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もやもや病の治療方法とは?再生医療についても紹介
脳内での出血や、急に呂律が回らなくなる状態からもやもや病の診断を受けるケースがあります。もやもや病と診断された際、治療方法に悩む方も少なくありません。
もやもや病の治療方法には、生活習慣の改善や手術、再生医療などさまざまな手段があります。
本記事ではもやもや病の治療について、再生医療の選択肢や病気の特徴とともに解説します。
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目次
もやもや病の治療法
もやもや病は、脳の内頚動脈(ないけいどうみゃく)が詰まることで周囲に多くの細い血管が発生する病気です。子どもや若年層に多く見られますが、成人でも発症します。
もやもや病の治療法として、以下のものが挙げられます。
抗血小板薬の内服
抗血小板薬は血液をサラサラにする効果がある薬です。この薬剤の内服によって、血流の一時的な滞りで起こる発作「一過性虚血発作」の予防を期待できます。
ただし、成人で発症した場合は、脳出血がより深刻になる場合がある点に注意が必要です。加えて、子どものもやもや病についても、有効性が証明されていないことから、使用を勧めない医療機関もあります。
生活習慣の改善
生活習慣の改善も、もやもや病の治療でよく用いられる手段です。具体的に以下の方法を心掛けます。
- 規則正しい食事
- 適度な運動
- 十分な睡眠
- ストレスの適度な管理
- 適切な飲酒
栄養バランスの取れた規則正しい食事と十分な水分摂取を心がけることで、脱水による血液の濃縮を防ぎ、一過性虚血発作の予防が期待できます。加えて、適度な運動習慣や十分な睡眠を取ることで心身の健全な状態を維持でき、もやもや病の悪化を防ぐことにつながります。
成人の患者様であれば、お酒との上手な付き合いもポイントです。お酒を飲みすぎると、脳の血管にもダメージが及ぶため、ほどほどに飲むことを心掛けましょう。
脳血流量を増やすためのバイパス手術
もやもや病の治療では、手術も代表的な方法の一つです。採用される手術の方法として、直接的血行再建術と間接的血行再建術があります。
直接的血行再建術(直接バイパス術)は、脳表面の血管を頭皮や首の血管とつなぐ手術方法です。執刀する外科医に高度な技術が求められるものの、手術後の短い時間で脳の血流を増やしたり、脳梗塞を予防したりできる効果が見込めます。
一方の間接的血行再建術(間接バイパス術)は、頭皮などの組織を脳の表面に移植する方法です。移植後は3~4カ月程度かけて、新たな血管の形成を待ちます。この方法は直接的血行再建術に比べて時間がかかったり、脳梗塞の合併症の危険があったりするものの、体への負担が少なく済む点がメリットです。
出血後の点滴治療
出血が起きた際には、点滴治療が行われます。点滴治療では、血圧を適切に管理しながら止血を図ります。ただし、状態によっては時間が経過してから再出血するリスクがあり、そのような場合にはバイパス手術が検討されます。
なお、バイパス手術を選択した場合、再出血を減らせるという報告もされています。(文献1)
もやもや病の治療で気を付けること
もやもや病の診断を受けて治療に取り組む際、以下の点に注意が必要です。
- 突然の異変に注意する
- 激しい運動や力仕事は避ける
- 過度な飲酒や喫煙はしない
- 適度にストレスを発散する
- 必要に応じて楽器の演奏や熱いものを冷ます行為を控える
もやもや病の初期症状として、突然呂律が回らなくなったり手足がしびれたりするなどの異変が現れることがあります。そのため、ちょっとした異変でも見逃さないことが大切です。もし、異変が見られたら、早めに医療機関を受診しましょう。
また、激しい運動や力仕事は症状を誘発する可能性があります。もやもや病と診断された場合は、運動は無理のない範囲で行いましょう。
さらに過度な飲酒や喫煙も、血管に害を与えたり血圧を低下させたりする点で危険です。ストレスの溜めすぎも、血圧の上昇で症状を引き起こすケースがあります。
他にも小さい子どもであれば、リコーダーなどの息を使う楽器の使用や熱いものを冷ます行為で症状が出る場合に注意が必要です。
もやもや病の症状に対する再生医療
もやもや病による脳出血の後遺症や再発予防策として、再生医療を紹介します。再生医療では、幹細胞治療とPRP療法が代表的な治療法です。
当院「リペアセルクリニック」の幹細胞治療は、患者様から米粒2~3粒ほどの脂肪を採取し、細胞培養センターで幹細胞を培養して患部に投与します。幹細胞が持つ、さまざまな種類の細胞に変化する「分化能」という能力を活かした治療法です。
