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「ふくらはぎが重だるく感じることが増えた」 「歩いていると途中で立ち止まることが多い」 足のだるさは、年齢や疲れのせいと考えがちですが、実は閉塞性動脈硬化症と呼ばれる血管の病気が原因かもしれません。症状が進行すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、最悪の場合、足が壊死してしまう恐れがあります。 本記事では、閉塞性動脈硬化症の症状とともに以下について解説します。 閉塞性動脈硬化症の初期症状 閉塞性動脈硬化症の原因 閉塞性動脈硬化症の診療科 閉塞性動脈硬化症の治療法 閉塞性動脈硬化症は、早期発見と適切な治療により改善が期待できます。本記事では詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 閉塞性動脈硬化症とは 閉塞性動脈硬化症とは足の血管に動脈硬化が起こり、血液の流れが悪くなる病気です。足の動脈が徐々に細くなり、十分な血液が届かなくなることでさまざまな症状を引き起こします。 主な原因としては、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などの生活習慣が引き金となり、血管が硬く、狭くなることで進行します。閉塞性動脈硬化症は進行すると血液の流れは悪化し、皮膚の色が変化したりただれたりするのが特徴です。重症化すると足の組織が壊死し、切断の可能性も危惧されます。 原因や症状 概要 足の血管の詰まり 足の動脈が狭くなったり詰まったりする 血流が悪くなる 足への血液の流れが悪くなる 動脈硬化が原因 血管に脂肪が溜まり、それが原因で血管が硬くなって発症 生活習慣が影響 高血圧、糖尿病、喫煙などが影響する 初期症状として歩くと違和感を感じる 運動時に足に違和感が走る(間欠性跛行) 症状が悪化する 違和感がひどくなり、安静時でも症状が出るようになる 傷が治りにくくなる 小さな傷も治りにくくなる 皮膚の色が変わる 足の皮膚が青紫色になる(チアノーゼ) 皮膚がただれる 潰瘍(かいよう)ができる 壊死が起こる 足の組織が腐ってしまう 切断のリスク 足を切断しなければならないこともある (文献1) 足の血流障害は全身の動脈硬化のサインでもあり、少しでも足に違和感が出た場合は、手遅れになる前に医療機関を受診しましょう。 閉塞性動脈硬化症の初期症状 症状の種類 概要 歩くと足に違和感を覚える(間欠性跛行) 歩行中にふくらはぎが張る・疲れる・力が入らないが、休むと楽になる 足の冷え・しびれが続く 血流が悪くなることで、足が冷たく感じたり、しびれが続いたりする 足の傷が治りにくい・色が悪い(蒼白やチアノーゼ) 皮膚の血流が悪く、小さな傷が治らず、色が青白く変化するケースがある 足の脈拍の低下・消失 足先の血流が極端に悪くなり、脈が触れなくなることがある 閉塞性動脈硬化症の初期症状の多くは、年齢や疲れのせいと見過ごされてしまいがちです。しかし、歩いていると違和感や足の冷えやしびれが続く場合は閉塞性動脈硬化症の疑いがあります。 閉塞性動脈硬化症の初期症状が現れた場合は、早めの受診が必要です。 以下の記事では、自分でできる閉塞性動脈硬化症のセルフチェック方法について詳しく解説しています。 歩くと足に違和感を覚える(間欠性跛行) 状態 症状の内容 原因のしくみ 歩き始め ふくらはぎや太ももに違和感・しびれ・張り感 運動時に筋肉が酸素不足になり、違和感が出る 少し休むと改善 数分の休憩で症状が和らぐ・消える 筋肉の酸素需要が減り、一時的に血流が追いつく 再び歩くと再発 同じ場所・感覚でまた症状が現れる 血流が根本的に不足しているため繰り返される 進行すると悪化 歩ける距離が短くなり、日常生活に支障 血管の狭窄が進み、血流不足がさらに深刻になる (文献2) 閉塞性動脈硬化症の初期には、歩くと足に違和感やしびれ、重だるさなどが現れます。ふくらはぎや太もも、お尻に症状が出やすく、休むと治まるため、放置されがちです。しかし、症状を放置すると徐々に進行し、足の血管が狭くなり、運動に必要な酸素や栄養が筋肉に届きにくくなります。 血流不足が深刻化する前に、医療機関の受診が大切です。 以下の記事では、間欠跛行の症状について詳しく解説しています。 足の冷え・しびれが続く 症状の特徴 概要 慢性的な冷え 温めても改善せず、常に足が冷たいと感じる しびれの頻度が増加 ピリピリ・ジンジンとしたしびれが続くようになる 安静時にも感じる 座っている時や寝ている時にも症状を感じる 夜間に悪化しやすい 夜になると冷えやしびれが強くなることがある 左右差があることも 片足だけ、または左右で症状の程度が異なる場合がある 他の症状を伴う可能性 足の皮膚の色が悪くなったり、むくみが出ることがある (文献3)(文献4) 気温とは関係なく、片方の足だけ冷たく感じたり、しびれが続く場合、血流障害を引き起こしている可能性があります。閉塞性動脈硬化症では、血流が悪くなって足先に酸素や栄養が届きにくくなり、その影響で神経に異常が起き、しびれや冷えが生じます。 足の冷え・しびれは年齢からくるものだと思われがちですが、足の左右で温度に差や頻度が多い場合は、閉塞性動脈硬化症を疑うべきサインです。重症化すると足が壊死する可能性があるため、早めの医療機関への受診が大切です。 足の傷が治りにくい・色が悪い(蒼白やチアノーゼ) 症状の特徴 説明 小さなキズの治癒遅延 切り傷や擦り傷が通常より治りにくい 感染しやすい 傷口から細菌が入りやすく感染しやすい 皮膚の色が悪い(蒼白) 足を高く上げた時などに皮膚が白っぽく見える 皮膚の色が悪い(チアノーゼ) 皮膚が紫色や暗赤色になることがある 皮膚が薄く、つやがある 皮膚が栄養不足で薄く光沢を帯びる 毛が抜けやすい 足の毛が抜けやすくなる 爪の変形・変色 爪が厚くなる、変形・変色する (文献3) 閉塞性動脈硬化症が進行すると、血流が著しく低下し、足の皮膚や組織への酸素供給が不足します。酸素供給が不足するとちょっとした傷でも治りにくくなり、皮膚の色も悪く見えるようになります。足先が白くなったり、紫がかって見える状態はチアノーゼと呼ばれ、重度の血流不足状態です。 また、皮膚の乾燥や光沢、爪の変形も血流低下のサインであり、進行すると皮膚潰瘍や壊死に至る危険性もあります。チアノーゼは皮膚の色の変化として現れるため、足のしびれや歩行時の違和感よりも気づきやすいのが特徴です。皮膚が紫色や暗赤色に変色している場合は、早急に医療機関を受診してください。 足の脈拍の低下・消失 症状の特徴 説明 脈拍の触れにくさ 足の甲や足首で脈が弱くなったり、触れなくなったりする 左右差がある 片足だけ脈が弱い、または触れない場合がある 冷えやしびれを伴う 脈の変化と一緒に冷えやしびれを感じることが多い 皮膚の色や温度の変化 皮膚が青白くなり、足が冷たく感じることがある 運動後の変化 運動後に脈がさらに触れにくくなる場合がある 自己チェックの限界 自分で確認できても正確な判断は難しく、医師の検査が重要 (文献3) 足の甲や足首の脈が触れにくくなる、あるいはまったく触れなくなるのも、閉塞性動脈硬化症のサインです。足の動脈の詰まりが進行すると、足首や足の甲で触れる脈拍が弱くなったり、ほとんど感じられなくなったりするケースがあります。 足の脈拍の変化は自分ではわかりにくいため、医師の診察や超音波検査が必要です。とくに左右の脈に差がある場合や片足だけ脈が感じにくい場合は、動脈の詰まりが疑われます。早めに対応すれば血流を改善でき、重篤な合併症を防止できる可能性があります。 閉塞性動脈硬化症の原因 原因 なぜ関係するのか 防止策 具体的な説明 加齢 年齢とともに血管が硬くなり、動脈硬化が進行しやすくなる 血管をいたわる生活を心がける 食事の塩分や脂質を控え、適度な運動や定期的な健康診断を習慣にする 糖尿病 高血糖が血管の内側を傷つけ、血管が詰まりやすくなる 血糖値のコントロールが重要 食事療法・運動療法・内服治療などで血糖を安定させ、合併症の予防につなげる 脂質異常症 LDLコレステロールが血管にたまり、プラークとなって血流を妨げる 脂質管理と生活習慣の改善 動物性脂肪を控えた食事と、必要に応じたコレステロール低下薬の服用 喫煙 タバコに含まれる成分が血管を傷つけ、血流を悪くする 禁煙が最大の予防 禁煙外来の活用や代替品(ニコチンパッチなど)を利用して、段階的に習慣を断ち切る 閉塞性動脈硬化症は、動脈の内側にコレステロールなどの脂質がたまり、血管が狭くなる動脈硬化が原因で起こります。動脈硬化が引き起こされる原因は以下の4つです。 加齢 糖尿病 脂質異常症(高コレステロール血症など) 喫煙 以下では、閉塞性動脈硬化症の原因を詳しく解説します。 加齢 加齢に伴う変化 対策・予防方法 血管内皮細胞の機能低下 抗酸化作用のある食品をとる(野菜・果物)、定期的な検査を受ける 血管壁の弾力性の低下 ウォーキングなどの有酸素運動で血管の柔軟性を維持 酸化ストレスの増加 禁煙やバランスの良い食事で活性酸素を抑える 炎症反応の亢進 規則正しい生活・ストレス管理やEPAやDHAを含む食品 生活習慣病のリスク増加 高血圧・糖尿病・脂質異常症をきちんと治療・管理する (文献3)(文献5) 年を重ねると血管の弾力性が失われ、動脈硬化が進みやすくなります。その結果、閉塞性動脈硬化症を発症し、軽い動作でも足に違和感が出ることがあります。 年齢とともに血管は弱くなりますが、運動や食生活を見直すことで健康を保てます。足の冷えやしびれが気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 糖尿病 影響の種類 概要 血管を傷つけやすい 高血糖が続くと血管の内壁が傷つきやすくなる 動脈硬化を促進 脂肪が血管壁にたまりやすく、動脈硬化が進行しやすい 末梢血管が障害されやすい 足先など細い血管が多い部分で血流障害が起こりやすい 神経障害を合併しやすい 足の感覚が鈍くなり、違和感に気づきにくくなる 小さな傷に気づきにくく、治りにくい 小さな傷に気づかず、治りにくくなることで悪化しやすい 感染症のリスクが高い 免疫力が低下し、傷口からの感染症リスクが高まる 血管の石灰化が起こりやすい 血管にカルシウムがたまり、血管が硬くなりやすい 他の危険因子を合併しやすい 高血圧や脂質異常症を併発しやすく、動脈硬化が進みやすい (文献6)(文献7) 血糖値が高い状態が続くと、血管の内側が傷つき、脂質や血小板がたまりやすくなります。脂質や血小板がたまると血管が詰まりやすくなります。糖尿病では神経障害も起こりやすく、足のしびれや違和感に気づきにくいため、とくに注意が必要です。 血管と神経の障害が重なると、傷の治りが遅くなり、感染が悪化しやすくなります。その結果、閉塞性動脈硬化症のリスクが高まります。糖尿病の方は、足の違和感や傷に気を配り、異常があれば早急に医療機関を受診しましょう。 脂質異常症(高コレステロール血症など) 影響の種類 概要 血管壁への脂質沈着 悪玉コレステロールが血管の内壁にたまりやすくなる プラーク形成の促進 たまった脂質がプラークを作り、血管を狭める 初期症状の発現を早める可能性 動脈硬化が早く進み、若いうちから症状が出ることがある 症状の悪化を加速 血流がさらに悪化し、違和感や歩行障害が進行する 他の危険因子との相乗効果 高血圧や糖尿病などと合併しやすく、リスクがさらに高まる 血管内皮機能の障害 血管の柔軟性が低下し、血栓ができやすくなる (文献8)(文献9) 血液中のコレステロールや中性脂肪が多いと、動脈の内壁に脂質が沈着し、プラークと呼ばれる塊ができやすくなります。プラークは血管を狭め、血流を妨げる原因です。 とくにLDL(悪玉)コレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化が進行しやすくなり、閉塞性動脈硬化症を引き起こしやすくなります。脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、健康診断で指摘された場合は放置せず、食生活の見直しや適切な治療を行うことが大切です。 喫煙 喫煙が与える影響 概要 血管の内側が傷つく タバコの有害物質が血管内皮細胞を傷つけ、血管機能が低下 動脈硬化が進みやすくなる コレステロールなどが沈着しやすくなり、血管が狭くなる 血管が収縮して血流が悪くなる ニコチンの作用で血管が細くなり、足の血流が悪化する 血液がドロドロになる 喫煙により血液の粘り気が増し、流れにくくなる 血栓ができやすくなる 血のかたまり(血栓)ができやすくなり、血管を詰まらせる 症状が早く現れる可能性が高くなる 非喫煙者より若い年齢で冷えやしびれなどの症状が出やすい 症状が急速に悪化しやすくなる 歩ける距離が短くなる、安静時にも違和感が出てくるなど悪化が早い 治療の効果が出にくくなる 薬や治療の効果が弱まり、改善しにくくなる (文献10) タバコに含まれる有害物質は血管の内側を傷つけ、炎症や動脈硬化を進行させます。とくにニコチンは血管を収縮させ、足の血流を悪化させる原因です。 そのため、喫煙者は非喫煙者より閉塞性動脈硬化症の発症リスクが約3〜5倍高く、若年で発症する傾向もあります。動脈硬化の予防や治療には禁煙が不可欠です。(文献11) 閉塞性動脈硬化症は何科を受診するべき? 診療科名 役割・特徴 受診の目安 循環器内科 血流や動脈硬化の評価・管理が可能。動脈の状態を総合的に診断 足の冷え・しびれ・歩行時の違和感などがある場合に最優先で受診 血管外科 動脈の狭窄・閉塞に対する検査・手術(カテーテル治療など)に対応 検査や手術が必要な場合、循環器内科から紹介されることも多い 内科(かかりつけ医) 必要に応じて専門科へ紹介してもらえる 専門科がない場合にまず相談。早期の受診・紹介が重要 整形外科(注意) 神経や筋肉の疾患が専門。血流の問題を見落とす可能性あり しびれや違和感で来院しても、血流障害が見逃されることがある 皮膚科(注意) 皮膚の異常は診られるが、血流の異常に気づかれにくいことがある 足の傷で受診しても、原因が血流障害と判断されにくい 閉塞性動脈硬化症が疑われる場合は、まず循環器内科または血管外科の受診が推奨されます。循環器内科または血管外科では、血管の状態を詳しく調べる検査や適切な治療方針の判断ができます。 とくに足が冷たい、足の色が悪いといった症状がある場合は、末梢動脈疾患の可能性があるため、早期受診が大切です。 どこを受診すべきか迷う場合は、内科やかかりつけ医に相談しましょう。初期診察で必要性があれば、専門科への紹介を受けられます。症状を放置すると潰瘍や壊死など重症化する恐れがあるため、異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。 「どの診療科に行けば良いのかわからない」とお悩みの方は、お気軽にリペアセルクリニックへご相談ください。当院では、どんな小さなお悩みにも丁寧に耳を傾け、患者様一人ひとりに寄り添った治療のご提案をいたします。「メール相談」や「オンラインカウンセリング」もご利用いただけますので、ご不安なことがあればいつでもご相談ください。 閉塞性動脈硬化症の治療法 治療法 内容 適しているケース 注意点・ポイント 保存療法 ウォーキングや生活習慣の見直し 初期の症状がある方 運動を継続が大切。禁煙や減塩も効果的 薬物療法 抗血小板薬や高血圧・糖尿病の治療薬 軽度から中等度の症状がある方 医師の指示に従って服薬を継続が重要 手術療法 カテーテル治療やバイパス手術 血管の詰まりが進行し、日常生活に支障がある方 術式は症状によって異なるため、専門医とよく相談する 再生医療 幹細胞などを用いて血管の再生を促す治療 他の治療が難しく、重症の状態にある方 保険が適用されない場合があり、限られた施設で実施されている 閉塞性動脈硬化症の治療は、症状の進行度や原因となる病気の有無によって異なります。 保存療法 薬物療法 手術療法 再生医療 閉塞性動脈硬化症の治療法は医師の診断と指導のもと行われます。治療法について解説します。 保存療法 取り組み内容 概要 禁煙 最も重要な改善点。喫煙は血管を傷つけ動脈硬化を進行させるため、禁煙が必須 食事の見直し 塩分や脂質を控えた食事で動脈硬化の進行を抑える 適度な運動 ウォーキングなどの軽めの有酸素運動が血流改善に効果的 体重・血圧・血糖・脂質の管理 生活習慣病の管理を通じて、血管への負担を減らし、病気の進行を防ぐ (文献12) 保存療法とは、薬や手術を用いず、生活習慣の改善などで進行を抑える治療法です。代表的なのが運動療法であり、ウォーキングなどの有酸素運動を定期的に行い、血流の改善を促します。また、運動だけでなく、生活習慣の見直しも大切です。 禁煙や高カロリーな食事を控えるなど、動脈硬化の進行を抑える上で基本となります。保存療法は、医師の指導のもとで行うことが大切です。運動や食事制限は無理のない範囲で続け、少しでも違和感があれば、すぐに医師に相談しましょう。 以下の記事では、下肢閉塞性動脈硬化症でやってはいけないマッサージ方法について詳しく解説しています。 薬物療法 治癒カテゴリー 薬剤例 効果の概要 抗血小板薬 アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾール 血小板の凝集を抑え血栓を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞の予防にも有効 血管拡張薬 シロスタゾール、プロスタグランジン製剤 血管を広げて血流を改善し、歩行距離の延長や冷え・しびれに有効 プロスタグランジン製剤 プロスタグランジンE1製剤(注射・点滴) 末梢血流を改善し、潰瘍や壊死などの重症症状を緩和・治癒促進 脂質異常症治療薬 スタチン(ロスバスタチン、アトルバスタチンなど) LDLコレステロールを下げて動脈硬化を予防。心血管リスクの低減にもつながる 高血圧治療薬 ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬、β遮断薬 血圧を下げて血管の負担を軽減し、動脈硬化の進行を抑える 糖尿病治療薬 SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬 血糖管理に加え血管保護作用もあり、心血管リスクの抑制に貢献 (文献13)(文献14) 閉塞性動脈硬化症の薬物療法は、病気の進行を抑え、症状を和らげるために行います。抗血小板薬は血栓を防ぎ、血流を保つのに役立ちます。 高血圧や糖尿病、脂質異常症がある場合は、それぞれの治療薬も併用します。薬は根本的な治療ではなく、進行を止めることが目的です。薬剤は医師の指示のもと、継続しての服用が大切です。 手術療法 治療法 手術方法 効果・特徴 適応病変 バイパス手術(外科的血行再建術) 閉塞部位の上下をつなぎ、静脈や人工血管で血流のバイパスを作る 長い範囲の血管閉塞に効果があり、歩行距離の改善や潰瘍の治癒、さらには足の切断を回避できる可能性がある 長い範囲の閉塞や血管内治療が難しい場合に向いている 血管内治療(カテーテル治療) カテーテルで血管を内側から広げ、必要に応じてステントを入れる 早期に血流改善が期待でき、違和感や冷えの症状が軽減しやすい 比較的短い範囲の狭窄・閉塞に対して有効 閉塞性動脈硬化症が進行し、薬や運動では十分な改善が見込めない場合、手術療法が検討されます。とくに足の血管が高度に狭くなったり詰まったりしている場合、血液の流れを回復させるには物理的な処置が必要です。 代表的なのがカテーテル治療で、狭くなった血管内に細い管を入れ、バルーンで広げ、金属製のステントを留置する方法です。より重度の場合には、詰まった血管を迂回するバイパス手術を行います。 手術療法は誰にでも適応できるわけではなく、血管や全身の状態を見て慎重に判断する必要があります。また、カテーテル治療後の再狭窄やバイパス手術後の感染などのリスクもあるため、医師とよく相談し、メリットとリスクを理解した上で治療を選ぶことが大切です。 再生医療 再生医療は、薬や手術で改善が難しい場合に検討されます。再生医療は患者自身の細胞を使用し、新たな血管の形成を促す治療です。 再生医療は比較的新しい治療アプローチであり、一部では保険適用外となりますが、重症例における有効性が報告されており現在も研究が進められています。名古屋大学大学院の報告によると、血管内治療やバイパス手術が難しい末期の患者でも、再生医療によって血流が改善し、足の切断を回避できたケースが確認されています。(文献13) また、京都府立医科大学附属病院の資料によると、バージャー病に対する再生医療では、足の切断を1年後・3年後ともに95.5%の確率で回避できたことが示されています。(文献15) 再生医療は限られた医療機関での実施となるため、事前に取り扱いのある医療機関への受診が必要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 閉塞性動脈硬化症の初期症状が現れたらすぐに医療機関を受診しよう 閉塞性動脈硬化症の初期症状は見過ごされやすいですが、放置すると壊死を起こし、最悪の場合は足の切断に至ることもあります。 違和感を覚えた場合は、速やかに医療機関を受診してください。また、動脈硬化は全身に起こるため、足の症状だけでなく心臓病や脳卒中といった重篤な病気につながる可能性もあります。 当院リペアセルクリニックでは、症状や受診科の悩みに丁寧に対応し、必要に応じて幹細胞を使った再生医療で治療をサポートしています。 閉塞性動脈硬化症が改善せずお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 参考資料 (文献1) 肢閉塞性動脈硬化症に対する治療法の評価とQOL日血学会誌 (文献2) 末梢閉塞性動脈疾患|MSD マニュアル 家庭版 (文献3) 末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)|日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン (文献4) 臨床研究の概要をできる限り平易な用語を用いて記載した要旨|九州大学病院 (文献5) 動脈硬化は怖い病気のはじまり|一般社団法人 日本動脈硬化学会 (文献6) 糖尿病合併症について|一般社団法人日本糖尿病学会 (文献7) 糖尿病|厚生労働省 (文献8) 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス|日本動脈硬化学会・日本医師会 (文献9) 脂質異常症|国立循環器病研究センター (文献10) 禁煙は動脈硬化予防の第一歩|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献11) Smoking as a risk factor for lower extremity peripheral artery disease in women compared to men: A systematic review and meta-analysis|PLoS One (文献12) 下肢閉塞性動脈硬化症のリハビリテーション|特定非営利活動法人 ジャパンハートクラブ (文献13) 皮下脂肪由来幹細胞で血管病を治療|Angiogenesis (文献14) 閉塞性動脈硬化症(PAD)の薬物療法 〜循環器内科医の立場から〜|日本フットケア学会雑誌 (文献15) 先進医療B 総括報告書に関する評価表(告示旧24)|第154回先進医療技術審査部会
