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「水中世界を楽しみたいけれど、ダイビング後の体調不良が心配……」 「高地登山は魅力的だけど、体調が悪くなったらどのように対処したら良いの?」 ダイビングや登山などのレジャーに伴う体調変化について、不安や疑問を感じている方もいるでしょう。 減圧症は、潜水や高地登山などで急激な気圧変化が起きた際に発症する場合があり、放置すると深刻な後遺症を残すケースも珍しくありません。 本記事では、減圧症を発症する仕組みや症状について解説します。誰にでもできる予防法も紹介するので、正しい知識を身につけ、安心してアウトドアを楽しみましょう。 減圧症とは?発症する仕組み 減圧症とは、周囲の気圧が急激に低下する環境において、体内に吸収されていた窒素などの不活性ガスが気泡となり、体内組織や血管内で問題を引き起こす現象です。 急激な気圧変化が起こる状況としてよく挙げられるのは、スキューバダイビングや急激に18,000ft(約5,500m)以上まで上昇する高地登山などです。 私たちの体は呼吸を通じて空気中の窒素ガスを取り込みますが、気圧や水圧が高い場所では、通常よりも多くの窒素ガスが血液や体組織に溶け込みます。 急激に気圧や水圧が低い場所へ移動すると、体内に溶け込んでいた窒素を気体の状態に戻し、気泡を発生させる原因へとつながります。 気圧変化によって発生した気泡は、血管を塞いだり神経を圧迫したりするため、しびれやめまいなどの症状を引き起こすケースも少なくありません。 気圧変化の大きいスキューバダイビングや高地登山をする際には、適切な知識と慎重な行動が求められます。減圧症を予防できるよう、発症のメカニズムを理解しておきましょう。 減圧症の症状と分類をわかりやすく解説 軽度の減圧症で発症する症状は、以下のとおりです。 関節や筋肉の痛み 皮膚の湿疹やかゆみ 疲労感 吐き気や頭痛 注意力散漫 ただし、減圧症は症状の現れ方や重症度によってⅠ型とⅡ型に分類されます。重症度で影響を受ける部位や対処法が異なるため、症状の特徴を理解するのが重要です。 ここでは「Ⅰ型減圧症」と「Ⅱ型減圧症」について、具体的な症状を交えながら詳しくみていきましょう。 減圧症の症状については、こちらの記事も参考にしてください。 Ⅰ型減圧症 Ⅰ型減圧症は比較的軽度の症状が中心で、主に筋肉や関節、皮膚およびリンパ管に異常が現れます。典型的な症状は、以下のとおりです。 関節の痛みや筋肉痛 かゆみ 皮膚の斑点や発疹 腕のむくみ 胸部や腹部の腫れ 極度の疲労 Ⅰ型減圧症の場合、腕や脚の関節・背中・筋肉に痛みを感じます。痛みが出る部位をはっきりと特定できないケースも珍しくありません。 初期段階での痛みは軽く断続的ですが、徐々に強く感じるようになり、動かすと悪化します。また、リンパ系が影響を受けると、腕や脚の腫れが見られるケースがあるのも事実です。 Ⅰ型は一見すると疲労や打撲に似た軽い違和感から始まるため、見逃されやすい傾向がありますが、早期に発見すれば大きな後遺症は残りません。 症状が軽度であっても放置せず、潜水・登山歴や行動内容と照らし合わせて慎重に評価する必要があります。 Ⅱ型減圧症 Ⅱ型減圧症はⅠ型よりも重篤で、神経系や呼吸器系、循環器系に深刻な影響を及ぼす可能性がある危険な状態です。具体的な症状は以下のとおりです。 めまい ろれつが回らない 手足のしびれや麻痺 視覚障害 聴覚障害 記憶障害 胸の痛みや咳と 不整脈 ショック状態 上記をはじめとするII型減圧症の症状は、脊髄や脳、心臓、肺などの重要な器官の血管が気泡によって閉塞したり、組織が圧迫されたりすると引き起こされます。 また、減圧症の長期的な影響として、減圧性骨壊死という骨の障害を引き起こすケースもあります。骨障害は、肩関節や股関節に起こる症例が多いのも事実です。なかでも、大腿骨頭壊死が起こると歩行障害などの影響が出るだけでなく、重症な場合には手術が必要となるケースも珍しくありません。 Ⅱ型減圧症は、迅速かつ専門的な治療を必要とする病気です。後遺症が出るリスクもあるため、疑わしい場合は直ちに医療機関を受診しましょう。 減圧症の治し方 減圧症を発症した場合、体内で生じた気泡を縮小させ、組織への酸素供給を改善する治療が基本です。症状の重症度や種類に応じて治療法は異なりますが、主に専門的な医療機関での処置が必要です。 ここでは、減圧症の代表的な治療法である「高気圧酸素療法」と「再圧治療」について、特徴と効果を詳しく解説します。 減圧症の応急処置や治療方法については、こちらの記事も参考にしてください。 また、後遺症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 高気圧酸素療法 高気圧酸素療法は、患者様を「高気圧酸素治療装置(チャンパー)」と呼ばれる装置内に入れ、大気圧よりも高い気圧環境下で高濃度の酸素を吸入させる治療方法です。 高い気圧によって、体内の気泡は物理的に圧縮され小さくなります。また、高濃度の酸素を吸入すると血液中に溶け込む酸素量が増加し、気泡によって酸素不足に陥った組織への酸素供給を促進します。 高気圧酸素療法は、Ⅰ型減圧症からⅡ型減圧症まで、幅広い症状に対して有効性が認められており、多くの医療機関で採用されている治療方法です。治療は早期に実施するほど効果が高く、神経症状の改善や回復時間の短縮が期待できるでしょう。 再圧治療 再圧治療は、とくに重症なⅡ型減圧症や高気圧酸素療法だけでは十分な改善が見られない場合に選択される、より強力な治療方法です。 症状が消失するか大幅に軽減する気圧を「再圧チャンパー」と呼ばれる治療装置内で再現し、ゆっくりとした速度で慎重に減圧していきます。徐々に減圧すると、体内に残る気泡を確実に縮小させ、再度溶解させる効果が期待できます。 再圧治療を実施できる施設は限られていますが、重篤な神経症状や意識障害を伴うケースでは、救命や後遺症軽減のために重要な治療方法です。 減圧症の予防ポイント6つ 減圧症は正しい知識と行動で十分に予防できる疾患です。とくに、ダイビングや高地登山などの気圧差の大きな環境下では、事前準備と行動の工夫が減圧症発症のリスクを大きく左右します。 ここでは、減圧症を予防するためのポイントを6つに分けて解説するので、ダイビングや登山の予定がある方はぜひチェックしてください。 ①潜水前の注意 潜水前には体調を整え、十分な睡眠を取るのが大切です。前日はアルコールを控え、疲労を残さないように注意してください。 風邪や鼻づまりがあると、周囲の水圧と体の圧力を同じに保つための耳ぬきをはじめとする圧平衡(あつへいこう)が上手くできず、気圧変化の影響を強く受けるため、無理な潜水は避けることをおすすめします。 また、以下のリスクがある方は、医師に事前に潜水をして良いか、確認しましょう。 卵円孔開存(らんえんこうかいぞん)や心房中隔欠損などの心臓の病気 疲労 肥満 高齢 経験やスキルレベルに見合った無理のない深度や潜水時間で潜水を計画するのが大切です。 ②潜水時の注意 急激な深さへの潜水や長時間の潜水は避け、適切な休憩を取りましょう。 潜水中はゆっくりとした下降と浮上を心がけ、急激な圧力変化を防ぐのが重要です。浮上する際は、ダイビングの種類によって1分間に9~18メートルを最大浮上速度とします。さらに、水深3~4m地点で3~5分間の安全停止時間を設けるのも、水圧の平衡を保つために推奨されています。 深く長く潜るほどリスクは高まるため、無理のない計画が必要です。体調に異変を感じたら、無理せず速やかに安全な方法で潜水を中止し、バディやインストラクターに知らせてください。 ③潜水後の注意 潜水直後は激しい運動や高所への移動を避け、身体を休ませる時間を確保します。 潜水回数や深度によって異なりますが、潜水後12〜24時間以内に飛行機に乗ると、減圧症のリスクが高まるといわれています。潜水後、飛行機に乗る予定がある場合は、12〜24時間ほど海抜0mの場所にとどまり、一定期間の休息が取れるようにしましょう。 潜水後は体調変化に十分注意を払い、万が一、関節痛や皮膚のかゆみ、しびれ、めまいなどの減圧症を疑う症状が現れた場合は、速やかに専門の医療機関に相談してください。 ④高地登山の適切な計画 登山前には、適切な標高への適応期間を確保し、急激な標高の変化を避けるよう計画しましょう。 登山中に急激な標高の変化があると、大気中の酸素濃度が減少し、減圧症が引き起こされるケースがあります。急激に標高を上げるのではなく、数日かけて徐々に体を高地の気圧に慣らしましょう。 登山中も、常にゆっくりとしたペースを心がけ、呼吸が乱れないように注意しましょう。十分な睡眠と休息も、高所での体調管理には欠かせません。 万が一、頭痛や吐き気、めまい、息切れなどの高山病の初期症状や、減圧症を疑う症状が現れた場合は、無理をせず直ちに下山を開始するのも重要な対処法です。 ⑤十分な水分摂取 十分な水分摂取は、体内の水分バランスを整えるだけでなく、減圧症の予防において重要です。 脱水状態に陥ると、血液のねばり気が高まります。血液がドロドロになると血流が悪化し、体内に溶け込んだ窒素ガスが気泡となった際に体外へ排出されにくくなったり、血管内で詰まりやすくなったりする減圧症のリスクが高まります。 活動中だけでなく、活動前後も意識的に水分を摂取するのが大切です。とくに、活動中はこまめに水分補給を行い、喉の渇きを感じる前に飲むように心がけましょう。 摂取する飲み物は、水やスポーツドリンクがおすすめです。アルコールやカフェインを多く含む飲料は利尿作用があり、かえって脱水を引き起こす可能性があるため、控えるようにしてください。 ⑥専門家のアドバイスを仰ぐ 潜水や高地登山などの活動前には、専門の医師や指導者・ガイドなどに相談し、適切なアドバイスを受けましょう。個人の体調や経験値に応じたアドバイスを受けられるため、より確実な予防が可能です。 以下の条件に当てはまる方は、潜水や高地登山前に潜水医学や高山医学に詳しい医師の診察を受けるのをおすすめします。 健康状態に不安がある方 循環器系や呼吸器系に持病がある方 過去に減圧症を発症した経験がある方 また、経験豊富な指導者やガイドは、個々のスキルレベルや経験に応じた安全な計画と、現地状況や特有のリスクに関する情報を提供してくれます。 自己判断に頼らず、専門家のアドバイスを受ける行動が重要です。 まとめ|減圧症の予防ポイントを押さえて安全なダイビング・登山をしよう 減圧症は、体内に溶け込んだ窒素が急激な気圧変化で気泡化することで起こる病気です。 Ⅰ型は関節痛や皮膚の異常など比較的軽度な症状が多く、Ⅱ型は神経や呼吸器に深刻な影響を及ぼします。治療には高気圧酸素療法や再圧治療が用いられますが、いずれも早期対応が重要です。 減圧症予防には、活動前後の体調管理や水分補給、安全な活動計画などを徹底しましょう。 しかし、適切な予防法を心がけても、減圧症による脊髄障害や脳障害によって麻痺などの症状が残ってしまう場合もあります。 減圧症による脊髄損傷に対しては、リハビリテーションやステロイドなどの薬物治療が一般的ですが、根本的な治療方法はありませんでした。 当院では、幹細胞治療として、ご自身の脂肪から培養した脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。 減圧症などで脊髄損傷を起こしてしまった方で、再生医療にご興味のある方は、ぜひ1度当院までご相談ください。
2024.01.17 -
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「ヘルニアと診断されたが手術は避けたい」 「手術後も続く痛みやしびれを何とかしたい」 このような悩みを持つ方にとって、ご自身の細胞が持つ治癒能力を利用する再生医療は、新しい治療の選択肢です。 手術・入院を必要とせず身体への負担が少ないため、手術に不安を感じる方や、術後の後遺症にお悩みの方に適しています。 本記事では、ヘルニアに対する再生医療の仕組みや、どのような方が治療の対象となるのかを、当院の具体的な取り組みを交えて詳しく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度ご登録ください。 ヘルニアに対する再生医療とは 再生医療は、椎間板ヘルニアなどが原因のつらい症状に対する新しい治療の選択肢です。 手術を伴わない治療法で、身体が持つ自然治癒力を利用して、症状の緩和を目指します 。 具体的には、以下の2つの治療法があり、患者様の症状や状態に合わせた方法が選択されます。 幹細胞治療:脂肪組織から採取した幹細胞を利用し、損傷した組織の修復を促す治療法 PRP療法:血液から血小板を抽出し、その働きで炎症を抑え痛みを和らげる治療法 次の項目から、それぞれの治療法がどのような仕組みで症状にアプローチするのかを解説します。 幹細胞治療の仕組み 幹細胞治療は、患者様自身の脂肪組織から採取した幹細胞を活用する再生医療の一つの方法です。 この幹細胞は、さまざまな細胞に変化する能力「分化能」を持ち、過剰な炎症を鎮めたり、自然治癒力を高める働きがあります。 当院「リペアセルクリニック」では、この幹細胞を損傷している患部へ届ける「分化誘導」を行っています。 椎間板ヘルニアでは、神経が長期間圧迫されることで、慢性的な炎症や損傷が起きていることも少なくありません。(文献1) この神経周辺に幹細胞を直接投与し、痛みの原因となっている炎症を抑え、傷ついた神経の機能的な回復を促します。 手術のように原因を物理的に取り除くのではなく、身体が本来持つ再生能力を高めることで症状の改善を図るのが、この治療法の考え方です。 治療にはご自身の細胞を用いるため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクも低いのが特徴です。 PRP療法の仕組み PRP療法は、患者様自身の血液を活用する再生医療の一つの方法です。 血液を特殊な遠心分離機にかけ、組織の修復を促す働きを持つ血小板の成分だけを濃縮して抽出します。 この血小板を豊富に含んだ血漿成分が、PRP(多血小板血漿)です。 血小板には、炎症を抑える働きを持つ成長因子が多く含まれています。 ヘルニアによる痛みは、神経の圧迫と神経周辺の炎症が主な原因であるため、PRPを痛みの原因となっている患部に直接注射します。 PRPに含まれる成長因子の作用によって神経周辺の炎症を鎮め、つらい痛みを和らげるのが、この治療の目的となります。(文献2) 患者様自身の血液を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応が起こるリスクが低い治療法です。 また、採血から治療の実施までが最短30分と短時間で完了し、入院の必要なく日帰りで受けられます。 ヘルニアのどのような症状に用いられるか 再生医療が用いられるのは、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが原因で起こる、長引く痛みやしびれといった症状です。 たとえば、腰から足にかけての痛み(坐骨神経痛)に悩んでいるケースや、首から腕に広がるつらいしびれを感じている場合などが挙げられます。 薬やリハビリといった保存療法を続けても症状が十分に改善しない、または痛みが何度もぶり返してしまう場合にも、再生医療は選択肢の一つです。 