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フレイルサルコペニアとは|ロコモとの違いや症状・予防法を医師が解説

フレイルサルコペニア
公開日: 2025.06.29

「フレイル、サルコペニアって何?」「ロコモとの違いは?」「予防はできるの?」

このような疑問を持って、本記事に辿り着いた方も多いのではないでしょうか。

「フレイル」「サルコペニア」「ロコモ」は、いずれも年齢とともに起こりやすい体の変化を示す言葉です。

最近よくつまずくようになったり会話が減ったりするのは、これらの症状の1つと考えられます。

本記事ではフレイル・サルコペニア・ロコモの症状や違い、予防法などを解説します。

健康寿命を延ばし、いつまでも自分らしく過ごすヒントとしてお役立てください。

フレイル・サルコペニア・ロコモは「年齢に伴う機能低下のサイン」

「フレイル」「サルコペニア」「ロコモ」それぞれの特徴は以下のとおりです。

種類

状態

特徴

フレイル

心身全体の活力が落ちた状態

・些細なストレスや環境の変化でも体調を崩しやすい

・精神的にも落ち込んだり閉じこもりやすくなったりする

サルコペニア

筋肉量と筋力が低下した状態

・高齢になると起こりやすい

・フレイルの原因にもなる

ロコモ(ロコモティブシンドローム)

移動機能にかかわる体の衰え

・歩く、立つ、座るといった日常動作が難しくなる

・進行すると介護リスクが高まる

それぞれの違いを知り、自分に必要な対策を検討しましょう。

フレイルは「心身全体の活力が落ちた状態」

フレイルとは、体の衰えに加えて、気力や社会とのつながりも弱くなっている状態を指します。

些細なストレスや環境の変化でも、体調を崩しやすくなるのが特徴です。

体だけでなく、気持ちの落ち込みや閉じこもりがちになる傾向も見られます。

また、フレイルが進行すると転倒や骨折、認知症のリスクが高まることもわかっています。(文献1

サルコペニアは「筋肉量と筋力が低下した状態」

「サルコペニア」は、筋肉の量が減り、握力や歩く力が低下するのが特徴です。

高齢になると誰にでも起こる可能性があり、筋肉の低下により、転倒や骨折、寝たきりにつながることがあります。

サルコペニアはフレイルの原因の一つでもあります。

サルコペニアによる筋力低下を放置すると、日常生活に支障をきたす恐れがあるため、早めの対策が必要です。(文献1

ロコモは「移動機能にかかわる体の衰え」

ロコモティブシンドローム、略して「ロコモ」は、関節や骨、筋肉などの“体を動かす力”に関する衰えです。

歩く、立つ、座るといった基本の動作が難しくなっていくのが特徴で、進行すると寝たきりや要介護状態につながることもあります。(文献2

ロコモティブシンドロームについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

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フレイルの症状・診断基準

フレイルの具体的な症状や診断基準について解説していきます。

フレイルの症状

フレイルの症状は、体のはたらきだけでなく、気持ちや生活のリズムにも現れます。

次のような変化が見られたら、フレイルのサインかもしれません。(文献3

  • つまずきやすくなった、歩くのが遅くなった
  • 握力が弱くなった、立ち上がるのに時間がかかる
  • 食事の量が減った、体重が落ちてきた
  • 会話が減った、趣味や外出に消極的になった
  • 疲れやすくなり、気力が続かない

一つひとつは小さな変化でも、重なることで日常生活に影響が出る場合があります。

心当たりがある場合は、早めのチェックや対策を心がけましょう。

フレイルの診断基準

フレイルは、以下のような項目を総合的に見て判断します。

  • 歩く速度や体のバランス
  • 筋力(とくに下半身)
  • 認知機能(物忘れなど)
  • 栄養状態(食欲の低下など)
  • 社会的なつながり(会話や外出の頻度など)

外来では「簡易フレイルインデックス」を使うこともあります。(文献1

簡易フレイルインデックス 3点以上でフレイル

質問

回答および点数

6ヵ月間で2-3kgの体重減少がありましたか?

はい⇒1点

以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか?