2025.05.30 -
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「足の違和感で長く歩けない」 「ふくらはぎが張って立ち止まりたくなる」 その症状を年齢のせいにして、放置していませんか?違和感はあるけれど、休むと和らぐその症状は間欠跛行(かんけつはこう)かもしれません。動き出すと辛くなり、休むと楽になる繰り返しに、不安を覚える方も少なくありません。本記事では、間欠跛行の症状とともに、以下の内容について解説します。 間欠跛行の原因 間欠跛行の治療法 間欠跛行のリハビリ方法 記事の最後には、間欠跛行の症状に関してよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 間欠跛行とは 影響の種類 具体的な内容 外出の制限 違和感が出る距離が短くなり、買い物や散歩などの外出が億劫になる 活動量の低下 違和感を恐れて活動量が減り、筋力や体力が低下する可能性がある 精神的な負担 症状の再発への不安が常にあり、ストレスを感じやすくなる 生活の質の低下 趣味や社会活動が難しくなり、生活の満足度が低下する 間欠跛行(かんけつはこう)とは、一定の距離を歩くと足やふくらはぎにだるさやしびれを感じて歩けなくなり、しばらく休むと再び歩けるようになる症状です。発症の主な原因は神経の圧迫や血流障害で、加齢や生活習慣病と深く関係しています。歩行時の違和感は日によって変動し、一時的な不調と見過ごされやすい点も特徴です。 最初は軽い違和感でも、放置すれば歩行困難や日常生活への支障に発展するため、自己判断はせず、早期の段階で医療機関を受診するのが大切です。 間欠跛行の原因 特徴 神経性間欠跛行(脊柱管狭窄症など) 血管性間欠跛行(閉塞性動脈硬化症など) 原因 加齢による背骨の変形、椎間板の変性などによる腰部神経の圧迫 動脈硬化による足の血管の狭窄や閉塞による血流不足 発症のきっかけ 長時間の歩行、腰を反らす姿勢 歩行 症状の特徴 しびれ、脱力感、違和感 違和感、つっぱり感、冷感、皮膚の色が変化する 違和感が出る箇所 腰、お尻、太もも、ふくらはぎ、足 臀部から足(下肢全体) 悪化させる要因 加齢、不良姿勢、重労働など 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、加齢など 日常生活の注意点 同じ姿勢を続けない、腰に負担のかかる動作を避ける、適切な運動 禁煙、食事療法、適度な運動、足を冷やさない 間欠跛行の原因は主に脊柱管狭窄症による間欠跛行(神経性)と閉塞性動脈硬化症による間欠跛行(血管性)の二つです。症状別に原因を解説します。 脊柱管狭窄症による間欠跛行(神経性) 項目 内容 原因 背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫される 起こりやすい病気 脊柱管狭窄症(とくに腰の部分で起こる) 主な症状 歩くと足がしびれる・力が入らない・つっぱるような感覚がある 症状の悪化 歩いたり立ったりすると悪化しやすい 楽になる姿勢 前かがみになる・座るなどで神経の圧迫がゆるみ、症状が軽くなる 特徴的な行動 自転車には乗れるが、歩くのがつらい 症状の現れ方 両足にしびれや脱力感が出ることが多い 注意点 血管の病気との見分けが難しいため、自己判断せず医療機関を受診する (文献1) 神経性の間欠跛行は、主に脊柱管狭窄症が原因で起こります。加齢などにより背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫されることで足にしびれや脱力感が生じ、歩くことが難しくなります。身体を前屈みにすると症状が軽くなり、歩いたり直立すると症状が悪化しやすいのが特徴です。 神経性の間欠跛行は、しびれや脱力感が強く出るのが特徴です。血管性とは異なりますが、症状が似ているため、しばしば混同されます。症状が似ているため、自己判断は避け、整形外科や脳神経外科での画像検査(MRIなど)を受けるようにしましょう。 以下の記事では、脊柱管狭窄症について詳しく解説しています。 閉塞性動脈硬化症による間欠跛行(血管性) 項目 内容 原因 動脈硬化で足の血管が細くなり、血液が十分に流れなくなる 起こりやすい病気 閉塞性動脈硬化症(ASO) 主な症状 歩行時のふくらはぎの重だるさ、締めつけられるような違和感 症状の悪化 歩行を続けると悪化する 楽になる姿勢 姿勢に関係なく、立ち止まると速やかに回復 特徴的な行動 自転車でも歩行時と同様に症状が出ることがある 症状の現れ方 片足に出ることが多い 注意点 放置すると潰瘍・壊死の恐れあり。進行する前に受診が必要 (文献2) 血管性間欠跛行は、閉塞性動脈硬化症(ASO)と呼ばれる血管の病気が原因で起こります。足の動脈が動脈硬化により狭くなったり詰まったりすると、歩行中に筋肉へ十分な血液が届かなくなります。血液が流れにくくなることで、ふくらはぎなどに違和感が現れるのが特徴です。 閉塞性動脈硬化症による血管性間欠跛行では、一定の距離を歩くと症状が現れますが、立ち止まって休息を取ることで、血流が回復し、再び歩けるようになります。しかし、症状が進行すると歩ける距離がどんどん短くなり、重症化すると、安静にしていても足が辛くなり、冷感や皮膚の色の変化、潰瘍などの深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。 閉塞性動脈硬化症による間欠跛行は、早期治療に加えて、生活習慣の改善や禁煙が重要です。必要に応じて、薬物療法や血管手術での改善も行われます。 以下の記事では、閉塞性動脈硬化症について詳しく解説しています。 間欠跛行が治る可能性について 間欠跛行は、原因に合った治療を受けることで大きく改善し、普段の生活にほとんど支障がない状態まで回復も視野に入ります。運動療法や生活習慣の改善により歩ける距離が伸びれば、生活の質は大きく向上するでしょう。ただし、動脈硬化そのものを完全に元の状態に戻すのは難しく、完治よりも症状管理が治療の中心となります。 治療の目標は症状の完治ではなく、あくまで「改善」であることが大前提です。また、改善に加えて、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を防ぐことも目的です。間欠跛行が改善する可能性を少しでも上げるには、早期の受診と継続的なケアが求められます。 間欠跛行の治療法 治療法 内容 対象となるケース ポイント 保存療法 運動療法(ウォーキングなど)や薬の服用、生活習慣の改善 初期〜中等度の症状 症状を和らげ、症状の進行を防ぐ 手術療法 血管を広げるカテーテル治療や詰まった部分のバイパス手術など 保存療法で効果が不十分な場合や重症例 血流を改善し、歩ける距離を大きく伸ばせる 再生医療 自分の細胞や成分を使って血管の修復や再生をうながす先進的な治療法 他の治療が難しい場合や効果が乏しいケース 一部の施設で実施、効果や適応は限定的 間欠跛行の治療法は以下の3つです。 保存療法 手術療法 再生医療 治療法ごとに適したケースや効果の範囲が異なるため、医師の指示に従う必要があります。間欠跛行の治療法について解説します。 保存療法 治療法 内容 期待される効果・ポイント 運動療法 計画的な歩行訓練、下肢筋力トレーニング、ストレッチなど 側副血行路の発達、酸素利用効率向上、歩行距離の延長 薬物療法 抗血小板薬、血管拡張薬、鎮痛薬など(医師の判断で処方) 血流改善、血栓予防、症状の緩和 生活習慣の改善 禁煙、食事改善、体重・血糖・血圧管理、ストレス・冷え対策 動脈硬化の進行抑制、生活習慣病の改善、薬の効果を引き出す 間欠跛行に対する保存療法は、手術をせずに症状の改善と病気の進行を抑える方法です。運動療法では歩行訓練によって血流を改善し、歩行可能な距離を少しずつ延ばしていきます。薬物療法では、血液をサラサラにしたり血管を広げる薬で症状の軽減を目指します。また、生活習慣を根本から改善するのも動脈硬化を防ぐ上で大切です。 保存療法はすぐに効果が出るものではありませんが、長期的な歩行能力の回復と維持に重要な治療法です。 手術療法 項目 バイパス手術(血管バイパス術) 血栓除去術(血行再建術) 目的 狭くなった血管を迂回して、新たな血液の通り道を作る 詰まった血管から血栓(血のかたまり)を取り除いて血流を再開させる 対象となる状態 慢性的な血流障害(閉塞性動脈硬化症など) 急に血流が止まった場合(急性動脈閉塞など) 使用される血管 自分の静脈(自家血管)または人工血管 既存の血管を利用し、血栓を除去 麻酔・方法 全身または局所麻酔で行い、血管を縫い合わせる 同様に麻酔下で血管を開き、器具で血栓を取り出す 効果 血流の大幅な改善、歩行症状の軽減や重症化の予防 早期の血流回復で壊死や切断リスクを低下、症状の改善が見込める 注意点 感染、出血、再閉塞などの合併症リスクあり 同様に合併症や再閉塞のリスクがあり、術後管理が大切 間欠跛行の症状が進行しており、保存療法で改善が難しい場合は、手術療法が検討されます。代表的なのがバイパス手術で、狭くなった血管を迂回するように新しい通り道を作り、足への血流の改善を目指します。 血栓除去術では、急に詰まった血管を開き、血栓を取り除き、血液の流れを回復させる治療法です。 どちらの治療法も血流を改善し、歩行時の違和感や足の壊死リスクを軽減する効果が期待できます。ただし、保存療法に比べて体への負担が大きく、感染や出血、バイパス血管の詰まりといった合併症のリスクがあり、入院期間も長くなる傾向があります。 手術を検討する際は、医師とよく相談した上で決めることが大切です。 再生医療 原因のタイプ 再生医療のアプローチ 期待される効果 神経性(脊柱管狭窄症) 幹細胞などを用いて、傷ついた神経の修復や炎症の抑制 神経の伝達が改善し、しびれや違和感が軽くなる 血管性(動脈硬化) 新しい毛細血管をつくる(血管新生)よう促す治療を行う 足への血流が改善し、歩くときの違和感が緩和される可能性がある 間欠跛行は、神経の圧迫や血管の詰まりが原因で起こる症状です。再生医療では、身体が本来持つ修復力を利用して神経や血管の機能回復を目指す治療法であり、しびれや違和感の軽減、血流の改善が期待されます。 手術療法と比べ、長期の入院や感染症のリスクが少ないのがメリットです。ただし、再生医療は限られた医療機関でしか行われていないため、対応している施設での受診が必要です。 間欠跛行のリハビリ方法 種類 内容・目的 期待される効果 注意点 ふくらはぎストレッチ かかとを床につけたまま壁に向かって体を倒す 血流改善、筋肉の柔軟性向上 違和感が出る場合は中止 太もも裏のストレッチ 座って片脚を伸ばし、足先に向かって上半身を倒す ハムストリングの柔軟性向上 背中を丸めすぎないよう注意 お尻のストレッチ 仰向けで片膝を胸に引き寄せる 股関節周囲の柔軟性を保ち、神経の圧迫を軽減 無理に力を入れず、深呼吸をしながら行う 股関節前のストレッチ 片膝立ちの姿勢で体を前方に押し出す 血流と可動域の改善 バランスを崩さないよう、壁や椅子で支える 間欠跛行のリハビリでは、ストレッチを中心とした運動療法が症状の改善に非常に効果的です。ふくらはぎや太ももの裏、股関節まわりの柔軟性を高めることで、血流が促進され、症状の改善が期待できます。 実際に、腰部脊柱管狭窄症による間欠跛行の70代男性が、週1回の理学療法とセルフストレッチを続けた結果、歩行距離が500m未満から3km以上にまで改善した例があります。(文献3) 改善例からもわかる通り、ストレッチは毎日少しずつ無理のない範囲で続けることが大切です。リハビリ中に違和感が出る場合は、すぐに中止し、医師に相談しましょう。 間欠跛行における日常生活で気をつけること 項目 内容 無理に歩きすぎない 違和感を我慢すると悪化のリスクがあるため、無理せず休憩を挟む 姿勢に注意する 神経性の場合は前かがみが楽になることが多い 禁煙・食生活の改善 喫煙や高脂肪食は動脈硬化を進めるため、生活習慣の見直しが重要 血圧・血糖・コレステロール管理 生活習慣病のコントロールで症状の進行を抑える 適度な運動を継続する ウォーキングなど違和感が出ない範囲での運動が予防と改善につながる 足の状態を毎日チェックする 傷や潰瘍ができていないか確認し、早めに対処する 症状の変化があれば受診 一時的に良くなっても、病気が進行している可能性がある 間欠跛行の症状を悪化させないためには、無理に歩いたり、過度な運動は禁物です。違和感を抱えたまま歩くと神経や血管に負担がかかり、症状の悪化につながります。神経や血管に負担をかけないためにも適度な休憩を取りましょう。 また、間欠跛行を悪化させないためには、適度な運動に加え、食生活の改善や禁煙が大切です。とくに喫煙や高コレステロールは動脈硬化の原因になるため注意が必要です。また、足に傷や潰瘍がないか毎日確認し、異常があれば早めに受診しましょう。 間欠跛行が疑われる場合は迷わず医療機関へ 間欠跛行は歩くと辛くなり、休むと楽になるのが症状の特徴です。間欠跛行は休むと楽になるため軽視されがちですが、重症化すると足の壊死や切断を余儀なくされることもあります。 日常生活でわずかでも足に違和感があれば、症状が悪化する前に医療機関を受診しましょう。当院リペアセルクリニックでは、間欠跛行の初期症状にも丁寧に対応し、幹細胞を用いた再生医療で治療をサポートしています。 症状が改善せずお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 間欠跛行の症状に関してよくある質問 間欠跛行は何科を受診するべきでしょうか? 初期の段階では原因の特定が難しいため、整形外科の受診をおすすめします。動脈硬化が判明している場合は、循環器内科もしくは、血管外科を受診しましょう。また、間欠跛行を治療できる医療機関の探し方としては、口コミやGoogleマップで評判をチェックするのがおすすめです。 当院リペアセルクリニックでは、間欠跛行の治療も行なっておりますので「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、お気軽にご相談ください。 間欠跛行の症状は自然治癒しますか? 間欠跛行の自然治癒はほとんどありません。原因に応じた治療が必要で、放置すると症状が進行する恐れがあるため、早急に医療機関を受診しましょう。 運動はまったくしてはいけないのでしょうか? 運動は無理のない範囲であれば、問題ありません。ただし、違和感が出た場合はすぐに中止し、医師に相談しましょう。 間欠跛行の症状とがんは関係あるのでしょうか? 間欠跛行の原因は主に脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症による血流障害であり、がんとの直接的な関係性はありません。ただし、がんが神経や血管を圧迫することで似たような症状が出ることもあるので、原因が特定できない場合は精密検査を受ける必要があります。 参考資料 (文献1) 「腰部脊柱管狭窄症」『整形外科シリーズ8』, pp.1-2,2023 https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0013CKA.pdf(最終アクセス:2025年5月9日) (文献2) 「閉塞性動脈硬化症(ASO:Arterio-Sclerosis Obliterans)」, pp.1-15 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/doumyakukoukashou.pdf(最終アクセス:2025年5月9日) (文献3) 国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) 「腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行が改善した一例」J-STAGE,2018年7月16日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/46S1/0/46S1_H2-166_1/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年5月9日)
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
骨粗鬆症は治るのか、将来の健康に対して漠然とした不安を抱いていませんか。加齢とともに骨がもろくなる病気とされ「もう治らないのでは」と心配になる方も多いでしょう。 たしかに、骨粗鬆症は完治が難しい病気です。しかし、適切な治療と生活習慣の見直しによって進行を防げば、骨密度の改善や骨折のリスク軽減に期待できます。 この記事では、医師が骨粗鬆症の治療法や薬の種類、さらに食事や運動による予防法までわかりやすく解説します。 本記事を参考に「完治させる」のではなく「これ以上悪化させない」ことに目を向け、骨粗鬆症の治療や予防に前向きに取り組んでみましょう。 骨粗鬆症の完治は難しいが進行を抑えることは可能 骨粗鬆症の治療目的は、完治ではなく、進行を抑えて骨折を防ぐことです。(文献1) 骨は常に「骨吸収(骨を壊す)」と「骨形成(骨を作る)」を繰り返しています。(文献2)加齢やホルモンバランスの変化で骨を作り変えるリズムが崩れると、骨吸収が優位になり、骨密度が低下していきます。これが骨粗鬆症の本質です。 現在の医学では、一度減少した骨密度を完全に若年時の状態に戻すことは困難です。しかし、薬物療法や食生活・運動習慣の改善を継続すると、骨量の減少を抑えたり、骨密度を高めたりすることも可能です。 骨折リスクを減らして健康寿命を延ばすには、骨粗鬆症の完治を目指すよりも、進行を抑えることが大切です。早期から治療と予防に取り組み、骨の健康を守りましょう。 なお、骨粗鬆症の進行を防ぐには、原因を理解しておくことも重要です。原因については、以下の記事にて詳しく解説しています。気になる方は、あわせて参考にしてください。 骨粗鬆症の進行を防ぐ方法 食事や運動により、骨粗鬆症の進行を防ぐ方法として以下の2つがあります。 カルシウムやビタミンDなど骨を強くする栄養素を摂る かかと落としやウオーキングで骨に刺激を与える 骨粗鬆症は薬だけに頼るのではなく、日々の食事や運動が進行防止に大切です。ぜひ本章を参考に、生活習慣を見直してみてください。 カルシウムやビタミンDなど骨を強くする栄養素を摂る 骨粗鬆症の進行を防ぐには、骨の材料となる栄養素を意識的に摂取しましょう。 中でもカルシウム・ビタミンD・ビタミンK・たんぱく質は、骨の形成や維持に欠かせません。骨に必要な栄養素が豊富に含まれている食材として、以下のようなものがあります。 栄養素 食材例(文献3) カルシウム 牛乳 えび ビタミンD 鮭 きくらげ ビタミンK ほうれん草 納豆 たんぱく質 卵 豚肉 これらの栄養素を含む食材を、毎日の食事にバランスよく取り入れることが理想です。急に食生活を変えるのが難しい場合は、納豆や牛乳など取り入れやすい1品から始めてみると良いでしょう。 かかと落としやウオーキングで骨に刺激を与える 骨粗鬆症の進行を防ぐには、骨に刺激を与える運動を日常に取り入れることが有効です。 運動で骨に適度な刺激が加わると、骨の形成が促され、骨密度の維持や向上につながります。(文献4)実際に、50代男性に片脚ジャンプを1年間続けてもらったところ、大腿骨の骨密度が上昇したとの研究結果もあります。(文献5) ただし、骨折の経験がある方や高齢者の場合、無理をせずに医師や理学療法士の指導のもとで安全に行うことが大切です。日常生活に無理のない範囲で、継続しやすい運動を取り入れていきましょう。 骨粗鬆症の治療薬について 病院では、骨粗鬆症の進行を抑える薬を使った治療が一般的に行われています。本章では、病院で用いられる主な治療薬の種類と副作用について詳しく解説します。 納得して治療に取り組むためにも、薬の種類や副作用を知っておきましょう。 薬の種類 骨粗鬆症の治療薬は、大きく分けると「骨の吸収を抑える薬」と「骨代謝を調節する薬」の2種類です。また、骨の代謝バランスを整え、穏やかに両方の作用を助けるものもあります。 それぞれの薬は、患者の年齢や骨折歴、骨密度などをもとに、治療の目的に合わせて選択されます。 代表的な薬は以下の通りです。 薬の種類 代表例 骨の吸収を抑える アレンドロン酸(フォサマック®) デノスマブ(プラリア®) 骨を作る力を促す テリパラチド(フォルテオ®) 骨の代謝を調節する エルデカルシトール(エディロール®) 薬によっては、注射薬や週1回、月1回などの服用で済むものもあり、ライフスタイルに合わせて治療薬を選択できます。どの薬が適しているかは個人によって異なるため、定期的に検査を受け、医師と相談しながら治療を続けましょう。 薬の副作用 骨粗鬆症の薬は副作用リスクもあるため、医師の指導を受けながら正しく使用しましょう。 たとえば、ビスホスホネート系のような骨吸収抑制薬では、まれに「あごの骨に異常をきたす(顎骨壊死・がっこつえし)」の副作用が報告されています。(文献1)そのため、歯科治療を受ける際は、事前に歯科医と連携することが推奨されます。また、内服薬では胃もたれや吐き気などの消化器症状が出ることもあるため、服用方法や体調の変化には注意が必要です。 副作用は必ず起こるものではありませんが、適切に対策を取ることで症状の軽減や予防が可能です。副作用が疑われる場合でも、自己判断で薬を中止するとかえって悪化するおそれがあるため、必ず医師の指示を仰いでください。 なお、骨粗鬆症は薬だけに頼るのではなく、食事や運動といった生活習慣の見直しも予防に役立ちます。詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。 治療薬にかかる値段の目安 骨粗鬆症の薬には保険が適用されており、多くの場合自己負担は3割です。ただし、薬の種類や投与方法によって費用は異なるため、治療を継続するには経済面の確認も大切です。 たとえば、6カ月に1回の注射薬「デノスマブ(プラリア®)」は、3割負担の場合自己負担額が1回あたり5,000~8,000円程度かかります。 さらに毎日服用が必要な薬でも、月に数千円以上の医療費がかかるケースは珍しくありません。このように、骨粗鬆症の治療には一定の費用がかかるため、経済的な負担を感じる方も多いでしょう。 負担が大きい場合、一定の条件を満たすと「高額療養費制度」という一定金額以上の自己負担額が払い戻される制度を利用できる場合があります。(文献6)費用に不安がある方は、こうした制度を活用すると経済的負担を軽減できるでしょう。 骨粗鬆症は完治を目指すよりも進行を防ぐことが大切 骨粗鬆症の治療目的は完治ではなく、進行を抑えて骨折リスクを減らし、健康寿命をのばすことです。 