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くも膜下出血による後遺症の水頭症とは?症状と予後予測について 水頭症とは、文字通り、頭に水がたまってしまう病気のことを言います。小児でも発症することがありますが、大人ではくも膜下出血の後遺症として起こることが多い病気です。 しかし、頭に水がたまるというのが具体的にはどのような状態なのかよくわからない、という方も多いかと思います。 今回は、くも膜下出血の後遺症に多い「水頭症」とはどんなものなのか、どのような症状があるのか、後遺症や予後についてもわかりやすく解説します。 水頭症とは 人間の脳は、頭蓋骨の中で脳脊髄液という水に浮いています。脳の内部にも、脳室という空間があり、こちらにも脳脊髄液が流れています。この脳脊髄液には、脳を外部から守ったり、栄養やホルモンを運搬したり、脳の老廃物を除去したりと様々な役割を担っています。脳脊髄液は常に入れ替わっており、毎日500 ml分が新しく作られ、同じ分だけ吸収されています。 正常な状態では、脳脊髄液は、脳の周りや脳室を循環しており、その循環量は150 mlと言われています。何らかの原因でこの流れが悪くなり、脳脊髄液が多量にたまってしまうことによって、脳を圧迫する状態を「水頭症」といいます。 水頭症の種類について 水頭症のタイプとして「非交通性」と「交通性」があります。 非交通性水頭症は子供に起こりやすく、脳脊髄液の流れの中で、どこかが通行止めになっているイメージです。一部でせき止められてしまうことによって、たまった脳脊髄液が脳を圧迫します。数は少ないですが、成人でも脳腫瘍などで起こる場合もあります。 成人、特に高齢者に多いのは、交通性水頭症です。これは、流れ経路には問題がないのにもかかわらず、脳脊髄液が吸収されにくくなり、脳脊髄液の循環量が多くなってしまう状態です。 何らかの原因で、脳脊髄液の吸収機構がダメージを受けることによって起こる続発性が多いですが、突然発症する特発性もあります。 交通性水頭症の場合、徐々に進行するため、脳圧とよばれる頭蓋骨の中の圧は正常に保たれていることが多く、別名「正常圧水頭症」ともいいます。 続発性と特発性の違いは以下の通りです。 正常圧水頭症 原因 発症時期 続発性 くも膜下出血、頭部外傷、髄膜炎など 左記疾患の数週〜数カ月後 特発性 不明 60~70代の高齢者 特にくも膜下出血では、発症の1~2カ月後に、30%程度の割合で正常圧水頭症を発症するといわれています。看護する人たちは、急性期が落ち着いたあとも、患者さんの様子を注意してみていく必要があります。 水頭症(正常圧)の症状とは ここからは高齢者に多い、「正常圧水頭症」について詳しく見ていきます。 正常圧水頭症の代表的な3つの症状は、「歩行障害」「認知症」「尿失禁」の3つです。 これらは、数カ月から数年単位でゆっくりと進行します。そのため老化の症状と間違えられやすく、長期間放置されている場合もあります。 ご自身やご家族で、以下のような症状はありませんか? ・歩幅が小さくなる ・すり足歩行になる ・両足を開いて歩く ・歩行が不安定になる ・物忘れが多く自発性が低下している ・無気力・無関心な状態になっている 初期には歩行障害が出現し、「歩幅が小さくなる」「すり足歩行になる」「両足を開いて歩く」「歩行が不安定になる」などの特徴がみられます。その後、物忘れや自発性の低下が出現し、徐々に活動性が下がって無気力・無関心な状態になります。 症状が進むと寝たきりになってしまう場合もあるため、早期に変化に気付いて検査を行うことが大切です。 水頭症と診断されたら 水頭症は薬で治せるものではありません。基本的には手術療法が必要となります。 具体的には、頭にたまった余分な脳脊髄液をおなかへ流すチューブをいれる「シャント術」が行われます。 一般的には、頭と腹腔をつなぐチューブを体の中に挿入します(V-Pシャント)。また、脳脊髄液は、背骨の神経の周りにも流れており、そこから腹腔へチューブをつなぐ方法もあります(L-Pシャント)。これらの手術は、脳脊髄液の出口を作ることで、症状を改善させることを期待して行います。 水頭症の後遺症や予後は 正常圧水頭症は、手術を行ってもすぐに完治するものではありません。手術後も、シャントから排出される脳脊髄液の量が適切になるように、調整する必要があります。また、退院後に症状の改善が見られなくなり、元の状態に戻ってしまうこともあります。その場合は、シャントの閉塞がないかどうか、チェックする必要があります。 また、3大症状の中では、歩行障害の改善率が最も良好とされています。反対に認知症や尿失禁の改善率は、歩行障害に比べるとやや劣るとも言われています。そのため、治療開始が遅くなった場合は、認知機能の低下や尿失禁などの症状が後遺症として残ってしまう可能性もあります。 予後は、多くの要因に左右されます。たとえばくも膜下出血などでは、そもそも社会復帰できるのは、罹患した患者さんの3分の1とも言われていますので、もともとの病気や脳機能も大きく予後に影響します。 ただし、シャントがうまく機能していれば、脳機能が回復し、症状も改善する症例が多いのも事実です。そのため「治る認知症」とも言われることがあります。 早期に適切な処置を行うことによって、健康寿命を延ばすことができるため、早期発見がポイントになります。 水頭症についてよくある質問 Q:水頭症を疑った場合どんな検査をしますか。 A:まずは、CTなどの画像検査を行い、脳脊髄液が溜まったことによって脳室が拡大しているかどうかを確認します。そのうえで、水頭症が疑わしい場合にはタップテストを行います。 タップテストとは、実際に頭にたまった脳脊髄液を、一時的に抜くことで症状が改善するかを確認するテストです。このテストは、短期間の入院で行います。麻酔の注射をし、背中に針を刺して脳脊髄液を抜き取ります。 タップテストで症状が改善した場合は、シャント手術に進むことになります。 Q:手術は急いで受けた方が良いでしょうか。 A: 正常圧水頭症はゆっくりと進行するため、手術を受けるかどうか、しっかりと検討する時間はあります。また、診断後すぐに手術を受けた患者と3ヶ月後に手術を受けた患者では、1年後の症状改善に大きな差がなかったという研究もあります。 ただし、歩行障害による筋力低下が進むと、手術後の回復が思わしくない場合もありますので、その点は注意が必要です。 Q:シャント手術をした後は、CTやMRIなどを撮っても大丈夫でしょうか。 A:基本的には問題ありません。経過が問題なくても、手術後の脳脊髄液の状態を見るために、定期的に外来で画像を確認する必要もあります。 くも膜下出血による水頭症は症状の改善を期待できる病気/まとめ 今回は水頭症の原因と症状、くも膜下出血の後遺症の関係について解説しました。 水頭症のなかでも、とくに正常圧水頭症は早期に発見・治療ができれば、症状の改善を期待できる病気です。少しでもおかしいと思った際には、早めに病院を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.119 監修:医師 坂本貞範
2023.03.22 -
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水頭症による高齢者の認知症症状、“手術で治る”って本当? 認知症の発症率は、高齢化が進むにつれて増えてきています。認知症には複数の原因となる疾患がありますが、その中でも治療可能とされているのが水頭症が原因による「特発性正常圧水頭症」です。 特発性正常圧水頭症による認知症は、認知症全体の5%~10%を占めるといわれており、他にはアルツハイマー型・レビー小体型認知症・血管性認知症などがあります。 【認知症の主な原因疾患】 ・特発性正常圧水頭症 ・アルツハイマー型 ・レビー小体型認知症 ・血管性認知症 本記事では、“水頭症による高齢者の認知症症状が手術で治る”とはどういうことなのか、さらに特発性正常圧水頭症の症状や検査、治療について詳しく解説していきます。 特発性正常圧水頭症とは 認知症の中でも「特発性正常圧水頭症」とは、頭蓋内に脳脊髄液が溜まり、脳が圧迫されて様々な症状が出る水頭症の一種です。 脳脊髄液は、脳室で毎日一定量がつくられ、脳と脊髄の周囲を循環し、静脈などに吸収されていきます。何らかの原因で、この循環に異常が生じると水頭症が発生します。 正常圧水頭症には3つのタイプがあり、最も多いのが特発性正常圧水頭症です。原因は不明ではありますが、主に高齢者に多く発症するとされています。 その他にも、くも膜下出血や髄膜炎などを発症した後に生じる二次性正常圧水頭症や、遺伝的要因により発症しやすいと考えられる家族性正常圧水頭症がありますが、極めて稀な疾患です。 ◇水頭症の症状 特発性正常圧水頭症では、脳の前頭葉の広範囲が障害されることにより、歩行障害、排尿障害、そして認知障害が現れます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。 歩行障害 特発性正常圧水頭症による歩行障害には、下記のような特徴があります。 ・開脚歩行(足が開き気味で歩く) ・小刻み歩行(小股でよちよち歩く) ・すり足歩行(膝を上げずに歩く) ・不安定な歩行(方向転換の時にふらつきやすい) ・歩き出しづらい ・突進現象(歩き出すとうまく止まることができない) 排尿障害 頻尿になったり、尿意を感じにくくなったりします。症状が進行すると、尿意を感じてから我慢できる時間が短くなり、失禁しやすくなります。 