-
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
膝の人工関節置換術は、変形性膝関節症などで進行した関節疾患に対する代表的な外科的治療の一つです。 注射などの薬物療法やリハビリなどの保存療法では十分な改善が見られない場合に選択される手術で、痛みの軽減や運動機能の改善を目指します。 本記事では、膝の人工関節置換術の手術内容や対象となる症状、合併症リスク、術後のリハビリまでをわかりやすく解説します。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、手術を伴わない治療法の「再生医療」に関する情報の提供や簡易オンライン診断を実施しています。 人工関節を避けたい方や、再生医療について興味がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 膝の人工関節置換術とは? 膝の人工関節置換術は、傷んだ関節の表面を人工の関節に置き換える手術です。 関節の機能を回復させ、再び自分の足で快適に歩けるようにすることを主な目的としています。 ここでは、膝の人工関節置換術の対象となる方、手術で得られる効果、そして保存療法との違いについて解説します。 なお、そもそも人工関節とは何なのか、詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。 どんな人が対象になるのか 膝の人工関節置換術は、膝の痛みや関節の変形が進み、日常生活に支障を感じている方が主な対象です。 とくに次のような症状がある場合は、膝の軟骨や骨が大きく傷んでいる場合が多く、自然に元に戻ることは難しいとされています。 膝の痛みが強く歩行や立ち上がりが困難になっている 階段の上り下りや正座ができないなど動作の制限がある 膝の変形が進行しO脚が目立つようになってきた 夜間の痛みで眠れない・安静時にも痛む 膝の可動域が狭く動かすと強い痛みを感じる 上記の症状が続く場合、まずは整形外科を受診して膝の状態を詳しく調べてもらいましょう。 手術以外の選択肢が見つかる場合もあるため、医療機関へ早めに相談することが大切です。 膝の人工関節置換術で得られる主な効果 膝の人工関節置換術を受けることで、長年悩まされていた膝の痛みが軽くなり、動作がスムーズになる方が多く見られます。 具体的には、次のような効果が期待できます。 膝の痛みが大幅に軽減し歩行や立ち上がりが楽になる 階段の上り下りや外出がしやすくなり行動範囲が広がる 旅行や買い物など、以前は避けていた活動を再び楽しめるようになる 日常生活の質(QOL)が向上し毎日の動作にゆとりが生まれる 痛みや不安が減ることで気持ちが前向きになりストレスが軽減する ただし、効果の感じ方には個人差があります。 手術後のリハビリや筋力回復への取り組み方が、満足度を左右する大切なポイントです。 人工関節置換術と保存療法の違い 膝の痛みに対しては、まず痛みを和らげて関節の動きを保つことを目的とした「保存療法」が行われます。 保存療法では、主に次のような治療法が用いられます。 薬物治療:消炎鎮痛薬や外用薬で炎症や痛みを抑える ヒアルロン酸注射:関節の潤滑を保ち、動きをなめらかにする 温熱療法:温めて血流を促し、こわばりを軽減する 筋力トレーニング:太ももの筋肉を鍛えて膝への負担を減らす 保存療法は、初期〜中期の膝関節症には効果的ですが、軟骨の摩耗や変形が進むと効果が十分に得られない場合があります。 一方、膝の人工関節置換術は、傷んだ関節部分を人工の関節に置き換え、痛みの根本的な原因を取り除く治療です。 つまり、保存療法が「痛みを抑える治療」だとすれば、人工関節置換術は「痛みを生み出す原因を改善する治療」といえます。 膝の人工関節置換術の種類と手術の流れ 膝の人工関節置換術には、関節の状態に応じていくつかの方法があります。 ここでは、膝の人工関節置換術の方法と、実際の手術までの流れについて解説します。 人工関節の種類 膝の人工関節置換術には、「全置換術」と「部分置換術」の2種類があります。 どちらも痛みを取り除き、関節の動きを取り戻すことを目的としていますが、対象となる症状や手術の範囲が異なります。 全置換術 全置換術は、膝関節の傷んだ部分をすべて人工関節に置き換える手術です。 軟骨のすり減りや変形が広範囲に及び、関節全体が傷んでいる場合に行われます。 金属や樹脂でできた人工関節を大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)に固定し、滑らかな動きを再現します。 痛みの改善効果が高く、長期的な安定性も得られることが特徴です。 部分置換術 部分置換術は、膝の中でも損傷が進んでいる一部分だけを人工関節に置き換える方法です。 関節の損傷範囲が限られている場合に選ばれる手術方法で、健康な軟骨や骨をできるだけ残せるのが大きな特徴です。 手術の負担が小さく、回復が早い傾向がありますが、残っている関節部分が将来的に悪化する可能性もあるため、定期的な経過観察が必要です。 人工関節置換術(膝)前の検査・準備 膝の人工関節置換術を安全に行うためには、事前の検査や準備が欠かせません。 手術前は全身の状態を確認するため、主に次の検査や準備を行います。 血液検査 心電図 レントゲン 感染症の有無 感染予防(手術部位の皮膚を清潔に保つなど) また、糖尿病や高血圧などの持病がある場合は、事前に数値を安定させておくことも大切です。 人工関節置換術(膝)にかかる時間と入院期間の目安 膝の人工関節置換術の手術時間は、一般的に2〜4時間程度が目安です。 ただし、症状の程度や手術方法によって多少前後する場合があります。 手術後は安静期間を経てリハビリを始めるため、入院期間はおおよそ2〜3週間程度が一般的です。 回復のスピードには個人差がありますが、医師や理学療法士の指導のもとでリハビリを続けると、無理なく日常生活に戻ることができます。 人工関節置換術(膝)の対象となる代表的な4つの疾患 膝の人工関節置換術は、さまざまな原因で関節が傷み、痛みや変形が進行した場合に行われます。 手術の対象となる代表的な疾患には、次の4つが挙げられます。 変形性膝関節症 関節リウマチ 大腿骨顆部壊死症 外傷後の膝関節障害 それぞれの疾患について、詳しくみていきましょう。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、膝の関節にある軟骨がすり減り、炎症や痛みを引き起こす慢性的な疾患です。 膝の人工関節置換術を受ける方の多くが、この変形性膝関節症と診断されています。 主な原因は加齢や長年の膝への負担、肥満や筋力の低下、O脚なども影響するといわれています。 症状が進むと、歩行や階段の上り下りが難しくなり、関節が変形してしまう場合もあります。 関節リウマチ 関節リウマチは、免疫の異常によって自分の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。 関節に慢性的な炎症が起こり、軟骨や骨が少しずつ破壊されていきます。 手や足など複数の関節に症状が現れるのが特徴で、膝関節が変形すると歩行が困難になる可能性もあります。 薬で炎症を抑えても痛みや変形が進む場合、人工関節置換術によって関節の機能を回復させることが検討されます。 大腿骨顆部壊死症 大腿骨顆部壊死症は、太ももの骨(大腿骨)の関節部分への血流が悪くなり、骨の一部が壊死してしまう病気です。 壊死した部分の骨が沈み込むことで関節面が変形し、強い痛みが生じるようになります。 発症の原因は明確でないこともありますが、ステロイド薬の長期使用や過度な飲酒などが関係するといわれています。 関節の破壊が進んだ場合は、人工関節置換術で壊死した部分を人工の関節に置き換えることで、痛みの改善が期待できます。 外傷後の膝関節障害 交通事故やスポーツ外傷などで膝の骨折や靭帯損傷を経験した場合、時間の経過とともに関節の変形が進む場合があります。 外傷後の膝関節障害は、ケガの後遺症として関節の軟骨がすり減り、痛みや動かしにくさが残るのが特徴です。 保存療法で痛みの改善が見られない場合や、関節の変形が強く進行している場合には、人工関節置換術が検討されます。 膝の人工関節置換術で起こり得る合併症リスク 膝の人工関節置換術は一般的に安全な手術とされていますが、まれに合併症が起こる場合もあります。 主な合併症には、次の3つがあります。 傷口や人工関節周囲で起こる感染症 関節脱臼 人工関節のゆるみ ここで、それぞれの合併症について詳しく解説します。 傷口や人工関節周囲で起こる感染症 膝の人工関節置換術後でとくに注意したいのが、傷口や人工関節の周囲に細菌が入り込むことで起こる感染症です。 軽い場合は抗生物質の投与で治まりますが、炎症が強いと膝が腫れたり、熱を持ったりする場合があります。 まれに人工関節の内部まで感染が広がると、人工関節を入れ替える再手術が必要になる可能性もあります。 感染を防ぐためには、手術前後の体調管理や清潔な環境を保つことが重要です。 医療スタッフと連携して感染予防に努めましょう。 関節脱臼 人工関節を入れたあと、関節が正しい位置から外れてしまう「脱臼」が起こる場合があります。 これは、急に膝をひねったり、深く曲げすぎたりすることで発生しやすく、術後すぐの時期はとくに注意が必要です。 脱臼が起きると膝の痛みや不安定感が強くなるため、すぐに医師の診察を受けることが大切です。 リハビリの段階で医師や理学療法士の指導を守り、正しい姿勢や動作を心がけると脱臼のリスクを減らせます。 人工関節のゆるみ 人工関節は年月の経過による摩耗や、膝に強い負担がかかる生活動作が原因で、少しずつ骨との結合部分が緩んでくる場合があります。 人工関節がゆるむと、痛みや違和感、膝のぐらつきが生じることがあり、放置すると歩行に支障をきたす場合もあります。 症状が出た際は早めに受診し、必要に応じて人工関節を入れ替える「再置換術」を検討します。 定期的な診察を受け、膝の状態を確認しておくことが長く快適に過ごすためのポイントです。 膝の人工関節置換術後の生活とリハビリ 膝の人工関節置換術後、安静期間を経て、少しずつ体を動かすリハビリが始まります。 膝の動きを取り戻すためには、焦らず段階を踏んで回復を目指すことが大切です。 ここでは、術後のリハビリの流れや、日常生活で気をつけたいポイントについて解説します。 術後すぐの安静とリハビリ開始時期 人工関節置換術のあと、手術当日は安静に過ごし、翌日からリハビリを始めるのが一般的です。 初めはベッドの上で足首を動かしたり、膝を少しずつ曲げ伸ばししたりなどの軽い運動からスタートします。 数日後にはベッドから立ち上がる練習を行い、歩行器や杖を使って短い距離を歩く練習へと進みます。 この早期リハビリは、膝が硬くなる「関節拘縮(かんせつこうしゅく)」を防ぎ、回復をスムーズに進めるうえでとても大切です。 医師や理学療法士と相談しながら、無理のない範囲で体を動かすことが回復につながります。 日常生活への復帰までの流れ 膝の人工関節置換術後しばらくは、歩行補助具を使っての移動から始まり、数週間かけて自力歩行を目指します。 リハビリでは、膝の曲げ伸ばしだけでなく、太ももやお尻の筋肉を鍛える運動も行い、膝にかかる負担を減らしていきます。 退院後は、家の中での生活動作に慣れることが次のステップです。 階段を使うときは手すりを活用し、床に座る動作を避けて椅子中心の生活を心がけます。 一般的に、手術から1〜3カ月ほどで日常生活を送れるようになる方が多く、6カ月ほどで旅行や軽い運動を楽しめるようになるケースもあります。 焦らずに自分のペースでリハビリを続けることが、膝の機能を長く保つポイントです。 注意すべき動作や生活習慣 人工関節を長く快適に使うためには、膝に大きな負担をかけない生活を意識することが大切です。 とくに、正座やあぐらのように膝を深く曲げる姿勢は避けるようにしましょう。 また、床に直接座るよりも椅子に腰かける習慣をつけると、関節への負担を軽減できます。 階段を使う際は、必ず手すりを利用し、急いで動作しないことも重要です。 さらに、体重が増えると膝への負担が大きくなるため、食事内容を見直したり、ウォーキングや水中運動など無理のない運動を取り入れたりするのがおすすめです。 再手術の可能性について 人工関節には寿命があり、一般的には15〜20年ほど使用できるといわれています。 ただし、長期間の使用や膝への過度な負担によって、人工関節が摩耗したり、骨との結合がゆるんだりする場合があります。 その際は、再び人工関節を入れ替える「再置換手術」が必要になることもあります。 再置換手術は初回よりも難易度が高いため、人工関節をできるだけ長く保つことが重要です。 人工関節を長く使用するためにも、定期的に検診を受けて膝の状態を確認し、違和感や痛みを感じたときは早めに医師へ相談しましょう。 手術を伴わない治療法「再生医療」について 膝の人工関節置換術は、関節の変形や軟骨の損傷が進行した場合に有効な治療法ですが、「できれば手術を避けたい」「入院や大きな負担をかけずに治療したい」という方も少なくありません。 そうした方にとって、手術を伴わない再生医療は、膝の状態や生活の質を保つための新しい選択肢の一つといえます。 再生医療は、自分自身の体から採取した細胞や血液の成分を利用し、もともと体に備わっている修復力に着目した治療法です。 膝関節の機能を整えることを目的とし、入院や全身麻酔を必要としないため、日常生活への影響が少ないのが特徴です。 ただし、人工関節置換術後に再生医療を行うことはできません。 再生医療を検討する場合は、人工関節手術を受ける前の段階で医師に相談することが大切です。 人工関節手術を選択せず、再生医療による治療を受けた症例については、以下の記事をご覧ください。 まとめ|膝の人工関節置換術を正しく理解して納得のいく治療法を選択しましょう 膝の人工関節置換術は、進行した関節の損傷によって歩行や立ち上がりが難しくなった方に行われる治療法です。 手術やリハビリを通して少しずつ動きが戻ることで、外出や趣味を再び楽しめるようになる方も多くいます。 また、手術を検討する前の段階では、リハビリや注射といった保存療法のほかに、再生医療という新しい治療の選択肢もあります。 自分の体の状態や生活スタイルに合わせて、どの方法が適しているかを見極めることが大切です。 不安や疑問を一人で抱えず、信頼できる医療機関で納得のいく説明を受けながら、自分に合った治療法を見つけていきましょう。
2022.06.21 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
「朝起きたら膝が痛い」「寝ている間に膝がこわばって動かしづらい」といった症状に心当たりはありませんか? 日中はあまり気にならなくても、朝だけ膝に痛みや違和感を覚えることが続くと、何かのサインかもしれないと不安になる方も多いでしょう。 本記事では、寝起きに膝が痛む原因や考えられる疾患・症状を軽くするためのセルフケアや対処法について、医師の見解を交えてわかりやすく解説しています。 朝だけの症状だからと放置せず、日常の小さな違和感を見逃さないことが大切です。 「この症状、自分にも当てはまるかも?」と少しでも感じた方は、ぜひ一度、当院(リペアセルクリニック)の公式LINEで気軽に情報をチェックしてみてください。 膝の痛みに関する情報や再生医療によるアプローチ、実際の症例などをわかりやすく配信しています。 ちょっとした不安の確認にも役立ちますので、「相談まではまだ早いけれど、情報収集だけしたい」という方にもおすすめです。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 朝起きたら膝が痛いのはなぜ?原因を判断するためのチェックリスト 寝起きに膝が痛いのが膝の病気か判断するためのチェックリストは、以下の通りです。 上記のような症状が多く当てはまるほど、変形性膝関節症などの膝の病気である可能性が高いです。 寝起きだけでなく、寝ているときにも膝が痛む場合や歩けないほど膝が痛い場合は、重度の疾患の可能性があります。 痛みが長引いて生活に支障がでる前に医療機関を受診しましょう。 寝起きに膝が痛い原因として考えられる疾患 寝起きに膝が痛む症状は「関節リウマチ」と、「変形性膝関節症」疾患の特徴です。 それでは、なぜこのような症状が起きるのでしょうか。 関節は骨と骨のつなぎ目ですが、そこにはクッションの役割を果たす「軟骨」と、潤滑油の役割を果たす「関節液」があります。 関節リウマチや、変形性膝関節症といった疾患ではこの軟骨に障害が及んだり、関節液の量の調整がうまくいかなくなったりする結果、しばらく関節を動かさないと朝起きたとき時や、動き始めのとき時にこわばりや、痛みを感じることがあります。 関節を動かしてしばらく経つと、関節液の量が自然に調節されて症状が改善することがあります。ここからは、これらの主な原因となる関節リウマチと変形性膝関節症について解説していきます。 ▼放っておくと危険!膝の痛みに潜む重大な病気について1分で解説 https://youtube.com/shorts/SFl4q1RCuCw?feature=shared 変形性膝関節症 変形性膝関節症は主に加齢により発症すると考えられており、膝関節の痛みやこわばり、関節可動域の制限などといった症状が認められます。変形性関節症は膝以外にも手足や脊椎に発症します。 【変形性膝関節症の診断】 典型的な症状や病歴があれば必ずしも画像などによる検索は必要ではないとされています。 しかし、非典型的な症状を伴う場合には同様の症状をきたす別の疾患を想定して画像検査や血液検査を必要とします。 レントゲンでは関節裂隙の狭小化や骨棘などといった所見を認めることがありますが、血液検査では変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 【変形性膝関節症の治療】 変形性膝関節症は基本的には加齢による変化であり、痛みの制御を目的とした治療が主となります。具体的には消炎・鎮痛薬の使用を症状に応じて行うことになります。 しかし、加齢による変化そのものは不可逆性です。消炎・鎮痛薬の使用で症状がコントロールできない場合などは人工関節置換術といった手術による治療を考慮する必要もあります。 【変形性膝関節症の対処法】 変形性膝関節症の予防 変形性膝関節症の対処法 生活習慣の改善 靴の見直し 軽度な運動 サポーターの装着 変形性膝関節症の予防策として、体重管理(適度なダイエット)が挙げられます。体重が増えると、膝への負担が増加するのも必然です。生活習慣の見直しからスタートしてみましょう。 また、普段から履いてる靴が適切なものでないと膝に負担がかかります。ハイヒールやサイズが合っていない靴は極力避ける努力も必要です。 対処法としては、適切かつ軽度な運動やサポーターの装着が挙げられます。運動は膝周りの筋肉を伸ばすストレッチなどが適切で、安静にしすぎて筋力が衰えしまわないよう無理ない範囲で行いましょう。 また、サポーターの装着も膝周りの不安感を解消してくれる心強い味方です。 関節リウマチ 関節リウマチは膝を含む全身の関節に起こる炎症を特徴とする疾患です。その原因には不明なところが残っているものの、関節組織に対する自己免疫の関与が考えられています。 一般的には手足の指の関節から始まることが多く、左右対称制の症状、朝のこわばりなどの典型的な症状が知られています。自己免疫の関与が考えられている関節リウマチですが、関節外に目や血管に症状をきたすこともあります。 【関節リウマチの診断】 関節リウマチの診断は、関節症状などの病歴だけで判断しません。