薬の服用に加え、食事や運動の改善を組み合わせると骨の健康にも良いでしょう。ぜひ本記事を参考に、骨粗鬆症の進行予防に取り組んでみてください。 なお、薬や生活習慣の改善に加え、運動機能の維持も骨粗鬆症対策の一環として重要です。とくに膝や股関節に痛みを抱える方は、日常の運動が制限されてしまうこともあります。 当院「リペアセルクリニック」では、膝の痛みや半月板損傷などの運動器疾患に対して比較的新しい治療法「再生医療」をご提案しています。「痛みの少ない治療を検討したい」「手術以外の方法を探している」という方は、ぜひメール相談やオンラインカウンセリングをご利用ください。 骨粗鬆症についてよくある質問 骨粗鬆症はいつまで治療を続ける必要があるの? 骨粗鬆症の治療は長期間に及ぶことが多く、医師の判断に基づいて継続の可否を決めることが大切です。 治療により一時的に骨密度が改善しても、薬の中断により再び骨密度が低下し、骨折リスクが高まる可能性があります。 実際にデノスマブ(プラリア®)による治療を中断した後、急激な骨密度の減少と骨折の発生件数が増えたとの報告もありました。(文献5) 「薬はいつまで続ければ良いのか」と不安になった場合は、自己判断で中断はせず、必ず主治医と相談して今後の治療計画を立てましょう。 骨粗鬆症になったら避けるべきことは? 骨粗鬆症の進行を防ぐには、日常生活での悪習慣を見直すことが重要です。とくに喫煙・過度の飲酒・運動不足は、骨の形成や維持に悪影響を及ぼすリスクがあります。以下に、それぞれの習慣が骨に与える具体的な影響をまとめました。(文献1) 避けるべき生活習慣 骨に与える悪影響 喫煙 骨の材料であるカルシウムの吸収を阻害したり、尿への排出を促したりする 過度の飲酒 カルシウムの吸収を阻害し、骨密度を低下させる 運動不足 骨への刺激が減り、骨の強度が弱くなる まずは「禁煙に挑戦する」「お酒の量を1日1杯までに抑える」「週2回は軽い運動をする」など、無理のない範囲で行動を変えることから始めましょう。 骨粗鬆症の薬には後遺症がありますか? 骨粗鬆症治療薬によって後遺症のような障害が残るケースはごくまれですが、なかには注意すべき副作用も存在します。代表的な例として、以下のようなものが報告されています。 薬の成分の例 重篤な副作用の例 アレンドロン酸(ビスホスホネート系) 顎骨壊死(文献6) デノスマブ 低カルシウム血症(文献7) テリパラチド 骨肉腫(文献8) 定期的な血液検査や歯科受診などにより、重篤な副作用は予防・早期発見が可能です。気になることがある場合は、医師に相談し、治療内容に納得した上で進めていきましょう。 参考文献 文献1 日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」2015年,http://www.josteo.com/data/publications/guideline/2015_01.pdf 文献2 川口浩.「骨粗鬆症の基礎と最近の話題」『脊髄外科』29巻(3号), p.259-p.266, 2015年,https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/29/3/29_259/_pdf 文献3 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年から出典」2023年,https://www.mext.go.jp/content/20230428-mxt_kagsei-mext_00001_011.pdf 文献4 佐藤哲也、小池達也.「運動と骨」『生活衛生』36巻(5号), p.239-p.245, 1992年,https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikatsueisei1957/36/5/36_5_239/_pdf 文献5 藤田 博曉.「骨粗鬆症に対する運動療法」『日本内科学会雑誌』111巻(4号), p765-p771, 2022年.https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/4/111_765/_pdf 文献6 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ベネット錠2.5mg 添付文書」2024年3月改訂https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400256_3999019F1034_1_29 文献7 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「プラリア皮下注60mgシリンジ 添付文書」2023年11月改訂https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/430574_3999435G1023_1_15 文献8 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「フォルテオ皮下注キット600μg 添付文書」2022年10月改訂https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/530471_2439400G1020_1_18
2025.05.30 -
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骨粗鬆症の予防・改善には、年齢を重ねても無理なく続けられる運動習慣を身につけることが重要です。 運動によって骨に適度な刺激が加わると、骨をつくる細胞が活性化し、骨密度の低下を抑制しやすくなります。 ただし、骨粗鬆症を抱える高齢者は、転倒や骨折のリスクに注意が必要です。 本記事では、骨粗鬆症に対する運動の効果的な仕組みと具体的な実践メニューに加え、高齢者が注意すべきポイントや、食生活との組み合わせ方も解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、運動の妨げになる関節リウマチなどの治療にも用いられている、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 なぜ運動が骨粗鬆症の予防・改善に効果があるのか 骨粗鬆症の予防や進行の抑制には、日常的な運動が重要です。 人間の骨は常に「骨代謝」という仕組みによって古い骨が壊され、新しい骨がつくられる過程を繰り返しています。 骨代謝を促進する方法のひとつが、運動による刺激です。 運動によって骨に適度な負荷が加わると、骨をつくる細胞が活性化し、新しい骨の形成が促されます。 たとえば、片足立ちのようなバランス運動や足腰の筋力を鍛えるトレーニングを取り入れると、転倒のリスクを減らし、歩行の安定性を高めることが可能です。 加えて、骨粗鬆症の主な原因を正しく理解し、なぜ運動が必要なのかに納得できれば、予防行動を長く続けるための意識づけにもつながります。 骨粗鬆症の原因や予防策については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてみてください。 骨粗鬆症におすすめの運動法|今すぐできる具体例を紹介 骨粗鬆症対策として推奨される運動には、次の4種類があります。 かかと落とし ウォーキング 下半身の筋力トレーニング バランス運動 いずれも骨に適度な刺激を与えることで、骨密度の低下を抑える効果が期待できます。 また、筋力やバランス感覚の維持にもつながり、結果的に転倒や骨折のリスクを軽減できるので、自分の体力や生活スタイルに合わせて少しずつ取り入れてみてください。 かかと落とし かかと落としは、床にかかとを落とす際の軽い衝撃が骨に適度な刺激を与え、太ももの骨を強くする効果が期待できる運動です。(文献1) 以下のように特別な器具は必要なく、自宅でテレビを見ながらでも行えるため手軽に始められます。 やり方は次の通りです。 1.壁や椅子に手を添えて、足を肩幅に開く 2.ゆっくりとつま先立ちになる 3.ストンと音を立てるように、かかとを床に落とす 転倒が心配な場合は、手すりや壁に手を添えて行いましょう。 1日10〜20回を3セット行うのが理想ですが、最初は無理せず少ない回数から始めてください。 慣れてきたら、徐々に回数を増やすと継続しやすくなります。 ウォーキング ウォーキングは、骨に適度な負荷を与えながら全身の健康維持にもつながります。 日常生活の中で通勤や買い物のついでに取り入れられるため、習慣化しやすい手軽さが魅力です。 歩行中にかかる骨への刺激が骨密度の維持や向上を促し、下半身の筋力アップにも貢献します。 その結果、転倒による骨折のリスクを抑える効果も期待できるので、以下のポイントを意識しながら実践しましょう。 背筋をしっかり伸ばす 歩幅を大きくとる 腕をしっかり振る いつもより少し速いペースで歩く 1日30分を週に3〜5回行うのが目安です。 最初は短時間から始め、少しずつ歩く時間を増やすと無理なく継続できます。 下半身の筋トレ 下半身を鍛える筋力トレーニングは、骨に適度な刺激を与えられるため、骨粗鬆症の予防に役立ちます。 筋力を高めることで転倒リスクが下がり、骨折の防止につながるのもメリットです。 高齢者の場合、筋肉量の低下が骨折の要因となるため、以下のような下半身の筋トレを行いましょう。 スクワット 膝の屈伸運動で、太もも全体を鍛える筋トレです。 1.足を肩幅に広げて立ち、安定した姿勢をとります。 2.お尻を後ろに引くことを意識しながら、2~3秒かけてゆっくりと膝を曲げます。 3.同じく2~3秒かけて、膝を伸ばしてゆっくり元の姿勢に戻ります。 カーフレイズ つま先立ちを繰り返して、ふくらはぎを鍛える筋トレです。 1.安定した椅子に座り、膝を曲げた姿勢をとります。 2.足裏を床につけたままつま先で床を押しながら、かかとを持ち上げます。 3.かかとを持ち上げたあと、ゆっくりかかとを下ろしていき、スタート時の姿勢に戻します。 4.同じ動作を10~20回繰り返します。 バランス運動 体のバランスを保つ力を鍛えることで、体幹が安定し、歩行中のふらつきを抑えられます。 体のバランス力を高めると日常生活で転びにくくなるため、とくに骨粗鬆症の方にとっては重要な対策のひとつです。 骨粗鬆症は骨がもろくなるため、わずかな転倒でも骨折のリスクが高まります。 バランス感覚を養い、転倒を未然に防ぎましょう。 自宅で手軽に取り組めるバランス運動として、以下のような方法があります。 バランス運動の例 具体的な方法 片足立ち 壁や椅子に軽く手を添え、片足を上げて数秒間キープする 体重移動 足を肩幅に開き、ゆっくりと左右に体重を移動させる 上体ひねり運動 椅子に浅く腰掛け、両手を広げてゆっくりと上体を左右にひねる こうした運動を続けて平衡感覚が養われると、転倒への不安を減らせます。無理のない範囲で、こまめに取り組んでみてください。 ダンベルなど器具を使った筋トレ ダンベルを使った筋力トレーニングは、骨に適度な負荷をかけることで骨形成を促し、骨粗鬆症の予防に効果がある運動のひとつです。 重いダンベルを使う必要はなく、1〜2kg程度の軽い重量でも回数を重ねることで、骨密度の維持・向上が期待できます。 また、ダンベルの代わりに、水を入れたペットボトルでも代用可能です。 自宅でも手軽に始められるので、有酸素運動と組み合わせて行うと骨への刺激も増大し、予防効果がさらに高まります。 骨粗鬆症の高齢者が運動する際の注意点 骨粗鬆症の方が運動をする際の注意点は、以下の4つです。 急激な動作や転倒リスクの高い運動は避ける 運動のしすぎと誤ったフォームは避ける 痛みや違和感が出たらすぐに中止する 症状に不安がある場合は事前に医師へ相談する 骨粗鬆症の方は、転倒や骨折のリスクを避けるためにも、安全な運動を心がけることが大切です。 以下で詳しく解説します。 急激な動作や転倒リスクの高い運動は避ける 骨粗鬆症は骨がもろくなっている状態であり、わずかな衝撃でも骨折につながる恐れがあります。 さらに、バランス能力が低下していると、転倒による大腿骨や背骨の骨折リスクがより高まるため注意が必要です。 次のような運動や動作は避けてください。 急な方向転換やひねりを伴うスポーツ 前かがみや強いひねりを加える体勢 重すぎるダンベルを使った無理な筋トレ 少しでも不安がある場合は医師や理学療法士に相談し、自分に合った安全な運動プランを立てましょう。 運動のしすぎと誤ったフォームは避ける 骨粗鬆症予防に運動は効果的ですが、やり方を誤ると逆に体を痛めてしまいます。 とくに高齢者は、筋力や柔軟性の低下により、正しい姿勢を保つのが難しくなる傾向があります。 以下のようなケースに注意してください。 長時間の歩行で膝を痛めるケース 背中を丸めた姿勢でウォーキングして腰を痛めるケース 無理な回数のスクワットで膝に過剰な負担がかかるケース 大切なのは、量より質です。 運動回数や時間にこだわらず、自分の体力や体調に合わせて無理なく続けていきましょう。 痛みや違和感が出たときは中止する 運動中に膝や腰などに痛みや違和感を覚えた場合は、直ちに中止してください。 骨粗鬆症は骨がもろくなっている状態であるため、軽い痛みであっても骨や関節の損傷、または骨折・捻挫の兆候かもしれません。 筋肉痛のようなごく軽い違和感であれば問題ありませんが、鋭い痛みや数日続く痛みがある場合は要注意です。 無理せず休養を取り、必要に応じて整形外科で診察を受けましょう。 症状に不安がある場合は医師に相談する 運動は骨粗鬆症の予防や改善に有効ですが、骨の状態や体力には個人差があります。 すべての人に同じ運動が適しているわけではありません。 無理に運動を行うと、かえって骨や関節を痛める原因になります。 少しでも不安がある場合は、運動を始める前に医師に相談しておくと安心です。 とくに、次のような方は医師や理学療法士への相談を強くおすすめします。 過去に骨折を経験したことがある 歩くときにふらつきやすい 心臓病や糖尿病などの持病がある 上記に該当する方は、思わぬけがや病状の悪化を防ぐためにも、必ず専門家の指導を受けながら運動を行ってください。 骨粗鬆症対策では安全を最優先し、自分に合った運動を無理なく継続することが大切です。 骨粗鬆症の予防・改善は運動と食習慣の組み合わせが大切 骨粗鬆症の予防や改善には、運動だけでなく食習慣の見直しも欠かせません。 丈夫な骨をつくるには、カルシウムとビタミンDが必要です。 栄養バランスの良い食事を摂ることで、体内でのカルシウムの吸収や利用効率が高まります。 骨粗鬆症の予防・改善には、とくに以下の食品を日々の食事に取り入れましょう。 <カルシウムが豊富な食品> 牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品 小魚・豆腐・納豆・青菜・海藻類など <ビタミンDが豊富な食品> サケ・サンマ・イワシなどの魚 しいたけ・まいたけなどのキノコ類 さまざまな食材を組み合わせながら、1日3食を規則正しく、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。 加えて、日光に当たる機会を増やすと、体内でのビタミンD合成も促進されます。 また、喫煙は骨密度の低下を早める要因ですので、骨の健康を守るためにも禁煙しましょう。 以下の記事では、薬を飲まずに骨粗鬆症を予防する方法を解説しています。あわせてご覧ください。 骨粗鬆症を合併しやすいリウマチなどは治療を優先|再生医療も選択肢 関節リウマチなどの疾患を抱えている方は、炎症や治療薬の影響、運動不足などにより骨粗鬆症を合併しやすいことが知られています。 しかし、関節の炎症や痛みが強い場合は、無理に運動を続けるよりも原因となる疾患の治療を優先することが大切です。 関節リウマチは免疫の異常により関節が炎症を起こし、進行すると関節の破壊や変形につながる疾患です。 痛みが強い時期は安静を保ちつつ、医師の管理下で治療を進めていきます。 炎症や痛みを抑えて寛解(日常生活に支障のない状態)を目指す薬物療法を基本に、症状や関節の状態に応じてリハビリテーションや手術療法が選択されます。 また、幹細胞治療やPRP療法などの再生医療も選択肢のひとつです。 再生医療には、自身の脂肪から採取した幹細胞を培養して点滴や注射で投与する「幹細胞治療」と、血液中の血小板を濃縮して患部に注入する「PRP療法」があります。 いずれも自身の細胞や血液を利用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低いのが特徴です。また、入院や手術を必要とせず、日帰りで受けられます。 以下の記事では、関節リウマチの治療に再生医療を活用した症例を紹介していますので、参考にしてみてください。 まとめ|骨粗鬆症予防のためにも今日から運動を始めてみよう! 骨粗鬆症の進行を抑えるためには、日常生活に適度な運動を取り入れることが重要です。 骨に適切な刺激を与えると骨密度の維持が促され、筋力やバランス感覚の向上によって転倒リスクも軽減できます。ウォーキングや軽い筋トレなど、できることから少しずつ始めてみてください。 ただし、骨粗鬆症の方は関節や筋肉の機能が低下しており、運動によって膝や股関節に痛みが出る場合があります。 状態によっては手術が必要となるケースもありますが、外科的な治療に抵抗がある方には手術の必要がない「再生医療」も選択肢のひとつです。 当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEで再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。移動機能に不安がある方は、ぜひお気軽に公式LINEをご利用ください。 骨粗鬆症の運動に関してよくある質問 骨粗鬆症の運動での禁忌事項は? 骨粗鬆症の方が運動する際は、骨折を防ぐための転倒予防が重要です。 運動の効果を最大限に引き出すためにも、以下の点に注意しましょう。 段差のある場所では運動しない 暗くて足元が見えにくい場所は避ける 床に物が散らばっていないか確認する 電源コードやマットの端などに、引っかかるものがないか点検する 上記のポイントを意識するだけで、自宅での運動による転倒リスクを大幅に減らせます。 骨粗鬆症の運動に役立つ厚生労働省のサイトを教えて 厚生労働省が運営する「健康日本21アクション支援システム」は、骨粗鬆症の運動や予防に関する情報を探す際に役立ちます。(文献3) 生活習慣病全般に関する情報とあわせて、健康づくりに関連するツールなどを体系的に網羅しているのが特徴です。 基礎知識から実践方法まで、信頼できる内容を効率よく確認できます。 骨粗鬆症の予防・改善にはどのくらいのペースで運動すればいい? 骨粗鬆症の予防・改善には、週に2〜3回の運動が効果的です。(文献4) 定期的な運動によって骨に適度な刺激が加わり、骨密度や骨質の向上が期待できます。 ただし、運動の頻度が少なすぎると、十分な効果が得られません。 一方で、過剰な運動は疲労やけがの原因となるため、無理のないペースで継続することが重要です。 骨粗鬆症と運動のエビデンスとなる論文はある? 骨粗鬆症と運動の関係については、日本内科学会雑誌に掲載された論文「骨粗鬆症に対する運動療法」で詳しく解説されています。 たとえば、55〜74歳の男女を対象に、週2〜3回の筋力トレーニングを40週間継続した研究では、大腿骨近位部および腰椎の骨密度が上昇したことが報告されています。(文献2) 骨におすすめの食べ物や飲み物は? 骨を強く保つには、以下のようなカルシウム・ビタミンD・ビタミンKが含まれた食材の摂取がおすすめです。 栄養素 働き 主な食材例(文献7) カルシウム 骨量を維持する 魚介類(えびやかに)、牛乳など ビタミンD カルシウムの吸収を補助する キノコ類(きくらげ)、魚介類(かつおやいわし)など ビタミンK 骨代謝のバランスを整える 緑茶類、藻類(わかめやのり)など 毎日の食事で不足しがちな栄養素を意識的に摂取すると、運動との組み合わせで骨の健康維持効果が期待できます。 ただし、カルシウムやビタミンDに関しては過剰症も報告されているため、摂りすぎには注意しましょう。(文献5) かかと落としの効果が出るまでどのくらいかかりますか? かかと落としによる骨粗鬆症予防の効果を実感するためには、ある程度の継続期間が必要です。 骨は常に作り替えられていますが、同じ部位が再び新しくなるまでには1〜4年かかるとされています。 そのため、運動の効果が骨密度に反映されるまでには時間が必要です。(文献6) 短期間で効果を求めるのではなく、日常の中に取り入れて長く続けることが大切です。 骨粗鬆症の予防を目的として運動するなら焦らず、コツコツと習慣にする意識を持ちましょう。 骨密度が高い人の特徴はなんですか? 骨密度を高く保っている人には、以下のような共通する生活習慣があります。 日常的に体を動かす習慣がある カルシウムやビタミンDを意識的に摂取している 栄養バランスのとれた食事を心がけている 階段を利用するなど、日常で自然に身体を動かしている 骨密度は、一般的に20〜30代で最も高くなり、その後は加齢に伴って少しずつ減少していきます。(文献4) 老後を健やかに過ごすためにも、できるだけ早い段階から骨の健康を意識した生活を始めましょう。 参考文献 (文献1) かかと落とし運動で骨密度をあげよう!|やら整形外科 (文献2) 骨粗鬆症に対する運動療法|『日本内科学会雑誌 (文献3) 健康日本21アクション支援システム|厚生労働省 (文献4) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版|日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団 (文献5) 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書」|厚生労働省 (文献6) 健康寿命を延ばすためには『骨』にも目を向けて!|東邦大学医療センター (文献7) 日本食品標準成分表2020年版(八訂)|文部科学省
