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「下肢閉塞性動脈硬化症に対してマッサージはしても良いの?」 「マッサージをしてはならないケースは?」 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する自己流のマッサージは危険です。病状によってはASOを悪化させる恐れもあるためです。ASOを改善するのであれば、適切な運動療法やフットケアが効果的です。 本記事では下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に関して、以下の内容を解説します。 マッサージが禁忌となる3つのケース 効果的な運動療法 セルフケアにおける5つのポイント マッサージが推奨されてないケースを具体的に解説しています。ASOの適切な管理方法を身につけるために役立ててください。 下肢閉塞性動脈硬化症に対するマッサージが禁忌となる3つのケース 前提として、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対して自己流のマッサージは危険です。マッサージにより血流が阻害されてASOを悪化させる恐れがあるためです。 とくに以下のような状況では、運動療法やマッサージは禁忌(きんき:実施してはならないこと)となります。ASOに対するマッサージ方法は医師に相談してください。 深部静脈血栓(しんぶじょうみゃくけっせん)が疑われる 潰瘍(かいよう)や炎症が起きている 安静時に痛みがある それぞれの詳細を解説します。 1.深部静脈血栓が疑われる 太ももから下側に腫れや赤み、痛みが現れているときは、深部静脈血栓が疑われるためマッサージは禁忌です。(文献1)深部静脈血栓とは、長時間足を動かさないで同一姿勢でいると、足の静脈に血栓(けっせん:血の塊)ができてしまうことです。 血栓が血流に乗ってしまうと、肺の血管を詰まらせて肺塞栓症(はいそくせんしょう)という危険な病気を引き起こす恐れがあります。深部静脈血栓が疑われる際にマッサージをすると、圧迫により血栓が剥がれて肺塞栓症に進展する危険性があります。(文献2) ASOにおいても血栓ができることがあるため注意が必要です。深部静脈血栓が疑われる症状が現れている場合は、速やかに医療機関を受診してください。 2.潰瘍(かいよう)や炎症が起きている 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)のFontaine(フォンテイン)分類におけるⅣ度に該当する場合は、原則運動療法は禁忌です。(文献3)Fontaine分類とは、ASOの重症度をⅠ〜Ⅳ度で評価するための分類です。 このような重症例では皮膚や組織への血流が著しく低下しているため、マッサージによる組織への物理的な圧迫や摩擦が潰瘍や壊死部に対して悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、マッサージの実施も推奨できません。 Ⅳ度は、皮膚や筋肉への血流が不足している最も重い状態です。小さな傷や低温やけどをきっかけに以下のような症状が現れています。 症状 詳細 潰瘍(かいよう) 皮膚や粘膜が深く傷ついている状態 壊死(えし) 細胞の一部が壊れている状態 赤く炎症が起きている場合は、なんらかの感染症が発生している恐れもあります。これらの症状が現れている場合は、マッサージは行わず速やかに医療機関を受診してください。 3.安静時に痛みがある 安静時に痛みがある場合は、Fontaine分類におけるⅢ度に該当します。Ⅲ度も原則運動療法は禁忌です。(文献3)そのため、マッサージの実施も推奨できません。 ASOにおいて、II度とⅢ度の症状を間違えないように注意が必要です。症状の違いは以下の通りです。 分類 症状 II度 一定の距離を歩くと、ふくらはぎが締め付けられるような痛みが現れ歩けなくなる。休むと痛みがなくなり歩けるようになる。この状態を間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ぶ。 Ⅲ度 歩く距離が徐々に短くなり、安静にしていても痛みが持続する。 (文献4) Ⅲ度の症状が現れている場合は、狭窄や閉塞が悪化している状態です。こちらも医療機関を受診して医師の指示に従ってください。 その他の下肢閉塞性動脈硬化症に対する禁忌 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の患者様は、弾性ストッキングを原則着用してはいけません。ASOの患者様が装着すると、圧迫により血行障害が悪化する恐れがあるためです。弾性ストッキングとはストッキングの圧力により、下肢の筋肉のポンプ作用を高めて血流を促す製品です。 ASOの患者様に対して弾性ストッキングの着用が必要になった際は、医師が慎重に検討します。医療現場では、2011年から2016年の間にASOの患者様に対して、弾性ストッキングを着用させてしまった事例が4件発生しています。(文献5) 万が一のために患者様本人と家族の間でも、ASOを患っている場合は原則弾性ストッキングを着用してはならないことを理解しておきましょう。 下肢閉塞性動脈硬化症に効果的な運動療法 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する運動療法は、Fontaine分類におけるⅠ度(冷寒やしびれ感がある)、Ⅱ度の方に推奨されています。有効な運動療法は歩行です。間欠性跛行の改善や歩行距離の向上を期待できます。歩行は以下のような流れで実施します。 がまんできる痛みが生じる強度で歩く 強い痛みが出る手前で休む この繰り返しを1回30〜60分行う 歩行は週3回を少なくとも3カ月間の実施が推奨されています。運動療法は「病院で行う監督下運動療法」と「自宅で行う在宅運動療法」があります。 監督下運動療法のほうが間欠性跛行の改善効果が高く、推奨されています。(文献6)自宅で運動療法を行う場合は、医師の指導を受けてからにしましょう。 下肢閉塞性動脈硬化症のセルフケアにおける5つのポイント ASOを管理するには、以下のようなポイントを抑えておくことが大切です。 フットケアを行う 高血圧を改善する 脂質異常症を改善する 血糖値をコントロールする 禁煙をする それぞれの詳細を解説します。 1.フットケアを行う ASOを管理するためには、以下のようなフットケアの実施が大切です。 フットケアの種類 詳細 足を冷やさない 足が冷えると血管が収縮してしまい血流が悪くなるため、以下のような方法で保温する。 靴下や電気毛布で足を温める 入浴や足浴をする 靴下は締め付けがきつすぎないものにする。 傷を作らない 小さな傷から感染症を引き起こすリスクがあるため、以下のことに注意する 足は清潔にして水虫予防をする 傷ができるリスクがあるため深爪しない 靴擦れのリスクを避けるため、足のサイズに合った靴を選ぶ 低温やけどに注意する 低温やけどから感染症を引き起こすリスクがある。電気あんかや湯たんぽ、カイロは直接肌に当てると低温やけどを起こすリスクがあるため、使用する際は間接的に保温する。 (文献4) 巻き爪は傷ができるリスクがあります。巻き爪がある方は形成外科などで治療してもらいましょう。 2.高血圧を改善する 高血圧は、動脈硬化(どうみゃくこうか:血管が弾力性を失っている状態)を引き起こすためASOを悪化させる原因です。ASOの方は以下の血圧値を目標として改善を目指しましょう。 年齢 降圧目標 75歳未満 130/80mmHg未満 75歳以上 140/90mmHg未満 (文献6) 高血圧の管理において減塩はとくに大切です。以下を参考にして減塩をしましょう。 麺類の汁は飲まない 外食や加工食品は避ける 薄味に味付けをする 香辛料や香草野菜、酸味などで味付けをする 調味料は酢やケチャップ、マヨネーズなど塩分が少ないものを上手に利用する 味噌汁などの汁物は具だくさんにして塩分量を減らす 漬物は自家製の浅漬けにして少量にする 3.脂質異常症を改善する 脂質異常症は下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の悪化に関係しています。悪玉コレステロール値や中性脂肪値が高いと動脈硬化を進行させるためです。一般的にASOと脂質異常症を合併している方は、薬物療法が検討されます。(文献6) 薬物療法だけでなく以下のことに注意して、脂質異常症の改善を目指しましょう。 禁煙をする(受動喫煙も避ける) 標準体重を目指す 過食をしない アルコールの過剰摂取をしない 肉類や乳製品、卵黄の摂取を控える 魚類や大豆製品をおかずにする 野菜類や果物類、海藻類、穀類(精製されていない物)の摂取を増やす 脂質異常症を改善するための運動療法に関しては、医師と相談しながら進めましょう。 4.血糖値をコントロールする 糖尿病患者様は血糖値のコントロールが重要です。糖尿病は末梢神経障害の発症が多く、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)と併存すると足病変(そくびょうへん:足に起こるトラブルの総称)を生じるリスクがあります。(文献6) 血糖値をコントロールするには、以下のような食習慣の改善が重要です。 ゆっくりとよく噛んで食べる 1日3食規則正しく食べる 食事は腹八分目にする 就寝前に食事や間食をしない 三大栄養素は炭水化物4〜6割、タンパク質2割、脂質2〜3割の割合にする 野菜類、海藻類、きのこ類、大豆製品、乳製品などさまざまな食品をバランス良く食べる 血糖値改善のための運動療法に関しては、医師と相談しながら進めましょう。 関連記事:糖尿病|食事で予防する、食生活を整えて病気の悪化や合併症を防ぐ 関連記事:糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 5.禁煙をする たばこは下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)を悪化させるだけではありません。ASOの治療方法である血行再建術(けっこうさいけんじゅつ:閉塞や狭窄した血管の血流を改善する治療)を実施した患者様の症状を再発させる恐れがあります。(文献4) これは、ニコチンに血管を収縮させる作用があるためです。他にも中性脂肪値を増加させるため、高血圧や脂質異常症、動脈硬化などを悪化させる原因にもなります。一人で禁煙できそうにない場合は、禁煙外来で医師に相談しましょう。 まとめ|下肢閉塞性動脈硬化症のマッサージ方法は医師に相談しよう 前提として下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対するマッサージは、自己流で行わず医師に相談しましょう。 深部静脈血栓が疑われる場合や重症度Ⅲ度とⅣ度のASOに対しては、マッサージを実施しないでください。 マッサージよりも、足を「保温する」「清潔にする」「傷を作らない」などのフットケアが大切です。また、高血圧や脂質異常症、糖尿病を合併している方は、それぞれの治療を進めて、食生活や運動習慣を見直してください。 ただし、運動療法の歩行は、病院で医療者の監督の下で実施するのが推奨されています。自宅で行う場合は医師の指導を受けてからにしましょう。 参考文献 (文献1) 冨岡 正雄,佐浦 隆一.「下肢DVT下でのリハビリテーション治療―整形外科疾患―」『Jpn J Rehabil Med』58(7), pp.724-730, 2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/58/7/58_58.724/_pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献2) 厚生労働省「深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)について」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000121801.pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献3) 林 富貴雄.「III. 治療と管理の実際 1.内科的治療(薬物療法運動療法)」『日本内科学会雑誌』97(2), pp.66-72, 2008年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/2/97_332/_pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献4) 国立循環器病研究センター「閉塞性動脈硬化症」国立循環器病研究センターホームページ https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/cvs/vascular/vascular-tr-03/(最終アクセス:2025年5月20日) (文献5) 日本医療機能評価機構「【3】下肢閉塞性動脈硬化症の患者への弾性ストッキング装着に関連した事例」日本医療機能評価機構ホームページ https://www.med-safe.jp/pdf/report_2016_4_T003.pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献6) 日本循環器学会「2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン」日本循環器学会ホームページ https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/JCS2022_Azuma.pdf(最終アクセス:2025年5月20日)
2025.05.27 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
2024年に東京iCDCリスクコミュニケーションチームが実施した都民1万人アンケート調査によれば、2か月以上コロナ後遺症に苦しんだ成人は23.4%にものぼっていました。(文献1) 新型コロナ感染症罹患後の後遺症については、かかった人の年齢、性別問わず多くの報告が寄せられています。 多くの症状が確認されており、いまだ解明されていないことも少なくありません。 意識が朦朧とする「ブレインフォグ」が一時期話題となりましたが、実は「筋肉痛」も後遺症として現れることをご存知でしょうか。 この記事では、コロナ後遺症として報告されている筋肉痛について、原因や治療法を解説します。 コロナにかかってから筋肉痛が治らない、運動していないのに筋肉痛がするという人はぜひ参考にしてみてください。 \コロナ後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 従来の治療では改善が見られなかった方に対して、幹細胞を用いた再生医療が注目されています。 患者様ご自身の細胞を活用し、ダメージを受けた神経や組織の修復・免疫機能の正常化をサポートすることで、倦怠感や筋肉痛などの後遺症改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 これまでの治療を受けても症状が改善しない方 筋肉痛や倦怠感で日常生活に支障を感じている方 後遺症が3か月以上続いている方 今、コロナ後遺症の筋肉痛で苦しんでいる場合、1人で悩まずに、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 コロナ後遺症の筋肉痛・関節痛は気のせいではない コロナ後遺症について、WHOは以下のように定義しています。 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に罹患した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないものである。 通常はCOVID-19の発症から3ヵ月経った時点にもみられる(文献7) 厚生労働省が北海道札幌市と大阪府八尾市を対象に行った調査では、新型コロナウイルス感染3か月後も何らかの症状が続いていると答えた人が八尾市で「14.3%」、札幌市では「20.9%」にものぼりました。(文献2) コロナ後、原因不明の体調不良に悩まされている人が15%前後いたのです。 コロナ後遺症に悩まされる人の多くが「倦怠感」「集中力の低下」「身体の痛み」を訴えています。 新型コロナウイルスが流行した当初は研究が進んでおらずコロナとの関連性が明確ではありませんでしたが、現在ではコロナ後遺症はひとつの病状として世界が認めているのです。 コロナ後遺症による筋肉痛の症状・特徴 実際にコロナ後遺症でどのような症状が起こるのかを以下で紹介します。 コロナ後遺症の筋肉痛の症状・特徴 筋肉痛以外の後遺症 通常の筋肉痛との違いや、筋肉痛以外のコロナ後遺症の症状についても項目ごとに解説します。 コロナ後遺症の筋肉痛の症状・特徴 コロナ後遺症による筋肉痛の症状の特徴として、身体全体に痛みが見られるという点が挙げられます。 通常起こる筋肉痛は、運動などによって筋肉組織が損傷を起こし、その修復過程で炎症が起こることで痛みが発生します。 そのため、通常の筋肉痛では運動でよく使った一部の筋肉が痛みます。 しかし、コロナ後遺症の筋肉痛の場合はウイルスが原因で起こっているため、全身が痛むのです。 また、通常の筋肉痛は、運動の負荷にもよりますがおよそ2~4日ほどで治ることがほとんどです。 一方コロナ後遺症の筋肉痛は長期化することも多く、長ければ数か月痛みが続くこともあります。 そのほかにも通常の筋肉痛とコロナ後遺症による筋肉痛には違いがあります。表で比較してみましょう。 特徴 コロナ後遺症の筋肉痛 通常の筋肉痛 原因 免疫異常・炎症反応・神経障害(自己免疫など) 運動などによる筋繊維の損傷 発症のきっかけ 運動していないのに痛くなる 激しい運動や普段しない運動をした後 痛みの性質 持続的、身体が重い 鋭い痛みや張り感 場所 広範囲(肩・背中・太ももなど) 痛む場所が移動することもある 使った部位に限定される 持続時間 数週間〜数か月続くことも 通常は2〜3日で軽快 他の症状 倦怠感・ブレインフォグ・息苦しさなどを伴う 通常は痛み以外の症状はない 検査で異常 炎症マーカー上昇や自己抗体が見つかる場合あり 基本的に異常なし 通常の筋肉痛と違う点を感じたら、まずは医師に相談してみましょう。 筋肉痛以外の後遺症 筋肉痛以外のコロナ後遺症については、以下の症状が報告されています。 ブレインフォグ 疲労感・倦怠感 関節痛 咳、喀痰、息切れ 胸痛 脱毛 記憶障害 集中力低下 頭痛 抑うつ 嗅覚・味覚障害 動悸 下痢、腹痛 睡眠障害 一見すると風邪症状に見えるものも多く、コロナ後遺症と結びついていなかったという人もいるかもしれません。 また、複数の症状が併発することが多い点もコロナ後遺症の特徴です。 なぜコロナ後遺症で筋肉痛が起きるのか コロナ後遺症で筋肉痛が発生するメカニズムについては研究が進んでいます。 通常の筋肉痛は運動を行うことにより筋繊維が破壊されることで発生しますが、コロナ後遺症による筋肉痛はその限りではありません。 近年の研究をもとに、コロナ後遺症で筋肉痛が起こる原因を以下で紹介します。 コロナ罹患により体内のエネルギーをつくる力が低下する コロナウイルスと自己免疫の関係 コロナ罹患後の運動が逆効果になることも コロナ罹患により体内のエネルギーをつくる力が低下する 2024年に海外で、コロナ後遺症の患者25名と新型コロナ感染症に罹患したものの後遺症の症状のない患者21名を集め、エアロバイクを10分~15分間こぐサイクリングテストが実施されました。(文献3) この実験の結果、コロナ後遺症の患者は健康な被験者と同量の運動でも、運動後筋力が低く酸素摂取量も少なかったことがわかりました。 また、コロナ後遺症患者の筋繊維中にあるミトコンドリアについて調べたところ、ミトコンドリアの機能が低下していることがわかりました。(文献5) ミトコンドリアの主な機能は細胞のエネルギーを生成することです。この機能が弱まっているため、筋肉痛が長引いているのではないかと考えられています。 コロナウイルスと自己免疫の関係 近年の研究では、コロナ罹患後に自己免疫疾患、炎症疾患のリスクが高まることが報告されています。(文献4) この研究では観察期間180日を超える新型コロナウイルス患者約314万例、そうではない人約376万例の計約690万例を検証しました。 その結果、新型コロナウイルスに罹患した人は関節リウマチや脱毛症といった自己炎症性疾患を患うリスクが高いことがわかりました。 自己炎症性疾患には筋肉痛を伴う病気もあります。長期化している場合は炎症疾患の可能性も考慮し、医師への相談も検討したほうがよいでしょう。 コロナ罹患後の運動が逆効果になることも 体力を回復しようと運動を行うと、さらに後遺症がひどくなってしまう可能性があるため注意が必要です。 コロナウイルスによって免疫機能が低下している場合、運動によって損傷を受けた筋肉繊維の回復に時間がかかってしまいます。 ダメージを受けたことによって、炎症を起こすリスクもあり、結果として筋肉痛の回復が遅れてしまう可能性もあります。まずは、かかりつけの医師に相談し、過度な運動は控えるようにしましょう。 コロナ後遺症による筋肉痛の治療法 コロナ後遺症による筋肉痛は時間経過によって治ることが多いとされています。厚生労働省の調査では、罹患18か月後に後遺症を訴える人は成人ではおよそ5%、小児では1%ほどでした。(文献2) 治療の基本としては痛みを抑える薬物療法が推奨されています。 しかし、コロナ後遺症の筋肉痛は様々な要因が絡んでいる可能性が高いといわれています。長期化している場合はリハビリテーションの実施も検討すべきでしょう。 また、精神的な要因が潜んでいる場合もあります。心理面でのケアも含め、多方面でのアプローチが必要になります。 コロナ後遺症の治療としての選択肢「再生医療」とは https://youtu.be/aTnT8dbLjSs コロナ後遺症には、再生医療という治療の選択肢もあります。 再生医療とは患者様自身から幹細胞を採取・培養し、患部に投与する治療法です。 幹細胞は「分化能」という、さまざまな組織の細胞に変化する能力があります。 \コロナ後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 【こんな方は再生医療をご検討ください】 これまでの治療を受けても症状が改善しない方 筋肉痛や倦怠感で日常生活に支障を感じている方 後遺症が3か月以上続いている方 今、コロナ後遺症の筋肉痛で苦しんでいて少しでも改善の可能性を探したいという方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 まとめ|コロナ後遺症の筋肉痛は時間経過で治ることが多い!不安な場合はすぐかかりつけ医師に相談を コロナ後遺症のひとつとして、筋肉痛はよく見られる症状のひとつです。 近年の研究では免疫や細胞の再生力の低下により、炎症を引き起こし筋肉痛を伴っている可能性が高いとされています。 コロナ後遺症による筋肉痛は時間経過によって治ることが多いため、継続的な薬物療法やリハビリテーションが効果的です。 また、コロナ後遺症の治療としては、再生医療という選択肢もあります。 長期的なコロナ後遺症に悩まされている人は、まずは当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 参考文献 (文献1) 東京iCDCリスクコミュニケーションチームによる都民1万人アンケート調査結果(2024年2月実施)|東京都 (文献2) 新型コロナウイルス感染症(COV ID-1 9)の罹患後症状について(研究報告、今後の厚生労働省の対応)|厚生労働省 (文献3) Muscle abnormalities worsen after post-exertional malaise in long COVID|Nature Communications (文献4) Yeon-Woo Heo,et al.(2024)JAMA dermatology|JAMA dermatology (文献5) Muscle abnormalities worsen after post-exertional malaise in long COVID| Nature Communications (文献6) 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A|厚生労働省
2025.05.27 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
「最近、いびきがひどいと家族に言われて気になっている」「朝起きるとのどが渇いている」 そんな悩みを持っていませんか? いびきは命の危険を伝えるサインの場合があります。 厚生労働省が発表している「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でもいびきの危険性が指摘されています。(文献1) いびきは睡眠時無呼吸を引き起こし、放っておくと脳梗塞につながる危険な症状のひとつです。 この記事ではいびきと脳梗塞の関係性や危険なサインの見分け方、予防法について解説します。 自分のいびきが気になる方、家族のいびきに異変を感じている方はぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 いびきについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脳梗塞といびきの関係 脳梗塞といびきは密接に関係しています。 脳梗塞の発症がいびきを引き起こすケースがある一方で、慢性的ないびきが脳梗塞の原因となることもあります。 とくに睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、死亡リスクの高い脳梗塞や心不全を併発する恐れがある疾患です。本人が睡眠中の症状を把握することは困難なため、起床時や日中の体調変化に注意を払う必要があります。 脳梗塞が原因で起こるいびき これまで静かに就寝していた人が急に大きないびきをかくようになった場合や、いびきの音が不規則になった場合は、脳梗塞を発症している可能性があります。 脳梗塞は、脳の血管が詰まったり、細くなったりすることで血流が滞り、酸素やエネルギーが十分に行き渡らず脳細胞が破壊される病気です。 脳梗塞により意識障害や麻痺を起こすと、喉周辺の筋肉が弛緩し、重力によって舌が気道を塞ぐことで激しいいびきを引き起こすのです。 脳梗塞が原因のいびきには、以下の症状が同時に見られることがあります。 揺すっても起きない 手足の動きが鈍い、または麻痺している 呼吸が不規則、または息が止まることがある とくに意識が朦朧としている状態では一刻を争います。 直ちに医療機関を受診するか、救急車を呼んでください。 脳梗塞の症状や原因など、包括的な解説は以下のページもご参照ください。 いびきが引き金で起こる脳梗塞 いびきが脳梗塞を引き起こす原因になる場合もあります。 いびきは気道が狭くなることで、空気の通りが悪くなり生じます。 呼吸効率が低下すると血液中の酸素が不足し、心臓は不足分を補うために過度な負荷をかけて血液を送り出そうとします。 その結果、血圧が上昇し血管に負荷がかかることで、動脈硬化が進展し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるのです。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防や後遺症の治療としては、再生医療という選択肢もあります。再生医療について詳細は、以下のページをご覧ください。 睡眠時無呼吸症候群(SAS)による脳梗塞リスクの上昇 睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に10秒以上呼吸が止まっている状態が1時間に5回以上繰り返される病態を指します。(文献2) 診断には「睡眠ポリグラフ検査」が用いられ、時間あたりの無呼吸・低呼吸の合計回数を示す「無呼吸低呼吸指数(AHI)」で重症度を判定し、数値が高いほど重症と判断されます。睡眠中に呼吸が止まる時間が長くなるほど身体への負担は増加しがちです。 睡眠中に無呼吸が生じると、血中の酸素濃度が低下します。酸素不足を補うため心臓への負荷が増大し、結果として血圧が上昇します。慢性的な血圧上昇は血管壁にダメージを与え、最終的に脳梗塞のリスク上昇につながるのです。 SASを疑うべき代表的な自覚症状には以下のものがあります。 【起床時に現れる症状】 口の中が渇いている、またはべたついている すっきり目覚められない、寝た気がしない 身体が重く疲労感がある 起床時に頭痛がする 夜中に何度も尿意で目が覚める 【日中の症状】 強烈な眠気に襲われ、集中力が維持できない 常に倦怠感があり、気分が沈みやすい これらの症状は、無呼吸による低酸素状態が血管を傷つけ、脳梗塞のリスクを高めている前兆です。 なお、海外で行われた研究では、脳卒中を発症または死亡した対象者1,022名のうち、697人(68%)が閉塞性睡眠時無呼吸症候群を患っていたことが示されました。(文献3) SASは睡眠中の症状であるため、自分では気づきにくい病気です。自覚症状が日常的に見られる場合はSASを疑い、専門医への相談を検討してください。 脳梗塞によるいびきが示す危険なサイン 慢性的にいびきをかいている人や、これまでとは異なる特徴的ないびき、身体症状を伴う場合は注意が必要です。この項目では、一刻を争う救急要請の目安となる「危険ないびき」のサインを解説します。 意識障害 睡眠中、家族が揺すってもまったく起きない、あるいは呼びかけに対して意識が朦朧(もうろう)としている状態でのいびきは、極めて危険なサインです。一刻を争うため、すぐに救急車を呼んでください。 脳梗塞による意識障害が生じると、喉や舌を支える筋肉のコントロールが失われます。その結果、舌根が沈下して気道を塞ぎ、いびきのような音が発生します。 このような状態では脳の機能が著しく低下しているため、直ちに医療機関を受診する必要があります。 手足の麻痺・顔のゆがみ いびきに加えて、身体の片側に麻痺やしびれが生じている場合は、脳梗塞の発症が疑われます。 脳血管が詰まると、その領域が司る運動機能に支障をきたし、手足の動きが鈍くなる、あるいは完全に動かなくなる症状が現れます。 脳卒中の兆候を判断する指標として、国際的な指標「FAST」というチェック法が推奨されています。(文献4) F(Face):顔の片側が下がっている、ゆがんでいる A(Arm):両腕を前に伸ばしたとき、片方が下がる S(Speech):言葉が出ない、ろれつが回らない T(Time):上記の症状が出た時刻を記録し、すぐに救急車を呼ぶ いびきとともにこれらの症状が一つでも確認された場合、脳梗塞の可能性が高く、時間が経つほど脳へのダメージが拡大します。 症状に気づいた時刻を記録し、すぐに119番へ連絡してください。 脳卒中の前兆について詳しく知りたい方は、以下もご参照ください。 チェーン・ストークス呼吸 脳梗塞などの脳血管障害によって呼吸中枢が正常に機能しなくなると、「チェーン・ストークス呼吸」と呼ばれる異常な呼吸パターンが現れることがあります。 これは、呼吸が徐々に深くなった後に浅くなり、一時的に止まるというパターンを繰り返す異常呼吸です。 呼吸を再開する際や深くなる瞬間に、いびきに似た激しい喉の音を伴います。本人は気づきにくいため、家族や同室者が異変に気づくケースが多い症状です。 この呼吸は心不全や重度の脳障害の可能性があり、生命に関わる危険な状態です。 すぐに声をかけて反応を確認し、意識がない場合は救急車を呼んでください。 けいれんを伴ういびき 脳梗塞の影響で、てんかん発作によるけいれんといびきが同時に起こる場合があります。 体が硬直する、手足がガクガクと震えるといった動きを伴う場合はとくに危険な状態です。 発作中は気道が狭まりやすく、いびきのような音や荒い呼吸音が生じます。 けいれん中は無理に体を押さえたり、口に物を入れたりせず、体を横向きにして気道を確保しましょう。 発作が続く場合、または繰り返される場合はすぐに119番へ連絡してください。 脳梗塞による危険性(緊急性)が低いいびき すべてのいびきが脳梗塞と関係しているわけではありません。原因や症状の程度によっては、緊急性が低いいびきも存在します。自分や家族のいびきがどの状態に当てはまるかを把握し、適切な対処につなげましょう。 単純性いびき症 単純性いびき症とは、日中の疲労や飲酒、風邪症状などによって引き起こされる一時的ないびきです。危険性は低く、原因を解消することで治まる場合がほとんどです。 主な原因は以下の通りです。 心身的な疲労 飲酒 鼻づまりなどの風邪症状 単純性いびき症の場合でも、体格や骨格の影響で大きないびきが出る場合があります。慢性的なものでなければ、いびき用マウスピースの使用で軽減できる場合もあります。 上気道抵抗症候群 上気道抵抗症候群とは、睡眠中に喉や鼻といった上気道の空気の流れが滞り、呼吸がスムーズにできなくなる睡眠障害のひとつです。 いびきのほかに睡眠中の浅い呼吸、日中の強い眠気などの症状が見られます。 睡眠時無呼吸症候群と症状は似ていますが、重症度は低く、無呼吸低呼吸指数(AHI)が5未満の場合に該当します。 緊急性は低いものの、放置すると睡眠時無呼吸症候群に移行するリスクがあるため、慢性的ないびきや日中の眠気が続く場合は、早めの専門医への相談が勧められます。 脳梗塞後の後遺症といびきについて 脳梗塞を一度発症した後も、いびきの管理は重要です。 脳梗塞による後遺症がいびきを慢性化させ、さらなる再発リスクを高める悪循環が生じる場合があります。 いびきが慢性化する主な原因は以下の通りです。 運動麻痺:喉や口腔内の筋肉が麻痺することで、気道を維持する力が弱まり、睡眠中に気道が閉塞しやすくなります。 嚥下障害:飲み込みに関わる機能が低下すると気道のコントロールが難しくなり、呼吸リズムが乱れます。 意識レベルの低下:意識レベルが低下した場合、呼吸中枢の指令が乱れ、異常な呼吸音(いびき)や無呼吸が発生しやすい状態です。 後遺症によるいびきは、睡眠中の低酸素状態を引き起こし、脳の回復を妨げるだけでなく、脳卒中の再発リスクを上昇させます。 脳梗塞を発症した後にいびきが出始めた、または悪化したという場合は、早めに主治医に相談してください。 脳梗塞の予防といびき対策 脳梗塞の予防には、いびきの根本原因にアプローチし、睡眠中の呼吸状態を正常化させる必要があります。 とくに慢性的に大きないびきをかいている方は、生活習慣の改善と、専門的な治療の検討が有効です。 生活習慣の改善 単純性いびき症を除き、いびきの主な原因は肥満です。首の周りに蓄積した脂肪により、物理的に気道が圧迫されて狭くなるためです。 日本呼吸器学会の診療ガイドラインでは、体重が10%増加すると中等症の睡眠時無呼吸症候群(AHI15以上)を発症するリスクが6倍になると報告されています。(文献2) 適切な減量がいびきや睡眠時無呼吸症候群の改善につながります。減量療法は、食事と運動の2つの柱を中心に行います。 食事療法の徹底:摂取カロリーの管理と栄養バランスの適正化 継続的な運動:体重の増減にかかわらず、運動自体が気道を支える筋肉の緊張を維持し、AHIを改善させる また、横向き寝や飲酒のタイミングの見直しも効果的です。 仰向け寝は重力で舌根が沈下しやすいため、抱き枕などを用いて側臥位(横向き)を保つことでいびきを抑制できます。 アルコールは喉周辺の筋肉を弛緩させ、気道が塞がりやすい状態を作ります。就寝前の飲酒はいびきを悪化させるため、量と時間帯に注意が必要です。 減量や生活習慣の改善だけで改善が見られない場合は、早めに専門医に相談し、別の治療も検討してください。 医療機関での治療 生活習慣の改善で効果が不十分な場合、医療機関での治療が選択肢になります。主な治療法は以下の2点です。 CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法):睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を持続的に開いた状態に保つ治療法です。中等症以上の睡眠時無呼吸症候群に対して有効性が認められています。 マウスピース(口腔内装置):睡眠中に装着することで下顎を前方に固定し、気道を広げる治療法です。軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群や、CPAPが使用しにくい場合の代替治療として用いられます。 どちらの治療法が適しているかは症状の重症度によって異なります。 まずは医療機関で睡眠検査を受け、専門医の判断のもとで治療法を選択してください。 【脳梗塞のいびきへのアプローチ】再生医療」という選択肢 脳梗塞の後遺症や再発リスクの管理において、急性期の薬物療法や外科的治療、その後のリハビリテーションが重要です。近年はこれらに加え、再生医療という選択肢が注目されています。 再生医療とは、患者さん自身の細胞を活用して、損傷した組織の修復・再生を目指す治療法です。 リペアセルクリニックでは、脂肪由来の幹細胞を用いた治療を提供しています。 脳梗塞によってダメージを受けた脳神経へのアプローチを目的とし、入院を必要とせず、日帰りでの施術が可能です。 標準治療やリハビリを続けながらも、後遺症や再発への不安が残る方にとって、再生医療は新たな選択肢となります。脳卒中の再発予防や後遺症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 脳梗塞といびきの関係性を理解して適切に対応しよう 脳梗塞といびきは、双方向の深い関係があります。 いびきは気道が狭まり、呼吸効率が低下することで起こります。 心身の疲労や風邪などによる一時的ないびきであれば過度な心配は不要ですが、慢性的にいびきをかいている場合は注意が必要です。気道が狭まった状態が続くと血液中の酸素が不足し、血圧上昇や血管へのダメージを通じて脳梗塞のリスクが高まります。 また、脳梗塞を発症したサインとしていびきが生じることもあります。揺すっても起きない、呼吸がおかしいなど普段と異なる症状が見られたら、すぐに医療機関を受診しましょう。 いびきが慢性化すると、睡眠時無呼吸症候群に移行するリスクがあります。日中に強い眠気がある、夜中に目が覚めるといった症状が続く場合は、早めに専門医に相談してください。 いびきの主な原因は肥満です。食生活の改善や適度な運動による生活習慣の見直しが有効です。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防や後遺症でお悩みの方は、再生医療という治療の選択肢もあります。再生医療について気になる方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 いびきについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脳梗塞といびきに関するよくある質問 危険ないびきの見分け方はありますか? 以下の4つのサインが見られる場合、脳梗塞の可能性があります。 意識障害:揺すっても起きない、声をかけても反応がない 手足の麻痺・顔のゆがみ:片側の手足が動かない、顔が左右非対称にゆがんでいる 呼吸の異常:呼吸が深くなったり浅くなったりを繰り返し、一時的に止まる(チェーン・ストークス呼吸) けいれんを伴ういびき:体が硬直する、手足がガクガクと震えるなどのけいれんを伴ういびき このような症状が見られた場合は、すぐに救急車を呼んでください。 脳梗塞の前触れとなる症状はありますか? 脳卒中(脳梗塞・脳出血など)のサインとして、世界的に「FAST」という指標が用いられます。 F(Face):顔の片側が下がっている、ゆがんでいる A(Arm):両腕を前に伸ばしたとき、片方が下がる S(Speech):言葉が出ない、ろれつが回らない T(Time):上記の症状が出た時刻を記録し、すぐに救急車を呼ぶ これらの症状は、いびきが始まる前、あるいは同時に現れやすい重要な前兆です。 一過性で数分以内に消える場合もありますが、油断は禁物です。一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があり、その後に本格的な脳梗塞を発症するリスクがあります。症状が治まったからと安心せず、必ず医療機関を受診してください。 脳卒中の前兆となるサインについて、以下もご参照ください。 意識を失いいびきをかくのはどういう場合ですか? 主に以下の3つの病態が考えられます。 1. 脳梗塞による意識障害:脳のダメージで意識が低下し、喉の筋肉が弛緩して気道を塞ぐことで大きないびきが生じます。 2. チェーン・ストークス呼吸:脳の呼吸中枢が障害され、無呼吸と大きな呼吸(いびき音を伴う)を交互に繰り返す異常呼吸です。 3. けいれん発作:脳梗塞に伴うてんかん発作により、意識消失と筋肉の硬直、および激しいいびきが同時に発生することがあります。 いずれの場合も脳梗塞の可能性があり、一刻を争います。このような症状が見られた場合は、救急車を呼びましょう。 参考文献 (文献1) 健康づくりのための睡眠ガイド2023 (文献2) 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020|日本呼吸器学会 (文献3) Obstructive sleep apnea as a risk factor for stroke and death. (文献4) Stroke Symptoms|American Stroke Association
