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腱板が再断裂する原因を医師が解説|治療方法や予防法もあわせて紹介

腱板断裂 再断裂 原因
公開日: 2022.04.14 更新日: 2025.05.30

「腱板断裂の手術後の再断裂の原因って何」
「腱板が再断裂しないか不安」

このような不安を抱える方は多いでしょう。

腱板断裂は断裂の範囲や手術後の負荷などによって再断裂する可能性があります。日常生活から再断裂を予防する意識が大切です。

本記事では、腱板が再断裂する原因や再断裂する確率、再断裂後の治療法について詳しく解説します。

腱板の再断裂を予防する方法も紹介しますので、腱板断裂の手術後の方や再断裂の不安がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

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腱板が再断裂する3つの原因

腱板が再断裂する主な原因は以下の3つです。

  • 断裂が広範囲
  • 加齢による影響
  • 手術後の過負荷

順番に見ていきましょう。

断裂が広範囲

腱板の断裂が広範囲に及んでいる場合、修復した腱板が再び切れてしまうリスクが高まります。一般的に、断裂範囲が5㎝以上のものを「広範囲断裂」と呼びます。

広範囲断裂では、修復難易度が上がり、手術後の再断裂率が50%に達するという報告もあります。(文献1

また、断裂部分の筋肉に「脂肪変性」という、筋肉が脂肪に置き換わってしまう状態が強く現れると、腱板全体の強度が低下し、再断裂しやすい傾向が認められます。

とくに、肩を外側に回す際に重要な役割を果たす棘下筋の脂肪変性が進行しているケースでは、再断裂のリスクがより高まるとされています。

加齢による影響

年齢を重ねることも、腱板再断裂の一因となる場合があります。

加齢に伴い、腱板組織そのものの修復能力が徐々に低下するため、手術で修復しても治癒に時間がかかったり、強度が十分に回復しなかったりするケースも少なくありません。

さらに、高齢の方は栄養状態が低下している場合があり、これも再断裂リスクを高める要因です。ある研究では、手術前の栄養状態が低いと、再断裂のリスクが約5.6倍に上昇するという報告がなされています。(文献2

良好な栄養状態を保つことは、腱板の修復を助ける大切なポイントであると考えられます。

手術後の過負荷

腱板の手術を受けた後、肩に過度な負荷がかかることも再断裂を引き起こす原因の1つです。

手術によって腱板は修復されますが、すぐに元の健康な状態に戻るわけではありません。とくに手術後間もない時期は、修復した部分の縫合がまだ不安定な状態にあります。

この時期にリハビリテーションで無理をしたり、日常生活で肩を使いすぎたりすると、修復部分の治癒が妨げられ、再断裂につながる可能性が高まります。

腱板が再断裂する確率【なりやすい時期も紹介】

腱板の手術後、修復した腱板が再び断裂してしまうケースは、一定の確率で起こります。

手術後の再断裂率は約16%であり、断裂が広範囲だった場合、再断裂率は50%にのぼるという報告も見られます。(文献1

再断裂が起こりやすいのは、手術を受けてから間もない期間です。修復された腱板の強度がまだ十分でない手術後6カ月間は、とくに注意が必要な期間と言えるでしょう。

リハビリテーションの期間の目安としては、日常生活への復帰であれば手術後2〜3カ月程度、スポーツや重労働といった肩へより大きな負担がかかる活動への復帰は、6カ月程度が1つの目安とされています。

もちろん、これは個々の状態や断裂の程度によって異なります。このリハビリテーション期間中は、修復した腱板に過度なストレスをかけないよう、医師や理学療法士の指導をしっかりと守り、焦らず慎重に肩をいたわる生活を心がけることが大切になります。

腱板の再断裂で見られる症状

腱板が再断裂してしまうと以下のような症状が現れます。

  • 肩の痛みと可動域制限
  • 肩の筋力低下
  • 肩を動かしたときの異音

どれも初回の腱板断裂時と似たような症状です。初めて腱板断裂になったときと同様の症状を感じたら、病院受診を検討してみましょう。

肩の痛みと可動域制限

再断裂が起こると、肩の痛みが再び現れる場合があります。この痛みは以下の3種類に分けられるのが特徴です。

  • 安静時痛:じっとしているときもズキズキと続く痛み
  • 運動時痛:肩を動かしたときに鋭く走る痛み
  • 夜間痛:夜間に強くなる痛み

とくに夜間痛は、再断裂した側の肩を下にして寝ていると圧迫されて痛みが強くなり、睡眠を妨げることも少なくありません。

運動時の痛みは、腕を高く持ち上げようとしたり、後ろに回したりする動作で顕著になります。このような痛みによって、肩を動かせる範囲(可動域)が狭くなり、生活の中で不便を感じる場面が増える傾向が見られます。

