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外反母趾は足の親ゆびが小指側に曲がる症状で、親指の付け根が腫れ上がったり、痛みが出現したります。外反母趾の原因には遺伝的な足指の長さが関係していますが、足に適さない靴の着用や運動不足などの生活習慣も関係しています。しかし、外反母趾は適切に対処することで予防可能です。 では、外反母趾の予防について以下のようなお悩みはありませんか? ・どのような靴を選ぶと良いか分からない ・どのように運動やストレッチを行うと良いか分からない ・日常生活で気をつけることを知りたい この記事では外反母趾を予防するための正しい靴の選び方や簡単に行える運動・体操、日常での足への配慮について解説しています。 外反母趾になると痛みによりウォーキングやランニング、スポーツなどの趣味活動ができなくなる可能性があります。これからも楽しく痛みなく生活するためにも、外反母趾の予防を適切に行えるようになりましょう。 外反母趾を予防するための正しい靴の選び方 外反母趾を予防するためには、自分の足に適した靴を着用しなければいけません。自分の足に適した靴を着用しなければ「扁平足」や「開張足」さらには「外反母趾」になってしまう確率が高まります。 ここでは、外反母趾を予防するために以下2点について解説します。 ・靴選びのポイント ・避けるべき靴の特徴 それぞれ以下で詳しく解説します。 靴選びのポイント 靴選びは外反母趾を予防する上で非常に重要なポイントであり、予防するためには以下の4つを満たした靴を選びましょう。 ・かかとの芯がしっかりしていること ・靴底が固く、適切な位置で屈曲すること ・自分の足に適したサイズ・幅の靴を選ぶこと ・ハイヒールやパンプスのヒールは4cm以下であること 上記が満たされない靴の場合は、歩いている時に足を地面に接地した際にかかとが不安定になり、外反母趾を助長する可能性があります。 また、靴を購入する際は必ず試着を行いましょう。靴の大きさや幅はメーカーにより多少異なるため、同じ靴のサイズであっても少し大きく感じたり、小さく感じたりする場合があります。このため、靴のサイズや幅の表記だけでは判断せず、実際に履いてみて自分の足にフィットしているのか確認することが大切です。 避けるべき靴の特徴 前項では外反母趾を予防するための正しい靴の選び方について解説しました。 ここでは、外反母趾を助長する可能性がある避けるべき靴の特徴を4つ紹介します。 ・靴のサイズが大きすぎること ・つま先が窮屈な靴 ・幅が広すぎる靴 ・ハイヒールやパンプスのヒールの高さが4cm以上 靴のサイズが大きすぎる場合は靴の中で足が滑ってしまい、「浮き指」や「屈み指」という足ゆびの変形につながる恐れがあります。足指が変形すると足のアーチの変形にもかかわるため、外反母趾のリスクを高めます。 つま先が窮屈な靴の場合は靴が親指を小指側へ圧迫するため、外反母趾を助長する可能性があります。そのため、幅の広い靴の着用が推奨されていますが、幅が広すぎてもいけません。靴の幅が広すぎると、靴のサイズが大きすぎる場合と同様に、靴の中で足が滑ってしまい足のアーチの変形に繋がるため外反母趾を助長する可能性があります。 また、ヒールが高い場合はつま先に体重がかかりやすくなり、外反母趾を助長してしまいます。以下の表ではヒールの高さによるつま先とかかとの体重の割合を紹介します。 かかとにかかる割合 つま先にかかる割合 ヒールの高さ3cm 50% 50% ヒールの高さ8cm 20% 80% 以上のような特徴を持つ靴を避け適切な靴を選ぶことで、外反母趾の予防が可能です。 外反母趾を予防するために簡単にできる運動や体操 外反母趾は、足の構造や日常生活の習慣が影響し、時間をかけて進行する足の変形症状の1つです。そのため、症状が現れてから対策を始めるのではなく、日々の生活の中で予防することが大切です。ここでは外反母趾を予防するために簡単にできる以下の2点について解説します。 ・外反母趾を予防するためのストレッチ ・足アーチの崩れを予防するための運動 『外反母趾を予防するためのストレッチ』は、親指が小指側へ変形するのを抑える効果があります。また、『足のアーチの崩れを予防するための運動』は、外反母趾の主な要因の1つである足の形状の変化を防ぐために重要な方法です。これらの運動を定期的に行うことで、外反母趾の予防を期待できます。 外反母趾を予防するためのストレッチ 外反母趾を予防するためには以下3つのストレッチが有効です。 ・Hohmann(ホーマン)体操 ・手で足の親指を広げるストレッチ ・母趾内転筋のストレッチ Hohmann(ホーマン)体操はのやり方は以下の通りです。 ゴムひもを両方の親指にかける 両方のかかとを合わせた状態で足先を広げる ゴムが張った状態で10秒数える 上記の『3』を20回繰り返す Hohmann(ホーマン)体操では、小指の方に曲がった親指の付け根の関節を正しい位置に矯正する方向へ動かします。Hohmann(ホーマン)体操を行うことで、軽度か中等度の外反母趾の改善を図れます。 手で足の親指を広げるストレッチは、Hohmann(ホーマン)体操と同様に足の親指の関節を外側へ広げますが、ゴムではなく自分の手を使用して広げます。施行時間や回数はHohmann(ホーマン)体操と同じです。 母趾内転筋のストレッチでは、自分の手で母趾内転筋を直接圧迫してストレッチします。母趾内転筋が固くなると足の親指が小指側へ引っ張られてしまい、外反母趾の要因となってしまいます。手でストレッチが難しい方は、座った状態でゴルフボールやテニスボールを足の下に入れて、全体的にコロコロ転がすだけでもストレッチ効果を得られます。 上記のストレッチはどれも簡単に行えるので、隙間時間で実践してみましょう。 ただし、既に外反母趾により痛みが強い場合には整形外科の病院への受診をおすすめします。 足のアーチの崩れを予防するための運動 足のアーチは筋肉により維持されているため、筋力が低下するとアーチが崩れやすくなります。ここでは、足のアーチを支える筋肉を鍛えるための運動メニューを2つ紹介します。 ・足指を開く運動 ・足指でタオルを引き寄せる運動 『足指を開く運動』は、自分の力で足指で「パー」の形を作ることです。足指を開くことで「母趾外転筋」を強化できるため、母趾が小指側へ向きにくくなります。 また、『足指でタオルを引き寄せる運動』は、床に敷いたタオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離してを繰り返し、タオルを手前に引き寄せる運動です。この運動では「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」が強化され、足のアーチの崩れを予防できるのです。 これらの運動は、空いた時間に簡単にでき、特別な器具も必要ないため、誰でも始めやすいです。自宅での運動だけでなく、職場や外出先でも行えるため、日常的に取り入れやすいのも大きなメリットです。 外反母趾を予防するために日常で欠かせない足への配慮 外反母趾を予防するためには、日々の生活の中で足への配慮を意識することも大切です。 ここでは以下の2点について解説します。 ・職場での足の休息法 ・足の健康を守るための日常の工夫 長時間の立ち仕事は足に負担をかけ、外反母趾を引き起こす可能性があります。また、継続的に足への配慮を心がけることで、外反母趾の予防に効果的です。どちらも、すぐにでも実践できるので、ぜひ参考にしてみてください。 職場での足の休息法 長時間の立ち仕事では、足のアーチを支える筋肉が疲労してしまい、足のアーチの崩れにつながる可能性があるため、適度に休憩して筋肉を休ませる必要があります。 また、立った状態でかかとを上げてつま先立ちをすることで「下腿三頭筋」や「ヒラメ筋」が刺激され、足への血流が良くなり疲労しにくくなります。 さらに、職場での靴選びも重要です。外反母趾を予防するためには、上記で解説したような靴を履きましょう。大切な項目ですので、以下で再度確認します。 ・かかとの芯がしっかりしていること ・靴底が固いこと ・自分の足に適したサイズ・幅の靴を選ぶこと 以上のような職場での足を休めるための工夫、正しい靴を選ぶことで外反母趾の予防につながります。 足の健康を守るための日常の工夫 日常生活の中で外反母趾を予防するためには、足のアーチ(土踏まず)をサポートするインソール(中敷)に変更することが有効です。 なぜなら、インソールは足のアーチをを支えてくれるからです。 足のアーチが崩れる原因はさまざまありますが、インソールを変更することでそれぞれの要因に対処できます。 靴を購入した際にはインソールが敷かれていますが、平らな形状で足のアーチをサポートする機能がないものが一般的です。そのため、靴屋さんやスポーツショップで販売されている足のアーチをサポートする機能があるインソールの購入がおすすめです。インソールだけで数千円しますが、将来、外反母趾を予防できることを考えると高い買い物ではありません。 ただし、既に外反母趾により痛みが出現している場合は、インソールを変更しても痛みを改善することは難しい場合が多くあります。この場合は、医療機関へ受診し医師に相談しましょう。 まとめ・外反母趾の対策をしっかり行い予防しましょう 外反母趾は適切に対策を行うと予防できる疾患であり、以下3つを実践することが大切です。 ・自分の足に合った靴を選ぶこと ・足のストレッチや運動を行うこと ・日常から足へ配慮すること この30年で外反母趾になる方は最大8倍にも増加し、外反母趾に悩む方が増えている背景の1つには、靴を履く習慣が関係しているといわれます。外反母趾は女性に多い関節の変形ですが、男性も外反母趾にならないとは限りません。このため、外反母趾を予防するためには適切な靴選びが必須です。 また、外反母趾の原因には筋力低下や疲労も関係しています。外反母趾を予防する運動では『足指を開く運動』と『足指でタオルを引き寄せる運動』を行うことで、足のアーチを支える「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」を強化できます。 日常から足へ配慮するには、自分の足に適した靴を履くことやインソールを使用することです。 上記のように、適切な対処を行うことで外反母趾は予防できます。足の健康を長期間保ち、ウォーキングやランニング、スポーツなどの活動を楽しみたい方は、今から少しずつ外反母趾の予防を実践していきましょう。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 渡辺淳,外反母趾は重症化する前に足の外科医に相談を!治療選択肢は広がっています,人工関節ドットコム.
公開日:2024.11.01 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病による痛みで、思うように日常生活を送れない方はいるのではないでしょうか?元の生活に戻るために、モートン病の症状を和らげる方法を探している方も多いと思います。この記事では、モートン病に対するツボの効果はあるのか解説していきます。東洋医学と従来の治療を組み合わせて症状を改善していきましょう。 モートン病とは モートン病は、足趾(あしゆび)の間のしびれ、疼痛、灼熱感などの神経症状が出現する疾患です。 足の中指と薬指の間が多いですが、人差し指と中指、薬指と小指の間に発症する場合もあります。原因は、つま先立ちのような姿勢を長時間続けることです。中年以降の女性に多く発症すると言われています。つま先立ちの姿勢は、足趾に繋がる神経をあっぱくするため神経障害を発症します。モートン病の診断には、感覚検査、チネルサインの有無、つま先での痛みの増強、画像検査、筋電図検査などを用いて総合的に判断されます。 モートン病はツボで治る? モートン病自体はツボで治りませんが、モートン病による痛みを和らげる可能性があります。そもそもツボとは、経穴(経穴)とも言われ身体を流れるエネルギーである「気」が経路に沿って並んでいる体表面のポイントです。 モートン病に効果があるツボと押し方 モートン病では、承山・下承山・築賓・漏谷という主に4つのツボがあります。これらのツボはモートン病の痛み軽減に効果的とされています。 <押し方> 両手の親指を重ねて、承山を3〜5秒かけてゆっくり押します。 押す強さは、痛気持ちいいぐらい 息は止めず、深く呼吸をしながらツボを押す 以下に、各ツボの特徴を解説します。 「承山」の特徴 承山は、ふくらはぎの中央にあり、足のしびれや痛み・腰痛や頭痛・目のトラブルに効くと言われており、多くの症状に対応できる万能なツボです。つま先立ちをしたときにふくらはぎにできるくぼみの位置です。 「下承山」の特徴 下承山は、承山から指の幅3本分下がったところにあります。足底の痛みやモートン病の症状、足首の痛みに対して用いられるツボです。 「築賓」の特徴 築賓(ちくひん)は、ふくらはぎのふくらみの内側にあるツボです。腰痛や股関節痛、首コリなどの症状に用いられます。下半身全体の血流が良くなると言われ、手足の冷えに対する効果もあります。 「漏谷」の特徴 漏谷(ろうこく)は、脛の内側の真ん中にあり骨の近くにあります。腰痛や肩の痛み、足底の痛みに用いられることが多いです。 ツボ押しの注意点 ツボ押しでは、強く押しすぎたりすごく痛い強さで押すのは避けましょう。また、強く押すことで血圧が下がることもあるため、1か所10秒までが良いです。心地よいと感じる強さで刺激するのが大切です。 ツボ押しにプラスするべき治療 ツボ押しのみでは効果が不十分な場合があります。そのため、ストレッチと運動・適切な靴の選択・インソール・足底挿板の挿入の3つを補助的に行うのが効果的です。以下で具体的に解説します。 ①ストレッチと運動 モートン病の痛み改善は、ストレッチや運動が効果的です。モートン病による横アーチの低下に伴って偏平足を併発しやすいです。偏平足もモートン病も足裏の疲労や痛みが出現するため、足裏やふくらはぎのストレッチが症状改善に良いと考えられます。これらは一時的な対症療法なため、運動療法によりアーチを高めるか足底挿板が重要です。 モートン病で重要な横アーチを高めるために、足内在筋を鍛えるのが大切です。足内在筋とは、足の裏にある筋肉で、足趾の動きやアーチ形成に関与しており、足の指を使った運動で鍛えられます。足外在筋とは、下腿の骨から足底に渡って付着する筋肉で、足関節の動きに関与しています。 ②適切な靴の選択 モートン病による痛みを緩和するには、足への負担が少ない靴を履くのが大切です。例えば、幅が広く指先が圧迫されにくい靴を選びましょう。また、インソールは横アーチの形状をサポートし、負荷を分散するものが良いです。インソールの種類でロッカーソールというタイプがあり、一般的なインソールより足趾が屈曲しない構造のため、圧迫されにくい特徴があります。 ③インソール・足底挿板の挿入 靴の変更では、ソールが柔らかい靴やヒールが低い靴を選択します。つま先が狭い靴やヒールが高い靴は前足部が圧迫されて、モートン病の症状が悪化しやすいです。