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手がしびれる病気は?前兆とチェックを医師が解説

手根管症候群
公開日: 2025.02.15 更新日: 2025.02.26

「最近、手がしびれる…」そう感じたことはありませんか?

手のしびれでよく思いつくのは、首のヘルニア、脳梗塞や脳出血などでしょう。

しかし、他にも、『これ知っておけばよかった』という病気もあります。

今回は、手のしびれを引き起こす5つの主な原因と、そのメカニズムを分かりやすく解説します。

最近は、スマホやパソコンを長時間使う環境が増えてきましたよね。あと重たいものをよく持つ方も、注意が必要です。

さらに、ご自身でもある程度、セルフチェックできるような項目も紹介します。

手のしびれの原因5選とメカニズム

「最近、手がしびれるなぁ…」と感じて、不安を抱えていませんか?手のしびれは、人生で一度は経験することがあるぐらい、よく見られる症状です。

軽いしびれだからと言って、放っておくと後々治療しにくくなることもあります。

神経の障害というものは一度傷ついてしまうと、一生後遺症として残ることもよく見られます。

今回は、手のしびれの原因で、私が診察でよく経験してきた、5つの病気について、詳しく説明したいと思います。ぜひ最後まで読んでみてください。

頚椎症・椎間板ヘルニア

まず、首の骨(頚椎)に原因がある場合があります。

頚椎症頚椎症は例えるなら、長年使い続けた家の柱や梁が歪んだり、ひびが入ったりするようなものです。

加齢とともに、首の骨も変形したり、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨のとげができたりします。

その結果、首の骨の近くを通る神経が圧迫され、手のしびれを引き起こします。特に、長時間のパソコン作業などで猫背姿勢になっている方は要注意です。

椎間板ヘルニア椎間板ヘルニアは、背骨の間にあるクッション材(椎間板)が、まるでパンパンに膨らんだ風船のように飛び出し、神経を圧迫する病気です。

若い方でも、急に重いものを持ち上げた時などに発症することがあります。

ぎっくり腰のように、激しい痛みやしびれに突然襲われることもあります。

頸椎のヘルニアだと、手と足がしびれる可能性があり、腰椎ヘルニアだと、手のしびれは出ませんが足はしびれることはあります。

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群

次に、胸郭出口症候群について説明します。

胸郭出口症候群は、首から腕、指先へと伸びる神経や血管の通り道である「胸郭出口」が狭くなり、神経や血管が圧迫されて手のしびれや痛み、だるさなどを引き起こします。

胸郭出口は、鎖骨と肋骨の間の狭い通路のような場所です。なで肩の方や、重い荷物を持つことが多い方は、この通路がさらに狭くなりやすい傾向があります。

神経や血管の通り道が、圧迫されて狭くなることで、しびれや冷感などの症状がでてきます。

整形外科の外来では、この胸郭出口症候群の症例は少ないので、医師からしても、なかなか診断に至るまで、時間がかかることがよくあります。

そして、診断されたら、私はまずリハビリと筋トレをしっかりやっていただいてます。経験上、リハビリと筋トレすることで、多くの方は治っています。

手根管症候群

手首にも、手のしびれを引き起こす原因が潜んでいます。

手根管症候群は、手首の手根管と呼ばれるトンネルの中で、正中神経という神経が圧迫されることで起こります。

この神経は、親指、人差し指、中指、そして薬指の半分に感覚を伝える役割を担っています。

手根管症候群になると、これらの指にしびれや痛み、時には腫れぼったい感じも現れます。特に、妊娠中や更年期を迎えた女性に多く見られます。

これは、ホルモンバランスの変化によって手根管が腫れやすくなるためと考えられています。また、手をよく使う仕事や趣味を持つ方にも発症しやすいです。

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末梢神経障害

末梢神経は、脳や脊髄から体の各部につながる神経のネットワークです。

末梢神経障害は、このネットワークが障害されることで、手足のしびれや痛み、感覚の異常などが現れます。

糖尿病ビタミン不足などが原因となることが多く、両手両足にしびれが現れることが多いです。

私の経験では、糖尿病を持っている方は、頚椎や腰椎のヘルニアによるしびれがでやすい方が多かったです。

やはり、糖尿病では神経が障害を受ける分、しびれやすくなるのでしょう。

脳卒中

最後に、最も注意が必要な原因として脳卒中があります。脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳の機能が障害される病気です。

