脊柱管狭窄症の予防法とは?その原因と歩けないときの対処法
目次
脊柱管狭窄症の予防法とは?その原因と歩けないときの対処法
脊柱管狭窄症により「歩くのが大変になった」と悩んでいる方は多いようです。
一方で、その治療については十分に認知されているとは言えず、服薬のみの対症療法に頼る患者も少なくありません。
そこで今回は、脊柱管狭窄症にならないための予防や、重症化しないための対策をまとめています。症状が出ている人も、今はまだ大丈夫という人も、これからのためにぜひ本記事をチェックしてください。
脊柱管狭窄症とは?
脊柱管狭窄症は、中高年に多い腰部疾患の一つです。
脊柱管とは、運動の指令や、ものを触った感覚を伝える脊髄神経が通る、背骨の空洞部分になります。
この脊柱管が何らかの影響で狭くなることで、神経を圧迫し、間欠性跛行や、下肢の痺れ、痛みなどの症状がみられます。60〜70歳代以降の中高年に発症することが多く、姿勢の変化や背骨の変形を伴う変性疾患の一つです。
腰椎ヘルニアや腰椎圧迫骨折などの急性期の疾患と違い、徐々に症状が現れる慢性的な疾患として知られています。
脊柱管狭窄症の原因と症状
原因|若いときの無理が原因?
脊柱管狭窄症が起こる原因はいくつかありますが、代表的なものを3つ紹介します。
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それぞれ詳しく解説していきます。
⓵骨加齢による骨や背骨周囲の軟部組織の変性による神経の圧迫
人の体は、加齢とともに細胞内の水分量が少なくなります。その結果、あらゆる組織の柔軟性が乏しくなったり、厚みが出てきたりと変化していきます。
それが「変性」と呼ばれるものです。その変性により、骨の変形や、椎間板の変性、靭帯の肥厚が起こり、脊髄神経が通る脊柱管が狭くなってしまいます。
それにより、神経を圧迫し、脊柱管狭窄症を引き起こすのです。
②日頃の姿勢や動作習慣による影響
普段の姿勢や、動作習慣によっても脊柱管狭窄症を引き起こす可能性があります歳を重ねていけばみんな発症するかというと、もちろんそういうわけではありません。
特に腰に症状が出やすい脊柱管狭窄症は、腰の骨に負担がかかる姿勢や動作習慣が問題となることがあります。
例えば、デスクワークを長年続けていて、普段からあまり運動をしない人は、どうしても体幹の筋肉が落ちてしまいます。そうすると、腹筋を使わないよう反り腰の姿勢になってしまい、脊柱管がより狭くなる危険性もあるのです。
これらはほんの一例ですが、誤った姿勢や体の使い方で、脊柱管狭窄症になりやすい体へと変化していくため、注意が必要です。
③先天的な異常によるもの
割合は少ないのですが、先天的な発達異常により脊柱管狭窄症を引き起こすことがあります。
成長期の場合、年齢につれて脊柱管も広くなっていくのですが、先天異常により脊柱管が広がらず、狭くなっていくことがあるのです。この場合、若い年代で発症します。
非常に稀ですが、若い年代で脊柱管狭窄症の症状が出た場合は、できるだけ早めに専門医療機関へ相談しましょう。
症状|その痛みは片側だけ?両側に出ている?
脊柱管狭窄症の主な症状は、臀部から下肢にかけての痺れや痛み、力の入りにくさ、そして間欠性跛行です。
特に特徴的なものが間欠性跛行で、歩いていると脚の痛みが増強し、続けて歩くことが困難になる症状を呈します。少し休憩をしたり、体を前かがみにしたりすると症状が軽減し、歩けるようになります。
これらの症状に加え、排尿・排便障害や両側に症状が出てしまう場合は、より重症化が疑われます。
また、神経圧迫の程度が強いと、足首を上に反らせなかったり、数十メートル歩くだけで症状が強くなったりする場合があるため、医療機関に相談することを推奨します。
脊柱管狭窄症にならないための予防方法はある?!
