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「走るたびにすねの内側がズキズキとする」 「足の痛みが日に日に強くなっている」 その症状はシンスプリントかもしれません。シンスプリントは、部活動やランニングに励む人が一度は経験することが多い代表的なスポーツ障害です。運動による負担の蓄積が骨膜の炎症を引き起こす主な原因です。初期対応を誤ると競技への復帰まで時間がかかることもあります。 本記事では、シンスプリントについて現役医師が詳しく解説します。 シンスプリントの原因 シンスプリントの初期症状 シンスプリントの治し方(治療法) シンスプリントはどこで診てもらうべきか シンスプリントの予防方法 記事の最後にはシンスプリントに関する質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 シンスプリントについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 シンスプリントとは 項目 内容 主な原因 筋肉の使い過ぎや足の構造・靴の問題によって骨膜に負担がかかること 症状の特徴 運動時や安静時に、すね内側へ広がる鈍い痛みが生じる 治療と予防のポイント 安静と運動量の調整を行い、ストレッチや靴の見直しで再発を防ぐことが重要 (文献1) シンスプリントは、すねの内側下方に生じる運動関連の骨膜炎で、脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれます。ランニングやジャンプ動作を繰り返すスポーツで発症しやすく、陸上競技、バスケットボール、サッカーなどの競技者に多くみられます。 原因は、下腿の筋群が脛骨の骨膜を過度に引っ張ることで、繰り返しストレスが加わり、微小な損傷と炎症が起こるためです。 初期には運動開始時の軽い違和感にとどまりますが、放置すると疲労骨折に移行する可能性があります。早期の発見と適切な対応が、競技復帰を早める鍵となります。 シンスプリントの原因 原因 詳細 オーバーユース(過度な練習や反復動作) 長時間の練習や繰り返し動作による骨膜への過剰な負担 筋力・柔軟性・体幹機能の不均衡 下腿や体幹の筋力不足、柔軟性低下による衝撃吸収力の低下 足部アライメントやフォームの乱れ 扁平足や回内足、誤ったランニングフォームによる負担の偏り 環境・個体差による影響 硬い路面、不適切な靴、成長期や体質による負荷の蓄積 シンスプリントは、骨膜に繰り返し負担がかかることで発症するスポーツ障害です。長時間の練習や急激な運動量の増加は骨膜へのストレスを高めます。 筋力や柔軟性の低下、足部のアライメント異常、環境要因などが重なり、骨膜への負担が蓄積してシンスプリントを発症すると考えられます。 以下の記事では、シンスプリントの原因について詳しく解説しています。 オーバーユース(過度な練習や反復動作) 原因 詳細 骨膜への繰り返しストレス 走行やジャンプ動作の反復による脛骨骨膜への牽引ストレスと微細損傷の蓄積 修復と負荷のバランスの乱れ 急激な運動量の増加や休養不足による修復機能の低下とダメージの慢性化 特定動作の反復による負担集中 長距離走や方向転換動作の繰り返しによる脛骨内側への局所的ストレスの集中 シンスプリントの主な原因は、運動負荷の過剰と回復期間の不足による不均衡です。急激なトレーニング量の増加や休息を取らない反復運動によって骨膜に小さな損傷が繰り返し起こり、累積したストレスが炎症を引き起こします。 運動量の急増や硬い路面での長時間の運動などによるオーバーユースが、シンスプリント発症の主な要因とされています。 筋力・柔軟性・体幹機能の不均衡 原因 詳細 筋力不足 ふくらはぎや足底の筋力低下による衝撃吸収力の低下と骨膜への負担集中 柔軟性低下 下腿後面やアキレス腱の硬さによる骨膜への牽引ストレスの増大 体幹機能低下 体幹の不安定さによるフォームの乱れと下肢への負担の偏り シンスプリントの原因は、筋力・柔軟性・体幹機能のバランスが崩れることです。ふくらはぎや足底の筋力が不足すると衝撃を十分に吸収できず、脛骨への負担が増加します。 さらに、柔軟性の低下により骨膜への牽引力が強まり、微細な損傷が起こりやすくなります。体幹の不安定さによってランニングフォームが乱れると、片側のすねに過剰な負担が集中します。 足部アライメントやフォームの乱れ 原因 詳細 足部アライメント異常 扁平足や過回内による足のアーチ機能低下と脛骨内側の負担増加 フォームの乱れ 体幹の不安定さや偏った接地による同一部位への繰り返し負荷 微小外傷の蓄積 小さなストレスの反復による骨膜・筋付着部の損傷蓄積と炎症誘発 シンスプリントの発症には、足部のアライメント異常やフォームの乱れが大きく関与しています。扁平足や過回内では足のアーチ構造が崩れ、着地時の衝撃を十分に吸収できず、脛骨内側に負担が集中して骨膜炎を起こしやすくなります。 ランニングやジャンプ動作で体幹が不安定になり接地が偏ると、毎回のステップで同じ部位に強いストレスがかかり、とくに片脚への荷重の偏りが炎症を助長します。 こうした不適切な動作が繰り返されることで、骨膜や筋付着部に微細な損傷が蓄積し、炎症が慢性化します。予防には、正しいフォームの習得や、インソール・靴による足部アライメントの補正が不可欠です。 環境・個体差による影響 原因 詳細 運動環境の影響 硬い路面や不整地でのトレーニングにより、着地時の衝撃が増し、足部に負担が集中 運動量・強度の急激な変化 トレーニング量や強度の急増による筋肉・骨膜への過剰負荷と疲労蓄積 個体差(足の形状・筋力など) 扁平足や回内足、筋力不足や柔軟性低下による骨膜へのストレス増大 身体的・技術的要因の複合効果 体幹の不安定やフォームの乱れと環境・個体差が重なることで発症リスク上昇 シンスプリントの発症には環境要因と個人の身体特性が関与しています。硬い路面や不整地での練習、クッション性の低いシューズは着地時の衝撃を増大させます。 運動量の急激な増加、扁平足や回内足などのアライメント異常、筋力不足や柔軟性低下が過剰な負荷と疲労蓄積の原因です。体幹の不安定性やフォームの乱れが加わると、発症リスクはさらに高まります。環境調整と身体機能改善の両面から対策を講じることが重要です。 シンスプリントの初期症状 初期症状 詳細 運動時の痛み・違和感 ランニングやジャンプ動作時に感じるすね内側の鈍い痛みや違和感 運動後の痛み・不快感 運動後に現れる鈍い痛みや重だるさ、不快感の持続 すねの圧痛・筋肉の張り すね内側を押したときの痛みや、ふくらはぎ全体の張りやこわばり シンスプリントの初期には、運動時のすね内側に鈍い痛みや違和感が現れます。症状が進行すると運動後にも重だるさや不快感が残るようになります。 また、すねの内側を押すと痛みを感じ、ふくらはぎの筋肉に張りやこわばりがみられます。初期段階で適切に対応すれば改善が期待できるため、早期発見と休養が重要です。 以下の記事では、シンスプリントの症状チェックのやり方を詳しく解説します。 運動時の痛み・違和感 初期症状 詳細 運動時の痛み・違和感 運動開始直後の骨膜および筋腱移行部への牽引ストレスによる鈍い痛みや違和感 運動後の痛み・不快感 運動終了後の休息時にも続く違和感や圧痛 骨膜・軟部組織のストレス 骨膜や周囲軟部組織への繰り返しの牽引ストレスや衝撃による微細な炎症・ストレス反応 シンスプリントは、すねの骨膜に繰り返しストレスがかかることで起こる障害です。ランニングやジャンプなどの運動により骨膜に微小な炎症が生じ、とくに運動開始直後に痛みや違和感が現れます。 初期段階では体が温まると症状が軽減することがありますが、これは異常反応のシグナルと捉えるべきです。症状が進行すると運動後や安静時にも違和感や圧痛が残るようになります。この段階での違和感を軽視せず、運動量の調整や医療機関を早めに受診することが重要です。 運動後の痛み・不快感 要因 詳細 骨膜・軟部組織への微小炎症 運動による繰り返しストレスで骨膜や筋付着部に炎症が起こり、運動後に痛みや不快感が出現 筋肉疲労と牽引ストレスの残留 ヒラメ筋や後脛骨筋の疲労により柔軟性が低下し、骨膜への牽引力が持続・増強 血流変化による炎症の顕在化 運動後の血流変化で炎症が表面化し、安静時に痛みを感じやすくなる状態 シンスプリントは、すねの骨膜やその周囲組織に繰り返しストレスがかかることで発症する障害です。運動後に痛みや不快感が強くなることが初期段階の典型的なサインです。 運動を続けることで、骨膜や筋付着部には微小な炎症が生じ、疲労した筋肉が硬くなることで骨膜への牽引ストレスが残りやすくなります。実際、シンスプリントは「繰り返しストレスによって発生する足の痛み・不快感」とされ、運動後に症状が強くなることが知られています。(文献2) また、運動中は血流が活発になり炎症反応を感じにくい一方で、運動を終えると筋肉の緊張緩和や循環の変化によって炎症が顕在化し、痛みや不快感が現れやすくなります。 運動直後よりも安静時のほうが痛みを感じやすくなるため、この段階で生じる違和感を放置せず、早めに休養を取り医療機関を受診することが重要です。 すねの圧痛・筋肉の張り シンスプリントでは、繰り返しの運動によって脛骨周囲の骨膜が引っ張られ、脛骨内側の骨膜炎により圧痛が生じます。また、ふくらはぎの主にヒラメ筋や後脛骨筋が疲労して硬くなると、筋肉の柔軟性が低下し、骨膜への牽引ストレスが増加します。これが筋肉の張りや痛みの原因となり、運動中や運動後に症状が強まります。 炎症が進行する前段階では、動作時や直後に押すと痛む、筋肉が硬いといった違和感が先行することが多く、これらは早期発見の重要なサインです。 炎症の拡大が疑われる場合、自己流のマッサージや強いストレッチは避けてください。違和感が続く場合は、整形外科での診察と適切な治療を受けることが重要です。 シンスプリントの症状進行と持続痛について 段階 状態 症状の特徴 初期段階 運動中・運動後に痛みが出現 休息により症状が軽減することが多い状態 進行段階 炎症・微細損傷の慢性化 運動中の痛みが強まり、休息後も症状が残存 重症段階 組織の修復能力を上回る負荷が継続する状態 安静時にも痛みが出現し、日常生活への支障 シンスプリントは、すねの骨膜や周囲組織に繰り返しストレスが加わることで発症します。初期段階では運動中や運動後に痛みが出現しますが、休息により症状が軽減することが多い状態です。しかし、適切なケアを行わず負荷を続けると、炎症や微細な損傷が慢性化し、症状が進行します。 骨膜や筋腱は休息や修復反応によってダメージを回復させる能力がありますが、修復が追いつかないほど負荷が加わり続けると、損傷と炎症が累積します。進行段階では運動中の痛みが強まり、休息後も症状が残存するようになります。 重症化すると安静時にも痛みが生じて日常生活に支障を来し、持続痛や強い局所痛がある場合は疲労骨折へ進展するおそれもあるため、早期対応が重要です。 シンスプリントの治し方(治療方法) 治し方(治療方法) 詳細 安静と運動調整 痛みの原因となる運動を一時的に中止し、運動量や強度を段階的に調整する休養と負荷管理 炎症抑制・物理療法 炎症や痛みを抑えるためのアイシング、超音波療法、低出力レーザー治療などの実施 ストレッチ・筋力トレーニング・リハビリ 下腿や体幹の柔軟性・筋力を整え、再発予防を目的とした段階的リハビリの実施 テーピング・装具(インソールなど) 足部アライメントを整え、衝撃や負担を軽減するためのテーピングやインソールの使用 薬物療法 炎症や痛みを緩和するための消炎鎮痛剤や外用薬の使用 再生医療 慢性化した場合に用いられる、自己修復を促すPRP療法(多血小板血漿注入)などの再生治療 シンスプリントの治療は、まず安静と運動量の調整により炎症の悪化を防ぎます。急性期にはアイシングや超音波などの物理療法で痛みと炎症を抑え、回復期にはストレッチや筋力トレーニングで柔軟性と安定性を取り戻します。 足部アライメントを整えるためのインソールやテーピングも有効です。症状が強い場合は薬物療法を併用し、慢性化例では再生医療を検討する場合もあります。ただし、再生医療は適用できる医療機関が限られており、患者の症状によっては適用できないケースもあるため、事前に医師との相談が不可欠です。 以下の記事では、治らないシンスプリントの治療法について詳しく解説しています。 安静と運動調整 シンスプリントの治療において、安静と運動調整が基本です。過度な練習や反復動作で生じた炎症は、運動を続けると悪化するため、安静により炎症を鎮静化させ、組織の修復を促します。運動を完全に止めるのではなく、症状を悪化させない範囲での運動量や内容の調整が大切です。 練習強度を下げる、回数を減らす、水泳や自転車など衝撃の少ない運動へ切り替えることで、体力を維持しながら回復を図ります。発症初期には患部に負担をかけない軽いストレッチや上半身トレーニングが推奨されます。 症状が軽快しても違和感が消えてから数日経過し再発がないことを確認した上で段階的に負荷を増やし、無理な練習継続による慢性化を避ける計画的な復帰が重要です。 炎症抑制・物理療法 シンスプリントは脛骨の骨膜に炎症が生じるため、炎症抑制と物理療法が治療の中心です。急性期には患部を安静にし、アイシングや非ステロイド性抗炎症薬で炎症を鎮めます。超音波療法などの物理療法は血流を改善し、組織修復を促進します。 症状が軽減したらストレッチや筋力強化運動を段階的に行って筋肉や骨膜の回復を促し、痛みが消えた後も急に運動強度を戻すと再発のリスクが高まるため、医師の指導に従い、段階的に運動量を増やすことが重要です。 ストレッチ・筋力トレーニング・リハビリ 項目 目的・内容 注意点 ストレッチ 筋肉や腱の柔軟性向上、関節可動域の拡大、怪我予防、血流促進 痛みの手前で止める、反動をつけない、怪我部位は専門指導のもとで実施 筋力トレーニング 筋力・持久力の向上、姿勢安定、関節保護、骨密度維持、代謝改善 正しいフォームの維持、負荷の段階的増加、呼吸を止めない、持病は医師に相談 リハビリテーション 機能回復、痛みや拘縮・筋萎縮の改善、日常・スポーツ復帰支援 過負荷を避ける、医師の計画に基づく実施、痛み時は中止、継続の徹底 ストレッチ、筋力トレーニング、リハビリテーションは、シンスプリントの根本的な改善に不可欠です。ストレッチはヒラメ筋や後脛骨筋を柔らかくし、骨膜への牽引力を軽減して痛みを和らげ、再発を防ぎます。 筋力トレーニングは足部アーチのサポート力や体幹の安定性を向上させ、運動時の負担を分散します。リハビリテーションでは痛みの程度に応じて運動負荷を段階的に調整し、筋肉や骨膜の耐久性を向上させます。これらは医師や理学療法士の指導のもと、個々の症状に応じて実施が重要です。 以下の記事では、シンスプリントに対して有効なリハビリ方法を解説しています。 テーピング・装具(インソールなど) 項目 目的・効果 注意点 テーピング 関節や筋肉の安定化、損傷部位の保護、痛みの軽減、フォーム補正 強く巻きすぎない、長時間の使用を避ける、皮膚トラブルに注意、根本治療ではなく補助的手段 装具 関節の安定・保護、変形や再発の予防、動作補助、痛み軽減、歩行や姿勢の改善 長時間使用による筋力低下に注意、医師の指示に従う、装着部の皮膚状態を確認 インソール 足部アライメントの矯正、荷重分散、歩行・ランニング効率の改善、スポーツ障害の予防 サイズや靴との相性を確認、定期的な見直し、合わない場合は使用を中止 テーピングとインソールは、シンスプリントの症状軽減と再発予防に有効な補助手段です。適切なテーピングは脛骨周囲の筋肉や骨膜を適度に圧迫し、筋肉の振動や骨膜への牽引力を抑制することで、痛みの軽減と炎症の進行予防に役立ちます。 また、足部の安定性を高め、床からの衝撃や不均等な負担を分散させることで、患部へのストレスを軽減します。さらに、テーピングは関節の過度な動きを制限し、筋肉や関節の過負荷を防ぐため、スポーツ活動時の怪我予防や再発予防に効果的です。 インソールは足部アーチをサポートし、歩行や運動時の足全体のバランスを整えることで、骨膜への負担を軽減します。これらの補助手段は、根本的な治療ではありませんが、ストレッチや筋力トレーニングと併用することで、症状の改善と長期的な再発予防が期待されます。 以下の記事では、シンスプリントにおけるテーピング方法について詳しく解説しています。 薬物療法 シンスプリントは脛骨の骨膜や筋腱付着部の炎症により発症するため、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による炎症抑制が症状軽減に有効です。内服薬や外用薬は炎症と痛みを軽減し、日常生活やリハビリを行いやすくします。 ただし、薬物療法は過度な炎症反応をコントロールして自然治癒を助ける補助的な役割です。安静、物理療法、リハビリテーションと組み合わせることで効果が最大化されます。 薬物療法は短期間の使用が推奨されるため、市販薬を自己判断で長期間使用することは避け、医師の指示に従って服用してください。根本的な改善のためには、薬物療法に加えて運動量の調整や筋力・柔軟性の改善など、包括的なアプローチが欠かせません。 再生医療 シンスプリントは脛骨周囲の骨膜や筋腱付着部に繰り返しストレスが加わり、炎症や微細な損傷が生じる状態です。多くは安静や運動調整で改善しますが、症状が慢性化したり再発を繰り返したりする例も存在します。 難治性の症例では、脂肪由来幹細胞による組織修復促進や血小板に含まれる成長因子による抗炎症作用が期待される再生医療が治療の選択肢となる場合があります。 ただし、再生医療を実施できる医療機関は限られており、患者の症状や状態によっては適用できないケースもあるため、治療を検討する際には医師への相談が不可欠です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 シンスプリントはどこで診てもらうべき? 項目 医療機関(整形外科) 整体・接骨院 診断 医師が診察・画像検査で原因を特定 画像検査ができず診断不可 対応内容 医学的治療・リハビリの計画 筋肉調整やマッサージ中心 適応範囲 炎症・骨膜障害・疲労骨折など幅広く対応 軽度の筋緊張緩和のみ (文献3) シンスプリントが疑われる場合、整形外科またはスポーツ整形外科の受診が基本です。自己判断でストレッチや湿布のみで対応すると、炎症が悪化して回復が遅れる可能性があります。 整形外科では問診・触診に加え、レントゲンやMRI検査などで疲労骨折との鑑別診断を行います。これにより症状の進行度を正確に評価し、適切な治療方針を決定します。 とくにスポーツ整形外科では、アスリートや運動習慣のある方を対象に、再発予防まで含めた包括的なリハビリを提供します。理学療法士が筋肉の柔軟性や体幹バランスを評価し、段階的な運動再開をサポートします。 なお、接骨院や整体などでの施術は一時的に症状が軽減したように感じられることがありますが、根本的な改善につながる医学的根拠は十分に確立されていません。まずは医療機関での正確な診断を受けることが重要です。 シンスプリントの予防方法 予防方法 詳細 運動量と休養の調整 運動量や強度を段階的に増やし、疲労を蓄積させないスケジュール管理。十分な休養日を設け、筋肉や骨膜の回復を促すバランス調整 身体機能の改善(筋力・柔軟性・フォーム) 下腿筋群のストレッチや筋力トレーニングによる衝撃吸収力の向上。ランニングフォームや着地動作の改善による負担分散 外的要因への対応(シューズ・インソール・環境) クッション性やフィット感に優れたシューズの選択。インソールによる足部アライメントの補正。硬い路面や傾斜地での練習回避 シンスプリントの予防には、運動負荷と身体機能、環境要因への多角的なアプローチが必要です。まず、急激な運動量の増加を避け、十分な休養を確保することで組織の修復を促します。 次に、下腿筋群や体幹の筋力強化、ストレッチによる柔軟性向上、正しいランニングフォームの習得を行い、衝撃吸収能を高めて負荷を適切に分散させます。 クッション性に優れたシューズの選択や足部アライメントに合わせたインソールの使用、硬い路面を避けた練習環境の見直しも重要です。これらの要素を総合的に実践することで、シンスプリントの発症リスクを効果的に低減できます。 運動量と休養の調整 シンスプリントの予防には、運動量の段階的調整と適切な休養の確保が基本となります。加えて、筋力強化やストレッチによる柔軟性向上、正しいフォームの習得といった身体機能の改善により、下腿への負担を軽減できます。 さらに、足に合ったシューズやインソールの活用、硬い路面の回避など外的環境を整備することも重要です。これらの対策を総合的に実践することで、シンスプリントの発症・再発リスクを抑制し、継続的な運動が可能になります。 身体機能の改善(筋力・柔軟性・フォーム) シンスプリントの再発予防には、身体機能の総合的な改善が重要です。筋力強化では、ヒラメ筋や後脛骨筋を鍛えることで骨への負担を軽減します。ゴムチューブを用いたふくらはぎのトレーニングや足指でタオルを引き寄せる運動が効果的です。 柔軟性向上ではヒラメ筋を中心としたストレッチを運動前後に習慣化し、フォーム改善では適切な着地方法や膝の角度、姿勢を段階的に習得することで、炎症リスクと脛骨への衝撃を軽減します。 適切な運動量の調整や休養を取り入れながら実践することで、衝撃を吸収する力が高まり、筋肉への牽引ストレスが減少し、荷重のバランスも整いやすくなります。 外的要因への対応(シューズ・インソール・環境) シンスプリントの再発予防には、練習環境やシューズなど外的要因への配慮が重要です。クッション性が低下したシューズや足に合わない靴を使用すると、着地時の衝撃が脛骨へ直接伝わり骨膜への負担が増大します。 競技特性や足型に合ったシューズを選び、定期的に交換することが大切です。扁平足や過回内がある場合は、医療用またはスポーツ用インソールで足のアライメントを補正し、荷重バランスを整えることが有効です。 また、アスファルトなどの硬い路面ばかりで練習せず、芝生やゴムトラックなど柔らかい地面を取り入れることで衝撃を軽減できます。これらの外的要因を見直すことは、身体への負担を減らし再発予防を支える重要な要素です。 シンスプリントを理解して適切な対策を講じよう シンスプリントは、スポーツを続ける人に多く見られる下肢の障害で、脛骨周囲の骨膜や筋肉に炎症やストレスが生じることで発症します。初期の段階で適切に対応すれば回復しやすいため、違和感を放置せず早めにケアしましょう。 運動量の調整やストレッチ、シューズの見直しなど、日常の工夫で負担を軽減できます。症状が続く場合や再発を繰り返す場合は、整形外科での診断とリハビリが必要です。 シンスプリントの治療についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、患者さまご自身の細胞や血液成分を用いる再生医療を行っており、損傷した組織の修復をサポートする治療の選択肢としてご案内しています。症状や状態に応じて、適切な方法を検討しご提案いたします。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 シンスプリントに関するよくある質問 シンスプリントは休養期間を設ければ改善しますか? シンスプリントは、適切な休養を取ることで改善が期待できる場合があります。初期症状であれば約2週間の安静で痛みが和らぐこともありますが、無理な運動再開は再発の原因になります。 症状が続く場合は医療機関での診察やリハビリが必要です。筋力や柔軟性の改善を並行して行うことが回復への近道です。 以下の記事では、シンスプリントの休むべき期間について詳しく解説しています。 家族がシンスプリントになったときはどうすれば良いですか? シンスプリントの回復には、休養とセルフケアに加え、心身のサポートが重要です。お子さまが痛みを抱えているときは、無理に運動を続けさせず安静を保つことが大切です。 症状が落ち着いたら、自転車や水泳など負担の少ない運動に切り替え、段階的に練習を再開しましょう。アイシングやテーピング、インソールの使用も有効です。 思うように動けない時期は焦りや不安を感じやすいため、ご家族が寄り添い、前向きな気持ちで回復に取り組めるよう支えることも大切です。痛みが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 シンスプリントは走りながら治すことはできますか? シンスプリントは脛骨周囲の骨膜や筋付着部に炎症が生じる障害です。痛みを抱えたまま走り続けると疲労骨折へ進行するおそれがあるため、推奨されません。 初期の違和感程度であれば、医師の診断を受けた上で運動強度や距離を調整し、路面やシューズを見直すことで回復を図れます。 治療は安静や物理療法、筋力・柔軟性の向上を基本とし、症状が落ち着いてから段階的に運動の再開が望まれます。 以下の記事では、シンスプリントを走りながら治せるかについて詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) シンスプリント|MSD マニュアル プロフェッショナル版 (文献2) Medial tibial stress syndrome: conservative treatment options|PMC PubMed Central® (文献3) Shin Splint: A Review|PMC PubMed Central®