そのため、踵が低くつま先にゆとりがある靴を使用しましょう。また、クッション性のあるインソールを別で購入するかオーダーメイドで注文すると自分に合ったインソールが作れます。 足底挿板は、義肢装具士に依頼してオーダーメイドで自分の足に合ったものを作成します。モートン病は前足部の横アーチ低下に伴って、神経の圧迫がおこるため、アーチをサポートする足底挿板が必要です。また、代わりの物としてインソールの購入もおすすめです。インソールは市販で売られており、オーダーメイドではない商品が多いため、専門店のスタッフにどの商品が良いか相談してみましょう。 再発予防のための生活習慣 モートン病は再発する可能性もあります。そのため、足のケアや定期的な受診など生活習慣に気を付けましょう。具体的な内容は、以下で解説します。 足のケア 長時間立っていたり歩いたりすることでモートン病の症状は悪化しやすいです。そのため、足が痛かったり疲れているときには、ストレッチやマッサージなどのケアを行いましょう。疲労によりアーチは低下しやすいため、足の疲労を回復させるのが大切です。 定期的な受診 モートン病が良くなってからも定期的に受診すると再発防止につながります。モートン病では、保存療法でも手術療法でも再発する人は一定数いるため、定期的な受診は大切です。痛みを放置していると悪化してしまうため、定期的に検査を受けましょう。 従来の治療と代替療法を組み合わせて痛みを和らげましょう。 モートン病に効果的なツボや、合わせて行うと良い治療方法について解説しました。ツボは解明されていない現象も多いですが、実際に効果があったという人がいるのも事実です。今回、ご紹介したモートン病に効果的なツボを試してみてください。 モートン病は、保存療法や手術療法など適切な治療により改善する場合が多いですが、再発する人も少なからずいます。そのため、治療後も足のケアや定期的な受診を行うのが大切です。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 長田瑞穂,林典雄,中宿伸哉,笠井勉,モートン病の足部タイプと足底挿板療法,骨・関節系理学療法 福岡整形外科病院,モートン病とは 梅﨑泰侑,川村大地,菅原陸,新岡大和,遠藤陽季,川口徹,篠原博,足部形態の違いからとらえた足部内在筋群エクササイズの筋活動に対する即時効果,理学療法科学 38(6):444-450,2023 三森 経世,関節リウマチ,抗炎症薬とステロイド薬,内科医が診るべき骨・関節疾患:治療の新展開,日本内科学会雑誌 第97巻 第10号・平成20年10月10日
公開日:2024.10.15 -
- 足部、その他疾患
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モートン病は足趾の付け根が立位や歩行などで痛くなる疾患です。日常生活に大きく影響するため、できるだけ症状を減らしたいと困っている方も多いでしょう。モートン病に対しては、インソールや靴の変更など保存療法を中心として改善する場合が多いです。 この記事では、モートン病で行われる治療方法と症状が悪化しないための注意点について解説しています。また、再発予防対策についても触れています。足の痛みで悩んでいる方は、ぜひご覧ください。 モートン病の概要 モートン病は、足趾(そくし)間のしびれ、疼痛、灼熱感などの神経症状が出現する疾患です。中指と薬指の間が多いですが、人差し指と中指、薬指と小指の間に発症する場合もあります。中年以降の女性に多く発症すると言われています。原因は、つま先立ちのような姿勢を長時間続けることです。つま先立ちの姿勢は、足趾に繋がる神経を圧迫するため神経障害を発症します。モートン病の診断には、感覚検査・チネルサインの有無・つま先での痛みの増強・画像検査・筋電図検査などを用いて総合的に判断されます。 モートン病の治療 モートン病の治療は、 ①薬物療法 ②手術療法 ③保存療法 の3つが主軸となり、補助的な選択肢として代替治療もあります。症状が軽い場合には、保存療法と薬物療法で症状が改善する場合が多いです。一方で、薬やインソールの効果が見られなければ、手術で障害部位を切除します。 ①薬物療法 モートン病の薬物療法では、消炎鎮痛剤によって痛みや炎症を抑えます。これは、モートン病を治すというより痛みに対処するための治療方法です。痛みが軽減しない場合は、ステロイド注射や局所神経ブロック注射を行う場合もあります。近年では、動注治療という治療法も広がりつつあります。各治療方法の特徴について以下で解説します。 消炎鎮痛剤の効果・副作用 消炎鎮痛剤は、非ステロイド性抗炎症薬炎症(NSAIDs)とも言われ、炎症がある組織に局所的に作用して痛みを改善します。ロキソニンやボルタレン、アスピリンなどがNSAIDsです。副作用には、消化器症状、腎機能障害などがあります。また、長期投与により胃潰瘍を引き起こす可能性があるため、薬の飲みすぎには注意です。 ステロイド注射の効果・副作用 ステロイド注射は、強力な抗炎症・鎮痛効果があり、炎症や痛みが激しい場合に使用が検討されます。効果は1回の投与で数週間から数か月持続し、痛みの改善効果が高いです。ただ、複数回投与すると副作用として腱や関節軟骨が弱くなる場合があります。 局所神経ブロック注射の効果・副作用 局所神経ブロック注射は、薬物療法より全身への影響が少なく即効性が高いです。他の鎮痛薬と異なるのは、一時的な麻酔効果だけでなく麻酔が切れた後も痛みを軽減します。日帰りで実施も可能なため、忙しい方などにおすすめです。ただ、副作用として出血や感染、神経障害が生じる可能性もあるため、ブロック注射後は数十分は安静にしましょう。 動注治療の効果・副作用 動注治療とは、動脈に直接薬剤を注射する治療法で、異常な新生血管を閉塞させ、炎症や痛みを緩和するものです。慢性的な炎症では、異常な新生血管や神経が増殖していて痛みを増強している可能性があります。ほとんど副作用はないですが、内出血や薬剤アレルギーが起こる場合があります。日本では保険適用ではないのでご注意ください。 ②手術療法 手術療法は、運動療法や薬物療法でも改善しない場合に選択されます。主に、神経乖離・神経腫摘出・深横中足靭帯など疼痛部位の周辺組織の切離です。原因となっている部位自体を取り除くことで、症状の改善を図ります。そのうち、神経を取り除く手術では、手術後はそこから先の感覚はなくなってしまい、違和感が残る場合もありますが、術後1週間から2週間で以前と同じように歩けるようになります。 ③保存療法 保存療法では、足底挿板の作成・靴の変更が実施されます。足底挿板や靴は日常的に着用するため、適切なサイズのものを作成しましょう。以下で具体的な内容を解説します。 足底挿板の作成 足底挿板は、義肢装具士に依頼してオーダーメイドで自分の足に合ったものを作成します。モートン病は前足部の横アーチ低下に伴って、神経の圧迫がおこるため、アーチをサポートする足底挿板が必要です。また、代わりの物としてインソールの購入もおすすめです。インソールは市販で売られており、オーダーメイドではない商品が多いため、どんなものが良いか医師や専門店のスタッフに相談してみましょう。 靴の変更 靴の変更では、ソールが柔らかい靴、ヒールが低い靴を選択します。つま先が狭い靴や高いヒールの靴は前足部が圧迫されて、モートン病の症状が悪化しやすいです。そのため、踵が低くつま先にゆとりがある靴を使用しましょう。また、市販で売られている靴はインソールが薄いことが多く、衝撃吸収効果が得られにくいです。そのため、よりクッション性のあるインソールを別で購入するかオーダーメイドで注文するのが良いでしょう。 代替療法 代替療法では、ツボやマッサージなどが行われます。ツボでは、承山・下承山・築賓・漏谷という主に4つのツボが効果的とされています。いずれも下肢に存在するツボで、痛みの軽減や血流の改善に繋がります。ツボは東洋医学の分野であり、明確なエビデンスはほとんどなく施術者の主観による治療が多いです。一方で、効果がある人もいるのは事実です。 モートン病の再発リスクはある? モートン病は保存療法や手術療法で治療しても再発する可能性があります。そのため、足へ負担がかかりにくい生活習慣やインソールや靴などをフィットしたものに変更するなど、足へのケアが大切です。 また、定期的に病院を受診することで、再発したとしても早期発見・早期治療ができるため、症状が改善しやすくなるでしょう。 症状が悪化しないための日常生活での注意点 症状が悪化しないための注意点は3つあります。 ・長時間同じ姿勢を取らない ・ハイヒールや幅の狭い靴は避ける ・インソールを挿入する 以下で具体的な内容を解説します。 長時間同じ姿勢を取らない 長時間立ったり歩いたりすると、足に負荷がかかり続けるため、症状が悪化する原因になります。仕事上、そうせざるを得ないことも多いかもしれませんが、少しでも姿勢を変えて足を休められると良いです。また、自宅で家事をしているといつの間にか立っている時間が長くなるでしょう。そのため、休憩時間を少しずつ挟んで足を休めるのが大切です。 ハイヒールや幅の狭い靴は避ける モートン病は前足部への負荷が原因となりやすいため、ハイヒールや幅の狭い靴は避けましょう。特にハイヒールは、常に足趾の付け根が圧迫されている状態であり、モートン病や外反母趾など足の疾患につながります。 インソールを挿入する モートン病による痛みを緩和するには、幅が広く指先が圧迫されにくい靴を選びましょう。前足部の幅をひもやベルトで調整できる靴が良いでしょう。また、インソールは横アーチの形状をサポートし、負荷を分散するものが良いです。インソールの種類でロッカーソールというタイプがあり、一般的なインソールより足趾が屈曲しない構造のため、圧迫されにくい特徴があります。 再発防止対策のために自宅でできること モートン病は、保存療法や手術療法に関わらず再発する人も少なからずいます。そのため、再発防止対策を知っておきましょう。 具体的には、ストレッチ・足裏の運動・セルフケアの3つが大切です。 ストレッチ モートン病では、障害部位への負担軽減とアーチの維持が重要です。モートン病でおきやすい横アーチの低下は、偏平足も同時に起きやすいです。偏平足もモートン病も足裏の疲労や痛みが出現しやすいため、足裏やふくらはぎのストレッチが症状改善に良いと考えられます。しかし、ストレッチは一時的な対処方法なため、運動療法によりアーチを高めるか足底挿板が重要です。 足裏の運動 モートン病で重要な横アーチを高めるためには、足内在筋(足の裏の筋肉)を鍛えるのが大切です。足内在筋とは、足の裏にある筋肉で、足趾の動きやアーチ形成に関与しています。足外在筋とは、下腿の骨から足底に渡って付着する筋肉で、足関節の動きに関与しています。以下にアーチを高めるための運動を3つ紹介します。 やり方 段差でタオルギャザー 前足部をタオルのうえに乗せて立ち、足趾を使ってタオルを手前に引き寄せるのが一般的なタオルギャザーです。このやり方では、外在筋が主に働きます。 モートン病に対して行うなら、指先のみはみ出して段差の上に立ち その状態で足趾を曲げます。そうすると、より内在筋を使った運動が可能です。 指広げ運動 親指と小指を広げた状態で固定し、人差し指から薬指までを浮かすことで足の内在筋を鍛えます。親指と小指が一緒に浮かないように注意します。 指上げ運動 親指のみ地面につけた状態で、他の指を上にあげます。この運動では、小趾外転筋・短母趾屈筋・母趾内転筋などの筋肉を鍛えられます。 定期的な受診が大切 モートン病が良くなってからも定期的に受診すると再発防止につながります。モートン病では、保存療法でも手術療法でも再発する人は一定数いるため、定期的な受診は大切です。痛みを放置していると悪化してしまうため、定期的に検査を受けましょう。 適切な治療とケアにより症状を緩和しましょう モートン病は、保存療法・薬物療法・手術療法を軸として、多くの場合症状が改善します。特に、足底挿板の挿入は毎日の歩行や立ち仕事を助けるため、常に症状の軽減効果が得られます。一方で、症状が改善しても一定期間後に再発するリスクがあるのも事実です。再発を防ぐためには、日常的な足の運動やストレッチ、自分の足に合った靴やインソールの挿入などが足のケアが大切です。また、定期的に受診すると早期発見・早期治療につながります。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 長田瑞穂,林典雄,中宿伸哉,笠井勉,モートン病の足部タイプと足底挿板療法,骨・関節系理学療法 福岡整形外科病院,モートン病とは 梅﨑泰侑,川村大地,菅原陸,新岡大和,遠藤陽季,川口徹,篠原博,足部形態の違いからとらえた足部内在筋群エクササイズの筋活動に対する即時効果,理学療法科学 38(6):444-450,2023 厚生労働省,市販の解熱鎮痛薬の選び方 三森 経世,関節リウマチ,抗炎症薬とステロイド薬,内科医が診るべき骨・関節疾患:治療の新展開,日本内科学会雑誌 第97巻 第10号・平成20年10月10日
公開日:2024.10.15 -