脊柱管狭窄症にならないための予防には、どのような方法があるのでしょうか。
以下で解説していきます。
予防方法①身体にかかる負担を分散させる
物を持ち上げる時の身体の使い方によって、腰にかかる負担を軽減させることができます。逆に、持ち方ひとつで、腰に負担がかかってしまうこともあるため、間違った使い方をしている人は要注意です。
まず、誤った使い方は、下の荷物を抱えようとした時に、膝を突っ張って腰だけ曲げて抱える方法です。この方法だと、腰の屈伸の運動だけで動作を行うため、腰だけに負担が集中してしまいます。
そこで、ぜひ参考にしてほしい使い方は、膝と股関節を曲げ、腰の位置を低くして持ち上げる方法です。この方法なら、腰とともに、股関節、膝関節の力も入り、負担を分散させることができます。
今回は、物を抱える動作で例を出しましたが、どの動きにも通ずることです。腰だけに負担をかけないように、上手に股関節、膝関節の力を使っていきましょう。
予防方法②背骨を全体的に動かす
今度は、背骨を全体的に動かす意識をお伝えします。
上を向いたり、下を向いたり、振り返ったりなどは、普段から何気なく行っていると思います。そんなに意識せずに行っている人が多いのではないでしょうか?
例えば上を向いてみましょう。この時に、背中が全く動いていない人は注意が必要です。背中が動いていないということは、首(頚椎)だけの動きになっているということです。
そのため、動きが首(頚椎)部分に集中してしまい、この動かし方でなれてしまうと、首を痛めたり、背中周りの動きが硬くなったりします。
おすすめの方法は、上を向くのと同時に、胸を張るように動かすことです。そうすることで、背中から首(胸椎から頚椎)までを均等に使うことができ、部分的にかかる負担を減らすことができます。
振り向く動作も同じで、体を捻りながら首と一緒に振り向けると負担が首に集中せず、痛みや変形の予防になります。
予防方法③股関節や肩甲骨がカギ
あらゆる動作で背骨は動きますが、同時に股関節や肩周りも意識的に動かすと予防に効果的です。というのも、背骨というのは思ったより大きく動かない組織なのです。
腰椎を例にみてみましょう。腰の屈曲(腰骨だけで前屈した時の動き)の標準的な可動域は 45°です。この角度では、下の物を取ることはできませんし、そもそも下に手が届きません。
この動きに骨盤の前屈や股関節の屈曲、さらには膝の屈曲など様々な他部位の動きが加わることで、下にある物に手が届き、そこから抱えるという動作を行うことができます。
つまり、背骨に負担をかけないのであれば、隣接する股関節や肩(肩甲帯)の動きが重要になるということです。普段から股関節や肩周りの柔軟性を高めたり、エクササイズなどで筋肉を働きやすくしておくことも腰への負担の軽減につながります。
脊柱管狭窄症で歩けないほど症状が強くなったら?
脊柱管狭窄症の予防策として、いくつか紹介しましたが、実際に脊柱管狭窄症の症状が出て、さらに悪化したらどのように対処すべきなのでしょうか?
無理して歩いてはダメ!!
「とにかく運動が大事だから!」と言って、無理をして歩くことは推奨しません。
脊柱管狭窄症の症状である間欠性跛行は、頑張って歩いたからといって治るものではありません。間欠性跛行などの特徴的な症状が出た場合は、無理な運動はせず、初めは安静にしておくことが重要です。
ストレッチやエクササイズ、歩行などの運動は、症状が落ち着いてから始めるようにしましょう。
症状が強く出る前に医療機関に相談を!
自分の症状が脊柱管狭窄症かもと思ったら、できるだけ早く専門の医療機関の受診を推奨しています。脊柱管の狭窄の程度によっては、手術療法が必要な場合もあります。
自分で判断せずに、専門の医師の診察を受け、どのように対応していくのか指示を仰ぐようにしましょう。
脊柱管狭窄症の予防法とは?歩けないときは無理は禁物!/まとめ
脊柱管狭窄症の予防方法を中心に紹介しました。
予防するためのポイントは以下です。
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症状が出ない若いうちから日頃の動作習慣や姿勢を見直すことで、脊柱管狭窄症の予防ができます。
また、股関節や肩周りなど、背骨に近い関節をしっかり動かすことも大切です。今一度、自分の動作を確認し、背骨に負担が集中しないような正しい姿勢、動きを身につけましょう。
この記事がご参考になれば幸いです。