨形成)を高める薬もあります。これは、骨密度が著しく低く、骨折リスクが高い方によく用いられる治療薬です。 「副甲状腺ホルモン薬(テリパラチド)」や「抗スクレロスチン抗体薬(ロモソズマブ)」などがあります。なお、ロモソズマブには、骨吸収を抑える効果もあるため、「作る」「守る」の両方の効果があります。(文献7) ただし、これらの薬は使用期間に上限があり、使用には条件もあるため医師の慎重な判断が必要です。 骨粗鬆症の注射については、以下の記事でも解説しています。 補助的な薬 主に食事や生活習慣を補うのに使われるのが、補助的な薬です。 単独で骨粗鬆症を治すものではありませんが、他の薬や生活改善と組み合わせることで、骨密度低下の予防効果を高められます。補助的な薬には「活性型ビタミンD3薬」や「カルシウム製剤」などがあります。(文献7) 骨粗鬆症の薬物治療は継続が重要です。効果を実感しにくいため途中でやめてしまう方もいますが、自己判断で中断せず医師の指示に従って服用を続けましょう。 骨粗鬆症を予防するには日々の工夫と医療機関のサポートが大切 骨粗鬆症は、自覚症状がないまま進行し、ある日突然の骨折で気づくケースも少なくありません。「今は大丈夫」と感じていても、日々の積み重ねと早めの対策がとても大切です。 まずは、栄養・運動・生活習慣を整えることから始めましょう。そして必要であれば、検査や治療について医療機関に相談してみましょう。 一人で悩むのではなく、専門家のサポートを受けることで、自分に合った予防法を見つけやすくなります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供や、簡単なオンライン診断も実施しています。 「自分の骨の状態が気になる」「どこから対策すれば良いかわからない」などのお悩みがあれば、ぜひお気軽にご登録ください。 また、骨粗鬆症の治療については、以下の記事もあわせてご覧ください。 骨粗鬆症を予防することに関するよくある質問 骨粗鬆症を予防するには日光浴は何分必要ですか? 骨の健康維持に欠かせないビタミンDは、皮膚が日光(紫外線)を浴びることによって体内でも生成できる栄養素です。 国際骨粗鬆症財団の資料によると、晴れた日に1日10~20分程度、顔や手、腕などを日光に当てることで、多くの人が必要量を合成できると報告されています。(文献4) ただし、以下のようなケースにおいては、日光からのビタミンD合成が不十分になりかねません。 冬場や曇りの日が続いているとき 日焼け止めをしっかり塗っているとき 大気が汚染されていて紫外線が十分届かないとき さらに、季節によっても得られる紫外線量には差が生じます。過度な日焼けや熱中症に気を付けながら、無理のない範囲で日光浴を取り入れてみてください。 骨粗鬆症を予防する上で食べてはいけないものはありますか? 骨に良い食べ物を意識するのも大事ですが「骨の健康を損なう可能性があるもの」を控える意識もとても大切です。 とくに以下のような食品や習慣には注意しましょう。(文献8)(文献9) 注意が必要なもの 理由やポイント 塩分 ・摂りすぎると尿と一緒にカルシウムが排泄されやすくなり、骨のカルシウムが失われる可能性がある ・加工食品や漬け物、外食のスープなどには意外と多くの塩分が含まれているため、注意が必要 リン ・肉や魚、牛乳に多く含まれ、カルシウムの吸収を妨げるといわれている ・加工食品や清涼飲料水の添加物として使用されていることもあるため、過剰摂取しないよう注意する カフェイン ・カルシウムの排出を促進したり、骨の代謝に影響を与える可能性がある これらを絶対に食べてはいけないと考える必要はありませんが、摂取の頻度や量の見直しが骨を守る第一歩になります。 参考文献 (文献1) 骨粗鬆症の予防のための食生活|厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ (文献2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版|骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 (文献3) 骨粗鬆症予防のための運動 -骨に刺激が加わる運動を|厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ (文献4) Vitamin D|International Osteoporosis Foundation (文献5) 体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定-札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要-|国立研究開発法人国立環境研究所 (文献6) 年代別予防のポイント|公益財団法人骨粗鬆症財団 (文献7) 治療の基本方針|公益財団法人骨粗鬆症財団 (文献8) 予防について|公益財団法人骨粗鬆症財団 (文献9) リンの働きと1日の摂取量|公益社団法人長寿科学振興財団
