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「数日前に交通事故でけがをしてから、頭痛やめまいが続いている」 「寝ていると楽だけれど、座ったり起きたりすると頭痛が強くなる」 「頭痛やめまいは事故の後遺症なのだろうか」 外傷後にこのような症状が出た場合、多くの方が不安に感じるでしょう。これらの症状は、脳脊髄液減少症によるものかもしれません。 結論から申し上げますと、多くの場合、脳脊髄液減少症を発症するまでの期間は外傷後30分~数週間程度です。 本記事では脳脊髄液減少症を発症するまでの期間に加えて、発症のきっかけや、医療機関受診の必要性について解説します。 不安を感じている方の助けになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症を発症するまでの期間 脳脊髄液減少症の症状は、外傷後30分から数週間程度で現れることが多いとされています。(文献1) 外傷直後ではなく少し遅れて発症する主な原因としては、以下の2つが考えられます。(文献2) 血栓の消失 脳浮腫の軽減 1つ目は、外傷後、一時的に発生した血栓が関係するケースです。血栓が脳脊髄液の漏れを塞いでいた場合、血栓が消失すると再び漏れ始めます。 2つ目は、外傷およびそれに伴う脳の浮腫と関連しているケースです。外傷により脳を包む硬膜やくも膜に傷ができたとしても、脳浮腫により一時的に傷が塞がれることがあります。しかし、脳浮腫が軽減されると傷が開き、そこから脳脊髄液が漏れ始めるメカニズムです。 脳脊髄液減少症を発症するきっかけとは? 脳脊髄液減少症を発症するきっかけは、主に以下の4つです。 外傷性(けがによるもの) 医原性(医療処置が原因のもの) 突発性(原因不明のもの) その他(出産、運動後の水分補給不足など) アメリカのクリーブランド・クリニックのサイトでは、脳脊髄液減少症の約90%は外傷性であり、残りの10%は原因不明で起こるとされています。(文献3) 脳脊髄液減少症を発症するきっかけについては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症発症後の死亡率 この章では、脳脊髄液減少症後の死亡率および、寝たきりになる確率について解説します。 死亡率 2025年4月現在、脳脊髄液減少症による死亡率のデータは示されていません。 台湾の学術論文において、頭部外傷者患者10,638人を調査した結果が記されています。この研究では、外傷後に髄液漏れがあった患者は、髄液漏れがなかった患者と比べて1年以内に死亡する確率が有意に高い結果が示されました。(文献4) また、髄液が漏れ続けることで髄膜炎や脳炎などの発症につながり、ときには死亡するケースもあります。(文献4) イギリスの慈善団体「The CSF Leak Association(脳脊髄液漏出協会)」のサイトでは、「髄液漏出による死亡は極めてまれであるが、重症の場合、脳ヘルニアなどの合併症により死亡するケースがある」と記載されています。(文献5) 寝たきりになる確率 2025年4月現在、脳脊髄液減少症により寝たきりになる確率を明確に示したデータは存在していません。 アメリカのメイヨー・クリニックのサイトでは、脳脊髄液減少症が未治療の場合、髄膜炎や緊張性気脳症、硬膜下血腫などの合併症を引き起こす可能性があると示されています。(文献6)緊張性気脳症とは、脳を取り囲む空間に空気が入り、頭の中の圧力が上昇する疾患です。 治療を受けても重度の症状が続く場合は、合併症がなくても寝たきりになるケースが考えられます。 以下の記事では、髄膜炎について紹介していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症発症までの期間を理解して対処の遅れを防ごう 脳脊髄液減少症は、原因不明のものもありますが、多くは交通事故を含む外傷が原因です。 外傷性の場合、受傷後30分から数週間後の発症が多いとされています。明確なデータは存在しませんが、重症の場合、寝たきりになったり亡くなったりする可能性もあります。 外傷後に頭痛やめまい、倦怠感といった体調の異変が現れた場合は、脳脊髄液減少症を疑い脳神経外科や整形外科などを受診しましょう。 多くの都道府県公式ホームページでは、脳脊髄液減少症に関する情報が記載されているため、検索をおすすめします。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症と思われる症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 脳脊髄液減少症発症までの期間に関するよくある質問 脳脊髄液減少症を発症するとどのような症状が現れますか? 脳脊髄液減少で特徴的な症状が、起立性頭痛です。起立性頭痛とは、起き上がったり座ったりすると発生、もしくは悪化する頭痛のことです。 その他の症状としては、首や目の奥の痛み、めまい、倦怠感などがあります。 脳脊髄液減少症は特徴的な症状が少なく病気の認知度も低いため、起立性調節障害や片頭痛、うつ病などと診断されるケースも少なくありません。 原因不明の脳脊髄液減少症は何歳ころに多く発症しますか? アメリカのクリーブランド・クリニックのサイトでは、原因不明の脳脊髄液減少症は30歳以上の方に多く、発症する平均年齢は42歳と示されています。(文献3) 男女で比較すると、女性の方が発症しやすい傾向にあります。 脳脊髄液減少症を発症してから診断されるまでの期間はどのくらいですか? 脳脊髄液減少症は診断が難しいため、診断されるまでに数年間かかる方も少なくありません。(文献5) 日本の新聞記事でも、発症から診断まで3年かかり、複数の医療機関を転々として苦しんだ方の記事が掲載されています。(文献7) 参考文献 (文献1)一般社団法人千葉市医師会「事故後に不調が続いたらすぐ病院へ「脳脊髄液減少症」」一般社団法人千葉市医師会ホームページ, 2023年4月10日 https://www.chiba-city-med.or.jp/column/152.html (最終アクセス:2025年4月20日) (文献2)Ji-Woong Oh, et al.(2017).Traumatic Cerebrospinal Fluid Leak: Diagnosis and Management.Korean J Neurotrauma, 13(2),pp.63-67. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5702760/pdf/kjn-13-63.pdf (最終アクセス:2025年4月20日) (文献3)Cleveland Clinic「Cerebrospinal Fluid (CSF) Leak」Cleveland Clinic,2022年4月26日 https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/16854-cerebrospinal-fluid-csf-leak (最終アクセス:2025年4月20日) (文献4)Kuo-Hsing Liao, et al.(2016).Risk of death in patients with post-traumatic cerebrospinal fluid leakagedAnalysis of 1773 cases.Journal of the Chinese Medical Association,79(2)pp.58-54 https://journals.lww.com/jcma/fulltext/2016/02000/risk_of_death_in_patients_with_post_traumatic.4.aspx (最終アクセス:2025年4月20日) (文献5)The CSF Leak Association「CSF Leak FAQs: Essential Information About Cerebrospinal Fluid Leaks」The CSF Leak Association https://csfleak.uk/resource/frequently-asked-questions-faqs (最終アクセス:2025年4月20日) (文献6)Mayo Clinic「CSF leak (Cerebrospinal fluid leak)」Mayo Clinic,2023年11月21日 https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/csf-leak/symptoms-causes/syc-20522246 (最終アクセス:2025年4月20日) (文献7)讀賣新聞「脳脊髄液減少症のいま<1>診断つかず医療機関転々」讀賣新聞オンライン,2022年11月19日 https://www.yomiuri.co.jp/medical/renaissance/20221118-OYT8T50024/ (最終アクセス:2025年4月20日)
2025.04.30 -
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「立ったり座ったりすると頭痛がする」 「ふわふわとしためまいが続く」 「いつも体がだるい」 このような症状でお悩みの方も多いでしょう。これらはいずれも、脳脊髄液減少症の初期症状の1つです。 脳脊髄液減少症は、原因不明のものもあれば、外傷や疾患が原因で発症するものもあります。 本記事では脳脊髄液減少症の初期症状や、放置するリスクなどを解説します。脳脊髄液減少症を発症した芸能人の体験談も紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症の初期症状 脳脊髄液減少症の初期症状で特徴的なものは、起立性頭痛です。(文献1)起立性頭痛とは、立ったり座ったりすると出現・悪化する頭痛のことです。 それ以外の初期症状としては、主に以下のようなものがあげられます。 首の痛み めまい 目の奥の痛み 耳鳴り 慢性的な症状としては、頭痛や疲れやすさ、注意力・思考力の低下、腰痛などがあげられます。 特徴的な症状が少ないため、片頭痛や頚椎椎間板ヘルニア、メニエール病、うつ病といった疾患と診断されるケースも少なくありません。 脳脊髄液減少症の概要・治療法、初期症状の1つ「目の奥の痛み」について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 【関連記事】 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法を紹介|治療方法もあわせて解説 目の奥が痛いのは脳梗塞の前兆?目の病気との見分け方や対処法を解説【医師監修】 脳脊髄液減少症の初期症状を放置するとどうなる? 脳脊髄液減少症は、初期段階であれば、充分な水分補給と安静といった保存的治療で回復する可能性が高い疾患です。(文献1)しかし、初期症状を放置すると、慢性化、もしくは重症化する可能性もあります。 重症化した場合、頭の中に血のかたまり(慢性硬膜下血腫)ができることもあります。脳脊髄液が減少すると、脳を包む硬膜と脳の間にあるすき間が広がり、そこに血液が溜まるためです。血のかたまりが大きくなると、脳が圧迫されるため、溜まった血液を取り除く手術が必要です。 初期症状に気づいた時点で医療機関にかかることが、重症化を防ぐ大事なポイントといえるでしょう。 脳脊髄液減少症の初期症状が見られたときの受診先については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症の主な原因 この章では、脳脊髄液減少症発症の主な原因を表にまとめました。 原因 詳細・具体例 特発性 原因不明のもの 外傷性 なんらかの外傷によるもの (例) 交通事故 スポーツ中の転倒や打撲 階段からの転倒 医原性 なんらかの疾患や医療処置によるもの (例) 発熱による脱水 腰椎穿刺検査 整体治療 その他 外傷や疾患、医療処置以外によるもの (例) 出産 金管楽器を強く吹く スポーツ後の水分補給が不十分であったために、発症したケースもあります。 脳脊髄液減少症の検査方法 脳脊髄液減少症の検査方法は、主に以下の4つです。 病歴の聴き取り 脳脊髄液の検査 頭部MRI検査脳槽 シンチグラフィー検査 病歴の聴き取り 脳脊髄液減少症の検査および診断の第一歩は、病歴の聴き取りです。 もともと、片頭痛や緊張型頭痛、薬の飲み過ぎによる頭痛などがある方の場合、脳脊髄液減少症の症状と区別する必要があります。そのような頭痛がある方は、隠さずに医師へ伝えましょう。 めまいや体のだるさなど、頭痛以外の症状がある場合もていねいに伝える必要があります。 片頭痛や緊張型頭痛に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液の検査 腰椎(腰の背骨)に針を刺す腰椎穿刺により、脳脊髄液の圧力を調べる検査です。最初の検査結果で、圧力が6cm水柱以下のときは脳脊髄液減少症の可能性があります。ただし、正常値であっても、脳脊髄液減少症を完全に否定できない場合もあります。(文献2) なお、腰椎穿刺により脳脊髄液の漏れが悪化する可能性があるため、この検査は必須ではありません。 頭部MRI検査 頭部MRI検査で見られる主な所見を表でまとめました。 所見 詳細 脳の下方変位 脳と硬膜との間のすき間が広がる 小脳の一部が下がる脳幹が 平たく変形する 側脳室(脳脊髄液で満たされた空間)が狭くなる 血液量増加 硬膜が広範囲で厚くなる 頭の中の静脈が太くなる 脳下垂体が大きくなる ただし、慢性期には、このような所見が見られない場合もあります。MRI検査の結果は、あくまでも参考情報の1つです。 脳槽シンチグラフィー検査 脳槽シンチグラフィーとは、髄液の流れや漏れを調べる検査です。 腰椎穿刺で特殊な物質であるインジウムを注入し、30分~1時間後のインジウム量を100%として、24時間後に、再度インジウム量を測定します。 インジウム減少量や特定の場所への貯留状況などが、脳脊髄液の流れや漏れを調べる指標です。 胸椎や腰椎において、脳脊髄液がどこから漏れているかを調べるのに適した検査とされています。 脳脊髄液減少症を公表した芸能人 芸能人の中にも、脳脊髄液減少症を発症したことを公開している方がいます。 俳優の米倉涼子さんは2019年に脳脊髄液減少症を発症し、まっすぐ歩けない、身体がだるくて立ち上がれないといった症状に見舞われました。複数の医療機関を受診して、脳ドックや脳の検査を受けた結果、ようやく病名が判明しました。2023年8月に治療を受けて、翌年5月頃から重い症状が少し改善してきたとテレビ番組で語っています。 岐阜県を中心に活動しているタレントの塚本明里さんも、脳脊髄液減少症を発症した1人です。塚本さんは、発症してから病名がわかるまでに7年間かかりました。病名がわかるまでは、周りの人に説明できず辛い思いをしたそうです。長い時間頭を立てていると倒れることもあるため、外出時はリクライニング式の車椅子を使っていると語っています。 脳脊髄液減少症の初期症状がある場合は放置せずに医療機関を受診しよう 脳脊髄液減少症は、なんらかの原因によるものもあれば、原因不明のものもあります。 主な初期症状は起立性の頭痛ですが、それ以外にも、めまいや首の痛みなどさまざまな症状があります。 早期発見により早期回復が見込めるため、本記事で紹介したような症状がある場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。多くの都道府県公式ホームページでは、検査・治療ができる医療機関を紹介しているため、症状がある方は検索してみると良いでしょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症の初期症状が見られる方は、お気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 松本英之,宇川 義一.「脳脊髄液減少症」『日本内科学会雑誌』100(4), pp.1076-1083, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_1076/_pdf (最終アクセス:2025年4月19日) (文献2) 脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」2007年 http://www.npo-aswp.org/data/2007-0330.pdf (最終アクセス:2025年4月18日)
2025.04.30 -