手のしびれだけでなく、片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、意識障害など、重篤な症状が現れます。

手のしびれが片側だけに現れる場合や、他の神経症状を伴う場合は、脳卒中の可能性を疑い、すぐに医療機関を受診する必要があります。

脳出血を起こしても、小さかったり、初期の時は、ほとんど症状が現れない場合が多く、少し進行して、歩くときに膝折れがする、しびれが出てきたなどを感じて、病院に行く方もよくおられました。

その時点で、CTやMRIをとらなければ、見過ごされることも考えられますので、疑いがあれば、CTやMRIを、医師に相談して撮影してもらいましょう。

手のしびれは、様々な原因で起こります。原因によって治療法も異なりますので、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

手のしびれの前兆とセルフチェック

「最近、手がしびれる…」と感じたら、放っておかずに、まずはセルフチェックしてみましょう。

手のしびれは、誰しも一度は経験する身近な症状ですが、実は重大な病気のサインである可能性も潜んでいます。

早期発見・早期治療のためにも、ご自身のしびれをよく観察し、セルフチェック項目を確認することで、適切な医療機関の受診につなげることができます。

しびれの場所・範囲・時間帯

しびれの場所

手のしびれを感じた時、まず確認すべきことは「どこがしびれているか」です。

親指、人差し指、中指にしびれがある場合は、手根管症候群の可能性が考えられます。これは、手首にある神経の通り道が狭くなることで、神経が圧迫されて起こる病気です。

Point!

薬指の内側と外側を、指でなぞってみてください。もし中指側だけが痺れているなら、高い確率で手根管症候群と思われます。

そして、両手の母指球筋を比べてみて、平らになって、筋肉が痩せていると注意です。これがみられたら、進行した手根管症候群となります。

母指球 手根管症候群

経験上、痺れが弱くても、母指球筋が小さくなっていたら、手術をして、これ以上悪くならないようにした方がいいでしょう。

進行すると、服のボタンが付けにくくなったり、お箸が持ちにくくなります。そうなると、手術しても、後遺症として戻らなくなる確率が高くなるのです。

 手の痺れ

一方、小指や薬指にしびれがある場合は、肘部管症候群の可能性も考えられます。これは、肘の神経の通り道が狭くなることで起こるしびれです。

よく、椅子などに肘の内側をぶつけると、指まで痺れることがありますよね。それは、肘部管症候群の原因である尺骨神経によるものです。

肘部管症候群

また、手の甲側がしびれる場合は、橈骨神経麻痺の可能性も考えられます。橈骨神経麻痺は、腕の外側から手の甲にかけて走る神経が圧迫されることで起こります。

例えば、腕枕をして寝てしまった後に、手がしびれている経験はありませんか?

これは、橈骨神経が圧迫されたことによる一時的な麻痺によるものと考えられます。ひどい場合は、手のひらがだらんと垂れて、動かなくなることもよくみられます。

『朝起きたら、いきなり手が動かない』と心配されますが、2〜3ヶ月ほどリハビリなどをして様子を見れば、ほとんどの方は治ります。

急に手が動かなくなると、脳の病気かな?とかなり驚きますよね。。。

しびれの範囲

しびれの範囲も重要なポイントです。

もし、しびれが手全体に広がっている場合は、頸椎症胸郭出口症候群どの、首や肩の神経が圧迫される病気が原因かもしれません。

手根管症候群では、手首より先の方しかしびれは出ません。

さらに、片方の手だけがしびれる場合は、脳卒中の可能性も考えられます。

脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりする病気で、手足の麻痺や言語障害など、命に関わる危険な症状を引き起こす可能性があります。

