- 脳梗塞
- 頭部
BAD(脳梗塞)とは?症状や予後・他のタイプとの違いも解説

BAD(脳梗塞)ってなんだろう?
一般的な脳梗塞と何が違うのかな?
この記事を読んでいるあなたは、BAD(脳梗塞)という耳慣れない病気を聞き、とまどっているのではないでしょうか。
「今後どうなるのか知りたい」と思っているかもしれません。
BAD(脳梗塞)はラクナ梗塞の特徴を持ちながら、アテローム性病変が原因で起こる、近年注目されているタイプの脳梗塞です。
本記事では、BAD(脳梗塞)の症状やラクナ梗塞との違い、予後について詳しく説明します。記事を最後まで読めば、病気について一通りの知識が得られ、今度の見通しを立てやすくなるでしょう。
目次
BADとは「脳の細い血管の分岐部が詰まり進行しやすい脳梗塞」
BADとは、「Branch atheromatous disease」の頭文字を取ったもので、脳梗塞の一種です。コレステロールや脂などが溜まってできた「アテロームプラーク」と呼ばれるこぶが、脳の血管が詰まるために起こります。(文献1)
BAD(脳梗塞)がよく起こる場所は、脳の主幹動脈からの穿通枝分岐部(太い血管から小さな枝状の血管がわかれる部分)です。英語をそのまま日本語に直すと「分岐アテローム性疾患」となりますが、日本語での病名が付けられていないため「ビーエーディー」と呼ばれています。
また、BAD(脳梗塞)は、脳梗塞を含む「急性虚血性脳卒中」全体の約10〜15%を占めるという報告があります。(文献2)
当院「リペアセルクリニック」では、BAD(脳梗塞)後の治療として再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。壊れた脳細胞を再生治療で修復し、後遺症の回復やリハビリ効果の向上が期待できます。
ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」から気軽にお問い合わせください。
\まずは当院にお問い合わせください/
BAD(脳梗塞)の症状
BADであらわれる症状の多くは、脳の細い血管が詰まって起こる「ラクナ梗塞」と同じです。代表的な症状を、以下に紹介します。(文献3)
- 構音障害:ことばの障害
- 感覚障害:感覚の鈍さやしびれ
- 運動片麻痺:片方の手足に力が入らなくなる
しかし、BAD(脳梗塞)の最大の特徴は、運動片麻痺が進行性に悪化しやすいことです。数日間は、脳梗塞が拡大したり麻痺が進行したりしやすく、後遺症が出やすい傾向もあります。
また、初期症状としてTIA(一過性脳虚血発作)が起こるケースもあります。
BAD(脳梗塞)の原因
BAD(脳梗塞)の原因は、動脈硬化の過程で血管内にできた「アテロームプラーク」です。
アテロームプラークとは、血管の膜に血液中の悪玉コレステロールが入り込んでできたものです。血管を細くして脳への酸素供給を妨げたり、破裂して血小板による血栓生成を引き起こし、脳の血管を詰まらせたりします。
アテロームプラークの危険因子は、以下のとおりです。(文献1)
- 年齢
- 性別
- 喫煙
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
これらの危険因子を減らすためには、生活習慣の改善が重要です。
具体的には、塩分を控える、運動や食事に気を付けて肥満を防ぐなどが有効です。アテロームプラークを作りにくい生活を心がけ、BAD(脳梗塞)の予防につとめましょう。
脳梗塞の原因については、以下の記事で詳しく説明しています。
BAD(脳梗塞)とラクナ梗塞との違い
BAD(脳梗塞)とラクナ梗塞は症状が似ているものの、梗塞する場所や原因が異なります。おもな違いは、以下のとおりです。(文献3)(文献4)
BAD(脳梗塞) |
ラクナ梗塞 |
|
---|---|---|
梗塞する場所 |
穿通枝の根元 |
1本の穿通枝 |
梗塞の範囲 |
やや広い |
狭い |
おもな梗塞の原因 |
アテロームプラーク(動脈硬化も原因) |
高血圧による動脈硬化 |
梗塞の大きさ |
15mm以上 |
15mm未満 |
特徴 |
進行しやすいが、比較的再発は少ない |
比較的再発しやすい |
血管が詰まり脳細胞の機能が失われることは共通しますが、細かな内容が違うといえるでしょう。
\まずは当院にお問い合わせください/
BAD(脳梗塞)の診断基準
BAD(脳梗塞)かどうかは、MRIの画像で診断します。(文献5)
細かな基準は梗塞した部分によって異なり、以下とされています。
- 中大脳動脈(MCA)穿通枝:拡散強調画像で3または4以上の横断面を含む直径15 mm以上の梗塞があること
- 椎骨脳底動脈穿通枝:脳橋腹面に達し、分枝動脈の主幹動脈の狭窄や閉塞がないこと
しかし、「病因不明」と分類されたり、状況によってはラクナ梗塞と診断されたりするケースもあります。
BAD(脳梗塞)の治療
BAD(脳梗塞)は、一般的な脳梗塞の治療法であるt-PA療法の効果が得にくいケースが多く、抗血小板薬がよく使用されます。また、複数の治療薬を併用するケースもあります。
治療効果があらわれにくいケースもあり、BAD(脳梗塞)へ有効性の高い治療法は、今後の研究が待たれる内容です。
一般的な脳梗塞の治療法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
BAD(脳梗塞)の予後やリハビリ
BAD(脳梗塞)は命を失うケースが少ない反面、運動機能に麻痺が残りやすい特徴があります。
