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自己脂肪由来幹細胞とは|骨髄由来との違いから採取・投与まで医師が解説

幹細胞投与数
公開日: 2026.07.02

再生医療や幹細胞治療を調べていくと、「自己脂肪由来幹細胞」という言葉にたどり着く方が多くいます。これは、ご自身の脂肪から取り出した幹細胞を培養して体に戻す治療法です。関節の疾患から、脳卒中の後遺症、糖尿病、肝臓の疾患まで、幅広く使われています。

ただ、「骨髄由来の幹細胞と何が違うのか」「点滴と関節注射のどちらが効くのか」「患部まで本当に幹細胞が届くのか」と、疑問を持つ方も多いはずです。

この記事では、現役医師が、自己脂肪由来幹細胞の基本から、採取の流れ、骨髄由来との違い、投与方法の使い分けまで、わかりやすく解説します。再生医療を比べて検討している方の判断材料にしてみてください。

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自己脂肪由来幹細胞とは

自己脂肪由来幹細胞は、ご自身の脂肪から取り出した幹細胞のことです。

脂肪と聞くと医療とは結びつきにくいかもしれません。でも脂肪には幹細胞が豊富に含まれていて、世界中で再生医療の有力な材料として使われています。

幹細胞は、骨や軟骨、神経などさまざまな組織に変化できる細胞です。傷んだ組織の修復を助ける働きが期待されています。

なかでも自己脂肪由来幹細胞は、自分の細胞を使うので拒絶反応がもともと起きにくいのが特長です。ただし、感染や注射した部位の腫れなど、注射に伴う一般的なリスクはあります。

骨髄由来と脂肪由来の違い

幹細胞は、取り出すもとになる組織によって種類が分かれます。臍帯(へその緒)や歯髄など由来はほかにもありますが、自己脂肪由来とよく比較されるのが「骨髄由来」の幹細胞です。どちらも同じ幹細胞ですが、採取の方法・採れる細胞の数・体への負担に違いがあります。

項目 骨髄由来幹細胞 自己脂肪由来幹細胞
採取部位 腸骨(骨盤)から骨髄液を吸引 腹部から皮下脂肪を採取
採取の負担 局所麻酔または全身麻酔、入院を伴う場合あり 局所麻酔、外来で対応可
1グラムあたりの幹細胞数 比較的少ない 比較的多い
年齢の影響 加齢で細胞数が減りやすい 加齢の影響が比較的少ない
増殖力 脂肪由来に比べて緩やか 増殖しやすい

国内で自由診療として行われる幹細胞治療の多くは、自己脂肪由来幹細胞を使っています。体への負担が小さく、培養に必要な数の細胞を確保しやすいことが理由のひとつです。

近年は脂肪由来の幹細胞について研究データの蓄積が進んでおり、当院でも文献にもとづき自己脂肪由来を中心に用いています。詳しくは記事「幹細胞は投与する数が多いほど効果が見込めるのか」でも触れています。、近年は脂肪由来のほうが研究データの蓄積が進んでいます。詳しくは記事「幹細胞は投与する数が多いほど効果が見込めるのか」でも触れています。

脂肪由来幹細胞が選ばれる5つの理由

自己脂肪由来幹細胞が再生医療の主流になっている背景には、5つの理由があります。

1.採取の負担が少ない

骨髄を採るのと比べ、脂肪を採るのは局所麻酔で短時間に済み、入院も要りません。当院では、米粒2〜3粒ほどの脂肪を採取します。

2.加齢の影響が比較的小さい

骨髄由来は、年齢とともに含まれる幹細胞の数が減る傾向があります。一方、脂肪由来は加齢の影響を受けにくいとされています。高齢の方でも安定した数の幹細胞を培養しやすい点が、現場で重視されています。

3.増殖力が高い

脂肪由来の幹細胞は、培養するとスムーズに数を増やせる性質があります。後の章で触れる「投与する細胞数」を確保するうえで、この増やしやすさは重要です。

4.多様な組織に分化できる(分化能)

脂肪由来の幹細胞は、神経だけでなく血管など多様な組織へ変化する力(分化能)を持っています。神経系の修復が中心となる骨髄由来に対し、脂肪由来は血管の修復も期待でき、損傷部位の再発予防につながる可能性があります。

5.いろいろな疾患に応用できる

脂肪由来幹細胞は、関節の疾患だけでなく、脳卒中の後遺症、糖尿病、肝臓の疾患、肌の老化など、幅広い領域で研究・治療が進んでいます。1種類の細胞でいろいろな疾患に対応できる点も、選ばれる理由のひとつです。

採取から投与までの流れ

自己脂肪由来幹細胞治療は、大きく次のステップで進みます。

  1. 初診カウンセリングと適応の確認
  2. 事前検査(血液検査、必要に応じて画像検査)
  3. 脂肪の採取(局所麻酔。米粒2〜3粒ほどを腹部から)
  4. CPC(細胞加工施設)で培養(数週間かけて必要な数まで増やす)
  5. 投与(点滴・関節注射・局所注射のいずれか)
  6. 経過観察(症状の変化や効果の確認)

