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妊娠中に「妊娠糖尿病」と診断され、不安や戸惑いを感じていませんか? 「食事に気をつけてください」と言われる中で、「運動も大切です」と医師からアドバイスを受けたものの、妊娠中に体を動かして本当に大丈夫なのか、逆にお腹の赤ちゃんに影響が出ないか、不安になる方も多いでしょう。 本記事では、妊娠糖尿病の管理においてなぜ運動が推奨されているのか、そしてどのような運動なら安心して行えるのかを、わかりやすく解説します。 運動が不安な方でも、今日から無理なく始められるポイントや注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 妊娠糖尿病には運動が効果的 妊娠糖尿病と診断されると、まず「食事管理」が思い浮かびますが、運動も血糖値のコントロールに効果的な手段のひとつです。 妊娠中でも体に負担をかけすぎない運動であれば、医師の指導のもと安心して取り入れられます。 実際に、妊婦さんの中には運動を取り入れることで血糖値が安定し、体調管理がしやすくなったと感じる方も少なくありません。 本章では、妊娠糖尿病に対する運動の具体的な効果や、安全に取り入れやすい方法について解説します。 歩行のみでも改善効果が期待できる 運動と聞くと、ランニングのような激しい運動が必要と思われがちですが、ウォーキングのような軽い有酸素運動でも血糖値コントロールへの良い影響が報告されています。 たとえば、科学研究費助成事業による調査では、妊娠糖尿病の妊婦において歩行運動を取り入れた妊婦の方が、食事療法のみの妊婦に比べてインスリン治療へ移行した割合が少なかったことが報告されています。(文献1) もちろん、すべての人に同じ効果が現れるわけではありませんが、「歩くだけでも意味がある」と思えるだけでも、日々の活動が変わります。 運動により血糖値コントロール・体重管理・便秘予防などの効果がある 先ほども解説した通り、妊娠糖尿病において、軽めの有酸素運動は血糖値のコントロールに非常に有効ですが、運動の効果は、血糖値の改善だけではありません。 適度な運動を続けることで、過度な体重増加を防ぎ、妊娠中に起こりやすい便秘の予防にも効果があるとされています。 さらに、軽い運動はリフレッシュにもつながり、ストレスの軽減や睡眠の質の向上など、心身のバランスを整える助けにもなります。 妊娠中はホルモンバランスの変化で気分が不安定になりやすいため、体を動かすことで気分転換ができるのも大きな利点です。 安定期(妊娠中期)〜後期では運動が始めやすい 妊娠初期は体調が不安定なことが多いため、無理に運動を始める必要はありません。 しかし、妊娠12~16週以降の安定期に入り、体調が落ち着いてきた頃であれば、医師の許可を得たうえで軽い運動を始めることができます。 ウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなど、お腹に負担をかけずにできる動きから少しずつ取り入れていくのがポイントです。 最初は短時間・軽い内容からスタートし、体調を見ながら続けていきましょう。 妊娠糖尿病の方におすすめの3つの運動 妊娠糖尿病の方にとって、運動は血糖コントロールや体調管理に役立つ大切なセルフケアのひとつです。 ここで、妊婦さんでも無理なく取り入れやすい、妊娠糖尿病の管理にも効果が期待できる、以下3つの運動方法をご紹介します。 ウォーキング(散歩) マタニティヨガ・ストレッチ 軽い筋トレ(スクワット・もも上げ) ウォーキング(散歩) ウォーキングは、妊娠中でも安全性が高く、体への負担が少ない有酸素運動です。 血流が良くなることで血糖値の安定にもつながり、リフレッシュ効果も期待できます。 無理に長時間歩く必要はなく、1日15〜30分程度、気分がよい時間帯にゆっくり歩くだけで大丈夫です。 歩く際は、気温や天候に配慮し、水分補給を忘れずに行いましょう。 マタニティヨガ・ストレッチ マタニティヨガやストレッチは、呼吸を意識しながらゆっくり体を動かす運動です。 筋肉をやわらかく保ち、血行を促進することで、血糖値の安定にも良い影響が期待でき、心身のリラックスにもつながります。 また、腰痛や肩こり、むくみ、便秘といった妊娠中の不調の予防や緩和にも効果的です。 たとえば「猫と牛のポーズ」は、妊婦さんに人気のある基本的な動きのひとつです。 【猫と牛のポーズ】 四つん這いになる 肩の真下に手首、脚の付け根の真下に膝を置く 手のひらを大きく開き、中指を正面に向ける 膝の間は拳1つ分あける 頭からお尻まで一直線にキープ 息を吸いながら背中を反らせて目線を上に 息を吐きながら背中を丸めて目線をおへそに 四つん這いになることで、お腹が自然に下がり、赤ちゃんにとっても居心地の良いスペースが生まれます。 お母さんは呼吸がしやすくなり、赤ちゃんもリラックスできると言われており、息苦しさを感じたときにもおすすめです。 ただし、このポーズは妊娠16週以降で、主治医から運動の許可を得ている方のみ行うようにしましょう。 自宅で動画を見ながら取り組める手軽さも魅力ですが、お腹を圧迫しない姿勢を選び、無理なく行うことが大切です。 軽い筋トレ(スクワット・もも上げ) 妊婦さんでもできる範囲の軽い筋トレもおすすめです。 筋肉を使うことで、インスリンの働きが良くなり、血糖の取り込みがスムーズになるといわれています。 たとえば、椅子につかまりながらのスクワットや、その場でももを軽く上げ下げする運動などは、下半身の筋力を保ちつつ代謝をサポートします。 運動前後のストレッチや呼吸を意識し、お腹に力を入れすぎないよう注意しながら行うのがポイントです。 妊娠糖尿病の方が運動する際の注意点 妊娠糖尿病の管理に運動は効果的ですが、妊娠中という特別な時期であることを忘れてはいけません。 体調や妊娠の経過によっては、運動がかえって負担になる場合もあるため、「無理をしない・安全に行う」ことが最も大切です。 本章では、妊娠糖尿病の方が運動を始める際に、必ず押さえておきたい以下、4つの注意点をご紹介します。 医師に必ず相談してから開始する お腹が張ったらすぐ中止する 水分補給・室温管理など安全に配慮する 激しい運動は避ける 医師に必ず相談してから開始する 妊娠中に運動を始める前には、必ず主治医へ相談しましょう。 妊娠糖尿病の症状の程度や、妊娠の経過、合併症の有無などによっては、運動を控えるよう指示される場合もあります。 また、体調は日によって変化するため、「昨日は大丈夫だったから今日も大丈夫」とは限りません。 医師と相談しながら、そのときの自分の体に合った方法・タイミングで取り組むことが大切です。 お腹が張ったらすぐ中止する 妊娠中の運動で最も大事なのは、「頑張りすぎない」ことです。 少しでもお腹が張る、疲れすぎたと感じる、不調のサインがあれば、すぐに運動を中止しましょう。 妊娠糖尿病の管理には継続が大切ですが、それ以上に大切なのは母体と赤ちゃんの安全です。 「今日は無理しない」という判断も、立派な自己管理のひとつです。 水分補給・室温管理など安全に配慮する 妊娠中は汗をかきやすく、体温調整もしにくくなっているため、こまめな水分補給と室温管理が欠かせません。 とくに夏場や暖房のきいた室内では、熱中症や脱水症状を防ぐためにも常に水分を手元に置いておくようにしましょう。 また、食後30分〜1時間以内の軽い運動が血糖値の上昇を抑えるのに効果的とされており、このタイミングを意識するのもおすすめですが、体調がすぐれないときは無理せず、あくまで自分の体と相談しながら行いましょう。 激しい運動は避ける 妊娠中はお腹に衝撃や強い負荷がかかるような運動は避ける必要があります。 主に、以下の運動は原則NGとされています。 ランニングやジャンプなど、全身に強い負荷がかかる動き サッカーやバスケットボールなど、転倒や接触リスクのあるスポーツ 腹筋運動や体幹トレーニングなど、お腹に直接負担がかかるもの これらは流産や早産のリスクを高める恐れがあるため、妊娠中は控えるのが基本です。 安全第一で「ゆっくり・やさしく・短時間」を心がけましょう。 まとめ|妊娠糖尿病と運動は正しく組み合わせれば心強い味方 妊娠糖尿病と診断されると、不安や戸惑いを感じる方も多いかもしれません。 しかし、適切な運動は血糖コントロールに役立つだけでなく、妊娠中の心身の健康をサポートしてくれる心強い味方にもなります。 大切なのは、「できることから無理なく続ける」ことです。 ウォーキングやストレッチなど、体調に合わせて取り入れやすい運動から始めてみましょう。 少しでも不安があるときは、かかりつけの医師や助産師に相談しながら進めることが安心・安全への近道です。無理のない範囲で体を動かしながら、穏やかな妊娠生活を送りましょう。 参考文献 (文献1) 菅沼信彦「妊娠糖尿病妊婦に運動療法は効果的か?2014年度 実績報告書」京都大学 医学系研究科、2015年(研究課題番号:25670970) https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-25670970/256709702014jisseki/(最終アクセス:2025年5月25日])
2022.06.02 -
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50代女性で糖尿病の初期症状はどんなものがある? 50代になってから、健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘されてしまった。対策は? この記事を読んでいる方は、50代女性で糖尿病になると、どんな初期症状があらわれるのか気になっているのではないでしょうか。 血糖値が高いと指摘されても、具体的にどんな症状が出るのか、どんな危険性があるのか想像がつきにくい人もいるかもしれません。 50代は糖尿病のような生活習慣病が増えてくる年代でもあります。特に女性の場合は更年期から発症するケースもあるため、初期症状を見逃さないようにしましょう。 本記事では、糖尿病の初期症状について、50代女性に特化して解説します。 記事を最後まで読めば、50代女性における糖尿病の初期症状が分かり、適切な対策法を考えられるでしょう。 当院リペアセルクリニックでも、糖尿病の症状や治療法についてのご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 糖尿病の初期症状は「のどの渇きやだるさ」 血液の中の糖が多くなると、体にさまざまな異変を感じます。 しかし、糖尿病には「進行しないと症状が出にくい」という特徴があります。つまり、初期症状が出る頃には、すでに糖尿病が進行している状態ともいえるのです。 糖尿病の初期症状としては、以下が挙げられます。(文献1) のどが乾く 尿の回数が多い 体のだるさを感じる 体重が減ってくる 血液の中の糖を薄めるために頻回に水を飲みたくなったり、その影響で尿の回数が増えたりします。 また、血糖をエネルギーに変えて、血糖値を下げるホルモンの分泌が悪くなり、疲れやすい、体重が減るといった症状にもつながります。 糖尿病が進行してくると、体には様々な合併症が現れます。糖尿病の主な合併症は以下の通りです。(文献2) 糖尿病の合併症の例 症状 糖尿病性神経障害 手足のしびれ、感覚の鈍りなど 糖尿病性網膜症 目のかすみ、視力低下など 糖尿病性腎症 むくみ、高血圧、尿毒症など もし糖尿病のような症状が気になっている場合には、早めの受診をお勧めします。 【女性向け】糖尿病の初期症状チェックリスト 「甘いものが止められない」「食事のバランスが偏っている」といった糖尿病になりやすい生活習慣を持っている方は、自分が糖尿病ではないか気になりますよね。 以下は、女性向け糖尿病の初期症状チェックリストです。(文献3)(文献4) のどが渇きやすい 尿の回数が多い 疲れやすい 目がかすむ 体重が減ってきた 手足のしびれや痛みがある 感染症にかかりやすい 傷が治りにくい 当てはまる項目が多い場合は、糖尿病の初期症状の可能性も考えられます。 ただし本表はあくまでもセルフチェックに留め、気になる症状は、早めに医療機関に相談しましょう。 糖尿病の初期症状については、以下の記事もぜひご覧ください。 糖尿病患者の9割は「2型糖尿病」 糖尿病は、生活習慣病とも関連する注意すべき病気です。血糖値を降下させる作用のある、インスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの働きが悪くなり発症します。 糖尿病は、大きく「1型」と「2型」に分類されます。 「1型糖尿病」は、自己免疫の異常によって、インスリンを産生する膵臓の細胞が攻撃を受け発症するタイプです。生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与しません。一方、糖尿病患者の約9割以上が「2型糖尿病」と言われています。 主な原因は、ストレスや肥満体型、運動不足や暴飲暴食など日々の生活習慣の乱れです。生活習慣の乱れが続くと、インスリンの分泌が少なくなったり、効きが悪くなり、血液中の糖が細胞に十分に取り込まれなくなります。 2型糖尿病でインスリンが出にくくなる、効きが悪くなる原因の多くは、高脂肪、高カロリーなどの食習慣です。また、糖質の取り過ぎや顕著な運動不足が続くとインスリンの働きが弱まり、徐々に血糖値が上昇していきます。 そのほか、妊娠や更年期を契機に発症するパターン、あるいは膵炎や膵臓がんなど膵臓疾患に合併して発症するパターンなども挙げられます。 2型糖尿病について、詳しく以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。 50代女性の糖尿病リスクが高い理由 50代女性の糖尿病リスクが高い理由は、更年期が関係しています。 一般的に、女性は40代頃から更年期と呼ばれる時期に入ります。この時期は体がほてって疲労を感じやすいなど症状があらわれることが多いです。 更年期の症状は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量低下によるものです。 エストロゲンには血糖値を調整する働きがあり、通常は女性を糖尿病から守る役割を果たしています。エストロゲンの分泌量は40代頃から減少し始め、50代の閉経期には急激に低下することから、更年期以降は糖尿病を発症するリスクが高まっていくのです。 更年期には自治体の定期検診や、勤務先の企業健診の結果に注目しましょう。 特に以下の値が基準値を超えている場合は、糖尿病の可能性があるため、医療機関での受診をおすすめします。 空腹時血糖値:126mg/dl以上 HbA1c:6.5%以上 (文献5) また、尿検査で糖が検出される場合も、糖尿病の可能性を示唆する重要なサインとなります。 50代女性が糖尿病を予防する4つのポイント 50代女性に起こりやすい糖尿病は「2型糖尿病」で、生活習慣の乱れが主な原因です。糖尿病を予防し、健康でいられるための4つのポイントをまとめました。 糖尿病予防のために意識したいポイントは、以下の通りです。(文献6) 食事を改善する 運動習慣をつける ストレスを溜めない 禁煙をする この章では、各ポイントについて詳しく解説します。 1.食事を改善する 食事はバランス良く、適量を摂ることが大切です。 糖分や脂質の多い食事は血糖を上昇させたり、体重を増加させたりします。野菜や果物、魚、豆類、雑穀類などを意識して摂ると、急な血糖値の上昇を防げるでしょう。 また、食事を抜くと次の食事で血糖値がいきなり上昇し、体に負担を与えてしまいます。時間がない、忙しいなどの理由で食事がとれない場合があっても、少しでも何か何かを口にすることから始めましょう。 間食もなるべくヘルシーなこんにゃくやゼリーにすると効果的です。 2.運動習慣をつける 有酸素運動は、血糖を筋肉に取り込みやすくする効果や、インスリンの働きも良くする効果があります。 週3回以上、週合計150分以上を目標に、無理のない範囲で行いましょう。 ウォーキングやサイクリングなど、またなるべく階段を使う、ラジオ体操をするなど「日常でプラス10分動く習慣」を作ることもおすすめです。 3.ストレスを溜めない ストレスは、ノルアドレナリンやコルチゾルといったホルモンを分泌させ、血糖値を上げる働きがあります。(文献7) 家事や育児、仕事などでストレスを感じている場合は、趣味を楽しむ、誰かと話す、ゆっくり呼吸をしてみるなど、意識して休む時間を作りましょう。 4.禁煙をする 喫煙はインスリンの働きを弱めるため、血糖値が下がりにくくなってしまいます。 