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モートン病による痛みで悩んでいませんか?モートン病は中年女性に多く、足裏の痛みが主症状であるため、日常生活に支障が出やすい疾患です。少しでも痛みを緩和して日常生活を送りたいと思っている方はいるでしょう。 この記事では、モートン病の痛みを緩和する方法を解説し、マッサージやストレッチは効果があるのかという疑問にもお答えします。モートン病の痛みで悩んでいる方は、ぜひご覧ください。 モートン病とは モートン病は、足趾間のしびれ・疼痛・灼熱感などの神経症状が出現する疾患です。症状が出現する部位は、中指と薬指の間が多いですが、人差し指と中指、薬指と小指の間に発症する場合もあります。原因は、つま先立ちのような姿勢を長時間続けることで、足趾につながる神経や軟部組織を圧迫するためです。ハイヒールをよく履く女性や長時間立って行う仕事をしている方に発症しやすく、環境要因が影響する疾患でもあります。 モートン病の検査・診断 モートン病の検査では、身体検査や画像診断が用いられます。身体検査では、マルダーテストがあり、足趾の付け根付近で足を横から挟むように圧迫し、疼痛が誘発されるとモートン病が疑われます。また、足趾間を叩いて放散痛が現れるチネルサインがみられるとモートン病による神経障害の疑いです。 画像診断では、CT検査で他の足部疾患と区別し、MRI検査により原因を特定します。CTは骨の状態を観察する検査であるため、モートン病では異常が見られません。一方、MRIは骨・腱・靭帯・神経を観察できるため、モートン病の障害部位や原因を特定できます。 モートン病の治療 モートン病の治療では、足底挿板の作成や運動療法などの保存療法が有効です。足底挿板で様子をみて症状が回復しなければ、手術を行う場合もあります。以下に保存療法と手術療法の内容を具体的に解説します。 保存療法 保存療法では、足底挿板の作成・靴の変更・運動療法・薬物療法が実施されます。第一選択として、足底挿板の挿入や靴の変更が大切です。以下で具体的な内容を解説します。 足底挿板の作成 足底挿板は、義肢装具士に依頼してオーダーメイドで自分の足に合ったものを作成します。モートン病は前足部の横アーチ低下に伴って、神経の圧迫がおこるため、アーチをサポートする足底挿板が必要です。また、代用可能なものとしてインソールの購入もおすすめです。インソールは市販で売られており、オーダーメイドではない商品が多いため、どんなものが良いか医師や専門店のスタッフに相談してみましょう。 靴の変更 靴の変更では、ソールが柔らかい靴・ヒールが低い靴を選択します。つま先が狭い靴や高いヒールの靴は前足部が圧迫されて、モートン病の症状が悪化しやすいです。そのため、踵が低くつま先にゆとりがある靴を使用しましょう。また、市販で売られている靴はインソールが薄いことが多く、衝撃吸収効果が得られにくいです。そのため、よりクッション性のあるインソールを別で購入するかオーダーメイドで注文するのが良いでしょう。 運動療法 モートン病の治療では、運動療法により足のアーチを高めることが大切です。足には内側縦アーチ・外側縦アーチ・横アーチの3つのアーチがありますが、特に横アーチを高めるのが重要です。3つのアーチを構成する骨や筋肉を以下の表で紹介します。 骨 筋肉 内側縦アーチ (土踏まず) 踵骨・距骨・舟状骨・内側楔状骨・第1中足骨 後脛骨筋・前脛骨筋・長母指屈筋・長趾屈筋・母趾外転筋 外側縦アーチ 踵骨・立方骨・第5中足骨 長腓骨筋・短腓骨筋・小趾外転筋 横アーチ 内側・外側・中間楔状骨・立方骨 母趾内転筋・長腓骨筋 引用元: 3つのアーチは、上記のイラストのような位置関係になっています。これらのアーチは相互に関連しており、横アーチが低下すると内側縦アーチ・外側縦アーチも影響を受けることが少なくありません。そのため、モートン病では偏平足を合併する人も少なからずいます。 薬物療法 モートン病の薬物療法では、消炎鎮痛剤や湿布によって痛みや炎症を抑えます。これは、モートン病を治すというより痛みに対処するための治療方法です。痛みが軽減しない場合は、ステロイド注射や局所神経ブロック注射を行う場合もあります。近年では、動注治療という治療法も広がりつつあります。動注治療とは、動脈に直接薬剤を注射する治療法で、新生血管を閉塞させ、炎症や痛みを緩和するものです。炎症の治癒過程では、異常な新生血管が残ることがあり、その場合に効果的です。 手術療法 手術療法は、運動療法や薬物療法でも改善しない場合に実施します。主に、神経乖離・神経腫摘出・深横中足靭帯などモートン病に関わる疼痛部位の切離です。原因となっている部位自体を取り除くことで、症状の改善を図ります。そのうち神経を取り除く手術では、手術後はそこから先の感覚はなくなってしまい、違和感が残る場合もありますが、術後1週間から2週間で以前と同じように歩けるようになります。 モートン病は回復する? モートン病は、上記で解説した治療法を行うことで改善する場合がほとんどで、予後良好な疾患です。しかし、長期間放置すると治りにくくなったり痛みが脛やふくらはぎまで広がったりします。また、治った後に再発する可能性もあるため、普段の生活習慣や靴・インソールの見直しが大切です。 モートン病はマッサージでよくなる? マッサージにより筋肉の柔軟性は改善する可能性がありますが、モートン病自体が治ることはありません。痛みの原因は、神経の圧迫によるものであり、荷重により痛みが出現するため、マッサージしても痛みが良くならない場合がほとんどです。しかし、筋肉の緊張により神経の圧迫を招いている場合には、効果があるかもしれません。そのため、マッサージよりも手術で根本的に原因を除去したり、インソールで障害部位への負担を減らすのが良いでしょう。 モートン病はストレッチでよくなる? モートン病では、障害部位への負担軽減とアーチの維持が重要です。モートン病でおきやすい横アーチの低下は、偏平足も同時に起きやすいです。偏平足もモートン病も足裏の疲労や痛みが出現しやすいため、足裏やふくらはぎのストレッチが症状改善に良いと考えられます。しかし、ストレッチは一時的な対処方法なため、運動療法によりアーチを高めるか足底挿板が重要です。 簡単にできる痛みを緩和する方法 マッサージやストレッチでは痛みを改善するのが難しいと解説しました。では、痛みを緩和する方法には何があるのか紹介します。 モートン病では、神経を圧迫しないための対策が必要です。 具体的には、 ・足趾や足裏の運動でアーチを高める ・適切な靴やインソールで荷重を分散 ・歩き方や姿勢の意識 ・長時間同じ姿勢を取らないこと が大切です。詳しく解説していきます。 足趾や足裏の運動 モートン病で重要な横アーチを高めるためには、足内在筋(足の裏の筋肉)を鍛えるのが大切です。足内在筋とは、足の裏にある筋肉で、足趾の動きやアーチ形成に関与しています。足外在筋とは、下腿の骨から足底に渡って付着する筋肉で、足関節の動きに関与しています。以下にアーチを高めるための運動を3つ紹介します。 やり方 段差でタオルギャザー 前足部をタオルのうえに乗せて立ち、足趾を使ってタオルを手前に引き寄せるのが一般的なタオルギャザーです。このやり方では、外在筋が主に働きます。 モートン病に対して行う場合、指先のみはみ出して段差の上に立ち、 その状態で足趾を曲げます。そうすると、より内在筋を使った運動が可能です。 指広げ運動 親指と小指を広げた状態で固定し、人差し指から薬指までを浮かすことで足の内在筋を鍛えます。親指と小指が一緒に浮かないように注意します。 指上げ運動 親指のみ地面につけた状態で、他の指を上にあげます。この運動では、小趾外転筋・短母趾屈筋・母趾内転筋などの筋肉を鍛えられます。 適切な靴やインソールの選択 モートン病による痛みを緩和するには、幅が広く指先が圧迫されにくい靴を選びましょう。前足部の幅をひもやベルトで調整できる靴が良いです。また、インソールは横アーチの形状をサポートし、負荷を分散するものが良いです。インソールの種類には、ロッカーソールというタイプがあり、一般的なインソールより足趾が屈曲しない構造のため、圧迫されにくい特徴があります。 長時間同じ姿勢を取らない 長時間同じ姿勢を取らないようにすると、痛みが緩和できるでしょう。長時間立ち続けたり、歩き続けると足に負荷がかかり続けて痛みを発症します。特に、アーチが低下しているモートン病の方では、衝撃を分散させる能力が低下しているため、足裏に負担がかかりやすいです。仕事で長時間立っていることが多い場合には、適切な靴に変更すると足への負担を減らせるでしょう。 モートン病による合併症を予防するには モートン病による合併症では、痛みやしびれが広範囲化、外反母趾など足部の変形が考えられます。痛みを回避するような歩き方を繰り返していたり、靴が合ってないことはモートン病を悪化させるだけでなく、さまざまな足部の疾患にもつながります。そのため、合併症を予防するには、適切な靴の選択・インソールの挿入・長時間同じ姿勢を取らないの3点が重要です。 痛みを緩和して過ごしやすい身体を取り戻しましょう。 モートン病の痛みを緩和するには、足底挿板が第一選択となり、インソール・薬物療法・運動療法などが必要です。 症状によっては、手術を行う場合もあります。ストレッチやマッサージによる改善効果はあまり見られず、アーチを高めることと負荷を分散するのが大切です。そのため、普段からできることでは、幅の広い靴やヒールが低い靴を使用・長時間の立位や歩行を避ける、などがあります。 また、足趾の運動も自宅で簡単にできるため、ぜひ取り入れてみてください。 参考文献一覧 長田瑞穂,林典雄,中宿伸哉,笠井勉,モートン病の足部タイプと足底挿板療法,骨・関節系理学療法 福岡整形外科病院,モートン病とは 梅﨑泰侑,川村大地,菅原陸,新岡大和,遠藤陽季,川口徹,篠原博,足部形態の違いからとらえた足部内在筋群エクササイズの筋活動に対する即時効果,理学療法科学 38(6):444-450,2023
公開日:2024.10.17 -
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「足の甲が痛くて、ランニングができない」「中足骨の疲労骨折と診断されたけど、どうすればいいの?」 多くのランナーが中足骨の疲労骨折に悩まされており、ランニングを続ける上で大きな障壁となります。そのため、早期の治療と再発防止が重要です。 本記事では、中足骨疲労骨折の原因、症状、治療法、再発防止策について解説します。正しい理解とケアにより、ランニングを安全に続けるためのヒントになれば幸いです。 中足骨疲労骨折の基礎知識 中足骨疲労骨折は、ランナーにとって見逃せない足の問題です。この章では、疲労骨折の仕組みと中足骨に生じる原因について説明します。 整形外科を受診する際は、中足骨疲労骨折の発生メカニズムを理解しておくと良いでしょう。 疲労骨折とは何か? 疲労骨折は、繰り返しのストレスによって骨に微小な亀裂が生じる状態を指します。一度の強い衝撃ではなく、長期的な負荷の蓄積が原因となります。ランニングのような反復運動は、疲労骨折のリスクを高める要因の一つです。 中足骨疲労骨折の一般的な原因 中足骨は、足の甲の部分にある5本の長い骨のことです。足の土踏まずを形成し、体重を支えるという重要な役割を担っています。ランニングでは、体重が中足骨に繰り返しかかるため、疲労骨折が起こりやすくなります。 とくに、以下のような要因が重なると、リスクが高まります。 ・急激なトレーニング量の増加 ・不適切なランニングフォーム ・硬い地面でのランニング ・足に合わない靴の使用 ・骨密度の低下 これらの原因について理解を深め、適切な予防策を講じることが大切です。 症状の特定と初期対応 中足骨疲労骨折は、早期発見と適切な初期対応が回復のために重要です。症状を理解し、見逃さないようにすることが大切です。中足骨疲労骨折の発生は、徐々に症状が現れることが多いです。初期段階での適切な対応が重要です。 中足骨疲労骨折の典型的な症状 中足骨疲労骨折の症状は、以下のとおりです。 症状 説明 足の甲の痛み とくに第2、第3中足骨に多く見られます。この部位は体重の大部分を支えるため、疲労骨折のリスクが高くなります。 歩行時や運動時の痛み 活動により痛みが増悪するのが特徴です。ランニングや長時間の歩行で痛みを感じる場合は要注意です。 安静時の痛みの持続 疲労骨折の場合、安静にしていても痛みが続くことがあります。夜間の痛みで睡眠が妨げられる場合もあります。 腫れや圧痛 患部が腫れ、触ると痛みを感じます。腫れによって靴が窮屈に感じられる場合もあります。 皮膚の発赤や熱感 炎症によって、患部の皮膚が赤くなったり、熱を持ったりするケースがあります。 これらの症状が継続する場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。放置すると、症状が悪化し、回復に時間がかかってしまう可能性があります。 整形外科医に相談し、必要な検査を受けることをおすすめします。レントゲンやMRIなどの画像検査で、疲労骨折の有無を確認します。 初期治療としてのアイシングと安静 中足骨疲労骨折が疑われる場合、以下の初期対応を行いましょう。 対応 方法 安静 無理な運動は控え、患部を休ませることが大切です。継続的な負荷は症状を悪化させる原因となります。医師の指示に従って、適切な期間の安静を取りましょう。 冷却 アイスパックを用いて患部を冷やすことで、炎症と痛みを和らげることができます。1日数回、15分から20分程度行います。アイシングは、とくに初期の痛みのコントロールに効果的です。 圧迫 弾性包帯などを使って患部を適度に圧迫すると、腫れを抑える効果が期待できます。ただし、強く締めすぎないよう注意が必要です。圧迫は、炎症による腫れを軽減し、安静を補助します。 挙上 患部を心臓よりも高い位置に上げることで、重力により腫れを軽減する効果が期待できます。座ったり横になったりする際に、クッションなどを使って足を高くすると良いでしょう。挙上は、とくに安静時の腫れの管理に役立ちます。 医師の指示にしたがって、適切な期間、前述した初期対応を行うことが、回復に向けての大切なステップです。症状が改善されない場合は、追加の治療が必要になる場合もあります。自己判断せずに、医師とよく相談しながら治療を進めていくことが重要です。 中足骨疲労骨折の治療オプション 中足骨疲労骨折の治療は、症状の重さによって異なります。軽度の場合は安静と固定で改善する場合がほとんどですが、重度の場合は手術が必要になることもあります。整形外科医から、症状に合わせた適切な治療法を紹介してもらうことが大切です。 保存的治療法:キャスティングと固定 多くの場合、中足骨疲労骨折は安静と固定によって治癒します。ギプスやブーツを使って足を固定し、骨の回復を促します。 固定期間は症状によって異なりますが、一般的には以下の通りです。 ・軽度の場合:4~8週間 ・中等度の場合:8~12週間 ・重度の場合:12週間以上 固定期間中は患部に負荷をかけないように注意しましょう。松葉杖などを使って歩行し、足に体重がかからないような心がけが大切です。医師の指示に従い、定期的な診察を受けて、回復の進捗を確認しましょう。 運動療法とリハビリテーション ギプスやブーツを外した後は、徐々に日常生活や運動に復帰していきます。ただし、通院の中で、部分荷重から運動を始めていきますので、いきなり骨折前と同じレベルの活動を再開するのは避けましょう。 たとえば、ランニングをしている方の場合、いきなり以前と同じ距離や強度で走りはじめるのは危険です。医師と相談しながら短い距離からはじめ、徐々に走行距離を伸ばしていきます。 また、スポーツに復帰する際も、最初は短時間の練習からはじめ、体の状態を見ながら徐々に練習時間を増やしていくことが望ましいです。 このように、活動レベルを段階的に上げていくことで、再骨折のリスクを減らせるでしょう。 足を長期間固定していると、筋力が低下してしまいます。リハビリテーションでは、足の筋力維持と柔軟性の向上を図ります。医療専門家の指導の下、ストレッチや筋力トレーニングを行いましょう。徐々に運動量を増やしていくことで、以下の効果が期待できるでしょう。 ・足の筋力と柔軟性が改善され、日常生活動作がスムーズになる ・骨折部位周辺の血流が促進され、骨の修復過程が支援される ・関節の可動域が拡大し、足の機能が全体的に向上する ・徐々に負荷を増やすことで、骨や周囲組織が適応し、再骨折のリスクが軽減される ・運動能力が段階的に回復し、スポーツ活動への安全な復帰が可能になる これらの効果により、中足骨疲労骨折からの総合的な回復が促進され、患者さんの生活の質が向上します。 活動への復帰と再発防止 中足骨疲労骨折からの復帰は、段階的に行うことが大切です。再発を防ぐために、ランニングフォームやフットウェアの調整も欠かせません。 復帰プロセスの段階と注意点 ランニングへの復帰は、段階を踏んで行いましょう。以下が復帰段階とその内容の一般例です。