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- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
「腕が上がらない」 「服を脱いだり、洗髪したりするのがつらい」 その症状、四十肩と呼ばれる肩の疾患かも知れません。しかし、この症状を四十肩と呼ぶ人もいれば、五十肩という人も一定数います。 本記事では、現役医師が四十肩と五十肩の違いを紹介し、原因や治療法についても詳しく解説します。記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩の違和感に悩みのある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 四十肩と五十肩の違い 「四十肩」「五十肩」は発症年齢による呼び分けに過ぎず、医学的には同一の疾患です。正式には肩関節周囲炎と呼ばれ、肩関節周囲の靭帯や腱などに炎症や拘縮が生じ、痛みや可動域制限を起こします。 40代で発症すれば四十肩、50代なら五十肩と呼ばれますが、実際は30代や60代でも起こります。 ただし、肩の痛みが必ずしも肩関節周囲炎とは限りません。腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、頸椎疾患など類似症状の疾患もあるため、自己判断せず医療機関で診断を受けることが大切です。 四十肩・五十肩の症状 症状 詳細 肩の可動域が制限され日常動作が困難になる 腕が上がらない状態、服の着脱・洗髪・背中に手を回す動作の困難 夜間や安静時にも症状が強く出る 夜間痛による睡眠障害、安静時にも続くズキズキした痛み 症状は数カ月から1年以上続くこともある 回復まで長期化する経過、痛み期から拘縮期へ移行する可能性 四十肩・五十肩は、肩関節周囲の炎症や拘縮により、腕が上がらない、背中に手が回らないなど可動域が制限され、日常動作に支障をきたします。 夜間や安静時にも痛みが強く出やすく、睡眠の質が低下することもあります。経過は長引きやすく、症状が数カ月から1年以上続く場合もあるため、早めの評価と治療が不可欠です。 以下の記事では、ズキズキと痛い肩の症状について詳しく解説しています。 肩の可動域が制限され日常動作が困難になる 項目 内容 動きが狭くなる理由 炎症による関節のこわばり、関節包の硬化や癒着 制限されやすい動作 腕を上げる動作、腕を後ろに回す動作、肩を外に開く動作 困りやすい場面 洗髪や整髪の不自由、着替えの困難、高所作業の困難、運転や持ち上げ動作の負担増 特徴的なポイント 自分で動かす動作の制限、自動可動域だけでなく、受動可動域も制限されることがある (文献1) 四十肩・五十肩では、肩関節周囲の炎症により関節が固くなり、腕を上げる、後ろに回す、外へ開く動きが制限されます。進行すると関節包が癒着し、可動域の低下が強まることがあります。 自分で動かせる範囲だけでなく、他人に動かされても動きに制限が出る点が特徴です。日常生活では洗髪や着替え、運転などで支障が出やすくなります。 夜間や安静時にも症状が強く出る 四十肩・五十肩では、肩関節周囲の炎症により、夜間や安静時に痛みや不快感が目立つことがあります。寝つきにくい、夜中に目が覚めるなど睡眠が妨げられ、痛みをかばう姿勢により睡眠の質が低下しやすいのが特徴です。 腕を動かしていない状態でも違和感が続き、座っているだけでもつらいことがあります。寝返りの際に肩へ負担がかかり、痛む側を下にすると圧迫が加わって症状が強まる場合もあります。 ただし、夜間痛は腱板断裂や石灰沈着性腱板炎でも起こり得るため、急に痛みが強くなった場合やきっかけが明確な場合は、医療機関で評価を受けましょう。 症状は数カ月から1年以上続くこともある 四十肩・五十肩は、肩関節まわりの炎症や関節包の硬さが関与するため、短期間で治りきる疾患ではありません。 症状は段階的に変化し、痛みが強い時期から動きの制限が中心となる時期を経て、ゆっくり回復していくことが一般的です。 個人差はあるものの、回復までに数カ月から1年以上かかることもあり、海外の医療機関の患者向け情報では、全体として1〜3年程度で軽快すると説明されることがあります。 また、公的医療情報でも回復まで年単位になる可能性が示されています。症状が落ち着いてきても、医師の指示に沿ったリハビリの継続が重要です。(文献3) 四十肩・五十肩の原因 原因 詳細 加齢による肩関節の変化 腱や靱帯など軟部組織の変性、関節周囲組織の柔軟性低下 炎症と拘縮の進行 関節周囲炎症による痛み、関節包の肥厚と癒着による可動域低下 肩の使い過ぎや固定が引き金になる 反復動作による負担蓄積、痛み回避による不動化と硬さの進行 糖尿病などの基礎疾患や外傷後に発症 糖尿病に伴う発症リスク増加、転倒や骨折後の二次的な拘縮 四十肩・五十肩は、医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節の周囲に炎症が起こり、痛みや動きの制限が生じる状態です。 肩関節周囲炎は、肩関節を包む関節包と呼ばれる組織が炎症を起こし、厚く縮んでしまうことが原因で起こります。 風船がしぼんで硬くなるように、関節包が硬く縮むことで肩関節の動きが制限されます。 炎症がさらに進むと、関節包や周囲の組織が癒着を起こし、食品ラップ同士がくっつくような状態になるため、注意が必要です。 加齢による肩関節の変化 四十肩・五十肩は40代以降に多く、加齢による骨・軟骨・靱帯・腱の変性で肩周囲の柔軟性が低下し、日常動作でも微細損傷が起こりやすくなることが発症に関与します。 その結果、肩関節周囲に炎症が生じて痛みや動かしにくさが現れ、炎症が関節包に及ぶと肥厚・硬化により可動域制限が強まり、癒着が進めば拘縮(凍結肩)となって回復が長引くことがあります。 加齢変化は誰にでも起こるため、明確なきっかけがないまま発症するケースも少なくありません。 以下の記事では、更年期の肩こりについて詳しく解説しています。 炎症と拘縮の進行 四十肩・五十肩は肩関節周囲の炎症で発症し、炎症が強い時期は動作時だけでなく夜間や安静時にも痛みが出やすく生活に支障を来すことがある疾患です。 炎症が長引くと関節包が硬くなりやすく、肩関節を包む関節包の組織が肥厚・硬化して、徐々に肩の可動域が狭くなります。 海外の整形外科情報でも、炎症が主体の時期から硬さが目立つ時期へ移行する経過が示されています。(文献4) 拘縮が進むと、痛みが落ち着いても肩の硬さが残って腕を上げる・後ろに回す動作が困難となり回復に時間がかかるため、異変を感じた場合は早めに医療機関を受診しましょう。 肩の使い過ぎや固定が引き金になる 肩関節は可動域が大きく、仕事や家事など日常動作で頻繁に使われるため、同じ動作の繰り返しで肩関節周囲に負担が蓄積し、炎症が起こりやすくなります。四十肩・五十肩は加齢変化が背景にあるため、こうした使い過ぎがきっかけとなり症状が表面化することがあります。 炎症が起きると腕を上げる動作などで痛みが出やすくなり、かばうことで肩を動かさない時間が増えやすい点にも注意が必要です。さらに、骨折や手術後などで肩を固定し動かさない期間が続くと、発症リスクが高まります。 海外の整形外科情報でも、骨折や手術などで肩を一定期間動かさない状態が続くと凍結肩を発症することがあると示されています。(文献4) 糖尿病などの基礎疾患や外傷後に発症 起こりやすい背景 四十肩・五十肩に関係するポイント 糖尿病 発症リスク上昇、炎症と硬さの長期化 甲状腺機能の異常 発症との関連性 外傷(けが・骨折) 動かせない期間による関節包の硬化 手術後 固定と安静による拘縮進行 固定期間が長い状態 関節包の癒着と線維化、可動域低下 四十肩・五十肩は誰にでも起こり得ますが、基礎疾患や外傷後では発症しやすいことがあります。 糖尿病は凍結肩の代表的なリスク因子とされ、肩関節周囲の炎症や硬さが長引きやすい背景となり得るほか、甲状腺機能の異常も四十肩・五十肩との関連が示されています。(文献5) さらに、肩のけがや骨折、手術後は痛みや固定により肩を動かせない期間が生じやすく、この状態が長いほど関節包が硬くなり、拘縮が進みます。これが発症の引き金となり得ます。 基礎疾患がある方ほど症状が長引くこともあるため、自己判断で放置せず整形外科で評価を受けましょう。 以下の記事では、糖尿病について詳しく解説しています。 四十肩・五十肩と似た疾患 四十肩・五十肩と似た疾患 詳細 腱板の病気(腱板断裂・石灰沈着性腱板炎) 腕を上げる動作痛、夜間痛、筋力低下 腱や滑液包の炎症(インピンジメント症候群・上腕二頭筋腱炎・肩峰下滑液包炎) 特定の角度で増悪する痛み、動作時痛、圧痛 首の疾患(頸椎症性神経根症) 首の動きで増悪、腕への放散痛、しびれ 関節の障害(脱臼・変形性肩関節症) 外傷後の強い痛み、関節変形、ゴリゴリ音 四十肩・五十肩は肩の痛みと動かしにくさが代表的ですが、似た症状を示す別の疾患もあります。腱板断裂や石灰沈着性腱板炎では夜間痛や筋力低下が目立ち、インピンジメント症候群や上腕二頭筋腱炎では、特定の角度で痛みが強くなります。 頸椎症性神経根症では首の動きで痛みが増し、腕のしびれを伴うことがあります。外傷後の脱臼や変形性肩関節症など関節の障害も原因となるため、自己判断せず医療機関で鑑別することが大切です。 以下の記事では、四十肩・五十肩と似た疾患である腱板断裂と石灰沈着性腱板炎について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違い|主な症状や治療法を解説 石灰沈着性腱板炎の原因はストレスや食べ物?肩の痛みへの対処や治療法を解説 腱板の病気(腱板断裂・石灰沈着性腱板炎) 腱板断裂や石灰沈着性腱板炎は、四十肩・五十肩と痛みや動かしにくさが重なりやすく、鑑別が重要です。 腱板は肩関節の安定に関わる筋腱の集まりで、損傷や炎症が起こると腕を上げる動作で痛みが出たり、可動域が制限されたりします。石灰沈着性腱板炎では症状が急に強くなることもあり、見分けにくい点が特徴です。 夜間痛は四十肩・五十肩に限らず腱板の病気でも起こり得るため、「夜に痛いから四十肩」とは断定できません。 日本整形外科学会も、四十肩・五十肩の診断では石灰沈着性腱板炎や肩腱板断裂などと区別する必要があると説明しています。(文献1) 以下の記事では、腱板の病気について詳しく解説しています。 【関連記事】 インピンジメント症候群と五十肩の違いを解説!セルフチェック方法も紹介 石灰沈着性腱板炎の原因はストレスや食べ物?肩の痛みへの対処や治療法を解説 腱や滑液包の炎症(インピンジメント症候群・上腕二頭筋腱炎・肩峰下滑液包炎) 上腕二頭筋腱炎や肩峰下滑液包炎、インピンジメント症候群は、四十肩・五十肩と同様に肩周囲の炎症が関与するため、症状が紛らわしい疾患です。 インピンジメント症候群では、腕を上げる際に腱板や滑液包がこすれたり挟まったりして炎症が起こり、洗髪や服の着脱などで痛みが出やすくなります。 腕を持ち上げたり手を伸ばしたりする動作で症状が出ることや、肩前面から腕外側へ広がる症状がみられることが示されています。(文献6) これらは四十肩・五十肩でもよくある訴えのため自己判断での区別は困難です。上腕二頭筋腱炎は肩の前側の症状、肩峰下滑液包炎は挙上動作での増悪が特徴である一方、四十肩・五十肩では受動可動域まで制限されることがあるため、診察と画像検査による鑑別が必要です。 首の疾患(頸椎症性神経根症) 頸椎症性神経根症は、首の骨や椎間板の加齢変化により神経根が圧迫され、首だけでなく肩から腕にかけて症状が広がる疾患です。 そのため「肩のズキズキ」や違和感として自覚されやすく、四十肩・五十肩と紛らわしくなります。肩から腕の痛みに加えて、腕や手指のしびれを伴いやすい点が特徴です。 日本整形外科学会でも、肩から腕の症状と手指のしびれが多いこと、さらに筋力低下や感覚障害が出ることがあると説明されています。(文献7) 関節の障害(脱臼・変形性肩関節症) 脱臼や変形性肩関節症など関節そのものの障害でも、腕が動かしにくい、日常動作が困難といった症状が出るため、四十肩・五十肩と紛らわしいことがあります。 肩関節脱臼は転倒やスポーツなど外傷を契機に突然発症しやすく四十肩・五十肩とは発症背景が異なる一方、脱臼後に痛みで肩を動かさない期間が続くと拘縮が進み四十肩様の状態になることもあります。 変形性肩関節症は、関節軟骨の変性や摩耗が背景にあり、肩に生じると可動域の制限や痛みが目立つのが特徴です。 日本整形外科学会は関節症について、機械的刺激などにより軟骨が変性、摩耗し、滑膜炎が併発して変性が加速することがあると説明しています。(文献8) 症状だけでの判断は難しいため、診察とX線などの画像検査で鑑別し、適切な治療につなげることが大切です。 以下の記事では、肩関節亜脱臼について詳しく解説しています。 四十肩・五十肩の治療法 治療法 詳細 薬物療法 痛みと炎症の軽減、夜間痛の緩和 理学療法 可動域の改善、拘縮予防、肩機能の回復 手術療法 保存療法で改善しない例での選択肢、関節の動きの改善 再生医療 症状や原因に応じた組織修復の補助、治療選択肢のひとつ 四十肩・五十肩の治療は、痛みと炎症を抑える薬物療法を中心に、肩の動きを取り戻す理学療法を組み合わせて進めます。薬物療法や理学療法で改善が乏しい場合は、関節の動きの改善を目的に手術療法を検討します。 また、症状や原因によっては再生医療が選択肢となる場合もありますが、再生医療を取り扱う医療機関は限られており、すべての症状に適用できるわけではありません。 そのため、再生医療を検討する際は、事前に医師と相談しながら適応を判断する必要があります。 薬物療法 四十肩・五十肩の初期(急性期)は肩関節周囲の炎症が主体となるため、薬物療法が効果を発揮しやすい時期です。 日本整形外科学会でも、症状が強い急性期には消炎鎮痛薬の内服や注射が有効と説明されています。(文献1) とくにNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は炎症と腫れを抑えて痛みを和らげ、日常生活の負担軽減に役立ちます。国内でも、除痛目的にNSAIDsを用いることが一般的です。(文献9) 肩関節内へのステロイド注射は炎症を強く抑える手段で、海外のレビューでも治療選択肢として挙げられ、症状の軽減や可動域の改善に役立つ可能性が示されています。(文献4) 理学療法 四十肩・五十肩では、炎症が落ち着いた後に肩の硬さ(拘縮)が目立ちやすくなるため、回復には理学療法が欠かせません。 日本理学療法士協会の資料でも、炎症が落ち着いた後に硬さが目立ちやすいことと、理学療法士による運動療法やセルフエクササイズの指導が推奨されています。(文献10) エビデンスレビューでは、標準化した理学療法を含む保存療法で高い改善率が報告されており、無理に強く伸ばすより状態に合わせた穏やかな運動が良い可能性も示されています。(文献11) 海外の患者向け資料でも回復には時間がかかるため理学療法の継続が不可欠とされており、自己流は避けて段階に合った運動を続けることが大切です。(文献3) 手術療法 手術の種類 概要 特徴 麻酔下での関節モビライゼーション(マニプレーション) 全身麻酔下で肩関節を動かし、硬くなった関節包を伸ばして可動域を改善する方法 短時間で可動域改善が期待、術後のリハビリ継続が欠かせません。 関節鏡下関節包遊離術 関節鏡(カメラ)と器具を挿入し、癒着した関節包を切開して可動域を改善する方法 皮膚切開が小さい、術後回復が比較的早い傾向 保存療法で十分な改善が得られない場合や、肩関節の硬さ(拘縮)が強い場合は、手術療法を検討します。 代表的な方法として、全身麻酔下で肩関節を動かして硬くなった関節包を伸ばす麻酔下関節モビライゼーション(マニプレーション)や、関節鏡を用いて癒着した関節包を切開する関節鏡下関節包遊離術があります。 手術は保存療法より短期間で可動域の改善が期待できますが、骨折、神経障害、感染症などの合併症リスクもあるため、適応については医師と相談して慎重に判断しましょう。 再生医療 再生医療が選択肢となる理由 説明 炎症に関わる環境へのアプローチ可能性 血小板由来因子などを介した局所環境への作用の考え方 成長因子を含む治療の概念 PRPが成長因子などを含む血漿(けっしょう)である点 研究報告で検討が進む領域 可動域や評価尺度を用いた臨床研究や系統的レビューの蓄積 注射治療として実施される枠組み 入院や手術を前提としない注射手技としての位置づけ 細胞特性に基づく治療概念 自己由来幹細胞の分化能や体内環境に関わる働きを活用する考え方 (文献12) 四十肩・五十肩は、炎症に続いて関節包の拘縮が残りやすい疾患です。再生医療は、注射を用いて局所環境に働きかける考え方に基づいており、研究でも可動域などの指標で検討されています。 また、手術を前提としない治療として実施できるため、侵襲が比較的小さく、感染症や術後の合併症リスクを抑えやすいのが利点です。 さらに、患者自身の細胞を用いる治療では、薬物療法のような全身性の副作用が生じにくい可能性も期待されます。 ただし、標準治療の代替ではなく、適応や期待できる効果は状態により異なるため、医師と相談の上で判断が必要です。 当院「リペアセルクリニック」では、四十肩・五十肩に対する再生医療を用いた治療を行っております。 詳しくは、以下の四十肩・五十肩に対する再生医療の症例をご覧ください。 また、以下の動画では、当院で行っている肩関節の症状に対する再生医療について詳しく解説しています。 https://youtu.be/JtMLjwP174M 四十肩・五十肩の診断・検査方法 検査 説明 X線(レントゲン) 骨折や変形性関節症など、他疾患の除外目的 MRI検査 肩関節周囲組織の評価、炎症や癒着の程度確認 超音波検査 腱板や滑液包などの観察、画像ガイド下注射での活用 四十肩・五十肩の診断は、主に問診と診察で行います。痛みの程度や可動域を確認し、腕を前・横に上げる、後ろに回すなどの動作で制限の有無を評価します。 レントゲンは炎症や癒着自体は写らないため、骨折や変形性関節症など他疾患の除外目的で実施します。 必要に応じてMRIや超音波で炎症や癒着の程度を確認しますが、多くは診察で診断可能です。 四十肩・五十肩の予防法 予防法 詳細 肩を動かす習慣をつけ可動域低下を防ぐ 肩甲骨を意識した軽い運動習慣 肩を固定しすぎず日常で軽く動かす 安静のしすぎ回避とこまめな可動 基礎疾患を管理し発症リスクを下げる 糖尿病などの血糖管理と定期受診 四十肩・五十肩の予防は、「固めない」「偏らせない」「基礎疾患を整える」が基本です。肩は動かさない期間が続くほど可動域が落ちやすく、反対に偏った使い方が続くと炎症のきっかけになります。 日常的に肩甲骨と肩関節を軽く動かし、固定しすぎないことが大切です。デスクワークでは猫背や巻き肩が定着しやすいため、姿勢と作業環境の見直しも欠かせません。糖尿病などの基礎疾患がある場合は、内科的管理も含めた全身の調整が予防につながります。 肩を動かす習慣をつけ可動域低下を防ぐ 四十肩・五十肩は、肩関節周囲の炎症に続いて関節包が硬くなり、肩が固まって可動域が落ちることがある疾患です。そのため、動かさない期間が長いほど拘縮が進みやすく、外傷や手術後などで肩を固定した後に発症することがある点からも「動かさないこと」がリスクになり得ます。 日本整形外科学会では、急性期を過ぎたら運動療法(拘縮予防や筋力強化)を行うと明記されています。(文献2) 肩を動かすことは単なるセルフケアではなく、医学的にも「動きの低下を防ぐ」ための重要な手段として位置づけられています。 可動域を保つことは、洗髪や服の着脱など日常動作の維持にも直結するため、無理のない範囲で穏やかに動かす意識が大切です。 肩を固定しすぎず日常で軽く動かす 肩を固定しすぎず日常で軽く動かすことが重要なのは、「動かさない期間」そのものが四十肩・五十肩の引き金になり得るためです。 AAOS(米国整形外科学会)では、手術や骨折などで肩を固定したあとに凍結肩(四十肩・五十肩)が起こり得ると説明されており、固定がリスク因子になることが示されています。(文献4) 肩を動かさない状態が続くと、肩関節周囲の組織が硬くなり、関節包の線維化や拘縮が進みやすく、可動域低下につながります。 とくに、けがや手術後は肩を動かせる範囲が限られやすいため、医師の指示に従いながら可能な範囲で早期から軽く動かすことが、拘縮予防と機能回復において大切です。 