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腰痛の効果的なストレッチを医師が監修
毎日を快適に過ごすために欠かせない「腰」、たくさんの方が悩んでいます。世界保健機関(WHO)によると、腰痛は世界で最も多い障害の一つであり、日常の動きの制限になっていると報告されています。
「まさか自分が…」そう思っている方もいるかもしれません。腰痛の原因は、加齢による椎間板の変性や骨粗鬆症、体力低下、そしてストレスや不安といった心理的な要因など、実に様々です。
レントゲンやMRIで異常が見つからない腰痛も珍しくありません。この原因不明とも思える腰痛、実はあなたにも起こりうる可能性があるのです。
腰痛でお悩みの方、あるいは将来の腰痛予防を考えている方、ぜひ参考にしてみてください。
特徴と原因を理解する
ぎっくり腰のように突然、電気が走るような激痛に襲われることもあれば、なんとなく慢性的に腰が重いということもあります。
朝、布団から起き上がれない、子供を抱っこできない、仕事に集中できないなど、生活の質を著しく低下させる可能性があります。次に、その原因について説明します。
原因とリスク
レントゲンやMRIなどの画像検査を行っても、異常が見つからない腰痛はたくさん見かけます。。医学的にはっきりとした原因が特定できない腰痛ということですね。
実は、原因がわからない腰痛は世界中で疾病負担の主要な原因の一つです。世界保健機関(WHO)の報告によると、腰痛は世界中で最も多い障害の一つであり、生活の質を低下させているとされています。
「画像検査で異常がないなら、痛みはないはず」と考えてしまう方もいるかもしれません。しかし、痛みがあっても画像に出ないことはよくあります。。画像検査では捉えきれない原因で痛みが生じているということです。
では、なぜ腰痛が起こるのでしょうか? 腰痛は、色々な要因が重なって起こります。代表的な要因を、3つの側面から見ていきましょう。
- 身体的要因: 椎間板の変性、骨粗鬆症、筋力の低下、姿勢の悪さ、重労働、遺伝的要因などが挙げられます。椎間板は、背骨の間にある緩衝材となり、歳をとると水分が抜けて潰れてしまいます。また、骨粗鬆症は骨がもろくなり、腰痛の原因となります。
- 生活習慣: 運動不足、肥満、喫煙、栄養バランスの悪い食事、睡眠不足、冷えなども腰痛のリスクを高めます。運動しなければ筋力は落ちていき、腰への負担を増大させます。肥満も同様に、腰への負担を増やし、腰痛のリスクを高める要因となります。喫煙は血行を悪くし、腰の組織への酸素供給を阻害させます。
- 心理的要因: ストレス、不安、うつ病、仕事や家庭環境の問題なども腰痛に影響を与えます。ストレスは、筋肉をこわばらせ悪化させる要因です。
症状から考える腰痛の可能性
痛みの場所、傷み方、安静時なのか動作時なのか。これらの症状を聞くことで、ある程度の診断はつけることができます。例えば、急な腰痛は「ぎっくり腰」、腰から足にかけての痛みやしびれは「椎間板ヘルニア」、歩くと脚が痛くなり、休むと楽になるのは「脊柱管狭窄症」という感じです。
重要なのは、これらの症状だけで自己判断をしないことです。
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効果的なストレッチ
大きく分けて「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」の2種類があります。静的ストレッチは、時間かけて伸ばし、柔らかくします。一方、動的ストレッチは、体を動かしながら筋肉を伸ばす方法で、血行促進や関節の可動域を広げる効果があります。
痛みが強い時期には、動的ストレッチは避け、安静を優先し、炎症が落ち着いてきたら静的ストレッチから始めると良いでしょう。
基本的なストレッチ法5選
基本的なストレッチ法を5つご紹介します。ストレッチをする時には、どの筋肉を柔らかくしたいのかを意識すると効果的です。
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ハムストリングスのストレッチ: この筋肉は、太ももの裏側にあります。この筋肉が硬くなると、骨盤が後ろに傾き、腰痛が出やすくなリマます。床に仰向けになり、片方の足を天井に向けて伸ばします。その足を両手で持ち、ゆっくりと胸の方に引き寄せます。この時、背中を反らせないようにしましょう。
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大殿筋のストレッチ: 大殿筋は、お尻の筋肉で、筋力が低下すると腰痛につながります。仰向けになり、片方の足を曲げて反対側の足の上にのせます。下の足を持ち、ゆっくりと胸の方に引き寄せます。
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腸腰筋のストレッチ: 腰と太ももをつなぐ筋肉で、股関節の屈曲に作用します。この筋肉が硬いと、骨盤が前に傾くこどで腰が反り、痛みが出やすなります。片足を大きく前に出し、後ろ足の膝を床につけます。前足の膝を曲げ、上半身を前に傾けます。この時、腰を反らさず、股関節の前面が伸びているのを感じましょう。
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腰方形筋のストレッチ: 腰方形筋は、腰椎や骨盤から太ももの表側の筋肉です。この筋肉は、姿勢の維持や体幹の安定性に重要な役割を果たしています。腰方形筋が硬くなると、腰の可動性が制限されて痛みが出ます。両足を肩幅に開いて立ち、片方の手を腰に当てます。反対側の手を頭上に伸ばし、体を横に倒します。
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脊柱起立筋のストレッチ: この筋肉は、背骨に沿って縦に伸びている筋肉群です。この筋肉群は、姿勢の維持や体幹の動きに重要な役割を果たしています。脊柱起立筋が硬くなると、腰の可動性が制限されて痛みが出ます。仰向けで膝を抱えます。膝を胸の方に引き寄せ、背中を丸めます。
ストレッチは、1回につき15~30秒程度、数回繰り返すと効果的です。痛みがある場合は、無理に伸ばさず、痛くない範囲で行いましょう。最新の研究では、ピラティスが慢性腰痛の痛みと障害の軽減にとても効果があると記されています。ピラティスは、体幹の安定性を高めて痛みが出にくい環境にします。
自宅でもできるストレッチ
- 椅子に座ったままできる: 椅子に座り、両手を頭の後ろで組みます。上体をゆっくりと左右にひねり、腰を伸ばします。これは、長時間同じ姿勢でいることで硬くなった筋肉を伸ばすのに効果的です。
- 床に寝転がって行う: 仰向けに寝転がり、両膝を曲げます。そして膝を左右にゆっくりと倒し、腰をひねります。腰の捻じれは、腰椎の可動性を改善し、腰痛の緩和に役立ちます
- タオルを使う: バスタオルを丸めて腰の下に敷き、仰向けに寝転がります。10分程度リラックスすることで、腰回りの緊張をとります。これは、腰の自然なカーブをサポートします。
- 壁を使う: 壁に背中をピッタリとつけて立ちます。ゆっくりとしゃがみ込みながら、壁に背中を押し付けるようにします。これは、背筋を整えてくれます。
これらのストレッチは、1日数回行うのが理想的です。朝起きた時、仕事や家事の休憩時間、食事の後など、自分のペースで継続することがとても大事です。
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参考文献
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監修者
坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。