2025.05.27 -
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
「肉離れにはどんな後遺症がある?」 「適切に治療しないで放置するとどんなリスクがある?」 初めて肉離れを経験した方は、このような不安を感じてしまうのではないでしょうか。 肉離れは適切な応急処置を行わずに放置すると、血腫(けっしゅ:体内の一部に血が溜まること)が形成されて後遺症の発生リスクが高まります。 後遺症を防ぐには、受傷直後の応急処置や重症度別の治療の実施が大切です。 本記事では、肉離れの後遺症をはじめとして以下を解説します。 後遺症を発生させず速やかに元の活動レベルに戻すためにも、本記事で肉離れの後遺症について理解を深めてください。 また「肉離れの痛みがなかなか取れない」「運動するとすぐ再発してしまう」という方には、再生医療も選択肢の一つになります。 \肉離れの後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 以下のように患者様ご自身の血液から抽出した血小板の濃縮液(PRP)を患部に注射することで、損傷した筋肉や腱の修復を促し、自然治癒力を高めることが期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 肉離れの痛みが長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 「早く痛みから解放されたい」「パフォーマンスを取り戻したい」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングをご利用ください。 再生医療の治療法については、以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/CPxLOR8D6X0?feature=shared 肉離れの後遺症はつっぱり感や可動域の制限 肉離れの後遺症には、以下のようなものがあります。 つっぱり感 可動域の制限 筋力低下 筋力のアンバランス 筋肉の柔軟性の低下 痛み これらの後遺症があると、運動に制限がかかり再受傷してしまうリスクがあります。後遺症を発生させないためには、受傷直後の応急処置と重症度別の治療が大切です。 (文献1) 肉離れを放置してはならない理由 肉離れが起きた際は、たとえ軽い痛みであったとしても放置してはいけません。肉離れは、受傷直後の症状だけでは重症度を判断できないためです。(文献2)受傷直後の痛みが軽度であっても、時間とともに血腫が形成されていくことがあります。 血腫が形成されると、痛みや腫れが悪化して関節の可動域が制限される恐れがあります。肉離れによる痛みや腫れを悪化させないためには、後述する応急処置であるRICE(ライス)や適切な治療が大切です。 後遺症につながる肉離れによる2つの合併症 肉離れを適切に治療しなければ、以下のような合併症につながるリスクがあります。 合併症 詳細 コンパートメント症候群 筋肉の壊死(えし:組織が壊れてしまうこと)や神経障害による後遺症が発生する。 骨化性筋炎 骨性の組織が形成されて可動域が制限される。 それぞれの詳細を解説します。 1.コンパートメント症候群|筋肉の壊死や神経障害による後遺症が発生する コンパートメント症候群とは、筋肉の壊死や神経障害が起こることです。肉離れが原因の場合は以下のような流れで起きます。 筋肉内の出血や腫れが重度になる 出血や腫れにより筋肉内の圧力が高まる 圧力により血流が悪くなる コンパートメント症候群は、重大な後遺症が発生する恐れがあります。主な症状は以下の通りです。 耐え難い痛み 水ぶくれを伴う重度の腫れ 知覚障害 運動麻痺 これらの症状が現れた場合は、コンパートメント症候群を疑い速やかに外科手術を受ける必要があります。(文献3) 2.骨化性筋炎|骨性の組織が形成されて可動域が制限される 骨化性筋炎(こつかせいきんえん)とは、骨と筋肉のすき間や筋肉内に骨性の組織が形成されることです。筋肉内の血腫や骨膜の損傷が起きた際に、数週間をかけて形成されることがあります。(文献3) 骨化性筋炎が起きると、骨関節の可動域が制限される後遺症が発生する恐れがあります。この後遺症は治りにくいのが特徴です。骨化性筋炎を起こさない方法は、肉離れ後に適切な治療を受けることです。 肉離れの後遺症を防ぐには受傷直後の処置が大切 肉離れの後遺症を防ぐには、受傷直後にRICEという応急処置の実施が大切です。RICEの処置内容は以下の通りです。 RICE 処置目的 処置内容 Rest(安静) 安静により血管・神経の損傷や腫れを防ぐ。 受傷部位を動かしたり体重をかけたりしないで安静にする。テーピングや固定具で動かないように支える。 Icing(冷却) 壊死や腫れを抑える。 氷のうやアイスパックで15~20分冷やし、感覚がなくなったら外す。痛みがあれば繰り返す。 Compression(圧迫) 内出血や腫れを防ぐ。 腫れが予想される部位にテーピングパッドやスポンジを当てて、弾性包帯やテーピングで軽く圧迫しながら固定する。 Elevation(高挙) 腫れを予防する、または軽減する。 台などを使い受傷部位を心臓よりも高く挙げる。 (文献4) この4つの頭文字をとってRICEと呼びます。肉離れが起きた直後にRICEの応急処置を実施すれば、血腫や腫れを軽減でき後遺症のリスクを下げられます。 受傷直後は、損傷や炎症を悪化させる恐れがあるため揉んだり温めたりしてはいけません。RICEの応急処置を行ったあとは、整形外科を受診して医師の指示に従ってください。 肉離れの後遺症を防ぐ重症度別の治療方法 肉離れの後遺症を防ぐには、重症度別の適切な治療とリハビリを行う必要があります。肉離れの重症度は以下のように分けられます。 重症度 損傷部位の状態 I型 筋繊維がわずかに損傷した状態 II型 筋繊維の一部が断裂した状態 III型 筋繊維が完全に断裂した状態 ここからは重症度別の治療方法を解説します。 1.I型|筋繊維がわずかに損傷した状態 I型は、筋繊維がわずかに損傷した状態で軽度の肉離れです。画像所見では、筋肉と腱の接続部分の周囲や筋肉に出血が見られます。(文献5) ストレッチ痛を伴わないのが特徴です。症状の有無と画像検査によりI型であるかどうかを診断します。I型の治療方法は安静を主体とする保存的治療です。 数日から1週間の間、受傷部位を安静にしたのちリハビリを始めます。基本的な動きやスポーツ動作を確認しながら、スポーツに復帰できるかを判断します。 2.II型|筋繊維の一部が断裂した状態 II型は、筋繊維の一部が断裂した状態で中等症の肉離れです。画像所見では、筋肉と腱の接続部分に損傷が見られます。(文献5) 明らかなストレッチ痛があるのが特徴です。II型は2週間を基本に保存的治療を行い、リハビリも含めると回復まで平均6週間ほどかかります。保存的治療の後、以下の確認後にリハビリを開始します。 熱感 腫れ 圧痛 しこりの有無 運動動作 画像所見 筋肉量が少ない筋肉と腱の接続部分に損傷が起きた場合は、十分に回復できない恐れがあります。このような場合は手術の検討が必要です。また、運動時の痛みが長引く場合も手術を検討しなければなりません。 3.III型|筋繊維が完全に断裂した状態 III型は、筋繊維が完全に断裂した状態で重傷の肉離れです。画像所見では、筋肉をつなぐ腱の断裂、または腱の接続部分の引き抜けが見られます。(文献5) III型は自然治癒が見られたとしても、筋肉の収縮力が損失する恐れがあるため手術が必要です。手術後は、2〜3週間の安静後、3〜6週間かけて正常な関節可動域を目指します。 主な手術の適応部位は以下の通りです。 アキレス腱断裂 ハムストリングス近位付着部損傷 大腿四頭筋遠位付着部損傷 大胸筋遠位付着部損傷 上腕二頭筋長頭腱損傷 いずれの部位も手術後は良好に筋力が回復し、近年では過去に受傷した肉離れであっても手術により十分な筋力回復が見込めるケースが示されています。(文献5)とはいえ、肉離れは放置しないで受傷直後から適切な診断と治療を受けることが望ましいです。 なお、肉離れなどのスポーツ外傷に対する治療としては、再生医療という選択肢もあります。再生医療に関して、詳しくは以下をご覧ください。 肉離れ予防のため3つのポイント 肉離れは「受傷した部分に疲労がたまっていた」「筋肉がほぐれていなかった」などが原因で起きます。 そのため、以下のようなポイントを抑えることで肉離れのリスクを軽減できます。 運動動作に適した筋力を鍛える 運動前はウォーミングアップを行う 疲労回復や運動後のケアを心がける それぞれの詳細を解説します。なお、今回はハムストリングを例にして解説しています。 1.運動動作に適した筋力を鍛える 肉離れを起こさないためには、運動動作に適した筋力を鍛える必要があります。 ハムストリングにおける肉離れ予防のトレーニングを紹介すると以下の通りです。 ヒップリフト 1.膝を曲げた状態で仰向けになる 2.仰向けのままお尻を上げる 3.肩から膝まで一直線になった状態で30秒キープ (文献6) お尻と太もも裏が効いていることを感じられれば正しくできています。片足を挙げた状態をキープすれば負荷を高められます。 2.運動前はウォーミングアップを行う 運動前のウォーミングアップやストレッチは、肉離れ予防につながります。ウォーミングアップは筋肉が温められ、筋肉の収縮や協調性が十分に発揮される状態になるためです。 ストレッチも十分に行い筋肉の柔軟性が保たれていれば、さらに肉離れの予防につながるでしょう。 3.疲労回復や運動後のケアを心がける 疲労は筋肉のパフォーマンスを低下させ、受傷リスクが高まります。 身体的疲労だけでなく、精神的な疲労が溜まっている場合も十分な休息が大切です。運動後のマッサージ等のケアは、疲労回復を期待でき肉離れ予防につながります。 肉離れの後遺症を防ぐため受傷後すぐに治療をしよう 肉離れによる後遺症を防ぐためには、まず受傷直後にRICEの応急処置を行うことが大切です。 その後、医療機関を受診して重症度に応じた適切な治療を受けてください。 「軽い痛みだから」と放置してしまうと血腫が大きくなり、後遺症が発生するリスクが高まることがあります。 治療後は、運動動作に応じたリハビリや運動前後のケアを怠らず、再受傷の予防に努めることも大切です。 また肉離れの手術や長期的なリハビリに不安や抵抗がある方は、再生医療の一種であるPRP(多血小板血漿)療法という選択肢もあります。 PRP療法は、患者様自身の血液から抽出した成長因子を豊富に含む血漿成分を患部に投与することで、組織の修復・再生を促進する治療法です。 できるだけ早く組織の回復を助けることで、しこりや筋肉のこわばりなどの後遺症を減らし、スムーズな回復を目指せます。 「早く競技に復帰したい」「再発や後遺症が不安」「手術は避けたい」という方は、ぜひ一度当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 参考文献 (文献1) 奥脇 透.「1.肉離れの診断と治療」『日本臨床スポーツ医学会誌』24(3), pp.331-333, 2016年 https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/24-3/331-333.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献2) 日本臨床整形外科学会「【誤った知識】肉ばなれは放っておけば治る」日本臨床整形外科学会ホームページ https://jcoa.gr.jp/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E7%9B%B8%E8%AB%87/%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%81%8F%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%92%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB/%E3%82%88%E3%81%8F%E8%A6%8B%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%8C%E8%AA%A4%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%9F%A5%E8%AD%98%E3%80%8D/%E3%80%90%E8%AA%A4%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%9F%A5%E8%AD%98%E3%80%91%E8%82%89%E3%81%B0%E3%81%AA%E3%82%8C%E3%81%AF%E6%94%BE%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%81%91%E3%81%B0%E6%B2%BB%E3%82%8B/(最終アクセス:2025年5月19日) (文献3) 恩賜財団済生会「筋挫傷(きんざしょう)」恩賜財団済生会ホームページ https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/muscle_strain/(最終アクセス:2025年5月19日) (文献4) 日本スポーツ整形外科学会「3.スポーツ外傷の応急処置(RICE処置の実際)」日本スポーツ整形外科学会ホームページ https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s03.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献5) 奥脇 透.「肉離れに関する最新の指針」『日本体育協会スポーツ医・科学研究報告』5, pp.1-29, 2008年 https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/studiesreports/2001_2020/H2005.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献6) 日本大学「体感トレーニング~応用編~」日本大学ホームページ https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBScommon/gakuseika/sportZERO/2024_04month.pdf(最終アクセス:2025年5月19日)
2025.05.27 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「尿酸値を下げるためには何を食べたり飲んだりすれば良いの?」 「摂取を控えたいプリン体の多い食品は?」 尿酸値が高いと指摘された方は、このようなことを知りたいのではないでしょうか。尿酸値のコントロールにおいて食事内容は重要です。 プリン体が多い食品を避けるのはもちろん大切ですが、尿酸値を下げる食べ物・飲み物を意識的に摂れば、高尿酸血症の改善に役立つでしょう。 本記事では、尿酸値が高めと指摘された方に対して以下を解説します。 尿酸値を下げる食べ物・飲み物 摂取を控えたいプリン体の多い食品 尿酸値を下げる3つのポイント コーヒーと尿酸値の関係について 尿酸値を下げる食べ物・飲み物の主な効果を一覧表で紹介するので、ぜひ参考にしてください。 尿酸値を下げる食べ物・飲み物【一覧表】 尿酸値を下げる食べ物・飲み物は以下の通りです。 食品名 主な効果 バナナ カリウムにより尿酸が尿に溶けやすくなる 低脂肪ヨーグルト 乳酸菌により腸管からのプリン体の吸収を抑える チェリー ポリフェノールにより尿酸の生成を抑える マグロ・カツオ アンセリンにより尿酸の生成を抑える レモン ビタミンCにより腎臓での尿酸の吸収を抑える 低脂肪牛乳 腎臓からの尿酸の排出を促す(アミノ酸が関係すると考えられている) 豆乳 フィチン酸により腸管からのプリン体の吸収を抑える ワイン ポリフェノールにより尿酸の生成を抑える 緑茶 ポリフェノールにより尿酸の生成を抑える (文献1)(文献5) 食生活の改善は尿酸値のコントロールにおいて重要です。ただし、関節の痛みや腫れなどの症状が出ている人は、食事内容を意識するだけではなく薬物療法を検討しなければなりません。とくに尿酸値が8.0mg/dL以上の方は、症状が出ていなくても医師に相談してください。(文献2) 【関連記事】 痛風の初期症状は?早期発見につなげて重症化を防ごう【医師監修】 高い尿酸値がもたらすリスクとは?原因や合併症の予防法も解説 バナナ バナナなどに豊富に含まれているカリウムは、尿酸値を下げる効果を期待できます。これはカリウムにより尿がアルカリ性に傾き、尿酸が尿に溶けやすくなるためです。(文献5)とはいえ、バナナには尿酸値を高める果糖も含まれているため、食べ過ぎには注意してください。 尿酸値が高い方は尿が酸性に傾きやすい傾向です。尿が酸性に傾いていると、尿酸が結晶化して痛風を引き起こしやすくなります。尿をアルカリ性に傾けるには、以下のような食品をバランス良く食べると良いでしょう。 尿をアルカリ性に傾ける働きがある食品 ヒジキ、ワカメ、こんぶ、干し椎茸、大豆、ほうれん草、ごぼう、にんじん、さつまいも、里芋 以上の食品を意識的に摂取して、尿から尿酸を排出しやすくすることが大切です。 低脂肪ヨーグルト ヨーグルト(低脂肪)は、腸管からのプリン体の吸収を抑える効果を期待できます。これはヨーグルトに含まれている乳酸菌に、以下のような働きがあるためです。 プリン体を体に吸収されにくいプリン塩基といった物質に分解してくれる 乳酸菌がプリン体を取り込んでくれることで体に吸収されるプリン体の量が減る 実際に男性約47,000人を対象にした12年間の観察研究で、ヨーグルトを1週間に2カップ以上摂取しているグループと、摂取量が最も少ないグループを比較すると、0.76倍痛風の発症が少ないと報告があります。(文献1) チェリー チェリーは、尿酸の生成を抑えて尿酸値を下げる効果が期待できます。この効果は、チェリーに含まれているポリフェノールによるものです。 実際に女性10例を対象にした研究では、280gのチェリーの摂取により尿酸値が低下したと報告があります。(文献1)チェリーの他にポリフェノールが多い食品は、以下のようなものがあります。 ブルーベリー スモモ ブドウ イチゴ チョコレート ココア ワイン コーヒー とはいえ、果糖や砂糖は摂り過ぎると尿酸値を高めてしまいます。摂取は適量にしてください。 マグロ・カツオ マグロ・カツオなどに豊富に含まれているアンセリンは、尿酸の生成を抑える働きがあるため、尿酸値を下げる効果を期待できます。 実際に健康な方および尿酸値の高い方48名を対象に、アンセリンを含む食品(アンセリン25mg/日または50mg/日)とプラセボ食品(有効成分を含まない食品)のどちらかを4週間摂取してもらったところ、アンセリンを摂取したグループの尿酸値が低下しました。(文献1) とくに50mgを摂取したグループにおいては、明らかな低下が見られています。アンセリンが豊富な食材は、マグロやカツオの他に鶏のささみなどがあります。 レモン レモンなどに豊富に含まれているビタミンCは、摂取量が多いほど尿酸値が低下したと報告があります。(文献1)ビタミンCが尿酸値を下げられるのは、以下のような働きがあるためです。 腎臓での尿酸の吸収を抑える 尿へ排出できる尿酸の量が増える これらのメカニズムは詳細に解明できていません。レモンの他にビタミンCが豊富に含まれている果物や野菜は、オレンジやカキ、ブロッコリー、黄色パプリカなどがあります。 低脂肪牛乳 牛乳(低脂肪)には、腎臓からの尿酸の排出を促す効果があると考えられています。詳細なメカニズムは解明されていませんが、アミノ酸が関係すると考えられています。 実際に男性約47,000人を対象にした12年間の研究では、牛乳の摂取が多いグループと少ないグループを比較したところ、痛風の発症率が0.54倍になったと報告がありました。(文献1) 豆乳 豆乳に含まれているフィチン酸は、尿酸値の上昇を抑える効果が期待できます。フィチン酸には、腸管からのプリン体の吸収を抑える働きがあるためです。 実際に尿酸値が高い31名を対象に、フィチン酸が含まれる飲料とプラセボ飲料を昼食と夕食に1本ずつ付けて14日間摂取したところ、フィチン酸を摂取したグループの尿酸値が低下したと報告があります。(文献1) ワイン アルコール飲料は、一般的に尿酸値を上昇させて痛風リスクを高めます。ただし、ワインは他のアルコール飲料と異なり、尿酸値を高める影響が低いと考えられています。実際に米国の調査では、ワイン約150mlまでの摂取はむしろ尿酸値を低下させると報告がありました。(文献1) また、約50,000人の男性が飲用しているアルコール飲料を12年間追跡した調査では、ワインを1日2杯まで飲む人は痛風のリスクが抑えられると報告があります。(文献1)尿酸値が低下した理由は、ワインに多く含まれているポリフェノールによるものと考えられます。 緑茶 30名の健康な方を対象に、緑茶の抽出物を2週間摂取したところ尿酸値が低下の傾向を示したと報告があります。(文献1)これは、ポリフェノールによる尿酸の生成を抑える働きによるものと考えられます。 小規模な研究のため、尿酸値低下効果の確実性はまだ限定的です。しかし、緑茶には抗酸化作用など他の健康効果も期待できるので、日常的に適量を楽しむことをおすすめします。 なお、1日に5〜6杯以上の過剰摂取はカフェインの影響で不眠や動悸を引き起こす可能性があります。飲みすぎには注意しましょう。 摂取を控えたいプリン体の多い食品【 一覧表】 尿酸値を下げるには、プリン体の多い食品の摂取を控えることが大切です。ここからは、プリン体が多い食べ物とアルコール飲料を解説します。 プリン体が多い食べ物 プリン体が多い食品の一例は以下の通りです。 プリン体含有量(100gあたり) 食品名 非常に多い(300mg〜) 干物(マイワシ)、白子(フグ、タラ)、鶏レバー、あんこう、太刀魚など 多い(200〜300mg) 干物(サンマ、マアジ)、豚レバー、牛レバー、マイワシ、カツオ、大正エビなど 中等量(100〜200mg) 鶏ささみ、砂肝、鶏の手羽先、鶏もも(皮付き)、鶏皮、豚ヒレ、牛ヒレ、アジ、マグロ、サワラ、サバ、ほうれん草の芽、ブロッコリースプラウトなど (文献2)(文献3) 飲食店やコンビニで食事を済ませる際は、上記の表を参考にしてプリン体が多い食品を避けてください。ほとんどの肉類や魚類には中等量以上のプリン体が含まれていると捉えましょう。 プリン体が多いアルコール飲料 プリン体が多く含まれているアルコール飲料の一例は以下の通りです。 プリン体含有量(100mlあたり) アルコール飲料名 約5〜7mg ビール 約3〜4mg 発泡酒 約7〜17mg 地ビール 約1mg 日本酒 (文献3) ワインや焼酎、ブランデー、ウィスキーなどに含まれているプリン体含有量は0.5mg以下(100mlあたり)と少ないです。しかし、アルコール自体に尿酸の排出を抑える働きがあるため、飲み過ぎてはいけません。(文献3)(文献5) また、同じアルコール飲料でも、メーカーによってプリン体が含まれる量は異なるため参考程度にとどめてください。 日常生活における尿酸値を下げる3つのポイント 日常生活における尿酸値を下げるポイントは、以下の3つです。 プリン体が少ない食べ物・飲み物を選ぶ 水分を十分に摂取する 有酸素運動の習慣を身につける それぞれの詳細を解説します。 1.プリン体が少ない食べ物・飲み物を選ぶ 尿酸値を下げるには、日頃からプリン体が少ない食べ物・飲み物を選ぶことが重要です。プリン体が非常に少ない食品の種類は以下の通りです。 プリン体含有量(100mgあたり) 食品の種類 非常に少ない(〜50mg) 野菜類、穀類、豆類、キノコ類、鶏卵、乳製品など (文献2) 果糖や砂糖が含まれている飲み物は、尿酸値を高めるため水やお茶にしましょう。 2.水分を十分に摂取する 十分に水分を摂取すると尿からの尿酸排出が増えます。十分な尿量を確保するために必要な一日の水分摂取量は2〜2.5Lです。(文献2) 水分は入浴中や就寝中に失われます。入浴前後や就寝前、起床後に水分を取ることも大切です。水分の種類は前述した通り水やお茶にしてください。アルコール飲料は水分に含まれません。 3.有酸素運動の習慣を身につける 有酸素運動は肥満を改善して、尿酸値の低下も期待できます。推奨されているのは以下のような有酸素運動です。 ウォーキング ジョギング サイクリング 有酸素運動は、脈が少し速くなる程度の強度で1日合計30〜60分ほど行うことが効果的です。(文献2)短時間の激しい無酸素運動は、尿酸値を高める恐れがあるため控えてください。 コーヒーと尿酸値の関係について コーヒーが尿酸値に影響を及ぼすかどうかは明確な根拠がありません。しかし、大規模な研究においては、1日4杯以上コーヒーを飲む人は、まったく飲まない人と比較して、痛風リスクが40%低いと報告があります。(文献4) とはいえ、この研究は因果関係を証明したわけではありません。コーヒーは「適度に楽しむことで痛風予防に役立つかもしれない」と捉えましょう。 まとめ|尿酸値を下げる食べ物・飲み物を意識的に摂取しよう 尿酸値を下げる食べ物・飲み物を意識的に摂取すれば、尿酸値の改善を期待できます。本記事で紹介した食品は効果が期待できますが、いずれも摂り過ぎには注意が必要です。バランス良く取り入れつつ、プリン体の多い食品は控えめにしましょう。 また、1日2~2.5Lの十分な水分摂取と30分以上の有酸素運動を習慣化することで、尿酸値のコントロールをサポートできます。これらの生活習慣の改善は、痛風予防にもつながります。 ただし、尿酸値が8.0mg/dL以上の方は、症状が出ていなくても薬物療法が必要となる場合があります。食事改善に取り組みながらも、主治医と相談して適切な治療方針を決めましょう。 参考文献 (文献1) 藏城 雅文,山本 徹也.「血清尿酸値の低下作用が示唆される食材および食材に含まれる物質の作用機序」『痛風と尿酸・核酸』45(1), pp.13-21, 2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/gnamtsunyo/45/1/45_13/_pdf(最終アクセス:2025年5月17日) (文献2) 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00476_supplementary.pdf(最終アクセス:2025年5月17日) (文献3) 厚生労働省「魚介類50gあたりの脂質とプリン体の関係」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0619-5d03-05.pdf(最終アクセス:2025年5月17日) (文献4) 藤森 新.「痛風・高尿酸血症の病態と治療」『日本内科学会雑誌』107(3), pp.458-463, 2017年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/3/107_458/_pdf(最終アクセス:2025年5月17日) (文献5) 日本痛風・核酸代謝学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版」 https://www.tufu.or.jp/pdf/guideline_digest.pdf(最終アクセス:2025年5月17日)
2025.05.25 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