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加齢とともに骨密度は徐々に低下し、骨粗鬆症のリスクが高まります。 丈夫な骨を保つためには、食事を見直してさまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。 本記事では、骨の健康をサポートするおすすめの食材や栄養素、食べ合わせの工夫、避けたい食品の注意点などをわかりやすく解説します。 さらに、毎日の食事に取り入れやすいレシピも紹介していますので、骨粗鬆症が気になる方はぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 骨粗鬆症予防におすすめの食べ物 骨を丈夫に保つには、特定の栄養だけでなく、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。 ここでは、なかでも骨粗鬆症予防に効果が期待できる食べ物をご紹介します。 牛乳・乳製品|カルシウムが豊富で骨を強くする カルシウムは、骨や歯の主成分として欠かせない栄養素であり、筋肉の収縮や神経の伝達にも重要な役割を果たしています。 カルシウムが不足すると、骨が弱くなりやすく、将来的に骨粗鬆症のリスクが高まるため、日々の食事で意識して摂取することが大切です。 たとえば、コップ1杯(200g)の牛乳には約220mgのカルシウムが含まれており、成人が1日に必要とするカルシウム量の約3分の1に相当します。(文献1) さらに、チーズやヨーグルトといった乳製品を組み合わせれば、より手軽にカルシウムを補うことが可能です。 骨の健康を守る第一歩として、毎日の習慣にコップ1杯の牛乳を取り入れることから始めてみましょう。 骨を強くする食べ物については、以下の記事でも詳しく解説しています。 肉・魚|たんぱく質がコラーゲンの材料になる 肉や魚などのたんぱく質を意識して摂取すると、骨粗鬆症の予防や治療に役立ちます。 骨はカルシウムとコラーゲンで構成されており、コラーゲンの材料になるのがたんぱく質です。 骨にあるコラーゲンは、鉄筋コンクリートの鉄筋のような役割を果たし、骨の強さを支える土台になります。 たんぱく質が不足すると、コラーゲンが十分に作られず骨がもろくなりやすいため要注意です。 また、たんぱく質は骨だけでなく筋肉の材料にもなり、転びにくい体作りにもつながります。 毎日の食事で肉や魚からたんぱく質を取り入れて、骨粗鬆症対策に活かしていきましょう。 干ししいたけ・魚の干物|ビタミンDがカルシウムとリンの吸収を促進 干ししいたけや魚の干物を食事に取り入れると、骨粗鬆症対策に重要なビタミンDを補給できます。 ビタミンDは、腸や肝臓でカルシウムとリンの吸収を促進する働きを持ち、血液中のカルシウム維持に関わる栄養素です。 たとえば、以下のような食材に多く含まれています。 イワシの丸干し サンマ カレイ シラス干し 干ししいたけ ビタミンDが不足すると腸からのカルシウムの吸収が少なくなり、低カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が低下した状態)になりやすくなります。 低カルシウム血症になると骨からカルシウムが溶け出し、骨が弱くなっていくため注意しなければなりません。 干ししいたけや魚の干物を摂取し、ビタミンDを意識した食生活を心がけましょう。 野菜|ビタミンKで骨にカルシウムを定着 カルシウムを十分に摂取していても、骨にしっかりと沈着しなければ骨は強くなりません。 ビタミンKには、カルシウムが骨に取り込まれるのを促進する働きがあり、骨粗鬆症の予防薬としても利用されています。 ビタミンKを多く含む食品には、緑色の葉野菜である小松菜やほうれん草、納豆などがあり、おひたし、みそ汁や炒め物など、日常の食事で無理なく取り入れられます。 毎日の食事に少しずつでも野菜を取り入れて、健康な骨づくりを目指しましょう。 大豆製品|イソフラボンが閉経後の女性に必要 大豆に含まれているイソフラボンには、女性ホルモンに似た作用があります。 女性ホルモンは骨密度の維持に関与しており、閉経後に分泌が減少すると、骨粗鬆症のリスクが高まります。 イソフラボンは、骨密度の低下を緩やかにする効果が期待できるため、とくに中高年の女性は意識的に摂取したい成分です。 たとえば、味噌汁や納豆など、身近な和食を中心としたメニューを取り入れて、骨を強く保つ食生活を実践していきましょう。 海藻類・アーモンド|マグネシウムが不足すると骨が弱くなる 人の体内には約25gのマグネシウムが存在し、そのうちの50〜60%は骨に含まれています。(文献2) 食事からの摂取が不足すると、骨の中のマグネシウムが溶け出して補う仕組みになっており、この状態が続くと骨の強度が低下しやすくなるため注意が必要です。 マグネシウムは、以下のような食材に多く含まれています。 あおさやあおのり、わかめなど海藻類 米ぬか バジル 純ココア アーモンド これらの食材を毎日の食事に取り入れて、骨の健康を支える土台を整えていきましょう。 【過剰摂取に注意】骨粗鬆症で食べてはいけないもの 食品によっては、カルシウムの吸収を妨げたり、カルシウムの排泄を促進したりする場合があります。 ここでは、骨の健康を守るために、摂取を控えた方が良い食品を見ていきましょう。 インスタント食品や加工食品|塩分が多い食べ物 一般的に、インスタントラーメンやスナック菓子、加工食品などには多くの塩分が含まれているのが特徴です。 塩分を過剰に摂取すると、体内でナトリウムと一緒にカルシウムが尿へ排泄されやすくなり、結果として骨からカルシウムが失われてしまいます。 このような状態が続くと、骨密度の低下につながる恐れがあるため、日常的に塩分の摂取量を意識することが大切です。 加えて、調味料の使い方を見直すなどして、日々の食事で塩分を摂り過ぎないように意識しましょう。 コーヒーや紅茶|カフェインを含む飲み物 コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインを摂取すると、カルシウムの吸収が若干低下するとされています。(文献3) カフェインには、腸からのカルシウム吸収を妨げたり、体外へのカルシウム排出を促したりする作用があるため、過剰に摂取すると体内のカルシウムが不足しやすくなるのです。 具体的に「1日何杯までが適量か」という明確な基準は示されていませんが、1日5杯以上のコーヒーを飲むと骨に影響を及ぼすといわれています。(文献4) 骨の健康を守るためには、飲みすぎを避けて適量を心がけることが大切です。 炭酸飲料|リンを多く含む飲み物 炭酸飲料(ソフトドリンク)の過剰摂取が、骨密度を低下させることが報告されています。(文献5) 炭酸飲料はリン酸やカフェインの含量が高く、カルシウムの吸収を妨げる可能性があるのです。 とくに、成長期の子どもや高齢者にとっては、骨の形成や維持に悪影響を及ぼしかねません。 飲みすぎには注意し、牛乳などのカルシウムを豊富に含む飲み物を積極的に摂取しましょう。 お酒|アルコールは骨を作る細胞を破壊 お酒の飲みすぎは、骨粗鬆症のリスクを高める要因となります。 アルコールは、骨を形成する骨芽細胞を傷つけたり、体内の酸化ストレスを増加させたりすることで、骨の新陳代謝に悪影響を与えます。 その結果、骨の形成が抑制され、骨密度が低下しやすくなるのです。 とくに、大量の飲酒は骨密度の減少を招き、骨粗鬆症や骨折のリスクを高めるため、日常的に飲酒する人や一度に多量のアルコールを摂取する人は注意が必要です。 厚生労働省では、女性の適切な飲酒量を純アルコール量で1日約20gまでと示しており、これはビール500mlまたは日本酒1合に相当します。(文献6) 骨の健康を守るためにも飲酒習慣を見直し、過度な摂取を避けるよう心がけましょう。 骨粗鬆症の原因については、以下の記事でも詳しく解説しています。 骨粗鬆症に必要な栄養素一覧 骨の健康を守るには、摂取すべき栄養がどれくらい必要なのかを把握しておくことも重要です。 次の表では、60代女性に必要な摂取量と実際の平均摂取量を比べています。(文献2)(文献3)(文献7)(文献8) <骨粗鬆症予防で大切な栄養素の目標量と平均摂取量> 栄養素 推奨量・目安量 平均摂取量(60代女性) カルシウム 650mg/日 476mg/日 ビタミンD 9.0μg/日(目安量) 6.6μg/日 ビタミンK 150μg/日(目安量) 236μg/日 たんぱく質 50g/日 68.3g/日 マグネシウム 280~290mg/日 235mg/日 ビタミンKやたんぱく質が足りている一方で、ビタミンDやカルシウム、マグネシウムは不足しがちなことがわかります。 日々の食事では、これらの不足しがちな栄養素を積極的に摂取しましょう。 骨粗鬆症予防におすすめの食べ合わせ5選 ここでは、毎日の食事に取り入れやすい、骨粗鬆症予防に効果的な食べ合わせをご紹介します。 骨を健康な状態に保つためにも、ぜひ参考にしてみてください。 ヨーグルト × きな粉 ヨーグルトにきな粉を加えるだけで、骨の健康に役立つ栄養素を効率よく摂取できます。 ヨーグルトにはカルシウムとたんぱく質が、きな粉にはイソフラボンと植物性たんぱく質が含まれており、組み合わせると骨の形成や維持に必要な栄養素を一度に補うことが可能です。 また、ヨーグルトの乳酸菌と食物繊維を含むきな粉の組み合わせは、腸内環境の改善にも役立ちます。 骨の健康だけでなく、腸内環境も整えたい方にとっても相性の良い食べ方で、朝食や間食として取り入れやすく、日常的に続けやすいのもおすすめポイントです。 なお、きな粉はそのままだとむせやすいため、ヨーグルトとよく混ぜてから食べるようにすると、高齢者の方でも安心して摂取できます。 納豆 × 小松菜 × 味噌汁 納豆には、たんぱく質やイソフラボン、ビタミンKが豊富に含まれており、小松菜にもビタミンKやカルシウムが多く含まれています。 味噌汁の具にすることで、骨の形成や維持に必要な栄養素をバランスよく補えるのがおすすめポイントです。 納豆はご飯にかけるだけでなく、味噌汁の具として活用したり、ゆでた小松菜などの葉物野菜と和えたりと、さまざまな食べ方で楽しめます。 身近な食材を上手に活用して、毎日の食事に取り入れていきましょう。 鮭 × 干ししいたけ × オリーブオイル 鮭と干ししいたけには、脂溶性であるビタミンDが豊富に含まれており、オリーブオイルと一緒に調理することで吸収率が高まります。 とくに、干ししいたけは、調理前に30分ほど日光に当てるとビタミンDの量が増加するため、日干ししてから使うのがおすすめです。 また、炒め物やホイル焼きなどにすると、おいしく味わいながら手軽に栄養を補えます。 豆腐 × ひじき 豆腐とひじきを組み合わせると、マグネシウム、カルシウム、たんぱく質、イソフラボンなど、骨の形成や維持に欠かせない栄養素をまとめて摂取できます。 白和えや煮物として調理すれば、日々の副菜として食卓に取り入れやすく、栄養バランスを整えるのにもおすすめです。 チーズ × ブロッコリー × 卵 カルシウムとビタミンK、たんぱく質が一皿で摂れる、骨の健康に理想的なおすすめの組み合わせです。 たとえば、チーズ入りのオムレツにブロッコリーを添えるだけで、見た目にも彩りが良く、食欲をそそる一品になります。 簡単に作れるので、朝食や昼食にも取り入れやすいでしょう。 骨粗鬆症におすすめの食べ物を使ったレシピ 骨の健康をサポートする、おすすめレシピの簡単な作り方を紹介します。 手軽に作れる料理ばかりなので、日々の食事にぜひ取り入れてみてください。 白身魚の南部揚げ 白身魚とごまを組み合わせた主菜です。 骨粗鬆症予防には毎日カルシウムを摂ることが大切であり、ごまなどカルシウムを多く含む素材を料理に取り入れると、無理なくカルシウムを補えます。 1.白身魚の骨を取り除き、食べやすい大きさに切る。 2.白身魚の水気をふき取り、薄力粉を薄くまぶす。 3.卵白を溶きほぐし、黒ごまと白ごまを混ぜて衣を用意する。 4.白身魚を卵白にくぐらせ、ごまを全体にしっかりとつける。 5.170度程度の油で、白身魚の両面が色よく揚がるまで揚げる。 6.器に盛りつけ、好みの野菜とともに仕上げる。 ひじき入り肉団子と小松菜のうま煮 ひじきと小松菜を使った煮物です。 海藻類や野菜、肉類を組み合わせており、カルシウムを中心とした栄養素を補給できます。 1.乾燥ひじきを水で戻し、食べやすい長さに切る。 2.小松菜を洗い、茎と葉に分けてから食べやすい長さに切る。 3.鶏ひき肉に塩や調味料を加え、ひじきも混ぜて肉だねをつくる。 4.肉だねを丸めて肉団子を作り、鍋にだしと調味料を入れて煮立てる。 5.肉団子を鍋に加え、火が通るまで煮る。 6.小松菜やほかの具材を加え、全体に味がなじむまで煮詰める。 茹で野菜のヨーグルトソース 水切りヨーグルトを使った、野菜を食べる副菜です。 野菜とともに、ヨーグルト由来のカルシウムを摂りやすく工夫しています。 1.プレーンヨーグルトをあらかじめ水切りしておく。 2.ブロッコリーやかぼちゃ、さやいんげんなどの野菜を一口大に切る。 3.野菜を下茹でし、冷ましておく。 4.水切りヨーグルトにマヨネーズや調味料を加え、ソースを作る。 5.皿に茹で野菜を盛りつけ、ヨーグルトソースをかける。 まとめ|骨粗鬆症におすすめの食べ物でしっかり予防しよう 加齢に伴い、カルシウムやたんぱく質などの栄養素が不足しやすくなり、骨がもろくなりやすくなります。 骨粗鬆症を予防するためには、毎日の食事を通じて必要な栄養をしっかり補うのが基本です。 カルシウムやビタミンDをはじめ、骨を支える栄養素を意識的に摂取することで、将来の骨折リスクを軽減できます。 本記事でご紹介したおすすめレシピや食材の組み合わせを参考にしながら、骨の健康を守っていきましょう。 また、骨の状態に不安がある場合には、早めに医師へ相談することも大切です。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 骨粗鬆症の食事に関するよくある質問 骨粗鬆症におすすめの飲み物はありますか? 牛乳や豆乳は、骨粗鬆症対策として取り入れたいおすすめの飲み物です。 カルシウムやたんぱく質が豊富に含まれており、骨の形成や維持に役立ちます。 とくに、豆乳には大豆由来のイソフラボンも含み、骨密度の低下が気になる女性にとってうれしいポイントです。 たとえば、小松菜やバナナ、牛乳や豆乳、ヨーグルトをミキサーで混ぜてスムージーを作ってみましょう。 カルシウム・ビタミン・たんぱく質・食物繊維などをバランス良く摂取でき、骨の健康維持に効果的です。 忙しい朝にも手軽に栄養補給ができるので、朝食の一杯として栄養たっぷりのスムージーを日常に取り入れてみてください。 骨粗鬆症にお酢は良くないですか? 「酢を摂取すると骨が柔らかくなるのでは?」という疑問を持つ方もいますが、そのような心配はありません。 むしろ、酢にはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。 魚の骨が酢で柔らかくなるのは、加熱調理による物理的な変化であり、酢を摂取したからといって体内の骨が溶けるわけではありません。(文献4) 酢の物や魚の酢煮など、酢を使った料理はカルシウムと相性が良く、骨の健康を支える食事の一部として取り入れるのにおすすめです。 酢でいつもと違う味の変化を楽しみながら、無理なく骨粗鬆症対策を続けていきましょう。 参考文献 (文献1) 大切な栄養素カルシウム|農林水産省 (文献2) マグネシウム|健康日本21アクション支援システム(厚生労働省) (文献3) カルシウム|eJIMサイト(厚生労働省) (文献4) 予防について|日本骨粗鬆症財団 (文献5) アクティブシニア社会の食品開発指針|津志田藤二郎ほか (文献6) 生活習慣病などの情報|健康日本21アクション支援システム(厚生労働省) (文献7) 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント|厚生労働省 (文献8) ビタミンKの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
2025.05.30 -
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骨粗鬆症は自覚症状が少ないまま進行し、ある日突然、骨折や慢性的な痛みにつながることもある病気です。 とくに閉経後の女性に多く見られ、背中の曲がりや身長の低下、転倒による骨折など、日常生活にも大きな影響を及ぼすため注意しなければなりません。 本記事では、骨粗鬆症の初期サインや原因、進行によるリスク、予防や治療に役立つ運動・栄養・生活習慣の工夫を詳しく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 骨粗鬆症はどんな痛み?主な症状 骨粗鬆症の初期は自覚症状が乏しいものの、進行するとさまざまな痛みや変化となって現れます。 とくに背中や腰の鈍い痛み、身長の減少、軽い衝撃での骨折などは、骨がもろくなっているサインかもしれません。 ここでは、骨粗鬆症による代表的な症状と、見逃してはいけない身体の変化について解説します。 背中や腰の鈍い痛みが続く 骨粗鬆症では、骨の強度が低下し、背骨を構成する椎体が体の重みや日常動作による負担でつぶれるように折れる「脊椎圧迫骨折」が起こる場合があります。 圧迫骨折が起こると、寝起きや体動時に慢性的に痛みが続くようになるのが特徴です。 痛みが続くと、体を動かして外出する意欲が低下してしまい、寝たきりや引きこもりの原因にもなります。 骨が弱くなっているため小さな力でも骨折しやすく、気づかないうちに生じているケースも少なくありません。 実際、骨粗鬆症に関連した圧迫骨折の多くは、明らかな外傷がなくても発生するケースがあるのです。(文献1) 身長が縮む・姿勢が悪くなる 骨粗鬆症が進行すると背骨の骨がもろくなり、つぶれるように骨折や変形を起こすことがあります。 次第に背中が丸くなって姿勢も前かがみになりやすく、結果的に身長が数cm縮むケースもあるのです。 とくに、若いころと比べて男性で6cm以上、女性で4cm以上の身長の減少が見られる場合は、脊椎の骨折がすでに進行している可能性が高いとされています。(文献2) 転倒や軽い動作でも骨折するようになる 骨粗鬆症が進行すると、骨がもろくなり、わずかな衝撃でも骨折してしまう場合があります。 とくに、背中・太ももの付け根・手首・腕の付け根・肋骨などが骨折しやすい部位です。 骨折が重なると痛みで動くのがつらくなり、日常生活に支障をきたします。 症状が進行しないうちの早期予防と、ケアがとても大切です。 骨粗鬆症の初期症状に注意しよう 骨粗鬆症は気づかないうちに進行し、ある日突然骨折して初めて気づくケースも珍しくありません。 しかし実際には、日常の中に初期症状と呼べるサインが隠れている場合があるのです。 ここでは、見過ごしやすい骨粗鬆症の初期症状について見ていきます。 身長が縮む 身長が以前より明らかに低くなっている場合、骨粗鬆症の進行が関係している可能性を否定できません。 骨密度が低下すると背骨に負担がかかりやすくなり、骨折や変形によって徐々に身長が縮んでいく場合があります。 とくに、最近の健康診断や人間ドックで身長の変化を指摘された方は要注意です。 加齢によるものと決めつけず、骨粗鬆症の検査を受けましょう。 猫背が悪化する 背中が丸くなってきたり、姿勢の悪さを感じるようになったりしているなら、骨粗鬆症が進行しているサインかもしれません。 骨が弱くなると背骨に変形が生じやすくなり、前かがみの姿勢になりがちです。 鏡や写真に写った自分の姿が以前より猫背に見えたり、周囲から「腰が曲がってきた」と指摘されたりする場合は、骨の健康状態をチェックするきっかけにしてください。 何気ないことで骨折する 軽く転んだり、段差でつまずいて尻もちをついたりした程度で骨折したなら、骨粗鬆症によって骨がもろくなっている可能性があります。 通常なら骨折しないようなわずかな衝撃で骨が折れる状態は、骨粗鬆症の典型的な特徴のひとつです。 骨折をきっかけに寝たきりになる心配もあるため、思い当たる骨折歴がある方は、早めに整形外科を受診して骨密度をチェックしましょう。 骨粗鬆症はどんな人に多い?主な原因 骨粗鬆症は、閉経後の女性に多く見られます。 閉経をきっかけに、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減るのが原因のひとつです。 エストロゲンは、骨を丈夫に保つために重要なホルモンで、骨の新陳代謝のバランスを整える働きがあります。 ホルモンが減少すると、古い骨を壊すスピードが新しい骨をつくるスピードを上回り、骨密度が低下しやすくなるのです。 とくに、閉経前後の時期は骨密度が急激に落ちやすく、気づかないうちに骨粗鬆症が進行してしまうケースも少なくありません。 骨粗鬆症の原因についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 骨粗鬆症の症状セルフチェックリスト 骨粗鬆症の予防や進行を防ぐには、早く兆候に気づくことが重要です。まずは自分の体の変化をチェックしてみましょう。 以下のチェックリストは、公益財団法人 骨粗鬆症財団が公開している「骨の健康度チェック表」です。(文献3) 次の項目のうち、当てはまるものの点数を合計すると、骨の健康度がわかるようになっています。 1 牛乳、乳製品をあまりとらない 2点 2 小魚、豆腐をあまりとらない 2点 3 たばこをよく吸う 2点 4 お酒はよく飲む方だ 1点 5 天気のいい日でも、あまり外に出ない 2点 6 体を動かすことが少ない 4点 7 最近、背が縮んだような気がする 6点 8 最近、背中が丸くなり、腰が曲がってきた気がする 6点 9 ちょっとしたことで骨折した 10点 10 体格はどちらかと言えば細身だ 2点 11 家族に「骨粗鬆症」と診断された人がいる 2点 12 糖尿病や、消化管の手術を受けたことがある 2点 13 (女性)閉経を迎えた (男性)70歳以上である 4点 引用:公益財団法人 骨粗鬆症財団|骨の健康度チェック表(文献3) <結果の見方> 2点以下 今は心配ないと考えられます。これからも骨の健康を維持しましょう。 改善できる生活習慣があれば、改善しましょう。 3点~5点 骨が弱くなる可能性があります。気を付けましょう。 6点~9点 骨が弱くなっている危険性があります。注意しましょう。 10点以上 骨が弱くなっていると考えられます。 一度医師の診察を受けてみてはいかがですか。 引用:公益財団法人 骨粗鬆症財団|骨の健康度チェック表(文献3) ご自身の骨の状態を知る目安として、参考にしてみてください。 骨粗鬆症の症状を放置するリスク3選 骨粗鬆症の症状を放置すると、以下のようなリスクが懸念されます。 骨折の連鎖で、さらに骨がもろくなる 痛みや動きにくさで、日常生活が制限される 寝たきりや介護が必要な状態になる それぞれ詳しく解説するので、骨粗鬆症の早期発見・早期対策にお役立てください。 骨折の連鎖で、さらに骨がもろくなる 背骨が一カ所でも骨折すると、その部分にかかる負担が大きくなり、周囲の骨まで次々と骨折しやすくなるため注意が必要です。 たとえば、太ももの付け根(大腿骨近位部)を骨折した人のうち、およそ10人に1人が反対側の太ももの骨もその後に骨折しているという報告があります。(文献4) 骨折の連鎖が起こる背景には、もともと骨が弱っていることに加えて、以下が関係しているとされています。 骨折によって転びやすくなる 片側をかばう動作で、反対側に余計な負担がかかる 痛みや動きにくさで、日常生活が制限される 骨粗鬆症によって背中や腰が骨折すると、痛みや動きづらさが日常生活にじわじわと影響を及ぼすようになります。 たとえば、掃除・洗濯・買い物といった家事がつらくなったり、重い荷物を持つことに不安を感じたりなど、以前は当たり前にできていた動作が難しくなってしまうことも少なくありません。 また、痛みのせいで外出を控えるようになったり、孫を抱っこしたくてもできなかったりと、行動範囲が狭くなることで生活の質(QOL)が低下します。 骨粗鬆症による骨折は、日々の楽しみや穏やかな暮らしに大きな影響を及ぼしかねないのです。 