肩の筋力低下

腱板は肩関節を安定させ、腕を動かす重要な筋肉群です。再断裂すると、肩や腕の筋力が弱まり、日常生活で力が入らないと感じるようになります。

具体的には、以下のようなケースが起こりえます。

  • 物を持ち上げようとしても力が入らない
  • 腕を上げた状態でキープするのが難しい
  • 腕全体に力が入らない脱力感を覚える

このような筋力低下は、腱板そのものが断裂してうまく力を伝えられなくなるだけでなく、断裂によって肩関節の安定性が損なわれることも要因の1つです。

関節が不安定になると、周囲の筋肉が正常に機能しにくくなり、結果として肩全体の力の低下につながるのです。

肩を動かしたときの異音

腱板が再断裂すると、肩を動かした際に「ゴリゴリ」「ポキポキ」あるいは「ジョリジョリ」といった異音を感じるケースがあります。これらの音は、医学的には轢音(れきおん)と呼ばれます。

この異音が発生する主な原因は、断裂してしまった腱板の断端やささくれた部分が、肩を動かすことによって関節内の骨や組織と擦れ合ったり、引っかかったりするためです。

とくに腕を上げ下げしたり、回したりするような動作の際に、肩の奥で何かが擦れるような、あるいは引っかかるような感触と共に音が聞こえます。

ただし、肩の関節は複雑な構造をしており、異音が発生する原因は腱板断裂だけではありません。

そのため、音がするからと言って必ずしも再断裂を意味するわけではないのですが、他の症状と共に異音が気になる場合は、専門医へ相談しましょう。

腱板が再断裂した際の治療方法

腱板が再断裂した際は以下の治療法が用いられます。

  • 保存療法
  • 手術療法
  • 再生医療

治療方法を知ることで不安の軽減につながります。

保存療法

一般的に、外傷によって腱板断裂を認めた際には、三角巾で数週間安静を保ちます。断裂部そのものが完全に修復治癒する場合はないものの、約7割は症状が軽快すると考えられているのが一般的です。

仮に腱板断裂に加えて肩関節周囲炎を合併し、強い夜間痛を認めた場合には、炎症を抑制する副腎皮質ホルモンと鎮痛作用を有する麻酔剤を肩峰下滑液包に局所的に注射して症状推移を経過観察します。

断裂部以外の健常に残っている腱板機能を活性化させることが重要となります。このような腱板機能をリハビリ訓練する手段は有効と考えられるでしょう。

また、ストレッチ運動で腱板断裂の完全な治癒は期待できませんが、関節の可動域を良好にする、あるいは腱板周囲の筋肉群の緊張を和らげて肩の痛みを軽減させる効果が期待できます。

手術療法

保存療法で肩の痛みや動きが改善しない場合、関節鏡視下手術や直視下手術を検討します。関節鏡視下手術は身体への負担が軽く術後の痛みも少ないですが、断裂が大きい場合は直視下手術が選ばれる場合もあります。

腱板断裂は治療後に再断裂する可能性があり、縫合した糸と組織の摩擦が原因です。再断裂すると損傷が広がり修復は難しく、再手術の精神的負担も大きいため、術後の再発予防は重要になります。

手術方法に関わらず、再断裂を防ぐには術後約1カ月の患部固定が不可欠です。装具で固定するため、日常生活は大きく制限されます。長期固定で肩が固まる関節拘縮が起こりやすいため、防ぐには数カ月のリハビリ継続が大切です。

再生医療

腱板の再断裂に対して再生医療も選択肢の1つです。再生医療は、ご自身から採取した幹細胞を患部に注射する治療法であり、入院が不要です。
糸で縫い合わせる治療ではなく、注射による治療のため再断裂のリスクが少なくなります。また、長期間の固定を必要としないため日常生活への影響も最小限で済みます。

腱板断裂の治療において、再断裂のリスクを抑えたい場合は、再生医療も検討してみましょう。
こちらの動画でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