レントゲン上での関節裂隙の狭小化などの所見、全身の炎症を反映した血液検査でのリウマチ因子・特殊抗体などを総合的に判断してなされます。 関節炎などの症状が出た場合は整形外科などへの受診をまずは考えますが、関節リウマチは膠原病内科やアレルギー内科などが専門となることがあります。適切な診療科も含めて、気になる症状がある場合はかかりつけまたは最寄りの医療機関に相談してみましょう。 【関節リウマチの治療】 自己免疫の関与が考えられている関節リウマチの治療法は、消炎・鎮痛といった一般的な関節痛にも共通する治療だけでなく、過剰な自己免疫を制御する免疫調整薬の使用が必要になることがあります。 このような治療は専門家の詳細な評価を必要とする場合が多いため、かかりつけ医の意見をよく聞いて治療を進めるようにしましょう。 【関節リウマチの対処法】 関節リウマチの予防 関節リウマチの対処法 食生活の改善 喫煙習慣の改善 安静にする 関節の保温 関節リウマチの発症を抑えるためにも、食生活の改善は必須です。 体重増加の元となる脂質・糖質類を摂りすぎには注意しましょう。また、喫煙もリウマチが発症・悪化する要因とされているため、控えておくべきです。 発症後の具体的な対処法としては、安静治療が基本です。心身の疲れを溜めないよう心がけましょう。また、関節を冷やす行為は悪化の要因となりえます。日頃から適度な保温を意識しましょう。 寝起きに膝が痛いときの悪化を防ぐための対処法 寝起きに膝が痛いときの悪化を防ぐための対処法をを紹介します。 体重管理 膝周辺の筋トレ 薬物療法 以下では、それぞれの対処法について詳しく解説していきます。 体重管理 寝起きに膝が痛い時は、急激な体重増加や肥満にならないように体重管理を行いましょう。 体重が1kg増加すると、歩行時に膝にかかる負担は2〜3kg増えるといわれています。 そのため、急激な体重増加や肥満によって膝に継続的な負担がかかると、変形性膝関節症などの発症リスクが高くなってしまいます。 食生活の改善や適度な運動によって体重を管理することが重要です。 膝周辺の筋トレ 寝起きに膝が痛い時は、筋力トレーニングによって膝周辺の筋力を鍛えることも重要です。 膝を支える筋力を鍛えることで膝の負担を軽減し、症状の悪化防止につながります。 痛みが強い場合は無理をせずに、できる範囲の筋トレを実施しましょう。 薬物療法 寝起きに膝が痛い時は、医療機関を受診し、痛み止めの服用などの薬物療法による治療を受けましょう。 薬物療法では患者さまの痛みや症状に応じて、消炎鎮痛薬のロキソニンやカロナールの服用、ヒアルロン酸注射を行います。 適切な治療方針は患者さまによって異なるため、自分に合った薬を処方してもらうことが重要です。 寝起きの膝が痛いときは早期に医療機関を受診することが重要 今回の記事では朝起きると膝が痛み、歩きはじめ膝に違和感を感じたときに想定される疾患である関節リウマチと、変形性膝関節症の症状と治療法について解説しました。 二つの疾患は類似点もありますが、診断や治療など、大きく異なる点もあります。より詳しく知りたい場合は既に受診している整形外科、または最寄りの医療機関に問い合わせてみましょう。 しかし、お近くに相談できる医療機関がない場合や、まずは話だけでも聞いてみたい・自分の症状が当てはまるか不安という方もいらっしゃると思います。 当院(リペアセルクリニック)では、無料の電話相談に加えて、公式LINEでも再生医療や膝の症状に関する情報をわかりやすく配信しています。 まずはLINEから気軽にチェックしてみてください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ ▼膝の痛みに関しては、以下をクリックでご自宅からでも簡単に相談いただけます。 >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00)
2022.06.17 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
- 関節リウマチ
- 膝部、その他疾患
「歩くと膝の裏が痛い」「しゃがむとピキッと違和感がある」足の不快な症状に心当たりはありませんか? 膝の裏の痛みは、加齢や運動不足によるものから、半月板損傷や血栓などの病気が隠れているケースまで、さまざまな原因が考えられます。自己判断で放置してしまうと、悪化して日常生活に支障が出ることもあるため注意が必要です。 この記事では、膝裏の痛みの主な原因や治療法、自宅でできるセルフケア方法まで、わかりやすく解説します。「これって放っておいても大丈夫なのかな」と不安な方は、ぜひ最後までご覧ください。 すぐに解消したい膝の裏の痛みでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談へご連絡ください。 膝の裏が痛い原因として考えられる疾患|一覧表 膝の裏が痛む際に原因として考えられる疾患には、変形性膝関節症や関節リウマチなどがあります。ここからは、代表的な疾患を説明していきます。 疾患名 特徴 変形性膝関節症 ・膝の軟骨がすり減り、動き始めや長時間の歩行で痛む ・進行すると膝裏のこわばりや張り感も出る 半月板損傷 ・膝を曲げ伸ばしするときや体重をかけたときに痛む ・膝の引っかかり感や可動域制限がある ベーカー嚢腫 ・膝裏に袋状の腫れができ、曲げ伸ばしで違和感や痛み ・関節液が過剰に溜まることで発生 関節リウマチ ・朝のこわばりや膝関節の腫れ ・自己免疫反応による関節炎症 靭帯損傷 ・スポーツや転倒で膝がぐらつく、激しい痛み ・腫れや可動域制限を伴うことが多い 膝裏の筋肉の損傷 ・急なダッシュやジャンプで発症 ・膝裏から太ももにかけて鋭い痛み 腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 ・腰から膝裏にかけての放散痛 ・しびれや感覚異常を伴うことがある リンパによる膝裏の痛み ・リンパの滞りで膝裏に張り感や鈍い痛み ・むくみや圧迫感を伴う 反張膝 ・膝が後ろに反りすぎて関節や筋肉に負担 ・長時間の立位で膝裏に痛みが出る 歩行時や屈伸時(しゃがむ・立ち上がり)に膝の裏が痛む疾患 しゃがむ・立ち上がるといった屈伸動作の際に膝の裏が痛む場合、原因は関節や筋肉、膝裏の構造に関わる疾患であることが多いです。ここからは、それぞれの特徴や痛みの出方について詳しく見ていきましょう。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、中高年の女性によくみられます。 関節の軟骨がすり減って膝の内側や裏からふくらはぎにかけて痛くなり、正座がしにくくなります。変形が進行して症状が悪化するとO脚になり、末期になると歩行が困難になって人工関節の手術が必要です。 変形性膝関節症によって膝の関節が硬くなると、膝を伸ばすときに裏が痛くなります。膝を曲げ伸ばしする際に「ミシミシ」「ゴリゴリ」といった音が鳴るケースも珍しくありません。 ▼ 変形性膝関節症によるO脚の例 また、膝関節が炎症して水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛みを感じるようになります。 ▼ 変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。 半月板損傷 膝の裏が痛む原因として考えられる疾患の一つが、半月板損傷です。 ▼膝関節における半月板の位置 半月板は膝関節におけるクッションの役目があり、スポーツや事故による怪我、あるいは加齢に伴う変性によって損傷することがあります。 半月板損傷により、しゃがむ・歩くなどの動作で膝に痛みが生じます。膝が急に動かなくなるロッキング(引っかかり現象)や、関節の可動域制限も特徴的な症状です。 ベーカー嚢腫 ベーカー嚢腫も、膝の裏が痛むときに考えられる疾患の一つです。 ベーカー嚢腫とは、なんらかの原因で膝関節が炎症を起こし、関節液が増えて膝裏の滑液包に流入してできた袋状のコブを指します。 ゴルフボールぐらいのサイズに大きく腫れることもあり、膝の裏が突っ張った感覚を覚えます。 放置しているうちに腫れが治る場合もありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くケースも少なくありません。 ベーカー嚢腫は主に変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。 ベーカー嚢腫について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。 膝裏の筋肉の損傷 膝の裏側に位置する膝窩筋(しつかきん)の損傷も、ピキッと痛む原因の一つです。膝窩筋とは、膝裏の奥にある小さな筋肉で、膝を屈曲する際に重要な役割を果たします。 ▼ 膝窩筋の位置 過度な負荷や急な動きによって筋肉や腱が損傷すると、以下のような症状が現れます。 しゃがむと痛い しゃがんで立つと膝の裏が痛い 膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い 膝を曲げると膝裏が痛い 階段を上り下りする際に膝の裏からふくらはぎにかけて痛い 膝窩筋が損傷すると、膝裏にピキッと痛みを感じることが多く、とくにしゃがむ動作や立ち上がる動作で痛みが顕著になります。症状が悪化するとふくらはぎや太ももの裏など、周辺の筋肉にも痛みが波及するため早めの対応が大切です。 靭帯損傷 靭帯損傷のなかでも、とくに後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばしたときにピキッとした痛みを感じることも少なくありません。 膝関節には主要な4つの靱帯(内側・外側側副靱帯、前・後十字靱帯)があり、膝の安定性を保つ重要な役割を担っています。 たとえば、交通事故に遭ったり、スポーツ活動中に怪我を負ったりして、物理的に大きな衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯が損傷・断裂して強い痛みを伴うことがあります。 靭帯損傷から3週間ほどは、膝裏の痛みや膝を伸ばす動作の制限が起こりやすい時期です。 受傷後1か月ほど経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともあれば、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著になるケースもあります。 座っているとき・安静時に膝の裏が痛い疾患 動かしていないのに膝裏が痛む場合は、血流やリンパの流れ、炎症などが関係していることがあります。 ここでは、それぞれの特徴や注意すべき症状について解説します。 エコノミークラス症候群 エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢で座っていることで下肢の血流が滞り、深部静脈に血栓ができる状態です。多くの場合はふくらはぎの痛みや腫れとして現れますが、血栓の位置によっては膝の裏に痛みが出ることもあります。 片足だけに腫れや熱感、皮膚の変色、押すと強い痛みがある場合は注意が必要です。放置すると血栓が肺に移動して肺塞栓症を引き起こす危険があり、命に関わることもあります。 長時間の移動やデスクワーク時は、定期的に足を動かしたり、こまめに立ち上がって歩くことが予防につながるため重要です。 関節リウマチ 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人といわれており、発症原因は自己免疫系統の異常とされています。自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃・破壊して関節部位に炎症を引き起こすと、膝裏に疼痛症状をもたらすと考えられます。 関節リウマチを発症しやすい年齢は、30~50代前後の中高年層です。また、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 なお、関節リウマチの初期段階では、手指の関節領域が左右対称に腫れるほか、倦怠感や食欲不振など自覚症状を引き起こす懸念があります。 ▼ 関節リウマチの対処方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 関連記事:関節リウマチで膝裏が痛くなる?膝の裏が痛いときに考えられる疾患と治療法を解説 リンパによる膝の裏の痛みや腫れ リンパ液の流れの悪化は、膝裏に起こる痛みや腫れの原因の一つです。 リンパ管は体内の老廃物を運ぶ役割を担っており、通常、筋肉の収縮や体の動きなどによって流れています。しかし、同じ姿勢で長時間過ごしたり、食生活が偏ったりしてリンパの流れが悪くなると、膝裏に痛みや腫れが生じます。 膝の違和感はリンパ液が滞った状態かもしれません。リンパ液の流れが悪い状態を放置すると、膝周辺の組織が硬くなり、痛みを伴う可能性があります。 足のだるさやむくみがあるときは、適度な運動やマッサージ、適切な食事をしてリンパの流れ改善や促進をしましょう。 放散痛やしびれを伴う膝の裏の痛みがある疾患 放散痛やしびれが伴う場合には、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛が考えられます。 ここでは、症状や痛みの出るタイミングについて解説します。 腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。神経の圧迫によって膝裏に痛みが放散され、痺れやズキズキした痛みを感じることがあります。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛による膝裏の痛みは、とくに立ったり歩いたりしているときに痛みが強くなることが特徴です。また、安静時にも痛みを感じる場合があり、睡眠中に痛みで目が覚めるケースも珍しくありません。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛が痛みの原因の場合は、腰部の治療が不可欠です。膝裏の痛みがひどくなる前に医療機関を受診して、理学療法や薬物療法による治療を受けましょう。 腰が反り返るときに膝の裏が痛い疾患 腰を反らす姿勢をとったときに膝裏が痛む場合、その背景には膝関節の問題が隠れていることがあります。 代表的なのが「反張膝(はんちょうひざ)」で、膝が必要以上に後方へ反ってしまうことで、関節や周囲の筋肉・靭帯に過剰な負担がかかります。 ここでは、反張膝の特徴や痛みが出る仕組みについて詳しく見ていきましょう。 反張膝 反張膝(はんちょうひざ)が原因で、膝裏が痛む場合があります。 反張膝は、膝関節が過度にそり返った状態を意味します。通常、膝はまっすぐに伸びているのが正常です。しかし、反張膝の場合は膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、結果として膝裏に圧力がかかり、痛みが生じます。 反張膝は太ももの前後の筋肉バランスの悪さや、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋などの筋力の低下によって起こります。反張膝を放置すると、膝への負担が蓄積され、関節の変形や痛みの慢性化につながるため注意が必要です。 膝の裏が痛いときの治療法 ここでは、膝の裏が痛いときの具体的な対処法や治療法を解説します。 保存療法 保存療法とは、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。 具体的には、鎮痛薬や抗炎症薬の内服・外用による薬物療法、膝周囲の筋力や柔軟性を高める運動療法、マッサージやストレッチ、電気治療などの理学療法が含まれます。急性期の腫れや痛みが強い場合には、安静・冷却・圧迫・挙上を行うRICE処置も取り入れられます。 保存療法は膝の痛みを軽減し、機能を回復させることを目的としており、多くの場合、最初に選択される治療法です。症状や生活習慣に合わせた継続的なケアが重要であり、正しい方法で行うことで再発予防にもつながります。 薬物療法 薬物療法は、痛みや炎症を抑えて症状を緩和することを目的とした治療法です。 膝関節の痛みに対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬の内服薬、湿布やクリームなどの外用薬が用いられます。急性期には炎症や腫れを抑えることが中心となり、慢性期には痛みのコントロールと関節機能の維持を目指します。 薬は症状の程度や原因、患者の体質に応じて処方され、副作用や相互作用にも注意が必要です。薬物療法は単独で行われることもありますが、運動療法や注射療法などと組み合わせる場合も多くみられます。 理学療法 理学療法は、理学療法士が行う専門的な運動療法や徒手療法を通じて膝関節の機能回復を図る治療法です。 膝を支える筋力の強化や柔軟性の向上、関節可動域の改善を目的に、ストレッチ、筋力トレーニング、バランス訓練などを行います。 手技によるマッサージや電気刺激療法、温熱療法などを併用し痛みの軽減や血流改善を促します。理学療法は症状の進行予防や再発防止にも有効です。 一人ひとりの状態や生活スタイルに合わせたプログラムが作成されます。 注射療法 注射療法は、膝関節内や周囲に薬剤を直接注入し、痛みや炎症を抑える治療法です。代表的なものにヒアルロン酸注射とステロイド注射があります。 ヒアルロン酸注射 関節液の粘度を高め、軟骨の摩耗を軽減しながら動きを滑らかにする ステロイド注射 炎症を強力に抑える作用があり、急激な痛みや腫れがある場合に有効 注射療法は比較的短期間で症状改善が見込めますが、効果の持続には限りがあるため、運動療法や生活習慣の改善と併せて行うことがおすすめです。 手術療法 手術療法は、保存療法やその他の治療で十分な効果が得られない場合に検討される外科的治療です。目的は痛みの軽減と関節機能の改善で、患者の症状や年齢、生活スタイルに応じて術式が選ばれます。 以下の方法が代表的です。 関節鏡手術:損傷部分を修復・切除する 骨切り術:関節の形状や荷重軸を矯正する 人工関節置換術:重度の関節変形に対して行う 手術後は理学療法によるリハビリが不可欠で、術後の回復や再発防止に大きく関わります。 幹細胞やPRPによる再生医療 膝裏が痛むときの治療法として、再生医療も選択肢の一つです。 再生医療には、幹細胞治療とPRP療法があります。 治療法 内容 幹細胞治療 他の細胞に変化する能力「分化能」を持つ幹細胞を患部に投与 PRP療法 血液に含まれる血小板を濃縮した液体を作製して患部に投与 どちらも手術・入院を必要としないのが特徴です。 たとえば、変形性膝関節症が悪化して人工関節置換術などをすすめられる場合も、幹細胞治療やPRP療法であれば、手術をせずに治療が行えます。 リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みの治療を行っています。 再生医療の治療例として、以下の変形性膝関節症に対する症例をご覧ください。どのような治療を行い、変化するのかが分かります。 変形性膝関節症だけでなく、膝の痛みが原因の疾患で手術に悩んでいる方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 患者様の状況を伺って一人ひとりにあわせた治療方針を提案いたします。 ▼ 再生医療で膝の痛みを治療する 膝の裏が痛いときのセルフケア方法 膝の裏がピキッと痛む場合は、早めの対応が痛みの軽減や早期の回復につながります。 