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「めまいや頭痛が続いている」 「貧血が原因だと思っていたが、血液検査では異常なしだった」 「異常がないのに、なぜめまいや頭痛が続いているのだろう?」 このような不安や疑問をお持ちの方も多いでしょう。原因不明のめまいや頭痛などが続くときには、脳脊髄液減少症の可能性があります。 本記事では脳脊髄液減少症のセルフチェック項目や、病気の概要、治療法について解説します。 症状が続く不安を軽減するために、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法 この章では、脳脊髄液減少症のセルフチェック項目を表にまとめました。 セルフチェック項目 詳細 主な症状 頭痛(起立性頭痛) 首の痛み めまい 耳鳴り 見え方の異常 身体のだるさ 疲れやすさ その他の症状 顔の痛みやしびれ 意識障害 症状の現れ方 座ったり起き上がったりしてから3時間以内に症状が出現・悪化しやすい 起立性頭痛とは、立ち上がったときや座っているときなどに強くなる頭痛のことです。 当てはまる項目が多く、過去に病院で「異常なし」と診断された方は、脳脊髄液減少症を発症している可能性があります。 脳脊髄液減少症の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 そもそも脳脊髄液減少症とは 脳脊髄液減少症とは、脳脊髄液が常に、もしくは断続的に漏れ出してしまう疾患です。(文献1)脳脊髄液の役割は、脳と脊髄を守ることです。 脳脊髄液が漏れ出て量が減ると、頭痛や首の痛み、めまい、耳鳴り、見え方の異常、体のだるさなど、さまざまな症状が現れます。 脳脊髄液減少症は、以下の2種類に分けられます。 症候性:病気やけがが原因で発症する 特発性:発症の原因が不明である 発症しやすい年齢は40歳前後であり、女性に多い疾患です。 脳脊髄液減少症は現在も研究が進められており、診断基準や治療法は確立されていません。(文献2) 脳脊髄液減少症に症状が似ている疾患 脳脊髄液減少症に症状が似ている疾患としては、以下のようなものがあげられます。(文献2) 慢性頭痛 頸椎症 頚椎椎間板ヘルニア むち打ち症 うつ病 脳脊髄液減少症は正確な診断基準が確立されていないため、別の疾患名で診断されてきたケースも少なくありません。もしくは、異常なしと診断された方も多い状況です。 原因がわからずに症状が続いたため、苦しんできた方も多いことが想定されます。 以下の記事では、脳脊髄液減少症と症状が似ている、むち打ち症について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症の治療方法【セルフチェック該当者向け】 この章では、セルフチェックにおいて脳脊髄液減少症の可能性が高かった方に向けて、治療方法を詳しく解説します。 保存的治療 保存的治療では、水分補給と安静が必要です。1~2週間程度は、1日1000~2000mlの水分を摂り、安静にして過ごしましょう。(文献3)脳脊髄液の減少を止める効果が期待できます。 水分補給に関しては、入院やもしくは通院により、医療機関で点滴を受けるケースもあります。 水分補給時に経口補水液が効果的という説もありますが、科学的な根拠は提示されていません。 ブラッドパッチ ブラッドパッチとは、自分の血液を髄液が漏れ出ている部分に注入する治療法で、平成28年度から保険適用されました。 注入量は漏れ出ている部分によって異なります。腰椎(腰の背骨)で20〜40ml、胸椎(胸の背骨)で15~20ml、頚椎(首の背骨)で10~15mlです。 ブラッドパッチ治療後は1週間程度の安静が望ましく、同じ場所に再度治療する場合は、3か月以上の経過観察期間を設けることが望ましいとされています。(文献1) 硬膜外生理食塩水注入療法 腰椎からカテーテルを挿入して、生理食塩水を48~72時間持続的に注入する治療法で、注入のペースは1時間につき20ml程度です。(文献2) 生理食塩水のみ注入する方法に加えて、ブラッドパッチのときに、生理食塩水を35〜50ml程度注入する方法もあります。 セルフチェックで脳脊髄液減少症を疑う際は医療機関を受診しよう セルフチェックで当てはまる症状が多かった方や、症状があるにもかかわらず、異常なし、もしくは原因不明と診断された方は脳脊髄液減少症の可能性があります。 脳脊髄液減少症は、研究段階の疾患であるため、診断・治療できる医療機関が限られていますが、出来る限り早い受診をおすすめします。 お住まいの都道府県庁ホームページ内に、脳脊髄液減少症に関する情報が記載されていることも多いため、受診を検討される方は、検索してみましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症と思われる症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳脊髄液減少症に関するよくある質問 脳脊髄液減少症は何科を受診すると良いでしょうか? 脳脊髄液減少症に対応している主な診療科は、以下のとおりです。 脳神経外科 脳神経内科 神経内科 整形外科 麻酔科 ただし、「治療まで可能」、「相談・検査のみ」など医療機関によって対応が異なります。治療においても、ブラッドパッチ対応可能なところと、不可能なところにわかれます。 多くの都道府県ホームページでは、脳脊髄液減少症の医療機関に関する情報を公開しているので、検索してみましょう。 脳脊髄液減少症と起立性調節障害の違いは何ですか? 起立性調節障害とは、交感神経や副交感神経のバランスの乱れによりさまざまな症状が起こる疾患で、小学校高学年から高校生の方に多く見られます。(文献4) めまいや頭痛、立ちくらみといった症状は脳脊髄液減少症と共通していますが、脳脊髄液減少症の原因は、文字どおり脳脊髄液の減少です。そのため両者は、原因や治療法に違いがあります。 脳脊髄液減少症は難病指定されていますか? 2025年(令和7年)4月1日の時点で、国の指定難病は348種類存在しますが、脳脊髄液減少症は含まれていません。(文献5) 脳脊髄液減少症に関しては、2007年度(平成19年度)から厚生労働科学研究費補助金、2015年度(平成27年度)からは日本医療研究開発機構(AMED)において、研究が実施されています。(文献6) 脳脊髄液減少症は、さらなる研究および難病指定が求められる疾患といえるでしょう。 参考文献 (文献1) 脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」2007年 http://www.npo-aswp.org/data/2007-0330.pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献2) 松本英之,宇川 義一.「脳脊髄液減少症」『日本内科学会雑誌』100(4), pp.1076-1083, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_1076/_pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献3) 兵庫県神河町「脳脊髄液減少症をご存知ですか?」https://www.town.kamikawa.hyogo.jp/cmsfiles/contents/0000000/507/nouekizui.pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献4) 一般社団法人 起立性調節障害改善協会「脳脊髄液減少症と起立性調節障害の違いを解説-どちらに該当するかセルフチェック」一般社団法人 起立性調節障害改善協会ホームページ, 2024年2月25日 https://odod.or.jp/kiritsusei-tohaod-6279/ (最終アクセス:2025年4月18日) (文献5) 厚生労働省「指定難病の概要、診断基準等、臨床調査個人票(告示番号1~348)※令和7年4月1日より適用」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53881.html (最終アクセス:2025年4月18日) (文献6) 厚生労働省「脳脊髄液減少症について」厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/nanbyo/100402-1.html (最終アクセス:2025年4月18日)
2025.04.30 -
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「足が思うように動かない」「以前より歩きづらくなった」と感じることはありませんか? 歩行は日常生活の基本であり、その障害は日々の行動や心の状態にも大きな影響を与えます。 突然の変化に戸惑い、原因が分からず不安を抱えている方も多いでしょう。 この記事では、痙性歩行やパーキンソン歩行など9つの主な歩行障害の種類と、それぞれの原因となる疾患について詳しく解説します。 原因を知ることは、回復の第一歩ですので、ぜひ最後までご覧ください。 主な歩行障害の種類と原因疾患 主な歩行障害としては、以下の9種類があげられます。 痙性歩行(けいせいほこう) はさみ足歩行 ぶん回し歩行 鶏歩(けいほ) 失調歩行 パーキンソン歩行 間欠性跛行 墜落性跛行 心因性歩行障害 歩行障害の状況と原因疾患について、それぞれ解説します。 痙性歩行(けいせいほこう) 痙性歩行とは、脚が伸び切った状態でつま先立ちの姿勢になり、つま先を引きずって歩く状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脳血管疾患 多発性硬化症 脊髄損傷 頚椎症性脊髄症(頚髄症) つま先を引きずって歩く関係で、靴の前側部分がすり減りやすい特徴があります。(文献1) はさみ足歩行 はさみ足歩行とは、両足ともつま先立ちで床をこすりながら、両足をはさみのように交差させて歩く状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脳血管疾患 多発性硬化症 脊髄損傷 X脚のため、膝をすり合わせるような歩き方も、はさみ足歩行と呼ばれるケースがあります。 ぶん回し歩行 ぶん回し歩行とは、弧を描くように足を動かして歩く状態です。 ぶん回し歩行の主な原因を、以下に示しました。 脳血管疾患による片麻痺 下肢の筋力低下 膝関節や足関節の柔軟性低下 歩幅は正常ですが、つま先を上げる動作が難しいため、少しの段差にもつま先が引っかかり、転倒の可能性があります。 鶏歩(けいほ) 鶏歩とは、足首が下がったまま歩いている状態です。つま先を引きずりながらぱたぱたと歩きます。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 腓骨神経麻痺(腓骨:ふくらはぎにある細い骨) 筋萎縮性側索硬化症 ポリオ 鶏歩の特徴は、つまずき防止のため、歩くときに股関節を強く曲げて、膝を高く上げることです。 失調歩行 失調歩行とは、麻痺や筋力低下がないにもかかわらず、バランスが悪くスムーズに歩けない状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脊髄小脳変性症 脊髄腫瘍 脳腫瘍 失調歩行の具体例は、よろめきながらの歩行や開脚した状態での歩行などです。 パーキンソン歩行 パーキンソン歩行とは、名前のとおりパーキンソン病特有の歩行障害です。 パーキンソン病以外の原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 パーキンソン症候群 レビー小体型認知症 前かがみの姿勢、狭い歩幅、最初の一歩が出ないすくみ足、徐々に早足になる突進歩行などが特徴としてあげられます。方向転換時にバランスが取りにくいため、転倒の危険性が高い状況です。 間欠性跛行 間欠性跛行とは、しばらく歩いていると、手足のしびれや痛みといった症状が出現し、休憩すると症状が緩和する状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脊柱管狭窄症 閉塞性動脈硬化症 歩くと痛み、休むと治まる。再び歩くと痛む。この状況を繰り返す歩行障害です。 以下の記事で、脊柱管狭窄症について解説していますので、あわせてご覧ください。 墜落性跛行 墜落性跛行とは、左右の足の長さが異なるため、歩く際に片方の足が地面に墜落するように落下する動きになる歩行障害です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 変形性股関節症 先天性股関節脱臼 足の長さが異なる場合、片足立ちのときに、反対側の骨盤が下降しています。 以下の記事で、股関節の病気を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 心因性歩行障害 心因性歩行障害とは、身体機能や運動機能に異常がないにもかかわらず、歩けなくなる状態です。ただし、介助により歩行可能です。 強い不安や心理的ストレスが身体症状に現れる、転換性障害(機能性神経症状症)のひとつとされています。 発症年齢は10代から30代前半までがほとんどと言われており、男性より女性に多く見られる症状です。 歩行障害の治療・リハビリテーション この章では、歩行障害に対する治療およびリハビリテーションについて詳しく解説します。 原因疾患の治療 ほとんどの歩行障害には原因となる疾患があるため、その治療が必要です。 治療方法としては、薬物療法やブロック注射、手術療法、再生医療などがあります。 再生医療は、脳血管疾患やパーキンソン病、脊髄損傷などさまざまな疾患に対して効果を示しています。 筋力トレーニング 筋力トレーニングの種類としては、以下のようなものがあげられます。 椅子に座って膝の曲げ伸ばし かかとの上げ下ろし 踏み台昇降 スクワット リハビリ専門職の指導により、トレッドミルやレッグプレスといった専用のマシーンで行う筋力トレーニングもあります。 バランストレーニング 代表的なバランストレーニングは、以下のとおりです。 ゆっくりとした片足立ち 横歩き 後ろ歩き 歩いている途中の方向転換 つま先上げ 障害物を乗り越えながら歩くことも、バランストレーニングのひとつです。(文献2) ご自宅でバランストレーニングを行うときは、転倒しないように壁やいす、手すりなどにつかまりましょう。 歩行補助器具の選定・指導 歩行障害は治療によって軽減するものもありますが、原因疾患によっては回復に時間がかかり、障害が固定される場合もあります。 移動能力や生活の質向上のために、歩行補助器具を使うこともリハビリのひとつです。歩行補助器具には、杖(一点杖、多点杖)や歩行器、シルバーカーなどの種類があります。 まとめ|歩行障害の種類を知り、適切な治療を受けよう 歩行障害にはさまざまな種類があり、原因もそれぞれ異なります。歩行障害は転倒のリスクを高め、閉じこもりや、さらなる身体機能低下につながるものです。 自分の歩きにくさはどのようなものかを理解した上で、状況に合った医療機関を受診し、適切な治療やリハビリを受けましょう。 歩行障害の種類に関するよくある質問 ここでは、歩行障害の種類に関するよくある質問を3つ紹介します。 歩行困難になったら何科を受診すれば良いですか? 歩行困難の種類と原因疾患別に、受診する診療科を表にまとめましたので、ご覧ください。 歩行障害の種類 疾患 受診する診療科 痙性歩行 はさみ足歩行 ぶん回し歩行 失調歩行など 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 脳腫瘍など 脳神経外科 パーキンソン歩行 失調歩行 鶏歩(けいほ)など パーキンソン病 脊髄小脳変性症 筋萎縮性側索硬化症など 神経内科 間欠性跛行 痙性歩行 墜落性跛行など 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 変形性関節症 頚髄症など 整形外科 心因性歩行障害 強い不安や心理的ストレスによる不調 (転換性障害も含まれる) 精神神経科 間欠性跛行 閉塞性動脈硬化症 内科 どの診療科を受診すると良いのか不明な場合は、かかりつけ医への相談をおすすめします。 歩行障害は若い人にも起こりますか? 若い人にも歩行障害は起こりえます。 若年者の歩行障害の原因としては、多発性硬化症、脊髄損傷、脳性麻痺、先天性疾患、あるいは外傷後の後遺症などがあります。若年性パーキンソン病も原因のひとつです。 パーキンソン病を40歳以下で発症した場合に、若年性パーキンソン病と呼ばれます。若年性パーキンソン病の特徴は、病気の進行がゆるやかであることや、薬の効きが良いことなどです。 ペンギンみたいな歩き方は病気の症状ですか? 正常圧水頭症やパーキンソン病、シャルコー・マリー・トゥース病といった病気の症状であると考えられます。 足の筋力や足首の柔軟性が低下して、歩くときに足を上げられないため、すり足や小さい歩幅での歩行になります。 正常圧水頭症については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 和田直樹「歩行障害の種類と原因疾患」55(9), pp.730-734, 2018 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/9/55_55.730/_pdf (最終アクセス:2025年3月21日) (文献2) Dotdash Meredith「Boost Your Mobility With These Gait Training Exercises」Verywell Health, 2025年1月28日 https://www.verywellhealth.com/gait-training-in-physical-therapy-5069884 (最終アクセス:2025年3月21日)
2025.03.31 -