肩関節の脱臼は、スポーツや転倒などで発生する一般的な外傷です。 繰り返す脱臼に悩む場合、手術治療が検討されますが、「どんな後遺症があるのか」「リハビリはどのくらい必要か」といった不安を抱える方も多いでしょう。 本記事では、肩脱臼手術の種類や後遺症リスク、リハビリ期間、そして日常生活への復帰に関する情報をわかりやすくご紹介します。 手術を検討されている方や、これから手術を受ける予定の方は参考にしてください。 しかし、「脱臼を繰り返してしまう」「痛みや不安定感が残っている」といった後遺症に悩まされる方は、再生医療も選択肢の一つになります。 \肩関節脱臼の後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 患者様ご自身の血液から抽出した血小板の濃縮液(PRP)を肩の関節や靭帯に注射し、損傷した組織の修復を促すことで、自然治癒力を高め、機能回復を後押しします。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脱臼後の肩の痛みや不安定感が長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 「早く痛みから解放されたい」「パフォーマンスを取り戻したい」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングをご利用ください。 肩脱臼手術後に発症しやすい主な後遺症 肩脱臼手術は、脱臼癖のある肩関節を安定させるための有効な治療法ですが、どんな手術にも後遺症が生じる可能性があります。 手術の成功後も、後遺症が発生する可能性について事前に理解しておきましょう。 ここでは、肩脱臼手術後に起こりうる主な後遺症と、対処法について解説します。 痛みの発生 再脱臼・不安定感 感染症 痛みの発生 手術方法が関節鏡を使った低侵襲なものであっても、手術後にはある程度の痛みを感じることがあります。これは手術による組織の修復過程で生じる自然な反応です。 痛みの程度には個人差がありますが、多くの場合、適切な痛み止めによって和らげることができます。医療機関では、以下の治療および内服薬の処方を行っています。 神経ブロック注射 点滴 退院後の内服薬 など 痛みは通常、時間の経過とともに徐々に軽減していきますが、強い痛みが続く場合は担当医に相談しましょう。 また、リハビリテーションの進行に合わせて痛みの性質も変化する場合があります。 急性期の痛みが落ち着いた後も、筋肉や関節を動かすことで一時的に痛みが出ることもありますが、これは回復過程の一部であることが多いです。 適切な痛み止めの使用と、無理をしない範囲でのリハビリにより、痛みをコントロールしながら回復を目指しましょう。 再脱臼・不安定感 肩脱臼手術の主な目的は関節の安定性を取り戻すことですが、手術後にも再脱臼のリスクや不安定感を感じる場合があります。 術後1年以内の再脱臼は約10%といわれており、とくに手術で再建した靭帯がまだ十分な強度を獲得していない回復初期には注意が必要です。(文献1) この時期に無理な動作や過度なスポーツ活動を行うと、再脱臼を引き起こす可能性があります。関節の安定性を回復し再脱臼を防ぐためには、医師の指示に従って適切なリハビリテーションを行うことが重要です。 手術後は再建された組織が成熟する重要な時期であり、指示された範囲を超える動作は避ける必要があります。回復期間中は、肩に負担をかけない寝方や日常生活での動作の工夫も大切です。 感染症 手術部位の感染は稀ではありますが、起こり得る合併症の一つです。統計的には手術全体のおよそ0.1%の頻度で発生するとされています。(文献1) 感染の兆候としては、手術部位の著しい腫れや赤み、熱感、痛みの増加、発熱などがあります。感染症が疑われる場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。感染の程度によっては、抗生物質の投与だけでなく、再手術による洗浄などの処置が必要となる場合もあります。 肩脱臼手術の種類と後遺症リスクについて 繰り返す脱臼に悩む方には、手術による治療が検討されます。 現在、肩脱臼に対していくつかの手術法が確立されており、一人ひとりの状態や活動レベルに応じて適した方法が選択されます。 それぞれの手術には特徴と後遺症リスクがありますので、手術を検討する際の参考にしてください。 関節鏡下関節唇形成術(Bankart法) 烏口突起移行術(ブリストー法、ラタジェ法) 補助的追加処置(腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法) 関節鏡下関節唇形成術(Bankart法) 肩脱臼の手術として最も一般的に行われているのが、この関節鏡下関節唇形成術(Bankart法)です。関節鏡という細い内視鏡を使用して行われるため、皮膚の切開が小さく済み、術後の回復も比較的早いといった利点があります。 具体的な手術方法としては、関節窩(肩甲骨のくぼみ部分)の端にアンカーと呼ばれる特殊なネジや糸の塊を埋め込み、そこから伸びる糸を損傷した関節唇(関節の縁にある軟骨)に通して結ぶことで、関節の安定性を回復させます。 しかし、どんな手術にもリスクはあり、この場合は周囲の神経や血管を傷つけてしまう可能性や、手術後も再脱臼してしまうリスクが存在します。(文献2) 完全な回復には時間がかかり、リハビリテーションは通常6〜12カ月程度必要とされます。(文献3)この期間中はリハビリの進行度合いに合わせて、徐々に日常生活やスポーツ活動へ復帰していくことになります。 烏口突起移行術(ブリストー法、ラタジェ法) この手術法は、Bankart法を行った後にも再脱臼してしまったケースや、ラグビーや格闘技などの接触性の高いスポーツをする方など、脱臼リスクが通常より高い患者様に適応されることが多いです。 肩甲骨の突起である烏口突起と、そこにつく共同腱(烏口腕筋腱と上腕二頭筋短頭腱)を肩甲骨関節窩の前方に移行させることで、強力な物理的なストッパーとして機能させる方法です。再脱臼の予防に非常に効果的であり、多くの場合全身麻酔下で行われます。 一般的なリスクとして、手術後に移行した烏口突起の骨がうまく定着しないケースや、周辺の神経や血管の損傷リスクも考慮しなければなりません。 術後のリハビリテーションは4〜10カ月程度必要とされ、肩の機能回復とともに段階的に活動レベルを上げていきます。(文献3) 補助的追加処置(腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法) 腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法はBankart法に追加して行われる補助的処置で、再脱臼のリスクをさらに減らすことを目的としています。 腱板疎部閉鎖術は、肩甲下筋腱と棘上筋腱の間にある比較的薄い膜(腱板疎部)を縫い縮めることで、肩関節前方の圧力を高め、前方への脱臼を防ぐ効果があります。 レンプリサージ法は、上腕骨頭の後ろ側にできた陥没部分(ヒルサックス病変)を後方の腱板で埋めるように縫い付ける方法です。骨頭の陥没部分を埋めることで、関節窩の縁がひっかかって脱臼を起こすリスクを減らします。 追加処置を行っても完全に再脱臼リスクがなくなるわけではなく、統計的には約7.5%の確率で再発の可能性があるとされています。(文献4) 肩脱臼手術後のリハビリ期間と内容 肩脱臼手術の成功には、適切なリハビリテーションが不可欠です。手術によって修復された組織を保護しながら、段階的に肩の機能を回復させていくことが重要となります。 リハビリの進行は回復状況や手術の種類によって異なりますが、一般的には以下のような期間と内容で進めていきます。 肩脱臼手術後0~1カ月のリハビリ 肩脱臼手術後1カ月~3カ月のリハビリ 肩脱臼手術後3カ月~6カ月のリハビリ それぞれの時期に適した運動と生活上の注意点を理解し、焦らずに回復を目指しましょう。 肩脱臼手術後0~1カ月のリハビリ 手術直後から1カ月間は、手術部位の保護と炎症の軽減がもっとも重要な時期です。この期間は、肩関節を安静に保つために専用の装具(アームスリングなど)を装着して固定します。過度な動きは避け、傷の治癒と炎症の改善を促進することが目的となります。 リハビリの内容は以下のとおりです。 手首や肘、指などの周辺関節の可動域を維持するための軽いエクササイズ 肩の痛みを軽減するためのアイシング むくみを防ぐためのポジショニング など 基本的に安静が中心ですが、デスクワークなどの軽作業は医師の許可があれば可能になることもあります。ただし、装具を外しての作業や重いものを持つなどの負荷をかける動作は避ける必要があります。傷の状態や痛みの程度を観察しながら、医師やリハビリ専門家の指導のもとで無理のない範囲で活動を行いましょう。 肩脱臼手術後1カ月~3カ月のリハビリ 手術から1カ月が経過すると、徐々に肩の動きを回復させていく時期に入ります。主な目的は、関節可動域の改善と筋力の回復です。医師の判断により装具を外し始め、より積極的なリハビリを開始します。 リハビリの内容は以下のとおりです。 肩関節の前方・後方・側方への可動域訓練 肩甲骨周囲の筋肉のトレーニング など 初期は他動的な運動(理学療法士などが補助して行う運動)から始め、徐々に自動運動へと移行していくでしょう。軽い抵抗をかけた筋力トレーニングも導入され、肩の安定性を高めるための回旋筋腱板の強化が重視されます。 この時期になると、日常生活動作のほとんどが可能になり、軽負荷のスポーツや作業にも徐々に復帰できるようになってきます。ただし、投げる動作や腕を頭上に挙げる動作など、肩に大きな負荷がかかる活動はまだ控えなければなりません。 肩脱臼手術後3カ月~6カ月のリハビリ 術後3カ月を過ぎると、より機能的なリハビリに移行していく時期です。この期間の主な目的は、肩関節の安定性向上とアジリティ(素早く正確に動かす能力)の回復です。可動域訓練をさらに進め、ほぼ全方向への動きを回復させることを目指します。 リハビリの内容は以下のとおりです。 より高負荷の筋力トレーニング 肩関節の協調性を高めるためのエクササイズ など スポーツ選手の場合は、競技特異的な動作の練習も徐々に取り入れていくでしょう。投球動作や水泳のストロークなど、肩に負担のかかる動きを段階的に練習し、パフォーマンスの回復を図ります。 この時期になると、多くの患者様がスポーツや重労働への完全復帰を目指せるようになります。 まとめ|後遺症なく日常へ戻るために 肩脱臼の手術後、後遺症なく日常生活やスポーツに復帰するためには、いくつかの重要なポイントがあります。 まず、手術が本当に必要かどうかの適応を正確に見極めることが大切です。 脱臼の頻度や重症度、年齢、活動レベルなどを考慮し、専門医との十分な相談を通じて判断してください。 次に、一人ひとりの状態に適した術式の選択も重要です。関節鏡下関節唇形成術や烏口突起移行術など、それぞれの手術法の特徴とリスクを理解した上で手術に臨みましょう。術後は時期に応じた計画的なリハビリテーションを着実に実施しなければなりません。 しかし従来の治療やリハビリでは十分な改善が得られなかった方には、再生医療も新たな選択肢として注目されています。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脱臼後の肩の痛みや不安定感が長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 肩脱臼の手術後の後遺症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にお問い合わせください。 肩脱臼手術の後遺症に関するよくある質問 肩脱臼の手術の成功率は? 肩脱臼手術の成功率は一般的に90〜95%と高い数値が報告されています。(文献5) これは「再脱臼を防止できる確率」を示しており、多くの患者様が安定した肩関節を取り戻せることを意味します。成功率は年齢、活動レベル、手術方法、リハビリへの取り組みによって変動もありますが、適切な術後ケアにより満足のいく結果につながることが多いです。 肩脱臼の手術をした後はどうなるのか? 手術後は肩の安静と保護のため、アームスリングなどの装具の装着が必要です。固定期間後、医師の指導のもと徐々に可動域訓練を開始し、その後段階的に筋力トレーニングも取り入れていきます。 リハビリは術式により4~12カ月継続し、肩の機能回復を図ります。(文献5) 参考文献 文献1 社会医療法人 蘇西厚生会 松波総合病院「鏡視下関節形成術(鏡視下バンカート修復術)」 https://www.matsunami-hsp.or.jp/iryou_jyohou/info/hanpuku/ (最終アクセス:2025年5月15日) 文献2 CiNii「鏡視下バンカート修復術の術後5年以上の長期成績」 https://cir.nii.ac.jp/crid/1390852174974630144 (最終アクセス:2025年5月15日) 文献3 独立行政法人 国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「反復性肩関節脱臼(はんぷくせいかたかんせつだっきゅう)」 https://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_hanpukukatakansetudakyu.html (最終アクセス:2025年5月15日) 文献4 J-STAGE「Remplissage法を補強として用いた鏡視下Bankart修復術の手術成績」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu/41/3/41_683/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年5月15日) 文献5 独立行政法人 国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「肩関節脱臼(かたかんせつだっきゅう) 」 https://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_katakansetudakyu.html (最終アクセス:2025年5月15日)
2025.05.21 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
健康診断で尿酸値が高めと書かれていてドキッとした経験はありませんか?そんなときに真っ先にイメージされる痛風ですが、実はその痛みの原因は腎臓にも関係しています。 尿酸は体内の老廃物の一種で、痛風の原因としてよく知られていますが、尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くと、実は腎臓にも大きな負担がかかり、放置すると腎臓の機能低下を招いて将来的に透析が必要になることもあります。 尿酸値の高い状態が続くと痛風発作を起こすだけでなく、腎臓病や高血圧、心臓病、尿路結石などさまざまな病気を発症しやすくなることがわかっています。 本記事では、尿酸と腎臓の関係や腎臓に影響をあたえるメカニズムについて解説します。尿酸と腎臓のトラブルを予防・改善するポイントを一緒に見ていきましょう。 尿酸値と腎臓との関係|さまざまな疾患への影響 尿酸値が高くなると、体内の尿酸は結晶化してさまざまな場所にたまりやすくなります。足の親指の関節に結晶がたまれば激痛を伴う痛風発作を起こし、尿路にたまると尿路結石、腎臓にたまると腎結石(じんけっせき)になります。 腎臓に尿酸の結晶が沈着すると腎臓の組織に炎症を引き起こし、腎臓の働きが低下してしまいます。尿酸によるこうした腎臓障害を痛風腎(つうふうじん)と呼びます。 さらに尿酸値が高い方は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満といった生活習慣病を合併しやすいことも知られており、動脈硬化が進んで心筋梗塞や脳卒中など心血管疾患のリスクも上昇する傾向があります。 このように尿酸値は痛風だけでなく全身の健康、腎臓の健康と深く関わっています。 尿酸と腎臓が連動する仕組み 尿酸とはプリン体という物質が分解されてできる老廃物です。プリン体は食品や体内の細胞に含まれており、それらが分解されると尿酸が産生されます。 通常、この尿酸は血液を通して腎臓に運ばれ、腎臓でろ過されて尿中に排泄されます。健康な腎臓であれば体内の尿酸バランスは保たれますが、腎臓の働きが悪くなると尿酸を十分に排泄できずに血液中に溜まり、尿酸値が高くなってしまいます。 尿酸値が高い人ほど腎機能が低下している傾向は研究でも判明してますが、尿酸値が高いこと自体が腎臓を悪くする原因なのか、腎機能が低下した結果として尿酸が高くなっているのかは明確にはわかっておらず、両者が悪循環を起こす可能性も指摘されています。このように、尿酸と腎臓は密接な関係があるといえます。 検査値の見方を押さえて、尿酸値とクレアチニンの関係を知ろう 高尿酸血症と腎臓の関係を理解するには、血液検査の「尿酸値」と「クレアチニン値」に注目しましょう。 尿酸値が高すぎると痛風や腎障害につながります。一方、クレアチニン値は腎臓のろ過機能を示す重要な指標です。 ここでは尿酸値が高くなる原因と、クレアチニン値からわかる腎機能の状態について具体的に解説します。 尿酸値が高くなる原因 尿酸値が上がる要因は生活習慣と体質(遺伝)です。まず生活面では過食・飲酒・運動不足が代表格です。ビールや内臓類・干物など高プリン体食品の多量摂取、肥満、さらには高血圧・糖尿病・脂質異常症などの併発が尿酸産生増と排泄低下を招きます。 一方、遺伝的素因も大きく、痛風患者の一親等内に家族歴があると高尿酸血症リスクは約2倍に跳ね上がると報告されています。 加えて、腎機能障害や白血病など細胞代謝が過剰に活発になる病態でも尿酸が蓄積するケースがあり、まずは食事・運動など日常習慣を整えた上で、異常が続く場合は医師の検査を受けることが大切です。 \まずは当院にお問い合わせください/ クレアチニン値が示す腎臓機能の指標 腎機能を知るカギは血液中のクレアチニン(Cre)です。クレアチニンは筋肉が動く際に生じる老廃物で、腎臓が正常なら尿へ排泄され血中濃度は低く保たれます。 男性0.6~1.0mg/dL、女性0.5~0.8mg/dL前後が目安ですが、筋肉量や年齢により変動するため数値だけで一喜一憂せず体格を加味した評価が必須です(文献1)。 Cre値と年齢・性別を組み合わせて算出するeGFR(推定糸球体ろ過量)は腎臓が老廃物をどれだけ濾過できるかを%換算した指標で、60mL/分/1.73㎡未満が3か月以上続くと慢性腎臓病(CKD)とみなされます(文献1)。 尿酸値が高い人はCre値も上がりやすいため、両指標をセットでチェックし早期に腎機能低下を掴むことが、痛風腎やCKDの進行を防ぐ第一歩になります。 痛風が腎臓に影響をあたえるメカニズム 痛風は関節だけの病気ではありません。合併症である高尿酸血症は腎臓にも深刻な打撃を与えます。血中で余った尿酸が針のように結晶化し、腎臓の細い管に詰まると、目詰まりを起こして炎症になります。 すると腎臓のろ過フィルター役割をする糸球体が痛み、老廃物を捨てにくくなるため腎機能が低下します。 さらに腎機能が低下することで痛風患者に多い肥満・高血圧・糖尿病が加わると悪循環になってしまいます。 長年放置すれば慢性腎臓病(CKD)や透析に至る恐れもありますので、尿酸値管理と生活習慣改善を早期に徹底しましょう。 痛風腎とは?放置する危険性 痛風腎(つうふうじん)とは、その名のとおり痛風(高尿酸血症)が原因で起こる腎臓障害のことです。痛風や高尿酸血症がしっかり治療・コントロールされずに長期間経過すると、尿酸塩の結晶が腎臓の深部(髄質)に析出して沈着し、腎臓の組織に慢性的な炎症を引き起こします。(文献2) 簡単に言えば、尿酸の結晶が腎臓に石のようにたまって腎臓を傷つけてしまった状態ですが、その結果腎臓の濾過機能が低下し、放置すると慢性腎不全へ進行して透析療法が必要になる可能性もあります。 痛風腎の怖いところは、これといった特有の自覚症状がない点です。尿が泡立つ(蛋白尿)・むくみが出る・血圧が上がるなど、症状が出るとすれば他の腎臓病と共通するサインばかりで、痛風腎に特有な症状はありません。 検査所見でも、尿検査でタンパク尿や尿潜血反応が出る、血清クレアチニン値が上がる等、一般的な慢性腎臓病(CKD)と同様の所見を示します(文献2)。 また、痛風のある方は前述のように高血圧、脂質異常症、耐糖能異常(糖尿病予備軍)など複数の生活習慣病を併せ持つことが非常に多いです。 そのため、痛風そのものによる腎障害(尿酸結晶による腎炎)に加えて、そうした生活習慣病が原因となる腎障害(たとえば高血圧性腎硬化症や糖尿病性腎症)が合わさり、より腎機能を悪化させているケースもしばしばあります。 痛風腎を予防・進行抑制するためには高尿酸血症を適切な治療をすると同時に、合併している生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)の管理に努めることが重要です。 \まずは当院にお問い合わせください/ CKD(慢性腎臓病)とは CKD(慢性腎臓病)は腎機能の低下や腎障害が3か月以上続く状態で、日本では成人の7~8人に1人が該当するとされています(文献3)(文献4)。 代表的な原因は糖尿病や高血圧などで、自覚症状が乏しいため定期的な検査が重要です。CKD患者では腎機能低下により尿酸の排泄がうまくいかず、尿酸値が上昇する傾向があります。 一方で、高尿酸血症の人はCKDを合併しやすいこともわかっており、尿酸値を適正にコントロールすることが腎機能を守る上で重要です。 日本腎臓学会のガイドラインでは、高尿酸血症を伴うCKD患者に対して、血液中の尿酸値を下げるために行う尿酸降下療法の施術を考慮しても良いとされてます。尿酸と腎臓は密接に関係しているため、双方を総合的に管理することが求められます。(文献5) \まずは当院にお問い合わせください/ 痛風・腎臓病を予防する生活習慣の改善 高尿酸血症や腎臓病を予防・改善するためには、日常生活での取り組みが非常に大切です。 ここでは、尿酸値と腎臓の健康を守るために有効な生活改善のポイントをまとめます。どれも今日から実践できる内容ですので、無理のない範囲で取り入れてみましょう。 食事・水分摂取で予防する プリン体の摂取量を減らし、尿酸の産生を抑えることが基本です。 ビールなどのアルコール類やレバー・干物・魚卵といった高プリン体食品は頻度と量を控えめにし、主菜は鶏むね肉や白身魚を少量、野菜・海藻・大豆製品をたっぷり組み合わせ、タンパク質と食物繊維が豊富な食事を意識しましょう。 また、尿酸を体外へ流すには尿量の確保が不可欠です。水やお茶を1日1.5〜2リットルを目安にこまめに補給し、朝起きた直後・入浴前後・就寝前は必ずコップ1杯の水を飲むなど、ルールを決めてやってみましょう。 適度な運動・体重管理で予防する ウォーキングや早歩き、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を週3〜5回・1回30分程度続けると、エネルギー代謝が上がり肥満を防げる上、血糖値・血圧も整い尿酸値のコントロールに直結します。 筋トレはスクワットや腹筋など自重中心に無理なく行い筋肉量を維持しましょう。ただし、息を止めるような激しい無酸素運動は一時的に尿酸値を跳ね上げるため控えめに。 肥満は尿酸の産生過多と排泄低下の両方を招くので、BMI25以上の人は食事改善と運動を組み合わせ月1kgペースで減量を目標にします。 加えて高血圧・糖尿病・脂質異常症を放置すると腎臓への負担が倍増し痛風腎やCKD進行を招く恐れがあるため(文献2)、塩分を控えた食事・適正カロリー・血糖コントロールを徹底し、必要なら医師の治療を受けることが重要です。 ストレスの軽減・睡眠で予防する ストレスが強いと交感神経が優位になり、コルチゾール分泌が増えてプリン体代謝が活発化し尿酸値が上昇しやすくなります。 さらに睡眠不足が続くとホルモンバランスが乱れ、血圧上昇や食欲増進による体重増加が重なって腎臓への負担も増加します。 毎日30分の軽いストレッチや深呼吸、ぬるめの入浴でリラックスし、趣味や散歩など「自分が楽しい」と感じる時間を意識的に確保しましょう。就寝1時間前にはスマホを手放し、室内を暗めにしてメラトニン分泌を促進すると自然に眠りにつけます。 以上のポイントを実践することで、尿酸値のコントロールと腎臓の保護につながります。最初は難しく感じるかもしれませんが、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。 まとめ|尿酸値を下げて腎臓を守るために生活習慣を改善しよう 尿酸は高すぎると痛風になるだけでなく、腎臓にも悪影響を及ぼす可能性があります。 腎臓は尿酸を排泄する臓器であり、腎機能が低下すると尿酸が溜まってしまうため、お互いに影響し合う「持ちつ持たれつ」の関係にあります。尿酸値が高めと言われた方は、ぜひ一度腎臓の検査も受けてみてください。 逆に腎臓が悪いと言われた方も尿酸値の管理に注意が必要です。幸い、高尿酸血症や慢性腎臓病は生活習慣の改善や適切な治療によって予防・進行抑制が可能ですので、食事の工夫や運動習慣、定期検査など、できることから始めてみましょう。 日々の積み重ねが将来の健康につながります。もし不安なことやわからないことがあれば、遠慮せず主治医に相談してください。あなたの大切な腎臓を守り、痛風や腎不全にならないよう、今日からぜひ予防に取り組んでいきましょう。 参考文献 (文献1)腎援隊「クレアチニンやeGFRとは、どのような検査値ですか?」家族と考える慢性腎臓病サイト 腎援隊.https://jinentai.com/doctor_qas/post_14.html(最終アクセス:2025年04月22日) (文献2)日本腎臓学会「痛風腎とは?」日本腎臓学会 ホームページ.https://jsn.or.jp/global/general/_3204.php.(最終アクセス:2025年04月22日) (文献3)阿部雅紀ほか.「CKD診療ガイドライン2023」『日大医誌』82(6), pp.319‑324, 2023年.https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/82/6/82_319/_pdf.(最終アクセス:2025年04月22日) (文献4)東京都保健医療局「CKDってどんな病気?」東京都保健医療局.https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shippei/ckd/p2.html.(最終アクセス:2025年04月22日) (文献5)日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」日本腎臓学会 ホームページ.https://jsn.or.jp/data/gl2024_ckd_ch05.pdf.(最終アクセス:2025年04月29日)
2025.04.30 -
- 足部、その他疾患
- 足部
「足先がうまく持ち上がらず、歩くたびに引っかかる」 「下垂足の症状が長引いて辛い」 つま先が引っかかりやすくなり、歩行に支障をきたすことが特徴です。早く症状を改善したいと思っても、効果的なリハビリ法がわからず悩む方も少なくありません。 本記事では、下垂足のリハビリ方法と合わせて以下についても解説します。 下垂足のリハビリにおける注意点 下垂足のリハビリ以外での治し方 下垂足のリハビリでよくある質問 下垂足は正しい方法でリハビリを継続することで、症状の改善が期待できます。下垂足に悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。 下垂足のリハビリ方法 リハビリ方法 目的 方法例 ポイント 足首・足指の運動 足関節や足趾の可動域を広げ、柔軟性と神経の働きを促進する 足首の上下運動(背屈・底屈)、足指のグーパー運動 違和感がある場合は無理せず、小さな動きから始める 筋力トレーニング 足首を持ち上げる筋肉(前脛骨筋など)を強化する チューブを使った足首の背屈運動、かかと上げ運動 正しいフォームを意識し、回数よりも一つひとつの動作を丁寧に行う ストレッチ 筋肉の緊張を和らげ、血行促進と柔軟性向上を図る ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)のストレッチ、足の甲の伸展 反動をつけず、ゆっくりと呼吸を止めずに行う 下垂足の改善には、筋肉と神経の機能回復を目指すリハビリが欠かせません。複数の運動をバランスよく取り入れるのが大切です。 足首・足指の運動 筋力トレーニング ストレッチ リハビリを実施する場合は、自己流ではなく、医師の指導のもと行いましょう。 以下の記事では、下垂足の原因や治らないときの対処法を詳しく解説しています。 足首・足指の運動 種類 目的 やり方(手順) 回数目安 足首の背屈運動 足首を持ち上げる筋力の強化 椅子に座り、つま先をすね側に引き寄せて数秒キープ 10回 足首の底屈運動 ふくらはぎの筋力強化 椅子に座り、つま先を下に伸ばして数秒キープ 10回 足首の回旋運動 足関節の柔軟性向上・血流促進 椅子に座り、足首を左右にゆっくり大きく回す 各方向10回 足指の運動 足指の筋力とバランス感覚の改善 足指をグーパーしたり、タオルを足指で掴んで持ち上げる 各動作10回 (文献1) 足首や足指を意識して動かすことは、下垂足リハビリの基本です。足首をゆっくりと上下させたり、足指を握ったり開いたりする運動は、関節の硬直を防ぎます。 足首や足指の運動を正しく行うことで、筋肉への神経伝達を促します。違和感があればすぐに中止し、医師に相談してください。 筋力トレーニング 種類 目的 やり方(手順) 回数目安 タオルギャザー 足指の筋力強化、細かな動きの改善 床にタオルを置き、足指でたぐり寄せる 10回程度 チューブトレーニング 足首の背屈・底屈筋の強化 セラバンドを足にかけ、足首を上下に動かす 各方向10回程度 カーフレイズ ふくらはぎ・足首周囲の筋力強化 つま先立ちになり、かかとを上下にゆっくり動かす 10回程度 (文献2) 下垂足では、足を持ち上げる筋肉の力が低下しているため、筋力トレーニングを継続的に行う必要があります。とくに前脛骨筋や足指を動かす筋肉の運動は、歩行を安定させるのに不可欠です。 無理をすると、悪化する可能性があるため、負荷をかけすぎずに回数を増やすのがポイントです。 ストレッチ ストレッチ名 方法 ポイント ふくらはぎのストレッチ 壁に手をつき、片足を後ろに引いてかかとを床につけたまま伸ばす かかとは床につけたまま行う アキレス腱のストレッチ タオルを足裏にかけて両手で手前に引き、アキレス腱をゆっくり伸ばす ゆっくりと引きすぎないよう注意 下垂足では筋肉が硬くなり、柔軟性が低下することで歩行のバランスが乱れやすくなります。 柔軟性の低下などを防ぐには、無理のない範囲でストレッチを続けることが大切です。代表的な方法には、壁を使ったふくらはぎのストレッチや、タオルを使ったアキレス腱のストレッチがあります。 動作中に反動をつけたり無理に引き伸ばしたりするのは逆効果になるため、ゆっくりと呼吸をしながら行いましょう。 下垂足のリハビリにおける注意点 リハビリは適切な方法で実践しないと効果を得られないだけでなく、かえって状態を悪化させる可能性があります。 リハビリにおける注意点は以下の6つです。 医師の診断・指示のもと行う 無理のない範囲で行う 継続して行う 転倒に注意する 装具は正しく着用する 日常生活に気を付ける 医師の診断・指示のもと行う 項目 内容 原因の多様性 下垂足は神経障害、外傷、脳疾患など原因がさまざまで、リハビリ法も異なる 自己判断のリスク 誤ったリハビリにより、症状の悪化や回復の遅れを招く可能性がある 医師の役割 医師は原因や症状の重さ、全身状態を考慮し、リハビリ計画を立てる 実施時の注意点 リハビリ開始前に医師の診断を受け、内容・頻度・負荷量などを指示に従って実施する (文献2) 下垂足の原因は腰や神経、脳の病気などさまざまであり、それぞれに適したリハビリ方法が異なります。 自己判断で始めると症状を悪化させるリスクがあるため、必ず医師の診断と指示に基づいて行いましょう。 無理のない範囲で行う リハビリは無理をすると、かえって悪化する恐れがあります。強い違和感が出たときに我慢して続けると、炎症や筋肉の損傷を招き、回復が遅れます。 体調や症状の変化に応じて、運動量や頻度を調整するのも大切です。地道な継続が、少しずつ機能を取り戻すことにつながります。 継続して行う 下垂足のリハビリは、短期間で改善が見込めるものではありません。神経や筋肉の回復には時間がかかるため、地道な継続が重要です。 調子がよく感じる日でも無理はせず、必要以上の負荷はかけず、少しずつ取り組むようにしましょう。 転倒に注意する 下垂足の方はつま先が持ち上がりにくくなるため、ちょっとした段差でも転倒しやすくなります。転倒を防止するために、リハビリは段差や物がないことを確認してから実施します。 転倒によって骨折やさらなる神経障害が起きるリスクもあるため、無理のない範囲で取り組みましょう。 装具は正しく着用する 装具を着用する際の注意点 装具を正しく装着するべき理由 ポイント 装具は正しい方法で装着する 誤った装着はリハビリ効果を妨げ、皮膚トラブルの原因になる 医師や義肢装具士の指導に従って装着 装着時に皮膚の状態を確認する 擦れやかぶれ、発赤が起こることがある 違和感があれば装着を中止し相談 装具の自己判断による調整は行わない 個人差により適正な位置や角度が異なるため、身体への負担やトラブルの原因となるおそれがあり 必ず専門家の判断を仰ぐ 装具は定期的なメンテナンスする 装具の劣化や不衛生が、機能低下や皮膚トラブルを引き起こすことがある 使用後は清潔に保ち、定期的に点検・交換 下垂足では、足首を安定させて歩行を助ける装具(足関節装具など)の使用が推奨されます。ただし、正しく装着しなければ、十分な効果が得られない可能性があります。 誤った装着により、皮膚トラブルや姿勢の乱れを招くこともあります。装具の選定や装着は、医師の指示に従い、不調を感じた際は速やかに相談しましょう。 日常生活に気を付ける リハビリだけでなく、日常生活での足の使い方を意識するのも大切です。無理に走ろうとしたり、階段を上り下りしようとすると、転倒してしまい、症状が悪化する可能性があります。 また、長時間立ち続けたり無理な姿勢をとったりするのは避け、足は無理に使いすぎず、こまめに休憩を取りましょう。 下垂足のリハビリ以外での治し方 治療法 内容の概要 特徴 物理療法 電気刺激や温熱療法などで筋肉や神経を刺激 筋力維持や血流改善に有効。違和感の緩和も期待される 薬剤療法 ビタミンB12や消炎鎮痛薬などを使用 神経の修復や炎症を抑える効果がある 手術療法 神経の圧迫除去や腱移行術などを行う 重度の神経障害や回復困難な場合に選択される 再生医療 幹細胞やPRP療法などで神経・組織の再生を促す 新しい治療法で、組織修復を目的とする 他の治療法を試す際は、必ず医師に相談しましょう。リハビリと併用して行われる治療法は以下の4つです。 物理療法 薬剤療法 手術療法 再生医療 リハビリ以外の治療法について解説します。 物理療法 効果 詳細 神経の刺激 電気刺激を与えることで、麻痺した神経や筋肉の働きをサポート 筋肉の活性化 電気刺激で筋肉を動かし、筋力低下や萎縮の予防に役立つ 血行促進 温熱やマッサージによって筋肉がほぐれ、血流が良くなり回復しやすくなる 違和感の軽減 神経や筋肉の緊張を和らげることで、違和感の緩和が期待できる (文献3) 物理療法は、神経や筋肉に刺激を与えることで、血流や機能の回復を促す治療法です。主な方法としては、電気刺激療法や温熱療法などが用いられます。 リハビリとの併用で治癒効果の向上が期待できる一方、症状や持病の兼ね合いで行えない可能性もあるため、医師に相談した上で実施されます。また、自己流のマッサージや温熱療法は症状を悪化させる恐れがあるため、行わないようにしましょう。 薬剤療法 薬の種類 主な役割・効果 注意点 ビタミンB群製剤 神経の機能を維持・回復を助ける(B1・B12など) 副作用は少ないが、継続的な服用が必要 抗炎症薬(NSAIDsなど) 神経の炎症を抑え、違和感や腫れを軽減 胃腸障害・腎機能障害のリスクがあるため長期使用に注意 鎮痛薬 神経痛やしびれなどの不快な症状を和らげる 眠気・めまいの副作用が出ることがある 神経賦活薬 しびれ・麻痺などの神経症状を改善 効果に個人差があり、医師の判断に基づく処方が必要 (文献4)(文献5) 薬剤療法では、下垂足の原因が神経の炎症や障害にある場合に行われます。神経の働きを助ける薬やビタミン製剤などを服用し、改善に向けて取り組みます。 薬剤はあくまでも補助的な役割であり、リハビリと並行した使用が大切です。薬は自己判断で調整せず、必ず医師の指示に従って服用しましょう。 手術療法 手術の種類 主な目的・効果 メリット デメリット 神経剥離術 圧迫されている神経の周囲組織を取り除き、神経の通り道を確保する 違和感や麻痺の原因を直接除去できる 手術リスク(感染・出血)あり 神経縫合・移植術 断裂した神経をつなぐ、または別部位の神経を移植して再生を促す 神経再生が期待でき、運動・感覚の改善に役立つ 回復に時間がかかる 腱移行術 正常な腱を移動させ、麻痺した筋肉の代用とする 足首の動きを補い、歩行機能が改善されやすい 術後にリハビリが必要 (文献4)(文献5) 手術療法は、神経の圧迫や断裂などが原因である場合に検討されます。手術療法では、原因を直接的に治癒できる一方、感染症や術後にリハビリが必要になる可能性があります。 また、回復には時間がかかるため、慎重な判断と医師の説明を踏まえた選択が重要です。 再生医療 再生医療は、損傷した神経や筋肉の再生を目的としています。下垂足の原因となる神経障害の根本的な改善が目指せる可能性があり、手術を必要としないことから、感染症や出血を起こすリスクがありません。 再生医療は限られた医療機関でしか受けられないため、事前に実施施設を調べ、自分の症状が適応となるかを確認しましょう。 以下では、再生医療について解説しています。 リハビリで改善しない下垂足は医療機関を受診しよう リハビリを続けても改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。下垂足は原因によって治療法が異なり、脳卒中など重大な病気が隠れていることもあります。 「リペアセルクリニック」では、リハビリで改善しない下垂足に対して、再生医療を活用し、傷ついた神経に回復を促します。 下垂足の症状にお悩みの方は、「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 下垂足のリハビリでよくある質問 リハビリはどのくらいの期間続ける必要がありますか? 下垂足のリハビリ期間には個人差があります。症状の原因や重症度、年齢や体力などによって回復までの期間は大きく異なります。 一概にいつまでに治ると断言はできません。リハビリのスケジュールや目標設定については、医師の診断を受けた上で段階的に進めることが大切です。 リハビリ中に違和感があった場合はどうすれば良いですか? リハビリ中に違和感やしびれなどが出た場合は、無理に続けず、すぐに中止して医療機関へ相談してください。違和感を抱えたままリハビリを継続すると、症状を悪化させる原因になりかねません。 自己判断せず、原因を確認しリハビリ内容を見直すことが大切です。 下垂足でも仕事は続けられますか 仕事の継続は、症状の程度と仕事内容によって異なります。デスクワーク中心であれば、無理な姿勢、長時間の座位は控えましょう。 立ち仕事がある場合は、医師と職場の両方に相談しましょう。 参考文献 (文献1) 辻慎太郎,安部惠子.「足底および足趾運動を活用したウォーミングアップの有効性」, pp.1-9, 発行年(2022) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsehs/67/4/67_199/_pdf/-char/ja?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年4月13日) (文献2) Zacharia Isaac,(2023). Rehabilitation for Other Disorders. MSD ManualProfessional Version https://www.msdmanuals.com/professional/special-subjects/rehabilitation/rehabilitation-for-other-disorders (Accessed: 2025-04-13) (文献3) 小林 将生ほか.「腰椎椎間板ヘルニアにより下垂足を呈した症例に対する電気刺激を併用した自転車エルゴメーターの有効性」『理学療法科学』, pp.1-4, https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/31/3/31_489/_pdf (Accessed: 2025-04-13) (文献4) Kyle L. McCormick, et al. (2024). Surgical Management of Foot Drop.Orthopedic Reviews https://orthopedicreviews.openmedicalpublishing.org/article/120047-surgical-management-of-foot-drop?utm_source=chatgpt.com (Accessed: 2025-04-13) (文献5) Stella Stevoska, et al. (2021).Tendon transfer in foot drop: a systematic review.PMC Pud Central https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9925604/?utm_source=chatgpt.com (Accessed: 2025-04-13)