個人差があるため、主治医や理学療法士などの指示のもと復帰を目指します。 段階 内容 注意点 ウォーキング 痛みのない範囲で10分程度から開始し、徐々に時間を延ばす 痛みに注意し、無理のないペースで進める。疲労骨折の部位に痛みや違和感がある場合は、医師に相談しましょう。 ジョギング導入 痛みがなければ、ウォーキング10分に対して1~2分程度のゆっくりとしたジョギングを取り入れ、徐々に比率を増やす ジョギングの時間を徐々に延ばしていきます。痛みがある場合は中止し、医師に相談しましょう。ジョギングを再開する前に、通常6~8週間、場合によっては12週間以上の十分な回復期間を取ることが大切です。具体的な期間は、骨折の程度と個人の回復状況により異なるため、医師の指示に従ってください。 距離と時間の延長 1~2週間ごとに、ジョギングの距離と時間を前週と比べて10%程度ずつ延ばす 痛みがある場合は、ジョギングの距離と時間の延長を控えめにしましょう。運動量の増加は、徐々に行うことが重要です。急激な運動量の増加は、再発のリスクを高めます。 スピードトレーニング再開 ジョギングで30分以上痛みなく走れるようになったら、徐々に再開する 初めは高強度トレーニングの距離と頻度を通常時の50%程度から始めます。痛みに注意しながら2~4週間かけて徐々に通常時の100%まで運動強度を上げていきましょう。スピードトレーニングは、回復の最終段階で行うようにします。 それぞれの段階で痛みに注意し、無理のない範囲で徐々に運動量を増やすことが重要です。痛みが生じた場合は、一段階前に戻るなど、柔軟な対応が必要です。回復期間や運動強度の増加は個人差が大きいため、必ず医療専門家の指導に従って進めてください。 再発を防ぐためのランニングフォームとフットウェアの調整 中足骨疲労骨折の再発を防ぐには、以下の点に注意しましょう。 ポイント(例) 説明 前足部や中足部への着地を避ける つま先や足の中央部分から着地すると、中足骨へのストレスが増大します。かかとから着地し、足全体で衝撃を吸収するようにしましょう。 過度なプロネーションを抑える プロネーション(足の内側への倒れ込み)が強すぎると、中足骨へのストレスが増えます。足首を安定させるトレーニングやインソールの使用が有効です。 クッション性と安定性のあるシューズを選ぶ 衝撃の吸収性に優れ、足首の動きを適度にサポートするシューズを選びましょう。着地時の衝撃を分散し、足の動きを安定させることが重要です。 オーダーメイドのインソールを検討する 足の形状や動きに合わせてカスタマイズされたインソールを使用することで、中足骨へのストレスを軽減できる場合があります。 ランニングフォームの改善には、ランニングコーチやスポーツ医学の専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。また、足の状態に合わせたシューズ選びについては、ランニングショップの専門スタッフに相談するのもよいでしょう。 長期的な足の健康の維持 中足骨疲労骨折を経験したランナーにとって、長期的な足の健康の維持は重要なテーマです。再発防止のために、日々のケアと生活習慣の見直しが欠かせません。 強化運動と柔軟性の向上 疲労骨折の再発を防ぐためには、接地時の衝撃を増大させないよう、全身的なバランス強化と偏りの調整を図ることがポイントになります。体幹トレーニングをベースとして、足や下肢の筋力を維持・向上させることが重要です。以下のような運動を定期的に行うことをおすすめします。 運動 効果 つま先立ち 下腿三頭筋(ふくらはぎ)の強化 タオルギャザー 足指の筋力強化 ワンレッグスクワット 大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋群の強化 アキレス腱のストレッチ 下腿三頭筋の柔軟性向上 バランス運動 足首の安定性と固有感覚の改善 これらの運動を週に2~3回、15~20分程度行うことを目安にしましょう。筋力強化と柔軟性の向上は、怪我のリスクを減らし、パフォーマンスの向上にもつながりやすいです。 自分に合ったペースで、無理なく継続的にトレーニングを行うことが大切です。必要に応じて、理学療法士やトレーナーに相談し、適切な運動プログラムを作成してもらうことをおすすめします。 生活習慣の見直しと足への影響 日々の生活習慣も、足の健康に大きな影響を与えます。以下の点に注意して、足への負担を減らすことが大切です。日々の生活習慣も、足の健康に大きな影響を与えます。以下の点に注意して、足への負担を減らすことが大切です。 習慣 説明 適切な体重の維持 体重増加は足への負担を増大させ、疲労骨折のリスクを高めます。適切な体重管理が重要です。 バランスの取れた食事 骨の健康に必要なカルシウムやビタミンDを十分に摂取しましょう。乳製品、魚、野菜などを積極的に取り入れましょう。 十分な睡眠 睡眠不足は疲労を蓄積させ、怪我のリスクを高めます。1日7~8時間の睡眠を確保しましょう。 禁煙 喫煙は血流を悪化させ、骨密度の低下を招きます。禁煙は足の健康維持に欠かせません。 適度な休養 オーバートレーニングは疲労骨折のリスクを高めるため、適度な休養を取ることが大切です。疲労が蓄積しないように注意しましょう。 体重増加は足への負担を増大させ、疲労骨折のリスクを高めます。適切な体重管理が重要です。BMIを用いると、自分の体重が適正かどうかを判断することができます。BMIは以下の式で計算されます。 BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m)) 以下の表は、BMIによる体重の分類を示しています。 BMI 分類 18.5未満 低体重(やせ型) 18.5以上25未満 普通体重 25以上30未満 肥満(1度) 30以上35未満 肥満(2度) 35以上 肥満(3度) マラソンランナーにとっての適正体重は、一般的な健康基準と同様に、BMI 18.5以上25未満の範囲内に収まることが理想的です。この範囲を維持することで、足への過度な負担を避け、疲労骨折のリスクを軽減できる可能性が高まります。 ただし、競技レベルのランナーでは、このBMI範囲の下半分、特にBMI 22以下を目指すことも多いようです。これは、体重が軽いほど長距離走のパフォーマンスに有利とされるためです。しかし、BMIは個人差が大きいため、あくまでも目安として捉えるべきでしょう。 適切な体重管理のためには、バランスの取れた食事と適度な運動が欠かせません。急激な減量や極端な食事制限は避け、自分に合ったペースで体重コントロールを行うことが重要です。また、定期的に体重や体脂肪率をチェックし、自身の体の変化を把握しておくことをおすすめします。 これらの生活習慣を見直し、改善することで、足の健康を長期的に維持しやすくなります。中足骨疲労骨折は、ランナーにとって深刻な問題ですが、適切な治療と予防策を講じることで乗り越えることができます。専門家のアドバイスを参考に、自分に合ったケア方法を見つけ、実践していくことが大切です。そうすることで、足の健康を維持し、ランニングをより長く、より快適に続けていくことができるでしょう。 参考文献一覧 MSDマニュアル家庭版,中足骨の骨折,2022−09 MSDマニュアル家庭版,足の疲労骨折,2021−12 兵庫医科大学病院,もっとよく知る!病気ガイド,Jones(ジョーンズ)骨折(第5中足骨疲労骨折) 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科,Jones骨折・第5中足骨疲労骨折 横浜市スポーツ医科学センター,リハビリ室コラム,第2~4中足骨疲労骨折のリハビリテーション 一般社団法人日本骨折治療学会,骨折の解説,第5中足骨骨折・いわゆる下駄履き骨折と疲労骨折 一般社団法人日本骨折治療学会,骨折の解説,疲労骨折, 日本臨床整形外科学会,中足骨の疲労骨折 前園恵慈,日本臨床スポーツ医学会誌,陸上競技選手の低リスク骨盤・ 下肢疲労骨折の現状と競技復帰時期の検討,第27巻第3号 日本臨床スポーツ医学会誌,骨・関節のランニング障害に対しての提言,Vol. 13 Suppl. 2005.p243-248 日本スポーツ整形外科学会,スポーツ外傷の応急処置
公開日:2024.10.17 -
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適切な治療とトレーニング調整で、ランニングを続けよう 「マラソン準備中にひざに激痛が走り、疲労骨折と診断された」「早く回復して、トレーニングに戻りたい」 このような悩みを抱えるランナーは少なくありません。ひざの疲労骨折は、ランニングを続ける上で大きな障害となります。適切な治療と予防策を理解することが、健康的なランニングライフを送るために不可欠です。 この記事では、ひざの疲労骨折の原因や症状、回復のためのリハビリテーション、そして再発防止のためのトレーニング調整について詳しく解説します。正しい知識とケアを通して、疲労骨折を乗り越え、ランニングを楽しみ続けるための参考になれば幸いです。 ひざの疲労骨折とは? 疲労骨折は、繰り返しのストレスがかかることによって、骨に微小な亀裂が生じる状態を指します。ランナーにとって、ひざは特に負担がかかる部位であり、疲労骨折のリスクが高くなりやすいです。 疲労骨折の原因と一般的な症状 疲労骨折は、ひざに繰り返し負荷がかかることで徐々に発生する骨の損傷です。主な原因は以下の通りです。 急激なトレーニング量の増加 不適切なランニングフォーム 硬い路面でのランニング 足に合わない靴の使用 骨密度の低下 これらの原因が重なると、ひざの骨に過度のストレスがかかり、疲労骨折のリスクが高まります。 疲労骨折の一般的な症状は次の通りです。 部位 説明 症状 すねの骨の上端前面にある出っ張り ジャンプの着地の際に、太ももの前の筋肉が繰り返し引っ張られることで疲労骨折が起こりやすい 出っ張りの周辺に痛みや押すと痛む症状が現れる すねの骨の上端内側 ランニングの際に繰り返しストレスがかかる 膝の内側に痛みや押すと痛む症状が現れる 太ももの骨の下端外側の出っ張り ジャンプやランニングの際に繰り返し負荷がかかる 膝の外側に痛みや押すと痛む症状が現れる ひざの皿(膝の前面の骨) ジャンプ動作の多いスポーツで繰り返し負荷がかかる 膝の前面に痛みや押すと痛む症状が現れる これらの原因が重なると、ひざの骨に過度の負担がかかって、疲労骨折が起こる場合があります。痛みが徐々に強くなって、放っておくと日常生活にも支障が出る可能性があります。 疲労骨折は、ランニングだけでなく、他のスポーツや活動でも起こり得ます。 また、テニス、バスケットボール、サッカーなど、急停止や方向転換が多いスポーツでは、ひざへの負担が大きくなるため、疲労骨折のリスクが高まります。 さらに、肥満や喫煙、ステロイド薬の長期使用なども、骨密度を低下させる要因です。 疲労骨折の発生率は、年齢や性別によっても異なります。 ランナーにおけるリスク要因 ランナーは、こんな要因でひざの疲労骨折のリスクが高くなりやすいです。 ・オーバートレーニング ・急激な走行距離の増加 ・不適切なランニングフォーム ・筋力や柔軟性のアンバランス 週に走る距離を急に増やしたり、坂道や階段などの負荷の高いトレーニングを行ったりすると、ひざへの負担が大きくなります。また、大腿四頭筋や下腿三頭筋などの筋力不足や柔軟性の低下も、疲労骨折のリスクを高める要因になるでしょう。 また、ランニングシューズの選択は、疲労骨折の予防において重要です。 クッション性が不足していたり、安定性が低かったりするシューズは、ひざへの負担を増大させやすいです。 また、古くなったシューズを使い続けることも、疲労骨折のリスクを高めます。ランニングシューズは、300~500kmを目安に交換しましょう。 ランニングフォームは、疲労骨折と密接に関係しています。着地の際に、ひざを深く曲げすぎると、ひざへの衝撃が大きくなります。逆に、ひざを伸ばしたままだと、衝撃を吸収できません。理想的な着地は、ひざを約150〜160度の角度でやや曲げた状態で、足裏の中央から外側で行うことです。この角度を保つことで、衝撃を適度に吸収し、膝への負担を軽減することができます。ただし、この角度はあくまでも目安であり、個人差や走行速度、路面の状態などによって変化するため、自分に合ったフォームを見つけることが大切です。 また、ストライドが大きすぎると、ひざへの負担が増えるため、小刻みなステップを心がけましょう。姿勢も重要で、上体を前傾させすぎると、ひざに余計な力がかかってしまいかねません。 診断と初期治療 疲労骨折の早期発見と適切な初期治療は、回復への第一歩です。症状を我慢せず、迅速な行動を取りましょう。 診断プロセスの詳細 ひざの疲労骨折の診断は、以下のような手順で行われる場合がほとんどです。 診断手順 内容 問診 症状の詳細や発症時期、トレーニング状況などを聞く 身体診察 ひざの圧痛や腫れ、可動域制限などをチェック 画像検査 レントゲンやMRI、骨シンチグラフィなどで骨の状態を調べる 医師は、これらの検査結果を総合的に判断して、疲労骨折の診断を行います。また、骨折の部位や重症度によって、適切な治療方針を決めます。 初期治療の選択肢とその重要性 疲労骨折と診断されたら、初期治療では安静と患部の保護が重要です。 治療方法 説明 患部の安静 痛みを悪化させないために、しばらくランニングを控える 松葉杖やサポーターの使用 患部への負荷を減らすために、医師の指示に従って使う アイシング 痛みと腫れを和らげるために、定期的に行う 鎮痛剤の使用 必要に応じて、医師の処方に従って内服する 初期治療の目的は、骨折の悪化を防いで、痛みや腫れを抑えることです。適切な初期治療を行うことで、回復までの期間を短くし、後遺症のリスクを減らすことができるでしょう。 効果的なリハビリテーション 疲労骨折の回復には、適切なリハビリテーションが欠かせません。理学療法士の指導の下、段階的にひざの機能を回復させていきます。 回復を促進するリハビリテーション技術 ひざの疲労骨折の回復を促進するリハビリテーション技術には、以下の例があります。 リハビリテーション技術 説明 関節可動域訓練 ひざの曲げ伸ばしの動きを良くする 筋力トレーニング 大腿四頭筋や下腿三頭筋などの筋力を強くする 微小電流療法 微弱な電流で骨の治癒を促す 部分荷重トレーニング 体重の一部を徐々に骨折部位にかけていく練習 これらの技術を組み合わせることで、ひざの機能回復の効果が期待できるでしょう。 またリハビリテーションの一例と注意点は以下のとおりです。 期間 注意点 急性期(骨折直後~数週間) 安静と患部の保護が中心です。痛みに応じて、患部を動かさないようにしましょう 回復期(数週間~数ヶ月) 徐々に患部の動きを取り戻していきます。関節可動域訓練や筋力トレーニングを、痛みに注意しながら始める場合があります 維持期(数ヶ月~) 個々に合わせて日常生活に必要な動きを取り戻し、徐々にランニングへの復帰を目指します 各段階で、医師と相談しながら、無理のないペースで進めることが大切です。 