2025.11.26 -
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「スポーツ中に膝が痛むようになってきた」 「階段の昇り降りやしゃがむ動作で膝が痛む」 このような症状がある方の中には、「ジャンパー膝」と診断された方も少なくありません。 「ジャンパー膝とはどんなもの?」 「治るものなの?」 「またスポーツできるようになる?」 このような疑問や不安を感じる方も多いことでしょう。 本記事では、ジャンパー膝の概要や主な症状、治療法、セルフケアのポイントなどをわかりやすく解説していきます。 ジャンパー膝への正しい知識を得ることで、不安解消につながりますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ジャンパー膝について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ジャンパー膝とは ジャンパー膝とは、膝に繰り返し負担がかかったために生じる損傷です。 バレーボールやバスケットボールといったスポーツで膝を使いすぎることが、ジャンパー膝の主な原因とされています。 ジャンパー膝に該当する主な疾患としては、膝蓋腱炎と大腿四頭筋腱付着部炎の2つがあります。 膝蓋腱炎 膝蓋腱炎とは、バレーボールやバスケットボール、ランニングなどで繰り返し膝を使ったりジャンプを続けたりした際に生じる膝の障害です。 特徴的な症状は、主に以下のとおりです。 膝関節が痛む 膝蓋骨下部を押すと痛む ジャンプや階段昇降時に痛む 痛みの原因は、膝蓋骨と脛骨(すねの骨)をつないでいる膝蓋腱に小規模な断裂や炎症が生じることです。 大腿四頭筋腱付着部炎 大腿四頭筋腱付着部炎は、膝蓋腱炎と同様、バレーボールやバスケットボール、ランニングなどで繰り返し膝を使ったりジャンプを続けたりしたことで生じる膝の障害です。 膝に強い負荷が繰り返しかかると、太もも前面にある4つの筋肉である「大腿四頭筋」の先端部の腱に炎症が起こります。 特徴的な症状は、主に以下のとおりです。 膝蓋骨の上部に痛みが生じる 階段昇降時に痛みが増す しゃがむ動作のときに強く痛む 大腿四頭筋腱付着部炎については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 ジャンパー膝の原因 ジャンパー膝の主な原因は、膝に繰り返し負担がかかること、いわゆるオーバーユースです。 ジャンプや着地のたびに、膝蓋腱が引っ張られ、小さな傷ができてしまいます。 傷を治そうとして増えるのが、新しい血管です。傷が治ると血管は消えますが、ジャンプや着地を何度も繰り返すと、小さな傷がどんどん増えてしまい、それに合わせて血管も増え続けます。 血管が増えると、神経繊維も一緒に増えるため、痛みを感じやすくなるのです。 オーバーユース以外の原因としては、運動時の間違ったフォームや筋力の低下などがあげられます。 サイズが合わない、クッション性が低いといった不適切なシューズも、膝蓋腱に負担をかけてしまうので、ジャンパー膝のリスクを高めます。 ジャンパー膝の重症度分類 ジャンパー膝の重症度分類としてあげられるのが、Blazina(ブラジナ)分類です。(文献1) Blazina分類では、ステージ1から4の4段階で重症度が分類されています。 ステージ 状況 ステージ1 スポーツ活動中に痛みがある ステージ2 スポーツ開始時に痛み、ウォームアップで消えるが、疲労時に再び現れる ステージ3 活動中および活動後にも痛みがあり、スポーツに参加できない ステージ4 腱が完全に断裂している ジャンパー膝で感じる痛みと生活への影響 ジャンパー膝の初期は、運動時を中心に痛みや違和感があり、安静にしていると症状がおさまります。そのため日常生活への影響は少ないといえるでしょう。 しかし、進行すると安静時にも痛みが生じるようになり、日常生活にも支障をきたし始めます。 初期に感じやすい違和感 ジャンパー膝の初期には、ジャンプしたときや運動開始時、もしくは運動終了後に痛みや違和感を生じることが多いとされています。しかし、安静にしていると痛みが消えるため、運動を続ける方も少なくありません。 階段昇降時、とくに昇るときに膝に違和感を覚える場合もあります。 階段を昇るときは膝を大きく曲げることにより、膝蓋骨上部に負担がかかりやすいためです。 進行による日常生活の影響 ジャンパー膝が進行すると、スポーツだけにとどまらず、日常生活にも影響を及ぼします。 階段の昇り降りや椅子からの立ち上がり、しゃがみ姿勢からの立ち上がりで強く痛むことがあります。しゃがむ動作ができなくなるケースも少なくありません。 重症化すると、歩行が困難になったり安静時にも痛みが生じたりして、日常生活に支障をきたすようになります。 「ジャンパー膝は治るのか」について ジャンパー膝は、適切な治療とリハビリにより、十分回復可能です。しかし、症状によって回復までの時間が異なります。 大事なことは、ジャンパー膝を放置せず早期に治療を受けることです。 治すためには早期対応が必要 ジャンパー膝が治る期間は症状によって異なりますが、いずれにしても、早い対応が必要です。膝に痛みが生じた時点で医療機関を受診しましょう。X線やMRI、エコーなどの検査を受けて、膝の状態を確認します。 安静や膝のアイシングで回復する場合もありますが、重症例では運動制限が加わったり、手術が必要になったりするケースも少なくありません。 ジャンパー膝の重症度を判別するためにも、早期に医療機関を受診しましょう。 下記の記事では、ジャンパー膝が治るまでの期間や、やってはいけないことについて解説しています。 あわせてご覧ください。 放置するとさまざまなリスクがある ジャンパー膝を放置して運動を続けていると、痛みが悪化し、運動能力に影響を及ぼす可能性があります。 非常にまれですが、膝蓋腱が断裂する可能性もあります。膝蓋腱が断裂すると、立てなくなったり、あお向けや座った状態で足をまっすぐ伸ばせなくなったりするケースも少なくありません。 膝蓋骨がずれて、本来の位置から上または下に移動するケースもあります。これは、転位と呼ばれる現象です。 ジャンパー膝を放置すると、さまざまなリスクが発生すると知っておきましょう。 ジャンパー膝の治療法 ジャンパー膝の治療法としては、主に以下の4つがあげられます。 保存的治療 理学療法 手術療法 再生医療 保存的治療 保存的治療としてあげられるものは、主に以下のとおりです。 安静 膝のアイシング 物理療法 消炎鎮痛剤の活用 第一に、ジャンプやランニングなど、膝に負担をかけている動作を避けて安静にします。 安静を保つことと並行して、膝のアイシングおよび、電気治療や超音波治療といった物理療法で炎症を抑えます。 内服薬および塗り薬、湿布などの消炎鎮痛剤の役割は、痛みや炎症を抑えることです。 ステロイドの局所注射をするケースもありますが、腱を弱くする可能性があるため、慎重な対応が求められます。(文献2) 理学療法 ジャンパー膝の理学療法としてあげられるものは、主に以下のとおりです。 ハムストリング(太もも裏側の筋肉)のストレッチ 大腿四頭筋のストレッチ 大腿四頭筋の筋力トレーニング スクワット ジャンパー膝は、ハムストリングスや大腿四頭筋の柔軟性とも関係しているため、ストレッチが効果的とされています。 ジャンパー膝が長期化しているときのリハビリテーションでは、スクワットや階段昇降など「遠心性収縮訓練」も有効です。 遠心性収縮とは「筋肉が伸ばされながら力を発揮する動き」を意味します。 ジャンパー膝のストレッチについては、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 手術療法 膝蓋腱が断裂した場合などの重症例では、手術療法が検討されます。 主な手術としては、関節鏡を用いた膝蓋腱切除や膝蓋腱修復などがあります。 膝蓋腱切除とは炎症により変性した部分を切り取る手術であり、膝蓋腱修復とは、断裂部分を修復する手術です。 再生医療 手術に抵抗がある場合の選択肢としてあげられるのが、再生医療です。再生医療とは、ヒトの体内にある幹細胞の修復力を活用した治療方法です。 腹部の脂肪から幹細胞を採取し、既定の量になるまで培養してから体内に戻します。これは、「自己脂肪由来幹細胞治療」と呼ばれる治療法です。 「PRP療法」と呼ばれる治療法もあります。PRPとは、血小板を多量に含む血漿のことです。血小板には成長物質が多く含まれており、組織修復や炎症抑制の働きがあります。 ジャンパー膝も、「自己脂肪由来幹細胞治療」および「PRP療法」の適応となる疾患です。 再生医療について詳しく知りたい方は、リペアセルクリニックへお気軽にお問い合わせください。 メール相談やオンラインカウンセリングにて、詳しくお話を伺います。 以下の記事では、スポーツ外傷に対する再生医療について詳しく解説しています。 ジャンパー膝のセルフケア ジャンパー膝のセルフケアとしては、主に以下のようなものがあげられます。 膝関節の安静 膝関節のアイシング サポーターやテーピングによる膝の保護 湿布の活用 無理のない範囲でのストレッチも、柔軟性向上や膝蓋腱への負担軽減に役立ちます。運動前のウォーミングアップ、運動後のクールダウンとして取り入れてみましょう。 運動時のフォームやシューズの見直しも、セルフケアの一環として重要です。 以下の記事では、ジャンパー膝における湿布の貼り方について解説しています。あわせてご覧ください。 ジャンパー膝を理解して早期対応を心がけよう ジャンパー膝は主に、膝蓋腱炎と大腿四頭筋腱付着部炎に分けられます。 当初は、運動後の違和感だけですが、進行するうちに運動中にも痛みを感じ、重症になると日常生活にも支障をきたします。そのため、ジャンパー膝は早期の対応が重要です。 重症度判別や早期回復のためにも、膝に痛みや違和感を覚えた時点で、医療機関を受診しましょう。 ジャンパー膝の治療法としては、保存療法や理学療法、手術療法などがあります。膝の痛みについては、再生医療も選択肢として考えられます。 ジャンパー膝による痛みでお悩みの方は、リペアセルクリニックまでお気軽にお問い合わせください。 メール相談やオンラインカウンセリングも行っております。 ジャンパー膝に関するよくある質問 ジャンパー膝の際にやってはいけないことは何ですか? ジャンパー膝の際にやってはいけないことは、主に以下のとおりです。 痛みを我慢し無理してスポーツを続ける 安静の指示を守らない 医師の指示なくストレッチやマッサージを行う 治療を中断する これらの行動は、回復の遅れや重症化につながります。 スポーツだけにとどまらず、日常生活にも大きな支障をきたすリスクがあるため、行わないようにしましょう。 ジャンパー膝とオスグッド病の違いは何ですか? オスグッド病は、脛骨粗面(けいこつそめん)と呼ばれる、膝蓋骨の下の骨に炎症や痛みが生じる疾患です。 両者の違いは、痛みが生じる部分です。 ジャンパー膝は、膝蓋腱や大腿四頭筋腱など「腱」に痛みを生じますが、オスグッド病は脛骨粗面と呼ばれる「骨」に痛みを生じます。 オスグッド病は、脛骨粗面が筋肉や腱で強く引っ張られてしまうことで、骨が出っ張ってしまう特徴があります。 ジャンパー膝とオスグッド病の違いは下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 ジャンパー膝で身長伸びるって本当ですか? ジャンパー膝で身長が伸びることはありません。 ジャンパー膝は、急激に身長が伸びる時期に多く見られます。 身長が急激に伸びる時期は、骨格も成長しており、大腿四頭筋の柔軟性向上が追いつかない状況です。その結果、相対的に筋肉の緊張が高まります。 筋緊張が高まった状態でジャンプを繰り返すと、膝蓋腱に負担がかかり、ジャンパー膝を発症すると考えられます。 ジャンパー膝と身長の関係については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 関連記事:ジャンパー膝は身長伸びる?成長期との関係性と原因について医師が解説 参考文献 (文献1) Patellar tendinopathy: diagnostic approach and functional assessment scales|Revista Española de Artroscopia y Cirugía Articular (文献2) 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)|日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会
2025.08.31 -
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「歩くと足首が痛い」「原因不明の痛みがある」 こういった悩みの原因は、疲労骨折の可能性があります。 疲労骨折は自分では判断がつかないことも多く、放置して悪化してしまう例も少なくありません。 この記事では、足首の疲労骨折について詳しく紹介します。似た症状である捻挫との違いや、完治にかかる期間についても解説しています。 自分の症状が疲労骨折なのか判断に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。 足首にも起こる疲労骨折とは 疲労骨折とは、一度では骨折には至らない小さな負荷が、継続的に加わることで発生する骨折です。 疲労骨折は体重を支える骨に多く見られ、足の骨だと「脛骨(すねの骨)」「腓骨(脛骨の外側にある骨)」「中足骨(足の甲~付け根にかけてある骨)」によく見られます。 足首の骨では「腓骨」「舟状骨(足の内側、土踏まずの頂点あたり)」に負荷が掛かりやすく、疲労骨折を起こしやすいです。 ジャンプすることが多いスポーツ、長い時間の立ち仕事や、ランニング、ウォーキングなどが疲労骨折の原因として挙げられます。 疲労骨折と捻挫のちがい 疲労骨折 捻挫 原因 繰り返しの負荷の蓄積 転倒、ジャンプした際の着地失敗によるひねり 損傷部位 骨のひび 靭帯や関節周囲の軟部組織 痛み 鈍い痛みが長く続く 瞬間的に強い痛み 腫れ 出ない、もしくは目立たない場合もある はっきりと出る 大きな違いは捻挫の場合は怪我をした明確な原因がある点です。 原因がわからないが気づいたら痛みが出ていた、という人は疲労骨折の可能性があります。 足首の疲労骨折を起こしやすい人の特徴 疲労骨折を起こしやすいのは以下の特徴がある人です。 スポーツをしている。 仕事や日常生活でずっと立っていること、歩くことが多い。 成長期や更年期などで骨がもろくなっている。 栄養バランスが乱れている。 靴底が薄い靴を履いている。 スポーツでは、特にジャンプをすることが多い種目(バスケットボールなど)をしている人は注意が必要です。ジャンプの着地時の負荷の蓄積によって疲労骨折のリスクが上がります。 足首の疲労骨折の症状・痛みの特徴 足首の疲労骨折の症状の特徴は以下の通りです。 立つ、歩くという動作をすると鈍い痛みが起こる 安静期間を設けても症状が良くならず、長い期間で痛みが続いている 押すと痛い、腫れがある 足首が動かしづらい、もしくはまったく動かない 上記の症状が見られる場合は疲労骨折の可能性が高いです。 疲労骨折は強い痛みが起こらないこともあるため、つい放置してしまう人もいます。 しかし、疲労骨折もほかの怪我同様、早期発見が完治の近道です。 当てはまる症状がある場合、まずは医師に相談しましょう。 足首の疲労骨折の検査・治療法 疲労骨折の場合も、事故や強打した際に起こる骨折同様に患部の検査が必要です。治療法は怪我の程度によって変わりますが、安静が必須になります。 疲労骨折の検査 疲労骨折は早期の検査だとX線では骨折線が見えないことが多いです。そのため、CT検査やMRI検査を用いて確認を行います。 MRI検査は骨の内部の変化や炎症を詳しく観察でき、疲労骨折の早期発見に最も有効です。CT検査は骨の構造をより詳しく確認できます。 初回検査で異常が見つからなくても、症状が続く場合は再検査を行うことが重要です。発症後2~3週間すると骨折線が見えてくることがあります。 足首の疲労骨折の治療 足首の疲労骨折の治療は、安静による自然治癒が基本です。 まずは患部を安静にしましょう。軽傷ならおよそ1か月~1か月半、重症なら2~3か月の安静期間を設け、重い荷物を持つことは控えてください。 症状に応じて松葉杖やテーピング、ギプス固定を用いることもあります。松葉杖は患部への荷重を避けるため、テーピングやギプスは患部の固定と保護のために使用されます。 治療中は定期的に通院し、都度治癒状況を確認してください。自己判断でのスポーツの再開は治りを遅らせる可能性があり危険です。 また、段階的なリハビリも早期完治に有効です。医師の指導のもと、痛みのない範囲で足首の可動域訓練や筋力強化を行います。完治後もリハビリを続け、再発防止に努めましょう。 いずれにせよ医師の判断が最優先となるため、些細なことでも相談しましょう。 足首の疲労骨折を防ぐためにすべきこと 疲労骨折は継続的に患部に負荷がかかることで起こるため、防ぐにはまず、負荷を軽減することが重要です。 スポーツが原因で足首の疲労骨折を起こしてしまった人は、まずしっかりした休息をとるよう心がけましょう。 アスリートの疲労骨折の原因は「練習のしすぎ」であることが多いです。 大事な試合の前や、つい熱中して休みを取ることを忘れてしまうこともありますが、長くスポーツを続けるために休息をとりましょう。 また、定期的なストレッチも効果的です。ストレッチは筋肉の柔軟性が高まるため、怪我のリスクを減らせます。 足に合っていない靴を履くのも疲労骨折の原因になる場合があるため、注意が必要です。サイズが合わない靴やクッション性の低い靴、かかとがすり減った靴は足に不自然な負荷をかけてしまいます。 仕事で立つことが多い人や歩く時間が長い人は定期的に靴を確認し、必要に応じて交換や修理を行いましょう。 また、骨の強度を保つための健康管理も重要です。骨を強くするカルシウム、ビタミンDなどの栄養を積極的に摂りましょう。 カルシウムは乳製品や大豆製品、煮干しなどの小魚、ビタミンDは魚介類やきのこ類に多く含まれています。 まとめ|足首の長引く痛みは疲労骨折の可能性がある!すぐに専門の医師へ相談しよう 足首の疲労骨折は、継続的な負荷のかかる運動、動作を繰り返すことで発生する骨折です。 外傷がないのに足首の痛みが長引いている、歩くときに違和感を感じているという人は疲労骨折の可能性があります。 疲労骨折の治療は安静が基本です。重い荷物を持たない、歩行時には体重をかけないなど、患部への負担をできる限り減らしましょう。 スポーツをしている人は、治療期間の練習は医師との相談のもと行ってください。自己判断で運動を再開すると、完治に時間がかかる可能性があります。 再発を防ぐためには、負荷がかかりすぎない運動量の見極めが重要です。適度な休息を設けて、靴の見直しや栄養管理、ストレッチを行って予防に努めましょう。 足首の痛みが長引いている場合、放置は危険です。明確な原因がない場合でも骨に負担がかかっていることはあります。 疲労骨折の可能性も考慮し、まずは専門の医師に相談してください。 足首の疲労骨折に関してよくある質問 足首の疲労骨折ではどんな痛みが起きる? 立つ、歩くなどの動作をすると鈍い痛みが起こります。また、長い期間痛みが続くのも特徴的です。 押すと痛みがある、足首が動かない、もしくは動かしづらいという症状も見られます。 疲労骨折の痛みは、捻挫のような突然の激痛とは異なり、じわじわとした持続的な痛みが特徴です。朝起きた時や運動開始時に痛みが強く、安静にしていると和らぐのが特徴です。 足首の疲労骨折の治療にはどれくらいの期間がかかる? 軽傷なら1か月〜1か月半、重症なら2〜3か月ほどで完治することがほとんどです。 治療の期間は絶対安静にし、スポーツや重い荷物の持ち運びは控えましょう。 治療期間は骨折の部位や程度、患者様の年齢、栄養状態によって個人差があります。適切な治療を行えば予後は良好ですが、無理をすると治療期間が延長する可能性があります。 足首が疲労骨折した状態でも歩ける? 疲労骨折をした状態でも歩くことはできますが、負荷がかからないよう気を付ける必要があります。 長距離の歩行は避け、症状が軽度な場合を除き、歩行時は松葉杖を使用することで足首への負担を軽減しましょう。 医師の指導に従い、段階的に歩行距離を延ばしていくことが重要です。