認知障害 物忘れや理解力の低下が生じ、ぼーっとするような時間が多くなります。 特発性正常圧水頭症は、歩行障害が初期症状として現れることが多いとされています。 上記の症状のセルフチェックを行い、歩行障害に加えて、排尿障害や認知障害が生じた場合は特発性正常圧水頭症を疑い、病院を受診するようにしましょう。 ◇水頭症の検査 特発性正常圧水頭症では、上記症状をチェックする身体診察が行われ、その程度が確認されます。そのあと、MRIやCTによる脳の画像検査が行われ、特発性正常圧水頭症の疑いが濃厚になった時点で、「タップテスト※」が行われます。 ※タップテストとは、腰椎から脊髄液を30ml程度排除することにより、症状改善がみられるかどうかを確認するテストです。 脊髄液の排出後、歩行などの動きが良くなった場合は「水頭症」と診断され、手術(シャント術)が勧められます。 ◇水頭症の治療 特発性正常圧水頭症の治療では、脳脊髄液の流れを良くする「髄液シャント術」と呼ばれる手術を行います。これは、カテーテル(管)を体内に埋め込むことで、過剰に溜まってしまった脳脊髄液を排出することで脳への圧迫を解放し、髄液循環や脳神経機能を改善させる治療法です。 髄液シャント術の方法には、「VPシャント(脳室-腹腔シャント)」、「VAシャント(脳室-心房シャント)」、「LPシャント(腰椎-腹腔シャント)」があります。 最近では、LPシャントが主流になりつつありますが、腰椎の変形などが強い場合には他のシャントを行います。いずれの手術も脳神経外科の手術としては比較的短時間で行われる手術です。手術時間の目安はおよそ1時間程度です。 ◇水頭症の手術費用 一般的な手術費用は、診療報酬点数が24,310点となっているので、1点=10円とすると約7万円(3割負担)となります。 高額療養費制度を利用すると、自己負担限度額を超えた部分が払い戻されるので、最終的には更に軽減される可能性があります。 ◇水頭症の術後 手術により植え込まれたカテーテルは、定期的に詰まったり壊れたりしていないかチェックし、髄液を抜く量が適切に設定できているか確かめる必要があります。 シャント圧調整方法としては、管の途中に脳脊髄液圧を調節するバルブがついているため、体外から設定圧を調節できるようになっています。シャント圧を下げ過ぎてしまうと、頭蓋内圧が低下し低髄圧症候群を起こしてしまうことがあるので注意が必要です。 カテーテルにより抜ける髄液量は、生活の仕方や体格の変化によって変動するため、定期的にCTやMRIを撮影して頭の中に異常がないかを確認し、適切な髄液量を決めていく必要がありますので定期的に通院するようにしましょう。 水頭症は手術で治る可能性のある認知症!/まとめ 現在のところ、薬物療法はなく手術が唯一の治療法になります。手術しなければ症状が進行し、寝たきりになってしまうなど、手遅れになるリスクもありますが、生命に関わる病気というわけではありません。手術は症状の改善を主な目的としているため、生活の質を上げたい方にはおすすめです。 現在では、歩行障害は8~9割、排尿障害や認知障害は5~7割に有効とされています。このようなことから、“水頭症による高齢者の認知症症状は手術で治る”と言われています。 しかし、特発性正常圧水頭症は治る可能性のある認知症ですが、正確に診断され治療に至るケースはまだまだ少ないのが現状です。早期発見、治療により生活の質が格段に改善する可能性があるので、疑わしい症状がある場合は早期受診をおすすめします。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S119 監修:医師 加藤 秀一
2023.03.17 -
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脳出血の後遺症には種類があります|脳出血後の後遺症は治る? 脳出血は、手足の麻痺や呂律が回らないなどの症状で発症することが多く、後遺症が残った場合は日常生活に支障をきたしてしまいます。そのため、治すことができるかは深刻な問題です。 一般的に脳出血の後遺症の程度は出血が起こった場所や発症した時の症状の重さと関係があります。そのため、症状が重い場合は完全に症状をなくすことは難しいのですが、早期からのリハビリテーション(リハビリ)によって、改善する可能性があります。 この記事では、脳出血の症状と原因、後遺症の種類、さらに後遺症を改善するためのリハビリについて解説していきます。 脳出血の症状と原因 脳出血は頭痛や吐き気、手足の麻痺など様々な症状を引き起こします。 脳に張り巡らされている血管の一部が破れて出血を起こす病気で、漏れ出た血液が脳の細胞を圧迫してしまい、脳細胞が障害を負ってしまうことが症状の原因です。 脳は部位によって機能が分かれているため、出血した部位に応じた症状が出てきます。脳幹という脳の重要な神経が密集している部分や錐体路(すいたいろ)という運動神経が走行している部分に障害が及ぶと、意識状態が悪くなってしまったり、重い麻痺が出てしまうことがあります。 また、場所の他に出血の量が多ければ、それだけ脳が圧迫される部分が多くなってしまうので症状が強くなります。部位による症状の例として、前頭葉という脳の前の部分の脳出血では、意欲の低下などが起こりやすくなります。さらに言語・記憶などを制御する側頭葉に障害が及ぶと、言語障害や記憶障害などが出てしまいます。 また、ご高齢であることや、初めの症状が重症であるほど、後遺症が残ってしまう可能性が高くなります。一度障害を負った脳細胞は完全に回復することができず、脳の他の部分がカバーして機能を改善させていきますが、それにも限度があります。そのため、急激に症状が悪化しないように発症してすぐは血圧を下げるなどの症状を悪化させない管理、治療が必要となります。 脳出血の主な後遺症 脳出血は適切な治療をしても、後遺症が残ることが少なくありません。 脳出血による主な後遺症は以下です。 運動麻痺 片側の手足が動かしづらくなる症状で、脳出血が生じた部位によって変わります。 感覚障害 触覚や痛覚が鈍くなったり、逆に過敏になり痺れを感じる場合もあります。 言語障害 構音障害という呂律が回りづらくなる症状や、失語症という言葉が出づらくなったり、理解できなくなる症状があります。 目の障害 視野が狭くなったり、物が二重にみえる症状がでる場合があります。 嚥下障害 食べ物を飲み込みにくくなります。 高次脳機能障害 記憶や注意の障害、感情障害(怒りっぽい、感情の起伏が激しくなる、感情が鈍くなる、悲観的になる、何事にもやる気が出なくなる)などが出現します。 後遺症によっては、治療後も日常生活に影響が出ることもあるので、後遺症の内容を知っておくことが大切です。 リハビリの必要性と改善の程度 このように、脳出血は一度発症すると、完全に回復することは難しいです。しかし、脳出血の後遺症は、リハビリ次第で軽くできる可能性があるので、なるべく自立した生活を取り戻すことができるように積極的にリハビリを行うことが勧められます。 脳出血では発症してから早期のリハビリが推奨され、特に廃用症候群(※)の予防をすることや、障害された部位を積極的に使うリハビリが必要となります。 ※廃用症候群とは、病気の治療のために安静にしすぎた結果、筋力が衰え身体機能が低下してしまう状態です。 そのため、全身状態を管理しながら、関節を動かす程度の負荷の少ないリハビリから行っていきます。特に麻痺側は関節拘縮(こうしゅく)が起こりやすい状態となっているため、可動域制限の予防のためにできるだけ早期に行うことが重要です。その後、状態が安定してきたら、徐々にベッドから離れて、様々なリハビリを開始します。 次に日常生活に復帰するためのリハビリを行います。回復期リハビリと言われ、およそ発症後2ヶ月から6ヶ月程度が目安です。ここでは機能や日常生活動作の障害の程度に基づいて多職種でリハビリを行い、在宅復帰や復職を目指していきます。また障害の程度に応じた介護のサービスも含めて、在宅支援のための調整を行っていきます。 脳出血の後遺症に関してよくある質問 Q:後遺症はどの程度改善する可能性がありますか。 A:時間が経ってしまった麻痺症状は、改善の見込みが難しくなります。脳出血による麻痺では、一般的に発症後6ヵ月までは改善する見込みがあります。回復期と呼ばれるこの時期に、ダメージを受けた脳神経のネットワークの再構築が起こると考えられているため、機能回復を最大限にするための積極的なリハビリが必要です。 Q:脳出血のリハビリの期間は? A:急性期病院で脳出血の治療を受けた後は、回復期病院でリハビリを中心とした治療を行い、自宅復帰という流れが一般的です。 回復期病院での入院およびリハビリの可能な期間は、発症から最大で150日、高次脳機能障害を伴う場合は180日と決まっているので、長くても6ヶ月となります。 Q:リハビリはどこで受けられますか。 A:リハビリは医師の指示のもと、病院や診療所、医院もしくは在宅でも医療保険を利用して受けることができます。 また、介護保険を利用して、通所リハビリや訪問リハビリテーション等のサービスも利用することができます。 発症から最大で150日、高次脳機能障害を伴う場合は180日まで可能です。また期間を過ぎた後でも自費でリハビリを提供している施設などで、自費リハビリを行うことも可能です。施設によって多くのプランがあり、自分で選ぶことができます。 脳出血の後遺症改善にはリハビリが必須/まとめ いかがでしたでしょうか。脳出血で考えられる後遺症や、症状を改善させるためにリハビリが必要なことについて解説してきました。 脳出血は生活習慣病の1つであり、発症後の治療も重要ですが、予防が最も大切です。後遺症を残したり、寝たきりとなってしまわないように、日常生活を見直して発症予防に努めていくことが必要です。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S118 監修:医師 加藤 秀一