また、手術でヘルニアによる神経の圧迫を取り除いた後も、後遺症として痛みやしびれが残るケースも少なくありません。 こうした手術後の症状に対しても、神経周辺の慢性的な炎症を抑え、損傷した組織の修復を促すことを目的として再生医療は用いられます。(文献3) 根本原因へアプローチし、症状の緩和を図る治療法といえます。 ヘルニアで再生医療が適している3つのケース 再生医療は、とくに以下のようなお悩みを持つ方にとって、新しい治療の選択肢となり得ます。 持病やご年齢を理由に手術が難しいと診断された方 ヘルニアの手術を受けたが痛みやしびれが改善されない方 身体への負担や後遺症のリスクを考え手術を避けたいと強く希望されている方 再生医療は、身体に優しいアプローチで、こうしたお悩みに応えることを目指します。 当院のヘルニアに対する再生医療の3つの特徴 当院の再生医療には、ヘルニア治療の効果を高め、患者様の安全性を追求するための3つの大きな特徴があります。 損傷箇所へ直接アプローチする「脊髄腔内投与」 細胞の質を保つ「非冷凍での培養」 安全性を高める「自己血液を用いた培養」 続く項目で、これらの特徴を詳しく解説していきます。 特徴1:損傷箇所へ直接アプローチする「脊髄腔内投与」 一般的な幹細胞治療では、腕などから点滴で投与する方法が主流です。 点滴で投与された幹細胞は血液の流れに乗って全身を巡り、その一部が損傷した患部へとたどり着きます。 しかし、この方法では幹細胞が全身に分散してしまうため、患部に到達できる細胞の数が限られてしまう課題がありました。 そこで当院では、ヘルニアで傷ついた神経の周辺(脊髄腔内)へ、注射によって幹細胞を直接届ける脊髄腔内投与を採用しています。 この方法により、より多くの幹細胞を患部に届けることができます。 特徴2:細胞の質を保つ「非冷凍での培養」 幹細胞は、冷凍と解凍の過程で少なからずダメージを受け、質が低下してしまう可能性があります。 そこで当院では、患者様からお預かりした大切な細胞の質を最大限に保つため、一度も冷凍保存しません。 採取した脂肪からすぐに幹細胞を分離し、常に新鮮な状態で培養を開始することで、高い活動率をもった幹細胞の投与を実現しています。 このこだわりが、治療の効果を引き出す上で重要だと考えています。 患者様への負担を減らし、より良い結果を目指すための培養方法です。 特徴3:安全性を高める「自己血液を用いた培養」 幹細胞を培養する際には、栄養源として動物由来の血清が用いられることがあります。 しかし、動物由来の成分は、アレルギー反応や未知の感染症といったリスクを否定できません。 そこで当院では、これらのリスクを徹底的に排除するため、患者様ご自身の血液のみを用いた培養方法を採用しています。 まず、患者様の血液から細胞の成長に必要な成分だけを抽出し、それを使用して幹細胞を育てます。 この自己血液を用いた培養により、アレルギー反応や感染症のリスクは限りなく低く抑えられます。患者様に安心して治療に専念していただくための、当院の徹底した安全管理の一環です。 ヘルニアの症状や再生医療に関するご相談・ご質問は、お気軽にお電話ください。専門のスタッフが丁寧にお答えします。 ヘルニアの再生医療における治療の流れとリスク 再生医療を受ける際の具体的な流れと、事前に知っておくべきリスクや副作用についてご説明します。 治療は、まず専門医によるカウンセリングで治療への理解を深めることから始まります。 その後、細胞の採取、培養を経て実際の投与へと進みますので、治療期間や注意点などを事前に把握しておくことが大切です。 ここからは、治療の具体的な流れをステップごとに解説します。 初診から治療までの流れ 治療は、まず専門医によるカウンセリングから始まります。 現在の症状やMRIなどの検査結果を詳しく確認し、再生医療が適しているかを慎重に判断します。 治療の実施が決まれば、次にお腹からごく少量の脂肪を採取します。 その脂肪から幹細胞を取り出して専門の培養施設へ送り、約1カ月の時間をかけて細胞を培養し、数を増やします。 最後に、培養した幹細胞を患部へ注射で投与すれば治療は完了です。 治療後は、経過を観察するために通院が必要になる場合があります。 治療期間と通院について 幹細胞治療では、細胞を培養するための期間が必要となるため、治療全体の期間は1カ月以上が目安です。 まず初診日にカウンセリングと脂肪の採取を行い、その後、専門の施設で約1カ月かけて幹細胞を培養します。 培養が完了したら、幹細胞を投与するため再度ご来院いただく流れとなり、通院は最低でも2回以上必要です。 治療が完了した後も、症状の経過を観察するために定期的な通院をお願いする場合があります。 一方、PRP療法の場合は採血から投与までが1日で完了するため、入院の必要なく日帰りでの治療が可能です。 ご自身の症状やライフスタイルに合わせた治療計画を、医師と一緒に立てていきましょう。 考えられるリスクや副作用 再生医療は、ご自身の細胞や血液を用いるため安全性を重視した治療法ですが、どのような医療行為にもリスクや副作用の可能性はゼロではありません。 脂肪を採取する際や、幹細胞を投与する注射の際に痛みを感じることがあります。 また、治療後数日間は処置した箇所に腫れや赤み、内出血が見られる場合がありますが、これらの症状は一時的で、多くは時間の経過とともに自然に治まります。 ご自身の細胞を使う治療の大きな利点は、アレルギーや拒絶反応の心配がほとんどないことです。(文献4) 治療を開始する前には、担当の医師が考えられるリスクについて丁寧に説明しますので、ご不安な点がなくなるまで、しっかりとご相談ください。 ヘルニアの再生医療における症例紹介 当院では、ヘルニアや脊柱管狭窄症に対する幹細胞治療の実績が数多くあります。ここでは、実際に治療を受けられた方の症例をご紹介します。 腰椎椎間板ヘルニアの症例 1年前からの腰痛と右足の痛み・しびれに対し手術を勧められましたが、入院や麻酔への不安から手術以外の治療法を希望され幹細胞治療を選択された方の症例です。 頚椎椎間板ヘルニアの症例 7年前に頚椎症性脊髄症の手術を受けたものの症状が改善せず、手のしびれの悪化を防ぎたい思いで幹細胞治療を選択された方の症例です。 脊柱管狭窄症の症例 10年以上続く腰椎脊柱管狭窄症の痛みとしびれにお悩みで、手術を避けたい思いから幹細胞治療を受けられた方の症例です。 まとめ|ヘルニアの種類と再生医療の適応について 本記事では、ヘルニアの症状に対する再生医療の仕組みや特徴について解説しました。 手術を避けたいと考えている方や、手術後の後遺症に悩んでいる方にとって、再生医療は有効な選択肢の一つとなり得ます。 ご自身の細胞が持つ治癒能力を活かすこの治療法は、身体への負担が少ない大きな利点があるからです。 もちろん、すべての症状に適応となるわけではありませんが、これまで改善が難しかった症状への新しいアプローチとして期待されています。 ご自身の症状が再生医療の対象となるか、まずは一度、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 ヘルニアの再生医療に関するよくある質問 治療に痛みはありますか? 治療に伴う痛みは、主に脂肪を採取する際と幹細胞を投与する際の2つの場面で考えられます。 脂肪の採取は局所麻酔を使用して丁寧に行うため、処置中に強い痛みを感じることはほとんどありません。 幹細胞の投与も注射で行うため痛みは軽度で、通常の採血や点滴と同じくらいの感覚とお考えください。 再生医療に公的医療保険は適用されますか? 現在、ヘルニアに対する再生医療は公的医療保険の適用外であり、自由診療となります。 費用に関する詳細は、カウンセリングの際に医師へお尋ねください。 誰でも治療を受けられますか? 再生医療は身体への負担が少ない治療法ですが、悪性腫瘍の治療中の方や重い感染症をお持ちの方など、すべての方に適応となるわけではありません。 治療が受けられるかどうかは、現在の症状やこれまでの治療歴などを基にした専門医による診察と判断が不可欠です。 まずは一度、専門のクリニックへご相談ください。 参考文献 (文献1) 椎間板ヘルニア - 08. 骨、関節、筋肉の病気 (文献2) 多血小板血漿(PRP) | 再生医療ポータル (文献3) Review of Recent Treatment Strategies for Lumbar Disc Herniation (LDH) Focusing on Nonsurgical and Regenerative Therapies (文献4) 再生医療等の安全性の確保等に関する法律改正について|厚生労働省
2023.11.20 -
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「椎間板ヘルニアの手術に後遺症はある?」 上記のように、椎間板ヘルニアの術後による後遺症に対して不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 結論、椎間板ヘルニアの術後には、主に痛みやしびれ、筋力低下、神経疾患の合併などの後遺症が考えられます。 本記事では、椎間板ヘルニアの手術による後遺症リスクと治療法について詳しく解説します。 椎間板ヘルニアの後遺症を手術せずに治療できる可能性がある再生医療についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。 \ヘルニア治療に効果的な再生医療とは/ 再生医療は、従来の治療では難しかった損傷した神経にもアプローチできるため、痛みやしびれの原因となっている神経の根本的な改善が期待できます。 「椎間板ヘルニアを手術せずに治したい」「術後の後遺症を悩まされている」という方の新たな選択肢として、ぜひ検討してみてください。 以下の動画では、実際に当院リペアセルクリニックで再生医療を受け、手術後の後遺症に悩まされていた患者様の症例を紹介しています。 https://youtu.be/GcUDE6GCblE?si=45rhQ2E6NtEJ27OR 【こんな方は再生医療をご検討ください】 椎間板ヘルニアの痛みやしびれに手術せずに治したい ヘルニアを治したいけど手術は避けたい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 当院リペアセルクリニックの「脊髄腔内ダイレクト注射療法」は、従来の点滴では届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける治療法で、手術後のしびれや再発などに対しても高い回復効果が期待されています。 「自分に適した治療法を知りたい」「再生医療の効果や費用が気になる」という方は、無料カウンセリングにてご相談ください。 ▼まずはヘルニアの治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 椎間板ヘルニアの手術による後遺症とは 椎間板ヘルニアの手術による後遺症として、痛みやしびれだけでなく、神経疾患の合併やヘルニアが再発する可能性があります。 術後は神経の治癒に時間がかかるため、一時的な症状のケースもあれば、長期的に治療が必要になるケースもゼロではありません。 そのため、椎間板ヘルニアを手術したからといって必ずしも痛みが消失するわけではないことを覚えておくことが重要です。 従来の治療では、術後の後遺症に対してリハビリテーションなどの対症療法が中心でしたが、近年では再生医療(幹細胞治療)を用いた治療が注目されており、損傷した神経の改善が期待できます。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 椎間板ヘルニアの痛みやしびれに手術せずに治したい 椎間板ヘルニアの手術後の後遺症に悩まされている 椎間板ヘルニアの手術を受けたけど症状が改善しない 再生医療は、「椎間板ヘルニアを手術せずに治したい」「術後の後遺症を悩まされている」という方の新たな治療の選択肢になる可能性があります。 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずはヘルニアの治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 椎間板ヘルニアの手術後の後遺症によって痛みを感じる原因 椎間板ヘルニアの手術後の後遺症によって痛みを感じる原因は、以下の通りです。 それぞれの原因について詳しく解説していきます。 椎間板ヘルニア以外の疾患を合併している 椎間板ヘルニアの手術後に痛みを感じる原因として、以下のような疾患を合併している可能性があります。 梨状筋症候群:お尻にある梨状筋という筋肉が硬くなり神経が圧迫させる 脊柱管狭窄症:神経の通り道である脊柱管が狭くなることで神経が圧迫される 椎間孔狭窄症:神経の通り道である椎間孔が狭くなることで神経が圧迫される 術後椎間板炎:創部感染あるいは椎間板に炎症がみられる 手術で椎間板ヘルニアの痛みを改善できても、合併している疾患の痛みが完全に取れていない場合は術後でも痛みを感じるケースがあります。 疾患によっては神経の圧迫を取り除くだけでなく、固定手術や長期的なリハビリを継続する必要があります。 椎間板ヘルニアの再発 椎間板ヘルニアの手術後に痛みを感じる原因として、再発している場合や別の箇所で神経の圧迫が発生している可能性があります。 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)によれば、症状の有無にかかわらず、手術を受けた患者の23.1%(25/108)が、2年後に再発していたとのこと。 もちろん、ヘルニアを発症した場所によって再発率は異なりますが、どの場所でも再発リスクがあるのは同じです。 再発すると、また保存療法などに取り組むので、日常生活や仕事での活動が制限されるでしょう。 また再手術が必要でも、以前の手術の影響で難易度が高くなり、実施できない、できても十分な効果が得られないなどの問題が生じます。 手術時に起きた神経損傷 椎間板ヘルニアの手術後に痛みを感じる原因として、手術時に起きた神経損傷による後遺症が出る可能性があります。 事例として多くはありませんが、手術の際に予期せず脊髄神経を傷つけてしまう可能性もゼロではありません。 神経損傷による後遺症出た場合、以下の症状が長く続く可能性があります。 下半身などの麻痺 感覚の鈍麻 患部を中心とした痛みや痺れ 背骨の変形 姿勢を保つための筋肉の硬直 排尿困難 後遺症を出さないためにも、適切な治療や再発防止に取り組むのが重要です。 瘢痕組織(はんこんそしき) 椎間板ヘルニア手術後の傷が治る際に生じる瘢痕組織によって、神経根の可動性が制限されることで痛みを感じるケースもあります。 瘢痕組織は時間の経過とともに柔らかくなるため、徐々に痛みが引く可能性があります。 椎間板ヘルニアの主な原因と症状 人間の背骨は、脊椎といわれる骨とその間にある椎間板から構成されます。 脊椎は場所により名称が変わり、頸椎・胸椎・腰椎・仙椎に分類されます。 また、椎間板は脊椎が柔軟に動くためのクッションの役割を果たしています。 椎間板ヘルニアとは、なんらかの原因で椎間板が変形してしまい後ろに飛び出してしまっている状態のことです。 