基礎疾患を管理し発症リスクを下げる 糖尿病や甲状腺疾患は四十肩・五十肩(凍結肩)の発症と関連するため、基礎疾患を管理し発症リスクを下げることが大切です。糖尿病や甲状腺疾患がある人は凍結肩のリスクが高く、炎症や組織変化が起こりやすくなる可能性があり、症状が長引く要因にもなり得ます。(文献4) 海外の医療情報では、糖尿病や甲状腺疾患の管理は、凍結肩のリスク低減につながる可能性が示されています。(文献4) これは「特別な運動だけで予防する」のではなく、全身状態の管理が肩の病気にも影響し得るという考え方です。 そのため、定期通院を継続し、血糖や甲状腺機能を安定させることが、発症予防と重症化回避の両面で欠かせません。 四十肩と五十肩の違いを理解して適切に対処しよう 四十肩と五十肩は呼び方が異なるだけで、いずれも肩関節周囲炎を指します。この違いを理解しておくと、肩の痛みに関する情報を整理しやすくなり、受診やセルフケアなど次に取るべき行動も明確になります。 一方で、肩の痛みや動かしづらさは、腱板断裂や石灰沈着性腱板炎、頸椎由来の神経症状などでも生じるため注意が必要です。痛みが長引く場合や、筋力低下が目立つ場合、急に症状が悪化した場合は自己判断せず、医療機関で検査を受けて原因を確認しましょう。 四十肩・五十肩の症状が改善せずお悩みの方は当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。四十肩・五十肩の痛みなどが長引きし、薬物療法やリハビリなどの保存療法だけでは十分な改善が得られない場合があります。 このような場合、症状や検査所見を踏まえて原因となる病態を評価した上で、再生医療を治療の選択肢のひとつとしてご提案しています。 再生医療は注射によって局所の環境に働きかける治療です。炎症や組織変化が関与する四十肩・五十肩に対して、症状の緩和や可動域の改善につながる可能性が検討されています。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 四十肩・五十肩に関するよくある質問 四十肩・五十肩は自然治癒しますか? 四十肩・五十肩は自然に軽快することもあります。ただし、放置すると関節包の癒着が進み、肩の動かしにくさが残ることがあります。 「そのうち治る」と我慢せず、早めに整形外科で評価を受けましょう。 四十肩・五十肩は整体や鍼灸で改善しますか? 四十肩・五十肩は、整体や鍼灸で一時的に楽になる可能性はありますが、改善効果が明確に証明されているとは言い切れません。 とくに鍼灸は、役立つと感じる人がいる一方で根拠は決定的ではないとする整理が多く、治療の中心は整形外科で原因を評価した上で、薬物療法や理学療法を行うことになります。 四十肩・五十肩に対してやってはいけないことはありますか? 四十肩・五十肩で避けたいことは、無理に動かすことと、固定し続けることです。 症状が強い時期に無理をすると炎症が悪化しやすく、反対に動かさなさすぎると肩が固まって可動域が低下することがあります。 痛みの出ない範囲で動かすことを基本とし、症状が悪化する場合は整形外科で相談しましょう。 参考文献 (文献1) 「五十肩(肩関節周囲炎)」|公益社団法人 日本整形外科学会 (文献2) パンフレット「整形外科シリーズ5 五十肩(肩関節周囲炎)」|社団法人日本整形外科学会 (文献3) Frozen Shoulder|AAOS (文献4) Frozen Shoulder|OrthoInfo (文献5) Frozen shoulder: MedlinePlus Medical Encyclopedia (文献6) Shoulder Impingement/Rotator Cuff Tendinitis|OrthoInfo (文献7) 「頚椎症性神経根症」|公益社団法人 日本整形外科学会 (文献8) 「変形性関節症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる (文献9) わかりやすい 五十肩・肩の痛み|東北大学整形外科教室 (文献10) 理学療法ハンドブック シリーズ 13 肩関節周囲炎|肩にやさしい関わり方で快適な生活を (文献11) ADHESIVE CAPSULITIS: USE THE EVIDENCE TO INTEGRATE YOUR INTERVENTIONS|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献12) Platelet-Rich Plasma for Adhesive Capsulitis: A Systematic Review|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information
2025.02.09 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
「右肩(左肩)がズキズキと痛い」 「肩の痛みが一向に改善しない」 右肩(左肩)が急にズキズキと痛むと重い疾患を心配する人も多いです。右肩(左肩)が痛む理由は主にデスクワークや長時間同じ姿勢でのスマホ視聴などですが、中には腱板損傷や五十肩、さらには内臓疾患などのサインが隠れている可能性もあります。 本記事では、現役医師がズキズキと痛む右肩(左肩)の症状の原因や対処法を詳しく解説します。記事の最後には、ズキズキと痛い右肩(左肩)に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 改善しない肩の痛みについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 右肩(左肩)がズキズキと痛む原因 ズキズキと痛む原因 詳細 肩腱板損傷(断裂) 腱板(肩の腱)の損傷による炎症・運動時痛、夜間痛、腕が上がりにくい状態 筋肉の炎症(腱板炎・石灰沈着性腱板炎など) 腱や周囲組織の炎症によるズキズキした痛み、石灰沈着による急激な強い痛み 関節の異常(肩関節周囲炎・変形性肩関節症など) 関節包の炎症や軟骨変性による痛み、可動域制限、動作時の痛み 神経の圧迫(胸郭出口症候群など) 神経・血管の圧迫による肩や腕の痛み、しびれ、だるさ、握力低下 頸椎椎間板ヘルニア 首の神経根圧迫による肩や腕の放散痛、しびれ、首の動きで増悪する痛み 内臓疾患(狭心症・胆石症など) 心臓・胆のうなど由来の関連痛(放散痛)、肩の動きと関係なく生じる痛み 帯状疱疹 神経の炎症によるピリピリ・ズキズキした痛み、遅れて発疹が出るケース 感染性関節炎 関節内感染による強い痛み、腫れ・熱感、発熱、動かせないほどの疼痛 胸部由来(肺尖部腫瘍・横隔膜刺激) 肺尖部病変や横隔膜刺激による関連痛、肩の動きと関係しにくい痛み その他(外傷・腫瘍など) 打撲・骨折・脱臼など外傷性疼痛、骨や軟部腫瘍による持続痛 右肩(左肩)がズキズキと痛む原因は、腱板損傷や腱板炎、肩関節周囲炎など肩そのものの疾患だけではありません。 胸郭出口症候群や頸椎椎間板ヘルニアなど神経の圧迫でも痛みが起こり、しびれを伴うことがあります。 痛みの中には、狭心症や胆石症といった内臓疾患、帯状疱疹、感染性関節炎、胸部由来の疾患が隠れているケースもあるため、注意が必要です。 痛みが強い場合や発熱がある場合、急に症状が悪化した場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 肩腱板損傷(断裂) 肩腱板損傷(断裂)は、肩の周囲で腕の上げ下げや回旋を支える「腱板」がすり減ったり切れたりして痛みが出る疾患です。腕を上げた瞬間の痛み、夜間に増える違和感、力が入りにくい感覚が特徴です。 筋肉の中でも棘上筋が傷つきやすく、加齢変化に加えて使い過ぎや転倒などの外傷がきっかけで発症しやすいとされています。 軽度であれば保存療法で改善することもありますが、完全断裂の場合は筋力低下が目立ちます。放置すると腱が縮んで治療が難しくなるため、早めの対応が大切です。 急に腕が上がらなくなった、物を持てなくなった、夜間痛で眠れないといった症状がある場合は、整形外科で画像検査を含めた評価を受けましょう。 以下の記事では、肩腱板損傷について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】腱板損傷とは|症状・原因・治療法を詳しく解説 腱板損傷と断裂の違いは?症状の進行や治療法について現役医師が解説 筋肉の炎症(腱板炎・石灰沈着性腱板炎など) 肩の関節を安定させて動かす重要な役割を担っているのが、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる4つの筋肉の腱です。 この腱に炎症が起こると腱板炎と呼ばれ、肩にかなり強い痛みを生じます。 炎症の原因は、使いすぎや加齢による変化などさまざまです。たとえば、野球のピッチャーやテニスのサーブのように、腕を繰り返し同じ動作で動かすスポーツでは、回旋筋腱板に負担がかかりやすく、腱板炎のリスクが高まります。また、普段使わない筋肉を急に動かした場合にも炎症が起きやすくなるのが腱板炎の特徴です。 強い痛みが特徴で安静時にも出現し、圧痛点が明瞭な場合があり、石灰沈着例では炎症期に痛みが増強します。 石灰沈着性腱板炎は、40~50代の女性に多く見られます。カルシウムが腱板のところに沈着して炎症を起こす疾患です。 カルシウムが腱板のところに沈着する理由は現在の医学では判明していません。考えられる原因は主に血流の問題や、年齢などが起因しているといわれています。 石灰沈着性腱板炎は、安静時でも強い痛みが出やすく、指で肩を押すと圧痛点がはっきりして痛む場所も特定しやすい疾患です。 以下の記事では、石灰沈着性腱板炎の原因について詳しく解説しています。 関節の異常(肩関節周囲炎・変形性肩関節症など) 肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩)は、肩の痛みと可動域制限を主症状とする疾患で、腕が上がりにくい、動かしづらい状態が続きます。40〜50代に多く見られますが、近年は長時間のデスクワークやスマホ使用により、若年層でも発症するケースが増えています。 まれに肩から腕にかけてしびれを伴うことがあり、その場合は頸椎椎間板ヘルニアなどとの鑑別が必要です。 一方、変形性肩関節症は軟骨の摩耗により痛みと炎症が生じる疾患です。進行すると痛みの増悪や可動域の低下、動かしたときの軋轢音が目立つようになります。X線(レントゲン)検査で骨棘の形成や関節裂隙の狭小化が確認できる点が特徴です。 以下の記事では、肩の痛みで疑われる疾患やがんの可能性について紹介しています。 神経の圧迫(胸郭出口症候群など) 肩の付け根の痛みは、筋肉や関節だけでなく、神経の圧迫が原因で起こることもあります。代表的な疾患が胸郭出口症候群で、首から腕へ向かう神経や血管が鎖骨周辺や肋骨付近で圧迫されることにより、肩から腕、手にかけて痛み、しびれ、だるさなどが生じます。 主な背景としては、首や肩の筋緊張、鎖骨や肋骨の形態変化、猫背などの不良姿勢です。なで肩の女性や、重い荷物を持つ機会が多い方に多い傾向があり、スマホ使用時の前かがみ姿勢も症状を悪化させる要因となるため注意が必要です。 以下の記事では、胸郭出口症候群について詳しく解説しています。 胸郭出口症候群の原因とは?主な症状や4つの治療法を医師が解説! 【胸郭出口症候群】症状のセルフチェックリストやテスト方法を医師が解説 頸椎椎間板ヘルニア 頸椎椎間板ヘルニアでは、首の椎間板が突出して神経根を刺激することで、右肩(左肩)にズキズキした痛みが現れることがあります。痛みは肩だけにとどまらず腕から手指へ放散し、しびれや感覚の鈍さを伴いやすいのが特徴です。 多くは安静や薬物療法、リハビリなどの保存療法で軽快しますが、握力低下や筋力低下、動作の障害がある場合は早期の評価が必要です。 以下の記事では、頸椎椎間板ヘルニアについて詳しく解説しています。 【関連記事】 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法は?日常生活の注意点 頚椎椎間板ヘルニアの症状|発症しやすい部位も紹介 内臓疾患(狭心症・胆石症など) 肩の付け根の痛みは、整形外科の疾患だけでなく、内科領域の「関連痛」として現れることがあります。狭心症や心筋梗塞では、胸部の痛みが肩、背中、腕、あごなどへ放散することがあり、命に関わる状態の可能性があるため、注意が必要です。 また、胸部大動脈解離では、背部から肩にかけて強い痛みが出ることがあり、緊急対応が必要です。胆石症は、脂肪分の多い食事の後に上腹部の痛みとともに、右肩から右肩甲骨周囲へ痛みが放散し、吐き気、嘔吐、発熱を伴うことがあります。 肩の痛みに加えて胸痛、息苦しさ、冷汗、吐き気、発熱などを伴う場合は、自己判断せず早急に医療機関を受診しましょう。 帯状疱疹 帯状疱疹は、水ぼうそうの原因である水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化して起こる疾患です。ウイルスは神経に潜むため、発症初期には右肩(左肩)のどちらか片側に「ピリピリ」「ズキズキ」する痛みが出ることがあります。 数日以内に肩から腕、背中にかけて赤みや水ぶくれが現れ、皮膚が触れるだけで過敏になることもあります。放置すると帯状疱疹後神経痛として痛みが長引く場合があるため、片側の痛みが続くときは早めに医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、帯状疱疹について詳しく解説しています。 【関連記事】 【最新版】帯状疱疹後神経痛の解消法|後遺症でピリピリする際の治療法を紹介 帯状疱疹後神経痛に効く薬は?5つの薬の効果・副作用を解説 感染性関節炎 確認ポイント 典型的な内容 発症の速さ 数時間〜数日での急な出現・悪化 見た目の変化 腫れ・赤み・熱感 伴う症状 発熱・悪寒・強いだるさ 起こりやすい関節 膝が多いが肩でも起こり得る 放置リスク 関節破壊・機能障害の進行 受診の目安 急激な悪化と熱感や発熱の併発 (文献1)(文献2) 感染性関節炎は、関節内に細菌などが入り急速に炎症が進む疾患です。関節液の増加で内圧が上がり、肩にズキズキした強い痛みが出ます。 腫れ、赤み、熱感、動かせないほどの痛み、発熱を伴う場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。 胸部由来(肺尖部腫瘍・横隔膜刺激) 疑う状況 出やすい症状 肩を動かしていないのに続く 安静でも続く 肺の上の病気(肺尖部など) 肩から腕へ広がる、しびれ 目の症状を伴う まぶたが下がる、瞳孔の左右差 胸膜や胸水の刺激 咳や深呼吸で増える、息苦しさ 放置してはいけない危険サイン 発熱、体重減少、脱力感 (文献3)(文献4) 肩がズキズキするのは、炎症だけでなく、胸の疾患が原因で起こる関連症状の場合もあります。 肩を動かしていないのに痛みが続く、咳や深呼吸で痛みが増える、息苦しさや発熱がある、体重減少がある、腕のしびれや脱力感があるといった症状がみられるときは注意が必要です。 整形外科で異常が見つからない場合も、内科や呼吸器内科で早めに評価を受けましょう。 その他(外傷・腫瘍など) 肩の付け根の痛みは、関節や筋肉の炎症だけでなく、転倒や衝突などの外傷が原因で起こることもあります。 たとえば腱板断裂は、転倒時に肩へ強い衝撃が加わることで生じる場合があります。高齢者の場合、骨が脆くなっているため、軽い転倒でも上腕骨近位部骨折などを起こす恐れがあるため、注意が必要です。 また、スポーツ中に強い力が加わった場合には、肩関節脱臼や靱帯損傷を起こすことがあります。まれに腫瘍が痛みの原因となることもあり、その際は痛みに加えて、しびれ、腫れ、発熱などの症状を伴う場合があります。 右肩(左肩)がズキズキと痛いときの対処法 対処法 詳細 家庭でできるケアを実施する(ストレッチ・マッサージ・温罨法・冷罨法など) やさしい運動と冷温の使い分け 運動療法・ステロイド注射・手術療法などの治療 原因に応じた治療の検討 日常生活を整える(姿勢・運動・睡眠など) 姿勢と睡眠と軽い運動による再発予防 肩の痛みは原因や性質によって対処法が異なるため、適切に対応することで悪化の予防と回復の促進につながります。痛みが強い場合は、市販の鎮痛薬や湿布で一時的に症状を和らげます。 鎮痛薬には内服薬、貼付薬、外用薬などがあり、使いやすさや胃への負担を考慮して選びましょう。 湿布は、強い痛みが出た直後(急性期)は冷湿布、慢性的な痛みには温湿布の使用が一般的です。ただし、湿布の長時間貼付はかぶれの原因となるため注意が必要です。 市販薬を使用する際は用法・用量を守り、併用薬がある場合や妊娠・授乳中、持病がある場合は薬剤師や医師に相談しましょう。 以下の記事では、痛み止めについて詳しく解説しています。 家庭でできるケアを実施する(ストレッチ・マッサージ・温罨法・冷罨法など) ケア方法 目的・ポイント ストレッチ 可動域の改善とこわばりの軽減 マッサージ 筋緊張の緩和と血流促進 温罨法 慢性痛の緩和と回復促進 冷罨法 急性期の痛みと炎症の鎮静 家庭でできるケアとして、ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法があります。ストレッチは肩や首まわりの筋肉を柔らかくし、痛みの軽減や可動域の改善に役立ちますが、痛みが強いときに無理に行うのは避けましょう。 マッサージは筋緊張を和らげ、血流を促して回復を助けます。肩甲骨を意識して、無理のない範囲で動かすのがポイントです。温罨法は慢性的な痛みやこわばりが強いときに、冷罨法は痛みが強い急性期に適しています。 これらのケアで改善しない場合や、発熱・しびれを伴う場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 運動療法・ステロイド注射・手術療法などの治療 問診、視診、触診に加えX線などの画像検査で原因を確認し、診断を行います。痛みが強い場合は、注射で炎症や痛みを抑える治療が選択されます。 ステロイド注射は即効性が期待できますが、効果は永続的ではなく、頻回投与は副作用のリスクがあるため、適切な頻度で行うことが大切です。 肩関節の拘縮があるときは、可動域を広げるリハビリ(運動療法)で機能改善を図ります。腱板断裂で痛みが強く日常生活に支障がある場合や、腕が上がらない場合は手術を検討します。 近年は関節鏡による低侵襲手術が主流です。 しかし、整形外科医の間では、肩の腱板手術はできるだけ避けたい治療のひとつです。 理由は、手術をしても痛みが十分に取れなかったり、かえって症状が悪化したりするケースが一定数あるためです。 さらに術後に肩が固まってしまう拘縮や、縫合した腱板の再断裂が起こることもあり、術後経過が思い通りにいかないこともあります。 こうした課題に対して、近年注目されているのが再生医療です。入院や手術を必要とせず、状態によっては手術に近い、あるいはそれ以上の改善が期待できる選択肢として検討されることがあります。 私自身、約10年にわたり再生医療に携わってきた中で、肩の治療には確かな希望があると感じています。詳しくは、ぜひこちらの動画をご覧ください。 <肩腱板損傷の症例動画> https://youtu.be/JtMLjwP174M 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 日常生活を整える(姿勢・運動・睡眠など) 日常生活では、正しい姿勢を保つことが大切です。猫背になると肩まわりに負担がかかり、症状が悪化しやすくなります。 デスクワークやパソコン作業が多い方は、1時間に1回を目安に休憩を取り、腕の上げ下げや肩甲骨体操を、5分でも行いましょう。 適度な運動は肩周囲の筋力と柔軟性の維持に役立つため、ウォーキングや水泳など負担の少ない運動を継続することが大切です。ただし痛みがある場合は、無理をせず医師に相談してから行うようにしましょう。 また、睡眠不足は痛みや炎症を助長する可能性があるため、十分な睡眠を確保しましょう。就寝時は痛む側の肩を下にしないよう注意し、抱き枕などで楽な姿勢を作るのも有効です。 