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鎖骨骨折した場合の手術や術後の過ごし方とは?プレート除去の時期も解説

公開日: 2023.01.11
更新日: 2024.10.07

鎖骨骨折は、骨折全体の約 10%を占めると言われており、非常に頻度の高い骨折です。年齢も若年層から高齢者まで幅広く、ほとんどが転倒によって引き起こされます。

今回は、鎖骨骨折全治に向けて、少しでも早く治すための治療方法をお伝えします。特に手術療法については、その期間とリハビリの内容などを交えてご紹介します。

 

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鎖骨骨折とは?

鎖骨骨折

鎖骨骨折は、前述した通り、発生頻度が高い骨折の一つです。肩の痛みや機能障害(肩を動かせない等)を呈する疾患です。自転車走行中の転倒をはじめとして、スポーツで横から倒れた際に受傷するなどのスポーツ外傷が多くみられます。

鎖骨骨折の受傷直後は、とにかく肩の痛みが強く、自力で動かせないことが多くあります。

そのため、反対の手でケガした側の腕をカラダの近くで抑えて来院する方をよく見かけます。

鎖骨骨折の症状は以下の通りです。

・痛み

・腕が上がらない

・気分不良

・吐気、嘔気

・手の指の感覚障害

・鎖骨部の腫れ

・鎖骨の連続性の欠如(骨が途中で突出している状態)

痛みや腫れといった局所的な症状のほかに、気分不良や吐き気などの症状もあります。

下記 の記事では、鎖骨骨折の症状について詳しく解説しています。詳細が気になる方は、あわせてご覧ください。

現在、関節や靭帯の損傷を対象としたスポーツ外傷 の治療法として「再生医療」が注目されています。

人間の自然治癒力を活用した治療なので、身体への負担を最小限にできます。詳しい治療方法や効果が気になる方は、再生医療専門の 『リペアセルクリニック 』にお気軽にお問い合わせください。

スポーツ医療

鎖骨骨折の手術

鎖骨骨折後の治療は大きく「保存療法」と「手術療法」の 2つに分けられます。ズレが少ない、小さい子どもなどの条件の場合は、保存療法が用いられることが多いです。

一方、ズレや骨折の場所、年齢などによっては手術療法を選択した方が治りが早い場合もあります。ではどのような場合に手術療法が用いられるのでしょうか。

手術療法が選択されるケースは以下です。

手術が必要となる場合

  • ・骨片同士のズレが大きい
  • ・複雑骨折(開放骨折、骨が皮膚から飛び出るケースなど)
  • ・骨片が多い、3 つ以上
  • ・神経や血管、靭帯を損傷している可能性がある
  • ・より早く確実に治したい

さらに詳しく解説していきましょう。

骨のズレが大きい場合

骨のズレが大きい場合は、手術で固定した方が治りが早く、偽関節になるリスクも抑えられます。また、ズレが大きいと整復が難しい場合もあり、鎖骨の短縮が起こってしまい、肩の運動制限につながる恐れもあります。

このような理由から、ズレが大きい場合にオススメする治療は手術療法です。

骨片が複数ある場合、複雑骨折の場合

骨片(折れた骨のかけら)が複数ある骨折の場合は、きれいな整復が難しいため、手術療法の方が適している場合があります。

また、骨が体外に出てしまうような複雑骨折(解放骨折)の場合は、感染や多量出血により危険な状態に陥る可能性もあるため、できるだけ早めに手術で対応したほうがいいです。

いずれの骨折も、相当な痛みと動きの制限が伴うので、早めに医療機関への受診をしましょう。

烏口鎖骨靭帯が損傷または、断裂している場合

鎖骨は、肩甲骨の烏口突起と呼ばれるところに付く靭帯により、下から引っ張られています。この靭帯が烏口鎖骨靭帯といい、鎖骨の浮き上がりを抑えてくれる重要な役割を果たしています。

鎖骨骨折の時に、この烏口鎖骨靭帯が断裂してしまうと、胸に近い側の鎖骨骨片が浮き上がってしまい、折れた骨同士がくっつきにくくなるのです。

その場合は、骨の固定とともに、靭帯の修復まで行う必要があります。

スポーツ外傷の新しい治療法「再生医療 」をご存じでしょうか?再生医療とは人間の自然治癒力を活かした最先端の医療技術です。

修復力のある幹細胞を利用して、傷ついた細胞を修復していきます。スポーツによる捻挫や靭帯損傷などでお困りの際は再生医療専門の『リペアセルクリニック 』にご相談ください。

