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腰椎分離症はどれくらいで治る?完治の目安・安静期間を医師が解説

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公開日: 2022.09.28 更新日: 2025.02.10

「腰椎分離症と診断されたけど、いつになったら治るんだろう…」
「スポーツや仕事に復帰できるのはいつかな?」

ご自身あるいは家族が腰椎分離症と診断された方の中には、このような不安を抱えている方もいることでしょう。

腰椎分離症は早期治療を開始すれば、平均2.5カ月ほどで回復が期待できます。しかし、適切な安静期間を守らなかったり、リハビリを怠ったりすると回復が遅れる場合もあります。

本記事では、腰椎分離症が完治するまでの期間や効果的な治療法を詳しく解説します。完治までの目安を知って、スポーツや仕事復帰への道筋を立てたい方は、参考にしてみてください。

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腰椎分離症は成長期に多い疾患

腰椎分離症とは、10代前半から中盤(小学生高学年、中学生、高校生)の成長期のスポーツ選手に多い腰の疾患です。

背骨を構成する腰椎の「椎弓(ついきゅう)」と呼ばれる部分に疲労骨折が起こり、その名の通り腰椎が2つに分離してしまう状態を言います。

発症は成長期ですが、腰椎分離症に気づかず、大人になってから指摘されるケースも珍しくありません。場合によっては、疲労骨折した部分がより離れてずれてしまう「腰椎すべり症」へと進行するケースもありますので、早期の発見・治療が必要です。

腰椎分離症はどれくらいで治るのか|早期治療をはじめれば平均2.5カ月

腰椎分離症の治療期間は、病状の進行度によって異なります。早期に治療を開始すれば、比較的短期間での回復が期待できます。

以下は、平均年齢13.8歳の小児患者を対象とした「腰椎分離症の治療期間」に関する研究結果です。(文献1

  • 最初期段階: 平均治療期間2.5カ月(範囲:1〜7か月)
  • 初期段階: 平均治療期間2.6カ月(範囲:1〜6か月)
  • 進行期: 平均治療期間3.6カ月(範囲:3〜5か月)

この研究結果からも、早期発見・早期治療の大切さがわかります。

症状が進行する前に適切な治療を開始するのが、早期回復への近道と言えるでしょう。

腰椎分離症の安静期間

腰椎分離症の安静期間は、症状の度合いや個人の回復力によって異なりますが、1カ月程度が目安とされています。

この期間中は、コルセットを着用し、腰部への負担を最小限に抑える必要があります。医師から許可が出るまでは、運動や腰に負担がかかる動作(腰をひねる動き、長時間の座位など)は控えましょう。

適切な安静期間を守れば、腰椎がしっかりと癒合する確率が高まり、早期回復につながります。

腰椎分離症をできるだけ早く治すための治療方法3つ

少しでも早く腰椎分離症を治したいと考えている方に向けて、早く治すための治療法を3つ紹介します。

  • 疲労骨折部の安静
  • 患部以外の柔軟性、筋力の強化
  • 腰椎へ過度なストレスにならない動作の獲得

順番に見ていきましょう。

疲労骨折部の安静

腰椎分離症の治療は「患部の癒合(ゆごう:傷がなおり、離れていた皮膚や筋肉などが付着すること)」が一番に優先されます。

そのため、初期の段階であれば、患者の身体に合わせた硬いコルセットを用いて、患部に負担がかからないように固定し安静を保ちます。

コルセットの装着により、脊柱のひねるストレスを軽減できるため、骨折部の癒合を促せるのです。

骨が未熟な小・中学生では癒合の可能性も高いため、スポーツを一定期間中止し、癒合に専念することが推奨されます。

患部以外の柔軟性、筋力の強化

腰椎分離症の発症には、主に次のような要因が関係しています。

  • 下肢(とくに股関節など)や上半身(胸椎など)のかたさ
  • 下肢、体幹の筋力および筋持久力の低下
  • 不良なスポーツ動作

これらの改善には、ストレッチや筋力トレーニングによる、身体の柔軟性や筋力の強化が重要です。

患部に負担のかからないところから徐々にストレッチや筋力強化をし、身体機能を上げていきましょう。

腰椎へ過度なストレスにならない動作の獲得

柔軟性や筋力不足だけでなく、正しい身体の使い方ができていないのも腰椎分離症を発症する原因となります。

例えば「身体を反らせてください」と指示したときに、本来なら弓なりに背骨全体で反らせてほしいところ、胸が張れずに腰のところだけで反らせている人を多くみかけます。この動きだと腰だけに負担がかかりやすく、腰椎分離症を発症するリスクが高くなるのです。

また、身体をひねる動きになると、頑張って背骨をひねろうとしてしまいます。背骨の動きはそんなに大きな動きはできません。

身体をひねるときに大事な役割をしてくれるのが、骨盤や股関節です。骨盤、股関節の動きが不十分だと背骨にかかる負担も増えてくるので、スポーツ復帰する前に改善しておきましょう。

現在、腰椎分離症の治療法として「再生医療」が注目されています。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した医療技術で、自身の幹細胞を培養して患部に注射し、損傷している組織の修復と再生を促します。

※当院では「腰椎分離症」の治療は行っておりません。知識としてご参照ください。

手術しなくても治療できる時代です。

スポーツ外傷は⼿術しなくても治療できる時代です。

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まとめ|腰椎分離症がどれくらいで治るのかを把握して計画的に治療を進めよう

本記事では、腰椎分離症について原因や症状、治療法について紹介しました。

腰椎分離症は、早期に発見し、適切な治療を行えば後遺症も残さず治る疾患です。ただし、骨癒合まではある程度の期間、固定と安静が必要となります。

スポーツを休まなければいけないのは根気と我慢が必要となりますが、無理して治療を先延ばしにしておくと、痛みが長引くだけでなく、後になってより強い腰痛を引き起こす原因となる場合もあります。

成長期の年代で腰痛に悩んでいる方は、ぜひ一度整形外科に相談してみましょう。

「できるだけ早くスポーツに復帰したい…」という方に、おすすめなのが「再生医療」という新しい治療法です。

再生医療は、傷ついた組織の修復と再生を促し、治療期間の短縮が期待できます。

※当院では「腰椎分離症」の治療は行っておりません。知識としてご参照ください。

手術しなくても治療できる時代です。

スポーツ外傷は⼿術しなくても治療できる時代です。

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腰椎分離症に関するよくある質問

コルセットはずっとつけておかないといけないのか?

医療機関にもよりますが、基本的にはお風呂以外の時間はつけておきましょう。

安静にしておけば必ず完治するの?

腰椎分離症にも初期から終末期があり、なりたての初期段階であればかなりの確率で癒合できます。しかし、終末期になると癒合は難しいので、体幹の強化や動作の改善の訓練を行い、患部に負担をかけない工夫が必要になります。

固定以外にも治療方法はあるの?

終末期で症状がとれない、分離部がぐらぐらする、などといった症状が残っており、今後のスポーツ活動に支障を及ぼす可能性が高い場合に、手術療法を行うこともあります。

参考文献

(文献1)
Sakai T, Tezuka F, Yamashita K, Takata Y, Higashino K, Nagamachi A, Sairyo K. Conservative treatment for bony healing in pediatric lumbar spondylolysis. Spine (Phila Pa 1976). 2017;42(12):E716-E720. doi:10.1097/BRS.0000000000001931. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27755499/

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