右肩(左肩)のズキズキ痛みに対する予防法 予防法 詳細 適度の運動習慣を取り入れる 筋力と柔軟性の維持 スマホ・PC作業の姿勢を見直す 猫背予防と肩負担の軽減 適切なストレッチやマッサージを取り入れる こわばり予防と血流改善 右肩(左肩)のズキズキした痛みを予防する基本は、肩に負担が集中する状況を減らし、肩甲骨まわりの柔軟性と筋力を保つことです。 スマホやPC作業、家事、育児などは姿勢が偏りやすく、同じ体勢が続くほど肩の緊張が残ります。強い運動を急に始めるより、短時間の運動やストレッチを毎日続けることが再発予防につながります。 適度の運動習慣を取り入れる 肩の痛み予防には、肩周りの筋肉を鍛え、柔軟性を高めることが重要です。とくに、肩甲骨を意識しましょう。肩甲骨は、肋骨の背面に位置する逆三角形の骨で、腕のさまざまな動きをサポートする重要な役割を担っています。 この肩甲骨、本来は肋骨に直接くっついているのではなく、筋肉によって支えられています。 周りの筋肉が弱ったり、硬くなったりすると、肩甲骨の位置がずれ、肩関節に負担がかかりやすくなります。 肩回し体操 肩回し体操です。腕を大きく回すことで、肩の動きを広げます。前方向と後ろ方向を10回ずつ行います。 やり方は以下の画像を参考にしてみてください。 痛みを感じる時は、無理せずに回せる範囲で行いましょう。 肩甲骨はがし 両手を前に伸ばし、手のひらを合わせます。そのまま両腕を左右にゆっくりと開き、肩甲骨を背骨から引き離すように意識します。 やり方は以下の画像を参考にしてみてください。 画像の動きを10回繰り返しましょう。この動きは、肩甲骨を支える筋肉を強化する効果があります。こちらの動きも無理のない範囲で行うことが大切です。 腕立て伏せ 腕立て伏せも肩と同時に、胸や腕の筋肉も鍛えられる効果的な運動です。 無理のない範囲で10回を目標に行いましょう。 これらの運動は、毎日続けることで効果を発揮します。できるだけ毎日、習慣づけるようにしましょう。 スマホ・PC作業の姿勢を見直す 長時間のパソコン作業やスマホの使用は猫背になりやすく、肩甲骨の動きを悪くする原因になります。 猫背の姿勢が続くと肩甲骨が外側に開いた状態で固定され、肩関節への負担が増えて痛みが出やすくなります。 日常では、以下の点を意識して姿勢を整えることが大切です。 意識するポイント 内容 背筋を伸ばし、顎を引く 顎を引いて背筋を伸ばす 肩の力を抜いてリラックスする 肩の緊張を抜く 目線は正面に向ける 目線を下げない 足の裏全体を床につける 座位の安定を保つ 肘は90度を維持する 肩への負担を減らす こまめに休憩をとる 1時間に1回の休憩と軽いストレッチ 姿勢や作業環境を整えることで、症状の軽減が期待できます。それでも肩の痛みが改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 適切なストレッチやマッサージを取り入れる 予防目的のストレッチは、強く伸ばすのではなく「ゆっくり行い、呼吸を止めない」ことが基本です。肩だけでなく、胸の前(大胸筋)や首、肩甲骨周囲もほぐすと姿勢が整いやすくなります。 マッサージは短時間にとどめ、押して不快感が増す部位は避けましょう。運動前後や入浴後など身体が温まったタイミングに行うと継続しやすくなります。なお、しびれ・発疹・発熱を伴う場合は自己流のケアを優先せず、医療機関で原因を評価することが大切です。 肩回し 肩回しは前後の方向を10回ずつ行います。無理に大きく回す必要はありません。 負荷をかけないやり方は以下の画像を参考にしてみてください。 無理に早く回そうとしたり、大きく伸ばそうとしたりするとかえって肩の痛みを悪化させる可能性があります。大切なのは肩に負荷をかけることではなく、肩の痛みを軽減することを目的にすることです。 首のストレッチ 首のストレッチでは、ゆっくりと無理のない範囲で右と左に倒し、それぞれ10秒間キープします。 キープのやり方は以下の画像を参考にしてみてください。 肩のストレッチなどを行なっても、しびれや発疹、発熱がある場合は自己流のケアを優先せず、原因の評価を先に行うことが大切です。 腕のストレッチ 腕のストレッチは、片腕を胸の前にまっすぐ伸ばし、反対の手で肘のあたりを軽く押さえながら10秒ほどキープします。 以下の画像を参考に反対側も同様に行いましょう。肩まわりの筋肉の緊張を和らげ、柔軟性を高める効果が期待できます。 マッサージは、肩や首の筋肉を指で優しくもみほぐすことで、血行促進効果が期待できます。とくに肩甲骨周辺の筋肉を重点的にマッサージすると、痛みの予防につながります。 ズキズキと痛い右肩(左肩)の悩みは当院へご相談ください 肩の付け根がズキズキ痛むと、不安を感じる方も多いでしょう。肩の痛みは原因によって対処法が異なるため、適切に対応することが悪化の予防と早期回復につながります。 肩の痛みは市販薬やセルフケアで様子を見ることも可能ですが、痛みが長引く場合は自己判断せず医療機関を受診しましょう。 日常生活では正しい姿勢を意識し、適度な運動やストレッチ、マッサージを継続することが予防に有効です。 ズキズキとした肩の痛みが改善せずお悩みの方は当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 当院では、症状や検査所見を踏まえた上で、肩の痛みの原因となる病態に対し、再生医療を含む治療法を選択肢のひとつとしてご提案する場合があります。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ズキズキと痛い右肩(左肩)に関するよくある質問 右肩(左肩)がズキズキするときは何科を受診すれば良いですか? 右肩(左肩)のズキズキした痛みは、原因により受診先が異なります。多くは整形外科領域のため、まず整形外科を受診するのがおすすめです。 整形外科で原因が特定できない場合や、整形外科以外の疾患が疑われる場合は、症状に応じて適切な診療科を受診しましょう。 以下の表では、症状別に受診を検討すべき診療科をまとめていますので、参考にしてください。 症状の特徴 受診する科 肩を動かすと痛い、腕が上がらない、五十肩や腱板損傷が疑わしい 整形外科 片側の肩がピリピリする、皮膚が過敏、数日以内に発疹や水ぶくれ 皮膚科(帯状疱疹の可能性) 胸の違和感、息苦しさ、冷汗、吐き気を伴う 救急外来(119)または循環器内科 みぞおちから右上腹部の不快感、吐き気、発熱を伴う 内科または消化器内科(強い症状は救急) 夜間や強い症状がある場合は、迷わず救急外来を利用することが大切です。 ズキズキと痛い右肩(左肩)は整体や鍼灸で改善しますか? 整体や鍼灸により、筋肉の緊張が和らいで一時的に症状が軽くなる可能性はありますが、痛みの原因そのものが改善するとは限りません。 とくに右肩(左肩)のズキズキした痛みが強い場合や急に出現した場合は、整形外科などの医療機関で原因を確認することが優先です。 鍼灸は、肩こりなどで短期的な軽減が示される報告もありますが、効果には個人差があります。(文献5) 以下の記事では、医学的観点から整体の効果について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) 感染性関節炎|MSDマニュアル家庭版 (文献2) Acute Infectious Arthritis|MUSCULOSKELETAL AND CONNECTIVE TISSUE DISORDERS MERCK MANUAL (文献3) 胸水|肺疾患|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献4) Pancoast Tumors: Symptoms, Causes (文献5) 13. 筋骨格系および結合組織の疾患|日本鍼灸エビデンスレポート(Evidence Reports of Japanese Acupuncture and Moxibustion: EJAM) 日本鍼灸エビデンスレポート・タスクフォース
2025.02.04 -
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肩関節唇の損傷は、野球やテニスのような腕を上から振り下ろすオーバーヘッドスポーツで起こりやすい疾患です。 肩関節唇損傷から回復して競技が継続できるか、将来的に症状は改善するのか不安に思っている方はいるのではないでしょうか。適切な治療により症状は改善し、リハビリテーションにより肩関節の安定化を図ることで競技復帰も望めます。 この記事では、肩関節唇損傷のリハビリテーションや再発予防の方法について解説します。怪我から早く競技復帰したいと考えている方は、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」では、肩関節への再生医療を行っています。肩関節唇損傷にも有効な場合がありますので、気になる方はお気軽に当院へご相談ください。 肩関節唇損傷とリハビリ方法 肩関節唇損傷とは、肩関節を安定させる機能をもつ関節唇の損傷です。原因となるのは、オーバーヘッドスポーツ、肩の過剰な使用、脱臼などです。とくに、野球やテニスなど投球動作を伴うスポーツをしている人は、上方の関節唇を損傷しやすい傾向があります。上方関節唇には上腕二頭筋につながる腱が付着しており、投球動作による負荷がかかりやすいのです。 肩関節唇損傷の主な症状は、肩の痛み、不安定感、可動域制限などです。安静により痛みは治まることが多いですが、肩の不安定感を軽減するにはリハビリテーションが欠かせません。具体的には関節可動域訓練や筋力トレーニング、肩に負担をかけない動作の習得などを行います。また、関節唇は再生しないため、重症例では手術が必要です。 肩関節唇損傷のタイプ 肩関節唇損傷は、大きく二つのタイプに分けられます。 一つめはBankert(バンカート)損傷です。前下方の関節唇を損傷するタイプで、肩関節の不安定さを感じやすいのが特徴です。肩関節の脱臼に伴って起きることも多く、繰り返す場合は手術が必要となります。(文献1) 二つめはSLAP(スラップ)損傷です。上方の関節唇を損傷するタイプで、オーバーヘッドスポーツで起きやすいです。Bankert損傷と比べ、リハビリテーションで症状が改善する場合も多い特徴があります。(文献2) SLAP損傷は、損傷の程度に応じてさらに4タイプに分類されます。(文献3) タイプⅠ 上方関節唇に毛羽立ちが見られるが、関節窩から剥がれてはいない タイプⅡ 上方関節唇および上腕二頭筋付着部が関節窩から剥がれている タイプⅢ 上方関節唇のバケツ柄断裂を認めるが、上腕二頭筋付着部は損傷していない タイプⅣ 上方関節唇のバケツ柄断裂が上腕二頭筋長頭腱にも及んでいる 肩関節唇損傷の検査方法 肩関節唇損傷の検査方法は、身体診察や画像検査です。身体診察では医師が患者様の肩を回したり、腕に力を入れてもらったりして、肩の痛みや引っかかり感が起きるかテストします。 画像検査はレントゲンやMRIを行います。レントゲン検査では、脱臼に伴う骨の欠けや、肩関節の不安定化による変形といった骨の異常を確認可能です。MRI検査では、レントゲンに写らない関節唇の剥離や断裂の状態、炎症の有無などをチェックします。 しかし、画像検査では診断が難しいケースも存在します。この場合は、関節鏡手術の際に関節唇を直接見て、初めて正確な診断が可能です。 肩関節唇損傷の治療方法 肩関節唇損傷の治療は、保存療法と手術療法に大別されます。 保存療法で最初に行うのは、痛みを抑えるための鎮痛薬の投与や安静の確保です。痛みが治まれば、肩関節の安定性を高めるためのリハビリテーションを行います。 手術療法では、主に関節鏡を用いて、関節唇の修復や再建を行います。術後は早期からのリハビリテーションが大切です。保存療法と手術療法のメリット・デメリットを以下にまとめました。 治療法 メリット デメリット 保存療法 身体への侵襲がない 通院での治療が可能 関節唇自体が治るわけではない 再発や脱臼の可能性がある 治療が長期間にわたる 手術療法 術後の回復が早(目安:約1カ月で日常生活に戻れる) 脱臼のリスクが低い 身体への侵襲がある 治療費が高額 (目安:約30万円) それぞれの具体的な治療内容を見ていきましょう。 保存療法 軽症例では保存療法を実施する場合が多いです。保存療法では、薬物療法やリハビリテーションを行います。具体的には以下で解説します。 薬物療法 発症直後で痛みが強い場合には、ロキソニンやボルタレンなどの消炎鎮痛薬の内服やヒアルロン酸の関節内注入を行い安静にします。それでも痛みが軽減しない場合はステロイドを注射します。そして、痛みや炎症が落ち着いてきたらリハビリテーションを開始する流れです。ただ、可動域訓練やリラクゼーションは拘縮予防のために多少痛みがあっても実施する場合があります。 リハビリテーション リハビリテーションでは、肩関節周囲のリラクゼーション・可動域の改善・筋力強化を行います。(文献4) 肩関節唇損傷では、肩後面の組織が硬い場合が多いため、後面の組織を中心にリラクゼーションを実施します。また、痛みにより筋肉が反射的に緊張しやすく、可動域制限になりやすいため可動域訓練が大切です。 さらに、肩関節の安定性を高めるために腱板筋群の筋力強化を行います。テニスや野球の投球動作では、腱板筋群に大きな負荷がかかるため、負荷に耐えられるように筋力強化が必要です。 手術療法 手術療法は、重症例や脱臼を繰り返してしまう方に適用されます。主流となっているのは全身麻酔下での関節鏡手術です。皮膚に小さな穴を3カ所ほど開け、関節鏡(カメラ)や手術器具を挿入して行います。 入院は数日〜10日間程度であり、術後2〜3週間はリハビリ以外では装具で肩関節を固定します。手術方法はさまざまですが、代表的な手術方法を2つ紹介します。 鏡視下デブリードマン 鏡視下デブリードマンは、関節唇の損傷部分を取り除く手術です。(文献5)関節鏡で確認しながら、関節唇の毛羽立った部分や、伸びたり剥がれたりして挟まれそうな部分を除去します。これにより、痛みや引っかかりといった症状の軽減が期待できます。 鏡視下関節唇修復術 鏡視下関節唇修復術は、アンカーと呼ばれる糸のついたビスを使って、関節唇を元の位置に縫い合わせる方法です。上腕骨頭への処置を同時に行うこともあり、以下の3つの術式が代表的です。(文献1)(文献6) 手術方法 内容 適応するケース バンカート法 アンカーを肩甲骨に打ち込み、関節唇を縫合 関節唇が剥がれている基本的なケース ブリストウ法 アンカーでの固定に加え、肩甲骨の一部を移植して縫合 より強い固定が必要なケース レンプリサージ法 上腕骨頭のへこみ部分にアンカーを打ち込み、関節包・腱板を縫い込む 脱臼により上腕骨頭にへこみができているケース(バンカート法と併用可能) 肩関節唇の損傷を治療した後の注意点 保存療法では、関節唇自体が治るわけではないため肩関節の緩さが少なからず残りやすいです。そのため、肩関節を過度に動かすと脱臼や再び症状を再発する可能性があり、肩のリハビリテーションをしっかり行うのが大切になります。 一方、手術療法では、範囲は狭いものの関節包など深部への侵襲があるため、組織が癒着して可動域が制限されないように術後早期からリハビリテーションが必要です。1カ月ほどリハビリを行うと通常の生活レベルに戻れますが、スポーツ復帰には3〜6カ月必要です。 肩関節唇損傷のリハビリ方法 肩関節唇損傷のリハビリテーションは、スポーツに復帰するために重要です。手術を受けた場合の復帰までの期間や、具体的なリハビリテーション内容を以下に紹介します。 1.術後~1カ月(炎症管理) 術後初期では、痛みや炎症が残存しているため、まずは安静や消炎鎮痛薬により改善を図ります。夜間に肩を動かさないように、術後2週間ほどは装具を着用します。ただ、癒着予防のためにリハビリは手術翌日から開始する場合が多いです。この時期にたくさん筋トレしてしまうとより悪化してしまうため運動量や負荷には注意です。 2.術後1カ月~2カ月(可動域向上・筋力強化) この時期では、とくにテニスや野球の投球動作で必要な肩関節外旋・外転可動域の向上を目指します。可動域が狭いと肩関節に負担がかかりやすいです。また、スポーツ復帰を目指す場合、全身の心肺機能を戻すのも大切なので、有酸素運動など持久力トレーニングも実施します。肩の筋力トレーニングは低負荷から実施し、段階的に難易度を上げていきましょう。 3.術後2カ月~3カ月(動作練習) 筋力トレーニングの負荷を上げつつ、スポーツに特化した動作練習を行っていきます。スポーツ中には、予測不能な外力が加わる場合や瞬発的な動作が多いため、素早い動作にも対応できる身体づくりが大切です。とくに、受傷のきっかけとなった動作を入念にチェックし、再発を防止しましょう。 肩関節唇損傷の再発を予防する方法 肩関節唇損傷の再発を予防するには、腱板筋群のトレーニングや肩後面のストレッチが大切です。(文献4) 以下に具体的な内容を解説します。 腱板筋群のトレーニング 腱板筋群は、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋で構成されており、肩関節の安定化に必須の筋群です。投球動作の繰り返しにより、腱板筋群は大きなストレスを受けるため、これらの筋群が弱化しやすくなります。そのため、練習時間の制限や投球動作の回数制限を設けて練習しましょう。具体的な腱板筋群のトレーニングを以下に記載します。 <やり方> イスに座り、わきをしめて肘を90度に曲げる わきをしめたまま腕を外に開く 負荷はチューブなどを用いて行い、低負荷・高回数で実施します。腱板筋は小さい筋肉であり、負荷が高いと間違った動作になってしまうため気をつけましょう。 肩後面のストレッチ テニスや野球などの投球動作を頻繁に行うスポーツでは、肩後面の棘下筋・大円筋・小円筋・三角筋が硬くなりやすいです。すると、上腕骨頭の動きがぎこちなくなり、腱板筋群が作用しづらくなります。結果、肩関節への負担が増加します。そのため、肩後面のストレッチにより肩の滑らかな動きを獲得するのが大切です。具体的なストレッチの方法を以下に記載します。 <やり方> 両手の甲を脇腹につけます 肘を前方に向けるように閉じていきます 肩の後面が伸びているのを意識します 肩をすくめたり体幹だけを回したりしないように、肩後面が伸張されているのを意識して実施しましょう。 肩関節唇を損傷した際の治療・リハビリ・再発防止に関するQ&A ここでは肩関節唇損傷に関するよくある質問に回答します。 肩関節唇を損傷した際に放置するのはNG? 痛みや違和感を自己判断で放置するのはやめましょう。痛いからと安静にしすぎると、肩関節がだんだん固まってしまうことがあります(拘縮)。安静が必要な場合もある一方、多少の痛みがあっても可動域訓練やリラクゼーションを行った方が良い場合もあるのです。 また、痛みが落ち着いたからといって以前と同じように肩を使えば、再び関節唇を損傷したり、肩関節を脱臼したりするかもしれません。必ず医師の判断のもとで治療を受けましょう。 肩関節唇損傷のリハビリ期間はどれくらい必要ですか? 手術を受けた場合のリハビリ期間は、日常生活レベルに戻るまでに1カ月、スポーツへの復帰までに3〜6カ月が目安です。 また手術をせずに保存療法を行う場合は、スポーツに復帰するまで短くて2〜3カ月、長くて6カ月ほどが目安です。ただし、保存療法でよくならない場合は、手術が必要になることもあります。 なお、実際のリハビリ期間には個人差があります。リハビリが不十分だと再発の可能性が高まるので、焦らず進めていきましょう。 肩関節の手術後に痛みが出た場合は再生医療を適用できますか? 手術の種類によって異なりますが、関節唇損傷や腱板断裂の手術であれば、術後に再生医療を適用可能です。また、腱板断裂で縫合術を受けた場合は、術後に幹細胞治療を受けることで再断裂を予防できます。 再生医療とは、患者様から採取した幹細胞や血小板を活用する治療法の一つです。 幹細胞には、さまざまな細胞に分化する性質があります。また、血小板には止血に関与するほか、成長因子を含んでいることが知られています。 競技を継続できるように肩関節のケアを行いましょう 肩関節唇損傷は、テニスや野球などオーバーヘッドスポーツで発症しやすい疾患です。関節唇は、肩の安定化に欠かせない組織であり、再生もしないためリハビリテーションによる訓練が大切になります。 また、投球フォームによっては肩後面の組織が硬くなりやすいことや腱板筋群が弱化しやすいため、入念にトレーニングやストレッチを行います。スポーツの実施前後で行うことで肩の柔軟性や筋力を保てるでしょう。 