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アテローム血栓性脳梗塞の後遺症は治るのか医師が解説|リハビリや予後についても紹介

アテローム血栓性脳梗塞 後遺症
公開日: 2025.05.30

「アテローム血栓性脳梗塞の後遺症が出るかもしれない」

「アテローム血栓性脳梗塞の後遺症の予後について知りたい」

アテローム血栓性脳梗塞と診断され、後遺症の可能性に不安を感じていませんか。後遺症には運動障害や感覚障害などがありますが、適切なリハビリによって改善が期待できることもあります。

  • アテローム血栓性脳梗塞の後遺症は治るのか
  • アテローム血栓性脳梗塞で起こりうる後遺症
  • アテローム血栓性脳梗塞における後遺症のリハビリ方法
  • アテローム血栓性脳梗塞の予後

記事の最後には、アテローム血栓性脳梗塞の後遺症に関するよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症は治るのか

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症は、脳の損傷範囲や部位、治療までの時間、年齢や基礎疾患の有無によって回復の程度が異なります。

元通りになるとは限りませんが、早期治療やリハビリによって機能が回復するケースもあります。そのため、後遺症の改善にはリハビリが欠かせません。一方、治療が遅れた場合や損傷が重い場合は、後遺症が長引くことも予想されます。

後遺症が残っても、継続的なリハビリと支援によって生活の質を高めることを望めるでしょう。また、リハビリは医師の指導のもと、症状に応じて行われます。

以下の記事では、脳梗塞は治るのかについて詳しく解説しています。

アテローム血栓性脳梗塞で起こりうる後遺症一覧

後遺症 具体的な症状・影響
運動麻痺 手足や体の片側が動きにくくなる、または完全に動かせなくなる。歩行・食事・着替えなど日常動作に支障をきたす
感覚障害 しびれ、違和感、温度感覚の鈍さ、触覚の低下。危険察知が難しくなり、細かい作業が困難になる
言語障害 言葉が出にくい、理解できない、意味不明な発話、読み書きの困難。コミュニケーションに支障をきたす
記憶障害や注意力の低下 記憶力や集中力の低下により、予定管理や仕事・学習に支障が出る
精神的な変化やうつ状態 意欲の低下、不安、焦り、抑うつ状態。本人だけでなく家族のサポートも必要となる

アテローム血栓性脳梗塞は、動脈硬化が原因で起こる脳梗塞の一種です。脳の太い血管が詰まり、広範囲に血流が届かなくなることで、脳幹や大脳皮質といった運動を司る部位が損傷を受けやすくなります。

片麻痺などの運動障害がよく見られ、重症では言語障害や認知機能の低下を伴うこともあるのが特徴です。

以下の記事では、脳梗塞の後遺症について詳しく解説しております。

運動麻痺

分類 症状 日常生活への影響
片麻痺(へんまひ) 左右どちらかの半身に麻痺。腕と脚で程度が異なることもある 歩行困難、手の動作不自由、寝返り・起き上がり困難、バランス低下
手指の巧緻運動障害 手や指の細かい動作ができなくなる ボタンかけや食事、文字を書くなどの細かい作業が困難
足の麻痺による影響 足の力が入りにくい、足首が曲がらない、つま先が上がらない 歩行障害、階段昇降困難、立位保持困難、運転支障
体幹の麻痺による影響 姿勢保持や体の向き変更が難しくなる 座位保持や寝返りが困難、姿勢の維持ができず転倒リスク増加
痙縮(けいしゅく) 筋肉の過度な緊張により手足が突っ張る、関節が硬くなる 関節の動き制限、違和感、介護動作(着替え・清拭)困難

文献1)(文献2

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症では、脳の運動をつかさどる領域が障害を受けることで、片麻痺や四肢の動かしにくさなどの運動麻痺が現れることがあります。

運動麻痺としてよく現れる症状としては、片側の手足が動きにくくなる片麻痺などがあり、脳の損傷部位と反対側に症状が出るのが特徴です。重症度によっては、歩行や日常生活に大きな支障をきたすケースもあります。