また、 リハビリテーション中は、痛みや違和感に注意しましょう。痛みが強い場合は、無理せず、医師や理学療法士に相談してください。 たとえ痛みが和らいでも、急激な運動量の増加は避け、徐々に負荷を上げていくことが大切です。 日常生活での調整とサポート リハビリテーションと並行して、日常生活での調整も大切です。以下のような点に注意しましょう。 ・ひざへの負担を減らす動作の工夫 ・十分な休養と睡眠の確保 ・バランスの取れた食事 ひざへの負担を減らすにはしゃがみ込みや正座などは避けましょう。 また、食事では特にカルシウム、ビタミンDの摂取が重要です。 カルシウムとビタミンDは、骨の健康を維持するために特に重要な栄養素です。 カルシウムは、骨の主成分の一つで、骨の強度を保つために欠かせません。一方、ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けます。 また、ビタミンDは日光に当たることで体内で合成されます。適度な日光浴も、ビタミンDの供給源として重要です。 これらの栄養素が不足すると、骨密度が低下し、疲労骨折のリスクが高まる可能性があります。 カルシウムを多く含む食品は以下のとおりです。 ・乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど) ・小魚(しらす、ししゃもなど) ・大豆製品(豆腐、納豆など) ・緑黄色野菜(小松菜、ほうれん草、ブロッコリーなど) ビタミンDを多く含む食品には以下のとおりです。 ・魚(鮭、さば、まぐろなど) ・きのこ類(しいたけ、まいたけなど) ・卵黄 ・牛乳 カルシウムの1日の推奨摂取量は、成人で800~1,000mgです。ビタミンDの推奨量は、18歳以上の成人で1日あたり8.5μgとされています。 これらの栄養素は、骨の健康を維持するために重要ですが、過剰摂取はビタミンD中毒などの別の症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。 また、骨密度を維持するためには、バランスの取れた食事に加え、禁煙と禁酒も大切です。喫煙は、骨密度を低下させるだけでなく、骨折の治癒を遅らせる効果もあります。 同様に、飲酒も骨の健康に悪影響を及ぼします。アルコールは、カルシウムの吸収を阻害し、骨密度を低下させる可能性があります。したがって、骨折の予防と回復のためには、禁酒が推奨されます。 骨折の回復期には、家族や友人の理解とサポートも大きな力となります。周囲の人に協力を求め、サポートを受けることも大切です。 トレーニングと再発防止 ひざの疲労骨折からの回復後は、適切なトレーニング方法と再発防止策が重要です。無理のないペースで、徐々に運動量を増やしていきましょう。 適切なトレーニング方法と強度の調整 再発を防ぐためには、医師や理学療法士の指示のもと以下のようなトレーニング上の工夫が必要です。 ・徐々にトレーニング量を増やす ・十分なウォームアップとクールダウンを行う ・クロストレーニングを取り入れる ・ひざへの負担を軽減するランニングフォームを習得する また、ランニングシューズの選択や定期的な交換も重要です。医師や理学療法士、トレーナーのアドバイスを参考に、自分に合ったシューズを選びましょう。 ランニングへの復帰ステップの一例は以下のとおりです。 ウォーキングから始める 軽いジョギングを導入 ランニング距離・ペースを徐々に増加 レース出場を検討 しかし回復する過程は、骨折の状態や年齢などによって異なるため個人差が大きいです。 医師と相談しながら自分のペースですすめましょう。 また、疲労骨折の予防策と具体例は以下のとおりです。 予防策 説明 適切なランニングシューズの選択 クッション性と安定性のバランスが取れたシューズを選ぶ ランニングフォームのチェック 着地の衝撃を減らすフォームを心がける トレーニング計画の作成 急激な距離・ペースの増加は避け、徐々に負荷を上げていく 長期的な健康維持のためのストラテジー ひざの健康を長期的に維持するためには、以下のような対策を心がけましょう。 ・定期的な筋力トレーニングと柔軟性の維持 ・適切な栄養摂取と体重管理 ・オーバートレーニングの回避 ・定期的な健康チェックと早期の異変への対応 これらを日々の生活に取り入れると、ひざの疲労骨折の再発を防ぎ、健康的なランニングライフを送ることができるでしょう。 また、疲労骨折の回復には、身体的な治療だけでなく、心のケアも重要です。 長期の休養を余儀なくされることで、ストレスやフラストレーションを感じることもあるでしょう。 家族や友人、医療従事者と話をすることで、心の負担を軽くする効果が期待できます。 また、回復期間中は、ランニング以外の趣味や興味を見つけることで、生活にメリハリをつけることもおすすめです。 まとめと今後の計画 ひざの疲労骨折は、ランナーにとって深刻な問題ですが、適切な治療と予防策によって乗り越えられるでしょう。回復のためには、段階的なリハビリテーションと日常生活での調整が不可欠です。 疲労骨折の管理と競技への復帰 ひざの疲労骨折からの回復と競技への復帰には、以下のポイントが重要です。 ・医師や理学療法士との連携 ・無理のない段階的なトレーニング計画 ・痛みや違和感への注意 ・適切な休養とリカバリー 自分のペースで着実に進んでいくことが、健康的な競技復帰への近道です。 定期的なフォローアップと自己モニタリングの重要性 疲労骨折の再発を防ぐためには、定期的な体調管理と把握が欠かせません。以下のような点に注意しましょう。 ・定期的な検診 ・痛みや違和感の早期発見 ・トレーニング日誌の記録 ・体調変化への迅速な対応 自分の体の声に耳を傾け、異変に早めに気づくことが大切です。 ひざの疲労骨折は、ランナーにとって大きな問題ですが、適切な知識とケアによって乗り越えられるでしょう。回復と再発防止のためには、医師や理学療法士との連携と自己管理が不可欠です。 ランニングを楽しみ続けるために、自分の体と向き合い、健康づくりに取り組みましょう。 参考文献一覧 MSDマニュアル家庭版,骨折の概要 日本スポーツ整形外科学会,スポーツ損傷シリーズ,疲労骨折 日本臨床整形外科学会,疲労骨折・腰痛 日本生活習慣病予防協会,骨粗鬆症 ドクターズファイル,疲労骨折 日本骨折治療学会,骨折の解説,疲労骨折 厚生労働省,アルコール MSDマニュアル家庭版,足の疲労骨折 e-ヘルスネット,喫煙によるその他の健康影響 e-ヘルスネット,カルシウム 日本人の食事摂取基準(2020 年版),②ビタミン D,p178-187 農林水産省,みんなの食育,大切な栄養素カルシウム 日本陸上競技連盟,疲労骨折予防10か条
公開日:2024.10.07 -
- 上肢(腕の障害)
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「脛に痛みを感じるようになり、ランニングが辛くなってきた」「疲労骨折かもしれないと思うけど、どのくらい休めば治るの?」 このような悩みを抱えるランナーは少なくありません。疲労骨折は、ランニングを楽しむ上で大きな障害となります。適切な治療と予防策を理解することが、健康的なランニングライフを送るために不可欠です。 この記事では、疲労骨折の原因や症状、自然治癒のプロセス、そして予防策について詳しく解説します。正しい知識とケアを通して、疲労骨折を乗り越え、ランニングを楽しみ続けるための参考になれば幸いです。 疲労骨折の理解 疲労骨折は、繰り返しのストレスによって骨に微小な亀裂が生じる状態を指します。 まずは、疲労骨折の原因と症状を解説します。 疲労骨折の原因と典型的な症状 疲労骨折は、以下のような要因が重なると発生しやすくなります。 ・急激なトレーニング量の増加 ・不適切なランニングフォーム ・硬いランニングサーフェス ・足に合わない靴の使用 ・骨密度の低下 疲労骨折の症状は、以下のようなものがあります。 症状 説明 運動時の痛み 特に、特定の部位の痛み 安静時の痛みの持続 休んでいても痛みが続く 腫れや圧痛 患部が腫れたり、押すと痛みを感じる 皮膚の発赤や熱感 患部の皮膚が赤くなったり、熱を持つ これらの症状が継続する場合は、疲労骨折の可能性が高いと考えられます。 疲労骨折の診断プロセス 疲労骨折の診断は、以下のようなプロセスで行われます。 診断手順 内容 問診 症状や発症時期、トレーニング状況などを詳しく聴取 身体診察 圧痛や可動域制限、腫れなどを確認 画像検査 X線検査、MRI検査、骨シンチグラフィなど 早期の疲労骨折では、X線検査で異常が見つからない場合があります。 一方で、MRI検査や骨シンチグラフィは、より早期の段階で診断が可能といわれています。 自然治癒のプロセス 多くの疲労骨折は、適切な休息とケアにより自然治癒が期待できます。ただし、骨折の部位や重症度によって、治癒に必要な期間は異なります。 自然治癒に必要な条件と推奨される休息期間 多くの疲労骨折は、適切な休息とケアにより自然治癒が期待できます。ただし、骨折の部位や重症度によって、治癒に必要な期間は異なります。 自然治癒に必要な条件と推奨される休息期間 疲労骨折の自然治癒には、以下の条件が必要です。 ・十分な安静と休息 ・患部への負荷の回避 ・適切な栄養摂取 一般的に、疲労骨折の自然治癒には6~8週間程度の休息期間が推奨されます。ただし、骨折の部位や重症度によって、必要な期間は異なります。医師の指示に従って、適切な休息期間を設けることが大切です。 サポートとしての栄養と補助的治療 自然治癒を促進するためには、適切な栄養摂取が重要です。以下のような栄養素が骨の健康維持に役立ちます。 栄養素 食べ物 カルシウム ・乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど) ・小魚(しらす、小あじなど) ・大豆製品(豆腐、納豆など) ・緑黄色野菜(小松菜、ブロッコリーなど) ビタミンD ・魚(鮭、さんま、いわしなど) ・きのこ類(しいたけ、まいたけなど) ・卵黄 タンパク質 ・肉類(鶏肉、豚肉、牛肉など) ・魚介類(鮭、まぐろ、えびなど) ・大豆製品(豆腐、納豆、油揚げなど) ・卵 ・乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど) これらの食べ物を適切に組み合わせて摂取することで、骨の健康維持に必要な栄養素を効果的に補えられるでしょう。 また、補助的治療として、以下のようなものがあります。 治療法 種類 効果 アイシング - 痛みと腫れの緩和に効果的 物理療法 電気刺激療法 痛みの軽減と筋肉の緊張緩和 超音波療法 骨の治癒を促進する可能性あり マッサージ療法 血行促進と筋肉の緊張緩和 ストレッチング 関節可動域の維持と筋力低下の予防 運動療法 筋力強化と関節機能の回復 これらの補助的治療は、医師や理学療法士と相談しながら取り入れるのが良いでしょう。 治療期間の詳細 疲労骨折の治療期間は、骨折のタイプや部位によって異なります。ここでは、様々な疲労骨折のタイプと、それぞれの治療期間の目安を紹介します。 様々な疲労骨折タイプと治療期間の比較 以下は、代表的な疲労骨折のタイプと治療期間の目安です。 骨折のタイプ 治療期間の目安 脛骨(シンスプリント) 4~8週間 中足骨 6~8週間 大腿骨頸部 8~12週間 腰椎 6~12週間 ただし、これらは一般的な目安であり、個人差があります。治療期間は、症状の改善具合や画像検査の結果を見ながら、医師が判断します。 早期回復を支援するためのリハビリテーション技術 疲労骨折の回復を早めるためには、適切なリハビリテーションが重要です。リハビリテーションは、必ず医師の許可を得てから開始し、理学療法士の指導のもとで段階的に進めていきます。骨折部位のリハビリには特に注意が必要です。 種類 目的 具体的な方法(例) 注意点 段階的な運動負荷 徐々に運動量を増やしていく ・低強度から開始し、耐久性をつける ・痛みに注意しながら、負荷を徐々に上げる 骨折部位に過度な負荷をかけないよう、医師の指示に従う 全身的な筋力トレーニング 骨折部位周辺および全身の筋力維持・強化 ・体重負荷や抵抗運動を取り入れる ・患部周辺の筋肉だけでなく、全身の主要な筋群をトレーニング ・コアスタビリティトレーニング(体の中心部の筋肉を鍛える運動)の導入 骨折部位の筋力トレーニングは、完全に治癒するまで控える 関節可動域訓練 関節の柔軟性維持 ・ストレッチや筋緊張の緩和を促す ・患部の関節および全身の主要な関節を動かす運動 骨折部位の関節は、医師の許可があるまで動かさない バランス訓練 再発予防とパフォーマンス向上に有用 • 片脚立ちや不安定な面(例:バランスボール)での立位保持 ・動的なバランス運動 ・プロプリオセプション(体の位置感覚)トレーニング 骨折部位に体重をかけない方法から始める 代償動作の修正 不適切な動作パターンの改善 ・歩行分析と修正 ・日常生活動作の評価と指導 骨折部位を保護しながら行う このアプローチにより、骨折部位を適切に保護しつつ、全身のコンディショニングと再発予防に焦点を当てたリハビリテーションが可能となります。常に無理のない範囲で、徐々に活動レベルを上げていくことが大切です。痛みがある場合は必ず中止し、医師に相談してください。 日常生活での予防と管理 疲労骨折を予防し、再発を防ぐためには、日常生活での適切な管理が欠かせません。トレーニング方法の見直しとライフスタイルの調整が重要です。 予防策:適切なトレーニング方法と負荷管理 疲労骨折を予防するためには、以下のようなトレーニング上の工夫が有効です。 ・徐々にトレーニング量を増やす(週10%以下の増加が目安) ・十分なウォームアップとクールダウンを行う ・適切な休養日を設ける ・クロストレーニングを取り入れる 適切なトレーニング方法を取り入れることが、疲労骨折の予防に役立ちます。例えば、インターバル走では高強度と低強度の運動を交互に行うことで、過度な負荷を避けつつ心肺機能を強化できます。ヒルトレーニングでは緩やかな上り坂を取り入れることで、筋力強化と負荷の分散を図れます。 また、水泳や自転車などのランニング以外の運動を取り入れるクロストレーニングは、特定の部位への負担を軽減する効果が期待できます。 さらに、ランニングフォームもチェックしましょう。足はかかとから着地し、重心を前に移動させるようにします。腕は脇に近づけ、リズミカルに振ります。上体は背筋を伸ばし、顔を上げて前を見ます。 シューズ選びも重要です。つま先に1cm程度の余裕があるサイズを選び、自分の体重や走行距離に合ったクッション性を確認します。また、アーチのタイプに合ったサポート機能も必要です。 専門家のアドバイスを元に自分に合ったものを選びましょう。 疲労骨折の再発を防ぐためのライフスタイルの調整 疲労骨折の再発を防ぐには、以下のようなライフスタイルの調整が役立ちます。 