禁煙することで、糖尿病のリスクを下げるだけでなく、他の生活習慣病やがんの予防にもつながるでしょう。全身の健康を保つために、禁煙を検討することをおすすめします。 まとめ|50代女性は糖尿病のリスクが高まる!生活習慣を見直そう 糖尿病は血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気です。 50代女性は更年期のエストロゲン減少によって、血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、糖尿病を発症することがあります。 普段から特段の自覚症状がなくても、知らぬ間に高血糖になる可能性があるため周囲が必要です。女性の場合は、更年期前後は生活習慣に特に意識を向けてみましょう。 当院では、膵臓(すいぞう)の再生医療を通じて糖尿病の進行を遅らせる治療も取り入れています。詳しくはこちらのページをご参考ください。 膵臓の再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 女性の糖尿病についてよくある質問 糖尿病は遺伝しますか? 2型糖尿病には、遺伝的要因もあります。 両親から受け継いだ遺伝子の性質により、インスリンの分泌が少なく、糖尿病になりやすい方もいます。 血の繋がった家族に糖尿病がいる方は、食べ過ぎや運動不足など、糖尿病のリスクを高めないように、とくに注意しましょう。 糖尿病は何科を受診すればよいですか? 基本的には内科を受診しましょう。 病院によっては「糖尿病内科」「内分泌科」といった糖尿病に特化した科を持っているところもあります。 また、もし合併症が現れている場合には、眼科や泌尿器科などの専門科の受診も必要です。 参考文献 (文献1) 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病とは」 https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html (文献2) 一般社団法人 日本糖尿病学会「糖尿病合併症について」 https://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3 (文献3) 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「糖尿病|病気について|循環器病について知る|患者の皆様へ」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/diabetes/ (文献4) 東京都保健医療局「糖尿病発症予防ガイドブック 今日から予防!糖尿病」 https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/tonyo/citizen/6leaflet.html (文献5) 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン 2024」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/01.pdf (文献6) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202411_006.html (文献7) 大下咲子 ほか「<研究報告>2型糖尿病患者のストレスとストレス対処行動」 https://isns.jp/journal_pdf/03-1/03-1-2_rr01.pdf
2022.05.24 -
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「もしかして自分も糖尿病なのでは?」 「糖尿病の初期症状を詳しく知りたい」 このような不安を抱えている方は多いでしょう。 糖尿病は初期段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。 しかし、早期に異変を察知して生活習慣を見直せば、重症化や合併症を防げます。 本記事では、糖尿病に見られる代表的な初期症状やセルフチェックのポイント、早めに受診すべきサインについてわかりやすく解説します。 初期症状を理解すれば、自分や家族の健康を守るための適切な行動につなげられますので最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 糖尿病の初期症状について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 糖尿病とは?初期症状を理解するための基礎知識 糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの働きが不十分になり、血液中のブドウ糖(血糖)が増加する病気です。インスリンは血糖値を一定の範囲に保つ役割を担っています。 高血糖状態が続くと血管が傷つき、心臓病、失明、腎不全、足の切断などの合併症やリスクが高まります。 糖尿病は以下の4つに分類されます。 1型糖尿病 ・膵臓からインスリンがほとんど分泌されず血糖値が高くなる ・自己免疫反応などによりインスリンを分泌する機能が失われることで発症する 2型糖尿病 ・インスリン分泌低下やインスリン抵抗性によって血糖値が高くなる ・遺伝的要因に加え、食べ過ぎ・運動不足・肥満など生活習慣の影響で発症する その他の病気や治療薬による糖尿病 ・他の病気や治療薬の影響で血糖値が上昇し糖尿病を発症する場合がある ・ステロイド薬などの薬剤や特定の疾患が血糖値上昇を引き起こすことで発症する 妊娠糖尿病 ・妊娠中に初めて確認される ・妊娠によるホルモン変化でインスリンが効きにくくなることが原因で発症する 参考:糖尿病ってなに?|糖尿病情報センター(文献1) これら4種類の糖尿病は原因や特徴が異なるため、正しい理解と適切な管理や治療が重要です。 糖尿病の初期症状 糖尿病の主な初期症状は以下のとおりです。 体重が減る のどが渇きやすくなる 尿の回数が増える 疲れやすくなる 目がかすむ 爪の色や形に変化が現れる 足がつるなどの症状が見られる 感染症にかかりやすくなる 空腹感を感じやすくなる 自身に当てはまる症状がないか、糖尿病の初期症状をそれぞれ詳しく見ていきましょう。 体重が減る 糖尿病では体重が減少する場合があります。 原因は、インスリンの働きが不十分になり、細胞にブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用する機能が低下するためです。 エネルギー不足を補うため、脂肪や筋肉を分解してエネルギー源とする結果、体重が減少します。 さらに、多尿による体液の喪失も体重減少を引き起こす要因です。 のどが渇きやすくなる 糖尿病の症状の一つにのどの渇きがあります。 血糖値が高くなることによって体内の水分バランスが崩れ、多尿状態が引き起こされるためです。 高血糖の状態では、腎臓が血液中の余分な糖を排出しようとし、その際に大量の水分も失われるため、体内の水分が不足してのどが渇きやすくなります。 のどの渇きが続くと水分摂取量が増え、トイレに行く回数も増加します。 尿の回数が増える 糖尿病では頻尿の症状が見られます。 血糖値が高くなると、余分な糖を排出するために、大量の水分が必要です。 さらに、尿の量や回数が増えるだけでなく、強いのどの渇きも引き起こされます。 多尿は身体から水分が多く失われるため、脱水状態にもつながりやすくなります。 疲れやすくなる 糖尿病では疲れやすくなることがあります。 インスリンが十分に働かず、糖分がエネルギー源として細胞に取り込まれにくくなるためです。 結果として、体がエネルギー不足に陥り、疲労を感じやすくなります。 さらに、高血糖状態が続くと、血液の循環が悪化し、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りにくくなることも疲労の一因です。 目がかすむ 糖尿病の症状で目がかすむ場合があります。 高血糖が続いて水晶体や目の血管が変化するためです。ブドウ糖が増えると水晶体にソルビトール(糖アルコールの一種)がたまり、水分が引き寄せられて膨らみ、視界がぼやけて目がかすみます。 高血糖は血管を傷つけて網膜にむくみを起こし、長く続くと血流が悪化して糖尿病網膜症へ進行し、視力低下の原因となります。(文献2) 爪の色や形に変化が現れる 糖尿病になると爪の色が黄色や茶色に変わり、厚みが増して巻き爪になりやすくなります。 高血糖が続くことで血管や神経が損傷し、末梢の血流や栄養供給が低下して、爪の成長サイクルが乱れるためです。 血流障害や代謝の変化により爪の新陳代謝が滞り、正常な形や色が保ちにくくなります。 足がつるなどの症状が見られる 糖尿病では、足がつる症状が見られます。 主な原因は糖尿病による神経障害(糖尿病性ニューロパチー)です。高血糖状態が長期間続くと、末梢神経が損傷を受け、過剰な興奮を引き起こします。 その結果、筋肉が正常に機能せず、けいれんを引き起こしやすくなります。 さらに、糖尿病の影響で血液循環が悪化し、筋肉への酸素や栄養供給が不十分になることも足がつる原因です。 感染症にかかりやすくなる 高血糖は白血球の働きを弱め、細菌やウイルスに対する防御力を低下させます。 糖尿病患者では血流が悪くなるため傷が治りにくい特徴もあります。 とくに皮膚や尿路、肺などの感染症が起こりやすく、足の傷が化膿しやすい糖尿病性足潰瘍や、肺炎、尿路感染症などが代表的な感染症です。 空腹感を感じやすくなる インスリンの働きが不十分で血糖値がコントロールされないため、空腹感を感じやすくなります。 通常、食事から摂取した糖分はインスリンの働きで細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。 しかし、糖尿病ではこの仕組みが機能しないため、細胞がエネルギー不足の状態に陥りやすいです。 その結果、身体がエネルギーを求め、空腹感が強くなります。初期症状を感じたら早めに医療機関を受診するのが重要です。 糖尿病の初期症状セルフチェックリスト 糖尿病の症状が出ているかセルフチェックしてみましょう。 トイレの回数が増えた 頻繁にのどが渇く 手足のしびれや痛みがある めまいや立ちくらみをおこしやすい 視力低下や目のかすみがある 体重が急に減少している 食べても満腹感が得られない 上記の症状に当てはまる場合は糖尿病の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。 糖尿病の合併症一覧|進行すると現れる症状 糖尿病が進行すると現れる症状は以下のとおりです。 糖尿病性神経障害|手足しびれ、痛み 糖尿病網膜症|視野のぼやけ・視力低下 糖尿病性腎症|足のむくみ・腎臓の障害 糖尿病性自律神経障害|立ちくらみ・冷や汗などの症状 それぞれ詳しく解説します。 糖尿病性神経障害|手足しびれ、痛み 糖尿病が進行すると、手足にしびれや痛みが現れます。 これは糖尿病性神経障害と呼ばれ、末梢神経がダメージを受けると起こります。 症状が進行すると、痛みやしびれが悪化し、手足の感覚が鈍くなるため、傷や感染に気づきにくいです。 これが原因で、傷口が悪化しやすく、最終的には潰瘍や壊疽を引き起こすリスクが高まります。 糖尿病網膜症|視野のぼやけ・視力低下 進行すると、目に影響を及ぼす糖尿病性網膜症が出現する場合があります。 糖尿病網膜症は、血糖値の高い状態が続くと、網膜の血管が損傷を受け、視力に障害をもたらす疾患です。 初期段階では自覚症状は少ないものの、進行すると視力低下、視野のぼやけ、飛蚊症などの症状が現れます。 さらに重症化すると、網膜剥離や硝子体出血などが引き起こされ、失明するリスクが高いです。 糖尿病性腎症|足のむくみ・腎臓の障害 糖尿病が進行すると、腎臓がダメージを受ける糖尿病性腎症が現れる場合があります。 これは糖尿病によって血糖値が高い状態が続き、腎臓の血管が傷つけられるためです。 腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する役割がありますが、腎機能が低下するとこの機能がうまく働かなくなります。 その結果、足のむくみや疲労感、尿量の変化などが見られ、進行すると血液中に老廃物が蓄積される尿毒症に至る可能性があります。 糖尿病性自律神経障害|立ちくらみ・冷や汗などの症状 糖尿病は、自律神経障害を合併する場合があります。 自律神経は、心臓、消化器、呼吸器、血管などの器官を調整する重要な神経です。 高血糖によって神経が損傷すると調整機能が低下し、以下の症状が現れます。 立ちくらみ 冷や汗 消化不良 便秘 下痢 頻尿 失禁 これらの症状は、日常生活に大きな影響を与えます。 糖尿病の初期症状の段階は治せる? 糖尿病は初期段階であっても完治が難しい病気です。 しかし、早い段階で医療機関を受診して以下の方法を行うと、進行や合併症のリスクを抑えられます。 食事療法 運動療法 生活習慣の改善 薬物療法 再生医療 医師の指導のもと自身にあった適切な治療を始めて、糖尿病の進行を防ぎましょう。 糖尿病を予防・改善する方法 糖尿病を予防・改善する方法は以下の表のとおりです。 食事療法 ・食事は野菜を多く取り入れ規則正しい時間に摂り、間食を控える ・1日に必要なエネルギー量は、男性は2,200±200kcal、活動量の少ない成人女性の場合は、1,400〜2,000kcalが目安(文献3) ・摂取カロリーを適正に保ち、栄養バランスの取れた食事を一日三食規則的に摂ることが大切 運動療法 ・運動は糖の消費を促す ・運動の目安は週100分以上の有酸素運動に筋力トレーニングを組み合わせる(文献4) ・筋肉量を増やして糖の取り込みを高めることでインスリンの作用を強められる 生活習慣の改善 ・肥満の改善や禁煙、十分な睡眠やストレス管理は糖尿病の予防や治療に効果的 ・体重を減らすとインスリンの働きが高まり、血糖値の安定化や合併症予防につながる ・禁煙や睡眠改善により血流やホルモンバランスが整い、神経障害や心血管リスクを下げられる(文献5) 薬物療法 ・血糖値を下げる薬には経口薬と注射薬の2種類がある ・経口薬は作用の違いにより5つの種類に分類される ・注射薬はインスリン注射とGLP-1受容体作動薬の2つに分類される 再生医療 ・再生医療は、弱った膵臓に脂肪由来の幹細胞を投与して、血糖値の安定を目指す治療 ・副作用も少なく、身体への負担が少ないのが特徴 糖尿病の初期症状のサインを見逃さず、早い段階から改善予防に取り組みましょう。 当院「リペアセルクリニック」で提供している再生医療については、以下の記事をご覧ください。 糖尿病の初期症状を理解して早期治療を始めよう 糖尿病は、慢性的に血糖値が高い状態が継続する疾患です。 のどの渇きや頻尿、足がつるなどの初期症状を放置して血糖値が高い状態が継続すると、糖尿病性神経障害や網膜症、腎症などのリスクにつながります。 症状が現れた際は放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。 糖尿病の治療法には食事や運動、生活習慣の改善や薬物による治療のほか、再生医療の選択肢もあります。 再生医療について、さらに詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。 糖尿病の初期症状に関するよくある質問 糖尿病の自覚症状が出たらもう手遅れですか? 糖尿病の自覚症状が出たからといって、必ずしも手遅れではありません。 しかし、自覚症状が現れる段階では、血糖値がすでに高くなっている可能性があり、早期治療が重要です。 糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、わずかな症状でも早期に医療機関を受診しましょう。 50代女性で糖尿病の初期症状は何がありますか? 50代女性の糖尿病の初期症状は、のどの渇きや尿の増加、体のだるさや体重減少などがあります。 詳しくは以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。 参考文献 (文献1) 糖尿病って何?|糖尿病情報センター (文献2) 糖尿病網膜症|日本眼科学会 (文献3) 実践食育ナビ|農林水産省 (文献4) 4章運動療法|日本糖尿病学会 (文献5) 喫煙と糖尿病|厚生労働省
2022.05.23 -