リハビリを行うことで、運動麻痺が改善する可能性もありますが、発症からの時間が経過するほど機能回復が難しくなる傾向があります。そのため、できるだけ早い段階からリハビリを開始するのが大切です。

感覚障害

分類 症状 日常生活への影響
触覚の異常(感覚鈍麻・過敏) 触った感覚が鈍くなる、または過剰に感じる 落とし物が増える、火傷に気づかない、衣類や接触に敏感・不快で着替えが困難、他人との接触を避けることがある
温度覚の異常(低下・過敏) 熱い・冷たいの感覚が鈍る、またはわずかな温度変化に敏感になる 入浴や調理時に火傷や低体温のリスク。冷暖房に対する過剰反応や不快感が強くなる
痛覚の異常(鈍麻・過敏) 痛覚が鈍感になる、または弱い刺激でも強く感じる(異痛症) 怪我や病気の発見が遅れる。軽い接触や動作でも激痛を感じ、日常動作に支障が出る
位置覚・深部感覚の異常 手足の位置感覚が鈍る。筋肉や関節の動きや力加減がわかりにくい 見ずにボタンをかけられない、動作がぎこちなくなる、歩行やバランス保持が困難になる
異常感覚(しびれ・ビリビリ・むずむず感) 手足のしびれ、電気が走るような違和感、焼けるような感覚、むずむずして落ち着かない感覚が出現するケースがある 常に不快感があるため集中力が低下し、日常生活全体に支障をきたす。安静にしていても休まらず、不眠や不安の原因になることもある

文献3)(文献4

感覚障害では、触れた感覚が鈍くなったり、逆に何もないのにピリピリとした違和感を覚えたりする症状が現れます。脳の感覚を司る領域が障害を受けた場合に起こり、症状は軽度な違和感から、服を着るのもつらいほどの強い異常感覚までさまざまです。

感覚障害は外見からはわかりにくく、本人にしかわからない苦痛が続くため、生活の質を大きく下げることがあります。さらに、感覚の低下があると転倒やケガのリスクが高まるため注意が必要です。

言語障害

分類 症状 日常生活への影響
失語症 話す・聞く・読む・書くことが困難になる。言葉が出てこない、理解できない 会話が成立しにくく、意思疎通が困難。孤立やストレスの原因になる
構音障害 発音が不明瞭になる。ろれつが回らない、声が小さい、鼻にかかった話し方になる 聞き取りづらく、会話や電話が困難。外出や人との交流に消極的になるケースがある
高次脳機能障害に伴う言語障害 注意・記憶・段取りの低下により、話の流れが組み立てにくくなる 話がかみ合わず、会話が続かない。仕事や社会参加に支障をきたす

アテローム血栓性脳梗塞では、言語を司る脳の領域が損傷を受けた場合に、言語障害が現れるケースがあります。言葉がうまく出てこない失語症や、発音が不明瞭になる構音障害が挙げられます。

また、会話が成立しにくくなったり、伝えたいことが言葉にできないことから、本人に強いもどかしさやストレスが生じることも少なくありません。言語障害の改善には、言語聴覚士によるリハビリが効果的とされており、早期から継続的に取り組むことが大切です。

記憶障害や注意力の低下

分類 症状 日常生活への影響
記憶障害 新しいことが覚えられない、昔の記憶が曖昧、物の名前が出てこない、物をよく失くす 約束を忘れる、会話がかみ合わない、持ち物を頻繁に探す、時間や場所の感覚が乱れる
注意力の低下 集中が続かない、周囲に気を取られやすい、作業ミスが増える、反応が遅れる 会話や読書の理解が困難、家事や仕事でのミス、運転時の危険察知が遅れる、作業が続かない

文献5

アテローム血栓性脳梗塞では、脳の前頭葉や側頭葉などが損傷を受けた場合に、記憶障害や注意力の低下が後遺症として現れることがあります。たとえば人の名前が思い出せなかったり、昨日食べたものが思い出せなかったりなどが挙げられます。