ここからは、膝裏の痛みに対するセルフケア方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 安静にする 膝の裏に痛みを感じたら、まずは無理に動かさず、安静を保つことが大切です。膝に負担をかけすぎると、痛みが悪化する可能性があるため、症状が治まるまでは運動などは避けてください。安静にする際は、膝を高く保つと腫れや血流の滞りを防げます。 横になるときにはクッションや枕などを使用し、膝下に挟んで膝を少し持ち上げると良いでしょう。安静にすると、膝の炎症や筋肉の過度な緊張を抑えられるため、早期の回復につながります。 温める 冷えや血行不良が膝裏の痛みの原因となっている場合は、患部をしっかり温めることが大切です。 温熱によって血流が改善されると、酸素や栄養が行き渡りやすくなり、老廃物の排出も促進されます。その結果、筋肉のこわばりがほぐれ、関節周囲の動きが滑らかになります。 入浴や蒸しタオル、温熱パッドなどを使って膝裏を温めると効果的です。ただし、炎症や腫れが強い場合には温めると悪化する場合があるため、痛みの原因や状態の確認が重要です。 日常的に足首やふくらはぎも含めて温めると、膝全体のコンディション改善にもつながります。 ストレッチをする 膝の裏が痛いときには、ストレッチも効果的です。膝の裏のストレッチをすると、筋肉に柔軟性を持たせて血流を促進します。 膝裏の痛みに対しては、以下のストレッチがおすすめです。 ふくらはぎのストレッチ 太ももの後ろ(ハムストリング)のストレッチ 膝窩筋のストレッチ ストレッチをする際の注意点として、無理に引っ張ったり、痛みを感じるまで伸ばしたりするのは避けましょう。また、痛みを感じたときにはすぐにストレッチを中止し、かかりつけの医師に相談してください。 ▼ 以下の動画では、ふくらはぎと太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチのやり方を紹介しています。 生活環境を見直す 膝裏への負担は、日常生活や睡眠時の環境によっても大きく左右されます。たとえば、椅子の高さが合っていないと膝に不自然な角度がつき、関節や筋肉に余計な負荷がかかります。柔らかすぎるマットレスでは腰が沈み込み、寝ている間に膝や腰の筋肉が緊張しやすくなります。 デスクワークが多い場合は、膝や腰にやさしい高さの椅子や机を選び、長時間同じ姿勢を避けることが大切です。 寝具の硬さや枕の高さも全身のバランスに影響するため、自分の体格や姿勢に合った環境に整えることで膝裏の負担軽減につながります。 マッサージをする 膝の裏の痛みには、ストレッチと同様にマッサージも効果的です。膝の裏や周辺の筋肉を軽くマッサージすると、筋肉の緊張がほぐれ、血流が促進されます。 膝の裏がピキッと痛む場合は、膝の後ろからふくらはぎにかけて、手のひらで円を描くようにマッサージするのがおすすめです。ふくらはぎを軽く揉むことで、膝裏にかかる圧力が軽減されると、痛みが和らぐ場合があります。 マッサージをする際は、痛みが悪化しないよう、力を入れすぎないことがポイントです。 テーピングやサポーターを使用する 膝の裏が痛いときには、テーピングやサポーターの使用も有効です。膝の安定性を高めることで無理な動きを制限したり負担を減らしたりすると、痛みの軽減に役立ちます。 とくにテーピングは、膝を固定しつつ可動域を制限しないための適切な方法で行うことが大切です。テーピングの方法には専門的な知識が必要になるため、最初は専門医に相談するようにしてください。 テーピングやサポーターは膝への負担を軽減するために役立つものの、長時間使用しすぎると、筋力の低下や血行不良につながるリスクもあります。かかりつけ医に相談しながら適切にテーピングやサポーターを使用しましょう。 膝の裏の痛みが続くときは迷わず専門医に相談しよう 今回は、膝の裏が痛いときに考えられる病気と対策について詳しく解説しました。膝の裏が痛む原因としては、主に変形性膝関節症や関節リウマチ、膝靱帯損傷などが考えられます。 たとえば、関節リウマチは薬剤の治療成績が著しく向上し、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば寛解(症状が落ち着いた状態)が期待できる病気になってきました。また、膝の靱帯を損傷した際は、早期的なアイシング(冷却)や患部固定で症状緩和につながります。 自分なりに対処策を実践しても症状が改善しない場合や、膝の裏の疼痛症状がひどくて悪化するような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 当院リペアセルクリニックでは、損傷した膝裏の関節・靭帯の治療として再生医療をご案内しています。 「膝裏の痛みが長引いている」「痛みを早く治したい」といった方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 膝の裏の痛みに関するよくある質問 膝の裏が痛いのは歩きすぎですか? 長時間の歩行は膝に負担がかかるため、膝裏の痛みを引き起こす可能性があります。とくに、硬い地面を歩いたり、無理なペースで歩行したりすると痛みが起こりやすいです。 長時間歩くときには、適切な靴を履き、歩行姿勢に気をつけることがポイントです。歩行する前後でストレッチや軽いマッサージをすると、筋肉の緊張を和らげて膝への負担軽減につながります。 膝の裏が痛いのは冷えが原因でしょうか? 膝の裏が痛むときは早めに医師へ相談するべきです。 膝の裏が痛む原因は多岐にわたり、軽度なものから、自分では気づきにくい重度の疾患まで含まれます。自己判断で放置すると、症状が進行して日常生活に支障をきたす恐れがあります。悪化すれば歩行が困難になり、治療後も後遺症が出る可能性も否定できません。 冷えによって血流が悪くなり、膝裏の痛みにつながる場合もあります。早めに原因を見極め、適切な対応をとることが大切です。 膝の裏の痛みは軽視せず、早めに医療機関を受診しましょう。 再生医療をご検討の方は、リペアセルクリニックの公式LINEにご登録ください。再生医療ガイドブックを無料でお受け取りいただけます。 膝の裏が痛い場合、何科にいけば良いですか? 膝の裏に痛みがある場合は、まず整形外科の受診がおすすめです。 整形外科ではレントゲンやMRIなどの画像検査で原因を特定し、関節や靭帯、筋肉、神経など幅広く診てもらえます。スポーツによるケガや変形性膝関節症、半月板損傷など整形外科領域の疾患が多く、適切な治療やリハビリの提案を受けられます。 早期の受診で、症状の悪化や後遺症を防ぎましょう。
2022.06.07 -
- 糖尿病
- 内科疾患
妊娠中に「妊娠糖尿病」と診断され、不安や戸惑いを感じていませんか? 「食事に気をつけてください」と言われる中で、「運動も大切です」と医師からアドバイスを受けたものの、妊娠中に体を動かして本当に大丈夫なのか、逆にお腹の赤ちゃんに影響が出ないか、不安になる方も多いでしょう。 本記事では、妊娠糖尿病の管理においてなぜ運動が推奨されているのか、そしてどのような運動なら安心して行えるのかを、わかりやすく解説します。 運動が不安な方でも、今日から無理なく始められるポイントや注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 妊娠糖尿病には運動が効果的 妊娠糖尿病と診断されると、まず「食事管理」が思い浮かびますが、運動も血糖値のコントロールに効果的な手段のひとつです。 妊娠中でも体に負担をかけすぎない運動であれば、医師の指導のもと安心して取り入れられます。 実際に、妊婦さんの中には運動を取り入れることで血糖値が安定し、体調管理がしやすくなったと感じる方も少なくありません。 本章では、妊娠糖尿病に対する運動の具体的な効果や、安全に取り入れやすい方法について解説します。 歩行のみでも改善効果が期待できる 運動と聞くと、ランニングのような激しい運動が必要と思われがちですが、ウォーキングのような軽い有酸素運動でも血糖値コントロールへの良い影響が報告されています。 たとえば、科学研究費助成事業による調査では、妊娠糖尿病の妊婦において歩行運動を取り入れた妊婦の方が、食事療法のみの妊婦に比べてインスリン治療へ移行した割合が少なかったことが報告されています。(文献1) もちろん、すべての人に同じ効果が現れるわけではありませんが、「歩くだけでも意味がある」と思えるだけでも、日々の活動が変わります。 運動により血糖値コントロール・体重管理・便秘予防などの効果がある 先ほども解説した通り、妊娠糖尿病において、軽めの有酸素運動は血糖値のコントロールに非常に有効ですが、運動の効果は、血糖値の改善だけではありません。 適度な運動を続けることで、過度な体重増加を防ぎ、妊娠中に起こりやすい便秘の予防にも効果があるとされています。 さらに、軽い運動はリフレッシュにもつながり、ストレスの軽減や睡眠の質の向上など、心身のバランスを整える助けにもなります。 妊娠中はホルモンバランスの変化で気分が不安定になりやすいため、体を動かすことで気分転換ができるのも大きな利点です。 安定期(妊娠中期)〜後期では運動が始めやすい 妊娠初期は体調が不安定なことが多いため、無理に運動を始める必要はありません。 しかし、妊娠12~16週以降の安定期に入り、体調が落ち着いてきた頃であれば、医師の許可を得たうえで軽い運動を始めることができます。 ウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなど、お腹に負担をかけずにできる動きから少しずつ取り入れていくのがポイントです。 最初は短時間・軽い内容からスタートし、体調を見ながら続けていきましょう。 妊娠糖尿病の方におすすめの3つの運動 妊娠糖尿病の方にとって、運動は血糖コントロールや体調管理に役立つ大切なセルフケアのひとつです。 ここで、妊婦さんでも無理なく取り入れやすい、妊娠糖尿病の管理にも効果が期待できる、以下3つの運動方法をご紹介します。 ウォーキング(散歩) マタニティヨガ・ストレッチ 軽い筋トレ(スクワット・もも上げ) ウォーキング(散歩) ウォーキングは、妊娠中でも安全性が高く、体への負担が少ない有酸素運動です。 血流が良くなることで血糖値の安定にもつながり、リフレッシュ効果も期待できます。 無理に長時間歩く必要はなく、1日15〜30分程度、気分がよい時間帯にゆっくり歩くだけで大丈夫です。 歩く際は、気温や天候に配慮し、水分補給を忘れずに行いましょう。 マタニティヨガ・ストレッチ マタニティヨガやストレッチは、呼吸を意識しながらゆっくり体を動かす運動です。 筋肉をやわらかく保ち、血行を促進することで、血糖値の安定にも良い影響が期待でき、心身のリラックスにもつながります。 また、腰痛や肩こり、むくみ、便秘といった妊娠中の不調の予防や緩和にも効果的です。 たとえば「猫と牛のポーズ」は、妊婦さんに人気のある基本的な動きのひとつです。 【猫と牛のポーズ】 四つん這いになる 肩の真下に手首、脚の付け根の真下に膝を置く 手のひらを大きく開き、中指を正面に向ける 膝の間は拳1つ分あける 頭からお尻まで一直線にキープ 息を吸いながら背中を反らせて目線を上に 息を吐きながら背中を丸めて目線をおへそに 四つん這いになることで、お腹が自然に下がり、赤ちゃんにとっても居心地の良いスペースが生まれます。 お母さんは呼吸がしやすくなり、赤ちゃんもリラックスできると言われており、息苦しさを感じたときにもおすすめです。 ただし、このポーズは妊娠16週以降で、主治医から運動の許可を得ている方のみ行うようにしましょう。 自宅で動画を見ながら取り組める手軽さも魅力ですが、お腹を圧迫しない姿勢を選び、無理なく行うことが大切です。 軽い筋トレ(スクワット・もも上げ) 妊婦さんでもできる範囲の軽い筋トレもおすすめです。 筋肉を使うことで、インスリンの働きが良くなり、血糖の取り込みがスムーズになるといわれています。 たとえば、椅子につかまりながらのスクワットや、その場でももを軽く上げ下げする運動などは、下半身の筋力を保ちつつ代謝をサポートします。 運動前後のストレッチや呼吸を意識し、お腹に力を入れすぎないよう注意しながら行うのがポイントです。 妊娠糖尿病の方が運動する際の注意点 妊娠糖尿病の管理に運動は効果的ですが、妊娠中という特別な時期であることを忘れてはいけません。 体調や妊娠の経過によっては、運動がかえって負担になる場合もあるため、「無理をしない・安全に行う」ことが最も大切です。 本章では、妊娠糖尿病の方が運動を始める際に、必ず押さえておきたい以下、4つの注意点をご紹介します。 医師に必ず相談してから開始する お腹が張ったらすぐ中止する 水分補給・室温管理など安全に配慮する 激しい運動は避ける 医師に必ず相談してから開始する 妊娠中に運動を始める前には、必ず主治医へ相談しましょう。 妊娠糖尿病の症状の程度や、妊娠の経過、合併症の有無などによっては、運動を控えるよう指示される場合もあります。 また、体調は日によって変化するため、「昨日は大丈夫だったから今日も大丈夫」とは限りません。 医師と相談しながら、そのときの自分の体に合った方法・タイミングで取り組むことが大切です。 お腹が張ったらすぐ中止する 妊娠中の運動で最も大事なのは、「頑張りすぎない」ことです。 少しでもお腹が張る、疲れすぎたと感じる、不調のサインがあれば、すぐに運動を中止しましょう。 妊娠糖尿病の管理には継続が大切ですが、それ以上に大切なのは母体と赤ちゃんの安全です。 「今日は無理しない」という判断も、立派な自己管理のひとつです。 水分補給・室温管理など安全に配慮する 妊娠中は汗をかきやすく、体温調整もしにくくなっているため、こまめな水分補給と室温管理が欠かせません。 とくに夏場や暖房のきいた室内では、熱中症や脱水症状を防ぐためにも常に水分を手元に置いておくようにしましょう。 また、食後30分〜1時間以内の軽い運動が血糖値の上昇を抑えるのに効果的とされており、このタイミングを意識するのもおすすめですが、体調がすぐれないときは無理せず、あくまで自分の体と相談しながら行いましょう。 激しい運動は避ける 妊娠中はお腹に衝撃や強い負荷がかかるような運動は避ける必要があります。 主に、以下の運動は原則NGとされています。 ランニングやジャンプなど、全身に強い負荷がかかる動き サッカーやバスケットボールなど、転倒や接触リスクのあるスポーツ 腹筋運動や体幹トレーニングなど、お腹に直接負担がかかるもの これらは流産や早産のリスクを高める恐れがあるため、妊娠中は控えるのが基本です。 安全第一で「ゆっくり・やさしく・短時間」を心がけましょう。 まとめ|妊娠糖尿病と運動は正しく組み合わせれば心強い味方 妊娠糖尿病と診断されると、不安や戸惑いを感じる方も多いかもしれません。 しかし、適切な運動は血糖コントロールに役立つだけでなく、妊娠中の心身の健康をサポートしてくれる心強い味方にもなります。 大切なのは、「できることから無理なく続ける」ことです。 ウォーキングやストレッチなど、体調に合わせて取り入れやすい運動から始めてみましょう。 少しでも不安があるときは、かかりつけの医師や助産師に相談しながら進めることが安心・安全への近道です。無理のない範囲で体を動かしながら、穏やかな妊娠生活を送りましょう。 参考文献 (文献1) 菅沼信彦「妊娠糖尿病妊婦に運動療法は効果的か?2014年度 実績報告書」京都大学 医学系研究科、2015年(研究課題番号:25670970) https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-25670970/256709702014jisseki/(最終アクセス:2025年5月25日])
2022.06.02 -
- 糖尿病
- 内科疾患
50代女性で糖尿病の初期症状はどんなものがある? 50代になってから、健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘されてしまった。対策は? この記事を読んでいる方は、50代女性で糖尿病になると、どんな初期症状があらわれるのか気になっているのではないでしょうか。 血糖値が高いと指摘されても、具体的にどんな症状が出るのか、どんな危険性があるのか想像がつきにくい人もいるかもしれません。 50代は糖尿病のような生活習慣病が増えてくる年代でもあります。特に女性の場合は更年期から発症するケースもあるため、初期症状を見逃さないようにしましょう。 本記事では、糖尿病の初期症状について、50代女性に特化して解説します。 記事を最後まで読めば、50代女性における糖尿病の初期症状が分かり、適切な対策法を考えられるでしょう。 当院リペアセルクリニックでも、糖尿病の症状や治療法についてのご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 糖尿病の初期症状は「のどの渇きやだるさ」 血液の中の糖が多くなると、体にさまざまな異変を感じます。 しかし、糖尿病には「進行しないと症状が出にくい」という特徴があります。つまり、初期症状が出る頃には、すでに糖尿病が進行している状態ともいえるのです。 糖尿病の初期症状としては、以下が挙げられます。(文献1) のどが乾く 尿の回数が多い 体のだるさを感じる 体重が減ってくる 血液の中の糖を薄めるために頻回に水を飲みたくなったり、その影響で尿の回数が増えたりします。 また、血糖をエネルギーに変えて、血糖値を下げるホルモンの分泌が悪くなり、疲れやすい、体重が減るといった症状にもつながります。 糖尿病が進行してくると、体には様々な合併症が現れます。糖尿病の主な合併症は以下の通りです。(文献2) 糖尿病の合併症の例 症状 糖尿病性神経障害 手足のしびれ、感覚の鈍りなど 糖尿病性網膜症 目のかすみ、視力低下など 糖尿病性腎症 むくみ、高血圧、尿毒症など もし糖尿病のような症状が気になっている場合には、早めの受診をお勧めします。 【女性向け】糖尿病の初期症状チェックリスト 「甘いものが止められない」「食事のバランスが偏っている」といった糖尿病になりやすい生活習慣を持っている方は、自分が糖尿病ではないか気になりますよね。 以下は、女性向け糖尿病の初期症状チェックリストです。(文献3)(文献4) のどが渇きやすい 尿の回数が多い 疲れやすい 目がかすむ 体重が減ってきた 手足のしびれや痛みがある 感染症にかかりやすい 傷が治りにくい 当てはまる項目が多い場合は、糖尿病の初期症状の可能性も考えられます。 ただし本表はあくまでもセルフチェックに留め、気になる症状は、早めに医療機関に相談しましょう。 糖尿病の初期症状については、以下の記事もぜひご覧ください。 糖尿病患者の9割は「2型糖尿病」 糖尿病は、生活習慣病とも関連する注意すべき病気です。血糖値を降下させる作用のある、インスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの働きが悪くなり発症します。 糖尿病は、大きく「1型」と「2型」に分類されます。 「1型糖尿病」は、自己免疫の異常によって、インスリンを産生する膵臓の細胞が攻撃を受け発症するタイプです。生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与しません。一方、糖尿病患者の約9割以上が「2型糖尿病」と言われています。 主な原因は、ストレスや肥満体型、運動不足や暴飲暴食など日々の生活習慣の乱れです。生活習慣の乱れが続くと、インスリンの分泌が少なくなったり、効きが悪くなり、血液中の糖が細胞に十分に取り込まれなくなります。 