TFCC損傷は病院行くべきか?受診の目安や重症度のチェック方法を解説!
公開日: 2022.02.08更新日: 2024.12.08
手首に痛みを感じる場合、捻挫や腱鞘炎だけでなく「TFCC損傷」の可能性も考えられます。
とはいえ、TFCC損傷という病名は聞きなれない方も多く「TFCC損傷の可能性があるなら病院に行くべき?」「完治するのかな?」と不安になるかもしれません。
TFCC損傷は、軽症であれば自然治癒することもありますが、適切な治療を受けなければ改善が見込めないケースもあります。
そこで今回は、TFCC損傷が疑われるときに病院に行くべき基準や、治療方法について解説いたします。
手首の痛みで病院に行くべきかお悩みの方は、本記事を参考にしてください。
目次
TFCC損傷は病院に行くべきか?症状から判断する3つの基準
TFCC損傷とは、手首の付け根の靭帯であるTFCC(三角線維軟骨複合体)に生じる損傷です。
小指側に痛みや腫れが生じるため、可動域が制限されたり手首の動作によってさまざまな症状が現れます。
以下の症状に当てはまる場合は、整形外科での受診を検討してみてください。
- ドアノブを回したりタオルを絞るだけでも手首に痛みが出る
- 手首の小指側を押したときに痛みが出る
- 安静にしていても手首に痛みを感じる
それぞれの症状をさらに詳しく解説します。
また、TFCC損傷の詳細や診断方法については、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。
ドアノブを回したりタオルを絞るだけでも手首に痛みが出る
ドアノブを回したりタオルを絞るだけでも手首に痛みが出る場合は、病院に行くことを検討しましょう。
手首の動作で違和感や痛みを感じるのはTFCC損傷の可能性があります。
他にも「ドアの鍵を回す・蛇口をひねる」など一般的な動作も困難になると、日常生活に支障をきたすため注意が必要です。
手首の可動域が制限されてきたと感じたら、放置せず専門医の診察を受けたほうが良いでしょう。
手首の小指側を押したときに痛みが出る
2つ目は「手首の小指側を押したときに痛みが出る」場合です。
手首の小指側に触れたときに痛みが生じる場合、TFCC損傷のサインかもしれません。
たとえば、以下の症状が出ていたら病院での検査を検討してみてください。
- 手首の小指側を押したら痛い
- 手首を外にひねると痛い
- 手首をつくと痛い
- 手首を小指側に曲げると痛い
早めに医療機関で検査を受けることで、必要な治療やケアが行えます。
安静にしていても手首に痛みを感じる
3つ目は「安静にしていても手首に痛みを感じる」場合です。
日常生活で動かさなくても手首の痛みを感じる場合、TFCC損傷が進行している可能性があります。
そのため、安静にしていても痛みが引かない場合は自己判断で放置せず、医療機関で詳しい検査を受けることをおすすめします。
TFCC損傷の重症度チェック!軽症と重症の違い
TFCC損傷の症状は軽症のものから難治性まで幅広く、対処法も異なります。
適切なケアを行うためには、まず損傷の重症度を確認することが重要です。
本章では、軽症と重症の違いについて詳しく解説します。ただし本章はセルフチェックに留め、手首の痛みが続くようであれば早めに受診することをおすすめします。
軽度の損傷は安静にすることで自然治癒が期待できる
軽度のTFCC損傷であれば、まずは安静にして様子を見るのも有効です。
手首の痛みが比較的軽く、日常の動作に大きな支障がない場合はサポーターの着用で改善が見込めます。
安静にしていれば数日から数週間で自然治癒が期待できるでしょう。
痛みが徐々に和らいでいる場合には、無理に病院に行かず自己管理で回復を目指すのも1つの方法です。ただし痛みが続く場合は早めに受診しましょう。
重度・難治性の損傷は安静や装具のみでは改善しない
手首の痛みが強く、安静にしても改善が見られない場合は重度のTFCC損傷が疑われます。
難治性の損傷では、手首の内部に強い炎症が起きており、安静や装具だけでは回復が難しい可能性が高いといえます。
重度の場合は放置していても改善が望めないため、自己判断せずに専門医に相談し、詳しい検査や適切な治療を受けましょう。
TFCC損傷を診断する3つの検査方法
医療機関でTFCC損傷を診断するときは、以下3つの検査を行います。
- 身体所見
- X線検査
- MRI検査
診断の流れを知ることで、適切なタイミングで医師に相談しやすくなるでしょう。
身体所見で痛みや症状をチェック
まずは身体所見で手首の痛みや可動域を確認します。
医師が手首を動かしたり、患部を押してみて痛みの場所や動かしづらさを調べるのが一般的です。
身体所見は直接的な痛みを把握でき、どの程度の負荷で痛みが出るかを確認することが重要です。
身体所見でTFCC損傷の可能性が高まった場合、さらに精密な検査へと進みます。
X線検査で骨の異常や変形をチェック
X線検査は、骨の異常や変形の有無を確認するために行われます。
TFCC損傷は主に軟部組織の損傷ですが、骨折や骨の変形が関係している場合もあるため、X線によるチェックが有効です。
手首に強い痛みがある場合や、外傷を伴うときには適切な治療を進めるためにX線検査が重要な役割を果たします。
MRI検査で軟部組織の損傷を確認
MRI検査では、手首の軟部組織の状態を詳しく観察します。
TFCC損傷は軟部組織が関わるため、MRI検査を行い、X線では確認できない細かな損傷を把握するために重要です。
MRI検査で高信号が見られる場合は炎症が強くなっている可能性があり、早期治療が求められるケースもあります。
手首の内部構造を把握し、適切な治療方法を決定するために必要な検査だと言えるでしょう。
TFCC損傷の改善に期待できる5つの治療法!
