腰椎分離症とは?成長期のスポーツ選手に多くその症状と原因、治療法を分かりやすく解説!
目次
腰椎分離症とは?成長期のスポーツ選手に多くその症状と原因、治療法を分かりやすく解説!
腰椎分離症をご存じですか?
今回は、成長期の疾患で意外と見落とされがちな腰椎分離症についてご紹介します。分離症はどのようになってしまうのか、なってしまった後の治療法や予防法などを分かりやすく解説します。
腰椎分離症はどういうもの?
腰椎分離症とは、10代前半から中盤(小学生高学年、中学生、高校生)の成長期のスポーツ選手に多い腰のケガです。
背骨を構成する腰椎の「椎弓(ついきゅう)」と呼ばれる部分に疲労骨折が起こり、その名の通り腰椎が2つに分離してしまう状態のことを言います。
引用;「日本整形外科学会」
発症は成長期ですが、腰椎分離症に気づかず、大人になってから指摘されるケースも珍しくありません。場合によっては、疲労骨折した部分がより離れてずれてしまう「腰椎すべり症」へと進行することもありますので、早期の発見・治療が必要です。
腰椎分離症の原因
腰椎分離症の原因は大きく2つあります。
まず一つめは、未熟な骨の脆弱性です。10代の子どもたちの骨はまだ未熟で、軟骨部分も多いため強いストレスが繰り返し加わると悲鳴をあげてしまいます。
二つめに、激しいスポーツ動作により繰り返される腰椎へのストレスが挙げられます。
以下に発症しやすい動作を伴うスポーツとその動作を挙げていますのでご参照ください。
[スポーツの種類の例]
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[スポーツ動作の例]
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このような「反らす」「捻る」動作が特に負担がかかりやすく、繰り返し加わることで疲労骨折が生じます。さらに、カラダの柔軟性が低下していたり、下半身や体幹の力が弱くなっていたり、不良な動作を身につけてしまうことで、腰椎分離症を発症しやすくなるのです。
腰椎分離症の症状と診断
症状
例えば、こんな症状はありませんか?
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もしかすると、腰椎分離症の症状かも知れません。医療機関では以下のようにして診断が行われることがあります。
診断
痛みやしびれの程度は個人差がありますので、年齢やスポーツ歴、痛みの問診、理学所見、レントゲンやCT、MRIなどの画像検査で総合的に判断します。
①問診
これまでの研究では、スポーツ選手の約3割程度が腰椎分離症を持っていると言われています。
スポーツ歴やどの動作で痛みやしびれが出るのか、これらを聴取することが重要な判断材料となります。
②理学所見
理学所見は、身体の診察のことで視診、触診を中心に行います。
痛みの場所を触診したり、痛みが出る動きを再現させて原因を特定したりします。
③画像診断
レントゲンレントゲンで分離部(骨折部)がハッキリ写る(※1スコッチテリアの首輪)と進行期や終末期である可能性が高く、骨の癒合が極めて困難である場合が多い ※1スコッチテリアの首‥‥分離部が犬の首輪のように見えるためこのように表現されている。 CT骨癒合の状態をみることができるため、分離部の進行状況や固定期間の予測に有用。 MRI完全に分離していない初期段階の疲労骨折の発見に有用。ヘルニアの有無など他の腰部疾患との鑑別にも有用。 |
腰痛やしびれを症状とする腰部疾患は多く存在するので、腰椎ヘルニアや筋膜性腰痛などの他の疾患との見極めが必要です。
▼腰椎分離症について、こちらの動画でも詳しく解説しています。
腰椎分離症の治療法3つのポイント
では実際に腰椎分離症になってしまったらどのような治療をしていくのでしょうか。治療を進めていく中で重要なことは、「早期発見、早期治療」です。
他のどの病気にも言えることですが、放っておくと、高校生になった時や大人になった時に痛みが再発し、思うように動けなくなってしまうことも多々あります。そのような状況を未然に防ぐことが重要です。
ポイント①疲労骨折部の安静