また、PRP療法は患者様から血液を採取し、遠心分離器にかけることで血小板を多く含んだ液体を作製して患部に投与する治療法です。
再生医療について詳細は、以下をご覧ください。
脳卒中のお悩みに対する新しい治療法があります。
もやもや病の基礎知識
もやもや病とは、脳を通る主要な血管が詰まったり細くなったりすることで、血流不足が起こる病気です。血流を補おうとして、周囲に細い血管が数多く発達します。その様子がもやもやとした霧のように見えることから、「もやもや病」と命名されました。
もやもや病には、血流不足による手足のしびれや言語障害が特徴の「虚血型」と、細い血管が過度な拡張で破れて脳出血を起こす「出血型」に大別されます。前者は小さい子どもに、後者は30代から40代の成人に多く見られるのが特徴です。
もやもや病の原因
もやもや病の原因は、現在も解明されていません。ただし、特定の遺伝子を持つ人が持っていない人に比べて、もやもや病を発症しやすいことは明らかにされてきています。(文献2)
もやもや病の症状
もやもや病の主な症状は以下のとおりです。
虚血性もやもや病の場合
- 手足のしびれや麻痺
- 言語障害:呂律が回らない・発話の困難など
- 脳梗塞・脳出血
出血性もやもや病の場合
- 激しい頭痛
- 手足のしびれ・麻痺
- 嘔吐
- 意識障害
- 視覚異常
- けいれん
なお、出血性もやもや病は虚血性もやもや病に比べて緊急性が高い特徴もあります。とくに出血した部位や出血量によっては、命の危機にさらされるケースもあるため、早めの医療機関への連絡が重要です。
もやもや病の症状をより詳細に知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
まとめ|もやもや病は生活習慣も含め根気強く治療しよう
もやもや病の治療法は、抗血小板薬による薬物療法、生活習慣の改善、外科手術などがあります。治療中は、過呼吸や激しい運動など脳血流に影響を与える行為を控え、適切なストレス管理を行うことが、症状悪化の予防につながります。
治療法には他にも再生医療を受ける選択肢もあります。当院「リペアセルクリニック」では、再生医療に関する相談や質問に随時対応しますので、お悩みの方はお気軽にご連絡ください。
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もやもや病の治療に関するよくある質問
もやもや病と診断されたら、必ず手術が必要?
もやもや病を診断されたとしても、必ずしも手術が必要とは限りません。病状や脳内の血流の状況から、生活習慣の改善などの対処法で足りる場合は手術は選択されません。
ただし、脳内で血流が著しく衰えている場合などは手術が必要になります。
脳の血管の詰まりなどは進行するのか?
もやもや病は症状が進むと、脳内の主要な血管の詰まり(閉塞)が進んでいきます。詰まっていく進行の速度こそゆっくりではあるものの、脳の左右両側の血管で症状が悪化していくため、早めの対処が不可欠です。
もやもや病でも普通の生活はできるの?
もやもや病を発症しても、症状が安定していれば普通の生活は送れます。ただ、飲酒や喫煙など、脳に悪影響を及ぼす行動や習慣は避けるべきです。
子どもの場合も、リコーダーの演奏や熱いものに息を吹きかけて冷ますなどの行為は症状を悪化させかねないため、注意する必要があります。
もやもや病の治療費は?
もやもや病の治療費は、症状や必要な治療などによってさまざまです。ただし、もやもや病は国から指定難病と認められているため、病状が一定以上重症だったり手術が必要だったりする場合は難病医療費助成制度の対象になります。
なお、18歳未満の患者様も重症の場合は、小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象です。
もやもや病で性格は変化する?
もやもや病によって脳の前頭葉が損傷を受けると、高次脳機能障害により感情のコントロールや状況判断が難しくなり、性格や行動が変化することがあります。
もやもや病による性格の変化について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
参考文献
(文献1)
Miyamoto S, Yoshimoto et al. (2014)May;45(5):1415-21.
(文献2)
Akikazu Nakamura, Shunsuke Nomura et al.(2024)|Scientific Reports 14

