もちろん、頚椎症でも、片方だけのしびれもよくみられます。

しびれの時間帯

しびれが続く時間にも注目しましょう。

一日中しびれが続いているのか、特定の時間帯だけなのか、あるいは一時的なものなのか。こうした時間的な変化も、診断の重要な手がかりとなります。

例えば、夜間や早朝にしびれが強くなる場合は、手根管症候群の可能性が高くなります。

動作との関連性(特定の姿勢、動作で悪化など)

次に、手のしびれと、特定の姿勢や動作との関連性をチェックしてみましょう。

例えば、パソコン作業やスマートフォン操作など、手首を酷使する作業の後でしびれが悪化する場合は、手根管症候群の可能性があります。

また、首を後ろに反らすと手のしびれが悪化する場合は、頸椎症の可能性が高まります。

逆に、腕を頭の上に上げることでしびれが軽減する場合は、胸郭出口症候群の可能性も考えられます。

日常生活の中で、どのような姿勢や動作がしびれを悪化させるのか、または軽減させるのかを把握することは、原因を特定する上で非常に重要です。

随伴症状(痛み、感覚異常、脱力など)

手のしびれとともに、他の症状が現れることもあります。これらの随伴症状も、原因特定の重要な手がかりとなります。

例えば、しびれとともに、鋭い痛みを感じる場合は、神経腫瘍の可能性も考えられます。

神経腫瘍とは、神経に発生する腫瘍のことで、良性のものから悪性のものまで様々な種類があります。

稀なケースでは、指の神経に叢状(そうじょう)シュワン腫という良性腫瘍が発生し、鋭い痛みやしびれを伴うことがあります。

また、しびれとともに脱力感や、感覚が鈍くなるなどの症状が現れる場合は、神経の損傷がより深刻な状態である可能性があります。

その他、手のむくみや冷感なども、しびれの原因疾患によっては伴うことがあります。

過去の病歴

過去の病歴も、手のしびれの原因を特定する上で重要な情報です。

糖尿病や高血圧などの生活習慣病は末梢神経障害という合併症を引き起こし、手のしびれにつながる可能性があります。

また、過去に神経系の疾患を患ったことがある場合も、再発や新たな病気が隠れている可能性も考慮に入れる必要があります。

健康診断の結果や過去の治療歴なども含め、できるだけ詳細な情報を医師に伝えましょう。

▼高血圧の症状はありませんか?併せてお読みください。

危険信号(麻痺の進行、意識障害など)

