-
- ゴルフ肘
- 上肢(腕の障害)
- スポーツ外傷
- 肘関節
ゴルフ肘は、なぜゴルフ経験がなくても発症するのか?ゴルフ肘の治し方 肘に違和感があるな・・・と思い、病院を受診した際に、「ゴルフ肘」との診断されることがあります。これは、ゴルフの経験がない場合にもおこります。なぜゴルフの経験がないの「ゴルフ肘」との診断を受けるのでしょうか?ひょっとして『診断が間違っているのでは?』などと考えてしまうかもしれません。 しかし実際、ゴルフ肘という症状はゴルフをする人に限った病気ではなく、誰でも起こりうる病気なのです。この記事を読んで『この症状はゴルフ肘かも?』と思ったら、早く治すためにも治療が手遅れになる前に、医療機関を受診し、医師に相談しましょう。 ゴルフ肘とは 通称、ゴルフ肘と呼ばれる病気は、正式名称は『上腕骨内側上顆炎』と言います。 『上腕骨』とは、肩から肘の間の骨のことで、『内側上顆』とは、肘の内側のことを言います。手のひらヘソの方向にむけた際に、同様にヘソの方向をむく肘の場所のことを言います。 その上腕骨の内側上顆にある筋肉や腱に炎症が起こった場合に発症するのが、「上腕骨内側上顆炎」つまり、「ゴルフ肘」です。ゴルフでクラブをスイングをした際、肘に痛みが出現することから、ゴルフ肘と呼ばれるようになったといいます。 ゴルフ肘で炎症が起こる内側上顆という場所に付いている筋肉は、手のひらを内側に向けて動かす動きや、物を握るような動きなど、腕のあらゆる動作に関わっています。そのような腕の動作を何度も繰り返し行ったり、使いすぎると、筋肉が引っ張られ、炎症を起こし、ゴルフ肘を発症すると言われています。 この病気ですが、ゴルフの他にもテニスに選手にも発症すると言われています。しかし、実際には、スポーツが原因の人は少ないと言われています。肘の関節を曲げたり、伸ばしたりする動作を繰り返したり、肘関節をたくさん使うような職業の方は誰でも起こりうる病気です。 さらに、仕事をしていない方でも、日常的に肘を酷使している場合、主婦などの一般人にも生じる病気なのです。 ・上腕骨:肩から肘の間の骨を指す ・内側上顆:肘の内側のこと ゴルフ肘の症状と診断 ゴルフ肘の症状は、肘の痛みですが、痛みは、日常生活の過ごし方によって、様々な形で出現します。ゴルフ以外のスポーツ、テニスであれば、ラケットのグリップを強く握った時や、強くラケットを振った場合に痛みを感じると言われています。 日常的に仕事で肘を使う人でしたら、例えば、重い物の積み下ろしを繰り返し行ったり、釘を打ったりする動作を繰り返す時に痛みを感じます。そのため、引っ越し業や大工さんにもよく発症すると言われています。 主婦の方は、料理で包丁を使う動作などの反復作業の中で症状が出現することもあります。ゴルフ肘は、いわゆる肘の使い過ぎによって起こる病気です。そのため、医師の診察でも、肘の曲げ伸ばしを日常的に繰り返ししているか聞かれ、診断の材料になります。 実際の診察現場では、手のひらを上に向けた状態で、テーブルの上に置き、医師が手首を押さえ、手首を上に向けてあげようよう指示をした際に、肘の内側が痛くなるような時に、ゴルフ肘が疑われます。 さらに、レントゲン検査で骨が変形していることや、超音波検査やM R I検査などの画像検査を行い、炎症を確認して総合的に診断が行われます。 ゴルフ肘の治し方 ゴルフ肘の治し方、治療法は、その重症の度合によって変わります。 ほとんどの場合で、肘の使い過ぎをやめ、安静を保てば痛みがひくことが多くあります。肘をなるべく使わないようにすることが必要になるため、場合によってはサポーター等の装具や、テーピングなどを行い、肘を安定させ、肘の安静を保つようにします。 肘を使わないことで自然と炎症が治り、症状が改善してまいりますが、安静を保つことに加えてストレッチや、筋力トレーニングなどのリハビリを併用して行うこともあります。 ただ、痛みが酷い場合などは、薬物による治療も行われます。ステロイドと呼ばれる薬剤を傷んでいる場所に注射したり、痛み止めの薬を服用します。また炎症を抑える薬を飲んだり、湿布を行ったりする治療を行います。 ゴルフ肘の治し方(治療) ・サポーター(装具)肘を安定させ、安静に保つ ・リハビリによる保存療法(ストレッチ、無理のない筋力トレーニング) ・痛み止め、湿布などの薬物の使用 ・悪化すると手術の可能性もあり しかし、治療が遅れたり、症状がよくならない、重症である場合は、手術という選択も行われることがあります。手術などしたくないものですが酷くなると、腱が傷ついていたり、千切れたようになることもあり、そうした場合は、手術が必要になります。 手術を行えば、ほとんどの場合、痛みは改善することが多いのですが、注しなければならないこととして、手術は皮膚を切って傷ついた腱を修復します。そのため、手術することで合併症など傷が感染するリスクもあります。また、少ないながら麻酔によるアレルギーや、副作用の出現もあり得ない話ではありません。 また手術を行った場合は、入院での加療となることで仕事への影響や、ご家族様の負担が増えてしまうのは遺憾ともしがたいものです。 いずれにしましても、このような心配をしなくても良いように、肘に違和感を感じたら早く治すために積極的に医療機関に足を運び治療を開始するようにしましょう。 それでも悪化して手術という場合に、手術を避ける方法があります。それは、再生医療という最新の治療法です。再生医療なら手術をせずに、入院も不要という新しい方法です。興味があれば以下のリンクから詳細を知ることができます。 ▼筋・腱・靭帯損傷に対する再生医療 再生医療は、手術を避けて入院も不要な最新治療方法です まとめ・ゴルフ肘は、なぜゴルフ経験がなくても発症するのか?ゴルフ肘の治し方 ゴルフ肘は、ゴルフを行わない人でも誰でも、起こりうる病気です。 早く治すためには、早く治療に入ることが大切です。手遅れになって重症化しないうちに治療を開始しましょう。治療が遅れると悪化し、結果として手術を選択しなければならないこともあるので、「この程度なら」との自己判断は禁物です。 手術自体、症状の改善以外の部分、感染症のリスクなどもあり、手術後には痛みもあります。さらには昨今の新型コロナウイルスの関係で入院中は面会もできない病院が多く、入院は、辛い体験だったと感じる患者さんも少なくないといいます。 『自分はゴルフをしないから大丈夫だ』と考えず、肘に違和感を感じたら、スポーツ以外、仕事であっても我慢したりせず、手遅れになる前に病院等にて医師の診察を受けられることをお勧めします。 以上、ゴルフ肘は、なぜゴルフ経験がなくても発症するのかについて記させていただきました。参考にして頂ければ幸いです。 No.066 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.12.28 -
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
膝に溜った水を抜いたあとに注意したいこと 多くの方を悩ませる「膝の痛み」。 膝痛の症状が長期にわたると日常生活に支障をきたすようにもなってきます。このような膝の痛みを抱える方によくある症状のひとつに「膝に水が溜まる」というものです。 この症状のある方の中には医療機関を受診した際に膝に溜った水を抜く処置を受ける場合が多くあります。この記事では、主に膝の水を膝に溜った水を抜いたあとの注意点について医師が解説します。 なお、本記事では一般的な注意点について解説しておりますので、個別の事象については各自で判断せず医療機関に相談するようにしましょう。 膝の水はなぜ溜まるのか? 膝の関節の中には、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割を果たす「関節液」が存在します。この関節液は健常者においても常に作られながら吸収され、一定の量になるように調整されていますが、何かの原因により関節液が作られるスピードが吸収されるスピードを超えてしまうことがあります。 これにより「膝に水が溜まる」という症状が起きるのです。 膝の水はどういう時に抜く? 膝の痛みで医療機関を受診した際に膝の水を抜くことがありますが、医療用語でこの診療行為を「関節穿刺」といいます。この関節穿刺には主に診断と治療の2つの目的があります。 ①関節液が溜まる原因を調べる(診断): 膝に水が溜まる原因はさまざまで、その原因によって適切な治療が変わる可能性があります。 関節液を採取し検査することで膝に水が溜まっている原因を知る目的に関節穿刺を行う場合があります。 ②関節の痛みを和らげる(治療): 膝に水が溜まると、その溜まった水が膝の痛みをより悪くする可能性があります。 そのため、関節液を排出したり、状況に応じて関節内注射を行い症状を和らげることがあります。 この治療目的に関節穿刺を行う場合があります。 https://youtu.be/IyBCkOjTPi8?si=23I9BOV3hdtvHVQq ▶こちらの動画でも詳しく解説しています。是非ご覧ください。 膝の水を抜いた後の合併症 関節穿刺を行った後に注意することは、関節穿刺によって起きる別の症状や病気、つまり合併症です。関節穿刺後の一般的な合併症について解説します。 ①感染 通常、関節内は無菌状態が維持されています。しかし、関節穿刺を行うことで体の表面にいた細菌が関節内に移行することがあります。細菌が関節内に移行し感染を起こすと、膝が赤く腫れたり、熱持ったり、痛みを伴うことがあります。 通常、関節穿刺を行った後数時間は穿刺を行ったことによる痛みが生じることがありますが、これが長引く場合はこの感染の可能性があります。一般的な目安としては48時間以上持続する症状、48時間以内でも悪化を伴う症状を認めた場合には感染などの可能性を考慮し、可能な限り処置を行った医療機関に相談することをお勧めします。 ②出血 関節穿刺の際に関節周囲の血管を傷つけてしまい出血を起こすことがあります。多くの場合は細い血管の損傷にとどまるため、自然に止まることがほとんどです。仮に穿刺後に貼付していたテープなどを剥がした際に出血が起きても、綺麗なガーゼなどでしばらく圧迫すれば止血されることが多いです。 しかし、他の持病などで血液をサラサラにする薬を飲まれている方やもともと血が固まりにくい病気の方、またより大きな血管を損傷してしまった場合などは自然に止血されないこともあります。圧迫しても止まらない出血の際には速やかに処置を行った医療機関に相談することをお勧めします。 ③その他 そのほかの合併症として、特に関節内に薬剤を注射した場合などに起こりやすいものもあります。例えば、アレルギー反応は通常原因となる薬剤などの物質を投与されてから数時間以内に、発疹・呼吸困難感・腹痛などの多彩な症状を生じる合併症です。 多くの場合は投与後すぐに発症しますので医療機関で発見される場合がほとんどですが、まれに帰宅後に発症することもあります。 血管以外の神経、靭帯、腱などの損傷も稀な合併症の例です。穿刺のみでこれらの組織に重大な損傷をきたすことは稀ですが、薬剤注入などを伴うと症状をきたす可能性があります。 膝の水を抜いた後に注意する観察項目 関節穿刺後に気になる症状が出現した場合、どこまで様子を見て良いのか判断に迷うことがあると思います。悩んだ場合はまず処置を行った医療機関に相談することをお勧めしますが、一般的な観察項目についても解説します。 ・症状の持続時間が長い: 通常、痛みなどの症状は処置をしたことにより生じたものであれば数時間から1日程度で消失します。 しかし、なかなか症状が消失せず持続期間が長い場合は合併症を疑うサインとなります。 ・症状がどんどん悪くなる: 処置からあまり時間が経っていなくても、どんどん悪化する症状は合併症を疑うサインになります。 通常徐々に改善する痛みが、ぶつけたなどのきっかけもなく悪くなる場合は速やかに相談しましょう。 まとめ・膝に溜った水を抜いたあとに注意したいこと 今回の記事では膝に溜った水を抜いたあとの注意点について解説しました。 症状が出現した際に自己判断で放置せず気になる場合は速やかに処置を行った医療機関に相談しましょう。処置を行った医療機関が時間外などで対応できない場合は夜間救急などの受診を検討しましょう。 No.065 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療が膝の治療を変える! 膝の痛みに対する新たな選択肢、再生医療は切らずに症状を改善させます ▼併せてお読みください
最終更新日:2024.03.05 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
腱板断裂と五十肩(四十肩)はどう違うのか 肩が痛む時に診断される病気として、「五十肩(四十肩)」と「腱板断裂」とがあります。 『なんだか最近肩が痛いな、年齢のせいかな』『最近肩を動かし過ぎたせいかな』『時間が経てばそのうち治るかな、様子をみよう』などと考え、五十肩(四十肩)だろう…と思って放置していると、実は腱板断裂で治療が必要な状態ということもあります。 そこで、腱板断裂と五十肩はどう違うのかについて比較していこうと思います。 ちなみに「四十肩も五十肩も基本的に同じ」ものです。この名称は、40代〜50代で発症することが多いため、四十肩または、五十肩という名称で呼ばれています。 五十肩(四十肩)とは?!(肩関節周囲炎) 年齢を重ねると肩の動きが悪くなって、手をあげる時や、髪の毛を洗う時などに肩が痛みを感じたり、肩の動きが悪くなったり、肩が強張ることがあります。これを世間では四十肩・五十肩と言いますが、『肩関節周囲炎』という診断名が正式名称です。 原因は、『四十』『五十』と言う文字の通り、加齢による影響と、過度に肩を使ったりした際の過労と言われています。それらの原因が、肩関節を構成している骨や軟骨、靭帯、腱などを痛めて肩関節の周りの組織に炎症を起こすことが原因と言われています。 四十肩で動きが悪くなる原因としては、肩関節の動きをよくするための袋(肩峰下滑液包)や関節を包み込んでいる袋(関節包)が、『くっつくこと』と言われています。 四十肩は、世間でも『そのままにしておいても時が来れば治る』と考えられているように、自然に治ることもあります。しかし放置しておくと、先ほど述べたような関節の周りにある『袋のくっつき』が強くなって余計に動かしにくくなることもあるのです。 そのため、症状の進行に合わせて様々な治療を用いることがあります。三角巾などで安静を保つことも治療法の一つです。また、炎症をおさえる薬を使用することもあります。 炎症をおさえる薬は内服をしたり、肩に注射をしたりします。その他には、温めたり、入浴などといった温熱療法を行ったり、関節がかたくなるのを予防したり、筋肉をつけたりといったリハビリが治療のために必要なこともあります。しかし、これらの治療でよくならない時は手術が必要なこともあります。 腱板断裂とは 腱板断裂も中年以降の肩の病気として有名です。腱板断裂はその診断名が表しているように『腱板』が『断裂する=切れて裂ける』病気です。 四十肩と異なり肩の関節の動きが悪くなることは少なく、肩をあげることは可能であることが多いですが、肩の運動痛、肩の夜間痛といった症状は多いと言われています。 腱板断裂で病院に来る患者さんの理由としては、夜も肩に痛みがあり眠れないというのが、いちばん多いようです。また、肩をあげる時に肩の前で『ジョリジョリ』という音が聞こえるという症状がみられることもあります。 腱板断裂の原因としては外傷のことは少なく、はっきり原因がないのに、日常生活の中で少しずつ断裂が起きていくと言われています。利き腕に多いと言われているので、肩を過度に使い過ぎることも原因の一つなのではないかと言われています。 腱板断裂の治療については、三角巾を用いて安静を保つことが大事です。1週間から2週間を安静で保つことで70%は改善するとも言われています。また、肩にヒアルロン酸や副腎皮質ホルモンの注射を打ったりすることもあります。それらの症状で改善しない時は手術が適応となることもあります。 手術では関節鏡という機械を使用して行うものと、直接切って開いて行うものとあります。 関節鏡を用いる手術の方が、傷口は小さく、手術の後の痛みも少ないです。しかし、断裂が大きくなると、縫うことが、関節鏡による手術では難しくなり、直接切り開く方法を取られることが多いです。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違い 腱板断裂と四十肩は非常に似ています。症状も似ていますし、発症する年齢もどちらも四十代〜五十代の中年世代が多いです。 腱板断裂と五十肩では何が違うのか 自分でわかる範囲内の症状としては、先ほど触れたように『腱板断裂は四十肩に比べて、肩の動きが悪くなることが少ない』『腱板断裂は四十肩に比べて夜間の痛みが多い』『腱板断裂ではジョリジョリという音が聞こえる』と言った程度でかなり似ています。 診断の場面でも、身体診察だけではどちらの疾患かわからないことが多いのです。そこで実際の診療では、腱板断裂、四十肩どちらも、レントゲンやM R Iを行って診断していきます。 腱板断裂ではレントゲンを撮影して、肩峰という骨と骨頭の間が狭くなっていたりします。 また腱板断裂ではM R Iを撮影すると骨頭の上が白く光ったりします。一方で、四十肩を診断する時は、レントゲンやM R Iなどで、このような所見がないことを確認することが大事と言われています。 まとめ・腱板断裂と五十肩(四十肩)はどう違うのか 何度も述べているように、自分でわかる症状では腱板断裂と四十肩はかなり似ています。『四十肩と思って放置していたら、実は腱板断裂だった』『症状がどんどん悪くなっていってしまい治療が遅れた』『治療が遅れたため、なかなか良くならずに手術が必要になってしまった』などのことはよく耳にします。 腱板断裂と四十肩は症状が似ていても、別々の病気です。自分の判断でどちらかと決めずに、手遅れになる前に、症状が出た際は早めに専門科に相談するのが良いでしょう。 以上、腱板断裂と四十肩はどう違うのかについてご説明させて頂きました。参考になれば幸いです。 No.064 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらもご参考にしてください 五十肩・四十肩の腕を上げると肩関節が痛む症状におすすめの治療法