2025.04.30 -
- その他、整形外科疾患
「尖足と下垂足の違いがわからない」 「尖足と下垂足の症状を見分けるポイントを知りたい」 尖足と下垂足の症状は似ていますが、原因や対処法が異なります。足の変形や歩きにくさが共通しているため、同じ症状と誤解されがちです。しかし、症状を適切に治療するには、両者の違いを知ることが大切です。 本記事では、尖足と下垂足の違いについてわかりやすく解説します。 尖足と下垂足の共通点 尖足と下垂足の違いを見分けるポイント 尖足と下垂足の治療法 違いを知ることが、正しい治療への第一歩になります。 尖足と下垂足の違い 比較項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 症状の現れ方 徐々に足首が下を向いた状態で固まり、可動域が狭くなる 急に足首が上がらなくなり、歩行時に足先が引っかかる 症状の性質 足首が過剰に下を向き、つま先立ちのような姿勢になる、関節の拘縮や変形を伴いやすい 足首の背屈ができず、足先が垂れ下がる、鶏歩や感覚障害を伴う 原因 脳卒中、脳性麻痺、脊髄損傷、筋ジストロフィー、アキレス腱の短縮、長期臥床など 腓骨神経麻痺、坐骨神経障害、腰椎ヘルニア、脳卒中、外傷、手術による神経損傷など 尖足と下垂足の症状はどちらも足に異常が現れ、歩行が困難になる疾患ですが、原因や症状、見た目に違いがあります。 見た目の足の形や、歩き方の特徴も異なります。尖足と下垂足の原因を解説します。 尖足の症状と原因 分類 内容 見た目の特徴 つま先で歩くためバランスが悪く、段差につまずきやすく、長距離歩行が困難になる 歩行への影響 足のアーチが崩れて扁平足や凹足になり、ハンマートゥや外反母趾を併発する場合がある 起こりうるトラブル 足首や足裏に違和感が出やすく、タコやマメができ、靴が合わなくなる 可動域の制限 足首を上に反らす動き(背屈)が制限され、関節の柔軟性が低下する 原因 脳卒中や脳性麻痺、脊髄損傷、筋ジストロフィー、糖尿病性神経障害、アキレス腱の短縮や長期臥床など (文献1) 尖足は、足首が底屈(足の裏側へ曲がる)方向に硬くなり、つま先が下を向いたまま伸びてしまう状態を指します。踵が接地しにくいのが特徴です。 主な原因としては、脳卒中や脳性麻痺、脊髄損傷など、脳や脊髄といった中枢神経系の障害によって起こる疾患が挙げられます。 下垂足は進行性の神経疾患の一部として現れる場合もあるので、症状が現れた段階での早期対応が大切です。 下垂足の症状と原因 分類 内容 足首の動きの制限 足首を上に反らす自力動作(背屈)ができず、足先が垂れ下がる状態になる 歩行への影響 足先が地面に引っかかりやすく、階段や段差でつまずきやすくなり、足を高く上げて歩く鶏歩になることがある 感覚障害 足の甲や外側にしびれや感覚の鈍さが現れることがあり、神経障害の影響で違和感を伴うこともある 筋力の低下 足首を持ち上げる筋肉(前脛骨筋など)の力が弱まり、足の動きが不安定になる 症状の現れ方 軽度ではつま先が少し引っかかる程度にとどまるが、重度では足首がほとんど動かせず、感覚障害や違和感が伴う場合がある 原因 脳卒中、腰椎ヘルニア、坐骨神経障害、末梢神経障害(腓骨神経麻痺など)、外傷や手術後の神経損傷など (文献2) 下垂足は、足首や足の指を持ち上げるための筋肉(前脛骨筋など)の力が弱くなり、足先がだらんと下に垂れ下がる状態です。この状態はドロップフットとも呼ばれます。 歩行時には、垂れたつま先が地面に引っかからないように、膝を通常より高く上げて歩く鶏歩(けいほ)と呼ばれる歩き方になるのが特徴です。 主な原因は、腰椎の問題(椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など)による神経の圧迫や、腓骨(ひこつ)神経麻痺といった末梢神経障害などが挙げられます。また、脳卒中など重大な病気の可能性もあるため、に医療機関の受診が重要です。 以下の記事では、下垂足の原因について詳しく解説しています。 尖足と下垂足の共通点 共通項目 内容 歩行困難の症状がある 足首の動きに制限があるため、正常な歩行が困難になり、転倒やつまずきのリスクが高くなる 神経や筋肉に異常が起こる 神経や筋肉に異常が起こる いずれも神経や筋肉の障害によって、運動機能のバランスが崩れる 併存リスクがある 神経疾患や中枢性疾患などにより、尖足と下垂足の両方が同時または連続して発症するケースがある 尖足と下垂足は異なる状態ですが、いくつかの共通点も見られます。いずれも筋肉や神経の障害によって足の動きが制限され、日常生活に大きな影響を及ぼします。 尖足と下垂足の共通点は以下の3つです。 歩行困難の症状がある 神経や筋肉に異常が起こる 併存リスクがある それぞれの共通点についてくわしく解説します。 歩行困難の症状がある 項目 内容 共通点 尖足と下垂足はいずれも足の変形や筋肉・神経の異常により歩行が不安定になり、転倒のリスクが高まる 尖足による歩行障害 足先が常に下を向いてかかとが接地できず、つま先立ちのような歩き方になり、バランスが悪く転倒や足の違和感が起こりやすくなる 下垂足による歩行障害 足首が上がらず足先を引きずるように歩くため、段差でつまずきやすくなり、足の甲や外側にしびれや違和感を伴うことがある 尖足・下垂足ともに、歩行時のバランスが崩れやすく、日常動作に支障が出る場合があります。尖足は、かかとが浮いてつま先で歩くようになる状態です。一方で下垂足は、足先が上がらずにつまずきやすくなります。 どちらの症状も、装具やリハビリを適切に行わないまま放置すると、二次的な関節障害や転倒によるけがのリスクが高まります。 神経や筋肉に異常が起こる 項目 内容 共通点 尖足と下垂足はいずれも、神経や筋肉の異常により足首の動きが制限される共通点がある 尖足の場合 足首を下に曲げる筋肉が過剰に緊張・拘縮し、主に脳卒中、脳性麻痺、脊髄損傷、筋ジストロフィーなどが原因になる 下垂足の場合 足首を上に反らす筋肉が麻痺し、腓骨神経麻痺、腰椎ヘルニア、糖尿病性神経障害などが神経伝達の障害を引き起こす 尖足も下垂足も、足関節周囲の神経や筋肉に異常が生じることで発症します。尖足は足首が下向きに固まり、下垂足は足首を上げられなくなる状態です。原因は異なりますが、どちらも筋肉や神経に異常が起こり、足を動かす機能が低下します。 中枢神経(脳や脊髄)から末梢神経、筋肉まで、障害の部位によって発症の仕組みは異なりますが、運動機能がうまく働かなくなる点は共通しています。 併存リスクがある 項目 内容 併存の可能性 尖足と下垂足は異なる病態ですが、同じ原因から同時に発症するリスクがある 併存の要因 脳卒中や脊髄損傷、糖尿病性神経障害、拘縮、腓骨神経麻痺などにより、筋緊張や麻痺、末梢神経の異常が生じることで、尖足と下垂足が同時に現れることがある 併存による影響 両症状が重なると歩行障害が悪化し、転倒リスクの増加や関節の変形、慢性痛などの二次障害を引き起こす可能性がある 対策 原因疾患の管理を軸に、リハビリテーションや装具療法を併用し、機能の維持と症状の進行予防を目指す 尖足と下垂足は、原因疾患によっては同時に起こることがあります。 たとえば、広い範囲に及ぶ脳血管障害や複数の神経が障害される病気では、両方の症状が併発する可能性があります。 併発した場合、診断や治療は複雑になりますが、症状ごとに適切な対応が必要です。 尖足と下垂足の違いを見分けるポイント 尖足と下垂足は見た目や歩行の様子に違いがあります。注目すべきは、足の向きや足首の動き方、歩行時のクセ、障害を受けている筋肉や神経の部位などです。 足の向き 歩行時の状態 原因となる神経や筋肉 足関節の可動域 尖足と下垂足を見分けるポイントを解説します。 足の向き 比較項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 足の向き 足先が常に下を向く(底屈したままの状態) 足先が垂れ下がる(背屈できずダランと下がる) 特徴的な姿勢 つま先立ちのような姿勢で、かかとが浮いて接地しない 足を引きずるように歩き、つま先が地面に引っかかりやすい 動かしづらい方向 上に反らす(背屈)ができない 上に持ち上げる(背屈)ができない 尖足では、足首が下に曲がったまま固定されており、かかとが浮いてつま先だけが地面に接している状態になります。つま先立ちのような姿勢が続くのが特徴です。 一方、下垂足では足先がだらんと下がってしまい、歩こうとするとつま先が地面に引っかかりやすくなり、つまずきやすくなります。 歩行時の状態 比較項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 足関節の動き 足が常に下を向く(底屈したまま)ため、背屈ができない 足が上に持ち上がらない(背屈障害)ため、足先が垂れ下がる 歩行時の姿勢 かかとが地面につかず、つま先立ちのような歩き方になる 足先を引きずらないよう、膝を高く上げて歩く(鶏歩)ようになる 歩行の特徴 歩幅が狭くなり、バランスを崩しやすい 足先が地面に引っかかりやすく、つまずきや転倒のリスクが高まる 尖足では、足首が下に向いたまま固まるため、かかとが地面につきにくく、つま先で歩くような動きが特徴です。場合によっては、足裏全体を一度に地面につけるような不自然な歩行が見られます。 一方、下垂足では、足のつま先が垂れ下がって引っかかりやすいため、膝を高く持ち上げて歩く鶏歩(けいほ)の症状が現れます。また、足を引きずるように歩くため、足音が大きくなるのも下垂足の特徴です。 原因となる神経や筋肉 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 関与する動き 足を下に向ける(底屈) 足を上に持ち上げる(背屈) 主な原因筋・神経 腓腹筋、ヒラメ筋 腓骨神経、前脛骨筋、長趾伸筋 筋肉・神経の状態 筋肉が過緊張または拘縮し、足関節が底屈位に固定される 腓骨神経の麻痺により背屈筋が働かず、足先を持ち上げられなくなる 固定される足の向き 足先が下を向いた状態に固定 足先が垂れ下がった状態になり、引きずるような歩行になる (文献3) 尖足と下垂足は、原因となる神経や筋肉の種類にも違いがあります。尖足は、脳や脊髄といった中枢神経の障害によって、ふくらはぎの筋肉が過剰に緊張する痙縮(けいしゅく)が起こり、足首が下を向きやすくなります。 下垂足は、腓骨神経などの末梢神経の麻痺や、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)など足首を持ち上げる筋肉の筋力低下が主な原因です。障害される神経や筋肉の部位が異なる点が、見分ける際の重要なポイントです。 足関節の可動域 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 足関節の状態 足関節が底屈位に固定され、背屈(足を上に上げる動き)が他動的にも制限される 足関節の背屈が自動的に困難になりますが、他動的には背屈が可能な場合がある 可動域の特徴 関節自体が拘縮しており、柔軟性が低下している(構造的な制限) 筋力低下や麻痺で動かせなくても、関節構造には異常がないことが多い(機能的な制限) 主な原因となる障害 下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋など)の過緊張や拘縮 前脛骨筋など背屈筋を支配する腓骨神経の麻痺や筋力低下 見分けるポイント 他動的に背屈も難しい。歩行時はつま先立ちのようになり、かかとが接地しない 他動運動では背屈可能。歩行時は足先が垂れ、膝を高く上げて歩く鶏歩が見られる 足首の可動域にも違いが見られます。尖足では、筋肉の痙縮により足首が硬くなるのが特徴です。 一方、下垂足では、筋力の麻痺によって自分では足を持ち上げにくくなります。足関節の動きに注目すると尖足か下垂足の症状を判断する手がかりになるでしょう。 尖足と下垂足の治療法 尖足・下垂足の治療では、原因に応じて適切な治療法が選択されます。症状の状況に合わせて、治療が行われます。 尖足と下垂足の治療法は以下の5つです。 薬物療法 装具療法 理学療法 手術療法 再生医療 尖足・下垂足の治療法についてくわしく解説します。 また、以下の記事では、下垂足のリハビリ方法について詳しく解説しているのであわせてご覧ください。 薬物療法 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 治療の目的 筋肉の過緊張や痙縮を緩和し、関節の拘縮を予防・改善するのが目的 神経の炎症や障害の進行を抑えつつ、神経機能の回復を促す 使われる薬剤 筋弛緩薬(例:チザニジン、バクロフェン)抗痙縮薬(例:ダントロレン)ボツリヌス療法(注射) ビタミンB12製剤(末梢神経修復)神経障害性疼痛治療薬(プレガバリンなど)ステロイド(炎症性疾患時) 対象となる異常 筋肉の過緊張・痙縮 神経の麻痺・炎症・障害 補助的な目的 薬で筋肉の緊張を抑えることで、リハビリや装具療法を円滑に行いやすくなる 違和感やしびれを軽減し、運動療法への移行をサポートする 尖足には、筋肉の緊張を和らげる治療が行われ、内服薬やボツリヌス注射で痙縮を抑え、歩行の改善が期待できます。下垂足では、原因が神経炎などの場合に薬物療法が選ばれることがあります。 薬物療法は症状を根本的に治療するのは難しいため、他の治療法と併用するのが一般的です。また、薬物療法による副作用が現れた際は、早期医師への相談が大切です。 装具療法 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 装具療法の目的 足関節の底屈を制御・矯正し、過度な緊張や変形を防ぐ 足先の垂れ下がりを防止し、歩行時のつまずきや転倒リスクを軽減 主に使用する装具 足底板や短下肢装具(AFO)など 短下肢装具(AFO) 装具による効果 関節の可動域を保ち、拘縮の進行を防止。歩行時のバランス改善と違和感の軽減が期待できる 足先を上げる動作を補い、膝を高く上げずに自然な歩行が可能。日常生活動作(ADL)の改善に役立つ 装具療法は、足関節の動きを適切に抑え、筋肉の緊張や変形を防ぐ目的で行われます。尖足には、足首の底屈を制限し、かかとが地面につくよう補助するタイプの装具を使用します。 下垂足の場合は、足先の持ち上げを支える短下肢装具(AFO)の使用が一般的です。使用にあたっては、自己判断はせず、医師の指導に従い行います。 装具に違和感がある場合は無理に使わず、早めに医師へ相談してください。また、装具を長く使うためには、定期的な点検や調整も大切です。理学療法 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) ストレッチ アキレス腱や足底筋を中心に伸ばし、関節の柔軟性を高めて拘縮を予防する アキレス腱の柔軟性を保つことで、足の過剰な底屈を防ぎ、歩行の安定性を高める 関節運動 背屈・底屈運動を繰り返し行い、可動域を広げて足首の動きを改善する 必要に応じて足関節の他動運動を行い、柔軟性を維持しながら底屈の悪化を防ぐ 筋力トレーニング 足関節周囲の筋力を強化し、つま先立ち歩行による不安定さを軽減する 前脛骨筋など背屈に関与する筋を鍛え、足先を持ち上げる力を回復させる 歩行訓練 装具と併用しながら、正しい足の接地と重心移動を意識した歩行を反復する 装具を使用しながら、足先を引きずらない自然な歩行パターンを習得する 理学療法の効果 拘縮予防と筋力維持により、歩行能力の改善と日常生活への自立支援が期待される 筋力回復と歩行安定により、転倒リスクの軽減や生活の質の向上が見込まれる リハビリが中心となる治療法であり、ストレッチや筋力トレーニングを継続的に行うことで、症状の改善を目指します。 尖足に対しては、拘縮予防や筋緊張の緩和を目的としたストレッチが重視され、下垂足では、前脛骨筋などの機能回復を目指す筋力トレーニングや歩行練習が行われます。 リハビリを実施する際は、医師の指導のもと継続的に取り組むことが大切です。 手術療法 項目 尖足に対する手術療法 下垂足に対する手術療法 手術療法のメリット 保存療法で改善しない筋や腱の拘縮・変形を根本から矯正できる可能性がある 損傷した神経や機能を代替する筋腱を用い、背屈機能を再建する つま先立ち歩行や足の違和感を軽減し、歩行の安定性を改善する 足先を引きずる症状や転倒リスクを軽減し、歩行能力の改善が期待される 手術療法のデメリット 感染・出血・神経損傷などの手術リスクが伴う 同様に手術侵襲による合併症のリスクがある 手術後の関節の可動域制限や装具の継続使用が必要になることがある 手術後もリハビリや装具療法が不可欠で、回復に時間がかかることがある 尖足や下垂足では、保存療法で効果が不十分な場合や症状が進行している場合に手術療法が検討されます。尖足に対しては、アキレス腱や後脛骨筋腱の短縮を改善するための腱延長術が行われます。 手術療法では、変形に対して根本的な改善が期待できる一方、術後の感染や出血、神経損傷のリスクに注意が必要です。手術はリスクを考慮し、医師と相談した上で検討するのが大切です。 再生医療 項目 尖足(せんそく) 下垂足(かすいそく) 原因 筋肉や腱の短縮・拘縮、神経障害 総腓骨神経の麻痺や損傷、筋力低下 再生医療の目的 筋肉や腱の柔軟性を回復させる、筋肉組織の再生 麻痺した神経や筋肉の再生・修復、足部の背屈機能の回復 期待される効果 筋・腱の柔軟性向上による足関節の可動域改善 足首や足指の背屈機能の回復による歩行の安定化 再生医療では、自分の幹細胞を使って、傷んだ神経の回復や筋肉の萎縮の改善を目指します。再生医療は手術を必要とせず、体への負担が少ない治療法です。 当院「リペアセルクリニック」では、尖足や下垂足によって損傷した神経の再生を促します。 尖足・下垂足の症状にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 尖足と下垂足の違いを理解し適切な治療を受けよう 尖足と下垂足の症状には似ている部分が多い一方、明確な違いがあります。原因や症状によって適切な治療法が異なるため、足に少しでも違和感があれば、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、尖足や下垂足の原因を正確に見極めた上で、幹細胞を使った再生医療による治療も行っています。 尖足または下垂足の症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 参考資料 (文献1) Joan Pellegrino. (2024). Talipes Equinovarus (Clubfoot) and Other Congenital Foot Anomalies. MSD ManualProfessional Version https://www.msdmanuals.com/professional/pediatrics/congenital-musculoskeletal-anomalies/talipes-equinovarus-clubfoot-and-other-congenital-foot-anomalies (Accessed: 2025-04-14) (文献2) 深田 亮ほか.「下垂足および足底感覚障害を有する脊髄円錐部髄内腫瘍に対し,術後早期からトレッドミル歩行練習を実施した1例*」『理学療法学 第49巻第5号』2022年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/49/5/49_12264/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年4月14日) (文献3) 日本整形外科学会「症状・病気をしらべる「腓骨神経麻痺」」公益社団法人 日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/peroneal_nerve_palsy.html(最終アクセス:2025年4月14日)
2025.04.30 -
- 足部、その他疾患
- 足部
「最近つま先が妙に引っかかる」 「足がもつれやすくなった」 その足のもつれは下垂足の症状かもしれません。下垂足とは、足首やつま先を持ち上げる筋肉や神経の働きが弱まり、足先が下がる状態です。 症状を重症化させないためにも、以下の内容を解説します。 下垂足とは 下垂足の原因 下垂足は治らないのは本当なのか? 下垂足の症状チェックリスト 記事の最後には、下垂足に悩む方から寄せられる、よくある質問をまとめています。ぜひ最後までご覧ください。 下垂足とは 症状 詳細 足首の背屈困難 足首を上に曲げられず、足先が垂れ下がる 歩行障害 足先が引っかかり、つまずきやすくなる。引きずる歩き方やすり足、鶏歩が見られる 鶏歩(けいほ) 膝を高く上げて歩く。垂れ下がった足先が地面に引っかからないようにするための歩行様式 足のしびれや違和感 足の甲や外側にしびれや違和感が出る 筋力低下 足首や足の筋肉の力が弱まる 下垂足とは、足首やつま先を持ち上げる筋力が低下する症状です。腓骨神経の働きが弱まることで、足首が上がらなくなり、足先が垂れ下がる状態です。 具体的には、スリッパが脱げやすくなったり、つま先が地面にひっかかり転ぶことが増えたりする症状が現れます。また、下垂足の症状には、脳卒中や糖尿病性神経障害、腓骨神経麻痺などの神経疾患が隠れている可能性があるので、放置せず早めに医療機関を受診しましょう。(文献1) 以下の記事では、尖足と下垂足の違いについて詳しく解説しています。 下垂足の原因 原因となる病状・状態 詳細 腓骨神経障害 足首を上げる神経(腓骨神経)が損傷して麻痺を引き起こす 代謝性|慢性疾患 糖尿病で神経がダメージを受け、足首を上げる力が弱くなる 腰椎の急性圧迫 ヘルニアなどで腰の神経の根元が強く圧迫される 血管性炎症 血管の炎症で神経への血流が悪くなり、神経がうまく働かなくなる 下垂足の症状はさまざまな原因で起こりえます。突然、足首の筋力が低下し、歩きにくいなどの症状が出た場合は、早急な医師への相談が大切です。 下垂足の原因は、以下4つです。 腓骨神経障害 代謝性|慢性疾患 腰椎の急性圧迫 血管性炎症 下垂足の原因について解説します。 腓骨神経障害 腓骨神経が傷つく原因 詳細 神経が圧迫される 日常生活や特定の状況で、神経が圧迫されて機能が低下する 長時間の足組みや正座 膝の外側で神経が圧迫され、一時的な麻痺を引き起こす 急激な体重減少 神経を保護する脂肪が減り、圧迫を受けやすくなる ギプス固定 足のケガなどでギプスを巻いた際に、その圧迫で神経が傷つく 外傷 外傷によって神経そのものが損傷を受ける 膝まわりの骨折・強い打撲 骨折や強い衝撃で、近くにある腓骨神経がダメージを受ける (文献1) 腓骨神経は足の筋肉を動かす役割があり、圧迫や損傷を受けると、つま先を上げにくくなります。圧迫の原因は、足を組む癖や長時間の正座などの習慣的な動作が挙げられます。それらの動作を習慣にしている人は注意が必要です。 また、打撲や骨折、手術の後遺症として神経が傷つき、腓骨神経障害を発症するケースもあります。腓骨神経障害が原因で引き起こる下垂足を防止するには、普段から神経に負荷をかけないことが大切です。 以下の記事では、坐骨神経痛に効くツボについて詳しく解説しています。 代謝性|慢性疾患 項目 糖尿病性ニューロパチー 腰部脊柱管狭窄症(L5神経根障害) 発症メカニズム 高血糖による末梢神経と血管の損傷により、足の神経が機能低下 脊柱管の狭まりによりL5神経根が圧迫され、筋肉の動きが弱まる 主な症状 足のしびれ、感覚の低下、下垂足 腰痛、足のしびれ、歩行時の悪化、下垂足 症状の進行 高血糖が続くと徐々に進行する 加齢やヘルニアにより徐々に進行 治療法 血糖コントロール、神経痛緩和薬、装具 薬物療法、リハビリ、装具、手術(必要に応じて) (文献2)(文献3) 下垂足は、糖尿病性ニューロパチーや腰部脊柱管狭窄症(L5神経根障害)などの慢性的な神経障害によって発症します。高血糖による神経損傷や、神経の圧迫が足の筋力低下を引き起こします。 いずれの症状も神経の圧迫や障害が原因であるため、早い段階での医療機関への受診が必要です。 以下の記事では、糖尿病の初期症状について詳しく解説しています。 腰椎の急性圧迫 項目 脳卒中(上位運動ニューロン障害) 脊髄腫瘍・円錐部病変 多発性硬化症(MS) 原因 脳内の血流障害で運動野が損傷し、下肢の麻痺を引き起こす 脊髄下部の腫瘍や病変で神経が圧迫・損傷される 中枢神経の脱髄により神経伝達が阻害される 主な症状 対側の下肢麻痺、足首や足指が上がらない 筋力低下、感覚障害、膀胱直腸障害を伴うこともある 下肢の運動障害、視力低下、感覚障害など 診断方法 MRI、CTなどで脳血流や病変を確認 MRIで腫瘍や圧迫部位を確認する MRIで脱髄の有無を確認する 治療法 血栓溶解・抗血小板療法、リハビリ 外科的切除や放射線治療 ステロイド・免疫調整療法 (文献4) 下垂足は、脳や脊髄の障害で発症します。とくに脳卒中(上位運動ニューロン障害)や脊髄腫瘍・円錐部病変は、重症化する前に早期発見が大切です。 筋力低下や感覚障害、排泄障害などの症状が現れた場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、脳卒中の前兆について詳しく解説しています。 血管性炎症 血管性炎症と下垂足の関係性 主な症状 血管の炎症が末梢神経への血流を妨げ、神経虚血を引き起こす 代表疾患 巨細胞性動脈炎(中型・大型血管が障害される) 神経虚血の仕組み 血管が炎症で狭くなり、酸素や栄養が届かず神経が傷つく 治療法 免疫抑制治療(ステロイド・免疫抑制薬)で炎症を抑える 治療の重要性 神経損傷は不可逆的なことが多く、早期治療が大切 (文献5)(文献6) 血管性炎症は、末梢神経に栄養を送る血管に炎症が起こり、神経がダメージを受ける症状です。中でも巨細胞性動脈炎は、下肢の神経に酸素や栄養が届きにくくなり、下垂足を発症します。 血管性炎症の疾患の中には、後遺症が出ることもあるため、少しでも異変を感じた際は早急に医療機関を受診しましょう。 下垂足の症状は治らないって本当? 分類 要因 詳細 改善が見込めるケース 原因疾患の治療 椎間板ヘルニアや脳卒中などの治療で改善できる可能性がある 血糖コントロール 糖尿病性神経障害では血糖管理で進行を抑え、改善する可能性がある 神経の回復 腓骨神経麻痺などで神経が自然に回復するケースもある リハビリ 足首の運動や歩行訓練で歩行が安定する可能性がある 改善が難しいケース 重度の神経損傷 神経が断裂・広範囲に損傷していると回復が難しい 進行性の神経疾患 慢性圧迫や進行性疾患では改善が見込めない可能性が高い リハビリ効果が限定的 筋力や関節の回復が不十分で補助具が必要になることもある (文献7) 下垂足が治るかどうかは、症状によって異なります。足を組む癖などで一時的に腓骨神経が圧迫されて起こった軽度の下垂足であれば、生活習慣を変えることで、改善する可能性があります。また、脳卒中などの重度の疾患でも早期発見し、治療を早い段階で開始すれば、症状の改善が期待できるでしょう。 一方治らないケースとして挙げられるのが、糖尿病性神経障害のように基礎疾患が進んでいる状態や、脳卒中などで後遺症の改善が難しいケースです。 原因や進行状況によって治る可能性は異なりますが「治らない」と諦めず、治療やリハビリを続けることが重要です。 下垂足の症状チェックリスト 足首が上がりにくい、つま先が引っかかる症状に加え、突然の発症または急速な悪化症状が現れたら、脳卒中や脳梗塞の可能性があるため、直ちに救急車(119番)を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。症状が進行し重症化すると命に関わる危険性があります。 突然の発症または急速な悪化 下垂足と同じ側の顔が歪む・口角が下がる 激しい頭痛・吐き気・嘔吐 尿と便が出にくい・失禁してしまう おしりの周りやサドル領域(仙骨部)がしびれる・感覚が鈍い 外傷後の激しい違和感と腫れ 以下の記事では、下垂足の症状に対して効果が期待できるリハビリ方法をわかりやすく紹介しています。 突然の発症または急速な悪化 下垂足の症状がある日突然現れたり、数時間から数日の間に悪化したりする場合は注意が必要です。突然の発症は、単なる神経障害ではなく、脳卒中や脳梗塞、脳出血の前兆である可能性も考えられます。 脳が損傷を受けると、足の動きや顔の表情、言葉の機能が急に低下し、後遺症になる場合があります。症状が突然現れ、発声や言葉がうまく聞き取れない場合は、早急に対処が必要です。 下垂足と同じ側の顔が歪む・口角が下がる 顔に歪みや麻痺の症状が現れた場合、脳に障害が起きている可能性が高いです。脳梗塞などで脳の神経が損傷されると、顔と手足を動かす神経経路が同時に障害され、結果として顔面神経麻痺が起こります。 脳梗塞や脳出血は、発症から24時間以内の治療が回復の可能性を大きく左右します。脳梗塞や脳出血で一度脳の神経細胞が壊死すると、元に戻すことはできません。 鏡を見て明らかにいつもと表情が違う、表情が動かせない場合は、早急に救急車(119番)もしくは医療機関を受診しましょう。 激しい頭痛・吐き気・嘔吐 激しい頭痛や吐き気、嘔吐が現れた場合、脳出血や脳腫瘍の可能性があります。とくにこれまで体験したことのない激しい症状であれば、すぐに救急車(119番)を呼ぶ必要があります。 突然後頭部を殴られたような激しい頭痛は、くも膜下出血の典型的な症状です。発見が遅れると命に関わる危険性があります。ただの頭痛や吐き気だと判断せずに医療機関を受診することが大切です。(文献8) 以下の記事では、吐き気を伴う頭痛について解説しています。 尿と便が出にくい・失禁してしまう 下垂足と同時に尿と便が出にくい、または失禁してしまうなどの排尿・排便に関する異常が現れた場合、腰部脊柱管狭窄症や重度の椎間板ヘルニア、脳卒中を引き起こしている可能性があります。また、症状によっては緊急手術が必要です。 放置すると排泄障害や下肢の麻痺が残る可能性があるため、早急に受診してください。 以下の記事では、脳梗塞の後遺症について詳しく解説しています。 おしりの周りやサドル領域(仙骨部)がしびれる・感覚が鈍い お尻や太ももの内側、股間まわり(自転車のサドルが当たる部分)にしびれや感覚の鈍さ、温度がわかりにくいといった症状がある場合は、馬尾症候群の可能性があります。 神経が強く圧迫されて起こる重い病気の一つで、放置すると排尿や排便の障害につながることもあるため、早めに医療機関を受診することが大切です。 外傷後の激しい違和感と腫れ 外傷後に激しい違和感と腫れが現れた場合は、腰椎椎間板ヘルニアなどの可能性が高いです。 考えられる症状の中でも、馬尾症候群は膀胱や直腸に異常が出るケースもあり、発症から48時間以上が経過すると後遺症になる確率が上昇します。(文献9) 放置すると神経機能の回復が困難になる可能性があるため、自己判断はせず、救急車(119番)を呼ぶ、もしくは医療機関を受診する必要があります。 下垂足が悪化する前に早めの医療機関の受診を 下垂足が引き起こされる原因によっては、緊急性の高い症状が隠されている可能性があり、少しの異変でも医療機関を受診する必要があります。 少しの異変でも早期発見が症状の重症化を防ぐことにつながります。 「リペアセルクリニック」では、下垂足に対して、幹細胞を活用した再生医療を提供しています。少しでも気になる症状があれば、ご相談ください。当院はどんな小さな不安にも丁寧に耳を傾け、早期発見につなげるお手伝いをしています。 下垂足の症状にお悩みの方は、「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 下垂足に悩む方からよくある質問 下垂足は自然に治りますか? 原因によって異なりますが、多くの場合は自然に回復することは難しく、適切な治療やリハビリが必要です。また、脳卒中や糖尿病性神経障害、腰椎疾患など重大な症状が隠れている場合もあるため、自己判断は禁物です。 下垂足を重症化させないためにも、早めの受診が大切です。 下垂足は再発しますか? 下垂足が再発するかどうかは、原因や再発リスクによって異なります。原因となった基礎疾患(糖尿病や腰椎疾患など)の管理が不十分だと、症状改善後に再発する可能性があります。 再発予防には、生活習慣の改善や、基礎疾患の継続的な治療などが不可欠です。 下垂足の予防法はありますか? 下垂足を確実に予防する方法はありません。しかし、下垂足を引き起こすかもしれない病気(糖尿病など)にならないように生活習慣を見直したり、原因となりやすい状況(たとえば足を長時間組むことなど)を避けたりすることが、結果的に下垂足の予防に役立つ場合があります。 下垂足はどの診療科を受診すれば良いですか? 下垂足の原因によって受診すべき診療科が異なります。以下の表を参考に、適切な診療科を受診してください。 診療科 受診の目安 整形外科 腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄症、腓骨神経麻痺、骨折・外傷が原因の場合 神経内科 脳卒中、糖尿病性神経障害、筋ジストロフィーなど神経の病気が原因の場合もしくは、しびれ・麻痺などの神経症状がある場合 脳神経外科 脳卒中や脳腫瘍が疑われる場合 ご自身の症状に対してどの診療科を受診すれば良いのかわからない方は、「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 公益財団法人 日本整形外科学会「症状・病気をしらべる「腓骨神経麻痺」」公益財団法人 日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/peroneal_nerve_palsy.html(最終アクセス:2025年4月12日) (文献2) 「10章 糖尿病性神経障害」『糖尿病診療ガイドライン 2024』,pp.1-13,発行年 https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/10.pdf(最終アクセス:2025年4月12日) (文献3) 「腰部脊柱管狭窄症」『整形外科シリーズ』,pp.1-2,2023年 https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0013CKA.pdf(最終アクセス:2025年4月12日) (文献4) 公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター「多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)」難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/3806(最終アクセス:2025年4月12日) (文献5) Merck & Co.Inc. Rahway,NJ,USA「血管炎疾患の分類」MSD マニュアルプロフェッショナル版 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/multimedia/table/%E8%A1%80%E7%AE%A1%E7%82%8E%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E5%88%86%E9%A1%9E(最終アクセス:2025年4月12日) (文献6) 「指定難病の診断基準等のアップデート案について情報提供のあった疾病(個票(見え消し))(第 58 回指定難病検討委員会において検討する疾病)」『第58回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会』,pp.1-204, https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001256854.pdf(最終アクセス:2025年4月12日) (文献7) Zacharia Isaac(2023),Rehabilitation for Other Disorders.MSD ManualConsumer Version https://www.msdmanuals.com/home/fundamentals/rehabilitation/rehabilitation-for-other-disorders(最終アクセス:2025年4月12日) (文献8) 公益財団法人 日本心臓財団「循環器病のトピックス」公益財団法人 日本心臓財団,2018年05月28日 https://www.jhf.or.jp/topics/2018/000943/?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年4月12日) (文献9) 宮本 雅史,中嶋 隆夫 .「診療ガイドライン」『腰椎椎間板ヘルニア 診療ガイドライン 改訂第2版』巻(号),pp.1-5,2016 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/105/11/105_2210/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年4月12日)