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「寝起きに手足がしびれ原因は?」 「しびれの原因が病気ではないか不安」 寝て起きただけなのに手足のしびれを感じたことがある方には、上記のような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 寝起きの一時的な手足のしびれは、寝ている時の姿勢によるものがほとんどですが、まれに神経系疾患や脳血管疾患の前兆である可能性があります。 とくに脳血管疾患だった場合は、早期回復や重症化を防ぐために初期対応が重要なので、初期症状が見られた時点で医療機関への相談が推奨されます。 「ただの手足のしびれ」と放置されてしまいがちですが、少しでも不安な方はまずは医療機関へ相談してみましょう。 当院リペアセルクリニックでは、寝起きの手足のしびれの原因となっている「神経系疾患」「脳血管疾患」の改善が期待できる再生医療をご提供しています。 「手足のしびれが病気ではないか不安」「病気だった場合にすぐ治療したい」という方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。 \無料相談はこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 寝起きに手足がしびれる原因 寝起きに手足がしびれる原因としてあげられるのは、主に以下の5つです。 寝ているときの姿勢 神経系疾患 糖尿病による神経障害 脳血管疾患 その他の疾患 寝ているときの姿勢 寝起きに手足がしびれる原因の1つが、寝ているときの姿勢です。 腕に頭をのせて寝た 腕を頭より上にして寝た 狭い場所で寝たために寝返りを打てなかった このような体勢が長時間続くと、手足の神経が圧迫されてしまい、しびれを引き起こします。 枕が合わないこともしびれの一因です。枕が高すぎると、あごを強く引いた体勢になります。その結果生じるのが、肩や肩甲骨周辺の筋緊張です。筋肉の緊張が血行不良を引き起こし、しびれにつながります。 神経系疾患 変形性頚椎症や脊柱管狭窄症、手根管症候群、椎間板ヘルニアなどの疾患により、神経が圧迫されて、手足のしびれが生じるケースもあります。 神経系疾患と手足のしびれの関係については、以下の記事でも解説していますのであわせてご覧ください。 糖尿病による神経障害 糖尿病の三大合併症の1つが神経障害です。手足のしびれは、感覚神経の障害に分類されます。 高血糖が続くと神経に栄養を与える血管に傷がつきます。その結果血流が悪くなり、神経の働きが障害されるのです。 糖尿病による神経障害では、手足のしびれのほか、感覚の低下や筋力の低下などの症状も現れます。(文献1) 糖尿病の合併症については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳血管疾患 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患でも、手足のしびれが起こります。 手足のしびれ以外に、手足の麻痺や激しい頭痛、視野の異常などの症状が現れたら、速やかに脳神経外科を受診しましょう。 チェックポイントは「ACT-FAST」です。(文献2) Face:顔の片方がゆがむ Arm:片方の腕に力が入らない Speech:いつもどおり話せない Time:時間を空けずに ACT:救急車を呼ぼう 脳血管疾患は命に関わるものなので、迅速な行動が大切です。 その他の疾患 過換気症候群や更年期障害などでも、手足のしびれが起こる場合があります。 過換気症候群とは、強い不安や緊張などが原因で、何度も激しく息を吸ったり吐いたりする状態です。 二酸化炭素が過剰に吐き出されることで血中の二酸化炭素濃度が低くなり、血液がアルカリ性に傾きます。血液がアルカリ性に傾くと、血管が収縮されてしまい、手足のしびれが生じるのです。 更年期障害の場合、女性ホルモンの低下が手足のしびれに関係しているとされています。 寝起きに手足がしびれるときの対処法(セルフケア) 寝起きに手足がしびれるときに自分でおこなえる主な対処法(セルフケア)は、以下の3つです。 寝る姿勢や枕を調整する 身体を温める 身体を適度に動かす 寝る姿勢や枕を調整する 寝る姿勢や枕の調整に関してのポイントを、表に示しました。 ポイント 調整方法 寝る姿勢 横向きで寝るときは、しびれやすい方を上にする あおむけで寝るときは、膝の下にクッションを入れるか腕の位置を少し高くする 枕選び 横幅50㎝以上、奥行き35㎝以上 中央が低く両サイドが高めの立体的な形 自然に立った姿勢をそのままキープできる高さが望ましい 1日の約3分の1は、睡眠時間です。筋肉の緊張や神経の圧迫がない自然な姿勢が、手足のしびれ予防のポイントといえるでしょう。 身体を温める しびれる部分を温めたり、揉んだりすると血流が改善されて、しびれがやわらぐこともあります。具体的な方法は、ゆっくりお風呂につかる、やさしくマッサージするなどです。 ただし、神経障害の方は皮膚の感覚が鈍くなることがあるため、やけどに注意する必要があります。寒いときも、長時間ストーブの前に座らないように心がけましょう。カイロで温めるときは肌に直接当てず、決められた時間を守ってご使用ください。 身体を適度に動かす ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を行うことで、血流改善によるしびれの緩和が期待できます。 手を握ったり開いたりする、手首や足首をゆっくり曲げ伸ばしするなどもストレッチの一種です。 ただし、症状が強いときには無理に動かさず、安静にしましょう。 下記の記事では、手根管症候群による手のしびれを自分で治すためのストレッチが紹介されています。あわせてご覧ください。 まとめ|セルフケアを行っても寝起きに手足がしびれるときは医療機関を受診しよう 寝起きに手足がしびれる原因は、寝るときの姿勢から脳血管疾患までさまざまです。 自分でできるセルフケアもありますが、ケアを続けても手足のしびれが改善されない場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。 とくに、手足が動かない、ろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、脳血管疾患の可能性があります。命に関わることもあるので、ためらわず救急車を呼びましょう。 糖尿病を治療している中で、徐々に手足のしびれが出てきた方は、神経障害の可能性があります。早めに主治医へ相談しましょう。 手足がしびれ解消のためには、セルフケアや治療が大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、しびれの原因となる脳卒中や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、糖尿病などの疾患に対して再生医療を提供しています。 手足のしびれでお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。 \無料相談はこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問 ここでは、寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問を2つ紹介します。 手足がしびれるときは何科に行くと良いでしょうか? 手足がしびれるときの受診先としてあげられるのは、整形外科や神経内科、脳神経外科などです。 しびれが急に出てきて、手足の麻痺があるときは早急に脳神経外科を受診しましょう。 脳血管疾患の可能性が高く、初期症状が見られた時点で医療機関への相談が推奨されます。 「ただの手足のしびれ」と放置されてしまいがちですが、少しでも不安な方はまずは医療機関へ相談してみましょう。 当院リペアセルクリニックでは、寝起きの手足のしびれの原因となっている「神経系疾患」「脳血管疾患」の改善が期待できる再生医療をご提供しています。 「手足のしびれが病気ではないか不安」「病気だった場合にすぐ治療したい」という方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。 ▼まずは無料で電話相談 >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 更年期になると朝起きたら手がしびれるのはなぜですか? 原因として考えられるものが、女性ホルモンの1つ、エストロゲンの減少です。エストロゲンの減少は、自律神経の乱れにも関係しています。自律神経の乱れが、血流の悪化、ひいては手のしびれにつながっています。 エストロゲン減少の影響としてもう1つあげられるのが、皮膚の乾燥です。乾燥した皮膚は敏感であるため、しびれを感じやすくなるといわれてます。 参考文献 (文献1) 出口尚寿,西尾善彦.「糖尿病性末梢神経障害」『日本内科学会雑誌』108(8), pp.1538-1544, 2019 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/8/108_1538/_pdf (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_006.html (最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.31 -
- 脳卒中
- 糖尿病
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- 足部、その他疾患
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 手根管症候群
- 脊椎
- 脊柱管狭窄症
- 足部
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「手や足のしびれが続いて困っている」 「何か病気があるのだろうか?」 このようにお悩みの方も多くいらっしゃることでしょう。 手足のしびれを引き起こす病気はさまざまです。なかには原因がわからないものもあります。 本記事では、手足のしびれを引き起こす病気を中心に解説します。 しびれが続くときの受診先や、病気の予防法なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 手足のしびれの原因となる病気 手足のしびれを引き起こす病気は、以下の5つです。 脳神経系の病気 脊髄(脊椎)神経系の病気 末梢神経系の病気 内科系の病気 その他の病気 それぞれの病気について解説します。 脳神経系の病気 手足のしびれを引き起こす脳神経系の病気としては、主に以下のようなものがあげられます。 脳梗塞 脳出血 一過性脳虚血発作 脳腫瘍 ここで紹介する症状がある場合は、すぐに救急車を呼んで脳神経外科を受診しましょう。 脳梗塞 脳の血管が詰まって血液が流れなくなり、酸素および栄養不足のため、脳細胞が死んでしまう病気です。 手足のしびれのほかに、手足が麻痺して動かない、ろれつが回らないといった症状が見られます。意識障害を起こすこともあります。 脳梗塞は命に関わる病気でもあるため、これらの症状が現れたら早急に医療機関を受診しましょう。 脳梗塞の症状に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳出血 脳の血管が切れて出血した結果、脳細胞が障害を受ける病気です。 手足のしびれや麻痺、ろれつが回らないなど、脳梗塞と同じような症状のほか、激しい頭痛や吐き気といった症状も見られます。 脳出血も命に関わる病気であるため、早急な受診が必要です。 脳出血の症状に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 一過性脳虚血発作 一時的に脳の血流が悪くなり、酸素や栄養が不足する病気です。 手足のしびれや麻痺、感覚の低下といった症状が出ますが、通常は24時間以内に消失します。(文献1) 一過性脳虚血発作は、脳梗塞や脳出血の前触れともいわれています。症状が現れてすぐに消えた場合でも、放置せずに医療機関を受診しましょう。 脳腫瘍 その名のとおり脳に発生する腫瘍で、脳そのものにできる「原発性脳腫瘍」と、他の臓器から転移した「転移性脳腫瘍」にわかれます。 症状は、手足のしびれや麻痺、頭痛、吐き気などです。視野が狭くなったり、視力が低下したりといった眼科症状が見られる場合もあります。 脊髄(脊椎)神経系の病気 手足のしびれを引き起こす脊髄(脊椎)神経系の病気は、主に以下のとおりです。 変形性頚椎症 頚椎椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 後縦靱帯骨化症 変形性頚椎症 頚椎(首部分の背骨)内の椎間板の高さが減ったり、椎骨(背骨の一部)に骨のとげができたりするといった変化が生じる病気です。 首や肩が痛むほか、手の神経が圧迫されることにより、手のしびれも出てきます。 頚椎椎間板ヘルニア 頚椎をつないでいる椎間板が変形して飛び出し、脊髄や神経根が圧迫される病気です。 手や腕、首、肩にしびれや痛みが生じたり、足のもつれや歩行障害などが出たりします。首を動かすと痛みが強くなります。 以下の記事で、頚椎椎間板ヘルニアの初期症状を解説していますので、あわせてご覧ください。 脊柱管狭窄症 腰椎(腰部分の背骨)の変形により神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される病気です。50代から80代の方に多いとされています。 手足のしびれ以外には、間欠性跛行や膀胱直腸障害などの症状が見られます。 間欠性跛行や膀胱直腸障害といった症状については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 後縦靱帯骨化症 頚椎の後ろにある、背骨を安定させる靱帯(後縦靱帯)が骨のように硬く変化して脊髄を圧迫するもので、厚生労働省が定める指定難病の1つです。(文献2) 症状としては、肩こりや手のしびれ、こわばり、痛みなどがあります。病気が進行すると、箸が使いにくい、字が書きにくいといった症状も出てきます。 末梢神経系の病気 手足のしびれを引き起こす末梢神経系の病気としてあげられるのは、手根管症候群や足根幹症候群などです。 手根管症候群 手根管と呼ばれる手首のトンネル部分で神経が圧迫されて、手指のしびれや痛みが発生する病気です。 中高年の女性に多く、進行すると親指の筋肉が痩せてしまい、ものを掴みにくくなります。 足根管症候群 足根管と呼ばれる内くるぶしのトンネル部分で、神経が圧迫されたり傷ついたりするために、足裏や足首にしびれや痛みが生じる病気です。 足の痛みはピリピリとした感じのもので、立ったり歩いたりしたときや、特定の靴を履いたときに生じます。足の冷えや感覚異常を伴う場合もあります。 内科系の病気 内科系の病気によっても、手足のしびれが生じます。代表的なものが、糖尿病性神経障害や閉塞性動脈硬化症です。 糖尿病性神経障害 糖尿病の合併症の1つが、神経障害です。 神経障害は、高血糖が続いたことで血流が悪くなり、手先や足先まで酸素や栄養を含んだ血液が届きにくくなるために起こります。 神経が障害された結果、手足のしびれが生じます。 閉塞性動脈硬化症 動脈硬化により血管が狭くなる、もしくは詰まるために血流が悪くなる病気です。手足の血管が狭くなったり詰まったりすると、しびれや冷たい感覚が生じます。 足の血管に閉塞性動脈硬化症が起こり、進行すると、間欠性跛行と呼ばれる歩行状態になります。 間欠性跛行とは、歩いているうちに足に痛みやしびれが生じて、休憩すると治まるものです。 その他の原因 ビタミン欠乏や更年期障害、うつ病、精神的ストレスなどが原因で手足のしびれが生じる場合もあります。 手足がしびれる病気の前兆をチェックする方法 手足のしびれはさまざまな病気の前兆として現れることがあります。 しびれの特徴からどのような疾患の可能性があるのかをチェックしましょう。 疾患名 しびれの特徴 脳血管疾患 (脳梗塞や脳出血) 片方の手足だけがしびれる 手足が麻痺する、ろれつが回らない、意識障害がある 変形性頚椎症 全体的に手がしびれる 首の後ろを動かすと手のしびれが悪化する 頚椎椎間板ヘルニア 手足のしびれに痛みを伴うことがある 手根管症候群 手の親指や人差し指、中指がしびれる 手首を酷使したあとにしびれが生じる 手足のしびれと病気の前兆について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 手足がしびれるときに受診する病院 手足のしびれが起きる原因はさまざまです。しびれのために病院を受診する際は、しびれ以外の症状や、現在かかっている病気などから受診する科を決めましょう。 ここでは、3つの科について解説します。 脳神経外科 手足のしびれ以外に、片側の手足が動かない、ろれつが回らない、言葉が出てこないなどの症状がある場合は、脳梗塞や脳出血の可能性があります。 この場合の受診先は脳神経外科です。脳梗塞や脳出血の場合は、一刻も早い治療が必要なため、救急車を呼んで早急に受診しましょう。 整形外科 手足のしびれ以外に、腰や手足の痛み、間欠性跛行などの症状がある場合は、整形外科を受診しましょう。 受診時には、医師が状況を把握しやすいように、症状がある部位や出現時期などを伝えると良いでしょう。 内科 糖尿病や高血圧、高脂血症といった内科疾患があり、しびれ以外に症状がない場合は、内科(かかりつけ医)を受診しましょう。 とくに糖尿病治療中で手足のしびれが生じている場合は、神経障害を起こしている可能性が高いため、早めの受診が必要です。 手足がしびれる病気の予防法 手足がしびれる病気の種類はさまざまです。ここでは、3種類の病気について予防法を解説します。 脳神経系の病気 末梢神経系の病気 内科系の病気 脳神経系の病気の予防法 脳梗塞や脳出血、いわゆる脳卒中の予防で大切なことは、高血圧の予防・改善です。高血圧の予防・改善には、日常的な減塩を心がけることが効果的です。 また、糖尿病や高脂血症といった生活習慣病のほか、喫煙、過度な飲酒なども脳血管を痛めます。生活習慣病予防のためにも、バランスの良い食事や適度な運動を心がけましょう。 脳卒中は再発予防も大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の後遺症治療・再発予防として再生医療(幹細胞治療)を行っております。 再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 末梢神経系の病気の予防法 ここでは手根管症候群の予防について解説します。 手根管症候群の予防や悪化防止のために大切なのは、手を酷使しないことです。とくに、手首を曲げる動作は、神経の通り道である手根管を狭くしてしまいます。 パソコン作業が多い方や、工具(ドライバー)を仕事でひんぱんに使う方は、手首を休める時間を意識して取りましょう。 糖尿病や甲状腺機能低下症の方は、手根管症候群を発症しやすいといわれています。定期的に検査を受けて、病状を確認しましょう。その上で、手首のしびれが見られた場合は、放置せずに整形外科を受診してください。 内科系の病気の予防法 内科系の病気の中でも、糖尿病は生活習慣の改善で予防できます。 糖尿病予防の主なポイントは次の通りです。 栄養バランスの良い食事や腹八分目を心がける ウォーキングやサイクリングといった適度な運動を続ける 適正体重を保つ 毎年健康診断を受ける 喫煙者は禁煙を検討する アルコールは適量を守る 糖尿病患者の方は、病気を放置せずに治療を継続しましょう。 再生医療は、糖尿病治療における新たな選択肢です。 糖尿病治療としての再生医療については、以下のページで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 まとめ|手足のしびれの病気が疑われる際は早めに病院へ 手足のしびれを引き起こす病気は数多くありますが、原因がわからないものも少なくありません。 脳血管疾患のように命に関わる病気が原因のこともあるため、手足のしびれが続くときは放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、しびれの原因となる脳卒中やヘルニア、糖尿病などに対して再生医療を行っています。手足のしびれでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 手足のしびれの病気に関するよくある質問 皮膚の表面がピリピリする原因は? 主な原因は、痛みを伝える神経が損傷されるために起こる神経障害性疼痛や、帯状疱疹などです。 神経障害性疼痛の場合は、痛み止めやブロック注射などの治療があります。帯状疱疹の治療は抗ウイルス薬の内服、もしくは点滴がメインの治療法です。 手足のしびれの治し方は? 原因になっている病気がある場合は、その病気を治療します。同時に、しびれをおさえる治療も行います。 しびれの主な治療法としては、消炎鎮痛剤やビタミン剤の内服があげられますが、病気によっては手術が必要です。 しびれが続くときは、医療機関で適切な治療を受けましょう。 参考文献 (文献1) 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「一過性脳虚血発作は、早期に完成型脳梗塞を発症する可能性が高い」国立研究開発法人 国立循環器病研究センターホームページ, 2024年9月27日 https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/scd/cvmedicine/tia-torikumi/ (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2)難病情報センター「後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)」難病情報センターホームページ https://www.nanbyou.or.jp/entry/98 (最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.30 -