はい⇒1点

ウォーキング等の運動を週に1回以上していますか?

いいえ⇒1点

5分前のことが思い出せますか?

はい⇒1点

(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする。

はい⇒1点

出典:日本内科学会雑誌第107巻第12号|フレイル・サルコペニア

体力だけでなく、心や生活全体を見ることがフレイルの特徴です。

サルコペニアの症状・診断基準

サルコペニアの具体的な症状や診断基準について解説していきます。

サルコペニアの症状

サルコペニアでは、主に次のような変化が現れます。(文献4

  • ペットボトルのキャップが開けにくくなった
  • 歩くスピードが落ちた
  • 足が細くなってきた、筋肉が落ちた感じがする
  • 椅子から立ち上がるのが大変になった

これらの変化は、転倒・骨折や要介護のリスクにもつながるため、早めに気づき、予防することが大切です。

サルコペニアの診断基準

サルコペニアは、主に以下の3つの項目で診断されます。(文献1

  • 握力:男性28kg未満、女性18kg未満が目安
  • 歩行速度:通常の歩き方で1秒に1.0メートル未満
  • 筋肉量:体組成計などで測定し、基準値以下であるかどうかを確認

簡単にできるセルフチェックとして「指輪っかテスト」もあります。(文献5

<サルコペニアの危険度チェック>

両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎを囲んでみましょう。作った輪っかでふくらはぎを囲めるかどうかで、サルコペニアの危険度を推測できます。

結果

サルコペニアの危険度

囲めない

ちょうど囲める

隙間ができる

サルコペニアの危険度が高い場合は、一度医療機関に相談してみることをおすすめします。

フレイル・サルコペニアが気になるときは当院へご相談ください

年齢のせいだと見過ごしてしまう方も多いですが、気づいたときが対策のチャンスです。

筋力や体重の変化、食欲の低下などが見られたときは、医療機関でチェックを受けましょう。

とくに、持病がある方や体調に不安のある方は、無理な運動や食事制限は避け、専門医の指導のもとで改善していくことが大切です。

「リペアセルクリニック」では、筋力・栄養状態の評価から専門的な再生医療まで、個別にサポートしています。

気になることがあれば、早めにご相談ください。

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フレイル・サルコペニアの予防は「筋肉・栄養・つながり」が大切

フレイルやサルコペニアの進行を防ぐには、日々の暮らしの中で以下を意識するのがポイントです。

  • 筋肉を落とさないための運動
  • たんぱく質を中心とした食事
  • 会話や外出などの社会的なつながり

今日からできることを、無理のない範囲で始めてみましょう。

軽めの運動で筋力低下を防ぐ

フレイル・サルコペニア予防には、軽めの運動が効果的です。

スクワットや足の上げ下げなどのレジスタンス運動(筋トレ)と、ウォーキングなどの有酸素運動を組み合わせるのがおすすめです。

<運動の例>

  • 1日5,000歩以上歩く
  • 負荷のかかる運動を8分以上

(早歩き、社交ダンス、ウェイトトレーニング、水泳など)

無理のない範囲で続けることで、筋肉の維持や転倒予防に役立ちます。(文献1)(文献6

筋肉の衰えを予防するために、さらに詳しい情報を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

たんぱく質中心に栄養バランスを整える

フレイルやサルコペニアを予防するには、筋肉のもととなる「たんぱく質」を毎日しっかりとることが大切です。

体重1kgあたり1.0g以上が目安とされているため、たとえば体重50kgの方なら1日あたり最低50g程度の摂取が推奨されます。(文献1

また、あわせて筋力の維持に関係するビタミンDの摂取も意識しましょう。(文献7

ビタミンDは、日光浴や、鮭・きのこなどの食品から摂取できます。(文献8

人や社会とのつながりを意識する

社会との関係が希薄になると、心身の機能低下が進み、フレイルのリスクが高まることがわかっています。

普段から会話や外出を心がけ、地域の行事やイベントに参加すると、フレイルの予防につながります(文献1

外出が難しい方は、近所の人とあいさつを交わしたり、電話やオンラインを活用したりするのも良いでしょう。できるだけ積極的に社会に参加して「誰かとつながっている」という実感を持つことが大切です。

