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「肩に違和感がある」 「夜中に目が覚めるほどつらい」 それは腱板断裂のサインかもしれません。腱板断裂とは、肩の腱板が損傷または断裂し、腕が上がらない、筋力低下、夜間の痛みなどを引き起こす疾患です。とくに肩を長年酷使してきた人や中高年では発症リスクが高まります。 本記事では、腱板断裂について現役医師が詳しく解説します。 腱板断裂の原因 自分でできる腱板断裂のセルフチェック 腱板断裂の治療法 腱板断裂の予防法 腱板断裂と似ている症状 腱板断裂は、適切な診断と治療により症状の改善が期待できます。本記事を通じて症状を正しく理解し、治療法の選択に役立てください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腱板断裂について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腱板断裂とは 項目 内容 定義 肩の深部にある腱板の腱が、上腕骨の付着部から部分または完全に剥がれた状態 役割 肩関節の安定維持と腕の上下・回転動作の補助 構成筋 棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋 主な原因 加齢による腱の弱化、肩の酷使(スポーツ・肉体労働)、外傷(転倒や事故) 症状 腕の挙上や物を持つ力の低下、挙上制限、肩の不安定感、動作時や夜間の違和感 診断方法 MRI検査、超音波検査、医師による徒手テスト 要点 発症は中高年に多く、原因や症状は多様。早期診断と適切な治療が肩機能維持の鍵 腱板断裂は、肩の運動と安定性に重要な腱板が損傷または断裂した状態です。腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋肉の腱で構成され、上腕骨頭と肩甲骨をつなぎ、腕の挙上や回旋を担います。 損傷が生じると、肩の違和感や筋力低下、可動域の制限などが現れ、日常生活に支障を及ぼします。断裂にはすべての腱が切れる完全断裂と、一部のみが損傷する部分断裂があります。放置すると悪化し、回復が難しくなる場合があるため、症状が見られた場合は早期に医療機関で診断と適切な治療を受けることが重要です。 以下の記事では、肩腱板断裂(損傷)について詳しく解説しています。 腱板断裂の原因 原因 詳細 加齢による腱の変性と断裂のリスク 腱の老化・血流低下による組織の弱化および弾力低下 スポーツや肉体労働による肩の酷使 繰り返しの肩使用や過度の負荷による腱の摩耗・損傷 転倒や事故など外傷による断裂 強い衝撃や捻挫による急激な腱の断裂・損傷 腱板断裂は、加齢に伴う腱の老化や血流低下による組織の弱化・弾力低下、スポーツや肉体労働などでの繰り返しの肩使用による摩耗、さらに転倒や事故による強い衝撃や捻挫など、さまざまな要因で発症します。原因を理解することは、予防や早期発見のためにも重要です。 加齢による腱の変性と断裂のリスク 加齢により肩の腱は弾力や柔軟性を失い、損傷しやすくなります。原因はコラーゲン繊維の劣化、水分量の減少、血流低下による修復力の低下です。 日常生活や仕事、スポーツでの長年の使用による摩耗も影響し、わずかな負荷や軽い外傷でも断裂が起こります。40歳以降でリスクが高まり、60歳を超えると発症が増えます。(文献1)肩の違和感や動きの変化があれば、早期の医療機関への受診が重要です。 スポーツや肉体労働による肩の酷使 肩を繰り返し使うスポーツや肉体労働は腱板に負担をかけ、損傷や断裂の原因となります。野球やテニス、水泳、重量物の持ち運びなどの頭上動作は肩関節への負荷が大きく、腱板が骨にこすれて摩耗しやすくなります。 この摩耗が蓄積すると強度が低下し断裂に至ります。利き腕に多く、慢性的な酷使が主因ですが、転倒など一度の衝撃でも発症します。肩の痛みや違和感があれば早期の受診が必要です。 以下の記事では、腱板が再断裂する原因を詳しく解説しています。 転倒や事故など外傷による断裂 腱板は腕の動きと肩関節の安定に重要で、強い外力で急に損傷することがあります。高所からの転倒や交通事故、スポーツ中の衝突などで肩や腕に瞬間的な過負荷がかかると、とくに腕を伸ばして手をついた場合や肩から転倒した場合に断裂しやすくなります。 加齢や酷使で変性した腱板はわずかな外力でも断裂することがあるため、受傷後に肩の動きや筋力に異常を感じたときは早期に診察と画像検査を受けることが重要です。 自分でできる腱板断裂のセルフチェック セルフチェック 詳細 ドロップアームテスト 腱板の主に棘上筋の断裂や筋力低下の有無 リフトオフテスト 腱板の主に肩甲下筋の損傷や機能低下の有無 ホーンブローワーテスト 腱板の主に棘下筋や小円筋の損傷や外旋筋力低下の有無 腱板断裂が疑われる場合、自宅で行える簡易的な確認方法として、ドロップアームテスト・リフトオフテスト・ホーンブローワーテストがあります。ドロップアームテストは、腕を横に上げたまま保持できず途中で落ちる場合に棘上筋の損傷や筋力低下を調べる検査です。 リフトオフテストは、腰の後ろに回した手を背中から離せない場合、肩甲下筋の機能低下が疑われます。ホーンブローワーテストは、腕を外に開く動作で力が入らないず場合に棘下筋や小円筋など外旋筋の状態を確認する検査です。これらはいずれも目安であり、異常があれば医療機関での診断が必要です。 ドロップアームテスト 項目 詳細 目的 腱板のうち主に棘上筋の断裂や筋力低下の有無の確認 方法 腕を真横に90度(肩の高さ)まで上げ、そのまま支えずにゆっくり下ろす動作の観察 陽性所見 腕が途中で急に落ちる、または動作をコントロールできない状態 判定の意味 陽性の場合は棘上筋を中心とした腱板損傷の可能性 留意点 自分一人でも行える簡易的な確認方法だが、陽性時は医療機関での診察・画像検査が必須 ドロップアームテストは、棘上筋損傷を確認するための簡易検査です。腕を横に伸ばして肩の高さまで上げ、そのまま支えずにゆっくり下ろします。健康な腱板であれば滑らかに下ろせますが、損傷があると保持できず途中で落ち、動きが不安定になります。 棘上筋は腕を横に上げる筋肉で、損傷すると筋力低下や動作制限が起こるため、異常があれば早期の受診とMRIや超音波検査による診断が必要です。 リフトオフテスト 項目 詳細 目的 肩甲下筋の損傷や機能低下の確認 方法 片手を背中の腰あたりに回し、手の甲を背中につけた状態から背中から離す動作の実施 陽性所見 手を背中から離せない、動かしづらい状態 特徴 肩甲下筋の機能確認に有効な簡易的セルフチェック方法 注意点 異常を感じた場合は放置せず、医療機関での検査を推奨 リフトオフテストは、肩のインナーマッスルである肩甲下筋の損傷や機能低下を調べる簡易検査です。肩甲下筋は肩関節の内旋(腕を内側にひねる動き)を担い、腱板を構成する4つの筋肉のひとつです。 テスト方法は、背中の腰あたりに手を回し手の甲を背中につけ、その状態から手を背中から離そうとします。正常であれば手を浮かせられますが、損傷があると自力で離せなかったり、痛みで動かせなかったりします。この検査で異常がある場合は肩甲下筋の腱板断裂が疑われ、早期に整形外科で診察と画像検査を受けることが重要です。 ホーンブローワーテスト 項目 詳細 目的 棘下筋や小円筋の損傷や機能不全の確認 方法 腕を肩の高さ(外転90度)に上げ、肘を90度に曲げた状態で腕を外に押し出す動作の実施 陽性所見 腕がスムーズに動かない、力が入らない、または動作時の違和感 特徴 外旋筋群の機能を評価できる簡易的セルフチェック方法 注意点 陽性の場合は医師による診察と画像検査の受診推奨 ホーンブローワーテストは、肩の腱板の中でも主に棘下筋と小円筋の機能を評価するための検査です。方法は、腕を肩の高さ(外転90度)に上げ、肘を90度に曲げた状態で、腕を外に回す動作(外旋)を行い、その際に抵抗を加えます。 筋肉や腱の損傷があると動きが不自然になり、力が入らず違和感が生じ、これは腱板断裂の可能性を示します。自宅でも鏡を見ながら実施できますが、結果が陽性の場合や症状が続く場合は、早期に整形外科を受診し、MRIなどで状態を確認することが重要です。 腱板断裂の治療法 治療法 詳細 保存療法(薬物療法・注射・リハビリテーション) 薬剤や注射で痛みを抑え、リハビリで肩の動きを改善する方法 手術療法(関節鏡手術・縫合術など) 関節鏡などを使って断裂した腱板を修復する方法 再生医療 幹細胞やPRPで腱の修復を促す先進的な治療方法 腱板断裂の治療は、損傷の程度や症状、日常生活への影響に応じて方法を選びます。軽度の場合は、鎮痛薬や注射で痛みを抑え、リハビリで肩の動きや筋力を取り戻す、保存療法が行われます。これは手術をせずに回復を目指す方法です。 一方、大きな断裂や保存療法で改善が見られない場合は、関節鏡を用いて断裂した腱を縫い合わせる「手術療法」が選ばれます。適切な治療選択のためには、早めの診察と正確な診断が重要です。 近年では、幹細胞療法やPRP療法などの再生医療も腱の修復促進を目的に導入されていますが、実施する医療機関は限られているため、事前に対応の可否や症状が適応するかを確認することが重要です。 以下の記事では、肩関節の治療法について詳しく解説しています。 保存療法(薬物療法・注射・リハビリテーション) 項目 詳細 目的 症状の軽減と生活の質の向上 方法 消炎鎮痛薬や湿布、ステロイド注射による痛み・炎症の緩和 リハビリの役割 肩甲骨周囲筋の柔軟性と筋力の維持・強化、肩関節のバランス改善 適応 部分断裂、高齢者、持病による手術リスクが高い方 特徴 手術に比べ身体への負担が少なく開始しやすい方法 注意点 腱板断裂そのものは自然治癒せず、定期的な経過観察が必要 保存療法は、手術を行わずに症状を和らげ、日常生活を維持する方法です。薬物療法で炎症や痛みを抑え、リハビリで肩の筋力・柔軟性を回復させて関節の安定性を高めます。 保存療法は、手術のリスクが高い高齢者や部分断裂の方、持病のある患者に適しており、身体への負担が少ないことが特徴です。ただし、腱板断裂は自然に修復されないため、症状が落ち着いた後も定期的な診察と経過観察が必要です。 以下の記事では、肩腱板断裂の痛みを和らげる方法を詳しく解説しています。 手術療法(関節鏡手術・縫合術など) 項目 詳細 確実な再固定 関節鏡を用いて断裂した腱板を元の骨に縫い付けることで自然な形に修復可能 低侵襲 小さな切開で行うため体への負担や術後の痛みが少ない方法 症状進行の抑制 断裂拡大や筋萎縮・脂肪変性の進行を防ぐ効果 機能回復の促進 回復期間が比較的短く早期リハビリ開始が可能な利点 適応の柔軟性 年齢・断裂の程度・生活環境に応じた治療方針の選択 保存療法で症状が改善しない場合や、断裂が大きく日常生活に支障がある場合、さらに活動性が高く早期の機能回復を希望する方には手術が検討されます。 現在主流の関節鏡手術は、小さな切開から関節鏡を挿入し、モニターで内部を確認しながら損傷した腱板を修復する方法です。身体への負担が比較的少なく、回復が早い点が特徴です。 腱板縫合術では、断裂した腱板を骨に縫い付けて固定し、断裂の程度に応じて方法を選択します。術後は腱板が骨に癒着するまで安静が必要で、その後のリハビリテーションが機能回復に重要な役割を果たします。 以下の記事では、肩腱板断裂の手術と入院期間について詳しく解説しています。 再生医療 再生医療は損傷した腱板の修復や再生を促進します。幹細胞治療は、患者自身の脂肪などから幹細胞を採取・培養し、断裂部位へ注射で投与する方法です。 幹細胞は損傷部位で修復を促し、注射で行えるため負担が少なく、手術困難例や保存療法無効例に適します。幹細胞やPRP療法は炎症を抑えつつ腱組織を修復し、痛み軽減や可動域改善、断裂進行防止に寄与します。 ただし、再生医療は実施している医療機関が限られており、適応には事前の相談や診察が必要です。投与後は適切なリハビリを併用することで、肩の機能回復がより効果的に進みます。 当院「リペアセルクリニック」では、腱板断裂に対する再生医療の症例を紹介しています。ぜひご確認いただき、再生医療も治療法の一つとしてご検討ください。 腱板断裂の予防法 予防法 詳細 肩の柔軟性&筋力維持 肩甲骨や肩周囲筋の柔軟性と筋力の維持・強化による肩関節の安定化 姿勢・使い方の見直し 胸を張り肩甲骨を適切な位置に保つ、正しい姿勢と肩への負担を減らす動作の習慣化 オーバーユース回避 肩の過剰使用を避けることによる筋肉や腱への負担軽減 生活管理と違和感への早期対応 肩の違和感や痛みの早期発見・専門医受診と適切なケアによる悪化防止 腱板断裂を予防するためには、肩甲骨や肩周囲の筋肉の柔軟性と筋力を維持・強化して肩関節の安定性を高めることが重要です。 胸を張り、肩甲骨を正しい位置に保つ、肩を過剰に使わず休養を取り、違和感があれば早期に受診して悪化を防ぎます。 以下の記事では、腱板断裂を放置するリスクを詳しく解説しています。 肩の柔軟性&筋力維持 項目 詳細 肩や肩甲骨の連動性維持 肩関節と肩甲骨の動きのバランスを保ち腱板への負担を軽減 可動域の維持 動きの制限による摩擦や腱の摩耗の防止 インナーマッスル強化 腱板筋群を中心に肩関節の安定性を高め負荷を分散 全体バランスの改善 偏った動きや代償動作の防止による怪我リスク低減 日常・スポーツ時の負担軽減 正しい肩の動きによる過度な使用からの保護 腱板断裂を予防するには、肩の柔軟性と筋力の維持が欠かせません。肩関節は肩甲骨と連動して動くため、柔軟性が落ちると動きのバランスが崩れ、腱板に負担が集中します。その結果、可動域が狭まり摩擦が増えて損傷を招く恐れがあります。 日常的なストレッチで柔軟性を保つことは、こうした負担の軽減に有効です。さらに、腱板を構成するインナーマッスルや周囲の筋力を維持・強化すると、肩関節の安定性が高まり、運動時や荷物を持つ際にも腱板への負荷を分散できます。柔軟性と筋力をバランスよく整えることで、スポーツや日常生活での無理な動きが減り、怪我や断裂のリスクが低下します。とくに肩を酷使する方は、予防のために日常的なストレッチと筋力トレーニングを継続することが重要です。 以下の記事では、右肩や左肩がズキズキと痛い症状について詳しく解説しています。 姿勢・使い方の見直し 肩甲骨や胸椎の位置と可動性を適切に保つことは、肩関節の動きを整え、腱板への負担を減らします。猫背や巻き肩では肩甲骨が前傾し、可動域が狭くなって筋肉や腱板が骨にこすれやすくなり、摩耗や断裂のリスクが高まります。 正しい姿勢を保ち肩甲骨を適正位置に維持すれば、摩擦と負荷の軽減が可能です。また、日常生活やスポーツでは腕の使い方も見直し、腕を高く上げすぎたり同じ姿勢を長時間続けることを避けます。重い物を持つ際は腕だけでなく体全体を使い、肩関節の安定性を保つことが腱板損傷の予防につながります。 オーバーユース回避 予防ポイント 理由 肩の使いすぎの回避 繰り返し動作による腱板への微細損傷の蓄積 適切な休息の確保 腱板の自然修復を促すための負荷軽減 正しいフォーム・作業姿勢の習得 肩関節への不要なストレスの軽減 負担の分散 肩のみで行わず、体幹や下半身も活用 痛みや違和感時の使用中止 傷の進行防止 腱板断裂は、肩の筋肉と骨をつなぐ腱板が損傷する疾患です。野球やテニスなどのスポーツや重い物を扱う仕事で肩を繰り返し酷使すると、腱板に小さな損傷が蓄積します。腱板は血流が乏しく修復力が弱いため、休息を取らずに使い続けると回復が追いつかず、摩耗や断裂が進行します。 予防には、肩の使用を適度に制限して休養を確保し、動作や姿勢を見直して負担を軽減することが重要です。また、体の他の部位を活用して負担を分散し、痛みや違和感があれば早めに使用を中止することが推奨されます。これらの対策によって、腱板断裂の発症や悪化を防ぐことができます。 以下の記事では、腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないことを詳しく解説しています。 生活管理と違和感への早期対応 項目 詳細 肩への過度な負担回避 重労働やスポーツでの繰り返し負荷を避け、肩の筋力・柔軟性を維持 早期受診の重要性 違和感や動作制限を感じた段階で専門医を受診し画像検査で診断 進行予防による負担軽減 症状の進行抑制による手術回避や機能障害予防 全身状態の改善 血糖値管理や禁煙による腱の健康維持 無理な使用の回避 違和感がある場合の安静による損傷拡大防止 腱板断裂を予防するには、日常生活で肩への負担を減らし、症状への早期対応を徹底することが重要です。重労働やスポーツでの反復動作、無理な姿勢や動作は腱板損傷のリスクを高めます。 普段から肩周囲の筋力と柔軟性を保ち、過度な使用を避けることが予防の基本です。肩に違和感や動きの制限を感じた場合は、症状が軽くても早めに医療機関を受診し、MRIや超音波検査によって診断を受けます。 早期に保存療法やリハビリを開始すれば断裂の進行を防ぎ、手術を回避できる可能性が高まります。また、糖尿病や喫煙(文献2)は腱の健康を損なうため、生活習慣の改善も重要です。違和感がある時は無理な動作を控え、安静を保つことが損傷拡大の防止につながります。 以下の記事では、腱板断裂(損傷)における超音波(エコー)検査について詳しく解説しています。 腱板断裂と似ている症状 似ている症状 詳細 肩関節の炎症・拘縮(五十肩・肩関節周囲炎・石灰沈着性腱板炎) 肩関節周囲の炎症や拘縮による痛みと可動域制限。腕が上がりづらく動作時の痛みやこわばりが特徴 関節や骨の変性(変形性肩関節症・インピンジメント症候群) 肩関節の軟骨や骨の変性による運動時の痛み、インピンジメントは腱板が骨に挟まることで生じる痛み 腱や周囲組織の障害(上腕二頭筋長頭腱炎) 上腕二頭筋の腱の炎症で、肩の前方の疼痛や動作時痛、押すと痛みが出ることが多い 首からくる症状(頚椎症性神経根症など) 首の神経圧迫に伴う放散痛やしびれ、腕の筋力低下、肩の動かしにくさ。首の動作で症状が誘発されることも 腱板断裂と症状が似ている疾患はいくつか存在します。肩関節の炎症や拘縮を伴う五十肩(肩関節周囲炎)や石灰沈着性腱板炎では、肩の強い痛みや可動域の制限、腕の上げにくさ、こわばりが見られます。変形性肩関節症やインピンジメント症候群では、軟骨や骨の変性や腱板の挟み込みによって動作時の痛みが生じます。 上腕二頭筋長頭腱炎は、肩の前方に限局した痛みや押したときの圧痛、動作時痛が特徴です。さらに、頚椎症性神経根症など首からくる症状では、肩から腕にかけての放散痛やしびれ、筋力低下があり、首の動きで症状が誘発されることもあります。これらは腱板断裂と症状が似ているため、正確な診断には医師による診察と画像検査が欠かせません。 肩関節の炎症・拘縮(五十肩(肩関節周囲炎)・石灰沈着性腱板炎) 項目 腱板断裂 五十肩(肩関節周囲炎) 石灰沈着性腱板炎 主な症状 肩の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 慢性的な痛み・力が入りにくい 肩全体の広い痛みと動きの硬さと急な激痛や腫れ 原因 腱板腱の断裂 肩関節周囲の炎症と拘縮 腱板へのカルシウム沈着 痛みの特徴 特定動作や夜間で強く出やすい 夜間痛が強く、徐々に拘縮へ進行 発作的な強い痛みと寛解期 可動域制限 外転・外旋がとくに制限 全方向で強く制限 発作時は動かしにくい 経過 自然治癒は稀で、放置すると悪化しやすい 数年で自然回復傾向 数日〜数週間の発作後軽快しやすい 主な治療 保存療法または手術 保存療法主体 薬物・注射・石灰除去(手術は稀) 主な共通症状 肩の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 腱板断裂、五十肩(肩関節周囲炎)、石灰沈着性腱板炎はいずれも肩の痛みと可動域制限を伴いますが、原因や経過が異なります。五十肩は関節全体の炎症と拘縮により全方向の動きが制限され、数年かけて自然回復することが多い疾患です。 腱板断裂は肩の腱が部分的または完全に切れ、特定動作で力が入らず自然治癒はほぼありません。石灰沈着性腱板炎は腱板にカルシウムが沈着し、急激な激痛発作を起こしますが多くは自然軽快します。症状が似ていても治療法は異なるため、正確な診断には医師による診察とMRIや超音波検査が重要です。 以下の記事では、五十肩(肩関節周囲炎)と石灰沈着性腱板炎の症状について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違い|主な症状や治療法を解説 石灰沈着性腱板炎の原因とは?症状や痛みが続く際の治療法を紹介 関節や骨の変性(変形性肩関節症・インピンジメント症候群) 項目 腱板断裂 変形性肩関節症 インピンジメント症候群 主な症状 肩の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 (途中で力が入らないことも) 肩の痛み、可動域制限、関節変形、慢性痛 肩の痛み、特定動作や挙上で強まる痛み、可動域制限 原因 腱板腱の断裂 長年の摩耗や軟部組織損傷で関節軟骨のすり減り・骨変形 腱板の摩擦や圧迫 症状の特徴 肩から腕にかけて広がる・断裂部周辺 関節内部が中心、動作時や負荷時に増す痛み 肩前面、動作中に鋭い痛み 可動域制限 外転・外旋などに強く制限 全方向で強く制限 特定動作(挙上など)で制限 経過 保存療法で経過観察も多い 進行性で慢性化しやすい 保存療法で多くが改善傾向がある 主な治療 保存療法または手術 保存療法中心だが症状で手術選択 保存療法、重症時は手術 主な共通症状 肩の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 腱板断裂と関節や骨の変性によって起こる疾患(変形性肩関節症やインピンジメント症候群)は、どちらも肩の痛みや動かしにくさを伴い、症状が似ているため混同されやすい疾患です。 腱板断裂は肩の腱が部分的または完全に切れて特定動作で力が入らず、夜間痛が出やすいのが特徴です。変形性肩関節症は軟骨の摩耗や骨変形で肩全体の動きが制限され、進行すると関節音を伴います。 インピンジメント症候群は腕を上げる際に腱板が骨に挟まれ炎症を起こし、特定の角度で痛みや引っかかり感が生じます。原因と治療は異なり、腱板断裂は保存療法や手術、変形性肩関節症は保存療法を基本に進行例で人工関節手術、インピンジメント症候群は保存療法が中心です。診断にはMRIやレントゲンなどの画像検査と専門医の診察が必要です。 以下の記事では、インピンジメント症候群について詳しく解説しています。 腱や周囲組織の障害(上腕二頭筋長頭腱炎) 項目 腱板断裂 上腕二頭筋長頭腱炎 主な症状 肩の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 肩前面の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 原因 腱板腱(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)の断裂 上腕二頭筋長頭腱の摩擦や炎症 症状の特徴 特定動作で力が入らない、肩の上・外側の痛み 肩前面、結節間溝付近の痛みや圧痛 可動域制限 外転・外旋の制限 肘の曲げや前腕の回内外で痛み増強 経過 自然治癒しにくく進行することあり 安静や保存療法で多くは改善 主な治療 保存療法または手術療法 保存療法(安静、薬物、リハビリ) 合併の可能性 発症により上腕二頭筋長頭腱炎を伴うことあり 腱板断裂を伴うことあり 主な共通症状 40歳以上の中高年に多い傾向、動作時や夜間に強まる肩前面や周囲の痛み、動かしにくさや筋力低下、スポーツや肉体労働による肩の反復使用による負担 腱板断裂と上腕二頭筋長頭腱炎は肩の痛みや動きの制限を引き起こしますが、原因や特徴に違いがあります。共通点として、肩の痛みや筋力低下、とくに40歳以上に多く、スポーツや肉体労働がリスク要因です。 腱板断裂はインナーマッスルの腱が断裂し、外転や外旋で痛みが生じます。一方、上腕二頭筋長頭腱炎は炎症により腕を曲げる動作で痛みが生じます。診断にはMRIや超音波検査が使用され、症状がひどい場合は手術が必要です。治療法としては、保存療法と手術が選択肢となります。 以下の記事では、腱や周囲組織の障害について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板損傷と断裂の違いは?症状の進行や治療法について現役医師が解説 上腕二頭筋長頭腱炎とは?医師が徹底解説 首からくる症状(頚椎症性神経根症など) 項目 腱板断裂 頚椎症性神経根症 主な症状 肩や腕の痛みやしびれ、動かしにくさや筋力低下、夜間痛 肩の痛み、とくに動作時の痛みと可動域制限、夜間痛 首から肩・腕・手にかけての痛みやしびれ、感覚鈍麻、筋力低下 原因 肩の腱板(棘上筋など)の部分または完全断裂 頚椎や椎間板の変性による神経根の圧迫 症状の特徴 腕を特定角度まで上げると痛みや力が入らなくなる(ドロップアーム) 首の動きや姿勢で悪化する放散痛・しびれ、片側の筋力低下 痛みの範囲 肩関節周囲の局所痛、動作に伴う痛み 首から肩・腕・手・指先までの放散痛やしびれ 可動域制限 特定の肩の動きで強く制限 首の動きで痛み増悪、上肢の動作制限 診断方法 肩のMRIや超音波検査で腱板の損傷確認 頚椎X線・MRIで変性や神経圧迫を確認 主な治療 保存療法(安静・薬物・リハビリ)、必要に応じ手術療法 薬物療法、神経根ブロック、まれに手術 主な共通症状 肩や腕の痛みやしびれ、動かしにくさや筋力低下、夜間痛 腱板断裂と頚椎症性神経根症は、肩や腕の痛みやしびれを引き起こしますが、原因や症状に違いがあります。共通点として、肩や腕の痛み、筋力低下、とくに夜間痛が見られ、腱板断裂は肩のインナーマッスルの腱が切れ、特定の動作で痛みが強くなります。 頚椎症性神経根症は首の骨の変形による神経圧迫で痛みやしびれが広がり、頚椎のX線・MRIで確認し、早期に医師の診察を受けることが重要です。 以下の記事では、頚椎症性神経根症について詳しく解説しています。 腱板断裂でお悩みなら当院へご相談ください 腱板断裂は、加齢やスポーツ、肉体労働により腱板が損傷または断裂し、肩の痛みや腕が上がらない原因となります。適切な治療を継続することで改善が期待できますが、症状が改善しない場合は手術が必要となることもあります。 腱板断裂の症状にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、腱板断裂で損傷した組織の回復を促す治療法である再生医療を提案しています。再生医療は、手術に比べてリスクが少なく、断裂部分に直接アプローチできる治療法として近年注目されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 参考文献 文献1 一般人口における症候性および無症候性の回旋腱板断裂の有病率:ある村での集団スクリーニングから|PMC 文献2 腱板断裂:エビデンスに基づくアプローチ|PMC
