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- 内科疾患
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高血圧を放置すると、脳卒中や心疾患、腎臓病など、命に関わる病気を引き起こすリスクがあります。 しかし、日本の推定4,300万人の高血圧患者のうち、適切に治療できているのはわずか3分の1程度であり、多くの人は未治療で自覚がないケースも少なくありません。(文献1) 高血圧は自覚症状が乏しいまま進行するため「サイレントキラー」とも呼ばれており、血圧を下げる方法を知っておくことが大切です。 本記事では、血圧を下げる方法や基準値、自分で測定する方法などを解説します。 血圧に関する正しい知識を身につけて、改善や予防につなげていきましょう。 なお、高血圧を放置すると、脳卒中や糖尿病などの深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります。万が一これらの疾患を発症した場合、脳卒中の後遺症や再発予防、糖尿病に対しては、再生医療という治療の選択肢があります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施していますので、ぜひご登録ください。 血圧を下げる方法 高血圧と診断されたら放置せず、早期の対応が重要です。 血圧をコントロールするには生活習慣の見直しと、必要に応じて薬物療法の組み合わせが基本です。 ここでは、血圧を下げるために有効とされる対策を詳しく解説します。 塩分を制限する 血圧を下げるには、まず塩分を制限しましょう。 減塩の目安としては、1日あたりの塩分摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。 一方で、厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、日本人の平均的な塩分摂取量は1日約10.1gとされており、多くの人にとって6g未満の食事はかなり薄味に感じるかもしれません。(文献2) 減塩を実践する際のコツとしては、出汁や酢、スパイスなどをうまく活用し、塩分に頼らず風味を引き立てることがポイントです。 漬物やハム、ソーセージなどの加工食品は塩分が多く含まれているため、できるだけ控えてください。 さらに、加工食品や外食に含まれる大量の塩分にも注意しましょう。 外食では汁物を控えめにするなど、塩分の摂取を抑える工夫も必要です。 食事を見直して血圧を下げる 食事全体のバランスは血圧に大きく影響するため、食事内容を見直しましょう。 野菜や果物、きのこ類などをしっかり摂り、脂質は控えめにするのが基本です。 野菜や果物、きのこ類などに含まれるカリウムやマグネシウム、カルシウムは、ナトリウムの排出を助けて血圧の安定に役立ちます。 ただし、腎臓病の方はカリウム摂取に制限が必要な場合もあるため、通院中の方は主治医の指示に従ってください。 また、肉や高脂肪の乳製品などに多く含まれる飽和脂肪酸が過多になると、血中のコレステロールが増え動脈硬化が進み血圧が上がります。 特定の食品だけでなく、日々の食事内容をトータルで見直し、血圧の正常化につなげていきましょう。 適正体重をキープする 肥満は高血圧の大きなリスク要因のひとつです。 とくに、内臓脂肪が多いと交感神経が刺激されやすくなり、血圧を上げるホルモンの分泌も増えるため注意が必要です。 体重を1kg減らすことで、収縮期血圧が約1mmHg下がるとされており、適正体重の維持は降圧効果をもたらします。(文献3) ただし、過度なダイエットは体調を崩す原因になるため気を付けましょう。 バランスの取れた食事と適度な運動による、無理のない体重管理が理想です。 血圧を下げる運動を続ける 定期的な運動は血管を柔軟に保ち、血流を促進して自然に血圧を下げる効果があります。 なかでも有酸素運動が推奨されており、以下のような運動がおすすめです。 ウォーキング ジョギング 水泳 サイクリング エアロビクス 自分で楽しいと感じられる運動なら、継続しやすくなります。 「少しきつい」と感じるくらいの運動強度で毎日30分以上、または週180分以上が推奨されていますが、まずは無理のない範囲から始めましょう。(文献1) 運動を習慣化すると体重管理やストレス解消にもつながり、長期的な血圧管理に有効です。 肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の予防や改善にも寄与するので、ぜひ積極的に取り組みましょう。 飲酒を制限する 過度の飲酒は一時的に血管を拡張させるものの、長期的には交感神経の興奮を引き起こし、かえって血圧を上昇させてしまいます。 高血圧がある方の飲酒量の目安は、1日あたりエタノールで男性20~30mL、女性10~20mL以下です。(文献1) 〈1日あたりの飲酒量の目安:男性の場合〉 日本酒 1合 ビール 中瓶1本 焼酎 0.5合 ウイスキー ダブル(約60mL) ワイン 2杯 女性の場合は、上記の半分を目安にしてください。 また、毎日飲むのではなく、週に2日は休肝日を設けるなど飲酒の頻度にも配慮しましょう。 禁煙する 喫煙は血管を収縮させて血圧を一時的に急上昇させるだけでなく、長期的には動脈硬化を進行させる原因にもなります。 喫煙者は非喫煙者に比べ、高血圧に伴う心血管疾患のリスクが著しく高くなる可能性が報告されているので注意しましょう。(文献4) また、ニコチンの影響で交感神経が刺激され、血圧のコントロールが難しくなるケースもあります。 禁煙は血圧の改善だけでなく、全身の健康維持にもつながる重要な取り組みです。 禁煙外来を利用する方法もあるので、自力で禁煙できない場合は受診を検討しましょう。 喫煙が血圧に与える影響については、以下の記事で詳しく解説しています。 血圧を下げる薬を使う 生活習慣の改善だけで血圧の管理が難しい場合、医師の判断で以下のような降圧薬が処方されます。 ACE阻害薬、ARB:血圧を上昇させるホルモンの作用を阻害する カルシウム拮抗薬:血管を拡張させて血圧を下げる 利尿薬:余分な水分やナトリウムを体外に排出する β遮断薬:交感神経を抑制して心収縮を抑えて血圧を下げる 個々の体質や合併症に応じて選択されるので、血圧が気になったらまずは医師に相談してみましょう。 薬物療法と生活習慣の改善を並行して進めれば、より効果的な血圧管理が可能になります。 ただし、降圧薬は長期的に使うことで安定した効果を発揮するため、自己判断での中止や変更は避けましょう。 高血圧の薬(降圧薬)の種類については、以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。 高血圧の原因|何が血圧を上げるのか 高血圧は、大きく分けて「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2つに分類されます。 それぞれのタイプによって対処法が異なるため、正確な理解が重要です。 二次性高血圧 二次性高血圧とは、明確な原因となる疾患が存在し、その疾患によって血圧が上昇している状態を指します。 以下のような疾患が主な原因です。 腎臓病 内分泌疾患 睡眠時無呼吸症候群 上記の病気を治療することで、高血圧の改善が期待できます。 とくに、若くして急に高血圧になった場合や薬が効きにくい場合には、二次性高血圧の可能性を疑いましょう。 本態性高血圧 本態性高血圧は、原因が特定できないものの、さまざまな生活習慣や体質、遺伝的背景が複雑に関係して起こる高血圧です。 日本人の高血圧の約8~9割は本態性高血圧に該当します。(文献1) 主な関係因子は以下のとおりです。 遺伝的体質 食塩の過剰摂取 肥満 運動不足 喫煙・過度な飲酒 ストレス 加齢 とくに、塩分は血圧上昇と深く関係しており、日本高血圧学会も1日6g未満の塩分摂取を推奨しています。(文献1) 血圧を下げるためには、減塩を基本とした食習慣の見直しや適度な運動、禁煙などの生活習慣の改善が不可欠です。 血圧の基準値 血圧は、診察室で測った血圧が「120/80mmHg未満」、自宅で測った血圧が「115/75mmHg未満」が正常な基準値です。(文献5) 病院で測定すると高くなる傾向があるため、まずは診察室血圧を測定して「140/90mmHg以上」であれば自宅でも測定し、「135/85mmHg以上」なら高血圧の確定診断となります。 自宅で血圧が測定できない場合は、複数回の診察室血圧だけでも高血圧と診断されます。 ただし、高血圧でなくても、正常血圧より高いグレーゾーンがある点に注意しましょう。 以下の表にあるように、病院での測定値「120〜139/80〜89mmHg」、家庭血圧「115〜134/75〜84mmHg」の場合はグレーゾーンに該当します。 区分 診察室血圧 家庭血圧 正常血圧 120/80mmHg未満 115/75mmHg未満 グレーゾーン 120〜139/80〜89mmHg 115〜134/75〜84mmHg 高血圧 140/90mmHg以上 135/85mmHg以上 高血圧の診断基準を満たさなくとも、血圧が高くなるにつれて脳卒中や心筋梗塞などの「脳心血管の疾患」が起こりやすくなります。 また、グレーゾーンの方は生涯のうちに高血圧の基準を満たす可能性も高くなるため、たとえ診断に至らなくても血圧が高めの方は対策が大切です。 なお、自宅での血圧が高血圧に該当しなくても、診察室血圧のみが高血圧の基準を満たす場合は「白衣高血圧」と呼ばれています。 白衣高血圧の方は高血圧でない方と比べて、将来的に脳心血管の病気を起こすリスクが高いため要注意です。 自宅血圧測定の方法|計測する時間帯や回数 自宅での血圧測定は、高血圧の診断において欠かせない要素です。 治療中においても、家庭血圧は降圧治療の効果を判断するための重要な指標となります。 高血圧と診断された場合、毎日家庭血圧を測定し、自分の血圧の傾向を把握することが大切です。 ここでは、家庭で正しく血圧を測るためのポイントを解説します。 家庭血圧測定のポイント 血圧測定は、朝と夜の2回行うのが基本です。 【朝の測定】 起床後1時間以内 朝食前 血圧の薬を飲む前 トイレを済ませた後 なお、水分を摂るのは問題ありません。 【夜の測定】 就寝前が目安です。 測定時の注意点 血圧は、1〜2分間座って落ち着いてから測定することが大切です。 動いた直後や急いで測ると、正確な値が出ない場合があります。 深呼吸をしてリラックスした状態で測定しましょう。 測定回数と記録の仕方 原則として、1回の測定で2回ずつ測り、両方の結果を記録します。 朝:2回 夜:2回 1日あたり:4回測定 2回分の血圧の値を平均して評価します。 診断や治療効果の判定には、5〜7日間の平均値を使うのが一般的なので、毎回の数値に一喜一憂せず一定期間の変化を見ることが重要です。 できるだけ毎日同じ時間帯に測定するのが理想ですが、生活リズムに合わせて調整しても問題ありません。 難しい場合は、かかりつけの医師に相談しながら、無理のない方法で続けましょう。 高血圧の自覚症状|頭痛・肩こりとの関係と潜むリスク 高血圧は、人によっては軽度の頭痛や肩こりなどの症状が現れる場合がありますが、自覚症状がないケースも少なくありません。 ただし、血圧が急激に高くなると危険な状態に陥る場合もあります。 180/120mmHg以上の高度の血圧上昇は「高血圧緊急症」と呼ばれ、脳・心臓・腎臓・大きな血管などに障害をきたし、放置すると命に関わるため注意が必要です。 高血圧緊急症になると、次のような疾患を発症するリスクが高まります。 高血圧性脳症 脳卒中 急性大動脈解離 急性心不全 急性心筋梗塞 急性腎不全 なかでも、「高血圧性脳症」は耳慣れない言葉かもしれません。 急激に血圧が上昇することで、脳の血流が必要以上に増加して脳がむくむ病気です。そのまま放置すると脳出血や昏睡状態を引き起こし、命を落とす危険性もあります。 脳卒中の予防する方法には、再生医療という選択肢もあります。脳卒中の後遺症や再発予防を目的とした再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 まとめ|高血圧は食事・運動・薬でコントロール! 高血圧の多くを占める本態性高血圧では、塩分のとりすぎをはじめとした生活習慣が大きく関わっています。 症状がないからといって高血圧を放置すると、命に関わる病気を起こしかねません。 血圧が気になるのであれば、まずは定期的な血圧測定を行い、日々の血圧がどのくらいかを把握するように努めましょう。 高血圧対策の第一歩は、生活習慣の改善です。 運動や食事を一気に改善するのが難しければ、できるところから始めてみましょう。 高血圧による合併症を予防したい方や、再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEをご確認ください。 再生医療に関する情報提供や簡易オンライン診断をご利用いただけます。 血圧を下げることに関するよくある質問 血圧を下げるのに即効性のある食べ物は何ですか? 即効性があるとされているのは「減塩食」です。 塩分の摂取を急に減らすと、早い人では数日で血圧の変化を感じることがあります。 とくに、高血圧の方は塩分感受性が高いため、減塩の影響が出やすい傾向があります。 血圧を下げる飲み物にはありますか? 血圧を下げる働きが期待される飲み物には、以下のようなものがあります。 カリウムを含む「トマトジュース」「野菜ジュース」 GABA配合の「機能性表示飲料」 ポリフェノールを含む「緑茶」や「カカオ飲料」 血圧を下げる効果がある成分を含んだ飲み物を継続して摂取することで、血圧の安定化が期待できます。 ただし、塩分や糖分の含有量には注意が必要です。 血圧を下げるサプリはありますか? 血圧対策に使われる代表的な成分「γ-アミノ酪酸(GABA)」や「ラクトトリペプチド」は、機能性表示食品に多く利用されています。 ただし、サプリメントはあくまで補助的な存在であり、医師から高血圧と診断されている場合は、必ず医療機関の指示に従いましょう。 血圧を下げる呼吸法を教えてください。 深呼吸を意識的に行うと副交感神経が優位になり、血管が拡張しやすくなります。 軽度の血圧上昇であれば、一時的な改善が期待できるでしょう。 とくに、ストレスが原因で血圧が上がっているケースでは、深呼吸を習慣にすると精神的な安定も得られます。 一週間で血圧を下げる方法はありますか? 医学的には、薬を使用せず確実に血圧を下げる即効性のある方法は存在しません。 ただし、個人差はありますが、減塩や睡眠改善、運動、アルコール制限などの生活習慣の見直しを一気に行えば、短期間である程度の効果が見られるケースもあります。 参考文献 (文献1) 一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子|特定非営利活動法人日本高血圧学会・特定非営利活動法人日本高血圧協会・認定特定非営利活動法人ささえあい医療人権センターCOML (文献2) 令和元年 国民健康・栄養調査報告|厚生労働省 (文献3) PubMed Central (PMC) – U.S. National Library of Medicine|Lowering weight equals reduction of mortality: How far are we from the “Ithaka” of ideal weight control? (文献4) 喫煙と循環器疾患|厚生労働省 (文献5) 高血圧治療ガイドライン2019|日本高血圧学会
2024.04.15 -