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- 手部
「最近、手がしびれる…」そう感じたことはありませんか? 手のしびれでよく思いつくのは、首のヘルニア、脳梗塞や脳出血などでしょう。 しかし、他にも、『これ知っておけばよかった』という病気もあります。 今回は、手のしびれを引き起こす5つの主な原因と、そのメカニズムを分かりやすく解説します。 最近は、スマホやパソコンを長時間使う環境が増えてきましたよね。あと重たいものをよく持つ方も、注意が必要です。 さらに、ご自身でもある程度、セルフチェックできるような項目も紹介します。 手のしびれの原因5選とメカニズム 「最近、手がしびれるなぁ…」と感じて、不安を抱えていませんか?手のしびれは、人生で一度は経験することがあるぐらい、よく見られる症状です。 軽いしびれだからと言って、放っておくと後々治療しにくくなることもあります。 神経の障害というものは一度傷ついてしまうと、一生後遺症として残ることもよく見られます。 今回は、手のしびれの原因で、私が診察でよく経験してきた、5つの病気について、詳しく説明したいと思います。ぜひ最後まで読んでみてください。 頚椎症・椎間板ヘルニア まず、首の骨(頚椎)に原因がある場合があります。 頚椎症:頚椎症は例えるなら、長年使い続けた家の柱や梁が歪んだり、ひびが入ったりするようなものです。 加齢とともに、首の骨も変形したり、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨のとげができたりします。 その結果、首の骨の近くを通る神経が圧迫され、手のしびれを引き起こします。特に、長時間のパソコン作業などで猫背姿勢になっている方は要注意です。 椎間板ヘルニア:椎間板ヘルニアは、背骨の間にあるクッション材(椎間板)が、まるでパンパンに膨らんだ風船のように飛び出し、神経を圧迫する病気です。 若い方でも、急に重いものを持ち上げた時などに発症することがあります。 ぎっくり腰のように、激しい痛みやしびれに突然襲われることもあります。 頸椎のヘルニアだと、手と足がしびれる可能性があり、腰椎ヘルニアだと、手のしびれは出ませんが足はしびれることはあります。 胸郭出口症候群 次に、胸郭出口症候群について説明します。 胸郭出口症候群は、首から腕、指先へと伸びる神経や血管の通り道である「胸郭出口」が狭くなり、神経や血管が圧迫されて手のしびれや痛み、だるさなどを引き起こします。 胸郭出口は、鎖骨と肋骨の間の狭い通路のような場所です。なで肩の方や、重い荷物を持つことが多い方は、この通路がさらに狭くなりやすい傾向があります。 神経や血管の通り道が、圧迫されて狭くなることで、しびれや冷感などの症状がでてきます。 整形外科の外来では、この胸郭出口症候群の症例は少ないので、医師からしても、なかなか診断に至るまで、時間がかかることがよくあります。 そして、診断されたら、私はまずリハビリと筋トレをしっかりやっていただいてます。経験上、リハビリと筋トレすることで、多くの方は治っています。 手根管症候群 手首にも、手のしびれを引き起こす原因が潜んでいます。 手根管症候群は、手首の手根管と呼ばれるトンネルの中で、正中神経という神経が圧迫されることで起こります。 この神経は、親指、人差し指、中指、そして薬指の半分に感覚を伝える役割を担っています。 手根管症候群になると、これらの指にしびれや痛み、時には腫れぼったい感じも現れます。特に、妊娠中や更年期を迎えた女性に多く見られます。 これは、ホルモンバランスの変化によって手根管が腫れやすくなるためと考えられています。また、手をよく使う仕事や趣味を持つ方にも発症しやすいです。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 末梢神経障害 末梢神経は、脳や脊髄から体の各部につながる神経のネットワークです。 末梢神経障害は、このネットワークが障害されることで、手足のしびれや痛み、感覚の異常などが現れます。 糖尿病やビタミン不足などが原因となることが多く、両手両足にしびれが現れることが多いです。 私の経験では、糖尿病を持っている方は、頚椎や腰椎のヘルニアによるしびれがでやすい方が多かったです。 やはり、糖尿病では神経が障害を受ける分、しびれやすくなるのでしょう。 脳卒中 最後に、最も注意が必要な原因として脳卒中があります。脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳の機能が障害される病気です。 手のしびれだけでなく、片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、意識障害など、重篤な症状が現れます。 手のしびれが片側だけに現れる場合や、他の神経症状を伴う場合は、脳卒中の可能性を疑い、すぐに医療機関を受診する必要があります。 脳出血を起こしても、小さかったり、初期の時は、ほとんど症状が現れない場合が多く、少し進行して、歩くときに膝折れがする、しびれが出てきたなどを感じて、病院に行く方もよくおられました。 その時点で、CTやMRIをとらなければ、見過ごされることも考えられますので、疑いがあれば、CTやMRIを、医師に相談して撮影してもらいましょう。 手のしびれは、様々な原因で起こります。原因によって治療法も異なりますので、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。 手のしびれの前兆とセルフチェック 「最近、手がしびれる…」と感じたら、放っておかずに、まずはセルフチェックしてみましょう。 手のしびれは、誰しも一度は経験する身近な症状ですが、実は重大な病気のサインである可能性も潜んでいます。 早期発見・早期治療のためにも、ご自身のしびれをよく観察し、セルフチェック項目を確認することで、適切な医療機関の受診につなげることができます。 しびれの場所・範囲・時間帯 しびれの場所 手のしびれを感じた時、まず確認すべきことは「どこがしびれているか」です。 親指、人差し指、中指にしびれがある場合は、手根管症候群の可能性が考えられます。これは、手首にある神経の通り道が狭くなることで、神経が圧迫されて起こる病気です。 Point! 薬指の内側と外側を、指でなぞってみてください。もし中指側だけが痺れているなら、高い確率で手根管症候群と思われます。 そして、両手の母指球筋を比べてみて、平らになって、筋肉が痩せていると注意です。これがみられたら、進行した手根管症候群となります。 経験上、痺れが弱くても、母指球筋が小さくなっていたら、手術をして、これ以上悪くならないようにした方がいいでしょう。 進行すると、服のボタンが付けにくくなったり、お箸が持ちにくくなります。そうなると、手術しても、後遺症として戻らなくなる確率が高くなるのです。 一方、小指や薬指にしびれがある場合は、肘部管症候群の可能性も考えられます。これは、肘の神経の通り道が狭くなることで起こるしびれです。 よく、椅子などに肘の内側をぶつけると、指まで痺れることがありますよね。それは、肘部管症候群の原因である尺骨神経によるものです。 また、手の甲側がしびれる場合は、橈骨神経麻痺の可能性も考えられます。橈骨神経麻痺は、腕の外側から手の甲にかけて走る神経が圧迫されることで起こります。 例えば、腕枕をして寝てしまった後に、手がしびれている経験はありませんか? これは、橈骨神経が圧迫されたことによる一時的な麻痺によるものと考えられます。ひどい場合は、手のひらがだらんと垂れて、動かなくなることもよくみられます。 『朝起きたら、いきなり手が動かない』と心配されますが、2〜3ヶ月ほどリハビリなどをして様子を見れば、ほとんどの方は治ります。 急に手が動かなくなると、脳の病気かな?とかなり驚きますよね。。。 しびれの範囲 しびれの範囲も重要なポイントです。 もし、しびれが手全体に広がっている場合は、頸椎症や胸郭出口症候群などの、首や肩の神経が圧迫される病気が原因かもしれません。 手根管症候群では、手首より先の方しかしびれは出ません。 さらに、片方の手だけがしびれる場合は、脳卒中の可能性も考えられます。 脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりする病気で、手足の麻痺や言語障害など、命に関わる危険な症状を引き起こす可能性があります。 もちろん、頚椎症でも、片方だけのしびれもよくみられます。 しびれの時間帯 しびれが続く時間にも注目しましょう。 一日中しびれが続いているのか、特定の時間帯だけなのか、あるいは一時的なものなのか。こうした時間的な変化も、診断の重要な手がかりとなります。 例えば、夜間や早朝にしびれが強くなる場合は、手根管症候群の可能性が高くなります。 動作との関連性(特定の姿勢、動作で悪化など) 次に、手のしびれと、特定の姿勢や動作との関連性をチェックしてみましょう。 例えば、パソコン作業やスマートフォン操作など、手首を酷使する作業の後でしびれが悪化する場合は、手根管症候群の可能性があります。 また、首を後ろに反らすと手のしびれが悪化する場合は、頸椎症の可能性が高まります。 逆に、腕を頭の上に上げることでしびれが軽減する場合は、胸郭出口症候群の可能性も考えられます。 日常生活の中で、どのような姿勢や動作がしびれを悪化させるのか、または軽減させるのかを把握することは、原因を特定する上で非常に重要です。 随伴症状(痛み、感覚異常、脱力など) 手のしびれとともに、他の症状が現れることもあります。これらの随伴症状も、原因特定の重要な手がかりとなります。 例えば、しびれとともに、鋭い痛みを感じる場合は、神経腫瘍の可能性も考えられます。 神経腫瘍とは、神経に発生する腫瘍のことで、良性のものから悪性のものまで様々な種類があります。 稀なケースでは、指の神経に叢状(そうじょう)シュワン腫という良性腫瘍が発生し、鋭い痛みやしびれを伴うことがあります。 また、しびれとともに脱力感や、感覚が鈍くなるなどの症状が現れる場合は、神経の損傷がより深刻な状態である可能性があります。 その他、手のむくみや冷感なども、しびれの原因疾患によっては伴うことがあります。 過去の病歴 過去の病歴も、手のしびれの原因を特定する上で重要な情報です。 糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、末梢神経障害という合併症を引き起こし、手のしびれにつながる可能性があります。 また、過去に神経系の疾患を患ったことがある場合も、再発や新たな病気が隠れている可能性も考慮に入れる必要があります。 健康診断の結果や過去の治療歴なども含め、できるだけ詳細な情報を医師に伝えましょう。 ▼高血圧の症状はありませんか?併せてお読みください。 危険信号(麻痺の進行、意識障害など) 手のしびれとともに、麻痺の進行や意識障害、ろれつが回らない、激しい頭痛などの症状が現れた場合は、一刻を争う事態です。 これらは脳卒中のサインである可能性が非常に高く、緊急の医療処置が必要となります。 また、片側の手足だけがしびれる、顔の半分がしびれる、言葉が出てこない、呂が回らないといった場合も、脳卒中の前兆である可能性があります。 これらの症状が現れた場合は、直ちに救急車を呼ぶか、近くの医療機関に連絡してください。 手のしびれの治療法と予防ケア 「手のしびれ」と聞くと、つい軽く考えてしまいがちですが、実は様々な原因が潜んでおり、中には放置すると深刻な事態を招く病気も存在します。 早期発見・早期治療が何よりも重要です。適切な治療とケアによって、しびれを軽減し、快適な日常生活を取り戻せる可能性は十分にあります。 ここでは、手のしびれの主な治療法と、日常生活での予防ケアについてご説明します。 薬物療法 手のしびれの原因や症状に合わせて、様々な薬が用いられます。 例えば、神経の炎症や痛みを抑える薬、血行を改善する薬、神経の働きを助けるビタミン剤などがあります。 神経の炎症が強い場合は、ステロイド薬を使う場合もあります。これは、強力な消炎効果を持つ薬ですが、副作用にも注意が必要です。 また、糖尿病性の神経障害には、血糖コントロールを改善する薬も重要です。 しびれに効く薬は、最近色々と出てきてはいますが、しびれは薬でなかなか治りにくい部類となります。 どの薬を使うかは、医師があなたの症状や体質を考慮して慎重に判断しますので、自己判断で薬を飲んだり、やめたりすることは絶対に避けてください。 理学療法・作業療法 薬物療法だけでなく、理学療法や作業療法も重要な役割を担います。 理学療法:理学療法では、ストレッチやマッサージ、温熱療法などによって、硬くなった筋肉や関節を柔らかくし、血行を促進することで、しびれを和らげます。 胸郭出口症候群では、両腕の重みを支える筋肉をしっかり鍛えることが大切です。 作業療法:作業療法では、日常生活動作の練習や、自助具(日常生活を補助する道具)の使用指導などを通して、しびれがあっても支障なく生活できるようサポートします。 例えば、手根管症候群の患者さんには、手首のストレッチや、手首を安静に保つための装具の使用指導が行われます。 装具療法 手首や指を固定するサポーターや、頸椎を支えるコルセットなどの装具は、患部を安静に保ち、神経への負担を軽くしてくれます。 特に、手根管症候群や腱鞘炎など、手首の使い過ぎが原因で起こるしびれには効果的です。 装具の種類や使用方法も様々ですので、医師や理学療法士の指導のもと、自分に合った装具を選び、正しく使用することが大切です。 例えば、就寝時に手首を固定する装具を装着することで、夜間のしびれを軽減できる場合があります。 手術療法 多くの場合、薬物療法、理学療法、装具療法などの保存療法で症状が改善します。 しかし、神経の圧迫が非常に強い場合や、保存療法で効果が見られない場合には、手術が必要となることもあります。 例えば、手根管症候群では、母指球筋が痩せてきたり、服のボタンが付けにくくなる巧緻障害などが出た場合は、速やかに、神経を圧迫している靭帯を切開して神経を解放する手術が必要です。 頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアが原因の場合は、首の骨の手術が必要になることもあります。 我々の手術の基準として、筋力低下、尿が出にくいなどの膀胱直腸障害となります。しびれに関しては、我慢ができないぐらいなら、手術を選択することもあります。 手術療法は最終手段であり、患者さんの状態に合わせて慎重に判断されます。 日常生活での注意点と予防法 日常生活での心がけも、手のしびれの予防や改善に大きく貢献します。 長時間同じ姿勢を続けることや、手首や指に負担がかかる作業を繰り返すことは避けましょう。 パソコン作業やスマートフォンの操作をする際は、こまめに休憩を取り、ストレッチをすることを心がけてください。 また、デスクワークをする際は、正しい姿勢を保ち、椅子や机の高さを調整することも重要です。 正しい姿勢を保つことで、首や肩への負担を軽減し、胸郭出口症候群などの予防にもつながります。 栄養バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠も、健康な神経を維持するために不可欠です。 そして、もし手のしびれを感じたら、自己判断せずに、早めに医療機関を受診しましょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 MacGillis KJ, Mejia A, Siemionow MZ. "Hand compression neuropathy: An assessment guide." The Journal of family practice 65, no. 7 (2016): 462-71. Saeki Y, Hattori Y, Mane SA, Doi K. "Plexiform Schwannoma of Digital Nerve." The journal of hand surgery Asian-Pacific volume 28, no. 5 (2023): 609-613. Thapa L, Amatya R, Maharjan S, Gaurishankar N, Shrestha AM, Bhattarai S, Singh SN, Gongal DN, Devkota UP. "Cheiro-Oral Syndrome." Kathmandu University medical journal (KUMJ) 16, no. 62 (2018): 196-198. Slouma M, Zarrouk Z, Maatoug F, Dhahri R, Amorri W, Gharsallah I, Metoui L, Louzir B. "Fibrolipoma of the Median Nerve: An Overview." Current rheumatology reviews 18, no. 4 (2022): 298-304.