2025.08.31 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
「肩や腕に違和感がある」 「肩に力が入りにくい」 腱板損傷が疑われたとき、対処に迷う方は少なくありません。五十肩との違いがわからず、不安が強まるケースもあります。肩や腕の不調を放置すると症状が悪化する可能性があるため、早期の判断が重要です。腱板損傷の症状や原因を理解すれば、適切な対処方法が見えてきます。 腱板損傷の症状 腱板損傷の原因 腱板損傷の治療法 腱板損傷の予防と再発防止策 記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腱板損傷について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腱板損傷とは 項目 内容 腱板損傷の症状 肩や腕の動かしにくさや特定角度での違和感、夜間の不快感、力が入りにくいことや筋力低下などが挙げられる 似た症状の病気との違い 五十肩(肩関節周囲炎):関節包の炎症が主な原因で、動かし始めの違和感が強く、時間の経過とともに可動域が制限されます。一方、腱板損傷は腱の損傷により筋力低下が生じる点が特徴です。 変形性肩関節症:軟骨のすり減りによる関節の変形と違和感が原因。画像診断で確認 神経由来の痛み:首の神経圧迫による肩・腕のしびれや痛み。腱板損傷は局所の腱損傷が原因 原因 加齢、肩の使いすぎ、外傷など 診断 肩の動かしにくさや特定の角度での違和感が続く場合は、整形外科への受診が必要 腱板損傷は、肩の筋肉と腱で構成される腱板が傷ついた状態です。腱板は肩関節を安定させ、腕を動かす役割があります。負担や加齢によって腱に傷ができると、肩の動きが制限され、違和感が生じます。 日常生活に支障をきたすこともあるため、適切な診断と治療が必要です。軽度の場合は保存療法が中心で、症状や生活環境によっては手術が検討されます。 以下の記事では、腱板損傷と断裂の違いについて詳しく解説しています。 腱板損傷の症状 症状 詳細 肩や腕を動かしにくい 肩や腕の動作制限、腕を上げる動作が困難になる 特定の動作で違和感が出る 腕を一定の角度に動かした際の引っかかり感や不快感 夜間や安静時に症状が強まる 夜間や休息時の肩の不快感、睡眠障害の可能性 肩の力が入りにくい 筋力低下による物を持つ・支える動作が困難になる 腱板損傷では、肩や腕の動かしにくさ、特定の動作での痛み、夜間痛、筋力低下などの症状がみられます。 これらの症状は、物を持つ、腕の挙上、寝返りを打つといった日常の動作を妨げ、生活の質を低下させます。症状が強く時間が経っても改善しない場合は損傷が進行する恐れがあるため、早期に整形外科を受診することが重要です。 以下の記事では、腱板損傷の筋力や痛み確認方法について詳しく解説しています。 肩や腕を動かしにくい 内容 詳細 力が入らない 腕を横や上に持ち上げようとしても途中で力が抜ける状態 特定の角度で止まる 肩を一定の角度までは上げられるが、それ以上は力が入らず動かない 日常生活での不便 洗濯物を干す、棚の上の物を取る、髪をとかす・結ぶなどの動作が難しい 他人が動かそうとしても動かない 違和感が強く出る場合、自分以外が肩を動かしても固まって動かせないことがある 似た症状との違い 五十肩と違い、急に力が入らなくなることや特定方向だけ動きにくい特徴がある 腱板損傷では、腕を上げる・横に広げる・後ろに回すなどの動作で肩の痛みが生じ、動きが制限されます。 高い所の物を取る、服を着替えるといった日常動作にも支障が出ます。これは損傷した腱が正常に機能せず、肩関節の動きが妨げられるためです。 特定の動作で違和感が出る 腱板は肩関節を安定させ、腕を動かす役割を持つ組織で、動きの方向によって特定の部分が強く働きます。損傷があると、腕を横から90度まで上げる、後ろポケットに手を回す、頭上に物を持ち上げるなどの動作で負担が集中し、引っかかり感、脱力感、疼痛が生じやすくなります。 原因は腱が骨にこすれ、正常に収縮できず関節が不安定になるためです。腱板損傷では、できる動作とできない動作の差が特徴で、五十肩は方向に関係なく全体的に固くなります。また、動作中に「コキッ」という音や引っかかり感、腕を下ろす途中で力が抜けるドロップアームサインがある場合は、腱板の完全断裂が疑われます。 夜間や安静時に症状が強まる 原因 詳細 寝る姿勢と肩の負担 横向きで痛む側を下にすると体重で肩が圧迫され、仰向けでも腕の重みで肩に負担がかかる 筋肉の緊張と血流の悪化 筋肉が緊張して血流が悪くなり、酸素や栄養が届きにくくなるため、違和感が出やすくなる 関節の安定性低下による刺激 腱板損傷で筋肉と腱の連結が弱くなり、安静時でも肩関節内で組織が擦れ刺激を受けやすい 炎症の影響 損傷部位の炎症が夜間に強まり、血流悪化と体の休息中に違和感が増し、目が覚めることがある 肩の痛みは、腱板損傷により夜間や安静時に強まることがあります。寝る姿勢や腕の重みで肩に負担がかかり、筋肉の緊張や血流悪化で炎症が悪化するためです。 安静時でも肩内部で組織が擦れて刺激を受けやすく、痛みで目が覚めることもあります。姿勢の工夫と適切な治療が不可欠です。 肩の力が入りにくい 項目 詳細 腱板の役割と損傷の影響 肩関節の安定と腕を動かす筋腱複合体の損傷による力の伝わりにくさ 筋力低下のメカニズム 腱断裂による筋肉の付着不全と炎症による筋力低下 筋肉の萎縮や硬直 肩の使用減少による筋肉の細化と硬直 安定性低下に伴う不安定感 肩関節の緩みやずれ感による力の入りにくさと違和感・不安感 腱板は、肩関節を安定させながら腕を動かす重要な筋肉群の腱の集合体です。腕を上げる動きにも欠かせず、損傷すると肩に力が入りにくくなります。 とくに重い物を持つ時や腕を伸ばして物を取る時に力が出ず、腕が上がらないことがあります。これは、腱断裂により筋肉が骨にしっかり付着できなくなり、炎症や痛みによって筋力が低下するためです。 また、肩を使わない状態が続くと筋肉が痩せたり硬くなったりし、力が入りにくくなります。関節の安定性も損なわれ、動かす際にぶれやずれを感じることがあります。 腱板損傷の原因 原因 詳細 加齢による腱の変化 加齢に伴う腱の弾力性低下や摩耗による損傷の起こりやすさ 肩の使いすぎや外傷による負担 繰り返しの動作や急な衝撃による腱への過度な負担 生活習慣や体質の影響 姿勢不良や血流不足、体質的な腱の弱さによる損傷の起こりやすさ 腱板損傷は、加齢、肩の使いすぎ、外傷、姿勢不良、血流障害などによって腱が損傷し、肩関節の動きや腕の挙上が制限される状態を指します。 予防には肩への負担を減らしつつ、適度な運動で柔軟性を保つことが大切です。異常を感じたら早めに医療機関を受診してください。 加齢による腱の変化 項目 詳細 腱の柔軟性や強さの低下 腱の弾力や強度の低下、腱の硬化による負担耐性の減少 血流の悪化と修復力低下 血管の細さや閉塞による栄養不足、腱の修復能力の低下 繰り返しの負荷による摩耗 長期間の肩使用による腱の摩耗と変性、断裂リスクの増加 気づかない損傷の進行 進行がゆっくりで自覚症状が遅れることによる突然の症状出現 腱板は肩の動きを支える重要な腱ですが、加齢や長年の使用で弾力や強さが低下し、変性しやすくなります。細胞やコラーゲンの劣化、血流悪化で修復力も落ち、小さな負荷で損傷が進みやすくなります。 この変化は自覚しにくく、突然の痛みや動かしにくさとして現れることが多いため、違和感が出た場合は、早めの受診が大切です。 肩の使いすぎや外傷による負担 肩を繰り返し使いすぎると腱板に小さな損傷が蓄積し、炎症や違和感が生じやすくなります。野球やテニス、バレーボールなどのスポーツや重量物を扱う重労働は、肩の骨と腱が擦れたり衝突したりして損傷する原因のひとつです。 転倒や打撲、重い物を持ち上げた際の急な力でも損傷が起こり、突然の痛みや動かしにくさが現れます。とくに棘上筋は骨の突起の下を通るため摩擦や衝突を受けやすく、損傷しやすい部位です。そのため、肩を日常的に酷使する人は損傷が進行しやすくなります。 生活習慣や体質の影響 原因 詳細 年齢による変性(体質的影響) 加齢に伴う腱の老化と血流低下による修復力の低下、高齢者や大きな断裂のリスク増加 喫煙 ニコチンなどによる腱の細血管損傷と代謝・回復能力の低下 肥満・高BMI 体重増加による肩関節と腱への負担増加、慢性的炎症による腱の劣化促進 姿勢の悪さ 猫背や前かがみによる肩の動きの不均衡と腱への異常圧力・摩擦 運動不足 筋肉や腱の弱化による支持力低下と損傷のリスク増加 家族歴(遺伝的体質) 家族に腱板損傷の経験があることで、同様の体質的弱点の存在 生活習慣性疾患 高血圧や糖尿病による微小血流障害と腱の修復力低下、とくに糖尿病患者の組織老化促進 腱板損傷や腱板不全症候群は、加齢や生活習慣、体質が関与し、とくに65歳以上や広範囲の断裂がある方、喫煙者、糖尿病患者、筋萎縮や脂肪浸潤がある方、術後ケアを守らない方で発症リスクが高くなります。 2008年の研究では断裂の発生率が50~59歳で13%、60~69歳で20%、70~79歳で31%、80歳以上では51%に増加しています。(文献1) 喫煙は腱への血流を悪化させ修復力を低下させ、糖尿病などの生活習慣病も組織の修復を妨げます。遺伝的な体質が腱板の脆弱性に関与する可能性もあります。予防には、禁煙や適正体重の維持、良い姿勢と肩周りの軽い運動、慢性疾患の適切な管理が重要です。 腱板損傷の治療法 治療法 詳細 保存療法(薬物療法・注射・理学療法) 痛み軽減のための薬物使用、炎症抑制のステロイド注射、関節可動域維持の理学療法 リハビリテーション 肩周辺筋肉のストレッチと強化訓練、肩関節の動きの改善、関連部位の調整 手術療法 関節鏡視下手術による腱板断裂の修復、必要に応じた上方関節包再建術や人工肩関節置換 再生医療 神経や筋肉の機能改善を目指す細胞治療や組織修復技術 腱板損傷の治療は、症状や損傷の程度に応じて保存療法、リハビリテーション、手術療法、再生医療が選択されます。保存療法では薬剤や注射で炎症や痛みを抑え、理学療法で肩の可動域を維持します。 リハビリテーションでは筋力や柔軟性を向上させて日常生活での負担を軽減し、損傷が大きい場合や改善が得られない場合には手術を行います。 腱板損傷の治療法として、幹細胞を活用した再生医療も選択肢のひとつです。しかし、取り扱う医療機関が限られているため、事前に問い合わせや診察を受ける必要があります。 以下の記事では、腱板損傷の治療および自然治癒する可能性について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板損傷の治療法|どのくらいで治るのか・放置によるリスクを現役医師が解説 腱板損傷は自然に治癒する?放置のリスクと治療期間を現役医師が解説 保存療法(薬物療法・注射・理学療法) 治療法 詳細 薬物療法 違和感や炎症を和らげる消炎鎮痛剤の使用(飲み薬、湿布)による一時的な違和感の軽減と日常生活の改善 注射療法 超音波エコーで炎症部位を確認しながら行うステロイド注射やハイドロリリースによる炎症抑制と腱の拘縮を軽減 理学療法 理学療法士の指導による筋力強化運動、可動域拡大のストレッチ、温熱療法や電気治療を用いた負担を抑えた治療 注意点 腱の完全再生は困難で小康状態の維持を目指すこと、症状悪化時の医師受診の重要性、日常生活での肩負担軽減の工夫を含む 腱板損傷の保存療法は、手術を行わずに炎症や痛みを抑え、肩の機能維持を目指す治療法です。違和感や炎症を和らげる薬物療法(内服薬や外用薬)、直接炎症部位に注射をする注射療法(ステロイド注射やヒアルロン酸注射など)、そして温熱療法や電気療法を含む理学療法による血行促進や関節可動域の改善が行われます。 腱板が完全に治癒することは難しい場合もありますが、これらの方法で痛みの軽減や肩の動きの改善を目指します。 とくに加齢や軽度・部分断裂、高齢で活動量の少ない方では、保存療法で約75%の方に症状改善が見込まれます。(文献2) 以下の記事では、腱板損傷に対する保存療法について詳しく解説しています。 【関連記事】 肩の腱板損傷にはテーピングが有効!巻き方やリハビリについて専門医が解説 【痛み止め】関節症に使うステロイド注射の効果は?気になる副作用も解説 膝のヒアルロン酸注射が効かないのは失敗が原因?効果を感じないのはなぜ? リハビリテーション リハビリ内容 詳細 段階的な運動療法 初期の軽い可動域訓練・ストレッチによる関節可動域回復、腱板筋群強化、肩甲骨運動によるバランス改善 物理療法の併用 アイシング・温熱療法・超音波治療・電気刺激による痛みと炎症の軽減、血流改善 姿勢や動作の指導 日常生活での正しい肩の使い方や姿勢指導、負担軽減動作の習得 医師による継続的サポート 理学療法士や医師による個別プログラム作成と症状・状態に応じた進行管理 注意点 段階的な負荷設定の重要性、自己判断での継続回避、強い違和感が出た場合の中止と医師への相談 リハビリテーションは、腱板損傷の症状を改善し、肩の動きをスムーズにしながら筋力を強化して関節の安定性を高め、日常生活への支障を減らす重要な治療です。 痛みを軽減し、硬くなった関節の可動域を広げ、肩を支える筋肉を鍛えることで再発や悪化を防ぎます。理学療法士の指導によるストレッチや筋力強化運動で正常な肩の機能を取り戻し、生活の質向上と予防につながります。 以下の記事では、腱板損傷のリハビリや痛みを和らげる方法について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板損傷に効果的なリハビリとは?NG行為や治るまでの期間も解説 肩腱板断裂の痛みを和らげる方法5選!ストレッチや治療方法を現役医師が解説 手術療法 項目 詳細 手術が有効な理由 自然治癒困難な腱を物理的に修復して機能回復を図る効果、科学的根拠に基づく症状改善、早期修復による悪化防止 手術方法 関節鏡視下腱板修復術(ARCR)による小切開での腱板縫合と身体の負担軽減 手術の流れと適応 急性完全断裂や大きな損傷、保存療法無効例、生活や仕事への支障例での早期手術検討 効果 術後2〜10年間での肩の動きと機能回復の持続、従来法より優れた長期成績 注意点 感染症・神経障害・再断裂リスク、術前術後管理の重要性 (文献3) 損傷した腱は自然治癒が難しいため、手術で物理的に修復することで肩の違和感や動きの改善が期待できます。また、放置すれば損傷が拡大し、関節機能の低下や将来的な関節炎につながります。したがって、早期修復は進行防止に有効です。 現在主流の関節鏡視下腱板修復術は、小切開で腱を骨に縫合する低侵襲手術であり、術後の回復や合併症リスクの軽減が見込まれます。ただし、手術には感染、神経損傷、再断裂などのリスクがあります。とくに高齢者や大きな断裂、脂肪浸潤がある場合は再断裂のリスクが高く、術後リハビリの質が治療結果を左右するため適切な管理が必要です。 以下の記事では、肩腱板断裂の手術と入院期間について詳しく解説しています。 再生医療 再生医療は、患者様自身の脂肪組織や血液から採取した幹細胞や血液成分を用い、損傷した腱板の修復や再生を目指す治療法です。手術を伴わないため身体への負担が少ないのが特徴です。 幹細胞の働きによって、従来の薬物療法やリハビリでは改善が難しい損傷にも根本的な回復が期待できます。細胞は培養後に損傷部位へ注射で投与され、治療後も通常の生活を送りやすいのが利点です。 当院「リペアセルクリニック」では、腱板損傷に対する再生医療の症例を紹介しています。ぜひご確認いただき、再生医療も治療法の一つとしてご検討ください。 腱板損傷の予防と再発防止策 予防と再発防止策 詳細 生活習慣の見直しで肩への負担を減らす 重い物の持ち上げを控える、無理な動作の回避、禁煙による血流改善、健康的な体重維持 運動とストレッチで肩の柔軟性を維持する 肩周りの筋力強化運動、肩甲骨の動きを良くするストレッチ、適切なウォームアップとクールダウン 定期的な検診で早期発見につなげる 医師による状態評価、リハビリ進行の確認、違和感や痛みの早期相談による再発予防 腱板損傷を防ぐには、日常生活や運動習慣の見直しが重要です。重い物を避け、無理な動作を控え、禁煙と適正体重の維持によって肩の負担を軽減し、血流を改善します。 肩周囲の筋力強化や肩甲骨のストレッチ、適切なウォームアップとクールダウンで柔軟性を保つことも大切です。また、定期的な診察で状態を確認し、違和感があれば早めに医師に相談することで再発を防げます。 生活習慣の見直しで肩への負担を減らす 理由 詳細 肩への過度な負担の軽減 繰り返しの動作や重い荷物、長時間同じ姿勢による腱への負担減少、腱の疲労や損傷予防 筋肉や腱の老化・劣化の遅延 適度な運動やストレッチによる筋肉の柔軟性維持、血流改善による腱の健康促進と損傷リスクの軽減 肩の安定性と動きのサポート 無理な動作の回避や正しい荷物の持ち方による関節負担の軽減とケガ予防 炎症や疲労の蓄積防止 休息・睡眠の確保、ストレス管理による炎症悪化防止と肩の健康維持 具体的な生活習慣の見直し例 休憩の確保、体全体を使った荷物の持ち方、姿勢改善、適度な運動とストレッチによる肩周辺筋力と柔軟性の維持 生活習慣の見直しは腱板損傷の予防と再発防止に効果的です。繰り返し動作や重い荷物の持ち運び、長時間同じ姿勢など肩に負担をかける行動を減らすことで、腱の疲労や損傷を防げます。 適度な運動やストレッチ、正しい姿勢は筋肉の柔軟性と血流を保ち、腱の老化や劣化を遅らせます。肩の使い方を工夫し、重い物は両手で持つ、長時間同じ姿勢を避ける、作業中は休憩を取る、睡眠時の枕や姿勢に配慮することが大切です。 運動とストレッチで肩の柔軟性を維持する 予防ポイント 詳細 肩の柔軟性維持 肩の筋肉や腱の硬さや動きの悪さを防ぎ、不自然な負担を軽減し腱の損傷リスクを抑制 筋力強化による関節安定性向上 肩周囲の筋肉を適度に鍛え、肩関節を安定させ腱板への負担を分散、損傷予防に寄与 血流改善による組織回復促進 運動やストレッチで肩周辺の血行促進、栄養と酸素供給を増やし腱や筋肉の修復と疲労回復を支援 こわばり予防と動作負担軽減 肩のこわばりや硬さを防ぎ、動かしやすくすることで動作時の負担を減らし腱板の保護を図る 運動時の注意点 無理のない範囲での定期的なストレッチ、痛みがある場合は中止し専門家相談、軽い筋力トレーニング推奨 肩の柔軟性維持は腱板損傷の予防に有効で、筋力強化は関節を安定させ負担を分散します。運動やストレッチは血流を促し修復を助け、こわばり予防で腱板を守ります。 違和感がある場合は無理をせず医師の指導を受けることが大切です。 定期的な検診で早期発見につなげる ポイント 詳細 軽い損傷や初期変化の発見 問診・動作チェック・エコー・MRIによる自覚症状が軽い段階での異常発見 早期発見による治療効果 保存療法や生活習慣の見直しで状態安定、悪化防止と手術回避の可能性向上 再発・悪化リスクの管理 継続的な肩の状態確認と再発防止のための指導 状態把握によるセルフケア 日常生活での肩の使い方指導により無理な動作を避けやすく、良好な状態維持支援 肩に違和感が出た場合、放置せず早めに整形外科を受診しましょう。早期診断と適切な治療・ケアで症状の悪化や重症化を防げます。 とくにスポーツや肉体労働で肩を酷使する方は、症状がなくても定期検診で小さな異変を早期発見し、予防対策を講じることが大切です。 以下の記事では、MRI検査について詳しく解説しています。 腱板損傷でお悩みなら当院へご相談ください 腱板損傷は、日常生活に支障をきたします。腱板損傷を改善するには原因の特定と正しい治療の継続が不可欠です。 腱板損傷の症状が改善しない、強い違和感にお悩みの方は当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、腱板損傷の症状に直接アプローチする再生医療を、治療の選択肢のひとつとして提案しています。 再生医療は、薬物や手術を用いず、幹細胞を投与することで損傷した腱板を再生させる可能性がある治療法として、近年注目されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 腱板損傷に関するよくある質問 腱板損傷でやってはいけないことはありますか? 腱板断裂の悪化や再断裂を防ぐためには、肩への負担を避けて安静を保つことが重要です。 具体的には、重い物を持ち上げる動作(とくに頭上や水平位置)、無理に遠くや高所へ手を伸ばす動作、腕を強くひねる動作、急な動きや肩を大きく後ろに回す動作を控えましょう。症状や治療経過に応じて、医師の指示に従いましょう。 以下の記事では、腱板断裂の際にやってはいけないことを詳しく解説しています。 腱板損傷(断裂)は自然治癒で治りますか? 腱板断裂は程度によりますが、自然治癒は一般的に期待できません。完全断裂や広範囲断裂では自然には治らず、放置すると症状が悪化することがあります。 そのため、多くの場合は手術などによる治療が必要です。症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、腱板断裂の自然治癒について詳しく解説しています。 片桐作成KW(腱板損傷 自然治癒) 腱板損傷(断裂)を放置するとどうなりますか? 腱板断裂は自然に治癒せず、放置すると断裂が広がります。筋肉は萎縮して脂肪に置き換わり、修復が困難になります。 腱板の機能が失われると肩関節が変形し、違和感や動作制限、筋力低下で腕が挙がらなくなり、進行すると睡眠や服の着脱など日常生活にも支障が出るため、早期診断と適切な治療が重要です。 以下の記事では、腱板損傷を放置するリスクを詳しく解説しています。 腱板損傷を発症したスポーツ選手や有名人はいますか? 腱板損傷や断裂を経験したのは以下の日本人スポーツ選手です。 山本由伸(プロ野球・ドジャース) 由規(元ヤクルト) 浅尾拓也(元中日) 斉藤和巳(元ソフトバンク) 福田秀平(元ソフトバンク/ロッテ) 腱板損傷はプロスポーツ選手にも発症し、競技パフォーマンスや選手生命に大きな影響を与えることがあります。 以下の記事では、山本由伸選手が発症した腱板損傷について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) 修正中 (文献2) What happens to patients when we do not repair their cuff tears? Five-year rotator cuff quality-of-life index outcomes following nonoperative treatment of patients with full-thickness rotator cuff tears|PubMed (文献3) At a 10-Year Follow-up, Tendon Repair Is Superior to Physiotherapy in the Treatment of Small and Medium-Sized Rotator Cuff Tears|PubMed