2025.06.30 -
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
「歩くとかかとが痛い」「原因はわからないがかかとが痛む」 その症状は、かかとの疲労骨折かもしれません。 疲労骨折は中足骨や足首などで起きやすいというイメージを持っている人もいるでしょう。 中足骨、足首周辺と比べると少ないケースではありますが、かかとも疲労骨折を起こすことはあるため注意が必要です。 この記事ではかかとの疲労骨折について解説します。 通常の骨折との違いや治療にかかる期間、予防対策についても紹介しています。原因不明のかかとの痛みに悩まされている人は、参考にしてください。 かかとの疲労骨折とは?通常の骨折との違い 疲労骨折とは、長時間の運動など負荷が継続的に骨に加わることで起こる骨折です。 ジャンプすることが多いスポーツや、長時間の立ち仕事など、足を酷使する状況が長時間ある人がなりやすいとされています。 通常の骨折との大きな違いは、痛みの原因が明確にあるかどうかです。 通常の骨折は、「着地に失敗してかかとを強打した」「事故などでかかとを強打した」など、強い衝撃が加わったことで起こる「外傷性骨折」の場合がほとんどです。 対して疲労骨折はダメージの蓄積によって発生します。 そのため、徐々に患部の痛みが強まっていく場合もあり、すぐに気付けなかったという例も少なくありません。 かかとの疲労骨折の特徴的な症状 かかとの疲労骨折の主な症状は以下の通りです。 かかとに圧をかけると強い痛みが起こる かかと付近の腫れや熱感、あざができることもある 歩行が困難になる また、かかとの骨折が原因で合併症や後遺症を引き起こす可能性もあります。 合併症では、骨折による強い腫れが周辺の血管を圧迫し、血流障害を起こすコンパートメント症候群が発生することがあります。ただし、かかとの疲労骨折でこの合併症が起こることは極めてまれです。 骨折による変形や可動域の低下といった後遺症が見られることも少なくありません。 合併症や後遺症を防ぐためには早期の治療が最善です。自己診断で決めつけず、まず医師に相談しましょう。 疲労骨折を起こしやすい人の特徴 疲労骨折を起こしやすい人の特徴は以下の通りです。 スポーツをしている。 仕事や日常生活でずっと立っていること、歩くことが多い。 成長期や更年期などで骨がもろくなっている。 栄養バランスが乱れている。 靴底が薄い靴を履いている。 特にかかとは固い床、地面への着地時に負荷がかかることが多いと言われています。 ジャンプすることが多いバスケットボールやバレーボールなどの種目は注意が必要です。 また、蹴り上げる動作の多い陸上競技やヒールを履いて行うダンス競技もかかとへの負担が大きいとされています。 かかとの疲労骨折の診断および治療 かかとの疲労骨折は適切な診断と治療が重要です。 疲労骨折は通常の骨折とは異なり、蓄積されたダメージによって起こるため、診断には専門的な検査が必要になることがあります。 治療では安静を基本として、症状に応じて松葉杖やテーピングなどを用いて患部への負担を軽減します。完治には医師の指導に従った段階的な治療とリハビリが欠かせません。 この項目ではかかとの疲労骨折の診断方法や完治するまでの治療法について解説します。 疲労骨折の検査・診断方法 疲労骨折の場合、早期の検査ではレントゲンで骨折線が見えないケースが多いです。 そのため、CT検査やMRI検査を行い患部の状況を確認します。MRI検査では、レントゲン上では見えなかった骨周辺の炎症などによって判断が可能です。 発症後2~3週間経つと、骨折線が見えてくることがあります。 かかとの疲労骨折の治療法 かかとの疲労骨折の治療は安静が基本です。軽傷なら1〜1.5か月、重症なら2〜3か月の安静期間が必要で、スポーツは原則禁止となります。 重い荷物を持つことは控え、ケガをしている足での歩行もなるべく避けてください。症状に応じて松葉杖やテーピングを用います。 テーピングは症状緩和と再発防止に効果的ですが、間違った方法では骨の癒合不良や症状悪化を招くため、必ず医師の指導のもとで行ってください。 定期的な通院で治癒状況を確認し、段階的なリハビリも早期完治に有効です。完治後もリハビリを続け、再発防止に努めましょう。 自己判断でのスポーツ再開は危険なため、医師の判断を最優先とし、些細なことでも相談してください。 かかとの疲労骨折を防ぐためにすべきこと 疲労骨折を防ぐためには、まず継続的な負荷を軽減するのが有効です。 休息をしっかりとる 普段使用する靴を見直す 栄養バランスを整える これらの予防法について詳しく見ていきましょう。 休息をしっかりとる 例えば、スポーツをしている人は練習量の調節からはじめてください。 アスリートは練習のしすぎによって疲労骨折を起こしてしまうことが多いです。 適度に休憩時間をとる、運動後のストレッチやマッサージを行うなど、運動以外のケアにも目を向けましょう。 普段使用する靴を見直す 運動時の靴を変えることで疲労骨折のリスクが軽減される可能性もあります。 靴底がすり減って薄くなっているとクッション性が失われ、踏み込んだ際のダメージが直接骨に届いてしまいます。 また、外側だけすり減っているなど、靴の形自体が変形してしまうと姿勢の崩れの原因にもなり余分な負荷がかかってしまうこともあります。靴の定期的なメンテナンスは非常に重要です。 栄養バランスを整える 骨の強度を保つために食事の栄養バランスを整えることも大切です。カルシウム、ビタミンDなどが骨を強くします。 カルシウムは以下の食品に多く含まれています。 乳製品や大豆製品 にぼしなどの小魚 ビタミンDが多く含まれている食品は以下の通りです。 魚介類 きのこ類 普段の食事に意識的に取り入れ、骨折しない体づくりを心がけましょう。 まとめ|かかとでも疲労骨折は発生する!長引く痛みはすぐに専門の医師へ相談を かかとの疲労骨折は継続的に負荷がかかることで発生します。 例えば、ジャンプをするスポーツや地面を踏み込むスポーツを長くやっている人や長時間歩く、立ったままの仕事をしている人は注意が必要です。 かかとの疲労骨折の完治には1か月〜3か月ほどかかります。治療期間は重い荷物を持たない、歩行時になるべく患部に負担をかけないことが必要です。 症状の度合いによってはテーピングなども行いましょう。テーピングは症状の緩和だけでなく再発の予防にも効果的です。 かかとの疲労骨折を予防するためには継続的な負荷を軽減することが重要です。 スポーツをしている人は練習量を調整し、十分な休息をとることを心がけて下さい。 また、休息以外にも骨を強くするための栄養管理や、靴のメンテナンスも疲労骨折の予防に効果があります。 疲労骨折は蓄積されたダメージによって起こるため、自分では気づきづらいケガのひとつです。 かかとの痛みが長引く場合は疲労骨折の可能性も踏まえ、まずは医療機関を受診しましょう。 かかとの疲労骨折に関してよくある質問 かかとの疲労骨折ではどんな痛みが起きる? かかとの疲労骨折の特徴的な痛みとして、 かかとに圧をかけると強い痛みが起こる。 足と足首が大きく腫れ上がり、あざができることもある。 歩行が困難。 などが挙げられます。 かかとの疲労骨折は全治何カ月? 症状の重さにもよりますが、おおよそ1か月~3か月ほどで完治します。 治療にかかる期間や治療期間の制限などは重症度で変わるため、医師に相談しましょう。 かかとの疲労骨折は、合併症や、変形、神経障害などの後遺症が残ることがあります。骨が完全に癒合するまで必ず通院を続けてください。 かかとが疲労骨折した状態でも歩ける? かかとが疲労骨折を起こした場合、歩くことはできますが健常時のように歩くことは非常に困難です。 歩いた際にかかとに負荷がかかり、強い痛みを感じる可能性があります。 重症の場合は松葉杖を使用し、患部への負担を軽減するようにしましょう。
2025.06.30 -
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
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- スポーツ外傷
「肩や肘が痛いけれど、まだ投げられるから大丈夫」「チームに迷惑をかけられないから、少しくらい我慢しよう」 このような想いを抱きながら、痛みと向き合っている選手や保護者の方は決して少なくありません。 しかし、驚くべきことに高校球児の20人に1人が肩関節もしくは肘関節の手術や引退を余儀なくされるような重篤な怪我を経験しているのが現実です。(文献1) さらに、1シーズンで100イニング以上投げた選手は、投球回数が少ない選手に比べて約3.5倍の確率で重篤な怪我のリスクが高まるという研究結果も報告されています。(文献1) 野球での怪我は運や偶然で起こるものではありません。そこには必ず原因があり、正しい知識と早期対応によって多くの怪我は予防できるのです。 本記事では、野球で発症しやすい代表的な怪我の種類と症状、そして最も大切な予防法について詳しく解説します。 怪我と正しく向き合うための知識を身につけることで、長く野球を続けられる体づくりを目指しましょう。 野球で多い怪我と症状をチェック 野球は全身を使ってプレーする複雑なスポーツです。投球、打撃、守備、走塁のすべての動作で、さまざまな部位に負担がかかります。(文献2) 以下で詳しく解説する野球で多い怪我の症状や特徴を理解し、自分の症状がどのタイプに当てはまるかを把握しましょう。 野球肩 原因 投球動作の繰り返し、肩甲骨周囲筋の筋力低下、不適切な投球フォーム、体幹・股関節の柔軟性低下 症状 投球時の肩の痛み、腕を上げる際の引っかかり感、夜間痛(炎症が強い場合)、肩の可動域制限 治療法 投球中止と安静(2〜4週間)、消炎鎮痛薬、ステロイド注射、リハビリテーション、重症例では手術 野球肩は投球動作で引き起こされる肩関節周辺の障害の総称で、発症のピークは15~16歳とされており、投手と捕手に多く見られます。(文献3) 投球動作は5つのフェーズに分けられ、各フェーズで異なる負荷がかかるため、痛みの出るタイミングによって損傷部位や重症度を推測できます。 ワインドアップ期:投球動作開始からステップ脚を最も高く上げるまで アーリーコッキング期:ステップ脚が地面に着くまで レイトコッキング期:肩関節が最大外旋位に達するまで アクセラレーション期:ボールリリースまでの加速期 フォロースルー期:ボールリリース後の減速期野球肩は段階的に進行する特徴があります。 初期段階では投球後の軽い違和感程度で、数日休むと症状が改善できるため、この段階での適切な対応が最も重要ですが、無理をしてしまうと日常生活に支障をきたすようになってしまいます。 初期段階で食い止められるように、違和感がある際は無理をせず休みましょう。 野球肘 原因 投球による肘への外反・回内ストレス、成長期の骨端線への負荷、オーバーユース、不良な投球フォーム 症状 投球時・投球後の肘痛、肘の伸展・屈曲制限、急に動かせなくなる(ロッキング)、握力低下(文献4) 治療法 投球禁止と安静、内側型は保存療法中心、外側型は長期投球禁止または手術、後方型は炎症抑制治療 野球肘は投球動作の繰り返しによって肘関節に生じる疼痛性障害の総称で、発症の時期により「発育型野球肘」と「成人型野球肘」に分けられます。 年代別の特徴として、11-12歳が発生のピーク年齢とされており、成長期では骨端(骨にある軟骨や成長線)への影響が大きく、成人期では靱帯や筋腱付着部の障害が中心となります。 野球肘の診断で重要なポイントとして、野球肘は前兆となる自覚症状が乏しく、痛みを訴える時には重症化していることが少なくない特徴があります。 腰椎分離症・腰痛(バッティング・投球の負担) 原因 打撃練習での体幹回旋動作、投球時の腰部負担、中腰姿勢の維持、不適切なランニングフォーム 症状 体幹後屈時の痛み、長時間立位困難、慢性的な腰痛、進行すると下肢のしびれ 治療法 早期発見時は保存療法(コルセット装着)、安静、完全分離時は手術を検討 腰椎分離症は、腰の背骨にある椎弓(ついきゅう)と呼ばれる腰椎が分離している状態のことを指します。疲労骨折が原因と言われており、発育期の代表的なスポーツ障害の一つです。 野球ではピッチングやバッティングで身体を反ったり、腰をひねる動作を繰り返し行うため、発症しやすい疾患として知られています。 日本の成人も約6%が腰椎分離症を患っていますが、未成年では小学校高学年~大学進学時の成長期のスポーツ部活生に起きることが多いとされています。 日本臨床スポーツ医学誌の研究では、大阪府で全国大会出場レベルの高校野球部に入学予定の中学3年生男子を258名研究した実験によれば、258名中55名(21.3%)が腰椎分離症を疑う初見を有しており、年齢に関係なく野球の練習に熱心な子どもは腰椎分離症を患いやすいことが判明しました。(文献5) 治療で重要なのは早期発見です。まだ骨折が早期の状態で発見できれば、手術をしない保存療法で治療を進められます。コルセットの着用など安静が正しく守れれば、骨は自然と癒合していきます。 腰椎分離症の中でも、とくに発症頻度が高いのが「第五腰椎分離症」です。 初期段階では軽い違和感程度のことも多く、見逃されやすい一方で、放置すると競技継続に支障をきたす可能性があります。 第五腰椎分離症の初期症状や治療法については、以下の記事で詳しく解説しています。 足首捻挫・アキレス腱炎 原因 急激な方向転換、不整地でのプレー、ふくらはぎの筋肉の柔軟性低下、不適切なシューズ 症状 足首の痛み・腫れ、歩行困難、アキレス腱部の痛み・圧痛 治療法 RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)、テーピング、リハビリテーション 野球では走塁時の急激な方向転換や、硬いグラウンドでのプレーにより足首の捻挫が頻繁に発生します。また、ダッシュやジャンプ動作の繰り返しによりアキレス腱炎も起こりやすい怪我の一つです。 アキレス腱炎は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐアキレス腱に炎症が起こる状態です。野球では、ダッシュや方向転換の繰り返し、合わないシューズを着用することで発症しやすくなります。 野球で発症した怪我のリハビリについて 野球で発症した怪我のリハビリは、単に痛みを取り除くだけではなく、競技復帰に向けた段階的な機能回復と再発予防が重要な目的となります。 以下は野球肩と野球肘のリハビリにおいて、重要なポイントです。 野球肩のリハビリポイント 急性期:肩のアイシングと安静時のポジショニング 回復期:肩甲骨周囲筋の筋力強化、インナーマッスル強化 競技復帰期:投球動作の段階的練習、フォームチェック 野球肘のリハビリポイント 投球禁止と肘のアライメント改善 股関節・体幹の柔軟性向上 段階的な競技復帰プログラム リハビリの成功には、選手、指導者、医療スタッフの連携が不可欠です。焦らずに段階的なプログラムを遵守し、より強い状態での競技復帰を果たしましょう。 野球での怪我リスクを予防するためには 野球での怪我リスクを効果的に予防するためには、まず怪我につながる主要因への理解が重要です。 適切な投球数制限を守る まず、過度な投球数は怪我のリスクを引き上げてしまいます。 予防対策として、各年代の投球数制限のガイドラインに従って、以下の表を参考に球数制限をすると良いでしょう。 年代 投球数制限(1日) 投球数制限(1週間) 補足 小学生 4年生以下60球以内 5・6年生70球以内(文献6) - 2日間連続で投げる場合は合わせて100球以内 中学生 1日70球以内(文献7) 350球以内 週に1日全力投球しない日を設ける 連続する2日間で120球以内 高校生 - 500球以内(文献8) 投球フォームの改善 不適切な投球フォームは肩や肘に過度な負担をかける主要な原因です。 以下のようなフォームは、怪我のリスクを高め、選手生命を脅かしてしまうため改善を心がけましょう。 肘が下がったまま投げることで手投げになってしまい、肘に負担をかける 身体の開きが早く、肩関節に過度なストレスがかかってしまう 踏み出す足を投球方向に斜め、または横に踏み出すことで身体の回転を正しく使えずにフォームを崩す 癖になる前に指導者の指示に従い、修正しましょう。 股関節の柔軟性 また、股関節の柔軟性は野球での怪我予防の最重要ポイントです。股関節が固いと体を上手に使えず、その状態で野球特有のピッチングやバッティングを行うと怪我の危険性が高まります。 対策として、股関節の柔軟性向上のためのストレッチを日常的に行い、練習前には適切なウォーミングアップを実施することで、怪我のリスクを軽減しましょう。 そして、継続的な疲労の蓄積は怪我の大きな要因となるため、適切な休養により体の回復を図る必要があります。 十分な睡眠と栄養摂取により体調管理を徹底し、怪我をしにくい身体づくりを行ってください。 早期復帰が目指せる再生医療(PRP/幹細胞)について メジャーリーガーをはじめとする野球選手が取り入れている「再生医療」について紹介します。 再生医療の一つ「PRP療法」には、日帰り治療が可能で手術を回避できるというメリットがあります。 患者様自身の血液を活用する治療法のため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 もう一つの再生医療「幹細胞治療」では、患者様から採取・培養した幹細胞を患部に投与いたします。幹細胞には、他の細胞に変化する能力があり、患部にアプローチします。 PRP療法だけでなく幹細胞治療も入院を必要としないため、短期間での治療を目指せるのが特徴です。 再生医療は、野球選手の怪我治療における新たな選択肢として確立されつつある治療法です。 ただし、予防が最も重要であることに変わりはありません。怪我をする前の予防策の実施と、万が一怪我をした場合の適切な治療選択が、長い競技人生を支える両輪となります。 まとめ||再発ゼロを目指すなら専門医の伴走が近道 野球での怪我は予防が最も重要です。正しい投球フォームの習得や年代に応じた投球数制限を守り、柔軟性を保つことで多くの怪我を防げます。 万が一怪我をした場合でも、メジャーリーガーも取り入れているPRP療法や幹細胞治療などの再生医療により、野球への早期復帰が目指せます。 1週間以上続く痛み、投球時の違和感、可動域の制限といった初期症状に気づいたら、すぐに専門医に相談してください。 あなたの野球人生をより良いものにするためにも、違和感があれば一人で悩まず、専門医へ相談しましょう。長く充実した野球人生を送るため、私たちが全力でサポートいたします。 参考文献 (文献1) 古島弘三ほか「少年野球での"投げ過ぎ"が及ぼす影響 肩や肘の重篤な故障リスクは3.5倍」Full-Count, 2022年10月14日 https://full-count.jp/2022/10/14/post1294608/(最終アクセス:2025年5月24日) (文献2) 公益財団法人スポーツ安全協会「障害予防のためのセルフチェック|スポーツ外傷・障害予防-野球編」 https://www.sportsanzen.org/syogai_yobo/baseball/page2.html (最終アクセス:2025年5月25日) (文献3) 日本整形外科学会認定スポーツ医「野球肩」 https://jcoa.gr.jp/%E6%8A%95%E7%90%83%E8%82%A9/ (最終アクセス:2025年5月25日) (文献4) 日本整形外科学会認定スポーツ医「野球肘」 https://jcoa.gr.jp/%E6%8A%95%E7%90%83%E8%82%A9/ (最終アクセス:2025年5月25日) (文献5) 栗田剛寧ほか「発育期野球選手におけるポジション別の腰椎分離症と身体特性の関連」日本臨床スポーツ医学会誌 32(3), 446-453, 2024年 https://www.rinspo.jp/journal/2020/files/32-3/446-453.pdf (最終アクセス:2025年5月25日) (文献6) 日本少年野球連盟「投球数制限ガイドライン」2021年12月 https://www.boys-fukuoka.com/download/tokyusuu_seigen/20211212_tokyuguideline.pdf (最終アクセス:2025年5月27日) (文献7) 日本中学野球協議会「中学生投手の投球制限に関する統一ガイドライン」 https://littlesenior.jp/news/48.html (最終アクセス:2025年5月27日) (文献8) 日本高等学校野球連盟「高校野球特別規則(2024年版)」2024年 https://www.jhbf.or.jp/summary/rule/specialrule/specialrule_2024_1.pdf (最終アクセス:2025年5月27日)
2025.05.30 -
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