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「ストレスで血圧が上がるのは本当?」「ストレスによる高血圧はどうしたらいい?」と疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。 実際、ストレスは血圧に大きな影響を与える原因の1つです。 この記事では、医師監修のもとストレスが血圧を上げるメカニズムや、高血圧を予防する生活習慣について解説します。 本記事を読めば、ストレスと血圧のメカニズムを正しく理解し、健康管理に役立てることができるでしょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では高血圧によって引き起こされる疾患の治療も行っております。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 ストレスで血圧が上がる3つのメカニズム 日常生活でストレスを感じると、体はさまざまな反応を示します。その中でも血圧の上昇は代表的な症状の1つです。 ストレスによって血圧が上がる原因として、以下の3つが挙げられます。 ストレスホルモンが血管を収縮させる 交感神経が活発になる 血管が収縮し血圧が上昇 本章では、ストレスが交感神経を刺激し、ホルモンの分泌や血管の収縮を引き起こすメカニズムを解説します。(文献1) ストレスホルモンが血管を収縮させる ストレスを感じると、体内でコルチゾールやアドレナリンといったホルモンが分泌され、血管を収縮させます。 体をストレスから守るために必要な一方で、血管を収縮させる作用も持ち合わせているため、血管が細くなり、血圧が上昇します。 たとえば、大きなプレッシャーを感じた時、心臓がドキドキしたり、顔が赤くなったりするのは、ストレスホルモンが分泌され血管が収縮しているサインです。 この作用が血圧上昇の要因となります。 交感神経が活発になる ストレスを感じると、自律神経の1つである交感神経が活発になります。 交感神経は、人が活動する際に働き、心臓の動きを速めたり血管を収縮させたりします。 ストレス時には交感神経が過剰に働き、心拍数の上昇や血管の収縮が起こり、結果的に血圧が上がる仕組みです。 こうした反応は自然な防御反応ですが、長期間続くと健康への悪影響が懸念されます。 そのため、ストレスをうまく管理する習慣が、健康維持には必要だといえるでしょう。 血管が収縮し血圧が上昇 ストレスを感じると、血管が収縮して血液が流れる抵抗が強くなり、血圧が上昇します。 この状態が長引くと、心臓や血管に負担がかかり生活習慣病のリスクが高まる可能性もあります。 血圧の急上昇を防ぐためには、深呼吸や軽い運動などで血管をリラックスさせる時間を設けることが大切です。 また、高血圧と生活習慣病の関係については以下の記事でも詳しく紹介していますので、参考にしていただけると幸いです。 【測定時】ストレスで血圧が変動する2つのケース 血圧を測定するときの環境や状況によっても、数値が変動することがあります。主なケースは以下の2つです。 職場高血圧 白衣高血圧 それぞれの原因を理解し、血圧変動を和らげる対策を見つけましょう。 仕事のストレスにより血圧が上昇する「職場高血圧」 職場高血圧とは、勤務中や仕事に関連したストレスによって血圧が高くなる状態を指します。 仕事のプレッシャーや締め切りへの焦りは交感神経を活性化させる原因です。心拍数が上がることで血管が収縮し、高血圧を引き起こします。 職場高血圧を防ぐためには、仕事の合間に適度な休憩をしたり、深呼吸をしたりすることを心がけましょう。 リラックスできる環境作りが、「職場高血圧」対策の第一歩となります。 病院での緊張により血圧が上昇する「白衣高血圧」 病院で測定するときだけ血圧が高くなる場合、白衣高血圧の可能性があります。 医師や看護師の前で緊張することで、交感神経が活発になり血圧が一時的に上がる現象です。測定後には自然に戻るケースが大半ですが、放置すると日常的な高血圧につながる恐れもあります。 対処法として、深呼吸をしてリラックスした状態で測定したり、普段から自宅で血圧を測る習慣を付けたりすることが挙げられます。 ストレスに左右されない状況下で、正確な血圧の数値を把握しておきましょう。 ストレスによる高血圧は「生活習慣の改善」で予防できる ストレスによる血圧上昇は、放置すると高血圧につながる恐れがあるものの、生活習慣の見直しによる予防が可能です。 本章では、ストレスによる高血圧を予防するための、具体的な生活習慣の改善策を5つご紹介します。 適度な運動をする バランスの取れた食事を摂る 睡眠をしっかりとる 禁煙やアルコールを控える リラックスする時間を作る できることから始めて健康な毎日を目指しましょう。 また、以下の記事では、高血圧の薬(降圧薬)の種類と副作用に関する情報をまとめています。高血圧の治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。 適度な運動をする 適度な運動は、ストレス解消につながります。また、運動によって血行が促進され、血管が柔らかくなることで血圧の安定も期待できます。 ウォーキングやジョギング、水泳など、無理なく続けられる運動を生活に取り入れるのがおすすめです。 毎日30分のウォーキングを習慣にすると、心身ともにリフレッシュでき、血圧コントロールにも役立つでしょう。 バランスの取れた食事を摂る バランスの取れた食事は、高血圧予防に欠かせません。 塩分を摂りすぎると、血液中の塩分濃度が高くなり、血管が収縮して血圧が上昇しやすくなります。高血圧を予防するには、塩分控えめを意識しましょう。 カリウムを多く含む野菜や果物を積極的に摂ると、体内の余分な塩分を排出する効果が期待できます。 また、食物繊維を多く含む食品も、血圧の安定に役立ちます。 毎日の食事内容を見直し、バランスの取れた食生活を心がけましょう。 睡眠をしっかりとる 質の良い睡眠は、ストレスを軽減し血圧を安定させるために重要です。 睡眠不足はストレスホルモンの分泌を促し、交感神経を活発にするため、血圧上昇の原因となります。 高血圧を予防するには、毎日同じ時間に寝起きし、7〜8時間の睡眠を確保するのが理想的です。 また、寝る前にカフェインを摂取するのを控えたり、リラックスできる環境を整えたりするのも効果的です。 質の高い睡眠を確保し、高血圧予防に努めましょう。 喫煙やアルコールを控える 喫煙や過度なアルコール摂取は、血圧を上昇させる要因となるため、控えるのが望ましいでしょう。 タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させて血圧を上昇させる働きがあります。また、アルコールの過剰摂取も、血圧の上昇や睡眠の質を低下させる原因になります。 禁煙に取り組む、あるいは飲酒量を減らすだけでも、血圧コントロールにつながるでしょう。 リラックスする時間を作る ストレスを溜め込まないためには、意識的にリラックスする時間を作るのも大切です。 音楽やアロマ、入浴など、自分に合った方法でリラックスしましょう。 また、瞑想や深呼吸などのリラックス法も効果的です。 自分に合ったリラックス方法を見つけ、日々の生活に取り入れてみてください。ストレスをうまく解消できれば、結果的に高血圧の予防にもつながります。 高血圧の予防方法については以下の記事でも解説していますので、興味がある方はぜひご覧ください。 高血圧の原因 高血圧は一次性と二次性の2タイプに分かれますが、主な違いは以下のとおりです。 一次性高血圧 ほとんどの高血圧はこのタイプに該当 明確な原因は特定されていないが、遺伝・食生活・生活習慣など複数の要因が関連していると考えられている 二次性高血圧 なんらかの病気や状況が原因で血圧が高くなるケース 腎臓病・内分泌異常・特定の薬剤の使用などが原因 また、高血圧の発症には以下の5つの要因が関係します。 高血圧の発症リスク 内容 加齢 加齢により血管が硬くなり、血流の調整が難しくなる。とくに中高年以降で発症率が上昇。 性別 男性は中年期に高血圧が多く、女性は閉経後にリスクが高まる傾向がある。 遺伝 遺伝的要素が影響しやすく、親族に高血圧の方がいる場合、発症リスクが高まる可能性がある。 生活習慣の乱れ 塩分の多い食事や運動不足が血圧上昇の原因。肥満や喫煙、アルコールもリスク要因となる。 ストレス 精神的な負荷が交感神経を刺激し、血圧を一時的または慢性的に上昇させる場合がある。 表のとおり、高血圧の原因にはさまざまな理由が挙げられます。 とくに、生活習慣の見直しやストレス軽減など、自己管理によって改善できる部分は意識してみましょう。 また、高血圧の原因についてはこちらの記事でもさらに詳しく解説しています。 血圧でお悩みの方は参考にしていただけると幸いです。 まとめ|高血圧を予防するためストレスを溜めない生活を心がけよう この記事では、ストレスが血圧を上げるメカニズムや、高血圧を予防するための生活習慣について解説しました。 ストレスは身体にさまざまな影響を与え、血圧を上昇させる要因の1つです。 しかし、事前知識や適切な対策によって血圧をコントロールし、高血圧を予防できます。適度な運動やバランスの取れた食事、十分な睡眠を心がけることが重要です。 本記事を参考に、リラックスする時間を持って健康な毎日を過ごしていきましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、高血圧が原因となる脳出血や脳梗塞の治療も行っています。気になる症状がある方は、「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 ストレスと血圧に関するよくある質問 ストレスで血圧はどれくらい上がりますか? ストレスを感じた際、一時的に10〜20mmHg程度血圧が上がる場合があります。(文献2) 慢性的なストレスが続く場合、持続的な高血圧につながる可能性があるため注意が必要です。 メンタルと血圧は関係ありますか? メンタルの状態と血圧は密接に関係しているため、ストレスや不安が続くと交感神経が過剰に働き、血圧が上昇します。 一方、リラックス状態では副交感神経が優位となり血圧が安定します。 そのため、心の健康を保つことは血圧を安定させる上で重要です。 当院「リペアセルクリニック」では、高血圧が引き起こす疾患に効果が期待できる再生治療も行っています。「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献一覧 文献1 日本高血圧学会_高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)作成委員会 文献2 社会医療法人 春回会_高血圧とストレス
2024.04.10 -
- 関節リウマチ
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
関節リウマチは全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れを起こす病気です。 進行すると関節の変形や機能の障害を残してしまいます。 関節リウマチでは膝の痛み、膝の腫れも多い症状です。 膝が痛いとき、変形性膝関節症と考え「年のせいでは?」と悩んでいる方もいるでしょう。 もし関節リウマチだった場合に放置していると、悪化してしまう可能性もあります。 この記事では関節リウマチによる膝関節炎の症状や治療法について解説していきます。 膝の痛みでお困りの方はぜひ参考にしてみてください。 膝の関節炎とリウマチの違い 関節炎とリウマチの違いは、大きく分けると以下の通りです。 関節炎 さまざまな原因で関節に起こる炎症の総称 リウマチ 関節炎を起こしている症状の1つ たとえば関節リウマチでは、自分の体を細菌やウイルスから守る免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こります。 関節リウマチが起こると痛みや腫れを感じるでしょう。 関節リウマチは無治療のままで放置してしまうと、関節が変形など機能的な障害をきたすので注意しましょう。 以下の記事では関節炎の1つ「化膿性関節炎」について解説しています。 治療法や再発予防もまとめたので、具体的な症状なども把握しておきたい方は、ぜひご覧ください。 リウマチが発症する主な原因や症状 関節炎とリウマチの違いが理解できても「気づかないうちに痛みを感じるようになった」方もいるでしょう。 ここからは、リウマチになる主な原因と症状を順番に解説していきます。 関節リウマチの主な原因 関節リウマチの多くは40〜60歳代頃の中高年女性に発症します。 正確な原因はまだ明らかになっていませんが、自己免疫疾患とも言えるでしょう。 自分の組織に対して攻撃する抗体が作られてしまい、関節内の滑膜にリンパ系の細胞が集まって炎症性の物質が作られるのが原因とも考えられています。 【リウマチの発症が疑われるサイン】 起床時に関節部分がこわばっているように感じる 関節が腫れている 関節が熱っぽい 力が入りにくい 日常生活の作業が上手くいかない 家族にリウマチの患者がいる など 上記の症状が感じられる方はリウマチになっている可能性があるので、しっかり検査しておきましょう。 発症には遺伝的な要因や喫煙、歯周病などが関連しているとわかっています。 発症すると関節炎によって痛みや腫れを起こし、進行すると関節の変形を生じてしまうため、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の症状 関節リウマチで多い症状は手や足の指の腫れ、痛み、朝のこわばりなどです。 膝関節で滑膜が増殖して炎症を起こすと膝関節炎をきたしてしまいます。 膝関節炎の主な症状は以下の通りです。 膝が腫れる 膝に水が溜まる 歩くときや階段での痛みを感じる 膝が曲がらない など 膝の痛みは膝裏に起こるケースが多く、曲げ伸ばしのときに音が生じた経験もあるでしょう。 炎症が強い場合には安静にしていても歩けないくらいの激痛が生じる場合もあるので注意してください。 なお、リウマチはあくまで関節炎の1つなので、以下の表で似ている症状をまとめました。 病名 主な症状 膠原病(こうげんびょう) 関節に痛みを感じたり血管症などの症状がある 線維筋痛症 手足の関節だけでなく筋肉に激痛を感じるケースがある 比較的女性が発症しやすい 関節炎とリウマチの違いについてだけでなく、細かい症状の違いや治療法などが気になる方は、以下の記事で詳しく解説していきます。 膝関節炎を放置するリスク 膝の関節炎を放置しておくと、関節の軟骨がなくなってしまうだけでなく、徐々に関節の変形が進んでいきます。 日常生活を送る上で「多少の痛みだから」と放置しすぎてしまうと、膝の曲げ伸ばしが難しくなるので注意してください。 骨同士のぶつかりだけで痛みを感じる可能性もあるので、症状が悪化してしまいます。 関節の変形を生じさせないためにも、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の診断方法 リウマチの診断は問診、身体診察と血液検査、画像検査などを組み合わせて総合的に行います。関節が腫れて、痛む病気は複数あり、検査だけで関節リウマチと診断できない場合があるからです。 関節リウマチの診断基準を使用して診断を行うので、専門家である医師の診断が必須となります。 現在では2010年に米国、欧州リウマチ学会が合同で発表した分類基準を使用するケースが大半です。(文献1) 以下の4項目についてそれぞれ点数をつけ、合計して6点以上であれば関節リウマチと診断します。 診断基準 症状がある関節の数 症状が続いている期間 血液検査での炎症反応の数値 血液検査でのリウマトイド因子や抗CCP抗体の数値 血液検査では、リウマトイド因子や抗CCP抗体が重要で、多くの関節リウマチで陽性になります。 しかし、両方とも陰性でも関節リウマチと診断されたり、陽性でも関節リウマチではなかったりもします。 炎症反応は活動性を反映する指標ですが、リウマチ以外でも上昇する可能性もあるので診断結果は要チェックです。 画像検査は診断基準には含まれませんが、単純レントゲン写真では「骨びらん」と呼ばれる骨の異常な透過性がみられる場合があります。 関節エコーやMRI検査も滑膜炎の範囲、程度を評価するのに有用です。 リウマチによる膝関節の治療法 リウマチによる膝関節の治療法は、日常生活で応急処置をする方法はもちろん、専門医からお薬を処方してもらう方法などがあります。 ここからは、自宅でできる応急処置から薬物治療などの治療法を解説していきます。 体や関節を保温する 膝の関節炎だけでなく、体の関節が動かしにくいと感じた場合、患部を保温すると効果が期待できます。 冬場はもちろん、夏場の冷房があたるのも避け、長袖や長ズボンを着用しておくのがおすすめです。 患部を保温しておくと関節部分の血液がよく流れ、こわばりなどの症状を軽減する効果が期待できるのです。 関節が腫れている場合は炎症が起きている可能性があるので、保温以外の治療法を選択する必要があります。 以下の記事では、関節リウマチの初期症状や治療を詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。 食事や姿勢などの私生活を見直す 関節リウマチの患者様は、食生活だけでなく姿勢改善などを普段から実施してもらうのがおすすめです。 症状を悪化させないためにも、以下のポイントには要注意です。 砂糖や加工食品を摂取しすぎない 激しい運動を控える 首に負担をかけない 同じ姿勢を長時間とる 重いものを持つ 正座をする 喫煙をする ストレスを溜める など 詳しい改善項目は、以下の記事でまとめているので、ぜひ参考にしてください。 専門医から抗リウマチ薬を処方してもらう リウマチの治療法は基本的に薬物治療です。 リウマチと診断した早期から、抗リウマチ薬を開始し、痛みの程度に応じて炎症を抑えるステロイドや、鎮痛薬を併用します。 薬物治療を開始しても膝関節炎の症状が続く場合にはサポーターを使用したり、膝関節に注射をしたりする方法があります。 日本リウマチ学会による2020年のガイドラインから代表的なお薬を以下の一覧でまとめました。(文献2) 抗リウマチ薬 メトトレキサート(第一段階) 生物学的製剤やJAK阻害薬(第二段階) 関節リウマチはこれまで治療が難しく、関節の変形が進行してしまう患者様も多かったのですが、現在では薬剤の種類も多くなっています。 効果が高いお薬もあるため、適切に治療すれば症状を抑えられます。 しかし、膝の関節炎が治まらず、関節の変形や破壊が進行した場合、人工関節置換術などの手術治療が行われるので不安に感じている方もいるでしょう。 膝の痛みは現在、⼿術をしなくても治療できる時代になっているので、気になる方は気軽にお問い合わせください。 まとめ・関節炎とリウマチの違いを把握して適切な治療を行おう! 関節リウマチによる膝関節炎は、日常生活に大きな影響を与える深刻な疾患です。 膝の痛みや腫れを放置すると、関節の変形や機能障害が進行し、歩行困難や日常生活の質の低下を招く恐れがあります。 しかし、早期発見と適切な治療を行えば、症状の進行を抑え生活の質を維持できます。 関節リウマチの診断には、問診や身体診察、血液検査、画像検査が用いられるので、専門医による診断が必須です。 リウマトイド因子や抗CCP抗体の検査結果が重要な診断指標となり、診断基準に基づいて総合的に判断されます。 自己判断で治療を中断したり放置したりせず、定期的な診察と検査を受けるよう心がけましょう。 日常生活では関節に負担をかけないように注意し、適度な運動やストレッチを取り入れるのも大切です。 関節リウマチの早期発見と適切な治療を通じて、健康的で快適な生活を維持しましょう。
2023.09.10 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