2025.08.31 -
- 上肢(腕の障害)
- 肩関節、その他疾患
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「水泳のあとに肩が痛む……これって水泳肩?」 「水泳肩ってリハビリやストレッチで治るの?」 このような不安を抱えている方は多いでしょう。 水泳肩は、水泳による肩の使いすぎやフォームの崩れなどが原因で起こります。放置すれば痛みが慢性化し、日常生活や競技に支障をきたすこともあります。 しかし、正しく対処すれば症状の改善は可能です。 本記事では、水泳肩の特徴的な症状や原因、治療法を詳しく解説しています。自宅でできる対処法や再発防止も紹介しているので参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 水泳肩の痛みが治らず悩んでいる方や、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 水泳肩とは 水泳肩は、泳いでいる時や泳いだ後に肩が痛む症状を指します。 1978年に医学界で初めて命名された用語で、当初は水泳による肩の痛みだけを表していました。(文献1) しかし、現在は水泳以外でも肩に違和感や痛みを感じる症状全般を含む呼び方に変化しています。 以下の記事では、肩の痛みが関係する病気について解説しています。視野を広げて肩の痛みの原因を探したい方は参考にしてみてください。 水泳肩の主な症状 水泳肩で現れる代表的な症状は以下の表のとおりです。 症状の種類 特徴 違和感・引っかかり感 肩を回すとゴリゴリといった不快な感覚や引っかかりがある 肩の痛み 水泳中や安静時にもズキズキした痛みが現れ、程度は軽い違和感から激痛まで幅がある 動かしにくさ 腕を上げたり、後ろに回す動作が難しくなり、日常生活にも支障をきたすことがある 腫れ・熱感 強い炎症により肩が腫れ、熱を持ち、赤くなるなどの症状を伴う これらの症状に心当たりがある方は水泳肩の可能性が高いです。 無理にトレーニングを続けず、症状が現れたら医療機関を受診しましょう。 症状が悪化すると、インピンジメント(衝突症候群)で骨や筋肉が肩の中でぶつかって痛む状態や、関節唇損傷で肩の軟骨が傷ついた状態になるなど、重篤な疾患に発展する恐れがあります。 水泳肩になる主な原因 水泳肩を引き起こす主な原因には以下の2つがあります。 肩の使いすぎ フォームが悪い それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。 肩の使いすぎ 肩の使いすぎは水泳肩を引き起こす代表的な原因です。(文献1) 水泳動作により肩関節が反復して使われることで、筋や腱に過剰なストレスがかかり、炎症反応を引き起こすためです。 とくに、長時間の練習や高強度のトレーニングを続けると、肩周辺の組織が十分に回復する時間がとれなくなります。 また、急激に練習量を増やした場合も、肩への負担が急激に高まり障害のリスクが上昇します。 適切なタイミングで休息をとり、練習量は段階的に増やしていきましょう。 フォームが悪い 泳ぎのフォームが悪いと肩関節に異常な負担をかけ、水泳肩の発症リスクを高めます。 肩の動きが不自然になると、特定の筋肉や腱に過度な負荷が集中し、炎症や損傷を引き起こします。 たとえば、以下の要因です。 腕の入水角度が悪い 肩の回転が不十分 体幹が不安定 肩だけで推進力を生み出そうとすると過度な負担がかかります。 正しいフォームを習得し、肩にかかる負担をおさえましょう。 水泳肩の痛みに効果的なストレッチ 水泳肩の痛みを軽減するためには、適切なストレッチが効果的です。 ストレッチを行うことで肩周辺の筋肉の柔軟性が向上し、血流が改善されて痛みの軽減につながります。 水泳肩の痛みに効果的なストレッチは以下のとおりです。 小胸筋(胸の上の方で肩の前にある筋肉)のストレッチ 肩の内旋(内側にねじる)ストレッチ 肩甲骨まわりのストレッチ 日常的にストレッチを行うことで、水泳肩の予防効果も期待できます。 ただし、強い痛みがある場合は無理をせず、医師や理学療法士の指導を受けながらストレッチを行いましょう。 水泳肩の代表的な治し方と治療期間 水泳肩の治療法と治療期間を理解できれば、症状に応じた選択が可能になります。 水泳肩の主な治療法には以下の4つの方法があります。 保存療法 リハビリ 手術 再生医療 各治療法の特徴と適応について詳しく解説します。 保存療法 保存療法は水泳肩の症状が軽度〜中程度期の治療として選択される方法です。 痛みの段階に応じて以下の治療を行います。 安静にする 湿布などで冷却する 消炎鎮痛剤を内服する ステロイド注射をする 保存療法の治療期間は、症状や治療内容によって個人差があります。 リハビリ リハビリテーションは水泳肩の機能回復と再発予防が期待できます。 理学療法士による専門的な指導のもと、主に肩関節の可動域改善や筋力強化などの運動療法を行います。 初期段階では痛みの軽減と炎症の抑制をして、徐々に筋力トレーニングや動作練習を加えていくのが一般的です。 また、正しい泳ぎのフォームの習得や、水泳復帰のための段階的なトレーニングも含まれます。 リハビリ期間は個人差があるため、競技復帰までの期間も個々に異なります。 手術 水泳肩が重症化すると、肩の腱板が切れてしまう腱板断裂に至り、手術を検討する必要があります。 腱板が断裂すると、肩を動かすたびに強い痛みが出るだけでなく、筋力が入らず腕が思うように上がらなくなるケースも見られます。 こうした状態では、切れた腱板をつなぎ直す関節鏡視下手術と呼ばれる内視鏡手術が一般的です。 手術の入院期間は2日から5日程度で、手術後は数カ月間リハビリを通じて機能の回復を目指します。 再生医療 再生医療は人間の組織を活用した治療法です。 再生医療には、「幹細胞治療」と「PRP(多血小板血漿)療法」があります。 「幹細胞治療」はご自身の脂肪などから幹細胞を採取・培養し体内へ注射する治療です。 「PRP(多血小板血漿)療法」では、ご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し体内へ注射します。 当院では両方の治療法を提供していますので、具体的な治療内容を知りたい方は当院までお気軽にお問い合わせください。 水泳肩の原因と治し方を知って適切に対処しよう 水泳肩は適切な知識と対処法を理解できれば、効果的に治療をはじめられます。 しかし、痛みがある状態で無理に水泳を続けてしまうと、将来的に手術が必要となる場合があります。 水泳肩の主な治療法は以下の4つです。 保存療法 リハビリ 手術 再生医療 痛みを感じたら無理をせず、医療機関で適切な診断と治療を受けましょう。 症状が改善しない水泳肩の損傷に対しては手術や再生医療の選択肢もあります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 水泳肩に関するよくある質問 水泳肩は肩のどこの部分が痛い? 水泳選手に多い肩の痛みは、主に棘上筋と呼ばれる筋肉の腱に炎症が起こることが原因とされています。(文献1) 棘上筋の場所は、肩甲骨上部から上腕骨の上端にかけて付着する筋肉です。 棘上筋周辺の筋肉や腱に炎症が生じると、腕を上げる動作や回旋動作で痛みが増強します。 また、重症化すると肩甲骨周辺や首筋にまで痛みが広がる場合があります。 関連記事:肩が痛い!医師が詳しく解説 | 大阪 リペアセルクリニック 水泳肩は治らない怪我ですか? 水泳肩は適切な治療により改善できるスポーツ障害です。 早期発見と正しい治療により回復が期待できます。 関連記事:水泳肩が治らない?気付かずに悪化する理由や治療法について解説 | 大阪 リペアセルクリニック 水泳肩に効くトレーニングはありますか? 水泳肩の改善には肩甲骨周辺の筋力強化とバランス調整が効果的です。 とくに、ローテーターカフと呼ばれる深層筋群の肩甲骨まわりのトレーニングに取り組むことが水泳肩に効くと報告されています。(文献2) 具体的には、軽い負荷でのチューブトレーニングやダンベルなどを使用し、体幹の安定性を高めるエクササイズなどがあります。 ただし、痛みがあるときは無理をせず、医療機関を受診し適切な指導のもとでトレーニングを段階的に進めることが大切です。 参考文献 (文献1) Biomechanical Considerations in the Competitive Swimmer’s Shoulder|Sports Health (文献2) Effectiveness of Therapeutic Exercise in Musculoskeletal Risk Factors Related to Swimmer's Shoulder|Eur J Investig Health Psychol Educ
2025.07.31 -
- 肩関節、その他疾患
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デスクワークやスマートフォンの使用が増え、「肩甲骨が動かない」「硬い」と感じる人が増えています。肩甲骨は上下、内側・外側への回旋、前傾・後傾など多方向に滑らかに動くのが本来の姿です。しかし、肩甲挙筋、大菱形筋、小菱形筋、僧帽筋などが硬くなると「可動域制限」が生じます。 初期は痛みを感じにくく、肩こりや首こり、猫背、呼吸の浅さなどの不調を見過ごしがちです。本記事では、肩甲骨が動かない原因やセルフチェック、改善方法、受診の目安までをわかりやすく解説しますので、参考にしてください。 肩甲骨が動かない・肩の可動域制限のお悩みを今すぐ解消したいとお考えで、再生医療に興味がある方は当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 肩甲骨が動かない原因 肩甲骨の動きが制限されると、肩こりや首の痛みだけでなく、姿勢全体の乱れにもつながります。ここからは、肩甲骨が動かなくなる主な原因を詳しく解説します。日常生活の中で気をつけるポイントを知り、予防や改善へつなげていきましょう。 姿勢が悪い 猫背や巻き肩といった悪い姿勢は、肩甲骨の動きを妨げる大きな要因です。長時間のデスクワークやスマートフォンの操作によって、頭や肩が前に出た姿勢が習慣化すると、胸の筋肉は短縮し、背中の筋肉は引き伸ばされて弱くなります。 その結果、肩甲骨が外側に開いたまま固定され、動かしづらくなります。姿勢のクセは肩や首の負担を増やし、肩こりや頭痛などの症状を引き起こしがちです。慢性的な痛みを防ぐには、正しい姿勢を心がけ、こまめに肩甲骨を動かすストレッチを取り入れることが大切です。 筋肉が硬い・バランスが悪い 肩甲骨の動きは周囲の多くの筋肉によって支えられています。僧帽筋、肩甲挙筋、大菱形筋、前鋸筋などが硬くなったり、筋力が低下したりすると、肩甲骨の動きが制限されます。過度の緊張状態やアンバランスな使い方が続くと、特定の筋肉だけに負担がかかり、柔軟性や協調性が失われます。 日常生活で肩甲骨を大きく動かす機会が減っていることも、筋肉の問題を悪化させる原因です。改善にはストレッチや適度な運動で筋肉の柔軟性を保ち、バランスよく使う習慣が重要です。 ストレス・呼吸が浅い ストレスを感じると、無意識に肩に力が入り、呼吸が浅くなりがちです。浅い呼吸が続くと肩や胸まわりの筋肉が常に緊張した状態になり、肩甲骨の動きが制限されます。呼吸に関わる胸郭の動きが硬くなると、肩甲骨の滑らかな可動性にも悪影響を及ぼします。 深くゆったりとした呼吸を意識することは、心身のリラックスだけでなく、肩甲骨周囲の筋肉を柔らかく保つためにも大切です。リラックス法を取り入れ、呼吸を整える習慣を心がけましょう。 肩甲骨が動かない状態を放置するリスク 肩甲骨の動きが悪い状態を放置すると、首や肩の筋肉に過度な負担がかかり、「常にこっている」「だるい」「重い」といった慢性的な不快感を引き起こします。マッサージなど一時的な対処では改善しにくくなる場合もあります。猫背や巻き肩、スマホ首、ストレートネックなど姿勢の崩れを招き、見た目の印象が悪化するだけでなく、呼吸や内臓への負担も大きいです。 肋骨や胸郭の動きが制限されることで呼吸が浅くなり、酸素の取り込み不足による疲れやすさや睡眠の質の低下にもつながります。肩甲骨の痛みや動かしづらさを感じたら、当院へお気軽にご相談ください。 肩甲骨が動かない場合の自宅でできるストレッチ 肩甲骨が硬いと感じるときは、肩甲骨周囲の筋肉をほぐし、動きを良くするストレッチを自宅でも行いましょう。無理のない範囲で続けると、可動域の改善や肩こりの予防が期待できます。 肩甲下筋のマッサージ 肩甲下筋(肩甲骨の前面に付着している大きな筋肉)が硬くなると肩甲骨の動きが制限され、肩こりや可動域の低下を招きます。自宅でできるセルフマッサージを試してみましょう。 片手を反対の脇の下に深く入れる 肩の前側(脇のすぐ奥)に指を押し当てる 痛気持ち良いポイントを探し、円を描くようにゆっくり押し回す 30秒ほど続ける 呼吸を止めず、リラックスした状態で行う (文献1) 筋肉をほぐすことで肩甲骨周囲の緊張が和らぎ、徐々にスムーズな動きができるようになります。普段のケアに取り入れて、肩こりや動きの悪さを予防します。 広背筋のストレッチマッサージ 広背筋(胸郭下部後方の大部分を占める広くて平らな筋肉)が硬いと肩甲骨の動きが悪くなり、猫背や肩こりを助長します。以下の方法で自宅でも簡単にケアしましょう。 仰向けになり、テニスボールを肩甲骨の下あたりに置く ゆっくり体を前後に動かしながら広背筋をほぐす 1分ほど繰り返す 痛みが強い場合は無理をせず調整する (文献1) 筋肉の緊張を和らげると、肩甲骨の可動域が改善され、姿勢も整いやすくなります。毎日のセルフケアにおすすめです。 大胸筋のストレッチ 大胸筋(胸部の大きな筋肉)の硬さは巻き肩や猫背の原因となり、肩甲骨の外側固定を招きます。以下のストレッチを取り入れましょう。 壁の横に立ち、肘を90度に曲げて手を壁につける 体を反対側にゆっくりひねる 大胸筋をしっかり伸ばす 20~30秒キープし、左右交互に行う (文献1) 胸の筋肉をゆるめることで肩甲骨が内側へ戻りやすくなり、自然な姿勢を保ちやすくなります。呼吸を止めずリラックスしながら行いましょう。 肩甲骨が動かない場合の受診目安 肩甲骨の動かしづらさが続き、痛みやしびれ、日常生活に支障が出てきた場合は、自己流のケアだけでなく医療機関への相談を検討してください。以下のような症状が出現した場合は、受診が必要です。 痛みが強い場合 しびれがある場合 四十肩や五十肩の疑いがある場合 痛みが強い 肩甲骨周囲の痛みが強く、以下のように日常生活に支障が出ている場合は受診を検討します。 肩の突然の強い痛み、とくに夜間に痛みが増す 腕を動かそうとすると鋭い痛みが走る 着替えや洗髪など日常動作が困難になる こうした症状は、炎症や神経の圧迫など原因がさまざまです。放置すると痛みが慢性化しやすく、可動域の制限や筋力低下を招くこともあります。早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。 しびれがある 肩甲骨付近のしびれは、以下のような神経の圧迫や血流障害などが原因の可能性があります。 頸椎や胸椎の歪みからくる神経圧迫 斜角筋、小胸筋など周囲筋肉の過度な緊張や締め付け 長時間の同じ姿勢や負荷による血流障害 しびれは肩甲骨周囲だけでなく、腕や手先にまで広がることもあります。軽いしびれでも放置せず、専門医の診察を受けて原因を特定し、適切な治療やリハビリで改善を目指しましょう。 四十肩や五十肩の疑いがある 痛みとともに肩の動きが制限されてきた場合、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)の可能性があります。以下のような症状の場合は要注意です。 腕を上げたり後ろに回す動作がつらい 着替えや髪を結ぶなど日常生活動作が困難 痛みが徐々に増し、動かせる範囲が狭くなる 進行すると拘縮(固まり)や痛みが長期化しやすいため、早めの受診が重要です。医療機関では痛みを和らげる治療やリハビリを行い、可動域を取り戻します。肩の動きや痛みの変化に気づいたら、医療機関の受診をおすすめします。 肩甲骨が動かない場合の治療法 肩甲骨の動きが制限され、痛みや不調が続く場合は医療機関での専門的な治療が有効です。以下のような主な治療法をご紹介します。 内服・注射 リハビリテーション 温熱療法・冷却療法 再生医療 内服・注射 痛みや可動域制限を軽減するため、まずは内服薬での治療を行います。鎮痛剤や漢方薬などを用いて痛みや炎症をコントロールし、肩甲骨周囲の筋肉が動きやすい状態をつくります。薬による治療は、リハビリやストレッチを進めるための基本です。 症状に応じて以下のような注射療法を組み合わせて行い、即効性のある痛みの緩和を図ります。 筋肉を動きやすくするハイドロリリース 拘縮部位へのマニュピュレーション エコーガイド下でのブロック注射 患者様一人ひとりの状態やご希望を踏まえ、医師が治療プランを提案します。 リハビリテーション リハビリは肩甲骨の動きを取り戻すために欠かせない重要な治療法です。理学療法士が一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた以下のようなプログラムを提案し、無理なく続けられるようサポートします。 肩甲骨周辺の筋肉を柔らかく保つストレッチ 筋力を強化するためのトレーニング 肩甲骨の位置や動きを正しく導く運動療法 セルフケアの方法も丁寧に指導し、再発予防までを見据えた包括的なケアを行います。定期的な通院での経過確認や目標設定も大切にし、患者様と二人三脚で改善を目指します。 温熱療法・冷却療法 肩甲骨周囲の痛みや緊張を和らげるため、温熱や冷却を使った物理療法を行います。 温熱療法の効果は以下のとおりです。 患部を温め血行を促進 筋肉の緊張を和らげて動きを改善 慢性的なこりや硬さをほぐし、リハビリ効果を高める 冷却療法の効果は以下のとおりです。 患部を冷やして炎症を抑制 急性期の痛みを軽減 腫れや負担を抑え回復を促す 症状や痛みの程度、時期に応じて医師や理学療法士が適切に選択し、温熱と冷却を組み合わせて治療します。定期的な評価をしながら、再発予防を含めた治療を行います。 再生医療 進行した肩の障害や腱板損傷など、従来の治療で十分な効果が得られない場合に、再生医療といった新しい選択肢もあります。再生医療には以下のような特徴があります。 自身の脂肪組織から採取し培養した幹細胞を投与 幹細胞が腱板などの組織を再生し、痛みや可動域制限を改善 手術を回避できる可能性がある身体への負担が少ない治療法 患者様ごとに適応や効果は異なるため、診察時にしっかりと評価を行い、治療方針を提案します。当院では、治療のリスクや期待できる効果についてもわかりやすくご説明します。再生医療に興味がある方、不安をお持ちの方もぜひ一度ご相談ください。患者様のより良い生活を取り戻すためのお手伝いをいたします。 肩甲骨が動かない原因を解明させ適切に対処しよう 肩甲骨が動かないのは、多くの人が抱える身近な悩みです。可動域の制限は肩こりや首こり、猫背などの姿勢悪化、呼吸の浅さ、頭痛などさまざまな不調を引き起こします。早めのセルフケアやストレッチを習慣づけると、予防や改善につながります。 ただし、痛みが強い、動きが著しく制限される、しびれを感じるといった場合は自己判断で放置せず、医療機関へ相談してください。原因を正しく解明し、自分に合った治療やリハビリを受ければ、根本的な改善と再発予防の大きなポイントになります。 当院にも、肩甲骨の動きの悩みを抱えた患者様が多く通っています。専門家と一緒に取り組むことで、より快適な生活を取り戻しましょう。 参考文献 文献1 腕が後ろに回らない原因とは?効果的なマッサージ方法も|西荻窪きりん堂接骨院南口院
2025.07.31 -