「サッカーの練習中に足のつけ根に痛みを感じるようになった」 「ランニングをしていて股関節のあたりに違和感があるけれど、病院に行くほどのことなのかな?」 激しい運動や長時間の練習を続けることで、股の付け根あたりに違和感を覚える方は少なくありません。走る、蹴る、方向転換など、瞬発的な動作を繰り返す競技では、筋肉や腱への負担が積み重なり、違和感が慢性化することがあります。 痛みを改善したいと考えても「休めば治るだろう」と放置してしまうと、症状が長引き、競技復帰が遅れるケースも見られます。 本記事では、現役医師がグロインペイン症候群の治し方について詳しく解説し、記事の最後にはよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 グロインペイン症候群について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 グロインペイン症候群における初期段階の治し方|セルフケア方法 初期段階の治し方(セルフケア) 詳細 安静・アイシングを実施する 痛みのある動作を避け、患部を安静に保つ。氷や保冷剤で15〜20分冷却し、炎症や腫れを抑える テーピングで痛みを和らげる 股関節や内ももをサポートするように貼り、動作時の負担を軽減。筋肉や腱を安定させる 股関節を覆う幅広タイプのサポーターを活用する 股関節から骨盤を包み込み、可動域を制限して痛みを軽減。股関節周囲の安定を保つ ランニング中に股関節まわりに違和感を感じた場合は、痛みが軽いうちにセルフケアを行うことが重要です。 運動前は、股関節を回す・足を前後に振るなどの動的ストレッチで筋肉を温めましょう。運動後や就寝前は、筋肉を静止した状態で伸ばす静的ストレッチで疲労を和らげます。 加えて、体幹(お腹まわり)を鍛えるプランクなどのトレーニングは、股関節への負担軽減に有効です。痛みが強い場合は無理をせず安静にし、症状が続く際は整形外科を受診してください。 安静・アイシングを実施する グロインペイン症候群の初期は、股関節や鼠径部の筋肉・靭帯に炎症が生じている状態です。この時期は無理に動かさず、安静を保ちましょう。 過度な負荷を避けることで炎症の悪化を防ぎ、自然な回復を促します。また、痛みや腫れがある場合はアイシングが有効です。冷却によって血管が収縮し、炎症や腫れを抑えることで痛みを軽減し、回復を早める効果が期待できます。 運動後や痛みが強いときに、保冷剤をタオルで包み、1回15〜20分を目安に冷やします。アイシング時は肌への直接接触を避け、低温による皮膚トラブルを防ぐことが大切です。痛みや違和感が長引く場合は、早めに整形外科などの医療機関を受診してください。 テーピングで痛みを和らげる 順番 正しいテーピングの方法(股関節まわり) 手順.1 肌を清潔にし、必要に応じて毛を剃る。テープの密着性を高めるための準備 手順.2 鼠径部(足のつけ根)から約3cm下にテープの端を固定。起点の安定化 手順.3 テープを軽く伸ばしながら、太ももの内側に沿って貼る。筋肉のサポート 手順.4 2本目を1本目に半分重ねるように平行に貼る。補強と固定力の向上 手順.5 貼り終えたら手で軽くこすって密着させる。剝がれ防止と持続性の確保 テーピングは、太ももの内側を走る筋肉に沿って貼るかどうかで、効果が大きく変わります。 テーピングをするときは、強く引っ張りすぎないように注意しましょう。 皮膚が弱い方は、アンダーラップ(肌を保護するテープ)を巻いてからテーピングを行うと良いでしょう。 関節を覆う幅広タイプのサポーターを活用する 順番 股関節を覆う幅広タイプのサポーターの装着方法 手順.1 サポーターを装着する前に、肌を清潔にし乾いた状態に整える。装着時の肌トラブル予防 手順.2 サポーターを股関節の位置に合わせ、骨盤と太ももを包み込むように当てる。正しい位置の確認 手順.3 前面または側面のマジックテープやベルトで締め具合を調整。圧迫感を感じない程度の適度な固定 手順.4 立ち上がりや軽い動作をしてズレがないか確認。安定性と動きやすさの確認 手順.5 長時間使用する場合は、1〜2時間ごとに着脱して肌の状態を確認。血流障害やかぶれの予防 グロインペイン症候群は痛みの範囲が広いため、サポーターを選ぶときは、股関節全体を覆う幅広タイプがおすすめです。 締め付けが強すぎると血行を妨げるので、立ったまま深呼吸して苦しくない程度のフィット感を基準にしましょう。 サポーター選びのチェックポイントとしては、以下の通りです。 項目 内容 素材 通気性の良いメッシュ素材 サイズ 腰まわりのサイズを正確に測定 固定力 適度な圧迫感があるもの 着脱 マジックテープタイプで調整しやすいもの 洗濯 家庭で洗えるタイプ 運動中はもちろん、通勤・通学時の長時間歩行にも有効で、痛みを感じた瞬間に着脱できるのがメリットです。 サポーターは股関節だけでなく腰や骨盤も支え、体のバランスを整える効果が期待できます。ただし、サポーターそのものが治療となるわけではなく、炎症が強い時期の補助的な役割にとどまります。 長期間の使用は筋力低下を招くおそれがあるため、症状の改善に合わせて少しずつ使用時間を減らしていきましょう。 グロインペイン症候群の医療機関での治し方|治療方法 治し方 詳細 保存療法 安静やストレッチ、リハビリを中心に行い、筋肉の柔軟性回復と炎症の軽減を図る。体幹や股関節周囲の筋力強化による再発予防 薬物療法 炎症や痛みを抑えるために消炎鎮痛薬を使用。必要に応じて湿布や塗り薬を併用。痛みの緩和と炎症抑制 手術療法 保存療法で改善がみられない場合に実施。損傷した腱や筋膜の修復、癒着の解除を行う。重症例への根本的治療 再生医療 自己の血液や細胞を用いて損傷部位の自然治癒を促す治療法。PRP療法などによる組織再生と回復促進 グロインペイン症候群の治療は、原因となる筋肉や腱への過度な負担を軽減し、損傷した組織の回復を促すことが目的です。初期段階では安静やストレッチ、物理療法などの保存療法が基本となります。 痛みや炎症が強い場合は、薬物療法で症状を抑えながらリハビリを進めます。重度や長期化した場合は手術や再生医療を検討し、症状に応じた適切な治療を医師が段階的に行うことが大切です。 自己判断で運動を再開すると再発の原因になるため、回復過程を確認しながら慎重に進める必要があります。 保存療法 グロインペイン症候群に対する保存療法は、炎症を抑えて痛みの悪化を防ぎ、自然な回復を促す基本的な治療法です。手術や注射と比べて身体への負担が少なく、軽度から中等度の症状にとくに効果的です。 炎症が落ち着いた後は、股関節まわりの筋力強化や柔軟性向上を目的としたリハビリを段階的に行い、再発予防や競技復帰を目指します。(文献1) 多くの症例で保存療法のみで改善が見られます。軽症から中等度の場合、1〜2カ月ほどの継続で症状が軽快し、長期的なスポーツ復帰が可能になることが報告されています。 薬物療法 グロインペイン症候群における薬物療法は、炎症と痛みを抑えることで日常生活の負担を軽減し、回復を促す有効な治療法です。 主に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や筋弛緩薬を使用し、急性期の痛みを速やかにコントロールします。これにより、安静やリハビリといった保存療法を並行して行いやすくなり、症状の改善と機能回復が期待できます。 外用薬(湿布や塗り薬)は患部に直接作用し、副作用を抑えながら効果を発揮します。一方、内服薬を長期間使用すると、胃腸障害や肝腎機能への影響などのリスクがあるため、医師の指導のもとで適切な管理が欠かせません。 手術療法 効果・特徴 詳細 根本的な原因の解消 腱や筋肉の損傷、血管や関節の構造的異常を直接修復・除去し、原因を根本から改善 早期の痛み緩和と復帰促進 痛みを速やかに軽減し、スポーツや日常生活への早期復帰を促す。反復性の痛みに対する高い効果 長期的な改善効果 症状の持続的な改善と再発予防が期待できる。血管内治療や構造修復術による根本的アプローチ 適用条件とリスク管理 重度や慢性化した症例が対象。術後のリハビリや合併症リスクへの注意が必要 総合的な治療意義 保存療法で改善が難しい場合に有効。痛みの除去と再発防止を目的とした根本的治療法 (文献2) 保存療法や薬物療法で十分な改善が得られない場合には、手術を検討します。手術の対象となるのは、慢性的な腱の損傷や付着部の炎症が進行し、日常生活や競技動作に支障をきたしているケースです。 主な手術法には、損傷した腱や炎症組織の切除、骨付着部の修復、腱の再縫合などがあります。術後はリハビリを通じて筋力と柔軟性を回復させ、再発防止のために段階的に運動を再開します。 手術は最終的な治療選択肢であり、症状や目標に応じて医師と十分に相談した上で方針を決めることが大切です。 再生医療 グロインペイン症候群に対する再生医療は、体が本来持つ自然治癒力を高め、損傷した筋肉や腱、軟骨などの組織修復を促す治療法です。代表的な方法として多血小板血漿(PRP)注入療法があり、患者自身の血液から抽出した血小板を濃縮し、成長因子を多く含む血漿を患部に注入します。 これにより炎症の抑制と組織再生が期待されます。手術のような侵襲がなく、身体への負担が少ないことが特徴で、通常は日帰りで行うこともできます。 自己の細胞を用いるため、副作用やアレルギーのリスクが低いのも特徴です。ただし、全身状態や疾患の有無によっては適応外となる場合もあるため、事前に医師による慎重な診断と評価が必要です。 以下では、再生医療について詳しく解説しています。 グロインペイン症候群の再発予防策 再発予防策 詳細 身体機能の改善(柔軟性・筋力・動作) 股関節や体幹の柔軟性を高め、筋力バランスを整えるトレーニングの継続。正しいフォームによる動作改善 運動負荷と生活習慣の管理 急激な運動量の増加を避け、十分な休養と栄養補給を心がける。疲労の蓄積防止とコンディション維持 早期発見・早期対応 違和感や痛みを感じた時点で無理をせず、運動を中止して医療機関を受診。症状の重症化防止 グロインペイン症候群の再発を防ぐためには、股関節まわりの機能を整え、過度な負担をかけない身体づくりが大切です。 柔軟性や筋力が低下したり、フォームが乱れたりすると再発の原因となるため、ストレッチや体幹トレーニングで動作の安定性を高め、筋肉のバランスを保ちましょう。 また、日常生活では姿勢・睡眠・食生活を整えることも大切です。違和感や痛みを感じた時点で早めに対処すれば、重症化や慢性化を防げます。 身体機能の改善(柔軟性・筋力・動作) 改善ポイント 詳細 柔軟性の向上で負担軽減 股関節や内転筋の柔軟性を高め、筋肉や腱の緊張を緩和。ストレッチによる再発リスクの軽減 筋力バランスの回復で安定性強化 体幹や股関節周囲の筋力を整え、骨盤と股関節の安定性を向上。内転筋とのバランス改善 動作パターンの修正で負荷軽減 歩行・走行・キックなどの動作を見直し、正しいフォームを習得。股関節への過剰負担の予防 段階的な運動負荷調整で過剰負担の回避 運動強度を段階的に高め、組織の回復を促進。急激な運動復帰の防止 日常生活での姿勢・習慣の見直し 座り方や立ち方、荷物の持ち方を整え、股関節への負担を軽減。正しい姿勢の維持による再発防止 股関節や骨盤まわりの柔軟性を高め、動作時の負担を減らすことが再発予防の基本です。大腿内転筋や腸腰筋のストレッチを継続して可動域を広げることで、再発リスクを低下します。 さらに、体幹や下肢の筋力を鍛えて安定性を高めることも大切です。キックやランニング動作のバランスを整えることで、関節や筋肉への偏った負担を防止できます。 フォームの乱れを放置すると再発の原因となるため、リハビリや医師の指導を受けて正しい動作を習得することが欠かせません。 運動負荷と生活習慣の管理 管理のポイント 詳細 段階的に負荷を増やす 症状の回復に合わせて運動強度や時間を徐々に調整。痛みや違和感が出た場合は負荷を控える ウォームアップとクールダウンの徹底 運動前の準備運動で筋肉と関節を温め、運動後のストレッチで緊張を緩和。怪我や再発の予防 定期的な休息 運動と休養のバランスを保ち、筋肉の過度な疲労や炎症を防止。回復促進 姿勢と動作の見直し 座り方・立ち方・荷物の持ち方を整え、股関節への負担を軽減。正しい姿勢の維持 適切な休息と睡眠 十分な睡眠と休養で身体の修復を促進。疲労やストレスの軽減 バランスの良い食事 タンパク質・ビタミン・ミネラルを含む食事で筋肉と関節の回復をサポート。栄養バランスの維持 運動負荷と生活習慣の管理は、グロインペイン症候群の再発予防に欠かせません。練習量を急に増やしたり、休養を取らずに運動を続けたりすると、筋肉や腱への負担が蓄積しやすくなります。 トレーニング後はアイシングやストレッチで身体を整え、疲労を翌日に残さないようにしましょう。 また、睡眠不足や偏った食事は組織の修復を妨げるため、十分な休息と栄養バランスの取れた食生活が大切です。運動・休養・食事のバランスを保つことが、長期的なコンディション維持につながります。 早期発見・早期対応 グロインペイン症候群は、初期の違和感や軽い痛みを放置すると慢性化し、治療が長引くことがあります。早めに医療機関を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。自己判断で様子を見るのではなく、専門医による診察やMRI検査で原因を明確にしましょう。 早期に治療を始めることで回復が早まり、スポーツや日常生活への復帰もスムーズになります。さらに、痛みをかばうことで生じる腰痛や膝痛などの二次的な障害も防止できます。 グロインペイン症候群の治療においてやってはいけないこと 早く治したい一心で無理をすると、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。痛みを我慢して練習を続けたり、強いストレッチを無理に行ったりするのは逆効果です。 グロインペイン症候群の回復を妨げるNG行動を避け、適切な休養と段階的なリハビリを行うことが重要です。 具体的なNG行動は以下の5つです。 事例 理由 1.痛みを我慢して運動を続ける 炎症の悪化による治療期間の延長 2.強すぎるストレッチ 筋肉や腱の損傷による症状の悪化 3.自己判断での湿布の長期使用 皮膚トラブルの発生や治療遅延の原因 4.マッサージの強すぎる刺激 炎症部位の刺激による痛みの増強 5.過度な安静 過度な安静による筋力低下のリスク とくに注意が必要なのは、痛み止めを服用して練習を続けることです。 痛みは身体からの警告信号であり、薬でごまかして運動を続けると、損傷が悪化するおそれがあります。 一方で、軽度の症状では動かないことも逆効果です。痛みを悪化させない範囲で軽い運動を行うことは、血流を促し筋力を維持するのに役立ちます。症状に応じた判断が必要なため、医師の診察を受けて、指示に従いましょう。 以下の記事では、グロインペイン症候群でやってはいけないことについて詳しく解説しています。 改善しないグロインペイン症候群のお悩みは当院にご相談ください グロインペイン症候群の改善には、原因を把握し、安静を保った上で段階的に運動を再開することが大切です。 2週間以上休んでも痛みが残る場合や、就寝中にも違和感がある場合は医師の診察が必要です。適切な治療を早期に受けることで慢性化を防ぎ、競技復帰が早まります。 グロインペイン症候群についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、グロインペイン症候群に対して損傷した組織の修復を促す再生医療も取り入れています。従来の治療では改善が難しかった深部の筋肉や腱にもアプローチできるのが特徴です。 患者自身の血液や細胞を用いるため、身体への負担が少なく、自然な回復力を高める効果が期待できます。保存療法やリハビリで十分な改善が得られない場合の新たな選択肢として、再生医療をご提案しています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 グロインペイン症候群の治療に関するよくある質問 グロインペイン症候群を早く治す方法はありますか? グロインペイン症候群の改善には、まず痛みのある部位を安静に保ち、炎症を抑える治療を行うことが基本です。 症状が落ち着いた段階で、専門医の指導のもと、ストレッチや筋力強化を段階的に進めていきます。即効性のある治療法はなく、無理をせず継続的に治療を続けることが重要です。 グロインペイン症候群は全治何日かかりますか? グロインペイン症候群の全治期間は症状の程度により異なります。 軽症では1~2カ月で改善することが多く、中等度では2~3カ月、重症や慢性例では半年以上かかることもあります。早期の治療と段階的なリハビリが回復を早め、再発予防にも重要です。 グロインペイン症候群は接骨院や整体でも改善しますか? 軽度の筋緊張による一時的な改善は見られることもありますが、根本的な治療には整形外科の診断が必要です。 グロインペイン症候群は筋や腱の微細損傷を伴うことが多く、画像検査やリハビリ計画が大切です。誤った施術は悪化の恐れがあるため、医師の指導のもとで適切に治療を行いましょう。 参考文献 (文献1) 11. 鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)|スポーツ損傷シリーズ (文献2) 鼠径部痛症候群の定義は修正される~器質的疾患の発生要因を解明して診断・治療・リハビリ・予防を行う概念に進化する~|第27回日本臨床スポーツ医学会 学術集会 教育研修講演 8
2025.05.30 -
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「最近、鼠径部の痛みが強くなってきているけれど、どんな動きが良くないのだろう?」 「このまま練習を続けても大丈夫なのかな?」 「YouTubeで見たストレッチをやってみたけれど、本当に効果があるのか不安だ...」 このような悩みを抱えている学生さんは多いのではないでしょうか。 グロインペイン症候群は、一度発症すると長期化しやすく、間違った対処をしてしまうと症状が悪化して競技復帰が遅れてしまう可能性があります。 しかし、適切な知識を持って正しく対処すれば、症状の悪化を防ぎながら段階的に競技復帰を目指すことも十分可能です。 本記事では、グロインペイン症候群でやってはいけない具体的な動作、症状の見極め方、そして本格復帰するためのステップについて、医師の視点から詳しく解説いたします。 ぜひ最後までご覧いただき、あなたの症状改善と競技復帰にお役立てください。 グロインペイン症候群でやってはいけないこと グロインペイン症候群を悪化させる行為は、痛みを我慢しながら無理に競技を続けることです。 とくに急性期と回復期では避けるべき動作が異なりますので、それぞれの段階に応じた注意点をしっかりと理解しておきましょう。 急性期(痛みが強いとき)にやってはいけないこと 急性期は炎症が強く出ている時期であり、この段階で無理をすると症状が慢性化しやすくなります。 以下の5つの動作は避けてください。 1. 痛みを無視して練習や試合を続行 痛みは体からの重要なサインです。無視して活動を続けると、炎症が悪化し、組織の修復が遅れてしまいます。 急性期はとくに、痛みを悪化させる動作を避け、適切な休息を取ることが大切です。 2. ランニングやダッシュなどの反復走行 鼠径部に繰り返し負荷がかかる走行動作は、炎症を増強させる危険な動作です。 全力ダッシュや方向転換を伴う走行は、股関節への負担が非常に大きくなりますので、避けてください。 3. キック動作 サッカーの基本動作であるキックは、鼠径部の筋肉や股関節に強いストレスをかける動作です。 軽いキックでも炎症部位を刺激してしまうため、急性期にボールを蹴る動作は避けましょう。 4. 急激な方向転換や体をひねる動き 切り返し動作やターン動作は、炎症を悪化させます。日常生活でも、急に振り返ったり、身体をひねったりする動作は慎重に行ってください。 5. 痛むカ所に負担をかける姿勢やストレッチ 痛くても伸ばした方が良いという考えは間違いです。急性期で正しい知識がないまま行うストレッチは炎症を悪化させ、回復を遅らせる原因となります。 これらの動作がなぜ禁止なのかというと、グロインペイン症候群の痛みの根本原因である恥骨結合や内転筋への過度なストレスを増強し、炎症の悪化と慢性化を招くためです。 回復期(痛みが軽い時)の注意点 痛みが軽減してきた回復期は、実は注意が必要な時期です。多くの選手がこの段階で誤った判断をして再発してしまいます。 痛みがなくなっても身体の内部では、回復途中の状態が続いてますので、段階的に負荷をあげていきましょう。 とくに、股関節周りの痛みや柔軟性だけでなく、体幹の安定度や可動域のチェックを入念に行なってください。 「試合が近いから」「レギュラーを取られたくないから」といった理由で、いきなり全力の練習に戻ってしまうケースも見られますが、段階的な復帰プログラムを無視すると、高い確率で再発してしまいます。 再発してしまうと痛みが慢性化し、2〜3カ月さらに復帰に時間がかかってしまうため、注意が必要です。 症状をチェック|グロインペイン症候群の見分け方 鼠径部の痛みがそのままグロインペイン症候群になるとは限りません。 適切な治療を受けるためには、まず自分の症状が本当にグロインペイン症候群に該当するかどうかを見極めることが大切です。 グロインペイン症候群は、鼠径部周辺にさまざまな原因で発生する痛みの総称であり、恥骨結合炎、大腿内転筋付着部炎、股関節炎、鼠径ヘルニアなど、複数の病態が含まれます。 そのため、正確な診断には専門医による詳しい検査が必要ですが、以下のセルフチェック方法で、グロインペイン症候群の可能性を確認できます。 アダクタースクイーズ(両脚を閉じるテスト) このテストは、内転筋の機能と痛みの有無を確認する最も基本的なチェック方法です。 テスト方法 仰向けに寝て、両膝を軽く曲げた状態で股関節をやや開きます。 膝の間にタオルやクッションを挟み、両脚で力を入れて挟みます。 この動作で鼠径部に痛みが生じたり、力が抜けてしまったりする場合は、グロインペイン症候群の可能性が高いです。 確認ポイント 痛みの場所(鼠径部の内側、恥骨周辺、内転筋など)を確認してください。 また、左右差がある場合も注意が必要です。 健康な状態であれば、この動作で痛みが生じることはありません。 両脚開脚テスト 股関節の可動域と内転筋の柔軟性をチェックするテストです。 テスト方法 仰向けに寝て、両膝を軽く曲げ、足裏を床につけます。 そのまま両膝を外側に開いていきます。 正常であれば、膝が床に近づくまで開脚できますが、グロインペイン症候群のがある場合は途中で痛みが生じたり、十分に開脚できなかったりします。 注意点 無理に開脚しようとすると症状が悪化する可能性があるため、痛みを感じたらすぐに中止してください。 このテストは股関節の可動域制限も同時にチェックできる有用な方法です。 股関節抱え込みテスト 腸腰筋の機能と股関節前方の痛みをチェックするテストです。 テスト方法 仰向けに寝て、片方の膝を胸に向かって抱え込みます。 この動作で鼠径部前方や股関節前面に痛みが生じる場合は、グロインペイン症候群の可能性があります。 とくに腸腰筋や股関節の問題が原因となっている場合に、この動作で痛みが誘発されやすくなります。 確認ポイント 必ず左右両方で行い、痛みの程度や場所を比較してください。 