2025.02.15 -
- 脳出血
- 頭部
俳優の下條アトムさんの訃報で注目された「急性硬膜下血腫」。 脳を覆う膜の下に出血し、血腫ができるこの病気は、実は誰にでも起こりうる身近な危険をはらんでいます。日常生活での転倒や交通事故など、一見軽微な外傷でも発症する可能性があり、特に高齢者は注意が必要です。頭痛や吐き気といった初期症状は他の病気と見分けにくいため、早期発見が困難なケースも少なくありません。 この記事では、急性硬膜下血腫の原因、症状、診断方法、そして治療法や予後まで、詳しく解説していきます。ご自身やご家族の健康を守るためにも、ぜひ一度、急性硬膜下血腫について理解を深めてみませんか? 急性硬膜下血腫とは?原因・症状・診断 突然ですが、皆さんは「急性硬膜下血腫」という病気を聞いたことがありますか? これは、脳を覆う膜の一つである硬膜の下に出血が起こり、血腫(血の塊)ができてしまう病気です。実は、俳優の下條アトムさんもこの病気で亡くなられました。 「脳の病気」と聞くと、どこか遠い世界の話のように感じてしまうかもしれません。しかし、日常生活での転倒や交通事故など、誰にでも起こりうる原因で発症する可能性がある病気なのです。 今回は、急性硬膜下血腫について、原因や症状、診断方法などを分かりやすく解説していきます。 急性硬膜下血腫のメカニズム 私たちの脳は、まるで3層構造のヘルメットのように、「硬膜」「くも膜」「軟膜」という3つの膜で守られています。急性硬膜下血腫は、このうち硬膜とくも膜の間に血が溜まってしまう状態です。 頭の外傷によって、脳の表面にある血管、特に「架橋静脈」と呼ばれる脆い血管が損傷し、出血が起こります。この出血が硬膜とくも膜の間に広がり、三日月のような形をした血腫を形成するのです。 この血腫が脳を圧迫することで、様々な神経症状が現れます。さらに、血腫が大きくなると、脳への圧迫が強まり、生命に関わる危険な状態に陥ることもあります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 主な原因:頭部外傷(転倒、交通事故など) 急性硬膜下血腫の主な原因は、頭部外傷です。交通事故やスポーツ中の衝突など、強い衝撃が加わることで発症することが多いです。 高齢者の場合、骨が脆くなっていたり、バランス感覚が低下していたりするため、軽い転倒でも急性硬膜下血腫を発症するリスクがあります。若い世代に比べて、高齢者の硬膜下腔は広く、架橋静脈も伸びやすくなっているため、比較的軽い外傷でも架橋静脈が損傷しやすく、急性硬膜下血腫を発症しやすいのです。 また、一度の強い衝撃だけでなく、繰り返し頭部に軽い外傷を受けることでも発症する可能性があります。例えば、ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツで、何度も頭部に衝撃を受けていると、気づかないうちに急性硬膜下血腫を発症しているケースもあるのです。 気づきにくい症状:頭痛、吐き気、意識障害など 急性硬膜下血腫の初期症状は、頭痛、吐き気、嘔吐など、風邪や他の病気と間違えやすい症状であることが多く、見逃してしまう可能性があります。 また、症状の現れ方には個人差があり、軽微な場合や、数時間から数日経ってから現れる場合もあります。特に高齢者の場合、症状をうまく伝えられないケースもあるため、周囲の人が注意深く観察することが重要です。 意識障害は、初期には軽度で、時間経過とともに悪化していくこともあります。「いつもよりぼんやりしている」「反応が鈍い」などの変化に気づいたら、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。急性硬膜下血腫は、初期の段階では症状が軽微であるため、発見が遅れてしまうことが少なくありません。しかし、適切な治療を行わないと、意識障害が進行し、最悪の場合、死に至る可能性もあります。 下條アトムさんの事例 俳優の下條アトムさんは、自宅で転倒し、頭を強打したことが原因で急性硬膜下血腫を発症し、亡くなりました。下條さんの事例は、高齢者にとって転倒がいかに危険であるかを改めて私たちに教えてくれました。 高齢者の場合、若い人に比べて骨が脆くなっていたり、バランスを崩しやすくなっていたりするため、転倒のリスクが高くなります。自宅での転倒予防対策を徹底的に行うことが重要です。具体的には、家の中の段差をなくしたり、手すりを設置したり、滑りにくい床材を使用したりするなど、転倒のリスクを減らす工夫をしましょう。 診断方法:CT検査、MRI検査 急性硬膜下血腫の診断には、CT検査とMRI検査が用いられます。CT検査では、硬膜とくも膜の間に三日月型の血腫が確認できます。MRI検査は、CT検査よりも詳細な画像を得ることができ、脳の状態をより詳しく把握するのに役立ちます。 急性硬膜下血腫は一刻を争う病気です。迅速な診断と適切な治療開始のために、これらの検査は非常に重要です。 慢性硬膜下血腫、くも膜下出血、脳内出血との違い 急性硬膜下血腫と似たような病気に、慢性硬膜下血腫、くも膜下出血、脳内出血などがあります。これらの病気は、出血の場所や症状、治療法が異なります。 慢性硬膜下血腫:急性と異なり出血がゆっくり進むため、症状が現れるまでに数週間から数ヶ月かかる場合があります。 くも膜下出血:くも膜と軟膜の間に出血が起こる病気です。バットで殴られたような激しい頭痛が特徴です。 脳内出血:脳の実質内に出血が起こる病気です。高血圧が主な原因となります。 それぞれの病気の特徴を理解しておくことが大切です。 急性硬膜下血腫の治療法と予後 下條アトムさんの訃報は、急性硬膜下血腫という病気を多くの方に知らしめるきっかけとなりました。この病気は、頭部外傷により脳を覆う硬膜の下に出血が起こり、血腫(血の塊)ができてしまう深刻な疾患です。 「血腫」と聞くと、すぐに手術が必要なのでは?と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、今回は急性硬膜下血腫の治療法と予後について、患者さんの不安を少しでも和らげられるよう、詳しく解説します。 外科的治療:開頭血腫除去術、穿頭血腫ドレナージ術 急性硬膜下血腫の治療は、大きく分けて外科的治療と保存的治療の2種類があります。外科的治療は、文字通り手術によって血腫を取り除く方法です。 主な手術方法には、「開頭血腫除去術」と「穿頭血腫ドレナージ術」があります。 開頭血腫除去術は、頭蓋骨の一部を切開し、直接血腫を取り除く方法です。血腫が大きく、脳への圧迫が強い場合に有効です。より確実な血腫除去が可能ですが、身体への負担は大きくなります。 一方、穿頭血腫ドレナージ術は、ドリルで頭蓋骨に小さな穴を開け、そこから細い管を入れて血腫を吸引する方法です。開頭血腫除去術に比べて身体への負担が少ないため、高齢者や全身状態が良くない方にも行われます。しかし、血腫が硬かったり、複雑な形状をしている場合は、完全に取り除くことが難しい場合もあります。 どちらの手術方法が適切かは、患者さんの年齢、全身状態、血腫の大きさや位置などを総合的に判断して決定されます。例えば、意識レベルが著しく低下している重症患者さんでは、開頭血腫除去術が選択されることが多いです。これは、開頭することで損傷した脳組織の状態も直接確認できるため、より迅速で適切な処置が可能になるからです。GCSスコアが9未満の昏睡状態の患者さんでは、開頭術が選択されることが多いという研究結果もあります。 保存的治療:経過観察、薬物療法 血腫が小さく、症状が軽い場合は、保存的治療が選択されることもあります。保存的治療は、手術を行わずに、安静、薬物療法、経過観察などによって病状の改善を図る方法です。定期的なCT検査で血腫の大きさや症状の変化を注意深く観察しながら、脳圧を下げる薬や合併症を予防する薬などを用います。 保存的治療は身体への負担が少ないというメリットがありますが、血腫が自然に吸収されるのを待つため、外科的治療に比べて治療期間が長くなる傾向があります。また、症状が急変する可能性もあるため、慎重な経過観察が必要です。 手術のリスクと合併症 どんな手術にもリスクはつきものです。急性硬膜下血腫の手術も例外ではありません。考えられるリスクや合併症には、感染症、出血、脳腫脹、麻酔による合併症などがあります。 高齢者や持病のある方は、これらのリスクが高まる可能性があります。手術を受けるかどうかは、担当医と十分に話し合い、メリットとデメリットを理解した上で、最終的に患者さん自身が決めることが重要です。 治療期間と入院期間 治療期間と入院期間は、患者さんの状態や治療方法によって大きく異なります。軽症の場合は数週間で退院できる場合もありますが、重症の場合は数ヶ月かかることもあります。また、後遺症が残った場合は、リハビリテーションが必要となり、さらに長期間の入院が必要になる場合もあります。 後遺症(麻痺、言語障害、認知機能障害など) 急性硬膜下血腫では、麻痺、言語障害、認知機能障害などの後遺症が残る可能性があります。後遺症の重症度は、血腫の大きさや脳へのダメージの程度、治療のタイミングなどによって大きく左右されます。 日常生活に支障が出るほどの後遺症が残ってしまう場合もあります。そのため、後遺症を最小限に抑えるためには、早期発見・早期治療が何よりも重要です。 ▼脳梗塞の後遺症について、併せてお読みください。 予後(社会復帰、生活への影響) 急性硬膜下血腫の予後は、意識障害の程度と深く関係しています。意識障害が重症の場合、残念ながら死亡率が高く、社会復帰が困難になることもあります。軽症の場合でも、後遺症が残る可能性があり、日常生活や社会生活への影響は避けられません。 ある研究では、急性硬膜下血腫の死亡率は65%にも達すると報告されています。また、社会復帰できる割合は18%程度と低いという結果も出ています。高齢者や手術前に抗凝固薬や抗血小板薬を服用していた患者さんでは、特に予後が悪化する傾向があります。 急性硬膜下血腫の死亡率 急性硬膜下血腫は、迅速な診断と適切な治療が求められる深刻な病気です。死亡率は高く、早期に適切な治療を行わなければ、命に関わる危険性があります。 特に高齢者では、頭部外傷による急性硬膜下血腫のリスクが高いため、転倒などの事故には十分に注意する必要があります。 少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。早期発見・早期治療が、予後を改善し、社会復帰の可能性を高めることに繋がります。 まとめ 急性硬膜下血腫は、頭部外傷による脳への出血で、深刻な症状を引き起こす可能性があります。特に高齢者は転倒などで発症しやすく、下條アトムさんの事例からもわかるように、命に関わる危険な病気です。 頭痛や吐き気など、初期症状は分かりにくいため、少しでも異変を感じたらすぐに医療機関を受診することが大切です。CTやMRI検査で診断し、血腫の大きさや症状に応じて手術や保存的治療を行います。後遺症が残る可能性もあり、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。日常生活での転倒予防など、意識して対策を行いましょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Vega RA, Valadka AB. "Natural History of Acute Subdural Hematoma." Neurosurgery clinics of North America 28, no. 2 (2017): 247-255. Karibe H, Hayashi T, Hirano T, Kameyama M, Nakagawa A, Tominaga T. "Surgical management of traumatic acute subdural hematoma in adults: a review." Neurologia medico-chirurgica 54, no. 11 (2014): 887-94. Bullock MR, Chesnut R, Ghajar J, Gordon D, Hartl R, Newell DW, Servadei F, Walters BC, Wilberger JE and Surgical Management of Traumatic Brain Injury Author Group. "Surgical management of acute subdural hematomas." Neurosurgery 58, no. 3 Suppl (2006): S16-24; discussion Si-iv.
2025.02.13 -
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頭痛と吐き気が同時に現れた場合、原因がわからず「どうしたらいいのか?」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。 吐き気を伴う頭痛は風邪やストレスだけが原因ではなく、脳腫瘍や脳卒中、くも膜下出血など、命に関わる疾患のサインである可能性もあります。 しかし、自分の頭痛がどのような状態なのか判断できずに、適切な対処法が分からないという方もいるでしょう。 本記事では、頭痛が起きた場合の対処法と吐き気が伴う原因を4つに分類し、それぞれの症状の特徴や病院へ行く目安を分かりやすく解説しています。 思わぬ後遺症や悪化を防ぐためにも、参考にしてください。 また当院(リペアセルクリニック)では、無料の電話相談もご利用いただけます。 現在、吐き気を伴う頭痛が起きているけれど病院に行くべきか迷っている・対処法が分からないという方は、ぜひ一度ご相談ください。 \吐き気を伴う頭痛に関するご相談はこちら/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 【結論】吐き気を伴う頭痛は、放置せず早期に受診することが重要! 吐き気を伴う頭痛が現れた場合、放置せず早期に医療機関を受診することが重要です。 頭痛には主に以下の「一次頭痛」と「二次頭痛」の2つのタイプがあり、二次頭痛には命に関わる疾患が潜んでいることがあります。 タイプ 詳細 一次頭痛※1 ・片頭痛 ・緊張型頭痛 ・群発頭痛 二次頭痛 ・くも膜下出血 ・脳出血 ・脳腫瘍 ・髄膜炎など ※参照①:頭痛学会「群発頭痛以外の一次性頭痛にはどのようなものがあるか」 ※参照:MSDマニュアル「二次性頭痛の原因となる疾患」 二次頭痛には、くも膜下出血や脳卒中、髄膜炎といった深刻な疾患が原因となる場合があるため、以下の症状が現れた場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。 ・意識障害(呼びかけに反応が鈍い、または意識がもうろうとする) ・ろれつが回らない、言葉が出にくい ・手足の麻痺やしびれ ・激しい嘔吐、高熱 ・突然の激しい頭痛(今までに経験したことのないような痛み) 当院(リペアセルクリニック)では、無料の電話相談を行っておりますので、自身の症状に不安を感じた場合はすぐにご相談ください。 ▼症状に関する相談をする >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) その他の対処法については、これから紹介するセクションで解説していますので、ぜひご参考ください。 頭痛と吐き気が起きる原因4選 頭痛と吐き気。どちらもよくある症状ですが、一緒に起こると不安になりますよね。実は、その原因は様々で、緊急性の低いものから命に関わるものまであります。今回は、頭痛と吐き気が同時に起こる原因を4つご紹介し、それぞれの症状の特徴や、病院へ行く目安などについて詳しく解説します。 緊張型頭痛 緊張型頭痛は、肩や首の筋肉の緊張が原因で起こる頭痛です。まるで頭全体を締め付けられるような痛み、あるいは後頭部が重苦しい感じが特徴です。吐き気は、痛みがひどくなった場合に現れることがあります。精神的なストレスや、長時間のパソコン作業、猫背などの悪い姿勢が原因となることが多いです。 思春期に発症することが多く、20代でピークを迎えます。30代以降は徐々に頻度が減少していく傾向にありますが、日常生活でのストレスや長時間労働などで、30代以降も緊張型頭痛に悩まされる方は少なくありません。私自身も、医療現場の激務で首や肩が凝り固まり、緊張型頭痛に悩まされた経験があります。 緊張型頭痛は一次性頭痛の中で最も多く、多くの人が経験するありふれた頭痛です。一次性頭痛とは、他の病気から引き起こされる二次性頭痛とは異なり、頭痛自体が病気であるものを指します。 緊張型頭痛の対処法として、ストレス軽減、姿勢改善、マッサージ、鎮痛薬の服用などが挙げられます。 日常生活の中で、リラックスできる時間を作る、趣味を楽しむ、軽い運動をするなど、ストレスを軽減する工夫をしてみましょう。また、正しい姿勢を意識し、長時間同じ姿勢を続けないようにすることも重要です。デスクワークの方は、1時間に1回は立ち上がって軽いストレッチをすることをお勧めします。 片頭痛 ズキンズキンと脈打つような激しい痛みが特徴の片頭痛。多くの場合、頭の片側が痛みますが、両側が痛むケースもあります。吐き気や嘔吐を伴うことが多く、光、音、匂いに敏感になることもあります。女性に多く、遺伝的な要因も関係していると考えられています。 片頭痛も緊張型頭痛と同様に一次性頭痛に分類され、身体活動によって悪化するのが特徴です。また、遺伝的要因や、光や音に過敏になる光恐怖症、音恐怖症なども片頭痛の特徴として挙げられます。 片頭痛の症状は人それぞれですが、代表的な症状としては、脈打つような痛み、吐き気や嘔吐、光・音・匂いへの過敏さ、めまいなどがあります。これらの症状は、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。 片頭痛の対処法としては、以下の3つが挙げられます。暗くて静かな場所で横になる、こめかみなどに冷却シートを貼って冷やす、市販の鎮痛薬や医師から処方された薬を服用するなどです。 群発頭痛 群発頭痛は、目の奥やこめかみあたりに強烈な痛みが起こり、同時に激しい吐き気が伴います。片側の目が充血したり、涙や鼻水が出たりすることもあります。男性に多く、1~2ヶ月間、毎日同じ時間帯に起こるのが特徴です。 群発頭痛は、その名の通り、一定期間に集中して起こる頭痛です。群発期と呼ばれるこの期間は、数週間から数ヶ月続くことがあり、患者さんにとっては非常に辛い時期となります。群発期が終わると、しばらくは頭痛のない期間が続きますが、再び群発期が訪れることもあります。 群発頭痛の対処法としては、医師の指示に従って酸素を吸入する、医師から処方されたトリプタン系薬剤を服用する、などが挙げられます。 脳腫瘍などの命に関わる病気 頭痛と吐き気は、脳腫瘍などの命に関わる病気のサインである場合もあります。今までに経験したことのないような激しい頭痛や、意識障害、手足の麻痺などを伴う場合は特に注意が必要です。このような症状が現れた場合は、ためらわずに救急車を呼ぶか、すぐに病院を受診してください。 命に関わる病気のサインを見逃さないためには、以下の症状に注意することが大切です。 突然の激しい頭痛 意識障害 手足のしびれや麻痺 ろれつが回らない ものが二重に見える けいれん 高熱 などです。 これらの症状は、脳腫瘍以外にも、くも膜下出血や髄膜炎など、緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。少しでも気になる症状がある場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 頭痛と吐き気を和らげる7つの対処法 頭痛と吐き気。日常生活で経験する方も多いのではないでしょうか。これらの症状は、単独で起こることもあれば、同時に起こることもあり、その辛さは経験した人にしかわからないものです。 吐き気や嘔吐を伴う頭痛は、日常生活に支障をきたすだけでなく、時に命に関わる重篤な疾患のサインである可能性も否定できません。 今回は、ご自宅でできる頭痛と吐き気を和らげる7つの方法をご紹介します。