ライフスタイルの調整 具体的な方法 バランスの取れた食事 ・カルシウム豊富な食品(乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など)を摂取する ・ビタミンD含有食品(鮭、さんま、きのこ類、卵黄など)を取り入れる 適度な日光浴 ・1日15~30分程度、日中の太陽光を浴びる 禁煙 ・ニコチン代替療法(ニコチンパッチ、ガムなど)を活用する ・禁煙外来や禁煙プログラムに参加する ・禁煙に理解のある友人や家族に協力を求める 過度なアルコール摂取の制限 ・1日の飲酒量を、男性は20g、女性は10g未満に抑える ・アルコールを含まない飲み物を積極的に摂取する ・アルコールの代わりにストレス解消法を見つける 疲労骨折の再発を防ぐには、適切な栄養摂取が欠かせません。 カルシウムは1日800mg程度、ビタミンDは400~800IU程度の摂取が推奨されています。 カルシウムは乳製品、小魚、大豆製品などから、ビタミンDは魚類、きのこ類、卵黄などから効率的に摂取することが可能です。 また、適度な日光浴も重要です。1日15~30分程度、週に2~3回行うのが適切とされています。朝10時から午後2時までの間が理想的ですが、紫外線の強い夏場は早朝や夕方の時間帯を選ぶようにしましょう。 さらに喫煙は骨密度を低下させる要因の一つです。禁煙のためには、ニコチン代替療法や禁煙外来の利用、禁煙アプリの活用などの方法があります。 また、定期的な骨密度検査を受け、骨の健康状態をチェックすることも大切です。 まとめ:疲労骨折の治療と予防のための完全ガイド 疲労骨折は、ランナーにとって深刻な問題ですが、適切な治療と予防策によって治りやすくなるでしょう。自然治癒を目指すためには、十分な休息とケアが不可欠です。 総合的な回復と健康維持のアプローチ 疲労骨折の回復と予防には、以下のような総合的なアプローチが有効です。 ・早期発見と適切な治療 ・十分な休息と栄養摂取 ・段階的なリハビリテーション ・トレーニング方法の見直しとライフスタイルの調整 これらを組み合わせることで、効果的な回復と再発予防が可能となります。 定期的な医療チェックの重要性 疲労骨折の早期発見と予防には、定期的な医療チェックが欠かせません。特に、リスクの高い人は、より注意深く医療チェックを行う必要があります。 リスクの高い人とその具体的な対策 リスクの高い人 具体的な対策 女性アスリート(特に月経不順や低体重の方) ・3~6ヶ月ごとの骨密度検査 ・婦人科での定期検診 ・ホルモンバランスのチェック 急激にトレーニング量を増やした人 ・トレーニング計画の細やかな調整 ・専門のコーチや理学療法士との連携 過去に疲労骨折の経験がある人 ・より頻繁な受診や検診 ・代替トレーニングの導入 骨密度が低い人 ・6ヶ月ごとの骨密度検査 ・カルシウムやビタミンDの摂取量チェック 偏った食生活や栄養不足の人 ・専門家による食事指導 ・栄養状態の定期的なチェック これらのリスクの高い人に限らず、以下のような場面では医療機関を受診しましょう。 ・疲労骨折の症状が疑われる場合 ・トレーニング計画の見直しが必要な場合 ・定期的な骨密度検査(リスクの高い人は6ヶ月ごと、それ以外の人は1年ごと) 疲労骨折の早期発見のために、運動時の痛み、安静時の痛みの持続、腫れや圧痛などの症状に注意が必要です。これらの症状が見られた場合は、早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。 医療専門家と連携しながら、自分に合った予防策を見つけていくことが大切です。疲労骨折は、ランナーにとって起こる可能性のある問題ですが、適切な知識とケアによって、その影響を最小限に抑えられる可能性があります。 骨の回復を促進し、再発を防ぐためには、総合的なアプローチが重要です。これには、適切な休養、段階的なトレーニング再開、栄養管理、そして医療専門家による適切な治療が含まれます。 ランニングを長く楽しみ続けるために、自分の体に注意を払い、リスク管理を行うことが重要です。定期的な健康チェックと、体の変化に敏感になることで、潜在的な問題を早期に発見し、対処することができるでしょう。 参考文献一覧 MSDマニュアル家庭版,骨折の概要 日本スポーツ整形外科学会,スポーツ損傷シリーズ,疲労骨折 日本臨床整形外科学会,疲労骨折・腰痛" 日本生活習慣病予防協会,骨粗鬆症 ドクターズファイル,疲労骨折 日本骨折治療学会,骨折の解説,疲労骨折 厚生労働省,アルコール MSDマニュアル,足の疲労骨折 e-ヘルスネット,喫煙によるその他の健康影響 e-ヘルスネット,カルシウム 日本人の食事摂取基準(2020年版),②ビタミン D,p178-187 農林水産省,みんなの食育,大切な栄養素カルシウム 国立環境研究所,体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定-札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要-
公開日:2024.10.07 -
- 上肢(腕の障害)
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正しい理解と適切なケアで、健康な腰を取り戻そう 「重い物を持ち上げたら、急に腰に激痛が走った」「医師から腰椎の疲労骨折の疑いがあると言われたけど、どうすればいいの?」 このような悩みを抱える方は少なくありません。 特に、重労働に従事する人にとって、腰椎の疲労骨折は、日常生活や仕事に大きな影響を与え、不安や苦痛を伴う深刻な問題となるでしょう。適切な治療と予防策を理解することが、健康な腰を維持するために不可欠です。 この記事では、腰椎疲労骨折の原因や症状、治療法、そして再発防止策について詳しく解説します。正しい知識と適切なケアを通して、再発のリスクを減らし、健康的な生活を送ることができるでしょう。 腰椎疲労骨折の概要 腰椎疲労骨折は、腰の骨(腰椎)に生じる骨折の一種で、重労働や繰り返しの負荷が主な原因となります。 腰椎疲労骨折とは何か? 腰椎疲労骨折は、腰椎の「椎体」と呼ばれる部分に微小な亀裂が生じる状態を指します。椎体は、腰椎を構成する主要な骨の部分で、体重を支える重要な役割を担っています。一度の強い衝撃ではなく、長期的な負荷の蓄積によって引き起こされます。重い物を繰り返し持ち上げるような作業は、腰椎疲労骨折のリスクを高めます。 発症する主な原因と症状 腰椎疲労骨折の主な原因は、以下のとおりです。 重労働や繰り返しの負荷 不適切な姿勢や体の使い方 加齢に伴う骨密度の低下 骨粗鬆症などの基礎疾患 腰椎疲労骨折の症状は、単なる腰痛とは異なり、特有の特徴があります。 安静時にも持続する鈍い痛み 特定の姿勢や動作で増悪する痛み 腰の特定の場所を押すと痛みを感じる(圧痛) 腰の特定の場所をトントンとたたくと痛みを感じる(叩打痛) これらの症状は、時間の経過とともに徐々に悪化する場合が多いです。最初は軽度の痛みで済んでいても、放置すれば日常生活や仕事に大きな支障をきたすようになります。 特に、建設作業員のような重労働に従事する方は、症状が悪化しやすい傾向にあります。重い物を持ち上げる動作を繰り返すことで、腰椎への負担が蓄積し、椎体の微小な亀裂が進行してしまうのです。 そのため、疲労骨折が疑われる場合は、早期の診断と適切な治療が不可欠です。症状が軽度のうちから、医師の指導の下で安静や薬物療法、リハビリテーションなどを開始することが大切です。適切な治療を行うことで、痛みの軽減と日常生活の質の向上が期待できます。 症状の特定と初期対応 腰椎疲労骨折の症状に気づいたら、早めの対処が大切です。症状を見逃さないよう注意し、速やかに行動しましょう。 腰椎疲労骨折の典型的な症状 腰椎疲労骨折の症状は、以下のとおりです。 症状 説明 腰の痛み 特に、特定の部位に限局した痛みが特徴的 お尻の痛み 片側または両側のお尻の痛み、座った際の痛みなど 太ももの痛みやしびれ 太ももの前面や外側の痛みやしびれ、感覚の変化など 運動時や体重負荷時の痛みの増悪 動作によって痛みが悪化する 安静時の痛みの持続 休んでいても痛みが持続する 腰の可動域制限 腰の動きが制限され、硬くなる 圧痛や叩打痛 腰の特定の場所を押したりたたいたりすると痛む 腰椎疲労骨折の症状は、腰の痛みだけでなく、お尻や太ももにも現れるケースがあります。これは、腰椎の骨折により、神経が圧迫されることで起こります。 お尻や太ももの痛み、しびれ、筋力低下などの症状は、腰椎疲労骨折のサインかもしれません。これらの症状が継続する場合は、医師の診察を受ける必要があります。 早期発見と適切な治療が、スムーズな回復につながるでしょう。 医師は、症状や検査結果を総合的に判断し、症状の重症度や原因に応じて、最適な治療方針を提案します。 疲労骨折を疑ったらすぐに行うべきこと 腰椎疲労骨折が疑われる場合、まずは以下の初期対応を行いましょう。 対処法 説明 安静 無理な活動を控え、医師の指示に従って適切な期間の安静を取る 痛みの緩和 アイシング(冷却)や医師の指示に従った鎮痛剤の使用で痛みを和らげる 医師の診察 早めに受診し、詳しい症状の聞き取りと必要な検査で正確な診断を得る 医師の診察では、症状や経過を詳しく聞き取り、必要な検査を行って正確な診断を下します。適切な診断に基づいて、適切な治療方針を決定します。 腰椎疲労骨折は、初期対応が適切であれば、痛みの軽減と日常生活動作の回復が期待できます。しかし、症状を放置すると、骨折がさらに進行し、回復が遅れかねません。疲労骨折が疑われる場合は、早期の診断と適切な治療が不可欠です。 治療オプションと回復プロセス 腰椎疲労骨折の治療は、重症度によって異なります。保存的治療から外科的治療まで、医師と相談しながら最適な方法を選択しましょう。 保存的治療法:安静と物理療法 多くの場合、腰椎疲労骨折は保存的治療で改善します。安静と物理療法が治療の中心です。 保存的治療の内容(例) 説明 安静 4~8週間の安静期間が一般的。この間は腰への負担を避ける コルセットの使用 疲労骨折の状態によってはコルセットを装着する。腰椎を固定し、安静を補助するための装具であり骨折部位の安定化と痛みの軽減に役立つ 物理療法 腰椎の可動域維持や筋力強化を図る。姿勢の改善やボディメカニクス(体の動かし方)の指導も行う 腰椎疲労骨折の急性期には、無理な活動を控え、安静を保つことが大切です。安静期間中は骨折の状況に応じてコルセットを使用し、腰椎への負担を最小限に抑える場合もあります。 デスクワークの場合は、長時間の座位は避け、こまめに休憩を取りましょう。また、重量物を扱う作業は控えるべきです。 安静期間後、医師の許可が出たら、徐々に活動量を増やしていきます。急激な活動の再開は避け、腰への負担を徐々に増やしていくことが大切です。 物理療法は、医師の指示に従って、適切な時期に開始します。初期は、ストレッチや軽度の筋力トレーニングから始め、徐々に強度を上げていき、必要に応じて日常生活動作の指導をします。 腰部の疲労骨折からの回復期には、腰への負担を最小限に抑えることが重要です。 以下は、日常生活での動作例です。 ベッドから起き上がる際は、腰を反らさないよう注意し、横向きになってから腕の力を用いて上体を起こします。腰に力を入れず、体幹全体を一つの単位として動かすようにします 椅子から立ち上がる際は、両手で椅子の座面を押し、腰を前後に動かさずに膝を伸ばして立ち上がります。腰に負担をかけないよう、脚の力を使って立ち上がることが大切です 重い物を持ち上げる際は、腰を曲げるのではなく、膝を曲げて腰を落とし、背筋をまっすぐに保ったまま持ち上げます。腰を捻らないよう、体全体で向きを変えるようにします このように、日常生活のさまざまな場面で、腰への負担を減らし、腰部の可動を制限するための動作の仕方を身につけることが大切です。特に「腰を反らない」「腰に力を入れない」「腰を捻らない」ことを意識しましょう。 理学療法士が、患者一人一人の状態や疲労骨折の部位、程度に合わせて、適切な指導を行います。回復の各段階に応じて、徐々に活動レベルを上げていくことが重要です。 また、痛みに対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や筋弛緩薬、鎮痛薬などが処方されます。これらの薬は、炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待されます。 外科的治療法の検討とその時期 保存的治療で十分な改善が見られない場合や、重度の骨折、神経症状を伴う場合などは、外科的治療が検討されます。手術の方法は、骨折部位の固定や骨移植などです。 手術は、痛みの軽減、脊柱の安定化、神経症状の改善などを目的として行われます。 手術後は、リハビリテーションが重要です。理学療法士の指導の下、徐々に活動レベルを上げていきます。 手術が必要かどうかは、症状や画像所見、全身状態などを総合的に判断して決定されます。一般的な判断基準は、以下のとおりです。 保存的治療を3〜6ヶ月間行っても、十分な改善が得られない場合 骨折部位の不安定性が高く、脊柱の変形や神経症状の悪化が懸念される場合 骨折によって神経が圧迫され、重篤な神経症状が現れている場合 ただし、手術の適応は個々のケースによって異なります。医師が患者の状態を詳しく評価し、手術のメリットとリスクを十分に説明した上で、患者と相談しながら治療方針を決定します。 日常生活での予防策と再発防止 腰椎疲労骨折を経験した人にとって、再発防止は重要でしょう。日常生活での姿勢の改善や、仕事中の安全対策が欠かせません。 日常生活での姿勢の改善と運動療法 腰椎疲労骨折の予防には、以下のようなポイントがあります。 適切な姿勢の保持 重量物の正しい持ち上げ方の習得 定期的な運動による腰部や体幹の筋力維持 骨密度の維持(バランスの取れた食事、適度な日光浴など) 日常生活の中で、腰への負担を減らす工夫を心がけるのが大切です。 腰椎疲労骨折は、早期発見と適切な治療が重要です。症状を見逃さないようにすることが大切です。医師や理学療法士と相談しながら、しっかりと治療に取り組み、痛みを和らげ、仕事や趣味活動への復帰を目指しましょう。 また、継続的な予防策を実践することで、将来的な疲労骨折のリスクを抑えられやすくなります。 仕事中のリスク管理と安全な作業手順 仕事中のリスク管理と安全な作業手順は、腰椎疲労骨折の予防に欠かせません。 特に重労働に従事する人は、以下の点に注意をする必要があります。 項目 ポイント 詳細 1. 適切な重量制限の順守 ・持ち上げる物の重量が自分の体力に合っているか確認する ・可能な限り、重量物を分割して運ぶ ・重量制限を超える物は、同僚と協力して持ち上げる 自分の体力を過信せず、無理をしないことが重要です。重量物を扱う際は、常に安全を優先しましょう。 2. 重量物を持ち上げる際の正しい体の使い方 ・身体の重心を低くし、物を体に近づけて持ち上げる ・膝を曲げ、腰ではなく脚の力で持ち上げる ・急な動作は避け、ゆっくりと持ち上げる 正しい姿勢と技術を用いることで、腰への負担を大幅に軽減できます。