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膝の水が溜まる原因と治療法|症状・検査・セルフチェックについて解説

膝 水が溜まる
公開日: 2021.10.09 更新日: 2025.12.28

膝に水が溜まる(関節水腫)状態は、変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチなどの疾患が原因で起こる場合があります。

これらの疾患は放置しても自然に治るとは限らないため、早めに原因を特定することが大切です。

本記事では、膝に水が溜まる仕組みや原因となりやすい代表的な疾患について解説します。

膝の腫れや痛みで不安を感じている方は、ぜひ本記事を参考にしながら、ご自身の状態を把握し、必要に応じて専門医への相談を検討してください。

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膝に水が溜まる状態を正しく理解するための基礎知識

そもそも膝に水が溜まるとはどういう状態なのか、まずは以下の基礎知識を押さえておきましょう。

膝に水が溜まる仕組みを理解しておくと、症状への不安が軽くなり、必要な対処も判断しやすくなります。

膝に水が溜まるとはどのような状態か

膝の画像

膝に水が溜まる状態とは、膝関節の中にある関節液(滑液)が通常より多く分泌され、関節を包む袋(関節包)の中に過剰に溜まった状態を指します。

関節水腫と呼ばれ、見た目に膝が腫れぼったくなる、膝に張ったような違和感が出る、曲げ伸ばしがしにくいといった症状が一般的です。

膝には少量の関節液があり、潤滑油のような役割を果たしています。しかし、滑膜に炎症が起こると関節液が増えて膝に水が溜まる状態になります。

炎症を引き起こす原因は、変形性膝関節症・半月板損傷・関節リウマチなどです。

膝の水が溜まるのは滑膜の炎症が関わっているため、症状が続く場合は整形外科を受診しましょう。

水を抜く治療と「クセになる」と言われる理由

膝に水が溜まった際に行われる水を抜く治療(関節穿刺)は、関節内に溜まった余分な関節液を注射針で吸い取り、腫れや痛みを和らげる方法です。

「水を抜くとクセになる」とよく言われますが、これは誤解であり、水を抜く治療そのものが原因ではありません。水が繰り返し溜まるのは、背景にある病気(変形性膝関節症や半月板損傷など)による炎症が続いているためです。

水を抜くことは症状の一時的な改善には役立ちますが、根本治療にはなりません。

膝の腫れを繰り返す場合は専門医で原因を確認し、炎症を抑える治療を受けましょう。

膝に溜まった水が自然に引くケースと引かないケース

膝に水が溜まったとき「このまま様子を見ていれば治るのでは」と思うかもしれませんが、自然に水が引く場合とそうでない場合があります。

  • 自然に引くケース:運動後の軽い炎症や一時的な負荷がかかった場合
  • 自然に引かないケース:変形性膝関節症や半月板損傷など、慢性の炎症や組織の損傷を伴う場合

関節内の炎症が続くと水(関節液)は作られ続けるため、単に時間が経過しても治らないことが多い点を理解しておきましょう。

自然に改善しない腫れを放置すると、炎症がさらに悪化して症状を繰り返すおそれがあります。膝の腫れが続く、痛みが強い、何度も水が溜まる場合は医療機関を受診しましょう。

膝に水が溜まる主な原因

膝に水が溜まる主な原因は、以下のとおりです。

原因によって症状の経過や治療法が異なるため、どのような背景があるのかをみていきましょう。

原因①変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減って関節に炎症が起こることで、水(関節液)が溜まりやすくなる代表的な原因です。

50代以降の方や女性、肥満気味の方に多く見られます(文献1

変形性膝関節症による炎症が強まると、滑膜が刺激されて膝に水が溜まって腫れや痛みが出ることがあります。次のような症状が続く場合は注意が必要です。

  • 膝の痛みや腫れ
  • 朝や歩き始めに痛みやこわばりを感じる
  • 階段の昇り降りで痛む

変形性膝関節症は自然に元に戻ることが難しく、放置すると炎症が慢性化して水が繰り返し溜まる原因になります。症状が軽いうちに治療を始め、進行の抑制や日常生活の負担軽減につなげましょう。