2025.04.30 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「交通事故でけがをしてから、頭痛が続いている」 「首や目の奥が痛んだり、めまいを起こしたりしている」 このような症状でお悩みではありませんか? けがをしていないのにもかかわらず頭痛やめまいが急に現れて、辛い思いをされている方も多いでしょう。これらの症状は、低髄液圧症候群が原因の可能性があります。 本記事では低髄液圧症候群を発症する原因や診断基準、検査方法、治療方法などについて紹介します。 低髄液圧症候群を初めて知った方に役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。 低髄液圧症候群の原因は大きく2つに分けられる 低髄液圧症候群の原因は、大きく分けると以下の2つです。 外傷性の原因 外傷性以外の原因 外傷性の原因 文字どおり、なんらかの外傷により引き起こされるものです。主なものを以下に示しました。 交通事故による頭部打撲やむち打ち症 仕事中の事故 スポーツ時の外傷 階段昇降時の転倒 自転車運転中の転倒 低髄液圧症候群の大半は外傷によるものとされており、軽くしりもちをついただけで発症するケースもあります。 外傷性以外の原因 外傷性以外の原因としては、腰椎穿刺検査や腰椎麻酔、脳神経外科手術といった、医療行為によるものが考えられます。(文献1) 医療行為以外に原因としてあげられるものは、主に以下のとおりです。 整体治療 出産 発熱による脱水症状 外傷性、外傷性以外にかかわらず、原因が特定できないケースもあります。 低髄液圧症候群とは 低髄液圧症候群とは、脳脊髄液の漏れにより髄液の圧力が低下して、頭痛やめまい、首や背中の痛みなどを引き起こす疾患です。しかし実際には、髄液の圧力低下が測定できないケースも存在するため、脳脊髄液減少症と呼ばれることもあります。 低髄液圧症候群と脳脊髄液減少症の違いは、診断方法確立の有無です。低髄液圧症候群はMRI画像や腰椎穿刺検査などで診断されますが、脳脊髄液減少症は明確な診断方法が確立されていません。 国際的には、低髄液圧症候群が病名として主に使用されています。 脳脊髄液減少症について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 低髄液圧症候群の特徴的な症状は起立性頭痛です。(文献1)起立性頭痛の場合、立ったり座ったりすると痛みが強くなります。 その他の症状としては、以下のようなものがあげられます。 体のだるさ 不眠 食欲の低下 集中力の低下 記憶力の低下 低髄液圧症候群は、頭痛やめまいなどに加えて、精神・心理的症状が見られるため、片頭痛や緊張性頭痛、うつ病などと誤解されやすい疾患です。 低髄液圧症候群の診断基準 低髄液圧症候群の診断基準は、前提基準と大基準の2種類です。(文献2) 前提基準は2項目、大基準は3項目存在しており、「前提基準1項目+大基準1項目以上」に該当した場合に低髄液圧症候群と診断されます。 前提基準 前提基準の1つ目は起立性頭痛、2つ目は体位による症状の変化です。両者を表で示しました。 前提条件 詳細 起立性頭痛 頭部全体が鈍く痛む 立ったり座ったりすると、痛みが強くなる 体位による症状の変化 項部硬直(こうぶこうちょく) 耳鳴り 聴力低下 光過敏 吐き気 項部硬直とは、首から後ろにかけての筋肉のこわばりを指します。光過敏とは、少しの光でもまぶしさや不快感を覚える症状です。 大基準 大基準は、以下に示した3点です。 造影MRIでびまん性の硬膜肥厚増強 腰椎穿刺にて髄液圧の低値(60mmH2O以下)の所見 髄液漏れを認める画像所見 びまん性の硬膜肥厚増強とは、脳内の硬膜が広い範囲で厚くなっている状態で、MRI検査で確認できます。 髄液圧の正常値は、健康な成人の場合70~200mmH2Oとされています。(文献2) 髄液漏れを認めるための画像検査については、確立された方法がありません。CTミエログラフィーやMRミエログラフィー、RI脳槽シンチグラムなどを組み合わせて行います。 低髄液圧症候群の検査方法 低髄液圧症候群の検査としては、MRI検査や腰椎穿刺検査、RI脳槽シンチグラムなどです。これらの検査で、髄液圧や髄液漏れについて詳しく調べます。患者からの病歴聴き取りも必要な情報です。 検査方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 低髄液圧症候群の治療法 低髄液圧症候群の治療法は、主に以下の2種類です。 保存療法 ブラッドパッチ療法 保存療法 保存療法の基本は、安静と十分な水分補給です。 自宅での水分摂取とは別に、必要に応じて、生理食塩水の点滴を1~2週間程度行う場合もあります。点滴の量は、1日1,000~2000ml程度です。 髄液は1日につき約500ml作られます。脳や脊髄を守るために必要な髄液を作るには、十分な水分補給が欠かせません。 ブラッドパッチ療法 ブラッドパッチ療法は、自分の血液を硬膜外に注入して、髄液の漏れを塞ぐ治療法です。硬膜とは、脊髄を覆っている一番外側の膜です。硬膜外から注入された血液中の成分が、のりの役割を果たします。必要に応じて、X線により注入部の様子を観察しながら行う場合もあります。 ブラッドパッチ療法は、平成28年4月から保険適用されました。(文献3) 低髄液圧症候群の原因を把握し医療機関の受診を検討しよう 低髄液圧症候群の原因は、外傷性と非外傷性の2つに分けられます。非外傷性には、原因不明(特発性)のものも含まれます。 いずれの原因においても症状は共通しており、特徴的な症状は起立性頭痛です。それ以外にも、耳鳴りや吐き気、光過敏などの症状があれば、速やかに医療機関を受診しましょう。主な診療科は、脳神経外科です。 多くの都道府県ホームページでは、検査・治療ができる医療機関を紹介しています。医療機関の受診を検討している方は、検索してみると良いでしょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。低髄液圧症候群と思われる症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 低髄液圧症候群の原因に関するよくある質問 低髄液圧症候群を発症した芸能人は誰ですか? 俳優の米倉涼子さんが、低髄液圧症候群を発症しました。まっすぐに歩くことや立ち上がることが困難になり、一時は芸能界引退も覚悟したとテレビ番組で話しています。 脳脊髄液減少症を発症した芸能人については、以下の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。 低髄液圧症候群は慢性疲労症候群と関連していますか? 低髄液圧症候群と慢性疲労症候群との関連は不明です。 慢性疲労症候群とは、検査や診察で異常が認められないものの、日常生活を送ることが難しいほどの重度の疲労感が続く疾患です。症状としては、強い疲労感や頭痛、集中力低下、抑うつなどがみられます。低髄液圧症候群と似ている症状も少なくありません。 慢性疲労症候群は感染性疾患や免疫の異常、遺伝や環境要因に関連していると考えられますが、はっきりとした原因は解明されていません。 ベルギーの研究者によって執筆された論文では、脳脊髄液圧の上昇と慢性疲労症候群が関与している可能性が示されています。(文献4) 参考文献 (文献1) 戸田茂樹ほか.「低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)」『日本医科大学医学会雑誌』3(1), pp.44-45, 2007年 https://www.nms.ac.jp/sh/jmanms/pdf/003010044.pdf(最終アクセス:2025年4月23日) (文献2) 松本英之,宇川 義一.「脳脊髄液減少症」『日本内科学会雑誌』100(4), pp.1076-1083, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_1076/_pdf(最終アクセス:2025年4月23日) (文献3) 一般社団法人日本脳脊髄液漏出症学会「日本脳脊髄液漏出症学会公式診療マニュアル」一般社団法人日本脳脊髄液漏出症学会ホームページ https://js-csfl.main.jp/guideline.html(最終アクセス:2025年4月23日) (文献4) Mieke Hulens, et al.(2023).The Link Between Empty Sella Syndrome,Fibromyalgia, and Chronic Fatigue Syndrome: TheRole of Increased Cerebrospinal Fluid Pressure.Journal of Pain Research, 2023(16), pp.205-219. https://www.dovepress.com/article/download/81240(最終アクセス:2025年4月23日)
2025.04.30 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「けがをしてから頭痛やめまいが続いている」 「ネットで検索してみたところ、脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症といった病名が出てきた」 「この2つの違いは何だろう」 自分の症状を調べる中で、2つの疾患を見つけた方もいらっしゃるでしょう。 結論から申し上げますと、脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症はいくつか違いはあるものの、症状や治療法はほぼ同じです。 本記事では、脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症の違いと共通点を中心に解説します。 異なる2つの病名が存在する理由がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違い 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いとして挙げられるのは、主に以下の2点です。 疾患名の違い 病態の違い 疾患名の違い 疾患名が異なる理由として、歴史的背景や診断基準の有無があります。両者を表にまとめました。 脳脊髄液漏出症 脳脊髄液減少症 歴史的背景 1938年、腰椎穿刺後の頭痛と似た症状を示す病気として初めて報告された。 報告者は、ドイツの神経内科医ゲオルク・シャルテンブランド氏。 脳脊髄液の漏れそのものに焦点を当てたものである。 2006年9月、第65回脳神経外科学会において発表された。 論文発表者は、国際医療福祉大学熱海病院の篠永正道教授。 脳脊髄液の漏れや生産量の低下などにより、「脳脊髄液が減少した状態」に着目したものである。 診断基準の有無 診断基準あり。 画像診断により髄液の漏出が確認できた症例である。(文献1) 診断基準なし。 存在する可能性はあるが、現段階では診断方法が未確立であると理解されている。(文献2) 脳脊髄液漏出症の方が、報告および診断基準の確立が早いことが見てとれます。 病態の違い 脳脊髄液漏出症は、ひとことでいうと、脳脊髄液が硬膜の外に漏れている状態です。 主な原因としては、交通事故やスポーツ時の外傷や、腰椎穿刺検査、整体治療などがあげられます。原因不明のケースも存在します。 脳脊髄液減少症は、脳脊髄液の漏れやそれ以外の原因で、脳脊髄液そのものが減ってしまう状態です。髄液漏れがないにもかかわらず、脳脊髄液が減少する原因としては、以下の2点が考えられます。 脱水状態 髄液が体内へ多量に吸収される状態 脳脊髄液減少症は、従来「低髄液圧症候群」と呼ばれていた疾患とほぼ同じものです。 低髄液圧症候群については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の共通点 この章では、脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の共通点を表形式で紹介します。 共通点 詳細 主な症状 起立性頭痛 ふわふわとしためまい 倦怠感 目の奥の痛み 首の痛み 検査方法 病歴の聴き取り 脳脊髄液の検査 頭部MRI検査 脳槽シンチグラフィー検査 治療方法 保存的治療 ブラッドパッチ 硬膜外生理食塩水注入療法 検査方法や治療方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 【関連記事】 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法を紹介|治療方法もあわせて解説 脳脊髄液減少症の初期症状を紹介|早期発見の必要性もあわせて解説 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症が患者に与える影響 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症が患者に与える影響は、主に以下の2点です。 日常生活に支障を及ぼすことが多い 認知度が低く誤解されやすい 日常生活に支障を及ぼすことが多い 脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症は、日常生活に影響を及ぼしやすい疾患です。主な症状としては、以下のようなものがあります。 起立性頭痛 ふわふわとしためまい 倦怠感 目の奥の痛み 首の痛み 起立性頭痛とは、起きたり立ち上がったりすると強くなる頭痛です。 これらの症状は天候や気圧に左右されやすく、雨が降る前や台風接近前に悪化する傾向があります。加えて、下痢や発熱、嘔吐などで脱水を起こしたときも悪化しやすいとされています。 発見や治療が遅いと慢性化しやすく、体調が不安定になりがちです。外出も難しく、ときには起き上がれなくなる場合もあります。 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症は、ともに慢性的な体調不良を引き起こし、日常生活に支障をきたしやすい疾患といえるでしょう。 認知度が低く誤解されやすい 脳脊髄液漏出症、脳脊髄液減少症ともに、認知度が低い疾患とされています。 また、他の疾患においても、頭痛やめまい、首の痛みといった症状が見られることがあります。同じような症状がある疾患は、主に以下のとおりです。 起立性調節障害 緊張型頭痛 片頭痛 うつ病 もしくは、検査で異常が見つからず「気のせい」と言われるケースもあります。原因がわかるまで病院受診を繰り返す、いわゆるドクターショッピング状態の方も少なくありません。 症状が強く、学校や職場を休みがちになると、「やる気がない」「甘えている」「怠けている」などと誤解される場合があります。 頭痛を伴う疾患については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いと共通点を理解しよう 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いは、歴史的背景や診断基準の有無、病態などです。しかし、症状や検査方法、治療法はほぼ同じと考えて差しつかえありません。 2つの病気に共通していえることは、医療面での認知度が低く他の病気と誤解されがちな点です。社会的認知度は高まりつつありますが、まだ十分とは言えません。気のせい、やる気がないなどと誤解されて、二重に苦しむ方もいます。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症の症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 日本脳脊髄液漏出症学会「診断基準」日本脳脊髄液漏出症学会ホームページ https://js-csfl.main.jp/guideline.html (最終アクセス:2025年4月21日) (文献2) 長野県「脳脊髄液減少症について」長野県ホームページ, 2024年3月25日 https://www.pref.nagano.lg.jp/iryo/kenko/iryo/hoken/nosekizuieki.html (最終アクセス:2025年4月21日)
2025.04.30 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「数日前に交通事故でけがをしてから、頭痛やめまいが続いている」 「寝ていると楽だけれど、座ったり起きたりすると頭痛が強くなる」 「頭痛やめまいは事故の後遺症なのだろうか」 外傷後にこのような症状が出た場合、多くの方が不安に感じるでしょう。これらの症状は、脳脊髄液減少症によるものかもしれません。 結論から申し上げますと、多くの場合、脳脊髄液減少症を発症するまでの期間は外傷後30分~数週間程度です。 本記事では脳脊髄液減少症を発症するまでの期間に加えて、発症のきっかけや、医療機関受診の必要性について解説します。 不安を感じている方の助けになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症を発症するまでの期間 脳脊髄液減少症の症状は、外傷後30分から数週間程度で現れることが多いとされています。(文献1) 外傷直後ではなく少し遅れて発症する主な原因としては、以下の2つが考えられます。(文献2) 血栓の消失 脳浮腫の軽減 1つ目は、外傷後、一時的に発生した血栓が関係するケースです。血栓が脳脊髄液の漏れを塞いでいた場合、血栓が消失すると再び漏れ始めます。 2つ目は、外傷およびそれに伴う脳の浮腫と関連しているケースです。外傷により脳を包む硬膜やくも膜に傷ができたとしても、脳浮腫により一時的に傷が塞がれることがあります。しかし、脳浮腫が軽減されると傷が開き、そこから脳脊髄液が漏れ始めるメカニズムです。 脳脊髄液減少症を発症するきっかけとは? 脳脊髄液減少症を発症するきっかけは、主に以下の4つです。 外傷性(けがによるもの) 医原性(医療処置が原因のもの) 突発性(原因不明のもの) その他(出産、運動後の水分補給不足など) アメリカのクリーブランド・クリニックのサイトでは、脳脊髄液減少症の約90%は外傷性であり、残りの10%は原因不明で起こるとされています。(文献3) 脳脊髄液減少症を発症するきっかけについては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症発症後の死亡率 この章では、脳脊髄液減少症後の死亡率および、寝たきりになる確率について解説します。 死亡率 2025年4月現在、脳脊髄液減少症による死亡率のデータは示されていません。 台湾の学術論文において、頭部外傷者患者10,638人を調査した結果が記されています。この研究では、外傷後に髄液漏れがあった患者は、髄液漏れがなかった患者と比べて1年以内に死亡する確率が有意に高い結果が示されました。(文献4) また、髄液が漏れ続けることで髄膜炎や脳炎などの発症につながり、ときには死亡するケースもあります。(文献4) イギリスの慈善団体「The CSF Leak Association(脳脊髄液漏出協会)」のサイトでは、「髄液漏出による死亡は極めてまれであるが、重症の場合、脳ヘルニアなどの合併症により死亡するケースがある」と記載されています。(文献5) 寝たきりになる確率 2025年4月現在、脳脊髄液減少症により寝たきりになる確率を明確に示したデータは存在していません。 緊張性気脳症とは、脳を取り囲む空間に空気が入り、頭の中の圧力が上昇する疾患です。治療を受けても重度の症状が続く場合は、合併症がなくても寝たきりになるケースが考えられます。 以下の記事では、髄膜炎について紹介していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症発症までの期間を理解して対処の遅れを防ごう 脳脊髄液減少症は、原因不明のものもありますが、多くは交通事故を含む外傷が原因です。 外傷性の場合、受傷後30分から数週間後の発症が多いとされています。明確なデータは存在しませんが、重症の場合、寝たきりになったり亡くなったりする可能性もあります。 外傷後に頭痛やめまい、倦怠感といった体調の異変が現れた場合は、脳脊髄液減少症を疑い脳神経外科や整形外科などを受診しましょう。 多くの都道府県公式ホームページでは、脳脊髄液減少症に関する情報が記載されているため、検索をおすすめします。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症と思われる症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 脳脊髄液減少症発症までの期間に関するよくある質問 脳脊髄液減少症を発症するとどのような症状が現れますか? 脳脊髄液減少で特徴的な症状が、起立性頭痛です。起立性頭痛とは、起き上がったり座ったりすると発生、もしくは悪化する頭痛のことです。 その他の症状としては、首や目の奥の痛み、めまい、倦怠感などがあります。 脳脊髄液減少症は特徴的な症状が少なく病気の認知度も低いため、起立性調節障害や片頭痛、うつ病などと診断されるケースも少なくありません。 原因不明の脳脊髄液減少症は何歳ころに多く発症しますか? アメリカのクリーブランド・クリニックのサイトでは、原因不明の脳脊髄液減少症は30歳以上の方に多く、発症する平均年齢は42歳と示されています。(文献3) 男女で比較すると、女性の方が発症しやすい傾向にあります。 脳脊髄液減少症を発症してから診断されるまでの期間はどのくらいですか? 脳脊髄液減少症は診断が難しいため、診断されるまでに数年間かかる方も少なくありません。(文献5) 日本の新聞記事でも、発症から診断まで3年かかり、複数の医療機関を転々として苦しんだ方の記事が掲載されています。(文献6) 参考文献 (文献1)一般社団法人千葉市医師会「事故後に不調が続いたらすぐ病院へ「脳脊髄液減少症」」一般社団法人千葉市医師会ホームページ, 2023年4月10日 https://www.chiba-city-med.or.jp/column/152.html (最終アクセス:2025年4月20日) (文献2)Ji-Woong Oh, et al.(2017).Traumatic Cerebrospinal Fluid Leak: Diagnosis and Management.Korean J Neurotrauma, 13(2),pp.63-67. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5702760/pdf/kjn-13-63.pdf (最終アクセス:2025年4月20日) (文献3)Cleveland Clinic「Cerebrospinal Fluid (CSF) Leak」Cleveland Clinic,2022年4月26日 https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/16854-cerebrospinal-fluid-csf-leak (最終アクセス:2025年4月20日) (文献4)Kuo-Hsing Liao, et al.(2016).Risk of death in patients with post-traumatic cerebrospinal fluid leakagedAnalysis of 1773 cases.Journal of the Chinese Medical Association,79(2)pp.58-54 https://journals.lww.com/jcma/fulltext/2016/02000/risk_of_death_in_patients_with_post_traumatic.4.aspx (最終アクセス:2025年4月20日) (文献5)The CSF Leak Association「CSF Leak FAQs: Essential Information About Cerebrospinal Fluid Leaks」The CSF Leak Association https://csfleak.uk/resource/frequently-asked-questions-faqs (最終アクセス:2025年4月20日) (文献6)讀賣新聞「脳脊髄液減少症のいま<1>診断つかず医療機関転々」讀賣新聞オンライン,2022年11月19日 https://www.yomiuri.co.jp/medical/renaissance/20221118-OYT8T50024/ (最終アクセス:2025年4月20日)
2025.04.30 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「立ったり座ったりすると頭痛がする」 「ふわふわとしためまいが続く」 「いつも体がだるい」 このような症状でお悩みの方も多いでしょう。これらはいずれも、脳脊髄液減少症の初期症状の1つです。 脳脊髄液減少症は、原因不明のものもあれば、外傷や疾患が原因で発症するものもあります。 本記事では脳脊髄液減少症の初期症状や、放置するリスクなどを解説します。脳脊髄液減少症を発症した芸能人の体験談も紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症の初期症状 脳脊髄液減少症の初期症状で特徴的なものは、起立性頭痛です。(文献1)起立性頭痛とは、立ったり座ったりすると出現・悪化する頭痛のことです。 それ以外の初期症状としては、主に以下のようなものがあげられます。 首の痛み めまい 目の奥の痛み 耳鳴り 慢性的な症状としては、頭痛や疲れやすさ、注意力・思考力の低下、腰痛などがあげられます。 特徴的な症状が少ないため、片頭痛や頚椎椎間板ヘルニア、メニエール病、うつ病といった疾患と診断されるケースも少なくありません。 脳脊髄液減少症の概要・治療法、初期症状の1つ「目の奥の痛み」について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 【関連記事】 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法を紹介|治療方法もあわせて解説 目の奥が痛いのは脳梗塞の前兆?目の病気との見分け方や対処法を解説【医師監修】 脳脊髄液減少症の初期症状を放置するとどうなる? 脳脊髄液減少症は、初期段階であれば、充分な水分補給と安静といった保存的治療で回復する可能性が高い疾患です。(文献1)しかし、初期症状を放置すると、慢性化、もしくは重症化する可能性もあります。 重症化した場合、頭の中に血のかたまり(慢性硬膜下血腫)ができることもあります。脳脊髄液が減少すると、脳を包む硬膜と脳の間にあるすき間が広がり、そこに血液が溜まるためです。血のかたまりが大きくなると、脳が圧迫されるため、溜まった血液を取り除く手術が必要です。 初期症状に気づいた時点で医療機関にかかることが、重症化を防ぐ大事なポイントといえるでしょう。 脳脊髄液減少症の初期症状が見られたときの受診先については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症の主な原因 この章では、脳脊髄液減少症発症の主な原因を表にまとめました。 原因 詳細・具体例 特発性 原因不明のもの 外傷性 なんらかの外傷によるもの (例) 交通事故 スポーツ中の転倒や打撲 階段からの転倒 医原性 なんらかの疾患や医療処置によるもの (例) 発熱による脱水 腰椎穿刺検査 整体治療 その他 外傷や疾患、医療処置以外によるもの (例) 出産 金管楽器を強く吹く スポーツ後の水分補給が不十分であったために、発症したケースもあります。 脳脊髄液減少症の検査方法 脳脊髄液減少症の検査方法は、主に以下の4つです。 病歴の聴き取り 脳脊髄液の検査 頭部MRI検査脳槽 シンチグラフィー検査 病歴の聴き取り 脳脊髄液減少症の検査および診断の第一歩は、病歴の聴き取りです。 もともと、片頭痛や緊張型頭痛、薬の飲み過ぎによる頭痛などがある方の場合、脳脊髄液減少症の症状と区別する必要があります。そのような頭痛がある方は、隠さずに医師へ伝えましょう。 めまいや体のだるさなど、頭痛以外の症状がある場合もていねいに伝える必要があります。 片頭痛や緊張型頭痛に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液の検査 腰椎(腰の背骨)に針を刺す腰椎穿刺により、脳脊髄液の圧力を調べる検査です。最初の検査結果で、圧力が6cm水柱以下のときは脳脊髄液減少症の可能性があります。ただし、正常値であっても、脳脊髄液減少症を完全に否定できない場合もあります。(文献2) なお、腰椎穿刺により脳脊髄液の漏れが悪化する可能性があるため、この検査は必須ではありません。 頭部MRI検査 頭部MRI検査で見られる主な所見を表でまとめました。 所見 詳細 脳の下方変位 脳と硬膜との間のすき間が広がる 小脳の一部が下がる脳幹が 平たく変形する 側脳室(脳脊髄液で満たされた空間)が狭くなる 血液量増加 硬膜が広範囲で厚くなる 頭の中の静脈が太くなる 脳下垂体が大きくなる ただし、慢性期には、このような所見が見られない場合もあります。MRI検査の結果は、あくまでも参考情報の1つです。 脳槽シンチグラフィー検査 脳槽シンチグラフィーとは、髄液の流れや漏れを調べる検査です。 腰椎穿刺で特殊な物質であるインジウムを注入し、30分~1時間後のインジウム量を100%として、24時間後に、再度インジウム量を測定します。 インジウム減少量や特定の場所への貯留状況などが、脳脊髄液の流れや漏れを調べる指標です。 胸椎や腰椎において、脳脊髄液がどこから漏れているかを調べるのに適した検査とされています。 脳脊髄液減少症を公表した芸能人 芸能人の中にも、脳脊髄液減少症を発症したことを公開している方がいます。 俳優の米倉涼子さんは2019年に脳脊髄液減少症を発症し、まっすぐ歩けない、身体がだるくて立ち上がれないといった症状に見舞われました。複数の医療機関を受診して、脳ドックや脳の検査を受けた結果、ようやく病名が判明しました。2023年8月に治療を受けて、翌年5月頃から重い症状が少し改善してきたとテレビ番組で語っています。 岐阜県を中心に活動しているタレントの塚本明里さんも、脳脊髄液減少症を発症した1人です。塚本さんは、発症してから病名がわかるまでに7年間かかりました。病名がわかるまでは、周りの人に説明できず辛い思いをしたそうです。長い時間頭を立てていると倒れることもあるため、外出時はリクライニング式の車椅子を使っていると語っています。 脳脊髄液減少症の初期症状がある場合は放置せずに医療機関を受診しよう 脳脊髄液減少症は、なんらかの原因によるものもあれば、原因不明のものもあります。 主な初期症状は起立性の頭痛ですが、それ以外にも、めまいや首の痛みなどさまざまな症状があります。 早期発見により早期回復が見込めるため、本記事で紹介したような症状がある場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。多くの都道府県公式ホームページでは、検査・治療ができる医療機関を紹介しているため、症状がある方は検索してみると良いでしょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症の初期症状が見られる方は、お気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 松本英之,宇川 義一.「脳脊髄液減少症」『日本内科学会雑誌』100(4), pp.1076-1083, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_1076/_pdf (最終アクセス:2025年4月19日) (文献2) 脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」2007年 http://www.npo-aswp.org/data/2007-0330.pdf (最終アクセス:2025年4月18日)
2025.04.30 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