これらの方法を試しても症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。 市販薬(鎮痛薬)を服用する 市販の鎮痛薬は、ドラッグストアなどで手軽に入手でき、多くの場合、頭痛と吐き気を和らげるのに役立ちます。代表的な鎮痛薬としては、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどがあります。 アセトアミノフェンは、必ず医師や薬剤師に相談してから服用するようにしてください。イブプロフェンは、解熱鎮痛効果に加えて、抗炎症作用も持ち合わせています。 鎮痛薬を服用する際には、用法・用量を厳守することが重要です。決められた量以上を服用したり、長期間にわたって服用し続けたりすると、胃腸障害や肝機能障害などの副作用が現れる可能性があります。 また、持病がある方や他の薬を服用している方は、医師や薬剤師に相談の上、市販薬との飲み合わせを確認することが大切です。鎮痛薬の中には、吐き気を悪化させる成分が含まれているものもありますので、注意が必要です。 ▼市販の痛み止めについて、併せてお読みください。 冷却シートで頭を冷やす ズキンズキンと脈打つような痛みを伴う片頭痛の場合、冷却シートで頭を冷やすのが効果的です。冷却シートを額やこめかみに貼ることで、血管が収縮し、痛みを和らげることができます。 冷却シートがない場合は、氷嚢や冷たいタオルでも代用可能です。ただし、長時間冷やしすぎると、凍傷を起こす可能性がありますので、15~20分程度を目安に使用してください。 温かいタオルで首や肩を温める 肩や首の筋肉の緊張が原因で起こる緊張型頭痛の場合、温かいタオルで首や肩を温めるのが効果的です。温めることで、筋肉の緊張がほぐれ、血行が促進され、頭痛が和らぎます。吐き気も、首や肩の筋肉の緊張が原因で起こることがありますので、温めることで症状が改善される可能性があります。 お風呂に浸かったり、蒸しタオルを使用したりするのも効果的です。40~42度くらいのぬるめのお湯に15~20分程度浸かるのがおすすめです。 静かな場所で休息する 頭痛や吐き気があるときは、心身ともに疲れている状態です。静かな場所で休息することで、副交感神経が優位になり、身体をリラックスさせ、症状を和らげることができます。 照明を暗くしたり、リラックスできる音楽を聴いたりするのも効果的です。また、吐き気があるときは、横になることで症状が楽になることがあります。 カフェインを控える カフェインは、血管を収縮させる作用があり、一時的には頭痛を和らげる効果がありますが、カフェインの摂取を急にやめると、反動で頭痛が悪化することがあります。「カフェイン離脱性頭痛」と呼ばれるこの頭痛は、カフェインの常用をやめた後12~24時間以内に発症し、2~9日間続くことがあります。 また、カフェインには利尿作用があり、体内の水分が失われ、脱水症状を引き起こす可能性があります。脱水症状は、頭痛や吐き気を悪化させる原因となりますので、カフェインの過剰摂取は控え、徐々に摂取量を減らしていくことが大切です。 水分を十分に摂る 脱水症状は、頭痛や吐き気を引き起こす原因となります。水分を十分に摂ることで、体内の水分バランスを維持し、症状の悪化を防ぐことができます。 常温の水やスポーツドリンクなどがおすすめです。冷たい飲み物は、胃腸を刺激し、吐き気を悪化させる可能性がありますので、避けるようにしましょう。 刺激物を避ける 強い光や音、においなどの刺激は、頭痛や吐き気を悪化させる可能性があります。これらの刺激を避けることで、症状を和らげることができます。 例えば、明るい場所にいる場合は、暗い場所に移動したり、目を閉じたりする、大きな音がする場所にいる場合は、耳栓をしたり、静かな場所に移動したりするなどの工夫をしましょう。 また、食べ物や飲み物にも注意が必要です。香辛料の効いた食べ物やアルコールなどは、胃腸を刺激し、吐き気を悪化させる可能性がありますので、避けるようにしましょう。周期性嘔吐症候群(CVS)は、片頭痛と共通の特徴を持つものの頭痛を伴わない症候群であり、数時間から数日続く吐き気、嘔吐、腹痛の発作を繰り返します。小児期に発症することが多く、大人になって初めて発症することもあります。 病院は何科?受診の目安と3つの注意点 頭痛と吐き気。多くの方が経験する症状ですが、その裏には深刻な病気が隠れている可能性もあるため、安易に考えてはいけません。 緊急性の高い症状を見極め、適切なタイミングで医療機関を受診することは、健康を守る上で非常に重要です。 緊急度の高い症状 「いつもの頭痛と何か違う」「吐き気がひどい」と感じたら、すぐに医療機関を受診すべきサインかもしれません。 特に以下の症状が現れた場合は、ためらわず救急車を呼ぶか、すぐに病院へ向かってください。一刻を争う事態の可能性があります。 意識障害:呼びかけに反応が鈍い、意識がもうろうとする ろれつが回らない、言葉が出てこない 手足のしびれや麻痺 激しい嘔吐 高熱 けいれん 首の痛みやこわばり 突発的な激しい頭痛(今まで経験したことのないような痛み) これらの症状は、くも膜下出血や脳卒中といった命に関わる病気を示唆している可能性があります。 また、慢性的な大量大麻使用によって過剰嘔吐を引き起こす、カンナビノイド過剰嘔吐症候群の可能性も考慮しなければなりません。 受診の目安 緊急性の高い症状がない場合でも、以下の項目に当てはまる場合は、医療機関への受診をおすすめします。 頭痛が慢性的に続いている(4週間以上) 吐き気が慢性的に続いている(4週間以上) 市販薬を服用しても症状が改善しない 日常生活に支障が出ている 不安が強い 慢性的な吐き気と嘔吐は、消化器系の問題(胃不全、周期性嘔吐症候群など)だけでなく、薬の副作用や内耳の異常といった消化器系以外の原因でも起こり得ます。 原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。周期性嘔吐症候群は、片頭痛と類似の特徴を持つものの頭痛を伴わず、数時間から数日間続く吐き気、嘔吐、腹痛の発作を繰り返します。小児期に発症することが多いですが、成人後に初めて発症するケースもあります。 受診する診療科 頭痛と吐き気が起こった際は、まず内科を受診してください。内科では、問診、身体診察、血液検査などを通して症状の原因を探ります。 必要に応じて、神経内科、脳神経外科、消化器内科など、専門の診療科に紹介状を書いてもらうことができます。 例えば、慢性的な頭痛と吐き気は、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などが疑われるため、内科や神経内科の受診が適切です。 胃の不快感を伴う吐き気であれば、胃腸炎や胃潰瘍の可能性があるため、内科または消化器内科を受診します。 めまいを伴う吐き気の場合は、メニエール病や良性発作性頭位めまい症が考えられるため、内科または耳鼻咽喉科の受診が適切です。 診察時に伝えること 医師に症状を正しく伝えることは、正確な診断と適切な治療を受けるために不可欠です。 以下の情報を整理して伝えられるようにしておきましょう。 症状が始まった時期 痛みの種類(ズキズキする、締め付けられるなど) 痛みの強さ(軽い、中等度、激しい) 痛む場所 吐き気の程度 その他の症状の有無(発熱、めまい、視覚異常など) 現在服用している薬 過去の病気 生活習慣(食事、睡眠、運動、喫煙、飲酒など) 受診前に準備しておくこと スムーズな診察のために、以下のものを事前に準備しておきましょう。 健康保険証 医療証(お持ちの方) 服用中の薬 過去の検査結果やお薬手帳(お持ちの方) メモした症状 医師の説明はしっかりと聞き、不明な点は積極的に質問することが大切です。 原因が特定できない場合や、治療が難しい場合(循環性嘔吐症候群など)もあります。医師とよく相談し、ご自身に合った治療法を見つけることが重要です。 【まとめ】吐き気を伴う頭痛は命に関わる疾患のサインの可能性も!早期に医療機関を受診しよう 頭痛と吐き気は、原因も対処法も様々です。この記事では、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、そして命に関わる病気の可能性についても解説しました。 ご自宅でできる対処法として、市販薬の服用、冷却・温熱療法、休息、カフェインの制限、水分補給、刺激物の回避などを紹介しました。しかし、これらの方法で症状が改善しない場合、または、意識障害や激しい嘔吐などの緊急性の高い症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。 受診する際は、内科を受診し、必要に応じて神経内科や脳神経外科などに紹介されることもあります。診察時には、症状の開始時期や種類、痛みの強さ、吐き気の程度、その他の症状などを詳しく医師に伝えましょう。 頭痛と吐き気は、放置すると危険な場合もあります。少しでも不安を感じたら、早めに医療機関を受診し、安心を得てください。早期発見・早期治療が、症状の改善に繋がります。 自身の症状が病院を受診すべきか、または該当する症状か不安な方は、当院(リペアセルクリニック)でも無料の電話相談を行っておりますので、ご相談ください。 \吐き気を伴う頭痛に関するご相談はこちら/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) リペアセルクリニックは「脳卒中」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 吐き気を伴う頭痛に関するよくある質問 吐き気を伴う頭痛に関するよくある質問を以下で回答しています。 女性で頭痛と嘔吐が起きる原因は? 頭痛と吐き気はあるけど、熱がない場合はどうしたらいい? 女性で頭痛と嘔吐が起きる原因は? 女性で頭痛と嘔吐が起きる原因には、以下のようなものがあります。 片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 月経前症候群(PMS)など 女性は月経周期によるホルモンバランスの変動が片頭痛を引き起こしやすく、吐き気を伴うことも。 特に、生理前や生理中にエストロゲンの分泌量が急激に減少することが、片頭痛の発症に関わっていると考えられています。 頭痛や嘔吐が頻繁に起こる場合は、早めに医療機関を受診することが重要ですが、病院に行く時間がない・まずは話だけでも聞きたいという方は、以下から無料相談をご利用ください。 ▼吐き気を伴う頭痛に関するご相談はこちらから >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) 頭痛と吐き気はあるけど、熱がない場合はどうしたらいい? 頭痛と吐き気があり、熱がない場合は、市販の鎮痛薬を試してみましょう。 すぐに頭痛を緩和したい場合は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が有効です。 ※参照:厚生労働省「市販の解熱鎮痛薬の選び方」 ただし、解熱鎮痛薬や風邪薬には同じ成分含まれていることがあるため、併用すると過剰摂取となり危険ですので、他の薬と一緒に服用しないでください。 参考文献 Kemper LT, Vedder IR, Ter Avest E. "Woman With Headache and Nausea." Annals of emergency medicine 79, no. 6 (2022): e109-e110. Goldman L. "Griseofulvin." The Medical clinics of North America 54, no. 5 (1970): 1339-45. Lacy BE, Parkman HP, Camilleri M. "Chronic nausea and vomiting: evaluation and treatment." The American journal of gastroenterology 113, no. 5 (2018): 647-659. Johns T, Lawrence E. "Evaluation and Treatment of Nausea and Vomiting in Adults." American family physician 109, no. 5 (2024): 417-425. Frazier R, Li BUK, Venkatesan T. "Diagnosis and Management of Cyclic Vomiting Syndrome: A Critical Review." The American journal of gastroenterology 118, no. 7 (2023): 1157-1167. Patniyot I, Qubty W. "Headache in Adolescents." Neurologic clinics 41, no. 1 (2023): 177-192. Cheema S, Matharu M. "Abdominal migraine and cyclical vomiting syndrome." Handbook of clinical neurology 198, no. (2023): 209-219. Onan D, Younis S, Wellsgatnik WD, Farham F, Andruškevičius S, Abashidze A, Jusupova A, Romanenko Y, Grosu O, Moldokulova MZ, Mursalova U, Saidkhodjaeva S, Martelletti P, Ashina S. "Debate: differences and similarities between tension-type headache and migraine." The journal of headache and pain 24, no. 1 (2023): 92.
2025.02.10 -
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突然ですが、手足のしびれや筋力低下を感じたことはありませんか?もしかしたら、それはギラン・バレー症候群の初期症状かもしれません。 聞き慣れない病名かもしれませんが、年間10万人あたり1~2人が発症する身近な病気で、2021年のLancet誌では世界で最も一般的な急性弛緩性麻痺の原因と報告されています。 免疫システムが誤って自分の神経を攻撃してしまうこの病気、実は風邪や下痢といった感染症がきっかけで発症することも。 重症化すると呼吸困難に至るケースもありますが、早期発見・早期治療で後遺症を最小限に抑えることが可能です。 この記事では、ギラン・バレー症候群の症状、原因、治療法、予後まで、詳しく解説します。正しく理解し、もしもの時に備えましょう。 ギラン・バレー症候群を理解する3つのポイント ギラン・バレー症候群は、あまり聞き慣れない病名かもしれません。しかし、誰にでも起こりうる可能性のある病気であり、決して他人事ではありません。 正しい知識を持つことで、早期発見・早期治療につながり、後遺症を最小限に抑えることができるのです。 この章では、ギラン・バレー症候群を理解するための3つのポイントを、わかりやすく丁寧に解説します。 ギラン・バレー症候群とは? ギラン・バレー症候群は、自分の免疫システムが誤って自分の末梢神経を攻撃してしまう自己免疫疾患です。通常、免疫システムは細菌やウイルスなどの外敵から体を守る大切な役割を担っています。 しかし、ギラン・バレー症候群では、この免疫システムが正常に機能せず、味方であるはずの神経を攻撃してしまうのです。 この攻撃によって末梢神経が炎症を起こし、神経を覆うミエリン鞘という部分が損傷を受けたり、神経線維そのものが障害されたりします。 その結果、脳からの指令が筋肉にうまく伝わらなくなり、手足のしびれや筋力低下といった症状が現れます。 ギラン・バレー症候群は、世界中で年間10万人あたり1~2人が発症すると言われており、年齢や性別を問わず、誰にでも起こりうる病気です。 小児から高齢者まで、どの年齢層でも発症の可能性があり、男性にやや多い傾向が見られます。 2021年のLancet誌の報告によれば、ギラン・バレー症候群は世界で最も一般的な急性弛緩性麻痺の原因であり、多くの患者さんが進行性の運動弱化の前に、上気道感染症などの先行感染症を経験するとされています。 ギラン・バレー症候群は、一般的には急速に症状が進行しますが、自然に回復していくことが多いのも特徴です。 多くの患者さんは数ヶ月で回復に向かいますが、約20%の方は1年後も何らかの後遺症が残る可能性があります。また、再発する可能性も2~5%程度存在します。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ギラン・バレー症候群の原因とメカニズム ギラン・バレー症候群の明確な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、多くの場合、風邪や下痢などの感染症がきっかけとなって発症すると考えられています。 例えば、カンピロバクター・ジェジュニという細菌による食中毒が、ギラン・バレー症候群の引き金になることが知られています。 2022年のInternational Journal of Molecular Sciencesに掲載された研究では、ギラン・バレー症候群の約3分の1はカンピロバクター・ジェジュニ感染が原因であると報告されています。 これらの感染症に対して、私たちの体は免疫システムを活性化させ、体内に侵入してきたウイルスや細菌を攻撃します。 しかし、この免疫反応が過剰に起こったり、制御が効かなくなったりすると、本来攻撃すべきでない自分の神経を攻撃してしまうことがあるのです。 これがギラン・バレー症候群の発症メカニズムの一つと考えられています。 具体的には、病原体の表面構造と神経の構成成分が類似している場合、免疫システムがこれらを誤認識し、神経を攻撃してしまう「分子模倣」という現象が関与していると考えられています。 カンピロバクター・ジェジュニ関連のギラン・バレー症候群では、この分子模倣によって引き起こされる自己抗体媒介性免疫プロセスが関与している強力な証拠があるとされています。 ギラン・バレー症候群を引き起こす可能性のある感染症には、カンピロバクター・ジェジュニ以外にも、サイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルス、マイコプラズマ属の細菌、腸管系のウイルスなどが挙げられます。 また、ジカウイルス感染症やCOVID-19の後に発症するケースも報告されています。 さらに、免疫チェックポイント阻害薬という、一部のがん治療薬の副作用として発症するケースもあるため、注意が必要です。 患者さんの約60%で、抗ガングリオシド抗体という物質が血液中に見つかることが知られています。 これは、免疫システムが神経の特定の部分を攻撃している証拠と考えられています。 ギラン・バレー症候群の種類と分類 ギラン・バレー症候群は、大きく分けて「脱髄」が優勢なタイプと、「軸索」が侵されるタイプの2つに分類されます。 脱髄が優勢なタイプ:神経線維を覆っているミエリン鞘という部分が壊れてしまうことで、神経の情報伝達が阻害されます。 代表的なものとして、急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(AIDP)が挙げられます。これはギラン・バレー症候群の中で最も一般的なタイプです。 軸索が侵されるタイプ:神経線維そのものが傷ついてしまうことで、神経の情報伝達が阻害されます。 代表的なものとして、急性運動軸索神経障害(AMAN)が挙げられます。 また、フィッシャー症候群(またはミラー・フィッシャー症候群)と呼ばれるタイプも存在します。 これは、眼球運動障害、体のバランスがとりにくくなる運動失調、腱反射の消失といった症状が見られますが、手足の筋力低下はあまり見られないという特徴があります。 