2023.03.15 -
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頭が痛い、重いとき…頭痛の種類と、それらの原因と治し方!医師が解説 「頭痛」は最も多くの人が悩んでいる症状の一つです。日本の製薬会社の調査では、約4人に1人が週に1回以上の頭痛を感じ、約3人に1人は自分を頭痛持ちだと思っているそうです。 頭痛の症状は人により様々で、「頭がクラクラする」「頭の後ろが痛い」「頭に血が上る感じがする」「頭の右側が痛い」「ぼーっとする」など多彩な言葉で表現されます。 この頭痛、大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」とに分けられます。二次性頭痛は他の病気の存在により引き起こされる頭痛であり、それ以外を一次性頭痛に分類されます。 この記事ではそれぞれの頭痛について、その説明と対処法を解説します。 一次性頭痛とは 一次性頭痛は、頭痛を有する患者のうち、約80%に及ぶと言われています。多いものから「偏頭痛」「緊張型頭痛」「三叉神経・自律神経頭痛」といわれるものが代表的な頭痛となります。頭痛の原因となる疾患がなくても、時には仕事や学校、家事などの日常生活に支障が出て、QOL(Quality of Life =生活の質、生きる上での満足感)が下がることもあります。 それでは以下に頭痛の種類別に解説と治療法を記してまいります。 1)偏頭痛とは 日本では年間に8.4%の人が片頭痛になると言われています。この頭痛は、頭痛を起こす前に特徴的な前兆(きらきらした歯車のようなものが見える、チクチク感を感じ、それが体や舌などに波及するなど)が出現することがあります。 偏頭痛の症状としては「ズキンズキンと脈を打つように痛み、頭痛により寝込んだり、吐き気がしたりする」ことがあります。また、偏頭痛が起きている間は光や音に過敏な状態となるため、「頭が痛い間は布団を被ってじっとしている」という方もおられます。 偏頭痛の治療法 偏頭痛で痛かったり、辛かったりするときの治療には、解熱鎮痛剤(ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなど)、トリプタンという頭痛治療薬が有効です。トリプタンを服用する有効なタイミングは、痛みが始まってすぐや、軽度なときが良いため、服用が難しいかもしれません。 予防には抗てんかん薬や、抗うつ薬がよく使われてきました。最近発売となった「抗CGRP抗体」という注射薬は、より高い予防効果があります。 必ずしも関連があるとは言えませんが、高血圧症、心疾患、うつ病などと共存することが多く、治療薬の選択に影響があるため注意が必要です。 2)緊張型頭痛とは 緊張型頭痛は、左右の両方が痛むことが多く、症状は「圧迫されるような」「締め付けられるような」と表現されます。日本の研究では、年間に20%の人が症状を感じると言われています。頭や首の筋肉を押すと痛みがみられることが特徴的です。 偏頭痛の治療法 痛みが出ているときは解熱鎮痛剤が有効です。予防には抗うつ薬やリラクゼーション、鍼灸などが有効です。 3)三叉神経・自律神経頭痛とは 三叉神経・自律神経頭痛の中にも細かな分類がありますが、群発頭痛が最も一般的です。 かなり強い痛みが、目の周囲もしくはこめかみに発生し、15~180分持続することが特徴です。10万人あたり56~400人程度の方が罹患し、男性に多いと言われています。 三叉神経・自律神経頭痛の治療法 治療には、酸素投与と、片頭痛でも使用されるトリプタンが効果が高いです。 二次性頭痛 頭痛の約20%が二次性頭痛、つまり他の病気により引き起こされている頭痛と推定されています。症状を抑えるために解熱鎮痛薬などを用いることはありますが、治療の基本は原因の病気の治療となります。 ここでは一部の疾患を説明します。 脳血管障害 脳出血やくも膜下出血では、頭痛が起こることがあります。血管が裂ける、詰まることで起こる病気なので、症状も突然生じます。意識の低下や手足の動かしにくさ、話しにくさ、嘔吐を伴います。 生命の危機や重い後遺症も起こりうる、緊急度の高い頭痛です。 感染症 菌やウイルスが脳や全身で炎症を引き起こすことで、生じる頭痛があります。感冒(風邪)はウイルス性の上気道炎であり、頭痛を感じたことがある人は多いでしょう。 重篤なものでは、髄膜炎や脳炎があります。発熱、吐き気、意識の低下を伴うことが多いです。 目、鼻などの病気 急性副鼻腔炎の症状は「頭が重い」と表現されることが多いですが、それを痛みとして感じる場合もあります。 緑内障発作は目のかすみ、目の充血を特徴とする痛みであり、放置しておくと失明の危険もあります。 う歯(虫歯)の痛みを頭痛として自覚される方もいます。 頭痛についてよくあるQ&A Q , どのような頭痛の時に受診したらよいですか? A , 突然に(何時何分何秒がはっきり言えるような)最大の痛みとなった頭痛、話にくさや手足の動かしにくさを伴う頭痛、これまでに経験したことのないような頭痛、意識が低下している頭痛は、二次性頭痛の可能性があります。必ず受診を検討しましょう。 Q , 頭痛が出たら鎮痛剤は飲んでもよいですか? A , 手持ちの鎮痛薬がある場合は内服して構いません。鎮痛剤内服で診断が遅れることはほとんどありません。 ただし、頻繁に内服をしていると薬物乱用頭痛という新たな頭痛の原因となります。鎮痛剤を飲みたくなる頭痛が続く場合は受診を検討しましょう。 頭が痛い、重いとき…頭痛の種類と、それらの原因と治し方!医師が解説/まとめ 今回の記事では頭痛はどのように分類されており、その中には何があるのかを解説しました。 ありふれた症状ではありますが、時に生命に関わる病気が隠れていることがあります。また、そのような疾患がなくとも、一次性頭痛はQOLに大きく関わるので、困ったことがあれば医療機関に相談しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S117 監修:医師 加藤 秀一
2023.03.10 -
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脳溢血による後遺症と麻痺症状の治療について 脳卒中は突然発症し、命にかかわることのある重篤な病気であり、日本での死亡の原因上位とされています。 脳卒中には、脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の血管から出血が起きる脳溢血(のういっけつ)に分けられます。 本記事では脳溢血の後遺症と麻痺症状の治療について詳しく解説していきます。 脳溢血(のういっけつ)とは 脳溢血とは、脳の血管が破れることで血液が流出し、脳内の神経細胞を圧迫してしまう状態のことで、現在は脳出血と呼ばれることが多いです。 脳溢血は発症後に治療しても後遺症が残ることが少なくありません。脳の細胞がダメージを受けることで、体の麻痺や感覚の障害、脳に障害が残る可能性もあります。 後遺症によっては、治療後も日常生活に影響が出ることがあるので、症状だけでなく後遺症まで知っておくことが大切です。 以下より一般的な後遺症について解説していきます。 脳溢血による後遺症 運動麻痺 運動麻痺は脳溢血の代表的な後遺症で、片側の手足に力が入らなくなったり、動かしづらくなります。左右どちらかの半身にのみ症状が起きます。 感覚障害 感覚障害も脳溢血の代表的な後遺症であり、触覚や痛覚が鈍くなったり、反対に過敏になることで痺れなどといった麻痺症状を感じることがあります。こちらの症状も左右のどちらか一方にのみ生じます。 言語障害 言語障害には、言葉が出にくくなったり、理解ができなくなる失語症、口や舌がうまく動かせないことで話しづらくなる構音障害があります。失語症の場合は言葉の理解が出来にくくなるため、読み書きなども難しくなりますが、構音障害の場合は理解には問題ないため、読み書きは可能です。 視野障害 視野が狭くなったり、物が二重に見えたりする複視という障害と、片目の視野が見にくくなる半盲という障害に分けられます。これらの症状は発症後長期間経過しても症状が改善しないことがあります。 嚥下障害 脳溢血によりのどの筋肉などが動かしづらくなることで、食べ物や飲み物を飲み込みにくくなります。食べ物などが食道ではなく気管に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を発症してしまうことに繋がります。誤嚥性肺炎は高齢者の死亡原因となることも多く注意が必要です。 高次脳機能障害 高次脳機能障害とは、脳の細胞がダメージを受けることで脳機能が低下した状態です。高次脳機能障害としては下記のように複数の症状が現れます。 ・記憶障害(数分前の出来事を忘れてしまいます) ・注意障害(一つの作業を集中して行うことが出来ない、注意散漫になる) ・遂行機能障害(自分で計画を立てて実行することが出来ない) ・半側空間無視(外界の半側に意識が向かないようになり、空間を認識できなくなる) 感情障害 脳溢血の後遺症は感情面にまで及びます。常にイライラしたり、感情の起伏が激しくなってしまうことがあります。