実際の治療例をお見せしながら再生医療の仕組みをわかりやすくお伝えいたします。

鎖骨骨折の手術方法

手術による治療は一般的なもので、ワイヤーで固定する方法と、プレートで固定する方法の 2 種類があります。

ワイヤーの場合は、ズレが比較的小さい骨折が適応となり、小さい傷口で済みます。

プレート固定では、傷口は大きくなりますが、ズレが大きい骨折も強固に固定することができ、また靭帯損傷など合併している場合にも用いられることがあります。

プレート固定のデメリットとしては、費用がかかる、固定に使われた金属を取り除くためもう一度手術が必要となる、など何かと負担がかかることがあります。

いずれの治療方法も、保存療法と比較して、より確実に骨癒合が得られるでしょう。

ただ、保存療法よりも費用や身体的、精神的な負担も増えることが多いため、家族や専門医としっかり相談をして、より良い治療法を見つけてください。

  • 1.ワイヤーによる固定
  • 鎖骨骨折

出典:一般社団法人 日本骨折治療学会( https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html

  • 2.プレートによる固定
  • 鎖骨骨折

 出典:一般社団法人 日本骨折治療学会( https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html

鎖骨骨折の手術後の流れ~入院期間や固定方法

手術をした後の流れや入院期間、固定方法について解説していきます。

鎖骨骨折の手術後の入院期間

鎖骨骨折の手術後の入院期間は、早くて 2 泊 3 日、長くても 1 〜 2 週間で退院できます。

痛み自体は比較的早く落ち着くため、早期に退院される方が多い印象です。但し、1 人暮らしの高齢者や術後の経過が思わしくなかった場合などはその限りではありません。

自宅に帰って身の回りのことをやる自信が無い人は、遠慮なく医師や看護師に相談しましょう。

入院期間

  • ・早い場合:2泊3日
  • ・長い場合:1~2週間(経過次第)

鎖骨骨折後の固定方法

鎖骨骨折の手術後は、基本的に三角巾固定をします。

固定期間は骨の繋がり状況によって変わりますが、順調に行けば 3 〜 4 週間で外すことができます。(プレート固定であればもっと早期に外すことが可能です。)

三角巾

手術後、力を入れる動作や体重をかける動作ができるのは、おおよそ 2 〜 3 ヶ月後です。プレート固定であれば、もっと早めに許可が出る場合があります。

車の運転や力仕事は、3 か月を過ぎた辺りの骨がしっかりした時期より再開することを推奨します。

下記の記事では、鎖骨骨折後の日常生活での過ごし方を解説しています。症状を悪化させないための注意点を知りたい方は、参考にしてみてください。

鎖骨骨折の手術後のリハビリテーション

以前は、手術後のリハビリテーションは骨のズレを恐れて慎重に進めることが多かったのです。

しかし、動かさないことによる拘縮(関節が固まってしまった状態)などの後遺症が引き起こされてしまうため、早期に動かすことがスタンダードとなりました。

そのため、 プレート固定では術翌日から、ワイヤー固定では 1 〜 2 週間後に肩を動かす訓練を行います。

可動域訓練(関節の動きを広げる運動)

可動域訓練の初めは、患者自身は力を抜き、リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士)が腕を挙げていく他動運動から始めます。

2 〜 3 週目あたりから、自分で力を入れて動かす自動運動を開始します。角度は、腕を下ろした状態から 90°(直角、目の前より低い位置)までの間で動かします。

そして、骨の繋がりがしっかりしてきた時に、より腕を挙げていくリハビリを行います。

これらの訓練は、骨の繋がり具合や、骨の転位、手術の方法により変動しますので、自分で勝手に判断しないよう注意が必要です。

【可動域訓練の順序の一例】

  • ①術後初期は、肩周囲の筋肉のリラクゼーションを中心に行う
  • ②他動運動から開始し、徐々に 90°を目標に挙げていく
  • ③痛みがなく骨癒合もできてきたら、徐々に動かす範囲を広げていく
  • ④他動運動に加え、自分で動かす自動運動を開始する
  • ⑤目標は、ケガをしていない方の肩と同じ範囲まで動かせるようにすること

※いずれのメニューも、代償動作が入らないように、専門のリハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士)の指導のもと行います

筋力訓練(力を戻していく運動)