当院で行った変形性膝関節症に対する再生医療の症例を、以下でご紹介しています。

【関連記事】
変形性膝関節症の初期症状とは?原因や治療方法もわかりやすく解説 | リペアセルクリニック東京院

原因②半月板損傷や靭帯の損傷

半月板や靭帯の損傷などは膝に水が溜まる原因の一つです。

スポーツ中のひねり動作、転倒、急なストップ動作などで関節内の組織が傷つくと、滑膜が炎症を起こし、関節液が過剰に作られて膝が腫れます。

損傷によって関節の安定性が低下すると膝への負担が増え、炎症が慢性化して水が繰り返し溜まるケースもあります。

以下のような症状がみられたら注意が必要です。

  • 膝の腫れや熱感
  • 膝がぐらつく感覚がある
  • 曲げ伸ばしするときに引っかかる感じがする

放置すると膝が不安定になり炎症を繰り返すため、早めに整形外科を受診して詳しい検査を受けましょう。

当院で行った半月板損傷に対する再生医療の症例を、以下でご紹介しています。

【関連記事】
半月板損傷とは?原因・症状・治療法・やってはいけないこと | リペアセルクリニック東京院

原因③関節リウマチや感染症

関節リウマチや細菌による感染症も、膝に水が溜まる原因のひとつです。

関節内に強い炎症を起こすため、早期対応が遅れると関節の破壊につながるおそれがあります。

原因 関節リウマチ 感染症
概要 免疫が自分の関節を攻撃してしまう 関節液の中に細菌や炎症物質が入り込む
主な症状
  • 朝のこわばりが続く
  • 左右対称に症状が現れる
  • 複数の関節が同時に痛む
  • 発熱を伴う
  • 膝が赤く熱をもつ

感染症・リウマチはいずれも自然に治ることはほとんどありません。原因を早期に特定し、適切な治療を進めて膝の機能を守りましょう。

当院で行った関節リウマチに対する再生医療の症例を、以下でご紹介しています。

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関節リウマチとは?初期症状・原因・診断・治療・生活上の注意 | リペアセルクリニック東京院

自分で確認できるセルフチェック方法

膝の水チェック方法

膝に水が溜まっているかどうか自分で確認できるセルフチェック方法は、以下のとおりです。

  1. 膝を伸ばして座る
  2. お皿(膝蓋骨)の上を軽くつまむ
  3. もう片方の手でお皿をやさしく押す

押した際にお皿が柔らかく動いて浮くような感じがあれば、膝に水が溜まっている可能性があります。

セルフチェックはあくまで目安です。腫れが続く、強い痛みがある、歩きづらいなどの症状がある場合は、早めに専門医の診察を受けましょう。

膝に水が溜まった初期症状

膝に水が溜まった初期症状は、以下のとおりです。

  • 膝全体が腫れている
  • 膝が重く違和感を感じる
  • 曲げ伸ばしがしづらい

水が増えてくると関節包が内側から張ってきて膝の動きがさらに制限され、正座が難しくなる、歩行が辛いなど日常生活に支障が出ることもあります。

腫れがごく軽い段階では見た目や触診だけではわかりにくく、必要に応じてエコーやMRIなどでの検査が必要です。

膝に水が溜まったときに行われる主な検査

膝に水が溜まったときに行われる主な検査は、以下のとおりです。

順番にみていきましょう。

診察・触診

膝に水が溜まっている可能性がある場合、まず行われるのが医師による診察と触診です。触診では膝の状態を直接確認しながら、水腫(膝の水)の有無や炎症の程度を把握します。

異常が疑われる場合は画像検査を組み合わせて精密に原因を調べます。

画像検査

膝に水が溜まった原因をより正確に調べるために画像検査が行われ、水が溜まる背景となる疾患を特定します。

代表的な画像検査の種類は、以下のとおりです。

検査名 わかること
X線(レントゲン) 骨の変形、骨折の有無
MRI 半月板、靭帯など軟部組織の損傷具合
超音波(エコー) 水(関節液)の量や位置

膝の水腫は見た目だけでは原因が判断できないため、検査を組み合わせることで、より正確な診断につながります。

関節液(膝の水)の色や性状

関節液の状態は、膝の中で何が起きているかを知る重要な手がかりになります。

診察では、注射針で関節液を採取する方法(穿刺)で関節液を少量採取し、色や粘度、濁りなどを確認します。水を抜くこと自体が痛みや張りの軽減につながるほか、原因の診断にも役立つ大切な検査です。

関節液の色や性状から、次のような原因が推測されます。

  • 透明〜淡黄色:炎症が軽く、変形性膝関節症などでよくみられる状態
  • 赤色:血液が混じっているサインで、靭帯損傷や半月板損傷が疑われることがある
  • 濁っている:細菌感染や関節リウマチなど、強い炎症が起きている可能性

関節液の性状は膝のトラブルを見分けるヒントになります。

膝に水が溜まったときの治療法

膝に水が溜まったときの治療法は、以下のとおりです。

それぞれの治療法について、次の見出しで詳しく解説します。

保存療法

保存療法は、手術を行わずに膝に水が溜まる原因となる炎症を抑え、痛みを軽減するための基本的な治療法です。

主な方法は次のとおりです。

  • 薬物療法:抗炎症薬や鎮痛薬、湿布などを使用して、膝関節の炎症や痛みを抑える
  • 理学療法(リハビリ):ストレッチや筋力トレーニング、バランス訓練などを行い、膝関節を支える筋力を強化する
  • 注射療法:ヒアルロン酸やステロイドを膝の関節内や周囲に注射し、炎症を抑えて痛みを和らげる

