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側弯症の治療!手術で後悔しない為のメリットとデメリット

側弯症の手術で後悔しない為、そのメリットとデメリット

小学生の時に学校検診で前屈の動きをした覚えはありませんか?

あの動き、実は側弯症を見極めるテストの一つなんです。なぜ成長期の時期に側弯症の健診があるのでしょうか?

本記事ではそんな疑問にお応えすべく、放っておくと実は怖い側弯症について、様々な治療法をメリット・デメリットとともにご紹介していきます。

側弯症とは

側弯症とは

側弯症とは、背骨(脊柱)が前から見た時に曲がっている(捻れている)状態のことを言います。側弯の程度は個人差が大きく、背骨の曲がり方の指標である『コブ角』の測定が重要となります。

側弯症により痛みを伴うことは少ないですが、見た目の問題で心理的ストレスを感じたり、高度の側弯で肺活量の低下などの呼吸機能障害が起こったりすることもあります。

背骨(脊柱)の役割

通常、背骨は前から見ると真っ直ぐになっており、横から見るとS字のカーブを描いています。この形状により、重い頭部を効率よく支えることができ、重力による背骨への負荷を減らすことができるのです。

側弯症の指標であるコブ角とは?

側弯症の説明で必ずと言っていいほど出てくる指標がコブ角です。これは、背骨の横方向への曲がり方を表す角度になります。

角度を測る際に用いられるのが、レントゲン画像です。背骨(椎体)の上下で最も曲がりの強い椎体から線を引き、その2つの線が重なってできた角度がコブ角になります。側弯症 コブ角

出典:脊椎手術.com (https://www.sekitsui.com/specialist/sp014-html/)

コブ角が大きければ大きいほど側弯が強い、という判断になります。コブ角の程度により治療方法の選択が変わりますので頭に入れておきましょう。

側弯症の種類と原因

側弯症は、大きく2つの種類に分類されます。

  • ・機能性側弯症
  • ・構築性側弯症

以下で詳しく解説していきます。

機能性側弯症とは

機能性側弯症とは、日常の姿勢や、仕事動作の反復、腰痛などによる逃避的な姿勢など、左右非対称に偏った姿勢を高頻度にとる人に多くみられる側弯症です。

機能性側弯症の場合、コブ角も小さいことが多く、根本となる姿勢の問題を改善することで解消できます。

構築性側弯症とは

構築性側弯症は、その中でもいくつか分かれており、側弯の程度も人により様々です。後述する装具療法や手術療法の適応となるのは、ほとんどがこの構築性側弯症になります。

構築性側弯症は以下の側弯症に分けられます。

  • ①特発性側弯症
  • ②原因疾患があり、二次的に発症する側弯症

それぞれ解説していきます。

①特発性側弯症

特発性側弯症は原因不明の側弯症であり、構築性側弯症の大部分を占めます。

発症する時期により、

  • ・乳児期側弯症・・・3歳以下で発症
  • ・学童期側弯症・・・4〜9歳で発症
  • ・思春期側弯症・・・10歳以上で発症

このように分類されます。特に日本では思春期側弯症が多くみられます。

乳児期側弯症は 3 歳以下の男児に、思春期側弯症は 10 歳以上の女子に多いです。

学校検診で発見されることも多く、コブ角が少ない初期の段階では見逃されることも多いのですが、少しでも左右差があれば専門の整形外科への受診を勧められます。

進行のスピードには個人差があるため、1回のみでなく、定期的な受診により変形の程度を確認しましょう。治療の内容については後で述べますが、早ければ早いほど治療効果も高まります。

もし継続的な診察が必要だと言われたら、医師の指示に従い、そのまま放置しないよう注意してください。

②原因疾患がある側弯症

もともと原因となる疾患がもとになって側弯症が引き起こされるものもあります。

それが以下になります。

  • ・先天性側弯症・・・背骨の一部である椎骨の先天的な変形によって起こる側弯症
  • ・症候性側弯症・・・筋ジストロフィーや脳性麻痺、レックリングハウゼン病、マルファン症候群、やけど、脊椎の腫瘍などに続発して起こる側弯症

挙げればキリがないほど、多くの原因疾患があります。

しかし、必ずしも側弯になるわけではありませんし、側弯の程度も個人差があるため、専門の医療機関でしっかりみてもらうことが必須となります。

再生医療とは

構築性側弯症の治療方法

側弯症の治療方法はいくつかありますが、今回は構築性側弯症に絞ってご紹介します。

コブ角により推奨される治療方法が変わる

側弯症の程度を測る指標として最も用いられているものに、コブ角があります。

【コブ角の大きさによる治療方法の違い】

コブ角〜25°:

見た目にも分かりにくい状態。多くは経過観察。

コブ角25°〜40°:

見た目にも変形が分かるようになる。進行の防止および変形の矯正のために装具療法が用いられることが多い。

コブ角40°〜:

高度の側弯が見られる状態。場合によっては神経症状や呼吸機能の低下がみられる。手術療法により側弯を矯正する方法が推奨される。

側弯症レントゲン

出典:日本側弯症学会(https://www.sokuwan.jp/patient/disease/index.html)