健康な状態であれば、膝を胸に近づけても痛みは生じません。 重要な注意点 これらのセルフチェックで痛みや異常を感じた場合は、グロインペイン症候群の可能性が高いと考えられます。 しかし、鼠径部の痛みには鼠径ヘルニア、股関節炎、恥骨の疲労骨折、さらには内臓疾患など、さまざまな原因が考えられます。 そのため、セルフチェックで異常を感じた場合は、必ず専門の医療機関を受診して正確な診断を受けることが重要です。 グロインペイン症候群でも競技を続けたい方へ 「休むとポジションを失ってしまうかもしれない」「大事な試合が近いから練習を休めない」 このような思いを抱えている選手の気持ちは、よく理解できます。しかし、グロインペイン症候群に対する適切な理解があれば、必ずしもすべての活動を止める必要はありません。 重要なのは「完全に休む」か「今まで通り続ける」の二択ではなく、症状に応じた調整を行うことです。 痛みが強い急性期は安静が必要ですが、痛みが軽減している時期であれば、痛みが出ない範囲での代替トレーニングで体力を維持しながら治療を並行も可能です。 練習を止めないとダメ?それとも工夫次第? この判断は症状の程度によって大きく異なります。 完全休止が必要なケース 日常生活でも痛みがある 軽い歩行でも痛みが増す 炎症症状(熱感、腫れ)が強い 発症から間もない急性期 これらの場合は、無理に活動を続けると慢性化のリスクが高まるため、安静にする必要があります。 工夫次第で継続可能なケース 安静時に痛みがない 特定の動作でのみ痛みが生じる 炎症症状が落ち着いている 適切な治療を並行して受けている このような場合は、以下のような代替トレーニングで体力を維持できます。 代替トレーニングの例 有酸素運動の代替 ランニング → エアロバイク(座位) ダッシュ → プール歩行(浮力を利用) 技術練習の代替 キック練習 → 戦術理解・映像分析 激しい動き → 基本技術の反復練習 筋力トレーニングの調整 痛みが出る動作を避けた部位別トレーニング 体幹強化(痛みが出ない範囲で) 最も重要なのは痛みが悪化しない範囲内で活動することです。 活動後に痛みが増したり、翌日に痛みが残ったりする場合は、その活動は現段階では適切ではありません。 このような判断は個人では難しいため、必ず医師に相談して適切な活動レベルを決めてもらいましょう。 診察を受けて身体の状態を確認し、医師の指導のもとで段階的に負荷を上げていくことが大切です。 また、必ずチームの指導者や医療スタッフとの相談も重要です。短期的な休養によるパフォーマンスの低下を恐れるより、長期的な視点で競技人生を考える必要があります。 適切な対応によって、症状を悪化させることなく可能な限り競技を続けながら回復を目指せるでしょう。 本格復帰するまでの段階別リハビリ グロインペイン症候群から競技に本格復帰するには、症状の程度に応じて段階的にリハビリを進めることが不可欠です。 本記事では、2つのステージに区切って説明していきます。 ステージ1|痛みを抑えながら筋肉を目覚めさせる このステージの目的は、炎症を悪化させずに筋肉の機能を回復させることです。 痛みがある状態でも低負荷のトレーニングから開始しましょう。 主なトレーニング内容 基本的な体幹安定化エクササイズ プランク(20-30秒から開始) サイドプランク(痛みが出ない範囲で) ブリッジ(お尻を上げる運動) 腹横筋の活性化 仰向けで膝を立て、へそを背中に近づけるように軽く力を入れる 呼吸と連動させて10回×3セット 内転筋のストレッチ 股割り 伸脚 ペアを組んで内転筋のストレッチ このステージでの注意点としては、痛くない範囲で必ず行うことです。運動後に痛みが増すようであれば、強度を下げるか一時中止しましょう。 継続性を重視し、毎日少しずつでも症状に応じて2週間〜4週間続けます。 痛みの改善とともに、これらの運動が楽に行えるようになったら次のステージに進んでください。 ステージ2|負荷を上げて競技動作に近づける ステージ1で基本的な筋機能が回復したら、より競技に近い動作への適応を図ります。(文献1) 主なトレーニング内容 内転筋の段階的強化 チューブを使った内転筋トレーニング 横向きでの脚上げ運動 動的な体幹安定化 プランクからの手脚上げ キック動作を確認する スポーツ動作の導入 軽いジョギングから徐々にダッシュへ ボールを使ってパスを短い距離から徐々に長くする 負荷は段階的に上げるのがポイントですが、どのように上げていけば良いのかなどわからないことがある場合は専門医に相談しましょう。 このステージは個人差が大きいため、症状の変化を注意深く観察しながら進めましょう。 グロインペイン症候群の治療選択肢「再生医療」について 再生医療は、スポーツ選手の腱や筋肉の損傷に対して適用されており、競技復帰を目指すアスリートにとっても選択肢となる治療法です。 ただし、再生医療を検討する場合でも、基本的なリハビリは継続する必要があります。 再生医療と並行してリハビリを実施して、スポーツへの早期復帰を目指しましょう。 再生医療について詳細は、以下をご覧ください。 まとめ|痛みを繰り返さないために出来る最後のひと押し グロインペイン症候群は決して治らない病気ではありません。適切な知識と対処法があれば、症状の悪化を防ぎ、競技復帰が可能です。 グロインペイン症候群かな?と思ったら、セルフチェックで現在の痛みの場所や程度を正確に把握しましょう。 そして、重要なのはやってはいけない動作を徹底的に避けることです。急性期の無理な運動継続、回復期の急激な競技復帰は、症状の慢性化と再発の要因になってしまいます。 痛みがなくなりリハビリのフェーズに入ったら、医師に相談の上で症状が悪化しない範囲内で改善を目指します。 自己判断で症状を悪化させる前に、スポーツ整形外科や再生医療に詳しい医療機関を受診し、あなたの競技人生を守るために、今できることから始めましょう。 リペアセルクリニックでは、グロインペイン症候群などのスポーツ外傷に対して再生医療を提供しております。症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 グロインペイン症候群に関するよくある質問 グロインペイン症候群はどのくらいで治りますか? 症状の程度と治療開始時期によって大きく異なります。 軽症の場合は適切な安静と保存療法で1-2カ月で改善することが多いですが、重症の場合や慢性化している場合は数カ月かかることもあります。 早期発見・早期治療が回復期間を大きく左右するため、症状を感じたら早めに専門医を受診しましょう。 また、単に痛みが取れるだけでなく、根本的な原因(筋力バランス、柔軟性、動作パターン)を改善することで、再発を防げます。 効果的なストレッチはありますか? 急性期に痛みが出るようなストレッチは症状を悪化させる可能性があるため避けてください。 回復期以降は、内転筋のストレッチが効果的とされていますが、痛みが出ない範囲で行うことが重要です。 具体的には、座位での股割りストレッチや、仰向けでの内転筋ストレッチなどがありますが、必ず専門家の指導のもとで正しいフォームで行ってください。 間違ったストレッチは症状を悪化させるリスクがあるため、自己流ではなく専門医やトレーナーに相談をおすすめします。 自転車でのトレーニングは続けても良いですか? 自転車トレーニングは、一般的にグロインペイン症候群に対して比較的負担の少ない運動とされています。 ただし、症状の程度と自転車の乗り方によって判断が変わります。痛みが出ない回復期であれば、エアロバイクでの軽度な有酸素運動は体力維持に有効です。 しかし、ペダルを強く踏み込む動作や、前傾姿勢での長時間のサイクリングは鼠径部に負担をかける可能性がありますので、まずは短時間・低強度から始めて、症状の変化を注意深く観察してください。 運動後に痛みが増すようであれば一時中止し、専門医に相談をおすすめします。 参考文献 (文献1)日本スポーツ整形外科学会(JSOA)「スポーツ損傷シリーズ 11.鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)」2023年 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s11.pdf (最終アクセス:2025年5月25日)
2025.05.30 -
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「肉離れにはどんな後遺症がある?」 「適切に治療しないで放置するとどんなリスクがある?」 初めて肉離れを経験した方は、このような不安を感じてしまうのではないでしょうか。 肉離れは適切な応急処置を行わずに放置すると、血腫(けっしゅ:体内の一部に血が溜まること)が形成されて後遺症の発生リスクが高まります。 後遺症を防ぐには、受傷直後の応急処置や重症度別の治療の実施が大切です。 本記事では、肉離れの後遺症をはじめとして以下を解説します。 後遺症を発生させず速やかに元の活動レベルに戻すためにも、本記事で肉離れの後遺症について理解を深めてください。 また「肉離れの痛みがなかなか取れない」「運動するとすぐ再発してしまう」という方には、再生医療も選択肢の一つになります。 \肉離れの後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 以下のように患者様ご自身の血液から抽出した血小板の濃縮液(PRP)を患部に注射することで、損傷した筋肉や腱の修復を促し、自然治癒力を高めることが期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 肉離れの痛みが長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 「早く痛みから解放されたい」「パフォーマンスを取り戻したい」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングをご利用ください。 再生医療の治療法については、以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/CPxLOR8D6X0?feature=shared 肉離れの後遺症はつっぱり感や可動域の制限 肉離れの後遺症には、以下のようなものがあります。 つっぱり感 可動域の制限 筋力低下 筋力のアンバランス 筋肉の柔軟性の低下 痛み これらの後遺症があると、運動に制限がかかり再受傷してしまうリスクがあります。後遺症を発生させないためには、受傷直後の応急処置と重症度別の治療が大切です。 (文献1) 肉離れを放置してはならない理由 肉離れが起きた際は、たとえ軽い痛みであったとしても放置してはいけません。肉離れは、受傷直後の症状だけでは重症度を判断できないためです。(文献2)受傷直後の痛みが軽度であっても、時間とともに血腫が形成されていくことがあります。 血腫が形成されると、痛みや腫れが悪化して関節の可動域が制限される恐れがあります。肉離れによる痛みや腫れを悪化させないためには、後述する応急処置であるRICE(ライス)や適切な治療が大切です。 後遺症につながる肉離れによる2つの合併症 肉離れを適切に治療しなければ、以下のような合併症につながるリスクがあります。 合併症 詳細 コンパートメント症候群 筋肉の壊死(えし:組織が壊れてしまうこと)や神経障害による後遺症が発生する。 骨化性筋炎 骨性の組織が形成されて可動域が制限される。 それぞれの詳細を解説します。 1.コンパートメント症候群|筋肉の壊死や神経障害による後遺症が発生する コンパートメント症候群とは、筋肉の壊死や神経障害が起こることです。肉離れが原因の場合は以下のような流れで起きます。 筋肉内の出血や腫れが重度になる 出血や腫れにより筋肉内の圧力が高まる 圧力により血流が悪くなる コンパートメント症候群は、重大な後遺症が発生する恐れがあります。主な症状は以下の通りです。 耐え難い痛み 水ぶくれを伴う重度の腫れ 知覚障害 運動麻痺 これらの症状が現れた場合は、コンパートメント症候群を疑い速やかに外科手術を受ける必要があります。(文献3) 2.骨化性筋炎|骨性の組織が形成されて可動域が制限される 骨化性筋炎(こつかせいきんえん)とは、骨と筋肉のすき間や筋肉内に骨性の組織が形成されることです。筋肉内の血腫や骨膜の損傷が起きた際に、数週間をかけて形成されることがあります。(文献3) 骨化性筋炎が起きると、骨関節の可動域が制限される後遺症が発生する恐れがあります。この後遺症は治りにくいのが特徴です。骨化性筋炎を起こさない方法は、肉離れ後に適切な治療を受けることです。 肉離れの後遺症を防ぐには受傷直後の処置が大切 肉離れの後遺症を防ぐには、受傷直後にRICEという応急処置の実施が大切です。RICEの処置内容は以下の通りです。 RICE 処置目的 処置内容 Rest(安静) 安静により血管・神経の損傷や腫れを防ぐ。 受傷部位を動かしたり体重をかけたりしないで安静にする。テーピングや固定具で動かないように支える。 Icing(冷却) 壊死や腫れを抑える。 氷のうやアイスパックで15~20分冷やし、感覚がなくなったら外す。痛みがあれば繰り返す。 Compression(圧迫) 内出血や腫れを防ぐ。 腫れが予想される部位にテーピングパッドやスポンジを当てて、弾性包帯やテーピングで軽く圧迫しながら固定する。 Elevation(高挙) 腫れを予防する、または軽減する。 台などを使い受傷部位を心臓よりも高く挙げる。 (文献4) この4つの頭文字をとってRICEと呼びます。肉離れが起きた直後にRICEの応急処置を実施すれば、血腫や腫れを軽減でき後遺症のリスクを下げられます。 受傷直後は、損傷や炎症を悪化させる恐れがあるため揉んだり温めたりしてはいけません。RICEの応急処置を行ったあとは、整形外科を受診して医師の指示に従ってください。 肉離れの後遺症を防ぐ重症度別の治療方法 肉離れの後遺症を防ぐには、重症度別の適切な治療とリハビリを行う必要があります。肉離れの重症度は以下のように分けられます。 重症度 損傷部位の状態 I型 筋繊維がわずかに損傷した状態 II型 筋繊維の一部が断裂した状態 III型 筋繊維が完全に断裂した状態 ここからは重症度別の治療方法を解説します。 1.I型|筋繊維がわずかに損傷した状態 I型は、筋繊維がわずかに損傷した状態で軽度の肉離れです。画像所見では、筋肉と腱の接続部分の周囲や筋肉に出血が見られます。(文献5) ストレッチ痛を伴わないのが特徴です。症状の有無と画像検査によりI型であるかどうかを診断します。I型の治療方法は安静を主体とする保存的治療です。 数日から1週間の間、受傷部位を安静にしたのちリハビリを始めます。基本的な動きやスポーツ動作を確認しながら、スポーツに復帰できるかを判断します。 2.II型|筋繊維の一部が断裂した状態 II型は、筋繊維の一部が断裂した状態で中等症の肉離れです。画像所見では、筋肉と腱の接続部分に損傷が見られます。(文献5) 明らかなストレッチ痛があるのが特徴です。II型は2週間を基本に保存的治療を行い、リハビリも含めると回復まで平均6週間ほどかかります。保存的治療の後、以下の確認後にリハビリを開始します。 熱感 腫れ 圧痛 しこりの有無 運動動作 画像所見 筋肉量が少ない筋肉と腱の接続部分に損傷が起きた場合は、十分に回復できない恐れがあります。このような場合は手術の検討が必要です。また、運動時の痛みが長引く場合も手術を検討しなければなりません。 3.III型|筋繊維が完全に断裂した状態 III型は、筋繊維が完全に断裂した状態で重傷の肉離れです。画像所見では、筋肉をつなぐ腱の断裂、または腱の接続部分の引き抜けが見られます。(文献5) III型は自然治癒が見られたとしても、筋肉の収縮力が損失する恐れがあるため手術が必要です。手術後は、2〜3週間の安静後、3〜6週間かけて正常な関節可動域を目指します。 主な手術の適応部位は以下の通りです。 アキレス腱断裂 ハムストリングス近位付着部損傷 大腿四頭筋遠位付着部損傷 大胸筋遠位付着部損傷 上腕二頭筋長頭腱損傷 いずれの部位も手術後は良好に筋力が回復し、近年では過去に受傷した肉離れであっても手術により十分な筋力回復が見込めるケースが示されています。(文献5)とはいえ、肉離れは放置しないで受傷直後から適切な診断と治療を受けることが望ましいです。 なお、肉離れなどのスポーツ外傷に対する治療としては、再生医療という選択肢もあります。再生医療に関して、詳しくは以下をご覧ください。 肉離れ予防のため3つのポイント 肉離れは「受傷した部分に疲労がたまっていた」「筋肉がほぐれていなかった」などが原因で起きます。 そのため、以下のようなポイントを抑えることで肉離れのリスクを軽減できます。 運動動作に適した筋力を鍛える 運動前はウォーミングアップを行う 疲労回復や運動後のケアを心がける それぞれの詳細を解説します。なお、今回はハムストリングを例にして解説しています。 1.運動動作に適した筋力を鍛える 肉離れを起こさないためには、運動動作に適した筋力を鍛える必要があります。 ハムストリングにおける肉離れ予防のトレーニングを紹介すると以下の通りです。 ヒップリフト 1.膝を曲げた状態で仰向けになる 2.仰向けのままお尻を上げる 3.肩から膝まで一直線になった状態で30秒キープ (文献6) お尻と太もも裏が効いていることを感じられれば正しくできています。片足を挙げた状態をキープすれば負荷を高められます。 2.運動前はウォーミングアップを行う 運動前のウォーミングアップやストレッチは、肉離れ予防につながります。ウォーミングアップは筋肉が温められ、筋肉の収縮や協調性が十分に発揮される状態になるためです。 ストレッチも十分に行い筋肉の柔軟性が保たれていれば、さらに肉離れの予防につながるでしょう。 3.疲労回復や運動後のケアを心がける 疲労は筋肉のパフォーマンスを低下させ、受傷リスクが高まります。 身体的疲労だけでなく、精神的な疲労が溜まっている場合も十分な休息が大切です。運動後のマッサージ等のケアは、疲労回復を期待でき肉離れ予防につながります。 肉離れの後遺症を防ぐため受傷後すぐに治療をしよう 肉離れによる後遺症を防ぐためには、まず受傷直後にRICEの応急処置を行うことが大切です。 その後、医療機関を受診して重症度に応じた適切な治療を受けてください。 「軽い痛みだから」と放置してしまうと血腫が大きくなり、後遺症が発生するリスクが高まることがあります。 治療後は、運動動作に応じたリハビリや運動前後のケアを怠らず、再受傷の予防に努めることも大切です。 また肉離れの手術や長期的なリハビリに不安や抵抗がある方は、再生医療の一種であるPRP(多血小板血漿)療法という選択肢もあります。 PRP療法は、患者様自身の血液から抽出した成長因子を豊富に含む血漿成分を患部に投与することで、組織の修復・再生を促進する治療法です。 できるだけ早く組織の回復を助けることで、しこりや筋肉のこわばりなどの後遺症を減らし、スムーズな回復を目指せます。 「早く競技に復帰したい」「再発や後遺症が不安」「手術は避けたい」という方は、ぜひ一度当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 参考文献 (文献1) 奥脇 透.「1.肉離れの診断と治療」『日本臨床スポーツ医学会誌』24(3), pp.331-333, 2016年 https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/24-3/331-333.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献2) 日本臨床整形外科学会「【誤った知識】肉ばなれは放っておけば治る」日本臨床整形外科学会ホームページ https://jcoa.gr.jp/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E7%9B%B8%E8%AB%87/%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%81%8F%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%92%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB/%E3%82%88%E3%81%8F%E8%A6%8B%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%8C%E8%AA%A4%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%9F%A5%E8%AD%98%E3%80%8D/%E3%80%90%E8%AA%A4%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%9F%A5%E8%AD%98%E3%80%91%E8%82%89%E3%81%B0%E3%81%AA%E3%82%8C%E3%81%AF%E6%94%BE%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%81%91%E3%81%B0%E6%B2%BB%E3%82%8B/(最終アクセス:2025年5月19日) (文献3) 恩賜財団済生会「筋挫傷(きんざしょう)」恩賜財団済生会ホームページ https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/muscle_strain/(最終アクセス:2025年5月19日) (文献4) 日本スポーツ整形外科学会「3.スポーツ外傷の応急処置(RICE処置の実際)」日本スポーツ整形外科学会ホームページ https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s03.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献5) 奥脇 透.「肉離れに関する最新の指針」『日本体育協会スポーツ医・科学研究報告』5, pp.1-29, 2008年 https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/studiesreports/2001_2020/H2005.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献6) 日本大学「体感トレーニング~応用編~」日本大学ホームページ https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBScommon/gakuseika/sportZERO/2024_04month.pdf(最終アクセス:2025年5月19日)