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「片麻痺の影響で肩が外れかけていると言われたけど、普段どんな動きを避ければいいの?」 「介護のときに腕を引っ張ってしまっていないか心配…」 このように不安を抱える方は多いでしょう。 片麻痺のある方は、肩の筋肉の働きが弱まることで、肩関節の亜脱臼が起きやすくなります。そのため、腕を無理に引っ張る・ぶら下げる・肩より高く上げすぎるといった行為は避けるべきです。 これらの禁忌を知らずにいると、痛みが悪化したり、肩の可動域がさらに制限されたりする可能性があります。だからこそ、本人・介護者ともに正しい知識を身につけておきましょう。 本記事では、片麻痺による亜脱臼の原因や避けるべき禁忌行為を解説します。リハビリ方法も紹介しているので、片麻痺の亜脱臼に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。 片麻痺と亜脱臼の関係性 肩関節の亜脱臼は、ラグビーやバスケなどの接触が多いスポーツでみられやすいケガです。 しかし、スポーツによるケガだけでなく、脳卒中後の後遺症である片麻痺に伴って生じることがあります。とくに、脳卒中を発症して間もない弛緩性麻痺の時期に起こりやすいとされています。 弛緩性麻痺とは、体を動かそうとしても筋肉がうまく働かず、常に脱力して腕がだらりと垂れ下がってしまう状態です。 肩周りの筋肉が緩むと腕の重さを支えきれなくなり、重力によって腕全体が下方向へ引っ張られます。この持続的な力が肩の関節を正常な位置からずらしてしまい、亜脱臼を引き起こすのです。 また、感覚障害や半側空間無視(脳損傷により片側の空間を認識できなくなる症状)があると、麻痺側の肩が体の下敷きになっていても気づかず、亜脱臼につながる場合もあります。ある研究では、片麻痺の患者様の約35%に肩関節亜脱臼が見られたとの報告もあります。(文献1) 亜脱臼があるからといって必ずしも痛みが出るわけではありません。実際に、亜脱臼のある方の約50%は痛みを訴えないとの報告もあります。(文献2) その他の脳卒中における後遺症についてはこちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 【禁忌】片麻痺の亜脱臼でやってはいけない3つの行為 片麻痺によって亜脱臼が起きている場合、やってはいけない行為は以下の3つです。 腕を高く上げすぎる 腕をぶら下げる 腕を無理に引っ張る これらの行為に共通しているのは、肩関節や肩周囲の筋肉に負荷がかかる動きである点です。症状を悪化させないために日常生活でこの3つの行為を避けるよう意識しましょう。 腕を高く上げすぎる 麻痺側の腕を肩より高い位置まで無理に上げすぎる行為は避けるべきです。麻痺の影響で肩周りの筋肉が緩み、関節が不安定な状態になっているためです。 この状態で腕を高く上げると、肩関節が前方に引っ張られ、亜脱臼や脱臼を引き起こす危険性が高まります。 しかし、弛緩性麻痺で肩の亜脱臼を起こしている方は、自力で高く腕を上げられません。そのため、腕を高く上げすぎる動作は、介助者が着替えや洗体などを介助する際に注意が必要です。 腕を動かすときは、痛みや違和感のない範囲にとどめましょう。 腕をぶら下げる 麻痺側の腕をだらりとぶら下げたままにしておくことも、亜脱臼を悪化させる原因です。 とくに弛緩性麻痺の場合、腕の重さを支える筋肉が十分に働かず、立ったり座ったりしている間、常に腕の重みで肩関節が下へ引っ張られます。この状態が長く続くと、肩周りの筋肉や靭帯が伸びてしまい、関節のずれが大きくなる可能性があります。 たとえば、以下のような場合は腕が落ちてしまったり、ぶら下がったりしないようにしましょう。 車いすに座っているとき ベッドで横になっているとき クッションやテーブルの上に腕を置くなど、常に腕を安定した位置に保つ工夫が必要です。 腕を無理に引っ張る 本人だけでなく、家族や介護者の方が麻痺側の腕を無理に引っ張る行為も避けるべきです。 ベッドからの起き上がりや移乗介助の際に、腕をつかんで引っ張ってしまうと、肩関節周囲の組織が伸び、亜脱臼を悪化させる恐れがあります。 介助の際は、肘と手首のあたりを優しく支え、腕全体を肩関節の方へそっと押し込むように意識しながら動かしてください。 また、感覚障害で腕の位置がわかりにくくなっている場合も少なくありません。お腹の上やテーブルの上など、本人の視界に入る場所に腕を置いてあげることで、安心感にもつながります。 片麻痺の亜脱臼に対する4種類のリハビリ 片麻痺に伴う肩関節の亜脱臼に対しては、以下の4種類のリハビリがおこなわれます。 ポジショニング 装具療法 電気治療 運動療法 これらの方法を患者様の状態に合わせて組み合わせ、専門家の指導のもとで進めていくのが一般的です。 ポジショニング|腕を正しい位置に置く ポジショニングは、麻痺側の腕を常に正しい位置に保ち、肩関節に負担をかける禁忌姿勢を避けて関節を保護する基本的なアプローチです。 姿勢ごとのポジショニングのポイントを以下の表にまとめました。 姿勢 ポイント 椅子や車椅子に座っているとき 机やクッションに腕をのせて、だらりと垂れ下がらないようにする 仰向けで寝ているとき 体の横に対して、腕が中央に来るように枕やクッションで高さを調整する 横向きで寝ているとき 抱き枕やタオルなどを使い、腕が体の下敷きになったり、前に落ちたりするのを防ぐ 適切なポジショニングは肩への持続的な負荷を減らすため、亜脱臼の悪化以外に痛みの緩和やむくみの軽減にもつながります。 装具療法|アームスリング固定による疼痛の軽減 装具療法は、三角巾やアームスリングといった装具を用いて、肩関節を安定した位置に固定する方法です。麻痺側の腕が垂れ下がることで生じる亜脱臼の悪化や、それに伴う痛みの増強を防ぐ目的でおこなわれます。 脳卒中治療ガイドライン2021では、スリングは有用な場合もあるものの、その効果は装着している間に限られるとされています。(文献3)長期間の固定は肩や肘を動かす機会を奪うため、関節が硬くなる「拘縮」を招く原因になりかねません。 安易に装具を使用するとリハビリの妨げになる可能性もあるため、自己判断での装着は避けましょう。 理学療法士や作業療法士など専門家の評価のもと、必要な時間や場面を見極めて適切に使用する必要があります。 電気治療|電気刺激による筋の強化 電気治療は、麻痺で動きにくい肩周りの筋肉に電気で刺激を送り、筋肉の収縮を促して再教育を図る治療法です。筋肉の収縮は、肩関節を本来の位置に引き上げる助けとなります。 電気治療では、主に神経筋電気刺激が用いられ、脳卒中治療ガイドライン2021でも、肩関節亜脱臼への神経筋電気刺激は妥当とされています。(文献3) 電気治療はリハビリの一環として、他の運動療法と組み合わせて実施されるのが一般的です。 ただし、片麻痺の亜脱臼に対する神経筋電気刺激は、脳卒中の発症から間もない急性期・亜急性期での有用性は示されたものの、発症後6カ月以降の慢性期では明確な差はなかったとの報告もあります。(文献4) 運動療法|肩関節周囲の筋力強化 運動療法は、肩関節を支える筋力を強化し、関節の安定性を取り戻すための治療法です。 自動運動(自分で動かす運動)や他動運動(他の人に動かしてもらう運動)を通じて、筋力低下を防ぎ、関節が硬くなる拘縮を予防します。 肩関節を支える筋肉の中でインナーマッスルの1つである回旋筋腱板は、上腕骨を肩甲骨に引き付けて安定させる役割を担います。回旋筋腱板をバランスよく鍛えることは、肩の安定性を高めるために欠かせません。 ただし、無理な運動はかえって肩を痛める原因になりかねません。必ずリハビリの専門家の指導のもと、痛みや違和感のない範囲でおこないましょう。 片麻痺の亜脱臼における禁忌事項を把握して悪化を防ごう 片麻痺の亜脱臼に対して、やってはいけない禁忌事項を理解せずにいると、意図せず亜脱臼を悪化させてしまう危険性があります。とくに感覚障害や半側空間無視がある場合は、本人が異変に気づきにくいため家族や介護者の方の正しい知識と協力が欠かせません。 肩関節を本来あるべき位置に保つためにも、専門家の指導のもとでリハビリに取り組み、日頃から腕の位置に気を配って正しい姿勢を心がけましょう。 運動麻痺のような脳卒中の後遺症に対する治療法として再生医療も選択肢の1つです。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 片麻痺と亜脱臼に関するよくある質問 片麻痺の亜脱臼は改善しますか 適切なリハビリテーションの継続は、片麻痺の亜脱臼の改善が期待できる方法の1つです。 たとえば、神経筋電気刺激を受けた患者様は、受けなかった場合よりも亜脱臼の程度が小さくなったとの研究報告が存在します。(文献5)また、麻痺からの回復段階が進むにつれて、亜脱臼の改善が見られたとの報告もあります。(文献6) 専門家と相談しながら、自分の状態に合ったリハビリに取り組んでいきましょう。 亜脱臼を放置するとどうなりますか 片麻痺に伴う亜脱臼を放置すると、さまざまな問題につながる恐れがあります。 まず、時間の経過とともに関節が固まり、元の位置に戻すのが難しくなると考えられます。また、肩周囲の筋肉に負担がかかり続け、肩を支える重要な腱板の断裂を引き起こす可能性も低くありません。 ある研究では、50歳以上の反復性肩関節脱臼の症例の多くで腱板断裂が合併していたとの報告もあるため、亜脱臼は放置せずに適切な治療を受けましょう。(文献7) 【関連記事】 肩腱板断裂(損傷)とは?現役整形外科医師が徹底解説 肩腱板断裂の手術と入院期間について医師が詳しく解説 参考文献 (文献1) 猪飼哲夫,米本恭三ほか 「脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼の検討-経時的変化について-」 リハビリテーション医学 29 (7) , pp.569-575 , 1992年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/29/7/29_7_569/_pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献2) Leonid Kalichman,Motti Ratmansky 「Underlying pathology and associated factors of hemiplegic shoulder pain」 American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation 90 (9) , pp.768-780 , 2011 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21430513/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献3) 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会「脳卒中ガイドライン2021[改訂2025]」, 2025年 https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2025_kaiteikoumoku.pdf(最終アクセス2025年6月16日) (文献4) Jae-Hyoung Lee,Lucinda L Bakerほか 「Effectiveness of neuromuscular electrical stimulation for management of shoulder subluxation post-stroke: a systematic review with meta-analysis」 Clinical Rehabilitation 31 (11) , pp.1431-1444 , 2017 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28343442/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献5) Sandra L. Linn,Malcolm H. Granatほか 「Prevention of Shoulder Subluxation After Stroke With Electrical Stimulation」 Stroke 30 (5) , pp.963-968 , 1999 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10229728/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献6) 武富由雄 「脳卒中片麻痺における肩関節の亜脱臼と運動 機能回復段階に関する一考察」 肩関節 16 (2) , pp.218-220 , 1992年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/16/2/16_218/_pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献7) 伊崎輝昌,柴田陽三ほか 「腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する治療成績-鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術の併用法-」整形外科と災害外科 58 (2) , pp.188-191 , 2009年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/58/2/58_2_188/_pdf (最終アクセス2025年6月10日)
2025.06.29 -
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「肩の亜脱臼ってどうやって治すの?自分でも治せる?」 「肩を動かすと痛みと違和感がある…これって亜脱臼?」 このような疑問や不安を抱える方は多いでしょう。 結論からお伝えすると、肩の亜脱臼は保存療法・リハビリ・手術などを組み合わせることで治療可能です。 一方で、亜脱臼を自分で治す情報もありますが、関節の損傷や慢性的な肩の不安定性につながるリスクがあります。 リスクを未然に防ぐためにも、正しい治し方を理解しておきましょう。 本記事では、肩関節亜脱臼の症状や治し方、放置したときのリスクについて詳しく解説します。脱臼との違いについても紹介するので、肩の痛みや違和感でお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。 【基礎知識】肩関節亜脱臼と脱臼の違いについて 亜脱臼とは、肩の関節が正常な位置から部分的にずれた状態を指します。 肩関節の亜脱臼は関節が外れかかった後、自然に元の位置へ戻る場合がある点が大きな特徴です。そのため、「外れかかった」や「抜けかけた」と表現されることもあります。 肩関節の亜脱臼が起きた際には、瞬間的に鋭い痛みや腕が抜けるような感覚を覚えることがあります。 しかし、すぐに肩関節が元の位置に戻るため、肩がはっきりと外れたといった自覚がないケースも少なくありません。自分では亜脱臼だと気づかず、肩の違和感やだるさとして感じている場合もあります。 一方で、脱臼とは肩関節が本来の位置から完全に外れてしまった状態を指します。 ケガによって生じる肩関節の脱臼の多くは、腕の骨である上腕骨が肩の前方へ外れるタイプです。とくに以下のようなコンタクトスポーツで発症しやすい傾向にあります。 柔道 ラグビー アメリカンフットボール 亜脱臼は脱臼に比べて症状が軽く、気づかないケースも少なくありません。しかし、亜脱臼を放置すると症状の悪化や別の疾患に移行する可能性があるため、早期に治療する必要があります。 肩関節亜脱臼の治し方|全治までの期間も紹介 肩関節の亜脱臼の治療には主に以下の3つの方法が挙げられます。 保存療法 リハビリ 手術 保存療法とリハビリを中心にした治療が一般的です。しかし、これらの方法で状態がよくならない場合や、脱臼を繰り返す場合には手術が検討されます。 それぞれの治療方法を見ていきましょう。 保存療法|徒手整復と固定 亜脱臼によって肩関節が外れかかった際は、まず専門家による徒手整復(手技により関節を元の位置に戻す処置)がおこなわれます。患者様を仰向けに寝かせた状態で腕をゆっくりと持ち上げていく方法は、痛みが少なく、関節を整復できると知られています。 整復後は再脱臼を防ぐため、肩関節の固定が必要です。固定期間について明確なエビデンスはありませんが、患者の年齢や損傷程度に応じて1〜3週間おこなうケースが一般的です。 また、内旋位固定(従来の三角巾による固定)は、再発の可能性が高いと指摘されています。ある研究では、内旋位固定での再発率が42%であったのに対し、外旋位固定(気をつけの姿勢から、肘を直角に曲げ、脇を少し開いた状態で固定)では26%であったとの報告があります。(文献1) そのため最近では、肩を少し外に開いた状態で固定する外旋位固定を推奨する病院も少なくありません。 リハビリ|インナーマッスルや肩甲骨周囲 一定期間の固定が終了した後は、肩関節の機能回復を目的としたリハビリを開始します。リハビリは自己判断でおこなうと、痛みの悪化や他の筋肉を損傷する恐れがあるので、必ず医師や専門のリハビリスタッフの指導のもとで進めましょう。 適切なリハビリテーションは、肩関節の以下の能力を改善させ、安定性の獲得に大きく寄与すると報告されています。(文献2) 筋力 可動域 深部感覚 まずは硬くなった関節の可動域を広げる訓練から始め、痛みのない範囲での振り子運動から慎重に進めていきます。その後、状態を見ながら徐々に肩の安定性を高めるための筋力トレーニングへ移行します。 肩関節の安定性を高めるためには、インナーマッスル(回旋筋腱板)や、肩甲骨の動きに関わる周囲の筋肉をバランス良く鍛えるのが重要です。 回復の程度によりますが、スポーツへの復帰の目安はノンコンタクトスポーツ(テニスやゴルフなど、身体接触のないスポーツ)で4~6カ月、コンタクトスポーツ(バスケやラグビーなど、身体接触があるスポーツ)で6~8カ月と報告されています。(文献3) 手術|反復性肩関節脱臼の場合 保存療法やリハビリテーションをおこなっても、脱臼や亜脱臼を繰り返してしまうケースがあります。このように脱臼が習慣化してしまった「反復性肩関節脱臼」の状態では、手術も選択肢の1つです。 手術の目的は、脱臼の際に損傷した組織を修復し、肩関節の構造的な安定性を取り戻すことです。 現在おこなわれている手術では、損傷した関節唇と呼ばれる軟骨組織を修復する「鏡視下Bankart(バンカート)法」が選択されることが多くなっています。この手術は、関節鏡を用いるため小さな傷で済み、体への負担が少ない点が特徴です。 脱臼に対する手術の種類については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。 肩関節の亜脱臼は自分で治せるのか? 肩の関節が外れかかった際、自然に元の位置へ戻ることもあります。このため「自分で治せるのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、自分で関節を戻そうとする行為はおこなわないでください。 無理に関節を動かしたり、入れようとしたりすると、肩の周囲にある重要な神経や血管を傷つけてしまう恐れがあります。また、肩を支えるインナーマッスルである腱板を新たに損傷する原因にもなりかねません。 たとえ痛みがおさまり、自然に関節が戻ったように感じられたとしても、見えない部分で骨や軟骨が傷ついている可能性も考えられます。肩に違和感を覚えた際は自己判断で対処せず、必ず整形外科などの専門的な医療機関を受診しましょう。 肩関節の亜脱臼を放置するリスク 肩関節の亜脱臼は、自然に戻ることがあるため軽視されがちですが、放置するとさまざまなリスクを伴います。 その理由は、時間が経過すると周囲の筋肉が硬直してしまい、関節を元の位置に戻すのが難しくなるためです。場合によっては、麻酔をかけて整復処置をおこなわなければならないケースもあります。 また、一度損傷した関節の支持組織は緩み、肩が不安定な状態になりやすいです。その結果、わずかな動作で再脱臼や亜脱臼を繰り返す「反復性肩関節脱臼」に移行しかねません。このような状態は以下のような症状を引き起こすリスクを高めます。 慢性的な痛み 関節の変形 神経損傷 とくに、脱臼を繰り返すと肩を支える腱板を損傷する可能性が大きくなります。ある研究では、50歳以上の反復性肩関節脱臼の症例22例のうち、19例で腱板断裂が認められたとの報告もあります。(文献4) 症状が現れた際は放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。 【関連記事】 肩腱板断裂(損傷)とは?現役整形外科医師が徹底解説 肩腱板断裂の手術と入院期間について医師が詳しく解説 肩関節亜脱臼の治し方を知って適切な治療を進めよう 肩関節の亜脱臼は、関節が外れかかった状態を指し、自然に戻るため自分では気づかないケースも少なくありません。 しかし、一度起きた亜脱臼を放置すると、脱臼が習慣化して症状が悪化し、将来的には手術が必要となる可能性もあります。 肩関節亜脱臼の主な治療法は以下の3つです。 徒手整復や固定による保存療法 可動域訓練と筋力トレーニングによるリハビリ 保存療法とリハビリでも効果が見られない場合の手術の検討 肩に抜けそうな感覚や痛み、違和感を少しでも覚えた際は、自己判断で済ませずに専門の医療機関を受診してください。医師による診断のもと、自分の状態に合った治療を進めましょう。 肩の亜脱臼はスポーツ外傷としてもよく見られますが、スポーツで筋肉や靭帯を損傷した場合は、再生医療の選択肢も考えられます。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 肩関節亜脱臼と治し方に関するよくある質問 亜脱臼の痛みはどのくらい続きますか 肩関節亜脱臼や脱臼の痛みが続く期間は、関節が外れた程度によって異なります。 関節が外れかかった状態である亜脱臼の場合、痛みは1週間程度で落ち着くのが一般的です。一方で、関節が完全に外れてしまった脱臼の場合は、整復をおこなった後も2〜3週間ほど痛みが続くことがあります。 いずれの場合も、受傷後の1〜3週間程度は症状を悪化させないために安静を保ちましょう。痛みが強い際には、医師の判断のもとで痛み止めの薬を使用する場合もあります。 ただし、痛みの感じ方には個人差があるため、症状が長引く場合は必ず医療機関に相談してください。 肩の脱臼は動かせますか 肩関節が完全に脱臼した場合、自分で腕を動かすのは困難です。 脱臼の瞬間から激しい痛みに襲われ、腕をほとんど持ち上げられなくなったり、特定の位置から動かせなくなったりします。 このような状態で無理に動かそうとすると、かえって状態を悪化させる危険が伴います。肩の周囲を通っている重要な血管や神経を新たに傷つけてしまい、しびれなどの後遺症が出る可能性も否定できません。 たとえ亜脱臼で動かせるように感じても、自己判断で動かすのは避けるべきです。肩に異常を感じたら、動かさずにできるだけ早く専門の医療機関を受診してください。 参考文献 (文献1) 井樋栄二 「最新原著レビュー:肩関節脱臼後の外旋位固定は再脱臼率を低下させる−無作為化比較試験」 整形外科 61 (4) , pp.378-380 , 2010年 https://www.pieronline.jp/content/article/0030-5901/61040/378 (最終アクセス2025年6月10日) (文献2) 尼子雅敏,田村吏沙 「肩関節脱臼の治療戦略とリハビリテーションの役割」防医大誌 47 (1) , pp.1-10 , 2022年 https://www.ndmc.ac.jp/wp-content/uploads/2022/03/47-1_001-010.pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献3) 岩堀 裕介,花村 浩克ほか 「スポーツ選手の反復性肩関節前方脱臼の術後リハビリテーション」特集『より安全なスポーツ復帰をめざすリハビリテーション診断・治療』56 (10) , pp.752-763 , 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/10/56_56.752/_article/-char/ja/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献4) 伊崎輝昌,柴田陽三ほか 「腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する治療成績-鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術の併用法-」整形外科と災害外科 58 (2) , pp.188-191 , 2009年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/58/2/58_2_188/_pdf (最終アクセス2025年6月10日)
