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腱板損傷の疑い!その原因!検査の実際から治療法まで

腱板とは一体なに?

肩関節(肩甲上腕関節)は背中についている肩甲骨と、肘から上の骨である上腕骨から構成されています。この肩甲骨と上腕骨が関節となり、肩関節の筋肉の働きにより腕を挙げるなどの運動ができるのです。肩関節を動かすには様々な筋肉が関与していますが、腱板とは肩関節の深層にある筋肉(インナーマッスル)のことです。

腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つから構成されており、ローテーターカフまたは回旋筋腱板とも言われています。これらの筋肉はそれぞれ肩関節の挙上や回旋に関わっていますが、もう一つ重要な役割を担っています。それは上腕骨を肩甲骨に引き寄せる役目です。

腱板のイラスト

 

肩甲上腕関節は、上腕骨の骨頭と肩甲骨の受け皿が関節となっていますが、骨頭に対して受け皿の面積が小さく、また様々な方向に動かすことができるため、安定性が悪く外れやすい(脱臼しやすい)関節でもあります。そのため腱板が働くことにより、上腕骨が肩甲骨に引き寄せられ、また挙上動作などを円滑におこなう補助作用も担っています。

腱板損傷で見られる症状とは

肩関節の中で重要な役割を持つ腱板が損傷すると、痛みが発生するだけでなく、肩関節の安定性が悪くなり、また肩を挙上することができなくなります。

・支えると腕を挙げることができるが、自力では挙がらない
・腕を下ろす動作で痛みを感じる
・痛い方の肩を下にして寝ると、痛みで目が覚める
・引き戸の開閉が困難   など

発症をする原因とは

腱板損傷の原因の多くは、転倒や急激な肩への負荷など明らかな外傷です。しかし日常生活による何気ない動作の繰り返しや、加齢による腱板の変性などにより、徐々に腱板がすり減り損傷する場合があります。

年齢別で見ると50歳以上の4人に1人は発症するとされており、最も多いのが60歳代です。また若い方では、ボールを投げたりラケットを振るなど肩をよく使うスポーツをしていると、オーバーユース(使いすぎ)により腱板が損傷されやすいです。

そして受傷の原因によっては、損傷の程度も変わってくることがあります。腱板損傷には大きく分けて完全断裂と部分(不全)断裂がありますが、完全断裂での受傷では転倒など衝撃が大きい原因が多く、部分(不全)断裂では微細な負荷による原因が多いです。

診断を受けるための検査方法

診察をする上で、腱板が損傷しているかどうか、また損傷している場合はどの程度の損傷かを調べなければなりません。例えばどのような動きで痛みが出るのか、どの程度の痛みが出るのか、筋力はどうかなどをチェックします。また腱板損傷を疑う場合におこなうテスト法として、ドロップアームテストがあります。

ドロップアームテスト(Drop Arm Test)

腱板損傷の疑い!その原因!検査の実際から治療法まで検査をする人が支えながら90度まで外転(横方向への挙上)させていき、支えを外した状態からゆっくりと腕を下ろしていく。
自力で腕を支えられずに、急に腕が落ちるようであれば腱板の損傷を疑う。

レントゲン検査

肩関節の痛みによる診断では、まず始めにレントゲンを撮られることがあります。レントゲンは主に骨の状態を確認できる画像診断ですので、骨折の診断にはとても有効です。ところがレントゲンでは腱板が映らないため、損傷の程度を確認することができません。

腱板損傷の疑い!その原因!検査の実際から治療法までただし腱板が断裂すると、関節の隙間が狭くなることがあり、また肩関節に骨棘(骨の端がトゲのようにとんがっている状態)が見られると、肩を動かした時に骨棘がある部分で炎症を起こす可能性があります。このように、レントゲンでは腱板自体を把握することはできませんが、関節の状態から腱板損傷の推察をすることはできます。

超音波検査

超音波検査では腱板の断裂の程度や炎症の有無、石灰(カルシウムの塊)の沈着などを判断することが可能です。超音波検査では、筋肉と筋肉の間にある筋膜や、滑液包に注射することができます。

また関節を動かしながら観察することで筋肉の動きも見ることができ、患者様と一緒にモニターを確認することで、よりわかりやすい説明ができます。

M R I検査

腱板損傷のMRI腱板損傷の診断にはM R Iでの検査が最も有効です。M R Iではレントゲンでは写らない腱板を描写することができ、また骨や関節包など腱板の周りの組織まで読み取ることができます。腱板損傷が起っている場合は、損傷している部位だけでなく、どれくらいの範囲まで損傷しているかを確認しなければなりません。