2025.05.27 -
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ジャンパー膝の正しい湿布の貼り方がわからない ジャンパー膝は冷やすべきか温めるべきかわからない ジャンパー膝の湿布の貼り方に悩んでいませんか? 湿布は、ジャンパー膝の症状を改善させるのに効果的なものです。しかし湿布の貼り方や、温める方法を間違えると、適切な効果を得られません。 ジャンパー膝の湿布の貼り方 ジャンパー膝の温めるべきケース・冷やすべきケース ジャンパー膝に対する「冷湿布」の効果 ジャンパー膝に対する「温湿布」の効果 ジャンパー膝における湿布以外のセルフケア ジャンパー膝と湿布の貼り方に関するよくある質問 本記事では、症状を悪化させない適切な貼り方や、冷やす・温めるべきケースをわかりやすく解説します。 最後には、ジャンパー膝と湿布の貼り方に関するよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後まで読み進めていただければと思います。 ジャンパー膝の湿布の貼り方 ステップ 内容 目的 1.患部の洗浄と乾燥 膝周囲の皮膚を洗浄し、乾燥させる 汗や汚れを取り除き、湿布の密着を高める 2.湿布に切れ目を入れる 湿布の中央に縦の切れ目を入れる 膝の動きにフィットさせ、剥がれにくくする 3.湿布の貼り付け 違和感のある箇所(膝蓋骨の下部など)に貼る 患部に薬剤を浸透させる 4.固定 テーピングやサポーターで固定する 湿布の剥がれを防ぎ、効果を持続させる ジャンパー膝の湿布は、膝蓋腱の炎症を抑える目的で使用します。貼り方の手順は、患部の洗浄と乾燥→湿布の切れ目入れる→湿布の貼り付け→固定の流れで行います。 湿布を貼る前に、皮膚の汗を拭き取り、清潔にしておきましょう。また、膝は動きが多い部分なので、湿布が剥がれないように工夫する必要があります。 湿布で症状の改善がみられない場合は、医療機関の受診が必要です。 ジャンパー膝は冷やすべき?温めるべき? ジャンパー膝の症状に対して冷やすべきか、症状の種類とその時点での膝の状態によって異なります。 冷やす・温めるタイミングを間違えると、症状が悪化する可能性があるため注意しましょう。 冷湿布などで冷やすべきケース 温湿布などで温めるべきケース 症状や状況別で、解説します。 冷湿布などで冷やすべきケース ケース 理由 使用方法 急性期(発症0~6週) 炎症が進行しやすいため、冷却し、症状の悪化を防ぐ 20分間冷却し、30-40分間休憩を挟みながら繰り返す 運動直後 運動による筋肉の微細損傷を抑え、炎症を最小限に抑える 運動後すぐに冷湿布を適用し、腫れを予防する 腫れや炎症がある場合 血管を収縮させることで、腫れや違和感を抑える 腫れが引くまで定期的に冷やし、違和感が治まるか様子を見る 急激な違和感がある場合 神経の感受性を低下させ、膝への違和感の伝達を遅らせ、症状を和らげる 氷や冷湿布を布で包み、直接皮膚に触れないよう注意する (文献1) 冷湿布で冷やすべきケースは、違和感が顕著に現れて、炎症を起こした段階です。ジャンパー膝の直後は、冷湿布を使用し血管が収縮させることで、炎症の拡大を抑えます。 冷湿布の効果に関する研究では、急性期の違和感に対して冷却療法が推奨されています。(文献1) 違和感が現れた初期の段階では、冷湿布で冷やすようにしましょう。 温湿布などで温めるべきケース ケース 理由 使用方法 慢性期(発症から12週間以上) 血流を促進し、組織の回復を助けるため、慢性的なこわばりや不調に適している 15~20分程度、温湿布や温めたタオルを使用し、血流を促す 運動前のウォームアップ 筋肉の柔軟性を高め、ケガの予防や動きのスムーズさを向上させる 運動開始前に10~15分ほど温めて、筋肉の柔軟性を向上させる 筋肉のこわばりや違和感がある場合 筋肉が硬くなり、動きが制限されるとパフォーマンスが低下するため、温めることで緊張を緩和する 温めながら軽いストレッチを行い、筋肉をほぐすと効果的 冷やしても症状が改善しない場合 冷却しても症状が改善しない場合、血行を促進し、組織の修復を助ける 冷湿布で改善が見られない場合、温湿布を試して様子を見る 慢性期(発症から12週間)の場合は、血流を促進し、組織の回復力を助けるために、温湿布を使用します。 炎症が落ち着き、膝周囲の筋肉が硬くなっている段階では、冷やすよりも温めることで血流が促進され、柔軟性が向上し膝への負荷が軽減されます。 冷やしても症状が改善しない段階で、温湿布の使用を検討しましょう。 ジャンパー膝に対する「冷湿布」の効果 効果 解説 炎症による腫れや熱感を抑える 冷却効果により、血管が収縮し、炎症物質の放出を抑制 違和感を和らげる 冷たさにより神経の伝達速度が遅くなり、違和感を鈍らせる 炎症の拡大を防ぐ 血管収縮により、炎症が周囲に広がるのを防ぐ 筋肉のこわばりを緩める 冷却により筋肉の緊張が緩和され、柔軟性が向上する 冷湿布は、主に急性期の炎症症状に対して有効です。冷湿布の効果について解説します。 炎症による腫れや熱感を抑える 作用 メカニズム 効果 冷却作用 水分蒸発による患部の冷却、血管収縮、血流抑制 腫れ、熱感の軽減 鎮痛作用 メントールなどの成分による感覚神経刺激 違和感の緩和 冷湿布の冷却効果により、血管を収縮させることで、炎症を抑制させます。 冷湿布に含まれるメントールなどの成分は、皮膚の感覚神経を刺激し、鎮痛効果をもたらします。 違和感を和らげる 作用 メカニズム 効果 冷却作用による感覚麻痺 メントールなどが皮膚の温度感覚を鈍らせる 腫れなどの違和感を一時的に軽減 血管収縮による炎症抑制 患部の血管を収縮させ、炎症物質の放出を抑える 炎症が鎮まり、腫れなどの違和感を軽減 冷湿布は、ジャンパー膝で起こる膝への違和感に対して有効です。 とくに冷湿布に含まれるメントールが皮膚の温度感覚を一時的に鈍らせることで、腫れや違和感を軽減します。 炎症の拡大を防ぐ 炎症が起こると、患部の血管が拡張し、血液中の炎症物質が組織内に漏れ出します。冷湿布は炎症物質の拡大を防ぐための手段として有効です。 ただし、冷湿布は初期段階での炎症を防ぐために使われるため、炎症が落ち着いた慢性期には、冷湿布よりも温湿布が適しています。 筋肉のこわばりを緩める ジャンパー膝で起きた筋肉の強張りに対して、冷湿布の冷却は効果的です。患部を冷却すると、血管が収縮し、患部への血流が抑制されます。 また、冷却は神経の伝達速度を遅らせ、膝にかかる違和感を一時的に鈍らせるため、初期段階の対応として有効です。 冷却で筋肉の過剰な収縮を抑制できるものの、冷やしすぎると筋肉が逆にこわばる可能性があります。 冷湿布は、症状の変化を見ながら使用しましょう。 ジャンパー膝に対する「温湿布」の効果 効果 解説 血行を促進させる 温熱効果により血管を拡張させ、血流を促進させる 慢性的な違和感や筋肉のコリを和らげる 温熱効果に柔軟性の向上、筋肉の緊張緩和を促す リラックス効果 違和感の軽減や悪循環を抑える 温湿布は主に慢性期の違和感や筋肉のこわばりを和らげるために使用されます。 ジャンパー膝に対して、温湿布が有効である理由を解説します。 血行を促進させる メカニズム 効果 血管拡張 血流増加、酸素・栄養素の供給促進 血流速度増加 代謝活性化、疲労物質・発痛物質の排出促進 代謝活性化 違和感の軽減、筋肉の緊張緩和 温湿布を使用し、温まった部位が血管を広げ、血流が改善されます。 血流が改善されると、患部に栄養素や酸素が供給されやすくなり、症状の回復を促します。 ジャンパー膝の初期段階での血行促進は、炎症や違和感を悪化させる可能性があるため、温湿布は落ち着いた慢性期に使用しましょう。 慢性的な違和感や筋肉のコリを和らげる メカニズム 効果 血行促進 筋肉の柔軟性向上、疲労物質の排出促進 神経の鎮静化 違和感の緩和 心理的リラックス 筋肉の緊張緩和、違和感の軽減 温湿布は、慢性的な違和感や筋肉のコリを軽減します。注意点としては、低温やけどに注意し、長時間同じ場所に貼り付けないようにしましょう。特に寝る前に貼る場合は注意が必要です。 また、炎症がひどい状態では、症状を悪化させる可能性があるため、温湿布ではなく、冷湿布を使用しましょう。 リラックス効果 メカニズム 効果 筋肉の緊張緩和 違和感や悪循環を抑える ストレス軽減 違和感を和らげる 睡眠の質の向上 疲労回復を促進する (文献2) 温湿布には、ジャンパー膝に有効なリラックス効果があります。 温熱刺激は副交感神経に対してリラックス効果を与え、交感神経の活動を抑制します。 また、リラックス効果によるストレス軽減は、違和感に対してだけでなく、生活や睡眠の質を上げるためにも有効です。 ジャンパー膝における湿布を貼る際の注意点 項目 注意点 貼る前の準備 湿布を貼る前に、肌を清潔に、関節には目を切れさせて密着させる 貼り方 湿布はフィルムを剥がした後、軽く伸ばし、必要に応じてテープやネット包帯で固定する 剥がし方 湿布は体毛の流れに沿ってゆっくり剥がし、剥がした後は、肌を休めるために時間を空ける 使用上の注意 お風呂上りや汗で濡れている場合や、湿疹や発疹がある部位には使用しない その他 膝への違和感が続く場合は、医療機関を受診する 湿布を貼る際は、正しい使い方や、注意点を守ることが大切です。まず、炎症の状態に応じた湿布を選びます。 急性期には炎症を抑える冷湿布、慢性期には血行を促進する温湿布を選びましょう。 湿布を貼る際は、水や汗で皮膚が濡れていないことを確認し、必要に応じてテープやネットを使用します。湿布は、8~12時間を目安に交換しましょう。 湿布を貼り付けた場所にかゆみや発疹が出た際は、すぐに使用を中止します。かゆみや赤み、ジャンパー膝が続く場合は、医療機関を受診しましょう。 ジャンパー膝における湿布以外のセルフケア セルフケア 重要な理由 アイシング 炎症を抑制し、違和感を軽減する ストレッチ 筋肉の柔軟性を高め、膝への負担を軽減する サポーターの活用 膝を安定させ、負担を軽減する 安静にする 炎症の悪化を防ぎ、組織の修復を促す 湿布はジャンパー膝の症状を一時的に緩和するのに役立ちますが、根本的な改善には、ストレッチや安静などのセルフケアが必要です。 ジャンパー膝におけるセルフケアについて解説します。 アイシング 手順 内容 準備 氷や保冷剤を薄いタオルで包む 実施時間 患部に15 ~20分間程度(凍傷にならないよう注意する) 調整 当てる時間を短くする、タオルの厚さを調整する 冷やす頻度 1日に数回、とくに運動後や違和感がある時 (文献3) ジャンパー膝は、膝蓋腱の炎症によって違和感が生じる疾患です。そのため、発症時は、炎症を拡大させないためにアイシングを行います。 アイシングを行う場合の注意点としては、凍傷を防止するために氷や保冷剤を薄いタオルで包み、患部に15〜20分程度冷やします。 冷やす時間はあくまで目安なので、冷たいと感じた場合は、無理をせずに調節しましょう。 ストレッチ ストレッチ 方法 大腿四頭筋(前もも) 立った状態や横向きに寝た状態で、かかとをお尻に近づけるように膝を曲げ、太もも前側を伸ばす ハムストリングス(肉裏) 立った状態や座った状態で、足を伸ばしてつま先を上げ、太ももの裏側を伸ばす 腸腰筋(股関節付け根) 足を前後に開いて立ち、後ろ足の付け根を伸ばす ストレッチは筋肉の柔軟性向上と負担軽減する手段として有効です。ストレッチは、無理のない範囲で行うことが重要です。 運動前後のウォームアップやクールダウンに取り入れることで、筋肉の緊張をほぐし、ジャンパー膝の防止にできます。 ストレッチは自己判断ではなく、医師の指導のもと行いましょう。 以下の記事では、ジャンパー膝に有効な効果的なストレッチ方法を解説しております。 サポーターの活用 効果 詳細 膝蓋腱の負担軽減 サポーターが膝蓋腱周囲を圧迫し、負担を分散 膝の安定性向上 膝のぐらつきを抑え、関節の安定性を高める。衝撃を和らげ、悪化を防ぐ 動きやすさのサポート 膝のサポートにより、正しい動作を維持しやすくなる サポーターを活用し、膝蓋腱の周囲を適度に圧迫します。 また、サポーターには、関節の安定性を高める効果があり、膝への負担を軽減するために役立ちます。 サポーターを選ぶ際は、サイズ・種類・圧迫の強さを考慮し、自身の症状に合ったものを選ぶことが大切です。 サイズが合わない、圧迫が強すぎるまたは弱すぎるなど、自分に合わないサポーターを選んでしまうと、症状が悪化するリスクがあります。 違和感や不快感がある場合は、無理に使用せずに調整や交換を検討しましょう。 以下の記事では、サポーターの注意点を詳しく解説しております。 安静にする ジャンパー膝は、膝蓋腱に何度も負荷がかかることで炎症や腫れを起こします。そのため、発症初期の段階では、安静が大切です。 しかし、一定期間が経過し、安静にしすぎると、筋力低下を引き起こします。その結果、膝蓋腱への負担が再び増加し、再発する可能性があります。 再発しないためにも、安静だけでなく、適度なリハビリやトレーニングで徐々に膝を慣らしていきましょう。 湿布で改善しないジャンパー膝は早めの受診を ジャンパー膝に対する湿布は、膝にかかる違和感や炎症を一時的に抑える応急処置として有効ですが、根本を解決するものではありません。 ジャンパー膝の症状が湿布で改善しない場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 ジャンパー膝の改善が湿布で見込めないと感じた方は当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 再生医療を活用し、膝の違和感や炎症に対して、回復を促します。 湿布で改善しないジャンパー膝でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 ジャンパー膝と湿布の貼り方に関するよくある質問 湿布は1日に何回張り替えれば良いですか? 湿布の貼り替え回数は、湿布の種類によって異なります。1日1回タイプであれば、8〜10時間程度効果が持続します。 1日2回タイプの湿布の場合の効果持続は、4〜6時間程度です。(文献3) 湿布を貼ったまま運動しても大丈夫ですか? 運動によって湿布がずれたり汚れたりする場合があるため、運動後は患部を確認して新しい湿布に貼り替えるようにしましょう。 湿布とサポーターは併用できますか? 湿布とサポーターは併用できます。併用する際は、皮膚に炎症や圧迫に気をつけ、違和感を感じたら使用を中止しましょう。 湿布は寝るときに貼っても良いですか? 注意するべき点はありますが、基本的に問題ありません。湿布を使用する前に、製品の取扱説明書をよく読み、皮膚のかぶれや湿疹に注意しましょう。 皮膚に異常が現れるようであれば、就寝時は湿布を剥がすなど、工夫する必要があります。 湿布を貼るのと飲み薬(鎮痛剤)ではどちらが効果的ですか? どちらが効果的かは症状や状況によって異なります。症状が軽度であれば、湿布で十分な効果が得られる場合があります。 湿布で症状の改善が見込めない場合は、飲み薬(鎮痛剤)の服用を検討しましょう。 湿布や飲み薬を使用する際は、説明書をよく読み、用法・用量を守り、自己判断はせず、医師や薬剤師の指示に従いましょう。 参考文献 (文献1) 綾田 練ほか,「ジャンパー膝に対する運動後のアイシングの効果」『体力科学(2007)』pp.1-6, (2007) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/56/1/56_1_125/_pdf(最終アクセス:2025年3月15日) (文献2) 2008年から2019年に発表された温罨法に関する国内文献の検討 武田七海ほか,「〈総説〉2008年から2019年に発表された温罨法に関する国内文献の検討」pp.1-9, 2008年 https://www.thcu.ac.jp/research/pdf/bulletin/bulletin17_09.pdf(最終アクセス:2025年3月15日) (文献3) 宮川,羽毛田「薬の伝言版 湿布薬の使い方」, pp.1-2, 2024年 (最終アクセス:2025年3月15日)
2025.03.31 -
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
「運動中に突然、太ももやふくらはぎに強い痛みが走った」 「これって肉離れ?まず何をすれば良いのかわからない」 このような不安を感じていませんか。 肉離れは、スポーツ中だけでなく、日常の動作や準備不足の状態でも起こることがあります。 発症直後の対応を誤ると、痛みや腫れが長引いたり、治ったと思っても再発しやすくなったりするため、初期の応急処置がとても重要です。 本記事では、肉離れが疑われるときにまず行うべき応急処置(RICEの基本)から、受診の目安、回復までの流れ、再発を防ぐためのポイントまでを、医師の視点でわかりやすく解説します。 「正しい対処法を知って、できるだけ早く回復したい」という方は、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肉離れについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肉離れの応急処置は「まず悪化を防ぐ」のが目的 肉離れは筋肉が強い力で伸ばされたり、部分的に断裂したりした状態で、急な痛みと腫れ、内出血を伴います。 とくに発症直後は組織が不安定なため、不用意に動かしたり刺激を与えたりすると損傷が広がり、回復が遅くなってしまうリスクがあります。 そのため、応急処置ではまず「悪化を防ぐこと」が重要です。 痛みを感じる部分を無理に動かしたり、熱を加えたりする行為は、腫れや炎症を増大させ、回復を妨げるおそれがあります。 まずは炎症が強い時期(ケガをしてから24~72時間程度)に症状を落ち着かせることを優先し、適切な処置につなげることが大切です。 肉離れ直後にやってはいけないこと 肉離れ直後は、以下のような対応を避けてください。 無理に動かす・動かし続ける 強いストレッチやマッサージをする 熱を加える行為(入浴、温熱パックなど) 過度な飲酒や激しい運動 痛みがある場所を使い続けると、損傷した筋繊維がさらに引き伸ばされ、状態が悪化する可能性があります。 また、炎症が起きている時期に過度なストレッチや圧力をかけると、損傷部位に強い負担がかかり、回復が遅れるおそれがあります。 発症直後に熱を加えたり飲酒をしたりすると血流が増え、腫れや内出血が悪化する可能性があるため注意しましょう。 応急処置の基本「RICE処置」 応急処置で広く用いられてきたのがRICE処置です。 これは、筋肉や靭帯の急性損傷に対する初期対応として世界的に知られている方法で、次の4つの手順の頭文字から名付けられています。 Rest(安静) Icing(冷却) Compression(圧迫) Elevation(挙上) スポーツ現場や医療現場でも広く用いられており、肉離れの応急対応として基本となる考え方です。 【RICE】肉離れの応急処置4ステップ RICE処置は肉離れの初期対応として基本とされています。 これはRest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取った言葉です。(文献1) ケガをした直後にRICE処置を適切にすれば、症状の悪化を防ぎ、回復を促す効果が期待できます。 医療機関を受診する前に、まずはこの基本的な処置をしましょう。 ここからはRICEの4つの処置について、詳しく説明していきます。 Rest(安静) 肉離れを起こした際、重要な処置の一つが安静です。 安静とは、損傷した筋肉を無理に動かさずに十分に休ませることを意味します。 肉離れは筋繊維の部分的な断裂や損傷が起こっている状態です。 さらに筋肉を使い続けると、断裂箇所が大きくなり、より深刻な損傷へと進行する恐れがあります。(文献1) つまり、軽度の肉離れが中度や重度へと悪化する可能性が高まるのです。 安静を保つことで、傷ついた筋繊維が自然治癒するための準備を整えられます。 受傷直後の数日間は、痛みのある動作を避け、患部への負担を最小限に抑えることで回復へ近づきます。 医師の指示に従いながら、適切な安静期間を設けましょう。 Icing(冷却) 肉離れが発生すると、筋繊維の断裂によって組織が炎症を起こし、腫れや内出血が生じます。 このとき冷却をすると、症状を効果的に抑えられます。 冷却には血管を収縮させる作用があり、出血量の軽減、腫れの抑制、痛みの緩和に効果的です。 受傷後できるだけ早く冷却を始めましょう。 具体的な冷却方法としては、氷や保冷剤をビニール袋に入れ、薄いタオルで包んでから患部に当てます。 直接皮膚に氷を当てると凍傷のリスクがあるため、必ず布などを間に挟みましょう。 1回のアイシングは15~20分程度が目安で、その後は再び痛くなったら冷却を数回繰り返します。(文献2) 長時間の連続冷却は避け、適度な間隔を空けることが大切です。 受傷後24〜48時間は冷却がとくに効果的ですが、その後も痛みや腫れが続く場合は継続してみましょう。(文献3) Compression(圧迫) 肉離れを起こした筋肉には、適切な圧迫処置が効果的です。 テーピングや弾性包帯を使って患部に適度な圧力をかけると、内出血や腫れの進行を抑制できます。 圧迫は毛細血管からの出血を最小限に抑え、過剰な浮腫(むくみ)を防ぐ働きがあります。 あくまで一例ですが、太ももの肉離れの場合、具体的な圧迫方法としてはまず弾性包帯とパットが必要です。 包帯を巻く前に、患部が清潔で乾いていることを確認してください。 パッドを患部に当て、弾性包帯でらせん状に巻いていきます。 圧迫は強すぎず弱すぎない適度な強さで行います。 血行不良の兆候(しびれ、皮膚の色の変化、冷感など)が現れた場合は、すぐに緩めましょう。(文献3) Elevation(挙上) 肉離れが発生した場合、患部を心臓より高い位置に保つ挙上をしましょう。 挙上すると、心臓に向かって血液が流れるため、腫れや炎症を効果的に抑制できます。 具体的な挙上方法としては、太ももの肉離れの場合、仰向けに寝た状態で患部の下に枕やクッションを何個か重ねて配置し、脚全体が心臓より高くなるようにします。 