椎間板ヘルニアは先述したどの脊椎にも起こる可能性があり、生じた部位により名称が変わります。 椎間板ヘルニアの原因 原因は、加齢による椎間板の変性や、外力により椎間板に過度な負担がかかることがあげられています。 脊椎のなかでも腰椎が最も外力による負担が大きいため、腰椎椎間板ヘルニアが最も多いです。 椎間板ヘルニアの症状 椎間板ヘルニアの症状としては、椎間板の脱出により脊椎内を通過している脊髄などの神経を刺激し痛みや痺れが生じます。 どの部位の神経が刺激されるかにより、症状が生じる部位も変わります。 たとえば、頚椎では首や肩、手の痺れや痛みが主に生じますが、腰椎では坐骨神経痛と呼ばれる足の痺れや痛みが生じます。 椎間板ヘルニアの後遺症である足腰のしびれや痛みの治療法 椎間板ヘルニア手術後の後遺症に対する治療法は保存療法と手術療法とがあり、多くの場合、まずは保存療法がおこなわれます。 保存療法 保存療法としては、椎間板にかかる負担が少なくなるように安静を保つことや、痺れや痛みを抑えるために鎮痛薬の内服や神経ブロック、リハビリをメインとした理学療法がおこなわれます。 椎間板ヘルニア治療、保存療法の種類 鎮痛薬の内服 神経ブロック リハビリテーション これらの保存療法をおこなっても症状の改善が乏しい場合や症状が強い場合は手術を検討します。 手術療法 椎間板ヘルニアで多い手術には、「顕微鏡下椎間板摘出術」や、「内視鏡下ヘルニア摘出術」、「経皮的髄核摘出術」があります。 椎間板ヘルニアの手術療法 顕微鏡下椎間板摘出術 内視鏡下ヘルニア摘出術 経皮的髄核摘出術 経皮的レーザー椎間板減圧術 また、「経皮的レーザー椎間板減圧術」と呼ばれる治療法もあります。 これは神経を圧迫しているヘルニアにレーザーを照射し、ヘルニア内に空洞を形成することにより神経への圧迫を減らします。 各々アプローチは異なりますが、どの手術も脱出している椎間板を取り除くことで神経への刺激を軽減するのが目的です。 再生医療は、「椎間板ヘルニアを手術せずに治したい」「術後の後遺症を悩まされている」という方の新たな治療の選択肢になる可能性があります。 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずはヘルニアの治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 椎間板ヘルニアの後遺症を治療するなら再生医療による治療も選択肢の一つ 椎間板ヘルニアの後遺症治療には、再生医療による治療も選択肢の一つです。 再生医療とは、病気や外傷により失われた臓器や機能を正常な状態に回復させる医療技術のことです。 椎間板ヘルニアに対しては、損傷した神経の再生を促し、失った神経の機能を回復させるのを目的とします。 従来の治療では手術によって神経の圧迫を取り除くことが一般的でしたが、手術せずに根本的な治療法になりえる再生医療が注目されています。 椎間板ヘルニアの後遺症の改善にも期待できる治療法なので、ぜひ検討してみましょう。 【まとめ】椎間板ヘルニアの後遺症である足腰のしびれや痛みの治療には再生医療を検討しよう 今回は椎間板ヘルニアの術後後遺症と治療方法に関してお話しました。 再生医療の1つである幹細胞療法は、椎間板ヘルニアの後遺症を根本的に改善させる可能性があるため、期待されている治療法です。 「椎間板ヘルニアを手術せずに治したい」「術後の後遺症を悩まされている」という方の新たな選択肢として、ぜひ検討してみてください。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 椎間板ヘルニアの痛みやしびれに手術せずに治したい ヘルニアを治したいけど手術は避けたい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 当院リペアセルクリニックの「脊髄腔内ダイレクト注射療法」は、従来の点滴では届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける治療法で、手術後のしびれや再発などに対しても高い回復効果が期待されています。 「自分に適した治療法を知りたい」「再生医療の効果や費用が気になる」という方は、無料カウンセリングにてご相談ください。 ▼まずはヘルニアの治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる
2023.11.16 -
- 幹細胞治療
- 脊椎
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 再生治療
「腰椎椎間板ヘルニアの症状とはどのようなものか?」 「どの程度で手術が必要になるのか?」 このように疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。 腰椎椎間板ヘルニアは、非常によく見かけるヘルニアの一種であり、症状やその重さは人によってさまざまです。場合によっては手術が必要となるケースもあります。 本記事では、腰椎椎間板ヘルニアの具体的な症状や程度、さらに治療法について詳しく解説します。 腰椎椎間板ヘルニアとは? 腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の各骨と骨の間に存在する椎間板と言われる部位が膨隆(膨らんで高くなった状態)や外へ飛び出して神経を圧迫することで、痛みや痺れといった症状が生じることもあります。 次章より、腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルや治療、そして再生医療の可能性についても触れていきます。 腰椎椎間板ヘルニアの種類(分類) 腰椎とは、腰のあたりにある背骨のことで、5つの骨(椎体:ついたい)から成り立っています。 そもそも背骨は、椎体という骨が上下に積み重なっているような構造をしています。 この椎体と椎体の間には、椎間板(ついかんばん)というクッションのようなものがあり、衝撃を和らげるなどの働きをしています。 椎間板ヘルニアは、この椎間板の中身(髄核:ずいかく)やその中身を包む袋のようなもの(線維輪:せんいりん)が膨らんだり、また外に脱出、飛び出したりすることで、神経を圧迫した状態です。症状が出ていない場合でもヘルニアと診断されることもあります。 人口の約1%(100万人〜120万人)がこの腰椎椎間板ヘルニアに悩んでいるという報告もあり、決して珍しいヘルニアではありません。 男女比はやや男性の方が多く(約2〜3:1)、好発年齢は20〜40才代、好発部位はL4-L5、L5-S1(※)とされています。(※L=腰椎 S=仙椎) 椎間板ヘルニアは、椎間板がどの程度飛び出しているかによって、正中型ヘルニア・傍正中ヘルニア・外側ヘルニアの3種類に分類されます。 それぞれがどのようなヘルニアなのか詳しくみていきましょう。 正中型(せいちゅうがた)ヘルニア 正中型ヘルニアでは、椎間板の中央部で、脊柱の正中、つまり背骨に対してほぼ垂直に飛び出します。(脊柱管の内側に飛び出す) 正中型ヘルニアになると、脊髄や馬尾神経(ばびしんけい)が圧迫されます。 症状としては、まず腰痛があるでしょう。そのほか、両足の痺れや歩行障害、馬尾神経にまで影響があった場合には、排泄障害が伴う可能性があります。 傍正中(ぼうせいちゅう)ヘルニア 傍正中ヘルニアは、正中型よりもやや左右どちらかの外側にずれた方向へ、椎間板が突出する状態です。(脊柱管の内側に飛び出した状態) 症状として、腰の痛みが挙げられます。ただ、それ以外の症状が、正中型と異なる点に注意しましょう。 傍正中ヘルニアは、左右どちらかに寄っているだけあり、左右片方だけで症状が現れやすいです。 たとえば、片足だけが痺れる、痛むといった症状が現れます。 外側(がいそく)ヘルニア 外側ヘルニアは、椎間板が脊柱管の外側に飛び出すことを意味します。 上記ふたつは、背骨の方向、つまり脊柱管に収まる範囲で起こるヘルニアでした。 しかし外側ヘルニアは、脊柱管の外、つまり傍正中ヘルニアよりもさらに左右に偏った方向へ飛び出します。 症状として、左右どちらかの神経圧迫により、片足だけの痺れや痛みを感じやすいでしょう。また筋力低下や、坐骨神経痛なども伴いやすい傾向があります。 オンラインで相談する 腰椎椎間板ヘルニアの症状レベル 腰椎椎間板ヘルニアでは、椎間板の変性などの度合いによって症状を段階分けできます。 具体的には以下のようなレベル、段階があります。 軽度レベル 中程度レベル 重症レベル(手術するレベル) それぞれがどういうものか見ていきましょう。 軽症レベル 椎間板がわずかに飛び出しているものの、神経を圧迫するほどではない段階です。 この時の症状として、軽度の腰痛などが挙げられます。また、首にわずかな痛みを感じるケースもあるでしょう。 しかし軽症レベルでは、痺れや筋力低下などの症状はほとんど見られません。あったとしても、本人がほとんど知覚できない程度です。 軽症レベルでは、簡単な工夫による改善が期待できます。 たとえば簡単なストレッチや姿勢の改善によって、症状が楽になるかもしれません。 中等度レベル 中等度では、椎間板の突出が進み、神経が圧迫され始めます。さらに繊維輪を断裂するようになります。 この段階では以下の症状が表れるでしょう。 強い腰痛 両足または片足の痛み 首周辺の痛み 手足の痺れ 坐骨神経痛 筋力の低下 中等度レベルでは、症状がより強くなります。 場合によっては、普段の仕事や家事がこなせなくなることもあります。 また特に痛みが強いため、状況に応じて痛み止めなどの服用が必要になるでしょう。もちろん根本的な解決を図るための治療も進めていく必要があります。 重症レベル 重度レベルになると、椎間板が大きく飛び出し、より強く神経を圧迫します。この状況を「脱出」あるいは「遊離」といいます。 症状として以下が挙げられるでしょう。 激しい腰痛や首の痛み 足に限らない、幅広い部分での痺れ 感覚の鈍麻 筋力の低下と麻痺 歩行困難 排泄障害 馬尾症候群 重症レベルでは、かなり重い症状が現れます。この段階で、通常通りの生活を送るのはほぼ不可能でしょう。 いわゆる「手術するレベル」の症状です。 このような状態になる前に、治療や改善を図るのが重要となるでしょう。 オンラインで相談する 腰椎椎間板ヘルニアの治療(治し方) 腰椎椎間板ヘルニアを治すためには、まずは画像検査が必要で、それにはMRIが最も有用です。 変性してしまった椎間板は正常なものと異なっているように写し出されるため、脱出した椎間板の部位や分類診断についても役立ちます。 椎間板ヘルニアは、自然治癒する可能性もあります。 時間の経過により、飛び出した椎間板が体の中に吸収され、外へ排出される場合があります。 そのため、排尿や排便にも影響が出るような膀胱直腸障害など重い神経障害がある場合を除いて、まずは保存療法が選択されます。 保存療法による改善が期待できない場合、手術療法や再生医療が選択されます。それぞれ治療法の詳細を見ていきましょう。 保存療法 保存療法としては、非副腎皮質ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛薬を使用するケースが多いです。 その他、神経ブロック注射も選択肢にあがるでしょう。 また、体を柔らかくするストレッチやリハビリもとても効果的です。 手術療法 膀胱直腸障害や運動麻痺などの重い神経症状がある場合や、保存療法でも強い痛みが続く場合には、手術療法が行われます。 その場合は、症状の原因となっている椎間板を摘出するような方法が取られます。 手術の仕方によっていろいろな種類があり、内視鏡を使った最小侵襲の手術が今は主流となっています。 関連記事:ヘルニア治療のPLDD手術|失敗しないためのポイントとは 関連記事:椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いとは 再生医療 再生医療では幹細胞を用いて、傷ついた椎間板の修復や再生を目指します。腰椎椎間板ヘルニアの治療法としては最新のもの。 ヘルニアになった場合、脊髄が損傷している、炎症を起こしているケースが多々あります。そのままだと、痛みや痺れなどの症状が現れます。 しかし保存および手術療法では、十分な治療効果が得られないかもしれません。 そこで再生医療によって脊髄を再生させ、根本的な治療を図ります。 私たちは再生医療として、効果を高めるため「脊髄腔内ダイレクト注射療法」などを実施しています。 オンラインで相談する https://fuelcells.org/treatment/spinal_cord/ 腰椎椎間板ヘルニア|よくある質問 腰椎椎間板ヘルニアについて、よくご質問頂くことについて記しました。その他ご質問、再生医療の可能性などはお問い合わせください。 Q1:椎間板ヘルニアの際は安静にした方が良いですか? A1:絶対安静が必要ということではありません。 腰の痛みや足の痛み、痺れ感がある場合には安静にしておく方が良いといわれることも多いかと思います。 しかし、自宅で安静にした方が早く治るという科学的な根拠はありません。 痛みが強すぎて動けない場合は自宅で安静にしている他ありませんが、動けるのであれば腰や足の筋力が弱くならないように、少しずつ動くようにすると良いでしょう。 Q2:保存療法としてコルセットは効果がありますか? A2:試してみる価値はあると考えられます。 腰椎椎間板ヘルニアの患者さんは、立っている方が座った姿勢よりも痛みが楽に感じるケースが多いようです。それは立っている状態の方が姿勢を保持しやすいのが理由です。 コルセットを着用して姿勢の保持をしやすくするのは痛みを和らげるために効果があると言えます。 ただし、コルセットに頼りすぎると筋力が低下してしまい、コルセットがなければ生活ができないということもあるので注意が必要です。 コルセットをするなら必ず筋力トレーニングは必要となります。 まとめ・腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルを把握して最善の治療を 今回は腰椎椎間板ヘルニアの症状や治療法などを解説しました。 腰椎椎間板ヘルニアで症状が重い方には手術療法が選択されます。 しかし、手術をおこなっても圧迫され続けた脊髄や神経根の損傷が完全に修復されないこともあります。すると、痺れや痛みといった症状が残るかもしれません。 そのような場合、当院の再生医療、幹細胞で治療するという方法をご検討ください。 脊髄腔内ダイレクト注射で投与という当院独自の方法を用いて、傷ついた神経の再生を試みます。これまで多くの症例を経験し、症状の改善がみられています。詳しくは以下の動画をご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=4AOGsB-m63Y&t=132s
2023.11.02 -
- 幹細胞治療
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
- 再生治療