手術しなくても治療できる時代です。

肩の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

腱板断裂(再断裂)を予防する方法

腱板が断裂するのを予防するには以下の方法があげられます。

  • 手術前の栄養状態を改善する
  • 日常生活で肩に負荷をかけないようにする
  • 専門家指導のもと正しいリハビリをおこなう

難しいことではないので、1つずつ意識していきましょう。

手術前の栄養状態を改善する

手術を受ける前から、体の状態を整えておくことは、スムーズな回復と再断裂リスクの低減につながります。とくに高齢の方の場合、手術前の栄養状態が良好であるほど、手術後の再断裂リスクが低下するという報告もあります。(文献2

私たちの体は、食べたものから作られています。腱や筋肉といった組織の修復には、タンパク質をはじめ、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素が不可欠なものです。

手術に向けて、日頃から主食・主菜・副菜のそろった栄養バランスの整った食事を心がけ、体に十分な栄養を補給しておくことが大切です。栄養状態を良好に保つことは、手術に備え、回復力を高めるための重要な準備と言えるでしょう。

日常生活で肩に負荷をかけないようにする

腱板断裂は、肩への繰り返しの負担や、一度に大きな負荷がかかることで発生しやすい状態にあります。そのため、初回の断裂予防はもちろん、手術後の再断裂を防ぐためにも、日常生活での肩への配慮が欠かせません。

具体的には、重い物を持つ動作は、肩関節や腱板に大きな負担を強いるため、できる限り避けるべきです。また、腕を急に高く上げる、手を体の後ろに回して物を取る、といった動作も、修復した腱板に予期せぬストレスを与える可能性があります。

日常生活の中で、肩に負荷をかけすぎないよう意識し、無理のない動作を心がけることが予防の第一歩となります。

専門家指導のもと正しいリハビリをおこなう

手術後のリハビリテーションは、肩の機能回復と再断裂予防のために非常に大切になります。

しかし、焦って頑張りすぎたり、自己流で過度なトレーニングをおこなったりすると、修復途中の腱板に負担がかかり、かえって再断裂のリスクを高めてしまう場合も少なくありません。

リハビリは、手術後の時期や肩の状態に合わせて慎重に段階を踏んで進める必要があり、リハビリの内容は以下のように多岐にわたります。

  • 可動域を広げる練習
  • 筋力を回復させるトレーニング
  • 肩の安定性を高める運動

医師や理学療法士といった専門家は、個々の回復状態を評価し、リハビリプログラムを計画・指導してくれます。

その指示にしっかりと従い、正しい方法でリハビリに取り組むことが、回復への着実な方法であり、再断裂を防ぐためのポイントです。

腱板の再断裂の原因を理解して予防しよう

腱板の再断裂は、約16%の確率で発生します。その原因として、広範囲の断裂、加齢による腱板組織の機能低下、手術後の過度な負荷などが挙げられ、とくに広範囲に断裂が及んでいる場合、再断裂率は約50%に達することもあるのです。

再断裂が起こると、肩の痛み、可動域の制限、筋力低下といった、腱板断裂時と同様の症状が現れます。

腱板の再断裂を防ぐためには、専門家の指導に基づいたリハビリと、日常生活で手術した側の肩に負担をかけすぎないように注意が必要です。

万が一、腱板が再断裂してしまった場合、保存療法や手術療法が主な治療法となります。しかし近年では、再生医療も選択肢の1つとして考えられるようになりました。

腱板の再断裂は予防可能なので、原因をよく理解し、再断裂を招かないよう注意深く生活しましょう。

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参考文献

(文献1)
北原 博之, 矢部 嘉浩, 乗松 崇宏, 安達 信二, 瀬良 敬祐「鏡視下腱板修復術後の再断裂の検討」整形外科と災害外科 59巻 4号 pp713~716 2010年
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/59/4/59_4_713/_article/-char/ja/
(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献2)
設楽仁「高齢者における肩腱板断裂手術後の再断裂:術前の栄養状態が鍵〜手術前の栄養状態が低いと、再断裂リスクがおよそ 5.6 倍〜」Journal of Bone and Joint Surgery 2024年
https://www.med.gunma-u.ac.jp/wp-content/uploads/2024/09/press_R060905.pd
(最終アクセス:2025年5月14日)

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