- ゴルフ肘
- 上肢(腕の障害)
- 肘関節
- スポーツ外傷
ゴルフ肘はゴルフをしてない人でも発症するの?原因や治療法を現役医師が解説

日常生活の何気ない動作で肘に違和感を覚えたことがある方も多いのではないでしょうか。
重い荷物の持ち運びや繰り返しの手作業を行うことで、肘の内側に痛みを感じることがあります。
ゴルフをしない方でもゴルフ肘を発症します。
正式には上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)と呼ばれ、肘の使いすぎによって炎症が起こる疾患の一つです。
本記事ではゴルフ肘の原因や症状、治療法について詳しく解説します。
近年注目されている、手術に頼らない治療法の再生医療や、自分でできるストレッチ法についても紹介しています。ぜひ最後までご覧ください。
目次
【基礎知識】そもそもゴルフ肘とは
ゴルフ肘と呼ばれる病気の正式名称は「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」です。
上腕骨とは、肩から肘の間にある骨で、内側上顆は、肘の内側にあります。
上腕骨の内側上顆にある筋肉や腱に炎症が起こった場合に発症するのが「上腕骨内側上顆炎」つまり「ゴルフ肘」です。
ゴルフでクラブをスイングをした際、肘に痛みを感じることがあるため、ゴルフ肘と呼ばれるようになりました。
しかし、この疾患はゴルフに限らず、テニスなど他のスポーツ、さらには日常的な肘の使いすぎによっても発症することがあります。
ゴルフをしてない人がゴルフ肘になる原因
ゴルフ肘は、ゴルフをしている人だけが発症するものではありません。
実際には、手のひらを内側に向けて動かす動きや、物を握るような動きなど、腕のあらゆる動作が原因となり、ゴルフをしていない人にも発症することがあります。
ゴルフ肘の主な原因は、腕の使い過ぎ・筋肉量が少ないこと・ゴルフの3つです。
これらの原因について深掘りしていきます。
腕の使い過ぎ
ゴルフをしていないにもかかわらず、ゴルフ肘を発症する原因の1つとしてあげられるのは、日常生活や仕事での腕の使い過ぎです。
手首や肘を頻繁に使う動作を繰り返す作業が多い場合、気付かないうちに肘へ過度な負担をかけてしまっている可能性があります。
たとえば、以下のような作業が伴う人は注意してください。
- パソコンのキーボードを長時間打つ
- 重い荷物を持ち上げる
- 繰り返しの手作業を行う
これらの動作は、肘の内側にある筋肉や腱にストレスを与え、ゴルフ肘を引き起こす原因となります。
さらに、家事や趣味での活動、庭仕事、DIYなどでも、同様に腕を酷使するため、ゴルフ肘を誘発する可能性があります。
加齢や筋肉量の少なさ
ゴルフをしていないのにゴルフ肘を発症する原因には、加齢や筋肉量の少なさもあります。
年齢を重ねると筋肉や腱の柔軟性が低下し、回復に時間がかかりやすくなります。結果として、小さな負荷でも負傷しやすくなるのです。
また筋肉量が少なくても、日常の動作でも肘にかかる負担が大きくなり、ゴルフ肘を引き起こすリスクが高まります。
とくに、定期的な運動をしていない人や、筋力トレーニングを行っていない人は注意が必要です。
日常生活においても腕の使い過ぎを避け、適度な休息と運動を心がけることが重要です。
ゴルフをしている人でも発症可能性がある
ゴルフ肘という名前から、ゴルフをプレイする人だけが罹患するものと誤解されがちですが、実はゴルフをしてない人でもゴルフ肘にかかる可能性は十分にあります。
ゴルフのスイング動作は、肘にかかる負担が大きく、繰り返しの動作によって筋肉や腱にストレスが蓄積されるため、ゴルフ肘の原因となります。
また、クラブの握り方やスイングの方法が正しくないと、肘に余計な力がかかりやすくなるため、注意が必要です。
ゴルフを始めたばかりの初心者から中級者に起きやすい症状のため、スイングフォームの見直しから始めましょう。
以下の記事では、ゴルフ肘を含めて急に肘が痛み始めた人向けに具体的な対策を解説しています。
ゴルフ肘の症状と診断方法
ここからは、ゴルフ肘の症状と診断方法について解説していきます。
