鎖骨骨折の過ごし方|痛みはいつまで続くのか?
目次
鎖骨骨折の過ごし方|痛みはいつまで続くのか?を解説します
鎖骨骨折の発生要因と症状、治療、注意すべきポイントを紹介していきます。
鎖骨骨折は、どうやって起こるのか?
鎖骨骨折は、交通事故や転倒、スポーツ中などのスポーツ外傷として、鎖骨に対して強い衝撃が加わることで起こるケガです。骨折全体の中でもかなり多い骨折と言えるでしょう。
よく耳にするのが、自転車から落車。そして、鎖骨骨折をしてしまったという話やラグビーの試合中にタックルを受けて、肩から地面に倒れて骨折するスポーツ外傷など、いずれもコントロール不能な状態で肩を強打し受傷しています。
鎖骨骨折は、転倒した時に肩から落ちてその衝撃が鎖骨に伝わり受傷するパターン(介達外力)と、鎖骨を直接強く打って受傷するパターン(直達外力)があります。
|
このような鎖骨への力の加わり方の違いは、折れる場所などに影響してくるため、どのような状況で骨折したのか確認することが非常に重要です。
出典:一般社団法人 日本骨折治療学会( https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html )
鎖骨骨折の症状
鎖骨骨折の症状で特徴的なものは、骨折部の痛みと腫れ、腕を上に挙げられないなどの運動制限です。
さらに、鎖骨周囲には血管や神経が通っているため、骨折の程度によりそれらの組織を傷つけ、手指がしびれたり動かせなくなる場合もあります。
また、鎖骨は皮膚の上から触れるほど体表にあるため、骨折している場合は簡単に観察できます。
肌を露出することが可能であれば、骨折があるかどうか目で確認してみましょう。
鎖骨骨折した後の対応
鎖骨骨折をしてしまった、もしくは鎖骨骨折が疑われる場合の対処についてお話しします。
鎖骨骨折はすぐに受診を
鎖骨骨折が疑われる場合は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
なぜなら、症状の時にも述べましたように、鎖骨の骨片で大事な神経や血管を傷つけている可能性があるからです。その場合は、早急な対処が必要になります。
三角巾を使った鎖骨骨折の固定
また、そのまま固定もせずに無理に過ごしていると、折れた箇所がズレてしまい(転移)、骨癒合しにくくなることもあります。そうなると、手術をせざるを得ない状況になるのです。
早急に病院受診をおすすめしましたが、時間帯や日にちによっては専門の医療機関が空いていない場合もあります。
そんな時に使える鎖骨骨折後の応急処置として、三角巾での固定方法をお伝えします。
|
鎖骨骨折後の治療
ここまで、鎖骨骨折の発生要因や症状、鎖骨骨折後の対処についてお話ししてきました。それでは実際にどのような治療方法があり、どのような経過をたどるのでしょうか?
治療の方法は大きく2つに分けられます。一つは、体にメスを入れない保存療法、そしてもう一つは折れた骨同士を癒合させる手術療法です。
今回は、保存療法を中心にご説明します。保存療法が選択されるケースは以下です。
|
骨のずれが少ない場合は、鎖骨バンド(クラビクルバンド)と呼ばれるサポーターで固定をし、骨が繋がるのを待ちます。
出典:一般社団法人 日本骨折治療学会(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html)
鎖骨骨折の特徴として、胸の中心に近い方の骨片が上に移動し、外側の肩に近い方の骨片が相対的に下に位置することがあります。
そのため、バンドで胸の中心の方の骨片を上から抑えこむことで、そのズレを少なくし、骨を繋がりやすくします。通常であれば、2 〜 3 ヶ月もすれば、ある程度骨癒合(ひっつく)します。
ただ、鎖骨バンドを早期に外してしまったり、つけ方が甘かったり、早くから腕を動かし過ぎたりすると、骨が癒合するのが遅れ、遷延治癒(※)となることもあるので注意が必要です。
(※遷延治癒・・・一定期間が経過しても治らない状態)
鎖骨骨折の完治までの期間は?
