トピックスtopics

脊髄損傷とは、その症状と原因、治療法について

脊髄損傷とは、その症状と原因、治療法について

はじめに
脊髄損傷という言葉(あるいは「脊損(せきそん)」)を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。大まかなイメージはあっても、どういう原因で脊髄損傷になるのか、脊髄損傷になるとどのような症状が出現するのか、また脊髄損傷の治療法についてよくわかっていない人がほとんどだと思います。

この記事では、脊髄損傷とその症状および治療法について医師が解説します。なお、本記事では一般的な注意点について解説しておりますので、個別の事象については各自で判断せず医療機関に相談するようにしましょう。

脊髄損傷

脊髄損傷とは

そもそも脊髄とは何でしょうか。脊髄は脳と体をつなぐ神経の束を含む組織で、脊椎と呼ばれる背骨の中を通っています。脳と体中の神経をつなぐ重要な役割を担っているため、この脊髄がなんらかの原因によりダメージを受けるとさまざまな、そしてしばしば重篤な症状を引き起こすことになります。

これが脊髄損傷と呼ばれます。

脊髄損傷の原因

脊髄損傷の原因には様々なものがありますが、その原因が脊髄そのものにある場合と、脊髄の外にある場合の、大まかに二つに分けることができます。

① 原因が脊髄そのものにある場合:

脊髄は様々な神経の束を含みますが、この神経の束を栄養する血管が詰まったり破れたりする病態をそれぞれ脊髄梗塞、脊髄出血などと呼びます。またHIVや梅毒など脊髄に感染を起こすものもあります。

さらに脊髄の栄養となるビタミンB12の欠乏症、脊髄腫瘍なども脊髄損傷を引き起こします。しかし、脊髄損傷の原因が脊髄そのものにある場合は稀で、ほとんどの場合は原因が脊髄の外にあります。

② 原因が脊髄の外にある場合:

脊髄は脊椎とよばれる骨組織のなかに存在し、周囲は脊髄液と呼ばれる液体で満たされています。この脊椎周囲組織の感染や出血により、脊髄が外から圧迫されて脊髄損傷を起こすことがあります。

また、感染や出血以外にも椎間板ヘルニアや放射線、交通事故などの外傷により脊髄の外から脊髄に障害を引き起こすことがあります。

脊髄損傷の症状

脊髄損傷はその原因が様々であるのと同様に、その原因やダメージを受ける部位によって症状が大きく異なります。筋肉を動かす運動神経、触れている・熱い・冷たいなどを知覚する感覚神経といった神経の種類によって脊髄の中での分布が違います。

先に述べた脊髄そのものの原因により脊髄損傷が起きた場合にはこの脊髄の中の特定の領域が影響を受け、感覚のみが傷害される、運動のみが傷害されるといった神経の種類による障害が起きることがあります。

一方で、脊髄の特定の部位が損傷すると、脊髄の中での分布にかかわらず特定の部位の全ての種類の神経が障害されることがあります。その場合は、損傷部位より下に出ていくまたは損傷部位より下から入ってくる全ての神経の伝達が不可能になるため、下半身の運動・感覚など全てが障害を受けるいわゆる下半身不随などが起きることがあります。

脊髄損傷の治療法

脊髄損傷の治療は、その原因および目的によって多岐にわたります。今回の記事ではその治療法を、下記の3つに分けて解説します。

  • (1) 原因に対する治療
  • (2) 救命のための治療
  • (3) 障害の影響を減らすための治療

(1) 原因に対する治療

先に述べたように、脊髄感染症やビタミン欠乏、腫瘍などの原因がある場合はそれぞれに応じた治療を検討することになります。椎間板ヘルニアや血腫(血溜まり)・膿瘍(膿溜まり)などが原因の場合、脊髄の圧迫を減らすために手術で原因を除去することもあります。

(2)救命のための治療

頸髄など頭に近い部位の脊髄は、呼吸や血液循環など生命を維持するために必要不可欠な臓器を制御する神経を含んでいます。そのため、こういった部位で脊髄損傷が起きた場合、生命の維持が危機に晒されることになります。

その場合には原因の検索や治療に先行して、人工心肺・人工呼吸器などを使って生命の維持を目的とした治療を行うこともあります。

(3) 障害の影響を減らすための治療

最大限の治療を尽くしても、残念ながら障害が残ってしまうことがありますが、そういった場合でも、とても重要な治療があります。それがリハビリテーションを中心とした、障害とともに暮らしていくための治療です。

リハビリテーションを行うことで、障害を受けた機能をほかの機能で代替することができたり、行政や医療サポートを受けながら脊髄損傷を発症する前により近い生活を送ることができたりする可能性があります。

最後に・脊髄損傷とは、その症状と原因、治療法について

今回の記事では脊髄損傷とその症状および治療法について解説しました。

脊髄損傷と聞くと一般的には重篤な病態でしばしば身体障害を伴うなどのイメージがあると思いますが、実際にはその原因や治療法が多岐にわたることをご理解いただけたと思います。

そのため、個々の事例によって状況が大きく異なるため、より詳しく知りたい場合は既に受診している、または最寄りの医療機関に問い合わせることを推奨します。

 

No.071

監修:医師 坂本貞範

▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい
再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています
イメージ画像トップ