2025.12.13 -
- その他、整形外科疾患
「飲み薬を続けていたのに、骨密度がなかなか上がらない」「医師から注射治療をすすめられたけれど、不安がある」 このようなお悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。 骨粗鬆症では、内服薬での効果が不十分な場合に注射薬への切り替えが検討されます。 ただし、注射薬にはいくつか種類があり、打つ頻度やあらわれやすい副作用はそれぞれ異なります。 この記事では、骨粗鬆症注射の種類や効果、副作用、値段、デメリットについて解説します。 注射治療を検討する際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 骨粗鬆症の注射について気になることがある方は、お気軽にご登録ください。 骨粗鬆症の治療において注射が有効なケース 骨粗鬆症の治療では、以下の場合に注射薬の使用が検討されます。 内服薬での治療効果が不十分である 内服薬の飲み忘れリスクがある 骨折経験がある・骨密度が非常に低い状態 注射薬を使用する理由を、詳しく見ていきましょう。 内服薬での治療効果が不十分である 内服薬で治療を続けても、骨密度の改善が見られない場合があります。 これは薬の吸収率の個人差や骨密度の程度、胃腸の状態、服用方法など、さまざまな要因が関係しているためです。 たとえば、体に吸収されにくい薬を注射タイプに切り替えると、消化管を経由せず血液中に直接届くため、より確実な効果が期待できます。(文献1) 内服薬の飲み忘れリスクがある 骨粗鬆症の飲み薬は「週1回」「月1回」など定期的に服用する必要があり、服用方法にも「起床後すぐに飲み、30分間は横にならない」といった細かいルールが指定されているものもあります。(文献2) そのため飲み忘れや飲み間違いが起きやすく、正しく服用できない状態が続くと十分な効果が得られません。 その点、医療機関での注射治療は、医師や看護師の管理のもとで実施されます。受診の必要はあるものの自宅で薬を管理する必要がないため、治療の確実性が高い点がメリットです。 とくに複数の薬を服用している方や飲み忘れが心配な方、認知症で薬の管理が難しい方などに適しています。 骨折経験がある・骨密度が非常に低い状態 骨粗鬆症の注射薬の中には、内服薬にはない強力な骨形成促進作用(骨をつくる働きを促す作用)を持つものがあります。 これらは、骨を壊す働き(骨吸収)を抑えるだけでなく、新しい骨を作る働き(骨形成)を高め、骨密度を内服薬よりも効率的に改善する効果が期待できます。 そのため、すでに骨折を経験されている方や骨密度が極めて低い方など、骨折の危険性が高い方は、注射薬による治療が有効な選択肢となり得るのです。 骨粗鬆症が進行し、大腿骨近位部(太ももの付け根)や椎体(背骨)を骨折すると、寝たきりや生活の質(QOL)の低下につながります。 こうした重篤な事態を防ぐためにも、骨折リスクの高い方には早期かつ積極的な治療が重要です。 【一覧】骨粗鬆症注射の種類と主な副作用 現在よく使われている骨粗鬆症の注射薬には、作用機序の異なる4つのタイプがあります。 それぞれ効果や副作用が異なるため、患者の状態に応じて適切な薬剤が選択されます。 薬剤名(商品名) 作用機序 主な副作用(発現頻度が高いもの) 重大な副作用(とくに注意すべきもの) テリパラチド(フォルテオ、テリボン) 骨形成促進 吐き気、嘔吐、頭痛、めまい、倦怠感 ショック、アナフィラキシー、意識消失 ビスホスホネート(ボンビバ、リクラストなど) 骨吸収抑制 胃炎、頭痛、背中や関節の痛みなど 顎骨壊死、大腿骨を中心とした非定型骨折 デノスマブ(プラリア) 骨吸収抑制 貧血、湿疹、低リン酸血症、高血圧、胃炎、背中の痛みなど 低カルシウム血症、顎骨壊死、顎骨骨髄炎、アナフィラキシー、大腿骨を中心とした非定型骨折、皮膚感染症 ロモソズマブ(イベニティ) 骨形成促進・骨吸収抑制(デュアル作用) 注射部位の痛み・赤み、鼻咽頭炎、関節痛など 低カルシウム血症、顎骨壊死、顎骨骨髄炎、大腿骨を中心とした非定型骨折 骨吸収を抑える薬剤には、低カルシウム血症や顎骨壊死(がっこつえし:あごの骨が失われる状態)といった重大な副作用リスクがあるため、定期的な検査と歯科治療前の相談が重要です。 それぞれの薬の特徴を詳しく解説します。 テリパラチド:骨形成促進薬 骨形成促進薬は骨をつくる骨芽細胞(こつがさいぼう)を増やす薬で、代表薬としてテリパラチド(商品名:フォルテオ、テリボン)があげられます。 フォルテオは1日1本、ペン型注射器を使用して皮下注射をおこないます。(文献3) テリボンは1回1本を週に2回自己注射、もしくは週1回通院で注射するタイプです。(文献4) なお、どちらの薬も最長24カ月(約2年)の制限があります。(文献3)(文献4) 投与直後から数時間後にかけて、一過性の血圧低下に伴うめまいやふらつきが起こることがあります。おさまるまで座った状態または横になった状態で休み、帰宅後に強い症状が出た場合は医療機関に連絡するのが望ましいでしょう。