-
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「視野が欠けるまたは狭くなる原因は?」 「どのような見え方の種類があるのかを知りたい」 「視野が欠ける」症状を視野欠損と言い、脳や網膜などがなんらかの原因で障害されると引き起こされます。視野欠損が起きる原因には、脳梗塞や脳出血などの病気が隠れているおそれがあるため放置してはいけません。 本記事では視野欠損に関する以下のことを解説します。 起きる原因 実際の見え方の種類 引き起こす病気 回復させる方法 視野欠損を引き起こす病気には、緩やかに進行するものから、数時間で急激に進行するものがあります。視野欠損を引き起こす病気の理解を深めるために本記事を参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな病気の治療に応用されている再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEをご利用ください。 視野欠損とは視野が欠ける症状のこと 視野欠損とは、見える範囲(視野)の一部が欠ける症状のことです。 視野欠損は大別すると以下のように分けられます。 種類 見え方 視野狭窄 視野の一部または全体が狭くなる 暗点 視野の中に見えない部分がある 半盲 視野の右半分または左半分が見えなくなる そのほかにも、視野がぼやけたり、カーテンがかかったように見えたりとさまざまな見え方があります。これらの症状は病気により現れ方が異なります。 視野欠損が起きる原因 視野欠損が起きる原因は多岐にわたります。 例えば、以下のような部位が障害されることで視野欠損が引き起こされます。 部位 障害されると視野欠損が起きる部位 後頭葉 ・視覚の機能に関わる脳の一部 ・脳卒中や脳腫瘍などが原因となる 網膜 ・眼球の内側にある神経の膜で光を感じ取る役割を持つ ・網膜が剥がれたり、網膜の血管が詰まったりすることが原因となる 黄斑 ・網膜の中心部分で神経繊維が密集しており、ものを見るときに最も重要な部位 ・加齢や打撲などによって痛んでしまうことが原因となる 原因によって治療方法や緊急性が異なるため、専門医による正確な診断と適切な治療が重要です。 視野欠損が起きた際の見え方の種類 視野欠損が起きた際の見え方には、以下のような種類があります。 種類 見え方 同名半盲 (どうめいはんもう) 両目ともまたは片眼どちらかの視野半分が欠損する 水平性視野欠損 視野のすべてもしくは上半分、下半分、一部が欠損する 両耳側半盲 両目の視野の外側半分すべてまたは一部が欠損する 両鼻側視野欠損 両目の視野の内側半分すべてまたは一部が欠損する 弓状暗点 視野の中に弓のような形をした暗点が現れる 中心暗点 視野の中心が黒っぽく見えなくなる 閃輝暗点 (せんきあんてん) 視野の一部にギザギザした光の波が現れ一部が見えにくくなる これらの症状は、危険な病気を示す場合もあります。自己判断はしないで医療機関の受診を推奨します。 緊急性が高い視野欠損を引き起こす病気 緊急性が高い視野欠損を引き起こす病気には、以下のようなものがあります。 病名 起こりうる視野障害 脳卒中(脳梗塞・脳出血) 同名半盲、四分盲 網膜中心動脈閉塞症 (もうまくちゅうしんどうみゃくへいそくしょう) 突然の急激な視力低下、視野の一部欠損 閉塞隅角緑内障 (へいそくぐうかくりょくないしょう) 急激な視野狭窄 裂孔原性網膜剥離 (れっこうげんせいもうまくはくり) カーテンをかぶせられたような視野の一部欠損 それぞれの病気について詳しく解説します。 脳卒中(脳梗塞・脳出血) 脳卒中は、脳の重要な血管が詰まったり破れたりする病気です。高血圧や糖尿病、脂質異常症などによる動脈硬化によって、引き起こされることが多いです。 脳卒中では、後遺症として同名半盲や視野が4分の1欠損する四分盲が現れることがあります。 また、他にも以下のようなさまざまな後遺症が現れるおそれがあります。 片側の手足の麻痺やしびれ 呂律がまわらない 他人の言うことが理解できない 立位や歩行のバランスがとれない また、これらは後遺症としてではなく、発症した際の症状としても現れることがあります。後遺症の程度は発症してからどれくらい経過したかによって変わります。疑われる症状が現れている場合は、速やかに救急車を要請してください。 脳卒中の後遺症に対する再生医療 脳卒中の後遺症の治療や再発予防の選択肢に再生医療があります。再生医療とは、人が本来持つ再生能力を活用した治療方法です。 例えば、以下のような後遺症が治療の対象です。 手足のしびれや麻痺 歩行や立位のバランス感覚の低下 関節や筋肉の痛み 言語能力や飲み込む力の低下 排泄に関する障害 当院「リペアセルクリニック」で行っている、脳卒中の後遺症に対する再生医療については以下の症例をご覧ください。 網膜中心動脈閉塞症 網膜中心動脈閉塞症とは、血栓(けっせん:血の塊)や塞栓(そくせん:脂肪などの異物)により網膜の血管が詰まり、突然急激な視力低下が起きる病気です。多くは片眼だけですが、まれに両目に起きることもあります。視野の一部だけが欠けることもあります。 血栓や塞栓ができる原因は、高血圧や糖尿病、動脈硬化、脳血管障害などです。ほかにも、手術やカテーテル検査により発生するケースもあります。 この病気は、発症から24時間以内(1〜2時間以内が望ましい)に血管を広げる治療などをしなければなりません。(文献1)突然の視力低下や視野欠損が起きた場合は、速やかに医療機関を受診してください。 閉塞隅角緑内障(急性緑内障発作) 閉塞隅角緑内障(急性緑内障発作)とは、眼圧が急激に上昇する緑内障のことです。 発作が起きた際は以下のような症状が現れます。 激しい眼の痛み 眼の充血 眼のかすみ 頭痛 吐き気 この状態が続くと急激に視野狭窄が進行します。閉塞隅角の状態にある方は、急性発作を予防する治療を受けることが重要です。治療方法にはレーザーによる手術や白内障手術などの選択肢があります。医師に十分な相談をして検討してください。 裂孔原性網膜剥離 裂孔原性網膜剥離とは、網膜に孔(あな)が開き、眼の中にある水分がその孔に入り込んで網膜が剥がれる病気です。網膜剥離の中でも最も多く見られる種類です。進行すると、カーテンをかぶせられたように視野の一部が欠ける症状が現れます。 また、視野欠損の症状が起きる前触れとして、以下のような症状が現れることもあります。 前触れとなる症状 詳細 飛蚊症(ひぶんしょう) 視野の中に小さな糸くず状やゴマ状のようなものが見える 光視症 光源がないにも関わらず視野の中にチカチカと閃光のようなものが見える これらの症状は現れないこともあります。網膜剥離は放置すると失明するおそれがあります。疑われる症状が現れている際は、速やかに医療機関を受診して適切な治療を受けてください。 継続治療が必要な視野欠損を引き起こす病気 継続治療が必要な視野欠損を引き起こす病気には、以下のようなものがあります。 病名 起こりうる視野障害 緑内障 視野狭窄 糖尿病網膜症 視野狭窄、視力低下 網膜色素変性症 夜盲、視野狭窄、視力低下 加齢黄斑変性 中心暗点、視力低下 それぞれの病気について詳しく解説します。 緑内障 緑内障とは、眼圧上昇により眼から脳へ視覚情報を伝える神経線維が障害されて、視野が徐々に狭くなる病気です。緑内障にはいくつか種類があり、最も多いのが開放隅角緑内障です。原因ははっきりしていませんが、加齢や遺伝、免疫などさまざまなことが関与していると考えられています。 症状の進行が非常にゆっくりであるため、その変化に気づかないことが多いです。ある程度進行して視野欠損が広がると、自覚できます。初期段階に視野検査を行うと視野欠損を発見できます。 眼圧の上昇で障害された神経線維は回復しません。基本治療となる眼圧を下げる点眼などを早期から始めることが重要です。 糖尿病網膜症 糖尿病網膜症は、高血糖により網膜の細かい血管が障害される病気です。高血糖状態は、血液の流れが悪くなってしまい、とくに網膜のような細かい血管は影響を受けやすいです。進行すると視野狭窄や視力低下が起きてしまいます。 糖尿病網膜症はかなり進行しても自覚症状がほとんど現れません。明らかな視野狭窄や視力低下が起こるころには、重度の状態になっているケースがあります。糖尿病の方は、定期的に眼の検査を受けることが推奨されます。 網膜色素変性症 網膜色素変性症とは、網膜に異常が見られる遺伝性の病気です。 進行すると以下のような順番で症状が現れる傾向があります。 暗いところが見えにくい「夜盲」が初めに現れる 視野狭窄が現れる 視力低下を自覚するようになる この病気の進行は非常にゆっくりで、数年から数十年かけて進行します。ただし、個人差があり症状の出る順番も人により異なります。根本的な治療方法なく、症状を遅らせる薬物療法は行われていますが、十分な効果は証明されていません。 加齢黄斑変性 加齢黄斑変性とは、物を正面からはっきり見るために重要な「黄斑」という部分が、年齢とともに障害される目の病気です。原因は老化や喫煙、遺伝、生活習慣などが関連しています。 進行すると以下のような症状が現れます。 中心暗点 視力低下 色覚異常(色が識別できなくなる) 中心がゆがんで見えることもあります。この病気には萎縮型と滲出型があり、萎縮型には明確な治療方法はありません。 滲出型であれば、視力が正常に戻ることは難しいですが、薬物療法やレーザー凝固療法などいくつかの治療方法があります。加齢黄斑変性は早期発見が重要です。疑われる症状が現れていたら早期に医療機関を受診してください。 視野欠損を回復させる方法 視野欠損を引き起こす病気は、病気それぞれによって治療方法は異なり、回復の可能性も変わります。いずれにしても、早期に発見して適切な治療を受けることが重要です。 緑内障や糖尿病網膜症、網膜色素変性症などでは、視野欠損に気づきにくいことがあります。「物によくぶつかるようになった」「車の運転で急な飛び出しに気づきにくくなった」などは、視野の一部が欠けている徴候の可能性もあります。 まとめ|視野欠損が起きたら医療機関を受診しよう 視野欠損はさまざまな原因で起こり、緊急性の高いものから徐々に進行するものまであります。突然の視野欠損や視力低下、目の痛み、頭痛などを伴う場合は、脳卒中や網膜中心動脈閉塞症、閉塞隅角緑内障などのおそれもあるため、速やかに医療機関を受診してください。 また、緩やかに進行する病気が原因の場合は、視野欠損に気づかない場合もあります。視力低下や視野狭窄を自覚したころには、重度となっているおそれもあります。 「物によくぶつかるようになった」「車の運転で急な飛び出しに気づきにくくなった」などは、自覚のない視野欠損が起きている可能性もあります。とくになんらかの生活習慣病を持っている方は注意してください。 視野欠損の原因の一つである脳卒中の予防や後遺症に対する再生医療に関しては以下を参考にしてください。 視野欠損に関するよくある質問 Q.一時的なストレスにより視野が欠けることはある? 強い心理的ストレスにより、一時的に視覚障害が現れる心因性視覚障害というものがあります。主に7〜12歳の女児に多い病気です。大人もまれに起きるといわれています。視力低下や視覚異常が現れることがあります。 Q.視野が欠けて一時的に灰色に見える症状は? 片眼の血管が血栓などにより詰まり発症する一過性黒内障のおそれがあります。重度の動脈硬化が原因です。 発症すると以下のような症状が片眼に現れます。 灰色の幕が徐々に降りてきて幕は黒色に近づいていく 視野が徐々に狭窄していく 血栓が自然に溶けると症状は改善します。しかし、一過性黒内障は脳梗塞の前触れともいわれています。症状が現れた際は医療機関を受診してください。 Q.視野欠損していても運転免許は更新できる? 運転免許の更新には視力と視野の基準があります。例えば、普通免許の場合は「片方の視力が0.3に達しない場合は、もう片方の視力が0.7以上かつ視野が左右150度以上必要」とあります。(文献2)詳細は警察庁ホームページを確認してください。 参考文献 (文献1) 網膜中心動脈閉塞症とは|千葉大学大学院医学研究院眼科学 (文献2) 適性試験の合格基準|警視庁
2025.12.31 -
- 脳卒中
- 頭部
「最近、会話が噛み合わないと感じる」 「簡単な話が理解できず、人間関係に支障をきたしている」 言葉が通じず会話が成り立たなくなると、多くの方はまず認知症を疑います。しかし、会話や言葉の意味が理解しにくくなる原因として、ウェルニッケ失語症(感覚性失語)と呼ばれる失語症の一種が存在します。 ウェルニッケ失語症(感覚性失語)は、脳の言語理解に関わる領域が障害されることで、言葉の意味の理解が難しくなる失語症のひとつです。原因となる脳の病気が進行したり再発したりすると、認知機能や運動機能にも影響が及ぶおそれがあります。 本記事では、現役医師がウェルニッケ失語症について詳しく解説します。 ウェルニッケ失語症の原因 ウェルニッケ失語症の治療法 ウェルニッケ失語症の悪化を防ぐためのポイント 記事の最後にはよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ウェルニッケ失語症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ウェルニッケ失語症(感覚性失語)とは 項目 内容 原因 言語理解に関わる脳領域(ウェルニッケ野)の損傷 主な症状 流暢だが意味の伝わりにくい発話、言葉の理解困難、言い間違いの頻発 自覚の有無 発話内容や理解の問題に対する自覚の乏しい傾向 知能・記憶 知能や記憶が保たれ、他の認知機能は比較的保たれる傾向 誤解されやすい点 認知症と誤認されやすいが、主体は言語機能の障害 よく困る場面 家族との会話、電話応対、テレビ視聴での理解困難 対応のポイント 早期診断とリハビリテーション開始、医師への相談 (文献1)(文献2) ウェルニッケ失語症は、言葉を理解する脳の領域(ウェルニッケ野)が損傷されることで起こる失語症です。話す量は多く流暢ですが、言葉の選び方や内容がちぐはぐになり、相手に意味が伝わりにくくなります。 音としての言葉は聞こえているものの、意味と結びつきにくいため、会話がかみ合わず認知症と誤解されることもあります。外見や日常動作からは気づきにくいため、会話の様子を注意深く観察することが重要です。 治療は、原因となる脳の病気への対応と言語理解を高める訓練を組み合わせ、日常生活での工夫や環境調整も行いながら進めていきます。 ウェルニッケ失語症とブローカ失語症の違い 項目 ウェルニッケ失語症 ブローカ失語症 障害される部位 左側頭葉の言語理解の領域 左前頭葉の言語産出の領域 発話の特徴 流暢だが意味の伝わりにくい発話 言葉が出にくく非流暢な発話 言葉の理解 聞いた内容の理解が難しい傾向 聞いて理解する力は比較的保たれる 読み・書き 文章の理解や書字が難しい傾向 読む力は残るものの、書字が難しい傾向 会話の印象 話は多いが、内容が支離滅裂 話したいが言葉が出ず短い発話 本人の自覚 問題を自覚しにくい傾向 話せないもどかしさを自覚しやすい 伝わりにくさ 伝えても理解されにくい 理解できるが、表現が困難 リハビリの方向性 言語理解の再獲得と意味処理の訓練 発話生成の練習と伝達手段の確立 (文献3)(文献4) ウェルニッケ失語症の特徴は、言語理解の障害により流暢に話せても意味が伝わりにくくなることです。一方、ブローカ失語症の場合、理解は保たれるものの、言葉が出にくく非流暢な話し方になります。 両者は損傷部位が異なるため、症状や必要な支援も異なります。違いを把握し、適切なリハビリやコミュニケーション方法を医師の指導のもと選択しましょう。 以下の記事では、ブローカ野とウェルニッケ野の違いを詳しく解説しています。 ウェルニッケ失語症の症状 症状 詳細 言葉の意味が理解できない 聞こえた言葉や文章の内容が正しく理解できない状態 話す内容がまとまらない 流暢に話せるが意味が通じず支離滅裂になりやすい状態 症状への自覚が乏しい 発言の誤りや会話の不適切さに気づきにくい傾向 ウェルニッケ失語症では、脳の言語理解を担う領域が損傷されるため、聞こえた言葉の意味がつかみにくくなり、会話がかみ合いにくくなります。 発話そのものはスムーズでも、言葉の選び方や内容がまとまりにくく、支離滅裂な印象になりがちです。さらに、自分の発言の誤りや会話のずれに気づきにくいため、ご本人と周囲との間で認識のギャップが生じやすいことも特徴です。 言葉の意味が理解できない ウェルニッケ失語症は、言語理解を担う左側頭葉(ウェルニッケ野)の損傷によって生じます。 会話がかみ合わない、的外れな返答をする、話は流暢でも意味が通じない、読み書きが困難になるといった症状が現れるのが特徴です。 左側頭葉(ウェルニッケ野)は耳や目から取り込んだ言語情報に意味を付与する役割を担っているため、損傷が起こると音声や文字そのものは認識しても、その内容の理解は難しくなります。 こうした症状は、言語情報を受け取って解釈し、適切に応答するまでの過程で行われる「意味づけ」が途絶えることによって生じると考えられています。 話す内容がまとまらない ウェルニッケ失語症では、言語の意味を処理する機能が障害されるため、流暢に話せても内容がまとまらず理解しにくくなるのが特徴です。 言い間違いや実在しない言葉が混ざることも多く、話は長くても相手に伝わる情報が少ない「空虚な発話」と呼ばれる状態になることがあります。 ご本人は症状を自覚しにくいため、周囲が戸惑いやすい一方で、適切な言語訓練を継続することで、会話のわかりやすさが改善していく例も報告されています。 症状への自覚が乏しい 項目 詳細 障害される部位 言葉の意味を理解する脳の領域(ウェルニッケ野)の損傷 自覚しにくい理由 自分の言葉の誤りや会話のズレを認識しづらい 症状の背景 音声の認識や発声は保たれるため、「自分は話せている」と認識しやすい 主な問題点 言葉の意味処理が障害され、問題の所在を自分で把握しにくい状態 ウェルニッケ失語症では、言葉の意味を処理する脳の領域が障害されるため、自分の発言の内容や相手の反応を正しく把握しにくくなります。 音声の認識や発話は保たれるため、ご本人は「話せている」と感じやすく、発話内容の誤りに気づきにくい傾向があります。 ウェルニッケ失語症の原因 原因 詳細 脳梗塞による左側頭葉の損傷 言語理解を担う領域への血流障害による神経細胞の損傷 脳出血によるウェルニッケ野の障害 出血による圧迫や破壊で生じる言語中枢の機能低下 その他の原因(脳腫瘍・頭部外傷・脳炎など) 腫瘍や外傷、炎症による言語領域への影響 言葉の意味を理解する脳の領域が傷つくと、ウェルニッケ失語症が生じます。主な原因は、脳梗塞による血流障害や脳出血による出血・圧迫で、神経細胞の機能低下によって起こります。 そのほか、脳腫瘍、頭部外傷、脳炎などでも同じ領域が障害されることがあり、原因によって治療方針が大きく異なるため、画像検査などによる評価が欠かせません。 ウェルニッケ失語症は認知症とは性質が異なりますが、適切なリハビリテーションにより言語機能の改善がみられる場合があります。 脳梗塞による左側頭葉の損傷 ウェルニッケ失語症は、脳梗塞により左側頭葉後部が障害されることで生じます。脳梗塞は血管が詰まり血流が途絶える疾患で、とくに中大脳動脈後方枝が閉塞すると、神経細胞が急速に機能不全に陥ります。 左側頭葉後部には言語理解を担うウェルニッケ野があり、右利きでは約95.5%、左利きでは約61.4%の人が言語中枢を左半球に持つため、この領域の損傷が言語障害に直結します。 脳梗塞では、発症から短時間のうちに不可逆的な変化が進行するため、できるだけ早期に血流を再開させる治療が重要です。 以下の記事では、脳梗塞について詳しく解説しています。 【関連記事】 脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説 脳梗塞後遺症で性格が変わる?主な変化と原因を解説 脳出血によるウェルニッケ野の障害 脳出血は、長期の高血圧により脳血管が破裂し、周囲の脳組織に出血が広がる疾患です。左側頭葉後部のウェルニッケ野周辺で出血が起こると、血腫による直接的な圧迫と周囲の浮腫により神経細胞が損傷されます。 高血圧性脳出血の好発部位である被殻や視床からの出血が拡大した場合や、ウェルニッケ野を栄養する後大脳動脈分枝の細動脈が破綻した場合に、この領域が障害されます。 出血した血液成分が神経毒として働き数時間で細胞死が進行し、とくに急性期の血腫拡大が症状をさらに悪化させるため、血圧管理と早期の止血処置が不可欠です。 以下の記事では、脳出血について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】脳出血とは|症状・種類・原因を詳しく解説 脳出血で後遺症なしの確率は?発症後の意識レベルによる予後や余命を解説 その他の原因(脳腫瘍・頭部外傷・脳炎など) 原因 障害の起こり方 主な特徴 発症の経過 脳腫瘍 腫瘍の増大によるウェルニッケ野の圧迫・血流障害 浮腫や出血を伴い、ゆるやかに言葉の理解が低下 徐々に進行することが多い 頭部外傷 衝撃による脳の揺れや打撲でウェルニッケ野を損傷 出血や脳のむくみにより神経細胞が圧迫 怪我の後、数日以内に症状出現 脳炎 ウイルス感染による炎症や腫れでウェルニッケ野が障害 発熱や頭痛に続き急な言葉の障害が出現 数時間〜数日の急速な発症 (文献5) 脳腫瘍、頭部外傷、脳炎などでも言語理解を担う部位が損傷し、ウェルニッケ失語症が生じることがあります。これらは脳卒中と異なり、急激に発症する場合、もしくは徐々に進行する場合もあるため、日常の変化に注意が必要です。 言葉の理解や会話の様子に違和感を覚えた場合は、画像検査と言語評価が必要です。また、治療の基本方針は、原因疾患への対応と言語症状へのリハビリテーションを並行して行います。 以下の記事では、脳腫瘍及び、脳炎の後遺症について詳しく解説しています。 【関連記事】 脳膿瘍の手術で起こりうる後遺症を医師が解説|術後のリハビリ方法も紹介 脳炎で起こりうる後遺症を医師が解説|回復の見込みについても紹介 ウェルニッケ失語症の治療法 治療法 詳細 基礎疾患の治療(脳梗塞・脳出血・脳炎など) 原因となる疾患を治療し、脳機能の悪化を防ぐ リハビリテーション(言語理解の再学習など) 言語理解や表現を回復する訓練による機能改善の促進 コミュニケーション支援 身振りや文字、環境調整による意思疎通の補助 脳損傷に対する再生医療 幹細胞治療などによる損傷部位の機能回復を目指す ウェルニッケ失語症の治療では、まず脳梗塞や脳出血、脳炎などの基礎疾患を適切に治療し、脳機能の悪化を防ぐことが重要です。 その上で、言語理解や表現力を回復するためのリハビリテーションを継続し、身振りや文字などを活用したコミュニケーション支援を組み合わせることで、日常生活での意思疎通を補います。 近年、幹細胞を用いた再生医療に関する研究も進められていますが、現在のところ適応となる病態や条件が限られており、実施している医療機関も多くはありません。 利用を検討する際は、医師に相談し、適応条件や得られる可能性のある効果や考えられるリスクなどについて十分な説明を受けた上で判断することが大切です。 以下の記事では、ウェルニッケ失語症の原因となる脳梗塞の治療について詳しく解説しています。 【関連記事】 脳梗塞の後遺症は治る?