今回ご紹介したストレッチや筋力トレーニングにより、可動域向上・筋力向上を目指せるため、再発予防のためにも毎日ケアしましょう。 なお、肩関節唇損傷は再生医療で治療できる場合があります。再生医療は手術の必要がなく、患者様への負担が少ない治療方法です。気になる方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 独立行政法人国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「反復性肩関節脱臼(はんぷくせいかたかんせつだっきゅう)」霞ヶ浦医療センターホームページhttps://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_hanpukukatakansetudakyu.html(最終アクセス:2025年2月20日) (文献2) 独立行政法人国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「投球障害肩(とうきゅうしょうがいかた)~主に思春期以降~」霞ヶ浦医療センターホームページhttps://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_toukyusyougaikata.html(最終アクセス:2025年2月20日) (文献3) Zahab S. Ahsan, et al. (2016). The Snyder Classification of Superior Labrum Anterior and Posterior (SLAP) Lesions. Clinical Orthopaedics and Related Research, 474(9), 2075–2078. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4965366/(最終アクセス:2025年2月20日) (文献4) 原正文.「投球障害肩のリハビリテーション治療」『日本リハビリテーション医学会誌』55(6), pp.495-501, 2018年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/6/55_55.495/_pdf(最終アクセス:2025年2月20日) (文献5) 保刈成ほか.「上方関節唇損傷に対する鏡視下デブリードマンの術後成績の検討」『肩関節』21(2), pp.321-325, 1997年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/21/2/21_321/_pdf(最終アクセス:2025年2月20日) (文献6) 地方独立行政法人 芦屋中央病院「反復性肩関節脱臼に対する鏡視下手術」芦屋中央病院ホームページ https://www.ashiya-central-hospital.jp/wp-content/uploads/2019/03/6cfeb048e18c00d509db2dac9e315fba.pdf(最終アクセス:2025年2月20日)
2024.10.09 -
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
- 再生治療
2024シーズンからメジャーリーグに挑戦している山本由伸投手は、右肩の怪我により離脱を余儀なくされています。ロサンゼルス・ドジャースとの大型契約で注目を集めた山本投手は、デビューシーズンから肩の怪我に直面することになりました。 本記事では、山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷の詳細や怪我をした原因、怪我の治療法まで詳しく解説します。 山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷とは? 腱板損傷とは、肩関節の安定性を保つために重要な4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)とその腱の総称「腱板」に損傷が生じる状態です。特にプロ野球のピッチャーは投球動作で肩に大きな負担がかかるため、この怪我のリスクが高まります。 山本由伸選手の場合、MLBデビューシーズンとなる2024年に右肩の腱板に損傷を負いました。これはオーバーユース(使いすぎ)や投球フォームの問題、あるいは急激な環境変化による負担増加などが複合的に影響した可能性があります。 腱板損傷は軽度の炎症から完全断裂まで症状の幅が広く、重症度によって治療法や復帰までの期間が大きく異なります。 山本由伸選手が怪我をした腱板損傷を含む野球肩の種類 プロ野球選手、特にピッチャーが抱える肩の怪我は多岐にわたります。ここでは山本由伸選手が負った腱板損傷を含む、野球選手に多い肩の怪我について説明します。 上腕骨骨端線離開(こったんせんりかい) 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」は「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使すると周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 肩甲上神経損傷 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、あるいは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 インピンジメント症候群 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 山本由伸選手が怪我をした原因 山本由伸選手の腱板損傷の原因については、複数の要因が複合的に影響していると考えられます。 まず第一に挙げられるのは、日本からメジャーリーグへの環境変化による影響です。MLBとNPBでは投球間隔やボールの違い、マウンドの状態など様々な差異があります。特にMLBのボールは表面が滑らかで縫い目が低く、日本のボールと比べてグリップ感が異なります。 また、投球フォームの問題も一因と見られています。山本選手の投球フォームは非常にパワフルですが、肩に過度な負担をかけるリリースポイントであったという指摘もあります。特に最大の武器である150km/hを超える直球を投げる際には、肩への負荷は相当なものとなります。 そして、投球数や登板間隔の管理の問題も指摘されています。メジャーリーグでは先発投手としての役割や期待が大きく、適切な休息をとれなかった可能性もあります。 山本由伸選手の怪我の治療法 山本由伸選手の腱板損傷に対する治療法には、いくつか種類があります。ここでは主な治療法について解説します。 保存療法 保存療法は、手術をせずに行う治療法の総称で、腱板損傷の初期段階でまず試みられるアプローチです。休息と投球制限が基本となります。 特に初期対応としては、炎症を抑えるためのRICE処置(Rest:休息、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)が重要です。また非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や、場合によっては炎症部位への局所注射なども行われます。 急性期を過ぎたら、段階的なリハビリに移行します。肩関節周囲の柔軟性回復のためのストレッチングから始め、徐々に肩甲骨周囲筋や腱板自体の筋力強化エクササイズへと進めていきます。 手術療法 保存療法で症状が改善しない場合や、腱板の断裂が大きい場合には手術療法が検討されます。現代では低侵襲な関節鏡視下手術が主流となっています。 関節鏡視下手術では、小さな切開から内視鏡と専用器具を挿入し、腱板の修復を行います。断裂した腱板を元の位置に戻し、アンカーと呼ばれる特殊な縫合糸で上腕骨に固定します。 大きな切開を必要としないため、術後の痛みが少なく、回復も早いのが特徴です。手術後は肩を固定し、数週間の安静期間を経てから段階的なリハビリを開始します。 完全な競技復帰までは選手の状態や損傷の程度によって異なりますが、一般的には6〜9ヶ月程度を要します。 再生医療 最新の治療法として、再生医療のアプローチも注目されています。PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療などが、従来の治療法を補完する形で用いられるようになっています。 PRP療法では、選手自身の血液から濃縮した血小板を損傷部位に注入します。血小板に含まれる成長因子が組織の修復を促進し、治癒を早める効果が期待されます。 また幹細胞治療では、骨髄や脂肪組織から採取した幹細胞を利用して損傷した組織の再生を促します。これらの治療は手術の必要性を減らしたり、手術後の回復を早めたりする可能性があります。 まとめ|山本由伸選手が負った怪我には再生医療も有効! 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」は一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーション、または重症の場合は手術が行われてきました。しかし、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えてほしいものです。なぜなら、選手生命を護ることができるからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 山本由伸選手が負った怪我についてのQ&A 検査はどのようにするの? 投手の肩の怪我を診断するための検査は複数回行われます。 まずは肩の可動域や痛みの位置を確認します。次にX線検査で骨の状態を確認し、さらに詳細な検査のためMRIを実施します。 MRIでは軟部組織の状態を可視化でき、筋肉や腱、靭帯の損傷を詳細に把握できます。山本選手の場合もこれらの検査に加え、必要に応じて超音波検査やCTスキャンなどの追加検査が行われているでしょう。 山本由伸選手と同様の怪我の復帰時期はいつくらいですか? 山本選手のような投手の肩の怪我からの復帰時期は、怪我の種類と程度によって大きく異なります。 一般的に投球肩の炎症や軽度の筋肉疲労であれば2〜4週間程度で復帰できるケースが多いですが、腱板の損傷や関節唇(ラブラム)の裂傷などの重度の損傷では3〜6ヶ月以上の長期リハビリが必要になることもあります。
2024.06.18 -
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
- 幹細胞治療
- 上肢(腕の障害)
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
- 再生治療
メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸選手が発症!肩腱板損傷とは? 負傷者リストに入ってしまったようで心配です。野球選手にも多い肩腱板の損傷についてその原因と治療法を詳しく説明いたします。 日常生活の中で何気なく動かしているように思う肩ですが、思わぬケガが原因で強い痛みが出たり、動かせなくなったりすることがあります。 スポーツ障害でも多い腱板損傷は、そのような状態を引き起こすもののひとつです。 今回は、その腱板損傷について詳しくご紹介します。 肩腱板損傷とは?その症状について 腱板は肩に存在する筋で、板のように広がっているので腱板といいます。 腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。これらが肩の骨を囲み、肩関節の安定性に働きかける重要な存在です。 その腱板が部分的、または完全に断裂するのが腱板損傷です。主な症状は痛みですが、軽い場合もあれば、動かせないほどの激痛、夜間に起こる痛みなど程度に差があります。 部分的な断裂では、肩を動かせないということはあまりありません。損傷が激しい場合、腕が上がらなくなったり、肩が動かしにくいという症状が出ることもあります。 肩腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因について見ていきましょう。腱板損傷の原因は大きく3つにわけられます。 外傷 腱板損傷の原因で多いのが外傷、つまりケガです。転んで肩を強く打つ、手をついたときに肩に衝撃が加わるというのが腱板を傷つけてしまうことがあるのです。 オーバーユース スポーツ医療でも注目される腱板損傷ですが、ケガというよりも肩の使い過ぎが原因のことが多いです。 その代表的なスポーツが野球です。何度も繰り返しボールを投げることで、肩関節や腱板に負荷がかかってしまうのです。 加齢によるもの 加齢によって腱板損傷が起こることもあります。年齢を重ねると腱や軟骨など、身体の組織も衰えてしまいます。そのため、自分でも気が付かないうちに腱板が傷ついていることもあるのです。 肩腱板損傷の治療法とは? 肩の腱板損傷の治療法をご紹介します。近年期待されている治療方法についても見ていきましょう。 保存療法 肩の腱板損傷の治療は基本的には保存療法です。急性期には三角巾で固定し、患部の安静を保ちます。痛みや腫れがある場合は痛み止めの注射やヒアルロン注射を行うこともあります。 また、腱板が損傷した状態で無理に動かすと再発したり、ひどくなったりすることがあるので、リハビリも大切です。 手術 保存療法で痛みが改善しない、損傷がひどく肩の動きが悪いという場合には手術を検討します。損傷した腱板を手術によって直接修復するというものです。 近年は関節鏡といって皮膚を大きく切らない手術が行われています。術後1~2週間ほどで痛みが落ち着くことが多いですが、正常な肩関節の状態に戻すにはリハビリ期間を含めて6か月程度かかることが多いです。 再生医療 これまで腱板損傷の治療は保存療法と手術がメインでした。しかし、手術となれば治療やリハビリを含めてスポーツ復帰までの期間が長くなります。 そんな中、近年、腱板損傷の治療法として再生医療が注目されています。 再生医療は、自身の脂肪から採取した幹細胞を肩腱板に注射します。そして幹細胞が傷ついた腱板や組織を修復するというものです。 外科的な手術をしないで治療できるため、治療期間の短縮も期待できます。 まとめ・メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸が発症!肩腱板損傷について 今回は肩の腱板損傷についてご紹介しました。 今回の山本由伸選手をはじめとして、肩を酷使する野球などのスポーツで使い過ぎによって肩の腱板が傷つくことがありますし、加齢によって腱板損傷を起こすこともあります。 プロの選手のように日常からケアをしていても、発症することがあるため、注意が必要です。プロ野球選手のように選手生命という問題がある場合は無理もできません。 そこで近年、治療法として注目を集めているのが再生医療です。特に幹細胞治療は、自分の幹細胞を用いるので、副作用のリスクが少なく、治療期間も短くて済むというメリットがありスポーツをされている方に最適です。 もちろん、再生医療はスポーツ選手ではなくとも有効です。 肩の痛み、肩の腱板損傷でお悩みの方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
2024.06.18 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 肩関節、その他疾患
- ひざ関節
- 股関節
- 膝部、その他疾患
「大腿骨頭壊死にはどんなステージ分類がある?」 股関節周辺に痛みを抱えている方の中には、上記のような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。 結論、大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減っていくことです。 ステージ4になると関節同士の隙間がなくなってしまい、激しい痛みを伴います。 本記事では、壊死してしまった骨の根本治療にも期待できる再生医療の選択肢も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。 \骨壊死の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、壊死・損傷した骨に対してアプローチできる治療法で、手術せずに大腿骨頭壊死の改善が期待できます。 以下の動画では、骨壊死に対する再生医療の治療について詳細を解説しています。 https://www.youtube.com/watch?v=ic_6QaEU5NU 【こんな方は再生医療をご検討ください】 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種です。 骨頭壊死症とは、骨に栄養を届けている血管が障害されて血液が供給されなくなり、骨の一部分が壊死する病気です。 ただし、原因は血液供給がなくなるだけでなく、以下のような原因も発症に関係していると考えられています。 怪我などの外傷による血管の障害 アルコール摂取 ステロイド使用者 また、骨壊死は全身のあらゆる骨に起こり得ます。 代表的な部位は、股関節の大腿骨頭に起きる「大腿骨頭壊死」、肩関節の上腕骨に起こる「上腕骨頭壊死」、「膝関節骨壊死」などがあります。 股関節と肩関節は、大腿骨頭・上腕骨頭と呼ばれる部位があるため、「骨頭壊死」と病名が付くのが特徴です。 一方で、膝関節は骨頭と呼ばれる部位がないため「骨壊死」が病名となります。 大腿骨頭壊死のステージ分類と原因 大腿骨頭壊死は、1〜4のステージに分類されます。ステージによって、進行度合いが異なり、ステージが上がる度に症状も顕著になっていくのが特徴です。 ここからは、大腿骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく解説していきます。 大腿骨頭壊死から進行・変形性股関節症へのステージの分類 大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減ると「変形性股関節症」を発症する可能性がある点です。 ステージ3までは関節軟骨があり、関節同士に隙間があるものの、さらに進行すると、関節同士の隙間がなくなってしまいます。 大腿骨頭壊死や症状が変形性股関節症まで進行した場合、従来の治療では根治が難しいため、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行した大腿骨頭壊死の根治を目指したい 大腿骨頭壊死や変形性股関節症を早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死の重症度分類 原因不明である「特発性骨頭壊死」は、壊死の範囲によって重症度分類がありType A〜Cに分けられます。 重症になるほど、壊死範囲が大きくなり、大腿骨頭が潰れるリスクは高くなるのが特徴です。大腿骨頭壊死の重症度分類は以下のとおりです。 Type A:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3未満 Type B:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3〜2/3 Type C:壊死範囲が体重のかかる領域の2/3以上 Type C-1:壊死の範囲が骨盤の縁の「内側」にあるもの Type C-2:壊死の範囲が骨盤の縁の「外側」にあるもの Type Aが軽症でCになるとより重症となります。さらにTypeCは、より重症なC-1とC-2に分けられるのが特徴です。 大腿骨頭壊死の原因 大腿骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 股関節を構成している大腿骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 放射線治療 潜函病 股関節を形成している大腿骨頭に血液が供給されなくなると、大腿骨頭壊死を発症するケースが多い傾向にあります。 