意欲が起きなくなるうつ病のような症状が起きることもあり、精神面のケアも重要となります。 脳溢血による後遺症の治療 一度脳溢血を発症すると、完全に回復することは難しいことがあります。これは、神経細胞は一度障害されてしまうと、再生することができないためです。 しかし、リハビリ治療を行うことによって、その症状は軽減することができます。特に早期からリハビリを開始することによって、機能予後は格段に良くなることが期待されます。 脳溢血のリハビリは大きく分けて 3 段階あり、それぞれについて詳しくみていきましょう。 急性期 脳溢血の症状が現れ、身体の症状が安定するまでの期間を急性期と言います。発症直後の時期は全身状態が安定しないため、生命維持が優先されます。いきなり歩行などを始めたりすると、血圧が上昇し再出血などのリスクもあるためです。急性期は一般的に2週間程度の期間であることが多く、ベッドサイドでのリハビリが行われます。これは、ベッド上で過ごす期間が長くなると、廃用症候群を招くことがあるからです。 廃用症候群とは、寝たきりの状態が長くなることで、筋肉量が減少したり、関節が固くなり、運動機能が低下する状態のことです。このような状態になると、床ずれができやすくなったり、感染症にかかりやすくなるなど様々な合併症を引き起こすことがあります。このような状態を避けるためにも、急性期からのリハビリは必要となります。 回復期 急性期を脱して、全身状態が安定し本格的にリハビリを進めることが出来るようになる時期を回復期といいます。回復期は主に病院でリハビリが行われ、日常生活への復帰を目標として、ベットサイドでの運動や、杖や歩行器などを用いた歩行訓練、また日常動作として食事やトイレ、入浴に関するリハビリも開始されます。この他にも言語や嚥下機能の回復を行うリハビリや、高次脳機能障害に対するリハビリも開始していきます。 維持期 維持期は回復期を経て日常動作を獲得し、退院後の時期に当たります。一度回復した機能も、何もしなければ再度機能低下してしまうので、外来に通ったり、日常生活の中で意識して体を動かす習慣作りをすることが重要です。 脳溢血による麻痺症状の治療 さらに、麻痺の治療については近年研究が進んでおり、通常のリハビリ以外にも様々な方法があります。 CI療法(Constraint-induced movement therapy) 麻痺側の手がある程度動ける方に対して、強制的に麻痺がない手を使えないようにし、麻痺側の手をたくさん使うように日常生活を送るようにすることで、麻痺の手を回復させることを目的とした訓練のことです。 1日に6時間以上の訓練を必要とするなど大変ですが、手の機能が改善したという報告もされています。 促通反復療法 促通反復療法は、繰り返し同じ運動をすることで、障害された神経回路を再建、強化することを目標とします。この治療を受けたことで、手足の麻痺の程度が改善したという報告もされています。 近年では、これから述べる機能的電気刺激や経頭蓋直流電気刺激、経頭蓋磁気刺激といった治療と併用して治療効果を高めるための研究がされています。 電気刺激療法、磁器刺激療法 麻痺のある手足の筋肉に電気を流したり、頭から磁気を流すことにより弱った機能を活性化させ、歩行能力などを高める方法です。促通反復療法などと併用することで、治療効果が高まることが期待されています。 再生医療 障害された神経細胞自体を再生しようとする、再生医療が近年注目を集めています。 再生医療とは、幹細胞を使用した治療です。幹細胞とは、人の体にある様々な細胞になることができる能力を持っています。幹細胞そのものや、幹細胞から目的の細胞を作成し、病変へ移植するといった手法で治療が行われています。これにより、幹細胞が神経細胞に変化し、体内で機能するようになることで麻痺症状などの改善が期待されます。 現時点では保険適応ではなく、自費での治療となりますが、治療実績が着実に積み重ねられており、今後の発展が大きく期待されています。 脳溢血による後遺症と麻痺症状の治療について/まとめ 脳溢血による後遺症と、麻痺症状の治療について解説してきました。 脳溢血の入院期間は 3ヶ月~半年程度要することが多く、そのほとんどが後遺症を治療するリハビリ期間に相当します。脳溢血は日常生活を突然変貌させる非常に怖い病気ですので、本人だけでなく周囲のサポートも非常に重要です。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S114 監修:医師 加藤 秀一
2023.03.03 -
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脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法は 高血圧を管理、治療する目標の1つに脳出血の予防、再発予防があります。 脳出血の主な原因は高血圧であり、一度脳出血を起こしてしまうと 1 年以内の再発率は5%程度、5 年以内の再発率は 2 割近くに及ぶと報告されています。 脳出血を起こしてしまうと、仕事に支障が出たり、介護が必要になってしまうこともあるため、予防が非常に重要です。 この記事では、脳出血を予防するための血圧管理について詳しく解説していきます。 脳出血と血圧の関係 脳出血は、脳の中の血管が破けて出血してしまい、頭痛や吐き気、手足の麻痺などが出てしまう重大な病気ですが、発症には高血圧が最大の危険因子であることがわかっています。 血圧が高い状態は日常的に血管に強い力が加わってしまい、血管が破けやすくなり、動脈が硬くなる動脈硬化のリスクも上がるため、脳や心臓の血管の病気が多くなってしまいます。 また、高血圧は非常に多くの方がかかる病気であり、日本には高血圧患者は約 4300 万人もいると推定されています。高血圧自体は無症状のため、放置してしまう方もいるかもしれませんが、高血圧の治療は単に数値を下げるのではなく、脳や心臓の血管の病気を予防するためにとても重要なのです。 さらに血圧の管理は脳出血の再発予防にも必要です。一度脳出血を起こしてしまった方や喫煙者、糖尿病やコレステロールなどの他の病気を持っている方は、脳出血を起こすリスクが上昇してしまいます。そのため、一度発症してしまった方では、より厳重に血圧の管理をすることが大事です。 高血圧の診断と治療目標は 血圧は、上の数値を収縮期血圧、下の数値を拡張期血圧といいます。 高血圧治療ガイドラインの2019年版では、収縮期血圧 140 mmHg以上、または拡張期血圧 90mmHg以上( 140 / 90 mmHg以上)の状態を高血圧といい、治療の目標は 130 / 80 mmHg未満が推奨されています。 また診断・治療のときには家庭血圧(ご自宅で測定した血圧の数値のこと)の測定と血圧手帳への記入が重要です。病院で測定した血圧は緊張のため高くなりやすく、白衣高血圧といわれる病院でだけ血圧が上がってしまう方も比較的多くいらっしゃいます。 また、家庭血圧をもとにした場合の高血圧の診断基準は、135 / 85 mmHg以上をいい、治療の目標は125 / 75 mmHg未満と若干数値が異なるのが特徴です。そのため、高血圧の診断、コントロールには血圧計を購入し、ご自宅で測定した血圧を記入して医師にみせることが大事なのです。 高血圧の治療の目標は、ご本人の状況により変わることにも注意が必要です。年齢や喫煙の状況、心臓、脳血管の病気など、持病の有無によって推奨される血圧の目標値が異なるため、ご自分の治療目標がどの程度となるかは担当の医師とよく相談することが必要です。 一般的に、脳出血を起こしたことがある方は、再発予防のために130 / 80mmHg未満(家庭血圧で125 / 75 mmHg未満)とすることが推奨されているので、1 つの目安にしてください。 血圧を下げる方法 治療の基本は、生活習慣の改善(減塩、減量・運動、食事の見直し、禁煙、節酒)とお薬の内服です。まずは生活習慣の改善を行い、血圧の数値によりますが1 〜 3ヶ月ごとの評価で必要に応じてお薬を開始します。 生活習慣の改善方法とお薬の治療について順番に解説していきます。 生活習慣の改善 減塩 塩分は1日6g未満を目標とします。味噌汁や漬物など塩辛いものは可能な限り控えるようにしましょう。 適度な運動 有酸素運動は効果が認められているので推奨されます。週に2 - 3回、20 ~ 30分間程度の運動を行うことが重要です。ウオーキングや息が上がらない程度のジョギング、サイクリング、水泳などがおすすめです。 健康的な食生活 脳出血のリスクを減らすために、DASH( Dietary Approaches to Stop Hypertension )食という高血圧を防ぐ食事方法が勧められます。具体的にはカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、タンパク質を多く含む果物、野菜、豆類、魚、肉、卵などのバランスの良い食事を摂り、高脂肪、高炭水化物の食事は避けるようにしましょう。 禁煙 タバコは脳出血のリスクを高めます。禁煙することが最も効果的な方法です。 適度なアルコール摂取 過剰なアルコール摂取は脳出血のリスクを高めます。週に 1 ~ 2 日程度の飲酒とするか、毎日飲むのであればビールは中瓶 1 本、日本酒 1 合以下に制限するようにしましょう。 お薬での治療 生活習慣を変えても目標の血圧にすることができない場合には、お薬による治療が考えられます。お薬には複数の種類があり、目標とする血圧になるように薬を組み合わせて内服をします。 