鎖骨骨折は、およそ全治 3ヶ月と言われています。また、骨折部自体の痛みは 1ヶ月でかなり軽減し、2ヶ月頃には、ほとんど感じなくなる人も多いです。
腕をしっかり上まで挙げると鎖骨も大きく動くため、痛みが出ることもありますが普段の日常生活では、ほとんど痛まなくなるでしょう。
しかし、ズレが大きい場合、治療内容によっては 3ヶ月より長くかかることがあります。専門医と相談の上、適切な治療方法を選ぶよう心がけましょう。
鎖骨骨折後に気をつけること
最後に鎖骨骨折後に気を付けるポイントを2つご紹介します。やはり不便な場面は出てきますが、以下の注意点をしっかり守ることが早期治癒に繋がります。
①鎖骨骨折後の日常生活ではとにかく腕を挙げないこと
鎖骨は腕(上肢)を動かすための、非常に重要な骨です。鎖骨が動かせなければ、腕はほんの少ししか上がりません。
腕を大きく挙げようとすれば鎖骨は動く、ということです。つまり、鎖骨が折れている状態で腕を大きく動かせば、鎖骨は自ずと動き、ズレようとする力が働くため、強い痛みが出てしまい、さらには骨の癒合を邪魔してしまいます。
そうなると、治りが遅くなり肩の動きが悪くなる後遺症が残る可能性もあります。
また、偽関節ができてしまい、力が入りづらくなることも考えられます。そのため、鎖骨骨折後の早期は手術の有無に関わらず、腕を挙げる行動を控えることが重要です。
②鎖骨骨折後は寝方にも注意
鎖骨骨折後の早期は、寝る姿勢にも注意しなければなりません。
基本的に仰向けか患部を上にした横向きで寝ることが推奨されています。その際、骨折した側の腕が動かないようにバンドや三角巾などで固定しておくとよいでしょう。
仰向けで寝る場合は、肘が下に落ち過ぎて肩に負担がかかる場合もありますので、バスタオルを折り畳んだものを骨折側の肘の下に敷いておくと安定感が得られます。
車の運転はいつからいいの?
よく聞かれる質問の一つに、「車の運転はいつからしていいのか?」というものがあります。
一人一人骨の繋がり具合や手術の有無によって差があるので一概には言えませんが、腕をしっかり挙げてOKと医師から許可が出た頃から練習をし始めるのがいいでしょう。
運転では、やむを得ず急ハンドルを切る場面が出てくるかもしれませんし、大きいカーブでは腕が上がる動作も加わります。
予測できないハンドル操作が出てくることも考えると、少なくとも1ヶ月半〜2ヶ月程度は我慢した方が良さそうです。
とにかく、鎖骨骨折をしてしまったら、自分で判断せずに専門の医療機関に診てもらい、骨折後や手術後すぐに肩を大きく動かす動作は避けましょう。
骨の繋がり状況は、レントゲンなどによって判断されるので、医師の指示のもと、段階的に動かすよう心がけましょう。
まとめ・鎖骨骨折の過ごし方|痛みはいつまで続くのか?
今回は、鎖骨骨折について発生要因や症状、治療方法、過ごし方などについてご紹介しました。
骨折の中では頻度が高い鎖骨骨折ですが、その予後は良く、医療機関の指示を守って生活すると大部分は前と同じように動かせるようになります。
鎖骨骨折そのものは、交通事故やスポーツ外傷などで発生しやすい怪我の一つです。
骨折するパターンとしては介達外力と直達外力の二種類があり、これによって治療法や経過に影響が出ます。症状は痛みや腫れ、腕の運動制限などで現れ、いずれも早めの受診が重要となります。
治療方法は保存療法と手術療法に分かれ、保存療法では鎖骨バンドの使用が一般的です。また、日常生活では腕の挙げ方や寝方にも注意が必要です。
骨の繋がり具合や手術の有無によって完治までの期間や注意点が異なるため、専門医の指示に従い、段階的な動作復帰を心がけましょう。
尚、鎖骨の骨片で大事な神経や血管を傷つけている可能性もあるため、骨の繋がり状況を確認しながら段階的に治療に取り組むことが完治への一番の近道、早く治すために有効です。
鎖骨骨折が疑われる場合は、手術をせざるを得ない状況も考えられますので「大丈夫だろう」と自分の判断で無理されることなく早めに医療機関を受診してください。
▼以下も参考にされませんか
鎖骨骨折の症状!?見た目の特徴、治療法と後遺症