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左(右)股関節の片側だけが痛い原因とは?女性に多い理由も整形外科医が解説

股関節が左だけ(片側だけ)痛いと、日常生活に支障が出るだけでなく、原因がわからず不安になる方も多いでしょう。
とくに女性は骨格やホルモンの影響により、股関節に負担がかかりやすく、左右どちらかに痛みが集中するケースが少なくありません。痛みの背景には、生活習慣や姿勢のクセだけでなく、疾患が隠れている可能性もあります。
この記事では、女性に多い片側の股関節痛の原因や考えられる病気、治療法やセルフケアについて解説します。片側だけの股関節の痛みに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
なお、股関節の痛みの原因が疾患の場合は、再生医療が治療の選択肢となる場合があります。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。
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目次
女性に股関節の痛みが多い主な原因
女性は骨格やホルモンなどの影響により、股関節にかかる負担が男性より大きくなりやすい傾向があります。以下では、とくに女性に影響しやすい原因を4つの観点から解説します。
骨格構造による影響(臼蓋形成不全)
股関節痛は、日本人女性に多い臼蓋形成不全が関係している場合があります。
臼蓋形成不全とは、股関節の受け皿である骨盤のくぼみが浅く、大腿骨の先端のボール状の部分が安定しにくい状態を指します。この骨格の構造上の特徴により、動作中に違和感や痛みを感じやすくなるのが特徴です。
とくに女性は出産に対応するため骨盤が広く、臼蓋形成不全が起きやすいとされます。初期の症状は軽度ですが、進行すると歩行や日常動作に影響を及ぼすことがあります。
女性ホルモンによる影響
女性ホルモンの変化は、股関節痛の大きな原因の一つです。
妊娠中はリラキシンというホルモンの分泌により、骨盤の靭帯が緩み、股関節が不安定になりやすくなります。その結果、出産後もしばらく片側の股関節に痛みが残ることがあります。
また、更年期では女性ホルモンの分泌が減少し、骨密度が下がることで股関節にかかる負荷が増加します。骨がもろくなることで、炎症や変形性股関節症のリスクも高まります。
生活習慣の影響
生活習慣は股関節痛を引き起こす重要な原因の一つです。長時間の立ち仕事やデスクワークは、特定の筋肉や関節に負荷をかけ、左右のバランスを崩しやすくします。
とくに片側に重心をかける立ち方や、足を組む座り方は股関節の片側だけに負担が集中しやすくなります。さらに運動不足も股関節の痛みが生じる要因です。運動不足により股関節を支える筋力が低下すると、関節が不安定になり痛みが生じやすくなります。
こうした習慣が積み重なることで、股関節痛が現れる場合があります。
疾患の影響
股関節痛は特定の疾患が原因となる場合があります。
代表的なものに、関節軟骨がすり減る変形性股関節症があります。とくに臼蓋形成不全を背景に持つ女性は、加齢とともに発症リスクが高まります。(文献1)
また、関節内の炎症が生じる関節リウマチや、骨への血流が滞る大腿骨頭壊死も股関節痛を引き起こす要因です。
疾患によって痛みの特徴や進行スピードが異なるため、症状の正しい理解が大切です。
股関節の左右片側に痛みが起きる原因・疾患について
股関節の痛みが考えられる原因・疾患については、以下のようなものがあります。
ここでは代表的な原因を、詳しく具体的な例を交えて解説します。
リウマチの影響とその症状
リウマチは、体の免疫システムが誤って自分の関節を攻撃してしまう病気です。主に関節の変形、腫れや痛みを伴います。
両方の股関節が同時に痛むことが多いですが、片側だけが痛む場合もあります。
朝起きた時に、股関節がこわばって動かしにくいといわれる方が多いです。痛みは、日中活動するうちに徐々に楽になりますが、夜にかけて炎症が増すことが多く見られます。