多くの研究で、お薬で血圧を下げることによって、脳出血の発症・再発を予防できることが示されているので、医師の指示通りにしっかりと治療を行うことが大事です。 血圧についてよくある質問 Q&A 血圧管理方法に関するよくある質問に、Q&A方式でお答えしています。 Q.自宅で血圧を測るときのポイントは? A:上腕に巻くタイプの血圧計で起床後 1 時間以内(内服前)と夜(就寝前)の1 日 2 回、座って 1 ~ 2 分安静にしてからの測定がおすすめです。 Q.上の血圧と下の血圧どちらを見た方がいいですか。 A:上の血圧は収縮期血圧と言い、心臓が血液を送りだすときの血圧をいいます。下の血圧は拡張期血圧と言い、血液が心臓に戻るときの血圧をいいます。どちらも重要であり、高血圧の定義は収縮期血圧 140 mmHg以上/または拡張期血圧 90 mmHg以上ですので、下の血圧の数値も重要になってきます。 Q.血圧が毎回違うのはどうしてですか。 A:血圧はさまざまな要素で変わってきます。緊張や運動、お薬やカフェイン摂取、痛み、ストレスなどによって変動します。そのため 1 日 2 回、安静にしてから血圧を測定し、平均の数値をみることが大事になってきます。 脳出血ならないためには血圧管理と生活習慣の見直しが大切!/まとめ 脳出血の予防・再発予防に重要な血圧の管理、治療目標と、その方法について解説しました。 高血圧は無症状ですが、放置してしまうと、重大な病気につながることがあります。血圧が高いことを指摘されたら早めに病院を受診して、生活習慣の見直しと治療を受けるようにしていきましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S115 監修:医師 加藤 秀一
2023.02.20 -
- 脳卒中
脳卒中の前兆!?チェック項目に当てはまったら危険信号! 脳卒中は、時に命の危険や障害、寝たきりのリスクもある重い病気です。そのため、前兆となる初期症状を理解し、「脳卒中かもしれない」と思ったらいち早く治療を受ける必要があります。 そこでこの記事では、脳卒中を早期発見するために知っておきたい前兆や初期症状、脳卒中のリスクが高い方の特徴をチェックリストにして解説していきます。 脳卒中の前兆に対する理解を通して、早期発見や早期治療につなげましょう。 脳卒中は脳の血管に起こる病気のこと 脳卒中とは、脳の血管が破れたり、詰まったりする病気です。脳に酸素や栄養を送っている血流が悪くなるため、脳の細胞は重大なダメージを受けます。その結果、命の危険や障害が残るケースも多く見られます。 脳卒中には、血管のダメージの現れ方によって大きく次の種類があります。 脳卒中 脳出血・くも膜下出血 脳の血管が破れて出血する 脳梗塞 脳の血管が詰まる 脳卒中の原因は様々です。 主に生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)、生活習慣(食生活、飲酒・喫煙、運動不足)、ストレスなどの影響が積み重なって発病すると言われています。 脳卒中は脳血管障害とも呼ばれますが、種類によって好発部位は異なります。脳出血の場合は被殻・レンズ核や視床などが代表的ですが、一般的に脳のどの領域でも起こりうる病気です。 脳卒中の代表的な症状 脳卒中によって人間のからだや心をコントロールしている脳がダメージを受けると、生命を維持すること、からだや頭を使うことなど、生活全般に重大な支障をきたします。 ただ、ダメージがどの部分で起こったかによって、脳卒中の症状は異なることがポイントです。 脳卒中による代表的な症状は以下の通りです。 頭痛:激しく頭が痛む 麻痺:主に片方の半身がしびれる、動かなくなる 言語障害:言葉が出ない、ろれつが回らない 視野障害:主に片目が見えにくくなる めまい:天井が回るようなぐらぐらしためまいがある 失調:ものがうまくつかめない ひとつでも当てはまる症状があれば、脳卒中を疑いましょう。 脳卒中の前兆・初期症状 脳卒中の前兆を「TIA(一過性脳虚血性発作)」と呼びます。 初期症状であるTIAは数分〜数十分程度で消えることが多く、脳卒中の前兆と気づかないこともしばしばです。 TIAも、脳卒中と同じ症状が現れます。ただし、一時的な脳の血流の悪化が原因なので、短時間で収まることがポイントです。 TIAの主な症状 以下で、脳卒中の前兆であるTIA(一過性脳虚血性発作)の主な症状を見ておきましょう。 ・突然片方の手や足、顔半分がしびれる ・激しい頭痛が起きる ・言葉が出ない、ろれつが回らない ・相手の言葉を理解したり、自分の思いを上手く言葉で伝えられない ・箸やコップを持とうとしても力が入らず落としてしまう ・立ったり歩こうとしたりしてもふらついてバランスを崩してしまう TIAは、脳卒中、とくに脳梗塞の前兆として現れることが多い初期症状です。 国立循環器病研究センターによると、TIAは通常24時間以内に症状が消失する一方で、TIA発症後90日以内に15〜20%の割合で、そのうち半数は2日以内に脳梗塞になるリスクがあると注意喚起しています。 そのため、短時間で収まったからといってそのままにせず、早期受診で脳卒中を予防することが大切です。 参考:国立循環器病研究センター 脳卒中を防ぐために!脳卒中チェックリスト 年齢や生活習慣などによって脳卒中になりやすい方がいます。ここでは、脳卒中を予防する意識を高めるために確認しておきたいセルフチェックリストをご紹介します。 脳卒中セルフチェック 1.年齢・遺伝 ▢60歳以上である ▢家族の中に脳卒中や脳動脈瘤の持病がある 2.体質・既往歴 ▢肥満がある ▢睡眠時無呼吸症候群がある ▢高血圧・糖尿病・脂質異常症など生活習慣病である ▢腎臓病や不整脈・狭心症などがある 3.生活習慣 ▢喫煙・飲酒をよくする ▢運動不足である ▢「野菜が嫌い」など偏食気味である 4.前兆 ▢片側の手足のしびれや動きの鈍さを感じたことがある ▢片方の目が見えにくくなったことがある ▢言葉が出なくなった・舌がもつれたことがある ▢最近急に頭痛や肩こりがひどくなった ▢頭がボーッとして考え事や計算が苦手になった これらのセルフチェックで当てはまる項目が多い方は、日頃から日常生活の改善や持病の管理を続けることが大切です。 普段から「FAST(ファスト)」を合い言葉に 「脳卒中かもしれない」 「TIAの症状ではないだろうか」 日常生活で身体の不調を感じたとき、以下の4つのセルフチェックを思い出してみましょう。「FAST」というキーワードで、脳卒中の初期症状をわかりやすくの4文字にしたものです。 「FAST」によるセルフチェック 「F (ace)」フェイス:顔のゆがみの症状はないか? ・顔の片側(とくに口角)がだらんと下がっている ・食事中に食べ物が口の片側からこぼれ落ちる 「A (rm)」アーム:片腕の麻痺はないか? ・片腕だけしびれる、動きが鈍い ・箸や茶碗がもてない、手に力が入らず落としてしまう 「S (peech)」スピーチ:言語障害はないか? ・ろれつが回らない ・言いたいことがうまく言葉にして話せない 「T (ime)」タイム:症状が出てからどのくらいの時間が経ったか? ・脳卒中は、早期発見で早期治療を受けるほど、重症化や後遺症を防ぐチャンスが高まります。とくに脳梗塞は、発症から4.5時間以内であれば条件によって症状を改善できる薬を使える場合があるため、症状が現れてからの時間経過が重要です。 なお、最初の3文字「F」「A」「S」は、どれか1つでも症状があれば脳卒中である可能性が高いので注意してください。 まとめ:チェックリストに当てはまったら病院へ 今回は、脳卒中の前兆や初期症状、セルフチェックリストをまとめてご案内しました。 脳卒中の前兆や初期症状で知っておきたいポイントは次の3つです。 ・脳卒中の前兆や初期症状(激しい頭痛、手足のしびれ、ろれつが回らない、など) ・脳卒中になりやすい人の特徴(生活習慣病や生活習慣の乱れが気になる方)) ・脳卒中の早期発見のため「FAST」によるセルフチェックを 脳卒中は発症してから治療を受けるまでの時間によって、病気の改善や後遺症の程度が大きく変わってくる病気です。そのため、日頃からチェックリストを確認して、脳卒中の前兆はないか、TIAの初期症状は出ていないかセルフチェックすることをおすすめします。 年齢や体質、生活習慣などで脳卒中になる可能性が高い方は、持病の治療や生活習慣の見直しを優先しましょう。そして、万一脳卒中の前兆や初期症状に当てはまったときは、できるだけ早く病院を受診してください。 No.112 監修:医師 坂本貞範
2023.02.06 -
- 脳卒中