治療法や種類・症状別に医師が解説 脳梗塞は症状が軽いうちの治療が大切!原因と対策を解説【医師監修】 基礎疾患の治療(脳梗塞・脳出血・脳炎など) 基礎疾患 詳細 脳梗塞 血栓溶解療法により血流を回復し神経細胞の壊死を抑える対応 脳出血 血腫除去により脳への圧迫を軽減し二次損傷を防ぐ対応 脳炎 抗ウイルス薬やステロイドで炎症や浮腫を抑え神経細胞を保護する対応 脳腫瘍 手術や放射線などで腫瘍を縮小し言語中枢への圧迫を解除する対応 ウェルニッケ失語症は、言語理解に関わる脳領域が損傷されることで起こるため、まずは原因となる基礎疾患を適切に治療することが重要です。 脳梗塞では、血流をできるだけ早く回復させて神経細胞の障害を最小限に抑えることが治療の中心となります。脳出血では、必要に応じて血腫を除去し、周囲の脳への圧迫を軽減することが目標となります。 脳炎や脳腫瘍では炎症や圧迫を取り除き、神経細胞の機能を守ることが目的です。これらの治療により、言語機能の改善に向けた土台が整い、リハビリの効果が高まりやすくなります。 以下の記事では、脳梗塞のリハビリについて詳しく解説しています。 リハビリテーション(言語理解の再学習など) リハビリ内容 目的・特徴 絵カードや写真を使う練習 物の名前をいう力や言葉を思い出す力の向上 短い文章の聞き取りと応答 聞いた内容を理解し、簡単に返事する力の練習 絵や映像を言葉で説明 内容を整理して言葉で伝える力の強化 書く練習(段階的) 単語や文を書く力を少しずつ回復 ジェスチャーやノートの活用 言葉以外の手段で意思を伝える補助 家族・介護者への指導 わかりやすい話し方や環境づくりの支援 ウェルニッケ失語症では、脳の神経可塑性(しんけいかそせい)により損傷後も新しい回路を形成できるため、言語リハビリテーションが有効です。 言語聴覚士は検査結果に基づいて訓練内容を計画し、音声の識別や語彙の再学習などを行い、言語理解の回復を目指します。 急性期は意思疎通手段の確保、回復期は意味理解や文の処理を高める訓練が中心となります。 また、家庭での短時間の練習も大切です。音読やメモ書き、家族とのゆっくりとした会話を続けることで脳が刺激され、リハビリの効果を高めることが期待できます。 とくに発症後12カ月以内は言語機能が回復しやすい時期とされており、この期間に集中的なリハビリテーションを行うことが有効と報告されています。 コミュニケーション支援 方法・視点 詳細 間違い指摘を避ける 自尊心を保ち、会話意欲を維持する支援 「はい・いいえ」質問とジェスチャー 理解負荷を減らし、意思確認を容易にする支援 非言語手段の併用 絵や描画などを組み合わせ、伝達成功率を高める支援 意思汲み取りと成功体験の重視 伝えられた喜びを感じさせ、発話意欲を高める支援 言葉が通じにくい経験が続くと会話への意欲が低下しやすくなるため、相手の表現を否定せず意思疎通しやすい環境を整えることが大切です。 単純な質問やジェスチャーを組み合わせると、理解の負担を軽減できます。成功体験が増えることでコミュニケーションが円滑になります。 また、絵や文字などの非言語的手段を活用すると、伝える手段が広がり生活の質が向上します。 周囲の工夫により会話参加の意欲やリハビリの効果が高まることが期待されるため、できないことに対しても根気よく長期的な視点で取り組むことが大切です。 脳損傷に対する再生医療 ウェルニッケ失語症に対する治療の選択肢として、再生医療を用いる取り組みが検討される場合があります。 脂肪由来の幹細胞は、体内で他の細胞に変化する分化能や、生体内環境に作用する働きが報告されており、脳の損傷部位に関連した研究が進められています。 再生医療は、損傷した脳組織の修復や機能回復を目的として検討されている治療法です。しかし、疾患の状態によっては適用できない場合も多く、実施する医療機関も限られるため、希望する場合は医師に相談し、内容を十分に確認しましょう。 以下の記事では再生医療について詳しく解説しています。 ウェルニッケ失語症の悪化を防ぐためのポイント 悪化を防ぐためのポイント 詳細 基礎疾患(脳梗塞・脳出血など)の再発予防を徹底する 血圧管理や生活習慣改善による脳血管障害の再発予防 リハビリテーションを早期に開始し継続する 言語機能の維持と回復のための継続的な訓練 家族・周囲が適切なコミュニケーション支援を受ける 理解しやすい環境づくりによる意思疎通の促進 ウェルニッケ失語症では、脳梗塞や脳出血といった基礎疾患が再発すると症状が悪化する可能性があります。そのため、血圧管理や生活習慣の見直しが重要です。 言語リハビリテーションは早期に開始して継続することで機能維持につながります。また、家族や周囲が適切なコミュニケーション方法を理解し環境を整えることで、日常の意思疎通が円滑になり患者の不安や負担が軽減されます。 基礎疾患(脳梗塞・脳出血など)の再発予防を徹底する 観点 詳細 再発でウェルニッケ野の二次損傷が起きる 追加の血流障害や圧迫で言語理解機能が低下する可能性 再発率が高い 危険因子の放置による脳梗塞・脳出血の再燃リスク 服薬・生活習慣管理で再発抑制が望める 血管保護により再発リスクを低下させ残存機能を守る取り組み 定期通院で早期発見・基礎疾患を防ぐ 画像検査で血管の状態を把握し発作を未然に防ぐ取り組み (文献6) ウェルニッケ失語症では、脳梗塞や脳出血が再発すると新たな脳損傷が生じ、言語理解機能がさらに低下する可能性があります。高血圧や糖尿病などの危険因子を管理し、服薬や生活習慣の改善を継続することが重要です。 また、定期的な通院によりMRIや血管検査を受けることで、再発の兆候を早期に捉えられます。再発予防は、残存する言語機能を守り、リハビリテーションの効果を維持するための重要な取り組みです。 【関連記事】 脳梗塞の予防・再発防止のために食べてはいけないものとは?理想的な食事の摂り方 脳出血は再発する?再発率や血圧管理を含む予防法を解説 リハビリテーションを早期に開始し継続する リハビリテーションの早期開始と継続は、ウェルニッケ失語症の回復に極めて重要です。 脳には損傷後も神経回路を再編成する可塑性(かそせい)があり、早期から言語刺激(聞く・話す・読む・書く)を積極的に行うことで脳の再編成を促し、言語機能の回復が得られやすくなります。 実際、早期リハビリの有益性を示す報告があります。(文献7) 研究では、発症後約10日〜3カ月までに言語機能の改善が著しく、発症から6カ月頃まで改善が続くとされています。この時期に集中的な訓練を行うことは効果的です。 慢性期であっても、高頻度・高強度のリハビリにより日常会話能力が改善した報告があり、これらの介入は効果的です。(文献8) さらに、早期リハビリは廃用症候群(筋力低下、関節拘縮など)の予防にもつながります。(文献9) 継続的なリハビリにより、完全回復に至らなくても補助的コミュニケーション手段と組み合わせて日常生活で使える言葉を取り戻せる可能性があり、言語聴覚療法(SLT)が失語症後の機能改善に有効です。(文献10) 家族・周囲が適切なコミュニケーション支援を受ける 観点 詳細 会話意欲低下を防ぎ言語機能を維持する 指摘を避けジェスチャーを併用し成功体験を増やす支援 二次的合併症(うつ・孤立)を防ぐ 過ごしやすい環境づくりによる心理的安定の確保 家族負担を軽減し長期継続を可能にする 医師の助言による適切な関わり方の習得 (文献11) ウェルニッケ失語症では、言葉が伝わらない経験が続くと会話を避けるようになり、言語機能の低下につながることがあります。 家族が誤りの指摘を控え、ジェスチャーや簡潔な表現を取り入れることで日常生活での成功体験が増え、発話意欲を保ちやすくなります。 また、安心してやり取りできる環境は、うつや孤立といった心理的な悪化を防ぐ上で大切な取り組みです。さらに、言語聴覚士による家族教育を受けることで適切な関わり方を学べるため、支援の負担が軽減され長期的に続けやすくなります。 ウェルニッケ失語症の症状が出た際は早期に受診しよう ご家族が急に言葉を理解できなくなったり、会話が噛み合わないと感じた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 ウェルニッケ失語症は、脳梗塞や脳出血などの重大な脳疾患を原因として発症することが多く、早期の診断と治療が求められます。 とくに脳梗塞や脳出血では発症から治療開始までの時間が治療効果に影響するため、医療機関の受診が重要です。 ウェルニッケ失語症の症状でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、ウェルニッケ失語症の治療において、有効な選択肢のひとつとして再生医療を提案しています。 再生医療は幹細胞を用いた治療のひとつで、脳機能回復を目指した研究が進められています。リハビリとの併用による相乗効果が期待されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ウェルニッケ失語症に関するよくある質問 ウェルニッケ失語症は完治しますか? ウェルニッケ失語症では、障害された部位や範囲によっては、元の状態までの回復が難しい場合もありますが、早期から言語リハビリテーションを行うことで、会話能力の改善が期待できます。 とくに発症後2週間で自然回復が最大となり、12カ月で約40%の改善が見込まれると報告されています。 言語聴覚士による訓練を継続することで日常会話が可能になる例もみられますが、症状や損傷範囲には個人差があります。そのため、再発予防や家族のコミュニケーション支援を含めた長期的な取り組みが大切です。 ウェルニッケ失語症の平均寿命は? ウェルニッケ失語症そのものに特有の平均寿命は示されていません。 ただし、脳卒中により失語症を発症した患者は、失語のない患者と比較して死亡率が高く、機能回復率が低いとする報告があります。(文献12) 一方で、適切なリハビリテーションや支援、合併症の管理を継続することで、長期にわたり生活機能を維持できる可能性があります。 これらは寿命そのものを示すものではなく、予後や生活の質に関する指標として理解することが大切です。 ウェルニッケ失語症の家族との向き合い方を教えてください ウェルニッケ失語症の方を支える際は、失語が言語の障害であり、人格や知性が変わるわけではないことを理解し、尊重した関わりが重要です。 伝える際は短くゆっくり話し、簡単な言葉やジェスチャー、絵カードを併用すると意思疎通がしやすくなります。 質問は「はい・いいえ」や選択式が有効です。返答に時間がかかるため急かさず、静かな環境で落ち着いてやり取りをしましょう。 絵や筆談などの補助手段を活用し、判断や意思決定は可能な範囲でご本人に任せることで自立性を支えられます。また、ご家族自身も専門家や支援団体を利用し、負担を軽減することが大切です。 ウェルニッケ失語症と診断された際に受けられる助成制度はありますか? ウェルニッケ失語症は、条件を満たす場合に身体障害者手帳(音声・言語機能障害)の対象となります。また、障害者総合支援法や介護保険制度に基づき、補装具・福祉用具の助成や意思疎通支援などを利用できる場合があります。 ウェルニッケ失語症で利用できる主な助成制度は以下です。 制度名 内容 申請先・対象 身体障害者手帳 3・4級で医療費助成、税制上の優遇措置、コミュニケーション機器の給付 市区町村窓口 障害者総合支援法 補装具(意思伝達装置)・日常生活用具(AAC機器)の支給・貸与 市区町村窓口 介護保険 福祉用具貸与、訪問リハビリ、言語支援機器の利用 要介護認定者 意思疎通支援事業 支援者派遣、道具や絵を用いたコミュニケーション支援(無料) 市区町村(地域生活支援事業) 障害年金・就労支援 障害基礎年金、就労移行支援、復職時の配慮 年金事務所・支援機関 (文献13)(文献14) 制度は自治体によって異なります。具体的な利用条件や手続きについてはお住まいの自治体に相談しましょう。 参考文献 (文献1) Wernicke's Aphasia (Receptive Aphasia)|Cleveland Clinic logo (文献2) Wernicke’s Aphasia|the Aphasia library (文献3) 失語の種類|MSDマニュアルプロフェッショナル版 (文献4) 失語症|社会福祉法人恩賜財団済生会 (文献5) 失語|MSDマニュアルプロフェッショナル版 (文献6) 脳卒中の再発予防|脳卒中療養支援シリーズ (文献7) Early Aphasia Rehabilitation Is Associated With Functional Reactivation of the Left Inferior Frontal Gyrus: A Pilot Study|Go to homepage (文献8) Speech and language therapy for aphasia following stroke|pubMed® (文献9) Ⅶ.リハビリテーション (文献10) Speech and language therapy for aphasia following stroke|pubMed® (文献11) 失語症者の家族から見た失語症状の認識に関する検討|川崎医療福祉学会誌 (文献12) Epidemiology of Aphasia Attributable to First Ischemic Stroke: Incidence, Severity, Fluency, Etiology, and Thrombolysis|American HeartAssociation. (文献13) 障害者支援機器の活用ガイドブック|障害者自立支援機器の活用のための支援体制構築の活性化に向けた調査研究 (文献14) 厚生労働省|意思疎通支援
2025.12.29 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「パーキンソン病の人はチョコレートを食べても良いのだろうか」と迷っている方もいるのではないでしょうか。 結論として食べても問題ありませんが、症状の進行を抑えることが証明されているわけではありません。 また、食べる場合には注意すべき点もあるので、ポイントを押さえておきましょう。 本記事では、パーキンソン病とチョコレートの関連性に着目し、摂取量の考え方や注意点、取り入れたい食品、生活習慣などを解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、神経系の病気でも研究が進んでいる「再生医療」の情報提供と簡易オンライン診断を実施しているので、ぜひご登録ください。 パーキンソン病の人にチョコレートは効果があるのか 現在のところ、チョコレートがパーキンソン病の予防や症状の改善に効果があるという科学的な根拠はありません。 ただし、関連する研究は進められています。 順天堂大学の研究グループは、パーキンソン病の方の血液中でカフェインとその分解産物9種類の濃度が低くなっていることを発見しました。(文献1) この発見により、血液検査でパーキンソン病を高い精度で診断できる可能性があり、将来的には病気の早期発見や新しい治療法の開発に役立つと期待されています。 チョコレートは食べても問題ありませんが、糖分や脂質も含まれているため食べ過ぎや種類には注意し、医師の指導のもと適切な範囲で取り入れましょう。 パーキンソン病については、以下の記事でも詳しく解説しています。 薬を服用している場合は医師に相談 パーキンソン病の治療で薬を服用している場合、チョコレートとの相互作用に注意が必要です。 チョコレートに含まれる成分の一部は、薬の作用に影響する可能性があるといわれています。はっきりした証拠は少ないものの、人によっては血圧が上がるなどの副作用が起こる可能性が否定できません。 また、チョコレートの種類や量によっては、薬の効き方に差が出る場合もあります。 糖尿病などで他の薬を服用している方も含め、日常的にチョコレートを楽しみたいときは、事前に主治医に相談して量やタイミングを確認することが大切です。 食べる量に注意 パーキンソン病の方がチョコレートを食べる際には、摂取量に注意が必要です。 チョコレートには糖分や脂質が多く含まれており、過剰に摂取すると肥満や高血糖、動脈硬化などのリスクが高まる可能性があります。とくに、高齢者は代謝機能が低下しているため、少量でも影響を受けやすいのです。 摂取量に関して医学的に明確な基準はないものの、一般的に1日あたり10〜20g程度の少量を目安にし、過剰摂取を避けると良いでしょう。 医師や栄養士と相談の上で、バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。 チョコレートを選ぶならダークタイプを カカオ含有量が多いダークチョコレートは、一般的に糖分が少ない傾向があるため、栄養管理の面で優れています。 糖分やミルク成分が少ないため、血糖値の急上昇を防ぎやすいのもメリットです。ただし、ダークチョコレート自体に、パーキンソン病の進行を抑える臨床的効果が確立しているわけではありません。 あくまで健康管理を目的に成分表示を確認し、糖質・脂質の摂取量に注目して選ぶと良いでしょう。 パーキンソン病の人が食べてはいけないもの パーキンソン病の方が食べてはいけないものはありません。 ただし、健康維持の観点から摂りすぎに注意したい、避けたほうが良い食材があるので、確認しておきましょう。 動物性脂肪を含む食材 動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれており、炎症を引き起こしやすいとされています。 過剰に摂取すると、神経細胞の酸化ストレスが高まり、ドーパミン神経の働きに悪影響を及ぼす可能性があるのです。たとえば、牛肉の脂身やベーコン、ソーセージ、ラードを多く使った料理などが該当します。 植物性の油脂を活用するなど、脂質の種類にも配慮した食事を心がけましょう。 農薬が残留している食材 農薬が残留した野菜や果物は、神経毒性を持つ物質が含まれている可能性があります。 農薬がパーキンソン病の発症リスクを高めるとの確証はありませんが、長期的に摂取すると神経細胞に悪影響を与える恐れがあるため避けましょう。 とくに、皮付きで食べる果物や輸入野菜には注意が必要です。 食べる際はしっかり洗い、できれば無農薬または有機栽培のものを選びましょう。 低脂肪乳製品 一部の研究では、低脂肪乳製品の摂取とパーキンソン病の発症リスクに関連があるとされています。(文献2) 低脂肪ヨーグルトなどを日常的に摂取する人において、発症リスクがやや高まるという報告があり、摂取量には注意が必要です。 現段階で因果関係は明確ではないものの、乳製品の選択は慎重に行いましょう。 砂糖の多い甘いもの 砂糖を多く含む食品は、血糖値の急上昇や腸内環境の悪化を引き起こし、慢性的な炎症を誘発する要因になります。 砂糖がパーキンソン病の進行を早めるとの明確なエビデンスはありませんが、神経系に悪影響を及ぼし、症状の悪化につながる可能性はゼロではありません。 ケーキやチョコレート、清涼飲料水などを多く摂取する習慣がある場合は、量を控えめにする、食べる回数を減らすなど食生活を見直しましょう。 パーキンソン病の方におすすめのチョコレート以外の食べ物 パーキンソン病の進行を抑えられる食事療法は確立確率されていませんが、健康な状態を維持して症状の軽減を目指すなら食生活の見直しが欠かせません。 ここでは、チョコレート以外で積極的に摂取したい食べ物について、種類ごとに紹介します。 卵・肉・魚・大豆などの高たんぱく食品についても紹介しますが、たんぱく質はパーキンソン病の症状改善に使われる薬、レボドパ(L-DOPA)の吸収を妨げる場合があります。 摂取量や食べ方は、体調や薬の効果を考慮し、医師に相談しながら調整してください。 卵 卵は高品質なたんぱく質のほか、神経伝達物質の合成に必要なビタミンB群などさまざまな栄養素を含んでいる優秀な食材です。 とくにビタミンB12や葉酸は、脳神経の機能維持やホモシステイン(アミノ酸の一種)の代謝に関与し、神経変性の予防効果が期待できます。 また、調理が簡単で消化も良いため、高齢者や嚥下機能が低下している方も安心です。 肉・魚 筋肉の維持や神経伝達に必要なたんぱく質を効率よく摂取するには、肉や魚が有効です。 魚にはオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)が多く含まれており、抗炎症作用や脳機能の改善が期待されます。 赤身の肉よりも、鶏肉や青魚(サバ、イワシ、サンマなど)を選ぶことで、脂質のバランスも良くなるでしょう。 ただし、動物性脂肪の摂りすぎは避け、焼く・蒸すといった調理法の工夫も大切です。 乳製品・大豆製品 カルシウムやたんぱく質の補給源として、乳製品や大豆製品は有用です。 チーズやヨーグルト、豆腐、納豆などは日常的に取り入れやすく、筋肉量の低下を防ぐことにもつながります。 とくに、納豆や味噌には発酵食品としての腸内環境改善効果もあり、便秘予防や免疫機能の調整にも効果が期待できます。 食物繊維を含む食べ物 パーキンソン病の方に多く見られる便秘の改善には、食物繊維の摂取が欠かせません。 野菜、果物、海藻、きのこ、玄米などは食物繊維が豊富で、腸の動きを活発にします。 また、腸内環境を整えることで、腸と脳の関係を通じて神経機能の維持にも関与する効果が期待できます。 毎食に少量ずつバランス良く取り入れ、水分とともにしっかり噛んで食べるのがポイントです。 パーキンソン病の方が注意したい生活習慣のポイント パーキンソン病は加齢や遺伝だけでなく、日々の生活習慣とも関係していると考えられています。 神経細胞の変性やドーパミンの減少に関与するリスクを下げるためには、生活習慣の見直しが欠かせません。 ここでは、パーキンソン病のリスクを下げるために心がけたい生活習慣について解説します。 食事メニューに気を配る 栄養バランスの取れた食事は、神経機能を保つために重要です。 パーキンソン病と関係があるとされる食習慣に明確なエビデンスはありませんが、高脂肪食や糖質過多、農薬残留の多い食材などは避けたほうが良いと指摘されています。 一方、ビタミンB群や抗酸化作用のある食品、オメガ3脂肪酸、良質なタンパク質を含む食材は神経細胞の健康維持に役立つとされています。 青魚、卵、大豆製品、緑黄色野菜、果物、発酵食品などを積極的に取り入れると良いでしょう。 適度に運動する 運動不足は筋力低下や便秘、血流の悪化を招き、パーキンソン病の進行や発症リスクに関与すると考えられています。 適度な運動は体力の維持だけでなく、脳内の神経伝達物質のバランスを整えるのにも有効です。 なかでも、ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレ、ヨガなど無理なく続けられる運動が適しています。 毎日15~30分程度、習慣として体を動かす時間を設けましょう。 ストレスを溜め込まない 慢性的なストレスは自律神経の乱れや睡眠障害を引き起こし、脳に過度な負荷を与えるケースがあります。 パーキンソン病との直接的な因果関係は明確ではありませんが、ストレスが引き金となって症状を悪化させる可能性は否定できません。 趣味の時間を大切にする、家族や友人と会話を楽しむ、深呼吸や瞑想を取り入れるなど、ストレス解消の方法をいくつか用意しておくのがおすすめです。 