2025.06.29 -
- インピンジメント症候群
- 肩関節
「肩を動かすたびに痛みが走る…」このような症状でお悩みではないでしょうか。 肩の痛みは、多くの方が真っ先に五十肩を思い浮かべがちですが、実はインピンジメント症候群という別の疾患の可能性もあります。 この2つは症状が似ているため、自己判断は困難です。 しかし、原因や治療法が異なるため、正しい診断を受けて治療を受けることが痛みの早期改善につながります。 本記事では、インピンジメント症候群と五十肩の違いについて、医師の視点から詳しく解説します。 さらに、ご自宅でできるセルフチェック方法や、それぞれの症状に適した対処法もご紹介しますので、「この痛みの正体を知りたい」「適切な治療を受けたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。 インピンジメント症候群と五十肩の違い インピンジメント症候群と五十肩は、どちらも肩の痛みを引き起こしますが、その原因や症状には明確な違いがあります。 最も大きな違いは、肩の動かしやすさにあります。インピンジメント症候群の場合、痛みはあるものの肩を動かすことは可能です。 一方、五十肩では肩の可動域が著しく制限され、動かしたくても動かせない状態になります。 以下の表で、両者の主な違いを比較してみましょう。 項目 インピンジメント症候群 五十肩(肩関節周囲炎) 主な症状 腕を上げる時の痛み 肩の可動域制限と痛み 可動域 痛みはあるが動く 著しく制限される 夜間痛 あり(とくに寝返り時) あり(じっとしていても痛む) 発症年齢 傾向なし(スポーツ選手に多い) 40〜60代 原因 肩峰下での組織の挟み込み 肩関節周囲の炎症・癒着 病期 明確な段階分けなし 炎症期→拘縮期→回復期 この違いを理解し、ご自身の症状がどちらに該当するか、ある程度の見当をつけられますが、正確な診断には医師による詳しい検査が必要です。 インピンジメント症候群とは インピンジメント症候群は、肩関節内で腱や滑液包(関節の動きを滑らかにする袋状の組織)が骨と衝突し、炎症を引き起こす疾患です。 「インピンジメント(impingement)」は挟み込みや衝突を意味する英語で、まさにその名の通り、肩の中で組織が挟み込まれることによって痛みが生じます。 この症状の最大の特徴は、腕を横から上に上げる動作(外転動作)で強い痛みが現れることです。 とくに、腕が水平よりやや上の位置(60〜120度の範囲)で痛みがピークに達する「ペインフルアーク」と呼ばれる特徴的な症状を示します。 夜間痛も非常に特徴的で、寝返りを打った際や、痛む側の肩を下にして寝ようとした時に激痛が走ります。 これは、横になることで肩峰(肩甲骨の突起部分)と上腕骨頭の間のスペースがさらに狭くなり、炎症を起こした組織が圧迫されるためです。 テニスや水泳など腕を頭上に上げるスポーツ選手に多く見られますが、最近では長時間のデスクワークや猫背などの悪い姿勢による発症も増加しています。 猫背が続くと胸の筋肉が硬くなり、肩甲骨の位置がずれて筋肉バランスが崩れ、組織が骨に挟まれやすくなります。 また、40代以降は肩峰の形状変化や腱の柔軟性低下により発症しやすくなります。放置すると日常生活に支障をきたすため、早期の専門医受診が重要です。(文献1) 五十肩(肩関節周囲炎)とは 五十肩は、「肩関節周囲炎」や「凍結肩」とも呼ばれる疾患で、肩関節の周囲にある関節包や滑液包に炎症が生じ、最終的に癒着を起こすことで肩の動きが著しく制限される疾患です。(文献2) 「五十肩」という名前は、50代の方に多く発症することから付けられましたが、実際には40〜60代の幅広い年齢層で見られます。 五十肩の最大の特徴は、肩の可動域が段階的に制限されることです。 初期には痛みが主な症状ですが、徐々に肩が硬くなり、最終的には腕を上げることも後ろに回すこともできなくなります。 五十肩は3つの病期に分かれて進行します。 炎症期(急性期):この時期はジンジンする痛みが特徴で、悪化すると夜間痛が強く現れます。じっとしていても痛み、睡眠が妨げられることも少なくありません。肩を動かそうとすると激痛が走るため、自然と動かさなくなります。 拘縮期(慢性期):炎症による激しい痛みは徐々に和らぎますが、関節の癒着が進行し、可動域制限が顕著になります。痛みよりも「動かしにくさ」が主な症状となります。 回復期:癒着した組織が少しずつ緩み、可動域が改善していきます。ただし、完全に元の状態に戻るまでには相当な時間を要することが多いです。 五十肩の原因は完全には解明されていませんが、加齢による関節周囲組織の変性や、血流の悪化などが関与していると考えられています。 インピンジメント症候群との最大の違いは、五十肩では他人が強制的に腕を動かそうとしても動かない(他動運動の制限)ことです。 一方、インピンジメント症候群では、痛みはあるものの関節自体の可動域は保たれています。 セルフチェック|その痛みはインピンジメント症候群?五十肩? ご自宅で簡単にできるセルフチェック方法をご紹介します。 ただし、これらのテストはあくまで目安であり、正確な診断には医師による詳しい検査が必要です。 【インピンジメント症候群のセルフチェック】 セルフチェック方法 説明 ペインフルアークテスト 腕を体の横から頭上にゆっくりと上げてみてください。上げ始めは痛みが少なく、60〜120度の範囲で強い痛みが現れ、それを超えると再び痛みが軽減する場合は、インピンジメント症候群の可能性があります。 ホーキンステスト 肘を90度に曲げた状態で腕を前に伸ばし、そこから手首を下向きに回旋させます。この動作で肩の前面に痛みが生じる場合は陽性です。 夜間痛チェック 痛む側の肩を下にして横になった時に激痛が走る、または寝返りで目が覚めることが頻繁にある場合は、インピンジメント症候群の特徴的な症状です。 【五十肩のセルフチェック】 セルフチェック方法 説明 可動域制限テスト 腕を真上に上げる(屈曲) 腕を横から上に上げる(外転) 手を背中に回す(内旋) これらの動作で著しい制限がある場合は五十肩の可能性があります。 段階的悪化チェック 最初は痛みが主で、徐々に動かしにくくなった 夜間痛が強かった時期がある 現在は痛みより動きの制限が気になる このような経過を辿っている場合は五十肩の典型的なパターンです。 以下の症状がある場合は、より重篤な疾患の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。 腕や手に力が入らない しびれや感覚の異常がある 発熱を伴う 外傷後から症状が始まった 安静にしていても耐えがたい痛みが続く これらのセルフチェックで該当する項目が多い場合でも、自己判断での治療は避けてください。 とくに、五十肩とインピンジメント症候群では治療法が大きく異なるため、専門医による正確な診断が回復への近道となります。 原因と悪化させる生活習慣 インピンジメント症候群と五十肩の発症には、現代のライフスタイルが大きく関わっています。 とくに、長時間のデスクワークや不良姿勢は、肩関節周囲の筋肉バランスを崩し、症状を悪化させる主要な要因となります。 ここからは、インピンジメント症候群や五十肩を引き起こしやすい生活習慣について詳しく解説します。 要因を理解し、日常生活で意識的に改善して症状の予防や悪化防止につなげましょう。 姿勢・デスクワークの影響 現代社会では長時間のデスクワークが一般的ですが、この環境こそが肩の痛みを引き起こす最大の要因です。 パソコン作業のように同じ姿勢を長時間続けていると、肩関節周辺の筋肉が緊張し、血行不良を起こしやすくなります。 デスクワーカーの方は、1時間に1回は席を立ち、肩甲骨を意識的に動かすストレッチを行いましょう。 また、モニターの高さや椅子の調整により、自然と良い姿勢を保てる環境を整えることも重要です。 加齢・ホルモン・代謝疾患の関与 加齢による身体の変化も、肩の疾患発症に大きく関わっています。 40代以降になると、関節周囲の組織が衰えます。その結果、腱や靭帯の柔軟性が低下し、関節軟骨の摩耗も修復機能も衰えてきます。 そのため、若い頃なら自然に治癒していた軽微な損傷も蓄積され、やがて痛みや機能障害として現れます。 また、更年期を迎えた女性では、エストロゲン(女性ホルモン)の減少が関節周囲組織に影響を与えます。 エストロゲンには抗炎症作用があるため、その分泌が減少すると炎症が起こりやすくなり、五十肩の発症リスクが高まります。 そして、糖尿病を患っている方は、五十肩の発症率が高いことが知られています。(文献3) 高血糖状態が続くと、肩の動きを補助する腱板の損傷部分も血行不良になり、五十肩を引き起こす要因となってしまいます。 加齢やホルモンの変化は避けられませんが、自己管理と医師のサポートにより肩の疾患のリスクを軽減していきましょう。 治療の選択肢と期待できる期間 肩の痛みの治療には、症状の程度や患者さんの生活スタイルに応じてさまざまな選択肢があります。 大きく分けて保存療法と手術療法、そして近年注目されている再生医療があります。 多くの場合、まずは保存療法から始めて、効果が不十分な場合に他の治療法を検討するのが一般的ですが、それぞれの治療法について解説します。 保存療法:薬・注射・リハビリ 多くの肩の疾患で最初に選択される治療法です。以下の表にまとめました。 治療法 解説 薬物療法 痛み止めや筋弛緩薬により症状を緩和します。 注射療法 ステロイド注射やヒアルロン酸注射で直接的に炎症を抑制します。 ただし、ステロイド注射は1カ月に2〜3回程度に制限されます。 理学療法・リハビリテーション 関節の動きの改善、筋力強化、姿勢矯正を行います。 即効性はありませんが、根本的な改善が期待できる重要な治療です。 全体として、保存療法による症状の改善には3~6カ月程度を要することが多く、患者様には継続的な治療への理解と協力が必要です。 再生医療(PRP・幹細胞)の可能性 五十肩など肩の痛みに対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。 再生医療では、主にPRP(多血小板血漿)療法と幹細胞治療の二つがあります。 PRP(多血小板血漿)療法とは、自己血液から血小板を濃縮した成分を注入する治療法です。 一方、幹細胞治療とは、脂肪由来あるいは脊髄由来の幹細胞を用いる治療法です。他の細胞に変化する能力を持つ幹細胞を、注射や点滴によって患部に届けます。 重度の症例でも適応となる可能性があり、手術を避けたい方にとって選択肢の一つとなるでしょう。 再生医療について知りたい方は以下のページリンクをご覧ください。 予防とセルフケア|今日からできること 肩の痛みは日常生活のちょっとした工夫で予防できることが多く、症状が出現してからでも適切なセルフケアにより悪化を防げます。 ここでは、今日からすぐに実践できる方法を簡単にご紹介します。 まず、姿勢の改善を意識しましょう。モニターは目から40cm以上離し、画面を見る角度は水平視線より下の15〜20度に調整しましょう。 椅子は座面の高さを調整でき、背もたれを活用して耳・肩・骨盤が一直線になるよう意識します。 日本人の平均座位時間は世界最長の7時間とされており、長時間の座位は疾患リスクを高めるため、こまめに立ち上がることが重要です(文献4)。 ストレッチでは、振り子ストレッチ(Codman体操)をやってみましょう。 肩をリラックスさせて立つ 体を前に傾けて痛みのある方の腕を下げる 机などに反対の手をついて体を支える 痛む側の腕を小さな円を描くように振る 前後左右に10回転ずつ行う 症状が改善してきたら徐々にスイングの直径を大きくしていきます。 このストレッチは重力を利用して肩関節の可動域を改善するため、五十肩やインピンジメント症候群の両方に効果が期待できます。 ただし、必ず痛みのない範囲で、無理をしないでください。 まとめ|最短で肩の痛みから解放されるには 肩の痛みに悩まれている多くの方が「五十肩だろう」と自己判断されがちですが、実際にはインピンジメント症候群の可能性も十分に考えられます。 本記事でお伝えした通り、この2つの疾患は症状が似ているものの、原因や治療法が大きく異なります。 二つの違いを見分けるには、以下のポイントが重要です。 インピンジメント症候群は「痛みはあるが動く」 五十肩は「動かしたくても動かない」 セルフチェックである程度の判別は可能ですが、正確な診断には専門医による詳しい検査が不可欠です。 治療方法は保存療法の他に再生医療もあります。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療専門のクリニックとして、一人ひとりの症状に応じた幅広い治療選択肢を提供しております。 「この痛みがいつまで続くのか不安」「仕事に支障が出て困っている」といったお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。 一日でも早く痛みから解放され、快適な日常生活を取り戻していただけるよう、全力でサポートいたします。 参考文献 (文献1) 順天堂大学医学部附属順天堂医院「インピンジメント症候群」順天堂医院ホームページ https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/seikei/disease/disease12.html(最終アクセス:2025年5月25日) (文献2) 日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html(最終アクセス:2025年5月25日) (文献3) 村木孝行.「肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドライン」『理学療法学』43(1), pp.67-72, 2016年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/43/1/43_43-1kikaku_Muraki_Takayuki/_pdf(最終アクセス:2025年5月25日) (文献4) 健康管理事業センター「デスクワーク中の正しい姿勢について」健康管理事業センターニュースレター,2024年2月 https://www.kenkomie.or.jp/file/newsletter/k_202402.pdf(最終アクセス:2025年5月25日)
2025.05.30 -
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肩関節の脱臼は、スポーツや転倒などで発生する一般的な外傷です。 繰り返す脱臼に悩む場合、手術治療が検討されますが、「どんな後遺症があるのか」「リハビリはどのくらい必要か」といった不安を抱える方も多いでしょう。 本記事では、肩脱臼手術の種類や後遺症リスク、リハビリ期間、そして日常生活への復帰に関する情報をわかりやすくご紹介します。 手術を検討されている方や、これから手術を受ける予定の方は参考にしてください。 しかし、「脱臼を繰り返してしまう」「痛みや不安定感が残っている」といった後遺症に悩まされる方は、再生医療も選択肢の一つになります。 \肩関節脱臼の後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 患者様ご自身の血液から抽出した血小板の濃縮液(PRP)を肩の関節や靭帯に注射し、損傷した組織の修復を促すことで、自然治癒力を高め、機能回復を後押しします。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脱臼後の肩の痛みや不安定感が長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 「早く痛みから解放されたい」「パフォーマンスを取り戻したい」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングをご利用ください。 肩脱臼手術後に発症しやすい主な後遺症 肩脱臼手術は、脱臼癖のある肩関節を安定させるための有効な治療法ですが、どんな手術にも後遺症が生じる可能性があります。 手術の成功後も、後遺症が発生する可能性について事前に理解しておきましょう。 ここでは、肩脱臼手術後に起こりうる主な後遺症と、対処法について解説します。 痛みの発生 再脱臼・不安定感 感染症 痛みの発生 手術方法が関節鏡を使った低侵襲なものであっても、手術後にはある程度の痛みを感じることがあります。これは手術による組織の修復過程で生じる自然な反応です。 痛みの程度には個人差がありますが、多くの場合、適切な痛み止めによって和らげることができます。医療機関では、以下の治療および内服薬の処方を行っています。 神経ブロック注射 点滴 退院後の内服薬 など 痛みは通常、時間の経過とともに徐々に軽減していきますが、強い痛みが続く場合は担当医に相談しましょう。 また、リハビリテーションの進行に合わせて痛みの性質も変化する場合があります。 急性期の痛みが落ち着いた後も、筋肉や関節を動かすことで一時的に痛みが出ることもありますが、これは回復過程の一部であることが多いです。 適切な痛み止めの使用と、無理をしない範囲でのリハビリにより、痛みをコントロールしながら回復を目指しましょう。 再脱臼・不安定感 肩脱臼手術の主な目的は関節の安定性を取り戻すことですが、手術後にも再脱臼のリスクや不安定感を感じる場合があります。 術後1年以内の再脱臼は約10%といわれており、とくに手術で再建した靭帯がまだ十分な強度を獲得していない回復初期には注意が必要です。(文献1) この時期に無理な動作や過度なスポーツ活動を行うと、再脱臼を引き起こす可能性があります。関節の安定性を回復し再脱臼を防ぐためには、医師の指示に従って適切なリハビリテーションを行うことが重要です。 手術後は再建された組織が成熟する重要な時期であり、指示された範囲を超える動作は避ける必要があります。回復期間中は、肩に負担をかけない寝方や日常生活での動作の工夫も大切です。 感染症 手術部位の感染は稀ではありますが、起こり得る合併症の一つです。統計的には手術全体のおよそ0.1%の頻度で発生するとされています。(文献1) 感染の兆候としては、手術部位の著しい腫れや赤み、熱感、痛みの増加、発熱などがあります。感染症が疑われる場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。感染の程度によっては、抗生物質の投与だけでなく、再手術による洗浄などの処置が必要となる場合もあります。 肩脱臼手術の種類と後遺症リスクについて 繰り返す脱臼に悩む方には、手術による治療が検討されます。 現在、肩脱臼に対していくつかの手術法が確立されており、一人ひとりの状態や活動レベルに応じて適した方法が選択されます。 それぞれの手術には特徴と後遺症リスクがありますので、手術を検討する際の参考にしてください。 関節鏡下関節唇形成術(Bankart法) 烏口突起移行術(ブリストー法、ラタジェ法) 補助的追加処置(腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法) 関節鏡下関節唇形成術(Bankart法) 肩脱臼の手術として最も一般的に行われているのが、この関節鏡下関節唇形成術(Bankart法)です。関節鏡という細い内視鏡を使用して行われるため、皮膚の切開が小さく済み、術後の回復も比較的早いといった利点があります。 具体的な手術方法としては、関節窩(肩甲骨のくぼみ部分)の端にアンカーと呼ばれる特殊なネジや糸の塊を埋め込み、そこから伸びる糸を損傷した関節唇(関節の縁にある軟骨)に通して結ぶことで、関節の安定性を回復させます。 しかし、どんな手術にもリスクはあり、この場合は周囲の神経や血管を傷つけてしまう可能性や、手術後も再脱臼してしまうリスクが存在します。(文献2) 完全な回復には時間がかかり、リハビリテーションは通常6〜12カ月程度必要とされます。(文献3)この期間中はリハビリの進行度合いに合わせて、徐々に日常生活やスポーツ活動へ復帰していくことになります。 烏口突起移行術(ブリストー法、ラタジェ法) この手術法は、Bankart法を行った後にも再脱臼してしまったケースや、ラグビーや格闘技などの接触性の高いスポーツをする方など、脱臼リスクが通常より高い患者様に適応されることが多いです。 肩甲骨の突起である烏口突起と、そこにつく共同腱(烏口腕筋腱と上腕二頭筋短頭腱)を肩甲骨関節窩の前方に移行させることで、強力な物理的なストッパーとして機能させる方法です。再脱臼の予防に非常に効果的であり、多くの場合全身麻酔下で行われます。 一般的なリスクとして、手術後に移行した烏口突起の骨がうまく定着しないケースや、周辺の神経や血管の損傷リスクも考慮しなければなりません。 術後のリハビリテーションは4〜10カ月程度必要とされ、肩の機能回復とともに段階的に活動レベルを上げていきます。(文献3) 補助的追加処置(腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法) 腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法はBankart法に追加して行われる補助的処置で、再脱臼のリスクをさらに減らすことを目的としています。 腱板疎部閉鎖術は、肩甲下筋腱と棘上筋腱の間にある比較的薄い膜(腱板疎部)を縫い縮めることで、肩関節前方の圧力を高め、前方への脱臼を防ぐ効果があります。 レンプリサージ法は、上腕骨頭の後ろ側にできた陥没部分(ヒルサックス病変)を後方の腱板で埋めるように縫い付ける方法です。骨頭の陥没部分を埋めることで、関節窩の縁がひっかかって脱臼を起こすリスクを減らします。 追加処置を行っても完全に再脱臼リスクがなくなるわけではなく、統計的には約7.5%の確率で再発の可能性があるとされています。(文献4) 肩脱臼手術後のリハビリ期間と内容 肩脱臼手術の成功には、適切なリハビリテーションが不可欠です。手術によって修復された組織を保護しながら、段階的に肩の機能を回復させていくことが重要となります。 リハビリの進行は回復状況や手術の種類によって異なりますが、一般的には以下のような期間と内容で進めていきます。 肩脱臼手術後0~1カ月のリハビリ 肩脱臼手術後1カ月~3カ月のリハビリ 肩脱臼手術後3カ月~6カ月のリハビリ それぞれの時期に適した運動と生活上の注意点を理解し、焦らずに回復を目指しましょう。 肩脱臼手術後0~1カ月のリハビリ 手術直後から1カ月間は、手術部位の保護と炎症の軽減がもっとも重要な時期です。この期間は、肩関節を安静に保つために専用の装具(アームスリングなど)を装着して固定します。過度な動きは避け、傷の治癒と炎症の改善を促進することが目的となります。 リハビリの内容は以下のとおりです。 手首や肘、指などの周辺関節の可動域を維持するための軽いエクササイズ 肩の痛みを軽減するためのアイシング むくみを防ぐためのポジショニング など 基本的に安静が中心ですが、デスクワークなどの軽作業は医師の許可があれば可能になることもあります。ただし、装具を外しての作業や重いものを持つなどの負荷をかける動作は避ける必要があります。傷の状態や痛みの程度を観察しながら、医師やリハビリ専門家の指導のもとで無理のない範囲で活動を行いましょう。 肩脱臼手術後1カ月~3カ月のリハビリ 手術から1カ月が経過すると、徐々に肩の動きを回復させていく時期に入ります。主な目的は、関節可動域の改善と筋力の回復です。医師の判断により装具を外し始め、より積極的なリハビリを開始します。 リハビリの内容は以下のとおりです。 肩関節の前方・後方・側方への可動域訓練 肩甲骨周囲の筋肉のトレーニング など 初期は他動的な運動(理学療法士などが補助して行う運動)から始め、徐々に自動運動へと移行していくでしょう。