2型糖尿病でインスリンが出にくくなる、効きが悪くなる原因の多くは、高脂肪、高カロリーなどの食習慣です。また、糖質の取り過ぎや顕著な運動不足が続くとインスリンの働きが弱まり、徐々に血糖値が上昇していきます。 そのほか、妊娠や更年期を契機に発症するパターン、あるいは膵炎や膵臓がんなど膵臓疾患に合併して発症するパターンなども挙げられます。 2型糖尿病について、詳しく以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。 50代女性の糖尿病リスクが高い理由 50代女性の糖尿病リスクが高い理由は、更年期が関係しています。 一般的に、女性は40代頃から更年期と呼ばれる時期に入ります。この時期は体がほてって疲労を感じやすいなど症状があらわれることが多いです。 更年期の症状は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量低下によるものです。 エストロゲンには血糖値を調整する働きがあり、通常は女性を糖尿病から守る役割を果たしています。エストロゲンの分泌量は40代頃から減少し始め、50代の閉経期には急激に低下することから、更年期以降は糖尿病を発症するリスクが高まっていくのです。 更年期には自治体の定期検診や、勤務先の企業健診の結果に注目しましょう。 特に以下の値が基準値を超えている場合は、糖尿病の可能性があるため、医療機関での受診をおすすめします。 空腹時血糖値:126mg/dl以上 HbA1c:6.5%以上 (文献5) また、尿検査で糖が検出される場合も、糖尿病の可能性を示唆する重要なサインとなります。 50代女性が糖尿病を予防する4つのポイント 50代女性に起こりやすい糖尿病は「2型糖尿病」で、生活習慣の乱れが主な原因です。糖尿病を予防し、健康でいられるための4つのポイントをまとめました。 糖尿病予防のために意識したいポイントは、以下の通りです。(文献6) 食事を改善する 運動習慣をつける ストレスを溜めない 禁煙をする この章では、各ポイントについて詳しく解説します。 1.食事を改善する 食事はバランス良く、適量を摂ることが大切です。 糖分や脂質の多い食事は血糖を上昇させたり、体重を増加させたりします。野菜や果物、魚、豆類、雑穀類などを意識して摂ると、急な血糖値の上昇を防げるでしょう。 また、食事を抜くと次の食事で血糖値がいきなり上昇し、体に負担を与えてしまいます。時間がない、忙しいなどの理由で食事がとれない場合があっても、少しでも何か何かを口にすることから始めましょう。 間食もなるべくヘルシーなこんにゃくやゼリーにすると効果的です。 2.運動習慣をつける 有酸素運動は、血糖を筋肉に取り込みやすくする効果や、インスリンの働きも良くする効果があります。 週3回以上、週合計150分以上を目標に、無理のない範囲で行いましょう。 ウォーキングやサイクリングなど、またなるべく階段を使う、ラジオ体操をするなど「日常でプラス10分動く習慣」を作ることもおすすめです。 3.ストレスを溜めない ストレスは、ノルアドレナリンやコルチゾルといったホルモンを分泌させ、血糖値を上げる働きがあります。(文献7) 家事や育児、仕事などでストレスを感じている場合は、趣味を楽しむ、誰かと話す、ゆっくり呼吸をしてみるなど、意識して休む時間を作りましょう。 4.禁煙をする 喫煙はインスリンの働きを弱めるため、血糖値が下がりにくくなってしまいます。 禁煙することで、糖尿病のリスクを下げるだけでなく、他の生活習慣病やがんの予防にもつながるでしょう。全身の健康を保つために、禁煙を検討することをおすすめします。 まとめ|50代女性は糖尿病のリスクが高まる!生活習慣を見直そう 糖尿病は血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気です。 50代女性は更年期のエストロゲン減少によって、血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、糖尿病を発症することがあります。 普段から特段の自覚症状がなくても、知らぬ間に高血糖になる可能性があるため周囲が必要です。女性の場合は、更年期前後は生活習慣に特に意識を向けてみましょう。 当院では、膵臓(すいぞう)の再生医療を通じて糖尿病の進行を遅らせる治療も取り入れています。詳しくはこちらのページをご参考ください。 膵臓の再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 女性の糖尿病についてよくある質問 糖尿病は遺伝しますか? 2型糖尿病には、遺伝的要因もあります。 両親から受け継いだ遺伝子の性質により、インスリンの分泌が少なく、糖尿病になりやすい方もいます。 血の繋がった家族に糖尿病がいる方は、食べ過ぎや運動不足など、糖尿病のリスクを高めないように、とくに注意しましょう。 糖尿病は何科を受診すればよいですか? 基本的には内科を受診しましょう。 病院によっては「糖尿病内科」「内分泌科」といった糖尿病に特化した科を持っているところもあります。 また、もし合併症が現れている場合には、眼科や泌尿器科などの専門科の受診も必要です。 参考文献 (文献1) 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病とは」 https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html (文献2) 一般社団法人 日本糖尿病学会「糖尿病合併症について」 https://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3 (文献3) 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「糖尿病|病気について|循環器病について知る|患者の皆様へ」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/diabetes/ (文献4) 東京都保健医療局「糖尿病発症予防ガイドブック 今日から予防!糖尿病」 https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/tonyo/citizen/6leaflet.html (文献5) 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン 2024」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/01.pdf (文献6) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202411_006.html (文献7) 大下咲子 ほか「<研究報告>2型糖尿病患者のストレスとストレス対処行動」 https://isns.jp/journal_pdf/03-1/03-1-2_rr01.pdf
2022.05.24 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「もしかして自分も糖尿病なのでは?」 「糖尿病の初期症状を詳しく知りたい」 このような不安を抱えている方は多いでしょう。 糖尿病は初期段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。 しかし、早期に異変を察知して生活習慣を見直せば、重症化や合併症を防げます。 本記事では、糖尿病に見られる代表的な初期症状やセルフチェックのポイント、早めに受診すべきサインについてわかりやすく解説します。 初期症状を理解すれば、自分や家族の健康を守るための適切な行動につなげられますので最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 糖尿病の初期症状について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 糖尿病とは?初期症状を理解するための基礎知識 糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの働きが不十分になり、血液中のブドウ糖(血糖)が増加する病気です。インスリンは血糖値を一定の範囲に保つ役割を担っています。 高血糖状態が続くと血管が傷つき、心臓病、失明、腎不全、足の切断などの合併症やリスクが高まります。 糖尿病は以下の4つに分類されます。 1型糖尿病 ・膵臓からインスリンがほとんど分泌されず血糖値が高くなる ・自己免疫反応などによりインスリンを分泌する機能が失われることで発症する 2型糖尿病 ・インスリン分泌低下やインスリン抵抗性によって血糖値が高くなる ・遺伝的要因に加え、食べ過ぎ・運動不足・肥満など生活習慣の影響で発症する その他の病気や治療薬による糖尿病 ・他の病気や治療薬の影響で血糖値が上昇し糖尿病を発症する場合がある ・ステロイド薬などの薬剤や特定の疾患が血糖値上昇を引き起こすことで発症する 妊娠糖尿病 ・妊娠中に初めて確認される ・妊娠によるホルモン変化でインスリンが効きにくくなることが原因で発症する 参考:糖尿病ってなに?|糖尿病情報センター(文献1) これら4種類の糖尿病は原因や特徴が異なるため、正しい理解と適切な管理や治療が重要です。 糖尿病の初期症状 糖尿病の主な初期症状は以下のとおりです。 体重が減る のどが渇きやすくなる 尿の回数が増える 疲れやすくなる 目がかすむ 爪の色や形に変化が現れる 足がつるなどの症状が見られる 感染症にかかりやすくなる 空腹感を感じやすくなる 自身に当てはまる症状がないか、糖尿病の初期症状をそれぞれ詳しく見ていきましょう。 体重が減る 糖尿病では体重が減少する場合があります。 原因は、インスリンの働きが不十分になり、細胞にブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用する機能が低下するためです。 エネルギー不足を補うため、脂肪や筋肉を分解してエネルギー源とする結果、体重が減少します。 さらに、多尿による体液の喪失も体重減少を引き起こす要因です。 のどが渇きやすくなる 糖尿病の症状の一つにのどの渇きがあります。 血糖値が高くなることによって体内の水分バランスが崩れ、多尿状態が引き起こされるためです。 高血糖の状態では、腎臓が血液中の余分な糖を排出しようとし、その際に大量の水分も失われるため、体内の水分が不足してのどが渇きやすくなります。 のどの渇きが続くと水分摂取量が増え、トイレに行く回数も増加します。 尿の回数が増える 糖尿病では頻尿の症状が見られます。 血糖値が高くなると、余分な糖を排出するために、大量の水分が必要です。 さらに、尿の量や回数が増えるだけでなく、強いのどの渇きも引き起こされます。 多尿は身体から水分が多く失われるため、脱水状態にもつながりやすくなります。 疲れやすくなる 糖尿病では疲れやすくなることがあります。 インスリンが十分に働かず、糖分がエネルギー源として細胞に取り込まれにくくなるためです。 結果として、体がエネルギー不足に陥り、疲労を感じやすくなります。 さらに、高血糖状態が続くと、血液の循環が悪化し、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りにくくなることも疲労の一因です。 目がかすむ 糖尿病の症状で目がかすむ場合があります。 高血糖が続いて水晶体や目の血管が変化するためです。ブドウ糖が増えると水晶体にソルビトール(糖アルコールの一種)がたまり、水分が引き寄せられて膨らみ、視界がぼやけて目がかすみます。 高血糖は血管を傷つけて網膜にむくみを起こし、長く続くと血流が悪化して糖尿病網膜症へ進行し、視力低下の原因となります。(文献2) 爪の色や形に変化が現れる 糖尿病になると爪の色が黄色や茶色に変わり、厚みが増して巻き爪になりやすくなります。 高血糖が続くことで血管や神経が損傷し、末梢の血流や栄養供給が低下して、爪の成長サイクルが乱れるためです。 血流障害や代謝の変化により爪の新陳代謝が滞り、正常な形や色が保ちにくくなります。 足がつるなどの症状が見られる 糖尿病では、足がつる症状が見られます。 主な原因は糖尿病による神経障害(糖尿病性ニューロパチー)です。高血糖状態が長期間続くと、末梢神経が損傷を受け、過剰な興奮を引き起こします。 その結果、筋肉が正常に機能せず、けいれんを引き起こしやすくなります。 さらに、糖尿病の影響で血液循環が悪化し、筋肉への酸素や栄養供給が不十分になることも足がつる原因です。 感染症にかかりやすくなる 高血糖は白血球の働きを弱め、細菌やウイルスに対する防御力を低下させます。 糖尿病患者では血流が悪くなるため傷が治りにくい特徴もあります。 とくに皮膚や尿路、肺などの感染症が起こりやすく、足の傷が化膿しやすい糖尿病性足潰瘍や、肺炎、尿路感染症などが代表的な感染症です。 空腹感を感じやすくなる インスリンの働きが不十分で血糖値がコントロールされないため、空腹感を感じやすくなります。 通常、食事から摂取した糖分はインスリンの働きで細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。 しかし、糖尿病ではこの仕組みが機能しないため、細胞がエネルギー不足の状態に陥りやすいです。 その結果、身体がエネルギーを求め、空腹感が強くなります。初期症状を感じたら早めに医療機関を受診するのが重要です。 糖尿病の初期症状セルフチェックリスト 糖尿病の症状が出ているかセルフチェックしてみましょう。 トイレの回数が増えた 頻繁にのどが渇く 手足のしびれや痛みがある めまいや立ちくらみをおこしやすい 視力低下や目のかすみがある 体重が急に減少している 食べても満腹感が得られない 上記の症状に当てはまる場合は糖尿病の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。 糖尿病の合併症一覧|進行すると現れる症状 糖尿病が進行すると現れる症状は以下のとおりです。 糖尿病性神経障害|手足しびれ、痛み 糖尿病網膜症|視野のぼやけ・視力低下 糖尿病性腎症|足のむくみ・腎臓の障害 糖尿病性自律神経障害|立ちくらみ・冷や汗などの症状 それぞれ詳しく解説します。 糖尿病性神経障害|手足しびれ、痛み 糖尿病が進行すると、手足にしびれや痛みが現れます。 これは糖尿病性神経障害と呼ばれ、末梢神経がダメージを受けると起こります。 症状が進行すると、痛みやしびれが悪化し、手足の感覚が鈍くなるため、傷や感染に気づきにくいです。 これが原因で、傷口が悪化しやすく、最終的には潰瘍や壊疽を引き起こすリスクが高まります。 糖尿病網膜症|視野のぼやけ・視力低下 進行すると、目に影響を及ぼす糖尿病性網膜症が出現する場合があります。 糖尿病網膜症は、血糖値の高い状態が続くと、網膜の血管が損傷を受け、視力に障害をもたらす疾患です。 初期段階では自覚症状は少ないものの、進行すると視力低下、視野のぼやけ、飛蚊症などの症状が現れます。 さらに重症化すると、網膜剥離や硝子体出血などが引き起こされ、失明するリスクが高いです。 糖尿病性腎症|足のむくみ・腎臓の障害 糖尿病が進行すると、腎臓がダメージを受ける糖尿病性腎症が現れる場合があります。 これは糖尿病によって血糖値が高い状態が続き、腎臓の血管が傷つけられるためです。 腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する役割がありますが、腎機能が低下するとこの機能がうまく働かなくなります。 その結果、足のむくみや疲労感、尿量の変化などが見られ、進行すると血液中に老廃物が蓄積される尿毒症に至る可能性があります。 糖尿病性自律神経障害|立ちくらみ・冷や汗などの症状 糖尿病は、自律神経障害を合併する場合があります。 自律神経は、心臓、消化器、呼吸器、血管などの器官を調整する重要な神経です。 高血糖によって神経が損傷すると調整機能が低下し、以下の症状が現れます。 立ちくらみ 冷や汗 消化不良 便秘 下痢 頻尿 失禁 これらの症状は、日常生活に大きな影響を与えます。 糖尿病の初期症状の段階は治せる? 糖尿病は初期段階であっても完治が難しい病気です。 しかし、早い段階で医療機関を受診して以下の方法を行うと、進行や合併症のリスクを抑えられます。 食事療法 運動療法 生活習慣の改善 薬物療法 再生医療 医師の指導のもと自身にあった適切な治療を始めて、糖尿病の進行を防ぎましょう。 糖尿病を予防・改善する方法 糖尿病を予防・改善する方法は以下の表のとおりです。 食事療法 ・食事は野菜を多く取り入れ規則正しい時間に摂り、間食を控える ・1日に必要なエネルギー量は、男性は2,200±200kcal、活動量の少ない成人女性の場合は、1,400〜2,000kcalが目安(文献3) ・摂取カロリーを適正に保ち、栄養バランスの取れた食事を一日三食規則的に摂ることが大切 運動療法 ・運動は糖の消費を促す ・運動の目安は週100分以上の有酸素運動に筋力トレーニングを組み合わせる(文献4) ・筋肉量を増やして糖の取り込みを高めることでインスリンの作用を強められる 生活習慣の改善 ・肥満の改善や禁煙、十分な睡眠やストレス管理は糖尿病の予防や治療に効果的 ・体重を減らすとインスリンの働きが高まり、血糖値の安定化や合併症予防につながる ・禁煙や睡眠改善により血流やホルモンバランスが整い、神経障害や心血管リスクを下げられる(文献5) 薬物療法 ・血糖値を下げる薬には経口薬と注射薬の2種類がある ・経口薬は作用の違いにより5つの種類に分類される ・注射薬はインスリン注射とGLP-1受容体作動薬の2つに分類される 再生医療 ・再生医療は、弱った膵臓に脂肪由来の幹細胞を投与して、血糖値の安定を目指す治療 ・副作用も少なく、身体への負担が少ないのが特徴 糖尿病の初期症状のサインを見逃さず、早い段階から改善予防に取り組みましょう。 当院「リペアセルクリニック」で提供している再生医療については、以下の記事をご覧ください。 糖尿病の初期症状を理解して早期治療を始めよう 糖尿病は、慢性的に血糖値が高い状態が継続する疾患です。 のどの渇きや頻尿、足がつるなどの初期症状を放置して血糖値が高い状態が継続すると、糖尿病性神経障害や網膜症、腎症などのリスクにつながります。 症状が現れた際は放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。 糖尿病の治療法には食事や運動、生活習慣の改善や薬物による治療のほか、再生医療の選択肢もあります。 再生医療について、さらに詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。 糖尿病の初期症状に関するよくある質問 糖尿病の自覚症状が出たらもう手遅れですか? 糖尿病の自覚症状が出たからといって、必ずしも手遅れではありません。 しかし、自覚症状が現れる段階では、血糖値がすでに高くなっている可能性があり、早期治療が重要です。 糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、わずかな症状でも早期に医療機関を受診しましょう。 50代女性で糖尿病の初期症状は何がありますか? 50代女性の糖尿病の初期症状は、のどの渇きや尿の増加、体のだるさや体重減少などがあります。 詳しくは以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。 参考文献 (文献1) 糖尿病って何?|糖尿病情報センター (文献2) 糖尿病網膜症|日本眼科学会 (文献3) 実践食育ナビ|農林水産省 (文献4) 4章運動療法|日本糖尿病学会 (文献5) 喫煙と糖尿病|厚生労働省