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糖尿病は自覚症状がほとんどなく、「まだ治療しなくても大丈夫」と放置してしまう人も少なくありません。 しかし、治療を受けずに5年、10年と放置すると、知らないうちに全身の血管や神経が傷つき、取り返しのつかない合併症を引き起こす恐れがあります。 本記事では、糖尿病を5年間放置した場合のリスク、そして合併症を防ぐために今からできることを医師監修のもとで解説します。 正しい知識を持って、重症化を防ぎましょう。 糖尿病に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 糖尿病のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 糖尿病を5年間放置すると合併症が進行 糖尿病は、病気が無症状で進行する「サイレントキラー」と呼ばれています。 糖尿病は、長期間にわたって血糖値が高い状態が続き、様々な合併症を引き起こす可能性がある病気です。 これらの合併症は、とくに早期に発見・治療が行われないと、重篤な結果をもたらす恐れがあります。 合併症は重症化すると、足が壊疽する「糖尿病性神経症」や失明の原因となる「糖尿病性網膜症」、人工透析の原因となる「糖尿病性腎症」など、進行すると日常生活に多大な影響を及ぼします。 糖尿病の治療が必要な理由は、これらの合併症を防ぐためです。糖尿病は、些細な生活習慣の乱れが原因であるといわれています。 糖尿病が「サイレントキラー」といわれ、命に関わる怖いものであると知ることで、「生活習慣を変えるきっかけ」にしましょう。 糖尿病が「サイレントキラー」と言われる理由 糖尿病は、症状がほとんど現れません。そのため、健康診断で糖尿病が指摘されても放っておく人も多いのが現状です。しかし、糖尿病を放置すると全身に合併症を引き起こします。合併症とは、一つの病気が元になって起こる新たな病気のことです。 糖尿病の合併症は命に関わることから、糖尿病は「サイレントキラー(沈黙の暗殺者)」と呼ばれることがあります。 糖尿病の三大合併症「し・め・じ」について 糖尿病には三大合併症と呼ばれる代表的な合併症があります。 糖尿病の三大合併症 し)神経障害 め)網膜症 じ)腎症 この3つは、糖尿病が無ければ起こらない病気であり、それぞれの頭文字を取って「し(神経障害)・め(網膜症→目)・じ(腎症)」と呼ばれ、その危険性を喚起しています。 どの合併症も多くは無症状で進行し、症状が現れたときには危険な状態となっています。生活に大きな支障をきたす病気であるため、注意が必要です。 放置した糖尿病が引き起こす三大合併症 糖尿病を治療せず放置していると、血糖値が普段より高い状態がずっと続きます。血糖値の増加は血管や神経を次第に傷つけ、さまざまな臓器に障害をもたらします。 とくに三大合併症は、自覚症状がないまま進行するのが特徴です。血糖コントロール不良により、細い血管がダメージを受け症状が進行します。 これらの合併症は、軽度であれば血糖コントロール改善により回復が見込めますが、進行してしまうと改善は難しくなります。 三大合併症について、詳しく説明します。 しびれや麻痺を全身に引き起こす神経障害(ニューロパシー) 神経障害は、糖尿病を治療せずに放置すると、約5年で発症することが多いとされています。(文献1)糖尿病三大合併症の中で最も早く現れやすい症状です。 高血糖が神経そのものや周囲の細い血管にダメージを与え、感覚を伝える神経や筋肉を動かす神経が障害されます。痛みやしびれ、こむら返りなど気づきやすいものや、足の感覚が鈍くなる「感覚鈍麻」のように自覚しづらい症状もあります。手足の知覚や運動機能が衰え、日常生活にも悪影響を及ぼしかねません。 さらに病状が進行すると、自律神経という内臓や血管の働きに関わる神経にも影響が及び、しびれや麻痺が全身に広がります。身体が動かしにくくなるといった生活に大きな支障をきたすケースも少なくありません。 とくに注意が必要なのは、足の神経障害です。感覚が鈍ると小さな傷にも気づきにくくなります。潰瘍や感染を起こし、最悪の場合は切断が必要になることもあります。 視力低下や失明を引き起こす網膜症(糖尿病網膜症) 神経障害の後に現れるのが網膜症です。高血糖により、網膜にある毛細血管が傷ついたり破れたりして、視力低下や失明を引き起こす病気です。 網膜症の進行は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が高いほど早いと考えられています。症状が現れると、治療しても視力の回復は難しいといわれています。 そのため、糖尿病と診断されたら眼科で定期的に網膜の検査を受けることが大切です。また、視界がぼやけたりシミが見えたりするなど、目の異変に気付いたらすぐに眼科を受診しましょう。 糖尿病網膜症は進行性の病態で、早期の発見と治療が重要です。 【関連記事】 糖尿病による失明の前兆を医師が解説【見え方に要注意】 糖尿病網膜症は治るのか|治療方法とあわせて現役医師が解説 人工透析の原因第一位となる糖尿病腎症 糖尿病腎症は糖尿病三大合併症の中でも比較的遅く現れます。腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として出す働きをしています。 腎症になるとろ過機能が低下し、尿にタンパク質が漏れるようになります(タンパク尿)。症状が悪化すると、腎機能のほとんどが失われ「人工透析」が必要になります。糖尿病腎症は現在、日本の人工透析の原因第一位です。 糖尿病と診断されたら、定期的に尿検査を行い、腎機能の状態を確認するようにしましょう。 これらの合併症は、糖尿病患者が適正に血糖値を管理し、定期的な健康チェックや医師の指導を受けることで予防・管理が可能です。早期の発見と治療は合併症の進行を遅らせ、重篤な結果を防ぐために非常に重要です。 糖尿病を放置すると取り返しがつかない理由 糖尿病を放置すると、一度壊れた神経や血管は元に戻りません。 血糖値の高い状態が続くと血管の内側が傷つき、神経や臓器に酸素や栄養が行き届かなくなります。最初の頃はほとんど自覚症状がないため放置されがちですが、徐々に全身の機能が損なわれて気が付くと取り返しのつかない状態になっているのが特徴です。 治療を怠ると合併症が進行し、日常生活に支障をきたすようになります。これらの障害は一度起こると完治するのは難しいため、早期の血糖コントロールが唯一の予防策といえます。 放置して、「症状が出てから」では手遅れになるのが糖尿病の怖さです。 「合併症の連鎖」で生活の質が落ちる 糖尿病を放置すると、神経障害・網膜症・腎症といった三大合併症が次々と発症します。 神経障害によって手足のしびれや痛みが出ると、歩行や運転、仕事に支障が生じます。さらに、足の感覚が鈍くなり、傷に気づかず感染を起こすと「壊疽(えそ)」を引き起こし、切断が必要となる場合もあります。 また、網膜症では視力の低下や失明のリスク、腎症の進行により倦怠感やむくみが強まり、最終的には透析が必要になる場合もあります。 これらの合併症が重なると、仕事や趣味を続けるのが難しくなり、生活の質(QOL)は大きく低下します。 血糖を適切にコントロールし、合併症の連鎖を断ち切ることが、健康的な生活を維持するために重要です。 脳卒中・心筋梗塞など命に関わる病気にもつながる 高血糖状態が続くと、細い血管だけでなく太い血管(動脈)もダメージを受けます。これが「動脈硬化」を早め、脳や心臓の血流を妨げる原因です。結果として、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる重大な疾患のリスクが2〜4倍に高まることがわかっています。(文献2)(文献3) 血糖値が高いだけで症状がないように見えても、血管のダメージは着実に進行します。合併症を発症した後の治療では、後遺症や再発のリスクが高くなるため、適切な治療が最も重要です。 血糖コントロールは単に糖尿病治療ためだけでなく、命に関わる病気を予防するためにも欠かせません。 糖尿病の合併症を防ぐために必要なこと 糖尿病の合併症を防ぐには、症状が現れていないうちからの血糖コントロールが重要です。 糖尿病の治療や合併症の予防は、食事療法・運動療法・薬物療法の三本柱で行います。 どの治療を中心にするかは個人差があるため、主治医に相談した上で決めていきましょう。 糖尿病の治療や合併症の予防の三本柱 食事療法 血糖値が上がりやすい糖質の量を減らし、野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれると高血糖の改善や体重低下が期待できます。 極端な糖質制限は逆効果です。あくまで糖質を食べ過ぎないように食事の最後に食べるなどに留めましょう。 運動療法 運動はインスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できます。 軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続できる方法で運動を取り入れましょう。 薬物療法 主治医と相談しながら、症状に合わせた薬を飲み続けましょう。 また、体質的にインスリン分泌が少ない人はインスリン注射を日常的に行う場合があります。 糖尿病治療に「再生医療」という選択肢 合併症予防のために、早めの治療の重要性を認識頂けたと思います。これまでの治療は、糖尿病の進行を遅らせることが主流でした。しかし最近では、再生医療という新しい選択肢があります。 再生医療により期待できる効果は、次の通りです。 合併症の症状が改善する 手足のしびれが改善する 糖尿病性網膜症が改善する 腎機能が改善する 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っております。 再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 糖尿病は5年放置すると大きなリスクを伴う!お悩みの方は当院へご相談ください 本記事では、糖尿病が進行すると命に関わる合併症を引き起こすことを解説しました。 糖尿病三大合併症の神経障害、網膜症、腎症は進行すると、治療で元の状態に回復するのは極めて困難です。どの合併症も自覚症状がほぼなく、気づいたときには重症化しているケースがほとんどです。 健康な人と変わらないQOL(生活の質)や寿命を守るためにも、症状が現れないうちから内科や眼科での定期的な検査や、血糖コントロールの管理が大切です。サイレントキラーと恐れられる糖尿病の症状にはくれぐれもご注意ください。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 糖尿病の放置に関するよくある質問 糖尿病を治療せず放置すると寿命はどうなりますか? 糖尿病を治療せずに放置すると、神経症や網膜症、腎症といった細小血管合併症や、心筋梗塞や脳卒中、腎不全といった命に関わる大血管合併症を引き起こし、結果として寿命が短くなることがわかっています。 一方、アメリカでの研究で、糖尿病の治療を続けて血糖値を適切にコントロールしていれば、寿命が平均4年ほど延びる報告が確認できました。(文献4)なおこの報告では、糖尿病の治療によりHbA1c、血糖値、BMI、血圧値、LDLコレステロール値のすべてを改善できれば、寿命が10年以上伸ばせる可能性を示唆しています。 一方で、血糖値を適切に管理できていない場合は、寿命が4年短くなる恐れもあり、健康管理のためには血糖コントロールが重要です。(文献5) 糖尿病は何年放置すると症状が出ますか? 糖尿病は初期症状がほとんどなく、自覚できる症状が現れるまでには数年かかります。 三大合併症の中で最も早く現れやすい神経障害は、治療せずに放置すると約5年で足のしびれといった症状が出始めると言われています。その後、網膜症は約10年、腎症は約15年で発症する傾向があります。(文献6) 症状がないからといって放置せず、診断を受けたらすぐに治療を開始するのが、将来の深刻な合併症を防ぐために極めて重要です。 参考文献 (文献1) 2型糖尿病の罹病期間と神経学的合併症の関連、パキスタンの横断研究|CareNet (文献2) 糖尿病と冠動脈疾患死亡との関連( NIPPON DATA80,19年追跡,男女計 )|NIPPON DATA (文献3) Diabetes and cardiovascular risk factors: the Framingham study|Circulation (文献4) Potential Gains in Life Expectancy Associated With Achieving Treatment Goals in US Adults With Type 2 Diabetes|PubMed (文献5) UF Health study shows years of life gained by ideal Type 2 diabetes control |UF Health (文献6) 糖尿病とは|産業医科大学
2022.05.19 -
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2023年(令和5年)の調査によると糖尿病の治療を受けている方はおよそ550万人、予備軍も含めるとおよそ2000万人に血糖値の異常が見られると考えられています。(文献1) 糖尿病は医薬品を用いて治療すると思われがちですが、食事療法や運動療法では十分に血糖値をコントロールできない際に、初めて治療薬の投与が検討されます。 毎日の食事は血糖値に大きな影響を与えるため、糖尿病の3大治療のなかでも食事療法はとても大切です。 食事に伴い血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌されて血糖値を下げます。 しかし、食事の間隔が短いとインスリンによる血糖降下作用が減弱するため注意が必要です。 本記事では食事の間隔を3時間以上あけるメリットや方法について解説します。糖尿病や血糖値の上昇にお悩みの方は参考にしてください。 食事の間隔を3時間以上あけると糖尿病予防につながる 糖尿病を予防する際に食事の間隔を3時間以上あけると効果的とされます。 4〜5時間あけることが適切なケースもあるなど諸説ありますが、血糖値をコントロールするためには食事の間隔を適度にあける必要があることに違いはありません。 食事の間隔をあける必要性について理解するためには、糖尿病発症のメカニズムについて知っておく必要があります。 糖尿病には遺伝的要因で発症する1型と、生活習慣が深く関わる2型の2種類がありますが、単に糖尿病といった場合は2型を指すケースがほとんどです。 2型の糖尿病を発症するメカニズムは以下のとおりです。 加齢や遺伝的要因によりインスリンの分泌量が減少する(インスリン分泌障害) 乱れた食習慣や運動不足などが原因でインスリンの作用が減弱する(インスリン抵抗性) インスリンの分泌不足にインスリン抵抗性が加わり血糖値が上昇する 高血糖状態が慢性化すると糖尿病の発症リスクが増加する 2型の糖尿病はインスリン分泌障害とインスリン抵抗性が合わさって発症するのが特徴です。(文献2) 2型の糖尿病にも遺伝的要因が関わっていますが、予防の観点では食事の間隔をあけて過食を避け、血糖値の急激な上昇を抑止するのがポイントです。 食事の間隔を3時間以上あけると血糖値の急激な上昇を抑えられるため、糖尿病の予防につながります。 間隔を3時間以上あけて食事する際に意識すること 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は以下の4点を意識しましょう。 一口につき20~30回ほど噛み時間をかけて食べる 一回の食事量を調節して腹8分目に抑える 血糖値を上昇させにくい食物繊維が豊富な食材から食べる タンパク質が豊富な食材を積極的に摂る それぞれについて解説します。 一口につき20~30回ほど噛み時間をかけて食べる 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は、一口につき20〜30回ほど噛み、時間をかけて食べるよう意識しましょう。 よく噛んでゆっくり食べることには、血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。食事を開始してから20分が経過すると、満腹中枢が刺激されて「お腹いっぱい」と感じやすくなるため、食べ過ぎを防げます。 平成21年に行われた国民健康・栄養調査において、BMI25以上の肥満の方は食事にかける時間が短い傾向にあるとわかりました。(文献3)これは、早食いが肥満につながりやすく、血糖値管理の観点からも注意が必要であることを示しています。 