最終更新日:2024.04.04 -
- 脊椎
- 腰椎分離すべり症
腰椎すべり症は、変性すべり症、分離すべり症を原因とし、その治療方法を解説 腰椎すべり症は、実は全ての年代における慢性的な腰痛の原因ともなりうる症状です。腰痛に苦しむアスリートのなかに、腰椎すべり症を発症している人がいると聞いたことがある方がおられるかもしれません。 そこで今回の記事では、腰椎すべり症の症状、原因や治療法についてご紹介します。 腰椎すべり症とは? 腰椎すべり症とは、腰痛の原因となる脊椎の病気です。腰の骨である腰椎のひとつが、その下の腰椎との位置がずれてしまうことで起こります。多くの場合、非外科的治療で症状を和らげることができますが、重症化すれば手術が必要となることもあります。 腰椎すべり症の症状 腰椎すべり症は、腰椎の不安定性を伴っており、腰椎が必要以上に動きます。そのため脊髄神経を圧迫し、腰痛や足の痛みを引き起こす可能性があります。ただし、腰椎すべり症の初期は、症状が現れないこともあります。 症状が出てくると、一般的には腰痛が主な症状です。痛みは、お尻や太ももにまで及ぶこともあります。また、そのほかにも太ももの裏の筋肉のけいれん、背中のこわばり、長時間の歩行や立位が困難になる、足のしびれ、筋力低下などが生じることもあります。 ▼腰椎すべり症については、こちらの動画でも詳しく解説しています。 https://www.youtube.com/watch?v=hF14XAyVS0Y 腰椎すべり症の原因 腰椎すべり症の原因は、主に2つに分けられます。 変性すべり症 椎間板の変性により、椎骨がずれてしまうこともあります。椎骨のクッションである椎間板は、加齢に伴って水分が失われ、磨耗していきます。椎間板が薄くなると、椎骨はその位置からずれやすくなります。 また椎骨と椎骨の間にあり、各椎骨同士をつないでいる関節面がすり減ることもあります。関節面がすり減ると、表面積が不均一で不安定になり、椎骨が定位置にとどまることができなくなります。 変性すべり症の多くは、進行するまで症状が出ません。脚の痛みを感じる場合は、椎骨の位置がずれて脊髄神経のために必要なスペースが狭くなり、さらに脊柱管から出る神経根が圧迫されたり、挟まれたりすることが原因です。 なお変性すべり症は、50歳以降に多く、男性よりも女性に多くみられます。 分離すべり症 分離すべり症は、脊椎を繋ぐ関節突起部が生まれつき不完全なために、椎骨の一部分の分離を生じることがあります。 また骨が成長する思春期に、陸上競技、体操やサッカーなど、腰に過度に負荷のかかる運動を続けていると、椎間の関節部にストレスがかかってしまい、その結果関節突起の疲労骨折を起こすことがあります。 この疲労骨折が、度重なる運動のために十分に治癒していないと、後々腰椎の分離を起こし、分離すべり症を発症します。分離すべり症は、10代の子どもが腰痛になる最も一般的な理由の一つです。 腰椎すべり症の診断 症状や診察より、腰椎すべり症が疑われる場合、画像検査を行うことが一般的です。 はじめに脊椎のX線検査を行います。X線検査により、腰椎のずれが生じているか、確認することができます。それに加えて、CTスキャンやMRIを用いた検査を行います。これらの画像検査は、脊椎の状態をより詳しく見るため、あるいは椎間板や神経などの組織の状態を評価するために必要な場合があります。 腰椎すべり症の治療 治療は、すべり症の程度、症状、年齢、全身状態によって異なりますが、通常はまず手術を行わない、非外科的治療法を試みます。 腰椎すべり症の非外科的治療 非外科的治療の最初のステップは、安静にすることです。当然ですが、激しい運動やスポーツを休みます。腰への負担を軽減させることを目的に、コルセットを併用することもあります。 また同時に、痛みを軽減させることを目的に、鎮痛薬を使用します。通常は非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)が用いられます。 さらに激しい痛みに対しては、神経根ブロックを行い、痛みを最小限にできるようにコントロールします。場合によっては、腰椎のけん引を行うこともあります。 痛みが落ち着いてきたら、腹部と背部の強化を目的に筋力トレーニングをしたり、ストレッチをしたりして、症状の進行を止めるよう試みます。 腰椎すべり症の外科的治療 すべりの程度が強く、痛みがひどい場合、または非外科的治療を試みたがうまくいかない場合、手術が必要になることがあります。 手術では、脊椎の減圧術を行うことで神経への圧迫を解除し、圧迫による刺激を受けている神経からの痛みを和らげ、機能を回復させることを目指します。また原因に応じて腰椎の固定術を行い、すべった部分の腰椎を安定させることもあります。 腰椎すべり症の予後 腰椎すべり症は、自然に治ることはありませんが、安静や薬物療法、リハビリテーションによって、症状が緩和されることはよくあります。 手術の成功率は高いと言われています。腰椎すべり症の手術を受けた人の多くは、術後数カ月で以前の生活に戻ることができています。なお、手術後は機能を完全に回復するためにリハビリテーションが必要になることが多いでしょう。 まとめ・腰椎すべり症は、変性すべり症、分離すべり症を原因とし、その治療方法を解説 腰椎すべり症について、その症状や原因、また治療法について説明しました。もし自分が腰椎すべり症かもしれないと思う方がおられたら、ぜひ整形外科クリニックまでご相談ください。 腰椎すべり症には、なかなか効果的な予防法がありませんが、背筋と腹筋を鍛えるためのエクササイズを定期的に行ったり、腰への負担軽減を意識して減量したり、日常生活のなかでできる工夫もありますので、専門医にご相談することをお勧めします。 No.S081 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かした最先端の医療です
最終更新日:2024.03.22 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
腱板損傷でやってはいけない動作や運動 肩に激しい痛みを起こす腱板損傷は、日常生活の動作を繰り返すことでも発症することがあります。 発症初期は安静を保つことが重要ですが、日常生活の動作が原因となることもあるため、どのような動作が原因となるのかを知り、そしてどのような動作を避けることが安静を保つことになるのか、知っておくことが重要です。 この記事では、腱板損傷を発症したときにやってはいけない、避けるべき動作にどのようなものがあるのか、ご説明いたします。 腱板損傷とは? 腱板は、実はわたしたちの肩のなかで最もよく損傷を受ける部位です。 肩甲骨と上腕骨をつないでいる筋肉の腱からなる腱板は、腕をあげる動作によって肩甲骨の一部である肩峰と上腕骨頭の間に挟まれてしまうという、解剖学的特徴があります。そのため、外傷だけでなく使いすぎることで磨耗を起こし、損傷されることがあります。 腱板が損傷されると、通常腕の力が入らなくなり、特に腕を上げようとしたときに痛みを引き起こします。また夜に激しく痛み、痛みのために眠れなくなってしまうこともあります。 急性期は肩や腕を使わないように安静にすることが最善です。なお併発する炎症を抑えるために、ステロイド薬を注射することもあります。 ただし、外傷によって腱板損傷を起こした場合や保存的な治療でなかなか改善しない場合は、受傷してから6週間以内を目処に、手術で修復することを考慮することがあります。 腱板損傷後にやってはいけないこと 基本的に損傷直後は肩周囲の安静を保つべきです。通常は三角巾を用い、腕の動きそのものを最小限にするように配慮します。安静は急性期における対処法ですが、急性期が過ぎた後も、できる限り避けた方が良い動作があります。そこで次に、腱板損傷後に避けるべき動作をご紹介します。 頭上で重りを持ち上げる 腱板損傷を発症した後、特に発症初期は、頭上に手を持っていく動作、また頭上で重りを持ち上げる動作(重い荷物を上げたり、高所から下すような動作)を伴う運動や動作は控えた方が良いでしょう。 ボールを投げるような動きや、ジムでバーベルを頭の上に持ち上げるなどのウェイトトレーニングは、しばらく行わないようにすることです。これらの動きは、肩に過度のストレスを与えるだけでなく、損傷した部位にさらなる傷害と痛みを引き起こす可能性があります。 したがって、腱板損傷後はオーバーヘッドでボールを投げること、特に重いボールを上半身の力に頼って投げることや、水泳、特にクロールや背泳のように、頭上に右手を持ってきて力を入れて引き下げるようなストロークを避ける必要があります。 首の後ろで腕を動かす動作 バーベルやバーなどを、頭や首の後ろで上下させる運動も避けるべき動作のひとつです。この運動は、腱板に過度の負担をかけ、さらなる肩の問題や慢性的な痛みを引き起こす危険性があります。 この動作の問題は、肩の「外旋」にあります。 頭や首の後ろで上下させる運動では、肩をしっかりと外旋させる必要がありますが、これは肩にとって非常に負担のかかるポジションです。この動きをすると、関節を構成する組織をさらに損傷してしまい、治癒までの時間が非常に長くなってしまうことにもつながります。 上半身の力を使って重いものを持ち上げること 別名アップライトローと呼ばれる動作のことです。 アップライトローはジムでよく見かけるエクササイズのひとつですが、このエクササイズのメカニズムを見れば、なぜこの動作が腱板損傷後に避けるべき動作であるか、理解できるでしょう。 アップライトローは、上半身を起こした状態で肩を開き、両手に持ったバーベルなどの重りを首元まで引き上げ、持ち上げる動作です。 このエクササイズの問題は、腕を置かなければならない位置にあります。この位置は、「内旋」と呼ばれます。アップライトローをするために腕を挙上させると、腱板が肩の骨に挟まれます。これは腱板損傷を引き起こす原因となる動作そのものでもあります。 肩を後方に回した位置で行う上腕に負荷のかかる運動 ベンチディップスとも呼ばれるエクササイズが該当します。 具体的には、椅子などに両手をついた状態で腰を座面よりも低い位置まで落とし、肩を後方に回した状態で、主に二の腕に相当する上腕三頭筋に負荷をかける運動です。 ベンチディップスは、腰を落としすぎて上腕が肩と平行な位置以上になってしまうと、肩関節に過度に負荷がかかります。肘を開きすぎても閉じすぎても、上腕三頭筋に負荷がかかるため、腱板損傷後には避けるべき動作のひとつです。 まとめ・腱板損傷でやってはいけない動作や運動 腱板損傷について簡単にご説明し、さらに腱板損傷後に避けるべき動作、やってはいけないことをご説明しました。 腱板損傷後は、時間が経てば肩の炎症は徐々に落ち着いていきます。外傷後や症状がなかなか改善しない場合は、どうしても手術が必要となる場合もありますが、しっかりと安静を保つことができ、保存的治療に反応すれば、完治も期待できます。 術後も含め、治療の一貫でリハビリを行うこともありますので、もし避けるべき動作について詳しく知りたい場合は、リハビリの機会などを活用して相談してみることをお勧めいたします。 No.S080 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療で腱板断裂・損傷を治療する 腱板断裂・損傷を再生医療により症状を改善することができます ▼腱板損傷の診断方法もご覧になりませんか 肩腱板損傷の画像診断に使う関節造影検査法をご存知ですか
最終更新日:2024.04.04 -
- 上肢(腕の障害)
- テニス肘
- スポーツ外傷
- 肘関節
テニス肘は、テニスの経験がなくてもテニス肘と診断されることがあります テニス肘(テニスエルボー)は、手首や腕の反復運動によって肘の腱に負荷がかかり、痛みを伴う疾患です。通常はテニスをされる人に多く見られる状態です。しかし、テニスを一度もしたことがないのに、テニス肘と診断されることがあるのです。 この記事では、テニス肘について説明し、テニスが未経験であっても、どのような状況になるとテニス肘を発症するのか?ご説明してまいります。 テニス肘とは? テニス肘について簡単に説明します。テニス肘はテニスエルボーとも言われます。その痛みは、主に前腕の筋肉の腱が肘の外側にある骨の隆起に付着する部分に発生します。また、前腕や手首に痛みが広がることもあります。 通常安静にしているときには痛みは感じませんが、例えばドアノブを回す、タオルを絞る、またキーボードを操作するなどのように、手首を捻ったり反らせたり、また指を伸ばす動作をすると、肘の外側に痛みが誘発されます。場合によっては、コーヒーカップを持ち上げるだけでも痛みを感じることがあります。 症状が進行すると、安静時でも肘に痛みを感じるようになり、なかなか痛みが消えなくなります。 テニス肘の原因 テニス肘には、腕の使いすぎと筋肉疲労が背景にあります。原因は、手首を動かしたり、指を曲げたり伸ばしたりするための前腕筋を、繰り返し収縮させることです。 手首を反らせたり、手で握ったりすると、前腕の筋肉(伸筋)が収縮します。繰り返される動作と組織へのストレスにより、前腕の伸筋が上腕骨の肘の外側にある骨の突起に付着する部位に傷がついてしまい、炎症が起きることがあります。 この骨の突起は、「上腕骨外側顆」、前腕の筋肉は「短橈側手根伸筋」という名前がついています。尚、テニス肘の正式名称は「上腕骨外側顆炎」と呼ばれるものです。 テニス肘は、その名が示すようにテニスプレーにおいて、特にバックハンドストロークを技術が未熟なうちから、繰り返し行うことで肘の外側部分に負担を掛けてしまうことが原因で起こります。しかし、テニス以外、他の多くの一般的な腕の動きでも、テニス肘を引き起こす可能性があります。 なお、テニス肘は発症してからの時間が経つにつれて、炎症を抑えることができなくなります。そのような状況になると筋肉や腱の繊維組織はその強度を失ってしまいます。繊維組織はもろくなり、折れたり、傷つきやすくなったります。 そして繊維組織は傷つくたびに、瘢痕を形成します。やがて、腱は瘢痕組織によって肥厚していきます。 このような状況になると、腱はもはや正しく機能せず、痛みが続くようになり、運動していないときでさえ痛みが生じるようになります。 テニス肘は発症後時間が経つと進行すると ・炎症を抑えることができなくなり、筋肉や腱の繊維組織は強度を失っていきます。 ・繊維組織がもろくなり、折れたり、傷つきやすくなり、瘢痕を形成します。 ・腱は瘢痕組織によって肥厚します。 ・腱は正しく機能せず、痛みが続くようになる。 ・運動していない場合でも痛みが生じるようになる。 テニス肘の治療 安静と鎮痛薬で、テニス肘の痛みが和らぐことが一般的です。痛みが激しい場合は、炎症が起こっている肘の周囲にステロイド薬を注射することもあります。 症状が慢性化すると、定期的なストレッチを含む理学療法が有用だと言われています。このような保存的治療が効かない場合や、症状が重篤な場合は、手術が必要となることもあります。 テニス未経験なのにテニス肘と診断されることがある 手首や腕の使いすぎが原因となっているテニス肘は、テニスをする人によくみられる状態であることは間違いありません。