2022.05.23 -
- 肝疾患
- 内科疾患
健康診断や定期検査で脂肪肝と診断されたとき、どのような食事をすれば良いか気になる方もいるのではないでしょうか。 脂肪肝を改善するためには、避けるべき食べ物を把握しておくことが重要です。栄養バランスが整った食生活を意識すれば、そのほかの病気のリスク軽減にもつながります。 この記事では、脂肪肝になった後に食べてはいけないものや、食事の際のポイントをご紹介します。食生活を見直し、生活習慣を整えることで、脂肪肝の改善につながるでしょう。 【一覧】脂肪肝の食事で食べてはいけないもの 脂肪肝とは、脂質のひとつである中性脂肪が肝臓内に多く蓄積している状態のことです。 脂肪肝の食事で食べてはいけないものとしては、糖質や脂質を多く含まれているような食べ物です。これらの食べ物は脂肪肝を悪化させるだけでなく、メタボリックシンドロームをはじめとしたさまざまな疾患を引き起こす恐れがあります。 また、アルコールの摂取を控えることも重要です。脂肪肝には、過食や過剰飲酒が原因で起こるアルコール性のものと、それ以外の非アルコール性のものがあります。 このように、脂肪肝にとってだめな食事は多くあり、それらを避けることが大切です。 肝臓の病気に対する新たな治療法として、再生医療が注目を浴びています。再生医療について気になる方がいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。 脂肪肝を改善する食事のポイント7つ 脂肪肝を改善するには、以下のような食べ物を避けることを意識しましょう。 糖質を多く含んでいる食べ物 ジュース類 駄菓子 果物 脂質を多く含んでいる食べ物 揚げ物 肉の脂身 ドレッシング マヨネーズ ※調理油は植物性が望ましい(オリーブオイル、菜種油、大豆油など) アルコール 1日あたり純アルコール20g(※)まで ※ビール中瓶(500ml)1本程度に相当 ここでは、避けるべき食べ物に加えて、脂肪肝を改善するための食事のポイントを解説します。 1.摂取エネルギーを抑える 1つ目は、糖質をはじめとした摂取エネルギーを抑えることです。食事から過剰摂取した糖質は、中性脂肪に変換されて脂肪肝の発症につながります。 ポイントとしては、摂取エネルギーの目安を把握した上で、それを超えないように食事制限する点です。 一般的な摂取エネルギー量の目安としては、以下のとおりです。 自分の摂取エネルギー量を計算した上で食事管理をして、理想的な標準体重を目標にしましょう。 2.糖質を控える 糖質の摂取もできるだけ控えましょう。 白米や十六穀米などの穀類に含まれる糖質は、比較的肝臓への影響が少ないと考えられています。そのため、1食につきお茶碗1杯程度なら大きな問題にはつながりません。 それよりも注意すべき食べ物が、お菓子や果物です。ジュース類や駄菓子に含まれているショ糖、果物に豊富な果糖は、穀物と比較すると中性脂肪が肝臓に蓄積しやすい特徴があります。 普段の食生活でもできるだけ間食を避け、糖質が多く含んでいる食べ物はなるべく摂取しないように心がけましょう。 3.脂質を控える 脂肪肝を改善するには、脂質を控えることも重要です。とくに、揚げ物やマヨネーズなどの脂質が豊富な食べ物には注意が必要です。 食べ物を調理する際は、なるべく動物性ではなく植物性の油の使用を心がけましょう。1日あたりの油の使用量は、大さじ1杯程度までに抑えるのが理想的です。 脂質の過剰摂取は肝臓に中性脂肪がたまる原因となりますが、極端な制限は必須脂肪酸の欠乏につながります。そのため、適度な脂質の制限が重要です。 食事の目安として、脂質を多く含むものを摂取する機会を週に1〜2回程度に抑えるように調整しましょう。 4.たんぱく質を適度に摂取する 糖質や脂質を控えめにする一方で、たんぱく質はなるべく意識的に摂取しましょう。 たんぱく質は、筋肉を作る上で欠かせない栄養素です。たんぱく質の過不足は、脂肪肝を悪化させるとされています。適量を確保するためには、良質なたんぱく質の摂取が大切です。 良質なたんぱく質を含む食べ物は、おもに以下のとおりです。 豆腐 納豆 牛乳 肉類(牛、鶏、豚) 魚介類(あじ、サバなど) 食事の際は、これらの食べ物を取り入れてみましょう。 5.アルコールの考え方 アルコールは肝臓で脂肪に合成されやすく、脂肪肝の悪化につながる恐れがあります。 可能なら禁酒が望ましく、飲むとしてもアルコール度数の高いお酒や、糖質の多い発泡酒などはなるべく控えましょう。 アルコールを摂取する際は、1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度までに制限し、週に2日以上は休肝日を設けることが推奨されています。 お酒ごとの純アルコールの目安としては、以下のとおりです。 お酒の種類 目安量 純アルコール量 ビール 中瓶1本(500ml) 20g 日本酒 1合(180ml) 22g ウイスキー・ブランデー ダブル(60ml) 20g 焼酎 1合(180ml) 50g ワイン 1杯(120ml) 12g 6.野菜などの食物繊維が多いものから摂取する 野菜に多く含まれている食物繊維の摂取も重要です。 食物繊維は食後の血糖値の上昇をゆるやかにして、コレステロールの増加を防ぐ働きがあるとされています。そのほかにも、満腹感を得られるようになり、エネルギーの摂りすぎ防止も期待できます。 1日の野菜の摂取量は、約350gが目安です。食物繊維は野菜だけでなく、海藻やきのこ類などにも豊富に含まれているので、これらの食べ物も意識的に取り入れてみましょう。 7.食事の仕方に配慮する 食べ物だけでなく、食事の仕方にも工夫が必要です。具体的なポイントは、以下のとおりです。 1日3食を規則正しい時間で食べる 夜遅くの食事は控える ゆっくり良く噛んで食事をする 主食・主菜・副菜のバランスを整える 不規則な時間帯での食事は、脂肪をため込む原因となります。また、ゆっくり良く噛むことで消化が良好となり、満腹中枢が刺激されて満腹感を得やすくなります。 栄養バランスを整え、偏った食事にならない点も注意が必要です。 まとめ|食事習慣を整えて脂肪肝の改善をしよう! 脂肪肝とは、肝臓を構成している肝細胞表面に脂肪が沈着して蓄積される病気です。 本疾患の原因として、肥満や糖尿病、過度のアルコール摂取などがあげられます。食事内容を見直すことで、脂肪肝の改善が期待できます。 脂肪肝を放置すると肝臓の機能が悪くなるだけでなく、肝硬変や肝臓がんなどの深刻な病気につながる恐れもあるでしょう。病状が悪化する前に、早めに医療機関にご相談ください。 脂肪肝の食事に関する良くある質問 ここでは、脂肪肝の食事に関する良くある質問についてお答えします。脂肪肝について疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてください。 脂肪肝に良い食べ物は? 脂肪肝の方におすすめなのが、良質なたんぱく質を含む食べ物や食物繊維が豊富な食べ物です。 たんぱく質は普段不足しがちなので、肉類や魚類などの質の高い栄養源は積極的に摂り入れることをおすすめします。 また、食物繊維には脂肪の蓄積を防ぐ作用が期待できます。野菜やきのこ類など、食物繊維が豊富な食べ物を意識的に食べましょう。 脂肪肝は糖質制限すべき? 糖質制限は、脂肪肝に対して大きな効果が得られるわけではないとされています。 海外の研究によると、減量するには糖質や脂肪などの特定の栄養素ではなく、摂取カロリーの制限が大きく関係しているとされています。(文献1) そのため、糖質や脂質などの栄養素よりも、摂取カロリーを意識した食生活を心がけましょう。 ただ、栄養素の偏りは健康に悪影響を及ぼす恐れがあるので、糖質や脂質を控えめにしつつ、たんぱく質を意識的に摂り入れてみてください。
2022.05.19 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病は自覚症状がほとんどなく、「まだ治療しなくても大丈夫」と放置してしまう人も少なくありません。 しかし、治療を受けずに5年、10年と放置すると、知らないうちに全身の血管や神経が傷つき、取り返しのつかない合併症を引き起こす恐れがあります。 本記事では、糖尿病を5年間放置した場合のリスク、そして合併症を防ぐために今からできることを医師監修のもとで解説します。 正しい知識を持って、重症化を防ぎましょう。 糖尿病に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 糖尿病のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 糖尿病を5年間放置すると合併症が進行 糖尿病は、病気が無症状で進行する「サイレントキラー」と呼ばれています。 糖尿病は、長期間にわたって血糖値が高い状態が続き、様々な合併症を引き起こす可能性がある病気です。 これらの合併症は、とくに早期に発見・治療が行われないと、重篤な結果をもたらす恐れがあります。 合併症は重症化すると、足が壊疽する「糖尿病性神経症」や失明の原因となる「糖尿病性網膜症」、人工透析の原因となる「糖尿病性腎症」など、進行すると日常生活に多大な影響を及ぼします。 糖尿病の治療が必要な理由は、これらの合併症を防ぐためです。糖尿病は、些細な生活習慣の乱れが原因であるといわれています。 糖尿病が「サイレントキラー」といわれ、命に関わる怖いものであると知ることで、「生活習慣を変えるきっかけ」にしましょう。 糖尿病が「サイレントキラー」と言われる理由 糖尿病は、症状がほとんど現れません。そのため、健康診断で糖尿病が指摘されても放っておく人も多いのが現状です。しかし、糖尿病を放置すると全身に合併症を引き起こします。合併症とは、一つの病気が元になって起こる新たな病気のことです。 糖尿病の合併症は命に関わることから、糖尿病は「サイレントキラー(沈黙の暗殺者)」と呼ばれることがあります。 糖尿病の三大合併症「し・め・じ」について 糖尿病には三大合併症と呼ばれる代表的な合併症があります。 糖尿病の三大合併症 し)神経障害 め)網膜症 じ)腎症 この3つは、糖尿病が無ければ起こらない病気であり、それぞれの頭文字を取って「し(神経障害)・め(網膜症→目)・じ(腎症)」と呼ばれ、その危険性を喚起しています。 どの合併症も多くは無症状で進行し、症状が現れたときには危険な状態となっています。生活に大きな支障をきたす病気であるため、注意が必要です。 放置した糖尿病が引き起こす三大合併症 糖尿病を治療せず放置していると、血糖値が普段より高い状態がずっと続きます。血糖値の増加は血管や神経を次第に傷つけ、さまざまな臓器に障害をもたらします。 とくに三大合併症は、自覚症状がないまま進行するのが特徴です。血糖コントロール不良により、細い血管がダメージを受け症状が進行します。 これらの合併症は、軽度であれば血糖コントロール改善により回復が見込めますが、進行してしまうと改善は難しくなります。 三大合併症について、詳しく説明します。 しびれや麻痺を全身に引き起こす神経障害(ニューロパシー) 神経障害は、糖尿病を治療せずに放置すると、約5年で発症することが多いとされています。(文献1)糖尿病三大合併症の中で最も早く現れやすい症状です。 高血糖が神経そのものや周囲の細い血管にダメージを与え、感覚を伝える神経や筋肉を動かす神経が障害されます。痛みやしびれ、こむら返りなど気づきやすいものや、足の感覚が鈍くなる「感覚鈍麻」のように自覚しづらい症状もあります。手足の知覚や運動機能が衰え、日常生活にも悪影響を及ぼしかねません。 さらに病状が進行すると、自律神経という内臓や血管の働きに関わる神経にも影響が及び、しびれや麻痺が全身に広がります。身体が動かしにくくなるといった生活に大きな支障をきたすケースも少なくありません。 とくに注意が必要なのは、足の神経障害です。感覚が鈍ると小さな傷にも気づきにくくなります。潰瘍や感染を起こし、最悪の場合は切断が必要になることもあります。 視力低下や失明を引き起こす網膜症(糖尿病網膜症) 神経障害の後に現れるのが網膜症です。高血糖により、網膜にある毛細血管が傷ついたり破れたりして、視力低下や失明を引き起こす病気です。 網膜症の進行は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が高いほど早いと考えられています。症状が現れると、治療しても視力の回復は難しいといわれています。 そのため、糖尿病と診断されたら眼科で定期的に網膜の検査を受けることが大切です。また、視界がぼやけたりシミが見えたりするなど、目の異変に気付いたらすぐに眼科を受診しましょう。 糖尿病網膜症は進行性の病態で、早期の発見と治療が重要です。 【関連記事】 糖尿病による失明の前兆を医師が解説【見え方に要注意】 糖尿病網膜症は治るのか|治療方法とあわせて現役医師が解説 人工透析の原因第一位となる糖尿病腎症 糖尿病腎症は糖尿病三大合併症の中でも比較的遅く現れます。腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として出す働きをしています。 腎症になるとろ過機能が低下し、尿にタンパク質が漏れるようになります(タンパク尿)。症状が悪化すると、腎機能のほとんどが失われ「人工透析」が必要になります。糖尿病腎症は現在、日本の人工透析の原因第一位です。 糖尿病と診断されたら、定期的に尿検査を行い、腎機能の状態を確認するようにしましょう。 これらの合併症は、糖尿病患者が適正に血糖値を管理し、定期的な健康チェックや医師の指導を受けることで予防・管理が可能です。早期の発見と治療は合併症の進行を遅らせ、重篤な結果を防ぐために非常に重要です。 糖尿病を放置すると取り返しがつかない理由 糖尿病を放置すると、一度壊れた神経や血管は元に戻りません。 血糖値の高い状態が続くと血管の内側が傷つき、神経や臓器に酸素や栄養が行き届かなくなります。最初の頃はほとんど自覚症状がないため放置されがちですが、徐々に全身の機能が損なわれて気が付くと取り返しのつかない状態になっているのが特徴です。 治療を怠ると合併症が進行し、日常生活に支障をきたすようになります。これらの障害は一度起こると完治するのは難しいため、早期の血糖コントロールが唯一の予防策といえます。 放置して、「症状が出てから」では手遅れになるのが糖尿病の怖さです。 「合併症の連鎖」で生活の質が落ちる 糖尿病を放置すると、神経障害・網膜症・腎症といった三大合併症が次々と発症します。 神経障害によって手足のしびれや痛みが出ると、歩行や運転、仕事に支障が生じます。さらに、足の感覚が鈍くなり、傷に気づかず感染を起こすと「壊疽(えそ)」を引き起こし、切断が必要となる場合もあります。 また、網膜症では視力の低下や失明のリスク、腎症の進行により倦怠感やむくみが強まり、最終的には透析が必要になる場合もあります。 これらの合併症が重なると、仕事や趣味を続けるのが難しくなり、生活の質(QOL)は大きく低下します。 血糖を適切にコントロールし、合併症の連鎖を断ち切ることが、健康的な生活を維持するために重要です。 脳卒中・心筋梗塞など命に関わる病気にもつながる 高血糖状態が続くと、細い血管だけでなく太い血管(動脈)もダメージを受けます。これが「動脈硬化」を早め、脳や心臓の血流を妨げる原因です。結果として、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる重大な疾患のリスクが2〜4倍に高まることがわかっています。(文献2)(文献3) 血糖値が高いだけで症状がないように見えても、血管のダメージは着実に進行します。合併症を発症した後の治療では、後遺症や再発のリスクが高くなるため、適切な治療が最も重要です。 血糖コントロールは単に糖尿病治療ためだけでなく、命に関わる病気を予防するためにも欠かせません。 糖尿病の合併症を防ぐために必要なこと 糖尿病の合併症を防ぐには、症状が現れていないうちからの血糖コントロールが重要です。 糖尿病の治療や合併症の予防は、食事療法・運動療法・薬物療法の三本柱で行います。 どの治療を中心にするかは個人差があるため、主治医に相談した上で決めていきましょう。 糖尿病の治療や合併症の予防の三本柱 食事療法 血糖値が上がりやすい糖質の量を減らし、野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれると高血糖の改善や体重低下が期待できます。 極端な糖質制限は逆効果です。あくまで糖質を食べ過ぎないように食事の最後に食べるなどに留めましょう。 運動療法 運動はインスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できます。 軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続できる方法で運動を取り入れましょう。 薬物療法 主治医と相談しながら、症状に合わせた薬を飲み続けましょう。 また、体質的にインスリン分泌が少ない人はインスリン注射を日常的に行う場合があります。 糖尿病治療に「再生医療」という選択肢 合併症予防のために、早めの治療の重要性を認識頂けたと思います。これまでの治療は、糖尿病の進行を遅らせることが主流でした。しかし最近では、再生医療という新しい選択肢があります。 再生医療により期待できる効果は、次の通りです。 合併症の症状が改善する 手足のしびれが改善する 糖尿病性網膜症が改善する 腎機能が改善する 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っております。 再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 糖尿病は5年放置すると大きなリスクを伴う!お悩みの方は当院へご相談ください 本記事では、糖尿病が進行すると命に関わる合併症を引き起こすことを解説しました。 糖尿病三大合併症の神経障害、網膜症、腎症は進行すると、治療で元の状態に回復するのは極めて困難です。どの合併症も自覚症状がほぼなく、気づいたときには重症化しているケースがほとんどです。 健康な人と変わらないQOL(生活の質)や寿命を守るためにも、症状が現れないうちから内科や眼科での定期的な検査や、血糖コントロールの管理が大切です。サイレントキラーと恐れられる糖尿病の症状にはくれぐれもご注意ください。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 糖尿病の放置に関するよくある質問 糖尿病を治療せず放置すると寿命はどうなりますか? 糖尿病を治療せずに放置すると、神経症や網膜症、腎症といった細小血管合併症や、心筋梗塞や脳卒中、腎不全といった命に関わる大血管合併症を引き起こし、結果として寿命が短くなることがわかっています。 一方、アメリカでの研究で、糖尿病の治療を続けて血糖値を適切にコントロールしていれば、寿命が平均4年ほど延びる報告が確認できました。(文献4)なおこの報告では、糖尿病の治療によりHbA1c、血糖値、BMI、血圧値、LDLコレステロール値のすべてを改善できれば、寿命が10年以上伸ばせる可能性を示唆しています。 一方で、血糖値を適切に管理できていない場合は、寿命が4年短くなる恐れもあり、健康管理のためには血糖コントロールが重要です。(文献5) 糖尿病は何年放置すると症状が出ますか? 糖尿病は初期症状がほとんどなく、自覚できる症状が現れるまでには数年かかります。 三大合併症の中で最も早く現れやすい神経障害は、治療せずに放置すると約5年で足のしびれといった症状が出始めると言われています。その後、網膜症は約10年、腎症は約15年で発症する傾向があります。(文献6) 症状がないからといって放置せず、診断を受けたらすぐに治療を開始するのが、将来の深刻な合併症を防ぐために極めて重要です。 参考文献 (文献1) 2型糖尿病の罹病期間と神経学的合併症の関連、パキスタンの横断研究|CareNet (文献2) 糖尿病と冠動脈疾患死亡との関連( NIPPON DATA80,19年追跡,男女計 )|NIPPON DATA (文献3) Diabetes and cardiovascular risk factors: the Framingham study|Circulation (文献4) Potential Gains in Life Expectancy Associated With Achieving Treatment Goals in US Adults With Type 2 Diabetes|PubMed (文献5) UF Health study shows years of life gained by ideal Type 2 diabetes control |UF Health (文献6) 糖尿病とは|産業医科大学