ただし、食事に時間をかけ過ぎると胃腸のはたらきが低下するため、1回の食事は90分以内にとどめましょう。 また、血糖値の急激な上昇を抑えるためにはGI値(グリセミック・インデックス)の低い食品を取り入れるのも効果的です。 一回の食事量を調節して腹8分目に抑える 一回の食事量を調節して腹8分目に抑えるのも、糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際のポイントです。 江戸時代に刊行された養生訓には「腹八分目に医者いらず」の有名な文言が記載されています。 日本糖尿病学会でも食事指導のポイントに「腹八分目とする」を挙げています。(文献4) 食事の量を調整して満腹状態を避けると、血糖値の急激な上昇を抑えられます。 自分で調節する際は主食(炭水化物)の量を減らし、タンパク質や食物繊維を多く含む副菜を多めに摂取しましょう。 血糖値を上昇させにくい食物繊維が豊富な食材から食べる 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は、食べる順番も意識して食物繊維が豊富な食材から食べましょう。 糖質を多く含む炭水化物から食べ始めると、血糖値が上昇しやすいため注意が必要です。 食物繊維を多く含む代表的な食品の例は以下のとおりです。 穀類:玄米・麦ごはん・胚芽米など 豆類:大豆・納豆・おからなど いも類:こんにゃく・長いもなど 野菜類:ごぼう・セロリ・白菜など 茸類:きくらげ・エリンギ・シメジなど 海藻類:ワカメ・ヒジキなど 食物繊維を多く含む食品のなかでも歯ごたえがある食品を取り入れると、噛む回数が増えて早食いを避ける結果につながります。 タンパク質が豊富な食材を積極的に摂る 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は、タンパク質が豊富な食材を積極的に摂るのも大切なポイントの一つです。 タンパク質が豊富な食材を積極的に摂取すると満腹感を得やすいため、食事に伴う血糖値の急激な上昇を避けやすくなります。 タンパク質を多く含む代表的な食品の例は以下のとおりです。 肉類:鶏むね肉・ささみ・牛もも肉など 魚類:サバ・カツオ・マグロなど 大豆製品:豆腐・納豆・枝豆など 乳製品:ヨーグルト・チーズ・牛乳など 卵類:鶏卵・ウズラの卵など タンパク質を多く含む食品のなかでも鶏むね肉は歯ごたえとボリュームがあるため、血糖値の急激な上昇を避けたい方におすすめです。 食事の間隔を3時間以上あけることを続けやすくする工夫 食事の間隔を3時間以上あけることを続けやすくする工夫は以下の2つです。 食事の内容・時間などを記録する 手軽に食べられる低GI・高タンパク食品を軽食にする それぞれについて解説します。 食事の内容・時間などを記録する 食事の間隔を3時間以上あける習慣を続ける際は、食事の内容・時間などを記録しておきましょう。食事に対する意識を高めると、食事の間隔を3時間以上あけるモチベーションの維持につながります。 朝・昼・晩の3回分の食事を欠かさずに記録するのは大変なので、食べ過ぎる傾向が多く見られる夕食の内容の記録から始めましょう。 食事の量やカロリーなどの詳細を記録しなくても、「何時にどんなものを食べたか」記録するだけでも構いません。食事の内容・時間を記録する際は、間食やアルコールの摂取についても書き漏らさないようにしてください。 間食に甘いものを食べると血糖値が急激に上昇するため、食事の順番を意識する努力が無駄になりかねません。ビールやワイン、日本酒には糖質が多く含まれているため、過剰摂取は糖尿病の発症リスクを高めると覚えておきましょう。 手軽に食べられる低GI・高タンパク食品を軽食にする 食事の間隔を3時間以上あける習慣を続ける際は、手軽に食べられる低GI・高タンパク食品を軽食として取り入れる工夫もあります。 軽食を取り入れると昼食や夕食の前に食欲が急増するのを避け、食べ過ぎおよび血糖値の急激な上昇を抑制する結果が見込めます。 軽食に取り入れるのがおすすめの低GI・高タンパク食品の例は以下のとおりです。 大豆製品 鶏むね肉 ヨーグルト 鶏卵 アーモンドなど 低GI・高タンパク食品を軽食として取り入れる際は、通常の3食の量を適宜調整してください。また、ヨーグルトは無糖の商品を、アーモンドは無塩の商品を選ぶのがポイントです。 食事の間隔とともに適度に運動することも糖尿病予防につながる 食事の間隔を3時間あけるとともに、適度な運動に取り組むと糖尿病の予防につながります。 8週間以上の運動療法に関する複数の研究をまとめた分析では、ヘモグロビンA1c(HbA1c:過去1〜2カ月の平均的な血糖値)の有意な改善が報告されています。 以前は血糖値を下げるために1週間あたり150分以上の運動が必要と考えられていましたが、研究が進み1週間に30〜100分の運動でも、時間依存的に血糖値を下げられるとわかってきました。 また、週に2~3回のレジスタンス運動(筋力トレーニングなど)を取り入れるとインスリン抵抗性が改善し、血糖値を改善すると示唆されています。(文献5) 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす一日のスケジュール例 食事の間隔を3時間以上あけるためには、スケジュールを立てて規則正しい生活を送る必要があります。 たとえば、以下のスケジュールで食事を摂ると、食間に3時間以上の間隔を設けられます。 朝食:7~9時(出勤や登校にあわせる) 昼食:12~14時 夕食:18~20時 間食(補食)の習慣がある方は昼食の3〜4時間後、夕食の3時間前ほどに摂ると良いでしょう。 昼食を摂るのが遅くなった日は、間食(補食)を抜くなどして急激な血糖値の上昇を避けてください。 また、個人により起床や就寝の時間が異なるため、自分の生活リズムに合わせてスケジュールを調整する必要があります。 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす上で注意すること 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす際は、以下の4点に注意する必要があります。 水分を適切に摂って脱水症状を防ぐ 夕食の食べ過ぎ・夜遅く(就寝前)の食事を避ける 外食が多い人は不足しがちな野菜・魚・大豆製品を意識して摂る 清涼飲料水など多量の糖分を含んだ食品を控える それぞれについて解説します。 水分を適切に摂って脱水症状を防ぐ 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす際は、水分を適切に摂って脱水症状を防ぐことが重要です。 食習慣の見直しに伴い食事制限に対する意識が高くなると、水分の摂取量が減少する傾向にあります。 一度に大量の水分を摂取するのは難しいだけでなく、尿として排出されてしまいます。 身体が一度に吸収できる水分量はおよそ200ミリリットルとされているため、コップ1杯程度の水を以下のタイミングで摂取するのがおすすめです。 起床時 朝食時 外出前 昼食時 間食時 運動前後 夕食時 入浴前後 就寝前 水分摂取量やタイミングには個人差があるため、生活リズムや体重などを考慮して適宜調整してください。 夕食の食べ過ぎ・夜遅く(就寝前)の食事を避ける 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす際に意識したいことの一つが、夕食の食べ過ぎや夜遅く(就寝前)の食事を避けることです。 仕事が忙しくて昼食を摂れなかったり、間食の習慣がなかったりすると、空腹にまかせて夕食を大量に食べてしまう傾向にあります。 食事の量が増えると単純に糖質の摂取量が増加するため、血糖値の上昇を招きやすくなります。 夕食後はエネルギー消費量が少ないため、食べ過ぎにより体脂肪が増加すると糖尿病の発症リスクも高くなるため注意が必要です。 夕食を摂取する時間も耐糖能を左右すると知っておきましょう。 静岡県立大学の研究によると、夕食を19時に摂取した場合と比べ、20時以降に摂取した場合は食後の耐糖能(血糖値を正常な範囲に保つ能力)が低下するとわかっています。(文献6) 20時以降に食事を摂ると血糖値が上がりやすく、肥満や糖尿病のリスクが増加するので、食事の間隔とともに気をつけてください。 外食が多い人は不足しがちな野菜・魚・大豆製品を意識して摂る 食事の間隔を3時間以上あけて過ごすのに伴い、外食が多い人は不足しがちな野菜・魚・大豆製品を意識して摂取しましょう。 外食すると肉料理を選びやすく、糖尿病予防に効果が見込める野菜・魚・大豆製品が不足しやすいためです。 糖尿病にならないためには、できるだけ外食の回数を減らした方が良いでしょう。コンビニやスーパーでお弁当を買う場合は、野菜のおかずを1品プラスしてみましょう。 清涼飲料水など多量の糖分を含んだ食品を控える 砂糖がたくさん入っている清涼飲料水をよく飲む人は注意が必要です。清涼飲料水は、カロリーが高い割に得られる満足感が少なく、とくに炭酸飲料は口当たりが癖になりやすく飲み過ぎてしまう傾向があります。 普段飲んでいる清涼飲料水を控えるだけでも一度に100〜200kcalほど抑えられるため、糖尿病予防には効果的です。 食事の間隔は無理しない範囲であけて血糖値を調整しましょう 糖尿病は血糖値が慢性的に高くなる病気で、進行すると合併症を引き起こして四肢の切断が必要となるケースもあります。 糖尿病を予防するためには日々の食習慣を見直し、血糖値の急激な上昇を避ける必要があります。 血糖値の急激な上昇を避けるためにおすすめの方法の一つが、食事の間隔を3時間以上あけることです。食事の間隔を3時間以上あけると血糖値の急激な上昇を抑制し、糖尿病の発症リスクを下げる効果が見込めます。 ただし、食事の間隔をあけるだけでなく栄養バランスの取れた献立を考えたり、適度な運動を取り入れたりするのも重要なポイントです。 当院「リペアセルクリニック」では、糖尿病に対する治療として再生医療を行っています。慢性的な高血糖にお悩みの方はお気軽にご相談ください。 食事の間隔に関してよくある質問 食事の間隔に関して以下2つの質問がよく聞かれます。 食事の間隔を16時間以上にするのはあけすぎ? 朝ごはんと昼ごはんの間隔が短いと太る? 以下でそれぞれお答えします。 食事の間隔を16時間以上にするのはあけすぎ? 食事制限による体重管理の方法の一つとして、16時間ダイエット(プチ断食)が挙げられます。 空腹の時間を長く設けることで脂肪の燃焼を促すのが目的ですが、糖尿病予防の観点からはおすすめできません。食事の間隔があきすぎることで、食後の血糖値が急激に上昇するリスクがあるためです。 また、食事できる時間が8時間に限られているため、1食で摂取する食べ物の量が増加する傾向にあります。 朝ごはんと昼ごはんの間隔が短いと太る? 朝ごはんと昼ご飯の間隔が短いからといって、必ずしも太るわけではありません。 太るか痩せるかを決定するのは摂取したカロリーと、1日の間に消費されるカロリーとのバランスで決まります。 朝ごはんと昼ご飯の間隔が短くても「摂取カロリー < 消費カロリー」のバランスを保てば太りにくいです。 ただ、朝ごはんと昼ご飯の間隔が短いと消化不良を起こしたり、胃の不快感や胃痛を生じたりする可能性があります。 朝食が遅くなったら、可能な範囲で昼食の時間を遅らせるのがおすすめです。 (文献1) 日本生活習慣病予防協会「糖尿病の調査・統計」 https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2025/010845.php(最終アクセス:2025年6月18日) (文献2) 一般社団法人日本内分泌学会「2型糖尿病」 https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=93(最終アクセス:2025年6月18日) (文献3) 農林水産省「ゆっくり食べる」 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics4_02.html(最終アクセス:2025年6月18日) (文献4) 日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」 https://www.jds.or.jp/uploads/fckeditor/files/uid000025_67756964655F323031382D323031392E706466.pdf(最終アクセス:2025年6月18日) (文献5) 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf(最終アクセス:2025年3月25日) (文献6) 静岡県立大学「食事間隔の延長による食後血糖悪化の病態生理の解明」 https://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/media/US_forum2024_tokubetsu158.pdf(最終アクセス:2025年3月25日)
2022.05.02 -
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糖尿病を患っている人にとって、運動療法は効果的な改善法のひとつです。 しかし、運動のタイミングや運動量を誤ってしまうと、むしろ糖尿病を悪化させる原因になってしまう可能性があります。 この記事では、糖尿病に効果のある運動のタイミングや運動法について解説します。「今まで運動不足だったからいきなりの運動は不安」という人でもできる簡単な運動もあるため、ぜひ最後まで見てみてください。 空腹時の運動が血糖値に与える影響|血糖値の急上昇、急降下を防ぐには 空腹時の運動は血糖値を不安定にしてしまうため推奨されていません。 食後の血糖値と比べると、空腹時は血糖値が低い状態です。運動を行うと血糖値は下がるため、激しい運動を行うと適正値を下回ってしまう可能性があります。 また、空腹時に運動を行った後は食事量も増えてしまうことが考えられます。食事量の増加によって血糖値の急上昇を引き起こしてしまうため、空腹時の運動は避けるべきでしょう。 現在行っている治療や体質によって注意すべきポイントが変わるため、それぞれご紹介します。 薬を飲んでいる人は空腹時の運動で低血糖を引き起こすリスクがある 現在インスリンやSU薬(スルホニル尿素薬)を飲んでいる人は、空腹時に運動を行うと低血糖を引き起こしてしまうため注意が必要です。 低血糖とは、血液中のブドウ糖が著しく少なくなった状態をいいます。糖尿病治療を行っている人によく見られる症状であり、体のだるさ、冷や汗、めまいなどを引き起こします。 空腹時血糖値が高い人は運動中に血糖値が急上昇する可能性がある 空腹時血糖値(食事を10時間以上摂らない状態での血糖値)が高い人は、運動を行うとむしろ血糖値が上がってしまう可能性があります。 食前、食後問わず、運動を行う場合は医師の指導を必ず受けるようにしましょう。 自身の体調に合わせた無理のない運動が大切 運動量が多い場合は補食をとる、もしくは運動前後のインスリン量を減らすなどの注意も必要になります。 短期的な効果を目指し過度な運動を行うことによって、低血糖や運動後の食事による血糖値の急上昇などを引き起こす可能性があります。 いずれもその人の体調に合わせた適切な運動を行うことが重要なので、糖尿病を患っている、あるいはその疑いがある方は、医師と相談しながら自身に合った運動量を調整していく必要があります。 血糖値の上昇を防ぐ効果的な運動法 この項目では、実際どのような運動療法を実施すると効果が高いのかをポイント毎に紹介します。 運動療法では、週150分かそれ以上、週3回の全身を使った有酸素運動が推奨されています。(文献1) 運動強度はややきつい中等度が良いとされており、20分以上の運動の継続がおすすめです。 また、無酸素運動(レジスタンス運動)については、連続しない日程で週に2~3回の実施がすすめられています。 食後1時間〜3時間で運動をする 運動を行う際は食後1~3時間の間で行うのがおすすめです。 食後は血糖値が一時的に上昇し、健康な人で食後1時間、糖尿病の人で食後2時間半ほどでピークに達し、その後緩やかに下がっていきます。(文献2) そのため、血糖値を下げるのに最も効果的なタイミングは食後のおよそ1時間~3時間後です。 食後の運動にはウォーキング、ヨガ、エアロビクスなどの有酸素運動がおすすめされています。 