しかし、テニスのほかにも同じような動作を繰り返すような動作を行えばテニス肘を発症することになりかねません。 次に、どのような場合にテニス以外にテニス肘がみられるのか、ご紹介します。 腕をよく使うスポーツ 一部のスポーツを除き、頻繁に腕を使うスポーツは多くあります。そのなかでも特にテニスと同じようにラケットを使うスポーツであるバドミントンや卓球、スカッシュでも、テニス肘はよく起こります。 そのほかにもゴルフや、ウェイトリフティングでも、同様の症状がみられることがあります。 腕をよく使う職業 その名前にもかかわらず、テニス肘を発症するのは、アスリートだけではありません。テニス肘になるような職業もあります。特に力を入れて手首や腕を動かす必要のある、配管工、塗装工、大工などが、テニス肘を発症しやすい職業として知られています。 そのほかにも、特に肉を切るように力を入れて包丁を扱ったり、重い鍋を持って動かしたりする料理人、また特に体を動かすわけでもないタイピングやマウス操作を繰り返し行う人も、テニス肘を発症することがあります。 テニス肘の危険因子 そのほか、テニス肘の発症リスクを高める要因としては、以下のようなものがあります。 ・年齢:テニス肘はすべての年齢層で発症しますが、特に30~50歳の成人に最も多くみられます ・職業:手首や腕の動きを繰り返すような仕事をしている人は、テニス肘になりやすい ・例えば、配管工、塗装工、大工、料理人などが挙げられます ・特定のスポーツ:ラケットを使用するスポーツに参加すると、テニス肘のリスクが高まります。 まとめ・テニス肘は、テニス未経験でもそう診断されることがあります テニス肘の概要、またテニスをしたことがなくても、どのような状況であればテニス肘を発症することがあるか、ご説明しました。 抵抗に逆らって手首を反らせると痛い、肘の外側の骨のあたりを押すと圧痛がある場合は、このテニス肘の可能性が高いと考えられます。しかし、テニス肘は、最終的には医療機関で正確な診断を受ける必要があります。 もし肘の痛みを感じる方がおられるようであれば、慢性化して治療が困難となる前に、整形外科医の診療を受けることをお勧めします。以上、テニス肘は、テニス経験がないのにテニス肘と診断されることがあるについて記させて頂きました。参考になれば幸いです。 No.063 監修:医師 坂本貞範 ▼ スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 再生医療は、生活の質を守る治療です(詳しくは(詳しくはこちらから)
最終更新日:2023.12.28 -
- PRP治療
- 免疫細胞療法
PRP療法について、そのメリットとデメリットとは PRP療法について PRP療法(Platelet-Rich Plasma)=多血小板血漿療法とは、患者さん自身から採取した血液から抽出した『多血小板血漿(P R P)』を患者さんの傷んでいる場所に注射する再生医療です。 現在、世界的にも注目されている新しい治療法です。PRP療法は様々な疾患に対しての治療が進んでおり、変形性膝関節症やアキレス腱周囲炎などの様々な疾患や、腱断裂、肉離れなどのスポーツ外傷になど、関節や筋肉、腱、靭帯に対し、侵襲の少ない新しい治療法として注目されています。 さらに骨治癒の促進のためや手術創部の治療補助などにも用いられるようにもなってきており、さらには美容面、シワ、たるみなどの治療にも使用され、様々な分野で大きな注目を浴びている治療法です。 PRP療法のメリット 1.副作用が少ない PRP療法は、自分から採取した組織・細胞で自分を治す方法です。そのため、ワクチン摂取のような身体に異物を注射するものとは異なり、アレルギー症状などの拒絶反応などは引き起こしにくく、副作用もほとんどありません。 2.手術等、身体を傷つける行為がない また、手術をしないため、身体にメスを入れて切ったり、開いたりといった行為が不要であるため、非常に安全に処置を行えます。また、処置の痕も残りにくいという特徴があります。実際、患者さんの身体への負担としては、血液を採取される、注射をされるということだけになることも大きなメリットです。 実際にPRP治療を行った患者さんからは、以下のような感想を頂くことがあります。 ・「注射だけの処置で、処置の痛みも一瞬だった」 ・「処置がすごく短時間で簡単に終わったのでびっくりした』 一方で、手術を行うとなると、全身麻酔によるアレルギー症状や、手術部の感染などの※合併症を起こすこともあります。PRP療法は手術と比較すると合併症少ないというメリットもあります。 ※合併症とは、手術後におこる感染症や、痛みといった症状で、その内容は手術をした部位によって様々。 3.通院による治療が可能 PRP療法は、通院による治療が可能です。さらに、PRP療法は実施後から日常生活に戻れるため患者さんへの負担は非常に少ないです。PRP療法の処置を行った当日は、処置部位の感染予防のために入浴やシャワーなどを控えていただくことが多いですが、翌日から入浴やシャワーも可能です。 ただ、激しい運動については数日間控えていただくことになりますが、痛みが増悪しない程度の軽い労作は問題なく行っていただけます。PRP療法以外、手術を行うとなると、数日から数週間の入院期間に含め、リハビリ期間も必要であることから、患者さんの日常生活への負担も大きくなります。 しかも、入院となると仕事や学校はしばらくの期間、休む必要があり、入院生活自体が日常生活における負担になりかねません。それだけでも患者さんやご家族への日常生活に対する負担は多大なものになります。 更に、昨今では、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、入院中に家族や友人などと面会ができない病院が非常に多くストレスが高くなる傾向が見られます。 患者さんは、入院生活で、ただでさえ手術の痛みや、副作用などで辛い状況にありながら、家族や友人などと全く会えないことも、精神的に非常に寂しく辛い思いをされることは想像に難くありません。 実際の患者さんから、以下のような声を聞くことも多いです。 PRP療法(再生医療)のメリット ・手術が不要 ・手術自体のリスクや、感染症の不安が無い ・入院の必要が無い ・副作用が少ない ・注射だけの処置で、痛みも一瞬 ・処置が短時間で簡単 ・通院だけで処置を終えることができ、家族の心配や仕事に支障をきたさない ・学生の場合は、入院による学業の遅れや、単位の不足など進学や留年の心配がない ・家族や友人との時間を犠牲にしない ・ほか PRP療法のデメリット 1.効果に個人差がある PRP療法の効果には個人差があると言われています。人間の血小板の中には、様々に多数の成長因子が含まれており、それが混ざり合った状態になっています。 その成長因子の割合が、それぞれどのくらい含まれるかは、その人ごとに異なっていて、その割合が効果の個人差の原因である可能性があります。しかし実際の原因は、未だ解明されていません。 2.処置部位の腫れ・痛みがある PRP療法を実施した後の数日間は、処置した部位に痛みや腫れ、発赤などの症状が出ることもあります。この痛みや腫れについても個人差があり、全く腫れや痛みを実感しない人もいれば、数日間腫れが強い人もいます。 しかし、腫れや痛みは、一過性のものであり、抗生物質などの治療を行わなくても自然経過によって改善することが多いと言われています。 まれに処置部位が感染することもあり、抗生物質による加療が必要なこともありますが、それはP R P療法に限らず、例えばワクチン接種などの注射針を刺す医療行為の全般に共通するリスクで非常に少ないものです。 一方で、PRP療法には手術後の感染やアレルギー症状のように再び手術が必要になったり、副作用の治療で入院期間が延びたり、再入院ということもありません。 そういった点からすると腫れや、痛みはPRP療法の短所ではありながらも、手術に伴う副作用に比べてリスクと呼べないほど小さな短所かもしれません。 3.治療費 PRP療法については再生医療という新しい治療法であり、現在の日本では未だ健康保険の適応がない疾患が多いという短所もあります。PRP療法の処置だけでなく、処置後にリハビリテーションを行う場合も自費負担になることもしばしばあります。 しかし、長所でも述べたようにPRP療法は入院しなくても処置ができます。保険が使用できる手術でも、手術自体が高額な物は非常に多いです。さらに、手術のために入院となると、入院費がかかり、さらには日常生活での仕事や学業への影響なども計り知れません。 それらのことを考えると、処置だけの費用を考えるとPRP療法は高額になりますが、実質の経済的な負担は、PRP療法を受けることよりも、手術のために入院した方が大きくなるケースも多いといえます。 まとめ・PRP療法について、そのメリットとデメリットとは PRP療法は再生医療というこれまで担った治療法です。今や様々な分野で、手術などの代用となり得る新しい治療法です。ただ、どんな治療法でもいえることなのですが、P R P療法にもメリットはもちろん、デメリットもあります。 治療方法に悩んだ場合は、受診した医療期間や主治医に良く説明を受けて自分なりに理解した上で決めていくようにしましょう。以上、PRP療法について、そのメリットとデメリットについて記させて頂きました、参考にしていただければ幸いです。 No.S079 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.08.29 -
- ひざ関節
- 関節リウマチ
- 靭帯損傷
膝の裏が痛い?その原因と治療、考えられる病気について 膝関節は、大腿骨、脛骨および腓骨、また膝蓋骨などが組み合わさって作られています。日常生活で安定して自由な伸展運動などがスムーズに実行できるよう半月板や複数個の靭帯などを始めとする周囲の構造物が補助しています。 これらの膝を形成している組織が「スポーツなどの外傷」、あるいは「加齢」や「自己免疫異常」などの要因に伴って異常をきたして損傷が起こると、膝の裏の部位で疼痛(痛み)症状を覚えることに繋がります。 そこで、「膝の裏が痛い原因、考えられる病気と対策」と題して解説してまいります。 ひざの裏の痛みむ原因 ・スポーツなどの外傷 ・加齢 ・自己免疫異常 膝の裏が痛い場合に考えられる病気 膝の裏が痛む際に原因として考えられる膝疾患には、「関節リウマチ」や膝部位に存在する「靱帯の損傷」などがあります。 膝の裏が痛い場合に考えられる疾患 1)関節リウマチ 2)靭帯の損傷(事故や、スポーツなど) 1.関節リウマチとは 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人と言われており、その発症原因は自己免疫系統の異常とされていて、自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃し、破壊することとなり、関節部位に炎症が引き起こします。 特に膝裏部に疼痛症状を認めると考えられます。 この病気を発症しやすい年齢は、30代~50代前後の中年齢層で、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 初期の段階では、手足における特に手指部の関節領域が左右対称に腫れる以外にも、倦怠感や、食欲不振など自覚症状が合併することも懸念されています。 また、膝関節には4つの靱帯が存在して重要な役割を担っています。そのうち膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯、外側側副靱帯というもので、前後部位には前十字靱帯、後十字靱帯が走行しています。 関節リウマチの特徴 ・原因:自己免疫系統の異常 ・年齢:30代~50代前後 ・性別:女性の発症率が高い 2.靭帯損傷とは 例えば、交通事故にあう、もしくはスポーツ活動中に怪我を負うなど受傷を引き起こすことによって大きな物理的衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯部に強い損傷や断裂などが起こり、膝の裏側が痛むことが考えられます。 通常の場合、内側側副靱帯と前十字靱帯が外力によって損傷を受けやすいと言われていますが受傷してから3週間前後の発症してまだ間もない頃には膝痛と膝の伸展運動がしにくいなどといったサインが認められます。 受傷後1か月程度、しばらく経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともありますし、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著化してくることもあります。 膝の裏が痛む疾患に対する治療 前章では、主に膝裏が痛む代表疾患として「関節リウマチ」、「膝靱帯損傷」に関して触れました。 1) 関節リウマチの治療 関節リウマチに対する治療について、近年では特に目覚ましく進歩しています。 ところが、本疾患を罹患している患者さんにおいては抗リウマチ薬のみならず、対症療法のための薬剤処方などによって多剤併用となることが多いと指摘されています。 そのため、基本的には一生かけて症状と付き合っていく必要がある病気であると言えます。 関節リウマチの病勢進行を可能な限り抑制して、症状を少しでも改善させるためには普段から関節に大きな負荷をかけないように認識しながら対策を講じることが重要な観点となります。 例えば、携帯電話を操作するときに片手ではなく、両手を使って動作すると、手首の関節にも優しい姿勢になりますし、デスクワークするときに両腕部分を机やクッションなどで支えるように対策すると関節にかかる負担を軽減させることが期待できます。 関節リウマチの治療 ・抗リウマチ薬など薬剤処方 ・関節に負担を掛けないよう ・一生かけて症状と付き合っていく必要 2) 膝の靭帯損傷への対策 膝の靭帯損傷については、急激にストップするような動作をした際、あるいは方向を突然転換するときに膝を強く捻ることによって発症します。 一般的に、外側側副靱帯や内側側副靱帯は、膝が左右に動くのを制御しています。前十字靱帯は膝から足側の部分が前方に突出しないようにストップをかける役割を担っており、後十字靱帯でも前十字靭帯と協調して膝が安定的に可動するように機能しています。 これらの靱帯組織が仮に断裂して受傷してしまうと、膝の安定性が減り、下半身における踏み込み動作や切り返しの作業が難しく実施できなくなるのみならず半月板損傷など合併する場合もあります。 内側側副靭帯損傷の場合には手術せずに治療することが多く、前十字靭帯が損傷を受けたケースでは、ほとんどの症例で手術治療が適応となります。 膝受傷して靱帯を損傷した直後は、迅速にアイシングを行って患部を冷却して固定して患部に極力負担が掛からないように免荷処置をしましょう。 症状によっては、手術治療を検討する場合もあります。その際は、術後に理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら状況に応じて適切なリハビリテーションを実践して、筋力を鍛えて早期復帰できるように努めることになります。 特に、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために、体幹を鍛える、柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす、あるいは座位の状態になって膝を伸展させる、そして大腿部のハムストリングスを鍛えることなどが主なリハビリ療法の内容となります。 まとめ・膝の裏が痛い?その原因と対策、考えられる病気について 今回は、膝の裏が痛い原因で考えられる病気と対策について詳しく解説してきました。膝裏部が痛む原因としては、主に関節リウマチや、膝靱帯損傷が考えられます。 関節リウマチについては薬剤の治療成績が著しく向上していますし、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒することが期待できる病気になってきました。 膝靱帯損傷した際には早期的にアイシングして患部固定することで症状緩和に繋がります。 このような対処策を自分なりに実践しても症状が軽快しない際や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような際には、早期的に整形外科など専門医を受診するように心がけましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.061 監修:医師 坂本貞範 ▼膝の痛みに再生医療という選択肢! 再生医療の幹細胞治療なら手術せずに症状を改善できます ▼こちらも参考にしていただけます 膝の痛みは放置してはいけません!今すぐ病院へ!