TFCC損傷は、症状や重症度に応じてさまざまな治療法の選択肢があります。TFCC損傷の改善に有効とされる治療法は以下の5つです。
- 保存療法
- 薬物療法
- リハビリ療法
- 手術療法
- PRP療法
それぞれの方法を知ることで、適切な治療の選択がしやすくなるでしょう。
保存療法|安静・サポーター・アイシングで回復を促す
保存療法とは、安静にしてサポーターやアイシングによって回復を促す方法です。
軽度のTFCC損傷の場合、手首を休ませることで自然治癒が期待できます。
症状が軽度な場合に効果的で、初期段階での対処として推奨されます。
薬物療法|痛みや炎症を抑える薬の使用
薬物療法は、炎症や痛みを和らげるために痛み止めや抗炎症薬を使用する方法です。
ただし、薬はあくまで症状を緩和するものであり、根本的な治療にはなりません。
定期的に症状が続く場合は、他の治療法と組み合わせると良いでしょう。
リハビリ療法|可動域を戻すための運動療法
リハビリ療法では、手首の可動域を徐々に戻すための運動療法が行われます。
損傷部位の負担を少しずつ減らしながら、関節の柔軟性と筋力を高めるアプローチです。
痛みが軽減した後の段階でリハビリを開始すると、再発を防ぎ日常生活への復帰がスムーズに進むでしょう。
手術療法|損傷部の縫合や再建手術が必要な場合
重度のTFCC損傷や、保存療法や薬物療法で改善しない場合には手術療法を検討します。
手術では、損傷した部位を縫合したり再建手術で修復したりする方法が取られます。
手術によって症状が改善される可能性が高まりますが、術後はリハビリが必要となるでしょう。
そのため、手術を受けるかどうかは、医師と相談して慎重に判断してください。
PRP療法|TFCC損傷の治療に効果が期待できる再生医療
PRP療法とは、患者自身の血液から血小板を抽出し濃縮して損傷部に注入し、修復効果を高める治療法です。この方法は、プロスポーツ選手の肘の治療に使用されるなど、スポーツ医療で注目されています。
また、慢性的な痛みやスポーツへの早期復帰を望む方、薬のアレルギーがある方にも適した治療といえます。近年注目されている再生医療による治療も、新たな選択肢として考えてみると良いでしょう。
ちなみに当院「リペアセルクリニック」では、TFCC損傷でお悩みの方にもPRP療法を提案しております。
まとめ|TFCC損傷の疑いがあれば病院に行って適切な診断をしてもらおう
TFCC損傷による手首の痛みは、日常生活や仕事に影響を与えるケースが多く、無理に放置するのはおすすめできません。
ドアノブやタオルを使うだけでも痛みを感じる場合や、小指側に痛みがあるときはTFCC損傷の可能性を疑いましょう。
適切な治療で早期回復にも期待できるため、TFCC損傷の疑いがあれば早い段階で病院には行くべきだといえます。
日常生活を快適に送るためにも、まずは医師に相談してご自身に合った治療法を見つけてください。
また、当院「リペアセルクリニック」ではTFCC損傷の治療法の1つであるPRP療法についてもご相談いただけます。