筋肉をつける運動を取り入れる 有酸素運動に加え、筋肉をつけるための無酸素運動(レジスタンス運動)を取り入れることで、長期的に見た際に血糖値コントロールに有効であるという効果も出ています。 運動を続けていくと、筋肉の量が少しずつ増えていきます。筋肉はエネルギーを大きく消費するため、筋肉が増えていくと血液中のブドウ糖が筋肉に多く取り込まれるようになります。これにより、血糖値を正常値に保ちやすくなります。 また、筋肉によるエネルギーの消費を基礎代謝と呼び、運動によって筋肉が増えることで基礎代謝量の増加に繋がるため太りにくい体質をつくることができるのです。 負荷が高ければ高いほど効果が報告されています。しかし、急に高負荷の運動を始めると、力みによって血圧が上昇し危険です。運動開始前に医師のチェックを受けましょう。 また、適切なフォームで行うことも重要です。動作中重りをあげる際は息を吐き、重りを下げる際は息を吸うことを心がけましょう。 筋肉はすぐには変化しないため、すぐには効果が実感できないかもしれません。短期的な効果を得られやすいのは有酸素運動、長期的な効果を得られるのは無酸素運動と覚えておきましょう。 有酸素運動と無酸素運動を組み合わせると効果的! 一言で運動といっても様々な内容のものがあり、身体にかかる負荷の大きさもそれぞれ違います。 糖尿病にならないための運動には、深く呼吸しながら行う有酸素運動が効果的といわれています。 有酸素運動にあたるもの ウォーキング、歩行(できるだけ速く歩く) ジョギング ラジオ体操 エアロビクス また、有酸素運動とは逆に息をつめて行うものを無酸素運動(レジスタンス運動)と呼びます。 無酸素運動にあたるもの 短距離走 重い物を持つ 筋力トレーニング 無酸素運動では、いきなり高負荷な運動は行わないよう注意が必要です。 無酸素運動はあまりしたことがない人にとって、最初はハードルの高い運動かもしれません。 全身を万遍なく鍛えることが推奨されていますが、時間がない人や自信がないという人には、下半身を鍛えられるスクワットから始めることをおすすめします。 短い時間のウォーキングや、日常動作も効果がある 運動とは、いわゆる「スポーツ」だけを指している訳ではありません。軽いウォーキングや立って行う家事など、身体を使った活動全てが運動です。 ある研究では、一日中座っていた人と比べ、軽いウォーキングや短時間の立ち仕事を頻繁に行っていた人のほうが食後の血糖値が低下していたという結果も出ています。(文献3) 日常の身体を使った活動 座っている時間を減らす いつもより速く歩く こまめに家事をこなす 身軽に動く 階段を使う 「毎日忙しくて運動する時間がつくれない」「長く運動をしていなかったから不安」という人は、まずは日常生活の中で身体を使う機会を増やしてみましょう。 効果的な、運動と食事の見直し 運動によるエネルギーの消費量は、思ったより多くありません。例えば、体重75㎏の人がウォーキングを10分間行うと、25kcalの消費になります。 しかし、毎日夕食にご飯(並盛り)を2杯食べているところを1杯に減らすと、それだけで250kcal減らすことができます。つまり、糖尿病にならないためには運動習慣だけでなく食生活の見直しを合わせて行うことが重要となるのです。 空腹時に運動すると血糖値が急上昇しやすいため、糖尿病予防には逆効果です。早朝のウォーキングやジョギングは、朝食後かパンやバナナなどを軽く食べた後に行いましょう。 まとめ|糖尿病予防には空腹時を避けた適切なタイミングでの運動が重要 空腹時の運動は、糖尿病の人にとっては悪い影響を及ぼす可能性があります。 激しい運動によって血糖値が下がってしまうだけでなく、空腹時の運動後の食事によって血糖値が急上昇してしまう可能性があります。 また、薬を飲んで治療をしている人は低血糖を引き起こしてしまう危険もあるため、食後1~3時間後の運動を行うよう心がけましょう。 ただし、持病や糖尿病合併症がある人、普段の血糖値が非常に高い人は運動が禁忌事項である場合があるため、スポーツを行う前には必ず事前に主治医の指示を受けてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では再生医療による糖尿病の治療に取り組んでいます。患者様一人ひとりの状態に応じた丁寧な診療を心がけ、血糖値や肝機能の管理をサポートしています。 再生医療について詳しく知りたい方は、合わせて以下をご覧ください。 参考文献 (文献1) 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024「第4章 運動療法」, 日本糖尿病学会, 2024年. https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf(最終アクセス:2025年3月25日) (文献2) 糖尿病ネットワーク.「尿と糖尿病:尿検査でわかること」 https://dm-net.co.jp/urine/2010/05/0202.php(最終アクセス:2025年3月25日) (文献3) Buffey, A. J., et al. (2022). The Acute Effects of Interrupting Prolonged Sitting Time in Adults with Standing and Light-Intensity Walking on Biomarkers of Cardiometabolic Health: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Medicine, 52(7), pp.1765-1787. https://link.springer.com/article/10.1007/s40279-022-01649-4 (最終アクセス:2025年3月25日)
2022.04.27 -
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「糖尿病予防のため運動したいけれど、どのような運動をしたら良いのかわからない。」 「運動は長続きしないので、継続する方法を知りたい。」 このようにお悩みの方もいるのではないでしょうか。 糖尿病には、その発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。ただ、その中でも自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」は、完全に予防できる方法が発見されていません。 その一方で、日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」は、生活習慣やライフスタイルを見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避または改善できます。 そこで本稿では、この2型糖尿病について、その改善方法を記してまいります(以下に記す「糖尿病」の表記は、2型糖尿病を指すものとします)。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 糖尿病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 運動が糖尿病予防に欠かせない理由 糖尿病は、規則正しい食生活はもちろんのこと、日常から意識して身体を動かすなどの運動を実践することが大切です。運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなり、ブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められます。 とくに2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると言われています。 さらに運動は、加齢に伴う筋肉の衰弱を改善できるばかりか、心肺機能の向上、ストレス解消効果も期待できます。 運動療法の効果 ブドウ糖が筋肉にとり込まれ血糖値が下がる 低下したインスリン機能が改善する 高血圧や脂質異常症の改善にも役立つ エネルギーの消費で肥満を防止する 加齢による筋力低下を改善する 骨粗鬆症の改善が期待できる 心肺機能が高まる ストレスの解消効果が期待できる 運動を行うことで、改善はもちろん、予防にも効果的です。 1型糖尿病 治療、予防が難しい 2型糖尿病 妊娠糖尿病 予防が可能 生活習慣やライフスタイルを見直す 規則正しい食生活 適度な運動(ストレス発散) 実施にあたっては、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 以下、糖尿病を改善し、予防に有効な「運動に関する情報」を詳細に紹介してまいります。 【関連記事】 糖尿病は筋トレで完治は難しくても改善する!運動療法で糖尿病を改善するには 妊娠糖尿病で運動してもいい?妊婦さんが安心して取り組める運動 糖尿病予防に効果的な運動3選 2型糖尿病の血糖コントロールには、有酸素運動や筋肉トレーニング(レジスタンス運動)が推奨されています。(文献1) 運動を継続して実践すると、インスリンの働きがよくなり、血糖値を上手く調整しやすくなると考えられています。 糖尿病における運動療法は、とくに問題がなければ有酸素運動とレジスタンス運動、両方行うことが勧められていますが、まずは運動不足改善のために有酸素運動から始めると良いでしょう。 余裕が出てくれば次のステップとして、身体に負荷をかけるレジスタンス運動を検討すれば良いと思われます。 一方で、有酸素運動が難しい方は、レジスタンス運動を検討しましょう。 ここでは、糖尿病予防に効果的な運動を3つ紹介します。 ①有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳等) 具体的な有酸素運動(ウォーキングやジョギング、水泳等)について、糖尿病診療ガイドライン2024では、「週に150分以上の中等以上の強度の有酸素運動を、3日以上に分けて行うこと」がすすめられています。(文献1) さらに、「運動しない日が2日以上続かないようにする」ことも大切です。 これは通常、「糖の代謝が改善する期間」が運動してから、24~48時間程度持続することから導かれたもので、血糖値を上手く制御するためには、運動を1週間のなかで3日間は実践することが理想的だからです。 週末だけまとめて運動するのではなく、できるだけ間を空けずに週の中でこまめに体を動かすのが、糖尿病予防のコツです。 ②レジスタンス運動(筋肉トレーニング) レジスタンス運動は、以下の効果により血糖コントロールを改善します。 骨格筋の量や筋力を増加 インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなる)の改善 運動の頻度は週に2〜3日、できれば日をあけながら行うのがおすすめです。 腕・脚・お腹・背中など、体の大きな筋肉をまんべんなく使う運動を、5種類以上取り入れましょう(例:スクワット、腕立てふせ、腹筋など)。 最初は軽めの負荷や1セット(1回分)から始めて、慣れてきたら少しずつ回数や負荷を増やしていくと効果的です。 レジスタンス運動は、有酸素運動と同じくらい血糖値(HbA1c)を下げる効果があるという研究結果も出ています。高齢者など有酸素運動が難しい人にはおすすめできる運動です。(文献1) さらに、レジスタンス運動には筋肉量の減少(サルコペニア)を防ぐ目的でも効果的です。 ③ストレッチ(ヨガ・太極拳) ヨガや太極拳は、激しい動きや瞬発的な運動がほとんどないため、高齢者でも取り入れやすい運動です。 研究では、これらの運動が糖尿病にも良い影響を与えることが報告されています。 ヨガは、空腹時血糖値やHbA1cを改善させるだけでなく、筋力や心肺機能を高める効果もあるとされています。 また太極拳には、血糖値の改善やバランス能力の向上がみられた研究結果もあります。 ただし、まだ研究の数は多くないため、今後さらに詳しい検証が期待されています。(文献1) 糖尿病予防の運動を続けるコツ 運動を長く続けるコツは、「最初から完璧を目指さない」ことです。 現在、運動不足だからと言って一念発起し、一気にやり始めると、疲労やケガにつながる恐れがあります。 通勤や買い物ついでに歩く「ながら運動」や、家事の合間のストレッチなど、日常生活に運動を取り入れるのもおすすめです。 まずは軽いウォーキングや筋トレを週3回など、無理のないペースで行うことを目指しましょう。 無理のない範囲でコツコツと継続することで、糖尿病予防の大きな力になります。 1型糖尿病は、インスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、運動によりインスリン機能そのものの回復を期待できるような治療効果は期待できません。 しかし、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献するため、決して無駄ではありません。 糖尿病予防の運動を実施する際の注意点 糖尿病予防には、運動だけではなく、食事とのバランスも重要です。 運動と食事は、血糖値をコントロールする「両輪」です。 治療効果は、どちらか一方が欠けても十分に発揮できません。 また、運動のタイミングも重要です。 食後すぐの運動は、胃に負担がかかるため控えましょう。 食後1時間ほど経過してから行うと、食事から取り込まれたブドウ糖や脂質を効率的に利用でき、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。 「毎日運動しているから食事は気にしない」「食事療法をしているから運動はしなくても良い」と、どちらか片方だけを頑張るのではなく、運動・食事の両方をバランスよく取り入れて、糖尿病の予防・改善を目指しましょう。 運動 + 食事 = 予防、改善(どちらかに偏らないバランスが大切) 運動だけでは防げない?糖尿病に再生医療という新しい選択肢 これまで運動や食事管理を続けてきても、どうしても血糖値が安定しないケースがあります。 そうしたときは、再生医療という選択肢があります。 糖尿病は、膵臓のβ細胞機能やインスリン分泌能の低下が関係しており、生活習慣の改善だけでは十分にコントロールできない状況もあるためです。 再生医療では、ご自身の脂肪から培養した幹細胞を投与することで、すい臓や血管の再生および修復を目指します。 糖尿病に対する当院「リペアセルクリニック」の再生医療については、以下の症例をご覧ください。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っております。糖尿病に対する再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 運動で糖尿病を予防しつつ健康的な体を手に入れよう 今回は糖尿病の予防・改善に役立つ運動について詳しく紹介しました。 とくにウォーキングなどの有酸素運動は、続けやすくお勧めです。 1日8,000歩程度を目標にして、1週間に3日間以上の頻度で行うと良いでしょう。 運動の開始時間 食事後1時間程度経過してから 効果的にするために 運動だけに偏らない、食事療法も一体で行う 運動内容 ウォーキング、ジョギング等の有酸素運動 回数 週3回を目途、間隔を3日空けない 時間 一回当たり30分~60分程度 歩行運動は、時間や場所を選ばずに一人で実践できるため、忙しい方でも通勤や買い物中などに行えます。 どこまで運動強度を上げて良いか不安に感じる患者さんは、かかりつけ医ともよく相談してみましょう。 糖尿病は食事や運動、生活習慣の改善や薬物による治療のほか、再生医療の選択肢もあります。 再生医療について、さらに詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 糖尿病に効果的な運動に関するよくある質問 糖尿病予防に効果的な運動に関するよくある質問をまとめました。 糖尿病で運動しないとどうなりますか? 糖尿病で運動をしないと、血糖値を下げるインスリンの働きが弱まり、血糖コントロール不良による血糖が高い状態が続きやすくなります。 その結果、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞、腎臓・神経・目の合併症などを引き起こすおそれがあります。運動は血糖コントロールを助け、合併症を防ぐ上でも重要です。 糖尿病予防の運動は食前と食後どちらが良いですか? 糖尿病予防のための有酸素運動は、食後に行うのが効果的とされています。 食後すぐは消化に負担がかかるため避け、血糖値が上がり始めるタイミングで軽いウォーキングなどを行うと、血糖の上昇を緩やかにする効果が期待できます。 参考文献 (文献1) 糖尿病診療ガイドライン2024 第4章 運動療法|南江堂