視床出血における後遺症|リハビリと看護について医師が解説 視床出血とは、脳出血の中で「視床」という部位に出血が起こったもののことを指します。 この視床出血は、脳出血全体の2〜3割程度を占めるとされており、その多くが高血圧を原因としています。 この記事では、そんな脳出血の中でも頻度が高い視床出血における後遺症や、それに対するリハビリ・看護に関して解説します。 視床出血の症状と後遺症 視床は、主に感覚をつかさどっています。そのため視床出血が起こると、痺れなどの感覚障害を認めます。また、視床の周囲には運動神経が走っているため、出血が拡大すると運動麻痺が生じます。 さらに出血が拡大するとその分脳の神経細胞が圧迫されるため、圧迫された部位に応じた症状が現れます。 視床は脳の深い場所に位置するため、原則手術は行わず、出血の拡大防止のために血圧を下げるなどの内科的な治療を主に行うことになります。そのため視床出血は、症状が消失せず後遺症となってしまうことが多くあります。 視床出血で多く見られる後遺症は、視床痛と呼ばれる手足の強い痛みやしびれ、感覚障害を伴った半身麻痺です。 視床痛はジンジン・ピリピリというような痛み(しびれ)を認め、鎮痛薬は効果がないことがほとんどです。また、麻痺も感覚障害を伴わない麻痺と比べて、手先の感覚や、立ったり歩いたりするときの位置感覚が分かりづらくなります。そのため日常生活に支障をきたしてしまうことが多いです。 視床出血後遺症のリハビリ 半身麻痺が残り体の運動機能が低下した場合、運動機能障害に対するリハビリとして理学療法と作業療法を行います。 理学療法 理学療法は平行棒や歩行器を使用した歩行の練習や姿勢を保持する練習、体力・筋力の維持や向上など日常生活を送る上で必要な動作の練習を行います。 前述したように視床出血の半身麻痺は感覚障害を伴っていることが多いです。そのため歩行の練習では免荷式(めんかしき)トレッドミルという機械を用います。 免荷式トレッドミル・・・体を上から吊るし、ハーネスで体を支えることで、足にかかる体重を調整できるためバランス感覚を鍛えます。これによって体重のかかり方を意識した歩行の練習を行うことができます。 作業療法 作業療法は、お箸の使い方など、日常生活を送るために必要な作業の訓練を行います。 麻痺側の手を積極的に使うことで、作業の質の向上を図るCI療法がガイドラインなどでも推奨されています。 1日6時間以上麻痺した手を使用することで、手の機能が改善したという報告もあります。また、このCI療法を行うことで指先などの動きだけでなく、高次機能も回復したという方も報告もされています。 視床出血で嚥下機能が低下した場合、言語聴覚士による嚥下の訓練を行います。口周りや顔の筋肉の運動やゼリーなどを用いた飲み込む練習を行うことで、発症前のように口から食事が取れるようにリハビリを行います。 脳出血後のリハビリは毎日、長期間継続することが重要です。途中で中断してしまうと一度は回復した身体機能が再度低下してしまう可能性もあります。 長い道のりにはなりますが、モチベーションを保ちつつリハビリを継続しましょう。 視床出血の看護 視床出血を含む脳出血の看護は、急性期と慢性期で大きく異なります。 急性期は再出血や血腫の増大、脳浮腫などが起こる可能性があり、そうなった際は早期発見と早期治療が回復の大きな鍵となります。そのため、急性期の看護では全身状態をしっかり観察することが重要です。 以下のことに注意を向けて観察しながら看護しましょう。 意識や瞳孔の確認 視床出血の患者さんの中には自発運動ができない方や発語がない方も多くいらっしゃいます。そのためこまめにバイタルサインをはかり、意識や瞳孔の変化などに注意しましょう。 血圧コントロール 脳出血にとって血圧コントロールは再出血予防のために最重要です。決められた範囲内で血圧が維持できているかどうかを、きちんと確認しましょう。 褥瘡(じょくそう)予防の適切なポジショニング 再出血などを予防するために急性期は安静を保たなければなりません。ベッド上での安静保持は、関節の拘縮や褥瘡のリスクです。 褥瘡の好発部位の皮膚観察や、こまめな体位変換、拘縮予防するための適切なポジショニングを意識しましょう。 一人一人の後遺症に沿った看護 急性期を終えた回復期などの慢性期は、再発防止のため内科的治療と、後遺症に対するリハビリを主に行います。患者さん一人一人の後遺症に沿った看護を行いましょう。 引き続き、褥瘡予防の皮膚観察や関節拘縮予防のポジショニング調整を行いながら、栄養状態・運動機能・精神状態などに気を配りましょう。 嚥下機能が低下してしまった場合、誤嚥性肺炎を発症すると致命的になることがあります。食事の際の姿勢や口腔ケアをしっかり行いましょう。 そして、視床出血の患者さんは感覚麻痺や視床痛が残ってしまう方が多くいらっしゃいます。そういった症状からくる心の苦痛に対するケアも、回復に至るためには重要です。そして感覚が低下しているからこそ、体に触れる際に声かけをするといった気遣いを忘れないようにしましょう。 まとめ・視床出血における後遺症は、一人一人の後遺症に沿った看護とリハビリが大切 視床出血のリハビリと看護に関して紹介しました。 患者さんが1日でも早く、発症前のような生活に戻れるように看護ケアやリハビリを行いましょう。 また、脳梗塞による障害で精神的な苦痛を感じてしまう方もたくさんいます。そういった精神的苦痛にも寄り添ったケアを行ってください。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.110 監修:医師 坂本貞範
2023.01.30 -
- 脳卒中
脳溢血とは?前兆サインとその原因、症状別に医師が解説! 脳卒中はある日突然発症し、最悪の場合そのまま命を落としたり、寝たきりの状態になってしまう病気です。さまざまな薬の開発によって発症率は低下傾向にありますが、それでもまだ日本での死亡原因の上位に位置しています。 この記事ではそんな脳卒中の一つである脳溢血に関して紹介します。 脳溢血とは何か 脳溢血とは「のういっけつ」と読み、文字通り脳に血が溢れる状態を指した病名です。脳の中の細い血管が破れて血液が溜まることにより周囲の神経細胞が圧迫されます。神経細胞が圧迫されると働きが障害されてしまうため、さまざまな症状が出現します。 この脳溢血は脳出血とも呼ばれ、同じ意味で用います。 脳溢血の原因 脳溢血の原因の多くは高血圧です。血管内の圧が上がり、その圧に血管壁が耐えられなくなるため出血が起こります。また、高血圧は動脈硬化のリスクでもあります。動脈硬化が起こると血管壁が弱くなるため、さらに血管が破れやすくなります。 脳溢血の症状 脳溢血の症状は、出血が起こった場所によって異なります。しかし、どの部位の脳溢血も発症時に頭痛や吐き気を訴えることが多くあります。 また、出血が止まらず血腫が大きくなると、その分圧迫される神経細胞も増えるため、症状も増え重篤化します。 被殻出血 被殻出血は脳溢血全体の 3 割程度を占めています。被殻出血の特徴的な症状は片側の手足の麻痺や片側の顔の動かしにくさです。さらに進行すると感覚障害や意識障害に至ることもあります。 視床出血 視床は人の感覚を司っています。そのため視床出血では片側の感覚障害を認めます。また、視床出血を発症した際に目が中央によって寄り目をしているように見えることが特徴です。視床の周りには運動神経が走行しているため進行すると運動麻痺も生じます。 橋出血 橋出血は、被殻出血の次によく見られる脳溢血です。橋は全身の運動や意識状態、呼吸をつかさどっています。そのため橋に出血が起こると、たとえ出血した血液量が少量であったとしても意識障害や両側の四肢麻痺などが生じます。また、自分で呼吸ができなくなってすぐ死に至ってしまうこともあります。 小脳出血 小脳には体の平衡感覚を保つ働きがあります。そのため小脳出血では強いめまいや吐き気を訴える方が非常に多いです。めまいが強くまっすぐ歩くことができなくなったり、立てなくなってしまいます。 小脳は大脳の後ろに位置しているため、出血が起こった際に頭の後ろの部分に頭痛を認めます。 大脳皮質下出血 大脳皮質とは大脳の表層に位置する部分のことを指します。つまり、大脳皮質下出血とはその大脳皮質から出血が起こったもののことを呼びます。大脳皮質は部位によって働きが異なるため、出血した部位に応じた症状が出現します。運動麻痺や感覚麻痺、言葉の出づらさなどから人格の変化、視力障害が起こることもあります。 脳溢血で発熱が起こる? これ以外に、脳溢血によって発熱が生じる場合があります。 発熱が起こる病気と聞くと、まず思い浮かぶのが細菌やウイルスによる感染症だと思います。もちろん脳溢血の経過中に何らかの細菌・ウイルスに感染して発熱を認める可能性は十分にあります。しかしそれ以外で発熱が起こることがあるのです。 脳溢血で発熱が起こる原因とは 脳溢血で発熱が起こる原因は、 ・・出血によって体温のバランスを保つ部分(体温調節中枢)が障害を受ける ・・頭蓋内圧が亢進して体温調節中枢が刺激される の 2 つです。 視床や被殻などが存在する大脳基底核や、大脳皮質下出血が起こった場合、体温調節中枢である視床下部が圧迫されてしまうことがあるため、発熱をきたしやすくなります。 脳溢血が起こると、出血が起こった部分から徐々に脳に浮腫が起こりはじめます。脳に浮腫が起こると、頭蓋内の圧が上がり、この状態を頭蓋内圧が亢進と呼びます。 これにより視床下部が刺激を受けると、体温が上昇し発熱します。 頭蓋内圧が亢進し、進行すると圧に耐えられなくなり浮腫んだ脳がさまざまな方向にはみ出てしまいます。この状態を「脳ヘルニア」と言います。 脳がはみ出る部位によって出現する症状は異なりますが、大後頭孔と呼ばれる隙間から脳がはみ出した大後頭孔ヘルニアが生じると、大脳により呼吸・循環を維持する働きをもつ脳幹が圧迫されるため急激に状態が悪くなり、突然死となってしまうことがあります。 これらの脳溢血が原因の発熱を「中枢性発熱」と呼び、中枢性発熱を認めた場合は予後が悪くなると言われています。そのため、少しでも予後をよくするためにこの中枢性発熱になるべく早く気づく必要があります。 脳溢血を予防するには?前兆はある? 先述したように、脳溢血の原因の多くは高血圧です。 高血圧の原因は塩分の多い食事や肥満・喫煙・過度なストレス・運動不足など生活習慣に関わるものが多いです。バランスの取れた食事や適度な運動とストレスを適宜発散することが高血圧の予防となります。 基本的に脳溢血の前兆はありません。ある日突然発症し、致命的になることもある怖い病気です。そのため日頃から予防に気を使うことが重要です。 まとめ・脳溢血とは?前兆サインとその原因、症状別に医師が解説! 脳溢血について紹介しました。 前述したように、脳溢血は前兆もなく突然起こる病気です。しかし少しでも早く症状に気付けば、生命を危険に晒すことなく元の生活に戻れることもあります。日頃から予防することを心がけて、少しでも怪しい症状を認めた場合は病院を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.110 監修:医師 坂本貞範
