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ロコモティブシンドロームとは?主な症状や原因をわかりやすく解説

ロコモティブシンドロームとは、移動機能が低下した状態です。認知は低く、どのような状態か理解していない方も珍しくありません。しかし、ロコモティブシンドロームが進行すると介護リスクが高まるため早期改善が大切です。
本記事では、ロコモティブシンドロームとはどのような状態か、症状や原因をわかりやすく解説します。理解しておくべき理由もまとめているので、ロコモティブシンドロームについて知識を深めたい方は参考にしてください。
目次
ロコモティブシンドロームとは簡単にいうと移動機能が低下した状態
ロコモティブシンドロームとは身体運動に関わる骨や関節、筋肉などの運動器の障害により、移動機能が低下した状態で「ロコモ」とも略されます。2007年9月に日本整形外科学会が提唱した症候群で、ロコモティブシンドロームにより、要介護や寝たきりになるリスクが高まります。
なお、ロコモティブは移動を意味する英語の「locomotive」が語源です。日常生活に支障がなくても、ロコモティブシンドロームを発症していたり進行していたりする可能性があるため、知識を深めて適切な治療を受けましょう。
ロコモティブシンドロームの主な症状
ロコモティブシンドロームの主な症状は、以下のとおりです。
- 立ったり歩いたりするのがしんどい
- 階段の上り下りがつらい
- 関節や筋肉が痛い
- 身体のバランスが上手くとれない
- 関節の動きに違和感が生じやすい
一般的に、ロコモティブシンドロームは下半身の筋力低下や関節の痛みからはじまります。
階段を利用する際に、手すりがないと大変、もしくは片足で靴下が履けないといった場合はロコモティブシンドロームの可能性が考えられます。関節や筋肉に関する症状が見られた場合はロコモティブシンドロームの疑いがあるため、専門機関に相談してみましょう。
ロコモティブシンドロームの主な原因
ロコモティブシンドロームの原因は、運動器の病気や衰え、痛みなどが挙げられます。主な原因は、以下のとおりです。
- 加齢による筋力・バランス低下
- 変形性関節症や脊柱管狭窄症、骨粗しょう症などの運動器疾患
- 運動不足
- 肥満や痩せすぎ
- 過度なスポーツ
- 不調の放置(腰や膝など)
ロコモティブシンドロームは、加齢が原因で発症しやすいですが、なかでも体幹や下肢筋力の低下によって起こります。また、加齢だけでなく、スポーツによる負担もロコモティブシンドロームの原因といえます。
予防策には、運動器疾患や腰・膝などの不調を放置せず、適切な治療を受けることが大切です。
なお、リペアセルクリニックではロコモティブシンドロームの原因となる変形性関節症の治療法となる再生医療を行っています。
メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けておりますので、治療法について知りたい方はお気軽にお問い合わせください。
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ロコモティブシンドロームについて理解を深める重要性
ロコモティブシンドロームは、進行しないよう対策を講じるのが大切です。理解を深めるのが重要といわれる理由は、以下の4つです。
- 進行すると介護のリスクが高まる
- 運動機能障害が要介護の原因とされている
- フレイルと深く関係している
- 健康寿命を延ばすにはロコモ対策が重要になる
進行によるリスクが知りたい方は、参考にしてください。
進行すると介護のリスクが高まる
ロコモティブシンドロームが進行すると、歩行障害が起こり介護のリスクが高まります。進行の流れは、以下のとおりです。
- 加齢やスポーツ、肥満などによる膝や関節へ負荷がかかる
- 炎症やしびれ、痛みにより運動機能が衰える
- 運動や日常動作の制限により、症状が進行する
- 歩行をはじめとする自立した日常生活を送ることが困難になる
- 要介護認定や寝たきりになる
運動器は、骨や筋肉、観察など各部位が連動して成り立っています。そのため、いずれかの部位が1つでも悪くなると身体が上手く動かず、日常生活に影響を及ぼします。運動器の健康度が悪化し、日常生活の自立度が低下すると介護のリスクが高まるため注意しましょう。
運動機能障害が要介護の原因とされている
関節疾患や骨折、転倒などの運動機能障害は要介護の原因となるため、ロコモティブシンドロームの予防が重要です。
「令和3年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人が介護を必要とする主な原因として運動機能障害が約2割を占めています。
介護の原因には認知症や脳血管疾患だけでなく、運動機能障害も挙げられます。なお、運動機能が原因で介護が必要になったのは、男性より女性の方が多い傾向です。女性は加齢に伴い、ロコモティブシンドロームの予防がとくに必要になります。
フレイルと深く関係している
ロコモティブシンドロームは、フレイルに相当する段階となるため注意が必要です。フレイルとは加齢に伴い、心身の活力が低下し、健康と要介護の中間的な状態をいいます。
一般的にロコモティブシンドロームは、3つの段階に分類されます。