リウマチでは、関節の進行性変化が特徴で、重症化すると、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。

股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
大腿骨頭壊死の特徴的な症状
大腿骨頭壊死は、太ももの骨の先端部分である大腿骨頭への血流が滞り、壊死することで発症します。
初めの頃は、何も症状が出ないことがよくありますが、重症化すると、歩くのがつらくなります。特に、足の付け根である鼠径部に痛みが出やすいです。
原因として、長期のステロイドの内服、頻繁な飲酒、外傷などが原因で発症することがあります。病状は徐々に進行していくので、注意が必要です。
MRI検査で壊死範囲や進行度を診断し、治療法を選択します。末期になると、人工関節置換術などの手術が必要になることもあります。
滑膜炎・滑液包炎の診断基準
滑膜炎は、関節を包む滑膜に炎症が起こる病気です。滑液包炎は、関節のクッションの役割を果たす滑液包に炎症が起こる病気です。
これらは股関節に痛みや腫れ、熱感を引き起こします。
小児期には、一過性滑膜炎、化膿性股関節炎、ペルテス病などの股関節の病気がよく見られます。
これらの病気は似たような症状を示すことが多いです。特に小さいお子さんの場合、うまく症状を伝えられないため、診断が難しくなることがあります。
安静、消炎鎮痛剤、冷却などで治療します。重症の場合は、関節内にステロイド薬を注射することもあります。
とくに、細菌感染が原因となる化膿性股関節炎は、早期の診断が大切です。
脊椎や骨盤からの関連痛の可能性
股関節の痛みは、必ずしも股関節自体に問題があるとは限りません。
たとえ、他の場所に病変があっても、その痛みが股関節に広がり、あたかも股関節が痛むように感じることがあります。これが関連痛です。
そして、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった腰の病気が原因で、股関節だけでなく、腰から足にかけても痛みやしびれを感じることがあります。
筋肉の問題が引き起こす痛み
股関節周囲の筋肉のトラブルも、股関節痛の原因となります。
中殿筋、小殿筋、腸腰筋、大腿四頭筋といった足を動かすための筋肉に問題があると、股関節の痛みが出ます。動かす時に痛みが出て、該当する筋肉を外から押すと、痛みを感じます。
左だけ痛いときに考えられる生活習慣とクセ
日常生活での姿勢や動作のクセは、股関節に片側だけ負担をかける原因になりやすいです。以下では、とくに影響しやすい生活習慣やクセの例を解説します。
足を組む・片足重心など左右差のある姿勢
足を組む習慣や片足に体重をかける立ち方は、股関節の左右バランスを崩す大きな原因の一つです。
左右どちらか一方に負担が集中すると、筋肉や靭帯、関節にかかるストレスが偏り、股関節の動きにも歪みが生じます。その結果、負担が大きい側の股関節だけに炎症や痛みが現れやすくなります。
とくにデスクワークで足を組む時間が長い場合や、立ち仕事で無意識に片足重心になる場合は注意が必要です。
荷物の持ち方・座り方の偏り
荷物の持ち方や座り方の偏りも、片側の股関節に慢性的な負担をかける原因です。
いつも同じ肩にバッグをかけたり、椅子に座るときに片方の臀部に体重をかけたりすると、骨盤や股関節の左右バランスが崩れやすくなります。
その結果、負担が集中した側の股関節に炎症や違和感が現れやすくなります。無意識に続けている日常の習慣が、長期的な痛みにつながることも少なくありません。
歩き方・体幹バランスのアンバランス
股関節の片側だけに痛みが出る背景には、歩行のクセや体幹バランスのアンバランスが関わることがあります。骨盤の傾きや左右差のある歩き方は、股関節にかかる負荷を偏らせる要因です。
さらに体の軸を支える筋肉が十分にはたらいていないと、重心を安定させるのが難しくなり、股関節への負担が増すことがあります。
このような習慣や筋力の偏りが積み重なることでも、慢性的な痛みにつながる場合があります。
股関節痛の鑑別診断方法
股関節の強い痛みは、まさに日常生活の大きな壁となって立ちはだかります。原因を見つけるには、鑑別診断が欠かせません。
股関節痛を引き起こす原因はさまざまで、その一つ一つを見極めることが、痛みからの解放への第一歩です。