軽い抵抗をかけた筋力トレーニングも導入され、肩の安定性を高めるための回旋筋腱板の強化が重視されます。 この時期になると、日常生活動作のほとんどが可能になり、軽負荷のスポーツや作業にも徐々に復帰できるようになってきます。ただし、投げる動作や腕を頭上に挙げる動作など、肩に大きな負荷がかかる活動はまだ控えなければなりません。 肩脱臼手術後3カ月~6カ月のリハビリ 術後3カ月を過ぎると、より機能的なリハビリに移行していく時期です。この期間の主な目的は、肩関節の安定性向上とアジリティ(素早く正確に動かす能力)の回復です。可動域訓練をさらに進め、ほぼ全方向への動きを回復させることを目指します。 リハビリの内容は以下のとおりです。 より高負荷の筋力トレーニング 肩関節の協調性を高めるためのエクササイズ など スポーツ選手の場合は、競技特異的な動作の練習も徐々に取り入れていくでしょう。投球動作や水泳のストロークなど、肩に負担のかかる動きを段階的に練習し、パフォーマンスの回復を図ります。 この時期になると、多くの患者様がスポーツや重労働への完全復帰を目指せるようになります。 まとめ|後遺症なく日常へ戻るために 肩脱臼の手術後、後遺症なく日常生活やスポーツに復帰するためには、いくつかの重要なポイントがあります。 まず、手術が本当に必要かどうかの適応を正確に見極めることが大切です。 脱臼の頻度や重症度、年齢、活動レベルなどを考慮し、専門医との十分な相談を通じて判断してください。 次に、一人ひとりの状態に適した術式の選択も重要です。関節鏡下関節唇形成術や烏口突起移行術など、それぞれの手術法の特徴とリスクを理解した上で手術に臨みましょう。術後は時期に応じた計画的なリハビリテーションを着実に実施しなければなりません。 しかし従来の治療やリハビリでは十分な改善が得られなかった方には、再生医療も新たな選択肢として注目されています。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脱臼後の肩の痛みや不安定感が長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 肩脱臼の手術後の後遺症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にお問い合わせください。 肩脱臼手術の後遺症に関するよくある質問 肩脱臼の手術の成功率は? 肩脱臼手術の成功率は一般的に90〜95%と高い数値が報告されています。(文献5) これは「再脱臼を防止できる確率」を示しており、多くの患者様が安定した肩関節を取り戻せることを意味します。成功率は年齢、活動レベル、手術方法、リハビリへの取り組みによって変動もありますが、適切な術後ケアにより満足のいく結果につながることが多いです。 肩脱臼の手術をした後はどうなるのか? 手術後は肩の安静と保護のため、アームスリングなどの装具の装着が必要です。固定期間後、医師の指導のもと徐々に可動域訓練を開始し、その後段階的に筋力トレーニングも取り入れていきます。 リハビリは術式により4~12カ月継続し、肩の機能回復を図ります。(文献5) 参考文献 文献1 社会医療法人 蘇西厚生会 松波総合病院「鏡視下関節形成術(鏡視下バンカート修復術)」 https://www.matsunami-hsp.or.jp/iryou_jyohou/info/hanpuku/ (最終アクセス:2025年5月15日) 文献2 CiNii「鏡視下バンカート修復術の術後5年以上の長期成績」 https://cir.nii.ac.jp/crid/1390852174974630144 (最終アクセス:2025年5月15日) 文献3 独立行政法人 国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「反復性肩関節脱臼(はんぷくせいかたかんせつだっきゅう)」 https://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_hanpukukatakansetudakyu.html (最終アクセス:2025年5月15日) 文献4 J-STAGE「Remplissage法を補強として用いた鏡視下Bankart修復術の手術成績」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu/41/3/41_683/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年5月15日) 文献5 独立行政法人 国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「肩関節脱臼(かたかんせつだっきゅう) 」 https://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_katakansetudakyu.html (最終アクセス:2025年5月15日)
2025.05.21 -
- 腱板損傷・断裂
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「肩腱板断裂の手術後の入院期間が知りたい」 「肩腱板断裂の手術後、すぐにでも復帰したい」 肩を上げるたびに違和感が慢性的に続き、MRIで腱板断裂と診断されると「手術になった場合、入院は何日か」「家事や仕事にいつ復帰できるのか」と先の予定が立たず不安になる方も多くいます。 退院後のリハビリが必要と聞くと、回復までの道筋が見えにくく、精神的な負担を感じる方もいます。肩腱板断裂の入院日数や復帰の目安は、手術方法・断裂の程度・全身状態によって異なりますが、治療の流れを把握しておくことで、生活面の準備を具体的に進められるでしょう。 本記事では、現役医師が肩腱板断裂の手術後の入院期間について詳しく解説します。記事の最後には、肩腱板断裂の手術後に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩腱板断裂について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩腱板断裂の手術方法 手術方法 詳細 鏡視下腱板修復術 関節鏡と小さな切開による腱板縫合と付着部の修復 腱板移植 断裂部の補強目的の腱組織(移植片)による欠損部の再建 リバース型人工関節置換術 腱板機能不全時の人工関節への置換による肩の挙上機能の補助 肩腱板断裂の手術は、断裂した腱を骨に固定して肩の機能回復を目指す治療です。主流は関節鏡を用いる鏡視下腱板修復術で、傷が小さく術後の回復計画を立てやすい点が特徴です。 ただし断裂が大きい場合・腱の質が弱い場合・長期放置で筋萎縮が進んでいる場合は修復のみでは改善が難しく、腱板移植やリバース型人工関節置換術が検討されます。 いずれも装具固定とリハビリが必要で、入院日数や復帰時期は術式・断裂の程度・生活状況で変わります。 鏡視下腱板修復術 肩腱板修復術は、内視鏡(関節鏡)を用いて小さな切開で行う手術です。肩に1cm前後の孔を複数開け、そこからカメラや器具を挿入し、モニターで内部を確認しながら操作します。 断裂した腱はアンカーと縫合糸で骨に固定しますが、損傷が重い場合は通常の修復が難しいこともあります。 そのような状況では、患者の大腿部から採取した組織を補強材として使用したり、可能な範囲での部分的な修復を行ったりするなど、状況に応じた対応が必要です。また、術後は以下の装具(外転装具)を装着します。 術後は装具を約6週間装着し、約3カ月ごろから徐々に筋力トレーニングを開始して、術後6カ月程度までリハビリを行います。装具の着用は、医師の指導や指示に従いましょう。 腱板移植 項目 内容 対象となる方 比較的若い年齢層で、スポーツや仕事で肩を活発に動かす必要があり、腱板の損傷が大きい方 メリット 自分の組織(太ももの筋膜など)を使用するため、拒絶反応のリスクがないこと デメリット 腱採取部の痛み・違和感の残存、移植腱の定着不良による再断裂リスク、手術難易度の高さに伴う手術時間・入院期間の長期化傾向 腱板移植は、自身の組織(腱や筋膜など)を採取し、断裂した腱板の欠損部を補う手術です。主に断裂範囲が大きく、通常の腱板修復術では十分な修復が難しい場合に検討されます。 採取部位としては太もも(大腿部)や背部などが用いられることがあります。移植組織が周囲の組織と癒合し、新たな腱板として機能するまでには一定の時間を要するため、術後は装具固定と段階的なリハビリを適切に行うことが欠かせません。 リバース型人工関節置換術 項目 内容 メリット 大断裂でも挙上改善が期待できること、比較的早期の復帰が見込めること デメリット 内旋制限の可能性、金属音が出ることがある点 適応の傾向 高齢者中心から若年層にも拡大傾向 リバース型人工関節置換術は、特殊な人工関節を用いる手術方法です。通常の肩関節とはボールとソケットの位置関係が逆になるため、リバース型と呼ばれています。 一般的な肩関節では、上腕骨側にボール・肩甲骨側にソケットがあり、腱板がボールをソケットへ引き寄せることで関節の安定性が保たれています。しかし、腱板が大きく断裂すると関節の安定性が低下し、腕をスムーズに上げにくくなります。 リバース型人工関節置換術では、肩甲骨側にボール・上腕骨側にソケットを取り付ける構造に置換します。これにより腱板の機能が十分でなくても、三角筋の力を活用して腕を上げやすくなることが期待されます。 以下の記事では、人工関節のデメリットについて詳しく解説しています。 通常の人工関節置換術との違い 術式 目的・特徴 適応の目安 通常の人工関節置換術 肩本来の構造に近い形で置換(上腕骨側ボール・肩甲骨側ソケット) 腱板機能が一定程度保たれている場合 リバース型人工関節置換術 構造を逆転し三角筋で挙上を補う(肩甲骨側ボール・上腕骨側ソケット) 大断裂や腱板修復が困難な場合 通常の人工関節置換術は肩本来の構造に近づけて置換するため、腱板機能が一定程度残る場合に適応されます。 一方、リバース型人工関節置換術は構造を逆転させ、腱板機能が不十分でも三角筋の力で腕を上げやすくする術式です。いずれも再断裂や拘縮などのリスクがあるため、症状と生活支障を踏まえて手術適応を慎重に判断します。 肩腱板断裂手術後の入院期間 手術方法 入院期間の目安 鏡視下腱板修復術(関節鏡手術) 3泊4日~1週間 リバース型人工関節置換術 1~2週間 入院期間は、手術方法や患者の状態によって異なります。傷口が小さい内視鏡(鏡視下)手術では、順調であれば3泊4日程度で退院できる場合もあります。 一方、リバース型人工関節置換術は侵襲が大きく、術後の経過観察が必要なため、入院は1〜2週間が目安です。 また、装具の装着期間は目安として約3週間とされていますが、その期間中入院を続ける必要はありません。 入院期間は手術内容・回復状況・生活環境によって異なるため、医師・看護師・理学療法士と相談しながら決定します。 肩腱板断裂手術後の復帰目安 復帰目安 詳細 デスクワーク復帰の目安(作業姿勢・利き腕で差が出る) 体幹中心作業での早期復帰可能性、利き腕側手術や長時間作業による復帰の遅延傾向 家事(洗濯・掃除・料理)を再開する目安 片手で可能な軽作業から段階的再開、肩の挙上動作や負荷動作の制限 重い作業・スポーツ復帰の目安(焦らず段階的に) 腱の治癒と筋力回復を前提とした復帰、リハビリ進行に応じた負荷調整 肩腱板断裂手術後の復帰時期は、手術方法・断裂の程度に加え、利き腕かどうか、仕事内容や家事の内容によって大きく異なります。 まずは痛みと可動域の回復を優先し、デスクワークや軽い家事など負担の少ない動作から段階的に再開することが基本です。 重い作業やスポーツは腱の治癒と筋力回復が前提となるため、焦らずリハビリの進行に合わせて医師と相談しながら進めることが大切です。 以下の記事では、肩腱板断裂の症状やリハビリ方法などについて詳しく解説しています。 デスクワーク復帰の目安(作業姿勢・利き腕で差が出る) 腱板修復術後のデスクワーク復帰は、一般に数週単位での調整が必要です。NHS(イギリスの公的医療サービス)の患者向け資料では、デスクワーク(非肉体労働)はおおむね4〜6週が目安とされます。(文献1) 一方別のNHS資料は、オフィスワークは3〜6週程度と記載されています。(文献2) 復帰時期に直結する要因のひとつが装具で、腱が修復部で安定するまでスリング装着が最大6週前後必要になる場合が多いです。(文献3) また、利き腕側の手術や通勤動作、作業姿勢の負担で復帰が遅れる場合もあります。デスクワークでは、職場と調整した段階的復帰(業務軽減)が推奨されています。(文献1) 家事(洗濯・掃除・料理)を再開する目安 家事復帰の目安 内容 0〜6週 片手中心(非手術側)で可能な範囲のみ 6週以降 修復部の状態を見ながら、軽い家事を徐々に増やす 重量がかかる作業 鍋・やかんを持つ、アイロン作業などは3カ月程度注意(控える) 家事の再開は片手でできる軽い作業から始め、術後6週以降に徐々に広げるのが基本です。肩腱板断裂の手術後は一定期間スリング(装具)で固定する場合が多く、術後3〜5週前後はほぼ片手生活になるため、家事のやり方そのものを工夫する必要があります。(文献3) スリング装着中は、医療機関の生活指導でも食事の準備や飲み物作りなど、日常動作は非手術側で行うのが基本です。 術後6週以降は、修復部の状態を確認しながら軽作業を増やしていきますが、重い動作は引き続き制限が必要です。 NHSの術後資料でも6週以降は軽作業は可能とされていますが、重量がかかる作業(やかん・鍋・アイロンを持つなど)は少なくとも3カ月程度避けるべきと明記されています。(文献5) 重い作業・スポーツ復帰の目安(焦らず段階的に) スポーツ・作業内容 復帰の目安 重い作業(力仕事・荷物運び) 4〜6カ月程度が目安(重い物・上肢挙上・強い手作業はしばらく制限) スポーツ(非接触) 6カ月以降が目安 スポーツ(接触) 9カ月〜1年が目安 共通の注意点 腱の定着と筋力・可動域の回復が前提、医師許可のもと段階的復帰 重い作業やスポーツ復帰は、腱が骨に定着して強度が戻るまで時間を要するため、焦らず段階的に進めることが大切です。 NHSの案内では、回復後もしばらくは重い物を持つ作業・頭より上での作業(上肢挙上)・手を強く使う作業は控えるよう示され、重い作業(力仕事・荷物運び)は4〜6カ月程度がひとつの目安とされています。理学療法プロトコルでも段階的にストレス量を上げる前提で、強い負荷は慎重にという位置づけです。(文献6) スポーツ復帰は種目の強度で差が大きく、NHSの資料では非接触スポーツは6カ月以降、接触スポーツは9カ月〜1年とまとめています。ただし復帰時期は一律ではなく、医師の許可に加えて筋力・可動域の回復が条件です。(文献7) 手術療法と併用して行われる肩腱板断裂の治療法 治療法 詳細 薬物療法 痛み・炎症の軽減を目的とした内服薬や外用薬の使用 装具療法 肩の安静保持と腱板修復部の保護を目的とした装具(スリング等)の使用 物理療法 温熱・電気刺激などによる疼痛緩和と血流改善の補助 再生医療 組織修復の促進を目的とした治療選択肢(適応の検討が必要) 肩腱板断裂の手術後は、回復を支えるために薬物療法・装具療法・物理療法を併用することが一般的です。 痛みや炎症を抑えつつ、装具で患部を保護し、物理療法で血流改善や疼痛緩和を図りながらリハビリを進めます。なお再生医療は、すべての症状に適用できる治療ではなく、実施している医療機関も限られています。そのため、導入の可否は医師と相談し、適応や実施状況を事前に確認しましょう。 リハビリテーション 肩腱板断裂の手術後は、組織の治癒を促し肩の機能を取り戻すために、計画的なリハビリテーションが欠かせません。 多くは手術翌日から開始し、入院中は医師の指導のもと可動域訓練や筋力訓練を行います。退院後も通院と自宅での運動を継続し、腱の治癒段階に合わせて内容と負荷を調整します。 早期に動かす方法は機能面でわずかな利点が示唆される一方、再断裂リスクも指摘されるため、自己判断せず医師・理学療法士の方針に沿って進めることが大切です。 以下の記事では、肩腱板断裂のリハビリテーションについて詳しく解説しています。 薬物療法 肩腱板断裂の手術後は、痛みや炎症を適切に抑えることで日常動作とリハビリを滞らせにくくなるため、薬物療法が有効です。 AAOS(米国整形外科学会)は術後の症状管理として、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)・アセトアミノフェン・必要に応じてオピオイド・局所麻酔薬などを組み合わせる考え方を示しています。また、複数の薬を組み合わせ、オピオイド使用を減らす意図が明記され、腱板修復術ではパラセタモール(アセトアミノフェン)とNSAIDsを含めることが推奨されています。(文献8) 研究では、腱板修復後にNSAIDsを短期間使用するとオピオイドの使用量が減る可能性が報告されていますが、薬は自己判断で調整せず医師の指示に従って使用することが重要です。(文献9) 装具療法 肩腱板断裂の手術後に装具(スリングなど)を装着する目的は、修復した腱に余計な負荷をかけず、腱が骨へ定着する時間を確保することです。 AAOSも、術後早期は修復部の保護が必要であり、腕の動きを制限するためスリングを用い、最初の4〜6週間は使用・負荷を避けると説明しています。(文献8) NHSの術後案内でも、夜間を含めて一定期間スリングを装着することが推奨され、夜は5〜6週間着用する旨が記載されています。(文献3) 修復の大きさにより期間は前後しますが、NHS資料によると装具の目安は最短3週〜最長6週程度です。(文献10) 物理療法 肩腱板断裂の手術後に物理療法(冷却・温熱など)を適切に用いる目的は、腫れや違和感を和らげて運動療法(リハビリ)を継続しやすい状態を整えることです。 術後早期は腫れや熱感が出やすく、NHSでは氷や冷却パックを用いる方法(皮膚保護を行い20分程度)が案内されています。(文献11) リハビリに関するレビューでも自宅管理として冷却を10〜14日ほど取り入れる考え方が紹介されていますが、根拠が十分ではありません。(文献12) 一方、硬さや動かしづらさが目立つ時期には、冷却に加えて温め(入浴・シャワー・温熱パック)で動かしやすい状態を作ることが一部の患者向け資料で案内されています。(文献13) 物理療法はあくまで補助であり、PROSPECTの術後管理ガイドラインでは圧迫冷却の明確な根拠は示されず、標準治療の中心は薬物療法や神経ブロック等の疼痛管理とされています。(文献14) 肩腱板断裂の手術・入院不要!再生医療という選択肢 肩腱板断裂の症状が続く場合、再生医療という治療の選択肢があります。リペアセルクリニックでは脂肪由来の幹細胞を用いた治療や、血小板に含まれる成長因子の働きを利用するPRP療法を行っています。 いずれも入院や手術を要さず日帰りで実施可能です。 リペアセルクリニックでは、肩腱板断裂に対する治療の選択肢として再生医療を実施しています。治療内容は、これまでの治療歴や症状の状態をふまえて医師が評価し、必要に応じて提案します。 なお、適応は一律ではなく、人工関節置換術後は対象外となるため、受診時に医師へご相談の上で判断することが大切です。気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。 再生医療を用いた治療に興味のある方は、こちらから当院独自の再生医療の特徴を紹介しています。 https://youtu.be/bKupVfsXpHM?si=VZP1_3i_qEwcVrsQ 肩腱板断裂手術後の注意点 注意点 詳細 装具の装着と肩の安静を守る 修復した腱への負荷軽減、治癒促進、再断裂予防 処方された薬は指示通りに服用する 術後痛・炎症のコントロール、リハビリ継続の支援、副作用回避 定期的な通院と経過観察を続ける 創部や腱の治癒確認、リハビリ内容の調整、合併症の早期発見 禁煙と栄養バランスの良い食事を心がける 血流・治癒環境の改善、筋力回復の土台づくり、体力維持 手術後は再断裂を防ぐため、装具を正しく装着し肩の安静を守ることが重要です。処方薬は自己判断で中止せず、指示通りに服用して術後痛や炎症を抑え、リハビリ継続につなげます。 定期通院で創部や腱の治癒を確認し、リハビリ内容の調整や合併症の早期発見を行います。合わせて禁煙と栄養バランスの良い食事で、血流改善と回復の土台を整えることが大切です。 以下の記事では、腱板断裂の注意点について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板断裂を放置するとどうなる?日常生活や仕事への影響を現役医師が解説! 腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないこと4つ!専門医が注意したい動作を解説 装具の装着と肩の安静を守る 肩腱板断裂の手術後は、装具(スリングなど)を装着して肩の安静を守ることが、修復した腱を保護し、骨への定着を促す上で欠かせません。腱板修復は縫合後すぐに強度が戻るわけではなく、治癒が進むまでの過ごし方が回復に影響します。 AAOSの患者向け情報では、腕が動かないようにするため術後4〜6週間はスリングを使用し、腕を使うことを避けると説明されています。(文献8) 装着期間は断裂の程度などで異なり、術後は寝返りやとっさの動きによる無意識の負荷がかかりやすいため、装具で保護する意義は大きいです。 NHSの患者資料でも、修復の大きさにより異なるものの、スリングは最短3週〜最長6週程度装着し、日中も夜間も外すのは運動や清潔ケアのときだけと具体的に示されています。(文献10) 処方された薬は指示通りに服用する 肩腱板断裂の手術後は、処方された薬を指示どおりに服用することで、術後の不快感を抑えて睡眠や日常生活動作を保ちつつ、リハビリを計画どおり進めやすくなります。 とくに神経ブロックを併用する場合は、麻酔が切れてから対応するよりも、切れる前から内服を開始したほうが症状が強く出にくいことがあります。 術後の薬は、強い薬を単独で長期使用するのではなく、作用の異なる薬を組み合わせて必要量を抑える方法が一般的です。 AAOSも、複数の薬を組み合わせて症状を抑えつつ、オピオイドの必要量を減らす考え方を示しています。(文献8) 自己判断で中止・追加・増量すると、副作用や治療の遅れにつながる可能性があるため注意が必要です。 定期的な通院と経過観察を続ける 肩腱板断裂の手術後は、定期的な通院と経過観察を続けることで、腱の治癒状況や肩の動き・筋力を医療者が評価でき、リハビリ内容や日常生活の負荷量を適切に調整しやすくなります。 腱板修復は術後すぐに完成する治療ではなく、数カ月単位で状態が段階的に変化するため、自己判断のみで進めると回復が遅くなる場合があります。 NHSの患者向け資料では、腱板修復後は4〜6週頃に術後外来でのレビューが予定されることが多いとされています。この時期は装具の扱い、運動量を増やすタイミング、生活動作の制限内容が変わりやすいため、通院での確認が欠かせません。(文献6) 以下の記事では、肩腱板断裂の検査について詳しく解説しています。 【関連記事】 肩腱板断裂に対するCT検査の役割|MRIや造影検査の重要性も解説 腱板断裂(損傷)における超音波(エコー)検査|特徴や画像所見を解説 禁煙と栄養バランスの良い食事を心がける 肩腱板断裂の手術後は、禁煙と栄養バランスの整った食事を心がけることが、腱の治癒と回復を支える不可欠な土台です。 患者向け資料でも、喫煙は創傷治癒を遅らせ、手術後の合併症リスクを高めると明記されており、禁煙が推奨されています。(文献5) 腱板修復後の成績に関しては、研究で喫煙が再断裂や再手術リスクの増加と関連することが示されています。