たっぷり眠る 質の高い睡眠は、脳の疲労回復と神経細胞の再生に関わっているとされています。 睡眠不足が続くと、認知機能の低下や運動機能の不調につながる場合があり、パーキンソン病のリスクを高める要因になりかねません。 寝る前のスマートフォン使用を控える、規則正しい睡眠時間を確保する、就寝前にリラックスする習慣を作るなどを実践し、良質な睡眠環境に整えておきましょう。 アルコールの摂り過ぎに注意 アルコールは中枢神経に作用し、過剰な摂取は神経細胞の機能を損なう恐れがあります。 少量のアルコールであればリラックス効果もありますが、多量の飲酒が習慣化すると、脳の構造や機能に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。 また、アルコールは睡眠の質を低下させたり、服薬中の薬と相互作用を起こすリスクもあります。 日常的に飲酒する場合は量と頻度を見直すと同時に、休肝日を設けることも大切です。 パーキンソン病の症状緩和に「再生医療」という選択肢 パーキンソン病は薬物療法が中心ですが、近年は「再生医療」という治療方法もあります。 再生医療とは、体から採取した幹細胞を培養して投与する治療法で、身体へ戻す幹細胞は患者自身の細胞であるため、拒絶反応やアレルギー反応が起こりにくいのが特徴です。 実際に、京都大学医学部附属病院と京都大学iPS細胞研究所との研究では、パーキンソン病患者に対してiPS細胞由来のドーパミン神経前駆細胞を脳内の被殻に移植し、安全性と臨床的有益性を示唆しました。(文献3) パーキンソン病の症状でお悩みで再生医療をご検討の方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 まとめ|パーキンソン病の方はチョコレートを食べても良いが食べすぎに注意 パーキンソン病の方でも、適量のチョコレートなら心配なく食べられます。 チョコレートによるパーキンソン病に対する効果についてはエビデンスがありませんが、研究は進められています。 過度な期待はせず、嗜好品のひとつとして食べるのは問題ありません。 ただし、チョコレートには糖分や脂質も多く含まれます。過剰な摂取は肥満や生活習慣病のリスクを高めるため注意が必要です。 食べ過ぎに気を付けながら、医師の指導のもと食生活を整えていきましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、パーキンソン病など神経の病気でも研究が進められている「再生医療」を行っております。 公式LINEでは、再生医療に関する情報提供や簡易オンライン診断をご利用いただけますので、ぜひお気軽に登録してみてください。 パーキンソン病の食べ物に関するよくある質問 コーヒーはパーキンソン病の進行に影響しますか? パーキンソン病とカフェイン摂取について研究は進んでいるものの、発症・進行の抑制に明確なエビデンスがあるとはいえないのが現状です。 とくに、就寝前の摂取は睡眠の質を下げるため控え、服薬中は主治医に相談してください。 パーキンソン病リスクとチーズの関係は? パーキンソン病とチーズの関係について、リスクを高めると結論付けた報告はありません。 ただし、低脂肪乳製品の摂取量が多いとパーキンソン病のリスクがわずかに増加するとの報告があります。(文献4) どのような食材でも量と頻度を管理し、全体の食事バランスを整えることが大切です。 パーキンソン病の方はバナナを食べても良いですか? 適量であれば問題ありません。 バナナは食物繊維やカリウムが豊富で、便通や栄養補給にも役立ちます。 ただし、糖質が多いため食べすぎは控え、間食として少量に留めるようにしましょう。 また、パーキンソン病の治療薬を服用している場合、バナナに含まれているビタミンB6が薬の効果を弱めてしまう恐れがあります。 薬を服用している方は、医師に確認しておきましょう。 パーキンソン病とバナナの関係については、以下の記事でも詳しく解説しています。 チョコレートを食べてパーキンソン病が治った人はいますか? チョコレートを食べてパーキンソン病が治癒したというエビデンスは、現時点でありません。 あくまで食事は治療を補助する位置づけであり、治療は医師の診療計画に基づく点に留意しておきましょう。 参考文献 (文献1) 医療・健康|順天堂大学 (文献2) Intake of dairy foods and risk of Parkinson disease|PubMed (文献3) 「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」において安全性と有効性が示唆|京都大学医学部附属病院 (文献4) Does Consuming Low-Fat Dairy Increase the Risk of Parkinson's Disease?|American Academy of Neurology
2025.12.13 -
- 脳卒中
- 頭部
「ウェルニッケ野とブローカ野の役割の違いは?」 「失語症の症状の違いは?」 「失語症の方との関わり方やリハビリについて知りたい」 ウェルニッケ野は、耳から入った言葉を理解する役割を担っています。一方、ブローカ野は、言葉を発することが役割です。この脳の部位が脳梗塞や脳出血により障害されると失語症を引き起こします。 本記事では、ウェルニッケ野とブローカ野の役割の違いをはじめとして、以下を解説します。 失語症の症状の違い 失語症の原因となる病気 失語症が患者様にもたらすもの 失語症に対するリハビリ 失語症の方との関わり方 失語症の方は、コミュニケーションが困難になり、苛立ちや不安などさまざまな精神的苦痛を感じます。そのため、サポートをする周囲の方の失語症に対する理解は重要です。本記事を失語症の理解を深めるためにお役立てください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 脳梗塞や脳出血の後遺症でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ウェルニッケ野とブローカ野の役割の違いとは ウェルニッケ野とブローカ野の役割の違いは以下の通りです。 役割 ウェルニッケ野 耳から入った言葉を理解するための役割 ブローカ野 組み立てられた言葉を発するための役割 それぞれの役割の違いについて解説します。 ウェルニッケ野|言葉を理解するための役割 ウェルニッケ野は、耳から入った言葉を理解する役割を担っています。場所は脳の左側後方辺りです。 耳に入った言葉は聴神経(耳と脳をつなぐ神経)から聴覚中枢(音を認識、識別する脳の領域)を経て、ウェルニッケ野に伝達されます。耳から入った言葉の理解だけでなく、自分の考えを言葉として組み立てる役割もあります。 ブローカ野|言葉を発するための役割 ブローカ野は、組み立てられた言葉を話せるようにする役割を担っています。場所は脳の左前方辺りです。 会話をしようとすると、ウェルニッケ野が元となる言葉を組み立て、その後に組み立てられた言葉がブローカ野に伝達されます。そして、ブローカ野が言葉を発するために必要な運動を発語器官の筋肉に伝達させて、会話をできるようにします。 ウェルニッケ失語症とブローカ失語症の症状の違いとは ウェルニッケ失語症とブローカ失語症の主な症状の違いは以下の通りです。 症状 ウェルニッケ失語症 相手の話す言葉を理解できない ブローカ失語症 すらすらと話せない それぞれの失語症について解説します。 ウェルニッケ失語症|相手の話す言葉を理解できない ウェルニッケ失語症は、会話を理解する過程に障害が起きています。 以下のような症状が現れます。 相手の言っていることが理解できない 流暢に話すことはでき多弁であるが言い間違いが多い 自分の言葉を理解しないで話してしまう 会話を理解できず言い間違いが多いため、会話がかみ合いにくくなる特徴があります。例えば、「ラーメンを食べたい」と言いたいところを「お箸を食べたい」と言ってしまうなどです。聞いたことのない日本語を話してしまうこともあります。 軽度の方でも、複雑な会話を理解することは困難です。重度の方は、日常会話の意思疎通が難しくなります。ウェルニッケ失語症は、感覚性失語とも呼ばれています。 ウェルニッケ失語症に関する詳細は以下の記事をご覧ください。 ブローカ失語症|すらすらと話せない ブローカ失語症は、言葉を発する過程に障害が起きています。 以下のような症状が現れます。 流暢に話すことができずぎこちなくなる 話そうとしてもなかなか言葉が出てこない 言葉のはじめの音がとくに出しにくい 相手の言葉はある程度理解できます。軽度の方は、文章で話すことができますが、会話のスピードはゆっくりで発音は不明瞭です。重度の方は、単語レベルでの発話は可能な場合もありますが、文章を組み立てて話すことが困難です。 ウェルニッケ失語症とブローカ失語症の原因となる病気 失語症の原因となる病気には以下のようなものがあります。 病名 特徴 脳梗塞 脳の血管が詰まってしまう病気 脳出血 脳の血管が破れてしまう病気 脳腫瘍 脳の細胞に腫瘍ができてしまう病気 脳外傷 交通事故や転倒などの強い衝撃により、脳に損傷が起きてしまった状態 脳炎 細菌やウイルスが脳の中に入り込み炎症が起きてしまう病気 これらの病気によって、ウェルニッケ野やブローカ野が障害されてしまうと、失語症を引き起こしてしまいます。 脳卒中の後遺症に対する再生医療 失語症の原因となる脳卒中(脳梗塞や脳出血)の後遺症に対する治療法の1つに、再生医療があります。再生医療とは、人が本来持っている「再生する力」を活用した治療方法です。 失語症などのコミュニケーション障害も治療対象になっています。その他にも、以下のような後遺症が治療対象です。 歩行や立ち上がりの能力の低下 手足のしびれや麻痺 関節や筋肉の痛み 脳卒中の後遺症や再発予防についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 失語症が患者様にもたらすもの ウェルニッケ失語症やブローカ失語症を発症してしまうと、患者様に以下のようなことがもたらされます。 他者とのコミュニケーションが困難になり、苛立ちや不安感など精神的な苦痛が発生する 読書やカラオケ、映画鑑賞などの趣味の活動による生きがいを喪失する 失語症を発症した方には、残っている能力でできるコミュニケーション方法の獲得や生きがい作りなどのサポートが必要です。 ウェルニッケ失語症やブローカ失語症に対するリハビリプログラム ウェルニッケ失語症やブローカ失語症に対するリハビリは、一般的に以下のような流れで進みます。 失語症の程度や症状を把握する 標準失語症検査を行う 症状に合わせたリハビリを行う それぞれの詳細を解説します。 1.失語症の程度や症状を把握する 脳梗塞・脳出血後にリハビリを開始する際は、言語聴覚士がベッドサイドでコミュニケーションを行い、失語症の程度や症状を把握します。 また、可能であれば以下のような簡易的な検査を実施します。 年齢や氏名、住所などを呼称できるか 単語や短文の復唱はできるか 指示した通りの動作はできるか 言語聴覚士は、これらの検査や患者様との関わりを通して今後のリハビリの方針を検討します。 2.標準失語症検査を行う 患者様の病状が安定して、車椅子に一定時間座れるようになった場合は、言語室に場所を移してリハビリを行います。患者様の状態によりますが、可能であれば標準失語症検査を行い失語症の状況を確認します。 標準失語症検査とは「聞く、話す、読む、書く」のそれぞれの分野に分けて、系統的・段階的に評価する検査です。 例えば、「話す」の分野では、「物の名前を述べる」「描いた絵を説明する」「漫画の説明を行う」などの検査を行い「話す」能力を評価します。 3.症状に合わせたリハビリを行う 検査を実施して、失語症の程度を把握できたら、症状に合わせたリハビリを行います。 リハビリの一例を紹介すると以下のようなものがあります。 訓練の種類 詳細 話す訓練 ・絵が描いてあるカードを見て、対応する単語を述べる ・単語から文章を話す ・文字を見て文章を読む 聞く訓練 ・聞いた単語や短文に対応するカードを選ぶ ・難しい単語への変更、カードの枚数の増減などで難易度を調整する 文字を理解する訓練 ・漢字や仮名、文章を読み対応するカードを選ぶ ・問題を解く 文字を書く訓練 ・名前や漢字の単語、仮名の単語など身近な文字を書く ・徐々に文章を書く訓練に移行する 失語症のリハビリは、あせらずにゆっくりと取り組むことが大切です。 ウェルニッケ失語症やブローカ失語症の方との関わり方 失語症の方と関わる際は、以下のことに注意してください。 症状 関わり方 話す障害 ・「はい」「いいえ」で答えられるような会話をする ・話し出しが遅れるためせかさない ・「○○のことですか?」と適当なタイミングで言葉を引き出す ・質問カードなどを作成しておく 聞く障害 ・言葉だけでなく、身振りや手振りを加えて話す ・イメージできるイラストや物を活用して話す ・急に話題を変えない 読む障害 ・漢字ではなくひらがなを使う ・図を用いてイメージしやすくする 全体を通してあせらずゆっくりとコミュニケーションをとることが大切です。 ウェルニッケ野とブローカ野以外の失語症 ウェルニッケ野とブローカ野以外にも以下のような失語症があります。 失語症の種類 特徴 健忘性失語 相手の話の理解はでき、口頭でのコミュニケーションもよくできるが、物の名前が出てこないため回りくどくなる 伝導失語 相手の話している言葉は理解できるが、復唱(真似して言うこと)に障害があり「話す」「書く」際にも誤りが出る 全失語 相手の言葉をほとんど理解できず、声を発することも困難で、できたとしても一語程度である まとめ|それぞれの失語症の特徴に応じたリハビリに取り組もう ウェルニッケ失語症は「相手の話す言葉を理解できない」、ブローカ失語症は「すらすらと話せない」のが特徴です。リハビリは「聞く、話す、読む、書く」それぞれ症状に応じて進めて行きます。 失語症を発症すると、コミュニケーションが困難になり、苛立ちや不安感など精神的な苦痛が発生します。失語症の方と関わる際は、これらの特徴を踏まえて「簡潔に答えられる会話をする」「ジェスチャーを交えて会話をする」などの工夫をして、コミュニケーションを取ることが重要です。 医師や言語聴覚士と相談しながら、その方に応じたリハビリを行い、残った能力でコミュニケーション方法を獲得しましょう。 脳卒中の後遺症改善や再発予防には、再生医療という選択肢もあります。詳しくは当院「リペアセルクリニック」にお気軽にご相談ください。
2025.12.13 -
- 脳卒中
- 頭部
「ウェルニッケマン肢位の上肢や下肢の特徴は?」 「日常生活にどのような影響がある?」 「効果的な治療方法やリハビリの内容を知りたい」 ウェルニッケマン肢位とは、上肢と下肢が異常な姿勢になる症状のことです。脳梗塞や脳出血を発症したあとに後遺症として起きる場合があります。 本記事では、ウェルニッケマン肢位の特徴をはじめとして以下を解説します。 日常生活への影響 原因となる病気 治療方法 リハビリテーション ウェルニッケマン肢位は、早期に適切な治療やリハビリを進めることが大切です。関節が固まってしまい元に戻らなくなるおそれがあるためです。本記事を参考にして、適切な治療やリハビリの選択に役立ててください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 脳梗塞や脳出血の後遺症でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ウェルニッケマン肢位とは?上肢と下肢の特徴 ウェルニッケマン肢位(Wernicke-Mann肢位)とは、脳卒中などを発症したあとに起きる場合がある後遺症のことです。 ウェルニッケマン肢位を引き起こすと、体の片側の上肢と下肢が以下のような特徴的な状態になります。 ウェルニッケマン肢位の特徴 上肢 ・肩関節や前腕が内側に入り込んだ状態になる ・肘関節と手首が曲がり胸の辺りにくる ・こぶしを握った状態になる 下肢 ・股関節が内側を向いた状態になる ・膝関節が過剰に伸びた状態、または曲がった状態になる ・足首が下向きに突っ張り、つま先立ちのような状態になる ・足の指の第一関節が曲がった状態になる このような筋肉が緊張して硬くなる状態を痙縮(けいしゅく)といいます。ウェルニッケマン肢位は痙縮の中の1つです。 痙縮が進行すると関節の動きが固まってしまい、元に戻らなくなる拘縮(こうしゅく)という状態になるおそれがあります。脳卒中の患者様118万人のうち、41万人が痙縮の後遺症を引き起こしているとの報告があります。(文献1) ウェルニッケマン肢位が引き起こす日常生活への影響 ウェルニッケマン肢位を引き起こすと、以下のように日常生活へ影響をきたします。 体の片側が緊張しているため衣服の脱ぎ着や体を洗うことが困難になる 手を握りこんでいるため物がつかみにくい 手を握りこんでいるため爪が切れず手も洗いにくい 足が突っ張っているため歩行が難しく転倒のリスクがある 筋肉の緊張により痛みが現れ動作の妨げや夜間不眠の原因になる 以上のような影響により、患者様の生活の質が低下してしまいます。また、本人だけでなく、介護者の心身の負担も増えてしまいます。 ウェルニッケマン肢位を引き起こす病気 ウェルニッケマン肢位を引き起こす病気には、以下のようなものがあります。 病名 特徴 脳卒中 脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳に障害が起きる病気 脊髄損傷 交通事故などの強い衝撃により脊髄が損傷した状態 重度頭部外傷 頭部に強い衝撃を受けて、脳に損傷が起きる外傷 脳性麻痺 胎児のときから生後4週間までに発生した脳の損傷による運動障害 多発性硬化症 神経を覆っている膜のようなものが、炎症などによってむき出しになってしまう病気 脳卒中の後遺症に対する再生医療 脳卒中の再発予防や後遺症、または脊髄損傷に対する治療法として再生医療という選択肢があります。再生医療とは、人が本来持っている「再生する力」を活用した治療方法です。 例えば、以下のような後遺症が治療の対象になります。 手足のしびれや麻痺 感覚障害 筋力低下 関節や筋肉の痛み 言語機能の低下 嚥下機能の低下 注射や点滴で治療が行われるため、手術が不要というメリットもあります。当院「リペアセルクリニック」では、ウェルニッケマン肢位の原因となる脳卒中や脊髄損傷に対して再生医療を行っています。 当院で行っている再生医療については、以下の症例を参考にしてください。 【症例記事】 運動機能、言語機能ともに改善! 脳梗塞・脳出血・硬膜下血腫 80代男性 投与直後から歩容改善 頚椎症性脊髄症 70代男性 ウェルニッケマン肢位の治療方法 ウェルニッケマン肢位などの痙縮に対する治療は、主に筋肉の緊張を和らげるために行います。 治療方法には以下のようなものがあります。 治療方法 詳細 薬物療法 筋肉の緊張を和らげる筋弛緩剤(きんしかんざい)の服用 ボツリヌス療法 筋肉の緊張を和らげるボツリヌス製剤の投与 装具療法 装具による患側(かんそく:症状が出ている側)への負荷の軽減 手術療法 足の突っ張りや足の指の変形に対する直接矯正 それぞれの治療方法を詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法では、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩剤を服用して治療を行います。初期治療として選択されることが多いです。症状に応じて、複数の薬を組み合わせることもあります。 筋弛緩剤の主な副作用は眠気や脱力感、飲み込みにくさなどです。副作用が出ないように少量から服用を始める必要があります。 ボツリヌス療法 ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作るたんぱく質を活用した治療方法です。痙縮が強い部位にボツリヌス菌が含まれた注射をすることで、筋肉の緊張を和らげることが可能です。 注射の効果は、投与してから約10日後に始まり、約1〜2カ月で効果が最も高まります。約3カ月経過すると効果が弱まります。主な副作用は脱力感です。 治療費が高額であるため、多くの部位に投与する場合は、医療費助成制度等を活用できるかの確認を推奨します。 装具療法 ウェルニッケマン肢位などの痙縮は、足底などの特定の部位に体重がかかると悪化するおそれがあります。装具を用いることで、特定の部位に体重がかからないようにして、痙縮の悪化を抑えます。 装具単体の治療では限界があるため、その他の療法と組み合わせて治療を進めることが一般的です。また、患側の筋肉を伸ばしたり、安定させたりすることで、余計な緊張が起きないようにする役割もあります。 手術療法 手術療法は、筋肉が固まってしまい既存の治療方法では効果が不十分な場合に検討します。足の突っ張りや足の指の変形を直接矯正する治療方法などがあります。 手術を検討するには、以下のような条件を満たさなければなりません。 拘縮等が起きていない 手術前に歩行訓練ができている 術後であっても症状は悪化する場合があります。装具療法の継続や定期的なボツリヌス療法なども必要です。 ウェルニッケマン肢位のリハビリテーション リハビリテーションは、主に筋力増強や拘縮予防のために行います。痙縮に対するリハビリは、発生したその日からベッドサイドで関節を動かす訓練を始めることが大切です。 起立に耐えられる状態である場合は、以下のような器具を用いたリハビリの実施を検討します。 リハビリ器具名 詳細 ティルトテーブル 寝たままの状態で徐々に立位姿勢にできる器具 スタンディングテーブル 立位姿勢をサポートする器具 これらの器具を用いたリハビリは、膝や股など各関節をゆっくりとストレッチできます。その結果、関節を動かせる範囲の維持・向上の効果を期待できます。 まとめ|ウェルニッケマン肢位の治療は医師と十分に相談しながら進めよう ウェルニッケマン肢位の治療方法は多岐にわたります。筋肉の緊張から拘縮に移行させないためにも、早期に適切な治療やリハビリを始めることが重要です。 症状の程度によって治療方針が決定します。初期治療の多くは筋弛緩剤を服用する薬物療法です。既存の治療では効果が見られない場合は、足の突っ張りや足の指の変形に対する手術療法も検討します。 ボツリヌス療法も効果的ですが、高額な治療となるため、医療費助成制度等を利用できるかの確認をしましょう。ウェルニッケマン肢位の治療は、医師と本人、家族と十分に相談しながら進めてください。 脳卒中の後遺症や脊髄損傷の治療法として、再生医療という選択肢もあります。再生医療について詳しくは、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にご相談ください。 ウェルニッケマン肢位に関するよくある質問 歩行はできるようになる? 症状の程度によっては歩行可能です。ウェルニッケマン肢位のような痙縮が起きると、歩行は不安定になり転倒リスクがあります。歩行能力を維持・向上するには、早期から杖や装具を活用した歩行の訓練を取り入れることが重要です。 症状はリハビリなどで改善する? リハビリを適切に取り入れれば、痙縮で行えなかった動作を獲得できる場合があります。また、リハビリは関節の動く範囲や、筋力の維持・向上のために重要な療法です。 参考文献 (文献1) 脳卒中後痙縮のリハビリテーションとボツリヌス治療|浜松市リハビリテーション病院