フレイル・サルコペニアによる衰えを感じたら早めの対策を心がけよう

フレイルやサルコペニアは、年齢とともに誰にでも起こりうる変化です。

「歩くのが遅くなった」「疲れやすい」など、ちょっとした変化があれば、生活の見直しを始めましょう。

早めの気づきと対策が、寝たきりや介護のリスクを防ぎ、健康寿命をのばすことにつながります。

気になる症状がある方や、これからの健康に不安を感じている方は、医療機関で一度相談してみましょう。

「まだ大丈夫」ではなく、「今からできることがある」と考えて、一歩踏み出してみてください。

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フレイル・サルコペニアに関するよくある質問

フレイルやサルコペニアを予防する運動は、どのようなものですか?

フレイルやサルコペニアを予防する運動は、激しいものでなくて構いません。

無理のない範囲で身体を動かしたり歩く量を増やしたりすることから始めましょう。とくに、太ももやお尻の筋肉を鍛えると、バランスが安定し転倒防止に役立ちます。

たとえば、椅子に座った状態で片脚ずつゆっくり持ち上げる運動(3秒かけて上げ、3秒かけて下ろす)を、左右10回ずつ行ってみましょう。(文献9

たんぱく質を摂るのが苦手ですが、どのように工夫すれば良いですか?

無理にたくさん食べようとせず、自分に合った方法で取り入れることがポイントです。

朝食にチーズを足したり、ヨーグルトにきなこをかけたりする方法があります。

また、プリンやどら焼きなど、卵や大豆が入ったおやつも、たんぱく質を摂る手段のひとつです。(文献10

 

参考文献

(文献1)

荒井 秀典「フレイル・サルコペニア」「日本内科学会雑誌」107(12),pp2444-2450,2018

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/12/107_2444/_pdf(最終アクセス:2025年6月13日)

(文献2)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「ロコモティブシンドローム(ロコモ)をご存知ですか」国立長寿医療研究センターホームページ

https://www.ncgg.go.jp/ri/advice/11.html(最終アクセス:2025年6月13日)

(文献3)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「フレイルの原因は?」国立長寿医療研究センターホームページ

https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/07.html(最終アクセス:2025年6月13日)

(文献4)

中部ろうさい病院「症状/疾患・部位 からさがす」中部ろうさい病院ホームページ

https://www.chubuh.johas.go.jp/search_shikkan/list_s/(最終アクセス:2025年6月13日)

(文献5)

公益社団法人 東京都医師会「フレイル予防」東京都医師会ホームページ

https://www.tokyo.med.or.jp/wp-content/uploads/application/pdf/d15c89d17a98ba43c6fd25a9c669a638.pdf(最終アクセス:2025年6月13日)

(文献6)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「活動的に過ごしてフレイル予防」国立長寿医療研究センターホームページ

https://www.ncgg.go.jp/ri/advice/40.html(最終アクセス:2025年6月13日)

(文献7)

亀井康富「ビタミンDは筋肉の萎縮を抑制し、高齢者のサルコペニアを予防・改善する」『あたらしいミルクの研究』2019年度

https://nutrition.life.kpu.ac.jp/wp-content/uploads/2020/05/%E4%BA%80%E4%BA%95%E5%85%88%E7%94%9F%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BA%9C%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A63_0323.pdf(最終アクセス:2025年6月13日)

(文献8)

厚生労働省「ビタミンD」eJIM 英語版改訂年月(翻訳時):2020年3月24日

https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/10.html(最終アクセス:2025年6月13日)

(文献9)

公益財団法人 長寿科学振興財団「サルコペニアに対する運動」健康長寿ネット 2021年10月29日

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/sarcopenia-undo.html(最終アクセス:2025年6月13日)

(文献10)

公益財団法人 長寿科学振興財団「サルコペニア予防のための生活習慣」健康長寿ネット 2021年10月29日

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/sarcopenia-yobo-seikatsu-syukan.html(最終アクセス:2025年6月13日)

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