- お皿付近に違和感
「関節リウマチになったらやってはいけないことはある?」 「関節リウマチで食べてはいけないものは?」 関節リウマチの症状を改善したくて、日常生活で何に気をつければ良いか知りたいと考えていませんか? 痛みやこわばりでつらい思いをしないで済むよう、できることがあるならやっておきたいですよね。 結論、関節リウマチとうまく付き合うために日常生活の中で避けてほしいことがあります。 本記事では、関節リウマチの患者様が避けるべき10項目を紹介します。 本記事を参考にしていただき関節リウマチの症状軽減を目指すとともに、日々の生活を快適に過ごせるように意識してみてください。 関節リウマチのしてはいけない10項目とは? 関節リウマチの患者様がしてはいけない10項目は以下の通りです。 症状を悪化させないために、紹介した10項目を避けるよう心がけてみてください。 ①砂糖や加工食品の摂りすぎ https://youtu.be/4LeBKWd3w2s?si=qFEX9A8IULDRFirM 関節リウマチの症状を悪化させる可能性がある食べものとして、以下があります。 砂糖入りの飲食物 赤身の肉 加工食品 また、不飽和脂肪酸のn-3系とn-6系の摂取するバランスが崩れることも関節リウマチの痛みと関わっているので、バランスの良い食事を意識することが大切※です。 ※出典:PMC PubMed Central 以下に根拠となる研究をご紹介します。 砂糖入りの飲食物 砂糖入りの飲みものは、以下2つの研究から関節リウマチの悪化因子であり、発症リスクを高める因子でもあることが報告されています。同時にデザートもリウマチの悪化因子だと報告があるので、注意が必要です。 217人の関節リウマチ患者を対象とした、自己申告による研究があります。20種類の食品のうち、最も関節リウマチの症状が悪化したと報告されたのは砂糖入りの炭酸飲料とデザートでした。 ※文献1:PMC PubMed Central アメリカの約19万人の女性を対象とした大規模な疫学調査では、砂糖入り炭酸飲料と関節リウマチの発症リスクの関連性を評価しています。毎日1缶程度以上の砂糖入り炭酸飲料を摂取している人は、全く飲まない、あるいは毎月1缶未満程度しか摂取しない人に比べ、リウマチ因子陽性の関節リウマチを発症するリスクが63%高いことがわかりました。 ※文献2:PMC PubMed Central 赤身の肉 関節リウマチを悪化させる可能性がある食べものとして赤身肉の報告があります。 217人の関節リウマチを有する患者を対象とした研究において「赤身肉を食べると関節リウマチの症状が悪化する」と報告した人の割合は、20種類の食品の中では高い方でした。 ※文献1:PMC PubMed Central 関節リウマチの新規患者88名とそうでない176名を比較した研究では、患者群の方が赤身肉の摂取量が高い結果でした。 ※文献3:PubMed 加工食品 加工食品の摂取量が多いと、関節リウマチ患者の心血管系疾患のリスクが高くなる可能性が報告されています。 56人の関節リウマチ患者の摂取している食品を加工レベル別に評価した結果、糖分・塩分・脂肪を多く超加工食品の摂取量が多いほど患者の心疾患リスクが上がりました。 ※文献4:SPRINGER NATURE Link 関節リウマチと食べものについてはさまざまな研究が行われていますが、いずれも摂取量の多いことが問題になっています。 関節リウマチの症状を悪化させないためにも、同じものを極端に食べすぎず、バランスの良い食事を心がけましょう。 ②激しい運動 痛みが強く出ているときは、激しい運動を避けるべきです。炎症が起きている関節に負担がかかることで、症状が悪化する場合があります。 ただし、関節の動きを良くするためにも適度な運動は推奨されています。治療を続ける中で痛みがコントロールできている場合は、適度に体を動かし、手足の筋力や関節の可動域(動かせる範囲)を維持しましょう。 関節リウマチは、関節だけでなく全身に症状が出やすい病気です。運動は無理のない範囲で行い、疲れたら休憩や昼寝など適宜休息をとりましょう。 ③体や関節を冷やす 体や関節を冷やしすぎると関節痛が強くなったり、関節が動かしづらくなったりすることがあります。 寒い季節はもちろん、夏も冷房の風が直接あたるのを避け、長袖や長ズボン、ブランケットなどで関節部位の保温を心がけましょう。温まって関節の血液の流れがよくなると、こわばりや痛みをやわらげる効果が期待できます。 ただし、関節が腫れて熱感があるときは炎症が起きている可能性もあるので、温めないようにしましょう。 ④首に負担をかける行動 関節リウマチが進行すると頚椎の炎症を起こし、頸部痛や頸部の運動制限をきたします。 過度に首に負担がかかる行動をすると、頚椎の亜脱臼を起こして脊髄神経を圧迫し、四肢の痺れや麻痺、呼吸障害が起こる可能性があるのです。 首に負担がかかる動作の一つに起居動作が挙げられます。朝はできる限りベッドから急に立ち上がらず、一度腰かけてから立つ習慣をつけましょう。朝は不用意に首を回さないようにし、首の運動は医師の診察を受けた上で行うことが重要です。 ⑤肥満 肥満だと膝や股関節などの主要な関節に過剰な負担がかかり、炎症が悪化する可能性があります。体重管理を適切に行うことで関節への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐよう心がけましょう。 体重管理の観点からバランスの取れた食事と適度な運動が重要です。 ⑥同じ姿勢を長時間とる 同じ姿勢を長時間保つのは同じ部位に負担をかけてしまいます。定期的に姿勢を変えて、関節に負担がかかりすぎないようにしましょう。 特にデスクワークや座りっぱなしの仕事では、適度に休憩をとったり、ストレッチを行ったりすることが重要です。 ⑦重いものを持つ 関節リウマチの好発部位は、手指や手首の関節です。重いものを持つと過剰な負担をかけ、炎症や痛みを悪化させる原因となります。 日常生活では重いものを持つ機会をできるだけ避け、必要な場合は道具などを利用して負担を軽減しましょう。 症状があるとうまくものが持てないこともあるので、周囲のサポートを得るのも大切です。 ⑧正座をする 正座は膝関節に大きな負担がかかるので可能な限り避けましょう。とくに、正座を長時間続けるのは、膝や足首の可動域が制限され血行不良を招きやすいので、関節の痛みや腫れを引き起こす可能性があります。 正座を避けて椅子に座る、膝を伸ばして楽な姿勢をとるようにしましょう。 関節リウマチによる膝の関節炎について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 ⑨喫煙をする 関節リウマチの患者様は、禁煙が勧められます。喫煙は関節リウマチの症状を悪化させるだけでなく、病気を進行させる要因になり、死亡リスクが上がる可能性も報告されています。 とくに死亡リスクに関しては、リウマチの診断後に禁煙した人は喫煙を継続した人よりも死亡リスクが低くなると報告されていました。(文献6) 今更だと思わずに、早めに禁煙に取り組みましょう。 関節リウマチと喫煙の関係性を詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 ⑩ストレスを溜める 手がこわばってものがつかみにくいなど、関節リウマチの患者様は日常生活の不自由さからストレスを感じやすいです。ストレスが溜まることで自律神経の乱れやメンタルに不調をきたしてしまうことから、健康的な生活から遠ざかる可能性があります。 リラクゼーションや適度な運動を取り入れて、ストレスを溜めないことが、関節リウマチの治療を後押ししてくれます。 関節リウマチかも?と思ったら早めに受診しよう 関節リウマチかもしれないと思ったら、早めに整形外科を受診しましょう。 関節リウマチは、進行すると関節の変形や機能障害を引き起こし、日常生活に支障をきたす病気です。始めは軽い痛みや腫れであっても、時間が経つにつれて悪化し、治療が遅れると回復しづらくなります。 関節リウマチを疑う症状として、以下のようなものがあります。 服のボタンが外しづらい びんの蓋が閉められない 床に落としたものが拾えない 朝起きたときにベッドから起き上がれない 早期に受診し適切な治療を開始すれば、薬物療法やリハビリテーションで関節の損傷を抑えつつ症状をコントロールすることが可能です。 もとに戻らないほど関節が変形してしまう前に、早めに整形外科へご相談ください。 関節リウマチではない膝の痛みは変形性膝関節症かも?詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 関節リウマチに関するよくある質問 関節リウマチに関するよくある質問をまとめて紹介します。 関節リウマチとはどんな症状ですか? 関節リウマチの症状には、関節の動かし始めがスムーズにいかない「こわばり」や腫れ・痛みなどがあります。 関節リウマチは免疫機能の異常によって骨や軟骨・関節の破壊が起こることが原因とされています。万が一「関節リウマチかも?」と思ったら早めに受診しましょう。 関節リウマチの症状について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 関節リウマチは生物学的製剤で本当に治せますか? 生物学的製剤で効果があれば、休薬しても症状が落ち着いている状態を目指せます。 関節リウマチの原因である免疫異常の改善が期待できる上、炎症を抑える効果もあるため、進行を抑えながら症状をコントロールできます。 関節リウマチで使われる生物学的製剤について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 関節リウマチになりやすい性格はありますか? 関節リウマチになりやすい性格は、ありません。 ただ、我慢強い性格の人は治療開始が遅れたり、神経質でストレスを感じやすい人は治療が難航したりする可能性があります。違和感があったら早めに受診し、不安があれば専門医に相談しましょう。 再生医療の幹細胞治療に関する詳細は以下をご覧下さい 関節リウマチのしてはいけない10項目を守ろう 関節リウマチの患者様には、してはいけない10項目を避けて、健康的な食事とライフスタイルを心がけましょう。 重症化すると、普段の生活もままならなくなってしまう可能性があります。 治療と並行して関節の負担を減らし、症状をコントロールできるよう、普段の生活から意識してみてください。 万が一、関節リウマチの治療をしていても膝の痛みがよくならない場合は、他の疾患が隠れているかもしれません。 再生医療が適応になる可能性がありますので、お困りの場合は当院へご相談ください。
2022.08.19 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
- 関節リウマチ
- 膝の慢性障害
膝の水が溜まって痛みがある。 溜まっている膝の水を、できるなら自分で抜きたい。 膝に溜まった水が気になり、抜く方法を知りたいと考えていませんか。しかし、膝の水を抜くのは癖になってしまうという話を聞いて、不安になっている方もいるかもしれません。 膝の水を抜く方法は「病院」と「セルフケア」で2種類ありますが、自分でできるストレッチやマッサージは負担軽減の側面が大きいため、根本的な改善に至らないこともある点には注意が必要です。 この記事では【医師監修】のもと、病院で行われる膝の水を抜く処置の具体的な流れや注意点、そしてご自身でできるストレッチ・マッサージといったセルフケア方法を詳しく解説します。 「癖になるって本当?」「自分でできることはないの?」といった疑問にもお答えしていきますので、あなたの膝の悩みを解消するための一歩として、ぜひ最後までお読みください。 また、リペアセルクリニック公式YouTubeでも「膝の水を抜く方法」について詳しく解説していますので、あわせてご参考ください。 病院で膝の水を抜く方法 膝の水を抜く方法のひとつとして、病院での処置をイメージする方も多いでしょう。 本章では、病院での処置や注意点について解説します。本章を参考に膝の水を抜くかどうかを検討してください。 処置には注射器を使う 病院では主に整形外科にて、注射針を関節に刺して膝の水を抜く「関節穿刺」を行う場合があります。(文献1) 膝の水の正体は「滑液(かつえき)」です。滑液が膝に溜まることで関節を圧迫し、膝の痛みを悪化させる可能性があります。そのため、膝の水を抜くと症状の緩和が期待できます。 膝の水を抜く際、注射針を刺した直後以外に激しい痛みを伴うケースは稀です。ただし人によっては痛みが気になる方もいるため、処置後に違和感がある場合は、担当の医師に相談しましょう。 症状に応じてヒアルロン酸を注入する 膝の水を抜いた後や変形性膝関節症では、症状を和らげる目的でヒアルロン酸を注入することがあります。通常、週に1度あるいは数週間に1度の頻度でヒアルロン酸を注入し、効果がみられれば継続します。 病院でのヒアルロン酸の注入は保険適応になるケースが多いため、治療費を抑えられるメリットも期待できるでしょう。 ヒアルロン酸の注入は一時的に痛みや炎症を抑える効果がありますが、持続的ではないため定期的な通院が必要です。 また、根本的な原因疾患の治療でないため、医師の指示に従いリハビリや運動療法など根本的な原因を改善する治療と並行しましょう。 病院で膝の水を抜いた直後は安静にする 病院で膝の水を抜いた直後は、安静にして過ごすように指導されます。処置を行った当日は、以下の2点は行わないように注意しましょう。 激しい運動 入浴 また、処置の後には以下の合併症のリスクがあります。 合併症 症状 感染症 注射部位の腫れや熱感、痛みが長時間続く、または症状の悪化 出血 注射部位を圧迫しても止血しない 上記のような症状があらわれたら、早めに受診するようにしましょう。 膝の水を抜いた後の注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 自分で膝の水を抜く方法は?ストレッチやマッサージ方法を紹介 病院で処置してもらう以外にも、自分でストレッチやマッサージを行って膝の水を抜くことも可能です。 本章では、セルフケアで膝の水を抜く方法と注意点を解説します。 「できるなら自分で膝の水を抜きたい」という方は、本章を参考に、ストレッチやマッサージを行ってみましょう。 ①パテラセッティング:膝のお皿周りの筋肉を刺激する パテラセッティングは、膝を支える重要な筋肉である太もも前側(大腿四頭筋)を、比較的膝関節に負担をかけず安全に鍛えることができる基本的な運動です。 この運動は、膝関節自体を大きく動かさずに大腿四頭筋を刺激できるため、膝に痛みがある場合でも比較的行いやすいトレーニングです。 膝のお皿(膝蓋骨)が少し上に動くのを確認しながら行うと効果的です。 ② 太もも前側(大腿四頭筋)のストレッチ:膝を支える筋肉の柔軟性を高める 膝の曲げ伸ばしに大きく関わる太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)を伸ばし、柔軟性を高めることで膝への負担を軽減するストレッチです。 膝自体に痛みがある場合は、曲げる角度を調整するか、このストレッチを控えてください。 筋肉が温まっているお風呂上りなどに行うとより効果的です。 ③ お尻周りのストレッチ:股関節から膝への負担を軽減する お尻周りの筋肉(殿筋群)の柔軟性を高めることで股関節の動きをスムーズにし、結果的に膝への負担を軽減する効果が期待できるストレッチです。 股関節や膝に痛みがある場合は、無理のない範囲で行いましょう。 デスクワークの合間などにも手軽に取り入れやすいストレッチです。 ④ 膝周り・太もものマッサージ:血行を促進し筋肉をほぐす 膝周りや太ももの筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することで、膝の不快感の軽減や動きの改善をサポートするマッサージです。 マッサージは、筋肉がリラックスしている入浴中や入浴後に行うのが効果的です。 オイルやクリームを使うと滑りが良くなり、肌への負担も軽減できます。 注意点:痛みや違和感がある場合は無理に動かさない 痛みや違和感があるときは、炎症が起こっているサインです。 むやみに触ると悪化する可能性があるため、ストレッチやマッサージなどのセルフケアはおすすめできません。無理に動かさず、早めに医療機関へ行きましょう。 マッサージやストレッチは血の巡りをよくする効果が期待できますが、誤った方法で無理に行うと、症状が悪化する恐れもあります。 また、痛みを感じるときは、膝に負担をかけないよう歩行や荷物の持ち運びなどの動作にも注意しましょう。 膝の水が溜まる原因は「炎症による関節液の過剰分泌」 膝の水が溜まる原因は、炎症反応によって「関節液」が余分に分泌されるためです。 関節液は、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割をしています。関節液は常につくられながら吸収され、一定量になるよう調整されています。 しかし、なんらかの疾患によって炎症が起こると、いつもより早いペースで関節液がつくられ、膝の水が溜まります。(文献2) 膝に水が溜まる原因の病気は、以下のとおりです。 半月板損傷 変形性関節症 靭帯損傷 痛風、偽痛風 関節リウマチ 骨折 感染や外傷 これらの病気になると膝に水が溜まりやすくなります。膝の水を根本的に改善するには、水を抜く処置をして痛みを緩和しつつ、原因となる病気を治療することが大切です。 膝に水が溜まる原因についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 まとめ|膝の水を抜くなら医療機関に相談しよう 今回の記事では膝の水を抜く方法やセルフケアを中心に解説しました。 症状が出現した際に、自己判断で放置したり誤ったセルフケアを行ったりすると、悪化する可能性があります。膝の水を適切な方法で抜きたい場合は、医療機関に相談しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、人体に元々ある幹細胞を活用した「再生医療」による膝の痛みや変形性膝関節症の治療が可能です。 「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 膝の水に関してよくある質問 膝の水を抜くと癖になりませんか? 膝の水を何度も抜くのが原因で、癖になるわけではありません。 膝の水を抜いても再び溜まってしまうのは、関節に炎症が起こっている根本的な原因の病気が改善されていないためです。 原因の病気として、半月板損傷や変形性関節症などが知られています。痛みを和らげるためには、原因の病気の治療をしながら膝の水を抜くことも大切です。 膝の水は自然に抜けますか? 稀に自然治癒する場合もあります。長期期間放置しても、必ず自然治癒するわけではありません。 放置すると関節が固まって動きにくくなった「拘縮状態」に陥るリスクもあります。 拘縮状態になると膝の曲げ伸ばしが辛くなり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。そのため、1カ月以上膝の水の溜まりを放置するのはおすすめできません。 膝の水を自然に抜けるまで長期間待たずに、早めに受診するようにしましょう。 参考文献一覧 文献1 水原寛康. 関節穿刺. 医学書院 医療情報サービス. 2024年10月18日. 文献2 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