2022.04.15 -
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妊娠中には、いろいろと気を付けなければならないことがあります。妊娠糖尿病もその1つです。 もしも、妊娠中に母親が糖尿病になったら、生まれてくる子ども(胎児)や母体にどういった影響があるのか不安になるかと思います。 この記事では、妊娠中に診断される妊娠糖尿病の胎児への影響と、その治療法・予防法について詳しく解説します。また、妊娠糖尿病が母体に与える影響や産後の注意点についても触れていきます。 妊娠糖尿病の胎児への影響 妊娠糖尿病は胎児にさまざまな悪影響を及ぼす危険性が指摘されています。 また妊娠中だけでなく、出産後の子どもに合併症が出てしまう可能性があります。 本項目では妊娠、出産など各時期に起こる可能性のある危険性を紹介します。 さまざまな合併症を引き起こす可能性が高まる 妊娠中に高血糖状態が続くとお腹のなかの胎児も高血糖になり、以下のような合併症を引き起こすことがあります。 子宮内胎児死亡 新生児低血糖 巨大児 低出生体重児 多血症 特発性呼吸促拍症候群 頭蓋内出血 鎖骨骨折 頭血腫 上腕神経麻痺など これらの合併症を予防するためには、妊娠中の血糖値を適切にコントロールすることが重要です。 妊娠中期以降には子宮内胎児死亡の可能性が増加 妊娠糖尿病を患った場合、妊娠32週ごろから突然子宮内胎児死亡を起こすことがあります。36週以降はその頻度が上昇するため、適宜検査を行い、問題がある場合入院処置が必要です。 難産になる可能性が上がる 妊娠糖尿病は難産のリスクも上がることが分かっています。 巨大児や奇形児といった合併症を引き起こした場合、出産時に頭が出た後肩がひっかかってしまい、うまく産道を通れない「肩甲難産」を起こすリスクが高くなります。 また、妊娠糖尿病による母体の高血圧、臓器障害などから、帝王切開分娩の発生率も上がってしまいます。 出産後の子どもへの影響 妊娠糖尿病中は血糖値が高い状態が続き、体内をめぐるブドウ糖の量が増えてしまいます。その結果胎児にもブドウ糖がめぐり、血糖値が上がります。 早い段階で治療に臨めば影響も少なく済みますが、妊娠糖尿病のまま放置してしまうと胎児も高血糖がつづいてしまいます。 血糖値が高いまま生まれた子どもは将来的にメタボリックシンドロームになりやすいという報告も上がっています。生活習慣病、動脈硬化などが発症しやすくなってしまう危険性があるため注意が必要です。 妊娠糖尿病とは? 妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見または発症した糖代謝異常のことを指します。 「明らかに糖尿病である」と妊娠中に診断された場合は厳密には妊娠糖尿病とは呼ばず、「妊娠中の明らかな糖尿病」として区別されます。また、妊娠前に発症している糖尿病は「糖尿病合併妊娠」と呼ばれます。 妊娠糖尿病の原因 妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が強くなってしまいます。インスリンは血糖値を正常にコントロールする働きを担っているため、インスリン抵抗性が上がり働きが弱くなると、血糖値が上がりやすくなります。 妊娠糖尿病を発症すると、母体だけでなくお腹のなかの胎児も高血糖になるため、さまざまな合併症を発症する危険性が高まってしまいます。 妊娠糖尿病の診断方法と診断基準 妊娠糖尿病は、スクリーニング検査と75gブドウ糖負荷試験の2段階の検査で判断します。 スクリーニング検査 妊娠糖尿病のスクリーニング検査はすべての妊婦を対象に妊娠初期と中期に行う検査で、妊娠糖尿病の可能性がある人を抽出する目的で行われます。 妊娠初期の随時血糖値の基準は検査施設によって95mg/dlまたは100mg/dlと異なります。また、妊娠中期の随時血糖値の基準は100mg/dl、50gブドウ糖負荷試験の基準は140mg/dlとなります。 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性と判断された方は次で説明する75gブドウ糖負荷試験に進みます。 日本産科婦人科学会が推奨している妊娠糖尿病スクリーニング検査 妊娠初期:随時血糖値 妊娠中期:随時血糖値あるいは50gブドウ糖負荷試験 75gブドウ糖負荷試験 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性が出た場合、75gブドウ糖負荷試験を行います。75gブドウ糖負荷試験では、以下の基準を1つでも満たした場合に妊娠糖尿病と診断されます。 試験基準 空腹時血糖値 ≧92mg/dl 1時間後の血糖値≧180mg/dl 2時間後の血糖値 ≧153mg/dl 妊娠糖尿病の治療 妊娠糖尿病と診断されたら、「血糖値コントロール」に取り組まねばなりません。ただし、妊娠中は運動療法を行うことが難しいため、主として「食事療法」と「薬物療法」を行うことになります。 食事療法で注意すべき点 妊娠糖尿病の治療は食事療法で血糖コントロールを行うことが基本になります。 妊娠中は食後高血糖を起こしやすい傾向がありますが、一方で長時間の空腹状態ではインスリン不足により体内でケトン体が作られ、糖尿病ケトアシドーシスを引き起こすリスクが高まります。特に妊娠中は体調の変化が激しいため、規則正しい食事が大切です。 薬物療法で注意すべき点 食事療法を行っても血糖値のコントロールがうまくいかない場合は薬物療法を行います。 妊娠中の薬物療法では経口血糖降下薬ではなく、インスリン治療を行うことになります。 通常のインスリン療法では血糖値コントロールがうまくいかないという場合はインスリンの基礎量や追加量を補充する方法を取ることがあります。これを強化インスリン療法(インスリンの頻回注射療法やインスリン持続皮下注入療法のこと)といいます。 妊娠糖尿病を早期発見・予防するには 妊娠糖尿病を予防できれば、母体や胎児への影響を減らすことにつながります。 そのためには、まず妊娠糖尿病にかかりやすい人の体質や、悪影響を与える生活習慣を理解しておくことが重要です。 以下で妊娠糖尿病の早期発見、予防に必要な項目を詳しく解説します。 妊娠糖尿病にかかりやすい人の特徴を理解する 以下の体質を持つ人は妊娠糖尿病にかかりやすいと言われています。 肥満 家族に糖尿病の人がいる 35歳以上の妊娠 尿糖の陽性が続く 羊水過多 原因不明の流産、早産、死産の経験がある人 妊娠高血圧症候群の人、もしくは既往歴がある人 もしいずれかの項目に該当しているようであれば注意が必要です。妊娠糖尿病を予防するためには、下の項目を参考に生活習慣の見直しを行う必要があります。 生活習慣の見直し 妊娠中はインスリンの分泌量が増えるため、空腹状態をなるべく作らないことが大切です。空腹を感じた場合は、野菜や豆類、鶏のささみなど良質のたんぱく質を摂るようにしましょう。 また、食事は食べる順番も大切です。野菜から食べ始め、汁物、メイン、炭水化物という順番で食べることで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。 妊娠糖尿病は通常の糖尿病と同様に、生活習慣だけでなく遺伝的要素も関係するといわれています。そのため上記で紹介したような方法を取り入れたにも関わらず妊娠糖尿病を発症したという場合も、あまりストレスに感じる必要はありません。 食事以外には適度な運動も大切です。血流を改善するウォーキングやヨガ、エアロビクスなどの有酸素運動が適切です。しかし、過度な運動はむしろ逆効果になる可能性もあるため、医師の許可を得て行いましょう。 定期健診の受診 妊娠糖尿病は早期発見が大事な病気です。胎児に影響が及ばないよう定期的に妊婦検診を行いましょう。 定期健診を行うことは、正しい生活習慣の維持にも有効です。 出産後、妊娠糖尿病の影響 出産後は急速にインスリン必要量が減少します。そのため、薬物療法を行っている人はインスリンの量を血糖値に合わせて調整する必要があります。 また、妊娠糖尿病患者の方は、正常な妊婦と比べて将来糖尿病を発症する頻度は41~62%だといわれています。(文献1) 産後6~12週間後にブドウ糖負荷試験を受け、妊娠糖尿病が治っているか確認し、その後も定期的に検査を受けることが重要になります。 産後に正常値に戻った人でも、最低でも3年間は産後のフォローアップが必要です。 授乳中の食事は妊娠前の摂取エネルギーから約450kcal程度増やすことを目安にしましょう。これは授乳のための付加エネルギーですので、授乳が終われば元の摂取エネルギーに戻す必要があります。 また、妊娠糖尿病を発症した人がそのままメタボリックシンドロームを起こす例もあります。上記で紹介した治療や予防を行いながら、産後も注意していく必要があります。 まとめ|妊娠糖尿病が胎児や母体に与える影響について解説|治療・予防法も紹介 妊娠前や妊娠中に糖尿病と診断されたときの対処法と母体や胎児への影響について説明しました。 妊娠糖尿病は、妊娠中に発症する糖代謝異常であり、母体や胎児にさまざまな影響を及ぼします。発症すると母体だけでなく、胎児にも影響をおよぼします。また、妊娠中は運動療法が困難なうえ、使用できる薬が限定されるため、治療は慎重に行う必要があります。 妊娠糖尿病は、妊娠中だけでなく出産時、出産後にもさまざまなリスクを引き起こす可能性が高い病気です。 予防のためにも妊娠中の食事や体調管理は特に気を使い、正しい生活習慣を心がけましょう。また、定期的な検査や医師との相談が大切です。 妊娠糖尿病と診断されたら、まずは食事療法や薬物療法を行いましょう。特に妊娠中は運動療法が難しいため、食事やインスリン治療が主な方法となります。 また、糖尿病患者が妊娠を望む場合は血糖コントロールに努め、医師と相談しながら計画的に妊娠することも重要です。妊娠糖尿病にかかりやすい人の特徴についてもまとめていますので、妊娠前に確認することをおすすめします。 妊娠糖尿病患者は産後の糖尿病発症率が高いため、産後も定期的に検査を受けましょう。 当院「リペアセルクリニック」では糖尿病に対する治療として、再生医療を行っております。 幹細胞による再生医療は、血糖値や肝機能値の改善にアプローチします。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 平松 祐司. 「妊娠糖尿病」 岡山医学会雑誌, 2011年, 123(3), pp. 243-245. https://www.jstage.jst.go.jp/article/joma/119/1/119_1_79/_pdf (最終アクセス:2025年3月25日)
2022.02.22 -
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「糖尿病の発症率が高い都道府県はどこ?」 「自分の住んでいる地域のリスクを知りたい…」 このような疑問をお持ちではないでしょうか? 糖尿病は生活習慣によって発症リスクが変わる病気です。そのため、地域ごとに患者数や割合に差があり、特定の都道府県では発症率が高い傾向にあります。 本記事では、最新の糖尿病患者数が多い都道府県ランキングを紹介します。地域ごとの特徴や予防策についても解説するので、糖尿病対策を考えている方はぜひ参考にしてみてください。 【最新版】糖尿病の都道府県ランキング 糖尿病の都道府県別ワースト・トップランキングを見ていきましょう。 以下は、厚生労働省が報告している都道府県ごとの糖尿病による死亡率のワースト・トップランキングです。 ワースト(死亡率が高い都道府県の順位)※数値は死亡率 トップ(死亡率が低い都道府県の順位)※数値は死亡率 1位 青森県:20.2% 神奈川県:7.8% 2位 徳島県:17.9% 愛知県:7.9% 3位 香川県:17.8% 東京都:8.8% 参考:厚生労働省|平成30年人口動態統計「主な死因の死亡数・死亡率(人口10万対)都道府県別」 糖尿病の死亡率が高いワースト1位の都道府県は、青森県でした。次いで、徳島県、香川県と続きます。 一方、死亡率が低いトップ1位の都道府県は、神奈川県、愛知県、東京都となっています。 以下で、ワースト1位の青森県と、トップ1位の神奈川県について詳しく見ていきましょう。 ワースト1位は青森県|考えられる原因は? 青森県では、冬の厳しい寒さに備えるために、塩分を多く含む食事が長年親しまれてきました。 たとえば、保存食として塩漬けの魚や漬物を食べる文化が根付いています。これにより、食塩の摂取量が増え、糖尿病のリスクが高まります。 また、冬季は積雪が多く、外での運動が難しいのが現状です。運動不足は血糖値を下げる働きが低下し、糖尿病の発症や悪化の原因となります。 青森県では糖尿病の予防と管理のために、公式ホームページで糖尿病の基礎知識やリスクについての情報を発信しています。さらに「青森県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定し、糖尿病による腎症の重症化を防ぐための取り組みを強化しました。このプログラムは令和4年3月24日に改定され、より効果的な対策が進められています。 トップ1位は神奈川県|独自の取り組みは? 神奈川県がトップである背景には、県民の健康意識の高さと、行政の積極的な取り組みが関係していると考えられます。 神奈川県では、喫煙率が全国平均よりも低く、日々の運動量も多い傾向があります。(文献1) たとえば、歩数の平均値は全国平均を上回っており、女性は全国でもっとも歩いていることが分かっています。(文献1) こうした生活習慣が、糖尿病の発症リスク軽減につながっているのでしょう。 神奈川県は「かながわ糖尿病未病改善プログラム」を打ち立て、市町村や医療機関と連携し糖尿病が重症化する前の予防に力を入れています。 11月14日の世界糖尿病デーには、シンボルマークであるブルーサークルにちなみ県内5カ所の建物をブルーライトで照らし、糖尿病予防の重要性を広く伝えています。 こうした多角的な取り組みが、神奈川県民の糖尿病発症率を抑制しているのでしょう。 都道府県によって糖尿病の死亡率に差がある理由 糖尿病の死亡率は、都道府県ごとに大きな差があります。その理由には、食生活や生活習慣の違いが関係しています。 塩分や糖分の多い食生活 運動不足になりやすい環境 飲酒量 喫煙率 それぞれの要因が糖尿病のリスクにどのように影響するのかを見ていきましょう。 塩分や糖分の多い食生活 塩分や糖分の摂り過ぎは高血圧および糖尿病のリスクを高めます。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、野菜の摂取量は多いものの、塩分摂取量が男女ともに全国平均を上回っています。 これは、青森県の伝統的な食文化である塩分の多い保存食や、濃い味付けの料理が影響していると考えられるでしょう。 運動不足になりやすい環境 運動不足も糖尿病のリスク要因です。運動しないと、血糖値をコントロールしにくくなるためです。 地方は車社会であり、日常的に体を動かす機会が少ない傾向にあります。糖尿病の死亡率ワースト1~3位である青森県・徳島県・香川県は、いずれも地方に該当します。また、雪国である青森県は、冬期間は屋外での運動が難しく、室内で過ごす時間が増えるでしょう。 これらの環境要因が、地域住民の運動不足を招き、糖尿病のリスクを高めていると考えられます。 飲酒量 アルコールの過剰摂取は、肝臓や膵臓に負担をかけ、糖尿病発症のリスクがあると知られています。 お酒には糖分が含まれている種類も多いため、過度な飲酒は血糖値の上昇につながります。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、成人1人当たりの酒類販売(消費)数が全国2位と、飲酒量が多い県です。(文献2)飲酒が習慣化している地域では、糖尿病の発症率も高くなる傾向にあります。 喫煙率 喫煙は、血管を収縮させて血圧を上昇させるため、糖尿病のリスクを高めます。また、血管を傷つけることでインスリンの働きが弱まり、発症率が高まるリスクもあります。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、喫煙率が全国で10位以内です。運動不足や食生活の問題に加え、喫煙による健康への悪影響が懸念されます。 日本における糖尿病患者数の推移 厚生労働省によると2023年10月時点の日本の糖尿病患者数は218万人を超えていることが報告されています。