寝たきりや介護が必要な状態になる 骨粗鬆症による背中や腰の痛み、繰り返される骨折は、日常生活の自由を奪うだけでなく、寝たきりになるリスクを高める要因にもなります。 とくに注意したいのが、太ももの付け根にあたる「大腿骨」の骨折です。 大腿骨の骨折は手術や長期のリハビリが必要になるケースも多く、高齢者にとって身体的な負担が大きくなります。 結果的に、体力や筋力が急激に低下し、自分の足で歩けなくなるケースも珍しくありません。 最終的には、介護が必要な生活へと移行せざるを得ないため注意しましょう。 骨粗鬆症で痛みが出る前に見直したい生活習慣 骨粗鬆症は、骨折して初めて気づくケースが少なくありません。 ここでは、早い段階から取り組みたい生活習慣の見直しについて解説します。 骨に負荷をかける運動 骨粗鬆症の予防には、骨に適度な刺激を与える運動を日常に取り入れましょう。 骨は重力や体重といった外からの刺激を受けることで強くなり、骨密度の維持や向上に役立ちます。 とくに、以下のような運動が効果的です。 ウォーキングや階段の昇り降りといった、自分の体重を支える有酸素運動 片足立ちや椅子からの立ち座り運動など、バランス感覚と筋力を鍛える動き スクワットのように、太ももやお尻まわりの大きな筋肉を使う運動 これらの運動は、体に無理なく骨に刺激を与えられるため、高齢者に適しています。 無理のない範囲で継続して取り組み、筋力と骨密度をしっかり守っていきましょう。 骨に有効な食生活 骨粗鬆症の予防には、栄養バランスの良い食生活も欠かせません。 骨は日々の食事から得た栄養によって作られるため、必要な栄養素が不足すると、運動だけでは十分な骨量を維持するのが難しくなります。 とくに意識して摂りたい栄養素と、代表的な食品は以下の通りです。 カルシウム:牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など ビタミンD:鮭やサバなどの魚、きのこ類、卵など ビタミンK:納豆、ほうれん草などの緑の野菜 たんぱく質:肉、魚、卵、大豆製品、穀類など なかでも、カルシウムの吸収を高めるために、ビタミンDやビタミンKを一緒に摂るのがおすすめです。 一方で、加工食品やアルコールの摂りすぎには注意し、日々の食事のバランスをしっかり整えていきましょう。 日光浴でビタミンDを合成 骨粗鬆症の予防には、食事や運動だけでなく、日光浴によるビタミンDの生成も欠かせません。 ビタミンDには腸からのカルシウム吸収を促し、食事で摂ったカルシウムを効率よく骨に届ける働きがあります。 季節や体調に合わせて、無理のない時間帯に外へ出て、散歩やウォーキングを楽しみながら日光を浴びましょう。 外出が難しく室内で過ごす時間が多い人も、ベランダや窓辺で日差しを浴びるなど、できる範囲から始めても効果が期待できます。 骨粗鬆症で痛みが出たときの治療法 骨粗鬆症の治療には、以下のような方法があります。 外科治療 薬物療法 生活習慣の見直し 進行しないうちにかかりつけ医と相談しながら、適切に治療を進めていきましょう。 では、それぞれ解説します。 外科治療 骨折が見つかった場合は、状態に応じて外科的な治療が行われます。 もっとも一般的なのは、コルセットやギプスなどで骨を固定し、安静に過ごす保存的治療です。 背骨の圧迫骨折では、簡易的なコルセットを数週間着用するだけで症状が改善するケースもあります。 ただし、以下のような場合は手術が検討される場合もあります。 痛みが強い 骨のつぶれが大きい 骨の安定性が保てない 手術には骨を金属で固定する方法や、骨に医療用セメントを注入する方法があります。 どちらも骨の安定性を確保し、早期の回復を促すのが目的です。 薬物療法 骨粗鬆症では、薬による治療も行われます。 使用される薬は主に2種類あり、ひとつは骨の吸収を抑える薬、もうひとつは骨を新しく作る働きを助ける薬です。 どちらも、骨密度の改善や骨折リスクの低下を目指して使われますが、即効性は期待できません。 継続的な使用で徐々に効果が現れるため、根気よく治療を続けることが大切です。 また、自己判断で薬を中断してしまうと、改善していた骨密度が再び低下し、骨折のリスクが高くなる可能性があります。 治療効果をしっかり得るためにも、医師の指示に従いながら、定期的な検査とあわせて継続的に薬を活用していきましょう。 以下の記事では、骨粗鬆症の薬を飲まない治療法を紹介していますので、気になる方は参考にしてみてください。 まとめ|骨粗鬆症で痛みが出たら早めに受診しよう 骨粗鬆症は、年齢とともに誰にでも起こり得る身近な疾患ですが、正しい知識と日々のケアで予防や進行の抑制が可能です。 運動や食事、日光浴などの生活習慣の見直しと必要に応じた治療により、健康的な毎日を取り戻せます。 「年齢のせい」と放置せず、小さな異変に気づいた時点で早めの対応を心がけましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 骨粗鬆症の症状に関するよくある質問 骨粗鬆症で骨折するとどんな痛みがある? 骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折では、「体動時腰痛」と呼ばれる特有の痛みが現れる場合があります。 寝た姿勢から起き上がろうとする際など、体を動かしたときに鋭い痛みが走るのが特徴です。 一方で、一度立ち上がって姿勢が安定すると、痛みが和らぐことも知られています。 骨粗鬆症で腰痛を発症した場合に緩和する方法はある? 骨粗鬆症では、腰椎の圧迫骨折が原因で腰痛を発症する場合がありますが、痛みを和らげるために鎮痛薬や筋弛緩薬が使われます。 鎮痛薬や筋弛緩薬での治療は、日常生活を少しでも楽に送れるようにするのが目的です。 骨粗鬆症で足の付け根の痛みを感じる場合はある? 骨粗鬆症によって大腿骨頸部(太ももの付け根)を骨折すると、股関節まわりに強い痛みが生じ、立ったり歩いたりがほぼ不可能になります。 無理に動こうとすると痛みがさらに悪化するため、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。 骨粗鬆症で痛み止め薬を使うのはどんなとき? 骨粗鬆症に伴う痛みが慢性化している場合は、鎮痛薬を使って痛みをコントロールする場合があります。 痛みを和らげることで日常生活の負担を軽減し、他の治療やリハビリテーションにも取り組みやすくするのが目的です。 骨粗鬆症は男性でもなりますか? 骨粗鬆症は女性に多いイメージですが、実際には男性でも発症するケースがあります。 患者の約4人に1人は男性とされており、病気や薬の影響、栄養不足などが重なることで骨密度が低下しやすくなるのです。(文献5) 男性だから大丈夫と思い込まず、少しでも違和感があれば早めに検査を受けましょう。 参考文献 (文献1) Vertebral compression fractures: Still an unpredictable aspect of osteoporosis|PMC (文献2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版|骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 (文献3) 骨の健康度チェック表|公益財団法人骨粗鬆症財団 (文献4) 骨粗鬆症の診断とガイドラインの変遷|日本内科学会雑誌第111巻第4号 (文献5) 男性の骨粗鬆症|日本医師会日医ニュース
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「同年代の人が骨粗鬆症で骨折して大変そう。自分は大丈夫かな?」 「骨粗鬆症の検査を受けたことがないから、何をするのかわからない」 このような不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。 骨粗鬆症は自覚症状がないまま進行し、気づいたときには骨が折れやすい状態になっていることもあります。 知らずにそのまま放置してしまうリスクはさらに高まり、実際に骨折して日常生活に影響を及ぼすかもしれません。 だからこそ骨粗鬆症の検査は、自身の骨の状態を知り、早めに適切な対策を始めるための一歩となります。 本記事では、骨粗鬆症の4つの検査方法や検査を受けるべき人の特徴、検査が可能な場所を解説します。 骨の健康について考えるきっかけとなれたら幸いです。 骨粗鬆症の検査方法 骨粗鬆症のおもな検査は、以下のとおりです。 骨密度検査(骨量測定) 血液検査・尿検査(骨代謝マーカーの検査) レントゲン検査 身長測定 これらの検査の結果から、骨粗鬆症の診断や治療方針の決定に必要な情報が得られます。 それぞれ詳しく見ていきましょう。 骨密度検査(骨量測定) 骨密度検査は、骨の中にどのくらいのミネラル成分が含まれているかを調べる検査です。 一般的に、ミネラル成分が少ないほど骨密度が低いとされ、骨がもろく骨折しやすい状態だと考えられています。 骨密度のおもな測定方法は、以下のとおりです。 骨量の測定方法 説明 使用する機械 DXA(デキサ)法 ・脚の付け根と腰の骨密度を測定する ・精度が高い分、時間がかかる レントゲン(X線) MD法 ・手の骨密度を測る ・簡単だが、精度が下がる QUS法 ・かかとの骨密度を測る ・被ばくせず簡便だが、精度の誤差が大きい 超音波 自身の希望や、医療機関によって検査方法は異なります。 たとえば「少し時間がかかってもしっかりとした検査を受けたい」といった方にはDXA法がおすすめです。一方、「まずは手軽に検査してみたい」と考える方にはQUS法が適しています。 まずは、近くの医療機関にどんな検査があるか問い合わせてみるのが良いでしょう。 血液検査・尿検査(骨代謝マーカーの検査) 血液検査や尿検査では「骨代謝マーカー」とよばれる項目を調べます。 ヒトの骨は、新しい骨が作られ、古い骨が壊されて吸収される「骨代謝」のサイクルを常にくり返しています。(文献1) 骨代謝マーカーは骨の代謝の過程で出てくる物質のことで、これらの数値を調べることで骨の「壊れるスピード」と「作られるスピード」のバランスがどうなっているのかがわかるのです。 おもに以下の項目をチェックします。 骨代謝マーカーの種類 検査項目 説明 骨吸収マーカー ・TRAPC5b(酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ) ・DPD(デオキシピリジノリン) ・NTX(Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド) ・CTX(Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチド) ・1CTP(Ⅰ型コラーゲンC末端テロペプチド) <高い場合> 骨吸収(骨の破壊)が進んで骨密度の低下を招くリスクがある <低い場合> 骨の代謝が低下している可能性がある 骨形成マーカー ・BAP(骨型アルカリフォスファターゼ) ・OC(オステオカルシン) ・ucOC(低カルボキシル化オステオカルシン) ・P1NP(Ⅰ型コラーゲンN-プロペプチド) ・P1CP(Ⅰ型コラーゲンC-プロペプチド) 骨吸収が起こってはじめて骨形成がはじまるため、単独で高くなることは少ない 参考:骨代謝とは|日本骨代謝学会(文献1) たとえば、骨吸収マーカーが高く、骨形成マーカーが正常である場合「骨が壊れるスピードは速くなっているのに、新しく骨が作られるスピードは普段どおり」といった状態を示しています。 つまり、骨の破壊に形成が追いつかず、骨の量が減少しやすい状況です。 骨代謝マーカーの検査は、骨の代謝のどの部分に異常があるのかを明らかにします。 それによって、将来的に骨密度がどのくらい減少しやすいのか、骨折のリスクが高いのかを評価できるのです。 レントゲン検査 レントゲン検査は、骨折や骨の変形の有無、骨の密度を確認するためにおこないます。(文献2) 骨粗鬆症が進行している場合、次のような変化が画像に現れることがあります。(文献3) 背骨が変形している 骨の中の網目模様がはっきり見えない 背骨全体がいつもより黒っぽく見える また、気づかないうちに起きている背骨の小さな骨折を発見するのにも、レントゲン検査は有効です。 たとえば高齢者では、骨粗鬆症によって軽い衝撃で背骨が折れてしまうケースが少なくありません。(文献4) こうした骨折を早期に発見し、治療や予防につなげる役割を果たすのが、レントゲン検査です。 なお、レントゲンによる被ばく線量は少なく、健康への影響もほとんどないと言われているため、過度に心配せず検査を受けてみましょう。 身長測定 身長の測定は、骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折や変形を早期発見する手がかりになります。 とくに背骨がつぶれるように変形すると、数センチ単位で身長が縮むことも少なくありません。 いくつかの海外研究では、若いころと比較して身長の低下がある場合、背骨の骨折のリスクが高まると報告しています。(文献2) 25歳頃の身長と比較してどの程度縮んでいるかの確認が、骨粗鬆症の診断に役立ちます。 【検査推奨】骨粗鬆症になりやすい人の特徴 骨粗鬆症は、以下にあてはまる方に起こりやすいと言われています。(文献5) 閉経後の女性 高齢 やせ型 運動不足 喫煙、飲酒 骨折既往歴 ステロイド服用歴 遺伝(家族に骨粗鬆症の人がいる) これらの項目にあてはまるようでしたら、一度、骨の健康状態について検査を受けることをおすすめします。 「自分はどうなのだろう」と少しでも不安に感じたら、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 メール相談やオンラインカウンセリングに対応しているため、来院する手間もかかりません。ぜひご活用ください。 骨粗鬆症の検査は「整形外科」で受けるのが一般的 骨粗鬆症の検査は、整形外科で受けるのが一般的です。 整形外科は「骨の専門家」であり、検査から診断、治療までスムーズに進められるメリットがあります。 整形外科に限らず、内科や婦人科でも検査に対応している場合があります。 とくに女性ホルモンの影響が気になる方は、婦人科で相談するのも選択肢の一つです。 また、自治体によっては健康診断の一環として骨密度検診を実施していることもあり、多くは指定された医療機関や検診センターで検査を受けます。 どこで検査を受けるか迷ったら、まずはかかりつけ医に相談したり、近くの整形外科のホームページで検査の実施状況を確認してみてはいかがでしょうか。 骨粗鬆症の検査にかかる費用 骨粗鬆症の検査を医療機関で受けた場合にかかる費用の目安は、以下のとおりです。 検査の種類 費用相場 骨密度検査(DXA法) 全額自己負担:約4,500円 3割負担:約1,350円 1割負担:約450円 血液検査 全額自己負担:約1万円 3割負担:約3,000円 レントゲン検査 全額自己負担:約2,500円 3割負担:約650円 自治体の検診や健康保険組合の補助で検査を受けるときは、自己負担が無料または数百円程度と安くすむことがあります。 骨粗鬆症の検査を受けるタイミング 骨粗鬆症の検査を受けるタイミングは、以下がおすすめです。 市町村の健診時期になったら 40歳を超えたら 関節痛・背が縮んだ感覚など気になる症状が現れたら 自身の状況と照らし合わせて、受けるタイミングを検討する参考にしてください。 市区町村の健診時期になったら 市区町村で実施される特定健診やがん検診の機会に、対象年齢に該当する場合や、追加で申し込むことで、骨粗鬆症の検査を受けられます。 骨粗鬆症の検診は、健康増進法にもとづき40歳〜70歳の女性を対象に5歳刻みの年齢でおこなわれています。(文献5) 自治体によっては男性も対象にしていたり、対象年齢を拡大したりしている場合もあるため、お住まいの市区町村のホームページで確認し、積極的に活用しましょう。 40歳を超えたら 骨粗鬆症は、閉経後の女性や50歳以上の高齢者に多い病気です。(文献7) 「まだ若いから大丈夫」と思いがちですが、実は骨の量は20代〜30代で最大となり、その後は徐々に減少します。そのため、40歳を過ぎたら一度骨の健康状態をチェックしておくことをおすすめします。 また、男性も決して他人事ではありません。 女性と同じく、年齢を重ねるごとに骨密度が低下するリスクは高まるため、少なくとも50歳を過ぎたら一度は検査を受けておきましょう。 関節痛・背が縮んだ感覚など気になる症状が現れたら 突然の背中や腰の違和感、身長が縮んだ感覚、姿勢の変化などがあれば骨折の兆候かもしれません。 骨粗鬆症が進み、気づかぬうちに骨折していることもあるため、気になる症状が現れたら早めに医療機関で検査を受けましょう。 骨粗鬆症の検査で「要注意」と言われたらすべきこと 骨粗鬆症の検査の結果「骨密度が少し低い」「要注意」などの診断を受けたときにすべきことは、以下のとおりです。 医師の指示をもとに再検査や適切な治療を受ける 骨を強くする栄養を意識した食生活に見直す 運動習慣を取り入れて骨への刺激を増やす 転倒を防ぐ生活環境へ整える 一つずつ見ていきましょう。 医師の指示をもとに再検査や適切な治療を受ける 検査結果について医師から詳しい説明を受け、今後の対応について相談しましょう。 必要に応じて、再検査や生活習慣の改善のアドバイスを受けたり、薬物治療を検討したりします。 「まだ大丈夫だろう」と自己判断で放置してしまうと、骨がもろくなり、骨折のリスクを高めてしまう恐れがあります。 医師の指示を守り、適切な対策を講じることが大切です。 骨を強くする栄養を意識した食生活に見直す 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」によると、以下の3つの栄養素が骨粗鬆症の治療で重視されています。(文献2) 栄養素 骨への作用 おもな食材 カルシウム ・骨の主成分となる ・骨密度を維持する ・牛乳 ・チーズ ・ヨーグルト ・干しえび ビタミンD ・カルシウムの吸収を助けて骨に定着させる ・日光を浴びると体内でもつくられる ・鮭 ・サンマ ・きくらげ ・干ししいたけ ビタミンK ・骨にカルシウムを取り込むのを助ける ・納豆 ・ブロッコリー ・小松菜 ・ほうれん草 参考:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン|日本骨代謝学会(文献2) とくにカルシウムはビタミンDと一緒に摂ることで吸収率がアップします。 ヨーグルトにきな粉をかける、鮭ときのこを一緒に調理するのも、手軽に取り入れられるためおすすめです。 これらを取り入れた、バランスの良い食生活を心がけましょう。 運動習慣を取り入れて骨への刺激を増やす 活発にからだを動かしている方は、骨粗鬆症による骨折が少ないとした研究結果が多く報告されています。(文献2) 具体的には、以下の運動が骨密度の上昇をもたらしたとされています。(文献2) ウォーキング ジョギング ダンス ジャンプ まずは、自身に合った無理のない運動を見つけて、習慣にすることから始めてみましょう。 転倒を防ぐ生活環境へ整える 骨粗鬆症の方は骨がもろくなっているため、転倒による骨折のリスクが高まります。 日常生活の中に以下のような工夫を取り入れて、転倒を防ぎましょう。 室内の段差をなくす 滑りにくいマットを使用する 足元が明るいように照明を工夫する 階段や廊下には手すりを設置する 転倒防止が、骨折や寝たきりを防ぐ第一歩になります。 自宅内に危険な場所がないか、改めて確認してみてください。 生活習慣を見直す 喫煙や過度の飲酒は、骨折のリスクを高めることがわかっています。(文献2) ガイドラインでも、以下のように推奨されています。(文献2) 喫煙を始めない 喫煙習慣のある方は禁煙する 1日のエタノール量を24g未満とする また、塩分やカフェインの過剰摂取もカルシウムをからだの外に出しやすくしてしまうことがわかっています。(文献9) 骨の健康を守るため、これらの成分の摂りすぎには注意しましょう。 骨粗鬆症の検査で自分の骨の状態を知ろう 骨粗鬆症は静かに進行し、骨折として突然現れることがあります。 だからこそ、骨密度をはじめとする検査で、早期に骨の状態を知ることが大切です。 とくに女性や高齢の方、生活習慣に不安を感じる方には、積極的な検査をおすすめします。 「要注意」と診断された場合も、適切な食事や運動、医師との連携によって、骨の健康を維持できます。 自身の骨の状態と向き合うために、まずは検査を受けるところから始めましょう。 「自分の骨の状態は大丈夫なのかな」と不安を感じたら、当院「リペアセルクリニック」のメール相談またはオンラインカウンセリングまでお気軽にご相談ください。 骨粗鬆症の検査についてよくある質問 骨密度の検査はどうやってやるのですか? 骨密度の検査は、骨の中にあるカルシウムをはじめとしたミネラルの量を測定し、骨の強さ(密度)を数値化するものです。 もっとも一般的なのはDXA法と呼ばれる検査で、腰の骨や太ももの骨にX線を当てて測定します。 検査時間は、準備や着替えを含めて10〜15分程度です。 ほかにも手首やかかとを使うMD法やQUS法といった簡易検査もありますが、精度はDXA法がもっとも高いと言われています。 骨密度測定は自宅でできますか? 原則として、正確な骨密度測定は医療機関でおこなう必要があります。とくに検査の精度が高いDXA法は、医療機関の専用装置が不可欠です。 家庭用の体組成計で「推定骨量」を計測できるものも存在しますが、骨密度を測定するものではありません。 手首やかかとで骨密度を測れるものも家庭用で作られていないため、自宅で骨密度測定をおこなうのは現実的ではないでしょう。 本格的な診断を希望する場合は、医療機関で検査を受けるのをおすすめします。 参考文献 (文献1) 骨代謝とは|日本骨代謝学会 https://jsbmr.umin.jp/basic/kotutaisha_ma.html (文献2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン|日本骨代謝学会 https://jsbmr.umin.jp/pdf/GL2015.pdf (文献3) Q&A Vol.337 【どうやって見ればいい?】骨粗鬆症の画像に関するQ&A | 日本離床学会 https://www.rishou.org/for-memberships/qa/qa-vol-337#/ (文献4) 「脊椎椎体骨折」|日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.html (文献5) 健康増進事業実施要領|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/14.pdf (文献6) どんな人がなりやすい|公益社団法人骨粗鬆症財団 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/tabid250.html (文献7) International Osteoporosis Foundation. Epidemiology. https://www.osteoporosis.foundation/health-professionals/about-osteoporosis/epidemiology (文献8) 骨そして筋肉の健康における栄養素・非栄養素の役割 骨と栄養素の視点から|田中清ら https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/76/5/76_283/_pdf