2025.12.13 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「エアコンをつけるとなぜか頭が重くなる」 「こめかみがズキズキする」 このような経験はありませんか。 エアコン使用時の頭痛は、多くの方が抱える悩みです。ただ、適切な対処をすれば症状の軽減が期待できます。 本記事では、エアコンで頭痛が起こる根本的な原因から、冷房と暖房それぞれの症状の違い、即効性のある対処法や生活習慣での改善方法まで詳しく解説します。 エアコン頭痛のメカニズムを正しく理解し、自分に合った対策を実践して、快適な室内環境を取り戻しましょう。 なお、頭痛の背景には自律神経の乱れから進行する重篤な疾患が潜んでいるケースも存在します。当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の再発予防などを目的として、再生医療を提供しています。 「セルフケアで治らない頭痛」や「重篤な疾患の可能性について気になる」という方は、再生医療について情報を発信している当院の公式LINEにご登録ください。 エアコンで頭痛が起こる最大の原因は「自律神経の乱れ」 エアコンによる頭痛の根本原因は、自律神経の乱れにあります。自律神経とは、体温調節や血圧、心拍数などを意思とは無関係にコントロールしている神経系です。 室内と屋外の温度差が大きくなると、自律神経は頻繁に体温調節を行わなければなりません。たとえば、猛暑の屋外から冷房の効いた室内に入ると、急激に体温が下がります。その後、再び外に出れば今度は体温が急激に上昇します。 この温度変化への対応が1日に何度も繰り返されることで、自律神経は疲労し、調節機能が乱れてしまいます。結果的に、血管の収縮・拡張のバランスが崩れ、頭痛が引き起こされるのです。 また、自律神経の乱れは頭痛だけでなく、全身の倦怠感、肩こり、めまいなどの症状も併発します。これらは「自律神経失調症」の初期症状とも共通しており、放置すると日常生活に支障をきたす場合もあります。 エアコンによる頭痛や、その他の体調不良を根本から解決するためには、自律神経を整えることが何より重要です。 エアコン頭痛は冷房と暖房で症状が異なる エアコン頭痛には、冷房と暖房それぞれで異なるメカニズムがあります。具体的には、以下2つのタイプに分けられます。 冷房による「冷え」からくる頭痛 暖房による「乾燥・酸欠」からくる頭痛 それぞれの特徴を詳しく解説します。 冷房による「冷え」からくる頭痛の原因 冷房による頭痛は、主に体の冷えが原因で起こります。 冷たい空気に長時間さらされると、血管が収縮して血流が悪くなりやすいです。とくに首や肩の筋肉が冷えると、筋肉が緊張して硬くなり、周辺の血管や神経を圧迫します。結果的に、後頭部から首筋にかけて締めつけられるような痛みを生む「緊張型頭痛」が起こります。 また、体温が低下すると、脳への血液供給も減少しやすいです。脳が十分な酸素や栄養を受け取れなくなると、「頭が重い」「ぼんやりする」といった症状が現れます。 さらに、過度な冷房によって体温調節を頻繁に行わなければならないため、自律神経が過労状態になります。自律神経が過労状態になると、慢性的な頭痛や倦怠感につながるのです。 デスクワークなどで同じ姿勢を長時間続けながら冷房にあたっていると、筋肉の緊張と冷えが重なり、頭痛がより悪化しやすくなります。 暖房による「乾燥・酸欠」からくる頭痛の原因 暖房による頭痛は、冷房とは異なるメカニズムで起こります。主な原因は、以下の3つです。 血流過多によるのぼせ 乾燥による脱水 換気不足による酸欠 血流過多によるのぼせ 暖房の設定温度が高すぎたり、暖気に長時間当たりすぎたりすると、体が過度に温まり、血管が拡張しすぎて血流が過剰になります。これが「のぼせ頭痛(血行性の頭痛)」です。 「頭がボーッとする」「顔がほてる」「こめかみがズキズキ脈打つ」などの症状が特徴です。 乾燥による脱水 暖房を使うと室内の湿度が急激に下がり、空気が乾燥します。乾燥した環境では、皮膚や呼吸から知らず知らずのうちに水分が失われ、軽度の脱水症状に陥りやすくなります。 体内の水分が不足すると、血液の濃度が高くなり、血流が悪化して頭痛や倦怠感を感じやすいのです。 換気不足による酸欠 密閉された室内で暖房を長時間使い続けると、酸素濃度が徐々に低下します。換気が不十分な状態では、脳への酸素供給が不足し、頭痛や集中力の低下、眠気などの症状が現れます。 この症状は「酸欠型頭痛」とも呼ばれ、とくに密室でのデスクワークや就寝中に起こりやすい症状です。 エアコン頭痛がつらいときの応急処置や治し方 エアコン頭痛が起きてしまったときは、すぐに実践できる対処法で症状を和らげましょう。ここでは、即効性が期待できる方法を紹介します。 効果的な応急処置として、以下の2つを試してみてください。 頭痛に効くツボを押して血流を促す 肩まわりのマッサージで血流を促す それぞれ詳しく解説します。 頭痛に効くツボを押して血流を促す ツボ押しは、血流を改善し、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。以下のツボを、心地良いと感じる程度の強さで5秒ずつ押しましょう。 ツボ名 位置 押し方 効果 頷厭(がんえん) こめかみの髪の生え際付近 両手の人差し指で左右同時に円を描くように押す 緊張型頭痛、こめかみの痛みに効果的 風池(ふうち) 後頭部の髪の生え際、首の中心から左右に指2本分外側のくぼみ 親指を当てて頭を支えるように押す 首や肩のこりからくる頭痛に有効 三陰交(さんいんこう) 足の内くるぶしから指4本分上、すねの骨の内側 親指でやや強めに押す 冷え性や自律神経の乱れに働きかける ツボ押しは無理のない範囲で行い、痛みが強い場合や症状が悪化する場合は中止してください。 肩まわりのマッサージで血流を促す エアコンによる頭痛を感じた場合は、肩や首の筋肉の緊張を和らげると、症状の軽減が期待できます。エアコンの冷えで筋肉が強ばり、肩こりや頭痛が起こっている方にはとくに効果的です。 ここでは、肩こり解消のツボとして有名な肩井(けんせい)のマッサージを紹介します。肩井は、首の付け根と肩先の中間にあります。 具体的な手順は、以下のとおりです。 反対側の手で肩井に手を置く 親指とその他4指で肩を挟むように揉む 心地良いと感じる強さで5〜10秒ほど続ける 反対側の肩も同様に行う マッサージは、入浴後などの体が温まっているときに行うとより効果的です。強く押しすぎると逆効果になるため、心地良いと感じる強さで行いましょう。 なお、吐き気を伴う強い頭痛などの場合は、別の原因が考えられます。以下の記事では、吐き気を伴う頭痛の対処法などを解説していますので、ぜひ参考にしてください。 エアコン頭痛は生活習慣で改善を目指せる エアコン頭痛を根本から改善するには、自律神経を整える生活習慣が欠かせません。日常生活に取り入れやすい方法を紹介します。 具体的には、自律神経のバランスを整えるために、以下3つの習慣を実践しましょう。 生活リズムを一定に保つ 入浴習慣で体を温める 軽い運動やストレッチをする それぞれの方法を詳しく解説します。 生活リズムを一定に保つ 自律神経は、体内時計と密接に関係しています。起床時間と就寝時間を毎日同じにすると、体内時計が安定し、自律神経のバランスが整いやすくなります。結果的に、自律神経のバランスが乱れにくくなり、エアコンによる頭痛を予防しやすいのです。 また、とくに重要なのが、朝日を浴びる習慣です。朝日を浴びると、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の分泌が促されます。セロトニンは自律神経を安定させる働きがあり、日中の活動力を高め、夜の良質な睡眠にもつながりやすいです。 毎日決まった時間に就寝・起床し、体内時計を安定させ、自律神経を整えましょう。 入浴習慣で体を温める ぬるめのお湯(38〜40℃)に10〜15分ほど浸かる習慣は、自律神経のうち、心身の回復や休息をつかさどる「副交感神経」を優位にします。 副交感神経が優位になると、血管が拡張して全身の血流が良くなり、冷えた体が芯から温まります。また、筋肉の緊張もほぐれるため、肩こりや首のこりからくる頭痛の予防にも効果的です。 なお、入浴のタイミングは就寝の1時間前がおすすめです。入浴で上がった体温が徐々に下がっていく過程で、自然な眠気が訪れ、質の高い睡眠につながります。 軽い運動やストレッチをする 朝や日中に行うウォーキングやストレッチは、交感神経を適度に刺激し、身体を活動モードへ移行させます。全身の血流が改善し、脳への酸素供給が増えるため、頭痛や倦怠感の軽減につながります。 おすすめは1日20〜30分程度のウォーキングです。ただし、無理のない運動で構わないので、継続しやすい点を重視しましょう。 また、デスクワーク中に首や肩を軽く回すストレッチを取り入れるだけでも、筋肉の緊張を緩和し、頭痛予防に役立ちます。 継続して運動やストレッチを取り入れると自律神経が安定し、エアコン使用時の温度差にも適応しやすい身体づくりにつながります。 エアコン頭痛を防ぐための基本的な対策 エアコンによる頭痛は、「エアコンの使い方」を工夫するだけでも十分予防できます。ここでは、日常生活で取り入れやすい対策を紹介します。 具体的な対策は、以下の3つです。 室内温度と湿度を適正に保つ 風向きを調整して体に直接風を当てない こまめに換気する 具体的な方法を解説します。 室内温度と湿度を適正に保つ 自律神経への負担を減らすには、室内と屋外の温度差を4〜6℃以内に抑えることが理想です。 冷房の場合、外気温が32℃であれば、室内温度は25〜27℃程度に設定します。暖房の場合は、外気温が15℃であれば、室内温度は20〜22℃程度が適切です。 ただし、冬場に外気温が極端に低い場合(たとえば外気温が8℃のとき)は、室内が寒くなりすぎてしまいます。このような場合は、無理に温度差を守るのではなく、室内温度を20℃前後に保ち、外出時には上着を羽織るなどして、外気温との急激な変化に体を慣らす工夫をしましょう。 また、湿度は40〜60%に保つと快適に過ごせます。湿度が低すぎると乾燥による頭痛が起こりやすく、高すぎるとカビの発生や不快感につながります。 風向きを調整して体に直接風を当てない エアコンの風が直接体に当たると、局所的に冷えすぎて血行が悪化します。とくに首、肩、頭部に風が当たり続けると、筋肉が緊張し、頭痛の原因になります。 風向きは、上向きまたは壁向きに設定しましょう。冷気は下に、暖気は上に溜まる性質があるため、意識しながら風向きを調整すると室内の空気が自然に循環し、体への直接的な影響を減らせます。 こまめに換気する 密閉された室内でエアコンを長時間使い続けると、酸素濃度が低下して頭痛を引き起こします。1時間に1回、5分程度の換気を習慣にしましょう。 また、換気が必要かどうかは、二酸化炭素濃度測定器を使うと簡単に判断できます。家庭用の測定器は比較的安価で購入でき、二酸化炭素濃度が高くなると音やアラームで知らせてくれます。 換気の目安は以下のとおりです。 1,001〜1,500ppm:定期的に窓を開けて換気する 1,501〜2,000ppm:倦怠感や眠気が出やすい数値。すぐに換気を 2,001ppm以上:頭痛や吐き気のリスクあり。換気を徹底する なお、換気のタイミングでは、窓を対角線上に2カ所開けると、効率よく空気が入れ替わります。 まとめ|エアコン頭痛は適切な対処で予防しよう エアコンによる頭痛の根本原因は、寒暖差による自律神経の乱れです。冷房では「冷え」、暖房では「乾燥・酸欠」と、それぞれ異なるメカニズムで頭痛が起こります。頭痛が起きたときは、ツボ押しやマッサージで血流を改善し、症状を和らげましょう。 また、生活リズムを整え、入浴や軽い運動を習慣化すると、自律神経が安定し、頭痛が起こりにくい体質に変わっていきます。 加えて、エアコンの設定温度や風向き、換気にも気を配り、快適な室内環境維持も意識しましょう。本記事で紹介した対策を実践して、エアコンを上手に活用しながら、頭痛のない生活を手に入れてください。 「エアコンによる体調不良が治らない方」や「ひどい頭痛でお悩みの方」は、別の原因も考えられます。当院の公式LINEでは、簡易オンライン診断を実施しています。お気軽にご登録いただき、利用してみてください。 エアコン頭痛に関するよくある質問 エアコンのカビや汚れが頭痛の原因になるのはある? 結論からいうと、エアコン内部のカビやホコリが頭痛の原因になる可能性はあります。 エアコンのフィルターや内部に蓄積したカビやホコリは、運転中に空気と一緒に室内に放出されます。これらの微粒子が呼吸によって体内に入ると、鼻やのどの粘膜を刺激し、アレルギー反応や炎症を引き起こすことがあります。 その結果、鼻づまりや鼻炎が悪化し、呼吸が浅くなって酸素不足から頭痛が起こる場合があります。また、カビの胞子によるアレルギー反応自体が、頭痛や倦怠感の原因になるケースも少なくありません。 予防策として、定期的にエアコンフィルターを掃除し、1~2年を目安に専門業者による内部クリーニングを行うことをおすすめします。 エアコン頭痛にはどんな薬が効く?ロキソニンやイブは使っていい? エアコン頭痛による一時的な痛みには、市販の鎮痛薬も選択肢の一つです。 ロキソニン(ロキソプロフェン)やイブ(イブプロフェン)などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、頭痛の痛みを和らげる効果があります。緊張型頭痛やのぼせによる頭痛にも効果が期待できます。 ただし、鎮痛薬はあくまで対症療法であり、根本的な原因を解決するものではありません。薬を飲むだけでなく、本記事で紹介した自律神経を整える生活習慣や、エアコンの適切な使い方を併せて実践しましょう。
2025.12.13 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「冬になると頭痛が増える」「外に出るとこめかみがズキッと痛む」などの経験はありませんか。 寒さで血管が急激に変化したり、筋肉がこわばったり、自律神経が乱れたりすると、頭痛が引き起こされることがあります。 とくに片頭痛や緊張型頭痛を抱えている方には、冷えが頭痛の誘因になるケースも多いでしょう。 この記事では、寒いときに起こる頭痛の原因やタイプ別の特徴、日常でできるセルフケア、そして注意が必要な症状について詳しく解説します。 不調が続く方は、リペアセルクリニックの公式LINEもご活用ください。 気になる症状があったときに、気軽に相談が可能です。まずはお気軽に登録してご活用ください。 【なぜ?】寒いと頭痛が起こる3つの原因 寒い日に頭が痛くなるのは、単なる気のせいではありません。 冷たい空気や風、氷などに触れると、頭や顔まわりに「寒冷刺激(寒さ・冷たさによる刺激のこと)」が加わります。 すると血管や神経が反応して頭が痛くなることがあるのです。(文献1) 詳しくはまだ解明されていない部分もありますが、主に以下3つのメカニズムが関わっていると考えられています。 寒さで血管が急激に収縮・拡張する 首や肩の筋肉が冷えて緊張する 寒暖差や冷えで自律神経が乱れる それぞれの原因について、順番に解説します。 寒さで血管が急激に収縮・拡張する 私たちの血管は、気温にあわせて収縮・拡張する性質があります。 寒い場所から暖かい場所へ移動した際に起こる血管の急激な変化は、脳の血管を取り巻く「三叉神経(さんさしんけい)」への刺激となりえます。(文献2) 刺激を受けた三叉神経は、痛みの感受性を高めてしまうため、普段なら問題ないような血管の変化でも頭痛として感じられてしまうのです。 外出時や室内に入った時に頭痛を感じやすい方は、この血管と神経の反応が関係している可能性が考えられます。(文献3) 首や肩の筋肉が冷えて緊張する 寒さにさらされると、首や肩の筋肉は無意識に力が入り、こわばりやすくなります。 筋肉の緊張が続くと、痛みを起こす物質が放出されて神経が過敏な状態になります。 その結果、痛みを感じやすくなり、普段は感じないような弱い刺激でもこめかみや後頭部に痛みが生じるのです。(文献4) 首こりからくる頭痛やめまいについては以下の記事でも解説しているので、あわせてチェックしてみてください。 寒暖差や冷えで自律神経が乱れる 自律神経の乱れも、頭痛の原因の一つです。 私たちの体温は、自律神経によって無意識に調整されています。 しかし、寒暖差が大きすぎたり、冷えが続いたりすると、自律神経が過剰に働いて疲弊してしまいます。 これを「寒暖差疲労」といい、エネルギーを多く消耗することで、頭痛・肩こり・倦怠感などの不調を引き起こすのです。(文献5) 寒さで起こる頭痛の種類 寒さによる頭痛は、以下の2種類に分類されます。 片頭痛|ズキズキ・吐き気を伴う 緊張型頭痛|締めつけられるような痛み 本章をもとに、それぞれの頭痛の症状や原因を整理しておきましょう。 片頭痛|ズキズキ・吐き気を伴う 片頭痛は、頭の片側にズキズキと拍動するような強い痛みが出る頭痛です。 吐き気や、光・音に対する過敏さを伴うこともあり、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。(文献6) 気圧や気温の変化、寝不足やホルモンバランスの変化など、さまざまな要因が引き金になり、寒暖差もその一つです。(文献7) 吐き気を伴う頭痛については、こちらの記事もご覧ください。 緊張型頭痛|締めつけられるような痛み 緊張型頭痛は、後頭部や側頭部が締めつけられるような痛みが特徴です。 長時間のデスクワークやストレス、姿勢の悪さなどが原因ですが、寒さで筋肉がこわばることも頭痛があらわれるきっかけとなります。 ストレッチやマッサージなどで筋肉をほぐすと症状の軽減が期待できることも、緊張型頭痛の特徴です。(文献8) 寒いと頭痛がするときの対処法・セルフケア 寒さによる頭痛は、日常生活の中でできる工夫で予防・緩和できる場合があります。 こちらの記事でも頭痛の対処法を紹介しているので併せてご覧ください。 寒さや寒暖差を避ける 外出時はマフラーやニット帽を活用し、首や頭を冷やさないようにしましょう。 とくに首・手首・足首のいわゆる「三首」は太い血管が通っており、ここを温めると全身を効率よく温められます。(文献9) また、室内外の温度差が大きくならないよう、エアコンや衣服の調整でこまめに対応しましょう。 温かい飲み物や入浴などで体を温める 体の内側から温めることも、冷え対策として有効です。 根菜・生姜などを含む体を温める食事や温かい飲み物は、血流改善に効果的です。 また、湯船にゆっくり浸かると全身の筋肉がほぐれ、自律神経のバランスも整いやすくなります。 ただし、片頭痛の発作中に体を温めると、かえって痛みが悪化することがあります。発作中は無理をせず、静かな場所で休むようにしましょう。(文献1) ストレッチや深呼吸で筋肉と神経をゆるめる 首・肩のストレッチや深呼吸は、筋肉のこわばりを和らげ、自律神経の安定にも役立ちます。(文献5) 短時間でも良いので、こまめに体を動かす時間をとるようにしましょう。 肩甲骨まわりの軽い体操や、深い呼吸を意識するだけでもリラックス効果があります。 具体的なストレッチ方法については、こちらの記事も参考にしてください。 寒さで起こる頭痛と脳の病気の見分け方 寒さによる頭痛は比較的軽度なことが多いのですが、なかには重大な病気が隠れていることもあります。 以下のような症状がある場合は、すみやかに医療機関を受診してください。 突然、これまでにない激しい頭痛が起こった 高熱や嘔吐を伴っている 手足のしびれやまひがある 視野の異常やろれつが回らないといった神経症状がある これらは、くも膜下出血や脳出血、髄膜炎などが起こるサインかもしれません。(文献8) いつもと違う痛みを感じたときは、自己判断せずに専門医の診察を受けましょう。 脳出血の後遺症や再発予防を目的とした治療法として、再生医療という選択肢があります。脳出血に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 脳の病気については、以下の記事も併せてご覧ください。 【関連記事】 脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説 くも膜下出血の前兆?首の後ろの痛みを伴う激しい頭痛は危険! 寒いと頭痛する症状が続くときは我慢せず医療機関を受診しよう 寒さをきっかけに頭痛が起こる場合、症状が長引いたり頻繁に繰り返したりするようなら、一度医療機関で相談してみることをおすすめします。 また、「いつもと違う痛みがある」「最近強くなってきた」「日常生活に支障が出ている」などのサインがある場合は、早めに専門医の診察を受けましょう。 なお、市販の鎮痛薬で一時的に症状を和らげることは可能ですが、薬の使いすぎによって頭痛が悪化するケースも報告されています。 症状に合った対処や薬の選び方について迷う場合も、医師に相談すると安心です。 痛み止めについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療についての情報発信や簡易オンライン診断を実施しております。頭痛について気になることがあれば、ぜひご登録ください。 寒いと頭痛が起こることに関するよくある質問 寒いと頭痛がするのですが、漢方は効きますか? 寒さによる頭痛には、冷え・血流の悪化・自律神経の乱れなど、さまざまな要因が複雑に関わっています。 漢方薬は、こうした不調の背景にある体質の乱れを整えることを目的としており、根本的な改善をめざすアプローチのひとつです。 実際に、片頭痛や緊張型頭痛に対しては「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」や「五苓散(ごれいさん)」などの処方が使われることがあり、一定の効果が報告されています。(文献1) ただし、漢方薬は一人ひとりの体質や症状に合わせて選ぶ必要があるため、自己判断での服用はおすすめできません。 気になる方は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談し、自分に合った処方を見つけるようにしましょう。 寒さで頭痛がするとき、こめかみや目の奥が痛むのは異常ですか? 寒さで頭痛がするとき、こめかみや目の奥にも痛みを感じることは珍しくありません。 寒さや冷たいものを食べたときの刺激による頭痛は、おでこや頭の横側、目の奥に痛みが出る一過性の反応とされています。 多くは30分以内におさまりますが、痛みが強い、長引く、しびれやまひなどを伴う場合には、脳の病気が関与している可能性もあります。(文献10) 気になる症状があるときは、早めに専門医の診察を受けましょう。 こめかみの痛みに不安がある場合は、以下の記事も参考にしてください。 参考文献 (文献1) 頭痛の診療ガイドライン2021|日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 (文献2) 内科医の馬渕知子先生がアドバイス!|デコ活 環境省 (文献3) 片頭痛の病態における三叉神経の役割|日本頭痛学会誌 (文献4) 緊張型頭痛の発症メカニズム|日本頭痛学会誌 (文献5) 「寒暖差疲労」とは|奈良県医師会 (文献6) 片頭痛とはどういう病気なのか|植草学園大学研究紀要 (文献7) Weather and Migraine|american migraine foundation (文献8) 頭痛の原因は?|国立研究開発法人国立長寿医療研究センター (文献9) エコジン|環境省 (文献10) 4. Other primary headache disorders|IHS Classification ICHD-3