2022.06.29 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
膝の人工関節置換術は、変形性膝関節症などで進行した関節疾患に対する代表的な外科的治療の一つです。 注射などの薬物療法やリハビリなどの保存療法では十分な改善が見られない場合に選択される手術で、痛みの軽減や運動機能の改善を目指します。 本記事では、膝の人工関節置換術の手術内容や対象となる症状、合併症リスク、術後のリハビリまでをわかりやすく解説します。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、手術を伴わない治療法の「再生医療」に関する情報の提供や簡易オンライン診断を実施しています。 人工関節を避けたい方や、再生医療について興味がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 膝の人工関節置換術とは? 膝の人工関節置換術は、傷んだ関節の表面を人工の関節に置き換える手術です。 関節の機能を回復させ、再び自分の足で快適に歩けるようにすることを主な目的としています。 ここでは、膝の人工関節置換術の対象となる方、手術で得られる効果、そして保存療法との違いについて解説します。 なお、そもそも人工関節とは何なのか、詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。 どんな人が対象になるのか 膝の人工関節置換術は、膝の痛みや関節の変形が進み、日常生活に支障を感じている方が主な対象です。 とくに次のような症状がある場合は、膝の軟骨や骨が大きく傷んでいる場合が多く、自然に元に戻ることは難しいとされています。 膝の痛みが強く歩行や立ち上がりが困難になっている 階段の上り下りや正座ができないなど動作の制限がある 膝の変形が進行しO脚が目立つようになってきた 夜間の痛みで眠れない・安静時にも痛む 膝の可動域が狭く動かすと強い痛みを感じる 上記の症状が続く場合、まずは整形外科を受診して膝の状態を詳しく調べてもらいましょう。 手術以外の選択肢が見つかる場合もあるため、医療機関へ早めに相談することが大切です。 膝の人工関節置換術で得られる主な効果 膝の人工関節置換術を受けることで、長年悩まされていた膝の痛みが軽くなり、動作がスムーズになる方が多く見られます。 具体的には、次のような効果が期待できます。 膝の痛みが大幅に軽減し歩行や立ち上がりが楽になる 階段の上り下りや外出がしやすくなり行動範囲が広がる 旅行や買い物など、以前は避けていた活動を再び楽しめるようになる 日常生活の質(QOL)が向上し毎日の動作にゆとりが生まれる 痛みや不安が減ることで気持ちが前向きになりストレスが軽減する ただし、効果の感じ方には個人差があります。 手術後のリハビリや筋力回復への取り組み方が、満足度を左右する大切なポイントです。 人工関節置換術と保存療法の違い 膝の痛みに対しては、まず痛みを和らげて関節の動きを保つことを目的とした「保存療法」が行われます。 保存療法では、主に次のような治療法が用いられます。 薬物治療:消炎鎮痛薬や外用薬で炎症や痛みを抑える ヒアルロン酸注射:関節の潤滑を保ち、動きをなめらかにする 温熱療法:温めて血流を促し、こわばりを軽減する 筋力トレーニング:太ももの筋肉を鍛えて膝への負担を減らす 保存療法は、初期〜中期の膝関節症には効果的ですが、軟骨の摩耗や変形が進むと効果が十分に得られない場合があります。 一方、膝の人工関節置換術は、傷んだ関節部分を人工の関節に置き換え、痛みの根本的な原因を取り除く治療です。 つまり、保存療法が「痛みを抑える治療」だとすれば、人工関節置換術は「痛みを生み出す原因を改善する治療」といえます。 膝の人工関節置換術の種類と手術の流れ 膝の人工関節置換術には、関節の状態に応じていくつかの方法があります。 ここでは、膝の人工関節置換術の方法と、実際の手術までの流れについて解説します。 人工関節の種類 膝の人工関節置換術には、「全置換術」と「部分置換術」の2種類があります。 どちらも痛みを取り除き、関節の動きを取り戻すことを目的としていますが、対象となる症状や手術の範囲が異なります。 全置換術 全置換術は、膝関節の傷んだ部分をすべて人工関節に置き換える手術です。 軟骨のすり減りや変形が広範囲に及び、関節全体が傷んでいる場合に行われます。 金属や樹脂でできた人工関節を大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)に固定し、滑らかな動きを再現します。 痛みの改善効果が高く、長期的な安定性も得られることが特徴です。 部分置換術 部分置換術は、膝の中でも損傷が進んでいる一部分だけを人工関節に置き換える方法です。 関節の損傷範囲が限られている場合に選ばれる手術方法で、健康な軟骨や骨をできるだけ残せるのが大きな特徴です。 手術の負担が小さく、回復が早い傾向がありますが、残っている関節部分が将来的に悪化する可能性もあるため、定期的な経過観察が必要です。 人工関節置換術(膝)前の検査・準備 膝の人工関節置換術を安全に行うためには、事前の検査や準備が欠かせません。 手術前は全身の状態を確認するため、主に次の検査や準備を行います。 血液検査 心電図 レントゲン 感染症の有無 感染予防(手術部位の皮膚を清潔に保つなど) また、糖尿病や高血圧などの持病がある場合は、事前に数値を安定させておくことも大切です。 人工関節置換術(膝)にかかる時間と入院期間の目安 膝の人工関節置換術の手術時間は、一般的に2〜4時間程度が目安です。 ただし、症状の程度や手術方法によって多少前後する場合があります。 手術後は安静期間を経てリハビリを始めるため、入院期間はおおよそ2〜3週間程度が一般的です。 回復のスピードには個人差がありますが、医師や理学療法士の指導のもとでリハビリを続けると、無理なく日常生活に戻ることができます。 人工関節置換術(膝)の対象となる代表的な4つの疾患 膝の人工関節置換術は、さまざまな原因で関節が傷み、痛みや変形が進行した場合に行われます。 手術の対象となる代表的な疾患には、次の4つが挙げられます。 変形性膝関節症 関節リウマチ 大腿骨顆部壊死症 外傷後の膝関節障害 それぞれの疾患について、詳しくみていきましょう。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、膝の関節にある軟骨がすり減り、炎症や痛みを引き起こす慢性的な疾患です。 膝の人工関節置換術を受ける方の多くが、この変形性膝関節症と診断されています。 主な原因は加齢や長年の膝への負担、肥満や筋力の低下、O脚なども影響するといわれています。 症状が進むと、歩行や階段の上り下りが難しくなり、関節が変形してしまう場合もあります。 関節リウマチ 関節リウマチは、免疫の異常によって自分の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。 関節に慢性的な炎症が起こり、軟骨や骨が少しずつ破壊されていきます。 手や足など複数の関節に症状が現れるのが特徴で、膝関節が変形すると歩行が困難になる可能性もあります。 薬で炎症を抑えても痛みや変形が進む場合、人工関節置換術によって関節の機能を回復させることが検討されます。 大腿骨顆部壊死症 大腿骨顆部壊死症は、太ももの骨(大腿骨)の関節部分への血流が悪くなり、骨の一部が壊死してしまう病気です。 壊死した部分の骨が沈み込むことで関節面が変形し、強い痛みが生じるようになります。 発症の原因は明確でないこともありますが、ステロイド薬の長期使用や過度な飲酒などが関係するといわれています。 関節の破壊が進んだ場合は、人工関節置換術で壊死した部分を人工の関節に置き換えることで、痛みの改善が期待できます。 外傷後の膝関節障害 交通事故やスポーツ外傷などで膝の骨折や靭帯損傷を経験した場合、時間の経過とともに関節の変形が進む場合があります。 外傷後の膝関節障害は、ケガの後遺症として関節の軟骨がすり減り、痛みや動かしにくさが残るのが特徴です。 保存療法で痛みの改善が見られない場合や、関節の変形が強く進行している場合には、人工関節置換術が検討されます。 膝の人工関節置換術で起こり得る合併症リスク 膝の人工関節置換術は一般的に安全な手術とされていますが、まれに合併症が起こる場合もあります。 主な合併症には、次の3つがあります。 傷口や人工関節周囲で起こる感染症 関節脱臼 人工関節のゆるみ ここで、それぞれの合併症について詳しく解説します。 傷口や人工関節周囲で起こる感染症 膝の人工関節置換術後でとくに注意したいのが、傷口や人工関節の周囲に細菌が入り込むことで起こる感染症です。 軽い場合は抗生物質の投与で治まりますが、炎症が強いと膝が腫れたり、熱を持ったりする場合があります。 まれに人工関節の内部まで感染が広がると、人工関節を入れ替える再手術が必要になる可能性もあります。 感染を防ぐためには、手術前後の体調管理や清潔な環境を保つことが重要です。 医療スタッフと連携して感染予防に努めましょう。 関節脱臼 人工関節を入れたあと、関節が正しい位置から外れてしまう「脱臼」が起こる場合があります。 これは、急に膝をひねったり、深く曲げすぎたりすることで発生しやすく、術後すぐの時期はとくに注意が必要です。 脱臼が起きると膝の痛みや不安定感が強くなるため、すぐに医師の診察を受けることが大切です。 リハビリの段階で医師や理学療法士の指導を守り、正しい姿勢や動作を心がけると脱臼のリスクを減らせます。 人工関節のゆるみ 人工関節は年月の経過による摩耗や、膝に強い負担がかかる生活動作が原因で、少しずつ骨との結合部分が緩んでくる場合があります。 人工関節がゆるむと、痛みや違和感、膝のぐらつきが生じることがあり、放置すると歩行に支障をきたす場合もあります。 症状が出た際は早めに受診し、必要に応じて人工関節を入れ替える「再置換術」を検討します。 定期的な診察を受け、膝の状態を確認しておくことが長く快適に過ごすためのポイントです。 膝の人工関節置換術後の生活とリハビリ 膝の人工関節置換術後、安静期間を経て、少しずつ体を動かすリハビリが始まります。 膝の動きを取り戻すためには、焦らず段階を踏んで回復を目指すことが大切です。 ここでは、術後のリハビリの流れや、日常生活で気をつけたいポイントについて解説します。 術後すぐの安静とリハビリ開始時期 人工関節置換術のあと、手術当日は安静に過ごし、翌日からリハビリを始めるのが一般的です。 初めはベッドの上で足首を動かしたり、膝を少しずつ曲げ伸ばししたりなどの軽い運動からスタートします。 数日後にはベッドから立ち上がる練習を行い、歩行器や杖を使って短い距離を歩く練習へと進みます。 この早期リハビリは、膝が硬くなる「関節拘縮(かんせつこうしゅく)」を防ぎ、回復をスムーズに進めるうえでとても大切です。 医師や理学療法士と相談しながら、無理のない範囲で体を動かすことが回復につながります。 日常生活への復帰までの流れ 膝の人工関節置換術後しばらくは、歩行補助具を使っての移動から始まり、数週間かけて自力歩行を目指します。 リハビリでは、膝の曲げ伸ばしだけでなく、太ももやお尻の筋肉を鍛える運動も行い、膝にかかる負担を減らしていきます。 退院後は、家の中での生活動作に慣れることが次のステップです。 階段を使うときは手すりを活用し、床に座る動作を避けて椅子中心の生活を心がけます。 一般的に、手術から1〜3カ月ほどで日常生活を送れるようになる方が多く、6カ月ほどで旅行や軽い運動を楽しめるようになるケースもあります。 焦らずに自分のペースでリハビリを続けることが、膝の機能を長く保つポイントです。 注意すべき動作や生活習慣 人工関節を長く快適に使うためには、膝に大きな負担をかけない生活を意識することが大切です。 とくに、正座やあぐらのように膝を深く曲げる姿勢は避けるようにしましょう。 また、床に直接座るよりも椅子に腰かける習慣をつけると、関節への負担を軽減できます。 階段を使う際は、必ず手すりを利用し、急いで動作しないことも重要です。 さらに、体重が増えると膝への負担が大きくなるため、食事内容を見直したり、ウォーキングや水中運動など無理のない運動を取り入れたりするのがおすすめです。 再手術の可能性について 人工関節には寿命があり、一般的には15〜20年ほど使用できるといわれています。 ただし、長期間の使用や膝への過度な負担によって、人工関節が摩耗したり、骨との結合がゆるんだりする場合があります。 その際は、再び人工関節を入れ替える「再置換手術」が必要になることもあります。 再置換手術は初回よりも難易度が高いため、人工関節をできるだけ長く保つことが重要です。 人工関節を長く使用するためにも、定期的に検診を受けて膝の状態を確認し、違和感や痛みを感じたときは早めに医師へ相談しましょう。 手術を伴わない治療法「再生医療」について 膝の人工関節置換術は、関節の変形や軟骨の損傷が進行した場合に有効な治療法ですが、「できれば手術を避けたい」「入院や大きな負担をかけずに治療したい」という方も少なくありません。 そうした方にとって、手術を伴わない再生医療は、膝の状態や生活の質を保つための新しい選択肢の一つといえます。 再生医療は、自分自身の体から採取した細胞や血液の成分を利用し、もともと体に備わっている修復力に着目した治療法です。 膝関節の機能を整えることを目的とし、入院や全身麻酔を必要としないため、日常生活への影響が少ないのが特徴です。 ただし、人工関節置換術後に再生医療を行うことはできません。 再生医療を検討する場合は、人工関節手術を受ける前の段階で医師に相談することが大切です。 人工関節手術を選択せず、再生医療による治療を受けた症例については、以下の記事をご覧ください。 まとめ|膝の人工関節置換術を正しく理解して納得のいく治療法を選択しましょう 膝の人工関節置換術は、進行した関節の損傷によって歩行や立ち上がりが難しくなった方に行われる治療法です。 手術やリハビリを通して少しずつ動きが戻ることで、外出や趣味を再び楽しめるようになる方も多くいます。 また、手術を検討する前の段階では、リハビリや注射といった保存療法のほかに、再生医療という新しい治療の選択肢もあります。 自分の体の状態や生活スタイルに合わせて、どの方法が適しているかを見極めることが大切です。 不安や疑問を一人で抱えず、信頼できる医療機関で納得のいく説明を受けながら、自分に合った治療法を見つけていきましょう。
2022.06.21 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