「大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)」と診断され、先の見えない不安や股関節の痛みに悩んでいませんか? とくに働き盛りの世代に多いこの病気は、今後の仕事や生活に大きな影響を与えかねません。(文献1) 「手術は避けたいけれど、何もしないで悪化するのは怖い」「保存療法とは言うけれど、具体的に何をすればいいの?」 この記事では、そんな疑問や不安に寄り添い、手術をせずに股関節の機能を温存する「保存療法」についてわかりやすく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは大腿骨頭壊死の治療法の一つ、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腿骨頭壊死でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録いただき再生医療についてご確認ください。 大腿骨頭壊死の保存療法とは 大腿骨頭壊死とは、股関節にある大腿骨頭が壊死してしまい潰れることで痛みを生じる疾患です。 一度壊死が起こってしまうと、壊死した骨組織そのものを元の状態に戻すことは極めて困難です。 発症原因は明確ではありませんが、大腿骨頭を栄養している血管が障害されることや、免疫を抑えるステロイドやアルコールが危険因子とされています。(文献2) 骨頭壊死の治療法は、保存療法と手術療法に大きく分けられます。 大腿骨頭壊死の保存療法とは、手術以外で股関節への負担を減らしながら、痛みや進行の様子を見ていく治療のことです。 壊死の範囲が小さい場合や、痛みなどの症状がほとんどないときには、まずこの方法が選ばれます。 日常生活では、股関節にかかる重さを減らす工夫として以下のことを意識します。 杖で体重を分散する 体重を大きく増やさない 長く歩き続けない、 重い荷物は持たない 痛みが強い時期は、無理に動かず休む 痛みや炎症に対しては、医師と相談のうえで鎮痛薬を使います。 ただし、これらの対処だけで骨のつぶれ(圧潰)の進行を強く止められるとは限りません。 圧潰が進みそうなタイプでは、骨頭の形を保つことを目的に、手術に切り替える時期を逃さないことが大切です。 大腿骨頭壊死の病期(ステージ)分類 保存療法の方針を決める上で重要なのが、壊死がどのくらい進行しているかを示す「病期(ステージ)」です。 国際的によく使われる「ARCO分類」では、MRIやX線(レントゲン)の画像所見から、Stage1~4までの4つのステージに分類します。 この分類は、病気の進行度や治療方針を決定するための重要な指標です。 (文献3) ここでは、病期(ステージ)別に画像所見の特徴と主な症状について解説します。 Stage 1 MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 X線では異常なし MRIで初めて壊死が確認できる 症状がないことが多い 軽い違和感を感じる程度 X線ではまだ変化が見られず、MRIで初めて骨内部の壊死が確認される段階です。 痛みは軽度〜中等度で、長距離歩行や階段の上り下りなどに違和感を覚えることがあります。 Stage 2 MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 X線で骨硬化像(骨が白く見える) 骨頭の丸みは保たれている。 軽い痛み だるさを感じ始めることがある 骨内部の構造変化が進み、X線で骨密度の不均一や境界線が現れます。 この段階では骨頭の形はまだ保たれていますが、放置すると次の圧潰期に移行するリスクが高まります。 Stage 3A、3B MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 骨頭の圧潰(あっかい:つぶれること)が始まる 圧潰が2mm未満が「3A」 圧潰が2mm以上が「3B」 痛みが強くなる 歩行に支障が出始める 骨頭が部分的につぶれ(圧潰)、関節の形が少しずつ変わっていきます。 X線でも明確な扁平化が確認でき、歩行時の痛みが強くなることが多いです。 症状が続く場合や圧潰の進行が見られる場合は、骨切り術(骨頭の壊死した部分へかかる負荷を抑えるため、骨の一部を切って角度を変える手術)を専門医と検討します。 Stage 4 MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 骨頭の圧潰が進行 関節の隙間が狭くなる 痛みが強くなる 日常生活が大きく制限される 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている 関節軟骨のすり減りや関節の変形が生じる時期とされ、骨頭のつぶれがさらに進み、股関節全体に変形が及びます。(文献4) 軟骨のすり減りによって骨同士が直接触れ合うようになり、強い痛みや可動域の制限が生じます。 【病期別】保存療法で「やるべきこと」「避けるべきこと」 大腿骨頭壊死の保存療法の目的は、骨頭の圧潰を防ぎ、痛みをコントロールすることです。 特に圧潰が起きていない、あるいは軽度なStage 1〜3Aが保存療法の主な対象となります。 Stage 1〜2 (圧潰前) やるべきこと 避けるべきこと 手術への切り替えを 検討する目安 免荷(めんか)※ 薬物療法(消炎鎮痛剤) 筋力維持、可動域訓練 薬物療法 衝撃の強い動作 ランニング ジャンプ 重い物を持つ作業 長時間の歩行・立ち仕事 股関節に大きな負担がかかる姿勢 あぐら しゃがみこむ 飲酒、喫煙 痛みが改善しない 圧潰が進行(Stage 3Bへ移行)した場合 ※免荷とは、杖などを使って患部への体重負担を減らすこと。 圧潰前は、骨頭の形が保たれており、早期の保存療法が有効とされます。 痛みや炎症がある患者様には、症状を緩和させるために、消炎鎮痛薬(内服薬や外用薬)を使用することもあります。 運動では、痛みが出ない範囲で関節可動域を維持し、股関節に体重をかけない方法で筋力維持に努めます。 股関節の負担が少ない運動として、エルゴメーター(自転車こぎ)や、横になった状態での足上げ、水中ウォーキングなどがあります。無理のない範囲で毎日運動を続けましょう。 また、アルコール摂取と喫煙にも注意が必要です。 アルコールの過剰摂取は骨の代謝や血流に悪影響を与え、骨密度の低下を招きます。喫煙は血管を収縮させ、骨への酸素・栄養供給を阻害します。 どちらも壊死の進行に関わる要因とされているため、控えましょう。 Stage 3A 〜4 (圧潰初期〜圧潰進行期) やるべきこと 避けるべきこと 手術への切り替えを 検討する目安 免荷(めんか) 薬物療法(消炎鎮痛剤) 手術に向けた相談 自己判断でのリハビリ 痛みを我慢しての運動 圧潰を助長する危険性があり 体重増加 股関節への負担が増える 飲酒、喫煙 痛みが日常生活に支障をきたす 圧潰が進行(Stage 3Bへ移行)した場合 この段階では、更なる圧潰を防ぐためにも体重管理を徹底します。ただし、痛みを我慢しての自己判断による運動は、かえって圧潰を進行させる危険性があるため避けてください。 骨頭の圧潰が始まっている場合や、保存療法でも症状の改善がみられない場合には、手術による治療へ移行する判断がなされます。 関節軟骨が残っており、関節の隙間が保たれている段階では、骨切り術が選択肢となります。 一方で、壊死の範囲が広い場合や圧潰が進行している場合には、人工関節置換術(股関節を人工関節に置き換える手術)が行われることがあります。 他、運動方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご確認ください。 痛みを悪化させない日常生活のコツ 痛みを悪化させず、圧潰の進行を防ぐためには、日常生活での工夫が欠かせません。 日常生活の工夫 ポイント 杖をつかう 患肢と反対側で杖を持つと、痛みが軽減できます 股関節を曲げる動作を避ける 長距離を歩く、しゃがむ、階段昇降などの動作を避けます 重い荷物を持つのを避ける 患肢と反対側で荷物持つと、関節を保護できます 生活様式を洋式に変更する 床座りやふとん、和式トイレは避けます。 椅子やベッド、洋式トイレを使用しましょう。 高い椅子を使用 台所などでの立ち仕事では高い椅子を使用し、腰掛けることで股関節への負荷を減らすことができます これらの工夫を日常生活に取り入れることで、股関節への負担を軽減できます。ご自身の病期や症状に応じて、担当医と相談しながら実践してください。 再生医療という選択肢 大腿骨頭壊死の治療の選択肢の一つに、再生医療の選択肢もあります。 当院「リペアセルクリニック」では、大腿骨頭壊死に直接注射で幹細胞を届ける治療を行っております。患者様自身の幹細胞を採取・培養して用いるため、拒否反応のリスクが低い治療法です。 手術以外の治療法をお探しの方、人工関節にすることに抵抗がある方は、ぜひ当院へご相談ください。 当院では、検査結果や生活状況を踏まえ、再生医療を含む複数の選択肢を説明した上で治療計画をご提案いたします。 当院の大腿骨頭壊死に対する再生医療について詳しくは、以下の記事も合わせてご確認ください。 まとめ|痛みをコントロールしながら前向きな一歩を 大腿骨頭壊死の保存療法では、病期(Stage 1〜4)に応じた適切な対応が必要です。 圧潰前(Stage 1〜2)では、免荷や体重管理、股関節に負担をかけない運動により、圧潰の進行を防ぐことが目標となります。 圧潰初期以降(Stage 3A〜4)では、より厳格な免荷と体重管理を徹底し、保存療法で改善が見られない場合は、骨切り術や人工関節置換術などの手術療法への移行を検討します。 日常生活では、杖の使用、股関節を深く曲げる動作の回避、生活様式の洋式化などの工夫により、股関節への負担を軽減できます。また、アルコールと喫煙は壊死の進行に関わる要因とされているため、控えることが推奨されます。 保存療法は、ご自身の体の状態を正しく理解し、痛みをコントロールしながら、今後の治療方針を考えるための重要な期間です。 一人で抱え込まず、定期的な検診を受けながら専門医と相談し、ご自身に合った治療計画を立てていきましょう。 大腿骨頭壊死の保存療法に関するよくある質問 保存療法で壊死は治りますか? 一度壊死した骨組織が保存療法で元通りになることはないといえるでしょう。 保存療法の目的は、壊死した部分が潰れてしまう「圧潰」を防ぎ、痛みをコントロールして、自分の関節をできるだけ長く温存することにあります。 自転車に乗っていいですか? 自転車の利用自体は可能ですが、転倒しないこと、そして転びそうになった際に無理に踏ん張らないことが前提になります。 走行するなら、平坦で人通りが少なく、接触の危険が少ない道を選びましょう。 一方で、坂道で立ちこぎが必要な場面や、人や車が多く衝突のリスクが高い場所では自転車の使用は控えた方がいいでしょう。 食生活で気をつけることはありますか? 食べ物の規制は特にありませんが、股関節の負担を減らす上で体重管理は非常に効果的です。 栄養バランスを考えた食事を意識しながら、適正体重を心がけましょう。 また、危険因子としてアルコール飲料は骨頭壊死の進行リスクを高めるといわれており、国際的な基準も定められています。過剰な摂取は避けてください。 参考文献 (文献1) 特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)|難病情報センター (文献2) Osteonecrosis of the Femoral Head: an Updated Review of ARCO on Pathogenesis, Staging and Treatment|PMC (文献3) Guidelines for clinical diagnosis and treatment of osteonecrosis of the femoral head in adults (2019 version)|PMC. (文献4) 71 特発性大腿骨頭壊死症|厚生労働省
2023.10.19 -
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- 股関節
- 再生治療
大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)は、太ももの先端部分である大腿骨頭と呼ばれる部位の血流が悪くなり骨が壊死してしまう病気です。 大腿骨頭壊死は、再生医療の治療対象です。再生医療は手術や入院をせずに治療できる可能性があるため、人工関節の置換を避けたい方にも選ばれています。 この記事では、大腿骨頭壊死の再生医療について詳しく知りたい方に向けて、治療の特徴や流れなどを解説します。 大腿骨頭壊死の治療法をお探しの方は参考にしてください。 大腿骨頭壊死の治療と再生医療について 大腿骨頭壊死は、太ももの付け根にある骨の先端部分である大腿骨頭の血流が滞ることで、骨の組織が壊死する疾患です。 初期症状がほとんど現れず静かに進行する場合が多く、突然の強い痛みや歩行困難をもたらし、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。そのため、大腿骨頭壊死は早期に発見し適切な治療を受けるのが重要です。 大腿骨頭壊死の治療は、保存療法や手術、再生医療などが挙げられ、患者様の症状や年齢、生活状況に応じて選択されます。とくに、再生医療は手術や入院を必要とせず、通院のみで治療できる場合もあるため、身体への負担が少ない点が特徴です。 大腿骨頭壊死に対する再生医療の可能性 大腿骨頭壊死の再生医療は、薬物療法や手術などの一般的な治療法とは異なるアプローチが可能です。 壊死した部位は、自然に回復することは難しいとされていますが、再生医療は患者様の細胞や血液を利用して、損傷した組織にアプローチします。また、治療には少量の細胞の採取や採血、点滴によって行われることが多く、手術や入院が不要で身体の負担が少ないのが特徴です。 手術に抵抗がある方や、できるだけ日常生活への影響を抑えたい方にとって、再生医療は有力な選択肢です。 再生医療の詳細については、上記の動画をご覧ください。 再生医療の治療法|幹細胞治療とは? 再生医療の一つである幹細胞治療は、他の細胞に変化する「分化能」という幹細胞の働きを活かした治療法です。 当院「リペアセルクリニック」における、大腿骨頭壊死に対する幹細胞治療の一例を紹介します。 1.患者様から米粒2~3粒程度の脂肪組織を採取する 2.脂肪から幹細胞を抽出し、培養によって数を増やす 3.培養した幹細胞を股関節の損傷部位に注射で投与する 幹細胞治療では、患者様自身の細胞を使用するので、アレルギーのリスクが低い点も特徴です。 手術以外の治療法をお探しの方や、再生医療に関心をお持ちの方は、当院へご相談ください。 大腿骨頭壊死の一般的な治療法 大腿骨頭壊死の一般的な治療法は、主に以下の2つです。 保存療法 手術 治療方法は、患者様の症状や生活スタイルなどに応じて検討されます。 順番にみていきましょう。 保存療法 大腿骨頭壊死が初期段階で発見された場合、保存療法が用いられます。 保存療法の主な内容は、以下の通りです。 杖や歩行器などを使用して股関節に体重をかけないようにする 鎮痛剤を服用して痛みをコントロールする ストレッチや軽い筋力トレーニングなどのリハビリを行い、股関節への負担を和らげる 大腿骨頭壊死の保存療法では、日常生活を送る中で症状が進行しないように股関節の負担を軽減するのが重要です。 大腿骨頭壊死のリハビリについて詳細は、以下の記事をご覧ください。 