2025.12.13 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
手足の震えや動作の遅れ、歩行のしづらさなどは「年齢のせいかも」と見過ごされがちな症状ですが、実はパーキンソン病が原因かもしれません。 進行性の神経疾患であるパーキンソン病は、早期の気づきと適切な対処が大切です。 予防や進行を遅らせるためにも、正しい知識を身につけておきましょう。 本記事では、パーキンソン病の原因や症状、診断・治療の選択肢まで、患者や家族が知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、パーキンソン病の治療で研究が進められている再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施していますので、ぜひご登録ください。 パーキンソン病とは パーキンソン病は、脳内のドパミンを産生する神経細胞が減少して発症する神経変性疾患です。 主に以下のような運動症状(体の動きに関わる症状)があります。 手足の震え 筋肉のこわばり 動作の遅れ 姿勢のバランス障害 中高年に多く見られる疾患ですが、40歳未満で発症する若年性パーキンソン病も存在するため、若い人でも油断できません。 なお、パーキンソン病は厚生労働省により「指定難病」に分類されています。 指定難病とは、原因不明で治療法が確立していない長期療養が必要な疾患のうち、医療費助成の対象とされるものを指します。 パーキンソン病の初期症状・進行期症状 パーキンソン病は進行性の神経疾患であり、症状は段階的に変化していきます。 初期には、以下のような軽微な兆候が見られるのが特徴です。 片側の手足に震えが現れる 歩行時の腕の振りが小さくなる 動作が遅くなる 表情が乏しくなる 字が小さくなる 上記の症状は加齢による変化と区別がつきにくく、見過ごされてしまう場合がある点に注意が必要です。 やがて進行すると、以下のような症状が目立ってきます。 姿勢の不安定性による転倒 筋肉のこわばり 歩行障害(すくみ足、小刻み歩行) 嚥下障害(えんげしょうがい)や言語障害 自律神経症状(便秘、起立性低血圧など) 認知機能の低下や幻覚 進行期には日常生活に大きな支障をきたすようになり、介助が必要となるケースも少なくありません。 早期発見と適切な治療が、症状の進行を遅らせる鍵となります。 パーキンソン病の初期症状や進行度別の症状については、以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。 パーキンソン病の原因 パーキンソン病は、中脳にある「黒質」と呼ばれる部位の神経細胞が減少し、神経伝達物質であるドパミンの分泌が低下することで発症します。 ドパミンは、脳内で運動を円滑に調整する役割を担っており、不足すると手足の震えや動作の遅れなどの運動障害が現れるのが特徴です。 しかしながら、黒質の神経細胞がなぜ壊れてしまうのか、その根本的な原因はいまだ明らかにされていません。 遺伝的要因や加齢、環境因子(農薬や重金属など)が関与する可能性が示唆されていますが、決定的な因果関係は解明されていないのが現状です。 したがって、パーキンソン病の予防法や根治療法の確立には、さらなる研究が必要とされています。 パーキンソン病の診断 パーキンソン病の診断では、特徴的な運動症状の確認に加え、複数の補助的検査を組み合わせます。 ここでは、代表的な検査法を見ていきましょう。 血液検査 パーキンソン病は血液検査の結果だけで診断できないものの、甲状腺機能異常や肝機能障害など、類似の症状が現れる他疾患の除外診断に有効です。 また、特定の医薬品の副作用としてパーキンソン病に似た症状が現れる「薬物性パーキンソニズム」の原因となる、代謝異常や感染症の評価にも用いられています。 全身状態を把握し、安全な治療方針を立てるためにも欠かせない検査のひとつです。 MIBG心筋シンチグラフィー検査 MIBG(メタヨードベンジルグアニジン)心筋シンチグラフィーは、自律神経機能の低下を評価する画像検査です。 MIBGとは放射性医薬品で、心臓の交感神経系の機能を調べるために使われています。 パーキンソン病においては、心筋へのMIBG取り込みが低下する傾向がある点を利用する方法ですが、あくまで補助手段として有用な検査です。 また、脳の神経細胞にできる異常なたんぱく質の塊が神経を壊すことで発症する「レビー小体型認知症」との鑑別や、診断の裏づけとしても用いられています。 DATスキャン DATスキャンは、脳内で運動を調整する役割を持つ「ドパミン神経」がどの程度機能しているか、画像として映し出す検査です。 「核医学検査」とも呼ばれ、微量の放射性薬剤を体内に注射し、薬剤が脳内のどこにどのくらい集まるかを特殊なカメラで調べます。 とくに調べるのは、運動制御に重要な部位「線条体(せんじょうたい)」にある「ドパミントランスポーター」というたんぱく質です。 ドパミントランスポーターの数が減っていると、ドパミン神経が減少していると判断されます。 パーキンソン病ではドパミン神経が少なくなっているため、DATスキャンでその変化を捉えることが可能です。 手の震えが見られる「本態性振戦(ほんたいせいしんせん)」など、他の病気との区別にも役立ち、より正確な診断につながります。 頭部CT・MRI検査 頭部CTやMRIは主に、脳出血や脳腫瘍、脳梗塞など他の神経疾患による症状との区別に用いられます。 パーキンソン病では、これらの検査で明確な異常が見られないケースが多いものの、進行した症例では黒質の萎縮などが確認される場合もあるため、鑑別診断としても不可欠な検査です。 脳血流スペクト検査 脳血流スペクト検査は、脳の各領域の血流状態を評価する検査方法です。 パーキンソン病では特定の部位に血流低下が見られる場合があり、進行度の把握や認知機能障害との関連性を確認するための補助的な検査として行われています。 また、レビー小体型認知症など、他の神経疾患との鑑別にも用いられています。 パーキンソン病の治療法 パーキンソン病の治療は、ドパミンの不足によって生じる症状を改善し、日常生活の質を維持することが目的です。 現在のところ根治療法は存在しておらず、主に薬物療法によって神経伝達のバランスを整えることが基本となります。 治療内容は、病状の進行や症状の現れ方に応じて段階的に見直されていきますが、薬でのコントロールが難しくなる進行期には、手術療法やデバイス補助療法も選択肢のひとつです。 個々の症状に合わせた適切な治療計画の立案が、長期的な病状管理には不可欠となります。 薬の種類 パーキンソン病の薬物療法では、ドパミンの補充・模倣・維持を目的とした複数の薬が使われます。 以下に主な薬剤をまとめました。 薬の種類 主な役割 特徴 レボドパ製剤 脳内でドパミンに変換される 最も効果的で広く使用される第一選択薬 ドパミンアゴニスト ドパミンのように働く 効果はやや穏やかだが作用時間が長い MAO-B阻害薬 ドパミンの分解を抑える 他の薬との併用で効果を補強する COMT阻害薬 レボドパの効果持続時間を延長する 薬効の「切れ」を緩和 抗コリン薬 アセチルコリンの作用を抑制する 震えに効果があるが副作用に注意 アマンタジン ドパミン放出を促進する 初期症状やジスキネジアに効果がある 薬剤は単独または組み合わせて使用され、患者の年齢、症状の程度、副作用リスクなどを考慮して処方されます。 手術療法 パーキンソン病では、内服薬による治療で十分な効果が得られなくなった場合、手術療法やデバイス補助療法が検討されます。 代表的な手術法が、脳深部刺激療法です。 脳の視床下核などの特定部位に電極を埋め込み、電気刺激を加えて異常な神経活動を抑制し、手の震えや動作の遅れなどの症状を改善します。 また、胃に設けた小さな穴にチューブを通し、薬を直接小腸に送り続けて薬の効果を安定させるレボドパ持続経腸投与療法も治療法のひとつです。 体内の薬の濃度を一定に保ち、薬の効き目が突然切れる「オン・オフ現象」の改善を目指します。 以下の記事では、パーキンソン病に対する先進医療や研究について紹介しているので、参考にしてみてください。 パーキンソン病における「再生医療」という選択肢 パーキンソン病の研究分野では、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた再生医療の開発が進められています。 iPS細胞にはさまざまな種類の細胞に変化できる「分化能」があり、細胞からドパミン神経前駆細胞を作り出して移植する臨床研究が行われているのです。(文献1) また、遺伝子を脳に注入することで、パーキンソン病の症状を改善する方法も試みられています。(文献2) 再生医療について詳しくは、以下をご覧ください。 パーキンソン病の予防法 パーキンソン病は原因が完全には解明されておらず、確実な予防法は確立されていません。 ただし、以下のような生活習慣が発症のリスク低減につながる可能性があります。 定期的な運動やウォーキングなどの身体活動 バランスの取れた食生活 十分な睡眠やストレスの軽減 上記のような生活習慣がパーキンソン病の発症を防げると断定されてはいませんが、健康維持の観点からも意識的に取り入れることが推奨されます。 健康的な生活を続けていくためにも、適度な運動やバランスの取れた食生活、十分な睡眠を心がけていきましょう。 まとめ|パーキンソン病は適切な対処で進行を遅らせよう パーキンソン病は進行性の神経疾患ですが、早期の診断と適切な治療、生活管理によって症状の進行を遅らせることは不可能ではありません。 現在では薬物療法が中心ではあるものの、運動や食生活、睡眠などの生活習慣や予防も含めて重要な要素です。 病気と上手に向き合い、医療機関との連携も欠かさずに生活の質を高めていきましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、パーキンソン病など神経の病気でも研究が進められている再生医療を行っております。 また、公式LINEでは再生医療に関する情報を提供するとともに、簡易オンライン診断をご利用いただけますので、お気軽にご登録ください。 パーキンソン病に関するよくある質問 パーキンソン病が治った人はいますか? 現在の医療では、パーキンソン病を根本的に治す治療法は存在していません。 主な治療は症状の進行を抑えたり、生活の質を維持したりする対症療法です。 ドパミン神経細胞の減少を完全に回復させる方法は、現段階で確立されていない点に留意しておきましょう。 コーヒーはパーキンソン病の進行に影響しますか? 一部の研究では、カフェインを含むコーヒーの摂取がパーキンソン病の発症リスクを下げる可能性があるとしています。 ただし、進行を遅らせる効果が医学的に証明されているわけではありません。 予防や治療の手段として推奨されているわけでもないため、健康に配慮した上で適切な量を摂取すると良いでしょう。 コーヒー摂取の一般的な健康への影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。 パーキンソン病になりやすい性格は? パーキンソン病の患者には、以下のような性格の傾向があるとされています。 几帳面で細かいことにこだわる 変化を好まず、新しいことに慣れにくい ただし、これらの性格が直接的な原因になるとの確証があるわけではなく、あくまで統計的な傾向にすぎません。 パーキンソン病にかかった有名人はいますか? 国内外には、パーキンソン病を公表した著名人がいます。 海外では俳優のマイケル・J・フォックスやボクサーのモハメド・アリ、日本ではみのもんたさんのほか、故・岡本太郎氏や作家の三浦綾子氏などが挙げられます。 病気と向き合いながら活動を続けた方もいるので、パーキンソン病患者の励みになっているといえるでしょう。 パーキンソン病の寿命はどのくらいですか? パーキンソン病は進行性の病気ですが、生命予後が悪いわけではありません。 統計的には、平均寿命は一般の人と比べて2〜3年程度短くなるとされています。 適切な治療やリハビリテーションにより、発症から10年以上にわたって自立した生活を送ることも可能です。(文献3) パーキンソン病は何科を受診すれば良いですか? パーキンソン病の診療は、神経内科または脳神経内科が担当します。 専門的な診断や治療が必要となるため、最初は地域の医療機関やかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらいましょう。 (文献1) Phase I/II trial of iPS-cell-derived dopaminergic cells for Parkinson’s disease|Nature (文献2) パーキンソン病の病態理解と治療の最前線|J-STAGE(日本内科学会雑誌) (文献3) 6 パーキンソン病|厚生労働省
2025.11.26 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「視界にギザギザが突然現れて不安で仕方ない」 「視界のギザギザした見え方は治るのか知りたい」 閃輝暗点は片頭痛や眼精疲労の一種と誤解されがちですが、脳や眼の重大な疾患の前触れの場合もあります。したがって、原因を特定し、早期に適切な治療を受けることが重要です。 本記事では、閃輝暗点の治し方を現役医師が解説します。記事の最後には、閃輝暗点の治し方についてよくある質問をまとめています。ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 閃輝暗点の治し方について気になる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 閃輝暗点の治し方 治し方 詳細 眼に対しての過度な刺激を避ける 明るい画面や強い光を避け静かな暗所で安静に休憩 原因・根本疾患の治療を行う 脳神経外科や眼科での検査・診断による根本疾患の特定と治療 生活習慣の見直しとバランスの良い食事 十分な睡眠・規則的な生活・ストレス軽減・ビタミンやミネラルを含む食事 閃輝暗点に対する薬や手術による根本的な治療法は、現代医学では確立されていません。多くは数分から30分ほどで自然に治まりますが、脳梗塞や脳血管系疾患、片頭痛などの重大な病気が原因となる場合があります。 症状を繰り返す、または長引く場合は、早期に脳神経外科や眼科で検査を受け、根本疾患を特定し治療することが重要です。 予防のためには、強い光や長時間の画面注視を避け、十分な睡眠、規則正しい生活、ストレスの軽減を心がけます。加えて、ビタミンやミネラルを含む栄養バランスの良い食事を取り、不摂生を避けることが有効です。生活習慣の改善は、閃輝暗点の軽減だけでなく、背景疾患の予防にもつながります。 閃輝暗点の見え方や初期症状・治療法についての詳細は、以下の記事をご覧ください。 【関連記事】 【医師監修】閃輝暗点の見え方について解説|片目だけ・初めての症状は危険? 【医師監修】閃輝暗点とは|放置によるリスクから初期症状・治療法まで詳しく解説 眼に対しての過度な刺激を避ける 項目 詳細 発症直後の対応 明るい光や画面の刺激を避け、暗く静かな場所で安静 作業・運転中の対応 静かで刺激の少ない場所に移動し、視界が回復するまで再開を控える行動 水分補給 脱水防止のための十分な水分摂取 予防策 長時間の画面作業や強い光の回避、規則正しい生活、栄養バランスの整った食事 閃輝暗点が現れたら、強い光やスマートフォン・パソコンの画面から目を離し、暗く静かな場所で安静にしましょう。回復するまで作業や運転を控えることが重要です。 また、脱水は血流の悪化を招き、視覚異常を引き起こすことがあるため、こまめな水分補給が重要です。予防のためには、長時間の画面作業や強い光への曝露を控えるとともに、十分な睡眠、規則正しい生活、ビタミン・ミネラルを含むバランスの良い食事を心がけましょう。 原因・根本疾患の治療を行う 閃輝暗点を根本的に治す医学的治療法は確立されていません。再発予防の基本は、ストレスや睡眠不足、喫煙、アルコール、過剰なカフェイン摂取などの誘因を避けることです。多くは自然に消失しますが、適切な管理と予防が欠かせません。 片頭痛の前兆として多く見られますが、脳梗塞やTIA、脳腫瘍などの重大疾患が原因のこともあります。とくに頭痛を伴わない初発例、頻発・長時間持続、片眼のみの発症では、早期に脳神経内科または外科で精密検査を受ける必要があります。 原因が片頭痛の場合、β遮断薬やCGRP阻害薬などの予防薬で再発を減らせることがあります。 以下の記事では、閃輝暗点の根本疾患の治療にアプローチできる可能性のある再生医療について詳しく解説しています。 生活習慣の見直しとバランスの良い食事 項目 内容 睡眠リズムの整備 毎日同じ時間に起床・就寝し、6〜8時間の安定した睡眠時間の確保 ストレス軽減 入浴、軽い運動、深呼吸、ストレッチによる自律神経バランスの調整 水分補給 脱水予防のため、こまめな水分摂取 推奨栄養素(マグネシウム) 海藻類、大豆製品、玄米、ナッツ類の摂取 推奨栄養素(ビタミンB₂) レバー、青魚、卵、緑黄色野菜、乳製品の摂取 推奨献立例 玄米ご飯、納豆、みそ汁(海藻入り)、サバのみそ煮による栄養バランス実現 補助的栄養素 オーツ麦、濃色葉野菜、脂肪魚、ベリーの積極摂取 避けたい食品・食習慣 チョコレート、ピーナッツ、赤ワイン、カフェインの摂り過ぎ回避 空腹状態の回避 ナッツやヨーグルトで血糖値低下を防ぐ 規則正しい生活習慣と食事管理は、閃輝暗点の再発予防に重要です。毎日決まった時間に睡眠をとり、ストレスを溜め込まない工夫やこまめな水分摂取を日常に取り入れましょう。食事ではマグネシウムやビタミンB₂を意識し、和食中心の献立を心がけます。 オーツ麦や脂肪魚、ベリーなどもおすすめです。一方で、チョコレートやアルコール、カフェインの過剰摂取は誘因となることがあり、空腹の放置も避けましょう。症状が続く場合や頻発する際は、医療機関での相談が大切です。 以下の記事では、生活習慣の見直しについて詳しく解説しています。 閃輝暗点における即効性のある治し方は存在しない 現在の医学では、閃輝暗点そのものを即効で治す薬や特定の治療法は確立されていません。多くの場合、閃輝暗点は脳血管の一時的な変化により発生し、片頭痛の前兆として現れる視覚症状です。 症状は通常数分で自然に消失しますが、発症時は無理をせず、暗く静かな環境で安静にし、強い光やスマートフォンなどの画面から目を休ませることが大切です。 初めて起こった場合や頻繁に繰り返す場合は、重大な疾患が隠れている可能性もあるため、早期に医療機関を受診し、原因を明らかにすることが重要です。 閃輝暗点が治るツボはない 現在の医学では、閃輝暗点を即効で治す方法も、治るツボも存在しません。片頭痛の前兆として起こる視覚症状で、根本的な治療法も未確立です。 百会や風池、合谷などのツボ刺激による閃輝暗点への効果は、現在のところ医学的根拠はなく、症状が繰り返す場合や初発時は早期受診が重要です。 閃輝暗点が根本的に治る食べ物はないが予防にはなる 現時点では、閃輝暗点を即効で治す食べ物は確認されていません。マグネシウムやビタミンB₂を含む玄米、大豆製品、海藻、アーモンド、緑黄色野菜、乳製品などを日常的に摂取することで予防につながる可能性があります。 これらは発症時に症状を即座に改善するものではなく、バランスの良い食事と規則正しい生活習慣を組み合わせることが再発予防の基本です。 閃輝暗点が現れる重大な疾患 重大な疾患 詳細 脳血管疾患(脳梗塞・TIA・脳出血) 脳の血流障害による症状で、麻痺やしびれ、言語障害を伴うこともある。CTやMRIによる精密検査が必要。早期受診と治療が重大な後遺症防止につながる 眼由来の血管障害(網膜動脈閉塞・網膜症) 網膜の血管が閉塞・障害されることで、片眼の視野欠損や視力低下が起こる。眼科での検査と治療が必須。糖尿病など基礎疾患管理も重要 神経炎・視神経疾患(視神経炎・MS・腫瘍圧迫など) 視神経の炎症や脳の腫瘍圧迫が視野異常を引き起こす。神経内科や脳神経外科での診断と治療、場合によってはMRI検査が必要。症状によっては緊急対応が求められる 脳血管疾患(脳梗塞・TIA・脳出血)は脳の血流障害が原因で、麻痺やしびれ、言語障害を伴うことがあり、CTやMRIによる精密検査が不可欠です。早期の診断と治療が後遺症防止に直結します。 網膜動脈閉塞や網膜症などの眼由来の血管障害は、片眼の視野欠損や視力低下を招き、眼科での迅速な検査と治療、基礎疾患の管理が重要です。また、視神経炎や多発性硬化症、腫瘍圧迫などの神経疾患は視野異常を引き起こし、神経内科や脳神経外科での診断と必要に応じたMRI検査、緊急対応が求められます。 脳血管疾患(脳梗塞・TIA・脳出血) 閃輝暗点は、脳の血管が一時的に収縮・拡張して血流が低下することが原因です。とくに後頭部の視覚野の血流障害で、視界にギザギザやチカチカとした模様が現れます。これらの血管変化は、ストレスや疲労、睡眠不足、飲酒、喫煙、特定の食品などの生活習慣が影響します。 また、脳梗塞やTIA、脳出血などが原因で手足のしびれや麻痺、言語・意識障害を伴う場合があり、初発・頻発・長時間持続や他の神経症状を伴う際は早急な精密検査が必要です。 過去に脳梗塞を経験された方や、再発リスクが気になる方には、再発予防を目的とした治療法として再生医療という選択肢があります。脳梗塞に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 また、以下の記事では、脳疾患について詳しく解説しています。 【関連記事】 脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説 【医師監修】脳出血とは|症状・種類・原因を詳しく解説 閃輝暗点が脳梗塞の前兆になる確率は?症状や治療を解説 眼由来の血管障害(網膜動脈閉塞・網膜症) 網膜は眼の奥にあり、光を感知する精密な組織です。血流が障害されると視覚情報が正しく伝わらず、視野の欠損や光のちらつきなどが生じます。 網膜中心動脈閉塞では、血栓や塞栓により酸素供給が途絶え、突然の重い視力低下や視野暗黒化が起こります。一過性網膜虚血(アマウロシス・フガックス)では、数分間の血流途絶で一時的な視野欠損や光視症状が出現し、その後自然に回復します。糖尿病性網膜症や炎症性網膜血管障害でも、虚血や出血により視野異常が生じ、閃輝暗点に似た症状として現れることがあります。 これらの障害は片眼のみに症状が出やすく、脳由来の閃輝暗点とは区別が必要です。症状が疑われる場合は、眼底検査や視野検査を含む眼科的評価を早急に受けましょう。 以下の記事では、糖尿病網膜症について詳しく解説しています。 神経炎・視神経疾患(視神経炎・MS・腫瘍圧迫など) 視神経は網膜で受け取った光刺激を脳へ伝える重要な経路です。炎症・圧迫・脱髄などで障害されると、光のちらつきや視野異常など閃輝暗点に似た症状が生じます。視神経炎は代表的な原因です。 脳腫瘍や動脈瘤が視神経を圧迫すると同様の症状が生じ、前交通動脈瘤による圧迫が解除された後に症状が改善した報告もあります。これらは片頭痛による閃輝暗点とは異なり、器質的障害が原因となるため、眼科・神経内科での精密検査が必要です。 閃輝暗点を治すには原因の特定と受診が必須 閃輝暗点は症状だけで軽視すると、命に関わる病気を見逃す危険があります。発症が初めての場合、頻繁に起こる場合、または症状が長引く場合は、速やかに医療機関を受診し、必要に応じて脳MRIや眼底検査を受けましょう。早期診断が、根本的な治療と再発防止につながります。 閃輝暗点の治療についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、閃輝暗点が重篤な脳疾患の兆候である場合も考えられるため、症状や進行度によっては低侵襲な再生医療を提案いたします。初発・頻発・長期化する場合は早急な受診が必要です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 閃輝暗点の治し方に関するよくある質問 閃輝暗点が頻繁に起こる場合はどうすれば良いですか? 初回発症、頻発、症状の持続時間が長い、頭痛を伴わないなど、通常と異なるパターンの場合は、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)などの重大な疾患を除外するために、MRIやCT検査が可能な医療機関を受診することが推奨されます。 原因となる疾患が進行している可能性もあるため、放置せず、早期に受診して精密検査を受けることが重要です。 以下の記事では、閃輝暗点について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】閃輝暗点とは|放置によるリスクから初期症状・治療法まで詳しく解説 閃輝暗点を繰り返すのは病気の前兆?頻発する原因と放置するリスクを紹介 閃輝暗点のセルフチェック方法はありますか? 閃輝暗点とは、視野に光のジグザグ模様や欠損が出現し、通常は数分で自然に消失する一過性の症状です。 症状の経過を記録することがセルフチェックの基本ですが、視野が大きく欠ける、長時間続くなど通常と異なる場合は、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)などの重篤な疾患が隠れている可能性があります。確定診断は医師の検査が必要なため、不安があれば早めに受診しましょう。 閃輝暗点が片目だけに現れた場合の対処法はありますか? 片眼にのみ閃輝暗点が現れる場合は、網膜血管障害(網膜裂孔・虚血など)や脳血管障害が原因となる可能性があり、緊急性を伴います。放置せず、直ちに眼科または脳神経科を受診し、眼底検査などの精密検査を受けることが重要です。 閃輝暗点は何科を受診すれば良いですか? 閃輝暗点は脳の血流変化に関連することが多く、精密検査のため脳神経内科・脳神経外科(頭痛外来を含む)の受診が推奨されます。 初発、頭痛を伴わない、頻発、しびれや言語障害を伴う場合は脳疾患の除外が重要です。片眼のみの症状は眼疾患の可能性があるため眼科での眼底検査が適しています。受診先に迷う場合は総合診療科でも構いません。