(文献3) また、以下のグラフから、糖尿病は高齢になるにつれて発症しやすい病気だとわかります。 出典:厚生労働省|国民健康・栄養調査「糖尿病が強く疑われる者の割合」 日本透析学会によると1983年に5万3,017人だった透析患者数が2023年には34万3,508人にまで増加しており、原因疾患の約4割が糖尿病性腎症であることがわかっています。(文献4) 糖尿病の患者数を増やさないための動き 厚生労働省は、糖尿病をはじめとする生活習慣病を防ぐために、健康づくりを進める取り組みをおこなっています。 具体的には、基本方針を決めて、以下9分野で70項目の具体的な目標設定を定めています。(文献5) 栄養・食生 身体活動、運動 休養、こころの健康づくり たばこ アルコール 歯の健康 糖尿病 循環器病(脳卒中を含む) がん 糖尿病を増やさないための取り組みは「栄養・食生活」分野では「野菜の1日当たり平均摂取量350g以上」、「身体活動・運動」分野では「日常生活における歩数(男性)9,200歩以上」などです。 なお、糖尿病の治療においては再生医療も選択肢として挙げられます。体内の幹細胞を点滴投与して、すい臓・血管の機能再生を促し糖尿病治療を進めます。 再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 まとめ|最新の糖尿病における都道府県ランキングをチェックして健康の意識を高めよう 都道府県ごとの糖尿病における死亡率や糖尿病患者数の推移を見てきました。 地域によって、食生活や運動習慣に差があり、それによって糖尿病の患者数も変わる傾向があります。 糖尿病は早い段階で発見し、治療に取り組めば健康な人と変わらない生活を送れる病気です。 糖尿病の患者数の多い地域に住んでいたとしても、早い段階で食習慣を改善し、積極的に検診を受ける意識を持てば、糖尿病の予防や進行の抑制につながります。 健康意識を高めて、糖尿病の対策を進めていきましょう。 当院リペアセルクリニックでは、糖尿病の症状や治療法についてのご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「平成28年国民健康・栄養調査」 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献2) 国税庁「令和3年度成人1人当たりの酒類販売(消費)数量表(都道府県別)」 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2023/pdf/0035.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献3) 厚生労働省「推計患者数」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/dl/suikeikanjya.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献4) 日本透析医学会雑誌「わが国の慢性透析療法の現況」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/57/12/57_543/_article/-char/ja (最終アクセス:2025年2月21日) (文献5) 厚生労働省「健康増進法の概要」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/dl/s1202-4g.pdf (最終アクセス:2025年2月21日)
2022.02.21 -
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2024年11月に発表された「国民健康・栄養調査」によれば、糖尿病の疑いが強い人は成人男性の16.8パーセント、女性は8.9パーセントにものぼります。(文献1) 糖尿病は完治しない病気であるといわれていますが、筋トレやウォーキングなどの運動を日常に取り入れることで、薬のみに頼らずとも症状を改善していくことは可能です。 この記事では、筋トレをはじめとする運動療法が糖尿病の改善につながる理由、糖尿病の方におすすめな運動方法を紹介しています。 糖尿病の完治は難しいが筋トレで改善が目指せる まず重要なポイントとして、糖尿病は完治する病気ではありません。 これは、血糖値が上昇しやすい代謝特性や加齢による生理的変化を根本的に変えることができないためです。 しかし、血糖値が上がらないよう生活習慣の見直しを続けることで、薬に頼らずに血糖値を下げ「寛解(一時的に症状が軽減・消失した状態)」を目指すことはできます。 薬に頼らない治療法には、筋トレやウォーキングなどの「運動療法」、食生活を見直す「食事療法」が主に挙げられます。 糖尿病の改善に筋トレが有効な理由 運動療法は、2型糖尿病を患っている人にとって重要な治療のひとつです。 日本糖尿病学会が発表しているガイドラインによると、運動療法を取り入れることで、以下の症状が改善するとされています。(文献2) 血糖コントロールの改善 肥満 内臓脂肪の蓄積 インスリン抵抗性 脂質異常症 高血圧症 慢性炎症 うつ状態 認知機能障害 上記は有酸素運動、筋トレ(無酸素運動)どちらを行っても得られる効果です。どちらか一方を行うより、有酸素運動と筋トレ(無酸素運動)を組み合わせることでさらに効果が上がることが報告されています。 さらに、高齢者の糖尿病患者の人は非糖尿病患者と比べて筋肉量の低下が著しいことが指摘されています。 有酸素運動の実施が困難な高齢者の人にとって筋トレ(無酸素運動)は有効な手段のひとつだといえるでしょう。 糖尿病は筋力の低下を引き起こす 糖尿病の改善に筋トレが有効な理由として、糖尿病を患っている人は非糖尿病患者と比べ筋肉量が減りやすいという点が挙げられます。 糖尿病は血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが弱くなることで発生します。 インスリンは血糖値のコントロールだけでなく、細胞の成長を促す特性も備えています。インスリンの働きが弱くなることによって、細胞の成長も低下し、筋肉にも影響を与えてしまうのです。 さらに、神戸大学の研究では、血糖値の上昇によって発生するKLF15というタンパク質によって筋肉の成長が抑制され、筋肉量の減少を起こしていることが明らかになりました。 健康な人は、KLF15を分解し量を減少させるWWP1というタンパクの一種が発生することで筋肉量の低下を防いでいます。しかし、糖尿病の人は血糖値の上昇によりWWP1が減少してしまうため、筋肉量が落ちてしまうのです。(文献3) 上記の理由からも、能動的に筋トレを行うことが重要であるとわかります。 体重のコントロールの必要性!肥満の悪循環を知る 糖尿病の寛解を目指す臨床試験「DiRECT」がイギリスで行われ、食事療法と運動療法をしっかり行い、体重をコントロールすることで2型糖尿病患者の半数近くは「寛解(症状が軽減・消失した状態)」を維持できることがわかりました。 では、なぜ食事療法と運動療法と体重コントロールだけで、薬物を使わず「寛解」を達成できたのかを解説します。 暴飲暴食や運動不足が続くと、全身に脂肪がたまり、肝臓にも脂肪がたまります。脂肪がたまった肝臓は働きが低下します。肝臓の働きが低下するとインスリンへの体の反応が鈍くなることがわかっています。これを「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗性が強まると、体は大量のインスリンを必要とするようになります。 すると、すい臓は「フル稼働」でインスリンをつくろうとするので、次第に疲弊してインスリンの分泌に支障をきたすようになります。インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまるので、インスリン抵抗性がさらに強まってしまうのです。 この悪循環を断ち切るには、食生活と運動不足を改善し、脂肪がたまらないように肥満を解消する必要があります。 糖尿病の悪循環(断ち切ること) 暴飲暴食、運動不足で全身に脂肪がたまる 肝臓に脂肪がたまり、肝臓の働きが低下 インスリン抵抗性が発生:インスリンへの体の反応が鈍くなる インスリン抵抗性が強まる:大量のインスリンが必要となる すい臓が最大限に働いてインスリンをつくる 疲弊し、インスリンの分泌に支障をきたす インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまる インスリン抵抗性がさらに強まる>ますます悪化 糖尿病の悪循環を断ち切るには肥満の解消が必要 2型糖尿病の改善には、上記の悪循環を断ち切ることが必要です。悪循環のメカニズムを知れば、「体重コントロール(脂肪を減らす)」によって症状を緩和できることが理解できると思います。 体重コントロールとは、標準体重(身長(m)×身長(m)×22)に近づけることです。 糖尿病の場合、標準体重と比べてやせている人より、太っている人のほうが問題になります。 食事量のコントロールも効果的ですが、脂肪を燃焼させるための筋肉がなければ長期的な改善は難しいといえるでしょう。 糖尿病を改善するおすすめの筋トレ方法を紹介 糖尿病の改善のために推奨されている筋トレ方法について、厚生労働省が推進している「2型糖尿病の人を対象にした運動プログラム」から抜粋して紹介します。 運動療法は主治医と相談の上で行ってください。代謝のコントロール状態や心疾患などの合併症、整形外科的疾患による運動の制限が必要な場合があります。 有酸素運動 有酸素運動はインスリンの働きを強め、糖の流れを改善してくれます。 ウォーキング トレッドミル エアロバイク エアロビクス ヨガ 水中歩行 などが推奨されています。運動の頻度は週に150分以上の中等度~高強度の運動がガイドラインでは推奨されていますが、週30分~100分程度の運動でも血糖改善効果が出ていることがわかっています。(文献2) 無理のない範囲で取り入れてみてください。 有酸素運動に併せて筋トレ(無酸素運動)を行う 有酸素運動と併せて筋トレ(無酸素運動)を行うことで、糖尿病の改善効果をさらに高めることができます。 糖尿病患者の方におすすめしたいのは、大きな筋肉を鍛えるトレーニングです。 大きな筋肉として挙げられるのは「胸」「背中」「下半身」の3カ所です。ダンベルなどの重りを使用し、適切なフォームで行いましょう。 動作中に重りをあげる際は息を吐き、重りを下げる際は息を吸うと筋肉の成長に効果的です。 各部位のトレーニングでは以下の種目がおすすめです。 胸筋 ダンベルフライ:仰向けに寝て、両手のダンベルを胸の上で開閉させる運動 チェストプレス:仰向けで両手のダンベルを胸から上へ押し上げる運動 水中で腕を開閉する運動 背筋 ダンベルローイング:前かがみになり、ダンベルを腰の高さまで引き上げる運動 ラットプルダウン:上部のバーを肩の高さまで引き下げる運動 バックエクステンション:うつ伏せで上半身を持ち上げる運動 下半身 ダンベルスクワット:両手にダンベルを持ち、膝を曲げ伸ばしする運動 レッグプレス:足で重りを押し出す運動 ダンベルを使用する運動と考えるとハードルは高いですが、自重のトレーニングでも十分効果は得られます。 ジムに行くことが困難だったり、ダンベルを持っていないという人は、ダンベルの応用として水を入れたペットボトルを使うこともおすすめです。 医師と相談し、自分に合った筋トレを選ぶ 糖尿病の改善のため運動療法に取り組みたくても、体調面の制約や時間的な余裕がない方もいるでしょう。 ある研究では短い運動時間でも血糖値の抑制は可能であるという報告が上がっています。まずは散歩や軽いストレッチなど、負担の少ない運動から始め、徐々に強度や時間を増やしていきましょう。 いきなりの高負荷な運動はけがのリスクを高めてしまうため注意が必要です。 運動を始める前には必ず主治医に相談し、ご自身の状態に適した運動の種類や強度、頻度について指導を受けることが重要です。 筋トレ以外の治療法 ここまで運動療法を中心に紹介しましたが、運動療法以外にも糖尿病の改善に効果的な治療法として食事療法があります。 また、近年は「再生医療」の注目も高まっています。それぞれの治療法についても理解を深めていきましょう。 糖尿病には筋トレだけでなく食事療法も効果的 糖尿病の改善には体重コントロールが必要ですが、運動療法だけでは十分とは言えません。適切な筋トレや有酸素運動を行っていても、食生活の改善がなければ摂取カロリーが過剰なままとなり、十分な効果が得られないことがあります。運動療法と食事管理を組み合わせることで、より効果的に糖尿病の症状を改善できます。 糖尿病患者の理想の食生活ポイント 糖質やカロリーの低い食事を摂る 1日3食、規則正しい時間に摂る 1日の活動量に合わせた適正なエネルギー量の食事をする 栄養バランスの取れた食事をする 食事量が多い人は、食事量を適正エネルギー量に調整しましょう。 1日の適正エネルギー量は、人によって異なり、「標準体重×身体活動量」で算出できます。 標準体重と身体活動量 標準体重=身長(m)×身長(m)×22 身体活動量 軽い労作(デスクワークが多い)25~30kcal/kg 普通の労作(立ち仕事が多い)30~35kcal/kg 重い労作(力仕事が多い)35~kcal/kg 近年糖尿病の治療として注目されている「再生医療」 再生医療とは、患者様自身の細胞から採取・培養した幹細胞を投与する先進的な医療法です。 糖尿病治療においては、自身の脂肪から培養した幹細胞をすい臓に投与することで、弱っていたすい臓の機能の改善を図ります。 すい臓が回復することによりインスリン分泌の増加、血管内の糖の吸収を促進することが可能になります。 一般的な内服治療やインスリン治療では糖尿病の進行を遅らせる効果はあるものの、根本的な回復を目指す治療ではありませんでした。 再生医療は自分自身が持つ「回復力」にアプローチする治療であるため、薬物療法とは異なった治療法だといえます。 まとめ|糖尿病は筋トレや運動療法、再生医療で改善を目指そう 「糖尿病は、一度発症すると完治しない」と、よく言われています。しかし、筋トレなどの運動療法や食事療法を通じて症状を改善することは可能です。特に2型糖尿病では、肥満や不健康な生活習慣が悪循環を生み出し、症状を悪化させることがあります。 この悪循環を断ち切るためには、食事のタイミングや、量をコントロールして、更に運動を行うことで脂肪を減少させることに取り組むことが重要です。 実行にあたっては医師の指導を受けながら、病状の管理に取り組みましょう。 また、糖尿病に対しては、運動療法の他にも「再生医療」という治療法もあります。 糖尿病に対する再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」 2024年 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45540.html(最終アクセス:2025年3月25日) (文献2) 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024「第4章 運動療法」pp.67-68.日本糖尿病学会, 2024年. https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf(最終アクセス:2025年3月25日) (文献3) Hirata Y, et al. (2019). Hyperglycemia induces skeletal muscle atrophy via a WWP1/KLF15 axis. JCI Insight, 4(4), e124952. https://doi.org/10.1172/jci.insight.124952(最終アクセス:2025年3月25日)
2022.02.11 -