手術 大腿骨頭壊死が進行し、大腿骨頭の形が潰れて本来の球形が失われている場合は、手術が検討されます。患者様の年齢や症状の進行によって手術の方法は異なります。 大腿骨頭壊死に対する主な手術は、以下の通りです。 対象の方 手術名 内容 中等症の方 若年~中年の方 大腿骨内反骨切り術 股関節の骨を一部切除して角度を変え、痛みの少ない部分に体重がかかるようにする 大腿骨頭回転骨切術 股関節の骨を一部切り、大腿骨頭を回転させて、まだ傷んでいない部分で体重を支えるように調整する 血管柄付き骨移植 血流を促すために、血管がついた自分の骨を別の場所から取り、大腿骨に移植する 症状が重い方 高齢の方 人工関節置換術 損傷や変形した股関節の骨を取り除き、人工の関節に置き換える 症状が中程度の方や中年までの方は、自身の関節を残した手術を行うのが一般的です。一方、高齢の方や重症の方は、損傷した部位を切除して人工関節に置き換える方法が検討されます。 大腿骨頭壊死の手術について詳細は、以下の記事をご覧ください。 まとめ|大腿骨頭壊死に対しては再生医療も治療の選択肢 大腿骨頭壊死に対しては、再生医療も治療の選択肢の一つです。再生医療の幹細胞治療は、患者様自身の細胞を用いて、損傷した組織にアプローチする治療法です。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療について以下のような方にご相談いただいております。 股関節の症状があり、手術を検討されている方 入院や手術以外の選択肢をお探しの方 人工関節以外の治療をご希望の方 保存療法や手術とは異なる治療法をお考えの方 再生医療について詳しく知りたい方は、当院までお気軽にお問い合わせください。 大腿骨頭壊死の治療法についてよくある質問 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことは? 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことは、以下の通りです。 ジョギングやジャンプなどの激しい運動 重量物の運搬 長時間の立ち仕事 喫煙 飲酒 大腿骨頭壊死と診断された場合、症状の進行を防ぐため、股関節に負担をかけないことが重要です。 日常生活では、しゃがみ込む動作や深く前かがみになる動きなどが股関節に負担がかかりやすいので注意が必要です。また、喫煙や飲酒は血流を悪化させるため、大腿骨頭壊死のリスク要因の一つと考えられています。禁煙・禁酒を心掛けましょう。 以下の記事では、大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことについてまとめていますので参考にしてください。 大腿骨頭壊死になってしまったら、必ず手術が必要? 大腿骨頭壊死には、手術が必要とは限りません。症状の程度や進行具合によって、手術以外の治療法が選ばれることもあります。 手術しない治療法は、以下の通りです 痛み止めの服用やリハビリなどの保存療法 損傷した組織に幹細胞を投与する再生医療 保存療法は、大腿骨頭壊死が早期に発見された場合に用いられます。一方、再生医療は、大腿骨頭壊死の症状が進行しても受けられる可能性があるため、再生医療クリニックへご相談ください。 症状の程度やライフスタイルによって、最適な治療法は異なるので、医師に相談して自分に合った治療方法を見つけましょう。 大腿骨頭壊死に対する再生医療にはどのようなものがありますか? 大腿骨頭壊死に対する主な再生医療は、以下の2つです。 治療法 特徴 当院(リペアセルクリニック)の治療手順 幹細胞治療 様々な細胞に分化する能力を持つ幹細胞を用いた治療法 患者様から採取した幹細胞を注射で投与する PRP療法 成長因子を含む血小板を用いた治療法 患者様自身の血液から血小板を多く含む血漿を抽出し、患部に注射する 再生医療は、手術に抵抗がある方や回復を早めたい方にとって新たな治療の選択肢となります。どちらの治療が適しているかは症状や年齢などによって異なるため、専門医にご相談ください。
2023.10.12 -
- 幹細胞治療
- PRP治療
- 肘関節
- 再生治療
テニス肘の痛みは日常生活に影響を与えやすく、長期間にわたって悩まされるケースも少なくありません。 テニス肘の治療法は保存療法・手術療法、そして近年は「再生医療」が選択肢のひとつになっています。 再生医療は、保存療法で改善が見られず、手術は避けたいという方の選択肢となる、患者様自身の細胞を活用する新しい治療法です。 本記事では、テニス肘に対して再生医療を選択する上で知っておきたい、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。 テニス肘の治療を検討している方は、参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を行っています。ぜひ登録いただき、ご確認ください。 テニス肘の治療の新しい選択肢「再生医療」とは テニス肘の治療では、保存療法や手術に加え、「再生医療」が新たな選択肢となっています。 再生医療の代表的な方法としては、「幹細胞治療」と「PRP療法」があります。 いずれも、注射や点滴を通じて症状のある部位にアプローチする治療法で、入院や手術を必要とせず、日帰りでの施術が可能です。 以下では、幹細胞治療とPRP療法それぞれの特徴について、詳しく解説します。 細胞の力を利用する幹細胞治療 幹細胞治療とは、患者様自身から採取した幹細胞を用いる再生医療のひとつです。 幹細胞が、さまざまな種類の細胞に変化する「分化能」という能力を活かします。 再生医療は皮膚や筋膜の表面ではなく、関節内や腱付着部などへ静脈点滴または局所注入によってアプローチします。 脂肪由来の幹細胞治療を行う当院「リペアセルクリニック」での治療の流れは以下のとおりです。 1. 初診・問診・血液検査で適合確認 2.局所麻酔下で脂肪の採取(米粒2~3粒ほどの量) 3.細胞培養・加工 4.投与(静脈点滴または局所注入) 5.定期的な経過観察 投与自体は日帰りで対応可能です。 ただし、当院では冷凍保存しない幹細胞を使用しているため、細胞を培養し、投与できる状態にするまで約1カ月を要します。通院頻度は治療内容により異なりますが、およそ月1回程度のペースとなります。 また、幹細胞治療は痛みや組織の損傷が重度である場合に適用されるケースが多く、治療の適応については医師による慎重な判断が求められます。 テニス肘に対するPRP療法の原理 PRP療法とは、患者様自身の血液から血小板を高濃度に抽出し、患部に注射する再生医療のひとつです。 血小板は、ケガをしたときに出血を止めるとともに「成長因子」という物質を放出して組織の修復プロセスを促進します。 PRP療法を行っている当院「リペアセルクリニック」での治療は、以下の手順で進められます。 1.採血 2.採血した血液を遠心分離し、血漿成分を抽出 3.高濃度の血漿成分を患部へ注射 PRP療法は注射によって行われ、入院や手術を必要とせず、施術時間も比較的短いのが特徴です。 また、軽度な症状に対して適応になるケースが多い傾向があります。 テニス肘で再生医療を選ぶメリット 再生医療は、肘の腱・靱帯などに負担がかかるテニス肘に対する、身体への負担が少ない治療法として選択肢になっています。 では、どのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。 身体への負担が少ない 再生医療は、身体にかかる負担を抑えられる点がメリットのひとつです。 手術では皮膚を切開し、場合によっては腱や靱帯の再接合・固定、人工物の挿入などを伴うケースがあります。 一方で、再生医療は注射または点滴で細胞や血液成分を投与するため、全身麻酔や長時間の手術を必要とせず、治療当日の身体的な負担を少なくできるのが特徴です。 とくに、早期の職場復帰やスポーツ活動の継続を望む方にとって、有力な選択肢のひとつになっています。 アレルギー反応や合併症のリスクが少ない 再生医療は、患者様本人の細胞を利用するため、免疫拒絶・アレルギー反応が起こるリスクが低い治療法です。 他人の組織を移植する場合と異なり、自己の細胞を使用することで、身体が異物として認識する可能性が極めて低くなります。 また、針を使った注射や点滴が中心で、大きな切開を伴わないため、術中・術後の出血や感染症などのリスクも抑えられます。 入院する必要がない 再生医療では入院を必要とせず、日帰りで治療ができる点も大きなメリットです。 手術を必要とする治療では、術前検査・麻酔・術後管理・痛みや腫れのケア・退院までのフォローが必要です。 一方、再生医療では脂肪採取・血液採取・細胞処理・注入という工程を、比較的短時間で済ませられます。 日帰りまたは短時間の通院で対応できることから、日常生活への影響を抑えられるのです。 仕事や日常生活への影響を心配せずに治療をスタートできるという点は、ライフスタイルを重視する方にとって有力な選択肢となります。 治療後の日常生活への影響が少ない 再生医療を用いたテニス肘の治療では、治療後に日常生活や軽度な動作への制限が手術ほど大きくない点もメリットです。 手術をした場合には、術後の固定・制限・リハビリテーションが長期間に及ぶことがあります。 注射や点滴で治療する再生医療では、治療直後から比較的早期に通常の生活に戻ることが可能です。 また、採取や注入する際のダメージも少ないため、術後の腫れ・痛み・回復期間も短く済みます。 趣味のスポーツや家事・仕事を継続しながら、これまでどおりに過ごしたいというニーズに応えられる治療法なのです。 テニス肘で再生医療を選ぶデメリット 再生医療に限らず、どのような治療にも留意すべき点があります。 ここでは、テニス肘に対して再生医療を検討する際に知っておきたい、主なデメリットについて見ていきましょう。 すべての人に効果があるとは限らない 再生医療の治療を受けたすべての人に明確な改善が現れるとは限りません。 症状の進行度や炎症の範囲、既存の腱や靱帯の損傷状態、年齢や基礎疾患の有無などが治療の影響に関わります。 さらに、再生医療は個々の細胞の状態に依存するため、冷凍しておらず質の良い細胞などでなければ、期待される組織修復のプロセスが十分に働かないケースもあります。 したがって、医師による詳細な診察や検査をもとに、適応や治療目的を慎重に確認することが大切です。 施術できるクリニックが限られる 再生医療は、専門的な知識と技術、厚生労働省への届出が必要とされる高度な医療行為です。 一般的な整形外科や接骨院などでは取り扱っていないケースが多く、施術を受けられる医療機関は限られています。 とくに、自己脂肪由来の幹細胞治療は、脂肪の採取・細胞の培養・加工・管理など、厳密な手続きと設備が求められるため、実施できるクリニックはごく一部なのです。 また、医療機関によって対応できる症状や、治療法の内容が異なる場合もあります。 治療を受けられないケースがある 再生医療は、すべての患者に適用できるわけではありません。 たとえば、すでに肘の関節に人工関節を挿入している場合には適用不可となっています。 また、以下のケースも安全性の観点から治療が見送られる場合があります。 重度の全身疾患がある方 感染症の有無が確認された方 妊娠中や授乳中の方 自己免疫疾患のある方 ただし、適応については医療機関ごとに異なる基準が設けられているため、事前に治療の可否や制限事項を確認しましょう。 再生医療が適応となる主な症状|テニス肘・ゴルフ肘について 再生医療では、おもに以下の症状が適応となります。 半月板損傷:膝の関節内にある軟骨組織が切れたり、裂けたりする状態 膝靭帯損傷:膝を安定させる靭帯が伸びたり、部分的に切れたりして不安定になるケガ 肘内側上顆炎(ゴルフ肘):肘の内側に痛みが出る、繰り返しの動作で起こる炎症 肘外側上顆炎(テニス肘):肘の外側に痛みが出る、前腕の使い過ぎによる障害 手首の靭帯損傷:手首の靭帯が伸びるなど部分的に断裂し、痛みや不安定感が生じる状態 TFCC損傷:手首の小指側にある軟骨や靭帯が損傷し、回す動作で痛みが出る状態 足底腱膜炎:かかとの骨から足の裏にかけての腱に炎症が起き、歩くと痛みが出る症状 肩腱板損傷:肩を動かす筋肉や腱が損傷し、腕を上げにくくなったり痛みが出る状態 膝蓋腱炎(ジャンパー膝):膝の皿の下の腱に炎症が起き、跳んだり走ったりで痛む症状 オスグッド・シュラッター病:成長期に膝の下が出っ張って痛くなるスポーツ障害です。 肉離れ(筋断裂):筋肉が強く伸ばされた際に、部分的に切れて痛みや腫れが起こる症状 アキレス腱炎:かかとの上あたりのアキレス腱に炎症が起こり、歩行や運動時に痛む症状 足首靭帯損傷:足首の捻挫によって靭帯が損傷し、腫れや不安定感が生じる状態 腱鞘炎:指や手首を使いすぎることで腱の通り道に炎症が起き、動かすと痛む状態 以下では、テニス肘とゴルフ肘について詳しく解説します。 テニス肘(上腕骨外側上顆炎) テニス肘は、前腕の伸筋群に繰り返しの負荷がかかることで、肘の外側にある腱の付着部に炎症や微細な損傷が生じる疾患です。 とくに、テニスのバックハンド動作で痛みが出やすいため、通称として広くテニス肘と呼ばれています。 実際には、タオルを絞る・ペットボトルのフタを開けるといった動作やパソコン操作、調理など、スポーツに限らず日常のシーンで痛みが現れるのが特徴です。 発症は、加齢による腱の変性が見られる中高年層に多く、悪化すると安静時にも痛みが続く場合があります。 軽度であれば保存療法が中心ですが、長期にわたって痛みが続く場合には、再生医療も治療の選択肢のひとつです。 ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎) ゴルフ肘は、肘の内側に痛みが出る疾患です。 ゴルフのスイング動作で痛むため「ゴルフ肘」と呼ばれていますが、実際にはスポーツに限らず、手首を内側に曲げる・物を握る・ロープを引く・ドアノブをひねるといった動作でも痛みが誘発されます。 肘の上腕骨内側の骨の出っ張り「上顆(じょうか)」に繰り返しの負荷がかかり、腱に微細な損傷や炎症が起こるのが原因です。 主に、手作業を行う職業やスポーツ選手、家事を担う方にも多く見られる障害であり、放置すると慢性化するケースもあります。 保存療法で改善しない場合には、再生医療の適応が検討されます。 まとめ|再生医療でテニス肘の痛みを治療しよう テニス肘は、日常の動作やスポーツの繰り返しによって肘の腱に負担がかかり、痛みを生じる疾患です。 保存療法などで改善が見られない場合、再生医療が選択肢になります。 再生医療は身体への負担を軽減し、手術を避けたい方や日常生活への影響をできるだけ抑えたい方の治療法のひとつです。 テニス肘は、早期の対応が痛みの悪化や長期化を防ぐ鍵になります。 医師と相談しながら、自分の症状に合った治療法を見つけていきましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、テニス肘の治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。 肘の痛みでお悩みなら、ぜひご登録ください。
2023.03.20 -
- PRP治療
- 幹細胞治療
- ひざ関節
- 再生治療
