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低カリウム血症の症状と原因を医師が解説|入院の目安や治療法も紹介

低カリウム血症 症状
公開日: 2025.06.29

「手足がだるい」「筋肉がこわばる」などの症状が続いている場合は、低カリウム血症を発症している可能性があります。

カリウムは筋肉や神経、心臓の働きに関わる重要なミネラルです。血中濃度が下がりカリウムの量が減ると体にさまざまな不調を引き起こします。

重症化すると不整脈による胸痛や呼吸困難、さらには命に関わる合併症に至ることもあるため、決して軽視できない状態です。

本記事では、低カリウム血症の主な症状や原因に加え、治療法や入院の基準・期間、再発予防のポイントまでを詳しく解説します。

現在、症状に心当たりがある方や、家族の体調に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

【重症度別】低カリウム血症の主な症状

低カリウム血症の症状は血清カリウム値によって異なります。

ここでは、重症度に応じた主な症状を以下の2つに分けて解説します。

  • 軽度〜中等度の場合
  • 重症化した場合

それぞれの段階で現れる症状の違いを把握して、早期発見につなげましょう。

軽度〜中等度の場合

軽度から中等度の低カリウム血症では、主に以下の症状が現れます。

  • 筋肉痛
  • 手足のだるさ
  • 筋肉のこわばり
  • 手足の力が抜ける感じ
  • 心臓のリズムが乱れる(不整脈)

参考:重篤副作用疾患別対応マニュアル低カリウム血症|厚生労働省

具体的には、階段を上る際に息切れしやすくなったり、重いものを持ち上げにくくなったりします。

これらの症状のサインが出た場合はカリウム不足の可能性があるため、放置しないで適切な治療を行うことが大切です。

なお、低カリウム血症と似たような症状でギランバレー症候群という病気があります。ギランバレー症候群の症状や原因については以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

重症化した場合

低カリウム血症が重症化した場合の代表的な症状は、以下のとおりです。(文献1

  • 胸痛
  • 息苦しさ
  • 意識障害

血清カリウム値が2.5mEq/L未満になると、四肢麻痺や呼吸筋麻痺といった重篤な症状を引き起す可能性があります。文献2)命に関わる危険性が高い状態なので、症状が現れたらすぐに医療機関を受診してください。

低カリウム血症の原因

低カリウム血症の主な発症原因は以下の3つです。

  • 薬の副作用
  • 食事や生活習慣
  • 慢性疾患や体の機能低下

これらの複数の原因が重なって低カリウム血症を発症する場合もあります。ご自身が該当する原因を特定し、治療方針を考える姿勢が大切です。

薬の副作用

特定の薬剤の使用が低カリウム血症を引き起こす原因の一つです。

体内のカリウムバランスを崩しやすい薬剤は以下のとおりです。

利尿薬

尿と一緒にカリウムを放出

ステロイド薬

インスリンの作用による細胞外から細胞内へのカリウムの取り込み

インスリン

アルドステロン作用によるカリウムの排泄促進

参考:電解質異常低カリウム血症|特定非営利活動法人日本集中治療教育研究会看護部会

服用中の薬剤について医師と相談し、定期的な血液検査でカリウム値をチェックしましょう。

以下の記事では利尿薬の効果や副作用に触れているので、あわせてご覧ください。

食事や生活習慣

偏った食事や不適切な生活習慣が低カリウム血症の発症リスクを高めます。

極端なダイエットや偏食により、カリウムを含む食品の摂取量が不足するためです。

たとえば以下の行動が、体内のカリウム喪失を促進します。

  • 野菜や果物を避けた食事
  • 加工食品中心の食生活
  • 過度な飲酒
  • 嘔吐を繰り返す摂食障害

バランスの取れた食事と規則正しい生活習慣を心がけることが予防の基本となります。

慢性疾患や体の機能低下

腎臓や消化器系の慢性疾患が低カリウム血症の背景にあります。

慢性腎不全や副腎機能亢進症などの疾患では、カリウムの調節機能が低下するためです。

原発性アルドステロン症では過剰なホルモン分泌によりカリウムが失われます。(文献3

慢性的な下痢や嘔吐を伴う消化器疾患も同様の問題を引き起こします。

基礎疾患の適切な管理と並行して、カリウム値の定期的なモニタリングが重要です。

低カリウム血症の治療法

低カリウム血症の治療は重症度に応じて段階的に行われ、適切な方法選択が大切です。

主な治療法は以下のとおりです。

  • カリウムが豊富な食品を摂取する
  • サプリメントや飲み薬で補給する
  • 注射薬で補給する

症状や血液検査の結果に基づいた治療法を選択していきましょう。

カリウムが豊富な食品を摂取する

食生活の改善によりカリウムが豊富な食品を摂取することで、低カリウム血症の治療につながります。

以下は、カリウムが豊富に含まれる食材の一例です。

食品名(100g当)

カリウム量(単位:mg)