「朝起きたら膝が痛い」「寝ている間に膝がこわばって動かしづらい」といった症状に心当たりはありませんか? 日中はあまり気にならなくても、朝だけ膝に痛みや違和感を覚えることが続くと、何かのサインかもしれないと不安になる方も多いでしょう。 本記事では、寝起きに膝が痛む原因や考えられる疾患・症状を軽くするためのセルフケアや対処法について、医師の見解を交えてわかりやすく解説しています。 朝だけの症状だからと放置せず、日常の小さな違和感を見逃さないことが大切です。 「この症状、自分にも当てはまるかも?」と少しでも感じた方は、ぜひ一度、当院(リペアセルクリニック)の公式LINEで気軽に情報をチェックしてみてください。 膝の痛みに関する情報や再生医療によるアプローチ、実際の症例などをわかりやすく配信しています。 ちょっとした不安の確認にも役立ちますので、「相談まではまだ早いけれど、情報収集だけしたい」という方にもおすすめです。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 朝起きたら膝が痛いのはなぜ?原因を判断するためのチェックリスト 寝起きに膝が痛いのが膝の病気か判断するためのチェックリストは、以下の通りです。 上記のような症状が多く当てはまるほど、変形性膝関節症などの膝の病気である可能性が高いです。 寝起きだけでなく、寝ているときにも膝が痛む場合や歩けないほど膝が痛い場合は、重度の疾患の可能性があります。 痛みが長引いて生活に支障がでる前に医療機関を受診しましょう。 寝起きに膝が痛い原因として考えられる疾患 寝起きに膝が痛む症状は「関節リウマチ」と、「変形性膝関節症」疾患の特徴です。 それでは、なぜこのような症状が起きるのでしょうか。 関節は骨と骨のつなぎ目ですが、そこにはクッションの役割を果たす「軟骨」と、潤滑油の役割を果たす「関節液」があります。 関節リウマチや、変形性膝関節症といった疾患ではこの軟骨に障害が及んだり、関節液の量の調整がうまくいかなくなったりする結果、しばらく関節を動かさないと朝起きたとき時や、動き始めのとき時にこわばりや、痛みを感じることがあります。 関節を動かしてしばらく経つと、関節液の量が自然に調節されて症状が改善することがあります。ここからは、これらの主な原因となる関節リウマチと変形性膝関節症について解説していきます。 ▼放っておくと危険!膝の痛みに潜む重大な病気について1分で解説 https://youtube.com/shorts/SFl4q1RCuCw?feature=shared 変形性膝関節症 変形性膝関節症は主に加齢により発症すると考えられており、膝関節の痛みやこわばり、関節可動域の制限などといった症状が認められます。変形性関節症は膝以外にも手足や脊椎に発症します。 【変形性膝関節症の診断】 典型的な症状や病歴があれば必ずしも画像などによる検索は必要ではないとされています。 しかし、非典型的な症状を伴う場合には同様の症状をきたす別の疾患を想定して画像検査や血液検査を必要とします。 レントゲンでは関節裂隙の狭小化や骨棘などといった所見を認めることがありますが、血液検査では変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 【変形性膝関節症の治療】 変形性膝関節症は基本的には加齢による変化であり、痛みの制御を目的とした治療が主となります。具体的には消炎・鎮痛薬の使用を症状に応じて行うことになります。 しかし、加齢による変化そのものは不可逆性です。消炎・鎮痛薬の使用で症状がコントロールできない場合などは人工関節置換術といった手術による治療を考慮する必要もあります。 【変形性膝関節症の対処法】 変形性膝関節症の予防 変形性膝関節症の対処法 生活習慣の改善 靴の見直し 軽度な運動 サポーターの装着 変形性膝関節症の予防策として、体重管理(適度なダイエット)が挙げられます。体重が増えると、膝への負担が増加するのも必然です。生活習慣の見直しからスタートしてみましょう。 また、普段から履いてる靴が適切なものでないと膝に負担がかかります。ハイヒールやサイズが合っていない靴は極力避ける努力も必要です。 対処法としては、適切かつ軽度な運動やサポーターの装着が挙げられます。運動は膝周りの筋肉を伸ばすストレッチなどが適切で、安静にしすぎて筋力が衰えしまわないよう無理ない範囲で行いましょう。 また、サポーターの装着も膝周りの不安感を解消してくれる心強い味方です。 関節リウマチ 関節リウマチは膝を含む全身の関節に起こる炎症を特徴とする疾患です。その原因には不明なところが残っているものの、関節組織に対する自己免疫の関与が考えられています。 一般的には手足の指の関節から始まることが多く、左右対称制の症状、朝のこわばりなどの典型的な症状が知られています。自己免疫の関与が考えられている関節リウマチですが、関節外に目や血管に症状をきたすこともあります。 【関節リウマチの診断】 関節リウマチの診断は、関節症状などの病歴だけで判断しません。レントゲン上での関節裂隙の狭小化などの所見、全身の炎症を反映した血液検査でのリウマチ因子・特殊抗体などを総合的に判断してなされます。 関節炎などの症状が出た場合は整形外科などへの受診をまずは考えますが、関節リウマチは膠原病内科やアレルギー内科などが専門となることがあります。適切な診療科も含めて、気になる症状がある場合はかかりつけまたは最寄りの医療機関に相談してみましょう。 【関節リウマチの治療】 自己免疫の関与が考えられている関節リウマチの治療法は、消炎・鎮痛といった一般的な関節痛にも共通する治療だけでなく、過剰な自己免疫を制御する免疫調整薬の使用が必要になることがあります。 このような治療は専門家の詳細な評価を必要とする場合が多いため、かかりつけ医の意見をよく聞いて治療を進めるようにしましょう。 【関節リウマチの対処法】 関節リウマチの予防 関節リウマチの対処法 食生活の改善 喫煙習慣の改善 安静にする 関節の保温 関節リウマチの発症を抑えるためにも、食生活の改善は必須です。 体重増加の元となる脂質・糖質類を摂りすぎには注意しましょう。また、喫煙もリウマチが発症・悪化する要因とされているため、控えておくべきです。 発症後の具体的な対処法としては、安静治療が基本です。心身の疲れを溜めないよう心がけましょう。また、関節を冷やす行為は悪化の要因となりえます。日頃から適度な保温を意識しましょう。 寝起きに膝が痛いときの悪化を防ぐための対処法 寝起きに膝が痛いときの悪化を防ぐための対処法をを紹介します。 体重管理 膝周辺の筋トレ 薬物療法 以下では、それぞれの対処法について詳しく解説していきます。 体重管理 寝起きに膝が痛い時は、急激な体重増加や肥満にならないように体重管理を行いましょう。 体重が1kg増加すると、歩行時に膝にかかる負担は2〜3kg増えるといわれています。 そのため、急激な体重増加や肥満によって膝に継続的な負担がかかると、変形性膝関節症などの発症リスクが高くなってしまいます。 食生活の改善や適度な運動によって体重を管理することが重要です。 膝周辺の筋トレ 寝起きに膝が痛い時は、筋力トレーニングによって膝周辺の筋力を鍛えることも重要です。 膝を支える筋力を鍛えることで膝の負担を軽減し、症状の悪化防止につながります。 痛みが強い場合は無理をせずに、できる範囲の筋トレを実施しましょう。 薬物療法 寝起きに膝が痛い時は、医療機関を受診し、痛み止めの服用などの薬物療法による治療を受けましょう。 薬物療法では患者さまの痛みや症状に応じて、消炎鎮痛薬のロキソニンやカロナールの服用、ヒアルロン酸注射を行います。 適切な治療方針は患者さまによって異なるため、自分に合った薬を処方してもらうことが重要です。 寝起きの膝が痛いときは早期に医療機関を受診することが重要 今回の記事では朝起きると膝が痛み、歩きはじめ膝に違和感を感じたときに想定される疾患である関節リウマチと、変形性膝関節症の症状と治療法について解説しました。 二つの疾患は類似点もありますが、診断や治療など、大きく異なる点もあります。より詳しく知りたい場合は既に受診している整形外科、または最寄りの医療機関に問い合わせてみましょう。 しかし、お近くに相談できる医療機関がない場合や、まずは話だけでも聞いてみたい・自分の症状が当てはまるか不安という方もいらっしゃると思います。 当院(リペアセルクリニック)では、無料の電話相談に加えて、公式LINEでも再生医療や膝の症状に関する情報をわかりやすく配信しています。 まずはLINEから気軽にチェックしてみてください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ ▼膝の痛みに関しては、以下をクリックでご自宅からでも簡単に相談いただけます。 >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00)
2022.06.17 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
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- 関節リウマチ
- 靭帯損傷
- 膝部、その他疾患
「歩くと膝の裏が痛い」「しゃがむとピキッと違和感がある」足の不快な症状に心当たりはありませんか? 膝の裏の痛みは、加齢や運動不足によるものから、半月板損傷や血栓などの病気が隠れているケースまで、さまざまな原因が考えられます。自己判断で放置してしまうと、悪化して日常生活に支障が出ることもあるため注意が必要です。 この記事では、膝裏の痛みの主な原因や治療法、自宅でできるセルフケア方法まで、わかりやすく解説します。「これって放っておいても大丈夫なのかな」と不安な方は、ぜひ最後までご覧ください。 すぐに解消したい膝の裏の痛みでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談へご連絡ください。 膝の裏が痛い原因として考えられる疾患|一覧表 膝の裏が痛む際に原因として考えられる疾患には、変形性膝関節症や関節リウマチなどがあります。ここからは、代表的な疾患を説明していきます。 疾患名 特徴 変形性膝関節症 ・膝の軟骨がすり減り、動き始めや長時間の歩行で痛む ・進行すると膝裏のこわばりや張り感も出る 半月板損傷 ・膝を曲げ伸ばしするときや体重をかけたときに痛む ・膝の引っかかり感や可動域制限がある ベーカー嚢腫 ・膝裏に袋状の腫れができ、曲げ伸ばしで違和感や痛み ・関節液が過剰に溜まることで発生 関節リウマチ ・朝のこわばりや膝関節の腫れ ・自己免疫反応による関節炎症 靭帯損傷 ・スポーツや転倒で膝がぐらつく、激しい痛み ・腫れや可動域制限を伴うことが多い 膝裏の筋肉の損傷 ・急なダッシュやジャンプで発症 ・膝裏から太ももにかけて鋭い痛み 腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 ・腰から膝裏にかけての放散痛 ・しびれや感覚異常を伴うことがある リンパによる膝裏の痛み ・リンパの滞りで膝裏に張り感や鈍い痛み ・むくみや圧迫感を伴う 反張膝 ・膝が後ろに反りすぎて関節や筋肉に負担 ・長時間の立位で膝裏に痛みが出る 歩行時や屈伸時(しゃがむ・立ち上がり)に膝の裏が痛む疾患 しゃがむ・立ち上がるといった屈伸動作の際に膝の裏が痛む場合、原因は関節や筋肉、膝裏の構造に関わる疾患であることが多いです。ここからは、それぞれの特徴や痛みの出方について詳しく見ていきましょう。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、中高年の女性によくみられます。 関節の軟骨がすり減って膝の内側や裏からふくらはぎにかけて痛くなり、正座がしにくくなります。変形が進行して症状が悪化するとO脚になり、末期になると歩行が困難になって人工関節の手術が必要です。 変形性膝関節症によって膝の関節が硬くなると、膝を伸ばすときに裏が痛くなります。膝を曲げ伸ばしする際に「ミシミシ」「ゴリゴリ」といった音が鳴るケースも珍しくありません。 ▼ 変形性膝関節症によるO脚の例 また、膝関節が炎症して水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛みを感じるようになります。 ▼ 変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。 半月板損傷 膝の裏が痛む原因として考えられる疾患の一つが、半月板損傷です。 ▼膝関節における半月板の位置 半月板は膝関節におけるクッションの役目があり、スポーツや事故による怪我、あるいは加齢に伴う変性によって損傷することがあります。 半月板損傷により、しゃがむ・歩くなどの動作で膝に痛みが生じます。膝が急に動かなくなるロッキング(引っかかり現象)や、関節の可動域制限も特徴的な症状です。 ベーカー嚢腫 ベーカー嚢腫も、膝の裏が痛むときに考えられる疾患の一つです。 ベーカー嚢腫とは、なんらかの原因で膝関節が炎症を起こし、関節液が増えて膝裏の滑液包に流入してできた袋状のコブを指します。 ゴルフボールぐらいのサイズに大きく腫れることもあり、膝の裏が突っ張った感覚を覚えます。 放置しているうちに腫れが治る場合もありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くケースも少なくありません。 ベーカー嚢腫は主に変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。 ベーカー嚢腫について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。 膝裏の筋肉の損傷 膝の裏側に位置する膝窩筋(しつかきん)の損傷も、ピキッと痛む原因の一つです。膝窩筋とは、膝裏の奥にある小さな筋肉で、膝を屈曲する際に重要な役割を果たします。 ▼ 膝窩筋の位置 過度な負荷や急な動きによって筋肉や腱が損傷すると、以下のような症状が現れます。 しゃがむと痛い しゃがんで立つと膝の裏が痛い 膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い 膝を曲げると膝裏が痛い 階段を上り下りする際に膝の裏からふくらはぎにかけて痛い 膝窩筋が損傷すると、膝裏にピキッと痛みを感じることが多く、とくにしゃがむ動作や立ち上がる動作で痛みが顕著になります。症状が悪化するとふくらはぎや太ももの裏など、周辺の筋肉にも痛みが波及するため早めの対応が大切です。 靭帯損傷 靭帯損傷のなかでも、とくに後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばしたときにピキッとした痛みを感じることも少なくありません。 膝関節には主要な4つの靱帯(内側・外側側副靱帯、前・後十字靱帯)があり、膝の安定性を保つ重要な役割を担っています。 たとえば、交通事故に遭ったり、スポーツ活動中に怪我を負ったりして、物理的に大きな衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯が損傷・断裂して強い痛みを伴うことがあります。 靭帯損傷から3週間ほどは、膝裏の痛みや膝を伸ばす動作の制限が起こりやすい時期です。 受傷後1か月ほど経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともあれば、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著になるケースもあります。 座っているとき・安静時に膝の裏が痛い疾患 動かしていないのに膝裏が痛む場合は、血流やリンパの流れ、炎症などが関係していることがあります。 ここでは、それぞれの特徴や注意すべき症状について解説します。 エコノミークラス症候群 エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢で座っていることで下肢の血流が滞り、深部静脈に血栓ができる状態です。多くの場合はふくらはぎの痛みや腫れとして現れますが、血栓の位置によっては膝の裏に痛みが出ることもあります。 片足だけに腫れや熱感、皮膚の変色、押すと強い痛みがある場合は注意が必要です。放置すると血栓が肺に移動して肺塞栓症を引き起こす危険があり、命に関わることもあります。 長時間の移動やデスクワーク時は、定期的に足を動かしたり、こまめに立ち上がって歩くことが予防につながるため重要です。 関節リウマチ 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人といわれており、発症原因は自己免疫系統の異常とされています。自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃・破壊して関節部位に炎症を引き起こすと、膝裏に疼痛症状をもたらすと考えられます。 関節リウマチを発症しやすい年齢は、30~50代前後の中高年層です。また、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 なお、関節リウマチの初期段階では、手指の関節領域が左右対称に腫れるほか、倦怠感や食欲不振など自覚症状を引き起こす懸念があります。 ▼ 関節リウマチの対処方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 関連記事:関節リウマチで膝裏が痛くなる?膝の裏が痛いときに考えられる疾患と治療法を解説 リンパによる膝の裏の痛みや腫れ リンパ液の流れの悪化は、膝裏に起こる痛みや腫れの原因の一つです。 リンパ管は体内の老廃物を運ぶ役割を担っており、通常、筋肉の収縮や体の動きなどによって流れています。しかし、同じ姿勢で長時間過ごしたり、食生活が偏ったりしてリンパの流れが悪くなると、膝裏に痛みや腫れが生じます。 膝の違和感はリンパ液が滞った状態かもしれません。リンパ液の流れが悪い状態を放置すると、膝周辺の組織が硬くなり、痛みを伴う可能性があります。 足のだるさやむくみがあるときは、適度な運動やマッサージ、適切な食事をしてリンパの流れ改善や促進をしましょう。 放散痛やしびれを伴う膝の裏の痛みがある疾患 放散痛やしびれが伴う場合には、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛が考えられます。 ここでは、症状や痛みの出るタイミングについて解説します。 腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。神経の圧迫によって膝裏に痛みが放散され、痺れやズキズキした痛みを感じることがあります。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛による膝裏の痛みは、とくに立ったり歩いたりしているときに痛みが強くなることが特徴です。