手のしびれとともに、麻痺の進行や意識障害、ろれつが回らない、激しい頭痛などの症状が現れた場合は、一刻を争う事態です。

これらは脳卒中のサインである可能性が非常に高く、緊急の医療処置が必要となります。

また、片側の手足だけがしびれる、顔の半分がしびれる、言葉が出てこない、呂が回らないといった場合も、脳卒中の前兆である可能性があります。

これらの症状が現れた場合は、直ちに救急車を呼ぶか、近くの医療機関に連絡してください。

手のしびれの治療法と予防ケア

「手のしびれ」と聞くと、つい軽く考えてしまいがちですが、実は様々な原因が潜んでおり、中には放置すると深刻な事態を招く病気も存在します。

早期発見・早期治療が何よりも重要です。適切な治療とケアによって、しびれを軽減し、快適な日常生活を取り戻せる可能性は十分にあります。

ここでは、手のしびれの主な治療法と、日常生活での予防ケアについてご説明します。

薬物療法

手のしびれの原因や症状に合わせて、様々な薬が用いられます。

例えば、神経の炎症や痛みを抑える薬、血行を改善する薬、神経の働きを助けるビタミン剤などがあります。

神経の炎症が強い場合は、ステロイド薬を使う場合もあります。これは、強力な消炎効果を持つ薬ですが、副作用にも注意が必要です。

また、糖尿病性の神経障害には、血糖コントロールを改善する薬も重要です。

しびれに効く薬は、最近色々と出てきてはいますが、しびれは薬でなかなか治りにくい部類となります。

どの薬を使うかは、医師があなたの症状や体質を考慮して慎重に判断しますので、自己判断で薬を飲んだり、やめたりすることは絶対に避けてください。

理学療法・作業療法

薬物療法だけでなく、理学療法や作業療法も重要な役割を担います。

理学療法理学療法では、ストレッチやマッサージ、温熱療法などによって、硬くなった筋肉や関節を柔らかくし、血行を促進することで、しびれを和らげます。

胸郭出口症候群では、両腕の重みを支える筋肉をしっかり鍛えることが大切です。

作業療法:作業療法では、日常生活動作の練習や、自助具(日常生活を補助する道具)の使用指導などを通して、しびれがあっても支障なく生活できるようサポートします。

例えば、手根管症候群の患者さんには、手首のストレッチや、手首を安静に保つための装具の使用指導が行われます。

装具療法

手首や指を固定するサポーターや、頸椎を支えるコルセットなどの装具は、患部を安静に保ち、神経への負担を軽くしてくれます。

特に、手根管症候群や腱鞘炎など、手首の使い過ぎが原因で起こるしびれには効果的です。

装具の種類や使用方法も様々ですので、医師や理学療法士の指導のもと、自分に合った装具を選び、正しく使用することが大切です。

例えば、就寝時に手首を固定する装具を装着することで、夜間のしびれを軽減できる場合があります。

手術療法

多くの場合、薬物療法、理学療法、装具療法などの保存療法で症状が改善します。

しかし、神経の圧迫が非常に強い場合や、保存療法で効果が見られない場合には、手術が必要となることもあります。

例えば、手根管症候群では、母指球筋が痩せてきたり、服のボタンが付けにくくなる巧緻障害などが出た場合は、速やかに、神経を圧迫している靭帯を切開して神経を解放する手術が必要です。

頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアが原因の場合は、首の骨の手術が必要になることもあります。

我々の手術の基準として、筋力低下、尿が出にくいなどの膀胱直腸障害となります。しびれに関しては、我慢ができないぐらいなら、手術を選択することもあります。

手術療法は最終手段であり、患者さんの状態に合わせて慎重に判断されます。

日常生活での注意点と予防法

日常生活での心がけも、手のしびれの予防や改善に大きく貢献します。

長時間同じ姿勢を続けることや、手首や指に負担がかかる作業を繰り返すことは避けましょう。

パソコン作業やスマートフォンの操作をする際は、こまめに休憩を取り、ストレッチをすることを心がけてください。

また、デスクワークをする際は、正しい姿勢を保ち、椅子や机の高さを調整することも重要です。

正しい姿勢を保つことで、首や肩への負担を軽減し、胸郭出口症候群などの予防にもつながります。

栄養バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠も、健康な神経を維持するために不可欠です。

そして、もし手のしびれを感じたら、自己判断せずに、早めに医療機関を受診しましょう。

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参考文献

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  3. Thapa L, Amatya R, Maharjan S, Gaurishankar N, Shrestha AM, Bhattarai S, Singh SN, Gongal DN, Devkota UP. “Cheiro-Oral Syndrome.” Kathmandu University medical journal (KUMJ) 16, no. 62 (2018): 196-198.
  4. Slouma M, Zarrouk Z, Maatoug F, Dhahri R, Amorri W, Gharsallah I, Metoui L, Louzir B. “Fibrolipoma of the Median Nerve: An Overview.” Current rheumatology reviews 18, no. 4 (2022): 298-304.

監修者

坂本 貞範(医療法人美喜有会 理事長)

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)

Sadanori Sakamoto

再生医療抗加齢学会 理事

再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。

「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。

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