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腰椎椎間板ヘルニアの治療中にやってはいけないことは?避けたい習慣も医師が解説
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- 腰椎椎間板ヘルニアはどうやったら早く治るの?
- 早く治すためには何を避けるべき?
このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか?
腰椎椎間板ヘルニアを発症している、あるいは再発が予測されるときは、「やってはいけないこと」を理解し、それを避けるのが大切です。
そしてきちんとした保存療法を実施すれば、治療期間を縮められるかもしれません。
本記事では腰椎椎間板ヘルニアの治療中にやってはいけないことを、医師の視点から解説します。
関連記事:腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる2つの方法!症状と原因を把握して対処しよう
目次
【予備知識】腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと
腰椎椎間板ヘルニアとは、腰に過度な負担がかかり、神経が圧迫される病気です。
腰椎とは腰にある背骨のこと。
腰椎には5つの椎間板があり、上半身の重さを支えています。
これがあることで、腰を回したり、伸ばしたりできます。
しかし腰椎椎間板ヘルニアを発症している状態では、椎間板は本来の位置を保てません。
背中側にずれて、神経を圧迫します。
その結果、痺れや痛みなどの神経症状が現れます。
腰椎椎間板ヘルニアの治療では、手術はあまり用いられません。医師の指示のもと、腰をいたわりながら過ごす保存療法が、多くの場合選ばれます。
腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと
腰椎椎間板ヘルニアの治療中にやってはいけないことは、大きく分けて4つあります。
腰に負担をかける動作
- 喫煙
- 飲酒
- スポーツ・アクティビティ全般
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
腰に負担をかける動作
では、腰への負担をかけてしまうような動作とはどのようなものでしょうか。
なんとなく、腰に負担がかかる場面を思い起こすことができますね。
重いものを持ったり、中腰の体勢を続けていたりしたときに腰が痛んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。
1966年に日常生活での動作と腰にかかる負担に関して報告がされています。
この報告によると、立ったまま前かがみになると、ただ立っているときと比べて約1.5倍の圧が腰にかかることがわかりました。
さらに中腰で20㎏のものを持とうとすると、ただ立っているときの2倍以上の負担が腰にかかることも知られています。
1999年には、新しい計測機器を用いて腰の負荷をさらに正確に測定した報告がされています。
その報告によると、座っているときの腰の負担は、立っているときとほとんど変わりがない衝撃の内容でした。
しかも、中腰の場合での腰の負荷は立っているときの2倍。
さらに中腰で20㎏のものを持っているときの腰の負荷は実に4.5倍にもなることがわかりました。
重いものを持ち上げるときに注意したいのは、その姿勢です。
膝を折り、しゃがんだ状態で足を延ばして持ち上げることで、腰の負荷を2/3程度まで減少させることができたと報告されています。
これらの報告から、腰部への過度な荷重がかかる場面は、中腰になっているときであることがわかりました。
また重い荷物を持つ際には、お辞儀するように上体を前に折った体勢をとると腰の負担が増えてしまうことが科学的に判明されています。
腰椎椎間板ヘルニアと診断された方は、ぜひこのような科学的根拠に基づいて、腰に負担をかけないよう、注意して動作を行うようにしてください。
立っているときと比較して | 腰への負担 |
座っている状態 | 立っているときとほぼ同等 |
中腰になっているとき | 2倍 |
中腰で20㎏の持つと(重い荷物を持つ想定) | 4.5倍 |
上記のように腰に負担を与えないためには、姿勢や、重いモノを持ち上げるなどでは、やり方をよく研究するのが大切であることがわかります。
喫煙
また、喫煙も避けるようにしましょう。タバコを吸うと、腰椎椎間板ヘルニアの治療に支障が出ます。
喫煙すると、ニコチンによって毛細血管が収縮し血流が悪化します。
すると、椎間板に対して十分な栄養が供給できません。
したがって椎間板自身の回復力が低下します。
さらに非喫煙者が腰椎椎間板ヘルニアを発症した場合、喫煙者よりも痛みの程度が低く、痛み止めの内服量も少ない傾向にあります。
したがって禁煙すれば、治療中の苦痛を和らげられるでしょう。
なお腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第3版によれば、喫煙者は非喫煙者よりも1.27倍大きい腰椎椎間板ヘルニアの発症リスクを抱えているとのこと。
完治してからも、再発を防ぐため、禁煙するのがのぞましいといえます。
飲酒
腰椎椎間板ヘルニアの治療中は、飲酒も控えるようにしましょう。
過度の飲酒は筋肉をゆるませ、腰の姿勢を悪くして、腰椎に負担をかけます。
その状態が長く続くと、椎間板が圧迫されるため、完治が遅れるでしょう。
さらに炎症も起こりやすくなるため、腰周りの痛みが激しくなります。
治療を早め、症状を和らげるためにも、飲酒は控えるようにしましょう。
また、いわゆる「飲みの席」はできるだけ避けましょう。
この場は飲酒のみならず喫煙も伴いやすく、腰椎椎間板ヘルニアの治療を妨げる大きな要因になりがちです。
スポーツ・アクティビティ全般
スポーツやアクティビティ全般も、基本的には控えるようにしましょう。
走る、ジャンプする、中腰になるなどの運動は、椎間板に大きな衝撃を与えます。
腰を強く伸ばす、ひねる動作も、椎間板に負担を与えます。
そのような動きがあるスポーツやアクティビティは基本的に避けましょう。
ただし腰椎椎間板ヘルニアの治療では、運動不足も好ましくないとされています。
腰に負担がかからないストレッチや体幹を鍛えるトレーニングは、むしろ積極的におこなうべきです。
腰椎を動かすストレッチ
腰椎の治療では、適切なストレッチをおこなうのが重要です。
ストレッチによって腰回りの動きが改善され、椎間板に対する負担を軽減できるでしょう。
たとえば以下のようなストレッチが効果的です。
- 1.仰向けになって、肩幅に足を開く
- 2.臀部を床につけたまま、左足を右足側に倒す
- 3.10秒ほどの、その姿勢を維持する
- 4.2を左右逆でおこなう
2から4を1セットとして、5セットほどおこないます。このようなストレッチをおこない、椎間板にかかる負担を軽減しましょう。
ただし症状が重い場合は、ストレッチ自体が逆効果です。安静にすべきか、ストレッチを実施すべきか、医師の指示を仰ぐと良いでしょう。
関連記事:腰椎椎間板ヘルニアの再発予防!おすすめのストレッチ5選!
まとめ・腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと
今回は腰椎椎間板ヘルニアとは何か、腰椎椎間板ヘルニアと診断された患者さんが日常生活で気を付けるべき注意点をお伝えしました。
- やってはいけません
- ・中腰での動作は避ける
- ・重いものを持つときには膝を曲げて持つ
- ・姿勢をよくする
- ・喫煙者は、禁煙する
上記に気を付けて、腰椎椎間板ヘルニアにならない!悪化させないような生活を送りましょう。