最終更新日:2024.04.24 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
膝が腫れているときに考えられる病気とは 日常生活において両足を揃えて左右を比較してみた際に両膝の大きさや形が異なっているのに気づいたことはありませんか。 また、膝が腫れてその部分に発赤所見や熱成分を認める、そして膝が急に痛みを覚えてよくよく見てみると腫脹がひどくなっているという経験をした方も少なからずいらっしゃるでしょう。 膝という人体組織は、太ももに位置する大腿骨、足のすねに存在している脛骨や腓骨、そしてお皿と呼ばれる膝蓋骨などの筋骨格系に関するパーツが組み合わさって出来ています。 膝は普段の生活を送る、もしくは運動を実行する際などに膝を曲げ伸ばしを行う動きを司り、上半身などの体重を支える重要な役割を有していますので、その膝が腫れて痛くなると、どうしても日常生活に支障をきたすことに繋がっていきます。 そこで今回、「膝が腫れているときに疑うべき病気」と題し、それらに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 膝が腫れているときに考えられる病気とは 変形性膝関節症 膝が腫れて痛む有名な病気としては「変形性膝関節症」が挙げられます。 変形性膝関節症は、加齢や遺伝的要因、もしくは肥満による重量増加が引き金になる膝関節への過度な負担によって関節部の炎症や変形を生じさせて、膝の痛みや腫れなどが引き起こされる病気と認識されています。 この疾患では、ひざ部分における関節軟骨が摩擦や摩耗などですり減ることによって膝部位に強い痛みが長期に渡って自覚される病気であり、年齢を重ねれば重ねるほど病状が進行して安静時にも痛みが緩和されずに歩行することすら困難になる進行性のある病気です。 変形性膝関節症の直接的な原因は、先にあげた加齢、肥満以外にも、O脚、閉経してからの女性ホルモンの変動などが挙げられるほか、日常生活において布団の上げ下ろしなど、膝の曲げ伸ばしを頻繁に行う行為や、正座を長時間保持するなどといった動作を日常的に行うことによってひざに負担がかかる場合に起こりやすくなります。 半月板損傷 膝の腫れを伴う症状として、「半月板損傷」も疑われます。半月板は膝関節の中にある三日月の形をした軟骨組織です。膝の内と外に2枚あって、走る、歩く、跳ねるなどの動きからくる負荷を和らげるクッションとしての役割があり、膝の安定性に欠かせない存在です。 半月板損傷の原因は、スポーツや事故などで急激な負荷や、強い衝撃、無理な動きがあった場合に傷つくことがあります。これが「半月板損傷」といわれるものです。また加齢によって組織がもろくなって起こる場合は先天的に症状を持っている場合があります。 https://youtu.be/uQlymyi0eSI?si=UANk-RDBKTR9dmKH 関節リウマチ 次に、膝が腫れやすい代表疾患として「関節リウマチ」があります。「関節リウマチ」という病気は、自己免疫の異常が原因となって関節部位で炎症が引き起こされて、その結果として膝の腫れや強い痛みを自覚するものです。 この疾患では、軟骨や骨組織が「免疫異常」によって攻撃されることで関節部が破壊され、変形し、健常な関節機能が喪失する病気であることが知られており、その罹患患者数は我が国で80万人程度存在すると伝えられています。 一般的に、女性に多く発症し、発症年齢としては30代~50代前後という、若年から中年層がメインです。初期段階では手足の指の関節が左右対称性に腫れあがり、それ以外にも発熱や倦怠感など全身症状を自覚することもがあります。 以前は関節リウマチに対する治療薬も限定的でありましたが、最近では生物学的製剤などの薬品開発が進歩しているため、できるだけ早期から治療に入いることができれば炎症所見を改善させて膝関節の機能の回復を見込めるようになりました。それによって日常生活内のQOLが向上することが期待することができます。 痛風 次に、膝関節部が腫脹を認める疾患として、「痛風」が考えられます。 生体内で尿酸成分が過剰に貯留されると、膝関節を始めとする関節部位に尿酸の結晶がたまることで、その部分に炎症を引き起こして腫れを生じます。 尿酸と呼ばれる成分はビールや甲殻類などに多く含まれる「プリン体」が体内で分解されて形成されるものです。この尿酸の血液中における濃度が高値である状態が慢性的に継続すると、関節内で結晶化してしまい、この結晶化した尿酸を白血球が破壊処理する反応に伴って炎症を引き起こすと考えられています。 昨今の医療技術の進歩によって良好な薬剤も開発されており、的確な治療を実施すれば健康な生活を送ることができますが、痛風状態を放置すると関節部の激痛を引き起こして膝の腫れをきたすなどを繰り返し、全身的に痛風結節と呼ぶ「こぶ」が表れ運動機能障害が起こるほか、最終的には腎不全にまで進行する可能性があるため、放置することなく、十分に手当することが大切になります。 痛風の原因となる尿酸値は、食事に大きな影響を受けるため、カロリーの高い食事や、アルコールの採りすぎなどに注意が必要です。食生活全般にわたり見直し、改善を行いましょう。 また、肥満を防ぐ意味でも、代謝を整える意味でも適度なスポーツは有効です、ただ激しいスポーツは逆効果になることもありますので注意が必要です。 その他 その他にも、膝靭帯損傷、血友病、オスグッド・シュラッター病などが考えられます。また、日常生活に関する習慣性によって膝が腫れる場合も考えられています。 普段から立ち仕事が多かったり、スポーツで膝への負担が多い場合、膝の痛みや、腫れを発症することがありますので、適当なタイミングで休憩するよう気を付けましょう。 その際に、ストレッチや体操などを少しであっても挟むなど、工夫することで膝を定期的にケアするよう心がてください。 最後に肥満状態は、膝に大きな負担をかけています。肥満による体重増加は、膝の腫れを悪化させる大きな要素と考えられていますので、年齢を重ねても健全で安定した膝の良好な状態を維持するためにも適正体重を保つように注意しましょう。 まとめ・膝が腫れているときに考えられる病気とは 今回は膝が腫れているときに考えられる病気について詳しく解説してきました。膝の腫れをきたす原因の多くのは、関節疾患や骨の病気、外傷など様々です。 ふと膝が腫れていることを自覚した際には、かかりつけ医など医療機関を受診し、担当医に症状出現前後のイベントや出来事はあったか、そして普段からスポーツを活発に実践しているかどうか、あるいは膝に負担がかかりやすい仕事や、習慣、スタイルを送っていないかなどを詳細に伝えてください。 また、急激に膝部分に激しい痛みを覚えて、腫れを認める場合、そして日常動作をする際やスポーツ運動時に膝が腫れて痛みが悪化するようなケースでは、「無理に膝を動かさずに安静を保つ」ように努めて早期に専門医を受診することが重要です。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.060 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療で膝の治療を行えることを知っていますか?! 膝の痛みなどの悩みに対する新たな選択肢、再生医療について ▼以下も参考にされませんか 膝に水が溜まる症状を放置しないでください!原因と治療法
最終更新日:2024.02.28 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
ぎっくり腰の前兆、なんとなく違和感?!まずは原因を知って予防する! 日常生活の中で、重いものを持ち上げたりした時、身体を起こしたりした時、お辞儀をしたりする時などの何気ない動作の中で、急に腰が痛くなり歩けなくなる、ということを経験した人は少なくないと思います。 世間ではこれを『ぎっくり腰』と言っています。実は『ぎっくり腰』という病気は正式な疾患の名前ではありません。正式には『急性腰痛症』と言われます。ぎっくり腰で起こる腰痛は、『急性腰痛症』という文字の通り、急激に発症しますが、腰痛を起こさないため、おすすめの方法はないのか、その前兆について解説していきます。 ぎっくり腰について 先ほど述べたように、正式には『急性腰痛症』と言います。急性腰痛症は発症からの期間が 4 週間未満の腰痛を総称して言います。 腰痛の原因自体は、実はたくさんあります。腰や背骨を支えている様々な組織(椎間板、椎間関節、骨膜、筋肉・筋膜、靭帯、血管など)が疾患や外傷によって傷がついて腰痛を起こしていると言われています。 腰痛の原因と大きく分けると、脊椎が原因の痛み、神経が原因の痛み、血管が原因の腰痛、内臓が原因の腰痛、心が原因の腰痛に分けることができると言われています。 腰痛の原因 ・脊椎が原因 ・神経が原因 ・血管が原因 ・内臓が原因 ・ストレスが原因 このように腰痛の原因は様々ですが、ぎっくり腰自体の原因は、実ははっきりとしたことが解明されておらず、腰痛の様々は原因が関係しあって引き起こしているのではないかと言われています。 ぎっくり腰の原因と治療法 腰痛の原因にもありますがストレスが原因で「ぎっくり腰」が起こるというのは意外かもしれませんね。実は、『ぎっくり腰を起こしそう』と思っていることも、ぎっくり腰を起こす原因の一つであると言われています。 ぎっくり腰の症状は、『力を込めて物を持ち上げようとした際』や『挨拶をしようと頭を下げた際』、『座っている姿勢から、何気なく、立ち上がろうとした際』などに、急激に痛みが出現して、歩けなくなったりします。 経験している人は身をもって感じていることが多いですが、痛みは耐えられないくらいの激痛で、今までに経験したことのないほどの痛みであることが多いです。 経過について、意外かもしれませんが、急激に発症する腰痛は、慢性的な腰痛に比べて、治療を行わなくても自然に治ることが多いと言われています。治療について、明確に決まった治療法はなく、安静を保ち、ゆっくりと過ごすことが大事です。 ただし、これは単にゆっくり過ごすということではなく、なるべく早く日常の生活に戻ることも治療のために必要であると言われています。 身体を伸ばしたり、軽く体操することが効果がある可能性もあると言われていますが、ぎっくり腰を起こし痛みがどうしても耐えられない人は、鎮痛剤を内服したり湿布を貼ったりしながらも早期に日常生活に戻る努力を行いましょう。 ぎっくり腰の原因 ・力を込めて重い物を持ち上げようとした ・挨拶をしようと頭を下げた ・座っている姿勢から、何気なく、立ち上がろうとした ・腰に関わる急激な姿勢変動 ・ストレス(心理的要因) おすすめの治療法 ・受傷した当初は安静 ・痛み止め(鎮痛剤や、湿布等) ・早めに意識して日常生活に戻る。安静のし過ぎは良くない。 ・急激に発症した腰痛は、慢性腰痛に比べて、治療を行わなくても自然に治ることが多い ぎっくり腰ではない?に注意 ぎっくり腰で治療のために入院が必要になるということは、ほぼないと言われています。 しかし、ここで注意しなくてはいけないのは、『実は骨折していた』『実はヘルニアだった』などということもあるので、症状がなかなか良くならない時や、いつもと違う痛みのときは、なるべく早く病院に受診するのがよいでしょう。 日本整形外科学会のガイドラインでは、自然に症状がよくなるために影響している可能性があるものが紹介されています。 腰痛がより早く良くなるために大事なこととしては、発症する前に定期的に運動を行う習慣があることや、年齢が比較的若いこと、健康状態が良好であること、精神の状態を良好であることなどが挙げられています。 その反対に、腰痛がなかなかよくならない原因として、『痛みが頭から離れないこと』『痛みに対して無気力であること』『痛みを過大にとらえる』などの考え方が挙げられています。 ぎっくり腰の前兆とは ぎっくり腰の前兆についてお待たせしました!果たして、そんな症状はあるのでしょうか。 実は前兆について、大変残念なのですが『明らかなものがない』と言われています。何回も経験している人の中には『なんとなく腰が痛くなりそう』『嫌な予感がする』と前兆を感じることがあると言われます。実は、症状ではなく感覚として危険性を感じるようなのです。予感のようなものでしょうか・・・ この『なんとなく』といった違和感こそが、ギックリ腰の「前兆」と言えるものなのです。しかし、今までに経験したことのない方にとっては、そのような『なんとなく』などといったあいまいな前兆については、判別が難しいことでしょう。 結論は、「ギックリ腰の前兆については、そのような曖昧なものしかない」のが本当のところなのですが、予防策はあります。腰に不安がある方はぜひこの予防策をとっていただき、ギックリ腰に合わないための方法を知っておきましょう。 具体的には、姿勢を整えたり、規則正しい運動習慣を身につけたり、しっかりとした睡眠をとったり、身体も心も健康に保つことが予防のために重要であると言われています。 その反対に、身体の健康を損なった時や、ストレスなど心理的要因を抱えていたり、精神的に不安定なときは、ぎっくり腰を引き起こしやすいと言われています。そういう意味では、身体が疲れている時や、心が疲れている時、睡眠不足などの生活習慣の乱れも、前兆であると考えても良いのかもしれません。 もし、そのような予兆を感じた場合は、まず一旦、「今しようとしていることを止めて姿勢を正す」など、そのように思った流れを断ち切るように心がけましょう! ぎっくり腰は、前兆よりも、心と体を健康に保つことで予防できる ・姿勢を整える(意識する) ・定期的な運動習慣 ・しっかり睡眠 ・心と体の健康で予防する ・普段からストイレッチなど体の状態を管理する まとめ・ぎっくり腰の前兆はあるのか?まずは原因を知って予防する! ぎっくり腰は、日常的な動作の中で急激に起こる腰痛です。一度引き起こすと痛みで動けなくなり、とてもつらい思いをします。また、一度起こすと繰り返し起こりかねない疾患です。 外的要因以外、ストレスなどの心理的要因にて身体や心の健康が乱れることが、前兆となって起こる可能性もあります。つまり、ぎっくり腰を引き起こさないようにするのに大事なのは、身体や心の健康を保つことであると言えるでしょう。 実際になってしまった時は、あわてず早く良くなるために医療機関を受診されることをおすすめします、また、再発しないようにするために、身体や心を健康に保つことが非常に重要です。ぎっくり腰と思って放置していたら、別の病気が隠れていることもありますのでご注意ください。そのためにも軽い重いにかかわらず病院を利用しましょう。 病院いかず、症状がなかなかよくならない時、病院で診察を受けたけど経過が思わしくないときなども病院を受診してください。 以上、ぎっくり腰に前兆はあるのか、あるならどんな症状という内容で解説させていただきました。参考にして頂けると幸いです。 ▼こちらもオススメの記事です。あわせてご覧ください ぎっくり腰とは?やって良いこと、悪いこと No.059 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療という新しい先端医療をご存知ですか 自分自身の、自然治癒力を活かしたこれまでになかった医療です
最終更新日:2024.04.23 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
石灰沈着性腱板炎とは、その原因と症状、治療法について 石灰沈着性腱炎という症状をご存知でしょうか。 石灰沈着性腱炎は、筋肉や腱にカルシウムが沈着することで起こる病です。部位的には体のどこにでも起こる可能性がありますが、通常は「肩の腱板」で起こることが多く、そのために「石灰沈着性腱板炎」と呼ばれます。 腱板は、上腕を肩につなぐ筋肉と腱の集まりです。この部分にカルシウムが蓄積すると、腕の可動域が制限されるだけでなく、激しい痛みも生じるようになります。 石灰沈着性腱板炎とは 腱板(上腕を肩につなぐ筋肉)にカルシウムが蓄積 腕の動き(可動域)が制限される 激しい痛み(夜間) 石灰沈着性腱板炎の原因や危険因子 石灰沈着性腱板炎は、肩が痛む場合の最も一般的な原因のひとつです。 石灰沈着性腱板炎が発症する原因は、腱板へのカルシウムの沈着ですが、このカルシウムとはリン酸カルシウムであり、リン酸カルシウムが結晶化することで、症状が発現します。 ただ、なぜリン酸カルシウムの沈着が起こるかは、実のところ、まだよく分かっていません。 リン酸カルシウムの結晶は、初めはどろっとしたミルク状なのですが、次第に固まりだして歯磨き粉状になり、最終的には硬く、そして大きくなっていきます。 なお、リン酸カルシウムの沈着は、遺伝的素因や糖尿病などの代謝性疾患などに伴うことが知られています。 またバスケットボールやテニスのようなスポーツをする人や、日常的に腕を上げ下げして重いもの持ち上げる仕事をする人に多く見られる病気です。 発症年齢は、一般的に40~60歳の成人に見られ、男性よりも女性の方が罹患しやすいと言われています。 石灰沈着性腱板炎の症状 石灰沈着性腱板炎になると肩の痛みがひどいために腕を動かせなかったり、眠れないという人もいます。その反面、約3分の1の方で、目立った症状を感じなていないという場合があります。 痛みを感じる場合は、夜間突然に激しい肩の痛みを感じることが多いと言われています。肩の前面または背面から腕にかけて痛みを感じることが多く、痛みは突然やってくることもあれば、徐々に増していくこともあります。 悪化すると痛みで腕を動かせない、髪をとかすとか、洗濯物を干すなどの腕を上げる動作で痛みを伴うこともあります。なお、発症後4週間程度強烈な痛みが続く急性型、運動時痛が6か月以上続く慢性型などがあります。 石灰沈着性腱板炎の症状(痛み) ・急性型(1か月(4週間)ほど強烈な痛みが続く) ・慢性型(運動痛6か月程度続く) 石灰沈着性腱板炎の診断 異常な肩の痛みや持続的な肩の痛みを自覚した場合に、疑われます。 診察では、腕を上げたり、腕を回したりして、可動域の制限を確認します。診察の後、カルシウムの沈着やその他の異常がないか調べるために、画像検査を行います。 通常は肩のX線検査により、石灰化した沈着物を明らかにすることができます。最近は、超音波検査を利用することもあり、X線検査では見逃された小さな沈着物を見つけ出すこともあります。 石灰化した沈着物の大きさや場所を正確に評価するためにCT検査をすることもありますし、腱板断裂が合併していないか確認するためにMRI検査をすることもあります。 診断ではいずれか或いは複合的に行われる 検査 ・レントゲン検査 ・超音波エコー ・CT検査 ・MRI検査 石灰沈着性腱板炎の治療法 多くの場合、石灰沈着性腱板炎は手術をせずに治療することができます。軽度の場合、薬物療法と理学療法を組み合わせたり、非外科的処置な処置を行ったりします。 薬物療法 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、治療の第一選択薬と考えられています。また痛みや、腫れを和らげるために、肩にステロイドと局所麻酔薬の注射を行うこともあります。 非外科的処置 急性期に、ミルク状のリン酸カルシウムを吸引することもあります。 肩に局所麻酔を施した後に腱板まで針を刺し、固まる前のリン酸カルシウムを手動で吸引し、除去することができます。針を正しい位置に誘導するために、超音波で確認しながら行うこともあります。 手術 約10%の人が、リン酸カルシウムの沈着物を除去するために手術を受けます。特に慢性型で日常生活に支障をきたすほどの痛みが続いている方は、手術が必要となります。 手術では、関節鏡手術が好んで使われています。術後は1週間以内に通常の機能に戻る人もいれば、痛みが続いて活動が制限される場合もあります。 理学療法 痛みに十分対処したのち、中等度または重度の症例では、可動域を回復させるために理学療法が必要となります。 手術をしない場合は、肩の動きを回復するために穏やかなリハビリテーションを行うことになります。振り子のように腕をわずかに振るリハビリがよく行われます。時間をかけて、アイソメトリック運動や軽い負荷をかけた運動などを行うこともあります。 なお手術後の回復には、個人差があります。場合によっては、完全な回復に3ヶ月以上かかることもあります。そこで手術後のリハビリテーションが必要となります。 石灰沈着性腱板炎の予後 石灰沈着性腱板炎は、痛みを伴うこともありますが、早期に治癒する可能性が高いです。最終的には自然消滅しますが、治療せずに放置すると、合併症を引き起こす可能性があります。 この石灰沈着性腱板炎の合併症には、腱板断裂や四十肩などを含みます。 まとめ・石灰沈着性腱板炎とは、肩が痛む原因と症状、治療法について 以上、石灰沈着性腱板炎の原因や危険因子、症状や治療法などについて説明をいたしました。 腱板断裂や四十肩とも症状が似ているため、十分に認識されていないこともあります。もし、肩の痛みがなかなか治らない、肩の痛みの原因を知りたいなど、肩の痛みにお悩みの方は、ぜひ医療機関を受診されることをお勧めします。 No.058 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療で肩の痛みを治療する 肩に起こる痛みや病気を再生医療により改善することができます ▼肩が痛む症状についてこちらのご覧ください インピンジメント症候群とは、その原因、症状と治療法