(文献4) たんぱく質・ビタミン類などを意識し、組織修復と筋力回復を支えることも大切です。 以下の記事では、生活習慣改善について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】脂質異常症で食べてはいけないもの一覧|食べたほうがいい食材も紹介 脂質異常症の改善は食事と運動が基本|発症の原因と改善方法・おすすめの食事を解説 肩腱板断裂手術後の入院期間を把握し焦らず復帰を目指そう 肩腱板断裂の手術後は、入院日数だけでなく「退院後の生活で何が必要か」まで含めて把握することが大切です。 装具で肩を保護する期間は家事や通勤に制限が出やすく、通院リハビリの予定も入るため、準備不足だと退院後に生活が回らず不安が増える場合があります。 術式ごとの治療の流れや復帰の目安を事前に理解しておけば、家族の支援体制づくり・仕事の調整・家事の代替手段を具体化しやすくなります。肩の治療は復帰を急ぐほど負担が増えやすいため、焦らず段階的に進める姿勢が大切です。 肩腱板断裂の症状でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、肩腱板断裂によって損傷した組織に対し、再生医療という治療の選択肢をご案内しています。 再生医療は、損傷部位へのアプローチを目的とした治療法として近年注目されており、薬物療法と比べて全身性の副作用が起こりにくい可能性があるのが特徴です。 ただし、すべての症状に適応できる治療ではなく、人工関節置換術後は対象外となります。適応の可否は症状や治療歴によって異なるため、受診時に医師へ相談の上で判断することが重要です。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 肩腱板断裂手術後の入院期間に関するよくある質問 肩腱板断裂の手術をしたことで後悔するケースはありますか? 肩腱板断裂の手術で後悔につながりやすいのは、回復に時間がかかること・肩のこわばりで動きが戻りにくいこと・腱の再断裂などです。 後悔を避けるには、回復は数カ月単位と理解し、装具と安静の指示を守り、通院・リハビリを継続しつつ、復帰計画を立てることが大切です。 肩腱板断裂の手術に痛みは伴いますか? 手術後は不快感が出るのが一般的です。 ただし多くの場合、手術中から直後は神経ブロック(腕や肩の感覚を一時的に鈍らせる麻酔)や鎮痛薬を用いて、不快感を抑えながら管理します。 肩腱板断裂に手術は必須ですか? 肩腱板断裂に手術は必須ではありません。断裂の大きさや症状の程度、日常生活・仕事への支障に応じて治療方針は変わり、まずはリハビリなどの保存療法を行い、改善が乏しい場合に手術を検討するのが一般的です。 AAOSでは、保存療法でも症状が続く場合や筋力低下が強い場合、腕をよく使う仕事・スポーツで機能回復が求められる場合などで手術が勧められやすいとしています。 NHSの患者向け資料でも、リハビリで改善する場合があり、手術が常に必要とは限らないとされています。(文献8) 参考文献 (文献1) Outpatient post-operative physiotherapy guidelines-rotator cuff repair|NHS (文献2) Information for patients Rotator Cuff Repair|NHS (文献3) Rotator cuff repair: after surgery care|NHS (文献4) The effects of smoking on clinical and structural outcomes after rotator cuff repair: a systematic review and meta-analysis|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献5) Rotator Cuff Repair|Gateshead Health (文献6) Rotator cuff repair - South Tees Hospitals|NHS (文献7) Now that it’s been 3 months since my operation, do I need to do anything different?|Norfolk & Waveney Community Musculoskeletal Services (文献8) Rotator Cuff Tears: Surgical Treatment Options|OrthoInfo (文献9) Effect of postoperative NSAID use on opioid consumption after rotator cuff repair - ScienceDirect (文献10) Rotator cuff repair advice and exercises|NHS (文献11) Rotator cuff repair | NHS (文献12) Rehabilitation after Rotator Cuff Repair|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献13) Rotator Cuff Related Shoulder Pain|NHS (文献14) PROSPECT guideline for rotator cuff repair surgery: systematic review and procedure-specific postoperative pain management recommendations|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information
2025.02.15 -
- 腱板損傷・断裂
- PRP治療
- 再生治療
「肩を上げたときにズキッと痛む」「夜眠ろうとすると肩の痛みで目が覚めてしまう」 その症状の背景にある代表的な病気のひとつが肩腱板断裂です。 腱板部分に損傷が起こると、ちょっとした動作でも痛みや違和感を感じやすくなります。 肩腱板断裂は、年齢や生活習慣によって誰にでも起こりうる病気ですが、五十肩(四十肩)と似た症状で区別しにくいため、受診が遅れてしまう方も少なくありません。 この記事では、肩腱板断裂の特徴的な症状や検査方法、治療法、リハビリテーション、再発予防などについて解説します。 適切な受診や治療の判断に役立つ情報としてご活用ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩腱板断裂について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩腱板断裂の症状4選 肩に痛みや動かしにくさを感じると、日常生活にも支障が出てきます。 肩腱板断裂の代表的な症状は、「痛み」「動かしにくさ」「力の入りにくさ」「異音」の4つです。 この章では、代表的な症状4選を日常生活に当てはめて解説します。 肩の痛み(運動時痛、夜間痛など) 肩腱板断裂の最も一般的な症状は肩の痛みです。 代表的な症状 説明 具体的な例 肩の痛み (運動時痛・夜間痛) 腕を挙げる途中(60度〜120度で)強い痛みを感じる 横向きでの就寝や寝返りでズキズキ痛む 仰向けで安静時にしていても肩の奥がジンジンする 睡眠が中断されやすい 高い位置に手を伸ばす瞬間(洗濯物を干す、吊り革につかまるなど)に痛みを感じる 上着を着る途中に痛みを感じる 夜中に痛みで目が覚める 睡眠が中断されるため、眠りが浅くなる 腕を上げたり、特定の動作をしたりする際に痛みを感じることが多く、これを運動時痛と呼びます。(文献1) 「洗濯物を干す」「高い棚に手を伸ばす」「上着を着る」など、腕をやや外側に広げたり、ひねるタイミングで痛みが走りやすいです。 腕を横に上げる途中(60度から120度の間)で鋭い痛みを感じる有痛弧(ゆうつうこ)という症状も肩腱板損傷の判断基準とされています。 また、夜間痛も特徴的な症状の一つです。 夜間に寝返りを打ったり、横向きに寝るときに患側の肩を下にすると圧迫され、ズキズキとした痛みが現れ、睡眠を妨げます。 肩の動かしにくさ(可動域制限) 肩腱板が断裂してしまうと、腕を上げたり回したりする動作が制限され、日常生活に支障をきたすことがあります。 代表的な症状 説明 具体的な例 肩の動かしにくさ (可動域制限) 特定の角度で「つっかえる」感覚が出る 腕を回したり、頭上に上げる挙上の動作が困難になることが多い。 腰の後ろや背中に手が回しにくい 髪を洗うときに腕が上がらない 服を着るときに袖に腕を通しづらい 特定の動きでつっかえる感覚が出やすいのが特徴で、「腕を上げようとして途中で止まる」「上着の袖に腕が通しづらい」「腰の後ろに手が回しにくい」など、日常の細かな不自由が増えます。 筋力低下、脱力感 肩腱板が断裂すると、肩の痛みだけではなく、腕に力が入らない、または突然力が抜けるような脱力感を感じるといった症状が現れることがあります。 代表的な症状 説明 具体的な例 筋力低下・脱力感 物を持ち上げたり保ったりするのが難しい 物を持ち上げ続けようとしても、脱力感が出て落ちそうになることがある 腕を上げた位置でキープできない ペットボトルを持ち上げ続けられない 買い物袋を持ち上げると腕が落ちそうになる 「買い物袋などの重いものを持とうとしても腕が上がらない」「ものを持ち上げ続けられない」など、痛み以外の症状が現れたら、肩腱板断裂のサインかもしれません。 音(ジョリジョリ音、ゴリゴリ音など) 肩を動かしたときに、ジョリジョリ音やゴリゴリといった異音が鳴ることがあります。 これは、断裂した腱板が骨と擦れ合うことで発生する音です。 音は必ずしも肩腱板断裂を示すものではありませんが、関節の中で何かが引っかかったり、擦れたりするような感覚がありましたら、他の症状と合わせて診断の参考になります。 肩腱板断裂の症状と五十肩(四十肩)の違い 肩の痛みや動かしにくさを感じた際、「五十肩(四十肩)かな?」と考える方は少なくありません。 しかし、肩腱板断裂と五十肩は、症状が似ているようで異なる病態です。 適切な治療を受けるためには、この二つの違いを理解することが非常に重要です。 症状 肩腱板断裂 五十肩(四十肩) 原因 加齢、外傷、使いすぎなどによる腱の損傷 肩関節周囲の炎症、拘縮 痛み 夜間痛 特定の動作で痛みが強い(運動時痛や有痛弧) 安静にしていると痛みが落ち着くことがある 夜間痛 安静(肩を動かさなくても)にしていても痛む 可動域 他人に動かしてもらえば腕があがる 他人に動かしてもらっても腕はあがらない 筋力 筋力低下や脱力感が見られることがある 筋力低下は通常見られない 自然治癒 自然に治癒することはなく、治療が必要 自然回復が多い(数カ月~1年程度) 五十肩(四十肩)は、肩関節の炎症によって引き起こされる病気で、関節全体が硬くなり、痛みを伴いながら徐々に可動域が制限されていくのが特徴です。 一方、肩腱板断裂は、肩の腱が切れることで起こります。他人に腕を動かしてもらうと、ある程度動かせますが、自分では痛くて動かせないという特徴があります。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違いについて、詳しくは以下の記事も併せてお読みください。 肩腱板断裂の症状を確認するセルフチェック|安全な手順 自宅でも簡易的に確認できるセルフチェックの方法を紹介します。 ただし、これから紹介するセルフチェックは受診の判断材料にするための簡易チェックです。 痛みを感じる場合は無理に行わず、中断してください。 ドロップアームの手順と注意点 ドロップアームとは、腕を支える筋力を確認するテストです。 腕を肩の高さまで上げ、腕を上げた状態を保持できるかを確認します。 手順 患者様は、椅子に座る、または立ち姿勢をとります。 検査者は、患者様の腕を肩の高さまで真横に上げます。患者様の手のひらは下に向けます。 検査者は、患者様の腕を支持をしていた手を離します。 患者様は、腕をその位置でキープします。 腕の高さを保持できない場合は、陽性と判断されます。痛みがある場合は無理に行わないでください。 ホーキンス・ケネディの手順と注意点 ホーキンス・ケネディとは、肩峰下インピンジメント症候群(肩の痛みや運動制限を引き起こす病気)や腱断裂を確認するテストです。 腕を上げ、内側に回したときに痛みを感じるかを確認します。 手順 椅子に座る、または立ち姿勢をとります。 腕を肩の高さまで前に上げ(肩関節90度屈曲)、肘を90度に曲げます。 その状態で、腕を内側に回します(内旋させます)。 腕を内旋させた際に、痛みを感じた場合は、陽性と判断されます。痛みがある場合は無理に行わず、必ず医師の診断を受けてください。 棘下筋テストの手順と注意点 棘下筋テストとは、棘下筋(腕を外にひねる動作で作用する筋肉)が、断裂によって筋力低下していないかを確認するテストです。 手順 患者様は、椅子に座る、または立ち姿勢をとります。 患者様は、脇をしめた状態で、肘を90度に曲げます。 その状態で、腕を外側に開いていきます。 検査者は、内旋方向に抵抗をかけていきます。 力が入らず、腕が内側へ戻されてしまう場合は、陽性と判断されます。 肩腱板断裂の症状が続く時の受診目安 肩腱板断裂を放置すると、症状が進んで日常生活に大きな支障をきたすことがあります。 「夜間痛が2週間以上続く」「物が持てない・腕が上がらない」などが一つの受診の目安になります。 痛みがある場合は、我慢せず早めに受診するようにしましょう。 症状 受診の目安 受診の重要性 夜間痛 夜間痛が2週間以上続く 腱板断裂の可能性が高い 早期診断が重要 脱力感・筋力低下 物を持ち上げられない 物を持ち続けた状態を維持できない 腱板断裂の可能性が高い 早期診断が重要 診断方法(MRI検査、レントゲン検査、超音波検査など) 肩腱板断裂の診断は、問診、視診・触診、そして画像検査を組み合わせて行います。問診では、いつから痛み始めたのか、どんな時に痛みが増すのか、日常生活でどのような動作が困難になっているのかなど、詳しくお話を伺います。 視診・触診では、肩の腫れや変形、圧痛の有無などを確認します。また、腕をさまざまな方向に動かしてもらい、肩関節の可動域や筋力、痛みやしびれの有無などをチェックします。 これらの情報に加えて、画像検査を行うことで、より正確な診断が可能になります。代表的な画像検査は以下の3つです。 レントゲン検査:骨の状態を調べます。肩腱板は筋肉と骨をつなぐ腱なので、レントゲン写真には写りません。しかし、骨棘(こつきょく:骨の突起)といった腱板断裂に合併する症状や、他の骨の異常がないかを確認するために有用です。 超音波検査(エコー):超音波を使って腱板の状態をリアルタイムで観察します。手軽に検査でき、腱板の断裂の有無や大きさ、炎症の程度などを評価できます。 MRI検査:磁気と電波を使って、肩関節の断面画像を撮影します。腱板の状態を最も詳細に確認できる検査で、断裂の大きさや場所、周りの組織の状態などを正確に把握できます。レントゲンや超音波検査ではわからない小さな断裂や、断裂の周りの筋肉の状態まで詳しく知れます。 これらの検査結果は、診断の参考となります。場合によっては、他の病気との鑑別が必要になることもあります。 肩腱板断裂の症状に基づく治療法 肩の痛みや動かしにくさ、もしかしたら腱板断裂かも…と心配になりますよね。 でも、自己判断は禁物です。まずは医療機関を受診して、適切な検査と診断を受けることが大切です。 この章では、肩腱板断裂の検査方法とさまざまな治療法について、わかりやすく解説します。 具体的な検査方法や治療の選択肢を知ることで、不安を軽減し、治療への第一歩を踏み出せるはずです。 保存療法(投薬、リハビリテーション、注射など) 肩腱板断裂の治療は、断裂の大きさや症状、患者様の年齢や生活スタイル、仕事内容などを考慮して決定します。 保存療法は、手術をせずに痛みや炎症を抑え、肩関節の機能を回復させることを目的とした治療法です。 保存療法には、主に以下のような方法があります。 方法 説明 投薬 痛みや炎症を抑える薬を内服します。よく使われるのは、痛み止めや炎症を抑える薬です。 リハビリテーション 固まってしまった肩関節の動きを改善し、弱くなった筋力を強化するための運動療法を行います。 関節内注射 肩関節内にヒアルロン酸やステロイドを注射し、痛みや炎症を軽減します。ヒアルロン酸は関節の潤滑作用、ステロイドは強力な抗炎症作用により効果を発揮します。 保存療法は、軽症の肩腱板断裂や、手術のリスクが高い場合、手術を希望されない場合などに選択されます。 手術療法(関節鏡手術) 保存療法で効果が得られない場合や、断裂の程度が大きい場合、スポーツ選手や肉体労働者など肩を良く使う職業の方の場合には、手術療法が検討されます。 手術療法は、傷ついた腱板組織を修復し、肩の機能を回復させることを目指す治療法です。 関節鏡手術:内視鏡を用いて行う手術です。皮膚に小さな穴を数カ所開け、そこからカメラや手術器具を挿入します。 モニターを見ながら手術を行うため、傷が小さく、体への負担が少ないというメリットがあります。ただし、 外科的治療には、術後感染や神経障害など、さまざまな合併症が起こる可能性があります。 肩腱板断裂の手術と入院期間について、併せてお読みください。 ただし、腱板が元の正常な組織に戻るわけではありません。手術では、あくまで腱の切れた部分を縫い合わせるだけとなります。 腱板の治療としては、幹細胞による再生医療があります。 肩腱板断裂の症状に対する再生医療|手術不要 肩腱板断裂に対する治療としては、再生医療という選択肢もあります。再生医療には主に幹細胞治療とPRP療法があります。 幹細胞治療では、脂肪組織由来の細胞を採取・培養し、患部に注射で投与します。 PRP療法は、患者様の血液から血小板を抽出した多血小板血漿(PRP)を患部に注射する方法です。 どちらも手術不要で身体への負担が少ない治療法なため、手術に不安がある方や長期間のリハビリを避けたい方は再生医療をご検討ください。 肩腱板断裂に対する再生医療の症例を以下の記事で紹介してます。再生医療の治療内容について興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。 患者様の状態によって、再生医療の実施可否、治療計画、想定される経過、リスクなどが異なります。 詳細については、当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 肩腱板断裂の症状を理解して治療の第一歩へ ここまで、肩腱板断裂の症状、五十肩との違い、セルフチェックの方法、診断方法、そして治療法について紹介しました。 症状が続く場合は早めに受診し、専門医から正確な診断を受けることが大切です。 保存療法、手術療法、損傷した組織を再生させる再生医療など、ご自身の生活や目標に合わせた治療法を選択しましょう。 痛みのない快適な日常生活を取り戻すために、適切な治療への第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。 肩腱板断裂の症状に関するよくある質問 肩腱板断裂の症状はどのくらいで治る? 肩腱板断裂の症状が治るまでの期間は、断裂の大きさ、治療法、患者様の年齢や仕事や日常の活動レベルによって大きく異なります。 まず、手術をしない保存療法(薬・注射・リハビリなど)の場合、断裂が小さければ数週間〜数か月で痛みが和らぐことがあります。 手術を受けた場合は、縫った部分がくっつくまで安静が必要です。そのため、普段の生活に戻るまでおおよそ半年〜1年ほどかかるのが一般的です。 痛みを和らげるためにできることはある? 痛みを和らげるためには、以下のような方法があります。 方法 説明 ポイント 安静 肩関節を動かさないように安静にする 必要に応じて、三角巾で肩関節を動かさないように固定 肩を使うスポーツや仕事を制限することもある 薬物療法 肩腱板断裂による炎症を抑え、痛みを軽減する 非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)の内服、湿布剤を処方 アイシングまたは温める 急性の痛みや断裂には「冷やす」と痛みが和らぐことがある 慢性的な痛みでは「温める」ことで血行がよくなり、痛みが軽減することがある どちらが症状が和らぐかを確認してから行う サポーターを使用する 日常生活で肩を使用する場合、サポーターを使用すると、関節を安定させ、痛みを軽減する効果がある 常時使用してしまうと、肩の筋肉や関節が硬くなったり、筋力が低下する問題がある 周辺の筋肉や関節を適度に動かす しびれは肩腱板断裂の症状に含まれる? 肩や腕に広がるしびれは、肩腱板断裂の直接的な症状ではありません。神経の圧迫など、他の原因も考えられます。 しかし、肩腱板断裂の可能性も否定はできませんので、痛みと一緒にしびれを感じる場合は、整形外科専門医も受診し、適切な診断を受けるようにしてください。 夜間痛を防ぐための寝方の工夫はある? うつ伏せや患側を下にする寝方は避けましょう。 仰向けで寝る場合には、胸と肘の間に丸めたタオルや小さな枕を入れて腕を支えると痛さが軽減されます。 横向きで寝る場合には、健側を下にして、抱き枕で患側の腕を胸の前に預けると肩が安定して、痛さが軽減されます。 参考文献 (文献1) 肩腱板断裂|公益社団法人日本整形外科学会
2025.02.15 -
- 肩関節