2025.08.31 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「視界にギザギザやチカチカしたものが見える」 「網膜や脳の疾患ではないかと心配」 視界に異常が現れる閃輝暗点は、片頭痛の前兆として生じることが多い一方で、眼科的疾患や脳の疾患に伴って現れる場合もあります。放置すると重大な疾患の発見が遅れ、深刻な症状を招く恐れがあるため、速やかな受診が必要です。 本記事では、閃輝暗点の見え方や片目だけに現れる症状について現役医師が詳しく解説します。 閃輝暗点の原因が脳疾患で、その症状によっては、再生医療も治療の選択肢のひとつです。 閃輝暗点の症状に関するお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 閃輝暗点の見え方 見え方 詳細 ギザギザ・光の波動(点やジグザグ模様) 稲妻状やジグザグ模様がキラキラ輝きながら広がる視覚変化 モヤ・暗点(スコトーマ) 視野の一部がかすみ、文字や物の一部が欠けて見える状態 動き・揺れ・揺らぎ 光や模様が波打つように動き、視界全体に広がる現象 形やサイズの異常(歪み) 物の輪郭や文字が波打ち形や大きさが不自然に変わる視界異常 閃輝暗点では、視界にギザギザや光の波動、モヤや暗点、像の揺れ、形の歪みなどが現れることがあります。これらは片頭痛の前兆としてよくみられますが、眼や脳の疾患に伴う場合もあります。 片頭痛の前兆としての閃輝暗点は、多くの場合5分から60分ほど続き、その後に頭痛が始まります。(文献1) 時間の経過とともに閃輝暗点の症状が消えた場合も、繰り返す場合や初めて起こった場合は、早めに眼科や神経内科を受診することが大切です。 閃輝暗点の初期症状や治療法など、包括的な内容に関しては「【医師監修】閃輝暗点とは|放置によるリスクから初期症状・治療法まで詳しく解説」をご覧ください。 ギザギザ・光の波動(点やジグザグ模様) 閃輝暗点でよくみられる典型的な症状は、視界の片隅に現れるギザギザした光の線や、チカチカと輝くジグザグ模様です。 白や銀色、虹色に見えることもあり、万華鏡のような複雑な模様を描きながら数分かけてゆっくりと広がり、やがて自然に消失します。脳の視覚野の神経細胞が一時的に過剰興奮することが原因と考えられています。 モヤ・暗点(スコトーマ) モヤ・暗点(スコトーマ)は、脳の視覚中枢である後頭葉(視覚野)の一部に一時的な血流低下が起こり、その領域の神経活動が低下することで生じます。これにより視野の一部がぼやける、または暗く欠けて見える状態になります。 原因は眼の異常ではなく脳の血流変化です。多くは数分かけて光の模様から暗点へ移行し、その後自然に回復します。ただし、症状が1時間以上続く場合、片目のみに生じる場合、強い頭痛、手足のしびれ、言語の障害、意識の低下を伴う場合は、脳梗塞や一過性脳虚血発作、網膜疾患などの可能性があり、速やかな受診が必要です。 動き・揺れ・揺らぎ 閃輝暗点でみられる動き・揺れ・揺らぎは、脳の後頭葉(視覚野)における神経活動が、血流の変動に伴って波のように広がる皮質拡散抑制により生じます。神経の興奮と抑制がゆっくりと伝わることで、視界の光や模様が揺れたり、動いたりして見えます。 血管の収縮と拡張により視覚情報が乱れ、波打つ感覚が生じます。初発時は軽症であっても、脳や眼科的疾患を除外するための受診が必要です。発症時の時間、片目のみか両目か、頭痛やしびれの有無などを記録しておくと診断に役立ちます。 形やサイズの異常(歪み) 閃輝暗点による形やサイズの異常(歪み)は、後頭葉の視覚野での一時的な血流低下が形や大きさの認識を乱すことで生じます。まっすぐな線が波打って見える、人の顔が変形して見えるといった現象も報告されています。 多くは10〜30分で自然に回復しますが、初発や強い症状、長引く場合、頭痛や手足のしびれを伴う場合は眼科または神経内科を受診し、他の脳や眼疾患の可能性にも注意が必要です。 片目だけに現れる閃輝暗点は危険? 状況 詳細 片目だけに症状が出る場合 網膜剥離、眼底出血、硝子体剥離、眼圧異常など眼科疾患の可能性 放置した場合のリスク 視力低下や失明に至る危険 通常の閃輝暗点の作用部位 脳の視覚野の血流変動による両目同時の視覚異常 受診の目安 片目だけの症状は速やかな眼科受診 神経症状を伴う場合 脳梗塞や一過性脳虚血発作など脳血管障害の可能性 緊急時対応 直ちに救急車を要請し、救急医療機関を受診 閃輝暗点は通常、脳の視覚野の血流変動により両目に同じ像が見えますが、片目だけの場合は網膜剥離や眼底出血などの眼科疾患が疑われます。 放置すると視力低下や失明の危険があるため、速やかな眼科受診が必要です。視力低下や視野欠損、激しい頭痛、しびれ、言語障害を伴う場合は脳血管障害の可能性があり、直ちに救急要請が必要です。 閃輝暗点が現れる原因 原因 詳細 血管変動・圧の刺激(脳・眼) 脳や眼の血管の一時的な収縮・拡張による血流の変化 神経伝達物質・自律系の反応 セロトニンなど神経伝達物質の急激な増減と自律神経の影響 生活習慣・嗜好品の影響 ストレス、睡眠不足、カフェインやアルコールの摂取、喫煙などの誘因 脳の構造異常・基礎疾患 脳腫瘍、脳梗塞、一過性脳虚血発作などの重大な脳疾患の可能性 閃輝暗点は片頭痛の前兆として知られていますが、原因は複数あります。代表的なのは、脳や眼の血管が一時的に収縮・拡張して血流が変化し、視覚情報を処理する神経の働きに影響を及ぼす場合です。 セロトニンなどの神経伝達物質の急激な増減や自律神経の反応も関与します。さらに、ストレス、睡眠不足、カフェインやアルコールの摂取、喫煙などの生活習慣や嗜好品が誘因となることもあります。まれに脳腫瘍や脳梗塞など重大な疾患が原因となる場合もあり、注意が必要です。 以下の記事では、閃輝暗点の原因を詳しく解説しています。 【関連記事】 更年期と閃輝暗点の関係性|原因・症状・予防法を解説 閃輝暗点を繰り返すのは病気の前兆?頻発する原因と放置するリスクを紹介 血管変動・圧の刺激(脳・眼) 閃輝暗点は、脳の血管が一時的に収縮と拡張を繰り返し、その結果、血流が変化することで起こると考えられています。 とくに視覚情報を処理する後頭葉の血管が影響を受けやすく、収縮により血流が減少すると神経細胞の働きが低下し、続く拡張で血流が急増すると過剰な興奮が生じます。この神経活動の変化が視覚異常として現れます。気圧の変化や疲労、ストレスなどが発症の引き金になる場合もあります。 以下の記事では、閃輝暗点と関係する脳梗塞について詳しく解説しています。 【関連記事】 閃輝暗点が脳梗塞の前兆になる確率は?症状や治療を解説 脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説 神経伝達物質・自律系の反応 原因 詳細 神経伝達物質の変動 セロトニンの急激な増減による脳血管の収縮・拡張 自律神経のバランス乱れ ストレスや疲労、睡眠不足が引き起こす自律神経の機能不全と血管反応の過敏化 脳視覚野への影響 血流変化と神経活動変動による視界のキラキラ・揺らぎ、閃輝暗点の出現 生活習慣の影響 体調管理不良が神経伝達物質や自律神経の乱れを悪化させる要因 注意点 健康な人にも起こる生理的反応であり、症状の強さや片目だけの場合に注意が必要 閃輝暗点は、脳内の神経伝達物質の変動が原因のひとつです。とくにセロトニンが急激に増減すると脳血管が一時的に収縮・拡張し、血流変化が視覚野の神経活動に影響して光や模様が見えます。 自律神経もストレスや疲労、睡眠不足でバランスを崩すと血管反応が過敏になり、症状を悪化させます。健康な人にも起こりますが、初発時や片目だけの症状、強い症状時は受診が必要です。また、生活習慣の改善が再発予防に有効とされています。 生活習慣・嗜好品の影響 原因 詳細 睡眠不足・不規則な生活 自律神経の乱れによる脳血管の過剰な収縮・拡張 過度なストレス・疲労 神経や血管反応の不安定化 嗜好品(カフェイン・アルコール) 血管刺激による収縮・拡張の誘発 食品成分(チラミン) 脳血管収縮を促すアミノ酸由来成分の作用 過度なデジタル機器使用 眼精疲労と自律神経負荷による血流変化 予防のための生活習慣 規則正しい生活、十分な睡眠、バランスの取れた食事、水分摂取 閃輝暗点は、睡眠不足や生活リズムの乱れ、ストレスや疲労により自律神経が乱れ、脳や眼の血管反応と視覚野の血流が不安定になることで生じます。 チョコレートやチーズ、赤ワイン、コーヒーなどの成分や長時間のデジタル機器使用は血管や自律神経に影響し、発症を促す可能性があります。そのため、規則正しい生活習慣の維持が重要です。 以下の記事では、閃輝暗点とカフェインの関係性について詳しく解説しています。 脳の構造異常・基礎疾患 原因・疾患名 詳細 脳腫瘍(例:星細胞腫) 後頭葉への腫瘍による神経圧迫や刺激による視覚前兆の発生 脳血管奇形(例:AVM) 異常血管構造による血流異常と神経刺激による繰り返す視覚前兆やけいれん 脳梗塞・一過性脳虚血発作 脳血管の閉塞や血流障害による視覚野の虚血状態と神経機能障害 視覚野の血流障害(圧迫・浮腫) 腫瘍や血管異常による血流障害(虚血)による視覚情報の伝達異常 てんかん発作 後頭部の神経異常興奮による視覚発作と閃輝暗点類似の症状 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として一時的な血流変化で起こりますが、脳の構造異常や基礎疾患が原因となることもあります。後頭葉の腫瘍は異常な血流により、視覚前兆やけいれんを引き起こします。 腫瘍による圧迫や浮腫は一時的な虚血状態を引き起こし、後頭部のてんかん発作も類似の視覚症状を示します。これらは重大な脳疾患の兆候であり、症状が持続・悪化する場合や頭痛・麻痺を伴う場合は、早急な検査が必要です。 脳膿瘍の手術で起こりうる後遺症について、詳しく解説している以下の記事もあわせてお読みください。 閃輝暗点の症状が初めて現れた際の対処法 対処法 詳細 静かな暗所で安静にする 明かりや音を避け、刺激の少ない場所で横になる状態 症状の持続時間と変化を観察する 発症時刻、症状の変化、関連する随伴症状の記録 重症兆候があればすぐに医療機関へ 視力低下、視野欠損、強い頭痛、めまいなどの出現 運動・言語障害が出たら緊急対応 手足のしびれや麻痺、言葉が出にくい、ろれつの回らない状態 閃輝暗点が初めて現れた場合、その多くは片頭痛の前兆として一過性に生じますが、まれに脳や眼の重大な疾患が原因となることがあります。そのため、症状が出た際には落ち着いて行動することが重要です。 まずは静かな暗所で安静にし、光や音などの刺激を避けます。同時に、発症時刻や症状の変化、頭痛やしびれなどの随伴症状を記録しておくことが、診断の大きな手がかりになります。 視力低下や強い頭痛、視野欠損、めまいがあれば速やかに受診し、手足の麻痺や言語障害を伴う場合は脳血管障害の可能性があるため、直ちに救急要請が必要です。 以下の記事では、閃輝暗点の内容について詳しく解説しています。 静かな暗所で安静にする 閃輝暗点は脳の視覚野や眼の血流変化で起こり、発症直後は暗く静かな場所で安静にすることが有効です。刺激を避けて休むことで症状が落ち着きやすく、この方法は初期対応として推奨されています。 初めての発症や片目のみ、視野欠損やしびれを伴う場合は速やかに受診し、改善後も眼科または神経内科で原因の確認が必要です。 症状の持続時間と変化を観察する 閃輝暗点は通常、数分で自然に消失します。持続時間や症状の変化を観察することは診断に重要です。症状が長引く場合や暗点が明瞭で、かつ視野欠損が強い場合は、脳梗塞など重大な疾患の可能性があるため速やかに受診します。 発症頻度の増加や症状の性質の変化も精密検査の対象となります。持続時間や変化を正確に記録し医師に伝えることで、原因特定と適切な治療につながります。 重症兆候があればすぐに医療機関へ 内容 詳細 視界異常が長時間続く 視野欠損や暗点が1時間以上持続する状態 片目だけに症状が出る場合 網膜剥離・眼底出血など眼科疾患の可能性 神経症状の出現 手足のしびれや麻痺、言語障害、意識低下 激しい頭痛や吐き気を伴う 脳出血・脳梗塞・くも膜下出血の可能性 初めての強い症状 既往のない重度発作や症状の急激な進行 閃輝暗点は多くは片頭痛の前兆として一過性に現れますが、脳梗塞、脳腫瘍、一過性脳虚血発作(TIA)、網膜剥離など命に関わる疾患の前触れとなることもあります。 視野欠損が続く場合や片目だけの症状、激しい頭痛や吐き気、麻痺、言語・意識障害を伴う場合は危険性が高く、速やかな受診が必要です。 運動・言語障害が出たら緊急対応 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として現れる視覚症状ですが、同時に手足のしびれや麻痺などの運動障害や、ろれつの回らない、言葉が出にくいといった言語障害を伴う場合は、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)などの命に関わる疾患が疑われます。 これらは脳の血流が著しく低下しているサインであり、一刻を争う事態です。放置すると脳の損傷が進行し、後遺症が出る危険が高まります。症状が出た際は自己判断せず、直ちに救急車を呼び医療機関を受診する必要があります。 閃輝暗点の見え方が現れた場合はただちに医療機関を受診しよう 閃輝暗点が初めて現れた場合や片目のみ、通常と異なる症状を伴う場合は重大な病気の可能性があり、自己判断せず直ちに受診してください。早期診断により原因を特定し、必要に応じて適切な治療を開始できます。 過去に脳梗塞を経験された方や、再発リスクが気になる方には、再発予防を目的とした治療法として再生医療という選択肢があります。脳梗塞に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 ご質問やご相談は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお申し付けください。 閃輝暗点の見え方に関するよくある質問 閃輝暗点が現れたものの頭痛がないのですが大丈夫? 頭痛を伴わない閃輝暗点は、必ずしも片頭痛の前兆とは限らず、まれに脳梗塞、脳腫瘍、一過性脳虚血発作など他の脳疾患が原因となることがあります。 頭痛がない場合でも、脳の異常サインの疑いがあります。そのため、早期の受診が重要です。 閃輝暗点に効く即効薬はありますか? 閃輝暗点に即効で効果を示す薬剤は現時点ではありません。多くの場合、症状は数分程度で自然に消失するため、特別な薬剤で速やかに治すことはできません。 片頭痛を伴う場合には、頭痛発作に対してトリプタンなどの治療薬が使用されることがありますが、閃輝暗点そのものを即座に消失させる薬剤はありません。 閃輝暗点は何科を受診すれば良いですか? 閃輝暗点が初めて出た場合は、脳の血流変化による視覚症状の可能性が高いため、脳神経外科または脳神経内科の受診が適切です。これらの診療科では脳の状態を詳しく評価できます。 視覚異常が片目のみに出る場合は眼科的疾患の可能性があるため眼科の受診も検討します。両目に同時に症状が出る場合は脳の異常が疑われるため、脳神経外科や脳神経内科を受診することが推奨されます。 参考文献 (文献1) 片頭痛/片頭痛の治療|一般社団法人 日本頭痛学会
2025.08.31 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「突然、視界にキラキラやギザギザした光が見えるようになった」 「視界がおかしい?重い病気の前兆?」 閃輝暗点と呼ばれるこの症状は、片頭痛を伴わないこともあり、不安を抱える方が少なくありません。突然視界に不自然なジグザグ模様やぼやけが現れるのが閃輝暗点の特徴です。 閃輝暗点は重大な疾患の前兆の可能性があります。そのため、原因の早期発見が不可欠です。本記事では現役医師が閃輝暗点について詳しく解説します。 頭痛のない閃輝暗点は危険である理由 閃輝暗点の初期症状 閃輝暗点の原因 閃輝暗点を放置するリスク 閃輝暗点の治療法 記事の最後には、閃輝暗点についてよくある質問をまとめています。ぜひ最後までご覧いただき、症状についての理解を深めましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 閃輝暗点について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 閃輝暗点とは 項目 説明 原因 後頭葉の一時的な血流変化とセロトニンの影響 症状の特徴 視界に光の輪やジグザグ模様が現れて消える 発症のきっかけ ストレス・睡眠不足・特定食品や気圧変化 片頭痛との関係 多くは片頭痛の前兆だが頭痛がない場合もある 注意が必要な場合 発症頻度が多い・症状が長引く場合 閃輝暗点は、視界に突然ギザギザした光の波やチカチカした輝きが現れる症状です。片頭痛の前兆として現れることが多く、5分から60分ほど続いた後に頭痛が始まります。(文献1) 原因は、脳の視覚野(後頭葉)における一時的な血流低下と回復で、神経伝達物質セロトニンの変動も関与します。光の模様は万華鏡や稲妻のように見え、視野の一部が欠けることもあります。 誘因として、ストレス、睡眠不足、疲労、特定食品、カフェイン、アルコール、女性ホルモン変動、気圧変化などが知られています。頻発や長引く症状は脳梗塞など重篤疾患の可能性があり、早期の受診が必要です。 閃輝暗点の見え方については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。 頭痛のない閃輝暗点は危険 項目 説明 特徴 視界にキラキラ・ギザギザの光が出るが頭痛はない 多くのケース 脳に異常がなく経過観察で済む場合が多い 注意すべき場合 初めて起きた・40歳以上・頻繁に出る場合 考えられる原因 脳梗塞・一過性脳虚血発作・脳腫瘍・てんかんなど 危険性 脳血管や脳の異常が隠れている可能性 検査の必要性 MRIや脳波検査などで原因を特定 とくに注意するべき人 高血圧・糖尿病など生活習慣病がある方 受診のタイミング 初発・繰り返す・症状が長引く場合は早急に受診 閃輝暗点は片頭痛の前兆としてよく見られる症状ですが、頭痛を伴わない「孤発性閃輝暗点」が現れることもあり、注意が必要です。とくに片頭痛の既往がない方で初めて発症した場合や、症状が長く続く、あるいは頻繁に繰り返す場合には、脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳腫瘍、てんかんなどの脳疾患が原因となっている可能性があります。 中高年や高血圧・糖尿病といった生活習慣病をお持ちの方ではリスクがさらに高まるため、放置や自己判断は避け、できるだけ早く神経内科や脳神経外科を受診し、原因の特定が重要です。 閃輝暗点の初期症状 初期症状 詳細 光・模様・ゆらぎ キラキラやギザギザの光の輪や波模様の出現・徐々に広がる・ゆらめき・数分から20分程度の持続 視野欠損・ぼやけ・狭窄 視界の一部が見えにくくなる・暗くなる・ぼやけや狭まる感じ・視野の部分欠損や狭窄の発生 閃輝暗点は、突然視界中央付近に小さな光やチカチカとした輝きが出現することで発症します。光は徐々に拡大し、ギザギザした幾何学模様や波紋状の揺らぎとして知覚され、白色や銀色、時に多彩な色調を呈することもあります。 これらは視界内をゆっくりと移動しながら徐々に広がっていくのが特徴です。進行に伴い、光や模様が現れる部分が見えにくくなる視野欠損や、物の歪みやかすみといった視覚異常が出る場合があります。また、視野が狭くなる視野狭窄を伴うこともあり、重症の場合には一時的な視野欠損が生じます。多くは数分から30分以内に自然軽快しますが、初発や再発時は精密検査が望まれます。 光・模様・ゆらぎ 閃輝暗点の初期症状である、光・模様・ゆらぎは、脳の視覚野(後頭葉)での神経活動と血流変化によって起こります。神経細胞の急激な興奮と抑制の波(皮質拡延性抑制)が視覚野を通過すると、ギラギラやジグザグの光、波打つ模様が出現します。 