しかし、なかには、原因不明で突発的に大腿骨頭壊死を発症する可能性もあります。 上腕骨頭壊死のステージ分類と原因 上腕骨頭壊死とは、上腕部分にある「上腕骨頭」と呼ばれる部位が壊死してしまう病気です。大腿骨頭壊死のように、他の病気に進行するケースはありません。 ここからは、上腕骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく見ていきましょう。 上腕骨頭壊死の進行・ステージ分類 上腕骨頭壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がなく、CTやMRI検査で壊死がわかる状態 ステージ2:骨透亮像や骨硬化像、限局性の骨溶解像がみられる状態 ステージ3:軟骨下骨に骨折線を認める状態 ステージ4:上腕骨頭に加えて、肩甲骨の関節窩にも骨の変化を生じている状態 ステージが上がり末期になると、薬物療法や保存療法では治せない可能性が高まります。 末期ステージになると、骨切り術や人工関節を挿入する手術療法が行われるケースもあります。 ただし、治療方法はステージ分類だけでなく、症状や年齢などさまざまな要因によって決まるため、一概に治療方法は断言できません。 上腕骨頭壊死の原因 上腕骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 ステロイドの使用 アルコール 鎌状赤血球症・関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの全身性疾患 骨折や脱臼などの原因は外傷性と呼ばれています。一方でステロイド使用や全身性疾患などは、非外傷性に分類されるのが特徴です。 膝関節骨壊死のステージ分類と原因 膝関節骨壊死は、名前の通り膝関節の骨が壊死してしまう病気です。 膝関節と呼ばれているものの、太ももの内側に壊死が起こる症例が多いため「大腿骨内顆骨壊死」と呼ばれるケースもあります。 また膝関節骨壊死は、60歳以上の女性に多く見られるのが特徴です。 ここからは、膝関節骨壊死のステージ分類と原因を紹介します。 膝関節骨壊死の進行|ステージ分類 膝関節骨壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がみられない状態 ステージ2:レントゲンで骨内に壊死領域がみられる状態 ステージ3:レントゲンで軟骨の下に骨折線があり、関節面が凹んでいる状態 ステージ4:関節の隙間が狭くなってしまっている状態 ステージが進むと、膝関節骨同士の隙間が狭くなるのが特徴です。膝関節同士が狭くなる病気として、膝関節骨壊死の他に、変形性膝関節症があげられます。 両病気とも、初期ステージの症状だけで判別するのは難しい傾向にあります。 レントゲン検査で、膝関節骨壊死か変形性膝関節症かを判別できるため、膝に痛みを抱いている方は、速やかに医療機関を受診するのがおすすめです。 膝関節骨壊死の原因 膝関節骨壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 軽微な骨折 肥満ステロイド薬の使用 大腿骨頭壊死や上腕骨頭壊死と同様に、明確な原因は判明していませんが、上記のような要因によって膝関節骨壊死が起こると考えられています。 肥満体型によって、膝関節に負担がかかるのも、膝関節骨壊死を発症させるリスクがあります。 肥満は、変形性膝関節症のリスクも高めるため、食事管理や運動習慣を身に着け、減量を目指しましょう。 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断方法 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断は、主にレントゲン検査やMRI検査で行われます。 基本的レントゲン検査だけで大腿骨頭壊死の患部は確認できますが、早期の骨壊死を確認するには、MRI検査が必要になります。 レントゲン検査やMRI検査では、骨が潰れていたり、壊死が進行していたりするかを確認可能です。変形性股関節症や変形性膝関節症の判断もできます。 また、血液凝固疾患をはじめとした基礎疾患を確認するために、血液検査を行うケースもあります。 大腿骨頭壊死の予防方法 大腿骨頭壊死の予防方法は、以下があげられます。 ステロイド薬の使用に注意する 過度な飲酒や喫煙は控える 股関節への負担を軽減する ステロイド薬を長期的に使用していると、大腿骨頭壊死のリスクが高まると考えられています。 ステロイド薬を使用する際は、自己判断で使用したり、量を調整したりするのは控えましょう。 他にも飲酒や喫煙も大腿骨頭壊死の発症にかかわっているとされているため、できるだけ避けてください。 また、肥満体型の方は、股関節への負担を軽減するため、体重減量を目指しましょう。 長時間の立ち仕事や、重い荷物を持つ仕事も、股関節の負担となるため、注意が必要です。 大腿骨頭壊死(骨壊死)治療法・保存療法 大腿骨頭壊死の治療は、保存療法や手術療法があげられます。 治療方法は、進行ステージやライフスタイル、年齢などを考慮して決められます。 ここからは、大腿骨頭壊死の治療法を4つ見ていきましょう。 保存療法 保存療法とは、リハビリテーションや薬物療法が代表的です。リハビリテーションでは、股関節にかかる負荷を抑えるため、体重管理が行われるケースもあります。 股関節の可動域を維持し、筋力を強化するために、ストレッチや筋力トレーニングも行われます。リハビリテーションの期間は一般的に、医療保険で対応できる150日が目安です。 なお、保存療法は、あくまでも症状を和らげる手段であり、骨壊死を治癒させるのは不可能である点に留意しておきましょう。 骨切り術 骨切り術は、大腿骨頭の壊死した部分へかかる負荷を抑えるため、骨の一部を切って角度を変える手術を指します。 病気の進行を遅らせ、股関節の機能を温存するのが目的であり、比較的若い方や病気の進行が初期から中期の方に適用されます。 ただし、骨切り術は難しい手術方法であり、医師の高いスキルや医療機関の充実した設備が必要です。 術後は、最長6カ月間松葉杖を使用したり、長期間リハビリテーションをしたりしなくてはならない点に留意しておきましょう。 人工関節 人工関節置換術は、壊死した大腿骨頭を人工関節に置き換える手術です。骨壊死により関節の多くが潰れてしまっているケースに適用されます。 人工関節置換術は、痛みを大幅に軽減し、股関節の機能の改善を期待できます。 リハビリテーションは必要ですが、入院期間は10日ほどと短いのが特徴です。ただし耐用年数の問題で、若い方に行うのは避けるべきとされている点に留意が必要です。 人工関節は脱臼リスクもあるため、メリットだけでなくリスクも理解して検討しましょう。 再生医療 大腿骨頭壊死を手術せずに根治を目指したい方は、再生医療も選択肢の一つです。 再生医療は、患者さま自身の細胞を採取・培養し、患部に投与することで損傷した組織の再生・修復を促す医療技術です。 患者さま自身の幹細胞や血液を用いるため、拒絶反応やアレルギー反応などの副作用リスクが少ないのが特徴です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 副作用リスクの少ない治療で根治を目指したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 当院(リペアセルクリニック)では、患者さま一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、ぜひ無料カウンセリングにてご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死でお悩みの方は、再生医療を視野に入れてみてはいかがでしょうか。 まとめ|大腿骨頭壊死のステージ分類とは?治療方法やよくある質問も紹介 大腿骨頭壊死では、1〜4のステージに分類され、それぞれ以下のような状態が目安となります。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 ステージが上がると関節軟骨がすり減ってしまう「変形性股関節症」や「変形性膝関節症」につながるため、早期治療が重要です。 悪化を防ぐためにも、痛みや違和感を抱いている方は、早めに医療機関を受診しましょう。 近年の治療では、従来の保存療法や手術療法に加え、患者様の細胞を用いて手術をせずに根治を目指す再生医療も選択肢の一つです。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死に関するよくある質問 骨壊死にならないか心配ですが、気を付けることはありますか。 現代医学でも骨壊死の正確な原因はわかっていません。危険因子としてわかっているのは外傷、ステロイドの使用、アルコール多飲です。 ステロイドは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性疾患の治療に必要なため、飲まないことはおすすめしませんが、外傷やアルコールはご自分で気を付けられます。無理な運動は行わず、規則正しい生活習慣を送るのが予防に必要と言えるでしょう。 レントゲンで問題ないと言われましたが、大丈夫でしょうか。 骨壊死は初期の段階ではレントゲンで異常がわからないケースがほとんどです。壊死した領域がレントゲンでわかるまでは時間がかかりますが、MRI検査では早期に病気を見つけられます。 痛みが強く心配な場合は、MRI検査や精密検査について担当の医師と相談するのがおすすめです。 大腿骨頭壊死と診断されたらスポーツはできませんか? 大腿骨頭壊死を発症後、スポーツができるかは、進行度合いによって異なります。 壊死の範囲が小さく、悪化リスクが低ければ、問題なくスポーツができるケースもあります。 しかし、壊死の範囲が広いと、股関節にかかる負担が大きくなるため、スポーツが制限される可能性がある点に注意が必要です。 体への負荷が少ないスポーツは許可されやすいですが、ジャンプをしたり、走ったりするスポーツは制限されやすい傾向にあります。 大腿骨頭壊死は医療費補助の対象になりますか? 明らかな原因がない「特発性大腿骨頭壊死」は、医療費補助の対象となります。特発性大腿骨頭壊死は、指定難病に分類されているためです。 特発性大腿骨頭壊死と診断された場合は、医療機関に医療費補助の手続き方法を相談しましょう。
2023.10.02 -
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
「腕を上げると肩が引っかかる」 「洗濯物を干す動作がつらい」このような肩の違和感が続くと、「インピンジメント症候群ではないか」と不安に感じる方もいるかもしれません。 インピンジメント症候群とは、肩の動きに関わる腱や組織が肩峰の下でこすれることで、腕を上げたときに痛みや動かしにくさが生じる状態です。放置すると症状が長引き、日常生活やスポーツへの復帰に影響を及ぼす可能性があります。 しかし、インピンジメント症候群は適切な評価と治療を行うことで改善が期待できる疾患です。早めに医療機関へ相談し、症状に応じた対応を行うことが大切です。 本記事では、現役医師がインピンジメント症候群の治し方を詳しく解説します。リハビリやストレッチ方法もわかりやすく紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。インピンジメント症候群に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 インピンジメント症候群のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 インピンジメント症候群の治し方(治療法) 治し方(治療法) 詳細 保存療法(安静・動作制限・リハビリテーション) 肩に負担がかかる動作の調整や安静を基本とし、肩甲骨や腱板の機能改善を目的としたリハビリを行う治療 薬物療法 消炎鎮痛薬や外用薬を用いて肩関節周囲の炎症を抑え、症状の軽減を図る治療 ステロイド注射(肩峰下滑液包内注射) 肩峰下滑液包にステロイド薬を注入し、局所の炎症反応を抑えることで症状の改善を目指す治療 物理療法(温熱療法・電気療法など) 温熱や電気刺激を利用して血流改善や筋緊張の緩和を図り、肩周囲の機能回復を促す治療 手術療法 保存療法で改善が乏しい場合に、肩峰下スペースの拡大や腱板修復などを行う外科的治療 再生医療 患者自身の血液や細胞を用いて組織の修復や機能回復を促すことを目的とした治療 インピンジメント症候群の治療は、保存療法が基本です。肩への負担がかかる動作を見直しながら、リハビリで肩関節の機能回復を図ります。症状の程度に応じて、消炎鎮痛薬などの薬物療法・ステロイド注射・温熱療法や電気療法といった物理療法を併用することがあります。 保存療法で十分な改善が得られない場合は、手術療法や再生医療が検討されますが、いずれも医師の診断が必要です。 保存療法(安静・動作制限・リハビリテーション) 目的 詳細 炎症を落ち着かせて症状の悪化を防ぐ 肩への負担を減らす安静や動作制限による炎症悪化の予防と症状軽減 肩関節の可動域を回復させる リハビリによる関節や周囲組織の柔軟性維持と可動域改善 腱板や肩甲骨周囲筋の機能を改善する 腱板や肩甲骨周囲筋を強化することで、肩関節の安定性を高める 手術を回避できる可能性がある 保存療法による症状改善によって手術を回避できる可能性 (文献1) インピンジメント症候群の治療は、手術を行わない保存療法が基本です。炎症を落ち着かせながら筋肉・関節の機能を改善し、肩関節の動きを正常に近づけることが目的です。 なかでもリハビリやストレッチといった運動療法は、肩関節の動きを整える上で中心的な役割を担います。運動療法を主体とした保存療法の有効性は、多くの研究で報告されています。(文献2) 薬物療法 目的 詳細 炎症の程度を和らげる手助け 消炎鎮痛薬などによる肩関節周囲の炎症反応の抑制 運動療法の効果を高めるサポート 炎症軽減による関節可動性の改善とリハビリ実施のしやすさ 継続的な治療環境を整える 炎症反応の一時的な軽減による理学療法やストレッチ継続の補助 (文献3) 薬物療法は、肩関節周囲の炎症を抑えることを目的に用いられます。炎症が強い状態では、肩を動かすたびに組織へ刺激が加わり、リハビリの進行に支障をきたすことがあります。 消炎鎮痛薬によって炎症を抑えることで関節の動きが改善しやすくなり、運動療法を進めやすくなりますが、薬物療法は原因そのものを治すものではなく、リハビリと併用する補助的な治療です。 ステロイド注射(肩峰下滑液包内注射) 目的 詳細 炎症が強い時期の反応を抑える 肩峰下滑液包へのステロイド注射による局所炎症反応の抑制 リハビリの効果を高める補助 炎症軽減による肩関節可動性の改善と運動療法実施のしやすさ 治療を進めやすくする環境づくり 症状が強い時期の反応軽減によるリハビリ継続の支援 (文献4) ステロイド注射(肩峰下滑液包内注射)は、肩峰下スペースの炎症を抑えることを主な目的とする治療です。 炎症が強い時期は肩を動かすたびに組織への刺激が生じ、リハビリやストレッチを進めにくくなります。そのため、注射によって炎症が落ち着くと関節の動きが改善しやすくなり、運動療法にも取り組みやすくなります。 物理療法(温熱療法・電気療法など) 治療法 詳細 温熱療法 肩周囲の血流促進による筋肉・組織の柔軟性向上と運動療法実施のしやすさ 電気療法 電気刺激による筋緊張の緩和と肩関節可動域訓練・筋力訓練の補助 インピンジメント症候群では、炎症によって筋肉のこわばりや肩周囲の緊張が生じ、リハビリの妨げになることがあります。 温熱療法は肩周囲の血流を促し、筋肉や組織の柔軟性を高めることで、運動に取り組みやすい状態を整える治療です。一方、電気療法は筋肉や神経に刺激を与え、筋緊張の調整や可動域訓練を補助します。 これらの物理療法は、リハビリやストレッチの前処置として併用され、運動療法の効果を高める補助的な治療です。 手術療法 保存療法を続けても症状が改善しない場合、手術療法が検討されます。手術の目的は、肩峰下スペースで生じている腱板や滑液包への圧迫を取り除き、組織が挟まれにくい状態をつくることです。 代表的な術式として、関節鏡を用いて滑液包の処置や骨を整える肩峰下除圧術が行われます。 腱板断裂や骨の変形など構造的な問題がある場合は、腱板修復術が選択されることもあります。手術の適応は、症状の程度や日常生活への影響をもとに判断されます。 再生医療 インピンジメント症候群では、腱や周囲組織への繰り返しの負担により、炎症やこわばりが慢性化することがあります。このような場合、運動療法に加えて組織の回復を促す目的で再生医療が検討されることがあります。(文献5) 再生医療のひとつであるPRP(多血小板血漿)療法は、血液から濃縮した血小板を患部に注射する治療法です。 血小板に含まれる成長因子が組織修復を促すと考えられており、インピンジメント症候群に対するPRP注射後に、肩関節の可動域や機能の改善がみられたとする報告もあります。(文献5) 従来の保存療法で十分な改善が得られない場合や手術を避けたい場合には、組織の修復プロセスへの働きかけが期待されるPRPや幹細胞などの再生療法が治療の選択肢として検討されることがあります。(文献6) 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 インピンジメント症候群におけるリハビリ・ストレッチ方法 リハビリ・ストレッチ方法 詳細 炎症に対するリハビリ・ストレッチ 炎症が強い時期に肩関節へ過度な負担をかけず、可動域の維持や関節のこわばり予防を目的とした軽い運動 猫背を改善するリハビリ・ストレッチ 胸郭や肩甲骨周囲の柔軟性向上による姿勢改善と肩関節への負担軽減を目的としたストレッチ 肩関節の動きを改善するリハビリ 肩関節後方組織の柔軟性向上や可動域の改善を目的としたストレッチや関節運動 腱板機能を改善するトレーニング 腱板や肩甲骨周囲筋の筋力強化による肩関節の安定性向上とインピンジメント予防を目的とした運動 インピンジメント症候群の改善には、肩関節だけでなく姿勢や周囲筋の機能を整えるリハビリ・ストレッチが欠かせません。炎症が強い時期は関節への負担を抑えた軽い運動で可動域を維持し、状態に応じて姿勢改善や肩甲骨周囲の柔軟性を高めるストレッチへ移行します。 さらに肩関節の動きを改善する運動や腱板・肩甲骨周囲筋のトレーニングを加えることで、肩関節の安定性を高め、再発予防と機能回復につなげます。 以下の記事では、インピンジメント症候群のリハビリ前に行うセルフチェックについて詳しく解説しています。 炎症に対するリハビリ・ストレッチ 肩を動かしていない状態でも違和感が出る場合や、夜間に症状が強くなる場合は、インピンジメントにより肩周囲の組織に炎症が生じている可能性があります。 このような時期は無理に運動を行うよりも、炎症を落ち着かせる対応を優先します。具体的には、肩のアイシングや安静時のポジショニング(肩の位置の調整)を行い、肩関節への負担を軽減する方法です。 ポジショニングでは、肩や肘の下にタオルなどを入れ、肩に負担がかかりにくい姿勢を保つことが大切です。 振り子運動 手順 動作 ポイント 1.上体を支える 痛みのない方の手を机や椅子の背もたれに置き、上体を安定させる 前傾姿勢になりすぎないよう注意 2.腕の力を抜く 痛みのある方の腕をだらりと下げ、完全に脱力する 肩に力が入らないよう意識する 3.身体をゆっくり動かす 身体を小さく前後・左右・円を描くようにゆっくり揺らす(1回20〜30秒) 腕を自分で動かさず、身体の揺れに任せる 4.腕が「つられて動く」状態をつくる 身体の揺れに合わせて腕が自然に動いている状態が理想 肩を動かす意識を持たないことが大切 振り子運動は、肩の症状が強い時期でも取り組みやすい基本的なリハビリです。腕の重みを利用して肩関節を軽く動かすことで、炎症によるこわばりの軽減や血流改善が期待されます。 方法は、症状のない側の手を机や椅子に置いて上体を支え、症状のある側の腕を脱力して自然に下げます。その状態で身体を小さく前後・左右、または円を描くようにゆっくり動かします。 振り子運動の姿勢は以下の画像を参考に行うと良いでしょう。 運動中は肩を意識して動かすのではなく、身体の揺れに合わせて腕が自然に動く状態を保ちます。