ソファや椅子に座る場合は、別の椅子やスツールを使って脚を高く上げるようにしましょう。(文献3) 挙上は腫れが続く限り、可能な限りの継続が望ましいです。 就寝時も枕を使って患部を少し高くすると、夜間の腫れを軽減できます。 他のRICE処置(安静・冷却・圧迫)と組み合わせると、肉離れの回復には効果的です。 ただし、痛みを伴う無理な姿勢での挙上は避けましょう。 湿布・テーピングは肉離れの応急処置として有効か? 肉離れを起こしたとき、「とりあえず湿布を貼る」「テーピングで固定すれば良い」と考える方は少なくありません。 しかし、湿布やテーピングは正しく使わなければ、応急処置として十分な効果が得られないこともあります。 ここでは、湿布とテーピングの役割や注意点、RICE処置との違いについて解説します。 湿布は「冷却」ではない 肉離れの応急処置として「冷湿布を貼れば冷やしたことになる」と思われがちですが、湿布はRICE処置における「Icing(冷却)」の代わりにはなりません。 湿布の主な役割は以下のとおりです。 痛みや炎症を和らげる「消炎鎮痛」 ひんやりした感覚による「冷感刺激」 つまり、湿布は皮膚表面に冷たく感じさせる作用はありますが、筋肉の深部までしっかり冷却して血流を抑える効果は、ほぼありません。 そのため、 1.受傷直後は、まず氷や保冷剤でしっかり冷却(アイシング)を行う 2.その後の痛みや炎症のケアとして湿布を使う という順番が望ましいといえます。 湿布だけで応急処置を済ませてしまうと、腫れや内出血の抑制が不十分になる可能性があるため注意しましょう。 テーピング・包帯固定の考え方 テーピングや包帯固定は、肉離れの応急処置において「圧迫」と「安定」の補助として有効です。 ただし、目的を理解して使うことが大切です。 テーピング・包帯の主な役割は以下のとおりです。 患部を適度に圧迫し、腫れや内出血を抑える 筋肉の動きを制限し、再損傷を防ぐ 不安定感を軽減し、安心して安静を保てるようにする 一方で、次のような使い方には注意が必要です。 強く巻きすぎて血流を妨げる 固定したまま無理に動いてしまう テーピングをしているから大丈夫と運動を続ける テーピングや包帯は、「治すため」ではなく「悪化させないための補助」と考えるのが基本です。 あくまでRICE処置の「Compression(圧迫)」と「Rest(安静)」を支える手段として使いましょう。 圧迫はいつまで必要?外すタイミングの目安 圧迫は、肉離れ直後の腫れや内出血を抑えるために重要ですが、ずっと続ければ良いわけではありません。 一般的な目安は以下のとおりです。 圧迫が必要な時期 受傷直後〜腫れや熱感が強い間(目安として24〜48時間程度) 動かすとズキズキ痛む時期 明らかな腫れや内出血が広がっている間 圧迫を緩める・外す目安 腫れや熱感が落ち着いてきた 安静時の痛みが軽くなってきた 圧迫しなくても不安定感がなくなった また、圧迫中に次のような症状が出た場合は、すぐに緩めるか中止してください。 しびれや強い違和感 皮膚の色が紫や白っぽくなる 冷感が強くなる 圧迫は「腫れを抑えるための一時的な処置」であり、回復段階に入ったら、必要以上に続けず、動かしながら治すことへ移行するのも重要です。 不安がある場合は、自己判断せず医療機関で相談しましょう。 病院に行くべき肉離れのサイン 肉離れは軽度であれば自宅での安静や応急処置で回復するケースもあります。 しかし、すべての肉離れが自己対応で済むわけではありません。 中には、重症化していたり、他のケガが隠れていたりするケースもあるため、「病院に行くべきかどうか」を見極めることが非常に重要です。 ここでは、医療機関を受診すべき症状と、受診する診療科の目安について解説します。 受診が必要な症状 次のような症状がある場合は、自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。 重症の可能性が高い症状 以下のような場合は、中等度〜重度の肉離れや筋断裂が疑われるため、できるだけ早い受診が必要です。 痛みが非常に強く、歩行が困難、またはまったく動かせない 受傷直後から腫れや内出血が急激に広がっている 筋肉が「へこんでいる」「割れている」ように見える 力を入れようとしてもまったく入らない 受傷時に「ブチッ」「パチン」といった断裂音を感じた 安静にしていても痛みが改善しない、むしろ悪化している これらは、筋繊維の大きな損傷や断裂が起きている可能性があるサインです。 放置すると回復が遅れるだけでなく、後遺症や再発につながるおそれもあります。 放置すると長引く・再発する可能性が高いケース 以下のような場合も、「軽い肉離れだから大丈夫」と自己判断せず、早めの受診が望ましいケースです。 数日経っても痛みや腫れがほとんど引かない 軽いと思っていたが、動かすたびに強い痛みが出る スポーツや仕事に復帰する必要があり、正確な診断が必要な場合 同じ部位を何度も肉離れしている(再発を繰り返している) とくに再発を繰り返している場合は、 「筋肉に瘢痕(はんこん)と呼ばれる硬い組織が残っている」 「回復が不十分なまま復帰している」 といった可能性も考えられ、専門的な評価やリハビリが必要になることがあります。 歩けるから大丈夫と自己判断せず、違和感が長引く・不安がある場合は早めの受診が安心です。 肉離れは何科を受診する? 肉離れが疑われる場合、基本的には「整形外科」の受診がおすすめです。 整形外科 肉離れ・捻挫・打撲など運動器のケガ全般に対応 エコー(超音波)やMRIで筋肉の損傷度を確認できる 重症度に応じた治療・リハビリ指導が受けられる まず迷ったら整形外科が第一選択です。 スポーツ整形外科・スポーツクリニック アスリートや運動習慣のある方にとくにおすすめ 競技復帰を見据えたリハビリ・再発予防まで対応可能 肉離れは「筋肉・腱・靭帯」といった運動器の損傷であるため、内科や一般外科ではなく、運動器専門の整形外科が適切な診療科となります。 肉離れの応急処置後に必要な治療と回復の流れ 肉離れの早期回復・再発防止のためには、応急処置を行ったあとも適切な治療と回復過程を踏むことが大切です。 肉離れの治療の基本は、安静と患部への負担軽減です。 痛みを感じる動作は避け、損傷した筋肉が自然に修復される環境を整えます。 痛みや炎症が強い場合には、医師の判断のもとで 消炎鎮痛作用のある湿布や塗り薬 内服薬(鎮痛薬・消炎薬) などが用いられることがあります。 これらは痛みや炎症を和らげるための補助的な治療であり、筋肉そのものを治す治療ではない点も理解しておきましょう。 痛みや腫れが落ち着いてきたら、徐々にストレッチやリハビリを開始します。 この段階で適切な運動療法を行わず、いきなり元の運動に戻ると再発しやすくなるため注意が必要です。 筋肉の柔軟性と筋力を回復させながら、段階的に運動強度を上げていくことが大切です。 また、肉離れの回復期間は、重症度によって異なります。 軽度:1〜2週間程度 中等度:3〜6週間程度 重度:2カ月以上かかることもある とくに中等度以上の場合は、4週間前後を目安に治療とリハビリが必要になるケースが多いとされています。(文献4) また、近年では、通常の治療で改善が乏しい場合や、早期復帰を目指すアスリートを中心に、幹細胞治療やPRP療法(多血小板血漿療法)などの再生医療が注目されています。 再生医療とは、損傷した組織や細胞に対して、自分自身の幹細胞や血液を用いる治療法です。 幹細胞治療では、幹細胞がさまざまな種類の細胞に変化する「分化能」という能力を活かし、PRP療法は血小板に含まれる成長因子などが損傷した組織の修復を促進する働きを活用します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肉離れについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肉離れの再発予防 肉離れは一度起こすと、同じ部位で繰り返しやすいケガとして知られています。 とくに、回復が不十分なまま運動を再開した場合や、筋肉の柔軟性・筋力が十分に戻っていない場合には、再発リスクが高まるのです。 しかし、日常生活や運動前後の意識を少し変えることで、肉離れは予防・再発防止が可能なケガでもあります。 ここからは、肉離れを防ぐために心がけたいポイントを、具体的に解説していきます。 身体を温める 肉離れを予防するには、筋肉の冷えを防ぐことが重要です。 体温が低下すると筋肉も冷えてしまい、柔軟性や弾力性が失われて伸縮性が低下します。 このような状態で急に強い力をかけたり、無理な動きをしたりすると、筋繊維が断裂して肉離れを起こしやすくなります。 冬場や冷房の効いた室内、運動前の体が十分に温まっていない状態では注意が必要です。 予防のためには、運動前の十分なウォームアップが欠かせません。 具体的には、軽いジョギングやその日使う筋肉を意識した動的ストレッチが効果的です。 また、日常的に適切な服装で体を冷やさないよう心がけ、入浴での全身の血行促進も効果的です。 運動時には保温性のある適切なウェアを着用し、屋外での活動時には天候や気温に合わせた服装を心がけましょう。 体を温めると筋肉の柔軟性が保て、肉離れのリスクを軽減できます。 十分にストレッチをする 肉離れの主な原因の一つに、運動前の準備不足が挙げられます。 日頃から運動習慣がない方は筋肉が硬くなっており、急に激しい動きをすると筋繊維が断裂しやすくなります。 運動不足の状態から突然激しい運動をすると、肉離れのリスクを大幅に高めることになるでしょう。 肉離れのリスクを軽減するには、運動前に適切なストレッチをして、筋肉を十分にほぐすことが重要です。 ストレッチにより筋肉の柔軟性が向上し、急な動きや負荷にも対応できるようになります。 普段使わない筋肉を使う運動をする場合は、その部位を重点的にストレッチすると、肉離れの予防効果が期待できます。 肉離れの起きやすいふくらはぎやハムストリングス、太ももを中心にストレッチしましょう。 無理な動作をしない スポーツ活動中に肉離れを起こす主な原因の一つは、無理な動きや急激な負荷です。 競技中の勝負へのこだわりや、自分の限界を超えた無理な動きは筋肉に過度の負担をかけ、肉離れのリスクを高めます。 自分の体力や筋力の限界を理解し、段階的に運動強度を上げていきましょう。 また、疲労が蓄積している状態では、筋肉が適切に機能せず、負荷に耐えられなくなるため注意が必要です。 指導者がいる環境では、正しい技術や体の使い方を学ぶと肉離れ予防に効果的です。 専門知識を持った指導者からフォームの指導を受けると、筋肉への不必要な負担を軽減できます。 初心者や若年層のアスリートは、基本的な動作を丁寧に学ぶと、将来的な肉離れのリスクを減らせます。 無理をせず、適切に体を動かし、安全にスポーツを楽しみましょう。 しっかりと休息を取る 十分な休息は肉離れ予防において非常に重要です。 過度なトレーニングや連続した運動により休息時間が不足すると、筋肉が常に緊張状態となり硬くなってしまいます。 緊張状態では筋肉の弾力性が低下し、わずかな負荷でも肉離れを起こすリスクが高まります。 また、精神的なストレスも筋肉の緊張を引き起こす要因です。 ストレスを感じると身体は自然に緊張し、筋肉も硬くなりやすい状態になります。 メンタル面のケアも肉離れ予防には欠かせません。 適切な休息日を設けると、筋肉は本来の柔軟性を取り戻しリラックスした状態になります。 次の運動時に筋肉が適切に伸縮できるようになり、肉離れのリスクを軽減できます。 日常から身体を動かしておく 運動不足が続くと筋肉が徐々に硬くなり、柔軟性が失われていきます。 このような状態では、特別な運動をしなくても、日常生活の何気ない動作で突然肉離れを起こすリスクが高まります。 肉離れを予防するためには、定期的な軽い運動が効果的です。 ウォーキングや軽いジョギングは、筋肉に過度な負担をかけることなく血流を促進し、筋肉の柔軟性を維持するのに適しています。 軽い有酸素運動を日常に取り入れれば、筋肉が硬くなるのを防ぎ、健康的な身体機能を維持できます。 まとめ|肉離れは正しい応急処置が早期回復と再発防止につながる 肉離れは、起こった直後の対応によって、その後の回復スピードや再発リスクが大きく変わります。 とくに発症直後に行うRICE処置は、症状の悪化を防ぎ、治癒をスムーズに進めるための重要な第一歩です。 初期対応を怠ると、痛みや腫れが長引いたり、再発しやすくなったりする可能性があります。 一方で、正しい応急処置と適切なケアを行えば、回復までの期間を短縮し、安心して日常生活やスポーツに復帰しやすくなるでしょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肉離れについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肉離れの応急処置に関するよくある質問 ここからは、肉離れの応急処置に関するよくある質問を紹介します。 肉離れの応急処置にテーピングは効果的ですか? 肉離れの応急処置において、テーピングは補助的に有効な方法です。 適切にテーピングすると患部を安定させ、圧迫によって内出血の広がりを防ぎ、炎症の拡大を抑える効果が期待できます。 ただし、テーピングだけで治療が完結するわけではなく、RICE処置と併用することが重要です。 肉離れの応急処置に湿布は効果的ですか? 肉離れの応急処置として、冷湿布は補助的に効果が期待できます。 湿布には炎症や痛みを和らげる作用があり、アイシング後のケアや補助的な手段として活用できます。 ただし、湿布はRICE処置の「冷却」を完全に代替するものではありません。 氷や保冷剤によるアイシングと併用し、あくまでサポートとして使うことが大切です。 また、湿布には「冷湿布」と「温湿布」がありますが、肉離れ直後の急性期に適しているのは冷湿布です。 肉離れは筋肉に炎症が起きている状態のため、冷湿布で炎症や痛みを抑えることが目的となります。 一方で、痛みや腫れが落ち着いてきた回復期には、温湿布で血流を促すことが役立つ場合もあります。 ただし、受傷直後に温湿布を使うと炎症を悪化させるおそれがあるため注意しましょう。 湿布を使用する際は、症状や時期に応じた使い分けを意識することが重要です。 肉離れの応急処置はどのくらい冷やしたら良いですか? 肉離れを起こした直後はアイシングが効果的ですが、冷やしすぎないようにしましょう。 過剰なアイシングは筋肉を必要以上に硬くさせ、回復に必要な血行を阻害してしまうリスクがあります。 一度のアイシングは15~20分程度を目安とし、それ以上長時間続けないようにしましょう。 適切な時間でのアイシングは、炎症を抑えつつも回復に必要な血流を維持できるため、回復へとつながります。 参考文献 (文献1) 社会福祉法人 恩賜財団 済生会「筋挫傷(きんざしょう)」済生会ホームページ (文献2) 一般社団法人 日本スポーツ整形外科学会「スポーツ外傷の応急処置(RICE処置)」日本スポーツ整形外科学会ホームページ (文献3) ニチバン株式会社「RICE(ライス)処置」battlewinホームページ (文献4) 大正大学「保健室だより」2016年
2025.03.31 -
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
ふくらはぎに違和感を感じる ふくらはぎが赤く腫れ上がっている 運動中に突然、肉離れを起こしたかもと不安に感じているかもしれません。 ふくらはぎの違和感や、腫れ上がりを放置すると重症化する恐れがあります。 突然の肉離れにどうすれば良いのか焦りを感じている方もいれば、違和感はあるものの、歩けるから問題ないと思っている方もいることでしょう。 この記事では、ふくらはぎの肉離れについて解説します。 歩けるからといって油断は禁物です。 正しい知識を身につけて、ふくらはぎの肉離れに対し、適切な治療を行いましょう。 また肉離れからの早期復帰を目指す・手術を避けたいという方は、再生医療もご検討ください。 ふくらはぎの肉離れに対する 再生医療とは 再生医療はご自身の血液に含まれる成分を活用し、損傷した筋肉の修復をサポートする治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 できるだけ早い競技復帰・仕事復帰を目指したい 長期間の安静による筋力低下を避けたい 肉離れを繰り返しており、再発予防に向けたアプローチを検討したい >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 一般的な肉離れの治療では、痛みが引いて組織が回復するまでに通常3〜4週間ほどの安静期間が必要です。 しかし、その期間に筋肉を使わないことで筋力低下や競技パフォーマンスの低下につながる可能性もあります。 また肉離れはただの怪我と放置したり、治りきらないうちに無理をしたりすると、患部が硬くなるなどして再発を繰り返すリスクがあります。 根本的な治療を行うためにも、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、お気軽にご相談ください。 まずは肉離れの治療について無料相談! 肉離れ(ふくらはぎ)の症状 分類 症状 Ⅰ度(軽度) アキレス腱ストレッチで若干の違和感がある Ⅱ度(中度) アキレス腱ストレッチで強い違和感があるものの、膝を曲げた状態で行うと違和感は弱まり、つま先立ちができる Ⅲ度(重度) アキレス腱ストレッチで、膝を曲げた状態でも軽く伸ばしただけで強い違和感があり、つま先立ちが困難 肉離れは筋肉が急激に引き伸ばされることで、筋繊維が切れて起こる症状です。症状としては熱感、炎症性の違和感、腫脹、皮下出血が起こります。 また、肉離れ(ふくらはぎ)を引き起こした瞬間に「プチッ」といった音が聞こえるのも特徴です。 肉離れ(ふくらはぎ)の症状は表のⅠ度(軽度)〜Ⅲ度(重度)で分類されます。 症状がもっとも軽いⅠ度(軽度)であれば、自力で歩行でき、若干の違和感がありつつもアキレス腱ストレッチも行えます。 しかし、Ⅲ度(重度)になると、アキレス腱ストレッチが難しい状態になり、自力での歩行が難しい状態です。 以下の記事では、肉離れについて現役医師が詳しく解説しています。 ふくらはぎの肉離れの原因 ふくらはぎの肉離れの原因としては、急激な筋肉の収縮や準備運動不足など、運動中に引き起こされることが多いです。 運動以外では、加齢や筋肉疲労などで引き起こされるケースも存在します。 ふくらはぎの肉離れの原因を詳しく解説します。 急激な筋肉の収縮と伸張 急激な筋肉の収縮と伸張でふくらはぎに負担がかかることで、肉離れが起こります。 原因としては、運動中に急なダッシュやジャンプ、方向転換など脚の筋肉に急激な負荷がかかるためです。 とくに運動前に十分なウォーミングアップを怠ると、筋肉が柔軟になっていない状態で筋肉の収縮と伸張が起こるため、肉離れを引き起こしやすくなります。 筋肉の疲労 筋肉疲労による影響 肉離れのリスク 筋肉の柔軟性低下 筋肉が硬くなり、急な動きに耐えられず損傷しやすい 筋力低下 筋肉が正常な動作を維持できず、損傷しやすい 運動制御の乱れ 筋肉の協調性低下、不自然な動作やバランスの乱れで損傷しやすい 筋肉疲労はさまざまな要因で引き起こされます。疲労を抱えたまま、筋肉に負担を与え続けるのは危険です。 ふくらはぎの筋肉に対して、オーバーユース(使いすぎ)や十分な休息を与えていないことが重なることで筋繊維が切れ、肉離れが起こります。 筋肉疲労を引き起こさないためには、運動後に軽いストレッチや、クールダウンを習慣化するのが大切です。 また、脚に少しでも違和感を感じた場合は運動を中断し、アイシングなどで対策しましょう。 準備運動不足 準備運動の役割 効果 筋肉の温度上昇 筋肉の柔軟性が高まり、収縮と伸張がスムーズになり、急激な動作への耐性が向上し、肉離れのリスクが低下 関節の可動域拡大 関節の可動域が広がり、動作範囲が広がることで筋肉への負担が分散され、肉離れのリスクを軽減 神経の活性化 神経系が活性化し、筋肉の協調性が高まることで動作がスムーズになり、筋肉への負担が軽減 準備運動を十分に行わず、急な走り込みや脚の使い込みも肉離れを引き起こす原因になります。 準備運動は筋肉や関節を温め、柔軟性を向上させてくれますが、準備運動が十分に行われていない場合、筋肉に過度な負担がかかりやすくなり、肉離れを起こすリスクが高くなります。 普段運動が習慣化されていない人は、筋肉が硬直しやすいので、入念な準備運動を心がけることが大切です。 加齢 加齢によって筋肉の力が弱まり、柔軟性が失われることで、肉離れ(ふくらはぎ)を引き起こす原因になります。 また、加齢によって血管が硬くなり、筋肉への血液を流す力も減少し、筋肉への酸素や栄養の供給が滞り、修復機能が低下します。 加齢による筋肉量の減少を予防するには、無理のないトレーニングや軽い運動の習慣化が大切です。 症状の再発 肉離れ(ふくらはぎ)は過去に経験歴があると、再発しやすい症状です。 再発の理由としては、損傷した筋繊維は瘢痕組織(はんこんそしき)と呼ばれる硬い組織に置き変わります。 硬い組織に置き換えることで、柔軟性や伸縮性が低くなり、再発しやすくなります。 再発を防ぐために正しいフォームなどを意識し、負担が偏らないようにしましょう。 肉離れ(ふくらはぎ)の前兆 肉離れ(ふくらはぎ)には前兆があります。 筋肉の違和感や張り感 筋肉の疲労感 筋肉の痙攣 肉離れの前兆を解説します。 筋肉の違和感や張り感 ふくらはぎの肉離れは運動中に負荷がかかり、発症するケースが多いです。しかし、前兆として普段とは違うふくらはぎに違和感や張りを感じることがあります。 筋肉に普段感じない違和感や張り感が現れた場合は運動を中止し、安静やアイシングを行います。 また、症状が改善せずに悪化するようであれば、医療機関を受診しましょう。 筋肉の疲労感 ふくらはぎの肉離れの前兆として、筋肉の疲労感が挙げられます。筋肉疲労は筋肉が悲鳴を挙げており、柔軟性や強度が低下してる状態です。 筋肉の疲労感を無視して運動を行うと、肉離れを起こすリスクがあります。 いつもより筋肉にだるさを感じる場合は、無理な運動はせずに安静や軽いストレッチを行いましょう。 また、筋肉を温められる入浴なども有効です。筋肉の疲労感が数日続くようであれば、医療機関の受診をおすすめします。 筋肉の痙攣 痙攣は筋肉が異常な収縮を起こしている状態です。筋肉の痙攣が起きている状態は、ミネラルバランスの乱れや筋肉疲労を起こしているサインです。 