2013年のNeurologic clinics誌に掲載された論文では、このフィッシャー症候群を含め、純粋感覚型変異、自律神経症状の限定的な発現、咽頭・頸部・腕神経叢型パターンなど、他のまれな表現型の変異についても報告されています。 これらの種類によって、症状や経過、予後が異なる場合があるため、正確な診断が重要です。 ギラン・バレー症候群の症状と診断 ギラン・バレー症候群は、初期症状が他の病気と似ていることが多く、診断が難しい場合があります。 風邪のような軽い症状だと安易に考えて放置してしまうと、後遺症が残ってしまう可能性もあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。 この章では、ギラン・バレー症候群の代表的な症状と、どのように診断されるのかについて詳しく解説します。 初期症状:しびれや筋力低下 ギラン・バレー症候群の初期症状は、両手足の指先にしびれやチクチクするような感覚が現れることが多いです。 まるで手袋や靴下を履いているような感覚で、左右対称に症状が現れる点が特徴です。 患者さんの中には、「最初は足が少しジンジンするだけだったのに、数日のうちに両足全体がしびれて、歩くのもつらくなった」と訴える方もいます。 このように、症状の進行は非常に速く、数時間から数日のうちに急速に悪化していく場合もあるため注意が必要です。 また、しびれと同時に、筋力低下も現れ始めます。具体的には、次のような症状が現れることがあります。 ボタンを留める、箸を使うといった細かい動作が難しくなる。 ペットボトルの蓋を開けられない。 文字を書くのが困難になる。 歩行がふらつく。 階段の上り下りが難しくなる。 これらの初期症状は、風邪や疲れなど、他の原因によるものと勘違いしやすいので注意が必要です。 特に、症状が急速に悪化する場合は、ギラン・バレー症候群の可能性を疑い、すぐに医療機関を受診することが大切です。 症状の進行:歩行困難や呼吸麻痺 ギラン・バレー症候群の初期症状が現れてから数日~数週間で、筋力低下はさらに進行し、手足の麻痺へと繋がっていきます。 「最初は足がしびれる程度だったのが、今では杖がないと歩けない」というケースも珍しくありません。 症状が進行すると、歩行が困難になるだけでなく、日常生活における様々な動作に支障をきたすようになります。 例えば、衣服の着脱、食事、洗面、トイレといった動作が一人では行えなくなることもあります。 さらに重症化すると、呼吸に必要な筋肉や、食べ物を飲み込むための筋肉も麻痺し、呼吸困難や嚥下障害を引き起こす可能性があります。 最悪の場合、人工呼吸器の装着や経管栄養が必要となるケースもあり、まさに生命の危険に晒される状態となります。 2015年のPrimary care誌の報告によれば、認識されず、または治療されなかった場合、ギラン・バレー症候群は著しい罹患率と死亡率につながる可能性があります。 診断方法:神経伝導検査や髄液検査 ギラン・バレー症候群の診断は、患者さんの症状や経過、神経学的診察、神経伝導検査、髄液検査などの結果を総合的に判断して行います。 2014年のNature reviews. Neurology誌に掲載された論文では、腰椎穿刺と電気生理学的検査は、診断を裏付け、脱髄型と軸索型のGBSを鑑別するのに役立つと報告されています。 神経伝導検査:神経伝導検査では、神経に電気刺激を与えて、その伝わる速度や反応を測定します。ギラン・バレー症候群では、神経の伝導速度が遅くなったり、反応が弱くなったりするといった異常が見られます。 これは、神経線維を覆っているミエリン鞘という部分が損傷を受けたり、神経線維そのものが障害されていることを示しています。 髄液検査:髄液検査では、腰椎穿刺という方法で採取した髄液を調べます。 ギラン・バレー症候群の特徴的な所見として、髄液中のタンパク質が増加している一方で、細胞数は正常であるという「蛋白細胞解離」が見られます。これは、神経に炎症が起こっていることを示唆する重要な指標です。 ギラン・バレー症候群と類似する疾患との鑑別 ギラン・バレー症候群は、他の神経疾患と症状が似ている場合があり、鑑別が難しいケースもあります。 特に、重症筋無力症、ボツリヌス症、ポリオ、ダニ麻痺症、ウエストナイルウイルス感染症などは、ギラン・バレー症候群と似たような症状を示すことがあります。 これらの疾患とギラン・バレー症候群を鑑別するためには、症状の持続時間や対称性、感覚異常の有無、自律神経症状の有無など、様々な要素を考慮する必要があります。 医師は、これらの要素を詳細に確認することで、正しい診断を下し、適切な治療方針を決定します。 例えば、重症筋無力症は、ギラン・バレー症候群とは異なり、筋力低下が日内変動を示すことが多く、また、眼瞼下垂や複視などの眼症状を伴うことが多いです。 ボツリヌス症は、眼球運動障害や嚥下障害、構音障害などの症状が特徴的で、ギラン・バレー症候群のように四肢の筋力低下が対称性に起こることは少ないです。 このように、それぞれの疾患に特徴的な症状や経過を把握することで、鑑別が可能となります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ギラン・バレー症候群の治療法と予後 ギラン・バレー症候群は、適切な治療を行うことで多くの場合回復に向かう病気です。 しかし、重症化すると呼吸困難など生命に関わる危険性もあるため、早期の診断と治療開始が非常に重要です。 ここでは、ギラン・バレー症候群の治療法と予後について、より詳しく解説していきます。 治療方法:免疫グロブリン療法や血漿交換 ギラン・バレー症候群の治療の中心は、免疫グロブリン療法と血漿交換です。 これらの治療は、免疫システムの働きを調整することで、誤って自分の神経を攻撃している状態を鎮め、症状の改善を促します。 2021年のLancet誌の報告によれば、免疫グロブリン療法と血漿交換は同等の効果があり、どちらの治療法も発症早期に開始することが重要であるとされています。 免疫グロブリン療法:免疫グロブリン療法は、健康な人の血液から精製された免疫グロブリンを、点滴で投与する方法です。 免疫グロブリンは、過剰に反応している免疫システムのバランスを整え、神経への攻撃を抑える働きがあります。 点滴による投与のため、入院が必要となるケースが多いです。 副作用として、まれに頭痛、発熱、吐き気、血管痛などがみられることがあります。 これらの副作用は一過性であることがほとんどですが、気になる症状が現れた場合は、速やかに医師に相談することが大切です。 血漿交換:血漿交換は、血液中の液体成分である血漿を専用の機器で取り出し、神経を攻撃している抗体などを含む血漿成分を除去し、代わりに新しい血漿やアルブミン製剤を補充する方法です。 この治療法も入院が必要となります。 副作用としては、血圧の低下、アレルギー反応、出血、血栓塞栓症、低カルシウム血症などがみられることがあります。 免疫グロブリン療法と血漿交換は、どちらも有効な治療法ですが、患者さんの状態やアレルギーの有無、合併症の有無などによって、どちらが適しているかは異なります。 医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが重要です。 2014年のNature reviews. Neurology誌に掲載された論文では、静脈内免疫グロブリンと血漿交換は効果的な治療法であることが証明されていると報告されています。 リハビリテーション:機能回復のための運動療法 ギラン・バレー症候群では、筋力低下や麻痺といった症状がみられるため、リハビリテーションも治療の重要な一部です。 リハビリテーションの目的は、低下した身体機能の回復を促し、日常生活への復帰をスムーズにすることです。 リハビリテーションの内容は、患者さんの病状の進行度や年齢、体力、合併症の有無などを考慮して、個別に設定されます。 初期段階で症状が重い時期には、関節の拘縮を防ぐため、関節可動域訓練や寝たきり状態を防ぐための体位変換などが中心となります。 症状が軽快してくると、筋力トレーニングや歩行訓練、日常生活動作訓練など、より積極的な運動療法が開始されます。 理学療法士や作業療法士などの専門家と連携しながら、無理のない範囲でリハビリテーションに取り組むことが大切です。 焦らず、少しずつ身体機能の回復を目指していくことが重要です。 予後:後遺症や再発の可能性 ギラン・バレー症候群の予後は、多くの場合良好で、数ヶ月から1年程度で回復に向かいます。 2015年のPrimary care誌の報告では、多くの症例は後遺症を残さずに回復しますが、そうでない場合は、著しい持続的な衰弱が残る可能性があるとされています。 しかし、患者さんによっては後遺症が残る場合もあり、軽度の筋力低下やしびれ、倦怠感などが挙げられます。また、稀に再発することもあります。 予後は、発症時の症状の重さ、治療への反応、年齢、基礎疾患の有無など、様々な要因によって影響を受けます。 重症例や高齢者の場合、後遺症が残る可能性が高くなる傾向があります。 再発は2~5%程度とされています。再発した場合も、初回と同様の治療が行われます。 最新の治療法と研究 ギラン・バレー症候群の治療法は、現在も研究開発が続けられています。新しい治療薬の開発や、既存の治療法の改良など、様々な研究が行われています。 例えば、補体阻害剤などの新しい治療薬の臨床試験が進行中です。これらの治療薬は、神経へのダメージをさらに軽減する効果が期待されています。 また、国際的な共同研究も盛んに行われており、ギラン・バレー症候群の病態解明や新たな治療法の開発に役立てられています。 2021年のLancet誌の報告では、全てのギラン・バレー症候群患者への治療アクセス改善と、神経損傷の程度を制限できる効果的な疾患修飾療法の開発が必要であるとされています。 ギラン・バレー症候群の日常生活の注意点 ギラン・バレー症候群を発症すると、日常生活に様々な支障が出てきます。症状が落ち着くまでは、無理をせず安静にすることが大切です。 また、日常生活を送る上での工夫も必要になります。 日常生活の注意点: 転倒のリスクを減らすために、手すりや杖などを活用する。 入浴時には、滑り止めマットを敷いたり、浴槽の縁に手すりを取り付けたり、シャワーチェアを使用するなど転倒防止に努める。 トイレには、補助便座や手すりなどを設置する。 衣服は、着脱しやすいものを選ぶ。ボタンやファスナーの代わりに、マジックテープやゴム紐を使用するのも良いでしょう。 食事の際は、介助が必要な場合は家族などに手伝ってもらう。食事内容も、食べやすいように工夫する。 また、精神的なサポートも重要です。不安や恐怖、焦りを感じやすい時期なので、家族や医療従事者と積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。 周囲の理解とサポートが、回復への大きな力となります。 まとめ ギラン・バレー症候群は、末梢神経が自分の免疫システムに攻撃される自己免疫疾患です。 手足のしびれや筋力低下といった症状が現れ、進行すると歩行困難や呼吸麻痺に至ることもあります。 原因は明確には解明されていませんが、感染症がきっかけとなることが多いと考えられています。 治療は免疫グロブリン療法や血漿交換、リハビリテーションなどがあり、多くの場合、数ヶ月から1年で回復に向かいます。 しかし、後遺症が残る場合や再発の可能性もあるので、早期発見・早期治療が大切です。少しでも異変を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。 症状が改善した後も、日常生活で無理をせず、周りのサポートを受けながら、焦らずに回復を目指してくださいね。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Shahrizaila N, Lehmann HC, Kuwabara S. "Guillain-Barré syndrome." Lancet (London, England) 397, no. 10280 (2021): 1214-1228. Finsterer J. "Triggers of Guillain-Barré Syndrome: Campylobacter jejuni Predominates." International journal of molecular sciences 23, no. 22 (2022): . Dimachkie MM, Barohn RJ. "Guillain-Barré syndrome and variants." Neurologic clinics 31, no. 2 (2013): 491-510. van den Berg B, Walgaard C, Drenthen J, Fokke C, Jacobs BC, van Doorn PA. "Guillain-Barré syndrome: pathogenesis, diagnosis, treatment and prognosis." Nature reviews. Neurology 10, no. 8 (2014): 469-82. Ansar V, Valadi N. "Guillain-Barré syndrome." Primary care 42, no. 2 (2015): 189-93. ギラン・バレー症候群ガイドライン2023
2025.02.10 -
- 幹細胞治療
- 脳梗塞
- 再生治療
脳卒中の中でも、血管が詰まることで発症する脳梗塞。 一命を取り留めても、麻痺やしびれ、言語障害といった後遺症が残る可能性があり、人生を大きく変えてしまうほどの影響を及ぼすケースも少なくありません。 脳梗塞の後遺症は、発症場所や範囲、治療開始までの時間によって症状の重篤度が大きく異なり、早期の治療開始が後遺症を最小限に抑える鍵となります。 この記事では、脳梗塞の後遺症の種類や症状、そして後遺症と共に生きるための治療法やリハビリテーション、日常生活の工夫、社会支援まで、幅広く解説します。 ご自身やご家族が脳梗塞に直面した際に、少しでもお役に立てれば幸いです。 脳梗塞後遺症の種類と症状 脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳細胞に酸素や栄養が届かなくなり、脳の機能が損なわれる病気です。 一命を取り留めたとしても、後遺症が残ってしまう可能性があります。後遺症の症状や程度は、脳梗塞が起こった場所や範囲、そして治療開始までの時間などによって大きく異なります。 一刻も早い治療開始が、後遺症を最小限に抑える鍵となります。 後遺症の種類や症状を正しく理解することは、患者さん本人だけでなく、ご家族にとっても、その後のリハビリテーションや日常生活の工夫、社会資源の活用を考える上で非常に重要です。 運動麻痺(片麻痺、対麻痺) 運動麻痺は、脳梗塞で最も多く見られる後遺症の一つです。 脳梗塞によって運動機能を司る脳の領域が損傷すると、筋肉を動かす指令がうまく伝わらなくなり、手足の麻痺が生じます。 麻痺には、体の片側だけに症状が現れる「片麻痺」と、両側に現れる「対麻痺」があります。 多くの場合、右脳に梗塞が起こると左半身に、左脳に梗塞が起こると右半身に麻痺が現れます。これは、脳の神経線維が交差しているためです。 麻痺の程度は、軽度であれば少し動きにくい、力が入りにくいといった症状ですが、重度になると全く動かせなくなってしまいます。 また、麻痺が続くと、関節が硬くなって動かなくなる「関節拘縮」も起こりえます。 例えば、箸がうまく使えない、ボタンが留められない、歩行が困難になるといった日常生活の動作に支障をきたすだけでなく、寝返りが難しくなることで床ずれのリスクが高まったり、手足のむくみが生じやすくなるなど、二次的な合併症を引き起こす可能性も懸念されます。 ▼脳梗塞の合併症について、併せてお読みください。 脳梗塞後の痙縮に関する研究では、麻痺の重症度が高いほど、後遺症として痙縮(けいしゅく:筋肉が異常に緊張した状態)が生じやすいことが報告されています。 痙縮は、関節の痛みや運動制限を引き起こし、日常生活の質を低下させる一因となります。 麻痺の種類 症状 片麻痺 体の片側の麻痺(右半身もしくは左半身) 対麻痺 体の両側の麻痺 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中の再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 感覚障害(しびれ、痛み) 感覚障害も脳梗塞の代表的な後遺症です。皮膚の感覚を司る脳の領域が損傷を受けると、触覚、温度覚、痛覚などを感じにくくなったり、逆に過敏になったりします。 「しびれ」は、感覚が鈍くなる症状で、手足の先端などによく起こります。まるで手袋や靴下を履いているように感じたり、何も触っていないのに何かが触れているような感覚が生じることがあります。 また、損傷を受けた神経が過剰に反応することで、「痛み」を生じることもあります。痛みの程度や種類は人それぞれで、ピリピリとした痛み、ズキズキとした痛み、焼けるような痛みなど様々です。 これらの感覚障害は、日常生活においても様々な困難をもたらします。 例えば、温度感覚が鈍くなると、やけどに気づきにくくなります。 また、触覚が鈍いと、物を持つときに適切な力加減ができず、物を落としてしまったり、逆に握りすぎて物を壊してしまうこともあります。 言語障害(失語症) 脳梗塞によって言語中枢が損傷すると、言葉の理解や発話が難しくなる失語症が起こることがあります。 失語症は、単に言葉が出ないだけでなく、言葉の理解にも影響を及ぼすことがあります。 失語症には、大きく分けて3つの種類があります。 表出性失語: 言葉を発することが難しくなる症状です。 話したい言葉がなかなか出てこなかったり、間違った言葉を使ってしまったり、言葉がつっかえたりします。 受容性失語: 相手の言葉が理解できない症状です。相手が何を言っているのか理解できず、会話が成立しなくなります。 混合性失語: 表出性失語と受容性失語の両方の症状が現れるものです。 失語症はコミュニケーションを大きく阻害するため、社会生活や日常生活に大きな影響を与えます。 高次脳機能障害(記憶障害、注意障害) 高次脳機能障害は、記憶、注意、思考、判断など、高度な精神活動を司る脳の機能に障害が起こることを指します。 記憶障害: 新しいことを覚えられなくなったり、過去の出来事を思い出せなくなったりします。 注意障害: 集中力が続かなかったり、気が散りやすくなったり、複数のことに同時に注意を払えなくなったりします。 その他にも、計画を立てたり、物事を順序立てて行うことが難しくなる「実行機能障害」、体の片側を認識できなくなる「半側空間無視」、意図した動作ができなくなる「失行」、対象が認識できなくなる「失認」など、様々な症状があります。 嚥下障害 嚥下障害は、食べ物や飲み物をスムーズに飲み込めなくなる症状です。 脳梗塞によって、飲み込むための筋肉や神経がうまく働かなくなると、食べ物が気管に入ってむせてしまったり、うまく飲み込めずに口の中に残ってしまったりします。 嚥下障害があると、誤嚥(食べ物が気管に入ること)を起こしやすく、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。 誤嚥性肺炎は、命に関わる危険性もあるため、食事の際には細心の注意が必要です。 排尿障害・排便障害 脳梗塞によって、排尿や排便をコントロールする神経が損傷すると、排尿障害や排便障害が起こります。 尿意や便意を感じにくくなったり、逆に頻繁に感じたり、我慢できずに失禁してしまうこともあります。また、尿や便が出にくくなることもあります。 これらの症状は、生活の質を大きく低下させる可能性があります。 後遺症は、単独で現れることもあれば、複数組み合わさって現れることもあります。 脳梗塞は、後遺症の種類も多岐にわたり、その症状の程度も人それぞれです。 ▼脳梗塞の症状や原因、早めの発見方法について併せてお読みください。 脳梗塞後遺症の治療とリハビリテーション 脳梗塞の後遺症は、患者さん一人ひとりの生活に大きな影を落とす可能性があります。 