最終更新日:2024.04.03 -
- 糖尿病
- 内科疾患
Ⅱ型糖尿病・妊娠糖尿病|ストレスを発散!その予防や改善に必要な運動とは 糖尿病にはその発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。 日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」は生活習慣やライフスタイルを見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避することが可能であると考えられています。 そのような観点から今回は、「Ⅱ型糖尿病」や「妊娠糖尿病」において、規則正しい食生活は勿論のこと日常生活に運動、身体を動かすことを実践し、ストレスを出来るだけ発散できるように努めることで予防や改善ができることを詳細に紹介していきます。 その一方で、大変残念なのですが、主に自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」については現在のところ改善や予防できる方法は見つかっていません。 以下、明記しない場合の糖尿病の表示は2型並びに妊娠糖尿病に向けた情報になります。 ・1型糖尿病 完全に予防できない ・2型糖尿病 ・妊娠糖尿病 ライフスタイルを見直せば予防、改善、予防が可能 なぜ糖尿病の予防、改善に運動が有効なのか 運動を継続的に実行することは、食事による療法と並んで糖尿病における治療の中で大きな基本となっています。 特に、糖尿病の発症要因として「肥満体形、過食傾向、運動不足」の関与が強く疑われています。 なぜ運動が必要かというと、運動することでエネルギーを消費して、肥満を解消できるのみならず、運動を行うことで筋肉活動量が向上してインスリン機能を改善する効果が期待できるからです。 糖尿病の発症原因 ・肥満体形、過食傾向、運動不足 なぜ運動が必要か? ・運動でエネルギーを消費し、肥満を解消できる ・運動で筋肉活動量が向上し、インスリン機能の改善を期待できる 食事摂取直後には運動をなるべく控えるほうがよいですが、食後1時間程度経過してから運動を行うことで食事から取り込まれたブドウ糖や脂肪成分の利用が効率的に促進されて血糖値が有効的に下降する可能性も指摘されています。 1型糖尿病の場合には、2型糖尿病と異なってインスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、インスリン機能そのものが回復することによる治療効果はあまり期待できませんが、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献します。 ただし、血糖値を良好にコントロールしてその状態を維持するには運動と食事に関する治療どちらか一方が欠けてもうまく制御できませんので、毎日運動するからという理由で入念な食事療法は怠らないように心がけましょう。 取り組むべき運動の種類について 一般的に、糖尿病を抱えている患者様の場合には、ダンベルや重りなどの器具を用いて筋肉に過剰な負荷をかける筋肉トレーニングに代表されるレジスタンス運動よりも、ウォーキングやジョギング、水泳などを始めとする全身を使う有酸素運動が適合しています。 ✕ 器具を使って筋力に負荷をかけるトレーニング(レジスタンス運動) 〇 身体を動かす有酸素運動が最適(有酸素運動) その背景には、有酸素運動を継続して実践することで、インスリンの働きがよくなって血糖値を上手く調整しやすいと考えられているからです。 したがって、糖尿病における運動療法の目標としてはまずは有酸素運動で身体の不活動を改善させて、余裕があれば次のステップでレジスタンス運動を検討しましょう。 レジスタンス運動とは 具体的には、有酸素運動として可能であれば少なくとも週に3回程度、それぞれ30分から60分間行うように意識して実施することが重要であると伝えられています。 この有酸素運動は、週当たり150分(2時間30分)以上かけて実施することがひとつの目標とされています。 通常では、糖代謝の改善期間は運動してからおよそ半日から3日間前後持続することが知られていますので、血糖値を上手く制御するためには運動行為を少なくとも1週間のなかで3日間は実践することが理想的です。 運動療法の効果は数々考えられており、運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなることでブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められますし、特に2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると伝えられています。 また、糖尿病のみならず高血圧や脂質異常症の改善にも役立ち、エネルギー消費のバランスが安定化して減量に繋がって肥満を防止することにも貢献します。 運動を実行することは加齢に伴って引き起こされやすい筋肉の衰弱や骨粗鬆症を回避する期待が込められていますし、関節や骨が強靭化する以外にも心肺機能が高まるのみならず爽快感が向上してストレスを解消させる効果も併せて考慮できます。 運動をしなければと、精神的に追い込まない。逆にストレスがたまらないような取り組みも大切です。 実際に、運動療法を実践する時には準備運動やストレッチを丹念に行って軽動作から開始して、徐々に運動強度を増やしていくように意識しながら、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 運動の実行にあたって ・無理せず、継続することが大切 ・軽めの運動から、徐々に始める ・体調に気を配る ・ストレスを発散、運動が逆にストレスをためることにならないように まとめ・Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病を改善または予防に必要な運動とは 今回は糖尿病を予防して改善するための運動について詳しく紹介しました。 糖尿病の発症を防ぎ、症状を改善させるために運動は有効的であり、特に有酸素運動である歩行運動をする際には1日あたり1万歩以上を目標にして、1週間に少なくとも3日間以上の頻度でウォーキングエクササイズを実行することがお勧めされています。 いつでも、どこでも、一人だけでも実践しやすい歩行運動などは常日頃から多忙でまとまった時間が確保できない方でも通勤や通学中などでも行うことが可能ですし、どこまで運動強度を上げていいか不安に感じる患者さんはかかりつけ医ともよく相談してみましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.057 監修:医師 坂本貞範 ▼糖尿病の合併症が心配な方への先端医療|最新の「再生医療」は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼運動療法をさらに詳しく以下もご参考にしていただけます 糖尿病のタイプと糖尿病を改善または予防するために効果的な運動方法とは
最終更新日:2024.02.19 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
五十肩・四十肩|腕を上げると肩が痛む症状、原因と治療法について 五十肩について、そもそも「五十肩(四十肩)」という言葉は、正式な病名ではなく、ぎっくり腰などと同様に日常会話で用いられる俗称です。 五十肩(四十肩)になると、肩甲骨と上腕骨で構成されている肩関節部に痛み症状が出現するため、腕を色々な方向に挙上するような動作が難しくなり、特に肩関節を外側に回旋させる際には強い疼痛※を自覚することになります。この状態になると、ただ肩に痛みがあるだけでなく、普段なら簡単に行えるような動作が難しくなり、日常生活に支障をきたして不便を感じる場合も少なからず存在します。 今回は、この「五十肩(四十肩)」とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 ※疼痛:医学用語で「痛み」のこと 五十肩(四十肩)の原因 五十肩(四十肩)は、肩関節にある腱板組織が損傷して関節包領域まで炎症が広がることによって発症すると考えられています。その背景には、加齢に伴って筋肉や腱などの筋骨格系組織における柔軟性や伸展性が失われて健常に動作できなくなることが原因と考えられていますが、実際には本疾患の明確な原因は判明していないところが本当です。 一般的に五十肩(四十肩)は、「肩関節周囲炎」と言われることが多いのですが、詳細には腱板組織に炎症が起こる「腱板炎」や、上腕二頭筋の一部に炎症が認められる「上腕二頭筋長頭腱炎」、あるいは腱板疎部と呼ばれる肩前方部位に炎症が惹起される「腱板疎部炎」も含まれています。 五十肩(俗称)の正式な病名 ・肩関節周囲炎 ・腱板炎 ・上腕二頭筋長頭腱炎 ・腱板疎部炎 五十肩(四十肩)の症状 五十肩(四十肩)における典型的な症状としては、肩関節や上腕部を真上に挙上(上げる)する、腕を背中に回す、肩を開いて回旋させるときに全方向への動作で痛みが出て、可動域が制限されることを自覚します。 特に初期段階から肩の痛みが出現しやすいのが肩の前方部に位置する腱板疎部と呼ばれる部位であり、五十肩(四十肩)を罹患した直後では肩関節の前方部分に疼痛症状を自覚するケースが多いと言われています。 また、五十肩(四十肩)では「炎症期、凍結期、回復期」とい3段階の順で症状が変動していくと考えられており、最初は強い炎症に伴う痛み症状を認めたのちに肩関節の拘縮症状が引き起こされ、次第にその拘縮具合も軽快していくとされています。 典型的な症状の進行 ・炎症期 ・凍結期 ・回復期 一方で、このような3段階にわたるといった典型的な症状様式に進行していくケースは必ずしも多くないとも推察されます。 個々の事例によって初期から痛みが強くない場合もあれば、強度の拘縮所見を呈して日常生活に支障をきたす場合もあります。また、特に対策を行わずとも自然に、数ヶ月の単位で症状が改善する場合があったり、その反対に年単位で症状に苦悩されるといったケースもあります。 症状は様々 ・初期から痛みが強くない場合 ・強度の拘縮所見を呈して日常生活に支障をきたす場合 ・自然に数ヶ月単位で症状が改善する場合 ・年単位で症状に苦悩される場合 五十肩(四十肩)おすすめの治療方法 ここからは、「五十肩(四十肩)に対する治療」「治し方」について解説してまいります。 まずは、肩関節部の強い痛みによって夜も眠れない、或いはほとんど肩を動かせない状態と判断された場合には、その強い炎症を鎮めるために消炎鎮痛剤などの薬物を服用することをお勧めすることになります。 具体的には、炎症を抑える作用があるステロイドを主に肩関節内に関節注射として投与する、あるいは副作用がそれほど強くない非ステロイド系の消炎鎮痛剤を飲み薬として投薬することが多いです。 肩関節部の強い炎症がある程度落ち着いて痛みといった症状が比較的改善された段階になり、肩関節の可動域制限が認められた場合、肩が拘縮した状態を改善させるために、リハビリテーションを実践することになります。 これらのリハビリテーション加療を実施しても、どうしても可動域が改善せずに疼痛症状がしつこく付きまとってくる場合には、関節鏡下授動術と呼ばれる内視鏡を用いた比較的低侵襲な手術を検討することになります。 肩関節部の可動域が悪化している原因は炎症に伴って癒着して肥厚した関節包であると考えられていますから、関節包の状態を実際に観察しながら電気メスで患部を切開することで、術後には肩関節の可動域がほぼ正常範囲まで改善することが期待されます。 五十肩の治療 ・痛み:炎症を抑える関節内注射や、消炎鎮痛剤の服用 ・痛みが治まればリハビリの実施 ・リハビリで改善しない場合、手術が選択肢となる まとめ・五十肩・四十肩|腕を上げると肩が痛む症状、原因と治療法について 今回は、五十肩(四十肩)とはどのような病気なのか、五十肩を発症すると多くの場合、痛くて、ある一定の限度以上に上げることができなくなります。 そんな場合の原因、症状、おすすめの治療方法や治し方について詳しく解説してきました。 一般的に、年齢を重ねるごとに誰しも肩関節が昔のようにスムーズに動作できなくなり、関節痛を覚えることがあるかと思いますが、このような症状を呈する状態を「五十肩(四十肩)」と呼んでいます。 本状態における特徴的な所見として、肩関節部の痛みと共に肩を挙上する、あるいは水平に保つ動作をするのが困難となるため、洗濯物が干しづらくなる、もしくは背中のファスナーが開けられないなど日常生活に支障が出現します。 もしも、普段の生活で肩を動かした際に痛みを覚える、以前のようにスムーズに腕を背中側に回せない、肩が挙上しにくいなどの症状を自覚している人は、症状が悪化する前に専門医療機関を受診してご相談されることをお勧めいたします。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.056 監修:医師 坂本貞範 ▼肩の痛み、以下も参考にされませんか 石灰沈着性腱板炎とは、肩が痛む原因と症状、治療法について
最終更新日:2024.04.03 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病|女性は要注意!なぜ更年期から発症するリスクが高まるのか? これまでに「糖尿病という病気は、やっかいだ…」ということを耳にされたことはおありでしょうか。 我が国における糖尿病の患者数は増加傾向であり、2016 年の厚生労働省による国民健康調査によると糖尿病有病者と糖尿病予備軍はいずれも約1000万人近く存在すると推計されています。 この疾患は、体内の「インスリン」と呼ばれる血糖を一定の範囲におさめる働きを担っているホルモンが機能しなくなることによって血液中に存在する「ブドウ糖が増加する病気」です。 糖尿病が更年期の女性にとって「注意しなければならない」リスクになる?! 女性の場合、誰にでも訪れる更年期を迎えると「エストロゲン」「プロゲステロン」と呼ばれる「女性ホルモン」が急激に減少します。 特に、エストロゲンは、「血糖値を下げるインスリンの働きをサポートする作用」があります。そのため、更年期を迎えるにあたってエストロゲンの量が減少すれば相対的にインスリンの働きも弱くなってしまうのです。 つまり、この血糖値が下がりにくくなることにより「糖尿病を発症するリスク」が上昇するということなのです。 そこで今回は、糖尿病とはどのような病気なのか、特に「更年期から注意したい女性の糖尿病」に関する情報を中心に詳しく解説していきましょう。 糖尿病とは、どのような病気なのか 糖尿病は、生活習慣病とも関連する注意すべき病気です。血糖値を降下させる作用のあるインスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの働きが悪くなることで発症します。 この糖尿病は、大きく「1型」と、「2型」に分類されています。 自己免疫異常によってインスリンを産生する膵臓の細胞が攻撃を受けることで発症するタイプの糖尿病は1型糖尿病と呼ばれており、生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与していません。 一方で、糖尿病患者さんの約9割以上が「2型糖尿病」と言われており、ストレスや肥満体形、運動不足や暴飲暴食など日々の生活習慣の乱れが主な原因となってインスリンが相対的に効きにくくなることでブドウ糖が細胞に十分に取り込まれなくなるタイプが存在します。 このような、2型糖尿病の場合でインスリンの分泌機能に異常をきたす原因として多いのは、高脂肪、高カロリーなどを始めとした悪しき食習慣であり、糖質成分の取り過ぎや顕著な運動不足が続くとインスリンの抵抗性が増して徐々に血糖値が上昇するといった症状が発生するようになります。 その他、妊娠や更年期を契機に発症する糖尿病のパターン、あるいは膵炎や膵臓癌など膵臓疾患に合併して発症する場合なども挙げられます。 なぜ女性の更年期から発症リスクが高まるのか 一般的に、女性は40代頃から更年期と呼ばれるフェーズに入り、この時期には体が火照って疲労を感じやすいなど辛い期間が訪れるのですが、実はこの「更年期に入ると糖尿病の発症リスクが高まる」ことを知っておくべきだと思います。 前章で述べたように、血糖値が上昇する原因としては「最近忙しくて」、「つい面倒だから」「付き合いで」などと外食する機会が頻繁に増加している。 昔に比べて「体重増加が著しい」、会社や私生活など周囲環境などで「過剰なストレス」を抱えているなどの典型的な糖尿病の発生原因の他に、「女性特有の要因として更年期前後におけるエストロゲンの分泌量低下」が挙げられます。 女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、様々な「健康リスクから女性の身体を守る」働きがあります。その代表例として「血糖値を調整する働き」があります。