このコブ角の大きさにより、推奨される治療方法が変わります。

側弯症の治療方法①装具療法

装具療法では、進行しやすい成長期の段階で装着することが多いです。

側弯が進行しないようにすることが一番の目的であり、装具をしたからといって側弯した背骨が戻るわけではありません。骨の成長が終了するまで装具を装着し、できるだけ側弯の進行を抑える目的で処方されます。

基本的には装着時間が長ければ長いほど効果が高いと言われており、“お風呂以外の時間は装着”や、“家にいる時間は装着”、“24時間できるだけ装着”などと医療機関により多少ばらつきがあります。

しかし、装着時の違和感が強く、許可された時間以外でも外してしまうケースも多いです。

側弯症アンダーアーム

アンダーアーム装具(出典:日本側弯症学会 https://www.sokuwan.jp

海外の権威ある研究においても16時間以上の装具装着により進行を抑えられたという報告もあることから、装着時間を守ることをオススメします。

側弯症の治療方法②手術療法

高度の側弯症に対しての唯一有効な治療法が手術療法です。

コブ角が50°を超えてしまうと、骨が成熟した後でも変形が進行する可能性があります。

変形が進行する=合併症の危険性が上がる、ということです

【高度な側弯】

  • ・変形が進行するリスクがある
  • ・変形による他の合併症の恐れがある
  • ・保存的治療(装具療法やリハビリ)では限界がある

そこで、変形を矯正するための方法が手術になります。

現在は、手術技術や機器の向上により治療成績が格段に上がっているため、手術を推奨するケースが多いです。

側弯症 術前後

側弯症の術前(左)と術後(右)(出典:日本側弯症学会 https://www.sokuwan.jp/)

上の写真を見れば、手術前と後での違いが一目瞭然ですよね。

側弯症の手術のメリット・デメリット

いざ手術となると不安もでてきます。まず考えるのは、手術を受ける際のリスクだと思います。

「手術による後遺症はないのか?」「手術をしてもあんまり変わらないんじゃないの?」「手術で失敗したら怖い・・・」

このように考えてしまうのも無理はありません。そこで、手術をする、しないの選択に後悔しないように、手術によるメリットとデメリットについてお話します。

側弯症手術のメリット

側弯症の一番大きなメリットは、側弯の度合いを軽減させることができる、という点です。それにより、見た目が変わり心理的ストレスが改善されます。

また、側弯による呼吸器をはじめとした他の合併症のリスクを減らすことができます。基本的に現在の治療技術では、手術後でもほとんど前と同じような日常生活が送れます。

【側弯症手術のメリット】

  • ・側弯の矯正ができる
  • ・側弯の程度の減少により心理的ストレスが改善できる
  • ・側弯の程度の減少により呼吸器疾患などの合併症のリスクを減らすことができる
  • ・手術後でも前と同じような日常生活を送ることができる

そのため、以前に比べ手術を推奨する例が多くなっています。

側弯症手術のデメリット

側弯症に限らず、手術をする際には多少のリスクが伴います。また、手術後の過ごし方によって様々な問題を引き起こすこともあるのです。

まず頭に入れておいてほしいことは、手術後すぐには元の生活には戻れない、ということです。

手術後に最も重要なのは、処置した箇所の骨癒合(骨がくっつくこと)になります。骨癒合のためには、ある程度の安静が必要です。

背骨を過度に反らす、曲げる、捻る動きをとってしまうことで、金属挿入部が緩んでしまうことがあります。そうなると、再手術が必要となってしまうことがありますので、注意が必要です。

手術をするにあたり、神経に近いところにメスを入れます。どの手術でも言えることですが、小さい神経などを傷つけてしまうこともあります。

それにより麻痺や感覚異常などの神経障害が出てくる可能性もゼロではありません。

さらに、背骨の周囲には様々な臓器が隣接しています。そのため、呼吸器や循環器、泌尿器などの合併症を引き起こす可能性もあるのです。

また、手術後の創部管理が行き届いていないと、免疫が低下してしまうなどの理由で感染症を起こすことも考えられます。

【側湾症手術のデメリット】

  • ・手術後早期は術部に負荷のかからないような生活が必要
  • ・手術後は、ラグビーや柔道、バレーボールなどの激しくぶつかり合ったり、脊柱の大きな動きを伴うようなスポーツができない
  • ・手術の侵襲により神経障害を引き起こすことがある
  • ・手術の侵襲により他臓器の合併症を引き起こす可能性がある
  • ・手術後の感染のリスクがある

手術にはこれらの危険性をはらんでいることを頭に入れて、後悔しないような選択をしましょう。

まとめ・側弯症の治療、手術で後悔しない為のメリットとデメリット

今回は、側弯症の病態からその治療方法、そして手術療法を行う上でのメリット、デメリットについてお話しました。

側弯症は専門性が求められる疾患であり、初期の状態では見過ごされることも多い疾患です。気になる症状があったり、治療方法で悩まれている方がいらっしゃいましたら、ぜひ専門家へ相談することをオススメします。

手術療法についてはデメリットも多く感じるかもしれませんが、昔と比べると格段と治療成績が良くなっています。

治療をより効果的なものにするためには、術後の過ごし方や変形を助長させないような対処が必要になります。

病態の理解、経過観察、治療の選択などが重要なポイントとなりますので、1人で悩まず専門家や家族と相談しながら側弯症と付き合っていきましょう。

ご参考になれば幸いです。

 

No.100

監修:医師 坂本貞範

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