トピックスtopics

アキレス腱炎やってはいけないこと

アキレス腱炎やってはいけないこと

アキレス腱炎になってしまった場合、過度な運動や無理な負荷をかけることは、症状を悪化させてしまう可能性があります。そのため、アキレス腱炎になった際には、避けるべき行動や注意点を把握し、適切な治療法を行うことが大切です。

この記事では、アキレス腱炎になった際にやってはいけないこと、予防のために重要なことについて詳しく解説します。

アキレス腱炎

アキレス腱炎とは

アキレス腱炎とは、ふくらはぎの筋肉と踵の骨を繋ぐ腱であるアキレス腱が炎症を起こし、痛みをだす病気です。

慢性的な負荷や急激な運動量の増加によって引き起こされることが多く、ランニングやジャンプ競技のアスリートに多い病気です。

アキレス腱炎で避けるべき行動や注意点

1.運動について

治療の原則として、まずは運動を中止して適切な期間の安静が必要です。

一般的にアキレス腱炎になってしまった場合には2〜6週間の安静、スポーツ活動の休止が指示されます。その間の運動療法として「つま先立ち体操」という、下腿三頭筋の筋力訓練が改善に有効です。

  • 【つま先立ち体操】
  • ・階段や台の縁に立ち踵を段の端から出した状態でゆっくりと上下させます。
  • ・膝を伸ばして行うのと、曲げて行う場合とで、使う筋肉が異なるので両方を試してみましょう。
  • ・10回1セットを1日2回で、少なくとも3ヶ月継続します。

このトレーニングでは痛みがあっても継続し、無痛となるまで実施することが推奨されています。ただし、動作に影響がでるほどの痛みの場合には中止するようにしましょう。その上で、運動の再開時期については症状に応じて決定されます。

2.不適切な靴選び

こんな靴、履いていませんか?

  • ・足に合わない靴
  • ・つま先が細い靴
  • ・ヒールの高い靴
  • ・靴底がすり減った古い靴

上記のような靴は、足への負担が大きいので控えるようにしましょう。アキレス腱炎を引き起こす原因となったり、症状を悪化させてしまう可能性があるため、靴選びはとても重要です。

3.無理な自己治療のリスク

アキレス腱部の痛みがあるときには、安易に自己治療を行わず、まずは病院を受診して診断を受けるようにしましょう。どのような病気でも言える事ですが、自己治療は、間違った治療により症状が悪化する可能性もありお勧めできません。

また、病気を放置することで、痛みが長引く可能性もあるので、早めに病院で治療を開始することをお勧めします。

4.適切な治療の重要性

痛みが続いている状態でスポーツを継続すると、改善しないだけではなく、アキレス腱の痛みをかばうことによって別の部位の障害を発症してしまう可能性もあります。

そのためアキレス腱炎の治療は、安静と、適切な運動療法を取り入れることが重要です。

スポーツ医療の治療

アキレス腱炎の予防について

1.適度な運動の種類・方法

前述したような下腿三頭筋をストレッチしながら挙上させる「つま先立ち体操」は、アキレス腱炎の治療に有効です。

予防のためにも、運動前にはアキレス腱を十分にストレッチさせてからスポーツを行うようにし、つま先立ち体操で下腿三頭筋の筋力強化も行うようにしましょう。

2.予防のための靴選びについて

運動する際には、靴の選び方も重要です。

  • ・足にフィットするかどうか
  •  ⇨サイズ・幅・高さ
  • ・クッション性があるかどうか
  •  ⇨足への衝撃を吸収してくれるもの
  • ・アキレス腱に負荷がかからないもの
  •  ⇨かかとが高すぎないか、安定しているか
  • ・インソールの着用

靴は、足にフィットし、クッション性があり、アキレス腱に負荷がかからないものを選ぶことが望ましいです。また、運動用の靴は、使用期間を守り、新しい靴に買い替えることが大切です。

また、アキレス腱への負担を減らすための予防に、インソールの着用も効果的です。最近では、足の形に合わせたオーダーメイドのインソールも出ているのでおすすめです。

3.日常生活での注意点とは

アキレス腱は、日常生活でも負荷がかかることがあります。

たとえば、長時間の立ち仕事や、ハイヒールの着用は、アキレス腱に負担をかけることがあります。そのため、できるだけ座ったり、ヒールが低い靴を選んだりすることが予防につながります。

またアキレス腱の柔軟性の低下が発症につながるので、起床時や入浴後など十分にアキレス腱をストレッチするようにしましょう。

4.アキレス腱炎になった際にするべきこと

まずは適切な診断をつけることが必要です。症状がでて改善しない時や、日常生活、スポーツをすることが困難なときには無理をせずに早めに病院を受診して、診断と今後の治療についてアドバイスを受けるようにしてください。

5.アキレス腱炎は早期発見・早期治療が重要

アキレス腱炎は大部分が保存治療で良くなりますが、痛みが長引き手術を受ける方もいらっしゃいます。

また、悪化を防ぐためにも、痛みが出た場合には、運動を控えることが必要です。自己判断や自己治療を行わず、早めに医師の診断を受け、適切な治療を行うようにしましょう

アキレス腱炎についてよくあるQ&A

Q. アキレス腱炎の治療にはどのようなものがありますか。

A. 安静や運動療法のほかに、局所注射療法、PRP(自己多血小板血漿)注入療法、手術治療などの方法があります。

PRP(自己多血小板血漿)注入療法は新しい治療法ですが、保険の適応が十分でないことや実施している施設も限られています。しかしながら最近ではアスリートが実施するなど、注目を浴びています。

治療を受けるかどうかは、担当の医師と十分に相談してから治療を選択するようにしましょう。

Q. アキレス腱炎に対する注射はどのような方法ですか。

A. 炎症を抑える目的で腱内部や周囲注射する方法があります。

注射する薬剤は局所麻酔薬、ヒアルロン酸、生理食塩水、ステロイド剤など様々です。ステロイドは炎症を抑える効果が強いのですが、腱の脆弱化や断裂を起こす可能性があるので、何度も注射することは勧められません。

Q. アキレス腱炎に対する手術はどのようなものがありますか。

A. 保存治療を少なくとも4ヶ月以上行っても効果がない方では、手術治療が行われる場合があります。

痛みが長引く方では、手術を実施している施設かどうか受診の前に事前に確認しておくと以降の治療がスムーズとなります。

まとめ・アキレス腱炎やってはいけないこと

アキレス腱炎になってしまった場合、無理な運動は症状が悪化してしまう可能性があります。

また安静だけではなく、十分な運動療法も治療に効果的です。そのためには正確な診断と早期の治療開始が必要ですので、痛みがでて困っている方は早めに病院で診察・治療を受けるようにしましょう。

この記事がご参考になれば幸いです。

 

No.S127

監修:医師 加藤 秀一

スポーツ外傷は⼿術しなくても治療できる時代です。

  • sbtn 08sbtn 08 sp
  • sbtn 00sbtn 00 sp

カテゴリ

人気記事ランキング

イメージ画像トップ