このエストロゲンの分泌量は、およそ40代頃から減少し始めて、50代の閉経期になれば急激に落ち込んでしまいます。 通常であれば、女性はエストロゲンやプロゲステロンという女性ホルモンに保護されているため、男性と比して糖尿病になりにくいという傾向がありますが、それが更年期を過ぎてしまうとエストロゲンの分泌量が低下するにあわせて糖尿病を発症する危険性が増していきます。 そのためにも自治体の定期検診や、勤務されているなら企業健診における「血糖値(空腹時血糖126mg/dl以上、ヘモグロビンHbA1c 6.5%以上)」や、「尿検査」の結果に注目するようにし、問題があれば医療機関を受診し、指示を受けることをお勧めします。 血糖値上昇の原因 ・外食機会の増加 → 「最近忙しくて」「面倒だから」「付き合いで」 → 更年期で女性を護るべき女性ホルモンが減少(エストロゲン、プロゲステロン) まとめ・糖尿病、女性のリスクについて!なぜ更年期から特に注意すべきなのか 今回は「女性が更年期から注意すべき糖尿病リスク」について解説しました。 糖尿病は血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気を指しており、現代の疫病とも称され糖尿病予備軍まで含めると全人口の約3割程度が発症していると考えられています。 糖尿病の原因や発症リスクから考えて、普段から規則正しい食生活、運動を心がけて、ストレスや喫煙習慣など生活スタイルに注意して糖尿病にならないように心がけましょう。 女性のリスクを減らすために ・規則正しい生活 ・定期的に適度な運動の実行 ・禁煙 ・ストレスの除去 エストロゲンなどの女性ホルモンが減少し始める更年期の時期を迎えると、どんな女性にも糖尿病を罹患するリスクが増大することが指摘されていることを知っておきましょう。 普段から特段の自覚症状がなくても知らぬ間に高血糖になっていることも考えられますので、特に女性の場合は、更年期前後になれば、これまでの生活習慣に意識を向けてみることが必要になります。 女性なら知っておきたい発症リスク ・更年期以降、どんな女性でも糖尿病の発症リスクが高まる ・自覚症状のない高血糖に注意 糖尿病の発症リスクを知り、血糖値が上昇しにくい生活スタイルを学び、意識して健康的な生活を実践することが大切です。 糖尿病は、早期に発見して的確に治療すると症状を良好にコントロールできる病気です。心配であればぜひ専門医を受診してご相談されることをおススメします。 以上、女性が更年期から注意したい糖尿病のリスクについて記させていただきました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.055 監修:医師 坂本貞範 ▼女性の糖尿病|最新、幹細胞治療は以下をご覧下さい 再生医療は、女性の糖尿病の新たな治療法として注目してください ▼こちらもご参考下さい Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病を改善または予防に必要な運動とは
最終更新日:2024.02.19 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病の初期症状を知る!自覚症状、身体のサインを見落とさないで! 糖尿病とは、血液中の血糖値が慢性的に高値を示す病気です。 糖尿病にかかると、慢性的に高血糖が続くために、喉が渇きやすくなり、尿量増加、体重減少などの身体のサインが現れる場合もありますが、顕著な自覚症状が認められないケースも少なくないと言われている点で注意が必要です。 万が一、「糖尿病の初期症状」に気が付けば早期の食事療法などで健康状態を維持することが可能ですが、糖尿病は、進行すると様々な合併症を引き起こすことが知られていますので専門医療施設で精密検査を必要に応じて受けることが重要です。 今回は、糖尿病を初期の段階で知り、早期治療を開始するための「初期症状」と、その際に現れる「身体のサイン」、そして初期症状が出現した際の対処法に関する情報を中心に詳しく解説していきます。 初期症状を知り早期治療を開始するために こんのような身体のサイン(症状)に気が付いたら医療機関へ ・のどが渇きやすくなった ・尿の量が増加します ・体重が減少した ・空腹が満たされない ・足がつったり、しびれる ・足にひび割れや、乾燥しやすくなった ・すぐに風邪をひくなど体が弱くなった 糖尿病はどのような病気? 糖尿病とは、インスリンが十分に作用しないために血液中を流れるブドウ糖の数が多くなってしまう病気です。 糖尿病は基本的に「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分類されており、その中でも2型糖尿病は生活習慣に強く関連する頻度が高いタイプであり、初期の段階では有意な症状が現れにくく、自覚症状を覚えた頃には、すでに病状が進行していることも多く見受けられます。 1型糖尿病も2型糖尿病も出現する症状自体に大差はありませんが、それらの発症メカニズムが異なる事から自覚症状の現れ方や出現経過などは若干違います。 ・1型糖尿病 1型糖尿病のケースではインスリンを分泌する膵臓の細胞が破壊されることで急激に血糖値が上昇するために喉の渇き、頻尿、多飲、足のしびれなど神経障害、体重減少、疲労感などが突如として出現することがあります。 ・2型糖尿病 一般的に「糖尿病」と呼ばれているものが、2型糖尿病になります。2型糖尿病では少しずつインスリン分泌量が減ってインスリン機能が悪くなるために症状は、ゆるく徐々に現れます。 また、2型糖尿病における自覚症状は多種多様であり、少しずつ現れるため初期の段階では気付かないことが多くありますが、自覚症状が乏しいままで知らず知らずのうちに病状が進行していることも多いため、定期的に健康診断を受けて空腹時血糖値などの指数をチェックすることが重要な視点となります。 最近では高齢者ばかりではなく、10代や20代などの若い世代でもと尿病を発症したり、予備軍に含まれる方が増えてきています。若いからと油断しないでください。 糖尿病の疑いがある初期症状 自覚症状がなく、ゆるやかに発症していく糖尿病ですが、代表的な初期症状があります。 1)体重が急激に落ちる 糖尿病の症状として、エネルギー源でもあるブドウ糖を上手に取り込むことができなくなります。ブドウ糖の代わりに筋肉や脂肪をエネルギーに変えようと身体が働いてしまい、ダイエット等を意識していなくても急激に痩せてしまうことがあります。 2)喉が渇きやすくなる 血糖値が高くなることで、血液がドロドロとした状態になってしまいます。そうなることによって、脳は水分が足りないと認識してしまい、水を飲まなければと混乱してしまいます。また、水をたくさん飲むことで尿の回数も多くなります。 3)足への症状 糖尿病になってしまうと、毛細血管がダメージを受けやすくなってしまい、自律神経へ悪い影響を及ぼしてしまいます。 その結果、次のような症状が現れやすくなります。 ・つりやすくなる ・足が痺れやすくなる ・ひび割れや乾燥しやすくなる 4)感染症にかかりやすくなる 血糖値が高くなることで、白血球などをはじめとして免疫細胞の機能が低下します。風邪をひきやすくなったり、皮膚の感染症などにかかりやすくなってしまいます。 5)空腹感が続きやすくなる 通常は血液中にあるブドウ糖が増えることで、処理するためにインスリンが分泌されますが、糖尿病になるとインスリンが思うように機能してくれません。そこで上がった血糖値を処理するために尿として糖を排出するようになります。 エネルギーでもある糖が吸収されずに排出されてしまうため、脳は常にエネルギーを補おうと空腹のサインを出してしまうのです。 まとめ・糖尿病の初期症状を知る!自覚症状、身体のサインを見落とさないで! 今回は糖尿病における初期症状の身体のサイン、そして初期症状が出現した際の対処法などについて詳しく解説してきました。 糖尿病とは、インスリンという血糖値を下げるホルモンの機能が減弱することで、慢性的に血糖値が高い状態が継続する疾患です。 喉の渇き、多飲、多尿、足のしびれなど糖尿病の初期症状を放置して血糖値が高い状態が継続すると、血管が障害されて心筋梗塞、脳卒中など重篤な病気に繋がります。 また血糖値が高い場合には、白血球を始めとして免疫機能が低下するので、感染症に罹患しやすい、感染所見が重篤化しやすいなど指摘されています。 今回ご紹介した初期症状は、特に見逃すことなく仮に有意な身体のサインを自覚した場合には、すぐに糖尿病内科など専門の医療機関を受診して精密検査を受けることを心がけましょう。 以上、糖尿病の初期症状!自覚症状など身体のサインを見落とさないで!と題して記させて頂きました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.054 監修:医師 坂本貞範 ▼糖尿病の治し方、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下の記事も参考にしてください 糖尿病の合併症がサイレントキラーと恐れられる!そのわけ
最終更新日:2024.02.19 -
- 肝疾患
- 内科疾患
脂肪肝の食事で食べてはいけないもの 脂肪肝という病気は、脂質のひとつである中性脂肪と呼ばれる成分が肝臓内に多く蓄積してしまう状態を指しています。 脂肪肝と一言で言っても、普段から過剰に飲酒をしすぎるケースに起こるアルコール性が原因で引き起こされる種類、またはアルコールを摂取していないのにも関わらず発症する非アルコール性脂肪性肝疾患(略称:NAFLD)というタイプが存在します。 脂肪肝とは、そもそも肝臓に脂肪が沈着する病気なので、日常的に食事メニューで脂肪分を過度に摂取しないようにだけ対策すればよいと考えている方がいますが、本当にそれだけでいいのでしょうか。 今回は、脂肪肝を改善するために食べてはいけないものに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 脂肪肝の食事、食べてはいけないもの 脂肪肝に罹患した人にとって病気を改善させるために日頃の食事は非常に重要です。そこで、食べてはいけない、避けるべき食べ物を紹介してまいりましょう。 まず、一つ目は炭水化物や糖質から取り込まれる摂取エネルギーを抑えるということです。その背景には、肥満体形や糖尿病の発症率と脂肪肝の重症度は比例すると考えられているからです。 脂肪肝を指摘された方においては食事からの摂取エネルギー量を可能な範囲で制限して、理想的な標準体重を目標に、少しでも近づけることが重要な視点となります。 一般的な摂取エネルギー量の目安としては、通常労働をしている場合には標準体重(身長m×身長m×22)×25kcal/日を基準として自分なりに適切なカロリー量を計算してみましょう。 食事から取り込まれる過剰な糖質成分は、中性脂肪に変換されて肝臓に沈着して脂肪肝を発症させやすくすることが知られています。 標準体型を目指す ・制限:炭水化物、糖質、脂質→中性脂肪に変換され肝臓に沈着>脂肪肝のリスク増大 ・肥満体形:糖尿病の発症率、脂肪肝の重症度は比例 糖質について 通常では、白米や十六穀米などの穀類に含まれる糖質は、比較的肝臓への影響が少ないと考えられているため、一食につき、お茶碗一杯程度なら食べても大きな問題には繋がりません。 何より、常日頃から甘いものを制限するように意識しましょう。 例えば自動販売機で売られているジュース類、あるいは駄菓子に含まれているショ糖、そして果物に豊富に含有されている果糖は、穀物のでんぷん類と比較して中性脂肪が肝臓に蓄積しやすい特徴があるため注意が必要です。 したがって、普段の食生活でも間食などはできるだけ避け、砂糖類を沢山含んでいる食べものは出来る限り摂取しないように回避するべきです。また果物にも果糖を含んでいるため、控えめにするように心がけましょう。 脂質成分を控える 脂質成分を控えることが脂肪肝を改善させるためには重要なキーポイントとなっています。 脂肪肝を患っている場合には、食べ物を調理する際にはなるべく動物性ではなく、植物性の油を使用するように心がけて、1日あたりの油の使用量は大さじ1杯程度までに抑制するように認識しておきましょう。 脂質を過剰摂取すると肝臓に中性脂肪が蓄積する原因となることが知られていますが、極端な脂肪制限は必須脂肪酸の欠乏に繋がるため、バランスよく脂質を制限することを忘れてはいけません。 バランス良い脂質制限とは、その目安として、脂質を多く含むものを摂取する機会を週に1〜2回程度の頻度になるように調整しましょう。 たんぱく質について たんぱく質に関しては、適正量を確保して良質なものを適切な範囲で補給することが必要であると考えられており、たんぱく質を摂取しすぎても極端に不足に陥っても脂肪肝そのものを悪化させることが指摘されていますので注意を払いましょう。 アルコールの考え方 アルコールに関しては、肝臓で脂肪に合成されやすく、脂肪肝に拍車をかける懸念がありますので出来るなら禁酒するほうが望ましく、飲むとしても特にアルコール度数の高い酒や、糖質の多い発泡などは、肝臓における脂肪蓄積にも繋がりますのでなるべく控えましょう。 どうしても我慢できない場合には、成人では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度までに制限して、週に2日以上は休肝日を設けるように意識しておきましょう。 昨今では、脂肪肝を実際に診療する場面では、従来のアルコール性肝障害から非アルコール性脂肪性肝疾患に着眼点が移行してきています。特に、肥満症や2型糖尿病が蔓延する現代では,メタボリックシンドロームを基本として病態を理解して診療指針を立てることが重要であると指摘されています。 万が一、自分が脂肪肝になってしてしまったら、過剰な糖質や脂質の摂取を控えて、良質なたんぱく質や糖質や脂肪の吸収を緩徐にして脂肪蓄積を予防できる食物繊維を中心とした食事に改善するように心がけましょう。 日常生活における食事内容としては、余分な脂質や糖質を出来るだけ抑えることが期待できる蒸し物や焼き物、あるいは魚料理であれば刺身などを食べる事をお勧めします。 まとめ・脂肪肝の食事で食べてはいけないもの 今回は特に脂肪肝を改善させるために普段食べてはいけないものに焦点を当てて説明してきました。脂肪肝とは肝臓を構成している肝細胞表面に脂肪成分が沈着して蓄積される病気を意味します。 本疾患の原因として、肥満、糖尿病、過度のアルコール摂取などが挙げられます。今一度食事内容を見直して生活習慣を修正することにより、脂肪肝を改善することが期待できますので前向きに実践するように心がけましょう。 以上、脂肪肝の食事で食べてはいけないものについて記させて頂きました。 参考になれば幸いです。 No.053 監修:医師 坂本貞範 ▼肝臓に関わる病気|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、肝臓病の新たな治療法として注目を浴びています ▼肝臓の異常について以下の記事も参考にしてください 検診結果で「肝臓の数値に異常」が見つかった場合、肝機能障害の原因と対策
最終更新日:2024.04.11 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぎたい 糖尿病が「サイレントキラー」と恐れられる理由をご存知でしょうか? それは、糖尿病の進行がしばしば無症状であるためです。糖尿病は、長期間にわたって血糖値が高い状態が続くことで、様々な合併症を引き起こす可能性がある病気です。 これらの合併症は、特に早期に発見や治療が行われない場合に重篤な結果をもたらすことがあります。 その合併症としては失明の原因となる「糖尿病性網膜症」、人工透析の原因となる「糖尿病性腎症」など、進行すると日常生活に多大な影響を及ぼす症状が出る人がいるため注意が必要です。 糖尿病の治療が必要な理由は、これらの合併症を防ぐ目的があるためです。糖尿病は、些細な生活習慣の乱れが原因であることがほとんどといわれています。 糖尿病の合併症が「サイレントキラー」といわれ、命に関わる怖いものであることを知ることで、「生活習慣改善を変えるきっかけ」にしていただければと思います。 糖尿病は合併症により「サイレントキラー」と呼ばれる 糖尿病は、それ自体には痛みなどの症状はほとんど現れません。そのため、健康診断で糖尿病であることが指摘されても放っておく人も多いのが現状です。しかし、糖尿病は全身に合併症を引き起こします。合併症とは、一つの病気が元になって起こる新たな病気のことを指しています。 糖尿病の合併症は命に関わることから、糖尿病を「サイレントキラー(沈黙の暗殺者)」と呼ぶ医師も多くいるようです。 糖尿病の三大合併症は(し・め・じ)と呼ばれる 糖尿病の合併症には三大合併症と呼ばれる代表的なものがあります。次の病気が、糖尿病三大合併症と呼ばれるものです。 この3つは、糖尿病が無ければ起こらない病気であり、それぞれの頭文字を取って覚えやすく「し(神経症)・め(網膜症→め)・じ(腎症)」と呼ばれ、その危険性を喚起しています。 どの合併症も、多くは無症状で進行し、症状が現れたときには危険な状態となっています。生活に大きな支障をきたす病気であるため、注意が必要です。 糖尿病の三大合併症 ・し)神経障害 ・め)網膜症 ・じ)腎症 しびれや麻痺を全身に引き起こす神経障害(ニューロパシー) 神経障害は、糖尿病になってから適切な治療を受けずに放置すると、約5年で現れることが多く、糖尿病三大合併症の中で最も早く症状が現れるといわれています。 これは、高血糖が神経にダメージを与えることで、これにより感覚を伝える神経や身体を動かす神経が障害され、痛みやしびれ、こむら返りなど自覚しやすいものや、足の感覚が鈍くなる感覚鈍麻など自覚しづらいものが症状として現れます。手足の知覚や運動機能が低下することがあります 病状が進行すると、自律神経という内臓や血管の働きに関わる神経にも影響が出ます。そのため、しびれや麻痺が全身に広がり、身体が動かしにくくなり生活に大きな支障をきたしてしまう恐れがあります。 特に足の神経障害は重要であり、潰瘍が進行して感染を起こし、最悪の場合は切断が必要になることもあります。 視力低下や失明を引き起こす網膜症(糖尿病網膜症) 神経障害の後に現れるのが網膜症です。高血糖により、目の網膜にある毛細血管が傷ついたり破れたりすることで、視力低下や失明を引き起こす病気です。 網膜症の進行は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が高いほど早いと考えられています。症状が現れると、治療しても視力を回復することは難しいといわれています。 そのため、糖尿病と診断されたら眼科で定期的に網膜の検査を受けることが大切です。また、視界がぼやけたりシミが見えるなど、目の異変に気付いたらすぐに眼科を受診しましょう。 糖尿病網膜症は進行性の病態であり、早期の発見と治療が重要です。 糖尿病腎症は人工透析の原因第一位 糖尿病腎症は糖尿病三大合併症の中でも比較的遅く現れます。腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として出す働きをしています。 