2025.05.30 -
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「リウマチ検査は陰性なのに指や膝がズキズキする」 原因がわからず不安で情報の検索を続けていませんか? 本記事では変形性関節症や痛風など、リウマチ以外で関節痛を引き起こす主な疾患と見分け方、検査・治療の流れを整形外科医の視点で解説します。痛みを放置せず、早期に適切な対応を取るヒントを見つけてください。 リウマチではない関節痛とは 関節痛は多くの方が経験する症状ですが、必ずしも関節リウマチとは限りません。加齢や過度の使用、外傷、ほかの疾患によって引き起こされることがあります。適切な診断と治療で症状を緩和できることが多いので、長引く症状がある場合は早めに医師にご相談ください。 ここからは、リウマチではない関節痛について詳しく説明していきます。 関節リウマチとの決定的な違い 関節痛とリウマチは似た症状を示すことがありますが、決定的な違いがあります。一般的な関節痛は、使い過ぎや加齢による軽い違和感から始まることが多く、肩や手指、膝などに痛みやこわばり、腫れという症状です。関節の使用後に悪化し、休むと和らぐ傾向があります。 一方、関節リウマチは自己免疫疾患であり、関節の痛み・腫れ・こわばりといった症状に加え、関節を押したり動かしたりすると痛みが強まるのが特徴です。左右対称に症状が現れることが多く、両手の同じ指に症状が出るパターンが見られます。寒い季節や朝起きた直後に症状が強く出やすい傾向があります。 もっとも大きな違いは、リウマチが自己免疫疾患である点です。血液検査でリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体の存在を確認すると、診断の手がかりが得られます。リウマチは多発性の関節炎として左右対称に現れることが多いのに対し、一般的な関節痛は単関節に限られることもあります。 よくある誤解とチェックポイント 関節リウマチについては多くの誤解が存在します。まず、朝のこわばり=リウマチという考えがありますが、必ずしもそうとは限りません。朝のこわばりは変形性関節症や筋肉の硬直でも起こる症状であり、リウマチに特化したものではありません。 リウマチはどの年齢でも発症する可能性があります。日本リウマチ財団によると、人口の0.4%〜0.5%、30歳以上の人口の1%にあたる人が関節リウマチにかかると言われています。発症のピークは60歳代です。しかし、若い方でも症状が続く場合は専門医の診察を受けることが重要です。(文献1) リウマチの症状は個人差が大きく、典型的な症状が現れないこともあります。持続する関節の痛みや腫れがある場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。早期発見・早期治療により、関節の変形や機能障害を最小限に抑えられます。適切な治療を受けることで、多くの方が日常生活の質を維持しています。 リウマチではない関節痛を起こす主な疾患 関節痛の原因は実に多様で、リウマチ以外にも多くの疾患が関係しています。症状の特徴や現れ方を理解すると、より適切な対処につながります。以下の表では、リウマチと間違えやすい主な疾患とその特徴を紹介します。ご自身の症状に心当たりがある場合は、専門医にご相談ください。 疾患名 主な症状と特徴 更年期障害 ホルモンバランスの変化による関節痛、こわばり。肩や膝、手首などに現れやすく、他の更年期症状(ほてり、発汗など)を伴うことが多い。 変形性関節症(OA) 関節の軟骨がすり減ることで起こる痛み。負荷のかかる膝や股関節に多く、動かし始めに痛みが強く、徐々に和らぐ。年齢とともに発症リスクが高まる。 痛風 尿酸結晶が関節内にたまることで炎症を起こす。突然の激しい痛みが特徴で、足の親指の付け根など単関節に発症しやすい。 腱鞘炎・ばね指 指や手首を動かすための腱とその鞘の炎症。曲げ伸ばしで痛みが生じ、とくに朝に症状が強い。指が引っかかる感じや「バネ」のような動きが特徴的。 関節炎 手の関節の炎症。関節のこわばり、腫れ、痛みを伴うことが多い。 線維筋痛症 全身の広範囲に及ぶ慢性的な痛みがあり、中年以降の女性に多いのが特徴。手足のしびれや動悸、呼吸困難などを伴うことも多い。 手根管症候群 手首の「正中神経」と呼ばれる部分で神経が圧迫される状態。手のしびれや痛みを起こす。手首の反復運動や長時間のデスクワークなどが原因。 リウマチと通常の関節痛を見抜くセルフチェック方法 関節の痛みを感じたとき、それがリウマチなのか一般的な関節痛なのか気になるでしょう。医師の診断を受ける前に、ご自身でチェックできるポイントがいくつかあります。以下の項目を参考に症状を観察してみましょう。 ただし、これはあくまで目安です。正確に診断してもらうためにも医師の診察を受けてください。 痛みが強く出る時間帯・動作 痛みのパターンは疾患を見分ける重要な手がかりです。リウマチの場合、とくに朝起きたときや長時間同じ姿勢でいた後のこわばりがあり、微熱が出る場合もあります。また、だるさや食欲低下も見られます。 変形性関節症などの一般的な関節痛は、動き始めや負荷をかけたときに痛み、休むと痛みが和らぐ場合が多いです。日常生活の中で、どのようなときに痛みが増すのかを記録しておくと診断の参考になるでしょう。 部位と左右差 リウマチの特徴の一つに、左右対称に症状が現れることがあります。たとえば両手の同じ指や両膝など、体の左右で同じ部位に痛みや腫れが生じるケースです。対して、変形性関節症や腱鞘炎などは、使い過ぎや負担のかかり方によって片側に症状が出やすいことが多いです。 リウマチは手首や指の小さな関節から症状が現れることが多いのに対し、変形性関節症は主に体重のかかる膝や股関節などの大きな関節に生じやすいという違いもあります。 腫れ・熱感・発赤・可動域制限の有無 関節の炎症サインの有無も、リウマチを見分ける重要な手がかりです。リウマチでは、関節の腫れや熱感、発赤(赤み)などの炎症症状が明らかに見られることが多く、関節を動かす範囲(可動域)が制限されることもあります。全身症状として微熱や倦怠感、食欲不振などを伴うこともあります。 一方、一般的な関節痛では、軽度の腫れはあっても熱感や発赤が目立たないことが多く、全身症状も少ない傾向です。これらの症状に気づいたら、できるだけ早く医師に相談しましょう。 リウマチと関節痛における検査方法 関節痛の原因を特定するためには、さまざまな検査が必要です。医師は症状や経過に基づいて、適切な検査を選択します。 リウマチの診断には、画像検査と血液検査がとくに重要です。検査を組み合わせると、リウマチかそれ以外の関節痛かを見極められ、適切な治療につなげることができます。 画像検査 画像検査は関節の状態を視覚的に評価する重要な検査です。画像検査には以下の種類があります。 レントゲン検査:骨の変形や関節間隙の狭小化などを確認できる MRI:軟部組織の評価に優れており、関節の滑膜炎や骨髄浮腫、靭帯・腱の状態などを詳しく観察できる 関節超音波検査:リアルタイムで関節の炎症状態を評価でき、滑膜の肥厚や関節液の貯留、血流増加などを非侵襲的に検出できる 画像検査を適切に組み合わせれば、リウマチの早期発見や経過観察、ほかの関節疾患との鑑別が可能です。 血液検査 血液検査はリウマチの診断において必須の検査です。主な検査項目は以下のようになります。 検査項目 特徴 リウマトイド因子(RF) リウマチ患者の約80%で陽性となるが、健康な人やほかの疾患でも陽性になることがあるため、単独での診断確定は難しいとされている CRP(C反応性タンパク) 炎症の程度を示す指標で、関節の炎症が強いと値も高くなる 抗CCP抗体検査 リウマチの早期診断や予後予測に有用とされている 抗核抗体(ANA) リウマチだけでなく、ほかの膠原病の鑑別にも重要 (文献2) 血液検査の結果を総合的に判断し、臨床症状や画像所見と併せて診断が進められます。定期的な血液検査によって、病気の活動性や治療効果の評価も重要です。 リウマチではない関節痛の治療方法 関節リウマチではない関節痛の治療は、原因となる疾患や症状の重症度によって異なります。治療の目標は、痛みの軽減や炎症の抑制、関節機能の維持・改善、そして日常生活の質の向上です。 治療法は大きく分けて、薬物療法と注射治療があり、症状や病態に合わせて適切な治療法が選択されます。ここから詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法は関節痛の治療においてもっとも一般的に用いられる方法です。症状や原因疾患に合わせて、適切な薬剤が選択されます。 非リウマチ性の関節痛に対しては、主に痛みや炎症を抑える対症療法が中心となります。使用される薬剤はさまざまですが、どの薬剤も効果と副作用のバランスを考慮して慎重に使用することが重要です。 自己判断での服用は避け、医師の指示に従いましょう。症状の変化や副作用が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。 主な薬剤は以下のとおりです。 薬剤 特徴と効果 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs) 炎症と痛みを抑える効果があり、速効性がある。胃腸障害や腎機能障害などの副作用に注意が必要。 アセトアミノフェン 鎮痛効果があり安全性が高い。比較的副作用が少なく、高齢者や他の薬剤が使用しづらい患者にも使用される。 オピオイド 強力な鎮痛効果があるが、依存性や呼吸抑制などの副作用があり、慎重に使用される。 漢方薬 さまざまな生薬の組み合わせにより、体質に応じた処方ができる。副作用が起こる場合もある。 注射治療 注射治療は、薬物療法で十分な効果が得られない場合や、より局所的な治療が必要な場合に選択されます。関節内や周囲の組織に直接薬剤を注入すれば、全身への副作用を最小限に抑えつつ、効果的に症状を緩和できるでしょう。 注射治療の種類によって効果の持続期間や適応疾患が異なるため、症状や病態に合わせて適切な治療法が選択されます。いずれの注射治療も、感染や出血などのリスクがあるため、清潔な環境で専門医により実施されることが重要です。 治療効果は個人差があり、一時的に症状が悪化する場合もありますので、医師の説明をよく聞いて判断しましょう。 以下は主な注射治療です。 注射治療 特徴と効果 ヒアルロン酸注射 関節内の潤滑機能を高め、クッション作用を補うため、直接患部に注射を行う。即効性はないが、定期的な注射で効果が持続する。 ステロイド注射 強力な抗炎症作用があり、即効性がある。頻回の使用は副作用をおこす可能性がある。 PFC-FD療法 自己血由来の成長因子を利用し、組織の修復・再生を促進する。比較的新しい治療法。 リウマチではない関節痛は放置せず早期の受診を心がけよう 関節痛を感じたとき、年齢のせいや、しばらく様子を見ようと放置してしまいがちです。しかし、持続する痛みは早めに医療機関を受診しましょう。 早期受診のメリットは多くあります。痛みの原因を正確に特定でき、早期に治療を開始すると効果が高まります。日常生活への支障も、最小限に抑えられるでしょう。 関節痛が起きたら、自己判断せず医師への相談が必要です。関節痛でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 文献1 公益財団法人 日本リウマチ財団「関節リウマチとは」公益財団法人 日本リウマチ財団 ホームぺージ https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/ (最終アクセス:2025年5月14日) 文献2 シーズン神奈川リウマチクリニック「リウマチで重要な3つの血液検査」シーズン神奈川リウマチクリニック ホームぺージ https://seasons-kanagawa.jp/blog/ra-bloodtest/ (最終アクセス:2025年5月14日)
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
背中の痛みや手足のしびれが続くと「強いストレスが脊髄腫瘍を招いたのでは?」と不安になる方は少なくありません。 現代社会においてストレスは避けて通れないものとなっており、さまざまな健康問題との関連性が指摘されています。しかし、ストレスが腫瘍を直接つくるという科学的根拠は現時点で確認されていません。一方、慢性的なストレスは免疫低下や血流悪化を通じて症状を悪化させる恐れがあります。 本記事では脊髄腫瘍の主な原因とストレスとの関係性、早期発見のポイント、日常でできるセルフケアについてわかりやすく解説します。 脊髄腫瘍の原因とストレスの関係性 脊髄腫瘍の発生メカニズムについては、現在の医学でもまだ完全には解明されていません。しかし、もっとも有力な原因として考えられているのは、遺伝子の突然変異です。正常な細胞の遺伝子に変異が生じることで、細胞の増殖が制御できなくなり、腫瘍が形成されると考えられています。 まれなケースですが、家族性に発生する場合もあります。特定の遺伝子異常を持つ家系では、脊髄腫瘍を含むさまざまな腫瘍が発生するリスクが高まることが知られているのです。 現在の医学的知見では、ストレスそのものが脊髄腫瘍を引き起こす明確なエビデンス(科学的根拠)は確立されていません。しかし、後から説明するように、すでに発症した脊髄腫瘍の症状や経過に影響を与える可能性は否定できないと言えます。 脊髄腫瘍の主な原因 脊髄腫瘍は大きく分けて「原発性」と「転移性」の二つに分類されます。それぞれの特徴と発生原因について詳しく見ていきましょう。 原発性脊髄腫瘍 原発性脊髄腫瘍とは、脊髄や脊柱自体から発生する腫瘍のことを指します。これらの腫瘍は良性(進行が遅く、他の組織に広がりにくいもの)と悪性(進行が早く、浸潤性が高いもの)の両方があります。 原発性脊髄腫瘍の代表的なものには以下のようなタイプがあります。 髄膜腫:脊髄を覆う髄膜から発生する腫瘍で、多くは良性 神経鞘腫:神経の保護層(シュワン細胞)から発生する腫瘍で、多くは良性 星細胞腫:星状神経膠細胞から発生する腫瘍で、良性から悪性までさまざま 上衣腫:脳や脊髄の中心にある脳室系や中心管を覆う上衣細胞から発生する腫瘍で、良性から悪性までさまざま これらの腫瘍は通常、遺伝子の突然変異によって発生すると考えられていますが、その具体的なメカニズムはまだ完全には解明されていません。 転移性脊髄腫瘍 転移性脊髄腫瘍は、他の臓器で発生したがん細胞が血流やリンパ流を通じて脊髄に広がった場合に発生します。脊髄腫瘍全体の中では、この転移性のものが多くを占めています。 とくに転移しやすい原発巣(最初にがんが発生した場所)としては以下のがんが挙げられます。 肺がん 乳がん 前立腺がん 腎臓がん 甲状腺がん リンパ腫 黒色腫 (文献1) これらのがんは転移を起こしやすく、脊椎や脊髄周囲に転移する場合があります。転移性脊髄腫瘍の場合、原発巣でのがん発生が関与していることになります。 遺伝性疾患・放射線治療・年齢 脊髄腫瘍の発生リスクを高める要因として、いくつかの遺伝性疾患や環境因子、年齢などが挙げられます。 遺伝性疾患については、神経線維腫症2型が代表的です。この疾患では聴神経鞘腫を主とする腫瘍が特徴的であり、脊髄腫瘍のリスクも高まります。また、フォン・ヒッペル・リンドウ病では脳や脊髄のさまざまな部位に血管芽腫が発生することが知られています。 放射線治療との関連では、過去にほかの疾患の治療目的で放射線治療を受けた部位に、数年から数十年後に腫瘍が発生しているケースです。これは放射線被曝が、腫瘍形成のリスクを高める可能性があるといえます。 年齢も重要な要因の一つです。脊髄腫瘍はさまざまな年齢層で発生しますが、転移性脊髄腫瘍では中高年層での発症リスクが多い傾向です。 ストレスが脊髄腫瘍に及ぼす影響 ストレスそのものが脊髄腫瘍の直接的な原因となる明確な科学的根拠はありませんが、すでに発症した脊髄腫瘍の症状や経過に影響を与える可能性はあります。ここでは、ストレスが脊髄腫瘍患者の身体にどのような影響を与えうるのかを解説します。 免疫低下・炎症促進 ストレスが長期間続くと、体内でさまざまな生理的変化が起こります。とくに注目すべきは、免疫系への影響です。 長期的な心理ストレスが続くと、副腎皮質から分泌されるホルモンであるコルチゾールの分泌が慢性的に高まります。コルチゾールは本来、体のストレス応答を調整する重要なホルモンですが、過剰に分泌され続けると免疫機能に悪影響を及ぼします。具体的には、がん細胞を破壊するナチュラルキラー(NK)細胞やT細胞などの細胞性免疫の働きが鈍くなるのです。 コルチゾールは炎症性サイトカインの産生も促進し、神経組織にむくみや痛みを引き起こしやすい状態をつくります。免疫低下と炎症は、腫瘍そのものの増殖を直接促進する証拠はないものの、疼痛・しびれ・倦怠感といった自覚症状を強め、治療後の回復を遅らせる要因になる可能性があります。 痛み・しびれを増幅 慢性的なストレス状態では、交感神経が優位になり、痛み刺激を増幅する「中枢性感作」という現象が起こりやすくなります。中枢性感作とは、脊髄や脳の痛み伝達経路が過敏になり、通常なら痛みとして感じない程度の刺激でも痛みとして感じるようになる状態です。(文献2) 脊髄腫瘍による神経への圧迫がわずかであっても、中枢性感作によって実際に感じる痛みやしびれが強くなり、QOL(生活の質)が大きく低下する場合があります。痛みによる不眠や食欲不振が重なると、さらに痛みの閾値が下がる悪循環に陥りやすくなります。 脊髄腫瘍の予防につながるストレス解消法 現時点では、ストレスが脊髄腫瘍を直接引き起こす明確な科学的証拠はありません。しかし、ストレスが免疫機能に影響を与え、すでに発症した腫瘍の症状を悪化させる可能性は否定できません。 ここでは、日常生活で実践できるストレス解消法をご紹介します。脊髄腫瘍の直接的な予防にはならないかもしれませんが、全身の健康維持や症状緩和に役立つ可能性があります。 自律神経を整える 自律神経のバランスを整えることは、ストレス耐性を高め、免疫機能を維持する上で非常に重要です。食生活、運動、睡眠の3つの観点から自律神経を整える方法をご紹介します。 まず食生活については、規則正しく、バランスの良い食事を心がけることが基本です。とくに抗酸化物質を多く含む野菜や果物を積極的に摂取し、カフェインや刺激物の過剰摂取は避けましょう。また、日々の適切な水分補給も忘れないようにしましょう。 運動面では、ウォーキングやヨガなどの軽い有酸素運動を定期的に行うことがおすすめです。ただし、過度な運動は逆にストレスになるため、自分のペースで続けられる運動を選ぶことが大切です。可能であれば、自然の中で運動すると、より高いリラックス効果が得られます。 質の良い睡眠も自律神経のバランスを整えるために欠かせません。規則正しい睡眠スケジュールを維持し、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は控えましょう。ブルーライトは睡眠の質を下げることが知られています。 寝室の環境を整え(適切な温度、湿度、静けさを保つ)、就寝前には温かい入浴やストレッチ、読書などのリラックスルーティンを取り入れると良いでしょう。 趣味を楽しむ 日常生活の中で自分が純粋に楽しめる時間を持つことは、ストレス解消に非常に効果的です。音楽を聴くことはストレスホルモンの分泌を抑制し、リラックス効果をもたらします。読書によって物語の世界に没頭すれば、現実の悩みから一時的に離れられるでしょう。 また、以下のような趣味もおすすめです。 絵を描く 楽器を演奏する 料理をする 創作活動は脳内の報酬系を刺激し、幸福感をもたらします。 園芸や散歩など、自然と触れ合う活動もストレスホルモンの低下に効果的です。自分が心から楽しめる趣味を見つけ、定期的な時間の確保が重要です。 趣味の時間は「自分だけの時間」として大切にしましょう。日々の忙しさや責任から解放される時間を持つことで、心に余裕が生まれます。同じ趣味を持つ人々との交流も、新たな刺激や喜びをもたらしてくれます。趣味のサークルやオンラインコミュニティに参加すると、社会的つながりが広がり、それ自体がストレス耐性を高める効果があります。 脊髄腫瘍の治療中や経過観察中の患者さんにとっても、体調と相談しながら無理のない範囲で趣味の時間を持つことは、QOL(生活の質)の向上につながります。身体的な負担が少ない趣味から始めて、徐々に活動の幅を広げていくことも一つの方法です。趣味に没頭することで得られる時間は、痛みの知覚を和らげる効果もあるといわれています。 マインドフルネスを実践する マインドフルネスとは、「今この瞬間の体験に、評価や判断をせずに意識を向けること」を意味します。日常的にマインドフルネスを実践すれば、ストレスへの反応パターンを変え、心の平静を保ちやすくなるでしょう。 マインドフルネス瞑想の基本は、背筋を伸ばしリラックスした姿勢で座り、自然な呼吸に意識を向けることから始まります。息が入ってくる感覚、出ていく感覚に注意を払い、雑念が浮かんでも判断せず、優しく呼吸に意識を戻します。初めは5分程度から始め、徐々に時間を延ばしていきます。 日常生活の中でも、食事をするときは味や香り、食感に意識を向け、歩くときは足の裏の感覚や体のバランスを意識するなど、日常の行動に注意を向けることでマインドフルネスが実践可能です。何かを待つ時間があるときも、その間の呼吸や体の感覚に注意を向けてみましょう。 マインドフルネス実践は、特別な道具や場所を必要とせず、日常生活の中で簡単に取り入れられます。 ストレス解消を心がけて脊髄腫瘍の悪化・発症を防ごう 脊髄腫瘍の直接的な原因はストレスではありません。現在の医学的知見では、脊髄腫瘍の主な発生メカニズムは遺伝子の突然変異であり、家族性の要因や放射線被曝、加齢などがリスク因子となります。 しかし、すでに発症した脊髄腫瘍患者では、ストレスが免疫機能の低下や炎症の促進、痛みの増幅などを通じて症状を悪化させる可能性があります。そのため、日常生活におけるストレス管理が重要です。 脊髄腫瘍の症状(背部痛、しびれ、脱力感など)に気づいたら、早めに専門医を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脊髄腫瘍をはじめとする神経系疾患の診断・治療に経験豊富な医師が、一人ひとりに寄り添った医療を提供しています。メール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 文献1 MSDマニュアル家庭版「脊髄腫瘍」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-%E8%84%B3-%E8%84%8A%E9%AB%84-%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB%E3%81%AE%E8%85%AB%E7%98%8D/%E8%84%8A%E9%AB%84%E8%85%AB%E7%98%8D(最終アクセス:2025年5月13日) 文献2 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター「心理的因子と痛みの関係における中枢性感作の媒介効果」畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームぺージ https://www.kio.ac.jp/nrc/2019/04/11/kio_nrc_press_20190411/(最終アクセス:2025年5月13日)