記憶障害や注意力の低下の中には、日常生活に大きな影響を及ぼすものもあり、家族や周囲のサポートや理解が不可欠です。

精神的な変化やうつ状態

分類 症状 日常生活への影響
感情の変化 気分の落ち込み、不安・イライラ、感情の不安定さ、無関心、喜びや意欲の喪失 リハビリへの意欲低下、人との関わりを避ける、楽しみを感じにくくなり生活の質が低下する
思考の変化 集中力・記憶力・判断力の低下、思考の遅れ、自責感、希死念慮 会話や日常判断が難しくなる、過去を悔やみやすくなる、深刻な場合は命に関わるリスクも
行動の変化 引きこもり、外出や活動量の減少、睡眠障害、食欲の変化、疲れやすさ 社会復帰が困難になり、家族への負担も増える。孤立感が強まり、生活全体が消極的になる

文献6

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症として、身体的な障害だけでなく、感情面や性格の変化が生じることがあります。

とくにアテローム血栓性脳梗塞を発症した方の約30%が、うつ状態となることが報告されているため、少しでも辛いと感じたときは医師や周りに相談するのが大切です。アテローム血栓性脳梗塞の後遺症は身体の影響だけでなく、精神的な面でもケアが求められます。

アテローム血栓性脳梗塞における後遺症のリハビリ方法

リハビリの種類 目的・内容
運動療法 関節可動域の維持・改善、筋力・バランスの強化、歩行訓練。麻痺した手足の機能回復や基本動作の改善を目指す
作業療法 食事・着替え・入浴など日常動作の訓練。趣味・仕事への復帰支援や自助具の活用、住環境の調整も行う
言語聴覚療法 言語障害(発話・理解)や嚥下障害の訓練。コミュニケーション能力の向上
認知行動療法 記憶・注意力の改善、意欲低下や抑うつなど精神面のサポート。カウンセリングによって心の安定と行動変容を図る

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症に対しては、症状に合わせたリハビリを医師の指導のもと継続的に行うことが不可欠です。また、リハビリは本人や医師だけでなく、周りのサポートや理解も大事になります。

これから紹介するリハビリは、自己判断や自己流ではなく、医師の指示に従いながら行いましょう。

以下の記事では、脳梗塞の後遺症を改善するリハビリ方法をわかりやすく解説しております。

運動療法

目的 内容
筋力と動作機能の回復 麻痺した手足を動かす訓練で筋力を再びつけ、起き上がり・立ち上がり・歩行がしやすくなる
関節の柔軟性維持 可動域訓練(ROM)で関節のこわばりを防ぎ、日常動作をスムーズに
バランス向上と転倒予防 体幹トレーニングやバランス訓練でふらつきを防ぎ、歩行できる体づくり
持久力・心肺機能の向上 全身を使った運動で疲れにくい体にしつつ、日常生活の動作が楽になる
協調性と感覚の改善 手足の連携や細かい動作の練習で動きのぎこちなさを改善。感覚の刺激にもなり感覚障害にも効果が期待される
脳の回復促進(神経可塑性) 動作を繰り返すことで、脳が新しい動き方を覚え、失われた機能を補う力が高まる
意欲・気分の改善 運動により気分が前向きになり、リハビリへのやる気も引き出されやすくなる

文献7)(文献8

運動療法は、アテローム血栓性脳梗塞による運動麻痺や筋力低下の回復を目的としたリハビリの中心的な方法です。医師の指導のもと、関節の可動域を保つストレッチや、座る・立つ・歩くといった基本動作の再獲得を目指した訓練を行います。

内容としては、徐々に立ち上がりや歩行などの負荷を増やしていくのが一般的です。運動療法は、自宅でも無理のない範囲で続けることで、後遺症の改善が期待できます。

作業療法

目的・効果 内容・支援例
日常動作(ADL)の自立支援 食事・着替え・入浴などの練習。自助具や代償動作の習得で「できること」を増やす
手の細かい動き(巧緻動作)の改善 握る・つまむなどの訓練を通じて、書字・調理・趣味など生活の質を高める
高次脳機能障害への対応 記憶・注意・段取りの訓練。生活上の課題に合わせた個別アプローチで認知機能をサポート
感覚障害への配慮 感覚刺激や代償方法の指導により、動作や日常生活への適応を図る
精神面のサポート 意欲の低下や不安に寄り添い、自信の回復や社会参加を促す活動を取り入れる
患者中心のリハビリ目標の設定 患者の意向を反映した具体的な目標を設定し、主体的な取り組みを促進