症状が強く出る範囲まで動かさず、肩に力を入れないことも大切です。 入浴後など筋肉が緩みやすいタイミングで行うと取り組みやすく、状態に応じて振り幅を少しずつ広げていきます。 猫背を改善するリハビリ・ストレッチ 猫背になると肩甲骨の動きが妨げられ、肩関節の正常な動きが損なわれるためインピンジメントが起こりやすくなります。 肩関節を動かしにくい時期でも、姿勢改善のリハビリは肩関節を動かさずに行えるため、積極的に取り組むことが大切です。 ストレッチポールでのストレッチ 手順 動作 ポイント 1.準備 ストレッチポールを床に置き、頭から尾骨まで背骨に沿って仰向けに寝る ポールが背骨と一直線になる位置に調整する 2.足を安定させる 膝を軽く曲げ、足裏を床につけて安定させる この姿勢で背中・胸郭がリラックスしやすくなる 3.腕を広げる 両腕を自然に横へ広げる 肘を軽く曲げるなど、無理のない位置で行う 4.深呼吸する ゆっくり深呼吸しながら胸を開く(5〜10回) 呼吸を止めず、ゆったりと繰り返す 5.慣れてきたら 腕を大きく円を描くようにゆっくり動かす(肩回し)を加える 肩甲骨の可動性向上にも効果的 ストレッチポールを用いたストレッチは、猫背姿勢の改善と胸郭の柔軟性向上を目的としたリハビリです。ポールの上に仰向けで寝ることで背骨が自然に伸び、胸が開きやすい姿勢が得られます。これにより胸部前面や肩甲骨周囲の筋肉が伸ばされ、猫背による肩・背中のこわばり軽減が期待されます。 以下の画像のようにストレッチポールの上に仰向けで寝て、胸を開くように背中をストレッチしましょう。 ストレッチポールを背骨のラインに沿って置き、頭から尾骨まで一直線になる位置で仰向けになります。膝を軽く曲げて足を床につけ、両腕を無理のない位置に広げましょう。 そのままゆっくりと深呼吸を繰り返し、胸を開く意識で身体をリラックスさせます。慣れてきたら腕を円を描くように動かし、肩甲骨の可動性を高める運動を加えます。 Cat&Dogストレッチ 手順 動作 ポイント 1.準備 四つ這いになり、手は肩幅よりやや広め・膝は腰幅に置く 背骨が中立になる位置に身体を整える 2.Cat(猫のポーズ) 息を吐きながら背中を丸め、おへそを見るように背骨を伸ばす 両肩甲骨を外側に引き離す意識で背中全体を丸くする 3.Dog(犬のポーズ) 息を吸いながら背中をゆっくり反らせ、胸を前方に押し出す 肩甲骨を内側に寄せ、胸を軽く開く感覚で行う 4.繰り返す 2と3を呼吸に合わせてゆっくり5〜10回繰り返す 無理のない範囲で行う (文献7) Cat&Dogストレッチは、背骨(脊柱)や肩甲骨周囲の柔軟性を高め、猫背などの姿勢不良の改善を目的とした体操です。 四つ這いの姿勢で背中を丸めたり反らしたりする動作を繰り返すことで脊柱全体の可動性が高まり、肩や背中への負担軽減が期待されます。デスクワークなどで背中が丸まりやすい方にも取り入れやすい運動です。 Cat&Dogストレッチの姿勢は以下の画像を参考に行いましょう。 四つ這いの姿勢で手を肩幅よりやや広め、膝を腰幅に置き、背骨を中立の位置に整えます。息を吐きながら背中を丸めておへそを見るように動かし、息を吸いながら胸を前に出すように背中をゆっくり反らせます。 この動作を呼吸に合わせて5〜10回繰り返します。急に大きく動かすと肩や腰に負担がかかるため、背骨全体をゆっくり動かす意識で行いましょう。 肩関節の動きを改善するリハビリ 炎症が落ち着いてきた段階では、肩関節の可動域を改善するストレッチを取り入れます。肩後方の組織が硬くなると腕を上げる動作が制限され、肩峰下での衝突が起こりやすくなります。そのため、肩後方の関節包や周囲筋の柔軟性を高めるストレッチが有効とされており、無理のない範囲で行いながら可動域を徐々に広げていくことが大切です。 クロスボディストレッチ 手順 動作 ポイント 1.腕を上げる 症状のある側の腕を肩の高さまで上げる 肩に力を入れず自然な高さで止める 2.腕を引き寄せる 反対の手で肘を掴み、身体の内側へゆっくり引き寄せる 急に引きすぎず、無理のない範囲で行う 3.キープする 肩後方が伸びているのを確認しながら30秒保持する 呼吸を止めず、ゆっくり深呼吸しながら保持する クロスボディストレッチは、肩関節後方の柔軟性を高める運動です。腕を身体の前で反対側へ引き寄せ、肩後方が伸びる位置で保持します。反対の手で肘を支えると、姿勢を安定させやすくなります。 ストレッチは以下の画像を参考に行いましょう 肩後方組織の柔軟性が高まることで、肩関節の動きが改善しやすくなります。動作はゆっくり行い、強く引きすぎないようにしましょう。 スリーパーストレッチ 手順 動作 ポイント 1.横向きに寝る ストレッチする側の肩が下になるように横向きに寝る 身体がぐらつかないよう安定した姿勢を保つ 2.腕を肩の高さに合わせる 脇を開き、腕を肩の高さに合わせる 肩に力を入れず自然な位置に置く 3.肘を曲げる 肘を直角(90度)に曲げる(前ならえの形) 肩・肘・手首が一直線になるよう意識する 4.前腕を倒す 反対の手で前腕をゆっくり床方向へ内側に倒す 急に押し込まず、伸び感を感じる位置で止める 5.キープする 限界まで倒した状態で30秒ほど保持する 呼吸を止めず、肩後方の伸びを確認しながら保持する スリーパーストレッチは、肩の内旋可動域を改善する運動です。横向きに寝た状態で肘を90度曲げ、前腕を床方向へゆっくり倒します。 肩後方が伸びる位置で一定時間保持します。肩関節後方の柔軟性を高める方法として広く用いられており、無理に押し込まずゆっくり行いましょう。 腱板機能を改善するトレーニング 腱板(ローテーターカフ)とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋の4つの筋肉の総称です。これらは肩関節を包み込むように位置し、関節を安定させながら腕を滑らかに動かす役割を担っています。 腱板の機能が低下すると肩関節の安定性が損なわれ、動きのバランスが崩れることでインピンジメント(肩峰下での組織の挟み込み)が起こりやすくなります。そのため、腱板の筋力や協調性を高める運動を取り入れ、肩関節の安定性と動作の改善を図ることが大切です。 棘上筋トレーニング 棘上筋は腱板を構成する筋肉のひとつで、腕を持ち上げる動作や肩関節の安定に重要な役割を担います。インピンジメント症候群では、この筋肉の機能が低下すると肩関節の動きのバランスが崩れ、症状の要因となることがあります。 そのため、リハビリでは棘上筋の筋力や働きを高めるトレーニングが取り入れられます。腱板は関節を安定させるインナーマッスルであるため、強い負荷よりも軽い負荷で丁寧に動かすことが大切です。 以下は腱板のひとつである棘上筋のトレーニング手順です。 手順 動作 ポイント 1.準備 腕を身体の横につけ、親指が上を向くようにする 肩に力を入れず自然な位置に腕を置く 2.腕を上げる 肘を伸ばしたまま、身体から腕が離れるようにゆっくり上げる 反動をつけず、ゆっくりと持ち上げる 3.元に戻す バレーボール1個分程度の高さまで上げたら、ゆっくり元の位置に戻す 下ろす動作も力を抜かずコントロールして行う 負荷を加える場合は、500mlのペットボトルやトレーニングチューブを使用します。軽い負荷で20〜30回を目安に3〜4セット行うのが一般的です。腕を高く上げすぎると他の筋肉が優位に働くため、無理のない範囲で行いましょう。 チューブがある場合、以下の棘上筋トレーニングも導入できます。 手順 動作 ポイント 1.チューブを握る 鍛えたい側の手でチューブを握る 握りすぎず、自然な力加減で持つ 2.チューブを固定する 反対側の足でチューブを踏んで固定する チューブがずれないよう足の中央で踏む 3.持ち上げる 肘を伸ばしたまま3〜5秒かけてチューブをゆっくり持ち上げる 反動をつけず、肩に力を入れすぎない 4.元に戻す 3〜5秒かけて元の位置にゆっくり戻す 下ろす動作も力を抜かずコントロールして行う この運動は1セット15回を目安に3〜4セット行います。動作を速くすると筋肉への刺激が弱まるため、ゆっくりとした動きで行いましょう。 棘下筋・肩甲下筋トレーニング 棘下筋と肩甲下筋は腱板を構成する筋肉で、肩関節の回旋動作を担い互いに反対の働きをします。これらが適切に機能することで肩関節の安定性が保たれ、腕を動かす際のバランスが整います。 以下の手順を参考に取り組みましょう。 ※反対の動きが肩甲下筋のトレーニングになります 手順 動作 ポイント 1.準備 脇を閉じ、肘を90度に曲げて身体の横につける 脇が開かないよう意識する 2.外旋(棘下筋) 脇を閉じたまま、前腕を外側へゆっくり開く 脇が浮かないようにし、肩だけを回す意識で行う 3.内旋(肩甲下筋) 脇を閉じたまま、前腕を内側へゆっくり戻す 反動をつけず、ゆっくりコントロールして行う これらのトレーニングはチューブなどを用いて軽い負荷で行い、回数を多めにするのが一般的です。腱板は関節を安定させるインナーマッスルであるため、強い負荷よりも丁寧な動作を繰り返すことが大切です。 また、1〜2kgのダンベルがある場合、以下のトレーニングも実施できます。 手順 動作 ポイント 1.横向きに寝る 身体の側部を床につけて寝転がり、膝と背中を軽く曲げる 身体が前後にぐらつかないよう安定した姿勢を保つ 2.肘を固定する 鍛えたい側の肘を身体につけ、前腕を床に対して垂直に曲げる 肘が身体から離れないよう意識する 3.持ち上げる ダンベルを持ち、胸の近くまでゆっくり持ち上げる 反動をつけず、肩の回旋だけで動かす意識で行う 4.元に戻す ダンベルが床につく手前までゆっくり下げる 下ろす動作も力を抜かずコントロールして行う この動作を15回で1セットとし、3〜4セット程度行います。ゆっくりとした動作を意識し、無理のない範囲で継続することが重要です。 インピンジメント症候群の治療目安 重症度レベル 詳細 回復期間の目安 軽度 日常生活への影響が少ない状態 1〜3週間 中等度 関節の動きに制限がみられる状態 3〜6週間 重度 日常生活にも影響が出る状態 6〜12週間以上 (文献8) インピンジメント症候群の治療期間は、症状の程度や原因によって異なりますが、保存療法を中心に数週間〜数カ月かけて徐々に改善していくケースが多いとされています。 炎症を落ち着かせながらリハビリで筋力や可動域を回復させるため、一定の治療期間が必要です。無理に肩を動かすよりも、適切な治療とリハビリを継続することが回復につながります。 インピンジメント症候群の治し方を正しく理解し適切な治療を講じよう インピンジメント症候群は、肩関節だけでなく姿勢や筋機能など複数の要因が関係することが多い疾患です。そのため、症状を抑える治療だけでなく、原因となる動作や姿勢を見直す必要があります。 保存療法やリハビリで改善が期待できるケースも多いため、医療機関で状態を確認しながら適切な治療を継続することが大切です。 インピンジメント症候群の治療にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、状態や症状に応じて、再生医療を治療選択肢のひとつとして検討できます。 インピンジメント症候群では、腱や周囲組織への繰り返しの負担によって炎症やこわばりが慢性化することがあります。こうした場合、再生医療が治療の選択肢として検討されることがあります。 再生医療は、身体本来の組織修復の働きを活かして改善を目指す治療法で、手術療法や長期的な薬物療法とは異なるアプローチとして用いられることがあります。適応や効果には個人差があるため、医師と相談しながら検討することが大切です。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 治療方法の選択肢のひとつとして、ぜひ以下の動画もご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=B4Vx0of7CsE インピンジメント症候群の治し方に関するよくある質問 インピンジメント症候群の再発を防止するにはどうすれば良いですか? インピンジメント症候群の再発予防には肩への負担を見直し、必要に応じて専門家にフォームや動作の指導を受けながら、運動後のアイシングや十分な休息を取り入れることが大切です。 再発を予防するために、以下のポイントを押さえておきましょう。 予防のポイント 内容 投球・送球フォームの見直し 医師や専門家の指導のもと、肩に負担がかかりにくいフォームへの調整 アイシング・休息の確保 運動後のアイシングや十分な休息による肩周囲組織の負担軽減 ウォームアップ・クールダウンの実施 運動前後の準備運動や整理運動による筋肉・関節の負担予防 肩周囲の筋力トレーニング 腱板や肩甲骨周囲筋の筋力維持による肩関節の安定性向上 ストレッチの習慣化 肩や背中の柔軟性向上による関節可動域の維持と負担軽減 ウォームアップ・クールダウンを習慣づけ、腱板や肩甲骨周囲の筋力トレーニングとストレッチを継続することで肩関節の安定性と柔軟性を保ち、再発予防につながります。 インピンジメント症候群に効くツボはありますか? ツボ 位置 肩髃(けんぐう) 肩峰のやや前下方、肩甲骨の端付近 肩井(けんせい) 首のつけ根と肩先の中間付近 インピンジメント症候群では、肩髃(けんぐう)や肩井(けんせい)などのツボが挙げられることがあります。 これらを指圧することで肩周囲の緊張が和らぐ可能性はありますが、ツボ刺激によってインピンジメント症候群そのものを改善できるかについては科学的根拠が十分とはいえません。 ツボ刺激のみに頼るのではなく、医療機関で状態を評価した上でリハビリや運動療法など適切な治療を行うことが大切です。 インピンジメント症候群の治療において禁忌はありますか? 注意点 理由 痛みを伴う運動やストレッチを無理に続けること 痛みを我慢して肩を動かすと炎症が悪化し、回復が遅れる可能性 腕を頭上に上げる動作や過度な負荷の運動 オーバーヘッド動作や重量トレーニングで腱板が骨に挟まれやすくなるため症状悪化の可能性 肩に強い負担がかかるトレーニング(ベンチプレス・アップライトローなど) 肩関節の圧迫が強まり、腱や滑液包への刺激が増えるため回復期は回避が推奨 痛みがある状態での過度な反復動作(投球・水泳など) 肩を繰り返し頭上に動かすことで炎症が悪化する可能性 (文献9) インピンジメント症候群の治療において禁忌とされる動作は多くありません。しかし、不快感を我慢して運動を続けたり、腕を頭上に上げる動作や高負荷トレーニングを行ったりすると、腱板や滑液包への刺激が増して症状が悪化する可能性があります。 とくに回復期は肩への過度な負担を避けることが大切です。医師や理学療法士の指導のもと、肩の状態に合わせて段階的にリハビリを進めることが望ましいとされています。 参考文献 (文献1) Effectiveness of conservative interventions including exercise, manual therapy and medical management in adults with shoulder impingement: a systematic review and meta-analysis of RCTs|BMJ Journals (文献2) An Update of Systematic Reviews Examining the Effectiveness of Conservative Physical Therapy Interventions for Subacromial Shoulder Pain|MOVEMENT SCIENCE MEDIA JOSPT (文献3) What is - Shoulder Impingement|Shoulder Impingement (文献4) Comparison of corticosteroid injection, physiotherapy and combined treatment for patients with chronic subacromial bursitis - A randomised controlled trial|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献5) Efficacy of Single Injection of Platelet-Rich Plasma in Shoulder Impingement Syndrome|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献6) Regenerative medicine: Do PRP and stem cell therapies help sports injuries heal faster? | UT Southwestern Medical Center (文献7) Cat-Cow Stretch: How To Do It and Benefits|Cleveland Clinic (文献8) Depends Severity Acute vs Chronic|Liv Hospital (文献9) Impingement Syndrome of the Shoulder|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information
2023.03.24 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