2022.05.19 -
- 糖尿病
- 内科疾患
2023年(令和5年)の調査によると糖尿病の治療を受けている方はおよそ550万人、予備軍も含めるとおよそ2000万人に血糖値の異常が見られると考えられています。(文献1) 糖尿病は医薬品を用いて治療すると思われがちですが、食事療法や運動療法では十分に血糖値をコントロールできない際に、初めて治療薬の投与が検討されます。 毎日の食事は血糖値に大きな影響を与えるため、糖尿病の3大治療のなかでも食事療法はとても大切です。 食事に伴い血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌されて血糖値を下げます。 しかし、食事の間隔が短いとインスリンによる血糖降下作用が減弱するため注意が必要です。 本記事では食事の間隔を3時間以上あけるメリットや方法について解説します。糖尿病や血糖値の上昇にお悩みの方は参考にしてください。 食事の間隔を3時間以上あけると糖尿病予防につながる 糖尿病を予防する際に食事の間隔を3時間以上あけると効果的とされます。 4〜5時間あけることが適切なケースもあるなど諸説ありますが、血糖値をコントロールするためには食事の間隔を適度にあける必要があることに違いはありません。 食事の間隔をあける必要性について理解するためには、糖尿病発症のメカニズムについて知っておく必要があります。 糖尿病には遺伝的要因で発症する1型と、生活習慣が深く関わる2型の2種類がありますが、単に糖尿病といった場合は2型を指すケースがほとんどです。 2型の糖尿病を発症するメカニズムは以下のとおりです。 加齢や遺伝的要因によりインスリンの分泌量が減少する(インスリン分泌障害) 乱れた食習慣や運動不足などが原因でインスリンの作用が減弱する(インスリン抵抗性) インスリンの分泌不足にインスリン抵抗性が加わり血糖値が上昇する 高血糖状態が慢性化すると糖尿病の発症リスクが増加する 2型の糖尿病はインスリン分泌障害とインスリン抵抗性が合わさって発症するのが特徴です。(文献2) 2型の糖尿病にも遺伝的要因が関わっていますが、予防の観点では食事の間隔をあけて過食を避け、血糖値の急激な上昇を抑止するのがポイントです。 食事の間隔を3時間以上あけると血糖値の急激な上昇を抑えられるため、糖尿病の予防につながります。 間隔を3時間以上あけて食事する際に意識すること 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は以下の4点を意識しましょう。 一口につき20~30回ほど噛み時間をかけて食べる 一回の食事量を調節して腹8分目に抑える 血糖値を上昇させにくい食物繊維が豊富な食材から食べる タンパク質が豊富な食材を積極的に摂る それぞれについて解説します。 一口につき20~30回ほど噛み時間をかけて食べる 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は、一口につき20〜30回ほど噛み、時間をかけて食べるよう意識しましょう。 よく噛んでゆっくり食べることには、血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。食事を開始してから20分が経過すると、満腹中枢が刺激されて「お腹いっぱい」と感じやすくなるため、食べ過ぎを防げます。 平成21年に行われた国民健康・栄養調査において、BMI25以上の肥満の方は食事にかける時間が短い傾向にあるとわかりました。(文献3)これは、早食いが肥満につながりやすく、血糖値管理の観点からも注意が必要であることを示しています。 ただし、食事に時間をかけ過ぎると胃腸のはたらきが低下するため、1回の食事は90分以内にとどめましょう。 また、血糖値の急激な上昇を抑えるためにはGI値(グリセミック・インデックス)の低い食品を取り入れるのも効果的です。 一回の食事量を調節して腹8分目に抑える 一回の食事量を調節して腹8分目に抑えるのも、糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際のポイントです。 江戸時代に刊行された養生訓には「腹八分目に医者いらず」の有名な文言が記載されています。 日本糖尿病学会でも食事指導のポイントに「腹八分目とする」を挙げています。(文献4) 食事の量を調整して満腹状態を避けると、血糖値の急激な上昇を抑えられます。 自分で調節する際は主食(炭水化物)の量を減らし、タンパク質や食物繊維を多く含む副菜を多めに摂取しましょう。 血糖値を上昇させにくい食物繊維が豊富な食材から食べる 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は、食べる順番も意識して食物繊維が豊富な食材から食べましょう。 糖質を多く含む炭水化物から食べ始めると、血糖値が上昇しやすいため注意が必要です。 食物繊維を多く含む代表的な食品の例は以下のとおりです。 穀類:玄米・麦ごはん・胚芽米など 豆類:大豆・納豆・おからなど いも類:こんにゃく・長いもなど 野菜類:ごぼう・セロリ・白菜など 茸類:きくらげ・エリンギ・シメジなど 海藻類:ワカメ・ヒジキなど 食物繊維を多く含む食品のなかでも歯ごたえがある食品を取り入れると、噛む回数が増えて早食いを避ける結果につながります。 タンパク質が豊富な食材を積極的に摂る 糖尿病の予防目的で食事の間隔を3時間以上あける際は、タンパク質が豊富な食材を積極的に摂るのも大切なポイントの一つです。 タンパク質が豊富な食材を積極的に摂取すると満腹感を得やすいため、食事に伴う血糖値の急激な上昇を避けやすくなります。 タンパク質を多く含む代表的な食品の例は以下のとおりです。 肉類:鶏むね肉・ささみ・牛もも肉など 魚類:サバ・カツオ・マグロなど 大豆製品:豆腐・納豆・枝豆など 乳製品:ヨーグルト・チーズ・牛乳など 卵類:鶏卵・ウズラの卵など タンパク質を多く含む食品のなかでも鶏むね肉は歯ごたえとボリュームがあるため、血糖値の急激な上昇を避けたい方におすすめです。 食事の間隔を3時間以上あけることを続けやすくする工夫 食事の間隔を3時間以上あけることを続けやすくする工夫は以下の2つです。 食事の内容・時間などを記録する 手軽に食べられる低GI・高タンパク食品を軽食にする それぞれについて解説します。 食事の内容・時間などを記録する 食事の間隔を3時間以上あける習慣を続ける際は、食事の内容・時間などを記録しておきましょう。食事に対する意識を高めると、食事の間隔を3時間以上あけるモチベーションの維持につながります。 朝・昼・晩の3回分の食事を欠かさずに記録するのは大変なので、食べ過ぎる傾向が多く見られる夕食の内容の記録から始めましょう。 食事の量やカロリーなどの詳細を記録しなくても、「何時にどんなものを食べたか」記録するだけでも構いません。食事の内容・時間を記録する際は、間食やアルコールの摂取についても書き漏らさないようにしてください。 間食に甘いものを食べると血糖値が急激に上昇するため、食事の順番を意識する努力が無駄になりかねません。ビールやワイン、日本酒には糖質が多く含まれているため、過剰摂取は糖尿病の発症リスクを高めると覚えておきましょう。 手軽に食べられる低GI・高タンパク食品を軽食にする 食事の間隔を3時間以上あける習慣を続ける際は、手軽に食べられる低GI・高タンパク食品を軽食として取り入れる工夫もあります。 軽食を取り入れると昼食や夕食の前に食欲が急増するのを避け、食べ過ぎおよび血糖値の急激な上昇を抑制する結果が見込めます。 軽食に取り入れるのがおすすめの低GI・高タンパク食品の例は以下のとおりです。 大豆製品 鶏むね肉 ヨーグルト 鶏卵 アーモンドなど 低GI・高タンパク食品を軽食として取り入れる際は、通常の3食の量を適宜調整してください。また、ヨーグルトは無糖の商品を、アーモンドは無塩の商品を選ぶのがポイントです。 食事の間隔とともに適度に運動することも糖尿病予防につながる 食事の間隔を3時間あけるとともに、適度な運動に取り組むと糖尿病の予防につながります。 8週間以上の運動療法に関する複数の研究をまとめた分析では、ヘモグロビンA1c(HbA1c:過去1〜2カ月の平均的な血糖値)の有意な改善が報告されています。 以前は血糖値を下げるために1週間あたり150分以上の運動が必要と考えられていましたが、研究が進み1週間に30〜100分の運動でも、時間依存的に血糖値を下げられるとわかってきました。 また、週に2~3回のレジスタンス運動(筋力トレーニングなど)を取り入れるとインスリン抵抗性が改善し、血糖値を改善すると示唆されています。(文献5) 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす一日のスケジュール例 食事の間隔を3時間以上あけるためには、スケジュールを立てて規則正しい生活を送る必要があります。 たとえば、以下のスケジュールで食事を摂ると、食間に3時間以上の間隔を設けられます。 朝食:7~9時(出勤や登校にあわせる) 昼食:12~14時 夕食:18~20時 間食(補食)の習慣がある方は昼食の3〜4時間後、夕食の3時間前ほどに摂ると良いでしょう。 昼食を摂るのが遅くなった日は、間食(補食)を抜くなどして急激な血糖値の上昇を避けてください。 また、個人により起床や就寝の時間が異なるため、自分の生活リズムに合わせてスケジュールを調整する必要があります。 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす上で注意すること 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす際は、以下の4点に注意する必要があります。 水分を適切に摂って脱水症状を防ぐ 夕食の食べ過ぎ・夜遅く(就寝前)の食事を避ける 外食が多い人は不足しがちな野菜・魚・大豆製品を意識して摂る 清涼飲料水など多量の糖分を含んだ食品を控える それぞれについて解説します。 水分を適切に摂って脱水症状を防ぐ 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす際は、水分を適切に摂って脱水症状を防ぐことが重要です。 食習慣の見直しに伴い食事制限に対する意識が高くなると、水分の摂取量が減少する傾向にあります。 一度に大量の水分を摂取するのは難しいだけでなく、尿として排出されてしまいます。 身体が一度に吸収できる水分量はおよそ200ミリリットルとされているため、コップ1杯程度の水を以下のタイミングで摂取するのがおすすめです。 起床時 朝食時 外出前 昼食時 間食時 運動前後 夕食時 入浴前後 就寝前 水分摂取量やタイミングには個人差があるため、生活リズムや体重などを考慮して適宜調整してください。 夕食の食べ過ぎ・夜遅く(就寝前)の食事を避ける 食事の間隔を3時間以上あけて過ごす際に意識したいことの一つが、夕食の食べ過ぎや夜遅く(就寝前)の食事を避けることです。 仕事が忙しくて昼食を摂れなかったり、間食の習慣がなかったりすると、空腹にまかせて夕食を大量に食べてしまう傾向にあります。 食事の量が増えると単純に糖質の摂取量が増加するため、血糖値の上昇を招きやすくなります。 夕食後はエネルギー消費量が少ないため、食べ過ぎにより体脂肪が増加すると糖尿病の発症リスクも高くなるため注意が必要です。 夕食を摂取する時間も耐糖能を左右すると知っておきましょう。 静岡県立大学の研究によると、夕食を19時に摂取した場合と比べ、20時以降に摂取した場合は食後の耐糖能(血糖値を正常な範囲に保つ能力)が低下するとわかっています。(文献6) 20時以降に食事を摂ると血糖値が上がりやすく、肥満や糖尿病のリスクが増加するので、食事の間隔とともに気をつけてください。 外食が多い人は不足しがちな野菜・魚・大豆製品を意識して摂る 食事の間隔を3時間以上あけて過ごすのに伴い、外食が多い人は不足しがちな野菜・魚・大豆製品を意識して摂取しましょう。 外食すると肉料理を選びやすく、糖尿病予防に効果が見込める野菜・魚・大豆製品が不足しやすいためです。 糖尿病にならないためには、できるだけ外食の回数を減らした方が良いでしょう。コンビニやスーパーでお弁当を買う場合は、野菜のおかずを1品プラスしてみましょう。 清涼飲料水など多量の糖分を含んだ食品を控える 砂糖がたくさん入っている清涼飲料水をよく飲む人は注意が必要です。清涼飲料水は、カロリーが高い割に得られる満足感が少なく、とくに炭酸飲料は口当たりが癖になりやすく飲み過ぎてしまう傾向があります。 普段飲んでいる清涼飲料水を控えるだけでも一度に100〜200kcalほど抑えられるため、糖尿病予防には効果的です。 食事の間隔は無理しない範囲であけて血糖値を調整しましょう 糖尿病は血糖値が慢性的に高くなる病気で、進行すると合併症を引き起こして四肢の切断が必要となるケースもあります。 糖尿病を予防するためには日々の食習慣を見直し、血糖値の急激な上昇を避ける必要があります。 血糖値の急激な上昇を避けるためにおすすめの方法の一つが、食事の間隔を3時間以上あけることです。食事の間隔を3時間以上あけると血糖値の急激な上昇を抑制し、糖尿病の発症リスクを下げる効果が見込めます。 ただし、食事の間隔をあけるだけでなく栄養バランスの取れた献立を考えたり、適度な運動を取り入れたりするのも重要なポイントです。 当院「リペアセルクリニック」では、糖尿病に対する治療として再生医療を行っています。慢性的な高血糖にお悩みの方はお気軽にご相談ください。 食事の間隔に関してよくある質問 食事の間隔に関して以下2つの質問がよく聞かれます。 食事の間隔を16時間以上にするのはあけすぎ? 朝ごはんと昼ごはんの間隔が短いと太る? 以下でそれぞれお答えします。 食事の間隔を16時間以上にするのはあけすぎ? 食事制限による体重管理の方法の一つとして、16時間ダイエット(プチ断食)が挙げられます。 空腹の時間を長く設けることで脂肪の燃焼を促すのが目的ですが、糖尿病予防の観点からはおすすめできません。食事の間隔があきすぎることで、食後の血糖値が急激に上昇するリスクがあるためです。 また、食事できる時間が8時間に限られているため、1食で摂取する食べ物の量が増加する傾向にあります。 朝ごはんと昼ごはんの間隔が短いと太る? 朝ごはんと昼ご飯の間隔が短いからといって、必ずしも太るわけではありません。 太るか痩せるかを決定するのは摂取したカロリーと、1日の間に消費されるカロリーとのバランスで決まります。 朝ごはんと昼ご飯の間隔が短くても「摂取カロリー < 消費カロリー」のバランスを保てば太りにくいです。 ただ、朝ごはんと昼ご飯の間隔が短いと消化不良を起こしたり、胃の不快感や胃痛を生じたりする可能性があります。 朝食が遅くなったら、可能な範囲で昼食の時間を遅らせるのがおすすめです。 (文献1) 日本生活習慣病予防協会「糖尿病の調査・統計」 https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2025/010845.php(最終アクセス:2025年6月18日) (文献2) 一般社団法人日本内分泌学会「2型糖尿病」 https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=93(最終アクセス:2025年6月18日) (文献3) 農林水産省「ゆっくり食べる」 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics4_02.html(最終アクセス:2025年6月18日) (文献4) 日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」 https://www.jds.or.jp/uploads/fckeditor/files/uid000025_67756964655F323031382D323031392E706466.pdf(最終アクセス:2025年6月18日) (文献5) 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf(最終アクセス:2025年3月25日) (文献6) 静岡県立大学「食事間隔の延長による食後血糖悪化の病態生理の解明」 https://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/media/US_forum2024_tokubetsu158.pdf(最終アクセス:2025年3月25日)
