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ブレインフォグとADHDの関連性は?原因や引き起こす可能性のある疾患を医師が解説

仕事でミスが増えたり物忘れがちになったりと、頭がもやもやするような状態が続くとADHDを疑う方もいるでしょう。
しかし、頭の中がもやもやしている場合は、ブレインフォグを引き起こしている可能性があります。症状回復には、双方の関係性やブレインフォグの理解を深め、適切な治療を受けることが大切です。
この記事では、ブレインフォグとADHDの関係性について解説します。ADHD以外にブレインフォグを引き起こす可能性のある疾患や、治療法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
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目次
ブレインフォグとADHDの関連性
ブレインフォグとADHDには、共通する症状が起こる可能性があります。自身の疾患を把握するためには、双方の違いを理解するのが重要です。
ここでは、ブレインフォグとADHDの関連性を解説します。ブレインフォグとADHDにはどのような違いがあるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ブレインフォグを引き起こす疾患の一つがADHD
ADHDはブレインフォグを引き起こす疾患の一つです。ブレインフォグとは、頭の中に霧がかかったような状態です。ブレインフォグには正式な病名や定義がないため、ほかの疾患と診断されます。
ブレインフォグには、主に次の症状が見られます。
- 頭がぼんやりする
- 物事が思い出せなくなる
- 集中するのが困難になる
- 頭の中がごちゃごちゃする
- 無気力になる
- 言葉につまる
ADHDでも、頭の中がごちゃごちゃしたり集中できなかったりする症状を引き起こします。つまり、ADHDは発達障害で、ブレインフォグは引き起こされる症状の一つです。
ブレインフォグの主な原因
ブレインフォグの原因は完全には解明されていませんが、主に以下の要因が関与していると考えられています。
- 脳疲労
- ストレス
- 生活習慣の乱れ
- 更年期や生理
- ウイルス感染
ブレインフォグは、新型コロナウイルスの後遺症として発症する可能性があります。新型コロナウイルスの後遺症として、ブレインフォグが引き起こされる原因は判明していないのが現状です。
しかし、ウイルス感染による炎症によって、集中力低下や文章が頭に入らないといった症状の可能性があると考えられています。(文献1)
ブレインフォグはADHDなどの診断で重要な症状
ブレインフォグは病気ではないため、受診しても「ブレインフォグ」と診断されません。しかし、ブレインフォグはADHDをはじめとする疾患を正確に診断し、適切な治療を行う上で、重要な症状になります。
ブレインフォグの症状を引き起こす可能性があるのはADHDだけではないため、疾患の判断材料となる情報を医師に伝える必要があります。隠れた病気を見つけるためにも、ブレインフォグの症状が現れた場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診しましょう。
ADHD以外にブレインフォグを引き起こす可能性のある疾患
ブレインフォグは、ADHD以外の疾患でも引き起こす可能性があります。症状の改善には、正確な診断と適切な治療が重要です。
ここでは、ADHD以外にブレインフォグを引き起こす可能性のある疾患について解説します。どのような疾患を発症しているかわからずお悩みの方は、参考にしてください。
うつ病
うつ病は気分障害の一種で、精神症状と身体症状の症状が見られる疾患です。発症する原因は明確にされていませんが、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの減少や、精神的・身体的ストレスなどの関与と考えられています。うつ病は、日本人の約15人に1人が一生のうちに発症するといわれている病気です。(文献2)
うつ病には、主に次のような症状が現れます。
- 気分の浮き沈みが激しい
- 落ち着きがない
- 疲れやすい
- 食欲不振
- めまい
- 不眠、もしくは寝てもすっきりしない
- 集中できない
- 悲観的な気分になりやすい
- 人と関わりたくな
うつ病になると、ブレインフォグを併発する可能性があります。いつもと違う変化を感じた場合は、うつ病の可能性が考えられるため、受診を検討しましょう。
適応障害
適応障害は、ストレスが原因で日常生活に支障をきたす症状を引き起こす精神障害です。原因は人によって異なり、主に引っ越しや転職など、環境によるストレスが影響しています。