また、病変部位別に神経症状が悪化する確率は以下であったという報告もされています。(文献6)
- 橋傍正中動脈領域:43.6%
- レンズ核線条体動脈領域: 30.1%
「運動機能に関する予後は、脳卒中患者における機能障害につかわれる評価(FMA)で予測できる」「高血圧の合併があると神経症状が悪化しやすい」などの報告もあります。
BAD(脳梗塞)は麻痺が残りやすいため、多くの場合で継続的なリハビリが必要となります。
後遺症の改善のために、リハビリを継続的におこないましょう。
当院「リペアセルクリニック」では、BAD(脳梗塞)の予後改善やリハビリの効果アップに効果が期待できる再生治療(幹細胞治療)をおこなっています。
理学療法士、柔道整復師、鍼灸師、トレーナーによるチーム体制を取っており、再生治療と並行したリハビリも可能です。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」から気軽にお問い合わせください。
まとめ|BAD(脳梗塞)を疑われる場合は受診しよう
本記事では、BAD(脳梗塞)の症状や予後・ラクナ梗塞との違いについて詳しく説明しました。
BAD(脳梗塞)は、ラクナ梗塞に似た症状を示す脳梗塞の一種です。梗塞の部位や大きさはラクナ梗塞と異なり、進行性に症状が悪化しやすい傾向があります。
後遺症が出た場合は、退院後も症状に応じたリハビリをおこないましょう。
当院「リペアセルクリニック」では、BAD(脳梗塞)をはじめとする脳梗塞に対して再生医療(幹細胞治療)を提供しています。
再生医療(幹細胞治療)は、失われた脳細胞を修復し、後遺症の改善やリハビリ効果の向上が期待できる治療法です。
早くから治療を始めた方が効果を得やすいため、気になる場合は気軽にご相談ください。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。
\まずは当院にお問い合わせください/
BAD(脳梗塞)に関するよくある質問
BAD(脳梗塞)の読み方は?
BADは「ビーエーディー」と読むのが一般的です。悪いという英語の「Bad」ではないため、「バッド」という読みではありません。
BAD(脳梗塞)にならないためにできることは何?
BAD(脳梗塞)を防ぐには、動脈硬化の原因となる以下の病気の予防・治療につとめることが大切です。
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
喫煙や肥満、塩分の摂りすぎや運動不足も動脈硬化のリスク因子です。毎日の生活のなかで、できることから少しずつ気を付けてみましょう。
脳梗塞を防ぐ方法については、以下の記事もぜひ参考にしてください。
参考文献
(文献1)
北川一夫,Branch Atheromatous Disease の病態と治療,脳卒中 31:550–553,2009https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/31/6/31_6_550/_pdf
(文献2)
Duan H, Yun HJ, Geng X, Ding Y. Branch atheromatous disease and treatment. Brain Circ. 2022 Dec 6;8(4):169-171. doi: 10.4103/bc.bc_56_22. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10167853/
(文献3)
山本康正,Branch atheromatous disease の概念・病態・治療,臨床神経 2014;54:289-297https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/054040289.pdf
(文献4)
星野晴彦ら,Branch atheromatous disease における進行性脳梗塞の頻度と急性期転帰,脳卒中 33:37–44,2011https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/33/1/33_1_37/_pdf
(文献5)
Deguchi I, Takahashi S. Pathophysiology and Optimal Treatment of Intracranial Branch Atheromatous Disease. J Atheroscler Thromb. 2023 Jul 1;30(7):701-709. doi: 10.5551/jat.RV22003. Epub 2023 May 13.https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10322737/
(文献6)
徳田和宏ら,Branch Atheromatous Disease の急性期運動機能予後に関連する要因の検討,理学療法学 第 47 巻第 2 号https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/47/2/47_11643/_pdf
監修者

圓尾 知之 医師 (医療法人美喜有会 脳神経外科 部長)
Tomoyuki Maruo
日本脳神経外科学会 所属
脳神経外科の最先端治療と研究成果を活かし、脳卒中から1日でも早い回復と後遺症の軽減を目指し、患者様の日常生活の質を高められるよう全力を尽くしてまいります。