「腱板損傷はどのようなケガか」「腱板損傷と断裂は何が違うのか」など、疑問を持っている方もいるでしょう。 腱板損傷と断裂は損傷の程度によって、呼び方を分ける場合があります。いずれも放っておくと重症化するため注意が必要です。 今回は、肩のケガの一種である「腱板損傷(断裂)」について、症状や治療法などを解説します。再生医療による治療の症例も紹介するので、腱板損傷(断裂)でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 腱板損傷と断裂の違いは「損傷の程度」 結論から述べると、腱板損傷と断裂の違いは「損傷の程度」です。 腱板損傷とは、組織が傷ついている状態を広く指す総称であり、断裂はその中でも特に組織が切れている状態を表します。 「腱板損傷」と呼ばれる場合、多くは腱板の部分断裂を含んでいると捉えて良いでしょう。 医師によっては、患者にわかりやすく伝えるために、軽度の場合を「腱板損傷」、より重度の切れた状態を「腱板断裂」と使い分けているケースもあります。 腱板損傷(断裂)とは 腱板損傷(断裂)とは、肩関節を安定させる4つのインナーマッスルからなる腱板の組織が傷ついたり切れたりした状態です。 正式名称は肩回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。 インナーマッスルは、その名の通り内側にある筋肉を意味し、より骨や関節に近い場所にあります。 腱板の大きな役割は、肩関節を安定化させることです。関節が安定すると、アウターマッスル(三角筋など)が働いたときに、より効率よくスムーズに腕を動かせます。 筋肉や腱、靭帯はいずれも繊維状の組織が集まってできており、その一部分が傷んでいる状態のことを損傷や炎症と呼びます。肩の腱板は構造や周囲の血流の状態から、一度損傷を起こしてしまうと自然修復が難しく、手術が必要になるケースも少なくありません。 腱板損傷(断裂)の症状 腱板損傷(断裂)では、以下のような症状が現れます。 就寝時に痛みが出る(夜間痛) 腕を挙げる際、挙げ始めや途中で痛みが出る 髪を洗う時に痛みが出る 腕を前に伸ばすと痛む(前の物を取ろうとしたときなど) エプロンの紐を後ろで結ぶ時に痛む また、腕を上げる途中で痛み、上まで伸ばしきってしまうと痛みが引くような症状もみられます。これは、インナーマッスルである腱板が働かなくなり、関節を安定化させられず、効率よく力を伝えられないために起こるものです。 腱板損傷(断裂)の原因 腱板損傷は50代の男性に多くみられる疾患です。中年以降の腱板は、組織に変性(老化のようなもの)がみられるケースが多く、損傷や断裂が起こりやすい状態です。 肩の変性に加えて、仕事や日常生活などで重いものを無理に持ったり、肩を捻るような動きをしたりして負荷がかかると、腱板が損傷を起こします。 なかには、若い世代であっても、スポーツや事故などにより強い負荷・衝撃がかかると腱板損傷を起こす場合があります。 腱板断裂の原因について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。 腱板の部分断裂と完全断裂の違い 腱板断裂は、大きく「部分断裂(不全断裂)」と「完全断裂」の2つに分けられます。 部分断裂 腱板部分断裂(不全断裂)とは、以下のような状態を意味します。 関節面に近いところで起こる関節面断裂 腱板の表層を覆う滑液包に近いところで起こる滑液包面断裂 腱板の腱内部で起こる腱内断裂 完全断裂 腱板完全断裂とは、腱が深く切れており、腱板を上から見た際に中の関節が見えてしまっている状態のことです。 出典『肩関節インピンジメント症候群』臨床スポーツ医学.30(5).2013より引用 腱板の部分断裂(不全断裂)と完全断裂には、上記のような違いがあります。さらには、断裂の幅が狭い・広いなど、範囲の違いによって分類されるケースもあります。 腱板損傷(断裂)は進行すると重症化する 腱板部分断裂は進行すると、重症化して完全断裂へと移行します。 下の写真のようなペーパー状のゴムを例に見ていきましょう。 ペーパー状のゴムを腱板に見立てると、最初は小さかった穴が、繰り返し引っ張る力がかかることでどんどん広がっていきます。ゴムのように簡単には広がりませんが、腱板損傷も同様のイメージで進行するケースがほとんどです。 つまり、無理に患部を動かし続けることで、小さな穴(=腱板損傷、腱板部分断裂)が大きな穴(=腱板完全断裂、広範囲断裂)へと広がってしまいます。 腱板完全断裂が広範囲にわたると、リハビリテーションだけではなかなか症状を改善するのが難しくなる傾向です。そのため、腱板断裂の重症化を防ぐためには、いかに進行を抑えるかが重要です。 腱板損傷(断裂)を放置する危険性と自然治癒する可能性について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 【関連記事】 腱板断裂を放置するとどうなる?日常生活や仕事への影響を現役医師が解説! 腱板損傷は自然に治癒する?放置のリスクと治療期間を現役医師が解説 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。腱板損傷(断裂)が重症化する前に、ぜひ気軽にご相談ください。 腱板損傷(断裂)の治療法 腱板損傷(断裂)の治療法は、大きく以下の3つに分けられます。 保存療法 手術療法 再生医療 どの治療法を選択するかは、損傷の程度や患者様の状況に応じて異なります。具体的な治療法については、医師と相談して、より良い方法を決定することが重要です。 保存療法 保存療法は、手術をしない治療法で、軽度から中度の腱板損傷に対して有効な場合があります。 リハビリテーション 保存療法のなかでも代表的なのがリハビリテーションです。リハビリテーションによって肩の筋力や柔軟性を回復させ、日常生活に支障が出ないようにします。腱板損傷(断裂)のリハビリテーションは、主に以下のような訓練内容です。 関節の動く範囲を広げる可動域訓練 損傷している筋・腱をカバーするための筋力訓練 肩の正常な動きを促す機能訓練 痛みを和らげるための物理療法(電気治療や温熱治療) テーピング処置(スポーツをおこなう人など) 日常生活の動作指導 なお、リハビリテーションは患者の状況に応じて、理学療法士や作業療法士などの専門家の指導のもとおこなわれます。 寝方指導 保存療法において、寝方指導をするケースもあります。腱板損傷(断裂)は夜間の就寝時に痛みが増強するのが一般的です。そのため、過度な負担が肩にかからないよう、寝る姿勢を適切に保って痛みの軽減を図ります。 薬物療法 強い痛みがある場合には、リハビリテーションや寝方指導と併せて、薬物療法を選択するケースもあります。 炎症を抑えるための消炎鎮痛薬を処方 関節内や関節外の軟部組織に対しての注射 なお、切れた腱板をつなげるための薬はありません。薬物療法はあくまで痛みをコントロールするための治療法です。 腱板損傷(断裂)における注意すべき動作については、以下の記事で詳しく解説しています。 手術療法 保存療法で効果がみられない場合や、重度の腱板損傷(断裂)の場合には、手術療法を選択します。 関節鏡視下手術 関節鏡視下手術は、肩腱板損傷の手術の多くを占めている術式です。傷口が小さくすみ、手術後の経過が早いのが特徴です。 具体的には、肩に複数の穴を空けて一方にカメラを、他方に操作する器具を入れて手術をおこないます。そして、切れた腱をもともとついている上腕骨に打ち込んで止めます。 手術後は、安静期間を経て徐々に関節を動かしていく流れです。一般的には、術後3カ月程度でほぼ問題なく日常生活を送れるようになります。 ただし、仕事で重労働を再開するためには、おおよそ術後6カ月必要となる点に注意してください。 人工肩関節置換術 広範囲の腱板断裂や関節変形がある場合、人工関節置換術が選択されることがあります。人工関節といえば、股関節や膝関節をイメージする方も多いと思いますが、腱板が機能していない場合は肩に使用するケースもあります。 関節の状態や、どのくらい動かせるかなどによって種類もさまざまですが、ある程度は痛みなく肩を使う動作が可能です。ただし、重いものを持ったりスポーツで激しい運動をしたりする場合は、手術方法について医師とよく話し合うことをおすすめします。 再生医療 血小板や幹細胞を用いる再生医療は、腱板損傷に対して実施される治療法のひとつです。 幹細胞には様々な組織に分化する性質があり、損傷部位で成長因子を分泌します。この治療は単独で行われることもあれば、従来の手術治療と組み合わせて用いられることもあります。 肩の痛みに対する再生医療については、以下のページで詳しく解説しています。 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。再生医療をご検討の際は、ぜひ気軽にご相談ください。 【症例】再生医療による腱板損傷(断裂)の治療 腱板損傷(断裂)に対する治療法のひとつである再生医療による症例を紹介します。 ここでは、異なる年代・状況の患者様に対する再生医療の実際の治療例を紹介するので、再生医療がどのような治療なのか、参考までにご覧ください。 症例1.60代男性|再生医療とリハビリで左肩の痛みが軽減 60代の男性は、還暦を迎えてから突然左肩に痛みを感じるようになりました。とくにケガをしたり、スポーツや仕事で肩を酷使したりしたわけでもなかったため、健康状態に不安を持たれたそうです。 近くの整形外科でMRI検査をおこなうと、加齢現象として、腱板の変性断裂と診断されました。 手術療法を選択する場合、入院期間が1〜2カ月、装具による外固定が数週間、その後は数カ月にわたるリハビリテーションが必要になると説明を受けました。 それほど長期間仕事を休むわけにはいかないと思い、入院や外固定が必要ない再生医療に興味を持ったことが、当院を受診されたきっかけです。 肩関節に幹細胞5000万個を2回投与しました。また、並行して可動域訓練のリハビリテーションも実施しました。 当院における脂肪由来の幹細胞を用いた再生医療は、身体に大きな負担をかけずに腱板損傷(断裂)に対する治療が可能です。投与後わずか約1カ月で、投与前に7あった痛みが1まで軽減しました。 こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 症例2.20代男性|再生医療によって右肩腱板損傷が完治 プロテニスプレーヤーを目指す20代の男性は、高校時代からすでにテニスのサーブの時に右肩痛が出現していたそうです。 痛みに耐えながらプレーを続けていたものの、安静時にも痛みが出現するようになり、スポーツ障害専門の医師には最終手段として、手術を提案されました。しかし、早期のスポーツ復帰は再断裂のリスクを高めること、術後の復帰には半年かかるといわれたそうです。 20代の男性は、スポーツ復帰にかかる時間だけではなく、肩関節の可動域制限によるパフォーマンスの低下も懸念されていました。そのなかで、幹細胞治療に希望を見出して当院を受診されました。 当院では独自の冷凍保存しない生き生きした生存率の高い幹細胞を用いており、腱板損傷に対する治療効果が見込めます。腱板の部分断裂に対し、2500万個の幹細胞を2回投与しました。投与後6週間で少しずつスポーツ復帰できるようになり、半年が経つ頃には、10段階の1まで痛みが軽減した事例です。 こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 まとめ・腱板損傷と断裂の違いを理解して適切な治療法を選択しよう 今回は、腱板損傷と腱板断裂の違いと共通点について解説しました。 腱板損傷と腱板断裂の違いは損傷の程度であり、医師によっては断裂も含めて「損傷」と呼ぶ場合もあります。 どの程度損傷しているのか、どのような治療が望ましいのか、具体的に確認するようにしてください。 軽度の痛みだからと放っておくと、広範囲にわたる腱板断裂を引き起こしかねません。肩の痛みや動かしづらさを感じた場合は、早めに専門の医師に相談しましょう。
2022.10.17 -
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肩の痛みに悩まされていませんか?もしかしたら、その症状は「腱板損傷」かもしれません。 腱板損傷は自然修復が困難であるため、リハビリなどの保存療法を行う必要があります。また、スポーツ中のケガで腱板損傷を発症した場合は、テーピングで腱板の機能の補助をすることも可能です。 この記事では、腱板損傷の症状や原因、テーピングの巻き方、治療方法(保存療法)を中心に解説します。 そもそも肩の腱板損傷とは 肩の腱板とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ肩の奥の筋肉で、正式名称は、回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。肩の上腕骨の骨頭と呼ばれる部分を包み込むように付着し、一枚の板のように並んでいるため腱板と言われています。 肩の腱板は、以下の4つの筋肉からなります。 棘上筋 棘下筋 小円筋 肩甲下筋 肩の腱板損傷とは、腱板が切れることにより肩の安定性が損なわれることをいいます。肩をあげるときに力が入らなくなったり、痛みの原因になったりします。 腱板損傷の症状 腱板を損傷すると、以下のような症状がみられます。 夜眠れないほどの痛みが出る 手を上げたときに、ある一定の範囲だけ痛みや引っかかり感が出る 手を水平の位置に保てない 手を上げるときに肩全体が上がってしまう 腕の上げ方が左右で違う 見た目でわかるほど肩の筋肉(とくに棘下筋)の萎縮が進む なかでも腱板損傷の症状で多くみられるのが、夜寝ているときに痛みがひどくなり眠れない「夜間痛」です。 下記の記事では腱板損傷の診断に役立つテスト方法を詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。 腱板の役割 肩の筋肉はアウターマッスルとインナーマッスルの2つに大別され、それぞれの役割を果たしています。 インナーマッスルに属する腱板の4つの筋肉は、肩を動かす上で非常に重要な役割を担います。 筋肉の位置 筋肉の名称 役割 インナーマッスル 関節に近い位置 棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋 関節を安定させてアウターマッスルを働きやすくする アウターマッスル 体の表層 三角筋、上腕二頭筋など 速くて強い力を生み出す 腱板損傷の原因 腱板損傷が起こる原因は、以下のとおりです。 加齢によって筋肉や腱などの軟部組織が変性した 重い荷物を持ち運んだ 野球など投げる動作を繰り返すスポーツをした 不自然な肩の動きをした 転んだ拍子に手もしくは肩を打った 腱板損傷は、加齢によって筋肉や腱などに変性がみられる中年以降に多くみられます。 また、重いものを抱える配送の仕事や、肩に強い負荷がかかる野球のピッチャーなど肩に負担のかかる動作を繰り返すと発症しやすくなります。 他にもさまざまな原因で腱板損傷が起こります。 腱板損傷の状態 腱板損傷とは、筋肉や腱の線維が部分的に傷んでいる、または切れている状態を指します。損傷がひどく、一部または大部分に断裂がみられるものは、腱板断裂と呼ばれています。 腱板損傷や腱板断裂は、筋肉や腱の変性が起きやすい50代以降の男性に多くみられます。発症のピークは60歳代です。 若い世代でも、肩を酷使するスポーツ選手などにもみられることもあるため、医療機関できちんと検査をすることがおすすめです。 腱板断裂および腱板損傷との違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので参考までにご覧ください。 【関連記事】 【医師監修】腱板断裂とは|原因・治療法・セルフチェックで知る症状のサインについて解説 腱板損傷と断裂の違いは?症状の進行や治療法について現役医師が解説 肩の腱板損傷にはテーピングが有効【巻き方も解説】 スポーツ中のケガで腱板損傷を発症した場合は、リハビリやトレーニング等で機能を戻すことが大前提ですが、場合によってはテーピングで腱板の機能の補助をすることも可能です。 上記の画像は、棘上筋、棘下筋、小円筋をサポートするテーピングの一例です。テーピングをすることで動きに違和感を覚えるかもしれませんが、安定性が増し、より安全にスポーツを行うことができます。 ただし、テーピングにも限界があります。痛みが強く出てしまう場合は無理に動かさず、患部の鎮痛および機能回復を待ちましょう。 関連記事:肩腱板損傷の痛みを和らげるテーピング法や治療法について解説 肩の腱板損傷の診断 腱板損傷はレントゲンではわかりにくく、五十肩と勘違いされがちです。そのため、正確に診断するためにMRIやエコー検査などが用いられます。 他にも、前述した腱板損傷の所見を視診や触診で確認することも重要です。他の肩関節疾患との鑑別を正確にすることで、今後の治療方針を早期に決めることができるため、気になる症状がある場合は早期に医療機関へ受診することがおすすめ。 肩の腱板損傷の保存療法(リハビリ) 腱板損傷の治療法は、外科的な処置を施す「手術療法」と、注射やリハビリなどで機能の改善を図る「保存療法」とに分けられます。ここでは、保存療法を中心に詳しくご紹介します。 腱板が傷んでしまうと、その性質から腱板自体が自然に修復するのは困難です。 保存療法では、以下の目的をもってリハビリ等の治療にあたります。 痛みを減らす 傷んだ腱板への負担をできる限り減らす 肩周囲の動きを良くする それぞれ順番に解説します。 また、腱板損傷の自然治癒については、以下の記事で解説しているのであわせてご覧ください。 ①痛みを減らす まず一番に対処すべき症状は痛みです。痛みが残っていると脳がその痛みを覚えてしまい、長引くことがあります。さらに、痛みが続いて無意識に患部を動かさなくなることで、関節の動きが悪くなり、肩関節の機能が低下します。 医療機関を受診すると、腱板損傷による痛みを減らすために、痛み止めの注射を打たれたりお薬が処方されたりすることがあります。痛み止めの注射やお薬の処方は、腱板損傷を根本的に治す治療ではありませんが、痛みを一時的に軽減するのに有効です。 また、寝る姿勢を調整することで、痛みの軽減が期待できます。 腱板損傷の方の多くは、夜間痛を訴えています。痛みのせいで悪い寝姿勢になっている方はぜひ試してみましょう。 夜間痛を軽減するための寝姿勢 上半身を少し高くして寝る 寝る時に痛いほうの腕の下にバスタオルを敷き、リラックスした姿勢を保つ 抱き枕で横向きに寝る しっかり睡眠をとることは、脳や体に良い休息を与え、自律神経の改善につながります。自律神経が改善されると、筋肉の余計な緊張が抜け、痛みが軽くなることがあります。 ②傷んだ腱板への負担をできる限り減らす 一度傷んでしまった腱板は自然修復が難しく、より重度の損傷が起きてしまうと手術が必要なケースもあります。そのため、以下の点に注意し、余計なストレスをかけず重症化を防ぐことが大切です。 ③肩周囲の動きを良くする 胸の中心にある胸骨、鎖骨、肩甲骨、肋骨など周辺にあるさまざまな骨や関節を総合して『肩』と言います。つまり、肩を効率的に動かすためには、これらの部位もしっかり動かせることが重要です。 とくに鎖骨周りや肩甲骨などは動きが悪くなることが多いので、鎖骨周りのセルフマッサージや、肩甲骨を意識した肩回しをするなど、意識的に動かしましょう。 まとめ|肩の腱板損傷はテーピングを活用しながら医療機関の受診もしよう 肩の腱板損傷とは、腱板が切れることにより肩の安定性が損なわれることをいいます。他の肩の疾患と見分けがつきにくいため、痛みがあったり長引いたりするときは迷わず医療機関にご相談ください。腱板損傷の所見を、視診や触診で確認することも重要です。 適切な治療を受けて不安を取り除き、快適な日常を少しでも早く取り戻しましょう。 以上、肩の腱板損傷の症状と機能改善を目指す保存療法(リハビリ)について解説しました。 ご参考になれば幸いです。
2022.10.08 -
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競技や趣味にかかわらず、ゴルフをプレイしていれば「ゴルフ肩(スイングショルダー)」という症状を一度は耳にしたことがあるでしょう。また、既にゴルフ肩に悩まされている方も多いことと存じます。 そこで本記事では、ゴルフ肩(スイングショルダー)の症状や原因・治療法について当クリニックの医師が解説いたします。すでに悩まれている方、もしくは疑いのある方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、個別の症状などについては各自で判断することなく医療機関にてご相談されることをおすすめします。 【左肩が痛む?】ゴルフ肩(スイングショルダー)とは ゴルフ肩(スイングショルダー)とは特定の病名ではなく、日常的にゴルフを行うことにより引き起こされる「肩関節周囲組織の損傷」による症状全般を指します。症状は傷害される部位によって異なりますが、肩関節から肩甲骨周囲の痛みや腕にかけての痺れなどが一般的です。 多くの場合スイングの際に前方に位置する肩に傷害が起きやすく、とく特に右利きのゴルファーの左肩が怪我をしやすいと言われています。 ゴルフ肩(スイングショルダー)に含まれる具体的な疾患名(または症候名)は以下のとおりです。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因 ゴルフは、クラブをスイングする際の非常に特殊な肩の動きを必要とするスポーツです。左右の肩がまった全く逆の動作をしなければならず、前方の肩はバックスイングの頂点で極端な内転姿勢になり、後方の肩は外転姿勢になるように伸ばされます。 この特殊な動作に加え、非常に重量のあるクラブを振り回し、地面の抵抗なども加わり、肩の障害を引き起こしかねません。 さらにゴルフでは、スイングを行う際にしばしば90°以上の水平および垂直の肩関節の運動を必要とします。 このような複数の動きが組み合わさることにより、肩の傷害の原因となることが指摘されています。頻繁にゴルフを行うことや長時間プレーすることも肩関節の障害のリスクと考えられています。 いずれの肩においても、「肩峰下インピンジメント」と呼ばれる病態が多くのゴルフ肩の原因となります。 ゴルフ肩の検査 ゴルフ肩(スイングショルダー)は病名ではなく一連の状況が起こす症状の総称であるため、その診断は主に症状が発生するに至った経緯と症状の部位によりなされることが一般的です。 しかし、肩関節には骨や筋肉だけでなく神経や靭帯などさまざまな組織が存在するため、これらの傷害を詳細に検討するために関節のMRIを施行するケースもあります。 より高齢のゴルファーの場合には、インピンジメントなどの徴候や関節内組織の傷害だけでなく、肩甲骨と鎖骨のつなぎ目である肩鎖関節の位置関係や形態の変化を調べるためのレントゲン検査を施行します。 また、関節超音波(エコー)検査はさまざまな体勢で施行することができるだけでなく、関節注射などの処置のガイドにもなるため施行されることがあります。