大腸がんは、部位別のがん発生率で男女どちらも上位に位置しており、女性ではがんによる死亡数が最も多い病気です。(文献1) とくに、初期には自覚症状がほとんどないため発見が遅れやすく、進行すると治療の選択肢が限られてしまいます。 自分や家族の健康を守るためにも、大腸がんのリスクを正しく知り、早期発見・予防につなげていきましょう。 本記事では、大腸がんの主な原因や発症リスクの高い人の特徴、見逃しやすい症状、検査方法などを詳しく解説しますので、参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな病気の治療に応用されている再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状がある方は、ぜひ一度ご利用ください。 大腸がんの原因は何?なりやすい人の特徴 大腸がんになる可能性を高める要因には、ストレス・食生活・年齢など複数の特徴的な背景があります。さまざまな要因が重なる人ほどリスクが高まるため、早めに把握して改善していくことが大切です。 ここでは、大腸がんの原因をひとつずつ掘り下げて解説します。 ストレス|直腸がんの発症率に影響 強い心理的ストレスは、直腸がんの発症リスクを高める可能性があります。ストレスは免疫機能を低下させ、喫煙・飲酒・暴飲暴食といった生活習慣の悪化を招く場合があるのです。 日本人約6万人を対象にした追跡調査では、「心理的ストレスが高い人ほど直腸がんの発症率に影響があった」と報告されています。(文献2) また、女性に限定した別の研究では、ストレスを自覚している人の大腸がんによる死亡リスクが、ストレスを感じていない人に比べて 1.64倍に上昇したと報告されています。(文献3) ストレスだけで大腸がんになるわけではありませんが、発症リスクを間接的に押し上げる一因です。趣味に没頭する時間を設けるなど、自身に合ったストレス管理を心がけると良いでしょう。 食生活|野菜や食物繊維が不足しがちな食事 近年、日本を含む先進国では大腸がんの発症率が上昇傾向にあり、50歳未満の比較的若い世代での大腸がん増加が世界的に報告されています。 食生活の欧米化が背景にあると考えられており、肉類(とくに赤身肉や加工肉)中心で野菜や食物繊維が不足しがちな食事は、大腸がんのリスクを高める可能性があるわけです。 若年層での発症が増えている傾向を食い止めるためにも、日頃の食習慣を見直し、バランスの良い食事を心がけることが大切です。 発症年齢|高齢になるほど高い罹患率 国立がん研究センターの統計では、大腸がんの罹患率は40代から徐々に増加し、年齢を重ねるごとに罹患率は高くなる傾向を示しています。(文献5) 自治体などの検診が40歳から始まることも、40代以降に発見される一因と考えられます。 しかし、数は多くないものの、20代や30代で発症するケースもあるため、若いから無関係とはいえません。腹部の不調が続くなど、気になる症状があれば、30代から検査を受けておきましょう。 なお、大腸がんは年齢によって進行速度に違いがあるといわれます。詳しくは、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 運動不足|肥満による影響 運動の少なさや肥満傾向も、大腸がんのリスクを高めます。身体をあまり動かさない生活が続くと腸の働きが鈍くなり、腸内に有害物質が停滞しやすくなるのです。 肥満そのものもホルモンバランスの乱れや慢性炎症を通じて、がん発生の要因になると考えられており、大腸がんの発生率が高いことが報告されています。(文献6) 喫煙と飲酒|さまざまなガンのリスク 喫煙習慣や過度の飲酒も、大腸がんのリスクを上げると明らかになっています。 喫煙といえば肺がんの原因として知られていますが、たばこに含まれる有害物質が血流を通じて全身に巡るため、大腸の細胞にも悪影響を及ぼすわけです。 国立がん研究センターの研究によると、喫煙者は非喫煙者に比べ大腸がんの発生率が高い傾向が認められています。(文献7) また、アルコールと体内で代謝されてできるアセトアルデヒドには発がん性があり、大量の飲酒習慣は大腸がんの危険性を高めるため注意が必要です。日常的にタバコやお酒を嗜む方は、大腸がんを含むさまざまながん予防のためにも、禁煙・節酒を意識しましょう。 遺伝的要因|家族の発症歴との関連 大腸がんには、遺伝的な要因も一部存在します。家族性大腸腺腫症やリンチ症候群といった遺伝性疾患のある家系では、若いうちから大腸がんを発症する率が高いとされています。 また、遺伝的要因とは別に、炎症性腸疾患と総称される難治性の腸の病気(潰瘍性大腸炎やクローン病など)を患っている人も要注意です。大腸に慢性的な炎症がある状態が続くため、大腸がんの発生率が上がることがわかっています。(文献8) とくに、家族歴がある方や腸の持病がある方は、定期検診を欠かさず早期発見に努めましょう。 高身長|大腸がん・結腸がんのリスクが高い 高身長の人は、大腸がんや結腸がんのリスクが高くなることが明らかになっています。成長に関与するホルモンや体内の細胞分裂の頻度などが関連していると考えられています。 国立がん研究センターの疫学研究によると、最も身長が高い群(男性170cm以上、女性157cm以上)は、最も低い群(男性160cm未満、女性148cm未満)と比較して、大腸がん全体のリスクが男性で1.23倍、女性で1.21倍と報告しています。(文献13) また、遠位結腸がんでは、女性で1.35倍と高い傾向が示されました。身長は変えられませんが、定期的に検診を受けるなど、予防的行動を取ることが重要です。 炎症性腸疾患|長期間炎症が続くと大腸がんを合併する 炎症性腸疾患(IBD)を長期間患っている人は、大腸がんを合併するリスクが高まります。 潰瘍性大腸炎やクローン病など、慢性的に腸管に炎症が生じる病気では、腸粘膜の細胞が繰り返し傷つけられ、遺伝子変異が蓄積してがん化の可能性が高まるのです。 症状が安定していても、自己判断で治療を中断せず、医師の管理のもと継続的に炎症を抑えていきましょう。 コリバクチン毒素|若い人の大腸がん発症要因の可能性 近年の研究で、大腸内の一部の腸内細菌が産生する「コリバクチン」という毒素が、若年層の大腸がん発症と関係している可能性が示されました。 コリバクチンはDNAを損傷する性質があり、大腸がん初期段階で見られる遺伝子変異「APC変異」の一部が、コリバクチンに由来することが明らかになっているのです。 国際共同研究では、50歳未満の若年性大腸がん患者に、コリバクチン毒素による特徴的な変異パターンがあると報告されました。(文献14) 若年層のがん発症は生活習慣だけでなく、腸内環境や微生物との関連も強く示唆されており、今後の予防や治療法開発に大きな影響を与えるとされています。(文献14) 大腸がんを早期発見するための2つのポイント 大腸がんは、早期のうちに発見できれば高い確率で治癒が望めます。ただし、初期段階では症状がほとんど出ないため、発見が遅れるケースも少なくありません。 ここでは、大腸がんを早期発見するための2つのポイントを解説します。 初期症状に該当するかチェックする 大腸がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどなく、少し進行してからようやく異変に気づくケースがあります。(文献9)。 以下に、大腸がんの代表的な症状をまとめたので、思い当たるものがないかチェックしてみましょう。 初期症状 チェックポイント 便に血が混じる、または便の表面に血が付着する 血便・下血と呼ばれる症状です。大腸がんが進行すると腸管内で出血が起こり、排泄物に鮮紅色もしくは暗赤色の血液が混ざることがあります。 痔など良性疾患でも起こる症状ですが注意が必要です。 貧血の症状が出る 大腸がんからの出血が断続的に続くと慢性的な貧血状態になります。 立ちくらみやめまい、動悸・息切れ、顔色の悪さなど貧血のサインが現れることがあります。 便通の変化(下痢や便秘を繰り返す)や便の形状変化 腸管が狭くなるために便秘と下痢を交互に繰り返したり、便が細くなったりする場合があります。 また常に残便感(出し切れていない感じ)があるのも特徴です。 お腹の張りや痛み 腸にガスや便が溜まりやすくなることで腹部膨満感を感じたり、腫瘍が大きくなるとお腹が痛くなることもあります。 進行した場合、腸閉塞(腸詰まり)を起こして激しい腹痛や嘔吐を引き起こすこともあります。 頻度が高いのは血便や下血ですが、痔など良性の病気でも起こり得るため、自己判断して放置してしまう例も少なくありません。 上記のような症状に心当たりがある場合は、お早めに消化器科・胃腸科・肛門科など専門医を受診しましょう。 大腸がんの初期症状については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。 定期的に健康診断を受ける 大腸がんを早期発見するには、自覚症状だけに頼らず、定期的に大腸がん検診を受けることが重要です。 日本では、40歳以上の男女に対し、年に1回の大腸がん検診受診が推奨されています。(文献9) 市区町村によっては、集団検診や職場健診で便潜血検査を実施しており、多くの場合費用の一部または全額が公費負担です。 大腸がん検診は主に問診と便潜血検査で、痛みもなく短時間で終わります。 手軽に受けられる検査なので、忙しくて時間がない方も年に一度はスケジュールを確保して受診しましょう。 大腸がんの原因になりやすい食べ物|男性・女性 特定の食べ物の摂取は大腸がん、とくに結腸がんの発症リスクに影響を及ぼすことが報告されています。 なかでも、赤肉(牛肉や豚肉)や肉類全体の摂取量が多いと、性別によって異なる影響をもたらす可能性があるため注意が必要です。 国立がん研究センターによると、女性で赤肉を1日あたり約80g以上食べているグループでは、結腸がんのリスクが高まる傾向が認められました。 一方、男性では、肉類全体の摂取量が1日約100g以上のグループにおいて、結腸がんのリスク上昇が確認されています。 なお、ハムやソーセージなどの加工肉については、日本人の一般的な摂取量の範囲内では男女ともに、統計的に有意な大腸がんリスクの上昇は見られなかったという結果も報告されています。(文献15) 大腸がんのリスクを下げる5つの予防方法 生活習慣の影響が大きい大腸がんは、日々の習慣を改善すると予防効果が期待できます。 日常生活で取り組める大腸がん予防策を解説するので、できることから取り組んでみましょう。 ストレスを適切にコントロールする ストレスは、大腸がんの間接的なリスクとなりうるため、上手に付き合っていかなければなりません。 心身の健康を保つには、まず十分な睡眠時間を確保し、生活リズムを整えるのが基本です。 また、自身に合ったストレス解消法を日常生活に取り入れるのも一つの方法です。 たとえば、以下のようなものが挙げられます。 ウォーキングやストレッチなどの軽い運動 読書や音楽鑑賞といった趣味の時間 親しい友人や家族との会話 すべてを完璧におこなう必要はないので、無理のない範囲で自分が心地よいと感じる方法を見つけてみましょう。 食物繊維を十分に摂る 食習慣の見直しは、大腸がん予防の柱となります。 まず、食物繊維を十分に摂取するよう心がけましょう。 野菜や果物、海藻、豆類、全粒穀物(玄米や全粒パンなど)には食物繊維が豊富に含まれており、食物繊維の摂取量が多い人ほど大腸がんの発症リスクが16〜24%低いとの研究結果も報告されています。(文献4) 日々の食事を見直し、大腸がんになりにくい食生活を意識しましょう。 運動習慣を身につける 定期的な運動習慣は、大腸がんのリスクを低減させる上で役立つと考えられています。 運動によって腸の動きが活発化し、便に含まれる有害物質が腸の粘膜に接触する時間を短くできるのが理由です。 実際に運動習慣がある人では、大腸がんの発症リスクが低下するとの報告もあります。(文献6) また、運動は肥満の解消や適正体重の維持にもつながります。 肥満はリスク要因のひとつであり、とくに糖尿病の人は大腸がんのリスクが1.4倍高まるとのデータも示されています。(文献4) まずは、毎日30分程度のウォーキングなど、継続しやすいものから始めてみましょう。 禁煙する タバコを吸う人は、禁煙しましょう。 喫煙は、大腸がんを含むすべてのがんのリスクを高める最大要因のひとつです。(文献7) タールやニコチンなどタバコに含まれる有害物質は、吸い込んだ肺だけでなく、血液を介して大腸の粘膜にも届き、細胞を傷つけDNAにダメージを与えます。 禁煙によって肺がんはもちろん、大腸がんやその他のがんになる確率も時間とともに減少していくことがわかっています。(文献10) 禁煙開始直後はストレスを感じるかもしれませんが、禁煙外来の活用やニコチンパッチ・ガムなど補助剤の利用も有効です。 がんにならない健康な体づくりの一環として、ぜひ禁煙にチャレンジしてみてください。 飲酒は適量を心がける お酒を嗜む方は、飲みすぎに注意しましょう。 過度の飲酒習慣は、大腸がんのリスクを高めます。(文献7) 一般的に節度ある適量の目安は、ビール中瓶1本または日本酒1合程度です。 適量を超える連日の飲酒は控え、飲む頻度も週に2日は休肝日を設けることが推奨されています。 また、お酒以外のリラックス法を見つけ、飲酒量を徐々に減らす努力が大切です。 適切な飲酒量の管理は大腸がんのみならず、肝臓や膵臓など他の臓器のがんにも関係していきます。 健康を維持するためにも、飲酒量には十分に注意しましょう。 大腸がんの主な症状 大腸がんは初期段階では目立った自覚症状がなく、進行するにつれてさまざまな症状が現れます。 ここでは、大腸がんの主な症状を見ていきましょう。 血便 大腸がんが進行すると、腫瘍部からの出血により便に血が混じる「血便」が起こる場合があります。 肛門に近い直腸がんは、鮮やかな赤色の血が便に見えることが多いほか、結腸のがんでは便と混ざって肉眼では気付きにくい場合があります。 出血が続くと慢性的な貧血につながるため、痔と判断せず早めに検査を受けましょう。 出血だけでがんと確定できるわけではないですが、便に血が付着する・色が変わるなどの異変があるなら要注意です。 便秘・下痢 大腸がんの腫瘍が大腸の内腔(中の空間)を狭めると、排便のリズムが乱れ、便秘と下痢を繰り返す可能性があります。 また、便が細くなったり、コロコロした便、残便感(排便後もまだ便が残っているような感じ)も併発します。 便通の異常は、消化器の他の疾患やホルモン異常でも起こり得るため、専門医に評価してもらうことが重要です。 大腸がんと便の関係については、以下の記事でも詳しく解説しています。 体重減少 大腸がんが進行すると、腸を通過する便の流れが妨げられ、食事量が減少したり、がん細胞から分泌される物質により代謝が変化したりして、体重が減少する場合があります。 食事や運動量に大きな変化がないにもかかわらず、痩せてきた場合は、早めに検査を受けましょう。 貧血 大腸がんによって持続的に出血したり、食欲不振・栄養不良が続いたりすると、鉄欠乏性貧血を伴うケースがあります。 とくに、血便と併発してめまい・動悸・息切れなどの症状が出た場合には、がんの可能性を含めた精査が必要です。 貧血とひと口にいっても、原因は多岐にわたるため、自分で判断せず医師に相談しましょう。 お腹のはり・しこり 腫瘍が大きくなって腸内で便やガスの通過が悪くなると、お腹の張り(腹部膨満感)や違和感が現れるのが特徴です。比較的進行した段階では、腹部を触った際にしこりを感じる場合もあります。 なかでも、右側大腸(盲腸・上行結腸)にがんが出来ると自覚症状が出にくく、腹部の張りや貧血をきっかけに発見されるケースも少なくありません。 お腹が張る・しこりがあるという違和感があれば、早めに受診しましょう。 大腸がんの症状については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。 大腸がんの検査方法 大腸がんの早期発見には、定期的な検査が不可欠です。 ここでは、大腸がんで多くの医療機関が採用している代表的な検査方法を見ていきましょう。 便潜血検査 便潜血検査は、便の中に肉眼では見えない微量の血液が含まれていないかを調べる検査です。 大腸がんやポリープなどの病変があると、腸内でわずかな出血を起こし、便に混ざる場合があります。便潜血検査では、専用の試薬を使って血液の痕跡を化学的に検出可能です。 検査方法は、自宅で便を少量採取し、検査キットに塗布して提出します。 検査の結果、「陽性(血液反応あり)」であっても、必ずしも大腸がんとは限りません。痔や月経血の混入などによる「偽陽性」の可能性もあるため、陽性となった場合でも落ち着いて精密検査(大腸内視鏡など)を受けましょう。(文献9) また、「陰性」だからといっても完全に安心とは限らず、ごく初期のがんが見逃されているケースがあります。年1回は定期的に便潜血検査を受け、早期発見に努めていきましょう。 大腸内視鏡検査 大腸内視鏡検査では、肛門から細長い内視鏡(先端にカメラの付いた管)を挿入し、大腸内の粘膜を直接観察します。 便潜血検査よりも精度が高く、大腸がんの確定診断や早期の病変発見に有効です。 検査前日から専用の下剤を服用して腸内を洗浄し、当日は腸に空気や水を入れてふくらませながら、腸壁のすみずみまで確認します。 がんが疑われる場合や便潜血検査が陽性だった場合に実施されることが多く、医師が検査中にポリープを発見すれば、その場で切除することも可能です。(文献9) 採取した組織は、病理検査で詳しく分析され、良性か悪性かを診断します。 最近では鎮静剤を使用し、眠った状態で検査を受けられる医療機関も多く、苦痛を感じにくい工夫が進んでいます。 大腸内視鏡検査は半日から1日かかる場合もありますが、がんの早期発見と同時に治療もできる点で有用です。 なお、症状が強い場合は、便潜血を待たずに直接内視鏡検査を行うケースもあります。 大腸がんと大腸ポリープの違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。 大腸がんの治療方法 大腸がんの治療は、がんの進行度や体の状態に応じて、以下の4つの方法があります。 内視鏡治療 薬物療法(化学療法) 放射線治療 手術療法 免疫療法 再生医療 では、それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。 内視鏡治療 内視鏡治療は、がんが腸の粘膜内にとどまっているような早い段階(ステージ0〜I期)で発見された場合に選択される治療法です。 お腹を切る必要がなく、肛門から内視鏡(カメラ)を挿入し、モニターで確認しながらがんやポリープを切除します。 体への負担が少ないため、入院期間も2〜3日程度で済むケースがほとんどです。また、お腹に傷が残らず、回復が早いといった利点もあります。 ただし、がんの大きさや深さによっては、手術療法が必要と判断されるケースがあります。 薬物療法(化学療法) 薬物療法は、抗がん剤や分子標的薬を使ってがん細胞の増殖を抑える治療法です。 以下のような場合に用いられます。 手術後の再発予防(術後補助化学療法) 手術前にがんを小さくする目的(術前化学療法) 切除できない進行がんや再発がんの治療 他の臓器に転移がある場合 主に以下の薬剤が使用されます。 抗がん剤:5FU系薬剤、オキサリプラチン、イリノテカンなど 分子標的薬:ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブなど 治療は点滴や内服で行われ、複数の薬剤を組み合わせることが一般的です。副作用には吐き気、下痢、手足のしびれ、皮膚症状などがありますが、吐き気止めなどの薬を使うことで軽減できる場合が多くあります。 放射線治療 放射線治療は、高エネルギーの放射線をがん細胞に照射して死滅させる治療法です。 大腸がんでは主に以下の場合に用いられます。 直腸がんの手術前治療(がんを小さくして切除しやすくする) 直腸がんの術後再発予防 骨やリンパ節への転移による痛みの緩和 手術が困難な局所進行がんの制御 直腸がんでは、化学療法と併用する「化学放射線療法」が標準治療として行われることがあります。 治療は通常、平日に毎日少しずつ照射し、数週間かけて行います。副作用には、照射部位の皮膚炎、下痢、頻尿、疲労感などがありますが、多くは治療終了後に改善します。 手術療法 手術療法は、がんが腸の壁の深くまで達していたり、リンパ節に転移したりしている可能性があるステージI〜IIIで行われる治療法です。 がん細胞が含まれる腸管と、その周囲のリンパ節を一緒に切除します。 手術の方法は、以下の2つの術式があります。 術式 概要 腹腔鏡手術 お腹に小さな穴を開けておこなう 開腹手術 お腹を切り開いておこなう 進行状況によっては、一時的に人工肛門(ストーマ)を造設する場合もあり、手術後に再びつなぎ合わせるケースも少なくありません。 また、手術後には再発を防ぐ目的で、半年ほど抗がん剤などを用いた補助化学療法を行う場合があります。 免疫療法 免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。 現在、大腸がんの治療に効果があると証明されている免疫療法は、「免疫チェックポイント阻害薬」です。 ただし、すべての大腸がんに有効ではなく、以下のケースに該当する場合にのみ効果があるとされています。 遺伝子に入った傷を修復する機能が働きにくい状態 がん細胞中の遺伝子変異の量が多い状態 なお現段階で、免疫チェックポイント阻害薬以外の免疫療法は、大腸がんに対して効果が証明されていません。(文献11) 再生医療 近年、さまざまな病気の治療で「再生医療」が用いられています。 再生医療とは、自身の細胞を用いて身体の機能を整える治療法です。大腸がんにおいても、発症や再発のリスクを抑える目的で再生医療が選択肢になるケースがあります。 患者様ご自身の免疫細胞の働きを高める「免疫細胞療法」もその1つです。 血液から免疫細胞を採取し、体外でその数を増やし活性化させてから再び体内に戻す治療法で、体への負担を抑えられるのが特徴です。 免疫細胞療法について、詳しくは下記のページをご覧ください。 まとめ|大腸がんの原因を理解して生活習慣を見直そう 大腸がんは怖い病気ですが、原因となるストレスや食生活などの生活習慣を見直せば、予防が可能です。 日々のストレスを減らし、バランスの良い食事と適度な運動を心がけることは、大腸がんのみならず他の病気の予防にもつながります。 忙しいからと後回しにせず、できる範囲で生活習慣を改善していくことが大切です。 また、40歳を過ぎたら定期検診を受け、早期発見に努めていきましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療に利用されている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご活用ください。 大腸がんの原因に関するよくある質問 大腸がんに気づいたきっかけは何が多いですか? 大腸がんは初期症状がほとんど出ないため、自身の判断で気づくのは難しいといわれています。発見に至るきっかけで多く挙げられるのは、会社の健康診断や自治体の検診で行う「便潜血検査」です。 検査で陽性反応が出た場合は大腸内視鏡検査を行い、大腸がんと診断されるケースがあります。 日本においては、40歳になると大腸がん検診の対象となるため、検診をきっかけに発見される方も少なくありません。ただし、30代でも発症する可能性はあるため、血便や長引く便秘・下痢、腹痛といった症状が続く場合は、専門機関の受診を検討しましょう。 50代で大腸がんになる確率はどれぐらいですか? 国立がん研究センターの報告によると、50代で1年間に大腸がんと診断される人数は、10万人あたり男性がおよそ120人、女性がおよそ75人です。(文献12) 確率に換算すると、男性は約0.12%、女性は約0.075%となります。男性であれば約833人に1人、女性では約1,333人に1人が50代のうちに罹患する計算になります。 参考文献 (文献1) 最新がん統計|国立がん研究センター (文献2) Perceived Stress and Colorectal Cancer Incidence: The Japan Collaborative Cohort Study|Scientific Reports (文献3) Perceived Psychologic Stress and Colorectal Cancer Mortality: Findings From the Japan Collaborative Cohort Study|Psychosomatic Medicine (文献4) 糖尿病の人は大腸がんリスクが高い 大腸がんは50歳未満の若い人でも増加 予防に役立つ3つの食品とは?|糖尿病ネットワーク (文献5) がん種別統計情報 大腸|国立がん研究センター (文献6) 身体活動量と大腸がん罹患との関連について|国立がん研究センター (文献7) お酒・たばこと大腸がんの関連について|国立がん研究センター (文献8) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)について|国立がん研究センター (文献9) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)予防・検診|国立がん研究センター (文献10) がんゲノムビッグデータから喫煙による遺伝子異常を同定|国立がん研究センター (文献11) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)治療|国立がん研究センター (文献12) 大腸がんファクトシート2024|国立がん研究センター がん対策研究所 (文献13) 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究|国立がん研究センター (文献14) 日本人大腸がん患者さんの5割に特徴的な腸内細菌による発がん要因を発見|国立がん研究センター (文献15) 赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて|国立がん研究センター
2025.04.30 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「めまいや頭痛が続いている」 「貧血が原因だと思っていたが、血液検査では異常なしだった」 「異常がないのに、なぜめまいや頭痛が続いているのだろう?」 このような不安や疑問をお持ちの方も多いでしょう。原因不明のめまいや頭痛などが続くときには、脳脊髄液減少症の可能性があります。 本記事では脳脊髄液減少症のセルフチェック項目や、病気の概要、治療法について解説します。 症状が続く不安を軽減するために、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法 この章では、脳脊髄液減少症のセルフチェック項目を表にまとめました。 セルフチェック項目 詳細 主な症状 頭痛(起立性頭痛) 首の痛み めまい 耳鳴り 見え方の異常 身体のだるさ 疲れやすさ その他の症状 顔の痛みやしびれ 意識障害 症状の現れ方 座ったり起き上がったりしてから3時間以内に症状が出現・悪化しやすい 起立性頭痛とは、立ち上がったときや座っているときなどに強くなる頭痛のことです。 当てはまる項目が多く、過去に病院で「異常なし」と診断された方は、脳脊髄液減少症を発症している可能性があります。 脳脊髄液減少症の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 そもそも脳脊髄液減少症とは 脳脊髄液減少症とは、脳脊髄液が常に、もしくは断続的に漏れ出してしまう疾患です。(文献1)脳脊髄液の役割は、脳と脊髄を守ることです。 脳脊髄液が漏れ出て量が減ると、頭痛や首の痛み、めまい、耳鳴り、見え方の異常、体のだるさなど、さまざまな症状が現れます。 脳脊髄液減少症は、以下の2種類に分けられます。 症候性:病気やけがが原因で発症する 特発性:発症の原因が不明である 発症しやすい年齢は40歳前後であり、女性に多い疾患です。 脳脊髄液減少症は現在も研究が進められており、診断基準や治療法は確立されていません。(文献2) 脳脊髄液減少症に症状が似ている疾患 脳脊髄液減少症に症状が似ている疾患としては、以下のようなものがあげられます。(文献2) 慢性頭痛 頸椎症 頚椎椎間板ヘルニア むち打ち症 うつ病 脳脊髄液減少症は正確な診断基準が確立されていないため、別の疾患名で診断されてきたケースも少なくありません。もしくは、異常なしと診断された方も多い状況です。 原因がわからずに症状が続いたため、苦しんできた方も多いことが想定されます。 以下の記事では、脳脊髄液減少症と症状が似ている、むち打ち症について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症の治療方法【セルフチェック該当者向け】 この章では、セルフチェックにおいて脳脊髄液減少症の可能性が高かった方に向けて、治療方法を詳しく解説します。 保存的治療 保存的治療では、水分補給と安静が必要です。1~2週間程度は、追加摂取1日1000~2000mlの水分を摂り、安静にして過ごしましょう。(文献3)脳脊髄液の減少を止める効果が期待できます。 水分補給に関しては、入院やもしくは通院により、医療機関で点滴を受けるケースもあります。 水分補給時に経口補水液が効果的という説もありますが、科学的な根拠は提示されていません。 ブラッドパッチ ブラッドパッチとは、自分の血液を髄液が漏れ出ている部分に注入する治療法で、平成28年度から保険適用されました。 注入量は漏れ出ている部分によって異なります。腰椎(腰の背骨)で20〜40ml、胸椎(胸の背骨)で15~20ml、頚椎(首の背骨)で10~15mlです。 ブラッドパッチ治療後は1週間程度の安静が望ましく、同じ場所に再度治療する場合は、3か月以上の経過観察期間を設けることが望ましいとされています。(文献1) 硬膜外生理食塩水注入療法 腰椎からカテーテルを挿入して、生理食塩水を48~72時間持続的に注入する治療法で、注入のペースは1時間につき20ml程度です。(文献2) 生理食塩水のみ注入する方法に加えて、ブラッドパッチのときに、生理食塩水を35〜50ml程度注入する方法もあります。 セルフチェックで脳脊髄液減少症を疑う際は医療機関を受診しよう セルフチェックで当てはまる症状が多かった方や、症状があるにもかかわらず、異常なし、もしくは原因不明と診断された方は脳脊髄液減少症の可能性があります。 脳脊髄液減少症は、研究段階の疾患であるため、診断・治療できる医療機関が限られていますが、出来る限り早い受診をおすすめします。 お住まいの都道府県庁ホームページ内に、脳脊髄液減少症に関する情報が記載されていることも多いため、受診を検討される方は、検索してみましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症と思われる症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳脊髄液減少症に関するよくある質問 脳脊髄液減少症は何科を受診すると良いでしょうか? 脳脊髄液減少症に対応している主な診療科は、以下のとおりです。 脳神経外科 脳神経内科 神経内科 整形外科 麻酔科 ただし、「治療まで可能」、「相談・検査のみ」など医療機関によって対応が異なります。治療においても、ブラッドパッチ対応可能なところと、不可能なところにわかれます。 多くの都道府県ホームページでは、脳脊髄液減少症の医療機関に関する情報を公開しているので、検索してみましょう。 脳脊髄液減少症と起立性調節障害の違いは何ですか? 起立性調節障害とは、交感神経や副交感神経のバランスの乱れによりさまざまな症状が起こる疾患で、小学校高学年から高校生の方に多く見られます。(文献4) めまいや頭痛、立ちくらみといった症状は脳脊髄液減少症と共通していますが、脳脊髄液減少症の原因は、文字どおり脳脊髄液の減少です。そのため両者は、原因や治療法に違いがあります。 脳脊髄液減少症は難病指定されていますか? 2025年(令和7年)4月1日の時点で、国の指定難病は348種類存在しますが、脳脊髄液減少症は含まれていません。(文献5) 脳脊髄液減少症に関しては、2007年度(平成19年度)から厚生労働科学研究費補助金、2015年度(平成27年度)からは日本医療研究開発機構(AMED)において、研究が実施されています。(文献6) 脳脊髄液減少症は、さらなる研究および難病指定が求められる疾患といえるでしょう。 参考文献 (文献1) 脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」2007年 http://www.npo-aswp.org/data/2007-0330.pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献2) 松本英之,宇川 義一.「脳脊髄液減少症」『日本内科学会雑誌』100(4), pp.1076-1083, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_1076/_pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献3) 兵庫県神河町「脳脊髄液減少症をご存知ですか?」https://www.town.kamikawa.hyogo.jp/cmsfiles/contents/0000000/507/nouekizui.pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献4) 一般社団法人 起立性調節障害改善協会「脳脊髄液減少症と起立性調節障害の違いを解説-どちらに該当するかセルフチェック」一般社団法人 起立性調節障害改善協会ホームページ, 2024年2月25日 https://odod.or.jp/kiritsusei-tohaod-6279/ (最終アクセス:2025年4月18日) (文献5) 厚生労働省「指定難病の概要、診断基準等、臨床調査個人票(告示番号1~348)※令和7年4月1日より適用」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53881.html (最終アクセス:2025年4月18日) (文献6) 厚生労働省「脳脊髄液減少症について」厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/nanbyo/100402-1.html (最終アクセス:2025年4月18日)