また、安静時にも痛みを感じる場合があり、睡眠中に痛みで目が覚めるケースも珍しくありません。 腰椎ヘルニアや坐骨神経痛が痛みの原因の場合は、腰部の治療が不可欠です。膝裏の痛みがひどくなる前に医療機関を受診して、理学療法や薬物療法による治療を受けましょう。 腰が反り返るときに膝の裏が痛い疾患 腰を反らす姿勢をとったときに膝裏が痛む場合、その背景には膝関節の問題が隠れていることがあります。 代表的なのが「反張膝(はんちょうひざ)」で、膝が必要以上に後方へ反ってしまうことで、関節や周囲の筋肉・靭帯に過剰な負担がかかります。 ここでは、反張膝の特徴や痛みが出る仕組みについて詳しく見ていきましょう。 反張膝 反張膝(はんちょうひざ)が原因で、膝裏が痛む場合があります。 反張膝は、膝関節が過度にそり返った状態を意味します。通常、膝はまっすぐに伸びているのが正常です。しかし、反張膝の場合は膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、結果として膝裏に圧力がかかり、痛みが生じます。 反張膝は太ももの前後の筋肉バランスの悪さや、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋などの筋力の低下によって起こります。反張膝を放置すると、膝への負担が蓄積され、関節の変形や痛みの慢性化につながるため注意が必要です。 膝の裏が痛いときの治療法 ここでは、膝の裏が痛いときの具体的な対処法や治療法を解説します。 保存療法 保存療法とは、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。 具体的には、鎮痛薬や抗炎症薬の内服・外用による薬物療法、膝周囲の筋力や柔軟性を高める運動療法、マッサージやストレッチ、電気治療などの理学療法が含まれます。急性期の腫れや痛みが強い場合には、安静・冷却・圧迫・挙上を行うRICE処置も取り入れられます。 保存療法は膝の痛みを軽減し、機能を回復させることを目的としており、多くの場合、最初に選択される治療法です。症状や生活習慣に合わせた継続的なケアが重要であり、正しい方法で行うことで再発予防にもつながります。 薬物療法 薬物療法は、痛みや炎症を抑えて症状を緩和することを目的とした治療法です。 膝関節の痛みに対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬の内服薬、湿布やクリームなどの外用薬が用いられます。急性期には炎症や腫れを抑えることが中心となり、慢性期には痛みのコントロールと関節機能の維持を目指します。 薬は症状の程度や原因、患者の体質に応じて処方され、副作用や相互作用にも注意が必要です。薬物療法は単独で行われることもありますが、運動療法や注射療法などと組み合わせる場合も多くみられます。 理学療法 理学療法は、理学療法士が行う専門的な運動療法や徒手療法を通じて膝関節の機能回復を図る治療法です。 膝を支える筋力の強化や柔軟性の向上、関節可動域の改善を目的に、ストレッチ、筋力トレーニング、バランス訓練などを行います。 手技によるマッサージや電気刺激療法、温熱療法などを併用し痛みの軽減や血流改善を促します。理学療法は症状の進行予防や再発防止にも有効です。 一人ひとりの状態や生活スタイルに合わせたプログラムが作成されます。 注射療法 注射療法は、膝関節内や周囲に薬剤を直接注入し、痛みや炎症を抑える治療法です。代表的なものにヒアルロン酸注射とステロイド注射があります。 ヒアルロン酸注射 関節液の粘度を高め、軟骨の摩耗を軽減しながら動きを滑らかにする ステロイド注射 炎症を強力に抑える作用があり、急激な痛みや腫れがある場合に有効 注射療法は比較的短期間で症状改善が見込めますが、効果の持続には限りがあるため、運動療法や生活習慣の改善と併せて行うことがおすすめです。 手術療法 手術療法は、保存療法やその他の治療で十分な効果が得られない場合に検討される外科的治療です。目的は痛みの軽減と関節機能の改善で、患者の症状や年齢、生活スタイルに応じて術式が選ばれます。 以下の方法が代表的です。 関節鏡手術:損傷部分を修復・切除する 骨切り術:関節の形状や荷重軸を矯正する 人工関節置換術:重度の関節変形に対して行う 手術後は理学療法によるリハビリが不可欠で、術後の回復や再発防止に大きく関わります。 幹細胞やPRPによる再生医療 膝裏が痛むときの治療法として、再生医療も選択肢の一つです。 再生医療には、幹細胞治療とPRP療法があります。 治療法 内容 幹細胞治療 他の細胞に変化する能力「分化能」を持つ幹細胞を患部に投与 PRP療法 血液に含まれる血小板を濃縮した液体を作製して患部に投与 どちらも手術・入院を必要としないのが特徴です。 たとえば、変形性膝関節症が悪化して人工関節置換術などをすすめられる場合も、幹細胞治療やPRP療法であれば、手術をせずに治療が行えます。 リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みの治療を行っています。 再生医療の治療例として、以下の変形性膝関節症に対する症例をご覧ください。どのような治療を行い、変化するのかが分かります。 変形性膝関節症だけでなく、膝の痛みが原因の疾患で手術に悩んでいる方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 患者様の状況を伺って一人ひとりにあわせた治療方針を提案いたします。 ▼ 再生医療で膝の痛みを治療する 膝の裏が痛いときのセルフケア方法 膝の裏がピキッと痛む場合は、早めの対応が痛みの軽減や早期の回復につながります。 ここからは、膝裏の痛みに対するセルフケア方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 安静にする 膝の裏に痛みを感じたら、まずは無理に動かさず、安静を保つことが大切です。膝に負担をかけすぎると、痛みが悪化する可能性があるため、症状が治まるまでは運動などは避けてください。安静にする際は、膝を高く保つと腫れや血流の滞りを防げます。 横になるときにはクッションや枕などを使用し、膝下に挟んで膝を少し持ち上げると良いでしょう。安静にすると、膝の炎症や筋肉の過度な緊張を抑えられるため、早期の回復につながります。 温める 冷えや血行不良が膝裏の痛みの原因となっている場合は、患部をしっかり温めることが大切です。 温熱によって血流が改善されると、酸素や栄養が行き渡りやすくなり、老廃物の排出も促進されます。その結果、筋肉のこわばりがほぐれ、関節周囲の動きが滑らかになります。 入浴や蒸しタオル、温熱パッドなどを使って膝裏を温めると効果的です。ただし、炎症や腫れが強い場合には温めると悪化する場合があるため、痛みの原因や状態の確認が重要です。 日常的に足首やふくらはぎも含めて温めると、膝全体のコンディション改善にもつながります。 ストレッチをする 膝の裏が痛いときには、ストレッチも効果的です。膝の裏のストレッチをすると、筋肉に柔軟性を持たせて血流を促進します。 膝裏の痛みに対しては、以下のストレッチがおすすめです。 ふくらはぎのストレッチ 太ももの後ろ(ハムストリング)のストレッチ 膝窩筋のストレッチ ストレッチをする際の注意点として、無理に引っ張ったり、痛みを感じるまで伸ばしたりするのは避けましょう。また、痛みを感じたときにはすぐにストレッチを中止し、かかりつけの医師に相談してください。 ▼ 以下の動画では、ふくらはぎと太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチのやり方を紹介しています。 生活環境を見直す 膝裏への負担は、日常生活や睡眠時の環境によっても大きく左右されます。たとえば、椅子の高さが合っていないと膝に不自然な角度がつき、関節や筋肉に余計な負荷がかかります。柔らかすぎるマットレスでは腰が沈み込み、寝ている間に膝や腰の筋肉が緊張しやすくなります。 デスクワークが多い場合は、膝や腰にやさしい高さの椅子や机を選び、長時間同じ姿勢を避けることが大切です。 寝具の硬さや枕の高さも全身のバランスに影響するため、自分の体格や姿勢に合った環境に整えることで膝裏の負担軽減につながります。 マッサージをする 膝の裏の痛みには、ストレッチと同様にマッサージも効果的です。膝の裏や周辺の筋肉を軽くマッサージすると、筋肉の緊張がほぐれ、血流が促進されます。 膝の裏がピキッと痛む場合は、膝の後ろからふくらはぎにかけて、手のひらで円を描くようにマッサージするのがおすすめです。ふくらはぎを軽く揉むことで、膝裏にかかる圧力が軽減されると、痛みが和らぐ場合があります。 マッサージをする際は、痛みが悪化しないよう、力を入れすぎないことがポイントです。 テーピングやサポーターを使用する 膝の裏が痛いときには、テーピングやサポーターの使用も有効です。膝の安定性を高めることで無理な動きを制限したり負担を減らしたりすると、痛みの軽減に役立ちます。 とくにテーピングは、膝を固定しつつ可動域を制限しないための適切な方法で行うことが大切です。テーピングの方法には専門的な知識が必要になるため、最初は専門医に相談するようにしてください。 テーピングやサポーターは膝への負担を軽減するために役立つものの、長時間使用しすぎると、筋力の低下や血行不良につながるリスクもあります。かかりつけ医に相談しながら適切にテーピングやサポーターを使用しましょう。 膝の裏の痛みが続くときは迷わず専門医に相談しよう 今回は、膝の裏が痛いときに考えられる病気と対策について詳しく解説しました。膝の裏が痛む原因としては、主に変形性膝関節症や関節リウマチ、膝靱帯損傷などが考えられます。 たとえば、関節リウマチは薬剤の治療成績が著しく向上し、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば寛解(症状が落ち着いた状態)が期待できる病気になってきました。また、膝の靱帯を損傷した際は、早期的なアイシング(冷却)や患部固定で症状緩和につながります。 自分なりに対処策を実践しても症状が改善しない場合や、膝の裏の疼痛症状がひどくて悪化するような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 当院リペアセルクリニックでは、損傷した膝裏の関節・靭帯の治療として再生医療をご案内しています。 「膝裏の痛みが長引いている」「痛みを早く治したい」といった方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 膝の裏の痛みに関するよくある質問 膝の裏が痛いのは歩きすぎですか? 長時間の歩行は膝に負担がかかるため、膝裏の痛みを引き起こす可能性があります。とくに、硬い地面を歩いたり、無理なペースで歩行したりすると痛みが起こりやすいです。 長時間歩くときには、適切な靴を履き、歩行姿勢に気をつけることがポイントです。歩行する前後でストレッチや軽いマッサージをすると、筋肉の緊張を和らげて膝への負担軽減につながります。 膝の裏が痛いのは冷えが原因でしょうか? 膝の裏が痛むときは早めに医師へ相談するべきです。 膝の裏が痛む原因は多岐にわたり、軽度なものから、自分では気づきにくい重度の疾患まで含まれます。自己判断で放置すると、症状が進行して日常生活に支障をきたす恐れがあります。悪化すれば歩行が困難になり、治療後も後遺症が出る可能性も否定できません。 冷えによって血流が悪くなり、膝裏の痛みにつながる場合もあります。早めに原因を見極め、適切な対応をとることが大切です。 膝の裏の痛みは軽視せず、早めに医療機関を受診しましょう。 再生医療をご検討の方は、リペアセルクリニックの公式LINEにご登録ください。再生医療ガイドブックを無料でお受け取りいただけます。 膝の裏が痛い場合、何科にいけば良いですか? 膝の裏に痛みがある場合は、まず整形外科の受診がおすすめです。 整形外科ではレントゲンやMRIなどの画像検査で原因を特定し、関節や靭帯、筋肉、神経など幅広く診てもらえます。スポーツによるケガや変形性膝関節症、半月板損傷など整形外科領域の疾患が多く、適切な治療やリハビリの提案を受けられます。 早期の受診で、症状の悪化や後遺症を防ぎましょう。
2022.06.07 -
- 糖尿病
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妊娠中に「妊娠糖尿病」と診断され、不安や戸惑いを感じていませんか? 「食事に気をつけてください」と言われる中で、「運動も大切です」と医師からアドバイスを受けたものの、妊娠中に体を動かして本当に大丈夫なのか、逆にお腹の赤ちゃんに影響が出ないか、不安になる方も多いでしょう。 本記事では、妊娠糖尿病の管理においてなぜ運動が推奨されているのか、そしてどのような運動なら安心して行えるのかを、わかりやすく解説します。 運動が不安な方でも、今日から無理なく始められるポイントや注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 妊娠糖尿病には運動が効果的 妊娠糖尿病と診断されると、まず「食事管理」が思い浮かびますが、運動も血糖値のコントロールに効果的な手段のひとつです。 妊娠中でも体に負担をかけすぎない運動であれば、医師の指導のもと安心して取り入れられます。 実際に、妊婦さんの中には運動を取り入れることで血糖値が安定し、体調管理がしやすくなったと感じる方も少なくありません。 本章では、妊娠糖尿病に対する運動の具体的な効果や、安全に取り入れやすい方法について解説します。 歩行のみでも改善効果が期待できる 運動と聞くと、ランニングのような激しい運動が必要と思われがちですが、ウォーキングのような軽い有酸素運動でも血糖値コントロールへの良い影響が報告されています。 たとえば、科学研究費助成事業による調査では、妊娠糖尿病の妊婦において歩行運動を取り入れた妊婦の方が、食事療法のみの妊婦に比べてインスリン治療へ移行した割合が少なかったことが報告されています。(文献1) もちろん、すべての人に同じ効果が現れるわけではありませんが、「歩くだけでも意味がある」と思えるだけでも、日々の活動が変わります。 運動により血糖値コントロール・体重管理・便秘予防などの効果がある 先ほども解説した通り、妊娠糖尿病において、軽めの有酸素運動は血糖値のコントロールに非常に有効ですが、運動の効果は、血糖値の改善だけではありません。 適度な運動を続けることで、過度な体重増加を防ぎ、妊娠中に起こりやすい便秘の予防にも効果があるとされています。 さらに、軽い運動はリフレッシュにもつながり、ストレスの軽減や睡眠の質の向上など、心身のバランスを整える助けにもなります。 妊娠中はホルモンバランスの変化で気分が不安定になりやすいため、体を動かすことで気分転換ができるのも大きな利点です。 安定期(妊娠中期)〜後期では運動が始めやすい 妊娠初期は体調が不安定なことが多いため、無理に運動を始める必要はありません。 しかし、妊娠12~16週以降の安定期に入り、体調が落ち着いてきた頃であれば、医師の許可を得たうえで軽い運動を始めることができます。 ウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなど、お腹に負担をかけずにできる動きから少しずつ取り入れていくのがポイントです。 最初は短時間・軽い内容からスタートし、体調を見ながら続けていきましょう。 妊娠糖尿病の方におすすめの3つの運動 妊娠糖尿病の方にとって、運動は血糖コントロールや体調管理に役立つ大切なセルフケアのひとつです。 ここで、妊婦さんでも無理なく取り入れやすい、妊娠糖尿病の管理にも効果が期待できる、以下3つの運動方法をご紹介します。 ウォーキング(散歩) マタニティヨガ・ストレッチ 軽い筋トレ(スクワット・もも上げ) ウォーキング(散歩) ウォーキングは、妊娠中でも安全性が高く、体への負担が少ない有酸素運動です。 血流が良くなることで血糖値の安定にもつながり、リフレッシュ効果も期待できます。 無理に長時間歩く必要はなく、1日15〜30分程度、気分がよい時間帯にゆっくり歩くだけで大丈夫です。 歩く際は、気温や天候に配慮し、水分補給を忘れずに行いましょう。 マタニティヨガ・ストレッチ マタニティヨガやストレッチは、呼吸を意識しながらゆっくり体を動かす運動です。 筋肉をやわらかく保ち、血行を促進することで、血糖値の安定にも良い影響が期待でき、心身のリラックスにもつながります。 また、腰痛や肩こり、むくみ、便秘といった妊娠中の不調の予防や緩和にも効果的です。 たとえば「猫と牛のポーズ」は、妊婦さんに人気のある基本的な動きのひとつです。 【猫と牛のポーズ】 四つん這いになる 肩の真下に手首、脚の付け根の真下に膝を置く 手のひらを大きく開き、中指を正面に向ける 膝の間は拳1つ分あける 頭からお尻まで一直線にキープ 息を吸いながら背中を反らせて目線を上に 息を吐きながら背中を丸めて目線をおへそに 四つん這いになることで、お腹が自然に下がり、赤ちゃんにとっても居心地の良いスペースが生まれます。 お母さんは呼吸がしやすくなり、赤ちゃんもリラックスできると言われており、息苦しさを感じたときにもおすすめです。 ただし、このポーズは妊娠16週以降で、主治医から運動の許可を得ている方のみ行うようにしましょう。 自宅で動画を見ながら取り組める手軽さも魅力ですが、お腹を圧迫しない姿勢を選び、無理なく行うことが大切です。 軽い筋トレ(スクワット・もも上げ) 妊婦さんでもできる範囲の軽い筋トレもおすすめです。 筋肉を使うことで、インスリンの働きが良くなり、血糖の取り込みがスムーズになるといわれています。 