腎症になるとろ過機能が低下し、尿にタンパク質が漏れるようになります。(タンパク尿)症状が悪化すると腎機能のほとんどが失われ「人工透析」が必要になります。現在、日本の人工透析の原因第一位は、こうした糖尿病による腎症なのです。 これらの合併症は、糖尿病患者が血糖値の管理に注意を払い、定期的な健康チェックや医師の指導を受けることで予防・管理が可能です。早期の発見と治療は合併症の進行を遅らせ、重篤な結果を防ぐために非常に重要です。 糖尿病と診断されたら、定期的な尿検査を行い、腎機能の状態を確認するようにしましょう。 糖尿病 ・日本の人工透析:原因第一位は、糖尿病による腎症 ・早期発見:進行を遅らせる ・合併症:進行を遅らせる 合併症を防ぐために必要なこと 糖尿病の合併症を防ぐためには、症状が現れていないうちから血糖値のコントロールを行うことが必要です。 糖尿病の治療や合併症の予防は、食事療法・運動療法・薬物療法の三本柱で行います。食事療法においては、血糖値が上がりやすい糖質の量を減らし、野菜や食物繊維の多い食品を多くとりいれることで高血糖の改善や体重低下が期待できます。 なお、極端な糖質制限は逆効果です。あくまで糖質を食べ過ぎないように食事の最後に食べるなどに留めましょう。運動療法によって血糖コントロールに関わるインスリンの働きが良くなり、高血糖の改善や体重低下が期待できます。 軽めのジョギングやウォーキングなど、無理なく継続できる方法で運動を取り入れましょう。薬物療法を行う場合は主治医と相談しながら症状に合わせた薬を飲み続けて経過を見てもらいましょう。 また、体質的にインスリン分泌が少ない人はインスリン注射を日常的に行う場合があり、これも薬物療法にあてはまります。 どの治療を中心にするかは個人差があるため、主治医に相談した上で決めていきましょう。 まとめ・糖尿病の合併症(サイレントキラー)は生活習慣の改善で防ぎたい 本記事では、糖尿病が進行すると命に関わる合併症を全身に引き起こすことを解説しました。糖尿病三大合併症である神経障害、網膜症、腎症が進行すると、治療して元の状態に戻すことは難しいとされています。 どの合併症も、症状が重くなるまで自覚症状がほとんどなく、自分で気付くのは困難です。糖尿病と診断されたら、内科や眼科での定期的な検査を受けて異常をいち早く発見しましょう。 健康な人と変わらないQOL(生活の質)や寿命を守るためにも、症状が現れないうちから定期的な検査や血糖コントロールを行うことが大切です。サイレントキラーと恐れられる糖尿病の症状にはくれぐれもご注意下さい。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 No.S078 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下もご参考にしていただければ幸いです 糖尿病を予防するための運動とは、その効果と注意点 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています
最終更新日:2024.04.23 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症の人工関節手術の年齢別の問題点やリスクを解説します 変形性股関節症に悩まされ、運動療法や薬物治療に取り組むも改善が見られず、症状が進行した場合、人工関節への置換治療を薦められることがあります。しかし、その選択に関して年齢という側面があることを忘れてはなりません。 変形性股関節症の最終的な選択肢である手術は今ある関節を「人工関節」と取り換える大掛かりなものになります。人工関節そのものに抵抗がある、手術を避けたい、入院期間が気になる、痛みが心配など、体や心、生活などの多様な心配事が浮かんで来られるのではないでしょうか。 この中にもありますが、手術について年齢的な問題を特に心配にされる方がおられます。 実際のところ「何歳まで受けることができるのか?」「何歳位の人が多いのか?」「早すぎる、また遅すぎる・・・」など、といった不安や疑問を感じられるのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症の人工関節の手術を受ける際の心配事の内「年齢について」解説致します。 人工関節について患者様の不安 ・人工関節そのものが心配 ・異物を入れる不安感 ・手術は避けたい ・入院期間が気になる ・痛みが心配 ・リハビリが心配 ・生活や仕事の心配 ・年齢的な心配 > 股関節の悩みを最先端の幹細胞治療で治療する 変形性股関節症での人工関節手術・その特徴と年代について 変形性股関節症の発症年齢は、40代以上が多い傾向があります。 手術は、関節の痛みを感じて保存療法等リハビリを行っても症状が進行し、薬物療法等でも痛みが緩和できなくなり、生活に支障をきたす状況になると選択肢として検討されることになります。 変形性股関節症の場合、手術は人工関節の置換術となることが多く、注意したいのが人工関節は、文字通り「人工物」ということです。つまり、物である以上、耐用年数が存在するということです。 考えるまでもなく、股関節には日常生活において大きな力が掛かっていることはご理解いただけるはずです。そのため年数による経年劣化は避けることができないという特徴があります。 ここが大切なところで、年齢的に早くに手術をすると人工関節が緩んだり、そのもの耐用年数が来て機能を果たさなくなってくることがあります。そうなると再手術という可能性があります。 そのため、変形性股関節症の手術を受ける年齢は、60代と70代が圧倒的に多いのです。ただ、変形性股関節症は、40代以下の若い人でも患う可能性があるため、比較的若い年齢でも手術を検討せざるを得ないことがあります。。 30代から40代の年齢で変形性股関節症を発症し、保存療法を続けていたけれど、痛みが強くなってきたため、50代で手術を受けることになるという人もいますし、もっと若い年齢で発症する人もいます。 ただ、近年の人工関節は技術の進歩で耐用年数が長くなってきたことは事実です。そのため、若年層であっても、再手術のリスクがあることを知った上でも、痛みのない普通の生活を取り戻したいとの想いから手術を受ける方もおられます。 若い年代(40~50歳代)で変形性股関節症の手術を選ぶ場合の問題点 変形性股関節症には、高齢者が悩まされるイメージがありますが、40代から50代という比較的若い年齢でも、その痛みに悩んでいる人はいますし、実際に手術を受けている人もいます。 人口関節には寿命があります。そのため、若いうちに人工関節を選択すると将来、再手術が必要になる場合が多く、手術を避ける傾向があります。 ただ、40代、50代という若く、再手術のリスクがある年齢でありながら、変形性股関節症の手術を選択する場合は、長く苦しむよりも、痛みのないスムーズな生活(QOL※の確保)を送ることを優先したいという想いに尽きますが、それ以外にも以下の1~3のような理由が見られます。 ※QOLとは クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略です。 患者さんの肉体、精神、経済、社会といった各面での生活の質にこだわり、豊かな人生を確保するための概念です。 1.体を動かす仕事に就いている場合 40代~50代といった年齢であれば、まだまだ現役で仕事をする世代です。特に営業の外回りなどをしている、立ち仕事をしている、というような人は、変形性股関節症になると、思うように仕事ができなくなってしまう恐れがあります。 しかし、40代や50代という若い年齢であれば、変形性股関節症になってしまっても手術後にリハビリを行うことで、早い回復が見込めます。そのため、職場復帰などを考慮するのであれば、なるべく早く変形性股関節症の手術を受けたほうが良い場合もあります。 2.50代・60代以であってもスポーツを続けたいという想いがあある場合 仕事や趣味でスポーツをしている40代の人で、50代、60代になってもスポーツを続けたいと思われるかたは多くいます。そんな場合は、変形性股関節症の手術を早めに検討することがあります。 変形性股関節症は進行する病気、保存療法をおこなっても治癒は困難 変形性股関節症の治療は、「進行を抑えること」と、「痛みを抑える」ことを目的としたものになります。つまり、頑張っても症状は進行するし、痛みも伴うことになります。 そのため、再手術のリスクを抱えていたとしても、手術を受ける年齢が早いほど、術後のリハビリからの回復も早くなり、40代のうちに手術を受けておけば、それ以降、50代、60代でも元気にスポーツができる可能性が高まります。 このようなことから、あまり痛みが出ていない若い年齢であっても変形性股関節症の手術を受ける人がいるのです。ただ人工関節は万能ではありません。手術自体にもリスクがあります。 3.若くても既に変形性股関節症の痛みが出て日常生活に支障がある 変形性股関節症は、あぐらやしゃがみ込むなど、股関節に負担のかかる動作や姿勢を控えるようにして運動療法や薬物療法といった保存療法を続けていれば、ある程度痛みを抑えて日常生活を過ごすことは可能です。 しかし、既に日常生活で痛みが出てしまっている40代の人の場合は、早めに変形性股関節症の手術をおこなったほうが良い場合もあります。早く手術を受ければ、リハビリの効果も発揮されやすくなりますし、人工関節を入れた場合は、人工関節の扱いに早く慣れることもできます。 そのため、変形性股関節症の痛みがすでに強いという場合は、保存療法で時間稼ぎをするのではなく、40代など若い年齢で手術をおこなうことがあります。 高齢者で変形性股関節症の手術を控えたほうが良い年齢 変形性股関節症の手術を受けることが多い年齢の平均は60代~70代です。それ以上の年齢になってくると手術を控えたほうが良いケースもあります。 80代以上の年齢では手術を控えたほうが良い 絶対ということではありませんが80代や90代の高齢者は、一般的に変形性股関節症の手術を控えたほうが良いと言われます。 その理由としては、80代以上の高齢者の場合、身体や筋力の衰えなどのため、手術後のリハビリは、若い人以上に根気よく続ける必要があること、また、本人にも、「リハビリを頑張りたい」という強い意志が求められるためです。 また、家族の十分なサポートがない場合、寝たきりになってしまう可能性もあります。変形性股関節症の手術後のリハビリは、家族のサポートも必要とされます。 80代以上の年齢になると手術は、体力や心肺機能に懸念 80代や90代以上の変形性股関節症の手術は、体力や心肺機能の面でリスクが高いという理由もあり、手術を控えたほうが良い場合もあります。たとえ本人や家族が手術を希望していたとしても、持病や年齢によって既に心肺機能が低下している場合は、手術が受けられないことも少なくありません。 変形性股関節症の手術は一般的に全身麻酔による手術であるため、心肺機能が低下した状態で手術を受けるというのは、非常に大きな危険が伴うからです。 90代で手術を受けた症例もあるが・・・リスクが大きい 年齢について逆に高齢の場合はどうでしょうか?最高齢だと、90代で変形性股関節症の手術を受けたという症例があります。つまり、人工関節の手術自体は高齢が理由で妨げられないことになります。 ただし、一点。術後はある程度、高度なリハビリが必要となるため、手術のあとにリハビリを受けられるだけの体力がある人に限られます。逆にリハビリができない場合は、寝たきりになるリスクもあり、手術を受けた意味がなくなる可能性もあり、医師としっかり相談して進めなければなりません。 もちろん家族の術前の同意や、術後の協力、支えが必要不可欠になります。 まとめ・変形性股関節症の人工関節手術と年齢の問題 変形性股関節症の手術は、大掛かりな手術になるため、年齢や生活環境、将来なども見据えた上で手術をおこなうかどうかの選択をしなければなりません。 また、変形性股関節症の手術を受けた後は、リハビリが必要ですが、そのリハビリは年齢が高くなるにつれて難しくなる場合もあります。そのため、変形性股関節症の痛みを手術で改善したいけれど、手術を受けることができないという人もいます。 そこで紹介したいのが、近年注目されている変形性股関節症を「再生医療で治療する」という方法です。 再生医療は、人工関節などを入れる手術と比べても治療期間が少なく済み、副作用のリスクも少ない安全で安心な治療です。そして、年齢が高くても治療できる可能性が広がりますし、高い治療効果を期待することが可能です。 変形性股関節症の手術を検討すべき状態ではあるけれど、体力面、心肺機能などで懸念材料があるという人、治療期間を短くしたい、なるべく体に負担が少ない治療を受けたいという人は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。 >変形性股関節症は「再生医療」という最新治療法で手術・入院を避けて治療することできる方法があります。 以下の動画では、変形性股関節症に悩む患者様が手術ではなく再生医療を選択した経験について語っています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/cjMBSIy0rG0?si=bbBce0OZEgtPY48d 以上、変形性股関節症の悩み、人工関節手術の選択肢にある年齢的問題について記させていただきました。ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。 No.051 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらも合わせて確認しておきませんか 変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性と治療法について
最終更新日:2024.03.26 -
- PRP治療
- 幹細胞治療
- ひざ関節
- 再生治療
膝の痛み|最新の再生医療(幹細胞治療とPRP療法)という治療法について このページでは変形性ひざ関節症について解説します。「変形性ひざ関節症」は、実は全国で3千万人ぐらいの方が悩まれている膝の病気です。ここでは、その症状だったり治療の仕方、そして最新の治療法である再生医療(幹細胞治療とPRP療法)について詳しく解説してまいりましょう。 変形性ひざ関節症は男性より女性がなりやすい! ご存知ですか?!変形性ひざ関節症は、全国で約3千万人の患者さんがいるのですが、男女比でいうと1対4と、圧倒的に女性の方が男性より多い症状なのです。 以下は、この膝の症状に対する先端医療である再生医療を解説しています。それは幹細胞治療とPRP治療と言われるものです。ご一読いただければ変形性膝関節症を治療するための新たなアプローチ方法をご理解いただけるはずです。 変形性ひざ関節症になる原因 変形性ひざ関節症のメカニズム・原因は、関節にある軟骨に起因します。具体的には次のようなものがあります。 変形性ひざ関節症の発症原因 ・年齢を重ねることによる摩耗 ・体重増加による負荷 ・O脚変形 ・遺伝性の軟骨の柔らかさの影響 年齢を重ねるにつれて軟骨が摩耗したり、体重が増えて負荷がかかると軟骨がどんどんすり減っていきます。それ以外にも、例えばO脚変形と呼ばれる、少し膝がO脚になっている方も原因になりやすいです。あとは遺伝性、つまり生まれつき軟骨が柔らかい方もいらっしゃいます。 このように、軟骨がすり減ってなくなってくると、いよいよ関節が変形して炎症を起こしてしまい、出歩くときに膝が痛かったり、あとは関節に水がたまり動きにくくなるという状態になります。 これがいわゆる変形性ひざ関節症です。 変形性ひざ関節症の症状 次に、変形性ひざ関節症の症状についてお話をしていきます。 変形性ひざ関節症になると、以下のように色々な症状が起こります。私が診ている患者さんの中でも、このような症状を訴えてこられる方々が、たくさん来られます。 ・立ち上がり時に膝が痛かったり ・階段を下りるときにも膝が痛かったり ・水がたまり、膝が腫れる ・正座が出来なくなったり、曲げにくかったりする ・水がたまり、抜いても抜いても水がたまり続ける ・ヒアルロン酸を打っても数日しか持たなかったり、ほとんど効かない こういた中でも水が溜り続ける、注射が効かなくなった患者さんには「手術をしましょう」という話になってきました。ただ、いきなり手術となると抵抗感もあり、どうしたらいいのかと、困られている患者さんもたくさんおられました。 ・水もたまる、注射が効かないし、手術もしたくない・・・ そんな患者さまには最近注目されている再生医療という治療があります。 再生医療という新たな選択肢 そこで、この「再生医療」という新たな治療法について解説していきます。再生医療には大きく分けて2つの治療方法があります。まず1つは自己脂肪由来の幹細胞治療、そしてもうひとつはPRP治療です。 https://youtu.be/W2JZQekWJ8w?si=gREVMz9az8O8Shj3 自己脂肪由来の幹細胞治療 まず自己脂肪由来幹細胞治療方法です。これは今、最先端の治療方法です。私は初めてこの治療法を知ったとき、今までの治療概念を覆されました。それほど驚きを覚えたのです。 どういうものかと言いますと、自分の細胞を少しだけ取り出します。その取り出した脂肪の中には「幹細胞」といわれる細胞があって、この幹細胞が身体のいろんな組織に変化する性質持っていて、その性質を活かして治療を行う方法です。 取り出した幹細胞は、約1ヶ月間くらいかけて培養し、たくさんの幹細胞に増殖させることができます。その培養した、たくさんの幹細胞を膝に入れることによって、幹細胞が変化し、失われた軟骨が出来上がったり、壊れた素子が修復されたりします。 これがいわゆる「幹細胞治療」です。 PRP治療 そして、もう一つの「PRP治療」を解説しましょう。 まず自分の血液を採取し、その中から血小板成分を取り出します。この血小板成分は、自分の壊れた組織を修復する能力があります。その特性を利用するため、血小板成分を凝縮して高濃度の血小板成分として取り出し、それを体に戻すことによって、壊れた組織を修復する能力を促します。 これが「PRP治療」です。 まとめ・膝の痛みに最新の治療法!再生医療(幹細胞治療とPRP療法)について 変形性ひざ関節症は、次のような原因で軟骨がすり減ることで起こります。 ・年齢を重ねることによる摩耗 ・体重増加による負荷 ・O脚変形 ・遺伝性の軟骨の柔らかさの影響 従来はヒアルロン酸の注射や手術によって治療されてきましたが、最近再生医療(幹細胞治療・PRP治療)という新たな選択肢が登場しています。興味のあるかたはぜひお近くのクリニックへご相談してみてください。 以上、幹細胞治療とPRP療法、再生医療で治療する膝の痛みに対する治療法ついて記させていただきました。 No.050 監修:医師 坂本貞範 ▼こちらも合わせて読んでおきましょう 膝が腫れているときに考えられる病気とは ▼ 再生医療が膝の痛み!変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善
最終更新日:2024.02.28 -
- ひざ関節
- 半月板損傷