症状に基づく鑑別ポイント
股関節痛を鑑別するには、痛みの種類や症状の特徴を細かく分析することが重要です。
単に「痛い」というだけでなく、安静時なのか、鈍いのか、キリキリ痛むなどといった情報を医師に伝えることで、原因を特定するための手がかりとなります。
変形性股関節症の初期症状は動作時に現れて、反対に、安静時痛があれば、変形が進行している可能性も考えられます。また股関節の動きが悪くなるという情報も大切です。
その他、発熱、腫れ、皮膚の発赤などの症状も、感染症や炎症性疾患の可能性を示唆するサインかもしれません。
左右の股関節痛の違い
左右どちらか一方の股関節だけが痛む場合、その原因を探る上で左右差は重要な手がかりとなります。
例えば、右側が痛い場合、右側に体重をかけることが多かったり、いつも同じ脚側の足を組む、といった習慣が原因かもしれません。
反対に、左側だけが痛む場合、内臓疾患が隠れている可能性も視野に入れる必要があります。
例えば、大腸憩室炎(大腸の壁にできた袋状のくぼみの炎症)や尿管結石などは、左側の股関節痛を引き起こすことが知られています。股関節痛の原因が股関節自体にあるとは限らないことを覚えておきましょう。
レントゲンやMRIで病気を精査して鑑別します。
痛みの部位ごとの症状
股関節痛といっても、痛い場所によって原因疾患が異なる場合があります。
足の付け根から太ももの前面にかけて痛みがある時は、変形性股関節症や大腿骨頭臼蓋インピンジメント症候群といった病気が疑われます。
変形性股関節症は、軟骨がすり減ることで発症し、後者の大腿骨頭臼蓋インピンジメント症候群は、骨頭に余分な骨が存在して、結果として股関節の動きが制限されることで発症します。
股関節の外側が痛む場合、大転子痛症候群や腸脛靭帯炎など筋肉の炎症の可能性が高くなります。
大転子痛症候群は大腿骨の大転子と呼ばれる部分に付着する筋肉や腱が炎症を起こす病気で、腸脛靭帯炎は太ももの外側を走る腸脛靭帯と呼ばれる組織が炎症を起こす病気です。
股関節の後側が痛む場合は、坐骨神経痛やハムストリングの損傷などが考えられます。ハムストリングは太ももの裏側にある筋肉群のことで、スポーツなどで損傷することがあります。どの部分が痛むのかを把握することが大切です。
股関節が左右どちらかだけ痛いときの治療法
股関節の片側だけに痛みがある場合は、症状の程度や原因に応じて以下の治療法が選択肢となります。
保存療法(薬物・理学療法)
保存療法は、股関節痛の症状を軽減するための基本的な治療法です。
保存療法には以下の種類があります。
- 痛み止めの内服(鎮痛薬・消炎鎮痛薬)
- 物理療法(温熱・低周波など)
- ストレッチや筋力強化
痛みや炎症をコントロールすることで日常生活の負担を軽減し、ストレッチや筋トレで関節周囲の柔軟性や筋力を保つことが可能です。
ただし、変形や損傷そのものを治す効果は限定的なため、根本的な改善には別の治療が必要になる場合があります。
手術療法
手術療法は、保存療法で十分な改善が得られない場合や症状が進行したケースで検討されます。主な手術療法の選択肢は以下の2つです。
- 人工関節置換術
- 骨切り術
人工関節置換術は損傷した関節を人工物に置き換え、痛みの軽減と可動域の回復を目指します。骨切り術は骨の角度を調整して関節への負荷を分散させる方法です。
症状や年齢、生活スタイルに応じて適切な手術を選択します。いずれも根本的な改善を目的とした手段のため、長期的な関節機能の維持につながる可能性があります。
再生医療(PRP・幹細胞)
再生医療は自分の細胞を用いて痛みの原因にアプローチすることを目的とした治療法で、PRP療法や脂肪由来の幹細胞治療が代表的な選択肢です。治療は注射や点滴で行うため、手術や入院を必要としません。
そのため、変形性股関節症などの疾患で手術に不安を感じている方は、再生医療による治療をご検討ください。
再生医療専門のリペアセルクリニックでは、専門スタッフがメール相談やオンラインカウンセリングで丁寧に症状を確認し、一人ひとりに合わせた治療法を提案しています。
