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ブレインフォグの治療法を現役医師が解説|主な原因疾患や受診目安も紹介

ブレインフォグ 治療
公開日: 2025.06.29

「集中力が続かない」「頭がもやもやして仕事に支障が出る」といった症状に悩まされている場合、ブレインフォグが原因かもしれません。ブレインフォグとは医学的な病名ではなく、脳に霧がかかったようになり、正常に働かない状態を意味します。

ブレインフォグは、近年新型コロナウイルス感染後の後遺症としても注目されており、治療法は原因疾患によってさまざまです。

今回は、医師監修のもとブレインフォグの原因や治療法、受診の目安について詳しく解説します。生活改善のポイントについてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

【前提知識】ブレインフォグとは

ブレインフォグとは、脳に霧がかかったような状態を表す言葉です。医学的な病名ではなく、あくまで症状に対して使われる言葉です。ブレインフォグの代表的な症状は、以下の通りです。

  • 頭がぼんやりして集中できない
  • 物事が思い出せない
  • 考えがまとまらずに正常な判断ができない
  • 人の話が頭に入ってこない
  • 何をするにも億劫に感じる
  • 睡眠が浅くなり疲労感が抜けない

ブレインフォグの症状が続く場合は、原因となる疾患が存在する可能性も考えられます。症状が多岐にわたるため疾患の特定が困難な場合もあり、症状の経過を慎重に観察することが重要です。

ブレインフォグの治療法は原因によって異なる

ブレインフォグの治療法は原因によって異なります。

たとえば、脳疲労や睡眠不足などが原因であれば、十分な休息や生活リズムの改善で回復が期待できるでしょう。新型コロナウイルス感染後の後遺症としてブレインフォグが現れる場合もありますが、現時点で明確な治療法は確立されていません。

また、原因疾患によっては、薬物療法やTMS治療(経頭蓋磁気刺激療法)などが選択されるケースもあります。いずれの場合も、安易に自己判断せず、医療機関で原因を特定したうえで適切な治療を受けることが大切です。

ブレインフォグの主な原因

ブレインフォグの主な原因として、以下の3つが挙げられます。

  • 脳疲労
  • 更年期
  • 新型コロナウイルス感染

それぞれ詳しく見ていきましょう。

脳疲労

脳疲労によってブレインフォグが引き起こされる場合があります。近年はパソコンやスマートフォンを使用する機会が増えており、脳が疲労を感じやすい環境だといえるでしょう。脳が過度に疲労すると、神経伝達の働きが低下し、思考や記憶力などのパフォーマンスが落ちます。

とくに、以下に当てはまる方は、脳が疲労を感じやすいといえます。

  • スマートフォンの使用時間が長い
  • パソコンを使って仕事をしている
  • パソコン作業やゲームに熱中して休息を取らない

また、脳が常に情報処理を強いられるような環境では、疲労が蓄積して症状が慢性化しやすいため注意が必要です。脳の過労状態は、生活の質を低下させるだけでなく、精神的なストレスや自律神経の乱れも引き起こす可能性があります。

更年期

更年期は、女性に多くみられるブレインフォグの原因の一つです。更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)の減少により自律神経が乱れ、ブレインフォグのような症状が現れる場合があります。

閉経前後で女性ホルモンが急激に減少すると、脳の働きに影響を及ぼすためです。その結果、記憶力の低下や集中力の散漫、頭のもやもや感といったブレインフォグのような症状が現れやすくなります。

更年期を原因とするブレインフォグの症状は、生活習慣の改善やホルモン補充療法などで緩和できるケースもあります。気になる症状がある場合は、専門医への相談がおすすめです。

新型コロナウイルス感染

新型コロナウイルス感染後の後遺症として、ブレインフォグが現れる場合もあります。実際に、新型コロナウイルス感染症から回復したにもかかわらず、「頭がぼんやりする」「集中できない」といった症状が数週間から数カ月続くケースもあります。

ウイルスによる神経系への影響や、免疫反応の異常が関係していると考えられており、現時点では明確な治療法が確立されていません。新型コロナウイルス感染後、ブレインフォグのような症状が続く場合は、医療機関に相談しましょう。

ブレインフォグの治療法

ここでは、ブレインフォグの代表的な治療法を紹介するので、症状の改善を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

薬物療法

ブレインフォグの原因がうつ病や不安障害などの精神疾患である場合は、薬物療法が選択される傾向にあります。

精神疾患を原因とする場合の主な症状として、思考の鈍化や集中力の低下、気分の落ち込みなどが特徴です。この場合、抗うつ薬や抗不安薬などの処方によって、神経伝達物質のバランスを整えることで脳機能の回復を図ります。ただし、自己判断での服薬は避け、必ず専門医の診断を受ける必要があります。