階段の上り下りや立ち仕事で痛みが増すなどの症状にお悩みの方は多いのではないでしょうか。変形性膝関節症や半月板損傷などによる膝の痛みに対しては、再生医療も選択肢のひとつです。 この記事では、再生医療の内容や検討のポイントなどについてわかりやすく解説します。 膝の痛みに関して症状や治療法の情報を集めている方や、手術以外の治療法を検討したい方は参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。膝の痛みや関節の不調でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 膝の痛みに再生医療という選択肢 膝の痛みに対する再生医療には、主に以下の治療法があります。 症状やケースによって使い分けたり併用したりします。 治療名 幹細胞治療 PRP治療 特徴 幹細胞がもつ分化能(他の細胞に変化する能力)を活用した治療 血液中の血小板に含まれる成長因子と呼ばれる成分の働きを活かす 治療方法 自身の脂肪を採取して培養し、注射にて投与 自身の血液を採取して血小板を抽出し、注射にて投与 入院の有無 不要(外来・日帰り) 細胞の培養に約1カ月かかるため、脂肪採取と投与で複数回の通院が必要 不要(外来・日帰り) それぞれの治療について詳しく見ていきましょう。 幹細胞治療 幹細胞治療は、幹細胞がもつ分化能と呼ばれる能力を活かした治療法です。分化能とは軟骨や骨、靭帯などさまざまな細胞に変化できる能力を指します。 幹細胞治療の対象となる主な膝の疾患は、変形性膝関節症・半月板損傷・骨壊死・靭帯損傷などです。 当院「リペアセルクリニック」の幹細胞治療では、患者様の脂肪を採取し専門施設で約1カ月かけて細胞を培養した後、注射で膝関節内へ投与します。手術や入院は必要なく、日帰りでの治療が可能です。 入院や手術を避けたい方や、症状の進行が気になる方にとって、幹細胞治療は一つの選択肢となります。 PRP治療 PRP(多血小板血漿)治療は、血液中の血小板に含まれる成長因子と呼ばれる成分の働きを活かした再生医療です。成長因子には炎症を抑える働きがあります。 膝の痛みでPRP治療の対象となる主な膝の疾患は、変形性膝関節症・半月板損傷・靭帯損傷・関節リウマチなどです。 当院「リペアセルクリニック」では患者様の血液を少量採取し、血小板を濃縮した液体を作製、膝関節内に注射で投与します。 採取から投与までの所要時間は最短30分で、入院や手術は必要なく日帰りでの施術が可能です。 また、症状によっては幹細胞治療とPRP治療を組み合わせる場合もあります。 膝の痛みでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。患者様一人ひとりに合わせて治療方針を提案いたします。 膝の痛みで再生医療を検討すべきケース 膝の痛みで再生医療を検討すべきケースは、以下の通りです。 膝の痛みがあり、日常生活や趣味に支障を感じている 手術は避けたいけれど症状の進行を予防したい ヒアルロン酸注射の効果が3日ほどで薄れる 人工関節や関節鏡、骨切りなどの手術を勧められた 入院や手術に抵抗がある 上記のような方は、体が本来もつ回復力を活かすアプローチとして、再生医療もご検討ください。 再生医療の注意点 膝の痛みに対する再生医療の主な注意点は、以下の通りです。 注射部位の症状:痛みや腫れが出る場合がある 適応の制限:感染症を持つ方や重度の糖尿病の方、悪性腫瘍のある方は治療を受けられない場合がある 再発防止の工夫:体重管理・筋力強化・正しい姿勢・膝に負担の少ない靴の使用など日常生活での工夫が必要 再生医療には注意点や制限があります。一方で、患者様自身の細胞や血液を用いるためアレルギー反応のリスクが低いこと、入院や手術を必要としないことが特徴です。 膝の痛みや生活スタイルに応じて、医師と相談しながら治療を検討しましょう。 再生医療が適用される膝のケガ・疾患 再生医療の対象となる膝のケガや疾患には、主に次のようなものがあります。 変形性膝関節症 半月板損傷 膝靭帯損傷 関節リウマチ 膝の痛みがどの疾患によるものかを知り、自分に合った治療法を考えましょう。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、膝の関節軟骨がすり減ることで関節の動きが悪くなり、炎症や痛みが生じる疾患です。 原因は加齢や体重増加、関節の使い過ぎなどが主で、以前の膝のケガが関係する場合もあります。(文献1) 初期の症状は、歩き始めや立ち上がりの際に膝が痛んだり、スムーズに動きにくくなったりするのが一般的です。進行すると安静時にも痛みを感じるようになり、階段の昇り降りや長時間歩行が困難になる場合があります。 変形性膝関節症に対しての再生医療では、主に幹細胞治療やPRP治療を用います。 変形性膝関節症の原因や症状など詳細は、以下の記事で解説しているので参考にしてください。 変形性膝関節症に対する当院「リペアセルクリニック」の再生医療については、以下の症例をご覧ください。 半月板損傷 半月板損傷は、膝関節の中にある半月板が傷つくことで、膝の衝撃を吸収したり安定させたりする力が弱くなる状態を指します。 サッカーやバスケットボールなどでの急な方向転換・ジャンプ後の着地・交通事故などの外傷・加齢・膝の酷使などが主な原因です。 代表的な症状は、以下の通りです。 膝の痛み 曲げ伸ばしの引っかかり感 膝に水がたまる 重度の場合は膝が動かなくなるロッキング現象が生じる (文献2) 半月板損傷の再生医療では、幹細胞治療やPRP治療といった選択肢があります。 以下の記事では、半月板損傷の原因や症状について解説しているので参考にしてください。 半月板損傷に対する当院「リペアセルクリニック」の再生医療については、以下の症例をご覧ください。 膝靭帯損傷 膝靭帯損傷は、膝関節を安定させるための靭帯が伸びたり、部分的・完全に断裂してしまったりするケガです。 損傷しやすい膝の靭帯は、主に以下の2つです。 前十字靭帯:ジャンプの着地や急停止の際に損傷しやすい 後十字靭帯:ダッシュボードに膝を打ち付けた際の衝撃、サッカーやスキーなどで損傷しやすい (文献3)(文献4) 膝靭帯損傷の主な症状は、以下の通りです。 膝に力が入らない 歩いている際に急に膝が折れる 関節内に少量の血が溜まる 膝裏の痛み 膝を曲げると痛む 膝靭帯損傷の再生医療では、幹細胞治療やPRP治療が選択肢として挙げられます。早期のスポーツ復帰を目指す方や、長引く痛みにお悩みの方はご検討ください。 以下の記事では、膝靭帯損傷について詳しく解説しているので参考にしてください。 【関連記事】 前十字靭帯断裂の全治までの期間は?歩けるまでの期間や入院・リハビリ期間も医師が解説 後十字靭帯損傷(断裂)の症状と治療法について現役医師が詳しく解説 関節リウマチ 関節リウマチは、免疫システムが誤って自分の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。関節を包む滑膜に炎症が起こり、関節の腫れや痛みを引き起こします。 主な症状は、以下の通りです。 手や足の小さな関節に腫れや痛みが見られる 朝に関節が硬くて動かしにくい 倦怠感 肩や股関節などの大きな関節にも炎症や変形が及ぶ (文献5) 関節リウマチを放置して炎症が続くと、関節の変形や機能低下によって、日常生活に支障をきたす恐れがあります。 関節リウマチの治療に対しては、幹細胞治療やPRP治療という選択肢もあります。 以下の記事では、関節リウマチについて解説しているので参考にしてください。 関節リウマチに対する当院「リペアセルクリニック」の再生医療については、以下の症例をご覧ください。 まとめ|膝の再生医療を理解して、自分に合う治療を考えよう 膝の再生医療は、変形性膝関節症や半月板・靭帯損傷などに対して検討できる選択肢のひとつです。 幹細胞治療では、他の細胞に変化する分化能と呼ばれる幹細胞の能力を活かした治療です。患者様自身から採取した脂肪から幹細胞を培養し、注射によって膝関節内に届けます。 PRP治療は血小板に含まれる成長因子の働きで関節の炎症を抑えるサポートを行います。 幹細胞治療、PRP治療共に入院や手術は不要で日帰りで受けられるため、ライフスタイルに合わせて検討できる治療です。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療を詳しく紹介しており、簡易オンライン診断も受けられます。再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひご登録ください。 参考文献 (文献1) 変形性膝関節症診療ガイドライン2023|日本整形外科学会 (文献2) 日本整形外科スポーツ医学会 スポーツ損傷シリーズ|半月板損傷 (文献3) 前十字靱帯(ACL)損傷診療ガイドライン2019 |日本整形外科学会 (文献4) 後十字靱帯膝損傷|米国国立生物工学情報センター (文献5) 関節リウマチの概要と病気の科学的理解|PubMed
2022.05.12 -
- 脊髄損傷
- 幹細胞治療
- 脊椎
- 再生治療
脊髄損傷は、手足の運動や感覚が麻痺するなど、日常生活に大きな影響が出やすい疾患です。(文献1)外傷・病気など原因は多岐にわたり、脊髄を損傷した位置(損傷高位またはレベル)によって、症状の出る範囲も異なります。 しかし、リハビリテーションにより回復が見込める場合もあるほか、近年では再生医療も選択できるようになってきました。 この記事では、脊髄損傷の症状や回復の可能性について、詳しく解説します。 また、治療方法や再生医療の手法についても紹介するので、脊髄損傷の治療にお悩みの方は参考にしてください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脊髄損傷が治るかは原因・症状の重さ・損傷位置(高位)が関係する 脊髄損傷の原因は、以下のように多様です。 交通事故をはじめとする外的要因により、突然脊髄を損傷する場合があります。また、脊髄や脊椎になんらかの異常(内的要因)が出ると脊髄損傷に発展することもあります。 分類 原因項目 説明 外的要因 交通事故 車・バイク・自転車などの衝突や転倒 転落 高所や階段からの落下 転倒 浴室での転倒や高齢者の転倒事故 スポーツ外傷 ラグビー、スキー、ダイビングなどによる強い衝撃 労働災害 高所作業や重量物の落下などによる事故 暴力行為 殴打・刺傷・銃創など 外科手術中の損傷 脊椎手術や麻酔中の医療事故による損傷 内的要因 椎間板ヘルニア 椎間板が突出して脊髄を圧迫 骨粗鬆症による圧迫骨折 高齢者に多い、骨の脆弱化による脊椎の圧迫骨折 脊髄梗塞 血流障害による脊髄の機能低下・壊死 脊髄出血 脊髄や周囲での出血による脊髄の圧迫 感染症 髄膜炎、脊椎炎などが脊髄に影響 変性疾患 多発性硬化症、ALSなど神経系の進行性疾患 自己免疫疾患 横断性脊髄炎など、免疫異常による神経炎症 腫瘍 脊髄や脊椎にできた腫瘍が神経を圧迫 先天性疾患 二分脊椎、キアリ奇形など、先天的な構造異常 脊髄損傷の症状は、完全麻痺と不全麻痺に分けられます。また、脊髄損傷では、一般的に損傷部位が脳に近い(損傷高位が高い)ほど症状の範囲も広くなります。損傷高位(レベル)別の主な症状は以下のとおりです。(文献2) ※損傷高位:損傷の位置 損傷高位 主な症状 頸椎(C1~C7) ・全身麻痺や呼吸困難(C1~C4) ・手指の一部が動く(C5~C7) 胸椎(T1~T12) 下半身麻痺、体幹のバランス低下、排尿排便障害 腰椎(L1~L5) 歩行困難、膀胱直腸障害、感覚障害 仙椎(S1~S5) 軽度の感覚障害や排尿排便の調整機能低下 軽度の感覚障害や排尿排便の調整機能低下 脊髄損傷が軽度(不完全損傷)の場合は、治療次第で回復が見込めます。 不完全損傷とは、脊髄の一部が損傷した状態です。損傷部位より遠い位置にもなんらかの運動機能や感覚が残っている不全麻痺の症状が現れます。 どの機能にどの症状が残るかは、損傷のタイプによって以下のように異なります。(文献2) 不完全損傷の分類 症状の傾向 中心性脊髄損傷 上肢の麻痺が強く、下肢の影響が少ない Brown Sequard(ブラウン セカール)症候群 片側の運動麻痺+反対側の痛覚・温度覚消失 前脊髄症候群 運動機能と痛覚・温度覚が失われるが、触覚は保たれる 後脊髄症候群 触覚・振動覚・位置覚が失われるが、運動機能は比較的保たれる 腰に近い胸椎(T11)から下の不完全損傷であれば、訓練により歩けるまでに回復する可能性があります。 足の動きをサポートする装具をつけ、杖も使っての歩行となる場合が多いです。 重度の損傷(完全損傷)の場合は治らないことが多い 脊髄の損傷が重度(完全損傷)の場合は、完治しないことが多いです。 完全損傷は、脊髄の機能が完全に絶たれてしまった状態です。脳からの指令が届かないため、損傷部位から下は完全麻痺となり動かなくなります。また、麻痺した部分は感覚もなくなります。 頚髄の高い位置での完全損傷ならば、四肢がまったく動かず全介助となるでしょう。頸髄の低い位置や胸髄の場合は、レベルに応じて上半身は動かせるため、下半身不随の状態となります。 完全損傷は通常、完治が期待できません。ただし、受傷直後に完全麻痺がみられても、数日から数か月で徐々に回復してくることがあります。 この場合は脊髄ショック(脊髄が損傷された直後に起こる、一時的な反射機能の低下または消失)を起こしていたと考えられ、完全損傷とは異なるため、慎重に経過をみるのが大切です。 【時期別】脊髄損傷の治療法 脊髄損傷は、急性期・慢性期の時期によって適切な治療法が異なります。 脊髄損傷の急性期には脊椎の固定や生命維持を優先する、慢性期には症状の程度・損傷部位に応じて長期的な目線で対応するのがセオリーです。 以下では急性期と慢性期に分けて、詳しい治療法を見ていきます。 急性期の治療 外傷をはじめとする急性期には、脊椎をギプスや装具で固定し、損傷が広がらないように対策します。とくに、重症化しやすい頚椎の固定は強く推奨されています。 同時に、頚髄や上部胸髄損傷により自発呼吸ができない場合は、人工呼吸器での呼吸確保が必要です。血圧が下がっていれば、輸液や昇圧剤を投与して管理します。 そして、状況に応じて頭蓋骨の牽引や手術を行い、神経を圧迫している原因を除去します。また、損傷後8時間以内のステロイド治療(メチルプレドニゾロン(MPSS)大量投与)も神経学的回復には有効とされています。(文献3) 脊髄損傷では、ベッド上での安静を余儀なくされることと神経の障害によって、以下のような合併症が現れるかもしれません。(文献4)急性期から合併症予防対策をとることも大切です。 褥瘡(床ずれ) 筋力の低下 関節可動域の低下 消化器合併症(ストレス性潰瘍、腸閉塞など) 呼吸器合併症(痰の詰まり、肺炎など) 尿路感染症 循環器合併症(徐脈、起立性低血圧、深部静脈血栓症など) 慢性期の治療 急性期の症状が落ち着いてきたら、本格的にリハビリテーションを始めます。また、引き続き治療が必要な部分は治療していきます。 以下の項目ごとに確認していきましょう。 リハビリテーション ビタミン剤の投与(栄養補給) 抗生物質の投与 放射線治療 外科手術 リハビリテーション 残った機能を活かして日常生活を送れるように、腰を据えてリハビリテーションを実施します。脊髄損傷の場合は、以下のメニューがよく行われます。