文献9)(文献10

作業療法は、アテローム血栓性脳梗塞の後遺症によって難しくなってしまった日常動作を取り戻すためのリハビリ方法です。

手や指の細かな動きや食事、トイレ動作など、生活に必要な動作の練習を行うことで、少しずつ自分だけで生活できる力を取り戻していくのが目的です。作業療法は、日常生活の質を保つ上で、非常に重要な役割を果たします。

言語聴覚療法

目的・効果 内容・支援例
脳の可塑性を活かした機能回復 発声・嚥下・理解などの訓練で、脳の再学習を促し、言語や飲み込み機能を回復
個別に合わせた訓練計画の作成 症状や生活背景に応じてオーダーメイドの訓練を実施。無理なく効果的なリハビリが可能
多角的なコミュニケーション支援 話す・聞く・読む・書くに加え、ジェスチャーや絵カードなども活用し、意思疎通を支援
適切な食事のための嚥下訓練 むせや誤嚥を防ぐ訓練、食事姿勢・食形態の工夫で、誤嚥性肺炎のリスクを軽減
精神的サポート 言語や嚥下の障害による不安や孤立感に寄り添い、サポートする
生活環境への適応支援 家庭や職場での会話支援、家族への接し方のアドバイスなど、退院後の生活も見据えた支援を実施

文献1

言語聴覚療法は、アテローム血栓性脳梗塞によって生じた言語障害や嚥下障害(飲み込みの問題)に対して行われる治療法です。主なリハビリ内容は、反復練習や発声訓練です。嚥下障害がある場合は、誤嚥や肺炎を防ぐための飲み込みの訓練も行います。

言語聴覚療法は、話す力だけでなく、コミュニケーションや食事を支える大切なリハビリです。状態に合わせた継続的な支援で、生活の幅を広げられます。

認知行動療法

目的・効果 内容・支援例
思考・感情・行動の悪循環を断ち切る 否定的な考えが、気分の落ち込みや意欲低下につながる流れを見直す
問題解決力の向上 できないことに直面したとき、どう対処するかを具体的に学び、自信をつける
否定的な考え方の修正(認知の再構成) 迷惑ばかりかけているなどの思い込みを見直し、前向きな視点を育てる
行動の活性化 小さな行動目標を設定し、成功体験を積むことで自信と活動意欲を高める
ストレスや不安への対処力の習得 怒り・悲しみ・不安などの感情を言葉にして整理させる
社会復帰や家族関係への不安の軽減 職場復帰や家族との関係性に関する悩みに寄り添い、コミュニケーション改善や役割の再構築を支援
将来不安・再発恐怖への対処 今できることに意識を向ける訓練で、不安にとらわれず前向きに生活を整える

文献6)(文献11

認知行動療法は、アテローム血栓性脳梗塞の後遺症によるうつや不安、意欲の低下などに対して行う心理的なリハビリです。再発への不安や身体が思うように動かないことから自分を責めやすくなりますが、治療によりその思考を前向きに修正していきます。

具体的な行動目標を立てて少しずつ達成すると、自己肯定感が高まり、心の回復が促されます。リハビリは、心理士や医師のサポートを受けながら、無理なく取り組むことが大切です。身体のリハビリと並行して心のケアを行うことで、全体の回復につながります。

アテローム血栓性脳梗塞の予後

予後に関しての項目 説明
後遺症の回復と期間 早期のリハビリ開始が大切。数カ月〜半年で改善が見られることが多く、その後もゆっくり回復する可能性あり
長期的な生活の質 後遺症が出ても、リハビリや福祉サービスの利用で自立を目指す。本人・家族の努力と周囲の支援が大切
再発リスク 高血圧・糖尿病などの生活習慣病が関与。薬の継続と生活習慣の見直しの両方が重要。医師の指導に従うこと