股関節の痛みでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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お問い合わせ前に再生医療について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
股関節が左右どちらかだけ痛い女性はストレッチ等のセルフケアも大切
股関節片側の痛みには、自宅で行えるストレッチや筋力トレーニングが役立ちます。とくに股関節周囲の柔軟性を高めることで左右差の負担を減らせます。(文献2)
- ハムストリングスストレッチ:仰向けで片膝を胸に引き寄せ、もも裏を伸ばす
- 臀筋ストレッチ:座って片足を反対側にクロスし体をひねる
- 股関節外旋筋ストレッチ:床で足を開き前屈して外旋筋を伸ばす
- 大腿四頭筋ストレッチ:立った状態で片足を後ろに引き、太もも前を伸ばす
- 筋力トレーニング(スクワット):膝がつま先より前に出ないよう腰を落とし、臀筋と大腿四頭筋を鍛える
継続することで左右バランスが整い、日常生活での片側への負担を軽減しやすくなります。
放置してはいけない股関節痛のサイン
股関節の痛みが日常生活に影響する場合や安静時にも違和感が続く場合は、放置してはいけません。以下では、見逃すと症状が悪化しやすい股関節痛の兆候を解説します。
これらの症状に該当する場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
夜間痛・安静時痛が続く場合
夜間や安静時に股関節の痛みが続く場合は、関節の炎症や疾患の進行が考えられます。
寝ている間に痛みで目が覚める、安静にしても違和感や鈍い痛みが消えない場合は、早めに整形外科などの専門医を受診しましょう。
痛みを放置すると症状が悪化し、日常生活や歩行のしやすさにも影響が出る可能性があります。また、長引く痛みは関節の可動域低下や筋力低下を招くこともあり、注意が必要です。
歩行困難・可動域制限が進む場合
股関節の動きが制限され、痛みで歩くのが困難になる場合は、変形性股関節症や骨頭壊死が疑われます。
これは関節軟骨や骨の変形によって、正常な可動域が保てず、歩行時に片側の股関節に負荷が集中するためです。
歩行時に痛みや動かしにくさが増す場合は、早めに整形外科で診察を受けることが大切です。進行した症状は、日常生活の動作や生活の質にも影響を及ぼす恐れがあります。
放散痛やしびれ・神経症状を伴う場合
股関節の痛みが太ももや足先まで広がる、いわゆる放散痛がある場合は、単なる関節のトラブルではなく神経が関与している可能性が高まります。
とくに腰椎疾患や坐骨神経痛など、神経系の影響が疑われるケースです。痛みやしびれが進行すると歩行や立ち上がり、日常生活のさまざまな動作にも支障をきたすことがあります。
そのため、早めに整形外科で精密な検査を受け、原因を特定することが重要です。
まとめ|股関節が左右どちらかだけ痛む女性は症状に応じた治療を受けましょう
股関節が左右どちらかだけ痛む場合、原因は骨格構造や女性ホルモン、生活習慣の偏りなどさまざまです。悪化を防ぐためにも、痛みを放置せずに適切な診断を受けることが重要です。
自宅でのストレッチや筋力トレーニングも症状の軽減に役立ちますが、疾患が原因の場合は専門的な治療が必要となります。
股関節の痛みが疾患に起因する場合の治療法は、主に保存療法・手術・再生医療の3つです。
リペアセルクリニックでは手術を行わない再生医療として、幹細胞治療やPRP療法を提供しており、一人ひとりにあわせた治療方針を提案しています。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。股関節痛について気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEで紹介している症例の確認や簡易オンライン診断をお試しください。
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参考文献
(文献1)
変形性股関節症の最新治療|独立行政法人国立病院機構 東京医療センター
(文献2)
股関節に症状のある方に|労働者健康安全機構