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
「最近、足に力が入らない」「歩くときにふらつく」そんな症状が続き、病院で脊髄腫瘍と診断された方もいるかもしれません。 脊髄腫瘍で歩けなくなる可能性はあります。 この記事では、脊髄腫瘍によって歩けなくなる原因や、その後の治療・歩行機能回復の見通しについてわかりやすく解説します。 また、脊髄腫瘍に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 患者様ご自身の細胞を活用し、損傷した神経や組織の修復を促す治療であり、多くの場合は入院を必要とせず通院で実施可能なため、体への負担が少ないとされています。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 脊髄腫瘍のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 実際の症例については以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/t0J9vVVGGXU 【結論】脊髄腫瘍で歩けなくなる可能性はある 脊髄腫瘍は、脊髄や周辺の神経・血管を圧迫し、歩けなくなる可能性があります。 脊髄腫瘍によって歩けなくなる過程は次のとおりです。 背骨(脊柱)内の脊髄に腫瘍ができ、徐々に大きくなる 腫瘍が脊髄やその周囲の血管を圧迫し、神経の電気信号や血流が遮断される 筋肉に指令が届きにくくなり、脚の力が入らない・しびれるなどの初期症状が現れる 腫瘍の増大や出血、骨折を起こすと、急激に麻痺が進行する場合がある 首・胸・腰といった発生部位によって症状の出方は異なりますが、放置すればするほど症状は進行しやすく、回復が難しくなる傾向にあります。 歩きづらさやしびれ、ふらつきといった症状が続く場合は、医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。 脊髄腫瘍の歩行回復の可能性 脊髄腫瘍によって歩けなくなっても、手術後に歩行機能が回復する可能性はあります。 国立病院機構整形外科の研究によると、脊髄内の腫瘍を手術で切除した患者の84.6%がサポートなしで歩けるようになったという報告もありました。(文献1) 腫瘍が神経を圧迫すると歩けなくなることがありますが、原因を取り除けば再び歩ける可能性があります。 しかし、以下のようなケースでは、歩行の回復が難しい傾向にあるため注意が必要です。 腫瘍の発見が遅れ、長期間ベッド上での生活を送っていた方 高齢で神経や筋力の回復力が低下している方 脊髄腫瘍で歩けなくなる症状は、早期の発見と治療で回復の可能性が高まります。歩行に不安がある場合は、ひとりで抱え込まず脊椎や脳神経の専門医に相談しましょう。 脊髄腫瘍の症状|しびれや歩行障害 腫瘍ができた部位によって異なりますが、脊髄腫瘍の主な症状はしびれや筋力の低下、歩行のふらつきです。 一般的には手足の違和感や痛み、しびれといった軽度の神経症状から始まり、徐々に感覚障害や筋力の低下が進行します。放置すると歩くのが難しくなり、転倒を繰り返すようになる場合もあります。 脊髄腫瘍の症状は加齢による神経の衰えや腰痛と誤解されやすいため、注意が必要です。 腫瘍の発生部位ごとの主な症状と歩行への影響は、以下の通りです。 発生部位 主な症状 歩行への影響 頸髄(首) 手足や体幹の感覚障害や麻痺 首の痛み 足の感覚低下 しびれ ふらつき 転倒 胸髄(胸) 胸部以下の感覚障害 両足の筋力低下 背部痛 歩行時のふらつき バランス喪失 腰髄(腰) 足の痛みやしびれ 腰痛 下肢の筋力低下 歩行時に足が痛む しびれ 足がもつれる また、以下の症状がみられる場合は、脳神経外科や整形外科を受診しましょう。 首や腰、背中の痛みが長く続く 温度の感覚が鈍くなる 歩きにくい 症状に気づいた段階で専門医に相談できれば、進行を抑える可能性が高まります。 しかし「手術は成功したのに、しびれが取れない」「リハビリを続けているが、思うように改善しない」といった、治療後の後遺症や神経障害に対して、幹細胞を用いた再生医療が新たな治療の選択肢として注目されています。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脊髄腫瘍の手術後も神経症状が残っている方 手足のしびれや感覚障害が改善しない方 歩行のふらつきや転倒の不安がある方 リハビリを続けているが効果を感じない方 手術は避けたいが症状を改善したい方再生医療 脊髄腫瘍治療後の後遺症や神経障害でお困りの方、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 脊髄腫瘍の治療法 脊髄腫瘍によって歩けない場合の一般的な治療法は、以下の通りです。 外科的手術 放射線療法 投薬治療 再生医療 腫瘍を取り除き神経の圧迫を緩和できれば、症状の改善が期待できます。 手術を伴わない再生医療という新しい治療法も選択肢の一つとして紹介します。 外科的手術 脊髄腫瘍の外科的手術は、神経を圧迫している腫瘍を直接取り除く治療法です。良性腫瘍や、症状が進行しているケースでは第一選択となります。 以下は、手術のおおまかな手順の一例です。 全身麻酔をかける 顕微鏡で神経や腫瘍を確認しながら腫瘍を少しずつ摘出 背骨が不安定な場合は金属や人工骨で固定 術後は経過観察とリハビリを実施 良性腫瘍の場合、腫瘍が完全に摘出できれば再発の可能性はほとんどありません。一方で、腫瘍がすべて取り切れなかったり、再発のリスクがあったりする場合は、放射線などの治療を追加で行うこともあります。 入院期間は一般的に2〜3週間程度が目安で、術後にはリハビリが必要です。 脊髄腫瘍の外科的手術は、腫瘍を取り除くことで神経の働きが回復し、しびれや歩けない状態の改善が期待できます。しかし、脊髄を損傷するリスクもあるため、治療方針は医師と十分に相談しましょう。 放射線療法 脊髄腫瘍の放射線療法は、手術で取りきれなかった腫瘍や、切除が難しい部位に対して体の外から放射線を照射して、腫瘍細胞の弱体化や縮小を目指します。 脊髄腫瘍の放射線療法は、以下の副作用がみられることがあります。 疲労感 食欲不振 白血球や赤血球の減少など そのため、治療中は体調管理や定期的な検査が欠かせません。腫瘍の種類や部位によって効果に差があるため、医師と相談して治療計画を立てましょう。 投薬治療 脊髄腫瘍に対する投薬治療は、痛みや麻痺、排尿障害などの症状を和らげるための対症療法や、手術・放射線と組み合わせる補助療法として行われます。 腫瘍の種類や症状の程度に応じて、主に以下のような薬が使われます。 薬の名前 使用する場面 コルチコステロイド 多くは手術を前提とした処置 腫瘍が脊髄を圧迫している場合に腫れを抑える目的で使用 痛み止め 手術ができないケース 術後に腰や背中の痛み・しびれが残る場合 排尿しにくさを改善する薬 排尿コントロールが難しいとき 抗がん剤(化学療法) がん細胞の増殖を抑制する目的 主に悪性腫瘍や転移において使用 投薬治療には副作用のリスクも伴うため、定期的な検査が必要です。医師と相談しながら、症状や体調に合った薬を選びましょう。 再生医療 再生医療は、脊髄腫瘍による歩きにくさに対する治療の選択肢の一つです。 自身の細胞や血液を用いて、損傷した神経や組織にアプローチします。多くの場合、手術を伴わず通院で治療が可能なため、体への負担が少ないのも特徴です。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?feature=shared 以下のお悩みを抱えている方は、再生医療による治療も選択肢としてご検討ください。 脊髄腫瘍で歩けないことに不安を抱えている 手術以外の治療法を探している 長期の入院が難しい リハビリの効果が十分に感じられない 手術後のしびれや痛みに悩んでいる 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療に対応しています。治療に関するご不安やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。 脊髄腫瘍のリハビリ 脊髄腫瘍の治療では、手術や放射線治療と並行して行うリハビリが重要です。 主なリハビリの流れは、以下の通りです。 時期の目安 主なリハビリ内容 術後すぐ~2週間程度 関節の曲げ伸ばしをして可動域を保つ 呼吸に使う筋肉を鍛え、持久力の向上を図る 症状が安定し、訓練が可能になったら 寝返りや起き上がり、食事、排泄の訓練 松葉杖や歩行器の使用 体幹や太ももなどのトレーニング 関節の位置感覚を取り戻す訓練 手術後半年以降 残った機能の維持と強化を継続する 神経の損傷や圧迫によって低下した運動機能・感覚機能を取り戻すために、手術後できるだけ早い段階からリハビリが開始されます。 歩けるようになるためには、単に筋力を鍛えるだけでなく足やつま先が今どこにあるかを感じ取る感覚を取り戻すことも重要です。胸部の背骨にできた脊椎腫瘍の手術を受けた方では、この感覚が足の親指で低下していると、術後に歩けるようになるまで時間がかかるという報告があります。(文献2) 退院後も、外来・訪問・通所リハビリなどを活用して、残存機能の維持と強化を継続しましょう。医師やリハビリスタッフと相談しながら、無理のないプランを立てることが大切です。 脊髄腫瘍で歩けないことにお悩みの方は当院へご相談ください 歩こうとしたときのふらつきや脚に力が入らない感覚は、脊髄腫瘍が神経を圧迫している可能性があります。 脊髄腫瘍が進行すると、歩けない・立てないなど日常生活に影響を及ぼす状態につながるため、早期の受診が重要です。 脊髄腫瘍は、手術や放射線治療によって歩けるようになる場合があります。 また、再生医療も、脊髄腫瘍に対する治療法のひとつです。 再生医療は、患者様自身から採取・培養した幹細胞を利用する治療法です。手術や入院が不要なため、手術のリスクを避けたい方、長期入院が難しい方は、一度ご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様一人ひとりの状態に応じた治療計画を提案し、十分な説明とご相談の上で治療を進めております。 再生医療による治療に興味がある方は、お気軽にご相談ください。 脊髄腫瘍で歩けない方からよくある質問 脊髄腫瘍とはどんな病気ですか? 脊髄腫瘍とは、背骨の中を通る脊髄と呼ばれる神経の周囲に腫瘍ができ、神経を圧迫する病気です。発生部位や性質によって良性・悪性に分かれ、治療法も異なります。 脊髄腫瘍の発生場所や特徴は、以下の通りです。 場所 主な発生源 特徴 治療の考え方 硬膜外(骨と脊髄の外側) ほかの臓器からの転移が最多 骨を壊しながら大きくなり、神経を強く圧迫 手術+放射線・薬でコントロール 硬膜内髄外(脊髄の内側、脊髄の外) 神経の膜や鞘からできる良性腫瘍 大きくなるまで無症状のこともある 小さければ経過観察、大きければ手術 硬膜内髄内(脊髄そのもの) 脊髄内部の細胞 悪性が多く進行が速い 早期に手術・放射線を検討 腫瘍が大きくなると、背中や手足の痛み・しびれ、力の入りにくさが出現し、放置すると歩けなくなったり排尿が難しくなったりすることもあります。 症状が軽いうちにMRIなどの精密検査を受け、専門医と治療方針を相談しましょう。 脊髄腫瘍の診断・検査方法は? 脊髄腫瘍の診断では、痛みやしびれ、ふらつき、筋力低下、排尿・排便障害といった神経症状を確認します。 さらに、腫瘍の有無や位置を特定するために、必要に応じて以下のような検査を行います。 検査名 検査内容 実施の目的 MRI トンネル状の装置を使用し身体の断面を画像化する 神経や腫瘍の形・位置・血流を詳細に確認 CT レントゲンと同じX線を照射し、断面の画像を作成する 骨の破壊や変形の有無を確認 電気生理検査 筋肉に細い針を刺して筋肉の収縮を調べる ヘルニアとの鑑別・神経伝導の状態を確認 生検 細い針を刺して腫瘍の組織を採り顕微鏡で調べる 良性・悪性の確認や種類を確定 なお、脊髄腫瘍の確定診断には画像検査が不可欠です。 脊髄腫瘍の原因は? 脊髄腫瘍のはっきりとした原因は、まだ明らかになっていません。 原因として考えられている要因には、以下のようなものがあります。 体内の細胞がなんらかの理由で異常増殖する 肺がんや乳がんなど他の臓器からの転移 また、ストレスが免疫力や自律神経に影響を与えることで、症状の悪化や体調不良を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 脊髄腫瘍の予後は? 脊髄腫瘍の予後は、腫瘍の種類によって大きく異なります。 腫瘍の種類と生存率について、253人を対象とした研究では以下のような結果が報告されています。(文献3) 腫瘍の種類 上衣腫瘍 血管芽腫 星状細胞腫瘍 特徴 脊髄の上衣細胞から発生する 比較的手術で取りやすい 脊髄内の血管が増殖してできる良性の腫瘍 全摘出しやすい 星状細胞(神経膠細胞)由来 悪性の場合もあり、手術で全摘出が難しい 5年後の生存率 86.7% 88.7% 67.8% 10年後の生存率 86.7% 88.7% 58.1% 15年後の生存率 76.3% 53.2% 記載なし 上衣腫瘍と血管芽腫は比較的全摘出が可能で、長期生存率も高い傾向にあります。一方、星状細胞腫瘍は全摘出が難しいことが多く、5年・10年後の生存率も低めです。 腫瘍の種類を正確に見極めることが、治療方針や予後の予測において重要です。 参考文献 (文献1) 硬膜内髄外脊髄腫瘍患者における腫瘍切除後も術前の歩行障害の程度は残るか? | 国際脊髄学会誌 (文献2) 足の親指の関節位置感覚の障害を伴う脊椎腫瘍患者では、初期段階での歩行機能の術後回復が遅れる|J-STAGE (文献3) 髄内脊髄腫瘍の外科的切除後の生存と機能的転帰:22年間にわたる253人の患者のシリーズ | PubMed
2025.05.30 -
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「尖足と下垂足の違いがわからない」 「尖足と下垂足の症状を見分けるポイントを知りたい」 尖足と下垂足の症状は似ていますが、原因や対処法が異なります。足の変形や歩きにくさが共通しているため、同じ症状と誤解されがちです。しかし、症状を適切に治療するには、両者の違いを知ることが大切です。 本記事では、尖足と下垂足の違いについてわかりやすく解説します。 尖足と下垂足の共通点 尖足と下垂足の違いを見分けるポイント 尖足と下垂足の治療法 違いを知ることが、正しい治療への第一歩になります。 尖足と下垂足の違い 比較項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 症状の現れ方 徐々に足首が下を向いた状態で固まり、可動域が狭くなる 急に足首が上がらなくなり、歩行時に足先が引っかかる 症状の性質 足首が過剰に下を向き、つま先立ちのような姿勢になる、関節の拘縮や変形を伴いやすい 足首の背屈ができず、足先が垂れ下がる、鶏歩や感覚障害を伴う 原因 脳卒中、脳性麻痺、脊髄損傷、筋ジストロフィー、アキレス腱の短縮、長期臥床など 腓骨神経麻痺、坐骨神経障害、腰椎ヘルニア、脳卒中、外傷、手術による神経損傷など 尖足と下垂足の症状はどちらも足に異常が現れ、歩行が困難になる疾患ですが、原因や症状、見た目に違いがあります。 見た目の足の形や、歩き方の特徴も異なります。尖足と下垂足の原因を解説します。 尖足の症状と原因 分類 内容 見た目の特徴 つま先で歩くためバランスが悪く、段差につまずきやすく、長距離歩行が困難になる 歩行への影響 足のアーチが崩れて扁平足や凹足になり、ハンマートゥや外反母趾を併発する場合がある 起こりうるトラブル 足首や足裏に違和感が出やすく、タコやマメができ、靴が合わなくなる 可動域の制限 足首を上に反らす動き(背屈)が制限され、関節の柔軟性が低下する 原因 脳卒中や脳性麻痺、脊髄損傷、筋ジストロフィー、糖尿病性神経障害、アキレス腱の短縮や長期臥床など (文献1) 尖足は、足首が底屈(足の裏側へ曲がる)方向に硬くなり、つま先が下を向いたまま伸びてしまう状態を指します。踵が接地しにくいのが特徴です。 主な原因としては、脳卒中や脳性麻痺、脊髄損傷など、脳や脊髄といった中枢神経系の障害によって起こる疾患が挙げられます。 下垂足は進行性の神経疾患の一部として現れる場合もあるので、症状が現れた段階での早期対応が大切です。 下垂足の症状と原因 分類 内容 足首の動きの制限 足首を上に反らす自力動作(背屈)ができず、足先が垂れ下がる状態になる 歩行への影響 足先が地面に引っかかりやすく、階段や段差でつまずきやすくなり、足を高く上げて歩く鶏歩になることがある 感覚障害 足の甲や外側にしびれや感覚の鈍さが現れることがあり、神経障害の影響で違和感を伴うこともある 筋力の低下 足首を持ち上げる筋肉(前脛骨筋など)の力が弱まり、足の動きが不安定になる 症状の現れ方 軽度ではつま先が少し引っかかる程度にとどまるが、重度では足首がほとんど動かせず、感覚障害や違和感が伴う場合がある 原因 脳卒中、腰椎ヘルニア、坐骨神経障害、末梢神経障害(腓骨神経麻痺など)、外傷や手術後の神経損傷など (文献2) 下垂足は、足首や足の指を持ち上げるための筋肉(前脛骨筋など)の力が弱くなり、足先がだらんと下に垂れ下がる状態です。この状態はドロップフットとも呼ばれます。 歩行時には、垂れたつま先が地面に引っかからないように、膝を通常より高く上げて歩く鶏歩(けいほ)と呼ばれる歩き方になるのが特徴です。 主な原因は、腰椎の問題(椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など)による神経の圧迫や、腓骨(ひこつ)神経麻痺といった末梢神経障害などが挙げられます。また、脳卒中など重大な病気の可能性もあるため、に医療機関の受診が重要です。 以下の記事では、下垂足の原因について詳しく解説しています。 尖足と下垂足の共通点 共通項目 内容 歩行困難の症状がある 足首の動きに制限があるため、正常な歩行が困難になり、転倒やつまずきのリスクが高くなる 神経や筋肉に異常が起こる 神経や筋肉に異常が起こる いずれも神経や筋肉の障害によって、運動機能のバランスが崩れる 併存リスクがある 神経疾患や中枢性疾患などにより、尖足と下垂足の両方が同時または連続して発症するケースがある 尖足と下垂足は異なる状態ですが、いくつかの共通点も見られます。いずれも筋肉や神経の障害によって足の動きが制限され、日常生活に大きな影響を及ぼします。 尖足と下垂足の共通点は以下の3つです。 歩行困難の症状がある 神経や筋肉に異常が起こる 併存リスクがある それぞれの共通点についてくわしく解説します。 歩行困難の症状がある 項目 内容 共通点 尖足と下垂足はいずれも足の変形や筋肉・神経の異常により歩行が不安定になり、転倒のリスクが高まる 尖足による歩行障害 足先が常に下を向いてかかとが接地できず、つま先立ちのような歩き方になり、バランスが悪く転倒や足の違和感が起こりやすくなる 下垂足による歩行障害 足首が上がらず足先を引きずるように歩くため、段差でつまずきやすくなり、足の甲や外側にしびれや違和感を伴うことがある 尖足・下垂足ともに、歩行時のバランスが崩れやすく、日常動作に支障が出る場合があります。尖足は、かかとが浮いてつま先で歩くようになる状態です。一方で下垂足は、足先が上がらずにつまずきやすくなります。 どちらの症状も、装具やリハビリを適切に行わないまま放置すると、二次的な関節障害や転倒によるけがのリスクが高まります。 神経や筋肉に異常が起こる 項目 内容 共通点 尖足と下垂足はいずれも、神経や筋肉の異常により足首の動きが制限される共通点がある 尖足の場合 足首を下に曲げる筋肉が過剰に緊張・拘縮し、主に脳卒中、脳性麻痺、脊髄損傷、筋ジストロフィーなどが原因になる 下垂足の場合 足首を上に反らす筋肉が麻痺し、腓骨神経麻痺、腰椎ヘルニア、糖尿病性神経障害などが神経伝達の障害を引き起こす 尖足も下垂足も、足関節周囲の神経や筋肉に異常が生じることで発症します。尖足は足首が下向きに固まり、下垂足は足首を上げられなくなる状態です。原因は異なりますが、どちらも筋肉や神経に異常が起こり、足を動かす機能が低下します。 中枢神経(脳や脊髄)から末梢神経、筋肉まで、障害の部位によって発症の仕組みは異なりますが、運動機能がうまく働かなくなる点は共通しています。 併存リスクがある 項目 内容 併存の可能性 尖足と下垂足は異なる病態ですが、同じ原因から同時に発症するリスクがある 併存の要因 脳卒中や脊髄損傷、糖尿病性神経障害、拘縮、腓骨神経麻痺などにより、筋緊張や麻痺、末梢神経の異常が生じることで、尖足と下垂足が同時に現れることがある 併存による影響 両症状が重なると歩行障害が悪化し、転倒リスクの増加や関節の変形、慢性痛などの二次障害を引き起こす可能性がある 対策 原因疾患の管理を軸に、リハビリテーションや装具療法を併用し、機能の維持と症状の進行予防を目指す 尖足と下垂足は、原因疾患によっては同時に起こることがあります。 たとえば、広い範囲に及ぶ脳血管障害や複数の神経が障害される病気では、両方の症状が併発する可能性があります。 併発した場合、診断や治療は複雑になりますが、症状ごとに適切な対応が必要です。 尖足と下垂足の違いを見分けるポイント 尖足と下垂足は見た目や歩行の様子に違いがあります。注目すべきは、足の向きや足首の動き方、歩行時のクセ、障害を受けている筋肉や神経の部位などです。 足の向き 歩行時の状態 原因となる神経や筋肉 足関節の可動域 尖足と下垂足を見分けるポイントを解説します。 足の向き 比較項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 足の向き 足先が常に下を向く(底屈したままの状態) 足先が垂れ下がる(背屈できずダランと下がる) 特徴的な姿勢 つま先立ちのような姿勢で、かかとが浮いて接地しない 足を引きずるように歩き、つま先が地面に引っかかりやすい 動かしづらい方向 上に反らす(背屈)ができない 上に持ち上げる(背屈)ができない 尖足では、足首が下に曲がったまま固定されており、かかとが浮いてつま先だけが地面に接している状態になります。