2022.05.02 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病を患っている人にとって、運動療法は効果的な改善法のひとつです。 しかし、運動のタイミングや運動量を誤ってしまうと、むしろ糖尿病を悪化させる原因になってしまう可能性があります。 この記事では、糖尿病に効果のある運動のタイミングや運動法について解説します。「今まで運動不足だったからいきなりの運動は不安」という人でもできる簡単な運動もあるため、ぜひ最後まで見てみてください。 空腹時の運動が血糖値に与える影響|血糖値の急上昇、急降下を防ぐには 空腹時の運動は血糖値を不安定にしてしまうため推奨されていません。 食後の血糖値と比べると、空腹時は血糖値が低い状態です。運動を行うと血糖値は下がるため、激しい運動を行うと適正値を下回ってしまう可能性があります。 また、空腹時に運動を行った後は食事量も増えてしまうことが考えられます。食事量の増加によって血糖値の急上昇を引き起こしてしまうため、空腹時の運動は避けるべきでしょう。 現在行っている治療や体質によって注意すべきポイントが変わるため、それぞれご紹介します。 薬を飲んでいる人は空腹時の運動で低血糖を引き起こすリスクがある 現在インスリンやSU薬(スルホニル尿素薬)を飲んでいる人は、空腹時に運動を行うと低血糖を引き起こしてしまうため注意が必要です。 低血糖とは、血液中のブドウ糖が著しく少なくなった状態をいいます。糖尿病治療を行っている人によく見られる症状であり、体のだるさ、冷や汗、めまいなどを引き起こします。 空腹時血糖値が高い人は運動中に血糖値が急上昇する可能性がある 空腹時血糖値(食事を10時間以上摂らない状態での血糖値)が高い人は、運動を行うとむしろ血糖値が上がってしまう可能性があります。 食前、食後問わず、運動を行う場合は医師の指導を必ず受けるようにしましょう。 自身の体調に合わせた無理のない運動が大切 運動量が多い場合は補食をとる、もしくは運動前後のインスリン量を減らすなどの注意も必要になります。 短期的な効果を目指し過度な運動を行うことによって、低血糖や運動後の食事による血糖値の急上昇などを引き起こす可能性があります。 いずれもその人の体調に合わせた適切な運動を行うことが重要なので、糖尿病を患っている、あるいはその疑いがある方は、医師と相談しながら自身に合った運動量を調整していく必要があります。 血糖値の上昇を防ぐ効果的な運動法 この項目では、実際どのような運動療法を実施すると効果が高いのかをポイント毎に紹介します。 運動療法では、週150分かそれ以上、週3回の全身を使った有酸素運動が推奨されています。(文献1) 運動強度はややきつい中等度が良いとされており、20分以上の運動の継続がおすすめです。 また、無酸素運動(レジスタンス運動)については、連続しない日程で週に2~3回の実施がすすめられています。 食後1時間〜3時間で運動をする 運動を行う際は食後1~3時間の間で行うのがおすすめです。 食後は血糖値が一時的に上昇し、健康な人で食後1時間、糖尿病の人で食後2時間半ほどでピークに達し、その後緩やかに下がっていきます。(文献2) そのため、血糖値を下げるのに最も効果的なタイミングは食後のおよそ1時間~3時間後です。 食後の運動にはウォーキング、ヨガ、エアロビクスなどの有酸素運動がおすすめされています。 筋肉をつける運動を取り入れる 有酸素運動に加え、筋肉をつけるための無酸素運動(レジスタンス運動)を取り入れることで、長期的に見た際に血糖値コントロールに有効であるという効果も出ています。 運動を続けていくと、筋肉の量が少しずつ増えていきます。筋肉はエネルギーを大きく消費するため、筋肉が増えていくと血液中のブドウ糖が筋肉に多く取り込まれるようになります。これにより、血糖値を正常値に保ちやすくなります。 また、筋肉によるエネルギーの消費を基礎代謝と呼び、運動によって筋肉が増えることで基礎代謝量の増加に繋がるため太りにくい体質をつくることができるのです。 負荷が高ければ高いほど効果が報告されています。しかし、急に高負荷の運動を始めると、力みによって血圧が上昇し危険です。運動開始前に医師のチェックを受けましょう。 また、適切なフォームで行うことも重要です。動作中重りをあげる際は息を吐き、重りを下げる際は息を吸うことを心がけましょう。 筋肉はすぐには変化しないため、すぐには効果が実感できないかもしれません。短期的な効果を得られやすいのは有酸素運動、長期的な効果を得られるのは無酸素運動と覚えておきましょう。 有酸素運動と無酸素運動を組み合わせると効果的! 一言で運動といっても様々な内容のものがあり、身体にかかる負荷の大きさもそれぞれ違います。 糖尿病にならないための運動には、深く呼吸しながら行う有酸素運動が効果的といわれています。 有酸素運動にあたるもの ウォーキング、歩行(できるだけ速く歩く) ジョギング ラジオ体操 エアロビクス また、有酸素運動とは逆に息をつめて行うものを無酸素運動(レジスタンス運動)と呼びます。 無酸素運動にあたるもの 短距離走 重い物を持つ 筋力トレーニング 無酸素運動では、いきなり高負荷な運動は行わないよう注意が必要です。 無酸素運動はあまりしたことがない人にとって、最初はハードルの高い運動かもしれません。 全身を万遍なく鍛えることが推奨されていますが、時間がない人や自信がないという人には、下半身を鍛えられるスクワットから始めることをおすすめします。 短い時間のウォーキングや、日常動作も効果がある 運動とは、いわゆる「スポーツ」だけを指している訳ではありません。軽いウォーキングや立って行う家事など、身体を使った活動全てが運動です。 ある研究では、一日中座っていた人と比べ、軽いウォーキングや短時間の立ち仕事を頻繁に行っていた人のほうが食後の血糖値が低下していたという結果も出ています。(文献3) 日常の身体を使った活動 座っている時間を減らす いつもより速く歩く こまめに家事をこなす 身軽に動く 階段を使う 「毎日忙しくて運動する時間がつくれない」「長く運動をしていなかったから不安」という人は、まずは日常生活の中で身体を使う機会を増やしてみましょう。 効果的な、運動と食事の見直し 運動によるエネルギーの消費量は、思ったより多くありません。例えば、体重75㎏の人がウォーキングを10分間行うと、25kcalの消費になります。 しかし、毎日夕食にご飯(並盛り)を2杯食べているところを1杯に減らすと、それだけで250kcal減らすことができます。つまり、糖尿病にならないためには運動習慣だけでなく食生活の見直しを合わせて行うことが重要となるのです。 空腹時に運動すると血糖値が急上昇しやすいため、糖尿病予防には逆効果です。早朝のウォーキングやジョギングは、朝食後かパンやバナナなどを軽く食べた後に行いましょう。 まとめ|糖尿病予防には空腹時を避けた適切なタイミングでの運動が重要 空腹時の運動は、糖尿病の人にとっては悪い影響を及ぼす可能性があります。 激しい運動によって血糖値が下がってしまうだけでなく、空腹時の運動後の食事によって血糖値が急上昇してしまう可能性があります。 また、薬を飲んで治療をしている人は低血糖を引き起こしてしまう危険もあるため、食後1~3時間後の運動を行うよう心がけましょう。 ただし、持病や糖尿病合併症がある人、普段の血糖値が非常に高い人は運動が禁忌事項である場合があるため、スポーツを行う前には必ず事前に主治医の指示を受けてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では再生医療による糖尿病の治療に取り組んでいます。患者様一人ひとりの状態に応じた丁寧な診療を心がけ、血糖値や肝機能の管理をサポートしています。 再生医療について詳しく知りたい方は、合わせて以下をご覧ください。 参考文献 (文献1) 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024「第4章 運動療法」, 日本糖尿病学会, 2024年. https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf(最終アクセス:2025年3月25日) (文献2) 糖尿病ネットワーク.「尿と糖尿病:尿検査でわかること」 https://dm-net.co.jp/urine/2010/05/0202.php(最終アクセス:2025年3月25日) (文献3) Buffey, A. J., et al. (2022). The Acute Effects of Interrupting Prolonged Sitting Time in Adults with Standing and Light-Intensity Walking on Biomarkers of Cardiometabolic Health: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Medicine, 52(7), pp.1765-1787. https://link.springer.com/article/10.1007/s40279-022-01649-4 (最終アクセス:2025年3月25日)
2022.04.27 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「糖尿病予防のため運動したいけれど、どのような運動をしたら良いのかわからない。」 「運動は長続きしないので、継続する方法を知りたい。」 このようにお悩みの方もいるのではないでしょうか。 糖尿病には、その発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。ただ、その中でも自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」は、完全に予防できる方法が発見されていません。 その一方で、日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」は、生活習慣やライフスタイルを見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避または改善できます。 そこで本稿では、この2型糖尿病について、その改善方法を記してまいります(以下に記す「糖尿病」の表記は、2型糖尿病を指すものとします)。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 糖尿病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 運動が糖尿病予防に欠かせない理由 糖尿病は、規則正しい食生活はもちろんのこと、日常から意識して身体を動かすなどの運動を実践することが大切です。運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなり、ブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められます。 とくに2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると言われています。 さらに運動は、加齢に伴う筋肉の衰弱を改善できるばかりか、心肺機能の向上、ストレス解消効果も期待できます。 運動療法の効果 ブドウ糖が筋肉にとり込まれ血糖値が下がる 低下したインスリン機能が改善する 高血圧や脂質異常症の改善にも役立つ エネルギーの消費で肥満を防止する 加齢による筋力低下を改善する 骨粗鬆症の改善が期待できる 心肺機能が高まる ストレスの解消効果が期待できる 運動を行うことで、改善はもちろん、予防にも効果的です。 1型糖尿病 治療、予防が難しい 2型糖尿病 妊娠糖尿病 予防が可能 生活習慣やライフスタイルを見直す 規則正しい食生活 適度な運動(ストレス発散) 実施にあたっては、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 以下、糖尿病を改善し、予防に有効な「運動に関する情報」を詳細に紹介してまいります。 【関連記事】 糖尿病は筋トレで完治は難しくても改善する!運動療法で糖尿病を改善するには 妊娠糖尿病で運動してもいい?妊婦さんが安心して取り組める運動 糖尿病予防に効果的な運動3選 2型糖尿病の血糖コントロールには、有酸素運動や筋肉トレーニング(レジスタンス運動)が推奨されています。(文献1) 運動を継続して実践すると、インスリンの働きがよくなり、血糖値を上手く調整しやすくなると考えられています。 糖尿病における運動療法は、とくに問題がなければ有酸素運動とレジスタンス運動、両方行うことが勧められていますが、まずは運動不足改善のために有酸素運動から始めると良いでしょう。 余裕が出てくれば次のステップとして、身体に負荷をかけるレジスタンス運動を検討すれば良いと思われます。 一方で、有酸素運動が難しい方は、レジスタンス運動を検討しましょう。 ここでは、糖尿病予防に効果的な運動を3つ紹介します。 ①有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳等) 具体的な有酸素運動(ウォーキングやジョギング、水泳等)について、糖尿病診療ガイドライン2024では、「週に150分以上の中等以上の強度の有酸素運動を、3日以上に分けて行うこと」がすすめられています。(文献1) さらに、「運動しない日が2日以上続かないようにする」ことも大切です。 これは通常、「糖の代謝が改善する期間」が運動してから、24~48時間程度持続することから導かれたもので、血糖値を上手く制御するためには、運動を1週間のなかで3日間は実践することが理想的だからです。 週末だけまとめて運動するのではなく、できるだけ間を空けずに週の中でこまめに体を動かすのが、糖尿病予防のコツです。 ②レジスタンス運動(筋肉トレーニング) レジスタンス運動は、以下の効果により血糖コントロールを改善します。 骨格筋の量や筋力を増加 インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなる)の改善 運動の頻度は週に2〜3日、できれば日をあけながら行うのがおすすめです。 腕・脚・お腹・背中など、体の大きな筋肉をまんべんなく使う運動を、5種類以上取り入れましょう(例:スクワット、腕立てふせ、腹筋など)。 最初は軽めの負荷や1セット(1回分)から始めて、慣れてきたら少しずつ回数や負荷を増やしていくと効果的です。 レジスタンス運動は、有酸素運動と同じくらい血糖値(HbA1c)を下げる効果があるという研究結果も出ています。高齢者など有酸素運動が難しい人にはおすすめできる運動です。(文献1) さらに、レジスタンス運動には筋肉量の減少(サルコペニア)を防ぐ目的でも効果的です。 ③ストレッチ(ヨガ・太極拳) ヨガや太極拳は、激しい動きや瞬発的な運動がほとんどないため、高齢者でも取り入れやすい運動です。 研究では、これらの運動が糖尿病にも良い影響を与えることが報告されています。 ヨガは、空腹時血糖値やHbA1cを改善させるだけでなく、筋力や心肺機能を高める効果もあるとされています。 また太極拳には、血糖値の改善やバランス能力の向上がみられた研究結果もあります。 ただし、まだ研究の数は多くないため、今後さらに詳しい検証が期待されています。(文献1) 糖尿病予防の運動を続けるコツ 運動を長く続けるコツは、「最初から完璧を目指さない」ことです。 現在、運動不足だからと言って一念発起し、一気にやり始めると、疲労やケガにつながる恐れがあります。 通勤や買い物ついでに歩く「ながら運動」や、家事の合間のストレッチなど、日常生活に運動を取り入れるのもおすすめです。 まずは軽いウォーキングや筋トレを週3回など、無理のないペースで行うことを目指しましょう。 無理のない範囲でコツコツと継続することで、糖尿病予防の大きな力になります。 1型糖尿病は、インスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、運動によりインスリン機能そのものの回復を期待できるような治療効果は期待できません。 しかし、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献するため、決して無駄ではありません。 糖尿病予防の運動を実施する際の注意点 糖尿病予防には、運動だけではなく、食事とのバランスも重要です。 運動と食事は、血糖値をコントロールする「両輪」です。 治療効果は、どちらか一方が欠けても十分に発揮できません。 また、運動のタイミングも重要です。 食後すぐの運動は、胃に負担がかかるため控えましょう。 食後1時間ほど経過してから行うと、食事から取り込まれたブドウ糖や脂質を効率的に利用でき、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。 「毎日運動しているから食事は気にしない」「食事療法をしているから運動はしなくても良い」と、どちらか片方だけを頑張るのではなく、運動・食事の両方をバランスよく取り入れて、糖尿病の予防・改善を目指しましょう。 運動 + 食事 = 予防、改善(どちらかに偏らないバランスが大切) 運動だけでは防げない?糖尿病に再生医療という新しい選択肢 これまで運動や食事管理を続けてきても、どうしても血糖値が安定しないケースがあります。 そうしたときは、再生医療という選択肢があります。 糖尿病は、膵臓のβ細胞機能やインスリン分泌能の低下が関係しており、生活習慣の改善だけでは十分にコントロールできない状況もあるためです。 再生医療では、ご自身の脂肪から培養した幹細胞を投与することで、すい臓や血管の再生および修復を目指します。 糖尿病に対する当院「リペアセルクリニック」の再生医療については、以下の症例をご覧ください。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っております。糖尿病に対する再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 運動で糖尿病を予防しつつ健康的な体を手に入れよう 今回は糖尿病の予防・改善に役立つ運動について詳しく紹介しました。 とくにウォーキングなどの有酸素運動は、続けやすくお勧めです。 1日8,000歩程度を目標にして、1週間に3日間以上の頻度で行うと良いでしょう。 運動の開始時間 食事後1時間程度経過してから 効果的にするために 運動だけに偏らない、食事療法も一体で行う 運動内容 ウォーキング、ジョギング等の有酸素運動 回数 週3回を目途、間隔を3日空けない 時間 一回当たり30分~60分程度 歩行運動は、時間や場所を選ばずに一人で実践できるため、忙しい方でも通勤や買い物中などに行えます。 どこまで運動強度を上げて良いか不安に感じる患者さんは、かかりつけ医ともよく相談してみましょう。 糖尿病は食事や運動、生活習慣の改善や薬物による治療のほか、再生医療の選択肢もあります。 再生医療について、さらに詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 糖尿病に効果的な運動に関するよくある質問 糖尿病予防に効果的な運動に関するよくある質問をまとめました。 糖尿病で運動しないとどうなりますか? 糖尿病で運動をしないと、血糖値を下げるインスリンの働きが弱まり、血糖コントロール不良による血糖が高い状態が続きやすくなります。 その結果、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞、腎臓・神経・目の合併症などを引き起こすおそれがあります。運動は血糖コントロールを助け、合併症を防ぐ上でも重要です。 糖尿病予防の運動は食前と食後どちらが良いですか? 糖尿病予防のための有酸素運動は、食後に行うのが効果的とされています。 食後すぐは消化に負担がかかるため避け、血糖値が上がり始めるタイミングで軽いウォーキングなどを行うと、血糖の上昇を緩やかにする効果が期待できます。 参考文献 (文献1) 糖尿病診療ガイドライン2024 第4章 運動療法|南江堂
2022.04.15 -
- 肝疾患
- 内科疾患