たとえば、椅子につかまりながらのスクワットや、その場でももを軽く上げ下げする運動などは、下半身の筋力を保ちつつ代謝をサポートします。 運動前後のストレッチや呼吸を意識し、お腹に力を入れすぎないよう注意しながら行うのがポイントです。 妊娠糖尿病の方が運動する際の注意点 妊娠糖尿病の管理に運動は効果的ですが、妊娠中という特別な時期であることを忘れてはいけません。 体調や妊娠の経過によっては、運動がかえって負担になる場合もあるため、「無理をしない・安全に行う」ことが最も大切です。 本章では、妊娠糖尿病の方が運動を始める際に、必ず押さえておきたい以下、4つの注意点をご紹介します。 医師に必ず相談してから開始する お腹が張ったらすぐ中止する 水分補給・室温管理など安全に配慮する 激しい運動は避ける 医師に必ず相談してから開始する 妊娠中に運動を始める前には、必ず主治医へ相談しましょう。 妊娠糖尿病の症状の程度や、妊娠の経過、合併症の有無などによっては、運動を控えるよう指示される場合もあります。 また、体調は日によって変化するため、「昨日は大丈夫だったから今日も大丈夫」とは限りません。 医師と相談しながら、そのときの自分の体に合った方法・タイミングで取り組むことが大切です。 お腹が張ったらすぐ中止する 妊娠中の運動で最も大事なのは、「頑張りすぎない」ことです。 少しでもお腹が張る、疲れすぎたと感じる、不調のサインがあれば、すぐに運動を中止しましょう。 妊娠糖尿病の管理には継続が大切ですが、それ以上に大切なのは母体と赤ちゃんの安全です。 「今日は無理しない」という判断も、立派な自己管理のひとつです。 水分補給・室温管理など安全に配慮する 妊娠中は汗をかきやすく、体温調整もしにくくなっているため、こまめな水分補給と室温管理が欠かせません。 とくに夏場や暖房のきいた室内では、熱中症や脱水症状を防ぐためにも常に水分を手元に置いておくようにしましょう。 また、食後30分〜1時間以内の軽い運動が血糖値の上昇を抑えるのに効果的とされており、このタイミングを意識するのもおすすめですが、体調がすぐれないときは無理せず、あくまで自分の体と相談しながら行いましょう。 激しい運動は避ける 妊娠中はお腹に衝撃や強い負荷がかかるような運動は避ける必要があります。 主に、以下の運動は原則NGとされています。 ランニングやジャンプなど、全身に強い負荷がかかる動き サッカーやバスケットボールなど、転倒や接触リスクのあるスポーツ 腹筋運動や体幹トレーニングなど、お腹に直接負担がかかるもの これらは流産や早産のリスクを高める恐れがあるため、妊娠中は控えるのが基本です。 安全第一で「ゆっくり・やさしく・短時間」を心がけましょう。 まとめ|妊娠糖尿病と運動は正しく組み合わせれば心強い味方 妊娠糖尿病と診断されると、不安や戸惑いを感じる方も多いかもしれません。 しかし、適切な運動は血糖コントロールに役立つだけでなく、妊娠中の心身の健康をサポートしてくれる心強い味方にもなります。 大切なのは、「できることから無理なく続ける」ことです。 ウォーキングやストレッチなど、体調に合わせて取り入れやすい運動から始めてみましょう。 少しでも不安があるときは、かかりつけの医師や助産師に相談しながら進めることが安心・安全への近道です。無理のない範囲で体を動かしながら、穏やかな妊娠生活を送りましょう。 参考文献 (文献1) 菅沼信彦「妊娠糖尿病妊婦に運動療法は効果的か?2014年度 実績報告書」京都大学 医学系研究科、2015年(研究課題番号:25670970) https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-25670970/256709702014jisseki/(最終アクセス:2025年5月25日])
2022.06.02 -
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50代女性で糖尿病の初期症状はどんなものがある? 50代になってから、健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘されてしまった。対策は? この記事を読んでいる方は、50代女性で糖尿病になると、どんな初期症状があらわれるのか気になっているのではないでしょうか。 血糖値が高いと指摘されても、具体的にどんな症状が出るのか、どんな危険性があるのか想像がつきにくい人もいるかもしれません。 50代は糖尿病のような生活習慣病が増えてくる年代でもあります。特に女性の場合は更年期から発症するケースもあるため、初期症状を見逃さないようにしましょう。 本記事では、糖尿病の初期症状について、50代女性に特化して解説します。 記事を最後まで読めば、50代女性における糖尿病の初期症状が分かり、適切な対策法を考えられるでしょう。 当院リペアセルクリニックでも、糖尿病の症状や治療法についてのご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 糖尿病の初期症状は「のどの渇きやだるさ」 血液の中の糖が多くなると、体にさまざまな異変を感じます。 しかし、糖尿病には「進行しないと症状が出にくい」という特徴があります。つまり、初期症状が出る頃には、すでに糖尿病が進行している状態ともいえるのです。 糖尿病の初期症状としては、以下が挙げられます。(文献1) のどが乾く 尿の回数が多い 体のだるさを感じる 体重が減ってくる 血液の中の糖を薄めるために頻回に水を飲みたくなったり、その影響で尿の回数が増えたりします。 また、血糖をエネルギーに変えて、血糖値を下げるホルモンの分泌が悪くなり、疲れやすい、体重が減るといった症状にもつながります。 糖尿病が進行してくると、体には様々な合併症が現れます。糖尿病の主な合併症は以下の通りです。(文献2) 糖尿病の合併症の例 症状 糖尿病性神経障害 手足のしびれ、感覚の鈍りなど 糖尿病性網膜症 目のかすみ、視力低下など 糖尿病性腎症 むくみ、高血圧、尿毒症など もし糖尿病のような症状が気になっている場合には、早めの受診をお勧めします。 【女性向け】糖尿病の初期症状チェックリスト 「甘いものが止められない」「食事のバランスが偏っている」といった糖尿病になりやすい生活習慣を持っている方は、自分が糖尿病ではないか気になりますよね。 以下は、女性向け糖尿病の初期症状チェックリストです。(文献3)(文献4) のどが渇きやすい 尿の回数が多い 疲れやすい 目がかすむ 体重が減ってきた 手足のしびれや痛みがある 感染症にかかりやすい 傷が治りにくい 当てはまる項目が多い場合は、糖尿病の初期症状の可能性も考えられます。 ただし本表はあくまでもセルフチェックに留め、気になる症状は、早めに医療機関に相談しましょう。 糖尿病の初期症状については、以下の記事もぜひご覧ください。 糖尿病患者の9割は「2型糖尿病」 糖尿病は、生活習慣病とも関連する注意すべき病気です。血糖値を降下させる作用のある、インスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの働きが悪くなり発症します。 糖尿病は、大きく「1型」と「2型」に分類されます。 「1型糖尿病」は、自己免疫の異常によって、インスリンを産生する膵臓の細胞が攻撃を受け発症するタイプです。生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与しません。一方、糖尿病患者の約9割以上が「2型糖尿病」と言われています。 主な原因は、ストレスや肥満体型、運動不足や暴飲暴食など日々の生活習慣の乱れです。生活習慣の乱れが続くと、インスリンの分泌が少なくなったり、効きが悪くなり、血液中の糖が細胞に十分に取り込まれなくなります。 2型糖尿病でインスリンが出にくくなる、効きが悪くなる原因の多くは、高脂肪、高カロリーなどの食習慣です。また、糖質の取り過ぎや顕著な運動不足が続くとインスリンの働きが弱まり、徐々に血糖値が上昇していきます。 そのほか、妊娠や更年期を契機に発症するパターン、あるいは膵炎や膵臓がんなど膵臓疾患に合併して発症するパターンなども挙げられます。 2型糖尿病について、詳しく以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。 50代女性の糖尿病リスクが高い理由 50代女性の糖尿病リスクが高い理由は、更年期が関係しています。 一般的に、女性は40代頃から更年期と呼ばれる時期に入ります。この時期は体がほてって疲労を感じやすいなど症状があらわれることが多いです。 更年期の症状は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量低下によるものです。 エストロゲンには血糖値を調整する働きがあり、通常は女性を糖尿病から守る役割を果たしています。エストロゲンの分泌量は40代頃から減少し始め、50代の閉経期には急激に低下することから、更年期以降は糖尿病を発症するリスクが高まっていくのです。 更年期には自治体の定期検診や、勤務先の企業健診の結果に注目しましょう。 特に以下の値が基準値を超えている場合は、糖尿病の可能性があるため、医療機関での受診をおすすめします。 空腹時血糖値:126mg/dl以上 HbA1c:6.5%以上 (文献5) また、尿検査で糖が検出される場合も、糖尿病の可能性を示唆する重要なサインとなります。 50代女性が糖尿病を予防する4つのポイント 50代女性に起こりやすい糖尿病は「2型糖尿病」で、生活習慣の乱れが主な原因です。糖尿病を予防し、健康でいられるための4つのポイントをまとめました。 糖尿病予防のために意識したいポイントは、以下の通りです。(文献6) 食事を改善する 運動習慣をつける ストレスを溜めない 禁煙をする この章では、各ポイントについて詳しく解説します。 1.食事を改善する 食事はバランス良く、適量を摂ることが大切です。 糖分や脂質の多い食事は血糖を上昇させたり、体重を増加させたりします。野菜や果物、魚、豆類、雑穀類などを意識して摂ると、急な血糖値の上昇を防げるでしょう。 また、食事を抜くと次の食事で血糖値がいきなり上昇し、体に負担を与えてしまいます。時間がない、忙しいなどの理由で食事がとれない場合があっても、少しでも何か何かを口にすることから始めましょう。 間食もなるべくヘルシーなこんにゃくやゼリーにすると効果的です。 2.運動習慣をつける 有酸素運動は、血糖を筋肉に取り込みやすくする効果や、インスリンの働きも良くする効果があります。 週3回以上、週合計150分以上を目標に、無理のない範囲で行いましょう。 ウォーキングやサイクリングなど、またなるべく階段を使う、ラジオ体操をするなど「日常でプラス10分動く習慣」を作ることもおすすめです。 3.ストレスを溜めない ストレスは、ノルアドレナリンやコルチゾルといったホルモンを分泌させ、血糖値を上げる働きがあります。(文献7) 家事や育児、仕事などでストレスを感じている場合は、趣味を楽しむ、誰かと話す、ゆっくり呼吸をしてみるなど、意識して休む時間を作りましょう。 4.禁煙をする 喫煙はインスリンの働きを弱めるため、血糖値が下がりにくくなってしまいます。 禁煙することで、糖尿病のリスクを下げるだけでなく、他の生活習慣病やがんの予防にもつながるでしょう。全身の健康を保つために、禁煙を検討することをおすすめします。 まとめ|50代女性は糖尿病のリスクが高まる!生活習慣を見直そう 糖尿病は血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気です。 50代女性は更年期のエストロゲン減少によって、血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、糖尿病を発症することがあります。 普段から特段の自覚症状がなくても、知らぬ間に高血糖になる可能性があるため周囲が必要です。女性の場合は、更年期前後は生活習慣に特に意識を向けてみましょう。 当院では、膵臓(すいぞう)の再生医療を通じて糖尿病の進行を遅らせる治療も取り入れています。詳しくはこちらのページをご参考ください。 膵臓の再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 女性の糖尿病についてよくある質問 糖尿病は遺伝しますか? 2型糖尿病には、遺伝的要因もあります。 両親から受け継いだ遺伝子の性質により、インスリンの分泌が少なく、糖尿病になりやすい方もいます。 血の繋がった家族に糖尿病がいる方は、食べ過ぎや運動不足など、糖尿病のリスクを高めないように、とくに注意しましょう。 糖尿病は何科を受診すればよいですか? 基本的には内科を受診しましょう。 病院によっては「糖尿病内科」「内分泌科」といった糖尿病に特化した科を持っているところもあります。 また、もし合併症が現れている場合には、眼科や泌尿器科などの専門科の受診も必要です。 参考文献 (文献1) 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病とは」 https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html (文献2) 一般社団法人 日本糖尿病学会「糖尿病合併症について」 https://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3 (文献3) 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「糖尿病|病気について|循環器病について知る|患者の皆様へ」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/diabetes/ (文献4) 東京都保健医療局「糖尿病発症予防ガイドブック 今日から予防!糖尿病」 https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/tonyo/citizen/6leaflet.html (文献5) 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン 2024」 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/01.pdf (文献6) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202411_006.html (文献7) 大下咲子 ほか「<研究報告>2型糖尿病患者のストレスとストレス対処行動」 https://isns.jp/journal_pdf/03-1/03-1-2_rr01.pdf
2022.05.24 -
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「もしかして自分も糖尿病なのでは?」 「糖尿病の初期症状を詳しく知りたい」 このような不安を抱えている方は多いでしょう。 糖尿病は初期段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。 しかし、早期に異変を察知して生活習慣を見直せば、重症化や合併症を防げます。 本記事では、糖尿病に見られる代表的な初期症状やセルフチェックのポイント、早めに受診すべきサインについてわかりやすく解説します。 初期症状を理解すれば、自分や家族の健康を守るための適切な行動につなげられますので最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 糖尿病の初期症状について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 糖尿病とは?初期症状を理解するための基礎知識 糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの働きが不十分になり、血液中のブドウ糖(血糖)が増加する病気です。インスリンは血糖値を一定の範囲に保つ役割を担っています。 高血糖状態が続くと血管が傷つき、心臓病、失明、腎不全、足の切断などの合併症やリスクが高まります。 糖尿病は以下の4つに分類されます。 1型糖尿病 ・膵臓からインスリンがほとんど分泌されず血糖値が高くなる ・自己免疫反応などによりインスリンを分泌する機能が失われることで発症する 2型糖尿病 ・インスリン分泌低下やインスリン抵抗性によって血糖値が高くなる ・遺伝的要因に加え、食べ過ぎ・運動不足・肥満など生活習慣の影響で発症する その他の病気や治療薬による糖尿病 ・他の病気や治療薬の影響で血糖値が上昇し糖尿病を発症する場合がある ・ステロイド薬などの薬剤や特定の疾患が血糖値上昇を引き起こすことで発症する 妊娠糖尿病 ・妊娠中に初めて確認される ・妊娠によるホルモン変化でインスリンが効きにくくなることが原因で発症する 参考:糖尿病ってなに?|糖尿病情報センター(文献1) これら4種類の糖尿病は原因や特徴が異なるため、正しい理解と適切な管理や治療が重要です。 糖尿病の初期症状 糖尿病の主な初期症状は以下のとおりです。 体重が減る のどが渇きやすくなる 尿の回数が増える 疲れやすくなる 目がかすむ 爪の色や形に変化が現れる 足がつるなどの症状が見られる 感染症にかかりやすくなる 空腹感を感じやすくなる 自身に当てはまる症状がないか、糖尿病の初期症状をそれぞれ詳しく見ていきましょう。 体重が減る 糖尿病では体重が減少する場合があります。 原因は、インスリンの働きが不十分になり、細胞にブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用する機能が低下するためです。 