うつ病と混同されがちですが、適応障害は特定のストレス要因により症状を引き起こします。一方、うつ病は脳の神経伝達物質の異常が関与しており、ストレス要因を取り除いても症状の軽減が困難な場合があります。
適応障害の主な症状は、以下のとおりです。
- 集中力が維持できなくなる
- 感情のコントロールが難しくなる
- 攻撃的な行動を引き起こす
- めまいや動悸、息苦しさなどの症状が現れる
- 人間関係が面倒に感じる
- 平日は憂うつなのに休みの日には気分が落ち着く
適応障害の症状を放置していると、会話をしていても上の空といったコミュニケーションに変化が見られるだけでなく、ブレインフォグを引き起こす可能性があります。
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群はCFSとも呼ばれており、風邪や気管支喘息などがきっかけで原因不明の全身倦怠感が続き、普通の日常生活が送れなくなる疾患です。免疫力の低下により、ウイルスが再び活動を活性化し、脳の働きに影響を及ぼしているとも考えられています。
慢性疲労症候群の主な症状は、以下のとおりです。
- 喉の痛みや筋肉痛がある
- 疲労感がある
- 立ち眩みや頭痛がする
- 寝ても疲れがとれない状態が続く
- 言葉を記憶するのが難しくなる
- 集中力が低下している
慢性疲労症候群もブレインフォグを引き起こす可能性がある病気といわれているため、十分な休養をとっても症状が回復しないときは受診を検討しましょう。
双極性障害
双極性障害とは、気分の高揚した躁状態と意欲が低下するうつ状態を繰り返す疾患です。双極性障害はうつ病と混在されがちですが、異なる疾患のため、治療法も違います。主な原因は、遺伝やストレスにより脳内の神経伝達物質が異常に増えたり減ったりする場合や、遺伝因、環境などによるものです。
双極性障害には、次のような症状が現れます。
状態 |
主な症状 |
---|---|
躁状態 |
・おしゃべりになる ・頭が冴える ・開放的な気分になる ・何事にも意欲的になる ・気持ちが大きくなる |
うつ状態 |
・疲れやすい ・何をするのにも億劫に感じる ・食欲がなくなる ・不眠もしくは寝ても眠いと感じる ・自分に対して否定的になる |
ブレインフォグの症状が見られた場合は、双極性障害のサインの可能性が考えられます。長期間、症状が続く場合は、受診を検討しましょう。
自閉症スペクトラム症(ASD)
自閉症スペクトラム症(ASD)とは、社会的なコミュニケーションが困難だったり、特定の行動に対する強いこだわりなどがある発達障害の一種です。症状の特徴は人によって異なり、代表的なものには以下のものがあります。
- 社会的なやりとりが困難
- 体を前後にゆするなどの特徴的な行動や動作
- 感覚の過敏さや鈍さ
- 自分の行動への強い固執
- 興味や関心に対する極端な偏り
自閉症スペクトラム症では、頭の中に霧がかかったような状態になり話せなかったり、同時作業を行えなかったりといったブレインフォグの症状が見られます。
睡眠障害
睡眠障害とは、何度も目が覚めたり、寝付けなかったりする不眠症状をいいます。主な原因には、ストレスや薬による副作用、カフェインなどがあります。
また、睡眠障害の代表的な症状は、以下のとおりです。
- 寝ても眠い
- 眠れない
- 寝ぼけて行動を起こしがち
- 朝に起きられない
- 睡眠中に足がむずむずしたりかゆみを感じたりしやすい
睡眠障害の場合もブレインフォグの症状が見られるため、併発した際は医療機関を受診しましょう。
不安障害
不安障害とは、精神的な不安が原因で心や体に不調をきたす精神障害です。不安障害には種類があり、ブレインフォグの症状が見られる可能性が考えられるのは全般性不安障害になります。
全般性不安障害とは、極度に不安や心配になる状態で、次の症状が現れます。
- 緊張しやすい
- 不安なあまり、予定を先延ばしにしがち
- 疲れやすい
- 心が常に落ち着かない
- 集中できていない
- 眠れない
- 肩や首がこりやすい
不安が蓄積されると脳疲労を引き起こしやすいため、ブレインフォグの症状が見られるケースも少なくありません。
月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)
月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)はいずれも、生理がはじまる前に心身が不安定な状態になる女性特有の疾患です。とくに不安定な状態が際立つ場合は、月経前不快気分障害と診断されます。
明確な原因はわかっていませんが、女性ホルモンが影響していると考えられています。主な症状は、以下のとおりです。