(文献5,6) 種類 アプローチ箇所 可動域訓練 全身 筋力トレーニング 上肢・下肢 歩行訓練 下肢 電気刺激 全身(指先への細やかなアプローチも可能) 可動域訓練とは、関節と筋肉の柔軟性を維持するための訓練です。関節が固まるのを防ぐため、受傷後早期から始めます。 筋力トレーニングは、残存した身体機能を最大限活用するために欠かせません。歩行訓練は、全身の機能向上にも有用です。 電気刺激は、麻痺した筋肉を電気で動かすことで機能回復を目指す方法です。脳からの指令を代替し、神経信号の回復を促します。(文献6) ビタミン剤の投与(栄養補給) ビタミンB12が不足すると、神経の機能が低下します。末梢神経障害が有名で、手足のしびれや歩行障害が現れます。(文献7) けがもしていないのに脊髄損傷の症状が現れたときには、ビタミンB12の不足が背景にあるかもしれません。極端に偏食の方、胃切除の手術を受けた方に不足しやすい傾向があります。 必要に応じて、ビタミン剤を投与して補給を行います。 抗生物質の投与 脊椎に感染が起きている場合は、抗生物質を投与して治療します。血流にのって菌が感染するケースがほとんどで、抵抗力が落ちている方が感染しやすいです。 急激に高熱と激しい痛みが出る場合も、症状がはっきりしない場合もあり、個人差が大きいです。 いずれにしても脊椎への感染が疑われれば、抗生物質の投与を開始します。同時に血液培養を行い、細菌を特定できたら、適した抗生物質に切り替えます。 放射線治療 がんが脊椎や脊椎の内部に転移し、脊髄を圧迫して脊髄損傷の症状が出ることがあります。この場合、手術は難しいケースが多く、放射線治療が適応されやすいです。 治療のタイミングとしては、発症後なるべく48時間以内、あるいは72時間以内に行うべきといわれています。ただし、これ以降でも症状が改善するケースもあるため、治療を試みる価値はあるでしょう。(文献8) 外科手術 脊髄損傷の手術には、脊椎を固定する手術や、脊髄の圧迫を取り除く手術があります。 急性期のうちに固定や除圧を図るべきケースも多い一方、急いで手術をしなくても回復が見込めるケースもあり、全身状態が落ち着いてから手術を検討する場合は珍しくありません。 椎間板ヘルニアや腫瘍、血腫によって脊髄が圧迫されている場合は、必要に応じて取り除く手術を行います。また、細菌感染の場合も、感染巣を取り除く手術や、脊椎を固定する手術が必要となることがあります。 脊髄損傷の治療を進めても後遺症が出ることはある 脊髄損傷の治療を行っても、残念ながら後遺症が出ることは少なくありません。損傷の程度や損傷高位をはじめ、さまざまな要因が予後に関係します。 代表的な後遺症は、四肢の麻痺やしびれです。歩く、ベッドから車いすに移る、寝返りをするといった基本的な動作に支障をきたし、日常生活に大きく影響します。 触った感覚や痛みの感覚、温度感覚といった感覚の障害も生活に影響します。たとえば痛みの感覚が消失すると、けがに気づかないほか、胃潰瘍などの内臓の痛みにも気づけません。 排尿や排便の制御困難(膀胱直腸障害)や、体温・血圧の調節機能の低下といった自律神経障害もよくある後遺症です。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脊髄損傷(後遺症)の治療法として再生医療も選択肢の一つ https://youtu.be/5HxbCexwwbE?si=-RirI6xZVAHG5H6s 脊髄損傷の一般的な治療では、手術により神経を圧迫している要因を取り除いたあと、リハビリテーションで社会復帰を目指します。 しかし、手足の麻痺や感覚が戻るかどうかは個人差があり、寝たきりや車椅子での生活を余儀なくされるケースも少なくありません。 ただ、近年では脊髄損傷や、その後遺症に対する治療法として、再生医療が登場しました。再生医療とは、体内の幹細胞が持つさまざまな組織に分化(変化)する特徴を活かした治療です。 脊髄損傷の場合は、骨髄由来の幹細胞か脂肪由来の幹細胞が使われます。脂肪由来幹細胞は、骨髄由来幹細胞よりも採取・培養しやすく、感染リスクを抑えて多くの細胞を投与できるのが利点です。 脊髄損傷の治療法として再生医療へご興味のある方は、リペアセルクリニックまでお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 幹細胞を投与する方法として2種類挙げられる 投与方法 メリット デメリット 点滴 特殊な技術なく実施できる 脊髄に到達する細胞が少ない 硬膜内注射 損傷部位に直接幹細胞を届けられる 実施できる医療機関が限られる 脊髄損傷への幹細胞の投与方法は、点滴と硬膜内注射の2種類です。 点滴では、血管へ幹細胞を投与し、血流を介して脊髄へ届けます。硬膜内注射とは、腰あたりから脊椎へ針を刺し、脊髄のある硬膜内に直接投与する方法です。両者を掛け合わせて効果を高める場合もあります。 点滴では脊髄に到達する幹細胞数が少なくなりやすいです。一方で、損傷部位へ直接投与する方法では、幹細胞の数をほとんど減らさず患部へ届けられるため、点滴と比べて神経の再生力が高いです。 ただし、硬膜内へ直接投与する方法は国内でも限られた医療機関でしか行われていません。硬膜内注射を検討される場合、受診予定の医療機関へ問い合わせてみましょう。 まとめ|脊髄損傷の治療で再生医療をご検討の際は当院へご相談ください 脊髄損傷は、大きな事故や転落だけでなく、平坦な道で転んでも発症する疾患です。脳と体をつなぐ脊髄が損傷すると、手足を動かせなくなったり感覚がなくなったりと、これまで通りの生活を送れなくなる場合があります。 脊髄を損傷した直後の治療法としては、脊椎を固定し安静にするほか、手術で脊髄の圧迫を取り除くのが一般的です。また、慢性期にはリハビリテーション、ビタミン剤・抗生物質の投与、外科手術など症状に合わせて処置を施します。 近年では、脊髄損傷や後遺症の治療法として、再生医療も登場しました。脊髄損傷において、リハビリテーションでの回復についても大きな可能性が広がる治療として、再生医療は注目されています。 当院リペアセルクリニックでも再生医療を提供しておりますので、ご興味がある方は気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ また、再生医療については下記のサイトでも発信しておりますので、合わせてご確認ください。 再生医療とは?実例やメリット・デメリット、研究ができる大学の学部も紹介 参考文献 (文献1) 公益社団法人 日本整形外科学会「脊髄損傷」日本整形外科学会ホームページ https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spinal_cord_injury.html(最終アクセス:2025年4月18日) (文献2) 一般社団法人 日本脊髄外科学会「脊髄損傷」日本脊髄外科学会ホームページ https://www.neurospine.jp/original62.html(最終アクセス:2025年4月18日) (文献3) 横田 裕行ほか.「急性期脊髄損傷におけるメチルプレドニゾロン大量療法の臨床的意義」『日救急医会誌』 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaam1990/6/4/6_4_349/_pdf (最終アクセス:2025年4月28日) (文献4) 独立行政法人 労働者健康安全機構「脊髄損傷とは」労災疾病等医学研究普及サイト https://www.research.johas.go.jp/sekizui/(最終アクセス:2025年4月18日) (文献5) 田島文博ほか.「脊髄損傷者に対するリハビリテーション」『脊髄外科』30(1), pp.58-67, 2016年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/30/1/30_58/_pdf(最終アクセス:2025年4月18日) (文献6) 松永俊樹ほか.「脊髄損傷患者に対する最新のリハビリテーション治療―機能的電気刺激(functional electrical stimulation:FES)『Jpn J Rehabil Med』56(7), pp.555-559, 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/7/56_56.555/_pdf(最終アクセス:2025年4月18日) (文献7) 畑中裕己.「ビタミンB12欠乏性神経障害」『臨床神経生理学』45(6), pp.532-540, 2017年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscn/45/6/45_532/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年4月18日) (文献8) 笹井啓資.「緩和ケアにおける放射線治療」『順天堂医学』57(6), pp.582-587, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjmj/57/6/57_582/_pdf(最終アクセス:2025年4月18日)
2022.03.02 -
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変形性膝関節症|最新治療!手術をしない再生医療(幹細胞治療)の実力 変形性膝関節の痛みに悩まされてきた方は多いのではないでしょうか? 変形性膝関節症は、関節軟骨や半月板の損傷から、膝に痛みや変形がみられる疾患です。その治療法は、運動療法に取り組みながらも、痛みに対しては、薬を服用したり、膝にヒアルロン酸注射をしたりし悪化を防ぎます。 これまでの治療方法としては、運動療法や、薬物療法があり、効果がみられない場合には、「手術という選択肢」が一般的でした。では、一方で「手術はしたくない」「手術が受けられない」方は、どうすれば良いのでしょうか?!この場合、「痛みと付き合っていくしかない」のが現状なのです。 しかし近年、保存療法では効果が感じられず、観血療法(手術)ができない場合でも受けられる治療法に、「再生医療による治療」が確立されたのでご紹介してまいりましょう。 症状が進行した場合 ▶ 従来の医療 最新の医療 手術ができない、受けられない 手術以外の選択肢に乏しい 様子を見る 痛みがあるなら付き合っていくしかない 再生医療(幹細胞治療) 手術をしない 入院不要 手術は嫌だ、避けたい 再生医療|幹細胞治療とは? 人は怪我をして傷ついたとしても、多少の傷なら自然に治り回復します。つまり、修復力を持っているということで、これは人間が本来備えている自然治癒力です。これを活かした治療法が「再生医療」といわれる新たな医療分野なのです。 この再生医療の一種、「自己脂肪由来・幹細胞治療」では、患者様の体から採取した幹細胞を培養後、数万から数億にも増やしたもの(幹細胞)を膝に注射することで、傷んだ軟骨や細胞を自然に修復・再生させる効果を見込むものです。 https://youtu.be/2GCVH-Jw5Ps?si=4kHgIjsG3cFqNsO7 再生医療における幹細胞治療とは 幹細胞とは、人間の骨髄や皮下脂肪にある細胞で、皮膚や骨・軟骨・血管などの、いろんな細胞に性質を変える特徴(分化能)があります。幹細胞治療では、幹細胞の分化能を利用して、傷んだ軟骨や、そのほか組織の修復・再生が期待できる最新の治療法です。 幹細胞は普段は活動的ではありませんが、体が傷つくと、損傷した細胞の代わりになるよう細胞分裂が起こり、修復・再生が行われます。変形性膝関節症の場合、幹細胞の分化能を利用し、自己修復力を高めて、磨耗した軟骨を修復させます。 軟骨が再生すると、本来備わっていた膝のクッション性がアップするほか、関節の動きが滑らかになり、膝の痛みの緩和が期待できます。 つまり、これまで運動療法や薬物療法ではできなかった軟骨の修復・再生が、自己脂肪由来幹細胞治療で可能になったのです。 幹細胞治療はどのように行われる? 変形性膝関節症に対しての自己脂肪由来幹細胞治療では、自分の体から幹細胞を採取し、培養後、幹細胞を体内に戻します。幹細胞を体内に戻す方法には、静脈注射(静脈点滴)と関節注射の2種類があります。 静脈注射は直接注射できない内臓(肝臓疾患や糖尿病など)や脳の病気に用いられ、膝や肩、股関節などには直接関節に注射する方法があります。幹細胞は骨髄や皮下脂肪に存在しますが、体への侵襲(体への負担)が少ないほか、細胞の性質が良いとされることから皮下脂肪から採取されます。 自己脂肪由来幹細胞治療の流れ 腹部(おへそ周り)に局所麻酔をします。 5mmほど皮膚を切開し脂肪を採取します。 採取する脂肪の範囲は、米粒2粒ほどの大きさです。 採取した脂肪から幹細胞だけを分離し、4〜6週間ほどかけて培養します。 増殖した幹細胞を膝に関節内注射します。 幹細胞治療は、体への侵襲が低く、自分の細胞を利用した治療法です。大きな手術と比べて感染症のリスクは低く、拒絶反応やアレルギーも起こりにくいため、安全性が高い治療法です。 膝の痛みを放置するとどうなるか? 変形性膝関節症が進行し痛みが強くなると、治療の基本となる運動療法に満足に取り組めなくなります。さらに進行すると、ちょっとした動作や安静時でも膝が痛み、その痛みをかばうことで、関節の可動域が狭まっていき、余計に痛みを感じやすくなります。 そして、どうしようもなくなったときには、体に負担となる人工関節置換術や骨切り術などの手術が選択肢にあります。手術をすると、痛みの改善は期待できますが、感染症のリスクや、正座ができなくなるなどのリスクがあります。 手術をしたくない、手術ができない場合には、痛みと付き合っていくしかありませんが、痛みが悪化すると、次第に歩行ができなくなり、筋力が低下することで車椅子生活や寝たきりでの生活になってしまう可能性が高まります。 まとめ・変形性膝関節症、最新の治療法!手術をしない再生医療の幹細胞治療という可能性 自己由来幹細胞治療は、人が持つ修復力を引き出す治療法で、これまで不可能だった軟骨の再生が期待できます。幹細胞治療では、自分の細胞を使うことから、大きな手術のような、体にかかる負担はほとんどなく、長期間に及ぶ入院期間を確保できない場合にも、日帰りで行える治療法として注目されています。 変形性膝関節症の治療の基本は、膝周囲の筋力を鍛えることで、必要に応じて変形性膝関節症と診断された初期から幹細胞治療に取り組むことで悪化を防ぐことが期待できます。 幹細胞治療にかかる費用は、保険が効かず自由診療のため、全額自己負担での治療ですが、「現在の治療で効果を感じられない」「関節鏡や人工関節などの大きな手術をすすめられたが抵抗がある」方は、保存療法と観血療法の中間に位置する最新の再生医療による治療法、「自己由来幹細胞治療」を選択肢の一つとして覚えておきましょう。 以上、変形性膝関節症の治療に幹細胞治療/再生医療という新たな選択肢!になっていることについて記させて頂きました。 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます ▼以下もご参照ください 変形性膝関節症は早期発見が大切!膝の違和感を見逃さない!
