膝の水を抜く方法とは?病院での処置や自分でできるストレッチも紹介【医師監修】
公開日: 2022.06.29更新日: 2024.11.06
膝の水が溜まって痛みがある。
溜まっている膝の水を、できるなら自分で抜きたい。
膝に溜まった水が気になり、抜く方法を知りたいと考えていませんか。しかし、膝の水を抜くのは癖になってしまうという話を聞いて、不安になっている方もいるかもしれません。
膝の水が溜まる原因は、炎症反応が起こっているためです。病院では、注射器を使用して膝の水を抜きます。
また、セルフケアではストレッチやマッサージで膝の水を抜く方法もあります。しかし、誤ったセルフケアは痛みや炎症の悪化につながるため、症状が強い場合は病院で適切に処置してもらった方が良いでしょう。
本記事では、病院やセルフケアで膝の水を抜く方法を詳しく解説しています。皆様が納得できる膝の水を抜いて痛みを緩和する方法の選択に役立てれば幸いです。
目次
病院で膝の水を抜く方法
膝の水を抜く方法のひとつとして、病院での処置をイメージする方も多いでしょう。
本章では、病院での処置や注意点について解説します。本章を参考に膝の水を抜くかどうかを検討してください。
処置には注射器を使う
病院では主に整形外科にて、注射針を関節に刺して膝の水を抜く「関節穿刺」を行う場合があります。(文献1)
膝の水の正体は「滑液(かつえき)」です。滑液が膝に溜まることで関節を圧迫し、膝の痛みを悪化させる可能性があります。そのため、膝の水を抜くと症状の緩和が期待できます。
膝の水を抜く際、注射針を刺した直後以外に激しい痛みを伴うケースは稀です。ただし人によっては痛みが気になる方もいるため、処置後に違和感がある場合は、担当の医師に相談しましょう。
症状に応じてヒアルロン酸を注入する
膝の水を抜いた後や変形性膝関節症では、症状を和らげる目的でヒアルロン酸を注入することがあります。通常、週に1度あるいは数週間に1度の頻度でヒアルロン酸を注入し、効果がみられれば継続します。
病院でのヒアルロン酸の注入は保険適応になるケースが多いため、治療費を抑えられるメリットも期待できるでしょう。
ヒアルロン酸の注入は一時的に痛みや炎症を抑える効果がありますが、持続的ではないため定期的な通院が必要です。
また、根本的な原因疾患の治療でないため、医師の指示に従いリハビリや運動療法など根本的な原因を改善する治療と並行しましょう。
病院で膝の水を抜いた直後は安静にする
病院で膝の水を抜いた直後は、安静にして過ごすように指導されます。処置を行った当日は、以下の2点は行わないように注意しましょう。
- 激しい運動
- 入浴
また、処置の後には以下の合併症のリスクがあります。
合併症 |
症状 |
感染症 |
注射部位の腫れや熱感、痛みが長時間続く、または症状の悪化 |
出血 |
注射部位を圧迫しても止血しない |
上記のような症状があらわれたら、早めに受診するようにしましょう。
膝の水を抜いた後の注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
自分で膝の水を抜く方法
病院で処置してもらう以外にも、自分でストレッチやマッサージを行って膝の水を抜くことも可能です。
本章では、セルフケアで膝の水を抜く方法と注意点を解説します。
「できるなら自分で膝の水を抜きたい」という方は、本章を参考に、ストレッチやマッサージを行ってみましょう。
膝の水を抜くストレッチ・マッサージ
膝の水を抜くために効果的なストレッチ・マッサージとして、以下の4つがあげられます。
ストレッチ |
足上げ運動 |
1. 仰向けになり、両足を伸ばす 2. 左右の足を交互にゆっくりと上げるたり降ろしたりを繰り返す |
パテラセッティング(膝の前側の筋肉を鍛える) |
1. 床に足を伸ばして座る |
|
マッサージ |
膝下のほぐし |
1. 片側の膝下に両手で親指を添える |
太もものほぐし |
1. 椅子に座る |
すべて自宅で手軽にできます。無理のない範囲で、上記のストレッチやマッサージを行ってみましょう。
痛みや違和感がある場合は無理に動かさない
痛みや違和感があるときは、炎症が起こっているサインです。むやみに触ると悪化する可能性があるため、ストレッチやマッサージなどのセルフケアはおすすめできません。無理に動かさず、早めに医療機関へ行きましょう。
マッサージやストレッチは血の巡りをよくする効果が期待できますが、誤った方法で無理に行うと、症状が悪化する恐れもあります。
また、痛みを感じるときは、膝に負担をかけないよう歩行や荷物の持ち運びなどの動作にも注意しましょう。
膝の水が溜まる原因は「炎症による関節液の過剰分泌」
膝の水が溜まる原因は、炎症反応によって「関節液」が余分に分泌されるためです。
関節液は、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割をしています。関節液は常につくられながら吸収され、一定量になるよう調整されています。
しかし、なんらかの疾患によって炎症が起こると、いつもより早いペースで関節液がつくられ、膝の水が溜まります。(文献2)
膝に水が溜まる原因の病気は、以下のとおりです。
- 半月板損傷
- 変形性関節症
- 靭帯損傷
- 痛風、偽痛風
- 関節リウマチ
- 骨折
- 感染や外傷
これらの病気になると膝に水が溜まりやすくなります。膝の水を根本的に改善するには、水を抜く処置をして痛みを緩和しつつ、原因となる病気を治療することが大切です。
まとめ|膝の水を抜くなら医療機関に相談しよう
今回の記事では膝の水を抜く方法やセルフケアを中心に解説しました。
症状が出現した際に、自己判断で放置したり誤ったセルフケアを行ったりすると、悪化する可能性があります。膝の水を適切な方法で抜きたい場合は、医療機関に相談しましょう。
また、当院「リペアセルクリニック」では、人体に元々ある幹細胞を活用した「再生医療」による膝の痛みや変形性膝関節症の治療が可能です。
「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。
膝の水に関してよくある質問
膝の水を抜くと癖になりませんか?
膝の水を何度も抜くのが原因で、癖になるわけではありません。
膝の水を抜いても再び溜まってしまうのは、関節に炎症が起こっている根本的な原因の病気が改善されていないためです。
原因の病気として、半月板損傷や変形性関節症などが知られています。痛みを和らげるためには、原因の病気の治療をしながら膝の水を抜くことも大切です。
膝の水は自然に抜けますか?
稀に自然治癒する場合もあります。長期期間放置しても、必ず自然治癒するわけではありません。
放置すると関節が固まって動きにくくなった「拘縮状態」に陥るリスクもあります。
拘縮状態になると膝の曲げ伸ばしが辛くなり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。そのため、1カ月以上膝の水の溜まりを放置するのはおすすめできません。
膝の水を自然に抜けるまで長期間待たずに、早めに受診するようにしましょう。
参考文献一覧
文献1
水原寛康. 関節穿刺. 医学書院 医療情報サービス. 2024年10月18日.
文献2
斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875