(文献5) ビスホスホネート系:骨吸収抑制薬 骨吸収抑制薬には、骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを抑えて骨を守る作用があります。 国内でよく用いられる骨吸収抑制薬の一つが「ビスホスホネート」です。 飲み薬で良く使われるタイプですが注射剤もあり、代表的なものにはアレンドロネートとゾレドロン酸の点滴製剤、イバンドロネートの静脈内注射剤があります。(文献1) 内服薬で効果が乏しかった方や経口摂取が難しい方に対して使用される傾向です。(文献1) デノスマブ:骨吸収抑制薬 代表薬はデノスマブ(商品名:プラリア)です。(文献6) デノスマブはビスホスホネート系と同じ「骨吸収抑制薬」ですが、ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤に分類され、異なるメカニズムで効果を発揮します。デノスマブは半年に1回の皮下注射で効果が持続するため、通院の手間が少なく続けやすい治療法です。(文献6) 投与を中止すると骨吸収が一時的に亢進するため、骨密度が急激に低下し、骨折リスクを高める可能性があります。(文献7) このためデノスマブの投与を中止する際は、骨吸収抑制作用を持つ別の薬に切り替え、骨密度の急激な低下を防ぐ必要があります。(文献8) ロモソズマブ:骨形成促進・骨吸収抑制併用薬 骨形成促進・骨吸収抑制併用薬とは、「骨をつくる働きを促進しながら、骨を壊す働きを抑える」という2つの作用を持つ骨粗鬆症治療薬です。 代表薬はロモソズマブ(商品名:イベニティ)という抗スクレロスチン抗体薬です。 ロモソズマブは、1カ月に1回、医療機関で2本(105mgを2本、計210mg)の皮下注射を12カ月間受けるのが一般的で、比較的短期間で骨密度を大きく増加させる効果が期待できます。(文献9) 臨床試験において、心筋梗塞や脳卒中などの心血管系イベントの発生率がビスホスホネート系薬剤より高かったとの報告があり、心血管系の既往歴がある患者への投与は慎重に検討されます。(文献9) 骨粗鬆症注射のデメリット 骨粗鬆症注射は効果的な治療法ですが、以下のようなデメリットもあります。 注射薬特有の副作用や合併症のリスク 自己負担費用が高め 使用期間の制限 注射治療は効果が高い反面、継続的な医療機関への通院や経済的負担を伴います。 また、一部の薬剤では中止時のリバウンド現象や投与期間の制限があるため、長期的な治療計画を医師と十分に相談することが重要です。 骨粗鬆症の注射の値段 骨粗鬆症の皮下注射薬は種類によって費用が大きく異なります。以下に、主な皮下注射薬の費用目安(3割負担)をまとめました。 薬剤名(商品名) 注射の頻度 1カ月の薬剤費用の目安(3割負担) テリパラチド(フォルテオ) 毎日(※1本で約28日分) 約7,000円~8,000円 テリパラチド(テリボン) ※自己注射の場合 週2回 約1万4,000円~1万5,000円 ビスホスホネート 月1回もしくは年1回(製剤により異なる) 約830円~1100円 デノスマブ(プラリア) 半年に1回 約1,200円~1,300円 ロモソズマブ(イベニティ) 月1回(※2本投与) 約1万4,000円~1万5,000円 (薬価は2025年11月地点での価格) 上記は先発医薬品の価格を記載しているため、ジェネリック医薬品を使用する場合は費用が少なく済むでしょう。また、薬の費用のみの目安であるため、診察料や検査費、処方料などは別途かかります。 医療機関や地域によって費用は異なるため、事前確認をおすすめします。 骨粗鬆症治療における注射以外の選択肢 骨粗鬆症の治療は注射だけではありません。 食事や運動、生活習慣の改善といった基本的な対策に加え、再生医療という新しい選択肢もあります。 詳しく解説します。 食事内容の見直し 骨粗鬆症の予防・治療には、骨の主成分であるカルシウムとタンパク質、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの栄養素が不可欠です。 日常の食事で取り入れやすい食材は、以下のとおりです。 栄養素 主な食材 カルシウム 牛乳、チーズ、小魚、大豆製品、小松菜など タンパク質 肉、魚、卵、大豆製品など ビタミンD 鮭、さんま、きのこ類、卵黄など なかでもカルシウムは、骨粗鬆症の予防・治療に1日1000~1500mgが必要だともいわれています。(文献10) 牛乳なら約1L、プロセスチーズなら約10切分(150g)に相当します。 単一の食品だけで必要量を満たすのは難しいため、複数の食材を組み合わせて摂取しましょう。 適度な運動の習慣化 骨は、程良い力が加わることで強くなる性質があり、ウォーキングや筋力トレーニング、水中運動などが骨密度の上昇に有効と報告されています。(文献5) 運動習慣は骨を強くするだけでなく、筋力やバランス力も高めるため転倒予防にもつながります。 まずは無理のない範囲で、1日30分程度の運動を週2〜3回から始めてみましょう。 