脳血管の一時的な収縮と拡張による血流変化も関与します。これらは眼ではなく脳に由来し、多くは一過性ですが、初発、高頻度、長時間持続、頭痛を伴わない場合は脳梗塞などとの鑑別が必要です。自然に消えても受診による原因の確認が重要です。 以下の記事では、閃輝暗点を繰り返す原因について詳しく紹介しています。 視野欠損・ぼやけ・狭窄 閃輝暗点による視野欠損・ぼやけ・狭窄は、後頭葉の血流変化と神経活動異常で生じます。脳血管が一時的に収縮して視覚野の血流が低下し、その後の拡張で回復する過程で視野の欠けやかすみ、狭まりが発生します。 神経細胞の興奮と抑制の波(皮質拡延性抑制)が広がり、視覚情報処理が一時的に阻害されます。脳由来のため両眼に同じ異常が現れ、通常は数分から30分で回復しますが、初発や頻発時は精密検査が必要です。 閃輝暗点の原因 原因 詳細 脳血管・神経物質の急変 脳血管の一時的な収縮と拡張・セロトニン等の神経伝達物質変動 生活ホルモンなど内的リズム乱れ 睡眠不足やストレス・ホルモンバランスの乱れ 食品・気圧など外的トリガー カフェイン・アルコール・チョコレート・気圧変動 片頭痛前兆・稀な重大疾患 片頭痛の前兆・脳梗塞や脳腫瘍などの重大疾患の可能性 閃輝暗点は、脳血管の収縮・拡張や神経伝達物質の変動、睡眠不足やストレス、ホルモン変動など複数の要因で発症します。また、カフェイン・アルコール・チョコレートといった特定食品や気圧変動などの外的刺激も発症の原因です。 多くは片頭痛の前兆として現れますが、稀に脳梗塞や脳腫瘍など重大な疾患の初期症状として現れることがあります。そのため、重大な疾患の前兆と思われる症状や、これまでと異なる症状を感じた際には、自己判断せず速やかに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。 脳血管・神経物質の急変 要因 詳細 脳血管の収縮・拡張 後頭葉の血管が一時的に狭くなったり広がったりする血流変化 血流低下による神経影響 視覚野の神経細胞の活動低下や異常興奮 神経伝達物質の急変 セロトニンなどの急な増減による血管収縮・拡張の誘発 生活習慣の影響 ストレスや睡眠不足、疲労によって血管の反応性が変化 外的・内的トリガー 特定食品、女性ホルモン変動、気圧変化などによる血流・神経活動変化 閃輝暗点は、脳の視覚野(後頭葉)で起こる一時的な血流変化と神経活動異常によって発症します。後頭葉の血管が収縮して血流が減少し、その結果、視覚情報を処理する神経細胞の働きが低下または異常興奮します。 この血管変化にはセロトニンの急激な増減が関与し、結果として視界にキラキラやギザギザの光や模様が現れます。ストレス、睡眠不足、疲労、特定食品、女性ホルモン変動、気圧変化などが誘因となります。目ではなく脳由来の症状であり、生活習慣の改善やストレス管理が予防に有効です。 以下の記事では、重大な疾患のひとつである脳卒中・脳出血について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】脳出血とは|症状・種類・原因を詳しく解説 脳卒中の前兆とは?見逃してはいけない5つのサインとチェックリストを紹介 生活ホルモンなど内的リズム乱れ 原因 詳細 女性ホルモンの変動 月経周期や更年期、妊娠・出産によるエストロゲン分泌の乱れ 脳血管の反応性の変化 ホルモン変動による血管の収縮・拡張しやすさ セロトニンの減少 ホルモンバランスの乱れで神経伝達物質セロトニンの低下 ストレスや睡眠リズムの乱れ 心理的・身体的ストレスや睡眠不足によるホルモンバランスの崩れ 生活習慣の影響 不規則な生活や疲労が内的リズムを乱し閃輝暗点の発症リスクを高める 閃輝暗点は、脳の血管の一時的な変動によって起こる視覚異常です。生活ホルモンの乱れ、とくに女性ホルモン(エストロゲン)の分泌バランスの変化が大きな要因です。月経周期や妊娠、更年期などでホルモンの変動が起こると、脳血管の柔軟性が低下し血管が収縮・拡張しやすい状態となります。 また、ホルモンの乱れは神経伝達物質セロトニンの減少を招き、血管の調整機能に影響を与える要因です。加えて、ストレスや睡眠不足、生活習慣の乱れがホルモンバランスに影響し、閃輝暗点の発生リスクをさらに高めます。これらのため、生活リズムの安定やストレス管理、十分な睡眠が予防に重要です。 以下の記事では、更年期と閃輝暗点の関係性について詳しく解説しています。 食品・気圧など外的トリガー 食品 詳細 チョコレート チラミン含有・脳血管の不安定な拡張誘発 チーズ 発酵食品でチラミン含有・血管拡張作用 ナッツ類 血管反応を促す成分含有 赤ワイン アルコール含有・血管拡張と神経刺激の誘因 カフェインを含む飲料(コーヒー、紅茶等) 血管収縮作用・過剰摂取は血管の不安定化を招く アルコール飲料 血管の収縮と拡張を繰り返し血管機能を乱す 閃輝暗点は、脳の視覚野(後頭葉)の血管が不安定に収縮・拡張することで発症します。特定の食品に含まれる成分はこの血管反応を変化させ、症状を誘発しやすくします。チョコレートやチーズなどの発酵食品に含まれるチラミンは血管拡張を促し、赤ワインやアルコール類は異常な収縮と拡張を繰り返す原因となります。 カフェインを多く含む飲料は血管収縮作用を持ち、過剰摂取で血管機能を不安定にする原因です。これらの食品は直接的に目の異常を起こすわけではありませんが、脳血管や神経活動に影響を与え、発症リスクを高めます。症状が出やすい方は摂取の制限や量の調整が予防につながり、生活習慣の見直しと併せた食事管理が重要です。 以下の記事では、閃輝暗点の原因のひとつであるコーヒーに含まれるカフェインの影響について詳しく解説しています。 片頭痛前兆・稀な重大疾患 分類 内容 片頭痛の前兆 脳血管の一時的な収縮と拡張による血流変動・視覚野の神経活動異常 片頭痛の特徴 視界のギラギラやギザギザの光、のちに脈打つ頭痛や吐き気などの症状 重大疾患の可能性 脳梗塞、一過性脳虚血発作(TIA)、脳腫瘍などが隠れている可能性 注意が必要なケース 初めての発症、繰り返す症状、頭痛を伴わない場合、生活習慣病や高齢者 推奨される対応 速やかな医療機関受診と精密検査(MRIや脳波検査など) 閃輝暗点は、多くの場合片頭痛の前兆として現れる視覚症状です。脳血管の一時的な収縮と拡張により視覚野の神経活動が乱れ、視界にギラギラやギザギザした光の模様が出現します。その後、拍動性頭痛や吐き気、光や音への過敏といった片頭痛特有の症状が続きます。 頭痛を伴わない場合、初発時、または症状が繰り返される場合は、脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳腫瘍など重大な脳疾患の可能性があるため、注意が必要です。とくに高齢者や高血圧・糖尿病など生活習慣病のある方はリスクが高く、自己判断せず速やかに神経内科や脳神経外科で精密検査を受ける必要があります。 以下の記事では、脳梗塞について詳しく解説しています。 【関連記事】 脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説 脳梗塞は症状が軽いうちの治療が大切!原因と対策を解説【医師監修】 閃輝暗点を放置するとどうなる? 放置するリスク 詳細 慢性片頭痛への移行リスク 片頭痛の頻度増加・症状悪化・慢性化の可能性 脳梗塞・一過性脳虚血発作の前兆としての可能性 脳血管障害の早期兆候・重大疾患のリスク 眼科的合併症や重大疾患の見逃しリスク 網膜剥離など眼疾患や他疾患の診断遅れ 日常生活への影響が出始める 視野障害による運転や仕事、日常動作の支障 閃輝暗点を放置すると、片頭痛の発作が増えて症状が悪化し、慢性化する恐れがあります。脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)などの前触れの場合は、治療が遅れ重症化する危険もあります。 さらに、網膜剥離などの眼科的疾患や脳腫瘍などの重い病気が原因でも、診断が遅れる可能性があります。視野障害によって運転や仕事、日常生活に支障をきたし、事故や生活の質の低下を招くこともあります。初めて症状が出た時や繰り返す場合は、早急に医療機関を受診することが大切です。 慢性片頭痛への移行リスク 放置することで生じるリスク 詳細 片頭痛発作の頻度増加 頭痛の回数や頻度が徐々に増加 慢性片頭痛への移行 頭痛が継続する慢性化 症状の重症化 頭痛の強さが増し、市販薬の効果減弱 薬物乱用頭痛の発症リスク 不適切な薬の多用による頭痛の悪化 生活・精神面への悪影響 QOLの低下・抑うつや不安の増加 閃輝暗点は片頭痛の前兆となる視覚症状で、放置すると片頭痛発作が繰り返され、慢性片頭痛へ進行するリスクが高まります。慢性片頭痛は3か月を超えて月15日以上頭痛が続く状態で、日常生活や仕事に大きな支障をきたします。(文献2) 発作が増えると市販薬が効きにくくなり、薬の多用による薬物乱用頭痛を起こすケースもあります。慢性化は脳や神経の痛み感受性を変化させ、痛みのコントロールを難しくし、睡眠障害や抑うつ、不安など二次的被害も招きます。閃輝暗点を自覚したら早期に専門医へ相談し、適切な治療と予防を行うことが重要です。 脳梗塞・一過性脳虚血発作の前兆としての可能性 理由・状況 詳細 脳の血流が一時的に悪くなる症状 後頭葉の視覚野への血流低下と回復による視覚異常 頭痛を伴わない場合の危険性 脳梗塞・TIA・脳腫瘍など重大疾患の可能性の上昇 前兆症状としての視覚障害 脳梗塞やTIAで視覚野が障害される際に現れる初期症状 放置によるリスク 後遺症を伴う脳梗塞の発症・日常生活への重大な支障 早期受診の重要性 MRIなどによる精密検査と血管リスク評価・予防的治療の開始 閃輝暗点は多くが片頭痛の前兆ですが、頭痛を伴わない場合は脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の初期サインの可能性があります。脳の視覚野を栄養する血管が一時的に詰まるか血流が低下すると、脳梗塞と同じ仕組みで視覚異常が起こります。 TIAや脳梗塞は視覚障害や手足のしびれ、言語障害などを伴い、放置で後遺症の危険が高まるため、初発や頻発時は早期受診と検査・予防が不可欠です。 以下の記事では、閃輝暗点が脳梗塞の前兆になる確率について詳しく解説しています。 眼科的合併症や重大疾患の見逃しリスク 危険の種類 詳細 片目のみに出る症状の危険性 網膜剥離・眼底出血・緑内障・ぶどう膜炎・眼内出血・眼感染症など視力障害や失明の恐れ 重大脳疾患の可能性 脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)など命に関わる疾患の初期症状 頻発・症状変化の見逃し 発症パターンの変化や増加に伴う重篤疾患発見の遅れ 放置による結果 視力の恒久的低下・失明・脳の後遺症・生命の危険 必要な対応 眼科・神経内科・脳神経外科での精密検査 閃輝暗点は多くが脳由来ですが、片目のみの場合は網膜剥離、眼底出血、緑内障、ぶどう膜炎などの眼科疾患が疑われます。これらは治療の遅れが視力障害や失明につながる危険があります。 また、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の初期症状として現れることもあり、頭痛を伴わない場合や新たな症状を伴う場合は要注意です。症状の頻発や変化は病状進行や合併症の兆候であり、放置すると視力や生命に関わる重篤な結果を招く恐れがあります。初発、頻発、片目のみの異常時は眼科と脳神経領域での早期精密検査が不可欠です。 日常生活への影響が出始める 理由・状況 詳細 視覚異常による見えにくさ ギザギザ・キラキラした光の模様・視野の欠損やぼやけによる文字や物の識別困難 仕事や運転など日常動作の支障 視覚情報の乱れによる集中力低下・判断ミス・疲労感の増加 精神的負担とストレスの増大 不安やストレスの蓄積・生活リズムの乱れ・精神的負担の増大 頭痛発作との重複による体調不良 片頭痛の前兆として閃輝暗点が現れ、頭痛と吐き気などの体調不良が日常を妨げる 事故リスクの増加 視覚障害による運転や機械操作時の事故リスク上昇 症状の悪化や慢性化の危険性 症状が頻発・長時間続く場合は慢性片頭痛や脳血管疾患の可能性 閃輝暗点は視界にギザギザやキラキラした光、視野欠損が現れ、仕事や運転、家事などに支障をきたします。集中力低下や疲労感、不安やストレスの蓄積で生活の質が低下し、片頭痛発作が続けば影響はさらに大きくなります。 放置すれば慢性片頭痛や脳血管疾患、事故のリスクが高まるため、初発・頻発・症状変化時は早期受診と適切な対策が必要です。 閃輝暗点の治療法 治療法 詳細 過度なストレスや睡眠不足、飲酒、喫煙などを控える 精神的・身体的負担の軽減・自律神経の安定 バランスの取れた食事をする 栄養の補給・血管や神経機能の維持・誘因の回避 根本の疾患治療を行う 片頭痛や脳血管疾患に対する専門的な治療と管理 閃輝暗点に直接作用する特効薬はなく、現在の医学では確立した治療法はありません。これは閃輝暗点が症状であり、その背景にある原因疾患や誘因への対応が重要だからです。まず、脳梗塞や神経系疾患、片頭痛などの根本的な病気に対して医師による診断と治療が必要です。 同時に、発症の引き金となる過度なストレスや睡眠不足、飲酒、喫煙などを避け、自律神経や血管機能を安定させることが大切です。また、バランスの取れた食事による栄養管理は血管や神経の健康維持に有効です。生活習慣の改善と医療的フォローを組み合わせることで、症状の軽減や発症頻度の低下が期待されます。 過度なストレスや睡眠不足、飲酒、喫煙などを控える 閃輝暗点は、脳の視覚野を含む後頭葉の血管が一時的に収縮や拡張を起こし、血流が不安定になることで発症します。過度なストレスや睡眠不足、飲酒、喫煙は血管の調節機能を乱し、発症や悪化を招きます。 これらは自律神経や神経伝達物質のバランスを乱し、脳血流を不安定にして発作を繰り返しやすくするため、予防にはストレス管理や十分な睡眠、飲酒・喫煙の制限が重要です。 バランスの取れた食事をする 目的・効果 詳細 脳・血管の健康維持 マグネシウム(海藻・大豆・魚介類・玄米)やビタミンB2(卵・納豆・緑黄色野菜・乳製品)による血流改善・炎症予防 発症リスク低減 血管を不安定にする誘発食品(チョコレート・チーズ・ナッツ・カフェイン・アルコール)の過剰摂取回避 自律神経の安定 栄養バランス改善による睡眠質向上・ストレス耐性向上 栄養不足補完 マグネシウムやビタミンB2のサプリメント活用(過剰摂取は医師・薬剤師に相談) 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として起こり、脳血管の収縮・拡張や神経機能の異常が関係します。バランスの取れた食事は脳や血管の健康維持に役立ち、症状の予防や軽減に有効です。 とくにマグネシウム(海藻、大豆、魚介類、玄米など)やビタミンB2(卵、納豆、緑黄色野菜、乳製品など)は血管の安定化や炎症抑制に寄与します。一方、チョコレート、チーズ、ナッツ、カフェイン、アルコールは血管の動きを不安定にし症状を誘発する可能性があるため、控えることが望まれます。 栄養バランスの良い食事は睡眠やストレス耐性を高め、自律神経を整えて発症リスクを低下させます。栄養が不足する場合は、医師の指導のもとサプリメントで補うことも可能です。 以下の記事では、バランスの取れた食事について詳しく解説しています。 根本の疾患治療を行う 閃輝暗点は、脳の視覚野で血管の一時的な収縮・拡張や神経活動の異常が起きて生じ、多くは片頭痛の前兆として現れます。症状を直接的に治療する薬剤はないため、原因となる片頭痛や他の疾患を特定し適切に治療・管理することが重要です。 片頭痛が原因なら予防薬やトリプタン製剤で発作を抑えられますが、脳梗塞や一過性脳虚血発作、網膜疾患が原因の場合、精密検査と早期治療が不可欠です。根本疾患を放置すれば再発や重い後遺症の危険が高まるため、医師の診断と治療が必要です。 以下の記事では、原因となる疾患によっては有効なアプローチになり得る再生医療について詳しく解説しています。 閃輝暗点が出たら放置せず早急に医療機関の受診しよう 閃輝暗点は、脳梗塞などの重大な疾患の前兆の可能性があります。放置すると日常生活に支障をきたすだけでなく、後遺症を残す危険性があります。症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、原因を明らかにすることが重要です。 過去に脳梗塞を経験された方や、再発リスクが気になる方には、再発予防を目的とした治療法として再生医療という選択肢があります。脳梗塞に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 閃輝暗点の症状にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、閃輝暗点が脳梗塞や脳腫瘍などによる組織障害の前兆の可能性を踏まえ、損傷組織の回復を促進する再生医療を治療選択肢のひとつとしてご提案しています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 閃輝暗点に関するよくある質問 他の眼の病気とどう見分ければ良いですか? 閃輝暗点は脳の視覚野の異常による一過性の視覚症状で、両眼に同時に光のギザギザや波状模様が現れ、数分から30分程度で自然に消失します。 片眼のみの持続する視野欠損や、一瞬の閃光(光視症)は網膜剥離や緑内障などの眼疾患の可能性があり自然には回復しません。また、飛蚊症は黒点や糸くずが常に見え、緑内障発作では痛みや充血、視界のかすみを伴います。症状が閃輝暗点の特徴と異なる場合は、早急な眼科受診が必要です。 以下の記事では、糖尿病と目の関係性について詳しく解説しています。 【関連記事】 糖尿病で失明する原因とは|治療法とあわせて現役医師が解説 糖尿病網膜症は治るのか|治療方法とあわせて現役医師が解説 初めて閃輝暗点の症状が出た場合どの科を受診すれば良いでしょうか? 閃輝暗点が初めて出現した場合は、脳の血流変化や神経活動の異常など中枢性の原因を評価できる脳神経外科または脳神経内科を受診しましょう。 両眼で同時に症状が現れる場合は脳由来の可能性が高く、これらの診療科が適しています。片眼のみの症状では網膜剥離など眼疾患の可能性があるため、眼科の受診も必要です。 以下の記事では、閃輝暗点の見え方について詳しく解説しています。 閃輝暗点がある場合の禁忌はありますか? 閃輝暗点を伴う片頭痛がある場合は、低用量ピル(経口避妊薬)の使用は禁忌です。これは、ピルに含まれるエストロゲンが血液を固まりやすくし、脳卒中や心筋梗塞などの血管障害リスクを高めるためです。 また、喫煙、過度の飲酒、睡眠不足、ストレスは症状を悪化させる可能性があるため避けることが望ましく、基礎疾患の適切な治療と医師への相談が重要です。 参考文献 (文献1) 片頭痛/片頭痛の治療|一般社団法人 日本頭痛学会 (文献2) 緊張型頭痛|一般社団法人 日本頭痛学会
2025.08.31 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「最近、物覚えが悪くなった」 「言葉が上手く話せないと感じる」 高次脳機能障害は、脳卒中や交通事故などで脳が損傷し、記憶・言語・注意・思考・感情の調整など高度な脳機能に障害が生じる状態です。 本記事では、高次脳機能障害について現役医師が詳しく解説します。 高次脳機能障害の症状 高次脳機能障害の原因 高次脳機能障害の治療法 高次脳機能障害と似た症状 記事の最後には、高次脳機能障害についてよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 高次脳機能障害について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 高次脳機能障害とは 項目 内容 高次脳機能障害とは 脳の病気や外傷で記憶・注意・判断・言葉の働きが低下する状態 主な症状の例 記憶低下、言葉が出にくい、計画困難、感情制御の難しさ 特徴 身体ではなく認知機能や感情の働きに障害が出て外見からはわかりにくく 主な原因 脳梗塞や脳出血、交通事故による頭部外傷 経過と改善 個人差があり、リハビリや支援で改善の可能性がある 高次脳機能障害は、脳梗塞や脳出血、外傷などにより脳の一部が損傷し、記憶力・注意力・判断力・言語機能・感情の調整など、高度な脳の働きに障害が生じる状態です。 主な症状には、新しいことを覚えにくい、会話中に言葉が出にくい、計画的に行動することが難しい、感情のコントロールがしにくいなどが挙げられます。これらは手足の麻痺や感覚異常といった身体症状とは異なり、認知機能や感情の働きに影響が出る点が特徴です。 そのため、外見上は健康に見えても、本人や家族は日常生活で大きな困難を抱えることがあります。症状の現れ方や程度は個人差があり、リハビリテーションで徐々に改善する可能性があります。障害の特性を理解し、適切な対応を行うことが、生活の質の向上につながります。 高次脳機能障害の症状 症状 詳細 記憶障害(覚えられない・思い出せない) 新しい出来事を覚えられない状態や過去の記憶が抜け落ちる状態 言語障害(言葉が上手く話せない) 自分の思いや言葉を適切に表現できない状態 注意障害(集中できない・気が散りやすい) 作業や会話に集中し続けられない状態 遂行機能障害(計画を立てて行動できない) 物事の手順を考えて実行できない状態 社会的行動障害(感情コントロール・対人関係の変化) 感情の起伏や対人関係の維持が難しい状態 高次脳機能障害では、脳の損傷により記憶力・注意力・判断力・言語機能・感情の調整など、日常生活に欠かせない高度な脳機能にさまざまな影響が生じます。 新しい情報を覚えられない、言葉が思うように出てこない、作業に集中し続けられない、計画を立てて実行できない、感情や対人関係のコントロールが難しくなるなど、症状は多岐にわたります。 これらは外見からはわかりにくい場合も多く、本人や家族の生活に大きな負担となります。適切な理解と支援が、症状の改善や生活の質の向上に重要です。 以下の記事では、高次脳機能障害の症状と診断方法や対応の仕方について詳しく解説しています。 記憶障害(覚えられない・思い出せない) 新しい出来事を記憶するためには、情報を注意深く受け取り、脳内で整理し、必要時に呼び出すという一連の過程が必要です。この過程には、主に内側側頭葉の海馬と前頭葉が関与します。 海馬は、情報を覚える・整理する役割を担い、この部位が脳卒中や頭部外傷で損傷すると、新しい情報が正しく整理されず、記憶として定着しにくくなります。 前頭葉は覚える対象を意識し、整理された情報を呼び出す指令を出す働きを持ち、損傷すると注意力の低下や記憶の呼び出し困難を招きます。さらに、びまん性軸索損傷(DAI)などで脳内の神経回路が損なわれると、海馬や前頭葉が保たれていても情報伝達が障害され、記憶形成のネットワークが機能しなくなります。 これらの障害は単独または複合して生じ、覚えようとしても記憶に残らない、思い出そうとしても想起できないといった記憶障害を引き起こします。 