ゴルフをしていない人も、肘の痛みを感じる場合はぜひご覧ください。
症状
ゴルフ肘の症状は、主に肘の痛みです。
痛みの程度や発生するタイミングは人によって異なりますが、重い荷物を持ち上げる際や、包丁を使うなどの繰り返し動作をしているときに痛みを感じることが大半です。
特に、腕や手首を頻繁に使う作業を続けると、症状が悪化することがあります。
テニス肘との違い
ゴルフ肘とテニス肘の違いは、肘の痛みが「内側なのか・外側なのか」の違いです。
多くのケースでゴルフ肘は内側で、テニス肘は外側で痛みを感じます。また、発症頻度の違いもあり、テニス肘を罹患されるケースが多い傾向にあります。
しかし、発症の原因となったスポーツで病名が決まっているわけではありません。ゴルフ肘もテニス肘も、正式名称は「上腕骨外側上顆炎」です。
あくまで原因となったスポーツの名称からの名残りとして呼ばれていると把握しておきましょう。
テニス肘については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
診断方法
ゴルフ肘は、いわゆる肘の使い過ぎによって起こる病気です。
そのため、医師の診察でも、肘の曲げ伸ばしを日常的に繰り返ししているが診断の材料になります。診察では「誘発試験」と呼ばれる身体検査をおこないます。
具体的な誘発試験流れは、以下の通りです。
- 手のひらを上に向けた状態でテーブルの上に置く
- 医師が手首を押さえ、手首を上に向けてあげようよう指示をする
- 肘の内側が痛くなるならゴルフ肘が疑われる
他にもレントゲン検査や、超音波検査、MRI検査などの画像検査で総合的な診断も可能です。
ゴルフ肘の治療法
ゴルフ肘の治療法は、痛みの重症度によって異なります。
- 保存療法
- 手術療法
- 再生医療
これらの治療法についてそれぞれ詳しく解説します。
保存療法
ゴルフ肘の保存療法で実施されている方法は、主に以下の通りです。
- 安静にする
- 患部を冷やす
- テーピングや肘用ベルトを使用して負担を軽減する
- 鎮痛剤・湿布で痛みや炎症を抑える
安静にしても痛みが改善されなかった場合は、薬物療法や注射療法、理学療法などを実施します。
ステロイド薬の使用や痛み止めの服用をしながら、患部に湿布を貼って治療する方法が、初期段階の治療法です。
手術療法
ゴルフ肘の痛みが収まらない場合や重症の場合は、手術療法が選択肢としてあげられます。手術によって損傷した組織の修復や除去を行うことで、痛みが改善される場合が多いです。
ただし、手術には感染症などの合併症が生じるリスクもあるため、慎重な判断が求められます。
再生医療
再生医療ではPRP療法(血小板豊富血漿療法)を用いることで、腱に悪影響を与えることなく、痛みを軽減できます。
PRP療法では、患者様自身の血液から抽出した血小板を患部に注入することで、腱の修復を促進します。
再生医療は手術を必要とせず、回復期間の短縮を目指せる点がメリットです。
詳細については以下のリンクからご確認ください。
ゴルフ肘を自分で治すストレッチ法
日々忙しく医療機関での受診が難しい人に向け、おすすめのストレッチ法を紹介します。
【腕前面のストレッチ】
- 片方の腕を前方に伸ばし手のひらを上に向ける
- 反対の手で伸ばした手を添える
- 添えた手を手前に引く
- もう片方の腕も実施する
肘の筋肉を伸ばすストレッチになるので、休憩時間に実施してみてください。
今回紹介したストレッチ以外にも、以下の記事で網羅的にまとめているので、あわせてご覧ください。
まとめ・ゴルフ肘の症状がある人は早めに受診しよう
ゴルフ肘は、ゴルフをしていない人でも起こりうる病気です。
早く治すためには、早期の発見と治療が大切です。
治療が遅れると悪化し、結果として手術を選択しなければならないケースもあるので「この程度なら」との自己判断は禁物です。
「自分はゴルフをしないから大丈夫だ」と考えず、肘に違和感を感じたら、すぐに医師の診察を受けましょう。
当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、お気軽にご相談ください。
\まずは当院にお問い合わせください/