薬物療法は即効性よりも継続的な改善を目的とするため、定期的な通院と服用が重要です。必要に応じて他の治療法との併用も考慮され、総合的なケアが求められます。

TMS治療

TMS(経頭蓋磁気刺激)もブレインフォグの治療法の一つです。TMS療法とは、脳の特定部位に磁気刺激を与えて神経活動を活性化させる非侵襲的な治療法です。薬を使わないため副作用のリスクが少なく、さまざまな理由から薬物療法を選択するのが難しい方にも適用できます。

リハビリテーションの一環として、集中力や遂行機能の改善を図る目的で選択されるケースもあります。(文献1)

TMS治療は主に精神科や心療内科をはじめ、専用の治療機器を整備している医療機関での受診が必要です。また、一定の条件はあるものの、うつ病患者に対する保険適用も広がっておりより身近な選択肢になっています。

再生医療

新型コロナウイルス感染後の後遺症としてブレインフォグが生じている場合には、再生医療も選択肢の一つです。再生医療には、幹細胞を採取・培養して注射する幹細胞治療や、血液を利用するPRP療法などがあります。

リペアセルクリニックでは、幹細胞治療によって新型コロナウイルス後遺症の倦怠感が改善した症例があります。疲れやすさや気分の落ち込みなどの症状が現れた当初は更年期障害が疑われたものの、ホルモン検査では異常が見つからず、症状の改善がみられなかったようです。

根本的な治療として、下腹部の脂肪細胞から採取した幹細胞を3回点滴投与したところ、頭痛がなくなり、よく眠れるようになった効果がありました。

なお、リペアセルクリニックでは、メール相談オンラインカウンセリングを実施しています。ブレインフォグの治療法でお困りの方は、ぜひ気軽にご相談ください。

▼ 幹細胞治療によってコロナ後遺症が改善した症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

コロナ後遺症の倦怠感に 幹細胞治療 50代女性

コロナ後遺症の吐き気に 幹細胞治療 40代女性

ブレインフォグを引き起こす可能性がある疾患

ブレインフォグは、脳疲労や更年期のほかにも、以下のような疾患によって引き起こされる可能性があります。

  • 慢性疲労症候群
  • 睡眠障害(不眠症・過眠症)
  • うつ病
  • 双極性障害
  • 適応障害
  • 不安障害
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD)
  • 自律神経失調症
  • アルコール・薬物依存

これらの疾患のなかには、放置すると症状が悪化するケースもあります。ブレインフォグが長引く場合は、精神科や心療内科、神経内科などの受診を検討してみてください。医師の診断を受けることで、根本治療が可能になります。

ブレインフォグ治療のための受診目安

ブレインフォグが以下のように悪化してきたら、医療機関を受診するようにしてください。

  • 集中力が続かず日常生活に支障が出ている
  • 以前と比べて物忘れがひどくなった
  • 気分が落ち込みやすくなった
  • 慢性的に倦怠感を感じる

このような症状が2週間以上続いたり、日常生活に明らかな影響を及ぼしたりしている場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。早期回復のためには、原因に合わせた治療法を検討する必要があります。

ブレインフォグを改善するための生活習慣

ブレインフォグを改善するためには、生活習慣の見直しも欠かせません。脳の疲労回復のためには、十分な睡眠とバランスの良い食事が効果的です。

就寝・起床時間を整えて十分な睡眠時間を確保すると、脳疲労の回復が促されます。また、ビタミンやミネラルなどの栄養補給によって、ブレインフォグ特有の精神的疲労を改善させる効果も期待できます。(文献1)

ほかにも、脳疲労の回復のためには、適度な運動や心身ともにリラックスできる時間の確保も大切です。日常の積み重ねで生活習慣を整えていけると、ブレインフォグの改善につなげられます。

ブレインフォグは原因を特定して適切な治療法を選択しよう

ブレインフォグは、生活習慣を整えることで改善する場合もありますが、原因疾患によっては適切な治療で回復を目指す必要があります。ブレインフォグは疲労をはじめとするよくある症状と似ている部分もあるため、大したことないと思い込んでいるうちに、病気が進行してしまうリスクも考えられます。

ブレインフォグによる症状が長引いたり、日常生活に支障が出始めたりしたら、迷わず医療機関を受診しましょう。医師の診断によって原因を特定できれば、適切な治療法の選択が可能です。早期回復につなげるため、心身の不調が続く場合は、早めに対応しましょう。

\無料相談受付中/

通話料無料/受付時間 09:00~18:00

参考文献

(文献1)

女子栄養大学栄養科学研究所「新型コロナウイルスの脳後遺症 ブレインフォグの診断と治療」

https://llab.eiyo.ac.jp/ions/wp_dr/wp-content/uploads/2024/06/%E9%A6%99%E5%B7%9D%E9%9D%96%E9%9B%84%E6%89%80%E9%95%B7_%E7%AC%AC8%E5%9B%9E.pdf

(最終アクセス:2025年6月20日)

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