つま先立ちのような姿勢が続くのが特徴です。 一方、下垂足では足先がだらんと下がってしまい、歩こうとするとつま先が地面に引っかかりやすくなり、つまずきやすくなります。 歩行時の状態 比較項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 足関節の動き 足が常に下を向く(底屈したまま)ため、背屈ができない 足が上に持ち上がらない(背屈障害)ため、足先が垂れ下がる 歩行時の姿勢 かかとが地面につかず、つま先立ちのような歩き方になる 足先を引きずらないよう、膝を高く上げて歩く(鶏歩)ようになる 歩行の特徴 歩幅が狭くなり、バランスを崩しやすい 足先が地面に引っかかりやすく、つまずきや転倒のリスクが高まる 尖足では、足首が下に向いたまま固まるため、かかとが地面につきにくく、つま先で歩くような動きが特徴です。場合によっては、足裏全体を一度に地面につけるような不自然な歩行が見られます。 一方、下垂足では、足のつま先が垂れ下がって引っかかりやすいため、膝を高く持ち上げて歩く鶏歩(けいほ)の症状が現れます。また、足を引きずるように歩くため、足音が大きくなるのも下垂足の特徴です。 原因となる神経や筋肉 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 関与する動き 足を下に向ける(底屈) 足を上に持ち上げる(背屈) 主な原因筋・神経 腓腹筋、ヒラメ筋 腓骨神経、前脛骨筋、長趾伸筋 筋肉・神経の状態 筋肉が過緊張または拘縮し、足関節が底屈位に固定される 腓骨神経の麻痺により背屈筋が働かず、足先を持ち上げられなくなる 固定される足の向き 足先が下を向いた状態に固定 足先が垂れ下がった状態になり、引きずるような歩行になる (文献3) 尖足と下垂足は、原因となる神経や筋肉の種類にも違いがあります。尖足は、脳や脊髄といった中枢神経の障害によって、ふくらはぎの筋肉が過剰に緊張する痙縮(けいしゅく)が起こり、足首が下を向きやすくなります。 下垂足は、腓骨神経などの末梢神経の麻痺や、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)など足首を持ち上げる筋肉の筋力低下が主な原因です。障害される神経や筋肉の部位が異なる点が、見分ける際の重要なポイントです。 足関節の可動域 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 足関節の状態 足関節が底屈位に固定され、背屈(足を上に上げる動き)が他動的にも制限される 足関節の背屈が自動的に困難になりますが、他動的には背屈が可能な場合がある 可動域の特徴 関節自体が拘縮しており、柔軟性が低下している(構造的な制限) 筋力低下や麻痺で動かせなくても、関節構造には異常がないことが多い(機能的な制限) 主な原因となる障害 下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋など)の過緊張や拘縮 前脛骨筋など背屈筋を支配する腓骨神経の麻痺や筋力低下 見分けるポイント 他動的に背屈も難しい。歩行時はつま先立ちのようになり、かかとが接地しない 他動運動では背屈可能。歩行時は足先が垂れ、膝を高く上げて歩く鶏歩が見られる 足首の可動域にも違いが見られます。尖足では、筋肉の痙縮により足首が硬くなるのが特徴です。 一方、下垂足では、筋力の麻痺によって自分では足を持ち上げにくくなります。足関節の動きに注目すると尖足か下垂足の症状を判断する手がかりになるでしょう。 尖足と下垂足の治療法 尖足・下垂足の治療では、原因に応じて適切な治療法が選択されます。症状の状況に合わせて、治療が行われます。 尖足と下垂足の治療法は以下の5つです。 薬物療法 装具療法 理学療法 手術療法 再生医療 尖足・下垂足の治療法についてくわしく解説します。 また、以下の記事では、下垂足のリハビリ方法について詳しく解説しているのであわせてご覧ください。 薬物療法 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 治療の目的 筋肉の過緊張や痙縮を緩和し、関節の拘縮を予防・改善するのが目的 神経の炎症や障害の進行を抑えつつ、神経機能の回復を促す 使われる薬剤 筋弛緩薬(例:チザニジン、バクロフェン)抗痙縮薬(例:ダントロレン)ボツリヌス療法(注射) ビタミンB12製剤(末梢神経修復)神経障害性疼痛治療薬(プレガバリンなど)ステロイド(炎症性疾患時) 対象となる異常 筋肉の過緊張・痙縮 神経の麻痺・炎症・障害 補助的な目的 薬で筋肉の緊張を抑えることで、リハビリや装具療法を円滑に行いやすくなる 違和感やしびれを軽減し、運動療法への移行をサポートする 尖足には、筋肉の緊張を和らげる治療が行われ、内服薬やボツリヌス注射で痙縮を抑え、歩行の改善が期待できます。下垂足では、原因が神経炎などの場合に薬物療法が選ばれることがあります。 薬物療法は症状を根本的に治療するのは難しいため、他の治療法と併用するのが一般的です。また、薬物療法による副作用が現れた際は、早期医師への相談が大切です。 装具療法 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 装具療法の目的 足関節の底屈を制御・矯正し、過度な緊張や変形を防ぐ 足先の垂れ下がりを防止し、歩行時のつまずきや転倒リスクを軽減 主に使用する装具 足底板や短下肢装具(AFO)など 短下肢装具(AFO) 装具による効果 関節の可動域を保ち、拘縮の進行を防止。歩行時のバランス改善と違和感の軽減が期待できる 足先を上げる動作を補い、膝を高く上げずに自然な歩行が可能。日常生活動作(ADL)の改善に役立つ 装具療法は、足関節の動きを適切に抑え、筋肉の緊張や変形を防ぐ目的で行われます。尖足には、足首の底屈を制限し、かかとが地面につくよう補助するタイプの装具を使用します。 下垂足の場合は、足先の持ち上げを支える短下肢装具(AFO)の使用が一般的です。使用にあたっては、自己判断はせず、医師の指導に従い行います。 装具に違和感がある場合は無理に使わず、早めに医師へ相談してください。また、装具を長く使うためには、定期的な点検や調整も大切です。理学療法 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) ストレッチ アキレス腱や足底筋を中心に伸ばし、関節の柔軟性を高めて拘縮を予防する アキレス腱の柔軟性を保つことで、足の過剰な底屈を防ぎ、歩行の安定性を高める 関節運動 背屈・底屈運動を繰り返し行い、可動域を広げて足首の動きを改善する 必要に応じて足関節の他動運動を行い、柔軟性を維持しながら底屈の悪化を防ぐ 筋力トレーニング 足関節周囲の筋力を強化し、つま先立ち歩行による不安定さを軽減する 前脛骨筋など背屈に関与する筋を鍛え、足先を持ち上げる力を回復させる 歩行訓練 装具と併用しながら、正しい足の接地と重心移動を意識した歩行を反復する 装具を使用しながら、足先を引きずらない自然な歩行パターンを習得する 理学療法の効果 拘縮予防と筋力維持により、歩行能力の改善と日常生活への自立支援が期待される 筋力回復と歩行安定により、転倒リスクの軽減や生活の質の向上が見込まれる リハビリが中心となる治療法であり、ストレッチや筋力トレーニングを継続的に行うことで、症状の改善を目指します。 尖足に対しては、拘縮予防や筋緊張の緩和を目的としたストレッチが重視され、下垂足では、前脛骨筋などの機能回復を目指す筋力トレーニングや歩行練習が行われます。 リハビリを実施する際は、医師の指導のもと継続的に取り組むことが大切です。 手術療法 項目 尖足に対する手術療法 下垂足に対する手術療法 手術療法のメリット 保存療法で改善しない筋や腱の拘縮・変形を根本から矯正できる可能性がある 損傷した神経や機能を代替する筋腱を用い、背屈機能を再建する つま先立ち歩行や足の違和感を軽減し、歩行の安定性を改善する 足先を引きずる症状や転倒リスクを軽減し、歩行能力の改善が期待される 手術療法のデメリット 感染・出血・神経損傷などの手術リスクが伴う 同様に手術侵襲による合併症のリスクがある 手術後の関節の可動域制限や装具の継続使用が必要になることがある 手術後もリハビリや装具療法が不可欠で、回復に時間がかかることがある 尖足や下垂足では、保存療法で効果が不十分な場合や症状が進行している場合に手術療法が検討されます。尖足に対しては、アキレス腱や後脛骨筋腱の短縮を改善するための腱延長術が行われます。 手術療法では、変形に対して根本的な改善が期待できる一方、術後の感染や出血、神経損傷のリスクに注意が必要です。手術はリスクを考慮し、医師と相談した上で検討するのが大切です。 再生医療 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 原因 筋肉や腱の短縮・拘縮、神経障害 総腓骨神経の麻痺や損傷、筋力低下 再生医療の目的 筋肉や腱の柔軟性を回復させる、筋肉組織の再生 麻痺した神経や筋肉の再生・修復、足部の背屈機能の回復 期待される効果 筋・腱の柔軟性向上による足関節の可動域改善 足首や足指の背屈機能の回復による歩行の安定化 再生医療では、自分の幹細胞を使って、傷んだ神経の回復や筋肉の萎縮の改善を目指します。再生医療は手術を必要とせず、体への負担が少ない治療法です。 当院「リペアセルクリニック」では、尖足や下垂足によって損傷した神経の再生を促します。 尖足・下垂足の症状にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 尖足と下垂足の違いを理解し適切な治療を受けよう 尖足と下垂足の症状には似ている部分が多い一方、明確な違いがあります。原因や症状によって適切な治療法が異なるため、足に少しでも違和感があれば、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、尖足や下垂足の原因を正確に見極めた上で、幹細胞を使った再生医療による治療も行っています。 尖足または下垂足の症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 参考資料 (文献1) Joan Pellegrino. (2024). Talipes Equinovarus (Clubfoot) and Other Congenital Foot Anomalies. MSD ManualProfessional Version https://www.msdmanuals.com/professional/pediatrics/congenital-musculoskeletal-anomalies/talipes-equinovarus-clubfoot-and-other-congenital-foot-anomalies (Accessed: 2025-04-14) (文献2) 深田 亮ほか.「下垂足および足底感覚障害を有する脊髄円錐部髄内腫瘍に対し,術後早期からトレッドミル歩行練習を実施した1例*」『理学療法学 第49巻第5号』2022年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/49/5/49_12264/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年4月14日) (文献3) 日本整形外科学会「症状・病気をしらべる「腓骨神経麻痺」」公益社団法人 日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/peroneal_nerve_palsy.html(最終アクセス:2025年4月14日)
2025.04.30 -
- その他、整形外科疾患
骨粗しょう症は、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。骨折は要介護状態となる原因の1つとされているため、引き起こさない予防が重要になります。 しかし、なかには骨粗しょう症がなぜ起こるのか原因がわからないと感じる方もいるのではないでしょうか。骨粗しょう症を防ぐ対策には、骨がもろくなる原因を理解しておくことが大切です。 本記事では、骨粗しょう症の主な原因を解説します。骨量を上げる予防策もまとめているので、骨粗しょう症にならないよう骨を強くしたい方は参考にしてください。 骨粗しょう症の原因は骨量の減少 骨粗しょう症の原因には、骨に含まれるミネラルの総量の減少が考えられます。骨量は年齢によって減少していくだけでなく骨の強度が低下していくため、次第に骨がもろくなり、骨粗しょう症を発症します。 また、骨粗しょう症の種類は以下の2つです。 原発性(一次性)骨粗しょう症 自然に発生 続発性(二次性)骨粗しょう症 ほかの病気や薬などが原因で発生 一般的に、骨粗しょう症は自然に発生する原発性が原因となるケースがほとんどです。続発性はきわめて稀な点についても、あわせて覚えておきましょう。 なお、リペアセルクリニックではメール相談やオンラインカウンセリングを受け付けております。骨粗しょう症に関する疑問をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【骨粗しょう症】骨がもろくなる主な原因 骨粗しょう症の原因は骨量の減少ですが、骨がもろくなる要因は複数あります。主な原因は、以下の6つです。 加齢 閉経による女性ホルモンの低下 無理なダイエットや運動不足 特定の疾患 ステロイド薬 ビタミンD不足 骨粗しょう症予防として、原因について理解を深めましょう。 加齢 骨粗しょう症は、加齢に伴い増加傾向にあります。骨量は幼少期から増加し、20歳頃にはピークに達します。 40歳頃までは横ばい状態となりますが、50歳近くになると次第に減少していくのが一般的な流れです。そのため、年齢を重ねていくごとに骨粗しょう症のリスクが高まります。 加齢に伴い、食事量や運動量が減る点も原因といえます。筋力が低下していくため、骨は徐々にスカスカな状態になり、もろくなってしまうのです。 閉経による女性ホルモンの低下 骨粗しょう症が女性に多いといわれる理由は、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが減少するためです。エストロゲンには、骨を作る細胞と壊す細胞のバランスを調整する機能があります。 しかし、女性は閉経するとエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンが減少すると、骨を壊す細胞が活性化し、結果として骨量の減少により骨粗しょう症を引き起こしてしまうのです。 実際に、60代の日本人女性は22.8%、80代の56.2%が骨粗しょう症といわれています。(文献1)骨折すると、要介護のリスクが高まるため注意が必要です。 無理なダイエットや運動不足 ダイエットや運動不足などの生活習慣によっては骨量が減少し、骨粗しょう症を引き起こしやすくなります。骨を作る細胞は負荷がかかるほど活性化するため、運動の習慣がなければ次第にもろくなります。 また、過度なダイエットは骨を作るのに欠かせない栄養素が不足しがちです。骨を作る栄養素の1つとなるカルシウムが不足すると、骨が弱くなってしまいます。 とくに20代は骨量がピークを迎える時期となるため、若いうちに骨を作っておくことが大切です。若いうちから無理なダイエットをしていると骨がボロボロになり、年齢を重ねるにつれて骨粗しょう症を引き起こすリスクが高くなります。 特定の疾患 骨粗しょう症は、特定の疾患により引き起こされる可能性があります。原因となる主な疾患は、以下のとおりです。 関節リウマチ 副甲状腺機能亢進症 糖尿病 動脈硬化 慢性腎臓病 慢性閉塞性肺疾患 特定の疾患を発症すると、骨代謝や骨形成に必要な細胞などが異常をきたして骨がもろくなる場合があります。また、骨質を劣化させる物質が増加し、骨が弱くなるケースも珍しくありません。 骨粗しょう症の原因を理解するためには、骨密度や骨の質が低下する疾患についても、あわせて覚えておきましょう。 ステロイド薬 骨粗しょう症には、ステロイド薬が原因となるステロイド性骨粗しょう症があります。ステロイド性骨粗しょう症とは、ステロイド薬の服用により引き起こされる骨粗しょう症です。 ステロイド薬は炎症を抑制する一方で、骨を作る細胞の働きを弱める作用があります。また、骨を吸収する細胞の働きを強めて、骨を弱くするのもステロイド薬の作用です。 使用するステロイド薬の量が多いほど骨はもろくなってしまうほか、3カ月以上継続して使う場合は骨強度の低下を引き起こします。ステロイド薬の長期的な使用は、日常生活における些細な動作でも骨折してしまうほど骨を弱める可能性があります。 ビタミンD不足 ビタミンDが極端に不足した場合、骨がもろくなってしまい骨粗しょう症を引き起こします。ビタミンDにはカルシウムやリンなどの吸収をサポートする役割があり、欠乏すると骨が弱くなってしまいます。 また、骨が弱くなるだけでなく、下肢の筋力が衰えて転倒しやすくなるケースも少なくありません。ビタミンDは骨粗しょう症の予防に欠かせない栄養素で、加齢に伴い必要量も増加します。骨を守るためには、ビタミンD不足を防ぐことが重要です。 骨粗しょう症の予防法 骨粗しょう症を防ぐためには、骨を強くする必要があります。主な予防法は、以下の5つです。 骨粗しょう症予防に適した栄養をとる 骨密度を上げる運動を取り入れる 日光を浴びる 禁煙する 骨密度検査を定期的に受ける 骨を強くする方法について理解を深め、骨粗しょう症を予防しましょう。 骨粗しょう症予防に適した栄養をとる 骨粗しょう症予防には、骨を強くする栄養を積極的に摂取するのが効果的です。骨を強くする栄養の摂取は、骨量の維持や改善が期待できます。 骨粗しょう症予防に適した栄養素は、以下のとおりです。 栄養素 役割 主な食材 カルシウム 骨を作る 牛乳 乳製品 小魚 小松菜 チンゲン菜 ビタミンD カルシウムの吸収を促進 鮭 ウナギ サンマ シイタケ キクラゲ 卵 ビタミンK カルシウムが骨に沈着するのをサポート 納豆 ほうれん草 小松菜 ブロッコリー キャベツ 予防策には骨を強くする栄養素だけでなく、バランスの良い食生活が重要です。なお、スナック菓子やインスタント食品は、カルシウムの吸収を妨げる食塩の含有量が多いため、食べ過ぎないようにしましょう。骨粗しょう症予防策として、バランス良く栄養を取り入れるのがポイントです。 骨密度を上げる運動を取り入れる 運動は、骨密度の向上に効果的です。骨を強化するためには、負荷をかけて細胞を活性化させる必要があります。 骨密度を上げるのにおすすめの運動は、以下のとおりです。 片足立ち つま先立ち スクワット ウォーキング 水泳 バレーボール 負荷がかかる運動を取り入れると骨が強くなるため、継続的に行うのが重要です。なお、足や腰に痛みがあって運動ができない場合は、仰向けになった状態で腰を持ち上げる体操など無理のない範囲で進めていきます。 運動の習慣がない場合は、軽い体操やウォーキングからスタートして、骨密度の低下を予防しましょう。 日光を浴びる 日光浴はビタミンD活性化に良い効果をもたらすため、骨粗しょう症予防に適しています。ヒトの皮膚の下に位置する皮下脂肪には、コレステロールの一種が含まれています。 コレステロールは紫外線に当たると化学反応を起こし、ビタミンDが生成されるため、日光浴は骨作りに効果的です。夏場は、長時間の日光浴を避けて15分〜30分ほどを目安にします。 また、冬場は30分〜1時間ほどを目安に日光浴をするのがおすすめです。洗濯物を干したりウォーキングしたりと、日光が出ているタイミングで外に出てビタミンD生成のサポートを行いましょう。 禁煙する たばこは骨をもろくする要素を多く含んでいるため、禁煙を推奨します。喫煙による骨のリスクは、以下のとおりです。 骨密度の低下 骨形成に必要な細胞の減少 骨を吸収する細胞の増加 骨折のリスク上昇 ビタミンDやカルシウムの吸収を阻害 ホルモンバランスの乱れ 実際に、喫煙における股関節骨折のリスクは女性31%、男性40%の割合で増加すると推定されています。(文献2)たばこは要介護の原因となる骨折リスクに影響するため、骨がもろくなるのを防ぐ方法として禁煙を検討するのがおすすめです。 骨密度検査を定期的に受ける 骨粗しょう症の予防策には、定期的に骨密度検査を受ける方法があります。骨密度検査ではどのくらい骨量が減少しているか、X線を使用して測定します。 主な骨密度検査は、以下のとおりです。 主な骨密度検査 特徴 DXA(デキサ法) 背骨や太ももの付け根、前腕などの骨密度をX線で測定 MD法 手の骨密度を測定 QUS法(定量的超音波測定法) かかとの骨に超音波を当て、骨の強さを測定 レントゲン検査 背骨のX線写真を撮影し、骨折や変形を確認 MRI検査 X線検査では見分けがつきにくい、骨折を詳しく確認 血液・尿検査 骨代謝を測定 骨密度検査は、症状がなくても50歳以上になったら定期的に受けましょう。リペアセルクリニックではメール相談やオンラインカウンセリングを受け付けております。骨粗しょう症に関する疑問や悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 骨粗しょう症の原因から骨量を上げる予防法を実施しよう 骨粗しょう症の原因は、加齢や女性ホルモンの減少、無理なダイエットなどさまざまです。骨は50歳あたりから徐々に減少するため、骨粗しょう症のリスクが高まります。 骨粗しょう症になると骨折しやすくなるので、骨量を上げる予防法の実施が重要です。骨を強くする栄養素や運動を取り入れ、骨粗しょう症を予防しましょう。 なお、骨粗しょう症の骨折は手術を伴う可能性があります。万が一、手術を伴う骨折をした場合は身体の負担が少ない再生医療を検討するのも手段の1つです。発症する原因を理解して、骨粗しょう症を予防しましょう。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「女性向け 知ってほしい健診・検診」健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~2024年 https://kennet.mhlw.go.jp/tools/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/leaf-checkup-female.pdf(最終アクセス:2025年4月24日) (文献2) PubMed「A meta-analysis of the effects of cigarette smoking on bone mineral density」NationalLibraryMedicine2001年 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11683532/(最終アクセス:2025年4月24日)
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