肋骨骨折は自然に治るの?症状と受診目安を専門医が解説
投稿日: 2023.04.12更新日: 2024.10.23
「肋骨を骨折したときは、自然に治るものなの?」
「胸が痛むけど放置しても大丈夫かな?」
など、胸の違和感が続くときは不安を感じて、病院に行くべきか判断に迷う方も多いのではないでしょうか。
肋骨骨折は自然に治るのを待つ必要があります。胸の違和感が軽くなるまでに約数週間、骨癒合するまでに約2~3ヵ月かかるのが一般的です。
ただ、肋骨骨折以外の可能性もあるため、医療機関に相談して医師の判断をあおぎましょう。
この記事では、肋骨に違和感があるときの症状を始め、病院受診の目安、肋骨骨折の治療法を解説していきます。
胸の違和感がある方で医療機関の受診を迷われているときは、参考にしてみてください。
目次
肋骨骨折は自然に治るのを待ちながらも医師の判断をあおごう
肋骨骨折は通常なら約数週間で胸の違和感が減少し、骨癒合するまでは約2~3ヵ月必要にはなりますが、特別な治療も必要としない骨折です。
骨折を起こした後、骨折した部分には約3週間で仮骨(骨のもと)が作られ、これによって骨折部が安定化して胸の違和感が和らぎます。
その後少しずつ骨形成が進んで骨癒合していき、症状がなくなる流れです。
肋骨骨折は、胸部の外傷で最も多くみられる疾患のひとつです。たとえば、以下のような原因で肋骨骨折が起きます。
・激しいスポーツでの外傷、転倒 ・足を滑らせた際、転落などによるケガ ・ゴルフのスイングによる負荷 ・慢性的な咳などの繰り返しによる骨折 |
ケガをしてレントゲン写真を撮っても、肋骨骨折かわからない場合もあるでしょう。
ただ、肺などの臓器の損傷や別の病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要なことをご理解いただければと思います。
自己判断をすると別の病気を見逃してしまう可能性もあるので、医療機関で診察を受けて医師から判断をあおいでみてください。
また、医師から肋骨骨折だと診断されたときは、安静期間や仕事復帰の目安を知っておきたい方も多いのではないでしょうか。
肋骨骨折の原因を含めて詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
肋骨骨折の症状は胸の違和感・腫れなどがあるか
【肋骨骨折の症状例】 ・骨折部位に違和感がある |
肋骨は左右12対の骨で、背中の胸椎から胸の前にある胸骨までかごのようになっており、その中にある心臓や肺などの臓器を保護しています。
肋骨骨折は胸部外傷の中で最も多くみられ、激しいスポーツ、転倒や打撲などの軽いケガ、交通事故などの大きいケガによって損傷してしまう場合があります。
肋骨骨折の症状としては、骨折した部位の違和感、皮下出血、腫れなどです。骨折部を軽く圧迫すると骨がきしむ音がするときもあります。
また、体をそらしたり、肩を動かしたりしたときや、咳、深呼吸で違和感が強くなるところも特徴です。
肋骨骨折の診断は触診・レントゲンを中心におこなう
診断は問診と胸部の触診、レントゲンが一般的ですが、病院によってはエコーで診断を行う場合があります。
肋骨は肺や肋骨同士の重なりがあるためレントゲンでの判断が難しく、とくに小さい骨折はレントゲンでは見つからない場合も多いからです。
レントゲン写真のメリットとして、肋骨骨折に合併する気胸(肺を損傷して空気が漏れてしまうこと)を診断できる可能性があります。
エコーでは、レントゲンで明らかにならない小さいひびを見つけやすくなりますが、実施していない医療機関もあるので注意が必要です。
受診前に医療機関へ電話で問い合わせをして、エコーとレントゲンの検査を受けられるか確認をおすすめいたします。
病院受診の目安は胸から軋む音がするか