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「糖尿病だけど、運動しても大丈夫なのか不安…」 「運動をしてはいけない人もいるって聞いたけど本当?」 このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか? 糖尿病の人にとって、適度な運動は血糖値を安定させる上で大切です。 しかし、すべての運動が良いわけではありません。間違った方法で運動すると、血糖値のバランスが崩れたり、合併症を悪化させたりして体に悪影響を及ぼすリスクがあります。 本記事では、糖尿病で運動療法をやめるべき基準や運動が許可された場合の注意点を解説します。運動療法の方針を考えていく際の参考にしてください。 【禁忌】糖尿病で運動療法をやめるべき基準 糖尿病の治療において運動療法は効果的な治療法の一つですが、患者様の状態によっては運動が逆に症状を悪化させる場合があります。 以下の条件は禁忌(実施すると危険性がある行為)に該当するため、運動療法をやめるべき基準となります。 増殖網膜症・増殖前網膜症を発症している レーザー光凝固後3〜6カ月以内の網膜症を発症している 第3B期(顕性腎症後期)以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dl以上、女性2.0mg/dl以上) 心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある 高度の糖尿病自律神経障害がある 1型糖尿病でケトーシスがある 代謝コントロールが極端に悪い(空腹時血糖値≧250mg/dlまたは尿ケトン体中等度以上陽性) 急性感染症を発症している 自身がこれらの状態に該当するかどうかは、医師の診断や判断が必要です。糖尿病の方は運動療法をはじめる前に、必ず医師に相談してください。 糖尿病の基本的な治療は「運動療法」と「食事療法」 糖尿病の基本治療は、本来「運動療法」と「食事療法」です。それぞれの治療効果を詳しく見ていきましょう。 運動療法|運動しないとどうなるかのリスク管理も大切 運動療法は糖尿病の基本治療の1つです。 運動は血糖値を下げ、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きを助ける効果があります。 糖尿病の人が運動をしないと、血糖値が上がりやすくなるほか、インスリンの働きも弱まるため、症状が悪化する可能性があります。 糖尿病の方に適した運動のタイミングは血糖値が上昇する食後です。食後の急激な血糖値上昇を運動によって抑えることが大切です。 毎日の生活の中に取り入れ、無理のない範囲で運動を続けましょう。 食事療法|食材選びや食べ方の工夫が症状を安定させるコツ 食事療法では、食べるものや食べ方を工夫して血糖値をコントロールしたり、適切な体重を維持したりするのが目標です。 血糖値の上昇を引き起こしやすい栄養素は、糖質です。糖質は、パンやご飯、甘いお菓子などに多く含まれます。一方で、食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにする働きがある栄養素です。食物繊維は、野菜や海藻、いも類などに多く含まれています。 栄養バランスを考えた食事選びが、糖尿病管理の基本となります。 なお、糖尿病の治療においては再生医療も選択肢として挙げられます。体内の脂肪細胞を活用して、すい臓・血管の機能回復を図り糖尿病治療を進めます。 再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 【関連記事】 糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 効果が上がる!糖尿病の予防に最適な運動!その効果と注意点 運動療法の制限が必要な糖尿病の人|7つの特徴 糖尿病の方の中には、完全に運動を禁止するのではなく、医師の指導のもとで制限付きの運動療法が可能な場合があります。 以下は、注意深く運動を行う必要がある人の7つの特徴です。 インスリン治療中の人 単純網膜症の人 増殖前網膜症・増殖網膜症を患っている人 糖尿病神経障害の人 重篤な心血管障害や肺の病気を患っている人 腎症を患っている人 ケトーシス状態の人 それぞれの特徴を詳しく解説します。 インスリン治療中の人 インスリンを使った治療を受けている人は、運動のタイミングに注意が必要です。 適切な運動は血糖値を安定させるのに役立ちますが、誤ったタイミングで行うと低血糖を引き起こす危険があります。 とくに、寝起きや食事前は血糖値が低くなりやすいため、この時間帯の運動は避けたほうが良いでしょう。 運動中に血糖値が急激に下がると、めまいやふらつきが起こり、意識を失う可能性もあります。そのため、血糖値が上がりやすい食後に運動を取り入れるのが理想的です。 薬を使いながら運動をする場合は、主治医に相談し、自分に合った運動方法を確認してください。 単純網膜症の人 糖尿病の合併症の1つに「糖尿病網膜症」があります。 これは、目の奥にある網膜(光を感じる部分)の血管が傷つき、視力に影響を与える病気です。 糖尿病網膜症は進行の度合いによって「単純糖尿病網膜症」「増殖前網膜症」「増殖網膜症」の3段階に分かれます。 糖尿病網膜症は血圧の変動によって出血する可能性があります。また、低血糖になれば眼底出血が引き起こされる場合があるので、運動のタイミングや強度には注意が必要です。 病状によっては、運動が制限される場合や禁止されるケースもあります。 増殖前網膜症・増殖網膜症を患っている人 増殖前網膜症の場合は血圧におよぼす影響の少ない軽度の運動にとどめます。 頭を強く振る、頭を下げる、力むといったことは血圧を上げ、頭部への血流を増やすため、眼底出血などを起こす可能性があります。 また、増殖網膜症の方は、運動以外にも、力んだり、息をこらえたり、重量物を持ち上げたりするような行為は身体に負担がかかるので避けましょう。 糖尿病神経障害の人 糖尿病神経障害には、「感覚神経障害」と「自律神経障害」があります。 感覚神経障害では、足の感覚が鈍くなり、痛みに気づきにくくなるため、足に負担の少ない運動が適しています。たとえば、自転車エルゴメーターや水泳などです。 一方、自律神経障害では、血圧や心拍の調整が難しくなるため、運動療法が禁止される可能性があります。 重篤な心血管障害や肺の病気を患っている人 心臓や肺に病気がある人が運動を始める際は、事前に体への負担を確認する取り組みが大切です。 とくに、心臓の病気がある場合は、運動中の心拍の変化を調べる「負荷心電図」(運動中に心臓の働きを記録する検査)の実施が推奨されます。 運動の強さによっては、心臓に負担をかける可能性があるため、どの程度の運動が安全かを医師と相談しましょう。 腎症を患っている人 糖尿病による腎臓の病気「糖尿病性腎症」は、進行度によって5段階に分かれます。 第1期:腎症前期(尿中アルブミンが正常範囲) 第2期:早期腎症期(微量アルブミン尿) 第3期:顕性腎症期(顕性アルブミン尿or持続性タンパク尿) 第4期:腎不全期(腎機能の著しい低下) 第5期:透析療法期(透析療法中) 第1期から第3期までは、病状に応じた適切な運動が推奨されています。 第3期の顕性腎症期まで進行すると、腎臓の負担を減らすために運動を制限する可能性があります。 以前は腎症患者には運動を控えるよう一律に指導されていましたが、現在の医学的見解では、適度な運動による持久力向上や血中脂質代謝改善の効果が認められています。 ケトーシス状態の人 血糖値が250mg/dl以上(高血糖)やケトーシス状態の場合は運動が制限されます。 ケトーシスとは血中のケトン体が増加し、尿中のケトン体が中等度以上の状態です。 高血糖のときに運動をすると、糖の代謝がうまくいかず、症状が悪化する可能性があります。そのため、まずは食事や薬の治療で血糖値を安定させてから運動を取り入れましょう。 糖尿病の人が運動するときの注意点 運動が許可されている糖尿病の方は、以下の点に注意して安全に運動をする必要があります。 運動時の状況 起こりうるリスク 低血糖を引き起こしている めまいや意識障害を引き起こし、転倒・事故のリスクを高める 運動の強度や頻度が高すぎる 関節や筋肉を損傷する可能性がある インスリン調整剤や飲み薬を服用している 低血糖になりやすいため、体調の変化に注意する必要がある 運動療法は継続が何より大切です。運動を長続きさせるためにも、安全を第一に心がけましょう。 糖尿病を発症したら運動療法の前に医師によるメディカルチェックが必要 糖尿病患者の方が運動療法を行う際、やり方を間違えると事故や症状を悪化させるリスクがあります。 そのため、運動療法を始める前には医師によるメディカルチェックを受けて、安全性を確認することが大切です。 以下は、糖尿病患者の運動療法を行う際のメディカルチェックにおける基本項目です。 項目 検査内容 問診 ・糖尿病以外で治療中の病気や服薬中の薬 ・家族の既往歴 ・現在の生活状態や運動習慣 血液検査 ・空腹時血糖 ・HbA1c(ヘモグロビン量の測定) 診察 ・血圧 ・脈拍数 ・身体計測(身長、体重、腹囲) ・肥満度 尿検査 たんぱく、ケトン体の測定 心電図 安静時心電図 運動療法を開始後も、少なくとも年に一回は医師によるメディカルチェックを受けましょう。 まとめ|糖尿病の運動療法における禁忌を知って正しい治療を進めよう 禁忌とは、単なる禁止という意味ではなく、それを行うことで症状を悪化させたり、予期せぬ副作用が起きたりするなどのリスクがあるという意味で用いられています。 よって、自分の状態が運動療法の禁忌に該当するかどうかを医師に確認し、安全な範囲で糖尿病の治療を進めていく姿勢が大切です。 糖尿病はこれまで「治らない病気」と言われてきました。しかし、近年「再生医療」という新しい医療分野が発達し、血糖値が大幅に改善した事例が数多く報告されています。糖尿病の再生医療に興味がある方は、当院リペアセルクリニックにお気軽にお問い合わせください。 【関連記事】 糖尿病が改善!肝機能も良くなる 幹細胞治療 60代女性 糖尿病に対する幹細胞治療でHbA1Cは正常値に戻る!70代男性
2022.02.07 -
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「糖尿病は治らない?」「糖尿病になったら一生付き合っていかなばならないの?」と、疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。 結論からいえば、糖尿病は「完治しない病気」です。原因によって「1型」「2型」に分かれますが、いずれも発症すると一生付き合っていく必要があります。 ただ、程度や治療内容によっては「健康な人と変わらない状態を保つことは可能です。 この記事では、糖尿病が治らないといわれる理由や治療法、予防法をご紹介します。 本記事を参考に、糖尿病に関する正しい知識や認識を身につけましょう。 糖尿病かな?と思う症状がある方は、糖尿病の初期症状についてまとめたこちらの記事もご覧ください。 糖糖尿病が完治しないといわれる理由 糖尿病は発症の原因によって「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に大別されます。それぞれの発症原因と、なぜ治らないのかを解説します。 前提として、日本では糖尿病患者のほとんどが生活習慣病の一つである「2型糖尿病」患者です。そのため、「2型糖尿病」から治らない理由をご紹介します。。(文献2) 【2型糖尿病】血糖値が上がりやすい体質や年齢は変えられないため 2型糖尿病は、体質などの「遺伝的要素」と食習慣などの「生活習慣」が組み合わさり発症します。治療や生活習慣改善によって血糖値は元に戻せても、体質や加齢といったリスクになる部分は変えられないため、完治が難しいといわれています。(文献1) 通常、食事を摂ると、すい臓からインスリンが分泌され、血糖値を下げます。 2型糖尿病は、過食や運動不足によってインスリンの分泌量が低下したりインスリンが効きにくくなり、高血糖状態が続くことで発症します。 初期の段階で乱れた生活習慣を改善できれば、血糖値を健康な人と同じ状態に戻すことは十分可能です。しかし、糖尿病が進行してしまうと健康な状態に戻すことは困難になります。そのため、初期段階で治療に取り組むことが大切です。 【1型糖尿病】現代医学では破壊された膵臓の細胞を再生できないため 1型糖尿病は、なんらかの原因で「すい臓」にあるβ細胞が破壊されて発症する病気です。 インスリンはβ細胞から分泌されるため、1型糖尿病はほとんどインスリンを分泌できなくなります。β細胞が破壊される原因は正確にはわかっていませんが、原因の1つに免疫異常(自己免疫)があると考えられています。 1型糖尿病は現代医学では「治らない」といわれている病気です。発症すると一生付き合っていかなければなりません。 最近では「再生医療」や「膵島移植(ランゲルハンス島)」などの研究も行われています。将来的には「1型糖尿病は治る病気」となる可能性もゼロではありません。 ちなみに、当院「リペアセルクリニック」でも、糖尿病への効果が期待できる再生治療を行っています。「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。 糖尿病になってしまったらどうする?重症化を防ぐポイント 2型糖尿病は、遺伝的要素と生活習慣が組み合わさり発症します。 そのため、食事療法と運動療法で生活習慣の改善に努めることが糖尿病の予防法といえるでしょう。すでに糖尿病を発症している場合でも、生活習慣の改善が病気の進行を食い止めることにもつながります。 糖尿病の予防や治療の基本は「食事療法」と「運動療法」ですが、必要に応じて薬物療法を行う場合もあります。(文献3) 薬物療法 糖尿病の薬物療法では、飲み薬や注射薬にて治療を行います。それぞれどのような効き目のものがあるかは表のとおりです。 飲み薬の種類 インスリンの分泌をよくする インスリンの効き目をよくする 糖の分解・吸収を遅らせる 糖の排泄を促す 注射薬の種類 インスリン分泌を促進させる インスリンを補う どの薬物治療を行うかは、その方の糖尿病の状態や体格によって異なります。 1型糖尿病か、2型糖尿病かといった部分や、インスリンの出にくさや薬の効きやすさなどで判断をします。 食事療法 糖尿病の食事療法では以下のポイントを押さえて行うことが大切です。 摂取カロリーを抑える 栄養バランスの良い食事を取る 一日3食をしっかり食べる 適切な摂取カロリーがわかっても、どのような食品を、どれだけ食べれば良いのかわからない場合は、「糖尿病食事療法のための食品交換表」を利用するのも良いでしょう。 糖尿病治療の考え方や食事療法の基本的な考え方がわかりやすく解説されています。 また昨今、ネット上にはカロリー計算できるアプリを紹介しているサイトもありますので、使いやすいものを選んでみてください。 運動療法 運動療法のポイントは以下の3つです。 軽い有酸素運動から始める 継続して運動を続けることが重要 週3日は運動の時間を確保 運動は糖の消費を促します。また、筋肉の量を増やし糖の取り込みを促進することでインスリンの効果を高め、血糖コントロールを助けます。 ただし、運動を積極的に行うと食欲が増すため、かえって糖尿病を招いたり、症状が悪化することもありえるので注意が必要です。 糖尿病の予防や治療は「食事療法」と合わせて「運動療法」をセットで行うことが大切です。運動療法を行う際は以下の点に注意して行いましょう。 NEAT(非運動性熱産生) NEATとは、「運動以外の日常生活活動で消費されるエネルギー」を意味し、掃除や洗濯、通勤や階段の昇り降りなどで消費するエネルギーのことを指します。 すでに糖尿病の症状がある方や持病がある方など、運動に制限がある人もいます。運動療法を取り入れる際は医師に相談してから行うようにしましょう。また、日頃、まとまった時間が取れずに運動ができないという人もいるでしょう。 このような場合、NEAT(非運動性熱産生)を高めることを心がけると良いでしょう。 まとめ|糖尿病は完治の難しい病気。適切な管理により悪化を防ぐことが最も重要 ここでは、糖尿病が治らないといわれる理由について解説しました。 糖尿病は治らない病気ですが、適切な治療により血糖値をコントロールすることで、健康な状態を保つことが可能です。 普段の生活から糖尿病の予防(食事・運動)を心がけ、健康な生活を送りましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、糖尿病の治療や再生医療についての「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も可能です。お気軽にご相談ください。 また、糖尿病の運動療法について、より効果的な方法を知りたい方は以下の記事もご覧ください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省|糖尿病 (文献2) 糖尿病情報センター|糖尿病とは (文献3) 糖尿病情報センター|糖尿病の治療ってどんなものがあるの?
2022.02.07