後遺症の種類や重症度は、脳梗塞が発生した場所や範囲、そして迅速な治療開始の可否によって大きく異なります。 後遺症による様々な困難を少しでも軽減し、より良い生活を送るためには、適切な治療と地道なリハビリテーションが欠かせません。 薬物療法 薬物療法は、脳梗塞の再発予防と後遺症の症状改善を目的として行います。脳梗塞は再発率の高い病気であるため、再発予防は特に重要です。 用いられる薬剤の種類や服用方法は、患者さんの状態や病歴、他の病気の有無などを考慮して決定します。主 な薬剤として、血栓を溶かす薬(血栓溶解剤)、血小板がくっつくのを防ぐ薬(抗血小板剤)、血液が固まるのを防ぐ薬(抗凝固剤)などがあります。 血栓溶解剤は、発症早期に投与することで閉塞した血管を再開通させる効果が期待できます。 しかし、投与可能な時間は限られており、全ての患者さんに適用できるわけではありません。 抗血小板剤と抗凝固剤は、血栓の形成を防ぎ、脳梗塞の再発リスクを低下させる薬です。これらの薬剤は、医師の指示に従って継続的に服用することが重要です。 自己判断で服薬を中断すると、再発のリスクが高まる可能性があります。服用中に気になる症状が現れた場合は、自己判断せずに医師に相談しましょう。 リハビリテーション(理学療法、作業療法、言語療法) リハビリテーションは、脳梗塞後遺症による運動麻痺、感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などの改善を目的として行います。 患者さん一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドのプログラムを作成し、日常生活の自立を目指します。 理学療法:理学療法では、体の動きや機能の回復を目指します。 筋力トレーニングや関節可動域訓練、歩行訓練などを通して、日常生活に必要な動作の改善を図ります。 作業療法:作業療法は、日常生活動作(食事、着替え、トイレ、入浴など)の改善を目的としています。 患者さんの生活環境や生活スタイルを考慮し、自宅での生活をスムーズに行えるように訓練を行います。 言語療法:言語療法は、脳梗塞によって損なわれた言語機能の回復を目指します。 発声練習や言葉の理解・表現の訓練などを通して、コミュニケーション能力の向上を図ります。 リハビリテーションの効果を高めるには、早期開始と継続が重要です。根気強く取り組むことで、症状の改善や日常生活の自立に繋がる可能性が高まります。 再発予防(生活習慣改善、服薬管理) 脳梗塞の再発を防ぐためには、生活習慣の改善と服薬管理が重要です。 高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は脳梗塞の危険因子となるため、適切な管理が必要です。 バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒など、健康的な生活習慣を心がけましょう。 食生活においては、塩分や糖分、脂肪分の過剰摂取を避け、野菜や果物を積極的に摂ることが大切です。 適度な運動は、血圧や血糖値の調整に役立ちます。また、禁煙は血管の健康維持に不可欠です。 医師から処方された薬は、指示通りに正しく服用しましょう。自己判断で服薬を中断することは危険です。 最新の治療法 近年、脳梗塞後遺症に対する新たな治療法として、再生医療が注目されています。 本来、人には、損傷したところを修復させる力があります。それを担っているのが、幹細胞です。この幹細胞を利用して、脳梗塞の後遺症の改善が期待できるのです。 リペアセルクリニックでは、脳梗塞の後遺症に特化した再生医療を行なっています。 詳しくはこちらをご覧ください↓ 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中の再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Gurková E, Štureková L, Mandysová P and Šaňák D. "Factors affecting the quality of life after ischemic stroke in young adults: a scoping review." Health and quality of life outcomes 21, no. 1 (2023): 4. Wissel J, Verrier M, Simpson DM, Charles D, Guinto P, Papapetropoulos S and Sunnerhagen KS. "Post-stroke spasticity: predictors of early development and considerations for therapeutic intervention." PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation 7, no. 1 (2015): 60-7. Andalib S, Divani AA, Ayata C, Baig S, Arsava EM, Topcuoglu MA, Cáceres EL, Parikh V, Desai MJ, Majid A, Girolami S and Di Napoli M. "Vagus Nerve Stimulation in Ischemic Stroke." Current neurology and neuroscience reports 23, no. 12 (2023): 947-962. Wang L, Ma L, Ren C, Zhao W, Ji X, Liu Z and Li S. "Stroke-heart syndrome: current progress and future outlook." Journal of neurology 271, no. 8 (2024): 4813-4825. Zhao Y, Zhang X, Chen X and Wei Y. "Neuronal injuries in cerebral infarction and ischemic stroke: From mechanisms to treatment (Review)." 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2025.02.10 -
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高次脳機能障害によって「急に怒りやすくなった」「感情の起伏が激しくて対応に困っている」といったご家族さまも少なくありません。 脳血管障害によって脳細胞が損傷すると、感情を適切にコントロールする機能が低下し、怒りやすくなる症状(社会的行動障害)がみられます。 本記事では、高次脳機能障害によって怒りやすい患者様への対応や、治療法について解説します。 また、高次脳機能障害の根本治療につながる再生医療も紹介しているので、患者様との接し方にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。 \根本治療につながる再生医療とは/ 再生医療とは、機能障害や機能不全になった脳細胞に対して、体が持つ再生能力を利用して損なわれた機能を再生させる医療技術のことです。 怒りやすくなる症状をはじめとした高次脳機能障害の治療には、先端医療である再生医療をご検討ください。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 高次脳機能障害の症状を治療したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 患者本人が治療やリハビリに積極的になれない 再生医療では、損傷した脳細胞に対してアプローチできる治療法で、従来の治療では元に戻らないとされている脳細胞の改善が期待できます。 「現在の治療で期待した効果がでていない」「患者様が治療やリハビリに積極的になれない」という方は、ぜひ再生医療を検討してみましょう。 詳しい治療法については、再生医療を専門とする当院「リペアセルクリニック」にお問い合わせください。 高次脳機能障害の影響で怒りやすい性格になる人は多い 高次脳機能障害の影響で怒りやすい性格になる人は少なくありません。高次脳機能障害にはさまざまな症状がありますが、そのうちの一つが社会的行動障害です。 社会的行動障害とは、状況に応じた感情や言動のコントロールが難しくなる障害です。 厚生労働省の調査によると、社会的行動障害の具体的な症状として最も多いのが「感情コントロールの障害・易怒性」で、対象者の85%に現れているという結果でした。(文献1) なお、本人が社会的行動障害に対する家族の不安や負担を理解していないケースも多く、対応の難しさを感じる方も少なくありません。 まずは怒りやすさが高次脳機能障害による影響であると理解し、対応を工夫しましょう。 ▼ 高次脳機能障害の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 【症状別】高次脳機能障害で怒りやすい人への対応例 怒りやすいと一言でいっても、怒りの原因や具体的な症状はさまざまです。 以下で、高次脳機能障害の影響で怒りやすい人への対応例を症状別に解説します。 怒りが爆発する場合 高次脳機能障害の影響によって、患者が怒りを爆発させることがあります。高次脳機能障害患者の怒りが爆発した場面では、以下のポイントを押さえて対応しましょう。 イライラしてきたと感じたら一時的に本人を一人にさせる その場で本人の行動に介入しない 本人の怒りにさらされる疲労やストレスを抱え込まない どのような場面で怒りが爆発したかを記録する 爆発した怒りにさらされることで、周囲は疲労や負担を感じます。怒りやすい人の対応においては、特定の人にこうしたストレスを集中させないための工夫も必要です。 ▼再生医療に関する無料相談はこちらから >>(こちらをクリックして)今すぐ電話で相談してみる 感情のコントロールが難しい場合 高次脳機能障害患者が怒りやすいのは、感情のコントロールが難しいためです。感情のコントロールが難しい人に対しては、以下のような対応を心がけましょう。 本人をイライラの原因から離す 気分を切り替えるためのきっかけを決めておく 感情を表に出しすぎるデメリットを冷静に伝える どのような態度が望ましいか、落ち着いているときに一緒に考える 感情のコントロールが難しくて怒りやすい場合は、本人の気持ちが落ち着いているタイミングで一緒に対応の仕方を考えておくことがポイントです。 周囲の刺激にすぐ反応してしまう場合 高次脳機能障害の影響で怒りやすい人のなかには、周囲の刺激にすぐ反応してしまうケースがあります。周囲からの刺激を減らすためには、具体的に以下のような対応が効果的です。 行動する前に一呼吸を置くよう伝える イライラしたら深呼吸をするよう伝える 聴覚過敏の場合は耳栓やノイズキャンセラーを使用する トラブルの原因になる場所や人との接点を減らす また、本人が集中しているときは、できるだけ刺激しないよう無理のない範囲で配慮しましょう。 欲求を抑えられない場合 高次脳機能障害の影響で怒りやすい人のなかには、欲求を抑えられなくてイライラするケースもあります。この場合、単に禁止するだけではなく、ルール作りやサポートを重視した対応が効果的です。 本人と相談してルールを決める 特定の行為がなぜ問題となるのかを丁寧に説明する 行動を制限するだけではなく対策もあわせて伝える 視覚的にわかりやすいようメモや写真に残す 本人が制限されていると感じるのではなく、自己管理のための協力だと納得できるよう支援することが大切です。 高次脳機能障害患者が怒りやすい場合の4つの基本対応 高次脳機能障害患者が怒りやすい場合は、本人への接し方だけではなく、生活環境を整えたり、支援者間で情報を共有したりすることも大切です。 以下で、高次脳機能障害患者が怒りやすい場合の基本対応について解説します。 ▼ 高次脳機能障害への対応の仕方について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。 1.生活環境を整える 高次脳機能障害患者にとって、生活環境の乱れや不規則な生活リズムは、怒りを引き起こす要因になりかねません。 まずは、どのような状況で怒りやすいのかを観察し、以下のポイントを押さえて少しずつ生活環境を整えましょう。 毎日の生活に規則性を持たせる 静かな環境を確保する リラックスできる場所をつくる など 生活環境を整えて落ち着ける空間をつくることで、本人の心理的な安定を図ります。 2.第三者に相談する 高次脳機能障害患者が怒りやすいと感じるようになったら、早めに第三者に相談しましょう。症状の改善のためには、医師や作業療法士などと連携して、適切な治療とリハビリテーションを受けることが大切です。 とくに怒りのコントロールが難しい場合には、心理的なサポートも不可欠です。心理士やカウンセラーなどは、本人が感じている怒りや不安の根本的な原因を探る手助けをしてくれます。 また、周囲がどのように接したら良いか、適切な対処法についてアドバイスしてもらうことも可能です。 3.障害福祉・介護保険サービスを利用する 高次脳機能障害と診断されたら、症状に応じて、障害福祉サービスや介護保険サービスの利用を検討しましょう。公的制度の利用は、家族の負担を軽減できるだけではなく、本人がより安定した生活を送るための基盤になります。 サービス 対象者 主なサービス内容 障害福祉 サービス 自治体の障害福祉窓口で「障害福祉サービス受給者証」の交付を受けた方 居宅介護(ホームヘルプ) 同行援護 行動援護 短期入所(ショートステイ) 施設入所支援相談支援 自立訓練 就労継続支援 自立生活援助 など 介護保険 サービス 要介護・要支援認定を受けた65歳以上の方 ただし、厚生労働省が指定する16種の特定疾病(高次脳機能障害を含む)に該当する場合は、40歳以上65歳未満の方 訪問介護 訪問看護 訪問リハビリ 定期巡回・随時対応型訪問看護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 短期入所(ショートステイ) 福祉用具貸与 など 公的制度や各種サービスを利用する際は、自治体の障害福祉窓口や地域包括支援センターに相談してください。 4.支援者間で情報を共有する 高次脳機能障害患者への対応においては、支援者間で情報を共有しておくことが大切です。家族のほか、医師や看護師、理学療法士などが協力して一貫した対応が可能になると、本人の混乱や怒りのきっかけを防ぐことにつながります。 人間関係における心理的な安全は、怒りやすい症状を和らげるために不可欠です。そのため、本人に直接「周囲が協力している」と伝えることも重要です。 支援者間のスムーズな連携が、患者の「自分は周りに支えられている」という気持ちを育むことにつながります。 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害の症状がなかなか改善せずにお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 高次脳機能障害の治療法 ここでは、高次脳機能障害の主な治療法について解説します。 薬物療法 リハビリテーション 再生医療 以下で、それぞれの治療法について解説するので、医師と相談しながら、症状に合わせて適切なアプローチを図ってください。 ▼ 以下の記事では、高次脳機能障害の回復事例を紹介しています。 高次脳機能障害は回復する?事例やリハビリの重要性を現役医師が解説 薬物療法 薬物療法の主な目的は、症状の軽減と生活の質の向上です。 脳の神経伝達物質のバランスを整える作用がある薬のほか、抗精神病薬や認知機能を改善するための薬が用いられます。 たとえば、抗精神病薬は、イライラや興奮を落ち着ける効果が期待されます。薬物療法は、感情の起伏を穏やかにし、高次脳機能障害の影響で怒りやすい人の精神状態を安定させるために効果的です。 ただし、薬物療法はあくまで症状のコントロールを目的としているため、根本的な治療法ではない点を理解しておく必要があります。高次脳機能障害の症状を改善するためには、薬物療法だけではなく、心理的なサポートを含めて多角的にアプローチしましょう。 リハビリテーション リハビリテーションは、高次脳機能障害の回復において重要な役割を果たします。高次脳機能障害のリハビリテーションには、主に以下のような内容が含まれます。 理学療法 作業療法 言語療法 認知行動療法 なかでも、高次脳機能障害の影響で怒りやすい人に対しては、認知行動療法が効果的です。認知行動療法とは、物事の受け取り方や考え方など、認知に働きかけて気持ちを楽にする心理療法の一種です。 認知行動療法を取り入れることで、怒りやストレスなどの感情をコントロールしやすくなる効果が期待できます。 ▼ 高次脳機能障害のリハビリテーションについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 再生医療 再生医療は、高次脳機能障害の治療効果が見込める点で最近注目を集めている治療法です。自然治癒力を最大限に引き出すために用いられる医療技術で、幹細胞や血小板の投与により症状改善の一助となる場合があります。 高次脳機能障害は進行性の障害ではないものの、薬物療法やリハビリテーションで思うような改善が見られないケースも珍しくありません。 近年は再生医療の研究が進み、幹細胞治療によって高次脳機能障害の原因である脳卒中の後遺症が回復した事例も数多く報告されています。 怒りやすくなる症状をはじめとした高次脳機能障害の治療には、先端医療である再生医療をご検討ください。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 高次脳機能障害の症状を治療したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 患者本人が治療やリハビリに積極的になれない 再生医療では、損傷した脳細胞に対してアプローチできる治療法で、従来の治療では元に戻らないとされている脳細胞の改善が期待できます。 当院リペアセルクリニックでは、専門の医師・スタッフによる無料のカウンセリングも実施しており、再生医療による治療内容や注意点について丁寧にご説明いたします。 「高次脳機能障害を根本的に治したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院までご相談ください。 まとめ・高次脳機能障害患者が怒りやすい場合は第三者に相談して対応しよう 高次脳機能障害患者が怒りやすいのは、社会的行動障害の一種です。脳の損傷によって感情のコントロールが難しくなり、怒りやすくなるケースも珍しくありません。 高次脳機能患者が以前と比べて怒りやすくなったと感じたら、早めに第三者に相談しましょう。 怒りにさらされることは、本人だけではなく、周囲にとって心理的負担が大きいものです。第三者への相談や公的制度の活用を通して、周囲の負担を減らせるほか、本人が生活しやすい環境づくりも可能です。 高次脳機能障害は、適切なアプローチによって症状の改善を目指すことが可能です。怒りやすい症状への対応に悩んでいる場合は、早めに専門家に相談してサポートを受けましょう。 当院リペアセルクリニックでは、専門の医師・スタッフによる無料のカウンセリングを実施しており、再生医療についてわかりやすくご説明いたします。 「高次脳機能障害を根本的に治したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院までご相談ください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「社会的行動障害への対応と支援」 https://www.rehab.go.jp/application/files/9915/7559/7229/201912_.pdf
2025.02.07