肩の前面に痛みを感じたり、腕を上げにくかったりしませんか?実は、その痛み、上腕二頭筋長頭腱炎かもしれません。 野球のピッチャーやテニスプレイヤーといったスポーツ選手だけでなく、日常生活での動作や加齢も原因となり、誰もが発症する可能性があります。放っておくと日常生活にも支障をきたすこの病気。原因、症状、検査、そして具体的な治療法まで、解説します。肩の痛みを我慢せず、快適な生活を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。 上腕二頭筋長頭腱炎の原因と症状 肩の前面に痛みを感じたり、腕を上げにくかったり、腕をひねりにくかったりしませんか?もしそうなら、上腕二頭筋長頭腱炎の可能性があります。日常生活で何気なく行っている動作やスポーツなどで肩に負担がかかり続けると、知らないうちに発症していることがあります。 この病気は、放っておくと日常生活にも支障をきたすことがありますので、早期の発見と適切な治療が重要です。ここでは、手の付け根付近で起こる上腕二頭筋長頭腱の炎症について、どのような原因で起こり、どんな症状が出るのかを詳しく解説していきます。 上腕二頭筋長頭腱炎とはどんな病気なの 上腕二頭筋は、力こぶを作る筋肉です。この筋肉には長頭と短頭という二つの起始部(筋肉の始まり部分)があり、長頭は肩甲骨関節窩の上方にある結節、短頭は肩甲骨の烏口突起から起始します。そして、長頭は肩関節の中を通って上腕骨に付着しています。この長頭の部分の腱が炎症を起こした状態が、上腕二頭筋長頭腱炎です。 腱とは、筋肉と骨をつなぐ、とても丈夫な組織です。この腱が炎症を起こすと、まるで擦り傷を負った時と同じように、痛みや腫れが生じます。炎症が一時的なものから、腱そのものが変性してしまうものまで、様々な段階があります。 原因:使い過ぎ、加齢、外傷 肩の使いずぎ:上腕二頭筋長頭腱炎の主な原因は、肩の使い過ぎです。野球のピッチャーやテニスプレイヤーのように、腕を頭上に上げる動作を何度も繰り返すスポーツ選手に多く見られます。 また、日常生活でも、重い物を持ち上げたり、パソコン作業などで長時間同じ姿勢を続けることでも発症することがあります。例えば、スーパーのレジ係や工場のライン作業など、毎日同じ動作を繰り返す職業の方も注意が必要です。 加齢:加齢も大きな原因の一つです。年齢を重ねると、腱の柔軟性が徐々に失われ、損傷しやすくなります。若い頃は元気に動かせていた肩も、年齢とともに負担がかかりやすくなるため、中高年の方に多く発症する傾向があります。 転倒などの外傷:さらに、転倒などによる肩への直接的な外傷も原因となる場合があります。交通事故やスポーツ中の衝突などで肩を強打すると、上腕二頭筋長頭腱に炎症が生じることがあります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 上腕二頭筋長頭腱炎の具体的な症状 肩の前側~二の腕にかけての痛み: これは最も典型的な症状です。炎症を起こした腱が、肩の前側や二の腕を通っているため、これらの場所に痛みを感じます。まるで肩の内側から針で刺されるような痛みや、鈍い痛みを感じることもあります。 安静時痛: 炎症が強い場合、じっとしていてもジンジン、ズキズキとした痛みを感じることがあります。これは安静時痛と呼ばれ、炎症のサインの一つです。 動作時痛: 肩を動かしたときに痛みが強くなります。特に、腕を上げる、後ろに回す、ひねるといった動作で痛みが強くなります。 具体例 スーパーでペットボトルをもったとき 頭のシャンプーで腕を上げたとき 車の運転で、ハンドルを切ったとき 洗濯を干すため腕を上げたとき 孫を抱っこしたとき エプロンの腰紐を後ろで結ぶとき 髪の毛を後ろに束ねるとき 夜間痛: 夜寝ているときに痛みが増すことがあります。これは、寝ている姿勢によって肩が圧迫され、炎症を起こしている腱への負担が増えるためです。 圧痛: 患部を押すと痛みが増します。肩の前側にある腱を押すと、強い痛みを感じます。 上腕二頭筋長頭腱炎の主な症状は、肩の前側の痛みです。安静にしている時でも鈍い痛みを感じることがありますし、腕を上げたりひねったりする時に鋭い痛みを感じることもあります。 特に、腕を耳につけるように上げる動作や、後ろ手に背中を掻くような動作で痛みが強くなる場合は、上腕二頭筋長頭腱炎の可能性が高いです。 また、肩の前面が腫れて、熱を持っていることもあります。炎症がひどくなると、肩関節の動きが悪くなり、腕を自由に動かせなくなります。例えば、洋服を着替えたり、髪を梳かすといった動作が困難になることもあります。 これらの症状は、上腕二頭筋の損傷だけでなく、腱板の断裂や四十肩など、他の肩の疾患でも同様の症状が現れることがあります。自己判断は危険ですので、少しでも気になる症状があれば、医療機関を受診して適切な検査と診断を受けることをお勧めします。 ▼肩腱板断裂について、併せてお読みください。 ▼四十肩と五十肩の違いについて、併せてお読みください。 上腕二頭筋長頭腱炎の検査と診断 この章では、上腕二頭筋長頭腱炎の検査と診断について解説していきます。 身体診察:視診、触診、運動検査 テスト 視診では、肩の見た目や形、腫れの有無、皮膚の色などを観察します。健康な肩と比較して、左右の肩の形に違いがないか、皮膚に赤みがないかなどを確認することで、炎症の有無を推測します。 次に触診を行います。医師は指で肩の腱の走行に沿って優しく押さえ、痛みや腫れ、熱感などを確認します。特に、上腕二頭筋長頭腱が通る「結節間溝」と呼ばれる部分に圧痛があるかどうかは、判断材料の一つとなります 患者さんには「ここを押すと痛みませんか?」などと質問しながら、丁寧に触診を進めていきます。 運動検査では、患者さんに腕を様々な方向に動かしてもらい、痛みの程度や肩関節の動く範囲(可動域)を確認します。 腕を耳につけるように上げる、体の前で腕を交差させる、後ろ手に背中を掻くといった動作で、腕をどこまで動かせるのか、また、どんな動きをしたときに痛みを感じるのかを詳しく診ていきます。 ヤーガソンテストとは、肘を90度に曲げ、手のひらを下に向けた状態で、医師が患者さんの前腕に外側へひねる力を加え、患者さんにはそれに抵抗してもらいます。この時、上腕二頭筋長頭腱に炎症があると、結節間溝に痛みが出ます。 アッパーカットテストとは、ボクシングのアッパーカットのように腕を斜め上に突き上げる動作で、上腕二頭筋長頭腱に炎症があると、肩の前方に痛みが出ます。これらのテストを組み合わせて、上腕二頭筋長頭腱炎の特徴的な症状を探し、診断の精度を高めます。 画像検査:レントゲン、超音波検査、MRI検査 身体診察である程度の診断はできますが、腱や骨の状態をより詳しく調べるためには画像検査が欠かせません。 骨の状態を知るために、最初にレントゲン検査を実施します。上腕二頭筋長頭腱炎では、骨自体に異常がない場合が多いのですが、骨折や他の骨の異常を除外するために重要な検査です。 石灰沈着性腱板炎なら、レントゲンで白く写るのですぐにわかります。 超音波検査では、腱の厚みや炎症の程度をリアルタイムで確認できます。レントゲンでは見えない腱の状態を詳しく観察できるため、診断の確定に役立ちます。また、腱の周囲にある滑液包という袋に炎症が起きていないかどうかも調べられます。 MRI検査では、腱やその周囲の組織の状態をさらに詳細に確認できます。特に、腱の断裂や損傷の程度を正確に把握するのに役立ちます。 どの画像検査を行うかは、患者さんの症状や身体診察の結果によって医師が判断します。 鑑別診断:他の疾患との見分け方 肩の痛みは上腕二頭筋長頭腱炎だけでなく、腱板断裂、肩関節周囲炎、石灰沈着性腱板炎など、様々な原因で起こります。 これらの疾患は上腕二頭筋長頭腱炎と症状が似ている場合があり、鑑別が難しいケースもあるため、医師は、身体診察、画像検査の結果を総合的に判断し、他の疾患の可能性も考慮しながら慎重に診断を行います。 腱板断裂では、腕を特定の角度に挙げたときに痛みや、動かす際に引っかかるような感じがすることがあります。腕を支えないと上がらない場合は、完全に断裂してる場合が多いです。 肩関節周囲炎では、肩関節の動きが全体的に制限され、腕をあらゆる方向に動かすことが困難になります。つまり関節拘縮が起こり、それが原因で痛みが助長します。 石灰沈着性腱板炎では、何も思い当たることがないのに、急に激痛が出て、痛いところを指でおすと、飛び上がるほど痛みが出ます。 上腕二頭筋長頭腱炎の治療法 この章では、上腕二頭筋長頭腱炎の治療法について、保存療法と手術療法の2つの観点から、具体的な例を交じえながら詳しく解説します。 保存療法 保存療法とは、手術をせずに、薬やリハビリテーションなどによって症状の改善を目指す治療法です。上腕二頭筋長頭腱炎の多くは、この保存療法で改善が見込めます。 安静:まず初めに、炎症が起きている腱を安静にすることが重要です。安静にする期間や程度は、症状の重さによって異なりますが、痛みが強い場合は、腕を吊るなどの処置が必要になることもあります。 薬物療法:炎症や痛みを抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの飲み薬や湿布薬を使用します。これらの薬は、炎症の原因となる物質の生成を抑えることで、痛みや腫れを軽減する効果があります。 注射:痛みが激しい時には、ステロイド注射による治療を検討することもあります。ステロイドは強力な抗炎症作用を持つ薬で、短期間で効果を発揮します。しかし、腱を弱くする可能性もあるため、使用回数や投与量には注意が必要です。 理学療法(リハビリテーション):炎症が落ち着いてきたら、理学療法(リハビリテーション)を開始します。理学療法では、肩関節の柔軟性や安定性を高めるための運動療法や、肩甲骨周囲の筋肉のバランスを整えるトレーニング、ストレッチングなどを行います。 例えば、初期のリハビリテーションでは、振り子運動を行います。これは、腕をリラックスさせ、前後に、左右に、円を描くようにゆっくりと振る運動です。肩関節への負担が少ないため、炎症が強い時期でも安全に行うことができます。 また、ゴムバンドなどを用いた外旋運動や内旋運動も効果的です。これらの運動は、肩関節の安定性を高めるのに役立ちます。 これらの保存療法を組み合わせることで、多くの場合、上腕二頭筋長頭腱炎は改善します。 保存療法の効果が見られない場合、または症状が重い場合には、手術療法が検討されます。最新の研究では、上腕二頭筋長頭腱炎の保存的管理に関するエビデンスは不足していることが示唆されており、今後の研究の進展が期待されます。 手術療法 薬物療法などの保存的な治療で十分な効果が見らない場合や、腱が断裂している場合などには、手術療法が必要になることがあります。 手術には、大きく分けて「上腕二頭筋腱切開術」と「上腕二頭筋腱固定術」の2つの方法があります。 上腕二頭筋腱切開術は、腱を上腕骨頭から切離する手術です。肩の不快感を和らげる効果が優れている一方、上腕二頭筋の力が弱くなる可能性があります。スポーツなどで高いパフォーマンスを必要としない方、高齢の方などに適しています。この手術は、関節鏡という細いカメラを用いて行うことが多く、傷が小さく、回復も比較的早いというメリットがあります。 上腕二頭筋腱固定術は、切離した腱を、上腕骨の別の場所に固定する手術です。上腕二頭筋の力を維持できるというメリットがありますが、手術の難易度が高く、回復に時間がかかる場合があります。スポーツ選手など、上腕二頭筋の力が必要な方、比較的若い方などに適しています。 上腕二頭筋長頭腱炎の『再生医療』 上腕二頭筋長頭炎に対する保存療法を行なっても、なかなか改善しない時の選択肢として、今注目の再生医療があります。 リペアセルクリニックでは、再生医療分野で豊富な経験を持つ専門医たちが、10,000症例以上の実績に基づく確かな技術と独自の培養方法で、患者様一人一人に最適な治療プランをご提案いたします。 国内唯一で最新の『分化誘導技術』を用い、当院は『新時代の再生医療』による治療を提供します。 そんな再生医療に興味のある方は、こちらから当院独自の再生医療の特徴を紹介しています。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 McDevitt AW, Young JL, Cleland JA, Hiefield P, Snodgrass SJ. Physical therapy interventions used to treat individuals with biceps tendinopathy: a scoping review. Brazilian journal of physical therapy 28, no. 1 (2024): 100586. Nho SJ, Strauss EJ, Lenart BA, Provencher MT, Mazzocca AD, Verma NN, Romeo AA. Long head of the biceps tendinopathy: diagnosis and management. The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 18, no. 11 (2010): 645-56.
2025.02.15 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
「マッサージを受けても、すぐに肩こりがぶり返す」「痛みがひどくて仕事に集中できない」とお悩みではありませんか。 ひどい肩こりは、単なる疲労ではなく、姿勢や生活習慣、ストレスなど複数の要因が重なって起こる場合が多いです。そのため、原因を正しく理解し、ご自身に合った対処法を選ぶことが改善への近道です。 本記事では、ひどい肩こりが起こる原因から、自宅でできるセルフケア、医療機関での治療選択肢まで詳しく解説します。つらい肩こりを根本から改善するために、ぜひ参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩こりでお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ひどい肩こりが起こる原因 ひどい肩こりを改善するためには、まず原因を知ることが重要です。原因がわかれば、効果的な対処法を選びやすくなります。 肩こりの主な原因は、以下の5つです。 長時間の同じ姿勢による筋緊張 猫背やストレートネックによる負担 運動不足による血行不良 冷えによる筋肉のこわばり ストレスと自律神経の乱れ それぞれ詳しく解説します。 長時間の同じ姿勢による筋緊張 デスクワークやスマートフォンの操作など、同じ姿勢を長時間続けると、首や肩の筋肉が緊張し続けます。筋肉が緊張した状態が続くと血流が悪化し、疲労物質や老廃物がたまりやすくなります。 その結果、筋肉が硬くなり、こりや痛みが生じるのです。 とくに、肩甲骨周囲の筋肉が動かない状態が続くと、肩全体の動きが制限され、肩こりが慢性化しやすくなります。1時間に1回は席を立ち、肩を回すなどの軽い動作を取り入れることが大切です。 猫背やストレートネックによる負担 猫背やストレートネック(首のカーブが失われた状態)は、首や肩の筋肉に大きな負担をかけ、肩こりの原因となります。 成人の頭の重さは約4〜6kgあります。正しい姿勢であれば、背骨全体で支えられますが、頭が前に出た姿勢では、首や肩の筋肉だけで頭を支えなければなりません。 結果的に筋肉の緊張が常態化し、慢性的な肩こりにつながります。日頃から正しい姿勢を意識することが、肩こり予防の基本です。 運動不足による血行不良 運動不足になると筋肉量が低下し、血液を送り出すポンプ機能が弱まります。血行が悪いと筋肉が固まって痛みが出やすくなるため、肩こりが慢性化しやすくなります。 ウォーキングや軽いストレッチなど、日常的な体を動かす習慣が、肩こり予防に効果的です。 冷えによる筋肉のこわばり 体が冷えると血管が収縮し、血流が低下します。血流が悪くなると筋肉に酸素や栄養が行き届かなくなり、筋肉がこわばりやすくなります。 とくに、冷房の効いた室内で長時間過ごす方や、冬場に肩や首を露出する服装をしている方は、肩こりが悪化しやすいです。 冷えを感じやすい方は、「カーディガンやストールで肩を温める」「入浴で体を温める」などの対策が有効です。 ストレスと自律神経の乱れ 精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、筋肉の緊張を高めます。交感神経(体を活動・緊張状態にする神経)が優位な状態が続くと、肩や首の筋肉に力が入りやすくなり、肩こりが悪化しやすくなります。 ストレスが原因の肩こりは、マッサージだけでは改善しにくい場合があります。十分な睡眠やリラックスできる時間を確保し、ストレスを溜め込まない工夫を心がけましょう。 【簡易診断】ひどい肩こりの重症度をチェック 肩こりの症状は人によって異なります。以下の表で、ご自身の症状の重症度を確認してみましょう。 重症度 主な症状 該当する症状例 推奨される対処法 軽度 ・肩の張り ・軽い疲労感 ・デスクワーク後に肩が重い ・もみほぐすと楽になる セルフケア(ストレッチ・マッサージ)で改善可能 中度 ・持続的なこり ・動かしにくさ ・朝起きても肩が重い ・首を回すと痛みがある ・頭痛を伴う セルフケアと生活習慣改善を推奨。改善しなければ医療機関受診を検討 重度 ・強い痛み ・日常生活への支障 ・痛みで眠れない ・腕にしびれがある ・吐き気を伴う 医療機関での受診を検討すべき 軽度であればセルフケアで改善が期待できますが、中度以上の症状が続く場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。 ひどい肩こりを改善するためのセルフケア 軽度から中度の肩こりであれば、セルフケアで症状の改善が期待できます。ここでは、自宅で実践できる4つのセルフケア方法を紹介します。 マッサージ療法 運動療法(ストレッチ) 温熱療法 生活習慣の改善 それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 マッサージ療法 セルフマッサージは、筋肉の緊張を和らげ、血流を改善する目的で行います。 肩こりに効果的なセルフマッサージの方法は、以下のとおりです。 右手で左肩の筋肉(僧帽筋)を軽くつかむ 痛気持ち良い程度の力で、ゆっくりともみほぐす 首の付け根から肩先に向かって、少しずつ位置をずらしながら行う 30秒〜1分ほど続けたら、反対側も同様に行う なお、強く押しすぎると筋肉を傷める可能性があるため、「痛気持ち良い程度」の力加減を意識しましょう。 また、マッサージはあくまで一時的な対処です。根本的な改善を目指したいのであれば、姿勢の見直しや運動習慣の改善を心がけましょう。 運動療法(ストレッチ) 肩や肩甲骨まわりを動かすストレッチは、血流改善と筋肉の柔軟性向上に効果が期待できます。 具体的な肩甲骨まわりのストレッチ方法は、以下を参考にしてください。 両肩を前後に大きく回す 両手を肩に当てて、円を描くように動かす 肩をすくめた後、ストンと落とす ストレッチは日々の継続が重要です。また、入浴後など「体が温まっているタイミング」で行うと効果的です。 ただし、痛みが強い場合は無理をせず、症状が落ち着いてから行ってください。 温熱療法 肩周りを温めると血管が拡張し、血流が改善されます。血流が良くなると、筋肉に酸素や栄養が届きやすくなり、こわばりが緩和されます。 温熱療法の方法は、以下のとおりです。 方法 やり方 ポイント 入浴 38〜40℃程度のお湯に15〜20分つかる 肩までしっかり浸かる 蒸しタオル 濡らしたタオルを電子レンジで1分ほど温め、肩に当てる やけどに注意し、心地良い温かさで使用 温熱シート 市販の温熱シートを肩に貼る 長時間の使用は低温やけどに注意 ただし、肩に熱感や腫れがある場合は、炎症が起きている可能性があります。その場合は温めずに冷やし、医療機関を受診してください。 生活習慣の改善 肩こりの根本的な改善には、日常生活の見直しが欠かせません。以下の表を参考に、改善策を試してみてください。 改善項目 具体的な対策 姿勢 ・デスクワーク時はモニターの高さを目線に合わせる ・椅子に深く座る 作業環境 1時間に1回は席を立ち、軽いストレッチを行う 睡眠 7〜8時間の睡眠を確保し、自分に合った高さの枕を使用する 運動 ウォーキングや軽い体操など、日常的に体を動かす習慣をつける なお、セルフケアを続けても改善しない場合は、別の原因が隠れている可能性があります。2週間以上症状が続く場合は、医療機関への受診を検討しましょう。 ひどい肩こりが改善しない場合の治療選択肢 セルフケアを続けても改善しない場合は、医療機関での治療が検討されます。ここでは、医療機関での代表的な治療法を2つ紹介します。 薬物療法 注射療法 それぞれの治療法を詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法は、痛みや筋肉の緊張を和らげる目的で行われます。医療機関では、症状に応じて以下のような薬が処方されます。 薬の種類 特徴 非ステロイド性消炎薬 (NSAIDs) いわゆる「痛み止め」で、とくに急性期の痛みに効果がある。飲み薬、湿布、坐薬などがある 筋弛緩薬 (きんしかんやく) 筋肉のこわばりを抑える薬。NSAIDsと一緒に処方されることが多い ビタミンB製剤 神経の修復を助ける目的で処方される 血流改善薬 血流を改善し、筋肉への酸素や栄養の供給を促す (文献1) なお、薬物療法は症状を和らげる対症療法であり、根本的な原因を解決するものではありません。医師の指示に従い、適切に使用することが大切です。 注射療法 肩こりの症状が強い場合や、セルフケアで改善しない場合は、神経ブロック注射が検討されるケースがあります。(文献1) 神経ブロック注射は、肩こりの原因と考えられる箇所の神経やその周辺に、麻酔薬やステロイドホルモンを注射する治療法です。 痛みやこりを一時的に和らげ、「痛み→筋肉の緊張→血行不良→さらなる痛み」という肩こりの悪循環を断ち切る効果が期待できます。 ただし、注射療法はすべての肩こりに適応されるわけではありません。医師の診察を受け、症状に応じて適切な治療法が選択されます。 ひどい肩こりは別の病気が関係していることもある セルフケアや一般的な治療で肩こりが改善しない場合、筋肉以外の問題が原因となっている可能性があります。 「肩こりの背景に隠れていることがある疾患」には、以下のようなものがあります。 疾患名 特徴 頚椎椎間板ヘルニア (けいついついかんばん) 首の椎間板が飛び出し、神経を圧迫する。腕のしびれや痛みを伴うことがある 頚椎症性神経根症 (けいついしょうせいしんけいこんしょう) 加齢により頚椎が変形し、神経を圧迫する。肩から腕にかけての痛みやしびれが特徴 四十肩・五十肩 (肩関節周囲炎) 肩関節の炎症により、動かすと強い痛みが生じる。腕が上がらなくなることもある このような疾患が原因の場合、セルフケアや対症療法だけでは十分な改善が難しいことがあります。そのため、医療機関を受診し、精密な検査を受けることが大切です。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、手術をしない選択肢として「再生医療」を提供しています。再生医療とは、患者様ご自身の細胞が持つ「組織を修復する働き」を利用した治療法です。 肩こりが長期間改善しない方や、上記のような疾患と診断された方は、再生医療も選択肢の一つとして検討してみてください。 また、以下の記事では「頚椎椎間板ヘルニア」の症例を紹介しています。ぜひ参考にしてください。 まとめ|ひどい肩こりは原因に合った治し方を選ぶことが重要 本記事では、ひどい肩こりの原因から、セルフケア、医療機関での治療選択肢まで解説しました。 ひどい肩こりの原因は、姿勢や運動不足、ストレスなど人によって異なります。まずはセルフケアで改善を試み、それでも症状が続く場合は医療機関への受診を検討しましょう。 ご自身の症状や原因に合った対処法を選ぶことが、肩こり改善への近道です。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供や簡易オンライン診断を行っております。 肩こりでお悩みの方は、ぜひご登録ください。 ひどい肩こりに関するよくある質問 ひどい肩こりはマッサージだけで治る? マッサージは筋肉の緊張を和らげ、一時的に症状を軽減する効果があります。ただ、姿勢や生活習慣が改善されなければ、肩こりは再発しやすいです。 マッサージはあくまで対症療法の一つです。根本的な改善には姿勢の見直しや運動習慣の改善、場合によっては医療機関での治療が必要になることもあります。 なかなか治らない肩こりにお悩みの方は、医療機関への受診を検討してみてください。 ひどい肩こりで頭痛や吐き気がある場合は病院に行くべき? 頭痛や吐き気を伴う肩こりは、筋肉の緊張だけでなく、神経の圧迫や血行不良が関係している可能性があります。 とくに、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 頭痛が頻繁に起こる、または強くなっている 吐き気やめまいを伴う 腕や手にしびれがある 市販薬を飲んでも改善しない 放置すると症状が悪化する可能性があるため、自己判断せず専門医への相談をおすすめします。 ひどい肩こりは何科を受診すればいい? 肩こりの受診先は、症状によって異なります。受診先の判断に迷った際は、以下の表を参考にしてください。 症状 受診すべき診療科 肩や首のこり・痛み 整形外科 頭痛やめまいを伴う 整形外科または神経内科 ストレスや不眠が原因と思われる 心療内科 迷った場合は、まずは整形外科への受診をおすすめします。整形外科では、レントゲンやMRIなどの検査で骨や筋肉の状態を確認し、適切な治療法を提案してもらえます。 参考文献 (文献1) わかりやすい病気のはなしシリーズ「肩こり」|一般社団法人「日本臨床内科医会」
2025.02.09