エネルギー不足を補うため、脂肪や筋肉を分解してエネルギー源とする結果、体重が減少します。 さらに、多尿による体液の喪失も体重減少を引き起こす要因です。 のどが渇きやすくなる 糖尿病の症状の一つにのどの渇きがあります。 血糖値が高くなることによって体内の水分バランスが崩れ、多尿状態が引き起こされるためです。 高血糖の状態では、腎臓が血液中の余分な糖を排出しようとし、その際に大量の水分も失われるため、体内の水分が不足してのどが渇きやすくなります。 のどの渇きが続くと水分摂取量が増え、トイレに行く回数も増加します。 尿の回数が増える 糖尿病では頻尿の症状が見られます。 血糖値が高くなると、余分な糖を排出するために、大量の水分が必要です。 さらに、尿の量や回数が増えるだけでなく、強いのどの渇きも引き起こされます。 多尿は身体から水分が多く失われるため、脱水状態にもつながりやすくなります。 疲れやすくなる 糖尿病では疲れやすくなることがあります。 インスリンが十分に働かず、糖分がエネルギー源として細胞に取り込まれにくくなるためです。 結果として、体がエネルギー不足に陥り、疲労を感じやすくなります。 さらに、高血糖状態が続くと、血液の循環が悪化し、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りにくくなることも疲労の一因です。 目がかすむ 糖尿病の症状で目がかすむ場合があります。 高血糖が続いて水晶体や目の血管が変化するためです。ブドウ糖が増えると水晶体にソルビトール(糖アルコールの一種)がたまり、水分が引き寄せられて膨らみ、視界がぼやけて目がかすみます。 高血糖は血管を傷つけて網膜にむくみを起こし、長く続くと血流が悪化して糖尿病網膜症へ進行し、視力低下の原因となります。(文献2) 爪の色や形に変化が現れる 糖尿病になると爪の色が黄色や茶色に変わり、厚みが増して巻き爪になりやすくなります。 高血糖が続くことで血管や神経が損傷し、末梢の血流や栄養供給が低下して、爪の成長サイクルが乱れるためです。 血流障害や代謝の変化により爪の新陳代謝が滞り、正常な形や色が保ちにくくなります。 足がつるなどの症状が見られる 糖尿病では、足がつる症状が見られます。 主な原因は糖尿病による神経障害(糖尿病性ニューロパチー)です。高血糖状態が長期間続くと、末梢神経が損傷を受け、過剰な興奮を引き起こします。 その結果、筋肉が正常に機能せず、けいれんを引き起こしやすくなります。 さらに、糖尿病の影響で血液循環が悪化し、筋肉への酸素や栄養供給が不十分になることも足がつる原因です。 感染症にかかりやすくなる 高血糖は白血球の働きを弱め、細菌やウイルスに対する防御力を低下させます。 糖尿病患者では血流が悪くなるため傷が治りにくい特徴もあります。 とくに皮膚や尿路、肺などの感染症が起こりやすく、足の傷が化膿しやすい糖尿病性足潰瘍や、肺炎、尿路感染症などが代表的な感染症です。 空腹感を感じやすくなる インスリンの働きが不十分で血糖値がコントロールされないため、空腹感を感じやすくなります。 通常、食事から摂取した糖分はインスリンの働きで細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。 しかし、糖尿病ではこの仕組みが機能しないため、細胞がエネルギー不足の状態に陥りやすいです。 その結果、身体がエネルギーを求め、空腹感が強くなります。初期症状を感じたら早めに医療機関を受診するのが重要です。 糖尿病の初期症状セルフチェックリスト 糖尿病の症状が出ているかセルフチェックしてみましょう。 トイレの回数が増えた 頻繁にのどが渇く 手足のしびれや痛みがある めまいや立ちくらみをおこしやすい 視力低下や目のかすみがある 体重が急に減少している 食べても満腹感が得られない 上記の症状に当てはまる場合は糖尿病の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。 糖尿病の合併症一覧|進行すると現れる症状 糖尿病が進行すると現れる症状は以下のとおりです。 糖尿病性神経障害|手足しびれ、痛み 糖尿病網膜症|視野のぼやけ・視力低下 糖尿病性腎症|足のむくみ・腎臓の障害 糖尿病性自律神経障害|立ちくらみ・冷や汗などの症状 それぞれ詳しく解説します。 糖尿病性神経障害|手足しびれ、痛み 糖尿病が進行すると、手足にしびれや痛みが現れます。 これは糖尿病性神経障害と呼ばれ、末梢神経がダメージを受けると起こります。 症状が進行すると、痛みやしびれが悪化し、手足の感覚が鈍くなるため、傷や感染に気づきにくいです。 これが原因で、傷口が悪化しやすく、最終的には潰瘍や壊疽を引き起こすリスクが高まります。 糖尿病網膜症|視野のぼやけ・視力低下 進行すると、目に影響を及ぼす糖尿病性網膜症が出現する場合があります。 糖尿病網膜症は、血糖値の高い状態が続くと、網膜の血管が損傷を受け、視力に障害をもたらす疾患です。 初期段階では自覚症状は少ないものの、進行すると視力低下、視野のぼやけ、飛蚊症などの症状が現れます。 さらに重症化すると、網膜剥離や硝子体出血などが引き起こされ、失明するリスクが高いです。 糖尿病性腎症|足のむくみ・腎臓の障害 糖尿病が進行すると、腎臓がダメージを受ける糖尿病性腎症が現れる場合があります。 これは糖尿病によって血糖値が高い状態が続き、腎臓の血管が傷つけられるためです。 腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する役割がありますが、腎機能が低下するとこの機能がうまく働かなくなります。 その結果、足のむくみや疲労感、尿量の変化などが見られ、進行すると血液中に老廃物が蓄積される尿毒症に至る可能性があります。 糖尿病性自律神経障害|立ちくらみ・冷や汗などの症状 糖尿病は、自律神経障害を合併する場合があります。 自律神経は、心臓、消化器、呼吸器、血管などの器官を調整する重要な神経です。 高血糖によって神経が損傷すると調整機能が低下し、以下の症状が現れます。 立ちくらみ 冷や汗 消化不良 便秘 下痢 頻尿 失禁 これらの症状は、日常生活に大きな影響を与えます。 糖尿病の初期症状の段階は治せる? 糖尿病は初期段階であっても完治が難しい病気です。 しかし、早い段階で医療機関を受診して以下の方法を行うと、進行や合併症のリスクを抑えられます。 食事療法 運動療法 生活習慣の改善 薬物療法 再生医療 医師の指導のもと自身にあった適切な治療を始めて、糖尿病の進行を防ぎましょう。 糖尿病を予防・改善する方法 糖尿病を予防・改善する方法は以下の表のとおりです。 食事療法 ・食事は野菜を多く取り入れ規則正しい時間に摂り、間食を控える ・1日に必要なエネルギー量は、男性は2,200±200kcal、活動量の少ない成人女性の場合は、1,400〜2,000kcalが目安(文献3) ・摂取カロリーを適正に保ち、栄養バランスの取れた食事を一日三食規則的に摂ることが大切 運動療法 ・運動は糖の消費を促す ・運動の目安は週100分以上の有酸素運動に筋力トレーニングを組み合わせる(文献4) ・筋肉量を増やして糖の取り込みを高めることでインスリンの作用を強められる 生活習慣の改善 ・肥満の改善や禁煙、十分な睡眠やストレス管理は糖尿病の予防や治療に効果的 ・体重を減らすとインスリンの働きが高まり、血糖値の安定化や合併症予防につながる ・禁煙や睡眠改善により血流やホルモンバランスが整い、神経障害や心血管リスクを下げられる(文献5) 薬物療法 ・血糖値を下げる薬には経口薬と注射薬の2種類がある ・経口薬は作用の違いにより5つの種類に分類される ・注射薬はインスリン注射とGLP-1受容体作動薬の2つに分類される 再生医療 ・再生医療は、弱った膵臓に脂肪由来の幹細胞を投与して、血糖値の安定を目指す治療 ・副作用も少なく、身体への負担が少ないのが特徴 糖尿病の初期症状のサインを見逃さず、早い段階から改善予防に取り組みましょう。 当院「リペアセルクリニック」で提供している再生医療については、以下の記事をご覧ください。 糖尿病の初期症状を理解して早期治療を始めよう 糖尿病は、慢性的に血糖値が高い状態が継続する疾患です。 のどの渇きや頻尿、足がつるなどの初期症状を放置して血糖値が高い状態が継続すると、糖尿病性神経障害や網膜症、腎症などのリスクにつながります。 症状が現れた際は放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。 糖尿病の治療法には食事や運動、生活習慣の改善や薬物による治療のほか、再生医療の選択肢もあります。 再生医療について、さらに詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。 糖尿病の初期症状に関するよくある質問 糖尿病の自覚症状が出たらもう手遅れですか? 糖尿病の自覚症状が出たからといって、必ずしも手遅れではありません。 しかし、自覚症状が現れる段階では、血糖値がすでに高くなっている可能性があり、早期治療が重要です。 糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、わずかな症状でも早期に医療機関を受診しましょう。 50代女性で糖尿病の初期症状は何がありますか? 50代女性の糖尿病の初期症状は、のどの渇きや尿の増加、体のだるさや体重減少などがあります。 詳しくは以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。 参考文献 (文献1) 糖尿病って何?|糖尿病情報センター (文献2) 糖尿病網膜症|日本眼科学会 (文献3) 実践食育ナビ|農林水産省 (文献4) 4章運動療法|日本糖尿病学会 (文献5) 喫煙と糖尿病|厚生労働省
2022.05.23 -
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健康診断や定期検査で脂肪肝と診断されたとき、どのような食事をすれば良いか気になる方もいるのではないでしょうか。 脂肪肝を改善するためには、避けるべき食べ物を把握しておくことが重要です。栄養バランスが整った食生活を意識すれば、そのほかの病気のリスク軽減にもつながります。 この記事では、脂肪肝になった後に食べてはいけないものや、食事の際のポイントをご紹介します。食生活を見直し、生活習慣を整えることで、脂肪肝の改善につながるでしょう。 【一覧】脂肪肝の食事で食べてはいけないもの 脂肪肝とは、脂質のひとつである中性脂肪が肝臓内に多く蓄積している状態のことです。 脂肪肝の食事で食べてはいけないものとしては、糖質や脂質を多く含まれているような食べ物です。これらの食べ物は脂肪肝を悪化させるだけでなく、メタボリックシンドロームをはじめとしたさまざまな疾患を引き起こす恐れがあります。 また、アルコールの摂取を控えることも重要です。脂肪肝には、過食や過剰飲酒が原因で起こるアルコール性のものと、それ以外の非アルコール性のものがあります。 このように、脂肪肝にとってだめな食事は多くあり、それらを避けることが大切です。 肝臓の病気に対する新たな治療法として、再生医療が注目を浴びています。再生医療について気になる方がいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。 脂肪肝を改善する食事のポイント7つ 脂肪肝を改善するには、以下のような食べ物を避けることを意識しましょう。 糖質を多く含んでいる食べ物 ジュース類 駄菓子 果物 脂質を多く含んでいる食べ物 揚げ物 肉の脂身 ドレッシング マヨネーズ ※調理油は植物性が望ましい(オリーブオイル、菜種油、大豆油など) アルコール 1日あたり純アルコール20g(※)まで ※ビール中瓶(500ml)1本程度に相当 ここでは、避けるべき食べ物に加えて、脂肪肝を改善するための食事のポイントを解説します。 1.摂取エネルギーを抑える 1つ目は、糖質をはじめとした摂取エネルギーを抑えることです。食事から過剰摂取した糖質は、中性脂肪に変換されて脂肪肝の発症につながります。 ポイントとしては、摂取エネルギーの目安を把握した上で、それを超えないように食事制限する点です。 一般的な摂取エネルギー量の目安としては、以下のとおりです。 自分の摂取エネルギー量を計算した上で食事管理をして、理想的な標準体重を目標にしましょう。 2.糖質を控える 糖質の摂取もできるだけ控えましょう。 白米や十六穀米などの穀類に含まれる糖質は、比較的肝臓への影響が少ないと考えられています。そのため、1食につきお茶碗1杯程度なら大きな問題にはつながりません。 それよりも注意すべき食べ物が、お菓子や果物です。ジュース類や駄菓子に含まれているショ糖、果物に豊富な果糖は、穀物と比較すると中性脂肪が肝臓に蓄積しやすい特徴があります。 普段の食生活でもできるだけ間食を避け、糖質が多く含んでいる食べ物はなるべく摂取しないように心がけましょう。 3.脂質を控える 脂肪肝を改善するには、脂質を控えることも重要です。とくに、揚げ物やマヨネーズなどの脂質が豊富な食べ物には注意が必要です。 食べ物を調理する際は、なるべく動物性ではなく植物性の油の使用を心がけましょう。1日あたりの油の使用量は、大さじ1杯程度までに抑えるのが理想的です。 脂質の過剰摂取は肝臓に中性脂肪がたまる原因となりますが、極端な制限は必須脂肪酸の欠乏につながります。そのため、適度な脂質の制限が重要です。 食事の目安として、脂質を多く含むものを摂取する機会を週に1〜2回程度に抑えるように調整しましょう。 4.たんぱく質を適度に摂取する 糖質や脂質を控えめにする一方で、たんぱく質はなるべく意識的に摂取しましょう。 たんぱく質は、筋肉を作る上で欠かせない栄養素です。たんぱく質の過不足は、脂肪肝を悪化させるとされています。適量を確保するためには、良質なたんぱく質の摂取が大切です。 良質なたんぱく質を含む食べ物は、おもに以下のとおりです。 豆腐 納豆 牛乳 肉類(牛、鶏、豚) 魚介類(あじ、サバなど) 食事の際は、これらの食べ物を取り入れてみましょう。 5.アルコールの考え方 アルコールは肝臓で脂肪に合成されやすく、脂肪肝の悪化につながる恐れがあります。 可能なら禁酒が望ましく、飲むとしてもアルコール度数の高いお酒や、糖質の多い発泡酒などはなるべく控えましょう。 アルコールを摂取する際は、1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度までに制限し、週に2日以上は休肝日を設けることが推奨されています。 お酒ごとの純アルコールの目安としては、以下のとおりです。 お酒の種類 目安量 純アルコール量 ビール 中瓶1本(500ml) 20g 日本酒 1合(180ml) 22g ウイスキー・ブランデー ダブル(60ml) 20g 焼酎 1合(180ml) 50g ワイン 1杯(120ml) 12g 6.野菜などの食物繊維が多いものから摂取する 野菜に多く含まれている食物繊維の摂取も重要です。 食物繊維は食後の血糖値の上昇をゆるやかにして、コレステロールの増加を防ぐ働きがあるとされています。そのほかにも、満腹感を得られるようになり、エネルギーの摂りすぎ防止も期待できます。 1日の野菜の摂取量は、約350gが目安です。食物繊維は野菜だけでなく、海藻やきのこ類などにも豊富に含まれているので、これらの食べ物も意識的に取り入れてみましょう。 7.食事の仕方に配慮する 食べ物だけでなく、食事の仕方にも工夫が必要です。具体的なポイントは、以下のとおりです。 1日3食を規則正しい時間で食べる 夜遅くの食事は控える ゆっくり良く噛んで食事をする 主食・主菜・副菜のバランスを整える 不規則な時間帯での食事は、脂肪をため込む原因となります。また、ゆっくり良く噛むことで消化が良好となり、満腹中枢が刺激されて満腹感を得やすくなります。 栄養バランスを整え、偏った食事にならない点も注意が必要です。 まとめ|食事習慣を整えて脂肪肝の改善をしよう! 脂肪肝とは、肝臓を構成している肝細胞表面に脂肪が沈着して蓄積される病気です。 本疾患の原因として、肥満や糖尿病、過度のアルコール摂取などがあげられます。食事内容を見直すことで、脂肪肝の改善が期待できます。 脂肪肝を放置すると肝臓の機能が悪くなるだけでなく、肝硬変や肝臓がんなどの深刻な病気につながる恐れもあるでしょう。病状が悪化する前に、早めに医療機関にご相談ください。 脂肪肝の食事に関する良くある質問 ここでは、脂肪肝の食事に関する良くある質問についてお答えします。脂肪肝について疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてください。 脂肪肝に良い食べ物は? 脂肪肝の方におすすめなのが、良質なたんぱく質を含む食べ物や食物繊維が豊富な食べ物です。 たんぱく質は普段不足しがちなので、肉類や魚類などの質の高い栄養源は積極的に摂り入れることをおすすめします。 また、食物繊維には脂肪の蓄積を防ぐ作用が期待できます。野菜やきのこ類など、食物繊維が豊富な食べ物を意識的に食べましょう。 脂肪肝は糖質制限すべき? 糖質制限は、脂肪肝に対して大きな効果が得られるわけではないとされています。 海外の研究によると、減量するには糖質や脂肪などの特定の栄養素ではなく、摂取カロリーの制限が大きく関係しているとされています。(文献1) そのため、糖質や脂質などの栄養素よりも、摂取カロリーを意識した食生活を心がけましょう。 ただ、栄養素の偏りは健康に悪影響を及ぼす恐れがあるので、糖質や脂質を控えめにしつつ、たんぱく質を意識的に摂り入れてみてください。
2022.05.19