筋肉の痙攣が起きた場合は、すぐに運動を中止し、適切な休息や水分補給などを行い、筋肉の状態を正常に戻すことが最優先です。 痙攣の症状が頻繁に起こる場合は、医療機関を受診しましょう。 ふくらはぎの肉離れは歩ける場合でも油断は禁物です! ふくらはぎの肉離れの症状が軽度であれば、歩ける場合があります。しかし歩けるからといって油断は禁物です。 ふくらはぎの肉離れは、適切な治療を怠ると以下のリスクがあります。 放置すると重症化するリスク 症状が良くなるまでに時間がかかる 内出血や腫れが遅れて現れることがある 起こりうるリスクについて解説します。 放置すると重症化するリスク ふくらはぎの肉離れは、歩行可能な状態でも放置すると重症化するリスクがあります。 適切な処置や治療が遅れると後遺症として、筋肉の修復が不完全になり、慢性的な違和感や機能障害が残る可能性が高いです。 また不完全な修復は、筋肉の微弱性を高めるため、再発のリスクがあります。 軽度でも自己判断はせず、応急処置を行い、医療機関を受診しましょう。 症状が良くなるまでに時間がかかる ふくらはぎの肉離れは、軽度の症状でも初期段階で適切な対応を怠れば、症状がよくなるまでに時間がかかります。 損傷した筋繊維は、瘢痕組織(はんこんそしき)と呼ばれる硬い組織に置き変わるため、伸展性や収縮性が低下します。 そのため、負荷のかかる動きには耐えにくい組織に切り替わるので、再発しないよう注意が必要です。 自己判断はせず、医師の指示に従い適切な治療を受けることで、早期回復につながります。 内出血や腫れが遅れて現れることがある 肉離れの症状は個人差も大きく、内出血や腫れが出るタイミングも人それぞれであり、遅れて症状が現れた場合でも、自己判断は禁物です。 内出血や腫れが遅れて出る理由は、組織損傷後の炎症反応が時間をかけて進行するためです。 進行のスピードは人それぞれであり、肉離れを起こした時点で内出血や腫れが現れる人もいれば、遅れて症状が出る人もいます。 歩けるからといって無理すると、後から内出血や腫れの症状がでる可能性があるため、早い段階での適切な対応が大切です。 ふくらはぎの肉離れを起こしたときの対策 ふくらはぎの肉離れを起こしたときは、焦らずに対策しましょう。 安静にする 応急処置を行う 適切なリハビリを行う 症状の再発を防止する 再生医療(PRP療法) ふくらはぎの肉離れを起こしたときの対策を解説します。 安静にする ふくらはぎの肉離れを起こした場合は、安静にしましょう。肉離れを起こしたときはすぐに運動を中止し、必要に応じて冷却などを行います。 RICE処置(安静(Rest)・冷却(Ice)・圧迫(Compression)・患部を心臓より上に上げる(Elevation))の流れの1つであり、一時的な処置として効果的な手法です。 発症してから数日間は受傷部を保護する必要があるので、おおよそ3〜5日は安静にする必要があります。 安静期間は症状の程度によって異なるため、自己判断はせず医師の指示に従いましょう。 応急処置を行う 処置 詳細 目的 安静 (Rest) 患部を動かさない 症状の悪化を防ぐ 冷却 (Ice) 保冷剤をタオルで包み15~20分冷やす(1日数回) 腫れと炎症を抑える 圧迫(Compression) 包帯などで患部を圧迫 内出血と腫れを抑える 挙上(Elevation) 患部を心臓より高い位置に 腫れを軽減する ふくらはぎの肉離れが起きたときに有効なのが、RICE処置:安静(Rest)・冷却(Ice)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)です。 肉離れを起こした初期の段階ではRICE処置が有効であり、とくに安静(Rest)と冷却 (Ice)が大切です。 冷却 (Ice)を行う際は、冷やしすぎると凍傷になる可能性があります。保冷剤をタオルなどで包み、数秒に一回は肌から離すなど工夫しましょう。 また、圧迫 (Compression)も力任せではなく、加減を調整しながら行います。圧迫時にしびれや変色を起こした際はすぐに緩めることが大切です。 あくまでも応急処置のため、症状が改善しない場合は医療機関への受診が必要です。 適切なリハビリを行う 内容 目的 効果 瘢痕組織の改善 柔軟性向上 正常な筋肉に近づける 筋力と柔軟性の回復 機能回復 日常生活・運動への復帰 筋力バランスの調整 バランス改善 再発リスク軽減 再発防止 筋肉の状態回復 運動再開を目指す 安静にすると同時に適切なリハビリが大切です。リハビリでは、瘢痕組織の改善や筋力バランスの調整を行い、症状の改善を目指していきます。 リハビリは自己判断ではなく医師指導のもと、無理のない範囲で行うのが大切です。 症状の再発を防止する ふくらはぎの肉離れは再発の可能性が高いので、再発を防止する必要があります。 再発を防ぐには適切なリハビリや休息、食生活のバランスが大切です。 筋肉の修復を考え、無理な運動は控え、食事はタンパク質(鶏肉・魚・卵・豆類・ナッツ・乳製品など)や、ビタミンC、ビタミンE、オメガ3脂肪酸などを含む食事を中心に行いましょう。 肉離れはクセになりやすい症状なので、油断は禁物です。 再生医療(PRP療法) ふくらはぎの肉離れに対して、PRP療法(多血小板血漿療法)は有効な手段です。 PRP療法(多血小板血漿療法)は、患者様自身から採取した血液から、多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)を抽出します。 抽出した多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)を肉離れで起きた損傷部位に注射し、症状改善を目指します。 手術を必要としない上に副作用のリスクもほとんどありません。最短30分で施術が完了します。 短い時間で対応かつ通院だけで行えるため、スポーツ選手にも効果的な療法です。 以下の記事では再生医療(PRP療法)について、詳しく解説しています。 ふくらはぎに肉離れの疑いを感じたら医療機関を受診しよう ふくらはぎに肉離れの疑いを感じたら、自己判断はせず医療機関を受診しましょう。 症状が軽いと歩ける場合もありますが、放置してしまうと症状が悪化し、後遺症が出る可能性があります。 ふくらはぎの肉離れを重症化させないためにも応急処置は適切に行い、軽度だったとしても、医療機関で診察を受けることが大切です。 肉離れの症状が辛い方は当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療で組織の修復をサポートします。 ふくらはぎの肉離れでお悩みの方は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。
2025.03.31 -
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
スポーツ中や日常生活の何気ない動作で、急に筋肉に痛みが走ったことはありませんか。 その痛みは、筋肉に強い負担がかかったことで起こる「肉離れ」かもしれません。 肉離れは、筋肉が部分的に損傷することで発生するケガです。 症状の程度には軽いものから重いものまで幅があり、無理をすると回復の遅れや再発を繰り返すおそれもあります。 この記事では医師監修のもと、肉離れの状態や重症度ごとの症状、回復までの流れについて解説します。 肉離れの症状の見方や、判断の目安を知るための参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供や簡易オンライン診断を行っています。 肉離れについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肉離れとは?症状と損傷の仕組み 肉離れとは、筋肉に強い負担がかかることで筋肉の繊維が部分的に損傷してしまうケガで、主にスポーツ中の急な動きや、日常生活での無理な動作をきっかけに起こる場合があります。 正式には「筋挫傷(きんざしょう)」と呼ばれ、損傷の程度が大きい場合には「筋断裂」と表現されることもあります。 肉離れが起こると、動かした瞬間に鋭い痛みを感じるほか、筋肉を伸ばす動作や力を入れるときに痛みが強くなるのが特徴です。 症状の出方には個人差があり、軽い違和感で済む場合もあれば、腫れや内出血が現れ、歩くのがつらくなるケースもみられます。 なかには、痛みが出た瞬間に「プチッ」といった断裂音が聞こえることもあります。 とくに太ももやふくらはぎなど、日常的に大きな力がかかりやすい部位は負担を受けやすく、肉離れが起こりやすいとされています。 気になる症状が続く場合は、無理をせず、整形外科で専門医の診察を受けることを検討しましょう。 肉離れが起こる主な3つの原因 肉離れは、偶然起こるケガではなく、筋肉の状態や運動時の環境が重なることで発生しやすくなります。 肉離れが起こりやすくなる主な原因は、次の3つです。 疲労の蓄積や筋力バランスの乱れによる筋肉への過負荷 ウォーミングアップ不足・柔軟性の低下 水分不足による筋肉の柔軟性低下 ここでは、それぞれの原因について詳しく解説します。 疲労の蓄積や筋力バランスの乱れによる筋肉への過負荷 激しい運動や筋力トレーニングを続けて行うと、筋肉の中では目に見えない細かな損傷が少しずつ蓄積していきます。 本来、筋肉は十分な休養によって修復・強化されますが、回復が追いつかないまま負荷の高い運動を続けると、耐久性が低下し、損傷しやすい状態になります。 そのため、肉離れのリスクを減らすには、運動と休養のバランスを意識することが大切です。 疲労がたまると筋肉の伸縮性や反応性が低下し、普段であれば問題のない動作でも、筋繊維が耐えきれずに損傷して肉離れにつながる場合があります。 また、筋力バランスが崩れると特定の筋肉に負荷が集中し、急な動作が加わった際に肉離れを起こしやすくなります。 十分な睡眠や休養に加えて、筋肉の回復を助ける栄養管理やこまめな水分補給を意識することも大切です。 ウォーミングアップ不足・柔軟性の低下 運動前にウォーミングアップを行わずに激しい運動を始めると、冷えた筋肉に急激な伸縮が加わり、筋繊維が耐えきれずに傷ついてしまう可能性があります。 柔軟性が低下している筋肉は、引き伸ばされた際に損傷しやすく、肉離れのリスクが高まります。 効果的なウォーミングアップとしては、軽いジョギングやスキップなど、徐々に負荷を高めていく動的なストレッチがおすすめです。 とくに、寒い時期や久しぶりに運動を再開する場合は、入念な準備運動が大切です。 水分不足による筋肉の柔軟性低下 体内の水分が不足すると、筋肉の働きにも大きな影響が出ます。 とくに暑い時期や長時間の運動では発汗量が増え、自覚がないまま水分不足に陥りやすいため注意が必要です。 水分不足になると血流が悪くなり、筋肉に必要な酸素や栄養が十分に届かなくなることで、疲労物質がたまりやすくなり、筋肉の柔軟性も低下します。 筋肉が硬くなると、伸び縮みがスムーズに行えなくなり、肉離れを起こすリスクが高まります。 肉離れを防ぐためには、運動前・運動中・運動後にこまめな水分補給を心がけることが大切です。 長時間の運動を行う場合は、ナトリウムや糖質を含むスポーツドリンクを活用すると、水分とともに失われやすい成分を補うことができます。 日頃からの水分管理は、筋肉のコンディションを保ち、肉離れを防ぐ基本です。 肉離れの重症度の違い 肉離れは、主に太もも(大腿部)やふくらはぎ(腓腹筋)などの大きな筋肉に発生しやすく、筋肉の損傷の程度によって症状の現れ方や日常生活への影響が大きく異なります。 また、肉離れは症状の程度によって、軽度(Ⅰ度)・中度(Ⅱ度)・重度(Ⅲ度)の3段階に分けられ、それぞれ特徴や注意点が異なります。 筋肉別の肉離れの判別方法は以下のとおりです。 大腿四頭筋 ハムストリングス 腓腹筋 軽度(Ⅰ度) うつ伏せで膝を90度以上曲げられる 仰向けで膝をまっすぐ伸ばし脚を70度位まで上げられる アキレス腱を伸ばすと若干の痛みがある 中度(Ⅱ度) うつ伏せで膝を45度~90度曲げられる 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばし脚を30度~70度位まで上げられる アキレス腱を伸ばすと強い痛みがあり、膝を曲げた状態で行うと痛みが弱くなる つま先立ちができる 重度(Ⅲ度) うつ伏せで膝を45度位まで曲げられる 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばし脚を30度位まで上げられる 膝を曲げた状態でもアキレス腱を軽く伸ばしただけで強い痛みがある つま先立ちができない ここでは、肉離れの重症度ごとの特徴や症状の違いについて、解説します。 軽度(Ⅰ度)の特徴 軽度(Ⅰ度)の肉離れは、筋肉の一部に小さな損傷が起きている状態です。 動かしたときに痛みや違和感を覚えることはありますが、安静にしている間は痛みが落ち着く場合も多く見られます。 上記表にもあるように、関節の動きはある程度保たれていることが特徴です。 腫れや内出血は目立たないか、出ても軽度である場合が多く、日常生活への影響も比較的少ない傾向があります。 ただし、痛みがある状態で無理に運動を続けると悪化する可能性があるため、軽症であっても注意が必要です。 中度(Ⅱ度)の特徴 中度(Ⅱ度)の肉離れは、筋肉の一部がはっきりと損傷している状態です。 動かした際に強い痛みが出やすく、関節の可動域が制限され、腫れや内出血が現れる場合もあります。 運動や強い負荷をかける動作は行いにくく、無理をすると症状が長引いたり、再発につながるおそれがあります。 痛みの程度や動かしにくさが続く場合は、早めに医療機関での診察を検討することが大切です。 重度(Ⅲ度)の特徴 重度(Ⅲ度)の肉離れでは、筋肉が大きく損傷している、もしくは完全に断裂している状態が考えられます。 安静にしていても強い痛みが続くことがあり、関節を動かすこと自体が難しくなるケースも少なくありません。 また、明らかな腫れや内出血が見られる場合もあります。 症状が疑われる場合は自己判断せず、整形外科医の診察を受けてください。 肉離れになった時の対処法は? 肉離れが疑われる場合は、受傷直後の対応によって、その後の回復スピードや再発リスクが大きく変わります。 誤った対処をすると、痛みが長引いたり再発を招くおそれがあります。 ここでは、肉離れを起こした際の対処法について解説します。 肉離れになったら「RICE処置」で応急対応 肉離れを起こした直後の応急的な対応として、一般的に知られているのが「RICE処置」と呼ばれる方法です。 RICE処置は、Rest(安静)・Icing(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の4つの処置の頭文字から名付けられており、受傷後できるだけ早い段階で行うことで、内出血や腫れ、痛みを抑え、回復を助ける効果が期待できます。 具体的なRICE処置の内容は、以下のとおりです。 【RICE処置】 Rest(安静):損傷した部位への負担を最小限に抑え、炎症の広がりを防ぎます Icing(冷却):患部を水や氷で冷やし、腫れや内出血を抑えます Compression(圧迫):弾性包帯やテーピングで適度に圧迫し、腫れを抑えます Elevation(挙上):損傷部位を心臓より高い位置に保ち、腫れの軽減を図ります ただし、RICE処置はあくまで受傷直後の応急対応です。 急性期を過ぎた受傷後数日以降は、回復状況を確認しながら、専門家の指導のもとで段階的にリハビリへ移行することが重要です。 痛みの再発がないことを確認しつつ、慎重に活動量を調整していきましょう。 肉離れになった時にやってはいけない行動 肉離れを起こした直後に無理な動作を行うと、炎症が強まり、症状の悪化や回復の遅れにつながるおそれがあります。 痛みがある状態で無理に動かしたり、我慢して運動を続けるなどの行為は避けましょう。 また、自己判断によるマッサージや、十分に回復しないまま運動を再開する行為は注意が必要です。 損傷した筋肉に刺激を与えると、炎症が強まり、再発のリスクが高まる可能性があります。 違和感や痛みが残っている場合は、無理をせず慎重に対応しましょう。 医療機関を受診した方がよいケース 肉離れが疑われる場合でも、症状の程度によっては医療機関での診察が必要になります。 とくに、強い痛みで歩行や日常動作が難しい場合や、腫れや内出血がはっきりと現れている場合は、早めの受診を検討しましょう。 また、数日経っても痛みが改善しない、あるいは悪化した場合や、肉離れを何度も繰り返している場合も注意が必要です。 重症度の判断に迷う場合は、整形外科を受診し、専門医の診察を受けましょう。 肉離れの検査と診断 肉離れの状態を正確に把握するためには、複数の検査を組み合わせた診断が行われます。 なかでも、筋肉の損傷状態を詳しく確認できるのがMRI検査です。 MRI検査では、損傷した筋繊維や周囲の組織の状態を画像で確認できるため、断裂の程度や範囲を正確に評価できます。 また、超音波検査(エコー)は、リアルタイムで筋繊維の断裂や血のかたまり(血腫)の有無を確認できる検査です。 短時間で行えるうえ、身体への負担が少ない検査として広く活用されています。 必要に応じて、骨の異常がないかを確認するためにレントゲン検査が行われることもあります。 画像検査に加え、医師による触診も重要な判断材料です。 痛みの部位や腫れの範囲、筋肉の状態などを総合的に評価し、検査結果をもとに適切な治療方針や回復までの見通しが立てられます。 肉離れの治療|回復までの流れと期間の目安 肉離れの治療や回復までにかかる期間は、筋肉の損傷の程度によって大きく異なります。 初期対応とリハビリを適切に行えば、回復を早め、再発を防ぎやすくなります。 ここでは、肉離れの回復の流れと期間の目安を重症度別に解説します。 軽度(Ⅰ度)の回復までの流れ 軽度の肉離れは筋肉の損傷が小さいため、適切な対応を行えば数日から数週間で症状が改善します。 痛みが軽減すれば、日常生活への影響も比較的少なく、早期に通常の生活へ戻れる場合があります。 治療の基本は患部の安静を保ち、必要に応じて冷却やテーピングなどで負担を軽減することです。 痛みが和らいできた段階で、軽いストレッチなどから少しずつ体を動かしていくと、回復を進めやすくなります。 中度(Ⅱ度)の回復までの流れ 中度の肉離れでは、筋肉に明らかな損傷があり、回復までに数週間から1カ月以上かかる場合があります。 この段階では、一定期間の安静と計画的なリハビリが必要になります。 痛みが落ち着いた後も、いきなり運動を再開するのではなく、ストレッチや軽い運動から段階的に負荷を上げていくことが大切です。 無理をすると再発しやすいため、症状の様子を見ながら慎重に進めましょう。 重度(Ⅲ度)の回復までの流れ 重度の肉離れは、筋肉の損傷範囲が大きく、日常生活にも支障が出やすい状態です。 安静にしていても痛みが強く、回復までに2〜3カ月以上かかるケースもあります。 この場合の治療は、安静や薬の使用などの保存的治療に加え、運動機能の回復を目的として手術が検討される場合もあります。 治療後は専門医の判断のもとでリハビリを進め、筋力や柔軟性を少しずつ取り戻していくことが重要です。 重度の肉離れが起こった際は、自己判断を避け、医療機関での継続的なフォローを受けながら回復を目指しましょう。 肉離れを防ぐために日常で意識したいこと 肉離れは、特別な対策だけでなく、日常の習慣を見直す意識が予防につながります。 肉離れを防ぐために、普段の日常に以下の方法を組み合わせてみましょう。 運動前のウォームアップ 筋肉のバランスを整える 栄養摂取と休息 十分な水分補給 まず、運動前にはウォームアップを行い、筋肉を十分に温めてください。 筋肉の柔軟性が高まると、急な動きや強い負荷にも対応しやすくなります。 運動後には軽いクールダウンを取り入れると、筋肉の緊張が和らぎ、疲労の蓄積を防ぎやすくなります。 こうした運動後のケアに加えて、日常的なトレーニングやストレッチで筋肉の柔軟性や筋力バランスを整える意識も重要です。 特定の筋肉に負荷が集中しない体づくりを心がけると、突発的な動作による肉離れのリスクを抑えやすくなります。 また、筋肉の回復と強化には、適切な栄養摂取と十分な休息が欠かせません。 タンパク質やビタミンなどを意識した食事と、しっかりとした睡眠を心がけると、筋組織の修復がスムーズに進みます。 あわせて意識したいのが、日頃からの水分補給です。 体内の水分が不足すると筋肉の柔軟性が低下し、疲労もたまりやすくなります。 運動時だけでなく、普段の生活でもこまめに水分を補給し、筋肉のコンディションを整えることを意識しましょう。 【FAQ】肉離れに関するよくある質問 肉離れとこむら返りの違いは何ですか? 肉離れは運動中や急激な動作時に痛みが発生しますが、こむら返りは、筋肉が一時的に強く収縮することで起こる症状です。 肉離れでは、内出血や腫れが見られる場合がありますが、こむら返りには通常目に見える変化はありません。 肉離れは何科を受診するべきですか? 肉離れは通常、整形外科の受診をおすすめします。 症状が重い場合やスポーツ中の急な痛みを伴う場合は、とくに受診が必要です。 スポーツ医学を専門とする整形外科医がいる病院を選ぶとより専門的な治療が受けられます。 寝てる時でも肉離れは発症しますか? 一般的に、肉離れは急激な動作や過度な負荷がかかることによって発生しますが、寝ている間に発症する場合もあります。 身近なものでは、起床時に首から肩にかけて痛みが出る寝違えです。 睡眠中、頭部が中央からずれることで、前後左右どちらかの筋肉の血流が止まり、強い凝りが発生します。 起床時に急に動くことで、凝った筋肉に刺激が加わり、症状が発症する場合があります。 寝違えなどの症状が発生し強い痛みを感じた場合は、自己対処せずに専門家に相談しましょう。 まとめ|肉離れは症状に合わせた対応が大切 肉離れは、筋肉に強い負荷がかかることで起こり、損傷の程度によって症状や回復までの期間が異なります。 軽い痛みで済む場合もあれば、腫れや内出血を伴い、日常生活に影響をきたす場合もあります。 受傷直後はRICE処置などの応急対応を行い、痛みが強い場合や判断に迷う場合は医療機関の受診を検討してください。 無理に動かすと回復が遅れ、再発につながるおそれがあるため、症状の経過を確認しながら対応することが大切です。 また、日頃からウォーミングアップや水分補給、休養を意識し、筋肉の状態を整えておくことも予防につながります。 痛みや違和感が続く場合は、無理をせず専門医に相談しましょう。
2025.03.31