言語障害(言葉が上手く話せない) 困りごと 詳細 言いたい単語が頭に浮かぶのに思い出せない(喚語困難) 言葉が口まで出かかっているのに言えない状態 発話がゆっくり・断続的で流暢さに欠ける(非流暢型) 話のテンポが遅く途切れがちな状態 何か言おうとするが違う単語が出てしまう(音韻性錯語) 意図とは異なる単語や音が出てしまう状態 相手の言葉を聞いても意味がつかみにくい(理解障害) 会話内容の理解が難しい状態 失語症に分類される症状 聞く・話す・読む・書くのすべてで障害がある状態 高次脳機能障害による言語障害は、ブローカ野やウェルニッケ野、またそれらをつなぐ神経回路の損傷で起こります。ブローカ野の損傷では言葉が出にくい非流暢型失語、ウェルニッケ野の損傷では意味が理解できない受容性失語、弓状束の損傷では言い間違いが続く伝導性失語が生じます。 これらは構音障害や声帯障害とは異なり、脳の情報処理機能の障害によるもので、多くは記憶や注意、思考の障害を伴うため、適切なリハビリと支援が改善に必要です。 注意障害(集中できない・気が散りやすい) 種類 特徴 容量性注意障害 一度に意識できる情報量が少なくなる状態 選択性注意障害 必要な情報に集中できず周囲の刺激に気を取られる状態 転換性注意障害 ひとつのことに固執して注意を切り替えられない状態 持続性注意障害 集中を長時間保てずすぐに途切れる状態 配分性注意障害 複数作業に注意を分けられずミスや抜けが出る状態 注意障害は高次脳機能障害のひとつで、集中力の維持や必要な情報への注意が難しくなる状態です。前頭葉やその神経回路の損傷が原因となり、情報の選択・切り替え・持続といった機能が低下します。 脳梗塞や頭部外傷でこの部位が損傷すると、集中力が低下し注意が逸れやすくなり、容量性・選択性・転換性・持続性・配分性の各注意障害が単独または複合して現れます。 仕事や学習、日常生活に大きく影響を及ぼしますが、適切なリハビリや生活環境の調整により改善が期待できます。 遂行機能障害(計画を立てて行動できない) 遂行機能障害は、高次脳機能障害のひとつで、目標の設定や計画の立案、行動の順序立てが困難になる状態です。主に前頭葉が関与し、この部位は思考、判断、計画などの機能を担います。 脳卒中や交通事故で前頭葉が損傷すると、段取りが立てられない、作業を途中でやめてしまう、優先順位を決められないといった症状が現れます。 注意力や記憶力の低下、神経伝達物質のバランス異常も影響します。日常生活では、仕事や家事の進行が滞る、約束や期限を守れない、やるべきことを忘れるといった例が見られます。 遂行機能障害は外見からわかりにくいため、適切な理解と周囲の支援、専門的なリハビリテーションが生活の質を保つ上で重要です。 社会的行動障害(感情コントロール・対人関係の変化) 社会的行動障害は、脳損傷によって感情や行動の調整が難しくなり、普段とは異なる言動が現れる状態です。 前頭葉の損傷や、記憶障害・注意障害・遂行機能障害などの影響により、衝動的な行動、場にそぐわない発言、相手の気持ちを理解しにくいなどの症状が生じ、対人関係に誤解やトラブルを招きます。 外見からはわかりにくく、周囲の理解が得られにくい点が特徴です。これは性格や意志の問題ではなく脳の損傷によるもので、周囲の理解と支援、専門的なリハビリが改善に重要です。 高次脳機能障害の原因 原因 詳細 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害 脳の血管が詰まったり破れたりして脳組織が損傷を受ける状態 交通事故などによる外傷性脳損傷 頭部への強い衝撃による脳の損傷で、見た目ではわかりにくい損傷も含む 低酸素脳症や感染症などその他の要因 脳への酸素不足や脳炎などの感染症による損傷や影響 高次脳機能障害は、脳の損傷によって記憶・言語・注意・行動などの高度な脳機能に障害が生じる状態で、原因は多岐にわたります。 主な原因には、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、交通事故による外傷性脳損傷、低酸素脳症や脳炎などの感染症があります。これらは脳の組織や神経回路に影響を与える可能性があります。 発症時には早期に医療機関を受診し、適切な診断・治療・リハビリテーションを受けることが、症状の軽減や回復に重要です。 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害 項目 詳細 高次脳機能の働き 記憶、言語、注意力、計画、判断をつかさどる脳の働き 高次脳機能障害が起こる仕組み 脳血管障害で脳の特定部位が損傷し、その働きが低下または消失する状態 脳血管障害の主な症状 記憶障害、言語障害、注意障害、遂行機能障害、感情コントロールの低下 脳梗塞の特徴 脳の血管が詰まり、詰まった先の組織が血液不足となり細胞が死ぬ状態 脳出血の特徴 脳の血管が破れて脳内に血が広がり、損傷部位や範囲によって症状が異なる状態 原因と結果 損傷部位が酸素と栄養を受けられず、高次脳機能に障害が生じる状態 脳は、記憶や言語、注意力、計画、判断、感情の制御など、日常生活に欠かせない高次脳機能を担っています。脳血管障害で脳の一部が損傷すると、その部位の機能が低下または失われ、高次脳機能障害が生じます。 脳血管障害による症状は多岐にわたり、損傷部位や範囲によって重症度が異なります。脳梗塞は血管の詰まり、脳出血は血管破裂で発生し、いずれも早期診断・治療と適切なリハビリが回復に重要です。 以下の記事では、脳梗塞と脳出血の症状について詳しく解説しています。 【関連記事】 脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説 【医師監修】脳出血とは|症状・種類・原因を詳しく解説 交通事故などによる外傷性脳損傷 外傷性脳損傷は、交通事故や転倒、スポーツ中の衝撃などで頭部に強い外力が加わり、脳に損傷が生じる状態です。衝撃によって脳組織が傷ついたり、脳内で出血が起きたりし、その結果、脳の機能に障害が生じます。 脳の損傷部位や範囲によって多様な高次脳機能障害が現れ、とくに交通事故では前頭葉を含む広範囲が損傷しやすく重い障害を招くことがあります。 脳挫傷・脳内出血・びまん性軸索損傷はいずれも高次脳機能を低下させるため、早期診断と適切な治療・リハビリが重要です。 以下の記事では、外傷性脳出血の症状について詳しく解説しています。 低酸素脳症や感染症などその他の要因 状態・要因 詳細 低酸素脳症 脳への酸素供給が不十分となり、脳細胞がダメージを受ける状態(溺水、窒息、心停止、一酸化炭素中毒などが原因) 低酸素脳症で高次脳機能障害が起こる理由 酸素不足により、記憶・注意・判断を担う脳細胞が損傷される状態 症状の特徴 記憶障害、注意障害、感情コントロールの障害などが現れやすい傾向 脳炎や感染症が高次脳機能障害を引き起こす理由 感染による脳の炎症で正常な脳機能が妨げられる状態(ヘルペス脳炎などでは認知や情緒面の障害が特徴) その他の要因 髄膜炎、脳腫瘍、てんかんなどによる脳細胞の損傷と高次脳機能障害発症の可能性 低酸素脳症は、溺水、窒息、心停止、一酸化炭素中毒などにより脳への酸素供給が不足し、脳細胞が損傷する病態です。 高次脳機能を担う部位が障害されると、記憶障害、注意障害、判断力低下、感情コントロールの困難など多様な症状が現れます。とくに記憶障害や注意障害が出やすい傾向があります。 脳炎や髄膜炎などの脳感染症も、脳組織に炎症や損傷を与え、認知機能や情緒面に影響を及ぼします。さらに、脳腫瘍やてんかん発作なども高次脳機能障害の原因となります。これらの障害は損傷部位や範囲によって症状が異なるため、適切なリハビリテーションが回復に不可欠です。 高次脳機能障害の治療法 治療法 詳細 リハビリテーション 記憶や言語、注意力、計画力など低下した機能の改善を目指す訓練や作業療法 薬物療法 集中力や意欲、感情の安定など症状に応じた薬剤を用いた治療 再生医療 幹細胞などを利用し損傷した脳組織の修復や機能回復を促す治療 高次脳機能障害の治療は、症状や原因、重症度に応じて複数の方法を組み合わせて行います。中心は記憶や言語、注意力などの回復を目指すリハビリテーションで、作業療法士や言語聴覚士が訓練を行います。 薬物療法は注意力や意欲低下、感情の不安定さに対して補助的に使用されます。再生医療は幹細胞や成長因子を用いて損傷した脳組織の修復や機能回復を促す新しい治療法です。 しかし、取り扱う医療機関が限られているため、実施には事前の問い合わせと医師による診察が不可欠です。再生医療は単独でなくリハビリなどと組み合わせて行われ、早期かつ継続的な介入により生活の質向上が重要視されます。 リハビリテーション リハビリ内容 有用性 言語療法(ST) 言葉の理解・表現力の改善、会話能力の向上、コミュニケーションの円滑化 作業療法(OT) 日常生活動作(食事、着替え、家事)の能力向上、手先の動作や計画力の改善 認知機能訓練 記憶力、注意力、判断力、遂行機能の強化による生活自立度の向上 理学療法(PT) 基本的な身体の動きやバランスの安定化による活動範囲の拡大 心理的支援・カウンセリング 自信回復、抑うつ・不安の軽減、社会参加意欲の向上 リハビリテーションは、高次脳機能障害の中心的な治療法です。記憶力、注意力、遂行機能、言語能力などを回復させ、日常生活の自立を支援します。 脳には損傷後に新しい神経回路を形成する可塑性があり、リハビリはこの能力を最大限に活用する治療法です。医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理士、ソーシャルワーカーなど多職種が連携し、症状や生活状況に応じたプログラムを提供します。 効果を高めるには発症早期から開始し、6カ月から1年程度継続することが推奨され、継続的な評価と調整によって機能改善、自信回復、抑うつや不安の軽減、社会復帰の促進が期待できます。 以下の記事では、高次脳機能障害のリハビリ効果について詳しく解説しています。 【関連記事】 高次脳機能障害のリハビリ効果とは?方法や内容をあわせて紹介 高次脳機能障害は回復する?事例やリハビリの重要性を現役医師が解説 薬物療法 理由・特徴 詳細 症状の軽減と生活の質向上 記憶障害・注意障害・感情や行動の問題を和らげる補助療法 神経伝達物質のバランス調整 セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンなどを整え脳機能をサポートする治療 行動・感情コントロールの支援 衝動性や攻撃性、うつ症状、不安を鎮め落ち着いた状態を保つ治療 リハビリの効果向上 薬物の作用で集中力や安定性を高め、リハビリ訓練への取り組みを後押しする効果 継続的な治療の重要性 症状や状態に合わせ、医師が薬剤を調整しながら数カ月以上継続する治療 薬物療法は、高次脳機能障害に対し脳損傷そのものを治すのではなく、症状を軽減し日常生活の質を高める補助的治療法です。記憶障害、注意障害、衝動性や攻撃性などの感情・行動の問題を緩和し、リハビリテーション効果を向上させます。 治療ではセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質のバランスを調整し、注意力や意欲の改善、感情の安定を図ります。たとえば、注意障害にはメチルフェニデートが用いられ、集中力や覚醒度を高めます。抗うつ薬や抗精神病薬は衝動性、不安、うつ症状の緩和に有効です。 薬物療法は認知リハビリや作業療法と併用することで効果が高まり、数カ月以上の継続が推奨されます。薬物療法では、必ず医師の指導のもと実施することが重要です。 以下の記事では、高次脳機能障害の薬物療法とリハビリでの治療法について詳しく解説しています。 再生医療 再生医療は、患者自身の幹細胞を用いて損傷した脳組織の修復や再生を促し、失われた機能の回復を目指す治療法です。 幹細胞は損傷部位で新しい神経細胞を作り、修復を支援します。これにより脳の自己治癒力が高まり、リハビリ効果も向上します。従来より短期間で症状改善が報告される例があり、幹細胞が分泌する物質は血管修復や保護にも働き、脳卒中再発予防の可能性があります。 ただし、再生医療は実施できる医療機関が限られているため、事前に対応可能かを確認し、適応の有無を診察で判断することが必要です。 脳卒中の後遺症である高次脳機能障害や再発予防に関してお悩みの方は、再生医療も治療の選択肢としてご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中に対する再生医療の症例を紹介しています。治療内容の参考にご覧ください。 高次脳機能障害と似た症状 似た症状 詳細 認知症(アルツハイマー型・血管性など) 進行性の認知機能低下と記憶障害が中心の状態 うつ病や統合失調症などの精神疾患 気分の落ち込みや思考・行動の障害を伴う精神状態 発達障害(自閉スペクトラム症・ADHDなど) 社会的コミュニケーションや注意集中の困難が持続する状態 脳腫瘍・正常圧水頭症などの脳疾患 脳の腫瘍や脳室の異常による認知や運動機能の障害 てんかん(とくに側頭葉てんかん) 発作やそれに伴う意識障害、記憶・行動の異常 高次脳機能障害と似た症状は、認知症、精神疾患、発達障害、脳疾患、てんかんなど多岐にわたります。認知症では記憶障害や判断力低下が進行し、うつ病や統合失調症などの精神疾患では意欲低下や感情の不安定さがみられます。 自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害では、社会的コミュニケーションや注意・行動の調整が困難です。脳腫瘍や正常圧水頭症では脳の構造変化や圧迫により記憶・歩行・判断力が障害されます。 側頭葉てんかんなどのてんかんでは、発作に伴い記憶や感情の変化、一時的な意識障害が生じます。これらは症状が似ていても原因や治療法が異なるため、正確な診断が不可欠です。 認知症(アルツハイマー型・血管性など) 項目 高次脳機能障害 認知症 主な原因 交通事故・脳卒中・外傷などによる急性の脳損傷 アルツハイマー病・血管性認知症などによる脳の変性や萎縮 発症の仕方 急に症状が現れる発症 徐々に症状が進行する発症 症状の進行 基本的に進行しにくい状態 時間とともに進行し悪化する状態 主な経過 リハビリによって改善が期待できる経過 根本的な治療は難しく進行を遅らせる支援が中心の経過 主な共通症状 記憶障害、遂行機能障害、注意障害、人格変化などの症状 高次脳機能障害と認知症は、どちらも記憶障害や注意障害、計画力の低下、人格変化など似た症状を伴いますが、原因と経過が異なります。高次脳機能障害は、交通事故や脳卒中などによる急な脳損傷が原因で、症状は突然現れます。基本的に進行せず、リハビリによって改善が見込めます。 一方、認知症はアルツハイマー病や血管性認知症などが原因で脳が徐々に変性・萎縮し、症状が進行していきます。根本的な治療は難しく、薬剤や生活支援で進行を遅らせることが治療の中心となります。 以下の記事では、高次脳機能障害と認知症の違いを詳しく解説しています。 うつ病や統合失調症などの精神疾患 項目 高次脳機能障害 うつ病や統合失調症などの精神疾患 主な原因 交通事故・脳卒中などによる器質的な脳損傷 心理的・社会的ストレス、神経伝達物質バランスの乱れ遺伝的素因など 発症の仕方 脳損傷後に突然症状が現れる発症 徐々に進行する場合や急性に悪化する場合がある発症 背景メカニズム 損傷部位の神経ネットワーク障害による症状発現 器質的損傷を伴わない脳機能異常や心理社会的要因による症状発現 治療の方向性 原因疾患の治療とリハビリによる機能回復支援 薬物療法や心理社会的支援による症状の安定化と再発予防 主な共通症状 注意障害、意欲低下、感情コントロールの不全、社会的行動の変化 高次脳機能障害は、交通事故や脳卒中などによる明確な脳損傷を原因として、認知機能や感情の制御が低下する病態です。これに対し、うつ病や統合失調症などの精神疾患は脳の構造的損傷を伴わず、心理社会的ストレス、神経伝達物質の異常、遺伝的要因などが主な背景と考えられます。 いずれも注意力や意欲の低下、感情の不安定さ、対人関係の変化といった共通症状を示し、日常生活や社会生活に大きな支障をきたしますが、その発症機序は異なります。高次脳機能障害は脳の器質的障害による直接的な機能低下であり、精神疾患は脳機能の異常や心理社会的要因による変化が中心です。 症状が類似するため誤診の恐れもあり、正確な診断には医師による詳細な問診、神経心理検査、画像検査が不可欠です。 発達障害(自閉スペクトラム症・ADHDなど) 項目 高次脳機能障害 発達障害(自閉スペクトラム症・ADHDなど) 主な原因 脳梗塞・交通事故・外傷などによる後天的な脳損傷 生まれつきの脳機能の特徴や発達の仕方の違い 発症の時期 成人期・小児期を問わず、脳損傷後に突然発症 幼少期から症状がみられる発達期発症 背景メカニズム 損傷部位の神経ネットワーク障害による情報処理の低下 先天的な脳情報処理の特性による行動や認知の違い 治療・支援 リハビリテーションや薬物療法で機能回復支援 療育・環境調整・必要に応じた薬物療法による適応支援 共通する症状 注意の持続困難、遂行機能障害、社会的行動の変化 高次脳機能障害と発達障害(自閉スペクトラム症、ADHDなど)は、注意が続かない、計画や段取りが苦手、感情や対人関係の調整が難しいといった共通の症状があります。これらは脳の情報処理や行動調整機能の障害で起こります。 発達障害は先天的で幼少期から症状があり、高次脳機能障害は脳梗塞や事故など後天的損傷が原因です。症状の時期や経過が診断の鍵であり、正確な鑑別には医師の評価が必要になります。 以下の記事では、ブレインフォッグとADHDについて詳しく解説しています。 脳腫瘍・正常圧水頭症などの脳疾患 項目 高次脳機能障害 脳腫瘍・正常圧水頭症 主な原因 交通事故・脳卒中・外傷などによる脳の損傷 脳内の腫瘍形成や脳脊髄液循環障害による脳圧迫 発症の仕方 脳損傷後に突然症状が現れる発症 腫瘍や液体貯留が進行して症状が徐々に出現する発症 症状発現の仕組み 損傷部位の神経細胞や神経回路の破壊による直接的障害 脳の圧迫や循環障害による二次的な機能障害 主な治療 リハビリテーションを中心とした機能回復支援 外科的治療(腫瘍摘出・シャント手術)による圧迫解除と症状改善 共通する症状 記憶障害、注意障害、感情のコントロール不全 脳腫瘍は脳内に発生する異常な腫瘤であり、正常圧水頭症は脳脊髄液の流れが障害されて脳室に液が過剰にたまる疾患です。いずれも脳を物理的に圧迫し、血液や脳脊髄液の循環を妨げることで、記憶障害、注意力低下、感情の不安定化など、高次脳機能障害に似た症状を引き起こします。 原因は脳細胞の直接的な損傷ではなく、圧迫や循環障害による二次的な機能低下です。治療は腫瘍摘出術やシャント手術などの外科的手段が中心で、圧迫を解除することで症状が改善する可能性があります。高次脳機能障害とは症状や原因が異なるため、医師の診断が不可欠です。 【関連記事】 【くも膜下出血の後遺症】水頭症は寿命がある?症状から治療法まで医師が解説 水頭症による高齢者の認知症は手術で治る?手術しないリスクとは【医師監修】 てんかん(とくに側頭葉てんかん) 項目 高次脳機能障害 てんかん(とくに側頭葉てんかん) 主な原因 脳梗塞・交通事故・外傷などによる器質的な脳損傷 脳内の異常な電気活動(発作)や潜在的なてんかん性放電 発症の仕方 脳損傷後に突然症状が現れる発症 発作の繰り返しに伴い徐々に症状が現れる場合もある発症 症状発現の仕組み 損傷部位の神経細胞や神経ネットワークの破壊による直接的障害 異常な電気活動やネットワークの乱れによる機能障害 主な治療 リハビリテーション中心の機能回復支援 抗てんかん薬や外科手術による発作コントロール 共通する症状 記憶障害、注意障害、感情のコントロール不全 てんかん、とくに側頭葉てんかんは、高次脳機能障害と同様に記憶障害・注意障害・感情変化を示します。記憶障害は発作時だけでなく非発作時にも現れ、新しい情報を覚えにくい、過去の出来事を忘れやすいなどの症状があります。 注意障害は集中力低下や気の散りやすさ、感情変化は怒りやすさや感情コントロール困難として表れます。これらは異常な電気活動や潜在的なてんかん性放電による脳ネットワークの乱れが原因です。 一方、脳腫瘍や正常圧水頭症では脳の圧迫や循環障害による二次的症状であり、外科手術で改善を図ります。てんかんは抗てんかん薬や手術で発作を抑えるなど治療法が異なるため、正確な鑑別診断が重要です。 以下の記事では、側頭葉てんかんの手術後に起こりうる後遺症について詳しく解説しています。 改善しない高次脳機能障害は当院へご相談ください 高次脳機能障害は、記憶力の低下や注意力の欠如などが現れ、日常生活に支障をきたします。早期発見と治療の継続で改善が見込めます。しかし、症状が進行している状態の場合、改善が困難になることがあります。 改善が見られない高次脳機能障害でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院は、損傷部位の修復にアプローチする再生医療を積極的に提案し、患者様の症状に合う治療方針を策定します。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 高次脳機能障害に関するよくある質問 高次脳機能障害の家族の向き合い方を教えてください 高次脳機能障害の患者さんは、日常生活や介護の多くを家族が担いますが、症状は外見からわかりにくく、性格や行動の変化も伴うため、家族の心理的負担は大きくなります。介護を続けるためには、病気の正しい理解が重要です。 症状や経過を知ることで患者さんの行動を病気の一部として受け入れやすくなり、家族会やセミナーの参加も有効です。また、家族自身の心身の健康維持も必要で、心理カウンセリングや相談窓口の活用、同じ立場の家族との交流がストレス軽減に役立ちます。 また、行政や福祉サービス、レスパイトケアを利用して介護負担を分散させることが、患者さんの生活の質向上にもつながります。 以下の記事では、高次脳機能障害の家族の向き合い方について詳しく解説しています。 【関連記事】 高次脳機能障害で怒りやすくなる?家族への適切な対応を紹介 高次脳機能障害への対応の仕方は?介護疲れを軽減するコツを解説 高次脳機能障害患者の家族が抱えるストレスは?対処法や支援制度を現役医師が解説 高次脳機能障害の平均余命はどのくらいですか? 高次脳機能障害の平均余命は、発症年齢や性別によって異なりますが、健常者より短くなる傾向があります。男性では、20歳発症の場合は平均余命が42.61年で、健常男性の61.45年より約18.8年短くなります。 年齢が上がるにつれて差は縮まり、50歳発症では約12.4年、80歳発症では約6.5年の差です。女性も同様で、20歳発症では約17.3年、50歳発症では約11.9年、80歳発症では約8.5年短くなります。 この余命短縮は、脳損傷による高次脳機能障害と、それに伴う身体機能低下や合併症リスクの増加が影響していると考えられます。ただし、適切な医療管理やリハビリテーション、生活習慣の改善によって健康状態を保ち、余命や生活の質(QOL)を高めることは可能です。 平均余命は統計上の目安であり、個々の生活環境や支援体制によって変わるため、医療機関と連携し、長期的な健康管理と社会参加を継続することが重要です。 以下の記事では、高次脳機能障害の平均余命について詳しく解説しています。
2025.08.31