定期的に正しい持ち上げ方の訓練を受けることをお勧めします。 3. 休憩の確保と作業の分散 ・長時間の連続作業は避け、こまめに休憩を取る ・同じ姿勢を長時間続けない ・作業内容を変化させ、特定の部位への負担を避ける 適切な休憩と作業の分散は、疲労の蓄積を防ぎ、怪我のリスクを低減します。作業スケジュールを適切に管理することが重要です。 4. 必要に応じた補助具の使用 ・重量物の運搬には、台車や手押し車を使用する ・高所での作業には、脚立や昇降台を使用する ・重い物を持ち上げたり、力を入れて押したりする作業では、腰ベルトの着用を検討する 適切な補助具の使用は、作業効率を上げるだけでなく、身体への負担を軽減します。腰ベルトは、重量物を扱う際に腰部を安定させ、怪我のリスクを減らすのに役立ちます。ただし、正しい使用方法を守ることが重要です。 さらに、定期的な健康チェックを受け、腰の状態を確認することも重要です。 仕事と腰の健康は、切り離せない関係にあります。自分の体を守るためにも、リスク管理と予防策の実践を心がけましょう。疑問や不安があれば、主治医や職場の安全管理者に相談しましょう。 長期管理と健康の維持 腰椎疲労骨折を予防し、健康な腰を維持するには、長期的な視点が必要です。定期的な検診と継続的な運動が鍵となります。 定期的な医療チェックアップの重要性 腰椎疲労骨折のリスクがある人は、定期的な医療チェックアップを受けることが強く推奨されます。これにより、腰椎の状態を詳しく評価し、疲労骨折の兆候を早期に発見することができます。チェックアップでは、以下のような検査が行われます。 検査項目 目的 腰椎X線検査 腰椎の構造や骨折の有無を確認する 骨密度測定 骨密度を評価し、骨粗鬆症の有無を調べる 血液検査(骨代謝マーカーなど) 骨の新陳代謝の状態を評価する これらの検査結果を総合的に評価することで、腰椎疲労骨折のリスクを判断し、必要に応じて予防策や治療方針を決定します。 定期的なチェックアップの間隔は、個人のリスク因子によって異なります。一般的には、以下のような場合に、より頻繁なチェックアップが推奨されます。 過去に腰椎疲労骨折の既往がある 骨粗鬆症と診断されている ステロイド薬を長期間使用している 喫煙や過度のアルコール摂取などの生活習慣がある 定期的な検診を継続することで、腰椎疲労骨折の早期発見と予防に役立つでしょう。 腰の健康は、私たちの日常生活の質に直結する重要な問題です。定期的な医療チェックアップを活用し、自分の腰の状態を把握することから始めましょう。 継続的な体力強化と予防のための運動 長期的な腰椎疲労骨折の予防には、継続的な体力強化が欠かせません。以下のような運動を日課に取り入れることをおすすめします。 ウォーキングやスイミングなどの有酸素運動 腰椎周囲の筋力トレーニング 柔軟性を高めるストレッチ バランス運動 運動の種類 効果 具体例 有酸素運動 全身の血行を促進し、体重管理に役立つ ウォーキング、水中歩行、エアロバイク 体幹筋力トレーニング 腰椎を支える筋肉を強化し、安定性を高める プランク、サイドブリッジ、腹筋運動 下肢筋力トレーニング 腰部での動作を下肢で補い、全体的な安定性を向上させる スクワット、ランジ、レッグプレス ストレッチ 筋肉の柔軟性を維持し、腰椎への負担を軽減する ハムストリングストレッチ、腰回りのストレッチ バランス運動 転倒防止と姿勢の改善に役立つ 片足立ち、バランスボールでの運動 運動の種類や強度は、自分の体力レベルや健康状態に合わせて医師と相談しながら、調整しましょう。無理のない範囲で、継続的に運動を続けることが長期的な健康維持につながります。腰椎疲労骨折は、重労働に従事する人にとって深刻な問題ですが、適切な治療と予防策を実践することで、リスクを最小限に抑えられるでしょう。 正しい知識を身につけ、自分に合ったケア方法を見つけることが重要です。健康的な生活習慣を身につけ、仕事もプライベートも充実した毎日を送りましょう。 参考文献一覧 MSDマニュアル家庭版."骨折の概要" 日本スポーツ整形外科学会."スポーツ損傷シリーズ-疲労骨折" 日本臨床整形外科学会."疲労骨折・腰痛" 日本脊椎脊髄病学会."脊椎脊髄疾患について・主な症状" 日本生活習慣病予防協会."骨粗鬆症” 村山医療センター."腰椎分離症" 教えて!先生!腰痛の専門医による安心アドバイス."腰の疲労骨折・脊椎分離症(腰椎分離症) 日本脊髄外科学会."腰椎分離症・分離すべり症" 徳島県医師会." 腰椎分離症 -病期・病態に応じて治療-" 日本整形外科学会."「腰椎分離症・分離すべり症」" 厚生労働省."腰痛予防対策” 厚生労働省."職場における腰痛予防対策指針及び解説" ドクターズファイル."疲労骨折" 医療法人大場整形外科."腰椎疲労骨折" 日本骨折治療学会."骨折の解説-疲労骨折"
公開日:2024.10.07 -
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失ったはずの腕や脚が痛むのはどうして? 幻肢痛に効果的な治療法はあるの? この記事に辿り着いたあなたは、幻肢痛に悩んでおり、なんとかして痛みを和らげたいと感じているのではないでしょうか。 幻肢痛の治療法には「薬物療法」や「鏡療法」などの選択肢があり、複数の方法を組み合わせて治療を進めることもあります。ご自身の状態に合った治療法を試すことが大切です。 本記事では、幻肢痛でよく用いられる治療法やセルフケア、そして新しい治療法について解説します。幻肢痛に悩んでいる、また幻肢痛に苦しむ方の力になりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。 幻肢痛に対する4つの治療法 幻肢痛(げんしつう)とは、事故や病気で四肢を切断したあと、失ったはずの腕や足に痛み・しびれを感じる現象です。四肢の切断によって脳内にある身体の地図が書き換わり、認識と感覚の不一致が生じて起こるといわれています。 幻肢痛の一般的な治療方法は、以下の4つです。 薬物療法 鏡療法 電気刺激療法 リハビリテーション ひとつの治療法で痛みが緩和され、一定の効果が得られる場合もありますが、さまざまな方法を組み合わせて治療を進めていくケースが多いです。 本章を参考に、幻肢痛における治療法の選択肢を知っておきましょう。 薬物療法 薬物療法では、以下のような種類の薬を使用します。 鎮痛薬 抗けいれん薬 抗うつ薬 抗てんかん薬 抗不整脈薬 オピオイド系鎮痛薬(モルヒネやドラマドール)が使われるケースもありますが、依存や乱用のリスクが高く副作用も懸念されるため、使用は慎重におこなうべきだと考えられています。 また、局所療法として、カプサイシンクリームの塗布やリドカインスプレーの噴霧などがおこなわれる場合があります。 いずれにしても、薬物療法は作用と副作用のバランスを考え投与するのが望ましいため、主治医と十分コミュニケーションを取りましょう。 鏡療法 鏡療法は、ミラーセラピーとも呼ばれている方法です。 健常な四肢を幻肢があるかのように鏡に映します。健常な四肢を動かすと、鏡にも同様に映るため、あたかも幻肢を動かしていると錯覚するのです。 これを繰り返すうちに、「幻肢が思った通りに動いている」と脳が認識するようになります。知覚と運動の情報伝達が脳内で再構築され、幻肢痛が軽減していきます。 具体的な方法は以下のとおりです。 1. 身体の正面中央付近に適切な大きさの鏡を設置します。 2. 切断部位が見えないようにし、健常肢が鏡に映るように調整します。 3. 鏡に映った健常肢の像がちょうど幻肢の位置と重なるようにします。 4. 健常肢側から鏡を見ると、幻肢があるかのように鏡に映ります。 5. その状態で健常肢でさまざまな動きをし、鏡の像を集中して見ます。 鏡療法をおこなう時間は決められていませんが、15分~30分程度おこなうのが一般的です。ただし、疲労状況や集中できる時間を考慮して、調整しましょう。 電気刺激療法 電気刺激療法には、3つの種類があります。 脊髄刺激 視床刺激 大脳皮質刺激 脊髄刺激を与えると、痛みが脳に伝わりにくくなります。刺激を与えると、痛みの伝達を抑制する物質が増加するため、神経の興奮を抑制して痛みの緩和につながるのです。 また、大脳皮質にある一時運動野や視床へ電気刺激を与えても、幻肢痛を和らげるケースが報告されています。刺激を与える部位は、切断部位や神経の残っている部分によって治療方法が異なります。 リハビリテーション 義肢や装具には、失った機能や役割を補うだけでなく、幻肢痛を和らげる効果があります。 義肢や装具の装着は、鏡療法と同様に脳に失った四肢を認識させるため、義肢の装着が日常的になると幻肢痛も消失していく場合が多いです。 ただし、幻肢痛がひどく、義肢や装具の装着ができない場合もあります。リハビリは、医師をはじめ、理学療法士や義肢装具士など、医療者と相談しながら進めていきましょう。幻肢痛は、常に一定に感じているわけではなく、突然襲われる場合もあります。 寝ていても飛び起きてしまうような突然の痛みに襲われたり、失った手足が締め付けられるように感じたり、痙攣している、幻肢がねじれる、しみるなど、感じ方や程度はさまざまです。 数年で幻肢痛がなくなる方もいれば、長年痛みに苦しめられる方もいます。そのため治療法の選択は、医師をはじめとするさまざまな医療者と相談し、それぞれの痛みの程度やライフスタイルに合わせた継続できる治療法の選択が必要でしょう。 幻肢痛治療経験者の中には、治療に成功し、徐々に痛みが緩和され消失した方もたくさんいます。 「なるべく痛みではなく、他に意識が向くようにしていると徐々に痛みが引いた」「義足をつけてリハビリを続けていると幻肢痛が緩和した」など、幻肢痛はすぐになくすことはできませんが、治療を続け徐々に痛みから解放された方は多くいます。 しかし、長年幻肢痛に悩まされているケースもあります。幻肢痛の治療は、根気強く治療を続けていくモチベーションが必要です。 幻肢痛のセルフケア方法2つ 幻肢痛のセルフケアをする方法として、以下2つが挙げられます。 ストレスをコントロールする 家族・支援者によるサポートを受ける 本章で幻肢痛のセルフケア方法を知り、医療機関での治療以外にできることがないか検討してみましょう。 ストレスをコントロールする 適切なストレス管理で痛みを和らげることもできます。 幻肢痛患者は、痛みによって、不安や怒り、恐れなど、さまざま感情が入り混じっている心理状態です。慢性的なストレスは、痛みを過敏に感じさせるため、幻肢痛が悪化する原因にもつながります。 自分でできるストレスのコントロール方法は、以下の通りです。 趣味に没頭する 散歩をする 映画やドラマを見る 好きな物を食べる お風呂にゆっくりつかる 規則的な睡眠をとる 香りを楽しむ 声を出して笑う 日光を浴びる 過度な運動などの幻肢痛が悪化するようなものは避け、まずは自分ができそうなものから始めてみましょう。暴飲暴食、過度な飲酒・喫煙などはかえって体調不良や睡眠不足の原因となり、痛みの悪化を招くため注意が必要です。 家族・支援者によるサポートを受ける ストレス管理は本人だけでなく、周囲からのサポートが必要になるケースもあります。 なるべくストレスを抱え込まず、周りの人の力を借りながらうまくコントロールすることが大切です。 家族・支援者ができるサポートは、以下の通りです。 痛みが一番のストレスなら、残存した方の腕や足を軽くマッサージしてもらう リハビリがストレスなら、リハビリのやり方やメニューを主治医と相談する 生活の不自由さがストレスなら、補助グッズの使用や利用できる支援の導入を検討する まずは自分がストレスに感じていることは何かを、家族やサポートしてくれる人に話して理解してもらう必要があります。 また、精神的に不安定になっている場合は、心療内科・精神科の受診やカウンセリングを受けることなども検討しましょう。 新たな技術を用いた幻肢痛の治し方2選 四肢の一部を失った方が、幻肢痛を乗り越え、生活の再構築をしていくのは、とても困難な道のりでしょう。 幻肢痛には、従来先述したような4つの治療法が用いられていますが、IT技術の進化に伴い、以下2つのような新しい治療法も登場しています。 VR技術による「遠隔セラピー」 BCI(ブレインコンピューターインターフェイス)による「脳のトレーニング」 体験を行う交流会もあるため、積極的に参加することで新たな発見があるかもしれません。お住まいの地域での開催がないか調べてみましょう。 VR技術による「遠隔セラピー」 VR空間のなかで、失った四肢を補間し、脳を錯覚させるセラピーも開発されています。幻肢痛を感じる患者とセラピストが一緒にVR空間の中に入り、手足を動かすイメージを共有する手法です。 3Dを利用したリアルな空間なので、実際にリハビリをしているような雰囲気が味わえます。 さらに、VR空間でセラピーを行うため、セラピストが近くにいなくても、いつでもどこでも実施が可能です。 鏡療法は切断部位によって有効でない場合もありますが、VR技術による遠隔セラピーならばより多くのケースに対応できます。 BCI(ブレインコンピューターインターフェイス)による「脳のトレーニング」 BCIによる「脳のトレーニング」では、脳活動を計測し、得られた計測信号から脳情報を読み解き、それに基づいて架空の手足の映像をオンラインで動かします。 架空の手足を動かすことで、脳の変化を促し、新しい感覚を得られたり、治療につながっていくことを目的としたものです。 この訓練を3日間行うことで、訓練後5日間の痛みが30%以上減弱した調査結果もあります。 まとめ|自分に適した幻肢痛の治療法を検討しよう 本記事では、幻肢痛の治療法とセルフケアの方法について詳しく解説しました。 治療の際には、失った部位や痛みの状態に合わせた方法を選択する必要があります。 また、IT技術を活かし、リアルに失った四肢を感じられるような遠隔セラピーやBCIによるトレーニングといった新しい治療法も開発されています。日々情報収集をおこないながら、自分に合った治療法を見つけましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、幹細胞の働きを活かし、本来の機能ができなくなった臓器や骨などを修復する「再生医療」を扱うクリニックです。再生医療には、膝や腰の痛みを改善させる治療もあります。再生医療に興味を持たれた方は、ぜひ当院のホームページをご覧ください。 参考文献一覧 (文献1) 住谷昌彦 幻肢の感覚表象と幻肢痛 バイオメカニズム学会誌Vol. 39,No.2(2015) (文献2) インタビュー「最先端の幻肢痛治療に見る、「脳のリプログラミング」の可能性」 (文献3) UTokyo バーチャルリアリティー治療で緩和される幻肢痛の特徴 (文献4) 住谷昌彦、宮内哲ほか 幻肢痛の脳内メカニズム 日本ペインクリニック学会誌Vol.17No.1 2017 (文献5) UTokyo 失った手足の痛みを感じる仕組み (文献6) 日本ペインクリニック学会 「神経障害制疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版」 (文献7) 緒方徹、住谷昌彦「幻肢痛の機序と対応」Jpn J Rehabil Med 2018;55:384-387 (文献8) ミラーセラピーについて | 脳梗塞集中リハビリセンター │ 社会医療法人 生長会 (文献9) 大内田裕 「幻肢・幻肢痛を通してみる身体知覚」2017年 (文献10) 片山容一、笠井正彦 「幻肢・幻肢痛を通してみる身体知覚」2017年 (文献11) 落合芙美子 日本義肢装具学会誌「義肢装具に対するチームアプローチ」日本義肢装具学会誌Vol.13 No.2 1997 (文献12) 幻肢痛VR遠隔多人数セラピーシステム|JDP (文献13) 事故で失った幻の手の痛みが脳活動を変える訓練により軽減 - ResOU
