【膝裏の腫れ】ベーカー嚢腫の症状とは?治し方を解説
公開日: 2022.07.06更新日: 2024.11.20
膝の傷病であるベーカー嚢腫は世間的にあまり周知されていない疾病です。しかし、ベーカー嚢腫は誰でも起こる可能性があり、治療が遅れると重症になりえます。
日常生活の中で『膝に違和感を感じる』といった経験をされたことはありませんか?膝の違和感と一口に言っても症状はさまざまですが、もしかするとベーカー嚢腫かもしれません。
そこで本記事では、ベーカー嚢腫について当クリニック医師が詳しく解説します。症状を理解し、早期発見・治療を心がけましょう。
- ・膝の裏が腫れる
- ・膝を曲げた際に違和感を感じる
- ・膝を伸ばすと膝の裏に痛みを感じる
目次
ベーカー嚢腫とは?原因はなに?
ベーカー嚢腫は、膝の関節の隙間の裏側に袋ができて、その中に滑液と呼ばれる膝の動きを滑らかにしている液体が溜ることで起こります。
症状が起きる原因は、激しい運動などで膝を使いすぎたり、関節リウマチや変形性関節症といった病気が誘引となって関節液が大量に作られ溜ることでベーカー嚢腫を発症します。
ベーカー嚢腫の症状
ベーカー嚢腫は、発症初期に痛みがないといった特徴をもっています。
最初は膝の裏が腫れたり曲げたときに、なんとなく違和感や不快感を感じる程度であることが大半です。この初期段階で腫れが小さくなり、自然治癒するケースも少なくありません。
しかし、痛みがないからといって自己判断の放置には注意が必要です。
膝の裏の腫れがニワトリの卵くらい大きくなると、膝の屈曲時や、正座をしようとしたときに引っかかるような感じがして姿勢を保てなくなります。
さらに悪化すると滑液を包んでいる袋が破裂し、関節液が漏れ出てきて周りの組織が炎症を起こしてしまいます。すると、膝の腫れがさらにひどくなり、腫れに対して熱や痛みを発します。
ベーカー嚢腫の好発年齢
ベーカー嚢腫は、関節リウマチや変形性関節症が起こりやすい50代~70代に多い疾病です。だからといって、若い方が発症しないと安心できるものではありません。
年齢関係なく誰でも起こりうる疾病とされ、ときには4歳~7歳くらいの子どもでも発症します。
ベーカー嚢腫の検査方法
診察では、変形性関節症や関節リウマチなどの病気が合併していないか調べることが重要です。
医師による触診や超音波検査・MRI検査などの精密な画像検査を行い、大きさや正確な発症位置を特定します。
【治し方】ベーカー嚢腫の治療
ベーカー嚢腫の治療方法は、合併している疾患の有無や重症度によって大きく変わってきます。
関節リウマチや変形性関節症などが合併している疾患があるときは、合併疾患に対して治療を行うことがベーカー嚢腫の改善にもつながります。合併している病気の治療が進まないとベーカー嚢腫を含め再発を繰り返してしまいます。
合併している病気の症状が落ち着いているときや、合併疾患がないときは、手術を伴わない治療で完結するケースが大半です。
保存療法手術を行わない際の治療としては、湿布を貼ったり炎症を抑える薬を内服します。 また、袋の中に関節液がたくさんたまっているときは、注射器により関節液の吸引を行います。吸引を繰り返してもベーカー嚢腫が頻回してしまう際や、周囲の組織に炎症を伴うときはステロイド剤の注射を行うケースがあります。 手術療法手術を行う場合は、膝の裏を2cm程度切り開いて行います。ベーカー嚢腫の元となる袋を取り出したり、関節から嚢腫へ関節液が漏れ出している穴を塞いだりと療法はさまざまですが、いずれの手術も全身麻酔で行われます。 術後の感染や麻酔によるアレルギー症状など、副作用の確認を行うため入院による治療となります。1~2週間の入院期間を設けることが多いですが、合併症の有無など、術後の経過によって前後します。 |
膝の裏には神経や血管がたくさんあり、すべての袋の除去が難しいことから、術後再びベーカー嚢腫ができてしまうケースも少なくありません。
ベーカー嚢腫に関するQ &A
この項目では、ベーカー嚢腫に関するよくある質問に対しての答えを提示しています。
ベーカー嚢腫にお悩みの方は問題解決の参考にしてください。
ベーカー嚢腫は何科を受診すればいいの?
ベーカー嚢腫の疑いがある場合は、整形外科を受診しましょう。お住まいの地域に整形外科院がない場合は、総合病院の受診をおすすめします。
また、当クリニックでも足の疾病に関する悩み相談は可能です。手術をしない再生医療に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。
ベーカー嚢腫に効くストレッチは?
ベーカー嚢腫には、膝周りの筋肉を伸ばすストレッチが効果的です。
ストレッチの種類は多岐にわたりますが、この項目では代表的なふくらはぎのストレッチを紹介します。
- 1.仰向けになり片方の足を上げます
- 2.上げた足にタオルをかけます
- 3.両手でタオルの端を持ちながら、足を伸ばした状態で45度程度まで下に引きます
- 4.呼吸を止めずに10秒程キープします
- 5.反対側の足も同様にストレッチします
ベーカー嚢腫とがんの見分け方は?
ベーカー嚢腫とがんを見分けるためにも、まずはお互いの特徴を把握しておきましょう。
ベーカー嚢腫 | 悪性腫瘍(軟部肉腫/骨腫) |
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初期の段階では、いずれも痛みを感じることなく発症するケースが大半です。しかし、ベーカー嚢腫の場合は関節の隙間にできた袋から滑液が漏れ出し、炎症をきたし痛みや熱を発します。
対して悪性腫瘍(軟部肉腫)の場合はしびれや麻痺症状を伴ったり、骨腫瘍は痛みを伴う特徴をもっていることを覚えておきましょう。
いずれにせよ、一般的に区別がつきづらい症状であることから、膝の不安感を覚えたら最寄りの医療機関を受診するよう心がけましょう。
まとめ|ベーカー嚢腫(膝裏の腫れ)の放置は禁物!
発症初期のベーカー嚢腫は、痛みを伴わず自然に小さくなる傾向にあるため放置してしまいがちな病気です。しかし、悪化すると、手術が必要になることもあります。
手術には入院が伴うため誰しもが望まない治療だと思います。最近では感染対策で入院中での面会が制限され、家族や友人に会えずに寂しく辛い経験をされる方も非常に多いです。
治療が手遅れになる前に、膝の裏に違和感を感じたら自分で判断したり、放置せずに医療機関に受診し、専門家に診てもらいましょう。
また、その他膝に関するお悩みを抱いている方は当クリニックまでお気軽にご相談ください。
当院の再生医療は、自己脂肪由来の幹細胞治療を推進しています
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