2022.01.07 -
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変形性膝関節症でヒアルロン酸、ステロイドでは不可能な軟骨を再生させる再生医療をご紹介 「変形性膝関節症」の治療でヒアルロン酸を注射をしているけど「思ったような結果が得られず困っている・・・」、「ステロイド注射は副作用が怖いと聞いたが・・・」こんなお悩みはありませんか? 変形性膝関節症の炎症や痛みに対する治療と言えば、ヒアルロン酸や、ステロイドを関節内に注射することが多々ありますが、実のところ、これらの注射は一時しのぎで根本的な治療にはなりません。 これらヒアルロン酸や、ステロイドなどの注射による治療では症状を改善させたり、症状の進行を止めることが難しく、最終的に人工関節などの手術に頼ることになりかねません。つまり、これらの治療では根本的な治療にはならないということです。 なぜなら、ヒアルロン酸注射やステロイドは、一時的に痛みを緩和することはできるのですが、痛みの根本原因となっている傷んだ軟骨を再生させる力は無いからです。 しかし、医療の発展で「再生医療」という新たな選択肢が現れました。 再生医療は、手術はもちろん、入院までもが不要という、これまでの常識を覆した最新の治療法として厚生労働省が許認可し、中でも「幹細胞治療」は、変形性膝関節症で軟骨を再生する可能性を持った治療法として非常に期待が持てます。 従来のヒアルロン酸、ステロイドでの治療:その場しのぎで、根本治療にはならない 再生医療(幹細胞治療):変形性膝関節症の根本治療!軟骨を再生させる症例が多数報告されている 安心安全:手術が不要、あなた自身の幹細胞を使う、入院も不要の最新医療 そこで今回は、再生医療の中でも「幹細胞」を培養して注射で投与でき、軟骨を再生させる!「変形性膝関節症の最新治療法」をご紹介します。 まずは、これまで変形性膝関節症の治療に使われてきた、「ヒアルロン酸注射」、「ステロイド注射」をについてご説明し、最新の再生医療での治療法である再生医療、中でも「PRP療法」「自己脂肪由来・幹細胞治療」をご紹介してまいりましょう。合わせて以下の動画もご参照ください https://youtu.be/2GCVH-Jw5Ps?si=ZEHWq8a2WU2MxWZX 従来の治療法①|膝関節へのヒアルロン酸注射について さて、膝関節へのヒアルロン酸や、ステロイドの注射は、関節の潤滑性を高めたり、炎症や痛みを抑える目的で使われるものです。関節内にある関節液は、関節軟骨を保護し、膝の動きを滑らかにサポートする潤滑油の役割を果たしています。 そんな関節液の潤滑成分としてヒアルロン酸が含まれていることから、変形性関節症で枯渇したサラサラの関節液に対して、ヒアルロン酸を関節内へ注射することで潤滑性を高めることで膝の動きをサポートさせます。 今、まさに治療を行われている方なら、お分かりかもしれませんが慣れてくると注射後2〜3日、中には1日ほどで、また痛みに悩まされることも少なくないのです。 ヒアルロン酸注射の頻度・回数は、ヒアルロン酸に含まれる分子量により異なります。この分子量が高いほど関節内で長時間留まるとされています。ただ、実際に痛みを回避するには週に1回から、いずれは3回~注射することになりかねません。 ご注意)ヒアルロン酸を注射で痛みの原因である「軟骨が再生されることはありません」 膝に水が溜る!とは 膝に炎症が起こり、水が溜まることがあります。これを「関節水腫」といい、膝に水が溜っていたらヒアルロン酸注射の前にこの水を抜いてやる必要があります。 なぜなら膝に水が溜まった状態でヒアルロン酸注射をしたところで、溜った水によってヒアルロン酸の濃度が薄められ、効果が半減されてしまうからです。更に、溜まった関節液には、炎症を悪化させてしまうサイトカインという物質も含まれています。 また稀にヒアルロン酸にアレルギー反応を起こす場合もあるため、万人が受けられるわけでもありません。 膝への「ヒアルロン酸注射」 効果 問題 注意事項 膝軟骨を保護 膝の滑らかな動きをサポート 軟骨を再生するものではない 改善等の根本治療にはならない 効果が続かない(3日ほど) 末期になるほど効果が減る ・水が溜る「関節水腫」になる危険性 従来の治療法②|「ステロイド注射」痛みは消えるが注意が必要 痛みや炎症が強い時は、ステロイド薬を関節内へ注射します。ステロイド注射はヒアルロン酸注射と比べ、痛みを抑えるのに非常に高い効果を発揮するとの報告が多くあります。 ただし、注意しておきたいのは、ステロイド注射を多用すると副作用があること。それは骨や、軟骨の新陳代謝をステロイドが阻害したことによって起こる可能性のある「骨壊死」、関節が破壊される「ステロイド関節症」というもので注意が必要です。 注意)ステロイド注射の多用による副作用に注意 ▼「骨壊死」「ステロイド関節症」を防ぐために 最低でも6週間置いての注射とする。 できれば3ヶ月ほどは、間隔を空けるべきであること。 短期での連続した注射や長期間に及ぶ使用は避けるべき。 知識として知っていて欲しい。 繰り返しになりますがステロイド注射による痛みの改善は一過性であり、変形性膝関節症の痛みの起因となる、すり減った軟骨が元に戻るわけではありません。痛いからと、使い方を誤ると副作用という大きな危険性があります。 ここまでヒアルロン酸や、ステロイドとしった痛みを抑える目的で使われる注射を紹介しました。 次に自分の血液や細胞を使うことで「アレルギー反応が起こりにくい」「軟骨の再生を期待できる」最新の注射による治療方法を紹介します。 膝への「ステロイド注射」 効果 副作用 副作用を抑えるための注意事項 膝の意痛みを抑える 膝の炎症を抑える 骨や軟骨の新陳代謝を阻害 → 骨壊死 → 関節が破壊されるステロイド関節症 6週間置きの注射 3ヶ月間は空ける ✕ 短期での連続した使用 ✕ 長期間に及ぶ使用 膝の痛みを消すだけ、変形性膝関節症の痛みの起因となる、すり減った軟骨が元に戻るわけではない 最新|変形性膝関節症の再生医療 再生医療 PRP治療 幹細胞治療 1)PRP治療(Platelet-Rich Plasma=多血小板血漿) PRP療法とは、患者様の血液を採取し、血液中に含まれる血小板の多い血漿だけを抽出し、膝へ注射する治療法です。多血小板血漿には、組織や細胞の成長を促す成長因子が多く含まれています。 そのため、高い治癒効果が期待できる方法といえます。またヒアルロン酸と違い、自分の血液を使用することでアレルギー反応が出にくいのも特徴です。PRP療法は、近年耳にする機会が増えた「再生医療」に分類される治療法です。 まだ日本では保険が適応されない自由診療となるため、ヒアルロン酸注射やステロイド注射のように気軽に打てる金額ではない点がデメリットになります。 また再生医療を扱うには「再生医療等の安全性確保等に関する法律」に基づき、厚生労働省に届出し、受理された医療機関、専門医にしかできない治療法になっているため、近所の整形外科で簡単にできるわけではありません。 ただ、そのため、安全性が確保されている治療法とも申せます。 2)幹細胞治療 「軟骨の再生」を期待!自己脂肪由来 主に皮下脂肪にある幹細胞組織を使い、軟骨をはじめとして、さまざまな組織に再生させる機能を持つ、可能性に満ちた治療法です。 幹細胞は、軟骨や皮膚、骨などに分化(複雑なものに発展していくこと)する機能があります。体から採取した幹細胞を培養(増やす)して膝の関節内へ注射することで、傷んだ軟骨の再生を期待することができ、これまでになかった治療法になります。 幹細胞は骨髄からも採取することはできますが、より侵襲が少ない皮下脂肪から採取されるのが一般的です。それでは同じ再生医療の分野であるPRP治療と幹細胞治療とは何が、どう違うのでしょうか? PRP治療は、傷んだ組織に対して組織や、細胞の成長を促す栄養素が含まれている「多血小板血漿」を注射します。もともと血小板の役割に成長因子の分泌がありますが、「多血小板血漿」には通常の血小板と比べて3〜5倍もの成長因子があることが特徴です。 これにより、ヒアルロン酸注射にはできなかった慢性化した患部の修復や、治癒を高めることができます。その一方でPRPには幹細胞が含まれていないため、軟骨を再生することはできません。 幹細胞治療では、さまざまな組織に分化(変化)する働きをもつ幹細胞を、何千〜何百万倍にも培養し、膝に注射します。この幹細胞が集中的にすり減った軟骨に働きかけることで、これまで不可能とされてきた「軟骨を再生」させます。 そのため、注射する幹細胞の数にも注目すべきです。海外の臨床データによると幹細胞の数が多いほど治療成績が良いことがわかっているからです。 なぜなら培養せず注射する治療法をADRC(脂肪組織由来再生幹細胞治療)セルーションと言うのですが、培養を行わないため幹細胞の数自体が少ないことになるからです。 その意味で治療を受ける際は、受診するクリニックが幹細胞を培養しているか確認することは大切なことになります。PRP治療は注射で実施できることから、傷口は小さくてすみます。 自脂肪由来幹細胞治療も米粒2〜3粒ほどの脂肪を摂取するために、下腹部周辺を5ミリほど切開しますが、投与自体はPRPと同じく直接膝に注射することため、大きな傷口を作ることはありません。 日帰りで受けられるこれまでには無かった治療法です。なお自己脂肪由来幹細胞治療もPRP治療ともに自由診療で、厚生労働省によって認可された医療機関でしか行えません。 再生医療の比較 PRP治療 幹細胞治療 軟骨 再生できない 再生する アレルギー ⇒ 出にくい 治療 ⇒ 専門医、専門院に限る 種類 再生医療 まとめ・変形性膝関節症の最新治療|ヒアルロン酸、ステロイドでは不可能な軟骨を再生させる再生医療という治療方法 いかがでしたか?変形性膝関節症に対する従来の注射「ヒアルロン酸注射」と「ステロイド注射」、最新治療の注射「PRP治療」「自己脂肪由来幹細胞治療」の役割を紹介しました。 これまで変形性膝関節症に対する注射は、痛みを抑え、少しでも悪化を遅らせる目的で使用されてきたものですが、再生医療であるPRP治療・自己脂肪由来幹細胞治療により、治癒そのものを促進させ、失われた軟骨を再生させることで回復を目指す!といった今までには無かった前向きな治療法です。 変形性膝関節症の痛みで悩み、薬や注射をしたけれど「期待していた効果を感じられなかった」「できるだけ手術はしたくない」という思いがある方は、薬や注射といった薬物療法と手術の中間に位置する再生医療での治療を検討してみてはいかがでしょうか。 以上、変形性膝関節症の最新治療と題し、従来のヒアルロン酸やステロイド注射では不可能な軟骨の再生を期待できる新たな選択肢である再生医療による治療について解説させていただきました。 ご参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する 変形性膝関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下もご参考にされませんか 変形性膝関節症の治療「薬物療法の種類と悪化を防ぐ」ポイントとは
2021.10.23