アテローム血栓性脳梗塞の予後は、発症時の重症度や治療の早さ、年齢、持病の有無などに大きく左右されます。

進行が比較的ゆるやかなため発見が遅れやすく、後遺症が出ることもありますが、早期の治療と継続的なリハビリにより回復が期待できる場合もあります。再発予防には生活習慣の改善や持病の管理が不可欠です。

以下の記事では脳梗塞の予防・再発防止について詳しく解説しています。

後遺症の回復度と期間

項目 内容
回復の進み方 回復は一気に進まず、段階的に少しずつ進む。最初は命を守る治療が中心ですが、徐々に日常の動作ができるようになる
回復のスピードと個人差 どのくらい良くなるか、どれくらいの期間がかかるかは、人によって異なる。焦らず、継続が大切
心の健康も大切 後遺症への不安や落ち込みは自然。心のケア(カウンセリングや認知行動療法)も回復にはとても重要な要素
意欲を保つ工夫 「できたこと」に目を向け、小さな成功体験を積み重ねると、リハビリのやる気にもつながる
予後を良くするポイント 医師の指導に従い、リハビリを継続する、前向きな気持ちを保つこと、生活習慣を見直すことが大切

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症がどの程度回復するか、またどれくらいの期間がかかるかは、脳の損傷範囲や発症からの時間、年齢や基礎疾患の有無によって異なります。とくに発症後しばらくの間は、脳が回復しやすい時期とされており、この時期に集中的なリハビリを行うことで、機能の回復が期待できます。

麻痺や言語障害などは回復に時間がかかるため、リハビリは焦らず取り組むことが大切です。

長期的な生活の質

支援のポイント 内容
継続的なリハビリと再発予防 身体機能の維持・改善と生活習慣の見直しによる健康寿命の延伸
精神的サポートと認知行動療法 心のケアを通じた意欲の回復と生活への前向きな姿勢の支援
家族・地域とのつながりの維持 孤立の予防と精神的な安定を支える関係性の構築
福祉制度や訪問サービスの活用 在宅生活の継続を支える支援体制の確保と介護負担の軽減

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症は、生活の質(QOL)に大きく影響することがあります。後遺症として、麻痺や言葉の障害、心の不調などが出ると、仕事や趣味、人との関わりが難しくなることがあります。

後遺症があっても、住まいの工夫や介助具の使用、デイケアや訪問リハビリなどの支援を活用することで、生活の負担を軽くできます。

さらに、再発予防や心のケアにも取り組むことで、前向きな日常を取り戻すことが可能です。生活の質を高めるには、本人の努力だけでなく、家族や周囲の支えも欠かせません。

再発リスク

取り組み項目 内容
薬物療法の継続 抗血栓薬やスタチン系薬剤の服用による血栓予防とコレステロールの管理
生活習慣の見直し 減塩・低脂質の食事、適度な運動、禁煙、節酒による動脈硬化の進行防止
定期的な通院と検査 血圧・血糖・脂質の継続的なモニタリングと早期対応
心の健康管理(心理支援) 不安やうつへの対応、認知行動療法やカウンセリングによる自己管理力の維持と向上

文献12)(文献13

アテローム血栓性脳梗塞は、再発のリスクが高いとされる脳卒中のひとつです。

とくに発症から間もない時期ほど再発率が高く、久山町コホート研究では、発症1年後で12.8%、5年後で35.3%、10年後には51.3%であることがわかるデータがあります。文献14

このデータは、脳梗塞を一度発症した方の約半数が10年以内に再び発症していることを示しており、長期的な予防対策が非常に重要であることを物語っています。再発を防ぐには、薬の継続に加え、減塩・低脂質の食事、適度な運動、禁煙などの生活改善が大切です。

さらに、血圧や血糖値を定期的にチェックし、体調をしっかり管理することが再発予防につながります。再発すると、より重い後遺症が出るケースもあるため、日常生活の中で予防への意識が不可欠です。

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症は再生医療も選択肢のひとつ

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症には、運動麻痺や言語障害などがあり、生活に大きな支障をきたすことがあります。リハビリで改善することもありますが、回復が不十分な場合も少なくありません。

そうした際の新たな選択肢のひとつとして、幹細胞を使った再生医療が注目されています。当院リペアセルクリニックでは、後遺症にお悩みの方に再生医療をご提案し、改善に向けた丁寧なサポートを行っています。

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。

\無料相談受付中/

通話料無料/受付時間 09:00~18:00

アテローム血栓性脳梗塞に関するよくある質問

リハビリの開始は早い方が効果的ですか?