CPC(細胞加工施設)は、細胞を安全に培養するための専用施設です。培養の方法は施設によって異なり、ここが幹細胞の状態を左右します。リペアセルクリニックでは、代用血液を使わず、患者様ご自身の血液を用いて培養します。脂肪から幹細胞を取り出す工程でも、化学薬品や添加物は使わず、独自の分離シートで細胞を分けています。さらに、培養した細胞は冷凍せず、そのつど新鮮な状態で投与しています。採取から投与までは数週間が目安で、症状や培養の状況によって前後します。

CPC(細胞加工施設)

 

投与経路の違いと疾患による使い分け

幹細胞を投与する方法は大きく3種類あり、対象の疾患や狙う効果によって使い分けます。

点滴投与

幹細胞を血流に乗せて全身に行き渡らせる方法です。脳卒中の後遺症や糖尿病、肝臓の疾患など、傷んだ場所が一カ所に限られない疾患や、全身に作用させたい場合に選ばれます。

関節注射

関節の中に直接幹細胞を入れる方法です。変形性膝関節症や半月板損傷など、傷んだ場所が関節に限られる疾患で選ばれます。入れた幹細胞が患部に集中して働きやすいのが特長です。

局所注射

皮膚や靭帯、腱など、特定の組織に直接入れる方法です。肌の再生や、腱・靭帯の傷の修復を狙う場合に選ばれます。

点滴と関節注射のどちらが効くかは、対象の疾患の性質で決まります。関節の疾患では関節注射が中心で、必要に応じて点滴を組み合わせることもあります。どの方法を選ぶかは、医師が状態を診て判断します。自己判断ではなく、診察で相談することが前提です。

幹細胞が患部に集まる仕組み

点滴で全身に入れた幹細胞が、なぜ傷んだ場所に集まるのか、不思議に思う方もいるかもしれません。

幹細胞には、傷んだ組織や炎症のある場所が出す信号を感じ取り、そこへ集まっていく性質があるとされています。これを専門的には「ホーミング」と呼びます。

傷んだ組織は、特定のたんぱく質などを出して「ここが傷んでいる」という目印を発します。血流に乗った幹細胞は、その目印をたどって患部へ移動し、組織の修復を助けると考えられています。

ただし、すべての幹細胞が患部に届くわけではありません。投与した量や患者様ごとの状態によって、届く割合は変わります。投与する細胞数を増やすほど患部に届く数も増えやすい点は、後の細胞数の話にもつながります。

自己脂肪由来幹細胞治療の適応疾患

自己脂肪由来幹細胞治療は、幅広い疾患に使われています。当院で対象としているのは、次のような疾患です。

  • 関節疾患(変形性膝関節症、変形性股関節症、半月板損傷、肩腱板損傷、骨壊死など)
  • 脊髄損傷
  • 椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症(頚椎・腰椎)
  • 脳卒中の後遺症(脳梗塞・脳出血のあとの麻痺やしびれ)
  • 糖尿病・膵臓疾患
  • 肝臓疾患(脂肪肝・肝硬変・肝炎)
  • スポーツ外傷

対象になるかどうかは、患者様ごとの状態や進行度、合併症の有無によって個別に判断します。同じ病名でも、画像所見や生活への影響度によって、治療内容や投与する細胞数は大きく変わります。

脂肪由来か骨髄由来か迷う方は、まずお悩みをお聞かせください

自己脂肪由来幹細胞治療は対象の疾患が広い分、適した投与方法・細胞数・治療回数は患者様ごとに大きく異なります。

ご自身の症状で対象になるか、どの投与方法が合うかは、画像検査や問診をもとに医師が個別に判断します。

「脂肪由来と骨髄由来のどちらが自分に合うか知りたい」「点滴と関節注射のどちらが合うか相談したい」という方は、まずは無料相談で、症状やお悩みをお聞かせください。

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自己脂肪由来幹細胞に関するよくある質問

Q. 脂肪を採るのは痛いですか

局所麻酔で行うので、施術中の痛みは抑えられます。採る量は米粒2〜3粒ほどと少なく、術後に腫れや内出血が一時的に出ることはありますが、数日で治まることが多いです。

Q. 培養した幹細胞は冷凍保存しますか

当院では、複数回投与する場合でも、その都度最初の手順から培養します。冷凍しない新鮮な幹細胞を投与します。

Q. 効果はどれくらいで実感できますか

個人差があり、投与から数週間で変化を感じる方もいれば、数か月かけて少しずつ変化する方もいます。対象の疾患や重症度によっても異なるため、医師との経過観察が前提です。

Q. 副作用や合併症はありますか

脂肪を採った部位の腫れや内出血、注射した部位の痛み、ごくまれに感染などのリスクが報告されています。自分の細胞を使うので拒絶反応はもともと起きにくいですが、注射に伴う一般的なリスクはあります。