肝臓は、薬やアルコール、有害物質などを分解・処理する役割を持つ、生命維持に欠かせない臓器です。ただし、日常生活の中で気づかないうちに負担がかかり、機能が低下しているケースも少なくありません。 とくに、薬の服用などで肝臓に過剰な負荷をかけ続けると、重大な疾患の原因にもなるため注意が必要です。 本記事では、肝臓の働きを項目別にわかりやすく解説し、意識したい生活習慣や身体の変化についてもご紹介します。 【肝臓の働き一覧表】 役割 働き 胆汁の合成・分泌 脂肪の消化・吸収を助ける胆汁を生成し、ビリルビンやコレステロールなどの老廃物を排泄する。 代謝 炭水化物・脂質・タンパク質を必要な形に変換・合成・分解し、体内の栄養バランスを調整する。 栄養素の貯蔵 グリコーゲンや脂肪、ビタミン、ミネラルを貯蔵し、必要に応じてエネルギーや材料として供給する。 解毒・排泄 アルコール・薬物・アンモニアなどの有害物質を無毒化し、排泄できる形に変換する。 免疫 クッパー細胞やNK細胞が異物を除去し、免疫機能維持に必要なアミノ酸やエネルギーを供給する。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、肝臓疾患の新しい治療法「再生医療」に関する情報の提供と簡易オンライン診断を行っておりますので、ぜひご活用ください。 肝臓の5つの働きをわかりやすく解説 肝臓には多くの働きがあります。 ここでは、以下の5つに注目して、肝臓の働きを詳しく見ていきましょう。 胆汁の合成・分泌 代謝(炭水化物・脂質・タンパク質など) 栄養素の貯蔵 解毒・排泄 免疫 胆汁の合成・分泌|脂肪の消化・吸収を助ける 胆汁は、食べ物に含まれる脂肪などの消化・吸収を助ける分泌液です。 胆汁の主要な成分は、コレステロールから合成される「胆汁酸」で、脂肪に胆汁酸が混ざると消化酵素による分解を受けやすくなります。 また肝臓は、古くなった赤血球の分解で生成される色素「ビリルビン」を処理・排泄する役割も担っています。ビリルビンは、そのままだと水に溶けません。肝臓で水に溶けやすい形に変換されて胆汁に混ざり、消化管へ排泄されます。 さらに、作られた胆汁は十二指腸へ送り出され、脂肪の消化・吸収を助けます。 このように肝臓は、胆汁の合成と分泌、脂肪の消化・吸収に欠かせない重要な臓器なのです。 代謝|炭水化物(糖質)・脂質・タンパク質などを変換・合成する 代謝とは、体内でさまざまな分子が合成・分解される際の化学反応です。 たとえば、炭水化物・脂質・タンパク質は、肝臓において以下のように代謝されています。 変換・合成元 変換・合成先 炭水化物 ・ブドウ糖以外の単糖類(フルクトースやガラクトース)をブドウ糖に変換 ・ブドウ糖をグリコーゲンに合成して貯蔵 ・アミノ酸や脂肪からブドウ糖を合成 脂質 ・脂肪を運ぶタンパク質の合成(VLDL、HDL) ・ブドウ糖から脂肪を合成 ・脂肪・ブドウ糖・アミノ酸からコレステロールを合成 タンパク質 ・非必須アミノ酸(体内で合成可能なアミノ酸)を合成 ・アミノ酸からタンパク質(アルブミンや血液凝固因子など)を合成 ・余分なアミノ酸の分解 体にとって使いやすい形への変換や不足分の合成、貯蔵しやすい形への合成などが行われるのが特徴です。 栄養素の貯蔵|エネルギーの貯蔵と供給を担っている 肝臓は、糖や脂質の貯蔵において中心的な役割を果たしている臓器です。また、ビタミンやミネラルの貯蔵も担っています。 体内でブドウ糖が余っているとき、肝臓はまずグリコーゲン(ブドウ糖の貯蔵形態)として蓄えます。グリコーゲンが十分になってもまた余っていれば、脂肪に変換して脂肪組織で貯蔵できる形にします。 逆に、ブドウ糖が不足しているときは、肝臓のグリコーゲンを分解してブドウ糖に戻し、血液中に供給します。グリコーゲンがなくなれば、アミノ酸や乳酸、脂肪を材料にブドウ糖を新たに合成することが可能です。 エネルギー源以外で、肝臓に貯蔵される栄養素の例として以下があります。 鉄 ビタミンB12 ビタミンA ビタミンD 解毒作用・排泄|アンモニアなど有害な物質を無毒化する 肝臓は、アルコールやニコチン、薬の成分などを分解して無害化するとともに、体内で生じる有害物質や排泄が難しい物質を体外へ排泄可能な形に変える働きも持っています。 たとえば、余分なアミノ酸を分解する過程でできるアンモニアは、そのままでは有毒なため、尿素に変換されます。赤血球が分解される際に出るビリルビンを、水に溶ける形に変換するのも肝臓の役目です。体内で働いたホルモンも、一部は肝臓で分解されます。 また、肝臓では運動などで生成された乳酸をブドウ糖に変換し、エネルギー源として再利用することが可能です。 免疫|細菌やウイルスなどの異物を除去する 肝臓は、消化管で吸収された栄養素が最初に流れ込む場所です。 消化管からの血液の通り道には、クッパー細胞と呼ばれる免疫担当の細胞が存在し、栄養とともに運ばれてくる細菌やウイルスなどの異物を処理しています。 さらに、ウイルスに感染した細胞や不要になった細胞の残骸などを排除するナチュラルキラー(NK)細胞など、さまざまな免疫細胞が集まっているのも特徴です。 なお、免疫系が適切に働くには、病原体に結合して目印となるタンパク質の「免疫グロブリン」が必要になります。免疫細胞が免疫グロブリンを作るには、肝臓から供給されるアミノ酸やエネルギーが欠かせません。 肝臓の働きを良くするために意識したい生活習慣 ここでは、肝臓のために普段から意識したい生活習慣について解説します。 肝臓の働きを良くするためにも、ぜひ参考にしてみてください。 栄養バランスを考えて食事のメニューを選ぶ 肝臓の働きを維持するには、肝臓の細胞を作るタンパク質や、肝臓の機能を助けるビタミン類が不足しないように注意が必要です。 積極的に摂取したい栄養素を多く含む、食品の一例を以下にまとめました。 栄養素 食品例 タンパク質 ・鶏むね肉 ・豆腐 ・卵 ビタミンB群 ・豚肉 ・ほうれん草 ・納豆 ・玄米 ビタミンC ・ブロッコリー ・キウイフルーツ ・さつまいも ビタミンE ・アーモンド(ナッツ類) ・アボカド ・カボチャ ポリフェノール ・緑茶 ・ブルーベリー ・ココア タウリン ・しじみ ・あさり ・いか これらの栄養素を意識しながら、さまざまな食品をバランスよく食べましょう。 なお、すでに肝機能が落ちている方は、タンパク質や塩分の制限が必要な場合もあります。これから受診する場合は医師に相談し、医療機関にかかっている方は指示を優先して調整してください。 睡眠不足・ストレス過多を避ける 肝臓の働きを良好に保つには、睡眠不足とストレス過多を避けることが大切です。 睡眠時間が短いと、肝臓が日中のダメージを修復・再生する時間も少なくなります。毎日決まった時間に寝起きするなど規則正しい生活を送り、質の高い睡眠を確保しましょう。 寝る前のカフェイン摂取や、スマートフォンの使用を控えるのも効果的です。 また、過度なストレスも自律神経を乱し、肝臓へのダメージにつながります。活性酸素が増えることで肝細胞が傷ついたり、ストレスによる食生活の変化で肝臓に負担がかかったりする可能性もあるため注意が必要です。 適度な運動や趣味など、自分に合った方法で上手にストレスを発散しましょう。 ウォーキングなど軽い運動を習慣にする ウォーキングなどの軽い有酸素運動も、肝臓に良い影響をもたらします。とくに、肥満や脂肪肝を指摘されている場合に効果的です。 適度な運動は、肝臓の脂肪を減らす効果があると報告されています。(文献4) おすすめの有酸素運動は、ウォーキングやサイクリング、スイミングなどです。少し汗をかきながら無理なく続けられる強度で、1回30分~60分、週に3~4回を目安に運動を習慣にしましょう。(文献6) アルコールを控える 肝機能を守るためには、日常的な飲酒習慣の見直しが重要です。 アルコールは肝臓で分解されるため、過剰な摂取が続くと肝臓に大きな負担をかけ、脂肪肝やアルコール性肝炎、肝硬変などの疾患につながりかねません。 生活習慣病のリスクを高める飲酒量としては、男性1日あたり純アルコール40g以上、女性20g以上とされています。(文献5) 純アルコール20gは以下の量に相当します。 ビール(5%):中瓶1本(500ml) 日本酒:1合(180ml) ワイン:グラス2杯弱(約180ml) チューハイ(7%):350ml缶1本 ウイスキー・焼酎:シングル2杯(約60ml) これらを目安に、飲酒量を抑えるよう心がけましょう。とくにγ-GTPなど肝機能の数値が高い場合には、週に最低2日は休肝日を設けることが大切です。 薬の不適切な服用に注意する 薬の不適切な服用は、肝臓や腎臓などの臓器に負担をかけます。 とくに肝臓は、薬物代謝の中心的な役割を担っており、必要以上の薬が体内に入ると、薬剤性肝障害を引き起こすケースがあるのです。 市販薬を含めて複数の薬を併用している場合は、有効成分が重複していないか、相互作用がないかを確認しましょう。 安全に薬を使うためにも、以下を確認しておいてください。 医師や薬剤師の指示に従い、用法・用量を厳守する 飲み合わせに注意し、不明な点があれば必ず専門家に相談する 飲み忘れや中断時は、自分で調整せず再度指示を受ける 薬は、適切な使い方で治療効果を発揮します。肝臓を守るためにも、自己判断による過剰な服用は避けましょう。 肝臓と薬の関連性については、以下の記事でも詳しく解説しています。 肝臓の働きとコレステロールの関係 コレステロールは体に不可欠な脂質であり、その大部分は肝臓で合成されます。 体内のコレステロールの約70〜80%が肝臓を中心に作られており、細胞膜やホルモン、胆汁酸の材料として利用されているのです。 肝臓で合成されたコレステロールは、LDL(低密度リポタンパク)により全身へ運ばれ、各組織で利用されます。余分なコレステロールは、HDL(高密度リポタンパク)によって回収され、再び肝臓に戻されて胆汁酸として分解・排泄します。 肝臓はコレステロールの生成・輸送・代謝・排泄という一連の流れをコントロールしており、血中の脂質バランスを調整しています。しかし、肝機能が低下するとこれらの調整機能が乱れ、血中のコレステロール値が異常をきたす可能性があるため注意しなければなりません。 とくに脂肪肝や慢性的な肝障害がある場合には、コレステロールの排泄がうまくいかず、動脈硬化や心血管疾患のリスクが高まります。 健康なコレステロールバランスを保ち、生活習慣病の予防にもつなげるためには、肝臓の正常な働きが欠かせません。 肝臓の働きをチェックする方法 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、自覚症状が現れにくい臓器です。異常があっても気づかないまま進行するケースも多く、健康な状態を維持するためには、定期的なチェックが欠かせません。 まずは、年に一度会社で実施される定期健康診断を活用しましょう。健康診断の機会がない場合でも、かかりつけ医や内科のクリニックで、自発的に肝機能を調べる血液検査を受けることも可能です。 血液検査では、肝臓の状態を数値で客観的に把握でき、早期の肝機能異常の発見につながります。 とくに、肝疾患のリスクがある人や、疲れやすさ・肌荒れ・黄疸などが気になる人は、積極的に検査を受けましょう。 血液検査でわかる肝機能の数値 血液検査で確認できる数値を以下の表にまとめました。 検査結果をもらったら、照らし合わせて確認してみましょう。 項目名 基準値の目安 内容(役割・異常の意味) AST(GOT) 男女共通:13〜30 U/L程度 肝臓以外にも心筋や筋肉に含まれ、肝細胞が壊れると血中に増加。肝炎や肝硬変で上昇。 ALT(GPT) 男性:10〜42 U/L 女性:7〜23 U/L 主に肝臓に存在し、ALTの上昇は肝細胞の障害を示す。 γ-GTP 男性:13〜64 U/L 女性:9〜32 U/L 胆道系やアルコール代謝に関与。飲酒や胆道障害で上昇。慢性肝疾患でも高い数値になる。 (文献7) なお、それぞれの基準値は検査機関や測定法によって異なります。上記の数値はあくまで目安です。 肝臓の働きが悪くなると身体に現れる変化 肝臓は、働きが悪化しても目立った症状はなかなか現れませんが、以下のような症状が現れた場合は、肝機能低下のサインかもしれません。 全身がだるくなって疲れやすくなる 黄疸(肌や目が黄色くなる)やむくみが出やすくなる では、それぞれ詳しく見ていきましょう。 全身がだるくなって疲れやすくなる 肝臓の働きが悪くなると、心当たりのない全身のだるさが続いたり、疲れやすくなったりします。 まず考えられるのが、ブドウ糖の供給を調節する機能の低下です。ブドウ糖の供給がうまくいかなくなると、体の各組織が十分なエネルギーを得られなくなります。 有害物質の解毒・分解が滞り、アンモニアなどの老廃物が身体に溜まることも倦怠感の一因です。ほかにも、栄養素の貯蔵障害やタンパク質の合成低下、ホルモンの調整機能の不調なども影響します。 このように、肝臓の働きが低下すると複数の機能が同時に影響を受けるため、慢性的なだるさや疲労感につながることを理解しておきましょう。 黄疸(肌や目が黄色くなる)やむくみが出やすくなる 黄疸とは、白目や皮膚が黄色くなる症状です。 黄疸は肝機能の低下を示す代表的なサインであり、肝臓でのビリルビン(赤血球が壊れる際に生じる黄色の色素)の処理や排出が十分に行われなくなることで現れます。急性肝炎では、黄疸が現れる前に尿の色が濃くなることが多く、その数日後に皮膚や目の黄変が見られるケースがあります。(文献2) ただし、むくみの原因は、肝臓におけるタンパク質の合成障害である可能性も否定できません。 血液中のタンパク質(アルブミンなど)が減少すると、水分を血管内にとどめておく力が低下します。その結果、水分が血管の外にしみ出し、むくみや腹水として蓄積することがあります。 肝臓の働きの悪化が進むとかかりやすい重大な病気 肝臓の働きが悪化すると、以下のような肝臓の病気を発症するリスクが高まります。 急性肝炎 慢性肝炎 アルコール性肝炎 非アルコール性脂肪肝炎 ウイルス性肝炎 肝硬変 肝臓がん ここでは、急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変の3つの特徴を説明します。 急性肝炎 急性肝炎とは、肝炎ウイルスやアルコール、薬剤などの影響で肝臓内の細胞が破壊され、高度な炎症反応がみられる病態です。 肝炎ウイルスが原因であるケースが多く、感染して数週間から数カ月後に黄疸や食欲不振、全身倦怠感、発熱といった症状が現れます。(文献2) 肝炎ウイルスの種類には、A・B・C・D・E型があり、このうちD型は日本であまり見られません。どの型であっても、治療の基本は安静と食事療法です。 肝臓への負担を抑えるためにタンパク質を制限するほか、必要に応じて輸液や炎症を抑える薬を投与する場合もあります。 急性肝炎は重症化するケースもありますが、多くは自然に回復します。ただし、C型肝炎は慢性化する確率が高いため、急性の症状が落ち着いても、6カ月の経過観察が必要です。 慢性肝炎 慢性肝炎とは、肝臓の炎症が半年以上継続している状態を指します。 主な原因は、急性肝炎が完全に治りきらずに炎症が続く場合や、脂肪の蓄積、アルコールによる継続的な肝臓への負担などです。 慢性肝炎による炎症と修復が繰り返されると、肝臓は少しずつ繊維化し、慢性肝臓病と呼ばれる機能低下の状態となります。さらに放置すれば、肝硬変や肝臓がんに移行する恐れもあるため要注意です。(文献3) 慢性肝炎の自覚症状は非常に軽微なため、健康診断の血液検査でたまたま発見される場合が多いとされています。とくに気をつけるべき数値は、肝臓の働きを反映する「ALT」です。 日本肝臓学会では、ALTが30を超えたらかかりつけ医を受診するよう推奨しているので、症状がなくても放置せずに早めの受診を心がけましょう。(文献3) 肝硬変 肝硬変とは、肝臓の組織が繊維化して固くなってしまう病気です。慢性肝炎などによって、肝臓内の細胞が破壊と修復を繰り返すうちに発症します。 C型肝炎がもっとも多い原因ですが、近年ではアルコール性肝障害や、非アルコール性脂肪肝炎が原因で肝硬変となる割合が増えています。(文献1)そのため、ウイルス感染がなくても、飲酒習慣や肥満・脂肪肝がある方は定期的な検査を受けることが重要です。 肝硬変の初期にはほとんど目立った症状を認めないケースが多いですが、進行するにしたがって倦怠感や吐き気、体重減少など、さまざまな症状が出現します。さらに病状が悪化すると、むくみやおなかの張り、白目や皮膚が黄色くなる黄疸なども現れます。 肝硬変になると、肝臓の機能は低下したまま元に戻りません。また、肝がんが発生する危険性も高くなります。(文献1) 肝硬変の発症や進行を防ぐために、生活習慣の見直しと定期的な検診を心がけましょう。 なお、肝硬変の治療には再生医療の「幹細胞治療」が活用されています。肝硬変に対する幹細胞治療の症例については、以下の記事を参考にしてみてください。 肝臓疾患の治療には再生医療をご検討ください 脂肪肝や肝炎といった肝臓の病気は、放置すると肝硬変や肝がんに進行する場合もあります。しかしながら、自覚症状が出にくいため、気づいたときには進行しているケースも少なくありません。 そんな肝臓疾患の新しい治療法として、再生医療があります。 再生医療とは、体内の幹細胞が持つ組織修復能力や炎症を抑える働きを活かした治療法です。患者様自身の幹細胞を用いるため、身体への負担を抑えられ、入院を伴う大きな手術も必要ありません。 当院リペアセルクリニックでも、脂肪肝・肝硬変・肝炎に対する再生医療を提供していますので、お気軽にご相談ください。 まとめ|肝臓の働きで気になる点があれば受診しよう 肝臓は、私たちの体内で薬やアルコール、老廃物の処理などを担う重要な臓器ですが、知らず知らずのうちに負担がかかっていることも少なくありません。 とくに、薬を服用している場合、肝臓が薬の成分を代謝・分解するために大きく働くことになり、負担が蓄積すると数値の異常や薬物性肝障害のリスクも高まります。 肝機能の異常を防ぐためには、日々の生活習慣の見直しが何より大切です。バランスの良い食事と脂肪・糖分・アルコールの過剰摂取を避けることで、肝臓への負担を軽減できます。 また、定期的な健康診断での数値チェックと、異常に気づいたときの早期受診も大切です。薬との付き合い方を見直しながら、肝臓に優しい生活を心がけましょう。 肝臓の健康状態に不安がある方は、再生医療も選択肢になります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を行っていますので、ぜひご登録ください 肝臓の働きに関するよくある質問 肝臓の働きを小学生向けにわかりやすく解説して 肝臓は、おなかの右上、あばら骨の中にある大きな臓器です。 体の中の「工場」のような場所で、食べ物から入った栄養をエネルギーに変えたり、使いきれなかったりした分を「エネルギーの貯金」としてためて、足りなくなったときに取り出します。 また、血液の中の毒やいらない物を分解して、体の外に出しやすくする役目もあります。 さらに、ケガをしたときに血を固めるたんぱく質や、油っぽい料理を消化しやすくする胆汁(たんじゅう)も作っているなど、健康的な生活のために欠かせません。 こうした大事な仕事をしているので、お菓子を食べ過ぎたり、ジュースを飲み過ぎたりせず、よく寝て元気に動いて、大切な肝臓を守っていきましょう。 肝臓で重要な3つの働きは? 肝臓は身体の代謝と恒常性を支える中心的な臓器であり、とくに以下の3つが重要な働きです。 1.アルブミンや凝固因子といった生命維持に不可欠なタンパク質を合成し、さらに糖質・脂質・ビタミンを貯蔵して必要に応じて調節する。 2.薬物やアルコール、アンモニアなどの有害物質を無毒化し、体外へ排泄できる形へ変換する解毒機能を持つ。 3.脂肪の消化・吸収に不可欠な胆汁酸を含む胆汁をつくり、老廃物を排泄する。 上記3つの働きが連動することで体内環境が安定し、健康が維持される仕組みになっています。 参考文献 (文献1) 肝硬変診療ガイドライン 2020(改訂第 3 版)|日本消化器病学会・日本肝臓学会 (文献2) 急性肝炎|国立健康危機管理情報機構 肝炎情報センター (文献3) 奈良宣言特設サイト|日本肝臓学会 (文献4) NAFLD/NASH 診療ガイドライン 2020(改訂第 2 版)|日本消化器病学会・日本肝臓学会 (文献5) 11月 肝機能が気になったら|全国健康保険協会 (文献6) 脂肪性肝疾患患者に対する肝臓リハは?|日本肝臓学会 (文献7) 臨床検査基準値一覧|2016年6月版 国立がん研究センター中央病院 臨床検査部
2022.04.04







