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脊髄損傷後の機能回復に効果的なリハビリについて

公開日: 2022.03.28
更新日: 2024.10.07

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脊髄損傷後の機能回復に効果的なリハビリについて

脊髄損傷は、外傷または病気により脊髄に損傷が起きることで発生し、原因は外傷性と非外傷性にわけられます。

外傷性では強力な外力が加わったときに、脊椎が脱臼・骨折・過剰伸展・過剰屈曲することが原因で、非外傷性では、腫瘍・循環障害・感染症・先天的がきっかけとなります。

脊髄を損傷すると、自分で歩けなくなる、呼吸できなくなるなど、日常生活に大きな影響をもたらします。そうした中でも社会復帰を目指し、残された機能を使って取り組むのがリハビリです。

この記事では、脊髄損傷の概要から、機能回復に効果的なリハビリなどを紹介します。

脊髄損傷のリハビリ

脊髄を損傷した場合

脊髄損傷になる外傷には、交通事故・高い所からの転落・平地での転倒・スポーツなどがあります。非外傷性では、癌性骨粗鬆症・多発性硬化症・炎症性脊髄炎・脊椎関節症などがあります。

好発年齢は20歳と59歳ですが、近年の調査では70代での発症が多発していると報告されています。これは、加齢により平地での転倒が増加するためと考えられています。

脊髄損傷の分類

脊髄が損傷すると、運動や感覚神経に障害が起こるほか、自律神経や膀胱直腸障害の症状がみられます。

脊髄損傷は、完全麻痺と不全麻痺にわけられます。脊髄損傷の約40%を占める完全損傷では、脊髄の連続性が完全に断たれてしまい、「手足を動かせない、感覚がわからない」状態に陥ります。

残りの約60%は不全麻痺で、脊髄の連続性は保たれているものの、麻痺の重症度は損傷部位と程度によりさまざまです。

受傷してすぐ気をつけたいこと

脊髄を損傷すると、受傷した位置から下に麻痺などの症状が出現します。脊髄損傷の約60%は頚髄損傷が占め、完全麻痺では手足が全く動かせないなど、麻痺の程度は大きくなるのが特徴です。

受傷直後は、脊椎に負担が加わらないよう極力動かさないようにすることで損傷の拡大を抑えます。交通事故など、外部からの強い力が入ったときには、頚髄へ外力が加わったことを念頭に、頸部の安静と固定が推奨されています。

また、脊髄に損傷を受けた際に発生する「脊髄ショック」がみられることがあります。脊髄ショックを起こすと、運動や感覚麻痺だけでなく、脊髄反射も消失します。1日から2日続くショック状態を抜けても症状が重たければ予後は期待できにくくなります。

  • 脊髄ショック
  • 脊髄損傷を負った場合に損傷した部位だけにとどまらず脊髄全体に損傷した影響が現れることがあります。これは脊髄から脳への連絡が絶たれることで起こり、数日程度から、長いと数週間続くことがあり、安静を継続しなければなりません。

受傷後の過ごし方

ベッド上で過ごす時間が長いと、褥瘡(床ずれ)・筋力の低下・起立性低血圧・関節可動域の低下・呼吸器疾患・尿路感染症などの合併症に注意しなくてはいけません。

褥瘡予防には体位変換を行います。褥瘡になると、皮膚や筋肉が壊死するだけでなく、感染リスクが高まります。こまめに寝る姿勢を変えたり、圧を分散できるマットやクッションを使用するなどの工夫が必要です。

脊髄損傷の機能回復に効果的なリハビリ

脊髄損傷の主な治療法はリハビリになります。残った機能を活かして社会復帰できるように取り組みます。

可動域訓練

拘縮を予防するために早期から関節可動域訓練を行います。脊髄を損傷すると、正常な筋肉・麻痺がある筋肉・筋力低下した筋肉が混在するようになります。そうした筋肉の均等が乱れることで拘縮が起きるのです。

下部頸髄損傷による拘縮では、肘・膝・足の関節が屈曲位で固定されるだけでなく、全身の柔軟性が低下します。また、拘縮があると座り姿勢・起き上がり・寝返り・移乗などに支障が出ます。

筋力トレーニング

筋肉を鍛えることで、麻痺を負った筋肉とのバランスを保つだけでなく、残存した機能を使い、日常生活を送れるようにします。

呼吸を止めお腹に力を入れることで、呼吸筋を鍛えるバルサルバ手技では、呼吸機能の回復が期待でき、呼吸機能の向上は生活の質を高めることにもつながります。バルサルバ手技を実施する際の推奨時間は30秒未満です。

歩行訓練

歩行訓練を早期から実施すると、歩行機能の向上だけでなく、身体機能も高まります。脊髄損傷の歩行には、吊り上げ式免荷歩行が行われます。ジャケットを装着し、体を上方へ牽引することで、負担や転倒リスクなく訓練ができます。

電気刺激

機能的電気刺激(FES:functional electric stimulation)を入れることで、麻痺を起こした筋肉を動かし、身体機能を取り戻します。具体的には、体の表面に装着、もしくは体内に埋め込んだ電極から電気信号を送り筋肉を収縮させる方法です。

電気刺激により、歩行や起立動作などの日常生活動作の改善から、高位脊髄損傷者では人工呼吸器が不用になった報告があります。また、動作の向上は脊髄損傷を負った方にとって、リハビリ意欲の向上につながります。

まとめ・脊髄損傷後の機能回復に効果的なリハビリについて

脊髄損傷は、体の中枢にある神経が損傷することです。脊髄を損傷すると、損傷した部位や程度により違いがあるものの麻痺が発生します。

損傷する脊髄レベルが高いほど重症度も高くなり、頸髄が横断される形で損傷する完全麻痺では、体を動かせなくなったり、感覚が感じ取れなくなったりします。

脊髄損傷後の主な治療法はリハビリで、回復・残存した神経機能を日常生活に結び付けるため、体位変換・可動域訓練・筋力トレーニング・歩行訓練・電気刺激などに取り組みます。

また、リハビリで思ったような効果がみられなかった場合、最新の治療法である再生医療を覚えておくと良いでしょう。再生医療では、これまで不可能だった損傷した脊髄の修復・再生が期待できるようになりました。

以上、脊髄損傷後の機能回復に効果的なリハビリについて記しました。参考にしていただければ幸いです。

▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい
再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています

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