保存療法を継続することで、膝への負担を軽減し、水が溜まる状態の改善と再発予防が期待できます。

手術療法

膝の手術

手術療法は、保存療法を続けても膝の腫れや水が溜まる状態が改善しない場合や、安静にしていても痛みが強い場合などに検討される治療法です。

代表的な手術は次のとおりです。

手術名 内容 主な対象となる病気
関節鏡視下術 小さな切開からカメラを挿入し、損傷した半月板や軟骨を部分切除・修復する 半月板損傷、靭帯損傷など
高位脛骨骨切り術 膝にかかる荷重のバランスを調整し、特定の部位への負担を軽減する 変形性膝関節症(初期〜中等度)
人工膝関節置換術 傷んだ関節面を人工関節に置き換え、痛みと変形を根本的に改善する 変形性膝関節症(重度)

膝に水が溜まる状態は、炎症や組織の損傷が背景にあることが多く、手術によって根本原因を取り除くことで、腫れや水が溜まりやすい状態の改善が期待できます。

ただし、手術には血栓・感染症・出血・再手術が必要となる可能性など、一定のリスクが伴います。どの手術が適しているかは、膝の状態や年齢、生活スタイルによって変わるため医師と十分に相談した上で治療方針を決めましょう。

再生医療

膝に水が溜まるときの治療法として、再生医療も選択肢の一つです。

再生医療には主に次の2種類があります。

  • 幹細胞治療:自分の脂肪などから採取した幹細胞を膝に投与する
  • PRP療法:血小板を多く含む血液成分を膝に投与する

それぞれ、他の細胞に変化する能力を持つ幹細胞の働きと、血小板に含まれる成長因子が組織の回復に関与する働きを利用する治療法です。

再生医療は、次のようなお悩みを持つ方に向いています。

  • 膝の水が繰り返し溜まり、炎症を抑えたい
  • 手術は避けたい
  • 膝裏の痛みが慢性化している

当院「リペアセルクリニック」で行った変形性膝関節症に対する再生医療の症例を、以下でご紹介しているので参考にしてください。

膝に水が溜まるときは専門医への相談が重要

膝に水が繰り返し溜まる場合は表面的な腫れだけでなく、関節内部に炎症や組織の損傷が進んでいる場合があります。症状を長引かせないためにも、早い段階で整形外科に相談しましょう。

再生医療は、変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチに対する治療の選択肢のひとつです。手術を避けたい方や、慢性的な膝の腫れに悩む方にとって、負担の少ない治療として役立つ可能性があります。

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膝に水が溜まることに関するよくある質問

膝に水が溜まったときの治療に関するよくある質問をまとめているので、ぜひ参考にしてください。

なぜ繰り返し膝に水が溜まるの?

繰り返し水が溜まるのは、関節液の中に炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が含まれているからです。

繰り返し水が溜まるからといって放置すると、膝関節の炎症が長引く可能性が高まります。そのため、水を抜きながら、根本的な症状の改善を目指すことが適切なアプローチだといえます。

膝の水を放置するとどうなる?

水が溜まった状態で放置すると、膝の重苦しい感覚が続いて動きがさらに悪くなり、日常生活にも支障が出るでしょう。

また、細菌感染が原因で水が溜まっている場合は、放置するほど膝関節内部で細菌がますます繁殖し、関節の軟骨そのものに悪影響を及ぼすことも十分に考えられます。ほかにも、変形性膝関節症が原因の場合は、末期になると人工関節の手術を選択せざるを得なくなる可能性があるため注意してください。

膝の水を抜く間隔はどれくらい?

膝の水を抜いた後に再び腫れたときは、あらためて治療が必要です。膝の水を抜く間隔は、症状によってさまざまですが、すぐに繰り返し水が溜まるケースも珍しくありません。

なお、骨折や半月板損傷、靭帯損傷などが原因で膝に水が溜まっている場合は、外傷が治ってくると同時に水も自然に吸収されます。そのため、痛みがそれほど強くなければ、膝が多少腫れていても放置する場合があります。

膝に水が溜まったときに自分で治す方法は?

膝に水が溜まった場合、セルフケアで一時的に症状が楽になることはありますが、根本的には炎症の原因を治療で抑えない限り、完全に治ることはありません。

軽い腫れに対しては、以下のようなセルフケアが役立つことがあります。

  • やさしいマッサージ:筋肉をほぐして血流を改善し、重だるさを和らげる
  • 冷やすケア:ケガの直後や膝に熱がある場合に有効
  • 温めるケア:慢性的な炎症による痛みに有効

膝に水が溜まるのは炎症や損傷が背景にあるサインです。自己判断で対処し続けるのではなく、原因を特定して治療につなげることが根本改善の近道です。

膝に水が溜まったときのマッサージついて詳しくは、以下の動画をご覧ください。

【関連動画】

参考文献

(文献1)
変形性膝関節症診療ガイドライン2023の概説|日大医学会誌