2025.04.30 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「寝ても寝ても眠い状態が続く」 「眠いのは貧血も関係していると聞いた」 「貧血の検査を受けた方が良いのだろうか」 このように悩まれている方は多いでしょう。女性の場合、月経前後や月経中に眠気が強くなる方も少なくありません。 本記事では、貧血で眠くなる理由や対処法を解説します。セルフケアを続けても眠気が続く場合や、眠気が強くなる場合は、専門医に相談してみましょう。 いつも眠い理由は貧血のせいかもしれません! 眠気が続く原因として、貧血が考えられます。 貧血が眠気を引き起こす理由は、主に以下の3つです。 血液中の酸素不足 睡眠の質の低下 月経の影響 血液中の酸素不足 貧血とは、赤血球の中にあるヘモグロビンの量が不足した状態です。ヘモグロビンは、血液に酸素を行きわたらせる働きがあります。 貧血によりヘモグロビンが不足すると、血液中の酸素が不足し、その影響で脳の活動も低下します。眠気は、脳の活動低下によるものです。そのほかにも判断力の低下や頭がぼんやりするなどの症状があらわれます。 貧血の方は、体内への酸素運搬能力が低下しているため、筋肉や他の組織もエネルギー不足の状態です。そのため、通常の日常生活でも疲れやすくなっています。 貧血の症状については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 睡眠の質の低下 貧血が原因で、睡眠の質が低下するケースもあります。代表的なものが、むずむず脚症候群です。 むずむず脚症候群とは、脚の奥に不快な感覚が生じるものです。不快な感覚としては、主に以下のようなものがあげられます。 むずむずする ピリピリする 虫が這っているような感じがする かゆみがある むずむず脚症候群の特徴は、安静にしていると症状が出現もしくは増強し、足を動かすと症状が軽減される点です。 夜に症状が出現しやすいため、寝付けなかったり、何度も目が覚めたりします。そのため睡眠の質が低下して、眠い状況が続くのです。 月経の影響 女性の場合は、月経も眠気に関連しています。 女性は月経による出血が毎月あるため体内から鉄分が失われることが多く、鉄欠乏性貧血を引き起こしやすいです。そのため、体内で酸素不足が起きやすく、眠気を生じやすいといえます。 1回の月経による出血量は、20〜140mlが正常範囲であり、140ml以上の出血があると月経過多状態とされます。(文献1) また、月経前の2週間はとくに眠気を生じやすい時期です。ホルモンバランスの変化や自律神経の乱れ、体温変動の少なさなどが、理由としてあげられます。 貧血が原因で眠いときの対処法 貧血が原因で眠いときの対処法としてあげられるのは、主に以下の2つです。 生活リズムの見直し 食生活の見直し 生活リズムの見直し 眠いときの対処法の1つが、生活リズム、とくに睡眠リズムの見直しです。 起床後すぐに日光を浴びると体内時計がリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整います。 日中、光を多く浴びることにより入眠前に「メラトニン」が適切に分泌されます。メラトニンは、就寝の1~2時間前に眠気をもよおすホルモンです。(文献2) 眠気が出てきたタイミングで寝室に入り、静かな環境で就寝すると、質の良い睡眠が得られます。睡眠の質が高まると、眠気の改善に繋がります。 就寝前にスマートフォンやタブレット、パソコンなどの強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制されて、睡眠が妨げられます。スマートフォンやタブレットを寝室に持ち込むことは、睡眠の質低下につながるため、おすすめできません。 食生活の見直し 貧血の多くは、体内の鉄分不足による鉄欠乏性貧血です。毎日の食事を通じて、鉄分やビタミンB12、ビタミンC、葉酸、タンパク質など赤血球やヘモグロビンの材料になるものを摂り続けましょう。 貧血が改善されると、眠気が軽減する可能性も高まります。 食生活の見直しについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 医師に相談すべき眠気の症状 前章で紹介した対処法を試してもなお眠気が続く場合や、この章で紹介する症状がある場合は、放置せずに医療機関を受診し、医師に相談しましょう。 眠気のため気絶してしまう 貧血が重度の場合、強い眠気や疲労感が生じます。血液中の酸素不足により、脳の血流量が低下し、結果として脳が正常に機能するためのエネルギーが失われるためです。 脳の血流量が減少すると、一時的に意識を失ってしまうこともあります。いわゆる「気絶」「失神」と呼ばれる症状です。 眠気以外に動悸や息切れといった症状がある 平担な道を歩いているだけで動悸や息切れがする場合は、貧血が重症化している可能性があります。 貧血が進行すると、体内への酸素供給量も低下し、平地を歩くといった軽い動作でも体に負担がかかります。酸素供給量を増やすため、平常時よりも心臓の動きが速くなったために生じるのが動悸です。 酸素供給量低下によるもう1つの症状が、息切れ(呼吸困難)です。貧血の方は、血液中の酸素量を増やすため、速く深い呼吸になっています。 貧血で強い眠気を感じる場合は専門医に相談しよう 貧血は血液中のヘモグロビン値が低下して、身体が酸素不足になっている状態です。身体が酸素不足であるために、結果として脳の活動も低下して、眠気につながります。 貧血によりむずむず脚症候群が引き起こされると、睡眠の質が低下します。これも眠気につながる原因の1つです。 女性の場合、月経のために鉄欠乏性貧血を起こしやすく、月経周期の関係で眠くなることもあります。 本記事で紹介した対処法を実践しても眠気が続く場合や、気絶する、動悸・息切れが強いときなどは、貧血が重症化していることが考えられるため、医療機関を受診しましょう。 リペアセルクリニックでは、貧血治療に関するご相談にも対応いたします。メール相談やオンラインカウンセリングも実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。 貧血と眠気に関するよくある質問 貧血のため眠いと感じるときは何科を受診すると良いでしょうか 最初は内科を受診すると良いでしょう。血液検査で、ヘモグロビンや赤血球数といった貧血関連の数値を調べて、必要であれば総合病院や大学病院などの血液内科を受診する流れです。この場合、内科医師が紹介状を書くことが一般的です。 女性の方で、「生理中に貧血のような症状がある」「生理中に眠気が強くなる」などの状況であれば、婦人科受診も選択肢として考えられます。 貧血で眠いのは鉄剤の副作用でしょうか? 鉄剤の主な副作用は、吐き気や胸やけ、腹痛といった消化器症状です。他にも湿疹や皮膚のかゆみなどの副作用があります。 眠いのは、貧血による影響が強いと考えられます。 薬について不安や心配ごとがある場合は、主治医もしくは薬剤師に相談しましょう。 参考文献 (文献1) 札幌大谷大学・札幌大谷大学短期大学部 保健室「月経時、出血量が多く悩んでいませんか?」2024年 https://www.sapporo-otani.ac.jp/wp/wp-content/themes/sapporo-otani/images/campuslife/support/hokehshitu_letter_2411.pdf(最終アクセス:2025年4月18日) (文献2) 厚生労働省「眠りのメカニズム」健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~, 2023年01月23日 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-002.html(最終アクセス:2025年6月5日)
2025.04.30 -
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「立ちくらみやめまいが続く」 「病院で貧血と診断された」 「食べ物に注意するように言われたけれど、何が良いのだろう?」 このようにお悩みの方も多いことでしょう。 貧血に良い食べ物の代表は、鉄分を多く含む食材です。ビタミンCや良質なタンパク質は、鉄分の吸収を助けます。 本記事では、貧血に良い食べ物を摂取する理由や、鉄分の種類などを中心に解説します。 外食時やコンビニ利用時における、貧血に良い食べ物の選び方も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 貧血について気になる症状がある方は、公式LINEにご登録ください。 貧血に良い食べ物を摂取すべき理由 貧血に良い食べ物を摂取すべき理由は、身体機能を維持するためです。 貧血とは、血液中のヘモグロビン値の低下により、全身が酸素不足になる状態を指します。貧血の中で最も多いものが、体内での鉄分不足による鉄欠乏性貧血です。(文献1) 体内での鉄分量は3〜4gであり、約70%は赤血球内のヘモグロビンの材料として使われています。(文献2) 鉄分は毎日微量ながらも、細胞の新陳代謝により失われます。とくに女性は、月経や妊娠・出産によって鉄分を失いやすい状態です。失われた鉄分をなんらかの形で補わないと、鉄欠乏性貧血のリスクが高まります。 鉄欠乏性貧血により体内が酸素不足になると、息切れや動悸、めまいといった症状が生じるほか、心臓や脳にも負担がかかります。 心臓や脳などに大きな負担をかけないためにも、貧血に良い食べ物を摂取するように心がけましょう。 貧血の症状や鉄欠乏性以外の貧血については、以下の記事で詳しく書かれています。あわせてご覧ください。 【関連記事】 貧血の症状一覧|原因や治療法についても医師が詳しく解説 貧血の数値はどこから危険?血液検査における基準値と体のサインを医師が解説 貧血に良い食べ物一覧 一般的に貧血に良い食べ物としてあげられるのは、鉄分を多く含む食材です。ここでは、鉄分の多い食材を動物性食品と植物性食品に分けて紹介します。 以下の記事でも、鉄分に関して詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 動物性食品 肉や魚介類などの動物性食品には、吸収率の高い「ヘム鉄」が多く含まれています。日常的に取り入れやすい動物性食品の一例を、表に示しました。 貧血に良い食べ物 理由 豚レバー(生) ヘム鉄が豊富 ビタミンB群も含まれる あさり(水煮缶) ヘム鉄が豊富 少量でも鉄分補給が可能 牛もも肉(赤身) ヘム鉄が豊富 良質なタンパク質も含まれる カツオ ヘム鉄が豊富 DHA・EPAなどの栄養も摂れる 植物性食品 野菜や大豆製品などの植物性食品にも鉄分が含まれています。おもに「非ヘム鉄」と呼ばれるものです。 食卓に出る機会が多い植物性食品の一例を、表に示しました。 貧血に良い食べ物 理由 小松菜 非ヘム鉄が豊富 鉄の吸収を助けるビタミンCも多い ほうれん草 非ヘム鉄の代表的な食材 ビタミンやミネラルも豊富 木綿豆腐 非ヘム鉄に加えてタンパク質も豊富 納豆 非ヘム鉄とタンパク質が豊富 発酵食品であるため腸内環境が整う 貧血に良い鉄分の種類と吸収率アップのポイント 鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。この章では、両者の違いと食事における鉄分吸収アップのポイントを中心に解説します。 ヘム鉄と非ヘム鉄の違い ヘム鉄と非ヘム鉄の違いは、体内への吸収率です。 ヘム鉄は、吸収率が15~20%程度のもので、肉類や魚介類などの動物性食品に多く含まれます。非ヘム鉄は、吸収率が2~5%程度のもので、野菜や海藻類、大豆製品などの植物性食品に多く含まれます。(文献3) 吸収を高める食べ合わせ 鉄分は、ビタミンCやタンパク質などと一緒に摂ると吸収が高まります。 ビタミンCを含む食材としてあげられるのは、オレンジやグレープフルーツなどの柑橘類、パプリカ、ブロッコリーなどです。良質なタンパク質を含む食材としては、肉や魚、卵などがあげられます。 調理器具の工夫も、鉄分の吸収を高める方法の1つです。鉄鍋や鉄フライパンで調理すると、微量の鉄が食材に溶け出すこともあります。(文献4) 吸収を妨げる要因 鉄分の吸収を妨げる要因は、主に以下のとおりです。 タンニンを含む飲み物の摂取 不溶性食物性繊維の摂取 カルシウムの多量摂取 緑茶やコーヒー、紅茶に含まれる成分であるタンニンは、鉄分の吸収を妨げます。食事中や食後に飲むのは控えましょう。食事中や食後の飲み物は、水や麦茶など、タンニンが含まれていないものがおすすめです。 玄米やごぼうなどに含まれている不溶性食物繊維は、鉄分を吸着して便として排泄させる働きがあります。食べ過ぎは貧血に逆効果と覚えておきましょう。 乳製品やサプリメントによるカルシウムの多量摂取は、鉄吸収を阻害する可能性があります。(文献5) 鉄分摂取の推奨量と注意点 1日に必要な鉄分摂取推奨量を以下に示しました。(文献6) 18~74歳の女性:5.5mg 18~29歳の男性:7.0mg 30~49歳の男性:7.5mg 50~74歳の男性:7.0mg 鉄分で注意すべき点は、過剰摂取です。サプリメントなどによる鉄分過剰摂取を長期間続けると、鉄沈着症(体内に鉄が過剰に蓄積される病気)を発症する恐れがあります。 また、非ヘム鉄のサプリメント摂取により、便秘や胃部不快感といった消化器症状を訴える方がいたとの報告例もあります。 症状が続く場合や妊娠中・持病がある場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。ここでいう症状とは、鉄分摂取を続けても改善しない貧血症状や、サプリメントによる消化器症状などです。 貧血に良い食べ物を使ったメニュー例 この章では、鉄分を多く含む食材と吸収を高める食べ合わせを意識した簡単メニューを、主食・主菜・副菜・間食に分けて紹介します。 主食 献立名 作り方 詳細 あさりと水菜のパスタ ゆでたパスタとあさりの水煮、水菜を炒め、しょうゆで味付けする 水菜に含まれるビタミンCにより、あさりに含まれるヘム鉄の吸収率が高まる 雑穀入りご飯 白米に雑穀を加えて炊く 雑穀に含まれる鉄分やミネラルを白米にプラスする 主菜 献立名 作り方 詳細 レバーのカレー粉炒め 下処理したレバーと小松菜を炒め、カレー粉で味付けする 小松菜と炒めることで、レバーに含まれる豊富な鉄分が吸収されやすくなる 鮭とパプリカのホイル焼き 鮭とパプリカ、玉ねぎをホイルで包み、蒸し焼きにする 鮭のタンパク質とパプリカのビタミンCで鉄吸収率アップが期待できる 副菜 献立名 作り方 詳細 厚揚げと小松菜の炒め物 厚揚げと小松菜を炒め、しょうゆで味付けする 小松菜のビタミンCが、大豆に含まれる鉄分の吸収を助ける ほうれん草のおひたし サッとゆでたほうれん草を、だし醤油に漬ける ほうれん草で非ヘム鉄と葉酸(※)を同時に補給する (※葉酸:ビタミンB群に属するビタミン。ビタミンB12とともに赤血球を作るはたらきがある) 間食 間食でも鉄分を補える食品を選ぶと、1日の摂取量を増やせます。鉄分を補える間食の一例を表に示しました。(文献7) 食品名 鉄分含有量 プルーン(乾) 25gあたり約0.25mg 干しぶどう(レーズン) 5gあたり約0.58mg アーモンド 20gあたり約0.72mg カシューナッツ 20gあたり約1.0mg ピスタチオ 20gあたり約0.6mg ドライフルーツやナッツなどは持ち運びやすく手軽に摂れるため間食におすすめです。また、ナッツ類は無塩のものを選ぶと良いでしょう。 食べ過ぎるとオーバーカロリーになるため、1回で1袋を食べないようにしましょう。 コンビニ食や外食で鉄分を摂るポイント 料理を作る時間がない場合は、外食やコンビニのものを食べるときもあるでしょう。その際も、鉄分やタンパク質、ビタミンCが多いものを選びましょう。 具体例は以下のとおりです。 献立 メニュー 栄養素 主食 雑穀ごはん 鮭や昆布のおにぎり 非ヘム鉄 ヘム鉄 ビタミンB群 主菜 サバ缶 サラダチキン 焼き魚定食 ヘム鉄 たんぱく質 副菜 小松菜やほうれん草の和え物 海藻サラダ 非ヘム鉄 ビタミンC 食物繊維 飲み物 豆乳 野菜ジュース 非ヘム鉄 植物性たんぱく質 ビタミンC 揚げ物中心のメニューはカロリーオーバーにつながります。主菜を焼き物や蒸し物にすると良いでしょう。 食生活を改善しても貧血が続く場合は当院にご相談ください 鉄欠乏性貧血の対策として大切なポイントは、鉄分を効率よく摂ることです。動物性食品に多いヘム鉄と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄を、バランス良く取り入れましょう。 ビタミンCやタンパク質を一緒に摂ることで、鉄分が体内に吸収されやすくなります。 外食やコンビニ食の場合でも、鉄分の多いメニューを意識すると日常的な貧血予防が可能です。 食生活を改善しても貧血が続くときは放置せず、当院にご相談ください。 メール相談やオンラインカウンセリングも実施しております。 貧血と食べ物に関するよくある質問 チョコレートは貧血に良い食べ物ですか? チョコレートの中でも、ダークチョコレートと呼ばれるカカオの含有率が高いものは、鉄分が多く含まれているため、貧血に良い食べ物とされます。 しかし、チョコレートは糖質や脂質も多いため、食べ過ぎは禁物です。1日量の目安は5~10g程度とされています。 貧血に良い食べ物に即効性はありますか? 貧血に良い食べ物は数多くありますが、あくまでも食品であり医薬品ではないので、即効性は期待できません。毎日の食事で適量を食べ続けましょう。食べ続けても貧血の症状が続く場合は、医療機関を受診して、必要な治療を受けてください。 貧血に悪い食べ物や飲み物はありますか? 貧血に悪いとされる主な食べ物や飲み物およびその理由を、表に示しました。 主な食べ物や飲み物 理由 緑茶 緑茶やコーヒー、紅茶に含まれるタンニンは、鉄分の吸収を妨げる 玄米 玄米やごぼう、おからなどに含まれている不溶性食物繊維は、鉄分を吸着して便として排泄させる 加工食品 ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工食品、インスタント食品、スナック菓子などに含まれるリン酸塩は鉄分の吸収を阻害する リン酸塩を多く含む食品については、以下の記事でも紹介していますので、あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 貧血の原因は?|国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター (文献2) 鉄代謝と貧血|日本内科学会雑誌 (文献3) 貧血がある方のお食事|国立がん研究センター東病院 栄養管理室 (文献4) 調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化|日本調理科学会誌 (文献5) カルシウムの働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット (文献6) ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット (文献7) 日本食品標準成分表2020年版(八訂)|文部科学省
2025.04.30 -
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「最近疲れやすい」 「立ちくらみやめまいが増えた」 そんな体調の変化を、年齢や忙しさのせいにしていませんか。 貧血は女性や子どもに多いイメージがありますが、実際には年代や性別を問わず、誰にでも起こりうる身近な不調です。初期のうちは症状が軽く、「なんとなく不調」という形で見過ごされやすいのも特徴です。 しかし、貧血を放置すると、日常生活の質が下がるだけでなく、背景に別の病気が隠れているケースもあります。早めに症状に気づき、原因を知ることが大切です。 本記事では、貧血でよく見られる症状や原因、対処の考え方について、医師の視点からわかりやすく解説します。 自分の体調を見直すきっかけとして、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。貧血について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 貧血の症状チェックリスト もしかして貧血かも?と感じたときに確認できる、症状チェックリストを紹介します。 貧血の症状は「なんとなく体調が悪い」「いつもより疲れやすい」といった軽い不調から始まることが多く、見過ごされやすいのが特徴です。 まずは、日常生活の中で気づきやすいサインと、自分では気づきにくいサインに分けて確認してみましょう。 日常で気づきやすい貧血のサイン 次のような症状がある場合は、貧血の可能性が考えられます。 少し動いただけで疲れやすく、だるさが続いている 階段を上ると息切れする、朝起きるのがつらい めまいや立ちくらみを感じることがある 動悸がする、脈が速く感じることがある 胸が苦しくなり、深呼吸したくなることが増えた 集中力が続かず、ぼーっとすることが多い 頭痛が増えたように感じる 手足が冷えやすく、食欲が落ちている イライラしやすくなり、気分が不安定になりやすい 日常動作や体調の変化として現れやすいため、「疲れているだけ」と思い込まないよう注意が必要です。 自分では気づきにくい貧血のサイン 見た目や体の変化として現れる症状も、貧血のサインの一つです。 顔色や唇の色が薄く、「顔色が悪い」と言われる 爪が白っぽい、割れやすい、薄くなった まぶたの裏が白っぽく見える 肌がくすんで見える 髪が抜けやすくなった 氷を無性に食べたくなることがある 月経量が多い、偏食が続いている 胃腸の不調がある、貧血につながる薬を服用している これらは自分では見逃しやすく、周囲に指摘されて気づくケースも少なくありません。 上記のチェックリストの症状に複数該当する場合は、貧血の可能性が考えられます。 ただし、このチェックリストはあくまで目安であり、医学的な診断に代わるものではありません。 該当項目が少なくても体調に不安がある場合や、症状が続いている場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。 貧血の症状【重症度別】 貧血の症状は、体内の酸素不足の程度によって現れ方が変わります。 ここでは、初期・中程度・重度の3段階に分けて、代表的な症状と注意点を解説します。 初期の貧血症状 初期の貧血では、体が酸素不足に適応しようとするため、症状は比較的軽く、「体調不良かな?」と見過ごされやすいのが特徴です。 症状 説明 疲れやすい 酸素を運ぶヘモグロビンが不足し、筋肉や臓器に十分な酸素が届かないため、少しの動作でも疲労を感じるようになる。 集中力の低下 脳への酸素供給が不足することで、注意力や思考力が鈍りやすくなる。 顔色が悪くなる(青白くなる) 血液の赤みが減るため、肌の色が青白く見えるようになる。 まぶたの裏が白くなっている 血液中の赤血球の減少により、通常は赤いはずの結膜が白っぽくなる。 この段階で休養を取り、食事内容を見直すことで改善する場合もあります。 症状が改善しない、悪化する場合は疾患の可能性があるため、軽視せずに医療機関を受診してください。 中程度の貧血症状 中程度になると、体の代償機能だけでは酸素不足を補えなくなり、日常生活に支障が出始めます。 症状 説明 動悸や息切れ 酸素不足を補うために心臓が過剰に働き、心拍数が増加。軽い動作でも息切れしやすくなる。 めまい、立ちくらみ 脳への酸素供給が不足するため、姿勢を変えると一時的に脳が酸欠状態になり、ふらつきが起きる。 頭痛 酸素不足が脳の血管を刺激することで、締めつけられるような頭痛が起きることがある。 爪の変化 鉄不足により、爪が反り返る(スプーン状爪)・割れやすくなる・白くなるなどの変化が起こる。 吐き気 胃腸の働きが低下し、消化不良や胃もたれ、軽い吐き気を感じるようになることがある。 階段の上り下りや少し早歩きしただけで息切れを感じるようになったら要注意です。 この段階では、医療機関の受診を検討しましょう。 重度の貧血症状 重度の貧血では、生命維持に必要な臓器への酸素供給が著しく不足し、緊急性の高い症状が現れます。 症状 説明 失神 重度の酸素不足により、脳への血流が一時的に途絶え、意識を失うことがある。 胸の痛み 酸素不足で心筋への負担が増し、狭心症のような症状を引き起こすことがある。 異常な食欲(氷が食べたくなる、など) 鉄欠乏性貧血に特有の「異食症(ピカ症)」の一種。氷や土、紙など栄養にならないものを無性に食べたくなる。 赤色平滑舌(ハンター舌炎) 鉄分不足によって舌乳頭が萎縮し、舌の表面が平らでツルツルになる。味覚障害などを伴うこともある。 この段階では入院治療が必要になる場合も多く、放置すると生命に関わる危険があります。 上記の症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。 貧血の主な原因 貧血は「鉄分が足りないだけ」で起こるわけではありません。 食事内容や出血の有無、病気や薬の影響など、いくつかの原因が関係して起こることがあります。 以下の表に、主な原因とそれぞれの概要をまとめました。 原因 概要 鉄分不足 食事の偏りや吸収障害により、赤血球をつくる材料である鉄分が不足して起こる。最も多い原因。 体内での出血 月経過多、消化管出血、けがなどによる持続的な出血により、血液が失われて貧血になる。 慢性疾患 がん、腎臓病、炎症性疾患などの慢性疾患があると、赤血球の産生が抑制されて貧血が起こりやすくなる。 造血機能の低下 骨髄の病気やビタミンB12不足などにより、赤血球をつくる働きそのものが弱まり、貧血を引き起こす。 原因がひとつの場合もあれば、複数が重なっているケースもあるため、症状が続く場合は原因を整理して考えることが大切です。 貧血の原因や対処法については、以下の記事でも詳しく解説しているのでご覧ください。 食事からの栄養不足 貧血の原因として最も多いのが、食事からの栄養不足です。 赤血球やヘモグロビンを作るためには、鉄分だけでなく、たんぱく質やビタミン類も必要です。とくに鉄分が不足すると、十分なヘモグロビンが作られず、体中に酸素を運ぶ力が低下します。 また、たんぱく質が不足すると赤血球そのものが作られにくくなり、ビタミンCが不足すると鉄の吸収効率が下がります。 偏食、食事量が少ない、ダイエット中、胃腸の不調で栄養が吸収されにくい場合などは、栄養不足による貧血が起こりやすくなるのです。 出血による鉄の喪失 体の中で出血が続いている場合も、貧血の大きな原因になります。出血によって血液と一緒に鉄分が失われるため、体内の鉄が不足してしまうのです。 女性では、月経量が多い「過多月経」によって慢性的な鉄不足になるケースが少なくありません。また、痔や胃潰瘍、大腸ポリープなどによる消化管からの出血は、自覚がないまま進行することもあります。 出血が続く状態では、いくら食事で鉄分を補っても追いつかないことがあるため、原因となる出血の有無を確認することが重要です。 病気や薬の影響 特定の病気や薬の影響によって、貧血が起こることもあります。 腎臓病では、赤血球を作る指令を出すホルモン(エリスロポエチン)が不足し、貧血になりやすくなるとされています。 また、がんや慢性炎症、自己免疫疾患があると、体の中で赤血球の産生が抑えられたり、鉄がうまく使われなくなるケースもあり、その結果、鉄分が足りていても貧血の症状が出ることがあるのです。 さらに、一部の薬剤によって造血機能が低下したり、消化管出血が起こりやすくなる場合もあります。 このような場合は、自己判断で対処せず、医師による評価と治療が必要です。 年代・性別で異なる貧血の特徴 貧血の症状や起こりやすい原因は、年代や性別によって異なります。 同じ「貧血」でも背景が違うため、自分の立場に合った注意点を知っておくことが大切です。 女性に多い貧血の症状と注意点 女性は月経や妊娠といった体の変化により、男性よりも貧血になりやすい傾向があります。 一般財団法人 女性労働協会によると、日本人女性の約40%が「鉄欠乏性貧血」または「かくれ貧血(潜在性鉄欠乏)」の状態にあり、とくに月経のある20〜40代では65%に上るとされています。(文献1) 自覚症状が少ないまま進行することもあるため、日常的な体調変化に注意が必要です。 月経による貧血(過多月経・生理中のめまい など) 月経のたびに血液とともに鉄分が失われるため、月経量が多い方は慢性的な鉄不足に陥りやすくなります。 生理中や生理前後に、めまい・立ちくらみ・強いだるさを感じる場合は、貧血が関係している可能性があります。 妊娠中・産後の貧血(妊婦・産後ママでよくある症状) 妊娠中は血液量が増える一方、胎児の成長に多くの鉄分を使うため貧血になりやすい時期です。産後も出産による出血や育児による栄養不足が重なり、貧血が続くことがあります。 重度の貧血を放置すると、低体重児や死産のリスクが高まると報告されているため、定期的な検査と早めの対処が重要です。 子宮筋腫など婦人科系疾患に伴う貧血 子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患があると、過多月経によって慢性的な出血が続くことがあります。 その結果、鉄分が不足し、貧血を繰り返すケースも少なくありません。月経量が明らかに多い、年々症状がつらくなっている場合は、婦人科での相談が必要です。 成長期の子どもの貧血 成長期の子どもは、骨や筋肉が急速に発達するため血液量が増えるのにあわせて、多くの鉄分が必要となります。 食事から十分な鉄分を摂取できないと、赤血球がうまく作れず貧血を起こすケースがあるため注意が必要です。 さらに、部活動やスポーツで大量の汗をかくと鉄分が失われ、尿からも排出されやすくなります。加えて、激しい運動により足裏に繰り返し強い衝撃が加わると、赤血球が壊れる「運動性溶血」が起こるケースにも要注意です。 高齢者の貧血 高齢者の貧血は、鉄不足だけでなく慢性疾患や薬の影響など多様な要因が関わってきます。 鉄やビタミン不足に加え、腎臓病や炎症性疾患などの持病があると、造血機能が低下しやすくなるため注意しなければなりません。 さらに、高齢者の典型的な「顔色の悪さ」や「めまい」ではなく、基礎疾患の悪化として症状が現れるケースもあります。また、意識障害や呼吸困難、歩行障害、食欲不振などが見られる場合もあり、加齢のせいと自己判断して放置するのは大変危険です。 男性の貧血が疑われるときに注意したいポイント 男性は女性に比べると貧血の発症率は低いとされていますが、発症した際には注意が必要です。 男性の貧血の背景には、胃や十二指腸潰瘍、胃がん、大腸ポリープ、大腸がんなど、消化管からの出血が隠れているケースがあります。 とくに、便の色が黒っぽい、赤褐色が混じるといった変化がある場合は、消化管出血の可能性を疑うべきです。重大な病気が背景にあることもあるため、貧血の症状があれば医療機関で原因を特定しましょう。 貧血症状の対処法 貧血の症状が出たときは、まず体を休めて様子を見ることが大切です。 「日本臨床検査医学会」によると、成人男性13.0g/dl未満、成人女性と小児は12.0g/dl未満、高齢者は11.0g/dl未満が貧血とされています。(文献2) 自己判断で放置したり、誤った対処をしたりすると、症状が悪化することもあるのです。 ここでは、その場でできる対処法と、市販薬やサプリを使う際の注意点について解説します。 その場でできる対処法 めまいや立ちくらみ、動悸などの貧血症状を感じたときは、無理に動かず安全な姿勢をとることが最優先です。 1.まず、可能であればその場に座るか横になり、頭を低くして安静にしましょう。 2.衣服をゆるめ、深呼吸をして体を落ち着かせることも大切です。 3.急に立ち上がると症状が悪化しやすいため、回復するまではゆっくり行動してください。 4.水分不足があると症状が強く出ることもあるため、意識がはっきりしていれば、少量ずつ水分を補給します。 5.ただし、吐き気が強い場合や意識がぼんやりしている場合は無理に飲まないよう注意しましょう。 これらはあくまで一時的な応急対応です。 症状が繰り返し起こる、長引く、強くなる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 市販薬やサプリを使う前に知っておきたいこと 貧血対策として、鉄分サプリや市販薬を検討する方も多いですが、原因を確認せずに使用するのは注意が必要です。 貧血には、鉄欠乏性貧血以外にも、病気や出血、薬の影響などさまざまな原因があります。鉄分が原因でない貧血の場合、サプリを飲んでも改善しないだけでなく、体に負担をかけることもあります。 また、鉄剤は胃の不快感、便秘、吐き気などの副作用が出ることもあるため、注意が必要です。 自己判断で長期間使用せず、症状が続く場合は血液検査を受けたうえで、医師の指示に従いましょう。 とくに、 めまいや動悸が強い 数値を指摘されたことがある 月経過多や出血が続いている 男性や高齢者で貧血を指摘された といった場合は、サプリに頼らず医療機関で原因を確認してください。 貧血の症状が出た時の受診目安 貧血は軽い不調として見過ごされがちですが、症状の出方や続く期間によっては、早めの受診が必要なケースもあります。 「様子を見てよい状態」と「医療機関での確認が必要な状態」を知っておくことが大切です。 受診が必要な症状・タイミング 次のような症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。 めまいや立ちくらみが頻繁に起こり、日常生活に支障が出ている 動悸や息切れがあり、少し動いただけでも苦しくなる 強いだるさや疲労感が続き、休んでも回復しない 意識が遠のく、失神したことがある 胸の痛みや息苦しさを感じる 便が黒っぽい、血が混じるなど出血を疑う症状がある 月経量が明らかに多い、期間が長くなっている 健康診断で貧血を指摘され、再検査を勧められた また、症状が軽くても数週間以上続いている場合や、以前より悪化していると感じる場合も受診の目安になります。 貧血の背景に、消化管出血や婦人科疾患、慢性疾患などが隠れていることもあるため注意が必要です。 何科を受診すべきか 貧血が疑われる場合、まずは内科を受診するのが一般的です。血液検査を行い、貧血の有無や重症度、原因の手がかりを確認します。 症状や背景によっては、以下の診療科が案内されます。 婦人科:月経過多、不正出血、妊娠・産後の貧血が疑われる場合 消化器内科:黒色便、血便、胃痛など消化管出血が疑われる場合 腎臓内科・血液内科:慢性疾患や原因不明の貧血が続く場合 どの科を受診すべきか迷う場合でも、まずは内科で相談すれば、必要に応じて適切な診療科を紹介してもらえます。 「この程度で受診していいのかな」と悩む段階でも、早めに相談してください。 貧血の治し方|原因に合わせた治療とセルフケア 貧血の治療は、「なぜ貧血が起きているのか」という原因に合わせて行うことが大切です。 主な治療の柱は、食事療法・薬物療法・原因となる病気の治療の3つです。 症状の程度や体の状態によって、これらを組み合わせながら改善を目指します。 食事療法(鉄・たんぱく質・ビタミンCを意識した食べ方) 貧血の改善で基本となるのが、毎日の食事の見直しです。とくに鉄欠乏性貧血では、鉄分を効率よく摂ることが重要になります。 鉄分は、赤血球やヘモグロビンをつくる材料です。 鉄の吸収を高めるために、ビタミンCや、造血に関わるビタミンB12、良質なたんぱく質も一緒に摂ることが勧められます。 鉄分:レバー、赤身の肉魚介類、大豆製品、海藻類、緑黄色野菜 ビタミンC:果物、野菜、いも類 ビタミンB12:肉、魚、卵、乳製品 たんぱく質:肉、魚、大豆製品、卵など 偏った食事を続けると、改善までに時間がかかるため、無理のない範囲でバランスを整えていくことが大切です。 貧血に良い食べ物をもっと知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 薬物療法(内服・注射・点滴) 食事だけでは改善が難しい場合や、貧血が中等度以上の場合には、薬による治療が行われます。 鉄欠乏性貧血では、まず鉄剤の内服が選ばれることが一般的です。代表的な薬には、フェロミア錠やリオナ錠などがあります。 ただし、鉄剤には吐き気や胃の不快感といった副作用が生じることがあります。内服が続けられない場合や、早急に鉄を補充する必要がある場合には、注射や点滴による治療に切り替えることも可能です。 また、腎臓の病気が原因の「腎性貧血」では、赤血球をつくる働きを助ける薬(ESA製剤)が使われることもあります。薬の選択や変更は、必ず医師の判断のもとで行いましょう。 貧血の点滴については、以下の記事も参考にしてください。 原因となる病気の治療 貧血は単独で起きているように見えても、背後には消化器系や婦人科系の病気による出血が隠れているおそれがあります。 胃潰瘍や大腸ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜症などが代表的な疾患で、いずれも早期の治療が欠かせません。 たとえば、 胃潰瘍・大腸ポリープ・大腸がんなどの消化管疾患 子宮筋腫・子宮内膜症などの婦人科疾患 慢性腎臓病やリウマチなどの慢性疾患 こうした病気が原因の場合、鉄分を補うだけでは根本的な改善にはなりません。 原因となる病気を見つけ、適切な治療を行うことが再発防止につながります。 貧血の原因疾患については、以下の記事でも詳しく解説しています。 日常生活でできる予防・再発予防 貧血は、一度改善しても生活習慣によって再発することがあります。 そのため、治療と並行して、日常生活の見直しも大切です。 無理なダイエットや極端な食事制限を避ける 規則正しい食事を心がける 過度な飲酒やカフェインの摂りすぎに注意する 十分な睡眠と休息をとる また、月経量が多い方や、妊娠・出産を控えている方は、定期的な血液検査で状態を確認することも予防につながります。 貧血を放置するとどうなる? 貧血は「ただの疲れ」や「体調不良」として見過ごされがちですが、放置すると深刻な健康リスクにつながるため要注意です。 貧血は血液中の赤血球やヘモグロビンが減り、体内に十分な酸素が行き渡らない状態であり、酸素不足を補おうと体は無理に働き続けます。 たとえば、心臓は酸素を全身に送ろうと拍動を早め、心臓に大きな負担がかかりますが、その状態が続くと心不全などの重大な疾患を引き起こすおそれもあるのです。 