腰椎分離症の治療は「患部の癒合」が一番に優先されます。そのため、初期の段階であれば、患者のカラダに合わせた硬いコルセットを用い、患部に負担がかからないように固定し安静を保ちます。
コルセットを装着することにより、脊柱の捻るストレスを軽減することができるため、骨折部の癒合を促せるのです。骨が未熟な小・中学生では癒合の可能性も高いため、スポーツを一定期間中止し、癒合に専念することをオススメします。
ポイント②患部以外の柔軟性、筋力の強化
原因のところでも述べましたが、腰椎に負担がかかる要因は以下のことが挙げられます。
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これらの改善には、ストレッチや筋力トレーニングといったカラダのコンディショニングが重要となります。患部に負担のかからないところから徐々にストレッチや筋力強化をし、身体機能を上げていきましょう。
ポイント③腰椎へ過度なストレスにならない動作の獲得
柔軟性や筋力不足だけでなく、カラダの使い方も大きな原因となります。
例えば「カラダを反らせてください」と指示した時に、本来なら弓なりに背骨全体で反らせてほしいところ、胸が張れずに腰のところだけで反らせている人を多くみかけます。この動きだと腰だけに負担がかかりやすく、腰椎分離症を発症するリスクが高くなるのです。
また、カラダを捻る動きになると、頑張って背骨を捻ろうとしてしまいます。背骨の動きはそんなに大きな動きはできません。
カラダを捻る時に大事な役割をしてくれるのが、骨盤や股関節です。骨盤、股関節の動きが不十分だと背骨にかかる負担も増えてくるので、スポーツ復帰する前に改善しておきましょう。
予防の観点からもストレッチや筋力トレーニング、動作訓練は大切
前述した治療方法は、そのまま予防にもつながります。腰が痛くない人でも、普段から運動前後のストレッチやウォーミングアップ、クールダウンを徹底して行うとケガのリスクを下げることができます。
動作においても、日頃から自分の動きをチェックしておきましょう。無理な使い方をしていないか、指導者や保護者の方と一緒に確認することでケガの予防だけでなくパフォーマンスの向上にもつながります。基本的な動作の反復練習は、地味ですが大きな意味を持ちます。
腰椎分離症のQ&A
腰椎分離症になったらどうしたらいいの?腰椎分離症について、Q&Aでお答えしていきます。
Q.固定期間や安静期間はどれくらい必要?
A.初期の腰椎分離症では、癒合の目安がおよそ2〜3ヶ月、進行期になると3〜6ヶ月と言われています。ただ、骨癒合には安静度や年齢、栄養状態などさまざまな要素が絡んでくるので一概には言えません。
定期的なCT画像検査により、癒合状況を確認することをオススメします。
Q.コルセットはずっとつけておかないといけないのか?
A.医療機関にもよりますが、基本的にはお風呂以外の時間はつけておきましょう。
Q.安静にしておけば必ず骨癒合するのか?
A.腰椎分離症にも初期から終末期があり、なりたての初期段階であればかなりの確率で癒合できます。しかし、終末期になると癒合は難しいので、体幹の強化や動作の改善の訓練を行い、患部に負担をかけない工夫が必要になります。
Q.固定以外にも治療方法はあるのか?
A.終末期で症状がとれない、分離部がぐらぐらする、などといった症状が残っており、今後のスポーツ活動に支障を及ぼす可能性が高い場合に、手術療法を行うこともあります。
まとめ・腰椎分離症とは?成長期のスポーツ選手に多くその症状と原因、治療法を分かりやすく解説!
本記事では、腰椎分離症について原因や症状、治療法について紹介しました。
腰椎分離症は、早期に発見し、適切な治療を行えば後遺症も残さず治る傷害です。ただし、骨癒合まではある程度の期間、固定と安静が必要となります。
スポーツを休まなければいけないのは根気と我慢が必要となりますが、無理して治療を先延ばしにしておくと、痛みが長引くだけでなく、後になってより強い腰痛を引き起こす原因となることもあります。成長期の年代で腰痛に悩んでいる方は、ぜひ一度整形外科に相談してみましょう。
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