生活習慣の改善 骨を健康に保つためには、禁煙や節酒、十分な睡眠など、毎日の規則的な生活習慣が欠かせません。 喫煙は、腸からのカルシウム吸収が低下する上に尿中への排泄が増えるほか、女性ホルモンも減少しやすくなるため、骨密度を下げる要因として知られています。(文献1) 喫煙を続けている方は、大腿骨付近部骨折のリスクが女性で約1.3倍、男性で約1.6倍に高まることが報告されています。(文献1) また、アルコールを摂りすぎると必要なカルシウムが尿に排出されてしまうため、飲酒量が多いほど骨折のリスクも上昇するとされているのです。(文献1) こうしたことから、生活習慣の改善によって骨粗鬆症の進行を抑えられると期待できます。 自己の幹細胞を用いた再生医療 自分の脂肪由来の幹細胞を使った再生医療も選択肢の一つです。幹細胞が持つ組織修復能力を活性化させることで、骨の健康維持をサポートする治療法です。 当院リペアセルクリニックでは、膝や肩などの関節痛、腰部脊柱管狭窄症などに対して脂肪由来の幹細胞を使った再生医療を提供しています。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院リペアセルクリニックの公式LINEへ登録し、情報収集にご活用ください。 骨粗鬆症の注射について正しく理解して前向きな治療を選択しましょう 骨粗鬆症の注射治療は、骨折のリスクを減らし、QOLを守るための大切な治療法です。副作用や費用といった懸念はありますが、正しい知識を持つことで不安は軽減できます。 大切なのは「治療を続けること」、そして「自分に合う方法を選ぶこと」です。 注射治療だけでなく、食事や運動といった生活改善や、再生医療を含めた複数の選択肢について、医師と一緒に自分に適した治療方針を考えましょう。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 骨粗鬆症の注射について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 骨粗鬆症注射に関するよくある質問 骨粗鬆症の注射は一生続けなければなりませんか? 薬の種類や骨密度の回復状況によって異なります。 たとえばテリパラチドは最長約2年間、ロモソズマブは最長約1年間と使用期間が決まっており、そのあとは別の治療法に切り替えるのが一般的です。(文献9) デノスマブは使用期限の上限が設けられていません。骨密度が十分に改善し安定すれば他の種類の内服薬に切り替えることもあります。 定期的に骨密度を測定しながら、医師と相談して治療方針を決めていきましょう。 骨粗鬆症の注射をやめると元に戻ってしまいますか? 治療を中断すると、骨密度が再び低下するケースがあります。 とくにデノスマブは、中止後に急激に骨密度が低下しやすいことが知られています。 このため、プラリアを中止する際は、別の骨粗鬆症薬への切り替えが必要です。 医師の指示なく自己判断でやめることは避け、必ず相談しながら治療計画を立てましょう。 骨粗鬆症の注射は痛いですか? 注射部位の痛みは個人差がありますが、通常は軽いチクッとした刺激です。 自己注射タイプ(フォルテオ、テリボンなど)はペン型の注射器で簡単に打てるよう設計されており、細い針を使用しているため、痛みは最小限で済むことがほとんどです。 医療機関での処置であれば、痛みを抑える工夫をしてくれることもあります。 いずれの場合も不安があるときは、事前に医師や看護師に相談しましょう。 参考文献 文献1 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年度版|日本骨代謝学会 文献2 薬品インタビューフォームアレンドロン酸錠35mg|一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC) 文献3 フォルテオ®皮下注キット 600μg医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 文献4 テリボン®皮下注 28.2µgオートインジェクター医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 文献5 テリパラチド皮下注用56.5μg医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 文献6 プラリア皮下注 60mg シリンジ医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 文献7 Vertebral Fractures Following Denosumab Discontinuation in Patients with Prolonged Exposure to Bisphosphonates|PubMed 文献8 骨粗鬆症の薬物療法|岡田洋右ら 文献9 イベニティ皮下注105mgシリンジ医薬品インタビューフォーム|日本病院薬剤師会 文献10 カルシウムの摂り方|公益財団法人骨粗鬆症財団
2025.12.13