可動域(動かせる範囲)が戻ってきたら、次に力を戻す運動を始めます。

ケガをしてから手術直後は安静期間で固定しているため、どうしても筋力が落ちていきます。

リハビリで大事なことは、焦らずに段階的に筋力を戻す、ということです。

【筋力訓練の順序の一例】

  • ①ケガをしていない方と手術側の手を握り、一緒に上に挙げていく
  • ②手術側の腕だけで挙げていく(前、外、後ろの順番で行う)
  • ③力が入ってきたら、ペットボトルなど軽い負荷をかけた状態で腕を挙げていく
  • ④弱いバンドや、1 〜 2 キロのダンベルを持った状態で挙げていく
  • ⑤痛みなくしっかり力が入るようになったら( 2 ヶ月ほど)、膝をついた状態での腕立て伏せを行う(慣れてきたらスタンダードな腕立て伏せを行う)

※④以降は患者の力量に合わせて行います

鎖骨骨折のプレートを除去手術

プレートを入れる手術をした方は、プレートを除去する手術もあります。下記3つのトピックスからプレート除去手術の詳細を見ていきましょう。

  • 除去する時期
  • 入院期間
  • 手術費用

順番に解説します。

除去する時期

プレートが除去できるのは、骨の癒合が確認できてからです。癒合の時期は個々によって異なります。

早いと3ヶ月から6ヶ月ほどで癒合し、人によっては1年以上かかる場合もあります。焦らずに骨が癒合するのを待ちましょう。

手術の日は、担当医が骨の状態を診て判断します。手術の時期が気になる方は、定期検診のときに担当医に相談してみてください。

入院期間

プレート除去手術をする場合は、入院が必要です。手術の前日〜2日前に入院し、術後3日ほどで退院できます。

後日、抜糸のために外来で診察を受けます。

手術費用

プレート除去手術は保険適用内です。3割負担なら入院・手術込みで、およそ6〜10万円です。病院や依頼内容によっては、パジャマ代や個室代が加算されます。

プレートを除去しない場合もある|後遺症が残るデメリット

プレート除去は必須の手術ではありません。個人の判断で残す選択もできます。

しかし、プレートは人の身体には異物であるため、骨の癒合の役目を果たしたらなるべく除去したほうが良いでしょう。

体内にプレートを残すと、下記のようなデメリットがあります。

  • 痛みを感じる
  • 可動域に制限が出る
  • プレートを沿って熱や冷えを感じやすい

担当医の意見も聞きながら、プレートを除去するかどうかを決めましょう。

鎖骨骨折の手術前後に気を付けておくべき3つのポイント

鎖骨骨折の手術前後に気を付けておくべき3つのポイントを解説します。

  • 手術後早期はリハビリ以外しっかり固定をしておく
  • 仕事の復帰や車の運転は3ヶ月から
  • 手術療法は保存療法と比べ費用がかかる

順番に見ていきましょう。

手術後早期はリハビリ以外しっかり固定をしておく

手術後は、基本的に三角巾やアームホルダーで固定(腕を吊るしておく)します。

これは、肩にかかる負担を減らすとともに、腕を極力使わないようにする予防策でもあります。骨の繋がりをしっかり確認し、担当医師より許可が出てから外すようにしましょう。

仕事の復帰や車の運転は3ヶ月から

特に力仕事や車の運転といった患部に負担のかかる動作は、手術後 3ヶ月後より始めるようにしましょう。

ただ、プレート固定など強固な固定をした手術の場合、その時期が早まることがあります。しかし、自分で判断せず、担当医師に確認することが大事です。

手術療法は保存療法と比べ費用がかかる

当然ですが、手術療法は保存療法と比べ費用が高くなります。

鎖骨骨折の場合、医療機関にもよりますが、おおよそ 15 〜 20 万円の手術代、入院費用、ご飯代、その他諸々の費用がかかります。

高額な医療費に対して、全国健康保険協会の「限度額適用認定証」により費用を抑えることは可能ですが、個室代や入院費用の中には実費負担のものもあります。

いずれにしても、保存療法よりは高額になることが予想されますので、注意が必要です。

・ 手術代:15 〜 20 万円

・入院費用、ご飯代、その他

※「限度額適用認定証」は、自分で申請する必要があります。詳しくは、手術を受けられる医療機関でお尋ねください。

まとめ|鎖骨骨折はプレート固定の手術や除去手術がある

鎖骨骨折した場合は、骨の癒合を促進するためにプレートを入れる手術がよくおこなわれます。

骨は早いと3ヶ月ほどで癒合し、人によっては1年以上かかるケースもあります。骨の癒合の目処がたったら、プレートを除去する手術を検討しましょう。

担当医と相談のもと、適切なタイミングで手術を計画していく意識が大切です。

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