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療法 https://www.youtube.com/watch?v=kyCLmM6YdvI ゴルフ肩(スイングショルダー)は一般的に専門家によるリハビリテーションが主な治療となることが多く、提供されるリハビリプログラムは専門家によって違います。 肩関節に負担をかけない肩甲骨の運動矯正、肩関節の内外転・内外旋のバランス調整、およびスイングの矯正などゴルフに特化したリハビリテーションが含まれます。 とくにゴルフでは体幹を安定させることとスイング動作における全身運動の改善が不可欠です。一方で、関節唇損傷など、手術による治療などの特殊な治療を要する場合もありますので、まずは専門家に相談しましょう。 なお、当院でも再生医療に注目した診療を実施しているため、まずはお気軽にご相談ください。 【プロセス】ゴルフ肩の完治期間 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療から競技への復帰は一般的に以下のようなプロセスを必要とします。 STEP1.症状の改善 運動負荷を減らし、状況に応じて消炎・鎮痛を行うなどして症状の改善に努めます。 症状が強いと協調運動に制限が出たり、リハビリテーションがうまく進まなかったりする可能性があるためまずは運動負荷を減らして症状の改善に努めます。 STEP2.筋力と柔軟性の強化 肩関節周囲の筋力と柔軟性を強化し、症状の改善だけでなく再発の予防や競技能力の向上を目指します。 競技前にウォームアップの習慣をつけることが効果的です。 STEP3.軽負荷による競技再開 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療と並行してゴルフの動作に特化(ゴルフ復帰)したリハビリを行います。 手術などの体の負担の大きな治療を要した場合でも、3~4週間以内には患部の腕を使った片手のパッティングを開始できて、ゴルフに特化したリハビリを進められます。 また、症状やリハビリの進行状況に応じてスイングを模した簡単な体のひねり運動を行うことも可能です。 経過後は体幹と全身の協調運動の強化を徐々に再開します。 専門家の指導のもと段階的に競技負荷を強くし、2~3ヶ月目には徐々に競技への復帰を目指します。 まとめ|症状が改善しないゴルフ肩は再生医療も検討してみよう ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因や治療について解説しました。ゴルフのスイングによる肩関節周囲組織の傷害は競技特有のものです。 リハビリテーションを含む治療には医師や理学療法士などのさまざまな職種の連携が不可欠となりますので、治療にあたっては、早期に整形外科・専門診療科に相談するようにしましょう。 また、手術を避けるための再生医療も注目されています。 注射だけの幹細胞治療を採用しており、手術や入院なしで当日帰宅が可能です。日常生活に支障をきたすことなく治療に取り組めますので、気になる方は下記のバナーより詳細をご覧ください。
2022.08.15 -
- 脊椎
- ひざ関節
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- 手部
- 足部
関節リウマチとは、関節に炎症が起きて痛み、腫れを引き起こす病気です。進行してしまうと関節の変形、機能障害へと悪化してしまうこともあります。 関節リウマチの発症には遺伝要因、環境要因など複数の要因が絡んでいるとされています。 その中でも、喫煙は環境要因として関節リウマチに大きな影響を与えていることが研究の結果明らかになりました。 そこで今回の記事では、関節リウマチと電子タバコ、喫煙の関係について解説します。 関節リウマチに電子タバコは悪影響を及ぼす可能性がある 関節リウマチへ電子タバコが与える影響については、まだ研究成果が多くないため具体的な影響についてはわかっていません。 しかし、アメリカの研究によると、電子タバコの使用は青少年の間で急増しており、呼吸器系に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。 とくに喘息との関連性が確認され、従来の可燃性製品を使用したことがない若者においても、電子タバコ使用と喘息診断の間に有意な関連が見られました。(文献1) また、電子たばこの煙霧中に発がん性物質が含まれる可能性が指摘されています。(文献2) 現時点では科学的証拠は不十分とされていますが、今後の研究によっては関節リウマチの発症や悪化との関連性が明らかになる可能性もあるため、注意が必要です。 喫煙が関節リウマチに良くないとされている理由 喫煙は肺がんや肺疾患、動脈硬化や脳血管障害など多くの健康問題を引き起こすことは広く知られています。 ここではとくに、関節リウマチの方にとって喫煙が与える具体的な悪影響についてご紹介します。 死亡リスクの増加 関節リウマチと診断されている方が喫煙を続けていると、非喫煙者に比べて死亡率が増加することが研究により示されています。 フィンランド社会保険研究所の大規模研究によると、男性の関節リウマチ患者では過去の喫煙によって死亡リスクが2.6倍、現在の喫煙によって3.8倍に上昇することが報告されています。(文献3) また、米国ハーバード医科大学による37万人以上の女性を対象とした追跡調査では、1日25本以上の喫煙をしている女性は、非喫煙者と比較して関節リウマチの発症リスクが1.39倍高くなることが明らかになりました。(文献3) さらに、米国リウマチ学会の発表によると、禁煙した関節リウマチ患者は喫煙を継続した患者と比較して病気の活動性が有意に低下し、寛解率も高くなることが示されています。 このことから、関節リウマチと診断された後の禁煙が病状の改善に有効であると考えられます。 手術の合併症の増加 喫煙は関節リウマチ患者の手術による合併症リスクを高めます。 喫煙者と非喫煙者における膝関節置換術の経過を比較した研究があります。 8,776人の人工膝関節置換術を受けた方を対象とした研究では、そのうち11.6%が現在も喫煙者でした。この研究によると、喫煙者は非喫煙者と比較して、創傷合併症、肺炎、および再手術の発生率が明らかに高いことが示されています。(文献4) このような合併症が起こる理由として、タバコに含まれる一酸化炭素が関係しています。喫煙すると一酸化炭素が赤血球内に取り込まれ、全身の組織に運ばれる酸素が減少します。手術部位の適切な治癒には酸素を十分に含んだ血液が必要であるため、喫煙者では治癒プロセスが滞り、回復に時間がかかるようになると考えられています。 病状の悪化 喫煙は関節リウマチの症状を悪化させることが研究で示されています。 159人の変形性膝関節症の男性を最長30ヶ月間追跡調査した研究では、喫煙者は非喫煙者に比べて膝の痛みが強く、軟骨が著しく失われる可能性が2倍以上高いことが明らかになりました。(文献5) また、311人の初期リウマチ性関節炎の患者を対象とした追跡調査では、1年後のX線写真を調べたところ、喫煙者は非喫煙者よりも関節の状態が明らかに悪化していました。(文献6) つまり、喫煙は他の要因とは関係なく、単独でリウマチの進行を早める原因になっていることがわかりました。 関節リウマチの改善を目指すなら禁煙からはじめよう 関節リウマチの症状改善に向けた第一歩として、禁煙が挙げられます。 アメリカのリウマチ学会の研究では、禁煙に成功したリウマチ患者さんは、喫煙を続けている患者さんと比較して、病気の活動性が明らかに低下することが確認されています。 また、喫煙は歯周病のリスクも高めることが知られており、歯周病は関節リウマチを重症化させる原因の一つとされています。口腔環境の健康を保ち、リウマチの症状を改善するためにも、禁煙に取り組むことはとても重要です。 まとめ|喫煙・電子タバコは関節リウマチの悪化要因となるので禁煙を推奨 関節リウマチと喫煙・電子タバコの関係について解説してきました。様々な研究から、喫煙は関節リウマチの発症リスクを高め、症状を悪化させることが明らかになっています。 電子タバコについてはまだ研究が進行中ですが、アメリカの調査では電子タバコ使用者に関節リウマチのリスク増加が見られています。 喫煙は死亡リスクの上昇、手術後の合併症増加など、リウマチ患者さんの健康に多くの悪影響をもたらします。 関節リウマチの治療効果を高め、合併症を減らすためにも、電子タバコを含むすべての喫煙製品の使用をやめることをおすすめします。 参考文献 (文献1) Roh T, et al. (2023). Association between e-cigarette use and asthma among US adolescents: Youth Risk Behavior Surveillance System 2015–2019. Preventive Medicine, 175, 107695. https://doi.org/10.1016/j.ypmed.2023.107695 (最終アクセス:2024年3月30日) (文献2) 厚生労働省「喫煙と健康」2016年 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000172687.pdf (最終アクセス:2025年3月30日) (文献3) 浜松医科大学「リウマチ・膠原病について」浜松医科大学ホームページ https://www.hama-med.ac.jp/docs/rheumatism/info/index.php (最終アクセス:2025年3月30日) (文献4) Bedard NA, et al. (2018). What Is the Impact of Smoking on Revision Total Knee Arthroplasty? J Arthroplasty, 33(7S), S172-S176. https://doi.org/10.1016/j.arth.2018.03.024 (最終アクセス:2024年3月30日) (文献5) Amin S, et al. (2007). Cigarette smoking and the risk for cartilage loss and knee pain in men with knee osteoarthritis. Ann Rheum Dis, 66(1), 18–22. https://doi.org/10.1136/ard.2006.056697 (最終アクセス:2024年3月30日) (文献6) Saevarsdottir S, et al. (2014). Current smoking status is a strong predictor of radiographic progression in early rheumatoid arthritis: results from the SWEFOT trial. Ann Rheum Dis, 74(8), 1509–1514. https://doi.org/10.1136/annrheumdis-2013-204601 (最終アクセス:2024年3月30日)
2022.08.09 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
腱板断裂の治療は注射やリハビリなどの保存療法がメインですが「自然に治るのかな?」「放置したらどうなるの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。 結論からいえば、腱板断裂を放置すると治るどころか悪化する可能性があります。 腱板という筋肉は血流が乏しい筋肉であるため、自然治癒が望めないためです。 本記事で腱板断裂を放置するとどうなるか、詳しく解説します。腱板断裂でお悩みの方はぜひ最後までチェックしてください。 ▼腱板損傷のメカニズムを1分で解説! また、現在リペアセルクリニックでは腱板断裂や肩の痛みに対して、つらい痛みからの解放が期待できる再生医療についての情報をLINEにて発信中。 再生医療の専門クリニックとして改善が見込めた症例についても紹介しておりますので、身体への負担を軽減したい方はぜひご登録ください。 腱板断裂を放置するとどうなる? 結論、腱板断裂は放置すると肩の動きが悪くなり、痛みが徐々に増していくことが一般的です。 さらに、断裂が進行することで肩を支える腱板の筋力が低下し、肩関節がスムーズに動かせなくなるため、日常生活での動作が困難になったり肩関節や周囲の組織にさらなる負担がかかったりします。 これによって肩が固まって動きにくくなる拘縮(いわゆる「凍結肩」や「五十肩」に似た状態)を引き起こしたり、痛みが長引く慢性的な症状へと発展してしまう可能性があり、基本的には自然治癒しません。 【進行してしまう可能性のある症状・状態まとめ】 断裂部位が拡大し、症状が悪化する 肩関節機能が低下し、日常生活に支障をきたす 痛みが増していき、次第に日常生活が困難になる 腱板断裂の自然治癒については、以下の記事でも解説しているのであわせてご覧ください。 腱板断裂は放置しても治らない 腱板断裂は放置しても治らないケガです。 腱板断裂が自然治癒しない理由は、腱板へ流れる血流が少ないためです。 もともと腱板の中には血管が少ないため、治癒に必要な栄養素が血流によって届けられず自然治癒が難しいと考えられています。 また、構造的な問題によりちぎれた筋肉が腕の重みで引き離され続けることも理由の1つです。 腱板が断裂した状態を放置すると、さらに断裂部位が広がってしまうことがあります。断裂部位が広がるほど症状も強くなるため、早めに医療機関を受診し、治療を受けましょう。 放置すると日常生活や肩の機能に影響が出ることも 腱板断裂は放置することで、日常生活の動作や肩の機能に影響が出ることもあります。 断裂部位が広がると腱板の筋力が弱くなり、肩の可動域や筋力の低下がみられる可能性があります。夜中も肩の痛みで寝れなくなったり、上に手が上がらないために洗濯物が干せなくなったりするなど、日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。 腱板断裂が悪化すると正常な動作が困難になるため、放置せず早めに病院で治療を受けることが大切です。 また、腱板断裂では避けるべき動作がいくつかあります。詳しくは下記の記事で解説しているため、腱板断裂を疑っている方はチェックして日常生活で気をつけてみてください。 腱板損傷との違いは「完全に切れているかどうか」 腱板断裂と似た怪我として腱板損傷という怪我があります。 そもそも腱板断裂には、筋肉の繊維が完全にちぎれている「完全断裂」と、一部のみがちぎれている「不全断裂」にわけられます。この一部がちぎれている不全断裂を言い換えたものが「腱板損傷」です。 なお。腱板断裂の程度はMRIやCTなど腱板が撮影可能な画像検査をしないとわかりません。詳しくは以下のリンクでご紹介しているため、ぜひチェックしてみてください。 ちなみに当院リペアセルクリニックでは、腱板断裂の治療として幹細胞治療やPRP療法などの再生医療に取り組んでいます。 これらの治療は腱板断裂の程度に関わらず適用可能な治療です。 気になる方は当院リペアセルクリニックにメール相談、もしくはオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。 腱板断裂を疑うべき症状3選!できるだけ早く受診しよう 腱板断裂を疑うべき症状は、以下に挙げる3つです。 転んだ後から腕が上がらない 痛みで夜寝れない、途中で目が醒める 肩を動かすと痛い・ゴリゴリ音がする これらの症状がある場合には腱板断裂を疑います。そのため、可能な限り早い整形外科の受診がおすすめです。なお、腱板断裂を疑う症状についてはこちらの記事で詳しく解説しています。少しでもご自身に腱板断裂の可能性がある方はぜひご確認ください。 もし腱板断裂の疑いがある場合には、適切な治療が必要です。治療方法の選択は画像診断で腱板断裂の程度を知る必要があるため、まずは整形外科を受診してください。 腱板断裂の主な治療法 腱板断裂の主な治療には、保存療法・手術療法・再生医療の3つがあります。 保存療法:痛みの軽減処置やリハビリを行う 手術療法:関節鏡を使う負担が少ない方法が主流 再生医療:切らない治療法で手術のリスクを回避できる ここでは主な選択肢になる3つについて詳しく解説していきます。 保存療法:痛みの軽減処置やリハビリを行う 保存療法では薬や注射などで痛みを軽減しつつ、リハビリで肩の機能を取り戻す治療を進めます。ヒアルロン酸注射やステロイド注射によって関節の動きを良くしたり、炎症を抑えることが可能で、断裂の程度を問わず有効です。 リハビリでは腱板の筋力強化や肩の可動域を広げる運動が主流です。痛みの程度をみながら理学療法士と二人三脚で治療し、腱板の機能を高めます。なお、詳しい保存療法の内容は以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 手術療法:関節鏡を使う負担が少ない方法が主流 手術をする場合にはメスで大きく切り開かず、小さな穴から関節鏡で断裂した腱板を縫合する手術方法が一般的です。大きく切開しないため社会復帰が早い点が関節鏡のメリットといえるでしょう。通常全身麻酔で手術をおこなうため、1週間程度の入院が必要になります。 手術後は腱板が癒合しやすいよう負担を減らすために、3〜6週間程度の固定が必要です。徐々にリハビリで動かして肩の機能を取り戻し、3〜6カ月で肩を自由に動かせるようになるといわれています。 一方で腱は柔らかい組織であるため、手術が成功しリハビリしたとしても再断裂というリスクはあり、関節拘縮※といった後遺症が残る可能性もあります。 ※関節拘縮:筋肉・靭帯・関節包などが硬くなり、関節の動きが制限される状態 再生医療:切らない治療法で手術のリスクを回避できる 再生医療、特にリペアセルクリニックが提供している幹細胞を使用した再生医療は、腱板に対して注射だけの負担の無い治療を提供しています。 完全断裂のリスクが低減や術後の関節拘縮の心配がないだけでなく、患者様自身の幹細胞を使用するため、アレルギーや副作用のリスクも少ないです。 また、当院では分化誘導※を用いた再生医療を提供しており、幹細胞が持つ特徴でもある、姿を変える能力の『分化』の性質を活用し、腱板や筋肉といった特定の組織の再生能力を高めることも可能としています。 ※分化誘導とは:様々な姿に変わる幹細胞を骨や神経といった特定の組織に分化するように導くこと 手術を勧められているものの避けたい方や、長期の入院やリハビリができない方は再生医療をご検討ください。 また、現在リペアセルクリニックでは、肩の痛みや腱板断裂において改善効果が見込めた症例の紹介や無料相談を実施しておりますので、ぜひご確認ください。 ▼オンライン診断も実施中! >>公式LINEはこちら まとめ|腱板断裂は放置しないほうが良い!早めの受診がおすすめ 腱板断裂は放置しても自然治癒しない怪我です。 断裂した腱板は放置するとさらに悪化し、痛みが増して日常生活にも支障が出る可能性があります。可能な限り早めの受診がおすすめです。 なお、当院リペアセルクリニックでは腱板断裂に対しても再生医療をおこなっていますので、身体への負担が少ない治療方法をお探しの方はお気軽にお問い合わせください。 また、腱板断裂に対して再生医療が具体的にどのくらい改善見込みがあるのか知りたい方は、改善症例の紹介をしている当クリニックの公式LINEをご確認ください。 腱板断裂についてよくある質問 腱板断裂を放置するとどうなりますか? 放置しても治りません。 腱板断裂は自然治癒が見込めない怪我として有名です。放置すると断裂した腱板が治らないばかりか、腕の重みによって断裂部位が広がり悪化する可能性があります。そのため、できるだけ早い受診がおすすめです。 腱板断裂は手術しないといけないですか? 手術以外にも保存療法の選択肢もあります。 腱板断裂は自然治癒しませんが、断裂の程度によっては保存療法も可能です。痛みや可動域制限が小さければ、必ずしも手術をしなくても良いといわれています。なお、当院リペアセルクリニックでは保存療法として再生医療をおこなっています。興味があればオンラインでの相談も可能なので、メール相談、もしくはオンラインカウンセリングでお問い合わせください。
2022.07.05