2023.01.25 -
- 脳卒中
視床出血の特徴的な症状とは?治療後の予後を予測 「視床出血と診断されたけど、一体どんな病気?」 脳内出血には出血部位により 4 つの種類があり、視床出血はそのうちのひとつです。 突然の頭痛で発症する点は脳内出血全般で共通の症状です。本記事では視床出血について症状の特徴や治療方法などについて詳しく見ていきましょう。 視床出血とは 視床出血とは脳内出血のうち、視床と呼ばれる部位に出血を生じたもので 2 番目に多い出血部位になります。 視床は脳の奥にある 5 - 6 ㎝程の神経細胞が集まっている場所であり、嗅覚以外のあらゆる感覚情報(痛覚、視覚、聴覚、味覚など)を大脳に伝達する中継所としての機能を果たしています。この重要な部位が出血し、障害されることで様々な症状が出現します。 症状について詳しく見ていきましょう。 視床出血の症状 視床出血の症状の特徴としては下記のようなものがあります。 ・意識障害 ・眼球障害(両眼が内下方を向き、鼻先を見つめるようになる) ・感覚障害(痺れやピリピリしたような感覚) ・運動障害(手足が思い通りに動かしにくくなる) ・失語 (言葉が出てこなくなり会話がしにくくなる) これらの症状は一例であり、全てが同時に起こりうるわけではありません。出血の範囲、程度により上記のような多様な症状が出現します。 これら以外にも、発症してから数か月~数年後に視床痛(出血側の反対側の手や足に生じる強い痛み)が発症することがあります。 最初は感覚障害から始まり、その後焼き付くような、剣山を押し付けられたようななどといった表現しづらい疼痛が生じます。 視床出血の原因 視床出血は、高血圧による動脈硬化が主な原因です。 動脈硬化により血管がもろくなり、さらに高い血圧に晒されることにより血管が破綻し出血が起こります。出血の原因となる血管は穿通枝と呼ばれる極めて細い血管になります。 診断 頭部CT検査で視床部位の出血を確認することで確定診断となります。 CTでは出血は白く映り、出血の程度や脳室出血の有無などを判定します。これにより治療方法や予後の予測の参考とします。 MRIでも出血の判定は可能ですが、検査に時間を要するためCT検査が行われることが多いです。 治療法 視床出血に対しては、どれほど出血量が多くても、血腫(出血による血の塊)を除去する手術は基本的に行われません。 これは視床は脳の奥深くにあり到達が容易ではなく、重要な神経が多く集まっているため、手術を行うことで脳にさらにダメージを与えてしまう可能性が高いからです。ただし出血の範囲があまりに大きい場合は、合併症を最小限に食い止めるために手術が行われるケースもわずかながら存在します。 また、水頭症(髄液の循環不全により、髄液が過剰に溜まった状態)により命のリスクがあると判断された場合は、シャント術が行われます。 手術療法:シャント術 シャント術とは、溜まってしまう髄液を体内の他の場所へ流し込むバイパスを作る手術になります。 主な経路としては、 ①脳室から腹部(脳室―腹腔シャント) ②脳室から心臓(脳室―心房シャント) ③腰から腹部(腰椎―腹腔シャント) などがあります。現在では脳室―腹腔シャントが最も多く行われています。 薬物療法:薬剤による血圧コントール 手術の有無に関わらず重要な治療になるのが、薬剤による血圧コントールです。 視床出血は高血圧が原因で発症することが多く、特に症状発症時には収縮期血圧が 200 mmHg以上となってしまうことも珍しくありません。発症から 6 時間以内は再出血が非常に起こりやすいとされており、再出血を予防し出血範囲を拡大させないために、血圧を安定させる降圧剤の点滴や内服などが用いられます。 また、慢性期に生じることのある視床痛においては、残念ながら有効な治療は確立されておらず、一般的な鎮痛剤は無効であることが多いです。ノルアドレナリンや塩酸マプロチンといった薬剤が用いられることもありますが、効果がない場合はガンマ線を用いた定位放射線手術が行われることがあります。 予後 視床出血の症状は、出血量と範囲によって異なります。 予後についても同様で、出血が多ければ多いほど、広範囲であればあるほど後遺症が残る可能性が高くなり、予後不良となることが多いです。 また中脳にまで出血範囲が広がると生命の危機に繋がる可能性が高いともいわれています。これは中脳が生命を維持するために重要な役割を果たしているためです。視床出血の死亡率は一般的に 14 - 52 %と報告されておりますが、これは基礎疾患やもともとの健康状態などに大きく左右されます。 水頭症を発症したり、視床出血発症後も出血範囲が広がるようなことがあると、予後がさらに悪化するケースもあるため、厳格な血圧コントロールが重要となります。また、少しでも後遺症を軽減するために早期からのリハビリも非常に重要となります。 まとめ・視床出血の特徴的な症状とは?治療後の予後について 視床出血の詳細に関して解説いたしました。 視床出血は脳出血の中でも重症化しやすく予後不良な疾患です。後遺症が残る場合も多く、発症してしばらく経過してからも症状に苦しむことが多い厄介な疾患です。刻一刻を争う病態ですので疑わしい症状がみられた際は速やかに医療機関を受診しましょう。 ご参考になれば幸いです。 No.109 監修:医師 坂本貞範
2023.01.18 -
- 脳卒中
脳出血を発症後、寝たきりにならないため早期に取り組むべきリハビリについて 脳出血とは、脳の中の血管が破れて頭の中で出血が起こる病気です。溜まった血液が神経細胞を圧迫することでさまざまな症状を引き起こします。 また、障害を受けた神経細胞は一定時間を過ぎると障害を受けたままになり、元には戻りません。 そのため脳出血になると手足が動かないなどの麻痺症状や、言葉の出にくさなどの後遺症を残すことが多いです。 これらの後遺症が重症であると、そのまま回復せず寝たきりになってしまう場合もあります。そのような寝たきりの状態にならないために重要となるのがリハビリです。 この記事ではリハビリとは何か、具体的にどういうことを行うのか、回復過程までの流れを紹介します。 脳出血後のリハビリとは リハビリとはリハビリテーションの略で、日常生活の自立や介護の軽減のために行われるものです。 それぞれの状態に応じて理学療法や作業療法などを組み合わせて行い、基本的動作の回復を目指し、できるだけ発症前の生活に戻れるようにするのです。 脳出血後の回復する過程は急性期、回復期、維持期の 3 段階に分かれておりそれぞれの段階に応じたリハビリを行います。 急性期 急性期は脳出血の発症直後から 2 週間程度までの間のことを指します。 脳出血の急性期は全身の状態がまだ不安定な時期のため、再び危険な状態に陥らないかどうか慎重に経過をみる必要があります。 しかし、だからといってずっとベッドの上で安静にしていると筋肉が衰えたり関節が動かしにくくなり体の運動機能が低下します。この状態を廃用症候群と呼び、廃用症候群は褥瘡(じょくそう)や感染症のリスクとなります。 急性期のリハビリはこの廃用症候群を予防するために、無理のない範囲で手足を動かしたり、ずっと同じ姿勢にならないように体位の交換を適宜行います。 また、神経細胞が障害を受けた後に回復や神経機能の再構築が望める期間は3ヶ月と言われています。そのため発症直後からリハビリを開始することで、脳の機能の回復や代償機能の獲得が期待できるのです。 回復期 回復期は急性期の期間が終了してから約 6 ヶ月までの期間のことを指します。急性期の不安定な状態を脱した状態であるため、生じた症状に応じてさまざまなリハビリが始まります。 回復期のリハビリの目的は発症前の日常生活に戻るために必要な動作や身体機能の強化をはかります。それぞれの退院後の生活をイメージして、どのような訓練が必要かを考えて個人個人に沿ったリハビリが必要です。 運動機能のリハビリ 身体機能の強化をはかります。 具体的にはベッドから起き上がる・立ち上がる動作や、自分で車椅子に乗り移って使用する・支持棒などを用いて歩行を行うなど移動に関するものから、食事の動作やトイレでの動作など、日常を送るために欠かせないものまで行います。 回復期は急性期の期間が終了してから約6ヶ月までの期間のことを指します。急性期の不安定な状態を脱した状態であるため、生じた症状に応じてさまざまなリハビリが始まります。 筋力強化 安静にしていた期間に低下した筋力を回復する目的のリハビリです。自重のトレーニングや重さの負荷をかけて行います。 持久力強化 持久力の低下に対して行うリハビリです。ウォーキングやエルゴメーターを用います。 協調運動訓練 協調運動とは、何かの動作を行う際に体の部位ごとの力の入れ方を調整する機能です。このリハビリを行うことでバランスの取れた動作を行えるようになります。 基本動作訓練 基本動作訓練とは日常生活に戻るために必要な動作の訓練を行います。具体的にはベッドから起き上がる・立ち上がる動作や自分で車椅子に乗り移って使用するなどです。 