膝半月板損傷の治療法と、手術のリスクを解説 膝の半月板とは、膝関節の太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)の間にある、「C型」や「O型」をした線維の軟骨からなり、内側と外側の両方に存在します。 この半月板があることで上半身の負荷や、動作時の衝撃から膝を守ることができ、更に関節をスムーズに動かすことが可能となる大切な存在です。その半月板が損傷した場合の治療法と万一、手術を選択した場合のリスクについてご説明いたします。 ひざ半月板損傷の治療、保存療法と手術療法について まずは、ひざの半月板損傷について、この半月板を治療するには、「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。保存療法では抗炎症薬の投与や、リハビリ テーションを行うことで症状が落ち着くことがあります。 しかし、保存療法を用いた治療で改善がみられない場合や、症状が顕著で日常生活に支障がでる場合には手術が適応となります。 実は、半月板には、約10~20%しか血が通っていません。そのため、一度損傷してしまうと自然に治癒することが非常に困難なのです。結果として再発防止や、スポーツ活動への復帰を考慮して保存療法ではなく、手術を選択される方もおられます。 手術療法としては、傷ついた箇所を縫い合わせる「縫合術」と、傷ついた箇所を切り取る「切除術」の2種類があり、手術方法は、関節鏡を使った関節鏡視下手術(かんせつきょうしかしゅじゅつ)という手法で行われます。 手術療法 1)縫合術:傷ついた箇所を縫い合わせる 2)切除術:傷ついた箇所を切り取る ※縫合術も切除術も、どちらも手術なので合併症等、それなりのリスクは存在します ※どちらの術式を選択するか「半月板の損傷レベル」、「損傷の程度」を診断の上、適切な方を選択します また、スポーツ選手が復帰を目指した場合などは、リハビリ期間を含めて、そのスポーツの種類や、大会の時期などに復帰に合わせて治療方法を変えるケースもあります。 各手術療法とそのリスクについて 内視鏡術の概要 画像上で半月板に損傷がみられても、症状として痛みの程度や、動作による支障があまり出ていなければ、投薬し、安静にすることで症状が軽くなる可能性を考えます。しかし、症状が長引くか、良くなっても再発する場合は、関節鏡を使用した内視鏡手術を行います。 手術は、腰椎麻酔で行うことが多く、内視鏡手術中は意識があり、モニターに膝の画像が映し出され、希望するなら説明を聞きながら手術を受けることも可能です。また、半月板を修復する際には、同時に損傷を受けやすい前十字靭帯、内側側副靭帯も損傷していないかをチェックしていきます。 縫合術 半月板は、安定した生活動作やスポーツによるパフォーマンス維持のためにも、可能な限り切除術ではなく、縫合術で行い半月板を温存する方向で進めていきます。また若年者の場合も可能な限り切除術ではなく縫合術を行うようにします。 半月板が中心で裂けるように損傷しているケースでは、縫合術の適応となります。損傷の度合いや形態を観察し、損傷箇所の激しいところを優先的に処置したあとで、血液の流れを考慮しながら、組織の状態が良好な部分は最大限に活かす方向で縫合していきます。 縫合術の方法としては、膝の外側に3cmほど切開をつくり、縫合専用の器具を使用して半月板に糸を数本通し、膝の関節の外側で結びつけて縫合していきます。このケースでは糸を膝関節の外側に通して縫合していますが、損傷箇所によっては関節の中だけで処置を終え、手術跡を作らずに済む方法もあります。 縫合手術が可能な損傷とは、半月板の辺縁部に損傷が起こる「辺縁縦断裂」になります。辺縁部は血流のあるエリアで、辺縁にそって断裂し、スポーツ外傷で起こることが多くみられます。 また、手術をすれば必ず痛みが取れるということはありません。せっかく手術をしても、痛みが取れない、手術前よりも痛くなった、という声はよく効かれます。そういう「リスク」も必ず含まれています。 > リスクを回避する再生医療という選択肢 縫合術の術後の注意 関節軟骨にかかる負担は少なくて済みますが、入院は2週間ほど必要で、術後2週間は足を床につけてはならず荷重してはいけません。術後は固定具を装着して膝を伸ばした状態を保つようにします。 術後から2週間ほど経過観察をした上で屈曲練習を開始して行きます。そして3週間目からは90°まで屈曲し、4週間目からは120°までと段階的にリハビリを行うようにします。半月板が癒合するには6週間ほど時間が必要なため、スポーツ復帰は術後3カ月が経ってからになります。 切除術 切除術は、断裂している部分に血行がないことや、断裂箇所が縫合しても改善されないほど損傷が大きいときに適応されます。損傷範囲が広い場合は、断裂している部分を専用器具で切り取り、除去します。 また、半月板の辺縁部分では血行があるため基本的には縫合術で対応しますが、断裂部分の繊維が不揃いになっているときには、切除しながら辺縁部を整えるようにします。この処置を行うことで、傷んだ半月板が膝関節部の軟骨と摩擦することがなくなり、軟骨の損傷をも防ぐことができます。 しかし、半月板は関節の機能としてなくてはならないものです。取り除くことで半月板の機能を低下させるというリスク!デメリットがあるため、可能な限り温存させる方向で必要最低限の切除にとどめた手術を行います。 また手術をした患側の足には、血栓が形成されやすいリスクがあるため、その予防に靴下を着用します。手術内容によっては、固定の為の装具を着ける場合もあります。 縫合が可能な辺縁部と切除する部分の両方が損傷している場合は、縫合術と切除術を組み合わせて手術していきます。また、生まれつき半月板が「C型」ではなく「円板状」になっている円板状半月板の人が半月板を損傷した場合は、通常の「C型」に近づけるように手術を行います。 切除術もまた縫合術と同じく、手術をすれば必ず痛みが取れるという訳ではありません。手術をした数割の人は痛みが取れない、余計に痛くなったということもあり得ます。 > そこで!「手術を回避する」再生医療という選択肢 切除術の術後 切除術のあとは、関節軟骨へのストレスが大きくなり、関節軟骨の変形が進行して膝関節症になることがあります。また、1~2ヶ月間は水が溜まりやすくむくみが生じるリスクがあります。 ただ、日常生活への復帰は縫合術に比べて早く、術後翌日からは歩行が可能になり、膝の曲げ伸ばしにも特に制限はありません。入院は術前から術後の観察までを含め、だいたい4日間ほどで退院できます。スポーツの復帰は、術後から約1~2ヶ月後となります。 手術には合併症というリスクが存在 手術後は、以下のようなリスクが存在するため、術後には注意して観察が必要となります。 1.感染リスク 半月板手術での術後感染の確率は、全体の術後感染症のなかでも低い方になり、予防として抗生物質の投与を行います 2.静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症)リスク 半月板の手術だけに起こるリスクではありませんが、下肢の手術や脊椎の手術、骨折などにより発症しやすくなります 3.しびれが発生するリスク 手術の過程で下肢への血流を遮断するため、術後に下肢のしびれが発生することがあります。術後数日で改善することがほとんどです 再生医療という新たな選択肢 このように半月板損傷の手術には、「縫合術・切除術ともにリスクを伴う」ことがわかりました。ところが、なんと幹細胞を用いた再生医療では、これらのリスクを負うことなく治療を受けることができるのです。 縫合術のリスクと比較して 例えば縫合術の場合、実は縫い合わせた半月板が再断裂する可能性があり、縫合術をして4年後に再断裂をする確率は30%と言われています。これは縫合をしても半月板がしっかりとくっついていない為に発生します。 ところが幹細胞治療では、断裂した半月板を接着剤で留めるように修復しますので、日常生活だけでなくスポーツに復帰することも可能です。また縫合術を受けると2週間は足に体重をかけられなかったり、4週間ほどの松葉杖生活を強いられることになりますが、再生医療では治療を受けたその日に歩いて帰ることができます。 切除術のリスクと比較して 切除術の場合では半月板の一部を取り除きますので、関節のクッションがなくなるのと同じです。すると数年後には関節軟骨がすり減って、変形性膝関節症になる方が多いです。 実際に切除術を行なった10年後には、一般の方の場合で30%、スポーツをしている場合では70%もの方が変形性膝関節症へと移行しています。さらに切除術をすると切った部分から再び断裂が生じることもあり、術後数週間が経過した頃より再び膝の痛みを訴えることがあります。 ところが幹細胞治療であれば半月板をそのまま温存できますので、クッションがなくなる心配がありません。これにより将来、変形性膝関節症になるリスクを大きく減らすことができます。もちろん再断裂のリスクもありません。 幹細胞治療は手術を受けた後でも有効! 切除術で半月板を切り取ってしまうと、切り取った半月板が元に戻ることはありません。後戻りができない治療を受ける前に、再生医療を検討する価値は十分にあると言えます。 そして術後の再断裂の予防にも幹細胞治療は有効です。縫合術を受けたけれども、スポーツ復帰をした後に再断裂しないか心配になる方も多いかと思いますが、縫合術を受けた後に幹細胞治療を行えば、お互いの治療が相乗効果となり、より強固に半月板が修復されることが期待できます。 また切除術を受けた後、断面に新たな亀裂が生じ痛みが再発する場合もよくあります。しかし、多くのケースで「手術は成功しています。しばらく様子を見ましょう。」と言われるでしょう。 幹細胞治療は、再発した術後の痛みの原因となっている、新たな半月板損傷の治療としても有効です。 https://youtu.be/XvBHOHYYGd8?si=UMKs505wcfpN8nDY ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する方法があります 再生医療なら半月板損傷は、手術せず、入院せず改善を目指せます ロッキングの場合は緊急手術が必要となることも 早急に手術が必要なケースは、痛みにプラスして半月板の引っかかりがあり、膝を動かせないなど、にロックがかかったようになる症状(ロッキング)の場合です。 ロッキングとは、傷ついた半月板が関節の中で挟まってしまい、膝をスムーズに伸ばせなかったり、曲げられずに、膝の動作に制限がある症状のことをいいます。 この場合は、膝が伸ばせないので歩行が困難となります。そのまま放置しておくと膝が拘縮を起こしてしまい、2度と膝をまっすぐ伸ばせない状態となることもあります。 ロッキングで異常をきたした場合には、すぐに病院やクリニックにかかることをお勧めいたします。 以上、膝半月板損傷の治療法と、手術のリスクについて解説いたしました。参考にしていただければ幸いです。 No.0016 監修:院長 坂本貞範 ▼以下もご参考にしてください 半月板損傷の手術!損傷のタイプで異なる手術の種類について
最終更新日:2024.02.13 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病|食事で予防、食生活をチェックし、病気の悪化や合併症を防ぐ 糖尿病は、日々の食生活が大きく影響しています。食生活のチェックや見直しは、「糖尿病の予防」だけでなく、「糖尿病の合併症」の予防なのでの悪化にも役立ちます。 血糖コントロールの悪化そのものは自覚症状が現れにくいですが、全身の血管に動脈硬化などの症状を引き起こし、合併症に繋がります。 そのため、症状が現れていないうちから糖尿病の悪化に繋がる食事を見直していくことが重要です。糖尿病を予防したい人や、危ないかな?と心配している人は、本記事の内容を参考に日々の食事を点検するところから始めていきませんか?! この記事の対象者 ・糖尿病を予防したい人 ・糖尿病の悪化を防ぎたい人 ・糖尿病の合併症を防ぎたい人 食生活の見直しで、糖尿病の合併症を防ぐ 糖尿病を予防するためには、自覚症状のない時期からこそ食生活などの生活習慣を見直すことが重要になります。さらに、糖尿病の合併症は、糖尿病の予兆が現れてから何年も経ってから発症することを知っておくべきです。 血糖コントロール不良が長期にわたって起きていると、網膜や腎臓の毛細血管に症状が現れ、場合によっては脳血管障害や心疾患に繋がることもあります。 特に糖尿病性腎症については、糖尿病の早い段階から食事療法を行うことで悪化を防ぐことができるといわれています。また、早いうちから糖尿病の薬に頼ってしまうと、食生活が変わらないため治療が長引く恐れがあるという側面もあります。 できるだけ早い段階で食事などの生活習慣を見直し、血液検査データの改善に繋げることが大切なのです。 まずは食事記録を付けましょう 糖尿病が気になる人には、食生活をノートやメモに記録するところから始めてはいかがでしょうか。面白いことに詳しい量を書かなくても「何を食べたか?!」を書き記していくだけで効果があると言われているため、その手軽さからもお勧めの方法です。 ただ、朝・昼・夕と1日3回きっちり記録することを習慣化する必要があり、慣れるまでなかなか難しいかもしれません。1日1回自分で決めた時間の食事内容を記録するようにした方が継続できるため、おすすめです。 特に、夕食は1日の中で最も食べ過ぎてしまいやすいため、まずは夕食の内容を記録するところから始めても良いでしょうう。継続することが鍵です。途中で忘れても大丈夫、また次から記録してください。 まずは一か月続けてみる!という意識でそれを伸ばしていくことで習慣化しましょう。減らすなどといった意識は持たずとも結構です。記録することから始めてください。 また、お菓子の食べ過ぎやお酒の飲み過ぎを指摘されたことがある人は、お菓子や、お酒を食べたり、飲んだりするごとに記録を付けるだけでも食生活を見直すための意識を持ち続けることができます。 食事記録をチェックするだけ ・何を食べたか?! ・理想は、朝昼晩を手帳や専用のノートを作って記録する ・継続が鍵なので、まずは夕食だけから始めてみる ・途中抜けても一か月は続けるなど目標を持ちましょう ・記入することで食事に対する意識に変化が現れます ・お菓子や飲酒なども記録しましょう 夕食の食べ過ぎを避ける 夕食を大量に食べる、いわゆる「ドカ食い」は避けねばなりません。しかも、高カロリーであったりすると、そのまま肥満を招きかねず、「メタボリックシンドローム」のリスクが高まりかねません。 何を食べるかだけでなく、いつ食べるかも重要なポイントです。同じ量を食べていても、いつ食べるかによって栄養状態には大きな違いが生まれます。 特に、夕食は就寝までの時間が短く食後のエネルギー消費が少ない上に、ついつい食事の量が多くなってしまいがちです。昼食を簡単にすませている人は、その分、夕食の量が多くなりやすいと考えられます。 また、よく聞かれるかもしれませんが夕食は20時前までに食べ終えたい。という話がありますが、就寝時間にもよります。極端ですが20時に食べ終えても21時に眠りに付いては意味がありません。 就寝前に、食事や間食を取ると、その栄養は使われずに体に貯まってしまいます。つまり、太ってしまうということ、そして高血糖を引き起こしやすくなってしまいます。 そこで、夕食の時間の目安は、「就寝時間の4時間前」までに!と就寝時間から逆算して食べるようにしてください。もちろん夕食から就寝までの間に、ついつい!おやつを食べたり、お酒を飲んでしまうということも控えてください。 糖尿病や、体重増加が気になる人は、夕食の食べ過ぎを防ぐために、昼食の内容を充実させて精神的な満足感を得ることで、その分、夕食を質素にしたり、控えめにするといった動機付けに利用するのも有効です。 いつ食べるかが重要 ・夕食は就寝までの時間が短い ・可能なら20時までには終えたい(ただし、就寝時間による) ・夕食の食べ過ぎに注する ・食事の量や、食事の内容にも配慮する ・昼食の充実させ精神的な充足感を向上させる 食事時間の間隔を3時間以上あける(間食(おやつ!)も含みます) また、食事と、食事の間に3時間以上の間隔があることが良いとされています。この「食事」には間食(おやつ)も含まれます。 例えば昼の12時に昼食を食べた場合、午後2時におやつを食べてしまうと、昼食によって上がった血糖値が下がりきらないうちに再び上がってしまうことになります。 つまり、次の食事を食べるまでに3時間以上間隔があれば、おやつを食べても血糖値の上がり過ぎを防ぐことができるのです。ただ、糖尿病の疑いがある人は、食後の血糖値が下がりにくい傾向があります。 このため、食後3時間あいているとしても、おやつの量を多過ぎないようにし、糖質の少ないおやつ(ナッツ類やチョコレートなど)を選ぶことが大切です。 外食の注意点(野菜・魚・大豆製品が不足しやすい) 飲食店で外食をすると、ついついカロリーの高いメニューを選んでしまいがちです。さらにお酒を飲みながらの外食は、おつまみを追加してしまい食事量が増えやすく、しかも飲み過ぎ食べ過ぎたことを忘れてしまいます。 糖尿病にならないためには、できるだけ外食の回数を減らした方が良いでしょう。また、外食は肉料理を選びやすく、糖尿病予防に効果のある野菜・魚・大豆製品が不足しやすいことも重要なポイントです。 外食のときは野菜・魚・大豆製品を使ったメニューを選ぶ、これらのメニューが多い飲食店を選ぶようにしましょう。コンビニやスーパーでお弁当を買う場合は、野菜のおかずを1品プラスしてみましょう。 清涼飲料水の飲み過ぎに注意! 砂糖がたくさん入っている清涼飲料水をよく飲むという人は注意が必要です。清涼飲料水は、カロリーが高い割に得られる満足感が少なく、特に炭酸飲料は口当たりが癖になりやすく飲み過ぎてしまう傾向があります。 普段飲んでいる清涼飲料水を控えるだけでも、1度に100~200kcal程を抑えることができるため、糖尿病予防には効果的です。 糖尿病予防に効果大 ・食事時間の間隔を3時間以上あける’血糖値の上昇を防ぐ ・外食は野菜・魚・大豆製品が不足しやすい:できるだけ外食控える ・清涼飲料水の飲み過ぎに注意!:炭酸飲料に注意 まとめ・食事で予防、食生活をチェックし、病気の悪化や合併症を防ぐ 生活習慣を変えることは思ったよりも難しいものです。厳しい食事制限は、ストレスからすぐに諦めてしまったり、かえってドカ食いに繋がる恐れがあるといわれています。 食生活を点検した結果、毎日食べ過ぎてしまうものが見つかった人は週に3~4回にする、量を半分にするだけでも効果があり、そちらの方が継続できるのです。 目標を難しくせず、これなら自分でも続けられる、と思えるような簡単なものから始めてみましょう。 以上、糖尿病を防ぐ!食生活のチェックや見直しは、予防や悪化にも効果と題して説明してまいりました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が参考になれば幸いです。 No.S077 監修:医師 加藤 秀一 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下も参考にしていただけますか 糖尿病は何故治らないのか?!糖尿病を発症しないための予防法
最終更新日:2024.02.19