アボカド

590

バナナ

360

ほうれん草

690

納豆

690

木綿豆腐

110

刻み昆布

8,200

参考:食品成分データベース|文部科学省

毎日の食事にこれらの食品を意識的に取り入れて、自然な形でのカリウム補給を目指しましょう。

サプリメントや飲み薬で補給する

中等度の低カリウム血症では、医師の処方による薬物療法が効果的です。

経口カリウム製剤やカリウム保持性利尿薬により、効率的にカリウム値を改善できます。代表的な薬剤は、塩化カリウム徐放錠やK.C.L. エリキシル® (塩化カリウム)などです。

ドラッグストアで買えるサプリメントでカリウムを補う方法もあります。

ただし、カリウムのとり過ぎは体に負担をかけるおそれがあるため、使用前に医師や薬剤師に相談し、決められた量と使い方を守りましょう。

注射薬で補給する

注射によるカリウム補給は、カリウムを血管に直接入れる方法で、体内にすばやく吸収されるのが特徴です。必要な量を細かく調整できるため、医師の判断により効率よく不足分を補えます。

血液中のカリウム値が2.5mEq/L未満の場合や、心電図に異常が出ている場合は、緊急の対応が必要になり、注射薬の投与が検討されます。

低カリウム血症の入院基準と入院期間

低カリウム血症の入院判断は血清カリウム値と症状の重篤度により決定されます。

国立がん研究センターの日本臨床腫瘍研究グループが示している重症度の目安では、血液中のカリウム濃度が3.0〜2.5mEq/Lの場合、「入院が必要なレベル」と定義しています。(文献4

カリウム濃度の数値だけでなく、四肢の麻痺や呼吸困難などの重篤な症状がある場合も緊急入院の対象です。

入院期間は症状の程度によって異なりますが、症状が軽度の方は数日〜1週間程度で退院できたという報告があります。重度の場合は、長期的入院が必要となる可能性があります。

低カリウム血症の症状が出たら早めに受診を心がけよう

筋肉の異常や動悸、脱力感などが続く場合は、体内のカリウム不足が影響しているかもしれません。

低カリウム血症の症状は日頃の疲れや加齢による体調不良と似ているため、見逃されやすいケースが多いです。そのため、不調が続くときは低カリウム血症を疑う視点を持ち、早めに専門機関を受診することが大切です。

なお、高齢の方や生活習慣の乱れがある方は、低カリウム血症以外に糖尿病や肝臓疾患といった他の病気のリスクも高まります。

これらの疾患の治療の選択肢として、再生医療があります。

再生医療を提供する当院では、メール相談オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。

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低カリウム血症や症状に関するよくある質問

低カリウム血症は治療すれば治りますか?

低カリウム血症は適切な治療により改善できる疾患です。

軽度から中等度の場合、食事療法や内服薬により数日から数週間で正常値に回復します。ただし、原因となる基礎疾患がある場合は、その治療も並行して行う必要があります。

治療後も定期的な検査により再発を防ぎ、長期的な健康管理を続けていく意識が大切です。

低カリウム血症の治療期間はどれくらいですか?

治療期間は重症度と原因により大きく異なります。

軽度の場合、食事療法や経口薬により短期間での改善が多く見られます。ただし、中等度~重症例や慢性疾患が原因の場合は、入院治療や長期的な管理が必要になる場合もあります。

個人差があるため、医師と相談しながら治療計画を立て、焦らずに治療を継続していきましょう。

低カリウム血症は高齢者が発症しやすいですか?

高齢者は若年者と比較して低カリウム血症を発症するリスクが高い傾向にあります。

加齢により腎機能が低下し、カリウムの調節能力が衰えたり、高血圧・心疾患の治療で利尿薬を服用する機会が多かったりするためです。

また、食事摂取量の減少や消化吸収能力の低下も影響を与えます。

高齢の方は定期的な血液検査と適切な食事管理により、予防と早期発見に努めることが重要です。

参考文献

(文献1)
千葉大学医学部附属病院薬剤部横山威一郎「総論・検査値評価のコツ」2025年3月13日 掲載
https://www.ho.chiba-u.ac.jp/pharmacy/No26_20250313.pdf
(最終アクセス2025年6月18日)

(文献2)
Richard A Oram,Timothy J McDonaldほか「Investigating hypokalaemia」, BMJ 2013; 347: f5137
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24065427/
(最終アクセス2025年6月18日)

(文献3)
難病情報センター13 内分泌疾患「原発性アルドステロン症」
https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/kenkyuhan_pdf2014/gaiyo031.pdf
(最終アクセス2025年6月15日)

(文献4)
国立がん研究センター日本臨床腫瘍研究グループ「共用基準範囲対応CTCAE v5.0 Grade定義表」P1〜6
https://jcog.jp/assets/ChgJCOG_kyouyoukijunchi-CTCAE_50_20190905.pdf
(最終アクセス2025年6月15日)

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