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症に対しては、早期リハビリの開始が効果的とされています。発症直後は脳の回復力が高く、適切な刺激により神経機能の再建が促されます。(文献1

介護保険や障害者手帳などの制度は利用できますか?

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症が一定の程度を超える場合、介護保険や障害者手帳などの公的制度の利用が可能です。申請には医師の診断書が必要となるため、早めに医師やソーシャルワーカーに相談しましょう。(文献15)(文献16

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症に対して家族はどのようにサポートすれば良いですか?

アテローム血栓性脳梗塞の後遺症と向き合うには、本人の「できる力」を尊重し、過干渉を避けることが大切です。ゆっくりした言葉での対話や、感情の変化に寄り添う姿勢も必要です。

訪問リハビリやケアマネジャーなどの支援を活用し、家族自身も無理のない介護を心がけましょう。

 

参考記事

(文献1)

小笠原邦昭ほか.「脳卒中治療ガイドライン 2021〔改訂2023〕」, pp.1-180

https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献2)

国立研究開発法人「脳卒中」国立研究開発法人国立循環器病研究センター

https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/stroke-2/(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献3)

公益社団法人 日本リハビリテーション医学会「脳卒中のリハビリテーション治療」公益社団法人 日本リハビリテーション医学会,2014年4月

https://www.jarm.or.jp/civic/rehabilitation/rehabilitation_01.html(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献4)

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA「脳卒中の概要」MSD マニュアル プロフェッショナル版, 2023年7月

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%84%B3%E5%8D%92%E4%B8%AD/%E8%84%B3%E5%8D%92%E4%B8%AD%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献5)

「日本神経学会治療ガイドライン痴呆疾患治療ガイドライン2002」, pp.1-4

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/thihou_08.pdf(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献6)

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA「うつ病」MSD マニュアル 家庭版, 2023年11月

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/10-%E5%BF%83%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E6%B0%97%E5%88%86%E7%97%87/%E3%81%86%E3%81%A4%E7%97%85?autoredirectid=28119(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献7)

「Ⅶ.リハビリテーション」, pp.1-70

https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_07.pdf(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献8)

「脳卒中治療ガイドライン2021における リハビリテーション領域の動向」37(1), pp.1-13, 2022年

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/37/1/37_129/_pdf(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献9)

藤原太郎ほか.「作業療法ガイドライン脳卒中」『一般社団法人 日本作業療法士協会』, pp.1-52

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/37/1/37_129/_pdf(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献10)

清野 敏秀.「脳卒中急性期の作業療法 実践の流れ」『(社)日本作業療法士協会 学術部』, pp.1-2, 2011年

https://www.jaot.or.jp/files/page/wp-content/uploads/2010/08/celebro.pdf(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献11)

伊藤 弘人.「厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業 (精神障害分野) 身体疾患を合併する精神疾患患者の 診療の質の向上に資する研究」『平成26年度総括・分担研究報告書』巻(号), pp.開始ページ-終了ページ, 2015年

https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2014/201419018A.pdf(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献12)

「脳卒中療養支援シリーズ②脳卒中の再発防止」『京都大学医学部附属病院 脳卒中療養支援センター作成』, pp.1-8

https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/department/division/pdf/strokesupport/strokesupport_20230405_04.pdf(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献13)

公益社団法人 日本脳卒中協会「脳卒中予防十か条」公益社団法人 日本脳卒中協会, 2018年3月9日

https://www.jsa-web.org/citizen/85.html(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献14)

冨本 秀和.「脳梗塞:これからの再発予防治療*」, pp.1-5, 2018年

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/35/4/35_439/_pdf(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献15)

厚生労働省「介護保険制度の概要」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html(最終アクセス:2025年5月14日)

(文献16)

厚生労働省「障害者手帳」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html(最終アクセス:2025年5月14日)

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