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腰椎すべり症は、変性すべり症、分離すべり症を原因とし、その治療方法を解説

腰椎すべり症は、変性すべり症、分離すべり症を原因とし、その治療方法を解説

腰椎すべり症は、実は全ての年代における慢性的な腰痛の原因ともなりうる症状です。腰痛に苦しむアスリートのなかに、腰椎すべり症を発症している人がいると聞いたことがある方がおられるかもしれません。

そこで今回の記事では、腰椎すべり症の症状、原因や治療法についてご紹介します。

腰椎すべり症

腰椎すべり症とは?

腰椎すべり症とは、腰痛の原因となる脊椎の病気です。腰の骨である腰椎のひとつが、その下の腰椎との位置がずれてしまうことで起こります。多くの場合、非外科的治療で症状を和らげることができますが、重症化すれば手術が必要となることもあります。

腰椎すべり症の症状

腰椎すべり症は、腰椎の不安定性を伴っており、腰椎が必要以上に動きます。そのため脊髄神経を圧迫し、腰痛や足の痛みを引き起こす可能性があります。ただし、腰椎すべり症の初期は、症状が現れないこともあります。

症状が出てくると、一般的には腰痛が主な症状です。痛みは、お尻や太ももにまで及ぶこともあります。また、そのほかにも太ももの裏の筋肉のけいれん、背中のこわばり、長時間の歩行や立位が困難になる、足のしびれ、筋力低下などが生じることもあります。

▼腰椎すべり症については、こちらの動画でも詳しく解説しています。

腰椎すべり症の原因

腰椎すべり症の原因は、主に2つに分けられます。

変性すべり症

椎間板の変性により、椎骨がずれてしまうこともあります。椎骨のクッションである椎間板は、加齢に伴って水分が失われ、磨耗していきます。椎間板が薄くなると、椎骨はその位置からずれやすくなります。

また椎骨と椎骨の間にあり、各椎骨同士をつないでいる関節面がすり減ることもあります。関節面がすり減ると、表面積が不均一で不安定になり、椎骨が定位置にとどまることができなくなります。

変性すべり症の多くは、進行するまで症状が出ません。脚の痛みを感じる場合は、椎骨の位置がずれて脊髄神経のために必要なスペースが狭くなり、さらに脊柱管から出る神経根が圧迫されたり、挟まれたりすることが原因です。

なお変性すべり症は、50歳以降に多く、男性よりも女性に多くみられます。

分離すべり症

分離すべり症は、脊椎を繋ぐ関節突起部が生まれつき不完全なために、椎骨の一部分の分離を生じることがあります。

また骨が成長する思春期に、陸上競技、体操やサッカーなど、腰に過度に負荷のかかる運動を続けていると、椎間の関節部にストレスがかかってしまい、その結果関節突起の疲労骨折を起こすことがあります。

この疲労骨折が、度重なる運動のために十分に治癒していないと、後々腰椎の分離を起こし、分離すべり症を発症します。分離すべり症は、10代の子どもが腰痛になる最も一般的な理由の一つです。

腰椎すべり症の診断

症状や診察より、腰椎すべり症が疑われる場合、画像検査を行うことが一般的です。

はじめに脊椎のX線検査を行います。X線検査により、腰椎のずれが生じているか、確認することができます。それに加えて、CTスキャンやMRIを用いた検査を行います。これらの画像検査は、脊椎の状態をより詳しく見るため、あるいは椎間板や神経などの組織の状態を評価するために必要な場合があります。

腰椎すべり症の治療

治療は、すべり症の程度、症状、年齢、全身状態によって異なりますが、通常はまず手術を行わない、非外科的治療法を試みます。

腰椎すべり症の非外科的治療

非外科的治療の最初のステップは、安静にすることです。当然ですが、激しい運動やスポーツを休みます。腰への負担を軽減させることを目的に、コルセットを併用することもあります。

また同時に、痛みを軽減させることを目的に、鎮痛薬を使用します。通常は非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)が用いられます。

さらに激しい痛みに対しては、神経根ブロックを行い、痛みを最小限にできるようにコントロールします。場合によっては、腰椎のけん引を行うこともあります。

痛みが落ち着いてきたら、腹部と背部の強化を目的に筋力トレーニングをしたり、ストレッチをしたりして、症状の進行を止めるよう試みます。

腰椎すべり症の外科的治療

すべりの程度が強く、痛みがひどい場合、または非外科的治療を試みたがうまくいかない場合、手術が必要になることがあります。

手術では、脊椎の減圧術を行うことで神経への圧迫を解除し、圧迫による刺激を受けている神経からの痛みを和らげ、機能を回復させることを目指します。また原因に応じて腰椎の固定術を行い、すべった部分の腰椎を安定させることもあります。

腰椎すべり症の予後

腰椎すべり症は、自然に治ることはありませんが、安静や薬物療法、リハビリテーションによって、症状が緩和されることはよくあります。

手術の成功率は高いと言われています。腰椎すべり症の手術を受けた人の多くは、術後数カ月で以前の生活に戻ることができています。なお、手術後は機能を完全に回復するためにリハビリテーションが必要になることが多いでしょう。

まとめ・腰椎すべり症は、変性すべり症、分離すべり症を原因とし、その治療方法を解説

腰椎すべり症について、その症状や原因、また治療法について説明しました。もし自分が腰椎すべり症かもしれないと思う方がおられたら、ぜひ整形外科クリニックまでご相談ください。

腰椎すべり症には、なかなか効果的な予防法がありませんが、背筋と腹筋を鍛えるためのエクササイズを定期的に行ったり、腰への負担軽減を意識して減量したり、日常生活のなかでできる工夫もありますので、専門医にご相談することをお勧めします。

 

No.S081

監修:医師 加藤 秀一

 

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