胸の違和感が強い場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。
以下を参考に、ご自身の症状に当てはまるかを確認してみてください。
【医療機関を受診する目安】 ・ぶつけた後に胸を押すと違和感がある |
とくに内出血がある場合は、骨折している可能性があるので受診をおすすめいたします。
また、息苦しさがあるときは気胸を起こしている可能性もあるので、できるだけ早めに受診しましょう。
肋骨骨折の治療法は違和感を和らげること
明らかな骨折、不全骨折(いわゆる“ひび”)もしくは、X線で骨折がはっきりしない打撲の場合でも治療はほとんど同じです。
胸の違和感が軽い場合には、消炎鎮痛薬の内服と湿布などで痛みを和らげます。
また、胸の違和感が強い場合には、バストバンドやトラコバンドとよばれる固定帯(コルセット)で、骨折した部分を圧迫固定します。
呼吸で胸が広がると、骨折した肋骨に負担がかかり違和感が出やすくなりますが、息を吐いた状態でバンドを巻くと、骨折部の動きが少なくなり症状が緩和されるはずです。
これらの治療で、多くは数週間で胸の違和感は軽快するでしょう。骨折部のずれが大きいときや、複数の肋骨が折れているときは手術が行われる場合もありますが、かなり稀です。
また、大きいケガで血気胸(胸の中に血液や空気がたまること)があるときは、呼吸の管理や胸にチューブを挿入する治療が行われる場合もあります。
各症状に応じた適切な処置をおこなうためにも、医療機関への受診をご検討ください。
まとめ|肋骨骨折が自然に治るのか不安なときは医療機関へ
胸部の外傷で最も多い肋骨骨折は、自然に治るのを待つ必要がありますが、医療機関で医師に判断をあおぐのが大切です。
肋骨骨折は、激しいスポーツや転倒、交通事故などさまざまな原因で発生します。
以下で、肋骨骨折の症状について再度おさらいしておきましょう。
【肋骨骨折の症状まとめ】 ・骨折部位の違和感がある |
肋骨骨折の診断方法としては、問診と触診、レントゲン検査が一般的ですが、エコー検査を使う場合もあります。
また、肋骨骨折の治療法は以下のとおりです。多くの場合、これらの治療により数週間で症状が改善される場合が一般的です。
【胸の違和感が軽いときの治療法】 【胸の違和感が強いときの治療法】 |
ただ、中には骨折部のずれが大きいときや複数の肋骨が折れているときは手術が必要になる場合もあるため、肋骨骨折の放置は禁物です。
重症の場合は呼吸管理や胸にチューブを挿入する治療が行われる場合もあります。
胸をぶつけた後に違和感があるときを始め、呼吸困難や内出血が見られる場合は、放置すると危険な可能性もあるでしょう。
上記のような症状が出た後は自己判断をせず、早めに治療を受けるためにも、必ず医療機関を受診しましょう。
この記事がご参考になれば幸いです。
肋骨骨折についてよくある質問
肋骨骨折でよくお伺いする質問をまとめました。
Q:肋骨が痛いのですが、どのような病気が考えられますか?
A:ケガなどの明らかな原因がある場合には、打撲、肋骨骨折が考えられます。
また、ゴルフなどのスポーツをしている方を始め、慢性的な咳などがあるときも肋骨の疲労骨折の可能性があるでしょう。
上記のような原因がない場合には、肋間神経痛による神経の痛みや、帯状疱疹、稀ですが骨の“がん”などを考える必要があります。
帯状疱疹では皮膚のぶつぶつができますが、皮膚の症状より先に違和感の症状が出る場合が多いです。
肋骨周辺の違和感があるときは、皮膚における見た目にも注意してみてください。
Q:肋骨骨折をした後にしてはいけないことはありますか?
A:大きなケガで血気胸がなければ、胸の違和感を感じる場合でも、無理のない範囲で動いていただいて構いません。
ただし、重いものを持つなどの重労働、激しいスポーツなどの衝撃は胸の違和感が悪化しやすくなるので、控えてみてください。