公開日:2024.10.28 -
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野球選手の肩の怪我で多い野球肩には種類があります!原因と最新治療法について メジャーリーグのドジャース山本由伸選手の肩の怪我は、最新の治療方法である「再生医療」で治療できる可能性が高いといえます。 投球やバッティングなど、腕の動作を繰り返す野球選手にとって「肩の怪我」は珍しいことではありません。 肩に問題を生じたら速やかに治療を開始する必要がありますが、どのような原因で、どのような症状を呈するのかについて知っておくことも重要です。 そこで、野球選手の肩の怪我の原因や症状、治療法について解説します。また、最近注目を集めている再生医療についてもご紹介します。 野球選手の肩の怪我は野球肩が原因の可能性が高い! 野球選手の肩の怪我の主な原因は「野球肩」によるものであると考えられます。 野球肩とは、野球の投球動作のように腕を大きく振る動作を繰り返すことにより、肩関節に関わる腱や筋、骨が損傷や炎症を起こしている状態の総称です。 そして、野球肩には種類があります。 野球肩の種類 ・腱板損傷 ・上腕骨骨端線離開(リトルリーグショルダー) ・動揺性肩関節症(ルーズショルダー) ・肩甲上神経損傷 ・インピンジメント症候群 「腱板損傷」とは 肩の中にある筋肉の腱の複合体である腱板が損傷を起こしている症状で、日常生活における肩の痛みにより生活の質を大きく落とす可能性が高いです。 「上腕骨骨端線離開」とは 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」とは「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使することで周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 「肩甲上神経損傷」とは、 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、或いは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 「インピンジメント症候群」とは、 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 メジャーの山本由伸選手の肩の怪我は再生医療で早期回復を目指せる 野球選手の肩の怪我はさまざまで、その症状次第で適切な治療法は異なります。そして、概ね数週間から、長ければ年単位での肩の安静が必要です。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は有名野球選手も利用実績のある治療法であり、手術や入院を避けることができるため、体への負担が少なく、治療にかかる期間が短めであるというメリットがある治療法です。 肩の症状を早く改善し、スポーツへの早期復帰を目指せる可能性がある治療法として、画期的な方法です。最近非常に注目されています。 もしも、早くスポーツに復帰したいと考えるのであれば「再生医療」を検討してみる価値が大いにあります。 まとめ・野球選手の肩の怪我で多い野球肩の種類!原因と最新治療法について 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーションや、重症の場合は手術というものでしたが、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えて欲しものです。なぜなら、選手生命を護ることが出来るからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
公開日:2024.10.07 -
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メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸選手が発症!肩腱板損傷とは? 負傷者リストに入ってしまったようで心配です。野球選手にも多い肩腱板の損傷についてその原因と治療法を詳しく説明いたします。 日常生活の中で何気なく動かしているように思う肩ですが、思わぬケガが原因で強い痛みが出たり、動かせなくなったりすることがあります。 スポーツ障害でも多い腱板損傷は、そのような状態を引き起こすもののひとつです。 今回は、その腱板損傷について詳しくご紹介します。 肩腱板損傷とは?その症状について 腱板は肩に存在する筋で、板のように広がっているので腱板といいます。 腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。これらが肩の骨を囲み、肩関節の安定性に働きかける重要な存在です。 その腱板が部分的、または完全に断裂するのが腱板損傷です。主な症状は痛みですが、軽い場合もあれば、動かせないほどの激痛、夜間に起こる痛みなど程度に差があります。 部分的な断裂では、肩を動かせないということはあまりありません。損傷が激しい場合、腕が上がらなくなったり、肩が動かしにくいという症状が出ることもあります。 肩腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因について見ていきましょう。腱板損傷の原因は大きく3つにわけられます。 外傷 腱板損傷の原因で多いのが外傷、つまりケガです。転んで肩を強く打つ、手をついたときに肩に衝撃が加わるというのが腱板を傷つけてしまうことがあるのです。 オーバーユース スポーツ医療でも注目される腱板損傷ですが、ケガというよりも肩の使い過ぎが原因のことが多いです。 その代表的なスポーツが野球です。何度も繰り返しボールを投げることで、肩関節や腱板に負荷がかかってしまうのです。 加齢によるもの 加齢によって腱板損傷が起こることもあります。年齢を重ねると腱や軟骨など、身体の組織も衰えてしまいます。そのため、自分でも気が付かないうちに腱板が傷ついていることもあるのです。 肩腱板損傷の治療法とは? 肩の腱板損傷の治療法をご紹介します。近年期待されている治療方法についても見ていきましょう。 保存療法 肩の腱板損傷の治療は基本的には保存療法です。急性期には三角巾で固定し、患部の安静を保ちます。痛みや腫れがある場合は痛み止めの注射やヒアルロン注射を行うこともあります。 また、腱板が損傷した状態で無理に動かすと再発したり、ひどくなったりすることがあるので、リハビリも大切です。 手術 保存療法で痛みが改善しない、損傷がひどく肩の動きが悪いという場合には手術を検討します。損傷した腱板を手術によって直接修復するというものです。 近年は関節鏡といって皮膚を大きく切らない手術が行われています。術後1~2週間ほどで痛みが落ち着くことが多いですが、正常な肩関節の状態に戻すにはリハビリ期間を含めて6か月程度かかることが多いです。 再生医療 これまで腱板損傷の治療は保存療法と手術がメインでした。しかし、手術となれば治療やリハビリを含めてスポーツ復帰までの期間が長くなります。 そんな中、近年、腱板損傷の治療法として再生医療が注目されています。 再生医療は、自身の脂肪から採取した幹細胞を肩腱板に注射します。そして幹細胞が傷ついた腱板や組織を修復するというものです。 外科的な手術をしないで治療できるため、治療期間の短縮も期待できます。 まとめ・メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸が発症!肩腱板損傷について 今回は肩の腱板損傷についてご紹介しました。 今回の山本由伸選手をはじめとして、肩を酷使する野球などのスポーツで使い過ぎによって肩の腱板が傷つくことがありますし、加齢によって腱板損傷を起こすこともあります。 プロの選手のように日常からケアをしていても、発症することがあるため、注意が必要です。プロ野球選手のように選手生命という問題がある場合は無理もできません。 そこで近年、治療法として注目を集めているのが再生医療です。特に幹細胞治療は、自分の幹細胞を用いるので、副作用のリスクが少なく、治療期間も短くて済むというメリットがありスポーツをされている方に最適です。 もちろん、再生医療はスポーツ選手ではなくとも有効です。 肩の痛み、肩の腱板損傷でお悩みの方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
公開日:2024.10.07 -
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離断性骨軟骨炎は再発する?再発リスクをリハビリで抑えるための治療と期間 離断性骨軟骨炎は、スポーツが原因で発症することが多い病変です。 もし発症した場合は、初期のうちに治療することで完治する確率が高くなりますし、症状が進行した場合でも、重症なものでなければ手術によって痛みや引っかかりを解消することができます。 一時的にスポーツをやめて安静にしていれば治る可能性が高いのですが、運動の再開時期を間違えると再発することもあり、軟骨の状態によっては選手生命を絶たれることもあります。 しかし、術後のリハビリを正しく行うことで再発リスクを下げることが可能になります。プロのスポーツ選手やプロを目指している人はもちろん、誰にとっても再発は避けたいものですよね。 今回は、この離断性骨軟骨炎の再発と再発予防、再発リスクを予防するリハビリについて解説していきます。 離断性骨軟骨炎の症状と治療 離断性骨軟骨炎は、初期の症状がほとんどありません。 違和感や痛みは、負荷がかかった肘や膝の関節軟骨表面に亀裂が入ったことで生じます。 離断性骨軟骨炎をそのまま放っておくと、軟骨がはがれ落ち、痛みが強くなります。はがれ落ちた軟骨の欠片は関節内を浮遊し、曲げ伸ばしに影響を及ぼし、動作の際に引っかかりを感じるようになります。 進行すると、引っかかりと痛みでスムーズな動きができなくなるため、スポーツを継続することが難しくなります。しかし、発症した原因となっている運動を休止することで病巣が修復し完治する場合もあります。 無理に運動を継続すると、手術が必要になったり選手生命を絶たれることになったりする可能性が高いため、肘や膝に違和感があったら運動は中止し、早く医療機関を受診し、医師の指示に従いましょう。 離断性骨軟骨炎は再発する 注意すべきは離断性骨軟骨炎は、一旦症状が治まっても再発することがあります。なぜなら、軟骨が普通の骨よりも再生しにくいからです。 実は、離断性骨軟骨炎の症状は安静にしていると落ち着いてくるため、もう治ったと勘違いする人が多くいます。しかし、その状態で運動を始めてしまうと、まだ安定していない軟骨に負荷をかけることになり、結果として再発してしまうのです。 しばらく運動を休んでいて痛みや、引っかかりがなくなったとしても、自己判断で運動を再開するのは非常に危険です。必ず、運動を再開する前には面倒でも医師の診察を受けて運動再開の可否を確認することが大切です。 大丈夫だろう・・・といった自己判断は、結果として治療期間を長引かせる可能性があるため、避けましょう。 離断性骨軟骨炎をリハビリで抑えるために 離断性骨軟骨炎のリハビリは、保存療法として行うものと、手術の後に行うものがあります。 子どもや軽症の患者さんは、ほとんどが保存療法での治療となるため、治療開始とともにリハビリを始めます。 離断性骨軟骨炎は、運動が原因の疾患ですので、痛みがある時は安静にしていることが一番です。しかし、症状が落ち着いて来たら、ある程度動かすことも必要になります。 離断性骨軟骨炎のリハビリ治療と期間 離断性骨軟骨炎は、軽症であればリハビリと安静中心の保存療法で治療が行われます。 また、離断性骨軟骨炎のリハビリ期間は、患者さんの年齢や症状の進行具合によって変わってきます。 約1~2カ月で痛みはやわらぎ、最低でも3か月の安静は必要です。3カ月以上保存療法を行っていても回復しない場合は手術療法が適応されることもあります。また、すでにに症状が進行しており、軟骨の状態が良くない場合は、リハビリより手術を先に行います。 手術は大体が関節鏡を使ったものになりますが、患者さんの状態によっては軟骨の移植など大がかりな方法になることもあります。 関節鏡下の手術の場合は、傷口が小さく回復が早いため、早期にリハビリを開始することができます。ただ、軟骨の修復は普通の骨と比べて時間がかかるため、無理に動かすことはできません。 離断性骨軟骨炎のリハビリは重要 離断性骨軟骨炎のリハビリは、可動域訓練や筋力トレーニングを中心に行います。 リハビリの際は、理学療法士から動かし方の指導やアドバイスがありますから、それに従って、肘や膝に負荷のかからない動作を身につけていきます。 リハビリを行うことは、自分の動きや姿勢の癖に気付くことにも繋がります。体に負担のかからない動作を知ることができるため、スポーツ再開後のトレーニングやストレッチにも役立ちます。 離断性骨軟骨炎の再発予防 離断性骨軟骨炎の再発を予防するには、運動の再開時期を勝手に決めないことがポイントです。 痛みがなくても軟骨はまだ不安定な状態ですから、きちんと医師の指示に従い、完全に治ってから運動を再開してください。 また、いきなり以前と同じレベルで体を動かすのは危険です。最初のうちは無理せず、少しずつ元に戻していくようにしましょう。 まとめ・離断性骨軟骨炎は再開時期を誤ると再発するため注意が必要 離断性骨軟骨炎は、安静にしていれば症状がなくなっていきます。しかし、それを完治したと思い込んでしまうと、再発しやすくなります。リハビリを正しく行うことで症状を和らげ、再発を防ぐことができます。 自分の姿勢や動作の癖を知ることは、その後の怪我を予防することにも繋がります。また、治療後はいきなり治療前と同じトレーニングをするのではなく、少しずつ運動を再開していくようにしましょう。 きちんと軟骨が修復されれば、離断性骨軟骨炎は治すことができます。痛みや引っかかりがなくなっても、運動の再開時期は必ず一度受診し、医師の指示に従うようにし、焦らず確実に治療しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。
公開日:2024.11.06