最初に説明したように腱板は4つの筋肉からできており、損傷した部位が小さければ他の筋肉で補助することができ、手術をしなくても済むことがありますが、広範囲に断裂をした場合は手術が適応となります。

治療法の選択

腱板断裂の治療法には、手術をしない保存療法と手術療法に分けられます。先ほどお伝えしたように、腱板の断裂の大きさによっては手術をした方がいい場合があります。しかし、それほど大きな損傷でない場合は、保存療法と手術療法のどちらが良いでしょうか。

腱板損傷に限らずどの疾患にも共通して言えることが、保存療法を選択する場合は当然ながら手術をしなくでも症状の改善が見込める場合でなければなりません。その見込みを左右する要因の1つが、損傷部位の血行状態です。肉離れのような筋肉の損傷であれば、最終的には損傷部位の修復が見られます。

ところが腱板の損傷では筋肉と比べて血行が悪く、自然治癒が難しい疾患です。それに加えて、肩を動かす(筋肉が収縮する)と損傷した部分が広がる方向に力が加わり、むしろ断裂部分が広がることも多いです。

このように腱板損傷は保存治療をおこなっても、時間の経過とともに症状が悪化することもあり、保存療法の限界があります。また患者さん自身がどの程度の回復を望んでいるかによっても治療方針がわかれます。痛みが収まり、しっかりと腕が挙がらなくても日常生活が送れる程度まで回復すれば良いという方にとっては保存療法から取り組むと良いでしょうし、スポーツや仕事をしていて復帰のためにしっかりと治したいという方は手術を選択する方が良いでしょう。

保存療法

痛みが強い時期の治療としては、薬物療法などで痛みを抑えることを第一に取り組みます。痛み止めの飲み薬や湿布薬などもありますが、強い痛みに対しては注射による治療が効果的です。特にステロイドによる注射は高い治療効果をもたらしますが、頻繁にステロイドを投与すると腱が脆くなることがあり、またそれ以外にも様々な副作用があります。

ある程度痛みが軽減してきたら、肩関節が拘縮しないようにストレッチなどで筋肉をほぐし、血流改善を促しましょう。肩関節は肩甲骨の動きも大きく関わっているため、ストレッチや体操をする際は腕を動かすだけでなく、肩甲骨も意識して動かしましょう。

また筋力トレーニングも効果的ですが、方法を誤ると同じ動作でも違った筋肉に刺激を送ることになるので気をつけましょう。最初に説明したように腱板は深層にある筋肉であり、腱板を鍛えるためには強い負荷は必要ありません。なぜなら強い負荷をかけたトレーニングでは、ターゲットである腱板よりも表層にある三角筋などが優位に働くからです。そのため腱板の筋力トレーニングをするときは、軽めの重りやゴムチューブなどを使い、軽い負荷でたくさんの回数をおこなうように心がけましょう。

手術療法

腱板損傷 手術腱板損傷の手術では、主に関節鏡視下術がおこなわれます。関節鏡視下術とは、1〜2cmほどの小さな穴から内視鏡と言われるカメラや手術器具を挿入し、断裂した腱板を元の骨の位置に縫い付ける術式です。この関節鏡を使った手術では傷口を大きく開かないため、体への負担が少なく感染率も低いです。

ただし手術を受けたからといって、すぐに元の状態に戻るわけではありません。手術をしても腱板に負荷がかかると再断裂をする恐れがあるので、しばらくは装具や三角巾を使って安静にする必要があります。そして3週間から6週間が経つと腱板の接合部分が安定してくるので、徐々にリハビリを開始していきます。重症度にもよりますが目安としては、不便なく日常生活が送れるまでに約2〜3ヶ月、スポーツや重労働ができるまでには約6ヶ月かかります。

腱板損傷の手術

まとめ

腱板損傷は明らかな原因が元で発症することがあれば、加齢による変性などで発症することがあります。特に50歳代以上では発症率が高く、身近に起こり得る疾患と言えます。

しかし損傷の程度によっては保存療法が功を奏せず、時間の経過とともに断裂が広がり手術となることもある疾患です。少しでも手術を回避したいのであれば、損傷が拡大しないように早期から治療に取り組みましょう。

 

No.0013

監修:院長 坂本貞範

関節の痛みは手術しないで
再生医療で治す時代です。

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