アキレス腱炎をセルフチェックする方法!痛みの原因や治療法も解説
公開日: 2023.04.24更新日: 2024.11.06
この記事を読んでいるあなたは「アキレス腱炎かどうかセルフチェックしたい」と考えているのではないでしょうか。
病院に行くほどの痛みではなくても、放置していても問題ないか不安になるかもしれません。
結論、アキレス腱炎は「踵(かかと)を上げ下げする」、または「痛みや腫れがないか直接触る」ことでセルフチェックできます。
もしセルフチェックで痛みや違和感がある場合は、早めに整形外科に相談しましょう。
本記事ではアキレス腱炎をセルフチェックする方法や、病院で行う治療法を解説します。
記事を最後まで読めば、アキレス腱炎の疑いがあるかを適切な方法でチェックし、病院に行くべきか正しく判断できるでしょう。
目次
アキレス腱炎をセルフチェックする方法
「なんとなくアキレス腱のあたりが痛むけど、まだ病院に行くほどではないかもしれない」と悩んだ場合は、以下2つの方法でセルフチェックをしてみましょう。
<セルフチェック(1)>
1. 立ち姿勢を取る
2. かかとを浮かせる動作を繰り返す
痛みがある場合は、アキレス腱に軽度の炎症がある可能性があるため、スポーツの中止や運動強度の調整を考えましょう。
<セルフチェック(2)>
1. 両手でアキレス腱を触り、痛みや腫れを確認する
2. 左右で比べてみる
腫れや熱感がある場合は炎症を起こしている可能性があるため、この場合もスポーツの中止や運動強度の調整を考えましょう。
「アキレス腱炎かなと思って放置していたら、アキレス腱断裂や踵骨骨折だった」といった場合もあります。これらのセルフチェックで当てはまる項目がある方は、まず整形外科の診察を受けて、正しく診断してもらうことが大切です。
アキレス腱炎は、運動を始めた際には痛みが強くありますが、我慢して運動を続けていると軽減する特徴があります。アキレス腱炎を我慢したまま運動を続けると、難治性になったり、アキレス腱の断裂につながったりするので、無理して続けないことが重要です。
アキレス腱炎とは「過度な負担によりアキレス腱に炎症が起こっている状態」
アキレス腱炎は、過剰な負荷によりアキレス腱に炎症が起こっている状態です。
アキレス腱炎になると、アキレス腱の痛みやふくらはぎのこわばりが生じ、起床後の最初の数歩が痛むのが特徴的です。また、炎症が進行するとアキレス腱の周囲が腫れたり、赤くなったりします。
アキレス腱炎の主な原因は運動や立ち仕事
アキレス腱炎の多くは、運動や立ち仕事が原因で起こります。とくにジャンプを繰り返すスポーツや陸上、剣道などを行う選手での発症が多いです。
ふくらはぎの筋肉下腿三頭筋はつま先立ちや、地面を蹴って歩くなど、足関節の底屈運動と呼ばれる動きに関与します。地面を蹴る動きが多いこれらのスポーツでは、この動きが多くアキレス腱に負荷がかかり続けます。
また、スポーツをしていない場合でも、加齢によるアキレス腱の変性や靴の不適合、偏平足、肥満などが原因で、アキレス腱炎になる方もいます。
急激な運動量の増加や、過度な負担が症状を悪化させることがあるため、痛みを感じたら安静にすることが大切です。
放っておくと日常動作に影響が出ることもある
アキレス腱炎を放置すると、痛みが長引き、再発を繰り返す可能性があります。
足首の可動域が狭まり、立ち座りや歩行などの日常生活に支障をきたすことがあるため、違和感を覚えたら早めに医療機関を受診しましょう。
また、アキレス腱炎と思っていたら、アキレス腱断裂や踵骨骨折であったケースも考えられます。アキレス腱の痛みを放置するとどうなるのか、詳細は以下の記事でまとめていますのでぜひご覧ください。
アキレス腱炎の治療法
アキレス腱炎の治療法には、以下のような選択肢があります。
- 安静・アイシング・テーピング
- 薬物療法
- 手術療法・血管内療法
自分に合った治療を受けるためにも、整形外科の受診がおすすめです。
整形外科では、痛みの場所や性質、腫れなどを確認します。また、他の疾患と鑑別するために、エコー検査やMRI検査で、腱の状態や変性の程度などを確認するケースもあります。
アキレス腱炎の痛みに悩んでいる方は、医療機関で専門医に相談の上、適切な治療を受けましょう。
安静・アイシング・テーピング
治療の基本は安静です。運動や散歩などアキレス腱に負担がかかる動きは中止し、必要に応じてアイシング・テーピングが行われます。
テーピングを施すことでアキレス腱への負担が減り、足を動かした際の痛みをカバーできる可能性があります。
また、アイシングを行うことで一時的に腫れや痛みが和らぐ場合もあるため、炎症が強いと感じる場合は氷のうや保冷剤などを使ってアキレス腱炎を冷やしてみても良いでしょう。
薬物療法
薬物療法では、消炎鎮痛剤やステロイド注射を用いることもあります。
消炎鎮痛剤は、プロスタグランジンと呼ばれる痛みを増強させる物質を作らせないことで、痛みや炎症を鎮める薬です。
飲み薬を処方しても改善が見られない場合は、ステロイド注射も検討します。ただしステロイド注射は、アキレス腱を痛めて断裂しやすくするリスクがあるため、安易に使用するべきではありません。