段階 |
状態 |
---|---|
ロコモ度1 |
移動機能の低下がはじまった状態 |
ロコモ度2 |
移動機能の低下が進行した状態 |
ロコモ度3 |
移動機能の低下により社会参加に支障をきたしている状態 |
身体的や精神的、認知的など、フレイルの種類はさまざまです。ロコモ度3は、骨格筋などの運動器がもろくなった状態の身体的フレイルに該当するため、進行しないよう対策しましょう。
健康寿命を延ばすにはロコモ対策が重要になる
ロコモティブシンドローム対策は、健康寿命を延ばすきっかけにつながります。健康寿命とは、自立した生活ができる期間のことです。
平均寿命と健康寿命の差は健康ではない期間を意味するため、要支援や介護状態をいいます。日本における健康寿命の差は、男性が8.49年、女性は11.63年です。(文献1)
つまり、10年前後は自立した生活を送れていない状態になるため、平均寿命と健康寿命の差を縮める必要があります。ロコモティブシンドロームの進行は健康寿命を短くする要因となるため、自立した生活を送れるよう関節や筋肉など運動器を鍛えることが重要です。
日本におけるロコモティブシンドローム罹患数の割合
日本におけるロコモティブシンドローム罹患数は、4,700万人ほどです。つまり、日本人の約4割が発症していると考えられます。
罹患数は少ないとはいえないものの、認知度は低い傾向にあります。介護リスクを高めないためには、認知度を向上させることが大切です。
認知向上策として、日本ではロコモティブシンドロームサポートドクター認定制度の運用をはじめました。また「ロコモティブシンドローム 診療ガイド2021」の出版などを展開し、認知拡大を図っています。
ロコモティブシンドロームを進行させない改善策
ロコモティブシンドロームを進行させないためには、改善に向けた取り組みの実施が重要です。主な改善策は、以下の3つです。
- 運動機能の衰えをチェックする
- 早期に予防策をとる
- 医療機関を受診する
改善策を解説するので、予防法が知りたい方は参考にしてください。
運動機能の衰えをチェックする
ロコモティブシンドロームを進行させないためには、自身の運動機能の衰えをチェックし、把握しておく必要があります。ロコチェックと呼ばれるチェックリストを活用すると、セルフチェックが可能です。
また、ロコモティブシンドロームのチェックには、以下の方法もあります。
- 立ち上がりテスト
- 2ステップテスト
- ロコモ度テスト
セルフチェックをもとに自身の状態を把握すると、どのような対策をとるべきか検討できます。
早期に予防策をとる
ロコモティブシンドロームを進行させない方法には、早期に予防策をとることが大切です。予防策により、進行抑制が期待できます。
予防には、基本的に運動習慣とバランスの良い食事が重要です。主な予防策には、以下の運動があります。
- ロコモーショントレーニング
- 腰痛の緩和を図れる体操
- 膝痛の緩和を図れる体操
また、食事面では骨や筋肉をつくる栄養を取り入れることがポイントです。ロコモティブシンドロームの改善策には、カルシウムやたんぱく質、ビタミンDなど栄養を意識した食生活を心がけましょう。
医療機関を受診する
ロコモティブシンドロームのセルフチェックで1項目でもチェックがついた場合は、医療機関の受診を検討しましょう。治療法は状態によって異なりますが、進行を改善する方法には、薬物療法や運動療法、手術などがあります。
ロコモティブシンドロームは症状回復が見込まれるため、早期に適切な治療を受けることが重要です。症状を進行させないよう、自身で判断せず医療機関に相談しましょう。
なお、リペアセルクリニックではメール相談やオンラインカウンセリングを受け付けております。ロコモティブシンドロームに関する疑問や悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
\まずは当院にお問い合わせください/
ロコモティブシンドロームとは何か理解を深めて早期対策を図ろう
ロコモティブシンドロームとは移動機能が低下した状態で、介護リスクを高める要因になります。日本における認知度は低いものの、日本人の約4割がロコモティブシンドロームを発症しています。
進行させないためには、セルフチェックや予防策の実施が重要です。また、ロコモティブシンドロームは適切な治療により症状回復が期待できます。
症状回復には、医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。リペアセルクリニックは、ロコモティブシンドロームの原因となる変形性関節症の再生医療を行っているため、改善策の1つとして検討するのもおすすめです。ロコモティブシンドロームとはどのような状態か理解を深めて、早期対策を図りましょう。

手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。
参考文献
厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」第4回健康日本21(第三次)推進専門委員会資料2024年
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47780.html(最終アクセス:2025年4月24日)