- 何をしても楽しいと感じられない
- 理由もなく涙が出るなど情緒が不安定になりやすい
- 食欲が湧かない、または食べ過ぎる
- 体がだるい
- 寝付けない
- 物事に集中できない
- 人と接するのが苦痛に感じやすい
月経前症候群や月経前不快気分障害では、頭にモヤがかかっているような感覚になったり、物忘れが多くなったりとブレインフォグの症状が見られるケースもあります。
自律神経失調症
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れた状態になり、さまざまな支障をきたす疾患をいいます。主な原因は精神的なストレスや過労、不規則な生活などです。
自律神経失調症では、主に次の症状が現れます。
- 倦怠感や疲労感
- 手足の痺れ
- 息切れや動機
- めまいや頭痛
- 不眠
- 食欲不振
自律神経失調症はストレスの解消により、症状の緩和が期待できますが、ブレインフォグの症状が併発する可能性があります。症状があるときだけでなく、定期的に医療機関に受診するのがおすすめです。
物質関連障害
物質関連障害とは、アルコールやカフェイン、薬物などに依存する精神障害をいいます。症状は原因物質によって異なり、軽度なものから重度なものまであります。
物質関連障害の主な症状は、以下のとおりです。
- 眠れない
- ふらつきやすい
- 不安を感じやすい
- 物忘れが増えやすい
- 抑うつ気分になりやすい
アルコールやカフェインなどの物質が脳へ悪影響を及ぼすと、ブレインフォグを引き起こす可能性があります。
ブレインフォグを引き起こすADHDなどの疾患を治す方法
ブレインフォグの治療法は、ADHDなどの原因によって異なります。一時的なブレインフォグの場合、時間の経過とともに症状が回復するため、治療は不要です。
しかし、慢性的に症状が続く場合は、疾患の可能性が考えられます。一般的には、ブレインフォグの治療法には薬物療法や生活習慣の改善、脳疲労の原因となるストレス解消などが取り入れられます。
また、ブレインフォグには、以下の対策も効果的です。
- 質の良い睡眠をとる
- 栄養バランスのとれた食事をする
- 定期的に身体を動かす
ブレインフォグの原因を判断し、適切な治療を受けるためには、専門機関で診察を受けましょう。
再生医療は薬物療法でブレインフォグが改善できなかった際の治療法
薬物療法や生活習慣の見直しでブレインフォグの改善ができなかった場合、再生医療を検討するのも手段の一つです。再生医療とは、患者自身の脂肪組織から幹細胞を分離・培養し、静脈内投与により組織修復や機能回復を目指す治療法です。
幹細胞治療は、新型コロナウイルス感染症の後遺症の改善が期待できます。実際に、新型コロナウイルスに感染後、後遺症として疲れやすさや意欲の低下が現れた方は、幹細胞の点滴を行いました。
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ブレインフォグの症状がADHDか知るためには診断が重要
ADHDは、ブレインフォグを引き起こすとされる疾患の一つです。ブレインフォグの症状は、ADHDだけでなくさまざまな疾患の可能性があります。ブレインフォグはADHDをはじめとする疾患の診断において重要な症状です。
隠れた病気を見つけるためにも、ブレインフォグの症状が現れた場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診しましょう。ブレインフォグの治療法には薬物療法や生活習慣の改善、脳疲労の原因となるストレス解消などが取り入れられます。
万が一、症状の回復が見込めない場合は、改善策として再生医療を検討するのもおすすめです。ブレインフォグとADHDの関係性を理解し、早期対策を図りましょう。

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参考文献
佐々木信幸「LongCOVIDに伴うbrainfogと反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)を用いた治療的介入」59,pp.277-284,2022年
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/59/3/59_59.277/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年6月20日)
厚生労働省「こころもメンテしよう」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html(最終アクセス:2025年6月20日)