消炎鎮痛剤も副作用があるため、医師の判断に従って適切に服用する必要があります。
手術療法・血管内療法
症状の改善がみられない場合は、手術やカテーテルを使った血管内療法を実施する場合もあります。
手術ではアキレス腱が変性した部分や滑液包(かつえきほう)、骨棘(こつきょく)の切除などが一般的です。
滑液包は、関節の周辺にある液体で満たされた袋で、筋肉や靭帯、腱などが骨とぶつかる衝撃を軽減する役割があります。アキレス腱とかかとの間にあり、過度な負荷がかかることで炎症を起こし腫れることがあるため、切除することがあります。
また、骨が変性してできたとげである「骨棘」がアキレス腱まで突き出ていると痛みにつながるため、切除されることが多いです。
さらに、アキレス腱炎は血管や神経の増加が痛みにつながるため、カテーテルを使って薬剤を注入し、炎症で増えた血管を減らす「血管内療法」を実施することもあります。
アキレス腱炎の予防法
アキレス腱炎を予防する方法として、以下3つが挙げられます。
- アキレス腱を使い過ぎない
- アキレス腱への負担が少ない靴を選ぶ
- 普段からストレッチなどのセルフケアを行う
アキレス腱炎は、治療だけでなく再発予防を考えることも非常に重要です。
単なるオーバーユースだけでなく、練習環境やシューズ、体幹筋力の低下による姿勢不良なども影響してくるため、足りない部分を補う筋力トレーニングやストレッチ、練習環境の見直しも必要です。
本章の内容を日常生活でも意識し、アキレス腱炎の再発を予防しましょう。
アキレス腱を使い過ぎない
運動や立ち仕事などで、アキレス腱に負荷をかけすぎる動作に注意しましょう。
負荷をかけすぎたと感じた場合は、練習量や質を下げたり十分な休憩を挟んだりして調整してください。
運動開始の際に痛みがあっても、続けているうちに痛みが軽減するため、追い込みすぎないように注意が必要です。
アキレス腱への負担が少ない靴を選ぶ
日常生活でアキレス腱炎を予防するなら、アキレス腱への負担を緩和できる靴を選びましょう。
踵(かかと)に厚みがある靴や、アキレス腱への負荷を緩和できる中敷きを入れた靴を選べば、かかとや足の裏にかかる力が分散されやすくなります。
アキレス腱の痛みが気になる場合は、運動靴や仕事靴の見直しから始めてみてください。
普段からストレッチなどのセルフケアを行う
アキレス腱を伸ばすストレッチやマッサージを習慣にすれば、アキレス腱炎の予防につながります。
アキレス腱は血行が悪いカ所で、年齢を重ねると血流が減少します。また、運動不足や加齢による組織の変性で柔軟性が低下しやすい部位です。
アキレス腱の柔軟性が低下した状態で急に動かすと、アキレス腱炎や怪我を起こすリスクが高くなります。
普段からストレッチやマッサージなどセルフケアを行えば、アキレス腱周辺の柔軟性が良くなり、痛みや炎症の予防になるでしょう。
アキレス腱炎のセルフケアやマッサージの方法は、以下の記事も参考にしてください。
まとめ|アキレス腱炎のセルフチェックをして医療機関の受診を検討しよう
アキレス腱炎をセルフチェックするには、立ち姿勢でかかとを上げ下げしたり、両手でアキレス腱を触って痛みや腫れを確認したりする方法があります。
もしセルフチェックで痛みや炎症を感じた場合は、決して無理に運動を続けず、整形外科で診察を受けることも視野に入れましょう。
また、当院「リペアセルクリニック」ではアキレス腱炎の治療法の1つとして、幹細胞治療やPRP療法といった「再生医療」を行っています。
アキレス腱炎を繰り返している方や、手術以外の療法を探している方は、ぜひ一度当院へのメール相談もしくはオンラインカウンセリングをご検討いただければ幸いです。
この記事を読んだあなたが、アキレス腱炎のセルフチェックをし、病院に行くべきか正しく判断できたのなら嬉しく思います。
アキレス腱炎についてよくある質問
アキレス腱炎のような症状です。整形外科を受診する前に自分でできる応急処置はありますか?
アキレス腱の痛みなどの症状が出た場合は、まず運動を中止し、安静にしてください。
また、氷嚢などを使用し、アキレス腱部を冷やすことも有効です。
包帯がある場合は、アキレス腱をふくめて足首を固定すると、痛みを軽減できる可能性があります。
アキレス腱炎で市販薬を使用しても良いですか?
市販の薬にも、鎮痛・抗炎症効果がある湿布や飲み薬があります。薬局で市販薬を購入する場合は、薬剤師に相談するのも良いでしょう。
ただし、薬の使用は症状の一時的な緩和ですので、薬を使用して痛みが引いたからといって、すぐに運動を再開するのは避けてください。
また、病院を受診している場合は、適切な処方のために市販薬を使用していることを医師に伝えてください。
再発予防のためのストレッチはどのようなものがありますか?
ふくらはぎをのばすストレッチが良いといわれています。
階段や段差などに片足のつま先だけかけて、ゆっくりと踵を下ろしながらアキレス腱を伸ばします。最初は無理のない範囲で行いましょう。
座った状態で、つま先にタオルをかけて引っ張るようにしながら、伸ばしていく方法も効果的です。
運動前や運動後にこれらのストレッチを行うことで、ふくらはぎの筋肉の柔軟性が高まり、アキレス腱の緊張が軽減されます。
No.127
監修:医師 坂本貞範