歩行訓練 歩行機能の向上を図ります。支持棒や歩行器を用いて安定した歩行を行う練習を行います。 巧緻(こうち)動作訓練 手や指を用いた細かい動きの訓練を行います。お箸を使用する、文字を書くなどの練習を繰り返し行い手指の巧緻性を高めます。 移動などに関するリハビリは理学療法士が、食事や排泄に関する動作などは作業療法士が行います。 言語機能・嚥下機能のリハビリ 言葉がうまく出てこないなど失語の症状がある場合は、言葉を出やすくするようなリハビリを行います。円滑な会話をする訓練や、読み書きの練習などが主な例です。 嚥下とは食べ物を飲み込み、気管に詰まらせないようにきちんと胃に食べたものを送る機能のことを言います。この機能が低下すると口からご飯が食べられなくなり、気道に食べ物が入り込み肺炎を起こしてしまいます。 そうならないように口や喉、舌の筋肉を鍛える運動を行います。このようなリハビリは、言語聴覚士が行います。 高次脳機能障害に対するリハビリ 人間の脳の機能は呼吸など生命を維持するために必要不可欠な機能から視覚や聴覚、嗅覚などの機能などが備わっています。高次脳機能は記憶力や注意力、行動や感情のコントロールを行う機能でこれらが障害されてしまうことを高次脳機能障害といいます。 高次脳機能障害に対するリハビリでは、どのような症状が起こっているのかを正確に把握しそれに沿ったリハビリを行うことが重要です。 記憶力が障害されている場合は、言葉や絵を覚えて記憶力を鍛える訓練や、忘れても思い出せるようにメモを取ったり物を定位置におくなどする練習を行います。 注意力が障害された場合は計算など集中力を鍛える訓練などを行います。 また、高次脳機能障害がある場合は周囲の方の協力も必要になります。患者様本人がわかりやすいように使用する言葉を統一する、生活環境を整えるなどがあります。 神経細胞の障害の度合いやリハビリの開始の時期などの影響で、人によってはリハビリの効果があまり実感できない場合もあります。 しかし回復期のリハビリを怠ると身体機能がさらに低下し、もとの生活に戻れなくなる可能性が上がります。そのためリハビリを継続することがとても重要です。 維持期のリハビリ 維持期とは急性期と回復期を終えて、症状と障害がある程度安定した時期のことを言います。発症後 6 ヶ月以降に行われるリハビリを維持期リハビリテーションと呼び、自宅や施設に戻った後に行います。 維持期のリハビリの目的は、急性期や回復期のリハビリで回復した機能を維持することです。一度回復したからとそこでリハビリを終えてしまうと再度機能が低下する可能性があるため、継続してリハビリを行う必要があります。 また、脳出血を一度発症するとどうしても機能障害が残り、以前はすんなりと行えていた動作が簡単に行うことが難しくなるなど、生活の質が落ちてしまうことが多くあります。 そのようにならないために、またそういった生活の質を改善するということも維持期のリハビリの目的です。 まとめ・脳出血を発症後、寝たきりにならないため早期に取り組むべきリハビリについて 脳出血後に行うリハビリについて紹介しました。脳出血後のリハビリはなるべく早く始めて、根気強く継続することが重要です。 また、周囲の方の理解と環境調整も患者様本人の生活の質の改善のために必要です。 少しでも発症前の生活に戻れるようにリハビリを継続していきましょう。ご参考になれば幸いです。 No.S106 監修:医師 加藤 秀一
2023.01.06 -
- 脳卒中
- 脳梗塞
脳卒中と脳梗塞?案外知らないその違い、ここでスッキリ解消! 脳卒中は、脳血管障害とも呼ばれる脳の重い病気です。 ケースによっては、からだを動かすのが不自由になる、言葉が出づらくなる、など後遺症が残ることも少なくありません。身近で脳卒中について話題になったこともあるでしょう。 「脳卒中」とよく似た言葉に「脳梗塞」がありますが、それぞれの違いをご存知ですか!? この記事では、知っているようで知らない脳疾患である「脳卒中と脳梗塞の違い」にスポットを当てながら、病気の症状や原因、予防するための方法についてわかりやすく解説します。 脳卒中は、脳の血管障害によって発症する病気全般を指します! 脳卒中とは、脳の血管が詰まる、あるいは血管が裂けることで起きる脳の病気全般を指す言葉です。 例えば、腹痛と一口にいっても、下痢や便秘もあれば盲腸炎や大腸がんなど、原因となる病気はいくつも考えられるでしょう。 脳卒中には、大きく分けて次の 3 種類があります。 ・脳梗塞 ・脳出血 ・くも膜下出血 それぞれわかりやすく説明していきます。 脳梗塞 脳の血管が詰まる脳卒中の一種です。血管が詰まった先は血液の流れが悪くなるので、脳細胞が壊死していきます。 脳出血 脳の血管が、高血圧などにより内側から強い圧力がかかり、破けてしまう脳卒のことです。出血した血液が塊になって、脳が働かなくなります。 また、脳を圧迫するため、他の脳の部分にもダメージを与えます。 くも膜下出血 脳の太い血管にできた、動脈瘤というこぶが破れて起こる脳卒中のひとつです。 脳梗塞や脳出血は脳の中で起こりますが、出血した血液が脳の表面を覆って発症することがポイントです。 ここまでの説明を表にすると、以下のようなイメージです。 病名 病気の種類 病気が起きる原因 脳卒中 ・脳梗塞 脳の血管が詰まって血液が行き渡らなくなる ・脳出血 脳の血管が切れて出血して、脳の細胞が壊死する ・くも膜下出血 脳の血管にできた「動脈瘤」(こぶ)が破けて、脳の表面を覆うように出血が広がる もうお分かりですね! この表からもわかるように脳梗塞とは、あくまで脳卒中といわれる病名の中にあって、その種類のひとつなのです。このあたりは、知っている人に取っては当たり前ですが、知らない人にとってはごっちゃになっている部分だと思います。 最近は、脳卒中より脳梗塞という病名が知られるようになったため、別々の病気と思っている人も少なくありませんが、実は同じ病気だということです。 脳梗塞は脳の血管が詰まる・狭くなることで起きる ここまで説明してきたように、脳卒中と脳梗塞は異なるものではなく、脳卒中という大きな病気のひとつの種類に脳梗塞がある、とわかりました。 そして、 脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液の流れが悪くなり、脳の神経細胞が死んでいくことによって発症します。 脳の血管が詰まる原因は、血栓と呼ばれる血の塊です。 年齢とともに血管の動脈硬化によってできる血栓や、心臓にできる血栓が脳に移動して、脳の血管を詰まらせます。血管が詰まると脳に血液が行き渡らなくなって、酸素や栄養が届かなくなり、脳が壊死してしまうのです。 脳梗塞の状態が重いほど、後遺症が強く残りやすくなります。 このように、脳梗塞や脳出血といった脳卒中は、寝たきりや認知症、高次機能障害といった後遺症を引き起こす重大な病気なのです。 脳卒中は年齢に関係なく突然起きる病気 代表的な脳卒中によくある症状は次の 5 つです。 1.半身がしびれたり、麻痺が続く 2.ふらふらしたり、歩く・立つができなくなる 3.ろれつが回らず、言葉が出ない 4.視野の半分が暗くなる、二重に見える 5.激しい頭痛が突然起きる 脳梗塞をはじめ脳卒中は、ある日突然起きる病気です。脳の血管が詰まる、裂けるといった脳卒中の原因が突然起きると、一気に重い症状が現れることがポイントです。 脳卒中かもしれないと思ったら 「半身がしびれたり、麻痺がつづいている」「ろれつが回らなくなった」こうした脳卒中の症状に気づいたら、すぐに医師に診てもらいましょう。 脳梗塞や脳出血は似たような症状が起きることが多いため、日頃から脳卒中の代表的な症状を覚えておくことが大切です。 気になる症状があったときは、できるだけまずはかかりつけ医に電話で相談する、少しでも症状に不安を感じたら迷わず救急車を呼んでください。 脳卒中のリスクと予防 脳卒中は死に至ることもある重い病気で、後遺症が残ることも多いため、日常的に予防に努めることが大切です。 脳卒中の 5 大リスクとして知られているものは、次の 5 つです。 ①高血圧 ②糖尿病 ③脂質異常症 ④不整脈 ⑤喫煙 ここで挙げたリスクは、生活習慣病といわれていて、以下のような食事や運動、睡眠などの生活習慣の改善で予防できるものです。 食生活に気を配ることで予防が可能 ・塩分制限をする ・バランスの良い食事を心がける ・適度に運動する ・十分に睡眠をとる ・お酒や喫煙を控える 脳卒中は、起こってしまってからでは取り返しがつきません。 予防のためにも、まずは生活習慣を見直すことからスタートすることが何より大切です。 また、病院で血圧や血液検査などの異常を指摘された方も、薬による治療を続けると脳梗塞をはじめ脳卒中のリスクをコントロールすることができます。あわせて、定期的な健康診断や通院で、病気を管理することも忘れずに行いましょう。 まとめ・脳卒中と脳梗塞?案外知らないその違い、ここでスッキリ解消! 脳卒中と脳梗塞の違いについて解説してきましたが、次のポイントを改めてチェックしておきましょう。 ・脳卒中は脳の血管障害による病気全般を指す言葉 ・脳卒中と脳梗塞は別々の病気ではなく、実は同じもの ・脳卒中の種類のうち、脳の血管が詰まるのが「脳梗塞」 ・脳卒中は生活習慣病が大きな原因 脳卒中の症状や、脳梗塞の特徴を覚えておいて、ぜひ病気の予防に努めましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.106 監修:医師 坂本貞範
2022.12.26