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側弯症の手術、術後の後遺症、術後のリハビリについて

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側弯症の手術、術後の後遺症、術後のリハビリについて

側弯症について次のような疑問や不安がある方はいませんか?

  • 「側弯症の手術はどのような流れなの?」
  • 「手術後の後遺症やリハビリについて知りたい」

今回の記事では、側弯症の手術の流れや後遺症、手術後のリハビリの内容を解説します。側弯症の手術について疑問や不安のある方は、ぜひ参考にしてください。

側弯症の手術の内容や流れ

側弯症は、前から見ると背骨が左右に曲がっている状態のことです。さまざまな原因によって起こりますが、多くが原因不明とされています。

変形が重度の場合は、進行しやすいとされ、息がしづらいなどの他の症状も出るため背骨をまっすぐにする手術が推奨されます。

まずは、手術の内容や流れを解説します。

側弯症手術

 

再生医療とは

手術の内容

手術は金属製のさまざまな器具を使って変形を矯正して、背骨を固定します。脇腹を切開する前方法と、背中の真ん中を切開する後方法があります。

手術は 3 〜 6 時間程度かかり、手術の方法や変形の程度によって差があります。

入院期間は 10 日前後で、退院後から通学が可能となることが多いです。

整形外科の手術の中で、最も大きく体に傷を入れるため、合併症や後遺症の注意が必要な手術です。

後遺症の詳細については後ほど解説します。

手術の流れ

手術をしてからの流れを表に示します。

手術からの日数

手術から退院までの流れ

手術前

術前に画像や血液の検査を行い、手術に向けた準備をします。

また手術により多くの出血をするため、自分の血液をためる自己血貯血(じこけつちょけつ)をします。自己血貯血は手術の 1 カ月くらい前から何回かに分けて行います。

手術当日

手術後は全身麻酔後のため、ICU(集中治療室)で状態の観察をします。全身の状態が落ち着いていれば、一般病棟に戻ります。

手術翌日以降

術後で痛みや動きにくさがあり、起き上がりや立ち上がりなども難しい場合があります。その場合、床ずれを防ぐために体の向きを定期的に変えてもらいます。

手術後 4 〜 5 日

痛みが我慢できる範囲で起きたり、歩いたりします。1 週間前後でシャワーも可能になります。

手術後 1 週間

背骨に負担がかからないよう固定するための装具を装着します。装具は手術後 3〜 6 カ月装着します。

手術後 10 日前後

痛みも和らぎ、合併症もないようなら退院します。

10 日以降で退院したら、すぐに通学も可能となります。

しかし、体をひねったり、かがむといった動作は禁止で、体育など背骨に負担のかかる運動もできません。

接触が激しくないスポーツは 6 カ月以降での再開が望ましいです。

側弯症の手術による後遺症

体の損傷が大きい側弯症の手術では、以下のような後遺症のリスクがあります。

手術では背骨の周辺に傷をつけるため、背骨を通る脊髄(せきずい)や、脊髄から枝分かれする神経を損傷させる危険性があります。

その場合、足に力が入りにくくなったり、感覚が麻痺したりといった後遺症が残ります。また、肺を損傷すると肺炎や無気肺といった肺の病気を引き起こす危険があります。

大きな傷をつけるため感染のリスクも高いです。

また、骨のくっつきが不十分なままになってしまったり(偽関節:ぎかんせつ)、固定した以外の関節が不安定になったりすることで腰痛が発生する場合もあります。

  • 側弯症、手術の後遺症

  • ・神経損傷
  • ・肺炎や無気肺などの肺の病気
  • ・感染
  • ・腰痛

 

側弯症の手術についてメリット・デメリットを解説、以下の記事をご参考ください。

側弯症の治療!手術で後悔しない為に、そのメリットとデメリット

側弯症の術後リハビリ

側弯症の手術は体に大きな傷をつけるため痛みがあります。そのため、リハビリでは手術による体の状態に合わせた内容になります。

大きく分けて 3 つの時期に分けられます。

1, 術直後から離床前のリハビリ

手術直後は痛みも強く、体も十分に動かせないため、ベッド上でのリハビリとなります。

特に側弯の手術は胸や背中に傷をつけて、痛みを生じさせるため、呼吸がしにくくなります。そのため、呼吸を改善するリハビリをします。

また、痛みで起きられない場合は、体の機能がどんどん低下する「廃用症候群:はいようしょうこうぐん」を引き起こします。そのため、ベッドでできる運動やストレッチをして、廃用症候群を予防することが重要です。

2, 離床後から退院までのリハビリ

全身の状態が安定していれば、痛みの範囲で起きたり、立ち上がったりして、ベッドから離れる時間を増やします。

可能であれば 1 週間以内で病院内での歩行を始めて、以降は痛みの強まらない範囲で、階段や屋外といった応用的な歩行練習をします。

自宅に帰れば、無理に体をひねったり、前にかがんだりしなければ、普通の生活が可能です。

3, 退院後のリハビリ

退院後は徐々に活動量を増やしていき、体力を戻していきます。また、手術後の背骨を安定させて腰痛などを予防するために、体幹の筋肉を鍛える必要があります。

背骨をひねったり、かがまないような工夫をするなど、背骨に負担のかからないように気を付けてトレーニングをしましょう。

例えば、四つ這いで手足を対角に上げる運動や、仰向けで両足を上げる運動は、体幹だけでなく股関節などの筋力も同時に鍛えられるためおすすめです。

四つ這いトレーニング

四つ這いトレーニング

両足上げトレーニング

両足上げトレーニング

運動は自宅に帰った直後は制限されており、術後 3 ヶ月程度でランニングなどの軽い運動から始めて、スポーツや体育が可能になるのは術後 6 カ月程度です。

さらに、器械体操など激しいスポーツは術後 1 年間程度控える必要があります。

まとめ・側弯症の手術、術後の後遺症、術後のリハビリについて

側弯症は子どもに多い疾患で、手術をするとなると体に大きな傷をつけるため不安になる方も多いでしょう。

そのため、事前に手術の流れや後遺症、リハビリといった情報を知ることで、少しでも不安を減らしましょう。

最近は治療成績も良くなり、しっかりした術前の説明もされます。手術を検討する場合は、しっかりメリットやデメリットを把握することも大切です。

そのため、遠慮せずに整形外科の医師に相談し、納得した治療が受けられるようにしましょう。

この記事がご参考になれば幸いです。

 

No.S107

監修:医師 加藤 秀一

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