また、酸素や栄養が十分に届かないと体の回復力や抵抗力も低下し、風邪をひきやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりもします。 さらに、頭痛・めまい・息切れ・集中力の低下といった症状が慢性化し、日常生活に支障が出るようになる点も見逃せません。 このように、貧血は放置すると症状の悪化や生活の質の低下にくわえ、命に関わる合併症につながる危険があります。 貧血の症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。 貧血が与える仕事・家事・勉強への影響 貧血が続くと、脳や筋肉への酸素供給が不足し、次のような影響が出やすくなります。 集中力が続かず、仕事や勉強の効率が落ちる 少し動いただけで疲れやすく、家事が負担に感じる めまいや立ちくらみで外出や通勤が不安になる 頭がぼんやりして判断力が鈍る このような状態が続くと、「やる気が出ない」「年齢のせい」と誤解されやすく、本人も不調に慣れてしまうことがあります。 しかし、原因が貧血であれば、適切な治療や対策で改善が期待できるでしょう。 貧血に隠れている病気(胃潰瘍・子宮筋腫・がん など)の可能性 貧血はそれ自体が病気というより、体の中で起きている異常の結果として現れる症状である場合も少なくありません。 とくに注意したいのが、次のようなケースです。 胃潰瘍や大腸ポリープ、大腸がんなどによる消化管からの出血 子宮筋腫や子宮内膜症などによる慢性的な出血 がんや慢性炎症、腎臓病などによる造血機能の低下 これらの病気は、初期には自覚症状が乏しく、「貧血だけ」が最初のサインになることもあります。 貧血を繰り返している、治療しても改善しないといった場合は、背景に病気が隠れていないかを確認することが重要です。 まとめ|何となく不調を放置せず早めに相談しよう 貧血は「疲れやすい」「めまいがする」「だるさが続く」といった日常でもよくある不調から始まることが多い症状です。 そのため、忙しさや年齢のせいだと思い込み、見過ごされてしまうケースも少なくありません。 しかし、貧血を放置すると仕事や家事、勉強のパフォーマンスが低下するだけでなく、心臓への負担が増えたり、体の回復力や免疫力が落ちたりするおそれがあります。 また、胃潰瘍や子宮筋腫、がんなど、別の病気が隠れているサインとして貧血が現れることもあります。 応急的な対処で一時的に症状を和らげることはできても、根本的な改善には原因の特定と適切な治療が不可欠です。 症状が気になる場合や健康診断で指摘を受けた際には、早めに医療機関で検査を受けましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEにて再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 登録してぜひお気軽にご利用ください。 貧血の症状に関するよくある質問 貧血になりやすい人の特徴は何ですか? 貧血になりやすい人の特徴としては、女性・過度なダイエットをしている方・偏食の方が挙げられます。 女性は月経や妊娠・出産、授乳など、鉄分を失う機会が多いため、鉄欠乏性貧血になりやすいのです。 また、過度なダイエットをしている方や偏食の方も、栄養バランスが乱れると必要な栄養素が不足し、結果として貧血を起こす可能性が高くなります。 一方、慢性疾患や造血機能低下が原因の貧血の場合は、年齢や性別に関係なく発症するため、目立った特徴は見られません。 貧血の症状と低血圧・低血糖の違いはありますか? 貧血・低血圧・低血糖は、いずれも「めまい」「ふらつき」「だるさ」など似た症状が出るため、区別がつきにくいことがあります。 しかし、原因と体の中で起きていることはそれぞれ異なります。 まず貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足し、全身に十分な酸素が運ばれない状態です。そのため、疲れやすさや息切れ、動悸、顔色の悪さなどが出やすくなります。 一方、低血圧は、血圧が低いために脳への血流が一時的に減少し、立ちくらみやふらつきが起こる状態です。長時間立っていた後や急に立ち上がったときに症状が出やすい傾向があります。 また、低血糖は、血液中のブドウ糖が不足することで、冷や汗、手の震え、強い空腹感、動悸などが現れます。食事を抜いた後や、糖尿病の治療中に起こることが多いです。 このように原因が異なるため、症状だけで判断するのは難しいといえます。 自己判断せず、症状が続く場合は医療機関を受診し、血液検査などで原因を確認しましょう。 貧血はどのくらいで治りますか? 貧血が治るまでの期間は、原因や重症度、治療方法によって異なります。 鉄欠乏性貧血の場合、鉄剤の内服や食事改善を始めると、早い方では2〜4週間ほどで自覚症状が軽くなることがあります。 ただし、体内の鉄を十分に補うには、3〜6カ月程度の治療継続が必要とされます。 一方で、出血が続いている場合や、病気が原因となっている貧血では、原因疾患の治療を行わないと改善しません。この場合、治療期間はさらに長くなることもあります。 また、症状が良くなったからといって自己判断で治療を中止すると、再発しやすい点にも注意が必要です。 医師の指示に従い、定期的な血液検査で数値を確認しながら治療を続けることが、回復への近道となります。 参考文献 (文献1) 働く女性の心とからだの応援サイト|一般財団法人女性労働協会 (文献2) 貧血(診療群別臨床検査のガイドライン 2003)|日本臨床検査医学会
2025.04.30 -
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- 肘関節
- スポーツ外傷
「練習後にいつも肘の外側が痛む」 「思い切りボールを投げられない」 日々野球に打ち込む中で、肘の外側に違和感はありませんか。その症状は、野球肘かもしれません。 野球肘とは、投球動作によって引き起こされます。野球肘の主な原因は、オーバーユースや投球フォームの乱れにあります。本記事では、外側が痛む野球肘について解説します。 外側が痛む野球肘の原因 外側が痛む野球肘の治し方 外側が痛む野球肘を治す方法 外側が痛む野球肘を再発させないための予防法 野球肘は適切な治療と予防策をしっかり守れば、改善する症状です。外側が痛む野球肘の症状でお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。 外側が痛む野球肘の原因 野球肘(外側)は、投球動作の繰り返しによって肘の外側にストレスがかかることで発症します。 とくに成長期の段階は、骨や軟骨が未発達なため、損傷を起こしやすいのも特徴です。野球肘で外側が痛む原因は以下の3つです。 不適切な投球フォーム オーバーユース(使いすぎ) 成長期の骨・関節の未成熟 野球肘(外側)の原因を解説します。 また、野球肘が野球以外のスポーツでも発症する可能性ついて解説した参考記事もあわせてご覧ください。 不適切な投球フォーム フォームの種類 動作の特徴 肘への影響 肘下がりのフォーム 投球時に肘が肩よりも下がる 肘の外側に過度な外反ストレスが加わる 手投げのフォーム 下半身や体幹を使わず腕だけで投げる リリース時に肘関節へ瞬間的な高負荷 体の開きが早いフォーム 上半身が先に開くことでリリースが不安定になる 腕のしなりが失われ、肘が遅れて出てくる ステップ不足のフォーム ステップが小さい、動きが止まる、前足が早く着地する 上半身主導になり肘が遅れて出る (文献1) 肘に過度な負担をかける投球フォームは、野球肘(外側)を引き起こす原因です。手投げになる、肘が下がるフォームなどは、肘の外側の小さな骨や軟骨に繰り返し牽引力や圧迫力を生じさせます。フォームの歪みが長年積み重なることで、損傷が蓄積し、肘の違和感として現れます。 予防には、指導者による適切なフォーム指導や、自身のフォームを見直すことが大切です。 オーバーユース(使いすぎ) 試合や練習での投球過多は、肘関節に繰り返しダメージを与え、野球肘を引き起こします。疲労が蓄積すると組織が回復しきれず、炎症や損傷の負担を増加させます。 とくに、投球数や練習時間の管理が不十分な場合、野球肘を引き起こしやすくなるため、注意が必要です。オーバーユースを防止するには、投球数の制限(1日70球程度など)や、ウォーミングアップ・クールダウンの時間を設けることが大切です。 成長期の骨・関節の未成熟 項目 内容 原因部位の特徴 成長期の骨には骨端線(成長軟骨)があり、ストレスに弱い構造をしている 成長期のリスク 骨端軟骨は未成熟で、機械的ストレスに対して脆弱 野球肘(外側)との関連 投球による圧迫で上腕骨小頭に微小骨折や血流障害が起き、離断性骨軟骨炎を発症しやすい 成長期の段階では、骨や関節が完全にできあがっていないため、強い力が加わると損傷を起こしやすくなります。この時期に過度な負荷がかかると、骨端線と呼ばれる成長軟骨帯を損傷し、野球肘を発症する原因になります。 野球肘を引き起こさないためにも、年齢や発育に応じた投球管理が大切です。 外側が痛む野球肘の治療方法 治療法 内容 特徴・ポイント 適応されるケース 保存療法 安静、投球中止、装具の使用などで自然回復を目指す 体への負担が少なく、多くの初期症状に対応できる 軽症~中等症、骨に大きな損傷がない場合 薬剤療法 炎症や違和感を抑える薬(消炎鎮痛薬など)を使う 違和感を和らげ、回復をサポートする補助的な治療 違和感が強いとき、保存療法と併用されることが多い 手術療法 損傷した骨・軟骨を除去、骨片の固定、関節鏡手術など 根本的な修復が必要な場合に有効だが、リハビリが必要 保存療法で改善しない中等度〜重症の場合 再生医療 自己由来の幹細胞やPRPを用いて組織の再生を促す治療 身体への負担が少なく、回復力を高める治療法 手術を避けたいケースや、早期復帰を目指す場合 野球肘(外側)は、症状に合わせた適切な治療が求められます。野球肘の症状が重度の場合、手術を行うケースもあります。 外側が痛む野球肘の治し方は以下の4つです。 保存療法 薬剤療法 手術療法 再生医療 野球肘(外側)の治療法について解説します。 以下の記事では肘のクリーニング手術について詳しく解説しています。 保存療法 治療の目的 治療方法 内容・ポイント 炎症の抑制 安静 投球中止や日常生活での肘の使用制限。負担を避けることで炎症を抑える アイシング 1回15〜20分、1日数回の冷却で腫れ・違和感を軽減。投球後や違和感が強い時に有効 薬剤療法 NSAIDsなどの消炎鎮痛薬を医師の指示で服用する。炎症と違和感をコントロール 組織の修復 安静(継続) 靭帯や軟骨の自然回復を促す。違和感が取れるまでは無理な動作を避ける 機能回復 リハビリテーション 肘周囲の筋力・柔軟性を高め、再発予防。専門家の指導で段階的に進める 装具療法 サポーターやテーピングで肘を固定・安定化。運動中や回復期に使用する 初期の野球肘(外側)に対しては、保存療法で症状の改善を目指します。野球肘(外側)の治療は、安静、アイシング、リハビリ(ストレッチ・筋トレ)、投球フォーム修正などを、違和感の程度や状態に合わせて組み合わせて行います。 リハビリは自己判断せず、違和感が再発した場合は、すぐにリハビリを中止し、医師に相談してください。 薬剤療法 項目 内容 ポイント・補足 治療の目的 違和感の緩和 炎症や違和感を抑え、日常生活やリハビリをスムーズに進めるために使用 炎症の抑制 組織の回復を促進し、治癒までの時間を短縮する効果 薬剤の種類 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 内服・塗り薬・湿布など(例:ロキソプロフェン、ジクロフェナク) ステロイド注射 炎症が強い場合に使用。効果は高いが副作用リスクあり(関節内注射など) ヒアルロン酸注射など 関節の滑らかさを保ち、痛みを和らげる補助的な治療法 注意点 根本的な治療ではない 薬だけでの完治は難しく、投球フォームの改善や休養が不可欠 副作用の可能性 胃腸障害やアレルギーなど。自己判断での使用は避ける 医師の指示が必須 症状に応じた薬の選択が重要。医療機関で診察を受けること 違和感が強く出る場合には、炎症を抑えるための外用薬や内服薬が用いられることがあります。 しかし、薬剤療法はあくまで症状を緩和するためのものであり、根本的な治療ではありません。副作用が出る可能性もあるため、医師の指導のもと、薬を服用しましょう。 手術療法 項目 内容 補足・ポイント 手術療法の位置づけ 原則は保存療法が優先される 症状が軽度~中等度なら、まずは安静・アイシング・リハビリで経過をみる 保存療法で改善が見られない場合に手術を検討 とくに骨軟骨が損傷している場合や関節内に遊離片がある場合 手術が必要となる原因 離断性骨軟骨炎の進行 剥がれた骨軟骨が関節内で動き、引っかかりや痛みを引き起こす 骨軟骨の損傷 投球による負荷で軟骨が損傷し、自然治癒が難しい状態になる 手術法 関節鏡手術 関節内を小さなカメラで確認しながら遊離片の除去や修復を行う。傷が小さく回復も早い 骨軟骨移植術 広範囲の損傷に対して、自身の骨軟骨を別部位から移植して再建する方法 保存療法で症状が改善しない場合は、手術療法が検討されます。野球肘(外側)の手術では、剥離した骨片や軟骨片の摘出、損傷した靭帯の修復といった処置が行われます。 手術療法は、後遺症や感染症のリスクを伴う可能性があるため、治療を選択する際には医師との十分な相談が不可欠です。(文献2) 再生医療 患者自身の血液や骨髄由来の成分を患部に注入し、組織の修復を促進します。再生医療は、従来の治療法と比較して、薬の副作用が少ない、あるいは手術に伴うリスクを軽減できる利点があります。 現時点では、再生医療を提供できる医療機関は限られているため、再生医療を検討している方は、再生医療を取り扱っている医療機関での受診が必要です。 以下では再生医療について詳しく解説しています。 外側が痛む野球肘を早く治す方法 医師の指導に従いながら、適切に肘のケアを行うことは、治療効果を高める上で大切です。 野球肘(外側)を治す方法は以下の4つです。 安静期間を守る アイシングを行う 適度なリハビリを行う 投球フォームを見直す 野球肘を治す方法について解説します。 安静期間を守る 効果 内容 補足・ポイント 炎症の悪化を防ぐ 肘の使いすぎで生じた炎症を悪化させないために安静が必要 炎症を悪化させないためには安静が必要。違和感が軽減しても内部の炎症は残っていることが多く、早期復帰は再発リスクを高める 組織の修復を促進 靭帯や軟骨、骨などの損傷した組織が自然に回復する時間を確保 動かし続けると修復が遅れ、治療期間が長引く可能性がある 慢性化を防ぐ 十分な休養を取ることで、症状の長期化や重症化を防げる 放置すると慢性痛や可動域制限に進行し、手術が必要になるケースも 違和感を無視して投げ続けると、炎症や損傷が悪化し回復が長引く可能性があります。安静期間を守ることで、炎症が悪化するのを防ぎ、組織の修復を促します。 違和感が治まるまでの間は、投球練習や肘に負担のかかる動作は避けるべきです。焦らず身体を休ませ、復帰時期は医師と相談し、指示に従うようにしましょう。 アイシングを行う アイシングの手順 内容 ポイント・注意点 手順1.用意するもの 氷または保冷剤、薄手のタオル、タイマー 保冷材は凍結しすぎないものが望ましい(冷却ジェルなども可) 手順2.氷を包む 氷や保冷剤をタオルで包む 凍傷を防ぐために直接肌に当てないようにする 手順3.肘の外側にあてる 違和感や腫れがある部分を中心に冷やす 肘の外側(外側上顆〜関節周囲)を広く覆うようにあてる 手順4.時間を計る 1回15〜20分を目安に冷却 長時間の冷却は避ける。間隔を空けて1日数回行う 手順5. 使用後のケア 肌の状態を確認し、赤みや感覚異常があれば中止 湿布など他の冷却法との併用は医師の指示に従う 患部の違和感や炎症を軽減するには、冷却処置であるアイシングが効果的です。練習後や入浴後など、肘に熱感があるときに行います。 冷やしすぎると凍傷の恐れがあるため、タオルを巻いた氷嚢などを使い、違和感のある部分を冷やします。 冷却は1回につき15〜20分を目安に行い、無理のない範囲で、やさしく冷やすことが大切です。 適度なリハビリを行う 効果の観点 内容 ポイント・補足 機能回復と柔軟性向上 関節や筋肉の硬さを防ぎ、肘の動きをスムーズに保つ 早期復帰を目指すために、安静だけでなく積極的な可動域訓練が必要 筋力低下の防止・再発予防 肘周りの筋力を維持・強化し、再発リスクを減らす 長期間の安静後は、段階的な筋トレが再発防止に重要 違和感のコントロールと回復促進 軽い運動で血流を促し、組織の修復を助ける ストレッチや軽負荷の運動で症状を悪化させずに進められる 投球フォームの改善 誤ったフォームを修正し、肘への負担を減らす 医師の指導のもと、再発防止につながる正しいフォームを習得 違和感がある程度改善した段階で、医師の指導のもと、段階的にリハビリを進めていきましょう。リハビリでは、肘周りの柔軟性を取り戻すストレッチや、違和感がでない範囲での軽い筋力トレーニングを実施します。 無理のない範囲で徐々に運動強度を上げていくことが大切です。リハビリは自己流ではなく、医師の指示に従いながら行いましょう。 投球フォームを見直す 期待できる効果 内容 ポイント・補足 肘への負担軽減 誤ったフォーム(肘下がり・手投げ)は外側に過度な負荷をかける 正しいフォームで全身の力を使うことで、肘の負担が大幅に軽くなる 早期回復と再発予防 症状が治っても誤ったフォームでは再発リスクが残る 原因そのものを見直すことで改善を目指す 全身のバランス改善 肘だけでなく肩・体幹・下半身の連動が大切 フォーム改善により全身の動きがスムーズになり、肘の負担を分散できる 投球パフォーマンス向上 肘の負担を減らしながら球速やコントロールが向上 怪我を防ぎつつ、より良い投球フォームが身につく 誤ったフォームでの投球は肘へ負荷をかけるだけでなく、症状を再発させる恐れがあります。フォームは自分だけでは改善しにくい部分が多く、医師や指導者のアドバイスが不可欠です。 正しいフォームを身につけることで、改善後の再発を防ぐだけでなく、投球パフォーマンスの向上が期待できます。 外側が痛む野球肘を再発させないための予防法 再発防止には、日頃の投球環境や身体の状態を整えることが欠かせません。野球肘(外側)の症状を再発させないための予防法は以下の7つです。 正しい投球フォームの習得 投球数の制限と適切な休息 ウォーミングアップとクールダウンの徹底 筋力トレーニングとストレッチを怠らない 栄養と休養をしっかり取る 定期的なメディカルチェックを受ける 投球後のアイシングを怠らない 以下では、外側が痛む野球肘を再発させない方法をくわしく解説します。 正しい投球フォームの習得 項目 内容 期待できる効果 肘の位置が肩と同じ高さ以上 投球時、肘が肩より下がらないようにする 肘下がりを防ぎ、外側へのストレスを軽減 体幹の回旋を使う 腕だけで投げず、体幹をひねって投げる 肘の負担を分散し、全身の力で投げられる 下半身主導のフォーム 踏み出し足で地面を蹴り、腰を先行させて投げる 手投げを防ぎ、肘の過負荷を防止 ステップの幅を確保 ステップが小さすぎないようにする 軸足のパワーを十分に使えて肘に負担がかかりにくい リリース時の肩・肘・手の連動 肩→肘→手の順に、自然な連動意識が大切 肘に不自然なねじれが加わらず、損傷リスクを低減 柔軟性の確保 肩・股関節・胸郭の柔軟性を高める スムーズなフォームの維持と筋肉疲労の予防 (文献1)(文献3) 野球肘を再発させないためには、正しい投球フォームの習得が不可欠です。重要なのは、肘を肩より下げない、肘下がりの防止です。肘下がりは肘の外側に大きなストレスがかかり、再発リスクが高まります。 ステップの幅やリリース時の肩・肘・手のスムーズな連動も大切な要素であり、肩や股関節、胸郭の柔軟性を高めることでスムーズな動作ができるようになります。体の軸を意識し、下半身の力を十分に伝えるフォームを習得すれば、肘への負担を軽減できます。 投球数の制限と適切な休息 過度な投球は肘へのストレスを与える原因になります。肘へストレスを与えないためにも投球制限と適切な休息を取ることが大切です。 とくに成長期の連投や過度な練習は、未発達な肘に大きな負担をかけます。連日の投球は避け、身体のサインを見逃さないことも再発防止につながります。 ウォーミングアップとクールダウンの徹底 分類 目的 内容 期待できる効果 ウォーミングアップ 筋肉・関節の準備 軽い運動で身体を温め、関節の可動域を広げる 肘や肩を動かしやすくし、怪我を防ぐ 血流の促進 全身の血行をよくする 酸素や栄養が筋肉・腱に行き渡り、負担を軽減 神経系の活性化 動作の反応や協調性を高める 投球フォームの安定につながり、再発予防になる クールダウン 疲労物質の除去 軽い運動やストレッチで血流を促す 疲労回復を早め、筋肉痛や炎症を防ぐ 筋肉の柔軟性維持 運動後のストレッチ 筋肉の硬化を防ぎ、次回の投球もスムーズに行える 炎症の抑制 アイシングなどで局所を冷却 肘関節の炎症を抑え、損傷の進行を防ぐ (文献4)(文献5) 練習前には、全身の筋肉を温め、関節の可動域を広げるウォーミングアップを丁寧に行いましょう。また、練習後には、クールダウンとしてストレッチや軽い運動を実施し、筋肉の疲労回復を促すことで、野球肘の防止につながります。 ウォーミングアップとクールダウンは、毎回忘れずに徹底しましょう。 筋力トレーニングとストレッチを怠らない 分類 目的 内容 期待できる効果 筋力トレーニング 肘や肩周りの安定性強化 チューブを使った肩のインナーマッスル強化(ローテーターカフ)前腕の回外・回内筋の筋トレ 投球時に関節を安定させ、肘への過剰な負荷を防ぐ 体幹の強化 プランク、ヒップリフトなどの体幹トレーニング 下半身~上半身の力の伝達をスムーズにし、手投げフォームの防止 下半身の強化 スクワット、ランジ、カーフレイズ 投球のパワー源を腕に頼らず、下半身から生み出すことで肘の負担を軽減 ストレッチ 柔軟性の向上 肩関節・胸郭・前腕・手首の静的ストレッチ 可動域を広げ、無理のないスムーズな投球動作を促す 疲労回復と再発予防 投球後のリカバリーストレッチ(上腕三頭筋、前腕伸筋群) 投球による慢性負荷の蓄積を防ぐ (文献6) 肘周りだけでなく、肩や体幹の筋力強化は、投球動作の安定性を高め、肘への負担を軽減します。筋肉や腱の柔軟性が低下すると、投球時に肘にかかる負担が増大し、野球肘を引き起こす原因になります。 筋力低下を防ぐため、医師の指示に従い、筋トレやストレッチを継続的に行いましょう。 以下の記事では、野球肘におすすめのストレッチ方法を解説しております。 栄養と休養をしっかり取る 項目 内容 具体例・補足 バランスの取れた食事 組織修復と体づくりに必要な栄養を摂る タンパク質(鶏むね肉・卵)炭水化物(ごはん・バナナ、脂質(ナッツ・アボカド)ビタミン類(緑黄色野菜・牛乳) 十分な睡眠 成長と回復を促すホルモンの分泌を助ける 7〜8時間睡眠、就寝前のスマホは控える、入浴・ストレッチでリラックス 水分補給 血流・代謝を保ち、炎症を防ぐ 運動前後に水やスポーツドリンクをこまめに飲む、のどが渇く前に補給 バランスの取れた食事と十分な睡眠は、骨や筋肉の成長、疲労回復に不可欠です。偏った食事や睡眠不足は、身体の回復力を低下させるだけでなく、怪我のリスクを高める原因になります。 とくに成長期は骨や筋肉が発達する重要な時期であるため、たんぱく質やカルシウムなどの栄養素をしっかり摂り、睡眠時間の確保が大切です。 定期的なメディカルチェックを受ける メディカルチェックを受ける目的 期待できるメリット 補足 早期発見・早期治療 自覚症状が出る前に、異常を見つけられる 画像検査(レントゲン・エコー)や触診で、関節の異常や初期炎症を早期発見が可能 重症化を防ぎ、早期の競技復帰が期待できる 状態に応じた保存療法・リハビリを早期に開始できる 再発リスクの軽減 肘の状態だけでなく、柔軟性・筋力・フォームの問題もチェックできる 肘に負担がかかるフォームや体の使い方の改善指導が受けられる 投球動作全体を見直す機会になり、再発を予防できる フォーム改善はパフォーマンス向上にも直結する (文献6) 無症状でも関節や軟骨に損傷が起きていることがあります。また、野球肘と診断された後も定期的にメディカルチェックを受けることで、症状の悪化や再発リスクを軽減できます。 また、成長期の段階は、骨や軟骨が未発達なため、野球肘(外側)を発症しやすいため、メディカルチェックで適切な投球制限やトレーニング指導を受けることが大切です。 症状改善後も、メディカルチェックで肘、柔軟性、筋力、投球フォームを定期的に確認し、再発予防に努めましょう。 投球後のアイシングを怠らない アイシングの目的 期待できる効果 補足 炎症の抑制と違和感の軽減 血管を収縮させて炎症を抑え、違和感を軽減 投球による微細な損傷の広がりを防ぎ、回復を早める 疲労回復の促進 筋肉や腱の緊張を緩和し、疲労をリセット 肘の柔軟性を保ち、翌日の投球への負担を軽減 組織修復の促進 損傷した組織の修復を助ける 回復力を高め、再発予防につながる アイシングは、血管を収縮させて炎症を抑え、違和感を抑え、回復を助けます。筋肉や腱の緊張を緩和し、疲労回復を促します。 投球後のアイシングは、野球肘の予防・治療において欠かせないケアです。アイシングを行う際は、凍傷に注意し、長時間の冷却や強い冷却は避けましょう。 外側が痛む野球肘は放置せずに専門医にご相談ください 投球時の肘の違和感は、野球肘(外側)の可能性があります。放置すれば、症状は進行し、プレーを続けるのが困難になるだけでなく、日常生活に支障をきたす恐れがあります。症状が悪化する前に早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、野球肘の症状に対して、幹細胞を活用した再生医療を提供しています。改善しない野球肘の症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 「野球肘」『手外科シリーズ』, pp.1-2 https://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/18yakyu.pdf(最終アクセス:2025年4月12日) (文献2) 公益財団法人 日本整形外科学会「症状・病気をしらべる「術後感染症」」公益財団法人 日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/postoperative_infection.html(最終アクセス:2025年4月12日) (文献3) 富田一誠,渡邊幹彦「成長期投球障害予防に関する日本野球協議会の取り組み」『第30回日本臨床スポーツ医学会学術集会』, pp.1-3,2020 https://www.rinspo.jp/journal/2020/files/28-3/420-422.pdf(最終アクセス:2025年4月12日) (文献4) 荒井秀典ほか.「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023(案)」『健康づくりのための身体活動基準・ 指針の改訂に関する検討会』, pp.1-46, 2023年 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001171393.pdf(最終アクセス:2025年4月12日) (文献5) 「5章 部活動中における健康面での留意事項」, pp.1-19, https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/guideline_06(最終アクセス:2025年4月12日) (文献6) 山根将弘ほか.「スポーツにおけるけがの予防野球肘検診の取り組み」『特集 輪・和・話』, pp.1-4, 2020年 https://www.town.tobetsu.hokkaido.jp/uploaded/attachment/14974.pdf(最終アクセス:2025年4月12日)
2025.04.30 -
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肘外側側副靭帯損傷とは、肘関節の外側にある靱帯が傷つき、痛みや不安定感が現れる状態を指します。原因や治療法がわからず、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。 本記事では肘外側側副靭帯損傷の症状や原因、治療法についてわかりやすく解説します。簡単にできるセルフチェック方法も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。 肘外側側副靭帯とは 肘外側側副靭帯(ひじがいそくそくふくじんたい)は、肘関節の外側に位置し、輪状靱帯とともに橈骨(とうこつ)を包み込むように支えている靱帯の総称です。 重いものを片手で持ち上げたり、腕をひねったりすると、肘には多方向からの負荷がかかります。肘外側側副靭帯の役割は多方向からのストレスに抵抗して肘関節を安定させることです。 なかでも、外側尺側側副靱帯(がいそくしゃくそくそくふくじんたい)は重要な部分で、肘の外側から後ろ側を支える位置にあります。外側尺側側副靱帯が損傷すると、関節が不安定になるリスクも少なくありません。 なお、靭帯損傷の原因や治療法については、以下の記事が参考になります。 肘外側側副靭帯損傷の症状 肘外側側副靭帯を損傷すると、肘だけでなく肩や腕にも痛みが広がる場合があります。とくに、肩の前側から二の腕に症状が出るケースがほとんどです。 以下で、軽度から重度までの症状を解説します。 軽度から重度までの症状 肘外側側副靭帯損傷には、靱帯が少し伸びている程度のものから、完全に断裂してしまう重度のものまでさまざまな段階があります。 以下に、主な症状の例を重症度ごとにまとめたので、参考にしてください。 損傷の程度 症状 軽度(靱帯が軽く伸びた状態) 肘を伸ばしたまま荷物を持ち上げたときに痛む 手を後ろに回す動作で痛む ボールを投げるときに痛む 動いていなくても肩の前側がジンジンする 中度(靱帯が部分的に断裂している状態) 肘を動かすと関節がぐらつく感覚がする 肘に強い痛みがある 重度(靱帯が断裂している状態) 力こぶの位置が肘の近くに寄っている 反対の腕と比べて力こぶの位置がずれている 肘に激しい痛みがある 痛みの感じ方や肘の不調は人によってそれぞれ異なります。軽度の症状に見えても、自己判断せず早めに医師に相談しましょう。 自分でできる症状チェックの方法 肘の痛みや違和感が気になる方は、以下の項目をチェックしてみてください。複数当てはまる場合は、肘外側側副靭帯の損傷が起きている可能性があります。 症状の種類 具体的なチェック項目 動かしたときの痛み 肘を伸ばしたまま力を入れると痛む 手を背中側に持っていくと痛む 腕を振る動作で肘が痛む 押したときの痛み、腫れ 肘の外側を押すと痛む 肘の外側が腫れている 安静時の痛み 肩の前側から二の腕にかけてうずくように痛む 動いていなくても肩の前側に鈍い痛みがある 不安定感、筋肉の異常 肘の関節にぐらつくような不安定感がある 力こぶの位置が左右で異なっている 気になる症状が続くときや、普段の生活で不便を感じる場合は、早めに病院に行きましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。肘の痛みが気になるときはお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 肘外側側副靭帯損傷の原因 肘外側側副靭帯損傷の原因には主に以下の2つがあります。 転倒や外傷によるダメージ 肘への過度な負担 以下で、それぞれ見ていきましょう。 転倒や外傷によるダメージ 転倒した際に手をついてしまい肘に力が加わり、肘外側側副靭帯を損傷してしまうケースがあります。または、肘を直接ぶつけてしまったり、交通事故で肘に怪我を負ってしまったりして損傷するのも一例です。 事故や転倒によって靱帯が引き伸ばされ、無理なひねりが加わると損傷が生じる可能性があります。 肘に強いストレスが加わると、意図せず靱帯に大きな負担がかかるため注意が必要です。 肘への過度な負担 肘外側側副靭帯損傷の原因のもう一つは、野球やテニスなどのスポーツによる肘への過度な負担です。肘の一部分に慢性的に強い力やひねりなどの負担がかかると、靱帯を損傷してしまうケースも少なくありません。 無理なフォームでプレイを続けたり、肘を使いすぎる状態が続くと肘外側側副靭帯に負担をかけ、損傷につながる恐れがあります。 靱帯への負担を減らすために、適度な休養やセルフケアを心がけることが大切です。 肘外側側副靭帯損傷のリハビリ・治療方法 肘外側側副靭帯の損傷を治療するには主に、リハビリやギプスによる固定などの保存療法や手術療法、再生医療があります。 以下でそれぞれ詳しく解説しますので、治療法に悩んでいる方は参考にしてください。 保存療法 軽度の靱帯が軽く伸びた状態の症状があるときには、まずは保存療法で治療を行います。保存療法には冷湿布や包帯による圧迫処置、リハビリなどの方法があります。 軽度の靱帯損傷では、保存療法が選ばれることがほとんどです。 以下に、代表的な保存療法の内容をまとめました。 保存療法の種類 内容・目的 冷湿布 炎症や痛みを抑える 包帯による圧迫処置 腫れを抑え、肘を安定させる ギプス固定 関節の動きを制限し、靱帯の回復を促す リハビリ 可動域や筋力を回復させる いずれの方法も、医師の判断のもとで正しく治療することが大切です。 手術療法 靱帯の損傷が重度で肘関節が安定しない場合には、手術が選択されるケースがあります。保存療法では改善が難しいケースや、自然な回復が見込めない状態だと、外科的な処置が選ばれる場合も少なくありません。 手術では、切れた靱帯を縫い合わせたり、剥がれた部位を固定したりします。術後は一定期間固定して、そのあと肘の可動域、筋力を回復するためにリハビリを行うことが一般的です。 再生医療 肘外側側副靭帯の損傷では、保存療法や手術以外に再生医療と呼ばれる新しい治療法も選択肢の一つです。再生医療には、自分の脂肪から取り出した幹細胞を使って損傷した組織の回復を促す幹細胞治療や、血液を使ったPRP療法などがあります。 薬やリハビリでも効果が出にくいときに検討される治療で、手術のように体への負担が大きくない点も特徴です。 再生医療の具体的な治療法や症例については、以下のページで詳しく解説しています。 また、本院ではメール相談やオンラインカウンセリングを行っております。お気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 肘外側側副靭帯損傷の診断方法 ここでは、肘外側側副靭帯損傷の診断方法について解説します。診断方法は大きく分けて下記の2つです。 ストレステストによる診断 画像による診断 それぞれ、診断方法の特徴を確認しましょう。 ストレステストによる診断 損傷の診断方法の一つにストレステストがあります。ストレステストとは、肘に負荷をかけながら、靱帯がしっかり働いているか、関節が安定しているかを確認する検査です。 関節にぐらつきや不安定性が認められた場合は、靱帯損傷の可能性があると診断されます。 無理に動かすと症状を悪化させるおそれがあるため、専門医の診察を受けることが大切です。 画像による診断 肘外側側副靭帯の損傷を診断するために、主にレントゲンやストレスレントゲン、MRIの3つの画像検査が用いられます。 検査名 特徴・目的 レントゲン 骨折や脱臼の有無を確認する ストレスレントゲン 力を加えた状態で撮影し、靱帯損傷による関節の不安定性を評価する MRI 靱帯や筋肉などの損傷を詳しく確認できる レントゲンでは靱帯の損傷がわかりづらく、正確に診断するのが困難なケースもあります。肘の痛みやぐらつきなどの自覚症状がある場合は、MRI検査も視野に入れて医師に相談するとよいでしょう。 肘外側側副靭帯損傷の症状や治療法を理解し適切に対応しよう 肘外側側副靭帯損傷の症状は軽度から重度まであります。痛みの度合いによって治療法も異なるため、自身の症状を正しく理解することが重要です。 症状が軽い場合は湿布や圧迫包帯の処置で緩和されるケースもありますが、自己判断せずに必要に応じて医師に相談してみてください。 肘に痛みや違和感を感じたら、無理をせず安静にし、日ごろから肘に負担をかけないように心がけましょう。
2025.04.30






